JP2017131096A - 系統連系インバータシステムの安定性判定方法、安定化方法および管理方法 - Google Patents

系統連系インバータシステムの安定性判定方法、安定化方法および管理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】系統連系インバータシステムの安定性を容易に判定する方法を提供する。【解決手段】系統インピーダンスがZsである系統に並列に接続された複数のインバータからなる系統連系インバータシステムであって、複数のインバータのそれぞれが系統に対する電力供給源として作動するものの安定性を判定する方法であって、複数のインバータの出力アドミタンスY1,Y2,・・・,YNの和であるYoとZsとの位相差が180°となる周波数が存在しないか、当該周波数における|ZsYo|が1以下である場合に、当該系統連系インバータシステムが安定であると判定することを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明は、系統に接続された複数のインバータからなる系統連系インバータシステムであって、複数のインバータのそれぞれが系統に対する電力供給源として作動するものの安定性判定方法、安定化方法および管理方法に関する。
近年、太陽電池や二次電池等から出力される直流電力をインバータによって50Hz/60Hzの交流電力に変換し、変換後の電力を商用送配電系統(以下、単に「系統」という)に供給する非電力事業者や個人が急増している。このため、今日の系統には、多種多様なインバータが並列に接続されている。
個々のインバータには、通常、系統に連系させるための各種制御が適用される。これに関し、非特許文献1には、受動的な線形制御のひとつであるリアプノフ関数に基づいた制御(以下、単に「リアプノフ制御」という)を適用することにより、系統に1台のインバータを接続してなる系統連系インバータの安定性が確保されるとの記載がある。
T. Kato, K. Inoue, and M. Ishida : "Investigation of stabilities of Lyapunov-based digital control for grid-connected inverter", IEEE Energy Conversion Congress and Exposition (ECCE), pp.2394-2399, 2015.
しかしながら、非電力事業者や個人が持ち寄るインバータの中には、安定性を考慮していない不適切な制御が適用されたものも存在する。系統に対する電力供給源におけるこのようなインバータの比率が高まると、インバータ間の相互干渉が生じるとともに、系統連系インバータシステム(以下、単に「システム」ともいう)全体の安定性が低下する。
この問題に厳密に対処するためには、全てのインバータを含むシステム全体の安定性を解析しつつシステムを構築していく必要がある。しかしながら、上記の通り、系統に接続されるインバータには非電力事業者や個人が持ち寄る多種多様なインバータが含まれるため、このようなシステムの構築は、理論上は可能であっても、実際にはほとんど不可能である。
なお、上記非特許文献1は、系統に複数のインバータを並列に接続してなるシステムの安定性について何ら言及していない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、系統連系インバータシステムの安定性を容易に判定する方法、不安定になりかかったシステムを安定化させる方法、および不安定にならないようにシステムを管理する方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る系統連系インバータシステムの第1の安定性判定方法は、系統インピーダンスがZである系統に並列に接続された複数の単相インバータからなる系統連系インバータシステムであって、前記複数の単相インバータのそれぞれが前記系統に対する電力供給源として作動するものの安定性を判定する方法であって、前記複数の単相インバータの出力アドミタンスの和であるYとZとの位相差が180°となる周波数が存在しないか、当該周波数における|Z|が1以下である場合に、前記系統連系インバータシステムが安定であると判定することを特徴とする。
なお、「位相差が180°となる周波数」の有無を判定するための測定または解析は、測定または解析可能な全周波数について行うことが好ましいが、特定の周波数(一例として、100Hz〜10kHz)における結果から全周波数における結果を類推することができる場合は、当該特定の周波数についてのみ行ってもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明に係る系統連系インバータシステムの第1の安定化方法は、系統インピーダンスがZである系統に並列に接続された複数の単相インバータからなる系統連系インバータシステムであって、前記複数の単相インバータのそれぞれが前記系統に対する電力供給源として作動するものを安定化させる方法であって、前記系統に対する電力供給源として作動する少なくとも1つの追加単相インバータを前記系統に並列に追加接続することにより、前記複数の単相インバータおよび前記少なくとも1つの追加単相インバータの出力アドミタンスの和であるYとZとの位相差が180°となる周波数が存在しないようにするか、当該周波数における|Z|を1以下にすることを特徴とする。
上記第1の安定化方法においては、前記少なくとも1つの追加単相インバータの出力インピーダンスの位相が、±90°の範囲内に収まっていることが好ましい。これを実現するためには、例えば、前記少なくとも1つの追加単相インバータをリアプノフ制御すればよい。
また、上記課題を解決するために、本発明に係る系統連系インバータシステムの第1の管理方法は、系統インピーダンスがZである系統に並列に接続された複数の単相インバータからなる系統連系インバータシステムであって、前記複数の単相インバータのそれぞれが前記系統に対する電力供給源として作動するものの安定性を管理する方法であって、前記系統に対する電力供給源として作動する少なくとも1つの追加単相インバータを前記系統に並列に追加接続する際に、前記複数の単相インバータおよび前記少なくとも1つの追加単相インバータの出力アドミタンスの和であるYとZとの位相差が180°となる周波数が存在しないか、当該周波数における|Z|が1以下になる場合に限って、前記少なくとも1つの単相インバータの追加接続を許可することを特徴とする。
