JP2016535870A - 高周波再構成アルゴリズムのための周波数帯域テーブル設計 - Google Patents

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Abstract

本稿はオーディオ・エンコードおよびデコードに関する。特に、本稿は、高周波再構成(HFR)方法を利用するオーディオ符号化方式に関する。オーディオ信号の高域信号(105)のマスター・スケール因子帯域テーブルを決定するよう構成されたシステムが記載される。高域信号(105)はオーディオ信号の低域信号(101)から高周波再構成(HFR)方式を使って生成される。マスター・スケール因子帯域テーブルは、高域信号(105)のスペクトル包絡の周波数分解能を示す。

Description

関連出願への相互参照
本願は2013年8月29日に出願された米国仮出願第61/871,575号の優先権を主張するものである。同出願の内容はここに参照によってその全体において組み込まれる。
技術分野
本稿はオーディオ・エンコードおよびデコードに関する。特に、本稿は、高周波再構成(HFR: high frequency reconstruction)を利用するオーディオ符号化方式に関する。
スペクトル帯域複製(SBR: Spectral Band Replication)技術のようなHFR技術は、伝統的な知覚的オーディオ・コーデック(コア・エンコーダ/デコーダと称される)の符号化効率を著しく改善することを許容する。MPEG-4先進オーディオ符号化(AAC: Advanced Audio Coding)との組み合わせにおいて、HFRは非常に効率的なオーディオ・コーデックをなし、これはすでにたとえばXM衛星ラジオ(XM Satellite Radio)システムおよびデジタル・ラジオ・モンディアル(Digital Radio Mondiale)内で使用されており、3GPP、DVDフォーラムその他において標準化されてもいる。SBRを用いたAACのある実装はドルビー・パルスと呼ばれる。SBRを用いたAACはMPEG-4規格の一部であり、この規格では高効率AACプロファイル(HE-AAC: High Efficiency AAC Profile)と称されている。一般に、HFR技術は従来のものや将来のものと互換な仕方で任意の知覚的オーディオ・(コア・)コーデックと組み合わせることができ、そのためユーレカ(Eureka)DABシステムにおいて使われるMPEGレイヤー2のようなすでに確立された放送システムをアップグレードする可能性を提供する。HFRの諸方法は、音声コーデックと組み合わされて、超低ビットレートで広帯域音声(speech)を許容することもできる。
HFRの背後にある基本的発想は、信号の高周波数範囲の特性と、同じ信号の低周波数範囲の特性との間に通例強い相関があるという観察である。よって、信号のもとの入力高周波数範囲の表現のよい近似が、低周波数範囲から高周波数範囲への信号転移(transposition)によって達成できる。
高周波再構成は、フィルタバンクまたは時間領域から周波数領域への変換を使って、時間領域または周波数領域において実行できる。このプロセスは通例、高周波信号を生成し、その後、もとの高周波スペクトルのスペクトル包絡線を近似するよう高周波信号を整形するステップを含む。高周波信号を生成するステップは、たとえば、単一側波帯変調(SSB: single sideband modulation)に基づいていてもよい。この場合、周波数ωの正弦波は、Δωを固定周波数シフトとして、周波数ω+Δωの正弦波にマッピングされる。換言すれば、高周波数信号(高域信号とも称される)は、低周波数サブバンド(低域サブバンドとも称される)から高周波数サブバンド(高域サブバンドとも称される)への「上へのコピー〔コピーアップ〕」動作によって低周波数信号(低域信号とも称される)から生成されうる。高周波信号を生成することに対するさらなる手法は、低周波数サブバンドの高調波転換(harmonic transposition)に関わるものでもよい。次数(order)Tの高調波転換は、典型的には、低周波数信号の周波数ωの正弦波を、T>1として高周波数信号の周波数Tωの正弦波にマッピングするよう設計される。
ISO/IEC14496-3 Information Technology―Coding of audio-visual objects―Part3: Audio MPEG-D USAC: ISO/IEC23003-3 United Speech and Audio Coding
上記のように、高周波信号を生成したあと、高周波信号のスペクトル包絡の形がもとのオーディオ信号の高周波成分のスペクトル形状に従って調整される。この目的のために、複数のスケール因子帯域についての複数のスケール因子が、オーディオ・エンコーダからオーディオ・デコーダに伝送されてもよい。本稿は、オーディオ・デコーダが、計算上およびビットレート面で効率的な仕方でスケール因子帯域(それらのスケール因子帯域についてオーディオ・エンコーダからスケール因子が提供される)を決定できるようにするという技術的課題に取り組む。
ある側面によれば、オーディオ信号の高域信号についてマスター・スケール因子帯域テーブルを決定するよう構成されたシステムが記述される。本システムは、オーディオ・エンコーダおよび/またはデコーダの一部であってもよい。マスター・スケール因子帯域テーブルは、高周波再構成HFR方式のコンテキストにおいて、オーディオ信号の低域信号からオーディオ信号の高域信号を生成するために使われてもよい。マスター・スケール因子帯域テーブルは、高域信号のスペクトル包絡の周波数分解能を示してもよい。特に、マスター・スケール因子帯域テーブルは、複数のスケール因子帯域を示していてもよい。複数のスケール因子帯域は、対応する複数のスケール因子と関連付けられてもよい。ここで、スケール因子帯域のスケール因子はスケール因子帯域内のもとのオーディオ信号のエネルギーを示す、あるいはスケール因子帯域内のもとのオーディオ信号のエネルギーを近似するエネルギーをもって高域信号を生成するためにスケール因子帯域の諸サンプルに適用される利得因子を示す。よって、前記複数のスケール因子および前記複数のスケール因子帯域は、マスター・スケール因子帯域テーブル(またはそれから導出されるスケール因子帯域テーブル)の前記複数のスケール因子帯域によってカバーされる周波数範囲内のもとのオーディオ信号のスペクトル包絡の近似を提供する。
本システムは、パラメータの集合を受領するよう構成されていてもよい。パラメータの集合は、あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブル中へのインデックスを表わす一つまたは複数のパラメータ(たとえば、開始周波数パラメータおよび/または停止周波数パラメータ)を含んでいてもよい。さらに、パラメータの集合は、複数の異なるあらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルのうちの特定の一つを選択するために使用されうる選択パラメータ(たとえばマスター・スケール・パラメータ)を含んでいてもよい。
本システムは、あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルを提供するよう構成されていてもよい。特に、本システムは、複数の異なるあらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブル(たとえば、高ビットレートのスケール因子帯域テーブルおよび低ビットレートのスケール因子帯域テーブル)を提供するよう構成されていてもよい。前記一つまたは複数のあらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルは、本システムのメモリに記憶されていてもよい。あるいはまた、前記一つまたは複数のあらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルは、(オーディオ・エンコーダによって生成、伝送されたパラメータを適用する必要なく)本システム内に記憶されているあらかじめ決定された公式または規則を使って生成されてもよい。換言すれば、本システムを有するオーディオ・デコーダは、自立した(対応するオーディオ・エンコーダから独立な)仕方で前記一つまたは複数のあらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルを提供するよう構成されていてもよい。
