JP2017048428A - 方向性凝固構造体の製造方法、および方向性凝固構造体製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】タービンブレードに代表される単結晶構造体などの方向性凝固構造体は、真空精密鋳造により製造されているが、多数の工程が必要であったり、鋳造のための時間が長かったりするという問題がある。よって、タービンブレードなどの比較的大きな方向性凝固構造体を、短時間で容易に製造することができる、方向性凝固構造体の製造方法を提供する。【解決手段】方向性凝固構造を備える種金属の上面に、金属粉末を敷き均す敷き均し工程と、敷き均された該金属粉末を光線で加熱し、敷き詰められた該金属粉末分の方向性凝固構造を成長させる加熱工程と、を有することを特徴とする方向性凝固構造体の製造方法を提供する。【選択図】図1
Description
本発明は、方向性凝固構造体の製造方法、および方向性凝固構造体製造装置に関する。さらに詳しくは、敷き均された金属粉末に熱エネルギを加えて方向性凝固構造体を得る製造方法、および方向性凝固構造体製造装置に関する。方向性凝固構造体とは、単結晶構造体、および一方向凝固構造体である。
航空機のジェットエンジンや、火力発電所のタービンに使用されるタービンブレードは、千数百度の熱風に耐える耐熱性が要求されると共に、大きな遠心力に耐える強度が要求されている。そのため、タービンブレードの多くは特殊な材料からなる単結晶構造体により構成されている。単結晶構造体であることにより、多結晶構造体と比較して、亀裂が発生しにくく、大きな遠心力に耐えうる強度を備えることができる。従来、タービンブレードに代表される単結晶構造体の製作は、図5(B)に示す工程のような、真空精密鋳造により行われている。
しかるに、図5(B)で示すように、真空精密鋳造は、多数の工程が必要である。例えば真空鋳造を始める前に、模型の成形、組立を行い、鋳型を製作し、脱ろうした後その鋳型を焼成する。また、真空鋳造が終わった後には、鋳型を崩壊させ、製品部分を切り離したり、中子を溶かしたり、砂を落としたりする必要がある。また、単結晶構造とするためには、真空鋳造工程で時間をかけて結晶を成長させる必要があるため、鋳造のための時間を長くする必要があるという問題がある。更に、中子を用いた鋳造では、空冷孔の設計において幾何学的な制約があり、必ずしも最適な空冷孔が製作できないという問題がある。
これに対し、特許文献1では、単結晶構造体または一方向凝固構造体であるタービンブレードの補修を、レーザ紛体肉盛溶接によって行う方法が開示されている。レーザ紛体肉盛溶接は、照射されているレーザの焦点近傍に、金属粉末をシールドガスと共に供給し、レーザの熱によりこの金属粉末と、レーザの照射対象を溶融させることで、タービン翼の先端の一部に単結晶等を成長させる方法である。
しかし、レーザ紛体溶接により、補修などの小さな領域で単結晶構造体等を製造することは可能であるが、金属粉末の供給量などを精度良く制御する必要があり、また、比較的大きく、複雑で精密な単結晶構造体等の全体を製造することは困難であった。
本発明は上記事情に鑑み、タービンブレードなどの比較的大きな単結晶構造体を、短時間で容易に製造することができる、単結晶構造体の製造方法、および単結晶構造体製造装置を提供することを目的とする。
第1発明の方向性凝固構造体の製造方法は、方向性凝固構造を備える種金属の上面に、金属粉末を敷き均す敷き均し工程と、敷き均された該金属粉末を光線で照射して加熱し、前記種金属上に設けられた前記金属粉末を前記方向性凝固構造へ変換させて、該金属粉末分前記種金属の方向性凝固構造を成長させる加熱工程と、を有することを特徴とする。
第2発明の方向性凝固構造体の製造方法は、第1発明において、加熱工程により種金属の方向性凝固構造を成長させた後、種金属を、光線の照射方向であって光線の下流側へ移動させ、その後、再度敷き均し工程と、加熱工程と、を行うことを特徴とする。
第3発明の方向性凝固構造体の製造方法は、第2発明において、加熱工程では、光線を走査しながら照射し、光線の一回目の走査方向と、光線の二回目の走査方向とが交差していることを特徴とする。
第4発明の方向性凝固構造体の製造方法は、第1発明から第3発明において、加熱工程が、金属粉末同士を結合させる仮加熱工程と、方向性凝固構造を成長させる本加熱工程と、から構成されており、仮加熱工程における光線から金属粉末へ投入される投入エネルギは、本加熱工程における光線から金属粉末へ投入される投入エネルギよりも小さいことを特徴とする。
第5発明の方向性凝固構造体製造装置は、方向性凝固構造を備える種金属を固定する種金属固定手段と、該種金属固定手段の近傍に金属粉末を供給する金属粉末供給手段と、該金属粉末供給手段から供給された金属粉末を種金属の上面に敷き均す敷き均し手段と、敷き均された金属粉末へ光線を照射する光線照射手段と、種金属固定手段を、光線の下流側に移動させる移動手段と、該移動手段を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする。
第6発明の方向性凝固構造体製造装置は、第5発明において、制御手段は、敷き均し工程で敷き均し手段により金属粉末を種金属の上に敷き均させ、敷き均し工程に引き続く加熱工程で、光線照射手段により金属粉末へ光線を照射させ、加熱工程に引き続く移動工程で、移動手段により金属固定手段を光線の下流側に移動させ、敷き均し工程から移動工程までを繰り返させることを特徴とする。
第7発明の方向性凝固構造体製造装置は、第6発明において、制御手段は、加熱工程で、光線を走査させながら照射させ、光線の一回目の走査方向と、光線の二回目の走査方向とを交差させていることを特徴とする。
