JP2017144192A - 内部構造推定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電極を用いて測定対象から実測される電位や電位差に関するデータが限られた少ない個数であっても電気インピーダンストモグラフィ法によって高い解像度で内部構造の再構成画像を得ることが可能な方法等を提供する。【解決手段】電気インピーダンストモグラフィ法を用いて測定対象200の内部構造を推定する方法であり、外層202に相当する第一の微小領域と内層204に相当する第二の微小領域との境界位置の少なくとも一部を微小変位させる変位工程を繰り返して境界位置を移動させる。このとき、測定対象200から実測された電位実測値と微小変位後モデルの電位演算結果との差異が、当該電位実測値と微小変位前モデルの電位演算結果との差異よりも減少するように境界位置を微小変位させる。【選択図】図1

Description

本発明は、たとえば動物の腹部や体肢等の内部構造を推定する方法や装置、およびかかる装置に用いられるコンピュータプログラムに関する。
種々の測定対象の内部構造を非破壊で推定することが試みられている。測定対象としては、ヒトや家畜、ペットなどの動物のほか、工業製品などの非生物も挙げることができる。健康維持や生活習慣病の早期発見などの観点から、特に近年はヒト(人体)の体脂肪の量を推定することが各種の方法を用いて行われている。体脂肪の量を推定する方法としては、X線CTで腹部横断画像を撮影することが広く行われているが撮影時に被曝の影響を受けるため健常者が定期的に健康診断に用いるには問題が指摘されている。
放射線被曝の影響を受けずに体脂肪の量を推定する方法として、電気インピーダンストモグラフィ法が提案されている。たとえば特許文献1には、測定対象である被験者の腹部の周囲に環状に電流電極および電圧電極をそれぞれ複数個配置し、選択された2個の電流電極同士の間に電流を印加した状態で電圧電極によってインピーダンスを測定して導電率分布の画像を再構成することが記載されている。導電率分布の画像を取得することで、体脂肪など導電率の低い部位と、筋肉など導電率の高い部分とを互いに識別することが可能になり、もって体脂肪の量を推定することができる。特許文献1の方法によれば、ヒトの腹部などの測定対象の一周に亘る電位差を万遍なく測定できるため精度の高いインピーダンス分布を推定することが可能である。
導電率分布の画像を算出するにあたっては、測定対象を多数の微小領域に仮想分割した解析モデルを用意し、この解析モデルにおいて電圧電極に対応する位置(電極相当位置)での電位差の演算結果が、測定された電位差の実測値と近い値となるように、非線形逆問題を解く必要がある。かかる逆問題を解く方法として、有限要素法モデルを用いてニュートン法などの解法により微小領域ごとの導電率を収束演算することが知られている。
特開2012−50777号公報
しかしながら、再構成される導電率分布の画像の解像度を高めるという観点で従来の方法には尚改良の余地があった。すなわち、体脂肪の量を精度よく推定するためには解析モデルのメッシュ構造を細かくして節点数を多くすることが考えられるが、単にメッシュ構造を細かくしても解像度の高い再構成画像が得られるとはかぎらない。被験者の腹部に装着する電流電極や電圧電極の数を増大させてインピーダンスの測定値の数を増やすことは測定時間が過大となって被験者の負担が大きくなる。一方で、インピーダンスの実測値のデータが限られた数であることにより、解析モデルのメッシュ構造を細かくして節点数を増やすと導電率の未知数が増大するため演算処理が不安定になったり精度のよい再構成結果が得られなかったりするなどの問題がある。また、節点数を増やすことは演算負荷の増大を招来し、演算時間が長大化するため実用性を損なうという課題がある。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、電極を用いて測定対象から実測される電位や電位差に関するデータが限られた少ない個数であっても電気インピーダンストモグラフィ法によって高い解像度で内部構造の再構成画像を得ることが可能な方法や装置等に関する。
本発明は、外層と、前記外層よりも内側に存在する内層と、を含む測定対象の内部構造を電気インピーダンストモグラフィ法を用いて推定する内部構造推定方法に関するものであり、前記測定対象を複数の微小領域に仮想分割したメッシュ構造で構成される解析モデルの前記微小領域に対して、前記内部構造の導電性を表す導電特性データを設定する初期設定ステップと、前記外層に相当する第一の前記微小領域と、第一の前記微小領域に隣接するとともに前記内層に相当する第二の前記微小領域と、の境界位置の少なくとも一部を微小変位させる変位工程を繰り返して前記境界位置を移動させる収束演算ステップと、を含むものである。
そして前記収束演算ステップにて、(1)前記測定対象の外周上に配置された複数の電極から選択された電極対の間に電流を印加した状態で実測された、他の前記電極における電位または他の前記電極同士の間の電位差に関する電位実測値と、(2)前記微小変位後の前記解析モデルおよび前記導電特性データを用いて算出される、前記電極対の相当位置に前記電流を印加した場合における前記他の電極の相当位置の電位演算値または前記他の電極の相当位置同士の間の電位差演算値に関する電位演算結果と、の差異が、前記電位実測値と前記微小変位前の前記解析モデルおよび前記導電特性データを用いて算出される前記電位演算結果との差異よりも減少するように前記境界位置を微小変位させる。
これにより、内部構造の導電特性データに基づいて解析モデルのメッシュ構造が変形して外層と内層との境界に微小領域の境界(有限要素法の場合、節点)が移動し、個々の微小領域が外層と内層との境界を跨ぐことが低減される。このため、外層と内層とで導電率や誘電率などの導電特性が大きく異なる場合でも、かかる境界において演算結果が鈍ることなく収束演算をすることが可能な解析モデルを得ることが可能であり、もって高い解像度で内部構造の再構成画像を得ることができる。
また本発明は、外層と、前記外層よりも内側に存在する内層と、を含む測定対象の内部構造を電気インピーダンストモグラフィ法を用いて推定する装置に関するものであり、前記測定対象の外周上に配置される複数の電極と、前記複数の電極から一対の電極を電極対として選択する手段と、前記選択された電極対の間に電流を印加する手段と、前記選択された電極対の間に電流を印加したときの他の前記電極における電位または他の前記電極同士の間の電位差を実測する手段と、実測された前記電位または前記電位差に関する電位実測値を記憶する記憶部と、前記測定対象を複数の微小領域に仮想分割したメッシュ構造で構成される解析モデルの前記微小領域に対して、前記内部構造の導電性を表す導電特性データを設定する初期設定部と、電位演算処理および変位処理を含む演算処理を反復的に繰り返して前記解析モデルを更新する収束演算部と、を備えるものである。
そして、前記収束演算部は、前記電位演算処理において、前記解析モデルおよび前記導電特性データを用いて、前記電極対の相当位置に前記電流を印加した場合における前記他の電極の相当位置の電位演算値または前記他の電極の相当位置同士の間の電位差演算値に関する電位演算結果を算出し、前記変位処理において、前記電位実測値と、前記外層に相当する第一の前記微小領域と、第一の前記微小領域に隣接するとともに前記内層に相当する第二の前記微小領域と、の境界位置の少なくとも一部を微小変位させた後の前記解析モデルおよび前記導電特性データを用いて算出される前記電位演算結果と、の差異が、前記電位実測値と前記微小変位させる前の前記解析モデルおよび前記導電特性データを用いて算出される前記電位演算結果との差異よりも減少するように前記境界位置を微小変位させる。これにより、上記の内部構造推定方法が実現される。
また本発明は、測定対象の外周上に配置された複数の電極から選択された電極対の間に電流を印加した状態で実測された、他の前記電極における電位または他の前記電極同士の間の電位差に関する電位実測値を記憶する記憶部と、演算部と、を有し、外層と、前記外層よりも内側に存在する内層と、を含む前記測定対象の内部構造を電気インピーダンストモグラフィ法を用いて推定する内部構造推定装置に用いられるコンピュータプログラムに関するものであり、前記測定対象を複数の微小領域に仮想分割したメッシュ構造で構成される解析モデルの前記微小領域に対して、前記内部構造の導電性を表す導電特性データを設定する初期設定ステップと、前記外層に相当する第一の前記微小領域と、第一の前記微小領域に隣接するとともに前記内層に相当する第二の前記微小領域と、の境界位置の少なくとも一部を微小変位させる変位工程を繰り返して前記境界位置を移動させる収束演算ステップと、を前記演算部に実行させるものである。
