JP2017125189A - 固形燃料、肥料、固形燃料の多元的有効利用システム、及びペレット製造方法 - Google Patents

固形燃料、肥料、固形燃料の多元的有効利用システム、及びペレット製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】堆肥及び/又は高水分バイオマス材を使用した使い易く実用的な固形燃料、その固形燃料を燃焼させた際に発生する灰を使用した肥料、固形燃料の多元的有効利用システム及びペレットの製造方法を提供する。【解決手段】堆肥及び/又は高水分バイオマス材と、木質系バイオマス材と、石灰とを主成分とする固形燃料であり、石灰が消石灰、又は石灰が消石灰及び生石灰であり、木質系バイオマス材が下記(A)群から選ばれる1種以上であり、また堆肥及び/又は高水分バイオマス材として下記(B)群から選ばれる1種以上を使用することができる。(A)竹チップ、支障木チップ、木くずチップ、間伐材チップ、広葉樹チップ、竹粉、支障木粉、木くず粉、間伐材粉、広葉樹粉(B)堆肥、堆肥の乾燥物、堆肥の半炭化物、堆肥の炭化物、高水分バイオマス材、高水分バイオマス材の乾燥物、高水分バイオマス材の半炭化物、高水分バイオマス材の炭化物【選択図】図3

Description

本発明は、家畜糞尿等の堆肥を用いた固形燃料、肥料、固形燃料の多元的有効利用システム、及び固形燃料のペレット製造方法に関する。
これまで牛、鶏などの家畜から排出される糞尿に対しては、堆肥、炭化物、燃料等とすることで有効利用が図られている。このうち堆肥は、維持管理費が安価であるため多く利用されている。しかしながら家畜から排出される糞尿は量が多く遠方に運ぶと送料がかかり過ぎ、限られた農地の需要量を越える糞尿の量が発生する地域では、糞尿を全て肥料として利用することはできない。
燃料として利用する方法は、熱エネルギーを回収することが可能であり、さらに多量の処理が可能である点で好ましい方法と言える。また家畜糞尿を燃焼させた際に発生する灰には肥料成分(燐酸、カリ等のミネラル)が多く含まれ、堆肥に比べ燃焼により減容した灰は、かさ比重が大きいので送料が安く堆肥よりも遠方に運べるので、肥料としての広域利用が期待される。しかしながら家畜糞尿は、木片チップのような木質バイオマス燃料に比較して含水率が高く、さらに燃料に適さない塩素や窒素や硫黄やカリウムや未燃成分(灰分)の含有量も高いことから燃料として十分に利用されているとは言い難い。
一方で、家畜糞尿を燃料化する新たな方法も提案されている。糞尿分離方式の畜産場から排出される畜糞を堆肥化し、これに木屑、廃油を混合し、固体燃料を製造する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。また、家畜糞尿を含む堆肥と木質系粉末とを混合し、乾燥させ自燃可能なバイオマス燃料を製造し、これを燃料として利用する家畜糞尿処理システムも提案されている(例えば特許文献2参照)。
特開2013−194110号公報 特開2013−199515号公報
特許文献1に記載の固体燃料は、糞尿分離方式の畜産場から排出される畜糞を堆肥化し使用するので、糞尿分離をしない場合に比べて、塩素含有率の低い固体燃料を得ることができる。しかしながらこの固体燃料にも塩素は含まれているので、燃焼させる際にはダイオキシン対策等が必要となる。
特許文献2に記載のバイオマス燃料は、自燃可能な燃料であるので別途、助燃剤を必要としないが、特許文献1に記載の固体燃料以上にダイオキシン対策等が必要となる。
以上のように堆肥を燃料化する方法も提案されているが、使い易く実用的な燃料とするには更なる改善が必要である。堆肥化途中のバイオマス材、あるいは堆肥化前のバイオマス材(生のバイオマス材)も堆肥と同じ要領で固形燃料とすることができればより好ましい。また堆肥等を固形燃料として有効利用する場合には、その固形燃料をさらに有効活用できるシステム等を構築することが望ましい。
本発明の目的は、堆肥及び/又は高水分バイオマス材を使用した固形燃料であって、使い易く実用的な固形燃料、その固形燃料を燃焼させた際に発生する灰を使用した肥料、固形燃料の多元的有効利用システム、及び固形燃料のペレット製造方法を提供することである。
本発明は、堆肥及び/又は高水分バイオマス材と、木質系バイオマス材と、石灰とを主成分とする固形燃料であり、前記石灰が消石灰、又は前記石灰が消石灰及び生石灰であり、前記木質系バイオマス材が下記(A)群から選ばれる1種以上であることを特徴とする固形燃料である。
(A)竹チップ、支障木チップ、木くずチップ、間伐材チップ、広葉樹チップ、竹粉、支障木粉、木くず粉、間伐材粉、広葉樹粉
一般的に、塩素、硫黄、窒素を含有する堆肥あるいはバイオマス材を含む燃料を燃焼させた場合、ダイオキシン類、窒素酸化物NOx、硫黄酸化物SOxの発生が問題となる。これに対して本発明の固形燃料は、消石灰を含んでいるので、燃焼過程で消石灰と塩素、硫黄、窒素が反応し、ダイオキシン類、窒素酸化物NOx、硫黄酸化物SOxの発生が抑制される。
本発明の固形燃料において、前記堆肥及び/又は高水分バイオマス材が、下記(B)群から選ばれる1種以上であることを特徴とする。
(B)堆肥、堆肥の乾燥物、堆肥の半炭化物、堆肥の炭化物、高水分バイオマス材、高水分バイオマス材の乾燥物、高水分バイオマス材の半炭化物、高水分バイオマス材の炭化物