第8発明の方向性凝固構造体製造装置は、第5発明から第7発明において、制御手段は、加熱工程を、金属粉末同士を結合させる仮加熱工程と、方向性凝固構造を成長させる本加熱工程と、から構成させ、仮加熱工程における光線から金属粉末へ投入させる投入エネルギを、本加熱工程における光線から金属粉末へ投入させる投入エネルギよりも小さくさせることを特徴とする。
第2発明の方向性凝固構造体の製造方法は、第1発明において、加熱工程により種金属の方向性凝固構造を成長させた後、種金属を、光線の照射方向であって光線の下流側へ移動させ、その後、再度敷き均し工程と、加熱工程と、を行うことを特徴とする。
第3発明の方向性凝固構造体の製造方法は、第2発明において、加熱工程では、光線を走査しながら照射し、光線の一回目の走査方向と、光線の二回目の走査方向とが交差していることを特徴とする。
第4発明の方向性凝固構造体の製造方法は、第1発明から第3発明において、加熱工程が、金属粉末同士を結合させる仮加熱工程と、方向性凝固構造を成長させる本加熱工程と、から構成されており、仮加熱工程における光線から金属粉末へ投入される投入エネルギは、本加熱工程における光線から金属粉末へ投入される投入エネルギよりも小さいことを特徴とする。
第5発明の方向性凝固構造体製造装置は、方向性凝固構造を備える種金属を固定する種金属固定手段と、該種金属固定手段の近傍に金属粉末を供給する金属粉末供給手段と、該金属粉末供給手段から供給された金属粉末を種金属の上面に敷き均す敷き均し手段と、敷き均された金属粉末へ光線を照射する光線照射手段と、種金属固定手段を、光線の下流側に移動させる移動手段と、該移動手段を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする。
第6発明の方向性凝固構造体製造装置は、第5発明において、制御手段は、敷き均し工程で敷き均し手段により金属粉末を種金属の上に敷き均させ、敷き均し工程に引き続く加熱工程で、光線照射手段により金属粉末へ光線を照射させ、加熱工程に引き続く移動工程で、移動手段により金属固定手段を光線の下流側に移動させ、敷き均し工程から移動工程までを繰り返させることを特徴とする。
第7発明の方向性凝固構造体製造装置は、第6発明において、制御手段は、加熱工程で、光線を走査させながら照射させ、光線の一回目の走査方向と、光線の二回目の走査方向とを交差させていることを特徴とする。
第8発明の方向性凝固構造体製造装置は、第5発明から第7発明において、制御手段は、加熱工程を、金属粉末同士を結合させる仮加熱工程と、方向性凝固構造を成長させる本加熱工程と、から構成させ、仮加熱工程における光線から金属粉末へ投入させる投入エネルギを、本加熱工程における光線から金属粉末へ投入させる投入エネルギよりも小さくさせることを特徴とする。
第1発明によれば、方向性凝固構造を備える種金属の上面に、敷き均し工程により敷き均された金属粉末を、光線で照射して加熱し、種金属の方向性凝固構造を成長させることにより、真空精密鋳造を行う場合と比較して、単純な工程で方向性凝固構造体を製造することができる。
また、光線の照射により方向性凝固構造体を製造するので、金属粉末に提供されるエネルギ量の制御が容易になる。加えて、金属粉末を敷き詰める工程により、方向性凝固構造を成長させるために提供される金属粉末の供給量の制御が容易になる。エネルギ量の制御および金属粉の供給量の制御が容易になることにより、得られた構造体が方向性凝固構造以外の欠陥を含むことが少なくなる。
第2発明によれば、加熱工程により種金属の方向性凝固構造を成長させた後、種金属を、前記光線の照射方向であって光線の下流側へ移動させ、その後、再度敷き均し工程と、加熱工程と、を行うことにより、真空精密鋳造を行う場合と比較して、時間のかかる鋳造工程がないので、短時間に複雑な形状の方向性凝固構造体を製造することができる。
また、真空精密鋳造では、中子の形状の観点から制限されてきた内部冷却通路の形状の最適化を行うことが可能となる。
第3発明によれば、加熱工程における光線の一回目の走査方向と、光線の二回目の走査方向とが交差していることにより、得られた方向性凝固構造体の外形が、特定の方向性を有することがなく、かつ表面粗さが小さくなる。
第4発明によれば、加熱工程が、金属粉末同士を結合させる仮加熱工程と、方向性凝固構造を成長させる本加熱工程と、から構成されており、仮加熱工程における光線から金属粉末へ投入される投入エネルギは、本加熱工程における光線から金属粉末へ投入される投入エネルギよりも小さいことにより、金属粉末を飛散させることを抑制することができる。これにより得られた構造体が方向性凝固構造以外の欠陥を含むことが少なくなる。
第5発明によれば、方向性凝固構造体製造装置が、方向性凝固構造を備える種金属を固定する種金属固定手段と、該種金属固定手段の近傍に金属粉末を供給する金属粉末供給手段と、該金属粉末供給手段から供給された金属粉末を種金属の上面に敷き均す敷き均し手段と、敷き均された金属粉末へ光線を照射する光線照射手段と、種金属固定手段を、光線の下流側に移動させる移動手段と、該移動手段を制御する制御手段と、を備え、種金属固定手段により固定された種金属の上面に、金属粉末供給手段により供給された金属粉末を、敷き均し手段により敷き均し工程において敷き均した後、光線照射手段により光線で照射して加熱し、種金属の方向性凝固構造を成長させることにより、真空精密鋳造を行う場合と比較して、単純な工程で方向性凝固構造体を製造することができる。
