JP2017042179A - 超音波診断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】弾性情報の関心領域を設定する改良技術を提供する。【解決手段】変位計測部30は、送受信部12から得られる受信信号に基づいて、被検体内(例えば肝臓内)における組織の変位を計測し、走査面内の複数の計測点における変位ベクトルを導出する。変位判定部40は、それら複数の計測点における変位ベクトルに基づいて、各計測点における組織変位が良好か否かを判定する。そして、関心領域設定部50は、組織変位が良好と判定された複数の計測点が含まれる位置に関心領域を設定する。【選択図】図1
Description
本発明は、超音波診断装置に関し、特に、被検体内の弾性情報を得る技術に関する。
超音波診断装置において、例えば腫瘍等の硬さに関する弾性情報(組織のひずみや弾性率等)を得る技術が知られている。例えば、超音波のプローブにより被検体の体表から被検体内の組織を圧迫し、その圧迫により被検体内に生じる組織のひずみ等を超音波で計測するエラストグラフィが有名である。
例えば、特許文献1には、圧迫力に対する生体各部の変位のバラツキ度合に関する情報を提供する装置が記載されている。また、特許文献2には、生体組織の圧迫状態を判定して判定結果を弾性画像に反映させる装置が記載されている。
ところで、肝臓などの比較的体表から離れた組織は、超音波のプローブにより体表から圧迫を加えることが難しい。そこで、例えば肝臓のエラストグラフィでは、心拍動により肝臓内に生じた変位に基づいて弾性情報を得る場合がある。この場合、医師や検査技師等のユーザが、断層画像(Bモード画像)や弾性画像を見ながら、心拍動による変位が良好な位置を探して弾性情報の関心領域を設定する手法が一般的であった。
本発明は、上述した背景技術に鑑みて成されたものであり、その目的は、弾性情報の関心領域を設定する改良技術を提供することにある。また、本発明の他の目的は、ユーザの負担を軽減しつつ弾性情報の関心領域を設定することにある。また、本発明の他の目的は変位の比較的良好な位置に弾性情報の関心領域を設定する超音波診断装置を提供することにある。
上記目的にかなう好適な超音波診断装置は、超音波を送受するプローブと、プローブを制御して走査面内において超音波ビームを走査することにより超音波の受信信号を得る送受信部と、超音波の受信信号に基づいて走査面内の複数箇所における組織変位を計測する変位計測部と、走査面内の複数箇所における組織変位の変位成分のうち、少なくとも超音波ビームの走査方向に対応した変位成分に基づいて決定される位置に関心領域を設定する関心領域設定部と、設定された関心領域内において計測される組織変位に基づいて弾性情報を得る弾性計測部と、を有することを特徴とする。
上記装置では、超音波ビームの走査方向に対応した変位成分に基づいて決定される位置に関心領域が設定される。そのため、例えば、関心領域の位置を指定するためのユーザ操作の負担が軽減される。また、例えば、超音波ビームの走査方向に対応した変位成分が比較的小さく、超音波ビームの深さ方向に対応した変位成分が比較的大きい、弾性情報を得るにあたって好適な位置に関心領域を設定することなどが可能になる。なお上記装置は、例えば肝臓などを対象としたエラストグラフィ、例えば心拍動により肝臓内に生じた変位に基づいて弾性情報を得る場合などに好適である。もちろん、上記装置において、プローブを利用して被検体に圧迫を加えて弾性情報が得られてもよい。
望ましい具体例において、前記関心領域設定部は、走査面内の複数箇所における組織変位の変位成分のうち、超音波ビームの走査方向に対応した変位成分と、超音波ビームの深さ方向に対応した変位成分と、に基づいて決定される位置に関心領域を設定する、ことを特徴とする。
望ましい具体例において、前記超音波診断装置は、走査面内の複数箇所における前記走査方向の変位成分と前記深さ方向の変位成分に基づいて、前記各箇所における組織変位が良好か否かを判定する変位判定部をさらに有し、前記関心領域設定部は、組織変位が良好と判定された複数箇所が含まれる位置に関心領域を設定する、ことを特徴とする。
望ましい具体例において、前記関心領域設定部は、組織変位が良好と判定された複数箇所の個数が最大となる位置に関心領域を設定する、ことを特徴とする。
望ましい具体例において、前記関心領域設定部は、ユーザにより指定された超音波ビームのライン上における複数箇所のうち組織変位が良好と判定された複数箇所が含まれる位置に関心領域を設定する、ことを特徴とする。
望ましい具体例において、前記関心領域設定部は、ユーザにより指定された候補領域内において組織変位が良好と判定された複数箇所が含まれる位置に関心領域を設定する、ことを特徴とする。
