JP2017171978A - 鍛造部品及びその製造方法並びにコンロッド - Google Patents

鍛造部品及びその製造方法並びにコンロッド Download PDF

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Abstract

【課題】強度、被削性、製造性、破断分割性に優れ、原料コストの増大を回避できる鍛造部品及びその製造方法並びにコンロッドを提供する。【解決手段】鍛造部品は、質量%で、C:0.20〜0.40%、Si:0.01〜0.20%、Mn:0.30〜1.60%、P:0.030%以下、S:0.040〜0.150%、Cr:0.50%以下、Al:0.001〜0.070%、V:0.25〜0.35%、Ca:0.0100%以下、N:0.0150%以下を含有し、指数R1:7.0〜8.5である化学成分を有する鉄基合金からなる。Vノッチによるシャルピー衝撃値が10〜20J/cm2である。0.2%耐力が600MPa以上である。R1=12.6×[C]+16×[P]+0.14×[S]+12×[V]上記式中[X]は元素Xの含有率を表す。【選択図】図1

Description

本発明は、鍛造部品及びその製造方法並びにこの鋼からなるコンロッドに関する。
例えばコンロッドなどの自動車部品においては、燃費向上のための軽量化が要求されている。軽量化には、素材となる鋼の強度を高めて薄肉化することが有効である。しかしながら、一般的に、鋼の高強度化は被削性の悪化につながる。そのため、高強度化と被削性維持の両方を満足する鋼の開発が望まれていた。
また、2つの部品を組み合わせて一組の部品を構成する場合に、その2つの部品を連結した状態で成形した後に、最終的に破断分割して2つの部品に仕上げることが検討されている。この製造方法を採用すれば、製造工程の合理化を図ることができると共に、破断分割後の2つの部品の組み付け性が向上する。このような製造方法を可能にするには、少なくとも破断分割を容易に行える鋼が必要となる。また、組み付け性の観点からは、破断分割後の各部品に、適度に大きな凹凸を有する破面が形成されていることが好ましい。
鋼の破断分割を容易に行うために、鋼を脆化する技術が種々提案されている(例えば、特許文献1〜4)。
特開平11−286750号公報 特開平11−279698号公報 特開平11−199968号公報 特許第3854462号
特許文献1には、C(炭素)の含有量が多い共析鋼や過共析鋼とすることにより、フェライト組織を減らして脆化を図る技術が記載されている。しかし、フェライト組織を少なくすると、被削性の悪化を招くという問題がある。
特許文献2には、P(リン)を添加することにより粒界の脆化を図る技術が記載されている。しかし、特許文献2のようにPの添加量を増やした鋼は、P添加の影響により熱間加工性が低下し、熱間圧延等の工程における生産性に悪影響が生じるおそれがある。
特許文献3には、Ti(チタン)を添加することによりTi炭硫化物を形成して脆化を図る技術が記載されている。しかし、Tiを添加すると、熱間鍛造後の冷却時にベイナイト組織が生成され易くなるため、被削性が悪化しやすい。また、Tiの添加は、原料コストの増大を招くおそれがある。
特許文献4には、特定成分からなる鋼を熱間鍛造した後、特定の条件で冷却を行うことにより、得られる鋼部品の破断エネルギーを特定の値以下にする技術が記載されている。しかし、特許文献4の鋼部品は、破断エネルギーの値が低く、脆すぎるため、破断分割自体は容易であるものの、破断分割の際に欠けが発生しやく、かつ、破断分割により形成された破面が平滑になりやすい。それ故、破断分割後に一組の部品を組み合わせる作業において、部品同士の組み合わせ精度を高くすることが難しい。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、高い強度を確保しつつ、被削性及び熱間加工性等の製造性に優れ、破断分割後に一組の部品を精度よく組み合わせることができ、原料コストの増大を回避することができる鍛造部品及びその製造方法並びにこの鍛造部品からなるコンロッドを提供しようとするものである。
本発明の一態様は、質量%で、C(炭素):0.20%以上0.40%以下、Si(シリコン):0.01%以上0.20%以下、Mn(マンガン):0.30%以上1.60%以下、P(リン):0.030%以下(但し、0%を除く)、S(硫黄):0.040%以上0.150%以下、Cr(クロム):0.50%以下(但し、0%を除く)、Al(アルミニウム):0.001%以上0.070%以下、V(バナジウム):0.25%以上0.35%以下、Ca(カルシウム):0.0100%以下(但し、0%を除く)、N(窒素):0.0150%以下(但し、0%を除く)を含有し、残部がFe(鉄)及び不可避的不純物からなり、下記式(1)により得られる指数R1が7.0以上8.5以下である化学成分を有し、
金属組織がフェライト面積率30%以上のフェライト・パーライト組織であり、
Vノッチによるシャルピー衝撃値が10J/cm2以上20J/cm2以下であり、
