JP2017077212A - 害虫駆除成分のスクリーニング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】害虫駆除成分のスクリーニング方法、害虫駆除剤、毒餌剤、および害虫抵抗性を有する遺伝子組み換え植物を提供する。【解決手段】本発明は、Hentai factor(Hf)の阻害物質を選択することを含む害虫駆除成分のスクリーニング方法、Hfの阻害物質を含む害虫駆除剤、前記害虫駆除剤を含む毒餌剤、およびHfをコードする遺伝子の発現を阻害するdsRNAを発現する遺伝子組み換え植物に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、害虫駆除成分のスクリーニング方法、害虫駆除剤、毒餌剤、および害虫抵抗性を有する遺伝子組み換え植物に関する。
幼若ホルモン(JH)は、昆虫の変態抑制、性成熟、寿命などに関わる重要なホルモンであり、脳の後部にあるアラタ体で合成され、分泌される。多くの昆虫の若齢幼虫期体内には高濃度のJHが存在しており、幼虫脱皮が繰り返されるが、それぞれの種に固有の終齢幼虫の大きさに達するとJH濃度が著しく減少し、変態に至る。JHの合成過程は前期経路と後期経路に分けられ、後期経路で機能するメチルトランスフェラーゼ(S−アデノシルメチオニン依存性メチルトランスフェラーゼ:JHAMT)がJH合成に重要であることが知られている。JHAMTの発現はJH合成と相関しており、JHAMTの発現低下に伴いJH量が著しく減少する。そのため、JHAMTの発現抑制が昆虫の変態に必須と考えられるが、その発現抑制機構はいまだ不明である。
Chieka Minakuchi, Toshiki Namiki, Michiyo Yoshiyama and Tetsuro Shinoda, RNAi-mediated knockdown of juvenile hormone acid O-methyltransferase gene causes precocious metamorphosis in the red flour beetle Tribolium castaneum. FEBS J. 275, 2919-2931 (2008). Wenfeng Li, Zachary Y. Huang, Fang Liu, Zhiguo Li, Limin Yan, Shaowu Zhang, Shenglu Chen, Boxiong Zhong and Songkun Su, Molecular cloning and characterization of juvenile hormone acid methyltransferase in the honey bee, Apis mellifera, and its differential expression during caste differentiation. PLoS One 8, e68544 (2013). Tetsuro Shinoda and Kyo Itoyama, Juvenile hormone acid methyltransferase: a key regulatory enzyme for insect metamorphosis. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 100, 11986-11991 (2003). Ryusuke Niwa, Teruyuki Niimi, Naoko Honda, Michiyo Yoshiyama, Kyo Itoyama, Hiroshi Kataoka and Tetsuro Shinoda, Juvenile hormone acid O-methyltransferase in Drosophila melanogaster. Insect Biochem. Mol. Biol. 38, 714-720 (2008). Marek Jindra, Subba R. Palli and Lynn M. Riddiford, The juvenile hormone signaling pathway in insect development. Annu. Rev. Entomol. 58, 181-204 (2013). Jianhua Huang, Ling Tian, Cheng Peng, Mohamed Abdou, Di Wen, Ying Wang, Sheng Li and Jian Wang, DPP-mediated TGFβ signaling regulates juvenile hormone biosynthesis by activating the expression of juvenile hormone acid methyltransferase. Development 138, 2283-2291 (2011). Laurel A. Raftery and David J. Sutherland, TGF-β Family Signal Transduction in Drosophila Development: From Mad to Smads. Developmental Biology 210, 251-268 (1999).
RNAi法によりTGF−βファミリー遺伝子の遺伝子機能解析を行い、JHAMTの発現解析とJH濃度の測定、およびJH量の変化に依存した体サイズの変化を解析した。その結果、JHの合成停止をもたらすJHAMTの発現消失を誘導するTGF−βファミリー遺伝子を同定し、本発明を完成した。
一態様において、本発明は、Hentai factor(Hf)の阻害物質を選択することを含む害虫駆除成分のスクリーニング方法に関する。
一態様において、本発明は、Hfの阻害物質を含む害虫駆除剤に関する。
一態様において、本発明は、前記害虫駆除剤を含む毒餌剤に関する。
一態様において、本発明は、Hfをコードする遺伝子の発現を阻害するdsRNAを発現する遺伝子組み換え植物に関する。
本発明により、新規な害虫駆除成分のスクリーニング方法、害虫駆除剤、毒餌剤、および害虫抵抗性を有する遺伝子組み換え植物が提供される。
グリラス・ビマクラツス(Gryllus bimaculatus)においてRNAiによるGb’hfおよびGb’madの消失により得られた表現型(1)。a:DsRed2 dsRNA(対照;写真左)またはGb’mad dsRNA(写真右)を3齢の1日目に注射した雄および雌成虫の表現型。Gb’mad dsRNAの注射後に生じた成虫は、早熟変態を示した。スケールバー:10mm。
b、c:DsRed2またはGb’madに対するRNAiで処理した成虫(雄および雌)の体長(b)および体重(c)。
d:Gb’hf RNAi幼虫において観察された過剰脱皮(3’−3’’−4th−4’−4’’)の間の形態学的変化。DsRed2 dsRNA(対照)またはGb’hf dsRNAを3齢の1日目に注射した。3rd−4th−5thに代えて、3rd−3’−3’’−4th−4’−4’’−5thや3rd−3’−4th−4’−4’’−4’’’−5thなどの発達を経た幼虫は、その後6齢で脱皮した。Gb’hf dsRNA処理幼虫は、対照の幼虫よりも顕著に小さかった。DsRed2 dsRNA処理幼虫は正常に4齢から8齢へ脱皮し、次いで成虫へ脱皮した。スケールバー:10mm。
e:3齢の1日目にGb’hf dsRNAを注射することにより生じた成虫の変態。Gb’hf dsRNA処理幼虫は、大きな成虫に脱皮した。スケールバー:10mm。
グリラス・ビマクラツスにおいてRNAiによるGb’hfおよびGb’madの消失により得られた表現型(2)。f〜h:3齢の1日目にDsRed2 dsRNA(対照)を注射した3(f)、4(g)および5(h)齢幼虫の側面の様子。胸部2(T2)および胸部3(T3)の翅芽(アスタリスク)の形態学的変化は正常に維持されていた。T1〜3:胸部1〜3。スケールバー:1mm。
i:3齢の1日目にDsRed2 dsRNAを注射した6齢幼虫の翅芽(アスタリスク)の背面の様子。スケールバー:2mm。
j〜m:3齢の1日目にGb’hf dsRNAを注射した過剰脱皮3’(j)、3’’(k)、4’(l)および4’’(m)齢幼虫の側面の様子。得られた3’〜3’’および4’〜4’’齢幼虫の翅芽(アスタリスク)の形状は、それぞれ3(f)および4(g)齢幼虫に非常に類似していた。
