JP2017218448A - 抗インフルエンザウイルス薬 - Google Patents
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Abstract
【課題】新たな抗インフルエンザウイルス薬の提供。
【解決手段】p300/CREB結合タンパクに特異的なヒストンアセチル転移酵素阻害剤を有効成分とする抗インフルエンザウイルス薬。
【選択図】なし
【解決手段】p300/CREB結合タンパクに特異的なヒストンアセチル転移酵素阻害剤を有効成分とする抗インフルエンザウイルス薬。
【選択図】なし
Description
本発明は、抗インフルエンザウイスル薬に関する。
現在市販されている抗インフルエンザウイスル薬としては、オセルタミビル、ザナミビル、ラニナビル、ペラミビル、アマンタジン及びファビピラビルが知られている。これらの薬剤の作用メカニズムは、インフルエンザウイルスがコードするタンパク質であるノイラミニダーゼ、M2タンパク、イオンチャンネル又はRNAポリメラーゼを阻害することである(非特許文献1)。
Current Opinion in Virology 2011, 1:563-573
しかしながら、広く使用されているオセルタミビルやザナミビル等のノイラミニダーゼ阻害薬に対しては、既に耐性ウイルスが出現している(非特許文献1)。またRNAポリメラーゼ阻害薬については、未だ広く使用されていないため耐性の報告はないが、インフルエンザウイルスがコードするタンパク質を標的とすることから、変異速度の高いウイルスタンパク質に耐性変異が起きることで薬剤耐性ウイルスが容易に出現し、予防治療効果が減弱する懸念がある。
従って、インフルエンザウイルスがコードするタンパク質を標的としない、すなわち耐性発現の懸念のない抗インフルエンザウイルス薬が望まれている。
従って、インフルエンザウイルスがコードするタンパク質を標的としない、すなわち耐性発現の懸念のない抗インフルエンザウイルス薬が望まれている。
そこで本発明者は、インフルエンザウイルスがコードするタンパク質でない分子を標的とする抗インフルエンザウイルス薬を開発すべく検討した結果、インフルエンザウイルスの宿主であるヒト細胞の遺伝子の発現の制御機構のひとつであるヒストンのアセチル化レベルでの制御に着目した。種々検討した結果、アセチル化酵素を阻害することでアセチル化レベルの低下を起こすとインフルエンザウイルスの増殖阻害が起こることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔6〕を提供するものである。
〔1〕p300/CREB結合タンパクに特異的なヒストンアセチル転移酵素阻害剤を有効成分とする抗インフルエンザウイルス薬。
〔2〕p300/CREB結合タンパクに特異的なヒストンアセチル転移酵素阻害剤が、次の一般式(1)で表される化合物又はその塩である〔1〕記載の抗インフルエンザウイルス薬。
〔2〕p300/CREB結合タンパクに特異的なヒストンアセチル転移酵素阻害剤が、次の一般式(1)で表される化合物又はその塩である〔1〕記載の抗インフルエンザウイルス薬。
(式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1−C4アルキル基、カルボキシル基、C1−C4アルコキシカルボニル基、アミノスルホニル基又はC1−C4アルキルアミノスルホニル基を示し;
R3は、C1−C4アルキル基、ハロゲノC1−C4アルキル基、フェニル基又はフェニルチオメチル基を示し;
R4、R5、R6及びR7のうちの1個はニトロ基を示し、他の3個は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1−C4アルキル基又はC1−C4アルコキシ基を示し;
Yは、C(O)又はNを示し;
破線は二重結合があってもよいことを示す。)
〔3〕p300/CREB結合タンパクに特異的なヒストンアセチル転移酵素阻害剤の抗インフルエンザウイルス薬製造のための使用。
〔4〕p300/CREB結合タンパクに特異的なヒストンアセチル転移酵素阻害剤が、次の一般式(1)で表される化合物又はその塩である〔3〕記載の使用。
R3は、C1−C4アルキル基、ハロゲノC1−C4アルキル基、フェニル基又はフェニルチオメチル基を示し;
R4、R5、R6及びR7のうちの1個はニトロ基を示し、他の3個は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1−C4アルキル基又はC1−C4アルコキシ基を示し;
Yは、C(O)又はNを示し;
破線は二重結合があってもよいことを示す。)
〔3〕p300/CREB結合タンパクに特異的なヒストンアセチル転移酵素阻害剤の抗インフルエンザウイルス薬製造のための使用。