0.2%耐力が600MPa以上であることを特徴とする鍛造部品にある。
式(1):R1=12.6×[C]+16×[P]+0.14×[S]+12×[V]
(但し、上記式(1)において、[X]は元素Xの含有率(質量%)の値を表す。)
本発明の他の態様は、上記の態様の鍛造部品から構成されていることを特徴とするコンロッドにある。
本発明の更に他の態様は、C:0.20%以上0.40%以下、Si:0.01%以上0.20%以下、Mn:0.30%以上1.60%以下、P:0.030%以下(但し、0%を除く)、S:0.040%以上0.150%以下、Cr:0.50%以下(但し、0%を除く)、Al:0.001%以上0.070%以下、V:0.25%以上0.35%以下、Ca:0.0100%以下(但し、0%を除く)、N:0.0150%以下(但し、0%を除く)を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、上記式(1)により得られる指数R1が7.0以上8.5以下である化学成分を有する鍛造用鋼材を準備し、
該鍛造用鋼材を加熱した後、温度1150〜1300℃で熱間鍛造を施して鍛造部品を作製し、
上記熱間鍛造の直後に、800℃から600℃までの平均冷却速度が150〜250℃/分となるように上記鍛造部品を冷却することを特徴とする鍛造部品の製造方法にある。
上記鍛造部品は、上記特定の化学成分及び金属組織を有しているとともに、0.2%耐力で表される特性が上記特定の範囲内にある。これにより、優れた強度を確保しつつ、被削性及び熱間加工性等の製造性について、鍛造部品に要求される水準を維持することができる。また、上記鍛造部品は、Tiを添加していないため、原料コストの増大を回避することができる。さらに、上記鍛造部品は、破断分割に適した範囲となるようにシャルピー衝撃値が調整されているため、破断分割時の欠けを抑制することができるとともに、適度な凹凸を有する破面を形成することができる。その結果、破断分割後に一組の部品を精度よく組み合わせることができる。
このように、上記鍛造部品は、高い強度を確保しつつ、被削性及び熱間加工性等の製造性に優れ、破断分割後に一組の部品を精度よく組み合わせることができる。それ故、上記鍛造部品から構成されたコンロッドは、優れた特性を有している。
また、上記特定の化学成分を有する鍛造用鋼材に、上記特定の条件で熱間鍛造及び冷却を行うことにより、得られる鍛造部品のシャルピー衝撃値を破断分割に適した範囲に調整することができる。その結果、破断分割性に優れた鍛造部品を得ることができる。
実施例における、破断分割性評価用試験片の(a)平面図、(b)正面図。 実施例における、破断分割性評価の結果を示す説明図。
上記鍛造部品における化学成分の限定理由を説明する。
・C(炭素):0.20%以上0.40%以下
C(炭素)は、強度を確保するための基本元素である。適度な強度及びシャルピー衝撃値を得ると共に適度な被削性を確保するためには、C含有量を上記範囲内に収めることが重要である。C含有量が0.20%未満の場合には、強度等を確保することが困難となると共に破断分割時に変形が生じるおそれがある。C含有量が0.40%を超える場合には、被削性の悪化、破断分割時の欠けの問題等が懸念される。
・Si(シリコン):0.01%以上0.20%以下
Siは、製鋼時の脱酸剤として有効であり、この効果を得るためには、Si含有量を0.01%以上とすることが必要である。一方、破断分割性を向上させるために従来添加されていたPを添加することなく、上記鍛造部品の破断分割性を向上させるためには、Si含有量を従来よりも低めに調整する必要がある。かかる観点から、Si含有量を0.20%以下とした。また、Si含有量が多すぎると、脱炭が増加し疲労強度に悪影響が生じるおそれもある。破断分割性をより向上させるためには、Si含有量を0.15%以下とすることが好ましい。
・Mn(マンガン):0.30%以上1.60%以下
Mnは、製鋼時の脱酸ならびに鍛造部品の強度、靱性バランスを調整するために有効な元素である。強度、靱性バランス調整に加え、金属組織の最適化、被削性及び破断分割性向上のためには、Mn含有量を上記特定の範囲内にすることが必要である。Mnの含有量が0.30%未満の場合には、強度と靭性とのバランスを適正な範囲に調整することが難しくなる。一方、Mn含有量が1.60%を超える場合には、パーライト組織の増加やベイナイト組織の生成の可能性が高まり、0.2%耐力の低下や被削性の悪化を招くおそれがある。
・P(リン):0.030%以下(但し、0%を除く)
Pは、製造上不純物としての含有が避けられない元素であるが、P含有量を0.030%以下とすることにより、P含有量の増加による熱間加工性の悪化を回避することができる。
・S:0.040〜0.150%
Sは上記鍛造部品の被削性を向上させるために必要な元素であり、その効果を得るためには、S含有量を0.040%以上とすることが必要である。一方、S含有量が多すぎる場合には、鍛造時に割れが生じやすくなる。S含有量を0.150%以下とすることにより、鍛造時の割れを抑制することができる。
