JP2017111100A - 癌におけるリン酸化rbタンパク質を指標としたイリノテカン感受性予測法 - Google Patents

癌におけるリン酸化rbタンパク質を指標としたイリノテカン感受性予測法 Download PDF

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Abstract

【課題】癌におけるイリノテカンに対する応答を予測、監視する。【解決手段】患者の癌組織を含む領域より得られた摘出標本試料と、対照試料とにおけるリン酸化RBタンパク質の量を測定する第一の工程と、摘出標本試料と対照試料とにおいて測定されたリン酸化RBタンパク質の量を比較する第二の工程により、患者の癌におけるイリノテカンに対する応答を予測、監視および診断する。癌治療におけるイリノテカンの有効性を合理的に予測、監視、診断することができ、感受性を有する癌に罹患した患者に対して、従来よりもより早期に適切にイリノテカンを処方する機会を提供するとともに、感受性を有しない癌に罹患した患者に対して、無駄なイリノテカンの処方を避け、別の治療手段をより早期に選択する機会を提供することにより、癌の治療及び治癒の成功確率を大幅に向上させ、癌患者のQOLを大きく向上させることが可能となる。【選択図】図3

Description

本発明は、癌におけるリン酸化RBタンパク質を指標としたイリノテカン感受性予測法に関するものである。
癌は、疾患を原因とする主要な死因の一つであり、発症すると寿命が大幅に短くなる。中でも進行癌や転移性の癌は病状の進行が速いため、癌病巣の状態を的確に把握し、速やかに適切な処置を行うことが求められている。そのような進行癌や転移癌に対し、現在、手術療法、放射線療法、化学療法、免疫療法を始めとする様々な治療法が試みられている。そして、多くの医療現場で採用される治療手段としては、抗腫瘍薬を用いた化学療法がある。
中でも、抗腫瘍薬のイリノテカン(塩酸イリノテカン)は、進行癌に対する化学療法が行われる臨床現場において、およそ20年にも渡って使われ続けている中心的薬剤であり、大腸癌(結腸・直腸癌)、胃癌、膵癌、肺癌、乳癌、子宮頚癌、卵巣癌、有棘細胞癌、非ホジキンリンパ腫、小児悪性固形腫瘍などの、各種の癌に対する治療のためのものとして、広く用いられている。特に、転移性大腸癌などの転移癌の治療においては、第一選択となる薬剤の一つである。イリノテカンを上記各種の癌を罹患する患者に対して処方することにより、癌による病状がより長い期間にわたり進行せず、さらには全生存期間の延長が得られることが期待されており、イリノテカンは、転移性大腸癌などを含む各種癌治療における、まさに頼みの綱となる抗腫瘍薬の一つとなっている(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)。しかしながら、イリノテカンを処方された患者の全てが、十分満足のいく臨床治療成績を享受しているわけではない。
中でも、進行癌は、病状の進行が早いことから、より早期に効果的に治療を進めることが求められる。そして、そのような治療のためには、より有効性の高い抗腫瘍薬を適切に選択することが求められる。有効性に劣る抗腫瘍薬を進行癌治療に用いると、十分な治療効果が得られず、薬剤に対する耐性や他臓器への転移などの病状の悪化を招くこともあり、その結果、却って生存期間を短縮させてしまうなどの不利益を生じさせてしまう。
そのため、進行癌患者における癌組織の状態に適合させた有効性の高い抗腫瘍薬を的確に選択して治療に用いることができるよう、抗腫瘍薬の癌組織に対する有効性を予め把握しておくことは、大変有用である。特に、化学療法は、感受性の因子に作用して癌増殖抑制効果を発揮させる治療法であるため、当該因子を感受性マーカーとして同定すれば、それを指標にした早期診断と感受性を有する患者に対しての早期治療が可能となり、治癒または中長期の延命を得られる確率が高まる。また、感受性が低いか、感受性を有しない患者においては、無駄な治療を避けるとともに、他のより適切な治療法を早期に選択する機会を提供することが可能となる。
そこで、癌治療に用いられている各種抗腫瘍薬については、それら薬剤を用いた癌治療の有効性を予測するためのマーカーが調査され、治療薬の選択のために用いられている。そして、イリノテカンについても、癌治療の有効性を予測するためのマーカーを同定し、利用法を確立することが望まれている。
イリノテカンは、トポイソメラーゼI(Top I)阻害効果を有し、Top IがDNA複製時にニックの入ったDNA鎖を再連結することを妨げる活性を有しているとの報告がある(非特許文献4、非特許文献5)。それ故、Top Iの高い発現量とイリノテカンの薬効とは関連し、Top Iの発現量が効果予測因子になると想定された(非特許文献6)。そして、大規模な前向き研究である進行性大腸癌患者のための英国のMRC FOCUS試験においては、中等度あるいは高度のTop I発現は、5−フルオロウラシルに加えてイリノテカンを使用した患者群において、より長期の生存期間と関連していたことが報告されている(非特許文献7)。
ところが、同じく進行性大腸癌患者において行われた前向き研究であるCAIRO試験では、イリノテカンの応答性とTop I発現との間に、相関関係は見出されていない(非特許文献8、非特許文献9)。さらに、SN38(イリノテカンの活性代謝物)に耐性を獲得した細胞では、Top I発現量は維持されていたとの別の報告もある(非特許文献10)。
このように、進行癌に対する化学療法におけるイリノテカンの応答性とTop I発現との関係については、相反する複数の報告があることから、Top I発現がイリノテカンの進行癌に対する臨床的な効能を予測するためのマーカーであるとはいえない状況にある。この他にも様々な試みや検討がされているものの、癌におけるイリノテカン感受性マーカーは未だ明らかにはなっていない。
そして、大腸癌(結腸・直腸癌)、胃癌、膵癌、肺癌、乳癌、子宮頚癌、卵巣癌、有棘細胞癌、非ホジキンリンパ腫、小児悪性固形腫瘍などの、各種の癌の治療においてイリノテカンが広く使用され、研究と探索が続けられているにもかかわらず、それら癌に対するイリノテカンの有効性を予測し、イリノテカンの治療可能性を高めるための感受性マーカーの探索は、未だ十分な成果があがっているとはいえない。そして、依然として、当該感受性マーカーの同定と、当該感受性マーカーを用いた、患者の癌におけるイリノテカンに対する応答を予測し、または監視するための手法の確立が、強く望まれている。
