JP2016534978A - 筋肉量、強度、および性能を維持かつ増加させるための組成物および配合物、ならびにその生成方法および使用方法 - Google Patents

筋肉量、強度、および性能を維持かつ増加させるための組成物および配合物、ならびにその生成方法および使用方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016534978A
JP2016534978A JP2016515454A JP2016515454A JP2016534978A JP 2016534978 A JP2016534978 A JP 2016534978A JP 2016515454 A JP2016515454 A JP 2016515454A JP 2016515454 A JP2016515454 A JP 2016515454A JP 2016534978 A JP2016534978 A JP 2016534978A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polypeptide
nutritional
amino acid
formulation
protein
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016515454A
Other languages
English (en)
Inventor
シルバー,ナサニエル,ダブリュー.
チェン,イン−ジャ
ベリー,デイビッド,エー.
ハミル,マイケル,ジェー.
バス,サブハユ
ハム,ルーク
ウィリアムズ,アリソン
アーブ,デイビッド
マルツァーン,ジェフリー フォン
マルツァーン,ジェフリー フォン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Axcella Health Inc
Original Assignee
Axcella Health Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Axcella Health Inc filed Critical Axcella Health Inc
Priority claimed from PCT/US2014/057537 external-priority patent/WO2015048342A2/en
Publication of JP2016534978A publication Critical patent/JP2016534978A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

本明細書において栄養性ポリペプチドを提供する。また、上記ポリペプチドをコードする核酸、上記ポリペプチドを作製する組み換え微生物、上記ポリペプチドを発現するためのベクター、組み換え微生物を使用して上記ポリペプチドを作製する方法、上記ポリペプチドを含む組成物および配合物、ならびに、上記ポリペプチド、組成物、および配合物を使用する方法を含む他の様々な実施形態を提供する。【選択図】図56

Description

関連出願の相互参照
本願は、2013年9月25日に出願の米国特許仮出願第61/882,211号、2013年9月25日に出願の米国特許仮出願第61/882,214号、2013年9月25日に出願の米国特許仮出願第61/882,219号、2013年9月25日に出願の米国特許仮出願第61/882,220号、2013年9月25日に出願の米国特許仮出願第61/882,225号、2013年9月25日に出願の米国特許仮出願第61/882,229号、2013年9月25日に出願の米国特許仮出願第61/882,232号、2013年9月25日に出願の米国特許仮出願第61/882,234号、2013年9月25日に出願の米国特許仮出願第61/882,235号、2013年9月25日に出願の米国特許仮出願第61/882,240号、2013年9月25日に出願の米国特許仮出願第61/882,129号、2013年9月25日に出願の米国特許仮出願第61/882,243号、2013年9月25日に出願の米国特許仮出願第61/882,246号、2013年9月25日に出願の米国特許仮出願第61/882,250号、2013年9月25日に出願の米国特許仮出願第61/882,254号、2013年9月25日に出願の米国特許仮出願第61/882,260号、2013年9月25日に出願の米国特許仮出願第61/882,264号、2013年9月25日に出願の米国特許仮出願第61/882,267号、2013年9月25日に出願の米国特許仮出願第61/882,271号、2013年9月25日に出願の米国特許仮出願第61/882,274号、2013年9月25日に出願の米国特許仮出願第61/882,180号、2013年9月25日に出願の米国特許仮出願第61/882,189号、2013年9月25日に出願の米国特許仮出願第61/882,198号、2013年9月25日に出願の米国特許仮出願第61/882,212号、2013年9月25日に出願の米国特許仮出願第61/882,222号、2013年9月25日に出願の米国特許仮出願第61/882,300号、2013年9月25日に出願の米国特許仮出願第61/882,295号、および2013年9月25日に出願の米国特許仮出願第61/882,305号の優先権を主張するものであり;これら開示の全体は参照により本明細書中に援用される。
食事性タンパク質は、ヒトの健康および成長に必須の栄養素である。世界保健機関は、エネルギー収支および体重の安定のためには、エネルギー摂取の約10〜15%を食事性タンパク質からとることを勧告している。様々な国の平均的な1日タンパク質摂取は、これらの勧告が、世界中で消費されているタンパク質の量と一致することを示している。タンパク質由来の平均20〜30%のエネルギーを含む食事は、エネルギー収支で消費する場合高タンパク質食を表す。身体は、健康および成長のために必要な特定のアミノ酸を合成することができず、その代わりにこれらを食物から入手しなければならない。これらのアミノ酸は、「必須アミノ酸」と呼ばれ、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、リジン(K)、メチオニン(M)、フェニルアラニン(F)、スレオニン(T)、トリプトファン(W)、およびバリン(V)である。すべての必須アミノ酸を提供する食事性タンパク質の供給源を、「高品質」タンパク質と呼ぶ。肉、魚、家禽、卵、および乳製品などの動物性食品は、概して、良好な収支の必須アミノ酸を提供する高品質のタンパク質供給源とされる。カゼイン(哺乳動物の乳汁で一般的に見出されており、牛乳のタンパク質の最大80%を構成するタンパク質)および乳清(乳汁を凝乳し、濾した後に残る液体の中のタンパク質)は、高品質の食事性タンパク質の主要な供給源である。良好な収支の必須アミノ酸を提供しない食品を、「低品質」タンパク質供給源と呼ぶ。大部分の果実および野菜は、不十分なタンパク質の供給源である。豆類、エンドウマメ、ヒラマメ、ナッツ類、および穀類(小麦など)を含む一部の植物性食品は、良好なタンパク質の供給源であるが、アレルゲン性の問題を有する場合がある。ダイズは、ダイズマメから製造される植物性タンパク質であり、高品質タンパク質であると考える人もいる。体重減少に関する高タンパク質食の試験は、タンパク質がエネルギー消費量および除脂肪体重に明確に影響を与えることを示している。さらなる試験では、過食を行っても、タンパク質由来の少なくとも5%のエネルギーを含む食事において体重増加が著しく少なく、かつ高タンパク質食がエネルギー摂取を減少させることが示されている。食品に共通して見出されるタンパク質は、ヒトなどの哺乳動物のアミノ酸の必要条件を効率的に満たすアミノ酸組成物を必ずしも提供するものではない。この結果から、それぞれの必須アミノ酸の最小必要条件を得るためには、食事性タンパク質の質が高い場合に必要とされる量よりも、より大量の総タンパク質を、食事で消費しなければならない。食事中のタンパク質の質を増大させることにより、低品質のタンパク質を含む食事と比較して消費しなければならないタンパク質の総量を低下させることが可能である。従来より、必須アミノ酸を含む混合物などの、望ましいアミノ酸の混合物が、乳清タンパク質などの、相対的に高いレベルの必須アミノ酸を含むタンパク質を加水分解することにより、および/または乳清などの加水分解したタンパク質を任意で含む混合物中に遊離アミノ酸を組み合わせることにより、提供されている。この種類の混合物は、味が苦く、食感が望ましくなく、可溶性が不十分であり、特定の用途にとっては不適切または望ましくないとされる場合がある。結果として、このような混合物は、場合によっては、遊離アミノ酸および/または加水分解したタンパク質の味を紛らわすために香味料を含む。場合によって、アミノ酸含有量の一部がポリペプチドまたはタンパク質により提供される組成物は、遊離アミノ酸および/または特定の加水分解タンパク質として提供される総アミノ酸の比率が高い組成物よりも苦い味を有することがわかっている。栄養配合物は従来より、乳汁から単離した乳清またはダイズから単離したダイズタンパク質などの、天然の食品から単離したタンパク質から作製されているため、このような組成物の有用性は限定されている。これらタンパク質のアミノ酸プロファイルは、哺乳動物のアミノ酸の必要条件と必ずしも一致するものではない。さらに商品としてのタンパク質は、概して、タンパク質組成が変動し得るタンパク質および/またはタンパク質の加水分解物の混合物からなり、よって、栄養上の価値に関して予測することが困難となる。さらに、このような高品質のタンパク質の供給には数に限りがあることは、タンパク質の形態で摂取するために利用できるのはアミノ酸の特定の組み合わせのみであることを意味する。カゼインおよび乳清、卵、および肉などの高品質の動物性タンパク質、ならびにダイズなどの植物性タンパク質を供給するために必要な農業上の方法もまた、莫大なエネルギーの投入を必要とし、かつ潜在的に有害な環境上の影響を有する。
よって、哺乳動物の消費用のタンパク質を供給する代替的な供給源および方法を有することは、特定の状況で有益である。栄養性タンパク質の有用性を高めることのできる1つの特徴が、タンパク質の溶解度である。溶解度が高い栄養性タンパク質は、安定性の増加、凝集への抵抗性、および望ましい味プロファイルなどの望ましい特徴を呈することができる。たとえば、高い溶解度を呈する栄養性タンパク質は、相対的に少ない容量の溶液に高濃度の栄養性タンパク質を含む飲料または液体配合物に配合でき、よって、単位容量あたり高い用量のタンパク質栄養素を送達することができる。可溶性の栄養性タンパク質はユーザ(たとえばアスリート)が、身体活動の前、最中、または後に栄養性タンパク質を摂取すること望む際などでの、スポーツドリンクまたはリカバリードリンク(recovery drink)において有用であり得る。高い溶解度を呈する栄養性タンパク質はまた、対象(たとえば患者または高齢者)がタンパク質栄養素が必要とするが、固形の食品または大量の液体を消費することができない臨床状況で特に有用であり得る。
一態様では、本発明は、ヒト対象の筋肉量および/または筋肉の機能の喪失を予防または低減する方法であって、i)筋肉の消耗に関連する疾患、障害、または病態を罹患している、または罹患するリスクのあるヒト対象を同定するステップと、ii)筋肉量および/または筋肉の機能の喪失を予防または低減するために十分な量の栄養配合物を上記ヒト対象に投与するステップとを含み、上記栄養配合物が、本明細書中で提供されるポリペプチドに対して、少なくとも約50個のアミノ酸にわたり少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む単離型栄養性ポリペプチドを含み、上記配合物が、上記栄養性ポリペプチドを少なくとも1.0g含み、上記配合物が、体積が約500ml以下の液体、半液体、もしくはゲル、または、総質量が約200g以下の固体もしくは半固体として存在し、上記配合物が、食用でない生成物を実質的に含まない、方法を提供する。一実施形態では、ヒト対象は、筋肉消耗性の疾患、障害、または病態を罹患しており、1つまたは複数の用量の医薬組成物を投与されており、医薬組成物の投与が、筋肉量および/または筋肉の機能の喪失のリスクを増大させている。一実施形態では、ヒト対象は、筋消耗性の疾患、障害、または病態を罹患しており、1つまたは複数の用量の医薬組成物を投与されており、i)上記疾患、障害、もしくは病態、またはii)医薬組成物の投与、またはi)およびii)の両方が、筋肉量および/または筋肉の機能の喪失のリスクを増大させている。
別の態様では、本発明は、それを必要とするヒト対象の筋消耗性の疾患、障害、または病態を処置する方法であって、当該疾患、障害、または病態を処置するために十分な量の栄養配合物を上記ヒト対象に投与するステップを含む方法であって、上記栄養配合物は、本明細書中に提供されるポリペプチド配列に対して、少なくとも約50個のアミノ酸にわたり少なくとも約90%同一のアミノ酸配列を含む単離型栄養性ポリペプチドを含み、上記配合物が、栄養性ポリペプチドを少なくとも約1.0g含む、方法を提供する。一実施形態では、配合物は、農業由来の食品を消費していないヒト対象に、実質的なタンパク質の栄養を提供するために十分な用量スケジュールで投与する。
別の態様では、本発明はタンパク質の栄養不良により特徴付けられ、または悪化した、筋肉消耗性の疾患、障害、または病態を発症するヒト対象のリスクを低減する方法であって、(i)上記疾患、障害、または病態を発症するリスクのあるヒト対象を同定するステップと、(ii)本明細書中に提供されるポリペプチド配列に対して、少なくとも約50個のアミノ酸にわたり少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む単離型栄養性ポリペプチドを含む栄養配合物を、1つまたは複数の用量で投与するステップとを含む方法であって、上記配合物が、栄養性ポリペプチドを少なくとも1.0g含む、方法を提供する。一実施形態では、ヒト対象は、栄養障害またはタンパク質の栄養障害を発症するリスクがある。一実施形態では、ヒト対象はサルコペニアおよび/またはカヘキシーを呈する。一実施形態では、ヒト対象は、炎症反応または自己免疫障害を有する。一実施形態では、ヒト対象は、癌、慢性閉塞性肺疾患、肝不全、慢性腎疾患、うっ血性心不全、多発性硬化症、慢性膵炎、またはミトコンドリア性疾患を有する。一実施形態では、ヒト対象は感染性疾患を有する。一実施形態では、ヒト対象は外科手技または外傷性の損傷を受けている。一実施形態では、栄養配合物を、運動療法と併用して投与する。一実施形態では、栄養性配合物を、医薬品の投与および/または外科手技の補助剤として投与する。一実施形態では、対象は、外科手技の後に動くことができない、または運動障害を有する。一実施形態では、栄養配合物は、医薬組成物の投与の補助として投与する。一実施形態では、ヒト対象は、骨粗しょう症を有する、または発症するリスクがある。
別の態様では、本発明は、筋消耗性疾患を罹患しているヒト対象の筋肉の同化を増加させる方法であって、本明細書中で提供されるポリペプチド配列に対して、少なくとも約50個のアミノ酸にわたり、少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む単離型栄養性ポリペプチドを含む栄養配合物を1つまたは複数の用量でヒト対象に投与することを含む、方法であって、上記配合物が栄養性ポリペプチドを少なくとも1.0g含み、上記栄養配合物を、この投与後に対象の筋肉の同化を増加させるために十分な頻度で投与する、方法を提供する。
別の態様では、本発明は、ヒト対象を処置する際に使用するための栄養性生成物を配合する方法であって、本明細書中に提供されるポリペプチドに対して、少なくとも約50個のアミノ酸にわたり少なくとも約90%同一のアミノ酸配列を含む単離型栄養性ポリペプチドを含む栄養組成物を、筋消耗性の疾患、障害、または病態を罹患する、または罹患するリスクのあるヒト対象に提供するステップと、許容可能な賦形剤と上記栄養性ポリペプチドを配合するステップとを含む、方法であって、上記単離型栄養性ポリペプチドが、pH7で少なくとも12.5g/Lの水溶解度を有し、上記単離型栄養性ポリペプチドが、30分未満の胃消化シミュレーション半減期を有する、方法を提供する。一実施形態では、本方法は、味物質、栄養上の炭水化物、および栄養上の脂質と栄養性組成物を組み合わせることを含み、上記生成物が、体積が約500ml以下の液体、半液体、もしくはゲル、または総質量が約200g以下の固体もしくは半固体として存在する。一実施形態では、生成物は、食用でない生成物を実質的に含まない。
別の態様では、本発明は、栄養性ポリペプチドのアミノ酸配列を選択する方法であって、上記栄養性ポリペプチドが、筋消耗性の疾患、障害、または病態を罹患している、または罹患するリスクのあるヒト対象を処置する際の使用に適しており、上記方法が、i)複数のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列のライブラリーを提供することと、ii)対象の少なくとも1つのアミノ酸を含む1つまたは複数のアミノ酸配列を、上記ライブラリーにおいて同定することと、iii)上記1つまたは複数の同定したアミノ酸配列を選択することにより、栄養性ポリペプチドのアミノ酸配列を選択することとを含む、方法を提供する。
別の態様では、本発明は、栄養性ポリペプチドのアミノ酸配列を選択する方法であって、上記栄養性ポリペプチドが、筋消耗性の疾患、障害、または病態を罹患している、または罹患するリスクのあるヒト対象を処置する際の使用に適しており、上記方法が、i)複数のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列のライブラリーを提供することと、ii)総アミノ酸残基に対する関心対象の少なくとも1つのアミノ酸残基の比率が、選択した比率以上である1つまたは複数のアミノ酸配列を上記ライブラリーにおいて同定することと、iii)上記1つまたは複数の同定したアミノ酸配列を選択することにより、栄養性ポリペプチドのアミノ酸配列を選択することとを含む、方法を提供する。
別の態様では、本発明は、栄養性ポリペプチドのアミノ酸配列を選択する方法であって、上記栄養性ポリペプチドが、筋消耗性の疾患、障害、または病態を罹患する、または罹患するリスクのあるヒト対象を処置する際の使用に適しており、上記方法が、i)複数のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列のライブラリーを提供することと、ii)総アミノ酸残基に対する対象の少なくとも1つのアミノ酸残基の比率が選択した比率以下である1つまたは複数のアミノ酸配列を上記ライブラリーにおいて同定することと、iii)上記1つまたは複数の同定したアミノ酸配列を選択することにより、栄養性ポリペプチドのアミノ酸配列を選択することとを含む、方法を提供する。
別の態様では、本発明は、ヒト対象の筋消耗性の疾患、障害、または病態の処置または予防のための栄養性配合物(nutritive formulation)であって、本明細書中に提供されるポリペプチド配列に対して、少なくとも約50個のアミノ酸にわたり少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む単離型栄養性ポリペプチドを含み、上記栄養性ポリペプチドが、タンパク質吸収能が低下したヒト対象に栄養上の利点を提供するために十分な量で存在する、栄養配合物を提供する。一実施形態では、ポリペプチド配列は、少なくとも34%の、総アミノ酸残基に対する必須アミノ酸残基の比率を含み、ポリペプチド配列は栄養上完全である。一実施形態では、栄養性ポリペプチドに存在する必須アミノ酸は、実質的に生物学的に利用可能である。一実施形態では、単離栄養性ポリペプチドは、pH7で少なくとも12.5g/Lの水溶性を有する。一実施形態では、単離型栄養性ポリペプチドは、30分未満の胃消化シミュレーション半減期を有する。一実施形態では、栄養性ポリペプチドは、薬学的に許容可能なキャリアー中で配合される。一実施形態では、栄養性ポリペプチドは、食品もしくは食品成分の中に、または食品もしくは食品成分として配合される。一実施形態では、栄養性ポリペプチドは、飲料もしくは飲料の成分の中に、または飲料もしくは飲料の成分として配合される。一実施形態では、アミノ酸配列は、主活性を有する酵素をコードし、栄養性ポリペプチドは、実質的にこの主活性を欠いている。一実施形態では、本配合物は、体積が約500ml以下の液体、半液体、もしくはゲル、または総質量が約200g以下の固体もしくは半固体として存在する。一実施形態では、栄養性ポリペプチドは、少なくとも50個の長さのアミノ酸の、食用に適した種のポリペプチドまたはそのフラグメントに対して少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、上記アミノ酸配列は、既知のアレルゲンに対して、少なくとも25個のアミノ酸にわたり約50%未満の同一性を有する。一実施形態では、本配合物は、味物質、タンパク質混合物、ポリペプチド、ペプチド、遊離アミノ酸、炭水化物、脂質、ミネラルまたはミネラル供給源、ビタミン、サプリメント、生物、医薬品、および賦形剤から選択される成分をさらに含む。一実施形態では、ヒト対象は、消化管タンパク質吸収不全性の疾患、障害、または病態を罹患している。一実施形態では、アミノ酸配列は、おおよそ、完全長の参照栄養性ポリペプチドまたは参照ポリペプチド含有混合物に存在する必須アミノ酸の密度以上の密度の必須アミノ酸を含む。一実施形態では、アミノ酸配列は、おおよそ、完全長の参照栄養性ポリペプチドまたは参照栄養性ポリペプチド含有混合物に存在する必須アミノ酸の密度以上の密度の、ロイシン、アルギン、およびグルタミンからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸を含む。
別の態様では、本発明は、微生物から分泌され得る食用に適した種のポリペプチドと少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの栄養性ポリペプチドを含む配合物であって、上記栄養性ポリペプチドが、タンパク質の参照1日摂取値の少なくとも約2%以上の栄養上の利点を提供するために十分な量で上記配合物に存在する、配合物を提供する。
別の態様では、本発明は、ヒト対象の筋消耗性の疾患、障害、または病態の処置または予防のための栄養配合物であって、本明細書中に提供されるポリペプチド配列のアミノ酸比率と少なくとも約90%同一のアミノ酸比率を含む複数の遊離アミノ酸を含む栄養性アミノ酸組成物を含み、上記栄養性アミノ酸組成物が、栄養上完全であり、上記栄養性アミノ酸組成物が、タンパク質吸収能が低下したヒト対象に対して栄養上の利点を提供するために十分な量で存在する、栄養配合物を提供する。一実施形態では、本配合物は、体積が約500ml以下の液体、半液体、もしくはゲル、または総質量が約200g以下の固体もしくは半固体として存在する。
本発明のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の説明および添付図面を参照して良好に理解されるものである。
IMACによるSEQID−00105の精製のSDS−PAGE解析を示す画像である。 陰イオン交換樹脂または陽イオン交換樹脂のいずれかに結合すると予測される栄養性ポリペプチドに関するpHの関数としてアミノ酸あたりの実効電荷を示すチャートである。(1)SEQID−00105、(2)SEQID−00008、(3)SEQID−00009、(4)SEQID−00475、(5)SEQID−00472、(6)SEQID−00640、(7)SEQID−00019。 例示的な栄養性ポリペプチドに関する、ある範囲のpHにわたるアミノ酸あたりの総電荷を示すチャートである。(1)SEQID−00475、(2)SEQID−00009、(3)SEQID−00478、(4)SEQID−00433、(5)SEQID−00472。 硫酸アンモニウムの濃度の関数としてSEQID−00009の純度を示すチャートである。 天然のシグナルペプチドと比較した、新規のシグナルペプチドを伴うSEQID−00409(左)およびSEQID−00420(右)の分泌を示すSDS−PAGE解析を示す画像である。 刺激後の上清で検出された上清中のGLP−1(7−36)濃度を示すチャートである。エラーバーは、技術的反復実験の標準偏差である。 ビヒクルSEQID−00105、アルギニン、およびSEQID−00338のOGTTの際の経時的な平均血中グルコース値を示すチャートである。示されるエラーバーは、平均値の標準誤差である。 SEQID−00105、アルギニン、およびSEQID−00338の短期投与後の0〜120分(左)および0〜60分(右)で積分した血中グルコースの曲線下面積を示すチャートである。 処置群あたりn=6のラットに関する経時的な平均血漿中インスリン濃度を示すチャートである。エラーバーは、平均値の標準誤差を示す。 すべての処置群に関する、0〜240分および0〜60分で積分した血漿中インスリンの曲線下面積を示すチャートである。エラーバーは、平均値の標準誤差を示す。 処置群あたりn=6のラットに関する経時的な平均血漿中GLP−1の濃度を示すチャートである。ここで示されるエラーバーは、平均値の標準誤差に対応する。 経時的な平均血中グルコース値を示すチャートである。示されるエラーバーは、平均値の標準誤差である。 各処置群に関して、グルコースチャレンジ(0分)から60分までのあいだ、および0分から120分までのあいだで積分したAUCを示すチャートである。示されるエラーバーは平均値の標準誤差である。 実験の過程全体での、ビヒクルおよびSEQID−00105の処置グループあたりn=6のラット、及びSEQID−00338の場合での処置グループあたりn=5のラットの平均血漿中インスリン濃度を示すチャートである。示されるエラーバーは、平均値の標準誤差である。 ビヒクル、SEQID−00105、およびSEQID−00338に関する、0〜90分および0〜60分で積分した曲線下面積を示すチャートである。示されるエラーバーは、平均値の標準誤差に対応する。 実験の過程全体での、ビヒクルおよびSEQID−00105に関して処置グループあたりn=6のラット、及びSEQID−00338に関してn=5のラットの平均血漿中GLP−1の濃度を示すチャートである。ここで示されるエラーバーは、平均値の標準誤差に対応する。 各処置群に関して、0〜90分および0〜60分で積分したGLP−1(7−36)の曲線下面積を示すチャートである。 処置群あたりn=6のラットでの、ビヒクル、SEQID−00105、アログリプチン、およびその組み合わせのOGTTの際の平均血中グルコース値を示すチャートである。ここで示されるエラーバーは、平均値の標準誤差に対応する。 3つの異なる用量で投与したビヒクルおよびSEQID−00105の経時的なAlphaLISAでの血漿中インスリンを示すチャートである。ここで示されるエラーバーは、平均値の標準誤差である。 ビヒクル、およびSEQID−00426、SEQID−00338、SEQID−00341に関する、経時的なAlphaLISAでの血漿中インスリンを示すチャートである。 3つの用量のSEQID−00105の血漿中インスリン濃度に関する、0〜240分および0〜60分で積分した曲線下面積を示すチャートである。ここで示されるエラーバーは、平均値の標準誤差である。 ビヒクル、SEQID−00426、SEQID−00338、およびSEQID−00341の血漿中インスリン濃度に関する、0〜240分および0〜60分で積分した曲線下面積を示すチャートである。ここで示されるエラーバーは、平均値の標準誤差である。 SEQID−00423、SEQID−00587、SEQID−00105に関する経時的なAlphaLISAでの血漿中インスリンを示すチャートである。ここで示されるエラーバーは、平均値の標準誤差である。 ビヒクル、SEQID−00424、SEQID−00425、およびSEQID−00429に関するAlphaLISAでの経時的な血漿中インスリンを示すチャートである。ここで示されるエラーバーは、平均値の標準誤差である。 ビヒクル、SEQID−00423、SEQID−00587、およびSEQID−00105の血漿中インスリン濃度に関する、0〜240分および0〜60分で積分した曲線下面積を示すチャートである。ここで示されるエラーバーは、平均値の標準誤差である。 ビヒクル、SEQID−00424、SEQID−00425、およびSEQID−00429の血漿中インスリン濃度に関する、0〜240分および0〜60分で積分した曲線下面積を示すチャートである。ここで示されるエラーバーは、平均値の標準誤差である。 ビヒクル、およびSEQID−00105、SEQID−00240、およびSEQID−00559に関するELISAでの経時的な血漿中インスリンを示すチャートである。ここで示されるエラーバーは、平均値の標準誤差である。 ビヒクル、SEQID−00105、SEQID−00240、およびSEQID−00559の血漿インスリン濃度に関する、0〜240分および0〜60分で積分した曲線下面積を示すチャートである。ここで示されるエラーバーは、平均値の標準誤差である。 ビヒクルおよびSEQID−00240に関してそれぞれn=4およびn=5のラットでの、4時間の時間経過にわたるGLP−2の濃度を示すチャートである。示されるエラーバーは、平均値の標準誤差である。 最初の1時間および全4時間で積分したGLP−2の曲線下面積を示すチャートである。示されるエラーバーは、95%の信頼区間である。 経時的な、すべての対象のSEQID−00105に対する平均血漿中インスリン応答を示すチャートである。 ベースラインと比較した、SEQID−00105に対する平均血漿中インスリン応答倍率を示すチャートである。 経時的な、すべての対象のSEQID−00426に対する平均血漿中インスリン応答を示すチャートである。 ベースラインと比較した、SEQID−00426に対する平均血漿中インスリン応答倍率を示すチャートである。 SEQID−00426に関するすべての患者の胃抑制ポリペプチド(GIP)の総反応の平均値を示すチャートである。 SEQID−00426に関するすべての患者の胃抑制ポリペプチド(GIP)の反応倍率を示すチャートである。 異なるロイシン濃度で測定したアルファスクリーンシグナル(y軸)を示すチャートである。示されるエラーバーは、反復実験の標準偏差である。 原発性RSKMCでの最小アミノ酸培地におけるロイシンの用量反応を示すチャートである。示されるエラーバーは、標準偏差である。 単離したヒラメ筋におけるrps6のリン酸化のin vitroでのロイシンの用量反応を示すチャートである。示されるエラーバーは、標準偏差である。 単離した腓腹筋におけるrps6のリン酸化のin vitroでのロイシンの用量反応を示すチャートである。示されるエラーバーは、標準偏差である。 単離した長指伸筋におけるrps6のリン酸化のin vitroでのロイシンの用量反応を示すチャートである。示されるエラーバーは、標準偏差である。 RPS6のリン酸化に関するLeu/Tyr/Argの複合活性を示すチャートである。示されるエラーバーは、標準偏差である。 Leu/TyrバックグラウンドにおけるRPS6のアルギニン刺激を示すチャートである。示されるエラーバーは、標準偏差である。 Arg/TyrバックグラウンドにおけるRPS6のロイシン刺激を示すチャートである。示されるエラーバーは、標準偏差である。 Arg/LeuバックグラウンドにおけるRPS6のチロシン刺激を示すチャートである。示されるエラーバーは、標準偏差である。 SEQID−00105のパンクレアチンでの消化の際の遊離Leuの放出の時間経過を示すチャートである。 あるタンパク質濃度範囲での、4C(●)および25C(○)のSEQID−00105、ならびに4C(■)、および25C(□)の乳清に関して、センチポアズで測定した粘度を示すチャートである。 SEQID−00105に関して、温度範囲にわたる所定の波長での(左)最初および最後(90℃に加熱し、次に20℃に冷却した後)のタンパク質の円二色性スペクトルと、(右)楕円率の変化とを示すチャートである。 マンノース含有グリカンのウェスタンブロットを示す画像である。A)クマシー染色したゲル。B)GNAでブロッティングしたメンブレン。両方のパネルにおいて、レーンは、以下のとおりである:1)前染色したタンパク質のラダー、2)A.niger由来のSEQID−00363(5μg)、3)SEQID−00363をコードする発現ベクターで形質転換した大腸菌由来の全細胞抽出物(5μg)、4)GNAの陽性対照のカルボキシペプチダーゼ(5μg)、5)SEQID−00363をコードする発現ベクターで形質転換した大腸菌由来の可溶性ライセート(5μg)。 Neu5Gcのウェスタンブロット解析を示す画像である。A)クマシー染色したゲル。B)抗Neu5Gcプローブしたメンブレン。両方のパネルにおいて、レーンは、以下のとおりである:1および10)前染色したタンパク質のラダー(New England Biolab)、2および11)、ウシ抽出物(30μg)、3)ブタ抽出物(30μg)、4)シカ抽出物(30μg)、5)子ヒツジ抽出物(30μg)、6)シチメンチョウ抽出物(30μg)、7)ニワトリ抽出物(30μg)、8)タラ抽出物(30μg)、9)タンパク質混合物1(10μg)、12〜15)12)大腸菌(IMAC精製ライセート)、13)B. subtilis(上清)、14)B.subtilis(ライセート)、15)B.subtilis(IMAC精製ライセート)で発現させた栄養性ポリペプチド168個のライブラリー(30μg)、16〜20)16)B.subtilis(PH951 Gracライセート)、17)大腸菌(Rosetta可溶性ライセート)、18)大腸菌(Rosettaの全細胞)、19)大腸菌(GamiBのライセート)、および20)大腸菌(Gami2のライセート)で発現させたcDNAライブラリー(30μg)。 キシロースおよびフコースのウェスタンブロット解析を示す画像である。A)クマシー染色したゲル。B)抗Neu5Gプローブしたメンブレン。ウェスタンブロット解析では、タンパク質試料を、植物および真菌から抽出したか、または大腸菌およびA.nigerにより組み換え発現した。A)クマシー染色したゲル、B)抗Neu5Gプローブしたメンブレンにおけるキシロースおよびフコース含有グリカン。両方のパネルにいおいて、レーンは、以下のとおりである:1及び11)前染色したタンパク質のラダー(New England Biolab)、2)酵母抽出物(30μg)、3)亜麻仁抽出物(30μg)、4)ニワトリ抽出物(30μg)、5)トウモロコシ抽出物(30μg)、6)ジャガイモ抽出物(30μg)、7)マッシュルーム抽出物(30μg)、8)タンパク質混合物2(30μg)、9)HRP(2μg)、10)フェチュイン(2μg)、12)ダイズ抽出物(30μg)、13)コメ抽出物(30μg)、14)ブロッコリー抽出物(30μg)、15)トマト抽出物(30μg)、16)ブルーベリー抽出物(30μg)、17)ブドウ抽出物(30μg)、18)タンパク質混合物2(30μg)、19)HRP(2μg)、20)フェチュイン(2μg)である。 表E33Aに列挙される用量の表記の栄養性ポリペプチドの経口投与後4時間にわたりラット(n=2〜4)から採取した血液試料で測定した血漿中アミノ酸濃度(μM・時間)の平均曲線下面積(AUC)(±SD)の変化を示す一連のチャートである。BCAA:分枝鎖アミノ酸、EAA:必須アミノ酸。 2.85g/kgのSEQID−00105を経口投与したラット(n=4)に関する平均血漿中アミノ酸濃度(±SD)‐時間曲線を示す一連のチャートである。BCAA:分枝鎖アミノ酸、EAA:必須アミノ酸。 SEQID−00105の用量反応作用を示す一連のチャートである。表E33Aに列挙される用量のSEQID−00105の経口投与後4時間にわたりラット(n=4)から回収した血液試料で測定した(左)平均血漿Leu濃度(±SD)‐時間曲線、(右)血漿中アミノ酸濃度(μM・時間)の平均曲線下面積(AUC)(±SD)。 SEQID−00363の天然型および修飾型のラットの薬物動態試験の際の血漿中アミノ酸濃度を示す一連のチャートである。生理食塩水(丸(●)、実線)(n=4)、天然のSEQID−00363(四角(■)、実線)(n=4)、脱グリコシル化SEQID−00363(白丸(○)、破線)(n=2)、および加水分解したSEQID−00363(白四角(□)、破線)(n=4)の経口投与後の、必須アミノ酸(EAA)(A)、ロイシン(B)、セリン(C)、およびスレオニン(D)の血漿中アミノ酸プロファイル。データは、上述するようにN=2〜4のラットに関する平均値±平均値の標準偏差を表す。 WPI、SEQID−00105、およびSEQID363に関する平均FSRの変化を示す一連のチャートである。 WPIおよびSEQID−00105に関して測定したアミノ酸のヒト血漿中の時間経過を示す一連のチャートである。 WPIおよびSEQID−00105に関して測定したアミノ酸のヒト血漿中の時間経過を示す一連のチャートである。 WPIおよびSEQID−00105に関して測定したアミノ酸のヒト血漿中の時間経過を示す一連のチャートである。 WPIおよびSEQID−00105に関して、測定したアミノ酸および凝集体、必須アミノ酸(EAA)、分枝鎖アミノ酸(BCAA)、および総アミノ酸(TAA)のヒト血漿中の時間経過を示す一連のチャートである。 WPIおよびSEQID−00105に関して、測定したアミノ酸の積分した曲線下面積(AUC)を示すチャートである。 WPIおよびSEQID−00105に関して、測定したアミノ酸の積分した曲線下面積(AUC)を示すチャートである。 WPIおよびSEQID−00105に関して、凝集体、必須アミノ酸(EAA)、分枝鎖アミノ酸(BCAA)、および総アミノ酸(TAA)の積分した曲線下面積(AUC)を示すチャートである。 WPIおよびSEQID−00105に関して、測定したアミノ酸のヒト血漿中の時間経過を示す一連のチャートである。 WPIおよびSEQID−00105に関して、測定したアミノ酸のヒト血漿中の時間経過を示す一連のチャートである。 WPIおよびSEQID−00105に関して、測定したアミノ酸のヒト血漿中の時間経過を示す一連のチャートである。 WPIおよびSEQID−00105に関して、測定したアミノ酸および凝集体、必須アミノ酸(EAA)、分枝鎖アミノ酸(BCAA)、および総アミノ酸(TAA)のヒト血漿中の経時的変化を示す一連のチャートである。 WPIおよびSEQID−00105に関して、測定したアミノ酸の積分した曲線下面積(AUC)を示すチャートである。 WPIおよびSEQID−00105に関して、測定したアミノ酸の積分した面積(AUC)を示すチャートである。 WPIおよびSEQID−00105に関して、凝集体、必須アミノ酸(EAA)、分枝鎖アミノ酸(BCAA)、および総アミノ酸(TAA)の積分した曲線下面積(AUC)を示すチャートである。 WPIおよびSEQID−00363に関して、測定したアミノ酸のヒト血漿中の時間経過を示す一連のチャートである。 WPIおよびSEQID−00363に関して、測定したアミノ酸のヒト血漿中の時間経過を示す一連のチャートである。 WPIおよびSEQID−00363に関して、測定したアミノ酸のヒト血漿中の時間経過を示す一連のチャートである。 WPIおよびSEQID363に関して、測定したアミノ酸および凝集体、必須アミノ酸(EAA)、分枝鎖アミノ酸(BCAA)、および総アミノ酸(TAAA)のヒト血漿中の時間経過を示す一連のチャートである。 WPIおよびSEQID−00426に関して、測定したアミノ酸のヒト血漿中の時間経過を示す一連のチャートである。 WPIおよびSEQID−00426に関して、測定したアミノ酸のヒト血漿中の時間経過を示す一連のチャートである。 WPIおよびSEQID−00426に関して、測定したアミノ酸のヒト血漿中の時間経過を示す一連のチャートである。 WPIおよびSEQID−00426に関して、測定したアミノ酸および凝集体、必須アミノ酸(EAA)、分枝鎖アミノ酸(BCAA)、および総アミノ酸(TAA)のヒト血漿中の時間経過を示す一連のチャートである。
特許請求の範囲および本明細書で使用される用語は、特段他の記載がない限り以下に記載する通りに定義するものである。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに他の意味を示すものでない限り複数形を含むことに留意すべきである。
定義
「農業由来の食品」は、土壌での栽培または動物の飼育から生じる食品である。
用語「改善」は、疾患状態の処置、たとえばその予防、重症度もしくは進行の低減、寛解、または治癒を含む疾患状態の処置における任意の治療上有益な結果を指す。
本明細書中で使用されるように、用語「有機栄養性」は、光(光合成による)または無機化学反応(化学合成)由来のエネルギーを使用する、単純な無機分子から複雑な有機化合物(炭水化物、脂肪、およびタンパク質など)を産生する生物を指す。
本明細書中で使用されるように、「肥満度指数」または「BMI」または「ケトレー指数」は、メートルでの対象の身長の2乗により除算したキログラムでの対象の体重(kg/m)である。成年では、BMIを頻繁に使用することは、個体の体重が、彼または彼女の身長にとって標準または望ましい値からどの程度逸脱しているかを評価するためである。筋肉質などの他の要因もまたBMIに著しく影響を与えるものであるが、体重の過剰または不足は、部分的に体脂肪が原因とされる場合がある。世界保健機関は、18.5未満のBMIは低体重、場合によっては栄養障害、摂食障害、または他の健康上の問題があると見なし、これに対してBMIが25超である場合は過体重とし、30超を肥満としている(世界保健機関 BMI分類)。
本明細書中で使用されるように、「分枝鎖アミノ酸」は、ロイシン、イソロイシン、およびバリンから選択されるアミノ酸である。
本明細書中で使用されるように、「カヘキシー」は、筋肉の消耗および体重減少をもたらす多面的な臨床症候群を指す。タンパク質の異化がタンパク質の同化を超える複雑な状態では、筋肉の消耗が、この状態の主な特徴となる。タンパク質の代謝における代謝の乱れに加えて、カヘキシーは食欲不振および炎症をも特徴とする。これらの乱れプラスタンパク質の代謝不全は、様々な度合いで栄養療法に応答性である。
本明細書中で使用されるように、「カロリーコントロール」および「カロリー制限」は、対象の従来のカロリー摂取と比較、または適切なカロリー摂取の基準と比較して、食品からの対象のカロリー摂取を低減する工程を指す。
一般的に、用語「癌(cancer)」および「癌の(cancerous)」は、概して制御されない細胞増殖を特徴とする哺乳動物の生理学的な状態を指す、または説明する。より具体的には、本明細書中に提供される方法に関連して、1つまたは複数のチロシンキナーゼ阻害剤、受容体またはそのリガンドを遮断する他の薬剤、またはそれらの変異体を使用して処置される癌として、限定するものではないが、癌腫、リンパ腫、芽腫、肉腫、白血病、中皮腫、扁平上皮癌、小細胞肺癌および非小細胞肺癌(大細胞癌、肺の腺癌、および肺の扁平上皮癌を含む)を含む肺癌、腹膜癌、肝細胞癌、胃癌(gastricまたはstomach)(胃腸癌および消化管癌を含む)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜または子宮の細胞腫、唾液腺細胞腫、腎臓癌(kidneyまたはrenal)、前立腺癌、子宮頸癌、外陰癌、甲状腺癌、頭頸部癌、黒色腫、表在拡大型黒色腫、悪性黒子由来黒色腫、末端黒子型黒色腫、結節型黒色腫、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性リンパ腫(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽細胞NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大腫瘤病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症を含む);慢性リンパ性白血病(CLL);急性骨髄性白血病(AML);慢性骨髄性白血病(CML);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;または移植後リンパ増殖性障害(PTLD);ならびに母斑症(phakomatoses)に関連する異常な血管増殖、浮腫(脳腫瘍に関連する浮腫など)、およびメグズ症候群が挙げられる。
「食用生成物」は、食用に適した生成物であり、対して「非食用生成物」は、概して食用でない生成物であり、または食用でない生成物を含む。「食用でない生成物を実質的に含まない」は、組成物が、意図する消費者による消費にとって食用ではなく、危険、またはそれ以外で不適合となるために十分な量またはレベルの食用でない生成物を有していないことを意味する。あるいは、ポリペプチドは、食用でない生成物を実質的に含まず、このことは、ポリペプチドを含む組成物が意図する消費者にとって食用ではなく、危険、または有害となるために十分な量またはレベルの食用でない生成物を、ポリペプチドが含まず、またはそれに関連していないことを意味する。好ましい実施形態では、食用でない生成物を実質的に含まない生成物は、このような消費からの有害事象を受けない、または受けるリスクが増加しない栄養上の量で、意図する消費者により消費され得る。たとえば、鉛および他の金属のレベルは、食品、特に、鉛および/または他の金属で汚染された土壌で生育した農業由来の生成物を含む食品に存在する場合、ヒトに対する毒性を含む顕著なリスクを有することが十分に実証されている。よって、一定の百万分率(ppm)を超える上記の金属含有量を有する工業的に生成したポリペプチドを含む食品、飲料、および化合物などの生成物は、食用でない生成物と考えられ、このような金属含有量は、当技術分野において認識されるように金属に依存する。たとえば哺乳動物が消費する場合に鉛が有害な生物学的な作用を有するようなレベルで、工業的に生成したポリペプチド中に鉛またはカドミウムが含まれると、工業的に生成したポリペプチドを含む組成物は食用ではなくなる。上記のとおりではあるが、一部のポリペプチドでは、一定量の金属(鉄、亜鉛、カルシウム、およびマグネシウムなど)がポリペプチドの中で錯体を形成するか、または組み込まれており、このような金属は、必ずしもポリペプチドを食用でないようにするものではない。
用語「制御配列」は、その存在が発現に必須である最小限の任意の成分を含み、かつ、その存在が有益であるさらなる成分、たとえば、リーダー配列および融合パートナー配列といった追加的な成分を包含し得ると意図される。
本明細書中で使用されるように、患者は、内科的疾患のために肥満度指数および筋肉量のうちの少なくとも1つの変化(たとえば筋肉減少症)を経験している場合、患者は「臨床医学的に病気」である。一部の実施形態では、患者は、起床時間の少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%のあいだ、安静臥床状態である。一部の実施形態では、患者は意識不明である。一部の実施形態では、患者は、少なくとも1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、10日間、2週間、3週間、4週間、5週間、10週間、またはそれ以上のあいだ、この段落に記載されるように安静臥床状態であった。
本明細書で使用されるように、参照核酸配列の「縮重変異体」との文言は、標準的な遺伝子コードに従って翻訳されて、参照核酸配列から翻訳したものと同一のアミノ酸配列を提供することのできる核酸配列を包含する。用語「縮重オリゴヌクレオチド」または「縮重プライマー」は、配列が必ずしも同一ではないが、1つまたは複数の特定のセグメントの中で互いに相同である標的核酸配列とハイブリダイズすることのできるオリゴヌクレオチドを示すために使用される。
本明細書中で使用されるように、「望ましい肥満度指数」は、約18.5〜約25の肥満度指数である。よって、対象が約18.5未満のBMIを有する場合、対象のBMIを増加させることにより、対象のBMIの望ましさが増加する。これに対し、対象が約25超のBMIを有している場合では、対象のBMIを減少させることにより、対象のBMIの望ましさが増加する。
本明細書中で使用されるように、用語「糖尿病」は、任意または十分な量のインスリンを産生できず、または血糖値を調節できない、任意の代謝性疾患を含む。用語「糖尿病前症」は「空腹時血糖異常」とも呼ばれ、空腹時血糖が許容される正常値の限界を超える状態を含む。
本明細書中で使用されるように、「高齢の」哺乳動物は、肥満度指数および筋肉量のうち少なくとも1つの加齢関連の変化(たとえば加齢関連の筋肉減少症)を経験している哺乳動物である。一部の実施形態では、「高齢の」ヒトは、少なくとも50歳、少なくとも60歳、少なくとも65歳、少なくとも70歳、少なくとも75歳、少なくとも80歳、少なくとも85歳、少なくとも90歳、少なくとも95歳、または少なくとも100歳である。一部の実施形態では、高齢の動物、哺乳動物、またはヒトは、一生涯のピーク時筋肉量からの筋肉量の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、または少なくとも60%の喪失を経験したヒトである。肥満度指数および筋肉量の少なくとも1つの加齢関連の変化は、年齢の上昇と関連することが知られているため、一部の実施形態では、高齢の哺乳動物は、年齢に基づき単純に同定または定義されている。よって、一部の実施形態では、「高齢の」ヒトは、肥満度指数および筋肉量の少なくとも1つの測定を根拠とすることなく、年齢が、少なくとも60歳、少なくとも65歳、少なくとも70歳、少なくとも75歳、少なくとも80歳、少なくとも85歳、少なくとも90歳、少なくとも95歳、または少なくとも100歳であるという事実によって単純に同定または定義される。
