JP2017194335A - 温度分布検出システム - Google Patents
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Abstract
【課題】任意のサーモパイルアレイセンサで温度分布が取得できなくなった場合でも、空間全体の温度分布を生成する。【解決手段】サーモパイルアレイセンサASを、検出範囲Rを構成する一辺の半分の長さDrより短い一定の間隔Dで格子状に配置し、温度分布検出装置10において、サーモパイルアレイセンサASのうち温度分布を取得できない特定サーモパイルアレイセンサASxの欠損温度分布を、特定サーモパイルアレイセンサASxを挟んで対向配置されている2つの隣接サーモパイルアレイセンサAS1,AS2の検出範囲R1,R2から検出したそれぞれの温度分布により補完する。【選択図】 図1
Description
本発明は、複数のサーモバイルアレイセンサを用いて、空間の温度分布を検出する温度分布検出技術に関する。
従来、対象となる空間の天井に複数のサーモバイルアレイセンサを一定の間隔で格子状に配置し、これらサーモバイルアレイセンサにより、空間内に存在する対象物の温度分布を、非接触で2次元的に検出し、空間全体の温度分布を生成する技術が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。
図8は、空間におけるサーモパイルアレイセンサの設置例であり、図8(a)は空間の平面図、図8(b)は図8(a)のA−A断面図である。ここでは、矩形状の空間20の天井21に、32個のサーモパイルアレイセンサASが、格子状に等間隔で設置されている。空間20において、幅(長手方向)は15m、奥行(短手方向)は8m、高さは3mである。サーモパイルアレイセンサASは、縦横2m間隔の格子の交点に設置されており、それぞれ天井21から床22に対して垂直な方向に、略正方形状の検出範囲Rを有している。
図9は、従来のサーモパイルアレイセンサの検出範囲を示す説明図である。この例では、サーモパイルアレイセンサAS1,ASx,AS2の配置間隔が2mで、空間20の高さが3mで、検出範囲Rの視野角が60゜である。このため、床22において、検出範囲R1,Rx,R2はそれぞれ3.46m四方の略正方形となり、サーモパイルアレイセンサASxと隣り合うサーモパイルアレイセンサAS1,AS2との間で、検出範囲Rxと検出範囲R1,R2との一部が重なる、幅1.46mの重複領域Qが生じる。
図10は、従来のサーモパイルアレイセンサの抽出範囲を示す説明図である。重複領域Qについては、隣接する2つのサーモバイルアレイセンサAS1,ASxおよびASx,AS2が同じ領域を検出しないよう、例えば重複領域Qの中央線Lを両者の境界として分離する。こうして、各サーモバイルアレイセンサAS1,ASx,AS2の検出範囲R1,Rx,R2で検出した温度分布から、対象全体の温度分布の生成に用いる温度分布を抽出するための抽出範囲P1,Px,P2が特定され、検出範囲R1,Rx,R2のうち残りの領域Tがトリミングされることになる。
しかしながら、このようにして、サーモバイルアレイセンサASxと隣接サーモパイルアレイセンサAS1,AS2との間で、それぞれの検出範囲R1,Rx,R2の一部が重複するよう、サーモパイルアレイセンサAS1,ASx,AS2を配置して、それぞれの抽出範囲P1,Px,P2を特定した場合、サーモバイルアレイセンサASxの故障発生時には、温度分布を抽出できない欠損部分が発生するという問題点があった。
図11は、従来の故障発生時を示す説明図である。ここでは、図10を上下に隣接するサーモパイルセンサアレイASも含めて表示されている。
図11は、従来の故障発生時を示す説明図である。ここでは、図10を上下に隣接するサーモパイルセンサアレイASも含めて表示されている。