また、光線の照射により方向性凝固構造体を製造するので、金属粉末に提供されるエネルギ量の制御が容易になる。加えて、金属粉末を敷き詰める工程により、方向性凝固構造を成長させるために提供される金属粉末の供給量の制御が容易になる。エネルギ量の制御および金属粉の供給量の制御が容易になることにより、得られた構造体が方向性凝固構造以外の欠陥を含むことが少なくなる。
第6発明によれば、方向性凝固構造体製造装置の制御手段が、敷き均し工程で敷き均し手段により金属粉末を種金属の上に敷き均させ、敷き均し工程に引き続く加熱工程で、光線照射手段により金属粉末へ光線を照射させ、加熱工程に引き続く移動工程で、移動手段により金属固定手段を光線の下流側に移動させ、敷き均し工程から前記移動工程までを繰り返させることにより、真空精密鋳造を行う場合と比較して、時間のかかる鋳造工程がないので、短時間に複雑な形状の方向性凝固構造体を製造することができる。
また、真空精密鋳造では、中子の形状の観点から制限されてきた内部冷却通路の形状の最適化を行うことが可能となる。
第7発明によれば、方向性凝固構造体製造装置の制御手段が、加熱工程で、光線を走査させながら照射させ、光線の一回目の走査方向と、光線の二回目の走査方向とを交差させていることにより、得られた方向性凝固構造体の外形が、特定の方向性を有することがなく、かつ表面粗さが小さくなる。
第8発明によれば、方向性凝固構造体製造装置の制御手段が、加熱工程を、金属粉末同士を結合させる仮加熱工程と、方向性凝固構造を成長させる本加熱工程と、から構成させ、仮加熱工程における光線から金属粉末へ投入させる投入エネルギを、本加熱工程における光線から金属粉末へ投入させる投入エネルギよりも小さくさせることにより、金属粉末を飛散させることを抑制することができる。これにより得られた構造体が方向性凝固構造以外の欠陥を含むことが少なくなる。
また、光線の照射により方向性凝固構造体を製造するので、金属粉末に提供されるエネルギ量の制御が容易になる。加えて、金属粉末を敷き詰める工程により、方向性凝固構造を成長させるために提供される金属粉末の供給量の制御が容易になる。エネルギ量の制御および金属粉の供給量の制御が容易になることにより、得られた構造体が方向性凝固構造以外の欠陥を含むことが少なくなる。
第2発明によれば、加熱工程により種金属の方向性凝固構造を成長させた後、種金属を、前記光線の照射方向であって光線の下流側へ移動させ、その後、再度敷き均し工程と、加熱工程と、を行うことにより、真空精密鋳造を行う場合と比較して、時間のかかる鋳造工程がないので、短時間に複雑な形状の方向性凝固構造体を製造することができる。
また、真空精密鋳造では、中子の形状の観点から制限されてきた内部冷却通路の形状の最適化を行うことが可能となる。
第3発明によれば、加熱工程における光線の一回目の走査方向と、光線の二回目の走査方向とが交差していることにより、得られた方向性凝固構造体の外形が、特定の方向性を有することがなく、かつ表面粗さが小さくなる。
第4発明によれば、加熱工程が、金属粉末同士を結合させる仮加熱工程と、方向性凝固構造を成長させる本加熱工程と、から構成されており、仮加熱工程における光線から金属粉末へ投入される投入エネルギは、本加熱工程における光線から金属粉末へ投入される投入エネルギよりも小さいことにより、金属粉末を飛散させることを抑制することができる。これにより得られた構造体が方向性凝固構造以外の欠陥を含むことが少なくなる。
第5発明によれば、方向性凝固構造体製造装置が、方向性凝固構造を備える種金属を固定する種金属固定手段と、該種金属固定手段の近傍に金属粉末を供給する金属粉末供給手段と、該金属粉末供給手段から供給された金属粉末を種金属の上面に敷き均す敷き均し手段と、敷き均された金属粉末へ光線を照射する光線照射手段と、種金属固定手段を、光線の下流側に移動させる移動手段と、該移動手段を制御する制御手段と、を備え、種金属固定手段により固定された種金属の上面に、金属粉末供給手段により供給された金属粉末を、敷き均し手段により敷き均し工程において敷き均した後、光線照射手段により光線で照射して加熱し、種金属の方向性凝固構造を成長させることにより、真空精密鋳造を行う場合と比較して、単純な工程で方向性凝固構造体を製造することができる。
また、光線の照射により方向性凝固構造体を製造するので、金属粉末に提供されるエネルギ量の制御が容易になる。加えて、金属粉末を敷き詰める工程により、方向性凝固構造を成長させるために提供される金属粉末の供給量の制御が容易になる。エネルギ量の制御および金属粉の供給量の制御が容易になることにより、得られた構造体が方向性凝固構造以外の欠陥を含むことが少なくなる。
第6発明によれば、方向性凝固構造体製造装置の制御手段が、敷き均し工程で敷き均し手段により金属粉末を種金属の上に敷き均させ、敷き均し工程に引き続く加熱工程で、光線照射手段により金属粉末へ光線を照射させ、加熱工程に引き続く移動工程で、移動手段により金属固定手段を光線の下流側に移動させ、敷き均し工程から前記移動工程までを繰り返させることにより、真空精密鋳造を行う場合と比較して、時間のかかる鋳造工程がないので、短時間に複雑な形状の方向性凝固構造体を製造することができる。
また、真空精密鋳造では、中子の形状の観点から制限されてきた内部冷却通路の形状の最適化を行うことが可能となる。
第7発明によれば、方向性凝固構造体製造装置の制御手段が、加熱工程で、光線を走査させながら照射させ、光線の一回目の走査方向と、光線の二回目の走査方向とを交差させていることにより、得られた方向性凝固構造体の外形が、特定の方向性を有することがなく、かつ表面粗さが小さくなる。
