以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1から図26を参照し、第1実施形態として、本発明をパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)10に適用した場合の一実施形態について説明する。図1は、第1実施形態におけるパチンコ機10の正面図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤13の正面図であり、図3はパチンコ機10の背面図である。
なお、以下の説明では、図1に示す状態のパチンコ機10に対して、紙面手前側を前方(正面)側として、紙面奥側を後方(背面)側として説明する。また、図1に示す状態のパチンコ機10に対して、上側を上方(上)側として、下側を下方(下)側として、右側を右方(右)側として、左側を左方(左)側としてそれぞれ説明する。さらに、図中の矢印U−D,L−R,F−Bは、スロットマシン10の上下方向,左右方向,前後方向をそれぞれ示している。
図1に示すように、パチンコ機10は、略矩形状に組み合わせた木枠により外殻が形成される外枠11と、その外枠11と略同一の外形形状に形成され外枠11に対して開閉可能に支持された内枠12とを備えている。外枠11には、内枠12を支持するために正面視(図1参照)左側(矢印L側)の上下2カ所に金属製のヒンジ18が取り付けられ、そのヒンジ18が設けられた側を開閉の軸として内枠12が正面手前側(矢印F側)へ開閉可能に支持されている。
内枠12には、多数の釘や入賞口63,64等を有する遊技盤13(図2参照)が裏面側から着脱可能に装着される。この遊技盤13の正面を球(以下、遊技球やパチンコ球とも称す)が流下することにより弾球遊技が行われる。なお、内枠12には、球を遊技盤13の正面領域に発射する球発射ユニット112a(図4参照)やその球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13の正面領域まで誘導する発射レール(図示せず)等が取り付けられている。
内枠12の正面側には、その正面を覆う正面枠14が設けられている。正面枠14を支持するために正面視(図1参照)左側(矢印L側)の上下2カ所に金属製のヒンジ19が取り付けられ、そのヒンジ19が設けられた側を開閉の軸として正面枠14が正面手前側(矢印F側)へ開閉可能に支持されている。なお、内枠12の施錠と正面枠14の施錠とは、シリンダ錠20の鍵穴21に専用の鍵を差し込んで所定の操作を行うことでそれぞれ解除される。
正面枠14は、装飾用の樹脂部品や電気部品等を組み付けたものであり、その略中央部には略楕円形状に開口形成された窓部14cが設けられている。正面枠14の裏面側には2枚の板ガラスを有するガラスユニット16が配設され、そのガラスユニット16を介して遊技盤13の正面がパチンコ機10の正面側から視認可能となっている。
正面枠14には、球を貯留する上皿17が正面側へ張り出して上面を開放した略箱状に形成されており、この上皿17に賞球や貸出球などが排出される。更に、上皿17の下方に下皿15が正面側へ張り出して形成される。上皿17の底面は右側(矢印R側)に下降傾斜して形成され、上皿17に投入された球がその傾斜により発射供給口17k(図12参照)を通過して球発射ユニット112a(図4参照)へと案内される。また、上皿17の上面(矢印U側面)には、枠ボタン22が設けられている。この枠ボタン22は、例えば、第3図柄表示装置81(図2参照)で表示される演出のステージを変更したり、スーパーリーチの演出内容を変更したりする場合などに、遊技者により操作される。
正面枠14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。窓部14cの周縁には、LED等の発光手段を内蔵した電飾部29〜33が設けられている。パチンコ機10においては、これら電飾部29〜33が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時やリーチ演出時等には内蔵するLEDの点灯や点滅によって各電飾部29〜33が点灯または点滅して、大当たり中である旨、或いは大当たり一歩手前のリーチ中である旨が報知される。また、正面枠14の正面視(図1参照)左上部(矢印L,U側部分)には、LED等の発光手段が内蔵され賞球の払い出し中とエラー発生時とを表示可能な表示ランプ34が設けられている。
また、右側(矢印R側)の電飾部32下側(矢印D側)には、正面枠14の裏面側を視認できるように裏面側より透明樹脂を取り付けて小窓35が形成され、遊技盤13正面の貼着スペースK1(図2参照)に貼付される証紙等がパチンコ機10の正面から視認可能とされている。また、パチンコ機10においては、より煌びやかさを醸し出すために、電飾部29〜33の周りの領域にクロムメッキを施したABS樹脂製のメッキ部材36が取り付けられている。
窓部14cの下方(矢印D方向)には、貸球操作部40が配設されている。貸球操作部40には、度数表示部41と、球貸しボタン42と、返却ボタン43とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部40が操作されると、その操作に応じて球の貸出が行われる。具体的には、度数表示部41はカード等の残額情報が表示される領域であり、内蔵されたLEDが点灯して残額情報として残額が数字で表示される。球貸しボタン42は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿17に供給される。返却ボタン43は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿17に球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部40が不要となるが、この場合には、貸球操作部40の設置部分に飾りシール等を付加して部品構成は共通のものとしても良い。カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との共通化を図ることができる。
上皿17の下側(矢印D側)に位置する下皿15は、上皿17に貯留しきれなかった球を貯留するための球受け部分であって、上面を開放した略箱状に形成されている。下皿15の右側(矢印R側)には、球を遊技盤13の正面へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル51が配設される。
操作ハンドル51の内部には、球発射ユニット112aの駆動を許可するためのタッチセンサ51aと、押下操作している期間中には球の発射を停止する発射停止スイッチ51bと、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)を電気抵抗の変化により検出する可変抵抗器(図示せず)などが内蔵されている。操作ハンドル51が遊技者によって右回りに回動操作されると、タッチセンサ51aがオンされると共に可変抵抗器の抵抗値が回動操作量に対応して変化し、その可変抵抗器の抵抗値に対応した強さ(発射強度)で球が発射され、これにより遊技者の操作に対応した飛び量で遊技盤13の正面へ球が打ち込まれる。また、操作ハンドル51が遊技者により操作されていない状態においては、タッチセンサ51aおよび発射停止スイッチ51bがオフとなっている。
下皿15の正面下方部には、下皿15に貯留された球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー52が設けられている。この球抜きレバー52を押し込むたびに、下皿15の底面に形成された底面口15aが、開状態と閉状態とで切り替えられる。底面口15aが開状態となると、底面口15aから球が自然落下して排出される。この球抜きレバー52の操作は、通常、下皿15の下方に下皿15から排出された球を受け取る箱(一般に「千両箱」と称される。以下、同じ)を置いた状態で行われる。下皿15の右方には、上述したように操作ハンドル51が配設され、下皿15の左方には灰皿(図示せず)が取り付けられている。
図2に示すように、遊技盤13は、正面視略正方形状に切削加工したベース板60に、球案内用の多数の釘や風車の他、レール61,62、一般入賞口63、第1入球口64、第2入球口640、普通入球口(スルーゲート)67、可変表示装置ユニット80等を組み付けて構成され、その周縁部が内枠12(図1参照)の裏面側に取り付けられる。ベース板60は光透過性の樹脂材料からなり、その正面側からベース板60の背面側に配設された各種構造体を遊技者に視認させることが可能に形成される。一般入賞口63、第1入球口64、第2入球口640、可変表示装置ユニット80は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の正面側からタッピングネジ等により固定されている。
遊技盤13の正面中央部分は、正面枠14の窓部14c(図1参照)を通じて内枠12の正面側から視認することができる。以下に、主に図2を参照して、遊技盤13の構成について説明する。
遊技盤13の正面には、帯状の金属板を略円弧状に屈曲加工して形成した外レール62が植立され、その外レール62の内側位置には外レール62と同様に帯状の金属板で形成した円弧状の内レール61が植立される。この内レール61と外レール62とにより遊技盤13の正面外周が囲まれ、遊技盤13とガラスユニット16(図1参照)とにより前後が囲まれることにより、遊技盤13の正面には、球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成される。遊技領域は、遊技盤13の正面であって2本のレール61,62とレール間を繋ぐ樹脂製の円弧部材70とにより区画して形成される領域(入賞口等が配設され、発射された球が流下する領域)である。
2本のレール61,62は、球発射ユニット112a(図4参照)から発射された球を遊技盤13上部(矢印U側部分)へ案内するために設けられたものである。内レール61の先端部分(図2の左上部、矢印L側上部)には戻り球防止部材68が取り付けられ、一旦、遊技盤13の上部へ案内された球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。外レール62の先端部(図2の右上部、矢印R側上部)には、球の最大飛翔部分に対応する位置に返しゴム69が取り付けられ、所定以上の勢いで発射された球は、返しゴム69に当たって、勢いが減衰されつつ中央部側へ跳ね返される。また、内レール61の右下側(矢印R側下方)の先端部と外レール62の右上側(矢印R側上方)の先端部との間には、レール間を繋ぐ円弧を内面側に設けて形成された樹脂製の円弧部材70がベース板60に打ち込んで固定されている。
本パチンコ機10では、第1入球口64、および第2入球口640へ入賞があったことを契機として特別図柄(第1図柄)の抽選が行われ、球が普通入球口67を通過した場合に普通図柄(第2図柄)の抽選が行われる。第1入球口64、および第2入球口640への入球に対して行われる特別図柄の抽選では、特別図柄の大当たりか否かの当否判定が行われると共に、特別図柄の大当たりと判定された場合にはその大当たり種別の判定も行われる。なお、本パチンコ機10では、特別図柄の低確率状態では、例えば、320分の1の確率で特別図柄の大当たりと判定され、特別図柄の高確率状態(特別図柄の確変状態とも称する)では、例えば、60分の1の確率で特別図柄の大当たりと判定される。なお、説明の便宜上、第1入球口64への入球に対して行われる特別図柄の抽選を「特別図柄1の抽選」と称し、第2入球口640への入球に対して行われる特別図柄の抽選を「特別図柄2の抽選」と称する。
特別図柄の大当たりになると、パチンコ機10が特別遊技状態へ移行すると共に、通常時には閉鎖されている第1特定入賞口65aが所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放される動作が最大15回(15ラウンド)繰り返される。その結果、その第1特定入賞口65aに多量の球が入賞するので、通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。
なお、特別図柄の大当たり種別としては、「大当たりA」、「大当たりB」、「大当たりC」、「大当たりa」、「大当たりb」、「大当たりc」の6種類が設けられている。大当たり種別によって、第1特定入賞口65aの開放パターンが異なって構成されており、第1可変入賞装置65への球の入球個数を変化させるように構成される。
特別図柄(第1図柄)の抽選が行われると、第1図柄表示装置37において特別図柄の変動表示が開始されて、所定時間(例えば、11秒〜60秒など)が経過した後に、抽選結果を示す特別図柄が停止表示される。第1図柄表示装置37において変動表示が行われている間に球が第1入球口64、または第2入球口640へと入球すると、その入球回数は入球口の種別毎にそれぞれ最大4回まで保留され、その保留球数が第1図柄表示装置37により示されると共に、第3図柄表示装置81においても示される。第1図柄表示装置37において変動表示が終了した場合に、第1入球口64についての保留球数(特別図柄1の保留球数)、または第2入球口640についての保留球数(特別図柄2の保留球数)が残っていれば、次の特別図柄の抽選が行われると共に、その抽選に応じた変動表示が開始される。なお、特別図柄1の保留球数と特別図柄2の保留球数が共に残っている場合は、特別図柄2の保留球に基づく抽選が優先的に実行される。
普通図柄(第2図柄)の抽選では、普通図柄の当たりか否かの当否判定が行われる。普通図柄の当たりになると、所定時間(例えば、0.2秒または1秒)だけ第2入球口640に付随する電動役物640aが開放され、第2入球口640へ球が入球し易い状態になる。つまり、普通図柄の当たりになると、球が第2入球口640へ入球し易くなり、その結果、特別図柄の抽選が行われ易くなる。
また、普通図柄(第2図柄)の抽選が行われると、第2図柄表示装置83において普通図柄の変動表示が開始されて、所定時間(例えば、3秒や30秒など)が経過した後に、抽選結果を示す普通図柄が停止表示される。第2図柄表示装置83において変動表示が行われている間に球が普通入球口67を通過すると、その通過回数は最大4回まで保留され、その保留球数が第1図柄表示装置37により表示されると共に、第2図柄保留ランプ84においても示される。第2図柄表示装置83において変動表示が終了した場合に、普通入球口67についての保留球数が残っていれば、次の普通図柄の抽選が行われると共に、その抽選に応じた変動表示が開始される。
本実施形態では、大当たり終了後の付加価値として、特別遊技状態が終了してから特別図柄の抽選が100回終了するまで特別図柄の確変状態(高確率状態)が付与され、特別図柄の抽選が100回終了して以降は通常状態に設定されるように構成される。
なお、本実施形態では、特別遊技状態の終了後に特別図柄の確変状態が付与される場合に、その特別図柄の確変状態が特別図柄の抽選の回数に応じて終了するように構成したが、これに限られるものではなく、例えば、所定の大当たり種別(例えば、大当たりA、大当たりB、大当たりa)の大当たり遊技の後に、その大当たり終了後から次に大当たりとなるまでの間、パチンコ機10が特別図柄の高確率状態(特別図柄の確変中)へ移行するようにしても良い。この場合、他の大当たり種別(例えば、大当たりC、大当たりb、大当たりc)の大当たり遊技の後に、特別図柄の抽選が100回終了するまで普通図柄の時短状態となるように構成される。
なお、上述した特別図柄の確変状態(高確率状態)が付与される特別図柄の抽選回数は、100回に限られるものではない。例えば、50回でも良いし、200回でも良い。
また、上述した普通図柄の時短状態となる特別図柄の抽選回数は、100回に限られる物ではない。例えば、50回でも良いし、5回でも良い。
ここで、「特別図柄の高確率状態」とは、大当たり終了後に付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確率変動中(確変中)の時をいい、換言すれば、特別遊技状態へ移行し易い遊技の状態のことである。本実施形態における特別図柄の高確率状態(特別図柄の確変中)は、普通図柄(第2図柄)の当たり確率がアップして第2入球口640へ球が入賞し易い遊技の状態を含む。一方、「特別図柄の低確率状態」とは、特別図柄の確変中でない時をいい、大当たり確率が通常の状態、即ち、特別図柄の確変中よりも大当たり確率が低い状態をいう。
また、「普通図柄の時短状態」(時短中)とは、普通図柄の当たり確率がアップして第2入球口640へ球が入賞し易い遊技の状態のことをいう。また、「通常状態」とは、特別図柄の確変中でも普通図柄の時短中でもない遊技の状態(大当たり確率も普通図柄(第2図柄)の当たり確率もアップしていない状態)のことをいう。
特別図柄の確変中や、普通図柄の時短中では、普通図柄の当たり確率がアップするだけではなく、第2入球口640に付随する電動役物640aが開放される時間も変更され、通常状態に比較して長い時間が設定される。電動役物640aが開放された状態(開放状態)にある場合は、その電動役物640aが閉鎖された状態(閉鎖状態)にある場合と比較して、第2入球口640へ球が入賞しやすい状態となる。よって、特別図柄の確変中や普通図柄の時短中は、第2入球口640へ球が入球し易い状態となる。即ち、特別図柄の抽選が行われやすくなる。
なお、特別図柄の確変中や普通図柄の時短中において、第2入球口640に付随する電動役物640aの開放時間を変更するのではなく、又は、その開放時間を変更することに加えて、普通図柄の当たりとなった場合における電動役物640aの開放回数を、通常状態よりも増やすように構成してもよい。また、特別図柄の確変中や普通図柄の時短中において、普通図柄(第2図柄)の当たり確率は変更せず、第2入球口640に付随する電動役物640aが開放される時間、および電動役物640aの開放回数のうち少なくとも一方を変更するものとしてもよい。また、特別図柄の確変中や普通図柄の時短中において、第2入球口640に付随する電動役物640aが開放される時間や、電動役物640aの開放回数は変更せず、普通図柄(第2図柄)の当たり確率だけを、通常状態に比較してアップするように構成してもよい。
遊技領域の正面視右側上部(図2の矢印R,U側部分)には、発光手段である複数の発光ダイオード(以下、「LED」と略す)37aと7セグメント表示器37bとが設けられた第1図柄表示装置37が配設されている。第1図柄表示装置37は、後述する主制御装置110で行われる各制御に応じた表示がなされるものであり、主にパチンコ機10の遊技状態の表示が行われる。複数のLED37aは、第1入球口64、または第2入球口640への入球(始動入賞)に伴って行われる特別図柄の抽選が実行中であるか否かを点灯状態により示すことによって変動表示を行ったり、変動終了後の停止図柄として、その特別図柄の抽選結果に応じた特別図柄(第1図柄)を点灯状態により示したり、第1入球口64に入球された球のうち変動が未実行である球(保留球)の数である保留球数を点灯状態により示すものである。
この第1図柄表示装置37において特別図柄(第1図柄)の変動表示が行われている間に球が第1入球口64、または第2入球口640へと入球した場合、その入球回数は入球口の種別毎にそれぞれ最大4回まで保留され、その保留球数は第1図柄表示装置37により示されると共に、第3図柄表示装置81においても示される。なお、本実施形態においては、第1入球口64、および第2入球口640への入球は、それぞれ最大4回まで保留されるように構成したが、最大保留回数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。
7セグメント表示器37bは、大当たり中のラウンド数やエラー表示を行うものである。なお、LED37aは、それぞれのLEDの発光色(例えば、赤、緑、青)が異なるよう構成され、その発光色の組み合わせにより、少ないLEDでパチンコ機10の各種遊技状態(特別図柄の高確率状態や、普通図柄の時短中など)を表示することができる。また、LED37aには、変動終了後の停止図柄として特別図柄の抽選結果が大当たりであるか否かが示されるだけでなく、大当たりである場合はその大当たり種別(大当たりA、大当たりB、大当たりC、大当たりa、大当たりb、大当たりc)に応じた特別図柄(第1図柄)が示される。
遊技領域には、球が入賞することにより5個から15個の球が賞球として払い出される複数の一般入賞口63が配設されている。また、遊技領域の中央部分には、可変表示装置ユニット80が配設されている。可変表示装置ユニット80には、第1入球口64及び第2入球口640への入賞(始動入賞)をトリガとして、第1図柄表示装置37における変動表示と同期させながら、第3図柄の変動表示を行う液晶ディスプレイ(以下単に「表示装置」と略す)で構成された第3図柄表示装置81と、普通入球口(スルーゲート)67の球の通過をトリガとして第2図柄を変動表示するLEDで構成される第2図柄表示装置83とが設けられている。この可変表示装置ユニット80には、第3図柄表示装置81の外周を囲むようにして、センターフレーム86が配設されている。
第3図柄表示装置81は9インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成されるものであり、表示制御装置114(図4参照)によって表示内容が制御されることにより、例えば上、中及び下の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄(第3図柄)によって構成され、これらの第3図柄が図柄列毎に横スクロールして第3図柄表示装置81の表示画面上にて第3図柄が可変表示されるようになっている。本実施形態の第3図柄表示装置81は、主制御装置110(図4参照)の制御に伴った遊技状態の表示が第1図柄表示装置37で行われるのに対して、その第1図柄表示装置37の表示に応じた装飾的な表示を行うものである。なお、表示装置に代えて、例えばリール等を用いて第3図柄表示装置81を構成するようにしても良い。
本実施形態では、第3図柄は、「0」から「9」の数字を付した10種類の主図柄により構成されている。本実施形態のパチンコ機10においては、後述する主制御装置110(図4参照)により行われる特別図柄の抽選結果が大当たりであった場合に、同一の主図柄が揃う変動表示が行われ、その変動表示が終わった後に大当たりが発生するよう構成されている。一方、特別図柄の抽選結果が外れであった場合は、同一の主図柄が揃わない変動表示が行われる。
例えば、特別図柄の抽選結果が「大当たりB」、「大当たりC」、「大当たりb」、「大当たりc」であれば、偶数番号である「0,2,4,6,8」が付加された主図柄が揃う変動表示が行われる。一方、「大当たりA」、「大当たりa」であれば、奇数番号も加えたすべての番号「0,1,2,3,4,5,6,7,8,9」のうちいずれかの番号が付加された主図柄が揃う変動表示が行われる。一方、特別図柄の抽選結果が外れであれば、同一番号の主図柄が揃わない変動表示が行われる。
次に、第3図柄表示装置81に表示される、遊技盤13の右側の経路(流路)を狙って球を打ち出すように促す表示(右打ちナビ)について説明する。
上述した通り、本実施形態のパチンコ機10では、特別図柄の確変状態や、普通図柄の時短状態となった場合に、電動役物640aが開放しやすくなるので、遊技盤13の右側へと球を打ち出す(右打ちする)ことにより、第2入球口640へと球を入球させやすくなる。また、詳細については後述するが、第2入球口640へと球が入球したことに基づいて行われる特別図柄の抽選(特別図柄2の抽選)により大当たりとなると、第1入球口64へと球が入球したことに基づいて行われる特別図柄の抽選(特別図柄1の抽選)により大当たりとなる場合に比較して、最大の利益を獲得できる大当たり(大当たりa)となりやすい。よって、大当たりの終了後に付与される特別図柄の確変状態や、普通図柄の時短状態では、右打ちを実行することにより、遊技者にとって有利となる。換言すれば、特別図柄の確変状態や、普通図柄の時短状態に設定されたとしても、遊技者が右打ちしなければ第2入球口640へと球を入球させることができないため、特別図柄の確変状態や、普通図柄の時短状態の恩恵を遊技者が十分に受けることができなくなってしまう。
そこで、本実施形態では、特別図柄の確変状態や、普通図柄の時短状態においては、特定の画像(右打ちナビ)を表示させることにより、遊技者が特別図柄の確変状態や普通図柄の時短状態となることによる恩恵を十分に受けられない事態が発生することを防止している。
右打ちナビでは、第3図柄表示装置81に「右を狙え!!」との文字が表示されると共に、その文字の上下(矢印U側および矢印D側)に右向きの(矢印R方向を向いた)矢印が3つずつ表示される。これらの文字、および矢印が表示されることにより、遊技者に対して球を遊技盤13の右側に設けられた経路(流路)へと打ち出すべきであると感じさせることができる。よって、遊技者に、特別図柄の確変状態、および普通図柄の時短状態となることによる恩恵を受けさせることができる。
次に、本実施形態のパチンコ機10において第3図柄表示装置81に対して表示される警告画像の一例について説明する。この警告画像は、遊技者が遊技盤13の右側に設けられた経路(流路)へと球を打ち出す(右打ちする)べき期間でないにもかかわらず、右打ちを実行していると判別された場合に第3図柄表示装置81に対して表示される画像(右打ち警告画像)である。より具体的には、通常状態(特別図柄の確変状態でも、普通図柄の時短状態でもない状態)において、遊技者が右打ちを行っていると判別した場合に表示される。
本実施形態のパチンコ機10では、通常状態において電動役物640aが開放されにくくなるように制御される(右打ちを行ったとしても第2入球口640へと球を入球させにくい)。このため、通常状態において右打ちを行うと、左打ちにより第1入球口64を狙って球を打ち出す場合に比較して、特別図柄の抽選を受ける機会が少なくなってしまう。即ち、通常状態において右打ちを行うと、大当たりとなりにくくなるので、遊技者にとって損となってしまう。よって、右打ち警告画像を表示させて左打ちを促すことにより、遊技者が損をしてしまうことを防止(抑制)できるように構成している。
通常状態において遊技者が右打ちを行っていると判別した場合には、第3図柄表示装置81に対して、「警告」との文字と、「左打ちで遊技してね!!」との文字とが表示される。これらの文字が表示されることにより、遊技者に対して右打ちをすべきではない(左打ちを行うべきである)と気付かせることができる。また、ホールの店員も右打ち警告画面の有無を確認することにより、通常状態において右打ちを行う変則的な遊技方法を実行している遊技者がいるか否かを容易に判別することができる。
なお、右打ちを行っているか否かの判断方法としては、例えば、右打ちを行った場合に球が流入し得る普通入球口(スルーゲート)67(図2参照)に対して球が入球したか否かによって判断する。
本実施形態では、通常状態において普通入球口(スルーゲート)67(図2参照)に球が入球したことを検出した場合に、右打ち警告画像を表示させるように構成していたが、これに限られるものではない。例えば、特別遊技状態(大当たり状態)以外の状態において、第1特定入賞口65aへと球が入賞(入球)したことを検出した場合に、不正遊技が行われていると判別して、右打ち警告画像を表示させるように構成してもよい。これにより、ホールの店員は右打ち警告画像の有無を確認するだけで容易に不正の有無を判別することができる。また、特別遊技状態(大当たり状態)以外の状態において、第1特定入賞口65aへと球が入球したことを検出した場合に、ホールコンピュータに対して不正が行われていることを示す信号を出力するように構成してもよい。これにより、ホールコンピュータの操作者は容易に不正が行われている可能性の有無、および不正行為が行われているパチンコ機10の台番号(位置)を判断することができる。
次に、第1可変入賞装置65において異常が発生していることを検知した場合に表示される警告画像について説明する。ここで、第1可変入賞装置65の異常が発生した場合とは、例えば、特別遊技状態(大当たり状態)でないにもかかわらず第1特定入賞口65aへの入球を検出した場合などが例示される。
第1可変入賞装置65において異常が発生していると判別した場合は、第3図柄表示装置81の中央部分に「警告」との文字が大きく表示される。また、その下部には、「ゲートエラー係員を呼んで下さい」との文字が表示される。これらの文字により、遊技者は、パチンコ機10においてエラーが発生していると判別することができるので、ホールの店員等に対して迅速に修理等を依頼することができる。
第2図柄表示装置83は、球が普通入球口(スルーゲート)67を通過する毎に表示図柄(第2図柄(図示せず))としての「○」の図柄と「×」の図柄とを所定時間交互に点灯させる変動表示を行うものである。パチンコ機10では、球が普通入球口(スルーゲート)67を通過したことが検出されると、当たり抽選が行われる。その当たり抽選の結果、当たりであれば、第2図柄表示装置83において、第2図柄の変動表示後に「○」の図柄が停止表示される。また、当たり抽選の結果、外れであれば、第2図柄表示装置83において、第2図柄の変動表示後に「×」の図柄が停止表示される。
パチンコ機10は、第2図柄表示装置83における変動表示が所定図柄(本実施形態においては「○」の図柄)で停止した場合に、第2入球口640に付随された電動役物640aが所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。
第2図柄の変動表示にかかる時間(変動時間)は、遊技状態が通常状態中よりも、特別図柄の確変中、または普通図柄の時短中の方が短くなるように設定される。これにより、特別図柄の確変中、および普通図柄の時短中は、第2図柄の変動表示が短い時間で行われるので、普通図柄(第2図柄)の抽選を通常状態中よりも多く行うことができる。よって、普通図柄の当たりとなる機会が増えるので、第2入球口640の電動役物640aが開放状態となる機会を遊技者に多く与えることができる。従って、特別図柄の確変中、および普通図柄の時短中は、第2入球口640へ球が入賞しやすい状態とすることができる。
なお、特別図柄の確変中、または普通図柄の時短中において、当たり確率をアップさせたり、電動役物640aの開放時間や開放回数を増やしたりするなど、その他の方法によって第2入球口640へ球が入賞しやすい状態としている場合は、第2図柄の変動表示にかかる時間を遊技状態にかかわらず一定としてもよい。一方、第2図柄の変動表示にかかる時間を、特別図柄の確変中、または普通図柄の時短中において、通常状態中よりも短く設定する場合は、普通図柄の当たり確率を遊技状態にかかわらず一定にしてもよいし、1回の普通図柄の当たりに対する電動役物640aの開放時間や開放回数を遊技状態にかかわらず一定にしてもよい。
普通入球口(スルーゲート)67は、可変表示装置ユニット80の下側の領域における右方において遊技盤に組み付けられ、遊技盤に発射された球のうち、遊技盤の右方(矢印R側)を流下する球の一部が通過可能に構成されている。普通入球口(スルーゲート)67を球が通過すると、第2図柄の当たり抽選が行われる。当たり抽選の後、第2図柄表示装置にて変動表示を行い、当たり抽選の結果が当たりであれば、変動表示の停止図柄として「○」の図柄を表示し、当たり抽選の結果が外れであれば、変動表示の停止図柄として「×」の図柄を表示する。
球の普通入球口(スルーゲート)67の通過回数は、合計で最大4回まで保留され、その保留球数が上述した第1図柄表示装置37により表示されると共に第2図柄保留ランプ84においても点灯表示される。第2図柄保留ランプ84は、最大保留数分の4つ設けられ、第3図柄表示装置81の下方に左右対称に配設されている。
なお、第2図柄の変動表示は、本実施形態のように、第2図柄表示装置83において複数のランプの点灯と非点灯を切り換えることにより行うものの他、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81の一部を使用して行うようにしても良い。同様に、第2図柄保留ランプ84の点灯を第3図柄表示装置81の一部で行うようにしても良い。また、普通入球口(スルーゲート)67の球の通過に対する最大保留球数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、普通入球口(スルーゲート)67の組み付け数は1つに限定されるものではなく、複数(例えば、2つ)であっても良い。また、普通入球口(スルーゲート)67の組み付け位置は可変表示装置ユニット80の右方(矢印R方向)に限定されるものではなく、例えば、可変表示装置ユニット80の左方(矢印L方向)でも良い。また、第1図柄表示装置37により保留球数が示されるので、第2図柄保留ランプ84により点灯表示を行わないものとしてもよい。
可変表示装置ユニット80の下方(矢印D方向)には、球が入賞し得る第1入球口64が配設されている。この第1入球口64へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる第1入球口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第1入球口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37で示される。
一方、第1入球口64の正面視右方(矢印R方向)には、球が入賞し得る第2入球口640が配設されている。この第2入球口640へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる第2入球口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第2入球口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37で示される。
また、第1入球口64および第2入球口640は、それぞれ、球が入賞すると5個の球が賞球として払い出される入賞口の1つにもなっている。なお、本実施形態においては、第1入球口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入球口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを同じに構成したが、第1入球口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入球口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを異なる数、例えば、第1入球口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を3個とし、第2入球口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を5個として構成してもよい。
第2入球口640には電動役物640aが付随されている。この電動役物640aは開閉可能に構成されており、通常は電動役物640aが閉鎖状態(縮小状態、矢印L側に起立する状態、図2参照)となって、球が第2入球口640へ入賞しにくい状態となっている。一方、普通入球口(スルーゲート)67への球の通過を契機として行われる第2図柄の変動表示の結果、「○」の図柄が第2図柄表示装置83に表示された場合、電動役物640aが開放状態(拡大状態、矢印R側に傾倒(下端付近を起点に傾倒)する状態)となり、球が第2入球口640へ入賞しやすい状態となる。
上述した通り、特別図柄の確変中および普通図柄の時短中は、通常状態中に比較して普通図柄の当たり確率が高く、また、普通図柄の変動表示にかかる時間も短いので、普通図柄の変動表示において「○」の図柄が表示され易くなる。よって、電動役物640aが開放状態(拡大状態)となる回数が増える。更に、特別図柄の確変中および普通図柄の時短中は、電動役物640aが開放される時間も、通常状態中より長くなる。よって、特別図柄の確変中および普通図柄の時短中は、通常状態に比較して、第2入球口640へ球が入賞しやすい状態を作ることができる。一方、第1入球口64は、第2入球口640に設けられているような電動役物は有しておらず、球が常時入賞可能な状態となっている。
ここで、第1入球口64に球が入賞した場合と第2入球口640へ球が入賞した場合とで、大当たりとなる確率は、低確率状態であっても高確率状態でも同一である。しかしながら、大当たりとなった場合に選定される大当たりの種別として最大の利益(出球)が得られる大当たり(大当たりA、大当たりa)となる確率は、第2入球口640へ球が入賞した場合のほうが第1入球口64へ球が入賞した場合よりも高く設定されている。
