相応する符号は、いくつかの図面全体を通して相応する部分を示す。
添付の図面を参照しながら、実施態様の一例を以下に詳述する。
最初に図1及び2を参照すると、本教示に基づく大腿骨位置決め治具が符号10で概略的に示されている。大腿骨位置決め治具10は、インプラントを受容するための大腿骨の調製の際に、大腿骨上にカッティングブロックを位置決めするように形成されている。本明細書中に詳述するように、大腿骨位置決め治具10は例えばX線画像に基づいて患者の解剖学的構造に適合するように再使用可能であり且つ調節可能である。大腿骨位置決め治具10は、人口膝関節全置換処置、又はリビジョン処置において使用することができる。
大腿骨位置決め治具10は概ね、第1部分又は遠位部分14と、第2部分又は後部分16とを有する大腿骨ベース12を含んでいる。遠位部分14と後部分16とは互いに任意の適宜な角度、例えば図示のように直角を成していてよい。大腿骨ベース12は任意の適宜に剛性の材料、例えば剛性金属又はポリマーから形成することができる。
遠位部分14は第1面又は骨対向面18と、骨対向面18とは反対側の第2面20とを含んでいる。遠位部分14には、第1遠位アラインメント部材22と第2遠位アラインメント部材24とが取り付けられている。第1及び第2アラインメント部材22及び24は、遠位部分14を貫通して延びており、そして例えば図1及び2に示されているように、骨対向面18及び第2面20の両方から突出することができる。
引き続き図1及び図2を、そしてさらに図3及び4を参照すると、第1遠位アラインメント部材22は、ヘッド30と、ヘッド30から延びるシャフト32とを含むアラインメント・ダイアルであってよい。シャフト32は、シャフト32及び全体的な第1遠位アラインメント部材22の両方の遠位端部34へ延びている。シャフト32はねじ山36を含んでいる。ねじ山36は遠位部分14のねじ山(図示せず)と協働する。第1遠位アラインメント部材22が第1方向、例えば時計回り方向で回転すると、第1遠位アラインメント部材22は遠位部分14内にねじ込まれて、遠位端部34が骨対向面18からより大きく離れることになる。第1遠位アラインメント部材22が第2方向、例えば反時計回り方向で回転すると、遠位部分34は骨対向面18に向かって移動する。
第1遠位アラインメント部材22はガイド部材40を含んでいる。ガイド部材40は、ヘッド30及びシャフト32の両方によって画定された中心孔として図示されている。ガイド部材40は第1遠位アラインメント部材22の長手方向軸線A(図4)に沿って延びている。本明細書中に記載されているように、ガイド部材40は、大腿骨にカット・ガイドを取り付けるために大腿骨に固定ピンを案内するように形成されている。ガイド部材40は第1遠位アラインメント部材22によって画定されたものとして図示され説明されるものの、ガイド部材40は遠位部分14の任意の部分によって画定することができ、或いは大腿骨位置決め治具10の遠位部分14又は任意の部分に取り付けられた別個の装置であってもよい。
第1遠位アラインメント部材22の遠位端部34には骨係合部材38が位置している。骨係合部材38は、大腿骨位置決め治具10が結合される大腿骨に確実に係合するように形成された任意の適宜な装置、構造、又は表面フィーチャであってよい。例えば、図4に示されているように、骨係合部材38は突出した先鋭化又は粗面化部分、例えば円錐部分であってよい。
第1遠位アラインメント部材22はさらに位置インジケータ42を含む。位置インジケータ42は第1遠位アラインメント部材22上、例えば図3に示されているようにヘッド30上の任意の適宜な位置に位置してよい。位置インジケータ42は任意の適宜なインジケータ、又は第1遠位アラインメント部材22の回転位置を測定するのに適した参照マーク、例えば図示のようなヘッド30上の数字インジケータであってよい。第1遠位アラインメント部材22の回転位置はその遠位端部34が骨対向面18から延びる距離に相当するので、位置インジケータ42はまた、遠位端部34が骨対向面18からどれぐらい離れているかを示す。