第8発明によれば、方向性凝固構造体製造装置の制御手段が、加熱工程を、金属粉末同士を結合させる仮加熱工程と、方向性凝固構造を成長させる本加熱工程と、から構成させ、仮加熱工程における光線から金属粉末へ投入させる投入エネルギを、本加熱工程における光線から金属粉末へ投入させる投入エネルギよりも小さくさせることにより、金属粉末を飛散させることを抑制することができる。これにより得られた構造体が方向性凝固構造以外の欠陥を含むことが少なくなる。
はじめに、本発明の方向性凝固構造体の製造方法、および方向性凝固構造体製造装置により製造される方向性凝固構造体であるタービンブレードの構造を説明する。
図3には、方向性凝固構造体であるタービンブレード21の斜視図を、図4には図3のタービンブレードのIV−IV平面断面図を示す。なお、以下の説明では、方向性凝固構造体を単結晶構造体で説明する。タービンブレード21は、航空機のジェットエンジンや、火力発電所のタービンに使用され、タービンの燃焼室を通過した高温・高圧・高速の空気流から、回転エネルギを得るための羽根である。タービンブレード21は、空気流を受ける翼部22と、この翼部22を支持するプラットフォーム23とから構成されており、耐熱性と共に高い強度を要求される場合、タービンブレード21は全体として単結晶構造体であることが望ましい。
図3には、方向性凝固構造体であるタービンブレード21の斜視図を、図4には図3のタービンブレードのIV−IV平面断面図を示す。なお、以下の説明では、方向性凝固構造体を単結晶構造体で説明する。タービンブレード21は、航空機のジェットエンジンや、火力発電所のタービンに使用され、タービンの燃焼室を通過した高温・高圧・高速の空気流から、回転エネルギを得るための羽根である。タービンブレード21は、空気流を受ける翼部22と、この翼部22を支持するプラットフォーム23とから構成されており、耐熱性と共に高い強度を要求される場合、タービンブレード21は全体として単結晶構造体であることが望ましい。
タービンブレード21が航空機のジェットエンジンに使用されている場合、航空機の離陸時には1600℃の空気流がタービンブレード21に吹き付けられる。よって、タービンブレード21の翼部22には、図3の紙面の上下方向に冷却空気が通過する内部冷却通路25が複数設けられている。
また、タービンブレード21は、耐熱性が良好であるNi基合金の金属粉末により製造されている。Ni基合金には、例えばコバルト、クロム、モリブデン、タングステン、アルミニウム等の金属が配合され、これらの金属の配合量を調整することで、タービンブレード21の耐熱性が向上する。また、金属粉末の大きさは、20〜150μm程度である。
次に、本発明の方向性凝固構造体製造装置を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る方向性凝固構造体製造装置1の正面断面図、図2は、図1の方向性凝固構造体製造装置のa部の拡大図であり、図2(A)は、種金属を直接昇降テーブルに設置した場合である。
図1は、本発明の実施形態に係る方向性凝固構造体製造装置1の正面断面図、図2は、図1の方向性凝固構造体製造装置のa部の拡大図であり、図2(A)は、種金属を直接昇降テーブルに設置した場合である。
本発明の実施形態に係る方向性凝固構造体製造装置1は、後述の製造方法により3次元構造体を製造する装置である。方向性凝固構造体製造装置1は、単結晶構造、または一方向凝固構造である方向性凝固構造を備える種金属16を固定する種金属固定手段と、該種金属固定手段の近傍に金属粉末13を供給する金属粉末供給手段8と、該金属粉末供給手段8から供給された金属粉末13を種金属16の上面に敷き均す敷き均し手段11と、敷き均された金属粉末13へ光線を照射する光線照射手段100と、種金属固定手段を光線の下流側に移動させる移動手段9とを備えている。なお本明細書では、特に断りのない限り、図1の紙面における上下左右を、それぞれ上下左右と称する。また光線の下流側とは、光線の出射方向であって、光源から遠ざかる方向を言う。
光線照射手段100は、金属粉末13へ光線を照射するためのものである。光線照射手段100は、真空チャンバ7に対して固定されたビームコラム2と、ビームコラム2内に設けられると共に光線を発生させる光線発生部3と、光線発生部3で発生した光線の形状を補正するビーム形状補正装置4と、ビーム形状補正装置4により補正された光線を集束させる集束レンズ5と、集束レンズ5により集束された光線を偏向して光線の照射位置を調整する偏向コイル6とを有する。
ビームコラム2は、その内部が空孔となった柱形状となっており、その下端が真空チャンバ7に対して固定されている。ビームコラム2は、その下端が開口しており、光線を出射可能としている。
光線発生部3は、光線として電子ビームを発生させる。電子ビームを発生させる構成としては、フィラメントであるカソード等が挙げられるが、公知な構成であるため、その詳細な説明は省略する。光線発生部3は、ビームコラム2内で固定されており、ビームコラム2の下端に設けられた開口より電子ビームを真空チャンバ7へ向けて照射する。なお、電子ビームを発生させる機構は安価に用意することができるが、光線発生部3にて発生させる光線は電子ビームに限らず、他の光線(たとえば、レーザビーム等)でもよい。レーザビームを用いる場合、電子ビームを用いる場合と比較して、金属粉末に与える熱エネルギ量を大きくできる。またレーザは重量を持たないので、金属粉末が飛散することを抑制することができる。
