JP2017219261A - 目標状態量推定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】センサの搭載された複数の戦闘車両や無人航空機等で構成された分散型センサネットワークにおいて、複数の目標の運動を推定することのできる目標状態量推定装置を提供する。【解決手段】目標状態量推定装置は戦闘車両等に搭載され、センサ装置から観測情報を受信する受信部と、時間外挿計算部と、観測更新計算部と、剪定・抽出計算部と、出現・分離計算部から構成される。センサ装置は戦闘車両や無人航空機等に搭載され、センサと、GPS受信機と、送信部から構成される。センサ群は、自車や他車に搭載された複数のセンサ装置から構成される。【選択図】図1
Description
この発明は、戦闘車両や無人航空機など、複数のノードで構成された分散型センサネットワークにおいて、複数の目標の運動を推定する目標状態量推定装置に関するものである。
従来、戦闘車両において対処目標の運動を推定する際には、自車に搭載されたセンサからの観測情報だけを用いていた。センサにはカメラなどのように目標が放射する赤外線等などによって観測を行うパッシブセンサと、レーザ測距計などのようにセンサ自らがレーザ光等を照射し、その反射光などによって観測を行うアクティブセンサがある。パッシブセンサは主に自車から見た目標の方向、アクティブセンサは主に自車から見た目標までの相対距離を観測する。従来は自車に搭載されたこれらのセンサの観測情報を組み合わせることで、目標の運動の推定を行ってきた。
センサから得られる目標の観測情報には観測誤差が含まれており、それを取り除く手段として、目標の運動モデルに基づいて状態量を推定するカルマンフィルタがある。カルマンフィルタには、線形カルマンフィルタ(例えば、非特許文献1のP.163〜P.184参照)や、非線形カルマンフィルタ(例えば、非特許文献1のP.373〜P.388参照)等の種類がある。カルマンフィルタは基本的に単一の目標の運動を推定するものであるが、複数のカルマンフィルタを組み合わせることで複数の目標の運動を推定することを可能とした、多目標追尾フィルタが提案されている。多目標追尾フィルタには、MHT(Multiple Hypothesis Tracking)フィルタ(例えば、非特許文献2のP.229〜P.232、特許文献1参照)等の種類がある。
"Tactical and Strategic Missile Guidance Fifth Edition", Paul Zarchan, ISBN-10:1-56347-874-9
"Radar Principles with Applications to Tracking Systems", Philip L. Bogler, ISBN-10:0-471-50192-1
これまで自車に搭載されたセンサからの情報だけで目標の運動を推定する場合は、目標の方向と相対距離を得るため、必ずパッシブセンサとアクティブセンサを組み合わせる必要があった。しかし、アクティブセンサを使用すると、照射したレーザ光等によって自車の存在が目標に知られてしまうという課題があり、可能であればパッシブセンサのみを用いて目標の相対距離を推定できることが望ましい。
複数の戦闘車両や無人航空機に搭載されたパッシブセンサからの情報を用いると、三角測量の要領で複数の目標の相対距離を同時に知ることができる。複数の目標の運動を推定する場合には多目標追尾フィルタを使用する必要があるが、MHTフィルタのような従来の多目標追尾フィルタでは、ある時刻での計算結果を一定時間保持していなければならず、観測情報や目標の数に応じて、計算負荷が指数関数的に増大するという欠点がある。したがって、例えば無人航空機等を多数使用して、誤情報を多く含む観測情報の中から多数の目標の運動を推定する場合、増大する計算負荷に対応することのできる高性能な計算機が必要となる。その場合、戦闘車両や無人航空機からの観測情報を処理するための専用の計算機を核とした集中型のネットワークを構成せざるを得ない。そのため、スケーラビリティや耐故障性の面で課題があった。
この発明は係る課題を解決するためになされたものであり、センサの搭載された複数の戦闘車両や無人航空機等で構成された分散型センサネットワークにおいて、複数の目標の運動を推定することのできる目標状態量推定装置を提供することを目標とする。