上記第1の管理方法は、前記系統に追加接続可能な複数の追加単相インバータのうち、前記位相差を大きく減少させるもの、または前記周波数における|Z|を大きく低減させるものの追加接続を優先的に許可することが好ましい。
また、上記課題を解決するために、本発明に係る系統連系インバータシステムの第2の安定性判定方法は、系統インピーダンス行列がZである系統に並列に接続された複数の三相インバータからなる系統連系インバータシステムであって、前記複数の三相インバータのそれぞれが前記系統に対する電力供給源として作動するものの安定性を判定する方法であって、(i)前記複数の三相インバータの出力アドミタンス行列の和であるYとZの正相成分の位相差が180°となる周波数が存在しないか、当該周波数におけるZの振幅が1以下であり、かつ(ii)YとZの逆相成分の位相差が180°となる周波数が存在しないか、当該周波数におけるZの振幅が1以下である場合に、前記系統連系インバータシステムが安定であると判定することを特徴とする。
また、上記課題を解決するために、本発明に係る系統連系インバータシステムの第2の安定化方法は、系統インピーダンス行列がZである系統に並列に接続された複数の三相インバータからなる系統連系インバータシステムであって、前記複数の三相インバータのそれぞれが前記系統に対する電力供給源として作動するものを安定化させる方法であって、前記系統に対する電力供給源として作動する少なくとも1つの追加三相インバータを前記系統に並列に追加接続することにより、(i)前記複数の三相インバータおよび前記少なくとも1つの追加三相インバータの出力アドミタンス行列の和であるYとZの正相成分の位相差が180°となる周波数が存在しないようにするか、当該周波数におけるZの振幅を1以下にし、かつ(ii)YとZの逆相成分の位相差が180°となる周波数が存在しないようにするか、当該周波数におけるZの振幅を1以下にすることを特徴とする。
また、上記課題を解決するために、本発明に係る系統連系インバータシステムの第2の管理方法は、系統インピーダンス行列がZである系統に並列に接続された複数の三相インバータからなる系統連系インバータシステムであって、前記複数の三相インバータのそれぞれが前記系統に対する電力供給源として作動するものの安定性を管理する方法であって、前記系統に対する電力供給源として作動する少なくとも1つの追加三相インバータを前記系統に並列に追加接続する際に、(i)前記複数の三相インバータおよび前記少なくとも1つの追加三相インバータの出力アドミタンス行列の和であるYとZの正相成分の位相差が180°となる周波数が存在しないか、当該周波数におけるZの振幅が1以下になり、かつ(ii)YとZの逆相成分の位相差が180°となる周波数が存在しないか、当該周波数におけるZの振幅が1以下になる場合に限って、前記少なくとも1つの三相インバータの追加接続を許可することを特徴とする。
また、上記課題を解決するために、本発明に係る系統連系インバータシステムの第3の安定性判定方法は、系統インピーダンスの合成値がZssである系統部に接続された複数の単相インバータからなる系統連系インバータシステムであって、前記複数の単相インバータのそれぞれが前記系統部に対する電力供給源として作動するものの安定性を判定する方法であって、前記複数の単相インバータの出力アドミタンスの合成値であるYooとZssとの位相差が180°となる周波数が存在しないか、当該周波数における|Zssoo|が1以下である場合に、前記系統連系インバータシステムが安定であると判定することを特徴とする。
また、上記課題を解決するために、本発明に係る系統連系インバータシステムの第3の安定化方法は、系統インピーダンスの合成値がZssである系統部に接続された複数の単相インバータからなる系統連系インバータシステムであって、前記複数の単相インバータのそれぞれが前記系統部に対する電力供給源として作動するものを安定化させる方法であって、前記系統部に対する電力供給源として作動する少なくとも1つの追加単相インバータを前記系統部に並列に追加接続することにより、前記複数の単相インバータおよび前記少なくとも1つの追加単相インバータの出力アドミタンスの合成値であるYooとZssとの位相差が180°となる周波数が存在しないようにするか、当該周波数における|Zssoo|を1以下にすることを特徴とする。
また、上記課題を解決するために、本発明に係る系統連系インバータシステムの第3の管理方法は、系統インピーダンスの合成値がZssである系統部に接続された複数の単相インバータからなる系統連系インバータシステムであって、前記複数の単相インバータのそれぞれが前記系統部に対する電力供給源として作動するものの安定性を管理する方法であって、前記系統部に対する電力供給源として作動する少なくとも1つの追加単相インバータを前記系統部に並列に追加接続する際に、前記複数の単相インバータおよび前記少なくとも1つの追加単相インバータの出力アドミタンスの合成値であるYooとZssとの位相差が180°となる周波数が存在しないか、当該周波数における|Zssoo|が1以下になる場合に限って、前記少なくとも1つの単相インバータの追加接続を許可することを特徴とする。
本発明によれば、系統連系インバータシステムの安定性を容易に判定する方法、不安定になりかかったシステムを安定化させる方法、および不安定にならないようにシステムを管理する方法を提供することができる。