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本発明が解決しようとする課題は、患者の大腸癌(結腸・直腸癌)、胃癌、膵癌、肺癌、乳癌、子宮頚癌、卵巣癌、有棘細胞癌、非ホジキンリンパ腫、小児悪性固形腫瘍などといった各種の癌におけるイリノテカンに対する応答を予測し、監視し、または診断することができる、新たな方法、及び、該方法に用いるためのキットを提供することである。
本発明者は、イリノテカンの感受性マーカーを確立するとともに、イリノテカンが本来的に有効である大腸癌(結腸・直腸癌)、胃癌、膵癌、肺癌、乳癌、子宮頚癌、卵巣癌、有棘細胞癌、非ホジキンリンパ腫、小児悪性固形腫瘍などの癌患者の治療において、当該癌におけるイリノテカン感受性に関する早期診断と、より適切な治療による癌治癒の機会を提供すべく、鋭意研究を進めていた。
その中で、本発明者は、イリノテカンの大腸癌における感受性は、イリノテカン感受性マーカーとしての可能性が従来指摘されていたTop Iの発現量と、何ら関連性を有していないことを明らかにした。他方、イリノテカンの大腸癌における感受性は、癌細胞の細胞周期および細胞増殖を制御する中心的分子であるRB(retinoblastoma gene)タンパク質の、特定部位のリン酸化状態と相関することを見出した。そして、大腸癌などの癌の、イリノテカンに対する感受性は、それら癌組織におけるRBタンパク質の特定部位のリン酸化状態をマーカーとして評価することによって適切に予測し得ることを、今回新たに明らかにした。
また、本発明者は、イリノテカンに対する大腸癌(結腸・直腸癌)、胃癌、膵癌、肺癌、乳癌、子宮頚癌、卵巣癌、有棘細胞癌、非ホジキンリンパ腫、小児悪性固形腫瘍などの、各種の癌に対する感受性が患者の病理組織を評価することで予測できるか否か検討するために、大腸癌罹患患者の癌病巣組織におけるRBタンパク質の特定部位のリン酸化状態を評価した結果、大腸癌手術症例における臨床サンプルを用いた免疫組織化学染色による後ろ向き検討においても同様に、RBタンパク質の特定部位のリン酸化状態により、イリノテカン感受性を良好に評価できることを、新たに見出した。そしてさらに、siRNAを用いたメカニズム検討を行うことにより、大腸癌細胞においては、RBタンパク質のリン酸化状態の制御によりイリノテカンの感受性が影響されることも見出し、患者の大腸癌組織におけるRBタンパク質の特定部位のリン酸化状態を評価することによってイリノテカンに対する感受性を予測できることが、作用機序から裏付けられることも明らかにした。
上記各種検討の結果、大腸癌(結腸・直腸癌)、胃癌、膵癌、肺癌、乳癌、子宮頚癌、卵巣癌、有棘細胞癌、非ホジキンリンパ腫、小児悪性固形腫瘍などの癌患者におけるイリノテカンに対する感受性は、患者の癌組織におけるRBタンパク質のリン酸化状態を評価することで、適切に予測し、監視し、また診断できることが、今回新たに明らかとなり、大腸癌(結腸・直腸癌)、胃癌、膵癌、肺癌、乳癌、子宮頚癌、卵巣癌、有棘細胞癌、非ホジキンリンパ腫、小児悪性固形腫瘍などの、各種癌におけるリン酸化RBタンパク質を指標とした、合理的で有効性の高い、新たなイリノテカン感受性予測法の発明が完成された。
上記の課題を解決するための本発明の第1の手段は、患者の癌組織を含む領域より得られた摘出標本試料と、対照試料とにおけるリン酸化RBタンパク質の量を測定する第一の工程と、摘出標本試料と対照試料とにおいて測定されたリン酸化RBタンパク質の量を比較する第二の工程とを含む、患者の癌におけるイリノテカンに対する応答を予測し、または監視する方法である。大腸癌(結腸・直腸癌)、胃癌、膵癌、肺癌、乳癌、子宮頚癌、卵巣癌、有棘細胞癌、非ホジキンリンパ腫、小児悪性固形腫瘍などの各種癌が対象とされる。そして、上記方法により、患者の癌組織を含む領域より得られた摘出標本試料における測定されたリン酸化RBタンパク質の量が、対照試料において測定されたリン酸化RBタンパク質の量に比較して有意に多いことが確認される場合に、当該癌組織はイリノテカンに対する感受性を有し、イリノテカンを投与すると応答性を示すと予測され、有意差がなくリン酸化RBタンパク質の発現が不十分である場合には、当該癌組織はイリノテカンに対する感受性を有しないものであってイリノテカンを投与しても応答性を示さないと予測されることとなる。
上記の課題を解決するための本発明の第2の手段は、前記リン酸化RBタンパク質のリン酸化部位が、RBタンパク質のSer780および/またはSer807/811であることを特徴とする、本発明の第1の手段の方法である。
上記の課題を解決するための本発明の第3の手段は、前記リン酸化RBタンパク質の量が、ウエスタンブロット法、免疫組織化学染色、免疫蛍光法、イムノアッセイ、ELISAまたは質量分析からなる群から選択される測定方法を用いて測定されることを特徴とする、本発明の第1又は第2の手段の方法である。
上記の課題を解決するための本発明の第4の手段は、前記リン酸化RBタンパク質の量が、リン酸化部位特異的抗RB抗体又はリン酸化部位特異的抗RB抗体断片を用いて測定されることを特徴とする、本発明の第1〜第3の手段のいずれか1に記載の方法である。
上記の課題を解決するための本発明の第5の手段は、前記リン酸化部位特異的抗RB抗体が、RBタンパク質のSer780および/またはSer807/811のリン酸化を検出するものであることを特徴とする、本発明の第4の手段の方法である。
上記の課題を解決するための本発明の第6の手段は、さらにBCRP(乳癌耐性タンパク質)の発現を患者の癌組織を含む領域より得られた摘出標本試料において、ウエスタンブロット法、免疫組織化学染色、免疫蛍光法、イムノアッセイ、ELISAまたは質量分析からなる群から選択される測定方法を用いて測定する工程を含むものであることを特徴とする、本発明の第1〜第5の手段のいずれか1に記載の方法である。
上記の課題を解決するための本発明の第7の手段は、リン酸化部位特異的抗RB抗体又はリン酸化部位特異的抗RB抗体断片を含む、本発明の第1〜第6の手段のいずれか1に記載の方法により、患者の癌におけるイリノテカンに対する応答を予測し、または監視するためのキットである。
上記の課題を解決するための本発明の第8の手段は、前記リン酸化部位特異的抗RB抗体又はリン酸化部位特異的抗RB抗体断片が、RBタンパク質のSer780および/またはSer807/811のリン酸化を検出するものであることを特徴とする、本発明の第7の手段のキットである。