この目標に係る目標状態量推定装置は、複数のセンサ装置から観測情報を受信する受信部と、時間外挿計算部と、観測更新計算部と、剪定・抽出計算部と、出現・分離計算部から構成され、前記受信部と、前記時間外挿計算部と、前記観測更新計算部と、前記剪定・抽出計算部と、前記出現・分離計算部は、GMPHD(Gaussian‐Mixture Probability Hypothesis Density Filter)フィルタアルゴリズムに基づいて、前記複数のセンサ装置で取得された複数の目標に関する観測量から、前記目標の状態量を推定する。
この目標に係る目標状態量推定装置によれば、センサの搭載された複数の戦闘車両や無人航空機等で構成されたセンサネットワークにおいて、複数の目標の運動を推定することができるという効果を奏する。
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る目標状態量推定装置100の構成を示す図である。
目標状態量推定装置100は戦闘車両等に搭載され、センサ装置から観測情報を受信する受信部1と、時間外挿計算部2と、観測更新計算部3と、剪定・抽出計算部4と、出現・分離計算部5から構成される。
センサ装置200は複数の戦闘車両や無人航空機等に搭載され、それぞれセンサ7と、GPS受信機8と、送信部9から構成される。
センサ群Aは、自車や他車に搭載されたN台のセンサ装置200から構成される。なお、台数Nは装置の動作中に増減してもよい。
図1は、本実施の形態に係る目標状態量推定装置100の構成を示す図である。
目標状態量推定装置100は戦闘車両等に搭載され、センサ装置から観測情報を受信する受信部1と、時間外挿計算部2と、観測更新計算部3と、剪定・抽出計算部4と、出現・分離計算部5から構成される。
センサ装置200は複数の戦闘車両や無人航空機等に搭載され、それぞれセンサ7と、GPS受信機8と、送信部9から構成される。
センサ群Aは、自車や他車に搭載されたN台のセンサ装置200から構成される。なお、台数Nは装置の動作中に増減してもよい。
以下、図1を参照しながら、実施の形態1における目標状態量推定装置の動作を詳しく説明する。
まず、目標状態量推定装置100への入力値を送信するセンサ装置200の動作について説明する。
センサ7は、パッシブセンサやアクティブセンサから構成され、複数の目標について、観測量ベクトル10とその観測ノイズベクトル11の組を出力する。この組の中には誤情報が含まれていてもよい。GPS受信機8は、センサ装置200が搭載された車両や無人航空機等の自己位置12(u k)および観測時刻13を出力する。
センサ7は、パッシブセンサやアクティブセンサから構成され、複数の目標について、観測量ベクトル10とその観測ノイズベクトル11の組を出力する。この組の中には誤情報が含まれていてもよい。GPS受信機8は、センサ装置200が搭載された車両や無人航空機等の自己位置12(u k)および観測時刻13を出力する。
ある観測時刻tkにおける観測量ベクトル10、観測ノイズベクトル11および自己位置12は、センサ7およびGPS受信機8から出力される値を用いて以下の式(1)のとおり表される。
センサ装置200は任意の間隔で観測量ベクトル10、観測ノイズベクトル11および自己位置12を取得し、観測時刻13とともに送信部9を介して目標状態推定装置100に送信する。なお、センサと目標との位置関係やGPS信号の受信状況等によりこれらの情報が取得できない場合は、情報が送信できなくてもよい。
センサ群Aは、N台のセンサ装置200(200_1、200_2、・・・、200_N)からなる群であり、各センサ装置200と目標状態量推定装置100は、送信部9と受信部1を介して無線ネットワーク等で接続される。センサ群Aには、目標状態量推定装置100が搭載された車両に搭載されたセンサ装置200を含む。なお、センサ群Aを構成するセンサ装置200の台数Nは、装置の動作中に増減しても構わない。
次に、目標状態量推定装置100の動作について説明する。
目標状態量推定装置100は、GMPHD(Gaussian‐Mixture Probability Hypothesis Density Filter)フィルタアルゴリズムに基づき、センサ群Aから得られた複数の目標に関する多数の観測量を用いて目標の状態量を推定できることを特徴とする。アルゴリズムは、時間外挿計算部2、観測更新計算部3、剪定・抽出計算部4、および出現・分離計算部5によって構成される。