望ましい具体例において、前記変位判定部は、前記各箇所ごとに、当該箇所における前記走査方向の変位成分Uが第1閾値以下であり且つ当該箇所における前記深さ方向の変位成分Vが第2閾値以上となる場合に当該箇所の組織変位が良好であると判定する、ことを特徴とする。
望ましい具体例において、前記変位判定部は、前記各箇所ごとに、当該箇所における前記深さ方向の変位成分Vと前記走査方向の変位成分Uの比V/Uが第3閾値以上となる場合に当該箇所の組織変位が良好であると判定する、ことを特徴とする。
望ましい具体例において、前記変位判定部は、前記各箇所ごとに、当該箇所における前記走査方向の変位成分Uが第1閾値以下であり、且つ、当該箇所とその周辺の複数箇所における前記深さ方向の変位成分Vのばらつきが基準値以下の場合に当該箇所の前記変位が良好であると判定する、ことを特徴とする。
望ましい具体例において、前記超音波診断装置は、設定された関心領域内の複数箇所における組織変位に基づいて、当該複数箇所における組織変位の統計的な変位方向を示すインジケータを表示する、ことを特徴とする。
本発明により、弾性情報の関心領域を設定する改良技術が提供される。例えば、本発明の好適な態様によれば、ユーザの負担を軽減しつつ弾性情報の関心領域を設定することができる。また、本発明の好適な態様によれば、変位の比較的良好な位置に弾性情報の関心領域を設定することができる。
図1は、本発明の実施において好適な超音波診断装置の全体構成を示す図である。プローブ10は、例えば肝臓などの診断対象を含む被検体に対して超音波を送受する超音波探触子である。プローブ10は、超音波を送受する複数の振動素子を備えており、複数の振動素子が送受信部12によって送信制御されて送信ビームが形成される。また、複数の振動素子が診断対象を含む領域内から超音波を受波し、これにより得られた信号が送受信部12へ出力され、送受信部12が受信ビームを形成して受信ビームに沿って受信信号(エコーデータ)が収集される。こうして、肝臓などの診断対象を含む走査面内において超音波ビーム(送信ビームと受信ビーム)が走査されて超音波の受信信号が得られる。なお、超音波の送受において、送信開口合成等の技術が利用されてもよい。
断層画像形成部20は、送受信部12から得られる受信信号に基づいて断層画像の画像データを形成する。断層画像形成部20は、受信信号に対して、必要に応じて、ゲイン補正、ログ圧縮、検波、輪郭強調、フィルタ処理等の信号処理を行うことにより、例えば肝臓を含む走査面に対応したBモード画像の画像データ(断層画像データ)を形成する。断層画像形成部20は、例えば複数フレーム(複数時相)の断層画像データを形成する。
変位計測部30は、送受信部12から得られる受信信号に基づいて、被検体内(例えば肝臓内)における組織の変位を計測する。例えば、変位計測部30は、受信信号に基づいて複数時相に亘って形成される複数フレームのフレームデータのうち、互いに異なる時相に対応した2つのフレームデータに対して2次元の相関演算処理を行うことにより、各フレーム内(各フレームデータ内)つまり走査面内の各計測点ごとに、その計測点における組織の変位を示す変位ベクトル、すなわち変位の方向と大きさに関する2次元の変位ベクトルを導出し、これにより、断層画像内の複数の計測点における変位ベクトルの分布を得る。変位ベクトルを導出するにあたっては、例えばブロックマッチング法や位相勾配法などが利用される。
ブロックマッチング法においては、各フレーム内つまり断層画像内が、縦方向に数画素かつ横方向に数画素からなる各ブロックにより、複数のブロックに分けられ、各ブロックごとに、一方のフレーム内のブロックに最も類似するブロックが他方のフレーム内で探索される。これにより、各フレーム内の各計測点(各ブロック)ごとに時相間における変位が算出され、例えば2次元の変位ベクトルが得られる。なお、複数のブロックの探索結果を参照して、予測符号化すなわち差分により標本値を決定する処理等を行って、各計測点の変位ベクトルを得るようにしてもよい。
また、位相勾配法においては、各フレームを構成する受信信号からその受信信号の波の位相情報を得て、時相間における位相情報の変化から受信信号の波の移動量を算出し、各フレーム内の各計測点の変位を導出することにより、例えば受信ビーム方向の1次元の又は各フレーム内における二次元の変位ベクトルを得るようにしてもよい。
変位計測部30において、走査面内の複数の計測点における変位ベクトルが計測されると、変位判定部40は、それら複数の計測点における変位ベクトルに基づいて、各計測点における組織変位が良好か否かを判定する。そして、関心領域設定部50は、組織変位が良好と判定された複数の計測点が含まれる位置に関心領域を設定する。