堆肥の湿潤基準含水率は、一般的に50重量%程度であり、高水分バイオマス材は堆肥と同等以上の含水率であるから発熱量を上げるには、建築廃材のように乾燥された木くず等の木質系バイオマス材の含有量を多くする必要があるが、本発明の固形燃料は、堆肥等と共に発熱量の高い堆肥炭化物等を使用することができるので、容易に発熱量の高い固形燃料を得ることができる。
本発明の固形燃料は、800℃以上で自燃可能なことを特徴とする。
一般的に塩素を含有する堆肥あるいはバイオマス材を含む燃料を燃焼させた場合、ダイオキシン類の発生が問題となるが、本発明の固形燃料は、800℃以上で自燃可能なためダイオキシン類の発生を抑制できる。
本発明の固形燃料は、前記固形燃料がペレットに成形されていることを特徴とする。
本発明の固形燃料は、成形されたペレット状であるので粉の飛散の心配が無く取扱いが容易であり、さらに粉やチップに比べかさ比重が大きいので送料が安い。
本発明の固形燃料は、前記堆肥が、家畜糞尿堆肥、食品残渣堆肥、農産物残渣堆肥、下水処理残渣堆肥、し尿処理残渣堆肥のうちいずれか1種、又は2種以上の混合物であり、前記高水分バイオマス材が、家畜糞尿、食品残渣、農産物残渣、下水処理残渣、し尿処理残渣のうちいずれか1種、又は2種以上の混合物であることを特徴とする。
本発明の固形燃料は、種々の堆肥、種々の高水分バイオマス材を使用することができるので幅広い分野で利用することができる。
また本発明は、前記固形燃料を燃焼させた際に発生する灰を主材とする肥料であって、前記灰は、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウムのうち1種以上の水溶性カルシウムを含むことを特徴とする肥料である。
本発明の固形燃料は、消石灰を含むため、これを燃焼させると塩化カルシウム等が生成する。この塩化カルシウム等は、作物に有効な水溶性カルシウムであり、これらは最終的に灰に含まれることとなるため、この水溶性カルシウムを含んだ付加価値の高い灰を肥料として利用することができる。
また本発明は、前記固形燃料を燃料とする又は前記固形燃料を燃料の一部とする燃焼装置と、前記燃焼装置で発生する熱エネルギーを回収する熱エネルギー回収装置と、を含み、前記燃焼装置から排出される灰が、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウムのうち1種以上の水溶性カルシウムを含み、肥料として使用可能なことを特徴とする固形燃料の多元的有効利用システムである。
本発明の固形燃料の多元的有効利用システムを使用することで堆肥、家畜糞尿、木くず等を多元的に有効に利用することができる。
また本発明は、前記固形燃料のペレット製造方法であって、前記堆肥及び/又は高水分バイオマス材と粉末状の消石灰及び/又は生石灰とを混合し、前記堆肥及び/又は高水分バイオマス材の表面を前記消石灰及び/又は生石灰でコーティングする第1工程と、前記第1工程後に、前記木質系バイオマス材を添加、混合し、ペレット化する第2工程と、を含むことを特徴とするペレット製造方法である。
堆肥及び/又は高水分バイオマス材と、木質系バイオマス材と、粉末状の消石灰及び/又は生石灰とを主成分とする固形燃料をペレット化する際に、上記のように混合工程を2工程で行えば、全ての材料を一度に混合するよりは、塩素・硫黄・窒素の含有量の多い堆肥及び/又は高水分バイオマス材の表面を最小限の量の消石灰及び/又は生石灰でコーティングすることができる。
本発明のペレット製造方法において、前記第1工程及び前記第2工程において、水分量を管理し強固に固められたペレットを得ることを特徴とする。
水分量を管理し強固に固められたペレットは、ハンドリングが容易で粉化し難くい。このようなペレットは、供給も安定して行え、燃焼空気比とのバランスを維持し易く完全燃焼させ易い。
本発明によれば、堆肥及び/又は高水分バイオマス材を使用した固形燃料であって、使い易く実用的な固形燃料、その固形燃料を燃焼させた際に発生する灰を使用した肥料、固形燃料の多元的有効利用システム、及び固形燃料のペレット製造方法を提供することができる。
本発明の固形燃料の第1の製造プロセスフロー図である。 本発明の固形燃料の第2の製造プロセスフロー図である。 本発明の固形燃料の多元的有効利用システムのプロセスフロー図である。
本発明の固形燃料は、堆肥と、木質系バイオマス材と、消石灰とを主成分とする固形燃料である。また本発明の固形燃料は、堆肥に代えて高水分バイオマス材を使用してもよく、堆肥と高水分バイオマス材とを一緒に使用してもよい。また消石灰に生石灰が含まれていてもよい。
堆肥は、特定の材料の堆肥に限定されるものではないが、家畜糞尿、食品残渣、農産物残渣、下水処理残渣、及びし尿処理残渣を堆肥としたものを好適に使用することができる。家畜糞尿等は、排出量が多く、これまで十分に有効活用されていない地域がある。本発明の固形燃料は、そのような家畜糞尿等を堆肥化し、これを燃料の一部として使用するので家畜糞尿等を有効利用することができる。堆肥は、1種類の材料からなる堆肥である必要はなく、家畜糞尿堆肥、食品残渣堆肥、農産物残渣堆肥、下水処理残渣堆肥、及びし尿処理残渣堆肥の2種以上を混合したものであってもよい。