本発明の第1実施例および第2実施例に係る方法が適用される系統連系インバータシステムの概略構成図である。 図1の系統連系インバータシステムに備えられたインバータの一例を示す回路図である。 図1の系統連系インバータシステムの等価回路図である。 フィードバック補償制御系のブロック図である。 リアプノフ制御系のブロック図である。 図1の系統連系インバータシステム(ただし、N=1、L=4mH)に備えられたインバータにフィードバック補償制御を適用した場合のZ,Zの解析特性図であって、(A)は振幅の周波数特性を示す図であり、(B)は位相の周波数特性を示す図である。 図1の系統連系インバータシステム(ただし、N=1、L=4mH)に備えられたインバータにリアプノフ制御を適用した場合のZ,Zの解析特性図であって、(A)は振幅の周波数特性を示す図であり、(B)は位相の周波数特性を示す図である。 図1の系統連系インバータシステム(ただし、N=2、L=4mH)に備えられたインバータの1台にフィードバック補償制御を適用し、もう1台にリアプノフ制御を適用した場合のZ,Zの解析特性図であって、(A)は振幅の周波数特性を示す図であり、(B)は位相の周波数特性を示す図である。 フィードバック補償制御された1〜20台のインバータを備えた図1の系統連系インバータシステムを安定化させるために必要となるリアプノフ制御されたインバータの台数を示すグラフである。 図1の系統連系インバータシステム(ただし、N=1、L=1mH)に備えられたインバータにフィードバック補償制御を適用した場合のZ,Zの測定特性図であって、(A)は振幅の周波数特性を示す図であり、(B)は位相の周波数特性を示す図である。 図1の系統連系インバータシステム(ただし、N=1、L=4mH)に備えられたインバータにフィードバック補償制御を適用した場合のZ,Zの測定特性図であって、(A)は振幅の周波数特性を示す図であり、(B)は位相の周波数特性を示す図である。 図1の系統連系インバータシステム(ただし、N=1、L=4mH)に備えられたインバータにリアプノフ制御を適用した場合のZ,Zの測定特性図であって、(A)は振幅の周波数特性を示す図であり、(B)は位相の周波数特性を示す図である。 図1の系統連系インバータシステム(ただし、N=2、L=4mH)に備えられたインバータの1台にフィードバック補償制御を適用し、もう1台にリアプノフ制御を適用した場合のZ,Zの測定特性図であって、(A)は振幅の周波数特性を示す図であり、(B)は位相の周波数特性を示す図である。 図1の系統連系インバータシステム(ただし、N=1、L=1mH)に備えられたインバータにフィードバック補償制御を適用した場合のIL2,Vgcの測定波形図である。 図1の系統連系インバータシステム(ただし、N=1、L=2mH)に備えられたインバータにフィードバック補償制御を適用した場合のIL2,Vgcの測定波形図である。 図1の系統連系インバータシステム(ただし、N=1、L=4mH)に備えられたインバータにリアプノフ制御を適用した場合のIL2,Vgcの測定波形図である。 図1の系統連系インバータシステム(ただし、N=2、L=4mH)に備えられたインバータの1台にフィードバック補償制御を適用し、もう1台にリアプノフ制御を適用した場合のI,Vgcの測定波形図である。 本発明の第3実施例に係る方法が適用される系統連系インバータシステムを構成するインバータの等価回路図である。 本発明の第3実施例に係る方法が適用される系統連系インバータシステムの等価回路図である。 本発明の第4実施例に係る方法が適用される系統連系インバータシステムの概略構成図である。 本発明の第4実施例に係る方法が適用される系統連系インバータシステムを構成する、縦続接続されたインバータの等価回路図である。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明に係る系統連系インバータシステムの安定性判定方法、安定化方法および管理方法の実施例について説明する。
[第1実施例]
(系統連系インバータシステムの構成)
図1に、本発明の第1実施例に係る各方法(安定性判定方法、安定化方法および管理方法)が適用される系統連系インバータシステム1を示す。同図に示すように、系統連系インバータシステム1は、N台(ただし、Nは1以上の整数)のインバータ(第1インバータINV,第2インバータINV,・・・,第NインバータINV)を備え、各インバータINV,INV,・・・,INVは、系統インダクタ3を有する系統2に対して並列に接続されている。
系統2の一端を基準としたときの他端の電位はVであり、系統連系点4の一方を基準としたときの他方の電位はVgcである。また、系統インダクタ3のインダクタンスはLである。
図2に示すように、第1インバータINVは、直流電源5と、単相ブリッジを構成する4つのスイッチ素子SW,SW,SW,SWと、単相ブリッジの出力側に設けられたLCL形のフィルタと、系統連系点4に接続される出力端子9,9とを備えている。フィルタは、出力電流(後述する電流IL2)の高調波を抑制するためのもので、第1インダクタ6と、第2インダクタ7と、キャパシタ8とを含んでいる。また、スイッチ素子SW,SW,SW,SWは、不図示の制御部によってオン/オフが制御される。
直流電源5が出力する電圧をEとすると、単相ブリッジの出力電圧はuE(ただし、指令値uは、−1≦u≦1)となる。第1インダクタ6を流れる電流はIL1、第2インダクタ7を流れる電流はIL2、キャパシタ8に発生する電圧はvである。また、第1インダクタ6のインダクタンスはL、第2インダクタ7のインダクタンスはL、キャパシタ8のキャパシタンスはCである。電流IL2は、第1インバータINVの出力電流となる。
本実施例では、他のインバータINV,・・・,第NインバータINVも第1インバータINVと同様の構成を有している。しかしながら、これは一例であって、インバータINV,INV,・・・,INVの構成は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、制御部によるスイッチ素子SW,SW,SW,SWの制御手法も、インバータ毎に異なっていてもよい。
(系統連系インバータシステムの安定性判定方法)
系統連系インバータシステム1は、図3に示すような等価回路で表すことができる。より詳しくは、各インバータINV,INV,・・・,INVは、電流源I(ただし、i=1,2,・・・,N)と出力アドミタンスY(ただし、i=1,2,・・・,N)のノートンの回路で表すことができる。また、系統側は、系統インピーダンスZ(ただし、Z=jωL)と電圧源Vsのテブナンの回路で表すことができる。