〔4〕p300/CREB結合タンパクに特異的なヒストンアセチル転移酵素阻害剤が、次の一般式(1)で表される化合物又はその塩である〔3〕記載の使用。
(式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1−C4アルキル基、カルボキシル基、C1−C4アルコキシカルボニル基、アミノスルホニル基又はC1−C4アルキルアミノスルホニル基を示し;
R3は、C1−C4アルキル基、ハロゲノC1−C4アルキル基、フェニル基又はフェニルチオメチル基を示し;
R4、R5、R6及びR7のうちの1個はニトロ基を示し、他の3個は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1−C4アルキル基又はC1−C4アルコキシ基を示し;
Yは、C(O)又はNを示し;
破線は二重結合があってもよいことを示す。)
〔5〕p300/CREB結合タンパクに特異的なヒストンアセチル転移酵素阻害の有効量を投与することを特徴とするインフルエンザウイルス感染症の予防又は治療法。
〔6〕p300/CREB結合タンパクに特異的なヒストンアセチル転移酵素阻害剤が、次の一般式(1)で表される化合物又はその塩である〔5〕記載の予防又は治療法。
R3は、C1−C4アルキル基、ハロゲノC1−C4アルキル基、フェニル基又はフェニルチオメチル基を示し;
R4、R5、R6及びR7のうちの1個はニトロ基を示し、他の3個は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1−C4アルキル基又はC1−C4アルコキシ基を示し;
Yは、C(O)又はNを示し;
破線は二重結合があってもよいことを示す。)
〔5〕p300/CREB結合タンパクに特異的なヒストンアセチル転移酵素阻害の有効量を投与することを特徴とするインフルエンザウイルス感染症の予防又は治療法。
〔6〕p300/CREB結合タンパクに特異的なヒストンアセチル転移酵素阻害剤が、次の一般式(1)で表される化合物又はその塩である〔5〕記載の予防又は治療法。
(式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1−C4アルキル基、カルボキシル基、C1−C4アルコキシカルボニル基、アミノスルホニル基又はC1−C4アルキルアミノスルホニル基を示し;
R3は、C1−C4アルキル基、ハロゲノC1−C4アルキル基、フェニル基又はフェニルチオメチル基を示し;
R4、R5、R6及びR7のうちの1個はニトロ基を示し、他の3個は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1−C4アルキル基又はC1−C4アルコキシ基を示し;
Yは、C(O)又はNを示し;
破線は二重結合があってもよいことを示す。)
R3は、C1−C4アルキル基、ハロゲノC1−C4アルキル基、フェニル基又はフェニルチオメチル基を示し;
R4、R5、R6及びR7のうちの1個はニトロ基を示し、他の3個は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1−C4アルキル基又はC1−C4アルコキシ基を示し;
Yは、C(O)又はNを示し;
破線は二重結合があってもよいことを示す。)
本発明の抗インフルエンザ薬は、インフルエンザウイルスの宿主であるヒト細胞の遺伝子の発現機構の一つであるp300/CREB結合タンパクに特異的なヒストンアセチル転移酵素を阻害することにより、インフルエンザウイルスの増殖を抑制するものであることから、耐性発現の可能性がほとんどない。また、本発明の抗インフルエンザ薬は、インフルエンザウイルスの増殖を強力に抑制し、かつ安全性も高いことが確認された。
本発明の抗インフルエンザウイルス薬の有効成分は、p300/CREB結合タンパクに特異的なヒストンアセチル転移酵素阻害剤である。ヒストンアセチル転移酵素(histone acetyltransferase:HAT)は、真核生物が有する酵素であり、転写活性化機能等を有する。このうち、p300/CREB結合タンパクに特異的なHATは、線虫からヒト細胞に存在し、転写活性化を有することが知られている。HAT阻害剤が転写活性を抑制することから、抗がん剤として期待されているが(例えば、国際公開公報第2011/085039号)、インフルエンザウイルスの増殖に対する作用は全く知られていない。
前記のp300/CREB結合タンパクに特異的なHAT阻害剤としては、例えば国際公開公報第2011/085039号記載の化合物、すなわち一般式(1)で表される化合物又はその塩が挙げられる。