ビーム形状補正装置4は光線発生部3で発生した光線の形状を補正する。ビーム形状補正装置4は、光線発生部3とビームコラム2の下端との間において、ビームコラム2内で固定されている。光線の形状を補正する構成としては、光線を遮断する材質により形成されると共に、光線を通過させる開口が設けられた板状部材が挙げられるが、公知な構成であるためその詳細な説明は省略する。
集束レンズ5は、ビーム形状補正装置4により補正された光線を集束させる。集束レンズ5はビーム形状補正装置4とビームコラム2の下端との間において、ビームコラム2内で固定されている。
偏向コイル6は、集束レンズ5により集束された光線を偏向して光線の照射位置を調整する。偏向コイル6は、集束レンズ5とビームコラム2の下端との間において、ビームコラム2内で固定されている。偏向コイル6は、水平面内のある方向(X方向)へ光線を偏向させるX偏向コイルと、水平面内においてX方向と交差する方向であるY方向へ光線を偏向させるY偏向コイルと、を有する。なお、図1ではX偏向コイルとY偏向コイルとは分けて描いておらず、双方を一体的に描いている。
種金属固定手段と、金属粉末供給手段8と、敷き均し手段11と移動手段7とは、ビームコラム2に固定されている真空チャンバ7内に設けられている。
真空チャンバ7内に設けられている金属粉末供給手段8について説明する。金属粉末供給手段8は、Ni基合金等の金属粉末13を貯留し、適宜、金属粉末13を、固定テーブル12上で、種金属固定手段の近傍に供給する。「近傍」とは、真空チャンバ7の固定テーブル12上であって、敷き均し手段が金属粉末13に接触できる程度の距離にあることを言う。金属粉末供給手段8は、真空チャンバ7内の左右にそれぞれ一つずつ設けられている。金属粉末供給手段8には、下部に金属粉末13を流出させる流出口が設けられ、流出口から流出した金属粉末13が固定テーブル12上に堆積して、金属粉末13の安息角により自然に流出口からの流出が止まる。そして金属粉末13は、後述する敷き均し手段11の掻き取りにより掻き取られた量だけ自然に落下して固定テーブル12上に堆積する。固定テーブル12には、後述する昇降テーブル10が通過可能な開口部14が設けられている。
次に真空チャンバ7内に設けられている敷き均し手段11について説明する。敷き均し手段11は、金属粉末供給手段8から供給された金属粉末13を、固定テーブル12上に均一に敷き均す。この敷き均し手段11は、ステンレス製の山形鋼の頂点を上方に向けて配置された構成で、この山形鋼の内側には、下方に向けて縦方向にスリットが設けられた均しプレートが設けられている。そして、この敷き均し手段11が、左右にゆっくりと動くことで、供給された金属粉末13が固定テーブル12上に均一に敷き均される。なお、敷き均し手段11をステンレス製の山形鋼で説明したが、これに限定されることはなく、L型や矩形上でもよい。敷き均し手段11は、リニアガイドに案内され、サーボモータとボールねじにより左右に動作させられている。ただし、この敷き均し手段11を動作させる構成はこれに限定されるものではなく、シリンダ装置により動作させることも可能である。
次に真空チャンバ7内に設けられている種金属固定手段について説明する。本実施形態における種金属固定手段は、昇降テーブル10であり、この昇降テーブル10上に方向性凝固構造を備える種金属を固定する。固定の方法は、特に限定されないが、例えば、種金属16を入れ込むことができる穴部設けたり、接着剤で固定したりする方法が用いられる。図2(A)に示すように、昇降テーブル10は、真空チャンバ7内の固定テーブル12の左右中央、すなわち、2つの金属粉末供給手段8に挟まれた位置に設けられている開口部14に設けられている。開口部14から下には、昇降テーブル10が嵌装する凹部が設けられている。
次に真空チャンバ7内に設けられている移動手段9について説明する。移動手段9は、種金属固定手段である昇降テーブル10の下方に設けられ、この昇降テーブル10を上下に動作させる。昇降装置9は、シリンダ装置と、シリンダ装置の位置を検出するスケールにより構成され、スケールからの位置情報をフィードバックして、ミクロン単位で昇降テーブル10を動作させることができる。
方向性凝固構造体製造装置1は制御手段26を備えている。図6には、本発明の実施形態に係る方向性凝固構造体製造装置の制御ブロック構成図を示す。制御手段26には、真空確認センサ27、入力手段28、記憶手段29、光線照射手段100、敷き均し手段11、移動手段9が電気的に接続されている。真空確認センサ27は、真空チャンバ7の真空度があらかじめ定められた範囲に達した際に信号を出力する。入力手段28は、具体的には液晶画面で、この液晶画面から操作者が方向性凝固構造体製造装置1を操作する。記憶手段29は、操作者が入力手段28により入力した動作プログラムや、数値を記憶する。操作者は、入力手段29により入力した動作プログラムや速度等の数値により光線照射手段100や、敷き均し手段11を動作させる。
昇降テーブル10に固定されている種金属16は、単結晶構造体、または一方向凝固構造体である。種金属16が単結晶構造体である場合、金属粉末13が加熱された際に、種金属が持つ単結晶構造に沿って金属粉末分の単結晶構造が成長する。一方向凝固構造体の場合も同様である。金属粉末13を加熱して単結晶構造を成長させる工程を繰り返すことにより、タービンブレード21のような大きさの単結晶構造体を製造することができる。
次に、本発明の実施形態に係る方向性凝固構造体製造装置1の使用方法(方向性凝固構造体の製造方法)について、図5(A)と図7により説明する。
