JP2017134170A - 模型および模型投影システム - Google Patents

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Abstract

【課題】安全性を容易に確保でき、手術支援等に好適に用いることができる模型等を提供する。【解決手段】模型1は、人間の生体部位を模した模型本体3と、模型本体3を収納する中空の円柱状のケース2とを有する。模型本体3は、模型本体3と一体に形成された固定部30を有し、模型本体3はこの固定部30をケース2の底面に接着するなどしてケース2に固定される。ケース2は透光性を有する材質により構成され、その材質は、例えばプラスチックなど、人体に悪影響が無く、滅菌が可能なものが選定される。【選択図】図1

Description

本発明は、模型、および模型に投影を行う模型投影システムに関する。
現在、3Dプリンタ等により製作した生体部位の模型を医療分野で活用するための様々な試みが行われている。例えば特許文献1には、手術計画やインフォームドコンセント等に用いる肝臓模型について記載されている。
また、特許文献2には、3Dプリンタで粉末を結合させて製作される医療用三次元模型について記載されている。特許文献3には、光造形機を用いて製造される医療用三次元模型が記載されている。特許文献4には、実際の脳に近い押圧時の挙動を再現した脳モデルについて記載されている。
特開平5-11689号公報 特許第5216989号 特許第5286352号 特許第5219582号
医療分野では、このような模型を手術室に持ち込み、手術時に参照したいニーズがある。しかしながら、模型の造形材料には手術室に持ち込む際の安全性についてリスクが懸念されるものもあり、担当医が直接手を触れた場合、化学物質による汚染の恐れがある。また生体部位のような細かい造形物の一部が手術室内で折れたり損傷したりすると、手術室が清潔に保てなくなる恐れがある。
例えば特許第5707303号のように、タブレット端末などをパックして手術室内に持ち込むための滅菌可能なタイプのフィルム製バッグもあるが、生体部位のような細かい造形物の場合、一部がフィルムに引っかかって折れたりする可能性があるのでこのようなバッグを適用することも難しい。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、安全性を容易に確保でき、手術支援等に好適に用いることができる模型等を提供することを目的とする。
前述した課題を解決するための第1の発明は、生体部位を模した模型本体と、少なくとも一部が透光性を有するケースと、を有し、前記模型本体が、前記模型本体と一体に形成された固定部を有し、前記固定部により前記ケースに固定されて前記ケース内に収納されたことを特徴とする模型である。
本発明では、脳や臓器等の生体部位を模した模型本体を固定部でケースに固定し、ケース内に収納することで、滅菌処理と手術室への持ち込みが容易になり、直接手を触れることなく手術室にて模型を用いた術前の確認などを安全に行い、手術等に役立てることができる。またケース内に模型本体が外部と隔絶されて固定されているので模型本体に用いられる材料の選定範囲が広くなるうえ、手術室の汚染や模型本体の損傷などの心配もない。さらに、手術支援として事前の手術計画や患者へのインフォームドコンセントの際に参照することもでき、その他教育等に用いたりすることも可能である。また固定部は模型本体の展示姿勢に合わせて模型本体と一体に形成することで、固定部を用いて模型本体をケース内に強固に固定することができる。なお、上記した生体部位とは、脳や臓器の他、筋肉など人や動物の体の部分を広く指すものとする。
前記模型本体が、3Dプリンタで用いられるモデル材で形成されることが望ましい。
本発明は、血管のような折れやすい微細な形状を3Dプリンタを用いて高精度に再現するような場合に特に有効であり、手術室で模型本体が破損することがなくなる。
ケースは例えば中空の直方体状、円柱状、半球状などとできるが、なかでも、ケースが球状のものが望ましい。また、前記ケースを任意の向きで乗せて保持することが可能な設置台を有することが望ましい。
球状のケースを回転させてケース内の模型本体の姿勢を手術時の患者の姿勢に応じて調整することが容易になり、また上記の設置台により、ケースをどの向きとした場合でも当該向きを維持したままケースを保持することが可能になるためである。