弾性情報演算部60は、変位計測部30において計測された変位を利用し、診断対象である肝臓内における組織の弾性情報(例えば歪み又は弾性率など)を導出する。弾性情報演算部60は、関心領域設定部50によって設定された関心領域内において、例えば、互いに異なる時相に対応した2つのフレームデータ間で計測された各計測点における変位ベクトルに基づいて、複数の計測点について各計測点ごとに組織の歪みや弾性率等の弾性情報を算出する。
弾性画像形成部70は、弾性情報演算部60から得られる弾性情報を視覚的に示す弾性画像の画像データを形成する。弾性画像は、公知の技術によって形成することができる。弾性画像形成部70は、例えば、各フレームの関心領域内における各計測点の弾性値(組織の歪みや弾性率)を示した弾性フレームデータを形成する。弾性フレームデータには、各計測点に対してその計測点における弾性値に応じた色相情報が付与され、弾性フレームデータに基づいて、各計測点に対して光の3原色である赤(R)、緑(G)、青(B)を付した弾性画像が形成される。
表示処理部80は、断層画像形成部20から得られる断層画像データと、弾性画像形成部70から得られる弾性フレームデータに基づいて、弾性情報の診断に係る表示画像を形成する。表示処理部80は、例えば、断層画像データに基づくBモード画像や、弾性フレームデータに基づく弾性画像などを示した表示画像を形成する。表示処理部80において形成された表示画像は表示部82に表示される。
制御部100は、図1に示す超音波診断装置内を全体的に制御する。制御部100による全体的な制御には、操作デバイス90を介して医師や検査技師等のユーザから受け付けた指示も反映される。
図1に示す構成(符号を付された各部)のうち、送受信部12,断層画像形成部20,変位計測部30,変位判定部40,関心領域設定部50,弾性情報演算部60,弾性画像形成部70,表示処理部80の各部は、例えば、電気電子回路やプロセッサ等のハードウェアを利用して実現することができ、その実現において必要に応じてメモリ等のデバイスが利用されてもよい。また、上記各部に対応した機能の全て又は一部が、CPUやプロセッサやメモリ等のハードウェアと、CPUやプロセッサの動作を規定するソフトウェア(プログラム)の協働により実現されてもよい。
表示部82の好適な具体例は、液晶ディスプレイ等であり、操作デバイス90は、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、タッチパネル、その他のスイッチ類等のうちの少なくとも一つにより実現できる。そして、制御部100は、例えば、CPUやプロセッサやメモリ等のハードウェアと、CPUやプロセッサの動作を規定するソフトウェア(プログラム)との協働により実現することができる。
図1の超音波診断装置の全体構成は以上のとおりである。次に、図1の超音波診断装置により実現される機能の具体例について詳述する。なお、図1に示した構成(符号を付された各部)については、以下の説明において図1の符号を利用する。
図2は、走査面内における複数の計測点の具体例を示す図である。深さ方向に沿って形成される超音波ビームが走査方向に走査されて走査面Sが形成される。超音波ビームの走査を繰り返すことにより、走査面Sに対応した複数のフレームが形成される。なお、図2に示す具体例は、コンベックス走査に対応しているが、リニア走査やセクタ走査などの他の走査態様により走査面Sが形成されてもよい。図2に示すビームラインBは、超音波ビームに対応したラインであり、ビームラインB上の複数の計測点Pにおいて変位ベクトルが導出され、走査面S内の複数の計測点Pにおける変位ベクトルにより変位ベクトル分布が構成される。
図3は、変位ベクトル分布の具体例を示す図である。図3において(U,V)は各計測点における変位ベクトルであり、走査方向の変位成分Uと深さ方向の変位成分Vによって表現される。
図3の具体例では、走査方向に並ぶ複数のビームライン(図2参照)の本数がL本(Lは自然数)であり、各ビームラインごとに深さ方向に沿って配列される複数の計測点の個数がN個(Nは自然数)である。
変位計測部30は、走査面内の各計測点ごとに、その計測点における組織の変位を示す変位ベクトル、例えば、走査方向の変位成分Uと深さ方向の変位成分Vで構成される2次元変位ベクトル(U,V)を導出し、例えば図3に示す具体例にように、走査面内の複数の計測点における変位ベクトルで構成された変位ベクトル分布を得る。得られた変位ベクトル分布は、例えばメモリ等に記憶される。
変位判定部40は、走査面内の複数の計測点について、各計測点ごとに変位ベクトル(U,V)に基づいて組織変位が良好か否かを判定する。例えばエラストグラフィにおいて弾性情報は、主に超音波ビームの深さ方向の変位に基づいて導出される。そのため、超音波ビームの走査方向の変位が比較的大きな(特に支配的な)計測点において信頼性の高い弾性情報を得ることが難しい。そこで、変位判定部40は、以下に説明する判定条件1〜3のいずれか1つ又はいくつかを組み合わせて組織変位が良好か否かを判定する。
