JP2017053654A - 化学物質感応性センサ及び該センサを使用する計測方法 - Google Patents

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Akinobu Teramoto
章伸 寺本
智之 諏訪
Tomoyuki Suwa
智之 諏訪
渡辺 浩志
Hiroshi Watanabe
浩志 渡辺
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Abstract

【課題】高効率で手間暇なく正確に検出・検知する標的(化学)物質を検出できる化学物質感応性センサ及び該センサを使用する計測方法並びにその関連技術を提供する。
【解決手段】蓄積(Accumulation)型トランンジスタのゲート領域に対向して化学反応を利用して化学物質に感応するのに利用される表面を有する電気的絶縁層を設けた化学物質感応性センサデバイス1000である。絶縁層1004の半導体領域1005との界面が、ゲート絶縁膜1008と半導体領域1005との界面と、n型の半導体領域1005で接続されており、絶縁膜1004表面での電位がゲート絶縁膜1008に直接伝わるためである。
【選択図】図1

Description

本発明は、化学物質感応性センサ及び該センサを使用する計測方法並びにその関連技術に関するものである。
溶液中の化学物質(非生体物質、生体物質)の検出・検知の方法は、環境汚染物質・生体汚染物質(以後、これらを総称で「環境汚染物質」と記すこともある)や感染性ウイルスの検出・検知の方法として重要視されてきている。
非生体物質である環境汚染物質としては、近年、ダイオキシン類、内分泌攪乱化学物質(所謂、環境ホルモン)、残留性有機汚染物質(POPs:Persistent Organic Pollutants)といった化学物質がクロ−ズアップされている。
これらは、これまで検出出来なかった微量レベルで健康影響や生体影響が懸念されているものや、地球規模での汚染防止を考える必要がある物質であり、これまでの環境分析の枠にとどまらないアプローチが重要となっており微量汚染化学物質に関する要求は定量レベル、データの信頼性ともに益々高まっている。
生体物質の一種である感染性ウイルスとしては、新型インフルエンザ、エボラ出血熱、SARS(Severe
Acute Respiratory Syndrome)、MERS(Middle East
respiratory syndrome)等が挙げられる。これ等のウイルス性感染症は、近年、世界的規模の広がりが危惧されている。
そのため、これ等を空港等の水際で検知して感染の国際的広がりを防止することや、発生地域での更なる感染拡大を防止することは国際的急務になっている。
上記の課題の解決法の一つとして、半導体技術を応用する技術がある(特許文献1〜8、非特許文献1〜3)。
これらの文献に記載の方法は、イオン感知性電界効果トランジスタ(ISFET:Ion sensitive field effective transistor)等の電界効果トランジスタ(FET)を利用し、該電界効果トランジスタのゲート絶縁膜表面を所定の化学物質の検出・検知或いは認識に利用するものである。
ゲート絶縁膜の表面は、シランカップリング剤などの介在物質を必要に応じて介在させて、化学物質を検出・検知する若しくは標的物質・標的分子(以後、「標的(ターゲット)物質」と総称して記すこともある」)を認識する抗体等の化学物質・分子(以後、これらを総称して「認識物質」と記す場合がある)で部分的若しくは全面に被われている。これらの文献では、この認識物質により標的物質を認識若しくは検出・検知することに基づいて、標的物質を定量したり、標的物質が含有される被測定溶液のpH若しくはプロトン濃度等を算出したりする。
この認識若しくは検出・検知は、認識物質と標的物質との間でのハイブリダイゼーション等の相互作用若しくは化学反応に起因するFETのゲート電位の変化に伴うドレイン電流等を測定することでなされる。
具体的には、例えば、特許文献1では、前記のハイブリダイゼーションの際に生ずるゲート絶縁膜の表面電荷密度の変化を、電界効果を利用して検知することでなされる。
特許文献2では、前記のハイブリダイゼーションした時に生じるドレイン電流(I)vsドレイン電圧(V)の飽和電流値の変化を検知することでなされる。その際、ドレイン電流が流れ始める閾値電圧の確認のためにゲート・ソースバイアス、ドレイン・ソースバイアスを変動させる。
特許文献7は、Si/SiOゲート絶縁膜上にRF(Radio frequency)反応性スパッタリング法で作成したTa膜を有するISFETを用いて、溶液中の水素イオンとTa膜との反応に起因する電気化学的電位差を測定して、該溶液中の水素イオン濃度或いはpH値を算出すものである。
再表2003−052097A1公報 再表2005−090961A1公報 特開2003−329638A1 特開2003−322633A1 特開2004−4007A1 特開平06−9698A1 特開平05−107224A1
「高移動度ZnO/ZnMgO電界効果トランジスタとバイオセンサー応用」小池一歩 応用物理第77巻第3号(2008)、pp.296-300 「Ion-Sensitive Characteristics of anElectrolyte-Solution-Gate ZnO/ZnMgO Heterojunction Field-Effect Transistor as aBiosensing Transducer」Kazuto KOIKE et al., Japanese Journal of AppliedPhysics Vol. 46, No. 36, 2007, pp. L865−L867 「Enzymemonolayer-functionalized field-effect transistors for biosensor applications」Andrei B. Kharitonov et al.,Sensors and Actuators B 70 ,2000,.pp.222−231
しかしながら、上記先行技術の何れもが、FETのゲート絶縁膜の表面を所定の化学物質の検出・検知或いは認識に利用するものであるので、センサの外部制御に制限があり感度などの点でより適切な適応が難しい若しくは出来ない場合がある。
例えば、血液などの被測定溶液中の抗原を、被測定溶液を所定の時間間隔を置いて数回採取して定量する場合、採取ごとに被測定溶液のpHが変化していると、採取ごとに抗原の量測定の算出基準の精度が変動してしまうため、正確な量測定が難しい。
また、算出基準精度を一定にして正確な量測定を行うようにするためには、特許文献2のようにドレイン電流が流れ始める閾値電圧の確認を測定ごとに行う必要がある。そのためにゲート・ソースバイアス、ドレイン・ソースバイアスを変動させて確認をとるという複数の変動パラメータによる確認であるので、手間暇と熟練を要する面倒さがあった。
更に、従来では、単一のセンサをどれだけ高感度化するか、高精度化するかに重きが置かれ微小化の努力はそれほどされてなく、微小化と高感度化の両立は実用化レベルでは未だなされてない。
しかも、従来のセンサは、比較的大きいので、少ない数のウイルスを検知しようとすると、ウイルスが抗原抗体反応を起こして発生する電荷量変化が起きている検知面積が、電荷量変化が起きてない面積に比べて小さいためにセンサの感度は十分でなく微量のウイルスを検知するには不向きであった。
又、従来においての化合物半導体を用いてセンサの例では、単体のトランジスタレベルでは比較的良好な感度を持っていることが証明されているが、微細化による高感度化や集積化による高速化は難しいといわれている。
本発明は、上記点に鑑み鋭意検討・試作・考察を繰り返すことにより成されたものである。
その目的の一つは、高効率で手間暇なく正確に検出・検知する化学物質や標的物質(以後両者を示す若しくはいずれか一方を示す意味で「標的化学物質」ということがある)を検出・検知若しくは認識(以後、これらのいずれか少なくとも一つの意味として「検出」と記す場合がある)できる化学物質感応性センサ及び該センサを使用する計測方法並びにその関連技術を提供することである。
本発明の別の目的は、「標的化学物質」を精度よく確実に検出できる化学物質感応性センサ及び該センサを使用する計測方法を提供することである。