まず、方向性凝固構造体製造装置1の操作者は、製作する単結晶構造体の形状などの方案を計画する。例えば、単結晶構造体がタービンブレード21である場合は、図2の上下方向に単結晶が成長するようにし、図3に示すような翼部22の内部冷却通路25を形成するように、電子ビームの照射範囲を決定し、方向性凝固構造体製造装置1の制御手段26へ、入力手段28により、決定した数値などを入力し、制御手段26は記憶手段29にその数値等を記憶する。
そして、次に方向性凝固構造体製造装置1の操作者は、方向性凝固構造体製造装置1を用いて、3次元の積層成形を行うことにより単結晶構造体を製造する。具体的な作業や操作を、図1、図7を参照しながら説明する。
操作者は、まず金属粉末供給手段8に金属粉末13を投入することで、この金属粉末供給手段8から、固定テーブル12の上であり、金属固定手段である昇降テーブル10の近傍に金属粉末13を供給する。次に操作者は、昇降テーブル10上に接着剤で単結晶の種金属16を固定する。その後、操作者は、制御手段26に接続されている入力手段28から、移動手段9を操作して、種金属16の上面が固定テーブル12の上面と等しい高さになるように調整し、その後、操作者は、真空チャンバ7を真空にする。
図7に示すように、制御手段26は、ステップ001(以下S001のように記載する)で、真空確認センサ27からの信号により運転準備が完了するかどうかを確認する。運転準備が完了すると、制御手段26は制御フローをS002に進める。運転準備が完了しない場合は、S001で運転準備のための信号の入力を待つ。
(移動工程)
S002で、方向性凝固構造体製造装置1の制御手段26は、移動手段9を動作させて、昇降テーブル10をあらかじめ定められた距離だけ下降させた状態で停止させる。この場合、種金属16の上面は、固定テーブル12に対してあらかじめ定めた距離だけ落ち込んだ状態になる。
S002で、方向性凝固構造体製造装置1の制御手段26は、移動手段9を動作させて、昇降テーブル10をあらかじめ定められた距離だけ下降させた状態で停止させる。この場合、種金属16の上面は、固定テーブル12に対してあらかじめ定めた距離だけ落ち込んだ状態になる。
(敷き均し工程)
S003で、方向性凝固構造体製造装置1の制御手段26は、左右いずれかの位置に退避していた敷き均し手段11を、他の方向へ動作させることにより、敷き均し手段11で、金属粉末13をベースプレート15の上面に敷き均す。
S003で、方向性凝固構造体製造装置1の制御手段26は、左右いずれかの位置に退避していた敷き均し手段11を、他の方向へ動作させることにより、敷き均し手段11で、金属粉末13をベースプレート15の上面に敷き均す。
(加熱工程)
S004で、方向性凝固構造体製造装置1の制御手段26は、光線の動作プログラムに基づいて、光線照射手段を構成する偏向レンズ6等により、電子ビームをベースプレート15の上面に走査させて、ベースプレート15の上面に敷き均された金属粉末13を電子ビームで加熱する。制御手段26は、電子ビームの走査を、2段階に分けて行う。最初の走査は、金属粉末13同士を結合させるための仮加熱工程における走査であり、種金属16の全面に行う。次の走査は、より多くの熱量を供給し、金属粉末13分の単結晶構造を成長させるための本加熱工程における走査であり、成形したい形状の部分と成形物を補強するための部材の部分のみを照射するように行う。仮加熱工程の走査時の電子ビームから金属粉末13へ投入される投入エネルギは、本加熱工程の走査時の投入エネルギよりも少なくする。投入エネルギは、エネルギ密度やビームの走査速度や照射幅で調整される。一例として、仮加熱工程の走査時の投入エネルギは、本加熱工程の走査時の投入エネルギに対して5分の1とする。
S004で、方向性凝固構造体製造装置1の制御手段26は、光線の動作プログラムに基づいて、光線照射手段を構成する偏向レンズ6等により、電子ビームをベースプレート15の上面に走査させて、ベースプレート15の上面に敷き均された金属粉末13を電子ビームで加熱する。制御手段26は、電子ビームの走査を、2段階に分けて行う。最初の走査は、金属粉末13同士を結合させるための仮加熱工程における走査であり、種金属16の全面に行う。次の走査は、より多くの熱量を供給し、金属粉末13分の単結晶構造を成長させるための本加熱工程における走査であり、成形したい形状の部分と成形物を補強するための部材の部分のみを照射するように行う。仮加熱工程の走査時の電子ビームから金属粉末13へ投入される投入エネルギは、本加熱工程の走査時の投入エネルギよりも少なくする。投入エネルギは、エネルギ密度やビームの走査速度や照射幅で調整される。一例として、仮加熱工程の走査時の投入エネルギは、本加熱工程の走査時の投入エネルギに対して5分の1とする。
S005で制御手段26は、所定の高さまで方向性凝固構造体が製造されているかどうかを確認する。所定の高さまで製造されている場合は、製造を終わり、所定の高さまで達していないときは、S002の前に戻り、S002からS004までのステップを繰り返す。このとき、2回目以降の加熱工程では、その前回の工程で方向性凝固構造体が成長しているので、その成長した方向性凝固構造体を種金属として、さらに方向性凝固構造体が積層される。そして、今回の走査の方向が、例えば、左右方向である時は、前回の走査の方向は左右方向と垂直な手前奥行き方向で行い、次の走査の方向は左右方向で行う。
上記の工程が終了すると、操作者は、製造された方向性凝固構造体を装置から取り外し、固定等のためだけに設けられていた部分を切り離し、熱処理を行う。その後、操作者は、仕上げ作業とコーティングを行うことで、製品を完成させる。