中央に位置するサーモパイルアレイセンサASxが故障した場合、あるいは掃除・点検・交換などの保守作業を行う場合、サーモパイルアレイセンサASxで温度分布を検出できない。このため、その検出範囲Rxの温度分布を取得できなくなり、抽出範囲Pxの温度分布に対応する欠損部分が発生する。また、検出範囲Rxの一部は、隣接するサーモパイルアレイセンサAS1,AS2の検出範囲R1,R2と一部重複しているものの、抽出範囲Pxのすべてにおいて重複しているわけではないため、隣接する検出範囲R1,R2から抽出範囲Pxの温度分布を補完することはできない。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、任意のサーモパイルアレイセンサで温度分布が取得できなくなった場合でも、空間全体の温度分布を生成できる温度分布検出技術を提供することを目的としている。
このような目的を達成するために、本発明にかかる温度分布検出システムは、対象となる空間の天井に配置されて、前記空間のうち配置位置に応じた平面視略正方形状の検出範囲における温度分布をそれぞれ検出する複数のサーモパイルアレイセンサと、前記サーモパイルアレイセンサから取得した温度分布に基づいて前記空間全体の全体温度分布を生成して出力する温度分布検出装置とを備え、前記サーモパイルアレイセンサは、前記検出範囲を構成する一辺の半分の長さより短い一定の間隔で格子状に配置されており、前記温度分布検出装置は、前記サーモパイルアレイセンサのうち前記温度分布を取得できない特定サーモパイルアレイセンサの欠損温度分布を、前記特定サーモパイルアレイセンサを挟んで対向配置されている2つの隣接サーモパイルアレイセンサの検出範囲から検出したそれぞれの温度分布により補完するようにしたものである。
また、本発明にかかる上記温度分布検出システムの一構成例は、前記サーモパイルアレイセンサが、前記空間の床から一定の高さに設定した検出面において、前記検出範囲の一辺の半分の長さと等しい一定の間隔で格子状に配置されているものである。
また、本発明にかかる上記温度分布検出システムの一構成例は、前記温度分布検出装置が、前記特定サーモパイルアレイセンサが前記空間の壁部に隣接配置されている場合、前記欠損温度分布を、前記壁部に沿った方向において前記特定サーモパイルアレイセンサを挟んで対向配置されている2つの隣接サーモパイルアレイセンサの検出範囲から取得したそれぞれの温度分布により補完するようにしたものである。
また、本発明にかかる上記温度分布検出システムの一構成例は、前記温度分布検出装置が、前記特定サーモパイルアレイセンサが前記空間の角部に隣接配置されている場合、前記欠損温度分布を、前記特定サーモパイルアレイセンサの検出範囲とほぼ同じ位置に検出範囲を持つ代替サーモパイルアレイセンサから取得し温度分布により補完するようにしたものである。
本発明によれば、サーモパイルアレイセンサが、検出範囲を構成する一辺の半分の長さより短い一定の間隔で格子状に配置されているため、2つの隣接サーモパイルアレイセンサの検出範囲が特定サーモパイルアレイセンサの検出範囲内で重複することになる。このため、これら検出範囲から検出したそれぞれの温度分布により、検出範囲の温度分布を補完することができる。
したがって、任意のサーモパイルアレイセンサASで温度分布が取得できなくなった場合でも、空間全体の全体温度分布を生成することが可能となる。これにより、上位システムに対して、空間全体の全体温度分布を安定供給することができ、上位システムが提供するビル管理、さらには照明制御や空調制御などのアプリケーションサービスに関する信頼性を高めることが可能となる。
[発明の原理]
まず、本発明の原理について説明する。
前述の図8に示したように、対象となる空間20の天井21に複数のサーモバイルアレイセンサを一定の間隔で格子状に配置した場合、一般には、空間20の高さをhとし、視野角をθとした場合、平面視略正方形状の検出範囲Rを構成する一辺の半分の長さDrは、Dr=h×tan(θ/2)で求められる。
まず、本発明の原理について説明する。
前述の図8に示したように、対象となる空間20の天井21に複数のサーモバイルアレイセンサを一定の間隔で格子状に配置した場合、一般には、空間20の高さをhとし、視野角をθとした場合、平面視略正方形状の検出範囲Rを構成する一辺の半分の長さDrは、Dr=h×tan(θ/2)で求められる。
