JP2017214917A - 内燃機関の制御装置及びノック解析方法 - Google Patents

内燃機関の制御装置及びノック解析方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017214917A
JP2017214917A JP2016177875A JP2016177875A JP2017214917A JP 2017214917 A JP2017214917 A JP 2017214917A JP 2016177875 A JP2016177875 A JP 2016177875A JP 2016177875 A JP2016177875 A JP 2016177875A JP 2017214917 A JP2017214917 A JP 2017214917A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
amplitude
knock
resonance mode
combustion chamber
engine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016177875A
Other languages
English (en)
Inventor
篤史 本田
Atsushi Honda
篤史 本田
岩出 純
Jun Iwade
純 岩出
啓介 佐々木
Keisuke Sasaki
啓介 佐々木
正勝 永井
Masakatsu Nagai
正勝 永井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Soken Inc
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Soken Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp, Soken Inc filed Critical Toyota Motor Corp
Publication of JP2017214917A publication Critical patent/JP2017214917A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Testing Of Engines (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

【課題】ノック発生位置の偏りを検出し、内燃機関の異常を検出する。【解決手段】筒内圧の波形を周波数解析して、異なる特定の周波数における振幅である、第1振幅、第2振幅、及び、第3振幅を検出する。ここで第1振幅は、燃焼室の吸気側中央部と排気側中央部とを結ぶ第1方向の共鳴モードにおける振幅であって、第2振幅は、第1方向に垂直な第2方向の共鳴モードにおける振幅であって、第3振幅は、燃焼室の中心に対し放射方向の共鳴モードにおける振幅である。更に、検出された第1振幅と第2振幅と第3振幅の3つの振幅のうち2つの振幅の比をそれぞれ算出する。算出された各比の比較により内燃機関の異常を検出する。【選択図】図7

Description

この発明は内燃機関の制御装置及びノック解析方法に関する。
特許文献1に開示されているように、プレイグニッションの発生を検出する構成とした内燃機関の制御装置が知られている。プレイグニッションとは、点火プラグにより筒内の混合気に点火する前に、混合気がプラグの熱等によって自然着火する現象である。プレイグニッション発生時には、点火前に正常燃焼時よりも筒内圧が増大する。特許文献1では、点火時期前の所定のクランク角において筒内圧を検出し、検出された筒内圧が基準筒内圧より大きい場合に、プレイグニッションの発生を検出する。
また、プレイグニッションが発生すると、これに伴ってノック(ノッキング)が発生する。ノックは筒内圧を変動させる。特許文献1ではプレイグニッションの発生が検出された場合には、更に筒内圧の周波数解析を行い、特定周波数における振幅の大きさを検出する。特許文献1における特定周波数は、プレイグニッションの発生位置が燃焼室周縁部である場合と、燃焼室中央部である場合とで、振幅が大きく変化する特性を有する固有の周波数とされている。特許文献1では特定周波数における振幅が所定の強度判定値よりも大きい場合に、プレイグニッションの発生位置を燃焼室周縁部と判定し、強度判定値以下の場合に、発生位置を燃焼室中央部と判定する。
特開2011−117325号公報 特開2007−263005号公報