本発明の更に別な目的は、高効率で手間暇なく且つ精度よく確実に「標的化学物質」を検出できる化学物質検出用のセンサ及び該センサを使用する化学物質の検出方法を提供することである。
本発明の更にもう一つの目的は、「標的化学物質」が含まれる被検出体(以後、「検体」と記す場合がある)の母体環境が検出中に変化しても簡便な手法で精度よく「標的化学物質」を検出できる化学物質検出用のセンサ及び該センサを使用する化学物質の検出方法を並びにその関連技術を提供することである。
本発明のもう一つ別の目的は、簡易な構成と手段で微量の「標的化学物質」であっても確実に精度よく検知できる高感度のセンサユニット及びそのユニットを使用する化学物質の検出方法を提供することである。
本発明の一つの側面は、
対向している第一の主面と第二の主面を有する第一の半導体層、
前記第一の半導体層中にソース・ドレイン電流を形成すべく設けたソース領域部とドレイン領域部、
前記第一の主面上に設けられているゲート領域部、
該ゲート領域部に対向して前記第二の主面上に設けられ、化学反応を利用して化学物質に感応するのに利用される表面を有する電気絶縁層、
を備えていることを特徴とする化学物質感応性センサ及び該センサを使用する計測方法並びにその関連技術にある。
本発明においては、上記の側面に加えて、以下の付加側面がある。
第一の付加側面は、上記のセンサを使用し、前記ゲート領域の電位を制御することで前記第二の付加側面は、上記載のセンサが複数一体的に集積されている化学物質感応性センサユニットにある。
第三の付加側面は、前記センサユニットにおいて、前記複数のセンサが2次元配置されている化学物質感応性センサユニットにある。
第四の付加側面は、前記2次元配置はX―Yマトリックス平面配置である化学物質感応性センサユニットにある。
第五の付加側面は、前記のセンサユニットを使用し、前記ゲート領域の電位を制御することで前記化学物質に起因する物理量を計測することを特徴とする計測方法にある。
第六の付加側面は、前記化学反応が起こる場が、液体雰囲気である計測方法にある。
第七の付加側面は、前記液体雰囲気が溶液である計測出方法にある。
第八の付加側面は、前記化学物質が生体分子である上記のセンサ、センサユニット及び計測方法並びにその関連技術にある。
本発明における付加側面は、上記の他、以後において明らかにされるように諸々の特徴的な付加側面要件がある。
本発明によれば、その主な効果の一つとして、高効率で手間暇なく正確且つ精度よく標的の「化学物質」を検出できる化学物質感応性センサ及び該センサを使用する計測方法並びにその関連技術を提供することが出来る。
又、別には、「標的化学物質」が含まれる被検出体(以後、「検体」と記す場合がある)の母体環境が検出中に変化しても簡便な手法で精度よく「標的化学物質」を検出できる化学物質検出用のセンサ及び該センサを使用する化学物質の検出方法を並びにその関連技術を提供出来る。
もう一つ別には、本発明によれば、数10nm〜数100nmといわれているウイルスの大きさとほぼ同等の大きさのセンサを多数並べるという簡易な手段で微量の標的化学物質であっても確実に精度よく検知できる高感度のセンサユニット及びそのセンサユニット使用して行う化学物質の検出方法並びにその関連技術を提供することが出来る。
更に別には、測定環境の変化があっても常に最高感度で測定できる化学物質感応性センサ及び該センサを使用する計測方法並びにその関連技術を提供することが出来る。
添付図面は明細書に含まれ、その一部を構成し、本発明の実施の形態を示し、その記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
本発明の好適な実施態様の一つであるセンサデバイスの構成を説明するための模式的構成説明図である。 本発明の好適な実施態様の別の一つであるセンサデバイスの構成を説明するための模式的構成説明図である。 主な各工程でのセンサデバイスの途中の構造を模式的に示す模式的構造図。 図3Aの後の工程におけるセンサデバイスの途中の構造を模式的に示す模式的構造図。 図3Bの後の工程におけるセンサデバイスの途中の構造を模式的に示す模式的構造図。 図3Cの後の工程におけるセンサデバイスの途中の構造を模式的に示す模式的構造図。 図3Dの後の工程におけるセンサデバイスの途中の構造を模式的に示す模式的構造図。 図3Eの後の工程におけるセンサデバイスの途中の構造を模式的に示す模式的構造図。 図4Aは、pHvsID特性を測定するために作成したトランジスタ単体構成のセンサデバイスの概念的構成図。 図4Bは、図4A示すデバイスのPHvsIDのグラフ。
以下に、実施態様例に基づいて本発明を説明するが、以下の実施態様例は、例示の目的のみに提供される。従って、本発明の範囲は、発明の詳細な説明にも下記実施態様にも限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
図1は、本発明に係わるセンサデバイス(或はセンサユニット)の好適な実施態様例の一つの構成の主要部を説明するために模式的に示す模式的構成説明図である。
図1に示すセンサデバイス(或はセンサユニット)1000は、必要に応じて極微小に加工されて得られたなセンサ1001の複数を一次元或は2次元に配列した構造を有する。
センサ1001は、所謂、蓄積型のTFTの構造を有する。
センサ1001はトランジスタエレメント(TE)1002aを備えている。
TE1002aは、蓄積型のTFTであり、半導体層1003の一部の領域を利用して形成されている。即ち、半導体領域1005と、該半導体領域1005の左(紙面に向かって)サイドにはソース領域1006が、右サイド(紙面に向かって)にはドレイン領域1007がそれぞれ半導体領域1005に接触して設けられてある。
半導体層1003は、典型的にはシリコン(Si)半導体で構成され、バルクのシリコン(Si)半導体基板であってもSOI(Silicon on Insulator )基板であっても良い。
半導体領域1005の上面上には、ゲート絶縁層1008が設けられ、その上にはゲート電極1009が設けてある。
半導体領域1005は、典型的には、例えば、n型の半導体不純物を比較的少量含有させたn-型の半導体で構成される。この場合は、ソース領域1006及びドレイン領域1007は、同種のn型の半導体不純物を比較的多量に含有させたn+型の半導体でそれぞれ構成される。
勿論、半導体不純物は、n型の代わりにp型を使用しても差し使えないことは言うまでもない。
Si半導体を使用する場合は、半導体不純物は、ボロン(B)若しくは燐(P)が典型例として挙げられる。
ゲート絶縁層1008は、好ましくは、二酸化シリコン(SiO2)、四窒化シリコン(Si3N4)などの高品質な層が形成出来る電気的絶縁材料で構成される。
ゲート絶縁層1008は、単一層であっても良く、異なる材料で複数層設けても良い。
ゲート電極1009は、好ましくは、ポリシリコン(poly-Si)で構成するのが望ましい。
ゲート電極1009は、外部からの電圧信号をゲート絶縁膜1008に印加するために引き出し電極1010aに電気的に接続されている。
同様に、ソース領域1006、ドレイン領域1007にも、引き出し電極1010b、1010cがそれぞれ接続されている。
引き出し電極は、アルミニウム(Al)などの半導体プロセスに適し容易に設けられる金属で構成されるのが望ましい。
各引き出し電極は、絶縁領域1011a、1011b、1011c、1011d、1012によって電気的に絶縁されている。
センサ1001は、センサエレメント1002の下面に検出エレメント(DE)1002bを備えている。DE1002bは少なくとも電気的絶縁層1004を有する。
図1に示すセンサデバイス1000では、絶縁層1004上には、標的化学物質の一つである、例えば、生体分子と化学反応若しくは相互作用する(以後、両者の意味で「化学反応」と記す場合がある)自由表面を備えた外殻層1013が設けてある。
本発明における「化学反応」とは、一方が他方と何らかの化学反応若しくは単一作用或は相互作用を起こすことを言う。
具体的には、酸化還元反応(電子の移動による反応)、酸塩基反応(プロトン移動による反応)、疎水性相互作用、親水性相互作用、水素結合、ファンデルワース力、イオン性相互作用、非イオン性相互作用、静電的相互作用、ハイブリダイゼーション、リガンド・レセプター相互作用、抗原抗体反応、生体反応、酵素反応、等々があげられる。
