JP2017103203A - 非水電解液二次電池用セパレータおよびその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れたサイクル特性を有し、長寿命化の要求に十分対応可能な非水電解液二次電池を提供する。【解決手段】非水電解液二次電池用セパレータは、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする多孔質フィルムであって、上記多孔質フィルムに255W/m2の紫外線を75時間照射した後の上記多孔質フィルムの表面のホワイトインデックスと、上記紫外線を照射する前の上記多孔質フィルムの表面のホワイトインデックスとの差分が2.5以下であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解液二次電池用セパレータおよびその利用に関する。より具体的には、本発明は、非水電解液二次電池用セパレータ、当該非水電解液二次電池用セパレータを用いた非水電解液二次電池用積層セパレータ、および非水電解液二次電池に関する。
非水電解液二次電池、特にリチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高いのでパーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末などに用いる電池として広く使用され、また最近では車載用の電池として開発が進められてきている。
リチウムイオン二次電池などの非水電解液二次電池における非水電解液二次電池用セパレータ(以下、単に「セパレータ」という場合がある)としては、従来、ポリオレフィンを主成分とする微多孔フィルムが用いられている(特許文献1)。
この微多孔フィルムは、その内部に連結した細孔を有し、連結した細孔を介して一方の面から他方の面にイオンを含む液体を透過可能であり、正極−負極間でイオンのやり取りを行う電池用セパレータ部材として好適である。
一方、近年、非水電解液二次電池の普及に伴い、より長寿命な非水電解液二次電池が求められている。
特開2003−105120号公報(2003年4月9日公開)
しかしながら、特許文献1に開示のセパレータを備える非水電解液二次電池を含めて、従来の非水電解液二次電池は、長寿命化の要求への対応という観点からは、長期特性(サイクル特性)が未だ十分とは言えないという問題がある。それゆえ、多数回の充放電を繰り返した後も高い放電容量維持率を示す非水電解液二次電池が求められている。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、優れたサイクル特性を有し、長寿命化の要求に十分対応可能な非水電解液二次電池を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明者は鋭意検討し、セパレータに所定の条件下で紫外線を照射した場合の、照射前後のセパレータのホワイトインデックス(以下、WIという場合がある)の変化量が、非水電解液二次電池のサイクル特性と相関を有することを見出した。そして、上記変化量が所定の値以下である場合に、上記課題を解決可能な非水電解液二次電池を提供することが可能であることを見出して、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決するために、本発明に係る非水電解液二次電池用セパレータは、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする多孔質フィルムであって、下記式(1)で定義されるΔWIの値が2.5以下であることを特徴としている。
ΔWI=WI−WI ・・・式(1)
ここで、WIは、American Standards Test Methods のE313に規定されているホワ
イトインデックスであり、
WIは、上記多孔質フィルムに255W/mの紫外線を照射する前に分光測色計で測定した、上記多孔質フィルムの表面のWIであり、
WIは、上記多孔質フィルムに255W/mの紫外線を75時間照射した後に分光測色計で測定した、上記多孔質フィルムの表面のWIである。
本発明に係る非水電解液二次電池用積層セパレータは、上記非水電解液二次電池用セパレータと、多孔質層とを備えることが好ましい。
本発明に係る非水電解液二次電池用部材は、正極と、上記非水電解液二次電池用セパレータ又は上記非水電解液二次電池用積層セパレータと、負極とがこの順で配置されてなることを特徴としている。
本発明に係る非水電解液二次電池は、上記非水電解液二次電池用セパレータ又は上記非水電解液二次電池用積層セパレータを備えることを特徴としている。
本発明に係る非水電解液二次電池用セパレータは、上記式(1)で定義されるΔWIの値が2.5以下であるため、多孔質フィルムの製造時に生じ、電池の寿命低下の原因となる酸化物の含有量が抑制されたものとなっている。それゆえ、本発明は、優れたサイクル特性を有する非水電解液二次電池を提供することができるという効果を奏する。
樹脂の押出および圧延を行うことによって、上記樹脂のシートを成形する様子を示す模式図である。
以下、本発明の一実施の形態について、詳細に説明する。尚、本出願において、「A〜B」とは、A以上、B以下であることを示している。
<非水電解液二次電池用セパレータ>
本発明に係る非水電解液二次電池用セパレータは、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする多孔質フィルムであって、下記式(1)で定義されるΔWIの値が2.5以下である非水電解液二次電池用セパレータである。
ΔWI=WI−WI ・・・式(1)
ここで、WIは、American Standards Test Methods のE313に規定されているホワイトインデックスであり、
WIは、上記多孔質フィルムに255W/mの紫外線を照射する前に分光測色計で測定した、上記多孔質フィルムの表面のWIであり、
WIは、上記多孔質フィルムに255W/mの紫外線を75時間照射した後に分光測色計で測定した、上記多孔質フィルムの表面のWIである。
(1)多孔質フィルム
本発明における多孔質フィルムは、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする多孔質フィルムである。また、本発明における多孔質フィルムは、微多孔膜であることが好ましい。即ち、多孔質フィルムは、その内部に連結した細孔を有する構造を有し、一方の面から他方の面に気体や液体が透過可能であるポリオレフィン系樹脂を主成分とすることが好ましい。多孔質フィルムは、1つの層から形成されるものであってもよいし、複数の層から形成されるものであってもよい。
ポリオレフィン系樹脂を主成分とする多孔質フィルムとは、多孔質フィルムにおけるポリオレフィン系樹脂成分の割合が、多孔質フィルム全体の、通常、50体積%以上であり、好ましくは90体積%以上、より好ましくは95体積%以上であることを意味する。多孔質フィルムのポリオレフィン系樹脂には、重量平均分子量が5×10〜15×10の範囲の高分子量成分が含まれていることが好ましい。多孔質フィルムのポリオレフィン系樹脂として特に重量平均分子量100万以上のポリオレフィン系樹脂が含まれることにより、多孔質フィルム、即ち、非水電解液二次電池用セパレータ全体および当該多孔質フィルムと後述する多孔質層を備える非水電解液二次電池用積層セパレータ全体の強度が高くなるためより好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン等を重合してなる高分子量の単独重合体(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン)または共重合体(例えば、エチレン−プロピレン共重合体)が挙げられる。多孔質フィルムは、これらのポリオレフィン系樹脂を1種類含む層、および/または、これらのポリオレフィン系樹脂の2種類以上を含む層、である。特に、過大電流が流れることをより低温で阻止(シャットダウン)することができるという面において、エチレンを主体とする高分子量のポリエチレン系樹脂が好ましい。なお、多孔質フィルムは、当該層の機能を損なわない範囲で、ポリオレフィン系樹脂以外の成分を含むことを妨げない。