通常中においては、第2入球口640に付随する電動役物が閉鎖状態にある場合が多く、第2入球口640に入賞しづらいので、電動役物のない第1入球口64へ向けて、可変表示装置ユニット80の左方を球が通過するように球を発射し(所謂「左打ち」)、第1入球口64への入賞によって大当たり抽選の機会を多く得て、大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。
一方、特別図柄の確変中や普通図柄の時短中は、普通入球口(スルーゲート)67に球を通過させることで、第2入球口640に付随する電動役物640aが開放状態となりやすく、第2入球口640に入賞しやすい状態であるので、第2入球口640へ向けて、可変表示装置80の右方を球が通過するように球を発射し(所謂「右打ち」)、普通入球口(スルーゲート)67を通過させて電動役物640aを開放状態にすると共に、第2入球口640への入賞によって大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。
このように、本実施形態のパチンコ機10は、パチンコ機10の遊技状態(確変中であるか、時短中であるか、通常中であるか)に応じて、遊技者に対し、球の発射の仕方を「左打ち」と「右打ち」とに変えさせることができる。よって、遊技者に対して、球の打ち方に変化をもたらすことができるので、遊技者を楽しませることができる。
第1入球口64の下方右側(第2入球口640の下側、矢印D側)には、第1可変入賞装置65が配設されており、その略中央部分に左右方向に長い開口として配設される第1特定入賞口(大開放口)65aが設けられている。パチンコ機10においては、第1入球口64、または第2入球口640への入賞に起因して行われた特別図柄の抽選で大当たりになると、所定時間(変動時間)が経過した後に、大当たりの停止図柄となるよう第1図柄表示装置37を点灯させる。加えて、大当たりに対応した停止図柄を第3図柄表示装置81に表示させて、大当たりの発生が報知される。その後、球が入賞し易い特別遊技状態(大当たり)に遊技状態が遷移する。この特別遊技状態として、通常時には閉鎖されている第1特定入賞口65aが、所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放される。
この第1特定入賞口65aは、所定時間が経過すると閉鎖され、その閉鎖後、再度、その第1特定入賞口65aが所定時間開放される。この第1特定入賞口65aの開閉動作は、最高で例えば15回(15ラウンド)繰り返し可能にされている。この開閉動作が行われている状態が、遊技者にとって有利な特別遊技状態の一形態であり、遊技者には、遊技上の価値(遊技価値)の付与として通常時より多量(本実施形態では、1個の球の入賞に基づき15個)の賞球の払い出しが行われる。
第1可変入賞装置65は、具体的には、遊技盤13の内側へ退避することにより球を第1特定入賞口65aへ案内する開状態を形成する開閉板と、その開閉板を動作させるソレノイドとを備えている。開閉板は、通常時は、第1特定入賞口65aに球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっている。大当たりの際にはソレノイドの駆動により開閉板を退避させ球が第1特定入賞口65aに入賞しやすい開状態を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態とを交互に繰り返すようにソレノイドが作動する。
遊技盤13の下側(矢印D側)における右隅部(矢印R側隅部)には、証紙や識別ラベル等を貼着するための貼着スペースK1が設けられ、貼着スペースK1に貼られた証紙等は、正面枠14の小窓35(図1参照)を通じて視認することができる。
遊技盤13には、第1入球口64の下方(矢印D側方向)に第1アウト口66が設けられている。遊技領域を流下する球であって、いずれの入球口63,64,65a,640にも入賞しなかった球は、第1アウト口66を通って図示しない球排出路へと案内される。遊技盤13には、球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)とが配設されている。
図3に示すように、パチンコ機10の背面側には、制御基板ユニット90,91と、裏パックユニット94とが主に備えられている。制御基板ユニット90は、主基板(主制御装置110)と音声ランプ制御基板(音声ランプ制御装置113)と表示制御基板(表示制御装置114)とが搭載されてユニット化されている。制御基板ユニット91は、払出制御基板(払出制御装置111)と発射制御基板(発射制御装置112)と電源基板(電源装置115)とカードユニット接続基板116とが搭載されてユニット化されている。
裏パックユニット94は、保護カバー部を形成する裏パック92と払出ユニット93とがユニット化されている。また、各制御基板には、各制御を司る1チップマイコンとしてのMPU、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等が、必要に応じて搭載されている。
なお、主制御装置110、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114、払出制御装置111及び発射制御装置112、電源装置115、カードユニット接続基板116は、それぞれ基板ボックス100〜104に収納されている。基板ボックス100〜104は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、そのボックスベースとボックスカバーとが互いに連結されて、各制御装置や各基板が収納される。
また、基板ボックス100(主制御装置110)及び基板ボックス102(払出制御装置111及び発射制御装置112)は、ボックスベースとボックスカバーとを封印ユニット(図示せず)によって開封不能に連結(かしめ構造による連結)している。また、ボックスベースとボックスカバーとの連結部には、ボックスベースとボックスカバーとに亘って封印シール(図示せず)が貼着されている。この封印シールは、脆性な素材で構成されており、基板ボックス100,102を開封するために封印シールを剥がそうとしたり、基板ボックス100,102を無理に開封しようとすると、ボックスベース側とボックスカバー側とに切断される。よって、封印ユニット又は封印シールを確認することで、基板ボックス100,102が開封されたかどうかを知ることができる。
払出ユニット93は、裏パックユニット94の最上部に位置して上方に開口したタンク130と、タンク130の下方に連結され下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール131と、タンクレール131の下流側に縦向きに連結されるケースレール132と、ケースレール132の最下流部に設けられ、払出モータ216(図4参照)の所定の電気的構成により球の払出を行う払出装置133とを備えている。タンク130には、遊技ホールの島設備から供給される球が逐次補給され、払出装置133により必要個数の球の払い出しが適宜行われる。タンクレール131には、当該タンクレール131に振動を付加するためのバイブレータ134が取り付けられている。
また、払出制御装置111には状態復帰スイッチ120が設けられ、発射制御装置112には可変抵抗器の操作つまみ121が設けられ、電源装置115にはRAM消去スイッチ122が設けられている。状態復帰スイッチ120は、例えば、払出モータ216(図4参照)部の球詰まり等、払出エラーの発生時に球詰まりを解消(正常状態への復帰)するために操作される。操作つまみ121は、発射ソレノイドの発射力を調整するために操作される。RAM消去スイッチ122は、パチンコ機10を初期状態に戻したい場合に電源投入時に操作される。
次に、図4を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。図4は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
主制御装置110には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU201が搭載されている。MPU201には、該MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202と、そのROM202内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM203と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。主制御装置110では、MPU201によって、大当たり抽選や第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81における表示の設定、第2図柄表示装置における表示結果の抽選といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。
なお、払出制御装置111や音声ランプ制御装置113などのサブ制御装置に対して動作を指示するために、主制御装置110から該サブ制御装置へ各種のコマンドがデータ送受信回路によって送信されるが、かかるコマンドは、主制御装置110からサブ制御装置へ一方向にのみ送信される。
RAM203は、各種エリア、カウンタ、フラグのほか、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。なお、RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図示せず)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図示せず)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
主制御装置110のMPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン204を介して入出力ポート205が接続されている。入出力ポート205には、払出制御装置111、音声ランプ制御装置113、第1図柄表示装置37、第2図柄表示装置、第2図柄保留ランプ、第1特定入賞口65aの開閉板の下辺を軸として正面側に開閉駆動するための大開放口ソレノイドや電動役物を駆動するためのソレノイドなどからなるソレノイド209が接続され、MPU201は、入出力ポート205を介してこれらに対し各種コマンドや制御信号を送信する。
また、入出力ポート205には、図示しないスイッチ群およびスライド位置検出センサSや回転位置検出センサRを含むセンサ群などからなる各種スイッチ208(検出センサ1240、第2検出センサ2255等を含む)、電源装置115に設けられた後述のRAM消去スイッチ回路253が接続され、MPU201は各種スイッチ208から出力される信号や、RAM消去スイッチ回路253より出力されるRAM消去信号SG2に基づいて各種処理を実行する。
払出制御装置111は、払出モータ216を駆動させて賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU211は、そのMPU211により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM212と、ワークメモリ等として使用されるRAM213とを有している。
払出制御装置111のRAM213は、主制御装置110のRAM203と同様に、MPU211の内部レジスタの内容やMPU211により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM213に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。なお、主制御装置110のMPU201と同様、MPU211のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路252から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU211へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
払出制御装置111のMPU211には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン214を介して入出力ポート215が接続されている。入出力ポート215には、主制御装置110や払出モータ216、発射制御装置112などがそれぞれ接続されている。また、図示はしないが、払出制御装置111には、払い出された賞球を検出するための賞球検出スイッチが接続されている。なお、該賞球検出スイッチは、払出制御装置111に接続されるが、主制御装置110には接続されていない。
発射制御装置112は、主制御装置110により球の発射の指示がなされた場合に、操作ハンドル51の回動操作量に応じた球の打ち出し強さとなるよう球発射ユニット112aを制御するものである。球発射ユニット112aは、図示しない発射ソレノイドおよび電磁石を備えており、その発射ソレノイドおよび電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、球の発射を停止させるための発射停止スイッチ51bがオフ(操作されていないこと)を条件に、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)に対応して発射ソレノイドが励磁され、操作ハンドル51の操作量に応じた強さで球が発射される。
音声ランプ制御装置113は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部29〜33、表示ランプ34など)227における点灯および消灯の出力、変動演出(変動表示)や予告演出といった表示制御装置114で行われる第3図柄表示装置81の表示態様の設定などを制御するものである。演算装置であるMPU221は、そのMPU221により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM222と、ワークメモリ等として使用されるRAM223とを有している。
音声ランプ制御装置113のMPU221には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110、表示制御装置114、音声出力装置226、ランプ表示装置227、その他装置228、枠ボタン22などがそれぞれ接続されている。
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から受信した各種のコマンド(変動パターンコマンド、停止種別コマンド等)に基づいて、第3図柄表示装置81の表示態様を決定し、決定した表示態様をコマンド(表示用変動パターンコマンド、表示用停止種別コマンド等)によって表示制御装置114へ通知する。また、音声ランプ制御装置113は、枠ボタン22からの入力を監視し、遊技者によって枠ボタン22が操作された場合は、第3図柄表示装置81で表示されるステージを変更したり、スーパーリーチ時の演出内容を変更したりするように、表示制御装置114へ指示する。ステージが変更される場合は、変更後のステージに応じた後面画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、変更後のステージに関する情報を含めた後面画像変更コマンドを表示制御装置114へ送信する。ここで、後面画像とは、第3図柄表示装置81に表示させる主要な画像である第3図柄の後面側に表示される画像のことである。表示制御装置114は、この音声ランプ制御装置113から送信されるコマンドに従って、第3図柄表示装置81に各種の画像を表示する。
また、音声ランプ制御装置113は、表示制御装置114から第3図柄表示装置81の表示内容を表すコマンド(表示コマンド)を受信する。音声ランプ制御装置113では、表示制御装置114から受信した表示コマンドに基づき、第3図柄表示装置81の表示内容に合わせて、その表示内容に対応する音声を音声出力装置226から出力し、また、その表示内容に対応させてランプ表示装置227の点灯および消灯を制御する。
表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113及び第3図柄表示装置81が接続され、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81における第3図柄の変動演出などの表示を制御するものである。また、表示制御装置114は、第3図柄表示装置81の表示内容を通知する表示コマンドを適宜音声ランプ制御装置113へ送信する。音声ランプ制御装置113は、この表示コマンドによって示される表示内容にあわせて音声出力装置226から音声を出力することで、第3図柄表示装置81の表示と音声出力装置226からの音声出力とをあわせることができる。
電源装置115は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部251と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路252と、RAM消去スイッチ122(図3参照)が設けられたRAM消去スイッチ回路253とを有している。電源部251は、図示しない電源経路を通じて、各制御装置110〜114等に対して各々に必要な動作電圧を供給する装置である。その概要としては、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチ208などの各種スイッチや、ソレノイド209などのソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を各制御装置110〜114等に対して必要な電圧を供給する。
停電監視回路252は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置110のMPU201及び払出制御装置111のMPU211の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路252は、電源部251から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断、電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置110及び払出制御装置111へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置110及び払出制御装置111は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部251は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置110及び払出制御装置111は、NMI割込処理(図示せず)を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路253は、RAM消去スイッチ122(図3参照)が押下された場合に、主制御装置110へ、バックアップデータをクリアさせるためのRAM消去信号SG2を出力するための回路である。主制御装置110は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、バックアップデータをクリアすると共に、払出制御装置111においてバックアップデータをクリアさせるための払出初期化コマンドを払出制御装置111に対して送信する。
次いで図5から図22を参照して、流下装置300について説明する。図5は、正面枠14の部分正面斜視図である。図5に示すように、流下装置300は、正面枠14の正面側に配設される上皿17と下皿15との間に配設され、上皿17から排出された球を下方へ案内する案内流路を構成する装置である。次いで、図6及び図7を参照して、流下装置300の詳細について説明する。
図6及び図7は、流下装置300の正面分解斜視図である。なお、図6では、正面枠14から、前カバー390及び第2板部材320が分解された状態が、図7では、更に、正面枠14から、第1板部材310、傾倒部材330及び解除部材340が分解された状態が、それぞれ図示される。また、図6及び図7では、上皿17の開口部17aが拡大して図示される。
流下装置300は、光透過性の樹脂材料から形成されると共に正面枠14に締結固定される第1板部材310と、光透過性の樹脂材料から形成され、第1板部材310に重ねられた状態で正面枠14に締結固定されると共に第1板部材310との間に案内流路を形成する第2板部材320と、回転動作により球を貯留する状態と排出可能な状態とで切り替えられる傾倒部材330と、その傾倒部材330と係合可能に配設される解除部材340と、正面枠14の正面側から取り付けられる前カバー390と、を主に備える。
上皿17は、その底面および正面側側面(矢印F側の側面)に連続的に穿設される開口部17aと、その開口部17aの正面側において解除部材340を回転可能に支持する部分として背面側(矢印B側)へ向けて凹む一対の第1支持凹部17bと、開口部17aの下方において傾倒部材330を回転可能に支持する部分として背面側へ向けて凹む一対の第2支持凹部17cと、を主に備える。
第1支持凹部17b及び第2支持凹部17cは、上皿17上を流下する球の経路における上流側である正面視左側(矢印L側)に配置されると共に、球発射ユニット112aが配設される背面側(矢印B側)の反対側である上皿17の正面側(矢印F側)に配置される。これにより、傾倒部材330上を球発射ユニット112aへ向けて通り過ぎようとする球が解除部材340に負荷を与えることを防止することができる。
本実施形態では、傾倒部材330及び解除部材340が近接し、開口部17aの球の通過を規制する規制状態(図6参照)と、その規制状態から傾倒部材330又は解除部材340が互いに離反する方向へ回転し、開口部17aの球の通過が許容される許容状態(図14(b)参照)とで、流下装置300の状態を変化可能とされる。
ここで、規制状態の態様は、何ら限定されるものでは無い。例えば、規制状態を、傾倒部材330に解除部材340が押し付けられることにより、傾倒部材330と解除部材340との間に摩擦力が生じる状態として構成しても良いし、傾倒部材330と解除部材340とが一定の間隔を保ち球の通過を規制する状態として構成しても良いし(図14(b)参照、傾倒部材330は想像線で図示)、傾倒部材330と解除部材340とが滑らかな面で当接し摩擦力の発生を極力抑える状態として構成しても良い。
なお、本実施形態では、規制状態において、傾倒部材330に解除部材340が押し付けられることにより、傾倒部材330と解除部材340との間に摩擦力が生じる。
また、許容状態の態様は、何ら限定されるものでは無い。例えば、傾倒部材330又は解除部材340が移動可能範囲の端部まで移動しきった状態(図14(b)参照)として構成しても良いし、傾倒部材330と解除部材340とが移動可能範囲の途中で止まった場合において、間の間隔が球の直径以上に保たれることで球の通過を許容する状態として構成しても良い。
なお、本実施形態では、許容状態において、傾倒部材330が規制状態(図14(a)参照)の姿勢から傾倒し、傾倒部材330と解除部材340との間が球の直径以上の間隔(球が通過可能な間隔)で開放される。
次いで、図8及び図9を参照して、開口部17aを通過した球を案内する案内流路を形成する第1板部材310、第2板部材320について説明する。
図8(a)は、第1板部材310の正面図であり、図8(b)は、図8(a)のVIIIb−VIIIb線における第1板部材310の断面図であり、図8(c)は、第1板部材310の背面図であり、図8(d)は、図8(a)のVIIId−VIIId線における第1板部材310の断面図である。
第1板部材310は、正面枠14に締結固定される部材であって、平行に配置される一対の板から形成される側壁部311と、その側壁部311の間に配設され略L字状に屈曲すると共に球の案内面を形成する案内板部312と、その案内板部312の天面に凸設されるバネ受け部313と、案内板部312の下端に連設されると共に案内面を背面側へ移動させる連設板部314と、を主に備える。
側壁部311は、第1板部材310が正面枠14に締結された状態(図6参照)において、第2支持凹部17cを正面側から塞ぐ位置に配置される端部である閉塞端部311aを備える。即ち、第1板部材310を正面枠14に締結することにより、第2支持凹部17cに支持される傾倒部材330が第2支持凹部17cから脱落することを防止できる。
案内板部312は、上面(矢印U側の面)を形成する天板部312aと、その天板部312aの正面側端部(矢印F側端部)から下方へ延設される延設板部312bと、を主に備える。
天板部312aは、開口部17aの下方に配置され、開口部17aを通過した球は天板部312aの延設方向に沿って正面側(矢印F側)へ流下し、延設板部312bの正面側を案内される。なお、本実施形態では、開口部17aと天板部312aとの間に。天板部312aを覆う態様で傾倒部材330が配設されるため、球は天板部312a上を転動することはなく、傾倒部材330上を転動する。
延設板部312bの下端部は、正面視右方(矢印R方向)へ向かう程、下降傾斜される。即ち、延設板部312bは、正面視で、左辺(矢印L側の辺)を上底、右辺(矢印R側の辺)を下底とする台形形状から形成される。
連設板部314は、延設板部312bの背面側に配設されると共に、幅方向右側(矢印L−R方向、矢印R側)へ向かうほど正面側(矢印F側)へ湾曲し、上端部が左右方向(矢印L−R方向)でほぼ平坦な湾曲板部314aと、延設板部312bの下端部から湾曲板部314aの上端部まで背面側(矢印B側)へ下降傾斜して延設される傾斜板部314bと、を主に備える。
傾斜板部314bは、前後端部間(矢印F−B側端部間)の距離が右方(矢印R側方向)へ向かうほど短くなる。また、傾斜板部312bの傾斜角度は、幅方向どの位置でも同等で、本実施形態では水平面に対して約45度の傾斜とされる(図22参照)。
図9(a)は、第2板部材320の正面図であり、図9(b)は、図9(a)のIXb−IXb線における第2板部材320の断面図であり、図9(c)は、第2板部材320の背面図であり、図9(d)は、図9(a)のIXd−IXd線における第2板部材320の断面図である。
第2板部材320は、第1板部材310の正面側に重ねられた状態で正面枠14に締結固定される部材であって、平行に配置される一対の板から形成される側壁部321と、その側壁部321の間に配設され略L字状に屈曲すると共に球の案内面を形成する案内板部322と、案内板部322の下端に連設されると共に案内面を背面側へ移動させる連設板部323と、を主に備える。
側壁部321は、第2板部材320が正面枠14に締結された状態(図5参照)において、第1支持凹部17bを正面側から塞ぐ位置に配置される端部である閉塞端部321aを備える。即ち、第2板部材320を正面枠14に締結することにより、第1支持凹部17bに支持される解除部材340が第1支持凹部17bから脱落することを防止できる。
案内板部322は、球を案内する流路の上底面を形成する傾斜面である案内上底面322aと、その案内上底面322aの背面視右側(矢印L側)において案内上底面322aよりも上方に形成される傾斜面である受け止め面322bと、案内上底面322a及び受け止め面322bの下端部から下方へ板状に延設される延設板部322cと、を主に備える。
受け止め面322bは、延設板部322cに対する傾斜角度が案内上底面322aの傾斜角度と同じに形成される。受け止め面322bは、後述する解除部材340が回転した際に当接する面として形成され、解除部材340が受け止め面322bと当接する状態において、解除部材340の面であって球と当接する当接面と、案内上底面322aとが面位置となる寸法とされる。即ち、案内上底面322aと受け止め面322bとの間隔T1が、解除部材340の厚みと同程度の長さとされる。
延設板部322cの下端部は、正面視右方(矢印R方向)へ向かう程、下降傾斜される。即ち、延設板部322cは、正面視で、左辺(矢印L側の辺)を上底、右辺(矢印R側の辺)を下底とする台形形状から形成される。
連設板部323は、延設板部322cの背面側に配設されると共に、幅方向右側(矢印L−R方向、矢印R側)へ向かうほど正面側(矢印F側)へ湾曲し、上端部が左右方向(矢印L−R方向)でほぼ平坦な湾曲板部323aと、延設板部322cの下端部から湾曲板部323aの上端部まで背面側(矢印B側)へ下降傾斜して延設される傾斜板部323bと、を主に備える。
傾斜板部323bは、前後端部間(矢印F−B側端部間)の距離が右方(矢印R側方向)へ向かうほど短くなる。また、傾斜板部312bの傾斜角度は、幅方向どの位置でも同等で、本実施形態では水平面に対して約45度の傾斜とされる(図22参照)。
図10(a)は、傾倒部材330の正面図であり、図10(b)は、図10(a)のXb−Xb線における傾倒部材330の断面図であり、図10(c)は、図10(a)のXc−Xc線における傾倒部材330の断面図であり、図10(d)は、図10(a)の矢印Xd方向視における傾倒部材330の上面図であり、図10(e)は、図10(a)の矢印Xe方向視における傾倒部材330の底面図である。
なお、図10(b)では、本体部材331を軸方向長さで8等分する平面の内、本体部材331の左端部(矢印L側端部)に最も近い平面(本体部材331の左端部から本体部材331の軸方向長さの1/8の長さだけ内に入った位置に配置される平面)で断面視された状態が、図10(c)では、本体部材331を軸方向に8等分する平面の内、本体部材331の右端部(矢印R側端部)に最も近い平面(本体部材331の右端部から本体部材331の軸方向長さの1/8の長さだけ内に入った位置に配置される平面)で断面視された状態が、それぞれ図示される。
傾倒部材330は、剛性の高い樹脂材料から形成され、上下方向に球の重みがかけられても、形状を維持する態様とされる。なお、傾倒部材330の材料としては種々の材料が例示される。例えば、金属材料でも良いし、可撓性の樹脂材料でも良いし、繊維強化プラスチックでも良い。
図10に示すように、傾倒部材330は、底面側(矢印D側)が開口した断面矩形の逆カップ形状から形成される本体部材331と、その本体部材331に挿通された後で本体部材331から取り出し不能とされる棒状の軸棒部332と、その軸棒部332を回転軸として回転する場合の本体部材331の先端部から軸棒部332の軸と平行な平面に沿って延設される延設部333と、軸棒部332に巻き付けられる弾性バネ334と、本体部材331の上底面から下方へ延設される延設板部335と、その延設板部335に凹設され弾性バネ334の端部が挟み込まれる凹設部336と、を主に備える。
本体部材331は、断面矩形の枠状に形成される本体枠331aと、その本体枠331aを連結する板部である上底板部331bと、本体枠331aの対向する一対の面の背面側(矢印B側)の端部に一直線上に穿設される一対の貫通孔331cと、本体枠331aの上端部と上底板部331bの背面側面との連結部分に湾曲面として形成される湾曲部331dと、を主に備える。
本体枠331aは、貫通孔331cが形成される板部の上底板部331bが配設される側の反対側(矢印D側)の端部が、正面側(矢印F側)へ向かうほど上底板部331bとの距離が短くなる態様の傾斜面として形成される。この傾斜面が、傾倒部材330が回転する際に、第1板部材310と面当たりすることで、傾倒部材330と第1板部材310との間で生じる衝撃を弱めることができる。
上底板部331bは、上面が、軸棒部332の軸方向(水平方向)に対して、正面視右方(矢印R方向)へ向かうほど下降傾斜する傾斜面として形成される。なお、本実施形態では、上底板部331bの軸棒部332に対する傾斜角度が約3°で設計される。
軸棒部332は、本体部材331の中心位置を基準として延設部333の反対側において本体枠331aに挿通された後、本体部材331の内部における本体部材331の内壁付近の位置に市販のEリングが嵌め込まれることにより、本体部材331に対する相対移動が抑制される。これにより、軸棒部332は、両端部が本体部材331の左右端部(矢印L−R側端部)から突出した状態で固定される。
本実施形態によれば、傾倒部材330は、上底板部331bに乗った球の重みで軸棒部332を軸として回転動作するところ、上底板部331bの上面が軸棒部332の軸方向に対して傾斜しているので、球の重みを、軸棒部332の径方向と軸方向とに分けることができる。そのため、傾倒部材330にかけられる球の重量の、傾倒部材330の回転方向成分の大きさを低減することができ、例えば、上皿17に遊技者が手づかみで供給した球の重さが傾倒部材330にかけられた場合に、その重みで傾倒部材330が回転する可能性を低くすることができる。
ここで、図10(b)及び図10(c)を参照して、傾倒部材330の軸方向位置における形状の違いに因る作用および効果について説明する。図10(b)及び図10(c)に示すように、軸棒部332は、軸心が本体部材331の背面側(矢印B側)外面から共通長さAcだけ離間した位置に配置されると共に、軸方向断面視において上底板部331bの上面から長さAl,Asだけ離間した位置に配置される。なお、便宜上、図10(b)における軸棒部332と上底板部331bの上面との間隔を上流側長さAlと、図10(c)における軸棒部332と上底板部331bの上面との間隔を下流側長さAsと、それぞれ称する。
上述したように、上底板部331bは上面が、軸棒部332の軸方向(水平方向)に対して、右方(矢印R方向)へ向かうほど下降傾斜する傾斜面として形成される。即ち、正面視右方(矢印R方向)へ向かうほど(組立状態(図1参照)において下流側(矢印R側)へ向かうほど)、軸棒部332と上底板部331bとの間隔が短くなる(上流側長さAl>下流側長さAs)。
図10(b)及び図10(c)では、傾倒部材330が同じ角度だけ傾倒した状態における傾倒部材330の外形が部分的に想像線で図示される。傾倒部材330の傾倒により、本体部材331の背面側部分(矢印B側部分)であって、軸棒部332の真横に配置された部分W1が上昇することに伴って、上底板部331の背面側部分の上面位置が上昇する。
その上昇距離を余剰長さexAl,exAsとして図示する場合、共通長さAcは図10(b)及び図10(c)で共通なので、余剰長さexAl,exAsの長さは、それぞれ上流側長さAl及び下流側長さAsの長さに対応して変化する。即ち、上流側長さAl及び下流側長さAsの長さの関係(Al>As)から、余剰長さの関係(exAl>exAs)が決定される。
即ち、本実施形態では、組立状態において球の流下経路の上流側(図10(a)矢印L側)ほど、傾倒部材330の傾倒に伴う上底板部331bの上面位置の上昇度合いが大きくなる。従って、球の流下経路の上流側の方が、下流側に比較して、傾倒部材330の傾倒時に傾倒部材330の上面へ球が侵入することを防止し易くすることができる。
これにより、本実施形態では、組立状態において上流側に配置される傾倒部材330の部分(図10(a)矢印L側部分)における背面側(図10(b)矢印B側)からの球の侵入を防止し易くでき、傾倒部材330の傾倒時に傾倒部材330の背面側(上流側、図14(a)矢印B側)で球を貯留し易くすることができる一方、組立状態において下流側に配置される傾倒部材330の部分(図10(a)矢印R側部分)における背面側(図10(b)矢印B側)からは球の侵入を許容し、傾倒部材330の上面に球が貯留するまでにかかる間隔の短縮化を図ることができる。
なお、余剰長さの設定態様は、これに限定されるものでは無い、例えば、傾倒部材330の傾倒時であっても、傾倒部材330の軸方向全範囲において、背面側からの球の侵入を防止できる余剰長さを設定しても良い。この場合、傾倒部材330の背面側に貯留された球が傾倒部材330の上面に進入するタイミングを傾倒部材330が起き上がった後にできるので傾倒部材330の動作間隔を長くすることができる。
また、例えば、傾倒部材330の軸方向全範囲において、背面側からの球の侵入を許容する余剰長さを設定しても良い。この場合、傾倒部材330の背面側に貯留された球をまとめて排出することができるので、傾倒部材330が1回傾倒することで排出される球の個数を多くすることができる。
延設部333は、上面が上底板部331bと面位置とされる傾斜部333aと、上面が軸棒部332の軸方向と平行とされる係合部333bと、を主に備える。係合部333bは、上底板部331bの上端側に配設される。
弾性バネ334は、傾倒部材330を起き上がり方向(矢印U方向)に回転させる付勢力を発生する。弾性バネ334の弾性係数は任意に設定することができる。本実施形態における弾性バネ334の弾性係数k1については、後述する。
延設板部335は、本体枠331aに固着される。これにより、本体部材331の剛性を高めることができると共に、耐久性を向上させることができる。
図11(a)は、解除部材340の正面図であり、図11(b)は、図11(a)のXIb−XIb線における解除部材340の断面図であり、図11(c)は、図11(b)の矢印XIc方向視における解除部材340の上面図である。
