JP2017057991A - 液体噴射制御装置、液体噴射システム及び制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】切削態様を変更可能なパルス液体ジェットの噴射制御技術を提供すること。
【解決手段】圧電素子に印加する駆動電圧波形を制御することでパルス液体ジェットの噴射を制御する液体噴射制御装置は、前記駆動電圧波形の立ち上がり部分における変曲点の位置を設定するための指標値の入力を受け付ける第1の操作部と、前記指標値に応じて前記駆動電圧波形の立ち上がり部分の変曲点の位置を設定することで前記駆動電圧波形を変更制御する制御部と、を備える。
【選択図】図35
【解決手段】圧電素子に印加する駆動電圧波形を制御することでパルス液体ジェットの噴射を制御する液体噴射制御装置は、前記駆動電圧波形の立ち上がり部分における変曲点の位置を設定するための指標値の入力を受け付ける第1の操作部と、前記指標値に応じて前記駆動電圧波形の立ち上がり部分の変曲点の位置を設定することで前記駆動電圧波形を変更制御する制御部と、を備える。
【選択図】図35
Description
本発明は、圧電素子に印加する駆動電圧波形を制御することでパルス液体ジェットの噴射を制御する制御装置等に関する。
液体をパルス状に噴射して切削対象物を切削する技術が知られている。パルス状の液体の噴射は、ノズルから脈動的に噴射される液体のジェット流であり、本明細書では適宜「パルス液体ジェット(Pulsed Liquid Jet)」と称する。
パルス液体ジェットの用途は様々であるが、例えば、特許文献1には、医療分野における外科手術用として利用する技術が提案されている。この場合には、切削対象物は、生体組織となり、液体は生理食塩水となる。
パルス液体ジェットを生成する機構の1つに、圧電素子を用いた機構が知られている。パルス波状の駆動電圧を圧電素子に加えることで、圧電素子が作動流体(流体)内に瞬間的な圧力を発生させて液体をパルス状に噴射する機構である。そのため、パルス液体ジェットの強さを変更する場合には、圧電素子に印加する駆動電圧を制御することとなる。特許文献2や特許文献3には、圧電素子に印加する駆動電圧の特性値、例えば、駆動電圧波形の振幅や周波数を変更する技術が開示されている。
駆動電圧を変更することで1回分のパルス液体ジェットに係る切削深さや切削体積を変えることができる。しかし、パルス液体ジェットを使用して切削する際の利便性や使い勝手を考慮すると、単に切削深さや切削体積が変わるだけで、あらゆる切削用途に対応できて万能である、とは言い難い。例えば、「狭く深く」切削したいという要求や、「広く浅く」切削したいという要求といった切削時の態様(以下適宜「切削態様」という)を変えたいという要求もある。
本発明は上述した課題に鑑みて考案されたものであり、その目的とするところは、切削態様を変更可能なパルス液体ジェットの噴射制御技術を提供することである。
以上の課題を解決するための第1の発明は、圧電素子に印加する駆動電圧波形を制御することでパルス液体ジェットの噴射を制御する液体噴射制御装置であって、前記駆動電圧波形の立ち上がり部分における変曲点の位置を設定するための指標値の入力を受け付ける第1の操作部と、前記指標値に応じて前記駆動電圧波形の立ち上がり部分の変曲点の位置を設定することで前記駆動電圧波形を変更制御する制御部と、を備える液体噴射制御装置である。
詳細は後述するが、駆動電圧波形の立ち上がり部分がパルス液体ジェットの作用に大きな影響を及ぼし、立ち上がり部分の変曲点の位置が変わることで切削態様が変わることが分かった。第1の発明によれば、駆動電圧波形の立ち上がり部分の変曲点位置を、ユーザーの指標値の入力に応じて変更可能となるため、ユーザーが所望する切削態様に変更可能となる。
より具体的な構成として、第2の発明として、前記制御部が、前記立ち上がり部分のうち、立ち上がり開始点と最大電圧とを結ぶ線分に沿って前記変曲点を移動させることで、前記指標値に応じた前記変曲点の位置の設定を行う、第1の発明の液体噴射制御装置を構成することとしてもよい。
第3の発明は、前記パルス液体ジェットの運動量又は運動エネルギーの指示値の入力を受け付ける第2の操作部を更に備え、前記制御部は、前記指標値に応じて前記変曲点の位置を設定するとともに、前記指示値となるように前記駆動電圧波形を変更制御する、第1又は第2の発明の液体噴射制御装置である。
第3の発明によれば、入力された指標値に応じて駆動電圧波形の立ち上がり部分の変曲点の位置が変更されるが、パルス液体ジェットに係る運動量又は運動エネルギーが、入力された指示値となるように駆動電圧波形が制御される。後述するように、切削体積はパルス液体ジェットに係る運動量又は運動エネルギーと相関が高い。そのため、パルス液体ジェットに係る運動量又は運動エネルギーを直接指示することで、ユーザーの意図や操作感覚に見合った切削体積を実現することができ、切削態様の変更と併せて、使い勝手を一層向上させることができる。
第4の発明は、前記制御部が、前記指示値となるように前記駆動電圧波形の振幅を制御する、第3の発明の液体噴射制御装置である。
第4の発明によれば、パルス液体ジェットに係る運動量又は運動エネルギーが、入力された指示値となるように圧電素子に印加する駆動電圧波形の振幅を制御することができる。
第5の発明は、前記制御部が、前記指示値となるように前記駆動電圧波形の立ち上がりに係る時間、立ち上がり周波数、及び繰り返し周波数のうちの何れかを制御する、第3又は第4の発明の液体噴射制御装置である。
第5の発明によれば、パルス液体ジェットに係る運動量又は運動エネルギーが、入力された指示値となるように、圧電素子に印加する駆動電圧波形の立ち上がりに係る時間、立ち上がり周波数、及び繰り返し周波数のうちの何れかを制御することができる。
第6の発明は、運動量が2nNs(ナノニュートン秒)以上2mNs(ミリニュートン秒)以下、又は運動エネルギーが2nJ(ナノジュール)以上200mJ(ミリジュール)以下の前記パルス液体ジェットの噴射制御を行う、第1〜第5の何れかの発明の液体噴射制御装置である。
第6の発明によれば、運動量が2nNs以上2mNs以下、又は運動エネルギーが2nJ以上200mJ以下の範囲でパルス液体ジェットの噴射を制御することができる。よって、例えば、生体組織や食品、ゲル材料、ゴムやプラスチックなどの樹脂材料などの柔軟素材を切削するのに好適である。
第7の発明は、生体組織を切削するための前記パルス液体ジェットの噴射制御を行う、第1〜第6の何れかの発明の液体噴射制御装置である。
第7の発明によれば、例えば、外科手術用途に好適なパルス液体ジェットの強さを制御することができる。
第8の発明は、第1〜第7の何れか一項に記載の液体噴射制御装置と、前記パルス液体ジェットを噴射する液体噴射装置と、前記液体噴射装置に送液する送液ポンプとを具備した液体噴射システムである。
第8の発明によれば、第1〜第7の発明の作用効果を奏する液体噴射システムを実現することができる。
第9の発明は、圧電素子に印加する駆動電圧波形を制御することでパルス液体ジェットの噴射を制御する制御方法であって、前記駆動電圧波形の立ち上がり部分における変曲点
の位置を設定するための指標値の入力を受け付けることと、前記指標値に応じて前記駆動電圧波形の立ち上がり部分の変曲点の位置を設定することで前記駆動電圧波形を変更制御することと、を含む制御方法である。
の位置を設定するための指標値の入力を受け付けることと、前記指標値に応じて前記駆動電圧波形の立ち上がり部分の変曲点の位置を設定することで前記駆動電圧波形を変更制御することと、を含む制御方法である。
第9の発明によれば、第1の発明と同様の作用効果を得ることができる。
以下、本発明の液体噴射制御装置、液体噴射装置及び制御方法の実施形態について説明する。なお、以下説明する実施形態によって本発明が限定されるものではなく、本発明を適用可能な形態が以下の実施形態に限定されるものでもない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付す。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態における液体噴射システム1の全体構成例を示す図である。
液体噴射システム1は、柔軟素材、例えば、生体組織を切削対象物とした外科手術用、食品を切削対象物とした食品加工用、ゲル材料の加工用、ゴムやプラスチックといった樹脂材料の切削加工用等の用途で用いられるものであり、運動量が2[nNs(ナノニュートン秒)]以上2[mNs(ミリニュートン秒)]以下、又は、運動エネルギーが2[nJ(ナノジュール)]以上200[mJ(ミリジュール)]以下のパルス液体ジェットを噴射して切削対象物を切削する。以下では、液体噴射システム1を外科手術用の用途で用い、患部(生体組織)の切開、切除、又は破砕(これらを包括して「切削」という)を行う場合を例示する。また、本実施形態における運動量流束および運動量とは、パルス液体ジェットの噴射方向成分のみを考えたスカラー量、すなわち大きさを指すこととして説明する。
図1は、本実施形態における液体噴射システム1の全体構成例を示す図である。
液体噴射システム1は、柔軟素材、例えば、生体組織を切削対象物とした外科手術用、食品を切削対象物とした食品加工用、ゲル材料の加工用、ゴムやプラスチックといった樹脂材料の切削加工用等の用途で用いられるものであり、運動量が2[nNs(ナノニュートン秒)]以上2[mNs(ミリニュートン秒)]以下、又は、運動エネルギーが2[nJ(ナノジュール)]以上200[mJ(ミリジュール)]以下のパルス液体ジェットを噴射して切削対象物を切削する。以下では、液体噴射システム1を外科手術用の用途で用い、患部(生体組織)の切開、切除、又は破砕(これらを包括して「切削」という)を行う場合を例示する。また、本実施形態における運動量流束および運動量とは、パルス液体ジェットの噴射方向成分のみを考えたスカラー量、すなわち大きさを指すこととして説明する。
液体噴射システム1は、液体を収容する容器10と、送液ポンプ20と、切削対象物(本実施形態では生体組織)に向けて液体をパルス状に噴射するための液体噴射装置30と、液体噴射制御装置70とを備える。
この液体噴射システム1において、液体噴射制御装置70は、ユーザーが手術の際に操作する操作パネル80を備える。操作パネル80は、運動エネルギーの増減操作等の各種操作を入力するためのものである。また、液体噴射制御装置70は、ユーザーが足で踏んでパルス液体ジェットの噴射開始及び噴射停止を切り替えるための噴射ペダル88を備える。
容器10は、水や生理食塩水、薬液等の液体を収容する。送液ポンプ20は、容器10に収容された液体を、接続チューブ91,93を介して所定の圧力又は所定の流量で液体噴射装置30のパルス流発生部40に供給する。
液体噴射装置30は、手術に際してユーザーが手に持って操作する「ハンドピース」と呼ばれる部分である。液体噴射装置30は、送液ポンプ20から供給される液体に脈動を付与してパルス流を発生させるパルス流発生部40と、パイプ状の噴射管50とを備える。液体噴射装置30は、パルス流発生部40によって発生されたパルス流を、噴射管50を通じて先端のノズル60からパルス液体ジェットとして噴射する。
ここで、パルス流とは、液体の流速や圧力が時間的に大きく且つ急激に変化する液体の脈動的な流れを意味する。同様に、液体をパルス状に噴射するとは、ノズルを通過する液体の流速が時間的に大きく変化する、液体の脈動的な噴射を意味する。本実施形態では、定常流に周期的な脈動を付与することで生じるパルス液体ジェットを噴射する場合を例示するが、液体の噴射と非噴射とを繰り返す間欠的、断続的なパルス液体ジェットの噴射にも本発明は同様に適用できる。
図2は、液体噴射装置30を液体の噴射方向に沿って切断した切断面を示す図である。なお、部材や部分の縦横の縮尺は、図示の便宜上実際のものとは異なる。
パルス流発生部40は、第1ケース41と、第2ケース42と、第3ケース43とによって形成された筒状の内部空間に、圧力室44の容積を変化させるための圧電素子45及びダイアフラム46が配設されて構成される。各ケース41,42,43は、互いに対向する面において接合され一体化されている。
パルス流発生部40は、第1ケース41と、第2ケース42と、第3ケース43とによって形成された筒状の内部空間に、圧力室44の容積を変化させるための圧電素子45及びダイアフラム46が配設されて構成される。各ケース41,42,43は、互いに対向する面において接合され一体化されている。
ダイアフラム46は、円盤状の金属薄板であり、その外周部分が第1ケース41と第2ケース42との間に挟まれて固定されている。圧電素子45は、例えば積層型圧電素子であり、ダイアフラム46と第3ケース43との間で一端がダイアフラム46に固定され、他端が第3ケースに固定されている。
圧力室44は、ダイアフラム46と、第1ケース41のダイアフラム46に対向する面に形成された凹部411とによって囲まれた空間である。第1ケース41には、圧力室44に各々連通する入口流路413と出口流路415とが形成されている。出口流路415の内径は、入口流路413の内径よりも大きく形成されている。入口流路413は接続チューブ93と接続され、送液ポンプ20から供給される液体を圧力室44に導入する。出口流路415には噴射管50の一端が接続され、圧力室44内を流動する液体を噴射管50に導入する。噴射管50の他端(先端)には、噴射管50の内径よりも縮小された内径の液体噴射開口部61を有するノズル60が挿着されている。
容器10に収容された液体は、液体噴射制御装置70により駆動制御される送液ポンプ20によって所定の圧力又は所定の流量で接続チューブ93を介してパルス流発生部40に供給される。そして、液体噴射制御装置70から圧電素子45へ駆動信号が出力されて駆動電圧が印加されると、圧電素子45が伸長・収縮する(図2の矢印A)。
駆動電圧は所定の繰り返し周波数(例えば数十[Hz]〜数百[Hz])で繰り返し印加されるため、周期毎に圧電素子45の伸長と収縮が繰り返されることとなる。これにより圧力室44内を流動する定常流の液体に脈動が付与され、液体噴射開口部61からパルス液体ジェットが繰り返し噴射される。
具体的には、圧電素子45は、正の電圧が印加されると伸長し、ダイアフラム46が圧電素子45に押されて圧力室44側に撓む。ダイアフラム46が圧力室44側へと撓むと圧力室44の容積が小さくなり、圧力室44内の液体は圧力室44から押し出される。ここで、出口流路415の内径は入口流路413の内径よりも大きいため、出口流路415の流体イナータンス及び流体抵抗は、入口流路413の流体抵抗よりも小さい。したがって、圧電素子45が急激に伸長することで圧力室44から押し出される液体の大部分は出口流路415を通って噴射管50に導入され、その内径よりも小径の液体噴射開口部61によりパルス状の液滴、すなわち「パルス液体ジェット」となって高速噴射される。