当該ポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状ポリエチレン(エチレン−α−オレフィン共重合体)、重量平均分子量が100万以上の超高分子量ポリエチレン等が挙げられ、このうち、重量平均分子量が100万以上の超高分子量ポリエチレンがさらに好ましい。
(2)非水電解液二次電池用セパレータ
セパレータの膜厚は、4〜40μmであることが好ましく、5〜30μmであることがより好ましく、6〜15μmであることがさらに好ましい。
セパレータの単位面積当たりの目付は、強度、膜厚、重量、およびハンドリング性を考慮して適宜決定すればよいものの、セパレータを非水電解液二次電池に用いた場合の当該電池の重量エネルギー密度や体積エネルギー密度を高くすることができるように、4〜20g/mであることが好ましく、4〜12g/mであることがより好ましく、5〜10g/mであることがさらに好ましい。
セパレータの透気度は、ガーレ値で30〜500 sec/100mLであることが好ましく、50〜300 sec/100mLであることがより好ましい。セパレータが上記透気度を有することにより、充分なイオン透過性を得ることができる。
セパレータの空隙率は、電解液の保持量を高める一方で、過大電流が流れることをより低温で確実に阻止(シャットダウン)する機能を得ることができるように、20〜80体積%であることが好ましく、30〜75体積%であることがより好ましい。また、セパレータが有する細孔の孔径は、充分なイオン透過性を得ることができ、かつ、正極や負極への粒子の入り込みを防止することができるように、0.3μm以下であることが好ましく、0.14μm以下であることがより好ましい。
本発明に係る非水電解液二次電池用セパレータは、上記式(1)で定義されるΔWIの値が2.5以下である。WIは、サンプルの色味(白味)を表す指標であり、染料の退色性や、透明・白色系樹脂の、加工時における酸化劣化度の指標として用いられ、WIが高いほど白色度が高いと言える。
セパレータは、例えば、(1)ポリオレフィン等の樹脂にフィラー又は可塑剤等の孔形成剤を加えてシートを成形した後、孔形成剤を適当な溶媒で除去し、孔形成剤を除去したシートを延伸して多孔質フィルムを得る方法;(2)ポリオレフィン等の樹脂に孔形成剤を加えてシートを成形した後、当該シートを延伸し、延伸したシートから孔形成剤を除去して多孔質フィルムを得る方法;等により製造することができる。
シートの成形は、例えば、孔形成剤を含む上記樹脂をTダイ等から押し出し、一対のロールで圧延して薄膜化することによって行うことができる。図1は、樹脂の押出および圧延を行うことによって、上記樹脂のシートを成形する様子を示す模式図である。図1において、1はセパレータの原料である樹脂、2はTダイ、3はロール、4はTダイ2とロール3との距離を表す。
例えば、後述する比較製造例1,2では、Tダイ2から押し出される直前の上記樹脂1の温度をそれぞれ253℃、252℃とし、上記ロール3の表面温度が150℃であるという条件でシート成形を行った。当該条件は、セパレータの製造の際、通常取られ得る公知の条件である。このとき、樹脂1は、Tダイ2から押し出されてからロール3に接触するまでの間、高温の状態で大気に曝露されるため、樹脂1が酸素と接触することによって、樹脂1の酸化物が生じる。当該酸化物は電池の充放電の際に副反応の原因となり、結果として電池の寿命低下を引き起こす。そのため、多孔質フィルム中の上記酸化物の含有量はできる限り少ないことが好ましい。
一方、上記酸化物は、紫外線を照射すると退色する。それゆえ、紫外線を照射する前の多孔質フィルムの表面のWIと、紫外線を照射した後の多孔質フィルムの表面のWIとを比較した場合に、WIの変化が大きいほど、上記酸化物の含有量が多い多孔質フィルムであると言える。
そこで、本発明者は、上記WIの変化が少ない、すなわち上記酸化物の含有量が少ないセパレータを製造することにより、上記酸化物がサイクル特性に与える影響を排除し、電池の高寿命化を図ることができると考え、検討を行った。その結果、多孔質フィルムの、上記式(1)で定義されるΔWIの値が2.5以下である場合に、当該多孔質フィルムであるセパレータを備える非水電解液二次電池が優れたサイクル特性を示すことが明らかとなった。
このように、セパレータのWIの変化量と、非水電解液二次電池のサイクル特性との間に相関があること、および、ΔWIの値を2.5以下に調整することによって優れたサイクル特性を有する非水電解液二次電池を提供することができるということに関しては従来全く知見がなく、本発明によって初めて見出されたことである。
式(1)に規定したように、ΔWIは、多孔質フィルムに強度が255W/mである紫外線を照射する前に分光測色計で測定した、上記多孔質フィルムの表面のWI(WI)と、上記多孔質フィルムに強度が255W/mである紫外線を75時間照射した後に分光測色計で測定した、上記多孔質フィルムの表面のWI(WI)との差分である。WIは、255W/mの紫外線が照射される前の(255W/mの紫外線の照射を開始する前の)多孔質フィルムの表面のWIである。
分光測色計としては、WIを容易に、かつ、正確に測定することができるため、例えば、積分球分光測色計を好適に用いることができる。積分球分光測色計は、サンプルにキセノンランプの光を照射し、サンプルからの反射光を、照射部位の周囲を覆っている積分球によって受光部に集め、光学的な分光測定を実施する装置であり、種々の光学的パラメータの測定を可能である。ただし、分光測色計は、積分球分光測色計に限られるものではなく、WIを測定することができる分光測色計であれば特に限定されるものではない。
上記「多孔質フィルムの表面」とは、多孔質フィルムにおいて、分光測色計から照射された光を受光した部分をいう。分光測色計による上記多孔質フィルムの表面のWIの測定は、使用する分光測色計の説明書に従って行えばよく、測定法は特に限定されるものではないが、多孔質フィルムによる反射光を分光測色計の受光部に集めやすくするために、例えば多孔質フィルムを黒紙上に載置して、多孔質フィルムへの光の照射を行うことが好ましい。
上記255W/mの紫外線の照射は、連続的な紫外線照射を行うことが可能な装置を用いて行うことが好ましい。例えば、JIS B 7753に規定される耐光性試験機または耐候性試験機(例えば、スガ試験機株式会社製、サンシャインウェザーメーターS80)を用いることができる。上記紫外線の照射は、サンシャインカーボンアーク(ウルトラロングライフカーボン4対)光源で放電電圧50V、放電電流60Aに設定し、ブラックパネル温度60℃、相対湿度50%の条件下、試験片に対して、75時間照射することにより行う。
上記試験機は、紫外線ランプを中心として、サンプルを貼付した金属板が紫外線ランプの周囲を回転することによってサンプルに対する紫外線曝露を連続的に行うことができる。耐候性試験機であれば、太陽光に近似した人工光源の照射を行い、断続した水の噴射を行うこと、または、太陽光に近似した人工光源の照射と消灯による暗黒とを繰り返し、暗黒時に試験片の裏面に冷水の噴霧を行うことが可能である。これによって雨天(高湿度)時の条件を再現可能であるが、本発明では、上記多孔質フィルムに対し、上記WIとWIとの差分を算出できる程度の退色を惹起することができればよいため、雨天(高湿度)時の条件を再現する必要性は特にない。
式(1)で定義されるΔWIの値が2.5以下であれば、後述する実施例に示すように、上記多孔質フィルムを用いて製造した非水電解液二次電池の放電容量維持率は、180サイクルの充放電を経た後も70.0%を超えるという高いレベルを示す。ΔWIの値は、上述のように、上記多孔質フィルム中の酸化物の含有量と相関し、高いほど酸化物の含有量が多いと言えるため、小さいほど好ましい。それゆえ、ΔWIは、2.5以下であることが必須であり、2.3以下であることがより好ましく、2.2以下であることがさらに好ましい。また、ΔWIの下限値は、−10以上であることが好ましく、−5以上であることがより好ましく、0であることが最も好ましい。