前述した従来技術によれば、図9および図10の配置例において、サーモパイルアレイセンサASの配置間隔Dが、長さDrより大きくなるよう配置されている。したがって、サーモパイルアレイセンサASxの検出範囲Rxは、隣接するサーモパイルアレイセンサAS1,AS2の検出範囲R1,R2と、それぞれ半分未満の範囲においてしか重複していない。このため、サーモパイルアレイセンサASxから温度分布を取得できない場合、隣接するサーモパイルアレイセンサAS1,AS2の検出範囲R1,R2から検出した温度分布では、サーモパイルアレイセンサASxの温度分布をすべて補完することはできない。
一方、配置間隔Dを長さDrより短くした場合、サーモパイルアレイセンサAS1,AS2の検出範囲R1,R2がサーモパイルアレイセンサASxの検出範囲Rx内で重複するため、検出範囲Rxは検出範囲R1,R2と、それぞれ半分以上の範囲において重複することになる。したがって、サーモパイルアレイセンサASxから温度分布を取得できない場合、隣接するサーモパイルアレイセンサAS1,AS2の検出範囲R1,R2から検出した温度分布により、サーモパイルアレイセンサASxの温度分布をすべて補完することができる。
本発明は、このようなサーモパイルアレイセンサASの配置間隔と、サーモパイルアレイセンサASの検出範囲Rの大きさとの関係に着目し、サーモパイルアレイセンサASを、検出範囲Rを構成する一辺の半分の長さDrより短い一定の間隔Dで格子状に配置し、サーモパイルアレイセンサASのうち温度分布を取得できない特定サーモパイルアレイセンサASxの欠損温度分布を、特定サーモパイルアレイセンサASxを挟んで対向配置されている2つの隣接サーモパイルアレイセンサAS1,AS2の検出範囲R1,R2から検出したそれぞれの温度分布により補完するようにしたものである。
次に、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
[温度分布検出システム]
まず、図1を参照して、本発明の一実施の形態にかかる温度分布検出システム1について説明する。図1は、温度分布検出システムの構成を示すブロック図である。
[温度分布検出システム]
まず、図1を参照して、本発明の一実施の形態にかかる温度分布検出システム1について説明する。図1は、温度分布検出システムの構成を示すブロック図である。
この温度分布検出システム1は、対象となる空間20の天井21に配置されて、空間20のうち配置位置に応じた平面視略正方形状の検出範囲Rにおける温度分布をそれぞれ検出する複数のサーモパイルアレイセンサASと、サーモパイルアレイセンサASから取得した温度分布に基づいて空間20全体の全体温度分布を生成して出力する温度分布検出装置10とを備えている。
[温度分布検出装置]
まず、図1を参照して、温度分布検出装置10について説明する。
この温度分布検出装置10には、主な機能部として、温度分布取得部11、操作入力部12、画面表示部13、通信I/F部14、記憶部15、抽出範囲特定部16、および全体温度分布生成部17が設けられている。
まず、図1を参照して、温度分布検出装置10について説明する。
この温度分布検出装置10には、主な機能部として、温度分布取得部11、操作入力部12、画面表示部13、通信I/F部14、記憶部15、抽出範囲特定部16、および全体温度分布生成部17が設けられている。
温度分布取得部11は、空間20に設置されたサーモパイルアレイセンサASごとに、当該サーモパイルアレイセンサAS内の各検出素子で検出された検出温度からなる温度分布を取得する機能を有している。これら温度分布は、検出温度取得部12による、通信回線L1を介した各サーモパイルアレイセンサASとのデータ通信により取得されて、記憶部15に温度分布データとして保存される。
操作入力部12は、キーボード、マウス、タッチパネルなどの操作入力装置からなり、オペレータの操作を検出する機能を有している。
画面表示部13は、LCDなどの画面表示装置からなり、操作メニュー、設定画面、温度分布などの各種データを画面表示する機能を有している。
画面表示部13は、LCDなどの画面表示装置からなり、操作メニュー、設定画面、温度分布などの各種データを画面表示する機能を有している。
通信I/F部14は、通信回線L2を介して、ビル管理システム、さらには照明システムや空調システムなどの上位システム30とデータ通信を行うことにより、サーモパイルアレイセンサASに関する動作設定指示の受信や、全体温度分布生成部17で生成した空間20全体の全体温度分布の送信などを行う機能を有している。
