JP2017006918A - 多段分割流路型混合器及び混合方法 - Google Patents

多段分割流路型混合器及び混合方法 Download PDF

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【課題】多段分割流路型混合器を提供する。【解決手段】流体Aと流体Bを混合する多段分割流路型のマイクロ混合器であって、流体Aが混合器に流入した後に、均等な圧力損失を生じさせて複数の円管状流路に均等分割させる流体A分割部と、流体A分割部の下流に、流体Bが混合器に流入した後に、均等な圧力損失を生じさせて円管状流路に均等分割させる流体B分割部と、流体B分割部の下流に、流体A分割部の分割数と同じ数だけ設けられ、流体Aが内部流体、流体Bが外部流体となる円管状の二重管型混合器構造を構成する二重管型混合部と、二重管型混合部の下流に、流体A分割部の分割数と同じ数だけ設けられ、それぞれの二重管型混合部出口を縮流させる個別縮流部、を有する、多段分割流路型混合器。【効果】高粘度流体であっても層流条件で迅速かつ均一な混合を実現できるマイクロ流路を有する多段分割流路型混合器を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、多段分割流路型混合器に関するものであり、更に詳しくは2種類の高粘度流体、もしくは高粘度流体と低粘度流体を迅速かつ均一に混合することができる多段分割流路型混合器に関するものである。この混合器は、マイクロ流路から構成される流路を多段に分割した多段分割流路型混合器であり、この混合器を用いると、高粘度で物質移動が緩慢である2種類の高粘度流体、もしくは高粘度流体と低粘度流体を迅速かつ均一に混合することを実現することができる。
本発明の混合器は、既存の混合器のように、スリット状の薄肉の微細構造体を用いず、管状の厚肉のマイクロ流路を採用しているため、機械的強度を有しており、例えば、流通する流体の圧力損失が5MPaまでと許容圧力損失が高い特徴を有している。本発明は、流路を多段に分割するいわゆる分割流路数を調整することで、高粘度流体であっても低流量から高流量までの広い流量範囲に好適に適用することを可能にする、多段分割流路型混合器に関する新技術・新製品を提供するものである。
流路内における流体の流れについては、乱れが少なく、均一な速度分布で整然と流れる状態を層流と称し、一方、大小様々な渦が発生して激しく乱れている流れを乱流と称している。当該層流と乱流の境界については、無次元数であるレイノルズ数が用いられる。レイノルズ数の算出式を以下の式(1)に示す。
Figure 2017006918
流体の流れる状態は、流路を構成する管の粗さなどによって変化するが、概ねレイノルズ数が2300より小さいと層流、それより大きいと乱流となる。この境界のレイノルズ数2300を臨界レイノルズ数と称している。流体の粘度が低い場合、高いレイノルズ数の条件を確保できるため、流体混合には、一般的に、乱流条件が利用される。流体の粘度が高い場合、大きなレイノルズ数を設定できないため層流条件となることが多く、混合器による混合性能は低くなる。
流路内における流体の流れを利用して複数の流体を混合する際、レイノルズ数に加えて、流路における圧力損失を考慮する必要がある。圧力損失は、層流の場合、以下の式(2)に示すハーゲン・ポアズイユの式により算出され、乱流の場合、以下の式(3)に示すダルシー・ワイスバッハの式により算出される。
Figure 2017006918
Figure 2017006918
一般的に、混合器を用いて、高い混合性能を得るためには、レイノルズ数を高くして乱流条件とすることが好ましい。一方で、混合器による混合プロセス全体としては、流路における圧力損失を考慮する必要があり、高レイノルズ数の条件で混合性能が良くても、流路による圧力損失が大きいと、所望の混合性能を実現できないことも多い。混合器により流体を混合して高い混合性能を得るためには、レイノルズ数と圧力損失の両者を十分に考慮する必要がある。
常温常圧の水などの低粘性の流体の場合、流量が大きく、かつ構造上流路の内径を小さくできる場合などは、乱流条件を適用して、高い混合性能を得ることができた。一方、低粘性の流体で、低流量で層流条件となる場合、通常の混合器では高い混合性能が得られない。そのため、このような条件で良好な混合性能を得ることができるマイクロミキサーが開発された。
流路における流体は、層流条件の場合、乱流条件に比べて、全体に対する流路管の壁近くの境界層の影響割合が大きくなるために、流路管の壁近くの流速は、中心部の流速に比べて小さくなり、また、流れ場で混合に寄与する渦の形成はなく、複数の流体を迅速に混合することは非常に困難である。
このように、低流量の流体の層流条件での迅速混合の混合性能を得るために開発されたのがマイクロミキサーである。マイクロミキサーは、1mm以下のマイクロ流路が複数の流路に構成され、それぞれの流路内で、複数の流体が混合される構成を有している。マイクロミキサーによる混合は、最終的に分子拡散に依存する。