ΔWIが2.5以下である多孔質フィルムは、シート形成時に、樹脂が高温の状態で大気に曝露される時間を短くすることによって製造することができる。そのための方法としては、図1を例に取ると、(1)Tダイ2から押し出す樹脂1の温度(押出温度)を低下させること;(2)樹脂1の押出速度を速め、樹脂1が酸素と接触する時間を短縮すること;(3)Tダイ2とロール3との距離4を短くすること;等を挙げることができる。
押出を行うためには樹脂1をある程度高温にすることが必要であることと、樹脂1が高温の状態で大気に曝露される時間を短くすることとを比較考慮すると、上記(1)の押出温度は、200〜250℃であることが好ましく、220〜249℃であることがより好ましく、240〜248℃であることがさらに好ましい。尚、上記押出温度は、樹脂が押出機の吐出口(Tダイ等)から押し出される直前の温度をいい、吐出口の設定温度に等しい。
また、上記(2)の押出速度については、押出機の処理能力にも依存するため一概には言えないが、1〜10m/minであることが好ましく、2〜8m/minであることがより好ましく、2.5〜5m/minであることがさらに好ましい。
尚、後述する比較例1に示すように、押出温度が250℃を超える場合、押出速度を速めても樹脂中の酸化物の含有量が増加する傾向が見られた。それゆえ、押出温度を上述の好ましい温度とした上で押出速度を速めることによって、多孔質フィルム中の酸化物量をより一層低減し得ると考えられる。
上記(3)の距離4については、ロール3の動作を妨げない限りにおいて、できるだけ短くすることが好ましい。また、ロール3の表面温度は、120〜160℃であることが好ましく、130〜155℃であることがより好ましく、140〜150℃であることがさらに好ましい。
以上は、樹脂の押出に際しての条件であるが、(4)ロール3によって圧延されて形成されたシートから孔形成剤を除去するに際して、シートを通過せしめる溶媒中に界面活性剤を添加することも有効である。例えば、溶媒として塩酸水溶液を用い、シート中に分散された炭酸カルシウム等の孔形成剤を該水溶液中に溶解させることによって除去する場合、界面活性剤を該水溶液中に添加することにより、シートを構成するポリオレフィン系樹脂に対する塩酸水溶液の浸透度を向上させることができる。その結果、有機物であるため通常は塩酸水溶液に不溶である樹脂中の酸化物が塩酸水溶液に溶解しやすくなり、塩酸水溶液への酸化物の抽出を促進することができる。
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤の何れを用いてもよいが、酸やアルカリの影響を受けにくいため、非イオン性界面活性剤を用いることが好ましい。界面活性剤の添加量が多い程、孔形成剤の洗浄(除去)効率は向上し、上記酸化物の除去効率も向上するが、添加量が多すぎると、セパレータに界面活性剤が残存する可能性がある。それゆえ、界面活性剤の添加量は、上記洗浄液の重量を100重量%とした場合に、0.1重量%以上、15重量%以下が好ましく、0.1重量%〜10重量%がより好ましい。
上記溶媒の温度(洗浄温度)は、温度を上げる程、孔形成剤の除去効率が向上するが、上げすぎると洗浄液の蒸発が起こるため、例えば溶媒が水の場合は25℃以上、60℃以下であることが好ましく、30℃以上、55℃以下であることがより好ましく、35℃以上、50℃以下であることが特に好ましい。尚、上記「洗浄温度」とは、上記シートを浸漬した上記洗浄液の温度を言う。
また、上記溶媒を用いた洗浄を行った後に、さらに水洗を行なってもよい。該水洗時の水洗温度も、高い程、洗浄効率が上がるが、温度を上げすぎると洗浄液(水)の蒸発が起こるので、25℃以上、60℃以下であることが好ましく、30℃以上、55℃以下であることがより好ましく、35℃以上、50℃以下であることが特に好ましい。尚、上記「水洗温度」とは、上記シートを浸漬した上記水の温度を言う。
多孔質フィルムを形成する際に上記(1)〜(4)から選ばれる1以上の方法を取ることによって、多孔質フィルム中の酸化物の含有量を低減することができるため、ΔWIが2.5以下である多孔質フィルムを製造することができる。中でも、条件の調整が容易であり、かつ、酸化物を効果的に除去することができるため、樹脂の押出温度の調整(上記(1))と、溶媒への界面活性剤の添加(上記(4))とを組み合わせる方法がより好ましい。
上記フィラー(孔形成剤)としては特に限定されるものではなく、酸を含有する水系溶剤、アルカリを含有する水系溶剤、または主に水からなる水系溶剤に、それぞれ溶解しうる無機フィラーなどが挙げられる。
酸を含有する水系溶剤に溶解しうる無機フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム等が挙げられ、安価で微細な粉末が得やすい点から炭酸カルシウムが好ましい。
アルカリを含有する水系溶剤に溶解しうる無機フィラーとしては、例えば、珪酸、酸化亜鉛等が挙げられ、安価で微細な粉末が得やすいため、珪酸が好ましい。
主に水からなる水系溶剤に溶解しうる無機フィラーとしては、例えば、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム等が挙げられる。
上記可塑剤(孔形成剤)としては特に限定されるものではなく、流動パラフィン等の低分子量の炭化水素が挙げられる。
本発明に係る非水電解液二次電池用セパレータは、上記ΔWIの値が2.5以下であるため、酸化物の含有量が従来公知のセパレータよりも少ない。それゆえ、非水電解液二次電池の充放電の際の副反応を減らすことができ、その結果、優れたサイクル特性を示す非水電解液二次電池を提供することができる。
<非水電解液二次電池用積層セパレータ>
さらに、本発明の非水電解液二次電池用セパレータは、接着層や耐熱層、保護層等の公知の多孔質層を備えていてもよい。本明細書において、非水電解液二次電池用セパレータと、多孔質層とを備えるセパレータのことを非水電解液二次電池用積層セパレータ(以下、積層セパレータということがある)という。
セパレータには、多孔質層を形成する前に、つまり、後述する塗工液を塗工する前に、親水化処理を施しておくことがより好ましい。セパレータに親水化処理を施しておくことにより、塗工液の塗工性がより向上し、それゆえ、より均一な多孔質層を形成することができる。この親水化処理は、塗工液に含まれる溶媒(分散媒)に占める水の割合が高い場合に有効である。
上記親水化処理としては、具体的には、例えば、酸やアルカリ等による薬剤処理、コロナ処理、プラズマ処理等の公知の処理が挙げられる。上記親水化処理のうち、比較的短時間でセパレータを親水化することができる上に、親水化がセパレータの表面近傍のみに限られ、セパレータの内部を変質させないことから、コロナ処理がより好ましい。
(多孔質層)
多孔質層は、好ましくは、樹脂を含んでなる樹脂層である。多孔質層を構成する樹脂は、非水電解液二次電池の電解液に不溶であると共に、その非水電解液二次電池の使用範囲において電気化学的に安定であることが好ましい。セパレータの片面に多孔質層が積層される場合には、当該多孔質層は、好ましくは、セパレータを非水電解液二次電池の部材として用いた場合のセパレータの面のうち、当該非水電解液二次電池の正極と対向する面に積層され、より好ましくは、上記正極と接する面に積層される。
多孔質層を構成する上記樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、およびエチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン;ポリフッ化ビニリデン(PVDF)やポリテトラフルオロエチレン等の含フッ素樹脂;フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体やエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等の含フッ素ゴム;芳香族ポリアミド;全芳香族ポリアミド(アラミド樹脂);スチレン−ブタジエン共重合体およびその水素化物、メタクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレンプロピレンラバー、およびポリ酢酸ビニル等のゴム類;ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルアミド、およびポリエステル等の融点やガラス転移温度が180℃以上の樹脂;ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、セルロースエーテル、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、およびポリメタクリル酸等の水溶性ポリマー;等が挙げられる。