また堆肥は、生の堆肥のほか、堆肥の乾燥物、堆肥の半炭化物、堆肥の炭化物であってもよい。またこれらを2種類以上一緒に使用してもよい。ここで生の堆肥とは、堆肥を乾燥、半炭化、炭化する前の状態のものを言う。
堆肥の乾燥物は、堆肥を乾燥し水分を蒸発させたものである。堆肥の半炭化物は、堆肥を無酸素雰囲気下又は低酸素雰囲気下で、200〜350℃程度の温度で熱分解処理したものであり、この処理はトレファクションとも呼ばれる。堆肥の炭化物は、堆肥を無酸素雰囲気下又は低酸素雰囲気下で、350〜600℃程度の温度で熱分解処理したものである。乾燥物、半炭化物、及び炭化物の定義は、高水分バイオマス材でも同じである。
高水分バイオマス材とは、水分を多く含むバイオマス材を言う。高水分バイオマス材は、特定のバイオマス材に限定されるものではないが、家畜糞尿、食品残渣、農産物残渣、下水処理残渣、及びし尿処理残渣を好適に使用することができる。家畜糞尿等は、排出量が多く、これまで十分に有効活用されていない地域がある。本発明の固形燃料は、そのような家畜糞尿等を燃料の一部として使用するので家畜糞尿等を有効利用することができる。高水分バイオマス材は、1種類のバイオマス材である必要はなく、家畜糞尿、食品残渣、農産物残渣、下水処理残渣、及びし尿処理残渣の2種以上を混合したものであってもよい。
また高水分バイオマス材は、生の高水分バイオマス材のほか、高水分バイオマス材の乾燥物、高水分バイオマス材の半炭化物、高水分バイオマス材の炭化物であってもよい。またこれらを2種類以上一緒に使用してもよい。ここで生の高水分バイオマス材とは、高水分バイオマス材を乾燥、半炭化、炭化する前の状態のものを言う。
堆肥及び高水分バイオマス材にはそれぞれ長所短所がある。例えば家畜糞尿堆肥は、家畜糞尿に比較して臭いが抑えられているので固形燃料とした際も臭いが少ない。一方で、家畜糞尿堆肥は、堆肥化するまでに手間と時間がかかる。乾燥物、半炭化物及び炭化物にも長所短所があるので、目的に応じて適宜好ましいものを使用すればよい。
木質系バイオマス材は、燃料に適さない塩素や窒素や硫黄やカリウム等の希釈及び、固形燃料の発熱量を調整するために加えられる。ここで使用可能な木質系バイオマス材は、竹及び木質バイオマス材であり、竹、支障木、木くず、間伐材、広葉樹が挙げられる。これらは堆肥及び/又は高水分バイオマス材と混合するため破砕又は粉砕し、竹チップ、支障木チップ、木くずチップ、間伐材チップ、広葉樹チップとし使用する。この他に竹粉、支障木粉、木くず粉、間伐材粉、広葉樹粉等を使用することができる。竹チップと支障木チップ、さらには木くず粉等を一緒に使用してもよい。なお木質系バイオマス材、特に竹は、脱臭作用もあるので、これらを加えることで固形燃料の臭いを抑えることができる。
表1に肉牛糞尿堆肥、肉牛糞尿堆肥の炭化物、木質チップ、竹チップの発熱量及び塩素含有量等を示した。木質チップと竹チップは、肉牛糞尿堆肥及び肉牛糞尿堆肥炭化物に比較して、発熱量は約700kcal/kg以上高く、塩素含有量は1/10以下である。
Figure 2017125189
消石灰は、固形燃料を燃焼させた際に発生するダイオキシン類、窒素酸化物NOx、硫黄酸化物SOxの発生を抑制するために添加する。本固形燃料は、表1に示すように材料である堆肥及び/又は高水分バイオマス材、あるいは木質系バイオマス材に塩素が含まれるため、これを燃焼させるとダイオキシン類の生成が懸念されるが、消石灰Ca(OH)を共存させることで、塩素Clと消石灰Ca(OH)とが反応しダイオキシン類の生成を抑制することができる。
また塩素Cl、硫黄S、窒素Nを含む燃料を燃焼させると、酸性ガス(塩酸HCl、硫酸HSO、硝酸HNO)が生成するが、消石灰を共存させると、式(1)〜式(3)に示すように塩酸等が消石灰Ca(OH)と化学反応し、塩酸等の生成が抑制され、燃焼装置と熱エネルギー回収装置の腐食を抑制することができる。
2HCl+Ca(OH)→CaCl+2HO・・・(1)
SO+1/2O+Ca(OH)→CaSO+2HO・・・(2)
2HNO+Ca(OH)→Ca((NO)+2HO・・・(3)
酸性ガスと消石灰との反応については、後述の実施例に示す固形燃料の燃焼試験において確認済である。さらに堆肥と竹粉との量に対して、消石灰の比率を高くすることで排気ガス中の塩酸濃度が低減することも確認済である。この燃焼試験結果から、堆肥に含まれる硫黄と窒素とから酸性ガス(硫酸、硝酸)を生成しても、固形燃料に含まれる消石灰により硫酸と硝酸が抑制されると考えられる。
堆肥等に含まれるカリウム等の融点は低く、堆肥等の燃焼時にクリンカが生成し易い。クリンカが生成すると、完全燃焼を妨げて燃焼装置や熱エネルギー回収装置のトラブルを招く。固形燃料に消石灰を含有させることで、燃焼時の灰の融点が上昇し、クリンカの生成を抑制することができる。クリンカとは、灰が溶融し塊状となったものを言う。消石灰を含有させることで灰の融点が上昇することは、例えば、以下の文献にも記載されている(薬師堂謙一,家畜排せつ物の燃焼エネルギー利用の現状と課題;https://www.leio.jp/pdf/119/tokus1_36f.pdf)。