記憶部15は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、各サーモパイルアレイセンサASから取得した温度分布データのほか、温度分布検出処理に用いる各種処理情報やプログラムを記憶する機能を有している。
記憶部15で記憶する主な処理情報としては、センサ配置データ15Aと検出範囲データ15Bがある。
記憶部15で記憶する主な処理情報としては、センサ配置データ15Aと検出範囲データ15Bがある。
センサ配置データ15Aは、空間20内において各サーモパイルアレイセンサASが配置されている位置を示す座標データである。
抽出範囲データは15Bは、各サーモパイルアレイセンサASの検出範囲Rから検出した温度分布から、全体温度分布の生成時に抽出する温度分布の抽出範囲を示す座標データである。
抽出範囲データは15Bは、各サーモパイルアレイセンサASの検出範囲Rから検出した温度分布から、全体温度分布の生成時に抽出する温度分布の抽出範囲を示す座標データである。
抽出範囲特定部16は、記憶部15のセンサ配置データ15Aと、予め設定されているサーモパイルアレイセンサASの視野角θ、空間20における床22からサーモパイルアレイセンサASまでの高さhに基づいて、各サーモパイルアレイセンサASの抽出範囲Pを特定し、抽出範囲データ15Bとして記憶部15に保存する機能と、温度分布を取得できない特定サーモパイルアレイセンサASxの発生に応じて、特定サーモパイルアレイセンサASxの抽出範囲Pxと重複する範囲へ、特定サーモパイルアレイセンサASxを挟んで対向配置されている2つの隣接サーモパイルアレイセンサAS1,AS2の抽出範囲P1,P2を拡張する機能とを有している。
温度分布を取得できない特定サーモパイルアレイセンサASxの発生については、抽出範囲特定部16が、温度分布取得部11における温度分布の取得状況に基づき判定してもよい。また、操作入力部12からオペレータ操作により設定された、任意のサーモパイルアレイセンサASに関する動作停止指示に基づき、抽出範囲特定部16が温判定してもよく、上位システム30から通信I/F部14を介して受信した任意のサーモパイルアレイセンサASに関する動作停止指示に基づき、抽出範囲特定部16が判定してもよい。
全体分布生成部17は、記憶部15の抽出範囲データ15Bに基づいて、各サーモパイルアレイセンサASから取得した温度分布から、それぞれの抽出範囲Pにおける温度分布を抽出する機能と、これら温度分布間における測定温度誤差を補正する機能と、補正後の温度分布を合成することにより空間20全体における全体温度分布を生成し、通信I/F部14を介して上位システム30へ送信する機能とを有している。
[サーモパイルアレイセンサ]
サーモパイルアレイセンサASは、例えば前述した特許文献1と同等の一般的なものであり、空間20におけるサーモパイルアレイセンサASの設置例も、前述した図8と同様である。特許文献1の場合と比較して、本実施の形態は、サーモパイルアレイセンサASを、検出範囲Rを構成する一辺の半分の長さDrより短い一定の間隔Dで格子状に配置した点が異なる。
サーモパイルアレイセンサASは、例えば前述した特許文献1と同等の一般的なものであり、空間20におけるサーモパイルアレイセンサASの設置例も、前述した図8と同様である。特許文献1の場合と比較して、本実施の形態は、サーモパイルアレイセンサASを、検出範囲Rを構成する一辺の半分の長さDrより短い一定の間隔Dで格子状に配置した点が異なる。
図2は、サーモパイルアレイセンサの検出範囲を示す説明図である。この例では、サーモパイルアレイセンサASの配置間隔がDで、空間20の高さがhで、検出範囲Rの視野角がθである。このため、床22において、検出範囲Rは、長さDr=h×tan(θ/2)の2倍の長さの正方形となる。
ここで、配置間隔Dは長さDrより短く設定されている。このため、サーモパイルアレイセンサASxの検出範囲Rxは、隣接するサーモパイルアレイセンサAS1,AS2の検出範囲R1,R2と、それぞれ半分以上の範囲において重複することになる。
ここで、配置間隔Dは長さDrより短く設定されている。このため、サーモパイルアレイセンサASxの検出範囲Rxは、隣接するサーモパイルアレイセンサAS1,AS2の検出範囲R1,R2と、それぞれ半分以上の範囲において重複することになる。
