JP2017209213A - 温熱治療器 - Google Patents
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Abstract
【課題】装置自体を大型化することなく、治療器を複数台用意する必要も無く、患者自身が操作可でき、持ち運び可能な小型の温熱治療器を提供すること。【解決手段】本発明に係る温熱治療器1は、電磁波を発生させる電磁波発生部2と、前記電磁波発生部2を駆動させる電力を供給する電源部3と、前記電磁波発生部2から発生する前記電磁波の出力を制御する制御部4と、前記電磁波発生部2から発生する前記電磁波を照射する電磁波照射部5と、前記電磁波発生部2と前記電磁波照射部5との間に設けられた電磁波伝達部6とを備え、前記電磁波発生部2と前記電磁波照射部5との相対位置が変更可能に設けられている。【選択図】図1
Description
本発明は、温熱治療器とそれを用いた癌の治療方法に関し、特に、電磁波を照射することにより、ハイパーサーミア治療に用いることができる、持ち運び可能な小型の温熱治療器に関する。
従来、マイクロ波を利用したハイパーサーミア治療器が種々提案されている。ハイパーサーミア治療器の基本構成は、一対の電極で身体(患部)を挟み、電極間に高周波電力を供給することで、癌患部に高周波電磁界を生成させ、誘電加熱により癌組織を加温することで治療を行なうものとなっている(特許文献1〜8)。これにより、身体内部の深い箇所から皮膚表層近くまで、さまざまな部位の治療に対応可能に構成されている。
ハイパーサーミア治療器は、いわゆる高周波により患部を加熱するため、患者は治療(高周波照射)時間中、高温に耐える必要があり、あるいは、高温になれば加熱を停止し、その後、再度加熱するなど、使用者側あるいは操作者側で使用方法を工夫する必要があった。
このため、例えば、治療時間中(あるいは高温加熱停止後、再加熱等の操作を行なうことなく)、患者が過剰加熱されないように、ハイパーサーミア治療器を間欠動作可能にして、高出力から低出力まで目的に応じて調整可能にしたり、2台のハイパーサーミア治療器を用いてマイクロ波を患部に重畳照射したりすることで、患者の負担を軽減し、治療効果を高めることが試みられている(特許文献9)。
しかしながら、身体の深部から表層部といったあらゆる部位の治療に資するべく、ハイパーサーミア治療器を構成しようとすると、治療器そのものが大型化し、大型装置を設置できる大型の病院施設等にしか治療器を設置できないなどの問題があった。また、ある程度の小型化を図ったとしても、有効な治療を施すには治療器そのものが複数台必要であったり、持ち運び可能な程の小型化が望めなかったりするという問題があった。また、従来のハイパーサーミア治療器では、装置が大型で強力な電磁波を用いているがゆえ、患者自身が装置を操作することができず、治療中に患部が熱くなったと感じても、電磁波のエネルギー密度を変化させたり、電磁波照射部分から身体を離間したりする等といったことができない状況にあった。
そこで本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、身体表層部の患部治療に着目し、装置自体を大型化することなく、治療器を複数台用意する必要も無く、患者自身が操作可でき、持ち運び可能な小型の温熱治療器を開発するに至り、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る温熱治療器は、電磁波を発生させる電磁波発生部と、前記電磁波発生部を駆動させる電力を供給する電源部と、前記電磁波発生部から発生する前記電磁波の出力を制御する制御部と、前記電磁波発生部から発生する前記電磁波を照射する電磁波照射部と、前記電磁波発生部と前記電磁波照射部との間に設けられた電磁波伝達部とを備え、前記電磁波発生部と前記電磁波照射部との相対位置が変更可能に設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、電磁波発生部と電磁波照射部との相対位置が変更可能に設けられているので、患者自身が電磁波照射部から照射された電磁波により身体が熱いと感じれば、容易に電磁波照射部を移動させることができ、あるいは、身体を電磁波照射部から離間することができる。
また、本発明に係る温熱治療器において、電磁波照射部は、電磁波の照射角度が可変であることにより、電磁波発生部との相対位置を変更可能に設けられている。
これにより、簡易な構成で電磁波発生部と電磁波照射部との相対位置を変化させることが可能となる。
また、本発明に係る温熱治療器において、電磁波伝達部と電磁波照射部との間に同軸ケーブルが設けられ、電磁波照射部が、電磁波発生部から離間して設けられることにより、電磁波発生部との相対位置を変更可能に設けられている。