典型的には、前記あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルのスケール因子帯域の少なくとも一つは、複数の周波数帯域を含む。オーディオ信号は、時間領域から周波数領域への変換またはフィルタバンク(たとえば直交ミラー・フィルタ(QMF: quadratic mirror filter)バンク)を使って、時間領域から周波数領域に変換されてもよい。特に、オーディオ信号は、対応する複数の周波数帯域(たとえば、帯域インデックス0から帯域インデックス63までの範囲の64個の周波数帯域)についての複数のサブバンド信号に変換されてもよい。周波数帯域は、一つ、二つ、三つ、四つまたはそれ以上の周波数帯域を含むスケール因子帯域にグループ化されてもよい。あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルのスケール因子帯域内に含まれる周波数帯域の数は、増大する周波数とともに増大しうる。特に、スケール因子帯域当たりの周波数帯域の数は、音響心理学的考察に従って選択されてもよい。例として、あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルのスケール因子帯域は、バーク・スケールに従っていてもよい。
本システムは、前記パラメータの集合を使って前記あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルのスケール因子帯域の一部または全部を選択することによって、前記マスター・スケール因子帯域テーブルを決定するよう構成されていてもよい。特に、マスター・スケール因子帯域テーブルは、前記パラメータの集合からのパラメータの少なくとも一つを使って前記あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルを打ち切ることによって決定されてもよい。換言すれば、マスター・スケール因子帯域テーブルは、(前記パラメータの集合からのパラメータの少なくとも一つに従って)前記あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルのスケール因子帯域の部分集合または全部を含んでいてもよい。よって、マスター・スケール因子帯域テーブルは、前記あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブル内に含まれるスケール因子帯域のみを含んでいてもよい。換言すれば、マスター・スケール因子帯域テーブルは、前記あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルから取られたスケール因子帯域のみを含んでいてもよい。
一つまたは複数のあらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルおよびパラメータの集合を使って前記一つまたは複数のあらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルのうちの一つから一つまたは複数のスケール因子帯域を選択することによって、(HFR方式のコンテキストにおいて使われる)マスター・スケール因子帯域テーブルは、計算効率のよい仕方で決定できる。結果として、オーディオ・デコーダのコストが軽減されうる。さらに、オーディオ・エンコーダから対応するオーディオ・デコーダに前記パラメータの集合を送信するための信号伝達オーバーヘッドも小さく保たれうる。それにより、オーディオ・エンコーダからオーディオ・デコーダにマスター・スケール因子帯域テーブルを信号伝達するためのビットレート効率のよい方式が提供される。このことは、オーディオ・エンコーダからオーディオ・デコーダに送信されるオーディオ・ビットストリーム中に周期的な仕方で(たとえば各オーディオ・フレームについて)前記パラメータの集合が含まれることを許容し、それにより放送および/またはスプライシング用途が可能になる。
上記のように、前記パラメータの集合は、マスター・スケール因子帯域テーブルのスケール因子帯域のうちの最低周波数をもつ、マスター・スケール因子帯域テーブルのスケール因子帯域を示す、開始周波数パラメータを含んでいてもよい。特に、開始周波数パラメータは、マスター・スケール因子帯域テーブルの最低のスケール因子帯域(周波数に関して最低)の下限に対応する周波数ビンを示していてもよい。開始周波数パラメータは、たとえば0から7までの間の値を取る3ビット値を含んでいてもよい。本システムは、マスター・スケール因子帯域テーブルを決定するために、前記あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルの下側の周波数端において、零個、一つまたは複数のスケール因子帯域を除去するよう構成されていてもよい。特に、本システムは、前記あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルの下側の周波数端における偶数個のスケール因子帯域を除去するよう構成されていてもよい。ここで、前記偶数は前記開始周波数パラメータの二倍である。よって、開始周波数パラメータは、マスター・スケール因子帯域テーブルを決定するために、前記あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルの下側の周波数端を切り詰めるために使用されてもよい。
代替的または追加的に、前記パラメータの集合は、マスター・スケール因子帯域テーブルのスケール因子帯域のうちの最高周波数をもつ、マスター・スケール因子帯域テーブルのスケール因子帯域を示す、停止周波数パラメータを含んでいてもよい。特に、停止周波数パラメータは、マスター・スケール因子帯域テーブルの最高のスケール因子帯域(周波数に関して最高)の上限に対応する周波数ビンを示していてもよい。停止周波数パラメータは、たとえば0から3までの間の値を取る2ビット値を含んでいてもよい。本システムは、マスター・スケール因子帯域テーブルを決定するために、前記あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルの上側の周波数端において、零個、一つまたは複数のスケール因子帯域を除去するよう構成されていてもよい。特に、本システムは、前記あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルの上側の周波数端における偶数個のスケール因子帯域を除去するよう構成されていてもよい。ここで、前記偶数は前記停止周波数パラメータの二倍である。よって、停止周波数パラメータは、マスター・スケール因子帯域テーブルを決定するために、前記あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルの上側の周波数端を切り詰めるために使用されてもよい。
上記のように、本システムは、複数のあらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルを提供するよう構成されていてもよい。前記複数のあらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルは、低ビットレートのスケール因子帯域テーブルおよび高ビットレートのスケール因子帯域テーブルを含んでいてもよい。特に、本システムは、ちょうど二つのあらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブル、すなわち、低ビットレートのスケール因子帯域テーブルおよび高ビットレートのスケール因子帯域テーブルを提供するよう構成されていてもよい。前記パラメータの集合は、前記複数のあらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルのうちの(ちょうど)一つを示すマスター・スケール・パラメータを含んでいてもよく、それがマスター・スケール因子帯域テーブルを決定するために使われることになる。特に、マスター・スケール・パラメータは、たとえば0か1かの、たとえば低ビットレートのスケール因子帯域テーブルと高ビットレートのスケール因子帯域テーブルの間の区別をするための、値を取る1ビット値を含んでいてもよい。複数の異なるあらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルの使用は、HFR方式を、エンコードされるオーディオ・ビットストリームのビットレートに適合させるために有益でありうる。