判定条件1(「U≦THu」且つ「V≧THv」であれば良好)
各計測点における走査方向の変位成分Uが閾値THu以下であり、且つ、その計測点における深さ方向の変位成分Vが閾値THv以上であれば、その計測点における組織変位が良好であると判定される。つまり、判定条件1を満たしていれば、その計測点における超音波ビームの深さ方向の変位が弾性情報の導出において好適であると判断される。
各計測点における走査方向の変位成分Uが閾値THu以下であり、且つ、その計測点における深さ方向の変位成分Vが閾値THv以上であれば、その計測点における組織変位が良好であると判定される。つまり、判定条件1を満たしていれば、その計測点における超音波ビームの深さ方向の変位が弾性情報の導出において好適であると判断される。
判定条件2(「(V/U)≧THr」であれば良好)
各計測点における深さ方向の変位成分Vと走査方向の変位成分Uの比V/Uが、基準となる閾値THr以上であれば、その計測点における組織変位が良好であると判定される。つまり、判定条件2を満たしていれば、その計測点における超音波ビームの深さ方向の変位が比較的大きく弾性情報の導出において好適であると判断される。
各計測点における深さ方向の変位成分Vと走査方向の変位成分Uの比V/Uが、基準となる閾値THr以上であれば、その計測点における組織変位が良好であると判定される。つまり、判定条件2を満たしていれば、その計測点における超音波ビームの深さ方向の変位が比較的大きく弾性情報の導出において好適であると判断される。
判定条件3(「U≦THu」且つ「Vのばらつきが基準値以下」であれば良好)
各計測点における走査方向の変位成分Uが閾値THu以下であり、且つ、その計測点における深さ方向の変位成分Vのばらつきが基準値以下であれば、その計測点における組織変位が良好であると判定される。各計測点の変位成分Vのばらつきは、例えば、その計測点とその周囲にある複数の計測点(例えば合計9個の計測点)における変位成分Vの標準偏差SDより評価することができる。例えば、走査方向の変位成分Uが閾値THu以下である計測点のうち、標準偏差SDが閾値THs以下であれば、変位成分Vのばらつきが小さく良好な計測点であると判定される。
各計測点における走査方向の変位成分Uが閾値THu以下であり、且つ、その計測点における深さ方向の変位成分Vのばらつきが基準値以下であれば、その計測点における組織変位が良好であると判定される。各計測点の変位成分Vのばらつきは、例えば、その計測点とその周囲にある複数の計測点(例えば合計9個の計測点)における変位成分Vの標準偏差SDより評価することができる。例えば、走査方向の変位成分Uが閾値THu以下である計測点のうち、標準偏差SDが閾値THs以下であれば、変位成分Vのばらつきが小さく良好な計測点であると判定される。
変位判定部40は、判定条件1〜3のいずれか1つ又はいくつかを組み合わせて各計測点における組織変位が良好か否かを判定する。そして、関心領域設定部50は、組織変位が良好と判定された複数の計測点が含まれる位置に関心領域を設定する。
図4は、関心領域の設定例1を説明するための図である。図4の設定例1では、まず、医師や検査技師などのユーザが、例えば表示部82に表示されるBモード画像を確認しつつ、操作デバイス90を用いて、関心領域(ROI)を設定したいビームラインBを設定する。これにより、例えば図4(1)に示すように、走査面S内にユーザが指定したビームラインBが設定される。
ユーザによりビームラインBが指定されると、そのビームラインB上における複数の計測点が参照される。図4(2)には、ビームラインB上における複数の計測点の各々が白丸(塗り潰されていない円)で表現されている。
関心領域設定部50は、ユーザにより指定されたビームラインB上における複数の計測点のうち組織変位が良好と判定された複数の計測点が含まれる位置に関心領域(ROI)を設定する。
図4(3)には、ビームラインB上における複数の計測点のうち、組織変位が良好であると判定された複数の計測点の各々が黒丸(塗り潰された円)で表現されている。関心領域設定部50は、良好であると判定された複数の計測点が含まれる位置に関心領域(ROI)を設定する。例えば、図4(4)に示すように、良好な複数の計測点の個数が最大となる位置に関心領域(ROI)が設定される。関心領域(ROI)の大きさや形状は規定のものでもよいし、例えば診断対象や診断箇所に応じてユーザが適宜に調整できるようにしてもよい。
図5は、関心領域の設定例2を説明するための図である。図5の設定例2では、まず、医師や検査技師などのユーザが、例えば表示部82に表示されるBモード画像を確認しつつ、操作デバイス90を用いて、関心領域(ROI)を設定したい大まかな領域として候補領域Aを設定する。これにより、例えば図5(1)に示すように、走査面S内にユーザが指定した候補領域Aが設定される。なお、候補領域Aの大きさや形状をユーザが適宜に調整できるようにしてもよい。