駆動電圧が電圧振幅の電圧まで上昇した後に緩やかに降下する過程で、圧電素子45は立ち上がり時間よりも長い時間をかけて収縮し、それに伴ってダイアフラム46は圧電素子45に引かれて第3ケース43側に撓む。一方で、送液ポンプ20は所定圧力又は所定流量で液体をパルス流発生部40に供給しているため、ダイアフラム46が第3ケース43側に撓んで圧力室44の容積が大きくなると、入口流路413から圧力室44内に液体が導入・補充され、出口流路415を経て噴射管50に満たされる。そして、次に圧電素子45が急激に伸長する過程で、液体噴射開口部61から次のパルス液体ジェットが噴射される。
なお、圧電素子45の伸縮動作を行わない場合でも、送液ポンプ20が可動している場合、液体は入口流路413から圧力室44へ進入し、出口流路415を経て噴射管50を通じ液体噴射開口部61から流出する。この流出は定速かつ低速の液流であるため定常流とみなすことができる。
図3は、圧電素子45に印加される1周期分の駆動信号の駆動電圧波形L1と、液体噴射開口部61における液体の流速波形L3との例を示す図である。
駆動電圧波形L1の繰り返し周期Tpは、駆動電圧波形L1の1周期分の時間であり、その逆数が繰り返し周波数Fpとなる。繰り返し周期Tpは1〜100[ms(ミリ秒)]程度とされる。
駆動電圧波形L1の繰り返し周期Tpは、駆動電圧波形L1の1周期分の時間であり、その逆数が繰り返し周波数Fpとなる。繰り返し周期Tpは1〜100[ms(ミリ秒)]程度とされる。
駆動電圧波形L1の立ち上がり時間Tprは、駆動電圧波形L1が最大電圧まで立ち上がるのに要する時間であり、その逆数が立ち上がり周波数Fprとなる。立ち上がり時間Tprは10〜1000[μs(マイクロ秒)]程度とされる。
繰り返し周期Tpは立ち上がり時間Tprよりも長い時間として設定され、繰り返し周波数Fpは立ち上がり周波数Fprよりも低い周波数として設定される。立ち上がり周波数Fpr及び立ち上がり時間Tprは、ともに駆動電圧波形L1の立ち上がりに係る立ち上がり指標値の1つである。
パルス液体ジェットは、駆動電圧波形L1が電圧振幅Vmを迎えた後に複数の液塊を含み得る。そのうち、注目すべきなのは、駆動電圧の立ち上がり直後に発生する最も高いピークの流速波形(先頭波のジェット)である。この波形の拡大図を図4に示す。その他の低いピークは、圧電素子45の伸長時に圧力室44内に生じた圧力変動の波が噴射管50内を反射往復することで付随的に噴射されるジェットに起因するものであるが、切削対象物の破壊状態すなわち切削対象物の切削深さや切削体積を決定付けるのは、流速が最も大きい先頭波のジェット(主ジェット)である。
図4は、主ジェットの流速波形を抜き出した図である。
主ジェット3の継続時間Tは、流速波形L3が定常流の流速UBGよりも増加してピークに達した後、元の流速UBGに戻るまでの時間である。継続時間Tは、流速がピークを迎えるまでに要する流速立ち上がり時間Trと、流速がピークから元に戻るまでに要する流速立ち下がり時間Tfとの和となる。
主ジェット3の継続時間Tは、流速波形L3が定常流の流速UBGよりも増加してピークに達した後、元の流速UBGに戻るまでの時間である。継続時間Tは、流速がピークを迎えるまでに要する流速立ち上がり時間Trと、流速がピークから元に戻るまでに要する流速立ち下がり時間Tfとの和となる。
[原理]
次に、パルス液体ジェットによる切削態様を、切削体積をできるだけ変えずに「狭く深く」から「広く浅く」まで調整可能にするための原理について説明する。
先ず「切削体積をできるだけ変えずに」の前提部分を実現するための原理について説明する。
次に、パルス液体ジェットによる切削態様を、切削体積をできるだけ変えずに「狭く深く」から「広く浅く」まで調整可能にするための原理について説明する。
先ず「切削体積をできるだけ変えずに」の前提部分を実現するための原理について説明する。
パルス液体ジェットを特徴付けるのは、パルス1個分のジェットの液体噴射開口部61における流速波形L3であるが、切削対象物の破壊状態、すなわち切削深さや切削体積、切削面積を決定付けるのは、流速が最も大きい主ジェット3である。
そこで、主ジェット3の流速波形L3(図4参照)に着目し、この主ジェット3の流速波形L3によって定まるいくつかのパラメーターと、切削深さ及び切削体積との相関を検討した。
具体的には、液体噴射開口部61における主ジェットの流速波形L3に基づいて、液体噴射開口部61を通過する主ジェットの質量流束[kg/s]、運動量流束[N]、及びエネルギー流束[W]について検討した。なお、質量流束は、液体噴射開口部61を通過する液体の単位時間当たりの質量[kg/s]である。運動量流束は、液体噴射開口部61を通過する液体の単位時間当たりの運動量[N]である。エネルギー流束は、液体噴射開口部61を通過する液体の単位時間当たりのエネルギー[W]である。エネルギーとは運動エネルギーのことを指し、以下「エネルギー」と略称する。
液体噴射開口部61では液体が自由空間に解放されるため、圧力を「0」とみなすことができる。また、液体のジェット噴射方向に直交する方向(液体噴射開口部61の径方向)の速度についても「0」とみなすことができる。液体噴射開口部61の径方向において液体の速度分布がないと仮定すると、液体噴射開口部61を通過する質量流束Jm[kg/s]、運動量流束Jp[N]、及びエネルギー流束Je[W]は、次式(1),(2),(3)で求めることができる。S[m2]はノズル断面積を表し、ρ[kg/m3]は作動流体密度を表す。
JM=S・ρ・v …(1)
Jp=S・ρ・v2 …(2)
Je=1/2・ρ・S・v3 …(3)
JM=S・ρ・v …(1)
Jp=S・ρ・v2 …(2)
Je=1/2・ρ・S・v3 …(3)
図5〜図7は、それぞれ主ジェット3の流速波形L3から求めた質量流束Jm、運動量流束Jp、及びエネルギー流束Jeを示すグラフである。これら質量流束Jm、運動量流束Jp、及びエネルギー流束Jeのそれぞれを主ジェットの流速波形の立ち上がり開始から立ち下がり開始までの時間(継続時間T)内で積分すれば、主ジェット3として液体噴射開口部61から噴射される液体の質量、運動量、及びエネルギーを求めることができる。
上記した要領で算出した質量流束Jm、運動量流束Jp、エネルギー流束Je、質量、運動量、及びエネルギーの各値は、1個分の主ジェット3による切削深さ及び切削体積を決定付け得ると考えられる。ただし、何れも定常流分を含んだ物理量であり、重要なのは、定常流の寄与分を差し引いた値である。
そこで、図5の質量流束Jmに関し、質量流束Jmのピーク値(最大値)から定常流の質量流束Jm_BG[kg/s]を減算した最大質量流束Jm_max[kg/s]と、主ジェットとして液体噴射開口部61から流出する液体の質量から定常流分を除いた流出質量M[kg](図5中のハッチング部分)の2つのパラメーターを定義する。流出質量Mは、次式(4)で表される。
図6の運動量流束Jpに関しては、運動量流束Jpのピーク値(最大値)から定常流の運動量流束Jp_BG[N]を減算した最大運動量流束Jp_max[N]と、主ジェットとして液体噴射開口部61から流出する液体の運動量から定常流分を除いた運動量P[Ns](図6中のハッチング部分)の2つのパラメーターを定義する。運動量Pは、次式(5)で表される。
図7のエネルギー流束Jeに関しては、エネルギー流束Jeのピーク値(最大値)から定常流のエネルギー流束Je_BG[W]を減算した最大エネルギー流束Je_max[W]と、主ジェットとして液体噴射開口部61から流出する液体のエネルギーから定常流分を除いたエネルギーE[J](図7中のハッチング部分)の2つのパラメーターを定義する。エネルギーEは、次式(6)で表される。
ただし、上記式(4),(5),(6)における積分区間は、各流束波形において主ジェット3の立ち上がりから立ち下がりまでの時間(継続時間T)である。
そして、数値シミュレーションを利用して、最大質量流束Jm_max、流出質量M、最大運動量流束Jp_max、運動量P、最大エネルギー流束Je_max、及びエネルギーEの6つのパラメーターが、それぞれ切削深さ及び切削体積とどの程度相関するのかを検討した。
ここで、パルス液体ジェットは流体であり、切削対象物は柔軟な弾性体である。したがって、パルス液体ジェットによる切削対象物の破壊挙動のシミュレーションを行うためには、柔軟弾性体側に適切な破壊閾値を設定した上で、いわゆる流体と構造体(ここでは柔軟弾性体)との連成解析(流体・構造連成解析(FSI))を行わなければならない。シミュレーションの計算手法としては、例えば、有限要素法(FEM:Finite Element Method)を用いた手法や、SPH(Smoothed Particle Hydrodynamics)等に代表される粒子法を用いた手法、有限要素法と粒子法とを組み合わせた手法等が挙げられる。適用する手法は特に限定されるものではないため詳述しないが、解析結果の安定性や計算時間等を考慮して最適な手法を選択し、シミュレーションを行った。
シミュレーションに際し、流体密度=1[g/cm3]、液体噴射開口部61の直径=0.15[mm]、スタンドオフ距離(液体噴射開口部61から切削対象物表面までの距離)=0.5[mm]に設定した。また、切削対象物を表面が平坦な柔軟弾性体と仮定し、その物理モデルとして、密度=1[g/cm3]、ヤング率換算で9[kPa]程度(せん断弾性率換算で3[kPa]程度)の弾性率を有するMooney−Rivlin超弾性体を用いた。破壊閾値には、偏差相当ひずみ=0.7を使用した。
主ジェットの流速波形については、様々な主ジェットの流速波形を想定し、正弦波、三角波、及び矩形波の3種類の波形について、振幅(流速の最大値)を12[m/s]〜76[m/s]の範囲内、継続時間を63[μs]〜200[μs]の範囲内で3種類変更したものを、合計27種類用意した。なお、定常流の流速は1[m/s]としている。
図8〜図10は、それぞれシミュレーションにて主ジェットの流速波形として与えた正弦波、矩形波、三角波を示す図であり、実線で継続時間が63[μs]の場合、一点鎖線で継続時間が125[μs]の場合、二点鎖線で継続時間が200[μs]の場合を示している。そして、これらの波形を主ジェットの流速波形として与えてパルス液体ジェットを生成し、前記の柔軟弾性体に撃ち込んだときの柔軟弾性体の破壊挙動についてシミュレーションを行い、切削深さや切削体積の検討を行った。
図11〜図16は、それぞれ切削対象物の切削深さに対する、最大質量流束Jm_max(図11)、最大運動量流束Jp_max(図12)、最大エネルギー流束Je_max(図13)、流出質量M(図14)、運動量P(図15)、及びエネルギーE(図16)の関係のシミュレーション結果をプロットした図である。
これらの図においては、主ジェットの流速波形として継続時間が63[μs]の正弦波を与えたときのシミュレーション結果を「*」のプロット、125[μs]の正弦波を与えたときのシミュレーション結果を「◆」のプロット、200[μs]の正弦波を与えたときのシミュレーション結果を「-」のプロットで示している。
また、主ジェットの流速波形として継続時間が63[μs]の三角波を与えたときのシミュレーション結果を「+」のプロット、125[μs]の三角波を与えたときのシミュレーション結果を「×」のプロット、200[μs]の三角波を与えたときのシミュレーション結果を「■」のプロットで示している。
また、主ジェットの流速波形として継続時間が63[μs]の矩形波を与えたときのシミュレーション結果を「●」のプロット、125[μs]の矩形波を与えたときのシミュレーション結果を黒色塗りつぶしの三角形のプロット、200[μs]の矩形波を与えたときのシミュレーション結果を「−」のプロットで示している。
また、主ジェットの流速波形として継続時間が63[μs]の三角波を与えたときのシミュレーション結果を「+」のプロット、125[μs]の三角波を与えたときのシミュレーション結果を「×」のプロット、200[μs]の三角波を与えたときのシミュレーション結果を「■」のプロットで示している。
また、主ジェットの流速波形として継続時間が63[μs]の矩形波を与えたときのシミュレーション結果を「●」のプロット、125[μs]の矩形波を与えたときのシミュレーション結果を黒色塗りつぶしの三角形のプロット、200[μs]の矩形波を与えたときのシミュレーション結果を「−」のプロットで示している。
図11〜図13に示すように、最大質量流束Jm_max、最大運動量流束Jp_max、及び最大エネルギー流束Je_maxの3つの各パラメーターと切削深さとの関係は、主ジェットの流速波形として与えた波形の形状によって大きくばらついており、双方の相関は低いことがわかった。とりわけ質量流束は、流速に比例する値であることから、切削深さは主ジェットの最大流速のみからは決まらないことを示唆している。
次に、図14〜図16に示す流出質量M、運動量P、及びエネルギーEの3つの各パラメーターと切削深さとの関係をみてみると、流出質量Mと切削深さとの関係については、主ジェットの流速波形として与えた波形の形状によって大きくばらついており相関が低い。これに対し、運動量PやエネルギーEとの関係では、与えた波形の形状によるばらつきは小さく、各プロットが概ね同一曲線上に分布している。運動量PとエネルギーEとでは、運動量Pの方がよりばらつきが小さい。したがって、切削深さは運動量PやエネルギーEと相関が高く、特に運動量Pと良く相関するといえる。
なお、ここでは液体噴射開口部の直径を0.15[mm]、スタンドオフ距離を0.5[mm]とした場合についてシミュレーションを行っているが、他の液体噴射開口部直径や他のスタンドオフ距離においてもシミュレーションを行い、切削深さが運動量PやエネルギーEと相関が高い、という定性的な傾向は大きく変わらなかったことを確認した。
図17〜図22は、それぞれ切削対象物の切削体積に対する、最大質量流束Jm_max(図17)、最大運動量流束Jp_max(図18)、最大エネルギー流束Je_max(図19)、流出質量M(図20)、運動量P(図21)、エネルギーE(図22)、の関係のシミュレーション結果をプロットした図である。主ジェットの流速波形として与えた波形とプロットの種類との関係は図11〜図16と同様である。
図17〜図19に示すように、最大質量流束Jm_max、最大運動量流束Jp_max、及び最大エネルギー流束Je_maxの3つの各パラメーターと切削体積との関係は、切削深さとの関係ほどではないものの、主ジェットの流速波形として与えた波形の形状によってばらついており、双方の相関は低いと考えられる。