すなわち、検出範囲R1と検出範囲Rxとの重複領域Qx1の長さは配置間隔Dよりも長く、検出範囲Rxと検出範囲R2との重複領域Qx2の長さも配置間隔Dよりも長い。このため、検出範囲Rx内において、検出範囲Rxを挟んで対向している検出範囲R1と検出範囲R2とが重複する重複領域Vxが形成されている。
なお、サーモパイルアレイセンサAS1とサーモパイルアレイセンサASxの抽出領域P1,Pxの隣接位置は、重複領域Qx1の中心線Lx1を境界として特定され、サーモパイルアレイセンサAS1とサーモパイルアレイセンサASxの抽出領域P1,Pxの隣接位置は、重複領域Qx2の中心線Lx2を境界として特定される。これは特許文献1と同様である。
なお、サーモパイルアレイセンサAS1とサーモパイルアレイセンサASxの抽出領域P1,Pxの隣接位置は、重複領域Qx1の中心線Lx1を境界として特定され、サーモパイルアレイセンサAS1とサーモパイルアレイセンサASxの抽出領域P1,Pxの隣接位置は、重複領域Qx2の中心線Lx2を境界として特定される。これは特許文献1と同様である。
したがって、検出範囲Rxのすべての領域が、検出範囲R1または検出範囲R2と重複することになり、検出範囲Rx内に位置する抽出領域Pxも、検出範囲R1または検出範囲R2と重複することになる。このため、例えばサーモパイルアレイセンサASxの故障により、検出範囲Rxの温度分布が取得できない場合でも、検出範囲R1,R2から検出した温度分布により、抽出領域Pxの温度分布を補完することができる。
図3は、温度分布の補完例を示す説明図であり、サーモパイルアレイセンサASの配置関係は、図2と同様である。
すなわち、サーモパイルアレイセンサASxで障害が発生した場合、抽出範囲特定部16は、記憶部15のセンサ配置データ15Aに基づいて、サーモパイルアレイセンサASxを挟んで対向配置されている2つの隣接サーモパイルアレイセンサAS1,AS2を特定する。
すなわち、サーモパイルアレイセンサASxで障害が発生した場合、抽出範囲特定部16は、記憶部15のセンサ配置データ15Aに基づいて、サーモパイルアレイセンサASxを挟んで対向配置されている2つの隣接サーモパイルアレイセンサAS1,AS2を特定する。
次に、抽出範囲特定部16は、記憶部15の抽出範囲データ15Bを参照し、これら隣接サーモパイルアレイセンサAS1,AS2の抽出範囲P1,P2を、サーモパイルアレイセンサASxの方向に、互い隣接する位置まで拡張し、新たな抽出範囲P1,P2を抽出範囲データ15Bとして保存する。抽出範囲P1,P2の拡張方法については、双方の隣接位置をいずれか一方の検出範囲Rの端部としてもよいが、双方を等距離分だけ拡張することにより、サーモパイルアレイセンサASの持つセンサ周部における測定温度誤差の増大の影響を抑制することができる。
図4は、温度分布の他の補完例を示す説明図である。ここでは、サーモパイルアレイセンサASが、空間20の床22から一定の高さhaに設定した検出面23における検出範囲Rの一辺の半分の長さDraと等しい配置間隔Dで、格子状に配置されている。
すなわち、空間20の高さをhとし、検出面23の高さをhaとし、サーモパイルアレイセンサASの視野角をθとした場合、検出面23上における検出範囲Rの一辺の半分の長さDraは、Dra=(h−ha)×tan(θ/2)で求められる。
すなわち、空間20の高さをhとし、検出面23の高さをhaとし、サーモパイルアレイセンサASの視野角をθとした場合、検出面23上における検出範囲Rの一辺の半分の長さDraは、Dra=(h−ha)×tan(θ/2)で求められる。
例えば、ビル管理システム、さらには照明システムや空調システムなどの上位システム30では、空間20の全体温度分布に基づいて人が存在する位置を特定し、空間20内における照明や空調を人が存在するエリアについて優先的に制御するものとなっている。したがって、このようなアプリケーションで用いる全体温度分布は、空間20の床22における温度分布ではなく、人の温度がより正確に検出できる検出面23を床22から一定の高さha、例えば人が椅子に座った場合における頭部の高さに設定し、この検出面23における温度分布を検出する場合がある。