ノックの発生原因は、その発生位置により異なる。従って、ノックの発生位置をより具体的に特定することができれば、ノック発生位置の偏りを把握することができ、内燃機関の異常を検出することができる。しかし、特許文献1で特定されるのは、ノック発生位置が燃焼室を周縁部と中央部とに分けた2つの領域のどちらに属するかのみである。従って、特許文献1におけるノック発生位置の検出では、ノック発生位置の偏りを正確に検出することができず、内燃機関の異常を高い精度で検出することは難しい。
またノック発生位置を高い精度で検出する方法を検討するにあたり、エンジンの実機を用いることなく実際のエンジン燃焼室に近い環境でノック発生時の状態を解析できるシステムの開発は重要である。
本発明は上記課題を解決することを目的とし、ノックの発生位置をより具体的に把握することで、内燃機関の異常を高い精度で検出することができるよう改良された内燃機関の制御装置を提供し、あるいは、ノック発生による内燃機関燃焼室の状態を解析可能な解析方法を提供するものである。
本発明は、内燃機関の制御装置であって、筒内圧センサを備える内燃機関に適用される。本発明の内燃機関の制御装置は、筒内圧センサの出力に基づき検出される筒内圧の波形を周波数解析して、異なる特定の周波数における振幅である、第1振幅、第2振幅、及び、第3振幅を検出する手段を有する。更に、第1振幅と第2振幅と第3振幅の3つの振幅のうち2つの振幅の強度比を、それぞれ算出する手段と、算出された強度比の比較により、内燃機関の異常を検出する手段と、を備える。ここで、第1振幅は、燃焼室の吸気側中央部と排気側中央部とを結ぶ第1方向の共鳴モードにおける振幅であって、第2振幅は、第1方向に垂直な第2方向の共鳴モードにおける振幅であって、第3振幅は、燃焼室の中心に対し放射方向の共鳴モードにおける振幅である。
ここで「吸気側中央部」と「排気側中央部」とは、例えば吸気ポートおよび排気ポートが1つずつの燃焼室の場合には、吸気ポートの中心と排気ポートの中心とを意味する。また、吸気ポート及び排気ポートが2つずつの場合には、吸気ポートの中間点と排気ポートの中間点とをそれぞれ意味する。
あるいは本発明は、ノック解析方法であって、その解析に用いられる解析装置は、内燃機関の燃焼室を模擬した空間と、前記空間の圧力を検出するセンサと、放電により前記空間内にノック圧力波を発生させることができる放電プラグと、を備える。ノック解析においては、解析装置の空間内に、常温での音速が700〜1000[m/s]である気体を注入し、放電プラグにて放電を行う。この放電による圧力の波形をセンサにより検出し、圧力の波形を周波数解析する。そして、第1振幅と、第2振幅と、第3振幅とを算出する。第1振幅は、空間の、吸気側中央部に相当する位置と排気側中央部に相当する位置とを結ぶ第1方向の共鳴モードにおける振幅である。第2振幅は、第1方向に垂直な第2方向の共鳴モードにおける振幅である。第3振幅は、空間の中心に対し放射方向の共鳴モードにおける振幅である。
本発明の内燃機関の制御装置によれば、第1〜第3振幅の強度比を比較することで、燃焼室内のどの位置でノックが発生したかを把握することができる。従ってノックが同一位置で発生していることを検知することができ、高い精度で内燃機関の異常を検出することができる。
また、本発明のノック解析方法によれば、エンジンの実機を用いることなく実際のエンジン燃焼室に近い環境でノック発生時の状態を解析できるため、より具体的にノック検出方法等を評価・検討することができ、ノック検出やそれに基づく内燃機関の異常検出制御の精度を高めることができる。
実施の形態1におけるシステムの全体構成について説明するための図である。 実施の形態1のエンジンの燃焼室の形状について説明するための図である。 ノック発生時の筒内圧の波形について説明する図である。 ノック発生時の筒内圧の波形をFFT変換して得られる波形について説明するための図である。 実施の形態1においてノック発生位置の検出に用いられる共鳴モードについて説明するための図である。 実施の形態1において検出されるノック発生位置について説明するための図である。 各ノック発生位置においてノックが発生した場合の、共鳴モードA,B,Cにおける振幅の強度変化について模式的に説明するための図である。 実施の形態1において制御装置が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。 制御装置が実行する他の制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。 実施の形態2の解析装置の全体構成について説明するための図である。 実施の形態2の放電プラグに放電エネルギーを供給するための回路について説明するための図である。 実施の形態2の解析装置にて発生させた共鳴圧力波の例を示す図である。 実施の形態2の解析装置による解析手順について説明するための図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、同一または相当する部分には同一符号を付してその説明を簡略化ないし省略する。
実施の形態1.
