JP2017202267A - 情報取得装置、撮影装置及び情報取得方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】血管に関する情報を精度よく取得することを可能とする情報取得装置、方法等を提供する。
【解決手段】情報取得装置は、第一部〜第四部505を有する。第一部は、撮影条件がそれぞれ異なり、血管を含む撮影部位を含む複数の画像データを取得する。第二部は、複数の画像データから選ばれた異なる画像データ間で差分処理されたデータである複数の差分画像データを生成する。第三部は、複数の差分画像データを含む複数の画像データの中にそれぞれ設定された注目領域540、541、542において、指標データを取得する。第四部は、指標データに基づいて、複数の差分画像データを含む複数の画像データから画像データを選択して注目領域540、541、542と対応付ける。
【選択図】 図5
【解決手段】情報取得装置は、第一部〜第四部505を有する。第一部は、撮影条件がそれぞれ異なり、血管を含む撮影部位を含む複数の画像データを取得する。第二部は、複数の画像データから選ばれた異なる画像データ間で差分処理されたデータである複数の差分画像データを生成する。第三部は、複数の差分画像データを含む複数の画像データの中にそれぞれ設定された注目領域540、541、542において、指標データを取得する。第四部は、指標データに基づいて、複数の差分画像データを含む複数の画像データから画像データを選択して注目領域540、541、542と対応付ける。
【選択図】 図5
Description
本発明は、情報取得装置、撮像装置及び情報取得方法に関するものである。例えば、光を用いた生体の血管の情報取得装置、撮像装置、情報取得方法などに関するものである。
生体内等の組織構造や血管構造等を撮像可能な手段としては、例えば、核磁気共鳴画像法(magnetic resonance imaging:MRI)、X線CT(X−ray Computed Tomography)などが挙げられる。しかし、これらの方法では、造影剤使用、被爆等の課題があり、非被曝非侵襲な観察方法が求められている。
非被曝・非侵襲な計測方法として光による計測技術が挙げられる。しかし、生体は光に対して強散乱体であり、光による生体内組織の観察においては散乱光の影響により、組織構造のボケ、画像コントラストの低下が生じる。そのため、細い血管のように散乱によるコントラスト低下が生じやすい血管や、光吸収が弱くコントラストが低い新生血管群等の血管の観察に際しては、血管像を抽出し強調することが求められる。
ところで、特許文献1では、静脈認証の分野において、静脈の空間周波数よりも低い低周波成分及び高い周波数成分を低減するフィルタを用いて、静脈の血管パターンを抽出することが開示されている。
しかし、新生血管群などの像は、空間周波数が低い可能性が高く、特許文献1の方法を用いると、新生血管群のパターンが抽出しにくくなる。そこで、血管像の空間周波数に関係なく、血管に関する情報を精度よく取得することが求められる。本発明の目的は、血管に関する情報を精度よく取得することが可能な情報取得装置、撮像装置、情報取得方法などを提供することである。
本発明の一側面の情報取得装置は、撮影条件がそれぞれ異なり、血管を含む撮影部位を含む複数の画像データを取得する第一部と、前記複数の画像データから選ばれた異なる画像データ間で差分処理されたデータである差分画像データを生成する第二部と、前記第一部により取得された画像データと前記差分画像データを含む複数の画像データの中にそれぞれ設定された注目領域において、指標データを取得する第三部と、前記指標データに基づいて、前記第一部により取得された画像データと前記差分画像データを含む複数の画像データから画像データを選択して前記注目領域と対応付ける第四部と、を有する。前記第四部は、指標データに基づいて、第一部により取得された画像データと差分画像データを含む複数の画像データからの画像データの関連情報を注目領域と対応付けるように構成されてもよい。また、前記第三部は、差分画像データを含む画像データの中に設定された注目領域において指標データを取得し、前記第四部は、指標データに基づいて、差分画像データから画像データを選択して注目領域と対応付けるか或いは差分画像データからの画像データの関連情報を注目領域と対応付けるように構成されてもよい。
本発明によれば、血管に関する情報を精度よく取得することが可能となる。
本発明の一側面の情報取得方法では、撮影条件が異なり血管を含む撮影部位を含む複数の画像データを取得し(第一工程)、複数の画像データから選ばれた異なる画像データ間で差分処理されたデータである複数の差分画像データを生成する(第二工程)。そして、前記第一工程で取得された画像データと前記差分画像データを含む複数の画像データの中にそれぞれ設定された注目領域において、指標データを取得する(第三工程)。指標データに基づいて、第一工程で取得された画像データと差分画像データを含む複数の画像データから画像データを選択して注目領域と対応付ける(第四工程)。前記第四工程では、指標データに基づいて、画像データの関連情報を注目領域と対応付けてもよい。また、前記第三工程で、差分画像データを含む画像データの中に設定された注目領域において指標データを取得し、前記第四工程で、指標データに基づいて、差分画像データから画像データを選択して注目領域と対応付けるか或いは差分画像データからの画像データの関連情報を注目領域と対応付けてもよい。さらに、前記対応付けられた画像データまたは関連情報を用いて、注目領域における出力画像データを取得する(第五工程)ようにできる。撮影部位の中に複数の注目領域が設定される場合は、第五工程において注目領域毎に前記出力画像データが生成される。この場合、複数の注目領域の位置関係を維持して注目領域毎の前記出力画像データを配列させた血管画像を生成する(第六工程)ようにできる。各工程の態様には、後述する実施形態及び実施例で説明するように様々なものがある。
本発明の他の側面の情報取得装置(処理装置)は、前記第一乃至第四工程の機能をそれぞれ実行する第一部乃至第四部を有する。さらに、前記第五工程を実行する第五部や前記第六工程を実行する第六部を備えることができる。
以下、本発明の実施形態及び実施例を説明するが、それらは本発明を何ら限定するものではない。本発明の一実施形態の撮影装置は、光源と、検出部と、処理部(前記第一部乃至第四部)を含む情報取得装置とを少なくとも有する。光源からの光を、例えば被験者の体(被検体)の部位に照射し、透過光、反射光、散乱光の少なくとも1つを検出部にて検出し、撮影部位の複数の画像を、異なる撮影条件にて取得する。本実施形態の撮影装置では、注目する血管を異なる条件で撮影したこうした画像を複数用い、処理部にて演算処理を行い、複数の画像同士の差分処理で血管像を抽出する。例えば通常の透過撮影では散乱光による背景分布の中に淡い血管像(吸収像)が存在する画像でも、前記複数の画像データ同士の差分処理により散乱光成分などを画像から除去することにより、血管像を抽出可能である。
(撮影条件がそれぞれ異なり、血管を含む撮影部位を含む複数の画像データ(元画像)を取得する工程の説明)
まず、本実施形態の装置で記録される、撮影条件の違いによる血管像の差異について述べる。血管像の差異としては、例えば血流量の変化による血管部の透過率変化、光吸収変化などが挙げられる。血流量の変動を生じさせる原因或いは手法には次のものがある。例えば心臓の拍動に起因する、人体で常に生じている血流変動がある。また、撮影する部位の高さと被験者の心臓の高さとの位置関係を変化させても、血流変動を生じうる。或いは、駆血帯(カフ)などを用いて、撮影部位よりも心臓に近い部位を圧迫する圧力を変化させ、撮影部位の血流を変動させてもよい。
まず、本実施形態の装置で記録される、撮影条件の違いによる血管像の差異について述べる。血管像の差異としては、例えば血流量の変化による血管部の透過率変化、光吸収変化などが挙げられる。血流量の変動を生じさせる原因或いは手法には次のものがある。例えば心臓の拍動に起因する、人体で常に生じている血流変動がある。また、撮影する部位の高さと被験者の心臓の高さとの位置関係を変化させても、血流変動を生じうる。或いは、駆血帯(カフ)などを用いて、撮影部位よりも心臓に近い部位を圧迫する圧力を変化させ、撮影部位の血流を変動させてもよい。
人体に通常存在する血管は大きく分けて動脈、毛細血管、静脈である。動脈は大動脈、動脈、細動脈に分類される。大動脈の内径は凡そ2.5cm、動脈は0.4cm、細動脈は30μmである。毛細血管の内径は5μmである。静脈は大静脈、静脈、細静脈に分類される。大静脈の内径は3cm、静脈の内径は0.5cm、細静脈の内径は20μmである。
一般に、管の中を流れる液体は圧力損失を受ける。このため、或る圧力を印加されて管に流入した液体は、管の径が細いほど、また管の中を伝搬する距離が長くなるほど、かかる圧力が減少する。従って、血管の場合でも、心臓からの圧力やその変動は、太い血管ほど伝わりやすく細い血管ほど伝わりにくいと考えられる。つまり、動脈や静脈などの太い血管では圧力損失が小さく心臓からの血圧やその変動が伝わりやすく、血圧変動による血流量の変化も大きいと考えられる。一方、毛細血管のように非常に細い血管では、血圧やその変動は伝わりにくく、血圧変動による血流量の変化も小さいと考えられる。また、血管の太さだけでなく、血管の構造が違う場合、血管壁の弾力が異なることも血圧やその変動の伝わりやすさに影響を与えると考えられる。よって、血圧の変動による血管の光吸収の変化も、血管の種類や太さによって異なると考えられる。
また、人体に常に存在する血管ではないが、疾患の患部などに新たに発生する血管として新生血管がある。新生血管は、一本一本は細い血管でありながら、それらが密集し稠密な新生血管群を形成している。また病状の進行と共に新生血管群の塊としての大きさが増大したり、新生血管群を構成する各新生血管の太さが増大したりする場合もある。新生血管群が新たに発生した組織では、もともと存在する毛細血管や他の血管に加えて新生血管群が形成されるので、血管及び血液の体積占有率が増大すると考えられる。このため、血液による光吸収や、血流量の変動による光吸収の変動も、新生血管群が存在しない組織と比較して大きくなると考えられる。
本実施形態は上記の如き血管の像を明瞭に抽出するための装置や方法に係わる。特に動脈、静脈、及び新生血管群のうちの少なくとも1つを撮影することを目的とした装置ないし方法である。
例として、関節リウマチに伴う新生血管群を撮影する場合など、関節近傍の血管を撮影する場合、撮影領域に関節部分と動脈又は静脈を含むように設定する。対象が新生血管群の場合は、新生血管群も含むように設定することが好適であるが、新生血管群が見えにくく単純な透過撮影画像などからはその位置が分かりにくい可能性もある。この場合は、後述するように、まずは動脈や静脈を抽出する操作を行う。この操作により新生血管群も見やすくなり、場所が特定できた場合には、さらにこの新生血管群を見やすくする演算処理を施すことにより、新生血管群もより明瞭に抽出することが可能となる。
撮影条件を変えた血管画像の取得方法には、例として以下の手法がある。例えば撮影時刻を変えて複数枚撮影することが可能である。動画撮影した場合は、動画の各フレームそれぞれが、撮影時刻の異なる画像となる。この場合、血管画像の時間変化を記録することが可能であり、例えば時間と共に血流量やそれに伴う血管による光吸収の強さが変動するときなど、その変動を記録することが可能である。
(複数の画像データの中にそれぞれ設定された注目領域において、指標データを取得する工程の説明)
次に、異なる撮影条件で撮影された画像、画像中の各部の設定及び評価について、透過撮影を例に説明する。画像中の各部の設定及び評価については、後述の差分画像データに対しても適用することができる。血管は光を吸収するので、通常の透過撮影では暗く写る。なお、反射撮影でも血管は光を吸収するので暗く写る。脂肪部や骨、筋肉などの組織は光を強く散乱するため、生体内の皮膚下にある動脈又は静脈を透過撮影した場合、動脈又は静脈像は暗い棒状であり且つぼやけた像になる。血管ではない脂肪や筋肉などは、血管と比較して光吸収が弱く、生体内散乱光によって血管像よりも明るく写る。画像の表示方法としては、明暗を反転し、血管による光吸収が生じた部分を明るく、吸収が無い部分を暗く表示させることも可能である。
次に、異なる撮影条件で撮影された画像、画像中の各部の設定及び評価について、透過撮影を例に説明する。画像中の各部の設定及び評価については、後述の差分画像データに対しても適用することができる。血管は光を吸収するので、通常の透過撮影では暗く写る。なお、反射撮影でも血管は光を吸収するので暗く写る。脂肪部や骨、筋肉などの組織は光を強く散乱するため、生体内の皮膚下にある動脈又は静脈を透過撮影した場合、動脈又は静脈像は暗い棒状であり且つぼやけた像になる。血管ではない脂肪や筋肉などは、血管と比較して光吸収が弱く、生体内散乱光によって血管像よりも明るく写る。画像の表示方法としては、明暗を反転し、血管による光吸収が生じた部分を明るく、吸収が無い部分を暗く表示させることも可能である。