また、上記芳香族ポリアミドとしては、具体的には、例えば、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)、ポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)、ポリ(パラベンズアミド)、ポリ(メタベンズアミド)、ポリ(4,4’−ベンズアニリドテレフタルアミド)、ポリ(パラフェニレン−4,4’−ビフェニレンジカルボン酸アミド)、ポリ(メタフェニレン−4,4’−ビフェニレンジカルボン酸アミド)、ポリ(パラフェニレン−2,6−ナフタレンジカルボン酸アミド)、ポリ(メタフェニレン−2,6−ナフタレンジカルボン酸アミド)、ポリ(2−クロロパラフェニレンテレフタルアミド)、パラフェニレンテレフタルアミド/2,6−ジクロロパラフェニレンテレフタルアミド共重合体、メタフェニレンテレフタルアミド/2,6−ジクロロパラフェニレンテレフタルアミド共重合体等が挙げられる。このうち、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)がより好ましい。
上記樹脂のうち、ポリオレフィン、含フッ素樹脂、芳香族ポリアミド、および水溶性ポリマーがより好ましい。中でも、多孔質層が非水電解液二次電池の正極に対向して配置される場合には、含フッ素樹脂が特に好ましい。含フッ素樹脂を適用した場合は、非水電解液二次電池作動時の酸性劣化による、非水電解液二次電池のレート特性や抵抗特性(液抵抗)等の各種性能を維持し易い。水溶性ポリマーは、多孔質層を形成するときの溶媒として水を用いることができるため、プロセスや環境負荷の観点からより好ましく、セルロースエーテル、アルギン酸ナトリウムがさらに好ましく、セルロースエーテルが特に好ましい。
セルロースエーテルとしては、具体的には、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、シアンエチルセルロース、オキシエチルセルロース等が挙げられ、長時間にわたる使用における劣化が少なく、化学的な安定性に優れているCMCおよびHECがより好ましく、CMCが特に好ましい。
上記多孔質層は、フィラーを含んでいることがより好ましい。したがって、多孔質層がフィラーを含む場合には、上記樹脂は、バインダー樹脂としての機能を有することとなる。フィラーとしては特に限定されるものではなく、有機物からなるフィラーであってもよく、無機物からなるフィラーであってもよい。
有機物からなるフィラーとしては、具体的には、例えば、スチレン、ビニルケトン、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アクリル酸メチル等の単量体の単独重合体或いは2種類以上の共重合体;ポリテトラフルオロエチレン、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、4フッ化エチレン−エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素樹脂;メラミン樹脂;尿素樹脂;ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸;等からなるフィラーが挙げられる。
無機物からなるフィラーとしては、具体的には、例えば、炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、シリカ、ハイドロタルサイト、珪藻土、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、窒化チタン、アルミナ(酸化アルミニウム)、窒化アルミニウム、マイカ、ゼオライト、ガラス等の無機物からなるフィラーが挙げられる。フィラーは、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記フィラーのうち、無機物からなるフィラーが好適であり、シリカ、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、マイカ、ゼオライト、水酸化アルミニウム、ベーマイト等の無機酸化物からなるフィラーがより好ましく、シリカ、酸化マグネシウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、ベーマイトおよびアルミナからなる群から選択される少なくとも1種のフィラーがさらに好ましく、アルミナが特に好ましい。アルミナには、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ等の多くの結晶形が存在するが、何れも好適に使用することができる。この中でも、熱的安定性および化学的安定性が特に高いため、α−アルミナが最も好ましい。
フィラーの形状は、原料である有機物または無機物の製造方法や、多孔質層を形成するための塗工液を作製するときのフィラーの分散条件等によって変化し、球形、長円形、短形、瓢箪形等の形状、或いは特定の形状を有さない不定形等、何れの形状であってもよい。
多孔質層がフィラーを含んでいる場合において、フィラーの含有量は、多孔質層の1〜99体積%であることが好ましく、5〜95体積%であることがより好ましい。フィラーの含有量を上記範囲とすることにより、フィラー同士の接触によって形成される空隙が、樹脂等によって閉塞されることが少なくなり、充分なイオン透過性を得ることができると共に、単位面積当たりの目付を適切な値にすることができる。
本発明においては、通常、上記樹脂を溶媒に溶解させると共に、上記フィラーを分散させることにより、多孔質層を形成するための塗工液を作製する。
上記溶媒(分散媒)は、多孔質フィルムに悪影響を及ぼさず、上記樹脂を均一かつ安定に溶解し、上記フィラーを均一かつ安定に分散させることができればよく、特に限定されるものではない。上記溶媒(分散媒)としては、具体的には、例えば、水;メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール等の低級アルコール;アセトン、トルエン、キシレン、ヘキサン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド;等が挙げられる。上記溶媒(分散媒)は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
塗工液は、所望の多孔質層を得るのに必要な樹脂固形分(樹脂濃度)やフィラー量等の条件を満足することができれば、どのような方法で形成されてもよい。塗工液の形成方法としては、具体的には、例えば、機械攪拌法、超音波分散法、高圧分散法、メディア分散法等が挙げられる。
また、例えば、スリーワンモーター、ホモジナイザー、メディア型分散機、圧力式分散機等の従来公知の分散機を使用してフィラーを溶媒(分散媒)に分散させてもよい。
また、上記塗工液は、本発明の目的を損なわない範囲で、上記樹脂およびフィラー以外の成分として、分散剤や可塑剤、界面活性剤、pH調整剤等の添加剤を含んでいてもよい。尚、添加剤の添加量は、本発明の目的を損なわない範囲であればよい。
塗工液のセパレータへの塗布方法、つまり、必要に応じて親水化処理が施されたセパレータの表面への多孔質層の形成方法は、特に制限されるものではない。セパレータの両面に多孔質層を積層する場合においては、セパレータの一方の面に多孔質層を形成した後、他方の面に多孔質層を形成する逐次積層方法や、セパレータの両面に多孔質層を同時に形成する同時積層方法を適用することができる。