(式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1−C4アルキル基、カルボキシル基、C1−C4アルコキシカルボニル基、アミノスルホニル基又はC1−C4アルキルアミノスルホニル基を示し;
R3は、C1−C4アルキル基、ハロゲノC1−C4アルキル基、フェニル基又はフェニルチオメチル基を示し;
R4、R5、R6及びR7のうちの1個はニトロ基を示し、他の3個は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1−C4アルキル基又はC1−C4アルコキシ基を示し;
Yは、C(O)(カルボニル)又はN(窒素原子)を示し;
破線は二重結合があってもよいことを示す。)
R3は、C1−C4アルキル基、ハロゲノC1−C4アルキル基、フェニル基又はフェニルチオメチル基を示し;
R4、R5、R6及びR7のうちの1個はニトロ基を示し、他の3個は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1−C4アルキル基又はC1−C4アルコキシ基を示し;
Yは、C(O)(カルボニル)又はN(窒素原子)を示し;
破線は二重結合があってもよいことを示す。)
R1〜R7で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が挙げられる。このうち、フッ素原子、塩素原子又は臭素原子が好ましい。
C1−C4アルキル基としては、直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられ、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
C1−C4アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
C1−C4アルキルアミノスルホニル基としては、メチル部分アミノスルホニル基、エチルアミノスルホニル基、n−プロピルアミノスルホニル基、イソプロピルアミノスルホニル基、n−ブチルアミノスルホニル基等が挙げられる。
C1−C4アルキル基としては、直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられ、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
C1−C4アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
C1−C4アルキルアミノスルホニル基としては、メチル部分アミノスルホニル基、エチルアミノスルホニル基、n−プロピルアミノスルホニル基、イソプロピルアミノスルホニル基、n−ブチルアミノスルホニル基等が挙げられる。
ハロゲノC1−C4アルキル基としては、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基等が挙げられる。
C1−C4アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基等が挙げられる。
YはC(O)又はNを示す。YがC(O)(カルボニル基)を示す場合、破線部分は単結合である。YがNを示す場合、破線部分は二重結合となる。
C1−C4アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基等が挙げられる。
YはC(O)又はNを示す。YがC(O)(カルボニル基)を示す場合、破線部分は単結合である。YがNを示す場合、破線部分は二重結合となる。
R1及びR2としては、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1−C4アルキル基、カルボキシル基、C1−C4アルコキシカルボニル基又はアミノスルホニル基がより好ましく、R1及びR2の一方が水素原子、ハロゲン原子、C1−C4アルキル基であり、他方がカルボキシル基、C1−C4アルコキシカルボニル基又はアミノスルホニル基であるのがさらに好ましい。
R3としては、C1−C4アルキル基、トリフルオロメチル基、フェニル基又はフェニルチオメチル基がより好ましく、C1−C4アルキル基又はトリフルオロメチル基がさらに好ましい。
R4、R5、R6及びR7のうちの1個はニトロ基であり、他の3個は同一又は異なって水素原子、ハロゲン原子、C1−C4アルキル基又はC1−C4アルコキシ基であるが、1個がニトロ基であり、他の3個が同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はメトキシ基であるのがより好ましい。
Yは、N(窒素原子)であり、破線部分は二重結合であるのがより好ましい。
R3としては、C1−C4アルキル基、トリフルオロメチル基、フェニル基又はフェニルチオメチル基がより好ましく、C1−C4アルキル基又はトリフルオロメチル基がさらに好ましい。