そしてかかるコンピュータプログラムは、前記収束演算ステップにて、前記電位実測値と、前記微小変位後の前記解析モデルおよび前記導電特性データを用いて算出される、前記電極対の相当位置に前記電流を印加した場合における前記他の電極の相当位置の電位演算値または前記他の電極の相当位置同士の間の電位差演算値に関する電位演算結果と、の差異が、前記電位実測値と前記微小変位前の前記解析モデルおよび前記導電特性データを用いて算出される前記電位演算結果との差異よりも減少するように前記境界位置を微小変位させるよう前記演算部に実行させる。これにより、内部構造推定装置において上記の内部構造推定方法が実現される。
本発明によれば、解析モデルのメッシュ構造を構成する微小領域の数や、電極を用いて測定対象から実測される電位や電位差に関するデータの個数が限られた数量であっても、電気インピーダンストモグラフィ法によって高い解像度で内部構造の再構成画像を得ることができる。
本発明の実施形態の内部構造推定装置を示す機能ブロック図である。 内部構造推定方法を示すフローチャートである。 解析モデルを示す斜視図である。 解析モデルの一部を拡大した平面図である。 (a)測定対象の外周上に環状に配置された電流電極を示す説明図である。(b)測定対象の外周上に環状に配置された電圧電極を示す説明図である。 形状パラメータを示す説明図である。 (a)解析モデルを構成する三角柱要素の斜視図である。(b)三角柱要素の側面図である。 三角柱要素の境界面を微小変位させる様子を示す説明図である。 微小領域の体積を変化させる様子を示す説明図である。 (a)導電率分布を仮定した目標画像である。(b)本方法により生成された再構成画像である。(c)従来法により生成された再構成画像である。 (a)被験者から撮影した腹部のMRI画像である。(b)本方法により生成された体脂肪画像である。(c)従来法により生成された体脂肪画像である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、各図面において同様の構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
<第一実施形態>
図1は、本発明の実施形態の内部構造推定装置100を示す機能ブロック図である。図5(a)は測定対象200の外周上に環状に配置された電流電極11を示す説明図であり、図5(b)は測定対象200の外周上に環状に配置された電圧電極12を示す説明図である。はじめに、本実施形態の概要について説明する。
本実施形態の内部構造推定装置100は、電気インピーダンストモグラフィ法を用いて測定対象200の内部構造を推定する装置である。測定対象200は、外層202と、この外層202よりも内側に存在する内層204とを含んで構成されている。本実施形態では、測定対象200としてヒトの腹部を例示するが、後述するようにこれに限られない。外層202として皮下脂肪、内層204として皮下脂肪の内部の体腔領域を例示する。外層202は、表皮および皮下脂肪で構成される。表皮は皮下脂肪よりも一般に十分に薄いため、以下の説明においては表皮を省略する。体腔領域には、内臓脂肪、筋肉(骨格筋および内臓筋)ならびに脊椎206が含まれる。
内部構造推定装置100は、生体インピーダンス測定部10、記憶部30、初期設定部40および収束演算部60を備えている。
生体インピーダンス測定部10は、測定対象200の外周上にそれぞれ配置される各複数の電流電極11および電圧電極12(図5参照)、ならびに信号源15を備えている。生体インピーダンス測定部10は、複数の電極から一対の電極を電極対(電流電極11)として選択する。信号源15には正弦波発信器および定電流回路(図示せず)が接続されており、選択された電極対の間に正弦波電流を印加する。生体インピーダンス測定部10は測定対象200に発生する電位を電位実測値として取得する手段であり、上記選択された電極対の間に電流を印加したときの他の電極(電圧電極12)における電位または他の電極(電圧電極12)同士の間の電位差を実測する。
記憶部30は、上記にて実測された電位または電位差に関するデータである電位実測値を一次的または長期的に記憶しておく手段であり、ハードディスクまたはRAM(Random Access Memory)により構成されている。電位実測値は、電位、電位差もしくはインピーダンスの測定値、またはこれらの測定値と可換に換算可能な数値である。
初期設定部40は、測定対象200を複数の微小領域Ωに仮想分割したメッシュ構造で構成される解析モデル110(図3参照)の微小領域Ωに対して、測定対象200の内部構造の導電性を表す導電特性データを設定する。本実施形態の初期設定部40は、解析モデル生成部42と初期値付与部44とで構成されている。解析モデル生成部42は、輪郭情報取得部20で取得した輪郭情報に基づいて解析モデル110(図3および図4参照)を生成する手段である。初期値付与部44は、解析モデル110を構成する多数の微小領域Ωに対して導電特性データの初期値を付与する。導電特性データは、代表的には導電率を用いることができるがこれに限られず、インピーダンスなど導電率に換算可能な数値でもよい。以下の説明では、導電特性データとして導電率σを例示する。
収束演算部60は、下記の電位演算処理および変位処理を含む演算処理を反復的に繰り返して解析モデル110を更新する演算手段である。
収束演算部60は、変位演算部61、導電率分布算出部62、電位分布算出部64および残差演算部66を備えている。
電位演算処理において、収束演算部60の電位分布算出部64は、解析モデル110および導電特性データ(導電率)を用いて、電極対(電流電極11)の相当位置(電流電極相当位置111:図3参照)に電流を印加した場合について微小領域(または節点)ごとの電位分布を演算する(以下、「順問題を解く」という場合がある)。これにより、電圧電極12の相当位置(電圧電極相当位置112:図3参照)の電位演算値または電圧電極相当位置112同士の間の電位差演算値に関する電位演算結果が算出される。すなわち、電位分布算出部64は順問題の演算部である。
一方、変位処理において、収束演算部60の変位演算部61は解析モデル110を微小変位させる。具体的には、変位演算部61は、測定対象200の外層202に相当する第一の微小領域Ωk(図9参照)と、この第一の微小領域Ωkに隣接するとともに内層204に相当する第二の微小領域Ωlとの境界位置の少なくとも一部(境界面Γkl)を微小変位させて解析モデル110を更新する。このとき変位演算部61は、微小変位後の解析モデル110を用いて電位分布算出部64が順問題を解いて算出する電位演算結果と電位実測値(真の値)との差異を表す残差が、微小変位前の解析モデル110を用いて同様に算出される残差よりも減少するように、境界位置(境界面Γkl)を微小変位させる。残差として用いる数値は特に限定されず、電位演算結果と電位実測値との差分絶対値の総和を用いることができる。また、たとえば、複数の電圧電極相当位置112における電位演算結果と、対応する電極における電位実測値との差分の二乗和を用いることもできる。
変位演算部61および電位分布算出部64は、上記の微小変位および電位演算結果の算出を反復的に繰り返す。残差演算部66は、残差が予め定められた所定の閾値以下になったことを判定して収束演算部60の演算を終了させる。これにより、測定対象200(被験者)から実測した電位実測値に基づいて解析モデル110のメッシュ形状が修正され、測定対象200の内部構造が高い精度で画像再構成される。
本実施形態の収束演算部60は導電率分布算出部62を備えている。導電率分布算出部62の機能については後記にて詳述するが、本実施形態の内部構造推定装置100は、解析モデル110の微小変位の前後で電位実測値と電位演算結果との差異が減少するように、微小領域Ωごとの導電特性データ(導電率σ)を更新する(以下、「逆問題を解く」という場合がある)。電位分布算出部64は、測定対象200から実測されて記憶部30に記憶されている電位実測値と、電位分布算出部64が算出する電位演算結果における電圧電極相当位置112での電位差演算値と、の差異が低減するように各微小領域Ωの導電率σを再構成する。すなわち、導電率分布算出部62は逆問題の演算部である。