上記の課題を解決するための本発明の更なる手段は、患者の癌組織を含む領域より得られた摘出標本試料と、対照試料とにおけるリン酸化RBタンパク質の量を測定する第一の工程と、摘出標本試料と対照試料とにおいて測定されたリン酸化RBタンパク質の量を比較する第二の工程とを含む、患者の癌におけるイリノテカンに対する応答の診断方法である。また、上記の課題を解決するための本発明の更なる手段は、前記リン酸化RBタンパク質のリン酸化部位が、RBタンパク質のSer780および/またはSer807/811であることを特徴とする、前記の手段の方法である。また、上記の課題を解決するための本発明の更なる手段は、前記リン酸化RBタンパク質の量が、ウエスタンブロット法、免疫組織化学染色、免疫蛍光法、イムノアッセイ、ELISAまたは質量分析からなる群から選択される測定方法を用いて測定されることを特徴とする、前記いずれかの手段の診断方法である。また、上記の課題を解決するための本発明の更なる手段は、前記リン酸化RBタンパク質の量が、リン酸化部位特異的抗RB抗体又はリン酸化部位特異的抗RB抗体断片を用いて測定されることを特徴とする、前記いずれかの手段の診断方法である。また、上記の課題を解決するための本発明の更なる手段は、前記リン酸化部位特異的抗RB抗体が、RBタンパク質のSer780および/またはSer807/811のリン酸化を検出するものであることを特徴とする、前記いずれかの手段の診断方法である。また、上記の課題を解決するための本発明の更なる手段は、さらにBCRP(乳癌耐性タンパク質)の発現を患者の癌組織を含む領域より得られた摘出標本試料において、ウエスタンブロット法、免疫組織化学染色、免疫蛍光法、イムノアッセイ、ELISAまたは質量分析からなる群から選択される測定方法を用いて測定する工程を含むものであることを特徴とする、前記いずれかの手段の診断方法である。
本発明の患者の大腸癌(結腸・直腸癌)、胃癌、膵癌、肺癌、乳癌、子宮頚癌、卵巣癌、有棘細胞癌、非ホジキンリンパ腫、小児悪性固形腫瘍などの各種癌におけるイリノテカンに対する応答を予測し、または監視する方法およびキットを用いることにより、それら癌に罹患した患者の病理組織におけるRBタンパク質の特定部位のリン酸化状態を測定し、当該組織において、特定のリン酸化亢進が確認される場合にイリノテカンに対して感受性を有し、特定のリン酸化亢進が生じていない場合にはイリノテカンに抵抗性を有するとして評価することで、それら癌治療におけるイリノテカンの有効性を合理的に予測し、監視し、また診断できる効果が得られるようになった。さらに、BCRPの発現を確認することにより、イリノテカン有効性に関する評価における擬陽性を除くことが可能となった。そして、本発明の方法およびキットを使用することによって、大腸癌(結腸・直腸癌)、胃癌、膵癌、肺癌、乳癌、子宮頚癌、卵巣癌、有棘細胞癌、非ホジキンリンパ腫、小児悪性固形腫瘍などの各種癌に罹患した患者の組織におけるRBタンパク質のserine部位のリン酸化陽性率を予め検討することが可能となった。そして、感受性を有する癌に罹患した患者に対しては、従来よりもより早期に適切にイリノテカンを処方する機会を提供するとともに、感受性を有しない癌に罹患した患者に対しては、無駄なイリノテカンの処方を避け、別の治療手段をより早期に選択する機会を提供することにより、それら癌の治療及び治癒の成功確率を大幅に向上させ、癌患者のQOLを大きく向上させることが可能となる。
各種のヒト大腸癌細胞株におけるTop I (topoisomerase-I)の発現を確認したウエスタンブロット解析結果である。 各種のヒト大腸癌細胞株における倍化時間と、大腸癌細胞株におけるSN38のIC50値との関係を示したグラフである。 各種のヒト大腸癌細胞株におけるリン酸化RBタンパク質及びRBタンパク質の発現を確認したウエスタンブロット解析結果である。 各種のヒト大腸癌細胞株におけるBCRP(乳癌耐性タンパク質, breast cancer resistance protein)の発現を確認したウエスタンブロット解析結果である。 大腸癌に罹患した患者におけるリン酸化RBタンパク質の免疫組織化学染色結果の代表例である。 大腸癌に罹患した患者におけるKi-67(MIB-1)の免疫組織化学染色結果の代表例である。 大腸癌に罹患した患者におけるKi-67(MIB-1)の標識指数(LI)を示す図である。 サイクリン依存性キナーゼに対するsiRNAを処理した各種のヒト大腸癌細胞株におけるCDK2、CDK4、CDK6およびCDK4/6の発現抑制を確認したウエスタンブロット解析結果である。 サイクリン依存性キナーゼに対するsiRNAを処理した各種のヒト大腸癌細胞株におけるリン酸化RBタンパク質及びRBタンパク質の発現を確認したウエスタンブロット解析結果である。 SW620細胞及びSW480細胞に対する、SN38の72時間処理による細胞周期進行の解析結果である。データは平均値±SDを示す。**はp<0.01を示す。 サイクリン依存性キナーゼに対するsiRNAを処理したSW620細胞及びSW480細胞に対する、SN38の5 nM 処理による細胞周期進行の解析結果である。データは平均値±SDを示す。*はp<0.05を、**はp<0.01を示す。 SW620細胞に対するsiNCまたはsiCDK4/6処理による各濃度のSN38の処理時における細胞生存率の解析結果である。データは平均値±SDを示す。*はp<0.05を、**はp<0.01を示す。 SW620細胞に対するsiNCまたはsiCDK4/6処理によるSN38のIC50値の測定結果である。データは中央値±SDを示す。*はp<0.05を示す。
本発明は、大腸癌(結腸・直腸癌)、胃癌、膵癌、肺癌、乳癌、子宮頚癌、卵巣癌、有棘細胞癌、非ホジキンリンパ腫、小児悪性固形腫瘍などの各種癌に罹患した患者の、当該癌組織を含む領域より得られた摘出標本試料と、対照試料とにおけるリン酸化RBタンパク白質の量を測定する第一の工程と、摘出標本試料と対照試料とにおいて測定されたリン酸化RBタンパク質の量を比較する第二の工程とを含む、患者の癌におけるイリノテカンに対する応答を予測し、または監視する方法、及び、リン酸化部位特異的抗RB抗体又はリン酸化部位特異的抗RB抗体断片を含む、前記方法により、患者の癌におけるイリノテカンに対する応答を予測し、または監視するためのキットを提供する。
本明細書において「RB」とは、癌抑制遺伝子であるretinoblastoma geneを指す。また、RBタンパク質は、retinoblastoma geneの転写翻訳産物のタンパク質を指す。本明細書において「BCRP」とは、乳癌耐性タンパク質(breast cancer resistance protein)を指す。本明細書において「CDK」とは、サイクリン依存性キナーゼ(cyclin-dependent kinase)を指す。