n:3齢の1日目にGb’hf dsRNAを注射した過剰脱皮4’’齢幼虫の背面の様子。スケールバー:2mm。
o〜r:3齢の1日目にDsRed2 dsRNA(対照)を注射した3(o)、4(p)、5(q)および6(r)齢幼虫の腹側の様子。腹部8(Abd8)(矢頭)の産卵管(矢印)の形態学的変化はパネルo〜rでは正常に認められた。Abd7、8;腹部7、8。スケールバー:1mm。
s〜v:3齢の1日目にGb’hf dsRNAを注射した過剰脱皮3’(s)、3’’(t)、4’(u)および4’’(v)齢幼虫の腹側の様子。得られた3’〜3’’および4’〜4’’齢幼虫の腹部8(Abd8)(矢頭)の産卵管(矢印)の形状は、それぞれ3(o)および4(p)齢幼虫に非常に類似していた。
グリラス・ビマクラツスにおいてRNAiによるGb’hfおよびGb’madの消失により得られた表現型(3)。w、x:DsRed2(対照)またはGb’hfに対するRNAiで処理した幼虫および成虫の体長(w)および体重(x)。
グリラス・ビマクラツスにおけるGb’hf、Gb’dpp、Gb’jhamtおよびGb’CYP15A1転写物の発育に伴う発現プロファイル(1)。a〜d:グリラス・ビマクラツスの頭部におけるGb’hf(a)、Gb’dpp(b)、Gb’jhamt(c)およびGb’CYP15A1(d)の時間的発現のqPCR解析。mRNAレベルでの相対的な倍率変化をプロットし、3齢の1日目(D1 3rd)の頭部における平均発現レベルを1に設定した。これらのmRNAのレベルを内部Gb’β−アクチンmRNAのレベルに正規化した。発育段階は、脱皮後の日数(D)で規定した。幼虫は、3齢から5齢の間は性別がなく、6齢から8齢の間および成虫段階で性別が分かれた(三角および点線が雄;四角および実線が雌)。Gb’hf mRNAレベルは、幼虫段階全ておよび成虫段階において雌雄の間に明らかな差はなかった。データは平均±s.d.である。
グリラス・ビマクラツスにおけるGb’hf、Gb’dpp、Gb’jhamtおよびGb’CYP15A1転写物の発育に伴う発現プロファイル(2)。e〜k:7齢の3日目のCA−CC(アラタ体−側心体)複合体におけるGb’hf(e)、Gb’baboon(f)、Gb’dpp(g)、Gb’tkv(h)、Gb’jhamt(i)およびGb’CYP15A1(j)の発現を、ホールマウントインサイチューハイブリダイゼーションによって調べた。Gb’hf、Gb’baboon、Gb’dppおよびGb’tkvの発現は、CAおよびCCでは認められたが、Gb’jhamtおよびGb’CYP15A1発現はCAに限定された。Gb’hfセンスプローブを使用した対照実験の結果をkに示した。
l、m:CA(l)およびCC(m)におけるGb’hf、Gb’dpp、Gb’jhamtおよびGb’CYP15A1の発現のqPCR解析。RNAは7齢幼虫のCAおよびCCから収集した。Gb’jhamtの発現レベルを1に設定した。これらのmRNAのレベルを内部Gb’β−アクチンmRNAのレベルに正規化した。データは平均±s.d.である。
Gb’jhamtの発現およびJH生合成に対するRNAiによるGb’hfおよびGb’mad消失の効果(1)。a〜c:DsRed2 dsRNA(対照)またはGb’hf dsRNAを3齢の1日目に注射し、過剰脱皮3、3’、4および4’齢の1日目および5日目の頭部におけるGb’hf(a)、Gb’jhamt(b)およびGb’CYP15A1(c)の転写レベルを測定した。3齢対照幼虫の1日目(D1 3rd)の転写レベルを各グラフの1に設定した。データは平均±s.d.である。
d:Gb’hfまたはDsRed2に対するRNAiで処理した3齢幼虫の5日目ならびに3’齢および4齢幼虫の1日目および5日目の頭部におけるGb’brk mRNAの発現。3齢対照幼虫の5日目(D5 3rd)の転写レベルを1に設定した。データは平均±s.d.である。
Gb’jhamtの発現およびJH生合成に対するRNAiによるGb’hfおよびGb’mad消失の効果(2)。e:4齢および6齢の1日目のGb’mad、Gb’jhamtおよびGb’CYP15A1の発現に対する、RNAiによるGb’mad低下の効果。Gb’mad dsRNAを3齢の1日目に注射し、4齢対照幼虫(D1 4th)の1日目のこれらの遺伝子の転写レベルを1に設定した。データは平均±s.d.である。
f:4〜8齢の雄(三角および点線)ならびに雌(四角および実線)幼虫の体液中におけるJH力価の発育に伴う変化。データは平均±s.d.である。
g:3齢でGb’hf dsRNAまたはGb’mad dsRNAで処理した幼虫の体液におけるJH力価の測定。体液は、得られた3’齢および4齢のGb’hf RNAi幼虫の5日目、または4齢および6齢のGb’mad RNAi幼虫の1日目に収集し、分析した。JH力価は、Gb’hf消失により3’齢および4齢の5日目において増加したが、Gb’mad消失により4齢および6齢の1日目において減少した。データは平均±s.d.である。
Gb’jhamtの発現およびJH生合成に対するRNAiによるGb’hfおよびGb’mad消失の効果(3)。h:jhamt発現およびJH作用の調節におけるDpp/Hfシグナルの説明図。jhamtの発現は、CA細胞において2つのTGF−βファミリーメンバーの機能によって調節される。第1に、jhamt遺伝子の転写は、Dpp/Tkv/Madシグナル経路によって直接制御される。第2に、Hf/Babo/Smoxシグナルは、brkの発現を制御することによってjhamt発現を抑制する。CA細胞において、JHAMTはJH酸をJHに変換し、生じたJHが体液中に放出される。JHは、JH感受性脂肪体細胞においてJH受容体として作用するMetを介してbroad(br)の発現抑制に関与し得る。
グリラス・ビマクラツスの幼虫段階においてRNAiによるGb’madおよびGb’tkvの消失により得られた表現型(1)。a、b:3齢幼虫の1日目にGb’mad dsRNA(aの右)またはGb’tkv dsRNA(bの右)を注射した効果。RNAi幼虫は小さなサイズで発育し、7齢で早熟成虫変態を行った。スケールバー:10mm。
グリラス・ビマクラツスの幼虫段階においてRNAiによるGb’madおよびGb’tkvの消失により得られた表現型(2)。c:6齢Gb’mad RNAi幼虫の翅芽(アスタリスク)は異常な成長を示し、横に伸びた。スケールバー:2mm。
d:Gb’mad RNAiの6齢幼虫の産卵管の形態(矢印)は、対照(図7j)よりも小さかった。スケールバー:1mm。
e:Gb’mad dsRNAの注射により生じた早熟成虫。翅は、著しく縮小し、皺がよった。スケールバー:2mm。
f:Gb’mad dsRNAの注射後に生じた成虫の産卵管は、先端で開裂し、異常に短くなった。スケールバー:2mm。
Gb’Hfのアミノ酸配列およびグリラス・ビマクラツスにおける発現(1)。a:Gb’Hfのアミノ酸配列(配列番号1)。予測されるプロセシング部位を下線で示す。C末端領域の保存されたシステイン残基をアスタリスクで示す。
b:Gb’Hfと、そのドロソフィラ・メラノガスター(D.melanogaster)、トリボリウム・カスタネウム(T.castaneum)およびボンビックス・モリ(B.mori)のオルソログのTGF−βファミリードメインのアミノ酸配列(配列番号4〜7)のマルチプルアラインメント。
c:グリラス・ビマクラツスのTGF−βファミリーメンバー間のペアワイズ比較。数字は、プロセシング部位からC末端までのアミノ酸の同一性(%)を表す。C末端領域において、Gb’HfはGb’アクチビンβに最も類似する(アミノ酸同一性42%)。
Gb’Hfのアミノ酸配列およびグリラス・ビマクラツスにおける発現(2)。d:グリラス・ビマクラツスの3齢、6齢および8齢幼虫の頭部、胸部1、胸部2および3、脚部ならびに腹部におけるGb’hf発現の相対的倍率。3齢の頭部における平均発現レベルを1に設定した。Gb’hf mRNAの発現レベルを内部Gb’β−アクチンmRNAのレベルに正規化した。データは平均±s.d.である。