本明細書で使用されるように、「必須アミノ酸」は、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、およびバリンから選択されるアミノ酸である。しかしながら、「必須アミノ酸」は、典型的な生涯のあいだに変動し得ると理解すべきであり、たとえば、システイン、チロシン、およびアルギニンは、ヒト幼児の必須アミノ酸とされている(Imura K, Okada A (1998). ”Amino acid metabolism in pediatric patients”. Nutrition 14 (1):143−8)。さらに、アミノ酸のアルギニン、システイン、グリシン、グルタミン、ヒスチジン、プロリン、セリン、およびチロシンは、成年にとって「条件的に必須」であり、これは、通常食事では必要とされていないが、適切な量でそれらを合成しない特定の集団では外から供給しなければならないことを意味する(Furst P, Stehle P (1 June 2004). ”What are the essential elements needed for the determination of amino acid requirements in humans?”. Journal of Nutrition 134 (6 Suppl): 1558S−1565S; and Reeds PJ (1 July 2000). ”Dispensable and indispensable amino acids for humans”. J. Nutr. 130 (7):1835S−40S)。
本明細書中で使用されるように、「運動」は、体力ならびに全体の健康およびウェルネスを高めるまたは維持する、最も広い範囲での何等かの身体活動である。運動は、筋肉および心血管系の強化、運動スキルの研磨、体重の減少または維持、ならびに楽しみのための目的を含む、様々な理由のため実施される。
本明細書中で使用されるように、「運動療法」は、健康の促進、または疾患の処置もしくは予防のための何等かの運動課程を含む。
本明細書中で使用されるように、「発現制御配列」は、機能的に連結されたコード配列の発現に影響を与えるために必要であるポリヌクレオチド配列を指す。発現制御配列は、核酸配列の転写、転写後事象、および翻訳を制御する配列である。発現制御配列として、適切な転写開始配列、終止配列、プロモーター配列、およびエンハーサー配列;スプライシングおよびポリアデニル化シグナルなどの効率的なRNAプロセシングシグナル;細胞質mRNAを安定化する配列;翻訳効率(たとえばリボソーム結合部位)を高める配列;タンパク質の安定性を高める配列;望ましい場合、タンパク質の分泌を高める配列が挙げられる。そのような制御配列の性質は、宿主生物に応じて異なり、原核生物では、そのような制御配列として、一般的に、プロモーター配列、リボソーム結合部位配列、および転写終止配列が挙げられる。
本明細書中で使用されるように、「機能」および「機能的な能力」は、日常活動を模倣する機能試験を指す。「筋肉の機能」または「機能的な能力」は、タイムドステップ試験(timed−step test)(4インチのベンチを可能な限り早く5回昇り降りすること)、タイムド床移動試験(timed floor transfer test)(可能な限り早く一度、床の上で座位から仰臥位になり、その後再度立位になる)、および身体能力バッテリー試験(Physical Performance Battery test)(静止バランステスト、椅子のテスト、および歩行テスト(Borsheim et al., “Effect of amino acid supplementation on muscle mass, strength and physical function in elderly,” Clin Nutr 2008;27:189−195)を含む、いずれかの適切な容認されたテストにより測定される。本明細書中で使用されるように、組織の損傷または組織の障害などの「能力に関連した」損傷または障害は、身体能力または運動能力などの機能的な活動が原因で起こる。
用語「融合タンパク質」は、異種アミノ酸配列に結合したポリペプチドまたはフラグメントを含むポリペプチドを指す。融合タンパク質は、2つ以上の異なるタンパク質由来であり得る2つ以上の望ましい機能的要素を含むように構築できるため、有用である。融合タンパク質は、関心対象のポリペプチド由来の少なくとも10個の連続アミノ酸、または少なくとも20もしくは30個のアミノ酸、または少なくとも40、50、もしくは60個のアミノ酸、または少なくとも75、100、もしくは125個のアミノ酸を含む。融合タンパク質の中に含まれる異種ポリペプチドは、通常、長さが少なくとも6個のアミノ酸、または長さが少なくとも8個のアミノ酸、または長さが少なくとも15、20、もしくは25個のアミノ酸である。IgG Fc領域などの大きなポリペプチド、およびさらには、緑色蛍光タンパク質(「GFP」)発色団含有タンパク質などのタンパク質全体を含む融合は、特定の有用性を有する。融合タンパク質は、ポリペプチドまたはそのフラグメントをコードする核酸配列を異なるタンパク質またはペプチドをコードする核酸配列とインフレームで構築し、次いで融合タンパク質を発現させることにより、組み換えにより産生できる。あるいは、融合タンパク質は、ポリペプチドまたはそのフラグメントを別のタンパク質に架橋することにより化学的に産生できる。
ポリペプチドの配列相同性は、配列同一性のパーセントとも呼ばれ、典型的に配列解析ソフトウェアを使用して測定する。たとえば、the Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group (GCG), University of Wisconsin Biotechnology Center, 910 University Avenue, ウィスコンシン州マディソンs. 53705を参照されたい。タンパク質解析ソフトウェアは、保存的アミノ酸置換を含む様々な置換、欠失、および他の改変に割り付けされる相同性の測定を使用して、類似の配列をマッチさせる。たとえば、GCGは、「Gap」および「Bestfit」などのプロフラムを含み、これらは、デフォルトのパラメータを用いて、異なる生物種由来の相同なポリペプチドなどの近縁のポリペプチドのあいだ、または野生型のポリペプチドとその変異タンパク質とのあいだの配列相同性または配列同一性を決定することができる。たとえば、GCG Version 6を参照されたい。特定のポリペプチド配列を、異なる生物由来の多数の配列を含むデータベースと比較する例示的なアルゴリズムは、コンピュータプログラムBLAST(Altschul et al., J. Mol. Biol. 215:403−410 (1990); Gish and States, Nature Genet. 3:266−272 (1993); Madden et al., Meth. Enzymol. 266:131−141 (1996); Altschul et al., Nucleic Acids Res. 25:3389−3402 (1997); Zhang and Madden, Genome Res. 7:649−656 (1997))、特にblastpまたはtblastn (Altschul et al., Nucleic Acids Res. 25:3389−3402 (1997))である。
本明細書中で使用されるように、「胃腸障害」または「胃腸疾患」は、消化管またはそれらの領域、すなわち食道、胃、小腸、大腸、または直腸、ならびに消化に関連する臓器および組織、たとえば膵臓、胆嚢、および肝臓を巻き込む任意の障害または疾患を含む。
本明細書中で使用されるように、用語「有機栄養性」は、炭素を固定できず、生育ために有機炭素を使用する生物を指す。
本明細書中で使用されるように、ポリペプチドをコードする核酸配列が、第2のポリペプチドをコードする核酸配列と類似の配列を有する場合、このポリペプチドは第2のポリペプチドとの相同性を有する、または相同である。あるいは、2つのポリペプチドが類似のアミノ酸配列を有する場合、ポリペプチドは、第2のポリペプチドに対して相同性を有する(よって、用語「相同ポリペプチド」は、2つのポリペプチドが類似のアミノ酸配列を有することを意味すると定義される)。「相同」がポリペプチドまたはペプチドに関連して使用される場合、同一ではない残基の位置が、しばしば保存的アミノ酸置換により異なると理解されている。「保存的アミノ酸置換」は、1つのアミノ酸が、類似の化学特性(たとえば電荷または疎水性)を有する側鎖(R基)を有する別のアミノ酸残基により置換される置換である。一般的に、保存的アミノ酸置換は、ポリペプチドの機能的な特性を実質的に変化させない。2つ以上のアミノ酸配列が、保存的置換により互いに異なる場合では、パーセント配列同一性または相同性の度合いは、置換の保存的性質に関して補正するために上方に調節することができる。この調節を行う方法は、当業者に良く知られている。たとえば、Pearson, 1994, Methods Mol. Biol. 24:307−31 and 25:365−89を参照されたい。以下の6つの群:1)セリン、スレオニン;2)アスパラギン酸、グルタミン酸;3)アスパラギン、グルタミン;4)アルギニン、リジン;5)イソロイシン、ロイシン、メチオニン、アラニン、バリン、および6)フェニルアラニン、チロシン、トリプトファンは、それぞれ、互いに保存的置換であるアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ポリマー分子(たとえばポリペプチド配列または核酸配列)は、それらの配列が少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である場合、互いに相同であるとされる。一部の実施形態では、ポリマー分子は、それらの配列が少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%類似である場合、互いに相同であるとされる。用語「相同な」は、必然的に、少なくとも2つの配列(ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列)のあいだの比較を指す。一部の実施形態では、2つのヌクレオチド配列は、それらがコードするポリペプチドが、少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50個、または50個超のアミノ酸の少なくとも1つの区間に関して、少なくとも約50%同一、少なくとも約60%同一、少なくとも約70%同一、少なくとも約80%同一、または少なくとも約90%同一である場合相同であるとされる。一部の実施形態では、相同なヌクレオチド配列は、少なくとも4〜5個の独自の特定のアミノ酸の区間をコードできることを特徴とする。ヌクレオチド配列が相同であると考えられるためには、これらのアミノ酸の同一性および互いに対するおおよその間隔の両方を考慮しなければならない。60ヌクレオチド未満の長さのヌクレオチド配列の一部の実施形態では、相同性は、少なくとも4〜5個の独自の特定のアミノ酸の区間をコードできることにより決定される。一部の実施形態では、2つのポリペプチド配列は、ポリペプチドが、少なくとも約20個のアミノ酸の少なくとも1つの区画で、少なくとも約50%同一、少なくとも約60%同一、少なくとも約70%同一、少なくとも約80%同一、または少なくとも約90%同一である場合に相同であるとされる。他の実施形態では、2つのポリペプチド配列は、ポリペプチドが、少なくとも約20個のアミノ酸の少なくとも1つの区画で、少なくとも約50%類似、少なくとも約60%類似、少なくとも約70%類似、少なくとも約80%類似、または少なくとも90%類似、または少なくとも約95%類似である場合に相同であるとされる。一部の実施形態では、類似性は、アミノ酸の変化をもたらす少ない数のヌクレオチドの変化により例証される(たとえば、たとえ両方の変化によって同一のアミノ酸置換が起こる場合であっても、単一のヌクレオチドの変化を有する核酸配列は、2つのヌクレオチドの変化を有する核酸配列よりも、参照配列に類似している)。
用語「in situ」は、生きている生物から分離されて生育する、たとえば組織培養で生育する、生存細胞中で起こる工程を指す。
本明細書中で使用されるように、「in vitro」は、生物内(たとえば動物、植物、または微生物)ではなく、たとえば試験管または反応容器、細胞培養、ペトリ皿などの人工的な環境で起こる事象を指す。本明細書中で使用されるように、用語「ex vivo」は、生物の外の環境の組織の中または組織上で行われる実験を指す。
用語「in vivo」は、生きている生物で起こる工程を指す。
本明細書中で使用されるように、「修飾された誘導体」は、参照ポリペプチド配列に対して、一次構造配列が実質的に相同であるが、たとえばin vivoまたはin vitroの化学的もしくは生化学的な修飾を含む、または参照ポリペプチドに見出されないアミノ酸配列が組み入れられているポリペプチドまたはそのフラグメントを指す。このような修飾は、たとえば、アセチル化、カルボキシル化、リン酸化、グリコシル化、ユビキチン化、たとえば放射線核種での標識、および当業者に容易に理解される様々な酵素修飾を含む。ポリペプチドを標識する様々な方法、およびこのような目的に有用な置換基または標識は、当技術分野において周知であり、125I、32P、35S、および3Hなどの放射性同位元素、標識した抗リガンド(たとえば抗体)と結合するリガンド、フルオロフォア、化学発光剤、酵素、および標識したリガンドに対する特異的結合対のメンバーとして作用できる抗リガンドを含む。標識の選択は、必要とされる感受性、プライマーとの結合の簡便性、安定性の必要条件、および利用可能な計測手段に依存する。たとえば、Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates (1992, and Supplements to 2002)を参照されたい。
本明細書中で使用されるように、「筋力」は、筋肉が1回で最大効果を生ずることのできる力の量を指す。2種類の筋力、静的筋力および動的筋力がある。静的筋力は、筋力の等尺性収縮を指し、この場合、筋肉の長さが一定のままであり、かつ/または関節の動きがない場合に筋肉が力を生み出す。例として、物体の保持または運搬、または壁を押すことが挙げられる。動的筋力は、それによって運動が起こる筋肉が生成する力を指す。動的筋力は、等張性収縮とすることができ、この場合、筋肉は、一定の負荷または等運動性収縮の下短くなり、筋肉は、一定の速度で収縮して短くなる。さらに、用語「筋力」は、用語「最大挙上重量」(1RM)により記載される動的筋力の最大値を指す。これは、機能不全または損傷がない状態で、1回で完全に移動させる(持ち上げる、押す、または引く)ことができる最大限の負荷(キログラム)の測定である。この値は、直接測定することができるが、対象が、完了まで活動を実行することができなくなるまで重量を増加させることが必要である。あるいは、1RMは、対象が運動できる最大量よりも少ない負荷を使用して対象が行うことのできる運動の反復の最大回数を計測することにより評価される。脚の伸長および脚の屈曲は、しばしば臨床試験で測定されている(Borsheim et al., “Effect of amino acid supplementation on muscle mass, strength and physical function in elderly,” Clin Nutr 2008;27:189−195; Paddon−Jones, et al., “Essential amino acid and carbohydrate supplementation ameliorates muscle protein loss in humans during 28 days bed rest,” J Clin Endocrinol Metab 2004;89:4351−4358)。
本明細書中で使用されるように、「筋肉量」は、対象の身体における筋肉の重量を指す。同様に、「筋肉の同化」は、筋タンパク質の合成を含み、かつ筋肉量が増加する工程の構成要素である。筋肉量は、骨格筋、平滑筋(心筋および消化管の筋(digestive muscle)など)およびこれら筋肉に含まれる水を含む。特定の筋肉の筋肉量は、二重エネルギーX線吸収測定法(DEXA)を使用して決定できる(Padden−Jones et al., 2004)。総除脂肪体重(−脂肪)、総体重、および骨塩量も同様にDEXAにより測定できる。一部の実施形態では、対象の特定の筋肉の筋肉量の変化は、たとえば、DEXAにより決定され、この変化は、対象の筋肉量の変化の合計に関する代用として使用される。よって、たとえば、対象が、本明細書中に開示される栄養性タンパク質を消費し、特定の筋肉または筋肉群の筋肉量を一定期間にわたり増加させる場合、対象は、筋肉量の増加を経験したと結論付けることができる。筋肉量の変化は、タンパク質の合成、タンパク質合成速度、およびmTor/mTorcなどの特定の鍵となる活性を含む様々な方法で測定できる。一般的に、「除脂肪筋肉量」は、脂肪などの他の組織を含まない筋肉組織の質量を指す。
本明細書中で使用される用語「核酸フラグメント」は、完全長の参照ヌクレオチド配列と比較して、欠失、たとえば5’末端または3’末端の欠失を有する核酸配列を指す。一実施形態では、核酸フラグメントは、フラグメントのヌクレオチド配列が天然に存在する配列の対応する位置と同一である連続した配列である。一部の実施形態では、フラグメントは、少なくとも10、15、20、または25個の長さのヌクレオチド、または少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、または150個の長さのヌクレオチドである。一部の実施形態では、核酸配列のフラグメントは、オープンリーディングフレーム配列のフラグメントである。一部の実施形態では、このようなフラグメントは、オープンリーディングフレームのヌクレオチド配列によりコードされるタンパク質のポリペプチドフラグメント(本明細書中で定義される)をコードする。
意図する消費者にとって適切な量の栄養物を提供する場合、組成物、配合物、または生成物は、「栄養性」または「栄養上」であり、消費者が、組成物または配合物のすべてまたは一部を細胞、臓器、および/または組織に同化することを意味する。一般的に、細胞、臓器、および/または組織へのこのような同化は、たとえば、当該細胞、臓器、および/または組織の健康および/または本来の機能を維持または改善することにより、消費者に利点または有用性を提供する。本明細書中に記載されるように同化される栄養上の組成物または配合物は、「栄養物(nutrition)」と呼ばれる。非限定的な例として、意図する消費者にとって適切な量のポリペプチド栄養物を提供する場合、ポリペプチドは栄養性であり、消費者は、典型的にタンパク質の全てまたは一部を、単一のアミノ酸または小ペプチドの形態で、細胞、臓器、および/または組織に同化することを意味する。また、「栄養物」は、ヒトまたは他の哺乳動物などの対象に、栄養性の組成物、配合物、生成物、または他の材料を提供する工程をも意味する。栄養性生成物は、「栄養上完全」である必要はなく、このことは、十分な量が消費されれば、この生成物が、消費者の健康に必要なすべての炭水化物、脂質、必須脂肪酸、必須アミノ酸、条件的必須アミノ酸、ビタミン、およびミネラルを提供することを意味する。さらに、「栄養上完全なタンパク質」は、必要とされるすべてのタンパク質栄養素(生物による生物学的な健常に必要な量を意味する)を含むが、ビタミンおよびミネラルなどの微量栄養素、炭水化物または脂質を必ずしも含むものではない。
好ましい実施形態では、組成物または配合物は、「栄養上の利点」を提供するために十分な量の単一のアミノ酸および/または小ペプチド(たとえば2つのアミノ酸、3個のアミノ酸、または4個のアミノ酸、可能な場合は最大10個のアミノ酸)へと分解(すなわちペプチド結合の切断、しばしばタンパク質の消化と呼ばれる)することのできるポリペプチドを提供するという点で、栄養性である。さらに、特定の実施形態では、小ペプチド(単一のアミノ酸よりは大きいが、約10個のアミノ酸よりは小さい)、またはより大きなペプチド、オリゴヌクレオチド、またはポリペプチド(たとえば11超のアミノ酸)として、胃腸壁を通して通過し、かつ血流の中に吸収される栄養性ポリペプチドを提供する。ポリペプチド含有組成物の栄養上の利点は、多くの測定法により例証でき、任意に定量化できる。たとえば、栄養上の利点は、タンパク質の参照1日摂取値の少なくとも約0.5%以上、例えば参照1日摂取値の約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、または約100%以上の、消費する生物に対する利益である。あるいは、栄養上の利点は、消費者による満腹感および/または満腹の認識により例証される。他の実施形態では、栄養上の利点は、消費者の細胞、臓器、および/または組織の中に組成物または配合物のポリペプチド成分の実質的な量が取り込まれることによって例証され、このような取り込みは、一般的に、単一のアミノ酸または短いペプチドが、細胞内で新規にポリペプチドを産生するために使用されることを意味する。「消費者」または「消費生物」は、栄養上の利点を有する生成物を摂取することのできる任意の動物を意味する。典型的に、消費者は、健康なヒト、たとえば、健康な幼児、小児、成年、またはより老人などの哺乳動物である。あるいは、消費者は、(i)適切な栄養素の欠損、および/または(ii)本発明の栄養生成物によるこの欠損の軽減、を特徴とする、疾患、障害、または病態を発症または罹患するリスクのあるヒト(たとえば幼児、小児、成年、または老人)などの哺乳動物である。「幼児」は、一般的に約1歳または2歳未満のヒトであり、「小児」は、一般的に約18歳未満のヒトであり、「老人」または「高齢者」のヒトは、約65歳以上のヒトである。
他の好ましい実施形態では、組成物または配合物は、意図する消費者が加水分解できる炭水化物(「栄養上の炭水化物」と呼ばれる)を供給するという点で栄養性である。炭水化物含有組成物の栄養上の利点は、多くの計測法により例証でき、任意に定量化できる。たとえば、栄養上の利点は、炭水化物の参照1日摂取値の少なくとも約2%以上の、消費生物に対する利益である。
本明細書中で使用されるポリペプチド「栄養性ドメイン」は、栄養素を提供できる任意のポリペプチドのドメインを意味する。好ましくは、ポリペプチドの栄養性ドメインは、栄養性ドメインが完全長のポリペプチドよりも多くの栄養素を提供することなどの、栄養性ドメインを含む完全長のポリペプチドと比較して1つまたは複数の利点を提供する。たとえば、ポリペプチド栄養性ドメインは、(i)参照ポリペプチもしくは参照ポリペプチド含有混合物もしくは組成物、(ii)農業由来の食品に存在するタンパク質もしくはポリペプチド、および/または(iii)哺乳動物対象の食事に存在するタンパク質もしくはポリペプチド産物と比較して、より高濃度の望ましいアミノ酸を有し、より低濃度の望ましくないアミノ酸を有し、消化プロテアーゼによる切断部位を含み、消化が容易で、かつ/またはより大きなポリペプチドの消化から容易に産生され、改善された保存特徴を有し、またはこれらおよび/または他の要因の組み合わせを有する。ポリペプチドの栄養性ドメインの他の利点は、完全長のポリペプチドと比較して、より容易かつ/もしくは効率的な産生、異なるもしくはより有益な物理化学的特性を含み、ならびに/または異なるもしくはより有益な安全上特性(たとえば1つ以上のアレルギードメインの除去)を有する。参照ポリペプチドは、天然に存在するポリペプチドまたは組み換えにより産生されたポリペプチドであり得て、すなわち天然に存在するポリペプチドと同一または異なるアミノ酸配列を有し得る。また、参照ポリペプチドは、天然に存在するポリペプチドに存在しないコンセンサスアミノ酸配列であってもよい。さらに、参照ポリペプチド含有混合物または組成物は、乳汁もしくは乳清などの乳製品に存在するポリペプチド混合物などの天然に存在する混合物であり得て、またはポリペプチドの合成混合物であり得る(すなわち、天然に存在するポリペプチドまたは合成ポリペプチドであり得る)。特定の実施形態では、栄養性ドメインは、完全長の分泌ポリペプチドなどの参照分泌ポリペプチドのN末端アミノ酸および/またはC末端アミノ酸とは異なるN末端アミノ酸および/またはC末端アミノ酸を有するアミノ酸配列を含む。たとえば、栄養性ドメインは、栄養性ドメインを含む、より大きい分泌ポリペプチド内部のアミノ酸配列に対応するN末端アミノ酸配列を有する。栄養性ドメインは、より大きい分泌ポリペプチドのシグナル配列を含んでもよく、または除外してもよい。本明細書中で使用されるように、ポリペプチド栄養性ドメインを「含む」ポリペプチドは、ポリペプチド栄養性ドメイン全体、ならびにポリペプチド栄養性ドメインのN末端もしくはC末端のいずれかに少なくとも1つの追加のアミノ酸を含む。一般的に、ポリペプチド栄養性ドメインは、栄養性ドメインをコードする核酸を含む細胞または生物から分泌され、「分泌型ポリペプチド栄養性ドメイン」と呼ばれ、栄養性ドメインは、単細胞(または1つの細胞)の生物から分泌される場合、「単細胞分泌ポリペプチド栄養性ドメイン」と呼ばれる。
他の好ましい実施形態では、組成物または配合物は、意図する消費者による消化、取り込み、転換、または他の細胞での使用を行うことができる脂質(「栄養上の脂質」と呼ばれる)を供給するという点で栄養性である。脂質含有組成物の栄養上の利点は、多くの計測法により例証でき、任意に定量化できる。たとえば、栄養上の利点は、脂質(すなわち脂肪)の参照1日摂取値の少なくとも約2%以上の、消費生物に対する利益である。
本明細書中で使用されるように、「肥満」の対象は、過度のレベルの体脂肪を有する対象であり、心疾患、II型糖尿病、骨粗しょう症および変形性関節症、ならびに癌を含む疾患を罹患する可能性が増加しているが、「過体重」の対象は、正常、許容可能、または望ましいと認識されている体重を超えているが、肥満ではない。西側諸国では、30を超えるBMI値を有する対象を肥満とし、25〜30のBMI値を有する対象を過体重としている。
本明細書中で使用されるように、「機能的に連結された」または「機能的に連結」した発現制御配列は、発現制御配列が関心対象の遺伝子を制御するために関心対象となる遺伝子に近接して結合していること、ならびに関心対象の遺伝子を制御するためにトランスで、またはある距離で作用する発現制御配列を指す。
核酸配列の文脈における用語「パーセント配列同一性」または「同一である」は、最大に対応するよう整列させた場合に同一である2つの配列の残基を指す。ヌクレオチド配列同一性を測定するために使用できる当技術分野において公知の多くの異なるアルゴリズムが存在する。たとえば、ポリヌクレオチド配列は、FASTA、GapまたはBestfitを使用して比較することができ、これらは、Wisconsin Package Version 10.0(Genetics Computer Group (GCG), ウィスコンシン州マディソン)のプログラムである。FASTAは、クエリおよび検索配列のあいだの最も良好に重なりあう領域のアライメントおよびパーセント配列同一性を提供する(Pearson, Methods Enzymol. 183:63−98 (1990))。
用語「ポリヌクレオチド」、「核酸分子」、「核酸」、または「核酸配列」は、少なくとも10塩基の長さのヌクレオチドのポリマー型を指す。この用語は、DNA分子(たとえばcDNAまたはゲノムDNAまたは合成DNA)、およびRNA分子(たとえばmRNAまたは合成DNA)、ならびに非天然のヌクレオチド類似体、非天然のヌクレオシド間結合、またはその両方を含むDNAまたはRNAの類似体を含む。核酸は、任意の位相幾何学的な立体構造の核酸であり得る。たとえば、核酸は、一本鎖、二本鎖、三本鎖、四本鎖、部分的に二本鎖、分枝、ヘアピン、環状であり得て、または南京錠型の立体構造の核酸であり得る。「合成」のRNA、DNA、または混合ポリマーは、たとえば化学合成されたものなど、細胞の外で作製したものである。本明細書中で使用される用語「核酸フラグメント」は、欠失、たとえば完全長の参照ヌクレオチド配列と比較して、1つ以上のヌクレオチドの5’末端または3’末端の欠失を有する核酸配列を指す。一実施形態では、核酸フラグメントは、フラグメントのヌクレオチド配列が、天然に存在する配列の対応する位置と同一である連続配列である。一部の実施形態では、フラグメントは、少なくとも10、15、20、もしくは25個の長さのヌクレオチド、または少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800個、または1800個より長い長さのヌクレオチドである。一部の実施形態では、核酸配列のフラグメントは、オープンリーディングフレーム配列のフラグメントである。一部の実施形態では、このようなフラグメントは、オープンリーディングフレームヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドのポリペプチドフラグメント(本明細書中に定義)をコードする。
用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は互換可能とすることができ、これらの用語は、天然に存在するポリペプチドおよび天然に存在しないポリペプチドの両方、ならびに、本明細書に提供されているか、または当技術分野で一般的に公知の、それらのフラグメント、変異体、誘導体、および類似体を含む。ポリペプチドは、一本鎖を有することを意味する単量体であり得て、または共有的もしくは非共有的に会合することができる2つ以上の鎖から構成されることを意味する多量体であり得る。さらに、ポリペプチドは、それぞれが1つまたは複数の異なる活性を有する多くの異なるドメインを含み得る。紛らわしさを避けるために、ポリペプチドは、2個より長い、または2個に等しい任意の長さのアミノ酸であり得る。用語「単離型ポリペプチド」は、その誘導の起源または供給源により、(1)その任意の天然の状態で付随する天然に会合する成分と会合していない、(2)他の細胞材料の存在に関して与えることができる、天然で見出されない純度で存在する(たとえば、同じ種、またはポリペプチドが産生される宿主種由来の他のポリペプチドを含んでいない)、(3)異なる種由来の細胞により発現される、(4)細胞により組み換え的に発現された(たとえば、ポリペプチドが、宿主細胞に存在する組み換え型核酸から産生されて、産生する宿主細胞から分離されている場合、このポリペプチドは「単離ポリペプチド」である)、(5)天然で存在しない(たとえば、天然で見出されていないポリペプチドのドメインもしくは他のフラグメントである、または天然で見いだされないアミノ酸類似体もしくは誘導体である、または標準的なペプチド結合以外の結合を含む)、または(6)ヒトの手によりそれ以外の方法で産生、調製、および/もしくは製造されている、ポリペプチドである。よって、「単離型ポリペプチド」は、宿主細胞が、同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを天然に産生するかどうかに関わらず、組み換え型核酸(ベクターなど)から宿主細胞において産生されるポリペプチドを含む。「ポリペプチド」は、たとえば、変化させたプロモーターが存在しない中で、宿主細胞の正常な発現レベルを超えるレベルまで発現を増加させるようにポリペプチドのプロモーターを変更することなどにより、宿主細胞由来のポリペプチド相同性の過剰発現といった、過剰発現を介して宿主細胞により産生されるポリペプチドを含む。化学合成された、または天然に起源とする細胞とは異なる細胞株で合成されたポリペプチドは、その天然に会合する成分から「単離」されている。ポリペプチドはまた、当技術分野で周知のタンパク質精製技術を使用して、単離により天然に会合する成分を実質的に含まないようにされ得る。このように定義された、「単離」は、記載されるタンパク質、ポリペプチド、またはオリゴペプチドが、それが合成された細胞から物理的に除去されていることを必ずしも必要とするわけではない。
本明細書中で使用されるように、用語「ポリペプチドフラグメント」または「タンパク質フラグメント」は、参照ポリペプチド、たとえば完全長のポリペプチドまたは天然に存在するタンパク質のポリペプチドドメインと比較して少ないアミノ酸を有するポリペプチドまたはそのドメインを指す。「天然に存在するタンパク質」または「天然に存在するポリペプチド」は、非組み換え細胞または生物により産生されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。一実施形態では、ポリペプチドフラグメントは、フラグメントのアミノ酸配列が、天然に存在する配列の対応する位置と同一である連続配列である。フラグメントは、典型的に少なくとも5、6、7、8、9、もしくは10個の長さのアミノ酸、または少なくとも12、14、16、もしくは18個の長さのアミノ酸、または少なくとも20個の長さのアミノ酸、または少なくとも25、30、35、40、もしくは45個のアミノ酸、または少なくとも50、60、70、80、90、もしくは100個の長さのアミノ酸、または少なくとも110、120、130、140、150、160、170、180、190、もしくは200の長さのアミノ酸、または225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600個、もしくは600個超の長さのアミノ酸である。フラグメントは、細胞の中または外で消化された大きなポリペプチド配列の一部であり得る。よって、50個の長さのアミノ酸であるポリペプチドは細胞内で産生できるが、50個未満のアミノ酸の長さのポリペプチドを産生するためには、細胞の中または外でタンパク分解することができる。このことは、組み換えにより産生する、または組み換えにより産生した後に精製することが、大きいポリペプチドより難しくなり得る約25個のアミノ酸より短いポリペプチドにとって特に重要である。本明細書中で使用される用語「ペプチド」は、約50個未満のアミノ酸、より典型的には約30個未満のアミノ酸、より典型的には約10、9、8、7、6、5、4、または3個未満のアミノ酸などの、約15個未満のアミノ酸を含むポリペプチドまたはオリゴペプチドといった、短いポリペプチドまたはオリゴペプチドを指す。本明細書で使用される用語は、類似体、及び構造を模倣し、それにより生物学的な機能を模倣する模倣体を包含する。
本明細書中で使用されるように、「ポリペプチド変異体」または「変異タンパク質」は、配列が、天然または野生型のタンパク質などの参照タンパク質またはポリペプチドのアミノ酸配列と比較して、1つまたは複数のアミノ酸の挿入、重複、欠失、再配置、または置換を含むポリペプチドを指す。変異タンパク質は、ある位置の1つのアミノ酸が、別のアミノ酸に変化している、1つまたは複数のアミノ酸点置換を有してもよく、1つまたは複数のアミノ酸が、参照タンパク質の配列において、それぞれ挿入もしくは欠失されている1つまたは複数の挿入および/もしくは欠失を有してもよく、および/またはアミノ末端もしくはカルボキシ末端のいずれかまたは両方でアミノ酸配列のトランケーションを有していてもよい。変異タンパク質は、参照タンパク質と比較して同じまたは異なる生物活性を有し得る。一部の実施形態では、変異タンパク質は、たとえば、対応する参照タンパク質と全体で少なくとも85%の配列相同性を有する。一部の実施形態では、変異タンパク質は、野生型タンパク質に対して全体で少なくとも90%の配列相同性を有する。他の実施形態では、変異タンパク質は、全体で少なくとも95%の配列同一性、または98%、または99%、または99.5%、または99.9%の配列同一性を有する。
本明細書中で使用されるように、「アフィニティ精製のためのポリペプチドタグ」は、第1の「タグ」ポリペプチドに融合した関心対象の第2のタンパク質またはポリペプチド配列を単離または精製するために使用できる結合パートナーを有する任意のポリペプチドである。いくつかの例が当技術分野において周知であり、この例として、His−6タグ、FLAG エピトープ、c−myc エピトープ、Strep−TAGII、ビオチンタグ、グルタチオン5−トランスフェラーゼ(GST)、キチン結合タンパク質(CBP)、マルトース結合タンパク質(MBP)、または金属親和性タグが挙げられる。
本明細書中で使用されるように、「タンパク質エネルギー栄養障害」は、タンパク質の摂取が不適切である栄養障害の形態を指す。クワシオルコル(主にタンパク質の栄養障害)、マラスムス(カロリーおよびタンパク質栄養素の両方の欠乏)、および消耗性クワシオルコル(顕著なタンパク質の欠乏および顕著なカロリー不足の兆候があり、時に最も重篤な形態の栄養障害とも呼ばれる)といった種類が挙げられる。「栄養不良」および「栄養障害」は、本明細書中同等に使用されている。
用語「純度」、「精製する」、および「精製された」は、最初に生成(天然または実験状況でのいずれか)されたとき、または最初の生成後のいずれかの時点で会合した成分の少なくとも一部から分離されている物質(または実体、組成物、生成物、または材料)を指す。栄養性ポリペプチドなどの物質は、生成時、または最終生成物までのおよび最終生成物を含む任意のレベルもしくは段階で単離されている場合、精製されたと見なされるが、、最終的な生成物は、最大約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約90%超の他の材料を含んでもよく、それでもなお「単離された」と考えられる。精製された物質または実体は、それらが最初に会合していた他の成分の少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、またはそれ以上から分離することができる。一部の実施形態では、精製物質は、約80%超、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%超純粋である。本明細書中に提供されるポリペプチドおよび他のポリペプチドの例では、このようなポリペプチドは、ポリペプチドを分泌する単細胞生物から分泌されることのできる1つまたは複数の他のポリペプチドから精製できる。本明細書中に使用されるように、ポリペプチド物質は、他の成分または他のポリペプチド成分を実質的に含まない場合、「純粋」である。
本明細書中で使用されるように、「組み換え体」は、(1)天然に存在する環境から取り出されているおり、(2)遺伝子が天然に見出されているポリヌクレオチドの全てまたは一部と会合していない、(3)天然に結合していないポリヌクレオチドに機能的に連結された、または(4)天然に存在していない生体分子、たとえば遺伝子またはポリペプチドを指す。また、「組み換え体」は、組み換え型生体分子または非組み換え型生体分子であり得る生体分子を含み、産生し、かつ/または分泌する、単細胞生物などの細胞もしくは生物を指し、これらは本明細書中では、「組み換え型単細胞生物」、「組み換え型宿主」、または「組み換え型細胞」と呼ばれる。たとえば、組み換え型単細胞生物は、組み換え型ポリペプチドまたは非組み換え型ポリペプチドの産生および/または分泌を高めるために提供される組み換え核酸をみ得る。組み換え型の細胞または生物はまた、組み換えベクターなどの組み換え型核酸が導入されている細胞を指すと意図される。「組み換え型単細胞生物」は組み換え型微生物宿主細胞を含み、特定の対象細胞のみならず、当該細胞の子孫も指す。変異または環境上の影響のいずれかにより、後の世代で特定の修飾が起こりうることから、このような子孫は、実際には親細胞と同一ではない場合があるが、それでもなお本明細書中の用語の範囲内に含まれる。用語「組み換え体」は、クローニングしたDNA単離物、化学合成したポリヌクレオチド類似体、または異種系により生物学的に合成されたポリヌクレオチド類似体、ならびにこのような核酸によりコードされるポリペプチドおよび/またはmRNAに関連して使用できる。よって、たとえば、微生物により合成されたポリペプチドは、それが細胞に存在する組み換え遺伝子または他の核酸配列から転写されたmRNAから産生される場合、組み換え体である。
本明細書中で使用されるように、生物のゲノム中の内在性核酸配列(または当該配列のコードされたポリペプチド産物)は、この内在性核酸配列の発現が変化するように、異種配列が内在性核酸配列に隣接して配置される場合、本明細書中で「組み換え体」とされる。この文脈では、異種配列は、異種配列自体が内在性(同じ宿主細胞またはその子孫を起源とする)または外来性(異なる宿主細胞またはその子孫を起源とする)であるかどうかに関わらず、本来、内在性核酸配列に隣接していない配列である。例として、プロモーター配列を、宿主細胞のゲノムにおける遺伝子の天然のプロモーターに置換(たとえば相同組み換えにより)することにより、この遺伝子は、変化した発現パターンを有することができる。この遺伝子は、それが本来隣接する配列の少なくとも一部から分離されているため、新たに「組み換え体」となっている。また核酸は、ゲノム中の対応する核酸に対して、本来起こらないいずれかの修飾を含む場合、「組み換え体」とされる。たとえば、内在性コード配列は、それがたとえばヒトの介入により人為的に導入された挿入、欠失、または点変異を含む場合、「組み換え体」とされる。「組み換え核酸」はまた、宿主染色体の異種部位に組み込まれた核酸、およびエピソームとして存在する核酸構築物も含む。
本明細書中で使用されるように、用語「組み換え型宿主細胞」(または単純に「組み換え型細胞」または「宿主細胞」)は、組み換えベクターなどの組み換え核酸が導入されている細胞を指すと意図される。一部の例では、用語「細胞」は、細胞の種類を特定する名称により置き換えられている。たとえば、「組み換え微生物」は、微生物宿主細胞である組み換え型宿主細胞であり、「組み換えシアノバクテリア」は、シアノバクテリア宿主細胞である組み換え型宿主細胞である。このような用語は、特定の対象細胞だけでなく、当該細胞の子孫も指すと意図されると理解される。特定の修飾が、変異または環境上の影響のいずれかにより後の世代で起こり得ることから、このような子孫は、実際には親細胞と同一ではないが、それでもなお本明細書中で使用されている用語「組み換え型宿主細胞」、「組み換え型細胞」、および「宿主細胞」の範囲内に含まれる。組み換え型宿主細胞は、培養で生育させた、単離した細胞もしくは細胞株であり得て、または生きている組織もしくは生物中に存在する細胞であり得る。
本明細書中で使用されるように、「サルコペニア」は、骨格筋の量、質および強度の老化に関連した変性性の喪失(典型的に、25歳を過ぎた後では、1年あたり0.5〜1%の喪失)を指す。サルコペニアは、虚弱症候群の成分である。EWGSOP(European Working Group on Sarcopenia in Older People)は、加齢に関連したサルコペニアの実用的な臨床上の定義およびコンセンサス診断基準を開発した。サルコペニアの診断のために、このワーキンググループは、低い筋肉量および低お筋肉機能(力または能力)の両方の存在を使用することを提案した。サルコペニアは、まず、筋線維と脂肪との置き換え、線維症の増加、筋肉代謝の変化、酸化ストレス、および神経筋接合部の変性などの要因により引き起こされる、筋組織の「質」の低下と共に、筋萎縮症(筋肉の大きさの減少)を特徴とする。まとめると、これらの変化により、進行性の筋肉の機能の喪失が起こり、結果的に筋虚弱となる。筋虚弱は、高齢者の健康および機能が破局的に低下するリスクが上がることを示す、一般的な老人性症候群である。筋虚弱の原因として、サルコペニア、骨粗しょう症、および筋力低下が挙げられる。筋肉疲労としても知られている筋力低下(または「筋力の欠如」)は、骨格筋を用いて力を発揮することができないことを指す。多くの場合、筋力低下は、しばしば疾病の結果としての長期臥床の後などの、筋委縮および活動の減少の後起こる。また、サルコペニアの結果として筋力低下が徐々に発症することもある。よって、サルコペニアは、筋消耗に関連した例示的な状態である。
本明細書中で使用されるように、「飽食」は、食事の最中に満腹になる行為、または食事への欲求の低下を指す。これは食べることをやめさせ、または減少させる。
本明細書中で使用されるように、「満腹」は、食後の、食べていない期間として表される、食後で満腹感が続く行為である。
本明細書中で使用されるように、「分泌する」、「分泌」、および「分泌された」は全て、ポリペプチドが、多細胞性生物または単細胞生物の細胞の細胞質から、その細胞外環境の中へと再配置される行為または工程を指す。本明細書中に提供されるように、このような分泌は、能動的または受動的に起こり得る。さらに、用語「排出する」、「排出」、および「排出した」は、一般的に、細胞または単細胞生物から材料を受動的に除去することを指すが、適宜、このような用語は、細胞または単細胞生物から外向きの材料の産生および移行に関連することができる。
一般的に、「ストリンジェントなハイブリダイゼーション」は、特定の組の条件下で特異的DNAハイブリッドのために、熱融解点(Tm)より低い約25℃で実施する。「ストリンジェントな洗浄」は、特定の組の条件下で特異的DNAハイブリッドのために、Tmより約5℃低い温度で実施する。Tmは、標的配列の50%が、完全にマッチしたプローブとハイブリダイズする温度である。Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989), page 9.51を参照されたい。この文献は参照として本明細書中に援用される。本明細書中の目的に関して、「ストリンジェントな条件」は、6×SSC(20×SSCは、3.0MのNaClおよび0.3Mのクエン酸ナトリウムを含む)、1%のSDSにおける65℃、8〜12時間での水性ハイブリダイゼーション(すなわちホルムアミドを含まない)としての溶液相のハイブリダイゼーション、次いで0.2×SSC、0.1%のSDSで65℃、20分間の2回の洗浄として定義される。65℃でのハイブリダイゼーションは、ハイブリダイズしている配列の長さおよびパーセント同一性を含む多くの要因に応じて異なる速度で起こることが当業者に理解されている。
核酸またはそのフラグメントを指す場合の用語「実質的な相同性」または「実質的な類似性」は、適宜、適切なヌクレオチド挿入または欠失を別の核酸(または相補鎖)と整列させて、上述のFASTA、BLAST、またはGapなどの、周知の任意の配列同一性アルゴリズムにより測定する場合に、ヌクレオチド塩基の少なくとも約76%、80%、85%、もしくは少なくとも約90%、または少なくとも約95%、96%、97%、98%、もしくは99%にヌクレオチド配列同一性が存在することを示している。
用語「十分な量」は、たとえば細胞の中のタンパク質凝集を調節するために十分な量といった、望ましい効果を生み出すために十分な量を意味する。
「合成」RNA、DNA、または混合ポリマーは、細胞の外側で作製したもの、たとえば化学合成されたものである。
用語「治療的有効量」は、疾患の症状を改善するために有効な量である。治療的有効量は、予防を治療と考えることができる場合「予防的有効量」であり得る。
本明細書中で使用されるように、「熱産生」は、哺乳動物の熱の産生工程である。熱産生は、エネルギー消費の増加により起こる。具体的には、熱産生は、食品の成分(タンパク質など)の代謝の後のエネルギーの燃焼である。また熱産生は、食物による産熱効果とも呼ばれ得る。個体による総エネルギー消費量は、安静時エネルギー消費量(基礎代謝を支えるための空腹状態で安静時に消費されるエネルギー)、食物による産熱効果、および身体活動に関連するエネルギー消費量の合計に等しい。安静時エネルギー消費量は、ヒトの総エネルギー消費量の約65〜75%を占める。筋肉量および活動は、安静時エネルギー消費の影響の1つである。筋肉を支えるための適切なタンパク質の消費もまた、安静時エネルギー消費量に影響する。タンパク質の摂取は、食後のエネルギー消費量を増加させる傾向があり、これが食物による産熱効果である。食物による産熱効果は、ヒトの総エネルギー消費量の約10%を占める。これは、総エネルギー消費量の小さい割合であるが、この値の小さい増加であっても体重に影響を及ぼし得る。タンパク質は、脂肪または炭水化物よりも高い産熱効果を有し、タンパク質の他の代謝的な影響に加えてこの効果により、タンパク質は体重管理、糖尿病管理、および他の状態にとって有益な基礎となる。
本明細書中で使用されるように、「ベクター」は、連結している別の核酸を運搬することのできる核酸分子を指す。ベクターの1種が「プラスミド」であり、これは一般的に、追加のDNAセグメントがライゲートできる環状の二本鎖DNAループを指すが、ベクターには、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による増幅から、または環状プラスミドを制限酵素で処置することから得られる分子などの、直線状の二重鎖分子も含まれる。他のベクターとして、コスミド、バクテリア人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)が挙げられる。別の種類のベクターは、追加のDNAセグメントをウイルスゲノムにライゲートできる、ウイルスベクターである(以下により詳細に記載)。特定のベクターは、ベクターが導入される宿主細胞において自律増殖することができる(たとえば、宿主細胞の中で機能する複製開始点を有するベクター)。他のベクターは、宿主細胞の中への導入の後、宿主細胞のゲノムに組み込まれ、これにより宿主ゲノムと共に複製することができる。さらに、特定のベクターは、機能的に連結された遺伝子の発現を指示することができる。このようなベクターは、本明細書中で「組み換え発現ベクター」(または単純に「発現ベクター」)と呼ばれる。