上記マイクロミキサーにおける分子拡散による混合では、混合時間は、拡散距離の2乗に比例するというフィックの法則に従うため、流路内径が1/10になると、混合に要する時間は1/100になるという特徴を生かしている。複数のマイクロ流路で流体の混合を行うと、流体同士の界面が増大して拡散が促進され、混合時間の短縮に繋がる。
マイクロミキサーの混合機能を利用したマイクロリアクターは、当初、分析分野[μ−TAS(Total Analytical System)]で検討が開始され、ガラスチップの上で少流量の検体と試薬を混合して分析反応を行うなどの適用が検討されていた。
従って、初期のマイクロリアクターは、その多くがガラスや樹脂製のものであり、エッチングなどで任意に流路を形成できるメリットはあるものの、流路の接合強度が弱いため、耐圧性能は低く、処理できる流量に制限があった。
上述の通り、マイクロリアクターは、少流量の層流条件を想定して開発されてきたが、その混合性能の高さ、高速な熱交換速度などを利用して、反応プロセスへの適用が検討され、少量多品種の製造プロセスとしての期待が高まってきた。
一部、IMM社や、カールスルーヘ研究所などから金属製のマイクロミキサーが提案されているものの、流路は、層流条件を想定した繊細な構造体であり、それを金属製の容器に入れているものが多く、容器は、耐圧性能を有しているが、流路の強度には許容できる圧力損失に上限があり、小流量、低粘度の流体に限定される場合が多かった[非特許文献1]。
近年、低環境負荷型の少量多品種の製造プロセスとして、超臨界流体を利用した技術の開発が検討されている。例えば、超臨界水を利用した水熱合成による金属酸化物微粒子の製造、超臨界水による有機合成などの報告例があり[非特許文献2、3]、超臨界水を利用する反応プロセスでは、常温で連続的に供給される原料に、高温の超臨界水を直接混合して急速に反応温度まで昇温する方式が用いられている。
ここで、混合器の性能が悪いと、昇温速度が遅くなり、水熱合成反応では、昇温過程で粗大粒子が生成し、有機合成反応では、目的外の副反応を生じる。従って、水熱合成反応では、急速に、反応系の温度を反応温度まで昇温することができる迅速混合が可能な混合器が求められた。
超臨界水反応にマイクロリアクターを適用して、反応性能を向上させる例がいくつか報告されている[非特許文献4、5、6、7]。超臨界水反応プロセスは、高温高圧であるため、流路の内径が小さくなれば、必要肉厚も薄くなるため、コスト面で有利となる。
超臨界水による水熱合成の代表的な条件である400℃、30MPaであれば、超臨界水の粘性係数は0.04cPに低下するため、流路における質量流量、流路内径が同じ条件であれば、常温常圧の23倍のレイノルズ数を得ることができる。
従って、超臨界水反応プロセスとマイクロ流路のマッチングは、デバイスの肉厚の低減と混合性能の向上の何れもメリットとなる。ただし、マイクロ流路の管長さが長くなると、圧力損失も大きくなるため、超臨界水反応プロセスで用いるマイクロ混合器は、マイクロ流路の長さを短く設計することが重要なポイントになる。
超臨界二酸化炭素を希釈溶媒の代替として利用し、揮発性有機化合物(VOC)を低減できる革新的な塗装技術である、二酸化炭素塗装技術の開発が行われている[特許文献1、2]。本技術は、ユニオンカーバイト社が当初開発していた技術を基本としており[特許文献3]、種々検討されたフロー、マイクロミキサーなどを用いることを特徴としている。
二酸化炭素塗装技術では、塗料中に二酸化炭素流体を連続的に混合する際、混合が緩慢であれば流路内で塗料と二酸化炭素流体の濃度勾配が生じる。その結果、局所的に貧溶媒を生じてポリマーが析出するトラブルを引き起こすことがあった。従って、塗料中に二酸化炭素流体を迅速に混合できる混合器が求められていた。
上述の超臨界水反応プロセスで適用していたマイクロ混合器は、高レイノルズ数の乱流で迅速混合を実現するものである。塗料の粘度は100〜1000cPであり、水に比べて100〜1000倍となるため、流路における質量速度(質量流量/断面積)、流路内径が同じ場合、流体粘度に反比例してレイノルズ数は小さくなる。
例えば、内径1mmで、100g/min、密度1g/cc、粘度1cPの場合、レイノルズ数は21000であるが、粘度が1000cPとなると、同条件で、レイノルズ数は2の層流となる。
従って、超臨界水反応プロセスに適用してきた高レイノルズ数を利用した混合点を1点とするマイクロ混合器を、高粘度流体の混合器として適用して、同様に高い混合性能が得られるとは考えにくい。更には、粘度が上昇することで、流路による圧力損失の考慮も必要となる。現在、高粘性流体と高圧二酸化炭素流体を迅速に混合できる混合器は、存在せず、新たな混合器の設計が必要となる。
流体粘度が低い場合、基本的には、乱流条件で混合することが最も一般的な迅速混合の方法である。また、低粘度の流体で流量が小さい場合、微細構造体で構成され、流路が多段分割されたマイクロミキサーを用いて、層流条件で迅速混合を実現することができる。IMM社のスリットインターデジタル型マイクロミキサーHP−IMMの容器は、500℃、60MPaの強度を有している。
