以下、本発明の昇降装置10を含む便器装置1の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、便器装置1の便座2に座った人から視た場合の前後の向きを前後方向とする。また、便器装置1の便座2に座った人から視た場合の左右の向きを左右方向とする。また、鉛直方向に沿った上下の向きを上下方向とする。
本実施形態の便器装置1は、図1及び図2に示すように、便座2と、便蓋3と、便器4と、洗浄タンク52と、便器側部カバー部材41と、上部構成部としての機能部5と、本発明の昇降装置10と、を備える。便座2及び便蓋3は、便器4の上方において、便器4に対して回動可能に取り付けられる。便器側部カバー部材41は、便器装置1の下方における後部の側部に配置される。便器側部カバー部材41は、便器装置1の後部において、便器4の後部及び配管等を側方から覆う。
機能部5は、便器4の後部の上部に配置される。機能部5は、機能部材と、第1ベース部材としてのリアベース部材6と、第2ベース部材としてのフロントベース部材7と、機能部材を覆う上部カバー部材51と、を有する。機能部材としては、例えば、図示を省略するが、ホースや、洗浄ノズルや、電源ユニットや、制御回路基板や、便座2及び便蓋3を電動で開閉させる電動開閉ユニットや、バルブユニットや、各種配管等が挙げられる。機能部材は、各種機能や他の部材との位置関係などを考慮して、リアベース部材6やフロントベース部材7やその他の設置位置に設置される。
リアベース部材6は、図1〜図4に示すように、便器4の後方の上部に配置される。リアベース部材6は、樹脂材料により形成され、便器装置1の左右方向及び前後方向に延びるように形成される。リアベース部材6には、機能部5の機能部材が設置される。
リアベース部材6は、図4に示すように、便器4の後方の上面において、便器4の後方側凹部4aを塞ぐように形成される。後方側凹部4aは、便器4の上面の後方側において、便器4の上面から窪んで形成されている。後方側凹部4aは、便器4の成型を容易にするために設けられている。リアベース部材6は、後述する本発明の昇降装置10の一部を構成する。昇降装置10及びリアベース部材6の詳細については後述する。
フロントベース部材7は、図3に示すように、便器4の後部の上方において、リアベース部材6の前方に配置される。フロントベース部材7は、樹脂材料により形成され、便器装置1の左右方向及び前後方向に延びるように形成される。フロントベース部材7は、機能部5の機能部材(一部)を支持する。
フロントベース部材7は、後述する昇降装置10により、リアベース部材6及び便器4に対して上下方向に移動可能に構成される。フロントベース部材7は、昇降装置10により、上昇前の定位置(図1参照)又は上昇後の上昇位置(図2参照)に移動可能である。これにより、昇降装置10は、機能部5の機能部材を、便器4に対して昇降させる。フロントベース部材7は、後述する本発明の昇降装置10の一部を構成する。昇降装置10の詳細については後述する。
フロントベース部材7は、図1及び図2に示すように、下面部7aと、左右方向の略中央において下面部7aよりも下方に膨出する膨出部7bと、を有する。膨出部7bには、洗浄ノズル(図示せず)が設けられている。
膨出部7bは、フロントベース部材7が昇降することにより、便器4のボウル部40の後部に位置される。下面部7aは、便器4の後部の上面43に対向して配置され、フロントベース部材7が昇降することにより、便器4の後部の上面43から離れる方向又は便器4の後部の上面43に近づく方向に移動可能である。
上部カバー部材51は、便器装置1の上方における後部に配置される。上部カバー部材51は、便器装置1の後部において、機能部5の機能部材を上方から覆う。上部カバー部材51は、前方側において、フロントベース部材7に取り付けられている。上部カバー部材51には、便座2及び便蓋3が、便器4に対して開閉可能に取り付けられる。上部カバー部材51、便座2及び便蓋3は、昇降装置10の昇降に連動して、フロントベース部材7が昇降することで、垂直方向に移動する。
次に、本発明の昇降装置10の詳細について、図面を参照しながら説明する。
昇降装置10は、図3〜図7に示すように、リアベース部材6と、フロントベース部材7と、昇降操作レバー部材11と、昇降機構部8と、下プレート9と、分離防止ねじ部材101(連結部)と、を備える。本実施形態においては、フロントベース部材7は、昇降機構部8の伸縮軸機構部85(後述)が伸縮される動作が行われることで、リアベース部材6に対して上下方向に移動する(垂直方向に移動する)。
リアベース部材6について説明する。
リアベース部材6は、図1〜図6に示すように、便器4の後部の上方側に配置される。リアベース部材6は、機能部5の機能部材を支持する。リアベース部材6は、図1及び図2に示すように、リアベース部材6の下面から延びる一対の軸部材601,601を便器4の取付穴(図示せず)に挿入することで、便器4に固定される。
リアベース部材6は、図3〜図8に示すように、リア側底部プレート61と、リア側周壁プレート62と、ねじ穴としての分離防止ねじ固定用ねじ穴65(連結部)と、延出プレート66と、を有する。
リア側底部プレート61は、リアベース部材6の底部側に配置され、左右方向及び前後方向に延びるように形成される。リア側底部プレート61の上面には、洗浄タンク52(図1及び図2参照)が配置される。
リア側周壁プレート62は、リア側底部プレート61の周縁において、立ち上がるように形成される。リア側周壁プレート62は、図6〜図8に示すように、前方側において、第1ガイド部としてのリア側第1ガイド部63と、第1ガイド部としてのリア側第2ガイド部64と、を有する。
リア側第1ガイド部63は、図6〜図8に示すように、リア側周壁プレート62の前方において、リアベース部材6における便器装置1の左右方向の一方側(図6〜図8における右側)の端部に形成される。リア側第1ガイド部63は、フロントベース部材7の昇降時において、後述するフロントベース部材7のフロント側第1ガイド部72をガイドする。
リア側第1ガイド部63は、図8〜図10に示すように、リア側周壁プレート62の前方の左右方向の一方側(図6〜図8における右側)の端部において、リア側周壁プレート62の角部から窪むように形成されている。リア側第1ガイド部63は、平面視で略L字状に形成され、上下方向に延びる。リア側第1ガイド部63は、後述するフロントベース部材7のフロント側第1ガイド部72よりも上下方向の長さが長く形成される。リア側第1ガイド部63は、リア側第1ガイド第1面631(第1面)と、リア側第1ガイド第2面632(第2面)と、を有する。
リア側第1ガイド第1面631及びリア側第1ガイド第2面632は、図8〜図10に示すように、連続して形成されており、互いが直交して配置される。リア側第1ガイド第1面631及びリア側第1ガイド第2面632により形成される部分は、平面視で略L字状に窪んだ凹部で形成される。