本明細書において、「治療」という用語は、本発明に係る医薬組成物が被験者に投与されることにより、腫瘍が死滅またはその細胞数が減少すること、腫瘍の増殖が抑制されること 、腫瘍に起因する様々な症状が改善されることを意味するものである。また、本発明において「予防」という語は、減少した腫瘍が再度増殖することによりその数が増加することの防止、増殖が抑制された腫瘍の再増殖の防止を意味する。
〔抗体について〕
本発明において、RBタンパク質のリン酸化を検出するために用いることができる抗体としては、RBタンパク質のSer780および/またはSer807/811のリン酸化を検出するリン酸化部位特異的抗RB抗体又はその断片などを用いることができる。また、BCRPを検出することができる抗体としては、BCRP特異的抗体又はその断片などを用いることができる。抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体又は結合特異性を有する抗体断片や、ファージ抗体などを用いることもできる。特異性を向上させるよう、抗体をコードする遺伝子を改変したものから得られるものも利用することができる。
これらの抗体や抗体断片などは、公知の方法に従って、マウス、ラット、ブタ、ウシ、ウマ、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、トリなどから選択される宿主動物に、適切な抗原又はエピトープを有するタンパク質もしくはペプチドを投与することによって生産することができ、また、ハイブリドーマ技術(たとえばNature, 1975, 256:495-497、Immunology Today 1983, 4:72、PNAS 1983, 80:2026-2030、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, 1985, 77-96などが参照できる。)によりモノクローナル抗体として産生させるなどの、抗体分子を産生する任意の技術を用いて、調製し、単離する方法(例えばAntibodies: A Laboratory Manual, 1988, Cold Spring Harbor Laboratory、Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, 1986, Academic Pressなどが参照できる。)などにより調製したものを用いることができる。公知の方法に従って断片化処理したものを用いることもできる。
また、市販されている抗体を用いることもできる。RBタンパク質のリン酸化を検出するために用いることができる抗体としては、例えば、Anti-Rb (phospho S780) 抗体 (ab131264) および Anti-Rb (phospho S780) 抗体 (ab47763) (アブカム,ケンブリッジ,英国)、Anti-RB1/Retinoblastoma/RB Antibody (phospho-Ser780) LS-C96958(LifeSpan BioSciences, Inc.,ワシントン州,米国)、Rb Antibody (Phospho-S780) (OAAB16109)(Aviva Systems Biology Corporation,カリフォルニア州,米国)、Phospho-Rb pSer780 Antibody (Catalog#: PA5-12681) (Thermo Fisher Scientific Inc.,マサチューセッツ州,米国)、ANTI-PHOSPHO-RB(S780) antibody produced in rabbit (Product Number: SAB1305093)(Sigma-Aldrich Co. LLC.,マサチューセッツ州,米国)、Rabbit Polyclonal Retinoblastoma (Ser780) Antibody (Phospho-specific) (TA325793)(OriGene Technologies,メリーランド州,米国)、Phospho-RB1-S780 Antibody (AP0444) (NeoScientific, NEO Group Inc.,マサチューセッツ州,米国)、Retinoblastoma (Phospho-Ser780) antibody (orb223093)(Biorbyt Ltd.,ケンブリッジ,英国)、および、Retinoblastoma (phospho-Ser780) Antibody (abx011461)(Abbexa Ltd.,ケンブリッジ,英国)などを利用することができる。また、BCRPを検出することができる抗体としては、#9308 Phospho-Rb (Ser807/811) Antibody(Cell Signaling Technology, Inc.,マサチューセッツ州,米国)、p-Rb 抗体(Ser 807/811): sc-16670 (Santa Cruz Biotechnology, Inc., テキサス州,米国)などを利用することができる。
これらの抗体およびその断片は、ウエスタンブロット法、免疫組織化学染色、免疫蛍光法、イムノアッセイ、ELISAまたは質量分析からなる群から選択される手法にて用いる際には、適宜化合物や蛍光物質等で標識化されたものを調製して使用することができる。また、検出感度を高めるため、HRP標識二次抗体などの標識化された二次抗体を用いることもできる。
〔リン酸化RBタンパク質の量の測定と比較の工程について〕
患者の大腸における癌組織を含む領域から、書面によるインフォームド・コンセントを得た後、医師などの有資格者による作業により摘出し提供された摘出標本試料を用いて、ウエスタンブロット法、免疫組織化学染色、免疫蛍光法、イムノアッセイ、ELISAまたは質量分析などにより、リン酸化RBタンパク質の量を測定する。免疫組織化学染色に処する場合には、適宜、ホルマリン固定処理などの固定処理を施した後、任意にパラフィンに包埋し、切片を調製し、公知の手法を用いて、染色処理工程を実施する。染色の手順については、実施例の材料と方法の項において説明するように行ってもよい。さらに、適宜ヘマトキシリンによる対比染色などを行い、染色部位の同定を確実にする。