前記ケースが、中空の球状の外ケースと内ケースを二重に配置して構成され、外ケースと内ケースの間の隙間に、前記ケースの中心部に向けて光線を放射する光線放射装置が自重により移動可能に設けられることも望ましい。
ケースを二重球の構成としてその隙間に上記の光線放射装置を設けることにより、手でケースを持って回転させ、模型本体の空間配置を手術時の患者の姿勢に応じて調整する際に、光線の輝点等によって模型本体に係る鉛直軸が把握でき、模型本体の空間配置を容易に調整できる。
前記設置台に、前記設置台で保持した前記ケースの中心部に向けて鉛直方向に光線を放射する光線放射装置が設けられることも望ましい。さらに、前記光線放射装置として、鉛直方向上方に光線を放射するものと、鉛直方向下方に光線を放射するものが前記設置台に設けられることが望ましい。
上記の光線放射装置を設置台に設けることで、設置台上に保持したケース内の模型本体に係る鉛直軸が、光線の輝点等により把握できる。また光線放射装置を上下に設けることで、模型本体が光を透過しない場合でも光線の輝点等により鉛直軸が容易に把握できる。
第2の発明は、第1の発明の模型と、前記ケースに情報を投影するためのプロジェクターと、を有することを特徴とする模型投影システムである。
これにより、ケースに必要な情報を表示させ手術支援や教育などに役立てることができる。本発明では複雑な形状の模型本体でなく簡単な形状のケース表面に投影を行うので、特別な技術も必要としない。
前記情報は、例えば手術に関するものである。
具体的には、手術に関する情報をケースに表示させ手術時や事前の手術計画、患者へのインフォームドコンセント等の手術支援に役立てることができる。
本発明により、安全性を容易に確保でき、手術支援等に好適に用いることができる模型等を提供することができる。
模型1を示す図 製作システム10を示す図 情報処理装置5のハードウェア構成を示す図 動脈31、動脈瘤32の3次元形状データの例 模型本体3の製作方法の概略について示すフローチャート 模型製作用の3次元形状データを生成する手順を示すフローチャート 模型製作用の3次元形状データ300の例 模型1aを示す図 模型本体3の空間配置の調整を示す図 模型1bを示す図 模型1b’を示す図 模型投影システム100を示す図 模型1dを示す図 模型1eを示す図
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[第1の実施形態]
(1.模型1)
図1は本発明の第1の実施形態に係る模型1を示す図である。模型1は、ケース2の底面に模型本体3を固定し、ケース2の内部に模型本体3を収納したものである。
ケース2は中空の直方体状の硬質のハードケースであり、内部の模型本体3が視認可能なように、少なくとも一部が透光性を有する材質により構成される。本実施形態ではケース2の六面全てが透光性を有する。ケース2の材質は、例えばプラスチックなど、人体に悪影響が無く、滅菌容易なものが選定される。
模型本体3は、人間の生体部位である脳や臓器を模したモデルである。なお、生体部位とは、脳や臓器の他、筋肉など人や動物の体の部分を広く指すものとする。本実施形態の模型本体3は脳の血管の一部を模したものであり、動脈31、動脈瘤32が表されている。
模型本体3は下端部に固定部30を有する。模型本体3は固定部30でケース2の底面に固定される。固定部30は既知の接着剤等でケース2の底面に接着される。本実施形態では固定部30が円盤状であるが、これに限ることない。例えば矩形板状であってもよいし、格子状であってもよい。また、模型本体3は、後述する3Dプリンタによって固定部30も含めて一体に形成される。
(2.製作システム10)
図2は、模型本体3を製作するための製作システム10を示す図である。図2に示すように、製作システム10は、情報処理装置5、3Dプリンタ7等を有する。
情報処理装置5は、模型本体3を3Dプリンタ7によって製作するための模型製作用の3次元形状データを生成するものである。
図3に情報処理装置5のハードウェア構成を示す。図に示すように、情報処理装置5は、制御部51、記憶部52、入力部53、表示部54、通信部55等がバス56を介して接続されたコンピュータで実現できる。ただし、情報処理装置5の構成がこれに限ることはない。