[システムの全体構成]
図1は、本発明の実施の形態1におけるシステムの全体構成について説明するための図である。本実施の形態のシステムは、例えばガソリンエンジンからなる内燃機関(以下、単に「エンジン」とも称する)10を備えている。エンジン10の各気筒には、ピストン12の往復動作により拡大,縮小する燃焼室14が設けられている。燃焼室14には吸気ポート18と排気ポート20とが連結している。なお図1のエンジン10の断面では、それぞれ1つずつの吸気ポート18及び排気ポート20が記載されているが、本実施の形態においては、それぞれ2つずつの吸気ポート18及び排気ポート20が連結しているものとする。各気筒には、燃焼室14内の圧力に応じた出力を発する筒内圧センサ16が、シリンダヘッドの周縁部付近であって2つの吸気ポート18の間に位置する部分に、その先端の圧力検出部が燃焼室14内に露出するようにして設置されている。
エンジン10に設置された各種のセンサ及び各アクチュエータは、制御装置30に電気的に接続されている。制御装置30はECU(Electronic Control Unit)である。制御装置30は、エンジン10のシステム全体の制御を行うものであり、CPU、ROM、RAMを含むコンピュータを主体として構成されている。ROMには、後述するエンジン10の異常判定制御を含む各種制御ルーチンが記憶されている。制御装置30は、各センサからの信号に基づいて各アクチュエータを操作することによってエンジン10を制御する。
図2は燃焼室14の形状について説明するための図である。図2に示されるように、燃焼室14は、ピストン12上端面とペントルーフ型のシリンダヘッド内壁面とによって、スキッシュエリア22が形成されるように構成されている。なお図2において、本実施の形態における燃焼室14の寸法を一部記載しているが、これは一例であり、燃焼室14形状の寸法はそのエンジン10によって異なる。
以下、便宜上、燃焼室14の周縁部であって2つの吸気ポート18の中間点及びこの周辺をIn側、2つの排気ポート20の中間点及びこの周辺をEx側とも表す。また燃焼室14の周縁部であって、2つの吸気ポート18の中間点と2つの排気ポート20の中間点との中間点のうち、エンジン10搭載状態においてフロント側にある点及びこの周辺をFr側、リア側にある点及びこの周辺をRr側とも表記することとする。また、2つの吸気ポートの中間点と2つの排気ポートの中間点とを結ぶ方向をIn−Ex、シリンダの横断面の中心を通りIn−Ex方向に垂直な方向をFr−Rrとも表記することとする。
[ノック発生時の共鳴モードと振幅強度との関係]
図3は、筒内圧センサ16の出力に基づく筒内圧の波形について説明する図であり、図4は筒内圧の波形をFFT変換して得られる波形である。図3及び図4において(a)(b)は、燃焼室14と同一形状の燃焼室14の、それぞれFr側、Ex側でノックを試験的に発生させて得られた実験データであり、各図において更に破線は、In側に筒内圧センサ16を配置した場合のデータであり、実線はRr側に筒内圧センサ16を搭載した場合のデータである。
本願発明者は、ノック発生時には複数の異なる共鳴モードが存在し、かつ、図2に示すようにIn側、Ex側にスキッシュエリア22を有する燃焼室14の形状を前提とすると、In−Ex方向の(1.0)共鳴モードと、Rr−Fr方向の(1.0)共鳴モードでは、その周波数が異なっていること、そして、その各共鳴モードにおける振幅の大小関係は、ノック発生位置によって変化することを発見した。
具体的に、例えば図4においてノック発生位置が、Fr側である(a)の場合と、Ex側である(b)の場合とを比較すると、ノック発生位置がFr側である場合、Fr−Rr方向の(1.0)共鳴モードAの周波数FAにおける振幅の方が、In−Ex方向の(1.0)共鳴モードBの周波数FBにおける振幅より大きく、ノック発生位置がEx側である場合には、逆に、周波数FBにおける振幅の方が、周波数FAにおける振幅より大きくなっている。
[ノック発生位置の検出方法の概要]
ノック発生時の筒内圧の波形には複数の共鳴モードが存在する。本実施の形態では、これら複数の共鳴モードのうち、ノック発生位置によって、振幅の強度比の変化が特に顕著となる3つの共鳴モードを特定し、この共鳴モードにおける振幅の強度比を用いてノック発生位置を検出する。具体的に以下に説明する。