上記文献には、「肥育牛ふんは、燃焼温度が1000℃以上になると溶融し、灰が溶岩状に固まったりするトラブルが発生する。」と記載されている。一方、我々が試験を行ったところ、牛糞堆肥20重量部と粉末状の消石灰10重量部と竹30重量部と広葉樹50重量部とを混ぜて成形したペレットを燃焼させた灰の融点を分析すると、融点は1550℃以上であった。融点の測定は、JIS M8801石炭類-試験方法の灰の溶融性試験により行った。この分析結果により、消石灰を混ぜることで灰の融点が上がることを確認できた。
消石灰の添加量は、堆肥及び/又は高水分バイオマス材、木質系バイオマス材の性状及びこれらの固形燃料中の割合に応じ、適宜決定することができる。消石灰の粒径は、特に限定されるものではないが、塩素等の反応を考えれば粒径が小さいものが好ましい。消石灰は、塩素Cl等との化学反応を考えれば純度の高いものが好ましいが、消石灰中に生石灰が含まれていてもよい。
本発明の固形燃料は、堆肥及び/又は高水分バイオマス材、木質系バイオマス材、消石灰のみで構成してもよく、これらを主成分とし、これに他の材料が添加されていてもよい。
本発明の固形燃料において、堆肥及び/又は高水分バイオマス材、木質系バイオマス材、消石灰の構成割合は、特に限定されるものではないが、当該固形燃料が自燃可能なことが好ましく、当該固形燃料が800℃以上で自燃可能なことがより好ましい。ダイオキシン類の発生抑制には、燃焼温度を800℃以上とすることが効果的なことが知られており、800℃以上で自燃可能な燃料とすることでダイオキシン類の発生を抑制することができる。
以上のことから堆肥及び/又は高水分バイオマス材の水分量が高く発熱量が低い場合には、木質系バイオマス材の割合を多くすればよい。堆肥及び/又は高水分バイオマス材に含まれる塩素や窒素や硫黄やカリウム等が多い場合には、消石灰を多くし、さらに発熱量を確保するために木質系バイオマス材の割合を多くすればよい。また竹は支障木、建築廃材に比較して発熱量が高いため、堆肥及び/又は高水分バイオマス材の発熱量が低い場合には、木質系バイオマス材として竹を使用するか木質系バイオマス材中の竹の割合を多くすればよい。
堆肥及び/又は高水分バイオマス材としてこれらの乾燥物、半炭化物、炭化物を使用する場合には、生のものに比較して水分量が少なく発熱量も高いため、木質系バイオマス材の割合を少なくすることができる。また炭化物は、脱臭作用があるので、これらを加えることで固形燃料の臭いを抑えることができる。
本発明の固形燃料の形態は、特に限定されるものではないが、成形されたペレットとすれば粉の飛散の心配がなく取扱いが容易となる。またペレットは、粉やチップに比べてかさ比重が大きいので送料が安価である。さらに消石灰と塩素・硫黄・窒素等を含む堆肥及び/又は高水分バイオマス材とを密に成形した方が燃焼させたときに上記式(1)〜式(3)に示す化学反応が起こり易く、灰の融点の上昇にも有効であり好ましい。
またペレットとするときには、しっかりと固めることも重要である。粉化し易いペレットは、ハンドリング性が悪いのみならず、燃焼させた際に粉の一部が煤塵に含まれる。また燃焼時のCO濃度、ダイオキシン類濃度、煤塵濃度を規制値以下とする点においてもしっかりと固めたペレットを使用することが好ましい。
本発明の固形燃料において、生の堆肥を使用する場合は、これがバインダーとして機能するため容易にペレットを得ることができる。堆肥に炭化物を使用する場合において、生の堆肥をバインダーとして添加してもよい。
固形燃料をペレット化する上で、リグニン、繊維質の量は重要である。リグニンあるいは繊維質の量が少ない場合には、しっかりと固化したペレットが得られ難い。リグニン、繊維質が不足する場合には、生の堆肥の添加は効果的であり、さらに襖、コーヒーカス、樹皮等にはリグニンが多く含まれるのでこれらの添加も効果的である。針葉樹及びその樹皮は、塩素量が少なくホワイトチップよりもリグニンが多いので好ましい。
また固形燃料をペレット化する上で、水分管理も重要である。水分量が少な過ぎると粉化し易いペレットとなり、逆に水分量が多過ぎるとべとつき、さらに壊れ易くなる。またペレット成形機に投入する材料の供給については、安定して材料を流す方が脈動して材料を流すよりもペレット成形機の駆動モーターの電流が安定する。駆動モーターの電流が高いほど強固に固まる傾向にあるので、脈動して駆動モーターの電流値が低く振れる状態よりも、電流値が安定して高い状態のほうがペレットは強固に固められ、ペレット成形機の能力も出せる。ペレット成形機の能力が向上すると、生産量が増えて生産コストは下げられる。
堆肥及び/又は高水分バイオマス材は、十分に有効利用されておらず、処分に困っている地域がある。支障木等も十分に有効利用されていない地域があり、竹については放置竹林が問題となっている。また消石灰についても、純度が低い等商品価値が低いものもある。これらは本発明の固形燃料の主成分ゆえ、本発明の固形燃料は、これまで有効活用されていなかった、あるいは処分に困っていた材料を使用し製造することができる。
上記のように本発明の固形燃料は、これを燃焼させてもダイオキシン類、塩酸、硝酸、硫酸、窒素酸化物NOx、硫黄酸化物SOx、クリンカが発生し難いので、環境への負荷が少なく、燃焼装置や熱エネルギー回収装置の腐食やトラブルの心配がなく使い勝手がよい。これについては後述の実施例に記載の燃焼試験において確認済である。また本発明の固形燃料は、生の堆肥以外に堆肥の炭化物等を使用することができるので、容易に発熱量の高い固形燃料を得ることが可能であり、800℃以上で自燃可能に構成すればダイオキシン類の発生を抑制できる。また本発明の固形燃料は、種々の堆肥、種々の高水分バイオマス材を使用することができるので幅広い分野で使用することができる。