低ビットレートのスケール因子帯域テーブルは、高ビットレートのスケール因子帯域テーブルのスケール因子帯域のどれよりも低い周波数にある一つまたは複数のスケール因子帯域を含んでいてもよい。代替的または追加的に、高ビットレートのスケール因子帯域テーブルは、低ビットレートのスケール因子帯域テーブルのスケール因子帯域のどれよりも高い周波数にある一つまたは複数のスケール因子帯域を含んでいてもよい。換言すれば、低ビットレートのスケール因子帯域テーブルは、第一の低周波数ビンから第一の高周波数ビンまでの範囲の一つまたは複数のスケール因子帯域を含んでいてもよい。よって、低ビットレートのスケール因子帯域テーブルは、第一の低周波数ビンおよび第一の高周波数ビンによって境されてもよい。同様に、高ビットレートのスケール因子帯域テーブルは、第二の低周波数ビンから第二の高周波数ビンまでの範囲の一つまたは複数のスケール因子帯域を含んでいてもよい。よって、高ビットレートのスケール因子帯域テーブルは、第二の低周波数ビンおよび第二の高周波数ビンによって境されてもよい。第一の低周波数ビンは、第二の低周波数ビンより低い周波数であってもよい(あるいはより低いインデックスをもっていてもよい)。代替的または追加的に、第二の高周波数ビンは、第一の高周波数ビンより高い周波数であってもよい(あるいはより高いインデックスをもっていてもよい)。さらに、高ビットレートのスケール因子帯域テーブル内に含まれるスケール因子帯域の数は、低ビットレートのスケール因子帯域テーブルに含まれるスケール因子帯域の数より高くてもよい。よって、あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルは、相対的に低いビットレートの場合には、低域信号によってカバーされる周波数範囲は、相対的に高いビットレートの場合におけるよりも低いという観察に従って設計されうる。さらに、あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルは、相対的に高いビットレートの場合には、ビットレートと知覚的品質との間の改善されたトレードオフが、高域信号の周波数範囲を広げることによって達成できるという観察に従って設計されうる。
オーディオ信号の低域信号および高域信号は、帯域インデックス0から帯域インデックス63の範囲の全部で64個の周波数帯域(たとえば、QMF周波数帯域または複素QMF、すなわちCQMF周波数帯域)をカバーしてもよい。換言すれば、周波数帯域は、0から63までの範囲の帯域インデックスをもつ64チャネル・フィルタバンクによって生成される周波数帯域に対応してもよい。低ビットレートのスケール因子帯域テーブルは、次のうちの一部または全部を含んでいてもよい:各スケール因子帯域が単一の周波数帯域を含む、周波数帯域10から周波数帯域20までのスケール因子帯域;各スケール因子帯域が二つの周波数帯域を含む、周波数帯域20から周波数帯域32までのスケール因子帯域;各スケール因子帯域が三つの周波数帯域を含む、周波数帯域32から周波数帯域38までのスケール因子帯域;および/または各スケール因子帯域が四つの周波数帯域を含む、周波数帯域38から周波数帯域46までのスケール因子帯域。高ビットレートのスケール因子帯域テーブルは、次のうちの一部または全部を含んでいてもよい:各スケール因子帯域が単一の周波数帯域を含む、周波数帯域18から周波数帯域24までのスケール因子帯域;各スケール因子帯域が二つの周波数帯域を含む、周波数帯域24から周波数帯域44までのスケール因子帯域;および/または各スケール因子帯域が三つの周波数帯域を含む、周波数帯域44から周波数帯域62までのスケール因子帯域。
前記あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブル内に含まれるスケール因子帯域の数および/または前記マスター・スケール因子帯域テーブル内に含まれるスケール因子帯域の数は偶数であってもよい。これは、偶数のスケール因子帯域を含むあらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルを使うことによりかつ前記あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルを偶数のスケール因子帯域だけ切り詰めることにより、達成されてもよい。偶数のスケール因子帯域の使用は、HFRプロセスのコンテキストにおいて有益でありうる。偶数のスケール因子帯域の使用は、低分解能周波数帯域テーブルが高分解能周波数帯域テーブルの厳密な間引きになることを保証する。
本システムは、マスター・スケール因子帯域テーブルに基づいて、高分解能周波数帯域テーブルおよび低分解能周波数帯域テーブルを決定するよう構成されていてもよい。高分解能周波数帯域テーブルは、比較的低い時間的分解能(すなわち、フレームが比較的多数のサンプルを含む)との関連で使用されてもよく、低分解能周波数帯域テーブルは、比較的高い時間的分解能(すなわち、フレームが比較的少数のサンプルを含む)との関連で使用されてもよい。このコンテキストにおいて、前記パラメータの集合は、高周波再構成から除外されるべき、マスター・スケール因子帯域テーブルの下側の周波数端における零個、一つまたは複数のスケール因子帯域を示すクロスオーバー帯域パラメータを含んでいてもよい。クロスオーバー帯域パラメータは、たとえばマスター・スケール因子帯域テーブルの下側の周波数端における除外されるべき0個から3もしくは7個までのスケール因子帯域を示すために、0から3もしくは7までの間の値を取る2ビットもしくは3ビットの値を含んでいてもよい。本システムは、クロスオーバー帯域パラメータに従ってマスター・スケール因子帯域テーブルの下側の周波数端における零個、一つまたは複数のスケール因子帯域を除外することによって、マスター・スケール因子帯域テーブルから、高分解能周波数帯域テーブルおよび低分解能周波数帯域テーブルを決定するよう構成されていてもよい。特に、高分解能周波数帯域テーブルは、クロスオーバー帯域パラメータに従って除外されたマスター・スケール因子帯域テーブルの下側の周波数端における零個、一つまたは複数のスケール因子帯域がないマスター・スケール因子帯域テーブルに対応してもよい。さらに、本システムは、高分解能周波数帯域テーブルを(たとえば因子2により)間引くことによって、低分解能周波数帯域テーブルを決定するよう構成されていてもよい。よって、偶数個のスケール因子帯域をもつあらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルおよび結果として得られるマスター・スケール因子帯域テーブルの使用は、計算効率のよい仕方で低分解能周波数帯域テーブルを生成するために有益でありうる。
本システムがさらに、マスター・スケール因子帯域テーブルからノイズ帯域テーブルおよび/またはリミッター帯域テーブルを決定するよう構成されていてもよいことを注意しておくべきである。これらもHFR方式のコンテキストにおいて使用されうる。さらに、HRF方式において使われる転換のためのパッチング方式が、マスター・スケール因子帯域テーブルに基づいて、および/または高および低分解能周波数帯域テーブルに基づいて決定されてもよい。
低域信号および高域信号は、オーディオ信号のあらかじめ決定された数のサンプルを含むフレームのシーケンスにセグメント分解されてもよい。本システムは、フレームのシーケンスからのフレームの集合について、更新されたパラメータの集合を受領するよう構成されていてもよい。フレームの集合は、あらかじめ決定された数のフレーム(たとえば、一つ、二つまたは三つ以上のフレーム)を含んでいてもよい。フレームの集合一つ一つについて、(周期的に)更新されたパラメータの集合が受領されてもよい。本システムは、マスター・スケール因子帯域テーブルに影響する更新されたパラメータの集合の前記一つまたは複数のパラメータ(たとえば、開始周波数パラメータ、停止周波数パラメータおよび/またはマスター・スケール・パラメータ)が不変のままであれば、マスター・スケール因子帯域テーブルを不変に維持するよう構成されていてもよい。マスター・スケール因子帯域テーブルは、前記フレームの集合のすべてのフレームについて、HFR方式を実行するために使用されてもよい。他方、本システムは、マスター・スケール因子帯域テーブルに影響する更新されたパラメータの集合の前記一つまたは複数のパラメータ(たとえば、開始周波数パラメータ、停止周波数パラメータおよび/またはマスター・スケール・パラメータ)が変化する場合には、更新されたマスター・スケール因子帯域テーブルを決定するよう構成されていてもよい。更新されたマスター・スケール因子帯域テーブルは、(修正されたパラメータの集合の受領に応じて)さらなる更新されたマスター・スケール因子帯域テーブルが決定されるまで、オーディオ信号のすべてのフレームについて、HFR方式を実行するために使用されてもよい。よって、マスター・スケール因子帯域の修正は、マスター・スケール因子帯域テーブルに影響する一つまたは複数の修正されたパラメータを送信することによって、すなわち、たとえば修正された開始周波数パラメータ、修正された停止周波数パラメータおよび/または修正されたマスター・スケール・パラメータを送信することによって、効率的な仕方でトリガーされうる。