血管像の強度の評価について説明する。本実施形態では、血管像の強度は、血管像の略中心の最も暗い部分と血管の近傍の明るい部分との信号値の差で評価する。透過光量が大きい部分は、皮膚下の浅い部位に動脈又は静脈が存在せず、脂肪や筋肉などが存在している部位である。本明細書ではこの領域を脂肪部(後述の第一の領域以外の第二の領域を含む)と呼ぶ。これに対して血管部(後述の第一の領域を含む)は血管による光の吸収が強いので、脂肪部よりも透過光量が少なくなる。従って、基本的には血管部の脇にある最も画素値(指標値)が大きい領域が脂肪部であるとみなす。血管が近くに複数存在する場合、脂肪部の画素値を評価する位置としては、或る血管とその血管に最も近接した別の血管との間にあって透過光量が最も大きい点をもって、脂肪部の位置であるとみなすのが良い。
図1は血管像の例の模式図である。撮影領域101には関節102、関節103、血管104、血管107、血管109を含む。図2は、図1中のA点105とB点106を結ぶ線分上の画像の明るさの分布である。このとき、図2の血管像201、注目している血管104の中心202、血管109の中心210、脂肪部203、脂肪部204について画像の明るさを評価する。また、205は図1のA点の位置、206は図1中のB点の位置を示す。血管像の中心202に対応する図1中の位置は点107であり、脂肪部203に対応する位置は画素値が最も明るくなる点108である。そして、血管画素として点107に対応する画素を指定し、脂肪画素として点108に対応する画素を指定する。これらの領域から、それぞれの領域の画素値を得る。そして、図2における血管像の脇の脂肪部の明るさ207を脂肪画素の画素値とし、血管像の明るさ208を血管画素の画素値とし、その差209が血管像の強度であるとして評価する。これは、後述する指標データとなり得るものである。
本実施形態では、血管像の画素値を評価する血管画素の位置と脂肪部の画素値を評価する脂肪画素の位置とが、血管の走行方向に対して略直交方向に離間している例を示す。ただし、血管像の評価方法としてはこの限りではなく、直交方向からずれていてもよい。また、血管像を評価する血管画素と脂肪部を評価する脂肪画素は大きくは離間しない位置に設定することが好ましい。例えば血管の画素値を評価する血管画素と脂肪部の画素値を評価する脂肪画素との間には、別の血管がその間に入らないように設定する。このことで、血管像とその最近接の脂肪部との画素値の差を評価できるため、散乱による背景光強度分布の影響を受けにくく、血管像強度を正確に評価しやすくなる。これは、血管画素と脂肪画素が近接している場合、仮に血管画素の血管が存在しないとするならば、血管画素の画素値と脂肪画素の画素値は近い可能性が高いと考えられるためである。生体は強散乱体であり、血管画素と脂肪画素の間が十分近接していれば、生体を透過してくる光の強度分布は散乱により空間分布が殆ど無くなっていると考えられる。従って、血管画素と脂肪画素との画素値の差異は、基本的には血管の有無による影響のみが現れているとみなせ、血管画素と脂肪画素との画素値の差が、血管像強度と考えてよいことになる。
しかし、血管画素と脂肪画素が離れるにつれて、生体を透過してくる光の強度が、血管の有無にかかわらず血管画素と脂肪画素でそもそも異なる可能性が高くなる。この場合、血管画素にある血管像強度は、血管画素の画素値と脂肪画素の画素値との差から乖離し、血管画素にある血管像強度を評価することが困難になる。
従って、血管画素と脂肪画素は大きく離間させず、血管像の幅よりも離れている状態で、なるべく近いことが好ましい。上記より、脂肪画素を設定する位置は、血管画素を通り血管画素が配置されている血管の走行方向と略直交する方向に伸ばした直線上であって、血管画素が配置されている血管とその隣にある血管の間にあって画素値が極大値を取る位置に設定することが好ましい。これは、明暗反転画像においては血管部が明るく脂肪部が暗くなるため、画素値が極小値を取る位置に脂肪画素を設定することに相当する。
また、予め数値計算などにより、人体の組織の散乱係数の典型値を基に光散乱を計算し、ある太さ、ある深さの血管像がどの程度ぼやけた透過像を示すのか見積もっておくことも好適である。例えば、深さ1mmにある血管像のボケは、厚さが1mmの脂肪部等の人体組織に相当する光散乱体の一方の面から点光源光が平行光束で入射し、他方の面から射出する光強度分布の空間的広がりの半値半幅から算出可能である。そして、このようにして見積もった血管像のボケよりも血管像の中心から離間した部位の画素値を、脂肪部の画素値とみなしてもよい。例えば血管像のボケの半値半幅が2mmと算出されれば、血管像の中心から2mm以上離れた点は脂肪部の位置になる画素であるとみなして脂肪画素を設定する。このようにして見積もった脂肪部の画素値と血管像の中心の画素値から、血管像の強度を評価することが可能である。
なお、実際の撮影画像から図2に相当するグラフを作成すると、グラフにノイズが重畳され、画素値が最大の位置、つまり脂肪部の位置が分かりにくい場合がある。ノイズは空間周波数が高い成分であることが多い。その場合には、例えば図2のグラフ或いは図2のグラフを生成する図1に示すような元の画像データからノイズを除去し、前記画素値が最大の位置を見出し、その位置に脂肪画素を設定し評価することは好適である。ノイズ抑制処理としては、例えばローパスフィルタやその他各種フィルタそして移動平均処理などが可能である。ただし、撮影画像内で観察目標としている健常血管や新生血管群などの大きさに相当する空間周波数成分の信号の減衰が生じないように留意する必要がある。或いは、図2のグラフのノイズ幅を別途評価しておき、血管像の間にある最大の画素値Lにノイズ幅Nを加えたL±Nの画素値を持ついずれかの画素から、脂肪部の位置を選択することも可能である。
ここで、撮影画像内の血管像のコントラスト評価について述べる。撮影領域の内に血管像を含むように注目領域(ROI:Region of Interest)を設定し、ROI内での最小画素値を求めれば、上記血管像のROI内でのコントラストを算出することが可能である。コントラストの評価式は例えば次の(式1)である。
(Ib−If)/(Ib+If) (式1)
(Ib−If)/(Ib+If) (式1)
(式1)のIbは基本的に血管像の画素値、Ifは血管像脇の脂肪部の部分の画素値であり、前述のようにそれぞれ血管画素、脂肪画素として設定した画素の画素値として取得する。血管像が明るく脂肪部が暗い場合はコントラストが正値、この逆の場合は負値を取るように定義する。但し、本件のコントラスト評価においては単純に画素値そのものを用いるのではなく、ROI内で最小値を取る画素の画素値を取得したうえで、そこからの差として算出する。図2で示せば、Ifは207に相当し、Ibは208に相当し、グラフの画像の明るさ=0の位置がROI内での最小画素値の画素位置に相当する。画像表示においてはROI内の最小値を画素値0として表示することで高コントラストな血管像が表示可能であり、好適である。上記の血管像のコントラスト評価は、血管撮影画像そのものにおいても定義可能であり、さらに後述の差分処理によって生成する血管像に対しても評価可能である。
上記の血管像の強度やコントラストの評価に関し、被験者の血管の配置や観察部位によっては、血管像の両側の脂肪部の明るさが異なる場合がある。例えば血管像を含む画像の画素値の分布が図3のような場合である。この場合、血管像301の強度は、例えば血管像の両側の脂肪部302と脂肪部303のうち、画素値が大きい方或いは小さい方を選択し、これと血管像の中心307の画素値304との明るさの差としてもよい。或いは、血管像の両側の脂肪部の画素値の割合で血管像を内分した位置の画素値を305とし、これと血管像の中心の画素値との高さの差306としてもよい。複数の血管像の強度やコントラストを評価する場合には、血管像の強度の算出方法を、前記複数の血管像に対して統一して適用することが好ましい。
さらに、被験者や観察部位によっては、血管像の両側の脂肪部に該当する画素値の谷(明暗反転した場合)の位置が不明瞭な場合もある。その場合は、前述と同様に予め数値計算などにより、人体の組織の散乱係数の典型値を基に光散乱を計算し、ある太さ、ある深さの血管像がどの程度ぼやけた透過像を示すのか見積もっておくことも好適である。また本実施形態では、血管像や脂肪部の画素値を評価する画素は1つであるとして説明するが、この限りではない。例えば血管画素や脂肪画素を複数画素で作る領域として血管や脂肪部に設定し、その領域の内の複数画素の画素値の平均をもって血管や脂肪部の画素値とすることも可能である。平均化することで、画像にノイズが含まれる場合にその影響を緩和することが可能であり、好適である。或いは、その領域の内の最大値や最小値を採用して評価することも可能である。
(複数の画像データからの異なる画像データ間で差分処理したデータである差分画像データを生成する工程の説明)
次に血管像の差分処理について説明する。本実施形態では、血管像の撮影条件が異なる複数の元画像同士の差分処理により、血管像の強調、高コントラスト化を目指す。撮影条件が異なる画像は、前述したように、例えば異なる時刻に血管を複数回撮影するなどして生成できる。また、一定時間、同じ血管を動画で撮影するなど、高速な連続撮影も好適である。
次に血管像の差分処理について説明する。本実施形態では、血管像の撮影条件が異なる複数の元画像同士の差分処理により、血管像の強調、高コントラスト化を目指す。撮影条件が異なる画像は、前述したように、例えば異なる時刻に血管を複数回撮影するなどして生成できる。また、一定時間、同じ血管を動画で撮影するなど、高速な連続撮影も好適である。
まず、元画像同士の差分処理の前に、撮影した元画像同士で血管像の位置合わせ処理を行うことが好ましい。これは、被験者の撮影部位が、撮影時間中に動くことがあるためである。被験者の撮影部位は、試料台に保持されていても、呼吸やその他の運動、或いは不随意な動きが発生する場合がある。例えば時間をあけて複数枚の画像を撮影する場合など、その時間間隔が大きいほど、撮影部位がカメラに対して移動する可能性が高くなり、画像毎に血管像の位置合わせが必要となる。
複数枚の画像内の血管像の位置合わせ方法は特に限定するものではない。例えば血管そのものや、指紋や皺、傷などを画像内の特徴点として用い、これらの特徴点を1つ或いは複数点用いて、画像間の平行移動や回転、倍率調整などを行って位置合わせすることが可能である。また特徴点は上記のように元々被験者に備わる特徴点に限るものではなく、撮影前に被験者の撮影部位の一部にマーカーを付与することも好適である。アフィン変換等による画像位置合わせを想定すると、マーカーは複数点付与することが好ましい。3点以上であって、且つ少なくとも3点が一直線上にはないことが好適である。
元画像同士の差分処理を説明する。例えば、元画像として血管画像が2枚ありこれらの差分処理を行う場合、画像同士の差分は一方の画像に係数kを乗じて差分処理を行うことが可能である。撮影した血管画像が3枚以上の場合は、撮影した血管画像の全ての組み合わせ、上記差分処理の係数k、そして引く順序(画像A−k×画像Bで差分画像を生成するか、画像B−k×画像Aで差分画像を生成するか)に対応して差分画像を複数生成する。これ(差分画像データそのもの)を処理部にて保持しておくことが好ましい。全ての組み合わせについて差分画像を生成することに限るものではなく、一部の元画像中の一画像データと他の画像データを用いて差分画像を生成してもよい。
係数を1にすることは、演算処理を簡便化し高速処理が可能となり好適である。係数を1以外の値に設定することも可能である。また、差分画像に対して設定したROI内の血管画素値や脂肪画素値、それに最小画素値に基づいて差分画像の血管像コントラストを算出し、この値が最大となるような係数の値を求めてもよい。なお、上述の工程で作成した複数の差分画像は処理部で保持し続けても構わない。或いは差分画像を作った元画像A、Bの組、引く順序、差分処理倍率の値などの、画像データに関連するデータセット(関連情報)のみを保持しておいて、他の工程で必要に応じて、再度、差分画像を生成してもよい。
また、差分処理は1枚ずつの画像同士で行う処理には限らない。例えば、画像に含まれるランダムノイズを抑制する為に、血管像を位置合わせした10枚の画像を平均化した画像Aを用意し、これとは別の10枚の画像を平均化した画像Bも用意する。そして、処理画像データである画像Aと画像Bの差分処理を行うことも好適である。画像の平均処理枚数は10枚に限るものではない。ノイズ低減効果を増大する為に、画像積算枚数を増加させる必要があることもある。ランダムノイズは積算枚数の平方根にほぼ比例して抑制される為、例えばノイズを1/10に抑制するためには、100枚の画像の平均画像を生成する必要がある。ノイズがショットノイズなどランダムノイズであれば、差分する元画像の両者における平均化処理枚数は等しく設定することも好ましい。平均化処理は撮影時刻が最近接である元画像同士を用いることも好ましい。或いは、連続撮影により生成した元画像である場合には、その連続した画像同士で平均化処理をした画像を複数生成することも好ましい。
上述の平均化処理を施した複数の画像同士で差分処理を行って血管像を抽出する場合、差分処理に用いる平均化処理済みの画像同士で同じ元画像を含まない(共通の画像データを持たない)ことが好ましい。つまり、例えば、元画像1,2,3で平均化処理した画像Aと、元画像4,5,6で平均化処理した元画像Bによる差分処理は好ましい。元画像2,3,4の平均化処理で画像Cを生成した場合、画像Aと画像Cとの差分処理や画像Bと画像Cとの差分処理も可能であるが、それよりも前者(同じ元画像を含まない差分処理)の方が好ましい。