次に、図20〜図22に示す流出質量M、運動量P、及びエネルギーEの3つの各パラメーターと切削体積との関係をみてみると、流出質量Mと切削体積との関係については、切削深さと同様に主ジェットの流速波形として与えた波形の形状によって大きくばらついており、相関が低い。一方、運動量PやエネルギーEとの関係では、切削深さと同様に与えた波形の形状によるばらつきは小さく、各プロットが概ね同一直線上に分布している。また、運動量Pと比べてエネルギーEの方がよりばらつきが小さい。したがって、切削体積は運動量PやエネルギーEと相関が高く、特にエネルギーEと良く相関するといえる。
なお、ここでは液体噴射開口部の直径を0.15[mm]、スタンドオフ距離を0.5[mm]とした場合についてシミュレーションを行っているが、他の液体噴射開口部直径や他のスタンドオフ距離においてもシミュレーションを行い、切削体積が運動量PやエネルギーEと相関が高い、という定性的な傾向は大きく変わらなかったことを確認した。
以上の検討結果に基づき、本実施形態では『切削体積をできるだけ変えずに「狭く深く」から「広く浅く」まで切削態様を調整可能にする』ための一例として、エネルギーEに着目して駆動電圧波形L1を制御することで、切削体積をほとんど変えずに切削態様の変更を実現することとする。
そのために、先ず、駆動電圧波形L1の制御パラメーター(立ち上がり周波数Fpr、電圧振幅Vm、繰り返し周波数Fp)を変更して主ジェット3の流速波形L3をシミュレーションにより求めた。シミュレーションは、例えば、液体噴射装置の流路系を、流体(流路)抵抗、流体イナータンス、流体コンプライアンス等に置き換えたモデルに基づく、等価回路法による数値シミュレーションを利用して行うことができる。又は、より精度を求めるならば、有限要素法(FEM)や有限体積法(FVM)等を用いた流体シミュレーションを利用してもよい。
第1に、電圧振幅Vm及び繰り返し周波数Fpを固定し、立ち上がり周波数Fprを段階的に変えた駆動電圧波形L1を与えて主ジェット3の流速波形L3をシミュレーションにより求めた。
図23は、与えた駆動電圧波形L1の一例を示す図である。各駆動電圧波形L1は、電圧振幅をV2、繰り返し周期TpをT2とし、立ち上がり時間TprをT21〜T25まで段階的に長くしたもの、すなわち立ち上がり周波数Fprを段階的に低くしたものである。
図24は、図23に示した立ち上がり周波数Fprの異なる各駆動電圧波形L1を与えた場合の主ジェット3の流速波形L3のシミュレーション結果を示す図である。
これらの図に示すように、立ち上がり周波数Fprを低く(立ち上がり時間Tprでいえば長く)すると、主ジェット3の流速波形L3は、立ち上がりの開始タイミングは変わらずに立ち上がる間の継続時間Tが長くなり、流速振幅(流速の最大値)も小さくなる。
図23は、与えた駆動電圧波形L1の一例を示す図である。各駆動電圧波形L1は、電圧振幅をV2、繰り返し周期TpをT2とし、立ち上がり時間TprをT21〜T25まで段階的に長くしたもの、すなわち立ち上がり周波数Fprを段階的に低くしたものである。
図24は、図23に示した立ち上がり周波数Fprの異なる各駆動電圧波形L1を与えた場合の主ジェット3の流速波形L3のシミュレーション結果を示す図である。
これらの図に示すように、立ち上がり周波数Fprを低く(立ち上がり時間Tprでいえば長く)すると、主ジェット3の流速波形L3は、立ち上がりの開始タイミングは変わらずに立ち上がる間の継続時間Tが長くなり、流速振幅(流速の最大値)も小さくなる。
第2に、立ち上がり周波数Fpr及び繰り返し周波数Fpを固定し、電圧振幅Vmを段階的に変えた駆動電圧波形L1を与えて主ジェット3の流速波形L3をシミュレーションにより求めた。
図25は、与えた駆動電圧波形L1の一例を示す図である。各駆動電圧波形L1は、立ち上がり時間TprをT31、繰り返し周期TpをT33とし、電圧振幅をV31〜V35まで段階的に小さくしたものである。
図26は、図25に示した電圧振幅Vmの異なる駆動電圧波形L1を与えた場合の主ジェットの流速波形のシミュレーション結果を示す図である。
これらの図に示すように、電圧振幅Vmを小さくすると、主ジェットの流速波形L3は、立ち上がり周波数Fprを低くしていく図23,24の場合と違い、立ち上がる間の継続時間Tは維持したまま、流速振幅(流速の最大値)が小さくなる。
図25は、与えた駆動電圧波形L1の一例を示す図である。各駆動電圧波形L1は、立ち上がり時間TprをT31、繰り返し周期TpをT33とし、電圧振幅をV31〜V35まで段階的に小さくしたものである。
図26は、図25に示した電圧振幅Vmの異なる駆動電圧波形L1を与えた場合の主ジェットの流速波形のシミュレーション結果を示す図である。
これらの図に示すように、電圧振幅Vmを小さくすると、主ジェットの流速波形L3は、立ち上がり周波数Fprを低くしていく図23,24の場合と違い、立ち上がる間の継続時間Tは維持したまま、流速振幅(流速の最大値)が小さくなる。
第3に、立ち上がり周波数Fpr及び電圧振幅Vmを固定し、繰り返し周波数Fpを段階的に変えた駆動電圧波形L1を与えて主ジェット3の流速波形L3をシミュレーションにより求めた。
図27は、与えた駆動電圧波形L1の一例を示す図である。各駆動電圧波形L1は、立ち上がり時間TprをT4、電圧振幅をV4とし、駆動電圧が電圧振幅まで上昇した後の立ち下がり形状を時間軸方向に広げることによって繰り返し周期TpをT41〜T45まで段階的に長く(繰り返し周波数Fpを段階的に低く)したものである。
図28は、図27に示した繰り返し周波数Fpの異なる駆動電圧波形L1を与えた場合の主ジェット3の流速波形L3のシミュレーション結果を示す図である。
これらの図に示すように、繰り返し周波数Fpを低く(繰り返し周期Tpでいえば長く)すると、主ジェット3の流速波形L3は、立ち上がり周波数Fprを低くしていく図23,24の場合と比べると、程度は小さいものの、継続時間Tが長くなる。また、流速振幅(流速の最大値)は維持したままであった。
図27は、与えた駆動電圧波形L1の一例を示す図である。各駆動電圧波形L1は、立ち上がり時間TprをT4、電圧振幅をV4とし、駆動電圧が電圧振幅まで上昇した後の立ち下がり形状を時間軸方向に広げることによって繰り返し周期TpをT41〜T45まで段階的に長く(繰り返し周波数Fpを段階的に低く)したものである。
図28は、図27に示した繰り返し周波数Fpの異なる駆動電圧波形L1を与えた場合の主ジェット3の流速波形L3のシミュレーション結果を示す図である。
これらの図に示すように、繰り返し周波数Fpを低く(繰り返し周期Tpでいえば長く)すると、主ジェット3の流速波形L3は、立ち上がり周波数Fprを低くしていく図23,24の場合と比べると、程度は小さいものの、継続時間Tが長くなる。また、流速振幅(流速の最大値)は維持したままであった。
続いて、得られた主ジェット3の流速波形L3のそれぞれについてエネルギーEを求めた。詳細には、図27〜図28を参照して説明した要領で繰り返し周波数Fpを変えながら、各々の繰り返し周波数Fp毎に、図23〜図24を参照して説明した要領で電圧振幅Vmを固定し立ち上がり周波数Fprを変えた場合のシミュレーションと、図25〜図26を参照して説明した要領で立ち上がり周波数Fprを固定し電圧振幅Vmを変えた場合のシミュレーションとを行った。そして、各シミュレーションで得られた主ジェット3の流速波形L3のエネルギーEを求めた。
図29は、所定の繰り返し周波数(例えば「F51」と表記する)で得られたエネルギーEと、立ち上がり周波数Fpr及び電圧振幅Vmとの対応関係を示す図であり、縦軸を立ち上がり周波数Fprとし、横軸を電圧振幅Vmとする座標空間にエネルギーEに関する等高線を描くことにより得られる。各等高線のエネルギーE51,E52,…は、左下が低くなっており、右上に向かうほど所定量ずつ大きくなっている。なお、図示しないが、別の繰り返し周波数Fpで得られたエネルギーEを同様の座標空間にプロットして等高線を描けば、その繰り返し周波数FpでのエネルギーEと、立ち上がり周波数Fpr及び電圧振幅Vmとの対応関係に応じた等高線図が得られる。
ここで、注目すべきなのは、各座標軸方向のパラメーターに対して、エネルギーEは線形的に変化しないことである。
例えば、エネルギーEと、立ち上がり周波数Fpr及び電圧振幅Vmとの対応関係において、立ち上がり周波数Fprを固定(例えばf5)とし電圧振幅Vmを変更として圧電素子45の駆動電圧波形L1を制御する場合を考える。
例えば、エネルギーEと、立ち上がり周波数Fpr及び電圧振幅Vmとの対応関係において、立ち上がり周波数Fprを固定(例えばf5)とし電圧振幅Vmを変更として圧電素子45の駆動電圧波形L1を制御する場合を考える。
切削体積をできるだけ変えないようにするためにエネルギーEの変化量を一定にしようとすると、エネルギーE51〜E52間は電圧振幅V51〜V52間の電圧振幅変化が必要となり、エネルギーE52〜E53間は電圧振幅V52〜V53間の電圧振幅変化が必要となる。しかし、電圧振幅V51〜V52の電圧振幅間隔と、電圧振幅V52〜V53の電圧振幅間隔とは異なる。この現象はエネルギーEが大きくなるに従って顕著に表れる。
したがって、切削体積をできるだけ変えないようにするために、立ち上がり周波数Fprを固定とし電圧振幅Vmを一定量ずつ変化させる制御を行っても、エネルギーEが変化する事態が起こり得るといえる。電圧振幅Vmを固定とし、立ち上がり周波数Fprを一定量ずつ変化させる操作をする場合にも同様のことがいえる。
そこで、本実施形態では、手術中にユーザーが行う操作として、少なくともエネルギーEの設定操作を受け付けることとし、上記のように繰り返し周波数Fp毎に得られた等高線図に従い、繰り返し周波数Fp毎の、エネルギーEと、立ち上がり周波数Fpr及び電圧振幅Vmとの対応関係を予めテーブルデータとして用意しておく。そして、当該テーブルデータから、ユーザーにより設定操作されたエネルギーEを実現することのできる各制御パラメーターの値(繰り返し周波数Fp、立ち上がり周波数Fpr、電圧振幅Vm)の組み合わせを決定して圧電素子45の駆動を制御する。これにより、切削体積をほとんど変えない制御が実現される。
では次に、『切削体積をできるだけ変えずに「狭く深く」から「広く浅く」まで切削態様を調整可能にする』ための駆動電圧波形L1の制御として、「切削態様を調整可能にする」部分の原理について説明する。
図30〜図32は、駆動電圧波形L1の電圧振幅Vmを固定として、流速立ち上がり時間比を変更した場合の切削態様(削れ具合)を表す3要素(切削深さ・切削体積・切削面積)のシミュレーション結果のグラフである。切削面積は、切削する深さ方向に対する直交面の面積であり、狭く削れるか、広く削れるかの指標である。
パルス液体ジェットは流体であり切削対象物は柔軟な弾性体である。よって、パルス液体ジェットによる切削態様は、パルス液体ジェットによる切削対象物の破壊挙動としてシミュレーションした。なお、シミュレーションの計算手法として本実施形態では、柔軟弾性体側に適切な破壊閾値を設定した上で、流体と構造体(ここでは柔軟弾性体)との連成解析(流体・構造練成解析(FSI:Fluid Structure Interaction)を採用したが、例えば有限要素法(FEM:Finite Element Method)を用いた手法や、SPH法(Smoothed Particle Hydrodynamic)などに代表される粒子法を用いた手法、有限要素法と粒子法とを組み合わせた手法、などを用いるとしてもよい。
シミュレーションに際しては、液体噴射開口部61の直径=0.15[mm]、スタンドオフ距離(液体噴射開口部61から切削対象物表面までの距離)=1.0[mm]に設定した。また、切削対象物は、表面が平坦な柔軟弾性体と仮定し、その物理モデルとしてヤング率換算で9[kPa]程度(剪断弾性率換算3[kPa]程度)の弾性率を有するMooney−Rivlin超弾性体とした。破壊閾値は、偏差相当歪み=0.7とした。液体の密度及び柔軟弾性体の密度はともに1[g/cm3]とした。
ノズル孔出口に強制付与する切削対象物質に撃ち込む主ジェット3の流速波形L3は、流速の最大振幅を50[m/s]、継続時間を125[μs]にそれぞれ固定し、流速立ち上がり時間が62.5[μs]の流速波形を「基準波形」として、様々な時刻において最大流速となるような様々な流速波形L3を想定した。具体的には、流速波形L3について最大流速をとるタイミング(=流速立ち上がり時間Tr)として1[μs]、25[μs],62.5[μs]、100[μs],124[μs]の5水準を想定した。なお、定常流の流速は1[m/s]としている。
流速波形L3は、式(7)で表される三角波と、式(8)で表される二乗正弦波とを想定した。図30及び図31が前者を採用したシミュレーション結果、図32及び図33が後者を採用したシミュレーション結果である。
これらの式において、UBGは定常流で1[m/s]、ΔUmは流速最大振幅で50[m/s]、Tは主ジェット継続時間で125[μs]である。Trは流速立ち上がり時間、Tfは流速立ち下がり時間であり、TrとTfとの和が主ジェット3の継続時間T(T=Tr+Tf)である。
そして、留意したい点として、使用している2種類の主ジェット流速波形それぞれについて、流速立ち上がり時間が異なるにもかかわらず、バックグラウンド分(定常流の分)を除いた脈動成分に関する最大質量流束[kg/s]、最大運動量流束[Ns/S=N]、最大エネルギー流束[J/s=W]、更に流出質量[kg]、流出運動量[Ns]、流出エネルギー[J]をそれぞれ全く同じとした。
図30〜図33のシミュレーション結果から、流速波形の種類によらず、切削深さは「Tr/T」が増加するにつれて減少する同じ傾向がある。別の言い方をすると、主ジェット3における流速ピークタイミングが相対的に早い流速波形で主ジェットを噴射するほど「狭く深く」切削できると言える。逆に主ジェットにおける流速ピークタイミングが相対的に遅い流速波形で主ジェットを噴射するほど「広く浅く」切削できると言える。つまり、主ジェット3の運動量PやエネルギーEが同じであっても、「Tr/T」を調整することで、「狭く深く」から「広く浅く」まで様々な切削態様での切削を実現できる。
なお、式(7)で表される三角波と、式(8)で表される二乗正弦波以外の流速波形についても同様のシミュレーションを行ったが、こうした傾向は変わらなかった。
次に、流速立ち上がり時間の比「Tr/T」を調整する方法、換言すると主ジェット3における流速ピークタイミングを調整する方法について説明する。
実際の使用に当たっては、駆動電圧波形の1周期分の駆動電圧波形L1(基本駆動電圧波形:図3参照)を1秒間当たり数十回から数百回、すなわち数十[Hz]から数百[Hz]の繰り返し周波数Fpで印加することになる。1周期分の駆動電圧波形L1は、2つの波形部分から構成されているとみなせる。すなわち、電圧「0」から始まり電圧振幅Vmに到達するまでの「立ち上がり部分」と、電圧振幅Vmから緩やかに減少して再び電圧「0」に至る「立ち下がり部分」である。