リア側第1ガイド第1面631は、左右方向の一方側(図6〜図8における右側)の外側を向いて形成される。リア側第1ガイド第1面631は、図8〜図10に示すように、後述するフロントベース部材7のフロント側第1ガイド部72のフロント側第1ガイド第1面721に対向して配置され、フロント側第1ガイド第1面721に当接可能な面である。
リア側第1ガイド第2面632は、前後方向の前方側(フロントベース部材7側)を向いて形成される。リア側第1ガイド第2面632は、図8〜図10に示すように、後述するフロントベース部材7のフロント側第1ガイド部72のフロント側第1ガイド第2面722に対向して配置され、フロント側第1ガイド第2面722に当接可能な面である。
リア側第2ガイド部64は、図8及び図11に示すように、リアベース部材6における便器装置1の左右方向の他方側(図6〜図8における左側)に形成される。リア側第2ガイド部64は、フロントベース部材7の昇降時において、後述するフロントベース部材7のフロント側第2ガイド部73をガイドする。
リア側第2ガイド部64は、図8及び図11に示すように、リア側周壁プレート62の前方の左右方向の他方側(図6〜図8における左側)の端部に形成されている。リア側第2ガイド部64は、平面視で略L字状に形成され、上下方向に延びる。リア側第2ガイド部64は、後述するフロントベース部材7のフロント側第2ガイド部73よりも上下方向の長さが長く形成される。リア側第2ガイド部64は、リア側第2ガイド第1面641(第1面)と、リア側第2ガイド第2面642(第2面)と、を有する。
リア側第2ガイド第1面641及びリア側第2ガイド第2面642は、図8及び図11に示すように、連続して形成されており、互いが直交して配置される。リア側第2ガイド第1面641及びリア側第2ガイド第2面642により形成される部分は、平面視で略L字状に突出する凸部で形成される。
リア側第2ガイド第1面641は、左右方向の他方側(図6〜図8における左側)の外側を向いて形成される。リア側第2ガイド第1面641は、図8及び図11に示すように、後述するフロントベース部材7のフロント側第2ガイド部73のフロント側第2ガイド第1面731に対向して配置され、フロント側第2ガイド第1面731に当接可能な面である。
リア側第2ガイド第2面642は、前後方向の前方側(フロントベース部材7側)を向いて形成される。リア側第2ガイド第2面642は、図8及び図11に示すように、後述するフロントベース部材7のフロント側第2ガイド部73のフロント側第2ガイド第2面732に対向して配置され、フロント側第2ガイド第2面732に当接可能な面である。
分離防止ねじ固定用ねじ穴65は、図6に示すように、リアベース部材6のリア側底部プレート61の前方において、便器装置1の左右方向の中央に形成される。分離防止ねじ固定用ねじ穴65は、上下方向に延びて形成され、内周面に、ねじ山が形成されている。分離防止ねじ固定用ねじ穴65には、図12に示すように、後述する分離防止ねじ部材101が、フロントベース部材7の分離防止部74の分離防止ねじ貫通穴742を挿通された状態で螺合される。
延出プレート66は、図4、図6及び図13に示すように、リアベース部材6におけるリア側周壁プレート62の前方側の下端部から前方側(図6における斜め前方側)に略水平に延びる。延出プレート66は、便器4の後部に形成された後方側凹部4a(図4参照)の前方側の部分を覆うように配置されている。
延出プレート66は、図4、図6及び図13に示すように、中央底部プレート661と、一対の端部側プレート662,662と、中央底部仕切壁部663と、中央係合部664と、一対の端部係止部665,665と、一対のリアベース側貫通穴部666,666と、一対のリアベース側軸部材挿通貫通穴部667,667と、線状ガイド凸部668,668と、を有する。
中央底部プレート661は、板状に形成され、左右方向に略水平に延びて形成される。
中央底部仕切壁部663は、中央底部プレート661の左右方向の両端部及び後方側の端部に沿って形成され、中央底部プレート661の左右方向の両端部及び後方側の端部から、立ち上がるように形成される。
一対の端部側プレート662,662は、それぞれ、中央底部プレート661の左右方向の両端部から、左右方向の外側に延びるように形成される。一対の端部側プレート662,662は、板状に形成され、略水平方向に延びる。一対の端部側プレート662,662は、図4に示すように、便器4の後部に形成された後方側凹部4aの前方側に突出した部分を塞ぐように、便器4の上面に配置される。
中央係合部664は、図6及び図13に示すように、中央底部プレート661の後方側に形成される。中央係合部664は、図14に示すように、延在部664aと、係合爪664bと、を有する。
延在部664aは、図14に示すように、板状に形成され、延出プレート66の左右方向の中央部において、中央底部仕切壁部663における中央底部プレート661の上面から上方側に所定高さの位置から、前方側に向けて略水平に延びる。係合爪664bは、延在部664aの前方側の先端部において、下方に突出する爪状に形成される。
一対の端部係止部665,665は、図13に示すように、中央底部プレート661の左右方向の両端部の前方側に形成される。一対の端部係止部665,665は、左右方向に離間して配置され、左右対称の形状に形成される。一対の端部係止部665,665は、図15に示すように、それぞれ、立ち上げ部665aと、上面部665dと、を有する。立ち上げ部665aは、平面視で略L字形状に形成され、中央底部プレート661の上面から立ち上がるように形成される。立ち上げ部665aは、前後方向に延びる側方位置規制部665bと、左右方向に延びる後方位置規制部665cと、を有する。
一対のリアベース側貫通穴部666,666は、図6及び図13に示すように、中央底部プレート661における左右方向の中央寄りにおいて、左右方向の中央を挟んで、左右方向に離間して並んで形成される。一対のリアベース側貫通穴部666,666は、それぞれ、方形状に開口して形成される。
一対のリアベース側貫通穴部666,666には、図5に示すように、昇降装置10の下降時において、後述するスライド部材82のスライド部材側係合部821の下端側が配置される。
一対のリアベース側軸部材挿通貫通穴部667,667は、図6に示すように、中央底部プレート661の左右方向において、端部係止部665とリアベース側貫通穴部666との間に形成される。一対のリアベース側軸部材挿通貫通穴部667,667は、左右方向に離間して並んで形成される。一対のリアベース側軸部材挿通貫通穴部667,667は、前後方向に長い長穴状に形成される。一対のリアベース側軸部材挿通貫通穴部667,667には、それぞれ、後述する伸縮軸機構部85の軸部分が挿通される。
一対の線状ガイド凸部668,668は、図6に示すように、それぞれ、中央底部プレート661の上面において、後述する下プレート9の左右方向の後方側の長さの分だけ左右方向に離間して配置され、前後方向に直線状に延びる。一対の線状ガイド凸部668,668は、後述する下プレート9の後方側において、下プレート9の左右方向の両端部をガイドする。
