JP2017207441A - 金属構造物の劣化状態評価方法および評価システム - Google Patents

金属構造物の劣化状態評価方法および評価システム Download PDF

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香織 根岸
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【課題】地中金属構造物の劣化状態を、精度高く評価する。
【解決手段】評価対象の金属構造物と同等のサンプルAに対し減肉加工を施して埋設し、力を負荷し変位を計測して、力と変位で劣化状態の基準を規定する工程と、
評価対象の金属構造物と同等のサンプルBに対し、力を負荷し、力と歪みの関係を記録する工程と、
評価対象の金属構造物に歪みを測定する機器を備えて埋設し、埋設後暫く経過した使用状態で、歪み測定と変位測定を行う歪み−変位測定工程と、
を含んだ地中金属構造物の劣化状態評価方法とした。
【選択図】図4

Description

本発明は、金属構造物の劣化状態評価方法および評価システムに関する。
例えば鋼管柱、その支持アンカや配管等のインフラ設備に代表される金属構造物は、全体またはその一部が地中に埋設された状態で利用される。このような地中金属構造物は、地中の水分による腐食などにより、構成する金属部材の減肉が生じて強度が低下する場合がある。一般に、減肉などの劣化が皆無または程度が軽微であって地中金属構造物が本来の機能を果たしている状態を健全状態という。一方、減肉などの劣化の程度が高じて地中金属構造物が本来の機能を喪失しかねない状態を劣化状態という。
地中金属構造物のうち、例えば配管に対しては、管中を流れる流体の漏洩を検知することで、本来の機能を喪失した状態を知り、その部分を特定して交換する事後保全方法がとられる場合がある。しかしながら、構造体としての強度を担保する地中金属構造物では、本来の強度的機能を喪失した状態は、破損、破壊、または倒壊等の事故につながるおそれがあることから、事後保全ではなく、予防保全が求められる。
予防保全の方法としては、対象となる構造物について点検をはじめとする検査によって劣化状態を発見・検知し、当該構造物を構成する全部あるいは一部の部材を、健全である新品に交換する、もしくは、健全状態を担保する同等品と交換する方法が一般的である。ここで、点検とは、一般に検査のうち簡易なものを指し、多くの場合、目視または簡易なツールを用いるものをいう。
しかしながら全体またはその一部が地中に埋設された地中金属構造物においては、地中に埋設されている部分の劣化状態は、人による直接的な観察が困難である場合が多く、一般の点検では劣化状態かどうかをほとんど判別することができない。一方、地中金属構造物の地中に埋設されている部分の劣化状態を検知する検査機器としては、例えば電柱を支持する支線を地面に固定する支線ロッドを検査対象とした、超音波を用いた探傷装置が開発されている。(下記非特許文献1参照)。
山田創平ら「支線ロッド超音波探傷装置の開発」防錆管理2016-2、pp45-50。 IRVING A.DENISON,MELVIN ROMANOFF,"Corrosion of Low-Alloy Irons and Steels in Soils",J. Res. Nat. Bur. Standards,1952年,49,No.5,p.315-323 「見えない」危険を可視化する技術の開発−応力発光体により構造物の欠陥とその危険レベルを同時に診断−http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2008/pr20081114/pr20081114.html(2016年3月3日閲覧)
このような超音波を用いた検査機器では、当然ながら、地中金属構造物のうち、検査対象とすべき部位に至るまで超音波が伝搬することが不可欠である。また伝搬したとしても、健全状態を示す信号とは異なる劣化状態を示す信号が十分な強度で検出されることが必要である。このことは、超音波以外のプローブを用いる原理の検査機器においても、同様である