これにより、電磁波発生部と電磁波照射部との相対位置がよりフレキシブルに変更可能となり、操作者あるいは患者自身が電磁波照射部を取り扱いやすくなることで、容易に電磁波照射部を移動させることができ、あるいは、身体を電磁波照射部から離間することができる。
また、本発明に係る温熱治療器においては、電磁波伝達部に導波路を用いる。
これにより、電磁波発生部により発振された電磁波を効率的に電磁波照射部に伝達することが可能となり、エネルギーロスを少なくすることができる。
また、本発明に係る温熱治療器においては、電磁波照射部がホーンアンテナである。
本来、通信機器等に使われるホーンアンテナを本発明に係る温熱治療器に用いることにより、照射される電磁波の指向性を容易にコントロールすることができる。
また、本発明に係る温熱治療器には、電磁波伝達部と電磁波照射部との間に減衰器が設けられている。
小面積部分に電磁波を照射する場合には、放射される電磁波のエネルギー密度を調整するため、減衰器を用いることができる。これにより、適度にエネルギーを減衰させた電磁波を放射することができるので、電磁波放射部を皮膚表面に近づけることができ、電磁波を効率的に患部に照射することができる。
また、本発明に係る温熱治療器においては、電磁波が超短波またはマイクロ波である。電磁波の周波数が30MHz〜10GHzのものを用いることができる。
このような電磁波を用いることにより、小型の電磁波発生装置を用いることができるため、温熱治療器そのものを小型化することが可能となる。また、本発明の温熱治療器により身体が温められるが、正常細胞の周辺血管は拡張されるため、それほど温度は上がらない。一方、癌細胞は血管拡張作用が働かない。よって、本発明に係る温熱治療器においては、特に癌細胞だけを選択的に加温することができる。
また、本発明に係る温熱治療器を用いて癌の治療装置とすることが可能となる。
つまり、本発明の温熱治療器では、所定の電磁波を用いて、がん細胞だけを選択的に加温することができるので、これを癌の治療装置として用いることができる。
本発明の温熱治療器を用いた癌の治療装置としては、対象となる癌が、皮膚表面から深さ方向に50mmまでの位置に発生した癌である。
このように、特に表層部の癌の治療効果に有効であり、例えば、皮膚癌、乳癌、前立腺癌、肺癌の他、各種部位に発生する癌が治療対象となる。
本発明によれば、簡易な構成で電磁波発生部と電磁波照射部との相対位置を変化させることが可能となり、電磁波発生部と電磁波照射部との相対位置が変更可能に設けられていることから、電磁波発生部と電磁波照射部との相対位置がよりフレキシブルに変更可能となり、患者自身が電磁波照射部から照射された電磁波により身体が熱いと感じれば、容易に電磁波照射部を移動させることができ、あるいは、身体を電磁波照射部から離間することができる。つまり、本発明によれば、操作者あるいは患者自身が電磁波照射部を取り扱いやすくなる。
また、本発明によれば、小型の電磁波発生装置を用いることができるため、温熱治療器そのものを小型化することが可能となる。発生した電磁波は、電磁波伝達部により効率的に電磁波照射部に伝達され、エネルギーロスを少なくすることができる。そして、電磁波照射部においてより指向性を容易にコントロール可能とされている。
さらに、本発明によれば、小面積部分に電磁波を照射する場合には、放射される電磁波のエネルギー密度を調整するため、減衰器を用いることから、適度にエネルギーを減衰させた電磁波を放射することができるので、電磁波放射部を皮膚表面に近づけることができ、電磁波を効率的に患部に照射することができる。
また、本発明の温熱治療器により身体が温められるが、正常細胞の周辺血管は拡張されるため、それほど温度は上がらない。一方、癌細胞は血管拡張作用が働かない。よって、本発明に係る温熱治療器においては、特に癌細胞だけを選択的に加温することができる。本発明の温熱治療器では、所定の電磁波を用いて、がん細胞だけを選択的に加温することができるので、これを癌の治療装置として用いることができる。特に表層部の癌の治療効果に有効であり、例えば、皮膚癌、乳癌、前立腺癌、肺癌の他、各種部位に発生する癌が治療対象となる。また、本発明によれば、電磁波を照射することにより、体内を加熱して血流を増進させることから、癌の治療装置としてだけではなく、痔疾、血行不良、関節痛、筋肉痛等の様々な疾患に対する治療装置としても有効である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る温熱治療器について説明する。図1は、温熱治療器の概略構成を示すブロック図である。図2は、図1に示した温熱治療器の電磁波照射部の可動範囲を示す概念図である。図3は、図1に示した温熱治療器の使用態様を示す概念図である。