制御部51は、CPU、ROM、RAM等で構成される。CPUは、記憶部52、ROM等の記録媒体に格納された情報処理装置5の後述する処理に係るプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス56を介して接続された各部を駆動制御し処理を実現する。ROMは不揮発性メモリであり、プログラムやデータ等を恒久的に保持している。RAMは揮発性メモリであり、記憶部52、ROM等からロードしたプログラム、データ等を一時的に保持するとともに、制御部51が各種処理を行うために使用するワークエリアを備える。
記憶部52はハードディスクドライブ等であり、制御部51が実行するプログラム、プログラム実行に必要なデータ等が格納される。
入力部53は、コンピュータに対して操作指示、動作指示、データ入力等を行うためのもので、例えば、タッチパネル、キー等の入力装置を有する。
表示部54は、液晶パネル等のディスプレイ装置等を有する。
通信部55は、ネットワーク等を介した通信を媒介する通信インタフェースである。
バス56は、各部間の制御信号、データ信号等の授受を媒介する経路である。
本実施形態では、情報処理装置5によって模型製作用の3次元形状データを生成するに際し、脳の動脈31、動脈瘤32などの部位の3次元形状データがSTL(Standard Triangulated Language)データなどとして情報処理装置5に予め入力され、記憶部52等に記憶される。
これらの3次元形状データは、CT(Computed Tomography)やMRI(Magnetic Resonance
Imaging)などで患者等の脳をスキャンして取得されたDICOM(Digital Imaging and
Communications in Medicine)データから得られる。その手法については既知であるので説明を省略する。
図4(a)、(b)の実線は、それぞれ脳の動脈31、動脈瘤32の3次元形状データの例である。各部位の3次元形状データは所定の原点を基準として定められ、相対的な位置関係が維持される。図4(a)、(b)の点線は、それぞれ動脈31に対する動脈瘤32の位置、動脈瘤32に対する動脈31の位置を示す。
図2の説明に戻る。3Dプリンタ7は、模型製作用の3次元形状データに基づいて模型本体3の製作を行うものである。3Dプリンタ7としては例えばインクジェット方式によるものを用いることができる。
インクジェット方式の3Dプリンタ7は、模型製作用の3次元形状データを上下複数層に輪切りしたスライスデータに基づき、ステージ上でモデル材およびサポート材を塗布してUV(Ultra Violet)光の照射によりモデル材を硬化させる工程を下層から上層へと繰り返し、モデル材を積層させる。これにより、血管等の細かい形状を高精度に表現することが可能である。
モデル材は模型本体3の造形材料として用いる樹脂であり、サポート材はモデル材を下方から支えるために用いる樹脂である。モデル材による模型本体3の造形後、サポート材は取り除かれる。サポート材には、洗浄等により容易に除去できるものが用いられる。
モデル材としてはUV硬化性を有する各種のアクリル樹脂等を用いることができ、本実施形態では透光性を有するものを用いる。サポート材としては各種の樹脂、例えばウォータージェットにより除去可能なゲル状樹脂や、加熱により除去可能な低融点のワックス材、あるいは水に浸けることで除去できる水溶性樹脂を用いることができる。
なお、3Dプリンタ7は上記に限らず、スライスデータに基づいて、ノズルヘッドから溶融樹脂を塗布する工程を下層から上層へと繰り返し、樹脂(モデル材)を積層させるFDM方式(熱溶解積層法)によるものも利用可能である。その他、インクジェットヘッドにて接着剤を塗布し、石膏粉末、でんぷん粉末、樹脂粉末など(モデル材)を接着させ積層させるインクジェット粉末積層方式、レーザー走査により樹脂粉末、金属粉末、セラミック粉末など(モデル材)を選択的に焼結させるSLS方式(粉末焼結積層法)、紙や樹脂シートなど(モデル材)を積層させる紙積層法、ガルバノスキャナーやDLPプロジェクターを用いて液状光硬化性樹脂(モデル材)を硬化させる光造形方式などにより、スライスデータに基づいて造形を行うことも可能である。
(3.模型本体3の製作方法)