支線ロッドのような一体形状ではなく、複数の部材で構成される地中金属構造物の場合には、部材間を接続する箇所では、超音波は部材から部材に伝搬することができない、または、部材から部材に伝搬しても超音波の強度は極めて減衰する。すなわち、複数の部材で構成される地中金属構造物の場合には、超音波を用いた検査機器の適用範囲は、超音波を最初に伝搬させた部材の範囲に限定される。複数の金属部材で構成される地中金属構造物の例として、非特許文献1の支線ロッドと同様に支線を地面に固定するのに用いられる支線アンカがある。後述の図1にも概略を示す支線アンカ401は、地中に埋設される本体の複数の部材のほか、地上の支線と接続するロッド402を含む複数の金属部材からなる。
このような支線アンカの場合、強度的機能として、地中の金属部材により支線の引張荷重に対する反力を担保することが求められる。反力の最大値を耐力という。実際には、耐力より十分低い引張荷重がかかる条件で、支線アンカは使用される。引張荷重が加わった場合、支線アンカの位置はわずかに変化し、ある変位を示した状態で、引張荷重と反力が釣り合う。支線アンカが劣化し、引張荷重に耐えられなくなった場合、目視でも分かるような変位が現れることがある。このような変位が現れた状態を、浮き上がりなどと呼ぶ。浮き上がり状態は、すでに危険な状態であり、浮き上がり状態の前の小さな変位の値から支線アンカの劣化状態を察知する必要がある。しかしながら、小さな変位があった場合、その変位が、健全状態の範囲か、劣化状態の範囲かは単なる目視では容易に判別できない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、地中金属構造物の劣化状態を評価することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は以下のような構成とすることができる。
(発明の構成1)
全部または一部が地中に埋設される金属構造物について、
前記金属構造物と同等のサンプルAに対し減肉加工を施す加工工程と、
前記サンプルAを埋設し、埋設されたサンプルAに対し、力を負荷し、負荷した力に応じた変位を計測する試験を行う試験A工程と、
前記試験A工程の結果に基づき、力と変位の関係を示す曲線Aを得て記録する記録A工程と、
曲線Aに基づき、劣化状態を規定する工程と、
前記金属構造物と同等のサンプルBに対し、力を負荷し、負荷した力に応じて歪みを計測する試験を行う試験B工程と、
前記試験B工程の結果に基づき、力と歪みの関係を示す曲線Bを得て記録する記録B工程と、
前記金属構造物に対し、埋設する前に、歪みを測定する機器を備えておき、埋設後暫く経過した使用状態で歪み測定を行う歪み測定工程と、
前記金属構造物に対し、前記埋設後暫く経過した使用状態で変位測定を行う変位測定工程と、
を含んだことを特徴とする金属構造物の劣化状態評価方法。
(発明の構成2)
全部または一部が地中に埋設される金属構造物について、
前記金属構造物と同等のサンプルAに対し減肉加工を施す加工工程と、
前記サンプルAを埋設し、埋設されたサンプルAに対し、力を負荷し、負荷した力に応じた変位を計測する試験を行う試験A工程と、
前記試験A工程の結果に基づき、力と変位の関係を示す曲線Aを得て記録する記録A工程と、
曲線Aに基づき、劣化状態を規定する工程と、
前記金属構造物と同等の金属材料に対するヤング率を得て、前記金属構造物に負荷する力と歪みの関係を得て記録する記録B´工程と、
前記金属構造物に対し、埋設する前に、歪みを測定する機器を備えておき、埋設後暫く経過した使用状態で歪み測定を行う歪み測定工程と、
前記金属構造物に対し、前記埋設後暫く経過した使用状態で変位測定を行う変位測定工程と、
を含んだことを特徴とする金属構造物の劣化状態評価方法。
(発明の構成3)
全部または一部が地中に埋設される金属構造物について、前記金属構造物と同等のサンプルに対し減肉加工を施したサンプルAを埋設して力を負荷し、負荷した力に応じた変位を計測する試験Aの結果に基づく、力と変位の関係を示す曲線Aを、金属構造物の劣化状態の指標値として記録する記録部Aを備え、
金属構造物の応力−歪み曲線Bまたは金属構造物の金属材料のヤング率を保存するデータベース部を備え、
前記データベース部から、金属構造物の応力−歪み曲線Bまたはヤング率を検索するための入出力を行うインターフェース部を備え、
前記金属構造物に対し埋設する前に歪みを測定する機器を備えておき、埋設後暫く経過した使用状態で歪み測定を行った結果得られた歪みの値を前記インターフェース部に入力して得られた応力の値を、前記埋設後暫く経過した使用状態で変位測定を行った結果と合わせて、応力と変位の値の組である結果Cを記録する記録部Cを備え、
前記記録部Aの曲線Aと、前記結果Cとを比較し、金属構造物の劣化状態を判定する判定部を備える