あるさらなる側面によれば、オーディオ信号の低域信号からオーディオ信号の高域信号を生成するよう構成された高周波再構成HFRユニットが記述される。高周波再構成ユニットは、一つまたは複数の低域サブバンド信号を決定するよう構成された分解フィルタバンク(たとえばQMFバンク)を有していてもよい。さらに、HFRユニットは、(たとえば上へのコピー・プロセスを使って)前記一つまたは複数の低域サブバンド信号を高域周波数範囲に転換して、転換されたサブバンド信号を与えるよう構成された転換ユニットを有していてもよい。さらに、HFRユニットは、高域信号についてスケール因子帯域テーブルを決定するために、上記のシステムを有していてもよい。ここで、スケール因子帯域テーブルは、前記高域周波数範囲をカバーする複数のスケール因子帯域を含む。さらに、HFRユニットまたは該HFRユニットを有するオーディオ・デコーダは、前記複数のスケール因子帯域について複数のスケール因子をそれぞれ受領するよう構成されている包絡調整ユニットを有していてもよい。包絡調整ユニットは、さらに、前記複数のスケール因子帯域に従って、前記複数のスケール因子によって前記転換されたサブバンド信号を重み付けまたはスケーリングして、スケーリングされたサブバンド信号(スケーリングされたHFRサブバンド信号とも称される)を与えるよう構成されていてもよい。高域信号は、スケーリングされたサブバンド信号に基づいて決定されてもよい。この目的のため、HFRユニットまたは該HFRユニットを有するオーディオ・デコーダは、重み付けされた転換された周波数帯域から高域信号を決定するよう構成された合成フィルタバンク(たとえば、逆QMFフィルタバンク)を有していてもよい。特に、合成フィルタバンクは、前記一つまたは複数の低域サブバンド信号からおよび前記スケーリングされたHFRサブバンド信号から、(時間領域の)再構成されたオーディオ信号を決定するよう構成されていてもよい。
もう一つの側面によれば、ビットストリームから、再構成されたオーディオ信号を決定するよう構成されたオーディオ・デコーダが記述される。本オーディオ・デコーダは、ビットストリームの諸部分をデコードすることによって、前記再構成されたオーディオ信号の低域信号を決定するよう構成されたコア・デコーダ(たとえばAACデコーダ)を有していてもよい。さらに、本オーディオ・デコーダは、前記再構成されたオーディオ信号の高域信号を決定するよう構成された高周波再構成ユニットを有する。特に、上述した合成フィルタバンクが、前記低域信号から導出された低域サブバンド信号からおよび(高域信号を表わす)スケーリングされたサブバンド信号から、前記再構成されたオーディオ信号を決定するために使われてもよい。
もう一つの側面によれば、パラメータの集合を決定し、送信するよう構成されたオーディオ・エンコーダが記載される。前記パラメータの集合は、オーディオ信号の低域信号を示すビットストリームと一緒に伝送されてもよい。前記パラメータの集合は、対応するオーディオ・デコーダが、前記パラメータの集合を使って、あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルからの諸スケール因子帯域の一部または全部を選択することによって、マスター・スケール因子帯域テーブルを決定することができるようにしてもよい。マスター・スケール因子帯域テーブルは、高周波再構成方式のコンテキストにおいて、オーディオ信号の低域信号からオーディオ信号の高域信号を生成するために使われてもよい。
さらなる側面によれば、オーディオ信号の低域信号およびパラメータの集合を示すビットストリームが記載される。前記パラメータの集合は、オーディオ・デコーダが、前記パラメータの集合を使って、あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルからの諸スケール因子帯域の一部または全部を選択することによって、マスター・スケール因子帯域テーブルを決定することができるようにしてもよい。マスター・スケール因子帯域テーブルは、高周波再構成方式のコンテキストにおいて、オーディオ信号の低域信号からオーディオ信号の高域信号を生成するために使われてもよい。
もう一つの側面によれば、オーディオ信号の高域信号についてマスター・スケール因子帯域テーブルを決定する方法が記載される。高域信号は、高周波再構成方式を使ってオーディオ信号の低域信号から生成される。マスター・スケール因子帯域テーブルは、高域信号のスペクトル包絡の周波数分解能を示してもよい。本方法は、パラメータの集合を受領し、あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルを提供することを含んでいてもよい。前記あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルのスケール因子帯域の少なくとも一つが、複数の周波数帯域を有していてもよい。本方法はさらに、前記パラメータの集合を使って、前記あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルの諸スケール因子帯域の一部または全部を選択すること(だけ)によって、マスター・スケール因子帯域テーブルを決定することを含んでいてもよい。よって、マスター・スケール因子帯域テーブルは、さらなる計算の必要なしに、単に選択動作に基づいて、決定されうる。よって、マスター・スケール因子帯域テーブルは、計算効率のよい仕方で決定されうる。
あるさらなる側面によれば、ソフトウェア・プログラムが記載される。本ソフトウェア・プログラムは、プロセッサ上での実行のために、および該プロセッサ上で実行されたときに本稿で概説される方法ステップを実行するために適応されていてもよい。
もう一つの側面によれば、記憶媒体が記載される。本記憶媒体は、プロセッサ上での実行のために、および該プロセッサ上で実行されたときに本稿で概説される方法ステップを実行するために適応されたソフトウェア・プログラムを有していてもよい。
あるさらなる側面によれば、コンピュータ・プログラム・プロダクトが記載される。本コンピュータ・プログラムは、コンピュータ上で実行されたときに本稿で概説される方法ステップを実行するための実行可能命令を有していてもよい。
本特許出願において概説される好ましい実施形態を含む方法およびシステムは、単独で、あるいは本稿で記述される他の方法およびシステムと組み合わせて使用されてもよいことを注意しておくべきである。さらに、本特許出願において概説される方法およびシステムのすべての側面は、任意に組み合わせてもよい。特に、請求項の特徴は任意の仕方で互いに組み合わされてもよい。
本発明は、付属の図面を参照して例示的な仕方で下記で説明される。
例示的な低域および高域信号を示す図である。 例示的なスケール因子帯域テーブルを示す図である。 例示的なマスター・スケール因子帯域テーブルの比較を示す図の一枚である。 例示的なマスター・スケール因子帯域テーブルの比較を示す図の一枚である。 あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルを使って高域信号を生成する例示的な方法を示す図である。
HFR(高周波再構成)技法を使うオーディオ・デコーダは典型的には、低周波数オーディオ信号(低域信号とも称される)から高周波数オーディオ信号(高域信号とも称される)を生成するためのHFRユニットと、その高周波数オーディオ信号のスペクトル包絡を調整するためのその後のスペクトル包絡調整ユニットとを有する。
図1は、包絡調整器にはいる前の、HFRユニットの出力の様式的に描かれたスペクトル100、110が表示されている。上のパネルでは、低域信号101から高域信号105を生成するために上へのコピー方法(二つのパッチをもつ)、たとえば、参照によって組み込まれる非特許文献1に概説されているMPEG-4 SBR(スペクトル帯域複製)において使われる上へのコピー方法が使用されている。上へのコピー方法は、より低い周波数101の諸部分をより高い周波数105に移す。下のパネルでは、低域信号111から高域信号115を生成するために高調波転換方法(二つの重ならない転換次数をもつ)、たとえば参照によって組み込まれる非特許文献2に記述されているMPEG-D USACの高調波転換方法が使用されている。その後の包絡調整段では、目標スペクトル包絡が高周波数成分105、115に適用される。
スペクトル100、110に加えて、図1は、目標スペクトル包絡を表すスペクトル包絡データの例示的な周波数帯域130を示している。これらの周波数帯域130はスケール因子帯域または目標区間と称される。典型的には、目標エネルギー値、すなわちスケール因子エネルギー(またはスケール因子)が各目標区間、すなわち各スケール因子帯域について指定される。換言すれば、目標区間当たり典型的には単一の目標エネルギー値しかないので、スケール因子帯域は目標スペクトル包絡の有効周波数分解能を定義する。スケール因子帯域について指定されたスケール因子または目標エネルギーを使って、その後の包絡調整器は、スケール因子帯域内の高域信号のエネルギーが、該それぞれのスケール因子帯域についての受領されたスペクトル包絡データのエネルギー、すなわち目標エネルギーに等しくなるよう、高域信号を調整しようと努める。