目標状態量推定装置100は、GMPHD(Gaussian‐Mixture Probability Hypothesis Density Filter)フィルタアルゴリズムに基づき、センサ群Aから得られた複数の目標に関する多数の観測量を用いて目標の状態量を推定できることを特徴とする。アルゴリズムは、時間外挿計算部2、観測更新計算部3、剪定・抽出計算部4、および出現・分離計算部5によって構成される。
まず、GMPHDフィルタにおけるPHD(確率濃度分布)について定義する。
ある時刻tkでの状態ベクトルxにおけるPHDを式(2)の通り表すものとする。この式は、状態空間におけるPHDが正規分布の重ね合わせ(Gaussian‐Mixture)によって近似的に表されることを示している。なお、N(x,m,P)は平均値m、共分散行列Pの多変数正規分布における状態量xでの値を示す。
ある時刻tkでの状態ベクトルxにおけるPHDを式(2)の通り表すものとする。この式は、状態空間におけるPHDが正規分布の重ね合わせ(Gaussian‐Mixture)によって近似的に表されることを示している。なお、N(x,m,P)は平均値m、共分散行列Pの多変数正規分布における状態量xでの値を示す。
次に、センサ群Aより受信部1を介して入力される観測情報について定義する。
時刻tkにおいて、センサ群Aのうちいくつかのセンサから観測量ベクトル10、観測ノイズ行列11、自己位置12および観測時刻13が得られ、そのうちNk台のセンサについて、観測時刻13が前の時刻tk−1以降だったものとする。このとき、このNk台のセンサから合計ηk個の観測情報が時刻tkに得られたものとして扱い、これらを式(3)のとおり定義する。
時刻tkにおいて、センサ群Aのうちいくつかのセンサから観測量ベクトル10、観測ノイズ行列11、自己位置12および観測時刻13が得られ、そのうちNk台のセンサについて、観測時刻13が前の時刻tk−1以降だったものとする。このとき、このNk台のセンサから合計ηk個の観測情報が時刻tkに得られたものとして扱い、これらを式(3)のとおり定義する。
時間外挿計算部2では、前の時刻tk−1における目標PHDに基づき、時刻tkでの時間外挿後のPHDを式(4)のとおり計算する。
観測更新計算部3では、センサ群Aより受信部1を介して得られたZk、RkおよびUkと、時間外挿計算部2より得られた時間外挿後のPHDを用いて、時刻tkにおける観測更新後のPHDを式(5)のとおり計算する。
剪定・抽出計算部4では、まず観測更新計算部3において増加した正規分布の要素数Jkを抑制するため、不要な正規分布の剪定を行う。
剪定においては、最初にvkに含まれる正規分布要素のうち、重み係数wjがT未満の要素を除く。次に、重み係数wiが大きな正規分布要素から順に、近傍に存在する正規分布要素と合成する。合成の閾値をUとしたとき、平均値mk i、誤差共分散行列Pk iの正規分布の近傍にある正規分布要素は、式(6)を満たすものとする。
以上の処理を行った後もなお正規分布要素の数がJmaxより多い場合は、重み係数の上位Jmax個の要素のみ残し、残りはvkから除く。
剪定が完了した後、重み係数wiがある閾値wThより大きい正規分布要素の平均値の集合を式(7)のとおり抽出し、時刻tkにおける目標推定値6とする。
出現・分離計算部5では、剪定が完了した後のvkに対して、新たに出現した目標の正規分布要素を追加する。時刻tkにおいて新たに出現する目標を加えた後の目標PHDは式(8)で表される。
新たに出現した目標の状態量の初期値の決め方は観測量の種類によって異なる。例えば目標の方向を観測することのできるセンサのみで構成されたセンサ群であれば、自己位置から見た目標方向のベクトル同士の交点を初期値とすればよい。また、目標の方向に加えて相対距離も観測できるのであれば、従来技術と同様に、それらを組み合わせて1点の慣性座標を初期値として与えることができる。
以上の処理を各時刻において繰り返し計算し、目標推定値6を目標状態量推定装置の最終的な出力とする。
このように、本実施の形態に係る目標状態量推定装置によれば、センサの搭載された複数の戦闘車両や無人航空機等で構成されたセンサネットワークにおいて、複数の目標の運動を推定することができる。また、複数のパッシブセンサを利用して目標の運動を推定することが可能となるため、観測によって目標に発見されてしまうことを防ぐことができる。