ことを特徴とする金属構造物の劣化状態評価システム。
本発明によれば、地中金属構造物の劣化状態を精度高く評価することができる。
本発明の一本実施形態における地中金属構造物である支線アンカの設置状態を示す図である。 本実施形態のサンプルAの試験A工程と記録A工程で得られる引張荷重−変位曲線Aと、劣化状態を評価した結果を例示する図である。 本実施形態のサンプルBの試験B工程と記録B工程で得られる応力−歪み曲線Bを例示する図である。 本発明の一実施形態に係る評価処理手順を示すフローチャートである。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
図1は、本発明の一本実施形態において評価対象とする地中金属構造物の設置状態を示す図である。
図1には、地中金属構造物の例として、前述のような支線アンカの設置状態を例示する。複数の金属部材で構成された支線アンカ401の本体の大部分は地中に埋設されており、一部地上に出ている金属製のロッド402を介して、支線アンカ401が支えるべき他の構造物(不図示)と支線で接続されている。ロッド402には、他の構造物から受ける引張荷重がかかっている状態にある。
本発明の実施形態の一例では、支線アンカ401のロッド402には、歪みゲージ403が取り付けられており、引張荷重にともなう歪みを測定する。後述の図3のように、弾性変形の範囲であれば、測定された歪みから応力−歪曲線Bの直線部分あるいはヤング率を用いて、実際にかかっている引張荷重を知ることができる。
また図1におけるロッド402上の代表点404の位置を、適宜の荷重をかけて測量することで、荷重−変位曲線を得ることができる。
図2は、支線アンカを例にとったときの、このような引張荷重−変位の関係を示す図である。
図2の上の曲線A0は、支線アンカの埋設直後の、腐食などの劣化の無い新品状態における引張荷重−変位の関係を示す曲線である。
構造物の埋設後暫く経過した使用状態において、ある程度劣化が進んだ状態においては構造物の強度が低下し、より少ない荷重において変位が増大するようになる。この状態においては、引張荷重−変位の関係を示す曲線は図2の下方に移動し、曲線Aのようになる。この曲線Aを、劣化を模擬した構造物のサンプルAを用いて測定し、劣化判断の基準として規定する。
図2にはまた、実際の評価対象とする更に劣化の進んだ金属構造物に、特定の引張荷重をかけた場合に測定される変位を、使用状態における測定値の点Cとして示してある。図2では、点Cが曲線Aより下方にあることから、評価対象とする金属構造物は劣化状態にあると評価される。
このように、引張荷重と変位の組み合わせで表される点Cと、曲線Aとの関係に基づき、地中金属構造物が劣化状態にあるかどうかを判定することができる。
図4は、このような本発明の一実施形態に係る評価方法の処理手順を示すフローチャートである。以下、図4をもとに説明する。
[サンプルAの減肉加工工程]
図4のS101は、腐食による減肉での劣化を模擬して、金属構造物と同等のサンプルAの部材の全部あるいは一部に対し減肉加工を施す加工工程である。減肉加工を施す具体的加工方法としては,例えば,NC旋盤やフライス盤を用いた加工でもよいし,化学的エッチングを用いて金属構造物を溶解し,溶解した後の減肉の程度をノギス等で計測ながら,化学的エッチングを繰り返して,所望の減肉の程度を得る方法でもよい。
最終的な所望の減肉の度合いは、評価対象の金属構造物と同等で、設置して使用後、すでに回収された劣化状態の金属構造物を模して決定してもよいし、すでに開示された金属材料の腐食減肉量の経年変化のデータがあれば、それを参考に決めてもよい(非特許文献2参照)。
〔減肉サンプルAに対する試験A工程〕
図4のS102は、前述のサンプルAの減肉加工工程で得られた減肉サンプルAを、金属構造物の埋設が想定される地面と同等の地面に埋設し、埋設されたサンプルAに対し、力を負荷し、負荷した力(引張加重)に応じて生じた構造物の変位を計測する試験を行う試験A工程である。
試験A工程は、例えば,サンプルAが大型のものであれば、重機を用いて埋設されたサンプルAを引っ張る試験において、重機とサンプルAの間に負荷された引張荷重を測定するロードセルを配し、サンプルAの変位をサンプルA上の代表点の動きとして測定することにより実施できる。