位置インジケータ42は遠位部分14上の任意の適宜なマーキング又はフィーチャ、例えば遠位部分14の第2面20上の参照マーク44に対して参照することができる。例えば第1遠位アラインメント部材22は、「0」の位置インジケータ42が参照マーク44と整合していると、第1遠位アラインメント部材22は中立位置にあるように形成することができる。「+5」の位置インジケータ42が参照マーク44と整合するように、第1遠位アラインメント部材22を時計回り方向に回転させることにより、第1遠位アラインメント部材22を完全伸長位置にすることができる。この完全伸長位置では、遠位端部34は骨対向面18から最も遠い距離にある。「−5」の位置インジケータ42が参照マーク44と整合するように、第1遠位アラインメント部材22を反時計回り方向に回転させることにより、第1遠位アラインメント部材22を完全後退位置にすることができる。この完全後退位置では、遠位端部34は骨対向面18から最小限に延びている。第1遠位アラインメント部材22は「0」と位置インジケータ42の「+5」及び「−5」との間の任意の中間位置に回転させることができる。
第2遠位アラインメント部材24は第1遠位アラインメント部材22と同様、又は同一であってよい。従って、第2遠位アラインメント部材24は遠位部分14の第2面20上の参照マーク48(図1)に対して参照するために、それ自体の位置インジケータ46を含むことができる。第1及び第2遠位アラインメント部材22及び24は下で詳述するように、骨切り部の内外反角度、並びに大腿骨位置決め治具19のカッティングスロット102を通して形成される遠位骨切り部を制御するために、大腿骨上に選択的に位置決めすることができる。
引き続き図1及び2を参照すると、後部分16は第1面又は骨対向面50と、骨対向面50とは反対側の第2面52とを含んでいる。後部分16内には符号66でスロット又は空隙が画定されている。このスロットは靱帯のための空隙を提供する。後部分16には、第1後部アラインメント部材54と第2後部アラインメント部材56とが取り付けられている。第1及び第2後部アラインメント部材54及び56は、スロット又は空隙66に対して互いに反対側に配置することができる。第1及び第2後部アラインメント部材54及び56は、第1及び第2遠位アラインメント部材22及び24と同様、又は同一であってよい。
第1後部アラインメント部材54は遠位端部60に骨係合部材58を含んでいる。遠位端部60にはねじ山62が近接している。ねじ山62は後部分16のねじ山(図示せず)と協働する。第1後部アラインメント部材54は任意にはその長手方向軸線に沿って画定された中心孔64を含んでいてよい。中心孔は第1後部アラインメント部材54の遠位端部60からヘッド(図示せず)へ延びる。ヘッドは、第1遠位アラインメント部材22のヘッドと類似している。第1後部アラインメント部材54のヘッドは、第2面52の1つ又は2つ以上の参照マークから参照するために、第1遠位アラインメント部材の説明において上述した位置インジケータ42を含むこともできる。
第2後部アラインメント部材56は第1後部アラインメント部材54と同様であり、ひいてはその遠位端部70に骨係合フィーチャ68を含んでいる。第2後部アラインメント部材56はさらに雄ねじ山72を含んでいる。雄ねじ山72は第2後部分16のねじ山(図示せず)と協働する。第2後部アラインメント部材56は任意には中心孔74を画定している。中心孔は遠位端部70から第2後部アラインメント部材56を完全に貫通して、第2面52においてヘッド(図示せず)へ延びる。従って、遠位端部70とヘッドとは、第2後部分16に対して互いに反対側に位置している。第2後部アラインメント部材56のヘッドは、第2面52の(1つ又は2つ以上の)参照マークから参照するために、第1遠位アラインメント部材22の説明において上述した位置インジケータ42を含むこともできる。