この場合、連系点電圧Vgcは、式(1)を変形してなる式(2)で表される。
Figure 2017131096
Figure 2017131096
ここで、式(2)中のYは、全インバータINV,INV,・・・,INVの出力アドミタンスY,Y,・・・,Yの和である。
式(2)の最右辺の分母にナイキストの安定判別法を適用すると、「系統インピーダンスZと出力アドミタンスYとの位相差が180°となる周波数が存在し、かつ当該周波数における|Z|が1よりも大きいこと」が連系点電圧Vgcが不安定となる必要条件、すなわち、系統連系インバータシステム1が不安定となる必要条件であることが分かる。逆に言うと、系統インピーダンスZと出力アドミタンスYとの位相差が180°となる周波数が存在しない場合、および位相差が180°となる周波数が存在したとしても、当該周波数における|Z|が1以下である場合は、系統連系インバータシステム1は安定であると言える。
本発明の第1実施例に係る安定性判定方法は、これらのことを利用して系統連系インバータシステム1が安定であるか否かを判定する。なお、上記必要条件「|Z|が1よりも大きい」は、全インバータINV,INV,・・・,INVの合成出力インピーダンスZ(ただし、Z=1/Y)で表現した必要条件「ZがZよりも大きい」と等価である。
(系統連系インバータシステムの安定化方法)
出力アドミタンスYは、上記の通り、全インバータINV,INV,・・・,INVの出力アドミタンスY,Y,・・・,Yの和である。したがって、インバータの追加により台数Nが増加すると、出力アドミタンスYも増加し、系統連系インバータシステム1の安定性は低下する傾向にある。ただし、追加されるインバータが受動的な特性を示す場合、すなわち、追加されるインバータの出力インピーダンスの位相が±90°の範囲内に収まっている場合は、追加されたインバータを含む全インバータの出力アドミタンスYと系統インピーダンスZとの位相差は追加前の位相差よりも減少する。そして、その結果、位相差が180°となる周波数が存在しないようになれば、|Z|が1よりも大きいか否かに関わらず、系統連系インバータシステム1は安定する。
本発明の第1実施例に係る安定化方法は、既存の系統連系インバータシステム1に受動的な特性を示す少なくとも1台のインバータを追加接続することにより、当該系統連系インバータシステム1を安定化させる。この安定化方法によれば、不安定なシステムを安定化させたり、不安定になりかかったシステムの安定性に余裕を持たせたりすることができる。
なお、追加するインバータが受動的な特性を示すためには、例えば、当該インバータにリアプノフ制御を適用すればよいが、制御方式はこれに限定されない。
(系統連系インバータシステムの管理方法)
本発明の第1実施例に係る管理方法は、個々のインバータを所有または管理する非電力事業者や個人等ではなく、システム全体を管理する立場の者(以下、「管理者」という)が実行する。
管理者は、非電力事業者や個人等から新たなインバータの接続に関するリクエストがあったときに、リクエストに係るインバータを含むシステム全体の安定性を上記の安定性判定方法に基づいて判定する。そして、安定であるとの結果が得られた場合、すなわち、系統インピーダンスZと出力アドミタンスYとの位相差が180°となる周波数が存在しない場合、または位相差が180°となる周波数が存在していたとしても、当該周波数における|Z|が1以下である場合に、当該インバータの接続を許可する。
また、管理者は、非電力事業者や個人等から複数のインバータの接続に関するリクエストがあったときに、リクエストに係る複数のインバータのそれぞれについてシステム全体の上記の安定性判定方法に基づいて安定性を判定する。そして、リクエストに係る複数のインバータのうち、系統インピーダンスZと出力アドミタンスYとの位相差を大きく減少させるもの、または、位相差が180°となる周波数における|Z|を大きく低減させるものの接続を優先的に許可する。
この管理方法によれば、安定性を損なうことなく、連系するインバータの台数を増加させていくことができる。
(効果確認のための解析・実験)
続いて、本発明の効果を確認するために行った解析(シミュレーション)および実験の結果について説明する。
本解析では、アナログ的な制御部を用いて系統に連系するインバータを制御し、本実験では、ディジタル的な制御部を用いて系統に連系するインバータを制御した。
また、本解析および実験では、正弦波補償器によるフィードバック補償制御およびリアプノフ制御によって系統に連系するインバータを制御した。リアプノフ制御は、インバータに受動的な特性を必ず持たせることができる制御手法の一例である。一方、フィードバック補償制御は、インバータに受動的な特性を持たせることができるとは限らない制御手法の一例である。これらは既知の制御手法である。したがって、以下では、これらについて簡単に説明するのみとする。
(1)フィードバック補償制御
フィードバック補償制御におけるインバータ(例えば、図2に示すフィルタ付きのインバータ)単体での状態方程式を式(3)に、その制御則を式(4)に示す。
Figure 2017131096
Figure 2017131096
ここで、式(3)中のA,b,cおよびhは、式(5)の通りである。
Figure 2017131096
なお、式(3),(4)中のx(t)は、第1インダクタ6を流れる電流IL1、第2インダクタ7を流れる電流(出力電流)IL2、およびキャパシタ8に発生する電圧vを構成要素とする状態変数ベクトルである。また、式(5)中のRは、第1インダクタ6に対して直列な抵抗(例えば、第1インダクタ6自身の抵抗成分)であり、Rは、第2インダクタ7に対して直列な抵抗(例えば、第2インダクタ7自身の抵抗成分)である。
図4は、これらを周波数領域における制御ブロック図で表したものである。出力端子9,9(図2参照)における単位電圧励起と、制御系を含むインバータ単体での各状態変数との周波数領域における関係は、式(6)に示す通りである。
Figure 2017131096
したがって、式(6)におけるX(s)を構成する出力電流IL2(s)の逆数が、フィードバック補償制御が適用されたインバータの出力インピーダンスZとなる。