また、ベンタナXTシステムディスカバリー、ベンタナベンチマークULTRA(ロッシュ・ダイアグノスティックス株式会社)、全自動抗体・インサイチュ染色装置Lica BOND、全自動染色装置オートステイナーXL/マルチステイナーST5020(ライカマイクロシステムズ)などの、任意の全自動染色装置及び染色の自動処理装置、及び、顕微鏡、自動画像処理システムを用いて実施することが可能である。
以下、本発明を実施例の記載によって具体的に説明するが、本発明は当該記載によって限定して解釈されるものではない。
<材料と方法>
〔1.細胞の入手〕
HCT116細胞、SW480細胞およびSW620細胞を、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC,米国)から入手した。CCK-81細胞、CoCM-1細胞およびSW837細胞を、ヒューマンサイエンス研究資源バンク(HSRRB,日本)から入手した。LIM1215細胞を、ユーロピアン・コレクション・オブ・セル・カルチャー(ECACC,英国)から入手した。Caco-2細胞を、理化学研究所バイオリソースセンター(RIKEN BRC,日本)から入手した。
〔2.細胞培養〕
上記の各細胞は、10% FBS、4 mM グルタミン、50 U/mL ペニシリン及び100μg/mL ストレプトマイシンを添加したDMEM培地を用い、37℃、5% CO2の飽和水蒸気圧にて培養した。
〔3.試薬〕
SN-38(シグマ,ミズーリ州,米国)は、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解して分注した後、使用時まで-20℃にて保管した。
〔4.細胞生存率試験〕
細胞生存率は、Cell Counting Kit-8(株式会社同仁化学研究所、日本)を用い、同キットに添付の説明書に従って測定を行って決定し、さらに、IC50値を算出した。
所定の各濃度に調整したSN38をDMEM培地に添加し、各細胞を72時間培養した。その後、キット添付溶液WST-8を上記DMEM培地に添加し、さらに4時間培養した。マルチウェルプレートリーダー(DSファーマバイオメディカル、日本)を用い、波長450 nmにて測定した。細胞数をViaCount Assay(Guava Technologies, カリフォルニア州,米国)によるメーカー指定の手順にて計測し、各細胞株の細胞倍化時間を算出した。
〔5.タンパク質の調整とウエスタンブロット解析〕
細胞を緩衝液(50 mM Tris-HCl,1% SDS,1 mM DTT,2 μg/mL ロイペプチン,2 μg/mL アプロチニン、0.5 mM フェニルメチルスルフォニルフルオライド及びホスファタ‐ゼ阻害剤カクテル(ナカライテスク,日本)に溶解し、溶解液を得た。該溶解液を超音波処理し、さらに15000-rpm,4℃の条件にて遠心分離し、上清を採取した。
得られた上清を5分間煮沸し、(CDK2、CDK4、CDK6およびGAPDHの検出のためのものとして)12%ポリアクリルアミドゲル、または、(リン酸化RBタンパク質、RBタンパク質、トポイソメラーゼI、BCRPおよびα−チューブリンの検出のためのものとして)7%ポリアクリルアミドゲルにロードし、電気泳動処理を行った後、PVDF膜(ミリポア,マサチューセッツ州,米国)に転写した。
ウエスタンブロット解析には、次に示す一次抗体を使用した。
マウス抗ヒトRB抗体(BDバイオサイエンス,カリフォルニア州,米国)、マウス抗ヒトリン酸化RB(Ser780)抗体(カルビオケム,カリフォルニア州,米国)、マウス抗ヒトCDK6抗体(Cell Signaling Technology, Inc.,マサチューセッツ州,米国)、ウサギ抗ヒトリン酸化RB(Ser780)抗体(Cell Signaling Technology, Inc.,マサチューセッツ州,米国)、ウサギ抗ヒトリン酸化RB(Ser807/811)抗体(Cell Signaling Technology, Inc.,マサチューセッツ州,米国)、ウサギ抗ヒトCDK2抗体(サンタクルーズバイオテクノロジー,カリフォルニア州,米国)、ウサギ抗ヒトCDK4抗体(サンタクルーズバイオテクノロジー,カリフォルニア州,米国)、ウサギ抗ヒトトポイソメラーゼI抗体(Abcam,ケンブリッジ,英国)、マウス抗ヒトBCRP抗体(Abcam,ケンブリッジ,英国)、および、マウス抗ヒトGAPDH抗体(HyTest,トゥルク,フィンランド)。
ブロットは、HRP標識二次抗体(GEヘルスケア,ニュージャージー州,米国)を用いてインキュベートした。シグナルは、Chemi-Lumi One(ナカライテスク,日本)またはウエスタン化学発光HRP基質(メルクミリポア)を用いて検出した。
〔6.低分子干渉RNA導入〕
低分子干渉RNA(siRNA)は、Ambion(カリフォルニア州,米国)から、CDK2用(UAAGUACGAACAGGGACUCca)、CDK4用(UGUGGGUUAAAAGUCAGCAtt)、CDK6用(UUCUACGAAACAUUUCUGCaa)及びSilencer Select Negative Control #2 siRNAを入手した。50 nMの各siRNAを、Lipofectamine RNAiMAX試薬(インビトロジェン,カリフォルニア州,米国)を用いて細胞にトランスフェクトした。トランスフェクトしてから24時間経過後、培養液を5 nM SN38添加DMEM、0.1% DMSO添加DMEMまたはDMEMのみとして更に72時間インキュベーションした。その後、細胞を回収し細胞周期を確認するとともに、ウエスタンブロット法にて解析を行った。
〔5.細胞周期の解析〕
各種の細胞をSN38に所定の各濃度で72時間曝露した後、細胞を回収した。回収した細胞は、0.1% トライトン-X100で透過処理し、核をヨウ化プロピジウム(PI)にて染色した。DNA量はFACSCalibur(ベクトン−ディッキンソン,ニュージャージー州,米国)にて測定され、ModFit LT(Verity Software House,メイン州,米国)により解析された。
〔7.ヒト組織サンプル〕
2008年から2013年の間に京都府立医科大学消化器外科で結腸/直腸切除術を受けた臨床病期第IV期の23名の大腸癌患者から、原発腫瘍のサンプルを得た。各サンプルは、24時間のホルマリン固定処理の後、パラフィンに包埋した。
上記患者の選択基準は、他の腫瘍を併発していないこと、および、術前に化学療法あるいは放射線療法を受けていないことである。全ての患者において、書面によるインフォームド・コンセントを得た。また、関連する臨床病理学データと生存データは、病院データベースより取得した。