下プレート9は、図13に示すように、リアベース部材6の延出プレート66の上面に配置される。下プレート9は、リアベース部材6よりも強度が強い材料で形成される。本実施形態では、下プレート9は、1枚の金属板を切り欠いたり、折り曲げたりして形成されている。下プレート9は、下プレート本体91と、一対の延出片92,92と、一対のガイド壁片93,93と、一対の下プレート側係合貫通穴部94,94と、一対の下プレート側軸部材挿通穴部95,95と、中央係合貫通穴部96と、を有する。
下プレート本体91は、図13に示すように、板状に形成され、左右方向に略水平に延びる。
一対の延出片92,92は、図13に示すように、それぞれ、下プレート本体91の左右方向の両端部の前方側において、下プレート本体91の左右方向の外側に張り出すように、略水平に延びる。一対の延出片92,92は、リアベース部材6の延出プレート66の上面に取り付けられる際に、リアベース部材6の延出プレート66の一対の端部係止部665,665に係止される。
一対のガイド壁片93,93は、図13に示すように、下プレート本体91の後方側における左右方向の両端部において、左右方向の両端部から上方側に立ち上がるように形成され、前後方向に延びる。一対のガイド壁片93,93は、昇降装置10の下降時において、昇降機構部8(後述)に嵌って、昇降機構部8を位置決めする。
一対の下プレート側係合貫通穴部94,94は、図13に示すように、下プレート本体91における左右方向の中央寄りにおいて、左右方向の中央を挟んで、リアベース部材6の一対のリアベース側貫通穴部666,666が左右方向に並ぶ間隔と同じ間隔で、左右方向に離間して並んで形成される。一対の下プレート側係合貫通穴部94,94は、それぞれ、方形状に開口して形成される。
一対の下プレート側係合貫通穴部94,94は、図13に示すように、下プレート側係合部941を有する。
下プレート側係合部941は、下プレート側係合貫通穴部94における左右方向の一方側(図13における側)の辺の縁部により構成される。下プレート側係合部941には、昇降装置10が定位置に位置する場合(図1参照、フロントベース部材7の下降時)において、スライド部材82のスライド部材側係合部821(図5参照)が係合(ロック)されてフロントベース部材7の上下方向の移動をロックする。また、昇降装置10の上昇位置に位置する場合(図2参照)において、スライド部材82のスライド部材側係合部821の係合(ロック)が解除される。
ここで、下プレート9は、金属板により形成されているため、スライド部材82のスライド部材側係合部821(図5参照)との係合時に生じる力において破損が生じない強度が確保されている。
一対の下プレート側軸部材挿通穴部95,95は、図13に示すように、下プレート本体91の左右方向において、延出片92と下プレート側係合貫通穴部94との間に形成される。一対の下プレート側軸部材挿通穴部95,95は、リアベース部材6の一対のリアベース側軸部材挿通貫通穴部667,667が左右方向に並ぶ間隔と同じ間隔で、左右方向に離間して並んで形成される。一対の下プレート側軸部材挿通穴部95,95は、前後方向に長い長穴状に形成される。一対の下プレート側軸部材挿通穴部95,95には、それぞれ、伸縮軸機構部85の軸部分が挿通される。
中央係合貫通穴部96は、図13及び図14に示すように、下プレート本体91の後方側において左右方向の中央に貫通して形成される。中央係合貫通穴部96には、リアベース部材6の延出プレート66の上面に取り付けられる際に、延出プレート66の中央係合部664に係合される。
以上のように構成される下プレート9は、リアベース部材6の延出プレート66の上面側において、図6に示す状態から、延出プレート66に水平方向に挿入されることで、図13に示す状態において、中央係合貫通穴部96が延出プレート66の中央係合部664に係合されると共に、一対の延出片92,92が一対の端部係止部665,665に係止されて、リアベース部材6の延出プレート66の上面に取り付けられる。
下プレート9がリアベース部材6の延出プレート66の上面に取り付けられた状態においては、延出プレート66の中央係合部664の係合爪664bで係止された状態(図14参照)で、延出プレート66の中央係合部664及び一対の端部係止部665,665により、上方側への移動が規制されている。
また、下プレート9がリアベース部材6の延出プレート66の上面に取り付けられた状態においては、下プレート9は、リアベース部材6の延出プレート66との間に隙間S1,S2を有してリアベース部材6に取り付けられている。
具体的には、図13に示すように、下プレート9がリアベース部材6の延出プレート66に取り付けられた状態において、下プレート9の延出片92が端部係止部665の後方位置規制部665cに当接した状態で、図14に示すように、前後方向において、中央係合部664の係合爪664bと中央係合貫通穴部96の端面との間に隙間S1が形成される。
また、図13に示すように、下プレート9がリアベース部材6の延出プレート66に取り付けられた状態において、下プレート9の左右方向の両端部において、下プレート9の一対の延出片92,92が下プレート9の延出片92が端部係止部665に係止された状態で、図15に示すように、左右方向において、延出片92の左右方向の外側の端面と端部係止部665の側方位置規制部665bとの間に隙間S2が形成される。
フロントベース部材7について説明する。
フロントベース部材7は、図1〜図3に示すように、便器4の後部の上方において、リアベース部材6の前方に配置される。フロントベース部材7は、機能部5の機能部材を支持する。
フロントベース部材7は、図6〜図8に示すように、フロント側底部プレート71と、フロント側後部壁77と、第2ガイド部としてのフロント側第1ガイド部72と、第2ガイド部としてのフロント側第2ガイド部73と、分離防止部74と、複数の昇降機構係止片75と、操作用貫通穴76と、を有する。
フロント側底部プレート71は、フロントベース部材7の底部側に配置され、左右方向及び前後方向に延びるように形成される。フロント側底部プレート71の上面には、機能部5の機能部材(図示せず)が配置される。
フロント側後部壁77は、フロント側底部プレート71の後端部において、フロント側底部プレート71から立ち上がるように形成される。フロント側後部壁77は、左右方向に延びる。
フロント側第1ガイド部72は、図6〜図8に示すように、フロントベース部材7の後方において、フロントベース部材7における便器装置1の左右方向の一方側(図6〜図8における右側)の端部に形成される。フロント側第1ガイド部72は、フロントベース部材7の昇降時(上下方向への移動時)において、水平方向の移動が規制され、リアベース部材6のリア側第1ガイド部63にガイドされる。
