JP2017006995A - ナットタップ - Google Patents

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Abstract

【課題】ナットを製造したときに、雌ねじの端部に損傷のあるナットが生じにくいナットタップを提供する。【解決手段】軸方向前方から送り込まれるナットブランクN0の内周に雌ねじ17を加工するねじ山18を外周に有するねじ部15と、そのねじ部15で雌ねじ17を加工し終えたナットN1を受け入れるようにねじ部15の軸方向後方に連続して設けられたシャンク16とを有するナットタップ1において、シャンク16の軸方向前端部に、シャンク16からねじ部15へのナットN1の逆戻りを防止するテーパ面23を設ける。【選択図】図1

Description

この発明は、ナットの製造に使用するナットタップに関する。
一般に、ナットの製造は、特許文献1に記載されるような自動ねじ立て盤で行なわれる。自動ねじ立て盤では、ナットタップ(以下、単に「タップ」という)が定位置で回転している。タップは、ねじ山を外周に有するねじ部と、ねじ部の軸方向後方に連続するシャンクとを有する。そして、タップの軸方向前方からタップにナットブランクが連続的に送り込まれ、そのナットブランクがタップのねじ部を軸方向前方から軸方向後方に移動しながらナットブランクの内周に雌ねじが加工され、ナットブランクがタップのねじ部を通過するとナットになり、そのナットがタップのシャンクに受け入れられる。シャンクの外周には、雌ねじを加工し終えた複数のナットが嵌っており、それらのナットを介してタップが回転可能に支持される。シャンクがねじ部から新たなナットを受け入れたとき、シャンクの外周の複数のナットのうちの軸方向後端に位置するナットがシャンクの後端から落下する。この結果、シャンクの外周のナットの個数は一定に保たれる。
ところで、数十万個といった多数のナットを自動ねじ立て盤で製造したときに、数万個に1個程度の極めてまれな割合で、雌ねじの端部に損傷のあるナットが生じることがあった(例えば、図11および図12を参照)。この損傷の大きさが比較的大きい場合、ナットにボルトを挿入することができず、不良品となる。このような不良品の混入が判明すると、他にも不良品が存在するおそれがあるため、同じナットタップで製造された膨大な数のナットの全数検品が必要となる場合もある。
しかしながら、このナットの損傷の問題は常に発生するわけではなく、ナットの損傷が生じた場合であっても、数万個に1個程度と極めてまれな割合であるため、再現するのが難しく、従来、この雌ねじの端部に損傷のあるナットが生じるメカニズムは不明であった。
特開平10−80825号公報
本願の発明者は、雌ねじの端部に損傷のあるナットが生じる原因を調査するため、タップのシャンクの外周に複数のナットを嵌めた状態でタップを回転駆動する試験を行ない、そのタップの回転速度やナットの位置等を様々に変化させた結果、以下のメカニズムで雌ねじの端部に損傷が生じることを見出した。
すなわち、自動ねじ立て盤でナットを製造するとき、図10(a)に示すように、シャンク50の外周には、雌ねじ51を加工し終えた直後のナットNが嵌っている。ここで、本願の発明者は、雌ねじ51を加工し終えた直後のナットNが、シャンク50との摩擦によって、タップ52と一緒に回転していることに注目した。雌ねじ51を加工し終えた直後のナットNは、通常、タップ52の回転速度と同速かそれよりも遅い速度で回転しているため、タップ52のねじ山53に接触したとしても、ナットNの雌ねじ51はタップ52のねじ山53に係合しない。
しかし、タップ52の回転が減速することがある。減速の原因としては、例えば、新たなナットブランクN(図10(c)参照)がタップ52に送り込まれて雌ねじ51を加工し始めた際の回転抵抗や、自動ねじ立て盤の運転を一時停止する際の減速などが挙げられる。タップ52の回転が減速するとき、タップ52の外周のナットNは慣性で回転し続けるため、ナットNの回転速度がタップ52の回転速度を相対的に上回った状態となる。