本発明の固形燃料は、燃料として利用可能なことは当然であるが、これを燃焼させた際に発生する灰を肥料として有効利用することができる。
本発明の固形燃料は、可燃分である堆肥及び/又は高水分バイオマス材の他に、発熱量調整材として木質系バイオマス材、さらにダイオキシン類、窒素酸化物NOx、硫黄酸化物SOxの発生抑制材として消石灰を含むため、これらが燃焼すると式(1)〜式(3)に示す化学反応により塩化カルシウムCaCl、硫酸カルシウムCaSO、硝酸カルシウムCa((NO)が生成することは、前記の通りである。
燃焼過程で生成した上記塩化カルシウムCaCl、硫酸カルシウムCaSO、硝酸カルシウムCa((NO)は、最終的には灰に取り込まれる。塩化カルシウムCaCl、硫酸カルシウムCaSO、硝酸カルシウムCa((NO)は、いずれも水溶性であり、水に溶解しカルシウムイオンとなる。
カルシウムは、作物の成長促進、品質向上、病害の予防、土壌中の有効微生物の繁殖促進効果があることが知られており、水溶性カルシウムを含む灰は、肥料あるいは肥料の一部として利用することができる。水溶性カルシウムを含む灰は、紛体のまま利用することができるが、ペレットに成形してもよい。これにより取扱いが容易となり、また送料を安価にすることができる。また水溶性カルシウムを含む灰を水と混合し、塩化カルシウムCaCl等を溶解させ、さらに必要に応じて他の有効成分を加え、液状カルシウム肥料としてもよい。また灰には、作物に有用な燐酸、カリ等のミネラルを含むため肥料として好適に使用することができる。
次に本発明の固形燃料の製造要領を説明する。図1は、本発明の固形燃料の製造要領を示すプロセスフロー図である。図1は、ペレット状の固形燃料の第1の製造プロセスであるが、この製造プロセスは、本発明の固形燃料の製造プロセスの一例であり、本発明の固形燃料の製造要領がこれに限定されるものではない。
堆肥及び/又は高水分バイオマス材、木質系バイオマス材は、撹拌装置を備える乾燥機1で撹拌混合しながら乾燥される。乾燥機1の種類は特に限定されるものではないが、堆肥等の種類、水分量等によっては撹拌し難いものもあるため堆肥等の混合、撹拌に適したものを使用することが望ましい。乾燥の方式も特に限定されるものではなく、太陽光等を利用した自然乾燥方式や外部加熱方式等を採用することができる。
木質系バイオマス材である支障木、竹、木くず、間伐材、広葉樹は、必要であれば予め自然乾燥等により水分を蒸発させてから、乾燥機1に供給されるに先立ち、チッパ3、粉砕機2で粉砕される。チッパ3、粉砕機2は、1工程で粉砕してもよく、特定の装置に限定されるものではないが、本製造方法では、最終的にペレット状の固形燃料に成形するので、支障木、竹、木くず、間伐材、広葉樹は、その成形に適した大きさの粉砕とする必要がある。またチップを安価に製造できるものが好ましいことは当然である。粉砕機2は、スクリーンを内臓している機種があるので、堆肥や高水分バイオマスの大きさが成形に適さないくらい大きければ、適正な篩を通過させてから乾燥機1の工程を行うか、もしくは適正なスクリーンのサイズを内蔵した粉砕機2にかけてから乾燥機1の工程を行っても良い。
一般的に石などの異物が多い竹や木質材などのチッパや粉砕機は、切削式よりもハンマーミルなどの衝撃式の方が処理コストが安価である。異物が少ない材料については、切削式でも衝撃式でも処理コストの安い方式のチッパや粉砕機を選定すればよい。なおハンマーミルなどの衝撃式破砕機から得られる破砕チップ(ピンチップ)は、フラットダイ方式のペレット成形機を使用することでペレット化することができる。木質系バイオマス材として、木くず粉等のように木粉等を使用する場合には、チッパ3、粉砕機2の工程は不要にすることも可能である。
堆肥等は、乾燥機1で所定の含水率となるように乾燥され、異物除去装置4に送られる。乾燥に伴い排気される排気ガスは、水蒸気の他、臭気成分が含まれるため、浄化装置へ送られここで浄化される。なお、堆肥、高水分バイオマス材、木質系バイオマス材の含水率が設定値以下であれば、乾燥機1に代え、混合機、混練機を使用すればよい。また乾燥機1に代え、半炭化装置、あるいは炭化装置を用いてもよい。
異物除去装置4は、堆肥、高水分バイオマス材、木質系バイオマス材に含まれる石、釘等の異物を除去する。異物の除去には、風力選別、比重選別、磁力選別等を用いればよい。
異物の除去された堆肥等は、混合機5に送られ、ここで消石灰粉末と撹拌混合された後、ペレット成形機6に送られペレットとなる。混合機5で堆肥等と消石灰粉末とを混合すると、消石灰が堆肥等に含まれる水に接し発熱するので乾燥効果もある。乾燥機1に代え、半炭化装置、あるいは炭化装置に、消石灰を投入して、排気の浄化効果や脱臭効果や乾燥効果等を上げてもよい。ペレット成形機6の種類は、特に限定されるものではないが、フラットダイ方式のペレット成形機を好適に使用することができる。