栄養性ポリペプチドおよびアミノ酸配列
食品の供給源に存在するタンパク質は、栄養価が大きく変動し得る。そのアミノ酸含有量および消化性により、栄養価、ならびに生理学的および薬理学的な作用が強化された栄養性ポリペプチドを提供する。ヒトにおける必須アミノ酸の利用率が不十分であると、細胞機能のネットワークが乱されることにより全身健康および生理機能に負の影響を与え、なおかつ幅広い健康の上の問題および疾患に関連するため、必須アミノ酸レベルが強化された栄養性ポリペプチドを提供する。同様に、罹患した対象の食事において、そのようなアミノ酸が存在または過剰であることにより有病率または死亡率が増加することから、特定のアミノ酸のレベルを低下させ栄養性ポリペプチドも提供する。
従来より、栄養学者および健康の研究者は、特定の供給源の成分(たとえば乳清タンパク質、卵白、ダイズ)または分画および単離物(たとえばダイズタンパク質単離物)を利用して、特定のアミノ酸構成成分を調節することなく、食事中の総タンパク質の相対濃度を調節している。
本明細書中で、健康を変化させることができ、アミノ酸の病理生理学に関連する多数の疾患、障害、および状態を処置、予防、及び減少させることができる栄養性ポリペプチドが提供されるが、それらは、健康を改善し、消化管の吸収不良、筋消耗、糖尿病又は糖尿病前症、肥満、腫瘍学、代謝疾患、並びに他の細胞性及び全身疾患を含む、多くの栄養に関連する状態に対処するために特定の生理的恩典があるために選択されている。。また、食品、飲料、医療用食品、サプリメント、および医薬品として栄養性ポリペプチドを含む組成物および配合物も提供される。
本明細書中で、栄養性ポリペプチドのゲノミクス、プロテオミクス、タンパク質の特徴付け、および産生において重要な解明を提供する。本発明は、本明細書中で記述される、a)食用に適した種‐ヒトの食物供給源の生物のゲノミクスおよびヒトのゲノミクスと、b)食品タンパク質および食品核酸のライブラリーにおけるタンパク質同定および定量の実質的な進展と、c)タンパク質の物理化学、溶解度、構造‐消化性の関係、ならびに動物およびヒトにおけるアミノ酸の吸収および代謝のあいだの新規の相関性と、d)栄養性ポリペプチドの成分であるアミノ酸が、タンパク質の栄養障害、慢性疾患、急性損傷に対する反応、および老化にどのような影響を与えるかについての生理学的および病理生理学的情報と、e)系統学的に広いスペクトルの宿主生物を利用した組み換え栄養性ポリペプチドの産生と、f)経口的に消費した栄養性ポリペプチドのヒトの安全性を評価するための、アレルゲン性および毒素産生性の定性化、ならびにin vitroおよびin vivoでの試験の、相乗的進歩を利用する。
栄養性ポリペプチドをコードするアミノ酸配列の同定および選択
最も広い意味において、栄養性ポリペプチドは、このような消費から利益を得る意図する消費者に対してアミノ酸およびペプチド栄養素を送達できるポリペプチドを包含する。各栄養性ポリペプチドは、1つまたは複数のアミノ酸配列を含み、本発明は、当該アミノ酸配列を有する栄養性ポリペプチドを産生、配合、および投与するために、アミノ酸を同定および利用する方法を提供する。
一部の実施形態では、栄養性ポリペプチドアミノ酸配列の供給源は、たとえば、ヒトまたは他の生物、特に哺乳動物に有害な影響を与えることなく、食べられることがわかっているまたはそうでなければ消費に適していると考えられている任意のタンパク質含有材料、例えば食品、飲料、組成物、または他の生成物を包含する。
食用に適した種に由来する栄養性ポリペプチドアミノ酸配列
一部の実施形態では、栄養性ポリペプチドは、食品などの食用に適した生成物、または食品に使用されるもしくは食品として使用される生物材料を産生する生物の中で天然に存在する、タンパク質またはタンパク質のフラグメントを含む、またはそれからなる。一部の実施形態では、「食用に適した種」は、有害な効果を有することなく、ヒトが食することのできるタンパク質を産生することが知られている種である。食用に適した種に存在する、または食用に適した種に存在する核酸によりコードされるタンパク質またはポリペプチドは、「食用に適した種のタンパク質」または「食用に適した種のポリペプチド」と呼ばれ、または食用に適した種が、ヒトにより消費される種の場合、用語「天然に存在するヒトの食物タンパク質」は、本明細書中で互換可能に使用される。一部の食用に適した生成物は希少であるが、限定された地域にいる種の哺乳動物のごく小さい集団の食事の既知の成分でもあり、他の食用に適した生成物は、世界の多くで主食の生成物である。他の実施形態では、食用に適した生成物は、いかなる哺乳動物によってもこれまで食べられていないことがわかっているが、生成物、または生成物に含まれる1つもしくは複数のタンパク質を試験または解析することにより、食用に適していると例証された生成物である。
食用生物は、限定するものではないが、2013年3月15日に出願の第PCT/US2013/032232号、2013年3月15日に出願の第PCT/US2013/032180号、2013年3月15日に出願の第PCT/US2013/032225号、2013年3月15日に出願の第PCT/US2013/032218号、2013年3月15日に出願の第PCT/US2013/032212号、2013年3月15日に出願の第PCT/US2013/032206号、および2013年4月29日に出願の第PCT/US2013/038682号に開示されている食用に適した種の生物、およびいずれかの系統学的に関連する生物を含む。
一部の実施形態では、栄養性ポリペプチドアミノ酸配列は、食品もしくはその誘導体もしくは変異タンパク質中の豊富なタンパク質などの食品供給源に存在する、または食品もしくはその誘導体もしくは変異タンパク質中のタンパク質のアミノ酸配列のフラグメントであるタンパク質において同定される。豊富なタンパク質は、食品に存在する他のタンパク質と比較して、食品中に高濃度で存在するタンパク質である。あるいは、栄養性ポリペプチドアミノ酸配列は、量が相対的に少ないアミノ酸配列を含むタンパク質を産生する食用に適した種から同定されるが、タンパク質は、食用に適した種、または食用に適した種から産生される生物材料に由来する食品生成物において検出可能である。一部の実施形態では、タンパク質をコードする核酸は、食用に適した種に由来する食品生成物中で検出可能であり、または核酸は、食用に適した種により産生された生物材料から検出可能である。食用に適した種は、限定された地域にいる種類の哺乳動物のごく小さい集団の食事、または世界の多くの地域で主食の既知の成分である食品を生成できる。
例示的な食用に適した種として、ヤギ、ウシ、ニワトリ、ブタ、および魚などの動物が挙げられる。一部の実施形態では、食品中の豊富なタンパク質は、卵白アルブミン、オボトランスフェリン、およびオボムコイドなどのニワトリの卵のタンパク質;ミオシン、アクチン、トロポミオシン、コラーゲン、およびトロポニンなどの肉のタンパク質;カゼイン、α1カゼイン、α2カゼイン、βカゼイン、κカゼイン、βラクトグロブリン、αラクトアルブミン、グリシニン、βコングリシニン、グルテリン、プロラミン、グリアジン、グルテニン、アルブミン、グロブリンなどの穀類のタンパク質;アルブミン、エノラーゼ、クレアチンキナーゼ、ホスホグリセリン酸ムターゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、アポリポタンパク質、オボトランスフェリン、ホスホグルコムターゼ、ホスホグリセリン酸キナーゼ、グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素、ヘモグロビン、コフィリン、グリコーゲンホスホリラーゼ、フルクトース−1,6−ビスホスファターゼ、アクチン、ミオシン、トロポミオシンα鎖、カゼインキナーゼ、グリコーゲンホスホリラーゼ、フルクトース−1,6−ビスホスファターゼ、アルドラーゼ、チューブリン、ビメンチン、エンドプラスミン、乳酸デヒドロゲナーゼ、デストリン、トランスチレチン、フルクトース二リン酸アルドラーゼ、炭酸脱水酵素、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、アネキシン、アデノシルホモシステイナーゼなどのニワトリの筋肉のタンパク質;アクチン、ミオシン、エノラーゼ、タイチン、コフィリン、ホスホグリセリン酸キナーゼ、エノラーゼ、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、グリコーゲンホスホリラーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ミオキナーゼなどのブタの筋肉のタンパク質;ならびにパルブアルブミン、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、デスミン、およびトリオースリン酸イソメラーゼなどの魚のタンパク質から選択される。
栄養性ポリペプチドは、食用に適した種のポリペプチドに存在するアミノ酸配列を含み得る。一実施形態では、食用に適した種由来の生物材料は、生物材料中に含まれるタンパク質含有量を決定するために解析される。例示的な解析方法は、以下の実施例に提供されるように、生物学的な物質の質量分析の解析を使用することである。別の例示的な解析方法は、以下の実施例に提供されるように、食用に適した種のcDNAのライブラリーを作製するために、生物材料のcDNAライブラリーを作製してし、次いで、適切な組み換え発現宿主においてcDNAライブラリーを発現させることである。別の例示的な解析方法は、以下の実施例に提供されるクエリの核酸および/またはタンパク質の配列データベースである。
栄養性ポリペプチドのアミノ酸の比率よびアミノ酸の密度の決定
本明細書中の一部の例では、ポリペプチド、タンパク質、または組成物の中の特定の種類のアミノ酸の一部は、当該ポリペプチド、タンパク質、または組成物に存在するアミノ酸の総重量に対する、この種類のアミノ酸の重量比に基づき定量されている。この値は、ポリペプチド、タンパク質、または組成物中の特定のアミノ酸の重量を、ポリペプチド、タンパク質、または組成物に存在するすべてのアミノ酸の重量により除算することにより計算される。
他の例では、当該ポリペプチドまたはタンパク質中に存在するアミノ酸の総数に対するポリペプチドまたはタンパク質に存在する特定の種類のアミノ酸残基の比率を使用する。この値は、ポリペプチドまたはタンパク質の各分子に存在するアミノ酸残基の総数により、ポチペプチドまたはタンパク質の各分子に存在する当該アミノ酸の数を除算することにより計算する。当業者は、これら2つの方法が互換可能であり、ポリペプチドまたはタンパク質に存在するある種類のアミノ酸の重量比は、特定の種類のアミノ酸残基の比率に変換でき、かつ逆も可能であることを理解するものである。
一部の態様では、栄養性ポリペプチドは、望ましい密度の1つまたは複数の必須アミノ酸(EAA)を有するように選択される。必須アミノ酸の欠乏は、対象の食事に存在しないかまたは不十分な量で存在する1つまたは複数の必須アミノ酸の有効な投与により処置または予防できる。たとえば、EAAの密度は、おおよそ、ウシのラクトグロブリン、ウシのβカゼイン、またはウシのI型コラーゲンなどの完全長の参照栄養性ポリペプチドに存在する必須アミノ酸の密度以上であり、たとえば、栄養性ポリペプチド中のEAAの密度は、参照栄養性ポリペプチドまたは農業由来の食品に存在するポリペプチドより少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、200%、300%、400%、500%または500%超高い。
一部の態様では、栄養性ポリペプチドは、望ましい密度の芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、ヒスチジン、およびチロキシンを含む「AAA」)を有するように選択される。AAAは、たとえば、運動から誘導される疲労の神経性の発生および予防において、有益である。たとえば、AAAの密度は、おおよそ、ウシのラクトグロブリン、ウシのβカゼイン、またはウシのI型コラーゲンなどの完全長の参照栄養性ポリペプチドに存在する必須アミノ酸の密度以上である。たとえば、栄養性ポリペプチド中のAAAの密度は、参照栄養性ポリペプチドまたは農業由来の食品に存在するポリペプチドより少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、200%、300%、400%、500%または500%超高い。
一部の態様では、栄養性ポリペプチドは、望ましい密度の分枝鎖アミノ酸(BCAA)を有するように選択される。たとえば、BCAAの密度、個々のBCAAまたは総BCAAのいずれかの含有量は、おおよそ、ウシのラクトグロブリン、ウシのβカゼイン、またはウシのI型コラーゲンなどの完全長の参照栄養性ポリペプチドに存在する分枝鎖アミノ酸の密度以上であり、たとえば、栄養性ポリペプチド中のBCAAの密度は、参照栄養性ポリペプチドまたは農業由来の食品に存在するポリペプチドより、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、200%、300%、400%、500%または500%超高い。栄養性ポリペプチド中のBCAAの密度は、EAAの密度などの1つまたは複数の特質と組み合わせて選択され得る。
一部の態様では、栄養性ポリペプチドは、望ましい密度のアミノ酸である、アルギニン、グルタミン、および/またはロイシン(RQLアミノ酸)を有するよう選択される。たとえば、RQLアミノ酸の密度は、おおよそ、ウシのラクトグロブリン、ウシのβカゼイン、またはウシのI型コラーゲンなどの完全長の参照栄養性ポリペプチドに存在する必須アミノ酸の密度以上であり、たとえば、栄養性ポリペプチド中のRQLアミノ酸の密度は、参照栄養性ポリペプチドまたは農業由来の食品に存在するポリペプチドより、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、200%、300%、400%、500%または500%超高い。
一部の態様では、栄養性ポリペプチドは、望ましい密度または分布の翻訳後修飾(PTM)を有するように選択される。たとえば、PTMとして、ビオチン化、ペグ化、アシル化、アルキル化、ブチリル化(butyrylation)、グリコシル化、ヒドロキシル化、ヨウ素化、酸化、プロピオニル化、マロニル化(malonylation)、ミリストイル化、パルミトイル化、イソプレニル化、サクシニル化、セレニル化、SUMO化、ユビキチン化の付加、除去、または再分布、およびグリピエーションの除去、またはジスルフィド架橋の再分布が挙げられる。
本明細書中の特定の実施形態では、乳清、卵、またはダイズ中の分枝鎖アミノ酸のロイシン、および/または必須アミノ酸の重量比を、ポリペプチド、タンパク質、またはポリペプチドおよびタンパク質の少なくとも1つを含む組成物のアミノ酸の組成を測定するためのベンチマークとして使用する。このような実施形態では、2つの測定値は完全に等価ではないが、測定値から、この目的に使用するために十分類似の測定値がもたらされることも理解される。たとえば、関心対象のタンパク質は、24%以上(乳清に存在する分枝鎖アミノ酸残基の重量比)である、総アミノ酸残基に対する分枝鎖アミノ酸残基の比率を含むことを特徴とする場合、これは、タンパク質の分枝鎖アミノ酸含有量の正確な記載である。同時に、そのタンパク質に存在する分枝鎖アミノ酸の重量比は、必ずしも24%に等しいわけではない。たとえそうであっても、これが有益な比較であることを当業者は理解するものである。関心対象のタンパク質に存在するアミノ酸残基の総数が提供されれば、当業者は、関心対象のタンパク質中の分枝鎖アミノ酸残基の重量比を決定することもできる。
一部の実施形態では、本開示に係るタンパク質は、食用に適した種のポリペプチドのフラグメントを含む第1のポリペプチド配列を含む。栄養性タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、第1のポリペプチド配列からなる。栄養性タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、食用に適した種のポリペプチドのフラグメントからなる。
一部の実施形態では、本開示に係るタンパク質は、乳清タンパク質、卵のタンパク質、およびダイズのタンパク質の少なくとも1つに存在する総アミノ酸残基に対する分枝鎖アミノ酸残基の比率以上である、総アミノ酸残基に対する分枝鎖アミノ酸残基の比率を含む、第1のポリペプチド配列を含む。よって、このような実施形態では、タンパク質は、24%、20%、および18%から選択される比率以上である、総アミノ酸残基に対する分枝鎖アミノ酸残基の比率を含む第1のポリペプチド配列を含む。他の実施形態では、タンパク質は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、75、80、85、90、95、または100%から選択されるパーセンテージの比率以上である、総アミノ酸残基に対する分枝鎖アミノ酸の比率を含む、第1のポリペプチド配列を含む。
一部の実施形態では、本開示に係るタンパク質は、乳清タンパク質、卵のタンパク質、およびダイズのタンパク質の少なくとも1つに存在する総アミノ酸残基に対するL(ロイシン)残基の比率以上である、総アミノ酸残基に対するL残基の比率を含む、第1のポリペプチド配列を含む。他の実施形態では、タンパク質は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30%、または30%超から選択されるパーセンテージの比率以上である、総アミノ酸残基に対するロイシン残基の比率を含む、第1のポリペプチド配列を含む。
一部の実施形態では、本開示に係るタンパク質は、乳清タンパク質、卵のタンパク質、およびダイズのタンパク質の少なくとも1つに存在する総アミノ酸残基に対する必須アミノ酸残基の比率以上である、総アミノ酸残基に対する必須アミノ酸残基の比率を含む、第1のポリペプチド配列を含む。他の実施形態では、タンパク質は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、75、80、85、90、95、または100%から選択されるパーセンテージの比率以上である、総アミノ酸残基に対する必須アミノ酸残基の比率を含む、第1のポリペプチド配列を含む。
一部の実施形態では、タンパク質は、乳清タンパク質、卵のタンパク質、およびダイズのタンパク質の少なくとも1つに存在する総アミノ酸残基に対する分枝鎖アミノ酸残基の比率以上である、総アミノ酸残基に対する分枝鎖アミノ酸残基の比率を含む、第1のポリペプチド配列を含み、かつ/または乳清タンパク質、卵のタンパク質、およびダイズのタンパク質の少なくとも1つに存在する総アミノ酸残基に対するL(ロイシン)残基の比率以上である、総アミノ酸残基に対するL残基の比率を含む、第1のポリペプチド配列を含み、かつ/または乳清タンパク質、卵のタンパク質、およびダイズのタンパク質の少なくとも1つに存在する総アミノ酸残基に対する必須アミノ酸残基の比率以上である、総アミノ酸残基に対する必須アミノ酸残基の比率を含む、第1のポリペプチド配列を含む。
一部の実施形態では、タンパク質は、乳清タンパク質、卵のタンパク質、およびダイズのタンパク質の少なくとも1つに存在する総アミノ酸残基に対する分枝鎖アミノ酸残基の比率以上である、総アミノ酸残基に対する分枝鎖アミノ酸残基の比率を含む第1のポリペプチド配列を含み、かつ、乳清タンパク質、卵のタンパク質、およびダイズのタンパク質の少なくとも1つに存在する総アミノ酸残基に対する必須アミノ酸残基の比率以上である、総アミノ酸残基に対する必須アミノ酸残基の比率を含む、第1のポリペプチド配列を含む。一部の実施形態では、タンパク質は、24%以上の、総アミノ酸残基に対する分枝鎖アミノ酸残基の比率、および49%以上の、総アミノ酸残基に対する必須アミノ酸残基の比率を含む、第1のポリペプチド配列を含む。一部の実施形態では、タンパク質は、20%以上の、総アミノ酸残基に対する分枝鎖アミノ酸残基の比率、および51%以上の、総アミノ酸残基に対する必須アミノ酸残基の比率を含む、第1のポリペプチド配列を含む。一部の実施形態では、タンパク質は、18%以上の、総アミノ酸残基に対する分枝鎖アミノ酸残基の比率、および40%以上の、総アミノ酸残基に対する必須アミノ酸残基の比率を含む、第1のポリペプチド配列を含む。
一部の実施形態では、タンパク質は、乳清タンパク質、卵のタンパク質、およびダイズのタンパク質の少なくとも1つに存在する総アミノ酸残基に対するL(ロイシン)残基の比率以上である、総アミノ酸残基に対するL残基の比率を含む、第1のポリペプチド配列を含み、かつ、乳清タンパク質、卵のタンパク質、およびダイズのタンパク質の少なくとも1つに存在する総アミノ酸残基に対する必須アミノ酸残基の比率以上である、総アミノ酸残基に対する必須アミノ酸残基の比率を含む、第1のポリペプチド配列を含む。一部の実施形態では、タンパク質は、11%以上の、総アミノ酸残基に対するL(ロイシン)残基の比率、および49%以上の、総アミノ酸残基に対する必須アミノ酸残基の比率を含む、第1のポリペプチド配列を含む。一部の実施形態では、タンパク質は、9%以上の、総アミノ酸残基に対するL(ロイシン)アミノ酸残基の比率、および51%以上の、総アミノ酸残基に対する必須アミノ酸残基の比率を含む、第1のポリペプチド配列を含む。一部の実施形態では、8%以上の、総アミノ酸残基に対するL(ロイシン)アミノ酸残基の比率、および40%以上の、総アミノ酸残基に対する必須アミノ酸残基の比率を含む、第1のポリペプチド配列を含む。タンパク質の一部の実施形態では、第1のポリペプチド配列は、24%以上の、総アミノ酸残基に対する分枝鎖アミノ酸残基の比率、11%以上の、総アミノ酸残基に対するL(ロイシン)残基の比率を含み、かつ、すべての必須アミノ酸のうち少なくとも1つを含む。タンパク質の一部の実施形態では、第1のポリペプチド配列は、24%以上の、総アミノ酸残基に対する分枝鎖アミノ酸残基の比率、および49%以上の、総アミノ酸残基に対する必須アミノ酸残基の比率を含む、第1のポリペプチド配列を含む。
栄養上完全である栄養性ポリペプチドを提供する。タンパク質の一部の実施形態では、第1のポリペプチド配列は、すべての必須アミノ酸の少なくとも1つを含む第1のポリペプチド配列を含む。
調節されたグリコシル化を伴う栄養性糖タンパク質および栄養性ポリペプチド
用語「グリカン」または「グリコイル(glycoyl)」は、ポリペプチド、脂質、またはプロテオグリカンに結合し得る多糖またはオリゴ糖を指す。一部の実施形態では、グリカンは、共有的にまたは非共有的にポリペプチドに結合する。一部の実施形態では、結合は、グリコシド結合を介して起こる。一部の実施形態では、結合は、グリカン(またはグリコイル)とポリペプチドとのあいだの直接結合であるか、または中間分子を介したものである。一部の実施形態では、グリコシド結合は、N−結合またはO−結合である。用語「多糖」または「オリゴ糖」は、グリコシド結合により共に結合した1つまたは複数の単糖単位を指す。一部の実施形態では、多糖またはオリゴ糖は、直線状または分枝状の構造である。一部の実施形態では、単糖単位は、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルグルコサミン、ガラクトース、ノイラミン酸、フルクトース、マンノース、フコース、グルコース、キシロース、N−アセチルノイラミン酸、N−グリコリルノイラミン酸、O−ラクチル−N−アセチルノイラミン酸、O−アセチル−N−アセチルノイラミン酸、またはO−メチル−N−アセチルノイラミン酸を含む。一部の実施形態では、単糖は、リン酸塩基、硫酸塩基、または酢酸塩基により修飾される。用語「グリコシル化アクセプター部位」は、天然の組成物中でグリカンまたはグリコイルを保有するポリペプチドに沿ったアミノ酸を指す。一部の実施形態では、アクセプター部位は、グリコシド結合の求核性アクセプターからなる。一部の実施形態では、求核性アクセプター部位は、アミノ基からなる。一部の実施形態では、アミノ酸は、アスパラギン、アルギニン、セリン、スレオニン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、トリプトファン、ホスホスレオニン、セリン、またはホスホセリンからなる。用語「外来性グリコシル化アクセプター部位」は、天然のポリペプチドの組成物に存在しないグリコシル化アクセプター部位を指す。一部の実施形態では、外来性グリコシル化アクセプター部位のアミノ酸は、天然の組成物中で、グリカンまたはグリコイルを保有しなかった。一部の実施形態では、アミノ酸は、天然の組成物中のポリペプチドの一次配列には存在しない。用語「外来性グリカン」または「外来性グリコイル」は、同じグリコシル化アクセプター部位上の天然の組成物に存在しなかったグリコシル化アクセプター部位を占有する、グリカンまたはグリコイルを指す。一部の実施形態では、グリコシル化アクセプター部位は、外来性のグリコシル化部位または天然のグリコシル化部位である。用語「糖タンパク質」は、少なくとも1つのグリカンまたはグリコイルに結合したポリペプチドを指す。
本明細書中で、栄養性ポリペプチドのアミノ酸に存在する少なくとも1つの外来性グリコシル化アクセプター部位で、単離型栄養性ポリペプチドを含む配合物を開示する。一部の態様では、少なくとも1つの外来性グリコシル化アクセプター部位は、外来性グリコイルまたはグリカンにより占有されており、またあるいは、本来占有しないグリコールまたはグリカンにより占有されていないか、または占有されている。一部の実施形態では、栄養性ポリペプチドは、SEQID−00001〜03909およびSEQID−04129〜44483に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドであるか、または少なくとも約50個の長さのアミノ酸の、食用に適した種のポリペプチド配列もしくはそのフラグメントであるか、またはグリコシル化アクセプター部位が存在しないもしくは占有されていない場合に実質的な免疫原性を有するポリペプチドである。栄養性ポリペプチドは、栄養性ポリペプチドと同一のアミノ酸配列を有する参照配列よりも熱安定性であり、消化可能であり、および/または凝集スコアが低いが、グリコシル化アクセプター部位は、参照ポリペプチドに存在しない、または占有されていない。たとえば、外来性グリコシル化アクセプター部位を含む、アスパラギン、アルギニン、セリン、スレオニン、ヒドロキシプロリン、およびヒドロキシリジンといったアミノ酸は、タンパク質分解に抵抗性である。例示的なグリカンは、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルグルコサミン、ガラクトース、ノイラミン酸、フルクトース、マンノース、フコース、グルコース、キシロース、N−アセチルノイラミン酸、N−グリコリルノイラミン酸、O−ラクチル−N−アセチルノイラミン酸、O−アセチル−N−アセチルノイラミン酸、およびO−メチル−N−アセチルノイラミン酸である。
一部の実施形態では、参照の食用に適した種の糖タンパク質中のポリペプチドのアミノ酸配列と同一であるが、栄養性ポリペプチドの炭水化物成分が、参照の食用に適した種の糖タンパク質の炭水化物成分と異なる、栄養性ポリペプチドを含む配合物を提供する。栄養性ポリペプチドは、たとえば、アスペルギルス、バチルス、サッカロミセス、または哺乳動物の細胞などの非天然の宿主中で、参照糖タンパク質のポリペプチドを発現させることにより産生される。同様に、変異体栄養性ポリペプチドであって、アミノ酸配列が、参照糖タンパク質におけるポリペプチドのアミノ酸配列と、<1%、<5%、<10%、または10%超異なり、栄養性ポリペプチドの炭水化物成分の質量が、参照糖タンパク質の炭水化物成分の質量と異なる、変異体栄養性ポリペプチドを提供する。栄養性ポリペプチドの変異体は、参照糖タンパク質のポリペプチドのアミノ酸配列におけるアミノ酸残基の挿入、欠失、置換、または交換により作製される。好ましくは、栄養性ポリペプチドは、参照糖タンパク質と区別可能な、化学的、生化学的、生物物理学的、生物学的、または免疫学的特性を有する。たとえば、栄養性ポリペプチドは、参照糖タンパク質よりも吸湿性であり、親水性であり、水溶液中に可溶である。あるいは、栄養性ポリペプチドは、参照糖タンパク質よりも吸湿性が低く、親水性が低く、水溶液中に可溶ではない。
別の例では、栄養性ポリペプチドは、参照糖タンパク質よりも抗原性が高く、免疫原性が高く、もしくはアレルゲン性が高く、またはあるいは、栄養性ポリペプチドは、参照糖タンパク質よりも抗原性が低く、免疫原性が低く、もしくはアレルゲン性が低い。栄養性ポリペプチドは、参照糖タンパク質よりも安定であるか、もしくは酵素による分解に抵抗性であり、または栄養性ポリペプチドは、参照糖タンパク質よりも不安定であるか、もしくは酵素による分解に対して感受性がある。栄養性ポリペプチドの炭水化物成分は、N−グリコリルノイラミン酸を実質的に含まず、または参照糖タンパク質と比較してN−グリコリルノイラミン酸が少ない。あるいは、栄養性ポリペプチドの炭水化物成分は、参照糖タンパク質と比較して、N−グリコリルノイラミン酸が増加している。
同様に、栄養性ポリペプチドのアミノ酸に存在する少なくとも1つの外来性グリコシル化アクセプター部位を有する栄養性ポリペプチドを提供し、少なくとも1つの外来性グリコシル化アクセプター部位は、外来性のグリコイルまたはグリカンにより占有されており、栄養性ポリペプチドは、SEQID−00001〜03909およびSEQID−04129〜44483と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含み、栄養性ポリペプチドは、質量に基づき少なくとも10%の濃度で少なくとも0.5g中に存在し、配合物は、食用ではない生成物を実質的に含まない。
参照栄養性ポリペプチドおよび参照栄養性ポリペプチド混合物
高品質アミノ酸の良好な供給源であると一般に認識されているタンパク質の3つの天然の供給源は、乳清タンパク質、卵のタンパク質、およびダイズのタンパク質である。各供給源は複数のタンパク質を含む。表RNP1は、パーセンテージで表される、タンパク質の供給源における各アミノ酸の重量比率の表示を提示する(gAA/gタンパク質)。
表RNP2は、必須アミノ酸、分枝鎖アミノ酸(L、I、およびV)、およびロイシン(L)(単独)である各タンパク質の供給源の重量比率を提示する。
乳清のアミノ酸含有量を決定するために使用した供給源は、Belitz HD., Grosch W., and Schieberle P. Food Chemistry (4th Ed). Springer−Verlag, Berlin Heidelberg 2009; gnc.com/product/index.jsp?productId=2986027; nutrabio.com/Products/whey_protein_concentrate.htm;およびnutrabio.com/Products/whey_protein_isolate.htmである。これら供給源からのアミノ酸含有値を平均して、表RNP1およびRNP2に提示した数値を得た。ダイズタンパク質の供給源は、Egg, National Nutrient Database for Standard Reference, Release 24 (ndb.nal.usda.gov/ndb/foods/list)である。ダイズタンパク質の供給源は、Self Nutrition Data (nutritiondata.self.com/facts/legumes−and−legume−products/4389/2)である。
USDA栄養データベースによると、乳清は、様々な非タンパク質成分:水、脂質(脂肪酸およびコレステロールなど)、炭水化物および糖、ミネラル(Ca、Fe、Mg、P、K、Na、およびZnなど)、およびビタミン(ビタミンC、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、ビタミンB6、葉酸塩、ビタミンB12、およびビタミンAなど)を含むことができる。USDA栄養データベースによると、卵白は、様々な非タンパク質成分:水、脂質、炭水化物、ミネラル(Ca、Fe、Mg、P、K、Na、およびZnなど)、およびビタミン(チアミン、リボフラビン、ナイアシン、ビタミンB6、葉酸塩、およびビタミンB12など)を含むことができる。USDA栄養データベースによると、ダイズは、様々な非タンパク質成分:水、脂質(脂肪酸など)、炭水化物、ミネラル(Ca、Fe、Mg、P、K、Na、およびZnなど)、およびビタミン(チアミン、リボフラビン、ナイアシン、ビタミンB6、葉酸塩など)を含むことができる。
改変栄養性ポリペプチド
一部の実施形態では、タンパク質は、食用に適した種のタンパク質または食品生成物に天然に存在するタンパク質の誘導体、またはタンパク質の変異タンパク質、またはフラグメントを含む、またはからなる。このようなタンパク質は、「改変タンパク質」を指すことができる。このような実施形態では、天然のタンパク質またはフラグメントは、「参照」タンパク質またはポリペプチドであり、改変タンパク質またはその第1のポリペプチド配列は、参照タンパク質またはポリペプチドのアミノ酸配列と比較して少なくとも1つの配列修飾を含む。たとえば、一部の実施形態では、改変タンパク質またはその第1のポリペプチド配列は、少なくとも1つの参照タンパク質アミノ酸配列と、少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.5%同一である。典型的に、改変タンパク質またはその第1のポリペプチド配列に存在する、アミノ酸残基の合計に対する分枝鎖アミノ酸残基、アミノ酸残基の合計に対する必須アミノ酸残基、およびアミノ酸残基の合計に対するロイシン残基のうちの少なくとも1つの比率は、参照タンパク質またはポリペプチドに存在する、アミノ酸残基の合計に対する分枝鎖アミノ酸残基、アミノ酸残基の合計に対する必須アミノ酸残基、およびアミノ酸残基の合計に対するロイシン残基のうちの少なくとも1つの対応する比率よりも高い。
栄養性ポリペプチド−オルソログおよびホモログ
別の態様では、任意に単細胞生物から分泌およびそれらから精製された、食用に適した種のポリペプチドと相同のアミノ酸配列を含む栄養性ポリペプチドを提供する。このような相同ポリペプチドは、食用に適した種のポリペプチドと、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは99%超類似であり得るか、または70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは99%超同一であり得る。このような栄養性ポリペプチドは、宿主細胞に対して内在性または外来性であり得て、宿主細胞の中で自然に分泌することができ、またはその両方とすることもでき、かつ分泌のために改変することができる。
また、栄養性ポリペプチドのオルソログを提供する。栄養性ポリペプチド配列の開示は、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは99%超類似、または70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは99%超同一など、栄養性ポリペプチドと相同である系統学的に関連する生物由来、またあるいは系統学的に多様な生物由来の、当該栄養性ポリペプチド配列の全てのオルソログの開示を包有する。
栄養性ポリペプチドのフラグメント、栄養性ポリペプチドの長さ
本明細書中一部の実施形態では、栄養性ポリペプチドは、食用に適した種のポリペプチドのフラグメントを含む。一部の実施形態では、フラグメントは、少なくとも25個のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、フラグメントは、少なくとも50個のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、フラグメントは少なくとも25個のアミノ酸からなる。一部の実施形態では、フラグメントは少なくとも50個のアミノ酸からなる。一部の実施形態では、単離型組み換えタンパク質を提供する。一部の実施形態では、タンパク質は、第1のポリペプチド配列を含み、第1のポリペプチド配列は、食用に適した種のタンパク質の少なくとも25または少なくとも50個のアミノ酸のフラグメントを含む。一部の実施形態では、タンパク質は単離されている。一部の実施形態では、タンパク質は組み換え型である。一部の実施形態では、タンパク質は、食用に適した種のタンパク質の少なくとも50個のアミノ酸のフラグメントを含む第1のポリペプチド配列を含む。一部の実施形態では、タンパク質は、単離型組み換えタンパク質である。一部の実施形態では、本明細書中に開示される単離型組み換えタンパク質は、非単離型および/または非組み換え型の形態で提供される。
一部の実施形態では、タンパク質は、10〜5,000個のアミノ酸、20〜2,000個のアミノ酸、20〜1,000個のアミノ酸、20〜500個のアミノ酸、20〜250個のアミノ酸、20〜200個のアミノ酸、20〜150個のアミノ酸、20〜100個のアミノ酸、20〜40個のアミノ酸、30〜50個のアミノ酸、40〜60個のアミノ酸、50〜70個のアミノ酸、60〜80個のアミノ酸、70〜90個のアミノ酸、80〜100個のアミノ酸、少なくとも10個のアミノ酸、少なくとも11個のアミノ酸、少なくとも12個のアミノ酸、少なくとも13個のアミノ酸、少なくとも14個のアミノ酸、少なくとも15個のアミノ酸、少なくとも16個のアミノ酸、少なくとも17個のアミノ酸、少なくとも18個のアミノ酸、少なくとも19個のアミノ酸、少なくとも20個のアミノ酸、少なくとも21個のアミノ酸、少なくとも22個のアミノ酸、少なくとも23個のアミノ酸、少なくとも24個のアミノ酸、少なくとも25個のアミノ酸、少なくとも30個のアミノ酸、少なくとも35個のアミノ酸、少なくとも40個のアミノ酸、少なくとも45個のアミノ酸、少なくとも50個のアミノ酸、少なくとも55個のアミノ酸、少なくとも60個のアミノ酸、少なくとも65個のアミノ酸、少なくとも70個のアミノ酸、少なくとも75個のアミノ酸、少なくとも80個のアミノ酸、少なくとも85個のアミノ酸、少なくとも90個のアミノ酸、少なくとも95個のアミノ酸、少なくとも100個のアミノ酸、少なくとも105個のアミノ酸、少なくとも110個のアミノ酸、少なくとも115個のアミノ酸、少なくとも120個のアミノ酸、少なくとも125個のアミノ酸、少なくとも130個のアミノ酸、少なくとも135個のアミノ酸、少なくとも140個のアミノ酸、少なくとも145個のアミノ酸、少なくとも150個のアミノ酸、少なくとも155個のアミノ酸、少なくとも160個のアミノ酸、少なくとも165個のアミノ酸、少なくとも170個のアミノ酸、少なくとも175個のアミノ酸、少なくとも180個のアミノ酸、少なくとも185個のアミノ酸、少なくとも190個のアミノ酸、少なくとも195個のアミノ酸、少なくとも200個のアミノ酸、少なくとも205個のアミノ酸、少なくとも210個のアミノ酸、少なくとも215個のアミノ酸、少なくとも220個のアミノ酸、少なくとも225個のアミノ酸、少なくとも230個のアミノ酸、少なくとも235個のアミノ酸、少なくとも240個のアミノ酸、少なくとも245個のアミノ酸、または少なくとも250個のアミノ酸を含む。一部個の実施形態では、タンパク質は、20〜5,000個のアミノ酸、20〜2,000個のアミノ酸、20〜1,000個のアミノ酸、20〜500個のアミノ酸、20〜250個のアミノ酸、20〜200個のアミノ酸、20〜150個のアミノ酸、20〜100個のアミノ酸、20〜40個のアミノ酸、30〜50個のアミノ酸、40〜60個のアミノ酸、50〜70個のアミノ酸、60〜80個のアミノ酸、70〜90個のアミノ酸、80〜100個のアミノ酸、 少なくとも25個のアミノ酸、少なくとも30個のアミノ酸、少なくとも35個のアミノ酸、少なくとも40個のアミノ酸、少なくとも2455個のアミノ酸、少なくとも50個のアミノ酸、少なくとも55個のアミノ酸、少なくとも60個のアミノ酸、少なくとも65個のアミノ酸、少なくとも70個のアミノ酸、少なくとも75個のアミノ酸、少なくとも80個のアミノ酸、少なくとも85個のアミノ酸、少なくとも90個のアミノ酸、少なくとも95個のアミノ酸、少なくとも100個のアミノ酸、少なくとも105個のアミノ酸、少なくとも110個のアミノ酸、少なくとも115個のアミノ酸、少なくとも120個のアミノ酸、少なくとも125個のアミノ酸、少なくとも130個のアミノ酸、少なくとも135個のアミノ酸、少なくとも140個のアミノ酸、少なくとも145個のアミノ酸、少なくとも150個のアミノ酸、少なくとも155個のアミノ酸、少なくとも160個のアミノ酸、少なくとも165個のアミノ酸、少なくとも170個のアミノ酸、少なくとも175個のアミノ酸、少なくとも180個のアミノ酸、少なくとも185個のアミノ酸、少なくとも190個のアミノ酸、少なくとも195個のアミノ酸、少なくとも200個のアミノ酸、少なくとも205個のアミノ酸、少なくとも210個のアミノ酸、少なくとも215個のアミノ酸、少なくとも220個のアミノ酸、少なくとも225個のアミノ酸、少なくとも230個のアミノ酸、少なくとも235個のアミノ酸、少なくとも240個のアミノ酸、少なくとも245個のアミノ酸、または少なくとも250個のアミノ酸からなる。一部の態様では、タンパク質またはそのフラグメントは、少なくとも2つのドメイン:第1のドメインおよび第2のドメインを含む。2つのドメインのうちの1つは、必要に応じて除去することができるタグドメインを含むことができる。各ドメインは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25個、または25個超の長さのアミノ酸であり得る。たとえば、第1のドメインは、18個の長さのアミノ酸である関心対象のポリペプチドであり得て、第2のドメインは、7個の長さのアミノ酸であるタグドメインであり得る。別の例として、第1のドメインは、17個の長さのアミノ酸である関心対象のポリペプチドであり得て、第2のドメインは、8個の長さのアミノ酸であるタグドメインであり得る。
本明細書中の一部の実施形態では、食用に適した種のポリペプチドのフラグメントが選択され、任意に単離される。一部の実施形態では、フラグメントは、少なくとも25個のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、フラグメントは、少なくとも50個のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、フラグメントは、少なくとも25個のアミノ酸からなる。一部の実施形態では、フラグメントは、少なくとも50個のアミノ酸からなる。一部の実施形態では、単離型組み換えタンパク質を提供する。一部の実施形態では、タンパク質は、第1のポリペプチド配列を含み、第1のポリペプチド配列は、食用に適した種のタンパク質の少なくとも25または少なくとも50個のアミノ酸のフラグメントを含む。一部の実施形態では、タンパク質は単離されている。一部の実施形態では、タンパク質は組み換え型である。一部の実施形態では、タンパク質は、食用に適した種のタンパク質の少なくとも50個のアミノ酸のフラグメントを含む、第1のポリペプチド配列を含む。一部の実施形態では、タンパク質は、単離型組み換えタンパク質である。一部の実施形態では、本明細書中に開示される単離型栄養性ポリペプチドは、非単離型および/または非組み換え型の形態で提供される。
栄養性ポリペプチドの物理化学的特性
消化性
一部の態様では、栄養性ポリペプチドは、哺乳動物対象による消費で実質的に消化可能である。好ましくは、栄養性ポリペプチドは、少なくとも参照ポリペプチドもしくは参照ポリペプチド混合物または対象の食事を消費する際の他のポリペプチドの一部よりも、消化が容易である。本明細書中で使用されるように、「実質的に消化可能である」は、消費の際の栄養性ポリペプチドの半減期を測定することにより例証できる。たとえば、栄養性ポリペプチドが、ヒト対象の胃腸管において60分未満、または50分未満、40分未満、30分未満、20分未満、15分未満、10分未満、5分未満、4分未満、3分未満、2分未満、もしくは1分未満の半減期を有する場合、消化は容易である。特定の実施形態では、栄養性ポリペプチドは、強化された消化を提供する配合物中に提供され、たとえば他のポリペプチドまたは他の物質を含まない栄養性ポリペプチドが提供される。一部の実施形態では、栄養性ポリペプチドは、1つまたは複数のエンドペプチダーゼの1つまたは複数の認識部位を含む。特定の実施形態では、栄養性ポリペプチドは、分泌リーダー(分泌型リーダー)配列を含み、これは、その後栄養性ポリペプチドから切断される。本明細書中で提供されるように、栄養性ポリペプチドは、シグナルペプチドおよび/または分泌型リーダー配列を含むまたは含まないポリペプチドを含む。一部の実施形態では、栄養性ポリペプチドは、1つまたは複数のエキソペプチダーゼによる切断に感受性がある。
消化アッセイ
消化性は、タンパク質の利益および有用性に関連するパラメータである。消化の相対的完全性に関連する情報は、ペプチドの生物学的利用率の予測因子として役立ちうる(Daniel, H., 2003. Molecular and Integrative Physiology of Intestinal Peptide Transport. Annual Review of Physiology, Volume 66, pp. 361−384)。一部の実施形態では、本明細書中に開示されるタンパク質の消化性を評価するためにタンパク質をクリーニングする。タンパク質の消化性は、当技術分野で公知である任意の適切な方法によって評価できる。一部の実施形態では、消化性は、タンパク質消化、胃消化シミュレーション、腸消化シミュレーションの1つまたは組み合わせたフェーズを含む、生理学的に関連するin vitro消化反応により評価される(たとえば、Moreno, et al., 2005. Stability of the major allergen Brazil nut 2S albumin (Ber e 1) to physiologically relevant in vitro gastrointestinal digestion. FEBS Journal, pp. 341−352; Martos, G., Contreras, P., Molina, E. & Lopez−Fandino, R., 2010. Egg White Ovalbumin Digestion Mimicking Physiological Conditions. Journal of Agricultural and food chemistry, pp. 5640−5648; Moreno, F. J., Mackie, A. R. & Clare Mills, E. N., 2005参照)。リン脂質相互作用は、in vitroでの消化の際のタンパク質分解から、ミルクのアレルゲンのαラクトアルブミンを保護する(Journal of agricultural and food chemistry, pp. 9810−9816)。手短に述べると、試験タンパク質を、模擬胃液(SGF)に120分間(液体食の90%が胃から小腸まで通過するのに要する時間の長さ、たとえばKong, F. & Singh, R. P., 2008. Disintegration of Solid Foods in Human Stomach. Journal of Food Science, pp. 67−80参照)連続的に曝露し、次いで、模擬十二指腸液(SDF)へ移し、さらに120分間消化させた。異なる消化段階(たとえば、2分、5分、15分、30分、60分、および120分)の試料を、電気泳動(たとえばチップ電気泳動またはSDS−PAGE)により解析して、未変化の完全なタンパク質、および任意の大きな消化フラグメント(たとえば4kDa超)の大きさおよび量をモニターする。経時的なタンパク質の消失から、タンパク質がこのアッセイで消化される速度が示される。経時的に観察した完全な未変化のタンパク質の量をモニターすることにより、消化の半減期(τ1/2)をSGFに関して計算し、完全な未変化のタンパク質がSGFでの処置後に検出される場合、消化のτ1/2を、SIFに関して計算する。このアッセイを使用して、比較による消化性(すなわち、乳清などのベンチマークタンパク質に対する)を評価、または絶対的な消化性を評価することができる。一部の実施形態では、タンパク質の消化性は、乳清タンパク質よりもより高い(すなわちSGFτ1/2および/またはSIFτ1/2が短い)。一部の実施形態では、タンパク質は、30分以下、20分以下、15分以下、10分以下、5分以下、4分以下、3分以下、2分以下、または1分以下のSGFのτ1/2を有する。一部の実施形態では、タンパク質は、30分以下、20分以下、15分以下、10分以下、5分以下、4分以下、または3分以下、2分以下、または1分以下のSIFτ1/2を有する。一部の実施形態では、SGFおよびSIFのアッセイの1つまたは両方で、2分間、5分間、15分間、30分間、60分間、または120分間、タンパク質を検出することができない。一部の実施形態では、タンパク質は、SGFおよびSIFの1つまたは両方において、一定の速度および/または制御された速度で消化される。このような実施形態では、タンパク質の消化速度は、起こり得る最高消化速度で最適化されていなくてもよい。このような実施形態では、哺乳動物による摂取後のタンパク質の吸収速度をより遅くすることが可能であり、摂取後に吸収が起こる時間の合計を、SGFおよびSIFの1つまたは両方においてより速い初期速度で消化される類似のアミノ酸組成物のタンパク質よりも長くすることが可能である。一部の実施形態では、タンパク質は、SGFで完全にまたは実質的に消化されている。一部の実施形態では、タンパク質は、SGFにより実質的に消化されず、または消化されておらず、このような実施形態のほとんどでは、タンパク質はSIFにより消化されている。