方向性凝固構造を備える種金属16の上面に、敷き均し工程により敷き均された金属粉末13を、光線で照射して加熱し、種金属16の方向性凝固構造を成長させることにより、真空精密鋳造を行う場合と比較して、単純な工程で方向性凝固構造体を製造することができる。
また、光線の照射により方向性凝固構造体を製造するので、金属粉末13に提供されるエネルギ量の制御が容易になる。加えて、金属粉末13を敷き詰める工程により、方向性凝固構造を成長させるために提供される金属粉末の供給量の制御が容易になる。エネルギ量の制御および金属粉の供給量の制御が容易になることにより、得られた構造体が方向性凝固構造以外の欠陥を含むことが少なくなる。
加熱工程により種金属16の方向性凝固構造を成長させた後、種金属16を、光線の照射方向であって光線の下流側へ移動させ、その後、再度敷き均し工程と、加熱工程と、を行うことにより、真空精密鋳造を行う場合と比較して、時間のかかる鋳造工程がないので、短時間に複雑な形状の方向性凝固構造体を製造することができる。
また、真空精密鋳造では、中子の形状の観点から制限されてきた内部冷却通路の形状の最適化を行うことが可能となる。
加熱工程における光線の一回目の走査方向と、光線の二回目の走査方向とが交差していることにより、得られた方向性凝固構造体の外形が、特定の方向性を有することがなく、かつ表面粗さが小さくなる。
加熱工程が、金属粉末同士を結合させる仮加熱工程と、方向性凝固構造を成長させる本加熱工程と、から構成されており、仮加熱工程における光線から金属粉末へ投入される投入エネルギは、本加熱工程における光線から金属粉末へ投入される投入エネルギよりも小さいことにより、金属粉末を飛散させることを抑制することができる。これにより得られた構造体が方向性凝固構造以外の欠陥を含むことが少なくなる。
(実施例)
図8には、本発明に係る方向性凝固構造体の製造方法により製造した試験後の単結晶構造体31のSEM写真を示す。図8(A)は、試験後の単結晶構造体31の断面模式図である。図8(B)は、単結晶基材32の部分の断面SEM写真、図8(C)は、単結晶基材32の上面から3mmの部分の断面SEM写真、図8(D)は、単結晶基材32の上面から8mmの部分の断面SEM写真である。
図8には、本発明に係る方向性凝固構造体の製造方法により製造した試験後の単結晶構造体31のSEM写真を示す。図8(A)は、試験後の単結晶構造体31の断面模式図である。図8(B)は、単結晶基材32の部分の断面SEM写真、図8(C)は、単結晶基材32の上面から3mmの部分の断面SEM写真、図8(D)は、単結晶基材32の上面から8mmの部分の断面SEM写真である。
構造体を造形するための種金属として、PWA1480でNi基超合金を使用した。Ni基超合金の成分は、Ni以外に5重量%のCo、10重量%のCr、4重量%のW、5重量%のAl、1.5重量%のTi、12重量%Taの元素からなる。そして、直径12mmの単結晶基材32を使用し、その上に70μmずつ金属粉末13を敷き均し、光線により加熱することを繰り返して、直径10mmの構造体を作成した。図8(C)、(D)には、ガンマプライム析出物が図8(B)と同じ向きに整列しており、種金属の結晶がエピタキシャルに成長したことがわかる。
図9は、本発明に係る単結晶構造体で造形されたものと、種金属の硬さを示した図である。図9に示すグラフにおいて、横軸は種金属の上表面からの単結晶構造(造形金属)までの距離を表し、縦軸は硬さを表している。横軸が0mmより下(マイナス)の側は、種金属であることを示し、横軸が0mmより上(プラス)の側は、種金属上に設けられた造形金属であることを示している。種金属に対し造形金属の方が、多少硬度は増しているだけで、大きな変化は見られず、適切に造形されていることがわかる。つまり、エピタキシャルに成長した造形金属は、種金属の強度と同等以上の強度を得ることができたことがわかる。
本実施形態では、敷き均し手段として、山形鋼を用いた敷き均し手段11について説明したが、これに限定されるものではなく、金属粉末を均一に敷き均すことができるものであれば問題ない。例えば、プラスチック製のローラなどを使用することもできる。
加えて、一段目の走査方向と、二段目の走査方向とのなす角が直角である場合について記載したが、これに限定されない。例えば、一段目の加熱工程と、移動工程を経た後の2段目の加熱工程での走査方向とが、60度の角度で交差している場合などが該当する。
また別の実施形態として、種金属固定手段に、昇降テーブル10とは別に、昇降テーブル10の上方に、金属粉末13を挟んでベースプレート15を載置する方法を採用することもできる。比較的軽量な方向性凝固構造体を製造しようとする場合、種金属16を図2(B)に示すように、昇降テーブル10に金属粉末13を介して設けられたベースプレート15上に固定する。図2(B)では種金属16は、ベースプレート15の上面に形成された凹部に収納される。
この別の実施形態では、操作者は、以下のように運転準備を行う。すなわち、昇降テーブル10を昇降装置9により上昇させて、昇降テーブル10の上面が固定テーブル12の上面より少し下方になる位置で停止させる。次に、敷き均し手段11か手作業により、金属粉末13を開口部14から落下させて昇降テーブル10上に堆積させる。堆積した金属粉末13の上に種金属を収納したベースプレート15を載置し、ベースプレート15を上面から押さえて水平になるように調整する。
1 方向性凝固構造体製造装置
2 ビームコラム
3 光線発生部
4 ビーム形状補正装置
5 集束レンズ
6 偏向コイル
7 真空チャンバ
8 パウダーホッパ
9 昇降装置
10 昇降テーブル
11 敷き均し手段
12 固定テーブル
