JP2017020981A - パターン測定装置、及びコンピュータープログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、帯電の影響によらず、高精度な測定やパターン識別を行うことが可能なパターン測定装置の提供を目的とする。【解決手段】上記目的を達成するために本発明では、第1の方向に向かって荷電粒子ビームを走査したときに得られる第1の信号波形(103)と、前記第1の方向とは異なる第2の方向に向かって荷電粒子ビームを走査したときに得られる第2の信号波形(105)との間で差分演算を行い、当該差分に応じた重みで、前記荷電粒子ビームの走査によって得られる信号を加算処理することによって、合成プロファイル(110)を生成するパターン測定装置を提案する。【選択図】 図1
Description
本発明は、パターン測定装置、及びコンピュータープログラムに係り、特に、微細なパターンであっても正確にピーク位置やパターンの種類を特定することによって、高精度な測定の実行を可能とするパターン測定装置、及び当該測定をコンピューターに実行させるコンピュータープログラムに関する。
半導体デバイスの大規模化、高集積化が進んでいる。これらの進歩を支えているのは微細加工技術である。半導体デバイスの微細化に伴い、半導体デバイスの測定や検査を行う装置には、より高い測定精度や検査精度が求められている。半導体デバイスの測定や検査に用いられる走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)は、試料に電子ビームを照射することによって得られる2次電子等を検出することによって、試料画像や信号波形を形成する装置である。
特許文献1には、ラインパターンが複数配列された試料に、電子ビームを走査することによって得られるラインプロファイルを解析することによって、パターンの凸部(ラインパターン)と凹部(スペース)を識別する手法が説明されている。また、特許文献2には、SADP(Self−Aligned Double Patterning)法のようなパターニング技術を用いて形成されたパターンの信号波形を解析して、パターン間に形成される空間が、ギャップ空間なのかコア空間なのかを識別する手法が説明されている。パターンの高集積化により、画像上でのパターンの識別が困難となる中、特許文献1、2に開示されているようなパターン識別法を用いることによって、適切なパターン評価に基づく、適切な半導体プロセス管理を行うことができる。
半導体デバイスパターンのエッジ部分から放出される電子の量は、相対的に平坦部から放出される電子の量より多いため、パターンのエッジ部分は他の部分より高輝度となる。走査電子顕微鏡を用いたパターンの測定装置は、信号波形のピーク位置(高輝度部分)の特定に基づいて、パターンの線幅等を測定する機能を備えており、特許文献1、2では更に1のパターンに現れる左右ピークの比較に基づいて、パターン識別を行う手法が開示されている。
一方、半導体デバイスの更なる微細化により、信号波形のピークとピークが重なり合い、複数のピークとして捉えることが困難となることがある。具体的には、1のラインパターンの左右のピークが重なり、1つのピーク(シングルピーク)に見える場合がある。このような信号波形から、2つのピーク位置検出に基づく測定を実行することは困難である。
また、パターンの更なる微細化によって、電子ビームの走査方向に依存した信号波形の変動要因に基づく波形変化の影響が、より顕在化するものと予想される。より具体的には、電子ビームの走査によって試料上に付着する帯電は、走査方向に応じて偏って形成されるため、信号波形も帯電に応じて偏って形成され、寸法測定やパターン識別を高精度に行うことができない波形信号となる可能性がある。特許文献1、2は、微細パターンの測定やパターン識別を行う際に、帯電の偏りの影響を抑制することを志向するものではない。
以下に、微細パターンの測定やパターン識別を行う場合に、帯電の影響によらず、高精度な測定やパターン識別を行うことを目的とするパターン測定装置、及びコンピュータープログラムを提案する。