外殻層1013は、アブタマー、リガンド、若しくはアゴニスト或は生体分子などの標識(化学)物質が少なくとも主成分である化学材料で構成される。
本発明においては、センサの構造は、後で詳細が述べられるが、図1に示される他、絶縁層1004の上に外殻層1004などが設けられてなく、絶縁層1004が標的化学物質と化学反応をするのに利用される自由表面を有している構造のセンサも本発明のセンサとして提示される。このタイプのセンサの場合は、例えば、絶縁層1004の自由表面に被測定体である溶液を接触させて該溶液のpH、イオンなどを測定或は計測することが出来る。
本発明に係るセンサは、裏面側(絶縁膜1004側)の電圧変化に対して表面側(ゲート絶縁膜1008)と同様の感度を持つ。これは、図1に示すように絶縁層1004の半導体領域1005との界面が、ゲート絶縁膜1008と半導体領域1005との界面と、n型の半導体領域1005で接続されており、絶縁膜1004表面での電位がゲート絶縁膜1008に直接伝わるためである。
更に、ゲート電極1009に印加される電圧を制御することにより、最高感度の動作点で動作させることも出来る。
しかも、半導体に、シリコン(Si)半導体を使用すれば、シリコンの集積回路プロセスをそのまま使え、読み出し回路付きアレイ状センサデバイス(或はセンサユニット)を構成することも容易となる。
本発明において使用されるアプタマーは、特異的に標的物質(標的化学物質)に結合する能力を持ち、大きく分けると核酸(DNA・RNA)アプタマー、ペプチドアプタマーの2種に分類される。
アプタマーの例としては、増殖因子、酵素、受容体、膜タンパク質、ウイルスタンパク質など、さらに金属イオン、低分子量有機化合物、ウイルスなどと結合するものがあげられる。その他、リボザイムと複合化したもの、ターゲット分子存在下で自己開裂するものがあげられる。
核酸アプタマーは抗体に代わる分子認識が可能な生体物質である。
核酸アプタマーは、血流中ではヌクレアーゼや腎臓の働きによりすぐに分解・除去されてしまい、半減期は数分〜数時間と短い。しかし、2'-フッ化ピリミジンやPEG鎖などによる分子修飾により、アプタマーの半減期を1日以上に伸ばすことが可能である。
核酸アプタマーの中には、有機小分子や蛋白質、核酸、細胞、細胞組織、微生物といった様々な目標(標的化学物質)と特異的に結合するものがある。
DNA及びRNAアプタマーの両者とも、様々な分子に対して高い親和性と特異性を示す。その様な分子としては、例えば、リボザイム、トロンビン、ヒト免疫不全症ウイルスtat遺伝子産物 (HIV TAR)、ヘミン、インターフェロンγ、血管内皮増殖因子(VEGF)、前立腺特異抗原 (PSA)、ドーパミン等である。これらの分子に対して、それぞれ固有のRNAアプタマー、DNAアプタマーがある。
ペプチドアプタマーは、細胞内でターゲット分子と他の蛋白質との相互作用を阻害するよう設計された蛋白質である。具体的にはターゲット蛋白質の骨格の両端に、様々な種類のペプチドが結合し環状構造を取るものが多い。2点で結合するという構造的特徴を持つペプチドアプタマーは、抗体と比較して高い結合力を持つことができる。
リガンド(ligand)とは、特定の受容体(レセプター:receptor)に特異的に結合する物質のことである。
リガンドが対象物質と結合する部位(リガンド結合サイト)は決まっており、選択的または特異的に高い親和性を発揮する。リガンドとその結合する対象物質としては、例えば、酵素タンパク質とその基質、ホルモンや神経伝達物質などのシグナル物質とその受容体などがあげられる。
リガンドとして他には、細胞膜上の各種受容体と結合するレクチンなどがあげられる。
リガンドの代わりにはたらく薬物がアゴニストである。
リガンドもアゴニストも受容体に結合して活性化させる。リガンドはその生体内にある物質なのに対し、アゴニストは普通そのリガンドを持つ生体内には無い物質のことを指す。
元々生体内にあるものを「リガンド」、外来のものを「アゴニスト」として厳密に区別する場合もあるが、しばしばこれらは同義語として使われている。
同義語として扱う場合、由来を明確にする時は、「内因性リガンド」、「内在性リガンド」、「外因性リガンド」、「内因性アゴニスト」、「内在性アゴニスト」、「外因性アゴニスト」などのように表現する。
外殻層1013は、化学反応を利用して標的化学物質に感応するのに利用される自由表面を有する。図1のセンサデバイス1000の場合は、この自由表面上で化学反応が起こり標的の化学物質に感応する。
外殻層1013は、絶縁層1004上に直接設けられる場合は、直接設けても良いが、直接設けられない若しくはより確実に設ける場合は、シランカップリング剤層1014、架橋剤層1015を介在させて設けるのが望ましい。
半導体領域1005は、例えば、n-シリコン(Si)半導体領域(以後、単に「n-領域」と記すこともある)として構成されるのが望ましい。勿論、半導体領域1001は、p-シリコン(Si)半導体領域(以後、単に「p-領域」と記すこともある)として構成されても良い。
半導体領域1005の左サイドに設けたソ−ス領域部1006、右サイドに設けたドレイン領域部1007のそれぞれの半導体極性は、半導体領域1005の半導体極性と同極性とされる。
即ち、例えば、半導体領域1005がn型の場合は、ソース領域1006、ドレイン領域1007ともにn型とされる。
ソース領域1006、ドレイン領域1007は共にオーミックコンタクト形成性をより良くするために半導体不純物を高濃度に含有される。
更には、半導体不純物による高濃度化に加え、オーミックコンタクト形成性を更により良くするために、ソース領域1006、ドレイン領域1007ともに、それぞれの引き出し電極(1010b、1010c)を構成する金属の仕事関数と半導体領域1005を構成する材料の仕事関数を考慮して適切な金属材料を選択してシリサイド化しても良い。
図1に示すセンサデバイス1000は、シリコンウエハの様なバルクのSi半導体基体の他、SiO2(酸化シリコン)等で構成されるBOX(Buried oxide)層を利用して形成することが出来る。
BOX層は、シリコン(Si)半導体基板を用いて通常の半導体製造技術によって設けられる。その典型例としては、例えば、貼り合わせ法により作成されたSOI(Silicon on Insulator)基板が挙げられる。あらかじめ表面を酸化して形成した所定厚のSiO2層を表面に有するSi半導体基板を2枚用意し、表面のSiO2層同士を内側にして張り合わせる。その後、一方のSi半導体基板のSi半導体領域の表面をCMP等で研磨して所定厚のSi半導体領域層とする。他には、Si半導体基板に酸素をイオン注入・熱処理して形成されるSOI基板を利用することも出来る。
各引き出し電極(1010a〜1010c)は、半導体の分野で通常に使用されている金属、例えば、タングステン(W),アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)等で構成される。
ソース領域1006、ドレイン領域1007のそれぞれをシリサイド化するには例えば、以下の様にすれば良い。
先ず、所定厚に形成できるに十分な厚みで設けた各領域上に各領域の一部にもなることがある金属層(M)を所定厚にスパッタ法等で設ける。
その後、熱処理を行うと、該当の領域中のシリコン(Si)と金属層(M)の金属(以後、「M」と記すこともある)が互いに熱拡散して、該当の領域がシリサイド化した拡散領域となる。
前記金属層(M)には、低仕事関数の金属、例えば、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、サマリウム(Sm)、イッテリウム(Yb)、等が好ましく使用される。特に、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)が望ましい。
ゲート絶縁層1008は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン等の緻密で絶縁性に優れた電気的絶縁材料によって構成される。
ゲート電極1009は、半導体領域1005の仕事関数との関係において、適切な仕事関数の材料が選択されて、構成される。
具体的には、例えば、半導体領域1001を、2.0x1015cm−3程度のn型不純物濃度のn-半導体で構成し、ゲート絶縁層1008をTiNで構成し、ゲート電極1009を、n型のpoly-Siで構成することが出来る。