タンパク質の消化性を評価することは、消化性プロテアーゼに抵抗性であるタンパク質またはタンパク質のフラグメントは、アレルゲン性反応を引き起こす高いリスクを有し得るため、タンパク質の潜在的アレルゲン性に関する洞察を提供することができる(Goodman, R. E. et al., 2008. Allergenicity assessment of genetically modified crops − what makes sense? Nature Biotechnology, pp. 73−81)。チップ電気泳動解析にとって小さすぎるペプチドを検出および同定する場合には、液体クロマトグラフィーおよび質量分析を使用することができる。SGFの試料では、ペプチドは、LC/MSにより直接検出かおよび同定することができる。SIFタンパク質の消化は、LC/MSによる検出および同定の前に胆汁酸を除去するための精製を必要とし得る。
一部の実施形態では、タンパク質の消化性は、タンパク質のアミノ酸配列における消化性プロテアーゼ認識部位の同定および定量化により評価される。一部の実施形態では、タンパク質は、ペプシン認識部位、トリプシン認識部位、およびキモトリプシン認識部位から選択される、少なくとも1つのプロテアーゼ認識部位を含む。
本明細書中で使用されるように、「ペプシン認識部位」は、ペプシンにより切断されることが実験的に示されている、ポリペプチド配列中のいずれかの部位である。一部の実施形態では、ペプシン認識部位は、Phe、Trp、Tyr、Leu、Ala、Glu、およびGlnから選択されるアミノ酸残基の後の(すなわち下流の)ペプチド結合であるが、但し後に続く残基は、Ala、Gly、およびValから選択されるアミノ酸残基ではない。
本明細書中で使用されるように、「トリプシン認識部位」は、トリプシンにより切断されることが実験的に示されている、ポリペプチド配列中のいずれかの部位である。一部の実施形態では、トリプシン認識部位は、LysまたはArgから選択されるアミノ酸残基の後のペプチド結合であるが、但し後に続く残基はプロリンではない。
本明細書中で使用されるように、「キモトリプシン認識部位」は、キモトリプシンにより切断されることが実験的に示されている、ポリペプチド配列中のいずれかの部位である。一部の実施形態では、キモトリプシン認識部位は、Phe、Trp、Tyr、およびLeuから選択されるアミノ酸残基の後のペプチド結合である。
タンパク質中のジスルフィド結合したシステイン残基は、ジスルフィド結合が存在しないタンパク質と比較して、タンパク質の消化速度を減少させる傾向がある。たとえば、タンパク質のbラクトグロブリンのジスルフィド架橋が切断されると、bラクトグロブリンの消化速度が増加することが示されている(I. M. Reddy, N. K. D. Kella, and J. E. Kinsella. “Structural and Conformational Basis of the Resistance of B−Lactoglobulin to Peptic and Chymotryptic Digestion”. J. Agric. Food Chem. 1988, 36, 737−741)。したがって、ジスルフィド結合が少ないタンパク質の消化性は、多くのジスルフィド結合を有する比較可能なタンパク質よりも高い傾向がある。一部の実施形態では、本明細書中に開示されるタンパク質をスクリーニングして、それぞれに存在するシステイン残基の数を同定すると、比較的少数のシステイン残基を含むタンパク質を選択することができる。たとえば、システイン残基を含まない、または、10個以下のCys残基、9個以下のCys残基、8個以下のCys残基、7個以下のCys残基、6個以下のCys残基、5個以下のCys残基、4個以下のCys残基、3個以下のCys残基、2個以下のCys残基、1個のCys残基、またはCys残基を含まないなどの、比較的少数のCys残基を含む食用に適した種のタンパク質またはフラグメントを同定できる。一部の実施形態では、食用に適した種のタンパク質またはそのフラグメント中の1つまたは複数のCys残基は、欠失、および/または別のアミノ酸との置換により除去される。一部の実施形態では、1個のCys残基が欠失または置換され、1個以上のCys残基が欠失または置換され、2個以上のCys残基が欠失または置換され、3個以上のCys残基が欠失または置換され、4個以上のCys残基が欠失または置換され、5個以上のCys残基が欠失または置換され、6個以上のCys残基が欠失または置換され、7個以上のCys残基が欠失または置換され、8個以上のCys残基が欠失または置換され、9個以上のCys残基が欠失または置換され、または10個以上のCys残基が欠失または置換される。一部の実施形態では、本開示のタンパク質は、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、または1%以下の、アミノ酸残基の合計に対するCys残基の比率を含む。一部の実施形態では、タンパク質は、10個以下のCys残基、9個以下のCys残基、8個以下のCys残基、7個以下のCys残基、6個以下のCys残基、5個以下のCys残基、4個以下のCys残基、3個以下のCys残基、2個以下のCys残基、1個以下のCys残基を含み、またはCys残基を含まない。一部の実施形態では、タンパク質は1個以下のCys残基を含む。一部の実施形態では、タンパク質はCys残基を含まない。
あるいはまたはさらに、タンパク質中に存在するまたは存在し得るジスルフィド結合を除去することができる。ジスルフィドは、βメルカプトエタノール、ジチオスレイトール(DTT)、トリス(2‐カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)などの還元剤によってジスルフィドを2つのチオール基に還元することによる化学的方法を使用して除去することができる。次いで、チオールを、ヨードアセトアミド、N−エチルマレイミド、または亜硫酸ナトリウムなどの試薬で、共有的に修飾または「キャッピング」することができる(たとえば、Crankshaw, M. W. and Grant, G. A. 2001. Modification of Cysteine. Current Protocols in Protein Science. 15.1.1−15.1.18参照)。
粘度を調節した、栄養性ポリペプチドおよび栄養性ポリペプチド配合物
本明細書中、粘度を調節した栄養性ポリペプチドを含む、組成物、配合物、および食品生成物を開示する。一態様では、栄養量で存在する栄養性ポリペプチドを含む、食用でない生成物を実質的に含まない配合物を提供し、この栄養性ポリペプチドは、食品生成物の粘度を低下させる。一部の実施形態では、栄養性ポリペプチドは、約10g/lで存在し、配合物の粘度は、25℃で、約1,000mPas〜約10,000mPas、たとえば2,500mPas〜約5,000mPasである。
配合物は、栄養性ポリペプチドを欠く類似の食品生成物をと比較して利点を有する食品生成物の中に組み込まれ、または配合物は、飲料生成物もしくは動物飼料生成物などの他の生成物の中に組み込まれる。たとえば、食品生成物は、栄養性ポリペプチドを有さない食品生成物と比較して、脂肪含有量が少なく、糖含有量が少なく、かつ/またはカロリー含有量が少ない。好ましくは、栄養性ポリペプチドは、食品生成物の栄養量の消費が十分に満足であるように、食品生成物中に存在する。本発明の一実施形態では、ゼラチンといった、動物由来の材料を、1つまたは複数の栄養性ポリペプチドを含む非動物由来の生成物と置き換える。典型的に、栄養性ポリペプチドは、生成物中のゼラチンを置き換えるために有効な量で存在する。ゼラチンの置き換えは、食品生成物、飲料生成物、または動物の飼料の中に組み込まれ、配合物は、食用でない生成物を実質的に含まない。
また、栄養性ポリペプチドを欠く類似の食品生成物と比較して利点を有する食品生成物の中に組み込まれた、粘度が増加した栄養性ポリペプチドを含む配合物などの、食品または飲料生成物の粘度を増加させる、機能的および/または栄養上の量で存在する栄養性ポリペプチドを含む配合物を提供する。たとえば、食品生成物は、栄養性ポリペプチドを有さない食品生成物と比較して、脂肪含有量が少なく、糖含有量が少なく、かつ/またはカロリー含有量が少ない。粘性栄養性ポリペプチドは、栄養学的に好ましい低カロリーの脂肪代用品として使用できる。さらにこれは、組成物および生成物に、1つもしくは複数の多糖、または乳化剤を添加することが望ましく、これにより、クリーム状の口あたりがさらに改善する。
一部の実施形態では、栄養性ポリペプチドを架橋する、または材料中に存在する他のタンパク質に栄養性ポリペプチドを架橋することにより、栄養性ポリペプチド含有材料の粘度を高める。有効な架橋剤の例として、トランスグルタミナーゼがあり、これは、リジン残基のεアミノ基と、グルタミン残基のγカルボキサミド基とのあいだでタンパク質を架橋し、安定した共有結合を形成する。本明細書中に記載されるように同定および生成した栄養性ポリペプチドの、結果として得られるゲルの強度およびエマルジョンの強度は、トランスグルタミナーゼが結合した栄養性タンパク質組成物を調製し、次いで、ゲルの強度およびエマルジョンの強度のアッセイを行うことにより試験する。米国特許第5,156,956号の教示による、微生物由来の適切なトランスグルタミナーゼが市販されている。これら市販のトランスグルタミナーゼは、典型的に、約100単位の酵素活性を有する。単離型栄養性ポリペプチドに添加したトランスグルタミナーゼ(約100単位の活性を有する)の量は、単離型栄養性ポリペプチド100gあたりのトランスグルタミナーゼの単位であるトランスグルタミナーゼ濃度として表される。単離型栄養性ポリペプチドは、5〜95%、好ましくは20〜80%、好ましくは58〜72%タンパク質を含み、同様に好ましくは、62〜68%タンパク質を含む。トランスグルタミナーゼ濃度は、グラムタンパク質あたり少なくとも0.15単位、好ましくは0.25単位、および最も好ましくは0.30単位のトランスグルタミナーゼであり、最大、グラムタンパク質あたり0.80単位および好ましくは0.65単位のトランスグルタミナーゼである。この範囲外の量を使用してもよい。栄養性ポリペプチドを含む粘性溶液を作製するために、この酵素処置の後に、熱処置を行うこともできる。架橋を含む栄養性ポリペプチド試料を作製するために、試料を、酵素対タンパク質重量比が1:25となるようにpH7.0のトランスグルタミナーゼ溶液と混合する。酵素触媒架橋反応は、この実験のほとんどを40℃で行う。
振動せん断測定を使用して、栄養性ポリペプチドのレオロジー特性を調べることができる。同様に、栄養性ポリペプチド溶液の粘度およびゲルの粘弾性の決定を、動的振動レオメトリーにより調べる。栄養性ポリペプチド溶液またはトランスグルタミナーゼを含む栄養性ポリペプチド溶液の試料2mlを、レオメータのクエット型の円筒形のセル(内径2.5cm、外径2.75cm)に注ぎ、蒸発を防止するために低粘度のシリコーン油の薄層で被覆する。酵素が存在する試料では、ゲル化を、40℃のインキュベーションによりin situで誘導する。酵素を含まない栄養性ポリペプチドの試料では、ゲル化を、以下の熱処置工程:40℃から90℃へ2 K min−1の一定速度で温度を上げ、30分間90℃に保ち、90から30℃へ1K min−1で冷却し、15分間30℃に保つといった工程を試料に行うことにより誘導する。一部の試料で、酵素処置の後にこの熱処置を行う。小さな変形せん断レオロジー特性は、1Hzの一定の周波数で貯蔵弾性率および損失弾性率(G’およびG’’)を測定する線形粘弾性レジーム(最大ゆがみ振幅 0.5%)で大部分が決定される。さらに、一部の小さな変形は、たとえば2×10−3〜2Hzといった周波数の関数として測定され、一部の大きな変形は、最大100%近くのひずみで測定される。
筋肉量、強度、および能力を維持かつ増加させるための栄養性ポリペプチド
筋肉量、強度、および能力の維持および増加、ならびに筋消耗性疾患の処置および予防に有用な、栄養性ポリペプチド、ならびに栄養性ポリペプチドを含む組成物および配合物を提供する。また、栄養性ポリペプチドは、対象の筋肉量および筋肉の機能の処置および喪失予防にも有用である。さらに、疾患の治療または予防レジメンが、対象に対するアミノ酸の利用率の低下をもたらし、さらには、筋肉量および筋肉機能の喪失を引き起こし得ることから、栄養性ポリペプチドは、このようなレジメンの副作用(通常、医薬品または医療上の処置の望ましくない副次効果を意味する)の低減または予防にさらに有用である。さらに、栄養性ポリペプチドは、筋肉の消耗を生じる損傷または他の疾患ではない状態の結果としての筋肉の消耗を処置および予防するために有用である。
アミノ酸の薬理学
アミノ酸は、アミノ基および酸性基の両方を含む有機分子である。すべてのアミノ酸は、グリシンを除き不斉炭素を有し、プロリンを除くすべてのタンパク質のアミノ酸は、カルボキシル基および一級アミノ基に結合したα炭素を有する。
アミノ酸は、側鎖が多様であることにより、多様な範囲の生化学特性および生物機能を呈する。これらは、グルタミンおよびシステインを除き、生理的pHの溶液中で安定である。一部のタンパク質では、宿主および翻訳の機構を条件として、アミノ酸に翻訳後修飾を行うことができる。これは、in vivoでのタンパク質の生物学的利用率、代謝機能、および生物活性に大きな影響を与えることができる。翻訳後にタンパク質に付加された糖部分は、アミノ酸および埋め込まれたペプチドの胃腸管での放出に影響を与えることにより、栄養タンパク質の有用性を低下させ得る。同じタンパク質のグリコシル化型と非グリコシル化型の消化を比較すると、非グリコシル化型は、グリコシル化型よりも早く消化されることが示されている(本出願人のデータ)。
300種を超えるアミノ酸が天然に存在するにもかかわらず、タンパク質において構築ブロックとして作用するのは20種のアミノ酸である。非タンパク質α‐AAおよび非α‐AAは、これら20種のタンパク質アミノ酸の直接産物であり、細胞の代謝において重要な役割を果たす。アミノ酸のあいだの相互変換を駆動するアミノ酸異化の代謝反応により、20種の標準的なタンパク質のアミノ酸のうち11のサブセット:アラニン;アルギニン;アスパラギン;アスパラギン酸;システイン;グルタミン酸;グルタミン;グリシン;プロリン;セリン;およびチロシンは、体内の他の代謝物(アミノ酸、ケトンなど)から合成可能であるため、ヒトにとって必須ではないとされている。
アルギニン、システイン、グリシン、グルタミン、ヒスチジン、プロリン、セリン、およびチロシンは、食事で通常使用されておらず、利用速度が合成速度よりも大きい特定の集団において最適な必要性を満たすために適切な量で合成されないことから、条件的に必須であるとされている。しかしながら、アミノ酸が、集団において、真に必須ではない、または条件的に必須であり得るか否かを考慮する場合、生殖、疾患の予防、または代謝異常などの機能的な必要性を考慮することができる。他の9種のアミノ酸:ヒスチジン;イソロイシン;ロイシン;リジン;メチオニン;フェニルアラニン;スレオニン;トリプトファン;およびバリンは、最適な代謝の必要条件を満たすために、体内でこの炭素骨格を合成しないため、食品として摂取されている。
20種すべてのアミノ酸(および非タンパク質代謝物)は、正常に細胞が機能するために使用され、単一のアミノ酸の利用率を変えることにより駆動される代謝の変化は、全身のホメオスタシスおよび成長に影響を与えることができる。さらに、アミノ酸は、維持、成長、生殖、免疫に使用される鍵となる代謝経路のシグナリング分子および制御因子として機能する。
体内では、骨格筋は、体重に占める割合が大きい(40〜45%前後)ことにより遊離アミノ酸およびタンパク質結合アミノ酸の最大の貯蔵部位を表す。小腸は、アミノ酸の異化にとって別の重要な部位であり、初回通過代謝および食事性アミノ酸の門脈および末梢血漿中への流入を支配る。食事中のEAAの30〜50%は、初回通過代謝において小腸により異化され得る。腸粘膜におけるBCAAのトランスアミナーゼの活性が高いことにより、BCAAが分枝鎖αケト酸へと変換されて、骨格筋で行われるものと類似する、腸細胞用のエネルギーを提供する。筋肉および小腸の代謝の生理的状態に差があることは、ヒトの組織を通して全身のアミノ酸生物学に関して大きな意味を有する。
アミノ酸は、グリシン(非キラル)を除き、L−アイソフォームおよびD‐アイソフォームの両方で存在できる。タンパク質中のほぼすべてのアミノ酸は、酵素的に翻訳後修飾される場合、または保存もしくは調理の目的ために化学的に処理される場合を除き、側鎖の第2の位置の硫黄原子によるシステイン(D−シス)を除き、L−アイソフォームで存在する。D−arg、D−cys、D−his、D−lys、およびD−thrを除くほとんどのD‐アミノ酸は、D−AAオキシダーゼおよびトランスアミナーゼによりLキラリティーに変換できる。異化されるためには、これらD‐エナンチオマーは、血漿および他の生体膜を通して運搬され、D−酸化を受け、アミノ酸を脱アミノして、そのαケト酸に変換し、またはラセミ化を受けてD−AAをL−アイソフォームに変換する。D−アイソマーの運搬は、D‐AAに対するL−AAトランスポーターの親和性が低いことにより限定される。この理由のため、D‐AAの利用効率は、L−アイソマーのモル濃度に基づき、アミノ酸およびその種に応じて20〜100%の範囲となり得る。
アラニン
アラニンは、グルコース−アラニンサイクルの一部として、BCAAおよびピルビン酸塩から筋細胞中で合成することができるため、グルコース生成非必須アミノ酸である。これは、肝臓外細胞(免疫細胞を含む)および組織が使用するために、遠位の肝臓でグルコースを産生するためにタンパク質貯蔵部位からからエネルギーを遊離させる、厳密に制御された工程を伴う。この結果としての糖新生の刺激により、絶食時にグルコースの形態でエネルギー供給源が提供される。アラニンは、肝臓での糖新生を通してタンパク質による利用可能なエネルギーの産生および生成のため、筋肉でのBCAAの利用の均衡を保つための非常に感受性のある中間体となる。さらに、アラニンによる糖新生の誘導は、筋肉、肝臓、および免疫細胞に限定されることなく、多くの組織の機能を支援するために不可欠である。しかしながら、単純な中間体として作用するのみならず、アラニンは、このエネルギー収支において鍵となる酵素、ピルビン酸塩キナーゼの活性をも直接調節する。アラニンは、糖新生を開始するため、そのリン酸化を促進し、解糖を遅らせ、かつホスホエノールピルビン酸(PEP)へのピルビン酸塩の逆反応を駆動することにより、ピルビン酸塩キナーゼの阻害能を有する。
高アラニン
絶食状態で起こるATP産生基質の欠乏は、エネルギー供給源を提供するために、リソソーム中の細胞内タンパク質のオートファジーおよび代謝回転をもたらし得る。アラニンを含む低レベルの糖原性アミノ酸は、肝臓のオートファジーを刺激することにより、肝機能の低下をもたらし得る。
β細胞は、高脂肪食を供給する場合、血漿中グルコース濃度を上昇させるように身体が反応する際のインスリン産生およびタンパク質の代謝回転の需要の増加に対する応答としてオートファジーの増加を示す。肥満においてこのようにインスリン産生の増加へと向かって進むことは、糖尿病前症の初期マーカーであり、インスリン抵抗性の指標であり、最終的に過体重の個体において糖尿病の発症をもたらす島β細胞の機能性を悪化させるリスク因子である。栄養素を介してアラニンレベルを調節できることは、過体重の個体のインスリン代謝障害を乱すよう、肝臓およびβ細胞のオートファジーをシフトさせるための強力なレバーを提供し得る。
アラニンは、直接βアラニンを生成し、これは、パントテン酸(ビタミンb5)、コエンザイムA、およびカルノシン(またはその律速前駆体)の生合成にとって重要である。カルノシン、ならびに他のβアラニン由来のジペプチド(タンパク質に組み込まれていない)カルシニン、アンセリン、およびバレニンは、筋組織で抗酸化剤の緩衝剤として作用し、I型およびII型筋線維において最大20%の緩衝能を構成する。この緩衝作用は、グリコーゲンが乳酸に分解される際のあいだ、筋肉中の組織pHを維持するために重要である。大学の運動選手での体重の減少/増加の試験で、βアラニンの補給が、体重減少の際の除脂肪量の喪失を防止することが示され、プラセボと比較して体重増加の際に除脂肪量が大きく増加する。またβアラニンは、疲労の減少および筋肉の作業量の増加にも関与している。
カルノシンは、抗酸化剤および遷移金属イオン封鎖剤である。これは、終末糖化産物(AGE)の形成を阻害することにより抗糖化剤として作用する。AGEは、糖尿病性の脈管構造に多く存在し、粥状動脈硬化の発症の原因である。様々な細胞タイプでのAGEの存在は、細胞外および細胞内両方の構造および機能に影響を与える(Golden, A. et. al. Advanced Glycosylation End Products, Circulation 2006)。同様に、脳でのAGEの蓄積は、老化および退化、特にアルツハイマー病の特徴である。AGEの蓄積は、タンパク質の架橋、酸化ストレス、および神経細胞死などのアルツハイマー病の多くの神経病理学的および生化学的な特徴を説明するものである。抗酸化および抗糖化の特性が組み合わさっているため、カルノシンは、細胞の酸化ストレスを減少させ、かつ活性酸素種および活性窒素種の細胞内形成を阻害することができる。
低アラニン
肥満および糖尿病の状態で、動物は、肝臓のオートファジーの低減を示し、これによりインスリン抵抗性が増加することが示されている。オートファジーは、ERおよび細胞のホメオスタシスの維持に重要であり、ストレスがかかるとインスリン感受性の低下を引き起こし得る。動物モデルで高脂肪食を与えることにより、ERにストレスがかかり、mTORC1の過剰刺激を介して肝臓のオートファジーが減少し、糖尿病におけるインスリン感受性低下β細胞機能に向かう進行を強化する。全身性アラニンのレベルの低下は、mTORC1活性を低下させて、オートファジーの健常なレベルを回復させるための機会を提供する。
アルギニン
アルギニンは、グルコース生成性の非必須アミノ酸であり、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン、およびプロリンを介して合成できる。アルギニンは、グルタミン酸塩、グルタミン、およびアスパラギン酸塩の酸化を介して哺乳動物の小腸により産生され、オルニチン、シトルリン、アルギニン、およびアラニンを生成する、またアルギニンは、腸細胞でのプロリンの活性分解からプロリンオキシダーゼ経路を介して産生される(オルニチンおよびシトルリンと共に)。アルギニンは、腎臓における腸細胞および一部の内皮細胞(白血球および平滑筋)により血中に放出されたシトルリンから変換される。新生児は、全身性の放出よりもアルギニンの合成のために小腸で遊離シトルリンの大部分を局所的に利用する。アルギニンおよびプロリンの酸化は、他の組織を超えたピロリン−5−カルボン酸デヒドロゲナーゼの活性の低下により、粘膜に限定される。
高アルギニン
シトルリンは、NOSファミリーにより触媒される反応の副産物としてアルギニンから産生される。アルギニンまたはシトルリンの栄養補助食品は、メタボリックシンドロームのリスク因子である、グルコース、ホモシステイン、および非対称性ジメチルアルギニンの血漿中レベルを低下することが知られている。L−シトルリンは、おそらくは血管の緊張および内皮機能に及ぼす影響により、筋肉からの乳酸の除去を促進する。また近年の研究から、スイカの果汁由来のL−シトルリンは、運動からの回復の度合いを大きくし、翌日の苦痛を少なくすることが示されている。また、L−シトルリンを遊離型で送達すると、スイカの果汁(高レベルのL−シトルリンを含む)よりも、in vitroでの細胞中への取り込みが少なくなるように思われる。これは、改善した効率で、内皮膜でeNOSによってシトルリンに変換するために筋肉組織の中へアルギニンを輸送できる、ペプチド用量を送達する機会を示唆するものである。
アルギニンは、多くのシグナリング経路に関与し、一酸化窒素(NO)の直接的な前駆体としての機能性の高いアミノ酸であり、組織間の全身性のシグナリングならびに栄養素の代謝および免疫機能の調節のあいだを促進する。NOは、正常な内皮の機能、および心血管の健康(血管緊張、血行動態、および血管新生を含む)にとって重要である。アルギニンは、β細胞の形質膜を直接脱分極することによってインスリン分泌を刺激し、Ca2+の流入およびその後のインスリンのエキソサイトーシスをもたらす。
アルギニンの補給は、I型およびII型の糖尿病モデルの心血管機能の指標である、内皮依存的な弛緩を改善することが示された。注目すべきことに、アルギニンの補給により、Zucker糖尿病ラットおよび食事性肥満ラットにおいて、白色脂肪組織が減少するが、褐色脂肪量が増加した。アルギニンおよび/またはその代謝物は、褐色脂肪細胞の増殖、分化、および機能を増強し得る。さらに、骨格筋の質量および全身のインスリン感受性の両方が、筋肉でのmTORおよびNOのシグナリングの増加を含む機構を介して、アルギニンの補給に応答して高まった。驚くべきことに、アルギニンの長期間の経口投与により、II型糖尿病の肥満のヒトの成年で脂肪量が減少した(Lucotti et al 2006)。さらに、従来のトウモロコシおよびダイズが主成分の飼料にアルギニンを補給することにより、肥育豚の全身の脂肪沈着が低減し、タンパク質沈着が促進した。ヒトの小規模のパイロット試験のデータから、肥満およびインスリン非依存型糖尿病(NIDDM)におけるインスリン媒介性血管拡張の欠損が、静脈内のLアルギニンにより正常化でき、またLアルギニンは、健常な対象、肥満患者、およびNIDDMの患者のインスリン感受性をも改善することが示され、このことはインスリン媒介性血管拡張の回復とは異なる潜在的な機構を示唆している。さらに、Lアルギニンの長期的な投与は、II型糖尿病患者におけるグルコースのレベル、インスリン誘導性の肝臓でのグルコースの産生、およびインスリン感受性を改善した(Piatti et al 2001)。アルギニンを多く含むペプチドは、今まで単離されておらず、試験されていない。
高用量のアミノ酸の投与(食事中で利用できる量の10×20倍、または1〜3g/kg体重で静脈内投与または経口経路を介して20分かけて投与)は、内分泌細胞を介して腸からのホルモン分泌を刺激することができる。アルギニンは、インスリン、成長ホルモン、プロラクチン、グルカゴン、プロゲステロン、および胎盤性ラクトゲンの全身性の放出を刺激できる、十分に研究された分泌促進物質である。この生物学は、消化の生物学および腸管に存在する栄養素の吸収の両方に影響を与え、ならびに内分泌ホルモンにより媒介される満腹シグナルの引き金となることによりエネルギー収支に影響を与える。これらのホルモンの調節能は、肥満などの代謝性障害でカロリー摂取を減少させるため、またあるいは筋消耗性のサルコペニアおよびカヘキシーにおいて食欲を引き起こすため、ならびに糖尿病の発症においてインスリン感受性をシフトさせることによる、治療機会を提供する。
アルギニンは、細胞特異的にmTOR1のリン酸化を刺激する重要なシグナリング分子である。これは、細胞タンパク質の代謝回転(オートファジー)を調節し、インスリン様増殖シグナルを、組織を全体のタンパク質合成開始と統合する。この生物学は、骨格筋の除脂肪組織量の生合成、病的状態の肥満およびインスリン抵抗性における代謝シフト、ならびに老化に直接関連している。またこれは、急速に生育する癌細胞が増殖するために乗っ取ることができる中心的なシグナリング経路でもある。
アルギニンに関して、ウイルス感染症および栄養障害などの異化状態の下で小腸におけるタンパク質合成レベルを増加させるという証拠があり、この場合アミノ酸のレベルは、正常な吸収後の状態から著しくシフトしている。さらに、アルギニンによる腸上皮細胞でのmTORの活性化が証明されたことは、タンパク質合成および細胞増殖を刺激することにより腸上皮を修復する機構を提供する。類似の同化シグナリングが、アルギニンの血漿中レベルの上昇に応答して筋細胞で観察されており、これにより全身および骨格筋のタンパク質合成が上昇する。アルギニンは、EAAの同化作用を支持するために十分なレベルで維持されるアミノ酸である。リジン、メチオニン、スレオニン、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、およびバリンは、これを12.7%の粗タンパク質食に添加しても、タンパク質合成および全身の成長の増加を支持することができないことが示されており、このことは、アルギニンを含む、同化媒介性の非必須アミノ酸の欠損を示唆するものである。
また、アルギニンは、脂肪酸貯蔵の代謝を刺激し、かつ脂肪組織量を減少させる、ミトコンドリアでの生合成および基質酸化に関連するタンパク質および酵素をアップレギュレートする。食事性アルギニンの補給は、カロリー摂取の増加によるインスリン抵抗性を罹患する肥満および前糖尿病性の集団に治療上の利点を提供する。同様に、ミトコンドリアでの生合成の刺激能は、老化、および機能的タンパク質の再生能、および酸化ストレスを受ける健常な細胞に直接的な関わりを有する。
食事性のタンパク質の欠乏は、必須と考えられていないにも関わらずアルギニンを含む大部分のアミノ酸の利用率を低減させることが確立されている。アルギニンの欠乏により、9日後に精子数が90%減少し、非運動性の精子の比率が10増加することが知られている。アルギニンの補給は、精液の中のアルギニン、プロリン、オルニチン、およびポリアミンなどの他のアルギニン代謝物のレベルを増加させ、精子の数および精子の運動性の増加に対応することが動物で例証されている。同様に、NOの合成およびポリアミン(を介する)の変化は、胎盤の成長速度がピークとなる妊娠中に観察され、これは、妊娠中の胎児発達におけるアルギニンの役割を示唆するものである。妊娠初期のあいだの子宮体液では、アルギニンのレベルも、胎児における特異的アミノ酸輸送体の発現に応答して減少する。妊娠初期のあいだの動物の食事へのアルギニンの補給により、胚生存および同腹仔の大きさの増加が示され、これにより、妊娠中の高レベルアルギニンの送達に重要な可能性があることが示される。
アルギニンは、NO産生(貪食細胞の殺傷能力を増強できる)、ホルモンの分泌促進活性、およびmTORの刺激に対する直接的な作用に基づき、免疫機能の増強に関する効果が広く研究されている。プロリンオキシダーゼによるプロリンの異化は、哺乳動物の胎盤および小腸で高レベルの活性を有することが知られている。この活性は、腸および胎盤の免疫においてアルギニンが重要な役割を果たすことを指摘さしており、この役割はいずれも、病原菌に細胞傷害性であるHの生成、およびアルギニンの合成を介する。重篤に損傷を受けた患者において、白血球数が、6日間のアルギニンを多く含む食事の後に急速に正常化し、10日後には正常なTNF応答に回復する(100%の改善)。アルギニンを多く含む(12.5g/Lのアルギニン)配合物対経腸製剤を試験した296名の外科手術、外傷、または敗血症の患者での臨床試験から、入院日数が著しく減少し(8〜10日)、主に後天性感染症の頻度が減少したことが示されている。アルギニンを多く含む(12.5g/Lのアルギニン)対経腸製剤を与えた181名の敗血症患者の別の臨床試験では、菌血症(8%対22%)、院内感染(6%vs20%)が著しく減少したことが示される。
またアルギニンは、コラーゲンの合成の鍵となる基質でもある。アルギニンの経口補給により、健常な対象の創傷治癒およびリンパ球の免疫応答が高まる。対照に対してリンパ球の増殖が増加したことに加えて、2.4倍のコラーゲン沈着の増加が創傷部位で観察された(24nmol/cm対10.1nmol/cm)。
アルギニンは、N−アセチルグルタミン酸シンターゼのアロステリック性活性因子であり、この酵素は、グルタミン酸塩およびアセチルCoAをミトコンドリア中でN−アセチルグルタミン酸塩に変換する酵素である。これにより、肝臓の尿素回路はアンモニアの解毒に有用な活性状態へと向かう。このことは、アルギニンを低用量で含む栄養素の食事による送達は、血液循環から尿素を排出することが難しい腎臓疾患の観点から有用であり得ることを意味する。組織の異化を防止するためのタンパク質摂取制限を維持することが可能でありつつ、利用可能な窒素供給源からの尿毒症を制限するためにアルギニンを除去することは、腎臓疾患の破壊的な栄養上の結末に対する新規の戦略である。
アルギニンは、GTPシクロヒドロラーゼIの活性、NO合成のためのテトラヒドロビオプテリン(THB)の遊離、および芳香族アミノ酸ヒドロキシラーゼ(AAAH)による芳香族アミノ酸(ArAA)のヒドロキシル化をアップレギュレートする。この理由のため、THBの細胞レベルを上昇させるための高レベルのアルギニンの送達は、CNSの毛細血管内皮細胞における多くの神経伝達物質の生合成を刺激する。ArAAは、メラトニン、ドーパミン、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)、およびエピネフリン(アドレナリン)を含む、モノアミン神経伝達物質の生合成の前駆体として作用する。
低アルギニン
過度のアルギニン摂取は、血中の高レベルのNO産生を刺激し、細胞の酸化損傷およびアポトーシスを引き起こし得る。
アルギニンの過剰および欠乏は、哺乳動物の肝細胞での全体的な遺伝子発現に影響を与える。欠乏により、in vitroのモデルを使用して1419個の遺伝子の発現が有意に(p<0.05)変化し、、このうち56個の遺伝子が、9元配置バイオインフォマティクス解析(9−way bioinformatics analysis)を使用して少なくとも2倍の変動を示した。多数の生育、生存、ならびにGADD45、TA1/LAT1、およびカスパーゼ11および12などのストレス関連遺伝子を含む、その大部分は発現が増加する。多くが、管腔のERのストレス応答に関連する。LDLrは、コレステロールおよびステロイドの生合成の制御因子であり、同様にアルギニンの欠乏に応答して調節された。遺伝子発現に影響を与えるアルギニンと一致して、食事性アルギニンの補給は、脂肪組織および小腸組織において、抗酸化性遺伝子をアップレギュレートし、炎症誘発性の遺伝子の発現を低下させる。
低レベルのアルギニンにより、神経伝達物質の生合成が阻害され、これは躁病、パーキンソン、およびジスキネジアなどの適応において臨床的な有効性を示している。
アスパラギン
アスパラギンは、グルコース生成型の非必須アミノ酸であり、この前駆体はオキザロ酢酸塩(OAA)であり、トランスアミナーゼ酵素によりグルタミンおよびアスパラギン酸塩を介して合成される。アスパラギンは、リンパ芽球などの一部の腫瘍細胞の機能に使用されている。
アスパラギンは、典型的に、タンパク質のαへリックスの末端に位置しており、炭水化物の鎖を付加するための重要なN結合グリコシル化部位を提供し、これにより、アミノ酸摂取に対する免疫応答に影響を与える。
アクリルアミド(Acyrlamide)は、アスパラギンと、多くの植物由来の食品中のグルコースおよびフルクトースのカルボニル基とのあいだの熱誘導反応により形成される。アクリルアミドは、細胞傷害性であり得て、遺伝子変異を引き起こし、一般的に食品の品質に影響を及ぼし得る酸化剤である。低レベルのアスパラギンを含む組成物は、調理または非冷蔵の保存条件に供され得る食品生成物をより安全にするために有用である。
アスパラギン酸塩
アスパラギン酸塩は、トランスアミナーゼ酵素により、オキザロ酢酸塩(OAA)前駆体を介して合成されるグルコース生成型非必須アミノ酸である。尿素回路の一部として、アスパラギン酸塩は、放出したフマル酸塩がリンゴ酸塩に変換され、その後OAAに再循環するように、オルニチンおよびシトルリン(またはアルギニン)から産生することもできる。アスパラギン酸塩は、イノシンの合成において、プリン生合成の前駆体である窒素原子を提供する。またアスパラギン酸塩は、βアラニンの合成にも関与している。アスパラギン酸塩は、小腸の腸細胞で酸化し、窒素系産物のオルニチン、シトルリン、アルギニン、およびアラニンをもたらす。
アスパラギン酸塩は、NMDA受容体(グルタミン酸塩受容体)のアゴニストであり、多くの細胞シグナリング経路のセカンドメッセンジャーとしてCa2+を放出する。統合失調症に関わるドーパミン作動神経およびグルタミン作動神経の異常が存在し、ここでは、NMDAアンタゴニストは、統合失調症のいくつかの陽性および陰性の症状を模倣しつつ、ドーパミンアゴニストよりも脳損傷のリスクが低い。ケタミンおよびPCPは、たとえば、統合失調症で観察されるものと類似の表現型を生じ、PCPは、あまり代表的でない症状を示すが、それでもなお類似の脳構造の変化を示す。グルタミン酸塩受容体は、統合失調症の発症に関与する機能を増加させている。シナプス前グルタミン酸塩受容体に対するシナプス後グルタミン酸塩受容体の比率の増加により、グルタミン酸塩のシグナリングの増加がもたらされる。NMDA受容体の刺激および拮抗はいずれも、MOAおよび受容体の特異性に応じて、アルツハイマー型認知症を処置する際に一部で有益であることが示されている。よって、NMDAアゴニスト活性としての、高レベルまたは低レベルのアスパラギン酸塩を含むタンパク質の送達は、この患者集団のための治療となり得る。低レベルのアスパラギン酸塩を含むタンパク質は、メマンチンなどのNMDAアンタゴニストと共に相乗的な利点を提供する可能性がある。同様に、LY2140023の臨床試験は、グルタミン酸塩に基づく処置を、キセノケミカル抗精神病薬(xenochemical anti−psychotics)で見られる副作用がなく、統合失調症を処置する可能性を有することを証明した。抗精神病薬とコアゴニストのグリシンを組み合わせた類似の試験では、症状の改善が示され、高用量のアスパラギン酸塩の送達、同様にNMDAのアゴニストの送達は、この患者集団に類似の治療上の利益をもたらすことが示された。
アスパラギン酸塩は、3.9の低いpKaを有する酸性アミノ酸である。メチルエステルを介したフェニルアラニンとのジペプチド型のアスパラギン酸塩は、アスパルテームをもたらし、これは市販の人口甘味料として使用されている。
システイン:
システインは非必須アミノ酸であり、ホモシステインから合成され、これはメチオニンの代謝物からそれ自体が合成される。セリンは、ホモシステインと縮合してシスタチオニンを形成することによってシステインの合成に関与する。次いで、シスタチオニンが脱アミノ化および加水分解されて、システインおよびαケト酪酸塩を形成する。システインの硫黄はホモシステインに由来するが、この分子の残りは、最初のセリン残基に由来する。システインの生合成は、植物および原核生物では異なる機構を介して起こる。システインは、タンパク質のフォールディングにおいて重要な役割を担うことから、重要なアミノ酸である。システイン残基のあいだに形成されるジスルフィド結合は、タンパク質の3次構造および4次構造を安定化させるのに役立ち、これらのジスルフィド結合は、タンパク質が細胞の内部で見出されるより酸化的条件に曝露される分泌タンパク質では最も一般的である。ホモシステインは有益であるにも関わらず、全身性のレベルが高いホモシステインは、心血管疾患を発症するリスク因子である。ホモシステインの増加は、シスタチオニンβシンターゼの遺伝的な欠損により引き起こされる場合があり、過剰なメチオニン摂取でも引き起こされる場合がある。食品中のメチオニンの摂取の制御、ならびに葉酸およびビタミンB12の補給の制御は、ホモシステインのレベルを低下させるために使用されている。さらに、システインの利用率は、グルタチオニンの合成を限定する鍵となる要因であるため、システインの前駆体である、N−アセチル−システインを食事に補給することは、幅広い範囲の疾患状態において免疫を高めるために非常に有効である。
システインは、迅速な酸化を受けてシスチンとなる。これは、グルタチオニンの生合成を促進し、活性酸素種(ROS)、フリーラジカルなどの不安定な分子に還元当量を供与できる強力な抗酸化剤である。酸化種を還元した後、別の活性グルタチオニンを含むグルタチオニンスルフィドを形成でき、これは細胞から酸化ストレス誘導分子を枯渇させる機構を提供できる(肝臓は、最大5mMの濃度を維持できる)。グルタチオニンは、肝臓の中の毒素の強力な中和剤であり、毒素の損傷作用から肝臓を保護するために役立つ。さらに、この解毒能は、筋力虚弱を減少させるために役立ち、髪の脆弱化を予防し、かつこれらの毒素に関連する照射から保護する。結果として、グルタチオンは、化学物質アレルギーを罹患しているか、高レベルの大気汚染に曝露されている対象に有益である。グルタチオニンはまた、iNOCの補因子であり、arg−NO経路でのNOの合成を最大にする。NOは、正常な内皮の機能および心臓血管の健康(血管緊張、血行動態、血管新生)にとって重要である。
グルタチオニン(glutatithionine)の前駆体であることに加えて、システインは、H2Sの前駆体であり、これは内皮依存性の弛緩を誘導でき、システインスルフィン酸へとさらに変換できる。システインスルフィン酸(Cysteine sulfunate)は、タウリンに変換することができ、これは、メチオニンの取り込みを減少させる能力を有する。メチオニンが過剰になると、ホモシステインはメチオニンとシステインとのあいだの中間体であるため、高ホモシステイン血症を誘導することによりアテローム性動脈硬化症の発症リスクが増大する。しかしながら、システインが、直接、またはメチオニンの減少を介して、ホモシステインを減少させるか否かはわかっていない(Sebastiaan Wesseling, et al., Hypertension. 2009; 53: 909−911)。
さらに、システインは、アルギニン−NO経路を調節するタウリンの前駆体である。タウリンは、いくつかの潜在的な保護作用を有する。第1に、タウリンは、次亜塩素酸塩に結合することにより酸化ストレスを低減する能力を有する。タウリンは、ミトコンドリア転位RNAに接合し、その際、ミトコンドリアのスーパーオキシドの形成を防止するとの仮説がある。さらに、タウリンは、血管平滑筋細胞の小胞体のホモシステイン誘導ストレスを阻害し、よって、細胞外のスーパーオキシドジスムターゼの発現および分泌を回復する。
グルタミン酸塩
グルタミン酸塩は、小腸の腸細胞で酸化して、窒素生成物の、オルニチン、シトルリン、アルギニン、およびアラニンを生成する。またグルタミン酸塩は、アルギニン−NO経路を調節する。NOは、正常な内皮の機能および心血管の健康(血管緊張、血行動態、血管新生を含む)にとって重要である。
高グルタミン酸塩
絶食状態で起こる、ATP産生基質の欠乏は、リソソーム内の細胞内タンパク質のオートファジーおよび代謝回転を引き起こして、エネルギー供給源を提供できる。グルタミン酸塩を含む、低レベルの糖原性アミノ酸は、肝臓のオートファジーを刺激し、それによって肝機能の分解を引き起こし得る。
シトルリンは、NOSファミリーにより触媒される反応の副産物として、グルタミン酸塩から産生される。シトルリンの食事性栄養補助食品は、メタボリックシンドロームのリスク因子である、グルコース、ホモシステイン、および非対称性ジメチルアルギニンの血漿中レベルを低下させることが知られている。L−シトルリンは、おそらくは血管緊張および内皮機能に関する作用により、筋肉からの乳酸の除去を促進する。また近年の研究では、スイカの果汁由来のL−シトルリンにより、運動からの回復が顕著になり、翌日の痛みが少なくなることが示されている。また、遊離型としてL−シトルリンを送達すると、スイカの果汁(高レベルのLシトルリンを含む)よりもin vitroの細胞内への取り込みがより少ないように思われる。これは、改善された効率で、内皮膜でeNOSによってシトルリンに変換するため、筋組織の中にアルギニンを輸送することのできるペプチド用量を送達する機会を示唆するものである。
グルタミン酸塩は、グルタチオンの生合成を促進し、これは、活性酸素種(ROS)およびフリーラジカルなどの不安定な分子に還元当量を供与できる。酸化種を還元させた後、これは、別の反応性グルタチオンとグルタチオンジスルフィドを形成することにより、細胞から酸化ストレス誘導分子を除去する機構を提供できる(肝臓で最大5mMの高濃度を維持する)。グルタチオンはまた、iNOSの補因子でもあり、arg−NO経路においてNOの合成を最大にする。
コアゴニストのグリシンまたはセリンと共にグルタミン酸塩は、NMDA受容体のアゴニストであり、多くの細胞シグナリング経路のセカンドメッセンジャーとしてCa2+を放出する。統合失調症に関わるドーパミン作動神経およびグルタミン作動神経の異常が存在し、NMDAアンタゴニストは、統合失調症のいくつかの陽性および陰性の症状を模倣しつつ、ドーパミンアゴニストよりも脳損傷のリスクが低い。統合失調症に関わるドーパミン作動性およびグルタミン作動性の異常が存在し、ここでは、NMDAアンタゴニストは、統合失調症のいくつかの陽性および陰性の症状を模倣しつつ、ドーパミンアゴニストよりも低い脳損傷のリスクを保有する。ケタミンおよびPCPは、たとえば、統合失調症で観察されるものと類似の表現型を産生し、PCPは、あまり代表的でない症状を示すが、それでもなお類似の脳構造の変化を示す。グルタミン酸塩受容体は、統合失調症の発症に起因する機能を増加させる。シナプス前グルタミン酸塩受容体に対するシナプス後グルタミン酸塩受容体の比率の増加により、グルタミン酸塩のシグナリングの増加がもたらされる。NMDA受容体の刺激および拮抗はいずれも、MOAおよび受容体の特異性に応じて、アルツハイマー型認知症を処置する際に何らかの利益があることが示されている。よって、NMDAアゴニスト活性としての、高レベルまたは低レベルのグルタミン酸塩を含むタンパク質の送達は、この患者集団のための治療であり得る。低レベルのグルタミン酸塩を含むタンパク質は、メマンチンなどのNMDAアンタゴニストと共に相乗的な利点を提供する可能性がある。同様に、LY2140023の臨床試験は、グルタミン酸に基づく処置を、キセノケミカル抗精神病薬(xenochemical anti−psychotics)で見られる副作用がなく、統合失調症を処置する可能性を有することを証明した。抗精神病薬とコアゴニストのグリシンを組み合わせた類似の試験では、症状の改善が示され、高用量のアスパラギン酸塩の送達、同様にNMDAのアゴニストの送達は、この患者集団に類似の治療上の利益をもたらすことが示唆される。
低グルタミン酸塩
グルタミン酸塩およびアセチルCoAは、ミトコンドリアの中でN−アセチルグルタミン酸塩に変換される。これにより、肝臓の尿素回路は、アンモニアの解毒に有効な活性状態に向かう。このことは、低用量のグルタミン酸塩を含む栄養素を食事によって送達することが、患者が血液循環から尿素を排出することが困難である腎疾患において有用であり得ることを意味する。組織の異化を防止するためにタンパク質摂取制限を維持することが可能でありながら、利用可能な窒素供給源から尿毒症を制限するためにグルタミン酸塩を除去することは、腎疾患の破壊的な栄養上の結末に対する新規の戦略である。
グルタミン
グルタミンは、小腸の腸細胞の中で酸化し、窒素生成物のオルニチン、シトルリン、アルギニン、およびアラニンをもたらす。
シトルリンは、NOSファミリーにより触媒される反応の副産物としてグルタミンから産生される。シトルリンの食事性栄養補助食品は、メタボリックシンドロームのリスク因子である、グルコース、ホモシステイン、および非対称性ジメチルアルギニンの血漿中レベルを低下させることが知られている。L−シトルリンは、おそらくは血管緊張および内皮機能への影響により、筋肉からの乳酸の除去を促進させる。また近年の研究では、スイカの果汁由来のL―シトルリンが、運動からの回復を顕著なものにし、翌日の痛みを軽減することも示されている。また、遊離型としてL−シトルリンを送達すると、スイカの果汁(高レベルのL−シトルリンを含む)よりもin vitroでの細胞への取り込みが少ないように思われる。このことは、改善された効率で、内皮膜でeNOSによるシトルリンへの変換のために、筋肉組織の中へアルギニンを輸送できるペプチド用量を送達する機会を示唆している。
高グルタミン
グルタミンは、β細胞、成長ホルモン、プロラクチン、グルカゴン、プロゲステロン、および胎盤性ラクトゲン由来のインスリンの全身への放出を刺激することができる、十分に研究された分泌促進物質である。またグルタミンは、循環中のグルココルチコイドおよびストレスホルモンを減少させることも示されている。この生物学は、腸に存在する栄養素の消化生物学および吸収の両方に直接関係しており、ならびに内分泌ホルモンにより媒介される満腹シグナルの引き金となることによりエネルギー収支に影響を与える。これらホルモンの調節能は、肥満などの代謝性障害においてカロリー摂取を減少させ、またはあるいは、筋肉の消耗、筋肉減少症、およびカヘキシーにおいて食欲の引き金となり、ならびに糖尿病の発症においてインスリン感受性をシフトさせることによってため治療機会を提供する。
食事性グルタミンの補給は、脂肪組織および小腸組織において、抗酸化性遺伝子をアップレギュレートし、炎症誘発性遺伝子の発現を低下させる。
グルタミンは、細胞特異的にmTOR1のリン酸化を刺激するための重要なシグナリング分子である。これは、細胞タンパク質の代謝回転(オートファジー)を調節し、インスリン様成長シグナルを組織全体のタンパク質合成開始と統合する。この生物学は、骨格筋の除脂肪組織量の生合成、病的状態の肥満およびインスリン抵抗性における代謝のシフト、ならびに老化に直接関連している。