・Cr(クロム):0.50%以下(但し、0%を除く)
Crは、Mnと同様に鍛造部品の強度、靱性バランスを調整するために有効な元素である。上記鍛造部品中にCrが含まれていれば、これらの作用効果を得ることができる。Crによる作用効果をより高める観点からは、Cr含有量を0.05%以上とすることが好ましい。一方、Cr含有量が過度に多い場合には、Mn含有量が過度に多い場合と同様に、パーライト組織の増加やベイナイト組織の生成の可能性が高まり、0.2%耐力の低下や被削性の悪化を招くおそれがある。これらの問題を回避する観点から、Cr含有量は0.50%以下とする。
・Al(アルミニウム):0.001%以上0.070%以下
Al含有量を0.001%以上とすることにより、製鋼時の脱酸を促進することができる。一方、Al含有量が過度に多い場合には、アルミナ系介在物の増加により、被削性の悪化を招くおそれがある。被削性の悪化を回避する観点から、Al含有量は0.070%以下とする。
・V(バナジウム):0.25%以上0.35%以下
Vは、鍛造部品の製造過程において、熱間鍛造後の冷却時に炭窒化物となってフェライト中に微細に析出し、析出強化により強度を向上させる作用を有している。V含有量を0.25%以上とすることにより、鍛造部品の強度を向上させることができる。V含有量が過度に多くなると、原料コストが増加する一方で、添加量に見合った強度向上効果が得られなくなる。従って、強度向上効果と原料コストとのバランスの観点から、V含有量は0.35%以下とする。
・N(窒素):0.0150%以下(但し、0%を除く)
Nは、大気中に最も多く含まれる元素であり、大気溶解をする場合には製造上不純物としての含有が避けられない。しかしながら、N含有量が0.0150%を超えると、鋼中においてVと結合して、強度向上に寄与しない比較的大きい炭窒化物が多く形成され、V添加による強度向上効果を阻害するおそれがある。なお、上記のN含有範囲においても、N含有量が高いほど、強度向上に寄与しない比較的粗大な炭窒化物が鋼中において多くなる可能性がある。これを回避して鍛造部品の強度を確保するためには、熱間鍛造時により高めの温度に加熱して比較的粗大な炭窒化物を固溶させることが好ましい。
・Ca(カルシウム):0.0100%以下(但し、0%を除く)
Caは、鍛造部品の被削性向上に有効な元素ある。Caは、不純物として鍛造部品中に少量含まれる元素であるが、被削性をより向上させるために、必要に応じて積極的に添加してもよい。なお、Ca含有量が過度に多い場合には、添加量に見合った被削性向上の効果を得ることが難しい。従って、被削性向上の効果と添加量とのバランスの観点から、Ca含有量を0.0100%以下とすることが好ましい。
・不可避的不純物
上記鋼に含まれる不可避的不純物としては、例えば、Cu(銅)、Ni(ニッケル)、Mo(モリブデン)等がある。
上記鍛造部品は、上述した必須成分の含有量を上記特定の範囲とした上で、さらに、下記式(1)により算出される指数R1が7.0以上8.5以下となる化学成分を有している。
式(1):R1=12.6×[C]+16×[P]+0.14×[S]+12×[V]
但し、上記式(1)において、[X]は元素Xの含有率(質量%)の値を表す。
指数R1の値が上記特定の範囲内である鍛造用鋼材に、上記特定の条件で熱間鍛造及びその後の冷却を行うことにより、上記特定の範囲のシャルピー衝撃値を容易に実現することができる。指数R1が7.0未満の場合には、シャルピー衝撃値が上記特定の範囲よりも大きくなるおそれがある。その結果、破断分割時に部品の変形が起きやすくなるおそれがある。一方、指数R1が8.5を超える場合には、シャルピー衝撃値が上記特定の範囲よりも小さくなるおそれがある。その結果、破断分割時に欠けが発生する、あるいは破面の凹凸が過度に小さくなることにより、破面の噛み合わせが悪くなる等の問題が起こりやすくなるおそれがある。
また、上記鍛造部品は、上述した必須成分の含有量及び上記式(1)により算出される指数R1を上記特定の範囲とした上で、さらに、下記式(2)により算出される指数R2の値が2.15以上2.61以下となるように化学成分が調整されていることが好ましい。
式(2):R2=4×[C]−[Si]+0.2×[Mn]+7×[Cr]−[V]
但し、上記式(2)において、[X]は元素Xの含有率(質量%)の値を表す。
上述した必須成分の含有量及び指数R1の値を上記特定の範囲とした上で指数R2の値を上記特定の範囲内にすることにより、フェライト面積率が30%以上であるフェライト・パーライト組織を確実に得ることができるため、より好ましい。その結果、製造時に要求される水準の被削性をより容易に確保することができる。なお、指数R2が上記特定の範囲外となる場合であっても、フェライト面積率を30%以上にすることができる場合もある。そのため、本条件は任意条件とする。