上記目的を達成するための一態様として、第1の方向に向かって荷電粒子ビームを走査したときに得られる信号波形に基づいてパターン測定を実行する演算装置を備えたパターン測定装置、或いはパターン測定処理をコンピューターに実行させるコンピュータープログラムであって、前記第1の方向に向かって荷電粒子ビームを走査したときに得られる第1の信号波形と、前記第1の方向とは異なる第2の方向に向かって荷電粒子ビームを走査したときに得られる第2の信号波形との間で差分演算を行い、信号波形の各部位について、当該差分に応じた重みで、前記荷電粒子ビームの走査によって得られる信号を加算処理するパターン測定装置、或いは上記処理をコンピューターに実行させるコンピュータープログラムを提案する。
また、上記目的を達成するための他の一態様として、第1の方向に向かって荷電粒子ビームを走査したときに得られる信号波形に基づいてパターン識別を実行する演算装置を備えたパターン測定装置、或いは上記判定処理をコンピューターに実行させるコンピュータープログラムであって、前記第1の方向に向かって荷電粒子ビームを走査したときに得られる第1の信号波形と、前記第1の方向とは異なる第2の方向に向かって荷電粒子ビームを走査したときに得られる第2の信号波形との間で差分演算を行い、当該差分演算に基づいて得られた差分波形に基づいて、試料上に形成されたパターン識別を実行するパターン測定装置、或いは上記処理をコンピューターに実行させるコンピュータープログラムを提案する。
上記構成によれば、帯電の影響等によらず、高精度な測定やパターン識別が可能となる。
走査電子顕微鏡に代表される荷電粒子線装置は、電荷を持った粒子を試料に照射する装置である。このような荷電粒子ビームを照射すると、被照射対象である試料が帯電する場合がある。荷電粒子ビームの走査に基づいて、試料から放出される2次電子や後方散乱電子(Backscattered Electron:BSE)は、試料に付着した帯電の影響によって、その軌道が変化することになるため、2次電子等の検出に基づいて、形成される画像や信号波形は、試料の形状を正しく反映したものとならない場合がある。
より具体的には、検出される2次電子信号によって形成される画像や信号波形が、試料の凹凸を正しく反映しないことがある。特に、電子ビームの走査方向に応じて発生する帯電の偏りによって、信号波形が対称とならない場合がある。たとえば、左側エッジと右側エッジが対称であるラインパターンであっても、電子ビームの走査方向が左側から右側に向かう走査パターンの場合、左側エッジに対応する信号波形と、右側エッジに対応する信号波形が左右対称とならない場合がある。このように、帯電の影響を受けた信号波形は、試料の凹凸を正しく反映していないため、寸法の信頼性は低くなってしまう。電子ビーム走査の高速化や、走査線間間隔の調整によって、ある程度の帯電緩和は可能であるが、ビームの走査方向に依存した帯電の偏りは残ってしまい、非対称の信号波形を改善することは困難である。
そこで、本実施例では、帯電の偏りを抑制する走査法の適用と、その走査法の適用によって得られる信号を、単にパターンの測定やパターン識別に用いるだけではなく、パターンの測定や識別に必要な情報をより強調するために用いるという新たな手法を提案する。なお、本実施例ではパターン走査の一例として、y方向に長く延びる2つのエッジを持つラインパターンに対して、X方向であり、且つ双方向に走査する走査法を採用すると共に、当該走査法の適用によって得られた検出信号の具体的な処理法について、説明する。以下に説明する実施例によれば、帯電の非対称性の影響を抑制しつつ、高精度なパターン測定やパターン識別を行うことが可能となる。
また、計測対象のパターンのサイズが小さくなってくると、たとえばラインパターンの場合、一方のエッジ(例えば左側エッジ)から放出された電子に基づいて形成される信号波形のピークと、他方のエッジ(例えば右側エッジ)から放出された電子に基づいて形成される信号波形のピークが恰も重なったように見えるため、左右のエッジ部分(スロープ部分)を測定基準とした寸法測定を行うことが困難となる。また、スキャン方向に依存する帯電がある場合は、帯電を中和させる方向に電子線走査を行って、信号を合成することが考えられるが、単純に平均などして合成すると左右のスロープが分離できなくなり、たとえば、パターンの右側エッジに欠陥があったとしても、左側にもその影響が入ってしまい、パターンの寸法計測の感度が低下する可能性がある。
信号波形がシングルピークとなるような微細なパターンであっても、パターン寸法を高精度に測定するためには、一方のエッジと他方のエッジの位置を正確に特定する必要がある。以下に説明する実施例では、エッジ部分の信号を強調するのに好適な信号処理法を採用することにより、高精度な測定やパターン識別の実現を可能とするパターン測定装置、及びコンピュータープログラムについて説明する。本実施例の一態様では、主に帯電の影響による二次電子プロファイルの左右非対称性をなくすような往復の走査と、その往復走査から得られた信号をうまく合成する手法について述べる。