本発明の一実施形態に係る温熱治療器1は、図1に示すように、電磁波を発生させる電磁波発生部2と、電磁波発生部2を駆動させる電力を供給する電源部3と、電磁波発生部2から発生する電磁波の出力を制御する制御部4と、電磁波発生部2から発生する電磁波を照射する電磁波照射部5と、電磁波発生部2と電磁波照射部5との間に設けられた電磁波伝達部6とを備え、電磁波発生部2と電磁波照射部5との相対位置が変更可能に設けられている。
電磁波発生部2としては、例えば、マグネトロンを用いることができる。マグネトロンは後述する電源部3によって供給される高電圧が印加される陰極および陽極を有している。このマグネトロンは種々の周波数の電磁波を発振することができるものを用いることができる。電磁波としては、超短波またはマイクロ波が挙げられる。マグネトロンによって生成される超短波またはマイクロ波は、照射対象によって最適な周波数を選択して発振することができるように構成されている。マグネトロンの発振周波数(超短波)としては、好ましくは30MHz〜0.3GHz、より好ましくは100MHz〜0.2GHz、さらに好ましくは300MHz〜0.1GHzである。また、マグネトロンの発振周波数(マイクロ波)としては、0.3GHz〜10GHz、より好ましくは、1GHz〜7GHz、さらに好ましくは、2GHz〜6GHzである。患部の状態や患者が感じる温度、照射時間にもよるが、温熱治療器として用いるには、例えば、0.3GHzの超短波、あるいは、2.45GHzや5.8GHzのマイクロ波であることが特に好ましい。
電源部3は、電磁波発生部2に対して電磁波を生成するための高電圧を供給する。電源部3は、商用電源7に接続されたAC−DCコンバータ31と、AC−DCコンバータ31に接続されたスイッチング回路32と、スイッチング回路32の動作を制御するスイッチングコントローラ33と、スイッチング回路32に接続された昇圧トランス部34と、昇圧トランス部34に接続された整流回路35とを有している。電磁波発生部2は、整流回路35を介して昇圧トランス部34に接続されている。
AC−DCコンバータ31は商用電源7に接続され、商用電源からの交流(例えば、三相200Vや単相100Vなど)を整流して所定の波形の直流に変換する。このAC−DCコンバータ31によって変換された直流電流が、AC−DCコンバータ31に接続されたスイッチング回路32に入力される。スイッチング回路32では、入力された直流電流のオンオフが制御される。スイッチング回路32では、PWM(Pulse Width Modulation)制御またはPAM(Pulse Amplitude Modulation)制御が行なわれ、パルス状の電圧波形が生成される。スイッチング回路32における直流電流のオンオフ制御やPWM制御またはPAM制御による制御はスイッチング回路32に接続されたスイッチングコントローラ33で行なわれる。スイッチングコントローラ33による制御では、スイッチング回路32の流通角を変更することで出力電圧を変更することができるように構成されている。出力電圧としては、好ましくは10〜5000V、より好ましくは50〜4500V、さらに好ましくは100V〜4000Vである。これにより、後述する電磁波照射部5から照射される電磁波のエネルギー量をコントロールすることが可能となる。昇圧トランス部34は、スイッチング回路33から出力された電圧波形を所定の大きさに昇圧するものである。整流回路35は、昇圧トランス部34によって昇圧された電圧を整流してマグネトロンに供給する回路である。
温熱治療器1の各構成部は、それぞれ制御部4に接続されて制御される。制御部4は、例えば、ダイヤル式やボタン(プッシュ式)等の公知の手法で設定を行なうことができるように構成されているリモコンコントローラである。例えば、制御部4のダイヤルを回転すること、または、ボタン操作で周波数を設定することにより、スイッチング回路33の流通角が変更され、出力電圧が変更される。これにより、後述する電磁波照射部5から照射される電磁波の出力を制御することが可能となる。制御部4は、有線で接続されていても良いし、赤外線や無線電波を用いることにより、無線で接続されていても良い。この場合には、制御部4内部に赤外線等の信号を発信する信号発信部(図示せず)を備え、温熱治療器1本体内部に、制御部4から発信された信号を受信する受信部(図示せず)を備えている。
電磁波照射部5は、銅(Cu)、真鍮、アルミニウム(Al)等の金属もしくは合金で構成されており、この電磁波照射部5としては、好ましくは、モノポールアンテナ、ダイポールアンテナ、ループアンテナまたはホーンアンテナ等の公知のアンテナを挙げることができる。電磁波照射部5として特に好ましくは、ホーンアンテナを挙げることができる。ホーンアンテナの開口とホーン長により、電磁波の照射範囲を制御することができ、指向性を容易に変更することができるためである。