また、タップ52とナットNが軸方向に相対移動することがある。この相対移動の原因としては、例えば、新たなナットブランクNが軸方向前方からタップ52に送り込まれたときに、ナットブランクNがタップ52を押圧することにより、タップ52が軸方向後方に移動することが挙げられる。タップ52が軸方向後方に移動したとき、タップ52の外周のナットNは慣性でその場にとどまろうとするため、タップ52とナットNが軸方向に相対移動し、雌ねじ51を加工し終えた直後のナットNがタップ52のねじ山53に接触する。
そして、上述のタップ52の回転が減速する現象と、タップ52とナットNが軸方向に相対移動する現象とが同時に起きたとき、ナットNの回転速度がタップ52の回転速度を相対的に上回った状態で、ナットNがタップ52のねじ山53に接触するため、図10(b)に示すように、ナットNの雌ねじ51の軸方向前端部がタップ52のねじ山53の軸方向後端部に係合した状態となる。その後、ナットNがタップ52と同速で回転することで、雌ねじ51の軸方向前端部は、ねじ山53の軸方向後端部に係合し続ける。
その後、図10(c)に示すように、新たなナットブランクNが加工されながらナットNに近づき、ナットNを軸方向に押し出す。このとき、ナットNの雌ねじ51の軸方向前端部がタップ52のねじ山53に干渉することで、ナットNの雌ねじ51の軸方向前端部に損傷が生じる。
この発明が解決しようとする課題は、ナットを製造したときに、雌ねじの端部に損傷のあるナットが生じにくいナットタップを提供することである。
上記の課題を解決するため、この発明では、以下の構成のナットタップを提供する。
軸方向前方から送り込まれるナットブランクの内周に雌ねじを加工するねじ山を外周に有するねじ部と、
そのねじ部で前記雌ねじを加工し終えたナットを受け入れるように前記ねじ部の軸方向後方に連続して設けられたシャンクとを有するナットタップにおいて、
前記シャンクの軸方向前端部に、前記シャンクから前記ねじ部へのナットの逆戻りを防止する逆戻り防止手段を設けたことを特徴とするナットタップ。
このようにすると、雌ねじを加工し終えた直後のナット(すなわち、シャンクの軸方向前端部の外周に嵌った状態のナット)が、シャンクからねじ部に逆戻りするのを、シャンクの軸方向前端部に設けた逆戻り防止手段で防止する。そのため、雌ねじの端部に損傷のあるナットが生じるのを防止することが可能である。
前記逆戻り防止手段としては、例えば、前記シャンクの軸方向前端部の外周に形成されたテーパ面を採用することができる。
このようにすると、シャンクの軸方向前端部の外周に嵌った状態のナットがテーパ面で傾くので、ナットの雌ねじがナットタップのねじ部のねじ山に係合しにくい。そのため、シャンクからねじ部へのナットの逆戻りを防止することができる。
前記テーパ面としては、軸方向前側から軸方向後側に向かって外径が大きくなる面を採用すると好ましい。
このようにすると、雌ねじを加工し終えた直後のナットは、テーパ面に接触しながら回転したときに、テーパ面の周速の遅い側(すなわち軸方向前側)から周速の早い側(すなわち軸方向後側)に移動するため、シャンクからねじ部へのナットの逆戻りをより効果的に防止することが可能となる。
前記テーパ面としては、軸方向に平行な方向に対して1°〜5°の範囲で傾斜した面を採用すると好ましい。
軸方向に平行な方向に対して1°以上傾斜したテーパ面を採用することにより、雌ねじを加工し終えた直後のナットを、テーパ面の周速の遅い側から周速の早い側に効果的に移動させることが可能となる。また、軸方向に平行な方向に対して5°以下に傾斜したテーパ面を採用することにより、ナットがテーパ面の外径が小さい側(すなわち軸方向前側)に自重でずり下がるのを防止することができる。
前記逆戻り防止手段としては、例えば、前記ねじ部のねじ山のねじれ方向とは反対のねじれ方向を有する螺旋溝を採用することができる。
このようにすると、ナットタップの回転が減速したときに、シャンクの軸方向前端部の外周に嵌った状態のナットが、螺旋溝の案内作用によってねじ部から遠ざかる側に移動する。そのため、シャンクからねじ部へのナットの逆戻りを防止することができる。
前記螺旋溝の条数は、複数条とすると好ましい。