なお、上記式(1)及び上記式(2)は、種々の化学成分からなる鋼材を多数準備し、これらの鋼材のシャルピー衝撃値及びフェライト面積率を測定した上で、これらの値と、上記式(1)及び上記式(2)において選択された元素の含有率との関係を重回帰分析で分析することにより設定した。また、指数R1の範囲はシャルピー衝撃値が上記特定の範囲となる閾値から設定し、指数R2の範囲はフェライト面積率30%以上のフェライト・パーライト組織が確実に得られる閾値から設定した。上記式(1)及び上記式(2)において特定の元素を選択した理由は、多数のデータを用いて行った重回帰分析により、これらの元素が他元素と比べてシャルピー衝撃値及びフェライト面積率への影響が大きいという結果が得られたためである。
・金属組織
上記鍛造部品の金属組織は、フェライト面積率30%以上のフェライト・パーライト組織である。金属組織中のフェライト面積率を30%以上とすることにより、鍛造部品に要求される水準の被削性を確保することができる。上記鍛造部品の被削性をより向上させるためには、フェライト面積率は50%以上であることが好ましい。なお、上記鍛造部品のフェライト面積率は、通常、95%以下である。また、フェライト面積率は、鍛造部品の断面にナイタール腐食を施した後、当該断面にJIS G0555に準拠した点算法を適用することにより算出することができる。
また、例えばMn量やCr量が多すぎる場合、あるいは熱間鍛造後の平均冷却速度が速すぎる場合には、金属組織中にベイナイト組織が生成されることがある。優れた被削性を得るためには金属組織中のベイナイト面積率が0%であることが好ましいが、ベイナイト面積率が5%以下であれば、実用上問題のない水準の被削性を確保することができる。なお、ベイナイト面積率は、フェライト面積率と同様に、鍛造部品の断面にナイタール腐食を施した後、当該断面にJIS G0555に準拠した点算法を適用することにより算出することができる。
・シャルピー衝撃値:10J/cm2以上20J/cm2以下
上記鍛造部品は、Vノッチによるシャルピー衝撃値が上記特定の範囲内にある。これにより、破断分割時の変形や欠けを抑制することができるとともに、破断分割後に、適度な凹凸を有する破面を形成することができる。その結果、分割後の部品を精度よく噛み合わせることができる。
シャルピー衝撃値が10J/cm2未満の場合には、破断分割時に欠けが発生する、あるいは、破面の凹凸が過度に小さくなる等の問題が生じるおそれがある。一方、シャルピー衝撃値が20J/cm2を超える場合には、破断分割時の変形が大きくなるおそれがある。
・0.2%耐力:600MPa以上
上記鍛造部品の0.2%耐力は600MPa以上とし、好ましくは700MPa以上とする。0.2%耐力が600MPa以上である鍛造部品は、十分に高い強度を有しているため、強度を確保しつつ軽量化をより容易に行うことができる。
上記鍛造部品は、上記の優れた特性を活かし、様々な態様の部品として構成することができる。例えば、上記鍛造部品をコンロッドとして構成することにより、破断分割を利用した製造方法の実施が可能となる。
・製造方法
上記鍛造部品を製造するに当たっては、少なくとも、電気炉等で原料を溶解し、上記特定の化学成分を有する鋳造片を作製し、これに熱間圧延等の熱間加工を加えて鍛造用鋼材を準備する工程と、鍛造用鋼材に対して熱間鍛造を施す工程と、熱間鍛造後の鍛造品を冷却する冷却工程とを行う。
熱間鍛造における温度は1150〜1300℃とする。熱間鍛造時の温度を上記特定の範囲とすることにより、所望の金属組織を有する上記鍛造部品を得ることができる。熱間鍛造における温度が1150℃未満の場合には、成形性の悪化を招くおそれがある。一方、熱間鍛造における温度が1300℃を超える場合には、結晶粒の粗大化を招き、上記鍛造部品の機械的特性に悪影響を及ぼすおそれがある。
熱間鍛造により得られた鍛造部品は、800℃から600℃までの平均冷却速度が150〜250℃/分となるようにして冷却される。これにより、上記特定の範囲のシャルピー衝撃値及び0.2%耐力を容易に実現することができる。なお、鍛造部品の冷却方法は、上記特定の範囲の平均冷却速度となるように、鍛造部品のサイズに応じて適切な方法を選択する必要がある。例えば、空気中での放冷処理では平均冷却速度が小さくなる場合には、ファン空冷を採用するとともに、ファンの強さを調節することにより平均冷却速度を上記特定の範囲内に調整することができる。また、800〜600℃の範囲で冷却速度の範囲を設定したのは、鍛造部品の機械的性質がこの温度範囲の冷却速度によってほぼ決定されるためである。
上記平均冷却速度が150℃/分未満の場合には、0.2%耐力が上記特定の範囲よりも低くなるとともに、シャルピー衝撃値が上記特定の範囲よりも高くなるおそれがある。一方、上記平均冷却速度が250℃/分を超える場合には、ベイナイト組織の生成により、硬さが高い割に0.2%耐力が低めとなるという影響が生じるとともに、被削性が低下する、及びシャルピー衝撃値が上記特定の範囲よりも低くなる等の問題が生じるおそれがある。
(実施例1)