多孔質層の形成方法としては、例えば、塗工液をセパレータの表面に直接塗布した後、溶媒(分散媒)を除去する方法;塗工液を適当な支持体に塗布し、溶媒(分散媒)を除去して多孔質層を形成した後、この多孔質層とセパレータとを圧着させ、次いで支持体を剥がす方法;塗工液を適当な支持体に塗布した後、塗布面に多孔質フィルムを圧着させ、次いで支持体を剥がした後に溶媒(分散媒)を除去する方法;および、塗工液中にセパレータを浸漬し、ディップコーティングを行った後に溶媒(分散媒)を除去する方法;等が挙げられる。
多孔質層の厚さは、塗工後の湿潤状態(ウェット)の塗工膜の厚さ、樹脂とフィラーとの重量比、塗工液の固形分濃度(樹脂濃度とフィラー濃度との和)等を調節することによって制御することができる。尚、支持体として、例えば、樹脂製のフィルム、金属製のベルト、またはドラム等を用いることができる。
上記塗工液をセパレータまたは支持体に塗布する方法は、必要な目付や塗工面積を実現し得る方法であればよく、特に制限されるものではない。塗工液の塗布方法としては、従来公知の方法を採用することができる。このような方法として、具体的には、例えば、グラビアコーター法、小径グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファロールコーター法、キスコーター法、ディップコーター法、ナイフコーター法、エアドクターブレードコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、スクイズコーター法、キャストコーター法、バーコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、およびスプレー塗布法等が挙げられる。
溶媒(分散媒)の除去方法は、乾燥による方法が一般的である。乾燥方法としては、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥、および減圧乾燥等が挙げられるが、溶媒(分散媒)を充分に除去することができるのであれば如何なる方法でもよい。上記乾燥には、通常の乾燥装置を用いることができる。
また、塗工液に含まれる溶媒(分散媒)を他の溶媒に置換してから乾燥を行ってもよい。溶媒(分散媒)を他の溶媒に置換してから除去する方法としては、例えば、塗工液に含まれる溶媒(分散媒)に溶解し、かつ、塗工液に含まれる樹脂を溶解しない他の溶媒(以下、溶媒X)を使用し、塗工液が塗布されて塗膜が形成されたセパレータまたは支持体を上記溶媒Xに浸漬し、セパレータ上または支持体上の塗膜中の溶媒(分散媒)を溶媒Xで置換した後に、溶媒Xを蒸発させる方法が挙げられる。この方法によれば、塗工液から溶媒(分散媒)を効率よく除去することができる。
尚、セパレータまたは支持体に形成された塗工液の塗膜から溶媒(分散媒)或いは溶媒Xを除去するために加熱を行う場合には、多孔質フィルムの細孔が収縮して透気度が低下することを回避するために、セパレータの透気度が低下しない温度、具体的には、10〜120℃、より好ましくは20〜80℃で行うことが望ましい。
上述した方法により形成される上記多孔質層の膜厚は、セパレータを基材として用い、セパレータの片面または両面に多孔質層を積層して積層セパレータを形成する場合においては、0.5〜15μm(片面当たり)であることが好ましく、2〜10μm(片面当たり)であることがより好ましい。
多孔質層の膜厚が両面の合計で1μm未満であると、積層セパレータを非水電解液二次電池に用いた場合に、非水電解液二次電池の破損等による内部短絡を充分に防止することができない。また、多孔質層における電解液の保持量が低下する。
一方、多孔質層の膜厚が両面の合計で30μmを超えると、積層セパレータを非水電解液二次電池に用いた場合に、当該セパレータ全域におけるリチウムイオンの透過抵抗が増加するので、サイクルを繰り返すと非水電解液二次電池の正極が劣化し、レート特性やサイクル特性が低下する。また、正極および負極間の距離が増加するので非水電解液二次電池が大型化する。
多孔質層の物性に関する下記説明においては、セパレータの両面に多孔質層が積層される場合には、非水電解液二次電池としたときの、積層セパレータにおける正極と対向する面に積層された多孔質層の物性を少なくとも指す。
多孔質層の単位面積当たりの目付(片面当たり)は、積層セパレータの強度、膜厚、重量、およびハンドリング性を考慮して適宜決定すればよい。積層セパレータを非水電解液二次電池に用いた場合に、多孔質層の単位面積当たりの目付は、通常、1〜20g/mであることが好ましく、2〜10g/mであることがより好ましい。
多孔質層の単位面積当たりの目付をこれらの数値範囲とすることにより、当該多孔質層を備えた非水電解液二次電池の重量エネルギー密度や体積エネルギー密度を高くすることができる。多孔質層の目付が上記範囲を超える場合には、当該積層セパレータを備える非水電解液二次電池が重くなる。
多孔質層の空隙率は、充分なイオン透過性を得ることができるように、20〜90体積%であることが好ましく、30〜80体積%であることがより好ましい。また、多孔質層が有する細孔の孔径は、1.0μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。細孔の孔径をこれらのサイズとすることにより、当該多孔質層を含む積層セパレータを備える非水電解液二次電池は、充分なイオン透過性を得ることができる。
上記積層セパレータの透気度は、ガーレ値で30〜1000 sec/100mLであることが好ましく、50〜800 sec/100mLであることがより好ましい。積層セパレータが上記透気度を有することにより、上記積層セパレータを非水電解液二次電池用の部材として使用した場合に、充分なイオン透過性を得ることができる。
透気度が上記範囲を超える場合には、積層セパレータの空隙率が高いために積層セパレータの積層構造が粗になっていることを意味し、結果としてセパレータの強度が低下して、特に高温での形状安定性が不充分になるおそれがある。一方、透気度が上記範囲未満の場合には、上記積層セパレータを非水電解液二次電池用の部材として使用した場合に、充分なイオン透過性を得ることができず、非水電解液二次電池の電池特性を低下させることがある。
本発明に係る積層セパレータが備えるセパレータは、上述のように、ΔWIの値が2.5以下であるため、酸化物の含有量が従来公知のセパレータよりも少ない。それゆえ、上記積層セパレータも、上記セパレータと同様に、非水電解液二次電池の充放電の際の副反応を減らすことができ、その結果、優れたサイクル特性を示す非水電解液二次電池を提供することができる。
<非水電解液二次電池用部材、非水電解液二次電池>
本発明に係る非水電解液二次電池は、上記セパレータまたは上記積層セパレータを備えている(以下、上記セパレータおよび上記積層セパレータを合わせてセパレータ等ということがある)。より具体的には、本発明に係る非水電解液二次電池は、正極、セパレータ等、および負極がこの順で配置されてなる非水電解液二次電池用部材を含んでいる。即ち、当該非水電解液二次電池用部材も本発明の範囲に含まれる。以下、非水電解液二次電池として、リチウムイオン二次電池を例に挙げて説明する。尚、セパレータ以外の非水電解液二次電池の構成要素は、下記説明の構成要素に限定されるものではない。
本発明に係る非水電解液二次電池においては、例えばリチウム塩を有機溶媒に溶解してなる非水電解液を用いることができる。リチウム塩としては、例えば、LiClO、LiPF、LiAsF、LiSbF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、Li10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム塩、LiAlCl等が挙げられる。上記リチウム塩は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記リチウム塩のうち、LiPF、LiAsF、LiSbF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、およびLiC(CFSOからなる群から選択される少なくとも1種のフッ素含有リチウム塩がより好ましい。