第1及び第2遠位アラインメント部材22及び24に関して上述したものと同様に、第1及び第2後部アラインメント部材54及び56のそれぞれを回転させ操作することにより、それぞれ第1及び第2後部アラインメント部材54及び56の遠位端部60及び70を、後部分16の骨対向面50からの所望の距離又は高さに位置決めすることができる。第1及び第2後部アラインメント部材54及び56を選択的に設定することにより、大腿骨位置決め治具10の回転位置を、本明細書中に記載したように設定することができる。大腿骨位置決め治具10及び大腿骨インプラントの旋回配向の設定を容易にするために、後部分16は任意の適宜な電子アラインメント装置、例えばオーソセンサ社(OrthoSensor, Inc)製のオーソセンサ(OrthoSensor)(商標)を含むことができる。
引き続き図1及び2を参照すると、大腿骨位置決め治具10はさらに前部分80を含んでいる。前部分80は概ね第1前部分82と、第2前部分84と、湾曲部分86と、スタイラス88とを含んでいる。スタイラス88はテーパされた端部90で終わっている。第1前部分82は、大腿骨ベース12の、骨対向面18と第2面20との間に画定された受け92内に延びている。第1及び第2遠位アラインメント部材22及び24に対応するために、第1前部分82は切り欠き94及び96を含んでいる。切り欠きは、第1及び第2遠位アラインメント部材22及び24に対応するように位置決めされサイズ設定されたスロットを画定している。第1遠位アラインメント部材22は第1切り欠き94を貫通して延びており、そして第2遠位アラインメント部材24は第2切り欠き96を貫通して延びている。
第1前部分82は受け92内部から延びており、湾曲部分86において第2前部分84へ移行している。湾曲部分86は第1前部分82と第2前部分84との間に位置している。第2前部分84は第2後部分16に対してほぼ平行に延びている。スタイラス88は第2前部分84から、第1前部分82とは反対側で延びている。第2前部分84は第2後部分16に対向する第1面98と、第1面98とは反対側の第2面100とを含む。
第2前部分84によってカッティングスロット102が画定されている。カッティングスロット102は第1面98と第2面100との間に延びており、第2前部分84を通して、大腿骨位置決め治具10が着座される大腿骨へ任意の適宜なカッティング機器を導くように形成されている。カッティングスロット102は、ほぼ内外側方向に延びる細長いスロットとして図示されているがしかし、任意の適宜な形状又はサイズを有してよく、そしてインプラントを受容するために大腿骨を調製する目的で、大腿骨の遠位部分を除去するのに適した任意の場所に位置していてよい。
前部分80は第1前側ガイド部材110と第2前側ガイド部材112とを含んでいる。第1及び第2前側ガイド部材110及び112は、前部分80上の任意の適宜な位置、例えば第2前部分84に位置していてよい。第1及び第2前側ガイド部材110及び112のそれぞれは第2前部分84を通って延び、そして本明細書中で説明されるように、固定ピンを骨に導くための任意の適宜なガイド部材であってよい。例えば、第1及び第2前側ガイド部材110及び112は、それぞれ第1及び第2中心孔114及び116を画定する前側部分80を貫通するピンホールであってよい。
前部分80は、第1前部分82を受け92内へ又は受け92から摺動させることにより、調節することができる。例えば受け92内へ第1前部分82を摺動させると、前部分80と後部分16とが互いに接近する。第1前部分82が受け92内部からさらに大きく伸長するように前部分80を摺動させると、前部分80と後部分16との間の距離が増大する。前部分80と後部分16とを所望の間隔で離隔させた状態で維持するために、大腿骨位置決め治具10は任意の適宜なロック又は保持装置を含むことができる。