(2)リアプノフ制御
リアプノフ制御におけるインバータ(例えば、図2に示すフィルタ付きのインバータ)単体での状態方程式および制御則を式(7)に示す。
Figure 2017131096
ここで、式(7)中のA,bおよびhは、式(5)の通りである。また、x(t)は状態変数ベクトルであり、x(t)は基準状態変数ベクトルであり、u(t)は基準波形による項である。
図5は、これらを周波数領域における制御ブロック図で表したものである。出力端子9,9(図2参照)における単位電圧励起と、制御系を含むインバータ単体での各状態変数との周波数領域における関係は、式(8)に示す通りである。
Figure 2017131096
したがって、式(8)におけるX(s)を構成する出力電流IL2(s)の逆数が、リアプノフ制御が適用されたインバータの出力インピーダンスZとなる。
(解析結果1)
台数Nを1、インダクタンスLを4mHとし、第1インバータINVにフィードバック補償制御を適用した系統連系インバータシステム1について解析を行った。図6に、この解析により得られた出力インピーダンスZおよび系統インピーダンスZの振幅および位相の周波数特性を示す。
同図(B)に示されているように、500Hzにおいて、第1インバータINVの出力インピーダンスZと系統インピーダンスZの位相差は180°となった。すなわち、500Hzにおいて、出力アドミタンスY(ただし、Y=Y=1/Z)と系統インピーダンスZの位相差は180°となった。また、同図(A)に示されているように、この周波数においては、系統インピーダンスZが出力インピーダンスZよりも僅かではあるが大きかった。すなわち、この系統連系インバータシステム1は、不安定であった。
次に、第1インバータINVの制御手法をリアプノフ制御に変更した同様の系統連系インバータシステム1について解析を行った。図7に、この解析により得られた出力インピーダンスZおよび系統インピーダンスZの振幅および位相の周波数特性を示す。
同図(B)に示されているように、解析を行った全周波数100Hz〜10kHzにおいて、第1インバータINVの出力インピーダンスZの位相は±90°の範囲内に収まっており、出力インピーダンスZと系統インピーダンスZの位相差が180°となることはなかった。すなわち、この系統連系インバータシステム1は、系統インピーダンスZの値にかかわらず安定であった。
次に、台数Nを2、インダクタンスLを4mHとし、第1インバータINVにフィードバック補償制御を適用し、第2インバータINVにリアプノフ制御を適用した系統連系インバータシステム1について解析を行った。図8に、この解析により得られた合成出力インピーダンスZおよび系統インピーダンスZの振幅および位相の周波数特性を示す。
同図(B)に示されているように、解析を行った全周波数100Hz〜10kHzにおいて、合成出力インピーダンスZの位相は±90°の範囲内に収まっており、合成出力インピーダンスZと系統インピーダンスZの位相差が180°となることはなかった。すなわち、この系統連系インバータシステム1も、系統インピーダンスZの値にかかわらず安定であった。
図6〜図8に示した解析結果1は、受動的な特性を示さないインバータ(上の例では、第1インバータINV)に、受動的な特性を示すインバータ(上の例では、第2インバータINV)を組み合わせることにより、システム全体が安定化されることを示している。表1は、解析結果1をまとめたものである。
Figure 2017131096
(解析結果2)
図9中の実線は、フィードバック補償制御が適用されたインバータの台数と、システム全体の安定化のために必要となるリアプノフ制御が適用されたインバータの台数との関係を、本実施例に係る安定性判定方法により解析的に求めた結果である。この結果は、受動的な特性を示さないインバータの台数が増えても、それに応じて受動的な特性を示すインバータの台数を増やしていけば、システム全体の安定性が維持されることを示している。例えば、受動的な特性を示さないインバータの台数が8台である場合は、受動的な特性を示すインバータを3台以上追加接続することにより、システム全体の安定性を維持することができる。
なお、本実施例に係る安定性判定方法による結果(実線)は、破線で示した従来のシステム解析による結果と概ね一致した。
(実験結果1)
台数Nを1、インダクタンスLを1mHとし、第1インバータINVにフィードバック補償制御を適用した系統連系インバータシステム1について実験を行った。図10に、この実験で測定された出力インピーダンスZおよび系統インピーダンスZの振幅および位相の周波数特性を示す。
同図(B)に示されているように、450Hzにおいて、第1インバータINVの出力インピーダンスZと系統インピーダンスZの位相差は180°となった。すなわち、450Hzにおいて、出力アドミタンスY(ただし、Y=Y=1/Z)と系統インピーダンスZの位相差は180°となった。一方、同図(A)に示されているように、この周波数においては、出力インピーダンスZが系統インピーダンスZよりも大きかった。すなわち、この系統連系インバータシステム1は、安定であった。
次に、インダクタンスLを4mHに変更した同様の系統連系インバータシステム1について実験を行った。図11に、この実験で測定された出力インピーダンスZおよび系統インピーダンスZの振幅および位相の周波数特性を示す。
同図(B)に示されているように、450Hzにおいて、第1インバータINVの出力インピーダンスZと系統インピーダンスZの位相差は180°となった。すなわち、450Hzにおいて、出力アドミタンスY(ただし、Y=Y=1/Z)と系統インピーダンスZの位相差は180°となった。また、同図(A)に示されているように、この周波数においては、系統インピーダンスZが出力インピーダンスZよりも僅かではあるが大きかった。すなわち、この系統連系インバータシステム1は、不安定であった。
次に、インダクタンスLを4mHとし、第1インバータINVの制御手法をリアプノフ制御に変更した同様の系統連系インバータシステム1について実験を行った。図12に、この実験で測定された出力インピーダンスZおよび系統インピーダンスZの振幅および位相の周波数特性を示す。