このようにすると、比較的大きいリード角をもつ複数条の螺旋溝でナットを案内することになるので、ナットタップの回転が減速したときに、より効果的にナットをねじ部から遠ざかる側に移動させることが可能となる。
前記逆戻り防止手段としては、例えば、前記ねじ部の中心に対して偏心した形状をもつ偏心軸部を採用することができる。
このようにすると、ナットが偏心軸部によって振れ回るため、シャンクの軸方向前端部の外周に嵌った状態のナットの雌ねじが、ナットタップのねじ部のねじ山に係合しにくくなる。そのため、シャンクからねじ部へのナットの逆戻りを防止することができる。
この発明のナットタップは、雌ねじを加工し終えた直後のナットが、シャンクからねじ部に逆戻りするのを、シャンクの軸方向前端部に設けた逆戻り防止手段で防止する。そのため、雌ねじの端部に損傷のあるナットが生じるのを防止することが可能である。
この発明の第1実施形態のナットタップを装着した自動ねじ立て盤の一例を模式的に示す断面図 図1に示す自動ねじ立て盤の押棒の先端近傍の拡大断面図 図2に示すナットタップがナットブランクの内周に雌ねじを加工している途中の状態を示す図 図1に示すナットタップの先端近傍の拡大図 図4に示すナットタップのテーパ面の近傍の拡大断面図 この発明の第2実施形態のナットタップの先端近傍の拡大図 図6に示すナットタップの変形例を示す図 この発明の第3実施形態のナットタップの先端近傍の拡大図 図8のIX−IX線に沿った拡大断面図 (a)は従来のナットタップでナットを製造しているときのシャンクの軸方向前端近傍の拡大断面図、(b)は(a)に示すタップの回転が減速すると同時にタップとナットが軸方向に相対移動することにより、雌ねじを加工し終えた直後のナットが逆戻りした状態を示す拡大断面図、(c)は(b)に示す雌ねじを加工し終えた直後のナットがその次のナットブランクでねじ部から軸方向に押し出された状態を示す拡大断面図 従来のナットタップで製造したナットであって、雌ねじの端部に損傷が生じたナットを撮影した写真 図11に示すナットの損傷部分を拡大して撮影した写真
図1に、この発明の第1実施形態のナットタップ1(以下、単に「タップ1」という)を装着した自動ねじ立て盤の一例を示す。この自動ねじ立て盤は、多数のナットブランクNを貯留するホッパー2と、ホッパー2からナットブランクNを導入して下方に排出するシュート3と、シュート3から排出されたナットブランクNを水平に押し動かす押棒4と、軸方向が水平となるように配置された回転筒5と、回転筒5と一体に回転する回転ハウジング6とを有する。タップ1は、雌ねじを加工し終えた複数のナットを介して回転筒5で支持されている。
ナットブランクNは、六角柱状の六角部7と、六角部7と一体に形成された大径部8と、雌ねじの下穴9とを有する。下穴9は内径が一定の円筒面である。大径部8は、六角部7の対角長よりも大きい外径を有する。
シュート3は、ホッパー2から導入したナットブランクNを整列した状態で下方に搬送するように形成されている。また、シュート3は、ナットブランクNの下穴9の方向がタップ1の軸線方向と平行になる状態にナットブランクNを案内する。シュート3は、押棒4が往復するごとにシュート3の下端からナットブランクNを排出する。シュート3の下方には、シュート3の下端から排出されたナットブランクNを受け支える受け部10が設けられている。
図2、図3に示すように、押棒4は、タップ1の軸線の延長線上に配置されている。押棒4の先端面11は、タップ1の軸方向前端と対向している。押棒4は、図示しない駆動装置でタップ1の軸線方向と平行に往復運動するように駆動される。押棒4は、往動するときに、先端面11でナットブランクNを押し動かし、ナットブランクNの下穴9をタップ1の外周に食い付かせる。押棒4の先端面11には、タップ1との干渉を避けるための逃がし穴12が設けられている。
図1に示すように、押棒4の先端には、押棒4と一体に往復運動するチャック13が設けられている。チャック13は、押棒4が往動するときは、ナットブランクNの六角部7を挟持することでナットブランクNを回り止めし、押棒4が復動に転じるときに、ナットブランクNを開放してナットブランクNの回り止めを解除する。