計測対象の対となるエッジ部を分離して検出することができれば、計測の安定性の向上と計測感度の向上が可能となる。
実施例では、走査電子顕微鏡で微細パターンを撮像する際に、スキャン方向に依存する帯電を抑制するために、複数の異なる走査方向からビームを走査すると共に、測定対象となるエッジ部分の識別が容易となるような信号合成を行う荷電粒子線装置について説明する。実施例の記載スタイルは3つあり、次のように分類する。
実施例1にて、信号の合成手法について述べる。また、実施例2、3では、実施例1にて説明する異なる複数の方向への走査に基づいて得られる信号を利用して、微細加工プロセスであるSADPで形成されるパターンを識別する判定法を説明する。
本実施例では、走査電子顕微鏡で異なる走査方向に電子線を走査することよって得られた信号の合成手法について説明する。まず、走査電子顕微鏡の構成について説明する。次に、前記信号の合成手法について説明する。
<走査電子顕微鏡の構成>
図2は、異なる複数の方向への走査に基づいて得られる信号を合成する機能を搭載した走査電子顕微鏡200の概略構成を示す図である。この機能を備えた走査電子顕微鏡200は、電子顕微鏡部201と、制御部202(演算装置)と、表示部203を有している。
図2は、異なる複数の方向への走査に基づいて得られる信号を合成する機能を搭載した走査電子顕微鏡200の概略構成を示す図である。この機能を備えた走査電子顕微鏡200は、電子顕微鏡部201と、制御部202(演算装置)と、表示部203を有している。
電子源204から放出された電子線は、集束レンズ205及び対物レンズ207で収束された後に試料208に照射される。なお、電子線は、偏向器206により、試料上を二次元的に走査される。偏向器が発生させる電磁場を制御することで、走査方向を切り替えることができる。そして、試料208から発生した二次電子及び/又は反射電子(BSE)は、検出器210で検出される。データ処理部211は、検出信号を輝度変調してフレーム画像を加算し、画像記憶部212に保存する。この場合、例えば16フレームの画像を積算する場合には、16回のフレーム走査を行って、その信号を加算平均処理する。なお、図2は試料から放出された2次電子やBSEを検出器210によって直接検出する検出器を例示しているが、これに限られることはなく、例えば、加速された電子の衝突によって、2次電子を発生する2次電子変換電極を、2次電子やBSEの軌道上に配置しておき、これら電子が2次電子変換電極に衝突することによって発生する2次電子(3次電子)を検出する検出法を採用するようにしても良い。
画像処理部213において、画像記憶部212に保存された画像から合成画像を生成し、モニタ214において合成画像が表示される。なお、データ処理部211及び画像処理部213の機能はCPUによってそれぞれ実行可能であり、画像記憶部212はCPUに接続されるメモリ部として設けることができる。その場合、プログラムメモリ(図示せず)に、データ処理部211及び画像処理部213の機能を実現するためのプログラムを格納しておき、CPUが必要な処理をするときに各プログラムをプログラムメモリから読み出して内蔵メモリに展開しておくようにすれば良い。なお、それぞれの機能を専用ハードで構成してもよい。
<信号の合成手法>
画像処理部213において、画像記憶部212に保存された画像から合成画像を生成するための信号の合成手法について説明する。ラインパターンの撮像において、帯電による非対称性をなくし、左右のエッジ信号のマージの影響を低減する画像生成方法について以下に示す。図1に示すように、線幅10nm程度のラインパターンでは、ラインパターンの左右のエッジが重なってしまうため、エッジの分離度が悪くなってしまう(信号波形105)。
画像処理部213において、画像記憶部212に保存された画像から合成画像を生成するための信号の合成手法について説明する。ラインパターンの撮像において、帯電による非対称性をなくし、左右のエッジ信号のマージの影響を低減する画像生成方法について以下に示す。図1に示すように、線幅10nm程度のラインパターンでは、ラインパターンの左右のエッジが重なってしまうため、エッジの分離度が悪くなってしまう(信号波形105)。