絶縁層1004は、図1のセンサデバイス1000の場合、半導体層1003の裏面に各センサに共通に設けてあるが、本発明においては、必ずしもこれに限定される訳ではない。各センサに区画して設けても良い。
本発明においては、絶縁層1004は、被測定体が水溶液の場合は、非ケイ素酸化物で構成される。被測定体が非水溶液の場合は、珪素酸化物であっても差し支えない。
本発明において使用される非ケイ素酸化物としては、従来使用されていた二酸化ケイ素
より誘電率の高い絶縁体を使用するのが好ましい。その様な絶縁体としては、二酸化ケイ素の25℃での誘電率は、およそ3.9であることから、それより大きな誘電率を有する物質であれば、どのようなものでも使用することができる。従って、好ましい実施形態では、本発明において使用される非ケイ素酸化物の25℃での誘電率は、少なくとも6以上であり、より好ましくは、8.5以上であり、さらに好ましくは10以上であり、さらにより好ましくは15以上であり、最も好ましくは20以上である。
好ましい実施形態において、非ケイ素酸化物は、酸化金属である。
本発明において開示された結合方法を使用することができ、おおむね大きな誘電率を有するからである。使用され得る酸化金属としては、例えば、酸化タンタル(Ta)、酸化カルシウム(CaO)、酸化鉛(PbO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化トリウム(ThO)、酸化アンチモン(Sb)、一酸化チタン(TiO)、二酸化チタン(TiO)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化イッテルビウム(Yb)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化セリウム(CeO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化ガドリニウム(Gd)、酸化クロム(Cr)、酸化タングステン(WO)、酸化銅(I)(CuO)、酸化銅(II)(CuO)、酸化鉄(II)(FeO)、酸化鉄(III)(Fe)、酸化ニッケル(NiO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化サマリウム(Sm)、酸化ネオジム(Nd)、酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)、酸化カドミウム(CdO)、酸化マンガン(MnO)、二酸化バリウム(BaO)および一酸化バリウム(BaO)などを挙げることができるがそれらに限定されない。好ましい実施形態では、この非ケイ素酸化物は、酸化タンタル(Ta)、一酸化バリウム(BaO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化銅(II)(CuO)、酸化鉛(PbO)、酸化イッテルビウム(Yb)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ニオブ(Nb)および酸化ハフニウム(HfO)などを挙げることができる。あるいは、上記物質のいくつかからなる混合化合物が好ましい。
最も好ましくは、非ケイ素酸化物は、酸化タンタル(Ta)である。酸化タンタルはおよそ25の誘電率を有していることから、従来のケイ素酸化物(二酸化ケイ素)の6倍以上の誘電率を有する。このほかにも、チタン系の酸化物は、概して高い誘電率を有していることから、本発明における絶縁体である非ケイ素酸化物として好ましい。代表的な酸化金属の25℃または室温(例外は括弧で示す。)での誘電率(比誘電率ともいう)は、BaOが34、BaOが10.7、Biが18.2、CaOが11.8(10℃)、Crが12.0、CuOが18.1、CuOが12.0、FeOが14.2、PbOが25.9、MgOが9.65、SrOが13.3、SrTiOが332、ThOが10.6、ZrOである。
好ましくは、生体分子は、非ケイ素酸化物に固定される。固定は、任意の固定技術を用
いて実現することができるが、好ましくは、共有結合させることによって実現される。共
有結合には、クロスリンカーを用いることが好ましい。このような結合様式については、
本明細書において詳述される。代表的には、結合は、シランカップリング剤によって実現
されることが理解される。従って、好ましい実施形態では、このゲート電極は、生体分子
と、非ケイ素酸化物とがシランカップリング剤による結合による結合部分(代表的には、
シランカップリング剤から結合反応によって除去された残留部分)をも含むことが理解さ
れる。
標識化学物質は、絶縁層1004の表面上に固定される。
固定は、任意の固定技術を用いて実現することができるが、好ましくは、絶縁層1004の構成材料と共有結合させることによって実現される。
代表的には、結合は、シランカップリング剤によって実現される。従って、好ましい実施形態では、この絶縁層1004の表面は、標識化学物質と非ケイ素酸化物とがシランカップリング剤によって結合された結合部分(代表的には、シランカップリング剤から結合反応によって除去された残留部分/図1では、「シランカップリング剤層1014」と便宜上呼称する)を備えている。
好ましい実施形態では、本発明に係るDE1002bにおいて、非ケイ素酸化物と生体分子などの標識化学物質とは、シランカップリング剤の一種であるアミノシラン化合物によって(好ましくは共有結合)結合される。
1つの好ましい実施形態では、このような結合部分は、−O−(SiR1R2)−(CH)n−NH(CH)m−NH−O−(CH)k−O−CH−NH−で示される。ここで、n、mおよびkはそれぞれ独立して任意の正の整数である。好ましくは、n、mおよびkは、独立して1〜6の整数、より好ましくは独立して1〜3の整数である。
ここで、R1およびR2は、独立して、任意の置換基または該シランカップリング剤と同じ構造を有する別のシランカップリング剤のSi原子を備えた置換基であり得る。従って、別のリシランカップリング剤由来の置換基である場合は、非ケイ素酸化物膜面(絶縁層1004面)上に層状に生体分子(標識化学物質)を結合させることができる。
好ましい実施形態において、本発明のDE1002bの非ケイ素酸化物は膜状形態または層状形態(絶縁層1004)をしており、生体分子(標識化学物質)は、この非ケイ素酸化物膜(絶縁層1004)上に固定される。絶縁層1004は、複数の層が積層していてもよい。そのような場合、最も上には非ケイ素酸化物(好ましくは、酸化金属)を配置することが好ましい。複数層が使用される場合は、中の層としては、例えば、Siなどの他の絶縁体およびSiOのような絶縁体を配置することができる。
好ましい実施形態において、本発明に係るDE1002bに備えられる生体分子(標識化学物質)は、他の生体分子(標的化学物質)と特異的相互作用をする能力を有する。そのような相互作用は、例えば、核酸同士のハイブリダイゼーション、タンパク質と核酸との相互作用(例えば、転写因子と転写因子結合配列など)、タンパク質同士の相互作用、抗原抗体反応、リガンド−レセプター反応などを挙げることができるが、本発明においてはそれらに限定されない。
本発明のDE1002bで使用される生体分子(標識化学物質)としては、核酸、タンパク質、糖、脂質およびそれらの複合体などを挙げることができるが、本発明においてはそれらに限定されない。
好ましい実施形態では、生体分子(標識化学物質)は、核酸を含み得る。このような核酸としては、例えば、DNA、RNAおよびPNAを含む。より好ましくは、生体分子(標識化学物質)は、PNAを含む。
PNAは、無電荷であり、マイナスの電荷を有するDNAに比べて、検出感度が格段に上昇することが期待される。実際に、PNAを用いた場合には、DNAを用いた場合よりも2〜10倍またはそれ以上に感度が上昇することが本発明者等によって確認されている。
本発明において用いられる生体分子は、一本鎖または二本鎖の形態で存在し得る。
好ましくは、本発明のDE1002bにおいて用いられる生体分子(標識化学物質)は、他の生体分子(標的化学物質)とハイブリダイゼーションする能力を有する。
そのようなハイブリダイゼーションする能力を有する生体分子の設計は、当該分野において公知の任意の技術を用いて実施することができる。