また、従来技術と比較して処理負荷は低く抑えられる。そのため、高性能な計算機を必要せず、観測情報や目標の数が増大しても比較的容易に対応することができ、スケーラビリティが高い。また、目標の推定結果を必要とする戦闘車両等にそれぞれ目標状態量推定装置を搭載することができるので、分散型センサネットワークを構成することが可能となる。したがって、耐故障性にも優れている。
なお、この目標状態量推定装置を用いて、目標追尾装置を構成することが可能となる。
1 受信部、2 時間外挿計算部、3 観測更新計算部、4 剪定・抽出計算部、5 出現・分離計算部、6 目標推定値、7 センサ、8 GPS受信機、9 送信部、10 観測量ベクトル、11 観測ノイズベクトル、12 自己位置、13 観測時刻、100 目標状態量推定装置、200 センサ装置、A センサ群
Claims (3)
- 複数のセンサ装置から観測情報を受信する受信部と、時間外挿計算部と、観測更新計算部と、剪定・抽出計算部と、出現・分離計算部から構成され、
前記受信部と、前記時間外挿計算部と、前記観測更新計算部と、前記剪定・抽出計算部と、前記出現・分離計算部は、GMPHD(Gaussian‐Mixture Probability Hypothesis Density Filter)フィルタアルゴリズムに基づいて動作し、前記複数のセンサ装置で取得された複数の目標に関する観測量から、前記目標の状態量を推定することを特徴とする目標状態量推定装置。 - 前記受信部は、前記センサ装置の各々から、複数の目標についての観測ベクトルと観測ノイズ行列と自己位置と観測時刻を入力して、現時刻tにおける観測ベクトルと観測ノイズ行列と自己位置を前記観測更新計算部と出現・分離計算部に出力し、
前記時間外挿計算部は、前記出現・分離計算部から取得した前の時刻における目標PHD(Probability Hypothesis Density;確率濃度分布)を用いて、時間外挿により現時刻tにおける目標PHDを求めて前記観測更新計算部に出力し、
前記観測更新計算部は、現時刻tにおける目標PHDと、前記受信部から受信した観測量ベクトルと観測ノイズベクトルと自己位置から、観測更新後のPHDを計算して、前記剪定・抽出計算部に出力し、
前記剪定・抽出計算部は、前記観測更新計算部で増加した不要な正規分布の剪定を行い、剪定後の観測更新後のPHDを前記出現・分離計算部に出力し、
前記出現・分離計算部は、剪定後の観測更新後のPHDに対して新たに出現した目標の正規分布要素を追加し、現時刻tにおいて新たに出現する目標を加えた目標PHDを前記時間外挿計算部に出力することを特徴とする請求項1記載の目標状態量推定装置。 - 前記センサ装置は、車両、あるいは無人航空機に搭載された観測センサと、測位受信機と、送信部からなることを特徴とする請求項1または2記載の目標状態量推定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016114189A JP2017219261A (ja) | 2016-06-08 | 2016-06-08 | 目標状態量推定装置 |
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Publications (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2021254276A1 (zh) * | 2020-06-15 | 2021-12-23 | 北京理工大学 | 利用地面激光指示器的飞行器激光制导控制系统及方法 |
CN115657008A (zh) * | 2022-12-28 | 2023-01-31 | 北京无线电测量研究所 | 一种机载太赫兹雷达多目标跟踪方法和装置 |
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2016
- 2016-06-08 JP JP2016114189A patent/JP2017219261A/ja active Pending
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