JP2017032485A - 携帯端末の位置測定システム、携帯端末及び位置測定プログラム - Google Patents

携帯端末の位置測定システム、携帯端末及び位置測定プログラム Download PDF

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弘和 大薮
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哲史 野呂
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Abstract

【課題】電波伝搬のマルチパスが発生する環境であっても、電波伝搬のマルチパスの影響を低減し、携帯端末の位置を高精度に測定する。【解決手段】携帯端末12は、電波特性と電波伝搬距離とが対応付けられている複数のモデル関数の中から現在の電波環境に最適なモデル関数を選択し、モデル関数からの残差が一定値以下となる条件を満たすと、固定局13と携帯端末12との間の距離を示す距離データを取得すると共に残差から推定残差を取得し、その取得した距離データ及び推定残差の組み合わせを複数用い、携帯端末12の位置を演算する。【選択図】図7

Description

本発明は、携帯端末の位置測定システム、携帯端末及び位置測定プログラムに関する。
近年、GPS(Global Positioning System)により位置を測定する技術はほぼ全ての携帯端末に搭載されており、位置情報は様々なアプリケーションで利用されている。携帯端末が屋内等のGPS電波を受信することが困難な環境では、携帯端末の位置を測定不可能であるが、携帯端末が車両に搭載されていれば、地図データ、車速パルス、ジャイロ、加速度等を用いたデッドレコニングにより位置を測定可能である。一方、歩行者が携帯端末を携帯している場合、屋内における歩行者の動きは制限が少なく、地図データと歩行情報を用いたデッドレコニングでは不十分である。
GPS電波を用いずに携帯端末の位置を測定する方法として例えば特許文献1に開示されている方法がある。特許文献1の方法では、複数の固定局(アクセスポイント)から送信される電波を用いて各固定局と携帯端末との間の距離を測定し、携帯端末の位置を測定する。固定局と携帯端末との間の距離を測定する方法としては、WiFi(Wireless Fidelity)(登録商標)等の電波の受信電界強度(RSSI(Received Signal Strength Indicator))を用いる方法や、例えば特許文献2に開示されているように電波の飛行時間を用いる方法も提案されている。このような方法によれば、GPS電波を用いずに携帯端末の位置を測定することが可能となる。
特開2013−007719号公報 特表2013−533956号公報
しかしながら、構造物が多数存在する環境では、電波伝搬のマルチパスが発生する虞がある。電波伝搬のマルチパスが発生すると、電波の伝送路の変化により特性値のばらつきが大きくなり、位置情報の精度が劣化する問題がある。このような問題に対し、特許文献1の方法では、携帯端末の位置と対応付けて電波特性を事前に測定しておき、電波特性から携帯端末の位置を推定している。しかしながら、このような方法では、事前に可能な限り複数の場所で電波特性を測定しなければならず、実用性に問題がある。
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電波伝搬のマルチパスが発生する環境であっても、電波伝搬のマルチパスの影響を低減し、携帯端末の位置を高精度に測定することができ、しかも、事前に複数の場所での電波特性の測定を不要として実用性を高めることができる位置測定システム、携帯端末及び位置測定プログラムを提供することにある。
請求項1に記載した発明によれば、モーションセンサは、携帯端末の移動を検出し、その検出した移動を示す端末移動情報を取得する。モーションデータ登録部は、モーションセンサにより取得された端末移動情報を含むモーションデータをモーションデータベースに連続的に登録する。端末移動量演算部は、モーションデータベースに登録されているモーションデータを用い、携帯端末が一定方向に移動したときの移動量を演算する。送受信部は、携帯端末の周辺の固定局との間で無線通信を行い、固定局の位置を示す固定局位置情報を受信する。周辺固定局データ登録部は、固定局位置情報と無線通信に係る電波特性を示す電波特性情報とを含む周辺固定局データを周辺固定局データベースに連続的に登録する。モデル関数選択部は、周辺固定局データベースに登録されている周辺固定局データを用い、電波特性と電波伝搬距離とが対応付けられている複数のモデル関数の中から何れかのモデル関数を選択する。推定用データ選択部は、周辺固定局データベースに登録されている周辺固定局データ及び端末移動量演算部により演算された携帯端末の移動量を示す端末移動量データを用い、モデル関数のパラメータを推定するのに必要な推定用データを選択する。