非水電解液を構成する有機溶媒としては、具体的には、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,2−ジ(メトキシカルボニルオキシ)エタン等のカーボネート類;1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;3−メチル−2−オキサゾリドン等のカーバメート類;スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−プロパンサルトン等の含硫黄化合物;並びに、上記有機溶媒にフッ素基が導入されてなる含フッ素有機溶媒;等が挙げられる。上記有機溶媒は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記有機溶媒のうち、カーボネート類がより好ましく、環状カーボネートと非環状カーボネートとの混合溶媒、または、環状カーボネートとエーテル類との混合溶媒がさらに好ましい。
環状カーボネートと非環状カーボネートとの混合溶媒としては、作動温度範囲が広く、かつ、負極活物質として天然黒鉛や人造黒鉛等の黒鉛材料を用いた場合においても難分解性を示すことから、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネートを含む混合溶媒がさらに好ましい。
正極としては、通常、正極活物質、導電材および結着剤を含む正極合剤を正極集電体上に担持したシート状の正極を用いる。
上記正極活物質としては、例えば、リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な材料が挙げられる。当該材料としては、具体的には、例えば、V、Mn、Fe、Co、Ni等の遷移金属を少なくとも1種類含んでいるリチウム複合酸化物が挙げられる。
上記リチウム複合酸化物のうち、平均放電電位が高いことから、ニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム等のα−NaFeO型構造を有するリチウム複合酸化物、リチウムマンガンスピネル等のスピネル型構造を有するリチウム複合酸化物がより好ましい。当該リチウム複合酸化物は、種々の金属元素を含んでいてもよく、複合ニッケル酸リチウムがさらに好ましい。
さらに、Ti、Zr、Ce、Y、V、Cr、Mn、Fe、Co、Cu、Ag、Mg、Al、Ga、InおよびSnからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素のモル数と、ニッケル酸リチウム中のNiのモル数との和に対して、上記少なくとも1種の金属元素の割合が0.1〜20モル%となるように、当該金属元素を含む複合ニッケル酸リチウムを用いると、高容量での使用におけるサイクル特性に優れるので特に好ましい。中でもAlまたはMnを含み、かつ、Ni比率が85モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である活物質が、当該活物質を含む正極を備える非水電解液二次電池の高容量での使用におけるサイクル特性に優れることから、特に好ましい。尚、このとき、AlまたはMnのモル数と、ニッケル酸リチウム中のNiのモル数との和に対して、AlまたはMnが0.1〜20モル%であり、Niが85モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上であり、かつ、AlまたはMnのモル%と、Niのモル%との合計が100モル%である。
上記導電材としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、カーボンブラック、熱分解炭素類、炭素繊維、有機高分子化合物焼成体等の炭素質材料等が挙げられる。上記導電材は、1種類のみを用いてもよく、例えば人造黒鉛とカーボンブラックとを混合して用いる等、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンの共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレンの共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレンの共重合体、熱可塑性ポリイミド、ポリエチレン、及び、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、アクリル樹脂、並びに、スチレンブタジエンゴムが挙げられる。尚、結着剤は、増粘剤としての機能も有している。
正極合剤を得る方法としては、例えば、正極活物質、導電材および結着剤を正極集電体上で加圧して正極合剤を得る方法;適当な有機溶剤を用いて正極活物質、導電材および結着剤をペースト状にして正極合剤を得る方法;等が挙げられる。
上記正極集電体としては、例えば、Al、Ni、ステンレス等の導電体が挙げられ、薄膜に加工し易く、安価であることから、Alがより好ましい。
シート状の正極の製造方法、即ち、正極集電体に正極合剤を担持させる方法としては、例えば、正極合剤となる正極活物質、導電材および結着剤を正極集電体上で加圧成型する方法;適当な有機溶剤を用いて正極活物質、導電材および結着剤をペースト状にして正極合剤を得た後、当該正極合剤を正極集電体に塗工し、乾燥して得られたシート状の正極合剤を加圧して正極集電体に固着する方法;等が挙げられる。
負極としては、通常、負極活物質を含む負極合剤を負極集電体上に担持したシート状の負極を用いる。シート状の負極には、好ましくは上記導電材、及び、上記結着剤が含まれる。
上記負極活物質としては、例えば、リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な材料、リチウム金属またはリチウム合金等が挙げられる。当該材料としては、具体的には、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、カーボンブラック、熱分解炭素類、炭素繊維、有機高分子化合物焼成体等の炭素質材料;正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープ・脱ドープを行う酸化物、硫化物等のカルコゲン化合物;アルカリ金属と合金化するアルミニウム(Al)、鉛(Pb)、錫(Sn)、ビスマス(Bi)、シリコン(Si)などの金属;アルカリ金属を格子間に挿入可能な立方晶系の金属間化合物(AlSb、MgSi、NiSi);リチウム窒素化合物(Li3-xN(M:遷移金属))等を用いる
ことができる。
上記負極活物質のうち、電位平坦性が高く、また平均放電電位が低いために正極と組み合わせた場合に大きなエネルギー密度が得られることから、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛材料を主成分とする炭素質材料がより好ましく、黒鉛材料とシリコンとの混合物であって、そのCに対するSiの比率が5%以上のものがより好ましく、10%以上である負極活物質がさらに好ましい。すなわち、黒鉛材料のCのモル数と、Siのモル数との和(100モル%)に対して、Siが5モル%以上のものがより好ましく、10モル%以上であることがさらに好ましい。
負極合剤を得る方法としては、例えば、負極活物質を負極集電体上で加圧して負極合剤を得る方法;適当な有機溶剤を用いて負極活物質をペースト状にして負極合剤を得る方法;等が挙げられる。
上記負極集電体としては、例えば、Cu、Ni、ステンレス等が挙げられ、特にリチウムイオン二次電池においてはリチウムと合金を作り難く、かつ薄膜に加工し易いことから、Cuがより好ましい。
シート状の負極の製造方法、即ち、負極集電体に負極合剤を担持させる方法としては、例えば、負極合剤となる負極活物質を負極集電体上で加圧成型する方法;適当な有機溶剤を用いて負極活物質をペースト状にして負極合剤を得た後、当該負極合剤を負極集電体に塗工し、乾燥して得られたシート状の負極合剤を加圧して負極集電体に固着する方法;等が挙げられる。上記ペーストには、好ましくは上記導電助剤、及び、上記結着剤が含まれる。
上記正極と、上記セパレータ等と、上記負極とをこの順で配置して非水電解液二次電池用部材を形成した後、非水電解液二次電池の筐体となる容器に当該非水電解液二次電池用部材を入れ、次いで、当該容器内を非水電解液で満たした後、減圧しつつ密閉することにより、本発明に係る非水電解液二次電池を製造することができる。非水電解液二次電池の形状は、特に限定されるものではなく、薄板(ペーパー)型、円盤型、円筒型、直方体等の角柱型等のどのような形状であってもよい。尚、非水電解液二次電池の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の製造方法を採用することができる。