図5は、本実施の形態においてノック発生位置検出の制御に用いられる3つの共鳴モードを説明するための図である。図5において、上から順に1行目は各共鳴モードの表記、2行目は共鳴モードの圧力分布を模式的に表した図、3行目は各共鳴モードにおける圧力波形、4行目は共鳴モードにおける周波数を表す。
共鳴モードAは、筒内をFr−Rr方向に横断する圧力波の一次共鳴モードであって、Fr−Rr方向の(1.0)共鳴モードである。共鳴モードBは、筒内をIn−Ex方向に横断する圧力波の一次共鳴モードであって、In−Ex方向の(1.0)共鳴モードである。共鳴モードCは、筒内を中央部からの放射方向に横断する圧力波の一次共鳴モードである、(0.1)共鳴モードである。各共鳴モードの周波数は、燃焼室の形状と音速によって理論的に算出できる値であり、エンジンごとの固有の値であるが、図5の表では、一例として、図2に示す形状を有する燃焼室14の場合の周波数が示されている。
図6は、本実施の形態において検出されるノック発生位置について説明するための図である。図6に示されるように、本実施の形態では、ノック発生位置を(1)Fr側又はRr側、(2)In側又はEx側、(3)燃焼室中央部、(4)燃焼室周縁部かつ(1)と(2)との中間の領域に分けて検出する。
図7は、各(1)〜(4)のノック発生位置でノックが発生した場合の、共鳴モードA,B,Cにおける振幅の強度変化について模式的に説明するための図である。図7に示されるように、ノック発生位置が(1)Fr側又はRr側である場合、共鳴モードAにおける振幅Paが大きくなり、振幅Paの他の共鳴モードB,Cにおける振幅Pb,Pcに対する強度比が大きくなる。ノック発生位置が(2)In側又はEx側である場合、共鳴モードBにおける振幅Pbが大きくなり、他の共鳴モードA,Cにおける振幅Pa,Pcに対する強度比が大きくなる。ノック発生位置が(3)である場合、共鳴モードCにおける振幅Pcが大きくなり、他の共鳴モードのA,Bにおける振幅Pa,Pbに対する強度比が大きくなる。ノック発生位置が(4)である場合、共鳴モードA,Bにおいて振幅Pa,Pbが大きくなる。
以上よりノック発生位置と、振幅Pa,Pb,Pcの強弱比の関係は以下のようにまとめられる。これに基づき、ノック発生時に、以下の各強度比を検出することで、ノック発生位置を特定することができる。
ノック発生位置(1)の場合、Pa/PbとPa/Pcとが大きくなる。
ノック発生位置(2)の場合、Pb/PaとPb/Pcとが大きくなる。
ノック発生位置(3)の場合、Pc/PaとPc/Pbとが大きくなる。
ノック発生位置(4)の場合、Pa/PcとPb/Pcとが大きくなる。
[エンジンの異常検出の概要]
本実施の形態の制御では、ノック発生位置が具体的にどこであるかを特定せず、ノック発生が集中的に同じ箇所で起きているか否かのみを検出することで、エンジン10の異常を判定する。具体的に、ノック発生位置の検出では、まず、ノック発生が検出される度に、上記の各強度比を算出して、強度比ごとに積算値を算出する。各強度比の積算値のうち、いずれかの強度比が他の強度比に比べて顕著に大きくなった場合に、ノックの発生が同一個所に集中していると判断できるため、エンジン10の異常を判断する。
[具体的な制御のルーチン]
図8は、制御装置30が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。図8のルーチンはエンジンの運転中、一定期間ごとに繰り返し実行されるルーチンである。図8では、まず、ノックの発生の有無が判定される(S2)。具体的には、ノックセンサが搭載される場合にはその出力に応じてノックが検出される。あるいはノックセンサが搭載されない場合には、例えば、筒内圧センサ16の出力に応じてノックの有無を判断する構成としてもよい。ノックが検出されない場合、今回の処理は一旦終了する。
ステップS2において、ノックの発生が認められると、次に、筒内圧センサ16の出力信号のFFT処理が実行される(S4)。次に、得られたFFT解析結果に基づき、特定共鳴モードA,B,Cにおける振幅Pa,Pb,Pcが算出される(S6)。
次に、各強度比Pa/Pb,Pa/Pc,Pb/Pa,Pb/Pc,Pc/Pa,Pc/Pbがそれぞれ算出される(S8)。次に、算出された各強度比は、現在までの強度比ごとの積算値に積算され、算出された積算値がメモリに記憶される(S10)。