以下では、動画撮影による複数画像撮影を行った場合を例に取って各工程を説明する。動画撮影を行った場合、フレーム毎に撮影時刻が異なるため、人体の状態の変動を反映し、異なるフレーム同士では同じ血管の像のコントラストや強度が異なっている可能性がある。これは、前述したように、被験者の拍動や呼吸、姿勢の変化など様々な原因で生じうる。駆血帯(カフ)などを装着し、外部から人為的に血流変動を生じさせることも可能である。そして、血管像の強度が異なる2枚の血管画像を選択し、その差分処理を行うことで、高コントラストな血管像の抽出、或いは血管像強度の時間変化の抽出が可能である。
複数の元画像同士の差分処理にて画像を生成する場合における、差分処理後の画像のうち、血管像コントラストが最も高い画像の選択について説明する。また、差分処理後の画像の血管像コントラストを最も高くするような複数の元画像の組及び差分処理倍率の選択方法について説明する。ここでは、撮影領域内にROIとして、1つ以上の関節及び動脈(又は静脈又は新生血管群)を含む領域を設定するものとして説明する。
例えば図4に示すように、複数の元画像、及びそれらの差分処理により生成される差分画像に対し、ROI内に関節405と関節406との少なくとも一方を含ませ、血管像強度を評価する血管404を少なくとも1つ指定する。そして、その血管上に位置する血管画素と、この血管画素の近傍の、前記血管から離間した脂肪画素を設定し、この領域の画素値を取得する。図4の例では、血管画素401、脂肪画素402、ROI403をそれぞれ示す。異なる複数の画像のうち、差分画像を生成する為に用いる2つの画像をここでは第一の画像、第二の画像と呼ぶ。それらは、動画撮影した複数のフレームから選択する2枚の画像、或いは複数のフレームからなる各組に対して前述の平均化処理などを施して生成した2枚の画像のことを指すものとする。
人体の血流変動が生じると、血管部分の光吸収が変動する。例えば前述のカフのような器具で上腕部の血管を圧迫すると、特にカフよりも心臓から遠い側の手や指などで血流が変化する。従って、血管部の血流変化を抽出する為には、前記血管画素の画素値を、異なる時刻において撮影した画像同士で比較すればよい。異なる時刻の画像は連続写真撮影でも取得可能であり、動画撮影を行えば、その各フレームの画像として取得可能である。例えば、血管像の画素値が最も大きく異なる2枚の画像を選択し、これらの2枚を差分処理することで、差分処理後の血管像の強度を最も大きくすることが出来る。また、基本的には脂肪部に相当する脂肪画素の画素値をなるべく引き切り、そして血管像強度がなるべく大きくなるような元画像の組及び後述の差分処理倍率kを選択することで、差分処理後の血管像のコントラストを大きくできる。このとき、差分処理後の画像の脂肪画素の画素値が、差分処理後の画像のROI内の最小画素値と大きく違わないことが、血管像のコントラスト増大に好適である。
しかしながら、本発明者は、血流変動による画素値の変動は血管部のみならず、脂肪部についても生じ得ることを見出した。また、脂肪部の画素値変化も場所毎に異なりばらばらであることも見出した。これは、脂肪部にも、非常に微細な毛細血管が存在し、その結果、僅かながら血液や血流が存在する為であると考えられる。
脂肪部の画素値の変化は、あるROIを設定した場合、その中の血管像のコントラストに強く影響する。ここで、透過撮影画像を明暗反転するなどの処理を施した画像、或いは適切な元画像の組と差分処理倍率との選択による差分画像においても、血管像が明るくなり脂肪部が暗くなる画像を生成可能である。このような画像ではROI内の最小画素値が脂肪部にあることが多い。ROI内の画素値分布をフルスケールに割り付けて表示することで、ROI内の血管像を高コントラストに且つ見易く表示可能である。そのため、この表示の場合の血管像コントラスト値は、血管画素(血管部)の画素値とROI内の最小画素値との差、及び前記血管の近傍に設定した脂肪画素(脂肪部)の画素値とROI内の最小画素値との差、によって決定される。従って、ROI内の最小画素値が血管像コントラストに影響を及ぼすため、前記脂肪部の画素値やその時間変化に依存したROI内の最小画素値を考慮して、元の画像やこれらの差分処理で生成される差分画像のコントラスト評価を行うことが重要である。
例えば、差分画像において、ROI内の最小画素値を考慮せず、血管画素の画素値と脂肪画素の画素値を差分画像における画素値そのものとして算出した場合、(式1)のコントラスト値は算出可能ではある。しかし、ROI内の最小画素値が負値になっている可能性もある。ここで、通常の画像表示では画素値が負値の場合は画素値=0つまり真っ黒として表示されてしまう為、画像上には何も表示されないことになる。つまり画像情報が欠落してしまう。ROI内に設定した上記血管画素や脂肪画素の画素値は正値であっても、ROI内に負値の画素値があることは好ましくない。このような情報の欠落を回避するため、ROI内の最小画素値が0となるようにROI内の全画素に或る値を加えるなどして、ROI内の画素値が全て0以上になるようにして画像表示を行う。例えばROI内の最小画素値を0とした場合、前述のようにROI内の最小画素値を考慮しなかった場合の血管像コントラストと異なるコントラスト値になるが、ROI内の情報欠落を避けつつなしうる最大のコントラスト値となる。従って、差分画像や元の撮影画像において、ROI内の血管像コントラスト評価は、ROI内の最小画素値を0とした場合のコントラスト値を用いる必要がある。ROI内の最小画素値は、前述の脂肪部の画素値に時間変化が生じ、しかも場所毎にその変化がばらばらであることから推測は困難であり、生成した差分画像毎に逐一把握しておく必要がある。
前述の通り、人体には大動脈、動脈、細動脈、大静脈、静脈、細静脈、毛細血管が存在する。上記のように、脂肪部においても画素値の変化が生じることから、脂肪部に静脈や動脈が見えなくとも、毛細血管による血流が存在していると考えられる。従って、脂肪部であっても、動脈や静脈の血流変動と同様に毛細血管の血流変動が生じうると考えられる。また、静脈や静脈と比較して毛細血管はその太さが非常に細いため、血管を流路とみなすと、その圧力損失が大きいと考えられる。従って、細い血管程、拍動などの内的要因や駆血帯等の使用による外的要因による血圧変動を原因とする血流量の変動が小さいと考えられる。これにより、脂肪部と動脈や静脈とでは血流変動による画素値の変化が大きく異なると考えられる。或いは、太い血管と細い血管では血液等の流体が受ける抵抗の大きさが異なるため、血流変動が生じる際の、血流と時間の関係も血管の太さに依存する可能性がある。例えば、血管の太さに依存した時間的な変動特性の違いを抽出すれば、血管を太さ毎に分けて抽出することも可能である。
ここで、以上の点を踏まえて、図7を用いて差分処理による画像の生成、血管像コントラスト、それに基づく差分画像の選択の例についてまとめて説明する。前述した第一の画像801及び第二の画像802の同じ領域にROIを設定し、第一の画像の血管画素の画素値をα1、第二の画像802の血管画素の画素値をα2、第一の画像の脂肪画素の画素値をβ1、第二の画像の脂肪画素の画素値をβ2とする。そして第一の画像のROI内の最低画素値をd1(不図示)、第二の画像のROI内の最低画素値をd2(不図示)とする。なお、第一の画像及び第二の画像は共に血管像が明るく脂肪部が暗く表示されている画像であるものとする。このような、血管が明るく脂肪部が暗くなる画像は、通常の透過撮影結果を明暗反転処理することで生成可能である。上述のように血管像のコントラストを評価した結果、第一の画像或いは第二の画像においてコントラスト値が負値になる場合には、血管像が暗く脂肪部が明るく写っている画像であると認識し、その画像を明暗反転すればよい。明暗反転処理とは、画像内の各画素値を、フルスケールの半分の値に対して反転させる処理である。
以下では、差分画像及びこれを生成する第一の画像及び第二の画像は、全て血管像が明るく、脂肪部が暗く表示されている画像(コントラストが正値を取る)に統一して説明する。
第一の画像801と第二の画像802との差分処理によって差分画像803を生成する。これらの関係を図7に示す。第一の画像の血管像のコントラストは次の(式2−1)で示される。
{(α1−d1)−(β1−d1)}/{(α1−d1)+(β1−d1)}
(式2−1)
同様に第二の画像の血管像のコントラストは次の(式2−2)で示される。
{(α2−d2)−(β2−d2)}/{(α2−d2)+(β2−d2)}
(式2−2)
{(α1−d1)−(β1−d1)}/{(α1−d1)+(β1−d1)}
(式2−1)
同様に第二の画像の血管像のコントラストは次の(式2−2)で示される。
{(α2−d2)−(β2−d2)}/{(α2−d2)+(β2−d2)}
(式2−2)
また、第一の画像と第二の画像の一方に差分処理倍率k(正の定数とする)を乗じて、これらの差分処理により生成される差分画像のコントラスト値は、次の(式2−3)で示される。ここで、前記差分画像における血管画素の画素値をα3、前記差分画像における脂肪画素の画素値をβ3、そして前記差分画像のROI内の最低画素値をd3(不図示)、とする。
{(α3−d3)−(β3−d3)}/{(α3−d3)+(β3−d3)}
(式2−3)
{(α3−d3)−(β3−d3)}/{(α3−d3)+(β3−d3)}
(式2−3)
上記(式2−3)の差分画像のコントラスト値に基づき、ROI毎の出力画像としてどの差分画像を選択するか決定する。本実施形態を含む本発明の一側面では、撮影した複数の元画像の差分処理によって、各注目領域の内の血管像を高コントラストに抽出することを目的としている。前述のように、ROI毎に、様々な元画像の組み合わせや差分処理倍率を基に差分画像を多数作成する。そして、この中から、ROI毎、血管画像としての出力画像を決定する場合、例えば、得られた差分画像の中で最も血管像コントラストが高いものを出力画像として選ぶことは好ましい。或いは、ROI毎、撮影目的に応じて事前に定めた目標コントラスト値よりも高いコントラスト値を持つ差分画像の中から出力画像を選択することも好ましい。
或いは、少なくとも第一の画像或いは第二の画像(すなわち元画像の中のもの)よりもコントラスト値が高いような差分画像を出力画像として選択することも好ましい。或いは全ての元画像のコントラストよりもコントラスト値が高いような差分画像を選択することも好ましい。この場合、元画像のコントラスト評価は、元画像のうち血管像コントラストが正値のものはそのままコントラストを評価し、コントラストが負値のものは画像を明暗反転処理した後に再度コントラストを評価する。差分画像はコントラストが正値になる画像のコントラストを評価する。さらに、得られた全ての差分画像よりもコントラスト値が上回る元画像がある場合には、元画像を出力画像として選択することが好ましい。また、上記のコントラスト評価は、第一の画像や第二の画像が、1枚ではなく複数枚の元画像で平均化処理などを行って生成した画像である場合なども同様である。
このとき、倍率kの値の探索は広い数値範囲で行うことも可能である。しかし、倍率kの値が極端に大きい或いは極端に小さい値になる場合、生成される差分画像が実質的に差分処理に用いる一方の元画像に近いものとなる為、血管像のコントラストも元の一方の画像のコントラストと大差ない値になる可能性が高い。本発明者が見出したところによると、人体の撮影条件が異なる画像同士、例えば撮影時刻が異なり血流が異なる画像同士を比較しても、或る部位の画素値の変動は典型的には2倍以内で収まっている。従って、前記kの探索範囲としては0.5〜2.0の間であれば十分であり好適である。また、血管像の画素値は大きく変動するものの脂肪部の画素値は大きく変動しない場合もありうる。例えば撮影時刻が近い2つの画像の比較ではそのようなことが生じうる。脂肪画素値が大きく変動していない元画像同士での差分処理は、前記kの探索範囲は0.9から1.1の間でも、差分画像の血管像コントラストを大きくすることが可能である。
また、第一の画像及び第二の画像、そして差分画像のコントラストを評価し比較する際には、血管像が明るく写り脂肪部が血管像よりも暗く写っている画像に統一することは、血管像の見易さの観点から好ましい。コントラストを比較する際にも、画像同士で血管像の明暗表示を揃えることは好ましい。それは、同じ画像であっても明暗を反転するとコントラストが変化する為である。通常の血管透過撮影では、血管は光吸収体であるため血管像は暗く写り、脂肪部は明るく映し出される。血管像が明るく写り脂肪部が暗く写っている画像は、通常の透過撮影画像を明暗反転すればよい。
また差分画像の場合、差分処理に用いる元の画像の選択や差分処理倍率kの値によって、血管像が白くなり脂肪部が暗くなるか、或いは血管像が暗くなり脂肪部が明るくなるかのどちらの状況もありうる。従って、差分画像の場合も、血管像が明るく脂肪部が暗く写っている画像を選択することは好ましい。
ROI毎の出力画像は、上述のようにROI毎に選択された差分画像を用い、その差分画像からROI内の領域だけを切り出す。そして、ROI内の最小画素値を0にするようにROI内の全画素に対し同じ値を加え、ROI内の最大画素値は表示可能な最大値となるようにROI内の全ての画素に対し同じ倍率を掛けて生成した差分画像とする。このようにすることでROI毎に生成する出力画像は、ROI内でいわゆる白飛び、黒つぶれを抑制でき、高コントラストになる為、好ましい。