ユーザにより候補領域Aが指定されると、その候補領域A内における複数の計測点が参照される。図5(2)には、走査面内の複数のビームラインB上における複数の計測点うち、候補領域A内にある複数の計測点の各々が白丸(塗り潰されていない円)で表現されている。
関心領域設定部50は、候補領域A内における複数の計測点のうち組織変位が良好と判定された複数の計測点が含まれる位置に関心領域(ROI)を設定する。
図5(3)には、候補領域A内における複数の計測点のうち、組織変位が良好であると判定された複数の計測点の各々が黒丸(塗り潰された円)で表現されている。関心領域設定部50は、良好であると判定された複数の計測点が含まれる位置に関心領域(ROI)を設定する。例えば、図5(4)に示すように、良好な複数の計測点の個数が最大となる位置に関心領域(ROI)が設定される。関心領域(ROI)の大きさや形状は規定のものでもよいし、例えば診断対象や診断箇所に応じてユーザが適宜に調整できるようにしてもよい。
また、ユーザによるビームラインB(設定例1)や候補領域A(設定例2)の設定が行われずに、走査面S内の全計測点を参照して関心領域(ROI)が設定されてもよい(設定例3)。つまり、関心領域設定部50が、走査面Sの全計測点のうち組織変位が良好と判定された複数の計測点が含まれる位置に関心領域(ROI)を設定してもよい。例えば良好な複数の計測点の個数が最大となる位置に関心領域(ROI)が設定される。もちろん、関心領域(ROI)の大きさや形状は規定のものでもよいし、例えば診断対象や診断箇所に応じてユーザが適宜に調整できるようにしてもよい。
関心領域(ROI)が設定されると、弾性情報演算部60は、関心領域(ROI)内における複数の計測点について、各計測点の変位に基づいて組織の歪みや弾性率等の弾性情報を算出する。さらに、弾性画像形成部70は、弾性情報演算部60から得られる弾性情報を視覚的に示す弾性画像の画像データ(弾性フレームデータ)を形成する。そして、表示処理部80は、断層画像形成部20から得られる断層画像データと、弾性画像形成部70から得られる弾性フレームデータに基づいて、弾性情報の診断に係る表示画像を形成する。その表示画像は表示部82に表示される。
図6は、表示画像の具体例を示す図である。図6(A)には、表示部82に表示される弾性情報の表示画像が図示されている。図6(A)に示す具体例では、走査面Sに対応した断層画像(Bモード画像)上に関心領域(ROI)が表示され、さらに、表示部82に実際に表示される表示画像においては、関心領域(ROI)内の複数の計測点における組織の歪みや弾性率等が色等の表示態様により視覚的に表現される。また、関心領域(ROI)内における組織変位の統計的な変位方向を示すインジケータが表示されてもよい。
関心領域(ROI)内における組織変位の統計的な変位方向は、弾性情報の付随的な情報として、例えば弾性情報演算部60により導出される。弾性情報演算部60は、インジケータ形成部としての機能を備えており、関心領域(ROI)内の複数の計測点における組織変位に基づいて、それら複数の計測点における組織変位の統計的な変位方向を導出する。
例えば、関心領域(ROI)内の複数の計測点における走査方向の変位成分Uの平均値を左右方向成分とし、関心領域(ROI)内の複数の計測点における深さ方向の変位成分Vの平均値を上下方向成分とする、平均的な変位ベクトルが導出され、その変位ベクトルの向きに応じて、インジケータが示す変位方向が決定される。
そして、弾性情報演算部60により導出された変位方向に応じて、例えば、図6(B)に示す具体例(1)〜(9)のように、様々な方向に対応したインジケータが形成されて表示部82に表示される。
表示部82に表示されるインジケータを参照して、例えばユーザにより、関心領域(ROI)の位置が修正されてもよい。また、プローブ10で被検者の体表を圧迫して変位を与える場合には、インジケータに示される変位方向を参照したユーザが、プローブ10の圧迫状態(圧迫の方向や強さなど)を適宜に調整することもできる。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した実施形態は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、その本質を逸脱しない範囲で各種の変形形態を包含する。
10 プローブ、12 送受信部、20 断層画像形成部、30 変位計測部、40 変位判定部、50 関心領域設定部、60 弾性情報演算部、70 弾性画像形成部、80 表示処理部、82 表示部、90 操作デバイス、100 制御部。