電磁波伝達部6は、電磁波発生部2と電磁波照射部5との間に備えられている。電磁波伝達部6としては、例えば、導波路(導波管)を用いることができる。導波路(導波管)の材質としては特に制限されないが、電磁波を伝達することができる材質であれば、公知の材質を用いることができる。また、導波路(導波管)の長さは、発振される電磁波の周波数およびその強度により適宜その長さを変更して用いることができる。
そして、この温熱治療器1においては、電磁波発生部2と電磁波照射部5とが、その相対位置を変更可能に設けられている。
相対位置が変更可能に設けられているとは、図2に示すように、例えば、電磁波照射部2が公知の水平シャフト機構(図示省略)に備えられており、図示しないモータにより駆動され、電磁波照射部2の開口が初期位置からの駆動角度として、好ましくは0°〜270°、より好ましくは、0°〜180°、さらに好ましくは0°〜95°まで変更可能に設けられていることをいう。
なお、初期位置とは、例えば、電磁波照射部5の照射口が水平方向に向いている位置をいい、駆動角度とは、図示しない水平シャフト機構により電磁波照射部5が駆動され、相対位置が変化されたことにより、初期位置の水平方向と電磁波照射部5の照射口が向く方向とのなす角度をいう。
このように、電磁波発生部2と電磁波照射部5とが互いの相対位置を変化することにより、図3に示すように、例えば、人が椅子(図示せず)に座った状態で、椅子の下部から本発明の一実施形態に係る温熱治療器1を用いて電磁波を照射する。電磁波照射部5が水平位置にある場合には踝や足首に電磁波を照射することができ、電磁波発生部2と電磁波照射部5との相対位置を変化させると、電磁波照射部5が水平位置からほぼ垂直位置までの位置変化に応じて、脹脛、膝、腿、前立腺、臀部に電磁波を照射することができる。
図4は、本発明の第二の実施形態に係る温熱治療器を示す図である。図4において、図1と同じ参照符号が付してある部分については、図1と同様の構成であり、図1における説明を援用し、その説明を省略する。図4においては、図1と異なる部分について説明する。
本実施形態に係る温熱治療器1は、電磁波伝達部6と電磁波照射部5との間に、減衰器8が設けられている。
減衰器8は市販の減衰器を適宜用いることができる。本実施形態に係る温熱治療器1において減衰器8を設けることにより、電磁波発生部2から発振される電磁波を減衰させ、より狭い面積に電磁波の放射エネルギーを集中させることができる。電源部3の調整だけで電力を精密制御しきれない場合には、このように減衰器8を設けることで電磁波の放射エネルギー密度を変化させ、小面積部分により効果的に電磁波を照射することが可能となる。
図5は、本発明の第三の実施形態に係る温熱治療器1を示す図である。また、図6は、この第三の実施形態に係る温熱治療器における電磁波照射部の可動状態の一例を示す概念図である。図5および図6を用いて、本発明の第三の実施形態に係る温熱治療器について説明する。なお、図5および図6において、図1と同じ参照符号が付してある部分については、図1と同様の構成であり、図1における説明を援用し、その説明を省略する。図5および図6においては、図1と異なる部分について説明する。
本実施形態に係る温熱治療器1は、電磁波伝達部6と電磁波照射部5との間に同軸ケーブル9が設けられており、電磁波照射部5の相対位置を任意の位置に配置することができるようにされている。これにより、電磁波発生部2と電磁波照射部5との相対位置が変更可能に構成されている。
このように構成することで、患者の患部に容易に電磁波照射部5を近接配置させることができるので、患者が所望する位置に適切に配置させることができ、また、熱さを感じた際には、電磁波照射部5を速やかに離すことができる。このようにして、体感温度を下げるように、患者自身が電磁波照射部5を離間することができる。
(温熱治療器の癌の治療装置としての使用)
本発明の実施形態に係る温熱治療器1は、電磁波照射部5としてのホーンアンテナから電磁波が照射される。これを皮膚表面側から照射することにより、癌の治療に用いることができる。具体的には、本発明の実施形態に係る温熱治療器1を、例えば、椅子の下部に設けることにより、ホーンアンテナの開口部が水平方向に向いているときには、踵や足首に電磁波を照射させることができ、このようにして、温熱治療器1本体内部に設けられた電磁波発生部2と、電磁波照射部5との相対位置を変化させることにより、脹脛、膝、腿、前立腺、臀部に適切に電磁波を照射させることができる。その結果、発生した癌の部位に応じて電磁波を適切に照射することができる。