同図(B)に示されているように、実験を行った全周波数100Hz〜10kHzにおいて、第1インバータINVの出力インピーダンスZの位相は±90°の範囲内に収まっており、出力インピーダンスZと系統インピーダンスZの位相差が180°となることはなかった。すなわち、この系統連系インバータシステム1は、系統インピーダンスZの値にかかわらず安定であった。
次に、台数Nを2、インダクタンスLを4mHとし、第1インバータINVにフィードバック補償制御を適用し、第2インバータINVにリアプノフ制御を適用した系統連系インバータシステム1について実験を行った。図12に、この実験で測定された合成出力インピーダンスZおよび系統インピーダンスZの振幅および位相の周波数特性を示す。
同図(B)に示されているように、実験を行った全周波数100Hz〜10kHzにおいて、合成出力インピーダンスZの位相は±90°の範囲内に収まっており、合成出力インピーダンスZと系統インピーダンスZの位相差が180°となることはなかった。すなわち、この系統連系インバータシステム1も、系統インピーダンスZの値にかかわらず安定であった。
図10〜図13に示した実験結果1は、解析結果1と同様、受動的な特性を示さないインバータ(上の例では、第1インバータINV)に、受動的な特性を示すインバータ(上の例では、第2インバータINV)を組み合わせることにより、システム全体が安定化されることを示している。表2は、実験結果1をまとめたものである。
Figure 2017131096
(実験結果2)
台数Nを1、インダクタンスLを1mHとし、第1インバータINVにフィードバック補償制御を適用した系統連系インバータシステム1について実験を行った。図14に、この実験で測定された出力電流IL2および連系点電圧Vgcの波形を示す。
同図に示されているように、この条件では、出力電流IL2に450Hzの僅かな振動が見られたが、連系点電圧Vgcは綺麗な正弦波状であった。すなわち、この系統連系インバータシステム1は、安定であった。
系統インダクタ3のインダクタンスLを2mHに変更すると、出力電流IL2における450Hzの振動が顕著となり、その影響が連系点電圧Vgcに見られた(図15参照)。そして、インダクタンスLを4mHに変更すると、系統連系インバータシステム1は、完全に不安定となって動作しなかった。
次に、インダクタンスLを4mHとし、第1インバータINVの制御手法をリアプノフ制御に変更した同様の系統連系インバータシステム1について実験を行った。図16に、この実験で測定された出力電流IL2および連系点電圧Vgcの波形を示す。
同図に示されているように、この条件では、連系点電圧Vgcは綺麗な正弦波状であった。また、出力電流IL2に振動は見られなかった。すなわち、この系統連系インバータシステム1は、安定であった。
台数Nを2、インダクタンスLを4mHとし、第1インバータINVにフィードバック補償制御を適用し、第2インバータINVにリアプノフ制御を適用した系統連系インバータシステム1について実験を行った。図17に、この実験で測定された出力電流Iおよび連系点電圧Vgcの波形を示す。なお、出力電流Iは、第1インバータINVおよび第2インバータINVの出力電流IL2の和である。
同図に示されているように、この条件では、出力電流Iおよび連系点電圧Vgcの両方に僅かな振動が見られたが、この系統連系インバータシステム1は、総じて安定であった。
図14〜図17に示した実験結果2も、解析結果1および実験結果1と同様、受動的な特性を示さないインバータ(上の例では、第1インバータINV)に、受動的な特性を示すインバータ(上の例では、第2インバータINV)を組み合わせることにより、システム全体が安定化されることを示している。表3は、実験結果2をまとめたものである。
Figure 2017131096
[第2実施例]
本発明の第2実施例では、複数の三相インバータを系統に並列に接続してなる系統連系インバータシステムに各方法(安定性判定方法、安定化方法および管理方法)が適用される。本実施例に係る各方法は、式(2)を行列形式に拡張してなる式(9)を用いる。
Figure 2017131096
式(9)のI+Zにナイキストの安定判別法を適用することにより、「(i)系統インピーダンス行列Zおよび出力アドミタンス行列Yの正相成分の位相差が180°となる周波数が存在し、かつ当該周波数におけるZの振幅が1よりも大きいか、(ii)系統インピーダンス行列Zおよび出力アドミタンス行列Yの逆相成分の位相差が180°となる周波数が存在し、かつ当該周波数におけるZの振幅が1よりも大きいこと」が系統連系インバータシステムが不安定となる必要条件であることが分かる。逆に言うと、系統連系インバータシステムは、(i)系統インピーダンス行列Zおよび出力アドミタンス行列Yの正相成分の位相差が180°となる周波数が存在しないか、存在していたとしても当該周波数におけるZの振幅が1以下であり、かつ(ii)系統インピーダンス行列Zおよび出力アドミタンス行列Yの逆相成分の位相差が180°となる周波数が存在しないか、存在していたとしても当該周波数におけるZの振幅が1以下であれば、安定であると言える。
なお、式(9)中のIは単位行列である。また、式(9)においては、電圧(Vgc,V)および電流(I)がベクトルで表現され、インピーダンス(Z)およびアドミタンス(Y)が行列で表現されている点に注意されたい。
[第3実施例]
本発明の第3実施例では、第1実施例に係る系統連系インバータシステム1と同様、電力供給源となるN台の単相インバータ(第1インバータINV,第2インバータINV,・・・,第NインバータINV)が、系統インダクタ3を有する系統2に対して並列に接続されている。ただし、本実施例では、各インバータが、系統連系点4との距離に応じたインバータ側線路インピーダンスZを含んでいる。
図18に示すように、インバータ側線路インピーダンスZを含むインバータは、合成出力アドミタンスY’および合成電流源I’からなる等価回路で表すことができる。この場合、合成出力アドミタンスY’は式(10)で表される。また、合成電流源I’は式(11)で表される。