解除部材340は、剛性の高い樹脂材料から形成され、球による負荷がかけられても、形状を維持する態様とされる。なお、解除部材340の材料としては種々の材料が例示される。例えば、金属材料でも良いし、可撓性の樹脂材料でも良いし、繊維強化プラスチックでも良い。
図11に示すように、解除部材340は、組立状態(図5参照)において第1支持凹部17bに支持される棒状の軸棒部341と、その軸棒部341の軸方向と平行な平面板として軸径方向に延設される当接板部342と、その当接板部342の厚さ方向の一面から複数列の板状に延設される補強板部343と、その補強板部343の軸棒部341と反対側の端部から当接板部342の延設方向と平行な方向に板状に延設される段違い板部344と、その段違い板部344の下端部から当接板部342側へ凸設される係合凸部345と、軸棒部341に巻き付けられ一方の端部が当接板部342に係止される弾性バネ346と、を主に備える。
補強板部343の延設先端面は、当接板部342の当接面と平行とされる。係合凸部345の上面は、当接板部342側(矢印B側)へ向かうほど下降傾斜する傾斜面として形成される。これにより、傾倒部材330との衝突が起きても、傾倒部材330の動作抵抗が過大となることを防止することができる。
図12は、上皿17の上面図である。なお、図12では、解除部材340付近が部分的に断面視される。上皿17は、開口部17aが傾倒部材330及び解除部材340に閉鎖される状態において上方に開口すると共に底面が右方(矢印R方向)へ向かうにつれて下降傾斜する態様とされる容器形状から形成され、上皿17の底面における開口部17aの右方(矢印R側)の領域であって球発射ユニット112a(図4参照)へ球が供給される発射球貯留領域17dと、上皿17の底面における開口部17aの背面側(矢印B側)の領域である橋渡し球貯留領域17eと、上皿17の底面における開口部17aの左方(矢印L側)の領域であると共に橋渡し球貯留領域17eの正面側(矢印F側)の領域である後追い球貯留領域17fと、払出ユニット93(図3参照)から上皿17へ連通されると共に球が通過可能な開口である供給開口17gと、発射供給領域17dに配置された球を球発射ユニット112aに案内する開口である発射供給口17kと、を主に備える。
発射球貯留領域17dは、右方へ向かうほど先細りする上面視略三角形形状の領域であり、正面側の内側面が、上面視でその内側面よりも正面側に中心を持つ円弧に沿った湾曲形状に形成されると共に、その円弧の径方向外方へ向けて下方傾斜する。そのため、正面側の内側面に沿って流下する球は、球発射ユニット112a側に球が溜まっていれば、内側面の傾斜に沿って、それら溜まっている球の上流側に流下し、球発射ユニット112a側に球が無ければ、球発射ユニット112a側に流下する。
また、発射球貯留領域17dは、傾倒部材330の右方において、傾倒部材330の上面よりも球の半径raの1/2程度、上面位置が低い。そのため、傾倒部材330から右方へ流下し発射球貯留領域17dに着地する球は、球の半径raの1/2程度の段差を落下し上皿17と衝突することになるので、上皿17との間で摩擦が生じ、上皿17の上面の傾斜にそって滑らかに流下する場合に比較して減速される。この減速の度合いは、摩擦力の大小に起因し、その摩擦力の大小は球から上皿17に上下方向で与える負荷の大小に起因する。ここで、傾倒部材330の傾倒前の状態における傾倒部材330の上面と、発射球貯留領域17dの傾倒部材330と隣設する部分の上面との段差の高さ寸法は、正面側へ向かうほど小さくなる(図16参照)。
これにより、上皿17の正面側の内側面に沿って傾倒部材330の上面から発射球貯留領域17dに流入する球の減速度合いを低減することができ、球をスムーズに発射球貯留領域17dへ流すことができる。
橋渡し球貯留領域17eは、供給開口17gの下方から、上面が後追い球貯留領域17f及び傾倒部材330の上面よりも球の半径raの1/2程度低い位置(図14(a)及び図16参照)を右方へ延びる領域であって、前後方向に最大で3個の球が並ぶことが可能な幅寸法で形成される(図19(a)参照)。
後追い球貯留領域17fは、供給開口17gの開口が向く方向(本実施形態では、矢印F方向)に配設される。これにより、後述するように、供給開口17gから供給された球が橋渡し球貯留領域17eに満たされる球の上を通過する際に速度が落ちた場合であっても、後追いで供給開口17gから供給される球から与えられる圧により、先行する球を後追い球貯留領域17fまで送ることができる。
後追い球貯留領域17fは、傾倒部材330側の端部と上皿17の正面側内面とを連結する湾曲面として形成される湾曲部17f1と、供給開口17gと対向配置される内側面であって、右方(矢印R方向)へ向かうほど正面側(矢印F側)へ張り出す湾曲面として形成される湾曲側面17f2と、を主に備える。
湾曲側面17f2は、上皿17の底面を転動する球の内側面との当接位置における(底面から球の半径ra分高い位置における)曲率半径である半径R1が、球の半径ra以上の長さとされる。そのため、供給開口17gから排出方向N1に沿って排出された球の速度を湾曲側面17f2に沿って左右方向(矢印L−R方向)の速度に変化させることができる。
これにより、後追い球貯留領域17fに入球した球を速やかに傾倒部材330側へ送ることができるので、傾倒部材330の上面に球が満たされていない状態で、後追い球貯留領域17fに球が停留することを抑制することができ、傾倒部材330の上面に球を貯留し易くすることができる(後追い球貯留領域17fからスムーズに傾倒部材330の上面へ球を送ることができる)。
尚かつ、傾倒部材330側へ送球された球の速度成分の内、解除部材340へ向く速度成分の大きさを低減することができるので、球と解除部材340との衝突が生じたとしても、送球された球の勢いによる解除部材340の回転の発生を抑制することができる。
供給開口17gは、前後方向(矢印F−B方向)に開口され、解除部材340よりも左方(上流側、矢印L側)に配設される。尚かつ、供給開口17gの上流側の流路は、払出ユニット93から送球される球が案内される流路であって、高さ方向(矢印U−D方向)に直線的に延設される。そのため、供給開口17gの上流側の流路から上皿17に排出される球は、左右方向の速度が抑制され、排出時の速度が前後方向に向く。これにより、供給開口17gから上皿17に供給される球が供給開始時の速度方向で解除部材340に衝突することを防止することができる。
換言すれば、本実施形態では、供給開口17gから排出される球の方向である排出方向N1には、後追い球貯留領域17fの湾曲側面17f2が配置されており、解除部材340は配置されないことから、供給開口17gから排出された球が、その排出方向N1に沿って解除部材340に衝突することを防止することができる。
供給開口17gは、正面視において上皿17の底面よりも球の直径以上上方に下底面が形成される。これにより、上皿17の底面が球で満たされた後に供給開口17bから供給された球を、その底面に敷き詰められた球の上に積むことができる。
本実施形態によれば、橋渡し球貯留領域17eの上流側端部が供給開口17gの正面に配置される。そのため、球を発射することにより上皿17に残る球が減り生じる空間(橋渡し球貯留領域17eの上流側の空間)に直接的に球を供給できるので、供給開口17gからの球の供給を円滑に行うことができる。
供給開口17gから供給された球の内、後追い球貯留領域17fまで到達した球は、上皿17の傾斜に沿って傾倒部材330の上面に流入する。球が傾倒部材330の上面を転動する際には、傾倒部材330の上面の形状であって正面側(矢印F側)へ向かうにつれて下降傾斜する傾斜方向FI及び発射球貯留領域17dの底面の形状であって背面側(矢印B側)へ向かうにつれて下降傾斜する傾斜方向BIの影響を受ける。即ち、傾倒部材330の上面に流入した球は、右方(矢印R方向)への流下の過程で傾斜方向FIに沿って正面側へ寄せられ、傾倒部材330を通過した後は、傾斜方向BIに沿って背面側(矢印B側、発射供給口17kの配置される側)へ寄せられる。
これにより、傾倒部材330上に球を滞留させず、素早く球を下流へ流す状態と、傾倒部材330に球を滞留させる状態との、両方の状態に好適に対応することができる。
即ち、例えば、発射球貯留領域17dに貯留されていた球が遊技領域へ発射され、発射球貯留領域17dに配置される球が不足した状態では、傾倒部材330の上面に流入した球を早期に発射球貯留領域17dの球が不足している部分へ送球することが望ましい。
ここで、遊技領域への球の発射に伴い、発射球貯留領域17dの球は上皿17の傾斜(右方へ向かって下降傾斜する傾斜、及び傾斜方向BIの傾斜)に沿って流下することから、傾倒部材330の右方正面側端部から、発射球貯留領域17dの球が不足し始める(球を受け入れ可能な空間ができ始める)。
傾倒部材330の上面に流入した球は傾倒部材330の上面の傾斜方向Cに沿って、正面側(矢印F側)に寄せられながら傾倒部材330の上面を右方へ通過するので、傾倒部材330の上面から降りる球は、傾斜方向BIの根本側(矢印F側)から発射球貯留領域17dに流入する。
従って、傾倒部材330の右方正面側端部(矢印R及び矢印F側端部)に、換言すれば、発射球貯留領域17dにおいて球が不足し始める(球を受け入れ可能となる)空間に、直接的に球を流入させることができるので、傾倒部材330に球を滞留させることなく、速やかに球を発射球貯留領域17fに流入させることができる。
一方、例えば、発射球貯留領域17dが球で満たされている状態では、傾倒部材330の上面に球を貯留し易くされることが望ましい。ここで、発射球貯留領域17dが球で満たされている状態では、球が傾倒部材330から発射球貯留領域17dへ流入することが既に発射球貯留領域17dに貯留されている球により規制されると共に、傾斜方向FIにより、球が橋渡し貯留領域17eに流入することが抑制されるので、球を傾倒部材330の上面に貯留し易くすることができる。
このように、本実施形態では、傾倒部材330の上面および上皿17の底面の形状により、傾倒部材330の上面に乗っているか、傾倒部材330を通過して傾倒部材330から降りているかで、前後方向(矢印F−B方向)の球の向きを切り替えることができる。
図13は、図12のXIII−XIII線における正面枠14の部分断面図である。図13に示すように、上皿17の正面側面において、開口部17aは第2板部材320の外形に合致する形状から形成される。開口部17aの左右幅は傾倒部材330の軸方向幅よりも若干長くされ、開口部17aは、案内上底面322aの上端位置へ向けて上皿17の内面から上皿17の底面と平行な面として延設される球案内天面17a1と、その球案内天面17a1の背面視右方(矢印L側)に配置され受け止め面322bの上端位置へ向けて上皿17の内面から水平面(軸棒部341と平行な面)として延設される球被覆面17a2と、を主に備える。
本実施形態では、球案内天面17a1は、規制状態(図13参照)において傾倒部材330の上面との間隔が球の直径未満となる位置に配設され、球被覆面17a2は、規制状態において傾倒部材330の上面との間隔が球の直径以上となり、かつ、傾倒部材330の上面との間隔が球の直径の2倍よりも短くなる位置に配設される。
この位置関係により、規制状態において傾倒部材330の上面に乗る球の内、球案内天面17a1の背面側に配置された球は上皿17の側壁にせき止められ上皿17の外方へ飛び出すことが規制される一方、球被覆面17a2の背面側に配置された球は、正面方向(矢印F方向)への速度が加えられれば、球被覆面17a2と傾倒部材330との間を通り解除部材340に当接可能とされる。
即ち、開口部17aの形状により、傾倒部材330の上面に乗った球を、解除部材340に当接可能な球(球被覆面17a2の背面側に配置される球)と、解除部材340に当接不能な球(球案内天面17a1の背面に配置される球)とで分けることができる。
本実施形態では、傾倒部材330が起き上がっている状態(図13参照)では背面視において、橋渡し球貯留領域17eを形成する底面と、傾倒部材330の上面とが平行とされる。
なお、後述するように、供給開口17gから供給され傾倒部材330に乗る球は主に、橋渡し球貯留領域17eを正面側へ向けて通過し、後追い球貯留領域17fを経由して傾倒部材330の上面に乗る。即ち、図13において、傾倒部材330の上面を左向き(矢印R方向)に球は流下する。従って、傾倒部材330に供給される球は、解除部材340に当接する可能性を保持した状態で傾倒部材330の上面に流入し、流下の過程で球被覆面17a2の背面側の領域を通過することで解除部材340に当接する可能性を失う。
本実施形態では、解除部材340に当接する球も、解除部材340に当接しない球も、傾倒部材330への流入位置が同じとされるので(上流の流下経路が分割されることなく用意されるので)、傾倒部材330の上面に貯留される球の貯留態様により解除部材340と当接するか否かが決まる。そのため、解除部材340に当接する球を特別に指定した流路に流入した球に限定する場合に比較して、例えば、上皿17にあと一球供給されることで解除部材340が回転可能な状態となった後、傾倒部材330と解除部材340との係合が解除されるまでにかかる時間を短縮することができる。
図14(a)及び図14(b)は、図13のXIVa−XIVa線における正面枠14の部分断面図である。なお、図14(a)では、傾倒部材330及び解除部材340の規制状態において、傾倒部材330の傾倒前の状態が図示され、図14(b)では、傾倒部材330及び解除部材340の許容状態において、傾倒部材330及び解除部材340が互いに離反する方向に回転しきった状態が図示される。
なお、図14(a)に示すように、傾倒部材330の傾倒前の状態では、上底板部331bの上面の、水平面に対する前後方向(矢印F−B方向)に沿った傾斜角度は約1°で設定され、図14(b)に示すように、傾倒部材330の傾倒後の状態では、上底板部331bの上面の、水平面に対する前後方向に沿った傾斜角度は約15°で設定される。
従って、本実施形態では、傾倒部材330の傾倒前は、前後方向に沿った傾斜角度(約1°)に比較して、左右方向(矢印L−R方向)に沿った傾斜角度(約3°、図10(a)参照)の方が大きくされ、傾倒部材330の傾倒後は、前後方向に沿った傾斜角度(約15°)に比較して、左右方向に沿った傾斜角度(約3°、図10(a)参照)の方が小さくされる(角度の大小が逆転する)。そのため、傾倒部材330の姿勢変化に伴い、球の流下経路(球が流下し易い方向)を変化させることができる。また、図14(a)及び図14(b)では、供給開口17gの高さ位置が想像線で図示される。
なお、上述したように、前後方向に沿った傾斜角度と、左右方向に沿った傾斜角度とが、傾倒部材330の傾倒により逆転するので、例えば、傾倒部材330に上方から着地する球が跳ね返る方向を、傾倒部材330の姿勢により切り替えることができる。即ち、傾倒部材330の傾倒前の状態(図14(a)参照)では、左右方向の傾斜の方が前後方向の傾斜に比較して大きいので、傾倒部材330に着地した球は左右方向における下流方向(発射球貯留領域17dに向く方向、矢印R方向)に跳ね返り易くされ、一方で、傾倒部材330の傾倒後の状態(図14(b)参照)では、前後方向の傾斜の方が左右方向の傾斜に比較して大きいので、傾倒部材330に着地した球を正面側(開口部17aから下方へ球を排出する方向、矢印F側)へ流すことができる。
従って、傾倒部材330の傾倒前は、傾倒部材330の上面に着地した球を発射球貯留領域17dへ流し易くできると共に、傾倒部材330の傾倒後は、傾倒部材330の上面に着地した球が開口部17aを通して排出されやすくすることができる。これにより、上皿17に球が不足しているときは、発射球貯留領域17dに球をより速く供給できる一方で、上皿17に球が満杯となり、傾倒部材330が傾倒する際には開口部17aを通して球をより速く上皿17から排出することができる。
図14(a)及び図14(b)に示すように、供給開口17gから供給された球が着地する橋渡し球貯留領域17eは、傾倒部材330の上面よりも低くされる。そのため、供給開口17gから排出された球であって橋渡し球貯留領域17eに着地した球の勢いを、傾倒部材330の湾曲部331dに球を当てることで減少させることができる。
また、図10で上述したように、傾倒部材330の上底板部331bの背面側部分(湾曲部331d側の部分)は傾倒部材330が傾倒するにつれて上昇するので、傾倒部材330が起き上がった規制状態に比較して、傾倒部材330が傾倒した許容状態の方が、橋渡し球貯留領域17eの上面から湾曲部331dまでの上下方向(矢印U−D方向)の間隔が大きくされる。
これにより、規制状態に比較して、許容状態の方が、傾倒部材330上面への球の入球を防止し易くすることができる。傾倒部材330が傾倒し、許容状態となった後で開口部17aから排出される球を、傾倒部材330の上面に配置されていた球および傾倒部材330の背面側(矢印B側)を除く上流側位置(矢印L側位置)に配置されていた球に限定することができ、背面側に配置された球が傾倒部材330の上面に入球するタイミングを、傾倒部材330が再び起き上がり規制状態となった後にすることができる。そのため、許容状態の間に傾倒部材330に球がまばらに入球し、それらが開口部17aから排出される事態の発生を防止することができる。
図14(a)及び図14(b)に示すように、規制状態と許容状態とでは、球と傾倒部材330との当接位置が変化する。即ち、規制状態で傾倒部材330が起き上がった状態(図14(a)参照)では、湾曲部331dが球に対向配置されることから、球は湾曲部331dと当接する。ここで、本実施形態では、図14(a)に示すように、湾曲部331dが球の中心位置よりも下側(球の半径raの1/2程度下側)に配置されるので、球は横方向の負荷のみで湾曲部331dに乗り上げ、傾倒部材330の上面に入球することが可能とされる。即ち、球が湾曲部331dから受ける反作用の力の内、上方へ向く成分が大きく維持されることから、球が前後方向の速度で湾曲部331dに衝突した場合であっても、湾曲部331dに乗り上げて正面側へ移動することが可能とされる(傾倒部材330の上面に流入可能とされる)。
一方、許容状態で傾倒部材330が傾倒した状態(図14(b)参照)では、図14(a)に示す状態に比較して湾曲部331dが上昇配置されると共に、橋渡し球貯留領域17eに配置される球から離反する態様で退く。本実施形態では、これに伴い、湾曲部331dの上端位置が球の中心位置の高さ付近まで上昇すると共に、球は本体枠331aの平面部分(湾曲部331dの下方に延設される部分であって傾倒部材330の矢印B側に配置される板部分)と当接開始することから、水平方向の負荷のみでは、球が湾曲部331dに乗り上げることを困難とすることができる。即ち、球が湾曲部331dから受ける反作用の力の内、上方へ向く成分の割合が小さくなることから、球が前後方向の速度で湾曲部331dに衝突した場合には、湾曲部331dに乗り上げるほどの反発力が生み出されにくく、球を傾倒部材330の背面側に維持し易くすることができる(傾倒部材330の上面に流入困難とすることができる)。
従って、傾倒部材330の傾倒時に湾曲部331dに乗り上げて球が傾倒部材330の上面に入球することを防止し易くすることができる。また、湾曲部331dが形成されることにより、角部として形成する場合に比較して、応力集中を緩和することができ、傾倒部材330に割れや欠けが生じることを防止することができる。
また、供給開口17gは、解除部材340と球P1との当接位置を基準として、上下に位置ずれした位置に配置される(球の半径ra以上位置ずれする)。これにより、供給開口17gの上流側の経路に滞留した球から上皿17の内部の球に与えられる圧力(排出方向Nに沿った圧力)が、解除部材340に与えられることを防止することができる。これにより、解除部材340の変位のタイミングを、供給開口17gからの球の供給の勢いではなく、上皿17に貯留された球の個数(球の貯留態様)によって規定し易くすることができる。
図14(a)に示すように、解除部材340の係合凸部345が傾倒部材330の延設部333の動作軌跡と干渉する態様で凸設される。これにより、規制状態において、解除部材340の係合凸部345が延設部333を下から支えるので、解除部材340が図14(a)に示す位置で維持される限り、傾倒部材330が回転することを防止することができる。
一方、図14(b)に示すように、解除部材340が回転し、係合凸部345が延設部333から離れると、延設部333を下から支えるものは無くなるので、傾倒部材330に乗る球の重みが弾性バネ334の弾性力以上となれば傾倒部材330は回転する。本実施形態では、弾性バネ334の弾性力が、傾倒部材330に順序良く乗る球が9個以下であれば、傾倒部材330が起きた状態を維持する大きさを生じる態様で、弾性バネ334の弾性係数k1が設定される。
ここで、本実施形態では、解除部材340を延設部333から離す負荷と、傾倒部材330を回転させる負荷の方向が、ほぼ直交する態様で異なる。即ち、解除部材340を延設部333から離す負荷の向きは正面向き(矢印Fの向き)であり、傾倒部材330を回転させる負荷の向きは下向き(矢印Dの向き)である。
解除部材340の回転と傾倒部材330の回転とは、必ずしも同時には開始されない。例えば、係合部材330の上面に十分な球が乗っている場合には、解除部材340が規制状態から許容状態へ向けて回転を開始した直後に傾倒部材330が回転し得るが、係合部材330の上面に球が余り無い場合に誤って解除部材340が規制状態から許容状態へ向けて回転を開始した場合であっても、傾倒部材330が規制状態の姿勢で維持される(図14(b)に想像線で図示、中間状態)。
この場合、図14(b)に示すように、傾倒部材330と解除部材340との間隔が球の直径未満とされる。これにより、傾倒部材330の上面に球が余り無い場合に解除部材340が回転したとしても、開口部17aを通過して球が上皿17から排出されることを防止することができる。
なお、本実施形態では、係合凸部345の上面が傾倒部材330に対して傾斜していることから、解除部材340が規制状態から許容状態へ向けて回転開始した直後に傾倒部材330が回転し傾倒部材330の延設部333が係合凸部345に当接し(引っ掛かり)かけたとしても、傾倒部材330から解除部材340へ与えられる負荷が係合凸部345の傾斜の影響を受け、係合凸部345を許容状態へ向けて押し返す方向に変えられる。これにより、傾倒部材330から解除部材340へ与えられる負荷が解除部材340の径方向に集中する場合に比較して傾倒部材330と解除部材340との間で発生する動作抵抗を抑えることができ、傾倒部材330及び解除部材340の動作を滑らかにすることができる。
規制状態および許容状態において、解除部材340と球P1とが当接する位置について説明する。図14(a)及び図14(b)には、解除部材340と当接する球P1が図示される。
図14(a)及び図14(b)に示すように、規制状態では、球P1は、解除部材340の軸棒部341に近い側(回転軸に近い側、矢印U側)で当接する一方、許容状態では、球P1は、解除部材340の係合凸部345に近い側(回転軸から遠い側、矢印D側)で当接する。そのため、解除部材340は、規制状態に比較して許容状態の方が、球P1の負荷により回転し易くなる。
従って、解除部材340に当接する球P1が繰り返し到達する場合に、規制状態ではその状態を維持し易く、尚かつ、許容状態でもその状態を維持し易く(流下する球P1により許容状態に戻され易く)することができる。そのため、傾倒部材330及び解除部材340の状態を安定化することができる。
例えば、傾倒部材330が許容状態(図14(b)参照)とされ、球が開口部17aを通過する際、解除部材340と当接する位置(球被覆面17a2の下側位置)を通過する球は、解除部材340を許容状態へ向けて押しのけながら流下する(球の流下軌跡が規制状態における解除部材340と干渉する)。そのため、開口部17aを通過する球の作用で傾倒部材330及び解除部材340を許容状態に維持し易くすることができる。
本実施形態では、規制状態(図14(a)において、傾倒部材330の上面は、水平面を基準として正面側(矢印F側)へ向けて若干(約1°)下方傾斜する。そのため、傾倒部材330の上面に流入した球を正面側へ流すことができる。
また、本実施形態では、許容状態(図14(b)参照)において、傾倒部材330の上面の前後方向に沿った傾斜角度は、水平面を基準として約15度に設定される。傾倒部材330が許容状態となった後、前後方向の傾斜に沿って各球が球1個分位置ずれする(球の直径である11mmずつ位置ずれする)ごとに、傾倒部材330の延設部333から球が排出される。延設部333から軸棒部332へ向けて順に球が列(軸棒部332の軸方向に整列した列)となって貯留されると仮定した場合、傾倒部材330の上面に貯留された球は、0.1秒に2列流下する程度の流量(最大で横4列で流下するとの過程のもとで、約80[個/秒])で上皿17から排出される。
このように、傾倒部材330が許容状態となると、球が傾倒部材330の先端側へ列をなして流下する。そのため、球の流下途中においても、傾倒部材330の先端側に複数個(3個以上)の球が列をなして配置される状態を維持することができるので、球の排出の途中で弾性バネ334の反力により傾倒部材330が起き上がることを防止できる。
傾倒部材330の上面を伝って第1板部材310及び第2板部材320の間の流路を流下する球は、第1板部材310及び第2板部材320の下端部から下皿15に排出される。図14(a)及び図14(b)に示すように、第1板部材310及び第2板部材320の間の流路は上皿17及び下皿15の外形端部(正面側端部)付近において鉛直方向に延設される。
即ち、本実施形態によれば、上皿17から下皿15へ球を移動させる経路を正面枠14の正面側の正面寄り(上皿17及び下皿15の外形端部付近)に配置することができる。これにより、従来のように正面枠14の背面側に分岐流路を設けて球を上皿17と下皿15とに分ける場合に比較して、上皿17の下方にまとまった空きスペースを確保することができる。
例えば、従来と同じように、正面枠14と内枠12との間の位置に分岐流路が配置される場合には、その分岐流路により正面枠14側のスペースと内枠12側のスペースとが分断されることから、分岐流路の正面側(矢印F側)および背面側(矢印B側)に小さなスペースを設けられるに留まり、そのスペースの利用価値が少なかったが、本実施形態によれば、分岐流路と同様の機能を果たす流路が正面枠14の正面側の正面寄りに配置されるので、その流路を形成する第1板部材310の背面側に、正面枠14及び内枠12に連通される(矢印F−B方向に連通される)、まとまった空きスペースを確保することができる。
例えば、正面枠14及び内枠12に連通されるスペースにスピーカーボックス等(例えば、スピーカーボックスや可動物等)を配置することができるので、大型装置の配置自由度を向上させることができる。
この場合、内枠12のスピーカーボックス等を受け入れる位置に、内枠12の正面側側面から背面側へ向けて凹設される凹設空間がスピーカーボックス等の受け入れが可能な大きさで配設されることにより、正面枠14の背側面から背面側へ張り出す態様で大型のスピーカーボックス等を正面枠14に配設することができる。
なお、凹設空間が配設された内枠12と、大型のスピーカーボックス等が配設されない正面枠14とを組み合わせてパチンコ機10を構成するようにしても良い(内枠12の兼用を図っても良い)。即ち、内枠12を共用の枠として使用できることにより、例えば、交換時において、内枠12はそのままで、正面枠14のみの交換で済ますことができる。この場合、大型のスピーカーボックス等が配設される正面枠14と、大型のスピーカーボックス等が配設されない正面枠14とを、それぞれ別の専用の内枠12と組み合わせてパチンコ機10を構成する場合に比較して、交換時の工数を削減することができる。
なお、正面枠14から内枠12へ向けて張り出すものは、スピーカーボックス等に限定されない。例えば、押しボタンの構造の一部でも良いし、正面枠14と内枠12との位置決めをする突起でも良いし、配線を部分的に覆う被覆部材でも良い。
図15(a)及び図15(b)を参照して、傾倒部材330及び解除部材340に与えられる負荷の関係について説明する。図15(a)及び図15(b)は、傾倒部材330及び解除部材340に与えられる負荷を示す模式図である。なお、理解を容易にするために、傾倒部材330及び解除部材340の当接位置における形状が軸棒部332を中心とする円に沿った形状に模式的に修正して図示される。
図15(a)では、傾倒部材330が傾倒する前の状態であって、傾倒部材330と解除部材340とが当接した状態(規制状態の一部)が、図15(b)では、傾倒部材330と解除部材340とが互いに離反し、傾倒部材330が傾倒した状態(許容状態の一部)が、それぞれ図示される。
傾倒部材330及び解除部材340に与えられる負荷がつくるモーメントの関係について説明する。まず、傾倒部材330の軸周りには、球が乗っていない状態において、弾性バネ334の弾性的な付勢力による弾性的モーメントMkと、解除部材340との当接位置において生じる静止摩擦力による静止摩擦モーメントMfと、第1板部材310の天板部312aから与えられる規制力による方向限定の規制モーメントMrとが生じる。これらが釣り合うことで、傾倒前の状態で傾倒部材330の姿勢が維持される(図15(a)参照)。なお、傾倒部材330及び解除部材340は軽量な部材として構成されることから、図15の説明においては、傾倒部材330及び解除部材340の重量により生じるモーメントを無視して説明する。
弾性的モーメントMkは、弾性バネ334の材質や大きさ、巻き状態などで数値が変化する。ここで、本実施形態では、傾倒前の状態(図15(a)参照)において、傾倒部材330の上面に球が順序よく9個乗るまでは傾倒前の状態を維持できる一方で、球が10個以上乗ると傾倒開始する大きさで設定される(弾性バネ334の弾性係数k1が設定される)。なお、以下において「球が順序よく貯留される」とは、傾倒部材330の右端側から前後方向に並ぶ列として一列ずつ順番に、尚かつ、各列において正面側(軸棒部332から離れた側)から球が順番に貯留されることを意味する。
詳述すると、解除部材340側から前後方向(矢印F−B方向)に球が3個並ぶ球の列が正面視左右方向(矢印L−R方向)に3列生じるまでは、解除部材340とは無関係に、傾倒部材330は傾斜前の状態を維持する。
図15(a)では、解除部材340側から3個並ぶ球の列の例が想像線で図示される。図15(a)に示すように、列を形成する球の中心位置は、おおよそ等間隔で配置される。即ち、解除部材340から最も離れた球(矢印B側に配置された球)の中心位置は軸棒部332から腕長さAR[mm]だけ離れた位置に、その球と隣接する球の中心位置は軸棒部332から腕長さARの約3培だけ離れた位置に、解除部材340に最も近接する球(矢印F側に配置された球)の中心位置は軸棒部332から腕長さARの約5倍だけ離れた位置に、それぞれ配置される。なお、理解を容易にするために、以下において、傾倒部材330の上面に配置される球は、上述した3通りの位置のいずれか(軸棒部332から腕長さARの整数倍だけ離れた位置)に配置されるものと仮定して説明を行う。
軸棒部332に対する上底板部331bの傾斜は、位置によらず一様なので、球から軸棒部332の軸周りに与えられる負荷は位置によらず等しい。ここで、球が軸棒部332の軸周りに与える負荷を負荷mg[N](傾倒部材330の前後方向の傾斜は1°なので、傾斜の影響は無視すると仮定)とし、3列の球が傾倒部材330の上面に乗った状態で球から傾倒部材330に与えられるモーメントを球の負荷により傾倒部材330の軸周りに生じる負荷モーメントMbとして表すと(3個で一列の球により生じるモーメントが、(R+3R+5R)×mgであり、それが3列あるとして)、Mb=27mg×R[Nmm]となることから、弾性的モーメントMkもMk≒27mg×R[Nmm]で設定される。なお、mgは球の重量m[kg]に起因して生じる負荷、gは重力加速度[m/(s^2)]として説明する。また、本実施形態では、傾倒時(図15(b)参照)における弾性的モーメントの、傾倒前の弾性的モーメントMkとの違いが僅かとなるように弾性バネ334が構成される。
例えば、本実施形態では、弾性バネ334の弾性係数k1がk1=0.2mg×R[Nmm/deg]で設定され、弾性バネ334の形状は、傾倒前の状態における弾性バネ334の変位量(角度)が135°となるように設定される。この状態において、傾倒部材330の傾倒前に弾性バネ334が生じる弾性的モーメントMkは27mg×R[Nmm]であり、傾倒後(傾倒前の状態から14°角度変化した状態)に弾性バネ334が生じる弾性的モーメントMkは29.8mg×R[Nmm](10個目の球が傾倒部材330に順序良く乗った時に傾倒部材330にかけられる負荷モーメントMbの総和よりも小さい)となる。そのため、生じる弾性的モーメントの変化が小さいことから、図15(b)においても、傾倒時の弾性的モーメントを弾性的モーメントMkと同じ符号で説明する。
静止摩擦モーメントMfは、解除部材340が傾倒部材330に与える負荷と、当接面の状態と、により数値が変化する。ここで、本模式図では、図15(a)に示すように、傾倒部材330と解除部材340との当接部分を通る解除部材340の軸棒部341を中心とした円の接線が傾倒部材330の回転軸(軸棒部332)を通ることから、解除部材340の軸周りに生じる弾性バネ346により生じる付勢力Fm1が、分割されることなく傾倒部材330に摩擦をかける負荷として生じる。
従って、静止摩擦モーメントMfは、付勢力Fm1に傾倒部材330と解除部材340との当接状態における静止摩擦係数μを乗じたものに、傾倒部材330の回転軸を中心とした腕長さをかけたものになる。なお、本実施形態では、静止摩擦係数μを0.5に、付勢力Fm1(解除部材340の回転軸から腕長さARの4倍の位置で傾倒部材330側に生じる負荷)を球1.5個分の重さ(1.5mg[N])に相当する力に、それぞれ設定する(解除部材340の当接面の態様、及び弾性バネ346の弾性係数を設定する)。これにより、図15(a)の状態においては、球が傾倒部材330の上面に10個乗ったとしても、傾倒部材330を傾倒前の状態で維持することができる。
詳述すると、静止摩擦モーメントMfは、軸棒部332からの距離が、腕長さARの7倍の位置において、付勢力Fm1が傾倒部材330に働くことにより生じる摩擦力によるモーメントとして表せるので、Mf=7R×1.5×mg×0.5=5.25mg×R[Nmm]となる。これにより、傾倒部材330だけでは傾倒を開始する個数の球が乗ったとしても、更に静止摩擦モーメントMfが加えられることにより、少なくともあと1個の球が追加で乗るまでは、傾倒部材330の姿勢を維持させることができる。
この条件を成立させる一例として、本実施形態では、弾性バネ346の弾性係数k2がk2=0.1mg×R[Nmm/deg]で設定され、弾性バネ345の形状は、傾倒前の状態における弾性バネ345の変位量(角度)が60°となるように設定される。なお、解除部材340は、上皿17に形成される回り止め(図示せず)により、図15(a)の姿勢よりも若干の角度だけ傾倒部材330側に回転した姿勢が解除部材340の移動範囲の限界位置として制限される。
なお、上述したように、傾倒部材330が傾倒後、傾倒前の状態に復帰する(起き上がる)過程において傾倒部材330の軸周りに生じるモーメント(>Mk)は、静止摩擦モーメントMfよりも大きいことから、傾倒部材330又は解除部材340のどちらが先に図15(a)に示す状態に復帰するかに関わらず、傾倒部材330を傾倒前の状態に復帰させることができる(傾倒部材330が復帰の途中で静止することを防止することができる)。
詳述すると、傾倒部材330が起き上がりきる直前において発生する負荷(初期トルクとほぼ同じ)が、解除部材340から受ける摩擦に打ち勝つことが要件となるところ、当接位置までの回転軸からの長さは、傾倒部材330:解除部材340=7R:4Rである。そのため、当接位置で生じる負荷に、以下の式が成り立つ必要がある。
即ち、p×k1(傾倒前の状態における弾性的モーメントMk)>7R/4R×q×k2(傾倒部材330に当接している状態における静止摩擦モーメントMf×7/4)が成り立つ必要がある。ここで、pは、弾性バネ334の初期変形角度、qは、弾性バネ346の初期変形角度を意味する。なお、係合凸部345の影響を考慮して、p×k1を大きめに設定することが望ましい。本実施形態では、上述した設定において本式を満たすので、傾倒部材330が復帰の途中で静止することを防止することができる。