フロント側第1ガイド部72は、図8〜図10に示すように、フロントベース部材7の後方の左右方向の一方側(図6〜図8における右側)の端部において、フロントベース部材7の後方から後方側に突出するように形成される。フロント側第1ガイド部72は、平面視で略L字状に形成され、上下方向に延びる。フロント側第1ガイド部72は、フロント側第1ガイド第1面721(第3面)と、フロント側第1ガイド第2面722(第4面)と、を有する。
フロント側第1ガイド第1面721及びフロント側第1ガイド第2面722は、図8〜図10に示すように、連続して形成されており、互いが直交して配置される。フロント側第1ガイド第1面721及びフロント側第1ガイド第2面722により形成される部分は、平面視で略L字状に突出する凸部で形成される。
フロント側第1ガイド第1面721は、左右方向の内側(図8における左側)を向いて形成される。フロント側第1ガイド第1面721は、図8〜図10に示すように、リアベース部材6のリア側第1ガイド部63のリア側第1ガイド第1面631に対向して配置され、リア側第1ガイド第1面631に当接可能な面である。
フロント側第1ガイド第2面722は、前後方向の後方側(リアベース部材6側)を向いて形成される。フロント側第1ガイド第2面722は、図8〜図10に示すように、リアベース部材6のリア側第1ガイド部63のリア側第1ガイド第2面632に対向して配置され、リア側第1ガイド第2面632に当接可能な面である。
フロント側第2ガイド部73は、図8に示すように、フロントベース部材7の後方において、フロントベース部材7における便器装置1の左右方向の他方側(図6〜図8における左側)の端部に形成される。フロント側第2ガイド部73は、図11に示すように、リアベース部材6の昇降時(上下方向への移動時)において、水平方向の移動が規制され、リアベース部材6のリア側第2ガイド部64にガイドされる。
フロント側第2ガイド部73は、図8及び図11に示すように、フロントベース部材7の後方の左右方向の他方側(図6〜図8における左側)の端部に形成される。フロント側第2ガイド部73は、平面視で略L字状に形成され、上下方向に延びる。フロント側第2ガイド部73は、フロント側第2ガイド第1面731(第3面)と、フロント側第2ガイド第2面732(第4面)と、を有する。
フロント側第2ガイド第1面731及びフロント側第2ガイド第2面732は、図8及び図11に示すように、連続して形成されており、互いが直交して配置される。フロント側第2ガイド第1面731及びフロント側第2ガイド第2面732により形成される部分は、平面視で略L字状に窪んだ凹部で形成される。
フロント側第2ガイド第1面731は、左右方向の内側(図8における左側)を向いて形成される。フロント側第2ガイド第1面731は、図8及び図11に示すように、リアベース部材6のリア側第1ガイド部63のリア側第2ガイド第1面641に対向して配置され、リア側第2ガイド第1面641に当接可能な面である。
フロント側第2ガイド第2面732は、前後方向の後方側(リアベース部材6側)を向いて形成される。フロント側第2ガイド第2面732は、図8及び図11に示すように、リアベース部材6のリア側第1ガイド部63のリア側第2ガイド第2面642に対向して配置され、リア側第2ガイド第2面642に当接可能な面である。
操作用貫通穴76は、図6に示すように、フロントベース部材7に取り付けられた昇降操作レバー部材11の操作突起113に対応する位置に形成されている。操作用貫通穴76には、フロントベース部材7に取り付けられた昇降操作レバー部材11の操作突起113が配置される。操作用貫通穴76の下方には、スライド部材82(後述)の操作端部822が配置されている。
昇降操作レバー部材11は、図3に示すように、フロントベース部材7のフロント側底部プレート71の上面に配置される。昇降操作レバー部材11は、図6に示すように、フロント側底部プレート71の上面に沿って延びる。昇降操作レバー部材11は、延在クランク部111と、操作部112と、操作突起113と、を有する。
延在クランク部111は、クランク形状に形成され、略水平に延びる。
操作突起113は、延在クランク部111の下面から下方に突出する。昇降操作レバー部材11がフロントベース部材7に取り付けられることで、操作突起113は、操作用貫通穴76に配置される。操作突起113は、操作用貫通穴76の下方に配置されるスライド部材82(後述)の操作端部822が当接して、レバー用圧縮ばね部材83に付勢されたスライド部材82に押圧される。
操作部112は、昇降操作レバー部材11がフロント側底部プレート71に取り付けられた際に、便器装置1の左右方向の一方側に露出して配置される(図1及び図2参照)。昇降機構部8(後述)のスライド部材82がレバー用圧縮ばね部材83に付勢されるため、昇降操作レバー部材11は、左右方向の一方側(図6における右側)に向けて付勢されており、操作部112の外側の面が上部カバー部材51(図1及び図2参照)の側面と面一になるように配置される。
分離防止部74は、図6に示すように、フロントベース部材7の後端部における便器装置1の左右方向の中央に設けられる。分離防止部74は、上端延出部741と、貫通穴としての分離防止ねじ貫通穴742(連結部)と、を有する。
上端延出部741は、図6に示すように、フロントベース部材7のフロント側後部壁77の上端部から後方に延出する。上端延出部741の上面には、上面部741aが形成される。上面部741aは、水平方向に延び、かつ、上方を向く面状に形成される。
分離防止ねじ貫通穴742は、フロントベース部材7の後方において、便器装置1の左右方向の中央に形成される。分離防止ねじ貫通穴742は、平面視で、リアベース部材6の分離防止ねじ固定用ねじ穴65に重なるように形成される。分離防止ねじ貫通穴742は、上端延出部741を上下方向に貫通して形成される。分離防止ねじ貫通穴742には、分離防止ねじ部材101の軸部101bが挿通される。
分離防止ねじ部材101は、1本で構成される。分離防止ねじ部材101は、図6に示すように、先端部101aと、軸部101bと、頭部101cと、を有する。
先端部101aは、分離防止ねじ部材101の先端側において、上下方向に延び、外周面にねじ山が形成された円柱状に形成される。先端部101aは、リアベース部材6の分離防止ねじ固定用ねじ穴65に螺合される。
軸部101bは、先端部101aの上端から連続して上方に延び、先端部101aよりも大きい径の円柱状に形成される。軸部101bは、フロントベース部材7の分離防止ねじ貫通穴742に挿通される。軸部101bは、フロントベース部材7の昇降高さに応じた長さで上下方向に延びる。
頭部101cは、軸部101bの上端に配置され、フロントベース部材7の分離防止ねじ貫通穴742を挿通不能な大きさに形成される。
以上のように構成される分離防止ねじ部材101は、図12に示すように、頭部101cがフロントベース部材7の分離防止ねじ貫通穴742よりも上方に配置された状態で、軸部101bがフロントベース部材7の分離防止部74の分離防止ねじ貫通穴742に挿通されて、先端部101aがリアベース部材6の分離防止ねじ固定用ねじ穴65に螺合される。ここで、軸部101bは、フロントベース部材7の昇降高さに応じた長さで上下方向に延びる。本実施形態においては、フロントベース部材7の分離防止部74の分離防止ねじ貫通穴742、リアベース部材6の分離防止ねじ固定用ねじ穴65及び分離防止ねじ部材101は、フロントベース部材7を昇降可能に、リアベース部材6及びフロントベース部材7を連結する連結部を構成する。