モデルパラメータ推定部は、モデル関数選択部により選択されたモデル関数と推定用データ選択部により選択された推定用データとを用いてモデル関数のパラメータを推定する。そして、モデルパラメータ推定部は、モデル関数からの残差が一定値以下であると判定すると、固定局と携帯端末との間の距離を示す距離データを取得すると共に残差から推定残差を取得する。自位置演算部は、モデルパラメータ推定部により取得された距離データ及び推定残差の組み合わせを複数用い、携帯端末の位置を演算する。
電波特性と電波伝搬距離とが対応付けられている複数のモデル関数を用い、その複数のモデル関数の中から現在の電波環境に最適なモデル関数を選択し、推定残差を信頼度として利用して携帯端末の位置を演算するようにした。予め定められている複数のモデル関数の中から現在の電波環境に最適なモデル関数を選択することで、電波伝搬のマルチパスが発生する環境であっても、電波伝搬のマルチパスの影響を低減し、携帯端末の位置を高精度に測定することができる。この場合、事前の複数の場所での電波特性の測定を不要とすることで、実用性を高めることができる。
本発明の第1の実施形態を示し、固定局と歩行者との位置関係を示す図(その1) 受信電界強度と距離との関係を示す図 飛行時間と距離との関係を示す図 固定局と歩行者との位置関係を示す図(その2) 歩行者の移動量を示す図 固定局及び歩行者の位置座標を示す図 システムの全体構成を示す機能ブロック図 フローチャート(その1) 固定局と歩行者との位置関係を示す図(その3) 固定局と歩行者との位置関係を示す図(その4) 本発明の第2の実施形態を示し、システムの全体構成を示す機能ブロック図
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図1から図10を参照して説明する。
最初に本発明の原理について図1から図6を参照して説明する。固定局の位置は正確であることを前提とする。図1に示すように、携帯端末1を携帯している歩行者がビル(構造物)の近くに存在し、その歩行者の近くに固定局2が設置されており、固定局2と携帯端末1とが両者の間で無線通信可能である場合を想定する。歩行者が位置1から位置3に移動する間に、携帯端末1は、自端末の移動を示す端末移動情報を含むモーションデータをモーションDB(データベース)に連続的に登録する。又、固定局2は、携帯端末1との間で無線通信を行い、固定局2の位置を含む固定局位置情報を携帯端末1に繰り返し送信する。携帯端末1は、固定局2との間で無線通信を行い、固定局2から固定局情報を繰り返し受信し、固定局位置情報と無線通信に係る電波特性を示す電波特性情報とを含む周辺固定局データを周辺固定局DBに連続的に登録する。
固定局2と携帯端末1との間で送受信される電波の受信電波強度(RSSI)及び飛行時間(TOF(Time-of-Flight))の特性はそれぞれ図2及び図3に示すようになる。固定局2と携帯端末1との間の距離(電波伝搬距離)を距離rとすると、受信電界強度は式(1)に示すように距離rの2乗に反比例する関係となり(N=20)、飛行時間は式(2)に示すように距離rに比例する関係となる。
P(RSSI)=Pofs−Nlog10r …(1)
T(TOF)=Tofs+r/c (cは光速) …(2)
又、ITU−R(International Telecommunication Union Radio communications Sector)で勧告されているように、屋内のようなマルチパスが多い環境では、N=20と異なり環境により複数のパターンが存在する。上記した式(1),(2)において、電波の伝送路による測定値の変化(オフセット)はPofsやTofsで表される。
図1に示すように、歩行者が固定局2から比較的遠い位置を歩行しており、歩行者の各位置での電波の送受信方向が一直線に近い場合であれば、歩行者の移動距離の変化量と距離rの変化量とはおよそ等しく、現在の距離rは過去の距離と移動量で表すことができる。一方、図4に示すように、歩行者が固定局2から比較的近い位置を歩行しており、歩行者の各位置での電波の送受信方向が一直線に近くない場合であれば、式(3)を用いて距離rを演算することができる。
r=√(d+Δ+2dΔcosθ) …(3)
式(3)の変数を図5に示す。相対角θを変数に追加し、歩行者の移動量(Δ)から距離rを定義している。このような複数の関係式を用い、電波特性と電波伝搬距離とが対応付けられている複数のモデル関数Fの中から現在の電波環境に最適なモデル関数Fを選択する。