次に、他の積算値それぞれとの差がすべて閾値を超えて大きくなっている積算値があるか否かが判別される(S12)。ここで閾値は、強度比に顕著な偏りが見られるか否かを判別するための値であり適合により定められ、制御装置にあらかじめ記憶された値である。ここで例えば閾値は強度比の積算回数に応じて変化する値としてもよい。
ステップS12において他の積算値との差が閾値より大きくなっている積算値があることが認められない場合、ノックの発生は集中しておらずエンジンの異常によるものではないと判断することができるため、今回の処理は一旦終了する。
一方、ステップS12において、他の積算値との差が閾値より大きくなっている積算値があることが認められた場合、ノック発生位置に偏りがあることが認められる。従ってこのような場合には、エンジン異常と判定され(S14)、例えば、MIL(警告灯)の点灯等の処理が実行される(S16)。その後、今回の処理は一旦終了する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、各共鳴モードA,B,Cにおける振幅の強度比から、ノックの発生位置をある程度把握することができる。従ってノック発生の偏りを把握することができ、ノック発生がエンジンの異常によるものか否かを高い精度で判定することができる。
[他の制御のルーチン]
なお、本実施の形態の具体的な制御では、各強度比の積算値を算出し、いずれかの積算値が他の積算値に比べて顕著に大きいことが認められた場合に、エンジンの異常を検出する場合について説明した。しかしながら、共鳴モードの振幅の強度比を利用したノック発生位置の偏りを検出する方法は、これに限られない。
図9は、本実施の形態の他の制御ルーチンを説明するためのフローチャートである。図9のルーチンは、図8のルーチンに代えて実行されるルーチンである。図9のルーチンは、図8のルーチンのS10、S12の処理に代えて、S102〜S106の処理を有する点を除き、図8のルーチンと同一である。
具体的に図9のルーチンでは、ステップS8において強度比の算出がされた後、上述した強度比とノック発生位置との関係に基づいて、ノック発生位置の判定を行う(S102)。具体的には、例えば、Pa/Pb,Pa/Pcの両者が判定基準値より大きい場合には、ノック発生位置(1)でノックが発生したと判別される。ここで判定基準値は、適合により設定され予め制御装置30に記憶された値である。
次に、ノック発生位置ごとの積算ノック回数のうち、今回ステップS102において特定されたノック発生位置の積算ノック回数に1が追加され、その積算ノック回数が記憶される(S104)。次に、ステップS104において算出された積算ノック回数に関して、単位時間あたりの積算ノック回数が異常判定値より大きいか否かが判別される(S106)。異常判定値は、適合により求められ予め制御装置30に記憶された値である。
ステップS106において、単位時間当たりの積算ノック回数が異常判定値より大きいことが認められない場合、今回の処理は一旦終了する。一方、ステップS106において単位時間当たりの積算ノック回数が異常判定値より大きいことが認められた場合、ノック発生位置に偏りがあると認められる。この場合、エンジン10の異常が検出され(S14)、MILが点灯される(S16)等、エンジン10の異常時の所定の対策が実施された後、今回の処理は終了する。
また、本実施の形態においては、ノック発生位置をある程度正確に特定することができる。従って、ノック発生位置の偏りの検出によるエンジン10の異常判定に限らず、ノック発生位置を特定し、そのノック発生位置に応じてプレイグニッション発生防止のための制御を実行するようにしてもよい。
また、本実施の形態においては、筒内圧センサ16がシリンダヘッドのIn側に搭載される場合について説明した。これは、実験結果における検出精度が、In側に筒内圧センサ16を搭載した場合が高かったことに基づくものである。しかしながら筒内圧センサ16の搭載位置はこれに限られるものではなく、In側、Fr側、Rr側、Ex側のいずれの位置に搭載されていてもよい。但し、筒内圧センサの搭載位置は、各共鳴モードにおける振幅の強度比に影響を与えるものであるため、そのエンジン及び搭載位置に応じて、ノック発生位置と強度比の変化との関係を調整することが望ましい。
実施の形態2.