このような検出面23を設定した場合、検出面23上において、隣接サーモパイルアレイセンサAS1,AS2の検出範囲R1,R2が互いに接することになる。したがって、検出面23より下方位置において、検出範囲R1,R2が必ず重複することになる。このため、前述した図2と同様にして、隣接サーモパイルアレイセンサAS1,AS2の抽出範囲P1,P2を拡張すれば、サーモパイルアレイセンサASxの抽出範囲Pxを、検出範囲R1,R2から検出した温度分布により補完することができる。
図5は、異なるサーモパイルアレイセンサによる補完例を示す説明図である。
また、前述の図2〜図4に示した補完例は、サーモパイルアレイセンサASxと紙面に向かって左右方向に位置する隣接サーモパイルアレイセンサAS1,AS2から取得した温度分布により補完する場合を例として説明したが、紙面に向かって上下方向に位置する隣接サーモパイルアレイセンサAS3,AS4から取得した温度分布により補完してもよい。
また、前述の図2〜図4に示した補完例は、サーモパイルアレイセンサASxと紙面に向かって左右方向に位置する隣接サーモパイルアレイセンサAS1,AS2から取得した温度分布により補完する場合を例として説明したが、紙面に向かって上下方向に位置する隣接サーモパイルアレイセンサAS3,AS4から取得した温度分布により補完してもよい。
図6は、図5の補完例の詳細を示す説明図である。ここでは、紙面に向かって上下方向に位置する隣接サーモパイルアレイセンサAS3,AS4の抽出範囲P3,P4を、サーモパイルアレイセンサASxの方向に、互い隣接する位置まで拡張することにより、抽出範囲Pxの温度分布を補完している。
このような補完例は、空間20の壁部24(24A,24B)に隣接するサーモパイルアレイセンサASを補完する場合にも、利用できる。図7は、空間壁部における補完例を示す説明図である。
ここでは、特定サーモパイルアレイセンサASxが空間20の壁部24に隣接配置されている場合、欠損した温度分布を、壁部24に沿った方向において特定サーモパイルアレイセンサASxを挟んで対向配置されている2つの隣接サーモパイルアレイセンサASの検出範囲Rから取得したそれぞれの温度分布により補完している。
ここでは、特定サーモパイルアレイセンサASxが空間20の壁部24に隣接配置されている場合、欠損した温度分布を、壁部24に沿った方向において特定サーモパイルアレイセンサASxを挟んで対向配置されている2つの隣接サーモパイルアレイセンサASの検出範囲Rから取得したそれぞれの温度分布により補完している。
具体的には、特定サーモパイルアレイセンサASxが、紙面に向かって左右方向に延設されている壁24Aに隣接配置されているサーモパイルアレイセンサASaである場合、壁24Aに沿った方向において特定サーモパイルアレイセンサASxを挟んで対向配置されている2つの隣接サーモパイルアレイセンサASaの検出範囲Rから取得したそれぞれの温度分布により補完すればよい。
一方、特定サーモパイルアレイセンサASxが、紙面に向かって上下方向に延設されている壁24Bに隣接配置されているサーモパイルアレイセンサASbである場合、壁24Bに沿った方向において特定サーモパイルアレイセンサASxを挟んで対向配置されている2つの隣接サーモパイルアレイセンサASbの検出範囲Rから取得したそれぞれの温度分布により補完すればよい。
また、特定サーモパイルアレイセンサASxが、空間20の角部24Cに隣接配置されているサーモパイルアレイセンサAScである場合、特定サーモパイルアレイセンサASxを挟んで対向配置されている2つの隣接サーモパイルアレイセンサASが存在しない。このため、サーモパイルアレイセンサAScについては、特定サーモパイルアレイセンサASxの検出範囲Rとほぼ同じ位置に検出範囲Rを持つ代替サーモパイルアレイセンサASc’を予め設置しておき、代替サーモパイルアレイセンサASc’から取得し温度分布により補完すればよい。