また電子線走査方向に依存した帯電の影響により、二次電子プロファイルが非対称になり、本来のパターンの断面構造(左側エッジ101と右側エッジ102を有するパターンの断面構造)を反映したプロファイルにならない。例えば、パターン左側側をX方向の走査開始点としたときは、パターン断面が左右対称であったとしても、左側のエッジ部分が右側のエッジ部分に対して相対的に信号強度の大きな信号波形103が形成される。反対に、パターン右側を走査開始点としたときは、右側のエッジ部分が左側のエッジ部分に対して相対的に信号強度の大きな信号波形104が形成される。
信号波形103と信号波形104を加算平均すると、信号波形105のようになる。信号波形の加算平均処理は、S/Nを向上させるための処理であるが、異なる方向への走査によって得られる複数の信号を加算平均すると、信号波形105のように、左右対称の波形となり、左右エッジの識別が困難となる。そこで本実施例では、帯電の偏りの抑制、S/Nの向上、及びエッジ位置の正確な特定を併せて実現すべく、図1に例示するような合成法を提案する。具体的には、往復電子ビーム走査によって得られた二次電子信号を重み付けて加算することで、左右のエッジに対応するピークを明確にする手法を説明する。図3は信号波形の生成工程を示すフローチャートである。
まず、y方向に延びるラインパターンのエッジに対し、x方向に電子ビームを往復走査(+θ方向への走査と−θ方向への走査)させる(S301)。そして往復走査によって得られた検出信号に基づいて、それぞれの走査方向に対応した複数の信号波形(プロファイル、図1の信号波形103、104)を生成する(S302)。次に、往復走査の二次電子信号を合成する際の重み付け係数を算出するために、各方向の走査の二次電子信号の差分を取る(S303)。差分演算は、例えば2つの信号波形の対応する画素(部位)間で実行する。
走査方向に依存した帯電の影響がある場合、左から右に向かってビームを走査する走査パターンのときは、左エッジの信号強度が、右エッジの信号強度より強くなる傾向がある。一方、右から左に向かってビームを走査する走査パターンの場合には、右エッジの信号強度が、左エッジの信号強度より強くなる傾向がある。よって往復走査により得られた二次電子プロファイルの差分をとると、差分波形106、107のようになり、ピークの差が大きい場所で差分プロファイルの値が大きくなる。このようにして得られた差分波形に基づいて、信号波形の加算平均時の重み係数を求める(S304)。より具体的には、第1の方向(例えば左から右に向かう方向)の走査によって得られた信号波形103の加算平均を行う場合には、第1の方向に向かう走査によって得られた信号波形103から、第2の方向(例えば右から左に向かう方向)の走査によって得られた信号波形104を減算することで、差分波形106を生成し、この差分波形106から得られる重み係数を、信号波形103に乗算した上で、加算平均を実行する。この場合、各画素の重み係数を差分波形103から求め、対応する画素の信号強度の加算平均係数とするようにしても良い。また、重み係数は例えばピークトップを1とし、ピークトップに対する輝度の比率に応じて、各部位の重み係数を決定すること等が考えられる。
以上のように、差が大きいところに重みを強くするようにして左右方向の二次電子プロファイルを加算することによって得られる信号波形108、109は、特定のエッジの信号強度が強調されたものとなるため、単なる加算平均と比較すると、測定精度の向上を実現することが可能となる。なお、ステップ304にて、それぞれの方向の重み係数を決定し、ステップ305にて、それぞれ重みづけされた信号波形を合成して合成波形110を形成しているが、ピーク位置を正確に同定するだけであれば、信号波形108と109を形成し、それぞれのピーク位置を同定するだけでも良い。分離度の高い複数の信号ピークの形成によって、高精度測定を実現することが可能となる。
SADP法のようなパターニング技術によって生成されたパターンの識別を、往復走査(双方向走査)によって得られる検出信号を用いて実行するパターン識別法を以下に説明する。本実施例はビーム走査によって生ずる帯電に基づいて形成される非対称プロファイル(信号波形)を用いて、SADP法によって形成されるパターンの識別を実行する手法について説明する。