本実施形態では、ニュートン法やその変形法であるニュートン・ラプソン法などの解法を用いて導電率分布算出部62にて逆問題を解くことを例示して説明する。このため、以下に説明する解析モデル110は有限要素モデルであり、各微小領域Ωに対して導電率σが設定されている。ただしこれに代えて、境界要素法を用いてもよく、その場合は境界線要素の節点に導電率σが設定される。以下の説明において、微小領域Ωに導電率σを設定するとは、微小領域Ωの要素に対して導電率σを設定する場合のほか、微小領域Ωを構成する節点に導電率σを設定する場合を含む。また、一つの微小領域Ωに対して一つの導電率σを設定してもよく、または一つの微小領域Ωの内部で位置に応じて導電率σが相違するように導電率σを設定してもよい。
ただし、本発明において導電率分布算出部62は必須ではない。すなわち内部構造推定装置100は、電位分布算出部64にて順問題を解いた結果に基づいて解析モデル110を変位させる機能を有しており、導電率分布算出部62にて逆問題を解いて導電率σを再構成する機能の有無に関しては任意である。
次に、本実施形態についてより詳細に説明する。
内部構造推定装置100は、コンピュータプログラムを読み取って対応する処理動作を実行できるように、CPU(Central Processing Unit)、ROM、RAM、I/F(Interface)ユニット、等の汎用デバイスで構築されたハードウェア、所定の処理動作を実行するように構築された専用の論理回路、これらの組み合わせ、等として実施することができる。内部構造推定装置100の各種の構成要素は、その機能を実現するように形成されていればよく、たとえば、所定の機能を発揮する専用のハードウェア、所定の機能がコンピュータプログラムにより付与されたデータ処理装置、コンピュータプログラムによりデータ処理装置に実現された所定の機能、これらの任意の組み合わせ、等として実現することができる。記憶部30がデータを記憶するとは、記憶部30がデータを記憶する機能を有することを意味しており、当該データが常に格納されていることを必ずしも要しない。
内部構造推定装置100は、上述した生体インピーダンス測定部10、記憶部30、初期設定部40および収束演算部60に加えて、輪郭情報取得部20、画像生成部70、評価判定部72および表示出力部80を備えている。
画像生成部70および評価判定部72は内部構造推定装置100のコンピュータにより実現される。表示出力部80は、ディスプレイ装置や印刷装置により実現される。
画像生成部70は、収束演算部60が反復演算して残差が所定以下となった導電特性データに基づいて、導電率分布画像やインピーダンス分布画像などの二次元画像または三次元画像(以下、体脂肪画像という場合がある)を生成する。外層202における体脂肪など、隣接する内層204(体腔領域)と導電率が大きく相違する組織の分布や量を、体脂肪画像により目視的に確認することができる。
評価判定部72は、収束演算部60が算出した導電特性データまたは画像生成部70が生成した画像に基づいて、測定対象200の内部構造である体脂肪量などの情報を算出したり、各種の評価を行ったりする。評価の一例としては、測定対象200(被験者)の身長、体重、年齢、性別などの属性データに基づいて、メタボリックシンドロームのリスク度合いを多段階に分類して評価することが挙げられる。
表示出力部80は、画像生成部70が生成した体脂肪画像や評価判定部72が算出した評価結果を表示して出力する。表示出力部80では、測定対象200(被験者)から過去に実測された電位実測値から画像再構成した体脂肪画像と、現時点における体脂肪画像とを並列的にまたは重畳させて表示してもよい。これにより、被験者の体脂肪の経時的な増減を目視的に容易に判断することができる。
図2は、本実施形態の内部構造推定装置100を用いて実現される内部構造推定方法(以下、本方法という場合がある)を示すフローチャートである。ただし本方法は、本実施形態の内部構造推定装置100とは異なる演算装置を用いても実現することができる。すなわち本実施形態の内部構造推定装置100は上述したように生体インピーダンス測定部10を備え、電流電極11および電圧電極12を用いて測定対象200から電位実測値を実測して記憶部30に記憶させる機能を有する。そして内部構造推定装置100は更に初期設定部40によって解析モデル110に導電特性データを設定し、収束演算部60により電位実測値を用いて解析モデル110を更新する。これに対し、本方法を実現する演算装置とは異なる機器を用いて測定対象200から電位実測値を予め実測して記憶部30に記憶させておき、生体インピーダンス測定部10を備えない演算装置によって本方法を実現してもよい。以下、図1および図2ならびに適宜他の図面を参照して本方法を詳細に説明する。
本方法は、電気インピーダンストモグラフィ法を用いて測定対象200の内部構造を推定する方法である。本方法は、大別して、測定ステップS10、初期設定ステップS20および収束演算ステップS30を含む。
測定ステップS10では、輪郭情報取得部20を用いて、測定対象200の輪郭情報を取得する。この測定ステップS10は、内部構造推定装置100の操作者が後述する電流電極11および電圧電極12を操作して行うとよい。
初期設定ステップS20では、解析モデル110の微小領域に対して、内部構造の導電性を表す導電特性データ(導電率データ)を設定する。
収束演算ステップS30では、外層202に相当する第一の微小領域Ωkと、内層204に相当する第二の微小領域Ωlと、の境界位置の少なくとも一部(境界面Γkl:図7参照)を微小変位させる変位工程を繰り返して境界位置を移動させる。
そして本方法では、収束演算ステップS30にて、測定対象200から実測された電位実測値と微小変位後モデルの電位演算結果との差異が、当該電位実測値と微小変位前モデルの電位演算結果との差異よりも減少するように境界位置(境界面Γkl)を微小変位させる。ここで、微小変位後モデルの電位演算結果とは、微小変位させた後の解析モデル110および導電特性データ(導電率)を用いて順問題を解いて算出される電位演算結果であり、微小変位前モデルの電位演算結果とは、微小変位させる前の解析モデル110および導電特性データ(導電率)を用いて順問題を解いて算出される電位演算結果である。
以下、本方法について更に詳細に説明する。本方法を説明するにあたり、複数の工程を順番に説明するが、その記載の順番は各工程を実行する順番やタイミングを限定するものではない。本方法を実施するときには、その複数の工程の順番は内容的に支障のない範囲で変更することができ、また複数の工程の実行タイミングの一部または全部が互いに重複していてもよい。
本方法では測定対象200を動物とする。外層202は皮下脂肪であり、内層204は皮下脂肪の内部の体腔領域である。本方法では、第一の微小領域Ωkと第二の微小領域Ωlとの境界位置(境界節点114)を、皮下脂肪と体腔領域との境界上に移動させるように境界節点114を微小変位させ、これにより第一の微小領域Ωkの総和に基づいて皮下脂肪の形状または量を推定する。
測定ステップS10では、測定対象200(本実施形態では被験者の腹部)の外周面の輪郭形状を示す輪郭情報を取得する形状測定、および測定対象200から電位実測値を取得する電圧測定を行う。図2のフローチャートでは測定ステップS10と後続の初期設定ステップS20を連続的に図示しているが、測定ステップS10は初期設定ステップS20よりも事前に行っておいてもよい。
測定対象200の輪郭情報は種々の方法により測定することができ、たとえばメジャーで測定した周囲長に基づいて輪郭情報を推定してもよいが、本方法では電流電極11および電圧電極12が備えるエアシリンダ21を用いる方法を例示する。すなわち、電流電極11および電圧電極12は生体インピーダンス測定部10および輪郭情報取得部20(図1参照)の双方を実現する。
図5(a)および図5(b)に示すように、電流電極11および電圧電極12は、伸縮可能なエアシリンダ21の先端部にそれぞれ設けられており、測定対象200の外周面に対してエアシリンダ21の伸縮方向がほぼ直交するように配置される。エアシリンダ21には、リニアポテンショメータおよびスライド抵抗器(図示せず)を含む輪郭情報取得部20が接続されており、エアシリンダ21の伸縮量を数値データとして取得することができる。そして、個々のエアシリンダ21を駆動させて電流電極11および電圧電極12をそれぞれ測定対象200の外周面に当接させることで、輪郭情報取得部20は各エアシリンダ21の伸縮量に基づいて測定対象200の輪郭情報を取得する。測定ステップS10で取得された輪郭情報は、内部構造推定装置100の記憶部30に格納される。