本発明のDE1002bにおいて用いられる生体分子(標識化学物質)は、リガンド−レセプター相互作用または抗原抗体反応する能力を有していてもよい。このような物質は、タンパク質、有機低分子などである。
好ましくは、本発明において用いられる生体分子(標識化学物質)は、無電荷またはほとんど電荷がないことが有利である。そのような生体分子(標識化学物質)としては、PNAなどを挙げることができるが、それらに限定されない。電荷がないかまたはほとんどないことによって、TE1002aにおける反応性が格段に上昇するため、検出感度が格段に上昇する。
好ましい実施形態では、本発明のDE1002bに配置される生体分子(標識化学物質)は、疾患または障害の診断のためのプローブである。このようなプローブを配置することによって、本発明のセンサデバイスは、診断チップなどに応用することが可能である。そのようなプローブは、当該分野において公知の情報から当業者は容易に設計することができる。
プローブは、例えば、対象となる核酸配列に対してパーフェクトマッチの相補性を有していてもよく、あるいは、1塩基違うものを用いてもよい。1つの実施形態では、本発明において用いられる生体分子(標識化学物質)は、1塩基多型(SNPs)を検出するためのプローブであり得る。
絶縁層1004は、複数層構成の場合は、例えば、Si半導体などの半導体で構成される半導体層1003上に、SiO2膜、Si3N4膜を積層し、その上にTa2O5が積層されるのが好ましい。
別の好ましい実施形態では、絶縁層1004の構成材料と生体分子(例えば、核酸分子)との間に、アミノシランとクロスリンカー(架橋剤)で架橋することで、自由度を持たせることによって、ハイブリダイゼーションの効率を有利に働かせることも可能である。
この場合、センサデバイス1000は、アミノシランと生体分子が架橋剤で架橋された部分(図1では、便宜上、架橋剤層1015と呼称している)が備えられる。
本発明のセンサ或はセンサデバイスにおいて使用される電気信号検出手段は、電気信号を検出することができる限り、どのような手段でも用いることができる。例えば、電圧計、電流計、電流電圧計、ポテンシオメーターなどを挙げることが出来る。
好ましい実施形態では、本発明のセンサ、或は、センサデバイスは、ディスプレイのような提示手段を備えていてもよい。そのようなディスプレイを備えることによって、使用者は、即座に生体分子に関する情報を得ることができる。提示手段としては、音声発生手段でも良いことは断るまでもない。
次に、DE1002bの作製法の好ましい実施態様を示す。
DE1002aは、以下の工程を含んで作成される。
A)非ケイ素酸化物を含むゲート電極を提供する工程;
B)該非ケイ素酸化物に無機材料と有機材料とを化学的に結合させるカップリング試薬(例えば、アミノシラン含有物質)を結合させる工程;
C)該カップリング試薬と、該カップリング試薬と反応し得るクロスリンカー(例えば、カルボジイミド類、アルデヒド類、イミドエステル類、フェニレンイソチオシアネート類、エポキシシラン類、シランカップリング剤)を結合させて中間体を形成工程;
D)該中間体に生体分子を結合させる工程;
本発明によれば、標識化学物としての生体分子を絶縁層1004に結合させることによって、生体分子による高感度センサなどを作製することができる。
本発明の好適な実施態様では、非ケイ素酸化物を含む絶縁層1004を提供した後、その絶縁層1004の表面にアミノシラン含有物質(例えば、アミノプロピルトリエトキシシランなど)などを結合させた後に、生体分子をそのアミノシラン含有物質などに直接またはクロスリンカー(例えば、グルタルアルデヒドなど)を用いて間接的に結合させる。
好ましい実施形態では、本発明において用いられるシランカップリング試薬は、網目構造のシラン含有物質が有利である。
より好ましい実施形態では、本発明において使用されるアミノシラン含有物質は、ω’−アミノアルキルトリアルコキシシラン、より好ましくは、3’−アミノプロピルトリエトキシシランを含む。3’−アミノプロピルトリエトキシシランによって、効率よく、確実に、標識有機物質(例えば、核酸)を、非ケイ素酸化物(特に、酸化金属)のような無機物質に結合させる。
好ましい実施形態では、本発明において、アミノシラン含有物質の結合の前に、非ケイ素酸化物は、酸処理されることが有利で望ましい。その理由は、酸処理によって、非ケイ素酸化物における酸素含有基が水酸基に一部置換されることによって、アミノシラン含有物質との結合が促進されるからである。
ここで、酸処理に使用する酸は、塩酸、硫酸などの無機酸、または酢酸などの有機酸であり得ることが理解される。酸には、エチルアルコール、メチルアルコールなどのアルコールを加えても良い。
本発明に係る絶縁層1004の作製法において使用される非ケイ素酸化物は、好ましくは、酸化金属である。
酸化金属としては、酸化タンタル(Ta)、酸化カルシウム(CaO)、酸化鉛(PbO)酸化ストロンチウム(SrO)、酸化トリウム(ThO)、酸化アンチモン(Sb)、一酸化チタン(TiO)、二酸化チタン(TiO)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化イッテルビウム(Y)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化セリウム(CeO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ガドリニウム(Gd)、酸化クロム(Cr)、酸化タングステン(WO)、酸化銅(I)(Cu2O)、酸化銅(II)(CuO)、酸化鉄(II)(FeO)、酸化鉄(III)(Fe)、酸化ニッケル(NiO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化サマリウム(Sm)、および酸化ネオジム(Nd)などが挙げられ、それらは本明細書においてこれまでに説明したように任意の形態を採り得る。
好ましい実施形態において、本発明の方法において用いられるクロスリンカーは、カル
ボジイミド類、アルデヒド類、イミドエステル類、フェニレンジイソチオシアネート)、エポキシシラン、シランカップリング剤などを含む。
より好ましい実施形態では、本発明において使用されるクロスリンカーは、アルデヒド
含有基を含み、さらに好ましくは、クロスリンカーは、グルタルアルデヒドを含む。
本発明において、架橋処理には、任意の技術が用いられ得、ラジカル反応を生じさせる
技術などを用いることができる。そのような技術としては、例えば、X線照射、紫外線照
射、電子線照射、γ線照射、分子の熱分解、光分解、放射線分解、電子授受反応などを挙
ることができるが、それらに限定されない。
本発明の好ましい実施形態において、クロスリンクが終わった後、生成物を還元することが好ましい。還元することによって、生体分子の結合が安定化する。そのような還元は、シッフ塩基の還元に用いることができる限り、そのようなものでも用いることができるが、例えば、水素化シアノホウ素ナトリウム(NaCNBH)、ジメチルアミンボラン((CHHNBH)、トリメチルアミンボラン((CHNBH)、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)、ボラン(BH)、アニリン(CNH)、ヒドラジン(N)、クエン酸(C)、シュウ酸((COOH))、水素化リチウムアルミニウム(LiAlH)、ヒドロキノン(C(OH))などを用いることができるがそれらに限定されない。好ましくは、還元は、NaCNBHを用いて行われることが好ましい。
別の好ましい実施形態では、絶縁層1004と標識化学物質(例えば、核酸分子)との間に、アミノシランとクロスリンカーで架橋して、自由度を持たせることによって、ハイブリダイゼーションの効率を有利に働かせることも出来る。架橋の方法は、本明細書において別の箇所において記載されているように、当該分野において公知の任意の方法を利用することが可能である。
本明細書において「シランカップリング剤」とは、Si原子を有する、2つの化合物と化学結合できる官能基をもつ有機ケイ素化合物をいう。通常、Y〜CH2SiX3の一般式を有する。Xはアルコキシ基、ハロゲンなどの加水分解性の置換基で無機質などと反応し、Yとしては有機物質と反応しやすいビニル基、エポキシ基、アミノ基などが代表例として挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において「アミノシラン含有物質」とは、アミノ基を有するシラン化合物をいう。アミノシラン含有物質は、シランカップリング剤として使用される。そのようなアミノシラン含有物質としては、例えば、ω’−アミノアルキルトリアルコキシシラン(代表的には、3’−アミノプロピルトリエトキシシラン)を挙げることができるがそれらに限定されない。