一方、混合器の内部のマイクロ流路は、厚み150μmのSUS316の薄板に微細加工を施してあり、流路径45μm、深さ250μmのマイクロ流路が15本ずつ分割されて2流体を混合する構造となっている[非特許文献8]。
HP−IMMの容器の最大通液流量は42cc/min、最大粘度は10cPである。この条件で発生する圧力損失は0.2MPaであり、HP−IMMの容器のマイクロ流路は0.2MPaの機械強度しか有していないことが分かる。
また、微細構造体ではなく、機械強度を有する構造体を用いた積層型のマイクロミキサーでは、くし歯型流路[特許文献4]、ジグザグ状流路[特許文献5]が報告されている。これらの混合器は、流路の構造が非常に複雑で、スムーズな流路構造を有していない。微細加工で流路を構成するマイクロミキサーは、概して微粒子を含む溶液を流通させると、次第に流路内に堆積して最終的に閉塞を生じる。
一方、高粘度の流体の場合、もともと物質移動が緩慢で、迅速かつ均一な混合は困難である。このような流体の混合器に、従来型の微細構造体で構成されるマイクロミキサーを適用すると、圧力損失の問題で、適用することができない。
現在、1000cP以上の高粘性の流体で流量が小流量から高流量までの広い条件では、圧力損失に耐え得る耐圧設計が流路に求められ、従来型の微細構造体で構成される混合器は、適用できるものはない。
特に、超臨界二酸化炭素プロセスにおいて、5000cP以上の高粘度の有機性流体、もしくは10000cP以上の溶融樹脂などに、高圧二酸化炭素流体を混合して粘度を低下させる場合、高粘度の有機性流体と低粘度の高圧二酸化炭素流体の迅速混合の混合性能と圧力損失に耐え得る流路耐圧設計とを両立する混合器は提案されていない。
特開2010−234348号公報 特開2010−234349号公報 米国特許第5057342号明細書 特許第4286895号 特許第4191770号
マイクロリアクターテクノロジー、NTS、吉田潤一ら共著(2005) T.Adschiri,et al.,J.Am.Ceram.Soc.75,1019−1022(1992) H.Kawanami,et al.,Angew.Chem.,Int.Ed.,46,5129−5132(2007) K.Mae,et al.,J.Chem.Eng.Japan,40(12),1101−1107(2007) Y.Wakashima,et al.,J.Chem.Eng.Japan,40(8),622−629(2007) S.Kawasaki,et al.,J.Supercrit.Fluid 54,96−102(2010) K.Sue,et al.,Ind.Eng.Chem.Res.49,8841−8846(2010) http://www.imm−mainz.de/fileadmin/IMM−upload/Flyer−Katalog_etc/Catalogue09_SIMM.pdf
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、5000cP以上の高粘度の有機性流体、もしくは10000cP以上の溶融樹脂などに、高圧二酸化炭素流体を混合して粘度を低下させる場合、高粘度の有機性流体と低粘度の高圧二酸化炭素流体の迅速混合の混合性能及び圧力損失に耐え得る流路耐圧設計を両立する混合器を開発することを目標として鋭意研究を重ねた結果、2種類の高粘度流体、もしくは高粘度流体と低粘度流体を迅速かつ均一に混合することができる多段分割流路型混合器を開発することに成功し、本発明を完成するに到った。
本発明は、上述のような課題を解決するために開発されたものであり、高粘度で、物質移動が緩慢で、迅速かつ均一な混合は難しいとされている高粘度流体であっても、層流条件で迅速かつ均一な混合を実現することができる多段分割流路型混合器からなるマイクロミキサーを提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)流体Aと流体Bを混合する多段分割流路型のマイクロ混合器であって、
流体Aが混合器に流入した後に、均等な圧力損失を生じさせて複数の円管状流路に均等分割させる流体A分割部と、
流体A分割部の下流に、流体Bが混合器に流入した後に、均等な圧力損失を生じさせて円管状流路に均等分割させる流体B分割部と、
流体B分割部の下流に、流体A分割部の分割数と同じ数だけ設けられ、流体Aが内部流体、流体Bが外部流体となる円管状の二重管型混合器構造を構成する二重管型混合部と、
二重管型混合部の下流に、流体A分割部の分割数と同じ数だけ設けられ、それぞれの二重管型混合部出口を縮流させる個別縮流部、
を有することを特徴とした多段分割流路型混合器。
(2)多段分割流路型混合器の上記二重管型混合部−個別縮流部と、その下流配設された流路全体を一つの流路に縮流させる集合縮流部ないし任意の滞留混合時間を有する直管型滞留部と、その下流に配設された円管状流路に分割する分割混錬部1と、分割混錬部1と分割数が異なり、同軸状に円管状流路を有さず、分割混錬部1出口流体が隣り合う流体と相互混合して流出することができる位置に円管状流路を配置した分割混錬部2を有する、前記(1)に記載の多段分割流路型混合器。