実際の使用に当たっては、駆動電圧波形の1周期分の駆動電圧波形L1(基本駆動電圧波形:図3参照)を1秒間当たり数十回から数百回、すなわち数十[Hz]から数百[Hz]の繰り返し周波数Fpで印加することになる。1周期分の駆動電圧波形L1は、2つの波形部分から構成されているとみなせる。すなわち、電圧「0」から始まり電圧振幅Vmに到達するまでの「立ち上がり部分」と、電圧振幅Vmから緩やかに減少して再び電圧「0」に至る「立ち下がり部分」である。
図34は、1周期分の駆動電圧波形L1の立ち上がり部分を拡大した図である。
「立ち上がり部分」を波形曲線の変曲点(図34の例では、R=0.5の位置)に着目して見ると、駆動電圧「0」から下に凸な曲線に沿って増加しながら「変曲点」へ至るまでの過程と、「変曲点」から上に凸な曲線に沿って電圧振幅Vmへ至る過程と、の2つの曲線部分から成り立っていることがわかる。圧電素子45は、駆動電圧に対してほぼリニアに伸長するので、「変曲点」は主ジェット3の流速波形L3におけるピークに相当すると言える。よって、変曲点の位置を移動させることで流速立ち上がり時間の比「Tr/T」を調整すること、すなわち主ジェット3における流速ピークタイミングを調整することができる。
「立ち上がり部分」を波形曲線の変曲点(図34の例では、R=0.5の位置)に着目して見ると、駆動電圧「0」から下に凸な曲線に沿って増加しながら「変曲点」へ至るまでの過程と、「変曲点」から上に凸な曲線に沿って電圧振幅Vmへ至る過程と、の2つの曲線部分から成り立っていることがわかる。圧電素子45は、駆動電圧に対してほぼリニアに伸長するので、「変曲点」は主ジェット3の流速波形L3におけるピークに相当すると言える。よって、変曲点の位置を移動させることで流速立ち上がり時間の比「Tr/T」を調整すること、すなわち主ジェット3における流速ピークタイミングを調整することができる。
次に、変曲点を移動させる基本駆動電圧波形(1周期分の駆動電圧波形L1)の変形方法について述べる。
本実施形態では、変曲点を駆動電圧波形の「立ち上がり開始点(駆動電圧=0の点)」と、「立ち上がり終了点(駆動電圧=電圧振幅)」とを結ぶ線分上に沿って移動させる。これにより、主ジェット3の運動量PやエネルギーEを大きく変えることなく「Tr/T」、いわば立ち上がり部分の前後比を変える。これにより、対象物質の切削量を変えずに「狭く深く」や「広く浅く」などの多様な切削態様を実現する。
本実施形態では、変曲点を駆動電圧波形の「立ち上がり開始点(駆動電圧=0の点)」と、「立ち上がり終了点(駆動電圧=電圧振幅)」とを結ぶ線分上に沿って移動させる。これにより、主ジェット3の運動量PやエネルギーEを大きく変えることなく「Tr/T」、いわば立ち上がり部分の前後比を変える。これにより、対象物質の切削量を変えずに「狭く深く」や「広く浅く」などの多様な切削態様を実現する。
具体的には、基本駆動電圧波形の駆動電圧Vpは次式(9)のように、時刻tを変数とし、この時刻tの上限を繰り返し周期Tpとする定義域における関数として表すことができる。
Vp=V(t) (0≦t≦Tp) …(9)
Vp=V(t) (0≦t≦Tp) …(9)
また、立ち上がり時間Tprまでの立ち上がり部分における駆動電圧Vpは次式(10)のように記述できる。
Vp=V(t) (0≦t≦Tpr) …(10)
Vp=V(t) (0≦t≦Tpr) …(10)
この立ち上がり部分では、時刻「0」の立ち上がり開始点における基本駆動電圧波形(1周期分の駆動電圧波形L1)の駆動電圧Vpは「0」であり、時刻Tprの立ち上がり終了点における駆動電圧Vpは電圧振幅Vmである。すなわち、次式(11)が成り立つ。
V(0)=0, V(Tpr)=Vm …(11)
V(0)=0, V(Tpr)=Vm …(11)
ここで、立ち上がり部分は、立ち上がり開始点と立ち上がり終了点とを結ぶ線分と、時刻Tprcで交わる。ここを「交点」と呼ぶ。その時の基本駆動電圧波形(1周期分の駆動電圧波形L1)の電圧Vcとすると次式(12)が成立する。
V(Tprc)=Vc=(Vm/Tpr)Tprc …(12)
V(Tprc)=Vc=(Vm/Tpr)Tprc …(12)
そして、立ち上がり部分を次のイ)〜ロ)の考え方に基づいて変形させる。
すなわち、
イ)「交点」より前では「立ち上がり開始点(駆動電圧=0)」を基点として、電圧軸方向および時間軸方向に等倍に拡大或いは縮小する。
ロ)「交点」より後では「立ち上がり終了点(電圧振幅Vm)」を基点として、電圧軸方向および時間軸方向に等倍に縮小或いは拡大する。
ハ)「交点」の移動先で、立ち上がり部分と立ち下がり部分とを滑らかに接続する。
すなわち、
イ)「交点」より前では「立ち上がり開始点(駆動電圧=0)」を基点として、電圧軸方向および時間軸方向に等倍に拡大或いは縮小する。
ロ)「交点」より後では「立ち上がり終了点(電圧振幅Vm)」を基点として、電圧軸方向および時間軸方向に等倍に縮小或いは拡大する。
ハ)「交点」の移動先で、立ち上がり部分と立ち下がり部分とを滑らかに接続する。
具体的には、「交点」を「立ち上がり開始点」及び「立ち上がり終了点」を基点として電圧軸方向および時間軸方向にM倍及びM’倍するようにそれぞれ変形すると考え、立ち上がり部分上の点(t、Vp)が点(t*、Vp *)に移動したと考える。すると、次式(13)〜式(14)が成立する。
t*/t=Vp */Vp=M (0≦t<Tprc) …(13)
(Tpr−t*)/(Tpr−t)=(Vm−Vp *)/(Vm−Vp)=M’
(Tprc≦t≦Tpr) …(14)
t*/t=Vp */Vp=M (0≦t<Tprc) …(13)
(Tpr−t*)/(Tpr−t)=(Vm−Vp *)/(Vm−Vp)=M’
(Tprc≦t≦Tpr) …(14)
但し、M’は次式(15)で表される。
M’=(Tpr−MTprc)/(Tpr−Tprc)
=(Vm−MVc)/(Vm−Vc) …(15)
M’=(Tpr−MTprc)/(Tpr−Tprc)
=(Vm−MVc)/(Vm−Vc) …(15)
ここで移動後の「交点」の時刻MTprcの立ち上がり時間Tprに対する割合を表す指標として式(17)を導入する。
R=MTprc/Tpr …(17)
R=MTprc/Tpr …(17)
次に、変形前の基本駆動電圧波形の「交点」が「変曲点」であり、且つ「変曲点」が立ち上がり領域の丁度中央(t=Tprc=Tpr/2)にある場合について述べる。
この場合、Rは0<R<1の範囲内で変化させることができるので、ユーザーがRの変更操作入力を可能とする。例えば、Rの値をダイヤルスイッチやボタンスイッチにより変更操作できるようにする。変更幅や変更できる段階数は適宜設定可能であるが、例えば、「0.1」「0.3」「0.5」「0.7」「0.9」といった具合に設定できる。R=0.5のとき基本駆動波形は変化しないことになる。この場合、変形操作後の立ち上がり部分は、より簡単に次式(19)で表すことができる。
この場合、Rは0<R<1の範囲内で変化させることができるので、ユーザーがRの変更操作入力を可能とする。例えば、Rの値をダイヤルスイッチやボタンスイッチにより変更操作できるようにする。変更幅や変更できる段階数は適宜設定可能であるが、例えば、「0.1」「0.3」「0.5」「0.7」「0.9」といった具合に設定できる。R=0.5のとき基本駆動波形は変化しないことになる。この場合、変形操作後の立ち上がり部分は、より簡単に次式(19)で表すことができる。
一方、駆動電圧波形の微分波形をスロースタート且つスローダウン(立ち上がり開始点及び立ち上がり終了点における2階微分係数がゼロ)の二乗正弦波(sin2(x))とするならば、立ち上がり部分は次式(22)で表される。
ここで、「立ち下がり部分」について述べておく。
立ち下がり部分は、基本駆動電圧(1周期分の駆動電圧波形L1)が電圧振幅Vmに至った後から緩やかに減少してやがて駆動電圧「0」へと戻る減少過程であり、流速波形に若干の影響は与えるものの、その影響はそれほど大きくない。但し、前後する立ち上がり部分と滑らかに接続されるのが望ましい。すなわち、立ち上がり部分の電圧振幅Vmと立ち下がり部分が滑らかに接続され、そこから立ち上がり時間に比べて十分に長い時間をかけて穏やかに減少して駆動電圧「0」に至り、次の周期の立ち上がり部分と滑らかに接続されればよい。立ち下がり部分の波形は、例えば、一次関数の波形などを適宜設定可能であるが、立ち上がり部分と立ち下がり部分とが滑らかに接続されることが好ましい点を鑑みて、本実施形態では例えば次式(24)又は式(25)とする。
立ち下がり部分は、基本駆動電圧(1周期分の駆動電圧波形L1)が電圧振幅Vmに至った後から緩やかに減少してやがて駆動電圧「0」へと戻る減少過程であり、流速波形に若干の影響は与えるものの、その影響はそれほど大きくない。但し、前後する立ち上がり部分と滑らかに接続されるのが望ましい。すなわち、立ち上がり部分の電圧振幅Vmと立ち下がり部分が滑らかに接続され、そこから立ち上がり時間に比べて十分に長い時間をかけて穏やかに減少して駆動電圧「0」に至り、次の周期の立ち上がり部分と滑らかに接続されればよい。立ち下がり部分の波形は、例えば、一次関数の波形などを適宜設定可能であるが、立ち上がり部分と立ち下がり部分とが滑らかに接続されることが好ましい点を鑑みて、本実施形態では例えば次式(24)又は式(25)とする。
[ユーザーインターフェースの説明]
図35は、本実施形態における液体噴射制御装置70の操作パネル80の構成例を示す図である。本実施形態の操作パネル80は、主電源スイッチ81と、ポンプスイッチ82と、ジェット噴射スイッチ83と、ジェット設定操作部85と、フラットパネルディスプレイ86と、を備える。
図35は、本実施形態における液体噴射制御装置70の操作パネル80の構成例を示す図である。本実施形態の操作パネル80は、主電源スイッチ81と、ポンプスイッチ82と、ジェット噴射スイッチ83と、ジェット設定操作部85と、フラットパネルディスプレイ86と、を備える。
主電源スイッチ81は、液体噴射システム1(図1参照)の主電源のON/OFF操作を受け付ける。
ポンプスイッチ82は、送液ポンプ20(図1参照)のON/OFF操作を受け付ける。当該スイッチをONにすると、送液ポンプ20が駆動して液体噴射装置30へ容器10から液体が供給される。
ジェット噴射スイッチ83は、パルス流発生部40の駆動/停止の操作を受け付け、図1に示した噴射ペダル88と同様の機能を提供する。ポンプスイッチ82をONにしただけでは、液体噴射装置30には定常流が供給されるにすぎずノズル60からはパルスの無い状態(定常流の状体)で液体が流出するだけである。しかし、ジェット噴射スイッチ83をONにすると、パルス流発生部40の圧電素子45(図2参照)にジェット設定操作部85における設定操作入力に応じた駆動電圧が印加されるようになり、ノズル60からはパルス液体ジェットが噴射されるようになる。
ジェット設定操作部85は、パルス液体ジェットをユーザーが希望する状態に調節するための各種設定操作を受け付ける。本実施形態のジェット設定操作部85は、エネルギーダイヤル851と、切削タイプダイヤル858と、を含む。
エネルギーダイヤル851は、主ジェット3のエネルギーEの設定値の入力、つまりは主ジェット3の強弱の設定を受け付ける操作部である。例えば「1」〜「5」の目盛りが付けられた5段階のダイヤル位置が選択可能に構成されている。各ダイヤル位置には、例えば、対応する目盛りの数値に比例して一定量ずつ大きくなるように予めエネルギー指示値が割り当てられている。ユーザーは、エネルギーダイヤル851の指示位置を切り替えることによって、主ジェット3の強弱を操作することができる。なお、ダイヤル位置の段階数は5段階に限定されるものではなく、「大」「中」「小」の3段階としたり、無段階の調整を可能とする等、適宜設定してよい。
切削タイプダイヤル858は、「狭く深く」や「広く浅く」といった切削態様(削り具合)の設定を受け付ける操作部である。具体的には、切削タイプダイヤル858には、Rの値(図34参照)である「0.1」「0.3」「0.5」「0.7」「0.9」の各ダイヤル位置が設定されている。すなわち、切削タイプダイヤル858は、駆動電圧波形における立ち上がり部分の変曲点位置の設定操作を受け付ける操作部であり、パルス液体ジェットの主ジェットにおける流速ピークタイミングを設定するための指標値の入力を受け付ける操作部として機能する。
フラットパネルディスプレイ86は、パルス液体ジェットに係る各種情報を表示する。表示内容は適宜設定可能であるが、本実施形態では主ジェットエネルギー表示部861と、繰り返し周波数表示部862と、パワー表示部863とを含む。
主ジェットエネルギー表示部861は、パルス1個分の主ジェットのエネルギーE[μJ]を表示する。
繰り返し周波数表示部862は、繰り返し周波数Fp、すなわち基本駆動電圧波形(1周期分の駆動電圧波形L1)の繰り返し周波数[Hz]を表示する。
パワー表示部863は、主ジェットエネルギー表示部861で表示されるエネルギー値に繰り返し周波数表示部862で表示される周波数を乗じた単位時間当たりのエネルギー、すなわちパワー[mW]を表示する。
繰り返し周波数表示部862は、繰り返し周波数Fp、すなわち基本駆動電圧波形(1周期分の駆動電圧波形L1)の繰り返し周波数[Hz]を表示する。
パワー表示部863は、主ジェットエネルギー表示部861で表示されるエネルギー値に繰り返し周波数表示部862で表示される周波数を乗じた単位時間当たりのエネルギー、すなわちパワー[mW]を表示する。
なお、これら各表示部の表示形態は適宜設定可能である。図35では数値(図中では「X」で代用)によるデジタル表示を例示しているが、メーター表示でもよいし、パルス液体ジェットの噴射開始からの増減操作に伴うエネルギーEや繰り返し周波数等の変化をグラフで表示するとしてもよい。
[機能構成の説明]
図36は、本実施形態における液体噴射制御装置の機能構成例を示すブロック図である。本実施形態の液体噴射制御装置70は、操作入力部100と、表示部300と、制御部200と、記憶部500とを備える。
図36は、本実施形態における液体噴射制御装置の機能構成例を示すブロック図である。本実施形態の液体噴射制御装置70は、操作入力部100と、表示部300と、制御部200と、記憶部500とを備える。
操作入力部100は、ボタンスイッチやレバースイッチ、ダイヤルスイッチ、ペダルスイッチ等の各種スイッチ、タッチパネル、トラックパッド、マウス等の入力装置によって実現されるものであり、操作入力に応じた操作信号を制御部200に出力する。本実施形態では、図1の噴射ペダル88、図35の主電源スイッチ81やポンプスイッチ82、ジェット噴射スイッチ83、ジェット設定操作部85のエネルギーダイヤル851及び切削タイプダイヤル858が該当する。