実施の形態2では、実施の形態1に説明したようなノック発生位置の検出手法等の評価・検討のため、エンジンの燃焼室を模した空間の任意の個所で、かつ、任意のピストン位置において、ノックを模擬した衝撃波を発生させることができる解析装置50について説明する。
図10は、実施の形態2の解析装置50の全体構成について説明するための図である。図10の解析装置50は、エンジンヘッド52とエンジンブロック54とを備える。エンジンヘッド52とエンジンブロック54とは、ガスケット56を挟んで配置されている。エンジンブロック54に形成されたシリンダ内にはピストン58が配置されている。エンジンヘッド52とエンジンブロック54とピストン58により、解析すべきエンジン燃焼室を模した空間60が形成される。
エンジンヘッド52には、3つの圧力センサ62が、その先端の圧力検出部が空間60に露出するようにして設置されている。より具体的に、圧力センサ62のうち1つはエンジンヘッド52の、燃焼室In側に相当する位置に、他の1つは、エンジンヘッド52の燃焼室Rr側に相当する位置に、残りの1つはエンジンヘッド52の中央部に設置されている。なお、図10では2つの圧力センサ62のみが図示されている。
また、エンジンヘッド52には、2つの放電プラグ64が設置されている。より具体的に、放電プラグ64のうち1つはエンジンヘッド52の、燃焼室Fr側に相当する位置に、他の1つはエンジンヘッド52の、燃焼室Ex側に相当する位置に配置されている。
また、エンジンヘッド52にはヘリウムガス導入孔66が形成されている。ヘリウムガス導入孔66は、配管67を介してヘリウムガスボンベ68に接続されている。空間60にはヘリウムガス導入孔66を介してヘリウムガスボンベ68からヘリウムガスが供給される。ヘリウムガスが空間60内に充填された状態で放電プラグ64により放電が行われると、空間60内にノックが発生する構成となっている。
図11は実施の形態2の放電プラグ64に放電エネルギーを供給するための回路について説明するための図である。図11に示されるように、放電プラグ64は、電極70と電極70の周囲を囲む絶縁材72とハウジング74とシール部材76とを有している。
電極70には、電極70に放電電流を供給するための電力発生回路80が接続されている。電力発生回路80は、コンデンサ82とダイオード84とチャージ回路86とグラウンド88と電源90とを含んで構成されている。チャージ回路86は、例えば、図示しない一次コイルを有する回路と、二次コイルを有する回路とを有する。ダイオード84は、放電回路からの電流がチャージ回路86に流れることを防止する。
電力発生回路80において、電源90によりコンデンサ82に所定の電圧が印加されることでコンデンサ82が充電される。コンデンサ82の充電は、チャージ回路86に対するトリガ信号を起点として放電プラグ64に供給され、放電プラグ64は放電を発生させる。
解析装置50によれば、放電プラグ64の放電によって衝撃波が発生する。衝撃波によって燃焼室形状の密閉された空間60内で共鳴圧力波が発生する。ここで空間60にはヘリウムガスが充填されている。ヘリウムガスの音速は20[℃]で約1000[m/s]であり、空気の音速は約2200[℃]で約1000[m/s]である。従って、空間60内の音速環境は、エンジン燃焼室に近いものとなっている。
実際のエンジン燃焼時に発生するノック共鳴周波数は、燃焼室形状と音速から定まる。解析装置50では、音速と燃焼室形状をエンジン同等としたことで、エンジンの実際の燃焼を用いずにノック同等の共鳴圧力波が再現可能となっている。なお空間60に密閉する気体は、常温での音速が1000[m/s]前後のガスであればよく、ヘリウムガスの代わりにネオン(音速約940[m/s])等を用いることができる。
図12は、解析装置50にて発生させた共鳴圧力波の例を示している。図12は、15回発生させた共鳴圧力波を重ね書きして表したものである。図12に示されるように、解析装置50によれば、放電エネルギー3[J]で振幅±100[kPa]のノックを繰り返し安定して発生可能であることが確認されている。解析装置50では、このように放電エネルギーによってノック強度を設定することができ、同一の放電エネルギーであれば、常に同一強度のノックを繰り返し発生させることができる。
なお、解析装置50の空間60は、解析したいエンジンの燃焼室を模したものとされる。空間60の形状に合わせて、エンジンヘッド52、エンジンブロック54及びピストン58の形状が決定される。例えば、解析装置50の空間60は、実施の形態1の燃焼室14のように、ストレートの円筒形状ではなく、斜めのペントルーフとスキッシュエリアを有する空間とすることができる。
また、図10に示した圧力センサ62及び放電プラグ64の設置位置は、一例に過ぎない。放電プラグ64の設置位置がノック発生位置となるので、評価を行いたい任意の位置に放電プラグ64を配置すればよい。また圧力センサ62の設置位置により、取得される圧力波形が異なり、解析結果に影響を与えることとなるため、圧力センサ62も、任意の位置に設置すればよい。
図13は、解析装置による解析方法について説明するための手順を示した図である。図13に示される解析方法では、まず、エンジンヘッド52、エンジンブロック54、ピストン58の組み付けが行われる(S2)。次に、解析を行うのに必要な位置に圧力センサ62と放電プラグ64とがそれぞれ設置され、配線が行われる(S4)。次に、ヘリウムガス導入孔66への配管67の接続が行われ(S6)、これにより解析装置50の組み立てが完了する。
次に、ヘリウムガスの供給が開始される(S8)。その後、電源90をONにしてコンデンサ82へのチャージが開始される(S10)。次に、チャージ回路86にトリガ信号が入力される(S12)。これにより、放電が行われ、空間60内にノックが発生する(S14)。このとき圧力信号(即ち、圧力センサ62の出力)が取り込まれ(S16)、FFT解析等が実行される。