さて、歩行者が一定方向に移動している時間では固定局2の周囲の環境は一定と見做すことができる。よって、この時間での電波の伝送路による変化(オフセット)を一定とする。しかしながら、短い時間内でも図1に示すように構造物の壁面3での反射や構造物4での回析により電波伝搬のマルチパスが発生し、電波の伝送路の変化により特性値が多少ばらつく。このような特性値のばらつきに対し、モデル関数Fとのデータの偏差が最少となるようフィッティングして図2及び図3に示している。
図1に示したように、歩行者の各位置での電波の送受信方向が一直線に近い場合であれば、d4の位置からの歩行者の移動量をΔd1〜Δd3とすると、
d1=d4−Δd1
d2=d4−Δd2
d3=d4−Δd3
となり、これらd1〜d3を距離rとして式(1),(2)に代入すると、未知変数はPofs又はTofsとd4との2つであり、データ数は4つであり、連立方程式を解くことでパラメータを推定することができる。例えば偏差の合計(残差e)が最少となるように最小二乗法を用いれば良い。
一方、図4に示したように、歩行者の各位置での電波の送受信方向が一直線に近くない場合であれば、式(3)を用いると、未知変数はdからd,θと増え、データ数が最低3つあれば同様に連立方程式を解くことでパラメータを推定することができる。又、残差eが大きくて収束しなかった場合、偏差の大きなデータ(図2及び図3では位置3のデータ)を削除した上で推定を行えば良い。又、式(1),(2)を用いると誤差が大きくなる場合、式(3)を用いたりNを変えたりする等してモデル関数を選択し直して再度推定を行えば良い。これを周辺固定局DBに登録された周辺固定局データを用いて一定の残差以下となるまで繰り返す。上記した手順により固定局2と携帯端末1との間の距離、又は相対位置を演算することができる。
次に、携帯端末1の位置を演算について述べる。
図6に示すように、3つの固定局2との距離を上記した手法で求めることができたとする。固定局2毎に求めたい位置に対して式(4)に示すように距離を演算する式を用意し、最小二乗法で偏差sが最少となるように解けば良い。
=√[(x−x+(y−y]+s …(4)
ここで、パラメータ推定での残差eを推定残差とする。これが小さいものを信頼度の高いデータとして、例えばs(i)→e(i)/Σe(i)*s(i)とし、偏差に重み付けした最小二乗法により信頼度の高い位置の演算が可能となる。又、位置を特定するために必要な局数が確保し得ない場合でも、例えばWiFiのアクセスポイントとの距離を通信で求めたり、携帯端末1がGPS電波を受信可能であれば位置座標を用いたりすれば良い。
以上に説明したように本発明は、携帯端末1において、電波特性と電波伝搬距離とが対応付けられている複数のモデル関数の中から現在の電波環境に最適なモデル関数を選択し、モデル関数からの残差が一定値以下となる条件を満たすと、固定局2と携帯端末1との間の距離を示す距離データを取得すると共に残差から推定残差を取得し、推定残差を信頼度として利用することで、携帯端末1の位置を演算することを特徴とする。尚、上記した携帯端末1の位置を演算する原理は、図5に示したように、歩行者が移動することで、固定局2と携帯端末1とが両者の間で無線通信を異なるタイミングで3回行う場合を説明したが、3つの固定局2と携帯端末1とが両者の間で無線通信を同じタイミングで行う場合も同様である。即ち、時刻又は方向が異なる少なくとも3個の電波に対応するモデル関数を選択することで、携帯端末1の位置を演算することができる。
次に、上記した原理を用いて携帯端末の位置を測定する具体的なシステムについて図7及び図8を参照して説明する。携帯端末の位置を測定する位置測定システム11は、歩行者が携帯している携帯端末12と、歩行者の近くに存在する複数の固定局13とを有する。携帯端末12は、複数の固定局13との間で無線通信可能である。固定局13は、電波を送信する通信局であり、固定された状態で電波を送信する構成であればどのような構成でも良い。即ち、固定局13は、インフラ設備として屋内に固定設置されている通信局でも良いし、屋内の駐車車両に搭載されている車載通信機でも良い。
固定局13は、送受信部14を有する。送受信部14は、電波を送信し、自局の位置を示す固定局位置情報を送信する。
携帯端末12は、モーションセンサ15と、モーションデータ登録部16と、モーションDB17と、端末移動量演算部18と、送受信部19と、周辺固定局データ登録部20と、周辺固定局DB21と、モデル関数選択部22と、推定用データ選択部23と、モデルパラメータ推定部24と、自位置演算部25と、アプリケーション実行部26とを有する。モーションセンサ15を除いて各部16〜26はコンピュータプログラム(位置測定プログラムを含む)により構成されており、ソフトウェアにより実現されている。
モーションセンサ15は、携帯端末12の移動を検出し、その検出した移動を示す端末移動情報を取得する。具体的には、モーションセンサ15は、例えば人の歩数を測定する加速度センサ、人の歩行軸の回転軸を測定するジャイロセンサ、絶対方位を測定する地磁気センサ等の複数のセンサが組み合わされて構成されている。モーションセンサ15は、これら各センサにより人の歩行に応じて携帯端末12の移動(人の歩数、歩行軸の回転軸、絶対方位等)を検出する毎に、その検出した移動を示す端末移動情報をモーションデータ登録部16に連続的に出力する。