さらに図5を参照すると、大腿骨位置決め治具10は大腿骨210に結合された状態で示されている。大腿骨210は概ね前面212と、後面214と、遠位面又は下面216とを含んでいる。大腿骨位置決め治具10は、前部分80が前面212に向き合い、遠位部分14が遠位面216及び骨顆218に向き合い、そして後部分16が後面214に向き合うように位置決めされている。スタイラス88及びそのテーパされた端部90は前面212に配置され、前面212に当接している。湾曲部分86、及び遠位部分14と後部分16との間の角度により、大腿骨位置決め治具10は概ね大腿骨210にクリップ固定することができる。より大きい大腿骨210に対応するために、第1前部分82を受け92内部からさらに大きく摺動させることによって、前部分80を後部分16から遠ざかる方向に引き出し、これにより後部分16と前部分80との間の距離を増大させることができる。より小さい大腿骨210に対応するために、第1前部分82を受け92内へさらに大きく移動することにより、前部分80を後部分16に接近させることができる。
大腿骨位置決め治具10は、第1及び第2前側ガイド部材110及び112が大腿骨210から離隔するように大腿骨210に着座されている。第1及び第2遠位アラインメント部材22及び24は、大腿骨210の遠位面216に向き合うように位置決めされている。第1及び第2後部アラインメント部材54及び56は、大腿骨210の後面214に向き合うように位置決めされている。概ねアラインメント部材22,24,54及び56は最初は中立位置、例えば「0」の位置インジケータ42に設定される。下記のように、固定部材又はピン120及び122は、アラインメント部材22,24,54及び56が設定された後で初めて設置される。
第1及び第2遠位アラインメント部材22及び24、並びに第1及び第2後部アラインメント部材54及び56は、患者特異的な骨切り部を大腿骨210に提供するために、患者のX線に基づいて特定の患者に合わせてカスタム設定される。これにより大腿骨インプラントを患者の解剖学的構造に最良に適合するように整合することができる。本明細書中で説明され図8に示されているように、患者特異的な骨切り部は、術前計画に従って外科医又は他の医療従事者によって特定される。大腿骨210はカッティングスロット102を通して、そして任意の適宜なカッティング・ガイド、例えば4−in−1カットガイド又は6−in−1カットガイドを使用することにより切ることができる。
カットガイドは、図5に示された固定部材又はピン120及び122を使用して、大腿骨210に取り付けられる。固定ピン120及び122は、患者特異的な骨切り部を提供することになる位置にカットガイドを取り付けるために、大腿骨位置決め治具10を使用してカスタム設定される。図5に示されているように(ピンのうちの一方120しか示されていない)、固定ピン120は、第1及び第2遠位アラインメント部材22及び24のそれぞれを通って延びるガイド部材40を通して、大腿骨210に案内される。ピン120を大腿骨210内に挿入することにより大腿骨210内に孔を形成し、ピン120を大腿骨210の孔から取り除くことにより、大腿骨210がカッティングスロット102を通して切られるのを可能にし、次いで、ピン120が前に着座されていた大腿骨210内の孔内にピン120を戻すことによりカットガイドを大腿骨210に取り付けることができる。固定ピンのうちの一方122は第1前部ガイド部材110の中心孔114を通して大腿骨210に案内され、そして他方の固定ピン122は第2前部ガイド部材112の中心孔116を通して案内される(ピンのうちの一方112しか図示されていない)。固定ピン120及び122が設定された後に、大腿骨位置決め治具10が取り外され、これによりカットガイドが固定ピン120及び122によって大腿骨210と結合されるのを可能にする。大腿骨位置決め治具10の取り外しを容易にするために、ピン120及び/又は122は治具10の取り外し前に大腿骨210から取り外すことができ、次いで大腿骨位置決め治具10が取り外された後、ピン122が前に着座していた大腿骨210の孔内に再挿入することができる。
大腿骨位置決め治具10の位置の設定についてここに説明する。大腿骨210の遠位面216に遠位骨切り部を形成するためにカッティングスロット102の場所を設定する際に、第1及び第2遠位アラインメント部材22及び24のうちの一方又は両方を回転させて、そのそれぞれの遠位端部60及び70が骨対向面18からより大きく伸長するようにし、これにより大腿骨位置決め治具10の遠位部分14を大腿骨210の遠位面216から遠ざかる方向に移動させることができる。これにより、カッティングスロット102は遠位面216に接近するので、カッティングスロット102を通して挿入されたカッティング機器が大腿骨210の遠位面216を除去する量は、カッティングスロット102が遠位面216よりも前方にある場合と比較して少ない。