Claims (10)
- 超音波を送受するプローブと、
プローブを制御して走査面内において超音波ビームを走査することにより超音波の受信信号を得る送受信部と、
超音波の受信信号に基づいて走査面内の複数箇所における組織変位を計測する変位計測部と、
走査面内の複数箇所における組織変位の変位成分のうち、少なくとも超音波ビームの走査方向に対応した変位成分に基づいて決定される位置に関心領域を設定する関心領域設定部と、
設定された関心領域内において計測される組織変位に基づいて弾性情報を得る弾性計測部と、
を有する、
ことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項1に記載の超音波診断装置において、
前記関心領域設定部は、走査面内の複数箇所における組織変位の変位成分のうち、超音波ビームの走査方向に対応した変位成分と、超音波ビームの深さ方向に対応した変位成分と、に基づいて決定される位置に関心領域を設定する、
ことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項2に記載の超音波診断装置において、
走査面内の複数箇所における前記走査方向の変位成分と前記深さ方向の変位成分に基づいて、前記各箇所における組織変位が良好か否かを判定する変位判定部をさらに有し、
前記関心領域設定部は、組織変位が良好と判定された複数箇所が含まれる位置に関心領域を設定する、
ことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項3に記載の超音波診断装置において、
前記関心領域設定部は、組織変位が良好と判定された複数箇所の個数が最大となる位置に関心領域を設定する、
ことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項3または4に記載の超音波診断装置において、
前記関心領域設定部は、ユーザにより指定された超音波ビームのライン上における複数箇所のうち組織変位が良好と判定された複数箇所が含まれる位置に関心領域を設定する、
ことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項3または4に記載の超音波診断装置において、
前記関心領域設定部は、ユーザにより指定された候補領域内において組織変位が良好と判定された複数箇所が含まれる位置に関心領域を設定する、
ことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項3から6のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
前記変位判定部は、前記各箇所ごとに、当該箇所における前記走査方向の変位成分Uが第1閾値以下であり且つ当該箇所における前記深さ方向の変位成分Vが第2閾値以上となる場合に当該箇所の組織変位が良好であると判定する、
ことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項3から6のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
前記変位判定部は、前記各箇所ごとに、当該箇所における前記深さ方向の変位成分Vと前記走査方向の変位成分Uの比V/Uが第3閾値以上となる場合に当該箇所の組織変位が良好であると判定する、
ことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項3から6のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
前記変位判定部は、前記各箇所ごとに、当該箇所における前記走査方向の変位成分Uが第1閾値以下であり、且つ、当該箇所とその周辺の複数箇所における前記深さ方向の変位成分Vのばらつきが基準値以下の場合に当該箇所の前記変位が良好であると判定する、
ことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項1から9のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
設定された関心領域内の複数箇所における組織変位に基づいて、当該複数箇所における組織変位の統計的な変位方向を示すインジケータを表示する、
ことを特徴とする超音波診断装置。
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2015
- 2015-08-24 JP JP2015164378A patent/JP2017042179A/ja active Pending
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