(3)多段分割流路型混合器の上記二重管型混合部−個別縮流部と、その下流に、流路全体を一つの流路に縮流させる集合縮流部を有する、前記(1)に記載の多段分割流路型混合器。
(4)多段分割流路型混合器の上記二重管型混合部−個別縮流部と、その下流に、任意の滞留混合時間を保有する直管型滞留部を有する、前記(1)に記載の多段分割流路型混合器。
(5)多段分割流路型混合器の上記二重管型混合部−個別縮流部と、その下流配設された流路全体を一つの流路に縮流させる集合縮流部ないし任意の滞留混合時間を有する直管型滞留部の下流に、円管状流路に分割する分割混錬部1を有する、前記(1)に記載の多段分割流路型混合器。
(6)多段分割流路型混合器の下流に、上記集合縮流部、直管型滞留部、分割混錬部1、又は分割混錬部2が任意の組み合わせで任意の数設けられている、前記(1)から(5)のいずれかに記載の多段分割流路型混合器。
(7)流体A分割部、二重管混合部、個別縮流部、分割混錬部1、又は分割混錬部2の少なくとも一つの構成部材、もしくは複数の構成部材の流路において、流路内径が1mm以下のマイクロ流路であり、かつ全体の圧力損失が3MPa以下、あるいは1MPa以下となる分割数で分割されている、前記(1)から(6)に記載の多段分割流路型混合器。
(8)混合器が高温高圧環境で使用できるように、これらを保持するハウジングが外周に設けられている、前記(1)から(7)に記載の多段分割流路型混合器。
(9)流体A、流体Bが二酸化炭素、高粘性有機流体の何れかである、前記(1)から(8)に記載の多段分割流路型混合器。
(10)流体Aが二酸化炭素、流体Bが高粘性有機流体である、前記(9)に記載の多段分割流路型混合器。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明の多段分割流路型混合器は、例えば、図1〜3に示される構成部品の組み合わせから構成される構造体である。この構造体の基本構成について説明すると、当該構造体は、図1において、流体Aが混合器に流入した後に、均等な圧力損失を生じさせて複数の円管状流路に均等分割される流体A分割部と、流体A分割部の下流に、流体Bが混合器に流入した後に、均等な圧力損失を生じさせて円管状流路に均等分割される流体B分割部からなる第1層[部品1]と、流体B分割部の下流に、流体A分割部の分割数と同じ数だけ設けられ、流体Aが内部流体、流体Bが外部流体となる円管状の二重管型混合器構造を構成する二重管型混合部と、二重管型混合部の下流に、流体A分割部の分割数と同じ数だけ設けられ、それぞれの二重管型混合部出口を縮流させる個別縮流部からなる第2層[部品2]、を有することを特徴としている。
本発明の多段分割流路型混合器の上記第2層の下流には、流路全体を一つの流路に縮流させる集合縮流部[部品3−a]を有するか、あるいは多段分割流路型混合器の上記第2層の下流には、任意の滞留混合時間を保有する直管型滞留部[部品3−b]を有するように、当該集合縮流部、あるいは直管型滞留部を配設することができる。
本発明の多段分割流路型混合器の上記集合縮流部又は直管型滞留部の下流には、円管状流路に分割する分割混錬部1[部品4]を有するか、あるいは、分割混錬部1と分割数が異なり、同軸状に円管状流路を有さず、分割混錬部1の出口流体が隣り合う流体と相互混合して流出することができる位置に円管状流路を配置した分割混錬部2[部品5]を有するように、当該分割混錬部1、あるいは分割混錬部2を配設することができる。
本発明の多段分割流路型混合器は、前述のくし歯型流路、ジグザグ流路に比べて、鉛直下向きの円管流路であり、2流体混合部は二重管型の混合部である。従って、微粒子を含む溶液を流通させても、円管状流路がシンプルな構造であるため、微粒子が流路内に堆積することがない。
本発明では、多段分割流路型混合器の下流に、上述の集合縮流部、直管型滞留部、分割混錬部1、分割混錬部2を、任意の組み合わせで任意の数設けることができ、流体A分割部、二重管混合部、個別縮流部、分割混錬部1、分割混錬部2の少なくとも一つの構成部品、もしくは複数の構成部品から構成される構造体において、流路は、内径が1mm以下のマイクロ流路を用い、かつ全体の圧力損失が3MPa以下、好ましくは1MPa以下となる分割数とすることができる。
本発明では、上記構成を有する多段分割流路型混合器が高温高圧の環境で使用できるように、例えば、これらを保持する耐圧性のハウジング又はそれに代わる設備を外周に設けることができる。また、本発明では、流体A、流体Bが二酸化炭素流体、高粘性有機流体の何れかであること、例えば、流体Aが二酸化炭素流体、流体Bが高粘性有機流体であることが例示される。
図1に示した、本発明の多段分割流路型混合器において、流体A、例えば、高圧二酸化炭素流体が上部から流入し、流体B、例えば、高粘性有機流体は側面から流入し、混合器の下部から混合後流体が流出する。多段分割流路型混合器は、例えば、ハウジングの中に設置することができるため、その場合は、高圧機器としては、当該ハウジングには耐圧強度が求められるが、多段分割流路型混合器は、圧力損失に耐え得る強度を有していればよい。本発明において、上記ハウジングの形状、構造並びに材質などについては、混合器の大きさ、用途、種類などに応じて任意に設計することができる。