制御部200は、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等のマイクロプロセッサー、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の制御装置及び演算装置によって実現され、液体噴射システム1の各部を統括的に制御する。そして、本実施形態の制御部200は、圧電素子制御部210と、ポンプ制御部230と、表示制御部240とを備える。なお、制御部200を構成する各部は、専用のモジュール回路等のハードウェアで構成することとしてもよい。
圧電素子制御部210は、圧電素子45の駆動を制御する。具体的には、前述の式(18)好ましくは式(19)(具体例としては式(21)又は式(23)など)に基づいて駆動電圧波形を生成する。そして、本実施形態の圧電素子制御部210は、エネルギー変更制御部212と、切削態様変更制御部214と、を含む。
エネルギー変更制御部212は、ユーザーによるエネルギー設定操作に応じて1パルスの主ジェット3のエネルギーEを変更させる。本実施形態では、記憶部500に記憶されているパラメーターテーブル510を参照して、エネルギーダイヤル851のダイヤル位置に対応づけられている繰り返し周波数Fpと、立ち上がり周波数Fprと、電圧振幅Vmとの組み合わせを決定する。そして繰り返し周波数Fp及び立ち上がり周波数Fprから、それぞれ繰り返し周期Tp及び立ち上がり時間Tprを決定する。
切削態様変更制御部214は、ユーザーによる切削態様設定操作に応じて駆動電圧波形を変更制御する。本実施形態では、記憶部500に記憶されているパラメーターテーブル510を参照して、切削タイプダイヤル858のダイヤル位置に応じたRの値(指標値;図34参照)を前述の式(18)好ましくは式(19)(具体例としては式(21)又は式(23)など)に適用する。すなわち、切削タイプダイヤル858のダイヤル位置に応じた指標値に応じて、立ち上がり部分(駆動電圧波形の立ち上がり部分)の変曲点の位置を設定することで当該立ち上がり部分の流速ピークタイミングを設定し、駆動電圧波形を変形させる。
ポンプ制御部230は、駆動信号を生成・出力して送液ポンプ20を駆動させる。
表示制御部240は、パルス液体ジェットに係る各種情報を表示部300に表示させるための表示制御と表示信号の生成を行う。本実施形態では、図35のフラットパネルディスプレイ86に表示される各種情報の算出と表示制御とを行う。
表示部300は、LCD(Liquid Crystal Display)やELディスプレイ(Electroluminescence display)等の表示装置によって実現され、制御部200から入力される表示信号をもとに表示画面等の各種画面を表示する。本実施形態では、図35のフラットパネルディスプレイ86がこれに該当する。
記憶部500は、ROM(Read Only Memory)やフラッシュROM、RAM(Random Access Memory)等の各種IC(Integrated Circuit)メモリーやハードディスク等の記憶媒体により実現されるものである。記憶部500には、液体噴射システム1を動作させ、この液体噴射システム1が備える種々の機能を実現するためのプログラムや、このプログラムの実行中に使用されるデータ等が予め記憶されている。また、制御部200の作業用記憶領域として様々なデータが記憶される。
そして、本実施形態の記憶部500には、システムプログラム501と、制御プログラム502と、パラメーターテーブル510と、目標エネルギー指示値530と、適用R値532と、適用電圧振幅534と、適用繰り返し周波数536と、適用立ち上がり周波数538と、適用繰り返し周期540と、適用立ち上がり時間542と、が記憶される。勿論、記憶部500には、その他のデータ、例えば計時用のタイマーやカウンターなどを適宜記憶させることができる。
システムプログラム501は、液体噴射制御装置70をコンピューターとして機能させるための基本プログラムである。制御プログラム502は、制御部200に、圧電素子制御部210、ポンプ制御部230、表示制御部240としての機能を実装させるためのプログラムである。なお、制御プログラム502はシステムプログラム501の一部として構成されてもよい。また、制御部200が有する各機能部(圧電素子制御部210、ポンプ制御部230、表示制御部240)がハードウェアにより実現される場合には、当該機能部を実現するための要素をプログラムから適宜省略することができる。
パラメーターテーブル510は、駆動電圧波形を設定するための各種制御パラメーターの値を定義する。本実施形態では、1パルスの主ジェット3のエネルギーE(流速エネルギー)が、エネルギーダイヤル851のダイヤル位置に対応したエネルギー指示値となるように、駆動電圧波形を制御するための制御パラメーターの各値(電圧振幅Vmと、繰り返し周波数Fpと、立ち上がり周波数Fpr)を定義する。
具体的には、例えば図37に示すように、エネルギーダイヤル位置511に対応づけて、エネルギー指示値512を格納する。そして、エネルギーダイヤル位置511及びエネルギー指示値512毎に、5種類の切削タイプダイヤル位置513(R値;変曲点指示値)と、電圧振幅514と、繰り返し周波数516と、立ち上がり周波数518とが対応づけて格納されている。
電圧振幅514と、繰り返し周波数516と、立ち上がり周波数518との各値の組み合わせは、予めシミュレーションにより決めることができる。
シミュレーションは、例えば、液体噴射装置30の流路系を流体(流路)抵抗、流体イナータンス、流体コンプライアンス等に置き換えたモデルに基づいて作成し、駆動電圧波形に係る各種制御パラメーターを、等価回路法による数値シミュレーションを利用して設定することができる。又は、より精度を求めるならば、有限要素法(FEM)や有限体積法(FVM)等を用いた流体シミュレーションを利用してもよい。
シミュレーションは、例えば、液体噴射装置30の流路系を流体(流路)抵抗、流体イナータンス、流体コンプライアンス等に置き換えたモデルに基づいて作成し、駆動電圧波形に係る各種制御パラメーターを、等価回路法による数値シミュレーションを利用して設定することができる。又は、より精度を求めるならば、有限要素法(FEM)や有限体積法(FVM)等を用いた流体シミュレーションを利用してもよい。
具体的には、駆動電圧波形に係る各種制御パラメーターとして、電圧振幅Vmと、立ち上がり周波数Fprと、繰り返し周波数Fpとを、それぞれ変更しながら1パルスの主ジェット3のエネルギーEをシミュレーションにより算出する。そして、繰り返し周波数Fpを固定として、電圧振幅Vmと、立ち上がり周波数Fprとを変更すると、主ジェット3のエネルギーEの等高線を引くことができる(図29)。
本実施形態では、エネルギーダイヤル851に一定間隔の5段階のエネルギー指示値512を割り当てるので少なくとも5本の等高線を設定する。例えば、図29の例でいうと、繰り返し周波数516を固定として、グラフの左下から右上へ斜めに描かれた破線に沿って5段階のエネルギー指示値(5本の等高線)との交点の値を読みとり、それぞれパラメーターテーブル510の電圧振幅514と立ち上がり周波数518とに格納すればよい。
勿論、パラメーターテーブル510に格納する各値の選択方法は、これに限定されるものではない。電圧振幅514と繰り返し周波数516とを固定値として、立ち上がり周波数518のみエネルギー指示値512に対して設定するとしてもよい。すなわち、図29の「Vm=固定」とした線(例えば、駆動電圧V54から縦軸と平行に引いた線分)と等高線との交点の立ち上がり周波数Fprを読み取ればよい。
同様に、繰り返し周波数516と立ち上がり周波数518とを固定値として、電圧振幅514のみエネルギー指示値512に対して設定するとしてもよいし、電圧振幅514と、繰り返し周波数516と、立ち上がり周波数518とを何れも固定値とせずに設定してもよい。これらの場合は、図29と同様のグラフを繰り返し周波数Fp違いで複数作成し、それらから横断的に読み取ることとなる。
なお、駆動電圧波形に係る各種制御パラメーターとして、電圧振幅Vmと、立ち上がり周波数Fprと、繰り返し周波数Fpと、R値の4要素をそれぞれ変更しながら1パルスのジェットのエネルギーをシミュレーションにより算出するとしてもよい。すなわち、パラメーターテーブル510の各値を、切削タイプダイヤル位置513のR値と、電圧振幅514と、繰り返し周波数516と、立ち上がり周波数518との4要素の組み合わせでエネルギー指示値512を実現するようにシミュレーションで決定するとしてもよい。
図36に戻って、目標エネルギー指示値530は、駆動電圧波形を生成するにあたり1パルスの主ジェットで実現するエネルギーの目標値である。エネルギーダイヤル851のダイヤル位置に応じた指標値・設定値が格納される。
適用R値532は、式(18)好ましくは式(19)(具体例としては式(21)或いは式(23)など)から駆動電圧波形を生成する際に使用されるR値である。本実施形態では、切削タイプダイヤル858のダイヤル位置に応じたR値、すなわち変曲点位置の指示値が格納される。
適用電圧振幅534は、式(18)好ましくは式(19)(具体例としては式(21)或いは式(23)など)から駆動電圧波形を生成する際に使用される電圧振幅Vmである。本実施形態では、パラメーターテーブル510を参照して決定される。
適用繰り返し周波数536は、式(18)好ましくは式(19)(具体例としては式(21)或いは式(23)など)で表される立ち上がり部分、並びに式(24)或いは式(25)などで表される立ち下がり部分、から駆動電圧波形を生成する際に使用される繰り返し周波数Fpである。本実施形態では、パラメーターテーブル510を参照して決定される。
適用立ち上がり周波数538は、式(18)好ましくは式(19)から駆動電圧波形を生成する際に使用される立ち上がり周波数Fprである。本実施形態では、パラメーターテーブル510を参照して決定される。
適用繰り返し周期540は、式(18)好ましくは式(19)(具体例としては式(21)或いは式(23)など)で表される立ち上がり部分、並びに式(24)あるいは(25)などで表される立ち下がり部分、から駆動電圧波形を生成する際に使用される繰り返し周期Tpである。本実施形態では、適用繰り返し周波数536から算出される。
適用立ち上がり時間542は、式(18)好ましくは式(19)から駆動電圧波形を生成する際に使用される立ち上がり時間Tprである。本実施形態では、適用立ち上がり周波数538から算出される。
[動作の説明]
図38は、本実施形態の制御部200が行う処理の流れを示すフローチャートであり、制御部200が制御プログラム502を実行することにより実装される。
図38は、本実施形態の制御部200が行う処理の流れを示すフローチャートであり、制御部200が制御プログラム502を実行することにより実装される。
制御部200は、操作パネル80のポンプスイッチ82がONであれば(ステップS2のYES;図35参照)、送液ポンプ20を駆動させる(ステップS4)。ポンプスイッチ82がOFFであれば(ステップS2のNO)、送液ポンプ20を停止させる(ステップS6)。
また、制御部200は、ジェット噴射スイッチ83がOFFであれば(ステップS10のNO)、操作パネル80のポンプスイッチ82がONでも圧電素子45(図2参照)への駆動電圧波形の出力は行わない(ステップS12)。
もし、操作パネル80のポンプスイッチ82がONで、且つ、ジェット噴射スイッチ83がONならば(ステップS10のYES)、制御部200は、パラメーターテーブル510(図27参照)から現在のエネルギーダイヤル851のダイヤル位置に対応するエネルギー指示値512を読み出し、目標エネルギー指示値530に設定する(ステップS20;図36参照)。
もし、操作パネル80のポンプスイッチ82がONで、且つ、ジェット噴射スイッチ83がONならば(ステップS10のYES)、制御部200は、パラメーターテーブル510(図27参照)から現在のエネルギーダイヤル851のダイヤル位置に対応するエネルギー指示値512を読み出し、目標エネルギー指示値530に設定する(ステップS20;図36参照)。
次いで、制御部200は、現在の切削タイプダイヤル858のタイプダイヤル位置に応じて、パラメーターテーブル510から目標エネルギー指示値530に合致するエネルギー指示値512に対応づけられている何れかの切削タイプダイヤル位置513を読み出して適用R値532を設定する(ステップS22)。つまり、立ち上がり部分における変曲点位置を設定する。換言すると、主ジェット3の流速ピークタイミングを設定する。
また、制御部200は、パラメーターテーブル510から目標エネルギー指示値530と適用R値532との組み合わせに対応する電圧振幅514、繰り返し周波数516、立ち上がり周波数518を読み出して、それぞれ適用電圧振幅534、適用繰り返し周波数536、適用立ち上がり周波数538として設定する(ステップS30)。そして、制御部200は、適用繰り返し周波数536から適用繰り返し周期540を導出し、適用立ち上がり周波数538から適用立ち上がり時間542を導出する(ステップS40)。
これで式(18)好ましくは式(19)(具体的には式(21)又は式(23)など)における変数が全て用意されたことになるので、制御部200は、式(18)好ましくは式(19)(具体的には式(21)又は式(23)など)に基づいて駆動電圧Vpを算出し、当該駆動電圧Vpを有する駆動信号を圧電素子45へ出力する(ステップS42)。そして、主ジェットエネルギーの値及びパワー(単位時間当たりのエネルギー)の値を算出して、フラットパネルディスプレイ86の各表示を更新する(ステップS44;図35参照)。
以上、第1実施形態によれば、様々な使用場面における細かな切削態様への要求に柔軟に対応可能なパルス液体ジェットの噴射制御技術を提供することが可能となる。しかも、切削体積を変えずに切削深さと切削面積との関係を調整可能にすることが可能となる。
〔第2実施形態〕
次に本発明を適用した第2実施形態について説明する。
本実施形態は、基本的には第1実施形態と同様に実現されるが、ユーザーが繰り返し周波数Fpを変更できる点が異なる。なお、以降では第1実施形態との差異について主に述べることとし、第1実施形態と同様の構成要素については同じ符号を付与して、重複する説明を省略するものとする。
次に本発明を適用した第2実施形態について説明する。
本実施形態は、基本的には第1実施形態と同様に実現されるが、ユーザーが繰り返し周波数Fpを変更できる点が異なる。なお、以降では第1実施形態との差異について主に述べることとし、第1実施形態と同様の構成要素については同じ符号を付与して、重複する説明を省略するものとする。