図2、図3に示すように、タップ1は、ねじ部15と、ねじ部15の軸方向後方に連続して設けられたシャンク16とを有する。ねじ部15の外周には、軸方向前方から送り込まれるナットブランクNの内周に雌ねじ17を加工するねじ山18が設けられている。図ではタップ1として、ナットブランクNの内周(すなわち下穴9の内面)を切削して雌ねじ17を加工する切削タップを示しているが、ナットブランクNの内周を塑性変形して雌ねじ17を加工する盛上げタップを採用してもよい。
図1に示すように、シャンク16は、ねじ部15から軸方向後方に直線状に延びるストレート部16aと、ストレート部16aから曲がって延びるベント部16bとを有する。ベント部16bは、回転ハウジング6に形成された曲がり穴19に収容されている。回転ハウジング6は、転がり軸受20で回転可能に支持されており、電動モータ(図示せず)で回転駆動される。回転ハウジング6が回転すると、回転ハウジング6からベント部16bに回転力が伝達することで、シャンク16が回転する。
シャンク16のストレート部16aは、回転筒5に収容されている。回転筒5は、回転筒5の軸線が回転ハウジング6の回転中心に一致するように設けられ、回転ハウジング6と一体に回転するように回転ハウジング6に接続されている。シャンク16のストレート部16aの外周には、雌ねじ17を加工し終えた複数のナットNが嵌っている。回転筒5は、それらのナットNを介してタップ1を回転可能に支持している。
図4に示すように、シャンク16は、シャンク16の途中に設けたねじ軸21とねじ孔22で分離可能に構成されている。この実施形態では、シャンク16の途中をねじ軸21とねじ孔22で分離可能に連結したねじ込み式のタップ1を例示して説明するが、この発明は、ねじ部15とシャンク16の全体とを一体に形成した一体式のタップや、シャンク16の途中に過大トルクで破断するカプラを介在させたカプラ式のタップにも適用することができる。
シャンク16の軸方向前端部の外周には、軸方向前側から軸方向後側に向かって外径が大きくなるテーパ面23が形成されている。またシャンク16の外周には、テーパ面23から軸方向後方に連続する円筒面24が形成されている。円筒面24は外径が一定の面であり、図1に示すように、ストレート部16aとベント部16bの境界まで連続して延びている。円筒面24の外径は、ねじ部15で雌ねじ17を加工し終えたナットNをシャンク16に受け入れることができるように、ナットNの雌ねじ17の内径よりも僅かに小さく設定されている。
図5に示すように、テーパ面23は、軸方向に平行な方向に対して1°〜5°の範囲(好ましくは1°〜3°)の傾斜角θを有する面とされている。図では、テーパ面23の傾斜を誇張して示している。テーパ面23の軸方向後端の外径は、円筒面24の外径と同一である。テーパ面23の軸方向後端の外径が円筒面24の外径よりも僅かに大きくなるように、テーパ面23と円筒面24の間に微小な段差(例えば300μm以下の段差)を設けてもよい。テーパ面23の軸方向長さTは、ねじ部15のねじ山18の外径の30%以上(好ましくは50%以上)に設定されている。また、ねじ部15の軸方向後端のねじ山18からテーパ面23の軸方向前端までの軸方向距離Sは、ねじ部15のねじ山18の外径の25%未満(好ましくは15%未満)に設定されている。軸方向距離Sの大きさを0に設定してもよい。
次に、この自動ねじ立て盤によるナットNの製造方法の一例を説明する。
図1に示すように、自動ねじ立て盤の回転筒5および回転ハウジング6が一定速度で回転している。このときタップ1も同じ速度で回転している。そして、タップ1の軸方向前方からタップ1に押棒4でナットブランクNが連続的に送り込まれ、そのナットブランクNがタップ1のねじ部15を軸方向前方から軸方向後方に移動しながらナットブランクNの内周に雌ねじ17が加工され、ナットブランクNがタップ1のねじ部15を通過するとナットNになり、そのナットNがシャンク16に受け入れられる。シャンク16がねじ部15から新たなナットNを受け入れたとき、シャンク16の外周の複数のナットNのうちの軸方向後端に位置するナットNがシャンク16の後端から落下する。この結果、シャンク16の外周のナットNの個数は一定に保たれる。