ここで消石灰粉末に代えて生石灰粉末を使用し、又は消石灰粉末と共に生石灰粉末を使用し、又は消石灰粉末と生石灰粉末との混合物を使用してもよい。乾燥機1や混合機5に送られる堆肥等は、水分を含んでいるので乾燥機1や混合機5で生石灰粉末等と混合されると、生石灰が水と反応し消石灰が生成する。水分と生石灰粉末とが反応すると、固形燃料中の含水率が低下するので好ましい。また水分と生石灰粉末とが反応すると発熱するので、固形燃料の乾燥効果も期待できる。
一般的に消石灰は、生石灰と水との反応工程を経て製造されるため、生石灰は、消石灰に比較して安価である。また生石灰を含む消石灰は、純度の高い消石灰に比較して安価である。よって生石灰粉末、消石灰粉末と生石灰粉末との混合物を使用すれば固形燃料を安価に製造することができる。
上記実施形態では、混合機5とペレット成形機6とが分離しているが、材料タンク内に撹拌装置が付いた成形機のように混合機5とペレット成形機6の工程を1つの機械で行ってもよい。またペレット成形機6に代え、例えばスクリューを内蔵する押出機の先端部にダイス及び回転ナイフが設けられた造粒装置を使用してもよいし、打錠機やブリケッティングマシンを用いてもよい。
次に本発明の固形燃料の第2の製造プロセスを説明する。図2も図1と同様にペレット状の固形燃料の製造プロセスである。図1に示す第1の製造プロセスと同一の構成には同一の符号を付して説明を省略し、以下、図1との相違点を中心に説明する。
図2に示す固形燃料の製造プロセスは、まず堆肥及び/又は高水分バイオマス材と消石灰粉末とを混合機9で混合する。これは塩素、窒素、硫黄、カリウムなど燃料に不適な成分の含有率の高い堆肥及び/又は高水分バイオマス材の表面を消石灰粉末でコーティングすることで、前記式(1)〜式(3)に示す化学反応を起こり易くするものである。
木質系バイオマス材を添加しない状態で、堆肥及び/又は高水分バイオマス材と消石灰粉末とを混合することで少ない消石灰粉末で効率的に堆肥及び/又は高水分バイオマス材の表面をコーティングすることができる。
このとき堆肥及び/又は高水分バイオマス材の水分量が多い場合は、混合機9に代えて撹拌可能な乾燥機、半炭化装置、あるいは炭化装置を使用してもよい。逆に水分量の少ない堆肥及び/又は高水分バイオマス材の場合には、水を添加しつつ混合機9で混合してもよい。水分量は、特定の水分量に限定されるものではなくここでは消石灰粉末が「だま」とならず堆肥及び/又は高水分バイオマス材の表面を均一にコーティングできればよい。
ここで消石灰粉末に代えて生石灰粉末を使用し、又は消石灰粉末と共に生石灰粉末を使用し、又は消石灰粉末と生石灰粉末との混合物を使用してもよいこと、その作用効果は、図1の製造プロセスで説明した通りである。乾燥機、半炭化装置、あるいは炭化装置、さらに排気ガス処理のための浄化装置についても図1の製造プロセスと同様に考えることができる。堆肥や高水分バイオマス材の大きさが成形に適さないくらい大きければ、適正な篩を通過させてから混合機9の工程を行うか、もしくは適正なスクリーンを内臓している粉砕機にかけてから、混合機9の工程を行っても良い。
その後、堆肥及び/又は高水分バイオマス材と消石灰粉末との混合物に対して、木質系バイオマス材を添加、混合する。なおこの混合操作に先立ち、堆肥、高水分バイオマス材、木質系バイオマス材に含まれる石、釘等の異物を異物除去装置4を用いて除去するのがよい。
ここで得られる堆肥及び/又は高水分バイオマス材と消石灰粉末と木質系バイオマス材との混合物の水分量は、ペレットの性状に影響する。堆肥及び/又は高水分バイオマス材と消石灰粉末と木質系バイオマス材との混合物の水分量が少な過ぎると、最終的に得られるペレットが粉っぽく凝集力が弱く、使用の際に粉化し易い。
粉化し易いペレットは、ハンドリングが難しく、燃焼炉に供給するスクリュウコンベア等で砕けたり砕けなかったりすると燃焼炉への固形燃料の定量供給が出来なくなり、燃焼空気比とのバランスが崩れて完全燃焼の妨げとなる。完全燃焼が出来ないと排気ガス中の一酸化炭素濃度やばいじん濃度やダイオキシン類濃度に影響し、環境基準をクリアし難くなる。また粉は、燃焼させたとき排気ガスに同伴して飛散するので好ましくない。
水分量が不足する場合は、木質系バイオマス材を添加、混合する際に水を添加しつつ混合すればよい。木質系バイオマス材の乾燥、粉砕、さらに異物除去等については、図1の製造プロセスと同様であるので説明を省略する。
その後、ペレット成形機6でペレット化する。ペレット成形機6の種類が限定されないこと、混合機とペレット成形機とが分離していても、一体型でもよいことは図1の製造プロセスで説明の通りである。
図2に示す固形燃料の第2製造プロセスは、図1に示す固形燃料の第1製造プロセスに比較して、材料の混合工程を2段階で行うため、塩素等を多く含む堆肥及び/又は高水分バイオマス材の表面を消石灰粉末でより確実にコーティングすることができる。このため塩素等を多く含む堆肥及び/又は高水分バイオマス材であっても固形燃料として利用することができる。一方で混合工程を2段階で行うため第1製造プロセスに比較して工程数が多くなり製造コストが高くなる。
上記のように固形燃料の第1製造プロセス及び第2製造プロセスには、それぞれ特徴を有するので、使用する材料、特に堆肥及び/又は高水分バイオマス材の塩素含有量等に応じて好ましい製造プロセスを選択して使用すればよい。
次に本発明の固形燃料の多元的有効利用システムについて説明する。図3は、本発明の固形燃料の多元的有効利用システムのプロセスフロー図である。図1に示す本発明の固形燃料の製造プロセスフローと同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