モーションデータ登録部16は、モーションセンサ15から端末移動情報を入力すると、その入力した端末移動情報をモーションデータとしてモーションDB17に連続的に登録する。即ち、モーションDB17には、モーションデータ登録部16から端末移動情報が入力されることで、その端末移動情報がモーションデータとして登録される。端末移動量演算部18は、モーションDB17に登録されているモーションデータを読み出し、その読み出したモーションデータを用い、携帯端末12が一定方向に移動したときの移動量を演算し、その演算した携帯端末12の移動量を示す端末移動量データを推定用データ選択部23に出力する。
送受信部19は、固定局13の送受信部14との間で無線通信を行い、送受信部14から送信された電波を受信して電波特性を連続的に測定する。具体的には、送受信部19は、以下のようにして電波特性を測定する。送受信部19は、固定局13の送受信部14からの電波の送信を問い合わせる電波を送信し、その問合に対する応答として送受信部14から送信された電波を受信して電波特性を連続的に測定しても良いし、送受信部14から定期的にブロードキャストされた電波を受信して電波特性を連続的に測定しても良い。又、送受信部19は、電波特性を測定する方法として受信電界強度を用いる場合であれば、自らが受信した送受信部19からの電波の受信電界強度を測定しても良いし、自らが送信した電波が送受信部14に受信されて送受信部14により測定されることで、その送受信部14により測定された電波の受信電界強度を当該送受信部14から取得しても良い。又、送受信部19は、電波特性を測定する方法として電波の飛行時間を用いる場合であれば、送受信部19から送信される電波に送信時刻を含めることで、その送信時刻から電波の受信時刻までの時間差を演算して飛行時間を算出しても良い。又、送受信部19は、自らが電波を送信した送信時刻から送受信部14から送信された電波の受信時刻までの時間差を演算して飛行時間を算出しても良い。送受信部19は、このような複数の方法のうちから最適な方法を選択して電波特性を測定すれば良い。送受信部19は、このようにして電波特性を測定すると、その測定した電波特性を示す電波特性情報を周辺固定局データ登録部20に連続的に出力する。又、送受信部19は、送受信部14から固定局位置情報を連続的に受信することで、その受信した固定局位置情報を周辺固定局データ登録部20に連続的に出力する。
周辺固定局データ登録部20は、送受信部19から電波特性情報及び固定局位置情報を入力すると、その入力した電波特性情報及び固定局位置情報を周辺固定局DB21に連続的に登録する。即ち、周辺固定局DB21には、複数の固定局13毎に区分された記憶領域が用意されており、周辺固定局データ登録部20から電波特性情報及び固定局位置情報が入力されることで、電波特性情報及び固定局位置情報が周辺固定局データとして送信元の固定局13毎に区分されて連続的に登録される。
モデル関数選択部22は、複数の固定局13毎にモデル関数を選択する。モデル関数選択部22は、周辺固定局DB21に登録されている周辺固定局データを読み出し、その読み出した周辺固定局データを用い、電波特性と電波伝搬距離とが対応付けられている複数のモデル関数の中から何れかのモデル関数を選択する。そして、モデル関数選択部22は、モデル関数を選択すると、その選択したモデル関数をモデルパラメータ推定部24に出力する。
推定用データ選択部23は、複数の固定局13毎に推定用データを選択する。推定用データ選択部23は、周辺固定局DB21に登録されている周辺固定局データを読み出し、端末移動量演算部18から端末移動量データを入力すると、その読み出した周辺固定局データを用い、モデル関数のパラメータを推定するのに必要な推定用データを選択する。そして、推定用データ選択部23は、推定用データを選択すると、その選択した推定用データをモデルパラメータ推定部24に出力する。
モデルパラメータ推定部24は、モデル関数選択部22からモデル関数を入力すると共に、推定用データ選択部23から推定用データを入力すると、それらモデル関数と推定用データとを用い、モデル関数のパラメータを推定する。モデルパラメータ推定部24は、モデル関数からの残差が一定値以下であれば、距離データを取得すると共に残差から推定残差を取得し、その取得した距離データ及び推定残差を自位置演算部25に出力する。