これにより、図12に示すように、リアベース部材6及びフロントベース部材7の一体性が確保された状態で連結されつつ、フロントベース部材7は、リアベース部材6に対して、フロントベース部材7の昇降高さに応じて、上下方向に移動可能である。本実施形態においては、昇降装置10が定位置に位置する場合(図1参照)に、フロントベース部材7の上端部は、第1位置H1に位置する(図12における下方側の実線のフロントベース部材7の位置)。また、昇降装置10が上昇位置に位置する場合(図2参照)に、フロントベース部材7の上端部は、第2位置H2に位置する(図12における上方側の想像線のフロントベース部材7の位置)。
また、頭部101cは、フロントベース部材7の分離防止ねじ貫通穴742よりも上方に配置され、かつ、フロントベース部材7の分離防止ねじ貫通穴742を挿通不能な大きさに形成される。そのため、昇降装置10においてフロントベース部材7が上下方向に移動しても、フロントベース部材7が最も上方に位置する場合に、分離防止ねじ部材101の頭部101cの下端がフロントベース部材7の分離防止部74の上面部741aに規制されることで、フロントベース部材7は、リアベース部材6から分離することが防止される。つまり、分離防止ねじ部材101で、フロントベース部材7及びリアベース部材6を連結することで、フロントベース部材7及びリアベース部材6が分離することが防止され、フロントベース部材7及びリアベース部材6の一体性を確保することができる。
複数の昇降機構係止片75は、図6及び図8に示すように、フロントベース部材7のフロント側底部プレート71の下面から下方側に延び、かつ、下方側の端部から左右方向の内側に延びる略L字形状に形成される。複数の昇降機構係止片75は、後述する昇降機構部8の左右方向の両端部を係止するように、昇降機構部8の上プレート81(後述)の左右方向の両端部が配置される位置に形成される。複数の昇降機構係止片75には、上プレート81が係止されることで、昇降機構部8が取り付けられる。
昇降機構部8について説明する。
昇降機構部8は、図5に示すように、フロントベース部材7のフロント側底部プレート71の下面に形成された複数の昇降機構係止片75において、フロントベース部材7に取り付けられる。昇降機構部8は、便器4に固定される。昇降機構部8は、フロントベース部材7を昇降させる。昇降機構部8は、図16に示すように、上プレート81と、スライド部材82と、レバー用圧縮ばね部材83と、カバー部材84と、軸部材としての一対の伸縮軸機構部85,85と、を備える。
上プレート81は、板状に形成され、左右方向に略水平に延びる。上プレート81は、図5に示すように、フロントベース部材7のフロント側底部プレート71の下面に形成された複数の昇降機構係止片75に係止されることで、フロントベース部材7の下面に取り付けられる。上プレート81は、図16に示すように、一対の軸部材用貫通穴811,811と、L字状の凹溝812と、を有する。
一対の軸部材用貫通穴811,811は、図16に示すように、上プレート81において、左右方向に離間して形成される。一対の軸部材用貫通穴811,811には、後述する伸縮軸機構部85の上部ねじ構成部801が貫通して配置される。
凹溝812は、上プレート81の上面から窪んで形成される。凹溝812は、L字状の溝状に形成される。凹溝812のL字の角の部分の壁部には、側方に貫通する側方貫通穴812aが形成されている。側方貫通穴812aには、スライド部材82(後述)の操作端部822が左右方向に移動可能に貫通して配置される。
スライド部材82は、図16に示すように、板状に形成され、左右方向に略水平に延びる。スライド部材82は、上プレート81の下部に配置される。スライド部材82は、一対のスライド部材側係合部821,821と、操作端部822と、レバー用ばね部材収容部823と、を有する。
一対のスライド部材側係合部821,821は、図16に示すように、スライド部材82の下部において、スライド部材82の左右方向に離間して形成される。一対のスライド部材側係合部821,821は、スライド部材82の下部から下方に突出して形成される。一対のスライド部材側係合部821,821は、図5に示すように、延出部821aと、爪部821bと、を有する。スライド部材側係合部821は、昇降装置10が定位置に位置する場合に、下プレート9の下プレート側係合部941に係合する。また、スライド部材82がレバー用圧縮ばね部材83の付勢力に抗して移動されると、一対のスライド部材側係合部821,821が左右方向の他方側(図5における左側)に移動されて、スライド部材側係合部821及び下プレート9の下プレート側係合部941の係合が解除される。
レバー用ばね部材収容部823には、図16に示すように、レバー用圧縮ばね部材83が収容される。レバー用ばね部材収容部823は、上プレート81を貫通して形成され、左右方向に延びる。レバー用ばね部材収容部823の一端には、ばね係止突起823aが形成されている。レバー用圧縮ばね部材83は、スライド部材82を左右方向の一方側(図16における右側)に付勢した状態で、スライド部材82のレバー用ばね部材収容部823に収容されている。これにより、スライド部材82には、左右方向の一方側(図16における右側)に向けてレバー用圧縮ばね部材83の弾性力が付与される。
操作端部822は、スライド部材82の左右方向の一方側(図16における右側)の端部から外側に延出して形成される。操作端部822は、上プレート81の側方貫通穴812aに挿通され、昇降操作レバー部材11の操作突起113に当接する。スライド部材82がレバー用圧縮ばね部材83により左右方向の一方側(図16における右側)に付勢されているため、操作端部822は、昇降操作レバー部材11の操作突起113を左右方向の一方側(図3における右側)に向けて付勢する(図3参照)。
カバー部材84は、図16に示すように、1枚の金属板により形成され、左右方向に略水平に延びる。カバー部材84は、スライド部材82の下方に配置される。カバー部材84は、上プレート81とカバー部材84との間にスライド部材82及びレバー用圧縮ばね部材83が配置された状態で、複数のねじ部材802により、カバー部材84に固定される。これにより、上プレート81、スライド部材82、レバー用圧縮ばね部材83及びカバー部材84は、一体的に構成される。上プレート81、スライド部材82、レバー用圧縮ばね部材83及びカバー部材84が一体的に構成されており、スライド部材のスライド部材側係合部821及び下プレート9の下プレート側係合部941は、上プレート81と下プレート9とを係合させるロック部を構成する。