上記鍛造部品に係る実施例につき説明する。本例では、化学成分組成が異なる複数種類の合金(表1、合金A〜X)からなる試験材(表2、試験材1〜24)を準備して、コンロッドを作製する場合を想定した加工を加えて各種評価を行った。ここで、合金A〜Lは、上記特定の化学成分を有する鋼であり、合金M〜Xは、各元素の含有量及び指数R1の値のうち少なくとも1つが上記特定の範囲から外れている、比較用の鋼である。また、合金K及び合金Lは、指数R2の値が上記特定の範囲から外れているが、フェライト面積率が30%以上のフェライト・パーライト組織が得られている鋼である。
表1に記載したうち、Ca量が0.0003%を超える合金については、Caの添加を意図的に行っている。Ca量が0.0003%以下の合金については、不純物として含まれていたCaの量を記載した。また、Cu、Ni及びMoについては積極的な添加を行っていない。表1中のこれらの元素の欄には、不純物として含まれていた量を記載した。また、表1中のTiの欄に示した記号「−」は、Tiが積極的に添加されていないことを示す。なお、各試験材の製造方法は、公知の種々の方法に変更可能である。
Figure 2017171978
<強度評価試験>
強度評価用試験片は、以下の手順により作製した。まず、電気炉にて溶解して作製した鋳造片に熱間圧延を加えて棒鋼とし、この棒鋼を鍛伸して鍛造用鋼材としての直径φ20mmの丸棒を作製した。次いで、この丸棒を、実際の熱間鍛造における標準的な処理温度に相当する1200℃まで加熱し、この温度を30分間保持した。その後、ファン空冷により、丸棒の温度が室温になるまで冷却を行った。このとき、空冷時のファンの強さを調節し、丸棒表面の温度が800℃となってから600℃に到達するまでの平均冷却速度がおよそ190℃/分となるようにして冷却を行った。以上により、強度評価用試験片を作製した。
強度評価は、次の項目について行った。
・硬さ測定:JIS Z2244に準拠してビッカース硬さを測定した。
・0.2%耐力の測定:JIS Z2241に準拠した引張試験を実施し、その結果に基づいて0.2%耐力を算出した。
・シャルピー衝撃値:強度評価用試験片にVノッチを形成し、JIS Z2242に準拠してシャルピー衝撃試験を実施した。その結果に基づき、シャルピー衝撃値を算出した。
<金属組織評価>
また、強度評価用試験片を用い、以下の方法により金属組織の評価を行った。
・組織観察:ナイタール腐食を施した試験片の断面を、光学顕微鏡を用いて観察した。その結果、断面にフェライト組織が存在した場合には表2中の「金属組織」欄に記号Fを、パーライト組織が存在した場合には同欄に記号Pを、ベイナイト組織が存在した場合には同欄に記号Bを記載した。
・フェライト面積率:JIS G0555に準拠した点算法により、上記の断面におけるフェライト面積率を算出した。
・ベイナイト面積率:ベイナイト組織が生成された試験材について、JIS G0555に準拠した点算法により、上記の断面におけるベイナイト面積率を算出した。
<被削性評価試験>
被削性評価用試験片は、以下の手順により作製した。まず、電気炉にて溶解して作製した鋳造片に熱間圧延を加えて棒鋼とし、該棒鋼を鍛伸して鍛造用鋼材としての一辺25mmの断面正方形の角棒を作製した。次いで、この角棒を、実際の熱間鍛造における標準的な処理温度に相当する1200℃まで加熱し、この温度を30分間保持した。その後、ファン空冷により角棒の温度が室温になるまで冷却を行った。このとき、空冷時のファンの強さを調節し、角棒表面の温度が800℃となってから600℃に到達するまでの平均冷却速度がおよそ190℃/分となるようにして冷却を行った。冷却後、一辺20mmの正方形断面となるように角棒を切削した。以上により、被削性評価用試験片を作製した。
被削性評価試験においては、以下の条件により試験片にドリルによる穴あけ加工を施した後、ドリルの摩耗量を測定することにより被削性の評価を行った。
・使用ドリル:直径φ8mmのハイスドリル
・ドリル回転数:800rpm
・送り:0.20mm/rev
・加工深さ:11mm
・加工穴数:300穴(未貫通)
ドリル摩耗量の測定は、300穴加工後のドリルの逃げ面コーナー部において行った。そして、各試験片のドリル摩耗量を基準材のドリル摩耗量で除した値を被削性指数とし、表2に記載した。基準材としては、C:0.23%、Si:0.25%、Mn:0.80%、Cr:0.20%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる化学成分を有し、ビッカース硬さが250HVである鋼を用いた。この基準材は、後述の表2及び表3に示した結果との比較から明らかなように、本発明に係る鍛造部品と比べて硬さが低く、かつ、過去の評価結果から製造上問題のない被削性を有していることがわかっているため、基準材として適当である。なお、この基準材は、JIS G4051に規定される機械構造用炭素鋼に相当する鋼材である。
被削性評価においては、上記の基準材よりも若干劣るものの、実用上問題のない水準である被削性指数1.20を基準として被削性の良否を判定した。具体的には、被削性指数1.20以下の試験材を合格と判定した。