[本実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、サーモパイルアレイセンサASを、検出範囲Rを構成する一辺の半分の長さDrより短い一定の間隔Dで格子状に配置し、温度分布検出装置10において、サーモパイルアレイセンサASのうち温度分布を取得できない特定サーモパイルアレイセンサASxの欠損温度分布を、特定サーモパイルアレイセンサASxを挟んで対向配置されている2つの隣接サーモパイルアレイセンサAS1,AS2の検出範囲R1,R2から検出したそれぞれの温度分布により補完するようにしたものである。
このように、本実施の形態は、サーモパイルアレイセンサASを、検出範囲Rを構成する一辺の半分の長さDrより短い一定の間隔Dで格子状に配置し、温度分布検出装置10において、サーモパイルアレイセンサASのうち温度分布を取得できない特定サーモパイルアレイセンサASxの欠損温度分布を、特定サーモパイルアレイセンサASxを挟んで対向配置されている2つの隣接サーモパイルアレイセンサAS1,AS2の検出範囲R1,R2から検出したそれぞれの温度分布により補完するようにしたものである。
これにより、サーモパイルアレイセンサASが長さDrより短い一定の間隔Dで格子状に配置されているため、隣接サーモパイルアレイセンサAS1,AS2の検出範囲R1,R2が特定サーモパイルアレイセンサASxの検出範囲Rx内で重複することになる。このため、検出範囲R1,R2から検出したそれぞれの温度分布により、検出範囲Rxの温度分布を補完することができる。
したがって、任意のサーモパイルアレイセンサASで温度分布が取得できなくなった場合でも、空間20全体の全体温度分布を生成することが可能となる。これにより、上位システム30に対して、空間20全体の全体温度分布を安定供給することができ、上位システム30が提供するビル管理、さらには照明制御や空調制御などのアプリケーションサービスに関する信頼性を高めることが可能となる。
また、本実施の形態において、サーモパイルアレイセンサASを、空間20の床22から一定の高さhaに設定した検出面23において、検出範囲Rの一辺の半分の長さDrと等しい一定の間隔Dで格子状に配置するようにしてもよい。
これにより、床22から一定の高さhaに設定した検出面23で検出する場合でも、サーモパイルアレイセンサASxの抽出範囲Pxの温度分布を、検出範囲R1,R2から検出した温度分布により補完することができる。
これにより、床22から一定の高さhaに設定した検出面23で検出する場合でも、サーモパイルアレイセンサASxの抽出範囲Pxの温度分布を、検出範囲R1,R2から検出した温度分布により補完することができる。
また、本実施の形態において、特定サーモパイルアレイセンサASxが空間20の壁部24に隣接配置されている場合、温度分布検出装置10により、欠損温度分布を、壁部24に沿った方向において特定サーモパイルアレイセンサASxを挟んで対向配置されている2つの隣接サーモパイルアレイセンサASa(またはASb)の検出範囲Rから取得したそれぞれの温度分布により補完するようにしてもよい。これにより、特定サーモパイルアレイセンサASxが壁部24に隣接配置されている場合でも、抽出範囲Pxの温度分布を、検出範囲R1,R2から検出した温度分布により補完することができる。
また、本実施の形態において、特定サーモパイルアレイセンサASxが空間20の角部24Cに隣接配置されている場合、温度分布検出装置10により、欠損温度分布を、特定サーモパイルアレイセンサASxの検出範囲Rとほぼ同じ位置に検出範囲Rを持つ代替サーモパイルアレイセンサASc’から取得し温度分布により補完するようにしてもよい。これにより、特定サーモパイルアレイセンサASxが角部24Cに隣接配置されている場合でも、抽出範囲Pxの温度分布を、代替サーモパイルアレイセンサASc’から取得し温度分布により補完することができる。
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
1…温度分布検出システム、10…温度分布検出装置、11…温度分布取得部、12…操作入力部、13…画面表示部、14…通信I/F部、15…記憶部、16…抽出範囲特定部、17…全体温度分布生成部、20…空間、21…天井、22…床、23…検出面、24,24A,24B…壁部、24C…角部、30…上位システム、AS,ASx,AS1,AS2,AS3,AS4,ASa,ASb,ASc…サーモパイルアレイセンサ、D…配置間隔、Dr…長さ、θ…視野角、h,ha…高さ、R,Rx,R1,R2…検出範囲、P,Px,P1,P2…抽出範囲、Qx1,Qx2,Vx…重複領域、L1,L2…通信回線。