ここで、傾倒部材330の傾倒が開始される条件としては、上述したように、解除部材340との間で生じる静止摩擦に球が与える負荷が打ち勝って(モーメントが勝って)動作開始する場合(Mk+Mf<ΣMb、ΣMbは傾倒部材330の上面に乗る各球の負荷モーメントMbの総和を意味する)と、解除部材340が傾倒部材330から離反することで静止摩擦が解消され動作開始する場合と、が考えられる。以下、後者である、解除部材340が傾倒部材330から離反する場合について説明する。
例えば、球が勢いよく解除部材340に衝突する場合について説明する。本模式図では、当接部分の形状関係(解除部材340の回転軸を中心として解除部材340と傾倒部材330との当接部分を通る円の接線が傾倒部材330の回転軸を通る形状関係)により、解除部材340が傾倒部材330から離反する過程で摩擦が生じない。従って、解除部材340に与えられる負荷が、純粋に付勢力Fm1を上回れば、解除部材340の姿勢が変化し、傾倒部材330に与えられる静止摩擦が解消する。
ここで、球と解除部材340との当接位置における付勢力Fm1が球3個分の重さに対応すると仮定すると、例えば、解除部材340に衝突した球が解除部材340を0.1[mm]だけ変位させるのに必要な運動エネルギーを有した球を考えると、力学的な方程式であるFs=1/2mv^2に、F=Fm1=3mg[N]、s=1×10^(−4)[m]を代入することで、v≒8×10^(−2)[m/s]が求められるので、球の速度は、約8[cm/s]となる。
即ち、例えば、傾倒部材330に球が9個乗った状態で球が速度8[cm/s]で解除部材340に衝突した場合、解除部材340が傾倒部材330から離反し、静止摩擦力が消失するので、球の重みで傾倒部材330が傾倒する。従って、解除部材340に球が衝突しない場合(上述したように、10個球が乗っても傾倒部材330が維持される)に比較して、傾倒部材330の傾倒に要する球の個数が少なくなり、傾倒部材330が傾倒する際に傾倒部材330に乗っている球の数に、若干のばらつきを生じさせることができる。これにより、開口部17aからの球の排出を、ランダム性のある演出として遊技者に見せることができる。
また、例えば、解除部材340の背面側に貯留された球の重みが解除部材340に負荷を与える場合について説明する。傾倒部材330は前後方向に水平面から約1°下降傾斜していることから、解除部材340に1個の球が与える負荷は、mg×COS89°≒0.02mg[N]である。そのため、解除部材340の背面側に貯留され解除部材340に負荷を与える球が75個を超えると、解除部材340は球に押しのけられ、回転を開始することになるが、本実施形態では、解除部材340に負荷を与える球の数は、最大でも20個程度であり、75個は超えないので、解除部材340はそのままの姿勢を維持する。
なお、傾倒部材330の傾倒後は、解除部材340と球との当接位置が解除部材340の回転軸から離れるので(腕長さARの2〜3倍となるので)、解除部材340を押しのけるのに球に必要とされる負荷が減少する。
そのため、解除部材340を押しのけるのに必要となる解除部材340に負荷を与える球の数は、傾倒部材330の傾倒前に比較して減少する。傾倒部材330の傾倒後は、傾倒部材330の前後方向に沿った水平面からの傾斜角度が15°に設定されるので、1個の球が解除部材340に与える負荷はmg×COS75°≒0.25mg[N](傾倒部材330の傾斜方向の負荷は水平面に対して15°なので、傾斜方向の負荷が、そのまま解除部材340の回転方向にかけられると近似した場合)である。
そのため、解除部材340を押しのけるために必要な負荷が傾倒部材330の傾倒前の半分であると仮定する(当接位置の解除部材340の回転軸からの距離が腕長さARの4倍と仮定する)と、解除部材340に負荷を与える球の数が6個以上であれば、解除部材340を押しのけて流下し始めることができる。
尚且つ、解除部材340が回転するほど、解除部材340から球へ与えられる負荷の球の流下方向に対する角度が大きくなると共に、球が解除部材340と当接する点の解除部材340の回転軸からの長さが長くなるので、解除部材340を回転させるのに必要となる負荷が減少する。
例えば、図15(b)に示す状態(弾性バネ346の変位が最大となる状態)では、球の負荷を前後方向(矢印F−B方向)に沿って生じるものと近似した場合、その球を前後方向に押し返す方向に解除部材340が発生させる負荷は、付勢力Fm1の解除部材340の回転角度に伴う成分の力となる。図15(b)に示すように、解除部材340は移動しきった状態において当接板部342、係合凸部345の球と当接する側の面が鉛直方向に対して45°傾斜するため、付勢力Fm1の球を押し返すモーメントを発生させる成分は、0.7Fm1(≒Fm1×COS45°)となる。
これにより、弾性バネ346の変位量により増大する付勢力の増加分(約1.5倍)が、球を押し返す付勢力Fm1の成分(約0.7Fm1)との関係で、相殺される。更に、解除部材340と球との当接位置は、解除部材340が回転するほど(矢印F側に移動するほど)回転軸から遠くなるので、より小さな力で解除部材340を押し返すことができる。
従って、解除部材340を回転させ始めさえすれば、解除部材340を短時間でスムーズに、移動範囲の端部(図15(b)参照)まで回転させることができる。なお、球と傾倒部材330及び解除部材340との間で生じる動摩擦については無視している。
図15(b)に示す状態に傾倒部材330が到達した直後は、傾倒部材330の上面に多数の球が乗っているため、その重みで傾倒部材330の姿勢は維持されるが、傾倒部材330の上面から球が流れ落ちるにつれて傾倒部材330にかけられる重みが小さくなり、弾性バネ334による付勢力が球の重みに打ち勝ち始める。ここで、例えば、傾倒部材330の上面に傷ができており、それにより球が減速され球の流下が遅れてしまうと、球が流れ落ちる前に傾倒部材330が復帰する(起き上がる)という不具合が生じるおそれがある。
本遊技機のように、上皿17に開口部17aが配設され、開口部17aを開閉する部材が自動で動作する場合、傾倒部材330に解除部材340から与えられる動作抵抗に打ち勝つだけの負荷を継続的に与えながら、傾倒部材330が傾倒する際には、即座に姿勢変化することが求められる(例えば、傾倒開始から球の排出開始までの間隔を短くすることができる)一方、傾倒後、復帰する(起き上がる)際には、球が流れ落ちるまで粘ってから(待ってから)姿勢変化することが求められる(例えば、傾倒部材330の上面に乗る球を残さず流れ落とすことができる)という、相反する要求が生じ、これに応える簡易な構造が求められることが予想される。
これに対し、本実施形態では、傾倒部材330の下方に配置される第1板部材310の天板部312aは、図15(a)に示す状態では傾倒部材330と当接せず、そこから傾倒部材330が傾倒し、傾倒後の状態になる直前から傾倒部材330の本体枠331aと当接する態様で凹設形成される抵抗凹設部312a1を備える。これにより、傾倒部材330が傾倒した状態から起き上がり始める際には、天板部312aの抵抗凹設部312a1との間で生じる摩擦力に打ち勝つ必要があるので、動作開始までの時間を引き延ばすことができる。
なお、天板部312aとの当接は、傾倒部材330の傾倒動作時にも生じるが、この時は、傾倒部材330の上面に十分な個数の球がまだ配置されていることに加え、生じる摩擦は動摩擦なので、摩擦力による傾倒部材330の起き上がり動作開始までの時間延長の効果を維持しながら、傾倒部材330の傾倒動作時の減速度合いを最小限に抑えることができる。
例えば、抵抗凹設部312a1と傾倒部材330との間で生じる静止摩擦力により生じる傾倒部材330の軸回りのモーメントが、傾倒時の傾倒部材330に生じる弾性的モーメントMkよりも小さく、傾倒時の傾倒部材330に球が1つ乗った場合における弾性的モーメントMkと負荷モーメントMbとの総和よりも大きくなるように、抵抗凹設部312a1の表面が設定されても良い。この場合、傾倒時の傾倒部材330の上面から球が全て流れ落ちるまで傾倒部材330は傾倒した状態を維持し、球が全て流れ落ちた後、静止摩擦力に抗して復帰動作を開始する。従って、傾倒部材330の上面に球が残っているときに傾倒部材330が復帰動作を開始することを防止することができる。
一方で、抵抗凹設部312aとの静止摩擦力に抗して傾倒部材330が復帰動作を開始した後は、傾倒部材330にかけられる摩擦は動摩擦であり小さいので、その後で球が傾倒部材330に少数乗ったとしても傾倒部材330に復帰動作を継続させることができる。従って、傾倒部材330の復帰動作中に傾倒部材330の上面に流入した球を、その後で傾倒部材330が復帰しきった後に傾倒部材330の上面に到達した球と一緒にまとめて排出することができる。
なお、実際(模式的に修正する前)は、本実施形態では、解除部材340の係合凸部345が傾倒部材330の動作軌跡内に入り込むので、解除部材340を球の衝撃で傾倒部材330から離反させ傾倒部材330を傾倒させる場合には、上述したよりも(0.1[mm])よりも、長い距離(例えば、1[mm])だけ解除部材340を変位(回転)させ動作軌跡外に出す必要があるので、図15で説明した模式図に比較して、球の衝撃で解除部材340が変位し傾倒部材330が傾倒する事態を生じ難くすることができる。
なお、係合凸部345が解除部材340の軸棒部341から最も遠い位置に配設されることにより、係合凸部345が軸膨部341に近い位置に配設される場合に比較して、係合凸部345の凸設長さを確保しながら、傾倒部材330が傾倒した状態から復帰する際に解除部材340を乗り越えるために必要となる解除部材340の回転角度を小さくすることができる。
また、係合部333bの上面が当接板部342の下端部に当接することで、復帰動作中の傾倒部材330が係止される(図14(a)参照)。これにより、傾倒部材330の復帰時の姿勢を規定することができる。
加えて、本実施形態では、解除部材340と傾倒部材330との当接位置は傾倒部材330の上面に沿った位置であり、図15(a)で当接位置として図示した位置よりも上側とされる。従って、解除部材340から傾倒部材330に与えられる負荷の方向を示す直線は、軸棒部332よりも上側を通る。そのため、傾倒部材330は、解除部材340から、上向きの摩擦力に加え、軸棒部332よりも上側を通る上記直線に沿った付勢力Fm1の方向成分による力を受ける。これにより、傾倒部材330と解除部材340との間に生じる摩擦の大小に関わらず、付勢力Fm1により傾倒部材330に生じるモーメントにより、傾倒部材330を傾倒前の状態(図14(a)参照)に維持し易くすることができる。
図16及び図17は、上皿17の背面斜視図である。なお、図16及び図17では、理解を容易とするために、供給開口17gが形成される背面側板の図示が省略されると共に供給開口17gの開口部外形が想像線で図示される。また、図16では、傾倒部材330及び解除部材340の規制状態が、図17では、傾倒部材330及び解除部材340の許容状態が、それぞれ図示される。
図17に示す状態では、球案内天面17a1と傾倒部材330との間隔が球の直径以上とされる。従って、図17に示す状態において、傾倒部材330の幅方向(矢印L−R方向)のどの位置からでも球を開口部17a伝いに上皿17の外方へ排出することができる。
図16及び図17に示すように、供給開口17gを通って上皿17に供給された球は、まず橋渡し球貯留領域17eに着地する。橋渡し球貯留領域17eの上面は発射球貯留領域17dの上面と面位置でつながる一方、傾倒部材330の上面および後追い球貯留領域17fの上面は、橋渡し球貯留領域17eよりも一段高い面として形成される。本実施形態では、球の半径raの約1/4だけ高い面(橋渡し球貯留領域17eに貯留された球が水平方向の負荷で乗り上げ可能な高さ)として形成される。
これにより、供給開口17gから上皿17に供給された球は、まず発射球貯留領域17d及び橋渡し球貯留領域17eを満たし、その後、橋渡し球貯留領域17eに満たされた球の上を伝うか、後から来た球に橋渡し球貯留領域17eに貯留されていた球が押し出されることにより、後追い球貯留領域17f及び傾倒部材330の上面に流入する。
即ち、本実施形態では、供給開口17gから上皿17に供給された球の全てが傾倒部材330の上面を通るのでは無く、発射球貯留領域17d及び橋渡し球貯留領域17eが球で満たされる前に上皿17に供給された球のほとんどは傾倒部材330の上面を通過することなく流下する。
そのため、発射球貯留領域17d及び橋渡し球貯留領域17eが球で満たされる前に解除部材340に球が当接することを防止できる。これにより、上皿17に貯留される球が少ない状態で傾倒部材330及び解除部材340が許容状態を形成し球が上皿17から排出される可能性を低減することができる。
このように、本実施形態では、傾倒部材330の上面が橋渡し球貯留領域17eよりも一段高くなる配置で傾倒部材330を上皿17に配設することで、球の流下経路を指定することができる。これにより、球の経路を指定する別部材を用意したり、上皿17を特別な形状としたりする場合に比較して、部品コストや、加工コストを抑えることができる。
本実施形態では、橋渡し球貯留領域17eに球が供給される場合、橋渡し球貯留領域17eに配置される球が予め許容される数量(段積み含む)を越えている場合には対応する数量の球が後追い球貯留領域17fに押し出される一方、橋渡し球貯留領域17eに配置される球が許容される数量に到達していない場合には球が供給されても後追い球貯留領域17fに押し出されることはなく、橋渡し球貯留領域17eに留まる。即ち、橋渡し球貯留領域17eは、上面に貯留される球の個数に応じて、供給される球の案内先を変える領域として機能する。これにより、供給開口17gから供給される球により橋渡し球貯留領域17eを優先的に球で満たすことができる。
後追い球貯留領域17fの傾倒部材330側の端部と上皿17の正面側内面との交差部に当たる湾曲部17f1は、球の半径raよりも小さな曲率半径の湾曲形状から形成される。従って、湾曲部17f1に向かって来た球の速度を上方へ向けることができ、その勢いを急激に落とすことができる。
また、供給開口17gから供給された球の速度が湾曲部17f1に到達することで急激に落ち、その後で傾倒部材330へ流入する態様で球を流下させることができる。これにより、供給開口17gから上皿17に供給された球が傾倒部材330に流入する経路を狭めることができ、球が解除部材340に到達する経路を制限することができる。
解除部材340は、規制状態において、当接板部342と湾曲部17f1との間隔T2が、球の半径ra以上とされる位置に配設される。即ち、解除部材340が上皿17の内面から外方へ奥まった位置に配設されるので、上皿17の内面に沿った速度方向で流下する球が、そのままの勢いで解除部材340側へ流入することを回避することができる。本実施形態では、後述するように、流下する球は解除部材340の背面側(矢印B側)を素通りし、解除部材340の下流側(矢印R側)に球が満たされた後に下流側への流下が阻害された球(行き場を失った球)が解除部材340に到達する(球被覆面17a2の下方に配置される)。
また、間隔T2が球の半径ra以上とされることで、球被覆面17a2の下方に球P1が配置された状態において後追い球貯留領域17fに配置される球から負荷が与えられ球P1が移動開始する方向を解除部材340側に向いた方向とすることができる。これにより、球P1が後追い球貯留領域17f1から流下する球の作用により球被覆面17a2の下方の領域から上皿17の内側へ弾き出されることを防止することができる。
図16に示すように、解除部材340は上皿17の正面側面(矢印F側の側面)の更に正面側に奥まった位置に配設され、解除部材340の上方が球被覆面17a2により覆われる。
即ち、球が上皿17の上方から供給された場合に、球が解除部材340へ向けて斜めに落下したとしても、球の流下経路が球被覆面17a2と干渉する場合には、上皿17の内面に球が当接し球の流下方向が上皿17の内面形状に沿った方向に切り替えられる。これにより、球は解除部材340から離れた位置(球被覆面17a2の背面側、矢印B側)に着地することになるので、上皿17の上方から供給された球が、落下時の勢いで解除部材340に負荷を与えることを防止することができる。
例えば、上皿17に残った球が少ないと感じた遊技者が下皿15や千両箱などから上皿17に球を供給した場合に、その球が解除部材340に当接する場合があると、球を上皿17に供給することに伴い上皿17から球が排出されることになり、遊技者に不満を与える原因となる。これに対し、本実施形態によれば、遊技者により上皿17に供給された球が解除部材340と当接することを防止することができるので、遊技者の不満を解消することができる。
球被覆面17a2は、上述したように、規制状態において、傾倒部材330の上面との間隔が球の直径の2倍よりも短くなる位置に配置される。これにより、解除部材340に当接する球P1の上に球が積み上がることを防止することができ、傾倒部材330が許容状態となり球が排出される際に、縦に2段に積み上がった状態で開口部17aに球が流入することに伴い球詰まりが生じるおそれを低減することができる。
球被覆面17a2は、傾倒時(図17参照)において、傾倒部材330の上面との間隔が球の直径の2倍程度とされる(図14(b)参照)ので、傾倒部材330の上面において球被覆面17a2の背面側で球が積層されていた場合であっても、上下方向において球の直径の2倍程度の開口幅で球を受け入れることができるので、開口部17aを通した球の排出をスムーズに行うことができる。
本実施形態では、特に、球が積層を生じ易い供給開口17gに近い側において、開口部17aと傾倒部材330との間の上下方向の開口幅が長くされるので、開口部17aを通した球の排出をスムーズに行うことができる。
加えて、本実施形態では、開口部17aを通して排出される球が流下する経路(第1板部材310及び第2板部材320により形成される内部流路)が鉛直下方へ延びている(図14(b)参照)。そのため、上下方向に複数球の球が積まれた状態で開口部17aを通過した場合であっても、球が積まれる方向と、球が流下する経路の延びる方向とのなす角度が抑えられているので、開口部17aの下流における球の流下抵抗を低減することができる(例えば、開口部17aを通過した複数の球が噛み合い、内部流路内で挟まれることで滞留したり、噛み合わないまでもお互いに衝突し合うことで減速させたりすることを防止できる)。従って、開口部17aを通した球の排出をスムーズに行うことができる。
図18(a)から図18(c)及び図19(a)から図19(c)は、上皿17の上面図である。なお、図18及び図19では、上皿17への球の貯留態様が時系列で図示される。
即ち、図18(a)では、発射球貯留領域17dの一部に球が貯留された状態が、図18(b)では、発射球貯留領域17dが球で満たされた後で橋渡し球貯留領域17eの一部に球が貯留された状態が、図18(c)では、図18(b)に示す状態から更に、橋渡し球貯留領域17eが球で満たされた状態が、図19(a)では、図18(c)に示す状態から更に、球が傾倒部材330の上面に流入した状態が、図19(b)では、図19(a)に示す状態から更に、後追い球貯留領域17fが球で満たされた状態が、図19(c)では、図19(b)に示す状態から更に、傾倒部材330及び解除部材340が許容状態とされ傾倒部材330の上面に貯留されていた球および後追い球貯留領域17fに貯留されていた球が上皿17から排出された状態が、それぞれ図示される。なお、図18(a)から図18(c)及び図19(a)から図19(c)では、貯留される球の態様が簡略化(底面に接する一層目のみが図示され、重なる球は省略)して図示される。
図18及び図19に示すように、供給開口17gから上皿17に供給された(払い出された)球は、まず発射球貯留領域17d及び橋渡し球貯留領域17eに流入し、それらの領域が球で満たされた後、余剰分の球が傾倒部材330の上面へ流入する。尚かつ、発射球貯留領域17d及び橋渡し球貯留領域17eに貯留された球は傾倒部材330が許容状態になったとしても上皿17の開口部17aから排出されることは無い。
従って、本実施形態によれば、上皿17に貯留された球が発射球貯留領域17d及び橋渡し球貯留領域17eを満たす球数よりも少ない場合に、球が開口部17aから排出されるという不具合を、簡易な構成(領域毎の底面高さに差を設けること)により解消することができる。
更に、傾倒部材330の状態に関わらず、発射球貯留領域17dに貯留された球を球発射ユニット112a(図4参照)に供給することができると共に、発射球貯留領域17d及び橋渡し球貯留領域17eが球で満たされていない場合は、供給開口17gから供給された球を優先的に発射球貯留領域17d及び橋渡し球貯留領域17eに流入させることができる。
なお、本実施形態では、発射球貯留領域17dが球で満たされるまでに少なくとも(上皿17の底面に接する球の数として)約40個の球が発射球貯留領域17dに貯留され、橋渡し球貯留領域17eが球で満たされるまでに少なくとも約20個の球が橋渡し球貯留領域17eに貯留される(図19(b)参照)。
図19を参照して、傾倒部材330の上面に球が貯留され始めてから、その球が開口部17aを通って上皿17の外方へ排出されるまでの経過について説明する。
図19(a)に示すように、橋渡し球貯留領域17eに貯留された球の上を渡って後追い球貯留領域17f又は傾倒部材330の上面に流入した球は、後追い球貯留領域17f及び傾倒部材330が形成する傾斜に沿って流下する。ここで、規制状態において(図14(a)参照)、傾倒部材330の上面は正面側(矢印F側)へ向かう程下降傾斜していると共に、右側(矢印R側)へ向かう程下降傾斜しているので、後追い球貯留領域17fから傾倒部材330の上面に流入した球は右方正面側へ向けて傾斜する傾斜方向Cに沿って流下する。そのため、傾倒部材330の上面に流入した球は、傾倒部材330の右側正面端部(矢印R及び矢印F側端部)から順に溜まる。
本実施形態では、解除部材340が傾倒部材330の左側正面端部(矢印L及び矢印F側端部)に配置されるので、傾倒部材330の上面に貯留される球が少ない状態(例えば、球が無い状態)において傾倒部材330の上面に流入する球が解除部材340に到達する可能性を低くすることができる。
図19(b)に示すように、傾倒部材330の上面が球で満たされ、更に後追い球貯留領域17fも球で満たされた状態では、解除部材340の当接板部342に球が当接し、更にその球の上流側(矢印L側および矢印B側)に球が貯留される。
図19(b)に示す状態から、上皿17に供給される球よりも遊技領域に発射される球の方が多くなる場合、傾倒部材330の上面および後追い球貯留領域17fに貯留された球も徐々に上皿17の底面の傾斜に沿って球発射ユニット112a(図4参照)の方(図19(b)右方)へ案内される。このとき、解除部材340に当接していた球も同様に案内される。
案内される過程においては、傾倒部材330の上面の形状であって正面側へ向かうにつれて下降傾斜する傾斜方向FI(図12参照)及び発射球貯留領域17dの底面の形状であって背面側へ向かうにつれて下降傾斜する傾斜方向BI(図12参照)に沿って、球は案内される。
本実施形態では、貸球操作部40の1回の操作により球が上皿17に供給(貸出)される場合に、球が開口部17aから排出されることが防止される。即ち、一般的なパチンコ機10では、貸球操作部40の1回の操作により上皿17に125個の球が供給される。この場合には、上皿17の状態が図19(b)に示す状態で収まるように、発射供給口17kから球発射ユニット112aまでの経路が形成される(余剰の球が経路内に滞留する)。
一方で、大当たり遊技状態などにおいて、多量の払い出しが行われる場合、図19(b)に示す状態から、更に球が上皿17に供給されると、傾倒部材330の上面または後追い球貯留領域17fに配置される球の上に乗った球が、球の間に沈む際に、既に上皿17に貯留された球同士の間隔を押し広げる。この際に、上皿17の底面と平行な方向で球が移動し、この移動する球により解除部材340が球発射ユニット112aの配置される側の反対側である正面側(図19(b)下側)へ押し退けられる。解除部材340が変位することにより、傾倒部材330及び解除部材340の係合が解除され、球の重みで傾倒部材330が回転する。
これにより、傾倒部材330及び回転部材340が許容状態となり、傾倒部材330の上面および後追い球貯留領域17fに貯留されていた球が開口部17aを通って上皿17から排出される。
上述した動作をおこなわせるために、解除部材340を傾倒部材330に近接する方向へ付勢する弾性バネ346の弾性力は、上述のように、図19(b)の状態において解除部材340に球から与えられる静的な負荷(例えば、3個以上の球により生じる負荷)よりも大きく設定される。
上述したように、傾倒部材330の上面に配置される球が11個を越えると、傾倒部材330は傾倒を開始する。この状態において、上皿17には、球を受け入れる若干の余裕がある。即ち、傾倒部材330が傾倒することによる開口部17aからの球の排出は、供給開口17gから球を供給可能な状態で開始される。従って、供給開口17gの上流側の流路に球が貯留される前に開口部17aを通して球の排出を行うことになるので、上皿17aから球を抜くように報知する球抜き報知が発生する前に開口部17aを通して球を排出することができる。
図19(c)に示すように、開口部17aを通って傾倒部材330の上面および後追い球貯留領域17fに貯留された球が排出される際には、解除部材340が球により押し退けられる。
本実施形態では、毎秒10個の球を供給する速度で払出モータ216が駆動される。そのため、球の「流量」として所定期間に何個の球が開口部17aを通過するかを定量化する量として定義する場合に、1.1秒以上の間隔で、上述したように約80[個/秒]の流量で上皿17から球が排出される。
この排出の間、解除部材340が球により押し退けられることで、傾倒部材330及び解除部材340が規制状態を形成することを防止することができる。従って、排出の途中で傾倒部材330及び解除部材340が規制状態を形成してしまい、排出が中断することを防止することができる。
このように、本実施形態によれば、上皿17の球の貯留具合により、傾倒部材330及び解除部材340が自動で状態変化し、開口部17aを通って上皿17から球が排出される。これにより、球の排出にかかる遊技者の操作を不要とすることができるので、その分、遊技者の集中力を第3図柄表示装置81で表示される演出や、遊技領域に発射される球の発射速度の調整に向けさせることができる。
なお、本実施形態では、傾倒部材330の上面から球が排除されてから(開口部17aを通って排出される球の流量が少なくなったり(例えば、排出流量が1[個/秒]以下となると))、傾倒部材330の上面に配置される球が少なくなったりすると(例えば、1個も無くなると)、傾倒部材330が復帰動作を行うが、その復帰にかかる期間(傾倒前の状態(図14(a)参照)にもどるまでにかかる期間)を約0.2秒と仮定して、以下に説明を行う。
この場合、図19(a)に示す状態において傾倒部材330の上面および後追い球貯留領域17fに貯留される球が排出されきってから、供給開口17gから上皿17に供給される球が傾倒部材330の上面に流入するまでの間に、傾倒部材330及び解除部材340を規制状態とすることができる。
傾倒部材330が許容状態から起き上がる途中(規制状態を形成する前)に、球が傾倒部材330の上面に流入したとしても、球は、傾倒部材330と開口部17aとの間隔が狭い傾倒部材330の右正面側(矢印R及び矢印F側)へ向けて流下するので、その球が開口部17aを通って排出されることを抑制することができる。尚かつ、その球により解除部材340が押し退けられる可能性を低くすることで傾倒部材330を継続して規制状態へ向けて状態変化させることができる(起き上がり方向の回転動作を継続させることができる)。
図20は、上皿17に継続的に球が供給される(払い出される)場合に上皿17に残る球の個数変化の一例を示すタイミングチャートである。なお、縦軸に上皿17に貯留される球の個数が示され、横軸に経過時間が示される。また、図20では、開口部17aの左右幅の全領域を球が通過可能に全開放された状態(図18及び図19参照)におけるタイミングチャートが図示される。なお、図20に示すタイミングチャートは、球の発射により生じる上皿17の球の貯留個数の変化は無視したり(球の発射個数は0個であると仮定たり)、上皿17への球の貯留態様の違いによる影響は無視したり(上皿17に貯留される球の個数がMAX個に到達した直後に排出が開始されると仮定したり)するなど、簡略化して図示される。
図20の縦軸において、傾倒部材330及び解除部材340が許容状態に状態変化するのに必要な球の個数(上皿17の底面に当接する球が順序良く整列した場合の個数)がMAX個で図示される。また、横軸において、発射球貯留領域17d及び橋渡し球貯留領域17eが球で満たされたタイミング(図18(c)参照、個数Q1の球が上皿17に貯留されたタイミング)が0秒で図示される。
上皿17に貯留される球の個数の変化について説明する。上述したように、払出モータ216による球の払出速度は毎秒10個(10個/秒)に設定されているので、図20の左端部に示すように上皿17にMAX個よりも11個少ない球が残っていた場合、その1.1秒後に上皿17に貯留される球の個数はMAX個となる。なお、払出モータ216の動作速度が一定とされるので、図20のタイミングチャートにおける右上がりの傾斜角度は常に一定となる。なお、以下では、球の払い出しが行われる際に、払出モータ216は一定速度で動作を継続するという仮定のもとで説明を行う。
上皿17に貯留される球の個数がMAX個以上となると、傾倒部材330及び解除部材340が許容状態となり上皿17から開口部17aを通って球が排出される。この時、開口部17aが全開放された状態では、傾倒部材330の上面および後追い球貯留領域17fに配置された球(発射球貯留領域17d及び橋渡し球貯留領域17eを除く範囲に配置された球)が、上述したように流量約80[個/秒](図20における右下がりの傾斜部分参照)で、全て排出される(まとまって11個以上の球が排出される)ので、排出後に上皿17に残留する球の個数は、MAX個から11個以上少ない状態に戻る。その後も、同様に、約1.1秒(以上の)間隔で球の排出が行われ、上皿17に残留する球の個数の最小値はMAX個から11個少ない個数Q1に維持される。なお、個数Q1は、発射球貯留領域17d、橋渡し球貯留領域17e及び発射供給口17kの下流側に貯留されている球の総数と同義である。即ち、本実施形態では、図19(a)に示すように、62個以上(即ち、上皿17の底面に接する62個と、その上方に積層される球の個数と、発射供給口17kの下流側に貯留される球の個数と、の総数)とされる(Q1>62[個])。
即ち、本実施形態によれば、傾倒部材330及び解除部材340が許容状態に状態変化することに伴い上皿17に残留する球の個数を個数Q1以上に保つことができるので、個数Q1を適切な個数(例えば、上皿17に貯留される球の個数の80%以上の個数)に設定することにより、上皿17に残留する球が過度に減少することを防止することができる。更に、傾倒部材330及び解除部材340が許容状態となり球が排出された直後は、その球の排出を視認することにより上皿17に個数Q1以上の球が残っていることを把握できる。
そのため、遊技者がパチンコ機10の正面側に座って遊技する姿勢において、上皿17の正面側壁や前カバー390が視線を遮り上皿17の内部状態(例えば、残球個数)が確認できない場合であっても、流下装置300の内部を球が流下することを確認することにより、上皿17に個数Q1以上の球が残っていることを把握することができる。
即ち、上皿17の内部状態を把握するために上皿17を上から覗き込んで上皿17の内部を見なくとも上皿17に十分な個数の球が残っていることを把握できるので、遊技者は、球切れ(上皿17に残された球が無くなること)の恐怖感から解放され、楽な遊技姿勢で遊技を継続することができる。
なお、図20では、理解を容易とするために上皿17に貯留される球がMAX個となった直後に傾倒部材330が傾倒し、上皿17から球が排出される態様で図示したが、実際は、上皿17にMAX個の球が貯留される(入球する)タイミングと、傾倒部材330が傾倒するのに十分な球が傾倒部材330の上面に乗るタイミングとは一致しないので、上皿17にMAX個の球が入球した後も、若干の期間、傾倒部材330は傾倒前の姿勢を維持し、上皿17にはMAX個以上の球が貯留される。その後、傾倒部材330が傾倒すると、傾倒部材330の上面と、後追い球貯留領域17fに貯留されていた球が開口部17aを通して排出され、その他の領域(発射球貯留領域17d及び橋渡し球貯留領域17e)に配置されていた球は上皿17に維持されるので、上皿17に貯留される球が個数Q1以上に維持されることは、図20に示すグラフと相違ない。
次いで、図21及び図22を参照して、上皿17から下皿15へ排出される球の流れについて説明する。図21(a)は、正面枠14の部分正面図であり、図21(b)は、図21(a)のXXIb−XXIb線における正面枠14の断面図であり、図22(a)は、図21(a)のXXIIa−XXIIa線における第1板部材310及び第2板部材320の断面図であり、図22(b)は、図21(a)のXXIIb−XXIIb線における第1板部材310及び第2板部材320の断面図であり、図22(c)は、図21(a)のXXIIc−XXIIc線における第1板部材310及び第2板部材320の断面図である。
図21(a)に示すように、球を案内する案内流路を形成する第1板部材310及び第2板部材320は、上皿17と下皿15との間の位置に正面側から視認可能に配設される。上述したように、第1板部材310及び第2板部材320は光透過性の樹脂材料から形成される。これにより、遊技者に第1板部材310及び第2板部材320を流下する球を視認させることができる。
傾倒部材330及び解除部材340が許容状態となり、上皿17から排出される球は、左右に並んだ列ごとに第1板部材310及び第2板部材320に形成される案内流路を流下する(図19(c)参照)。
この列状の球は、延設板部312b,322cから形成される領域では左右に並んで自由落下するため、球の流下ながら、あたかも横幅の長い物体が落下しているかのように見せることができる(滝のように見せることができる)。
一方、列状の球が連設板部314,324から形成される領域に入ると、その形状に沿って球が前後方向に案内され、左右に並んだ球の列が崩される。これにより、球が下皿15に到達(着地)するタイミングをずらすことができ、下皿15に着地した後の球の流れを滑らかにすることができる。
これにより、例えば、第1板部材310及び第2板部材320に形成される案内流路から排出される球が下皿15に同じタイミングで到達(着地)し、互いに衝突して弾け飛び、下皿15から飛び出す不具合や、第1板部材310及び第2板部材320の下端部と下皿15との間に球が滞留し、第1板部材310及び第2板部材320に形成される案内流路に球が滞留する不具合などを解消し易くすることができる。次いで、図22を参照して、第1板部材310及び第2板部材320に形成される案内経路を流下する球に左右方向の速度成分を与える仕組みについて説明する。
図22(a)から図22(c)に示すように、左右方向の各位置において、傾斜板部314b,323bの傾斜角度は約45度で同等であり、その長さは正面視右方へ向かうにつれて、短くなる。従って、第1板部材310及び第2板部材320に形成される案内流路を流下する球の流下経路の経路長は、正面視左端側(矢印L側端部)の第1経路L1よりも正面視左右中間位置の第2経路L2の方が短く、その第2経路L2よりも正面視右端側(矢印R側端部)の第3経路L3の方が短い。即ち、右方へ向かう程、その経路長が短くなる(L1>L2>L3)。
そのため、左右に並ぶ複数の球が同時に開口部17aを通過した場合、第3経路L3に沿って流下する球の方が、第1経路L1に沿って流下する球に比較して、その案内流路から早期に排出される。
この場合、左右に並んだ列ごとに球が排出される際に、第3経路L3側が第1経路L1側に比較して球の密度が小さくなるので、第1経路L1や第2経路L2を流下する球を右方(第3経路L3側の方向)へ押しやることができる。これにより、開口部17aの上流側に貯留される球の左右の不均等に対応することができる。
即ち、開口部17aへ向かう球は、開口部17aの上流側(矢印B側および矢印L側)から開口部17aに到達するので、開口部17aを基準に左右均等に配置されることよりも、左側(後追い球貯留領域17f側)により多く配置され易い(図19(b)参照)。
そのため、第1経路L1を流下する球と第3経路L3を流下する球とが同じ期間で排出される場合、傾倒部材330に貯留された球が左右列で揃って排出され、その排出終了間際において、後追い球貯留領域17f側から開口部17aに入球する球が第1経路L1に流れ込むことになる。この場合、排出終了間際においては、第1経路L1のみを球が通過する事になり、演出効果が半減するという新たな問題が生じる可能性がある。