また、下記の(式3)の値を最大にするような、第一の画像と第二の画像を選択する場合、差分画像の血管像強度804を最も大きくすることが可能である。
|(α1−k・α2)−(β1−k・β2)| (式3)
式3の血管像強度を最大にするような第一の画像、第二の画像の選択及び差分処理倍率kの選択により、血管像の高コントラスト化も同時に達成される場合もある。差分画像における血管像のコントラスト値は、式3で表される血管像強度が大きいほど高い。この時、ROI内の最低画素値が上記血管像強度804を評価する血管の近傍の脂肪部に対応している場合、上記式3で表される血管像強度が最大になる第一の画像、第二の画像、差分処理倍率kの選択により血管像コントラストも最大になる。ただし、常に差分画像のROI内の最低画素値が上述のようにコントラストを評価する血管の近傍の脂肪部に対応しているとは限らない。
|(α1−k・α2)−(β1−k・β2)| (式3)
式3の血管像強度を最大にするような第一の画像、第二の画像の選択及び差分処理倍率kの選択により、血管像の高コントラスト化も同時に達成される場合もある。差分画像における血管像のコントラスト値は、式3で表される血管像強度が大きいほど高い。この時、ROI内の最低画素値が上記血管像強度804を評価する血管の近傍の脂肪部に対応している場合、上記式3で表される血管像強度が最大になる第一の画像、第二の画像、差分処理倍率kの選択により血管像コントラストも最大になる。ただし、常に差分画像のROI内の最低画素値が上述のようにコントラストを評価する血管の近傍の脂肪部に対応しているとは限らない。
また、(式3’)の血管像コントラストCを最大にするような、第一の画像と第二の画像を選択することで、差分画像の血管像コントラストを最も大きくすることが可能である。
C={(α1−k・α2)−(β1−k・β2)}/{(α1−k・α2)+(β1−k・β2)} (式3’)
C={(α1−k・α2)−(β1−k・β2)}/{(α1−k・α2)+(β1−k・β2)} (式3’)
後述するように、適切な差分処理倍率kを定めることで、差分画像における血管像を高コントラスト化することが可能である。また、或る画素値に注目した場合、カメラノイズや電気的なノイズなど、フレーム毎に値が変動するノイズが画像に重畳される場合がある。従って、血管像強度の評価式の例である(式3)を最大にするフレームの選択の際には、各画素値にノイズが重畳されていることを考慮することも好ましい。例えば、(式3)の値を最大にする第一の画像と第二の画像を選択した場合の(式3)の値をVとする。この際、別途、各画素値に重畳されるノイズを評価しておき、その値をNとする。このとき、値Vには±N程度のノイズによる誤差を含むと考えることが出来るため、(式3)の最大値がVであると算出された場合、実際上は(式3)の値がV−N以上であればほぼ最大値であるとみなすことが可能である。
従って、(式3)を最大とする第一の画像と第二の画像の選択は、(式3)の値をV−N以上とする第一の画像と第二の画像を選択することで可能である。この場合、第一の画像或いは第二の画像の候補が複数ある場合には、それらの画像のうち何れかの画像を第一の画像及び第二の画像として選択してもよいし、或いはそれらの画像を平均化処理等した画像を別途生成してもよい。また、或る画素が持つノイズ値Nの評価方法は、例えば同じ波長で動画撮影する場合には、特定画素の画素値のフレーム毎の変動から読み取ることが可能である。動画撮影を数10fpsから数fps程度の速さで行えば、フレームレートは人体の血圧変動や拍動などと比して十分高速である。従って、或る画素値にフレーム毎に重畳される高速な画素値変動はノイズであるとみなすことが可能である。この画素値変動の標準偏差や振れ幅を評価し、ノイズ値を算出することが可能である。或いは、例えばダークノイズや光ショットノイズ、その他特定のノイズがノイズ信号の主要因である場合には、それらのノイズ値を別途計測しておき、その値をノイズ値として用いてもよい。
或いは、血管画素の画素値や脂肪画素の画素値のフレーム毎の変動を計測し、ローパス処理などを施して時間的な高周波成分を除いて、低周波成分の評価により、上記(式3)あるいは(式3’)の値を最大とする第一の画像及び第二の画像を選択してもよい。血管画素、脂肪画素を近傍の複数画素で構成される領域として、この中で画素値を平均化した値を評価することも好適である。ノイズ値が時間的に或いは空間的にランダムに発生する場合には、画素値を近傍の画素同士で平均すればノイズの影響を緩和することが可能である。その場合、ノイズ幅は、平均化処理に用いた画素数Mの平方根にほぼ逆比例してN/√Mに減少する。
定数kの値は、1とすることで演算処理を簡略化し高速処理を可能とすることも好ましく、また2つの画像の脂肪部の画素値を揃えるようにすることも好ましい。例えば画素値を揃える脂肪部として上述の脂肪画素(β1、β2の画素)を選択する場合、k=β1/β2と設定することが可能である。この設定により、上記の(式3)の最大化により差分画像を生成した場合、差分画素の血管像周囲の脂肪部の画素値を0にできる為、高コントラストな血管像の生成に好適である。しかしROI内の最小画素値が負値になっている場合があるので、ROI内の最小画素値を確認しておくことが好ましい。負値になっている場合はROI内の最小画素値が0になるように、ROI内の全画素の画素値に或る値を加える処理を行うことが好ましい。
また、注目する関節近傍に発生する新生血管群を差分処理により抽出する場合、新生血管群の位置とそのすぐ脇の脂肪部に上述の血管画素、脂肪画素を設定することで最適なフレームを選択することが可能である。血管画素や脂肪画素を設定するのは本装置の使用者であってもよい。ソフトウェアを用いて画像内のどこに動脈や静脈或いは新生血管群があるのかを自動判定し、適宜、血管画素や脂肪画素を自動設定することも好適である。例えば棒状の画像を動脈や静脈とみなす、或いは、一度被験者を撮影した画像を用いたパターンマッチング等の技術により、1回目の撮影画像の血管位置・形状情報を用いて2回目以降の撮影画像に含まれる血管像を認識することも可能である。
また、差分処理などを施す前の単純な撮影画像においては、新生血管群は淡く見えにくい可能性もあり、このような状態の画像では、新生血管群に血管画素を設定しその近傍の脂肪部に脂肪画素を設定することは難しい可能性がある。この場合、まずは注目する関節近傍にある動脈又は静脈に対して血管像の抽出処理を施して画像を生成することが好適である。この抽出画像には、差分処理を行う前のそれぞれの元画像と比較して、新生血管群が見易く抽出されている可能性がある。これは、前記新生血管群と動脈又は静脈が近い部位に存在している場合、血流変動が生じるタイミングも互いに似通っている可能性が高いと推測できるためである。
次に、複数の部位の血管像を撮影し血管像を抽出する場合について述べる。これは、手全体や足全体など、複数の関節を含む広い領域を同時に撮影し、複数の関節近傍の血管像または新生血管群の像を取得する場合も含む。例えば指先の関節と手首の関節など、離れた位置にある部位同士では、或いは同じ指の異なる関節同士でも、血流変動のタイミングを含む時間的な様態が同一ではない或いは類似していない可能性がある。この場合、或る関節の近傍の血管に着目して、差分処理の結果、血管像の強度が最も大きくなるフレームや差分処理倍率kを選択しても、他の関節については最適なフレーム選択や差分処理倍率ではない可能性がある。これは血管像コントラストについても同様であり、或る血管像のコントラストを最大化するフレームの組や差分処理倍率kと、他の血管像のコントラストを最大化するフレームの組やkが異なる可能性がある。この原因の1つは、通常の人体では脂肪部に存在する毛細血管の血流について、その手前にある細動脈により局所的な血流制御を受けることによる局所的な血流変動が生じる為と考えられる。脂肪部の血流変化が局所的であると、第一の画像と第二の画像の差分処理で脂肪部の透過光を引き切る為のフレーム選択や差分処理倍率kの値が、場所毎にまた血管毎に異なる可能性がある。結果的に、血管のコントラストを最大化するフレーム選択や差分処理倍率kが、血管が存在する場所毎に異なる可能性が高い。これは、広い領域の血管像を、同一のフレーム選択と差分処理倍率kの値を用いて生成する差分画像において明瞭化させることが困難であることを意味する。血管像強度についても同じ理由から、血管の場所毎に血管像強度を最大化するフレーム選択や差分処理倍率kが異なる可能性が高い。
従って、差分処理画像において、1つの広い注目領域全体の血管像を、第一の画像と第二の画像と差分処理倍率kの1つの組み合わせで高コントラスト化することは困難であるという課題がある。こうした場合、注目する複数の関節や部位毎に個別に注目領域ROIを設定し、血管画素値及びその近傍の脂肪部の画素値を評価する点を各注目領域の内に配置する。そして、注目領域毎に血管像を抽出する為の最適な画像選択や差分処理倍率kの設定を行うことが好適である。上記ROI毎に最適な画像選択、差分倍率kの選択、及び差分処理を行って差分画像を生成し、各差分画像を、その撮影部位の位置関係を維持したまま画像処理等でつなぎ合わせて最終画像を生成する。これにより、複数の血管を含む広い領域で、血管像が高コントラストである差分画像を生成することができる。
ROIのつなぎ目を見易くするための調整について説明する。また、上述のように、注目領域毎に異なる処理条件で生成した差分処理画像を接続して画像を生成する場合、互いに接する2つの注目領域の境界部付近で、血管像が見にくくなる場合がある。例えば、図8に示すように或る血管701が注目領域1(702)から注目領域2(703)へ走行する場合を考える。血管701は、注目領域1内での境界領域704内の画素705において画素値b1を、注目領域2内での境界領域706内の画素707において画素値b2を持つものとする。注目領域1、2が接している互いの境界領域704、706において、差分画像上の脂肪部の画素708の画素値f1と脂肪部の画素709の画素値f2のうちの一方でも、各注目領域の内の血管701の画素値705や画素値707よりも大きいとする。すると、血管701の走行方向が境界領域704或いは境界領域706において判定しづらくなる。例えば、注目領域1内の血管701の画素値b1が、注目領域2の境界領域706内の脂肪部の画素値f2よりも暗い場合(明暗反転画像)、注目領域1内を走行してきた血管が注目領域2内でどちらに走行しているのか判別が困難となる。
この場合に接続領域で血管像を見易くする手法としては例えば下記の調整方法がある。図9に示すように、注目領域1の血管701の画素705での画素値b1と比較して注目領域2の血管701の画素707での画素値b2が明るく、脂肪部の画素値f2もb1より明るい場合を考える。注目領域1及び注目領域2の最小画素値(不図示)を表示上の輝度0に割り付け、且つ注目領域1の最大画素値(不図示)を表示可能な最大値に割り付けてあるものとする。ここで、注目領域2の画素値全てに対し係数dを乗じて注目領域2の画像を再生成する。このとき、注目領域2内の脂肪部の画素709の画素値f2はd×f2になり、血管部の画素707の画素値b2はd×b2になる。dの値を適切に調節することで、注目領域2の境界領域706内の脂肪部の画素709の画素値f2が注目領域1内の境界領域704における血管701の画素705の画素値b1よりも暗くなる。なお且つ、注目領域2の境界領域706内の血管701の画素707の画素値が注目領域1内の境界領域704の脂肪部の画素708の画素値f1や注目領域2内の境界領域806の脂肪部の画素709の画素値f2よりも明るくなるよう、dを設定する。例えば図9の状況であれば、dの値は(f1/b2)<d<(b1/f2)に設定する。さらに、前記dを乗じた結果、f1やf2の値の少なくとも一方でも、血管の画素値b1やb2と同一になると血管と脂肪部の識別が困難であるため、そのような係数dの設定は回避する必要がある。
これにより、図10に示すように、境界領域にある血管701の画素705の画素値b1や画素707の画素値b2は共に境界領域にある脂肪部の画素値f1やf2よりも明るくなるため、境界領域において血管の走行方向が分かりやすくなる。これらの操作において、各注目領域の内の最小画素値は0のままであるが、最大画素値は表示可能な最大画素値を超えてしまう可能性がある。その場合、表示可能な画素値以上の値を持つ画素値は一律最大輝度表示、いわゆる白飛びの状態になるため好ましくない。従って、注目領域の内の最大画素値が表示可能な最大値を超えないようにdの値を選択する必要がある。なお、前記境界領域は差分画像同士が互いに接している差分画像の端部から一定の距離内の画素として設定する。この距離に特に限定はないものの、境界領域を通過する血管の走行方向を見易くする観点からは、前記境界領域を通過する血管の太さよりも大きく取ることが好ましい。健常血管の太さは手指の場合およそ直径1mmであるので、前記境界領域も差分画像の端部から1mm以上内側まで設定することが好ましい。或いは生体の光散乱による点像関数の大きさ程度以上に取ることも好ましい。