本発明に係る非水電解液二次電池は、上述のように、ΔWIが2.5以下であるセパレータ、または当該セパレータと多孔質層とを備える積層セパレータを備えている。上記セパレータ等は、充放電の際に副反応の原因となる樹脂の酸化物の含有量が少ないため、上記非水電解液二次電池は、優れたサイクル特性を示すことができる。例えば、後述する実施例では、70.0%を超える高い放電容量維持率が示されている。
上記放電容量維持率は、充放電サイクルを経ていない新たな非水電解液二次電池を所定の充放電サイクルに供した後の放電容量の、初回の放電容量に対する割合であり、放電容量維持率が高いほど、よりサイクル特性に優れること、すなわち電池が長寿命であることを意味する。放電容量維持率の算出法については実施例にて後述する。
実施例にて後述する式(3)によって算出した放電容量維持率が70.0%以上である場合、電池を長寿命化するという観点から十分なサイクル特性を有する電池であると言える。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<物性等の測定法>
実施例および比較例におけるセパレータ、および多孔質層の物性等は、以下の方法で測定した。
(1)膜厚(単位:μm):
膜厚は、株式会社ミツトヨ製の高精度デジタル測長機を用いて測定した。
(2)空隙率(単位:%):
フィルムを一辺の長さ8cmの正方形に切り取り、重量:W(g)と厚さ:D(cm)を測定した。サンプル中の材質の重量を計算で割り出し、それぞれの材質の重量:Wi(g)を真比重で割り、それぞれの材質の体積を算出して、次式より空隙率(体積%)を求めた。
空隙率(体積%)=100−[{(W1/真比重1)+(W2/真比重2)+・・+(Wn/真比重n)}/(8×8×D)]×100
(3)耐候性試験
JIS B 7753に準拠して、サンシャインウェザーメーターS80(スガ試験機株式会社製)を用い、製造例および比較製造例にて製造した多孔質フィルム(セパレータ)の試験片に対し紫外線を照射した。具体的には、サンシャインカーボンアーク(ウルトラロングライフカーボン4対)光源を、放電電圧50V、放電電流60Aに設定し、ブラックパネル温度60℃、相対湿度50%の条件下、試験片に対して、255W/mの強度の紫外線を75時間照射した。
(4)ホワイトインデックス(WI)の測定
セパレータのWIは、分光測色計(CM-2002、MINOLTA社製)を用い、SCI(Specular Component Include(正反射光を含む))で測定した。このとき、黒紙(北越紀州製紙株式会社、色上質紙、黒、最厚口、四六版T目)をセパレータの下敷きとして用い、WIを測定した。そして、上記耐候性試験に供試する前および後に測定したWIを、それぞれWI、WIとし、上述した式(1)に従ってΔWIを求めた。
(5)放電容量維持率の測定
充放電サイクルを経ていない新たな非水電解液二次電池に対して、25℃で電圧範囲;4.1〜2.7V、電流値;0.2C(1時間率の放電容量による定格容量を1時間で放電する電流値を1Cとする、以下も同様)を1サイクルとして、3サイクルの初期充放電を行った。続いて、電流値1C、5C、10C、20Cで各3サイクルずつ充放電を行った。
最後に電流値0.2Cで充放電を3サイクル行い、次式(2)により18サイクル後の放電容量維持率を算出した。
18サイクル後の放電容量維持率(%)=(18サイクル目0.2C放電容量/初回0.2C放電容量)×100 ・・・(2)
さらに、次式(3)により、180サイクル後の放電容量維持率を算出した。
180サイクル後の放電容量維持率(%)=(18サイクル目0.2C放電容量/初回0.2C放電容量)10×100 ・・・(3)
〔製造例〕
<セパレータの製造>
(製造例1)
ポリエチレン粉末(超高分子量ポリエチレンGUR2024(ティコナ株式会社製))が68重量%、重量平均分子量1000の低分子量ポリエチレン粉末(ポリエチレンワックスFNP−0115(日本精鑞株式会社製))が32重量%となるように両者を混合して樹脂混合物を得た。当該樹脂混合物100重量部と、当該樹脂混合物100重量部に対して160重量部の炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、平均粒子径0.10μm)と、酸化防止剤3重量部(IRG1010(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)/Irf168(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)=2重量部/1重量部)とを混合した混合物を、二軸混練機にて200℃で溶融混練して樹脂組成物を得た。
この樹脂組成物を240℃に設定したTダイからシート状に押し出し、表面温度が150℃の一対のロールにて圧延しシートを作製した。Tダイから吐出されてロールで冷却されるまでの大気曝露時間(Tダイから吐出されてロールに接触するまでの時間)は3.6秒であった。尚、全ての製造例および比較製造例において、用いた押出機は同じであり、Tダイとロールとの距離(図1に示す距離4に該当)は、15cmであった。
このシートを40℃の塩酸水溶液(塩酸4mol/L、非イオン系界面活性剤(サンモリン11(三洋化成工業株式会社製))を1重量%含有)に浸漬させることで炭酸カルシウムを除去し、続いて株式会社市金工業社製の一軸延伸型テンター式延伸機を用いて、100℃で6倍に延伸し、ポリオレフィン多孔質フィルムであるセパレータ1を得た。
(製造例2)
ポリエチレン粉末(超高分子量ポリエチレンGUR4032(ティコナ株式会社製))が70重量%、低分子量ポリエチレン粉末(ポリエチレンワックスFNP−0115(日本精鑞株式会社製))が30重量%となるように両者を混合して樹脂混合物を得た。当該樹脂混合物100重量部と、当該樹脂混合物100重量部に対して160重量部の炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、平均粒子径0.10μm)と、酸化防止剤3重量部(IRG1010/Irf168=2重量部/1重量部)とを混合した混合物を、二軸混練機にて200℃で溶融混練して樹脂組成物を得た。
この樹脂組成物を247℃に設定したTダイからシート状に押し出し、表面温度が150℃の一対のロールにて圧延しシートを作製した。Tダイから吐出されてロールで冷却されるまでの大気曝露時間は3.0秒であった。
このシートを40℃の塩酸水溶液(塩酸4mol/L、非イオン系界面活性剤を6重量%含有)に浸漬させることで炭酸カルシウムを除去し、続いて株式会社市金工業社製の一軸延伸型テンター式延伸機を用いて、105℃で6倍に延伸し、ポリオレフィン多孔質フィルムであるセパレータ2を得た。
(比較製造例1)
ポリエチレン粉末(超高分子量ポリエチレンGUR4032(ティコナ株式会社製))が71重量%、低分子量ポリエチレン粉末(ポリエチレンワックスFNP−0115(日本精鑞株式会社製))が29重量%となるように両者を混合して樹脂混合物を得た。当該樹脂混合物100重量部と、当該樹脂混合物100重量部に対して160重量部の炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、平均粒子径0.10μm)と、酸化防止剤3重量部(IRG1010/Irf168=2重量部/1重量部)とを混合した混合物を、二軸混練機にて200℃で溶融混練して樹脂組成物を得た。
この樹脂組成物を253℃に設定したTダイからシート状に押し出し、表面温度が150℃の一対のロールにて圧延しシートを作製した。Tダイから吐出されてロールで冷却されるまでの大気曝露時間は2.3秒であった。
このシートを40℃の塩酸水溶液(塩酸4mol/L、非イオン系界面活性剤を1重量%含有)に浸漬させることで炭酸カルシウムを除去し、続いて株式会社市金工業社製の一軸延伸型テンター式延伸機を用いて、100℃で7倍に延伸し、ポリオレフィン多孔質フィルムである比較用セパレータ1を得た。