カバー部材84は、図16に示すように、一対のカバー部材側係合部貫通穴部841,841と、一対のカバー部材側軸部材固定用穴部842,842と、を有する。
一対のカバー部材側係合部貫通穴部841,841は、カバー部材84における左右方向の中央寄りにおいて、カバー部材84の左右方向の中央を挟んで、左右方向に離間して並んで形成される。一対のカバー部材側係合部貫通穴部841,841には、スライド部材82のスライド部材側係合部821が挿通される(図5参照)。
一対のカバー部材側軸部材固定用穴部842,842は、図16に示すように、上プレート81の一対の軸部材用貫通穴811,811が左右方向に並ぶ間隔と同じ間隔で、左右方向に離間して並んで形成される。一対のカバー部材側軸部材固定用穴部842,842は、前後方向に長い長穴状に形成される。
一対のカバー部材側軸部材固定用穴部842,842には、後述する伸縮軸機構部85の上部ねじ構成部801の軸部分が挿通される。一対のカバー部材側軸部材固定用穴部842,842の上部周縁には、上部ねじ構成部801の頭部の下部に配置されたワッシャが当接する。
一対の伸縮軸機構部85,85は、図16に示すように、上下方向に延び、かつ、上下方向に伸縮するように構成される。一対の伸縮軸機構部85,85の軸部分が便器4の取付穴44,44(図4参照)に挿入されて、伸縮軸機構部85の軸部分の下端部から、伸縮軸機構部85の軸部分にナット102(図1及び図2参照)を取り付けることで、昇降機構部8は、便器4に固定される。一対の伸縮軸機構部85,85は、昇降装置10の定位置において短縮され(図17参照)、昇降装置10の上昇位置において伸長される(図18参照)。
一対の伸縮軸機構部85,85は、カバー部材84の一対のカバー部材側軸部材固定用穴部842,842が左右方向に並ぶ間隔と同じ間隔で、左右方向に離間して並んで配置される。一対の伸縮軸機構部85,85は、カバー部材84の一対のカバー部材側軸部材固定用穴部842,842の周縁に取り付けられる。
一対の伸縮軸機構部85の軸部分は、それぞれ、一対のリアベース側軸部材挿通貫通穴部667,667及び下プレート9の一対の下プレート側軸部材挿通穴部95,95を貫通して配置され(図5、図17及び図18参照)、便器4における上下方向に延びる取付穴44(図4参照)に挿通されて、下部において、ナット102により、便器4に固定される(図1及び図2参照)。
伸縮軸機構部85は、図17及び図18に示すように、上部ねじ構成部801と、外筒部851と、底部閉止部材852と、内筒部853と、圧縮ばね部材854と、Oリング855と、を含んで構成される。
外筒部851は、外周面にねじ山が刻まれた円筒状の胴部851aと、フランジ部851bと、を有している。
胴部851aは、上下方向に延びており、下端部の内周面にねじ山が形成される。胴部851aの下端部は、底部閉止部材852により閉止されている。
フランジ部851bは、胴部851aの上端に連続して形成され、平面視で方形状に形成される。
内筒部853及び圧縮ばね部材854は、外筒部851の内部に配置される。
内筒部853は、上下方向に延びるように形成される。
圧縮ばね部材854は、底部閉止部材852と内筒部853との間に配置され、内筒部853を上昇させる方向に弾性力を付与している。これにより、伸縮軸機構部85は上下方向に伸縮可能に構成されている。
内筒部853の下方側には、環状突起853aが形成されている。環状突起853aは、内筒部853の外周面に亘って環状に突出して形成されている。環状突起853aは、昇降装置10の上昇時において、Oリング855に係止されて、昇降装置10の上昇状態を保持する。
以上のように構成される伸縮軸機構部85は、図16に示すように、カバー部材84を上部ねじ構成部801及び外筒部851で挟み込んだ状態で、上部ねじ構成部801を外筒部851の上端部にねじ込むことで、上プレート81、スライド部材82及びカバー部材84に取り付けられる。また、伸縮軸機構部85は、リアベース部材6及び下プレート9を貫通させて、便器4に形成された取付穴44(図4参照)に挿通させて、外筒部851の下端部からナット102(図1及び図2参照)を取り付けることで、上プレート81、スライド部材82及びカバー部材84を便器4に固定することができる。
また、伸縮軸機構部85は、下プレート9の下プレート側係合部941及びスライド部材82のスライド部材側係合部821の係合されている場合には、短縮された状態であり、圧縮ばね部材854は、内筒部853を上昇させる方向に弾性力を付与した状態で、内筒部853を上方側に付勢する。伸縮軸機構部85は、下プレート9の下プレート側係合部941及びスライド部材82のスライド部材側係合部821の係合(ロック)が解除された場合には、伸長された状態であり、圧縮ばね部材854は、内筒部853を上昇させる方向に弾性力を付与して、内筒部853を上昇させる。
以上のように構成される昇降装置10を含む便器装置1の組み立て方法について説明する。
ここでは、リアベース部材6とフロントベース部材7とは、機能部5を配置した状態で、例えば、工場において組み立てられる。本実施形態においては、リアベース部材6及びフロントベース部材7に配置される機能部5の機能部材等が配線等により接続されており、リアベース部材6及びフロントベース部材7は、工場においては、一体性を保持した状態に組み立てられる。そして、リアベース部材6及びフロントベース部材7は、一体性を保持した状態で、工場から出荷されて、例えば、一般家庭等において、便器4に取り付けられる。
まず、工場において、リアベース部材6に下プレート9を取り付ける。図6に示すように、リアベース部材6の延出プレート66の上面において、下プレート9を水平方向にスライドさせる。これにより、図13に示すように、下プレート9を、リアベース部材6の延出プレート66の中央係合部664に係合させ、一対の端部係止部665,665に係止させる。
下プレート9がリアベース部材6の延出プレート66の上面に取り付けられた状態においては、延出プレート66の中央係合部664の係合爪664bで係止された状態(図14参照)で、延出プレート66の中央係合部664及び一対の端部係止部665,665により、上方側への移動が規制されている。
また、下プレート9がリアベース部材6の延出プレート66の上面に取り付けられた状態においては、下プレート9の後方側には、下プレート9とリアベース部材6の延出プレート66との間に、前後方向に、隙間S1(図14参照)が形成されている。また、下プレート9の左右方向の両端部においては、下プレート9とリアベース部材6の延出プレート66との間に、左右方向に、隙間S2(図15参照)が形成されている。
これにより、昇降機構部8の一対の伸縮軸機構部85,85の軸部分が、リアベース部材6の一対のリアベース側軸部材挿通貫通穴部667,667及び下プレート9の一対の下プレート側軸部材挿通穴部95,95に貫通して配置された状態において、一対の伸縮軸機構部85,85の軸部分を便器4の取付穴44(図4参照)に挿入する場合において、下プレート9の左右方向及び前後方向の位置の微調整が可能である。例えば、便器4の製造上の誤差により、便器4の取付穴44(図4参照)の位置がずれて形成されていた場合に、隙間S1及び隙間S2の分だけ下プレート9を前後方向及び左右方向に移動させて、下プレート9を貫通して配置される伸縮軸機構部85の位置を調整して、昇降装置10の水平方向の取付位置を調整することができる。