ところで、図3に示すように、雌ねじ17の加工途中のナットブランクNは、チャック13で挟持されて回り止めされているが、雌ねじ17を加工し終えた直後、チャック13がナットNを開放するため、雌ねじ17を加工し終えた直後のナットNは、タップ1との摩擦により回転する。また、シャンク16の外周に嵌ったナットN同士が切削油剤を介して密着することによっても、雌ねじ17を加工し終えた直後のナットNが回転する。ここで、雌ねじ17を加工し終えた直後のナットNは、通常、タップ1の回転速度と同速かそれよりも遅い速度で回転するため、タップ1のねじ山18に接触したとしても、ナットNの雌ねじ17はタップ1のねじ山18に係合しない。
しかし、タップ1の回転が減速することがある。減速の原因としては、例えば、新たなナットブランクNがタップ1に送り込まれて雌ねじ17を加工し始めた際の回転抵抗や、自動ねじ立て盤の運転を一時停止する際の減速などが挙げられる。タップ1の回転が減速するとき、タップ1の外周のナットNは慣性で回転し続けるため、ナットNの回転速度がタップ1の回転速度を相対的に上回った状態となる。
また、タップ1とナットNが軸方向に相対移動することがある。この相対移動の原因としては、例えば、新たなナットブランクNが軸方向前方からタップ1に送り込まれたときに、ナットブランクNがタップ1を押圧することにより、タップ1が曲がり穴19内の隙間の範囲で軸方向後方に移動することが挙げられる。タップ1が軸方向後方に移動したとき、タップ1の外周のナットNは慣性でその場にとどまろうとするため、タップ1とナットNが軸方向に相対移動する。
そして、上述のタップ1の回転が減速する現象と、タップ1とナットNが軸方向に相対移動する現象とが同時に起きたときに、もしナットNがタップ1のねじ山18に接触すれば、ナットNの雌ねじ17の軸方向前端部がタップ1のねじ山18の軸方向後端部に係合するおそれが生じる。このナットNの逆戻りが生じた場合、その後、新たなナットブランクNが加工されながらナットNに近づいて、ナットNを軸方向に押し出したときに、ナットNの雌ねじ17の軸方向前端部がタップ1のねじ山18に干渉することで、ナットNの雌ねじ17の軸方向前端部に損傷が生じてしまう。
この損傷を防止するため、この実施形態のタップ1では、シャンク16の軸方向前端部の外周にテーパ面23を形成することにより、雌ねじ17を加工し終えた直後のナットN(すなわち、シャンク16の軸方向前端部の外周に嵌った状態のナットN)が、シャンク16からねじ部15に逆戻りするのを防止するようにしている。
すなわち、図5に示すように、雌ねじ17を加工し終えた直後のナットNが、シャンク16の軸方向前端部の外周のテーパ面23に嵌っているとき、ナットNがテーパ面23で傾くので、ナットNの雌ねじ17がタップ1のねじ部15のねじ山18に係合しにくい。そのため、シャンク16からねじ部15へのナットNの逆戻りを防止することが可能となっている。
また、雌ねじ17を加工し終えた直後のナットNが、テーパ面23に接触しながら回転しているとき、ナットNは、テーパ面23の周速の遅い側(すなわち軸方向前側)から周速の早い側(すなわち軸方向後側)に移動する。そのため、シャンク16からねじ部15へのナットNの逆戻りをより効果的に防止することが可能となっている。
また、このタップ1は、軸方向に平行な方向に対して1°以上の傾斜角θを有するテーパ面23を採用することにより、雌ねじ17を加工し終えた直後のナットNを、テーパ面23の周速の遅い側から周速の早い側に効果的に移動させることが可能となっている。
また、このタップ1は、軸方向に平行な方向に対して5°以下(好ましくは3°以下)の傾斜角θを有するテーパ面23を採用することにより、テーパ面23に嵌った状態のナットNがテーパ面23の外径が小さい側(すなわち軸方向前側)に自重でずり下がるのを防止することが可能となっている。
また、このタップ1は、テーパ面23の軸方向長さTを、ねじ部15のねじ山18の外径の30%以上(好ましくは50%以上)に設定しているため、ナットNとテーパ面23の接触長さが確保され、雌ねじ17を加工し終えた直後のナットNを、テーパ面23の周速の遅い側から周速の早い側に効果的に移動させることが可能となっている。