グルタミンは、EAAの同化作用を支援するために十分なレベルで維持されているアミノ酸である。リジン、メチオニン、スレオニン、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、およびバリンは、これを12.7%の粗タンパク質食に添加しても、タンパク質の合成および全身の成長の増加を支持することができないことが示されており、このことは、グルタミンを含む、同化媒介非必須アミノ酸の欠乏を示している。
グルタミンは、ピログルタミン酸塩にゆっくりと環化される。グルタミンは、腸細胞、リンパ球、マクロファージ、および腫瘍を含む、迅速に分裂する細胞のための好ましい燃料供給源である。食事へのグルタミンの補給は、外科手術、重症疾患、熱傷、および感染症における腸の完全性および免疫機能において顕著に証明された利益を有する。12日間のグルタミンの補給(0.35g/kg)の熱傷損傷試験から、腸の透過性の低減、内毒素レベルの低下、および入院日数の短縮が示された。これは、ラクツロース/マンニトールの比率の、8.8倍の減少対5.5倍の減少をもたらし、それによって入院日数が3日および6日間短縮した。外科手術を待っている栄養不良患者の、2週間のグルタミンの完全非経口栄養(TPN)(0.23g/kg)対グルタミンを含まないTPN試験は、グルタミンを含まない群で、腸の透過性が増加したことを示した。これは、2週間後のラクツロース/マンニトールの比率の3.6倍対0.81倍の増加をもたらした。これらの改善は、腸の免疫を改善し、菌血症を低減させるために、診療所で高レベルのグルタミンを送達する機会を指摘するものである。
またこれは、入院のあいだに、全身的にリンパ球数を改善し、感染性の合併症を低減する。重篤な熱傷を有する患者にグルタミンを補給(退院まで26g/日)する試験は、標準的な完全経腸栄養(TEN)対グルタミンを多く含む栄養において、3倍以上の高頻度の血液培養陽性を示し、死亡率を有意に減少させることを示している。さらに、グルタミンを補給することにより、リンパ球の数および機能の増加、HGHの増加、感染性合併症の減少、入院日数の減少、有病率の減少、死亡率の減少、および腸透過性の減少が示される。
グルタミンの筋肉内レベルは、ストレス、熱傷、損傷、および敗血症などの異化状態の下で減少する。この減少は、除脂肪組織中の正味の負電荷タンパク質をもたらす。骨格筋へのグルタミンの投与は、in vitroでの分解を阻害しつつ、タンパク質の合成を増加させることが示されている。さらに生理学的な濃度(1mMのグルタミン)から最大15倍高い濃度までの用量依存性が骨格筋で観察されている。この作用は、小腸から採取した粘膜の細胞でさらに例証された。
分枝鎖アミノ酸はすべて、グルタミン合成のための代謝基質であり、胎児のグルタミンの供給源を提供し、胎盤および胎児の成長を増強し、このことは、哺乳動物の同化に関する作用の媒介におけるグルタミンの役割を示唆するものである。さらに、グルタミンのレベルおよび血漿からの利用時期は、ロイシンの細胞の取り込み、およびその後のmTOR活性化のプロファイルに影響を与えることが示されている。細胞内のグルタミンの増大は、グルタミン/ロイシンのアンチポーター、SLC7A5を介したロイシンの取り込みに使用されている。In vitroでのロイシンと等しい比率でグルタミンを投与すると、mTORを介したタンパク質合成をより持続して刺激することになり、これにより、ロイシン投与前にグルタミンで細胞をプライミングすると、より迅速で、なおかつ一過性のmTORの活性化をもたらす(Nicklin, P. et. al. Cell 2009)。
絶食状態で起こる、ATP産生基質の欠乏は、リソソームの中の細胞内タンパク質のオートファジーおよび代謝回転を引き起こして、エネルギー供給源を提供することができる。グルタミンを含む低レベルの糖原性アミノ酸は、肝臓のオートファジーを刺激することにより、肝機能の分解を引き起こし得る。
低グルタミン
mTORは、腫瘍形成性細胞がグルタミンを選択的に取り込むことによって、急速に生育する癌細胞が増殖するために乗っ取ることができる中心的なシグナリング経路であり、発癌性の細胞の好ましいグルタミンの取り込みにより明らかとなっている。
グリシン
絶食状態で起こるATP産生基質の欠乏により、リソソーム中の細胞内タンパク質のオートファジーおよび代謝回転をもたらすことによりエネルギー供給源を提供することができる。グリシンを含む低レベルの糖原性アミノ酸は、肝臓のオートファジーを刺激し、肝機能の分解を引き起こし得る。
グリシンは、活性酸素種(ROS)およびフリーラジカルなどの不安定な分子に還元当量を供与することができる、グルタチオンの生合成を促進する。酸化種の還元後、グリシンは、別の反応性グルタチオンとグルタチオンジスルフィドを形成でき、これにより、細胞から酸化ストレス誘導分子を除去する機構を提供する(肝臓で最大5mMの高濃度を維持する)。またグルタチオンは、iNOSの補因子でもあり、arg−NO経路のNOの合成を最大にする。
ヒスチジン
ヒスチジンは、必須アミノ酸であり、カルノシンの前駆体である。カルノシンは、抗酸化剤であり、かつ遷移金属イオン封鎖剤である。これは、終末糖化産物(AGE)の形成を阻害することにより抗糖化剤として作用する。AGEは、糖尿病性の脈管構造で多く存在し、アテローム性動脈硬化症の発症の原因となる。様々な細胞タイプにAGEが存在することは、細胞外および細胞内の構造および機能に影響を与える(Golden, A. et. al. Advanced Glycosylation End Products, Circulation 2006)。脳でのAGEの蓄積は、老化および退化の特徴、特にアルツハイマー病の特徴である。AGEの蓄積は、タンパク質の架橋、酸化ストレス、および神経細胞死などのアルツハイマー病の多くの神経病理学的および生化学的な特性を説明している。抗酸化および抗糖化の特性が組み合わさっているため、カルノシンは、細胞の酸化ストレスを減少させることができ、活性酸素種および活性窒素種の細胞内形成を阻害することができる。
ヒスチジンは、抗酸化性、抗炎症性、および抗分泌性の特性を有する。ヒスチジンのイミダゾール環は、急性炎症性応答の際に細胞により生成される活性酸素種(ROS)の除去能を有する。ヒスチジンの投与は、細胞および組織の損傷に関与するサイトカインおよび増殖因子を阻害する。ヒスチジンの投与は、関節リウマチの処置に有益であり、重篤な関節リウマチの患者を有効に処置するために4.5gの毎日投与が用いられている。関節リウマチの患者は、血液からのヒスチジン除去が非常に迅速であることにより、血清中のヒスチジンのレベルが低いことが発見されている。また血漿中のヒスチジンの低いレベルは、慢性腎不全患者、肥満女性(酸化ストレスおよび炎症にも負の影響を与えている)、肺炎の小児患者、および喘息患者でも見出されている。ヒスチジンを補給することにより、インスリン抵抗性が減少し、BMIおよび脂肪量が低下することが示されている。ヒスチジンは、メタボリックシンドロームを伴う肥満の対象の炎症および酸化ストレスを抑制する。最後に、ヒスタミンの前駆体として、ヒスチジンは、血液および脳のヒスタミンのレベルを増加させる。低い血中ヒスタミンは、一部の躁病、統合失調症、銅の濃度が高くかつ機能亢進性のグループの精神病患者で見出されている。
転写調節に関与しているタンパク質の翻訳後修飾は、遺伝子を調節するために使用される機構である。この修飾は、特定の方法でタンパク質の機能を変化させることができる。修飾の一形態は、タンパク質のメチル化であり、これは最も多く起こるタンパク質の修飾のうちの1つである。タンパク質のメチル化は、遺伝子調節およびシグナル伝達を含む重要な生物学的機能を有している。ヒスチジンは、タンパク質の修飾、および究極的にはタンパク質メチルトランスフェラーゼによりS−アデノシルメチオニンから転移したメチル基を受容する、という点で遺伝子制御において役割を果たす(Young−Ho Lee and Michael R. Stallcup, Mol Endocrinol. 2009 April; 23(4): 425−433)。
ヒスチジンの補給は、アルツハイマー病、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、女性のメタボリックシンドローム、関節リウマチ、および様々な精神病態(躁病、統合失調症、銅の濃度が高い、機能亢進性のグループ)を含む、複数の疾患の処置に有益となり得る。さらに、タンパク質修飾におけるその役割により、ヒスチジンは、癌を含む遺伝子の調節解除からもたらされる疾患に立ち向かう手段を提供する。
低ヒスチジン
非荷電tRNAが、どのようにGCN2をアロステリックに活性化し、真核生物の多くの生合成経路と共に、脂質生合成およびタンパク質の合成に関連する下流の転写因子(以下に記載のSREBP−1c、eIF2a、およびGCN4p)のリン酸化をもたらすかに関する機構は理解されている。必須アミノ酸を欠いている食事は、食事の導入から数分以内にこのシグナリングを顕著に誘発する(Hao et. Al., science 2005)。SREBP−1cを介したシグナリングは、脂質生成に関連した遺伝子を抑制することにより、脂質貯蔵物の動員に対して劇的な効果を有することがin vivoで示されている。SREBP−1cは、肝臓の脂質合成、および脂肪肝表現型の生成能、ならびに内臓脂肪量の増加に対して特異的に作用することが知られている(Knebel, B. et. Al. Liver−Specific Expression of Transcriptionally Active SREBP−1c Is Associated with Fatty Liver and Increased Visceral Fat Mass. PLoS, 2012)。ヒスチジンを欠いているバランスの取れていない食事は、ヒスチジンを欠く1〜5.4%のアミノ酸混合物を補充された基本のカゼイン食を与えたラットにおいてGCN2をシグナリングすることが示されている。ヒスチジンの欠乏は、GCN2に対するその作用を介して、SREBP−1cに影響を及ぼし、肝臓(および脂肪肝表現型)の重量、脂肪組織の重量、コレステロール/トリグリセリドの含有量、および食物摂取に関する生理学的な測定値を減少させる。除脂肪量を維持しながら脂肪の質量を減少させることは、肥満、糖尿病、および心血管の健康などの分野に治療機会を提供する。
イソロイシン
イソロイシンはEAAであり、またBCAAでもある。イソロイシンは、肝疾患を罹患している患者の栄養状態を改善するために他のBCAAと併用して使用される。イソロイシンを含むBCAAは、代謝ストレスのあいだのあいだ、骨格筋の燃料供給源として作用し、タンパク質の合成を促進し、タンパク質の異化を抑制し、かつ、糖新生の基質として作用する。BCAA、具体的にはイソロイシンは、骨格筋で異化されており、L−アラニンおよびL−グルタミンの産生を刺激する。
BCAAは、安静時のヒトの筋肉において、タンパク質合成速度を増加させ、かつタンパク質分解速度を減少させることにより、タンパク質代謝に関して同化作用を有することが示されている。さらに、BCAAは、持久性運動後の回復時にヒトの筋肉において同化作用を有することが示されている。これらの作用は、mTORのリン酸化、ならびに70kD S6タンパク質キナーゼ(p70−kD S6)および真核生物性開始因子4E−結合タンパク質1の連続的活性化を介して媒介されている。P70−kD S6は、細胞周期の進行、細胞の大きさ、および細胞の生存を調節する役割で知られている。マイトジェンの刺激に応答したP70−kD S6の活性化は、リボソームの生合成をアップレギュレートし、細胞の翻訳能を高める(W−L An, et al., Am J Pathol. 2003 August; 163(2): 591−607; E. Blomstrand, et al., J. Nutr. January 2006 136: 269S−273S)。真核生物の開始因子の4E結合タンパク質1は、mRNAの5’末端へ40Sリボソームサブユニットを動員する複数のサブユニット複合体の制限性の構成要素である。p70 S6キナーゼの活性化、およびその後のリボソームタンパク質S6のリン酸化は、特定のmRNAの翻訳の亢進と関連している。
1セッションの四頭筋抵抗運動の際および運動後の対象にBCAAを投与すると、mTOR、p70 S6キナーゼの増加を示し、S6のリン酸化が、運動後の回復期間で見出された。しかしながら、Aktまたはグリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK−3)に関するこのようなBCAAの作用は認められなかった。BCAAを摂取することなく運動すると、酵素を活性化させずにp70 S6キナーゼの部分的なリン酸化がもたらされ、Aktリン酸化が減少し、およびGSK−3は変化しないままである。BCAAの注入はまた、安静時の対象で、Akt非依存的にp70 S6キナーゼのリン酸化を増加させる。このmTOR活性は、細胞タンパク質の代謝回転(オートファジー)を調節し、組織全体のタンパク質合成開始に対するインスリン様成長シグナルを統合する。この生物学は、骨格筋の除脂肪組織の生合成、病的状態の肥満およびインスリン抵抗性における代謝シフト、ならびに老化に直接関連している。
イソロイシンの補給を用いて、運動能力および筋肉の形成を改善し、老化に伴う筋肉の喪失を予防し、肝疾患を罹患している患者を支援し、小児の身体の成長を支援し、かつ、飢えている人々へ供給する食物の栄養の質を改善することができる。さらに、L−アラニンおよびL−グルタミンの前駆体として、イソロイシンは、顕著な代謝性シグナリング活性を媒介する。
低イソロイシン
肥満および糖尿病の状態では、動物は、肝臓のオートファジーの低減を呈し、これによりインスリン抵抗性が増加することが示されている。オートファジーは、ERおよび細胞のホメオスタシスの維持に重要であり、ストレスがかかる場合にインスリン感受性の低下を引き起こし得る。動物モデルで高脂肪食を与えることにより、ERにストレスがかかり、mTORC1の過剰刺激を介して肝臓のオートファジーが減少し、糖尿病におけるインスリン感受性低下β細胞機能に向かう進行を強化する。全身性イソロイシンのレベルの低下は、mTORC1活性を低下させて、オートファジーの健常なレベルを回復させるための機会を提供する。
非荷電のtRNAが、どのようにGCN2をアロステリックに活性化し、真核生物の多くの生合成経路と共に、脂質生合成およびタンパク質の合成に関連した下流の転写因子(以下に記載のSREBP−1c、eIF2a、およびGCN4p)のリン酸化をもたらすかに関する機構は理解されている。EAAを欠いている食事は、食事の導入から数分以内にこのシグナリングを顕著に誘発する(Hao et. Al., science 2005)。SREBP−1cを介したシグナリングは、脂質生成に関連する遺伝子を抑制することにより、脂質貯蔵物の動員に関して劇的な効果を有することがin vivoで示されている。SREBP−1cは、肝臓の脂質合成、および脂肪肝表現型の生成能、ならびに内臓脂肪量の増加に対して特異的に作用することが示されている(Knebel, B. et. Al. Liver−Specific Expression of Transcriptionally Active SREBP−1c Is Associated with Fatty Liver and Increased Visceral Fat Mass. PLoS, 2012)。イソロイシンの欠乏は、GCN2に対するその作用を介して、SREBP−1cに関して作用を有し、肝臓の重量(および脂肪肝の表現型)、脂肪組織の重量、コレステロール/トリグリセリドの含有量、および食物の摂取の生理学的な測定値を減少させる。除脂肪量を維持しながら脂肪の質量を減少させることは、肥満、糖尿病、および心血管の健康などの分野に治療の機会を提供する。
ロイシン
ロイシンは、必須アミノ酸であり、分枝鎖アミノ酸である。ロイシンを含む分枝鎖アミノ酸は、代謝ストレスの際の骨格筋の燃料供給源として作用し、タンパク質の合成を促進し、タンパク質の異化を抑制し、糖新生の基質として作用する。ロイシンを含むBCAAは、骨格筋で異化され、L−アラニンおよびL−グルタミンの産生を刺激する。ロイシンは、細胞のmTORシグナリングを介したタンパク質の代謝回転の調節および遺伝子発現において直接的な役割を果たし、ならびに、グルタミン酸デヒドロゲナーゼを活性化するために作用する。
BCAAは、安静時のヒトの筋肉において、タンパク質合成速度を増加させ、タンパク質分解速度を減少させることによりタンパク質の代謝に関して同化作用を有することが示されている。さらに、BCAAは、持久性運動後の回復時にヒトの筋肉で同化作用を有することが示されている。これらの影響は、mTORのリン酸化、ならびに70kD S6タンパク質キナーゼ(p70−kD S6)および真核生物性開始因子4E結合タンパク質1の連続的活性化を介して媒介される。P70−kD S6は、細胞周期の進行、細胞の大きさ、および細胞の生存を調節する役割で知られている。マイトジェンの刺激に応答したp70−kD S6の活性化は、リボソームの生合成をアップレギュレートし、細胞の翻訳能を亢進する(W−L An, et al., Am J Pathol. 2003 August; 163(2):591−607; E. Blomstrand, et al., J. Nutr. January 2006 136: 269S−273S)。真核生物性開始因子4E−結合タンパク質1は、mRNAの5’末端に40Sリボソームサブユニットを動員する複数のサブユニットの複合体の制限性の構成要素である。p70S 6キナーゼの活性化、およびその後のリボソームタンパク質S6のリン酸化は、特定のmRNAの翻訳の亢進と関連している。
1セッションの四頭筋抵抗運動の際および後にBCAAを対象に提供すると、mTOR、p70 S6キナーゼの増加を示し、S6のリン酸化は、運動後の回復期間で見出された。Aktまたはグリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK−3)に関してBCAAのこのような作用は存在しなかった。BCAAの摂取を用いない運動は、酵素を活性化させずにp70 S6キナーゼを部分的にリン酸化し、Aktのリン酸化を減少させ、GSK−3は変化させない。またBCAAの注入は、安静時の対象においてAkt非依存的にp70 S6キナーゼのリン酸化を増加させる。さらにロイシンは、細胞特異的にmTOR1のリン酸化を刺激するための主なシグナリング分子であると知られている。これは、細胞のタンパク質の代謝回転(オートファジー)を制御し、インスリン様成長シグナルを組織全体のタンパク質合成開始にと統合する。この生物学は、骨格筋の除脂肪組織量の生合成、病的状態の肥満およびインスリン抵抗性における代謝のシフト、ならびに老化に直接関連している。
ロイシンは、β細胞、成長ホルモン、プロラクチン、グルカゴン、プロゲステロン、および胎盤性ラクトゲン由来のインスリンの全身への放出を刺激できる十分に研究された分泌促進物質である。この生物学は、消化生物学および腸に存在する栄養の吸収の両方に関連しており、ならびに内分泌ホルモンにより媒介される満腹シグナルを誘発することによってエネルギー収支に影響する。これらのホルモンの調節能は、肥満などの代謝障害におけるカロリー摂取を減少させる、またはあるいは、筋消耗、サルコペニア、およびカヘキシーにおいて食欲を誘発する、ならびに糖尿病の発症におけるインスリン感受性をシフトさせるための治療機会を提供する。
ロイシンは、グルタミン酸塩と、αケトグルタル酸塩と、アンモニアとのあいだの可逆的な相互変換を触媒する酵素であるグルタミン酸デヒドロゲナーゼを活性化する。哺乳動物では、グルタミン酸デヒドロゲナーゼは、肝臓、腎臓、脳、および膵臓での活性レベルが高い。肝臓では、グルタミン酸デヒドロゲナーゼは、門脈周囲の肝細胞での尿素合成のためのアンモニアおよびアミノ酸の適切な比率を提供し、グルタミン酸デヒドロゲナーゼの反応は、平衡に近い状態であると思われる。さらに、グルタミン酸デヒドロゲナーゼは、中心静脈周囲の肝細胞の小さい辺縁部でのグルタミン合成のためにグルタミン酸塩を産生し、これにより、アンモニアまたはアンモニアスカベンジャーのためのいずれかの供給源として作用することが可能となることが示されている。腎臓では、グルタミン酸デヒドロゲナーゼは、アシドーシスを制御するためにグルタミン酸塩からアンモニアを産生するよう機能する(C. Spanaki and A. Plaitakis, Neurotox Res. 2012 Jan; 21(1):117−27)。
ロイシンの補給を使用して、運動能力および筋肉の形成を改善し、老化に付随する筋肉の喪失を予防し、肝疾患を罹患している患者を支援し、小児の身体の成長を支援し、および飢餓集団に提供する食物の栄養の質を改善することができる。さらに、ロイシンは、肝細胞での尿素の合成に重要な役割を果たしており、高アンモニア血漿を引き起こし得る状態を罹患する患者を処置するために投与され得る。最後に、ロイシンはアシドーシスを処置するために使用され得る。
低ロイシン
肥満および糖尿病の状態では、動物は、肝臓のオートファジーの減少を示し、それによってインスリン抵抗性が増加することが示されている。オートファジーはERおよび細胞のホメオスタシスの維持に重要であり、ストレスがかかると、インスリン感受性が低下し得る。動物モデルに高脂肪食を供給すると、ERにストレスがかかり、mTORC1の過剰刺激を介して肝臓のオートファジーが減少し、糖尿病におけるインスリン感受性低下β細胞機能に向かう進行が強化される。ロイシンの全身性レベルを低下することは、mTORC1の活性を低下させ、健常なレベルのオートファジーを回復する機会を提供する。
mTORは、急速に生育する癌細胞が増殖するために乗っ取ることができる中心的なシグナリング経路である。ロイシンの欠乏は、急速に生育する細胞が構成的なmTORの活性化を維持する能力を低減させ得る。
非荷電のtRNAが、どのようにGCN2をアロステリックに活性化し、真核生物の多くの生合成経路と共に、脂質生合成およびタンパク質の合成に関連した下流の転写因子(以下に記載のSREBP−1c、eIF2a、およびGCN4p)のリン酸化をもたらすかに関する機構は理解されている。EAAを欠いている食事は、食事の導入から数分以内にこのシグナリングの著しい引き金となる(Hao et. Al., science 2005)。SREBP−1cを介したシグナリングは、脂質生成に関連した遺伝子を抑制することにより、脂質貯蔵物の動員に関して劇的な効果を有することがin vivoで示されている。SREBP−1cは、肝臓の脂質合成、および脂肪肝表現型の生成能をもたらす特性、ならびに内臓脂肪量の増加に対して特異的に作用することが示されている(Knebel, B. et. Al. Liver−Specific Expression of Transcriptionally Active SREBP−1c Is Associated with Fatty Liver and Increased Visceral Fat Mass. PLoS, 2012)。ロイシンの欠乏は、GCN2に対するその作用を介して、SREBP−1cに影響を及ぼし、肝臓の重量(および脂肪肝の表現型)、脂肪組織の重量、コレステロール/トリグリセリドの含有量、および食物摂取の生理学的な測定値を減少させる。除脂肪量を維持しながら脂肪量を減少させることは、肥満、糖尿病、および心血管の健康などの分野に治療機会を提供する。
さらに、ロイシンの欠乏は、褐色脂肪組織(BAT)でのUCP1のアップレギュレーション、熱産生の直接的な測定、エネルギー消費量の増大(恐らくはBATの熱産生での増大による)、および白色脂肪組織(WAT)の脂肪分解の刺激による脂肪の質量の対応する減少を、直接示している。UCP1のアップレギュレーションは、食物の摂取、体重、腹部脂肪量、脂肪量の減少、および除脂肪量の維持をもたらす(Guo, F. The GCN2 eIF2alpha kinase regulates fatty−acid homeostasis in the liver during deprivation of an essential amino acid. Cell Metab., 2007)。
リジン
リジンは、適切な成長に重要であるEAAであり、カルニチンの産生に重要な役割を果たす。カルニチンは、心筋におけるエネルギーの産生に重要な役割を果たす4級アミンである。カルニチンは、ミトコンドリアへと遊離脂肪酸を運搬し、その際、心臓の酸化的代謝にとって好ましい基質を増加させる。さらに、カルニチンは、心室性不整脈をもたらし得る、虚血事象の際に起こる脂肪酸の蓄積を予防する。心筋のカルニチンのレベルは、虚血事象の際に迅速に減少し、カルニチンを外部から補給すると、不足している心筋のカルニチンのレベルを補充し、心臓の代謝機能および左心式の機能を改善する。さらに、4つの試験解析から、急性心筋梗塞(AMI)の後のL−カルニチンの補給が、プラセボと比較して、AMI後最初の1年での左心室の拡張を有意に低減させることが証明された。これは、AMI後の左心室の拡張の予防および心機能の保存が、心不全および死亡への進行の強力な予測因子となるため、重要である。さらに、カルニチンは、コレステロールの低下を支援し、これによりさらに心臓の健康状態を支援し、急性心筋梗塞の予防を支援する(James J. DiNicolantonio, et al., Mayo Clinic Proceedings, 2013; 88, 544−551)。
リジンの補給は、心臓の健康状態を支援するため、および虚血事象の際に心室性不整脈を予防するために有益である。さらに、リジンの補給は、心臓発作の患者が効果的に回復するのを支援し、左心室拡張を伴う患者の心臓発作の予防を支援する。同様に、リジンは、コレステロールのレベルが高い患者のコレステロールレベルを減少させるために使用できる。
リジンは、身体が、カルシウムを吸収し、尿で失われるカルシウムの量を減少するのを支援するために役立つ。骨の健康状態におけるカルシウムの役割により、リジンの補給は、骨粗しょう症に関連している骨喪失の予防に有益である。さらに、L−アルギニンおよびリジンの組み合わせは、骨形成細胞をより活性にし、皮膚、腱、および軟骨を含む骨および結合組織にとって重要な物質であるコラーゲンの産生を高める。
リジンの補給は、骨粗しょう症を罹患している患者、および骨粗しょう症を発症するリスクのある患者(高齢者、閉経後の女性、成長期の小児)に有益であり、コラーゲン産生に関するリジンの役割により化粧品に有益であり、かつ、運動選手の靭帯の完全性の改善に有益である。
リジンの欠乏は、疲労、悪心、眩暈、食欲喪失、激越、目の充血、成長の遅延、貧血、および生殖障害を引き起こす。
リジンは、定期的に摂取すると、口唇ヘルペスおよび性器ヘルペスの発生を予防かつ抑制するのを支援する。頻繁に再発するヘルペス感染症を伴う45名の患者に312〜1200mgのリジンを1回または複数回に分けて毎日投与すると、感染症から回復することおよび再発が抑制されることが証明された(Griffith R.S., et al., Dermatologica 1978;156:257−267)。これは、リジンが抗ウイルス作用を有し、アルギニンの活性を遮断することにより作用し、単純ヘルペスウイルス(HSV)の複製を促進することによるものである。組織培養試験では、ヘルペスウイルスの複製は、アルギニン/リジン比のアルギニンが高い場合、亢進される。しかしながら、、アルギニン/リジン比のリジンが高い場合、ウイルスの複製が抑制され、HSVの細胞病原性が阻害される(Griffith R.S., et al., Dermatologica 1978;156:257−267)。リジンの経口投与は、ウイルス疾患発生の重症度および持続時間を減少させるよりも、発生を予防するために有効である。
HSVに感染した患者のために食事にリジンを補給することは、口唇ヘルペスおよび性器疣贅の発生を抑制し、定期的に積極的に摂取する場合、発生の予防に非常に有益である。
リジンは、アルギニン−NO経路を調節する。NOは、正常な内皮の機能および心血管の健康(血管緊張、血行動態、血管新生を含む)にとって重要である。リジンは、L−アルギニン輸送の天然の阻害剤であり、哺乳動物の細胞において陽イオン性アミノ酸の主な運搬系である系yを介しての取り込みに関してL−アルギニンと競合する。過剰な一酸化窒素は、敗血症に関連する難治性低血圧の原因となり、NO合成の重要な成分であるアルギニンを阻害することからL−リジンの投与を妨害する可能性がある(K. G. Allman, et al., British Journal of Anaesthesia (1998)81:188−192)。さらに、過剰なNOは、神経変性にとって重要な領域である、大脳の脈管構造、脳組織、および、神経終末からのNOの放出により、疾患をもたらし得る。過剰なNOは、片頭痛、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、および筋萎縮性側索硬化症のような神経変性疾患をもたらす可能性のある細胞損傷をもたらす場合がある。さらに、膵臓により産生されるNOは、1型糖尿病で起こるようにβ細胞を損傷し得る。
リジンの補給は、血管の拡張を予防することにより敗血症に関連した低血圧の予防に有用である。さらに、リジンを使用して、片頭痛を予防/処置し、かつ、AD、パーキンソン病、ハンチントン病、および筋萎縮性側索硬化症などの神経変性疾患の進行を予防/遅延させてもよい。
低リジン
非荷電のtRNAが、どのようにGCN2をアロステリックに活性化し、真核生物の多くの生合成経路と共に、脂質生合成およびタンパク質の合成に関連した下流の転写因子(以下に記載のSREBP−1c、eIF2a、およびGCN4p)のリン酸化をもたらすかに関する機構は理解されている。EAAを欠いている食事は、食事の導入から数分以内にこのシグナリングの著しい引き金となる(Hao et. Al., science 2005)。SREBP−1cを介したシグナリングは、脂質生成に関連する遺伝子を抑制することにより、脂質貯蔵物の動員に関して劇的な効果を有することがin vivoで示されている。SREBP−1cは、肝臓の脂質合成、および脂肪肝の表現型の生成能、ならびに内臓脂肪量の増加に対して特異的に作用することが示されている(Knebel, B. et. Al. Liver−Specific Expression of Transcriptionally Active SREBP−1c Is Associated with Fatty Liver and Increased Visceral Fat Mass. PLoS, 2012)。リジンの欠乏は、GCN2に対するその作用を介してSREBP−1cに影響を与え、かつ、肝臓の重量(および脂肪肝表現型)、脂肪組織の重量、コレステロール/トリグリセリドの含有量、および食物の摂取を減少させる。除脂肪量を維持しながら脂肪量を減少させることは、肥満、糖尿病、および心血管の健康などの分野に治療機会を提供する。
メチオニン
メチオニンは必須アミノ酸であり、本質的にすべての真核生物のタンパク質の合成における開始アミノ酸である。メチオニンは最も疎水性のAAの1つである。球状タンパク質のメチオニン残基の大部分は、疎水性コアの内部で見出すことができる。メチオニンは、しばしば膜貫通タンパク質ドメインの脂質二重層と相互作用することが見出されている。メチオニンの位置および強力な抗酸化特性により、メチオニンは、タンパク質の内在性抗酸化剤と考えられている(John T. Brosnan and Margaret E. Brosnan, J. Nutr. June 2006 vol. 136 no. 6 1636S−1640S)。メチオニン残基は、オキシダーゼ、オゾン、過酸化水素、スーパーオキシド、γ線照射、金属触媒型酸化、電子伝達鎖からの「漏出」、およびフラビンまたは生体異物の自己酸化による酸化に対して、高い感受性を有する。一旦酸化されると、メチオニン残基は、メチオニンスルホキシドに変換され、これはメチオニンスルホキシドレダクターゼを介して元のメチオニンに変換することができる(Rodney L. Levine, et al., Proc Natl Acad Sci USA, 1996 December 24; 93(26): 15036−15040)。抗酸化剤として、メチオニンの補給は、癌、変性疾患、心疾患、肝臓および腎臓の病態の予防を支援することができる。また、皮膚へのUV線の損傷を妨害するため化粧品に使用することもできる。
メチオニンは、脂向性AAであり、肝臓の脂質処理を支援し、それにより、肝臓、ならびに最終的に脳、心臓、および腎臓への血流の閉塞をもたらし得る動脈での脂肪の集積の予防を支援する。さらに、肝臓での脂肪の集積は、脂肪肝として知られている病態をもたらし、最終的には肝硬変をもたらす場合がある。薬物の解毒を行っている個体にメチオニンを補給すると、毒性の副作用を有する薬物を摂取する個体と同様に、この工程を改善し得る。
さらに、脂向性性AAであることにより、メチオニンは、肝臓でのレシチンの産生を増加させることにより心臓の健康状態を促進させる。レシチンは、コレステロールのレベルの減少を支援することが知られている。メチオニンの補給は、肝硬変に脂肪が沈着するのを防止することができる。さらにメチオニンは、脂肪の動脈への沈着を防止し、これにより、潜在的な心筋梗塞および脳卒中を予防することにより心血管の健康を促進させることができる。さらに、コレステロールレベルの高い人のコレステロールを低くすることを支援することにより、心血管疾患のリスクを改善し得る。
メチオニンは、高いレベルのメチオニンが、免疫機能の改善を支援する、タウリン、ホモシステイン、およびグルタチオンのレベルを増大させるという点で、免疫系が適切に機能することを支援する。免疫機能のための根底となる機構は、mTORの活性化、NOおよびグルタチオニンの合成、H2Sシグナリング、および細胞のレドックス状態を含み得る。メチオニンは、アルギニン−NO経路を調節するタウリンの前駆体である。NOは、内皮の正常な機能および心血管の健康(血管緊張、血行動態、血管新生を含む)にとって重要である。
またメチオニンは、グルタチオニンの前駆体であるシステインへと変換される。グルタチオニンは、肝臓における毒素の強力な中和剤であり、毒素の損傷作用から肝臓の保護を支援する。さらに、この解毒能は、筋虚弱の低減を支援し、髪の脆弱性を予防し、これらの毒素に関連する照射に対して保護する。結果として、化学アレルギーを罹患している個体、または高レベルの大気汚染に曝露されている個体に有益である。メチオニンは、AIDS患者および癌患者などの免疫系の不全を有する患者に有益とすることができる。同様に、インフルエンザの季節のあいだ、特に高齢者、小児、および妊娠中の女性を含む最も感受性のあるグループに対して、有益なサプリメントとすることができる。さらに、これは、地域感染症を発症しやすい国に旅行する者に対しても使用できる。メチオニンのレベルは、AIDSを有する患者では低いことが観察されている。この減少したメチオニンレベルは、認知症などの症状をもたらし、記憶が減退する神経系の悪化に関連している。1日あたり6グラムのメチオニンの補給により、これらの患者の記憶を改善させることができる。同様に、メチオニンは、アルツハイマー病、ALS、MS、およびハンチントン病を含む神経系の退化を伴う疾患を有する患者にも有益とすることができる。
メチオニンは、1炭素単位代謝に関与していることにより、タンパク質およびDNAのメチル化にも関与しており、これは、タンパク質の遺伝子発現および生物活性の調節を支援する。関連する遺伝的障害のリスクを有する個体へのメチオニン補給は、すべての個体で適切な遺伝子制御を促進するために用いることができる。
低メチオニン
メチオニンは、毒性ホモシステインの前駆体であり、ADMAを介して体内でDDAHをダウンレギュレートすることによりADMAを代謝し、アルギニン−NO経路に干渉することができる。NOは、正常な内皮の機能および心血管の健康(血管緊張、血行動態、血管新生を含む)に重要である。
非荷電のtRNAが、どのようにGCN2をアロステリックに活性化し、真核生物の多くの生合成経路と共に、脂質生成およびタンパク質の合成に関連する下流の転写因子(以下に記載のSREBP−1c、eIF2a、およびGCN4p)のリン酸化をもたらすかに関する機構は理解されている。EEAを欠いている食事は、食事の導入から数分以内にこのシグナリングの著しい引き金となる(Hao et. Al., science 2005)。SREBP−1cを介したシグナリングは、脂質生成に関連する遺伝子を抑制することにより、脂質貯蔵物の動員に対して劇的な効果を有することがin vivoで示されている。SREBP−1cは、肝臓の脂質合成、および脂肪肝の表現型の生成能、ならびに内臓脂肪量の増加に対して特異的に作用することが示されている(Knebel, B. et. Al. Liver−Specific Expression of Transcriptionally Active SREBP−1c Is Associated with Fatty Liver and Increased Visceral Fat Mass. PLoS, 2012)。メチオニンの欠乏は、GCN2に対するその作用を介して、SREBP−1cに影響を与え、肝臓の重量(および脂肪肝の表現型)、脂肪組織の重量、コレステロール/トリグリセリドの含有量、および食物の摂取の生理学的な測定値を減少させる。除脂肪量を維持しながら脂肪量を減少させることは、肥満、糖尿病、および心血管の健康などの分野に治療機会を提供する。
フェニルアラニン
フェニルアラニンはEEA、AuAA、および脳のノルエピネフリンの合成のための前駆体であり、ならびに、別の芳香族アミノ酸でありドーパミンの合成の前駆体である、チロシンの代謝上の前駆体である。
ノルエピネフリン(NE)は、補因子のアスコルビン酸塩と共にβヒドロキシラーゼによるドーパミンのβ酸化により、副腎髄質および交感神経系の節後ニューロンで合成される。ノルエピネフリンは、シナプス間隙の中に分泌されることにより作用し、シナプス間隙でアドレナリン受容体を刺激した後、周囲の細胞により分解されるかまたは取り込まれる。カテコールアミンと同様に、ノルエピネフリンは血液脳関門を通過しない。
NEは、注意欠陥/多動性障害(ADHD)、うつ病、および低血圧に対抗するために使用することができる。ADHDのような注意障害に関して、処方される薬物は、NEおよびドーパミンのレベルの増加を支援する傾向がある。さらに、うつ病は、典型的にセロトニンおよびNEの再取り込みを阻害する薬物で処置することにより、脳のシナプス後細胞で利用可能なセロトニンおよびNEの量を増加させる。近年の研究結果から、セロトニン‐ノルエピネフリンの再取り込み阻害剤(SNRI)もまた、ノルエピネフリントランスポーターが通常、ドーパミンもリサイクルすれば、SNRIもまたドーパミン作動性神経伝達を高めることから、ドーパミンの伝達が増加し得ることが示唆されている。結果として、抗うつ剤の作用はもまた、NEレベルの増加に関連しており、これは、(特に脳の前頭前皮質での)ドーパミンの同時に起こる増加が部分的に原因である場合がある。
NEは、重篤な低血圧症を有する患者を処置するために使用される。NEは、昇圧剤であり、血管収縮を引き起こすα1およびα2アドレナリン受容体の両方に作用することにより、血圧を上げる。
NEの前駆体として、フェニルアラニンは、ADHDおよびADDのような注意障害を処置するために使用することができる。さらに、フェニルアラニンは、うつ病または外傷後ストレス障害を罹患した個体を処置するために使用することができる。またフェニルアラニンは、うつ病を処置するため、またはSSRIなどの神経伝達物質調節薬剤の機能を変化させるために使用することができる。さらに、血管緊張の増加を介してフェニルアラニンが血圧を上昇させることができることから、低血圧傾向のある個体を処置するために使用してもよい。さらに、フェニルアラニンを、チロシンレベル、これによりチロシンの機能の上流での制御因子として使用してもよい。
チロシンの補給は、L−DOPAおよびドーパミンの前駆体としての役割により、パーキンソン病の処置を支援することができる。さらに、チロシンを、うつ病などの情動/精神障害を有する個体の処置、および嗜癖の処置に使用できる。さらに、チロシンは、難解かつ複合的な概念または運動を学習する際の報酬/快楽の応答を増加させることにより学習を促進することができる。
ドーパミンは、モノアミンカテコールアミンである神経伝達物質であり、免疫系を制御する役割を有する。特定の免疫エフェクター細胞に存在する特異的受容体と相互作用する神経伝達物質および神経ペプチドは、疾患および他の環境ストレスに対抗して宿主におけるこれら細胞の機能に影響するように免疫系により放出される。ドーパミンの免疫調節性作用は、標的細胞に存在する5つの異なるGタンパク質結合型受容体を介して調節されることが示されている。これら受容体には2つの幅広い分類のG1およびG2が存在しており、これらは、様々なサブタイプを包含する。D1クラスの受容体はD2およびD5サブタイプを含み、活性化すると細胞内cAMPを増加させる。D2クラスの受容体は、D2、D3、およびD4サブタイプからなり、刺激すると細胞内cAMPを阻害することが報告されている。ドーパミン受容体は、正常なヒト白血球で見出されている。同様に、リンパ系組織は交感神経を介したドーパミン作動性神経支配を有しており、このことから、ドーパミンが免疫系エフェクター細胞を調節することができる場合があることが示唆される(Basu, Sujit & Sarkar, Chandrani, Dopamine and immune system. SciTopics 2010)。
ドーパミンは、休止期のT細胞を活性化し、刺激したT細胞の活性化を阻害することによりT細胞に影響を与える。正常な休止期の末梢ヒトTリンパ球では、ドーパミンは、D2およびD3サブクラスの受容体を活性化し、次にインテグリン(α4β1およびα5β1)を活性化する。これらのインテグリンは、細胞外のマトリックス成分のフィブロネクチンに細胞を付着させるヘテロ二量体の膜貫通型糖タンパク質である。フィブロネクチンは、組織障壁および血管を超えるT細胞の輸送および漏出に使用される。さらに、ドーパミンはD3受容体を介して作用して、CD8+T細胞の遊走およびホーミングを選択的に誘導する。さらに、ドーパミンは、T細胞によるサイトカインの分泌に影響を与えることによりT細胞に影響する。ドーパミンがD3およびD1/D5受容体を刺激する場合、TNF−α(多面発現炎症性サイトカイン)の分泌が増加する。D2受容体が刺激される場合、IL−10(抗炎症性サイトカイン)の分泌が誘導される。しかしながら、ドーパミンは、活性化T細胞受容体誘導細胞増殖と、TCRの活性化の開始に重要なチロシンキナーゼである、非受容体チロシンキナーゼlckおよびfynの発現のダウンレギュレーションを介するIl−2、IFN−γおよびIL−4などの多くのサイトカインの分泌とを阻害することができる(Basu, Sujit & Sarkar, Chandrani Dopamine and immune system. SciTopics 2010)
B細胞は、ドーパミンD2、D3、およびD5の受容体の発現が非常に高い。ドーパミンは、休止期および悪性のBリンパ球の増殖の阻害能を有する。ドーパミンは、酸化ストレスを介して循環中のB細胞のアポトーシスを促進することにより作用する。しかしながら、このドーパミン作動性の作用は休止期リンパ球では観察されず、よってこのことから、癌の予防における役割が示唆されている(Basu, Sujit & Sarkar, Chandrani, Dopamine and immune system. SciTopics 2010)。
ドーパミンの前駆体としてのチロシンは、免疫応答を改善し、かつ免疫系全体の機能性を改善するように使用できる。これは、高齢者、妊娠中の女性、小児、およびAIDS患者などの免疫機能不全を有する患者、および癌患者に利点を提供することができる。またチロシンは、教師、旅行者、および頻繁に細菌に曝露される人々にも利点を与えることができる。
エピネフリンは、アドレナリンとして一般に知られており、副腎髄質により分泌されるホルモンである。エピネフリンは、心拍数、筋力、血圧、および糖の代謝の増大を引き起こす恐れまたは怒りなどの強い感情に応答して放出される。エピネフリンは、身体に困難または過激な活動の準備をさせる逃走または闘争反応の原因である。エピネフリンは、心停止の際の刺激薬、血圧を上げるためのショック時の血管収縮薬、および気管支喘息の気管支拡張薬および鎮痙薬として使用される。エピネフリンは、身体で大量に見出されるものではないが、ストレス下で組織へ血液をそらすことができるために心血管のホメオスタシスの維持に非常に重要である。エピネフリンは、筋肉の収縮に影響を与えることによりこの作用を有する。筋肉の収縮は、濃度が、細胞中の正常値の10倍高いカルシウムイオンへのカルモジュリンの結合を介して起こる。次いでカルシウム−カルモジュリン複合体は、ミオシン軽鎖キナーゼを活性化し続けて、次いでLC2をリン酸化して収縮を引き起こす。エピネフリンは、エピネフリン受容体と結合してアデニリルシクラーゼを活性化し、ATPからサイクリックAMPを産生する。cAMPは、タンパク質キナーゼを活性化して、これによりミオシン軽鎖キナーゼをリン酸化する。このリン酸化されたミオシン軽鎖キナーゼは、カルシウム−カルモジュリン複合体との親和性が低く、よって不活性である。このため、平滑筋組織は弛緩する。これは、喘息、心停止、およびアナフィラキシーショックを処置する際に非常に有益となるエピネフリンの作用である。エピネフリンの前駆体としてのチロシンは、心停止のリスクのある患者、喘息を罹患している患者、およびアナフィラキシーショックのリスクのある患者に使用できる。
エピネフリンは、肝臓細胞外部の受容体に結合することによりグリコーゲンを分解する2つの主なホルモンのうちの1つである。この結合は、立体構造の変化を引き起こすことにより、Gタンパク質との結合を可能にし、活性となる。Gタンパク質結合型受容体の活性化は、分子上の立体構造の変化を引き起こし、これにアデニル酸シクラーゼが結合する。アデニル酸シクラーゼが複合体と結合すると、アデニル酸シクラーゼは、ATPをcAMPに分解し、この工程でセカンドメッセンジャータンパク質となり、タンパク質キナーゼを活性化する。活性化したタンパク質キナーゼは、グリコーゲンのグルコースへの分解を触媒する酵素であるホスホリラーゼを活性化する。エピネフリンの前駆体としてのチロシンは、運動に燃料を供給するためにグルコースを容易に利用可能にすることにより運動能力を改善するために使用することができる。
メラニンは、チロシンの代謝物であり、強力な抗酸化剤である。さらに、これは、炎症性サイトカインおよびスーパーオキシドの産生の阻害に影響を与える。炎症誘発性サイトカインが過剰産生される場合、関節リウマチ、移植片対宿主病、カヘキシー、および敗血症症候群などの病態において炎症が損傷を与える作用を媒介する。メラニンは、進行中のサイトカイン合成を阻害することが見出されており、このことは炎症誘発性サイトカインを含む病態を重ねて治療するためにメラニンが有益であり得ることが強く示唆されている(Mohagheghpour N., et al., Cell Immunol. 2000 Jan 10;199(1):25−36)。
チロシンは、関節リウマチ、カヘキシー、敗血症症候群、自己免疫障害に関連した炎症を伴う患者、および他の病態の炎症性の後遺症の処置に使用できる。
フェニルアラニンは、GTPシクロヒドロラーゼIの活性、NO合成のためのスルテトラヒドロビオプテリン(THB)の遊離、および芳香族アミノ酸ヒドロキシラーゼ(AAAH)によるArAAのヒドロキシル化をアップレギュレートする。この理由のため、THBの細胞のレベルを上げるために高レベルのフェニルアラニンを送達すると、CNSの毛細管内皮細胞において多くの神経伝達物質の生合成が直接刺激される。ArAAは、メラトニン、ドーパミン、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)、およびエピネフリン(アドレナリン)を含む、モノアミン神経伝達物質の生合成の前駆体として作用する。NO合成を促進する際、フェニルアラニンは、高血圧を処置するため、血圧を低下させるために使用することができ、ダイビングの状況、または血管拡張を増大させる高地へ旅行する際に使用してもよい。
低フェニルアラニン
非荷電のtRNAが、どのようにGCN2をアロステリックに活性化し、真核生物の多くの生合成経路と共に、脂質生成およびタンパク質の合成に関連する下流の転写因子(以下に記載のSREBP−1c、eIF2a、およびGCN4p)のリン酸化をもたらすかに関する機構は理解されている。EAAを欠いている食事は、食事の導入から数分以内にこのシグナリングの著しい引き金となる(Hao et. Al., science 2005)。SREBP−1cを介したシグナリングは、脂質生成に関連する遺伝子を抑制することにより、脂質貯蔵物の動員に対して劇的な効果を有することがin vivoで示されている。SREBP−1cは、肝臓の脂質合成、および脂肪肝の表現型の生成能、ならびに内臓脂肪量の増加に対して特異的に作用することが知られている(Knebel, B. et. Al. Liver−Specific Expression of Transcriptionally Active SREBP−1c Is Associated with Fatty Liver and Increased Visceral Fat Mass. PLoS, 2012)。フェニルアラニンの欠乏は、GCN2に対するその作用を介して、SREBP−1cへの作用を有しており、肝臓の重量(および脂肪肝の表現型)、脂肪組織の重量、コレステロール/トリグリセリドの含有量、および食物の摂取の生理学的な測定値を減少させる。除脂肪量を維持しながら脂肪量を減少させることは、肥満、糖尿病、および心血管の健康などの分野に治療機会を提供する.