電流電極11および電圧電極12は、測定対象200の外層202の外周上にそれぞれ環状に配置される。本方法では電流電極11および電圧電極12をそれぞれ32個ずつ用いる態様を例示する。電流電極11と電圧電極12は同数とすることが好ましい。電流電極11を電流電極11−01〜11−32、電圧電極12を電圧電極12−01〜12−32と表記する場合がある。
図3は解析モデル110を示す斜視図であり、測定対象200に電流電極11および電圧電極12を配置した状態を摸擬したものである。電流電極相当位置111は、測定対象200に対する電流電極11の配置位置を解析モデル110上で表したものであり、電流電極相当位置111−01〜111−32と表記する場合がある。電圧電極相当位置112は、測定対象200に対する電圧電極12の配置位置を解析モデル110上で表したものであり、電圧電極相当位置112−01〜112−32と表記する場合がある。電流電極相当位置111および電圧電極相当位置112は、本方法の微小変位ステップS32において微小変位させる節点から除外する。
図3に示すように、解析モデル110は測定対象200(被験者の腹部)を概略摸擬するため柱状をなしている。図3では模式的に円形(真円形)断面の円柱状の解析モデル110を図示しているが、実際の解析モデル110では形状パラメータρ(図6参照)を用いることで非円形断面の測定対象200を記述している。
解析モデル110を構成する微小領域Ωの数は特に限定されないが、解析モデル110の周回方向に、電流電極相当位置111や電圧電極相当位置112の数(本方法では32個)以上の節点を配置する。本方法では、解析モデル110の周回方向の節点数(要素数)は電流電極相当位置111および電圧電極相当位置112の数の整数倍であり、具体的には64個(2倍)としている。
図3に示すように、電流電極相当位置111および電圧電極相当位置112は、解析モデル110の軸方向(Z方向)と直交する断面上にそれぞれ配置されている。電流電極相当位置111−01〜111−32および電圧電極相当位置112−01〜112−32は、それぞれX−Y面内の方位角方向に均等に配置されている。電流電極相当位置111と電圧電極相当位置112は解析モデル110の軸方向に並んで配置されており、これは測定対象200(被験者)に対して電流電極11と電圧電極12を体軸方向に並べて配置することを意味している。電流電極11と電圧電極12とは体軸方向に互いに近接させて配置することが好ましい。これは、電流電極11の配置位置と電圧電極12の配置位置とで測定対象200の内部構造、すなわち体脂肪の分布が概略等しいことを前提とするためである。また、電流電極11と電圧電極12とを各環状にして異なる段に配置することで、電流を印加している電流電極11の当該位置における電位や電位差も実測することができる。軸方向に並ぶ電流電極11と電圧電極12との軸方向距離は限定されないが、たとえば電極中心間距離で5mm以上30mm以下に近接させるとよい。
図3では、電流電極相当位置111と電圧電極相当位置112が一の微小領域Ωの上下の節点に対応するように配置されている態様を例示するが、これに限られず、軸心方向に並ぶ異なる微小領域Ωの節点に電流電極相当位置111と電圧電極相当位置112をそれぞれ設定してもよい。
解析モデル110の軸方向の寸法(Z寸法)は測定対象200に応じて設定することができる。被験者(ヒト)の腹部を測定対象200とする場合には、100mm以上1000mm以下、好ましくは500mm程度とすることができる。
電流電極11は印加端子13と電気的に接続されており、隣接する2個の電流電極11(電極対)の印加端子13に対して信号源15が接続されている。本方法では32個の電流電極11を用いるため、隣接する2個の電流電極11の組み合わせは32組となる。本方法で取得する電位実測値は、個々の電圧電極12−01〜12−32における電位、隣接する電圧電極12における電位差、またはかかる電位もしくは電位差に対応するインピーダンスとすることができる。図5(b)では、隣接する電圧電極12同士に差動増幅器14が接続されており、隣接する電圧電極12間の電位差(またはインピーダンス)を測定する態様を例示する。電圧電極12にはそれぞれプリアンプ(図示せず)を接続し、測定される電位データを増幅してもよい。差動増幅器14には、バンドパスフィルタ、位相検出器、アナログ/デジタル変換器(図示せず)が接続されており、生体インピーダンス測定部10が実現されている。生体インピーダンス測定部10は、スイッチ(図示せず)を切り替えることにより、個々の差動増幅器14から出力される電位差またはインピーダンスのデータ(以下、電位差情報)を取得する。生体インピーダンス測定部10は、信号源15から電流が印加される電極対を32組に順次切り替えて、32個の差動増幅器14から出力される電位差情報をその都度取得して記憶部30(図1参照)に格納する。
便宜上、図3では軸心に近づくほど小さな微小領域Ωが設定されているように図示しているが、これに限られない。図4は解析モデル110の一部を拡大した平面図である。平面図とは、解析モデル110を軸心(Z軸)に直交する断面で切断した図である。図4に示すように、本方法で用いる解析モデル110は、測定対象200の内部構造を同心の層状に、環状領域の集合として仮想分割したものである。図4に示すI〜IXの符号は、環状領域に付された中心からの並び順を表す層番号である。層番号I〜VIは内層204に対応し、層番号VII〜IXは外層202に対応している。外層202に対応する外周側の層には比較的小さな微小領域Ωが配置され、内層204に対応する内側の層(特に中心部の近傍)には、外周側の微小領域よりも大きな微小領域Ωが配置されている。外層202の最外周の層番号IXを構成する節点には、電流電極相当位置111−01〜111−32および電圧電極相当位置112−01〜112−32が対応づけられている。周方向に隣接する各電極相当位置の中央には、更に1個ずつ節点が設けられている。これにより、限られた数量の微小領域Ωおよび節点数で被験者の皮下脂肪の分布や量を精度よく推定することができる。
初期設定ステップS20は、初期モデル生成ステップS22、初期条件付与ステップS24および電位分布算出ステップS26を含む。
初期モデル生成ステップS22で解析モデル生成部42(図1参照)は、図3および図4に示す解析モデル110を構成する微小領域Ωの頂点にあたる節点の初期位置を、輪郭情報取得部20が取得して記憶部30に格納された輪郭情報に基づいて決定する。図6は形状パラメータρを示す説明図である。
形状パラメータρは、外層202と内層204との境界に位置する節点、すなわち図4に示す層番号VIとVIIの境界に位置する境界節点114(同図にて黒丸で図示)が、測定対象200の中心C(図6参照)からどれだけ離間しているかという距離を示す情報である。本方法では、境界節点114の数は、層番号IXの外周側と同じく64個としている。したがって、形状パラメータρは境界節点114と同数の要素数(64要素)をもつベクトルデータである。形状パラメータρを決定することで、被験者ごとの内部構造を考慮した解析モデル110が生成されるため、この形状パラメータρを決定することが本方法の目的の一つとなる。形状パラメータρは、外層202と内層204との境界節点114以外の節点に対しても設定することができる。本方法では簡単のため境界節点114に対してのみ形状パラメータρを設定し、また電流電極相当位置111および電圧電極相当位置112を含む最外周の節点は固定し、これらを除く他の節点は境界節点114の変位に従動して移動するように設定するとよい。
初期条件付与ステップS24では、初期値付与部44(図1参照)は、解析モデル110の微小領域Ωに対してそれぞれ導電率σを設定する。本方法では後述するように導電率分布算出ステップS34において逆問題を解いて導電特性データを反復的に更新するため、各微小領域Ωに設定する導電率σは厳密である必要はなく特に限定されないが、層番号I〜IXの各層に含まれる周回状の微小領域Ωに対してそれぞれ等しい導電率σを設定してもよい。このとき、内層204に相当する層番号I〜VIに含まれる総ての微小領域Ωに対して共通の導電率σを設定してもよく、内層204のうち異なる層に含まれる微小領域Ωに対しては異なる導電率σを設定してもよい。ここで、外層202に相当する第一の微小領域Ωkと、内層204に相当する第二の微小領域Ωlとに対して異なる導電率σを初期値として設定してもよい。より具体的には、皮下脂肪の導電率は筋肉の導電率に比べて10倍以上低いことから、皮下脂肪に相当する第一の微小領域Ωkにおける導電率σの初期値を、体腔領域に相当する第二の微小領域Ωlの導電率σの初期値よりも小さく設定するとよい。これにより、収束演算ステップS30における演算の安定性を高めるとともに、演算の収束速度を高めることができる。