<破断分割性評価試験>
破断分割性評価用試験片は、以下の手順により作製した。まず、電気炉にて溶解して作製した鋳造片に熱間圧延を加えて棒鋼とし、該棒鋼を鍛伸して鍛造用鋼材としての長さ75mm、幅75mm、厚み25mmの板材を作製した。次いで、この板材を、実際の熱間鍛造における標準的な処理温度に相当する1200℃まで加熱し、この温度を30分間保持した。その後、ファン空冷により板材の温度が室温になるまで冷却を行った。このとき、空冷時のファンの強さを調節し、板材表面の温度が800℃となってから600℃に達するまでの平均冷却速度がおよそ190℃/分となるようにして冷却を行った。
冷却が完了した後、コンロッドの大端部を想定した形状に板材を加工し、図1に示す破断分割性評価用試験片80を作製した。この試験片80の外径寸法は、長さL70mm、幅W70mm、厚みT20mmである。また、試験片80の中央には、試験片8を厚みT方向に貫通する貫通穴81が形成されている。貫通穴81の直径D1はφ45mmとした。
さらに、試験片80における貫通穴81の外側には、試験片80を長さL方向に貫通する一対のボルト挿通穴82が形成されている。一対のボルト挿通穴82は長さL方向と平行な方向に伸びている。また、ボルト挿通穴82の直径D2はφ8mmとした。
また、貫通穴81の周壁面における、ボルト挿通穴82に最も近い2箇所の位置、即ち、長さL方向を基準としたときの角度が90度となる位置には、一対の切り欠き83が形成されている。切り欠き83の形成は、レーザ加工により行った。また、切り欠き83の深さdは1mmとした。
得られた試験片80を用い、以下の手順により破断分割性の評価を行った。まず、上記の構成を有する試験片80の貫通穴81に治具(図示略)を挿入し、図1に示すごとく、矢印F方向に衝撃荷重を加えることにより、試験片80の破断分割(クラッキング)を行った。そして、分割された一組の部品を再度分割前の状態に組み合わせ、ボルト挿通穴82にボルトを挿通した。このボルトを35N・mのトルクで締め付けることにより、ボルトを介して一組の部品を締結した。この状態において長さL方向における貫通穴81の内径を測定し、予め測定した破断分割前の貫通穴81の内径からの寸法変化量を算出した。
各試験材について10個(n=10)の試験片80を作製し、それぞれの試験片80について破断分割及び寸法変化量の測定を行った。その結果、全ての試験片80が、(1)寸法変化量10μm以下である、(2)破断面に欠けが発生していない、及び、(3)一組の部品を組み合わせた際に、貫通孔81の位置を容易に合わせることができる、の3点を満たした場合には、表2中の「破断分割性」の欄に記号Aを記載した。また、上記3点のいずれかを満たさない試験片80が1個以上発生した場合には、同欄に記号Bを記載した。
各評価結果を表2に示す。
Figure 2017171978
表1及び表2に示したように、試験材1〜12は、上記特定の化学成分を有し、金属組織がフェライト・パーライト組織であるとともに、0.2%耐力及びシャルピー衝撃値で表される特性が上記特定の範囲内にある。また、試験材1〜12におけるベイナイト面積率は0%であり、ベイナイト組織が生じなかった。そのため、すべての評価項目において良好な結果が得られ、強度及び破断分割性に優れていた。ここで、試験材11及び試験材12は、指数R2の値が好ましい範囲から外れているものの、30%以上のフェライト面積率を有しており、良好な結果が得られている。
また、表2には示さないが、試験材1〜12の被削性指数は0.90〜1.15であり、基準値である1.20以下となった。なお、以降に説明する試験材のうち、被削性について特に言及していない試験材の被削性指数は、基準値である1.20以下であった。
試験材13及び試験材14は、Si含有量が多すぎるため、シャルピー衝撃値が上記特定の範囲よりも大きくなった。その結果、これらの試験材においては、破断分割性評価試験後の変形量が大きくなった。
試験材15は、Si過多によるシャルピー衝撃値の増加をPの添加により抑制しているため、破断分割性は良好であった。しかし、P添加の影響により、試験材15の熱間加工性は試験材1〜12に比べて低下した。
試験材16は、Si過多によるシャルピー衝撃値への影響に比べてTiの添加によるシャルピー衝撃値への影響が大きかったため、シャルピー衝撃値が上記特定の範囲よりも小さくなった。その結果、破断分割性評価試験後に欠けが発生した。さらに、Tiの添加により試験材16の原料コストが増大した。
また、Tiの添加は、ベイナイト組織を生成しやすくする。表2及び表3には記載しないが、試験材16と同一の合金Pを用い、800℃から600℃までの平均冷却速度を250℃/分に変更して試験材の作成を行ったところ、得られた試験材にはベイナイト組織が存在していることを確認した。また、この試験材は、ベイナイト組織の存在により、強度、被削性及び破断分割性が悪化することを確認した。