代表点の動きは、地上の不動点との位置関係をレーザによる測位によって逐次得てもよいし、より簡単には、重機を不動点として、サンプルA上の代表点に取り付けた伸びない糸を引張試験の引張方向に合わせて巻き上げて、糸の巻き上げ長さを変位としてもよい。ここでは、以下、支線アンカの場合を例に、断りのない限り、力として引張荷重を負荷するものとする。
〔減肉サンプルAについての引張荷重−変位曲線Aの記録A工程〕
図4のS103は、減肉サンプルAに対する試験A工程で得られたデータに基づいて引張荷重−変位曲線A(図2)を得て、記録する工程である。一般に、縦軸に引張荷重、横軸に変位をとって、試験A工程で得られたデータを記し、その間を曲線(直線を含む)で結ぶ。試験A工程で得られたデータが離散的である場合、雲形定規やスプライン関数などを用いて、離散的なデータの間を補完して曲線Aを得てもよい。
〔劣化状態の規定工程〕
図4のS104は、得られた曲線Aに基づいて、劣化状態を規定する工程である。支線アンカの場合を例にすると、一般的には、曲線Aにおける最大の引張荷重(図2の曲線Aの最高点における引張加重)について、耐力に対しての割合を算出し、その割合を使って劣化状態を規定することができる。
例えば、元々の新品の耐力は強度上の余裕を持って設計され,その余裕はしばしば安全率で表されるが,仮に安全率を1.5とした場合,曲線Aにおける最大の引張荷重の耐力に対しての割合が,1.5の逆数に相当する3分の2であれば、耐力の3分の2未満を示す状態を劣化状態として規定することができる。
反対に、耐力の3分の2未満を示す状態を劣化状態として、仮に曲線Aにおける最大の引張荷重が3分の2以上あるいは3分の2未満であった場合、曲線A全体に定数を乗じて、最大の引張荷重が耐力の3分の2になる新たな曲線Aを生成させてもよいし、新たなサンプルAを用意して、ステップ101からステップ104を再度行い、新たに得られた曲線Aにおける最大の引張荷重が3分の2程度となるように、ステップ101からステップ104を繰り返してもよい。
なお、耐力は、本発明を使用する意図によって、新品の耐力としてもよいし、設計上の耐力としてもよい。
〔サンプルBに対する試験B工程〕
図4のS105は、減肉加工しない金属構造物と同等のサンプルBに対し、埋設しない状態で、力を負荷し、負荷した力に応じて歪みを計測する試験を行う工程である。
減肉加工しない金属構造物と同等のサンプルBを用意して、埋設しない状態で力を負荷することによって、減肉加工しない金属構造物単体の応力−歪み特性(図3)を得て、評価対象とする金属構造物にかかる引張加重を測定する基礎とする。
力を負荷する部位は、サンプルBの全部あるいは一部の部位であるが、一部の部位の場合には、力が負荷されにくい部位ではなく、構造上、負荷した力の大半を受ける部位が望ましい。減肉加工しないサンプルBとして支線アンカの場合を例にとると、支線アンカを歪みを計測する装置に装着して、実際の使用において支線にかかる引張荷重を受ける部位であるロッド部に対し、引張荷重を負荷する。引張荷重を負荷し、歪みを計測する装置としては、一般に引張試験機を用いるが、ロードセルなど負荷した荷重が分かる機器を用いてもよい。負荷した引張荷重に応じたロッド部の微少変位を計測し歪みに直してもよいが、歪みゲージなどを用いて、直接的に歪みを計測してもよい。
〔サンプルBについての引張荷重−歪み曲線Bの記録B工程〕
図4のS106は、上記試験B工程の結果に基づき、減肉加工しないサンプルBにおける力と歪みとの関係を示す曲線Bを得て記録する工程である。支線アンカの場合を例にとって、図3にあるような引張荷重と歪みとの関係を示す曲線Bを得て記録する。
力を負荷する部位が金属構造物の一部の部位であって、力がかかる方向に一様な形状を有し、構成する材料が一般的な金属材料であって、その材料のヤング率のデータが文献等で明らかな場合は、サンプルBを用いず、試験B工程(S105)と記録B工程(S106)に代えて、当該部材の形状と部材を構成する材料のヤング率のデータから、金属構造物の荷重と歪みの関係を得て記録する記録B´工程としてもよい。
〔金属構造物の歪み測定工程〕
図4のS107は、実際に評価対象とする金属構造物に対し、埋設後暫く経過した使用状態で、実際にかかっている引張荷重を決定するために、歪み測定を行う歪み測定工程である。
実際に評価対象とする金属構造物に対しては、地中に埋設する前に、歪みを測定する機器を備えておく。
歪みを測定する機器としては、図1に示す歪みゲージ403のような機器が簡便であるが、歪みゲージ以外の機器や方法によってもよい。歪みを測定する金属構造物の部位は、サンプルBにおいて歪みを測定した部位と同等の部位とする(非特許文献3参照)。