手術後に、22名の患者が、転移や再発を対象としたイリノテカンによる第2次または第3次化学療法を受け、そして1名の患者のみが第1次療法としてイリノテカンによる治療を受けた。全患者に対し、以下に示すイリノテカンを含むレジメンでの療法が行われた:FOLFIRI(5-FU +ロイコボリン+イリノテカン)、FOLFIRI+BEV(FOLFIRI+ベバシズマブ)、FOLFIRI+C-mab(FOLFIRI +セツキシマブ)、FOLFIRI+P-mab(FOLFIRI+パニツムマブ)、CPT-11+C-mab(イリノテカン+セツキシマブ)、IRIS(イリノテカン+S-1)、およびIRIS+BEV(IRIS+ベバシズマブ)。
イリノテカンを含んだレジメンでの治療を約5コース終了後に、エックス線断層撮影(CT)を行った。治療効果は、前記エックス線断層撮影における撮像写真を用い、RECIST v1.1(Eisenhauer EA., et al. New response evaluation criteria in solid tumours: Revised RECIST guideline (version 1.1). Eur J Cancer 2009; 45:228-47.)に従い評価した。
その結果、5人の患者が部分奏効(PR)、10人の患者が安定(SD)、8人の患者が進行(SD)と分類された。PRの患者は治療応答群に、そして、SDおよびPDの患者を治療非応答群と分類した。疾患の病期判定は、The Union for International Cancer Control(Sobin L, et al. TNM classification of malignant tumors. 7th ed. Hoboken: Wiley, 2009.)に基づいて行った。
〔8.免疫組織化学染色〕
腫瘍組織の、パラフィン包埋切片(厚さ3 mm)を、アビジン−ビオチン−ペルオキシダーゼ法を用いたリン酸化RBタンパク質(Ser780)およびKi-67(MIB-1)検出のため免疫組織化学染色に供した。
最初の工程として、パラフィン包埋切片を、キシレンにより脱パラフィン処理し、さらに、下降アルコール系列により水和処理した。その後、切片を0.3%過酸化水素水で30分インキュベートして、内在性ペルオキシダーゼ活性を不活化した。
次に、切片を、タンパク質ブロッキング剤と各種抗体とともにインキュベートした。その後、切片は、マウス抗リン酸化RB(Ser780)抗体(Abcam)の場合は37℃で1時間インキュベートし、また、Ki-67(Santa Cruz Biotechnology)の場合は室温で1時間インキュベートした。ジアミノベンジジン液(3,3'-diaminobenzidine, tetrahydrochloride: DAB)の発色のため、アビジン-ビオチン-ペルオキシダーゼ複合体システム(Vectastain Elite ABC kit;Vector Laboratories,カリフォルニア州,米国)を使用した。さらに、切片はヘマトキシリンによる対比染色も行った。
最終工程で、切片は、アルコールを用いて脱水し、さらにキシレンにより透徹処理を行った後、封入処理した。
腫瘍細胞の細胞質における免疫組織化学染色による発現は、リン酸化RBタンパク質陽性として計測された。リン酸化RBタンパク質発現を評価するため、全細胞集団中におけるリン酸化RB(Ser780)タンパク質の発現率(%)が、各事例において評価された。免疫組織化学におけるKi-67の標識指数(LI)は、最も強く染色された領域での癌細胞における陽性率によって決定した。なお、重度に角質化した領域については除外した。
〔9.統計分析〕
データは、3回の測定の平均値±SDとして示す。有意性は、両群間を比較したスチューデントt検定またはマンホイットニーU検定によって評価した。フィッシャーの正確確率検定は、臨床病理学的パラメーターとリン酸化RBタンパク質発現量との相関を調べるために行った。p値が0.05未満または0.01未満であったときに、差が有意であると見なした。
<結果>
〔1.SN38に対する感受性は、細胞の倍加時間と逆相関している。〕
[実施例1]
ヒト大腸癌細胞がTop I (topoisomerase-I) を発現するか否か検討した。その結果、ヒト大腸癌細胞のHCT116細胞、LIM1215細胞、SW480細胞、SW620細胞、CCK-81細胞、CoCM-1細胞、SW837細胞およびCaco-2細胞は、いずれもTop I (topoisomerase-I) を発現していることが明らかとなった(図1)。
[実施例2]
そこで、大腸癌細胞におけるTop I発現が、SN38への感受性と相関性を有するか否か検討した。上記8種類のヒト大腸癌細胞を、各濃度のSN38によって処理し、IC50値を算出した。結果を表1に示す。
上記表1において示すように、ヒト大腸癌細胞には、SN38に対して感受性を有する細胞株と、感受性を有しない細胞株があることが判明した。
そして、ヒト大腸癌細胞のHCT116細胞、LIM1215細胞、SW480細胞およびSW620細胞は、SN38に対する感受性を有していることが明らかとなった。また、各細胞におけるSN38のIC50値は、いずれも4 nM未満であった。
一方、ヒト大腸癌細胞のCCK-81細胞、CoCM-1細胞、SW837細胞およびCaco-2細胞は、SN38に対する抵抗性を有していることが明らかとなった。また、各細胞におけるSN38のIC50値は、いずれも80 nMよりも大きかった。
上記試験の結果、大腸癌細胞株においては、SN38への感受性とTop I発現量との間には相関関係は見出されないことが、今回新たに明らかとなった(図1、表1)。
[実施例3]
そこでさらに、上記の各大腸癌細胞株について、倍化時間をそれぞれ測定した。そして、倍化時間とSN38のIC50値との関係をグラフに表した(図2)。
図2に示すように、上記各細胞株における倍化時間と、SN38のIC50値とは、明らかに正の相関(R2=0.9315)を示していた。
これらの結果から、高い増殖性を有している大腸癌細胞は、SN38に対して、より高い感受性を有していることが、今回新たに明らかとなった。
〔2.RBタンパク質のリン酸化状態は、細胞のSN38に対する感受性と相関する。〕
[実施例4]
次に、上記の各大腸癌細胞株において、細胞増殖により転写制御因子E2Fに結合できなくなるリン酸化RBタンパク質を検出するため、ウエスタンブロット解析による試験を行った。
その結果、上記試験においてSN38に感受性を有することが明らかとなった細胞株(HCT116細胞、LIM1215細胞、SW480細胞およびSW620細胞)では、それらRBタンパク質については、いずれも過剰なリン酸化が生じていることが、今回新たに確認された(図3)。各細胞株におけるRBタンパク質の総量は一定であった。