一方、本実施形態では、傾倒部材330に貯留された球が左右列で揃って流下する途中において、球を右方へ寄せることができるので、球を右方へ寄せることにより空いたスペースに後追い球貯留領域17fから開口部17aに流入した球を配置することができる。これにより、後追い球貯留領域17fから流入した球を、傾倒部材330に貯留されていた球の左右列に紛れ込ませることができ、滝状に球を流下させる演出の演出効果を向上させることができる。
更に、本実施形態では、流下する球を下から受ける傾斜板部323bが、正面視右方へ向かう程下降傾斜する形状とされるので、この傾斜に沿って、流下する球を右方へ向けて流すことができる。
このように、第1板部材310及び第2板部材320に形成される案内流路を流下する球は、各経路の経路長が異なることによる作用と、傾斜板部314b,323bの正面視右方へ向けた下降傾斜とにより、第1板部材310及び第2板部材320に形成される案内流路の下端部から排出される球に対して正面視右方へ向けた速度成分を与えることができる。
第1板部材310及び第2板部材320に形成される案内流路から下皿15へ排出された球は、下皿15の底面の傾斜に沿って底面口15aへ向けて流下する。本実施形態によれば、第1板部材310及び第2板部材320の下端位置が、下皿15の側壁の上端位置よりも下側に配置されることから(図21(a)参照)、下皿15の側壁の上端位置いっぱいまで球が下皿15に貯留される前に第1板部材310及び第2板部材320に形成される案内流路の下端側開口部が球で閉塞され、それ以上の球の排出が防止される。そのため、第1板部材310及び第2板部材320に形成される案内流路から排出される球が下皿15から溢れることを防止することができる。
第1板部材310及び第2板部材320に形成される案内流路の下端側開口部が球で閉塞された場合、その案内流路からの球の排出が不可能となるので、開口部17aを通って上皿17から排出された球が案内流路に滞留する。そして、案内流路が球で満たされた場合、開口部17aを通して上皿17から球を排出することができなくなるので、上皿17の許容量を越える球は、正面枠14の背面側に配設される分岐流路(図示せず)から、下皿15へ球を供給する供給開口15bを通って下皿15へ供給される(払い出される)。
即ち、本実施形態では、供給開口15bからの下皿15への球の供給は、第1板部材310及び第2板部材320に形成される案内流路の下端側開口部が球で閉塞された後で生じることになる。そのため、供給開口15bから球が供給される時には、下皿15の底面に球が敷き詰められている。球が跳ね返る高さは、下皿15の底面に衝突する場合に比較して、敷き詰められた球に当たって跳ね返る場合の方が低くなる。従って、供給開口15bから供給される球の跳ね返りを抑えることができる。
そのため、高い位置から球を落としても、下皿15の側壁を越えて飛び出すことが抑制される。即ち、供給開口15bから供給される球が下皿15の底面に衝突する可能性がある場合に比較して、供給開口15bを、下皿15の底面から高さ方向に大きく離して配置することができる。
図23(a)及び図23(b)は、図12のXIII−XIII線における正面枠14の部分断面図である。なお、図23(a)及び(b)では、理解を容易とするために、対応する球に「1」〜「10」の数字が付けられる。また、図23(a)では、左右方向の対応する位置において、最も正面側(図23紙面奥側)に配置される球の一例が図示され、図23(b)では、球が図23(a)の状態から若干流下した状態が図示される(「1」の数字が付けられた球が手前側に流下し、正面側壁から離れることで図示が省略され、「2」以降の球が流下した状態が図示される)。
図23(a)に示すように、上皿17に貯留された球が、互いに加えられる負荷がバランスよくかけられ、球の層の上に球が乗ったまま維持される(球が積層される)場合がある。この場合、球の層に乗った球は大まかに球の直径1個分高い位置にあるので、球案内天面17a1よりも上方へ張り出すことになり、解除部材340まで到達しない。そのため、図23(a)に示す状態から更に球が貯まっても、解除部材340に負荷が与えられないことから、傾倒部材330を正常に動作させることができない。
ここで、傾倒部材330の上面が傾斜面なので、その傾斜に沿って球が流下する間に球の積層が解消される可能性もあるが、例えば、上皿17の上面が一平面であると、球が積層された状態を維持したまま上皿17の上面を球がスライドすることがあり、自然に球の積層が解消されない場合もある。この場合、傾倒部材330を正常に動作させることができない。
これに対し、本実施形態では、傾倒部材330の上面と、その下流側(矢印R側)に配置される発射球貯留領域17dとが、段差を形成する。そのため、球は、上皿17の上面に水平な方向の移動に加え、鉛直方向(矢印U−D方向)にも移動するので、球の積層に係る球が一様に移動することを防止でき、これに伴い、球が積層されたままスライドすることを防止することができる。即ち、段から落ちる直前の球と、依然として傾倒部材の上面を流れる球とで移動量に差を持たせることで、球同士の負荷のバランスを崩すことができる。これにより、解除部材340に球が到達する状態に上皿17上の球の状態を整えることができる。
以上説明した本実施形態において達成される主要な効果を整理すれば、以下のようになる。即ち、本実施形態によれば、上皿17貯留される球から解除部材340へ与えられる負荷により解除部材340が変位され、球の重みで傾倒部材330が傾倒することにより開口部17aを通した球の排出が可能となる。そのため、上皿17からの球の排出の際に遊技者の操作が不要となるので、遊技者は遊技に集中することができる。
また、上皿17からの球の排出の一回当たりの個数および排出流量を一定範囲に収めることができる。
また、上皿17の底面に段差を設けることにより、球が流下する経路が指定される。指定された経路では、少なくとも、発射供給口17kに向かう球が配置される発射球貯留領域17dが球で満たされた後で解除部材340側へ球が案内されるので、発射する球を十分確保しながら、開口部17aを通した球の排出演出を行うことができる。
解除部材340と球との当接位置は、球の排出が規制される規制状態では解除部材340の軸棒部341付近とされ、球の排出を許容する許容状態の方が軸棒部341から遠い位置とされる。これにより、規制状態でも、許容状態でも、球から解除部材340に負荷が与えられた場合に、解除部材340の状態をそのままで維持し易くすることができる。即ち、解除部材340の状態を安定化することができる。
第1板部材310及び第2板部材320により形成される案内流路が、下皿15の外枠付近に配置される。これにより、下皿15の内側にある流下経路を省略することができ、例えば、下皿15の内側領域を、大型スピーカーボックス等の配設領域として利用することができる。
第1板部材310及び第2板部材320により形成される案内流路を球が流下する場合、上皿17に個数Q1の球が残される構成とされる。従って、案内流路を球が流下することを確認することで、上皿17に貯留されている球の個数を把握することができる。
第1板部材310及び第2板部材320により形成される案内流路は、内部を流下する球に右向きの負荷を与える形状とされる。これにより、案内流路の入口においては左側に余分な球が配置されている場合であっても、案内流路を球が流下する間に球を全体的に右側へ寄せることができるので、流下する球の上端部分を左右平らにならすことができる。これにより、複数の球を滝のように落下させる演出の演出効果を上昇させることができる。
次いで、図24から図33を参照して、第2実施形態について説明する。第1実施形態では、傾倒部材330及び解除部材340が許容状態となった後、まとまって排出される球の個数が一通りに固定される場合を説明したが、第2実施形態における流下装置2300は、傾倒部材330及び解除部材340が許容状態となった後、まとまって排出される球の個数を任意に変更可能な態様で構成される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図24は、第2実施形態における正面枠14の分解正面斜視図である。図24では、正面枠14から前カバー2390、第2板部材2320及び複数の移動部材2350が分解された状態が図示されると共に、開口部17a付近が拡大して図示される。
流下装置2300は、第1実施形態の流下装置300と同様の第1板部材310、傾倒部材330及び解除部材340を備えることに加え、第1板部材310に重ねられた状態で正面枠14に締結固定され第1板部材310との間に案内流路を形成する第2板部材2320と、その第2板部材2320に挿通され前後方向にスライド移動可能に支持される複数の移動部材2350と、その移動部材2350の移動を案内する部分であって正面枠14の正面側から取り付けられる前カバー2390と、傾倒部材330及び解除部材340の動作順序を規定する順序規定装置400と、を主に備える。
第2板部材2320は、第1実施形態で説明した第2板部材320の構成に加え、延設部322cに穿設される複数の挿通開口2324を備える。
挿通開口2324は、案内上底面322a(矢印R側半部)の下方であって延設板部322cの上端部付近に、水平に延設される長孔である調整長孔2324aと、受け止め面322b(矢印L側半部)の下方において、水平に延設される長孔である規制長孔2324bと、を主に備える。
複数の移動部材2350は、調整長孔2324aに挿通され前後方向にスライド移動可能とされる一対の遮蔽板2351,2352(第1遮蔽板2351及び第2遮蔽板2352)と、規制長孔2324bに挿通され前後方向にスライド移動可能とされると共に上下方向への移動を規制される規制板2353と、を主に備える。
遮蔽板2351,2352及び規制板2353は、前カバー2390に移動を案内される部材であって、正面側端部に上向きに凸設される凸部をそれぞれ備える。この凸部は、組立状態において前カバー2390の上方へ突き出される。遊技者が凸部を操作することにより、遮蔽板2351,2352及び規制板2353が前後にスライド移動可能とされる。
遮蔽板2351,2352及び規制板2353は、本実施形態では、剛性の高い樹脂材料から形成され、上下方向に球の重みがかけられても、形状を維持する態様とされる。なお、遮蔽板2351,2352及び規制板2353の材料としては種々の材料が例示される。例えば、金属材料でも良いし、可撓性の樹脂材料でも良いし、繊維強化プラスチックでも良い。
順序規制装置400は、解除部材340の軸棒部341の先端に固着される略扇形状の前側固着部材410と、傾倒部材330の軸棒部332の先端に固着される略扇形状の後側固着部材420と、上皿17の外壁側面に、軸棒部332,341を結ぶ直線に沿った方向にスライド移動可能に支持されると共に固着部材410,420と当接可能とされるスライド装置430と、上皿17の外壁に設けられる円筒形状の部分であってスライド装置430を支持する支持部440と、を主に備える。
スライド装置430は、支持部440に収容されることで上皿17に間接的に支持される。即ち、スライド装置430は、上皿17の外壁側面に沿ってスライド移動可能とされる。次いで、図25を参照して、順序規定装置400の構成および作用について説明する。
図25(a)から図25(d)は、順序規定装置400の側面図である。図25(a)から図25(d)では、順序規定装置400の動作が時系列で図示される。また、理解を容易とするために、支持部440、傾倒部材330の外形および解除部材340の外形が想像線で図示され、傾倒部材330及び解除部材340の形状が模式的に図示される。
図25(a)から図25(d)に示すように、順序規定装置400には、一対の固着部材410,420の間にスライド装置430が配設される。スライド装置430は、前側固着部材410側に配設される金属等から形成される前側部材431と、後側固着部材420側に配設される金属等から形成される後側部材432と、それら前側部材431及び後側部材432の間に配設され外向きの付勢力を生じる弾性バネ433と、を主に備える。
これにより、スライド装置430は、軸棒部332、341を結ぶ直線に沿った方向へのスライド移動および伸縮動作が可能となる。なお、本実施形態では、弾性バネ433は、前側部材431又は後側部材432の一方が固着部材410,420の移動軌跡の外側に配置され、他方が固着部材410,420の移動軌跡の内側に入り込む状態(例えば、図25(a)参照)において、自然長となるように設定される。
図25(a)及び図25(c)に示すように、前側固着部材410は、解除部材340が傾倒部材330に押し付けられた状態において、扇形状の外周面が軸棒部332,341を結ぶ直線上に配置される一方で、解除部材340が傾倒部材330から離反し切った状態において、扇形状の外周面が軸棒部332,341を結ぶ直線上から退く態様で形状が規定され、上面に、前側部材431と側面から当接する部分としての凹部である当接凹部411を備える。前側固着部材410は、扇形状の外形の一部を構成する一対の直線が、軸棒部341を通る直線とされ、当接凹部411は、一対の直線の一方から、他方へ向けて凹設される。
図25(a)及び図25(b)に示すように、後側固着部材420は、傾倒部材330が傾倒する前の状態において、扇形状の外周面が軸棒部332,341を結ぶ直線上から退く一方で、傾倒部材330が傾倒した状態において扇形状の外周面が軸棒部332,341を結ぶ直線上に配置される態様で形状が規定される。後側固着部材420は、扇形状の外形の一部を構成する一対の直線が、軸棒部332を通る直線とされる。これらの構成から規定される順序規定装置400の動作について説明する。
まず、図25(a)に示すように、傾倒部材330及び解除部材340が当接する状態では、スライド装置430は、前側固着部材410の移動軌跡外に配置される一方、後側固着部材420の移動軌跡内に入り込むことで、弾性バネ433が自然長の状態を維持する。この状態において、傾倒部材330には、弾性バネ334の付勢力、解除部材340からの摩擦、及び後側部材432からの動作抵抗が負荷される。これらの抵抗以上の力で傾倒部材330の上面に乗った球からの負荷が傾倒部材330にかけられた場合、傾倒部材330が傾倒開始する。なお、後側部材432は、傾倒部材330の軸棒部332に近い位置で後側固着部材420と当接することから、傾倒部材330の回転方向に与える動作抵抗は微弱となるので、傾倒部材330の動作開始時の負荷の算出においては、無視して説明を行う。
ここで、本実施形態では、弾性バネ334の弾性的モーメントMkがMk=27mg×R[Nmm]で、弾性バネ346の付勢力Fm1(解除部材340の回転軸から腕長さARの位置で傾倒部材330側に生じる負荷)を球1.5個分の重さ(1.5mg、第1実施形態での付勢力と同等の負荷)に相当する力に、傾倒部材330と解除部材340との当接部分における模式的(軸棒部332を中心とする円に沿って当接すると仮定した場合の当接部分、図15参照)な静止摩擦係数μを0.5に、後側部材432(及び前側部材431)の重量を5[g:グラム]に、それぞれ設定する(解除部材340の当接面の態様、及び弾性バネ346の弾性係数を設定する)。
即ち、本実施形態では、弾性バネ334の弾性係数k1がk1=0.2mg×R[Nmm/deg]で設定され、弾性バネ334の形状は、傾倒前の状態における弾性バネ334の変位量(角度)が135°となるように設定される。この状態において、傾倒部材330の傾倒前に弾性バネ334が生じる弾性的モーメントMkは27mg×R[Nmm]である。
また、本実施形態では、弾性バネ346の弾性係数k2がk2=0.1mg×R[Nmm/deg]で設定され、弾性バネ345の形状は、傾倒前の状態における弾性バネ345の変位量(角度)が60°となるように設定される。
これにより、傾倒部材330の回転軸周りのモーメントの関係が、Mk+Mf<Mbとなることで傾倒部材330が回転開始するところ、図15で行った検討に倣った検討によりMf=1.5mg×7R×0.5=5.25mg×R[Nmm]となるので、傾倒部材330は、32.25mg×R[Nmm]<Mbが成立するまでは、傾倒前の状態を維持する。
この負荷モーメントMbの関係式は、例えば、傾倒部材330の上面に、下流側(矢印R側端部)から3個一列の球の列(矢印F−B方向に球が並ぶことでできる列)が順序良くできる場合に、4列目(の正面側端部、軸棒部332から最も離れた端部、矢印F側端部)に1個目の球が滞留した状態では成立せず(傾倒前の状態が維持され)、4列目に2個目の球が滞留した状態で成立する。従って、本実施形態では、傾倒部材330の上面に球が10個溜まるまでは傾倒部材330は傾倒前の状態を維持し、球が11個溜まった後で傾倒部材330が傾倒を開始する。
なお、後側部材432の短手方向上側面であって後側固着部材420と当接可能とされる面は、軸棒部332に近接するほど軸棒部332,341を通る直線に近づく態様で傾斜する傾斜面として形成される。そのため、後側固着部材420の回転軌跡中に後側部材432が配置された場合に、後側固着部材420から後側部材432に与えられる負荷は、周方向と径方向とに分割される。この分割された負荷の内、径方向の負荷が、後側部材432を軸棒部332から遠ざかる方向へ動かす向きに作用する。
図25(a)に示す状態から傾倒部材330が傾倒すると、図25(b)に示すように、後側部材342は後側固着部材420の移動軌跡の外側へ押し出される。これにより、スライド装置430の弾性バネ433は自然長よりも縮められ、弾性力が蓄積される。
図25(b)に示す状態では、解除部材340の姿勢は図25(a)の状態のままである。ここから球が流下する過程で、球により解除部材340が押し退けられる。ここで、傾倒部材330が傾倒する前の状態に比較して、球と解除部材340との当接点の、解除部材340の軸棒部341からの距離が長くなる(本実施形態では、長さが約2倍となる。傾倒部材330と解除部材340との当接点とほぼ同位置となる)ので、傾倒部材330が傾倒する前よりも、解除部材340を回転させるために球から解除部材340に与える必要のある負荷を小さくすることができる。従って、傾倒部材330に予め乗っていた球の負荷で解除部材340を押し退けることが可能とされる。
本実施形態では、解除部材340の弾性バネ346の付勢力Fm1が球1.5個分の重さに相当する力であり、傾倒部材330の傾倒時の傾斜角度は水平面に対して約15°であるので、球の重量の内、解除部材340へ向けられる成分は、重量の約1/4(=COS75°)となる。従って、解除部材340に6個以上の球が負荷を与えることで、解除部材340は図25(b)に示す状態から押し退けられる。なお、本実施形態では、傾倒部材330の傾倒時に解除部材340に6個以上の球が負荷を与える(背面側に滞留する)状況が通常に起こりえる態様で、構成される(図19(b)参照)。
図25(c)に示すように、球の負荷により解除部材340が押し退けられると、軸棒部332,341を結ぶ直線上に当接凹部411が侵入する。これにより、スライド装置430の前側部材431が前側固着部材410の移動軌跡の内部に侵入可能となる。予め弾性バネ433が縮められていたことから、その弾性バネ433の付勢力により前側部材431が当接凹部411に対向する形で押し込まれる。
図25(c)に示すように、前側固着部材410は、当接凹部411が前側部材431に軸棒部332,341を結ぶ直線と直交する方向で当接する。従って、軸棒部341を中心とする前側固着部材410の回転動作により前側部材431に与えられる負荷の、前側部材431の移動方向に向かう成分は無いので、解除部材340の姿勢を前側部材431dで固定することができる。これにより、解除部材340にかけられる弾性バネ346の付勢力の大きさに関わらず、解除部材340を図25(c)の姿勢で維持することができる。即ち、傾倒部材330が傾倒している間に解除部材340の姿勢が復帰することを防止することができる。
図25(d)に示すように、球が流れ落ちた後に傾倒部材330は傾倒前の状態に復帰する。これにより、後側部材432が自重で後側固着部材420の移動軌跡の内側へ入り込み、それに伴い弾性バネ433が自然長に戻され、下支えする負荷を失った前側部材431も自重で下降し、前側固着部材420の移動軌跡の外側へ退避する。なお、前側部材431と前側固着部材410の当接凹部411との対向する面(互いに当接し合う面)は、滑らかな表面となるように形成される(生じる摩擦が極めて小さくされる)。
これにより、前側固着部材410の姿勢維持が解除されるので、弾性バネ346の付勢力で解除部材340が回転可能となり、解除部材340が傾倒部材330に近接する方向に回転することにより、図25(a)に示す状態に復帰する。このように、本実施形態によれば、傾倒部材330が傾倒前の状態に復帰した後で解除部材340が傾倒部材340に近接する方向に回転開始することになるので、傾倒部材330の復帰中に解除部材340との当接部分で生じる摩擦を解消することができる。
なお、前側固着部材410と当接凹部411との間の摩擦を低減する手法は様々な方法が考えられる。例えば、前側固着部材410の周面にグリスを塗る方法でも良いし、前側固着部材410の当接凹部411と当接する部分を球状に膨出する部分として構成し当接面積を小さくする方法でも良い。
本実施形態によれば、傾倒部材330を付勢する弾性バネ334の付勢力と、解除部材340を付勢する弾性バネ346の付勢力との設計自由度を広げることができる。例えば、傾倒部材330を傾倒前の状態に付勢する弾性バネ334の付勢力により発生する弾性的モーメントMkの数値と、解除部材340の付勢力Fm1により傾倒部材330に生じる摩擦により発生する静止摩擦モーメントMfの値とが近い場合、間に埃やゴミが挟まるなどにより摩擦抵抗が変動すると、傾倒部材330の復帰を解除部材340が妨げるおそれがある(傾倒部材330が解除部材340を乗り越えられないおそれがある)。そのため、必然的に、弾性的モーメントMkの数値と静止摩擦モーメントMfとの間に大きな間隔を設ける必要が生じ、設計自由度が低くなる。
これに対し、本実施形態では、傾倒部材330と解除部材340との動作順序を規定することにより、傾倒部材330の復帰動作時に解除部材340が傾倒部材330に摩擦を与えることが無いので、傾倒部材330の復帰が妨げられるおそれを解消することができ、広い範囲での付勢力の設定を採用することができる。
図26は、上皿2017の上面図である。図26に示すように、上皿2017は、第1実施形態で説明した上皿17の各構成に加え、上皿17の底面の背面側端部において、球の直径幅で左右方向に延設される溝である延設溝2017hを備える。
延設溝2017hは、底面の傾斜角度が、上皿17の傾斜角度よりも小さな傾斜角度とされ、その右側端部において上皿2017の底面と滑らかにつなげられる(段差無くつなげられる)。従って、延設溝2017hに流入した球は、その下流側に球が無い場合には発射球貯留領域17dを球発射ユニット112a(図4)が配設される側(矢印R側)へ流下する。
延設溝2017hは、上流側端部における溝深さが球の半径ra以上かつ直径以下とされる。これにより、延設溝2017hに上流側から入球した球が跳ねて延設溝2017hから外れることを防止できると共に、延設溝2017hが球で満たされた後で延設溝2017hに入りかけた球を延設溝2017hの外方へ排斥し易くすることができる(延設溝2017hの上方に球が積まれることを防止し易くすることができる)。
また、延設溝2017hの溝幅は、球の直径よりも若干長くされる。これにより、延設溝2017hに収容される球を延設溝2017hの延設方向に一列に並べやすくなるので、延設溝2017hに収容される球の個数を安定化させることができる。
また、延設溝2017hは、開口部17aから離間した位置に配置される。これにより、延設溝2017hに配置された球が他の球と衝突して弾かれた場合であっても、その球が開口部17aに流入する可能性を低くすることができる。
次いで、図27から図29を参照して、第1遮蔽板2351及び第2遮蔽板2352の作用について説明する。図27から図29は、上皿2017の背面斜視図である。なお、図27から図29では、理解を容易にするために、供給開口17gが形成される背面側板の図示が省略されると共に供給開口17gの開口部外形が想像線で図示される。また、図27では、第1遮蔽板2351及び第2遮蔽板2352が正面側(矢印F側)に配置された状態が、図28では、第1遮蔽板2351が背面側(矢印B側)に、第2遮蔽板2352が正面側(矢印F側)にそれぞれ配置された状態が、図29では、第1遮蔽板2351及び第2遮蔽板2352が背面側(矢印B側)に配置された状態が、それぞれ図示される。
図28及び図29に示すように、第1遮蔽板2351及び第2遮蔽板2352は、左右幅が開口部17aの左右幅よりも短い幅長さで形成され(本実施形態では、開口部17aの約1/4の長さ)、球案内天面17a1と傾倒部材330との間を前後方向に移動し、背面側(矢印B側)に配置された状態において(図29参照)、傾倒部材330の上面を部分的に覆う。
これにより、傾倒部材330及び解除部材340が許容状態となった場合でも、第1遮蔽板2351又は第2遮蔽板2352の上面に乗っている球は第1遮蔽板2351又は第2遮蔽板2352にせき止められ、開口部17aに流入しない。即ち、傾倒部材330の上方の領域の内、第1遮蔽板2351又は第2遮蔽板2352に覆われる領域を除く領域において傾倒部材330に乗る球のみが傾斜部材330に流下を規制されており、傾倒部材330が許容状態となることに伴って開口部17aを通って上皿2017から排出される。
従って、第1遮蔽板2351及び第2遮蔽板2352の状態により、傾倒手段330に流下を規制される球の個数を変化させると共に、上皿2017から排出される球の流量を変化させることができる。
なお、図29に示すように、第1遮蔽板2351の延設先端部分である先端部2351a及び第2遮蔽板2352の延設先端部分である先端部2352aは、延設先端へ向かう程厚みが小さくなる形状(先細りの形状)とされ、背面側へ移動し背面側移動端部に配置された場合、先端部2351a、2352aが傾倒部材330の上底板部331bに当接する。これにより、第1遮蔽板2351又は第2遮蔽板2352が正面側に配置された状態(図27参照)で傾倒部材330に球が貯留された後で、第1遮蔽板2351又は第2遮蔽板2352を背面側へ移動させた場合であっても、その上面に球を乗り上げさせることができる。これにより、傾倒部材330に貯留された球が第1遮蔽板2351又は第2遮蔽板2352に押し出され、傾倒部材330の上方の領域から排斥されることを防止することができる。
また、第1遮蔽板2351及び第2遮蔽板2352の断面形状は幅方向に向けて変化する。即ち、下流側の端部(矢印R側端部)が厚肉形状とされると共にその下端部が傾倒部材330の上面と接し、下端部を傾倒部材330に当接したまま上流側端部(矢印L側端部)へ向かうにつれて先細りし、上流側端部では厚みがほぼ無い(薄い)態様とされる(長手方向断面視において、三角形形状とされる)。
これにより、第1遮蔽板2351又は第2遮蔽板2352が背面側位置に配置された状態において傾倒部材330の上面に流入した球を、滑らかに第1遮蔽板2351又は第2遮蔽板2352に乗り上げさせることができる。
第1遮蔽板2351は、その底面と開口部17aの下流側端部との上下方向の間隔が球の半径ra程度に設定されると共に水平方向の間隔はほぼ無くなるように設定される。これにより、第1遮蔽板2351が背面側位置に配置された状態で、発射球貯留領域17dに配置された球が開口部17aに流入すること(開口部17aと第1遮蔽板2351の間に球が流入すること)を防止することができる。
第1遮蔽板2351及び第2遮蔽板2352の上面の傾斜方向は、前後方向は水平面に沿った傾斜とされ、左右方向は右方へ下降傾斜される。これにより、第1遮蔽板2351又は第2遮蔽板2352の上面に球が乗った場合、その球を右方へ速やかに流すことができる。
なお、第1遮蔽板2351及び第2遮蔽板2352の上面の傾斜方向の設定は、これに限られるものでは無く、種々の態様が例示される。例えば、前後方向の傾斜が、正面側に向かう程、下降する傾斜態様でも良い。この場合、第1遮蔽板2351及び第2遮蔽板2352の上面に乗った球を、上皿2017の正面側へ寄せながら流すことができる。また、左右方向の傾斜が、左方へ下降傾斜されるものでも良い。この場合、第1遮蔽板2351又は第2遮蔽板2352の上面に乗った球が右方へ流下することを防ぐことができ、開口部17aの上方に滞留する球の個数が増加し易くすることができると共に、傾倒部材330が傾倒した際に、第1遮蔽板2351又は第2遮蔽板2352の上面に乗った球が開口部17aを通して排出されるので、傾倒部材330の一度の傾倒動作に伴って開口部17aから排出される球の個数を増加させやすくすることができる。
なお、本実施形態では、傾倒部材330の上面を前後方向に渡って第1遮蔽板2351や第2遮蔽板2352が覆う場合を説明したが、これに限られるものでは無い、例えば、第1遮蔽板2351や第2遮蔽板2352の延設先端を球案内天面17a1の背面側端部付近や、傾倒部材330の前後方向の途中で止める態様としても良い。
この場合において、傾倒部材330と第1遮蔽板2351又は第2遮蔽板2352との間隔を球の直径未満とすることで、球案内天面17a1の下方を球が通過することを防止する一方で、球案内天面17a1の背面側に配置された球であって、第1遮蔽板2351又は第2遮蔽板2352に乗らない球の重さを傾倒部材330に負荷することができる。
即ち、傾倒部材330に負荷をかけ傾倒部材330の回転に係る負荷は生じさせながら、傾倒部材330が許容状態となっても傾倒部材330の上面から流れ落ちない球を生じさせることができる。
また、球案内天面17a1の背面側に張り出す第1遮蔽板2351又は第2遮蔽板2352の上面を、左方へ向かうほど下降傾斜する傾斜面とし、張り出した延設先端を、左方へ向かうほど正面側に向かう傾斜面とすることにより、第1遮蔽板2351又は第2遮蔽板2352に上側または背面側から当接する球を解除部材340側へ流すことができる。従って、解除部材340よりも右方に貯留されていた球を解除部材340側へ流し、球被覆面17a2の下方へ流すことができる。
図30及び図31は、上皿2017の上面図である。なお、図30では、第1遮蔽板2351が背面側位置(矢印B側位置)に配置されると共に第2遮蔽板2352が正面側位置(矢印F側位置)に配置された状態(以下、第1部分開放状態とも称す。)において傾倒部材330と解除部材340との係合が解除され球が排出された状態が、図31では、第1遮蔽板2351及び第2遮蔽板2352が背面側位置に配置された状態(以下、第2部分開放状態とも称す。)において傾倒部材330と解除部材340との係合が解除され球が排出された状態が、それぞれ図示される。
図30に示すように、第1遮蔽板2351のみが背面側位置に配置される場合、解除部材340に到達する球よりも下流側に配置される球の内、最下端で段をなして貯留される球は第1傾斜板2351に乗り上げており、傾倒部材330に乗ってはいない。即ち、最下端で段をなして貯留される球は傾倒部材330が状態を変えても第1傾斜板2351の上に維持される。
換言すれば、一対の遮蔽板2351,2352が正面側位置に配置される場合に比較して、解除部材340に到達する球の下流側に列(矢印F−B方向に並ぶ球の群)をなして傾倒部材330に乗る球の列数が少なくなる。これにより、傾倒部材330及び解除部材340が許容状態となることに伴い排出される球が減少する(約3個減る)と共に、上皿2017上に残留する球が増加する(約3個増える)。また、この場合の球の流量は、一対の遮蔽板2351,2352が共に正面側位置に配置される場合(図26参照)に比較して、小さくなる(図20及び図32(a)の右下降傾斜角度参照)。
また、図31に示すように、第1遮蔽板2351及び第2遮蔽板2352が背面側に配置される場合、解除部材340に到達する球よりも下流側に配置される球の内、最下端(矢印R側端部)およびその上流側(矢印L側)で一対の列をなして貯留される球は第1傾斜板2351又は第2傾斜板2352に乗り上げており、傾倒部材330に乗ってはいない。即ち、これらの球は傾倒部材330が状態を変えても第1傾斜板2351又は第2傾斜板2352の上に維持される。
換言すれば、第1遮蔽板2351のみが背面側位置に配置される場合(図30参照)に比較して、解除部材340に到達する球の下流側に列をなして傾倒部材330に乗る球の列数が少なくなる。これにより、傾倒部材330及び解除部材340が許容状態となることに伴い排出される球が減少する(約3個減る)と共に、上皿2017上に残留する球が増加する(約3個増える)。また、この場合の球の流量は、第1遮蔽板2351のみが背面側位置に配置される場合(図30参照)に比較して、小さくなる(図32(a)及び図32(b)の右下降傾斜角度参照)。
このように、第1遮蔽板2351及び第2遮蔽板2352の配置を変化させることにより、開口部17aを通して排出される球の流量と、上皿2017に残留する球の個数とを、上皿2017の容量を変えることなく、切り替えることができる。
なお、本実施形態では、傾倒部材330が傾倒することにより傾倒部材330の上面が正面方向へ下降傾斜し、その傾斜により球が前後方向(矢印F−R方向)に沿って流下するので、第1遮蔽板2351や第2遮蔽板2352により開口部17aの前後方向に直交する開口面の面積を狭めた場合であっても、それに因り球詰まりが生じることを抑制することができる。
ここで、例えば、開口部17aが上皿17の中央部付近に配置される開口であって、球が周囲から流入可能である場合、開口に向かう球の流下方向は複数方向が考えられるので、対向する方向から流下した球は衝突する恐れがあるし、開口を狭めすぎた場合には複数の球が噛み合って球詰まりを起こす恐れがある。
これに対し、本実施形態では、傾倒部材330に乗ったあと、開口部17aに向かう(通過しようとする)球の流下方向は、前後方向に沿った方向とされるので、流下方向で対向する方向で球同士がぶつかったり、球同士が噛み合ったりする恐れを低減することができる。
これにより、開口部17aの開口広さを第1遮蔽板2351や第2遮蔽板2352で狭めた場合であっても、傾倒部材330の傾倒時に、傾倒部材330に乗った球をスムーズに流下させることができる。この場合、開口部17aの左右幅を最小で球の直径よりも若干長く設定するまで(前後方向に球が1個ずつ流下する態様まで)、開口部17aの開口広さを狭めたとしても、球の流下をスムーズに行わせることができる。
第1部分開放状態と、第2部分開放状態とでは、傾倒部材330及び解除部材340が許容状態に状態変化する間(許容状態を形成した後、規制状態に復帰してから再度許容状態となる)のに必要な球の個数は約11個で同じであるが、傾倒部材330に負荷をかける球の位置が異なるので、上皿2017に供給開口17gを通って球が供給されはじめ、開口部17aを通した最初の球の排出が発生するまでにかかる時間は、第1部分開放状態、第2部分開放状態、全開放の状態で異なる。
従って、開口部17aの開放の度合い(全開放の状態、第1部分開放状態、第2部分開放状態)を異ならせることで、球が上皿2017にMAX個まで貯まったことを遊技者が認識するまでの時間を変化させることができる。なお、以下において、本実施形態で、全開放の状態で傾倒部材330及び解除部材340が許容状態に状態変化するのに必要な球の個数がMAX個(約Q1+11[個])で、第1部分開放状態において傾倒部材330及び解除部材340が許容状態に状態変化するのに必要な球の個数がAMAX個(約Q1+14個)で、第2部分開放状態において傾倒部材330及び解除部材340が許容状態に状態変化するのに必要な球の個数がBMAX個(約Q1+17[個])で、それぞれ図示される。
図32(a)及び図32(b)は、上皿2017に継続的に球が供給される(払い出される)場合に上皿2017に残る球の個数変化の一例を示すタイミングチャートである。なお、縦軸に上皿に貯留される球の個数が示され、横軸に経過時間が示される。また、図32(a)では、開口部17aの第1部分開放状態(図30参照)におけるタイミングチャートが、図32(b)では、開口部17aの第2部分開放状態(図31参照)におけるタイミングチャートが、それぞれ図示される。なお、図32に示すタイミングチャートは、球の発射により生じる上皿2017の球の貯留個数の変化は無視したり(球の発射個数は0個であると仮定たり)、上皿2017への球の貯留態様の違いによる影響は無視したり(上皿2017に貯留される球の個数がAMAX,BMAX個に到達した直後に排出が開始されると仮定したり)するなど、簡略化して図示される。
図32(a)及び図32(b)の縦軸において、傾倒部材330及び解除部材340が許容状態に状態変化するのに必要な球の個数がAMAX個、BMAX個でそれぞれ図示される。また、横軸において、発射球貯留領域17d及び橋渡し球貯留領域17eが球で満たされたタイミングが0秒で図示される。