SADP法では試料上に第1マスク層、当該第1マスク層上に第1フォトレジスト膜を形成した後、パターンの露光、現像を行うことによって、第1フォトレジストパターンを生成することを前提とする。この第1フォトレジストパターンをマスクとして、第1マスク層をエッチングすることによって、第1マスクパターンを生成する。第1フォトレジストパターンの除去後、第1マスクパターン上に第2マスク層を形成し、更に第1マスクパターンの側壁のみに第2マスク層が残るように、当該第2マスク層をエッチングすることによって、第2マスク層の残留構造物を生成する。その上で、残った第1マスクパターンを除去すると、図4に例示されるようなスペーサ401、402が生成される。
スペーサ401、402は、第1フォトレジストパターンの露光、現像、エッチングによって生成される第1マスクパターンの両側壁に生成されるため、第1フォトレジストパターンの倍の集積度でパターンを生成することができる。一方、スペーサ401、402間に生成されるギャップは、第1マスクパターンが形成されていた部分はコアギャップ406、第2マスク層のエッチングによって現れる部分はスペーサーギャップ407と呼ばれ、上述のように製造工程が異なるため、半導体デバイスの製造プロセスを適正に評価するためには、パターンを識別した上で、測定を行うことが望ましい。
以下、図4、図5を用いてSADP法によって生成されるパターンの識別法を説明する。まず、SADP法によって生成されたスペーサが複数配列された試料上に電子ビームを走査することによって、信号波形(2次電子プロファイル)を生成する。このとき、スペーサのエッジ方向(y方向)に対して垂直な方向(x方向)である第1の方向に向かって電子ビームを走査したときに得られる第1信号波形403(左方向スキャンによる2次電子プロファイル)と、第1の方向とは反対の第2の方向に向かって電子ビームを走査したときに得られる第2信号波形404(右方向スキャンによる2次電子プロファイル)を取得する。即ち電子ビームの往復走査を実行(S501)し、第1の方向と第2の方向のそれぞれの信号波形を取得する(S502)。
次に、第1信号波形403と、第2信号波形404との間で差分演算を行うことによって、差分波形405を生成する(S503)。図4に例示されているように、第1信号波形403から第2信号波形404を減算することによって得られる差分波形405は、左側に下側に向かって延びるピークが位置し、右側に上側に向かって延びるピークが位置する部分が、コアギャップ406に対応し、左側の上側に向かって延びるピークが位置し、右側に下側に向かって延びるピークが位置する部分が、スペーサーギャプ407に対応することがわかる。このような判断アルゴリズムをデータ処理部211に記憶させておき、上述のような波形処理を行うことによって、帯電の非対称性を抑制することによる高精度なパターン判定(ステップ504)を行うことができる。
具体的には、(第1信号波形403−第2信号波形404)の演算を行ったときに、左側にマイナスピーク、右側にプラスピークが現れる部位を、コアギャップと判定し、左側にプラスピーク、右側にマイナスピークが現れる部位を、スペーサーギャップと判定するような判断アルゴリズム(プログラム)を予め記憶させ、パターン判定を行うようにする。
本実施例によれば、帯電の非対称性を利用することによって、判定の成功率を高めることが可能となる。
上述のように、SADP法によって生成されるパターンは、スペーサ形状が1つおきに異なる。より具体的には、左側に大きなピークを持つスペーサと、右側に大きなピークを持つスペーサが交互に配列される。エッジ効果により、側壁の高さが高く、急峻である場合に大きなピークが現れるため、帯電の影響がなければ、ピーク高さ等を評価できれば、パターンの識別を行うことができる。しかしながら、電子ビームの走査パターンに応じた帯電の影響によって、ピークの大きさが、実パターンの形状を反映したものとならない場合、その判断を誤ってしまう可能性がある。例えば、図4に示すように左から右へ走査を行った場合、左側に高く且つ急峻な断面を持つスペーサは、スペーサの左側で大きなピークを検出することができるが、右側に高く且つ急峻な断面を持つスペーサだと、帯電の影響により相対的に大きなピークとならず、判断を誤ってしまう可能性がある。
本実施例によれば、上記帯電の影響によらず、高精度なパターン識別を行うことが可能となる。なお、上述の例ではSADP法によって生成されたパターンの識別法について説明したが、SADPのような二重露光法によって生成されたパターンだけではなく、SATP(Self−Aligned Triple Patterning)、SAQP(Self−Aligned Quadruple Patterning)、SAOP(Self−Aligned Octuple Patterning)等の他のマルチパターニング法によって生成されたパターンの識別に用いるようにしても良い。