次に、模型本体3の製作方法について説明する。ここでは、まず図5を参照しながら模型本体3の製作方法の概略について説明する。図5は模型本体3の製作方法の概略について示すフローチャートである。
(3−1;模型本体3の製作方法の概略)
本実施形態では、前記したようにCTやMRIなどで患者等の脳をスキャンし(S1)、コンピュータによってDICOMデータを取り込む(S2)。
そして、医師等がDICOMデータから得られた3次元形状データの動脈31、動脈瘤32をコンピュータ上で指示し、コンピュータがこれらの部位の3次元形状データを抽出する(S3)。
前記したように、動脈31や動脈瘤32の3次元形状データは情報処理装置5に入力され、記憶部52に記憶される。情報処理装置5はこれらの3次元形状データを用いて模型製作用の3次元形状データを生成する(S4)。この生成手順については後述する。また、S4で生成された3次元形状データは前記した固定部30を含んでいる。
3Dプリンタ7は、S4で生成された模型製作用の3次元形状データに基づき、前記のモデル材によって模型本体3を製作する(S5)。前記したように固定部30は模型本体3と一体に形成される。最後に接着剤等を用いて模型本体3の固定部30をケース2の底面に固定し、ケース2内に収納する(S6)ことで、模型1が完成する。
なお、S4の後、模型製作用の3次元形状データを画像等により可視化し、医師等によるチェックを経てOKならS5に移行し、NGならS4に戻って再度模型製作用の3次元形状データを生成するようにしてもよい。
(3−2.模型製作用の3次元形状データの生成)
図6は、S4において模型製作用の3次元形状データを生成する手順を示すフローチャートである。図の各ステップは、情報処理装置5の制御部51が実行する処理である。
S4において、ユーザは動脈31や動脈瘤32の3次元形状データを確認して模型本体3をケース2内に展示する際の基本姿勢を決定し、当該基本姿勢についての情報を情報処理装置5に入力する。情報処理装置5は基本姿勢についての情報の入力を受け付け(S41)、これに応じて各部位の3次元形状データの向きを設定する。
さらに、ユーザは模型本体3の基本姿勢に応じた適当な位置および形状の固定部30の3次元形状データを作成すべく、情報処理装置5に指示入力を行う。情報処理装置5は、ユーザの指示入力に応じて固定部30の3次元形状データを作成する(S42)。
情報処理装置5は、ユーザの指示入力により、S41で設定された向きとした動脈31や動脈瘤32の3次元形状データ、およびS42で作成した固定部30の3次元形状データを、ブーリアン演算等を行うことにより統合する(S43)。
以上により、模型製作用の3次元形状データが生成される。なお、S41、42の処理は前後しても構わない。
図7はこうして生成された模型製作用の3次元形状データ300の例であり、固定部30、動脈31、動脈瘤32が統合されている。この3次元形状データ300に基づき、前記したように3Dプリンタ7によって模型本体3が製作される。なお、3Dプリンタ7による模型本体3の製作時には、モデル材の色を変えて上記の各部位を区別可能とすることもできる。
以上説明したように、本実施形態では、脳や臓器等の生体部位を模した模型本体3を固定部30でケース2に固定し、ケース2内に収納することで、滅菌処理と手術室への持ち込みが容易になり、直接手を触れることなく手術室にて模型1を用いた術前の確認などを安全に行い、手術等に役立てることができる。またケース2内に模型本体3が外部と隔絶されて固定されているので模型本体3に用いられる材料の選定範囲が広くなるうえ、手術室の汚染や模型本体3の損傷などの心配もない。さらに、手術支援として事前の手術計画や患者へのインフォームドコンセントの際に参照することもでき、その他教育等に用いたりすることも可能である。また固定部30は模型本体3の展示姿勢に合わせて模型本体3と一体に形成することで、固定部30を用いて模型本体3をケース2内に強固に固定することができる。
また本実施形態は、血管のような折れやすい微細な形状を3Dプリンタ7を用いて高精度に再現するようなケースで特に有効であり、手術室で模型本体3が破損することがなくなる。
しかしながら、本発明はこれに限ることはない。例えば、本実施形態では生体部位の例として脳の血管を挙げて説明したが、生体部位は人や動物の体の部分であればよく、例えば肝臓等の臓器であってもよい。また脳や臓器をはじめ、筋肉、目等の器官にも本発明は適用可能である。また、ケース2は中空の直方体状に限らず、中空の半球状(ドーム状)のケースを用い、その平坦な底面に模型本体3を固定することもできる。また、後述するように中空の球状のケースを用いることも可能である。