プロリン
シトルリンは、NOSファミリーにより触媒される反応の副産物としてグルタミンから産生される。シトルリンの栄養補助食品は、メタボリックシンドロームのリスク因子である、グルコース、ホモシステイン、および非対称性ジメチルアルギニンの血漿レベルを低下させることが知られている。L−シトルリンは、恐らくは血管緊張および内皮機能に関する作用により、筋肉からの乳酸の除去を促進させる。また近年の研究では、スイカの果汁由来のL−シトルリンが、運動からの回復を良好にし、翌日の痛みを少なくすることも知られている。また、遊離型でL−シトルリンを送達すると、スイカの果汁(高レベルのL−シトルリンを含む)よりもin vitroでの細胞への取り込みが少ないと思われる。このことから、改善された効力で、内皮膜でeNOSによってシトルリンに変換するため、筋肉組織にアルギニンを輸送することができるペプチド用量を送達する機会が示唆される。
NO合成およびポリアミン(プロリンを介した)の変化は、胎盤の成長速度がピークとなる妊娠中に観察され、これは、妊娠中の胎児発達におけるアルギニンの役割を示唆するものである。
セリン
セリンは非必須アミノ酸であり、3‐ホスホグリセリン酸を介して解糖から生合成される。セリンは、細菌におけるリン脂質、スフィンゴ脂質、およびシステインの生合成、ならびにトリプトファンの合成に貢献するという点で、中間代謝において重要な役割を果たし、かつグリシンの主な供給源である。身体は、恐らくは食事による摂取量を10〜50倍超えるグリシンを必要とする。この需要は、タンパク質、特にコラーゲンの合成のためだけでなく、グリシンが、5つの主な代謝生合成経路:クレアチン、ポルフィリン、プリン、胆汁酸、およびグルタチオンの前駆体であることによる。さらに、グリシン産生におけるセリンの役割により、セリンは、プリンおよび2’−デオキシチミジン 5’−モノホスフェートの生合成、ならびにホモシステインのメチオニンへの再メチル化に使用される葉酸塩結合1炭素単位の主な供与体でもある。セリン由来のあらゆるグリシン分子に関して、1炭素単位が形成されることに留意することが重要である(Cook, R. Defining the steps of the folate one−carbon shuffle and homocysteine metabolism1’2; Am. J Clin Nutr; 2000)。
1炭素代謝では、生合成のための1炭素単位は、テトラヒドロ葉酸(THF)ポリグルタミン酸塩と呼ばれる補因子ファミリーにより行われ、化学的に活性化される。THF−媒介型の1炭素代謝は、細胞質、ミトコンドリア、および核で区分けされた相互依存的な生合成経路の代謝系である。細胞質では、1炭素代謝は、プリンおよびチミジル酸の合成、ならびにホモシステインのメチオニンへの再メチル化に使用される(ホモシステインの過剰量は身体にとって有害である場合がある)。ミトコンドリアでは、1炭素代謝は、ホルミル化メチオニル‐tRNAの合成、コリン、プリン、およびヒスチジンの異化、ならびにセリンおよびグリシンの相互変換に使用される。さらに、ミトコンドリアは、細胞質代謝の1炭素単位の主な供給源である。葉酸塩媒介型1炭素代謝の障害は、多くの病態および発生異常に関連している(J. T. Fox and P. J. Stover, Chapter 1, Folate‐Mediated One‐Carbon Metabolism, In: Gerald Litwack, Editor(s), Vitamins & Hormones, Academic Press, 2008, Volume 79, Pages 1−44)。
セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ(SHMT)は、葉酸塩およびピリドキサール5‐リン酸塩の両方に依存性である反応でのセリンおよびグリシンの自由な可逆的相互変換を触媒する。セリンのグリシンへの変換は、C−3セリンの除去および5,10−メチレンテトラヒドロ葉酸の形成を伴い、これは葉酸塩依存性1炭素代謝に利用でき、または10−ホルミルテトラヒドロ葉酸(foryltetrahydrofolate)を介して二酸化炭素へと酸化できる(Robert J Cook, Am J Clin Nutr December 2000 vol. 72 no. 6 1419−1420)。
セリンは、システインの前駆体である。システインは、それ自体がメチオニンの代謝物から合成されるホモシステインから合成される。セリンは、ホモシステインと縮合してシスタチオニンを形成することによりシステインの合成に関与する。次いで、シスタチオニンは、脱アミノ化および加水分解され、システインおよびαケト酪酸塩を形成する。システインの硫黄はホモシステイン由来であるが、残りの分子は、最初のセリン残基に由来する。システインの生合成は、植物および原核生物の異なる機構を介して起こる。システインは、タンパク質のフォールディングに重要な役割を果たすため重要なアミノ酸である。システイン残基のあいだに形成されるジスルフィド結合は、タンパク質の3次および4次構造の安定化を支援し、これらのジスルフィド結合は、タンパク質が、細胞内部で見いだされる条件より酸性の条件に曝露される、分泌型タンパク質では最も一般的である。ホモシステインには利点があるにも関わらず、レベルが高いと、心血管疾患を発症するリスク因子となる可能性がある。ホモシステインの増加は、シスタチオニンβシンターゼの遺伝的欠損により引き起こされることがあり、過剰なメチオニンの摂取によっても起こり得る。食事におけるメチオニン摂取の制御ならびに葉酸およびビタミンB12の補給は、ホモシステインのレベルを低くするために使用されている。同様に、ホモシステインのシステインへの変換を支援するためにセリンレベルを上げることが有益であり得る。
N−メチル‐D‐アスパラギン酸塩(NMDA)は、脳における最も基本的な神経伝達物質のうちの1つである。これは、グルタミン酸塩受容体であり、シナプス可塑性および記憶機能の制御に重要な分子デバイスである。この受容体はグルタミン酸塩のイオンチャネル型受容体であり、グルタミン酸塩に対する高い親和性、高いコンダクタンス単位、高いカルシウム透過性、およびマグネシウムイオンによる電圧依存性の阻害を特徴とする。NMDA受容体を開口させるために、受容体をグルタミン酸塩およびグリシンまたはD―セリンに結合させる。D−セリンは神経伝達物質であり、かつL−セリンからセリンラセマーゼにより脳で生合成されるグリオトランスミッターである。これは、NMDA受容体結合部位のグリシンに対する強力なまたは効能の高いアゴニストである(Jean−Pierre Mothet, et al., Proc Natl Acad Sci USA, 2000, 97 (9) 4926−4931; Zito K and Scheuss V. (2009) NMDA Receptor Function and Physiological Modulation. In: Encyclopedia of Neuroscience (Squire LR, ed), volume 6, pp. 1157−1164. Oxford: Academic Press)。
セリンは、学習およびシナプスの可塑性に重要な役割を果たし、結果として、セリンの補給は、高齢者、成長期の幼児、学齢期の小児、および学習困難を有する人に有用であり得る。さらに、楽器などの新規の作業を学習しようとしている対象、または新規の運動および動きを改善または学習しようとしている運動選手/ダンサーに投与することもできる。さらに、システインの前駆体としての役割により、セリンは、システインの作用の上流の制御因子として提供されてもよい。グリシンの合成の前駆体として、セリンは、コラーゲン合成におけるその役割のため、老化に対抗しかつ適切な生育を促進するように化粧品に使用してもよい。さらにセリンは、クレアチン生合成経路での役割のために、運動能力を改善するために使用することができる。セリンはさらに、グルタチオニン代謝経路での役割のため、解毒および免疫の健康に非常に有用であり得る。
スレオニン
スレオニンはEAAであり、トランスアミナーゼおよびd−AAオキシダーゼを介してL−アイソマーに変換されない数少ないAAのうちの1つである。スレオニンは、腸の完全性および機能を維持するために使用されるムチンタンパク質の合成に使用される。粘液は、水に懸濁したムチンおよび無機塩から構成されており、胃酸および喫煙などの侵害性の物質との接触に対する拡散障壁として作用する。また粘液は、せん断応力を最小限にする潤滑剤としても作用する(G. K. Law, et al., Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol 292:G1293−G1301, 2007)。
食事性スレオニンの90%は、粘液合成のため腸で使用される。ムチンは絶えず合成されており、腸のタンパク質分解に非常に抵抗性であり、よって、非常に簡単に再利用されるわけではない。このように、スレオニンの実質的かつ一定した供給は、腸の機能および構造を効率的に維持するために使用される。結果として、腸の癌、潰瘍などを生じ得る粘液の産生の減少を予防するために、食事はスレオニンを多く含むことが重要である(G. K. Law, et al., Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol 292:G1293−G1301, 2007; A. Hamard, et al., Journal of Nutritional Biochemistry, October 2010, Volume 21, Issue 10, Pages 914−921)。腸の完全性および構造に対する粘液の重要性により、スレオニンの補給は、癌、潰瘍、感染症、およびびらんを含む腸障害の予防に有用とすることができる。
スレオニンは、血液中でBリンパ球により分泌される免疫グロブリンの主成分であるため、液性免疫で鍵となる役割を果たす。免疫グロブリンは、いったん放出されると、感染部位に達し、その抗原を認識し、結合し、不活性化させる。免疫グロブリンのスレオニン含有量が高いため、スレオニンの欠乏は、免疫グロブリンの産生に負の影響を与えることにより、免疫応答が減少し得る。スレオニンの補給は免疫応答でのその役割にとって必須であり、白血病患者、AIDS患者、および免疫不全を有する個体を支援することができる。さらにこれは、高齢者および小児などのインフルエンザ流行期のあいだに感染症に罹りやすい人、ならびに1年を通して免疫応答を強化する必要がある人を支援することができる。
低スレオニン
非荷電のtRNAが、どのようにGCN2をアロステリックに活性化し、真核生物の多くの生合成経路と共に、脂質生成およびタンパク質の合成に関連する下流の転写因子(以下に記載のSREBP−1c、eIF2a、およびGCN4p)のリン酸化をもたらすかに関する機構は理解されている。EAAを欠いている食事は、食事の導入から数分以内にこのシグナリングの著しい引き金となる(Hao et. Al., science 2005)。SREBP−1cを介したシグナリングは、脂質生成に関連する遺伝子を抑制することにより、脂質貯蔵物の動員に対して劇的な効果を有することがin vivoで示されている。SREBP−1cは、肝臓の脂質合成、および脂肪肝の表現型の生成能、ならびに内臓脂肪量の増加に対して特異的に作用することが示されている(Knebel, B. et. Al. Liver−Specific Expression of Transcriptionally Active SREBP−1c Is Associated with Fatty Liver and Increased Visceral Fat Mass. PLoS, 2012)。スレオニンを欠いたバランスの取れていない食事は、スレオニンを欠く1〜5.4%のアミノ酸混合物を補給した基本カゼイン食を与えたラットのGCN2をシグナリングすることが示されている。スレオニンの欠乏は、GCN2に対する作用を介して、SREBP−1cに影響を与え、肝臓の重量(および脂肪肝の表現型)、脂肪組織の重量、コレステロール/トリグリセリドの含有量、食物摂取の生理学的な測定値が減少する。除脂肪量を維持しながら脂肪量を減少させることは、肥満、糖尿病、および心血管の健康などの分野に治療機会を提供する。
トリプトファン
トリプトファンは、免疫機能において重要な役割を果たすEAAである。たとえば、トリプトファンの濃度は、慢性的な肺の炎症により進行的に減少する。このことから、インドールアミン2,3‐ジオキシゲナーゼ(IDO)を介したトリプトファンの異化が、マクロファージおよびリンパ球の機能にとって非常に重要であると思われることが示唆される。よって、アントラニル酸(ANS)は、炎症誘発性Tヘルパー1サイトカインの産生を阻害し、かつ、自己免疫性の神経炎症を予防する。トリプトファンは、関節炎および喘息または他の自己免疫疾患を含む特定の疾患の炎症作用を処置するために使用することができる。
またトリプトファンは、食欲、睡眠に影響を与え、かつうつ病の発症に広く関与している神経伝達物質のセロトニン(5‐HT)の合成の前駆体でもある。うつ病が回復した患者での5‐HT活性の異常(SSRIまたは他の神経伝達物質の再取り込阻害剤に関して)は、血流中の低レベルトリプトファンに対する短期的な感受性をもたらす。遊離のトリプトファンを経口摂取により、5‐HTの産生は2倍増加するさせる場合があり、このことから、うつ病へのトリプトファンの投与への役割が示唆される。さらにトリプトファンは、患者の転帰の改善のために5‐HTの利用に明らかに依存することにより、SSRIの作用を増強することができる。
さらにトリプトファンは、体重の減少/維持を支援するのに使用することができ、これは、うつ病またはPMSの作用のような気分障害を罹患する患者に加え、旅行および時差ボケからの回復時の睡眠障害を罹患する患者に利益を与えることができる。
低トリプトファン
非荷電のtRNAが、どのようにGCN2をアロステリックに活性化し、真核生物の多くの生合成経路と共に、脂質生成およびタンパク質の合成に関連する下流の転写因子(以下に記載のSREBP−1c、eIF2a、およびGCN4p)のリン酸化をもたらすかに関する機構は理解されている。EAAを欠いている食事は、食事の導入から数分以内にこのシグナリングの著しい引き金となる(Hao et. Al., science 2005)。SREBP−1cを介したシグナリングは、脂質生成に関連する遺伝子を抑制することにより、脂質貯蔵物の動員に対して劇的な効果を有することがin vivoで示されている。SREBP−1cは、肝臓の脂質合成、および脂肪肝の表現型の生成能、ならびに内臓脂肪量の増加に対して特異的に作用することが示されている(Knebel, B. et. Al. Liver−Specific Expression of Transcriptionally Active SREBP−1c Is Associated with Fatty Liver and Increased Visceral Fat Mass. PLoS, 2012)。トリプトファンの欠乏は、GCN2に対するその作用を介して、SREBP−1cに影響を与え、かつ、肝臓の重量(および脂肪肝の表現型)、脂肪組織の重量、コレステロール/トリグリセリドの含有量、および食物摂取の生理学的な測定値を減少させる。除脂肪量を維持しながら脂肪量を減少させることは、肥満、糖尿病、および心血管の健康などの分野に治療機会を提供する。
チロシン
チロシンは、フェニルアラニンから合成される非必須アミノ酸である。チロシンは、エピネフリン、ノルエピネフリン、およびドーパミンを含む多くの重要な神経伝達物質の前駆体として使用される。チロシンは、メラニンの産生を支援し、かつ、副腎、甲状腺、および脳下垂体などの、ホルモンを作製し調節する臓器を支援する。さらにチロシンは、身体のほぼすべてのタンパク質の構造に関わっている。
チロシンヒドロキシラーゼは、補因子としてテトラヒドロプテリジンを使用して、またはチロシナーゼにより、L−チロシンをレボドパへと変換する。チロシナーゼにより媒介される変換は、レボドパをドーパキノンへと特異的に酸化し、さらにレボドパはDOPAデカルボキシラーゼによりドーパミンへと脱炭酸される。ドーパミンは、非常に重要なホルモンかつ神経伝達物質であり、精神および身体の健康の両方に重要な役割を果たしている。ドーパミンは、脳の報酬系および快楽の中心の制御を支援し、動きおよび情動の応答の調節を支援し、かつ、人に報酬を認識させ、その報酬に向けて行動をとらせることができる。ドーパミンを含むニューロンは、中脳の黒質と呼ばれる領域に集まっている。パーキンソン病を罹患している患者では、この領域でドーパミンを伝達するニューロンが死滅しており、身体の動きを制御することができなくなっている。パーキンソン病の症状を軽減するために、ドーパミンへと変換することができるL−ドーパが患者に投与されている。
チロシンの補給は、L−DOPAおよびドーパミンの前駆体としての役割によりパーキンソン病の処置を支援することができる。さらにこれは、うつ病のような情動/精神障害を有する患者の処置、および嗜癖の処置に使用できる。さらにこれは、難解なまたは複合的な概念または動きを学習する際の報酬/快楽の応答を増大させることにより学習を促進させることができる。
ドーパミンは、免疫系において制御的役割を果たす、モノアミンのカテコールアミン神経伝達物質である。特定の免疫エフェクター細胞に存在する特異的な受容体と相互作用する神経伝達物質および神経ペプチドは、免疫系により放出されて、疾患および他の環境ストレスに対抗するように宿主中のこれら細胞の機能に影響を与える。ドーパミンの免疫調節性作用は、標的細胞に存在する5つの異なるGタンパク質結合型受容体を介して調節されることが示されている。これらの受容体には、様々なサブタイプを包含する2つの広いクラス:G1およびG2が存在する。D1クラスの受容体は、D2およびD5サブタイプを含み、活性化すると細胞内のcAMPを増加させる。D2クラスの受容体は、D2、D3、およびD4サブタイプからなり、刺激すると細胞内cAMPを阻害することが報告されている。ドーパミン受容体は、正常なヒトの白血球で見出されている。同様に、リンパ系組織は、交換神経を介してドーパミン作動性神経支配を有しており、このことから、ドーパミンは免疫系のエフェクター細胞を調節することが可能であり得ることが示唆されている(Basu, Sujit & Sarkar, Chandrani,Dopamine and immune system. SciTopics 2010)。
ドーパミンは、休止期T細胞を活性化し、かつ刺激されたT細胞の活性化を阻害することによりT細胞に影響を与える。正常な休止期末梢性ヒトTリンパ球では、ドーパミンは、D2およびD3サブクラスの受容体を活性化し、次にインテグリン(α4β1およびα5β1)を活性化する。これらのインテグリンは、細胞外マトリックス構成成分のフィブロネクチンに細胞を付着させるヘテロ二量体膜貫通糖タンパク質である。フィブロネクチンは、組織の障壁および血管を通したT細胞の輸送および血管外漏出に使用される。さらに、ドーパミンは、D3受容体を介して作用して、CD8+T細胞の遊走およびホーミングを選択的に誘導する。さらに、ドーパミンは、T細胞によるサイトカインの分泌に影響することによりT細胞に影響する。ドーパミンは、D3およびD1/D5受容体を刺激する場合、TNF−α(多面発現性炎症性サイトカイン)の分泌が増加する。D2受容体が刺激される場合、IL−10(抗炎症性サイトカイン)の分泌が誘導される。しかしながらドーパミンは、活性化T細胞受容体誘導型の細胞増殖と、TCRの活性化の開始に重要なチロシンキナーゼである非受容体チロシンキナーゼlckおよびfynの発現のダウンレギュレーションを介するIl−2、IFN−γ、およびIL−4などの多くのサイトカインの分泌とを阻害する(Basu, Sujit & Sarkar, Chandrani Dopamine and immune system. SciTopics 2010)。
B細胞は、ドーパミンD2、D3、およびD5受容体の非常に高い発現を有する。ドーパミンは、休止期および悪性のBリンパ球の増殖の阻害能を有する。ドーパミンは、酸化ストレスを介して循環中のB細胞においてアポトーシスを促進することにより作用する。しかしながら、このドーパミン作動神経の作用は、休止期リンパ球では観察されず、よって、癌の予防における役割が示唆されている(Basu, Sujit & Sarkar, Chandrani, Dopamine and immune system. SciTopics 2010)。
ドーパミンの前駆体としてのチロシンを使用して、免疫応答を改善でき、全体の免疫系の機能性を改善できる。チロシンは、高齢者、妊娠中の女性、小児、ならびにAIDS患者および癌患者のような免疫機能障害を有する患者に利益を提供できる。またチロシンは、教師、旅行者、および細菌に頻繁に曝露される個体に利益を与えることができる。
NEは、補因子のアスコルビン酸塩に加えて、βヒドロキシラーゼによるドーパミンのβ酸化により、副腎髄質および交感神経系の節後ニューロンで合成されている。これは、シナプス間隙に分泌されることにより作用し、シナプス間隙でアドレナリン受容体を刺激し、次いで、周辺細胞により分解されるかまたは取り込まれる。カテコールアミンと同様に、NEは、血液脳関門を通過しない。
NEは、ADHD、うつ病、および低血圧に対抗するために使用することができる。ADHDのような注意障害の観点から、処方される薬物は、NEおよびドーパミンのレベルを増加させる傾向がある。さらに、うつ病は、典型的に、セロトニンおよびNEの再取り込みを阻害する薬物で処置されることにより、脳のシナプス後細胞で利用可能なセロトニンおよびNEの量を増加させる。近年の研究結果から、ノルエピネフリントランスポーターが通常、ドーパミンもリサイクルすれば、SNRIもまたドーパミン作動性神経伝達を高めるため、SNRIもドーパミン伝達を増加させ得ることが示唆されている。結果として、抗うつ剤の作用もまた、NEレベルの増加に関連しており、これは、(特に脳の前頭前皮質での)ドーパミンの増加が同時に起こることが部分的に原因である場合がある。
NEは、重篤な低血圧の患者を処置するために使用される。NEは昇圧剤であり、α1およびα2アドレナリン受容体の両方に作用して血管収縮を引き起こすことにより、血圧を上げる。
NEの前駆体として、チロシンは、ADHDおよびADDのような注意障害を処置するために使用することができる。さらに、チロシンは、うつ病、外傷後ストレス障害を罹患している患者および急激に血圧が低下した患者を処置するために使用することができる。
エピネフリンは、アドレナリンとして一般に知られており、副腎髄質により分泌されるホルモンである。エピネフリンは、恐れまたは怒りなどの強力な感情に応答して放出され、心拍数、筋力、血圧、および糖代謝の増加を引き起こす。これは、身体に困難なまたは過剰な活動の準備をさせる逃走または闘争の原因となる。エピネフリンは、心停止の際の刺激薬として、血圧を上げるためにショック時の血管収縮薬として、気管支喘息の気管支拡張薬および鎮痙薬として使用される。エピネフリンは、身体で大量に見出されているわけではないが、ストレス下で組織に血液をそらせることができることから、心血管のホメオスタシスの維持に非常に重要である。エピネフリンは、筋肉の収縮に影響を与えることによりこの作用を有する。筋肉の収縮は、濃度が、細胞中の正常値より10倍高いカルシウムイオンへのカルモジュリンの結合を介して起こる。次いで、カルシウム−カルモジュリン複合体は、ミオシン軽鎖キナーゼを活性化し続けて、次いで、収縮を引き起こすLC2をリン酸化する。エピネフリンは、エピネフリン受容体と結合して、アデニルシクラーゼを活性化し、ATPからサイクリックAMPを産生する。cAMPは、タンパク質キナーゼを活性化して、これによりミオシン軽鎖キナーゼをリン酸化する。リン酸化されたミオシン軽鎖キナーゼは、カルシウム−カルモジュリン複合体に対して低い親和性を有し、よって不活性となる。このように平滑筋組織は弛緩する。このエピネフリンの作用は、喘息、心停止、およびアナフィラキシーショックを処置する際に非常に有用となる。エピネフリンの前駆体としてチロシンは、心停止のリスクのある患者、喘息を罹患している患者、およびアナフィラキシーショックのリスクのある患者に使用できる。
エピネフリンは、肝細胞の外部の受容体に結合することによりグリコーゲンを分解する2つの主なホルモンのうちの1つである。この結合は、立体構造の変化を引き起こすことにより、Gタンパク質との結合を可能にし、活性となる。Gタンパク質結合型受容体の活性化は、分子上の立体構造の変化を引き起こし、これにアデニル酸シクラーゼを結合させる。アデニル酸シクラーゼが複合体と結合すると、アデニル酸シクラーゼは、ATPをcAMPに分解し、この工程でセカンドメッセンジャータンパク質となり、タンパク質キナーゼを活性化する。活性化したタンパク質キナーゼは、グリコーゲンのグルコースへの分解を触媒する酵素であるホスホリラーゼを活性化する。エピネフリンの前駆体としてのチロシンは、運動に燃料を提供するためにグルコースを容易に利用可能にことにより運動能力を改善するために使用することができる。
メラニンは、チロシンの代謝物であり、強力な抗酸化剤である。さらに、これは、炎症性サイトカインおよびスーパーオキシドの産生の阻害に影響する。炎症誘発性サイトカインが過剰産生される場合、関節リウマチ、移植片対宿主病、カヘキシー、および敗血症症候群などの病態において炎症が損傷を与える作用を媒介する。メラニンは、進行中のサイトカイン合成を阻害することが見出されており、これにより炎症誘発性サイトカインを含む病態を重ねて治療するためにメラニンが有用であり得ることが強く示唆されている(Mohagheghpour N., et al., Cell Immunol. 2000 Jan 10;199(1):25−36)。
チロシンは、関節リウマチ、カヘキシー、敗血症症候群、自己免疫障害に関連する炎症を伴う患者、および他の病態の炎症性の後遺症の処置に使用できる。
バリン
バリンはEAAであり、BCAAでもある。バリンを含むBCAAは、タンパク質合成を促進し、タンパク質の異化を抑制し、かつ糖新生のための基質として作用することにより、代謝性ストレスのあいだ骨格筋の燃料供給源として作用する。バリンを含むBCAAは、動物組織のグルタミン合成の基質であり、グルタミンが、動物のBCAAの同化作用の媒介の際に役割を果たし得ることが示されている。このような作用は、授乳中の乳腺が動脈血から採取したものよりも多くのグルタミンを産生するため、授乳中の乳腺に関して重要である可能性がある。胎盤でのBCAAの異化によって、グルタミン合成およびその胎児血液循環への放出が起こり、これは胎児の血中のグルタミンの主な供給源である。このことから、食事にバリンおよび他のBCAA、またはその組み合わせを補給することは、哺乳動物の胎児の成長を増大させ得ることが示唆されている。さらに、バリンは、アラニンの合成に直接的な役割を果たしており、よってアラニンに関する制御機能を有している。
BCAAは、安静時のヒト筋肉でのタンパク質合成速度を増加させ、かつタンパク質分解速度を減少させることによりタンパク質の代謝に関する同化作用を有していることが示されている。さらに、BCAAは、持久性運動後回復の際にヒトの筋肉で同化作用を有することが示されている。これらの作用は、mTORのリン酸化、およびその後の70kDS6タンパク質キナーゼ(p70−kD S6)および真核生物性開始因子4E結合タンパク質1の活性化を介して媒介される。P70−kD S6は、細胞周期の進行、細胞の大きさ、および細胞の生存を調節する役割があると知られている。マイトジェンの刺激に応答したP70−kD S6の活性化は、リボソーム生合成をアップレギュレートし、細胞の翻訳能力を高める(W−L An, et al., Am J Pathol. 2003 August; 163(2): 591−607; E. Blomstrand, et al., J. Nutr. January 2006 136: 269S−273S)。真核生物開始因子4E結合タンパク質1は、mRNAの5’末端に40S リボソームサブユニットを動員する複数のサブユニットの複合体の制限性の構成成分である。p70 S6キナーゼの活性化はおよびその後のリボソームタンパク質S6のリン酸化は、特定のmRNAの翻訳の亢進と関連している。
1セッションの四頭筋抵抗運動の際および運動後の対象にBCAAを投与すると、mTOR、p70 S6キナーゼの増加を示し、S6のリン酸化が、運動後の回復期間で見出された。しかしながら、BCAAは、Aktまたはグリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK−3)に関しては、そのような作用を示さなかった。BCAAを摂取することなく運動を行った場合、酵素を活性化させることなくp70S6キナーゼの部分的なリン酸化がもたらされ、AKTのリン酸化が減少するが、GSK−3に変化はなかった。BCAAの注入もまた、安静時の対象においてAkt非依存的にp70 S6キナーゼリン酸化を増加させる。このmTOR活性は、細胞のタンパク質代謝回転(オートファジー)を調節し、組織全体のタンパク質合成開始に対するインスリン様成長シグナルを統合する。この生物学は、骨格筋の除脂肪組織の生合成、病的状態の肥満およびインスリン抵抗性における代謝のシフト、インスリン抵抗性、およびに老化と直接関連している。
バリンは、身体における筋肉の代謝、組織の修復、および適切な窒素バランスの維持において鍵となる役割を果たす。3つのBCAAのうちの1つとして、バリンは、筋肉組織によるエネルギー供給源として利用することができる。バリンは、グルコース生成AAであり、よってグルコースを提供する。バリンは、肝臓疾患および胆嚢疾患の処置に有用であり得る。さらに、バリンは、薬物嗜癖により引き起こされる重篤な型のAA欠乏症の矯正に有用であり得る。さらにバリンは、精神的な活力、筋肉の協調、および穏やかな感情を促進することが見いだされている。また、バリンは、高地での筋肉の喪失を予防するために使用されてもよい。
バリンの補給は、運動能力および筋肉の形成を改善し、薬物嗜癖のリハビリを支援し、高齢者および成長期の小児の精神的な活力を高め、老化に付随する筋肉の喪失を予防し、肝疾患を罹患する患者を支援し、成長する小児の身体を支援し、胆嚢疾患および肝臓疾患の治療として働き、哺乳動物の授乳を増加させ、哺乳動物の胎児の成長を増大させ、かつ、飢餓集団へ供給する食物の栄養の質を高めるために使用することができる。
低バリン
肥満および糖尿病の状態では、動物は、肝臓のオートファジーの低下を示すことにより、インスリン抵抗性の増大がもたらされることが示されている。オートファジーは、ERおよび細胞のホメオスタシスの維持に重要であり、ストレスがかかると、インスリン感受性が低下し得る。動物モデルに高脂肪食を供給するとERにストレスがかかり、mTORC1の過剰刺激を介して肝臓のオートファジーが減少し、糖尿病におけるインスリン感受性障害β細胞機能に向かう進行が強化される。全身性のバリンのレベルの低下は、mTORC1の活性を低下させ、かつ健康なレベルのオートファジーを回復するための機会を提供する。
非荷電のtRNAが、どのようにGCN2をアロステリックに活性化し、真核生物の多くの生合成経路と共に、脂質生成およびタンパク質の合成に関連する下流の転写因子(以下に記載のSREBP−1c、eIF2a、およびGCN4p)のリン酸化をもたらすかに関する機構は理解されている。EAAを欠いている食事は、食事の導入から数分以内にこのシグナリングの著しい引き金となる(Hao et. Al., science 2005)。SREBP−1cを介したシグナリングは、脂質生成に関連する遺伝子を抑制することにより、脂質貯蔵物の動員に対して劇的な効果を有することがin vivoで示されている。SREBP−1cは、肝臓の脂質合成、および脂肪肝の表現型の生成能、ならびに内臓脂肪量の増加に対して特異的に作用することが知られている(Knebel, B. et. Al. Liver−Specific Expression of Transcriptionally Active SREBP−1c Is Associated with Fatty Liver and Increased Visceral Fat Mass. PLoS, 2012)。バリンの欠乏は、GCN2に対する作用を介して、SREBP−1cに対して作用を有し、肝臓の重量(および脂肪肝の表現型)、脂肪組織の重量、コレステロール/トリグリセリドの含有量、および食物摂取の生理学的な測定値を減少させる。除脂肪量を維持しながら脂肪量を減少させることは、肥満、糖尿病、および心血管の健康などの分野に治療機会を提供する。
アミノ酸薬理学のin vitroでの解析
本明細書中に提供するように、アミノ酸は、新規タンパク質の合成に必要な基質として挙動し、同様にシグナリング分子としても作用する。所定のアミノ酸の薬理学的特性の解析は、利用する細胞株およびモデルシステムに依存している。たとえば、アミノ酸のロイシンは、ラパマイシン複合体Iの哺乳動物標的および骨格筋細胞の同化に関与する下流の標的のリン酸化を増加させることが示されている(Gran P & D Cameron−Smith. 2011. The actions of exogenous leucine on mTOR signaling and amino acid transporters in human myotubes. BMC Physiol. 11:10)。また、in vitroアミノ酸薬理学アッセイは、特定の種類の癌の栄養要求性を明らかにすることができる。メチオニンに対する栄養要求性が、複数の不死化癌細胞株で報告されている(Cavuoto P & MF Fenech. 2012. A review of methionine dependency and the role of methionine restriction in cancer growth control and life−span extension. Cancer Treat Rev. 38: 726−736)。
In vitroでのアッセイは、関連する細胞株を同定した後の独立変数または操作変数としてのアミノ酸、タンパク質消化物、またはジおよびトリペプチドを利用して設計され得る。適切な細胞株は、細胞工程のモデルとしてその関連性に基づき選択される。たとえばC2C12(ATCC、CRL−1772)は、筋線維へと分化し、かつ骨格筋繊維の分化および発達のモデルとして使用される、マウスの筋芽細胞細胞株である。細胞を、必要な増殖因子ならびにペニシリンおよびストレプトマイシンが補充された最大10%のウシ胎児血清を補充した完全培地で維持する。接着細胞株は、濾過した気体交換用のフェノール性キャップを備えたT75フラスコ中で増殖させ、37℃、5%CO2の加湿環境でインキュベートする。表AAは、アミノ酸薬理学のアッセイに使用される細胞株を列挙する。In vitroのアッセイでは、細胞を、T75フラスコ、6ウェルプレート、12ウェルプレート、24ウェルプレート、48ウェルプレート、または96ウェルプレートに、経験的に決定される適切な細胞密度で播種する。インキュベーションの後、完全増殖培地を、試験物質を含んでいない培地と交換する。培地を枯渇させた後、試験物質を適切な培地に添加する。処置期間の後、関連する従属変数を測定する。
たとえば、Wu, G. Amino acids: Metabolism, functions, and nutrition. Amino Acids 37(1):1−17 (2009); Wu, G. Functional amino acids in nutrition and health. Amino Acids 45(3):407−11 (2013); Schworer, C. Glucagon−induced autophagy and proteolysis in rat liver: Mediation by selective deprivation of intracellular amino acids. PNAS 76(7):3169−73 (1979); Codongo, P. Autophagy: A Potential Link between Obesity and Insulin Resistance. Cell Metabolism 11(6):449−51 (2010); Leong, H et. al. Short−term arginine deprivation results in large−scale modulation of hepatic gene expression in both normal and tumor cells: microarray bioinformatic analysis. Nutrition and metabolism 3:37 (2006); Harbrecht, B.G. Glutathione regulates nitric oxide synthase in cultured hepatocytes. Annals of Surgery 225(1): 76−87 (1997); Watermelon juice: a potential functional drunk for sore muscle relief in athletes. J. Agric. Food Chem. 61(31):7522−8 (2013)を参照されたい。
分泌型栄養性ポリペプチド
別の態様では、食用に適した種のポリペプチドのアミノ酸配列を含む栄養性ポリペプチドであって、単細胞生物から分泌、かつ単細胞生物から精製されるよう改変されている、栄養性ポリペプチドを提供する。このような栄養性ポリペプチドは、宿主細胞に対して内在性または外来性であり得て、ポリペプチドまたは宿主細胞のいずれか、または両方で天然に分泌することができ、栄養性ポリペプチドが分泌されるように改変される。
栄養性ポリペプチドの有益な特性として、宿主細胞での発現および分泌能、幅広い範囲の溶媒での溶解性、および意図する対象により消費される場合の栄養上の利点、アレルゲン性または非アレルゲン性の低下、毒性の欠如、および消化性が挙げられる。このような特性は、意図する消費者および栄養性ポリペプチドの消費理由(たとえば全身健康、筋肉の同化、免疫の健康、または疾患、障害、もしくは病態の処置もしくは予防のため)に少なくとも部分的に応じて重み付けすることができる。1つまたは複数の栄養上の基準は、たとえば、一次配列に基いてすべての関連するアミノ酸の質量分画を計算することにより満たされる。
非限定的な例として、本発明のポリペプチドを表1に提供する。予測されるリーダーカラムは、予測されるリーダーの配列指数を示す(リーダーが存在する場合)。フラグメントの指数カラムはフラグメント配列の配列指数を示す。DBIDカラムは、2014年9月24日現在で入手可能な各配列のUniProtまたはGenBank寄託番号のいずれかを列挙し、これはそれぞれ、参照により本明細書中に援用される。数字のみを含むDBIDは、GenBankのデータベースに由来しており、アルファベットと数字が混在したDBIDは、UniProtのデータベースに由来する。
核酸
本明細書中、ポリペプチドまたはタンパク質をコードする核酸も提供する。一部の実施形態では、核酸は単離されている。一部の実施形態では、核酸は精製されている。
核酸の一部の実施形態では、核酸は、本明細書中に開示される第1のポリペプチドをコードする核酸配列を含む。核酸の一部の実施形態では、核酸は、本明細書中に開示される第1のポリペプチド配列をコードする核酸配列からなる。核酸の一部の実施形態では、核酸は、本明細書中に開示されるタンパク質をコードする核酸配列を含む。核酸の一部の実施形態では、核酸は、本明細書中に開示されるタンパク質をコードする核酸配列からなる。核酸の一部の実施形態では、第1のポリペプチド配列をコードする核酸配列は、少なくとも1つの発現制御配列に機能的に連結される。たとえば、核酸の一部の実施形態では、第1のポリペプチド配列をコードする核酸配列は、本明細書中に記載されるプロモーターとなどのプロモーターに機能的に連結される。
したがって、一部の実施形態では、本開示の核酸分子は、それ自体がポリペプチドまたはタンパク質であるポリペプチドまたはタンパク質をコードする。このような核酸分子は、「核酸」と呼ぶことができる。一部の実施形態では、核酸は、それ自体が、a)少なくとも24%の、総アミノ酸残基に対する分枝鎖アミノ酸残基の比率、b)少なくとも11%の、総アミノ酸残基に対するLeu残基の比率、およびc)少なくとも49%の、総アミノ酸残基に対する必須アミノ酸残基の比率のうち、少なくとも1つを含むポリペプチドまたはタンパク質をコードする。一部の実施形態では、核酸は、少なくとも10個のヌクレオチド、少なくとも20個のヌクレオチド、少なくとも30個のヌクレオチド、少なくとも40個のヌクレオチド、少なくとも50個のヌクレオチド、少なくとも60個のヌクレオチド、少なくとも70個のヌクレオチド、少なくとも80個のヌクレオチド、少なくとも90個のヌクレオチド、少なくとも100個のヌクレオチド、少なくとも200個のヌクレオチド、少なくとも300個のヌクレオチド、少なくとも400個のヌクレオチド、少なくとも500個のヌクレオチド、少なくとも600個のヌクレオチド、少なくとも700個のヌクレオチド、少なくとも800個のヌクレオチド、少なくとも900個のヌクレオチド、少なくとも1,000個のヌクレオチドを含む。一部個の実施形態では、栄養性核酸は、10〜100個のヌクレオチド、20〜100個のヌクレオチド、10〜50個のヌクレオチド、または20〜40個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸は、食用に適した種のポリペプチドまたはタンパク質をコードするオープンリーディングフレームの全てまたは一部を含む。一部の実施形態では、核酸は、食用に適した種のタンパク質のフラグメントをコードするオープンリーティングフレームからなり、上記オープンリーディングフレームは、完全な、食用に適した種のタンパク質をコードするものではない。
一部の実施形態では、核酸はcDNAである。
一部の実施形態では、食用に適した種の核酸と少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.9%同一である配列を含む核酸分子が提供される。一部の実施形態では、少なくとも1つの参照核酸とストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の下ハイブリダイズする核酸が提供される。
本開示に提供される核酸およびフラグメントは、様々なシステムおよび方法で有用性を示す。たとえば、フラグメントは、様々なダイブリダイゼーション技術のプローブとして使用できる。方法に応じて、標的核酸配列はDNAまたはRNAのいずれかであり得る。標的核酸配列は、ハイブリダイゼーションの前に分画(たとえばゲル電気泳動により)することができ、またはハイブリダイゼーションは、in situで試料に行うことができる。当業者は、既知の配列の核酸プローブが、染色体構造の決定(たとえばサザンブロッティングにより)、および遺伝子発現の測定(たとえばノーザンブロティングにより)に有用性があることを理解するものである。このような実験では、配列フラグメントは、好ましくは検出可能に標識されることにより、標的配列に対する特異的なハイブリダイゼーションを検出でき、任意に定量化できる。当業者は、本開示の核酸フラグメントが、本明細書中で具体的に記載されていない幅広いブロッティング技術に使用できることを理解するものである。
また、本明細書中に開示される核酸配列フラグメントは、マイクロアレイに固定化する場合、プローブとしての有用性が見出されていることも明らかである。支持基板上に核酸を沈着および固定することによりマイクロアレイを作製する方法は当技術分野において周知である。DNA Microarrays:A Practical Approach (Practical Approach Series), Schena (ed.), Oxford University Press (1999) (ISBN: 0199637768); Nature Genet. 21(1)(suppl):1−60 (1999); Microarray Biochip: Tools and Technology, Schena (ed.), Eaton Publishing Company/BioTechniques Books Division (2000)(ISBN: 1881299376)の総説は、本明細書中参照により援用される。たとえば、本明細書中に開示される核酸配列フラグメントなどの、核酸配列フラグメントを含むマイクロアレイを使用した遺伝子発現の解析は、細胞生物学および分子生物学の分野の配列フラグメントにとって良好に確立された有用性がある。マイクロアレイに固定化した配列フラグメントの他の用途は、Gerhold et al., Trends Biochem. Sci. 24:168−173 (1999) and Zweiger, Trends Biotechnol. 17:429−436 (1999); DNA Microarrays: A Practical Approach (Practical Approach Series), Schena (ed.), Oxford University Press (1999) (ISBN: 0199637768); Nature Genet. 21(1)(suppl):1−60 (1999); Microarray Biochip: Tools and Technology, Schena (ed.), Eaton Publishing Company/BioTechniques Books Division (2000)(ISBN: 1881299376)に記載されている。
発現
ベクター
本明細書中にさらに記載されるように、本明細書中に開示される核酸分子の少なくとも1つを含む発現ベクターを含む、1つまたは複数のベクターも提供される。一部の実施形態では、ベクターは、本明細書中に開示されるタンパク質をコードする少なくとも1つの単離核酸分子を含む。代替的な実施形態では、ベクターは、1つまたは複数の発現制御配列に機能的に連結された当該核酸分子を含む。よって、ベクターを用いて、組み換え微生物宿主細胞において少なくとも1つの組み換えタンパク質を発現させることができる。一部の態様では、ベクターまたはベクターのセットは、たとえば、本明細書中に開示されるタンパク質を分泌させるシグナルペプチドをコードする核酸配列を含むことができる。シグナルペプチドおよび分泌に関するさらなる論述は以下を参照されたい。
微生物での核酸の発現に適したベクターは、当業者に良く知られている。シアノバクテリアでの使用に適したベクターは、たとえば、Heidorn et al., “Synthetic Biology in Cyanobacteria: Engineering and Analyzing Novel Functions,” Methods in Enzymology, Vol. 497, Ch. 24 (2011)に記載されている。本明細書中に開示のシアノバクテリアの改変に使用できる例示的な複製ベクターとして、pPMQAK1、pSL1211、pFC1、pSB2A、pSCR119/202、pSUN119/202、pRL2697、pRL25C、pRL1050、pSG111M、およびpPBH201が挙げられる。
本明細書中に開示の核酸配列を受容することのできるpJB161などの他のベクターもまた使用してもよい。pJB161などのベクターは、特定の光合成微生物に対して内在性のプラスミドに存在する配列と相同である配列を含む(たとえば特定のシネココッカス種のプラスミドpAQ1、pAQ3、およびpAQ4)。このようなベクターの例および使用方法は当業者に知られており、たとえばXu et al., “Expression of Genes in Cyanobacteria: Adaptation of Endogenous Plasmids as Platforms for High−Level Gene Expression in Synechococcus sp. PCC 7002,” Chapter 21 in Robert Carpentier (ed.), “Photosynthesis Research Protocols,” Methods in Molecular Biology, Vol. 684, 2011に提供されている。この文献は参照により本明細書中に援用される。pJB161と内在性プラスミドとのあいだのin vivoでの組み換えは、内在性プラスミドから関心対象遺伝子を発現する改変微生物を得る。あるいは、ベクターを、宿主細胞の染色体と組み換えるように改変することができ、またはベクターを、宿主細胞の染色体または宿主細胞の内在性プラスミドのいずれとも無関係に、関心対象の遺伝子を複製および発現するように改変することができる。
組み換えタンパク質の産生に適したベクターのさらなる例は、pET系(Novagen(登録商標))である。この系は、大腸菌(E.Coli)および他の微生物で使用することを広く特徴とする。この系では、標的遺伝子は、強力なバクテリオファージT7転写および(任意に)翻訳シグナルの制御下でpETプラスミドの中にクローニングされる。発現は、宿主細胞にT7RNAポリメラーゼの供給源を提供することにより誘導される。T7 RNAポリメラーゼは、選択的かつ活性であるため、完全に誘導される場合、ほぼすべての微生物の供給源が標的遺伝子発現に変換され、所望の産物は、導入から数時間で、全細胞タンパク質の50%超を含むことができる。また、単に、誘導物質の濃度を低下させることによって発現レベルを減弱させることも可能である。発現レベルを減少させることは、一部の標的タンパク質の可溶性型の収率を高め得る。一部の実施形態では、この系は、転写的にサイレントな非誘導状態での標的遺伝子の維持をも可能にする。
この系を使用する一部の実施形態では、標的遺伝子は、T7RNAポリメラーゼ遺伝子を含まない宿主を使用してクローニングすることによって、宿主細胞に対して潜在的に毒性であるタンパク質の産生によるプラスミドの不安定性に関連する潜在的な問題を軽減する。非発現宿主に確立されると、標的タンパク質の発現は、λpLおよびpIプロモーターの制御下でT7RNAポリメラーゼ遺伝子を有するファージであるλCE6を宿主に感染させるか、またはlac UV5制御下でT7 RNAポリメラーゼ遺伝子の染色体コピーを含む発現宿主の中にプラスミドを導入することにより、開始させることができる。第2の場合、IPTGもしくはラクトースを細菌培養物に添加するか、または自己誘導培地を使用することにより、発現を誘導する。Lacオペレーターにより制御されるが、T7RNAポリメラーゼ遺伝子を必要とせず、大腸菌の天然のRNAポリメラーゼに依存する他のプラスミドシステムとして、pTrc プラスミドスイート(In vitrogen)またはpQEプラスミドスイート(QIAGEN)が挙げられる。
他の実施形態では、発現宿主の中への直接クローニングが可能である。2種類のT7プロモーターおよび基礎発現レベルを抑制するそのストリンジェンシーが異なるいくつかの宿主が利用可能であり、幅広い範囲の標的遺伝子発現を最適化するために非常に高い柔軟性および能力を提供する。
哺乳動物細胞の核酸発現に適したベクターは、典型的にウイルス調節エレメントにより提供される制御機能を含む。たとえば、一般的に使用されるプロモーターは、ポリオーマウイルス、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス、またはシミアンウイルス40に由来する。
プロモーター
本明細書中に記載される組み換え遺伝子の発現に有用なプロモーターは、構成的プロモーターおよび誘導型/抑制性プロモーターを含む。誘導型/抑制性プロモーターの例として、ニッケル誘導性プロモーター(たとえばPnrsA、PnrsB;たとえばLopez−Mauy et al., Cell (2002) v.43: 247−256参照)およびPnirAなどの抑制性プロモーター(たとえばQi et al., Applied and Environmental Microbiology (2005) v.71: 5678−5684に記載)が挙げられる。誘導型/抑制性プロモーターの追加的な例として、PnirA(nirA遺伝子の発現を駆動するプロモーターであり、硝酸塩により誘導され、尿素により抑制される)、およびPsuf(sufB遺伝子の発現を駆動するプロモーターであり、イオンストレスにより誘導される)が挙げられる。構成的プロモーターの例として、Pcpc(cpcオペロンの発現を駆動するプロモーター)、Prbc(ルビスコの発現を駆動するプロモーター)、PpsbAII(PpsbAIIの発現を駆動するプロモーター)、Pcro(croの発現を駆動するλファージプロモーター)が挙げられる。他の実施形態では、PaphIlおよび/またはlaclq−Ptrcプロモーターを使用して発現を制御できる。複数の組み換え遺伝子を、改変微生物で発現させる場合、異なる遺伝子を、異なるプロモーターで、もしくは別々のオペロンにおける同一のプロモーターにより制御でき、または2つ以上の遺伝子の発現を、オペロンの一部としての単一のプロモーターにより制御できる。
誘導型プロモーターのさらなる非限定的な例として、限定するものではないが、外来性タンパク質(たとえばT7 RNAポリメラーゼ、SP6 RNAポリメラーゼ)の発現、小分子(たとえばIPTG、ガラクトース、テトラサイクリン、ステロイドホルモン、アブシジン酸)の存在、小分子(たとえばCO、鉄、窒素)の非存在、金属または金属イオン(たとえば銅、亜鉛、カドミウム、ニッケル)、および環境要因(たとえば熱、低温、ストレス、光、暗所)、および増殖相により誘導されるプロモーターが挙げられる。一部の実施形態では、誘導型プロモーターは、誘導が存在しなければ、転写がプロモーターを介して実質的に開始されないように厳密に調節されている。一部の実施形態では、プロモーターの誘導は、他のプロモーターを介する転写を実質的に変化させない。また、一般的に、誘導型プロモーターを誘導する化合物または条件は、発現が求められる生物または環境に天然に存在するものでない。
一部の実施形態では、誘導型プロモーターは、シアノバクテリア培養物へのCO供給を限定することにより誘導される。非限定的な例として、誘導型プロモーターは、cmp遺伝子、ntp遺伝子、ndh遺伝子、sbt遺伝子、chp遺伝子、およびrbc遺伝子またはそれらの変異体もしくはフラグメントなどの、CO限定条件下でアップレギュレートされたシネコシスティス(Synechocystis)PCC 6803のプロモーター配列とすることができる。
一部の実施形態では、誘導型プロモーターは、鉄飢餓または静止増殖期に入ることにより誘導される。一部の実施形態では、誘導型プロモーターは、isiAなどのFe飢餓条件下、またはisiA、phrA、sigC、sigB、およびsigH遺伝子、またはそれらの変異体もしくはフラグメントなどの、培養が静止増殖期に入る場合にアップレギュレートされるシアノバクテリア遺伝子のプロモーター配列の変異体配列とすることができる。
一部の実施形態では、誘導型プロモーターは、金属または金属イオンにより誘導される。非限定的な例として、誘導型プロモーターは、銅、亜鉛、カドミウム、水銀、ニッケル、金、銀、コバルト、およびビスマス、またはそれらのイオンにより誘導できる。一部の実施形態では、誘導型プロモーターは、ニッケルまたはニッケルイオンにより誘導される。一部の実施形態では、誘導型プロモーターは、Ni2+などのニッケルイオンにより誘導される。別の例示的な実施形態では、誘導型プロモーターは、シネコシスティスPCC 6803由来のニッケル誘導型プロモーターである。別の実施形態では、誘導型プロモーターは、銅または銅イオンにより誘導できる。さらなる別の実施形態では、誘導型プロモーターは、亜鉛または亜鉛イオンにより誘導できる。さらなる別の実施形態では、誘導型プロモーターは、カドミウムまたはカドミウムイオンにより誘導できる。さらなる別の実施形態では、誘導型プロモーターは、水銀または水銀イオンにより誘導できる。代替的な実施形態では、誘導型プロモーターは、金または金イオンにより誘導できる。別の代替的な実施形態では、誘導型プロモーターは、銀または銀イオンにより誘導できる。さらなる別の実施形態では、誘導型プロモーターは、コバルトまたはコバルトイオンにより誘導できる。さらなる別の代替的な実施形態では、誘導型プロモーターは、ビスマスまたはビスマスイオンにより誘導できる。
一部の実施形態では、プロモーターは、金属または金属イオンに誘導型プロモーターを含む細胞を曝露することにより誘導される。細胞は、微生物増殖培地に金属を添加することにより金属または金属イオンに曝露され得る。特定の実施形態では、微生物増殖培地に添加した金属または金属イオンは、培地から効率良く回収できる。他の実施形態では、回収後培地に残る金属または金属イオンは、培地のその後の処理または細菌遺伝子産物を実質的に妨害するものではない。