まず、図32(a)を参照して、開口部17aの第1部分開放状態(図30参照)において上皿2017に貯留される球の個数の変化について説明する。まず、最初に球がAMAX個に至るまでの経過は、図20に示す経過(全開放の状態における経過)と同じである。
上皿2017に貯留される球の個数がAMAX個以上となると、傾倒部材330及び解除部材340が許容状態となり上皿2017から開口部17aを通って球が排出される。この時、開口部17aの第1部分開放状態では、傾倒部材330の上面および後追い球貯留領域17fに配置された球(発射球貯留領域17d及び橋渡し球貯留領域17eを除く範囲に配置された球)が全て排出されるのでは無く、第1遮蔽板2351に乗る球(本実施形態では、3個の球)は第1遮蔽板2351の上面に維持される。
従って、傾倒部材330が許容状態となることにより、まとまって11個以上の球が排出される。そのため、排出後に上皿2017に残留する球の個数は、AMAX個から11個少ない個数以上となる(Q1+3=Q2[個]以上となる)。その後は、11個の球を供給するのに要する時間(1.1秒)以上の間隔で、球の排出が行われ、上皿2017に残留する球の個数の最小値は個数Q1よりも3個多い個数Q2に維持される(Q2>65[個])。
ここで、全開放の状態と第1部分開放状態での排出個数は同等であって、開口部17aの開口広さが要因(約3/4)となり、流量が変化する。ここで、許容状態における傾倒部材330の傾斜角度は変わらない。開口広さ分だけ、球の流量が絞られると考えることができるので、排出される球の流量は全開放の場合(約80[個/秒])に3/4をかけた約60[個/秒]となり、全開放の状態に比較して第1部分開放状態の方が小さくなる。
本実施形態によれば、傾倒部材330及び解除部材340が許容状態に状態変化することに伴い上皿2017に残留する球の個数を個数Q2以上に保つことができるので、個数Q2を適切な個数(例えば、上皿2017に貯留される球の個数の80%以上の個数)に設定することにより、上皿2017に残留する球が過度に減少することを防止することができる。更に、傾倒部材330及び解除部材340が許容状態となり球が排出された直後は、その球の排出を視認することにより上皿2017に個数Q2以上の球が残っていることを把握できる。
そのため、遊技者がパチンコ機10の正面側に座って遊技する姿勢において、上皿2017の正面側壁や前カバー390が視線を遮り上皿2017の内部状態(例えば、残球個数)が確認できない場合であっても、流下装置2300の内部を球が流下することを確認することにより、上皿2017に個数Q2以上の球が残っていることを把握することができる。
即ち、上皿2017の内部状態を把握するために上皿2017を上から覗き込んで上皿2017の内部を見なくとも上皿2017に十分な個数の球が残っていることを把握できるので、遊技者は、球切れ(上皿2017に残された球が無くなること)の恐怖感から解放され、楽な遊技姿勢で遊技を継続することができる。
次いで、図32(b)を参照して、開口部17aの第2部分開放状態(図31参照)において上皿2017に貯留される球の個数の変化について説明する。まず、最初に球がBMAX個に至るまでの経過は、図20に示す経過(全開放の状態における経過)と同じである。
上皿2017に貯留される球の個数がBMAX個以上となると、傾倒部材330及び解除部材340が許容状態となり上皿2017から開口部17aを通って球が排出される。この時、開口部17aの第2部分開放状態では、傾倒部材330の上面および後追い球貯留領域17fに配置された球(発射球貯留領域17d及び橋渡し球貯留領域17eを除く範囲に配置された球)が全て排出されるのでは無く、第1遮蔽板2351に乗る球および第2遮蔽板2352に乗る球(本実施形態では、6個の球)は第1遮蔽板2351の上面または第2遮蔽板2352の上面に維持される。
従って、傾倒部材330が許容状態となることにより、まとまって11個以上の球が排出される。そのため、排出後に上皿2017に残留する球の個数は、BMAX個から11個少ない個数以上となる(Q1+6=Q3[個]以上となる)。その後は、11個の球を供給するのに要する時間(1.1秒)以上の間隔で、球の排出が行われ、上皿2017に残留する球の個数の最小値は個数Q1よりも6個多い個数Q3に維持される(Q3>68[個])。
ここで、全開放の状態と第2部分開放状態での排出個数は同等であって、開口部17aの開口広さが要因(約1/2)となり、流量が変化する。ここで、許容状態における傾倒部材330の傾斜角度は変わらない。開口広さ分だけ、球の流量が絞られると考えることができるので、排出される球の流量は全開放の場合(約80[個/秒])に1/2をかけた約40個/秒となり、全開放の状態に比較して第2部分開放状態の方が小さくなる。
本実施形態によれば、傾倒部材330及び解除部材340が許容状態に状態変化することに伴い上皿2017に残留する球の個数を個数Q3以上に保つことができるので、個数Q3を適切な個数(例えば、上皿2017に貯留される球の個数の80%以上の個数)に設定することにより、上皿2017に残留する球が過度に減少することを防止することができる。更に、傾倒部材330及び解除部材340が許容状態となり球が排出された直後は、その球の排出を視認することにより上皿2017に個数Q3以上の球が残っていることを把握できる。
そのため、遊技者がパチンコ機10の正面側に座って遊技する姿勢において、上皿2017の正面側壁や前カバー390が視線を遮り上皿2017の内部状態(例えば、残球個数)が確認できない場合であっても、流下装置2300の内部を球が流下することを確認することにより、上皿2017に個数Q3以上の球が残っていることを把握することができる。
即ち、上皿2017の内部状態を把握するために上皿2017を上から覗き込んで上皿2017の内部を見なくとも上皿2017に十分な個数の球が残っていることを把握できるので、遊技者は、球切れ(上皿2017に残された球が無くなること)の恐怖感から解放され、楽な遊技姿勢で遊技を継続することができる。
図32に示すように、第2部分開放状態では、第1部分開放状態よりも、全開放の状態(図20参照)との比較における球の排出の流量の変化の度合い(図32(a)及び図32(b)の右下降傾斜の角度)が大きくなる。即ち、遮蔽板2351,2352を背面側に配置する枚数が多くなるほど(下流側から多くなるほど)、球の排出の流量をより小さくすることができる(グラフの右下降傾斜の度合いを緩くすることができる)。これにより、遊技者は自分の好みで、球の排出の流量を複数通りで調整することができる。
例えば、球の排出時の流量を大きくして排出時の迫力を重視する遊技者は、開口部17aを全開放する状態で遊技を行うことで球の排出時の流量を最大限に大きくすることができる一方で、排出時の迫力は度外視しても上皿2017の球切れを抑制したい遊技者は、第2部分開放状態とすることで排出後に上皿2017に残留する球の個数を多く確保することができ、球切れの発生を抑制することができる。
なお、遊技者は、第2板部材2320越しに流下する遊技球の流下態様を視認することにより、排出流量が現状どのように設定されているのかを把握することができる。そのため、排出流量の設定が、上皿2017からの球の抜け具合からのみ把握可能である場合(例えば、上皿2017を上から覗き、目視で把握する場合)に比較して、排出流量の現状の設定を遊技者が早期に把握可能とすることができ、設定変更が必要な場合には、遊技者に早期に設定変更を行わせることができる。
本実施形態では、排出時の流量の変化に係る球(遮蔽板2351,2352の上面に乗った球)が、そのまま上皿2017に残留する球として用いられることにより、上皿2017に貯留可能な球の個数を変化させることなく(上皿2017の容量を変化させることなく)、上述した調整を行うことができる。
なお、図32(a)及び図32(b)では、理解を容易とするために上皿2017に貯留される球がAMAX,BMAX個となった直後に傾倒部材330が傾倒し、上皿2017から球が排出される態様で図示したが、実際は、上皿2017にAMAX,BMAX個の球が貯留される(入球する)タイミングと、傾倒部材330が傾倒するのに十分な球が傾倒部材330の上面に乗るタイミングとは一致しないので、上皿2017にAMAX,BMAX個の球が入球した後も、若干の期間、傾倒部材330は傾倒前の姿勢を維持し、上皿2017にはAMAX,BMAX個以上の球が貯留される。その後、傾倒部材330が傾倒すると、傾倒部材330の上面と、後追い球貯留領域17fに貯留されていた球が開口部17aを通して排出され、その他の領域(発射球貯留領域17d及び橋渡し球貯留領域17e)に配置されていた球は上皿2017に維持されるので、上皿2017に貯留される球が個数Q2,Q3以上に維持されることは、図32(a)及び図32(b)に示すグラフと相違ない。
図33(a)及び図33(b)は、図13のXIVa−XIVa線に対応する線における正面枠14の断面図である。なお、図33(a)では、規制板2353が背面側位置に配置された状態が、図33(b)では、規制板2353が正面側位置に配置された状態が、それぞれ図示される。
図33(a)及び図33(b)に示すように、規制板2353は、正面側位置(矢印F側位置)に配置された状態では解除部材340の回転を許容し(解除部材340の回転軌跡と干渉しない位置に退避され)、背面側位置(矢印B側位置)に配置された状態では解除部材340の段違い板部344の上面に下面が当接する。
図33(b)に示す状態から解除部材340が回転を開始しかけると、段違い板部344の上面が規制板2353を持ち上げかける。規制板2353は規制長孔2324bに上下方向への移動を規制されているので、解除部材340の回転が防止される。即ち、規制板2353を背面側位置に配置することにより、解除部材340が規制状態から回転することを防止することができるので、傾倒部材330及び解除部材340を規制状態で維持することができる。従って、上皿2017から開口部17aを通って球が排出されることを防止することができる(球の排出を規制することができる)。
以上説明した本実施形態において達成される主要な効果を整理すれば、以下のようになる。即ち、本実施形態によれば、延設溝2017hに上流側から入球した球が跳ねて延設溝2017hから外れることを防止できると共に、延設溝2017hが球で満たされた後で延設溝2017hに入りかけた球を延設溝2017hの外方へ排斥し易くすることができる。
また、延設溝2017hに収容される球を延設溝2017hの延設方向に一列に並べやすいので、延設溝2017hに収容される球の個数を安定化させることができる。また、延設溝2017hに配置された球が他の球と衝突して弾かれた場合であっても、その球が開口部17aに流入する可能性を低くすることができる。
また、第1遮蔽板2351及び第2遮蔽板2352の配置を切り替えることにより、上皿2017から開口部17aを通して排出される球の流量を変化させることができる。同時に、排出後に上皿2017に残る球の個数を変化させることができる。
また、第1遮蔽板2351及び第2遮蔽板2352の配置を切り替えることにより、払出モータ216の動作速度を変化させることなく、開口部17aを通した球の排出の頻度を変化させることができる。
第1遮蔽板2351及び第2遮蔽板2352は、球を乗せて落下を防止することができると共に、開口部17aとの間隔が球の直径未満とされることで球が隙間から落下することを防止できる。
規制板2353の配置を切り替えることにより、解除部材340の動作を許容する状態と、規制する状態とを切り替えることができる。
次いで、図34を参照して、第3実施形態について説明する。第1実施形態では、傾倒部材330が傾倒することにより湾曲部331dの上端部が上昇する場合を説明したが、第3実施形態における流下装置3300は、傾倒部材330が傾倒することに伴って上昇する通過防止装置500を備える。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図34(a)は、第3実施形態における正面枠14の部分上面図であり、図34(b)及び図34(c)は、図34(a)のXXXIVb−XXXIVb線における正面枠14の部分断面図である。なお、図34(b)では、傾倒部材330が傾倒する前の状態が、図34(c)では、傾倒部材330が傾倒した後の状態が、それぞれ図示されると共に、解除部材340の図示が省略される。また、本実施形態では、傾倒部材330の本体枠331aの背面側部分が、下端部を軸径方向外側へ張り出させる態様で形成される。
図34に示すように、本実施形態では、上皿3017の橋渡し球貯留領域17eの傾倒部材330に近接する側に、左右方向に球の直径未満の間隔を空けて複数個配置される上下方向(図34(a)紙面奥方向)に穿設される貫通孔を有する筒状の支持筒部3017jを備える。
通過防止装置500は、各支持筒部3017jに昇降動作可能に支持される昇降部材510を備える。昇降部材510は、上下方向に延設される棒状の部分であって支持筒部3017jに挿通される本体柱部511と、その本体柱部511の上端から傾倒部材330側(矢印F側)へ延設される延設部512と、その延設部512の延設先端から上方へ延設される先端延設部513と、を主に備える。
本体柱部511は、上皿17の底面を基準として、下方へ傾倒部材330の軸棒部332を越える長さで延設される。
通過防止装置500の機能について説明する。図34(b)に示すように、傾倒部材330が傾倒前の状態では、延設部512の上面が上皿17の底面とほぼ面位置とされるので、上皿17に貯留される球と昇降部材510との衝突を抑制することができ、スムーズに上皿17に球を貯留することができる。
一方、図34(c)に示すように、傾倒部材330の傾倒後には、傾倒部材330の本体枠331aが変位することに伴い、本体柱部511が上昇する。この上昇した状態において、延設部512は球の半径ra程度(約5.5[mm])の高さ位置に配置され、同様に、先端延設部513の上端部は傾倒部材330の湾曲部331dの上端部から球の半径ra程度高い位置に配置される。なお、延設部512が傾倒部材330に近接する位置まで延設されることにより、先端延設部513と湾曲部331dとの双方に球が当接した場合、その球の中心(重心)は湾曲部331dの上端位置(図34(c)における上端位置)の延設部333側(矢印F側)に配置される。
これにより、傾倒部材330が傾倒した状態(図34(c)参照)において、橋渡し球貯留領域17eに貯留された球が昇降部材510の間を通過することを防止することができるので、橋渡し球貯留領域17eから傾倒部材330の上面に球が侵入する(矢印F方向に球が流下する)ことを防止することができる。更に、傾倒部材330の上面に貯留された球が先端延設部513の間を通過することを防止することができるので、傾倒部材330の上面から橋渡し球貯留領域17eに球が侵入する(矢印B方向に球が流下する)ことを防止することができる。
従って、傾倒部材330の傾倒後に、橋渡し球貯留領域17eから傾倒部材330の上面に少数の球が流入し傾倒部材330を流れ落ちる事態が生じることを防止できると共に、傾倒部材330の傾倒前に傾倒部材330の上面に乗っていた球を橋渡し球貯留領域17eにこぼすことなく開口部17a側へ流すことができる。
次いで、図35及び図36を参照して、第4実施形態について説明する。第1実施形態では、傾倒部材330が傾倒することにより湾曲部331dの上端部が開口部17aの枠内(後追い球貯留領域17fの下流側(矢印R側))において上昇する場合を説明したが、第4実施形態における流下装置4300は、傾倒部材4330が傾倒することに伴って上昇する部分であって開口部17aの枠外に配設される枠外延設部4337を備える。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図35及び図36は、第4実施形態における上皿4017の背面斜視図である。なお、図35及び図36では、理解を容易とするために、供給開口17gが形成される背面側板の図示が省略されると共に供給開口17gの開口部外形が想像線で図示される。また、図35では、傾倒部材4330及び解除部材340の規制状態が、図36では、傾倒部材4330及び解除部材340の許容状態が、それぞれ図示される。
なお、上皿4017は、第1実施形態における上皿17との比較において、後追い球貯留領域17fの背面側壁が正面側へ寄せられ、受け入れ側面4017f3が形成されることが異なるのみで、他の構成は共通とされる。
図35及び図36に示すように、橋渡し球貯留領域17eの上面は発射球貯留領域17dの上面と面位置でつながる一方、傾倒部材4330の上面および後追い球貯留領域17fの上面は、橋渡し球貯留領域17eよりも一段高い面として形成される。本実施形態では、球の半径raの約1/4だけ高い面(橋渡し球貯留領域17eに貯留された球が水平方向の負荷で乗り上げ可能な高さ)として形成される。
これにより、供給開口17gから上皿4017に供給された球は、まず橋渡し球貯留領域17eに着地し、発射球貯留領域17d及び橋渡し球貯留領域17eを満たし、その後、橋渡し球貯留領域17eに満たされた球の上を伝うか、後から来た球に橋渡し球貯留領域17eに貯留されていた球が押し出されることにより、後追い球貯留領域17f及び傾倒部材4330の上面に流入する。
即ち、本実施形態では、供給開口17gから上皿4017に供給された球の全てが傾倒部材4330の上面を通るのでは無く、発射球貯留領域17d及び橋渡し球貯留領域17eが球で満たされる前に上皿4017に供給された球のほとんどは傾倒部材4330の上面を通過することなく流下する。
このように、本実施形態では、傾倒部材4330の上面が橋渡し球貯留領域17eよりも一段高くなる配置で傾倒部材4330を上皿4017に配設することで、球の流下経路を指定することができる。これにより、球の経路を指定する別部材を用意したり、上皿4017を特別な形状としたりする場合に比較して、部品コストや、加工コストを抑えることができる。
また、発射球貯留領域17d及び橋渡し球貯留領域17eが球で満たされる前に解除部材340に球が当接することを防止できる。これにより、上皿4017に貯留される球が少ない状態で傾倒部材4330及び解除部材340が許容状態を形成し球が上皿4017から排出される可能性を低減することができる。
加えて、本実施形態では、傾倒部材4330が枠外延設部4337を備えることにより、上述した効果を更に奏し易くしていることについて、以下で説明する。傾倒部材4330は、第1実施形態の傾倒部材330が備える構成に加えて、湾曲部331dの側面形状を上底板部331bの左右方向の傾斜に沿って上流側(矢印L側)へ延設した形状から構成される棒状の枠外延設部4337を備える。
この枠外延設部4337との整合をとるために、本実施形態における上皿4017は、第1実施形態で説明した上皿17の構成に加えて、後追い球貯留領域17fの背面側部分を正面側へ寄せた位置において、後追い球貯留領域17fの新たな背面側部分として形成される受け入れ側面4017f3を備える。
即ち、受け入れ側面4017f3は、開口部17aの背面側端部よりも正面側にずれた位置に配設され、橋渡し球貯留領域17eから正面側へ延長される上面と、後追い球貯留領域17fの上面との間に段差を形成する。また、受け入れ側面4017f3を形成し、後追い球貯留領域17fの背面側端部が正面側へ寄せられることにより空いたスペースにおいて、枠外延設部4337が移動を行う。
本実施形態では、枠外延設部4337が、第1実施形態における後追い球貯留領域17fの背面側側面と同様の機能を備える。一方で、第1実施形態の場合と異なり、後追い球貯留領域17fの背面側側面と同様の機能を持つ枠外延設部4337は、傾倒部材4330の傾倒に伴い、橋渡し球貯留領域17eの上面からの高さが変化する(上端位置が上昇する)。
即ち、傾倒部材4330の規制状態(図35参照)に比較して、傾倒部材4330の許容状態(図36参照)の方が、橋渡し球貯留領域17eの上面を基準とした枠外延設部4337の上端位置までの長さが長くなる。そのため、傾倒部材4330が規制状態の場合よりも、傾倒部材4330が許容状態の場合の方が、橋渡し球貯留領域17eから後追い球貯留領域17fに球が流入することを防止し易くすることができる。
特に、本実施形態において、後追い球貯留領域17fは供給開口17gの正面側(矢印F側)に配置されるので、供給開口17gから上皿4017へ勢いよく払い出された球が橋渡し球貯留領域17eと後追い球貯留領域17fとの間の段差を越えて後追い球貯留領域17fに流入する可能性があるところ、傾倒部材4330の傾倒時(図36参照)においてのみ橋渡し球貯留領域17eと後追い球貯留領域17fとの間の段差を大きくすることができるので、傾倒部材4330の傾倒時において後追い球貯留領域17fへの球の流入を防止する効果を増大させることができる。
これにより、傾倒部材4330が許容状態となった後で、新たに後追い球貯留領域17fに球が流入することを防止し易くすることができるので、傾倒部材4330の傾倒前に傾倒部材4330の上流側(傾倒部材4330の上面および後追い球貯留領域17f)に貯留されていた球が、傾倒部材4330が傾倒することに伴い、連なって開口部17aを流下するのと遅れたタイミングで新たに後追い球貯留領域17fに流入した少量の球が開口部17aから排出される事態が発生することを抑制することができる。これにより、開口部17aからの球の排出態様を、多量の球が連なって排出される態様に固定することができる。
また、本実施形態によれば、傾倒部材4330が傾倒する前(図35参照)であれば、橋渡し球貯留領域17eと後追い球貯留領域17fとの間の段差は第1実施形態の場合と同等なので、第1実施形態と同様の条件で、橋渡し球貯留領域17eから後追い球貯留領域17fへ球を流入させることができる。このように、本実施形態によれば、傾倒部材4330の姿勢(傾倒しているか否か、もしくは傾倒角度)により、橋渡し球貯留領域17eから後追い球貯留領域17fへの(隣設された領域間での)球の流入のし易さを変化させることができる。
次いで、図37から図39を参照して、第5実施形態について説明する。第1実施形態では、傾倒部材330の傾倒前に比較して、傾倒部材330が傾倒した後の方が、湾曲部331dの上端位置が上昇する場合を説明したが、第5実施形態における流下装置5300は、傾倒部材5330の傾倒前に比較して、傾倒部材5330が傾倒した後の方が、湾曲部331dの上端位置が下降する態様とされる。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図37(a)及び図37(b)は、図13のXIVa−XIVa線に対応する線における第5実施形態における正面枠14の部分断面図であり、図38及び図39は、上皿17の背面斜視図である。なお、図37(a)及び図38では、傾倒部材5330及び解除部材340が係合された状態(規制状態の一例)が、図37(b)及び図39では、傾倒部材5330及び解除部材340が互いに離反した状態(許容状態の一例)が、それぞれ図示される。
本実施形態では、第1実施形態で説明した流下装置300の構成に比較して、主に傾倒部材5330の構成が第1実施形態の傾倒部材330と異なり、他の構成は共通である。以下に、傾倒部材5330の構成を説明する。
傾倒部材5330は、第1実施形態における傾倒部材330との比較において、軸棒部332が湾曲部331dを挟んで延設部333の前後方向(矢印F−B方向)逆側に配置されることが大きな違いであり、その構成を実現するために、傾倒部材330からの若干の形状変更が施されている。
即ち、傾倒部材5330は、傾倒部材330の構成に対して、本体枠331aの背面側側面が左右側面に比較して短くされ、本体枠331aの背面側側面の下端部および本体枠331aの左右側面の背面側端部から背面側(矢印B方向)へ延設される延設進入部5337を備え、その延設進入部5337の延設端部付近において軸棒部332を支持可能となるように、上皿17の第2支持凹部17c(図7参照)に対応する支持凹部が第2支持凹部17cとは異なる位置に配設される。本実施形態では、第1実施形態と同様に、開口部17aの背面側縁に湾曲部331dが対向配置されるので、軸棒部332は開口部17aの背面側縁よりも背面側において、上皿17に支持される。
なお、傾倒部材5330の傾倒角度は、第1実施形態と同様であり、傾倒前において前後方向に対して1°、傾倒後において前後方向に対して15°の傾斜角度となるように、傾倒部材5330の下端部の形状が修正される。
上述したように、本実施形態では、軸棒部332が開口部17aの背面側縁よりも背面側(橋渡し球貯留領域17eの下方)に配置されるので、図37(a)及び図37(b)に示すように、傾倒部材5330が傾倒する前に比較して、傾倒した後の方が湾曲部331dの上端位置が下降する。なお、本実施形態では、特に、傾倒する前において湾曲部331dの上端位置が橋渡し球貯留領域17eの上面よりも上側に位置する(球の半径raの半分程度上側に位置する)一方で、傾倒した後において湾曲部331dの上端位置が橋渡し球貯領域17eの上面よりも下側に位置する。
即ち、軸棒部332は、軸棒部332を支点として傾倒部材5330を傾倒前の状態から14°傾倒動作させた場合に、湾曲部331dの上下方向の移動距離が球の半径raの半分以上(約2.8mm以上)となる位置で上皿17に軸支される。
これは、例えば、本実施形態のように傾倒部材5330が傾倒前の状態において湾曲部331dを通り水平方向に対する角度が約45°となる直線上に軸棒部332が配置され、湾曲部331dと軸棒部332との間の距離が長さL51であるとすると、傾倒前の上下寸法(L51×COS45°)と傾倒後の上下寸法(L51×COS31°)との差が球の半径raの半分以上であることを要する(L51×((COS45°)−(COS31°))>(1/2)×ra)。この不等号を満たすには、長さL51は、約2.4×raよりも長いことを要する。また、湾曲部331dと軸棒部332を結ぶ長さL51の線分の水平方向成分の長さは、約1.7×raよりも長くなる。従って、軸棒部332は、図37(a)に図示されるように、傾倒部材5330の傾倒前の状態において、湾曲部331dから水平方向背面側に球の半径raの1.7倍以上離れた位置に配置されることを要する。なお、本実施形態では、湾曲部331dから水平方向背面側に球の直径以上離れた位置に軸棒部331dが配置される。
これにより、本実施形態によれば、傾倒部材5330の傾倒前においては、湾曲部331dの上端位置が橋渡し球貯留領域17eの上面よりも上方に配置され、傾倒部材5330の傾倒後においては、湾曲部331dの上端位置が橋渡し球貯留領域17eの上面よりも下方に配置されるので、橋渡し球貯留領域17eに配置された球の前後方向における流下傾向を反転させることができる。
即ち、傾倒部材5330の傾倒前においては、球の半径raの半分程度とはいえ、湾曲部331dが橋渡し球貯留領域17eの上面よりも上方に配置されることから、湾曲部331dが、橋渡し球貯留領域17eに貯留される球が正面側へ流下するのに対する抵抗を生じる部分として作用する(球が正面側へ流れてくるのを防止する部分として作用する)。そのため、橋渡し球貯留領域17eに貯留された球の前後方向における流下傾向は、橋渡し球貯留領域17e内に維持されやすい傾向となる。
一方、傾倒部材5330の傾倒後においては、湾曲部331dが橋渡し球貯留領域17eの上面よりも下方に配置されるので、湾曲部331dから橋渡し球貯留領域17eに貯留される球が正面側へ流下するのに対する抵抗が生じず、傾倒部材5330の傾倒により開口部17aから排出される球を追いかける態様で橋渡し球貯留領域17eに貯留されていた球を流下させ易くすることができる。そのため、橋渡し球貯留領域17eに貯留された球の前後方向における流下傾向は、傾倒部材5330の傾倒前に比較して、橋渡し球貯留領域17eの正面側へ排出されやすい傾向となる。
従って、傾倒部材5330の上面に乗っていた球に加えて、その背面側の領域である橋渡し球貯留領域17eに貯留されていた球も、一緒に開口部17aを通して流下させることができるので、傾倒部材5330が傾倒するたびに開口部17aを通して流下する球の個数を、傾倒部材5330に乗りきる球の数以上に増大させることができる。
次いで、図40及び図41を参照して、第6実施形態について説明する。第1実施形態では、流下装置300から排出された球が下皿15に貯留される場合を説明したが、第6実施形態における流下装置6300は、その下端部から排出した球を遊技機の下方に排出する態様とされ(下皿15の形成が省略され)、それに伴い、正面枠6014の背面側(ガラスユニット16の背面側)に配設され、上皿17又は下皿15に球を分岐させて流下させる分岐流路(図示せず)の形成が省略される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
本実施形態では、流下装置6300の下端部の開口の開閉を球抜きレバー52の操作により行う(操作レバー52を押し込むたびに、球が通過可能な開状態と球の通過を規制する閉状態とで切り替えられる)態様とされ、球抜きレバー52の操作により流下装置6300の下端部の開口が開状態となっている時に流下装置6300の下端部に配置された球は正面枠6014の下方へ自然落下して排出される。一方、球抜きレバー52の操作により流下装置6300の下端部の開口が閉状態となっているときは、流下装置6300の内部流路に球を貯留可能とされる。
図40は、第6実施形態におけるパチンコ機6010の側面図である。なお、図40では、理解を容易とするために、被収容部材INBの外形の一例が想像線で図示される。
被収容部材INBは、正面枠6014に固定され、その外形が正面枠6014の背側面(内枠12の正面側端部と当接する面)よりも背面側へ突出する形状から形成される。即ち、被収容部材INBの背面側部分は、正面枠6014を閉じた状態(図40参照)において内枠12の内部領域に侵入する(内枠12の内部領域と干渉する)。なお、本実施形態では、内枠12の内側に、被収容部材INBを正面側から収容可能な大きさで正面側端部から背面側へ向けて凹設される収容凹部INCが形成される。従って、正面枠6014を閉じた状態では、被収容部材INBの背面側部分が収容凹部INCに収容される。
このように構成することにより、内枠12を、背面側に突出する部分(例えば、被収容部材INB)を備える正面枠6014にも、背面側に突出する部分が形成されない正面枠14にも、兼用することができる(内枠12の共通化を図ることができる)。即ち、本実施形態における内枠12を正面枠14に用いる場合には、収容凹部INCの内部が空の状態とされるだけであって、使用に支障をきたすものでは無い。
なお、被収容部材INBについては、何ら限定されるものでは無く、種々の態様が例示される。例えば、音響装置でも良いし、遊技者が操作する操作ボタンの構造の一部でも良いし、配線でも良いし、可動役物やモータなどの駆動装置の一部でも良いし、位置決め用の突起でも良い。
被収容部材INBがスピーカーなどの音響装置である場合、音を遊技者へ向けて発する部分であるスピーカーユニットが遊技者側に露出するため、不正行為の進入経路となりやすい。これに対し、本実施形態では、音響装置の背面側部分は収容凹部INCに収容され、その収容凹部INCの凹設底面は基板ボックス100〜104よりも正面側に配置されることから、被収容部材INBの内部を通ってピアノ線がパチンコ機10の内部に進入した場合であっても、そのピアノ線が基板ボックス100〜104に到達する前に、ピアノ線の進行を収容凹部INCで止めることができる。
この目的において、収容凹部INCの内壁は、金属性の部材で覆われる(カバーされる)ことが望ましい。これにより、ピアノ線の先端を高温に熱して進入させる不正に対しても対応することができる(収容凹部INCの内壁が樹脂で形成される場合に比較して、不正を防止し易くすることができる)。
本実施形態では、被収容部材INBは、正面側端部が第1板部材310の延設板部312b又は連設板部314の背面側面付近(本実施形態では若干離間した位置)に配置される。従って、被収容部材INBは、延設板部312b又は連設板部314の背面側側面から収容凹部INCの凹設底面(背面側に配置される側面)までに収まる前後寸法長さで形成される。このように、被収容部材INBの配設スペースを正面枠6014の背面側に配置される内枠12の内部にまで広げることにより、同じ寸法の被収容部材INBであっても、内枠12の正面側に被収容部材INBが配置される場合に比較して正面枠6014の正面側に被収容部材INBが張り出す長さを抑えることができる。これにより、遊技者に圧迫感を与えることなく、大型の被収容部材INBを配置することができる。
ここで、収容凹部INCの前後方向寸法は、遊技機ごとにそれほど寸法設定の自由が無い内枠12の幅寸法(例えば、約40mm〜60mm)以下に制限されるので、被収容部材INBの前後方向寸法を長くしたい場合(例えば、内枠12の幅寸法よりも長くしたい場合)、第1板部材310の延設板部312b又は連設板部314の配置を正面側に寄せることで対応することになる。この点において、本実施形態の構成は好適に作用する。
例えば、第1板部材310の延設板部312b又は連設板部314の配置を正面側に寄せることにより、流下装置6300に形成される内部流路を正面側(遊技者に近接する側)に配置することができる。これにより、遊技者に、より近い位置に配置された流路内で球を流下させることができるので、流下する球を遊技者に視認させることによる演出効果を高めることができる。
また、例えば、第1板部材310の延設板部312b又は連設板部314の配置を正面側に寄せることにより、流下装置6300の内部流路への入口(上部開口)を、上皿17の正面側縁に近接配置させることができる。即ち、上皿17へ球を供給する供給開口17gの反対側(上皿17を挟んで前後反対側)に流下装置6300の内部流路への入口が配置されるので、供給開口17gから上皿17へ供給された球がそのまま(直通で)流下装置6300の内部流路に流入することを、防止し易くすることができる。この場合、上皿17の前後幅を十分に利用して多くの球を上皿17に貯留することができる。
また、例えば、第1板部材310の延設板部312b又は連設板部314の配置を正面側に寄せることにより、本実施形態のように流下装置6300の下端から排出された球がパチンコ機10の下方に排出される箱(例えば、上述した千両箱)から球が溢れにくくすることができたり、パチンコ機10の下方に排出された球を遊技者が手で直接受ける場合に球をこぼさずに受け取り易くしたりすることができる。加えて、この受け取り易い位置に上下方向の最短経路(水平方向の流路長さが短い経路)で球を流下させることができるので、流下装置6300の内部流路に球が流入してからパチンコ機10の下方に排出されるまでの期間を短くすることができる。
従って、本実施形態によれば、流下装置6300を正面側に寄せることにより、上述した効果を奏しながら、被収容部材INBを収容する領域(例えば、第1板部材310の延設板部312b又は連設板部314の背面側であって、収容凹部INCの正面側の領域)を十分に確保することができる。
この場合において、被収容部材INBがスピーカーなどの音響装置であれば、流下装置6300を正面側に寄せるほど被収容部材INBの配置を正面側に寄せることができ、遊技者に音声を届けやすくすることができるので、音響装置の演出効果を向上させることができる。
収容凹部INCは、図40に示すように、供給開口17gよりも下側に配置される。即ち、収容凹部INCは、供給開口17gを挟んで遊技盤13の上下方向反対側(本実施形態では下側)に配置される。また、収容凹部INCは、制御基板ユニット91の正面側に配置される。次いで、収容凹部INC及び被収容部材INBの配置により生じる効果について説明する。
図41(a)及び図41(b)は、パチンコ機6010の上面図である。なお、図41(a)では、正面枠6014が外枠11に対して閉鎖された状態が図示され、図41(b)では、正面枠6014が外枠11に対して、内枠12(例えば、内枠12に固定された遊技盤13)を対象とした作業を作業者が行うことが可能な程度に開放された状態が図示される。
図41(a)及び図41(b)に示すように、被収容部材INBは、左右方向において、ヒンジ19が取り付けられる開閉軸に近接する側(左端位置付近)に配置される。そのため、正面枠6014を開放した場合であっても(図41(b)参照)、被収容部材INBの移動量が最小に抑えられると共に、作業者が内枠12を対象とした作業(例えば、発射装置の球詰まりを解消する作業や、エラーなどで大当たり中に誤って払い出されなかった賞球の補填として入賞口に手で球を入れる作業など)をするために進入する側(開閉軸の反対側)の空間を十分に空けることができる。従って、被収容部材INBが作業者の作業の邪魔となることを防止することができ、作業時間を短縮することができる。営業時間内で作業者が作業を行う場合、その作業時間外において遊技者が遊技を行うことになるので、作業者の作業時間を短縮することにより、結果的に、遊技者の遊技時間を確保することができる。