他方、上記試験においてSN38に抵抗性を有することが明らかとなった細胞株(CCK-81細胞、CoCM-1細胞およびSW837細胞)では、RBタンパク質のリン酸化の程度は低いことが、今回新たに確認された(図3)。各細胞株におけるRBタンパク質の総量は一定であった。
上記試験結果から、大腸癌細胞株においては、RBタンパク質におけるSer780やSer807/811の過剰なリン酸化の有無を確認することで、SN38に対する感受性を評価できることが、今回新たに明らかとなった。
なお、SN38に抵抗性であるCaco-2細胞についてのみ、RBタンパク質のSer807/811がリン酸化されていることが確認されたため(図3)、さらに検討を加えた。
[実施例5]
Caco-2細胞は、SN38を輸送するBCRP(乳癌耐性タンパク質, breast cancer resistance protein)を発現していることが知られている。そこで、RBタンパク質におけるSer780およびSer807/811の過剰なリン酸化の有無を確認した上記の各大腸癌細胞株が、BCRPを発現しているか否かについて検討した。
その結果、上記Caco-2細胞のみがBCRPを発現しており、その他のSN38抵抗性細胞株はBCRPが発現していないことを、新たに確認した(図4)。このことは、Caco-2細胞のみが、RBタンパク質のSer807/811がリン酸化されるにも関わらず、発現するBCRPによるSN38の細胞外排出により、SN38に対する耐性を有することを示唆している。
以上の結果から、癌に対するイリノテカンの有効性は、RBタンパク質のリン酸化の程度に基づき予測し得るものであることが明らかとなった。そして、RBタンパク質における過剰なリン酸化を有している癌細胞は、イリノテカンに対する感受性を有し、すなわち、イリノテカンが治療有効性を有していると判断できること、過剰なリン酸化を有しない癌細胞は、イリノテカンに対する抵抗性を有し、すなわち、イリノテカンが治療有効性を有しないと判断できることが、今回新たに明らかとなった。また、癌細胞がRBタンパク質における過剰なリン酸化を有していても、さらにBCRPを発現するものは、イリノテカンに対する抵抗性を有し、すなわち、イリノテカンが治療有効性を有しないと判断し得ることが、今回新たに明らかとなった。
このことから、癌患者の癌組織においても、RBタンパク質のリン酸化の程度を検討することで、イリノテカンの有効性を予測され得ることが理解できる。そこで、さらに、癌患者から得られた組織サンプルを用いてRBタンパク質のリン酸化の程度を検討することで、イリノテカンの有効性が合理的に予測できるものであるか、検証した。
〔3.免疫組織化学染色によって検出されたRBタンパク質のリン酸化状態により、患者検体におけるイリノテカンに対する応答性は予測し得る。〕
[実施例6]
次に、患者検体におけるイリノテカンに対する応答性が、該検体におけるリン酸化RBタンパク質の発現レベルを指標とすることにより、予測出来るか否か検討した。
大腸癌に罹患した23名の患者を、材料と方法の欄において記載したように、イリノテカンを含む治療への応答性に基づいて、治療応答群および治療非応答群へと分類した(表2)。
イリノテカン治療応答群と治療非応答群の患者の特徴を表3に示す。
全生存期間において、治療応答群と治療非応答群の間に有意差はなかった(データは示さず)。
[実施例7]
次に、我々はさまざまな臨床病理学的因子と免疫組織化学染色により決定されたリン酸化RBタンパク質発現レベルとの相関関係を分析した。腫瘍におけるリン酸化RBタンパク質発現レベルを確認した免疫組織化学染色の代表的な結果を図5に示す。
それから、大腸癌に罹患した23名の患者から得られた23サンプルにおけるリン酸化RBタンパク質発現レベルを、材料と方法の欄に記載したようにして評価し、免疫組織化学染色された腫瘍細胞における適切なカットオフ値を定義した。
その結果、リン酸化RBタンパク質(Ser780)陽性を、カットオフ値25%(P値=0.0006、表4)に設定した場合、イリノテカンによる治療応答群の大腸癌組織で有意に高い陽性率を示していたことを、今回初めて見出した。
[実施例8]
他方、従来、臨床的に腫瘍増殖の診断マーカーとして使われているKi-67(MIB-1)の標識指数(LI)は、治療応答群と治療非応答群の間において統計的有意差を示さないものであったことを、今回初めて見出した(図6及び図7)。
これらの結果からみて、患者組織サンプルを用いてイリノテカンに対する応答を予測するためには、従来より使用されているKi-67の標識指数を使用することよりも、むしろ、今回新たに見出した、腫瘍におけるリン酸化RBタンパク質を指標とした免疫組織化学染色にて確認することの方が、有用であることが、今回新たに明らかとなった。
〔4.CDK4とCDK6を共にノックダウンすると、RBタンパク質の脱リン酸化と共に、SN38によって誘発されたG2/M期蓄積が減少する。〕
[実施例9]
次に、RBタンパク質のリン酸化が、癌におけるイリノテカンの有効性に、確かに重要な役割を果たしていることを確認するために、さらなる検討を加えた。
そこで、リン酸化RBタンパク質の発現を抑制することで癌におけるイリノテカンの有効性が失われるか否か検討を加えた。CDK2、CDK4、CDK6およびCDK4/6などのサイクリン依存性キナーゼは、RBタンパク質をリン酸化することがよく知られている。そこで、SN38感受性大腸癌細胞株にてサイクリン依存性キナーゼのノックダウンを行った。大腸癌細胞株にsiRNAを処理し、CDK2、CDK4、CDK6およびCDK4/6を発現抑制した(図8)。
その結果、SW620細胞及びSW480細胞において、CDK4とCDK6が同時にノックダウンされた後に、RBタンパク質は最も著しく非リン酸化型に変換されていた。他方、それら細胞では、CDK2をノックダウンしても、RBタンパク質のリン酸化の程度に影響が及ぶことはなかった(図9)。
[実施例10]
また、SW620細胞及びSW480細胞において、SN38で72時間処理すると、容量依存的にG2/M期停止が誘導された(図10)。
[実施例11]
しかしながら、5 nMのSN38で72時間処理して誘導されたG2/M期停止は、RBタンパク質のリン酸化のレベルを最も顕著に減少させたsiCDK4/6(図9)によって抑制された(図11)。
〔5.SN38への感受性はCDK4とCDK6との両方をノックダウンすることによって弱められる。〕
