JP2017148437A - 樹脂製医療用器具および樹脂製医療用器具の情報表示方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アルコール拭きや高温・高圧による殺菌洗浄を行っても消えることのない製品情報が、製品表面に見え易く表示された樹脂製医療用器具および樹脂製医療用器具の情報表示方法を提供する。【解決手段】本発明の樹脂製医療用器具は、樹脂の成形体からなる器具本体(ボールトライアル1)と、該器具本体の表面に浸透された、浸透性インクからなる製品情報表示部Mと、を備える。前記製品情報表示部Mは、製品情報を彫刻や刻印等により表示した従来品に比べ、これら製品に関連する情報を、見栄え良く、はっきりと表示することができる。しかも、病院等で常用される、アルコール拭きや殺菌洗浄を行っても消えることがないため、この器具を殺菌洗浄等して行う再利用(再生)を、複数回にわたり行うことができる。【選択図】図1
Description
本発明は、樹脂製の医療用器具およびその樹脂製医療用器具に関連する製品情報の表示方法に関する。
医療の分野において、樹脂を用いて様々な形に成形された医療用の器具が使用されている。たとえば、人工関節や人工骨の置換術において、インプラントの設置状態を確認するなどの目的で使用する、人工股関節の骨頭部材、臼蓋側部材、人工膝関節の脛骨摺動面部材のトライアル(試用体)などが、樹脂製の医療用器具としてあげられる。
なかでも、股関節に異常等が認められた患者に対して、その股関節の一部または全部を人工股関節に置換する手術(図2を参照)が行われる際には、人工股関節100のインプラントである骨頭ボール(符号101)を患者の状況に応じて適切に選択するために、人工股関節用ボールトライアル(以下、単に、「ボールトライアル」ともいう)と呼ばれる、樹脂製医療用器具が使用される。
ボールトライアルは、ボール状に形成された樹脂成形体であり、患者の体型や骨の大きさ等に合わせて、サイズやオフセット量の異なるもの(近似のもの)が数種類、セットで用意される。そして、ボールトライアルは、股関節を人工股関節に置換する手術の際に、人工股関節内に最終的に留置される骨頭ボール(セラミック製または合金製)の最適なサイズやオフセット量を決定するために、それに代えて、術者が、サイズ等の異なる数種類の樹脂性試用体(トライアル:符号1)を、図3に示すように、ステム102に取り付け、実際に前記人工股関節内に嵌め入れてみて、フィット感や可動域の広さ、脱臼のし難さ等を確認するために用いられる(特許文献1を参照)。
なお、最適なサイズやオフセット量が判明した後は、ボールトライアルは、留置される正式な骨頭ボールに交換され、これら試用された数種類の使用済みのボールトライアルは回収される。また、ボールトライアルは、通常、骨頭ボールを製造販売するメーカーの貸与品であり、試用時に表面に傷等が生じていなければ、このような一度の使用で破棄されることはなく、工場等で洗浄・滅菌された後、滅菌ケース等に収容して保管され、再度貸し出される。
ところで、樹脂製医療用器具のなかでも、前記ボールトライアルをはじめとする、体内に適用される樹脂製医療用器具は、製品名、メーカー名、型番、製造番号等の製品情報が、彫刻彫りやレーザー彫刻または圧痕等を利用した刻印、すなわち、人体に無害な方法により、その製品の機能上問題とならない位置(通常、製品の縁部)に表示されている。
しかしながら、前記ボールトライアルを例にとれば、試用後に回収されたボールトライアルのなかには、術中のサイズ等の取り違えを防ぐためと思われる、油性ペンによるマーキング(術者独自の連番等)が、製品表面の中央部分に付記されて返却される場合があった。このような油性ペン等による新たな文字情報等は、前記オリジナルの製品情報と関連性が薄く、書き込みを行った本人以外の者にとっては、サイズ等の勘違いの原因ともなりかねない。
しかも、前記油性ペン等によるマーキングは、アルコール拭きや高温・高圧による殺菌洗浄を行っても除去(消去)できないものもあり、その場合、書き込みされた樹脂製医療用器具の信頼性、安全性等が担保できないため、これらは破棄される。
これら樹脂製医療用器具全般にかかる上記のような問題は、器具の製造・提供者側が、術者等のユーザーに対して、正確な製品情報を、わかり易く提供(見え易く表示)することにより、解決すると思われる。
本発明の目的は、アルコール拭きや高温・高圧による殺菌洗浄を行っても消えることのない製品情報が、製品表面に見え易く表示された樹脂製医療用器具および樹脂製医療用器具の情報表示方法を提供することである。