Figure 2017131096
Figure 2017131096
結局、本実施例に係る系統連系インバータシステムは、図19に示すような等価回路で表すことができる。そして、本実施例に係る安定性判定方法は、式(2)に似た式(12)の最右辺の分母にナイキストの安定判別法を適用することにより導き出した条件、すなわち、系統インピーダンスZとアドミタンスYとの位相差が180°となる周波数が存在しないこと、または、位相差が180°となる周波数が存在したとしても、当該周波数における|Z|が1以下であること、を用いて安定性を判定する。本実施例に係る安定化方法および管理方法についても同様である。
Figure 2017131096
ここで、合成出力アドミタンスY’の和であるアドミタンスYには、インバータの本来の出力アドミタンスYのみならず、インバータ側線路インピーダンスZも含まれる。このことを考慮して、ここでは、アドミタンスYを「出力アドミタンスYの合成値」と呼ぶこととする。
なお、本実施例では、各インバータの安定のために、ZとYとの位相差が180°となる周波数が存在しないこと、または、位相差が180°となる周波数が存在していたとしても、当該周波数における|Z|が1以下であることが好ましい(式(10)の最右辺の分母参照)。通常、インバータ側線路インピーダンスZは非常に小さいので、各インバータが不安定になることはほとんどない。
[第4実施例]
本発明の第4実施例では、第1実施例に係る系統連系インバータシステム1とは異なり、縦続接続された2台の単相インバータ(第1インバータINV,第2インバータINV)が、系統インダクタ3を有する系統2に対して並列に接続されている(図20参照)。また、本実施例では、第3実施例と同様、各インバータがインバータ側線路インピーダンスZを含んでいる。
図21に示すように、インバータ側線路インピーダンスZを含む第1インバータINVおよびインバータ側線路インピーダンスZを含む第2インバータINVは、アドミタンスYおよび電流源Iからなる等価回路で表すことができる。この場合、アドミタンスYは式(13)で表される。また、電流源Iは式(14)で表される。
Figure 2017131096
Figure 2017131096
本実施例に係る安定性判定方法は、式(2)に似た式(15)の右辺の分母にナイキストの安定判別法を適用することにより導き出した条件、すなわち、系統インピーダンスZとアドミタンスYとの位相差が180°となる周波数が存在しないこと、または、位相差が180°となる周波数が存在したとしても、当該周波数における|Z|が1以下であること、を用いて安定性を判定する。本実施例に係る安定化方法および管理方法についても同様である。
Figure 2017131096
ここで、アドミタンスYには、インバータの本来の出力アドミタンスY(Y1,Y)のみならず、インバータ側線路インピーダンスZ(Z1,Z)も含まれる(式(13)参照。Y1,Z1はY’に含まれる)。このことを考慮して、ここでは、アドミタンスYを「出力アドミタンスYの合成値」と呼ぶこととする。
なお、本実施例では、各インバータの安定のために、Zと(Y’+Y)との位相差が180°となる周波数が存在しないこと、または、位相差が180°となる周波数が存在していたとしても、当該周波数における|Z(Y’+Y)|が1以下であることが好ましい(式(13)の右辺の分母参照)。
以上、本発明に係る系統連系インバータシステムの安定性判定方法、安定化方法および管理方法の実施例について説明してきたが、本発明は、これらの構成に限定されるものではない。
例えば、本発明に係る各方法(安定性判定方法、安定化方法および管理方法)は、ノートンの回路で表すことができるインバータ群(まとめて、「インバータ部」という)と、テブナンの回路で表すことができる電圧源群(まとめて、「系統部」という)とが連系する、任意の系統連系インバータシステムに適用することができる。この場合、インバータ部の出力アドミタンスの合成値(これには、インバータ側線路インピーダンスが含まれる)をYoo、系統部の系統インピーダンスの合成値をZssとすると、合成値Zssと合成値Yooとの位相差が180°となる周波数が存在しない場合、および、位相差が180°となる周波数が存在したとしても、当該周波数における|Zssoo|が1以下である場合に、当該系統連系インバータシステムは安定であると言える。
また、本発明に係る各方法では、各インバータに備えられたフィルタの形式は特に限定されない。LCL形以外の形式としては、例えばL形がある。
本発明は、非電力事業者や個人が持ち寄った複数のインバータを商用送配電系統に接続してなる系統連系インバータシステム(「ACグリッド」ともいう)の安定性を判定したり、不安定になりかかったシステムを安定化させたり、不安定にならないように管理したりする際に利用することができる。また、本発明は、DCグリッドの安定性を判定したりする際等に利用することもできる。
1 系統連系インバータシステム
2 系統
3 系統インダクタ
4 系統連系点
5 直流電源
6 第1インダクタ
7 第2インダクタ
8 キャパシタ
INV,INV,・・・,INV インバータ

Claims (12)

  1. 系統インピーダンスがZである系統に並列に接続された複数の単相インバータからなる系統連系インバータシステムであって、前記複数の単相インバータのそれぞれが前記系統に対する電力供給源として作動するものの安定性を判定する方法であって、
    前記複数の単相インバータの出力アドミタンスの和であるYとZとの位相差が180°となる周波数が存在しないか、当該周波数における|Z|が1以下である場合に、前記系統連系インバータシステムが安定であると判定することを特徴とする判定方法。
  2. 系統インピーダンスがZである系統に並列に接続された複数の単相インバータからなる系統連系インバータシステムであって、前記複数の単相インバータのそれぞれが前記系統に対する電力供給源として作動するものを安定化させる方法であって、