以上説明したように、解析装置50を用いることで、必要な個所にノックを発生させることができ、ノック発生時の筒内圧の波形を取得することができる。従って、例えば解析装置を用いることで、実施の形態1に説明したように、複数の個所でノックを発生させて、その時の共鳴モードA,B,Cにおける振幅Pa、Pb,Pcを算出して、ノック発生個所と、振幅Pa,Pb,Pcの強度比との関係をより詳細に検討し、評価することもできる。
また、実施の形態2の解析装置を用いたノックの解析は、これに限られない。例えば空間60内の共鳴周波数は、数式(1)により算出される。
Figure 2017214917
数式(1)において音速約1000[m/s]はヘリウムガスを用いることで解析装置50では、エンジン実機での音速が再現されている。また、ボア径86mmはエンジン燃焼室14を想定した一例である。αm,nは、各共鳴モードの係数であり、燃焼室(空間)の形状により定まる固定値である。数式(1)により算出される共鳴周波数における振幅を検出して振幅の関係を解析することで、他のノック位置の検出方法を検討することも可能であり、また、この検出方法の更なる評価が可能となる。
また、例えば、エンジン実機では、ノック発生タイミングとクランク角タイミング(すなわちピストン位置)を任意に調整することが難しいが、本解析装置によれば、任意のピストン位置でのノック評価も可能となる。
なお、以上の実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に、この発明が限定されるものではない。また、この実施の形態において説明する構造等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。
10 エンジン
12 ピストン
14 燃焼室
16 筒内圧センサ
18 吸気ポート
20 排気ポート
22 スキッシュエリア
30 制御装置
50 解析装置
52 エンジンヘッド
54 エンジンブロック
56 ガスケット
58 ピストン
60 空間
62 圧力センサ
64 放電プラグ
66 ヘリウムガス導入孔
67 配管
68 ヘリウムガスボンベ
70 電極
72 絶縁材
74 ハウジング
76 シール部材
80 電力発生回路
82 コンデンサ
84 ダイオード
86 チャージ回路
88 グラウンド
90 電源

Claims (2)

  1. 筒内圧センサを備える内燃機関の制御装置であって、
    前記筒内圧センサの出力に基づき検出される筒内圧の波形を周波数解析して、異なる特定の周波数における振幅である、第1振幅、第2振幅、及び、第3振幅を検出する手段と、
    前記第1振幅と前記第2振幅と前記第3振幅の3つの振幅のうち2つの振幅の強度比を、それぞれ算出する手段と、
    算出された前記強度比の比較により、内燃機関の異常を検出する手段と、を備え、
    前記第1振幅は、燃焼室の吸気側中央部と排気側中央部とを結ぶ第1方向の共鳴モードにおける振幅であって、
    前記第2振幅は、前記第1方向に垂直な第2方向の共鳴モードにおける振幅であって、
    前記第3振幅は、前記燃焼室の中心に対し放射方向の共鳴モードにおける振幅である、内燃機関の制御装置。
  2. 内燃機関の燃焼室を模擬した空間と、
    前記空間の圧力を検出するセンサと、
    放電により前記空間内にノック圧力波を発生させることができる放電プラグと、
    を備える解析装置を用いたノック解析方法であって、
    前記空間内に、常温での音速が700〜1000[m/s]である気体を注入し、
    前記放電プラグにて放電を行い、
    前記センサにより前記放電による圧力の波形を検出し、
    前記圧力の波形を周波数解析して、
    前記空間の、吸気側中央部に相当する位置と排気側中央部に相当する位置とを結ぶ第1方向の共鳴モードにおける振幅である第1振幅と、
    前記第1方向に垂直な第2方向の共鳴モードにおける振幅である第2振幅と、
    前記空間の中心に対し放射方向の共鳴モードにおける振幅である第3振幅を算出することを特徴とするノック解析方法。
JP2016177875A 2016-05-31 2016-09-12 内燃機関の制御装置及びノック解析方法 Pending JP2017214917A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016108465 2016-05-31
JP2016108465 2016-05-31

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017214917A true JP2017214917A (ja) 2017-12-07

Family

ID=60576690

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016177875A Pending JP2017214917A (ja) 2016-05-31 2016-09-12 内燃機関の制御装置及びノック解析方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017214917A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3626954A1 (fr) 2018-09-20 2020-03-25 IFP Energies nouvelles Procede de determination d'un indicateur de cliquetis par determination de la pression globale dans le cylindre
FR3118101A1 (fr) 2020-12-21 2022-06-24 IFP Energies Nouvelles Procédé de détermination d’un indicateur de cliquetis de la combustion par détermination d’extrema locaux de la pression