次に、本発明の別の例を第2〜第4の実施形態として説明する。各実施形態はそれまでに説明した実施形態と異なる点について説明し、同様の点については図等で同じ符号を付すなどして説明を省略する。
[第2の実施形態]
図8は第2の実施形態に係る模型1aを示す図である。模型1aは、模型本体3を中空の球状のケース2aに固定部30で固定し、ケース2aの内部に模型本体3を収納したものである。
ケース2aは、外ケース21aと内ケース21bによって二重に構成される。外ケース21aと内ケース21bは中空の球状のハードケースであり、全面が透光性を有する。外ケース21aと内ケース21bは前記したケース2と同様の材質で形成できる。
外ケース21aの内径は内ケース21bの外径より大きく、外ケース21aと内ケース21bの間には一定幅の隙間が存在する。外ケース21aと内ケース21bは、この隙間に設けた連結部(不図示)で連結される。
この隙間には、隙間内を自重により移動可能な光線放射装置25も設けられる。光線放射装置25は、ケース2aの中心部に向けて光線(ビーム)251を放射するものである。例えば既存技術であるレーザーポインター等に用いる光線を用いても良い。光線放射装置25の構造については既存の技術であるため省略する。
例えばケース2aを鉛直面内で回転させた場合、光線放射装置25は自重により上記の隙間内を移動して最下部に位置する。従って、光線放射装置25は常に最下部からケース2aの中心部に向けて鉛直方向上方に光線251を放射できるようになっている。
光線251が模型本体3に当たった位置、および光線251が模型本体3を透過して(前記したように模型本体3は透光性を有するモデル材で形成される)内ケース21bの内面に当たった位置で、光線251の一部が反射し、これらの位置が輝点252、253として視認可能である。
本実施形態では、この輝点252、253等の位置から模型本体3に係る鉛直軸を把握できる。模型本体3が透光性を有しない材質で形成される場合は輝点252のみ視認可能となり、輝点252および光線放射装置25の位置から鉛直軸が把握できる。
手術時の患者の姿勢により脳や臓器等の生体部位の空間配置は変わるので、手術支援のための模型1aとしては、患者の姿勢に応じた展示ができると望ましい。本実施形態では、図9に示すように、ケース2aを手で持って、前記の輝点252、253等により鉛直軸を把握しながらケース2aを回転させて模型本体3の空間配置を調整し、模型本体3の鉛直軸と患者40の脳の動脈等の鉛直軸(図の41参照)を一致させ、患者40の脳の動脈等の上の1点と、これに対応する模型本体3上の1点の位置を合わせる。その後、ケース2aを鉛直軸を中心として回転させることで、手術時の患者の脳の動脈等の空間配置を模型本体3で再現する事が可能となる。
このように、本実施形態では、模型本体3をケース2aで覆うことで第1の実施形態と同様の効果が得られるとともに、輝点252、253等の位置から模型本体3に係る鉛直軸を把握しつつ、ケース2aを回転して模型本体3の空間配置を手術時の患者の脳の動脈等の生体部位の空間配置に容易に合わせることができる。こうして手術時の患者の生体部位の空間配置を模型本体3によって正しく再現でき、手術がやりやすくなる。
また模型1aを用いることで、手術室のみならず遠隔地においても手術時の患者の生体部位の空間配置を再現でき、これを参照して遠隔地から手術装置の操作指示を行うことによる腹腔手術なども可能となる。また、事前の手術計画や患者へのインフォームドコンセントなどもこの模型1aを用いて効果的に行うことができる。その他教育等にも利用することができ、学習効果も向上する。
[第3の実施形態]
図10は第3の実施形態に係る模型1bを示す図である。模型1bは、模型本体3を固定部30でケース2bに固定してケース2b内に収納し、このケース2bを設置台8の上に乗せたものである。
図10に示すように、ケース2bは中空の球状のハードケースによって一重に構成され、全面が透光性を有する。ケース2bは前記したケース2と同様の材質で形成することができる。