本発明は、樹脂の成形体からなる器具本体と、該器具本体の表面に浸透された、浸透性インクからなる製品情報表示部と、を備えることを特徴とする樹脂製医療用器具である。
また本発明の樹脂製医療用器具は、前記成形体を構成する樹脂が、ポリアセタール、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニルサルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドからなる群から選択された1つであることを特徴とする。
また本発明の樹脂製医療用器具は、前記浸透性インクが、染料と有機溶剤とを含み、前記染料が、油溶性染料であることを特徴とする。
さらに、本発明の樹脂製医療用器具の情報表示方法は、樹脂の成形体からなる器具本体の表面に、浸透性インクを塗布する印刷工程と、前記器具本体を加熱して前記浸透性インクを前記表面に浸透させ、製品情報表示部を形成する定着工程と、前記器具本体に高温と高圧とをかけて殺菌洗浄する殺菌工程と、を備えることを特徴とする。
なお、本発明における「浸透性」とは、器具に使用されている樹脂に対して、加熱処理により浸透・含浸する特性を表し、樹脂に対して相溶性または含浸性(膨潤性)が高いことを言う。また、浸透性は、着色剤(顔料,染料)の性質に由来するものは勿論、本発明は、インクに含まれる有機溶剤や助剤等に由来するものも包含する。
本発明によれば、前記浸透性インクが、器具の樹脂製表面(表層)に浸透するため、アルコール拭きや高温・高圧による殺菌洗浄処理を行っても消えることのない製品情報表示部が、器具本体(樹脂成形体)の樹脂表面の一部の領域に形成される。したがって、本発明の樹脂製医療用器具は、製品情報を彫刻や刻印等により表示した従来品に比べ、これら製品に関連する情報を、見栄え良く、はっきりと表示することができる。しかも、この樹脂製医療用器具は、前記製品情報表示部の存在により、製品の取り違え等の間違いを防止できるとともに、ユーザー独自の新たな書き込み等を行う必要がないため、樹脂製医療用器具の利便性を向上させることができる。
さらに、本発明の樹脂製医療用器具は、前記のようにアルコール拭きや高温・高圧による殺菌洗浄処理を行っても、その情報表示が消えることがないため、この樹脂製医療用器具を殺菌洗浄等して行う再利用(再生)を、複数回にわたり行うことができる。したがって、この樹脂製医療用器具は、寿命の長い(再生回数の多い)器具とすることができる。
なお、前記成形体を構成する樹脂が、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリフェニレンスルファイド、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニルサルフォン、ポリエーテルイミドからなる群から選択された1つである場合、本発明を、人体に対して無害で実績もある種々の樹脂を用いた医療用器具に適用して、各製品に、誰が見ても見易く、かつ、高温・高圧による殺菌洗浄等を行っても消えない、製品情報表示部を形成することができる。
また、前記製品情報表示部を形成する前記浸透性インクの染料には、前記各樹脂との相溶性や人体に対する安全性(無害性)等を考慮して、油溶性染料(有機溶剤可溶性染料)を、好適に採用することができる。この構成によれば、前記製品名、型番等の詳細な製品情報を、器具の縁部ではなく、製品正面位置のより見え易い位置に、より見え易い文字色,大きさ等で、表示することが可能になる。したがって、本発明によれば、前記器具の製品情報表示部を、誰もが認識し易く、見落としや取り違え等の間違いの、より発生し難いものとすることができる。
さらに、本発明の樹脂製医療用器具の情報表示方法によれば、この方法が、器具本体を加熱して浸透性インクを器具表面に浸透させる定着工程と、器具に高温と高圧とをかけて殺菌洗浄する殺菌工程とを含むため、これら定着工程と殺菌工程とを、並行して(兼用して)行うか、あるいは連続して行うことにより、省エネルギーで効率良く、前記製品情報表示部を定着(固定化)することができる。なお、前記殺菌工程は、前記製品情報表示部の定着を、より促進する効果も奏する。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる樹脂製医療用器具の一例である、ボールトライアル1を示す外観斜視図である。
図1は、本発明の実施形態にかかる樹脂製医療用器具の一例である、ボールトライアル1を示す外観斜視図である。
本実施形態にかかる樹脂製医療用器具は、図1に示すボールトライアル1に代表されるような、種々の樹脂を用いて様々な形状に成形された樹脂成形体であり、その成形体の表面には、浸透性インクを用いて、当該製品に関連する製品情報を表示する製品情報表示部Mが、図1のように、器具の樹脂製表面(表層)に浸透した状態で、形成されている。