同時に、作業者が進入する側の反対側に被収容部材INBを配置することにより、作業者が内枠12を対象とした作業中に誤って被収容部材INBに触れてしまい、それが原因で被収容部材INBが故障することを防止することができる。
加えて、例えば、被収容部材INBが音響装置である場合、制御基板ユニット90と被収容部材INB(外枠11の背面側部分と正面枠6014の背面側部分)とを配線等により電気的に接続する必要があるところ、配線は、作業者が誤った処理を行うことで生じる断線のおそれを低くできることや、正面枠6014の開閉時の変形量を小さくすることで耐久性を向上できるという観点から、開閉軸側を経由させて這わせるのが望ましい。本実施形態では、被収容部材INBが開閉軸付近に配置されるので、開閉軸から遠く離れた位置に配置される場合に比較して、開閉軸まで延ばす配線の長さを短くすることができる。これにより、必要となる配線長さを短くすることができ、銅線などを使用する配線にかかる材料コストを低減することができる。
また、同じ大きさの被収容部材INBを配設するのであれば、開閉軸付近において被収容部材INBを配置する方が、開閉軸から遠い位置に配置する場合に比較して、被収容部材INBの変位量を小さくすることができるので、収容凹部INCの形成範囲を狭めることができる。従って、パチンコ機10のように、外形の大きさが規格化され、内部空間が限られている機械において、収容凹部INCの形成範囲を狭めつつ、被収容部材INBの大型化を最大限図ることができる。
図41に示すように、被収容部材INBは開閉軸付近に配置されると共に、被収容部材INBが遊技盤13や払出装置133よりも下方において内枠12と正面枠6014とを連通する領域に配置されることから(図40参照)、開閉軸付近において無理やり隙間を作り、その隙間にピアノ線等を通して、そのピアノ線等を遊技領域や払い出し装置133に到達させて、不正な利益を得ようとする不正行為を予防することができる。以下、これについて説明する。
このような不正行為を行う不正行為者は、例えば、下側のヒンジ19付近において正面枠6014と外枠11との間の隙間を広げる方向(矢印F−B方向)の負荷を加え、無理やり隙間を作り、その隙間にピアノ線を通し、パチンコ機6010の内部にピアノ線を進入させる(例えば、図40の矢印FIN参照)。
そして、例えば、ピアノ線の先端を遊技領域に案内し、ピアノ線を介して、第2入球口640に付随する電動役物640aを開放する側に力をかけ、不正に第2入球口640に球が入り易い状態を維持させたり、第1特定入賞口65aを開閉する開閉板を開閉する側に力をかけ、不正に第1特定入賞口65aに球が入り易い状態を維持させたりして、不正の賞球を獲得しようとする。
また、例えば、ピアノ線の先端を払出装置133の内部に案内し、払出装置133の内部機構を不正に操作して、不正の出玉を獲得しようとする。
これに対し、本実施形態によれば、被収容部材INBが、下側のヒンジ19付近において、正面枠6014の背面側から内枠12の内部へ張り出して配設される。そのため、不正行為者が、正面枠6014と内枠12との間においてピアノ線を進入させる経路を被収容部材INBにより埋めることができるので、ビアノ線の侵入を防止することができる。
加えて、被収容部材INBは開閉軸付近に配置されることから、正面枠6014の回転に伴う被収容部材INBの移動量が低減される。そのため、無理に負荷をかけられることにより、内枠12と正面枠6014との間に隙間が生じた場合であっても、被収容部材INBが、依然として内枠12と正面枠6014とを連通する領域を埋める位置に配置されており(図41(b)参照)、内枠12と正面枠6014との間に下側のヒンジ19付近において生じる隙間からのピアノ線の進入を防止することができる。
なお、図40の矢印FINは、ピアノ線の進入経路の一例を示すものであり、その進入経路は種々の態様が例示される。例えば、正面枠6014の背面側伝いにピアノ線の先端を上昇させ遊技盤13の正面側を目指す進入経路が考えられる。この場合、正面枠6014の背面側において正面枠6014に近接する範囲がピアノ線の経路となるので、正面枠6014の背面側において正面枠6014に近接する範囲の空間を埋めることが望ましい。これに対し、本実施形態によれば、被収容部材INBが正面枠6014の内部から、背面側へ突出する態様で配置されるので、正面枠6014の開閉の度合いに因らず、正面枠6014の背面側において正面枠6014に近接する範囲を被収容部材INBにより埋めることができる。従って、被収容部材INBにより、ピアノ線の進入を防止することができる。
また、開閉軸の径方向外側における収容凹部INCの右側側壁INCRの形状(矢印R側の側面の形状)は、被収容部材INBの移動軌跡を通る円弧であって、ヒンジ19に形成される開閉軸を中心軸とした円弧の内で最大径の円弧よりも、若干大きな円弧に沿った形状とされる。そのため、正面枠6014が開閉する際、被収容部材INBは右側側壁INCRと若干の寸法を空けた(例えば、1mm程度空けた)状態を維持しながら、右側側壁INCRと対向配置される。
従って、正面枠6014が閉鎖された状態(図41(a))において、右側側壁INCRと被収容部材INBとの間に形成される隙間に不正基板を隠された場合であっても、ホール店員などが正面枠6014を開閉動作した際に、被収容部材INBが不正基板に当接する(衝突する)ことになるので、困難無く不正基板の存在に気付くことができる。そのため、不正を見つけやすくすることができる。
なお、被収容部材INBと右側側壁INCRとの間の寸法を微少な長さ(例えば、0.1mm)とすることで、正面枠6014の開閉動作時に、被収容部材INBと右側側壁INCRとの位置関係を利用して、正面枠6014と内枠12との位置合わせを行うことができる。
なお、被収容部材INBの水平方向側面の上端部から壁が延設されることにより、上方に開口した容器上(例えば、カップ形状)に被収容部材INBの上面側が形成されても良い。この場合、正面枠6014を開放した状態(図41(b)参照)において(本実施形態では、この状態において、被収容部材INBの背面側先端部が収容凹部INCの内部に配置される。即ち、被収容部材INBにより、正面枠6014と、外枠11とが上面視で連結される。そのような状態において)、被収容部材INBの上面に球が落下した場合であっても、その球を被収容部材INBの上面に留めることができるので、開閉軸付近においてこぼれた球がパチンコ機6010の下方に落ちることを防止することができる。これにより、球こぼれにより作業者の作業が長期化することを防止することができる。
また、被収容部材INBの上面は、柔軟な部材から形成されても良い。この場合、被収容部材INBの上面に落下した球の跳ね返り高さを低くすることができるので、球を被収容部材INBの上面に留め易くすることができる。
なお、本実施形態では、被収容部材INBが開閉軸付近、即ち、球発射ユニット112aよりも開閉軸側に配置されることから、球発射ユニット112aから発射された球の内、発射強度が不十分で遊技領域に入らなかった球(所謂、「ファール球」)を被収容部材INBで受けとめることができる。
一方で、被収容部材INBが球発射ユニット112aを基準として開閉軸から離れた側(右側)に配置されても良い。この場合、「ファール球」が被収容部材INBと衝突することを防止することができる。
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
上記各実施形態において、一の実施形態における構成の一部または全部を、他の実施形態における構成の一部または全部の構成と組み合わせて或いは置き換えて、別の実施形態としても良い。
上記各実施形態では、球被覆面17a2が上皿17の内面の外方に配設される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、球被覆面17a2が上皿17の内面の内方へ張り出し可能な可動板から形成され、その張り出した部分の上面が正面視で右側へ向かうにつれて下降傾斜する形状から形成されても良い。この場合、上皿17の上方から供給された球の内、張り出した球被覆面17a2に着地した球は、球被覆面17a2の上面の傾斜に沿って正面視右方へ流される。これにより、球被覆面17a2の上方から落下した球が解除部材340の背面側に着地することを抑制することができ、その球の上皿17の底面への着地位置を、解除部材340の配置位置よりも下流側にすることができる。従って、例えば、遊技者が手づかみで上皿17に球を供給した場合、その供給された球が解除部材340の背面側に着地し、解除部材に負荷を与える可能性を低減することができる。なお、可動板で形成する場合に限られるものでは無く、球被覆面17a2が上皿17の内面の内方へ張り出した固定板により形成されても良い。
この場合において、例えば、内方へ張り出される球被覆面17a2の下面と、上皿17の上面との間隔が、球の直径よりも若干長い寸法で設定されても良い。この場合、球被覆面17a2の下側に球が侵入する際に、球の積層を解除することができる。そのため、球被覆面17a2の下側に球が縦に積まれた(積層された)状態で侵入することを防止することができる。これにより、解除部材340に向かう球が縦に積層していることにより解除部材340に到達できないという不具合を防止することができる。
上記各実施形態では、下皿15に球を供給する供給開口15bが配設され、その供給開口15bを通って分岐流路から球が下皿15に供給される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、下皿15への球の供給を流下装置300からの供給で行い、供給開口15b、分岐流路の形成を省略しても良い。この場合、分岐流路および供給開口15bが配設されていたスペースを他の用途に利用することができる。例えば、大型のスピーカーボックス等を配設するスペースとして利用することができる。
上記各実施形態では、解除部材340の状態変化が、球からの負荷により自動で生じる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、遊技者が操作部を操作することに伴い、解除部材340の状態が変化するようにしても良い。
例えば、手動操作部がバネ弾性力により初期位置へ向けて付勢され遊技者の操作がその付勢の方向と逆方向に行われる場合において、手動操作部を操作していない時には球が解除部材340に到達することが規制される一方で、手動操作部を操作した時には、手動操作部の上流側に球が配置されていれば、その球が解除部材340に到達(流入)するようにしても良い。この場合、手動操作部を遊技者が操作したとしても、手動操作部の上流側に球が配置されていなければ、球は解除部材340に到達(流入)しないので、操作解除により元の状態に戻すことができる。
加えて、手動操作部の操作を解除することにより、初期位置に復帰した手動操作部が球を押し出し、その押し出し負荷が解除部材340に与えられ、解除部材340が変位する位置関係で、手動操作部が配設されても良い。この場合、上皿17に貯留される球の状態(個数)によって、手動操作部の操作により上皿17から球が排出される場合と、排出が規制される場合とを形成することができる。
上記各実施形態では、供給開口17gは、前後方向に開口され、上面視において解除部材340よりも左方(上流側の一部)に配設されると共に、供給開口17gが排出方向N1に沿って排出される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものでは無い。例えば、供給開口17gが上面視において解除部材340の右方(下流側)に配設されても良いし、供給開口17gが正面視で解除部材340と左右方向で一致する位置に配設され、供給開口17gから排出される球が上皿17の下流側(球発射ユニット112a側)に斜めに排出されても良い。この場合、供給開口17gから排出された球は解除部材340に近接することなく上皿17を流下するので、供給開口17gから排出された球が勢い良く解除部材340に衝突することを防止することができる。なお、供給開口17gの位置と、球の排出方向の向きとは、このほかにも様々な組み合わせが許容される。
上記各実施形態では、傾倒部材330の本体枠331aの下端部と第1板部材310の天板部312aの抵抗凹設部312a1との当接による摩擦抵抗が、傾倒部材330の動作方向に因らず生じる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものでは無い。例えば、天板部312aの上面から一部が張り出す態様で動作方向により動作抵抗が変化する装置(例えば、ラチェットやワンウェイギアを利用した装置)を配設しても良い。その装置を、傾倒部材330の傾倒時には傾倒部材330に与える抵抗が小さく、傾倒部材330の復帰動作時には傾倒部材330に与える抵抗が大きくなる態様(向き)で、傾倒部材330と当接可能に配設することで、傾倒時は傾倒部材330の動作をスムーズにしながら、復帰動作時には傾倒部材330の動作を緩慢にすることができる。
また、傾倒部材330を付勢するダンパを配設しても良い。このとき、傾倒時(高速動作時)に生じる抵抗は小さく、復帰動作時(低速動作時)に生じる抵抗は大きくなる構造のダンパを傾倒部材330及び第1板部材310と連結し、ダンパから生じる抵抗を傾倒部材330の動作抵抗としてかけることにより、傾倒時は傾倒部材330の動作をスムーズにしながら、復帰動作時には傾倒部材330の動作を緩慢にすることができる。
また、抵抗凹設部312a1に当接する傾倒部材330の本体枠331aの下端部分が、出没動作可能な可動部として傾倒部材330に配設されても良い。即ち、突出状態では、抵抗凹設部312a1と当接する一方、没入状態では、抵抗凹設部312a1から間隔を空ける可動部として傾倒部材330に配設されても良い。この場合、その可動部が、規定個数以上の球が傾倒部材330に乗っている時に突出し、それ以外の場合に没入する構成とすることで、傾倒部材330の傾倒時には抵抗凹設部312a1との間で摩擦を生じさせ、復帰時(傾倒部材330の上面から球が流下した後)には、抵抗凹設部312a1との間で摩擦を生じないものとすることができる。
この場合において、球が軸棒部332の軸方向のどの位置に配置されるかにより、可動部の出没の態様が変化するように構成しても良い。これにより、例えば、傾倒部材330の傾倒開始時に傾倒部材330の上面に乗っている球の配置により、抵抗凹設部312a1と傾倒部材330との間で生じる摩擦力の大きさを変化させることができる。
また、抵抗凹設部312a1と当接可能とされる可動部の出没は、傾倒部材330に乗る球により行われる場合に限られない。例えば、傾倒部材330の周囲で可動とされる可動部(例えば、第2実施形態における移動部材2350)の状態の違いにより、抵抗凹設部312a1と当接可能とされる可動部の出没動作がおこなわれるものとしても良い。
上記各実施形態では、上皿17の底板の上端位置付近(左端付近)に配置された球が開口部17aを通して上皿17の外部に排出される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものでは無い。例えば、上皿17の左端付近(供給開口17gよりも左方)に縦長の凹み(中皿)を設けて、その凹みの下端に傾倒部材330と同様の機構が配設されることで、凹みに所定個数以上の球が貯留される度に球が排出される構造としても良い。この場合、凹みに、上皿17の上面視の広さに限定されることなく球を貯留させることができ(球を縦に積むことができ)、傾倒部材330の動作により多くの球を排出することができる。
上記各実施形態では、傾倒部材330の背面側端部において湾曲部331dが傾倒部材330の軸方向に亘って形成され、傾倒部材330が回転することにより上端位置が上昇する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものでは無い。例えば、湾曲部331dが傾倒部材330の軸方向に沿った一部の領域(例えば、一方の軸側の領域)にのみ配置され、その他の領域は軸側に若干窪む構成とされ、傾倒部材330の傾倒により、一部の領域は上昇する一方で、その他の領域の上端位置は維持される(上昇しない)ようにしても良い。この場合、傾倒部材330の傾倒時に、一部の領域から傾倒部材330の上面に球が流入することを防止できると共に、その他の領域からは傾倒部材330の上面に球が流入することを許容することができる。
これにより、傾倒部材330の背面側からの球の流入の度合い(傾倒部材330の傾倒時に球を流入させるか否か)を設定することができる。例えば、一部の領域を極めて狭くし、傾倒部材330の背面側の部分のほとんどを、その他の領域(上端位置が上昇しない領域)として形成する場合、傾倒部材330の傾倒時において橋渡し球貯留領域17eに貯留されていた球もまとめて傾倒部材330の上面に流入させることができる。従って、傾倒部材330が一回傾倒する際に流下させる球の個数を、橋渡し球貯留領域17eに貯留される球の個数分増加させることができる。
上記各実施形態では、傾倒部材330の傾倒前の状態において、傾倒部材330の上面に乗った球の一部が解除部材340と当接可能な場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものでは無い。例えば、球被覆面17a2の下方かつ傾倒前の傾倒部材330の上方の位置に配設される仕切板により、隙間が球の直径未満とされても良い。この場合、傾倒部材330の傾倒前の状態において球被覆面17a2の下方を球が通過することを仕切板により防止することができるので、傾倒部材330の傾倒前の状態において球が解除部材340と当接することを防止することができる。従って、解除部材340が球の衝突で回転することを防止できるので、純粋に、傾倒部材330に乗る球の重さにより傾倒部材330が傾倒するか、否かを規定することができる。
上記各実施形態では、傾倒部材330が傾倒する前の状態において、解除部材340に負荷を与える球が75個貯留されていないと、解除部材340が回転開始しない角度(水平面に対して1度程度)で傾倒部材330の上面が形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、水平面に対する、傾倒部材330の上面の傾倒前の前後方向に向いた角度が15度程度に設定されても良い。この場合、解除部材340に負荷を与える球を6個程度貯留させることにより、解除部材340を回転開始させることができる。
上記各実施形態では、傾倒部材330が許容状態と規制状態とで状態が変化する際に、傾倒部材330の上面の傾斜角度が変化する場合(規制状態では1°で、許容状態では15°である場合)について説明したが、必ずしもこれに限られるものでは無い。例えば、傾倒部材330の状態変化時に、傾倒部材330が、傾倒動作と共に、上下方向にスライド動作を行う態様とされ(例えば、軸棒部332を上下に移動可能な態様で支持するように、第2支持凹部17cが変位可能な部分として構成され)、そのスライド方向の移動量により、傾倒部材330と解除部材340との間に球の直径より大きな間隔を形成するものとしても良い。この場合、規制状態において、許容状態よりも、水平面に対する傾斜角度が小さくされても良いし、規制状態と許容状態とで水平面に対する傾斜角度が同じとされても良い。
上記各実施形態では、球の払い出しが行われる際に、払出モータ216が一定速度で動作する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものでは無い。例えば、払い出しの速度を、現状のラウンド数(第1特定入賞口65aの開閉動作が何回行われたか)に因り変化させても良い。
例えば、奇数ラウンドでは、払出モータ216が毎秒1個の払出速度で動作し、偶数ラウンドでは、払出モータ216が毎秒10個の払出速度で動作する態様としても良い。この場合、奇数ラウンドの払い出し時に比較して、偶数ラウンドの払い出し時の方が、傾倒部材330に球が貯まる速度が速くされると共に、傾倒部材330の傾倒動作の頻度が高くなる。即ち、どのラウンドの払い出しなのかによって、傾倒部材330が傾倒動作する頻度を変化させることができ、流下装置300の内部流路を球が流下する頻度を変化させることができる。
上記第2実施形態では、解除部材340の回転を規制板2353で規制することにより球の排出を防止可能な場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、解除部材340の回転は許容しながら、規制板が傾倒部材330を下支えする態様で挿入されることで傾倒部材330の回転を規制するようにしても良い。
また、上皿2017の正面側内面に沿ってスライド可能な仕切板が配設され、その仕切板を球案内天面17a1の背面側から球被覆面17a2の背面側へスライド移動させることにより、球と解除部材340との間を仕切板で遮蔽するようにしても良い。この場合、球が解除部材340に当接することを防止できるので、解除部材340に負荷がかけられることを回避することができる。
上記第2実施形態では、開口部17aの球が通過可能な領域の大きさを変化させることで、開口部17aから排出される球の個数を変化させる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、解除部材340に負荷を与える球の位置を、傾倒部材330の幅方向で変化可能としても良い。即ち、解除部材340の当接板部342が傾倒部材330の幅方向全領域に配置され、解除部材340に球を案内可能な球被覆面17a2に対応する部分(球案内開口)が傾倒部材330の幅方向に移動可能に構成しても良い。この場合、第2実施形態のように傾倒部材330の上流側端部に配置される球が解除部材340に当接する場合に比較して、傾倒部材330の下流側端部に配置される球が解除部材340に当接して解除部材を回転させる場合(このとき、後追い球貯留領域17fに球が満たされる前に解除部材340を回転させるのに十分な負荷が解除部材340に生じる)の方が、傾倒部材330が回転することに伴いまとまって排出される球の個数を少なくすることができる。これにより、遊技者は、遊技状態に応じて球の排出個数を調整することができる。
一方で、傾倒部材330が回転し球が排出された時、上皿2017に残留される球は、発射球貯留領域17d及び橋渡し球貯留領域17eに配置される球であり、解除部材340に当接する球の位置によらず同じとされる。従って、傾倒部材330の回転によりまとまって排出される球の個数を変化させながら、排出後に上皿2017に残留する球の個数が変化することを防止することができる。これにより、流下装置300を利用した球の排出演出の演出効果を遊技者に選択させながら、その選択によらず、上皿2017に残る球が過度に減少することを防止することができる。
上記第2実施形態では、第1遮蔽板2351及び第2遮蔽板2352を背面側位置に配置することにより、第1遮蔽板2351及び第2遮蔽板2352で傾倒部材330の上面を部分的に覆う場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、傾倒部材330の全範囲を遮蔽板2351,2352で覆うように構成しても良い。この場合、傾倒部材330及び解除部材340が許容状態となっても遮蔽板2351,2352の上に球を留めておくことができるので、開口部17aからの球の排出を防止することができる。
上記第2実施形態では、傾倒部材330の上方に貯留される球を排出する際、開口部17aの一部の範囲から球が排出されることを防止することにより球の排出態様を変化させる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、発射球貯留領域17dの上面の内、開口部17aの下流側(正面視右側)に隣り合う部分に、前後方向に延びる軸を中心として開口部17a側に傾倒する態様で状態変化可能な可動床を配設しても良い。この場合、可動床の傾倒角度により、可動床に乗る球が開口部17aを通して排出されるか否かを切り替えることができる。即ち、第2実施形態と同様に可動床が開口部17aから遠ざかるほど下降傾斜する状態では、傾倒部材330が回転し球が排出され始めたとしても可動床の上面に配置される球が開口部17aに流入することは無いが、一方で、可動床が開口部17aへ向けて下降傾斜する状態では、傾倒部材330が回転し球が排出され始めることに伴い可動床の上面に配置される球が開口部17aに流入するので、可動床付近において開口部17aを通過する球の個数(密度)が増加する。従って、傾倒部材330の下流側(正面視右側)に配置される可動床の状態により、傾倒部材330が回転することに伴い排出される球の流下態様を変化させることができる。
なお、可動床は、傾倒部材330の下流側に配設するものに限られない。例えば、傾倒部材330の上流側である後追い球貯留領域17fに可動床が配設されても良い。この場合、可動床の傾斜角度により、後追い球貯留領域17fに貯留された球から傾倒部材330の上面に配置された球へ与える負荷の大きさを変化させることができるので、傾倒部材330及び解除部材340が許容状態となる時に後追い球貯留領域17fに貯留される球の個数を変化させることができる。
上記第2実施形態では、上皿2017に貯留される球の個数が所定個数(例えば、MAX個)となることにより、傾倒部材330及び解除部材340が許容状態に状態変化し上皿2017から球が排出される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、球の排出の開始は、球抜きレバー52を操作して下皿15から球を排出するのと同じように、上皿2017に配設される球抜きレバーを遊技者が操作することにより開口部17aを通して球が上皿2017から排出されるようにしても良い。この場合、遮蔽板2351,2352の配置により開口部17aの開口広さを変化させることができるので、球抜きレバーの動作量を調整しなくとも(二値的な開閉動作をするだけで)、球の排出流量を変化させることができる。
上記第2実施形態では、順序規定装置400を配設し、傾倒部材300と解除部材340との動作順序を規定することで、傾倒部材330の復帰動作時に解除部材340との間で生じる摩擦が解消される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、傾倒部材330又は解除部材340の少なくとも一方の形状を変化させることにより、当接時の摩擦を低減するようにしても良い。
この場合において、例えば、解除部材340の係合凸部345と同じ役割の部材であって、前後および上下方向に沿った方向にスライド移動可能な態様で段違い板部344に支持されるスライド係合部材を備え、そのスライド係合部材は、傾倒部材330が上から当たる(スライド係合部材にのしかかる態様で当接する)場合には段違い板部344に対して固定される一方、傾倒部材330が下から当たる(スライド係合部材を押し上げる態様で当接する)場合には段違い板部344に対して滑らかに移動可能な態様で、案内支持されても良い(例えば、軸棒部341の軸方向視で軸棒部341に近づくほど当接板部342から離間する方向に傾斜する案内溝にスライド係合部材が支持され、軸棒部341から径方向に最も離れた位置にスライド係合部材が配置された状態で規制状態を形成する(解除部材340に固定される)態様)。これによれば、傾倒部材330がスライド係合部材に当接する方向が下向きである場合に比較して、上向きである場合の方が、スライド係合部材の段違い板部344に対する動作抵抗(摩擦抵抗)を小さくすることができるので、解除部材340から傾倒部材330に与えられる負荷により生じる摩擦抵抗により傾倒部材330が復帰途中で止まるという不具合を解消することができる。
また、例えば、解除部材340が軸棒部341の軸方向に若干移動可能とされ、バネで軸方向の一端側に支持される場合において、解除部材340の傾倒部材330と当接する解除部材側当接部の一個あたりが軸方向の移動距離よりも短い幅で形成され、解除部材側当接部の下端面は軸方向に沿って一端側から他端側へ向かうにつれて下降傾斜する一方で、上端面は軸径方向に凹設される形状とされ、傾倒部材330の一部であって解除部材340と当接する傾倒部材側当接部は、軸方向で解除部材側当接部と対応する位置に配設されると共に、解除部材側当接部と同程度の幅で形成されるようにしても良い。この場合、傾倒部材330が解除部材340に下側から当接する場合(傾倒部材330の復帰時)には、解除部材側当接部の下端面の傾斜により解除部材340が軸方向他端側に移動し押しのけられることで、解除部材340を回転させることなく傾倒部材330を復帰させることができ、傾倒部材330の復帰後は、バネにより解除部材340を軸方向一端側へ戻すことで傾倒部材330及び解除部材340の当接部同士の軸方向位置を戻すことができる。一方で、傾倒部材330が解除部材340に上側から当接する場合(傾倒部材330の傾倒時)には、解除部材側当接部の上端面の凹設部分に傾倒部材側当接部が入ることにより解除部材340を回転させながら(解除部材340から回転方向の負荷を受けながら)傾倒部材330を回転させる態様とすることができる。従って、解除部材340の回転方向の負荷により傾倒部材330の傾倒開始に必要な球の個数を多くしながら、傾倒部材330の復帰時に解除部材340から傾倒部材330に与えられる負荷により生じる摩擦抵抗により傾倒部材330が復帰途中で止まるという不具合を解消することができる。
また、例えば、傾倒部材330の係合部333bと同様の角度で傾倒部材330の先端部から出没する出没板が傾倒部材に配設され、その出没板は、傾倒部材330の下流側(1列目)に球が配置されることで突出状態(解除部材340の係合凸部345と当接する状態)とされ、傾倒部材330の傾倒時に1列目の球が無くなることにより没入状態(解除部材340の係合凸部345と当接しない状態)とされるように構成しても良い(例えば、傾倒部材330の復帰前の状態において鉛直方向を向く軸棒で軸支される板部材が傾倒部材330に軸支され、傾倒部材330の傾倒時には軸方向が水平方向成分を含むことから、重心の位置が軸に対して出没板を没入させる位置に配置される構成としても良い)。この場合、傾倒部材330が傾倒した後で球が流れ落ちることに伴い、傾倒部材330が復帰する前に出没板が没入状態となるので、解除部材340から傾倒部材330が負荷を受ける事態を回避することができる。一方で、傾倒部材330が起き上がり球が貯まっていくと(下流側一列目に球が貯まると)出没板は解除部材340と当接する位置まで張り出すので、傾倒部材330を傾倒開始させるために必要な球の個数を解除部材340の負荷により増大させることができる。従って、解除部材340の回転方向の負荷により傾倒部材330の傾倒開始に必要な球の個数を多くしながら、傾倒部材330の復帰時に解除部材340から傾倒部材330に与えられる負荷により生じる摩擦抵抗により傾倒部材330が復帰途中で止まるという不具合を解消することができる。
上記第2実施形態では、順序規定装置400により、傾倒部材330の復帰が完了してから解除部材340が傾倒部材330に近接する側に回転を開始するように動作順序が規定される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、解除部材340の復帰が完了してから傾倒部材330の復帰が開始するように、順序規定装置400が構成されても良い(各固着部材410,420の配設角度の変更により構成することができる)。この場合、解除部材340が復帰を完了する前(例えば、流下する球に衝突し、復帰しきらない状態)では、傾倒部材330が傾倒した姿勢を維持するので、開口部17aからの球の排出期間を確保することができる。
上記第2実施形態では、移動部材2350の規制板2353により解除部材340の回転を規制し、球の排出を規制する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、移動部材2350の配置を背面側寄りに変えることにより、傾倒部材330の傾倒時の傾斜角度を変更可能に構成しても良い。この場合、移動部材2350の配置を変えることにより、傾倒部材330の上面を流下する球の流下速度を変化させることができ、それに伴い、開口部17aを通過する球の流量を変化させることができる。
例えば、各遮蔽板2351,2352が正面側位置に配置された場合よりも、背面側位置に配置された場合に、規制板2353を適した配置にすることで、傾倒部材330の傾倒時の傾斜角度を大きくする態様で構成することにより、各遮蔽板2351,2352が背面側に配置された状態における傾倒部材330の上面を流下して開口部17aから排出される球の排出流量が過度に小さくなることを防止することができる。
上記第2実施形態では、各遮蔽板2351,2352が正面側から背面側へ向けてスライド動作する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、部材のスライドする方向は、自由に設定することが可能であって、その移動態様も自由に設定することが可能である。例えば、直線的にスライド移動するものでも良いし、鉛直方向を向く回転軸を中心に回転動作するものでも良い。
上記第2実施形態では、各遮蔽板2351,2352が正面側に配置される場合に比較して、各遮蔽板2351,2352が背面側に配置される場合の方が、開口部17aを通して排出される球の配置が上皿2017の上流側(左側)に寄る場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、開口部17aの下流側に外れた位置(右側、発射球貯留領域17dの左端付近)に、各遮蔽板2351,2352が配設され、その上面が左方へ向けて下降傾斜する態様とされても良い。この場合、各遮蔽板2351,2352が正面側に配置される場合に開口部17aの下流側に外れた位置に貯留された球は、傾倒部材330の状態によらず発射球貯留領域17dの上面の傾斜に沿って発射供給口17kへ向けて流下する一方で、各遮蔽板2351,2352が背面側に配置される場合に開口部17aの下流側に外れた位置に貯留された球は、傾倒部材330が傾倒することに伴い、各遮蔽板2351,2352の上面の傾斜に沿って開口部17aへ向けて流下する。即ち、各遮蔽板2351,2352が正面側に配置される場合に比較して、各遮蔽板2351,2352が背面側に配置される場合の方が、開口部17aを通して排出される球の配置を上皿2017の下流側(右側)に寄せることができる。これにより、開口部17aの下流側に外れた位置からも開口部17aを通る球を開口部17aに案内できるので、傾倒部材330が傾倒することに伴い、開口部17aを通して流下する球の個数を増加させることができる(傾倒部材330の上面と、開口部17aの上流側に配置される後追い球貯留領域17fと、に貯留される球の上限個数以上の球を流下させることができる)。
上記第2実施形態では、球の直径(2×ra)よりも若干長い幅で延設される延設溝2017hが傾倒部材330の下流側に配設される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、傾倒部材330の背面側(橋渡し球貯留領域17eの一部)に配設されても良い。この場合、傾倒部材330の上面で球の正面側への流下を規制せずとも、延設溝2017hにより、橋渡し球貯留領域17eに貯留された球が正面側へ流下することを規制することができる。また、延設溝2017hに貯留される球の個数が一定個数を越えた後で延設溝2017hに球が到達した場合は、既に延設溝2017hに貯留されている球の上伝いに球を正面側へ流すことができる。
上記第3実施形態では、傾倒部材330が傾倒することにより棒状の昇降部材510が上昇することにより、球の流下経路を規定する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、傾倒部材330又は解除部材340の動作に伴い、リンクなどの伝達機構で連動して上皿17の内部に出没する出没部材により球の流下経路を規定しても良い。
例えば、傾倒部材330が傾倒することに伴い後追い球貯留領域17fと傾倒部材330との境界面に沿って板状の出没部材が突出する態様とすると、傾倒部材330上に配置されていた球が排出される時には後追い球貯留領域17fに配置された球が傾倒部材330に流入することが出没部材により規制され、傾倒部材330が再度起き上がり出没部材が没入した後で、後追い球貯留領域17fに配置されていた球が傾倒部材330上に流入するようにすることができる。従って、傾倒部材330上に配置される球の排出タイミングと、後追い球貯留領域17fに配置される球の排出タイミングとを分けることができるので、上皿17の形状を変えることなく、一度の傾倒部材330の傾倒で排出される球の個数を少なくすることができる。
また、出没部材は、橋渡し球貯留領域17eと傾倒部材330との境界面に沿って突出する態様で配置されても良い。この場合、傾倒部材330の傾倒時に橋渡し球貯留領域17eから傾倒部材330の上面へ球が流入することを防止することができる。