(比較製造例2)
ポリエチレン粉末(超高分子量ポリエチレンGUR4032(ティコナ株式会社製))が70重量%、低分子量ポリエチレン粉末(ポリエチレンワックスFNP−0115(日本精鑞株式会社製))が30重量%となるように両者を混合して樹脂混合物を得た。当該樹脂混合物100重量部と、当該樹脂混合物100重量部に対して160重量部の炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、平均粒子径0.10μm)、酸化防止剤3重量部(IRG1010/Irf168=2重量部/1重量部)とを混合した混合物を、二軸混練機にて200℃で溶融混練して樹脂組成物を得た。
この樹脂組成物を252℃に設定したTダイからシート状に押し出し、表面温度が150℃の一対のロールにて圧延しシートを作製した。Tダイから吐出されてロールで冷却されるまでの大気曝露時間は3.6秒であった。
このシートを40℃の塩酸水溶液(塩酸4mol/L、非イオン系界面活性剤を6重量%含有)に浸漬させることで炭酸カルシウムを除去し、続いて株式会社市金工業社製の一軸延伸型テンター式延伸機を用いて、105℃で6倍に延伸し、ポリオレフィン多孔質フィルムである比較用セパレータ2を得た。
<非水電解液二次電池の作製>
次に、各製造例および比較製造例にて作製したセパレータ1,2および比較用セパレータ1,2を用い、非水電解液二次電池を以下の方法に従って作製した。
(正極)
正極活物質であるLiNi0.5Mn0.3Co0.292重量部と、導電材5重量部と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)3重量部との混合物をアルミニウム箔に塗布することにより製造された市販の正極を用いた。上記正極を、正極活物質層が形成された部分の大きさが40mm×35mmであり、かつその外周に幅13mmで正極活物質層が形成されていない部分が残るように、アルミニウム箔を切り取って正極とした。正極活物質層の厚さは58μm、密度は2.50g/cmであった。
(負極)
負極活物質である黒鉛98重量部と、スチレン−1,3−ブタジエン共重合体1重量部と、カルボキシメチルセルロースナトリウム1重量部との混合物を銅箔に塗布することにより製造された市販の負極を用いた。上記負極を、負極活物質層が形成された部分の大きさが50mm×40mmであり、かつその外周に幅13mmで負極活物質層が形成されていない部分が残るように、銅箔を切り取って負極とした。負極活物質層の厚さは49μm、の密度は1.40g/cmであった。
(組み立て)
ラミネートパウチ内で、上記正極、セパレータ(セパレータ1,2若しくは比較用セパレータ1,2)、および負極をこの順で積層(配置)することにより、非水電解液二次電池用部材を得た。このとき、正極の正極活物質層における主面の全部が、負極の負極活物質層における主面の範囲に含まれる(主面に重なる)ように、正極および負極を配置した。
続いて、上記非水電解液二次電池用部材を、アルミニウム層とヒートシール層とが積層されてなる袋に入れ、さらにこの袋に非水電解液を0.25mL入れた。上記非水電解液は、濃度1.0モル/リットルのLiPFをエチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートおよびエチレンカーボネートの体積比が50:20:30の混合溶媒に溶解させた25℃の電解液を用いた。そして、袋内を減圧しつつ、当該袋をヒートシールすることにより、セパレータ1,2をそれぞれ備える非水電解液二次電池1,2、および、比較用セパレータ1,2をそれぞれ備える比較用非水電解液二次電池1,2を作製した。
〔実施例1,2および比較例1,2〕
実施例1,2では、セパレータ1,2をそれぞれ備える非水電解液二次電池1,2の180サイクル後の放電容量維持率を求め、比較例1,2では、比較用セパレータ1,2をそれぞれ備える比較用非水電解液二次電池1,2の180サイクル後の放電容量維持率を求めた。結果を表1に示した。
表1において、押出温度、大気曝露時間、界面活性剤濃度は、各実施例および比較例で用いたセパレータの製造時の条件であり、上述の製造例および比較製造例に記載されている。表中、「界面活性剤濃度」は、塩酸水溶液中の非イオン系界面活性剤の濃度を示す。
表1において、膜厚、空隙率、ΔWIは、各実施例および比較例で用いたセパレータの膜厚、空隙率、ΔWIを示す。
Figure 2017103203
表1に示すように、ΔWIが2.5以下であるセパレータ1,2を備える非水電解液二次電池1,2では、180サイクル後の放電容量維持率がそれぞれ70.0%を超えており、高いサイクル特性を示すことが明らかとなった。これに対し、ΔWIが2.5を超える比較用セパレータ1,2を備える比較用非水電解液二次電池1,2では、上記放電容量維持率は70.0%未満であった。放電容量維持率が70.0%未満の場合、電池の長寿命化を図るという観点からは不十分なサイクル特性であると言える。
表1に示すように、Tダイからの樹脂の押出温度は、製造例1,2ではそれぞれ240℃、247℃であるが、比較製造例1,2ではそれぞれ253℃、252℃であった。
このように、実施例1,2では、比較例1,2よりも低い温度で大気に曝露された樹脂から得られたセパレータを用いているため、セパレータ1,2のΔWIが2.5以下となり、その結果、非水電解液二次電池1,2が優れたサイクル特性を示すことができたと考えられる。
一方、比較製造例1,2では、上記押出温度が250℃を超えているため、樹脂が押し出されてからロールに接触するまでの間に、樹脂中の酸化物が増加し、得られたセパレータのΔWIが2.5を超え、当該セパレータを用いた比較用非水電解液二次電池1,2の放電容量維持率が70.0%未満という不十分な値となったと考えられる。
比較製造例1では、大気曝露時間は2.3秒であり、全ての製造例および比較製造例の中で最も短時間であったが、押出温度が253℃であったため、押出温度が250℃を超える高温であったことの影響が、大気曝露時間が短時間であったことによる利点を上回ったものと考えられる。
実施例で実証されたように、ΔWIが2.5以下であるセパレータを用いることによって高いサイクル持性を示す非水電解液二次電池が得られることは、本発明によって初めて見出された知見である。したがって、本発明は、長寿命化の要求に十分応え得る非水電解液二次電池を提供し得る発明として非常に有用であると言える。
本発明は、非水電解液二次電池を利用する産業分野、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末などの分野において広く利用することができる。
1 樹脂
2 Tダイ
3 ロール
4 Tダイとロールとの距離

Claims (4)

  1. ポリオレフィン系樹脂を主成分とする多孔質フィルムであって、
    下記式(1)で定義されるΔWIの値が2.5以下であることを特徴とする非水電解液二次電池用セパレータ:
    ΔWI=WI−WI ・・・式(1)
    ここで、WIは、American Standards Test Methods のE313に規定されているホワイトインデックスであり、
    WIは、上記多孔質フィルムに255W/mの紫外線を照射する前に分光測色計で測定した、上記多孔質フィルムの表面のWIであり、
    WIは、上記多孔質フィルムに255W/mの紫外線を75時間照射した後に分光測色計で測定した、上記多孔質フィルムの表面のWIである。
  2. 請求項1に記載の非水電解液二次電池用セパレータと、多孔質層とを備えることを特徴とする非水電解液二次電池用積層セパレータ。
  3. 正極と、請求項1に記載の非水電解液二次電池用セパレータ、または、請求項2に記載の非水電解液二次電池用積層セパレータと、負極とがこの順で配置されてなることを特徴とする、非水電解液二次電池用部材。
  4. 請求項1に記載の非水電解液二次電池用セパレータ、または、請求項2に記載の非水電解液二次電池用積層セパレータを備えることを特徴とする、非水電解液二次電池。
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