ここで、図1に示した多段分割流路型混合器の構造体を構成する構成部品は、機械加工のみで製作することが可能であり、当該構造体は、従来型のマイクロミキサーのような、微細構造体で構成される華奢な構造物ではない。その結果、例えば、流体の圧力損失が3MPaであっても、構造体の損傷はない。ただし、通常は、流路は、圧力損失を1MPa以下となるように構造体を構成する部品において流路の分割数を設計する。上記構成部品の材質は、一般的な混合器の材質であればよく、その実施に当たり任意の材質を適宜用いることができる。
図2に示した、多段分割流路型混合器の構成部品において、部品1は、流体A、例えば、高圧二酸化炭素が流入した後に、均等な圧力損失を生じさせて複数の円管状流路に均等分割される流体A分割部を示している。部品1は、複数の円管、例えば、図では21本の円管、が底面に接続されている。この21本の円管の内径、長さが正確に等しく作られているため、流体Aが均等に分割される。本発明において、上記円管の本数は、混合器の大きさ、用途、種類などに応じて任意に設計することができる。
部品2は、側面からの溝状の流路に流体B、例えば、高粘性有機流体が流入し、溝状の流路の圧力損失は大きくないため、全周に行き渡る。溝状の流路の内側に、複数の円管の流路、例えば、図では12本、が中心の空間に向かって設けられており、この12本の円管の内径、長さが正確に等しく作られている。そのため、流体Bが均等に分割される。これが流体B分割部である。本発明において、上記円管の本数は、混合器の大きさ、用途、種類などに応じて任意に設計することができる。
流体Bは、均等分割されて、部品2の中心部において、当該部品2が器状に施工された領域に流入する。部品2の器状の底には、流体Aの分割数と同じ数だけ設けられた円形の凹みが形成されている。その円形の凹みに流体Bが均等に流入し、更に、その凹みの中心に流体Aが流出する円管の端面が差し込まれた状態で配置されている。それによって、流体A分割数と同じ数の円管状の二重管型混合器が形成される。これが図4に示す二重管型混合部である。
二重管型混合部の下流である部品2の底面には、流体A分割部の分割数と同じ数だけ設けられ、それぞれの二重管型混合部の出口を縮流させる個別縮流部が形成されている。多段分割流路型混合器の最小限の基本構成は、部品1及び部品2で構成される。
部品1及び部品2で構成される最小限の基本構成の下流に、部品3−aに示すような、流路全体を一つの流路に縮流させる集合縮流部を形成することも可能である。部品1及び部品2で構成される最小限の基本構成の下流に、部品3−bに示すような、任意の滞留混合時間を保有する直管型滞留部を形成することも可能である。
部品1及び部品2で構成される最小限の基本構成の下流に、部品4に示すような、好ましくは個別縮流部の分割数と異なる分割数を有する円管状流路に分割する分割混錬部1と、部品5に示すような、分割混錬部1と分割数が異なり、同軸状に円管状流路を有さず、分割混錬部1出口流体が隣り合う流体と相互混合して流出することができる位置に円管状の流路を配置した分割混錬部2を設けることも可能である。
ここで、部品4の上流に部品3−aが設置され、部品4の流路の分割数を限定するものではないが、部品4の上流に部品3−bが設置される場合は、個別縮流部の流路の分割数と異なる分割数のものが好ましい。
また、部品1及び部品2で構成される最小限の基本構成の下流に、部品3−a、3−b、部品4、5で示した部品を、任意の組み合わせで、任意の数で設けることも可能である。図1においては、部品1,2,3−a,4,5,4,5の順に組み合わせた例を示しているが、その他、これらの部品の組み合わせは、1,2,3−b,4,5,4,5であっても、1,2,4,5,4,5であっても構わない。
本発明では、少なくとも、流体A分割部、二重管混合部、個別縮流部、分割混錬部1、分割混錬部2の流路の内径が、1mm以下のマイクロ流路を用いること、かつ全体の圧力損失が2MPa以下、好ましくは1MPa以下となるような構成部品の流路の分割数に設計すること、が重要である。これらは、流体における流体流量、流体粘度の条件に依存するため、流路は、条件に応じたマイクロ流路の設計を、その適切な分割数に設計することが重要である。
前述の式(2)のハーゲン・ポアズイユの式より、マイクロ流路の内径、長さ、通液する流体の体積流量、粘度を仮定すると、圧力損失を計算することができる。流路の分割数をn個とすると、流路断面積はn倍となり、流速が1/nとなるため、圧力損失は1/nとなる。従って、これにより、各部品で発生する圧力損失の合計が3MPa以下、好ましくは1MPa以下となる分割数を決定することができる。
例えば、図1に示す流路多段分割型混合器では、その圧力損失は、質量流量50g/min、流体粘度10,000cPとして、流路は、各部品で生じる圧力損失の合計が0.9MPaとなる分割数を選定している。実際の実験では、二酸化炭素が溶解して粘度が低下するため、粘度低下率分、圧力損失は低下する。