例えば、橋渡し球貯留領域17eを構成する床部分であって、傾倒部材330に近接する部分である近接床部分が、上下に昇降可能な構成とされ、近接床部分は傾倒部材330とリンクなどの伝達装置で連結され、傾倒部材330の傾倒動作に伴って近接床部分が昇降動作する態様としても良い。このとき、傾倒部材330が傾倒動作することにより近接床部分が傾倒部材330の上面から球の半径ra以上の長さ下降する態様とすることで、傾倒部材330の傾倒前においては、近接床部分と傾倒部材330の上面との高低差を抑え、ある程度のバウンドや、貯留球同士の押し合いによる、橋渡し球貯留領域17eから傾倒部材330の上面への球の流入を可能としながら、傾倒部材330の傾倒後においては、橋渡し球貯留領域17eから傾倒部材330への球の流入を防止し易くすることができる。なお、近接床部分の動作方向は、昇降動作に限るものでは無い。例えば、水平方向にスライド移動する態様でも良い。
例えば、傾倒部材330が傾倒する前は傾倒部材330の上面を延設方向で半分に区切る態様で傾倒部材330の上面から上方へ板状の出没部材が張り出され、その出没部材は傾倒部材330が傾倒することに伴い傾倒部材330の上面から下方へ退避する態様とすると、傾倒部材330に球が貯留されていく途中は出没部材により球の流下経路を規定できる一方、傾倒部材330が傾倒され球が排出される時には、出没部材は退避し、球と当たらないので、出没部材により球の流下抵抗が増加することを防止できる。
上記第4実施形態では、枠外延設部4337が湾曲部331dに沿って延設される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、枠外延設部4337が軸棒部332の軸方向に沿って延設される態様でも良い。この場合、橋渡し球貯留領域17eの左右方向に対する傾斜との関係により、湾曲部331dの最上端部と橋渡し球貯留領域17eの上面との間の高さ方向距離の方が、枠外延設部4337の最上端部と橋渡し球貯留領域17eの上面との間の高さ方向距離よりも長くなる。これにより、傾倒部材4330の傾倒時において、湾曲部331dを越えて正面側に球が流入する場合に比較して、枠外延設部4337を越えて正面側に球が流入する場合の方が、小さな負荷で球が流入する態様とすることができる。
上記第6実施形態では、正面枠6014を閉鎖した状態から、正面枠6014を開放するにつれて、開閉軸に近接する側において回転方向で互いに対向配置される被収容部材INB及び収容凹部INCの側面の離間幅が大きくなる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、被収容部材INB及び収容凹部INCの側面に両端が貼り付けられ、両部材の間に形成される隙間を埋める態様で回転方向に変形自在に配設される被覆部材を備えても良い。この場合、正面枠6014を開放した状態においても、被覆部材により被収容部材INB及び収容凹部INCの間の隙間を埋めることができるので、被覆部材によりピアノ線などの進入を防止することができる。なお、被覆部材の材料は、何ら限定されるものでは無い。例えば、布などの繊維部材でも良いし、低弾性の樹脂部材でも良い。
上記第6実施形態では、正面枠に被収容部材INBが固定される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、内枠12に被収容部材INBが固定され、正面枠6014側に突出し、正面枠6014に被収容部材INBを受け入れる開口部が配置されても良い。この場合、正面枠6014の開閉時に、被収容部材INBが変位することを防止することができる。
上記第6実施形態では、第1板部材310の案内板部312が孔の無い板形状で構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、案内板部312がパンチングメタルのように複数の貫通孔を有する態様で構成されても良い。ここで、被収容部材INBがスピーカー等の音響装置から構成される場合に、音響装置から発生する振動波を貫通孔伝いに第1板部材310及び第2板部材320の内部流路へ入れることができる。これにより、内部流路を流下する球の流下態様を、音響装置から発生する振動波の態様により変化させることができる。例えば、スピーカーの右半分(例えば、右半分のスピーカーユニット)から音を出す場合と、左半分から音を出す場合とで、遊技者が聞き取れる音の違いを抑制しながら、内部流路を流下する球への影響は左右で明確に変えることができる。従って、例えば、大当たり期待度が小さな演出(例えば、大当たりになる確率が10%以下の演出)の際には、スピーカーの右半分から音を出し、大当たり期待度が大きな演出(例えば、大当たりになる確率が60%以上の演出)の際には、スピーカーの左半分から音を出し、それ以外の演出では、スピーカーの左右両方から音を出すようにすることで、遊技者が聞き取れる音の違いを抑制しながら、大当たり期待度の違いと、第1板部材310及び第2板部材320の内部流路を流下する球の流下態様とを対応付けることができる。これにより、第1板部材310及び第2板部材320の内部流路を流下する球の流下態様に注目させることができる。
上記第6実施形態では、流下装置6300の内部流路が上下方向に延設され、その背面側に被収容部材INBが配置される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、流下装置6300の内部流路がパチンコ機10の左右方向中心位置へ向けて水平方向に沿って延設され、その延設端においてパチンコ機10の左右方向中心位置付近で上下方向に延設される一方で、被収容部材INBは、正面枠6014の開閉軸付近に配設されるものとしても良い。この場合、被収容部材INBの正面側端部の配置が流下装置6300に規制されることなく、内部流路の左側を越えて正面側へ張り出して配置することができる。従って、被収容部材INBの背面側部分は収容凹部INCに収容させながら、被収容部材INBの正面側部分を遊技者に近い位置に配置することができる。これにより、被収容部材INBの前後長さが長くても、最大限対応することができると共に、内部流路を流下する球を目出たせることができる。
上記第6実施形態では、被収容部材INBが一箇所に配置される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、被収容部材INBが正面枠6014の複数箇所から内枠12側へ突出する態様で構成されても良い。この場合、被収容部材INBと収容凹部INCとによる位置決めを複数箇所で行うことができるので、正面枠6014と内枠12との位置決め精度を高めることができると共に、位置決めのみを目的として正面枠6014から内枠12側へ突出する嵌合突起の形成を省略することができる。
本発明を上記各実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施してもよい。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施してもよい。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるパチンコ機として実施してもよい。また、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有し、その特別領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機に実施してもよい。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する表示装置を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動表示が停止して確定表示され、その停止時の識別情報の組合せが特定のものであることを必要条件として、遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。かかる遊技機をスロットマシンに代えて使用すれば、遊技ホールでは球のみを遊技価値として取り扱うことができるため、パチンコ機とスロットマシンとが混在している現在の遊技ホールにおいてみられる、遊技価値たるメダルと球との別個の取扱による設備上の負担や遊技機設置個所の制約といった問題を解消し得る。
以下に、本発明の遊技機に加えて上述した実施形態に含まれる各種発明の概念を示す。
<所定個数の球の負荷で傾倒部材330を開放可能とするポイント。>
球を貯留可能な貯留部と、その貯留部に球を供給する供給手段と、球が通過可能な開口として前記貯留部に形成される球排出開口と、を備える遊技機において、前記球排出開口を球が通過することを規制する規制状態と、前記球排出開口を球が通過することを許容する許容状態とで状態変化可能に構成されると共に、前記規制状態から前記許容状態に状態変化した後、所定期間内に前記球排出開口から排出される球の個数を規定範囲個数ずつに制限する規定球抜き手段、を備えることを特徴とする遊技機A1。
パチンコ機等の遊技機において、払い出し装置から払い出された球であって、発射前の球を上皿に貯留し、その貯留した球を球排出開口から下方へ流下可能な遊技機がある(例えば特開2009−000309号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、上皿からの球の排出タイミング(球の貯まり具合)により、排出される球の個数が一定では無いため、球抜きのタイミングに神経を使う必要があり、遊技者が遊技に集中することの妨げとなるという問題点があった。
これに対し、遊技機A1によれば、規定球抜き手段により、遊技者が神経を使わずとも、供給手段から払い出された球を球排出開口から規定範囲個数ずつ排出可能とされるので、遊技者が遊技に集中し易くすることができる。
ここで、規定範囲個数とは、範囲を持った個数を意味する。例えば、規定範囲個数を10個以上と指定する場合、9個未満は、規定範囲個数から除かれる。例えば、規定範囲個数を10個以上15個未満または20個以上と指定する場合、9個未満および15個以上19個未満は、規定範囲個数から除かれる。
なお、規定範囲個数ずつ球を排出可能な態様は、何ら限定されるものでは無い。例えば、球排出開口の上流側に規定範囲個数の球が貯留されるまで球排出開口の球の通過を規定球抜き手段が規制し、球排出開口の上流側に規定範囲個数の球が貯留されることに伴いその規制が自動で解除される態様でも良いし、遊技者が規定球抜き手段を操作した際に規定範囲個数の球が球排出開口の上流側に配置されているか否かにより規定球抜き手段の挙動が変化する態様でも良い。
なお、貯留部の態様は何ら限定されるものでは無い。例えば、払出装置から球が供給される上皿でも良いし、千両箱の真上に配置される下皿でも良いし、上皿と下皿との間に配置される第3の皿でも良い。
遊技機A1において、前記規定球抜き手段は、前記球排出開口の上流側に配置され前記規定球抜き手段により流下を規制される球である被規制球の個数が規定範囲個数となった後で、許容状態に状態変化可能とされることを特徴とする遊技機A2。
遊技機A2によれば、遊技機A1の奏する効果に加え、球排出開口を球が通過可能か、通過不可能かを切り替える規定球抜き手段が、規制状態から許容状態へ切り替えられる際には、規定球抜き手段により規定範囲個数の被規制球が球排出開口の上流側に滞留していることとなるので、規定球抜き手段が許容状態へ切り替えられることに伴い、球排出開口の上流側に滞留していた被規制球を一度に排出することができる。これにより、規定球抜き手段が許容状態とされた場合に、不十分な量(規定範囲個数未満の量)の球が球排出手段から排出されるという不具合を防止することができる。
遊技機A2において、前記貯留部に供給された球を発射装置に案内する発射供給口を備え、前記規定球抜き手段は、前記発射供給口よりも上流側に配置され、前記被規制球から与えられる負荷であって、前記発射供給口の逆側に貯留される球から生じる負荷により、前記許容状態へ切り替えられることを特徴とする遊技機A3。
遊技機A3によれば、遊技機A2の奏する効果に加え、貯留部に供給される球からの負荷で規定球抜き手段の状態が切り替えられることから遊技者の操作を不要とできる(自動開放にできる)ので、手動で球を排出する煩わしさから遊技者を開放できると共に、その負荷が発射供給口の逆側に貯留される球から生じる負荷により規定球抜き手段の状態が切り替えられることから、規定範囲個数の球が溜まる前に発射供給口へ向けて流下する球からの負荷で規定球抜き手段の状態が切り替えられる不具合を防止することができる。
遊技機A2又はA3において、前記規定球抜き手段は、前記貯留部に貯留される球から与えられる負荷により変位すると共に、変位前の状態において前記規定球抜き手段を前記規制状態へ維持する方向の負荷を生じる解除手段を備え、その解除手段の変位は、前記球排出開口から球が排出されている間維持されることを特徴とする遊技機A4。
遊技機A4によれば、遊技機A2又はA3の奏する効果に加え、球排出開口から球が排出されている間、解除手段の所定量の変位が維持されるので、規定球抜き手段上流から球排出開口へ球が流入する速度を整えることをしなくとも、途中で解除手段の変位が解消されることを防止することができる。
遊技機A4において、前記解除手段は、所定の軸を中心とした回転により変位され、前記規定球抜き手段の前記規制状態において球が前記解除手段に当接する場合に比較して、前記規定球抜き手段の前記許容状態において球が前記解除手段に当接する場合の方が、球と前記解除手段との当接位置が前記所定の軸から遠くに設定されることを特徴とする遊技機A5。
遊技機A5によれば、遊技機A4の奏する効果に加え、球の負荷による解除手段の変位し易さを、規定球抜き手段の状態により変化さえることができる。即ち、規定球抜き手段の規制状態では球は回転軸に近い位置で解除手段と当接することから、球から負荷を受けた場合に解除手段が姿勢を維持し易くされる一方、規定球抜き手段の許容状態では、規制状態の時に比較して回転軸から遠い位置で球と解除手段とが当接することから、同じ負荷を球から受けたとしても、解除手段を変位させやすくすることができる。
これにより、球の流下により解除手段に継続的に負荷がかけられる場合に、解除手段の変位前は、解除手段は、そのままの姿勢を維持し易くなり、解除手段の変位後は、解除手段は、変位後の姿勢を維持し易くなる。即ち、変位前後の状態を安定化させることができる。
遊技機A4又はA5において、前記規定球抜き手段は前記貯留部の底面に形成され、前記解除手段は、前記規定球抜き手段の上流側端部であって、前記規定球抜き手段を基準として前記供給手段の反対側に配設されることを特徴とする遊技機A6。
遊技機A6によれば、遊技機A4又はA5の奏する効果に加え、供給手段から供給された球が規定球抜き手段の上を通過した後で解除手段に到達する条件のもとで、解除手段が規定球抜き手段の上流側端部に配置されることから、解除手段に球が負荷をかける前に規定球抜き手段の上面を球で埋め尽くし易くすることができる。従って、規定球抜き手段を、球の流下を規制するか許容するかを切り替える切り替え手段と、球に埋め尽くされる貯留領域を確保する手段とで兼用することができる。
遊技機A4からA6のいずれかにおいて、前記貯留部に供給された球に干渉すると共に前記解除手段に球が至る経路を制限する干渉手段を備えることを特徴とする遊技機A7。
遊技機A7によれば、遊技機A4からA6のいずれかの奏する効果に加え、球が解除手段へ至る経路を制限することができる。
干渉手段の態様は何ら限定されるものでは無い。例えば、貯留部の底面の高さの違いにより形成される段差でも良いし、貯留部の内部を仕切る仕切板でも良い。
なお、球が解除手段に流入する経路は、規定球抜き手段に球が乗る経路でも良いし、規定球抜き手段に球が乗らない経路でも良い。
遊技機A7において、前記干渉手段は、前記規定球抜き手段に配設されることを特徴とする遊技機A8。
遊技機A8によれば、遊技機A7の奏する効果に加え、用途の兼用により部材個数を削減することができる。なお、干渉手段は、規定球抜き手段のどの部分に配設されても良い。
遊技機A8において、前記干渉手段は、前記規定球抜き手段の、前記供給手段側の端部に配設され、前記解除手段は、前記規定球抜き手段を基準として前記供給手段の反対側に配設されることを特徴とする遊技機A9。
遊技機A9によれば、遊技機A8の奏する効果に加え、供給手段から供給された球が規定球抜き手段に乗り上げる前に球の経路を規制することができるので、予期せず球が規定球抜き手段に乗り上げることを防止することができると共に、規定球抜き手段を通過した球が解除手段に到達するという条件の下で規定球抜き手段に球が乗り上げることを防止することができるので、供給手段から供給された球が解除手段に到達する可能性を低減することができる。
遊技機A4からA9のいずれかにおいて、前記解除手段は、前記貯留部の内壁の外方に配設され、前記干渉手段は、前記貯留部の内壁から前記解除手段へ向けて延設される延設部を備えることを特徴とする遊技機A10。
遊技機A10によれば、遊技機A4からA9のいずれかの奏する効果に加え、貯留部の内壁に沿って転動する球が、貯留部の内壁に沿ったままの勢いで解除手段に当接し、負荷をかけることを防止することができる。
なお、延設部としては、例えば、解除手段の横に配設される部分や、解除手段の上に配設される部分が例示される。解除手段の上に配設される場合、遊技者が貯留部に供給した球が解除手段へ向かうことを抑制することができる。
遊技機A10において、前記解除手段の面であって球と当接する当接面と、前記貯留部の内壁との間隔が、球の半径以上とされることを特徴とする遊技機A11。
遊技機A11によれば、遊技機A10の奏する効果に加え、当接面に当接する球と、内壁に沿って転動する球とが衝突した際に、当接面と当接する球へ与えられる負荷が解除手段へ向かう方向となるので、衝突により当接面と当接している球が解除手段から遠ざかる方向に押しのけられることを防止することができる。
遊技機A4からA11において、前記解除手段に隣設されると共に前記解除手段を囲う囲い壁部を備え、その囲い壁部は、前記貯留部内側の端部が、前記解除手段へ近づくほど上昇傾斜する形状から形成されることを特徴とする遊技機A12。
遊技機A12によれば、遊技機A4からA11のいずれかの奏する効果に加え、囲い壁部の形状により、貯留部から解除手段へ向けて流下し解除手段へ近づく球の速度方向を、上方へ向く方向に切り替えることができる。これにより、その球が解除手段に到達する前に、球の速度の水平方向成分を低減させることができる。
遊技機A1からA12のいずれかにおいて、前記貯留部は、前記供給手段から払い出された球の着地点と前記発射供給口との間に延設される溝である受け入れ溝を備え、前記供給手段から払い出された球は、前記受け入れ溝が満たされるまでは前記受け入れ溝に流入することを特徴とする遊技機A13。
遊技機A13によれば、遊技機A1からA12のいずれかの奏する効果に加え、供給手段から払い出された球は、受け入れ溝が満たされるまでは受け入れ溝に流入するので、受け入れ溝が十分な数量の球で満たされる態様とすることにより、供給手段から払い出された球が受け入れ溝に流入するか否かにより貯留部に貯留された球が十分な数量を越えているのか否かを目視で容易に把握することができる。これにより、貯留部に球を供給するタイミングを容易に予想することができるので、貯留部の球数に気を使うことなく、遊技に集中することができる。
遊技機A13において、前記受け入れ溝は、深さが球の半径以上であって、幅が球の直径と同程度に設定されることを特徴とする遊技機A14。
遊技機A14によれば、遊技機A13の奏する効果に加え、受け入れ溝の深さが球の半径以上であることから、一度受け入れ溝に流入した球を受け入れ溝に維持し易くでき、受け入れ溝の幅が球の直径と同程度に設定されることから、受け入れ溝に流入した球を一列に並べることができる。従って、受け入れ溝の球の保持力向上と、受け入れ溝に保持される球の数ズレの防止とを図ることができる。
遊技機A14において、前記受け入れ溝は、溝深さが、球の直径以下とされることを特徴とする遊技機A15。
遊技機A15によれば、遊技機A14の奏する効果に加え、受け入れ溝が球で満たされた状態で、受け入れ溝に球が着地した場合であっても、受け入れ溝の溝深さが球の直径以下とされるので、後から着地した球を受け入れ溝の外方へ流すことができる。
<最大排出流量を変化させる>
球を貯留可能な貯留部と、その貯留部に球を供給する供給手段と、球が通過可能な開口として前記貯留部に形成される球排出開口と、を備える遊技機において、所定期間に球排出開口を通過する球の最大個数としての最大排出流量を変化可能な流量変化手段を備えることを特徴とする遊技機B1。
パチンコ機等の遊技機において、払い出し装置から払い出された球であって、発射前の球を上皿に貯留し、その貯留した球を球排出開口から遊技機外へ流下可能な遊技機がある(例えば特開2009−000309号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、遊技の途中で球排出開口から球を排出する操作を行うので、遊技に集中する余り、閉じるタイミングが遅れ、球を排出しすぎることがあるという問題点があった。この場合、上皿から排出した球を再度上皿に戻すという、無意味な行為を行うことにつながり、遊技者の不満の原因となっていた。
これに対し、遊技機B1によれば、流量変化手段により最大排出流量を変化させることができるので、予め最大排出流量を抑制しておくことにより、球排出開口を閉じるタイミングが遅れたとしても球排出開口から球が排出されすぎることを防止できる。従って、遊技者が、排出された球を無意味に上皿に戻す行為をすることを不要とでき、遊技者が遊技に集中し易くすることができる。
なお、最大排出流量とは、重力の作用で球が流下する前提の元で球が流下する時に生じ得る最大流量のことを意味する。最大排出流量を変化させる方法としては、例えば、球が通過する領域の広さを変える方法や、球が転動する転動面の傾斜角度を変化させることにより球の流下速度を変化させる方法等が例示される。
遊技機B1において、前記流量変化手段は、前記球排出開口を球が通過することを規制する規制状態と、前記球排出開口を球が通過することを許容する許容状態とで状態変化可能とされる規制手段と、その規制手段を前記規制状態に復帰させるための負荷を生じる維持手段と、を備えることを特徴とする遊技機B2。
遊技機B2によれば、遊技機B1の奏する効果に加え、維持手段により規制手段が規制状態に戻り易くなるので、球排出開口からの球の過排出を防止し易くすることができる。
なお、維持手段は力を発生する手段として構成されても良い。維持手段から発生する力としては、規制手段の変位量に比例する弾性的な負荷や、規制手段が許容状態へ変化する際に上昇する態様とされる場合における重力などが例示される。
また、維持手段から発生する力が弾性的な負荷である場合には、規制手段の規制状態からの状態変化の程度が大きい程、維持手段から発生する力が大きくなるので、規制手段を規制状態に復帰させ易くすることができる。
遊技機B2において、前記流量変化手段は、前記規制手段よりも上流側に配置され、前記規制手段に到達する球の経路を変化可能な経路変化手段を備えることを特徴とする遊技機B3。
遊技機B3によれば、遊技機B2の奏する効果に加え、経路変化手段により、規制手段が状態変化する際に規制手段に到達する球の経路が変化され、規制手段を越えて球排出開口に到達する球の流下経路が変化することにより、球数が変化するので、規制手段の許容状態へのなり始めに球排出開口を通って排出される球の個数を変化させることができる。これにより、手動で球排出開口を開く場合のように、開き具合を遊技者が球排出開口の開放時に調整することを不要とできる。
遊技機B3において、前記経路変化手段は、前記経路変化手段により規制手段に到達する球の経路が変化されることに伴って前記規制手段に流下を規制される球の配置を上流側に変化させることを特徴とする遊技機B4。
遊技機B4によれば、遊技機B3の奏する効果に加え、規制手段に到達する球の経路が変化されるほど規制手段の状態変化により排出される球の配置を上流側に変化させることができるので、規制手段に到達する球を絞ることで、上皿に貯留される球の個数(球排出開口の下流側の個数)を増加させることができる。
遊技機B1からB4のいずれかにおいて、前記流量変化手段は、前記球排出開口の上端位置よりも下流側に配設されることを特徴とする遊技機B5。
遊技機B5によれば、遊技機B1からB4のいずれかの奏する効果に加え、流量変化手段が球排出開口の上端位置よりも下流側に配設されることにより、球排出開口の下流側に滞留する球が、どの程度の量、どの程度の流速で排出されるかを変化させることができる。そのため、球排出開口の広さは固定した状態で、球排出開口から排出される球の流下態様を変化させることができる。
遊技機B2からB5のいずれかにおいて、前記規制手段は、前記球排出開口を通過しようとする球が所定の基準よりも少なくなることに伴い、規制状態に状態変化することを特徴とする遊技機B6。
遊技機B6によれば、遊技機B2からB5のいずれかの奏する効果に加え、球排出開口を通過しようとする球が所定の基準から外れることに伴い規制手段が規制状態に状態変化するので、規制手段を許容状態としたまま放置した場合であっても、そのまま規制手段が許容状態を維持することを防止することができるので、貯留部から必要以上の球が排出されることを防止することができる。
また、規制手段が自動で規制状態に状態変化するので、規制手段の状態を手動で切り替える場合のように、球を球排出開口から排出するタイミングを見計らう必要が無いので、遊技者が遊技に集中できる。
加えて、排出流量を基準として規制手段が規制状態に状態変化するので、所定間隔で規制手段が状態変化したり、所定個数の排出で規制手段が状態変化したりする場合に比較して、特に所定流量の払い出しが継続して行われる場合において、規制手段の状態を切り替える回数を少なくすることができる。従って、遊技者が規制手段の状態に気を使う必要が無いので、遊技者が遊技に集中できる。
遊技機B2からB6のいずれかにおいて、前記規制手段が前記許容状態の場合に比較して、前記規制状態の場合に、前記規制手段に与える摩擦力が大きくなる復帰減速手段を備えることを特徴とする遊技機B7。
遊技機B7によれば、遊技機B2からB6のいずれかの奏する効果に加え、規制手段が規制状態から状態変化する際に大きな摩擦力を生じることができるので、規制手段の規制状態からの状態変化開始時の動作速度を遅くすることができる。これにより、規制手段が早期に規制状態へ復帰することにより、球の排出途中で規制手段が規制状態となることを防止することができる。
遊技機B1からB7のいずれかにおいて、前記貯留部は、前記供給手段から払い出された球の着地点と、その供給手段から貯留部に供給された球を発射装置に案内する発射供給口との間に延設される溝である受け入れ溝を備え、前記供給手段から払い出された球は、前記受け入れ溝が満たされるまでは前記受け入れ溝に流入することを特徴とする遊技機B8。
遊技機B8によれば、遊技機B1からB7のいずれかの奏する効果に加え、供給手段から払い出された球は、受け入れ溝が満たされるまでは受け入れ溝に流入するので、受け入れ溝が十分な数量の球で満たされる態様とすることにより、供給手段から払い出された球が受け入れ溝に流入するか否かにより貯留部に貯留された球が十分な数量を越えているのか否かを目視で容易に把握することができる。これにより、貯留部に球を供給するタイミングを容易に予想することができるので、貯留部の球数に気を使うことなく、遊技に集中することができる。
遊技機B8において、前記受け入れ溝は、深さが球の半径以上であって、幅が球の直径と同程度に設定されることを特徴とする遊技機B9。
遊技機B9によれば、遊技機B8の奏する効果に加え、受け入れ溝の深さが球の半径以上であることから、一度受け入れ溝に流入した球を受け入れ溝に維持し易くでき、受け入れ溝の幅が球の直径と同程度に設定されることから、受け入れ溝に流入した球を一列に並べることができる。従って、受け入れ溝の球の保持力向上と、受け入れ溝に保持される球の数ズレの防止とを図ることができる。
遊技機B9において、前記受け入れ溝は、溝深さが、球の直径以下とされることを特徴とする遊技機B10。
遊技機B10によれば、遊技機B9の奏する効果に加え、受け入れ溝が球で満たされた状態で、受け入れ溝に球が着地した場合であっても、受け入れ溝の溝深さが球の直径以下とされるので、後から着地した球を受け入れ溝の外方へ流すことができる。
遊技機B3からB10のいずれかにおいて、前記流量変化手段は、前記球排出開口を球が通過することを規制する規制状態と、前記球排出開口を球が通過することを許容する許容状態とで状態変化可能とされる規制手段と、その規制手段を前記規制状態に復帰させるための負荷を生じる維持手段と、前記規制手段よりも上流側に配置され、前記規制手段に到達する球の経路を変化可能な経路変化手段と、を備え、前記規制手段は、前記許容状態において球を一の方向に沿って流下させるものであることを特徴とする遊技機B11。
遊技機B11によれば、遊技機B3からB10のいずれかの奏する効果に加え、球排出開口を通過する球が複数の方向から流下する場合(例えば、円形孔の中心から延びる放射線に沿って球が球排出開口に向かう場合)に比較して、球が一の方向に沿って流下するので、球排出開口の開口広さが狭められた場合であっても、球同士がぶつかる等により球詰まりが生じることを防止することができる。
<正面枠と内枠とを連通する収容部に被収容部材を配置するポイント。>
球を貯留可能な貯留部と、その貯留部に球を供給する供給手段と、球が通過可能な開口として前記貯留部に形成される球排出開口と、を備える遊技機において、前記球排出開口を通過した球が流下可能な球流路を備え、その球流路の前記供給手段側に、所定の構造物を収容可能な収容部が形成されることを特徴とする遊技機C1。
パチンコ機等の遊技機において、払い出し装置から払い出された球であって、発射前の球を上皿に貯留し、上皿が満タンになった後は払い出された球を下皿への誘導路へ落下させる上皿オーバーフロー装置を備える遊技機がある(例えば特開2001−087518号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、下皿への誘導路が遊技盤の下方において、遊技盤の厚み範囲内に形成されており、下皿への誘導路が遊技盤の下方における内部空間を分断するので、その前後の空間を別々の空間として利用することに留まり、遊技盤の下方における内部空間を連続的な空間として利用することができないという問題点があった。
これに対し、遊技機C1によれば、貯留部に形成される球排出開口を通過した球が流下可能な球流路を備え、その球排出流路の供給手段側に所定の構造物を収容可能な収容部が形成されることから、遊技盤の厚み範囲よりも正面側に、球を排出する流路を配置することができると共に、その流路の供給手段側(遊技盤側、背面側)の領域を収容部として有効利用することができる。
なお、所定の構造物の態様は、何ら限定されるものでは無く、種々の態様が例示される。例えば、音響装置でも良いし、遊技者が操作する操作ボタンの構造の一部でも良いし、配線でも良いし、可動役物やモータなどの駆動装置の一部でも良いし、制御基板を収容する基板ボックスでも良い。
なお、所定の構造物を収容する収容部が、従来機において下皿が配置される領域を埋めることになる場合は、下皿の形成を省略し、球流路から排出された球がそのまま千両箱に供給される態様とすることが好ましい。
なお、貯留部に球を供給する手段としては、種々の態様が例示される。例えば、払出装置の動作により球を供給する開口としての供給開口や、正面枠の正面側で、鉛直方向に球を落下させて貯留部に球を供給する経路を持つ手段(所謂「パーソナルシステム」)でも良い。
遊技機C1において、前記貯留部が配設される第1部材と、その第1部材と対向配置される第2部材と、を備え、前記収容部は、前記第1部材および第2部材の内部を連通して形成されることを特徴とする遊技機C2。
遊技機C2によれば、遊技機C1の奏する効果に加え、所定の構造物を収容可能な収容部は、第1部材の内部だけでなく、第1部材および第2部材の内部を連通して形成されるので、第1部材の寸法(例えば、前後幅)以上の寸法で収容部を形成することができる。これにより、所定の構造物を収容する収容部を大きく確保することができる。
なお、第2部材の内部における所定の構造物を収容する収容部の形成態様は何ら限定されるものでは無い。例えば、第2部材に凹設される凹部と第1部材とで囲まれる空間として形成されても良いし、第2部材に第1部材および第2部材を結ぶ方向に貫通する貫通孔が形成され、その貫通孔に囲まれる空間(第1部材と対向する側の反対側が開放された空間)として形成されても良い。
遊技機C2において、前記第1部材および第2部材を開閉可能に軸支する軸支手段を備え、前記収容部は、前記第1部材および第2部材の軸径方向長さの中間位置よりも前記軸支手段に近接する側に配置されることを特徴とする遊技機C3。
遊技機C3によれば、遊技機C2の奏する効果に加え、所定の構造物を収容可能な収容部が軸支手段に近接する側に配置されるので、第1部材および第2部材を開放して作業者が作業を行う際に、所定の構造物が作業者の遊技機への進入経路に入り、作業者の作業の邪魔となることを防ぐことができる。
また、軸支手段から所定の構造物までの距離を短縮できることに伴い、所定の構造物に通す配線の配線長さを短縮することができる。これにより、配線の材料コストを削減することができる。
また、第1部材または第2部材の一方に所定の構造物が固定され、他方に受け入れ空間が形成される場合において、所定の構造物が軸径方外側に配置される場合よりも、第1部材および第2部材の開閉動作時における所定の構造物の変位量を小さくすることができるので、受け入れ空間の大きさに対して許容される所定の構造物の大きさを、最大限確保することができる。換言すれば、同じ大きさの所定の構造物を収容するために必要となる受け入れ空間の大きさを、受け入れ空間が軸径方向外側に配置される場合に比較して、小さくすることができる。これにより、遊技機の内部の限定された大きさの空間を最大限大きな収容部として利用することができる。
遊技機C3において、前記所定の構造物は、前記第1部材または第2部材の一方に固定され、前記第1部材または第2部材の他方は、前記所定の構造物を収容可能に凹設される収容凹設部を備え、その収容凹設部は、前記第1部材および第2部材の開閉動作時の前記所定の構造物の移動軌跡に沿った内形で形成されることを特徴とする遊技機C4。
遊技機C4によれば、遊技機C3の奏する効果に加え、所定の構造物の移動軌跡に沿った内形で収容凹設部が形成されることに伴い、第1部材および第2部材の開閉動作時に収容凹設部の内側面に沿って所定の構造物が移動するので、第1部材および第2部材の閉鎖時において第1部材と第2部材との間に形成される隙間があったとしても、開閉時にその隙間を埋める態様で第1部材および第2部材を動作させることができる。
従って、第1部材と第2部材との間に形成される隙間に不正な基板が隠されることを防止することができる。また、第1部材と第2部材との間に形成される隙間に不正な基板が隠されたとしても、第1部材および第2部材の開閉時にその隙間を埋める態様で第1部材または第2部材が動作するため、動作時に不正な基板と衝突させることができ、不正な基板が隠されていることに気付くことができる。
遊技機C3又はC4において、前記収容部は、遊技領域を構成する遊技盤の下方に配置されることを特徴とする遊技機C5。
遊技機C5によれば、遊技機C3又はC4の奏する効果に加え、所定の構造物が収容される収容部が遊技盤の下方に配置されるので、収容部に所定の構造物を配置することにより、遊技機の開閉軸側下端部からの進入経路を塞ぐことができる。これにより、ピアノ線等の細線を遊技機の開閉軸側下端部から進入させ、不正の利益を得ようとする不正行為を抑制することができる。
また、収容部が開閉軸付近に配置される場合、第1部材の変位に対する所定の構造物の変位量が抑えられることから、第1部材の変位後においても進入経路を塞ぐことができる。
遊技機A1からA15,B1からB11,C1からC5のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機Z1。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機A1からA15,B1からB11,C1からC5のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機Z2。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示手段において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
遊技機A1からA15,B1からB11,C1からC5のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機Z3。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。