この作業は、多数のROIが連続して配列している場合にも行う。例えば、ROI1とROI2とROI3が直線状に配列している場合、まずROI1とROI2の境界で上記の画像調整を行う。次にROI2とROI3で調整を行う場合には、ROI3の画素値を調整する場合はROI3の画像の画素値だけを調整する。或いはROI2の画像の画素値を調整することでROI2とROI3の境界の血管像を見易く調整する場合には、ROI2に施した処理と全く同一の処理をROI1に対しても行わなければならない。そうすることで、ROI1とROI2の境界での血管像の見易さを維持しつつ、ROI2とROI3の境界の血管像も見易く調整できる。以上は、対応付けられた画像データ或いはそのデータセット(関連情報)を用いて、注目領域における出力画像データを生成して、各々の注目領域の位置関係を維持して注目領域毎の画像を配列させた血管画像を生成する工程である。
注目領域ROIは、使用者が予め設定することも可能であるし、或いはコンピュータで自動設定することも可能である。注目領域を大きく設定するほど、注目領域の内での脂肪部の画素値の時間変動が不均一になり、場所毎にバラバラに変動する可能性が高まる。従って、注目領域が大きいほど、差分処理にて注目領域の内の脂肪部を引き切り血管像のみを抽出することは困難になり、注目領域の内の血管像コントラストの低下する可能性が高まる。そこで、予め血管像コントラストの目標値Cdを設定しておく。そして注目血管を含む或る領域を注目領域として設定する。この状態で注目血管のコントラストを最大化する為の、差分処理をする元画像としての第一の画像及び第二の画像、そして差分処理倍率kの組を探し、注目血管のコントラストCを算出する。ここでCがCdよりも大きい場合には、新注目領域を予め設定されていた初期注目領域よりも広く設定し直し、同様に血管像コントラストを最大にする第一の画像、第二の画像、差分処理倍率kの組を算出する。この操作を繰り返すことで、注目血管のコントラスト値が目標値Cdを維持しつつ最大の注目領域を設定可能となり、好適である。この、一連の操作である注目領域設定、血管像コントラスト最大化を実現する画像選択、及び注目血管のコントラスト算出の工程をコンピュータにて実行することは、処理高速化の為に好適である。
また逆に、CがCdよりも下回っている場合には、予め設定していた注目領域よりも狭い注目領域を設定し直し、再度血管像コントラストを算出し直すことも好適である。また、上記の画像の差分処理は1枚の画像同士の差分処理ではなく、各々の画像が例えば複数枚の平均画像であってもよい。この場合、平均処理をする画像の選択は、例えば、1枚同士の差分処理の場合に最も好適であるとして抽出したフレームを含む前後のフレームを用いることは好適である。例えば、最も好適なフレームを含み、それよりも時間的に早い側のフレームを、或いは遅い側のフレームを選択してもよい。或いは好適なフレームを含む前後の時間帯のフレームであってもよい。
平均化処理の枚数は差分画像を見ながら装置使用者が設定することも可能であるし、血管像の強度を信号値とし、ノイズ値をランダムノイズ値としてSN比を評価し、SN比が予め設定した値以上になるように処理装置で設定する事も可能である。さらに、血流変動を生じせしめる為に例えばカフなどの器具を用いる場合など、器具の動作時刻と撮影画像の取得時刻を対応付けする機能を有することも好ましい。これは、画像が撮影された時刻を正確に知るためだけでなく、外的な血流変動要因に対して人体の血流が応答するまでに遅延が生じる可能性があり、血管像の抽出に最適なフレーム選択のために有用な情報になるためである。また画素値の変動のデータからは、計測データが含むノイズや人体の応答の再現性の低さなどにより、カフなどの器具の動作時間が推測困難なためでもある。さらに器具の作動から観察部位の血流が変化するまでの時間も、部位によっても異なる可能性があるので、上記対応付けする機能は最適なフレーム選択に好適な機能である。また、差分処理をする2つの画像の取得時刻が、カフによる血管圧迫などで血流変動を生じさせる時刻と同じ時間関係にあるような撮影を複数回行って結果を比較する場合にも、有益な情報であり、前述の機能は好適である。
次に、血管像コントラストを評価する血管像の位置について更に述べる。先述のとおり、近くに存在する動脈又は静脈と新生血管群はその血流の時間変化の様態が類似していると考えられる。よって、或る位置にある動脈又は静脈の血流の差が大きい第一の画像、第二の画像、倍率kを選択すれば、その近くの新生血管群の血流の差も大きいことが予測される。つまり、或る関節近傍の新生血管群の抽出のためには、関節近傍の動脈又は静脈の血管像コントラストを評価し、その血管のコントラストが高い差分画像を選択することが好ましい。また、そのような差分画像を生成する第一の画像及び第二の画像、倍率kを選択することは好ましい。
また、関節近傍の動脈又は静脈の場合、そのすぐ近くに新生血管群が存在するか、或いは新生血管群が撮影光学系の光軸方向に重なって存在する場合も考えられる。このような場合、動脈又は静脈像の強度を評価する際に動脈又は静脈脇の脂肪部であるとみなしている部分に新生血管群が存在している可能性がある。その場合、前記複数の画像における動脈又は静脈像の強度変化量は、新生血管群の画素値の変化分が差し引かれた小さな変化量しか検出できない可能性もある。従って、或る関節に新生血管群が存在する可能性が高いと考えられる場合、その新生血管像の抽出に最適な画像の選択および評価をするためには、その関節の近傍には無い動脈や静脈の血管像コントラストを評価することも好適である。また新生血管群のコントラストを向上させる為には、関節近傍にない動脈又は静脈においてそのコントラストが高くなるような第一の画像及び第二の画像、倍率kを選択することも好ましい。
新生血管について更に説明する。新生血管群は吸収が弱く淡い為、差分処理前の画像では見いだせない可能性もある。この場合、まず一度、動脈又は静脈に関して差分画像の血管像強度が最も大きい差分処理画像を生成する。この操作により、新生血管群像も抽出され見易くなっている可能性がある。そこで、新生血管群が見出されたならば、新生血管群の像強度を評価できるように再度、画素値を評価する点を新生血管群の上と新生血管群の周辺の脂肪部に設定し直すことが可能である。そして動脈又は静脈の場合と同様に、新生血管群の抽出に最も好適な差分画像、或いは元画像の組や差分処理倍率kを選択することも好適である。この操作において前述のように複数の隣接するROI同士の境界領域で血管の走行方向が見にくくなる可能性もある。その場合は、上記の操作により新生血管群を見易くする処理を施すROIが単独である場合は、そのROIに隣接するROIの画像を調整し、境界領域の血管像を見易くすることが可能である。但し、新生血管群を見易くする処理を施すROIが複数の場合、特にそれらのROI同士が互いに隣接する場合には必ずしもROIの境界領域にて血管の走行方向を見易くする条件が存在するとは限らない。そのため、ROIの境界領域の血管の走行方向を見易くする処理を行わないことも可能である。
また、新生血管群は、大動脈、動脈、細動脈、大静脈、静脈、細静脈、毛細血管などの、常に人体に存在する血管とは構造が異なる。このためこれらの血管と同じように圧力が印加されても、その際に生じる血流変動の大きさや速さなどは異なる可能性がある。例えば動脈や静脈の血流変動から少し遅れて新生血管群の血流変動が生じる場合などが考えられる。また、見掛け上近くに存在する動脈や静脈と新生血管群とであっても、それぞれの心臓或いはカフなどの血流変化手段からの距離が異なる可能性も高い。このため、むしろ新生血管群の血流変化の方が早く生じる場合もありうる。従って、動画撮影などにより血管像を時間的に多数枚取得している場合には、差分処理により動脈又は静脈を抽出し最も見易くするフレームの組の近傍のフレームから、その前後で新生血管群抽出に好適なフレームの組を探索することも好適である。
適宜時点で処理を終了してもよいことについて説明する。撮影作業が進行し画像データが取得されるのに伴い、逐次取得画像を処理し、取得画像から選択される複数の画像に対し前述の(式2−1)、(式2−2)、(式2−3)に従ってコントラストを評価する場合もある。この場合、評価した値が或る値以上に到達した時点(つまり所定の条件が満たされた時点)で撮影を終了することも好適である。或いは撮影終了を通知する機能を有することも好ましい。この機能により必要最小限の撮影時間で被験者の撮影を終了できる可能性があり、本装置の使用者や被験者の負荷の増大を回避可能であり好適である。また、(式2−1)に基づいて血管像の強度を評価し、或る値以上になった時点で撮影を終了する機能を有していてもよい。差分画像における血管像のS/N比を大きく保つには、差分画像の血管像強度が大きな値であることが好ましいため、予めノイズ値Nを計測しておくことで、所望の血管像強度或いはS/N比に到達した時点で計測を終了する機能を有していてもよい。これは、コントラストを評価する血管像が1つの場合だけでなく複数の血管像を評価する場合でも同様である。複数の血管像のコントラストの平均値や最低コントラストの血管像のコントラスト値などが、或る値以上になった時点で計測を終了する機能を有していることも好適である。
以上の処理を経た後の最終的な処理画像の生成方法には、取得した複数の画像データから単一の画像同士を選択して処理して生成する方法がある。この他に、前記選択した単一の画像と撮影条件が近い他の画像に対して、平均化処理等を施した処理画像を別途生成し、これらの処理画像同士を演算して最終画像を生成することも可能である。近い撮影条件とは例えば撮影時刻が近い、或いは撮影波長が近いことなどが挙げられる。さらに、撮影した複数の画像データに対して予めノイズ除去処理や画像同士での平均化などを行った処理画像群を作成しておくことも可能である。そしてこれらの処理画像群の中から複数の画像を選択し前記第一の画像及び第二の画像とし、これらの画像及び倍率kを用いて最終的な差分画像を生成し血管像を抽出することも好適である。
本実施形態により、血管形状や位置などの把握が容易な、生体内散乱光を抑制した血管画像を生成することが可能となる。
上記処理を行う為の情報取得装置や撮影装置の各部の例について詳細に説明する。
《光源》
観察部位に光を照射する光源はLEDやレーザーを用いることが可能である。照射波長は可視から赤外が生体撮影には好ましく、特に波長1400nm以下の近赤外光が、生体への深達度が高く好適である。照射光により撮影領域を一括で照射できるように大面積な光源が好適であり、これは、例えばLEDをアレイ状に配列した面光源を形成することで実現できる。或いは、太い平行光束で照射する構成をとることも好適である。LEDであれば1つのLEDを略平行光束にコリメートすることで実現できる。レーザーであれば、光束径を拡大し平行光束にすることで実現可能である。
《光源》
観察部位に光を照射する光源はLEDやレーザーを用いることが可能である。照射波長は可視から赤外が生体撮影には好ましく、特に波長1400nm以下の近赤外光が、生体への深達度が高く好適である。照射光により撮影領域を一括で照射できるように大面積な光源が好適であり、これは、例えばLEDをアレイ状に配列した面光源を形成することで実現できる。或いは、太い平行光束で照射する構成をとることも好適である。LEDであれば1つのLEDを略平行光束にコリメートすることで実現できる。レーザーであれば、光束径を拡大し平行光束にすることで実現可能である。
照明光源と観察部位との間に拡散板を挿入する構成は、LEDアレイ等の光源の光量分布を均一化して撮影物体に照射することが可能であり好適である。レーザーを照明光源として用いる場合、光束径を拡大せず、点光源のまま、ガルバノミラー等のスキャン光学系を用いて照射位置を変化させながら撮影する構成も可能である。点照射とスキャン光学系の使用の利点は、所望の照射位置に的確に照射可能であること、照射位置の掃引速度或いは滞在時間、光源自体の光量変調を用いて、精密な光量分布を実現可能であることが挙げられる。光束径が小さく遮光も容易であることから漏れ光や迷光抑制が容易である点も好適である。
さらに光源のスキャン系と同期させた受光位置のスキャンを行うことは、生体などの散乱体内を伝搬する光から直進成分に近い成分だけを抽出することを可能として好適である。スキャン系としては、ガルバノミラーや高速に位置走査可能なアイリスやスリットなどを用いてもよい。
LEDのように無偏光光源の場合、光源と観察部位の間に第一の偏光子を挿入し、偏光照明とすることも可能である。この場合、観察部位と受光器の間に第二の偏光子を挿入することで、観察部位を透過する光の偏光成分を検知することが可能である。また、発光波長が異なるLEDをアレイ状に配置して、複数波長で発光する光源を構成してもよい。或いは時間と共に発光波長が変化する光源を用いてもよい。このような光源にすることで、異なる波長で撮影した血管画像を取得可能である。
《保持台》
被験者の撮影部位を保持する機能を有する保持台を設けてもよい。単純な平面状であってもよいし、或いは撮影部位の形状に合わせた曲面形状でもよい。例えば撮影部位が手の場合、撮影光学系の光路を垂直にするか水平にするかでも、撮影部位の保持の仕方が異なるため、保持台形状は撮影光学系の光路に合わせて適宜好適な形状とすることが好ましい。
被験者の撮影部位を保持する機能を有する保持台を設けてもよい。単純な平面状であってもよいし、或いは撮影部位の形状に合わせた曲面形状でもよい。例えば撮影部位が手の場合、撮影光学系の光路を垂直にするか水平にするかでも、撮影部位の保持の仕方が異なるため、保持台形状は撮影光学系の光路に合わせて適宜好適な形状とすることが好ましい。