図39は、本実施形態における操作パネル80Bの構成例を示す図である。操作パネル80Bは、基本的には第1実施形態のそれと同様であるが、本実施形態のジェット設定操作部85Bには、繰り返し周波数Fpを設定するための繰り返し周波数ダイヤル853を備える。
繰り返し周波数ダイヤル853は、繰り返し周波数Fpの設定操作を受け付ける。本実施形態では「1」〜「5」の5段階の目盛りが付与されたダイヤルで構成し、各目盛りには等間隔の周波数がそれぞれ対応づけられており、繰り返し周波数ダイヤル853のダイヤル位置に応じて適用繰り返し周波数536が決まる。なお、繰り返し周波数ダイヤル853の目盛りは適宜設定可能である。例えば、繰り返し周波数Fpを無段階に設定可能な構成としてもよい。
図40は、本実施形態の液体噴射制御装置70Bの機能構成例を示す機能ブロック図である。液体噴射制御装置70Bは、基本的には第1実施形態の液体噴射制御装置70と同様の機能構成を有するが、本実施形態の制御部200Bは圧電素子制御部210Bが繰り返し周波数変更制御部216を有する。
繰り返し周波数変更制御部216は、繰り返し周波数の設定操作に応じて駆動電圧波形の生成に使用される繰り返し周波数Fpを変更制御する。本実施形態ではパラメーターテーブル510Bを参照して、繰り返し周波数ダイヤル853のダイヤル位置別に予め対応づけられている値を適用繰り返し周波数536に設定する。
図41は、本実施形態のパラメーターテーブル510Bのデータ構成例を示す図である。パラメーターテーブル510Bは、エネルギーダイヤル位置511(エネルギー指示値512)と、繰り返し周波数ダイヤル位置515(繰り返し周波数516B)との2要素の組み合わせ毎に、5種類の切削タイプダイヤル位置513が対応づけられている。繰り返し周波数516Bは、繰り返し周波数ダイヤル853のダイヤル位置別に予め対応づけられている固定値である。
そして、エネルギーダイヤル位置511(エネルギー指示値512)と、繰り返し周波数ダイヤル位置515(繰り返し周波数516B)と、切削タイプダイヤル位置513との3要素の組み合わせ毎に、電圧振幅514と、立ち上がり周波数518とが対応付けて格納されている。
本実施形態の電圧振幅514及び立ち上がり周波数518は、対応する繰り返し周波数516Bと組み合わせることで、対応するエネルギー指示値512を実現するように設定される。具体的には、図29と同様のグラフを繰り返し周波数別に用意してエネルギー指示値512の等高線との交点から読み取って設定すればよい。
或いは、本実施形態の電圧振幅514及び立ち上がり周波数518を、対応する繰り返し周波数516B及び切削タイプダイヤル位置513の示すR値の2要素と組み合わせることで、対応するエネルギー指示値512を実現するようにシミュレーションして設定するとしてもよい。
或いは、本実施形態の電圧振幅514及び立ち上がり周波数518を、対応する繰り返し周波数516B及び切削タイプダイヤル位置513の示すR値の2要素と組み合わせることで、対応するエネルギー指示値512を実現するようにシミュレーションして設定するとしてもよい。
図42は、本実施形態の制御部200Bによる処理の流れを説明するためのフローチャートである。本実施形態における処理の流れは、基本的には第1実施形態の処理の流れと同様であるが、ステップS24が追加され、ステップS30に代えてステップS32を実行する。
すなわち、制御部200Bは、ステップS22の後、パラメーターテーブル510Bを参照して、現在の繰り返し周波数ダイヤル853のダイヤル位置に応じた繰り返し周波数516Bを読み出して、適用繰り返し周波数536(図40参照)を設定する(ステップS24)。
また、制御部200Bは、パラメーターテーブル510Bを参照して、目標エネルギー指示値530と、適用R値532と、適用繰り返し周波数536との組み合わせに対応する電圧振幅514と、立ち上がり周波数518とを読み出して、それぞれ適用電圧振幅534と、適用立ち上がり周波数538とに設定する(ステップS32)。
以上、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。加えて、ユーザーが使用中に繰り返し周波数を変更できるようになる。
〔第3実施形態〕
次に本発明を適用した第3実施形態について説明する。
本実施形態は、基本的には第2実施形態と同様に実現されるが、ユーザーが立ち上がり周波数Fprを変更できる点が異なる。なお、以降では第1〜第2実施形態との差異について主に述べることとし、第2実施形態と同様の構成要素については同じ符号を付与して、重複する説明を省略するものとする。
次に本発明を適用した第3実施形態について説明する。
本実施形態は、基本的には第2実施形態と同様に実現されるが、ユーザーが立ち上がり周波数Fprを変更できる点が異なる。なお、以降では第1〜第2実施形態との差異について主に述べることとし、第2実施形態と同様の構成要素については同じ符号を付与して、重複する説明を省略するものとする。
図43は、本実施形態における操作パネル80Cの構成例を示す図である。操作パネル80Cは、基本的には第2実施形態のそれと同様であるが、本実施形態のジェット設定操作部85Cに立ち上がり周波数Fprを設定するための立ち上がり周波数ダイヤル854を備え、フラットパネルディスプレイ86に立ち上がり周波数表示部864を更に表示する。
立ち上がり周波数ダイヤル854は、立ち上がり周波数Fprの設定操作を受け付ける。本実施形態では「1」〜「5」の5段階の目盛り付与されたダイヤルで構成し、各目盛りには等間隔の周波数がそれぞれ対応づけられており、立ち上がり周波数ダイヤル854のダイヤル位置に応じて適用立ち上がり周波数538が決まる。なお、立ち上がり周波数ダイヤル854の目盛りは適宜設定可能である。例えば、立ち上がり周波数Fprを無段階に設定可能な構成としてもよい。
図44は、本実施形態の液体噴射制御装置70Cの機能構成例を示す機能ブロック図である。
液体噴射制御装置70Cは、基本的には第2実施形態の液体噴射制御装置70Bと同様の機能構成を有するが、本実施形態の制御部200Cは、圧電素子制御部210Cが立ち上がり周波数変更制御部218を有する。
液体噴射制御装置70Cは、基本的には第2実施形態の液体噴射制御装置70Bと同様の機能構成を有するが、本実施形態の制御部200Cは、圧電素子制御部210Cが立ち上がり周波数変更制御部218を有する。
立ち上がり周波数変更制御部218は、立ち上がり周波数の設定操作に応じて駆動電圧波形の生成に使用される立ち上がり周波数Fprを変更制御する。本実施形態ではパラメーターテーブル510Cを参照して、立ち上がり周波数ダイヤル854のダイヤル位置別に予め対応づけられている値を適用立ち上がり周波数538に設定する。
また、本実施形態の表示制御部240は、フラットパネルディスプレイ86に立ち上がり周波数表示部864を表示させることができる。
図45は、本実施形態のパラメーターテーブル510Cのデータ構成例を示す図である。パラメーターテーブル510Cは、基本的には第2実施形態のそれと同様であるが、エネルギーダイヤル位置511(エネルギー指示値512)と、繰り返し周波数ダイヤル位置515(繰り返し周波数516B)との組み合わせ毎に、5種類の立ち上がり周波数ダイヤル位置517及び立ち上がり周波数518Cが対応づけられている。立ち上がり周波数518Cは、立ち上がり周波数ダイヤル854のダイヤル位置別に予め対応づけられている固定値である。
そして、エネルギーダイヤル位置511(エネルギー指示値512)と、繰り返し周波数ダイヤル位置515(繰り返し周波数516B)と、立ち上がり周波数ダイヤル位置517(立ち上がり周波数518)との3要素の組み合わせ毎に、切削タイプダイヤル位置513と、電圧振幅514とが対応づけて格納されている。
本実施形態の電圧振幅514は、対応する繰り返し周波数516B及び立ち上がり周波数518Cの2要素と組み合わせることで、対応するエネルギー指示値512を実現するように設定される。シミュレーションの結果から予め設定することができる。
或いは、本実施形態の電圧振幅514を、対応する繰り返し周波数516B・立ち上がり周波数518C・切削タイプダイヤル位置513のR値の3要素と組み合わせることで、対応するエネルギー指示値512を実現するようにシミュレーションして設定するとしてもよい。
或いは、本実施形態の電圧振幅514を、対応する繰り返し周波数516B・立ち上がり周波数518C・切削タイプダイヤル位置513のR値の3要素と組み合わせることで、対応するエネルギー指示値512を実現するようにシミュレーションして設定するとしてもよい。
すなわち、制御部200Bは、パラメーターテーブル510Cを参照して、現在の繰り返し周波数ダイヤル853のダイヤル位置に応じた繰り返し周波数516Bを読み出して、適用繰り返し周波数536(図44参照)を設定する。
また、本実施形態の表示制御部240は、フラットパネルディスプレイ86に立ち上がり周波数表示部864を表示させることができる。
図46は、本実施形態の制御部200Cによる処理の流れを説明するためのフローチャートである。本実施形態における処理の流れは、基本的には第2実施形態の処理の流れと同様であるが、ステップS26が追加され、ステップS32に代えてステップS34を実行し、ステップS44に代えてステップS46を実行する。
すなわち、制御部200Cは、ステップS24の後、パラメーターテーブル510Cを参照して、現在の立ち上がり周波数ダイヤル854のダイヤル位置に応じた立ち上がり周波数518Cを読み出して、適用繰り返し周波数536を設定する(ステップS26)。
また、制御部200Cは、パラメーターテーブル510Cから、目標エネルギー指示値530に合致するエネルギー指示値512と、適用繰り返し周波数536に合致する繰り返し周波数516Bと、適用立ち上がり周波数538に合致する立ち上がり周波数518との組み合わせにおける、適用立ち上がり周波数538に合致する切削タイプダイヤル位置513を検索する。そして、検索された切削タイプダイヤル位置513に対応づけられている電圧振幅514を読み出して、適用電圧振幅534を設定する(ステップS34)。
また、ステップS42の後、制御部200Cは、フラットパネルディスプレイ86(図43参照)の主ジェットエネルギー表示部861、繰り返し周波数表示部862、パワー表示部863、及び立ち上がり周波数表示部864の表示を更新する(ステップS46)。
以上、本実施形態によれば、第2実施形態と同様の効果が得られる。加えて、ユーザーが立ち上がり周波数Fprを変更できるようになる。
〔第4実施形態〕
次に本発明を適用した第4実施形態について説明する。
本実施形態は、基本的には第3実施形態と同様に実現される。なお、以降では第3実施形態との差異について主に述べることとし、第1〜第3実施形態と同様の構成要素については同じ符号を付与して、重複する説明を省略するものとする。
次に本発明を適用した第4実施形態について説明する。
本実施形態は、基本的には第3実施形態と同様に実現される。なお、以降では第3実施形態との差異について主に述べることとし、第1〜第3実施形態と同様の構成要素については同じ符号を付与して、重複する説明を省略するものとする。
図47は、本実施形態における操作パネル80Dの構成例を示す図である。操作パネル80Dは、基本的には第3実施形態のそれと同様であるが、フラットパネルディスプレイ86にて、エネルギー変動率表示部865が表示される。
エネルギー変動率表示部865は、エネルギー、繰り返し周波数、立ち上がり周波数の設定値を設定された値とし、R値を所定の基準値(立ち上がり部分の変曲点の基準位置)から変化させた場合の主ジェット3のエネルギーEの変動率を表示する。
図48は、本実施形態の液体噴射制御装置70Dの機能構成例を示す機能ブロック図である。液体噴射制御装置70Dは、基本的には第3実施形態の液体噴射制御装置70Cと同様の機能構成を有するが、本実施形態の表示制御部240はエネルギー変動率表示部865の表示を制御することができる。また、本実施形態の記憶部500は、パラメーターテーブル510Dと、変動率テーブル550とを記憶する。
図49は、本実施形態のパラメーターテーブル510Dのデータ構成例を示す図である。パラメーターテーブル510Dは、基本的には第3実施形態のパラメーターテーブル510Cと同様であるが、切削タイプダイヤル位置513が含まれていない。つまり、本実施形態の駆動電圧波形の制御パラメーターの値(繰り返し周波数Fp、立ち上がり周波数Fpr、電圧振幅Vm)は、切削タイプダイヤル位置513に基づくR値(変曲点の位置)の変更の影響を受けずに決定される。
変動率テーブル550は、予めシミュレーションにより得られたエネルギー変動率を格納する。例えば、図50に示すように、繰り返し周波数551と立ち上がり周波数552と電圧振幅553との3要素の組み合わせ毎に、5段階の切削タイプダイヤル位置554(切削タイプダイヤル位置513と同様)及び主ジェットエネルギー556と、エネルギー変動率557とを格納する。
主ジェットエネルギー556は、対応する繰り返し周波数551と立ち上がり周波数552と電圧振幅553と切削タイプダイヤル位置554のR値との4要素から決まる主ジェット3のエネルギーの値である。シミュレーションにより予め求めることができる。
エネルギー変動率557は、繰り返し周波数551と立ち上がり周波数552と電圧振幅553と切削タイプダイヤル位置554のR値との4要素の組み合わせを変えずに、主ジェットエネルギー556がR=0.5の場合と比べた比率である。Rは、切削タイプダイヤル位置554を変えることで変化する。なお、R=0.5を基準としたが、他のR値を基準としてもよい。
図51は、本実施形態の制御部200Dによる処理の流れを説明するためのフローチャートである。本実施形態における処理の流れは、基本的には第3実施形態の処理の流れと同様であるが、ステップS34に代えてステップS36を実行し、ステップS46に代えてステップS48を実行する。
すなわち、制御部200Dは、ステップS26の後、パラメーターテーブル510Dから、目標エネルギー指示値530に合致するエネルギー指示値512と、適用繰り返し周波数536に合致する繰り返し周波数516Bと、適用立ち上がり周波数538に合致する立ち上がり周波数518との3要素の組み合わせに対応づけられている電圧振幅514を読み出して、適用電圧振幅534を設定する(ステップS36)。
また、制御部200Dは、ステップS42の後、フラットパネルディスプレイ86の主ジェットエネルギー表示部861、繰り返し周波数表示部862、パワー表示部863、立ち上がり周波数表示部864の表示を更新する。また、変動率テーブル550を参照して、適用繰り返し周波数536に合致する繰り返し周波数551と、適用立ち上がり周波数538に合致する立ち上がり周波数552と、適用電圧振幅534に合致する電圧振幅553との3要素の組み合わせに対応づけられているエネルギー変動率557を読み出して、エネルギー変動率表示部865の表示を更新する(ステップS48)。