なお上記に代えて、当該被験者に関する過去の解析結果が存在して微小領域Ωごとの導電特性データ(導電率σ)を有している場合や、複数人の被験者の平均的な導電特性データが微小領域Ωごとに求まっている場合には、かかる導電特性データを微小領域Ωごとに設定してもよい。
電位分布算出ステップS26では、電位分布算出部64(図1参照)は、初期設定された有限要素モデルである解析モデル110および導電率σを用いて順問題を解いて各節点における電位演算結果を算出する。電位分布算出部64は、少なくとも32個の電圧電極相当位置112−01〜112−32における電位演算結果を算出すればよい。
電位分布算出ステップS26では、残差演算部66(図1参照)は、上記で算出された電位演算結果と、記憶部30に格納されている電位実測値(真の値)との差異を表す残差を算出する。かかる残差(初期残差)は、たとえば、32個の電圧電極相当位置112−01〜112−32における電位演算結果の対数値と、対応する電圧電極12−01〜12−32における電位実測値の対数値との差分の二乗和として算出することができる。
収束演算ステップS30の微小変位ステップS32では、変位演算部61は境界節点114の一部または全部を微小変位させる。境界節点114を微小変位させるとは、収束演算ステップS30の1サイクルあたりの境界節点114の変位量が、当該境界節点114が載る微小領域Ωの最長辺の辺長よりも小さいことをいう。微小変位させる境界節点114の選択、微小変位させる方向および変位量を個別に指定する必要はなく、収束演算ステップS30を反復的に繰り返して残差が減少していくことにより境界節点114は自動的に外層202と内層204との境界上に移動していく。このため、外層202または内層204の少なくとも一方の導電率σとして、測定対象200の真の導電率と概略等しい値を与えることが好ましい。
そこで本実施形態では、初期設定ステップS20および収束演算ステップS30のそれぞれにおいて、外層202に相当する複数の第一の微小領域Ωkの全部に対して共通値の導電特性データ(導電率σ)を設定する。これは、外層202は測定対象200の外周を取り囲む層状に形成されていることからヒトの腹部の皮下脂肪と同形状であることによる。外層202の全体に対して皮下脂肪に相当する導電率σを与えることで、収束演算ステップS30を反復演算して残差が減少するのに伴って、境界節点114は外層202と内層204との境界に自然に並ぶこととなる。そして、外層202に含まれる第一の微小領域Ωkに関しては導電率σは1個の変数となる。これにより、本方法で同定すべきパラメータは、外層202に含まれる層番号VII〜IXの微小領域Ωに関する1個の導電率σと、内層204に含まれる層番号I〜VIの各微小領域Ω(たとえば60個)に関するそれぞれの導電率σと、境界節点114(たとえば64個)の形状パラメータρのみとなり、パラメータの数を極めて少ない数(たとえば合計125個)に抑制することができる。
一方、内層204に関しては筋肉、内臓脂肪、脊椎206などが混在しているため導電率σを一律に設定することは解析精度を低下させる。そこで本方法では、内層204に関しては導電率分布算出部62により逆問題を解いて導電率σを再構成する(導電率分布算出ステップS34)。
本方法では、収束演算ステップS30において、少なくとも一部の微小領域Ωにおける導電特性データ(導電率σ)の値を、微小領域Ωの微小変位の前後で電位実測値(真の値)と電位演算結果との差異が減少するように更新し、かかる収束演算ステップS30を繰り返すことにより測定対象200の外層202または内層204の少なくとも一方(本方法では内層204)における導電率σを推定する。
具体的には、再構成された導電率σおよび微小変位後の解析モデル110を用いて電位分布算出部64により順問題を解いて電位差演算値を算出し(電位分布算出ステップS36)、残差演算部66により残差を算出する(残差算出ステップS38)。更に、残差演算部66は残差判定ステップS40にて残差の大小を判定し、残差が閾値よりも大きい場合(ステップS40:Yes)は収束演算ステップS30を繰り返し、残差が閾値以下となった場合(ステップS40:No)は収束演算ステップS30を終了する。これにより内層204の第二の微小領域Ωlに関して導電率σが収束演算されて高精度に再構成される。
以下、微小変位ステップS32および導電率分布算出ステップS34について更に詳細に説明する。
図3に示した解析モデル110は、互いに同一のトポロジーで微小領域Ωに分割された複数段(たとえば12段)の要素をZ軸方向に積層して構成されている。解析モデル110をXY平面で切断した断面は多数の三角形要素で構成されており、言い換えると各段の要素は多数の三角柱要素115で構成されている。かかる三角柱要素115は、3個の三角錐要素を組み合わせて構成されている。本方法で用いる解析モデル110は、簡単のため三角柱要素115の形状および寸法は各段において共通としている。また、三角柱要素(すなわち3個の三角錐要素)ごとに導電率σは共通としている。すなわち、個々の三角柱要素115が微小領域Ωにあたる。
図7(a)は解析モデル110を構成する三角柱要素115の斜視図である。図7(b)は三角柱要素115の側面図であり、図7(a)における矢印の方向から三角柱要素115を目視した説明図である。図8は、三角柱要素115の境界面Γklを微小変位させる様子を示す説明図である。
例として、図7(a)に示す三角柱要素115における1つの側面(C2−A2−A3−A4面)を微小に変位させる。図7(b)に示すように当該側面は2つの面(C2−A2−A4面およびA3−A2−A4面)に分割される。Γj:1 klおよびΓj:2 klは、それぞれC2−A2−A4面およびA3−A2−A4面を表す。Γj:1 klを境界面とする三角錐要素の導電率σをσkとし、Γj:2 klを境界面とする三角錐要素の導電率σをσlとする。
|Ckl|は、三角柱要素115の節点A2−A3間の線分Cklの長さを表し、hjは三角柱要素115の高さ(解析モデル110のj段目の三角柱要素115の高さ)を表す。λは線分Cklに沿う微小変位量である。
図7(b)に現れる2個の三角錐要素の微小変位後の高さはそれぞれhj 1(λ)=hj(|Ckl|-λ)/|Ckl|およびhj 2(λ)=hj(|Ckl|-λ)/|Ckl|で表される。
図9は微小領域Ωの体積を変化させる様子を示す説明図である。rAからrDは微小領域Ωの表面に配置された電極である。具体的には、rAおよびrBは電流が印加される隣接する任意の電流電極11(電極対)であり、rCおよびrDは隣接する任意の電圧電極12である。
電流IΦが電極rAから微小領域Ωに流入してrBから流出する場合にrCおよびrDに誘起される電位をそれぞれΦ(rC)およびΦ(rD)と表す。電流IΨが電極rCから微小領域Ωに流入してrDから流出する場合にrAおよびrBに誘起される電位をそれぞれΨ(rC)およびΨ(rD)と表す。すると、相反定理により下式(1)が成り立つ。
ここで、RAB:CDは電極対({rA,rB},{rC,rD})の相互抵抗である。電流IΦおよび電流IΨが単位電流であるとすると、相互抵抗の値は電極対に生じる電圧に等しくなる。すると、上式(1)は下式(2)のように書き換えることができる。
ここで、微小領域Ωを構成する複数の部分領域のうち、部分領域Ωmの導電率σmを変化させることを試みる。RAB:CDの変化をΔRAB:CDと表記すると、下式(3)が成り立つ。
電位Φ、δΦ、Ψにそれぞれ対応する電場EΦ=−∇Φ、ΔEΦ=−∇(ΔΦ)、EΨ=−∇Ψを用いると、上式(3)は下式(4)のように表される。
Φは、導電率σmが変化する前の微小領域Ωに単位電流が電極rCから流入してrDから流出する場合の誘導電位である。ΔΦは、導電率σmがΔσmに変化したことによるΦの変化量である。