次に、より具体的なパターン判定法とそれを実現するためのプログラム、及びパターン測定装置の一例を説明する。図8は、SADP法を用いて生成されたパターンに対するビーム走査に基づいて得られた検出信号と、当該検出信号に基づいて、パターン識別を行う場合の原理を説明する図であり、図9はパターン識別工程を示すフローチャートである。左方向(左から右に向かう方向)走査によって得られるプロファイル波形803のコアギャップに隣接するピーク(極大点)805と、右方向(右から左に向かう方向)走査によって得られるプロファイル波形804のコアギャップに隣接するピーク806の差分の絶対値は、スペーサーギャップに隣接する2つのプロファイル波形のピーク807の差分より大きいため、異なる波形の対応するピーク間の差分演算を行うことによって、コアギャップが存在する領域と、スペーサーギャップが存在する領域を識別することができる。このように、4種のピークが周期的に配列される現象を利用することによって、正確なギャップ判定を行うことができる。
具体的には、電子ビームの走査に基づいて得られたプロファイル波形803、804、或いはその両方について、Savitzky−Golay法等の微分演算を行うことによって、プロファイルの符号が切り替わる点(極大点)を検出する(ステップ901)。次に、左側、或いは右側端部(本実施例の場合、左側端部)の極大点を開始点として、異なる波形のそれぞれについて、極大点1、極大点2・・・のようにナンバリング(識別情報付加)を行い、対応する識別情報を持つ極大点について、差分演算を行う(ステップ902)。この演算によって、差分値Sub1、Sub2、Sub3、・・・、SubM(Mは検出した極大値の数)を求める。
具体的には、電子ビームの走査に基づいて得られたプロファイル波形803、804、或いはその両方について、Savitzky−Golay法等の微分演算を行うことによって、プロファイルの符号が切り替わる点(極大点)を検出する(ステップ901)。次に、左側、或いは右側端部(本実施例の場合、左側端部)の極大点を開始点として、異なる波形のそれぞれについて、極大点1、極大点2・・・のようにナンバリング(識別情報付加)を行い、対応する識別情報を持つ極大点について、差分演算を行う(ステップ902)。この演算によって、差分値Sub1、Sub2、Sub3、・・・、SubM(Mは検出した極大値の数)を求める。
そして、コアギャップの両隣の2つの差分値の差の絶対値は、スペーサの両隣の2つの差分値の差の絶対値や、スペーサーギャップの両隣の2つの差分値の差の絶対値に比べて大きくなるため、差の絶対値の大小に応じたパターン識別を実行すべく、隣接する極大点間にて、差分値の差の絶対値(|Sub[N]−Sub[N−1]|:隣接差分)を算出する(ステップ903)。次に、4つおきに隣接差分の和を求め(ステップ904)、その和が最大となる隣接差分を選択する(ステップ905)。隣接差分が最大となる2つの極大点の間には、コアギャップが存在するため、この演算結果に基づいて、コアギャップ、或いはコアギャップ位置から推定されるスペーサギャップやスペーサの位置の位置を特定することが可能となる。このように、4つ毎に「差の絶対値」の和を算出することでノイズによるばらつきを低減し、判定の成功率を高めることが可能となる。
また、加算対象となる「差の絶対値」の間隔を変えることによって、ダブルパターニング以外の他のマルチパターニングのパターン判定にも応用することができる。
実施例2では、異なる複数方向へのビーム走査によって得られた複数の信号波形の差分演算に基づいてパターン判定(ピーク差による判定)を行う例について説明したが、本実施例では複数方向への走査によって得られた複数の波形信号のピークの傾きの評価に基づいて、パターン判定を行う例について説明する。図6は、波形信号の傾き評価に基づいて、パターン判定を行う工程を示すフローチャートであり、図7は、波形信号の具体的な処理内容を説明する図である。2次電子の信号強度が強いエッジ付近の輝度の勾配は急峻になることから、左右走査から得られる二次電子信号の微分波形のピーク値を比較することで判定を行う。