以上、本実施形態によれば、駆動電圧波形の制御パラメーターの値を決定・固定した後から切削態様(R値;変曲点位置)を変更する構成であっても、第3実施形態と同様の効果が得られる。また、この場合、切削態様の変更によりどれだけ主ジェットのエネルギーが変わっているかをユーザーに報せることができる。
〔第5実施形態〕
次に本発明を適用した第5実施形態について説明する。
本実施形態は、基本的には第1実施形態と同様に実現される。ただし、第1実施形態では、駆動電圧波形の制御パラメーターの値(繰り返し周波数Fp、立ち上がり周波数Fpr、電圧振幅Vm)を設定する際、切削量を変えないようにするために主ジェット3のエネルギーEを保つことに着目したが、本実施形態では主ジェット3の運動量Pに着目して決定する点が異なる。なお、以降では第1実施形態との差異について主に述べることとし、第1実施形態と同様の構成要素については同じ符号を付与して、重複する説明を省略するものとする。
次に本発明を適用した第5実施形態について説明する。
本実施形態は、基本的には第1実施形態と同様に実現される。ただし、第1実施形態では、駆動電圧波形の制御パラメーターの値(繰り返し周波数Fp、立ち上がり周波数Fpr、電圧振幅Vm)を設定する際、切削量を変えないようにするために主ジェット3のエネルギーEを保つことに着目したが、本実施形態では主ジェット3の運動量Pに着目して決定する点が異なる。なお、以降では第1実施形態との差異について主に述べることとし、第1実施形態と同様の構成要素については同じ符号を付与して、重複する説明を省略するものとする。
図52は、第1実施形態の図29に相当するグラフであって、所定の繰り返し周波数(例えば「F51」と表記する)で得られた主ジェット3の運動量Pと、立ち上がり周波数Fpr及び電圧振幅Vmとの対応関係のシミュレーション結果を示す図である。
すなわち、図27〜図28を参照して説明した要領で繰り返し周波数Fpを変えながら、各々の繰り返し周波数Fp毎に、図23〜図24を参照して説明した要領で電圧振幅Vmを固定し立ち上がり周波数Fprを変えた場合のシミュレーションと、図25〜図26を参照して説明した要領で立ち上がり周波数Fprを固定し電圧振幅Vmを変えた場合のシミュレーションとを行った。そして、各シミュレーションで得られた主ジェットの運動量Pを求めた。
すなわち、図27〜図28を参照して説明した要領で繰り返し周波数Fpを変えながら、各々の繰り返し周波数Fp毎に、図23〜図24を参照して説明した要領で電圧振幅Vmを固定し立ち上がり周波数Fprを変えた場合のシミュレーションと、図25〜図26を参照して説明した要領で立ち上がり周波数Fprを固定し電圧振幅Vmを変えた場合のシミュレーションとを行った。そして、各シミュレーションで得られた主ジェットの運動量Pを求めた。
図52は、縦軸を立ち上がり周波数Fprとし、横軸を電圧振幅Vmとする座標空間に運動量Pに関する等高線を描くことにより得られた。各等高線の運動量P51,P52,…は、左下が低く右上に向かうほど所定量ずつ大きくなっている。なお、図示しないが、別の繰り返し周波数Fpで得られた運動量Pを同様の座標空間にプロットして等高線を描けば、その繰り返し周波数Fpでの運動量Pと、立ち上がり周波数Fpr及び電圧振幅Vmとの対応関係に応じた等高線図が得られる。
ここで、注目すべきなのは、各座標軸方向のパラメーターに対して、運動量Pは線形的に変化しないことである。
例えば、運動量Pと、立ち上がり周波数Fpr及び電圧振幅Vmとの対応関係において、立ち上がり周波数Fprを固定(例えばf5)とし電圧振幅Vmを可変として圧電素子45の駆動電圧波形を制御する場合を考える。
例えば、運動量Pと、立ち上がり周波数Fpr及び電圧振幅Vmとの対応関係において、立ち上がり周波数Fprを固定(例えばf5)とし電圧振幅Vmを可変として圧電素子45の駆動電圧波形を制御する場合を考える。
切削体積を変えないようにするために運動量Pの変化量を一定にしようとすると、運動量P51〜P52間は電圧振幅V51〜V52間の電圧振幅変化が必要となり、運動量P52〜P53間は電圧振幅V52〜V53間の電圧振幅変化が必要となる。しかし、電圧振幅V51〜V52の電圧振幅間隔と、電圧振幅V52〜V53の電圧振幅間隔とは異なる。この現象は運動量Pが大きくなるに従って顕著に表れる。
したがって、切削体積を変えないようにするためには、立ち上がり周波数Fprを固定とし電圧振幅Vmを一定量ずつ変化させる制御では不適切である。逆に、電圧振幅Vmを固定とし、立ち上がり周波数Fprを一定量ずつ変化させる制御でも不適切である。
そこで、本実施形態では、ユーザーが行う操作として、少なくとも運動量Pの設定操作を受け付けることとし、繰り返し周波数Fp毎に得られた等高線図に従い、繰り返し周波数Fp毎の運動量Pと、立ち上がり周波数Fpr及び電圧振幅Vmとの対応関係を予めテーブルデータとして用意しておく。
そして、当該テーブルデータから、ユーザーにより設定操作された運動量Pを実現することのできる各制御パラメーターの値(繰り返し周波数Fp、立ち上がり周波数Fpr、電圧振幅Vm)の組み合わせを決定して圧電素子45の駆動を制御する。これにより、切削体積を変えずに「狭く深く」から「広く浅く」までの切削態様の調整を実現する。
図53は、本実施形態における液体噴射制御装置70の操作パネル80の構成例を示す図である。本実施形態の操作パネル80Eは、基本的には第1実施形態のそれと同様の構成を有するが、本実施形態のジェット設定操作部85Eでは、エネルギーダイヤル851に代えて運動量ダイヤル856を有する。
運動量ダイヤル856は、主ジェットの運動量Pの指示値の入力、つまりは主ジェットの強弱の設定を受け付ける操作部である。例えば「1」〜「5」の目盛りが付された5段階のダイヤル位置が選択可能に構成されている。各ダイヤル位置には、例えば、対応する目盛りの数値に比例して一定量ずつ大きくなるように予め運動量指示値が割り当てられている。ユーザーは、当該ダイヤルの位置を切り替えることによって、主ジェット3の強弱を操作することができる。なお、ダイヤル位置の段階数は5段階に限定されるものではなく、「大」「中」「小」の3段階としたり、無段階の調整を可能とする等、適宜設定してよい。
また、本実施形態のフラットパネルディスプレイ86では、パルス液体ジェットに係る各種情報として、繰り返し周波数862の他に、主ジェットエネルギー表示部861に代えて主ジェット運動量表示部866を含み、パワー表示部863に代えて単位時間当たり運動量表示部867を含む。
主ジェット運動量表示部866は、パルス1個分の主ジェットの運動量[μNs]を表示する。
単位時間当たり運動量表示部867は、主ジェット運動量表示部866で表示される運動量に繰り返し周波数表示部862で表示される周波数を乗じた単位時間当たりの運動量[mN]を表示する。
単位時間当たり運動量表示部867は、主ジェット運動量表示部866で表示される運動量に繰り返し周波数表示部862で表示される周波数を乗じた単位時間当たりの運動量[mN]を表示する。
図54は、本実施形態の液体噴射制御装置70Eの機能構成例を示す機能ブロック図である。
液体噴射制御装置70Eは、基本的には第1実施形態の液体噴射制御装置70と同様の機能構成を有するが、本実施形態の制御部200Eの圧電素子制御部210Eはエネルギー変更制御部212に代えて運動量変更制御部213を有する。
液体噴射制御装置70Eは、基本的には第1実施形態の液体噴射制御装置70と同様の機能構成を有するが、本実施形態の制御部200Eの圧電素子制御部210Eはエネルギー変更制御部212に代えて運動量変更制御部213を有する。
運動量変更制御部213は、ユーザーによる運動量設定操作に応じて1パルス分の主ジェットの運動量Pを変更させる。本実施形態では、記憶部500に記憶されているパラメーターテーブル510Eを参照して、運動量ダイヤル856のダイヤル位置に対応づけられている繰り返し周波数Fpと、立ち上がり周波数Fprと、電圧振幅Vmとの組み合わせを決定する。そして繰り返し周波数Fp及び立ち上がり周波数Fprから、それぞれ繰り返し周期Tp及び立ち上がり時間Tprを決定する。
また、本実施形態の表示制御部240は、主ジェットエネルギー表示部861に代えて主ジェット運動量表示部866を表示させ、パワー表示部863に代えて単位時間当たり運動量表示部867を表示させることができる。
また、本実施形態の記憶部500は、パラメーターテーブル510に代えてパラメーターテーブル510Eを記憶し、目標エネルギー指示値530に代えて目標運動量指示値531を記憶する。
図55は、本実施形態のパラメーターテーブル510Eのデータ構成例を示す図である。パラメーターテーブル510Eは、基本的には第1実施形態のパラメーターテーブル510と同様であるが、エネルギーダイヤル位置511に代えて運動量ダイヤル位置520を格納し、エネルギー指示値512に代えて運動量指示値521を格納する。
図56は、本実施形態の制御部200Eによる処理の流れを説明するためのフローチャートである。本実施形態における処理の流れは、基本的には第1実施形態の処理の流れと同様であるが、ステップS20に代えてステップS21を実行し、ステップS30に代えてステップS31を実行し、ステップS44に代えてステップS50を実行する。
すなわち、制御部200Eは、ステップS10でYESと判定された後、運動量ダイヤル856のダイヤル位置に応じて目標運動量指示値531を設定する(ステップS21)。
また、制御部200Eは、ステップS22の後、パラメーターテーブル510Eから、目標運動量指示値531と適用R値532との組み合わせに対応づけられている電圧振幅514と、繰り返し周波数516と、立ち上がり周波数518とを読み出して、それぞれ適用電圧振幅534、適用繰り返し周波数536、適用立ち上がり周波数538に設定する(ステップS31)。
また、制御部200Eは、ステップS42の後、フラットパネルディスプレイ86における主ジェット運動量表示部866と、繰り返し周波数表示部862と、単位時間当たり運動量表示部867との表示を更新する(ステップS50)。
以上、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
〔第6実施形態〕
次に本発明を適用した第6実施形態について説明する。
本実施形態は、基本的には第5実施形態と同様に実現されるが、ユーザーが繰り返し周波数Fpを変更できる点が異なる。なお、以降では第5実施形態との差異について主に述べることとし、第1〜第5実施形態と同様の構成要素については同じ符号を付与して、重複する説明を省略するものとする。
次に本発明を適用した第6実施形態について説明する。
本実施形態は、基本的には第5実施形態と同様に実現されるが、ユーザーが繰り返し周波数Fpを変更できる点が異なる。なお、以降では第5実施形態との差異について主に述べることとし、第1〜第5実施形態と同様の構成要素については同じ符号を付与して、重複する説明を省略するものとする。
図57は、本実施形態における操作パネル80Fの構成例を示す図である。操作パネル80Fは、基本的には第5実施形態のそれと同様であるが、ジェット設定操作部85Fに繰り返し周波数ダイヤル853を備える。
図58は、本実施形態の液体噴射制御装置70Fの機能構成例を示す機能ブロック図である。液体噴射制御装置70Fは、基本的には第5実施形態の液体噴射制御装置70Eと同様の機能構成を有するが、本実施形態の制御部200Fは、圧電素子制御部210Fが繰り返し周波数変更制御部216を有する。また、記憶部500が、パラメーターテーブル510Fを有する。
図59は、本実施形態のパラメーターテーブル510Fのデータ構成例を示す図である。パラメーターテーブル510Fは、運動量ダイヤル位置520毎(運動量指示値521毎)に5種類の繰り返し周波数ダイヤル位置515と繰り返し周波数516Bとが対応づけられている。そして、運動量ダイヤル位置520(運動量指示値521)と、繰り返し周波数ダイヤル位置515(繰り返し周波数516B)との2要素の組み合わせ毎に、5種類の切削タイプダイヤル位置513と、電圧振幅514と、立ち上がり周波数518とが対応付けて格納されている。
本実施形態の電圧振幅514及び立ち上がり周波数518は、対応する繰り返し周波数516Bと組み合わせることで、対応する運動量指示値521を実現することができる。具体的には、図52と同様のグラフを繰り返し周波数516B毎に用意して、運動量指示値521の等高線との交点から読み取って設定すればよい。
図60は、本実施形態の制御部200Fによる処理の流れを説明するためのフローチャートである。本実施形態における処理の流れは、基本的には第5実施形態の処理の流れと同様であるが、ステップS22に次いでステップS24(図42参照)を実行し、ステップS31に代えてステップS33を実行する。
ステップS33では、制御部200Eは、パラメーターテーブル510Fから、目標運動量指示値531と適用R値532と適用繰り返し周波数536との3要素の組み合わせに対応づけられている、電圧振幅514と、立ち上がり周波数518とを読み出して、それぞれ適用電圧振幅534、適用立ち上がり周波数538に設定する(ステップS33)。
以上、本実施形態によれば、第5実施形態と同様の効果が得られる。加えて、ユーザーが繰り返し周波数を変更できるようになる。
〔第7実施形態〕
次に本発明を適用した第7実施形態について説明する。
本実施形態は、基本的には第6実施形態と同様に実現されるが、ユーザーが更に立ち上がり周波数Fprを変更できる点が異なる。なお、以降では第6実施形態との差異について主に述べることとし、第1〜第6実施形態と同様の構成要素については同じ符号を付与して、重複する説明を省略するものとする。
次に本発明を適用した第7実施形態について説明する。
本実施形態は、基本的には第6実施形態と同様に実現されるが、ユーザーが更に立ち上がり周波数Fprを変更できる点が異なる。なお、以降では第6実施形態との差異について主に述べることとし、第1〜第6実施形態と同様の構成要素については同じ符号を付与して、重複する説明を省略するものとする。
図61は、本実施形態における操作パネル80Gの構成例を示す図である。操作パネル80Gは、基本的には第6実施形態のそれと同様であるが、本実施形態のジェット設定操作部85Gに立ち上がり周波数Fprを設定するための立ち上がり周波数ダイヤル854を備え、フラットパネルディスプレイ86に立ち上がり周波数表示部864を含む。