本明細書において「クロスリンカー」とは、架橋剤とも呼ばれ、2つの分子の間に共有結合を生成することによって架橋する物質をいう。そのようなクロスリンカーとしては、例えば、アルデヒド類(例えば、グルタルアルデヒド)、カルボジイミド類、イミドエステル類など挙げることができるがそれらに限定されない。アミノ基含有物質を架橋する場合、アルデヒド含有基、例えば、グルタルアルデヒドを用いることが好ましい。
本明細書において「酸処理」とは、任意の酸に、ある物質を浸すことをいう。アミノシラン含有物質などを基板(代表的には、無機材料で構成される)に結合させる場合、このような酸処理をすることが好ましいことは知られている。
図2は、本発明に係わるセンサデバイス(或はセンサユニット)のもう一つ別の好適な実施態様例の構成の主要部を説明するために模式的に示す模式的構成説明図である。
図2のセンサデバイス2000は、図1に示すセンサデバイス1000と、以下の一点を除いて本質的には同じである。従って、図1と同じことは図1の説明を流用し重複して記述はしない。
相違点は、センサデバイス1000のDE1002bとセンサデバイス2000のDE1002cである。DE1002bが、絶縁層1004の他に、少なくとも外殻層1013を有しているのに対して、DE100cが有するのは、絶縁層1004のみである。即ち、図1に関してこれまでに述べてきた中にも一部記したが、DE1002cにおける絶縁層1004は、標的物質と化学反応する自由表面2001を備えている。センサデバイス2000は、この自由表面2001で、被測定溶液のpHや被測定溶液のイオンを検出する。検出方法は、センサデバイス1000と本質的に同じである。
本発明における生体分子に関する情報検出法の一例を以下に記す。
別の局面において、本発明は、生体分子との相互作用を検出するための方法であって、
A)該生体分子と、非ケイ素酸化物とを含む、ゲート電極が半導体素子上に一体化された、電界効果トランジスタを提供し、電流−電圧(I−V)特性を測定する工程;
B)該電界効果トランジスタと、相互作用が生じるに十分な条件下でサンプルとを接触させる工程;
C)該接触後に、該電界効果トランジスタのI−V特性を測定する工程;
およびD)該接触前のI−V特性と、該接触後のI−V特性とを比較して、該I−V特性同士の相違から該生体分子との該相互作用を算出する工程、を包含する、方法を提供する。
本発明の用途例を、以下に記す。
本発明の方法、センサデバイスは、例えば、診断、法医学、薬物探索(医薬品のスクリーニング)および開発、分子生物学的分析(例えば、アレイベースのヌクレオチド配列分析およびアレイベースの遺伝子配列分析)、タンパク質特性および機能の分析、薬理ゲノム学、プロテオミクス、環境調査ならびにさらなる生物学的および化学的な分析において使用され得る。
本発明の方法、センサデバイスは、種々の遺伝子の検出に使用することができ、検出する遺伝子は特に限定されない。そのような検出される遺伝子としては、例えば、ウイルス病原体(たとえば、肝炎ウイルス(A、B、C、D、E、F、G型)、HIV、インフルエンザウイルス、ヘルペス群ウイルス、アデノウイルス、ヒトポリオーマウイルス、ヒトパピローマウイルス、ヒトパルボウイルス、ムンプスウイルス、ヒトロタウイルス、エンテロウイルス、日本脳炎ウイルス、デングウイルス、風疹ウイルス、HTLVを含むがそれらに限定されない)の遺伝子;細菌病原体(たとえば、黄色ブドウ球菌、溶血性連鎖球菌、病原性大腸菌、腸炎ビブリオ菌、ヘリコバクターピロリ菌、カンピロバクター、コレラ菌、赤痢菌、サルモネラ菌、エルシニア、淋菌、リステリア菌、レプトスピラ、レジオネラ菌、スピロヘータ、肺炎マイコプラズマ、リケッチア、クラミジアを含むがそれらに限定されない)の遺伝子、マラリア、赤痢アメーバ、病原真菌、寄生虫、真菌の遺伝子の検出に用いることができる。
本発明の方法、センサデバイス、また、遺伝性疾患、網膜芽細胞腫、ウイルムス腫瘍、家族性結腸ポリープ症、神経腺維腫症、家族性乳癌、色素性乾皮症、脳腫瘍、口腔癌、食道癌、胃癌、結腸癌、肝臓癌、膵臓癌、肺癌、甲状腺腫瘍、乳腺腫瘍、泌尿器腫瘍、男性器腫瘍、女性器腫瘍、皮膚腫瘍、骨・軟部腫瘍、白血病、リンパ腫、固形腫瘍、等の腫瘍性疾患を検査および診断するために使用され得る。
本発明はさらに、RFLP、SNP解析等の多型解析、塩基配列の解析等にも適応することが可能である。本発明はまた、医薬品のスクリーニングにおいて使用することができる。
本発明はまた、医療以外にも、食品検査、検疫、医薬品検査、法医学、農業、畜産、漁業、林業などで、生体分子の検査が必要なものに全て適応可能である。本発明においては特に、食料の安全目的のための(たとえば、BSE検査)使用も企図される。
本発明はまた、生化学検査データを検出するために用いられ得る。
生化学検査の項目としては、たとえば、総蛋白、アルブミン、チモール反応、クンケル硫酸亜鉛試験、血漿アンモニア、尿素窒素、クレアチニン、尿酸、総ビリルビン、直接ビリルビン、GOT、GPT、コリンエステラーゼ、アルカリホスファターゼ、ロイシンアミノペプチターゼ、γ−グルタミルトランスペプチターゼ、クレアチニンフォスキナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、アミラーゼ、ナトリウム、カリウム、塩素イオン(クロール)、総カルシウム、無機リン、血清鉄、不飽和鉄結合能、血清浸透圧、総コレステロール、遊離コレステロール、HDL-コレステロール、トリグリセライド、リン脂質、遊離脂肪酸、血漿グルコース、インシュリン、BSP停滞率、ICG消失率、ICG停滞率、髄液・総蛋白、髄液・糖、髄液・塩素、尿・総蛋白、尿・ブドウ糖、尿・アミラーゼ、尿・尿酸、尿・尿素窒素、尿・クレアチニン、尿・カルシウム、尿・浸透圧、尿・無機リン、尿・ナトリウム、尿・カリウム、尿・クロール、尿中Nアセチルグルコサミニダーゼ、1時間クレアチニンクレアランス、24時間クレアチニンクレアランス、フェノールスルホンフタレイン、C-反応性タンパクなどが挙げられるがそれらに限定されない。このような検査項目を測定する方法および原理は当該分野において周知慣用されている。
本発明はまた、生体から直接採取したサンプル以外に、PCR、SDA、NASBA法等で増幅した遺伝子の検出に対しても用いることが可能である。
本発明は、更に、標的遺伝子が予め電気化学的に活性な物質や、FITC、ローダミン、アクリジン、Texas Red、フルオレセインなどの蛍光物質、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼなどの酵素、ハプテン、発光物質、抗体、抗原、金コロイドなどのコロイド粒子、金属、金属イオン、およびトリスビピリジン、トリスフェナントロリン、ヘキサアミンなどとの金属キレートなどで標識しておくことも可能である。
本発明が検査または診断目的とする試料は、特に、限定されず、例えば、血液、血清、白血球、尿、便、精液、唾液、組織、培養細胞、喀痰、汗、涙等を用いることができる。
次に、図1の構成のセンサデバイスの作成例について記載する。
図3A乃至は図3Fは、主な各工程でのセンサデバイスの途中の構造を模式的に示す模式的構造図である。
作成工程と作成条件の好適な具体的一例は、以下の通りである。
作成条件は、煩雑さを避けるために、当業者なら容易に実施できる程度の範囲において必要最小限に留めて記載してある。
(1)図3Aまでの工程
工程1:SOI基板を用意する。
SOI 50nm、BOX:1μm、SOI濃度(ボロン)1×10^16cm^-3
工程2:分離領域リソグラフィー
工程3:分離領域形成
BF2、5keV、2×10^13cm^-2、アニール930℃、5秒
工程4:ゲート酸化
400℃ ラジカル酸化5nm
工程5:Polyシリコンデポ
ノンドープ620℃、150nm
工程6:イオン注入
BF2、10keV、2×10^15cm^-2
工程7:SiO2デポ
常圧CVD、400℃、80nm
工程8:活性化アニール
900℃、10秒
工程9:ゲートリソグラフィー