本稿は、オーディオ・デコーダにおいて(HFRまたはSBRプロセス内で使われるスケール因子帯域130を示す)周波数帯域テーブルを決定するための効率的な方式に向けられている。さらに本稿は、周波数帯域テーブル(スケール因子帯域テーブルとも称される)をオーディオ・エンコーダから対応するオーディオ・デコーダに通信するための信号伝達オーバーヘッドを低減することに向けられる。さらに、本稿は、オーディオ・エンコーダのチューニングを簡略化することに向けられる。
オーディオ・デコーダにおいて周波数帯域テーブル(特に、マスター・スケール因子帯域テーブル)を決定することに向けた、ある可能性のある手法は、オーディオ・デコーダに伝送されたパラメータを利用するあらかじめ定義されたアルゴリズムに基づく。ランタイムの間に、該あらかじめ決定されたアルゴリズムが実行されて、伝送されたパラメータに基づく周波数帯域テーブルを計算する。前記あらかじめ決定されたアルゴリズムは、いわゆる「マスター・テーブル」(マスター・スケール因子帯域テーブルとも称される)を提供する。その後、計算された「マスター・テーブル」は高周波再構成アルゴリズムに対応するパラメトリック・データを正しくデコードし、適用するために必要とされるテーブルの集合(たとえば、前記高分解能周波数帯域テーブル、前記低分解能周波数帯域テーブル、前記ノイズ帯域テーブルおよび/またはリミッター帯域テーブル)を導出するために使われてもよい。
周波数帯域テーブルを決定するための上述した方式は、「マスター・テーブル」を計算するためにオーディオ・デコーダによって使用されるパラメータの伝送を必要とするので、不都合である。さらに、「マスター・テーブル」を計算するために前記あらかじめ決定されたアルゴリズムの実行は、オーディオ・デコーダにおける計算資源を必要とし、したがってオーディオ・デコーダのコストを高める。
本稿では、一つまたは複数のあらかじめ決定された静的なスケール因子帯域テーブルを利用することが提案される。特に、二つの静的なスケール因子帯域テーブルを定義することが提案される。第一のテーブルは低ビットレート用、第二のテーブルは高ビットレート用である。次いで、高域信号105を再構成するためにオーディオ・デコーダによって必要とされることがありうるマスター・テーブルを含む他のテーブルは、これらの静的にあらかじめ定義されたテーブルから導出されうる。他のテーブル(特にマスター・スケール因子帯域テーブル)の導出は、データ・ストリーム(ビットストリームとも称される)内でオーディオ・エンコーダからオーディオ・デコーダに伝送されたパラメータを用いて前記あらかじめ定義されたスケール因子帯域テーブルをインデックスすることによって、効率的な仕方でなされてもよい。
第一および第二の静的なスケール因子帯域テーブルは、Matlab記法で
・第一のテーブル:sfbTableLow=[(10:20)';(22:2:32)';(35:3:38)';(42:4:46)']および
・第二のテーブル:sfbTableHigh=[(18:24)';(26:2:44)';(47:3:62)']
として定義されてもよい。これはそれぞれ図2(実線)に示されるようにスケール因子帯域分割210および200を提供する。上述したMatlab記法において、数字は個々の周波数帯域220(たとえば、直交ミラー・フィルタバンクQMF帯域または複素数値のQMF、CQMF帯域)を示す。第一のテーブル(すなわち、低ビットレートのスケール因子帯域テーブル)は周波数帯域10(参照符号201)で始まり、周波数帯域46(参照符号202)までいく。第二のテーブル(すなわち、高ビットレートのスケール因子帯域テーブル)は周波数帯域18(参照符号211)で始まり、周波数帯域62(参照符号212)までいく。よって、第一のテーブル(たとえば所定のビットレート閾値より低い、相対的に低いビットレート用)は、
・それぞれ単一の周波数帯域220を含む、周波数帯域10から20までのスケール因子帯域130、
・それぞれ二つの周波数帯域220を含む、周波数帯域20から32までのスケール因子帯域130、
・それぞれ三つの周波数帯域220を含む、周波数帯域32から38までのスケール因子帯域および
・それぞれ四つの周波数帯域220を含む、周波数帯域38から46までのスケール因子帯域130
を含む。
同様にして、第二のテーブル(たとえば前記所定のビットレート閾値より高い、相対的に高いビットレート用)は
・それぞれ単一の周波数帯域220を含む、周波数帯域18から24までのスケール因子帯域130,
・それぞれ二つの周波数帯域220を含む、周波数帯域24から44までのスケール因子帯域130および
・それぞれ三つの周波数帯域220を含む、周波数帯域44から62までのスケール因子帯域130
を含む。
図2から見て取れるように、低ビットレートのスケール因子帯域テーブル200はCQMF帯域10で始まり帯域46までいき、20個までのスケール因子帯域130をもつ。高ビットレートのスケール因子帯域テーブル210は帯域18から帯域62までの範囲の22個までのスケール因子帯域130をサポートする。
静的なスケール因子帯域テーブル200、210から現在フレームのデコードのために使われるべきマスター・テーブルを導出するために、三つのパラメータが使用されてもよい。オーディオ・デコーダが現在フレームについてのマスター・テーブルを導出できるようにするために(すなわち、現在のマスター・テーブルを導出するために)、これらのパラメータは、オーディオ・エンコーダからオーディオ・デコーダに伝送されてもよい。これらのパラメータは、次のようなものである。
1.開始周波数(startFreq)パラメータ:開始周波数パラメータは3ビットの長さを有していてもよく、0から7までの間の値を取ってもよい。開始周波数パラメータは、それぞれのスケール因子帯域テーブル200、210の最低周波数帯域201、211(すなわち、周波数帯域10または18)から始まり、2スケール因子帯域130のステップで上に進む、前記あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブル200、210へのインデックスであってもよい。よって、パラメータ値startFreq=1は、高ビットレートのスケール因子帯域テーブル210については周波数帯域20をポイントすることになる。
2.停止周波数(stopFreq)パラメータ:停止周波数パラメータは2ビットの長さを有していてもよく、0から4までの間の値を取ってもよい。停止周波数パラメータは、最高周波数帯域(46または62)から始まり、2スケール因子帯域130のステップで下に進む、前記スケール因子帯域テーブル200、210へのインデックスであってもよい。よって、パラメータ値stopFreq=2は、高ビットレートのスケール因子帯域テーブル210においては帯域50をポイントすることになる。
3.マスター・スケール(masterScale)・パラメータ:マスター・スケール・パラメータは1ビットの長さを有していてもよく、0か1かの値を取ってもよい。マスター・スケール・パラメータは、二つのあらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブル200、210のうちのどちらが現在使われているかを示してもよい。例として、パラメータ値masterScale=0は低ビットレートのスケール因子帯域テーブル200を示してもよく、パラメータ値masterScale=1は高ビットレートのスケール因子帯域テーブル210を示してもよい。
下記の表1および表2は、低ビットレートのスケール因子帯域テーブル200および高ビットレートのスケール因子帯域テーブル210について、48000Hzのサンプリング周波数を使った、それぞれ可能な開始および停止周波数帯域を挙げている。
Figure 2016535870
Figure 2016535870
マスター・スケール・パラメータを使って、エンコーダは、前記あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブル200、210のどれがマスター・スケール因子帯域テーブルを導出するために使われるべきかを、デコーダに対して示してもよい。表1および表2に概観されるような開始周波数パラメータおよび停止周波数パラメータを使って、実際のマスター・スケール因子帯域テーブルが決定されてもよい。零として、masterScale=0、startFreq=1およびstopFreq=2について、マスター・スケール因子帯域テーブルは、周波数帯域12から周波数帯域32までの範囲の、低ビットレートのスケール因子帯域テーブル200からのスケール因子帯域を含む。