第一の微小領域Ωkと第二の微小領域Ωlの境界面Γklを微小変位させたときに境界面Γklが掃く体積をΔklとする。ここでいう第一の微小領域Ωkおよび第二の微小領域Ωlとは、上述した外層202と内層204との境界節点114を共有する微小領域Ωに限らず任意の2つの隣接する微小領域Ωを意味する。境界面Γklは、第一の微小領域Ωkから第二の微小領域Ωlに向かう方向を法線方向とする面であり、下式(5)が成り立つ。
微小領域Ωを構成する部分領域の境界の変位は形状パラメータρによって特定することができる。形状パラメータρが変化することは、複数の境界が変位することを意味する。形状パラメータρがδρだけ微小変化すると、境界面Γkl上の点rklにおいて法線方向にDkl(rkl)δρだけ変化するとする。境界面Γkl上の点rklの移動位置は、境界面Γklの単位法線ベクトルn(rkl)を用いて下式(6)のように表される。
このとき、形状パラメータρの微小変化δρによって相互抵抗は下式(7)のように変化する。Ek Φは、形状パラメータρが微小変化する前の状態で、単位電流が電極rAから微小領域Ωに流入してrBから流出する場合に境界面Γklの近傍のΩkに発生する電場である。同様に、El Ψは、形状パラメータρが微小変化する前の状態で、単位電流が電極rCから微小領域Ωに流入してrDから流出する場合に境界面Γklの近傍のΩlに発生する電場である。
上式(7)の導出について補足説明する。
Dklδρ>0として、境界面Γklが第二の微小領域Ωlを横切るように変位すると、境界面Γklが掃く体積Δklの内部において導電率はσlからσkに変化するため、相互抵抗は下式(A1)のように変化する。
高位の無限小を無視し、またdv=δρDkldsであることを用いて、上式(A1)は下式(A2)から(A3)のように書き換えることができる。
有限要素モデルにおいて、上式(7)は下式(8)のように変形して用いることができる。この式(8)に非線形なニュートン法などを適用することで、既知の電位実測値(真の値)と導電率σとの残差を最小化する逆問題を解くことができる。
図8に戻り、C2−A2−A3−A4面を微小変位させた場合の相互抵抗の変化を考える。形状パラメータρの微小変化δρによる相互抵抗の変化を示す偏微分を算出し、解析モデル110(図3参照)を構成する全微小領域Ωのうち当該形状パラメータρが影響する総ての面への影響の総和をとると、相互抵抗の変化は下式(9)にて表すことができる。
上式(9)は下式(10)に書き換えることができる。
上式(10)により、形状パラメータρの変化が導電率σに与える総ての影響を求めることができる。以上により、微小変位ステップS32および導電率分布算出ステップS34において、形状パラメータρを微小変化させた場合の導電特性データへの影響を把握することができる。
このうち本実施形態では、上述のように、皮下脂肪に対応する外層202と、体腔領域に対応する内層204との境界節点114に与える影響を求める。
導電率分布算出ステップS34において逆問題を解く方法について補足説明する。
導電率分布算出ステップS34においては、簡単のため線形性を仮定して、いわゆるニュートン方程式を立式する。下式(11)は感度マトリクスSσρを示す。感度マトリクスSσρは、体腔領域内の導電率の感度マトリクスと、皮下脂肪領域の導電率の感度マトリクスと、形状パラメータの感度マトリクスを、横に連結したものである。SσCは内層204に含まれる要素の感度マトリクスであり、層番号I〜VIの微小領域Ωの数量(たとえば60個)の列数を有する。SσSは外層202(皮下脂肪)の感度マトリクスであり、本方法では1列とする。Sρは形状パラメータの感度マトリクスであり境界節点114の数量(たとえば64個)の列数を有する。ξは導電率σと形状パラメータρとの収束速度を調整するための係数であり、たとえば下式(12)に表すようにSσCとSρとのノルムの比を用いることができるが、これに限られない。
以上より、未知変数である導電率σと形状パラメータρは下式(13)のように表すことができる。Rは、円周方向の各角度での中心から外縁までの半径方向の距離を示す距離ベクトルである。
ニュートン方程式を解く方法を簡単に説明する。感度マトリクスSσρを下式(14)のように特異値分解し、特異値には下式(15)に例示される正則化を施したうえで数値演算して導電率σと形状パラメータρの修正量を算出する。これにより、下式(16)のように導電率σと形状パラメータρが求められる。ここで、diag(τ)はベクトルτを対角成分とする対角行列を示す。
収束演算ステップS30を反復的に繰り返すことで、下式(17)および下式(18)にそれぞれ示すように導電率σおよび形状パラメータρが求められる。導電率σ(+)および形状パラメータρ(+)は、前回ステップよりも電位実測値(真の値)に近い値である。
以上により、本方法によれば、外層202と内層204との境界節点114が皮下脂肪領域と体腔領域との境界上に移動し、かつ内層204の内部の導電率σが高精度に再構成される。
図1および図2に戻り、画像生成ステップS50で画像生成部70は、導電率σまたはこれと換算可能な値を画素強度(輝度値)に変換して、測定対象200の導電率(インピーダンス)分布画像を生成する。
本方法の測定対象200は動物の腹部であり、評価生成ステップS52で評価判定部72は、外層202に含まれる第一の微小領域Ωkの面積または体積から皮下脂肪の量を推定する。また評価判定部72は、内層204における導電率σの推定結果に基づいて内臓脂肪の量を推定する。内臓脂肪の量を推定する方法は特に限定されず、たとえば内臓脂肪と脊椎206と筋肉とは互いに導電率が異なることを利用して、導電特性データの閾値判定により三者を互いに弁別することができる。このほか、インピーダンスなどの導電特性データの空間分布を頻度分布(確率密度分布)に変換したうえで、脊椎206および筋肉に相当する非脂肪組織に対応する第1の確率密度関数と、脂肪組織(内臓脂肪)に対応する第2の確率密度関数との混合分布として、導電特性データ全体にかかる確率密度関数を近似してもよい。これにより、導電特性データの単純な閾値判定よりも高い精度で非脂肪組織と脂肪組織とを弁別することができる。第1の確率密度関数および第2の確率密度関数としては、正規分布関数、スキュー正規分布関数、対数正規分布関数、レイリー分布関数、ライス分布関数などを好適に用いることができる。
更に評価生成ステップS52では、導電率(インピーダンス)分布画像を表示出力部80で表示出力したり、体脂肪量の度合いやメタボリックシンドロームのリスク度合いなどの評価結果を出力したりしてもよい。
以上、内部構造推定装置100を用いて本方法が実現されることを説明した。更に本発明は内部構造推定装置100のためのコンピュータプログラムを提供する。
本発明のコンピュータプログラムは、測定対象200を複数の微小領域Ωに仮想分割したメッシュ構造で構成される解析モデル110の微小領域に対して、内部構造推定装置100の導電性を表す導電特性データ(導電率σ)を設定する初期設定ステップと、外層202に相当する第一の微小領域Ωkと、この第一の微小領域Ωkに隣接するとともに内層204に相当する第二の微小領域Ωlと、の境界位置(境界節点114)の少なくとも一部を微小変位させる収束演算ステップを演算部(収束演算部60)に実行させるものである。
また本発明のコンピュータプログラムは、収束演算ステップにて、電位実測値と、微小変位後の解析モデル110および導電特性データ(導電率σ)を用いて算出される、電流電極相当位置111に電流を印加した場合における電圧電極相当位置112の電位演算値または電圧電極相当位置112同士の間の電位差演算値に関する電位演算結果と、の差異が、上記電位実測値と微小変位前の解析モデル110および導電特性データ(導電率σ)を用いて算出される電位演算結果との差異よりも減少するように、境界位置(境界節点114)を微小変位させるよう演算部に実行させる。
以上、測定対象200が被験者の腹部であり、内臓脂肪と筋肉のように導電率σが顕著に異なる領域が内層204の内部に存在している場合について例示した。しかしながら、本方法を適用する測定対象200は上記に限られない。たとえば配管の内壁面に付着した異物の量を推定する方法や、積層構成された各種の工業製品の内部構造の非破壊検査などに応用することができる。