照射光が保持台と撮影部位を透過する構成の場合、保持台は照射光に対して透過率が高い部材で構成されていることが望ましい。保持台の一部が光透過部材、或いは空気などの透明部材で構成され、残りの部分が遮光部材で構成され、照明光が観察部位の所望の位置だけを照射する構成も好適である。また保持台は、被験者の体格や心臓の高さなどに応じて、その撮影部位の保持高さが可変である構成が好ましい。撮影する画像毎に保持高さを変化させる機能を有することも好ましい。このような構成にすることで、撮影画像毎に心臓と撮影部位の高さ関係が変化し、撮影部位の血圧もこれに対応して変化することで、撮影画像毎に血流量が異なり、血管による光吸収の強さが異なる画像を取得できる。
保持台の温度が可変である構成でもよい。保持台が体温よりも少し温かい温度の場合、被験者の撮影部位も温まる為、撮影部位の血流量を増加させることが可能である。このことにより血管像がより濃く写る可能性がある。逆に保持台が体温よりも低温である場合、撮影部位の温度も低下するため、撮影部位の血流量が減少する可能性がある。このように、保持台の温度を可変とする機能を有することで、撮影画像毎に血流量が異なり、血管による光吸収の強さが異なる画像を取得できる。
《カメラ(検出部)》
光検出器は、撮影波長に感度を有するカメラ、フォトディテクタなどを用いる。光検出器として、画像を取得可能なカメラを使用することが可能である。例えばデジタルデータを出力可能なカメラであれば、その出力は最終的に処理装置にデジタル画像データとして取りこむことが可能である。生体内部の血管像は、脂肪や筋肉、骨などの散乱体に囲まれているため、生体内散乱光が重畳し、淡い像となる。従って、生体内血管の撮影にカメラを用いる場合、階調が豊かで、僅かな光量の分布を確実に検知できる性能を有することが好ましい。前記カメラが有するノイズも小さいことが好ましい。
光検出器は、撮影波長に感度を有するカメラ、フォトディテクタなどを用いる。光検出器として、画像を取得可能なカメラを使用することが可能である。例えばデジタルデータを出力可能なカメラであれば、その出力は最終的に処理装置にデジタル画像データとして取りこむことが可能である。生体内部の血管像は、脂肪や筋肉、骨などの散乱体に囲まれているため、生体内散乱光が重畳し、淡い像となる。従って、生体内血管の撮影にカメラを用いる場合、階調が豊かで、僅かな光量の分布を確実に検知できる性能を有することが好ましい。前記カメラが有するノイズも小さいことが好ましい。
また、カメラは静止画を撮影する機能を有する物のほかに、動画撮影を行う機能がある物でもよい。光検出器をフォトディテクタとし、受光位置をスキャンする光学系や光学素子と組み合わせて、受光位置信号と光量信号から取得画像を計算機内で再構成してもよい。フォトディテクタからの電圧信号はアナログ出力である為、これをAD変換してコンピュータ等の演算装置に取り込む場合には、ビット数が高いAD変換をしておくことが好ましい。フォトディテクタは単一素子である為、高速性、低ノイズ性に優れ、好適である。
《処理装置》
処理装置では、カメラなどの光検出器からの信号を基に、血管像を抽出した画像を生成する。処理装置は例えばコンピュータなどであってもよい。必要に応じて光検出器からの信号を取り込む取り込みボードを有してもよい。撮影画像や各種演算処理で算出した最終画像を表示する為のディスプレイも有していることも好ましい。なお画像をディスプレイに表示する構成に限るものではなく、別の表示機器で画像などの情報を表示させてもよい。
処理装置では、カメラなどの光検出器からの信号を基に、血管像を抽出した画像を生成する。処理装置は例えばコンピュータなどであってもよい。必要に応じて光検出器からの信号を取り込む取り込みボードを有してもよい。撮影画像や各種演算処理で算出した最終画像を表示する為のディスプレイも有していることも好ましい。なお画像をディスプレイに表示する構成に限るものではなく、別の表示機器で画像などの情報を表示させてもよい。
処理装置は、画像に対する各種演算処理を可能とするプログラムやアプリケーションを内蔵している。これらのプログラムを回路として実装したボード等を有していてもよい。処理装置は同時に、光源制御機能(光量変動のモニタ、抑制、光量調整、波長選択など)や保持台の制御機能も有していてもよい。
以下、より具体的な実施例を説明する。
(実施例1)
図5を参照して、本発明の実施例1による撮影装置について説明する。図5は撮影装置を示す概略図である。撮影装置には、光源501、保持台502、撮影カメラ503、光源駆動電源504、制御処理PC505、モニタ506、が設けられている。撮影対象となる検査物体は指507を示す。指507と心臓の間にある不図示の上腕部には駆血帯が装着されており、制御処理PC505からの信号により印加圧力が制御される。本実施例の動作について図11のフローチャートの各ステップを参照して説明する。
(実施例1)
図5を参照して、本発明の実施例1による撮影装置について説明する。図5は撮影装置を示す概略図である。撮影装置には、光源501、保持台502、撮影カメラ503、光源駆動電源504、制御処理PC505、モニタ506、が設けられている。撮影対象となる検査物体は指507を示す。指507と心臓の間にある不図示の上腕部には駆血帯が装着されており、制御処理PC505からの信号により印加圧力が制御される。本実施例の動作について図11のフローチャートの各ステップを参照して説明する。
(ステップ1)
光源501は、指507に対して波長810nmの光を照射し、撮影カメラ503は手を透過した光を検出し、検出した光に基づいて画像信号を生成する。ここで、光源501は波長810nmのLEDをアレイ状に並べたものである。撮影カメラ503は波長810nmの光に感度を有しているカメラでありデジタル信号を出力する。
光源501は、指507に対して波長810nmの光を照射し、撮影カメラ503は手を透過した光を検出し、検出した光に基づいて画像信号を生成する。ここで、光源501は波長810nmのLEDをアレイ状に並べたものである。撮影カメラ503は波長810nmの光に感度を有しているカメラでありデジタル信号を出力する。
撮影カメラ503では毎秒10フレームの動画撮影を160秒間行い、各フレームを画像データとして取得する。撮影開始時には駆血帯での印加圧力は0mmHgである。次に撮影開始直後から30秒経過した時点において駆血帯への印加圧力を5秒間で160mmHgまで上昇させる。そして、圧力印加後60秒経過した時点から5秒間で印加圧力を0mmHgに戻す。その後、更に60秒間撮影し、撮影を終了する。このときの印加圧力と時間の関係を図6に示す。駆血帯での印加圧力の制御は制御処理PC505から行う。
制御処理PC505は、撮影カメラ503で生成した画像信号を取り込む。制御処理PC505は、取り込んだ画像信号に基づいて画像データを生成し、生成した動画或いは各フレームの画像をモニタ506に表示する。これにより、使用者はモニタ506に表示される指507の撮影対象となる、注目する関節の血管の撮影結果を確認することができる。このようにして、複数の元画像を異なる撮影条件で撮影することができる。
(ステップ2)
次に、制御処理PC505は、撮影した各フレームの血管の画像に対して、画像を10枚ずつ平均化した平均化画像を生成する。撮影した1600枚の画像に対し、第1フレームから第10フレーム目までの画像を平均化した平均化画像、第2フレームから第11フレーム目までの平均化画像、…、第1591フレームから第1600フレーム目までの平均化画像、をそれぞれ生成する。ここでは、平均化処理に用いる画像の数は、生成するそれぞれの画像群で互いに等しく、かつ最近接の時刻に撮影された画像同士で平均化処理を行う。
次に、制御処理PC505は、撮影した各フレームの血管の画像に対して、画像を10枚ずつ平均化した平均化画像を生成する。撮影した1600枚の画像に対し、第1フレームから第10フレーム目までの画像を平均化した平均化画像、第2フレームから第11フレーム目までの平均化画像、…、第1591フレームから第1600フレーム目までの平均化画像、をそれぞれ生成する。ここでは、平均化処理に用いる画像の数は、生成するそれぞれの画像群で互いに等しく、かつ最近接の時刻に撮影された画像同士で平均化処理を行う。
このようにして、ステップ1で撮影した複数の元画像を用い、互いに撮影条件が近い画像同士で平均化処理した平均化元画像を複数生成する。元画像の組み合わせを変えて複数生成することもできる。これらは、次のステップ3の処理で用いられる。
(ステップ3)
次に、制御処理PC505は、前記平均化画像から2枚を選択し、その差分画像を作成する。前記平均化画像からの2枚の選択の仕方は、それぞれの平均化画像を生成する為に用いられた複数のフレームの画像が互いに重複しないように選択する。つまり、第1フレームから第10フレーム目までを平均化した平均化画像と差分処理を行うフレームは、第11フレーム目以降のフレームのみを用いて生成した平均化画像である。
次に、制御処理PC505は、前記平均化画像から2枚を選択し、その差分画像を作成する。前記平均化画像からの2枚の選択の仕方は、それぞれの平均化画像を生成する為に用いられた複数のフレームの画像が互いに重複しないように選択する。つまり、第1フレームから第10フレーム目までを平均化した平均化画像と差分処理を行うフレームは、第11フレーム目以降のフレームのみを用いて生成した平均化画像である。
まず、第1フレームから第10フレームまでを用いて生成した平均化画像1と第11フレームから第20フレーム目までを用いて生成した平均化画像11の差分処理画像を生成する。生成する差分画像は、係数をkとして、次の2つの演算により生成される画像である。差分画像は元画像のうちの2つを用いて、一方と他方の係数倍の差として定義される。
差分画像=平均化画像1−k×平均化画像11
差分画像=平均化画像11−k×平均化画像1
さらに、これらの画像は、kの値を0.5から2.0の間で0.01刻みで変化させて生成されるものである。そして、同様の操作を、異なる平均化画像同士に対して行い、差分画像を生成する。これらの差分画像は、前記制御処理PCの記憶部に保持される。
差分画像=平均化画像1−k×平均化画像11
差分画像=平均化画像11−k×平均化画像1
さらに、これらの画像は、kの値を0.5から2.0の間で0.01刻みで変化させて生成されるものである。そして、同様の操作を、異なる平均化画像同士に対して行い、差分画像を生成する。これらの差分画像は、前記制御処理PCの記憶部に保持される。
このようにして、様々な元画像の組で、差分処理倍率も変えて多くの差分画像を生成し処理部に保持される。差分画像のデータそのものではなく、その関連情報(上記データセット)のみを保持し、必要時にそれに基づいて差分画像データを作成するようにしてもよい。
(ステップ4)
さらに、制御処理PC505は、生成した差分画像のそれぞれにROIを設定し、その中の血管像コントラストを評価する。図5に示すように、まず、前記差分画像内に、使用者がROI540、541、542を設定し、この中にある各血管のコントラストを評価する為、各血管像上の画素520、522、524と、その近傍の各脂肪部の画素521、523、525を指定する。ここでは、上記各点は、指の関節近傍に配置する。各画素は単一の画素で指定する。前記血管画素は各血管の太さ方向の中央部に設定し、脂肪部の画素は、血管像の散乱によるボケを1mm程度と予測し、前記血管画素から血管の走行方向と略直交する方向に1mm離れた点に設定する。そして画素520、521、522、523、524、525の画素値を取得する。さらに、各ROI内の最小画素値(不図示)も取得する。
さらに、制御処理PC505は、生成した差分画像のそれぞれにROIを設定し、その中の血管像コントラストを評価する。図5に示すように、まず、前記差分画像内に、使用者がROI540、541、542を設定し、この中にある各血管のコントラストを評価する為、各血管像上の画素520、522、524と、その近傍の各脂肪部の画素521、523、525を指定する。ここでは、上記各点は、指の関節近傍に配置する。各画素は単一の画素で指定する。前記血管画素は各血管の太さ方向の中央部に設定し、脂肪部の画素は、血管像の散乱によるボケを1mm程度と予測し、前記血管画素から血管の走行方向と略直交する方向に1mm離れた点に設定する。そして画素520、521、522、523、524、525の画素値を取得する。さらに、各ROI内の最小画素値(不図示)も取得する。
これらの取得した画素値に基づいて、各ROI内において、画素520と画素521で血管543のコントラストを、画素522と画素523で血管544のコントラストを、画素524と画素525で血管545のコントラストを算出し、評価する。
(ステップ5)
そして各ROIに対応して、それぞれ血管像コントラストが最大となる差分画像を選出する。このようにして、各ROI内の差分画像の血管コントラストに基づき、複数の差分画像から、ROI毎に出力画像を生成する為の差分画像を対応づける。
そして各ROIに対応して、それぞれ血管像コントラストが最大となる差分画像を選出する。このようにして、各ROI内の差分画像の血管コントラストに基づき、複数の差分画像から、ROI毎に出力画像を生成する為の差分画像を対応づける。