前記製品情報表示部Mは、医療用器具として最低限必要とされる、アルコール拭きや、高温・高圧による殺菌洗浄処理(いわゆるオートクレーブ処理)等を行っても消えることのないよう形成されており、この器具に関連する情報(製品情報等)を、見栄え良く、はっきりと表示することができる。これが本発明の最大の特徴である。
以下、本実施形態にかかる樹脂製医療用器具を、ボールトライアル1を例として具体的に説明する。なお、ボールトライアル1の使用方法や使用形態は、前記従来例と同様であるので、その説明は省略する。
前記ボールトライアル1は、先にも述べたように、ボール状に形成された樹脂成形体であり、患者の体型や骨の大きさ等に合わせて、一度の手術で、サイズやオフセット量の異なるもの(近似のもの)が数種類用意される。
ボールトライアル1を構成する樹脂としては、POM(ポリアセタール、polyacetal、polyoxymethylene)、PEI(ポリエーテルイミド、polyetherimide)、PPS(ポリフェニレンスルファイド、polyphenylenesulfide)、PPSU(ポリフェニルサルフォン、polyphenylenesulphone)、PES(ポリエーテルスルフォン、polyethersulfone)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン、polyetheretherketone)、PA〔ポリアミド、なかでも特にMCナイロン(登録商標)〕などの合成樹脂があげられる。
また、前記ボールトライアル1の表面(表層)の製品情報表示部Mは、たとえばボールトライアルのサイズ,オフセット量等を表す「型番」として表示(マーキング)されている。なお、他の樹脂製医療用器具の場合、表示(マーキング)は、シンプルに、樹脂製医療用器具の使用(施術)時の方向性のみを表す、矢印,マーク,印等のみとしてもよい。
この製品情報表示部Mは、該ボールトライアル1に使用されている樹脂(この例ではPOM)に対応する浸透性インクのなかで、前記樹脂(POM)に対して浸透性(相溶性または含浸性ともいう)の高いものを用いて、インクジェット等の印刷(転写)手法により塗布して形成される。
そして、前記浸透性インクが塗布されたボールトライアル1は、オーブン,オートクレーブ等を用いた加熱過程を経て、前記塗布された(この状態ではまだ、インクの一部が表面に付着して浮いている状態である)浸透性インクが、ボールトライアル1の表面(表層)以下に完全に浸透し、アルコール拭き等によっても脱落しない、高い耐性を獲得する。
なお、本実施形態において使用する浸透性インクとしては、前記各樹脂に相溶性が高い、染料系の浸透性インクを、好適に採用する。この染料系の浸透性インクの例としては、油溶性染料があげられ、なかでも、酸性染料,含金酸性染料,分散染料,カチオン染料等が好適に使用される。なお、樹脂種によっては、顔料系の浸透性インクを用いることもできる。また、着色剤(染料,顔料)の色としては、ボールトライアル1との色差(コントラスト)が大きい、黒色またはそれに近い濃色が選択される。
上記構成の樹脂製医療用器具のうち、POM製ボールトライアル1の例では、加熱(乾燥)オーブン内で加熱した場合、約110℃〜134℃の温度下で20分〜60分加熱することにより、アルコール(エタノール)で拭き取りを行っても消えない、製品情報表示部Mを得ることができた。なお、前記条件で定着させた製品情報表示部Mは、前記オーブン加熱による浸透性インクの定着後、医療用器具の分野で常用される殺菌洗浄〔アルカリ洗浄と、オートクレーブ中で加熱飽和水蒸気を用いて行われる殺菌(134℃×20分,100%RH,0.2MPa)と、その後のアルコール拭き〕を10回(10セット)繰返しても、読み取ることができた。
また、PEI製ボールトライアル1の例では、加熱(乾燥)オーブン内で加熱した場合、約90℃〜134℃の温度下で20分〜60分加熱することにより、アルコール(エタノール)で拭き取りを行っても消えない、製品情報表示部Mを得ることができた。なお、前記条件で定着させた製品情報表示部Mは、前記オーブン加熱による浸透性インクの定着後、前記常用の殺菌洗浄〔アルカリ洗浄処理,加熱飽和水蒸気殺菌処理とアルコール拭き〕を10回繰返しても、読み取ることができた。
さらに、PPSU製ボールトライアル1の例では、加熱(乾燥)オーブン内で加熱した場合、約90℃〜134℃の温度下で20分〜60分加熱することにより、アルコール(エタノール)で拭き取りを行っても消えない、製品情報表示部Mを得ることができた。なお、前記条件で定着させた製品情報表示部Mは、前記オーブン加熱による浸透性インクの定着後、前記常用の殺菌洗浄を10回繰返しても、読み取ることができた。