Claims (4)
- 対象となる空間の天井に配置されて、前記空間のうち配置位置に応じた平面視略正方形状の検出範囲における温度分布をそれぞれ検出する複数のサーモパイルアレイセンサと、
前記サーモパイルアレイセンサから取得した温度分布に基づいて前記空間全体の全体温度分布を生成して出力する温度分布検出装置とを備え、
前記サーモパイルアレイセンサは、前記検出範囲を構成する一辺の半分の長さより短い一定の間隔で格子状に配置されており、
前記温度分布検出装置は、前記サーモパイルアレイセンサのうち前記温度分布を取得できない特定サーモパイルアレイセンサの欠損温度分布を、前記特定サーモパイルアレイセンサを挟んで対向配置されている2つの隣接サーモパイルアレイセンサの検出範囲から検出したそれぞれの温度分布により補完する
ことを特徴とする温度分布検出システム。 - 請求項1に記載の温度分布検出システムにおいて、
前記サーモパイルアレイセンサは、前記空間の床から一定の高さに設定した検出面において、前記検出範囲の一辺の半分の長さと等しい一定の間隔で格子状に配置されていることを特徴とする温度分布検出システム。 - 請求項1に記載の温度分布検出システムにおいて、
前記温度分布検出装置は、前記特定サーモパイルアレイセンサが前記空間の壁部に隣接配置されている場合、前記欠損温度分布を、前記壁部に沿った方向において前記特定サーモパイルアレイセンサを挟んで対向配置されている2つの隣接サーモパイルアレイセンサの検出範囲から取得したそれぞれの温度分布により補完することを特徴とする温度分布検出システム。 - 請求項1に記載の温度分布検出システムにおいて、
前記温度分布検出装置は、前記特定サーモパイルアレイセンサが前記空間の角部に隣接配置されている場合、前記欠損温度分布を、前記特定サーモパイルアレイセンサの検出範囲とほぼ同じ位置に検出範囲を持つ代替サーモパイルアレイセンサから取得し温度分布により補完することを特徴とする温度分布検出システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016084326A JP2017194335A (ja) | 2016-04-20 | 2016-04-20 | 温度分布検出システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016084326A JP2017194335A (ja) | 2016-04-20 | 2016-04-20 | 温度分布検出システム |
Publications (1)
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Family
ID=60156069
Family Applications (1)
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JP2016084326A Pending JP2017194335A (ja) | 2016-04-20 | 2016-04-20 | 温度分布検出システム |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2017194335A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7372201B2 (ja) | 2020-05-15 | 2023-10-31 | 三機工業株式会社 | 空調制御方法及びそのシステム |
US11844002B2 (en) | 2018-06-11 | 2023-12-12 | Mitsubishi Electric Corporation | Environmental information management system |
-
2016
- 2016-04-20 JP JP2016084326A patent/JP2017194335A/ja active Pending
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