血管画素、脂肪画素が単一の画素で構成される場合にはその画素値を、複数の画素で構成される場合には複数の画素の平均値或いは最大値或いは最小値を、血管画素値、脂肪画素値とする。差分画像に対する血管コントラストの定義式において、コントラストが負値の画像は明暗反転した画像で血管コントラストを評価する。血管コントラストは全て正値になる。ここでは、血管コントラストを評価する血管は関節に設定した。脂肪画素は、血管を横切る直線上で血管間の画素値が最小の点に設定することができる。また、脂肪画素を、血管を横切る直線上で血管から或る距離以上の点にPSF(Point Spread Function、散乱によるボケ)に基づいて設定することもできる。前述したROIの自動設定方法(次第にROIを大きくする方法)を採用することもできる。
(ステップ6)
次に、ROI毎の出力画像を生成する。ROI毎の出力画像は、次のように生成する。当該ROIの血管像コントラストが最大である差分画像の当該ROI内の領域だけを切り出し、当該ROI内の最小画素値を0にするように当該ROI内の全ての画素の画素値に同じ値を加える。更に、当該ROI内の最大画素値を表示可能な最大値にするように当該ROI内の全画素値に対し同じ倍率を乗じる。本実施例ではデータ処理を8bitで行い、画素値の表示可能な最大値も256である。従って、ROI内の最大の画素値が画素値256になるような倍率をROI内の全画素に乗ずる。
次に、ROI毎の出力画像を生成する。ROI毎の出力画像は、次のように生成する。当該ROIの血管像コントラストが最大である差分画像の当該ROI内の領域だけを切り出し、当該ROI内の最小画素値を0にするように当該ROI内の全ての画素の画素値に同じ値を加える。更に、当該ROI内の最大画素値を表示可能な最大値にするように当該ROI内の全画素値に対し同じ倍率を乗じる。本実施例ではデータ処理を8bitで行い、画素値の表示可能な最大値も256である。従って、ROI内の最大の画素値が画素値256になるような倍率をROI内の全画素に乗ずる。
このようにして、ROI毎に対応付けられた差分画像を用いて、ROI毎に出力画像を生成する。ROI毎に対応付けられた差分画像は血管コントラストが最大である差分画像であったり、血管コントラストが所定の値よりも大きい差分画像であったりする。
(ステップ7)
次に、上述のようにして生成されたROI毎の差分画像を、それらの被写体上での位置関係を維持して配列した画像を生成し、これを出力画像とする。このとき、出力画像において、ROI540とROI541の境界を走行する血管の画素値が、境界付近の脂肪部よりも大きいことを確認する。脂肪部の画素値が大きい場合には、前述の調整により、差分画像の血管像の画素値が上記境界付近の脂肪部の画素値よりも高くなるようにする。同様の作業をROI541とROI542についても確認し、最終的な出力画像を生成する。
次に、上述のようにして生成されたROI毎の差分画像を、それらの被写体上での位置関係を維持して配列した画像を生成し、これを出力画像とする。このとき、出力画像において、ROI540とROI541の境界を走行する血管の画素値が、境界付近の脂肪部よりも大きいことを確認する。脂肪部の画素値が大きい場合には、前述の調整により、差分画像の血管像の画素値が上記境界付近の脂肪部の画素値よりも高くなるようにする。同様の作業をROI541とROI542についても確認し、最終的な出力画像を生成する。
上記過程において、制御処理PC505は、光源駆動電源504を用いて光源501の光量を制御することができる。また、制御処理PC505は、撮影カメラ503の感度や露出時間等の各種撮影条件を適切に調節することができる。これらの操作により、注目する関節の血管を高コントラストに撮影することが可能である。
さらに、ROI内に動脈又は静脈以外に新生血管群と考えられる像が見いだされた場合には、更に解析処理を継続することができる。使用者或いは制御処理PCにより、新生血管群内の画素(不図示)と、新生血管群外で且つ動脈および静脈でもない画素(不図示)を指定し、ROI内の最小画素値も把握して、ROI内の新生血管群のコントラストを通常血管と同様に算出する。そしてROI内の新生血管群コントラストが最も高い差分画像を選択し、これを当該ROIの最終的な出力画像とする。
すなわち、図13のフローチャートのステップ8で示すように、ステップ7で生成した前記血管画像(血管像を見易くした画像)で、前記血管画素と前記脂肪画素の少なくとも一方を、それとは異なる位置に設定し直し、もう一度ステップ4からやり直すことができる。
本実施例の撮影装置を用いることで血管像508を抽出した画像を得ることができる。
(実施例2)
次に、図5を参照して、本発明の実施例2による撮影装置について説明する。図5はその撮影装置を示す概略図でもある。図11と同様な図12のフローチャートを参照して説明する。
次に、図5を参照して、本発明の実施例2による撮影装置について説明する。図5はその撮影装置を示す概略図でもある。図11と同様な図12のフローチャートを参照して説明する。
(ステップ1)
上記実施例1と同様に行われる。
(ステップ9)
次に、制御処理PC505は、撮影した各フレームの血管の画像に対して、血管像を互いに位置合わせ処理をした位置合わせ画像を生成する。撮影した1600枚の画像に対し、第1フレームから第1600フレームまで、血管像を互いに位置合わせし、第1フレームから第1600フレームまでの位置合わせ画像をそれぞれ生成する。
上記実施例1と同様に行われる。
(ステップ9)
次に、制御処理PC505は、撮影した各フレームの血管の画像に対して、血管像を互いに位置合わせ処理をした位置合わせ画像を生成する。撮影した1600枚の画像に対し、第1フレームから第1600フレームまで、血管像を互いに位置合わせし、第1フレームから第1600フレームまでの位置合わせ画像をそれぞれ生成する。
(ステップ3)
次に、制御処理PC505は、前記位置合わせ済みのフレーム画像から2枚を選択し、その差分画像を作成する。まず位置合わせ済み第1フレームと位置合わせ済み第2フレームの差分処理で生成する差分画像は、係数をkとして、演算により生成される次の2つの画像である。
差分画像=位置合わせ済み第1フレーム−k×位置合わせ済み第2フレーム
差分画像=位置合わせ済み第2フレーム−k×位置合わせ済み第1フレーム
さらに、これらの画像は、kの値を0.9から1.1の間において0.01刻みで変化させて生成されるものである。そして同様の操作を、異なる位置合わせ済み画像同士に対して行い、差分画像を生成する。これらの差分画像を前記制御処理PCの記憶部に保持する。ここでも、差分画像のデータそのものではなく、その関連情報(上記データセット)のみを保持するようにしてもよい。
次に、制御処理PC505は、前記位置合わせ済みのフレーム画像から2枚を選択し、その差分画像を作成する。まず位置合わせ済み第1フレームと位置合わせ済み第2フレームの差分処理で生成する差分画像は、係数をkとして、演算により生成される次の2つの画像である。
差分画像=位置合わせ済み第1フレーム−k×位置合わせ済み第2フレーム
差分画像=位置合わせ済み第2フレーム−k×位置合わせ済み第1フレーム
さらに、これらの画像は、kの値を0.9から1.1の間において0.01刻みで変化させて生成されるものである。そして同様の操作を、異なる位置合わせ済み画像同士に対して行い、差分画像を生成する。これらの差分画像を前記制御処理PCの記憶部に保持する。ここでも、差分画像のデータそのものではなく、その関連情報(上記データセット)のみを保持するようにしてもよい。
(ステップ14)
さらに、制御処理PC505は、生成した差分画像、及びその差分画像を生成する為に用いた位置合わせ済み画像のそれぞれにROIを設定し、その中の血管像コントラストを評価する。まず、前記差分画像及び位置合わせ済み画像内に、使用者がROI540、541、542を設定し、この中にある各血管のコントラストを評価する為、各血管像上の画素520、522、524と、その近傍の各脂肪部の画素521、523、525を指定する。ここでも、上記各点は、指の関節近傍に配置する。各画素は単一の画素で指定する。前記血管画素は各血管の太さ方向の中央部に設定し、脂肪部の画素は、血管像の散乱によるボケを1mm程度と予測し、前記血管画素から血管の走行方向と略直交する方向に1mm離れた点に設定する。そして画素520、521、522、523、524、525の画素値を取得する。さらに、各ROI内の最小画素値(不図示)も取得する。
さらに、制御処理PC505は、生成した差分画像、及びその差分画像を生成する為に用いた位置合わせ済み画像のそれぞれにROIを設定し、その中の血管像コントラストを評価する。まず、前記差分画像及び位置合わせ済み画像内に、使用者がROI540、541、542を設定し、この中にある各血管のコントラストを評価する為、各血管像上の画素520、522、524と、その近傍の各脂肪部の画素521、523、525を指定する。ここでも、上記各点は、指の関節近傍に配置する。各画素は単一の画素で指定する。前記血管画素は各血管の太さ方向の中央部に設定し、脂肪部の画素は、血管像の散乱によるボケを1mm程度と予測し、前記血管画素から血管の走行方向と略直交する方向に1mm離れた点に設定する。そして画素520、521、522、523、524、525の画素値を取得する。さらに、各ROI内の最小画素値(不図示)も取得する。
これらの取得した画素値から、各ROI内での画素520と画素521で血管543のコントラストを、同様に画素522と画素523で血管544のコントラストを、画素524と画素525で血管545のコントラストを評価する。
そして各ROIに対して、それぞれ血管像コントラストが最大となる差分画像を選出する。さらに、前記差分画像が、撮影した1600枚の位置合わせ済み画像よりもコントラストが高いことを確認する。撮影した1600枚の画像の血管像コントラストの評価においては、コントラストが負値になった場合、その画像の明暗を反転処理した画像を生成する。そして、その画像に対して同様にROIの設定、血管画素、脂肪画素の設定やROI内最小画素の画素値の評価を行って血管像コントラストを再算出する。
(ステップ15)
次に、ROI毎の出力画像を生成する。ROI毎の出力画像としては、当該ROIの血管像コントラストが最大である差分画像の血管像コントラストと、撮影した1600枚の画像の血管像コントラストとを比較し、最も大きい血管像コントラストを有する画像として、ROIと対応づける。
次に、ROI毎の出力画像を生成する。ROI毎の出力画像としては、当該ROIの血管像コントラストが最大である差分画像の血管像コントラストと、撮影した1600枚の画像の血管像コントラストとを比較し、最も大きい血管像コントラストを有する画像として、ROIと対応づける。
(ステップ16)
この画像の当該ROI内の領域だけを切り出し、当該ROI内の最小画素値を0にするように当該ROI内の全ての画素の画素値に同じ値を加える。更に、当該ROI内の最大画素値を表示可能な最大値にするように当該ROI内の全画素値に対し同じ倍率を乗じて生成する。本実施例でもデータ処理を8bitで行い、画素値の表示可能な最大値も256である。従って、ROI内の最大の画素値が画素値256になるような倍率をROI内の全画素に乗ずる。
この画像の当該ROI内の領域だけを切り出し、当該ROI内の最小画素値を0にするように当該ROI内の全ての画素の画素値に同じ値を加える。更に、当該ROI内の最大画素値を表示可能な最大値にするように当該ROI内の全画素値に対し同じ倍率を乗じて生成する。本実施例でもデータ処理を8bitで行い、画素値の表示可能な最大値も256である。従って、ROI内の最大の画素値が画素値256になるような倍率をROI内の全画素に乗ずる。
(ステップ7)
次に、上述のようにして生成したROI毎の差分画像を、それらの被写体上での位置関係を反映させて配列させた画像を生成し、これを出力画像とする。これについては、上記実施例1と同様である。これらの操作により、実施例2でも、注目する関節の血管を高コントラストに撮影することが可能となる。
次に、上述のようにして生成したROI毎の差分画像を、それらの被写体上での位置関係を反映させて配列させた画像を生成し、これを出力画像とする。これについては、上記実施例1と同様である。これらの操作により、実施例2でも、注目する関節の血管を高コントラストに撮影することが可能となる。
なお、実施例1と同様に、図13のフローチャートのステップ8で示すように、ステップ7で生成した前記血管画像(血管像を見易くした画像)で、前記血管画素と前記脂肪画素の少なくとも一方を、それとは異なる位置に設定し直し、もう一度ステップ14からやり直すようにしてもよい。
505:制御処理PC(第一部〜第四部)、540、541、542:注目領域(ROI)、543、544、545:血管
Claims (38)
- 撮影条件がそれぞれ異なり、血管を含む撮影部位を含む複数の画像データを取得する第一部と、
前記複数の画像データから選ばれた異なる画像データ間で差分処理されたデータである差分画像データを生成する第二部と、
前記第一部により取得された画像データと前記差分画像データを含む複数の画像データの中にそれぞれ設定された注目領域において、指標データを取得する第三部と、
前記指標データに基づいて、前記第一部により取得された画像データと前記差分画像データを含む複数の画像データから画像データを選択して前記注目領域と対応付ける第四部と、
を有することを特徴とする情報取得装置。 - 撮影条件がそれぞれ異なり、血管を含む撮影部位を含む複数の画像データを取得する第一部と、