工程10:ゲートエッチング
マイクロ波エッチャー SiO2:Ar/C5F8、Si:Ar/HBr
工程11:S/D形成イオン注入
As、15keV、1×10^15cm^-2
工程12:再酸化
400℃ ラジカル酸化10nm
工程13:SiO2デポ
常圧CVD、400℃、200nm
工程14:活性化アニール
900℃、3秒
工程15:水素シンタリング
400℃、H2/N2=10%、30分
工程16:コンタクトホールリソグラフィー
工程17:SiO2エッチ
マイクロ波エッチャー Ar/C5F8
工程18:Alデポ
スパッタ
工程19:Alリソグラフィー
工程20:Alエッチ
Ar/HBr
(2)図3B
工程21:引き出し電極部以外の表面と裏面の非エッチング部に支持基板(石英)を耐熱性接着剤でシリコン基板に固定
工程22:引き出し電極部Q-Chuck(登録商標)を用いて石英を貼り付け
(3)図3C
工程23:裏面Siエッチング
HNO3/HF溶液
工程24:BOX層エッチング
HF
(4)図3D
工程25:Si3N4デポ
マイクロ波励起PECVD SiH4, N2 H2
(Si3N4に変えてTa2O5でもよい:スパッタ法)
(5)図3E
工程26:溶液側ゲート絶縁膜表面にAPTMS(3-Aminopropyl-trimethoxysilane)を用いてシランカップリング処理を行い、アミノ基を表面に修飾(1014)
(6)図3F
工程27: グルタルアルデヒド(1015)を用いてアプタマ(1013)を架橋法で固定
図4Aに、pHvsID特性を測定するために作成したトランジスタ単体構成のセンサデバイスの概念的構成を示す。図4Bに、図4A示すデバイスのpHvsIDのグラフを示す。
図4Aに示すセンサデバイス4000は、基本的には上記した工程に従って作成された。
デバイス4000は、n-型のSi半導体領域部4001、ソース領域部4002、ドレイン領域部4003、ゲート領域部4004、電気的絶縁層4005を備えている。
ソース領域部4002は、n+型Si領域400aと金属電極領域4002bとから構成されている。
ドレイン領域部4003は、n+型Si領域4003aと金属電極領域4003bとから構成されている。
ゲート領域部4004は、SiO2からなる電気的絶縁層4004aと電極領域4004bとから構成されている。
絶縁層4005は、化学反応を利用して化学物質に感応するのに利用される表面4006を備えている。
デバイス4000の寸法及びデバイス構成要素を構成する材料を以下に記す。
ゲート長(L)・・・・100nm
ゲート幅(W)・・・・1μm
Si半導体領域部4001の厚み(T)・・・・20nm
Si領域4003aの厚み(t)・・・・30nm
Si半導体領域部4001の不純物量・・・・n- : 1e16[cm-3]
Si領域4002a、Si領域4003aの不純物量・・・・n+ : 1e20[cm-3],
絶縁層4004aの厚み・・・・5nm
電極領域4004b・・・・p-型poly-Si、バンドギャップ : 5.15[eV]
絶縁層4005・・・・Ta2O5(EOT=5nm)
デバイス4000に関し、濃度測定のターゲットである抗原などの化学物質(Z)の濃度測定限界(LOD:Limit-of-Detection)を出来るだけ下げる好適例の中の一例を以下に示す。
先ず、ターゲット化学物質(Z)が含まれてない場合の溶液(バッファー溶液)にセンサデバイス4000の裏面(表面4006)を浸す。ソースとドレインの間を流れるドレイン電流(ID)は、ゲート電圧(電極領域4004bに印加される電圧:Vg)とバッファー溶液のpH(ph)の、少なくとも、二つの引数を持つ関数で与えられる。一例として、Vg=V1のとき、センサデバイス4000を浸した溶液からなる化学電気系は、少なくとも、次の二つの方程式を満たすものとする。
ここで、ph1とph2は、一般に等しくない。このpH差は、バッファー溶液に浸される絶縁層4005の表面4006(図1に示されるデバイスでは、外殻層1013の自由表面1016)が、バッファー溶液に浸さている間に起こる化学変化によって生じる。
すなわち、化学変化は時間と伴に進行し、pHも時間と伴に変化する。同じ系で時間差を設けて測定を2度行えば、測定時点間の時間に応じて、それぞれの時点におけるpH値は異なる。
さらに、VgとしてV1を印加すれば、ph1およびph2は不明であるものの、I1とI2は測定によって得られる。
そこで、関数形fが既知であれば、ph1とph2は、与えられたゲート電圧(V1)に対する電流値(ID)を測定(すなわち、感応測定値)することで得られる。
次に、このセンサデバイス4000を、ターゲット(標的)化学物質(Z)を含む溶液に浸すと、上記の式は、
として表記できる。
ここで、ΔQは、化学反応により、表面4006上に齎される表面電荷、C2は、絶縁層4005から成る系の容量である(図1に示すデバイスの様に、外殻層1013がある場合は、絶縁層1004に加えて、シランカップリング剤層1014,架橋剤層1015からなる系の容量である)。
ΔQ/C2は、ゲート電圧(Vg)に対して、デバイス4000の裏面(表面4006)に印加した場合のバックゲート電圧と同様にIDに影響する。V1は、測定者によって特定され、I1およびI2は、測定によって得られる。
化学物質(Z)の濃度がバッファー溶液のpH値に実質的に影響を与えない程度に低い場合、関数gは、ΔQに関係する因子(ΠΔQ/C2)とpHに関係する因子(実際には上記関数f)に分離できる。化学物質(Z)を含まないバッファー溶液を用いた事前測定により求めたpH因子f用いて、関数形gは、次のように記すことが出来る。
具体的には、一例として、化学物質(Z)を含まないバッファー溶液で事前測定を行い、pH因子fを求める。続いて、このバッファー溶液に化学物質(Z)を含む検体を加え、適当な方法で攪拌する。この場合、化学物質(Z)の濃度は十分低いものとして扱い、pH因子fは既知とする。
次いで、前記検体を加えた時点のバッファー溶液のpH値を求める。
V1は測定者によって特定され、pH値は事前測定の結果から算出される。
I1およびI2は測定によって得られる。こうして、上記の関係を用いてΠ(ΔQ/C2)が求まる。
更に、ΔQ/C2は、デバイスの裏側の表面(表面4006)に印加される場合のバックゲート電圧(Vbg)と同じ働きをする。
デバイスのバックゲート電圧依存性(すなわち、Π(Vbg))は、図4Aに示すサンプルを用いた測定実験から得られ、デバイスシミュレーションによって確認することも出来る。ここで、Vbg=ΔQ/C2と見做して、得られているΠ(ΔQ/C2)からΔQを逆算することが可能である。
本願のセンサデバイスでは、この表面電荷ΔQを、実際に集積回路の中で電気的にとらえるものである。そのための条件は、
である。ここで、γは、集積回路中のセンサデバイス以外の周辺領域に設けられたセンス回路の検出限界電圧であり、センス回路のスペックを意味する。
化学物質(Z)一つ(一分子)あたりの齎す電荷を、電子数(N1)で表すと、あるいは、平均としての電子数(<N1>)で表すと、化学物質(Z)の濃度の測定限界(LOD:Limit-of-Detection)は、
となる。N1、あるいは、<N1>が、化学物質(Z)の種類によって決まるとすれば、LODはセンス回路のスペック(γ)およびデバイスの裏面ゲート容量(C2)によって決定される。
ところで、デバイスの裏面ゲート容量(C2)は、次の式で与えられる。
ここで、ε0は真空の誘電率である。
d2は、図2、図4Aに示されるように、絶縁層が自由表面(2001、4006)を有するデバイスの場合は、該自由表面上に拘束される標的化学物質(Z)と半導体領域(1005,4001)の裏側表面(表面/界面1017、4007)の間の距離(絶縁層1004、4005の膜厚に相当)と溶液のデバイス長の和である。
図1に示すデバイスの場合のd2は、自由表面1016に拘束された標的化学物質(Z)と半導体領域(1003)の裏側表面(界面1017)の間の距離(DE1002bの厚みに相当)とデバイス長との和である。
K2は半導体領域(1003、4001)の裏面構造体(「半導体領域裏面に設けた絶縁層(1004、4005)」単独または、DE「(1002b、1002c)」)とデバイスの裏面に接触している被測定溶液とから成る系の比誘電率である。
ここで、溶液の比誘電率を無限大と見做すと、K2は半導体領域裏面の絶縁層若しくはDEの比誘電率であり、デバイス設計によって適宜最適値が選択される。