試験材17は、C含有量が少なすぎたため、指数R1の値が上記特定の範囲よりも小さくなった。さらに、試験材17のSi含有量は、上記特定の範囲よりも多かった。これらの結果、シャルピー衝撃値が上記特定の範囲よりも大きくなり、破断分割性評価試験後の変形の増大を招いた。
試験材18は、C含有量が多すぎたため、指数R1の値が上記特定の範囲よりも大きくなった。その結果、シャルピー衝撃値が上記特定の範囲よりも小さくなり、破断分割性評価試験後に欠けが発生した。また、試験材18は、C含有量の増加によって指数R2の値が上記特定の範囲よりも大きくなったため、フェライト面積率が低くなるとともに硬さが過度に高くなった。その結果、被削性の悪化を招いた。なお、試験材18の被削性指数は1.48であり、試験材1〜12に比べて劣っていた。
試験材19及び試験材24は、個々の元素の含有量は上記特定の範囲内であったが、指数R1の値が上記特定の範囲よりも小さかった。その結果、これらの試験材においては、シャルピー衝撃値が上記特定の範囲よりも大きくなり、破断分割性評価試験後の変形量が大きくなった。
試験材20は、個々の元素の含有量は上記特定の範囲内であったが、指数R1の値が上記特定の範囲よりも大きかったため、シャルピー衝撃値が上記特定の範囲よりも小さくなった。その結果、破断分割性評価試験後に、破面の凹凸が過度に小さくなり、噛み合わせ精度が悪化した。
これらの試験材19、20及び24の結果から明らかなように、シャルピー衝撃値を上記特定の範囲内に調整するためには、個々の元素の含有量を上記特定の範囲にするだけでなく、指数R1の値が上記特定の範囲となるように各成分の含有量を調整する必要があることが理解できる。
試験材21及び試験材23は、P含有量が多すぎた結果、指数R1の値が上記特定の範囲よりも大きくなり、シャルピー衝撃値が上記特定の範囲よりも小さくなった。その結果、破断分割性評価試験後に、破面の凹凸が過度に小さくなり、噛み合わせ精度が悪化した。
試験材22は、C含有量及びP含有量が多すぎた結果、指数R1の値が上記特定の範囲よりも大きくなり、シャルピー衝撃値が上記特定の範囲よりも小さくなった。その結果、破断分割性評価試験後に、破面の凹凸が過度に小さくなり、噛み合わせ精度が悪化した。
図2に、破断分割性評価試験の結果をまとめて示す。図2の縦軸はシャルピー衝撃値(J/cm2)であり、横軸は指数R1の値である。図2には、各元素の含有量が上記特定の範囲内である試験材(試験材1〜12、19〜20及び24)と、指数R1に影響する元素のみが上記特定の範囲外である試験材(試験材21〜23)とを示した。また、破断分割性評価の結果が良好であった試験材は、図2中に記号「○」でプロットし、破断分割性評価の結果が悪かった試験材は、図2中に記号「×」でプロットした。
図2に示すように、各元素の含有量が上記特定の範囲内であるが指数R1の値が上記特定の範囲から外れている試験材19、20及び24、並びに、指数R1の値に影響するC量及びP量が上記特定の範囲から外れている試験材21〜23は、シャルピー衝撃値が上記特定の範囲外となり、破断分割性評価の結果が悪かった。この結果から、強度、被削性及び破断分割性の3つの特性を高いレベルで満足する鍛造部品を得るためには、単に各元素の含有量を上記特定の範囲内にするだけでなく、指数R1の値を上記特定の範囲内にする必要があることが容易に理解できる。
(実施例2)
本例は、熱間鍛造後の冷却条件を種々変更した試験材の例である。本例においては、各元素の含有量が上記特定の範囲内であるとともに、指数R1及び指数R2が上記特定の範囲内である合金A〜E(表1参照)を用い、冷却速度を表3に示すように種々変更した以外は実施例と同様の方法により試験材の作製を行った。そして、得られた試験材を用い、実施例1と同様の評価を行った。表3に評価結果を示す。
なお、本例におけるいくつかの試験材には、ベイナイト組織が生成された。ベイナイト組織が生成された試験材には、表3の「金属組織」欄に記号Bを記載した。また、ベイナイト組織が生成された試験材については、JIS G0555に準拠した点算法により、上記の断面におけるベイナイト面積率を算出した。
Figure 2017171978
表3に示したように、試験材30〜44は、各元素の含有量が上記特定の範囲内であるとともに、指数R1及び指数R2が上記特定の範囲内である化学成分を有しており、800℃から600℃までの平均冷却速度が150〜250℃/分の範囲内となるように作製されている。そのため、これらの試験材は、金属組織がフェライト・パーライト組織であるとともに、0.2%耐力及びシャルピー衝撃値で表される特性が上記特定の範囲内となった。その結果、すべての評価項目において良好な結果が得られ、強度及び破断分割性に優れていた。また、試験材30〜44の被削性指数は0.95〜1.18であり、基準値である1.20以下となった。
試験材25〜29は、平均冷却速度が上記特定の範囲よりも小さかったため、0.2%耐力が上記特定の範囲よりも低くなった。また、試験材26及び28については、シャルピー衝撃値が上記特定の範囲よりも大きくなり、破断分割性評価試験において変形の増大を招いた。