グリラス・ビマクラツスの幼虫段階においてRNAiによるGb’smoxおよびGb’baboの消失またはJHアナログ(JHA)処理後に得られた表現型(1)。a、b:3齢幼虫の1日目に投与したGb’smox dsRNA(aの右)またはGb’babo dsRNA(bの右)の効果。3rd−4th−5thに代えて、3rd−3’−3’’−4th−4’−4’’−5thや3rd−3’−4th−4’−4’’−5thなどの発達系を経たRNAi幼虫は、その後、DsRed2 RNAi(対照;a、bの左)と比較して大きなサイズの成虫になった。スケールバー:10mm。
c:3齢におけるメトプレン(JHA)注射の効果。3rd−3’−4th−4’−5thなどの発達を経たJHA処理幼虫(cの右)は、その後、エタノール注射(対照;cの左)と比較して大きなサイズの成虫になった。スケールバー:10mm。
グリラス・ビマクラツスの幼虫段階においてRNAiによるGb’smoxおよびGb’baboの消失またはJHアナログ(JHA)処理後に得られた表現型(2)。d、e:エタノール(対照)、メトプレンまたはGb’smoxに対するRNAiで処理した幼虫および成虫の体長(d)および体重(e)。
グリラス・ビマクラツスの幼虫段階におけるGb’hfのRNAiによるノックダウン(1)。a、b:Gb’hf dsRNAを4齢の1日目に注射した。4rd−5thに代えて、4th−4’−4’’−4’’’−5thなどの発達を経たGb’hf RNAi幼虫(aの右)は、その後、DsRed2 RNAi(対照;aの左)と比較して大きなサイズの成虫になった。4齢のGb’hf RNAiで得られた表現型は、3齢のGb’hf dsRNAを注射した表現型と類似していた(b)。スケールバー:10mm。
c:3齢または4齢幼虫へのGb’hf dsRNAの注射後に生じた5齢幼虫に、再度Gb’hf dsRNAを注射した(図7C nの矢頭)。Gb’hf dsRNAを2回投与した5齢幼虫は、5th−6th−7th−8th−成虫に代えて、5th−5’−5’’または5th−5’−6thなどの過剰脱皮を開始したが、その後発育を停止し、死滅した。スケールバー:10mm。
グリラス・ビマクラツスの幼虫段階におけるGb’hfのRNAiによるノックダウン(2)。d:5齢(左)および6齢(中央)対照幼虫ならびに5齢時にGb’hf dsRNAを投与して得られた5’幼虫(右)。DsRed2 dsRNA(対照)またはGb’hf dsRNAを5齢幼虫の1日目に注射した。Gb’hf dsRNA処理幼虫は、5th−6th−7th−8th−成虫に代えて、5th−5’−5’’または5th−5’−6thなどの過剰脱皮をした後、死滅した。スケールバー:10mm。
e〜h:翅芽(e、g)および産卵管(f、hの矢印)の発育に対する5齢時のDsRed2 RNAi(対照)またはGb’hf RNAiの効果。得られた5’齢幼虫における翅芽形態(g)は異常で、産卵管(h)は対照よりも小さかった。T1〜3;胸部1〜3。スケールバー:2mm(e);1mm(f)。
i〜l:翅芽(i、kのアスタリスク)および産卵管(j、lの矢印)の発育に対する6齢時のDsRed2 RNAi(対照)またはGb’hf RNAiの効果。得られた6’齢幼虫における翅芽形態(k)は異常で、産卵管(l)は対照よりも小さかった。スケールバー:2mm(i);1mm(j)。
m:5齢幼虫の1日目にGb’hf dsRNAを注射した後のGb’hf、Gb’jhamtおよびGb’CYP15A1転写物のレベルを、qPCR解析により調べた。DsRed2 dsRNA(対照)を注射した5齢幼虫の5日目の各転写レベルを1に設定した。データは平均±s.d.である。
グリラス・ビマクラツスの幼虫段階におけるGb’hfのRNAiによるノックダウン(3)。n:発育中の様々な段階においてGb’hf RNAiにより誘導された異なるライフステージおよび過剰脱皮を比較した図。
グリラス・ビマクラツスJHエステラーゼ(Gb’jhe)の時間的発現。a:グリラス・ビマクラツスの頭部におけるGb’jheの時間的発現のqPCR解析。mRNAレベルでの相対的倍率の変化をプロットし、3齢の1日目(D1 3rd)の平均発現レベルを1に設定した。これらのmRNAのレベルを内部Gb’β−アクチンmRNAのレベルに正規化した。発育段階は、脱皮後の日数(D)で規定した。幼虫は、3齢から5齢段階の間は性別がなく、6齢から8齢段階の間および成虫段階で性別が分かれた(三角および点線が雄;四角および実線が雌)。データは平均±s.d.である。
b:DsRed2 dsRNA(対照)またはGb’hf dsRNAを3齢の1日目に注射し、過剰脱皮3’、4’および4’’齢の1日目および5日目の頭部におけるGb’jheの転写レベルを測定した。4齢対照幼虫の1日目の転写レベルを1に設定した。データは平均±s.d.である。
グリラス・ビマクラツスの幼虫段階におけるGb’madまたはGb’jhamt dsRNAを用いたデュアルRNAiによるGb’hf RNAi表現型の回復(1)。a、b:Gb’hf dsRNAの注射により生じる過剰脱皮(a、bの中央)は、Gb’mad dsRNA(aの右)またはGb’jhamt dsRNA(bの右)の同時注射により阻害され、ほぼ正常な体サイズの成虫が最終的に形成された。DsRed2 dsRNA処理対照(a、bの左)を比較のために示す。
グリラス・ビマクラツスの幼虫段階におけるGb’madまたはGb’jhamt dsRNAを用いたデュアルRNAiによるGb’hf RNAi表現型の回復(2)。c、d:Gb’hfおよびGb’jhamtに対するデュアルRNAiで処理した幼虫および成虫の体長(c)および体重(d)。
e:3齢幼虫の1日目にGb’hfおよびGb’jhamtのdsRNAを注射した後のGb’hf、Gb’jhamtおよびGb’CYP15A1転写物のレベルを、qPCR解析により調べた。DsRed2 dsRNA(対照)を注射した5齢幼虫の5日目の各転写物レベルを1に設定した。データは平均±s.d.である。スケールバー;a、bでは10mm。
Gb’hf 全長配列のdsRNAを注射することにより観察された過剰脱皮幼虫。DsRed2 dsRNA(対照)またはGb’hf 全長配列dsRNAを3齢の1日目に注射した。a:DsRed2 dsRNA処理幼虫は正常に成虫変態するのに対し、Gb’hf 全長配列dsRNA処理幼虫は成虫に変態できず、若齢幼虫で死亡した。スケールバー:10mm。
b:3齢の1日目にGb’hf 全長配列dsRNAを注射して得られた3’齢幼虫の側面の様子。DsRed2 dsRNA処理幼虫(対照)が変態する時期において、Gb’hf 全長配列dsRNA処理幼虫の胸部2(T2)および胸部3(T3)の翅芽(アスタリスク)の形態は3齢幼虫に非常に類似していた。スケールバー:1mm。
c:3齢の1日目にGb’hf 全長配列dsRNAを注射して得られた3’齢幼虫の腹側の様子。3’齢幼虫の腹部8(Abd8)(矢頭)の産卵管(矢印)の形状は、3齢幼虫に非常に類似していた。スケールバー:1mm。
本発明のスクリーニング方法は、昆虫を対象とした害虫駆除成分をスクリーニングする。本明細書における「昆虫」とは、節足動物門、昆虫綱に属する生物を意味する。本明細書における「昆虫」の例としては、直翅目(バッタ目)、チョウ目、コウチュウ目、網翅目、半翅目(カメムシ目)に属する昆虫が挙げられる。
直翅目(バッタ目)に属する昆虫としては、以下が例示される:
キリギリス亜目に属する昆虫、好ましくは、コオロギ上科のコオロギ科に属する昆虫、より好ましくは、フタホシコオロギ属(コオロギ属)に属する昆虫;および、
バッタ亜目に属する昆虫、好ましくは、バッタ上科のバッタ科またはイナゴ科に属する昆虫、より好ましくは、トノサマバッタおよびコバネイナゴ。
チョウ目に属する昆虫としては、ヤガ科に属する昆虫、好ましくは、ハスモンヨトウおよびヨトウガが例示される。
コウチュウ目に属する昆虫としては、ゴミムシダマシ科に属する昆虫、好ましくは、コクヌストモドキが例示される。
網翅目に属する昆虫としては、ゴキブリ亜目に属する昆虫、好ましくは、ゴキブリ亜科に属する昆虫、より好ましくは、ゴキブリ属に属する昆虫が例示される。
半翅目(カメムシ目)に属する昆虫としては、以下が例示される:
カメムシ亜目に属する昆虫、好ましくは、カメムシ科に属する昆虫、より好ましくは、アオクサカメムシおよびチャバネアオカメムシ;および
ヨコバイ亜目に属する昆虫、好ましくは、アブラムシ上科のアブラムシ科に属する昆虫、より好ましくは、アブラムシ、コガネムシ、セジロウンカ、トビイロウンカ、およびヒメトビウンカ。