構成的プロモーターのさらなる非限定的な例として、グラム陰性菌またはグラム陰性菌で増殖するバクテリオファージ由来の構成的プロモーターが挙げられる。たとえば、Lpp、OmpA、rRNA、およびリボソームタンパク質のプロモーターなどの、高度に発現されるグラム陰性遺伝子産物をコードする遺伝子のプロモーターを使用できる。あるいは、調節可能なプロモーターを、プロモーターのための制御タンパク質を欠いた株で使用することができる。たとえば、Plac、Ptac、およびPtrcは、Laclを欠いた株の構成的プロモーターとして使用できる。同様に、P22PおよびPは、λC2リプレッサータンパク質を欠いた株で使用でき、λPおよびPは、λC1リプレッサータンパク質を欠いた株で使用できる。一実施形態では、構成的プロモーターはバクテリオファージ由来である。別の実施形態では、構成的プロモーターは、サルモネラ(Salmonella)バクテリオファージ由来である。さらなる別の実施形態では、構成的プロモーターは、シアノファージ由来である。一部の実施形態では、構成的プロモーターは、シネコシスティス(Synechocystis)プロモーターである。たとえば、構成的プロモーターは、PpsbAllプロモーターまたはその変異配列、Prbcプロモーターまたはその変異体配列、Pcpcプロモーターまたはその変異配列、およびPrnpBプロモーターまたはその変異配列とすることができる。
宿主
同様に、本明細書中に開示される核酸分子またはベクターで形質転換された宿主細胞をも提供する。一部の実施形態では、宿主細胞は微生物細胞である。一部の実施形態では、宿主細胞は、ベクター上に核酸配列を有しており、ここで、ベクターを自由に複製してもよいが必ずしも複製する必要はない。他の実施形態では、核酸は、宿主細胞のゲノムおよび/または宿主細胞の内在性プラスミドの中に組み込まれている。形質転換宿主細胞は、たとえば本明細書中に開示される組み換えタンパク質の産生において有用である。
様々な宿主微生物を、本明細書中に開示される核酸配列で形質転換でき、かつ一部の実施形態では、本明細書中に開示される組み換えタンパク質を産生するために使用できる。適切な宿主微生物として、独立栄養性微生物および従属栄養性微生物が挙げられる。一部の使用では、独立栄養性微生物は、宿主微生物の中に導入される組み換え核酸配列によりコードされるタンパク質を作製するために必要とされる化石燃料および/または電気量の減少を可能にする。これは、言い換えると、一部の応用では、タンパク質を産生する費用および/または環境上の影響を減少させ、かつ/または乳清、卵、およびダイズなどの代替的なタンパク質を製造する費用および/または環境上の影響と比較して、費用および/または環境上の影響を減少させる。たとえば、本明細書中に開示される宿主微生物を使用して本明細書中に開示されるタンパク質を作製する費用および/または環境上の影響は、一部の実施形態では、牛乳の処理によるヒトの消費に適した形態の乳清タンパク質を作製する費用および/または環境上の影響よりも少ない。
従属栄養生物の非限定的な例として、Escherichia coli、Salmonella typhimurium、Bacillus subtilis、Bacillus megaterium、Corynebacterium glutamicum、Streptomyces coelicolor、Streptomyces lividans、Streptomyces vanezuelae、Streptomyces roseosporus、Streptomyces fradiae、 Streptomyces griseus、Streptomyces calvuligerus、Streptomyces hygroscopicus、Streptomyces platensis、Saccharopolyspora erythraea、Corynebacterium glutamicum、Aspergillus niger、Aspergillus nidulans、Aspergillus oryzae、Aspergillus terreus、Aspergillus sojae、Penicillium chrysogenum、Trichoderma reesei、Clostridium acetobutylicum、Clostridium beijerinckii、Clostridium thermocellum、Fusibacter paucivorans、Saccharomyces cerevisiae、 Saccharomyces boulardii、 Pichia pastoris、およびPichia stipitisが挙げられる。
光独立栄養性微生物として、真核生物藻類、ならびに原核生物性シアノバクテリア、緑色硫黄細菌、緑色非硫黄細菌、紅色硫黄細菌、および紅色非硫黄細菌が挙げられる。好極限性細菌もまた、適切な生物と考えられている。このような生物は、たとえば、混合栄養の微生物に提供されている。混合栄養の微生物もまた適切な生物である。藻類およびシアノバクテリアは、適切な生物と考えられている。たとえば、2013年3月15日に出願のPCT/US2013/032232号、2013年3月15日に出願のPCT/US2013/032180号、2013年3月15日に出願のPCT/US2013/032225号、2013年3月15日に出願の第PCT/US2013/032218号、2013年3月15日に出願の第PCT/US2013/032212号、2013年3月15日に出願の第PCT/US2013/032206号、および2013年4月29日に出願の第PCT/US2013/038682号に開示された生物を参照されたい。
なおさらなる他の適切な生物として、Venterらの米国特許出願公開第2007/0264688に記載の合成ゲノムにより産生される合成細胞、ならびにGlassらの米国特許出願公開第2007/0269862号に記載の細胞様の系または合成細胞が挙げられる。
さらなる他の適切な生物として、Escherichia coli、Acetobacter aceti、Bacillus subtilis、Clostridium ljungdahlii、Clostridium thermocellum、Penicillium chrysogenum、Pichia pastoris、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombe、Pseudomonas fluorescens、またはZymomonas mobilisなどの酵母および真菌が挙げられる。一部の実施形態では、これら微生物は、二酸化炭素を固定するように改変されるが、他の実施形態では、改変されない。
一部の実施形態では、昆虫細胞またはヒト細胞などの哺乳動物の細胞などの真核生物の細胞を、宿主細胞として使用する。そのような細胞に関するベクターならびにプロモーターおよびエンハーサーを含む発現制御配列は周知である。この目的に有用な哺乳動物の宿主細胞株の例は、SV40(COS−7、ATCC CRL 1651)により形質転換したサルの腎臓CV1株;ヒト胎児腎細胞株(293細胞、または浮遊培養で生育させるためにサブクローニングした293細胞、Graham et al., J. Gen Virol. 36:59 (1977));ベビーハムスター腎細胞(BHK、ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFR(CHO、Urlaub et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216 (1980));マウスのセルトリ細胞(TM4、Mather, Biol. Reprod. 23:243−251(1980));サル腎細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎細胞(VERO−76, ATCC CRL−1587);ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL 2);イヌ腎細胞(MDCK, ATCC CCL 34);バッファローラット肝細胞(BRL 3A, ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138, ATCC CCL 75);ヒト肝細胞(Hep G2、HB 8065);マウス乳腺腫瘍(MMT 060562, ATCC CCL51);TRI細胞(Mather et al., Annals N.Y. Acad. Sci. 383:44−68 (1982));MRC5細胞;FS4細胞;およびヒトの肝細胞癌株(HepG2)である。
トランスフェクション
タンパク質は、たとえば、当技術分野で周知である組み換えDNA技術および遺伝子トランスフェクション方法の組み合わせを使用して宿主細胞で産生できる(たとえばMorrison, S.(1985)Science 229:1202)。タンパク質の発現に関して、タンパク質をコードする発現ベクターを、標準的な技術により宿主細胞へトランスフェクトする。この用語トランスフェクションの様々な形態は、たとえば、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、DEAE−デキストラントランスフェクションなどといった、原核生物または真核生物の宿主細胞の中への外来性DNAの導入に一般的に使用できる様々な技術を包含すると意図される。
産生
当業者は、本明細書中に開示されるタンパク質を産生(かつ任意に分泌)するよう組み換え型細胞を培養するため、ならびに発現したタンパク質の精製および/または単離のために利用可能な多くの適切な方法を認識している。タンパク質精製のために選択される方法は、細胞、ベクター、宿主株のバックグラウンドの中の、関心対象タンパク質の特性、位置および形態、ならびに発現したタンパク質の意図される用途を含む、多くの変数に依存する。培養条件もまた、所定の標的タンパク質の溶解度および局在に影響を及ぼし得る。限定するものではないが、イオン交換およびゲル濾過を含む多くの手法を使用して、本明細書に開示される組み換え微生物細胞に発現する標的タンパク質を精製できる。
一部の実施形態では、ペプチド融合タグを組み換えタンパク質に添加して、ペプチド融合タグを利用する様々なアフィニティ精製方法を可能にする。一部の実施形態では、アフィニティ方法の使用は、1ステップでほぼ均一となるまで標的タンパク質の精製を可能にする。精製は、たとえば、エンテロキナーゼ、第Xa因子、トロンビン、またはHRV3Cプロテアーゼによる融合タグの一部または全ての切断を含んでもよい。一部の実施形態では、発現した標的タンパク質の精製または活性測定の前に、標的タンパク質の発現レベル、細胞局在、および溶解度に関する予備解析を行う。標的タンパク質は、以下の分画、すなわち可溶性または不溶性の細胞質分画、細胞周辺質、または培地のいずれかまたは全てで見出すことができる。意図する応用に応じて、封入体、培地、または細胞周囲腔に選択的に局在することは、一部の実施形態で、比較的簡単な手法により迅速に精製するために有益とすることができる。
大腸菌は、異種性タンパク質を発現させるためのロバストな宿主として広く考えられているが、同様に、この宿主中の多くの過剰発現するタンパク質が、不溶性の封入体の形態で凝集する傾向があることも広く知られている。封入体の形成を救出する、またはタンパク質自体の力価を改善するための最も一般に使用されている方法の1つは、アミノ末端マルトース結合タンパク質(MBP)(Austin BP, Nallamsetty S, Waugh DS. Hexahistidine−tagged maltose−binding protein as a fusion partner for the production of soluble recombinant proteins in Escherichia coli. Methods Mol Biol. 2009;498:157−72)、または低分子ユビキチン関連修飾因子(Saitoh H, Uwada J, Azusa K. Strategies for the expression of SUMO−modified target proteins in Escherichia coli. Methods Mol Biol. 2009;497:211−21; Malakhov MP, Mattern MR, Malakhova OA, Drinker M, Weeks SD, Butt TR. SUMO fusions and SUMO−specific protease for efficient expression and purification of proteins. J Struct Funct Genomics. 2004;5(1−2):75−86; Panavas T, Sanders C, Butt TR. SUMO fusion technology for enhanced protein production in prokaryotic and eukaryotic expression systems. Methods Mol Biol. 2009;497:303−17)の、関心対象タンパク質との融合体を含めることである。これら2つのタンパク質は、きわめて良好に発現され、Escherichia coliにおいて可溶型であることにより、関心対象タンパク質は可溶型で効率良く産生される。関心対象タンパク質は、関心対象タンパク質と融合タンパク質とのあいだに部位特異的プロテアーゼ認識配列(タバコエッチ病ウイルス(TEV)プロテーゼなど)を設計することにより切断できる。一部の実施形態では、関心対象タンパク質は、封入体に存在できる。一部の態様では、封入体は、対象に送達するために配合できる。配合物は、以下にさらに詳細に論述される。
一部の実施形態では、当初、タンパク質は正確にフォールディングされず、または不溶性である。不溶性のタンパク質をリフォールディングするための様々な方法が良く知られている。ほとんどのプロトコルが、遠心後に変性条件下での可溶化による不溶性封入体の単離を含む。次いでタンパク質を透析し、非変性バッファーに希釈すると、リフォールディングが起こる。すべてのタンパク質は、固有のフォールディング特性を有しているため、任意の所定のタンパク質に最適なリフォールディングプロトコルが、当業者により経験的に決定できる。最適なリフォールディング条件は、たとえば、タンパク質の濃度、還元剤、レドックス処理、二価カチオンなどの変数を試験するマトリックス手法により、小規模で迅速に決定できる。最適な濃度が見いだされれば、それらの濃度を、標的タンパク質の大規模での可溶化およびリフォールディングに使用できる。
一部の実施形態では、タンパク質は、三次構造を構成しない。一部の実施形態では、三次構造に関与するのは、タンパク質のアミノ酸の半分未満である。一部の実施形態では、タンパク質は2次構造を構成しない。一部の実施形態では、二次構造に関与するのは、タンパク質のアミノ酸の半分未満である。組み換えタンパク質は、これら構造特性の1つまたは複数を含む状態でこれらタンパク質を発現する細胞の培養物から単離できる。一部の実施形態では、組み換えタンパク質の三次構造を、このタンパク質を産生する培養物から単離した後に減少させるかまたは除去する。一部の実施形態では、組み換えタンパク質の二次構造を、このタンパク質を産生する培養物から単離された後に減少させるかまたは除去する。
一部の実施形態では、N−ラウロイルサルコシンと共にアルカリpHのCAPSバッファーを使用して、封入体の溶解を得た後、DTTの存在下で透析を行うことにより、リフォールディングを促進させる。標的タンパク質、発現条件、および意図する応用に応じて、洗浄した封入体から可溶化したタンパク質は、90%超均一であり、さらに精製する必要はなくてもよい。完全な変性条件での精製(リフォールディング前)は、His・Tag(登録商標)融合タンパク質およびHis・Bind(登録商標)固定化金属アフィニティクロマトグラフィー(Novogen(登録商標))を使用することが可能である。さらに6Mの尿素を使用して封入体から可溶化したS・Tag(商標)、T7・Tag(登録商標)、およびStrep・Tag(登録商標)II融合タンパク質は、適切な樹脂上でのクロマトグラフィーの前に、2M尿素(S・TagおよびT7・Tag)または1Mの尿素(Strep・Tag II)への希釈により部分的な変性条件下で精製できる。リフォールディングした融合タンパク質は、His・Tag、S・Tag、Strep・Tag II、および他の適切なアフィニティタグ(GST・Tag(商標)およびT7・Tag)(Novogen(登録商標))を使用して、天然の条件下でアフィニティ精製できる。
一部の実施形態では、タンパク質は、タンパク質を発現するために使用される宿主細胞の内在性タンパク質である。すなわち、宿主細胞の細胞ゲノムは、組み換えタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含む。一部の実施形態では、タンパク質の発現を増加させるために十分な調節配列を、宿主細胞のゲノムの中へ挿入して、調節配列が組み換え核酸由来の組み換えタンパク質の過剰発現を駆動するように内在性オープンリーディングフレームに機能的に連結させる。一部の実施形態では、異種性核酸配列を、タンパク質の内在性オープンリーディングフレームに融合して、オルガネラまたは分泌経路にこのタンパク質を配向するなど、組み換えタンパク質の細胞輸送を変化させる異種アミノ酸配列を含むタンパク質を合成させる。一部の実施形態では、内在性宿主細胞タンパク質をコードするオープンリーディングフレームを、オープンリーディングフレームに機能的に連結される調節配列をさらに含むプラスミド上で宿主細胞に導入する。一部の実施形態では、組み換え型宿主細胞は、類似する条件下で生育させた類似の宿主細胞により産生されるタンパク質の量の少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、または少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、または少なくとも100倍以上多い組み換えタンパク質を発現する。
植物中の組み換えタンパク質の産生
栄養性ポリペプチドは、植物から組み換えにより産生でき、限定するものではないが、2013年3月15日に出願の第PCT/US2013/032232号、2013年3月15日に出願の第PCT/US2013/032180号、2013年3月15日に出願の第PCT/US2013/032225号、2013年3月15日に出願の第PCT/US2013/032218号、2013年3月15日に出願の第PCT/US2013/032212号、2013年3月15日に出願の第PCT/US2013/032206号、および2013年4月29日に出願の第PCT/US2013/038682号に開示される生物および産生方法を含む。
精製
分泌
一般的に、ほぼすべての分泌される細菌のタンパク質および他の単細胞宿主由来のタンパク質は、シグナルペプチドとして知られているN末端配列を含むプレタンパク質として合成される。これらのシグナルペプチドは、タンパク質の最終目的、および輸送機構に影響を与える。ほとんどのシグナルペプチドは、転座機構(たとえばSecまたはTat媒介など)およびプレタンパク質からシグナルペプチドを切断するために使用されるシグナルペプチダーゼの種類に基づき、4つのグループの1つに分類できる。同様に、リポタンパク質シグナルペプチドを含むN末端シグナルペプチドも提供する。この種のシグナルを有するタンパク質は、Secトランスロカーゼを介して輸送されるが、これらのペプチドシグナルは、正常のSecシグナルよりも短い傾向があり、−3〜+1の位置のリポボックス(L(AS)(GA)C)として知られているCドメインに別の配列モチーフを含む。+1位置のシステインは、転座の後に脂質修飾され、シグナル配列は、II型シグナルペプチダーゼにより切断される。また、IV型またはプレピリンシグナルペプチドが提供され、IV型ペプチダーゼ切断ドメインは、他のシグナルペプチドに共通するCドメインではなく、NドメインとHドメインとのあいだに局在する。
本明細書中に提供されるように、シグナルペプチドは、組み換え栄養性ポリペプチド配列を作製するために、栄養性ポリペプチドを含む異種ポリペプチド配列(すなわち、このタンパク質と異なるシグナルペプチドに由来する、または異なるシグナルペプチドから得られる)に結合させることができる。あるいは、栄養性ポリペプチドが宿主生物で天然に分泌される場合、これは、分泌を指示する天然のシグナル配列または様々なシグナル配列を使用するために十分とすることができる。栄養性ポリペプチドの一部の実施形態では、シグナルペプチドのカルボキシル末端に結合した異種栄養性ポリペプチドは、食用に適した種の真核生物タンパク質、その変異タンパク質もしくは誘導体、またはポリペプチド栄養性ドメインである。ポリペプチドの他の実施形態では、シグナルペプチドのカルボキシル末端に結合した異種栄養性ポリペプチドは、食用に適した種の細胞内タンパク質、その変異タンパク質もしくは誘導体、またはポリペプチド栄養性ドメインである。
栄養性ポリペプチドの精製
同様に、培養培地から分泌栄養性ポリペプチドを回収する方法も提供する。一部の実施形態では、分泌型栄養性ポリペプチドは、指数増殖期の最中または指数増殖期の後(たとえばプレ定常期または定常期)に、培養培地から回収される。一部の実施形態では、分泌型栄養性ポリペプチドは、定常期の最中に培養培地から回収される。一部の実施形態では、分泌型栄養性ポリペプチドは、第1の時点で培養培地から回収され、培養は、微生物による組み換え栄養性ポリペプチドの産生および分泌に十分な条件下で継続され、組み換え栄養性ポリペプチドが、第2の時点で培養培地から回収される。一部の実施形態では、分泌栄養性ポリペプチドは、連続工程により培養培地から回収される。一部の実施形態では、分泌型栄養性ポリペプチドは、バッチ工程により培養培地から回収される。一部の実施形態では、分泌型栄養性ポリペプチドは、半連続工程により培養培地から回収される。一部の実施形態では、分泌型栄養性ポリペプチドは、流加培養工程により培養培地から回収される。当業者は、本明細書に開示される組み換え型栄養性ポリペプチドを産生(および任意に分泌)するための組み換え型細胞の培養、ならびに発現した組み換えポリペプチドの精製および/または単離に利用可能な多くの適切な方法を認識するものである。ポリペプチド精製に選択される方法は、関心対象ポリペプチドの特性を含む多くの変数に依存する。ダイアフィルトレーション(diafilitration)、沈殿、およびクロマトグラフィーを含む様々な精製技術が当技術分野において公知である。
非分泌
一部の態様では、タンパク質は、分泌されずに単離できる。たとえば、タンパク質を有する細胞(細胞表面または細胞内)を、溶解して、タンパク質を、ライセートからのタンパク質のクロマトグラフィーまたは抗体ベースの単離などの標準的な方法を使用して精製できる。一部の態様では、細胞の表面に発現したタンパク質を、表面から酵素により切断できる。
食用に適した種由来の生物材料からの栄養性ポリペプチドの単離
一部の実施形態では、望ましいアミノ酸配列に任意に存在する望ましいアミノ酸または複数のアミノ酸を有する栄養性ポリペプチドを、食用に適した種由来の食物供給源または生物材料から単離または精製する。たとえば、植物の生物材料として、ナッツ、種、葉、および根が挙げられ、哺乳動物の生物材料として、乳汁、筋肉、血清、および肝臓が挙げられる。単離方法として、可溶化、クロマトグラフィー、および沈殿が挙げられる。
栄養性ポリペプチドは、標的化した栄養性ポリペプチドの特異的な可溶化により生物学的物質から単離される。この生物材料を可溶化溶液に懸濁し、ホモジナイズする。この可溶化溶液は、栄養性ポリペプチドの生理化学的な特性に基づき選択される。可溶化溶液の組成物は、水、洗浄剤、塩、pH、カオトロープ、コスモトロープ(cosmotrope)、および/または有機溶媒の混合物である。例として、プロリンを多く含むタンパク質は、エタノール溶液に可溶性であることが知られている(Dickey, L. C., et al. Industrial Crops and Products 10.2 (1999): 137−143.)。高いプロリン含有量の栄養性ポリペプチドは、液体対生物材料の比率(w/w)が1:1、2:1、3:1、4:1または当技術分野において認識される他の比率のでエタノールに生物材料を懸濁することにより、選択および単離される。この懸濁物を混合し、不溶性材料を遠心沈降により除去する。エタノール可溶性の栄養性ポリペプチドは、エタノール分画に可溶な状態で精製される。
栄養性ポリペプチドは、標的化栄養性ポリペプチドの沈殿、または他のタンパク質の沈殿により生物材料から単離される。沈殿剤は、塩、pH、加熱、凝集剤、カオトロープ、コスモトロープ、および有機溶媒を含む。沈殿形態は、タンパク質の生理学的特性に基づき所定の栄養ポリペプチドに関して選択される。例として、栄養性ポリペプチドは、本明細書中に記載される低い溶媒和スコアおよび低い凝集スコアによりpH7で熱的に安定であるよう選択される。このタンパク質を精製するために、生物材料を中性pHの水溶液に懸濁し、ホモジナイズする。不溶性の物質を、遠心沈降により溶液から除去する。他のタンパク質から栄養性ポリペプチドを精製するために、上清を90℃に10分間加熱する。不溶性材料を遠心沈降により除去する。3kDaのメンブレンを使用して透析することにより、低分子を懸濁物から除去すると、純粋な栄養性ポリペプチドが得られる。
栄養性ポリペプチドは、様々なクロマトグラフィーの方法により生物材料から単離される。使用するため選択されるクロマトグラフィーの形式は、標的栄養性ポリペプチドの物理化学特性に依存する。荷電栄養性ポリペプチドは、静電相互作用を介してイオン交換クロマトグラフィー樹脂に結合する。疎水性栄養性ポリペプチドは、疎水性の会合を介した疎水性相互作用クロマトグラフィー樹脂に結合する。混合型のクロマトグラフィーは、様々な栄養性ポリペプチドに使用でき、様々な相互作用を介して作用できる。金属アフィニティクロマトグラフィーは、金属イオンに結合する栄養性ポリペプチドに使用できる。例として、栄養性ポリペプチドは、陽イオン交換樹脂と強固に結合するように、pH4でアミノ酸あたり高い電荷を有するように選択される。生物材料を、低いイオン強度のpH4の水溶液に添加し、ホモジナイズする。不溶性材料を遠心沈降により除去する。可溶性材料を、Life Technologies製のPOROS(登録商標)XS Strong Cation Exchange Resinなどの陽イオン交換樹脂に添加し、低イオン強度pH4溶液で洗浄する。栄養性ポリペプチドを、高イオン強度(たとえば500mMのNaCl)pH4溶液を添加することにより樹脂から溶出し、精製した栄養性ポリペプチドをもたらす。
合成栄養性ポリペプチドアミノ酸組成物
一部の実施形態では、本開示の組成物は、選択した栄養性ポリペプチドに存在する複数のアミノ酸のモル比を表す複数の遊離アミノ酸を含み、本明細書中では、これは「栄養性ポリペプチド混合物」と呼ばれる。本組成物は、特定の実施形態では、遊離アミノ酸および栄養性ポリペプチドの両方を含む。本明細書中で使用されるように、これらの実施形態では、栄養性ポリペプチド、ならびに栄養性ポリペプチドを含む組成物および配合物の開示は、栄養性ポリペプチド混合物、および栄養性ポリペプチド混合物を含む組成物および配合物、ならびに第1の量のアミノ酸が栄養性ポリペプチドの形態で存在し、第2の量のアミノ酸が遊離アミノ酸の形態で存在する組成物の開示を含む。
生成するための合成方法
一部の実施形態では、本開示のタンパク質は、組み換え産生システムを使用することなく化学的に合成される。タンパク質の合成は、当技術分野で公知の技術を使用して、液相系または固相系で実行できる(たとえばAtherton, E., Sheppard, R.C. (1989). Solid Phase peptide synthesis: a practical approach. Oxford, England: IRL Press; Stewart, J.M., Young, J.D. (1984). Solid phase peptide synthesis (2nd ed.). Rockford: Pierce Chemical Company参照)。
ペプチドの化学および合成方法は当技術分野で周知であり、本開示のタンパク質は当技術分野で公知のいずれかの方法を使用して作製できる。このような方法の非限定的な例として、樹脂結合ペプチドの合成(アミノ酸の脱保護のための方法、樹脂からペプチドを切断する方法、およびその精製方法を含む)がある。
たとえば、ペプチドを合成するために使用できるFmoc保護アミノ酸誘導体:Fmoc−Ala−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−Asn(Trt)−OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Cys(Trt)−OH、Fmoc−Gln(Trt)−OH、Fmoc−Glu(OtBu)−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−His(Trt)−OH、Fmoc−Ile−OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Lys(BOC)−OH、Fmoc−Met−OH、Fmoc−Phe−OH、Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Ser(tBu)−OH、Fmoc−Thr(tBu)−OH、Fmoc−Trp(BOC)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)−OHおよびFmoc−Val−OH(たとえば、Anaspec、Bachem、Iris Biotech、またはNovabioChemから供給)が、標準的な推奨である。樹脂結合型ペプチド合成は、たとえば、Protein Technologies製のPrelude Solid Phase Peptide Synthesizer(Tucson, Ariz. 85714 U.S.A.)に関するFmocに基づく化学技術を使用して実施される。C末端カルボン酸の調製に適した樹脂は、NovabioChemから入手可能な、充填済みの低充填Wang樹脂(たとえば低充填fmoc−Thr(tBu)−Wang樹脂、LL、0.27mmol/g)である。C末端アミドを有するペプチドの合成に適した樹脂は、Matrix−Innovationから入手可能なPAL−ChemMatrix樹脂である。N末端αアミノ基は、Bocで保護される。
Fmoc−脱保護は、2×3分間、NMP中20%のピぺリジンを用いて達成できる。カップリングの化学は、NMP中のDIC/HOAt/コリジンである。アミノ酸/HOAt溶液(3〜10倍のモル過剰でNMP中0.3M/0.3M)を樹脂に添加し、次いで、等モル当量のDIC(NMP中で3M)、次いでコリジン(NMP中で3M)を添加する。たとえば、以下のスケールの反応に関してカップリングあたり、以下の量の0.3Mのアミノ酸/HOAt溶液を使用する:スケール/ml、0.05mmol/1.5mL、0.10mmol/3.0mL、0.25mmol/7.5mL。カップリング時間は、2×30分または1×240分のいずれかである。合成の後、樹脂をDCMで洗浄し、ペプチドは、TFA/TIS/水(95/2.5/2.5)での2〜3時間の処理により樹脂から切断し、次いでジエチルエーテルで沈殿させる。この沈殿物を、ジエチルエーテルで洗浄する。この粗製ペプチドを、水/MeCN(4:1)などの水およびMeCNの適切な混合物に溶解し、C18シリカゲルを含むカラム上で分取用逆相HPLC(Waters Deltaprep 4000またはGilson)により精製する。溶出を、0.1%TFAを含む水中のMeCNの勾配を増大させて行う。関連する分画を、分析的HPLCまたはUPLCにより確認する。純粋な標的ペプチドを含む画分を混合し、減圧下で濃縮する。結果として得られる溶液を解析(HPLC、LCMS)し、生成物を化学発光窒素特異的HPLC検出器(Antek 8060 HPLC−CLND)を使用するか、または280nmでのUV吸光を測定することにより定量する。生成物を、ガラスのバイアルの中に分配する。このバイアルを、ミリポアのガラス線維のプレフィルターでキャッピングする。凍結乾燥すると、ペプチドトリフルオロ酢酸塩が白色固体として得られる。結果として得られるペプチドは、たとえば当技術分野で公知の標準的な方法を使用するLCMSおよび/またはUPLCを使用して検出かつ特徴付けることができる。LCMSは、Waters Acquity UPLCシステムおよびMicromassのLCT Premier XE質量分析計からなるセットアップで実施できる。UPLCポンプは、A)水中0.1%のギ酸、およびB)アセトニトリル中0.1%のギ酸を含む2つの溶出リザーバーに接続される。この解析は、カラム上に適切な量の試料(好ましくは2〜10μl)を注入してAおよびBの勾配で溶出することにより室温で実施される。UPLCの条件、検出器の設定、および質量分析計の設定は以下の通りである。カラム:Waters Acquity UPLC BEH、C−18、1.7μm、2.1mm×50mmである。勾配:0.4ml/分で4.0分(あるいは8.0分)のあいだの5%〜95%アセトニトリルの直線勾配。検出:214nm(TUVからのアナログ出力(Tunable UV検出器)。MSイオン化モード:API−ESスキャン:100〜2000amu(あるいは500〜2000amu)、ステップ0.1amu。UPLC法は良く知られている。使用できる方法の非限定的な例は、たとえば、2013年2月28に公開された米国特許出願公開第2013/0053310A1号の16〜17ページに記載されている。
酵素活性の不活性化
一部の態様では、タンパク質は酵素であるか、または酵素活性を有する。一部の実施形態では、タンパク質は、酵素の酵素活性を不活性化または低減することが望ましい場合がある。加熱の使用、1つまたは複数の洗浄剤の使用、1つまたは複数の金属キレーターの使用、還元、酸化、1つまたは複数のカオトロープの使用、共有結合修飾、たとえば酵素的または化学的な変更を介した、翻訳後修飾の変更、pH(酸性および塩基性)の変更、または塩濃度の変更を含む、酵素の不活性化のための様々な方法が当業者に知られている。たとえば、熱不活性化は、典型的に、特定の期間、特定の温度で実行される。たとえば、ほとんどのエンドヌクレアーゼは、20分間65℃でのインキュベーションにより不活性化される。一部の態様では、酵素は、たとえば、酵素をミスフォールドさせることにより、酵素の活性を除去または低減させるよう変異させることができる。さらに、高圧の二酸化炭素(HPCD)は、酵素を不活性化するために有効な非熱的処理であることが例証されている。Hu et al., Enzyme Inactivation in Food Processing using High Pressure Carbon Dioxide Technology; Critical Review in Food Science and Nutrition; Volume 52, Issue 2, 2013を参照されたい。酵素不活性化の様々な他の形態が当業者に知られており、よってこれらのパラメータは、酵素の活性を変化させるために必要に応じて調節できる。酵素不活性化のための様々な方法は、酸化、たとえば漂白剤、H、およびエチレンオキシドといった賦形剤;たとえばDTT、BME、およびTCEPといったジスルフィドの還元;NaCO、トリス塩基、またはNaHPOを使用した高いpH;クエン酸、ホウ酸、酢酸、またはトリスHClを使用した低pH;ある期間にわたる30℃〜100℃の温度を使用した加熱;チオシアン酸塩、尿素、グアニジンHCl、またはCaClなどのカオトロープによるタンパク質のアンフォールディング;MPD、トリトン(非イオン性)、CHAPS(双性イオン)、またはTween(非イオン性)などの界面活性剤(たとえば、洗浄剤)を用いるか、またはEDTAもしくはクエン酸塩などのキレート塩を用いるタンパク質のアンフォールディングである。
細胞増殖アッセイ
タンパク質またはその一部の増殖工程に対する相対的な重要性を測定するために、タンパク質増殖アッセイを用いることができる。一部の態様では、細胞増殖は、タンパク質または対象の存在下または非存在下で、飢餓条件下で測定できる。たとえば、ある一定期間(たとえば48時間)にわたり、組織培養インキュベーター中で、それぞれの関心対象タンパク質を有するか、または欠いている培地を用いて、細胞を飢餓状態にすることができる。インキュベーション後、AlamarBlueなどの検出剤を添加し、蛍光を、増殖に関する出力として測定できる。一部の態様では、細胞の増殖は、関心対象タンパク質に対する用量反応の一部として測定できる。たとえば、細胞は、組織培養インキュベーター中で、それぞれの関心対象タンパク質を有するかまたは欠いている培地で飢餓状態にできる。飢餓させた後、次いで細胞を、それぞれのタンパク質を欠いている同じ供給源培地中で、初回培養液中で欠如していた、種々の濃度のタンパク質(たとえば0、20、100、または1000μMで処置できる。次いでこの細胞を、組織培養インキュベーターで再度インキュベートできる。インキュベーションの後、AlamarBlueなどの検出剤を添加し、蛍光を読み取る。
アレルゲン性アッセイ
一部の実施形態のため、タンパク質は、高いアレルゲン性を不適切に呈しないことが好ましい。よって、一部の実施形態では、タンパク質の潜在的アレルゲン性が評価される。これは、当技術分野において公知のいずれかの適切な方法により行うことができる。一部の実施形態では、アレルゲン性のスコアを計算する。アレルゲン性スコアは、タンパク質が任意の公知のアレルゲンに対してどれほど類似しているかを評価するための、WHOの推奨に基づく一次配列ベースの測定基準(fao.org/ag/agn/food/pdf/allergygm.pdf)であり、標的と既知のアレルゲンとのあいだで高いパーセント同一性は、交差反応性を示す可能性があると主に予測される。所定のタンパク質では、アレルギー応答を誘発する可能性は、無料の配列相同性ベースの試験ペアの1つまたは複数を介して評価できる。第1の試験は、BLOSUM50置換行列、10のギャップ開口ペナルティ、および2のギャップ伸長ペナルティでFASTAアルゴリズムを使用した、既知のアレルゲンのデータベースに対するグローバル−グローバル配列アライメントを介して、配列全体にわたるタンパク質のパーセント同一性を決定する。50%未満の全体的相同性を有するタンパク質は、アレルゲン性である可能性が低いことが示唆されている(Goodman R. E. et al. Allergenicity assessment of genetically modified crops−what makes sense? Nat. Biotech. 26, 73−81 (2008); Aalberse R. C. Structural biology of allergens. J. Allergy Clin. Immunol. 106, 228−238 (2000))。
タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、解析に使用されているデータベースの既知のいずれかのアレルゲンに対して50%未満の全体的相同性を有する。一部の実施形態では、40%未満の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、30%未満の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、20%未満の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、10%未満のカットオフを使用する。一部の実施形態では、40%〜50%のカットオフを使用する。一部の実施形態では、30%〜50%のカットオフを使用する。一部の実施形態では、20%〜50%のカットオフを使用する。一部の実施形態では、10%〜50%のカットオフを使用する。一部の実施形態では、5%〜50%のカットオフを使用する。一部の実施形態では、0%〜50%のカットオフを使用する。一部の実施形態では、解析に使用されるデータベース中の既知のいずれかのアレルゲンに対して50%超の全体的相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、50%〜60%のカットオフを使用する。一部の実施形態では、50%〜70%を使用する。一部の実施形態では、50%〜80%のカットオフを使用する。一部の実施形態では、50%〜90%のカットオフを使用する。一部の実施形態では、55%〜60%のカットオフを使用する。一部の実施形態では、65%〜70%のカットオフを使用する。一部の実施形態では、70%〜75%のカットオフを使用する。一部の実施形態では、75%〜80%のカットオフを使用する。
第2の試験は、BLOSUM50置換行列、10のギャップ開口ペナルティ、および2のギャップ伸長ペナルティでFASTAアルゴリズムを使用した、既知のアレルゲンのデータベースに対する各フラグメントのグローバル−ローカル配列アライメントを介して全ての可能性のある連続80個のアミノ酸フラグメントの局所的アレルゲン性を決定することにより、タンパク質配列に沿って局所的アレルゲン性を評価する。任意のアレルゲンとの、任意のアミノ酸80個のウインドウの最も高いパーセント同一性を、関心対象タンパク質の最終的なスコアとして採用する。WHOのガイドラインは、このフラグメントの試験で35%の同一性カットオフを使用することを示唆している。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質のすべての可能性のあるフラグメントは、この試験を使用する解析のために使用されるデータベース中の既知のいずれかのアレルゲンに対して35%未満の局所的相同性を有する。一部の実施形態では、30%未満の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、30%〜35%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、25%〜30%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、20%〜25%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、15%〜20%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、10%〜15%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、5%〜10%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、0%〜5%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、35%超の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、35%〜40%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、40%〜45%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、45%〜50%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、50%〜55%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、55%〜60%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、65%〜70%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、70%〜75%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、75%〜80%の相同性のカットオフを使用する。
当業者は、この目的のため既知のアレルゲンの適切なデータベースを同定かつ使用することができる。一部の実施形態では、データベースは、1超のデータベースの供給源からタンパク質を選択することによるカスタムメイドである。一部の実施形態では、カスタムデータベースは、食品アレルギーの研究および供給源プログラム(Food Allergy Research and Resource Program)(allergenonline.org/)、UNIPROTの注釈(uniprot.org/docs/allergen)、およびアレルギータンパク質の構造上のデータベース(Structural Database of Allergenic Proteins)(SDAP, fermi.utmb.edu/SDAP/sdap_lnk.html)により収集されたプールされたアレルゲンのリストを含む。このデータベースは、IUIS(International Union of Immunological Socieities)(allergen.org/)によって現在認識されている全てのアレルゲン、ならびに公称のない多数の追加的なアレルゲンを含む。一部の実施形態では、データベースは、既知のデータベースで入手可能な既知のアレルゲンタンパク質のサブセットを含み、すなわちこのデータベースは、既知のアレルゲンタンパク質のうちカスタム選択したサブセットである。一部の実施形態では、既知のアレルゲンのデータベースは、少なくとも10個のタンパク質、少なくとも20個のタンパク質、少なくとも30個のタンパク質、少なくとも40個のタンパク質、少なくとも50個のタンパク質、少なくとも100個のタンパク質、少なくとも200個のタンパク質、少なくとも300個のタンパク質、少なくとも400個のタンパク質、少なくとも500個のタンパク質、少なくとも600個のタンパク質、少なくとも700個のタンパク質、少なくとも800個のタンパク質、少なくとも900個のタンパク質、少なくとも1,000個のタンパク質、少なくとも1,100個のタンパク質、少なくとも1,200個のタンパク質、少なくとも1,300個のタンパク質、少なくとも1,400個のタンパク質、少なくとも1,500個のタンパク質、少なくとも1,600個のタンパク質、少なくとも1,700個のタンパク質、少なくとも1,800個のタンパク質、少なくとも1,900個のタンパク質、または少なくとも2,000個のタンパク質を含む。一部個の実施形態では、既知個のアレルゲン個のデータベースは、100〜500個のタンパク質、200〜1,000個のタンパク質、500〜1,000個のタンパク質、500〜1,000個のタンパク質、または1,000〜2,000個のタンパク質を含む。
一部の実施形態では、タンパク質の異なる長さの連続アミノ酸ウインドウ(たとえば、アミノ酸70、60、50、40、30、20、10、8、または6個のウインドウ)のすべて(または選択したサブセット)を、アレルゲンデータベースに対して試験して、100%の同一性、95%以上の同一性、90%以上の同一性、85%以上の同一性、80%以上の同一性、75%以上の同一性、70%以上の同一性、65%以上の同一性、60%以上の同一性、55%以上の同一性、または50%以上の同一性マッチを有するペプチド配列を、潜在的アレルゲン性のさらなる試験のために同定する。
タンパク質のアレルゲン性を予測する別の方法は、ヒト由来のタンパク質に対するタンパク質の相同性を評価することである。ヒトの免疫系は、定期的に、アレルゲン性の可能性がある多数のタンパク質に曝露されており、宿主の身体のタンパク質と外来性タンパク質とのあいだを区別する内在的な能力を有する。この能力の正確な性質はすべて明らかになっているわけではないが、身体が自己と非自己とを区別できない結果として生じる多くの疾患(たとえば関節炎)が存在する。しかしながら、基本的な解析は、ヒトのタンパク質に対してある度合いの配列相同性を共有するタンパク質が、免疫応答を誘発しにくいという点である。特に、既知のアレルゲン性メンバー(トロポミオシン、パルブアルブミン、カゼイン)を含む一部のタンパク質ファミリーでは、既知のアレルゲン性タンパク質と比較してヒトの対応物に対してより多くの配列相同性を有するタンパク質は、アレルゲン性ではないと考えられることが示されている(Jenkins J. A. et al. Evolutionary distance from human homologs reflects allergenicity of animcal food proteins. J. Allergy Clin Immunol. 120 (2007): 1399−1405)。所定のタンパク質に関して、ヒトの相同性スコアは、BLOSUM50置換行列、10のギャップ開口ペナルティ、および2のギャップ伸長ペナルティでFASTAアルゴリズムを使用したグローバル―ローカルアライメントから、ヒトタンパク質のデータベース(たとえばUNIPROTデータベース)に対するタンパク質の最大のパーセント同一性を決定することにより、測定できる。Jenkinsら(Jenkins J. A. et al. Evolutionary distance from human homologs reflects allergenicity of animal food proteins.J. Allergy Clin Immunol. 120 (2007): 1399−1405)によると、ヒトタンパク質に対して約62%超の配列同一性を有するタンパク質はアレルゲン性である可能性は低い。当業者は、たとえば、UNIPROTデータベース(uniprot.org)を検索することにより、この目的に関して既知のヒトタンパク質の適切なデータベースを同定かつ使用することができる。一部の実施形態では、データベースは、1つ超のデータベース供給源からタンパク質を選択することによるカスタムメイドである。当然データベースは、必ずしも包括的である必要はない。一部の実施形態では、データベースはヒトタンパク質のサブセットを含み、すなわち、データベースは、ヒトタンパク質のカスタム選択したサブセットである。一部の実施形態では、ヒトのタンパク質のデータベースは、少なくとも10個のタンパク質、少なくとも20個のタンパク質、少なくとも30個のタンパク質、少なくとも40個のタンパク質、少なくとも50個のタンパク質、少なくとも100個のタンパク質、少なくとも200個のタンパク質、少なくとも300個のタンパク質、少なくとも400個のタンパク質、少なくとも500個のタンパク質、少なくとも600個のタンパク質、少なくとも700個のタンパク質、少なくとも800個のタンパク質、少なくとも900個のタンパク質、少なくとも1,000個のタンパク質、少なくとも2,000個のタンパク質、少なくとも3,000個のタンパク質、少なくとも4,000個のタンパク質、少なくとも5,000個のタンパク質、少なくとも6,000個のタンパク質、少なくとも7,000個のタンパク質、少なくとも8,000個のタンパク質、少なくとも9,000個のタンパク質、または少なくとも10,000個のタンパク質を含む。一部個の実施形態では、データベースは、100〜500個のタンパク質、200〜1,000個のタンパク質、500〜1,000個のタンパク質、500〜1,000個のタンパク質、1,000〜2,000個のタンパク質、1,000〜5,000個のタンパク質、または5,000〜10,000個のタンパク質を含む。一部の実施形態では、データベースは、全ての既知のヒトタンパク質の少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%を含む
タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、ヒトのタンパク質と少なくとも20%相同である。一部の実施形態では、少なくとも30%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、少なくとも40%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、少なくとも50%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、少なくとも60%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、少なくとも70%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、少なくとも80%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、少なくとも62%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、少なくとも20%の相同性から少なくとも30%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、少なくとも30%の相同性から少なくとも40%の相動性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、少なくとも50%の相同性から少なくとも60%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、少なくとも60%の相同性から少なくとも70%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、少なくとも70%の相同性から少なくとも80%の相同性のカットオフを使用する。
熱安定性アッセイ
本明細書中で使用されるように、「安定な」タンパク質は、関心対象タンパク質の生物物理学的(たとえば溶解度)、生物学的(たとえば消化性)、または組成上(たとえばロイシンアミノ酸の比率)の性質を変化させる変化(たとえばアンフォールディング、酸化、凝集、加水分解など)に抵抗性であるタンパク質である。
タンパク質の安定性は当技術分野で公知の様々なアッセイを使用して測定でき、本明細書中に開示され、閾値を超える安定性を有するタンパク質を選択できる。一部の実施形態では、タンパク質は、乳清タンパク質の安定性と比較可能か、またはそれより良好な熱安定性を示すように選択される。熱安定性は、タンパク質の有効期間の予測を支援できる特性である。アッセイの一部の実施形態では、タンパク質試料の安定性は、極端な温度に曝露した後の凝集形成を、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用してモニターすることにより決定される。試験されるタンパク質の水性試料を、90℃の加熱ブロックに配置し、試料を、SEC解析のため、0分後、1分後、5分後、10分後、30分後、および60分後に採取する。タンパク質を、214nmでの吸光度をモニタリングすることにより検出し、凝集物を、関心対象タンパク質より早く溶出するピークとして特徴づける。ピーク領域に全体的な変化がなければ、加熱処理の際のタンパク質の沈殿がないことを示す。乳清タンパク質を、このようなアッセイで90℃に曝露した場合、〜80%の凝集物を休息に形成することが示されている。
一部の実施形態では、タンパク質の熱安定性は、温度を増加させてタンパク質が変性する際に形成される凝集タンパク質と結合する疎水性色素(たとえばProteoStat(登録商標)熱シフト安定性アッセイキット、Enzo Life Sciences)の存在下、25℃〜95℃でゆっくりと試料を加熱することにより決定する(Niesen, F. H., Berglund, H. & Vadadi, M., 2007 The use of differential scanning fluorimetry to detect ligand interactions that promote protein stability. Nature Protocols, Volume 2, pp. 2212−2221)。結合すると、色素の蛍光が顕著に増加し、これを、rtPCR機器により記録して、タンパク質の融解曲線として表す(Lavinder, J. J., Hari, S. B., Suillivan, B. J. & Magilery, T. J., 2009. High−Throughput Thermal Scanning: A General, Rapid Dye−Binding Thermal Shift Screen for Protein Engineering. Journal of the American Chemical Society, pp. 3794−3795)。熱シフトが完全となった後、試料を、不溶性沈殿物に関して試験し、分析的サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によりさらに解析する
溶解度のアッセイ