また、図1に示した通り、多段分割流路型混合器の外周にハウジングを設け、ハウジングが高温高圧の環境に耐え得る設計強度を有することで、ハウジングに内在させたインターナルの混合器については、流体圧力損失に耐え得る強度のみを担保すればよくなる。
本発明の多段分割流路型混合器に適用する流体を限定するものではないが、好ましい実施形態として、例えば、流体Aは、高圧二酸化炭素流体、流体Bは、高粘度有機性流体であり、高圧環境で、高粘度有機流体に二酸化炭素流体を混合、溶解させて粘度を低下させる混合器としての適用が挙げられる。
図4に、流体A分割部の分割数を増やしたタイプの多段分割流路型混合器の例を示す。図4の部品1に示す流体A分割部、部品2の二重管型混合部の流路の分割数は、85、部品4の流路の分割数は120、部品5の流路の分割数は121である。図4に示す構成は、部品1,2,3−a,4,5,4,5の順に組み合わせた例を示している。その他、構成部品の組み合わせ順序は、例えば、1,2,3−b,4,5,4,5であっても、1,2,4,5,4,5であっても構わない。
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)層流条件で、低流量から高流量域で、迅速、かつ均一な流体混合を実現することを可能とする新しいマイクロミキサーとしての多段分割流路型混合器を提供することができる。
(2)本発明の多段分割流路型混合器により、高粘度流体同士、もしくは高粘度流体と低粘度流体を混合する場合にも、迅速、かつ均一な流体混合が可能となる。
(3)特に、高圧の超臨界二酸化炭素プロセスにおいて、高粘度の有機性流体中に、高圧二酸化炭素流体を、迅速、かつ均一に溶解させて、有機性流体の粘度を低下させることが可能となる。
(4)上記二酸化炭素の溶解により粘度が低下した有機性流体を、高圧環境から噴霧することで、成膜する、もしくは微粒子を製造する技術を提供することができる。
(5)本発明は、噴霧せずに、塗工して成膜することもできるため、これまで、何れの場合も、希釈溶媒を多く添加して粘度を低下させて実施していた製造プロセスを、低環境負荷プロセスに変革することができる。
本発明の多段分割流路型混合器の一例を示す。 本発明の多段分割流路型混合器の構成部品の一例を示す。 本発明の多段分割流路型混合器の二重管混合部と個別縮流部における流体の混合状態を示す。 多段分割流路型混合器の分割数増加タイプの一例を示す。 溶融樹脂と高圧二酸化炭素の混合による粘度低下評価装置の説明図を示す。 実施例1で用いた中心衝突型混合器を示す。 10MPaでのCO添加による粘度低下挙動を示す。 12.5MPaでのCO添加による粘度低下挙動を示す。 15MPaでのCO添加による粘度低下挙動を示す。
次に、製作例及び実施例に基いて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
次に、本発明の多段分割流路型混合器の製作例について具体的に説明する。
[製作例]
本製作例では、本発明の多段分割流路型混合器を製作した例について説明する。図1〜3に、本発明の多段分割流路型混合器とその構成部品並びに二重管混合部と個別縮流部における流体の混合状態の詳細について示した。図2に示した構成部品1と2、部品3−aと3−bをこの順序で重層し、更に、部品4及び/又は部品5を重層して、図1〜2に示した多段分割流路型混合器を組み立てた。
当該多段分割流路型混合器においては、図1に示されるように、流体A、例えば、高圧二酸化炭素流体が上部から流入し、流体B、例えば、高粘性有機流体は側面から流入し、下部から混合後流体が流出する。多段分割流路型混合器は、耐圧強度を有するハウジングの中に設置されるため、高圧機器としては、当該ハウジングのみ耐圧強度があればよく、多段分割流路型混合器は、圧力損失に耐え得る強度を有していればよい。
ここで、図1に示した多段分割流路型混合器を構成する構造体は、機械加工のみで製作することが可能な、機械加工に耐え得る強固な構造物であり、従来型のマイクロミキサーのような、微細構造体で構成される華奢な構造体ではない。その結果、例えば、流体の圧力損失が3MPaであっても、構造体の損傷はないが、通常は、圧力損失を1MPa以下となるように、上述の部品を積層する際の分割数を設計する。
多段分割流路型混合器の構成部品のうち、部品1については、流体A、例えば、高圧二酸化炭素流体が流入した後に、均等な圧力損失を生じさせて複数の円管状流路に均等分割される流体A分割部を形成し、流体A分割部とした。すなわち、具体的には、部品1は、21本の円管が底面に接続されるように形成すると共に、この21本の円管は、流体Aが均等に分割されるように、その内径、長さが正確に等しくなるように作製した。
部品2は、側面からの溝状の複数の流路を有し、流体B、例えば、高粘性有機流体が流入し、側面の全周に行き渡る構造とした。部品2については、溝状の流路の内側において、12本の円管の流路が中心の空間に向かって合流するように円管を配設して流体B分割部を形成し、流体B分割部とした。この12本の円管は、流体Bが均等に分割されるように、その内径、長さが正確に等しくなるように作製した。