また、測定対象200が動物である場合についても、腹部の皮下脂肪および内臓脂肪の量を推定する以外の目的に本方法を適用することができる。たとえば、測定対象200が動物の体肢であり、内層204における導電率σの推定結果に基づいて、体肢を構成する筋肉と骨とを弁別して筋肉の量を推定してもよい。腕や太ももなどの体肢は、腹部と違い内臓や内臓脂肪が存在せず、実質的に皮下脂肪と筋肉と骨で構成されている。このため、外層202については上述した本方法と同様に皮下脂肪であると推定して共通の導電率σを与えて演算負荷を軽減し、内層204については微小領域Ωごとに導電率σを算出して筋肉と骨とを識別することで筋肉量を推定することができる。
そして評価判定部72は、被験者の年齢や性別を考慮した閾値判定によって被験者の筋肉量の大小に関する多段階評価を行うとよい。これにより、骨格筋量の進行性の低下を特徴とするサルコペニアなどの症例の進行度合いを定量評価することができる。
本変形例の場合、内層204の内部の微小領域Ωを未知パラメータとせず、ヒトの筋肉の一般的な導電率σを内層204の内部の微小領域Ωに対して共通して設定してもよい。これにより、実質的に皮下脂肪のみで構成される外層202と、筋肉および骨で構成される内層204との境界面(境界節点114)の位置をある程度の精度で推定することができる。このため、メジャー測定により概略測定される体肢の総断面積から外層202(皮下脂肪)の面積を減算することで、内層204を構成する筋肉の概略量を推定することができる。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
以下、本方法により生成した画像の実施例について説明する。図10(a)は導電率分布を仮定した解析モデルの目標画像である。図10(b)は本方法により生成された再構成画像であり、図10(c)は従来法により生成された再構成画像である。従来法は、初期設定された解析モデルの節点を移動させることなく導電率σの最小化問題を解く方法である。
図10(a)に示すように、皮下脂肪に相当する導電率の低い領域Aを解析モデルの外周側に層状に設定し、その内側に骨格筋に相当する導電率の高い領域Bを環状に設定し、さらにその内側に内臓に相当する導電率が中間の領域Cおよび導電率が高い領域Dを配置した。領域Aの断面積は214.5cmとした。
図10(b)に示す本方法による再構成画像は、目標画像の領域AからDをいずれも高精度で再現していることが確認される。特に、目標画像の皮下脂肪に相当する領域Aに対応する領域A1の断面積は215.3cmであり、実に0.4%未満の誤差で皮下脂肪を推定することができた。
一方、図10(c)に示す従来法による再構成画像は、導電率が高い領域Bに対応する領域B2の厚さが均一になっており、導電率の全体的な分布が本方法よりも低い解像度で再現されることとなった。従来法では解析モデルの節点を移動させないため目標画像の皮下脂肪に相当する領域Aに対応する領域A2の形状および断面積は初期設定により定められたまま不変である。たとえば図10(c)の場合、領域A2の断面積は128.6cmであり、約40%もの誤差が発生した。
図11(a)は被験者から撮影した腹部のMRI画像である。同図はMRI画像を白黒反転した画像であり、白色部分が筋肉や脊椎を表し、黒色部分が皮下脂肪や内臓脂肪を表している。図11(b)は本方法により生成された体脂肪画像であり、図11(c)は従来法により生成された体脂肪画像である。
図11(b)に示す本方法による再構成画像は、皮下脂肪に相当する外層202と、その内部に存在して導電率が外層202よりも高い内層204との境界が明瞭に表現されるとともに、図11(c)に示す従来法に比べて内層204の内部の解像度も向上したことが分かる。これは、皮下脂肪に相当する外層202において導電率σを一定としたため未知パラメータの数が減少して収束演算が安定し、内層204の内部の解析精度も向上したためと考えられる。
本発明は、上述した実施形態に関し、以下の方法、装置およびコンピュータプログラムを開示する。
<1>外層と、前記外層よりも内側に存在する内層と、を含む測定対象の内部構造を電気インピーダンストモグラフィ法を用いて推定する方法であって、前記測定対象を複数の微小領域に仮想分割したメッシュ構造で構成される解析モデルの前記微小領域に対して、前記内部構造の導電性を表す導電特性データを設定する初期設定ステップと、前記外層に相当する第一の前記微小領域と、第一の前記微小領域に隣接するとともに前記内層に相当する第二の前記微小領域と、の境界位置の少なくとも一部を微小変位させる変位工程を繰り返して前記境界位置を移動させる収束演算ステップと、を含み、前記収束演算ステップにて、(1)前記測定対象の外周上に配置された複数の電極から選択された電極対の間に電流を印加した状態で実測された、他の前記電極における電位または他の前記電極同士の間の電位差に関する電位実測値と、(2)前記微小変位後の前記解析モデルおよび前記導電特性データを用いて算出される、前記電極対の相当位置に前記電流を印加した場合における前記他の電極の相当位置の電位演算値または前記他の電極の相当位置同士の間の電位差演算値に関する電位演算結果と、の差異が、前記電位実測値と前記微小変位前の前記解析モデルおよび前記導電特性データを用いて算出される前記電位演算結果との差異よりも減少するように前記境界位置を微小変位させることを特徴とする内部構造推定方法。
<2>前記収束演算ステップにおいて、少なくとも一部の前記微小領域における前記導電特性データの値を、前記微小変位の前後で前記電位実測値と前記電位演算結果との差異が減少するように更新し、前記収束演算ステップを繰り返すことにより前記測定対象の前記外層または前記内層の少なくとも一方における導電率を推定する上記<1>に記載の内部構造推定方法。
<3>前記初期設定ステップおよび前記収束演算ステップのそれぞれにおいて、前記外層に相当する複数の第一の前記微小領域の全部に対して共通値の導電特性データを設定する上記<2>に記載の内部構造推定方法。
<4>前記測定対象が動物であり、前記外層が皮下脂肪であり、前記内層が前記皮下脂肪の内部の体腔領域であって、前記境界位置を前記皮下脂肪と前記体腔領域との境界上に移動させるように前記境界位置を微小変位させ、第一の前記微小領域の総和に基づいて前記皮下脂肪の形状または量を推定する上記<2>または<3>に記載の内部構造推定方法。
<5>前記測定対象が前記動物の腹部であり、前記内層における導電率の推定結果に基づいて内臓脂肪の量を推定する上記<4>に記載の内部構造推定方法。
<6>前記測定対象が前記動物の体肢であり、前記内層における導電率の推定結果に基づいて前記体肢を構成する筋肉と骨とを弁別して前記筋肉の量を推定する上記<4>に記載の内部構造推定方法。
<7>外層と、前記外層よりも内側に存在する内層と、を含む測定対象の内部構造を電気インピーダンストモグラフィ法を用いて推定する装置であって、前記測定対象の外周上に配置される複数の電極と、前記複数の電極から一対の電極を電極対として選択する手段と、前記選択された電極対の間に電流を印加する手段と、前記選択された電極対の間に電流を印加したときの他の前記電極における電位または他の前記電極同士の間の電位差を実測する手段と、実測された前記電位または前記電位差に関する電位実測値を記憶する記憶部と、前記測定対象を複数の微小領域に仮想分割したメッシュ構造で構成される解析モデルの前記微小領域に対して、前記内部構造の導電性を表す導電特性データを設定する初期設定部と、電位演算処理および変位処理を含む演算処理を反復的に繰り返して前記解析モデルを更新する収束演算部と、を備え、前記収束演算部が、前記電位演算処理において、前記解析モデルおよび前記導電特性データを用いて、前記電極対の相当位置に前記電流を印加した場合における前記他の電極の相当位置の電位演算値または前記他の電極の相当位置同士の間の電位差演算値に関する電位演算結果を算出し、前記変位処理において、前記電位実測値と、前記外層に相当する第一の前記微小領域と、第一の前記微小領域に隣接するとともに前記内層に相当する第二の前記微小領域と、の境界位置の少なくとも一部を微小変位させた後の前記解析モデルおよび前記導電特性データを用いて算出される前記電位演算結果と、の差異が、前記電位実測値と前記微小変位させる前の前記解析モデルおよび前記導電特性データを用いて算出される前記電位演算結果との差異よりも減少するように前記境界位置を微小変位させる、ことを特徴とする内部構造推定装置。