[実施例12]
そこでさらに、CDK4/6活性がSN38への感受性に影響を与えたかどうかについて検討した。
その結果、SW620細胞は、CDK4とCDK6が共に抑制された後に、SN38への耐性を示した(図12)。また、siCDK4/6のトランスフェクションは、SN38におけるIC50値を58.4 nMへと増加させたが、対照では、IC50値は1.4 nMであった(図13)。それ故、イリノテカンへの感受性は、癌におけるCDK4/6の活性により影響を受けているものと考えられる。
〔6.まとめ〕
我々は、癌におけるイリノテカンの有効性が、リン酸化RBタンパク質の発現によって合理的に予測できるものであることを、今回初めて示した。
まず、イリノテカンは増殖性の細胞を標的とし、S期の間、Top Iを阻害する働きをするが、Top Iの発現は、癌におけるイリノテカンの有効性と相関しないものであることを明らかにした。そして、新たに癌細胞株を用いたin vitro研究において、癌細胞におけるRBタンパク質のリン酸化の状態と、各種の癌細胞株におけるSN38の有効性との間には、正の相関が見られることを、証明した。また、BCRPの発現をさらに検討することで、擬陽性を除去し、癌を罹患した患者におけるイリノテカンの有効性が予測効果をさらに高めることができることも示した。
そしてさらに、癌患者組織サンプルおよび臨床データを用いた後ろ向き研究によって、イリノテカン治療応答群の癌組織において、RBタンパク質のserine部位のリン酸化陽性率が有意に高くなるものであることを明らかにし、癌に罹患した患者の組織におけるRBタンパク質のserine部位のリン酸化陽性率を予め検討することによって、癌に罹患した患者におけるイリノテカンの有効性が予測し監視できることを、実証した。
さらに、従来臨床において癌患者の増殖性マーカーとして使用されているKi-67の陽性率という指標に比べて、今回我々の臨床研究において見出した新たな増殖性マーカーであるRBタンパク質のserine部位のリン酸化の陽性率は、有意に高いものであることが、今回新たに確認された。Ki-67の発現はS期において高まるが、むしろM期に最高値に到達すると報告されることから、M期マーカーとして有効性を有しているものであることが示唆される。イリノテカンがS期において癌細胞を攻撃することを考慮すれば、Ki-67よりも、むしろ我々が新たに見出したリン酸化RBタンパク質の方が、イリノテカンに対する感受性に、より影響を与えるとみる方が合理的である。
また、RBタンパク質は、CDKによってリン酸化され、細胞周期の進行をもたらすことが知られ、CDK2活性と予後との関係を示唆する報告もあるが、今回我々は、リン酸化RBタンパク質を非リン酸化状態に変換するCDK2、CDK4、CDK6およびCDK4/6をノックダウンし検討した結果、大変興味深いことに、イリノテカン感受性の癌においては、CDK2 ではなく、CDK4とCDK6の両方が抑制されることでRBタンパク質が最も低いリン酸化状態になり、細胞はSN38に対して抵抗性が獲得されることを新たに見出した。
本発明の、患者の大腸癌(結腸・直腸癌)、胃癌、膵癌、肺癌、乳癌、子宮頚癌、卵巣癌、有棘細胞癌、非ホジキンリンパ腫、小児悪性固形腫瘍といった各種の癌におけるイリノテカンに対する応答を予測し、または監視する、方法およびキットを用いることで、当該癌を罹患した患者におけるイリノテカンの有効性を合理的に予測できる効果が得られる。そして、本発明の方法およびキットを使用することによって、上記癌に罹患した患者の組織におけるRBタンパク質のserine部位のリン酸化陽性率を予め検討することが可能となり、イリノテカンに感受性を有する癌に罹患した患者に対しては、イリノテカンを早期に適切に処方する機会を提供するとともに、イリノテカンに感受性を有しない癌に罹患した患者に対しては、イリノテカンの処方を避けるとともに、別の治療手段をより早期に選択する機会を提供することによって、癌の治療可能性を大幅に向上させることが可能になった。

Claims (8)

  1. 患者の癌組織を含む領域より得られた摘出標本試料と、対照試料とにおけるリン酸化RBタンパク質の量を測定する第一の工程と、摘出標本試料と対照試料とにおいて測定されたリン酸化RBタンパク質の量を比較する第二の工程とを含む、患者の癌におけるイリノテカンに対する応答を予測し、または監視する方法。
  2. 前記リン酸化RBタンパク質のリン酸化部位が、RBタンパク質のSer780および/またはSer807/811であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記リン酸化RBタンパク質の量が、ウエスタンブロット法、免疫組織化学染色、免疫蛍光法、イムノアッセイ、ELISAまたは質量分析からなる群から選択される測定方法を用いて測定されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記リン酸化RBタンパク質の量が、リン酸化部位特異的抗Rb抗体又はリン酸化部位特異的抗Rb抗体断片を用いて測定されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記リン酸化部位特異的抗RB抗体が、RBタンパク質のSer780および/またはSer807/811のリン酸化を検出するものであることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
  6. さらにBCRP(乳癌耐性タンパク質)の発現を、患者の癌組織を含む領域より得られた摘出標本試料において、ウエスタンブロット法、免疫組織化学染色、免疫蛍光法、イムノアッセイ、ELISAまたは質量分析からなる群から選択される測定方法を用いて測定する工程を含むものであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. リン酸化部位特異的抗RB抗体又はリン酸化部位特異的抗RB抗体断片を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法により、患者の癌におけるイリノテカンに対する応答を予測し、または監視するためのキット。
  8. 前記リン酸化部位特異的抗RB抗体又はリン酸化部位特異的抗RB抗体断片が、RBタンパク質のSer780および/またはSer807/811のリン酸化を検出するものであることを特徴とする、請求項7に記載のキット。
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