21 タービンブレード
22 翼部
23 プラットフォーム
25 内部冷却通路
31 試験後の単結晶構造体
32 単結晶基材
33 単結晶成長部分
2 ビームコラム
3 光線発生部
4 ビーム形状補正装置
5 集束レンズ
6 偏向コイル
7 真空チャンバ
8 パウダーホッパ
9 昇降装置
10 昇降テーブル
11 敷き均し手段
12 固定テーブル
21 タービンブレード
22 翼部
23 プラットフォーム
25 内部冷却通路
31 試験後の単結晶構造体
32 単結晶基材
33 単結晶成長部分
Claims (8)
- 方向性凝固構造を備える種金属の上面に、金属粉末を敷き均す敷き均し工程と、
敷き均された該金属粉末を光線で照射して加熱し、前記種金属上に設けられた前記金属粉末を前記方向性凝固構造へ変換させて、該金属粉末分前記種金属の方向性凝固構造を成長させる加熱工程と、を有する、
ことを特徴とする方向性凝固構造体の製造方法。 - 前記加熱工程により種金属の方向性凝固構造を成長させた後、前記種金属を、前記光線の照射方向であって前記光線の下流側へ移動させ、
その後、再度前記敷き均し工程と、前記加熱工程と、を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の方向性凝固構造体の製造方法。 - 前記加熱工程では、前記光線を走査しながら照射し、
前記光線の一回目の走査方向と、前記光線の二回目の走査方向とが交差している、
ことを特徴とする請求項2に記載の方向性凝固構造体の製造方法。 - 前記加熱工程が、前記金属粉末同士を結合させる仮加熱工程と、前記方向性凝固構造を成長させる本加熱工程と、から構成されており、
前記仮加熱工程における前記光線から前記金属粉末へ投入される投入エネルギは、前記本加熱工程における前記光線から前記金属粉末へ投入される投入エネルギよりも小さい、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の方向性凝固構造体の製造方法。 - 方向性凝固構造を備える種金属を固定する種金属固定手段と、
該種金属固定手段の近傍に金属粉末を供給する金属粉末供給手段と、
該金属粉末供給手段から供給された前記金属粉末を前記種金属の上面に敷き均す敷き均し手段と、
敷き均された前記金属粉末へ光線を照射する光線照射手段と、
前記種金属固定手段を、前記光線の下流側に移動させる移動手段と、
該移動手段を制御する制御手段と、を備えている、
ことを特徴とする方向性凝固構造体製造装置。 - 前記制御手段は、
敷き均し工程で前記敷き均し手段により前記金属粉末を前記種金属の上に敷き均させ、
前記敷き均し工程に引き続く加熱工程で、前記光線照射手段により前記金属粉末へ光線を照射させ、
前記加熱工程に引き続く移動工程で、前記移動手段により前記金属固定手段を前記光線の下流側に移動させ、
前記敷き均し工程から前記移動工程までを繰り返させる、
ことを特徴とする請求項5に記載の方向性凝固構造体製造装置。 - 前記制御手段は、
前記加熱工程で、前記光線を走査させながら照射させ、
前記光線の一回目の走査方向と、前記光線の二回目の走査方向とを交差させている、
ことを特徴とする請求項6に記載の方向性凝固構造体製造装置。 - 前記制御手段は、
前記加熱工程を、前記金属粉末同士を結合させる仮加熱工程と、前記方向性凝固構造を成長させる本加熱工程と、から構成させ、
前記仮加熱工程における前記光線から前記金属粉末へ投入させる投入エネルギを、
前記本加熱工程における前記光線から前記金属粉末へ投入させる投入エネルギよりも小さくさせる、
ことを特徴とする請求項5から請求項7のいずれかに記載の方向性凝固構造体製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015172654A JP2017048428A (ja) | 2015-09-02 | 2015-09-02 | 方向性凝固構造体の製造方法、および方向性凝固構造体製造装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110315081A (zh) * | 2019-08-09 | 2019-10-11 | 福建工程学院 | 一种基于激光近净成型设备的辅助成型及粉末回收系统 |
CN111872395A (zh) * | 2020-09-28 | 2020-11-03 | 西安赛隆金属材料有限责任公司 | 镍基合金单晶或定向凝固零件的制备方法 |
JP2021042676A (ja) * | 2019-09-06 | 2021-03-18 | 株式会社Ihi | タービンブレード及びタービンブレードの製造方法 |
US11583928B2 (en) | 2019-04-16 | 2023-02-21 | Raytheon Technologies Corporation | Additive manufacturing based multi-layer fabrication/repair |
-
2015
- 2015-09-02 JP JP2015172654A patent/JP2017048428A/ja active Pending
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JP2021042676A (ja) * | 2019-09-06 | 2021-03-18 | 株式会社Ihi | タービンブレード及びタービンブレードの製造方法 |
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