図4のS108は、上述の応力−歪み曲線Bを用いて、評価対象の金属構造物にかかる引張荷重を算出する工程である。上記S107の工程で埋設後暫く経過した使用状態における金属構造物の歪みが得られるので、S106で記録された曲線B(図3)を用いて、評価対象の金属構造物に実際にかかる引張荷重(応力)を得ることができる。
〔金属構造物の変位測定工程〕
図4のS109は、評価対象とする金属構造物に対し、埋設後暫く経過した使用状態で、実際に発生している変位の測定を行う変位測定工程である。
変位を測定する方法は、例えば、埋設直後の使用状態において、金属構造物の周囲にある不動点を基準として決定しておき、金属構造物の規定箇所の代表点の空間座標1を測量により決定しておく。そして、埋設後暫く経過した使用状態において、この不動点を基準として代表点の空間座標2を測量により決定し、空間座標1と空間座標2の距離を示す線分1の長さを実際に発生している変位として決定する方法がある。
あるいは、線分1を、力が負荷される方向を示す直線上に射影した線分2の長さを変位とする方法がある。測量の方法としては、複数の不動点を用いる三角測量法などを用いることができる。不動点としては、測量で用いられる水準点、三角点、または水準点や三角点に準じて設定された点を用いることができる。
以上の工程を経て、埋設後暫く経過した実際の使用状態における、評価対象とする金属構造物にかかる引張荷重と変位を表す点C(図2)が得られる。
図4のS110において、S103で得られた縦軸に引張荷重、横軸に変位をとった場合の曲線A(図2)と、埋設後暫く経過した使用状態における引張荷重と変位の組み合わせで表現される点C(図2)との位置関係を比較する。
図4のS111において、図2に関して説明したように、この点Cの位置が、劣化状態の基準として規定された曲線Aの下方にある場合、金属構造物が劣化状態にあると評価することができる。
前述の図3は、減肉加工しない金属構造物の例として、支線アンカを構成する部位であるロッドをサンプルBとして、サンプルBの引張荷重または応力と、歪みまたは変位の関係を示す図である。
引張試験機等を用いて実験的に曲線Bを得てもよいが、対象となる部位を構成する材料が一般的な材料で、応力−歪み曲線が既知であれば、既知の曲線を曲線Bとして用いてもよい。金属構造物の通常の使用状態において加わる引張加重は、塑性域に達する大きな歪みをもたらすものではなく、弾性域にある歪みの範囲である。したがって、応力と歪みは比例関係にあり、対象となる部位を構成する材料が一般的な材料の場合、曲線Bに代わって材料の既知のヤング率のデータを用いて、歪みの値から対応する応力の値を得ることができ、サンプルBの形状(断面積)から、応力の値を引張荷重に換算することもできる。
[システムとしての実施形態]
本発明は、パーソナルコンピュータなどで実装されたシステムの実施形態としても実施可能である。
すなわち、本発明の金属構造物の劣化状態評価システムはまず、全部または一部が地中に埋設される金属構造物について、金属構造物と同等のサンプルに対し減肉加工を施したサンプルAを埋設して力を負荷し、負荷した力に応じた変位を計測する試験Aの結果に基づく、力と変位の関係を示す曲線Aを、金属構造物の劣化状態の指標値(基準値)として記録する記録部Aを備えている。
本システムはまた、金属構造物の応力−歪み曲線Bまたは金属構造物の金属材料のヤング率を保存するデータベース部を備えており、前記データベース部から、金属構造物の応力−歪み曲線Bまたはヤング率を検索するための入出力を行うインターフェース部を備えている。
本システムはまた、前記金属構造物に対し埋設する前に歪みを測定する機器を備えておき、埋設後暫く経過した使用状態で歪み測定を行った結果得られた歪みの値を前記インターフェース部に入力して得られた応力の値を、埋設後暫く経過した使用状態で変位測定を行った結果と合わせて、応力と変位の値の組である結果Cを記録する記録部Cを備えている。
そして本システムは、前記記録部Aの曲線Aと、前記結果Cとを比較し、金属構造物の劣化状態を判定する判定部を備えることを特徴とする金属構造物の劣化状態評価システム
である。
以上、説明したように、本実施形態の評価方法または評価システムでは、評価対象とする全部または一部が地中に埋設される金属構造物について、まず、同等のサンプルAに対し減肉加工を施し、サンプルAを埋設し、埋設されたサンプルAに対し、力を負荷し、負荷した力に応じて変位を計測する試験を行う試験Aを行い、得られた曲線Aに基づき、劣化状態の判断基準を規定する。