    前記系統に対する電力供給源として作動する少なくとも1つの追加単相インバータを前記系統に並列に追加接続することにより、前記複数の単相インバータおよび前記少なくとも1つの追加単相インバータの出力アドミタンスの和であるYとZとの位相差が180°となる周波数が存在しないようにするか、当該周波数における|Z|を1以下にすることを特徴とする安定化方法。
  3. 前記少なくとも1つの追加単相インバータの出力インピーダンスの位相が、±90°の範囲内に収まっていることを特徴とする請求項2に記載の安定化方法。
  4. 前記少なくとも1つの追加単相インバータが、リアプノフ制御されていることを特徴とする請求項3に記載の安定化方法。
  5. 系統インピーダンスがZである系統に並列に接続された複数の単相インバータからなる系統連系インバータシステムであって、前記複数の単相インバータのそれぞれが前記系統に対する電力供給源として作動するものの安定性を管理する方法であって、
    前記系統に対する電力供給源として作動する少なくとも1つの追加単相インバータを前記系統に並列に追加接続する際に、前記複数の単相インバータおよび前記少なくとも1つの追加単相インバータの出力アドミタンスの和であるYとZとの位相差が180°となる周波数が存在しないか、当該周波数における|Z|が1以下になる場合に限って、前記少なくとも1つの単相インバータの追加接続を許可することを特徴とする管理方法。
  6. 前記系統に追加接続可能な複数の追加単相インバータのうち、前記位相差を大きく減少させるもの、または前記周波数における|Z|を大きく低減させるものの追加接続を優先的に許可することを特徴とする請求項5に記載の管理方法。
  7. 系統インピーダンス行列がZである系統に並列に接続された複数の三相インバータからなる系統連系インバータシステムであって、前記複数の三相インバータのそれぞれが前記系統に対する電力供給源として作動するものの安定性を判定する方法であって、
    (i)前記複数の三相インバータの出力アドミタンス行列の和であるYとZの正相成分の位相差が180°となる周波数が存在しないか、当該周波数におけるZの振幅が1以下であり、かつ(ii)YとZの逆相成分の位相差が180°となる周波数が存在しないか、当該周波数におけるZの振幅が1以下である場合に、前記系統連系インバータシステムが安定であると判定することを特徴とする判定方法。
  8. 系統インピーダンス行列がZである系統に並列に接続された複数の三相インバータからなる系統連系インバータシステムであって、前記複数の三相インバータのそれぞれが前記系統に対する電力供給源として作動するものを安定化させる方法であって、
    前記系統に対する電力供給源として作動する少なくとも1つの追加三相インバータを前記系統に並列に追加接続することにより、(i)前記複数の三相インバータおよび前記少なくとも1つの追加三相インバータの出力アドミタンス行列の和であるYとZの正相成分の位相差が180°となる周波数が存在しないようにするか、当該周波数におけるZの振幅を1以下にし、かつ(ii)YとZの逆相成分の位相差が180°となる周波数が存在しないようにするか、当該周波数におけるZの振幅を1以下にすることを特徴とする安定化方法。
  9. 系統インピーダンス行列がZである系統に並列に接続された複数の三相インバータからなる系統連系インバータシステムであって、前記複数の三相インバータのそれぞれが前記系統に対する電力供給源として作動するものの安定性を管理する方法であって、
    前記系統に対する電力供給源として作動する少なくとも1つの追加三相インバータを前記系統に並列に追加接続する際に、(i)前記複数の三相インバータおよび前記少なくとも1つの追加三相インバータの出力アドミタンス行列の和であるYとZの正相成分の位相差が180°となる周波数が存在しないか、当該周波数におけるZの振幅が1以下になり、かつ(ii)YとZの逆相成分の位相差が180°となる周波数が存在しないか、当該周波数におけるZの振幅が1以下になる場合に限って、前記少なくとも1つの三相インバータの追加接続を許可することを特徴とする管理方法。
  10. 系統インピーダンスの合成値がZssである系統部に接続された複数の単相インバータからなる系統連系インバータシステムであって、前記複数の単相インバータのそれぞれが前記系統部に対する電力供給源として作動するものの安定性を判定する方法であって、
    前記複数の単相インバータの出力アドミタンスの合成値であるYooとZssとの位相差が180°となる周波数が存在しないか、当該周波数における|Zssoo|が1以下である場合に、前記系統連系インバータシステムが安定であると判定することを特徴とする判定方法。
  11. 系統インピーダンスの合成値がZssである系統部に接続された複数の単相インバータからなる系統連系インバータシステムであって、前記複数の単相インバータのそれぞれが前記系統部に対する電力供給源として作動するものを安定化させる方法であって、
    前記系統部に対する電力供給源として作動する少なくとも1つの追加単相インバータを前記系統部に並列に追加接続することにより、前記複数の単相インバータおよび前記少なくとも1つの追加単相インバータの出力アドミタンスの合成値であるYooとZssとの位相差が180°となる周波数が存在しないようにするか、当該周波数における|Zssoo|を1以下にすることを特徴とする安定化方法。
  12. 系統インピーダンスの合成値がZssである系統部に接続された複数の単相インバータからなる系統連系インバータシステムであって、前記複数の単相インバータのそれぞれが前記系統部に対する電力供給源として作動するものの安定性を管理する方法であって、
    前記系統部に対する電力供給源として作動する少なくとも1つの追加単相インバータを前記系統部に並列に追加接続する際に、前記複数の単相インバータおよび前記少なくとも1つの追加単相インバータの出力アドミタンスの合成値であるYooとZssとの位相差が180°となる周波数が存在しないか、当該周波数における|Zssoo|が1以下になる場合に限って、前記少なくとも1つの単相インバータの追加接続を許可することを特徴とする管理方法。
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