まず、実施例2と同様にSADP法によって生成されたスペーサが複数配列された試料上に電子ビームを走査することによって、信号波形(2次電子プロファイル)を生成する。このとき、第1の方向に向かって電子ビームを走査したときに得られる第1信号波形703(左方向スキャンによる2次電子プロファイル)と、第1の方向とは反対の第2の方向に向かって電子ビームを走査したときに得られる第2信号波形704(右方向スキャンによる2次電子プロファイル)を取得する。即ち電子ビームの往復走査を実行(S601)し、第1の方向と第2の方向のそれぞれの信号波形を取得する(S602)。
次に、信号波形703、704の少なくとも1つを用いて、スペーサ701、702と、ギャップ(コアギャップ707、スペーサーギャップ708)部を識別する(S603)。この時点では、ギャップ部がコアギャップであるのかスペーサーギャップであるのかは判らない。スペーサ部/ギャップ部の判定は、信号波形を2値化などして明るい部分をスペーサ部、暗い部分をギャップ部と判定する。スペーサ部/ギャップ部の判定はこのほかにも微分波形のピーク値などを比較してもよい。
つづいて、ギャップ部の分類、或いはスペーサ部の分類を行うために、信号波形703、704を微分して、微分波形705、706を生成する(S604)。例えばギャップ部の分類を行う場合には、ギャップ部と判定された部分の一端、或いは両端のピーク部の差分(微分波形705と706のピーク部の差分、例えばΔScl−r)が大きいピークに挟まれた部分をコアギャップ、相対的にピーク部の差分(例えばΔSsl−r)が小さい方(差分が小さいピークに囲まれた領域)をスペーサーギャップと判定することができる(S605)。
ビームの走査方向に応じた信号波形や微分波形のピークの変化は、側壁が急峻であり且つパターン高さが高い部分の方がより大きく表れるため、微妙なピーク形状の差であっても、往復走査に基づいて得られるそれぞれの方向の信号波形(電子信号強度波形、或いはその微分波形)を生成することによって、その形状差をより顕在化することができ、結果として正確な判定を行うことが可能となる。
101・・・パターン左側エッジ、102・・・パターン右側エッジ、103・・・右方向スキャンによる2次電子プロファイル、1204・・・左方向スキャンによる2次電子プロファイル、105・・・左右スキャンの平均プロファイル、106・・・(左方向スキャンの2次電子プロファイル)−(右方向スキャンの2次電子プロファイル)、107・・・(右方向スキャンの2次電子プロファイル)−(左方向スキャンの2次電子プロファイル)、108・・・左方向スキャンの重み付き二次電子プロファイル 、109・・・右方向スキャンの重み付き二次電子プロファイル、110・・・左右スキャンの重み付き二次電子プロファイルの合成波形、200・・・走査電子顕微鏡、201・・・電子顕微鏡部、202・・・制御部、203・・・表示部、204・・・電子源、205・・・集束レンズ、206・・・偏向器、207・・・対物レンズ、208・・・試料、209・・・試料台、210・・・検出器、211・・・データ処理部、212・・・画像記憶部、213・・・演算処理部、214・・・モニタ、401・・・スペーサ、402・・・スペーサ、403・・・左方向スキャンによる2次電子プロファイル、404・・・右方向スキャンによる2次電子プロファイル、405・・・各方向走査の2次電子信号波形の差分(左方向の信号−右方向の信号)、406・・・コアギャップ、407・・・スペーサーギャップ、701・・・スペーサ、702・・・スペーサ、703・・・左方向スキャンによる2次電子プロファイル 、704・・・右方向スキャンによる2次電子プロファイル 、705・・・左方向スキャンによる2次電子プロファイル の微分波形 、706・・・右方向スキャンによる2次電子プロファイルの微分波形、707・・・コアギャップ、708・・・スペーサーギャップ
Claims (11)
- 第1の方向に向かって荷電粒子ビームを走査したときに得られる信号波形に基づいてパターン測定を実行する演算装置を備えたパターン測定装置において、
前記演算装置は、前記第1の方向に向かって荷電粒子ビームを走査したときに得られる第1の信号波形と、前記第1の方向とは異なる第2の方向に向かって荷電粒子ビームを走査したときに得られる第2の信号波形との間で差分演算を行い、信号波形の各部位について、当該差分に応じた重みで、前記荷電粒子ビームの走査によって得られる信号を加算処理することを特徴とするパターン測定装置。 - 請求項1において、