<8>測定対象の外周上に配置された複数の電極から選択された電極対の間に電流を印加した状態で実測された、他の前記電極における電位または他の前記電極同士の間の電位差に関する電位実測値を記憶する記憶部と、演算部と、を有し、外層と、前記外層よりも内側に存在する内層と、を含む前記測定対象の内部構造を電気インピーダンストモグラフィ法を用いて推定する内部構造推定装置に用いられるコンピュータプログラムであって、前記測定対象を複数の微小領域に仮想分割したメッシュ構造で構成される解析モデルの前記微小領域に対して、前記内部構造の導電性を表す導電特性データを設定する初期設定ステップと、前記外層に相当する第一の前記微小領域と、第一の前記微小領域に隣接するとともに前記内層に相当する第二の前記微小領域と、の境界位置の少なくとも一部を微小変位させる変位工程を繰り返して前記境界位置を移動させる収束演算ステップと、を前記演算部に実行させ、かつ、前記収束演算ステップにて、前記電位実測値と、前記微小変位後の前記解析モデルおよび前記導電特性データを用いて算出される、前記電極対の相当位置に前記電流を印加した場合における前記他の電極の相当位置の電位演算値または前記他の電極の相当位置同士の間の電位差演算値に関する電位演算結果と、の差異が、前記電位実測値と前記微小変位前の前記解析モデルおよび前記導電特性データを用いて算出される前記電位演算結果との差異よりも減少するように前記境界位置を微小変位させるよう前記演算部に実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
10 生体インピーダンス測定部
11 電流電極
12 電圧電極
13 印加端子
14 差動増幅器
15 信号源
20 輪郭情報取得部
21 エアシリンダ
30 記憶部
40 初期設定部
42 解析モデル生成部
44 初期値付与部
60 収束演算部
61 変位演算部
62 導電率分布算出部
64 電位分布算出部
66 残差演算部
70 画像生成部
72 評価判定部
80 表示出力部
100 内部構造推定装置
110 解析モデル
111 電流電極相当位置
112 電圧電極相当位置
114 境界節点
115 三角柱要素
200 測定対象
202 外層
204 内層
206 脊椎
Ω 微小領域
Ωk 第一の微小領域
Ωl 第二の微小領域
ρ 形状パラメータ
σ 導電率

Claims (8)

  1. 外層と、前記外層よりも内側に存在する内層と、を含む測定対象の内部構造を電気インピーダンストモグラフィ法を用いて推定する方法であって、
    前記測定対象を複数の微小領域に仮想分割したメッシュ構造で構成される解析モデルの前記微小領域に対して、前記内部構造の導電性を表す導電特性データを設定する初期設定ステップと、
    前記外層に相当する第一の前記微小領域と、第一の前記微小領域に隣接するとともに前記内層に相当する第二の前記微小領域と、の境界位置の少なくとも一部を微小変位させる変位工程を繰り返して前記境界位置を移動させる収束演算ステップと、を含み、
    前記収束演算ステップにて、
    (1)前記測定対象の外周上に配置された複数の電極から選択された電極対の間に電流を印加した状態で実測された、他の前記電極における電位または他の前記電極同士の間の電位差に関する電位実測値と、
    (2)前記微小変位後の前記解析モデルおよび前記導電特性データを用いて算出される、前記電極対の相当位置に前記電流を印加した場合における前記他の電極の相当位置の電位演算値または前記他の電極の相当位置同士の間の電位差演算値に関する電位演算結果と、
    の差異が、前記電位実測値と前記微小変位前の前記解析モデルおよび前記導電特性データを用いて算出される前記電位演算結果との差異よりも減少するように前記境界位置を微小変位させることを特徴とする内部構造推定方法。
  2. 前記収束演算ステップにおいて、少なくとも一部の前記微小領域における前記導電特性データの値を、前記微小変位の前後で前記電位実測値と前記電位演算結果との差異が減少するように更新し、
    前記収束演算ステップを繰り返すことにより前記測定対象の前記外層または前記内層の少なくとも一方における導電率を推定する請求項1に記載の内部構造推定方法。
  3. 前記初期設定ステップおよび前記収束演算ステップのそれぞれにおいて、前記外層に相当する複数の第一の前記微小領域の全部に対して共通値の導電特性データを設定する請求項2に記載の内部構造推定方法。
  4. 前記測定対象が動物であり、前記外層が皮下脂肪であり、前記内層が前記皮下脂肪の内部の体腔領域であって、
    前記境界位置を前記皮下脂肪と前記体腔領域との境界上に移動させるように前記境界位置を微小変位させ、第一の前記微小領域の総和に基づいて前記皮下脂肪の形状または量を推定する請求項2または3に記載の内部構造推定方法。
  5. 前記測定対象が前記動物の腹部であり、前記内層における導電率の推定結果に基づいて内臓脂肪の量を推定する請求項4に記載の内部構造推定方法。
  6. 前記測定対象が前記動物の体肢であり、前記内層における導電率の推定結果に基づいて前記体肢を構成する筋肉と骨とを弁別して前記筋肉の量を推定する請求項4に記載の内部構造推定方法。
  7. 外層と、前記外層よりも内側に存在する内層と、を含む測定対象の内部構造を電気インピーダンストモグラフィ法を用いて推定する装置であって、
    前記測定対象の外周上に配置される複数の電極と、
    前記複数の電極から一対の電極を電極対として選択する手段と、
    前記選択された電極対の間に電流を印加する手段と、
    前記選択された電極対に電流を印加したときの他の前記電極における電位または他の前記電極同士の間の電位差を実測する手段と、
    実測された前記電位または前記電位差に関する電位実測値を記憶する記憶部と、
    前記測定対象を複数の微小領域に仮想分割したメッシュ構造で構成される解析モデルの前記微小領域に対して、前記内部構造の導電性を表す導電特性データを設定する初期設定部と、
    電位演算処理および変位処理を含む演算処理を反復的に繰り返して前記解析モデルを更新する収束演算部と、を備え、
    前記収束演算部が、
    前記電位演算処理において、前記解析モデルおよび前記導電特性データを用いて、前記電極対の相当位置に前記電流を印加した場合における前記他の電極の相当位置の電位演算値または前記他の電極の相当位置同士の間の電位差演算値に関する電位演算結果を算出し、
    前記変位処理において、
    前記電位実測値と、
    前記外層に相当する第一の前記微小領域と、第一の前記微小領域に隣接するとともに前記内層に相当する第二の前記微小領域と、の境界位置の少なくとも一部を微小変位させた後の前記解析モデルおよび前記導電特性データを用いて算出される前記電位演算結果と、
    の差異が、前記電位実測値と前記微小変位させる前の前記解析モデルおよび前記導電特性データを用いて算出される前記電位演算結果との差異よりも減少するように前記境界位置を微小変位させる、
    ことを特徴とする内部構造推定装置。
  8. 測定対象の外周上に配置された複数の電極から選択された電極対の間に電流を印加した状態で実測された、他の前記電極における電位または他の前記電極同士の間の電位差に関する電位実測値を記憶する記憶部と、演算部と、を有し、外層と、前記外層よりも内側に存在する内層と、を含む前記測定対象の内部構造を電気インピーダンストモグラフィ法を用いて推定する内部構造推定装置に用いられるコンピュータプログラムであって、
    前記測定対象を複数の微小領域に仮想分割したメッシュ構造で構成される解析モデルの前記微小領域に対して、前記内部構造の導電性を表す導電特性データを設定する初期設定ステップと、
    前記外層に相当する第一の前記微小領域と、第一の前記微小領域に隣接するとともに前記内層に相当する第二の前記微小領域と、の境界位置の少なくとも一部を微小変位させる変位工程を繰り返して前記境界位置を移動させる収束演算ステップと、を前記演算部に実行させ、かつ、
    前記収束演算ステップにて、
    前記電位実測値と、
    前記微小変位後の前記解析モデルおよび前記導電特性データを用いて算出される、前記電極対の相当位置に前記電流を印加した場合における前記他の電極の相当位置の電位演算値または前記他の電極の相当位置同士の間の電位差演算値に関する電位演算結果と、
    の差異が、前記電位実測値と前記微小変位前の前記解析モデルおよび前記導電特性データを用いて算出される前記電位演算結果との差異よりも減少するように前記境界位置を微小変位させるよう前記演算部に実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
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