好ましい態様において、昆虫は以下から選択される:
直翅目(バッタ目)に属する昆虫、好ましくはキリギリス亜目に属する昆虫、より好ましくは、コオロギ上科のコオロギ科に属する昆虫、さらにより好ましくは、フタホシコオロギ属(コオロギ属)に属する昆虫;
コウチュウ目に属する昆虫、好ましくは、ゴミムシダマシ科に属する昆虫、より好ましくは、コクヌストモドキ;および
網翅目に属する昆虫、好ましくはゴキブリ亜目に属する昆虫、より好ましくは、ゴキブリ亜科に属する昆虫、さらにより好ましくは、ゴキブリ属に属する昆虫。
さらに好ましい態様において、昆虫は、直翅目(バッタ目)に属する昆虫、好ましくはキリギリス亜目に属する昆虫、より好ましくは、コオロギ上科のコオロギ科に属する昆虫、さらにより好ましくは、フタホシコオロギ属(コオロギ属)に属する昆虫である。
Hentai factor(Hf)は、TGF−βファミリーに属するタンパク質である。本明細書におけるHfは、本発明の対象となる昆虫におけるあらゆるオルソログを包含する。グリラス・ビマクラツスのHfのアミノ酸配列を配列番号1に示す。本発明の対象となる昆虫におけるHfのオルソログのアミノ酸配列も公知であり、例えば、トリボリウム・カスタネウム(T. castaneum)(コクヌストモドキ)の配列はAccession No. XM_961726に、ボンビックス・モリ(B.mori)(カイコガ)の配列はAccession No. XM_012690914に開示されている)。Hfはまた、Myoglianin、Growth Differentiation Factor(GDF)11、GDF8、またはMyostatinと称されることもある。
Hfの阻害物質には、Hfの機能を阻害する物質、およびHfをコードする遺伝子(以下、「hf遺伝子」とも記載する)の発現を阻害する物質が含まれる。Hfの機能を阻害する物質は、例えば、Hfまたはその受容体であるBaboに結合し、HfとBaboとの結合を阻害して、Hfのシグナル伝達を阻害する物質である。
hf遺伝子の発現を阻害する物質には、hf遺伝子からのmRNAの発現を阻害する物質、およびhf mRNAからのHfタンパク質発現を阻害する物質が含まれる。hf遺伝子の発現を阻害する物質には、hf遺伝子の、プロモーターまたはエンハンサーなどの転写調節配列に作用する物質が含まれる。また、hf遺伝子の発現を阻害する物質には、hf遺伝子の配列に基づき設計された、RNA干渉(RNAi)を誘導する二本鎖RNA(dsRNA)、アンチセンスDNAまたはRNA、およびマイクロRNA(miRNA)、並びにこれらを発現するベクターが含まれる。
一態様において、本発明のスクリーニング方法は、
Hfを発現する細胞と、Hfの阻害物質の候補物質とを接触させる工程、および
前記候補物質が前記候補物質の非存在下と比較してhf遺伝子の発現を減少させた場合に、前記候補物質を害虫駆除成分として選択する工程
を含む。
候補物質は、低分子化合物、ペプチド、抗体、もしくは核酸分子、または微生物、植物、もしくは動物の細胞抽出物もしくは培養上清であってよい。候補物質は、低分子化合物、ペプチド、または抗体のライブラリーなど、ライブラリーの形態で提供されてもよい。
「Hfを発現する細胞と、Hfの阻害物質の候補物質とを接触させる工程」は、例えば以下のように実施することができる。Hfは、脳やアラタ体において内在的に発現している。カイコにおいては、脳(brain)−アラタ体(CA)−側心体(CC)複合体の器官培養法が確立している(下記文献1−4)。よって、まず、この方法に準じて対象とする昆虫において脳(brain)−アラタ体(CA)−側心体(CC)複合体の器官培養を行う。そして、この器官培養系にHfの阻害物質の候補物質を添加することにより、「Hfを発現する細胞と、Hfの阻害物質の候補物質とを接触させる工程」を実施することができる。

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hf遺伝子の発現レベルは、定量的PCR(qPCR)、ノーザンブロッティング、ウェスタンブロッティングなどにより確認することができる。
Hfの阻害物質は、レポーターアッセイによって選択することもできる。一態様において、本発明のスクリーニング方法は、
hf遺伝子のプロモーターを含む配列と機能的に連結されたレポーター遺伝子のヌクレオチド配列を含む細胞と、候補物質とを接触させる工程、および、
前記候補物質が前記候補物質の非存在下と比較してレポーター遺伝子の発現を減少させた場合に、前記候補物質を害虫駆除成分として選択する工程、を含む。
「hf遺伝子のプロモーターを含む配列」は当業者が適宜決定可能であるが、例えば、hf遺伝子の転写開始点から上流5kb、4kb、3kb、または2kbの配列を「hf遺伝子のプロモーターを含む配列」として用いることができる。
「機能的に連結された」とは、天然においてhf遺伝子の発現を誘導する分子に応答して、hf遺伝子のプロモーターの制御下にレポーター遺伝子が発現するように連結されていることを意味する。
レポーター遺伝子としては、限定はされないが、GFP遺伝子、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子、lacZ遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子、およびβ−グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子が例示される。
「hf遺伝子のプロモーターを含む配列と機能的に連結されたレポーター遺伝子のヌクレオチド配列を含む細胞」は、例えば、細胞のゲノム上のhf遺伝子のプロモーターを含む配列に機能的に連結されるように、レポーター遺伝子のヌクレオチド配列がノックインされた細胞である。かかる細胞は、ゲノム編集技術であるCRISPR/Casシステムにより、細胞のゲノム上のhf遺伝子座にレポーター遺伝子を組み込むことにより、あるいは細胞のゲノム上のhf遺伝子とレポーター遺伝子とを連結して融合タンパクとして発現するようにすることにより、得ることができる。細胞としては、NISES−Bomo−BEN5(農業生物資源研究所・農業生物資源ジーンバンク・微生物遺伝資源部門・微生物遺伝資源利用マニュアル(14)−昆虫培養細胞株−)(カイコ培養細胞株)を用いることができる。
「hf遺伝子のプロモーターを含む配列と機能的に連結されたレポーター遺伝子のヌクレオチド配列を含む細胞と、候補物質とを接触させる工程」は、下記のとおり実施することもできる。まず、前記のとおりCRISPR/Casシステムによりレポーター遺伝子のヌクレオチド配列をノックインした昆虫の系統を作製し、この系統から脳(brain)−アラタ体(CA)−側心体(CC)複合体を単離して器官培養を行う。この器官培養系を用いれば、レポーター遺伝子によりhf遺伝子の発現をトレースすることができる。よって、この器官培養系にHfの阻害物質の候補物質を添加することにより、「hf遺伝子のプロモーターを含む配列と機能的に連結されたレポーター遺伝子のヌクレオチド配列を含む細胞と、候補物質とを接触させる工程」を実施することができる。
昆虫の幼虫段階でHfを阻害すると、幼虫段階で死滅するか、あるいは、過剰脱皮を経て成虫となっても産卵官に異常を有し生殖不能となる。すなわち、本発明のスクリーニング方法により得られた害虫駆除成分は、Hf阻害による殺虫および繁殖抑制作用により、害虫駆除効果を発揮する。よって、本発明のスクリーニング方法により得られた害虫駆除成分は、害虫駆除剤の有効成分とすることができる。
一態様において、本発明の害虫駆除剤は、hf遺伝子の発現を阻害するdsRNAを含む。dsRNAは、hf遺伝子の少なくとも一部に相補的であるヌクレオチド配列およびその相補鎖を含み、昆虫に摂取されると昆虫体内でRNAiを誘導し、hf遺伝子の発現を阻害する。
dsRNAの長さは、特に限定されないが、例えば、約50〜2000bp、好ましくは約100〜1000bp、より好ましくは200〜1000bpである。一態様において、dsRNAの長さは、約200〜600bp、より好ましくは約300〜600bpである。