本発明の実施形態に係る温熱治療器1は、電磁波照射部5としてのホーンアンテナから電磁波が照射される。これを皮膚表面側から照射することにより、癌の治療に用いることができる。具体的には、本発明の実施形態に係る温熱治療器1を、例えば、椅子の下部に設けることにより、ホーンアンテナの開口部が水平方向に向いているときには、踵や足首に電磁波を照射させることができ、このようにして、温熱治療器1本体内部に設けられた電磁波発生部2と、電磁波照射部5との相対位置を変化させることにより、脹脛、膝、腿、前立腺、臀部に適切に電磁波を照射させることができる。その結果、発生した癌の部位に応じて電磁波を適切に照射することができる。
また、本発明の実施形態に係る温熱治療器1は、電磁波照射部5が同軸ケーブル9を介して温熱治療器1本体と接続されているので、温熱治療器1本体内部に設けられた電磁波発生部2と、電磁波照射部5との相対位置が自在に変更可能とされている。そのため、患者自身が温熱治療器1の照射位置を決めることができる。これにより、電磁波照射により熱いと患者自身が感じた場合には、患者自身で電磁波照射部5を身体から離間することができる。
本発明の実施形態に係る温熱治療器1を用いた癌の治療装置としては、電磁波照射部5を患部に近づけて電磁波を照射する。電磁波の照射時間は必要に応じて適宜決めることができるが、好ましくは10〜90分、より好ましくは15〜70分、さらに好ましくは20〜60分である。これにより、癌細胞を完全に消滅させることができる。
また、本発明の実施形態に係る温熱治療器1を用いた癌の治療装置として、電磁波の照射期間は必要に応じて適宜決めることができる。好ましくは1週間〜3ヶ月、より好ましくは10日間〜2ヶ月、さらに好ましくは、2週間〜1ヶ月である。これにより、癌細胞を完全に消滅させることができる。
本発明の実施形態に係る温熱治療器1を用いた癌の治療装置として、対象となる癌は皮膚表面から深さ方向に概ね50mmの深さにある癌である。本発明の実施形態に係る温熱治療器1は電極で身体を挟み込むような構成ではなく、電磁波照射部5から電磁波を患部に向かって照射する構成であることから、例えば、皮膚表面から深さ方向に50mmを超える身体内部に生じた癌には電磁波が効果的に届かない。そのため、本発明の実施形態に係る温熱治療器1を用いた癌の治療装置の対象となる癌は、皮膚癌や乳癌、前立腺癌、肺癌等の、皮膚表面から深さ方向に50mmの深さにある癌がその対象となるが、皮膚表面から深さ方向に50mm以内の癌であれば特に部位等に制限されることは無く、多種多様な癌に対して有効である。また、本発明の実施形態に係る温熱治療器を用いた癌の治療装置は、電磁波照射部5から電磁波を照射することにより、体内を加熱して血流を増進させることから、癌の治療装置としてだけではなく、痔疾、血行不良、関節痛、筋肉痛等の様々な疾患に対する治療装置としても有効である。
様々な癌患者に対して、本発明の実施形態に係る温熱治療器1を用いた癌の治療装置を使って、癌患部に電磁波を照射した。その結果を表1に示す。
(実施例1)
30代女性患者(被験者a)において、細胞診断の結果、2.2cmのしこりの存在が認められ、乳癌(ステージII)と診断された。この患者に対して、1日あたりの電磁波照射時間を20分として、毎日、1ヶ月間、電磁波の照射を行なった。その結果、1ヵ月後の診断において、癌細胞の消滅が認められた。
30代女性患者(被験者a)において、細胞診断の結果、2.2cmのしこりの存在が認められ、乳癌(ステージII)と診断された。この患者に対して、1日あたりの電磁波照射時間を20分として、毎日、1ヶ月間、電磁波の照射を行なった。その結果、1ヵ月後の診断において、癌細胞の消滅が認められた。
(実施例2)
60代男性患者(被験者b)において、前立腺癌(ステージI)と判断された。この患者に対して、1日あたりの電磁波照射時間を20分として、1週間あたり3日間、電磁波の照射を行なった。その結果、癌細胞の消滅が認められた。
60代男性患者(被験者b)において、前立腺癌(ステージI)と判断された。この患者に対して、1日あたりの電磁波照射時間を20分として、1週間あたり3日間、電磁波の照射を行なった。その結果、癌細胞の消滅が認められた。
以上の結果から、表皮から比較的浅い(深さ方向で50mm以内程度)の癌細胞は、本発明の実施形態に係る温熱治療器を用いた癌の治療装置により、選択的に温められ、死滅されていることがわかる。
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、本発明の実施形態に係る温熱治療器1として、減衰器8と同軸ケーブル9とを別々に用いる構成について説明したが、図7に示すように、減衰器8と同軸ケーブル9とをそれぞれ電磁波発生部2と電磁波照射部5との間に配置することにより、構成しても良いし、同軸ケーブル9の途中に減衰器8を接続して構成しても良い。