設置台8は、球状のケース2bを任意の向きで乗せて保持可能なものである。設置台8には光線放射装置80が設けられる。光線放射装置80は、設置台8で保持したケース2bの中心部に向けて鉛直方向上方に光線801を放射するものである。
この例では、光線801が模型本体3に当たった位置、および光線801が模型本体3を透過してケース2bの内面に当たった位置で光線801の一部が反射し、これらの位置が輝点802、803として視認可能である。そのため、本実施形態では輝点802、803等の位置から模型本体3に係る鉛直軸を把握できる。模型本体3が透光性を有しない材質で形成される場合は、輝点802および光線放射装置80の位置から鉛直軸を把握できる。特に図示しないが、光線801が最初にケース2bの外面に当たった位置でも輝点は視認しうる。
本実施形態では、設置台8上でケース2bを回転させることで、第2の実施形態と同様、手術時の患者の脳の動脈等の生体部位の空間配置を模型本体3で再現する事が可能となり、第2の実施形態と同様の効果が得られる。
また設置台8により、ケース2bをどの向きとした場合でも当該向きを維持したままケース2bを保持することが可能になる。なお、第2の実施形態のケース2aを設置台8に設置することも可能であり、この場合は設置台8の光線放射装置80を省略可能である。
さらに、本実施形態ではケース2bが一重なので簡易な構成とできる。一方、第2の実施形態の場合、ケース2aを手で持ち上げて回転する場合でも模型本体3に係る鉛直軸を把握できる利点がある。
また、模型本体3が透光性を有しない材質で形成される場合などでは、図11の模型1b’に示すように、設置台8に円弧状のアーム81を設け、その上端にあたる位置に追加の光線放射装置82を設けてもよい。
光線放射装置82は、設置台8で保持したケース2bの中心部に向けて鉛直方向下方に光線821を放射するものである。
この例では、ケース2bの内外面が空気の屈折率に近い低屈折率の材料で形成され、光線放射装置80からの光線801、および光線放射装置82からの光線821がケース2b内に透過して模型本体3に当たった位置で輝点802、822が表示される。そのため、輝点802、822等の位置から模型本体3に係る鉛直軸を把握できる。
なお、以上の第2、第3の実施形態では、ケースの中心部が模型本体3の重心の位置にくるようにすることが望ましい。また、ケースはできるだけ最小化し、取り扱いやすくするのが望ましい。これにより、模型本体3の空間配置の調整が容易になる。
[第4の実施形態]
次に、模型に各種の情報を表示する例について、第4の実施形態として説明する。
図12(a)は本発明の第4の実施形態に係る模型投影システム100を示す図である。模型投影システム100は、模型1cに各種の情報200を投影して表示させるものであり、模型1c、プロジェクター20および情報処理装置50等から構成される。
模型1cは、模型本体3を中空の直方体状のケース2cの底面に固定部30で固定し、ケース2cの内部に模型本体3を収納したものである。
図12(b)はケース2cの厚さ方向の断面を示す図である。本実施形態では、ケース本体21の内面(または外面)に、透光性を有するフィルム状のスクリーン26を投影用に貼り付けてケース2cが構成されている。このスクリーン26としては、例えば大日本印刷株式会社製のTRANSPARENCIA(登録商標)を用いることができる。
ケース本体21は前記のケース2と同様の材質で構成され、ケース2cの六面全てが透光性を有する。なお、この例では模型本体3の重心がケース2cの中心部よりやや下にあり、情報200はケース2cの上部を中心とした範囲に投影される。
プロジェクター20は、情報処理装置50から入力された情報200をケース2cに投影するものである。
情報処理装置50は、ケース2cに投影する情報200をプロジェクター20に入力するものである。情報処理装置50は例えば図3で説明したものと同様のハードウェア構成を有するコンピュータ等で実現できる。
本実施形態では、プロジェクター20を用いたプロジェクションマッピングを行うことにより、ケース2cに手術に関する情報200を投影して表示させ、手術支援を行うことができる。この情報200としては、X線撮影やCTスキャンなどによる診察画像、手術手順のガイダンス、手術用の器具の説明、当該器具の利用方法のガイダンスなどがある。あるいは事前の手術計画や患者へのインフォームドコンセント用に脳や臓器等の生体部位の情報や手術時の注意などを表示することもできる。これらの情報は手術練習時などに教育用としても表示可能である。