又、モデルパラメータ推定部24は、モデル関数からの残差が一定値以下でなければ、その旨を示すエラー情報をモデル関数選択部22及び推定用データ選択部23に出力する。モデル関数選択部22は、モデルパラメータ推定部24からエラー情報を入力すると、そのエラー情報を用い、複数のモデル関数の中から何れかのモデル関数を選択し直す。推定用データ選択部23は、モデルパラメータ推定部24からエラー情報を入力すると、そのエラー情報を用い、推定用データを選択し直す。即ち、モデル関数選択部22は、モデル関数からの残差が一定値以下となるまでモデル関数を選択し直す。推定用データ選択部23は、モデル関数からの残差が一定値以下となるまで推定用データを選択し直す。
自位置演算部25は、モデルパラメータ推定部24から距離データ及び推定残差を入力すると、その入力した距離データ及び推定残差を用いて携帯端末12の位置を演算し、その演算した携帯端末12の位置を示す自位置データをアプリケーション実行部26に出力する。アプリケーション実行部26は、自位置演算部25から自位置データを入力すると、その入力した自位置データにより示される携帯端末12の位置を用いたアプリケーションを実行する。
次に、上記した構成の作用について図8及び図9を参照して説明する。
携帯端末12は、図8に示す位置測定処理を行う。携帯端末12は、位置測定処理を開始すると、モーションセンサ15により自端末の移動を検出し、その検出した移動を示す端末移動情報を取得する(S1、第1の手順)。携帯端末12は、固定局13の送受信部14との間で無線通信を送受信部19により行う(S2、第2の手順)。次いで、携帯端末12は、その取得した端末移動情報を含むモーションデータをモーションDB21に連続的に登録する(S3、第3の手順)。次いで、携帯端末12は、モーションDB(21)に登録されているモーションデータを用い、携帯端末12が一定方向に移動したときの移動量を演算する(S4、第4の手順)。
携帯端末12は、固定局13から送信された電波を送受信部19により受信して電波特性を連続的に測定し、電波特性情報及び固定局位置情報を周辺固定局データとして周辺固定局データ登録部20により周辺固定局DB21の送信元の固定局13に対応する記憶領域に連続的に登録する(S5、第5の手順)。
携帯端末12は、周辺固定局DB21に登録されている周辺固定局データをモデル関数選択部22により読み出し、その読み出した周辺固定局データを用い、電波特性と電波伝搬距離とが対応付けられている複数のモデル関数の中から何れかのモデル関数を選択する(S6、第6の手順)。次いで、携帯端末12は、周辺固定局DB21に登録されている周辺固定局データを推定用データ選択部23により読み出し、その読み出した周辺固定局データと端末移動量演算部18から入力した端末移動量データとを用い、モデル関数のパラメータを推定するのに必要な推定用データを選択する(S7、第7の手順)。
携帯端末12は、モデル関数と推定用データとを用い、モデル関数のパラメータをモデルパラメータ推定部24により推定する(S8、第8の手順)。次いで、携帯端末12は、モデル関数からの残差が一定値以下であるか否かを判定する(S9、第9の手順)。携帯端末12は、モデル関数からの残差が一定値以下であると判定すると(S9:YES)、自位置を演算するのに必要なデータ数を確保したか否かを判定する(S10)。即ち、携帯端末12は、時刻又は方向が異なる少なくとも3個の電波に対応するモデル関数を選択したか否かを判定する。
携帯端末12は、自位置を演算するのに必要なデータ数を確保していないと判定すると(S10:NO)、上記したステップS6に戻り、ステップS6以降を繰り返して行う。一方、携帯端末12は、自位置を演算するのに必要なデータ数を確保したと判定すると(S10:YES)、各固定局13と自端末との間の距離を示す距離データを取得すると共に残差から推定残差を取得する(S11、第10の手順)、そして、携帯端末2は、その取得した距離データ及び推定残差を用いて自位置を自位置演算部25により演算し(S12、第11の手順)、位置測定処理を終了する。
又、携帯端末12は、モデル関数からの残差が一定値以下でないと判定すると(S9:NO)、モデル関数を選択し直す必要があるか否かを判定する(S13)。携帯端末12は、適切なモデル関数を選択しておらずモデル関数を選択し直す必要があると判定すると(S13:YES)、上記したステップS6に戻り、モデル関数を選択し直す。一方、携帯端末12は、適切なモデル関数を選択したと判定し、即ち、適切なモデル関数を選択したが適切な推定用データを選択しておらず推定用データを選択し直す必要があると判定すると(S13:NO)、上記したステップS7に戻り、推定用データを選択し直す。