前記第2の方向は、前記第1の方向の反対の方向であることを特徴とするパターン測定装置。 - 第1の方向に向かって荷電粒子ビームを走査したときに得られる信号波形に基づいてパターン識別を実行する演算装置を備えたパターン測定装置において、
前記演算装置は、前記第1の方向に向かって荷電粒子ビームを走査したときに得られる第1の信号波形と、前記第1の方向とは異なる第2の方向に向かって荷電粒子ビームを走査したときに得られる第2の信号波形との間で差分演算を行い、当該差分演算に基づいて得られた差分波形に基づいて、試料上に形成されたパターン識別を実行することを特徴とするパターン測定装置。 - 請求項3において、
前記第1の信号波形と前記第2の信号波形は、試料に対するビームの照射に基づいて得られる荷電粒子の強度信号であることを特徴とするパターン測定装置。 - 請求項3において、
前記演算装置は、前記第1の信号波形と前記第2の信号波形の対応するピーク間で差分演算を行うことを特徴とするパターン測定装置。 - 請求項5において、
前記演算装置は、前記差分演算の結果が最大となるピーク位置に隣接する部位をコアギャップと判定することを特徴とするパターン測定装置。 - 請求項5において、
前記演算装置は、隣接するピークの差分演算値の差分を求め、当該差分が最大となる2つのピークに挟まれた部位をコアギャップと判定することを特徴とするパターン測定装置。 - 請求項5において、
前記演算装置は、隣接するピークの差分演算値の差分を求め、当該差分を、N個おきに加算することを特徴とするパターン測定装置。 - 請求項5において、
前記演算装置は、前記第1の信号波形、第2の信号波形、或いはその両方について、微分演算を行うことによって、前記ピーク位置を特定することを特徴とするパターン測定装置。 - 請求項3において、
前記第1の信号波形は、前記荷電粒子ビームを第1の方向に走査したときに得られる信号波形の微分することによって求められるものであり、前記第2の信号波形は、前記荷電粒子ビームを第2の方向に走査したときに得られる信号波形を微分することによって得られるものであることを特徴とするパターン測定装置。 - 第1の方向に向かって荷電粒子ビームを走査したときに得られる信号波形に基づいて、コンピューターにパターン測定を実行させるコンピュータープログラムであって、当該プログラムは、前記コンピューターに、前記第1の方向に向かって荷電粒子ビームを走査したときに得られる第1の信号波形と、前記第1の方向とは異なる第2の方向に向かって荷電粒子ビームを走査したときに得られる第2の信号波形との間で差分演算を行わせ、当該差分演算によって得られた重みで前記荷電粒子ビームの走査によって得られる信号の加算処理、或いは試料上に形成されたパターンの識別を実行させることを特徴とするコンピュータープログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015140948A JP2017020981A (ja) | 2015-07-15 | 2015-07-15 | パターン測定装置、及びコンピュータープログラム |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2015140948A JP2017020981A (ja) | 2015-07-15 | 2015-07-15 | パターン測定装置、及びコンピュータープログラム |
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ID=57888084
Family Applications (1)
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JP2015140948A Pending JP2017020981A (ja) | 2015-07-15 | 2015-07-15 | パターン測定装置、及びコンピュータープログラム |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2017020981A (ja) |
-
2015
- 2015-07-15 JP JP2015140948A patent/JP2017020981A/ja active Pending
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