図3に示す固形燃料の多元的有効利用システムは、ハウス栽培に適用した例であり、本発明の固形燃料を燃焼装置の燃料とし、燃焼装置で発生した熱エネルギーを暖房の熱源として利用し、さらに固形燃料の燃焼に伴い発生する灰を肥料として利用する。
燃焼装置11には、ペレット状の固形燃料、粉状の固形燃料、木質系チップ及び粉末状の消石灰が供給可能に構成され、ペレットや粉やチップの固形燃料の需要に合わせて各々の生産量の調整が出来るシステムとしている。又、複数の燃焼装置11でも対応出来るシステムとしている。燃焼装置の規模や方式や目的などにより、複数の燃焼装置に適したペレットや粉やチップの供給が可能なシステムである。
ペレット状の固形燃料は、図1に示す製造要領で製造される。粉状の固形燃料は、混合機5で消石灰粉末と撹拌混合された堆肥等が、ペレット化されることなく燃焼装置11に送られる。
木質系チップは、支障木、竹、木くず、間伐材、広葉樹がチッパ3でチップ化され、チッパ3に内蔵されるスクリーンを通過させて、篩7で燃焼装置11に適した所定の大きさのチップを選別して乾燥機8で乾燥された後、燃焼装置11に送られる。篩7で選別された大きいチップは再度チッパ3でチップ化され、篩7で選別された小さいチップは粉砕機2や乾燥機1に送られる。篩7は、3種別でも2種別に選別してもよいし、問題無ければ篩7を省略してもよい。
燃焼装置11は、ペレット状の固形燃料及び/又は粉状の固形燃料、あるいはこれらと共に木質系チップ、必要であればさらにこれらに粉末状の消石灰が添加されたものを燃料とする。なお、燃焼装置11は、ペレット状の固形燃料等の上記燃料以外に、他の燃料、例えば廃油、灯油、LPGガス等を補助燃料として使用してもよい。
燃焼装置11で発生した熱は、熱交換器12で熱回収され、ハウスの暖房として利用される。燃焼装置11から発生する灰は、肥料成分(燐酸、カリ等のミネラル)に加えて作物に有効な水溶性カルシウムを含むので、付加価値の高い肥料として有効利用することができる。
以上のように本発明の固形燃料は、多元的に有効利用することができる。また本発明の固形燃料は、燃焼させてもダイオキシン類、塩酸、硝酸、硫酸、窒素酸化物NOx、硫黄酸化物SOxが発生し難いので、燃料として好適である。
図面を参照しながら好適な固形燃料、肥料、固形燃料の多元的有効利用システム及び固形燃料のペレット製造方法について説明したが、当業者であれば、本件明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。従って、そのような変更及び修正は、請求の範囲から定まる発明の範囲内のものと解釈される。
実施例1:ペレットの製造
堆肥には以下の性状の堆肥を使用した。
高位発熱量:4000kcal/kg, 水分:11.4%(ウエットベース)
灰分:15.4% 全塩素:1.3%
硫黄分:0.9% 窒素分:1.42%
上記堆肥20重量部と粉末状の消石灰10重量部とをミキサーで5分間撹拌した後、竹30重量部及び広葉樹50重量部を添加し、さらにミキサーで3分間撹拌し、ペレット成形機で成形しペレットを得た。なお、前段の混合操作及び後段の混合操作時に少量の水を添加した。
得られたペレットの性状は、高位発熱量(計算値)が3543kcal/kg、灰分(計算値)が12.4%、塩素分が0.26%(計算値)である。ペレットの含水率を加熱乾燥式水分計で測定し、含水率とペレット性状とを観察した結果、含水率5%(ウエットベース)のペレットは、パサパサして粉っぽかった。一方、含水率7%(ウエットベース)のペレットは、艶がでてしっかりと固まっていた。
燃焼試験1
ハウス栽培温風ボイラー(小型ボイラーには属さない小規模市販品)を用いて、実施例1で製造したペレットの燃焼試験を行った。試験の結果、空気比2.0の条件下で炉内温度は820℃、排気ガス中のCO濃度は46ppmであった。排気ガスの特定悪臭物質についても分析を行ったが、十分に低い濃度であった。
燃焼試験1で得られた燃焼灰について、環境庁告示第46号土壌溶出試験を行ったところ、溶出基準を全てクリアした。
また燃焼試験1で得られた燃焼灰について、特殊肥料表示義務項目の分析と水溶性カルシウム分析を行った。結果を表2に示した。表2に示すように燃焼灰は、水溶性カルシウムの含有量が、全カルシウムとほぼ同等であり、水溶性カルシウムが多い灰であった。またカリウムとりんを含有し、窒素量が少なかった。銅の含有量は、土壌基準値の農用地基準125mg/kgをクリアした。
Figure 2017125189
カルシウムが作物に与える効能は、細胞膜の形成強化と根の伸長であり、カルシウムが欠乏すると芯腐れの生理障害を起こす。作物にしっかり効かせるには水溶性カルシウムが好適であり、この点において燃焼試験1で得られた燃焼灰は、肥料に利用可能な灰と言える。
実施例2:ペレットの製造
堆肥には実施例1で使用した堆肥と同じものを使用し、堆肥15重量部と粉末状の消石灰7.5重量部とをミキサーで5分間撹拌した後、竹22.5重量部及び広葉樹樹皮なしチップ62.5重量部を添加し、さらにミキサーで3分間撹拌し、ペレット成形機で成形しペレットを得た。なお、前段の混合操作及び後段の混合操作時に少量の水を添加し、しっかりと固まったペレットを得た。得られたペレットの性状は、高位発熱量(計算値)が3654kcal/kg、灰分(計算値)が9.6%、塩素分が0.21%(計算値)である。