尚、図9に示すように、歩行者から見通せる位置に固定局Aが存在し、歩行者から見通せない位置に固定局Bが存在するような状況では、固定局Aに搭載されている固定局13から送信される電波を適切に受信するが、固定局Bに搭載されている固定局13から送信される電波が回折する等して適切に受信し難くなる。そのため、固定局Bからの距離が実際から大きくずれ、自位置を演算する際にいて偏差sが極端に大きくなる。このような場合、信頼度の低い固定局Bのデータを省いて自位置を演算すれば良い。又、モデル関数選択部22が選択するモデル関数は、携帯端末12に記憶されていても良いし、クラウドデータとして外部サーバに記憶されていても良い。モデル関数が外部サーバに記憶されている場合では、携帯端末12は、外部サーバとの間で無線通信を行うことで、外部サーバからモデル関数をダウンロードして取得する。
又、自位置演算部25は、携帯端末12の位置を演算すると、その演算した携帯端末12の位置を示す自位置データをモーションデータ登録部16にも出力する。モーションデータ登録部16は、自位置演算部25から自位置データを入力すると、その入力した自位置データをモーションDB17に登録する。これはモデル関数選択部22のモデル関数を外部サーバにクラウドデータとして記憶して更新するためである。
例えば図10に示す状況を想定する。携帯端末12は、歩行者が位置1に存在するときに固定局13が近くに存在し、自端末の位置を演算すると、その演算した位置を示す自位置データをモーションDB17に登録しておく。その後、歩行者が位置1から位置2に移動したとする。携帯端末12は、歩行者が位置2に存在するときでは、位置1から位置2への移動量を端末移動量演算部18により演算することで位置2での自端末と固定局13との距離を演算することができる。固定局13から位置2の自端末への電波特性と式(1)に距離を代入した結果をモデルパラメータ推定部24により推定し、モデル関数のパラメータ(例えば式(1)のN)を誤差が最少となるように逆算することができる。このようにして求めた固定局13の位置と歩行者の位置2との間での電波特性を表すモデル関数を携帯端末12の通信機能により外部サーバにクラウドデータとしてアップロードする。次に、別の歩行者が別の携帯端末を携帯して位置2に来た場合に固定局13との間で電波を送受信して電波特性から距離を演算する場合には、既に外部サーバにクラウドデータとして記憶されているモデル関数を利用することで、より精度の高い距離を演算することができる。
以上に説明したように第1の実施形態によれば、次に示す作用効果を得ることができる。携帯端末12において、電波特性と電波伝搬距離とが対応付けられている複数のモデル関数の中から現在の電波環境に最適なモデル関数を選択し、モデル関数からの残差が一定値以下となる条件を満たすと、固定局13と携帯端末12との間の距離を示す距離データを取得すると共に残差から推定残差を取得し、その取得した距離データ及び推定残差の組み合わせを複数用い、携帯端末12の位置を演算するようにした。予め定められている複数のモデル関数の中から現在の電波環境に最適なモデル関数を選択することで、電波伝搬のマルチパスが発生する環境であっても、電波伝搬のマルチパスの影響を低減し、携帯端末の位置を高精度に測定することができる。この場合、事前の複数の場所での電波特性の測定を不要とすることで、実用性を高めることができる。
モデル関数からの残差が一定値以下でないと、複数のモデル関数の中から何れかのモデル関数を選択し直したり推定用データを選択し直したりするようにした。これにより、モデル関数からの残差が一定値以下となる条件を適切に満たすようになり、携帯端末12の位置を高精度に測定することができる。又、複数の固定局13との間で無線通信を同じタイミングで行っても良いし、一以上の固定局13との間で無線通信を一以上の異なるタイミングで行っても良い。即ち、携帯端末12の位置を演算するのに必要なデータ数を確保することができれば、固定局13の個数や固定局13からの電波を受信するタイミングをどのように組み合わせても良い。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図11を参照して説明する。尚、上記した第1の実施形態と同一部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。第1の実施形態は、固定局13との間で無線通信を行う携帯端末12にモーションセンサ15が設けられている構成であるが、第2の実施形態は、固定局13との間で無線通信を行う携帯端末とは別の携帯端末にモーションセンサが設けられている構成である。
位置測定システム31は、携帯端末32,33と、第1の実施形態で説明した複数の固定局13とを有する。携帯端末32は、複数の固定局13との間で無線通信可能であり、携帯端末33との間で近接無線通信可能である。