また、例えば、本発明の実施形態に係る温熱治療器1を用いた癌の治療装置としては、図8に示すように、仰向け(若しくはうつ伏せ)に横になった人に対して、ベッドの下部から照射する態様で用いても良い。ベッドの下部に本発明の温熱治療器1を配置し、必要に応じて患部付近に電磁波照射部5が位置するように設定する。なお、ベッド下部に配置された温熱治療器1は、公知のスライド機構で頭から脚部まで移動可能に構成しても良い。
また、例えば、本は詰めの実施形態に係る温熱治療器1を用いた癌の治療装置としては、図9に示すように、仰向け(若しくはうつ伏せ)に横になった人に対して、上方から照射する態様で用いても良い。この場合には、同軸ケーブル9で接続された電磁波照射部5は任意に稼動させることができるので、患者にとって取扱が容易となる。
本発明の実施形態は、本発明の技術的内容を明らかにするために用いられた具体例に過ぎず、本発明はこれらの具体例に限定して解釈されるべきではなく、本発明の精神および範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定される。
また、本発明の各実施形態において表した構成要素は、本発明の範囲で組み合わせることができる。
本発明によれば、装置自体を大型化することなく、治療器を複数台用意する必要も無く、患者自身が操作可でき、持ち運び可能な小型の温熱治療器および癌の治療装置を提供することができる。また、本発明によれば、電磁波を照射することにより、体内を加熱して血流を増進させることから、癌の治療装置としてだけではなく、痔疾、血行不良、関節痛、筋肉痛等の様々な疾患に対する治療装置としても有効である。
1 温熱治療器
2 電磁波発生部
3 電源部
4 制御部
5 電磁波照射部
6 電磁波伝達部
8 減衰器
9 同軸ケーブル
2 電磁波発生部
3 電源部
4 制御部
5 電磁波照射部
6 電磁波伝達部
8 減衰器
9 同軸ケーブル
Claims (10)
- 電磁波を発生させる電磁波発生部と、
前記電磁波発生部を駆動させる電力を供給する電源部と、
前記電磁波発生部から発生する前記電磁波の出力を制御する制御部と、
前記電磁波発生部から発生する前記電磁波を照射する電磁波照射部と、
前記電磁波発生部と前記電磁波照射部との間に設けられた電磁波伝達部とを備え、
前記電磁波発生部と前記電磁波照射部との相対位置が変更可能に設けられていることを特徴とする温熱治療器。 - 前記電磁波照射部は、電磁波の照射角度が可変であることにより、前記電磁波発生部との相対位置を変更可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の温熱治療器。
- 前記電磁波伝達部と前記電磁波照射部との間に同軸ケーブルが設けられ、前記電磁波照射部が、前記電磁波発生部から離間して設けられることにより、前記電磁波発生部との相対位置を変更可能に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の温熱治療器。
- 前記電磁波伝達部が導波路であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の温熱治療器。
- 前記電磁波照射部がホーンアンテナであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の温熱治療器。
- 前記電磁波伝達部と前記電磁波照射部との間に減衰器が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の温熱治療器。
- 前記電磁波が超短波またはマイクロ波であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の温熱治療器。
- 前記電磁波の周波数が30MHz〜10GHzであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の温熱治療器。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の温熱治療器を用いる癌の治療装置。
- 前記癌が、皮膚表面から深さ方向に50mmまでの位置に発生した癌であることを特徴とする請求項9に記載の癌の治療装置。
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---|---|---|---|
JP2016103037A JP2017209213A (ja) | 2016-05-24 | 2016-05-24 | 温熱治療器 |
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