また、評価対象とする金属構造物と同等の、減肉加工を施さないサンプルBに対し、力を負荷し、負荷した力に応じて歪みを計測する試験を行う試験を行い、力と歪みの関係を示す曲線Bを得る。
そして、評価対象とする金属構造物に対して、埋設直後と埋設後暫く経過した使用状態とにおいて歪みと変位を測定し、引張荷重と変位の組み合わせを得て、引張荷重と変位の組み合わせで表される点Cと、曲線Aとの関係性を得る。これにより、地中金属構造物の劣化状態を評価することができる。
以上、本発明者によってなされた本発明を適用した金属構造物の劣化状態評価方法と評価システムの実施形態について説明した。
本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述および図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
401 支線アンカ
402 ロッド
403 歪みゲージ
404 代表点

Claims (3)

  1. 全部または一部が地中に埋設される金属構造物について、
    前記金属構造物と同等のサンプルAに対し減肉加工を施す加工工程と、
    前記サンプルAを埋設し、埋設されたサンプルAに対し、力を負荷し、負荷した力に応じた変位を計測する試験を行う試験A工程と、
    前記試験A工程の結果に基づき、力と変位の関係を示す曲線Aを得て記録する記録A工程と、
    曲線Aに基づき、劣化状態を規定する工程と、
    前記金属構造物と同等のサンプルBに対し、力を負荷し、負荷した力に応じて歪みを計測する試験を行う試験B工程と、
    前記試験B工程の結果に基づき、力と歪みの関係を示す曲線Bを得て記録する記録B工程と、
    前記金属構造物に対し、埋設する前に、歪みを測定する機器を備えておき、埋設後暫く経過した使用状態で歪み測定を行う歪み測定工程と、
    前記金属構造物に対し、前記埋設後暫く経過した使用状態で変位測定を行う変位測定工程と、
    を含んだことを特徴とする金属構造物の劣化状態評価方法。
  2. 全部または一部が地中に埋設される金属構造物について、
    前記金属構造物と同等のサンプルAに対し減肉加工を施す加工工程と、
    前記サンプルAを埋設し、埋設されたサンプルAに対し、力を負荷し、負荷した力に応じた変位を計測する試験を行う試験A工程と、
    前記試験A工程の結果に基づき、力と変位の関係を示す曲線Aを得て記録する記録A工程と、
    曲線Aに基づき、劣化状態を規定する工程と、
    前記金属構造物と同等の金属材料に対するヤング率を得て、前記金属構造物に負荷する力と歪みの関係を得て記録する記録B´工程と、
    前記金属構造物に対し、埋設する前に、歪みを測定する機器を備えておき、埋設後暫く経過した使用状態で歪み測定を行う歪み測定工程と、
    前記金属構造物に対し、前記埋設後暫く経過した使用状態で変位測定を行う変位測定工程と、
    を含んだことを特徴とする金属構造物の劣化状態評価方法。
  3. 全部または一部が地中に埋設される金属構造物について、前記金属構造物と同等のサンプルに対し減肉加工を施したサンプルAを埋設して力を負荷し、負荷した力に応じた変位を計測する試験Aの結果に基づく、力と変位の関係を示す曲線Aを、金属構造物の劣化状態の指標値として記録する記録部Aを備え、
    金属構造物の応力−歪み曲線Bまたは金属構造物の金属材料のヤング率を保存するデータベース部を備え、
    前記データベース部から、金属構造物の応力−歪み曲線Bまたはヤング率を検索するための入出力を行うインターフェース部を備え、
    前記金属構造物に対し埋設する前に歪みを測定する機器を備えておき、埋設後暫く経過した使用状態で歪み測定を行った結果得られた歪みの値を前記インターフェース部に入力して得られた応力の値を、前記埋設後暫く経過した使用状態で変位測定を行った結果と合わせて、応力と変位の値の組である結果Cを記録する記録部Cを備え、
    前記記録部Aの曲線Aと、前記結果Cとを比較し、金属構造物の劣化状態を判定する判定部を備える
    ことを特徴とする金属構造物の劣化状態評価システム。
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