携帯端末32は、第1の実施形態で説明した各機能ブロック16〜24に加え、近接無線通信部34を有する。この近接無線通信部34もコンピュータプログラムにより構成されており、ソフトウェアにより実現されている。携帯端末33は、例えば腕時計型やリストバンド型の携帯端末であり、携帯端末32よりも小型で且つ簡易な携帯端末である。携帯端末32と携帯端末33とは両者の間で例えばBluetooth(登録商標)LE(Low Energy)の規格に準拠した近接無線通信を行う。携帯端末33は、モーションセンサ35と、近接無線通信部36とを有する。モーションセンサ35は、第1の実施形態で説明したモーションセンサ15と同等の機能を有する。携帯端末33は、自端末の移動をモーションセンサ35により検出すると、その検出した移動を示す端末移動情報を近接無線通信部36から携帯端末32に送信する。携帯端末32は、携帯端末33から送信された端末移動情報を近接無線通信部34により受信すると、その受信した端末移動情報をモーションデータとしてモーションDB17に連続的に登録する。
以上に説明したように第2の実施形態によれば、複数の固定局13との間で無線通信を行う携帯端末32とは別の携帯端末33にモーションセンサ35が設けられている構成でも、上記した第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
図面中、11,31は携帯端末の位置測定システム、12,32は携帯端末、13は固定局、15はモーションセンサ、16はモーションデータ登録部、17はモーションデータベース、18は端末移動量演算部、19は送受信部、20は周辺車両データ登録部、21は周辺車両データベース、22はモデル関数選択部、23は推定用データ選択部、24はモデルパラメータ推定部、25は自位置演算部である。

Claims (9)

  1. 携帯端末(12,32)の移動を検出し、その検出した移動を示す端末移動情報を取得するモーションセンサ(15)と、
    携帯端末の周辺の固定局(13)との間で無線通信を行い、固定局の位置を示す固定局位置情報を受信する送受信部(19)と、
    前記モーションセンサにより取得された端末移動情報を含むモーションデータをモーションデータベース(17)に連続的に登録するモーションデータ登録部(16)と、
    前記モーションデータベースに登録されているモーションデータを用い、携帯端末が一定方向に移動したときの移動量を演算する端末移動量演算部(18)と、
    固定局位置情報と無線通信に係る電波特性を示す電波特性情報とを含む周辺固定局データを周辺固定局データベース(21)に連続的に登録する周辺固定局データ登録部(20)と、
    前記周辺固定局データベースに登録されている周辺固定局データを用い、電波特性と電波伝搬距離とが対応付けられている複数のモデル関数の中から何れかのモデル関数を選択するモデル関数選択部(22)と、
    前記周辺固定局データベースに登録されている周辺固定局データ及び端末移動量演算部により演算された端末移動量を示す端末移動量データを用い、モデル関数のパラメータを推定するのに必要な推定用データを選択する推定用データ選択部(23)と、
    前記モデル関数選択部により選択されたモデル関数と前記推定用データ選択部により選択された推定用データとを用いてモデル関数のパラメータを推定し、モデル関数からの残差が一定値以下であると判定した場合に、固定局と携帯端末との間の距離を示す距離データを取得すると共に残差から推定残差を取得するモデルパラメータ推定部(24)と、
    前記モデルパラメータ推定部により取得された距離データ及び推定残差の組み合わせを複数用い、携帯端末の位置を演算する自位置演算部(25)と、を備えたことを特徴とする携帯端末の位置測定システム。
  2. 請求項1に記載した携帯端末の位置測定システムにおいて、
    前記モデル関数選択部は、モデル関数からの残差が一定値以下でないと前記モデルパラメータ推定部が判定した場合に、複数のモデル関数の中から何れかのモデル関数を選択し直すことを特徴とする携帯端末の位置測定システム。
  3. 請求項1又は2に記載した携帯端末の位置測定システムにおいて、
    前記推定用データ選択部は、モデル関数からの残差が一定値以下でないと前記モデルパラメータ推定部が判定した場合に、推定用データを選択し直すことを特徴とする携帯端末の位置測定システム。
  4. 請求項1から3の何れか一項に記載した携帯端末の位置測定システムにおいて、
    前記送受信部は、複数の固定局との間で無線通信を同じタイミングで行い、
    前記自位置演算部は、前記送受信部が複数の固定局との間で無線通信を同じタイミングで行うことにより、前記モデルパラメータ推定部により取得された距離データ及び推定残差の組み合わせを複数用い、携帯端末の位置を演算することを特徴とする携帯端末の位置測定システム。
  5. 請求項1から3の何れか一項に記載した携帯端末の位置測定システムにおいて、
    前記送受信部は、一以上の固定局との間で無線通信を一以上の異なるタイミングで行い、