大腿部210のより大きい部分を遠位面216で除去するためには、第1及び第2遠位アラインメント部材22及び24が骨対向面18に接近するように、第1及び第2遠位アラインメント部材22及び24を回転させ、これにより、遠位端部14を遠位面216に接近するように移動させることができる。このことはカッティングスロット102を上方に向かって、遠位面又は下面216から遠ざかる方向に移動させる。従って、カッティングスロット102を通して挿入されたカッティング機器は遠位面216のより多くの部分を除去することになる。
内外反角度を設定するために、第1及び第2遠位アラインメント部材22及び24を骨対向面18から異なる距離で延びるように設定し、これにより、大腿骨210の遠位面又は下面216に対して所定の角度を成すように遠位部分14を設定することができる。従って、カッティングスロット102は相応の角度を成して設定されることになる。例えば、第1遠位アラインメント部材22が第2遠位アラインメント部材24の内側であり、そして大腿骨210が患者の右脚のものである場合、第1遠位アラインメント部材22が第2遠位アラインメント部材24よりも大きく骨対向面18から延びるように第1遠位アラインメント部材22を回転させると、カッティングスロット102は患者の正中線から離れる方向に角度付けされ、ひいては外反角度を増大させることになる。固定ピン120及び122も、患者の正中線から離れる方向に角度付けされ、これにより固定ピンに取り付けられたカッティングブロックは、患者の正中線から離れる方向に角度付けされる。第2遠位アラインメント部材24が第1遠位アラインメント部材22よりも大きく骨対向面18から延びるように位置決めされると、カッティングスロット102は患者の正中線に向かう方向に角度付けされることになり、同様に固定ピン120及び122もカッティングブロックを患者の正中線に向かう方向に角度付けすることになる。
旋回角度を設定するために、第1及び第2後部アラインメント部材54及び56を選択的に位置決めすることができる。例えば、第1後部アラインメント部材54が第2後部アラインメント部材56の内側である場合、第1後部アラインメント部材54が第2後部アラインメント部材56よりも少なく後部分16から延びるように第1後部アラインメント部材54を配置する結果、カッティングスロット102、並びに固定ピン120及び122が外旋される。第1後部アラインメント部材54が第2後部アラインメント部材56よりも大きく延びるように、第1及び第2後部アラインメント部材54及び56が配置されると、カッティングスロット102、並びに固定ピン120及び122が内旋される。
図6及び7を参照すると、本教示に基づく脛骨位置決め治具が符号310で示されている。脛骨位置決め治具310は概ねベース312を含んでいる。ベース312は、第1部分又は前部分314と、第2部分又は上部分316とを含んでいる。前部分314と上部分316とは互いに任意の適宜な角度、例えば図示のように直角を成していてよい。ベース312は、脛骨の上面を切るのに適した任意の位置、例えば前部分314にカッティングスロット318を画定している。脛骨位置決め治具310は、人口膝関節全置換処置、又はリビジョン処置において使用することができる。
脛骨位置決め治具310は、第1上側アラインメント部材320と第2上側アラインメント部材322とを含んでいる。第1及び第2上側アラインメント部材320及び322はそれぞれねじ山を有することにより、上側部分316のねじ山と協働する。上側部分316は第1上側アラインメント部材320と第2上側アラインメント部材322との間にスロット又は空隙328を画定している。スロット又は空隙328は靱帯のための空隙を提供する。脛骨位置決め治具310はまた第1及び第2前側アラインメント部材324及び326を含んでいる。これらの前側アラインメント部材324及び326は、前部分314のねじ山と協働するためにねじ山を有している。