dsRNAの配列は、標的遺伝子の配列の全体または一部と100%同一であってもよく、標的遺伝子に対するRNAiを誘導しうる限り、標的遺伝子の配列の全体または一部に対して欠失、置換、挿入を有する配列であってもよい。例えば、一態様において、dsRNAは、標的遺伝子の配列の全体または一部と少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、さらにより好ましくは95%の配列同一性をする配列を含み、標的遺伝子の発現を阻害する活性を有する。当業者は、常套的な方法により、RNAiを誘導するdsRNAの配列を決定することができる。例えば、一般的に種間で保存されたタンパク質の機能ドメインを標的として設計するが、タンパク質のファミリーが多数存在し、機能ドメインの塩基配列の相同性が高い場合は、その領域以外で設計する。また、オフターゲットを回避するため、標的遺伝子のdsRNA配列が他の遺伝子と類似した配列でないことを確認する。
「配列同一性」は、比較対象の配列の全領域にわたって、最適な状態にアラインメントされた2つの配列を比較することにより決定される。ここで、比較対象の配列は、2つの配列の最適なアラインメントにおいて、付加または欠失(例えばギャップ等)を有していてもよい。配列同一性は、公共のデータベース(例えば、DDBJ(http://www.ddbj.nig.ac.jp))で提供されるFASTA、BLAST、CLUSTAL W等のプログラムを用いて算出することができる。あるいは、市販の配列解析ソフトウェア(例えば、Vector NTI(登録商標)ソフトウェア、GENETYX(登録商標)ver.12)を用いて求めることもできる。
本明細書における「dsRNA」には、完全または部分的に二本鎖のRNAが含まれる。dsRNAは、標的遺伝子に対するRNAiを誘導しうる限り、二本鎖部分の一方または両末端に短い一本鎖突出部(オーバーハング)を含んでいてもよく、内部に部分的に非相補的な領域を含んでいてもよい。
dsRNAは、別個の二本のRNA鎖で形成されていてもよく、部分的に自己相補的な配列を含む一本のポリヌクレオチドから形成されるステムループまたはヘアピン構造を有していてもよい。当業者は、RNAi誘導活性に影響しないループの配列を適宜決定することができる。
一態様において、dsRNAは、配列番号2または3の配列、好ましくは配列番号2の配列に対して少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、さらにより好ましくは95%の配列同一性を有し、hf遺伝子の発現を阻害する活性を有する。
好ましい態様において、dsRNAは、配列番号2または3の配列、好ましくは配列番号2の配列を含む。さらに好ましい態様において、dsRNAは配列番号2または3の配列、好ましくは配列番号2の配列からなる。
本発明の害虫駆除剤は、hf遺伝子の発現を阻害するdsRNAを発現するベクターを含んでいてもよい。前記ベクターは、昆虫に摂取されると昆虫体内でhf遺伝子の発現を阻害するdsRNAを発現してRNAiを誘導し、害虫駆除効果を発揮する。
本発明の害虫駆除剤が適用される植物としては、アルファルファ、リンゴ、アスパラガス、アボガド、バナナ、オオムギ、マメ、ブラックベリー、ブルーベリー、ブロッコリー、キャベツ、アブラナ、ニンジン、カリフラワー、セロリ、柑橘類、トウモロコシ、ワタ、キュウリ、ナス、イチジク、ブドウ、グレープフルーツ、レタス、レモン、メロン、オクラ、タマネギ、エンドウマメ、モモ、ピーナッツ、カキ、パイナップル、ジャガイモ、カボチャ、ダイコン、コメ、ライ麦、ダイズ、ホウレンソウ、イチゴ、テンサイ、サトウキビ、ヒマワリ、サツマイモ、タバコ、トマト、スイカ、コムギなどが例示される。
本発明の害虫駆除剤は、保護対象の植物へ散布してもよく、害虫の餌に散布または配合してもよい。それゆえ、一態様において、本発明の害虫駆除剤を含む毒餌剤が提供される。
hf遺伝子の発現を阻害するdsRNAを遺伝子組み換えにより植物で発現させると、当該植物を摂取した害虫体内にdsRNAが取り込まれ、RNAiが誘導される。すなわち、hf遺伝子の発現を阻害するdsRNAを発現させることにより、植物に害虫抵抗性を付与することができる。
遺伝子組み換えにより害虫抵抗性を付与しうる植物としては、アルファルファ、リンゴ、アスパラガス、アボガド、バナナ、オオムギ、マメ、ブラックベリー、ブルーベリー、ブロッコリー、キャベツ、アブラナ、ニンジン、カリフラワー、セロリ、柑橘類、トウモロコシ、ワタ、キュウリ、ナス、イチジク、ブドウ、グレープフルーツ、レタス、レモン、メロン、オクラ、タマネギ、エンドウマメ、モモ、ピーナッツ、カキ、パイナップル、ジャガイモ、カボチャ、ダイコン、コメ、ライ麦、ダイズ、ホウレンソウ、イチゴ、テンサイ、サトウキビ、ヒマワリ、サツマイモ、タバコ、トマト、スイカ、コムギなどが例示される。
本明細書における「遺伝子組み換え植物」は、害虫抵抗性を付与することが望まれるあらゆる成長段階の植物を含み、その種子をも包含する意味である。「遺伝子組み換え植物」には、hf遺伝子の発現を阻害するdsRNAを植物全体で発現するものも、組織特異的に発現するものも含まれる。また、「遺伝子組み換え植物」には、前記dsRNAを構成的に発現するものも、特定の条件下で発現するものも含まれる。
遺伝子組み換え植物は、hf遺伝子の発現を阻害するdsRNAを発現可能なベクターにより植物細胞を形質転換することで、得ることができる。前記ベクターは、hf遺伝子の発現を阻害するdsRNAをコードするヌクレオチド配列と、前記ヌクレオチド配列の発現を制御する調節配列とを含む。
hf遺伝子の発現を阻害するdsRNAをコードするヌクレオチド配列は、例えば、CaMV35Sプロモーター、ユビキチンプロモーター、アクチンプロモーターなどの構成的プロモーター、または葉特異的プロモーター、茎特異的プロモーター、根特異的プロモーター、または種子特異的プロモーターなどの組織特異的プロモーターの制御下に発現させることができる。ベクターとしては、プラスミド、ファージ、コスミド、YAC、BAC、ウイルスベクターなどが例示される。
ベクターは、アグロバクテリウム法、パーティクルガン法、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、ウイルスベクター法などの周知の方法より植物細胞へ導入することができる。得られた形質転換細胞から常套的手法により植物体を再生することで、遺伝子組み換え植物を得ることができる。
本発明の遺伝子組み換え植物は、害虫駆除剤の原料とすることもできる。例えば、本発明の遺伝子組み換え植物を凍結乾燥等により処理して、hf遺伝子の発現を阻害するdsRNAを得ることができる。また、処理した遺伝子組み換え植物を害虫の餌として用いることもできる。すなわち一態様において、本発明の害虫駆除剤を含む毒餌剤は、本発明の遺伝子組み換え植物から製造される。
本発明を以下の実施例によりさらに説明するが、本発明は如何なる意味においても本実施例に限定されない。
実施例1
1.方法
動物
フタホシコオロギ、グリルス・ビマクラツス(Gryllus bimaculatus、以下、G.ビマクラツスとも記載する)の成虫および幼虫は、標準的条件下で28℃、70%で飼育した。
クローニング
コオロギのDpp/Hfシグナル関連遺伝子は、3齢幼虫のcDNA試料から、以下の遺伝子特異的プライマーを使用してRT−PCRによりクローニングした:Gb’hf Fw(5’−CACCATCGGTCTGAATTGC−3’)(配列番号8)およびGb’hf Rv(5’−AACCGCATCTATCGACAACC−3’)(配列番号9)(TGF−βファミリードメインに対する);Gb’babo Fw(5’−GTGCAGATGTGTATGCTCTTG−3’)(配列番号10)およびGb’babo Rv(5’−TTGTGTTGCCTTCCCTTG−3’)(配列番号11);Gb’smox Fw(5’−CATCACCACAACTCTCATCC−3’)(配列番号12)およびGb’smox Rv(5’−GCAATCCAAGGCAAAATC−3’)(配列番号13);Gb’dpp Fw(5’−TTATGTACGCGTGGATGACG−3’)(配列番号14)およびGb’dpp Rv(5’−CGTCTGCTTTCAAAGATCAGG−3’)(配列番号15);Gb’mad Fw(5’−CTTCACAAATCCCAGCAAC−3’)(配列番号16)およびGb’mad Rv(5’−GTATTCAGCACCCCAACC−3’)(配列番号17);Gb’tkv Fw(5’−CTTCATGCAATGCAAAGGT−3’)(配列番号18)およびGb’tkv Rv(5’−ATCCTGCAGAGTTCCTCCA−3’)(配列番号19)。