    前記自位置演算部は、前記送受信部が一以上の固定局との間で無線通信を一以上の異なるタイミングで行うことにより、前記モデルパラメータ推定部により取得された距離データ及び推定残差の組み合わせを複数用い、携帯端末の位置を演算することを特徴とする携帯端末の位置測定システム。
  6. 請求項1から5の何れか一項に記載した携帯端末の位置測定システムにおいて、
    前記モーションデータ登録部は、前記自位置演算部により演算された携帯端末の位置を示す自位置データを前記モーションデータベースに登録することを特徴とする携帯端末の位置測定システム。
  7. 請求項1から6の何れか一項に記載した携帯端末の位置測定システムにおいて、
    前記モーションセンサと前記モーションデータ登録部とが別々の携帯端末に設けられ、
    前記モーションデータ登録部は、端末移動情報が近接無線通信により送受信されることで、モーションデータをモーションデータベースに連続的に登録することを特徴とする携帯端末の位置測定システム。
  8. 自端末の移動を検出し、その検出した移動を示す端末移動情報を取得するモーションセンサ(15)と、
    自端末の周辺の固定局(13)との間で無線通信を行い、固定局の位置を示す固定局位置情報を受信する送受信部(19)と、
    前記モーションセンサにより取得された端末移動情報を含むモーションデータをモーションデータベース(17)に連続的に登録するモーションデータ登録部(16)と、
    前記モーションデータベースに登録されているモーションデータを用い、携帯端末が一定方向に移動したときの移動量を演算する端末移動量演算部(18)と、
    固定局位置情報と無線通信に係る電波特性を示す電波特性情報とを含む周辺固定局データを周辺固定局データベース(21)に連続的に登録する周辺固定局データ登録部(20)と、
    前記周辺固定局データベースに登録されている周辺固定局データを用い、電波特性と電波伝搬距離とが対応付けられている複数のモデル関数の中から何れかのモデル関数を選択するモデル関数選択部(22)と、
    前記周辺固定局データベースに登録されている周辺固定局データ及び端末移動量演算部により演算された端末移動量を示す端末移動量データを用い、モデル関数のパラメータを推定するのに必要な推定用データを選択する推定用データ選択部(23)と、
    前記モデル関数選択部により選択されたモデル関数と前記推定用データ選択部により選択された推定用データとを用いてモデル関数のパラメータを推定し、モデル関数からの残差が一定値以下であると判定した場合に、固定局と自端末との間の距離を示す距離データを取得すると共に残差から推定残差を取得するモデルパラメータ推定部(24)と、
    前記モデルパラメータ推定部により取得された距離データ及び推定残差の組み合わせを複数用い、自端末の位置を演算する自位置演算部(25)と、を備えたことを特徴とする携帯端末(12,32)。
  9. 携帯端末(12,32)に、
    自端末の移動を検出し、その検出した移動を示す端末移動情報を取得する第1の手順と、
    自端末の周辺の固定局(13)との間で無線通信を行い、固定局の位置を示す固定局位置情報を受信する第2の手順と、
    前記第1の手順により取得した端末移動情報を含むモーションデータをモーションデータベース(17)に連続的に登録する第3の手順と、
    前記モーションデータベースに登録されているモーションデータを用い、携帯端末が一定方向に移動したときの移動量を演算する第4の手順と、
    固定局位置情報と無線通信に係る電波特性を示す電波特性情報とを含む周辺固定局データを周辺固定局データベース(21)に連続的に登録する第5の手順と、
    前記周辺固定局データベースに登録されている周辺固定局データを用い、電波特性と電波伝搬距離とが対応付けられている複数のモデル関数の中から何れかのモデル関数を選択する第6の手順と、
    前記周辺固定局データベースに登録されている周辺固定局データ及び前記第4の手順により演算した移動量を示す端末移動量データを用い、モデル関数のパラメータを推定するのに必要な推定用データを選択する第7の手順と、
    前記第6の手順により選択したモデル関数と前記第7の手順により選択した推定用データとを用いてモデル関数のパラメータを推定する第8の手順と、
    モデル関数からの残差が一定値以下であるか否かを判定する第9の手順と、
    モデル関数からの残差が一定値以下であると前記第9の手順により判定した場合に、固定局と自端末との間の距離を示す距離データを取得すると共に残差から推定残差を取得する第10の手順と、
    前記第9の手順により取得した距離データ及び推定残差の組み合わせを複数用い、自端末の位置を演算する第11の手順と、を実行させることを特徴とする位置測定プログラム。
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