以上のように、本実施形態における樹脂製医療用器具の情報表示方法によれば、この方法が、器具本体を加熱して浸透性インクを器具表面に浸透させる定着工程を有するため、前記アルコール拭きや高温・高圧による殺菌洗浄処理を行っても、その情報表示が消えることがない。そのため、前記樹脂製医療用器具(ボールトライアル)を殺菌洗浄等して行う再利用を、複数回にわたり行うことが可能になる。したがって、本実施形態のボールトライアルは、寿命の長い(再生回数の多い)器具とすることができる。
なお、前記定着工程と前記殺菌工程とを、並行して(兼用して)行うか、あるいは連続して行えば、前記製品情報表示部Mを、省エネルギーで、さらに効率良く形成することができ、好適である。
また、前記方法により形成された製品情報表示部Mを有するボールトライアル1は、彫刻や刻印等により表示を施した従来品に比べ、これらの製品に関連する情報を、見栄え良く、はっきりと表示することができる。しかも、このボールトライアル1は、前記マーキングされた「型番」等の製品情報表示部Mがあるため、術中の製品の取り違え等の間違いを防止することができる。
さらに、前記製品情報表示部Mを形成する浸透性インクとして、人体に対する安全性(無害性)が証明されているものを用いれば、型番だけでなく、メーカー名や製品名等の詳細な製品情報を、器具の縁部ではなく、器具正面位置のより見え易い位置に、より見え易い文字色,大きさ等で、表示することが可能になる。
以下に、前記実施形態に記載のボールトライアルを用いて、前記方法により形成された製品情報表示部の、医療用器具の分野で用いられる殺菌洗浄操作に対する耐性を検証した実験の結果について述べる。
(実験サンプル)
実験用のボールトライアルとして、POM製,PEI製,PPSU製の同じサイズのボールトライアル(淡色無地)を用意した。なお、POM製として、樹脂への練り込み着色剤に顔料を用いた淡色系のPOM製ボールトライアルと、樹脂への練り込み着色剤に染料を用いた濃色系のPOM製ボールトライアルと、を用意した。
実験用のボールトライアルとして、POM製,PEI製,PPSU製の同じサイズのボールトライアル(淡色無地)を用意した。なお、POM製として、樹脂への練り込み着色剤に顔料を用いた淡色系のPOM製ボールトライアルと、樹脂への練り込み着色剤に染料を用いた濃色系のPOM製ボールトライアルと、を用意した。
また、試験用浸透性インクとして、油溶性染料のうち、染料系インク(紀州技研工業社製CN104H黒:主溶剤MEK レトルトパウチ用)を用意し、比較参考用のインクとして顔料系インク(紀州技研工業社製CP109黒:主溶剤MEK レトルトパウチ用)を用意した。
そして、各ボールトライアルに、インクジェットプリンタ(紀州技研工業社製CC3000)を用いて、型番に相当する数字や文字(アルファベット)を、前記インクを用いて、製品情報表示部(マーキング)として印刷した。なお、1試料あたりの塗布量(インク吐出量)は、1ml以下である。ちなみに、印刷−風乾直後のマーキングに対し、アルコールを含ませた脱脂綿を用いた拭き取りを実施すると、全サンプルのマーキングが消えてしまった。
<定着直後のマーキングの初期耐性>
ついで、加熱オーブン(乾燥状態)とオートクレーブ(湿潤状態)とを用いて、下記の「表1」〜「表4」に示す各条件で、先に作製したマーキングの定着化(定着処理)を行った。そして、放冷した後、アルコールを含ませた脱脂綿を用いて前記マーキングの数字や文字等を拭き取り、初期(イニシャル)の耐性を確認した。
ついで、加熱オーブン(乾燥状態)とオートクレーブ(湿潤状態)とを用いて、下記の「表1」〜「表4」に示す各条件で、先に作製したマーキングの定着化(定着処理)を行った。そして、放冷した後、アルコールを含ませた脱脂綿を用いて前記マーキングの数字や文字等を拭き取り、初期(イニシャル)の耐性を確認した。
実験結果を後記の「表1」〜「表4」にまとめて示す。なお、表中において、「○」は数字や文字等がはっきり見える状態で残っているものを示し、「△」は数字や文字等が薄くなって見えにくいもの、「×」は数字や文字等が読み取れないか消えてしまったもの、を指す。
<マーキングの繰り返し洗浄耐性>
つぎに、前記の初期耐性試験(アルコールを含ませた脱脂綿による拭き取り試験)をクリアしたサンプルに対して、
1.前記と同様のアルコールを含ませた脱脂綿による拭き取り
2.アルカリ自動洗浄(60℃×10分,pH10.0)