その他、光線放射装置(不図示)によって模型本体3上に輝点を表示させ、当該光線放射装置と連携した模型投影システム100により、上記の情報200として模型本体3上の輝点に対応する部位の説明などを投影することも可能である。
本実施形態では模型本体3ではなくケース2cに投影するので、脳や臓器等の生体部位の複雑な形状に合せて投影するような高度な技術は不要である。なお、図12(a)の例では直方体状のケース2cの一面に情報200を投影しているが、複数のプロジェクター20を用いてケース2cの複数の面に情報200を投影させることもできる。
また、図12ではケース2cを中空の直方体状としているが、図13の模型1dに示すように中空の円柱状のケース2dであっても、図14の模型1eに示すように中空の球状のケース2eであっても、内面(または外面)に上記と同様のスクリーンを設けることで、プロジェクター20から前記した手術に関する情報200を投影することが可能である。なお、図13、14では情報処理装置50の図示を省略している。
投影する情報200としては、前記した手術に関する情報のほか、交差する縦横の基準線などを投影してもよく、この基準線による空間座標や位置情報を用いてメスを入れる位置などを数値化し、且つ可視化できるので、これを頼りにメスを入れるなどして手術支援を好適に行うことができ、手術チームのコンセンサスを容易にする事もできる。このような基準線は、ケース自体に予め形成しておくことも可能である。また、第2、第3の実施形態で説明した模型のケースに対し、第4の実施形態で説明した方法で情報200の投影を行うことも可能である。
以上、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1、1a、1b、1b’、1c、1d、1e;模型
2、2a、2b、2c、2d、2e;ケース
3;模型本体
5;情報処理装置
7;3Dプリンタ
8;設置台
20;プロジェクター
21;ケース本体
21a;外ケース
21b;内ケース
25、80、82;光線放射装置
26;スクリーン
30;固定部
31;動脈
32;動脈瘤
40;患者
41;鉛直軸
81;アーム
100;模型投影システム
200;情報
251、801、821;光線
252、253、802、803、822;輝点

Claims (9)

  1. 生体部位を模した模型本体と、
    少なくとも一部が透光性を有するケースと、
    を有し、
    前記模型本体が、前記模型本体と一体に形成された固定部を有し、前記固定部により前記ケースに固定されて前記ケース内に収納されたことを特徴とする模型。
  2. 前記模型本体が、3Dプリンタで用いられるモデル材で形成されたことを特徴とする請求項1記載の模型。
  3. 前記ケースが中空の球状であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の模型。
  4. 前記ケースを任意の向きで乗せて保持することが可能な設置台を有することを特徴とする請求項3に記載の模型。
  5. 前記ケースが、中空の球状の外ケースと内ケースを二重に配置して構成され、外ケースと内ケースの間の隙間に、前記ケースの中心部に向けて光線を放射する光線放射装置が自重により移動可能に設けられたことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の模型。
  6. 前記設置台に、前記設置台で保持した前記ケースの中心部に向けて鉛直方向に光線を放射する光線放射装置が設けられたことを特徴とする請求項4に記載の模型。
  7. 前記光線放射装置として、鉛直方向上方に光線を放射するものと、鉛直方向下方に光線を放射するものが前記設置台に設けられたことを特徴とする請求項6に記載の模型。
  8. 請求項1から請求項7のいずれかに記載の模型と、
    前記ケースに情報を投影するためのプロジェクターと、
    を有することを特徴とする模型投影システム。
  9. 前記情報は手術に関するものであることを特徴とする請求項8記載の模型投影システム。
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