R4、R5、R6及びR7のうちの1個はニトロ基であり、他の3個は同一又は異なって水素原子、ハロゲン原子、C1−C4アルキル基又はC1−C4アルコキシ基であるが、1個がニトロ基であり、他の3個が同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はメトキシ基であるのがより好ましい。
Yは、N(窒素原子)であり、破線部分は二重結合であるのがより好ましい。
一般式(1)で表される化合物の塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム等のアルカリ土類金属塩等の塩基塩;塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸塩等が挙げられる。
また、一般式(1)で表される化合物には、シス−トランス等の幾何異性体、光学異性体が存在し、これらの異性体のいずれもが含まれる。
一般式(1)で表される化合物の具体例を、表1及び表2に示す。表1及び表2中、cis、transの記載がない化合物は、シス体とトランス体の混合物である。
一般式(1)で表される化合物は、例えば国際公開公報第2011/085039号記載の方法によって製造することができる。
後記実施例に示すように、p300/CREB結合タンパクに特異的なHAT阻害剤は、in vitro及びin vivoにおいてインフルエンザウイルスの増殖を抑制し、インフルエンザウイルス感染症の予防及び/又は治療薬として有用である。ここで、本発明の抗インフルエンザウイルス薬の対象となるインフルエンザウイルスは、特に限定されず、A型及びB型のいずれも含まれ、また新型インフルエンザウイルスも含まれる。また、HA及びNAの型にも限定されず、例えばA型ではH1〜H16及びN1〜N9のいずれにも有効である。また、インフルエンザウイルス由来のタンパクを標的とするものでないため、変異インフルエンザウイルスの感染に対しても有効である。「予防」とはインフルエンザウイルス感染による症状の発症、又はその重症化を防止することを意味し、インフルエンザ感染の危険性が予期される時期、又は感染初期の軽症時に本発明の薬剤を投与する。また「治療」とはインフルエンザウイルス感染による症状、特に重症化症状が軽減又は消失することを意味し、インフルエンザウイルス感染が確認された時点で本発明の薬剤を投与する。
本発明の抗インフルエンザウイルス薬は、経口または非経口的に投与することができる。経口的に投与する製剤としては、錠剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、液剤、トローチ剤、ゼリー剤等を挙げることができる。また、非経口的に投与する製剤としては、注射剤、硬膏剤、酒精剤、エキス剤、座剤、懸濁剤、チンキ剤、軟膏剤、パップ剤、点鼻剤、吸入剤、リニメント剤、ローション剤、エアゾール剤等を挙げることができる。
これらの製剤(組成物)は当業者に公知慣用の製剤方法により製造でき、またこのような種々の剤形の医薬製剤(医薬組成物)を調製するには、他の薬学的に許容される担体を所望に応じて添加することが可能である。担体としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、流動化剤、乳化剤、安定化剤等を挙げることができる。
本発明の抗インフルエンザウイルス薬の患者への投与量は、患者の性別、年齢、症状、投与方法、投与回数、投与時期等により異なるが、例えば、経口投与の場合、1日当たりp300/CREB結合タンパクに特異的なHAT阻害剤を0.1〜100mg投与することが好ましい。また、本発明の抗インフルエンザウイルス薬を点鼻剤又は吸入剤として投与する場合、製剤中のp300/CREB結合タンパクに特異的なHAT阻害剤の濃度を0.01〜5.0w/w%、好ましくは0.05〜3.0w/w%として製したものを、1日1〜3回程度点鼻又は吸入するのが好ましい。本発明の抗インフルエンザウイルス薬を注射剤として投与する場合、製剤中のp300/CREB結合タンパクに特異的なHAT阻害剤の濃度を0.05〜5.0w/w%として製したものを、1日1回程度注射するのが好ましい。
以下に、実施例を示して本発明を説明するが、本発明はこれらにのみ限定されるべきものではない。
実施例1