第1及び第2上側アラインメント部材320及び322、並びに第1及び第2前側アラインメント部材324及び326のそれぞれは、上記第1遠位アラインメント部材22とほぼ同様、又は同一であってよい。従って、第1及び第2上側アラインメント部材320及び322のそれぞれ、並びに第1及び第2前側アラインメント部材324及び326のそれぞれについて説明するには、第1遠位アラインメント部材22の説明があれば充分である。第1及び第2上側アラインメント部材320及び322のそれぞれ、並びに第1及び第2前側アラインメント部材324及び326のそれぞれは従って、位置インジケータ42と、中心孔として画定されたガイド部材40とを含み、ガイド部材40は、上側固定ピン330及び332が貫通するように形成されている。
図7を参照すると、脛骨位置決め治具310は脛骨410上に着座された状態で示されている。脛骨410は後面412と、前面414と、脛骨プラトー416とを含んでいる。脛骨位置決め治具310は、上部分316が脛骨プラトー416と向き合うように、そして前部分314が前面414と向き合うように配置されている。
脛骨位置決め治具310は、第1及び第2上側アラインメント部材320及び322、並びに第1及び第2前側アラインメント部材324及び326を使用して、大腿骨位置決め治具10に関して上述したものと同様に配向される。例えば、第1及び第2上側アラインメント部材320及び322を使用して、スロット318を通して形成される骨切り部の上/下位置、又は骨切り深さを設定することができる。第1及び第2上側アラインメント部材320及び322が上部分316からより大きく伸長するように、第1及び第2上側アラインメント部材320及び322を回転させる結果、スロット318を通して形成される骨切り部が上方に向かって移動される。なぜならば、スロット318が上方に向かって移動されるからである。固定ピン332も上方に向かって移動され、これにより、固定ピンに取り付けられた骨切りブロック(骨カットブロック)を上方に配向して位置決めすることになる。第1及び第2上側アラインメント部材320及び322の遠位端部が上部分316に接近させるように第1及び第2上側アラインメント部材320及び322を回転させると、スロット318、スロットを通る相応の骨切り部、及び固定ピン332は下方に向かって移動されることになる。第1及び第2上側アラインメント部材320及び322は固定ピン330及び332の角度を変化させるように選択的且つ個別に位置決めすることができる。このことは、固定ピンに取り付けられた骨切りブロックの内外反配向、及び最終的な脛骨インプラントの内外反配向を変化させることになる。
第1及び第2前側アラインメント部材324及び326を使用して、最終的な脛骨インプラントの内外側位置、並びにその旋回角度を設定することができる。例えば、第1及び第2前側アラインメント部材324及び326が前部分314からより大きく伸長するように、第1及び第2前側アラインメント部材324及び326を回転させると、脛骨位置決め治具310が前位置に移動する。その結果、骨切りブロックはより前方へ位置決めされ、骨切り部は前方へ移動され、そして最終的な脛骨インプラントは前方へ移動される。第1及び第2前側アラインメント部材324及び326の遠位端部が前部分314に接近させるように第1及び第2前側アラインメント部材324及び326を回転させると、脛骨位置決め治具310は後方に向かって移動されるのが可能になる。その結果、骨切りブロックはより後方へ位置決めされ、骨切り部は後方へ移動され、そして最終的な脛骨インプラントは後方へ移動される。第1及び第2前側アラインメント部材324及び326は、上側固定ピン330の位置を変化させることによって、最終的な脛骨インプラントの旋回角度を変化させるように選択的に位置決めすることができる。このことは、固定ピンに取り付けられた骨切りブロックの旋回角度を変化させることになる。