また、工場において、フロントベース部材7に昇降機構部8(図6参照)を取り付ける。昇降機構部8の上プレート81の左右方向の両端部を、フロントベース部材7の下面に形成された複数の昇降機構係止片75に係止させる。これにより、図5に示すように、フロントベース部材7の下面に昇降機構部8を取り付けることができる。
次に、工場において、図5に示すように、昇降機構部8を取り付けたフロントベース部材7に、下プレート9を取り付けたリアベース部材6を取り付ける。具体的には、図5に示す状態から、下プレート9を取り付けたリアベース部材6を上方に持ち上げて、昇降機構部8の一対の伸縮軸機構部85,85の軸部分を、リアベース部材6の一対のリアベース側軸部材挿通貫通穴部667,667及び下プレート9の一対の下プレート側軸部材挿通穴部95,95に貫通させる。
そして、図5に示すように、下プレート9を取り付けたリアベース部材6を更に上方に持ち上げて、下プレート9の一対の下プレート側係合部941,941(ロック部)をスライド部材82のスライド部材側係合部821(ロック部)に係合させることで、下プレート9を、上プレート81を含む昇降機構部8に係合(ロック)させる。この状態においては、下プレート9は、上下方向において、リアベース部材6とフロントベース部材7との間に配置される。
この状態で、工場において、図7及び図12に示すように、便器装置1の左右方向の中央において、1本の分離防止ねじ部材101を用いて、フロントベース部材7及びリアベース部材6を連結する。具体的には、図12に示すように、分離防止ねじ部材101の頭部101cがフロントベース部材7の分離防止ねじ貫通穴742よりも上方に配置された状態で、軸部101bをフロントベース部材7の分離防止部74の分離防止ねじ貫通穴742に挿通して、先端部101aをリアベース部材6の分離防止ねじ固定用ねじ穴65に螺合させることで、フロントベース部材7及びリアベース部材6を連結する。
これにより、分離防止ねじ部材101により、リアベース部材6とフロントベース部材7とは一体性を保持した状態で連結される。そのため、昇降装置10の搬送中や便器4への設置中において、仮に下プレート9の一対の下プレート側係合部941,941及びスライド部材82のスライド部材側係合部821の係合(ロック)が解除されたとしても、リアベース部材6とフロントベース部材7との一体性が保持されて、リアベース部材6とフロントベース部材7とに配置された機能部5を接続する配線等の切断を抑制することができる。
また、分離防止ねじ部材101の頭部101cは、フロントベース部材7の分離防止ねじ貫通穴742よりも上方に配置され、かつ、フロントベース部材7の分離防止ねじ貫通穴742を挿通不能な大きさに形成される。そのため、分離防止ねじ部材101の頭部101cの下端がフロントベース部材7の分離防止部74の上面部741aに規制されることで、フロントベース部材7は、リアベース部材6から分離することが防止される。
また、軸部101bは、フロントベース部材7の昇降高さに応じた長さで上下方向に延びる。そのため、フロントベース部材7の上下方向の移動範囲は、確保される。
そして、リアベース部材6とフロントベース部材7とは、下プレート9の一対の下プレート側係合部941,941(ロック部)をスライド部材82のスライド部材側係合部821(ロック部)により係合され、且つ、分離防止ねじ部材101により連結されることで、リアベース部材6とフロントベース部材7とは一体性を保持した状態で、工場から出荷されて、例えば、一般家庭等において、便器4に取り付けられる。
次に、例えば一般家庭等において、便器4の上部に、昇降装置10を設置する。具体的には、リアベース部材6とフロントベース部材7とが一体に連結された状態で、リアベース部材6とフロントベース部材7とを便器4の上面に載置する。リアベース部材6とフロントベース部材7とを便器4の上面に載置する際に、昇降機構部8の一対の伸縮軸機構部85,85の軸部分を便器4の取付穴44,44(図4参照)に挿入すると共に、リアベース部材6の下面から延びる一対の軸部材601,601を取付穴(図示せず)に挿入する。これにより、リアベース部材6は、便器4に固定される。
そして、伸縮軸機構部85の軸部分の下端部から、伸縮軸機構部85の軸部分にナット102(図1及び図2参照)を取り付ける。これにより、昇降装置10を便器4に固定することができる。ここでは、前述したように、便器4の製造上の誤差により、便器4の取付穴44(図4参照)の位置がずれて形成されていた場合に、隙間S1及び隙間S2の分だけ下プレート9を前後方向及び左右方向に移動させて、下プレート9を貫通して配置される伸縮軸機構部85の位置を調整して、昇降装置10の水平方向の取付位置を調整することができる。これにより、昇降装置10を便器4に容易に設置できる。
本実施形態においては、昇降機構部8の一対の伸縮軸機構部85,85の軸部分を、便器4への固定のための軸部材として利用した。そのため、便器4へ固定するための別の軸部材等を設ける必要がない。よって、昇降装置10をコンパクト化することができる。
次に、本発明の昇降装置10を手動にて動作させる場合について説明する。
便器4とフロントベース部材7との間の隙間を広く開けて、便器4の上面43(図1及び図2参照)などを清掃したい場合には、昇降装置10の定位置(図1及び図17参照)において、昇降操作レバー部材11の操作部112を押し込むことで操作を行う。これにより、スライド部材82が移動されて、図17及び図18に示すように、下プレート9の一対の下プレート側係合部941,941(ロック部)及びスライド部材82のスライド部材側係合部821(ロック部)の係合(ロック)が解除される。この状態においては、圧縮ばね部材854により、昇降機構部8の内筒部853に上方側に弾性力が付与される。
そして、図1及び図2に示すように、フロントベース部材7に接続された上部カバー部材51を手動で上方に持ち上げる。これにより、圧縮ばね部材854により昇降機構部8の内筒部853に上方側に弾性力が付与されているため、容易に、機能部5の機能部材が配置されたフロントベース部材7を、リアベース部材6に対して上昇させることができる。
フロントベース部材7を上方に持ち上げると、図18に示すように、昇降機構部8の内筒部853の下方側に形成された環状突起853aは、昇降装置10の上昇時において、Oリング855に係止される。これにより、昇降装置10が上昇位置(図2及び図18参照)に位置され、内筒部853の環状突起853aがOリング855に係止された状態で、昇降装置10の上昇位置(図2及び図18参照)が保持される。