ヒト肺胞上皮由来A549細胞におけるC646(化合物番号1)の抗インフルエンザウイルス効果を調べた。DMSOで溶解したC646(5μMもしくは10μM)をA549細胞に添加しその10時間後にウイルスをMOI=2もしくは1で感染させた。その際に、DMSOは濃度0.1%に維持し、0.4μg/mLになるようにTPCK−trypsinを添加した。経時的(感染6、12、18、24時間後)に培養上精を採取しウイルス力価を測定した。マウスに適応したヒト由来インフルエンザウイルスA/WSN/33(H1N1)の増殖をC646の濃度依存的に抑制した(図1)。また、同様に2009年パンデミックウイルスA/California/04/2009(H1N1)の増殖も抑制した(図2)。2009年パンデミックウイルスと同じく季節性インフルエンザの原因となるH3N2インフルエンザウイルスA/Tokyo/UTIMS2−1/2014(H3N2)についても検討した結果、C646はウイルスの増殖を抑制することができた(図3)。さらに、高病原性鳥インフルエンザウイルスA/Vietnam/1203/2004(H5N1)の増殖も抑えたことから(図4)、C646は様々なサブタイプのインフルエンザウイルスの増殖を抑制することができることが明らかとなった。
近年、抗インフルエンザウイルス薬耐性ウイルスの出現が問題となっている。そこで、オセルタミビル耐性の2009年パンデミックウイルスA/Sapporo/114/2013(H1N1)に対するC646の効果も検討した。その結果、薬剤耐性ウイルスに対しても同等の増殖抑制効果が認められた(図5)。
次に、C646の治療効果を検討するために、A549細胞にMOI=2でA/WSN/33(H1N1)を感染後にC646を5μMもしくは10μM投与し、感染24時間後に培養上精中のウイルス力価を測定した。その結果、ウイルス感染5時間後にC646を添加してもウイルス増殖を抑制することができた(図6)。従って、C646はインフルエンザの予防だけでなく治療効果も期待できる。
ヒト肺胞上皮由来A549細胞におけるC646(化合物番号1)の抗インフルエンザウイルス効果を調べた。DMSOで溶解したC646(5μMもしくは10μM)をA549細胞に添加しその10時間後にウイルスをMOI=2もしくは1で感染させた。その際に、DMSOは濃度0.1%に維持し、0.4μg/mLになるようにTPCK−trypsinを添加した。経時的(感染6、12、18、24時間後)に培養上精を採取しウイルス力価を測定した。マウスに適応したヒト由来インフルエンザウイルスA/WSN/33(H1N1)の増殖をC646の濃度依存的に抑制した(図1)。また、同様に2009年パンデミックウイルスA/California/04/2009(H1N1)の増殖も抑制した(図2)。2009年パンデミックウイルスと同じく季節性インフルエンザの原因となるH3N2インフルエンザウイルスA/Tokyo/UTIMS2−1/2014(H3N2)についても検討した結果、C646はウイルスの増殖を抑制することができた(図3)。さらに、高病原性鳥インフルエンザウイルスA/Vietnam/1203/2004(H5N1)の増殖も抑えたことから(図4)、C646は様々なサブタイプのインフルエンザウイルスの増殖を抑制することができることが明らかとなった。
近年、抗インフルエンザウイルス薬耐性ウイルスの出現が問題となっている。そこで、オセルタミビル耐性の2009年パンデミックウイルスA/Sapporo/114/2013(H1N1)に対するC646の効果も検討した。その結果、薬剤耐性ウイルスに対しても同等の増殖抑制効果が認められた(図5)。
次に、C646の治療効果を検討するために、A549細胞にMOI=2でA/WSN/33(H1N1)を感染後にC646を5μMもしくは10μM投与し、感染24時間後に培養上精中のウイルス力価を測定した。その結果、ウイルス感染5時間後にC646を添加してもウイルス増殖を抑制することができた(図6)。従って、C646はインフルエンザの予防だけでなく治療効果も期待できる。
実施例2
培養細胞を用いた検討結果から、C646の抗インフルエンザ効果が明らかとなった。そこで、個体レベルでのC646の抗インフルエンザ効果を検討するために、インフルエンザウイルス感染マウスモデルを用いた。感染48及び24時間前に1mg/kgもしくは5mg/kgのC646を経鼻投与し、致死量(5×103PFU)のA/WSN/33(H1N1)をBALB/cマウスに感染させた。感染2、24及び48時間後にも感染前と同じ量のC646を経鼻投与した(図7)。C646の個体レベルでのウイルス増殖抑制効果を検討するために、感染3及び6日後の肺におけるウイルス力価をMDCK細胞を用いて測定した。その結果、感染後3及び6日ともにC646投与量依存的に、肺でのウイルス力価の低下を認めた(図8)。従って、C646は個体レベルでもインフルエンザウイルス増殖抑制効果があることが明らかとなった。