さらに図8及び符号510で示されたフローチャートを参照しながら、髄内釘を使用することなしに患者特異的な配向を有する大腿骨位置決め治具10及び脛骨位置決め治具310を提供するために、アラインメント部材22,24,54,56,320,322,324及び326のそれぞれの設定を判断することを以下に説明する。最初にブロック512を参照すると、医師又は他の適宜な医療従事者が、患者の大腿骨の骨幹の前方皮質を特定する。次いでブロック514において、患者の膝の適宜のフレクション/エクステンション、内外反アラインメント、及び脛骨回旋勾配が患者のX線に基づいて判断される。ブロック516において、医師又は他の適宜な医療従事者は、大腿骨インプラントを受容するために患者の大腿骨210内に必要な骨切り部、そして任意には患者が脛骨インプラントを受容する場合には患者の脛骨40に必要な骨切り部を判断する。骨切り部のタイプ、位置、及び配向は患者の解剖学的構造に依存する。例えば患者の生来の膝がほぼ外反の配向を有する場合には、外反配向を再現するための骨切り部が用いられる。
ブロック518を参照すると、医師、適宜な医療従事者、又は他の適宜な人、物、又は装置は、必要な骨切り部をスロット102又は318を通して形成するために1つ又は2つ以上のカッティング機器を大腿骨210及び/又は脛骨410に案内するのに充分な位置に大腿骨位置決め治具10及び/又は脛骨位置決め治具310を配置し、そして大腿骨210及び/又は脛骨410に付加的な骨切り部を形成するのに適したカットブロックを配置するように固定ピン120,122,330及び/又は332を配置するために必要なアラインメント部材22,24,54,56,320,322,324及び/又は326の設定を判断する。大腿骨位置決め治具10及び脛骨位置決め治具310は両方とも人口膝関節全置換処置に、或いは大腿骨インプラントだけ又は脛骨インプラントだけが適当である場合には個別に使用することができる。
さらにブロック520を参照すると、アラインメント部材22,24,54,56,320,322,324及び/又は326をブロック518で特定された所定の設定で設定することにより、大腿骨210及び脛骨410上に所定の位置で、大腿骨位置決め治具10及び/又は脛骨位置決め治具310をそれぞれ配置する。ブロック522を参照すると、大腿骨位置決め治具10のスロット102、及び/又は適切な場合には脛骨位置決め治具310のスロット318を使用して、任意の好適なカッティング機器を使用して大腿骨210及び/又は脛骨410を切る。ブロック524を参照すると、上記のように大腿骨210及び/又は脛骨410内に固定ピン120,122,330及び332を設置し、大腿骨及び脛骨位置決め治具10及び310を大腿骨210及び脛骨410から取り除き、適宜のカットブロックを固定ピン120,122,330及び/又は332に取り付け、カットブロックによって大腿骨210及び/又は脛骨410に案内された任意の適宜なカッティング機器を使用して、大腿骨210及び/又は脛骨410を切る。
本教示はこのように、患者のX線に基づいて患者特異的な骨切り部を形成するためにカッティング機器を案内する、患者特異的な大腿骨位置決め治具10及び脛骨位置決め治具310を提供する。これらの骨切り部はより複雑な三次元画像化、例えばCTスキャン及びMRIよりも低廉且つ容易に得ることができる。これらの患者特異的な骨切り部は髄内釘を必要とすることなしに形成することができる。
例示及び説明の目的で実施態様を記述してきた。これは包括的なものではなく、また開示を限定するものでもない。特定の実施態様の個々のエレメント又は特徴は、その特定の実施態様にほぼ限定されることはなく、適用可能な場合には、具体的に示されず記載されていなくても置き換え可能であり、選択された実施態様において使用することができる。同じエレメントを多くの方法で変化させることもできる。このような変更形は開示を逸脱したものと見なされるべきではなく、このような全ての改変形は開示の範囲内に含まれるものとする。