デバイス長(λ)は、下記の式9で表記される。
例えば、抗原抗体反応が発生する場所がデバイ長より十分遠いと反応によって溶液中に発生するイオンが中和されて仕舞いデバイスとしてイオンの電荷を感応できなくなる。
従って、抗原抗体反応を利用して、ターゲット物質の濃度を測定する場合は、図1に示すデバイス1000の様に、デバイスに外殻層1013を設けて自由表面1016上若しくはその極近傍で抗原抗体反応が起こる様にするのが好ましい。
デバイス長も溶液の性質の一つとして既知とすると、C2は、溶液およびセンサデバイスからなる電気化学系の設計要素として制御可能である。
このように、一例として、低いLODを得るためには、すなわち、LODを改善するためには、周辺回路のスペックを考慮に入れて、K2は低い方が良いといえる。すなわち、周辺回路の要求する上限がある。しかしながら、K2が低いと、センサデバイスの半導体領域中に形成されるチャネルを移動する電荷量が不足し測定が難しくなる場合があるので、K2には必然的に下限がある。しかし、本発明のセンサでバイスは、構造要素であるトランジスエレメントの本来のトランジスタ機能を果たすゲートの他に、ターゲット物資検知用の表面を有しているので、従来のデバイスの様にトランジスタの本来のゲート絶縁層表面をターゲット物資検知用の表面に利用する場合に比べ、K2低下の自由度が遙かに大きいので、K2低下がより可能である。
K2には、このように、周辺回路のスペックを考慮に入れて要求される上限と、化学反応に応じてターゲット物質検知表面に齎らされる電荷量を考慮に入れた要求の下限の両方がある。
図1に示す構成のデバイス1000においては、絶縁層1004上に外殻層1013のみが備えられている場合は、絶縁層1004と外殻層1013から成る系の比誘電率が上記の下限値と上限値によってその範囲が特定されるのが好ましい。
絶縁層1004と外殻層1013との間に、更に、シランカップリング剤層1014と架橋剤1015層とを有するデバイス1000の場合は、絶縁層1004、シランカップリング剤層1014、架橋剤層1015及び外殻層1013から成る系の比誘電率には、周辺回路のセンスアンプ特性に起因する上限値と前記化学反応により前記表面に誘起される電荷量に起因する下限値によりその範囲が特定されるのが望ましい。
図2に示す構成のデバイス2000においては、絶縁層1004の比誘電率が上記の下限値と上限値によってその範囲が特定されるのが好ましい。
以上の説明において、本発明は、上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、請求項を別に記す。
1000,2000・・・センサデバイス
1001・・・センサ
1002a・・・トランンジスタエレメント(TE)
1002b、1002c・・・検出エレメント(DE)
1003・・・半導体層
1004・・・絶縁層
1005・・・半導体領域
1006・・・ソース領域
1007・・・ドレイン領域
1008・・・ゲート絶縁層
1009・・・ゲート電極
1010a、1010b、1010c・・・引き出し電極
1011a、1011b、1011c、1011d・・・絶縁領域
1012・・・絶縁領域
1013・・・外殻層
1014・・・シランカップリング剤層
1015・・・架橋剤層
1016,2001・・・自由表面
1017・・・界面

Claims (24)

  1. 対向している第一の主面と第二の主面を有する半導体領域、
    前記半導体領域中にソース・ドレイン電流を形成すべく設けたソース領域部とドレイン領域部、
    前記第一の主面上に設けられているゲート絶縁層、
    該ゲート絶縁層上に設けてあるゲート電極、
    を備えた蓄積(Accumulation)型トランンジスタ;と、
    前記ゲート絶縁層に対向して前記第二の主面上に設けられ、化学反応を利用して化学物質に感応するのに利用される表面を有する電気的絶縁層(1);
    と、を備えていることを特徴とする化学物質感応性センサ
  2. 請求項1に記載のセンサを使用し、前記ゲート電極の電位を制御することで前記化学物質に起因する物理量を計測することを特徴とする計測方法。
  3. 請求項1に記載のセンサが複数一体的に集積されている化学物質感応性センサユニット。
  4. 複数のセンサが2次元配置されている請求項3に記載の化学物質感応性センサユニット。
  5. 前記2次元配置はX―Yマトリックス平面配置である請求項4に記載の化学物質感応性センサユニット。
  6. 請求項3乃至5に記載の何れかのセンサユニットを使用し、前記ゲート電極の電位を制御することで前記化学物質に起因する物理量を計測することを特徴とする計測方法。
  7. 前記化学反応が起こる場が、液体雰囲気である請求項2及び6の何れかの請求項に記載の計測方法。
  8. 前記液体雰囲気が溶液である請求項7に記載の計測出方法。
  9. 前記化学物質が生体分子である請求項1に記載された化学物質感応性センサ。
  10. 前記化学物質が生体分子である請求項3乃至5に記載された何れかの化学物質感応性センサユニット。
  11. 前記化学物質が生体分子である請求項2、6乃至8の何れかに記載された計測方法。
  12. 前記表面は、非水溶性である請求項1、9に記載の何れかの化学物質感応性センサ。
  13. 前記表面は、非水溶性である請求項3乃至5、10に記載の何れかの化学物質感応性センサユニット。
  14. 前記表面上に、シランカップリング剤が固定されている請求項1に記載の化学物質感応性センサ。
  15. 前記表面上に、シランカップリング剤が固定されている請求項3乃至5,13に記載の何れかの化学物質感応性センサユニット。
  16. 前記表面上に、シランカップリング剤が固定されている請求項2、6乃至8、11に記載の何れかの計測方法
  17. 前記固定化されたシランカップリング剤の前記膜上にアプタマーが設けてある請求項14に記載の化学物質感応性センサ。
  18. シランカップリング剤の前記膜上にアプタマーが設けてある請求項15に記載の化学物質感応性センサユニット。
  19. シランカップリング剤の前記膜上にアプタマーが設けてある請求項16に記載の計測方法。
  20. 前記絶縁層(1)の比誘電率には、周辺回路のセンスアンプ特性に起因する上限値と前記化学反応により前記表面に誘起される電荷量に起因する下限値がある請求項1に記載の化学物質感応性センサ。
  21. 対向している第一の主面と第二の主面を有する半導体領域、
    前記半導体領域中にソース・ドレイン電流を形成すべく設けたソース領域部とドレイン領域部、
    前記第一の主面上に設けられているゲート絶縁層、
    該ゲート絶縁層上に設けてあるゲート電極、
    を備えた蓄積(Accumulation)型トランンジスタ;と、
    前記ゲート絶縁層に対向して前記第二の主面上に設けられ、化学反応を利用して化学物質に感応するのに利用される表面を有する電気的絶縁層(1);と、
    該絶縁層(1)に重畳して設けた、標識化学物質が少なくとも主成分である化学材料で構成されている外殻層:と、
    を備えていることを特徴とする化学物質感応性センサ。
  22. 前記絶縁層(1)と前記外殻層とから成る系の比誘電率には、周辺回路のセンスアンプ特性に起因する上限値と前記化学反応により前記表面に誘起される電荷量に起因する下限値がある請求項21に記載の化学物質感応性センサ。
  23. 前記絶縁層(1)と前記外殻層との間に、前記絶縁層(1)側から順次、シランカップリング剤層と架橋剤層とを備えている請求項21に記載の化学物質感応性センサ。
  24. 前記絶縁層(1)、前記シランカップリング剤層、前記架橋剤層、前記外殻層とから成る系の比誘電率には、周辺回路のセンスアンプ特性に起因する上限値と前記化学反応により前記表面に誘起される電荷量に起因する下限値がある請求項23に記載の化学物質感応性センサ。
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CN115925001B (zh) * 2022-12-22 2024-06-04 浙江大学山东工业技术研究院 Ta2O5/NiO复合空心纳米球材料及其制备方法和应用

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