このようにすることで、便器4とフロントベース部材7との間の隙間が広がって、フロントベース部材7が上昇位置(図2参照)を保持しているため、便器4の上面43とフロントベース部材7との間の隙間に手を入れやすくなる。よって、便器4の上面43などを容易に清掃することができる。
昇降装置10を上昇位置(図2及び図18参照)から定位置(図1及び図17参照)に戻す場合には、昇降装置10のフロントベース部材7に接続された上部カバー部材51を手動で下方に移動させる。これにより、Oリング855に係止された内筒部853の環状突起853aがOリング855から外れて、フロントベース部材7を下方に移動させることができる。そして、更にフロントベース部材7を下方に移動させることで、スライド部材82のスライド部材側係合部821(ロック部)を下プレート9の一対の下プレート側係合部941,941(ロック部)に係合(ロック)させる。
以上のように動作される昇降装置10においては、フロントベース部材7の昇降時において、リアベース部材6のリア側第1ガイド部63は、左右方向の一方側の端部(図7における右側)において、フロントベース部材7のフロント側第1ガイド部72をガイドする。また、リアベース部材6のリア側第2ガイド部64は、左右方向の他方側(図7における左側)において、フロントベース部材7のフロント側第2ガイド部73をガイドする。これにより、リアベース部材6に対して、フロントベース部材7のガタツキを低減できる。
以上説明した本実施形態の昇降装置10によれば、以下のような効果を奏する。
本実施形態の昇降装置10は、便器装置1の便器4の上部に配置される機能部5の一部を便器4に対して昇降させる昇降装置10であって、便器4に固定されるリアベース部材6と、機能部5の一部を支持すると共に、便器4に対して上下方向に移動可能に構成されるフロントベース部材7と、フロントベース部材7を昇降させ、便器4に固定される昇降機構部8と、リアベース部材6とフロントベース部材7とはリアベース部材6を昇降可能に連結する連結部(分離防止ねじ固定用ねじ穴65、分離防止ねじ貫通穴742及び分離防止ねじ部材101)と、を備える。
そのため、連結部(分離防止ねじ固定用ねじ穴65、分離防止ねじ貫通穴742及び分離防止ねじ部材101)により、分離することが防止された状態で、リアベース部材6とフロントベース部材7とは連結されている。これにより、フロントベース部材7を昇降させる機能を許容しつつ、リアベース部材6とフロントベース部材7の一体性を確保できる。よって、リアベース部材6とフロントベース部材7の一体とした状態で、リアベース部材6とフロントベース部材7とを簡単に便器4に取り付けることができる。また、例えば、リアベース部材6とフロントベース部材7とに配置された機能部5が配線等により接続されている場合において、リアベース部材6とフロントベース部材7の一体性が確保されているため、リアベース部材6とフロントベース部材7とに配置された機能部5を接続する配線等の切断を抑制することができる。
また、本実施形態では、分離防止ねじ固定用ねじ穴65及び分離防止ねじ貫通穴742は、フロントベース部材7における便器装置1に左右方向の中央に設けられる。そして、便器装置1の左右方向の中央において、分離防止ねじ部材101で固定される。
これにより、1本の分離防止ねじ部材101は、リアベース部材6及びフロントベース部材7を、左右方向の中央で連結する。そのため、1本のみの分離防止ねじ部材101を使用する場合に、リアベース部材6及びフロントベース部材7を、左右方向の中央からずれた位置で連結するよりも、安定して連結できる。
また、リアベース部材6及びフロントベース部材7の左右方向の中央の一か所で連結すればよいので、リアベース部材6及びフロントベース部材7を連結させる構成を簡易にできる。
また、本実施形態では、リアベース部材6は、リア側第1ガイド部63を有し、フロントベース部材7は、上下方向への移動時に水平方向の移動が規制されリア側第1ガイド部63にガイドされるフロント側第1ガイド部72を有する。また、リアベース部材6は、リア側第2ガイド部64を有し、フロントベース部材7は、上下方向への移動時に水平方向の移動が規制されリア側第2ガイド部64にガイドされるフロント側第2ガイド部73を有する。
そのため、リアベース部材6又はフロントベース部材7が分離防止ねじ部材101により連結された状態で落下しても、リアベース部材6のリア側第1ガイド部63は、左右方向の一方側の端部(図7における右側)において、上下方向への移動時に水平方向の移動が規制された状態で、フロントベース部材7のフロント側第1ガイド部72をガイドする。また、リアベース部材6のリア側第2ガイド部64は、左右方向の他方側(図7における左側)において、上下方向への移動時に水平方向の移動が規制された状態で、フロントベース部材7のフロント側第2ガイド部73をガイドする。そのため、リアベース部材6又はフロントベース部材7がねじれた状態で落下されることが低減されるため、リアベース部材6及びフロントベース部材7の連結が解除されて、リアベース部材6又はフロントベース部材7が落下することを低減できる。
また、本実施形態では、連結部は、リアベース部材6に形成され上下方向に延びる分離防止ねじ固定用ねじ穴65と、リアベース部材6に形成され平面視で分離防止ねじ固定用ねじ穴65に重なるように形成されると共に上下方向に貫通する分離防止ねじ貫通穴742と、リアベース部材6の分離防止ねじ固定用ねじ穴65に螺合される先端部101aと、リアベース部材6の分離防止ねじ貫通穴742に挿通されてリアベース部材6の昇降高さに応じた長さで上下方向に延びる軸部101bと、分離防止ねじ貫通穴742を挿通不能な大きさに形成される頭部101cと、を有する分離防止ねじ部材101と、を備え、リアベース部材6とフロントベース部材7とは、分離防止ねじ固定用ねじ穴65及び分離防止ねじ貫通穴742において、分離防止ねじ部材101で連結される。
そのため、分離防止ねじ部材101により、分離することが防止された状態で、リアベース部材6とフロントベース部材7とは連結されている。これにより、フロントベース部材7を昇降させる機能を許容しつつ、リアベース部材6とフロントベース部材7の一体性を確保できる。
また、分離防止ねじ部材101の頭部101cの下端がフロントベース部材7の分離防止部74の上面部741aに規制されることで、フロントベース部材7は、リアベース部材6から分離することが防止される。
また、軸部101bは、フロントベース部材7の昇降高さに応じた長さで上下方向に延びる。そのため、フロントベース部材7の昇降時において、フロントベース部材7の上下方向の移動範囲を確保することができる。
以上、本発明の昇降装置の好ましい一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、フロントベース部材7を昇降装置10により上下方向に移動させて昇降させる構成としたが、これに限定されない。フロントベース部材7の昇降には、垂直方向に対して傾斜した斜め上下方向に移動する場合や、回動して昇降する場合も含まれる。