また、このタップ1は、ねじ部15の軸方向後端のねじ山18からテーパ面23の軸方向前端までの軸方向距離Sを、ねじ部15のねじ山18の外径の25%未満(好ましくは15%未満)に設定しているため、シャンク16の外周の複数のナットNのうち、タップ1の回転が減速したときにねじ部15に逆戻りするおそれのあるナットN(すなわちねじ部15に最も近いナットN)を、確実にテーパ面23でねじ部15から遠ざかる側に移動することができる。
この実施形態では、ナットブランクNとして、フランジ付き六角ナットのナットブランクNを使用し、そのナットブランクNの六角部7をチャック13で挟持して雌ねじ17を加工する場合を例に挙げて説明したが、フランジ付き六角ナットのナットブランクに代えて、丸ナットのナットブランクN(ナットブランクの外周が全長にわたって円筒面とされたもの)を使用し、そのナットブランクNの外周をチャック13で挟持して雌ねじ17を加工してもよい。その他、このタップ1は、ナットブランクNの外周をチャック13で挟持して雌ねじ17を加工し、雌ねじ17を加工した直後にチャック13による挟持を解除するねじ立て盤に好適である。
次に、第2実施形態のタップ1を説明する。この実施形態は、雌ねじ17を加工し終えた直後のナットNがシャンク16からねじ部15に逆戻りするのを防止する手段として、第1実施形態のテーパ面23にかえて、螺旋溝30を採用したものである。第1実施形態に対応する部分は同一の符号を付して説明を省略する。
図6に示すように、シャンク16の軸方向前端部の外周には、ねじ部15のねじ山18のねじれ方向とは反対のねじれ方向(ねじ山18のねじれ方向が右ねじのねじれ方向である場合は、左ねじのねじれ方向)を有する螺旋溝30が形成されている。
螺旋溝30の条数は、複数条とされている。すなわち、螺旋溝30は、螺旋溝30の方向にシャンク16の外周を1周したときに進む軸方向距離が、軸方向に隣り合う螺旋溝30の間隔の複数倍となるように形成されている。螺旋溝30の条数は、3条以上とすることができる。また、軸方向に隣り合う螺旋溝30の間隔は、ねじ部15のねじ山18のピッチとほぼ同じ大きさ(例えば、ねじ山18のピッチの0.9〜1.1倍の大きさ)とすることができる。
螺旋溝30の軸方向長さTは、ねじ部15のねじ山18の外径の30%以上(好ましくは50%以上)に設定されている。また、ねじ部15の軸方向後端のねじ山18から螺旋溝30の軸方向前端までの軸方向距離Sは、ねじ部15のねじ山18の外径の25%未満(好ましくは15%未満)に設定されている。軸方向距離Sの大きさを0に設定してもよい。
シャンク16の軸方向前端部の外周(すなわち螺旋溝30が形成されている部分の外周)は、円筒面24である。
この第2実施形態のタップ1を使用すると、タップ1の回転が減速することで、ナットNの回転速度がタップ1の回転速度を相対的に上回った状態となったときに、シャンク16の軸方向前端部の外周に嵌った状態のナットNが、螺旋溝30の案内作用によってねじ部15から遠ざかる側に移動する。そのため、シャンク16からねじ部15へのナットNの逆戻りを防止することができる。
また、このタップ1は、螺旋溝30の条数を複数条としているので、比較的大きいリード角をもつ螺旋溝30でナットNを案内することになる。そのため、タップ1の回転が減速したときに、効果的にナットNをねじ部15から遠ざかる側に移動させることが可能である。
また、このタップ1は、軸方向に隣り合う螺旋溝30の間隔を、ねじ部15のねじ山18のピッチとほぼ同じ大きさとしているので、ナットNの内周の雌ねじ17と螺旋溝30とが噛み合いやすく、螺旋溝30の案内作用が高い。そのため、タップ1の回転が減速したときに、効果的にナットNをねじ部15から遠ざかる側に移動させることが可能である。
また、このタップ1は、螺旋溝30の軸方向長さTを、ねじ部15のねじ山18の外径の30%以上(好ましくは50%以上)に設定しているため、ナットNと螺旋溝30の接触長さが確保され、タップ1の回転が減速したときに、効果的にナットNをねじ部15から遠ざかる側に移動させることが可能となっている。