図62は、本実施形態の液体噴射制御装置70Gの機能構成例を示す機能ブロック図である。液体噴射制御装置70Gは、基本的には第6実施形態の液体噴射制御装置70Fと同様の機能構成を有するが、本実施形態の制御部200Gは、圧電素子制御部210Gが立ち上がり周波数変更制御部218を有する。また、本実施形態の表示制御部240は、フラットパネルディスプレイ86に立ち上がり周波数表示部864を表示させることができる。また、記憶部500は、パラメーターテーブル510Gを有する。
図63は、本実施形態のパラメーターテーブル510Gのデータ構成例を示す図である。パラメーターテーブル510Gは、運動量指示値521と繰り返し周波数516Bとの2要素の組み合わせ毎に、5種類の立ち上がり周波数ダイヤル位置517及びこれに対応する立ち上がり周波数518Cが対応付けて格納する。そして、運動量指示値521と繰り返し周波数516Bと立ち上がり周波数518Cとの3要素の組み合わせ毎に、5種類の切削タイプダイヤル位置513と電圧振幅514とを対応づけて格納する。
本実施形態の電圧振幅514は、運動量指示値521と、繰り返し周波数516Bと、立ち上がり周波数518Cとを組み合わせて駆動電圧を制御することで、対応する運動量指示値521を実現することができる。これらの値を設定する際には、例えば図52と同様のグラフを繰り返し周波数516B毎に用意して、運動量指示値521の等高線との交点から読み取って設定すればよい。
図64は、本実施形態の制御部200Gによる処理の流れを説明するためのフローチャートである。本実施形態における処理の流れは、基本的には第6実施形態の処理の流れと同様であるが、ステップS24に次いでステップS26(図46参照)を実行し、ステップS33に代えてステップS35を実行し、ステップS50に代えてステップS52を実行する。
ステップS35では、制御部200Eは、パラメーターテーブル510Fから、目標運動量指示値531と適用R値532と適用繰り返し周波数536と適用立ち上がり周波数538との4要素の組み合わせに適合する電圧振幅514を読み出して、適用電圧振幅534に設定する(ステップS35)。
また、ステップS52では、制御部200Eは、フラットパネルディスプレイ86に、主ジェット運動量表示部866、繰り返し周波数表示部862、単位時間当たり運動量表示部867、立ち上がり周波数表示部864の表示を更新する(ステップS52)。
以上、本実施形態によれば、第6実施形態と同様の効果が得られる。加えて、ユーザーが立ち上がり周波数を変更できるようになる。
〔第8実施形態〕
次に本発明を適用した第8実施形態について説明する。
本実施形態は、基本的には第7実施形態と同様に実現される。なお、以降では第7実施形態との差異について主に述べることとし、第1〜第7実施形態と同様の構成要素については同じ符号を付与して、重複する説明を省略するものとする。
次に本発明を適用した第8実施形態について説明する。
本実施形態は、基本的には第7実施形態と同様に実現される。なお、以降では第7実施形態との差異について主に述べることとし、第1〜第7実施形態と同様の構成要素については同じ符号を付与して、重複する説明を省略するものとする。
図65は、本実施形態における操作パネル80Hの構成例を示す図である。操作パネル80Hは、基本的には第7実施形態のそれと同様であるが、フラットパネルディスプレイ86にて、運動量変動率表示部869が含まれる。
運動量変動率表示部869は、運動量P、繰り返し周波数Fp、立ち上がり周波数Fprの設定値をそのままに、R値を所定の基準値(立ち上がり部分の変曲点の基準位置)から変化させた場合の運動量Pの変動率を表示する。
図66は、本実施形態の液体噴射制御装置70Hの機能構成例を示す機能ブロック図である。液体噴射制御装置70Hは、基本的には第7実施形態の液体噴射制御装置70Gと同様の機能構成を有するが、本実施形態の表示制御部240は運動量変動率表示部869の表示を制御することができる。また、本実施形態の記憶部500は、パラメーターテーブル510Hと、変動率テーブル550Hとを記憶する。
図67は、本実施形態のパラメーターテーブル510Hのデータ構成例を示す図である。パラメーターテーブル510Hは、基本的には第7実施形態のパラメーターテーブル510Gと同様であるが、切削タイプダイヤル位置513が含まれていない。つまり、繰り返し周波数Fp、立ち上がり周波数Fpr、電圧振幅Vmの3要素の組み合わせで運動量指示値521を実現するように決定される。
図68は、本実施形態の変動率テーブル550Hのデータ構成例を示す図である。変動率テーブル550Hは、繰り返し周波数551と、立ち上がり周波数552と、電圧振幅553との3要素の組み合わせ毎に、5段階の切削タイプダイヤル位置554(切削タイプダイヤル位置513と同様)と、当該段階毎の主ジェット運動量560と、運動量変動率561とを格納する。
主ジェット運動量560は、対応する繰り返し周波数551と立ち上がり周波数552と電圧振幅553との3要素から決まる主ジェット3の運動量である。シミュレーションにより予め求めることができる。
運動量変動率561は、R=0.5の主ジェット運動量560を基準とした場合の切削タイプダイヤル位置554別の主ジェット運動量560の比率である。なお、基準はR=0.5に限らず他のR値でもよい。
図69は、本実施形態の制御部200Hによる処理の流れを説明するためのフローチャートである。本実施形態における処理の流れは、基本的には第7実施形態の処理の流れと同様であるが、ステップS35に代えてステップS37を実行し、ステップS52に代えてステップS54を実行する。
すなわち、制御部200Hは、ステップS26の後、パラメーターテーブル510Hから、目標運動量指示値531に合致する運動量指示値521と、適用繰り返し周波数536に合致する繰り返し周波数516Bと、適用立ち上がり周波数538に合致する立ち上がり周波数518Cとの3要素の組み合わせに対応づけられている電圧振幅514を読み出して、適用電圧振幅534を設定する(ステップS37)。
また、制御部200Hは、ステップS42の後、フラットパネルディスプレイ86の主ジェット運動量表示部866、繰り返し周波数表示部862、単位時間当たり運動量表示部867、立ち上がり周波数表示部864、運動量変動率表示部869の表示を更新する(ステップS54)。
運動量変動率表示部869の表示の更新に当たっては、変動率テーブル550Hを参照して、適用繰り返し周波数536に合致する繰り返し周波数551と、適用立ち上がり周波数538に合致する立ち上がり周波数552と、適用電圧振幅534に合致する電圧振幅553との3要素の組み合わせに対応づけられている運動量変動率561を読み出して、運動量変動率表示部865の表示を更新する。
運動量変動率表示部869の表示の更新に当たっては、変動率テーブル550Hを参照して、適用繰り返し周波数536に合致する繰り返し周波数551と、適用立ち上がり周波数538に合致する立ち上がり周波数552と、適用電圧振幅534に合致する電圧振幅553との3要素の組み合わせに対応づけられている運動量変動率561を読み出して、運動量変動率表示部865の表示を更新する。
以上、本実施形態によれば、駆動電圧波形の制御パラメーターの値を決定・固定した後から切削態様(R値;変曲点位置)を変更する構成であっても、第7実施形態と同様の効果が得られる。また、この場合、切削態様の変更によりどれだけ主ジェットの運動量が変わっているかをユーザーに報せることができる。
〔変形例〕
以上、本発明を適用した実施形態について説明したが、本発明の形態はこれらに限定されるものではなく、適宜構成要素の追加・省略・変更を行うことができる。
以上、本発明を適用した実施形態について説明したが、本発明の形態はこれらに限定されるものではなく、適宜構成要素の追加・省略・変更を行うことができる。
例えば、上記実施形態では、エネルギーダイヤル851や、切削タイプダイヤル858、繰り返し周波数ダイヤル853、立ち上がり周波数ダイヤル854、運動量ダイヤル856を、段階的な切り換えが行われるクリック式ダイヤルとして例示したが、ボリューム式のダイヤルとして構成してもよい。つまり、これらの各ダイヤルに割り当てられているパラメーター値を無段階に設定操作可能な構成としてもよい。具体的には、エネルギーダイヤル851を例に挙げると、目盛り間のダイヤル位置が選択された場合には、前後の目盛りのダイヤル位置と対応付けられたエネルギー指示値512を読み出して線形補間や多項式補間等により補間し、現在の選択されたダイヤル位置に対応したエネルギー指示値を特定するとしてもよい。
また、上記の実施形態では、式(18)好ましくは式(19)(具体的には式(21)又は式(23)など)によって駆動電圧波形を生成するとしたが、取り得る駆動電圧波形の波形データを予め用意しておいて、ユーザーにより選択されたパラメーター値に適合する波形データを読み出して再生するとしてもよい。具体的には、第1実施形態であれば、目標エネルギー指示値530と適用R値532との2つの組み合わせ毎に1周期分の基本駆動電圧波形を予め生成し、当該組合せに対応付けた波形データとして記憶部500に用意しておく構成も可能である。第2実施形態であれば、目標エネルギー指示値530と適用R値532と適用繰り返し周波数536との3つの組み合わせ毎に波形データを用意すればよい。
また、上記の実施形態におけるR値に代えて、Tr/T値(図4参照;主ジェット流速波形における継続時間Tに対する流速立ち上がり時間Trの比)を「主ジェット流速立ち上がり時間位置指標R*」として用いるとしてもよい。
当該構成とする場合には、別途、R値とR*値(Tr/T)との対応関係を定めたテーブルデータを用意して記憶部500に記憶させておく。そして、適用R値532を算出する処理ステップでは、当該テーブルデータに基づいてR*値からR値を換算して設定すればよい。
当該構成とする場合には、別途、R値とR*値(Tr/T)との対応関係を定めたテーブルデータを用意して記憶部500に記憶させておく。そして、適用R値532を算出する処理ステップでは、当該テーブルデータに基づいてR*値からR値を換算して設定すればよい。
1…液体噴射システム、3…主ジェット、10…容器、20…送液ポンプ、30…液体噴射装置、40…パルス流発生部、41…第1ケース、42…第2ケース、43…第3ケース、44…圧力室、45…圧電素子、46…ダイアフラム、50…噴射管、60…ノズル、61…液体噴射開口部、70…液体噴射制御装置、80…操作パネル、81…主電源スイッチ、82…ポンプスイッチ、83…ジェット噴射スイッチ、85…ジェット設定操作部、86…フラットパネルディスプレイ、88…噴射ペダル、91…接続チューブ、93…接続チューブ、100…操作入力部、200…制御部、210…圧電素子制御部、212…エネルギー変更制御部、213…運動量変更制御部、214…切削態様変更制御部、216…繰り返し周波数変更制御部、218…立ち上がり周波数変更制御部、230…ポンプ制御部、240…表示制御部、300…表示部、411…凹部、413…入口流路、415…出口流路、500…記憶部、501…システムプログラム、502…制御プログラム、510…パラメーターテーブル、511…エネルギーダイヤル位置、512…エネルギー指示値、513…切削タイプダイヤル位置、514…電圧振幅、515…繰り返し周波数ダイヤル位置、516…繰り返し周波数、517…立ち上がり周波数ダイヤル位置、518…立ち上がり周波数、520…運動量ダイヤル位置、521…運動量指示値、530…目標エネルギー指示値、531…目標運動量指示値、532…適用R値、534…適用電圧振幅、536…適用繰り返し周波数、538…適用立ち上がり周波数、540…適用繰り返し周期、542…適用立ち上がり時間、550…変動率テーブル、551…繰り返し周波数、552…立ち上がり周波数、553…電圧振幅、554…切削タイプダイヤル位置、556…主ジェットエネルギー、557…エネルギー変動率、560…主ジェット運動量、561…運動量変動率、851…エネルギーダイヤル、853…繰り返し周波数ダイヤル、854…立ち上がり周波数ダイヤル、856…運動量ダイヤル、858…切削タイプダイヤル、861…主ジェットエネルギー表示部、862…繰り返し周波数表示部、863…パワー表示部、864…立ち上がり周波数表示部、865…エネルギー変動率表示部、866…主ジェット運動量表示部、867…単位時間当たり運動量表示部、869…運動量変動率表示部、L1…駆動電圧波形、L3…流速
Claims (9)
- 圧電素子に印加する駆動電圧波形を制御することでパルス液体ジェットの噴射を制御する液体噴射制御装置であって、
前記駆動電圧波形の立ち上がり部分における変曲点の位置を設定するための指標値の入力を受け付ける第1の操作部と、
前記指標値に応じて前記駆動電圧波形の立ち上がり部分の変曲点の位置を設定することで前記駆動電圧波形を変更制御する制御部と、
を備える液体噴射制御装置。 - 前記制御部は、前記立ち上がり部分のうち、立ち上がり開始点と最大電圧とを結ぶ線分に沿って前記変曲点を移動させることで、前記指標値に応じた前記変曲点の位置の設定を行う、
請求項1に記載の液体噴射制御装置。 - 前記パルス液体ジェットの運動量又は運動エネルギーの指示値の入力を受け付ける第2の操作部を更に備え、
前記制御部は、前記指標値に応じて前記変曲点の位置を設定するとともに、前記指示値となるように前記駆動電圧波形を変更制御する、
請求項1又は2に記載の液体噴射制御装置。 - 前記制御部は、前記指示値となるように前記駆動電圧波形の振幅を制御する、
請求項3に記載の液体噴射制御装置。 - 前記制御部は、前記指示値となるように前記駆動電圧波形の立ち上がりに係る時間、立ち上がり周波数、及び繰り返し周波数のうちの何れかを制御する、
請求項3又は4に記載の液体噴射制御装置。 - 運動量が2nNs(ナノニュートン秒)以上2mNs(ミリニュートン秒)以下、又は運動エネルギーが2nJ(ナノジュール)以上200mJ(ミリジュール)以下の前記パルス液体ジェットの噴射制御を行う、
請求項1〜5の何れか一項に記載の液体噴射制御装置。 - 生体組織を切削するための前記パルス液体ジェットの噴射制御を行う、
請求項1〜6の何れか一項に記載の液体噴射制御装置。 - 請求項1〜7の何れか一項に記載の液体噴射制御装置と、前記パルス液体ジェットを噴射する液体噴射装置と、前記液体噴射装置に送液する送液ポンプとを具備した液体噴射システム。
- 圧電素子に印加する駆動電圧波形を制御することでパルス液体ジェットの噴射を制御する制御方法であって、
前記駆動電圧波形の立ち上がり部分における変曲点の位置を設定するための指標値の入力を受け付けることと、
前記指標値に応じて前記駆動電圧波形の立ち上がり部分の変曲点の位置を設定することで前記駆動電圧波形を変更制御することと、
を含む制御方法。
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