マスター・スケール因子帯域テーブルは、オーディオ信号の連続的なセグメントについてHFRを実行するために使われる高分解能周波数帯域テーブルに対応してもよい。該高分解能周波数帯域テーブルをたとえば因子2で間引くことによって、マスター・スケール因子帯域テーブルから低分解能周波数帯域テーブルが導出されてもよい。低分解能周波数帯域テーブルは、(低下した周波数分解能を代償として増大した時間分解能を許容するために)オーディオ信号の過渡セグメントのために使われてもよい。表1および表2から、高分解能周波数帯域テーブル210、210についてのスケール因子帯域130の数は偶数でありうることが見て取れる。よって、低分解能周波数帯域テーブルは、因子2による高分解能テーブルの完璧な間引きでありうる。さらに、表1および表2から見て取れるように、周波数帯域テーブルは常に偶数番のCQMF帯域220において始まり、終わる。
現在使われる周波数帯域テーブルに影響する第四のパラメータは、クロスオーバー帯域(xOverBand)パラメータであってもよい。クロスオーバー帯域パラメータは2または3ビットの長さであってもよく、0から3(7)までの間の値を取ってもよい。xOverBandパラメータは、第一のビンで始まり、1スケール因子帯域130のステップで上に進む、高分解能周波数帯域テーブルへの(あるいはマスター・スケール因子帯域テーブルへの)インデックスであってもよい。よって、xOverBandパラメータの使用は、高分解能周波数帯域テーブルおよび/またはマスター・スケール因子帯域テーブルの始まりを事実上打ち切ることになる。xOverBandパラメータは、低域信号101の周波数範囲を延長するためおよび/または高域信号105の周波数範囲を短縮するために使われてもよい。xOverBandパラメータは既存のテーブルを打ち切ることによって、特に転換器のパッチング方式を変えることなく、HFR帯域幅を変えるので、xOverBandパラメータは、可聴なアーチファクトなしにランタイムで帯域幅を変えるために、あるいはすべてのチャネルが引き続き同じパッチング方式を使う一方でマルチチャネル・セットアップにおける種々のHFR帯域幅を許容するために使われてもよい。xOverBandパラメータのいくつかの選択については、高および低分解能周波数帯域テーブルの最初のスケール因子帯域は同一である(たとえば図3bにおいて見られるように)。
図3aおよび3bは、前記あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブル200、210に基づいて導出されたマスター・スケール因子帯域テーブルと、アルゴリズム的な手法を使って導出されたマスター・スケール因子帯域テーブルとの比較を示す。図3aは、22kbps(モノ/パラメトリック・ステレオ)という比較的低いビットレートの状況を示している。図の上半分300は、静的な低ビットレートのスケール因子帯域テーブル200を使って導出されたマスター・スケール因子帯域テーブルを示しており、図の下半分310は、アルゴリズム的な手法を使って導出されたマスター・スケール因子帯域テーブルを示している。線301、311は、それぞれのマスター・スケール因子帯域テーブルのスケール因子帯域の境界を表わす。下の菱形302、312は、高分解能スケール因子帯域の境界を表わし、より高い菱形303、313は低分解能スケール因子帯域の境界を表わす。静的なあらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブル200、210を使って導出されたマスター・スケール因子帯域テーブルは、アルゴリズム的な手法を使って導出されたマスター・スケール因子帯域テーブルと実質的に同じであることが見て取れる。
図3bは、76kb/sのビットレートをもつ比較的高いビットレートのステレオの場合を示している。この場合、マスター・スケール因子帯域テーブルを決定するために、高ビットレートのスケール因子帯域テーブル210を使っている。ここでもまた、上の描画320は、静的なスケール因子帯域テーブル210を使って導出されたマスター・スケール因子帯域テーブルを示しており、下の描画330は、アルゴリズム的な手法を使って導出されたマスター・スケール因子帯域テーブルを示している。線321、331は、それぞれのマスター・スケール因子帯域テーブルのスケール因子帯域の境界を表わす。下の菱形322、332は、高分解能スケール因子帯域の境界を表わし、より高い菱形323、333は低分解能スケール因子帯域の境界を表わす。ここでもまた、静的なあらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブル200、210を使って導出されたマスター・スケール因子帯域テーブルは、アルゴリズム的な手法を使って導出されたマスター・スケール因子帯域テーブルと実質的に同じであることが見て取れる。
図3bの例では、xOverBandパラメータが0に等しくない値に設定されている。具体的には、xOverBandパラメータはアルゴリズム的な手法については2に設定されている。一方、xOverBandパラメータは、本稿で記述された手法については1に設定されている。xOverBandパラメータを使う結果として、xOverBandパラメータに等しい数の周波数帯域324、334が、高分解能テーブルおよび低分解能テーブルから除外される。
現在のマスター・スケール因子帯域テーブル(現在のマスター・テーブルとも称される)は、表3に挙げられる擬似コードを使ってオーディオ・デコーダによって導出されてもよい。
Figure 2016535870
表3の擬似コードにおいて、パラメータmasterResetは、以下のパラメータ、すなわちmasterScaleパラメータ、startFreqパラメータおよび/またはstopFreqパラメータのうちのいずれかが直前のフレームから変わっていたら、1に設定される。よって、変化したmasterScaleパラメータ、startFreqパラメータおよび/またはstopFreqパラメータの受領は、オーディオ・デコーダにおける新たなマスター・テーブルの決定をトリガーする。現在のマスター・テーブルは、(変化したマスター・スケール、開始周波数および/または停止周波数パラメータを受けて)新たな(更新された)マスター・テーブルが決定される限り、使用される。
表3の擬似コードでは、masterBandTableが、導出されるマスター・スケール因子帯域テーブルであり、nMfbは導出されるマスター・スケール因子帯域テーブルにおけるスケール因子帯域の数である。導出されたマスター・スケール因子帯域テーブルから、HFRプロセスにおいて使われる他のすべてのテーブル、たとえば高および低分解能周波数帯域テーブル、ノイズ帯域テーブルおよびリミッター帯域テーブルが、たとえば参照によって組み込まれる非特許文献1において規定されているレガシーの諸SBR方法に従って、導出されうる。
図4は、オーディオ信号の高域信号105、115についてマスター・スケール因子帯域テーブルを決定するための例示的な方法400のフローチャートを示している。換言すれば、方法400は、オーディオ信号の低域信号101、111から高域信号105、115を生成するためにHFR方式のコンテキストにおいて使われるマスター・スケール因子帯域テーブル(マスター・テーブルとも称される)を決定することに向けられる。マスター・スケール因子帯域テーブルは、高域信号105、115のスペクトル包絡の周波数分解を示す。方法400は、パラメータの集合、たとえば開始周波数パラメータ、停止周波数パラメータおよび/またはマスター・スケール・パラメータを受領する(401)段階を含む。さらに、方法400は、あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブル200、210を提供する(402)段階を含む。さらに、方法400は、前記パラメータの集合を使って、前記あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブル200、210のスケール因子帯域130の一部または全部を選択することによって、マスター・スケール因子帯域テーブルを決定する段階を含む。
本稿では、HFRのために使われるスケール因子帯域を導出するための効率的な方式が記載されている。本方式は、一つまたは複数のあらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルを用い、それからHFRのための(たとえばSBRのための)マスター・スケール因子帯域テーブルが導出される。この目的のために、オーディオ・エンコーダからオーディオ・デコーダに送信されるビットストリーム中に一組のパラメータが挿入され、それによりオーディオ・デコーダがマスター・スケール因子帯域テーブルを決定できるようにする。マスター・スケール因子帯域テーブルの決定は、テーブル・ルックアップ動作のみからなり、それにより、マスター・スケール因子帯域テーブルを決定するための計算効率のよい方式を提供する。さらに、ビットストリーム中に挿入されるパラメータの集合がビットレート効率のよい仕方でエンコードされることができる。