流体Bは、均等分割されて、部品2の中心部に流入するように、部品2を器状に施工した。部品2の器状の底には、流体Aの分割数と同じ数だけ円形の凹みを形成した。該円管は、その凹みに流体Bが均等に流入し、更に、その凹みの中心に流体Aが流出する円管の端面が差し込まれた状態で配置させ、それによって、流体A分割数と同じ数の円管状の二重管型混合器を形成し、二重管型混合部とした。
二重管型混合部の下流に配設される部品2の底面に、流路が、流体A分割部の流路の分割数と同じ数だけ設けられた、それぞれの二重管型混合部の出口を縮流させる個別縮流部を形成し、多段分割流路型混合器の最小限の基本構成は、部品1と部品2で構成した。
また、部品1と部品2で構成される最小限の基本構成の下流に、部品3−aに示すような、流路全体を一つの流路に縮流させる集合縮流部を形成し、更に、部品1と部品2で構成される最小限の基本構成の下流に、部品3−bに示すような、任意の滞留混合時間を保有する直管型滞留部を形成した。
部品1と部品2で構成される最小限の基本構成の下流に、部品4に示すような、個別縮流部の流路の分割数と異なる分割数を有する円管状流路に分割する分割混錬部1と、部品5に示すような、分割混錬部1と流路の分割数が異なり、同軸状に円管状流路を有さず、分割混錬部1出口流体が隣り合う流体と相互混合して流出することができる位置に円管状流路を配置した分割混錬部2を設け、必要に応じて、適宜、これらの部品4、部品5を設けることも可能とした、本発明の多段分割流路型混合器を作製した。
次に、本発明の実施例について具体的に説明する。
本実施例では、溶融樹脂中に高圧二酸化炭素を溶解させて当該溶融樹脂の粘度を低下させるプロセスにおいて、溶融樹脂中に高圧二酸化炭素を溶解させるための混合器として、本発明の多段分割流路型混合器[図1〜2]を適用して、粘度低下率を評価した。図5に、溶融樹脂と高圧二酸化炭素の混合による粘度低下評価装置の構成例の説明図を示す。
図1に示す多段分割流路型混合器において、流体Aに高圧二酸化炭素を用い、流体Bに溶融樹脂、ここでは、分子量20000のポリエチレングリコール(以下、PEGと記載することがある)を用いた。ここで用いたPEGは、常温で固体であり、形状は、数mmのペレットである。当該PEGのペレットを、図5に示す粘度低下評価装置の樹脂ホッパーに投入して、エクストルーダーで加熱溶融させながら、次工程に供給した。
エクストルーダーの温度を110℃に設定し、エクストルーダー出口からギアポンプ入口の圧力は、数MPaのレベルの圧力条件となるように、エクストルーダーの回転数を制御した。加熱溶融されたPEGは、ギアポンプで、より高圧条件のプロセスへ定量供給した。
一方、二酸化炭素流体も、溶融樹脂と同じ温度に加熱及び加圧させながら、当該二酸化炭素流体を次工程に定量供給した。これらの流体を混合する混合器として、本発明の多段流路分割型混合器[図1〜2]と、中心衝突型混合器[図6]を用いて、二酸化炭素流体の混合性能を評価した。
ここで、IMM社製のマイクロミキサーなどの、従来型のマイクロミキサーのような、微細構造体で構成された混合器は、圧力損失の問題上、当該条件では適用すらできないことが分かった。そこで、比較例として中心衝突型混合器を用いた。この中心衝突型混合器は、従来から用いられているT字型ミキサーやスタティックミキサーに比べて、高い混合性能が得られる構造を有しており、文献の記載[非特許文献4]をベースとして設計されたものである。当該混合器において、上部から溶融樹脂が流入し、下部から二酸化炭素流体が流入し、当該二酸化炭素流体は、混合器に流入後に4流路に均等分岐され、混合器の中心部で溶融樹脂と衝突混合する構造を有している。
上記混合器の内部流路は、1〜2mmの範囲の単一流路とした。溶融樹脂の流路には、中心衝突部の流路隙間を調節できるニードルが挿入可能となっており、混合状態を見ながら流路隙間を調整できる構造になっている。ただし、本実施例では、圧力損失が大き過ぎたため、ニードルを撤去したものを使用した。
一定の溶融樹脂の質量流量に対して、二酸化炭素流体の添加率を変化させて、用いた混合器における二酸化炭素の溶解による溶融樹脂の粘度低下を、オリフィス前後の差圧を測定することにより、ハーゲン・ポアズイユの式を用いて算出した。この場合、混合器の混合性能がよければ、二酸化炭素がよりよく溶融樹脂中に溶解し、粘性がより低下すると考えられる。
一方、混合が不良の場合は、差圧減少が小さくなり、二相状態となり、差圧変動が大きくなると考えられる。溶融樹脂の流量は30g/minとし、二酸化炭素流体の添加率を変化させて、差圧の変化を測定し、粘度低下率に換算して評価した。温度は、110℃の一定とし、圧力を変化させて、本実施例における実験を行った。
計測しているオリフィス前後差圧は、溶融樹脂中に二酸化炭素が溶解して一相状態を保っていると、変動幅は小さくなるが、二酸化炭素が溶解せずに二相状態になると、変動幅が大きくなった。同じ添加率で混合器の混合性能によって、混合器からオリフィスまでの滞留時間で、混合速度、溶解速度に差が生じると考えられた。本実験で得られる差圧変動開始時の二酸化炭素添加率を、用いた混合器における限界溶解度と考えることができた。混合器の混合性能によって、限界溶解度が変化した。