3.オートクレーブ殺菌(134℃×20分,100%RH,0.2MPa)
の3操作を1セット(1セット/日)とする、ボールトライアルの殺菌洗浄試験を、10日間(10セット)連続して行い、1日(1セット)ごとに、前記初期耐性と同じ評価基準で、マーキングの繰り返し洗浄に対する耐性を評価した。
つぎに、前記の初期耐性試験(アルコールを含ませた脱脂綿による拭き取り試験)をクリアしたサンプルに対して、
1.前記と同様のアルコールを含ませた脱脂綿による拭き取り
2.アルカリ自動洗浄(60℃×10分,pH10.0)
3.オートクレーブ殺菌(134℃×20分,100%RH,0.2MPa)
の3操作を1セット(1セット/日)とする、ボールトライアルの殺菌洗浄試験を、10日間(10セット)連続して行い、1日(1セット)ごとに、前記初期耐性と同じ評価基準で、マーキングの繰り返し洗浄に対する耐性を評価した。
なお、実験に用いた、アルカリ自動洗浄機はムラマツ社製M−036IJ、オートクレーブ殺菌機はGETINGE JAPAN社製HS66TURBOである。実験結果を「表1」〜「表4」に示す。
上記表1に記載の、比較例1〔染料系インク−淡色POM製ボールトライアルにおける90℃×60分の加熱〕および比較例2〔染料系インク−濃色POM製ボールトライアルにおける90℃×60分の加熱〕の結果から、これらの加熱条件では、インクの定着が不十分であったものと推定される。なお、顔料系インクを使用した「参考例1」では、インクは定着しなかった。前記表1および表2に記載の実施例1〜4の結果から、POM製ボールトライアルにおいては、乾燥オーブン中110℃×60分以上の乾熱定着条件で、インク(製品情報表示)が十分な耐久性を備えることが分かった。
表2の実施例5〜7の結果から、PEI製ボールトライアルにおいては、乾燥オーブン中90℃×60分以上の定着条件で、インク(製品情報表示)が十分な耐久性を備えることが分かった。また、表3の実施例8においても、PPSU製ボールトライアルは、乾燥オーブン中134℃×60分以上の定着条件で、インク(製品情報表示)が十分な耐久性を獲得することが分かった。
また、前記表3および表4に記載の実施例9〜16の結果から、POM製,PEI製,PPSU製の各ボールトライアルは、オートクレーブ中121℃×20分以上の湿熱定着条件で、インク(製品情報表示)が十分な耐久性を備えることが分かった。
以上のように、本発明の樹脂製医療用器具は、アルコール拭きや高温・高圧による殺菌洗浄を行っても、その情報表示が消えることがないため、この樹脂製医療用器具を殺菌洗浄等して行う再利用(再生)を、複数回にわたり行うことができる。したがって、この樹脂製医療用器具は、寿命の長い(再生回数の多い)器具とすることができる。
1 ボールトライアル
M 製品情報表示部
100 人工股関節
101 骨頭ボール
102 ステム
103 大腿骨
M 製品情報表示部
100 人工股関節
101 骨頭ボール
102 ステム
103 大腿骨
Claims (4)
- 樹脂の成形体からなる器具本体と、該器具本体の表面に浸透された、浸透性インクからなる製品情報表示部と、を備えることを特徴とする樹脂製医療用器具。
- 前記成形体を構成する樹脂が、ポリアセタール、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニルサルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドからなる群から選択された1つであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂製医療用器具。
- 前記浸透性インクが、染料と有機溶剤とを含み、前記染料が、油溶性染料であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂製医療用器具。
- 樹脂の成形体からなる器具本体の表面に、浸透性インクを塗布する印刷工程と、
前記器具本体を加熱して前記浸透性インクを前記表面に浸透させ、製品情報表示部を形成する定着工程と、
前記器具本体に高温と高圧とをかけて殺菌洗浄する殺菌工程と、
を備えることを特徴とする樹脂製医療用器具の情報表示方法。
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JP2016036309A JP2017148437A (ja) | 2016-02-26 | 2016-02-26 | 樹脂製医療用器具および樹脂製医療用器具の情報表示方法 |
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