Gb’hfのオープンリーディングフレーム(ORF)を含有する推定完全長cDNA(864bp)は、Gb’hf−ORF Fw(5’−TCCTGATTGAAATGTTCCTTGTT−3’)(配列番号20)プライマーおよびGb’hf Rvプライマーを用いて増幅した。Gb’jhamtおよびGb’CYP15A1の一部分は、遺伝子特異的プライマー(Gb’jhamt Fw(5’−AGGGGTTCCACAAGGTCTTC−3’)(配列番号21)およびGb’jhamt Rv(5’−TTCTCCACGTGCGTGATTAG−3’)(配列番号22);Gb’CYP15A1 Fw(5’−GTGGCAGATTCAACGGAGAT−3’)(配列番号23)およびGb’CYP15A1 Rv(5’−AGGTATGGCATGCTTTTTCG−3’)(配列番号24))を使用して、RT−PCRによりクローニングした。PCR条件はいずれも以下の通りである:98℃2分30秒、次いで94℃30秒40サイクル、55℃30秒、72℃1分、次いで72℃5分。増幅後、PCR生成物をpGEM T−Easyベクター(Promega)にサブクローニングし、ABI−300を使用して配列決定した。cDNA断片を含有するこれらの組換えベクターを、dsRNA合成およびRNAプローブ合成のために使用した。
RNA干渉(RNAi)
dsRNA合成のための鋳型cDNA断片は、前述の通り、RT−PCRにより調製した。このdsRNA合成のための鋳型(Gb’hf(323bp)、Gb’babo(389bp)、Gb’smox(415bp)、Gb’dpp(333bp)、Gb’mad(379bp)、Gb’tkv(313bp)およびGb’jhamt(523bp))を、T7プロモーター配列プライマーおよびSp6プロモーター配列プライマーを用いて、5’末端側にT7を配置して増幅した。dsRNAは、MEGAscript T7転写キット(Ambion、Austin、TX)を使用して合成した。脱皮後24時間以内の幼虫の腹側腹部に、20μM濃度のdsRNAを0.2〜0.5μlの容量で注射した。RNAi実験では、DsRed2 dsRNAを陰性対照として注射した。デュアルRNAiは、2種類の標的遺伝子、Gb’hfおよびGb’jhamtまたはGb’hfおよびGb’madのdsRNA混合物を注射することにより実施した。各dsRNAの最終濃度は、20μMに調整した。Gb’hfに対するdsRNA(323bp)の配列を配列番号2に示す。
定量的RT−PCR(qPCR)
全RNAは、G.ビマクラツスの頭部からISOGEN(Wako Pure Chemical Industries Ltd.、大阪、日本)を使用して抽出した。全RNAを、SuperScript III First−Strand Synthesis System(Invitrogen)を使用して、製造者の指示に従い、oligo(dT)20プライマーを用いてcDNAに逆転写した。以下のqPCRプライマーを各プライマー濃度0.4μMで使用し、ABI 7900リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems)により、Power SYBR Green PCR Master Mix(Applied Biosystems)を用いて、95℃10分、次いで95℃15秒、60℃30秒および72℃30秒40サイクル反復の条件でPCRを行った:Gb’hf−qPCR Fw(5’−GCCGCTATCCTCTCACTGTC−3’)(配列番号25)およびGb’hf−qPCR Rv(5’−GTAAGGGCATTCTCCCGAAC−3’)(配列番号26);Gb’dpp−qPCR Fw(5’−ACCTCAACTCCACCAACCAC−3’)(配列番号27)およびGb’dpp−qPCR Rv(5’−CGAGGTACAGCATGGAGATG−3’)(配列番号28);Gb’jhamt−qPCR Fw(5’−AGAGGCACTCCTGTTGTTGG−3’)(配列番号29)およびGb’jhamt−qPCR Rv(5’−TGTAAGGCGACATGAAGCTG−3’)(配列番号30);Gb’CYP15A1−qPCR Fw(5’−CTCTCACTCTGCCCGTTCTC−3’)(配列番号31)およびGb’CYP15A1−qPCR Rv(5’−GCCTGAAGCATCCAGTTTTC−3’)(配列番号32);Gb’mad−qPCR Fw(5’−CTACTTTCTGGGCGAGCATC−3’)(配列番号33)およびGb’mad−qPCR Rv(5’−TTGTTGCTGGGATTTGTGAA−3’)(配列番号34);Gb’jhe−qPCR Fw(5’−GCCGTTCATCGACCTGTACT−3’)(配列番号35)およびGb’jhe−qPCR Rv(5’−CGGTAGGCCATCTCGTACAC−3’)(配列番号36)およびGb’brk−qPCR Fw(5’−CGAGGAGGACAACATGGATT−3’)(配列番号37)およびGb’brk−qPCR Rv(5’−TGAACTGCAACGAAAACGAG−3’)(配列番号38)。グリルスβ−アクチン(Gb’アクチン)遺伝子を参照遺伝子として選択し、そのプライマー(5’−TTGACAATGGATCCGGAATGT−3’(配列番号39)および5’−AAAACTGCCCTGGGTGCAT−3’(配列番号40))を以前の報告から採用した。qPCR反応はいずれも、技術的反復(technical replicates)としてトリプリケートで実施した。
インサイツハイブリダイゼーション
RT−PCRによって得られたGb’hf、Gb’babo、Gb’dpp、Gb’tkv、Gb’jhamtまたはGb’CYP15A1のcDNA断片に対するジゴキシゲニン(DIG)標識アンチセンスRNAプローブを、ホールマウントインサイツハイブリダイゼーションに使用した。G.ビマクラツスのCC−CA複合体をリンゲル溶液中で解体し、PBT(PBS中0.1%トリトンX−100含有)中4%パラホルムアルデヒドで4℃で1時間固定してからPBTで洗浄した。この組織をタンパク質キナーゼK(Roche)5μg/mlで室温で5分間処理してから、グルタルアルデヒド0.2%、トリトンX−100 0.1%およびパラホルムアルデヒド4%を含有する溶液で室温で20分間再固定した。ハイブリダイゼーションは60℃で一晩実施した。アルカリホスファターゼ反応は、室温で一晩実施した。
幼若ホルモン(JH)抽出
G.ビマクラツスの幼虫を解剖して体液(5μl)を収集し、JHアナログであるフェノキシカルブ(Wako Pure Chemical Industries Ltd.、大阪、日本)を内部標準として含有するメタノール/イソオクタン(1:1、v/v)を用いて抽出した。体液−MeOH/イソオクタン溶媒比は、1:10(v/v)であった。混合物を20秒間ボルテックスし、室温で30分間静置した。試料は、8,500gで4℃で15分間遠心した。イソオクタン相を氷上でマイクロ反応容器(SIGMA)に移し、メタノール相をボルテックスし、10,000gにて4℃で30分間遠心し、イソオクタン相と一緒にして、−20℃で保存するか、または50μlまで濃縮してLC−MS分析用にオートサンプラー用バイアルに移した。
液体クロマトグラフィー−質量分析法(LC−MS)
UPLC(超高速液体クロマトグラフィー)−LCT Premierシステム(Waters)にヴァンガードプレカラムで保護した50x2.1mm C18逆相カラム(ACQUITY UPLC BEH ODS−1.7μm;Waters)を装着し、100%メタノールで流速0.3ml/分で溶出した。質量分析法は、ポジティブモードのエレクトロスプレーイオン化(ESI)によってマイクロTOFで以下の条件下で実施した:エレクトロスプレーキャピラリーは2.8kV、試料コーンは30V、脱溶媒和およびイオン源温度はそれぞれ350℃および120℃に設定した。窒素の流速は、コーンでは50L/hr、脱溶媒和では850L/hrであった。標準JH IIIのイオン化によって、[M+CHO]、[M+OH]、[M+H]および[M+Na]イオンが生成した。JH、メトプレンおよびフェノキシカルブの定量は、[M+H]および[M+Na]イオンをモニターすることによって実施した。メトプレンの検量線を作成し、体液試料については同濃度の内部標準フェノキシカルブを含めた。次に、各試料のJH力価をクロマトグラムデータの分析後に算出した。時間シークエンスおよびモニターしたイオンは以下の通りであった:0.59分、m/z333(メトプレン);0.47分、m/z324(フェノキシカルブ);0.47〜0.52分、m/z289(JH III);0.49〜0.52分、m/z303(JH II);0.48〜0.50分、m/z317(JH I)。