図7〜図9に、10、12.5、15MPaの条件において、それぞれの混合器を用いて、二酸化炭素流体の添加率に対して、二酸化炭素流体の添加0%での初期粘度を1.0とした場合の、粘度低下挙動を示した。何れの条件においても、二酸化炭素流体の添加率が上昇すると、粘性比は概ね低下していた。
図7に示す10MPaの条件では、多段流路分割型混合器に比べて、中心衝突型混合器では、粘度低下率が小さいことが分かった。更に、キャピラリー前後差圧の変動幅をエラーバーで示したが、中心衝突型混合器では、二酸化炭素流体の添加率14、18%で変動が大きくなっていた。これは、添加した二酸化炭素が溶解できずに二相流となっているためと考えられる。中心衝突型混合器では19%であっても、何れも変動は小さく、一相状態と推測された。
図8に示す12.5MPaの結果では、10MPaの場合と同様に、中心衝突型混合器に比べて、多段流路分割型混合器の方が粘度低下率は大きくなった。併せて、キャピラリー前後差圧の変動幅は、中心衝突型混合器では、二酸化炭素流体の添加率18、23%で変動が大きくなっており、二相状態となっていると考えられた。
図9に示す15MPaの結果では、12.5MPaの場合と同様に、中心衝突型混合器に比べて、多段流路分割型混合器の方が粘度低下率は大きくなった。キャピラリー前後差圧の変動幅についても、中心衝突型混合器の二酸化炭素流体の添加率17、20、24%で、変動が多くなっており、二相状態となっていると考えられた。多段流路分割型混合器では、変動することがなく、大きな粘度低下率を得ることができた。
本実施例における110℃の実験で、圧力を10、12.5、15MPaと変化させ、二酸化炭素流体の添加率による粘度低下率を粘度比で表して、混合器の混合性能の比較を行った。その結果、中心衝突型混合器に比べて、多段流路分割型混合器の方が、混合器の混合性能は良好であることが分かった。粘度低下に合わせて、キャピラリー前後差圧の変動幅を評価した結果、混合性能の低い中心衝突型混合器では、二酸化炭素の溶解度も低下することが分かった。
これは、混合器により均一混合がされていないことに起因していると考えられた。中心衝突型混合器では、流路が小さいため、大きな圧力損失を生じた。そのため、狭い流路に流入する際、二酸化炭素流体の連続供給の安定性が悪化し、間欠流を生じて、粘度低下挙動が安定しないことで、二酸化炭素の溶解度も低下するものと考えられた。
以上詳述した通り、本発明は、多段分割流路型混合器に係るものであり、本発明により、層流条件で分散型化学プロセスに適合して迅速かつ均一な混合を実現することを可能とする新しいマイクロミキサーとしての多段分割流路型混合器を提供することができる。また、本発明の多段分割流路型混合器により、高粘度流体同士、もしくは高粘度流体と低粘度流体を混合する場合にもこの流体を迅速かつ均一に混合することが可能である。本発明は、特に、高圧環境で有機性高粘度流体中に高圧二酸化炭素流体を迅速、かつ均一に溶解させて有機性流体の粘度を低下させることを可能とする多段分割流路型混合器に関する新技術・新製品を提供するものとして有用である。

Claims (2)

  1. 軸に沿って流れる流体Aにその外部から流体Bを与えて混合する全体の圧力損失を2MPa以下とした多段分割流路型のマイクロ混合器であって、
    流路を機械加工された板状部品ブロックを前記軸に沿って積層してなり、
    前記流体Aの前記軸に沿った流路から均等な圧力損失を生じさせて、内径及び長さの等しい前記軸に沿って互いに平行な複数の円管状流路に均等分割させる流体A分割部と、
    前記流体Bを複数の流路から前記円管状流路の前記束の中心部に向けて与えて均等な圧力損失を生じさせて、前記円管状流路のそれぞれの周囲に且つこれに沿って均等分割させる流体B分割部と、
    それぞれの前記円管状流路の下流に、前記流体Aが内部流体、前記流体Bが外部流体となる二重管型混合部の前記軸に沿った流路径を縮小し縮流させる個別縮流部と、を有することを特徴とする多段分割流路型混合器。
  2. 軸に沿って流れる流体Aにその外部から流体Bを与えて混合する全体の圧力損失を2MPa以下とした多段分割流路型のマイクロ混合器を用いた混合方法であって、
    前記マイクロ混合器は流路を機械加工された板状部品ブロックを前記軸に沿って積層してなり、
    前記流体Aを、前記軸に沿った流路から均等な圧力損失を生じさせて、内径及び長さの等しい前記軸に沿って互いに平行な複数の円管状流路に均等分割させ、
    前記流体Bを、複数の流路から前記円管状流路の前記束の中心部に向けて与えて均等な圧力損失を生じさせて、前記円管状流路のそれぞれの周囲に且つこれに沿って均等分割させ、
    それぞれの前記円管状流路の下流に、前記流体Aを内部流体、前記流体Bを外部流体としてなる二重管型混合部を形成させるとともに、前記軸に沿った流路径を縮小し縮流させることを特徴とする混合方法。
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