FR3118102A1 (fr) 2020-12-21 2022-06-24 IFP Energies Nouvelles Procédé de détermination d’un indicateur de cliquetis de la combustion à partir de mesures d'accélération

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3626954A1 (fr) 2018-09-20 2020-03-25 IFP Energies nouvelles Procede de determination d'un indicateur de cliquetis par determination de la pression globale dans le cylindre
FR3086391A1 (fr) 2018-09-20 2020-03-27 IFP Energies Nouvelles Procede de determination d'un indicateur de cliquetis par determination de la pression globale dans le cylindre
FR3118101A1 (fr) 2020-12-21 2022-06-24 IFP Energies Nouvelles Procédé de détermination d’un indicateur de cliquetis de la combustion par détermination d’extrema locaux de la pression
FR3118102A1 (fr) 2020-12-21 2022-06-24 IFP Energies Nouvelles Procédé de détermination d’un indicateur de cliquetis de la combustion à partir de mesures d'accélération

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4806039B2 (ja) 点火用流体燃料の噴射装置の検査方法
JP2017214917A (ja) 内燃機関の制御装置及びノック解析方法
JP2014145306A (ja) 内燃機関の点火制御装置
Cruccolini et al. Comparative analysis between a barrier discharge igniter and a streamer-type radio-frequency corona igniter in an optically accessible engine in lean operating conditions
JP2005291182A (ja) 失火検出装置
KR20050008353A (ko) 노킹 센서 장착 위치 설정 방법
JPH11141448A (ja) シリンダ毎に2つの点火プラグを持つ内燃機関における失火の検出方法
Ayad et al. Combustion ionization for detection of misfire, Knock, and sporadic preignition in a gasoline direct injection engine
Wang et al. Investigation of the detection of knock and misfire of a spark ignition engine with the ionic current method
JP2002180893A (ja) ノッキングの位置を特定する方法
JP5466098B2 (ja) 内燃機関の燃焼状態検出システム
Estefanous et al. Cycle resolved in-cylinder NOx and ion current measurements in a diesel engine
KR20190040282A (ko) 스파크 플러그
CN110678638A (zh) 爆震检测方法以及爆震检测装置
RU167337U1 (ru) Датчик пламени
Zhao et al. Engine performance monitoring using spark plug voltage analysis
JP2002364447A (ja) 内燃機関用ノッキング検出装置
Grimaldi et al. Study of Ion Current Based Misfire Detection in Motorcycle Applications
Assaad et al. Smart Spark Plug for Proper Combustion Timing in Gasoline Engines and Detection of Misfire and Knock
Salvat et al. Flame shape determination using an optical-fiber spark plug and a head-gasket ionization probe
RU184468U1 (ru) Детектор турбулентности
US9945812B2 (en) Simultaneous ion sensing and gas sampling in combustion engine cylinders and other combustion systems
JP5998949B2 (ja) 内燃機関の点火制御装置
CN114008311B (zh) 控制内燃机中具有燃料供给预燃室的点火装置的装置和方法
US9964093B2 (en) Two-dimensional igniter for testing in-cylinder gas velocity and/or gas composition