ホルモン処理
JHアナログであるメトプレンを新たに脱皮した3齢または5齢幼虫の腹側腹部に注射した。メトプレンをエタノール(Wako Pure Chemical Industries Ltd.、大阪、日本)に溶解して100μg/μlとし、メトプレン溶液約0.2μl(約20μg/幼虫)を注射した。同じ容量のエタノールを対照として注射した。
2.結果
ショウジョウバエにおいて、アラタ体(CA)におけるDpp/Tkv/MadによるTGF−βシグナルが、脳由来神経伝達物質シグナルとjhamtの転写変化とを結びつけること報告されている。Drosophila Melanogaster(Dm)dpp(Dm’dpp)が欠如していると、早期幼虫段階においても早熟変態が引き起こされ、受容体遺伝子であるDm’tkvおよびシグナル伝達因子であるDm’madの突然変異体と類似の表現型を引き起こすことが報告された。Dppシグナルがコオロギの変態の調節に関与するかを調べるため、Gryllus bimaculatus(Gb)Dpp(Gb’dpp)、Gb’tkvまたはGb’madに対するRNAi解析を実施した。3齢幼虫に標的遺伝子の2本鎖RNA(dsRNA)を注射した。幼体において、コオロギ幼虫のライフサイクルは8齢まで進み、最終齢(8齢)幼虫が脱皮して成虫となる。Gb’madまたはGb’tkvに対するRNAiで処理すると、幼虫は雌雄とも、最終齢の一つ前の7齢において早熟成虫変態を示した(図1a、図4a、Gb’madについて雄n=12/15、雌n=14/16;および図4b、Gb’tkvについて雄n=10/12、雌n=12/15)。また、Gb’mad mRNAの消失は、6齢幼虫および早熟成虫段階における翅芽(図4c、e)および産卵管(図4d、f)の異形成を引き起こした。さらに、処理した成虫の全体的な体サイズおよび体重が減少した(図1b、c)。一方、Gb’dppに対するRNAiの場合、RNAi処理幼虫においてGb’dpp転写物の量は著しく減少したが(データは示さず)、処理した幼虫は正常に発育し、成虫になった(データは示さず;n=33)。
ショウジョウバエにおいては、Dpp/Tkv/Madシグナル経路がTGF−β/アクチビン(TGF−β/Baboon/Smox)シグナル経路と関連し、その関係は発育中も保存されることが知られているので、これは他のリガンドによる重複性によるものと推測した。Gb’dppについて重複するリガンドを同定するために、以下のABCファミリーメンバーのコオロギホモログに対するRNAiを実施した:Gb’Hf、I型受容体Baboon(Gb’babo)およびシグナル伝達因子Smox/Smad2(Gb’smox)。対照(DsRed2 RNAi;n=33)の幼虫は正常に脱皮し成虫となったが、Gb’Hfに対するRNAiで処理した幼虫は成虫にならず、幼虫脱皮を繰り返した(図1d)。そこで、このABCホモログを「Hentai(日本語で「変態」を意味する)factor」(Hf)と称している。Gb’Hfの予測アミノ酸配列は、ABCファミリーメンバーの特徴を含む(図5a、b、c)。
3齢開始時(1日目)にGb’hf dsRNAを注射すると、幼虫59匹中52匹において幼虫の過剰脱皮(3’齢幼虫)が起こった。Gb’hf dsRNAを注射した幼虫では、ある幼虫齢から次の齢への形態移行が阻害されたが、各齢における過剰脱皮の回数は1〜3回に制限された(図1d、e)。6齢の幼虫が過剰脱皮後に成虫になったとき、その体サイズおよび体重は対照よりも顕著に大きかった(図1e、w、x)。これらの場合、変態のための発育期間は対照の約2倍であった(図7n)。3齢の間にGb’baboまたはGb’smoxに対するRNAi実験を実施すると、類似の表現型が観察された(Gb’babo:n=10/15;Gb’smox:n=17/22)(図6a、b、d、e)。また、対照の幼虫は正常な翅芽(図1f〜i)と産卵管(図1o〜r)を有していたが、過剰脱皮幼虫では、翅芽(図1j〜n)および雌の産卵管原基(図1s〜v)の形態が長期間変化しなかった。これらの結果は、Gb’hfに対するRNAiが「そのままの状態(status quo)」を維持することを示す。その後、RNAiの効果が消失して適切に脱皮すると、翅および産卵管は正常に形成された。
Gb’hf dsRNAを4齢、5齢、または6齢幼虫に脱皮後24時間以内に注射した場合も、「そのままの状態」の維持が認められた(図7a、b(4齢)(5齢時のGb’hf dsRNAの2回目の投与については図7c)、n=15/15;図7d(5齢)、n=14/15;図7k、l(6齢)、n=10/10)。これらの結果は、Gb’hfの機能の1つが異なる幼虫齢の間に生じる脱皮の特徴を決定することであり、Gb’hfの機能が欠如すると発育の停止および6齢幼虫での死滅が引き起こされることを示唆している(翅芽および産卵管の変化については図7e、f、g、h、i、j;Gb’hf転写物の相対量については図7m;時間依存性については図7nを参照)。
JHAであるメトプレンを3齢に適用した場合も、正常な幼虫の脱皮が阻害され、過剰脱皮が生じて大きな成虫が形成された(図6c;n=17/23)。RNAiにより得られた動物はJHAの適用後に観察された動物と類似していたことから、Gb’hf RNAiによる表現型は、一定のJH力価によるものと推測した。
次に、定量的RT−PCR(qPCR)によって、Gb’hf mRNAの空間的および時間的発現パターンを測定した。Gb’hf mRNAは頭部および胸部1に特異的に高く(図5d)、Gb’hf転写物の相対量はそれぞれの齢において周期的な変化を示し、非常に高いピークが3日目に出現することを見出した(図2a)。さらに、この相対量のピークの高さは、発育段階を通じて段階的な増加を示したが、成虫期にはゼロになった。Gb’jhamt転写物の相対量も、頭部において周期的変化を示した(図2c)。Gb’jhamt転写物のピークは各齢の1日目に出現したが、その後、Gb’hfの発現増加に続いて3日目には減少し、脱皮前の最終日には完全に消失した。この変化は、JHサイクルに密接に結びついた脱皮に関連する可能性がある。一方、Gb’dpp mRNAは、幼虫段階を通して頭部において構成的に発現した(図2b)。JH生合成に必須のチトクロームP450遺伝子であるGb’CYP15A1の時間的な発現パターンでは、転写物の相対量のわずかな変化が認められ、特に、8齢の雌において高レベルの発現が認められた(図2d)。これらの結果は、Gb’dppがGb’jhamtの発現調節に関与し、Gb’hfがGb’jhamtの発現の律速因子として作用することを示唆する。
Gb’hf、Gb’babo、Gb’dpp、Gb’tkv、Gb’jhamtおよびGb’CYP15A1が頭部のどこで発現するのかを調べるため、次に、ホールマウントインサイツハイブリダイゼーションを実施した。これらの遺伝子は、7齢の3日目にアラタ体(CA)において優位に発現しており(図2e〜k)、このことはCAにおけるこれら転写物のqPCR検出により確認された(図2l、m)。これらの結果は、CAにおけるGb’hfがGb’jhamtの発現およびJH生合成の調節と関連することを示唆する。
Gb’hfとGb’dppの発現がいずれもCAにおいて検出されたので、これらのシグナルがGb’jhamt転写物の調節に関与するかを調べた。まず、Gb’hfに対するRNAiが過剰脱皮幼虫の頭部において非常によく作用することを確認した(図3a)。この場合、Gb’jhamtの発現増加が過剰齢(3’−4th−4’)の1日目に検出された。さらに、これらの過剰脱皮幼虫の5日目におけるGb’jhamt mRNAのレベルは、検出不可能な対照のレベルと比較して著しく高かった(図3b)。一方、Gb’CYP15A1転写物は、過剰齢のそれぞれにおいて顕著な変化は認められなかった(図3c)。これに対して、Gb’mad dsRNAを3齢のうちに注射すると、Gb’madおよびGb’jhamtの転写物のレベルは、4齢および6齢のいずれの1日目においても減少したが、Gb’CYP15A1 mRNAのレベルには明らかな効果は認められなかった(図3e)。