また、このタップ1は、ねじ部15の軸方向後端のねじ山18から螺旋溝30の軸方向前端までの軸方向距離Sを、ねじ部15のねじ山18の外径の25%未満(好ましくは15%未満)に設定しているため、シャンク16の外周の複数のナットNのうち、タップ1の回転が減速したときにねじ部15に逆戻りするおそれのあるナットN(すなわちねじ部15に最も近いナットN)を、確実に螺旋溝30でねじ部15から遠ざかる側に案内することができる。
ここでは、シャンク16の軸方向前端部の外周(すなわち螺旋溝30が形成されている部分の外周)を円筒面24としたものを例に挙げて説明したが、図7に示すように、第1実施形態と同様のテーパ面23に螺旋溝30を形成してもよい。
図6に示すように、シャンク16の軸方向前端部の外周を円筒面24とし、その円筒面24に螺旋溝30を設けたタップ1は、図4に示すようにシャンク16の軸方向前端部の外周にテーパ面23を設けたものや、図7に示すようにテーパ面23に螺旋溝30を設けたものと比べて、シャンク16の軸方向前端部の外径を確保することができるので、タップ1の強度を確保する観点から、呼び径の小さいタップ(例えば、ねじ部15のねじ山18の外径が8mm以下のタップ)に特に好適である。
次に、第3実施形態のタップ1を説明する。この実施形態は、雌ねじ17を加工し終えた直後のナットNがシャンク16からねじ部15に逆戻りするのを防止する手段として、第1実施形態のテーパ面23にかえて、偏心軸部31を採用したものである。第1実施形態に対応する部分は同一の符号を付して説明を省略する。
図8、図9に示すように、シャンク16の軸方向前端部の外周には、ねじ部15の中心Oに対して偏心した形状をもつ偏心軸部31が形成されている。偏心軸部31は、偏心軸部31に外接する円を想定したときに、その円の中心がねじ部15の中心に対してずれた位置にあるような断面形状を有する部分である。ここでは、偏心軸部31として、タップ1の外周に周方向に間隔をおいて複数設けられた溝32の隣り合う溝32同士の間に形成される複数のランド33のうち、半数以上のランド33の外周部分を除去して形成した偏心軸部31を採用している。
この第3実施形態のタップ1を使用すると、ナットNが偏心軸部31によって振れ回るため、シャンク16の軸方向前端部の外周に嵌った状態のナットNの雌ねじ17が、タップ1のねじ部15のねじ山18に係合しにくくなる。そのため、シャンク16からねじ部15へのナットNの逆戻りを防止することができる。
1 ナットタップ
15 ねじ部
16 シャンク
17 雌ねじ
18 ねじ山
23 テーパ面
30 螺旋溝
31 偏心軸部
ナットブランク
ナット
O 中心

Claims (7)

  1. 軸方向前方から送り込まれるナットブランク(N)の内周に雌ねじ(17)を加工するねじ山(18)を外周に有するねじ部(15)と、
    そのねじ部(15)で前記雌ねじ(17)を加工し終えたナット(N)を受け入れるように前記ねじ部(15)の軸方向後方に連続して設けられたシャンク(16)とを有するナットタップにおいて、
    前記シャンク(16)の軸方向前端部に、前記シャンク(16)から前記ねじ部(15)へのナット(N)の逆戻りを防止する逆戻り防止手段を設けたことを特徴とするナットタップ。
  2. 前記逆戻り防止手段は、前記シャンク(16)の軸方向前端部の外周に形成されたテーパ面(23)である請求項1に記載のナットタップ。
  3. 前記テーパ面(23)は、軸方向前側から軸方向後側に向かって外径が大きくなる面である請求項2に記載のナットタップ。
  4. 前記テーパ面(23)は、軸方向に平行な方向に対して1°〜5°の範囲で傾斜した面である請求項3に記載のナットタップ。
  5. 前記逆戻り防止手段は、前記ねじ部(15)のねじ山(18)のねじれ方向とは反対のねじれ方向を有する螺旋溝(30)である請求項1に記載のナットタップ。
  6. 前記螺旋溝(30)の条数が、複数条とされている請求項5に記載のナットタップ。
  7. 前記逆戻り防止手段は、前記ねじ部(15)の中心(O)に対して偏心した形状をもつ偏心軸部(31)である請求項1に記載のナットタップ。
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