本稿で記載される方法およびシステムは、ソフトウェア、ファームウェアおよび/またはハードウェアとして実装されてもよい。ある種のコンポーネントは、たとえばデジタル信号プロセッサまたはマイクロプロセッサ上で走るソフトウェアとして実装されてもよい。他のコンポーネントはたとえば、ハードウェアおよびまたは特定用途向け集積回路として実装されてもよい。記載される方法およびシステムにおいて遭遇される信号は、ランダム・アクセス・メモリまたは光学式記憶媒体のような媒体上に記憶されてもよい。そうした信号は、電波ネットワーク、衛星ネットワーク、無線ネットワークもしくは有線ネットワーク、たとえばインターネットのようなネットワークを介して転送されてもよい。本稿で記載される方法およびシステムを利用する典型的な装置は、オーディオ信号を記憶および/またはレンダリングするために使用されるポータブル電子装置または他の消費者装置である。

Claims (34)

  1. オーディオ信号の高域信号のマスター・スケール因子帯域テーブルを決定するよう構成されたシステムであって、前記高域信号は前記オーディオ信号の低域信号から高周波再構成方式を使って生成されるものであり、前記マスター・スケール因子帯域テーブルは、前記高域信号のスペクトル包絡の周波数分解能を示し、当該システムは:
    ・パラメータの集合を受領する段階と;
    ・あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルを提供する段階であって、前記あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルのスケール因子帯域の少なくとも一つは、複数の周波数帯域を含む、段階と;
    ・前記パラメータの集合を使って前記あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルのスケール因子帯域の一部または全部を選択することによって、前記マスター・スケール因子帯域テーブルを決定する段階とを実行するよう構成されている、
    システム。
  2. 前記マスター・スケール因子帯域テーブルは、前記パラメータの集合を使って前記あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルを打ち切ることによって決定される、請求項1記載のシステム。
  3. 前記マスター・スケール因子帯域テーブルは、前記あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルからのスケール因子帯域のみを含む、請求項1または2記載のシステム。
  4. ・前記パラメータの集合は、前記マスター・スケール因子帯域テーブルのスケール因子帯域のうちの最低周波数をもつ、前記マスター・スケール因子帯域テーブルのスケール因子帯域を示す、開始周波数パラメータを含み、
    ・当該システムは、前記マスター・スケール因子帯域テーブルを決定するために、前記あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルの下側の周波数端において、零個、一つまたは複数のスケール因子帯域を除去するよう構成されている、
    請求項1ないし3のうちいずれか一項記載のシステム。
  5. 前記開始周波数パラメータは、0から7までの値を取る3ビット値を有する、請求項4記載のシステム。
  6. ・当該システムは、前記あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルの下側の周波数端における偶数個のスケール因子帯域を除去するよう構成されおり、
    ・前記偶数は前記開始周波数パラメータの二倍である、
    請求項4または5記載のシステム。
  7. ・前記パラメータの集合は、前記マスター・スケール因子帯域テーブルのスケール因子帯域のうちの最高周波数をもつ、前記マスター・スケール因子帯域テーブルのスケール因子帯域を示す、停止周波数パラメータを含み、
    ・当該システムは、前記マスター・スケール因子帯域テーブルを決定するために、前記あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルの上側の周波数端において、零個、一つまたは複数のスケール因子帯域を除去するよう構成されている、
    請求項1ないし6のうちいずれか一項記載のシステム。
  8. 前記停止周波数パラメータは、0から3までの値を取る2ビット値を有する、請求項7記載のシステム。
  9. ・当該システムは、前記あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルの上側の周波数端における偶数個のスケール因子帯域を除去するよう構成されており、
    ・前記偶数は前記停止周波数パラメータの二倍である、
    請求項7記載のシステム。
  10. ・当該システムは、複数のあらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルを提供するよう構成されており、
    ・前記パラメータの集合は、前記複数のあらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルのうちの一つを示すマスター・スケール・パラメータを含み、該マスター・スケール・パラメータは前記マスター・スケール因子帯域テーブルを決定するために使われる、
    請求項1ないし9のうちいずれか一項記載のシステム。
  11. ・前記複数のあらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルは、低ビットレートのスケール因子帯域テーブルおよび高ビットレートのスケール因子帯域テーブルを含み;
    ・前記低ビットレートのスケール因子帯域テーブルは、前記高ビットレートのスケール因子帯域テーブルのスケール因子帯域のどれよりも低い周波数にある一つまたは複数のスケール因子帯域を含む、および/または
    ・前記高ビットレートのスケール因子帯域テーブルは、前記低ビットレートのスケール因子帯域テーブルのスケール因子帯域のどれよりも高い周波数にある一つまたは複数のスケール因子帯域を含む、
    請求項10記載のシステム。
  12. 前記マスター・スケール・パラメータは、前記低ビットレートのスケール因子帯域テーブルと前記高ビットレートのスケール因子帯域テーブルとの間の区別をするために0か1かの値を取る1ビット値を有する、請求項11記載のシステム。
  13. ・前記低ビットレートのスケール因子帯域テーブルは、第一の低周波数帯域(201)から第一の高周波数帯域(202)までの範囲の一つまたは複数のスケール因子帯域を含み;
    ・前記高ビットレートのスケール因子帯域テーブルは、第二の低周波数帯域(211)から第二の高周波数帯域(212)までの範囲の一つまたは複数のスケール因子帯域を含み;
    ・前記第一の低周波数帯域は、前記第二の低周波数帯域より低い周波数にある;および/または
    ・前記第二の高周波数帯域は、前記第一の高周波数帯域より高い周波数にある、
    請求項11または12記載のシステム。
  14. 前記高ビットレートのスケール因子帯域テーブル内に含まれるスケール因子帯域の数は、前記低ビットレートのスケール因子帯域テーブルに含まれるスケール因子帯域の数より多い、請求項11ないし13のうちいずれか一項記載のシステム。
  15. 前記周波数帯域(220)は、帯域インデックス0から帯域インデックス63までの範囲の、64チャネル・フィルタバンクによって生成される周波数帯域に対応する、請求項11ないし14のうちいずれか一項記載のシステム。
  16. 前記低ビットレートのスケール因子帯域テーブルは、
    ・それぞれが単一の周波数帯域を含む、周波数帯域10から周波数帯域20までのスケール因子帯域;
    ・それぞれが二つの周波数帯域を含む、周波数帯域20から周波数帯域32までのスケール因子帯域;
    ・それぞれが三つの周波数帯域を含む、周波数帯域32から周波数帯域38までのスケール因子帯域;および/または
    ・それぞれが四つの周波数帯域を含む、周波数帯域38から周波数帯域46までのスケール因子帯域
    のうちの一部または全部を含む、請求項15記載のシステム。
  17. 前記高ビットレートのスケール因子帯域テーブルは、
    ・それぞれが単一の周波数帯域を含む、周波数帯域18から周波数帯域24までのスケール因子帯域;