さらに、その後のGb’jhamt発現抑制に関与するGb’Hfシグナル経路について調べた。最近の研究により、ショウジョウバエにおいてDpp応答と拮抗するBrinker(Brk)と呼ばれる核タンパク質が発見された。そこで、Gb’hf RNAi処理幼虫におけるGb’brkのmRNAレベルについて調べた。Gb’brkの発現は、3齢および過剰齢の5日目に著しく減少した(図3d)。これにより、Gb’brk発現はGb’Hfシグナルによって誘導されること、Gb’Brkは活性化Gb’Madよりも優位でありGb’jhamt発現を抑制することが示唆された(図3h)。
RNAi実験の結果からGb’HfがGb’jhamtの発現抑制に重要な役割を果たすことが示されたため、各幼虫齢の体液中におけるJH濃度の依存性を調べたところ、JHの産生の周期的変化が見出された(図3f)。この変化は、Gb’jhamtの時間的発現プロファイルと一致した。最終齢(8齢)では、JHは1日目でも低レベルに減衰し、その後7日目には合成されず、成虫へと脱皮した。
次に、JH力価の周期的変化がGb’hfの機能に依存するかを調べた。Gb’hf dsRNAの注射によりGb’jhamt転写物が上昇した過剰齢(3’および4th)の5日目に、JH力価を定量した。
JH濃度は、Gb’hf mRNAに対するRNAiより構成的に高レベルとなり(図3g)、Gb’madに対するRNAiにより低下した(図3g)。このことから、Gb’MadおよびGb’HfがGb’jhamtの発現調節を介してJH生合成の制御に重要な役割を果たすことが示唆された(図3h)。他方、JH分解の基本経路においてJHエステラーゼ(JHE)が重要な役割を果たすことが多くの昆虫で報告されている。そこで、コオロギの幼虫および成虫の頭部におけるGb’jhe mRNAの発現パターンを調べたところ、Gb’jhe mRNAは幼虫段階では低レベルであり、成虫頭部(特に雌)(図8a)、およびGb’hf dsRNAで処理した過剰脱皮幼虫(図8b)でピークになることが見出された。この結果から、体液のJH力価の増加には、Gb’hf RNAiによって生じたGb’jhe mRNAの抑制が影響している可能性が示唆された。
次に、Gb’hf RNAiによって生じたJH力価の増加がGb’madまたはGb’jhamtのRNAiノックダウンによって阻害され得るかを調べた。Gb’hfとGb’jhamtとの関係は、Gb’hfとGb’jhamtまたはGb’madの、2つの異なるdsRNAの同時注射によるデュアルRNAi実験によって調べた。過剰脱皮表現型は、Gb’jhamt発現のデュアルRNAiノックダウンによって回復し、過剰脱皮がGb’jhamtの発現変化によって引き起こされることが示唆された。これらの結果は、Gb’HfシグナルがGb’Dppシグナルにより誘導されるGb’jhamtの発現を抑制するように作用し、これによりJH生合成を阻害し、その結果変態を引き起こすことを示唆している(Gb’mad(n=9/12)またはGb’jhamt(n=15/16)に対するデュアルRNAiについては図9a、b;全体の体サイズについては図9c、d;転写物の相対量については図9eを参照)。
実施例2
実施例1で用いたGb’hfに対するdsRNA(323bp)と同様に、Gb’hfの全長配列のdsRNA(864bp)(配列番号3)を3齢開始時(1日目)に注射した場合も、幼虫の過剰脱皮が観察された。DsRed2 dsRNA処理幼虫は正常に成虫変態したのに対し、Gb’hf 全長配列dsRNA処理幼虫は成虫に変態できず、若齢幼虫で死亡した(図10a)。また、DsRed2 dsRNA処理幼虫(対照)が変態する時期において、Gb’hf 全長配列dsRNA処理幼虫の胸部2(T2)および胸部3(T3)の翅芽の形態は3齢幼虫に非常に類似しており(図10b)、3’齢幼虫の腹部8(Abd8)の産卵管(矢印)の形状は3齢幼虫に非常に類似していた(図10c)。
本発明の態様を以下に例示する。

1.Hentai factor(Hf)の阻害物質を選択することを含む、害虫駆除成分のスクリーニング方法。
2.Hfの阻害物質が、Hfをコードする遺伝子の発現を阻害する物質である、前記1に記載のスクリーニング方法。
3.Hfを発現する細胞と、Hfの阻害物質の候補物質とを接触させる工程、および
前記候補物質が前記候補物質の非存在下と比較してHfをコードする遺伝子の発現を減少させた場合に、前記候補物質を害虫駆除成分として選択する工程
を含む、前記1または2に記載のスクリーニング方法。
4.Hfをコードする遺伝子のプロモーターを含む配列と機能的に連結されたレポーター遺伝子をコードするヌクレオチド配列を含む細胞と、候補物質とを接触させる工程、および、
前記候補物質が前記候補物質の非存在下と比較してレポーター遺伝子の発現を減少させた場合に、前記候補物質を害虫駆除成分として選択する工程、
を含む、前記1または2に記載のスクリーニング方法。
5.Hfの阻害物質を含む、害虫駆除剤。
6.Hfの阻害物質が、Hfをコードする遺伝子の発現を阻害するdsRNAまたはその発現ベクターである、前記5に記載の害虫駆除剤。
7.dsRNAが配列番号2または3の配列に少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む、前記6に記載の害虫駆除剤。
8.dsRNAが配列番号2または3の配列を含む、前記7に記載の害虫駆除剤。
9.前記5〜8のいずれかに記載の害虫駆除剤を含む、毒餌剤。
10.Hfをコードする遺伝子の発現を阻害するdsRNAを発現する遺伝子組み換え植物。
11.dsRNAが配列番号2または3の配列に少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む、前記10に記載の遺伝子組み換え植物。
12.dsRNAが配列番号2または3の配列を含む、前記11に記載の遺伝子組み換え植物。

Claims (12)

  1. Hentai factor(Hf)の阻害物質を選択することを含む、害虫駆除成分のスクリーニング方法。
  2. Hfの阻害物質が、Hfをコードする遺伝子の発現を阻害する物質である、請求項1に記載のスクリーニング方法。
  3. Hfを発現する細胞と、Hfの阻害物質の候補物質とを接触させる工程、および
    前記候補物質が前記候補物質の非存在下と比較してHfをコードする遺伝子の発現を減少させた場合に、前記候補物質を害虫駆除成分として選択する工程
    を含む、請求項1または2に記載のスクリーニング方法。
  4. Hfをコードする遺伝子のプロモーターを含む配列と機能的に連結されたレポーター遺伝子をコードするヌクレオチド配列を含む細胞と、候補物質とを接触させる工程、および、
    前記候補物質が前記候補物質の非存在下と比較してレポーター遺伝子の発現を減少させた場合に、前記候補物質を害虫駆除成分として選択する工程、
    を含む、請求項1または2に記載のスクリーニング方法。
  5. Hfの阻害物質を含む、害虫駆除剤。
  6. Hfの阻害物質が、Hfをコードする遺伝子の発現を阻害するdsRNAまたはその発現ベクターである、請求項5に記載の害虫駆除剤。
  7. dsRNAが配列番号2または3の配列に少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む、請求項6に記載の害虫駆除剤。
  8. dsRNAが配列番号2または3の配列を含む、請求項7に記載の害虫駆除剤。
  9. 請求項5〜8のいずれかに記載の害虫駆除剤を含む、毒餌剤。
  10. Hfをコードする遺伝子の発現を阻害するdsRNAを発現する遺伝子組み換え植物。
  11. dsRNAが配列番号2または3の配列に少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む、請求項10に記載の遺伝子組み換え植物。
  12. dsRNAが配列番号2または3の配列を含む、請求項11に記載の遺伝子組み換え植物。
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