また、これらのマウスの体重と生残を連日モニタリングした。C646を投与しなかったマウスは感染9日までに全て死亡したにも関わらず、C646を投与したマウスは、体重減少率の抑制が認められ(図9)、死亡率も低下した(図10)。また、DMSO単体もしくはDMSOとC646のみを投与したマウスでは、体重の減少が認められなかったことから(図9)、今回の動物実験に用いたC646とDMSOの投与量ではマウスに対して明らかな毒性はないと考えられる。
培養細胞を用いた検討結果から、C646の抗インフルエンザ効果が明らかとなった。そこで、個体レベルでのC646の抗インフルエンザ効果を検討するために、インフルエンザウイルス感染マウスモデルを用いた。感染48及び24時間前に1mg/kgもしくは5mg/kgのC646を経鼻投与し、致死量(5×103PFU)のA/WSN/33(H1N1)をBALB/cマウスに感染させた。感染2、24及び48時間後にも感染前と同じ量のC646を経鼻投与した(図7)。C646の個体レベルでのウイルス増殖抑制効果を検討するために、感染3及び6日後の肺におけるウイルス力価をMDCK細胞を用いて測定した。その結果、感染後3及び6日ともにC646投与量依存的に、肺でのウイルス力価の低下を認めた(図8)。従って、C646は個体レベルでもインフルエンザウイルス増殖抑制効果があることが明らかとなった。
また、これらのマウスの体重と生残を連日モニタリングした。C646を投与しなかったマウスは感染9日までに全て死亡したにも関わらず、C646を投与したマウスは、体重減少率の抑制が認められ(図9)、死亡率も低下した(図10)。また、DMSO単体もしくはDMSOとC646のみを投与したマウスでは、体重の減少が認められなかったことから(図9)、今回の動物実験に用いたC646とDMSOの投与量ではマウスに対して明らかな毒性はないと考えられる。
実施例3
(1)IC50アッセイ方法(阻害活性)
DMSOで溶解した被験化合物を終濃度で100μM〜1nMとなるようにA549細胞に添加し、インフルエンザウイルスA/WSN/33株をmoi=0.001で感染させた。感染48時間後に培養上清中のウイルスの有無をモルモット赤血球を用いてHA価を調べる方法で検出した。被験化合物の1濃度につき3穴で行い、半分の穴にウイルスが無くなる被験化合物濃度をIC50として算出した。
(2)CC50アッセイ方法(細胞毒性)
IC50アッセイ方法と同様の方法でA549細胞に被験化合物を添加し、48時間後にCell Counting Kit−8(株式会社 同仁化学研究所)を用いて450nmの吸光度を指標に生細胞数を測定し、50%の細胞が死亡する被験化合物濃度をCC50として算出した。
(3)活性化合物判定方法
CC50値が100μM以上で、かつIC50値より低い被験化合物を活性化合物と判定した。結果を表3に示す。
(1)IC50アッセイ方法(阻害活性)
DMSOで溶解した被験化合物を終濃度で100μM〜1nMとなるようにA549細胞に添加し、インフルエンザウイルスA/WSN/33株をmoi=0.001で感染させた。感染48時間後に培養上清中のウイルスの有無をモルモット赤血球を用いてHA価を調べる方法で検出した。被験化合物の1濃度につき3穴で行い、半分の穴にウイルスが無くなる被験化合物濃度をIC50として算出した。
(2)CC50アッセイ方法(細胞毒性)
IC50アッセイ方法と同様の方法でA549細胞に被験化合物を添加し、48時間後にCell Counting Kit−8(株式会社 同仁化学研究所)を用いて450nmの吸光度を指標に生細胞数を測定し、50%の細胞が死亡する被験化合物濃度をCC50として算出した。
(3)活性化合物判定方法
CC50値が100μM以上で、かつIC50値より低い被験化合物を活性化合物と判定した。結果を表3に示す。
表3から明らかなように、一般式(1)で表される化合物は、p300/CREB結合タンパクに特異的なヒストンアセチル転移酵素阻害作用に基づき抗インフルエンザウイルス作用を示す。
Claims (2)
- p300/CREB結合タンパクに特異的なヒストンアセチル転移酵素阻害剤を有効成分とする抗インフルエンザウイルス薬。
- p300/CREB結合タンパクに特異的なヒストンアセチル転移酵素阻害剤が、次の一般式(1)で表される化合物又はその塩である請求項1記載の抗インフルエンザウイルス薬。
R3は、C1−C4アルキル基、ハロゲノC1−C4アルキル基、フェニル基又はフェニルチオメチル基を示し;
R4、R5、R6及びR7のうちの1個はニトロ基を示し、他の3個は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1−C4アルキル基又はC1−C4アルコキシ基を示し;
Yは、C(O)又はNを示し;
破線は二重結合があってもよいことを示す。)
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