試験材45〜49は、平均冷却速度が上記特定の範囲よりも大きかった。冷却後の試験材45〜49を調査した結果、面積率で10〜20%のベイナイト組織が存在していることが確認された。そして、このベイナイト組織の影響により、被削性が低下した。なお、試験材45〜49の被削性指数は1.25〜1.35であった。
また、これらの試験材は、ベイナイト組織の生成により、シャルピー衝撃値が上記特定の範囲よりも小さくなった。その結果、破断分割性評価試験後に、欠けが発生する、あるいは噛み合わせが悪化するなどの問題が発生した。
また、試験材40〜44と試験材45〜49との比較から、ベイナイト組織が多く生成されると、硬さに大きな差異がないにもかかわらず0.2%耐力が大きく低下することが分かる。
以上の結果から、ベイナイト組織の生成は強度、被削性及び破断分割性の低下につながるため、ベイナイト組織の生成を抑制すべきであることが理解できる。なお、詳細な記載は省略するが、ベイナイト面積率が5%以下であれば、ベイナイト組織の影響を十分に抑制できることを確認している。
上述した種々の評価結果は全て試験片での結果であるが、表1に示す合金Aに相当する試験材を用い、実際にコンロッド部品を作製してその性能を評価した。その結果、上述した試験片による評価結果と同様に、優れた性能を得られることを確認できた。
80 破断分割性評価用試験片
81 貫通穴
82 ボルト挿通穴
83 切り欠き

Claims (6)

  1. 質量%で、C:0.20%以上0.40%以下、Si:0.01%以上0.20%以下、Mn:0.30%以上1.60%以下、P:0.030%以下(但し、0%を除く)、S:0.040%以上0.150%以下、Cr:0.50%以下(但し、0%を除く)、Al:0.001%以上0.070%以下、V:0.25%以上0.35%以下、Ca:0.0100%以下(但し、0%を除く)、N:0.0150%以下(但し、0%を除く)を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、下記式(1)により得られる指数R1が7.0以上8.5以下である化学成分を有し、
    金属組織がフェライト面積率30%以上のフェライト・パーライト組織であり、
    Vノッチによるシャルピー衝撃値が10J/cm2以上20J/cm2以下であり、
    0.2%耐力が600MPa以上であることを特徴とする鍛造部品。
    式(1):R1=12.6×[C]+16×[P]+0.14×[S]+12×[V]
    (但し、上記式(1)において、[X]は元素Xの含有率(質量%)の値を表す。)
  2. 下記式(2)により得られる指数R2が2.15以上2.61以下である化学成分を有していることを特徴とする請求項1に記載の鍛造部品。
    式(2):R2=4×[C]−[Si]+0.2×[Mn]+7×[Cr]−[V]
    (但し、上記式(2)において、[X]は元素Xの含有率(質量%)の値を表す。)
  3. 上記金属組織におけるベイナイト面積率は5%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の鍛造部品。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の鍛造部品からなることを特徴とするコンロッド。
  5. 質量%で、C:0.20%以上0.40%以下、Si:0.01%以上0.20%以下、Mn:0.30%以上1.60%以下、P:0.030%以下(但し、0%を除く)、S:0.040%以上0.150%以下、Cr:0.50%以下(但し、0%を除く)、Al:0.001%以上0.070%以下、V:0.25%以上0.35%以下、Ca:0.0100%以下(但し、0%を除く)、N:0.0150%以下(但し、0%を除く)を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、下記式(1)により得られる指数R1が7.0以上8.5以下である化学成分を有する鍛造用鋼材を準備し、
    該鍛造用鋼材を加熱した後、温度1150〜1300℃で熱間鍛造を施して鍛造部品を作製し、
    上記熱間鍛造の直後に、800℃から600℃までの平均冷却速度が150〜250℃/分となるように上記鍛造部品を冷却することを特徴とする鍛造部品の製造方法。
    式(1):R1=12.6×[C]+16×[P]+0.14×[S]+12×[V]
    (但し、上記式(1)において、[X]は元素Xの含有率(質量%)の値を表す。)
  6. 上記鍛造用鋼材は、下記式(2)により得られる指数R2が2.15以上2.61以下である化学成分を有していることを特徴とする請求項5に記載の鍛造部品の製造方法。
    式(2):R2=4×[C]−[Si]+0.2×[Mn]+7×[Cr]−[V]
    (但し、上記式(2)において、[X]は元素Xの含有率(質量%)の値を表す。)
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