燃焼試験2
燃焼試験1と同じハウス栽培温風ボイラーを用いて、実施例2で製造したペレットの燃焼試験を行い、そのときの排気ガス中のダスト、塩化水素等の濃度を測定した。結果を表3に示した。表3に示すように排気ガス中のダスト、塩化水素等の濃度はいずれも排出基準値以下であった。またダイオキシン類についても排気ガス、焼却灰は基準値以下であった。なお、この試験の固形燃料に利用した材料は全て廃棄物ではないので、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)及びダイオキシン類対策特別措置法(ダイオキシン類対策特措法)は適用されない。
Figure 2017125189
実施例3:固形燃料の燃焼試験
ダイオキシン類の要因となる塩素を含む堆肥や竹を燃焼させると排気ガス中には塩酸が生成されるが、消石灰により、排気ガス中の塩酸が抑制されるかを確認した。表4の配合で消石灰と乾燥堆肥(□3mm篩の通過品)と乾燥竹粉(竹を粉砕した後に□3mm篩にかけた篩の通過品)を混ぜた固形燃料を燃焼させて排気ガス中の塩酸濃度を測定した。混合方法については、まず第1工程で消石灰と堆肥を混ぜてからその後第2工程で竹粉を混ぜて固形燃料を造った。試験の結果、堆肥と竹粉との量に対し、消石灰の比率を高くすると排気ガス中の塩酸濃度が低減した。
Figure 2017125189
1 乾燥機
2 粉砕機
3 チッパ
4 異物除去装置
5 混合機
6 ペレット成形機
7 篩
8 乾燥機
9 混合機
11 燃焼装置
12 熱交換器

Claims (9)

  1. 堆肥及び/又は高水分バイオマス材と、木質系バイオマス材と、石灰とを主成分とする固形燃料であり、
    前記石灰が消石灰、又は前記石灰が消石灰及び生石灰であり、
    前記木質系バイオマス材が下記(A)群から選ばれる1種以上であることを特徴とする固形燃料。
    (A)竹チップ、支障木チップ、木くずチップ、間伐材チップ、広葉樹チップ、竹粉、支障木粉、木くず粉、間伐材粉、広葉樹粉
  2. 前記堆肥及び/又は高水分バイオマス材が、下記(B)群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の固形燃料。
    (B)堆肥、堆肥の乾燥物、堆肥の半炭化物、堆肥の炭化物、高水分バイオマス材、高水分バイオマス材の乾燥物、高水分バイオマス材の半炭化物、高水分バイオマス材の炭化物
  3. 前記固形燃料が800℃以上で自燃可能なことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の固形燃料。
  4. 前記堆肥が、家畜糞尿堆肥、食品残渣堆肥、農産物残渣堆肥、下水処理残渣堆肥、し尿処理残渣堆肥のうちいずれか1種、又は2種以上の混合物であり、
    前記高水分バイオマス材が、家畜糞尿、食品残渣、農産物残渣、下水処理残渣、し尿処理残渣のうちいずれか1種、又は2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の固形燃料。
  5. 前記固形燃料がペレットに成形されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の固形燃料。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の固形燃料を燃焼させた際に発生する灰を主材とする肥料であって、
    前記灰は、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウムのうち1種以上の水溶性カルシウムを含むことを特徴とする肥料。
  7. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の固形燃料を燃料とする又は前記固形燃料を燃料の一部とする燃焼装置と、
    前記燃焼装置で発生する熱エネルギーを回収する熱エネルギー回収装置と、
    を含み、
    前記燃焼装置から排出される灰が、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウムのうち1種以上の水溶性カルシウムを含み、肥料として使用可能なことを特徴とする固形燃料の多元的有効利用システム。
  8. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の固形燃料のペレット製造方法であって、
    前記堆肥及び/又は高水分バイオマス材と粉末状の消石灰及び/又は生石灰とを混合し、前記堆肥及び/又は高水分バイオマス材の表面を前記消石灰及び/又は生石灰でコーティングする第1工程と、
    前記第1工程後に、前記木質系バイオマス材を添加、混合し、ペレット化する第2工程と、
    を含むことを特徴とするペレット製造方法。
  9. 前記第1工程及び前記第2工程において、水分量を管理し強固に固められたペレットを得ることを特徴とする請求項8に記載のペレット製造方法。
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