    ・それぞれが二つの周波数帯域を含む、周波数帯域24から周波数帯域44までのスケール因子帯域;および/または
    ・それぞれが三つの周波数帯域を含む、周波数帯域44から周波数帯域62までのスケール因子帯域
    のうちの一部または全部を含む、請求項15または16記載のシステム。
  18. 前記あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルのスケール因子帯域内に含まれる周波数帯域の数は周波数が増すとともに増大する、請求項1ないし17のうちいずれか一項記載のシステム。
  19. 前記あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブル内に含まれるスケール因子帯域の数および/または前記マスター・スケール因子帯域テーブル内に含まれるスケール因子帯域の数は偶数である、請求項1ないし18のうちいずれか一項記載のシステム。
  20. 前記マスター・スケール因子帯域テーブルに基づいて、高分解能周波数帯域テーブルおよび低分解能周波数帯域テーブルを決定するようさらに構成されている、請求項1ないし19のうちいずれか一項記載のシステム。
  21. ・前記パラメータの集合は、高周波再構成から除外されるべき、前記マスター・スケール因子帯域テーブルの下側の周波数端における零個、一つまたは複数のスケール因子帯域を示すクロスオーバー帯域パラメータを含み;
    ・当該システムは、前記クロスオーバー帯域パラメータに従って前記マスター・スケール因子帯域テーブルの下側の周波数端における零個、一つまたは複数のスケール因子帯域を除外することによって、前記マスター・スケール因子帯域テーブルから、前記高分解能周波数帯域テーブルおよび前記低分解能周波数帯域テーブルを決定するよう構成されている、
    請求項20記載のシステム。
  22. 前記クロスオーバー帯域パラメータは、除外されるべき、前記マスター・スケール因子帯域テーブルの下側の周波数端における0個から3もしくは7個までのスケール因子帯域を示すために、0から3もしくは7までの間の値を取る2ビットもしくは3ビットの値を有する、請求項21記載のシステム。
  23. 前記高分解能周波数帯域テーブルは、前記クロスオーバー帯域パラメータに従って除外された前記マスター・スケール因子帯域テーブルの下側の周波数端における零個、一つまたは複数のスケール因子帯域がない前記マスター・スケール因子帯域テーブルに対応する、請求項21または22記載のシステム。
  24. 前記高分解能周波数帯域テーブルを間引くことによって前記低分解能周波数帯域テーブルを決定するよう構成されている、請求項20ないし23のうちいずれか一項記載のシステム。
  25. 前記周波数帯域(220)が、直交ミラー・フィルタバンクによって生成された周波数帯域に対応する、請求項1ないし24のうちいずれか一項記載のシステム。
  26. ・前記低域信号および前記高域信号は、前記オーディオ信号のあらかじめ決定された数のサンプルを含むフレームのシーケンスにセグメント分解され;
    ・当該システムは、前記フレームのシーケンスからのフレームの集合について、更新されたパラメータの集合を受領するよう構成されており;
    ・当該システムは、前記マスター・スケール因子帯域テーブルに影響する前記更新されたパラメータの集合の前記一つまたは複数のパラメータが不変のままであれば、前記マスター・スケール因子帯域テーブルを不変に維持するよう構成されており;
    ・当該システムは、前記マスター・スケール因子帯域テーブルに影響する前記更新されたパラメータの集合の前記一つまたは複数のパラメータが変化する場合には、更新されたマスター・スケール因子帯域テーブルを決定するよう構成されている、
    請求項1ないし25のうちいずれか一項記載のシステム。
  27. 当該システムが、前記フレームのシーケンスの各フレームについて、更新されたパラメータの集合を受領するよう構成されている、請求項26記載のシステム。
  28. 前記マスター・スケール因子帯域テーブルからおよび/または前記高分解能周波数帯域テーブルおよび前記低分解能周波数帯域テーブルから、ノイズ帯域テーブルおよび/またはリミッター帯域テーブルおよび/または転換のためのパッチング方式を決定するようさらに構成されている、請求項1ないし27のうちいずれか一項記載のシステム。
  29. オーディオ信号の低域信号から前記オーディオ信号の高域信号を生成するよう構成された高周波再構成ユニットであって、
    ・当該高周波再構成ユニットは、前記高域信号についてのスケール因子帯域テーブルを決定するよう請求項1ないし28のうちいずれか一項記載のシステムを有しており、前記スケール因子帯域テーブルは、高域周波数範囲をカバーする複数のスケール因子帯域を含み;
    ・当該高周波再構成ユニットは、前記低域信号から導出された一つまたは複数の低域サブバンド信号を前記高域周波数範囲に転換して、転換されたサブバンド信号を与えるよう構成されており;
    ・当該高周波再構成ユニットは、前記複数のスケール因子帯域について複数のスケール因子をそれぞれ受領するよう構成されており;
    ・当該高周波再構成ユニットは、前記複数のスケール因子帯域に従って、前記複数のスケール因子を使って、前記転換されたサブバンド信号をスケーリングして、スケーリングされたサブバンド信号を与えるよう構成されており、前記スケーリングされたサブバンド信号は前記高域信号を示す、
    高周波再構成ユニット。
  30. ・前記低域信号から前記一つまたは複数の低域サブバンド信号を決定するよう構成された分解フィルタバンクと;
    ・前記スケーリングされたサブバンド信号から、前記高域信号を決定するよう構成された合成フィルタバンクをさらに有する、
    請求項29記載の高周波再構成ユニット。
  31. ビットストリームから、再構成されたオーディオ信号を決定するよう構成されたオーディオ・デコーダであって、当該オーディオ・デコーダは、
    ・前記ビットストリームの一部分をデコードすることによって、前記再構成されたオーディオ信号の低域信号を決定するよう構成されたコア・デコーダと;
    ・前記ビットストリームの別の部分内に含まれるパラメータの集合を使って前記再構成されたオーディオ信号の高域信号を決定するよう構成された、請求項29または30記載の高周波再構成ユニットとを有する、
    オーディオ・デコーダ。
  32. パラメータの集合を決定し、送信するよう構成されたオーディオ・エンコーダであって、前記パラメータの集合は、対応するオーディオ・デコーダが、前記パラメータの集合を使って、あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルのスケール因子帯域の一部または全部を選択することによって、マスター・スケール因子帯域テーブルを決定できるようにし、前記マスター・スケール因子帯域テーブルは、高周波再構成方式において、オーディオ信号の低域信号から該オーディオ信号の高域信号を生成するために使われる、オーディオ・エンコーダ。
  33. オーディオ信号の低域信号とパラメータの集合とを示すビットストリームであって、前記パラメータの集合は、オーディオ・デコーダが、前記パラメータの集合を使って、あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルのスケール因子帯域の一部または全部を選択することによって、マスター・スケール因子帯域テーブルを決定できるようにし、前記マスター・スケール因子帯域テーブルは、高周波再構成方式において、オーディオ信号の低域信号から該オーディオ信号の高域信号を生成するために使われる、ビットストリーム。
  34. オーディオ信号の高域信号についてマスター・スケール因子帯域テーブルを決定する方法であって、前記高域信号は、高周波再構成方式を使って前記オーディオ信号の低域信号から生成され、前記マスター・スケール因子帯域テーブルは、前記高域信号のスペクトル包絡の周波数分解能を示し、当該方法は、
    ・パラメータの集合を受領する段階と;
    ・あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルを提供する段階であって、前記あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルのスケール因子帯域の少なくとも一つが、複数の周波数帯域を有する、段階と;
    ・前記パラメータの集合を使って、前記あらかじめ決定されたスケール因子帯域テーブルの諸スケール因子帯域の一部または全部を選択することによって、前記マスター・スケール因子帯域テーブルを決定する段階とを含む、
    方法。
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