前記複数の画像データから選ばれた異なる画像データ間で差分処理されたデータである差分画像データを生成する第二部と、
前記第一部により取得された画像データと前記差分画像データを含む複数の画像データの中にそれぞれ設定された注目領域において、指標データを取得する第三部と、
前記指標データに基づいて、前記第一部により取得された画像データと前記差分画像データを含む複数の画像データからの画像データの関連情報を前記注目領域と対応付ける第四部と、
を有することを特徴とする情報取得装置。 - 撮影条件がそれぞれ異なり、血管を含む撮影部位を含む複数の画像データを取得する第一部と、
前記複数の画像データから選ばれた異なる画像データ間で差分処理されたデータである差分画像データを生成する第二部と、
前記差分画像データを含む画像データの中に設定された注目領域において、指標データを取得する第三部と、
前記指標データに基づいて、前記差分画像データから画像データを選択して前記注目領域と対応付ける第四部と、
を有することを特徴とする情報取得装置。 - 撮影条件がそれぞれ異なり、血管を含む撮影部位を含む複数の画像データを取得する第一部と、
前記複数の画像データから選ばれた異なる画像データ間で差分処理されたデータである差分画像データを生成する第二部と、
前記差分画像データを含む画像データの中に設定された注目領域において、指標データを取得する第三部と、
前記指標データに基づいて、前記差分画像データからの画像データの関連情報を前記注目領域と対応付ける第四部と、
を有することを特徴とする情報取得装置。 - 前記関連情報は、前記差分画像データを生成する前記第一部により取得された画像データの情報を含むデータセットであることを特徴とする請求項2または4に記載の情報取得装置。
- 前記第三部は、前記注目領域の中に、動脈又は静脈又は新生血管群に対応する領域の一部である第一の領域と、前記動脈又は静脈又は新生血管群に対応する領域以外の領域の一部である第二の領域と、を設定し、前記第一の領域の指標値と前記第二の領域の指標値を取得して前記指標データを生成することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の情報取得装置。
- 前記第三部は、前記注目領域の内の指標値の最小値をも取得して前記指標データを生成することを特徴とする請求項6に記載の情報取得装置。
- 前記第三部は、前記第一の領域と前記第二の領域が単一の画素で構成される場合には画素値を、前記第一の領域と前記第二の領域が複数の画素で構成される場合には複数の画素の画素値の平均値又は最大値又は最小値を、前記指標値として取得して前記指標データを生成することを特徴とする請求項6または7に記載の情報取得装置。
- 前記第三部は、前記第二の領域を、前記第一の領域を通り第一の領域が配置される動脈又は静脈の軸方向と略直交する方向を持つ直線上の、前記第一の領域が配置される血管とそれに隣接する血管との間にありかつ画素値が最大または最小になる前記第一の領域から見て最も近い位置、に配置することを特徴とする請求項6から8の何れか1項に記載の情報取得装置。
- 前記第三部は、前記第二の領域を、前記第一の領域を通り第一の領域が配置される動脈又は静脈の軸方向と略直交する方向を持つ直線上の前記第一の領域から所定の距離の位置に配置し、前記所定の距離は生体の散乱係数に基づく点像関数の広がりに基づいて決定されることを特徴とする請求項6から8の何れか1項に記載の情報取得装置。
- 前記第三部は、前記第一の領域の近傍に、前記第二の領域を設定することを特徴とする請求項6から10のいずれか1項に記載の情報取得装置。
- 前記第三部は、前記第一の領域を関節に設定することを特徴とする請求項6から11の何れか1項に記載の情報取得装置。
- 前記第三部は、前記第一の領域として、指の関節部分の動脈又は静脈又は新生血管群に対応する領域の少なくとも一部を設定することを特徴とする請求項6から12のいずれか1項に記載の情報取得装置。
- 前記第三部は、前記差分画像データの複数の画像データにおいて、それぞれ、前記第一の領域の指標値と前記第二の領域の指標値と、を取得し、異なる2つの前記画像データの間の前記第一の領域の指標値の差異と、異なる2つの前記画像データの間の前記第二の領域の指標値の差異と、を用いて前記指標データを生成し、
前記第四部は、前記指標データに基づいて、前記対応付けを行うことを特徴とする請求項6から13の何れか1項に記載の情報取得装置。 - 前記第三部は、前記差分画像データの一画像データにおける前記注目領域の内の第一の領域の指標値をα1、前記差分画像データの他の画像データにおける前記注目領域の内の第一の領域の指標値をα2、前記一画像データにおける前記注目領域の内の第二の領域の指標値をβ1、前記他の画像データにおける前記注目領域の内の第二の領域の指標値をβ2、kを正の定数とするとき、前記注目領域の内の第一の指標値と第二の指標値でそれぞれ指定される血管像コントラストC、
C=|{(α1−k・α2)−(β1−k・β2)}|/|{(α1−k・α2)+(β1−k・β2)}|
を前記指標データとして生成し、
前記第四部は、前記血管像コントラストCを最大にする前記画像データ及びkの組み合わせについて前記対応付けを行うことを特徴とする請求項14に記載の情報取得装置。 - 前記第一部は、前記複数の画像データを用いて処理画像データを生成することを特徴とする請求項1から15の何れか1項に記載の情報取得装置。
- 前記第一部は、前記処理画像データとして、撮影条件が近い画像データどうしを平均化処理して生成された画像データを取得することを特徴とする請求項16に記載の情報取得装置。
- 前記第一部は、前記処理画像データとして、各画像データで血管部が位置合わせされた画像データを取得することを特徴とする請求項16または17に記載の情報取得装置。
- 前記第二部は、共通の画像データを持たない複数の画像データの組を用いて生成された2つの前記処理画像データから差分画像データを生成することを特徴とする請求項16から18の何れか1項に記載の情報取得装置。
- 前記第二部は、2つの前記画像データの一方の係数倍と他方との差のデータである前記差分画像データを生成することを特徴とする請求項1から19の何れか1項に記載の情報取得装置。
- 前記対応付けられた画像データまたは関連情報を用いて、前記注目領域における出力画像データを生成する第五部を有することを特徴とする請求項1から20の何れか1項に記載の情報取得装置。
- 前記第三部は、前記撮影部位の中に複数の注目領域を設定し、前記第五部は、注目領域毎に前記出力画像データを生成することを特徴とする請求項21に記載の情報取得装置。
- 前記複数の注目領域の位置関係を維持して注目領域毎の前記出力画像データを配列させた血管画像を生成する第六部を有することを特徴とする請求項22に記載の情報取得装置。
- 前記複数の注目領域は互いに重なることなく且つ離間することなく設定されることを特徴とする請求項22または23に記載の情報取得装置。
- 血管を含む被検体に光を照射する光源と、
前記光源からの光で照射され、前記被検体を介して伝搬する光を検出し、信号を生成する検出部と、
前記検出部からの信号を用いて、血管に関する情報を取得する情報取得装置と、
を有する撮像装置であって、
前記情報取得装置は、請求項1から24のいずれか1項に記載の情報取得装置であることを特徴とする撮像装置。 - 撮影条件がそれぞれ異なり、血管を含む撮影部位を含む複数の画像データを取得する第一工程と、
前記複数の画像データから選ばれた異なる画像データ間で差分処理されたデータである差分画像データを生成する第二工程と、
前記第一工程で取得された画像データと前記差分画像データを含む複数の画像データの中にそれぞれ設定された注目領域において、指標データを取得する第三工程と、
前記指標データに基づいて、前記第一工程で取得された画像データと前記差分画像データを含む複数の画像データから画像データを選択して前記注目領域と対応付ける第四工程と、
を有することを特徴とする情報取得方法。 - 撮影条件がそれぞれ異なり、血管を含む撮影部位を含む複数の画像データを取得する第一工程と、
前記複数の画像データから選ばれた異なる画像データ間で差分処理されたデータである差分画像データを生成する第二工程と、
前記第一工程で取得された画像データと前記差分画像データを含む複数の画像データの中にそれぞれ設定された注目領域において、指標データを取得する第三工程と、
前記指標データに基づいて、前記第一工程で取得された画像データと前記差分画像データを含む複数の画像データからの画像データの関連情報を前記注目領域と対応付ける第四工程と、
を有することを特徴とする情報取得方法。 - 撮影条件がそれぞれ異なり、血管を含む撮影部位を含む複数の画像データを取得する第一工程と、
前記複数の画像データから選ばれた異なる画像データ間で差分処理されたデータである差分画像データを生成する第二工程と、
前記差分画像データを含む画像データの中に設定された注目領域において、指標データを取得する第三工程と、
前記指標データに基づいて、前記差分画像データから画像データを選択して前記注目領域と対応付ける第四工程と、
を有することを特徴とする情報取得方法。 - 撮影条件がそれぞれ異なり、血管を含む撮影部位を含む複数の画像データを取得する第一工程と、
前記複数の画像データから選ばれた異なる画像データ間で差分処理されたデータである差分画像データを生成する第二工程と、
前記差分画像データを含む画像データの中に設定された注目領域において、指標データを取得する第三工程と、
前記指標データに基づいて、前記差分画像データからの画像データの関連情報を前記注目領域と対応付ける第四工程と、
を有することを特徴とする情報取得方法。 - 前記関連情報は、前記差分画像データを生成する前記第一工程で取得された画像データの情報を含むデータセットであることを特徴とする請求項27または29に記載の情報取得方法。
- 前記第三工程において取得された指標データが所定の条件を満足させた時点で、前記第一工程を終了することを特徴とする請求項27または29に記載の情報取得方法。
- 前記対応付けられた画像データまたは関連情報を用いて、前記注目領域における出力画像データを生成する第五工程を有することを特徴とする請求項26から31の何れか1項に記載の情報取得方法。
- 前記第三工程では、前記撮影部位の中に複数の注目領域を設定し、前記第五工程では、注目領域毎に前記出力画像データを生成することを特徴とする請求項32に記載の情報取得方法。
- 前記複数の注目領域の位置関係を維持して注目領域毎の前記出力画像データを配列させた血管画像を生成する第六工程を有することを特徴とする請求項33に記載の情報取得方法。
- 前記第三工程では、前記注目領域の中に、動脈又は静脈又は新生血管群に対応する領域の一部である第一の領域と、前記動脈又は静脈又は新生血管群に対応する領域以外の領域の一部である第二の領域と、を設定し、前記第一の領域の指標値と前記第二の領域の指標値を取得して前記指標データを生成することを特徴とする請求項26から34の何れか1項に記載の情報取得方法。
- 前記第三工程は、
前記第一の領域と前記第二の領域を含むように予め定められた領域の初期注目領域を設定する工程と、
前記初期注目領域の内の前記指標値を用いて前記指標データを生成する工程と、
前記指標データに基づいて前記第四工程で対応付けされた情報の当該指標データが予め定められた目標値よりも高い場合は新注目領域を前記初期注目領域よりも広い領域に設定する工程と、
前記新注目領域の内の指標値を用いて指標データを再び生成する工程と、
を有することを特徴とする請求項35に記載の処理方法。 - 前記第四工程において、前記指標データに基づいて前記対応付けを行った後に、
再び前記第三工程で、前記第一の領域と前記第二の領域の少なくとも一方を、異なる位置に設定し直して、前記第四工程で再び前記対応付けを行うことを特徴とする請求項35に記載の情報取得方法。 - 前記異なる撮影条件とは、前記撮影部位の血流を異ならせることであることを特徴とする請求項26から37の何れか1項に記載の情報取得方法。
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JP2016097509A JP2017202267A (ja) | 2016-05-14 | 2016-05-14 | 情報取得装置、撮影装置及び情報取得方法 |
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CN111491561A (zh) * | 2017-12-20 | 2020-08-04 | 医疗光电设备有限公司 | 脂质测量装置及其方法 |
-
2016
- 2016-05-14 JP JP2016097509A patent/JP2017202267A/ja active Pending
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EP3730053A4 (en) * | 2017-12-20 | 2021-08-04 | Medical Photonics Co., Ltd. | LIPID MEASURING DEVICE AND METHOD FOR IT |
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