本明細書中に開示されるタンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は可溶性である。溶解度は、当技術分野で公知のいずれかの方法により測定できる。一部の実施形態では、溶解度は、遠心濃縮、次いでタンパク質濃縮アッセイを行うことにより実験される。20mMのHEPES(pH7.5)中のタンパク質試料を、2つの方法、すなわちCoomassie Plus(ブラッドフォード)タンパク質アッセイ(Thermo Scientific)およびビシンコニン酸(BCA]タンパク質アッセイ(SigmadAldrich)を使用するプロトコルに従ってタンパク質濃度に関して試験する。これらの測定に基づき、10mgのタンパク質を、Amicon Ultra 3kDaの遠心フィルター(Millipore)に添加する。試料を、30分間10,000×gの遠心により濃縮する。最終的な濃縮した試料を、沈殿したタンパク質に関して試験し、次いで、2つの方法、ブラッドフォードおよびBCAを使用して上記のようにタンパク質濃度に関して試験する。
一部の実施形態では、タンパク質は、生理的pHで、少なくとも5g/L、10g/L、20g/L、30g/L、40g/L、50g/L、または100g/Lの最終的な溶解限度を有する。一部の実施形態では、タンパク質は、50%超、60%超、70%超、80%超、90%超、95%様、96%超、97%超、98%超、99%超、または99.5%超可溶であり、生理的pHで5g/L、または10g/L、または20g/L、または30g/L、または40g/L、または50g/L、または100g/L超の濃度で沈殿したタンパク質は観察されない。一部の実施形態では、タンパク質の溶解度は、乳清(12.5 g/L; Pelegrine et al., Lebensm.−Wiss. U.−Technol. 38 (2005) 77−80)およびダイズ(10 g/L; Lee et al., JAOCS 80(1)(2003) 85−90)の溶解限度を実験する試験で典型的に報告される溶解度よりも高い。
真核生物タンパク質は、しばしばグリコシル化されており、タンパク質に付着している炭水化物鎖は、様々な機能を有している。N結合型およびO結合型グリコシル化は、タンパク質で起こるグリコシル化のうち最も一般的な2つの形態である。N結合型グリコシル化は、タンパク質のアミノ酸残基の窒素原子に対する糖分子の結合である。N結合型グリコシル化は、アスパラギンおよびアルギニンの残基で起こる。O結合型グリコシル化は、タンパク質のアミノ酸残基の酸素原子に対する糖分子の結合である。O結合型グリコシル化は、スレオニンおよびセリンの残基で起こる。
グリコシル化タンパク質は、しばしば、その非グリコシル化型よりも可溶性である。タンパク質薬剤の観点から、適切なグリコシル化は、通常、高い活性、適切な抗原結合性、血液中での良好な安定性などをもたらす。しかしながら、グリコシル化は必然的に、タンパク質が糖部位を「有する」ことを意味する。このような糖部分は、組み換えタンパク質を含む本開示のタンパク質の有用性を低下させ得る。たとえば、実施例に示されるように、同一のタンパク質のグリコシル化型と非グリコシル化型の消化の比較から、非グリコシル化型が、グリコシル化型より迅速に消化されることが示される。これらの理由のため、一部の実施形態では、本開示に係る栄養性タンパク質は、グリコシル化が少ないか、またはグリコシル化を全く含まない。たとえば、一部の実施形態では、タンパク質は、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の、総アミノ酸残基に対する非グリコシル化アミノ酸の比率を含む。一部の実施形態では、タンパク質はグリコシル化を全く含まない。
一部の実施形態では、本開示に係るタンパク質は、産生または単離された後に脱グリコシル化される。グリコシル化の少ないまたは全くグリコシル化のないタンパク質は、当技術分野で公知の任意の方法により作製できる。たとえば、酵素的および/または化学的な方法を使用できる(Biochem. J. (2003) 376, p339−350.)。酵素は、N結合型およびO結合型のオリゴ糖の除去のため、研究用に商業的に産生される。化学的な方法は、N結合型およびO結合型のペプチド−糖類結合を選択的に切断するためのトリフルオロメタンスルホン酸の使用を含む。この方法は、しばしば、酵素的方法を使用するよりも完全な脱グリコシル化をもたらす。
他の実施形態では、本開示に係るタンパク質は、宿主生物によるグリコシル化が少ない、または全くないように産生される。ほとんどの細菌および他の原核生物は、タンパク質、特に異種タンパク質をグリコシル化する能力が非常に限定的である。よって、本開示の一部の実施形態では、タンパク質は、組み換えタンパク質のグリコシル化レベルが低いか、または全くないように微生物中で組み換えにより作製される。一部の実施形態では、組み換えタンパク質のグリコシル化レベルは、それが由来する生物中で起こるタンパク質のグリコシル化レベルよりも低い。タンパク質のグリコシル化は、宿主生物に基づき変動でき、言い換えると、一部の宿主は、1つまたは複数の他の宿主と比較してより多くのグリコシル化を産生し、対して他の宿主は、1つまたは複数の他の宿主と比較して少ないグリコシル化を産生する。グリコシル化の量の差異は、たとえば、存在するグリコシル化の質量、および/または存在するグリコシル化部位の総数に基づき測定できる。
毒性および抗栄養性(Nutricity)アッセイ
ほとんどの実施形態では、タンパク質が不適切に高い毒性を示さないことが好ましい。よって、一部の実施形態では、タンパク質の潜在的な毒性が評価される。これは、当技術分野で公知のいずれかの適切な方法により行うことができる。一部の実施形態では、毒性スコアは、既知の毒性タンパク質(たとえばUNIPROTデータベースから同定した毒性タンパク質)のデータベースに対するタンパク質のパーセント同一性を決定することにより計算する。既知の毒素のデータベースに対する対象のタンパク質のグローバル−グローバルアライメントは、BLOSUM50置換行列、10のギャップ開口ペナルティ、および2のギャップ伸長ペナルティでFASTAアルゴリズムを使用して実施される。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、既知の毒素と35%未満相同である。一部の実施形態では、35%未満の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、30%〜35%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、25%〜35%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、20%〜35%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、15%〜35%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、10%〜35%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、5%〜35%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、0%〜35%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、35%超の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、35%〜40%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、35%〜45%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、35%〜50%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、35%〜55%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、35%〜60%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、35%〜70%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、35%〜75%の相同性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、35%〜80%の相同性のカットオフを使用する。当業者は、たとえばUNIPROTデータベース(uniprot.org)を検索することにより、この目的のため既知の毒素の適切なデータベースを同定かつ使用することができる。一部の実施形態では、このデータベースは、1超のデータベース供給源由来の毒素として同定されたタンパク質を選択することによるカスタムメイドである。一部の実施形態では、データベースは、既知の毒性タンパク質のサブセットを含み、すなわちデータベースは、既知の毒性タンパク質のカスタム選択されたサブセットである。一部の実施形態では、毒性タンパク質のデータベースは、少なくとも10個のタンパク質、少なくとも20個のタンパク質、少なくとも30個のタンパク質、少なくとも40個のタンパク質、少なくとも50個のタンパク質、少なくとも100個のタンパク質、少なくとも200個のタンパク質、少なくとも300個のタンパク質、少なくとも400個のタンパク質、少なくとも500個のタンパク質、少なくとも600個のタンパク質、少なくとも700個のタンパク質、少なくとも800個のタンパク質、少なくとも900個のタンパク質、少なくとも1,000個のタンパク質、少なくとも2,000個のタンパク質、少なくとも3,000個のタンパク質、少なくとも4,000個のタンパク質、少なくとも5,000個のタンパク質、少なくとも6,000個のタンパク質、少なくとも7,000個のタンパク質、少なくとも8,000個のタンパク質、少なくとも9,000個のタンパク質、または少なくとも10,000個のタンパク質を含む。一部個の実施形態では、データベースは、100〜500個のタンパク質、200〜1,000個のタンパク質、500〜1,000個のタンパク質、500〜1,000個のタンパク質、1,000〜2,000個のタンパク質、1,000〜5,000個のタンパク質、または5,000〜10,000個のタンパク質を含む。
抗栄養性および抗栄養素
一部の実施形態では、タンパク質は、抗栄養性活性(「抗栄養性」)を示さない、すなわち食物からの栄養素の吸収を妨害する可能性を有するタンパク質でないことが好ましい。このような抗栄養性を引き起こす抗栄養性配列の例として、プロテアーゼ阻害剤があり、これは、腸でトリプシン、ペプシン、および他のプロテアーゼの作用を阻害し、タンパク質の消化およびその後の吸収を防止する。
本明細書中、抗栄養性配列を実質的に含まない単離型栄養性ポリペプチドを含む配合物を開示する。一部の実施形態では、栄養性ポリペプチドは、約1未満、約0.5未満、または約0.1未満の抗栄養性類似性スコアを有する。栄養性ポリペプチドは、約10g超の量で配合物に存在し、配合物は、抗栄養性因子を実質的に含まない。配合物は、体積が約500ml以下の液体、半液体、もしくはゲル、または質量が約200g以下の固体もしくは半固体として存在する。栄養性ポリペプチドは、たとえば、90%未満の同一性、または85%未満、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、もしくは5%未満同一などの、セルピンファミリーポリペプチドのメンバーなどのプロテアーゼ阻害剤と低い相同性を有し得る。
よって、一部の実施形態では、タンパク質の潜在的な抗栄養性を評価する。これは、当技術分野で公知であるいずれかの適切な方法で行うことができる。一部の実施形態では、抗栄養性スコアは、既知のプロテアーゼ阻害剤(たとえばUNIPROTデータベースから同定したプロテアーゼ阻害剤)のデータベースに対するタンパク質のパーセント同一性を決定することにより計算される。既知のプロテアーゼ阻害剤のデータベースに対する対象のタンパク質のグローバル‐グローバルアライメントは、タンパク質が既知の抗タンパク質と相同であるかどうかを同定するために、BLOSUM50置換行列、10のギャップ開口ペナルティ、および2のギャップ伸長ペナルティでFASTAアルゴリズムを使用して実施される。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、解析のために使用されるデータベース中の既知のいずれかの抗タンパク質(たとえば既知のいずれかのプロテアーゼ阻害剤)と35%未満の全体的相同性を有する。一部の実施形態では、35%未満の同一性のカットオフを使用する。一部の実施形態では、30%〜35%のカットオフを使用する。一部の実施形態では、25%〜35%のカットオフを使用する。一部の実施形態では、20%〜35%のカットオフを使用する。一部の実施形態では、15%〜35%のカットオフを使用する。一部の実施形態では、10%〜35%のカットオフを使用する。一部の実施形態では、5%〜35%のカットオフを使用する。一部の実施形態では、0%〜35%のカットオフを使用する。一部の実施形態では、35%超のカットオフを使用する。一部の実施形態では、35%〜40%のカットオフを使用する。一部の実施形態では、35%〜45%のカットオフを使用する。一部の実施形態では、35%〜50%のカットオフを使用する。一部の実施形態では、35%〜55%のカットオフを使用する。一部の実施形態では、35%〜60%のカットオフを使用する。一部の実施形態では、35%〜70%のカットオフを使用する。一部の実施形態では、35%〜75%のカットオフを使用する。一部の実施形態では、35%〜80%のカットオフを使用する。当業者は、たとえば、UNIPROTデータベース(uniprot.org)を検索することにより、この目的のための既知のプロテアーゼ阻害剤の適切なデータベースを同定かつ使用することができる。一部の実施形態では、データベースは、1超のデータベースの供給源からプロテアーゼ阻害剤として同定されたタンパク質を選択することによるカスタムメイドである。一部の実施形態では、データベースは、データベースで入手可能な既知のプロテアーゼ阻害剤のサブセットを含み、すなわちデータベースは、既知のプロテアーゼ阻害剤のカスタム選択したサブセットである。一部の実施形態では、既知のプロテアーゼ阻害剤のデータベースは、少なくとも10個のタンパク質、少なくとも20個のタンパク質、少なくとも30個のタンパク質、少なくとも40個のタンパク質、少なくとも50個のタンパク質、少なくとも100個のタンパク質、少なくとも200個のタンパク質、少なくとも300個のタンパク質、少なくとも400個のタンパク質、少なくとも500個のタンパク質、少なくとも600個のタンパク質、少なくとも700個のタンパク質、少なくとも800個のタンパク質、少なくとも900個のタンパク質、少なくとも1,000個のタンパク質、少なくとも1,100個のタンパク質、少なくとも1,200個のタンパク質、少なくとも1,300個のタンパク質、少なくとも1,400個のタンパク質、少なくとも1,500個のタンパク質、少なくとも1,600個のタンパク質、少なくとも1,700個のタンパク質、少なくとも1,800個のタンパク質、少なくとも1,900個のタンパク質、または少なくとも2,000個のタンパク質を含む。一部個の実施形態では、既知個のプロテアーゼ阻害剤タンパク質個のデータベースは、100〜500個のタンパク質、200〜1,000個のタンパク質、500〜1,000個のタンパク質、500〜1,000個のタンパク質、または1,000〜2,000個のタンパク質、または2,000〜3,000個のタンパク質を含む。
他の実施形態では、いくらかの度合いのプロテアーゼ阻害活性を示すンパク質を使用する。たとえば、一部の実施形態では、このようなタンパク質は、栄養性タンパク質を、タンパク質がGI管内のより長い距離を移動後に消化されるように消費する場合、プロテアーゼ消化を遅らせ、このように吸収を遅らせることから有用であり得る。たとえば、一部の実施形態では、タンパク質は胃の消化を阻害するが、腸の消化を阻害するものではない。Delaney Bら(Evaluation of protein safety in the context of agricultural biotechnology. Food. Chem. Toxicol. 46 (2008: S71−S97))は、可能性がある食品タンパク質の安全性を評価する際に、既知の毒性および抗タンパク質の両方を回避すべきことを示唆している。タンパク質の一部の実施形態では、好ましくは、タンパク質は、本明細書中に定義されるように、既知の毒性タンパク質のデータベースに対して好ましい低レベルの全体的相同性、および/または既知の抗栄養性タンパク質(たとえばプロテアーゼ阻害剤)のデータベースに対して好ましい低レベルの全体的相同性を有する。
栄養阻害物質
栄養阻害物質(1つまたは複数)を欠いた栄養組成物を提供する。栄養阻害物質は通常、タンパク質以外の化合物であり、典型的に植物系の食品で見出され、有害作用および一部の状況では特定の健康上の利点の両方を有することが見出されている。たとえば、フィチン酸、レクチン、フェノール類化合物、サポニン、および酵素阻害剤は、栄養素の利用率を低減し、増殖の阻害を引き起こすことが示されており、フィトエストロゲンおよびリグナンは、不妊症の問題と関連している。他方で、フィチン酸、レクチン、フェノール類化合物、アミラーゼ阻害剤、およびサポニンは、血中グルコースを低下させ、デンプン食品および/または血漿コレステロールおよびトリグリセリドに対するインスリン応答を減少させることが示されている。さらに、フィチン酸、フェノール類、サポニン、プロテアーゼ阻害剤、フィトエストロゲン、およびリグナンは、癌のリスクの減少に関連している。
少なくとも1分間90℃超の温度を有する蒸気または熱気を含む熱処理で食品生成物を処理することと、処理した食品生成物を、単離型栄養性ポリペプチドを含む組成物と組み合わせることとにより、食品生成物中の抗栄養性因子の量を減少させる方法を提供する。任意に、熱処理のステップは、サポニン、レクチン、およびプロラミン、プロテアーゼ阻害剤、またはフィチン酸などの少なくとも1つの抗栄養性因子を分解する。
抗栄養性因子は、以下のタンパク質組成物で検出されている。フィチン酸:WheelerおよびFerrel(Wheeler, E. L., Ferrel, R. E., Cereal Chem. 1971, 48, 312)の手順は、3%のトリクロロ酢酸に抽出されたフィチン酸の決定に使用される。ラフィノースファミリーオリゴ糖:タンパク質の試料を、6〜8時間、ソックスレー装置を使用して70%エタノールで抽出し、Tanakaら(Tanaka, M., Thananunkul, D., Lee, T. C., Chichester, C. O., J. Food Sci. 1975, 40, 1087−1088)の手順に従って抽出物中のラフィノースおよびスタキオースの定量的決定のために薄膜クロマトグラフィーを使用する。トリプシン阻害剤:Kakadeらの方法(Kakade, M. L., Rackis, J. J., McGhee, J. E., Puski, G., Cereal Chem. 1974, 51, 376−82)は、未加工の試料および処置済みの試料のトリプシン阻害剤活性の決定に使用される。1トリプシン阻害剤単位(TIU)は、10分間での410nmの吸光度の0.01の減少として定義され、データは、TIU*mg−1として表される。アミラーゼ阻害剤:阻害剤は、Bakerらの手順(Baker, J. E., Woo, S. M., Throne, J. E., Finny, P. L., Environm. Entomol. 1991, 20, 53±60)に従って0.15mのBaClで抽出され、Huesingらの方法(Huesing, J. E., Shade, R. E., Chrispeels, M. J., Murdok, L. L., Plant Physiol. 1991, 96, 993±996)によりアッセイされる。1アミラーゼ阻害剤単位(AIU)は、1分あたり1mgのマルトース一水和物を生成するアミラーゼの一部の50%の阻害を得る量として定義される。Paredes−Lopezらの手順(Paredes−Lopez, O., Schevenin, M. L., Guevara−Lara, F., Food Chem. 1989, 31, 129−137)は、リン酸緩衝食塩水(PBS)を使用するレクチンの抽出物に適用される。試料抽出物中のレクチンのヘマグルニチン活性(HA)は、Kortt(Kortt, A. A. (Ed.), Eur. J. Biochem. 1984, 138, 519)に従って決定される。トリプシン処理したヒトの赤血球細胞(A、B、およびO)懸濁物は、LisおよびSharon(Lis, H., Sharon, N., Methods Enzymol. 1972, 28, 360±368)に従って調製される。HAは、凝集陽性を与える最も高い希釈の逆数として表される。タンニン:タンニン含有量は、AOACの手順(Helrich, K. (Ed.), AOAC, Official Methods of Analysis, Association of Official Analytical Chemists, Arlington, VA 1990)に従ってFolin−Denis試薬によりタンニン酸として決定される。
電荷アッセイおよび溶媒和のスコアリング
タンパク質の有用性を高めることのできる1つの特性は、その電荷(またはアミノ酸あたりの電荷)である。より高い電荷を有するタンパク質は、一部の実施形態では、高い溶解度、高い安定性、凝集への抵抗性、および望ましい味プロファイルなどの望ましい特徴を有する。たとえば、高い溶解度を示す荷電タンパク質は、比較的低い容量の溶液中高い濃度のタンパク質を含むことによって、単位容量あたり大量のタンパク質栄養素を送達する飲料または液体配合物に配合できる。高い溶解度を示す荷電タンパク質は、たとえば、ユーザ(たとえば運動選手)が身体活動の前、最中、または後にタンパク質の摂取を欲するスポーツドリンクまたはリカバリードリンクに有用とすることができる。高い溶解度を示す荷電タンパク質はまた、対象(たとえば患者または高齢者)が、タンパク質栄養を必要としているが、固形食品または大量の液体を摂取することができない臨床状況に特に有用とすることができる。
たとえば、pH7でポリペプチドの実効電荷(電荷P)は、以下の式
電荷P=−0.002−(C)(0.045)−(D)(0.999)−(E)(0.998)+(H)(0.091)+(K)(1.0)+(R)(1.0)−(Y)(−0.001)
であって、式中、ポリペプチドにおいて、Cが、システイン残基の数であり、Dが、アスパラギン酸残基の数であり、Eが、グルタミン酸残基の数であり、Hが、ヒスチジン残基の数であり、Kがリジン残基の数であり、Rが、アルギニン残基の数であり、およびYが、チロシン残基の数である、式を使用して計算できる。ポリペプチドのアミノ酸あたりの酸の電荷(電荷A)は、アミノ酸残基(N)の数により実効電荷(電荷P)を除算することにより、すなわち電荷A=電荷P/Nにより計算できる(Bassi S (2007), “A Primer on Python for Life Science Researchers.” PLoS Comput Biol 3(11): e199. doi:10.1371/journal.pcbi.0030199参照)。
所定のタンパク質の親水性および潜在的な溶解度を評価する1つの計量は、溶媒和スコアである。溶媒和スコアは、各残基が独立して溶媒和する場合の、配列中の残基総数により正規化された、すべてのアミノ酸側鎖の溶媒和の総自由エネルギー(すなわち気相から希釈溶液までの移行に関連する自由エネルギーの変化)として定義される。側鎖の溶媒和自由エネルギーは、1の真空誘電率と80の水誘電率とのあいだの静電エネルギーの差(ポアソン=ボルツマン方程式を解くことによる)、ならびに線形溶媒近接可能表面積モデル(linear solvent accessible surface area model)(D. Sitkoff, K. A. Sharp, B. Honig. “Accurate Calculation of Hydration Free Energies Using Macroscopic Solvent Models”. J. Phys. Chem. 98, 1994)を使用して非極性のファンデルワールスエネルギーをコンピューターによって計算することにより見出される。イオン化可能な側鎖(Arg、Asp、Cys、Glu、His、Lys、およびTyr)を有するアミノ酸では、平均溶媒和自由エネルギーは、特定のpHでのそれぞれのイオン化状態の相対的確率に基づき使用される。溶媒和スコアは0で始まり、負の値であり続け、溶媒和スコアが負であればあるほど、タンパク質はより親水性で潜在的に可溶性となると予測される。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、少なくとも(less at)pH7で−10以下の溶媒和スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、pH7で−15以下の溶媒和スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、pH7で−20以下の溶媒和スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、pH7で−25以下の溶媒和スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、pH7で−30以下の溶媒和スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、pH7で−35以下の溶媒和スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、pH7で−40以下の溶媒和スコアを有する。
溶媒和スコアは、ヘンダーソン・ハッセルバルヒ式
により定義される共役塩基([A−])に対する非解離の弱酸([HA])のモル比率のpH依存性によりpHの関数である。
すべての弱酸は、共役塩基と比較して異なる溶媒和自由エネルギーを有し、所定のPHで溶媒和スコアを計算する場合、所定の残基に使用される溶媒和自由エネルギーは、これら2つの値の加重平均である。
よって、タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、酸性pHで−10以下の溶媒和スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、酸性pHで−15以下の溶媒和スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、酸性pHで−20以下の溶媒和スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、酸性pHで−25以下の溶媒和スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、酸性pHで−30以下の溶媒和スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、酸性pHで−35以下の溶媒和スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、酸性pHで−40以下の溶媒和スコアを有する。
よって、タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、塩基性pHで−10以下の溶媒和スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、塩基性pHで−15以下の溶媒和スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、塩基性pHで−20以下の溶媒和スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、塩基性pHで−25以下の溶媒和スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、塩基性pHで−30以下の溶媒和スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、塩基性pHで−35以下の溶媒和スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、塩基性pHで−40以下の溶媒和スコアを有する。
よって、タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、2−3、3−4、4−5、5−6、6−7、7−8、8−9、9−10、10−11、および11−12から選択される範囲のpHで−10以下の溶媒和スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、2−3、3−4、4−5、5−6、6−7、7−8、8−9、9−10、10−11、および11−12から選択される範囲のpHで−15以下の溶媒和スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、2−3、3−4、4−5、5−6、6−7、7−8、8−9、9−10、10−11、および11−12から選択される範囲のpHで−20以下の溶媒和スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、2−3、3−4、4−5、5−6、6−7、7−8、8−9、9−10、10−11、および11−12から選択される範囲のpHで−25以下の溶媒和スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、2−3、3−4、4−5、5−6、6−7、7−8、8−9、9−10、10−11、および11−12から選択される範囲のpHで−30以下の溶媒和スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、2−3、3−4、4−5、5−6、6−7、7−8、8−9、9−10、10−11、および11−12から選択される範囲のpHで−35以下の溶媒和スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は、2−3、3−4、4−5、5−6、6−7、7−8、8−9、9−10、10−11、および11−12から選択される範囲のpHで−40以下の溶媒和スコアを有する。
凝集アッセイおよび凝集のスコアリング
一部の実施形態では、本開示のタンパク質は、凝集への抵抗性を示し、たとえば高温(たとえば50℃、60℃、70℃、80℃、85℃、90℃、または95℃)で80%未満の凝集、10%の凝集を示し、または検出可能な凝集を示さない。
本明細書中に開示される安定なタンパク質の1つの利点は、使用前に長期間、一部の例では、冷蔵または冷却する必要がなく、保存することができることである。一部の実施形態では、タンパク質は乾燥型へと処理される(たとえば凍結乾燥により)。一部の実施形態では、タンパク質は凍結乾燥時に安定である。一部の実施形態では、このような凍結乾燥したタンパク質は、再構成の際に安定性を維持する(たとえば液体配合物)。
凝集スコアは、所定のタンパク質の疎水性および凝集の可能性を評価するための一次配列に基づく測定基準である。疎水性残基に正の値および親水性残基に負の値を与えるKyteおよびDoolittleの疎水性スケール(Kyte J, Doolittle RF (May 1982). ”A simple method for displaying the hydropathic character of a protein”. J. Mol. Biol. 157 (1): 105−32)を使用して、タンパク質配列の平均疎水性を、5個の残基の移動平均を使用して計算する。凝集スコアは、0超の値に対する曲線下の面積を決定し、タンパク質の全長により正規化することにより、得られたプロットから導きだされる。下部の図は、凝集が、水を排除して表面曝露を低減させるために2つ以上の疎水性区画が集合した結果であり、タンパク質が凝集する可能性は、その疎水性(すなわち凝集傾向)の残基がどのように密に詰め込まれるかの関数である。凝集スコアは0で始まり、正の値であり続け、凝集スコアが小さくなると疎水性が少なくなり、タンパク質が凝集する傾向が潜在的に少なくなると予測される。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は2以下の凝集スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は1.5以下の凝集スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は1以下の凝集スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は0.9以下の凝集スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は0.8以下の凝集スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は0.7以下の凝集スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は0.6以下の凝集スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は0.5以下の凝集スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は0.4以下の凝集スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は0.3以下の凝集スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は0.2以下の凝集スコアを有する。タンパク質の一部の実施形態では、タンパク質は0.1以下の凝集スコアを有する。
場合によって、可溶性の発現は、タンパク質の量および/または収率を増大させることができ、タンパク質の単離および精製の1つまたは複数を促進させることができるため、望ましい。一部の実施形態では、本開示のタンパク質は、宿主生物で可溶性に発現されている。溶媒和スコアおよび凝集スコアを使用して、宿主生物の組み換えタンパク質の可溶性発現を予測できる。実施例8に示されるように、本開示は、−20以下の溶媒和スコアおよび0.75以下の凝集スコアを有するタンパク質は、特定の大腸菌発現系で組み換え的に発現される可能性がより高いことを示唆する証拠を提供する。さらに、このデータはまた、−20以下の溶媒和スコアおよび0.5以下の凝集スコアを有するタンパク質が、この系で可溶性に発現される可能性がより高いことを示唆する。よって、一部の実施形態では、本開示のタンパク質は、−20以下の溶媒和スコアを有する。一部の実施形態では、栄養性タンパク質は、0.75以下の凝集スコアを有する。一部の実施形態では、栄養性タンパク質は、0.5以下の凝集スコアを有する。一部の実施形態では、タンパク質は、−20以下の溶媒和スコアおよび0.75以下の凝集スコアを有する。一部の実施形態では、タンパク質は、−20以下の溶媒和スコアおよび0.5以下の凝集スコアを有する。
味および口あたりの特徴
特定の遊離アミノ酸および遊離アミノ酸の混合物は、苦いまたは他の望ましくない味を有することが知られている。さらに、一般的なタンパク質(たとえば乳清およびダイズ)の加水分解物は、しばしば苦くまたは望ましくない味を有する。一部の実施形態では、本明細書中に開示かつ記載されるタンパク質は、苦いまたは望ましくない味を有するものではない。一部の実施形態では、本明細書中に開示かつ記載されるタンパク質は、遊離アミノ酸、遊離アミノ酸の混合物、および/またはタンパク質加水分解物の少なくとも1つと比較して許容可能な味を有する。一部の実施形態では、本明細書中に開示かつ記載されるタンパク質は、少なくとも1つの乳清タンパク質と等しい、またはそれを超える味を有する。
タンパク質は、5つの確立された味の様式:甘味、酸味、苦み、塩味、および旨味全体に及ぶ味を有することが知られている。脂肪は、6番目のでがあると考えることができる。特定のタンパク質(またはそれが不足したもの)の味は、タンパク質の一次構造、荷電側鎖の存在、ならびに電子および立体構造の特性を含むいくつかの要因に起因し得る。一部の実施形態では、本明細書中に開示かつ記載されるタンパク質は、望ましい味(たとえば甘味、塩味、旨味)を有し、かつ/または望ましくない味(たとえば苦味、酸味)を有さないように設計される。この観点から、「設計」は、たとえば、望ましい味の特性を得る特性を具体化する食用に適した種のタンパク質を選択することと、望ましい味特性を有する食用に適した種のポリペプチドの変異タンパク質を作製することとを含む。たとえば、タンパク質は、甘味受容体(T1R2−T1R3ヘテロダイマー)または旨味受容体(T1R1−T1R3ヘテロダイマー、mGluR4、および/またはmGluR1)などの特定の味受容体と相互作用するように設計できる。さらに、タンパク質は、苦味受容体(T2R受容体)などの他の味受容体と相互作用しないように、またはこの相互作用を減らすように設計できる。
本明細書中に開示かつ記載されるタンパク質はまた、摂取する際に口で異なる物理的な感覚も誘発する場合があり、これは場合によって「口あたり」と呼ばれる。タンパク質の口あたりは、タンパク質の一次構造、荷電側鎖の存在、ならびに電子および立体構造の特性を含む1つまたは複数の要因によるものとすることができる。一部の実施形態では、タンパク質は、摂取する際に、バターまたは脂肪のような口あたりを誘発する。
栄養組成物および配合物
本明細書中に開示される少なくとも1つのタンパク質は、少なくとも1つの第2の成分と組み合わせて組成物を形成することができる。一部の実施形態では、組成物中のアミノ酸の供給源のみが、本明細書中に開示される少なくとも1つのタンパク質である。このような実施形態では、組成物のアミノ酸組成は、本明細書中に開示される少なくとも1つのタンパク質のアミノ酸組成と同じである。一部の実施形態では、組成物は、本明細書中に開示される少なくとも1つのタンパク質および少なくとも1つの第2のタンパク質を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの第2のタンパク質は、本明細書中に開示される第2のタンパク質であり、他の実施形態では、少なくとも1つの第2のタンパク質は、本明細書中に開示されるタンパク質ではない。一部の実施形態では、組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個、またはそれ以上の本明細書中に開示のタンパク質を含む。一部の実施形態では、組成物は、本明細書中に開示のタンパク質ではない、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個、またはそれ以上のタンパク質を含む。一部の実施形態では、組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個、またはそれ以上のタンパク質を含み、かつ組成物が、本明細書中に開示されるタンパク質ではない、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個、またはそれ以上のタンパク質を含む。
同様に、本明細書中に記載される栄養性ポリペプチドを含む配合物を提供する。一態様では、単細胞生物分泌型ポリペプチド栄養性ドメインを含む配合物を提供する。たとえば、ポリペプチド栄養性ドメインは、ポリペプチド栄養性メインを含む単細胞生物分泌ポリペプチドを含むアミノ酸配列のN末端アミノ酸に対応しないN末端アミノ酸を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、単細胞生物分泌型ポリペプチドを含むアミノ酸配列は、食用に適した種のポリペプチド配列であり、N末端アミノ酸は、一般的な食用に適した種のアミノ酸である。さらにまたはあるいは、ポリペプチド栄養性ドメインは、ポリペプチド栄養性ドメインを含む単細胞生物分泌型ポリペプチドを含むアミノ酸配列のC末端アミノ酸に対応しないC末端アミノ酸を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、単細胞生物分泌型ポリペプチドを含むアミノ酸配列は、食用に適した種のポリペプチド配列であり、C末端アミノ酸は、一般的な食用に適した種のアミノ酸である。よって、一部の実施形態では、分泌ポリペプチドの栄養性ドメインは、相同な食用に適した種のポリペプチドよりもアミノ酸少なくとも1個ぶん短い。栄養性ドメインは、相同な食用に適した種のペプチドの約99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、または5%未満の長さとすることができる。他の実施形態では、ポリペプチド栄養性ドメインは、ポリペプチド栄養性ドメインを含む単細胞生物分泌型ポリペプチドの約1%〜約99%からなる。本明細書中に記載されるように、ポリペプチド栄養性ドメインは、一般的に、ポリペプチド栄養性ドメインを含むより大きなポリペプチドが好ましい。ポリペプチド栄養性ドメインは、質量に基づき、ポリペプチドを含む大きなポリペプチドより多くの栄養素を含み得る。一部の実施形態では、ポリペプチド栄養性ドメインは、溶解度の増加および良好な有効期間の安定性など、ポリペプチドを含む大きなポリペプチドと比較して望ましい特性を提供し得る。
一部の実施形態では、先の段落に記載される組成物は、少なくとも1つのポリペプチド、少なくとも1つのペプチド、および少なくとも1つの遊離アミノ酸のうちの少なくとも1つをさらに含む。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも1つのポリペプチドおよび少なくとも1つのペプチドを含む。一部の実施形態では、組成物は少なくとも1つのポリペプチドおよび少なくとも1つの遊離アミノ酸を含む。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも1つのペプチドおよび少なくとも1つの遊離アミノ酸を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのポリペプチド、少なくとも1つのペプチド、および/または少なくとも1つの遊離アミノ酸は、1)分枝鎖アミノ酸、2)ロイシン、および3)必須アミノ酸から選択されるアミノ酸を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのポリペプチド、少なくとも1つのペプチド、および/または少なくとも1つのアミノ酸は、1)分枝鎖アミノ酸、2)ロイシン、および3)必須アミノ酸から選択されるアミノ酸からなる。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも1つの修飾されたアミノ酸または非標準的なアミノ酸を含む。修飾されたアミノ酸は、カルボキシ末端、アミノ末端、および/または側鎖の1つまたは複数に対する修飾を有するアミノ酸を含む。非標準的なアミノ酸は、たとえばカルボキシル化グルタミン酸塩、ヒドロキシプロリン、またはハイプシンといった、タンパク質の翻訳後修飾により形成されるアミノ酸から選択される。他の非標準的なアミノ酸は、タンパク質で見出されていない。例として、ランチオニン、2‐アミノイソ酪酸、デヒドロアラニン、γ−アミノ酪酸、オルニチン、およびシトルリンが挙げられる。一部の実施形態では、組成物は、1つまたは複数のDアミノ酸を含む。一部の実施形態では、組成物は、1つまたは複数のLアミノ酸を含む。一部の実施形態では、組成物は、1つまたは複数のDアミノ酸と1つまたは複数のLアミノ酸との混合物を含む。
ポリペプチド、ペプチド、および遊離アミノ酸のうちの少なくとも1つを組成物に添加することにより、組成物に存在するアミノ酸の合計に対する分枝鎖アミノ酸、ロイシン、および必須アミノ酸のうちの少なくとも1つの比率を、増加させることができる。
一部の実施形態では、組成物は、少なくとも1つの炭水化物を含む。「炭水化物」は、糖または糖のポリマーを指す。用語「糖」、「多糖」、「炭水化物」、および「オリゴ糖」は互換可能に使用できる。ほとんどの炭水化物は、通常、分子の各炭素原子に1つ存在する、多くのヒドロキシル基を有するアルデヒドまたはケトンである。炭水化物は、一般的に、分子式CnH2nOnを有する。炭水化物は、単糖、二糖、三糖、オリゴ糖、または多糖とすることができる。最も基本的な炭水化物は、グルコース、スクロース、ガラクトース、マンノース、リボース、アラビノース、キシロース、およびフルクトースなどの単糖である。二糖は、2つが結合した単糖である。例示的な二糖として、スクロース、マルトース、セロビオース、およびラクトースが挙げられる。典型的に、オリゴ糖は、3〜6個の単糖単位を含み(たとえばラフィノース、スタキオース)、多糖は、6個以上の単糖単位を含む。例示的な多糖は、デンプン、グリコーゲン、およびセルロースを含む。炭水化物は、ヒドロキシル基が除去された2’デオキシリボース、ヒドロキシル基がフッ素と置換された2’フルオロリボース、またはN−アセチルグルコサミン、グルコースの窒素含有形態(たとえば2’‐フルオロリボース、デオキシリボース、およびヘキソース)などの修飾された糖単位を含み得る。炭水化物は、たとえば、立体構造異性体、環状型、非環状型、立体異性体、互変異性体、アノマー、およびアイソマーといった多くの異なる形態で存在してもよい。
一部の実施形態では、組成物は少なくとも1つの脂質を含む。本明細書中で使用されるように、「脂質」は、脂肪、油、トリグリセリド、コレステロール、リン脂質、遊離の脂肪酸を含む任意の形態の脂肪酸を含む。脂肪、油、および脂肪酸は、飽和型、不飽和型(シスまたはトランス)、または部分的不飽和型(シスまたはトランス)とすることができる。一部の実施形態では、脂質は、ラウリン酸(12:0)、ミリスチン酸(14:0)、パルミチン酸(16:0)、パルミトレイン酸(16:1)、マルガリン酸(17:0)、ヘプタデセン酸(17:1)、ステアリン酸(18:0)、オレイン酸(18:1)、リノール酸(18:2)、リノレン酸(18:3)、オクタデカテトラエン酸(18:4)、アラキジン酸(20:0)、エイコセン酸(20:1)、エイコサジエン酸(20:2)、エイコサテトラエン酸(20:4)、エイコサペンタエン酸(20:5)(EPA)、ドコサン酸(22:0)、ドコセン酸(22:1)、ドコサペンタエン酸(22:5)、ドコサヘキサエン酸(22:6)(DHA)、およびテトラコサン酸(24:0)から選択される少なくとも1つの脂肪酸を含む。一部の実施形態では、組成物は、たとえば、調理により変性した脂質といった、少なくとも1つの変性した脂質を含む。
一部の実施形態では、組成物は、少なくとも1つの補助的なミネラルまたはミネラル供給源を含む。ミネラルの例として、限定するものではないが、塩化物、ナトリウム、カルシウム、鉄、クロム、銅、ヨウ素、亜鉛、マグネシウム、マンガン、モリブデン、リン、カリウム、およびセレンが挙げられる。上述のミネラルのいずれかの適切な形態として、可溶性ミネラル塩、わずかに可溶性のミネラル塩、不溶性のミネラル塩、キレート化ミネラル、ミネラル複合体、カルボニルミネラルなどの非反応性ミネラル、および還元型ミネラル、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
一部の実施形態では、組成物は少なくとも1つの補助的なビタミンを含む。少なくとも1つのビタミンは、脂溶性または水溶性のビタミンである。適切なビタミンとして、限定するものではないが、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンB12、ビタミンK、リボフラビン、ナイアシン、ビタミンD、ビタミンB6、葉酸、ピリドキシン、チアミン、パントテン酸、およびビオチンが挙げられる。上述のいずれかの適切な形態は、ビタミンの塩、ビタミンの誘導体、ビタミンと同じまたは類似の活性を有する化合物、およびビタミンの代謝物である。
一部の実施形態では、組成物は、少なくとも1つの生物を含む。適切な生物の例は当業者に良く知られており、プロバイオティクス(たとえばラクトバチルス種またはビフィドバクテリウム種など)、スピルリナ属、クロレラ属、およびポルフィラ属が挙げられる。
一部の実施形態では、組成物は、少なくとも1つの食事性栄養補助食品を含む。適切な例は当技術分野において周知であり、ハーブ、植物、および特定のホルモンを含む。非限定的な例として、イチョウ、ニンジン、およびメラトニンが挙げられる。
一部の実施形態では、組成物は賦形剤を含む。賦形剤の非限定的な例として、味物質、風味剤、緩衝剤、保存剤、安定剤、結合剤、圧縮剤、潤滑剤、分散促進剤、崩壊剤、香味料、甘味剤、着色剤が挙げられる。
一部の実施形態では、賦形剤は緩衝剤である。適切な緩衝剤の非限定的な例として、クエン酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、および重炭酸カルシウムが挙げられる。
一部の実施形態では、賦形剤は保存剤である。適切な保存剤の非限定的な例として、αトコフェロールおよびアスコルビン酸塩などの抗酸化剤、ならびにパラベン、クロロブタノール、およびフェノールなどの抗菌剤が挙げられる。
一部の実施形態では、組成物は、賦形剤として結合剤を含む。適切な結合剤の非限定的な例として、スターチ、α化デンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルオクソアゾリドン(oxoazolidone)、ポリビニルアルコール、C12〜C18脂肪酸アルコール、ポリエチレングリコール、ポリオール、糖類、オリゴ糖、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
一部の実施形態では、組成物は、賦形剤として潤滑剤を含む。適切な潤滑剤の非限定的な例として、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、水素付加した植物油、sterotex、モノステアリン酸ポリオキシエチレン、タルク、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、および軽油が挙げられる。
一部の実施形態では、組成物は、賦形剤として分散促進剤を含む。適切な分散剤の例として、デンプン、アルギン酸、ポリビニルピロリドン、グアーガム、カオリン、ベントナイト、精製木材セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、同形のケイ酸塩、および高HLB乳化剤の界面活性剤としての結晶セルロースが挙げられる。
一部の実施形態では、組成物は、賦形剤として崩壊剤を含む。一部の実施形態では、崩壊剤は、非発泡性崩壊剤である。適切な非発泡性崩壊剤の例として、コーンスターチ、ポテトスターチ、それらのα化スターチおよび改変したスターチなどのスターチ、甘味剤、ベントナイトなどの粘土、結晶セルロース、アルギン酸塩、デンプングリコール酸ナトリウム、寒天、グアー、イナゴマメ、カラヤ、ペクチン(pecitin)、およびトラガントなどのガム類が挙げられる。一部の実施形態では、崩壊剤は発泡性崩壊剤である。適切な発泡性崩壊剤の非限定的な例として、クエン酸と組み合わせた炭酸水素ナトリウム、および酒石酸と組み合わせた炭酸水素ナトリウムが挙げられる。
一部の実施形態では、賦形剤は香味料を含む。外層に組み込まれる香味料は、合成香味油および風味づけ芳香油:天然の油:植物、葉、花、および果実由来の抽出物;ならびにそれらの組み合わせから選択できる。一部の実施形態では、香味料は、シナモン油;ウィンターグリーン油;ペパーミント油;クローバー油;乾草油;アニス油;ユーカリ;バニラ;レモン油、オレンジ油、グレープおよびグレープフルーツ油などの柑橘系の油;ならびにリンゴ、モモ、ナシ、イチゴ、ラズベリー、サクランボ、プラム、パイナップル、およびアンズなどの果実のエッセンスから選択される。
一部の実施形態では、賦形剤は甘味剤を含む。甘味剤の非限定的な例として、グルコース(コーンシロップ)、ブドウ糖、転化糖、フルクトース、およびそれらの混合物(キャリアーとして使用されない場合);サッカリンおよびナトリウム塩などのその様々な塩;アスパルテームなどのジペプチド甘味剤;ジヒドロカルコン化合物、グリチルリジン;ステビア(ステビオシド);スクラロースなどのスクロースのクロロ誘導体;ならびにソルビトール、マンニトール、シリトール(sylitol)などの糖アルコールなどが挙げられる。同様に、水素付加したデンプン加水分解物、ならびに合成甘味料の3,6−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシド、特にそのカリウム塩(アセスルファムK)およびナトリウム塩およびカルシウム塩も企図される。
一部の実施形態では、組成物は着色剤を含む。適切な着色剤の非限定的な例として、食品、薬剤、および化粧品の着色料(FD&C)、薬剤および化粧品の着色料(D&C)、ならびに外用薬および化粧品の着色料(Ext.D&C)が挙げられる。着色剤は、色素または対応するレーキとして使用できる。
配合物中の賦形剤または賦形剤の組み合わせの重量分画は、通常、組成物中のアミノ酸の総重量の約50%以下、約45%以下、約40%以下、約35%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、約2%以下、または約1%以下である。
本明細書中に開示されるタンパク質および組成物は、様々な形態に配合でき、かつ異なる多くの方法で投与できる。組成物は、従来より許容可能なキャリアー、アジュバント、および望ましい場合はビヒクルを含む配合物で、経口投与、直腸投与、または非経口投与することができる。本明細書中で使用される用語「非経口」は、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、胸骨内注射および注入技術を含む。例示的な実施形態では、タンパク質または組成物は経口投与される。
経口投与のための固体投与剤形は、カプセル、錠剤、カプレット、ピル、トローチ、薬用キャンディー、粉剤、および顆粒剤を含む。カプセルは、典型的に、タンパク質または組成物を含むコア材料、およびコア材料を囲むシェル壁を含む。一部の実施形態では、コア物質は、固体、液体、およびエマルジョンのうちの少なくとも1つを含む。一部の実施形態では、シェル壁材料は、軟ゼラチン、硬ゼラチン、およびポリマーのうちの少なくとも1つを含む。適切なポリマーとして、限定するものではないが、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、トリメリット酸酢酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸塩、ヒドロキシプロピルメチルセルロースコハク酸塩およびカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロースポリマー;アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アミニオアクリル酸メチル(ammonio methylacrylate)、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチルおよび/またはメタクリル酸エチル(たとえば商標名「Eudragit」の下販売されるコポリマー)などのアクリル酸ポリマーおよびコポリマー;ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルフタル酸塩、酢酸ビニルクロトン酸コポリマー、およびエチレン‐酢酸ビニルコポリマーなどのビニルポリマーおよびコポリマー;ならびにシェラック(精製したlac)が挙げられる。一部の実施形態では、少なくとも1つのポリマーは、味遮蔽剤として機能する。
錠剤、ピルなどは圧縮でき、複数回圧縮でき、複数の層状にでき、かつ/またはコーティングできる。このコーティングは単一または複数とすることができる。一実施形態では、コーティング物質は、植物、真菌、および微生物のうちの少なくとも1つから抽出した糖、多糖、および糖タンパク質のうちの少なくとも1つを含む。非限定的な例として、コーンスターチ、コムギスターチ、ポテトスターチ、タピオカスターチ、セルロース、ヘミセルロース、デキストラン、マルトデキストリン、シクロデキストリン、イヌリン、ペクチン、マンナン、アラビアゴム、イナゴマメガム、メスキートガム、グアーガム、カラヤガム、ghattiガム(gum ghatti)、トラガントガム、フノリ、カラゲナン、カンテン、アルギン酸塩、キトサン、またはゲランガムが挙げられる。一部の実施形態では、コーティング材料はタンパク質を含む。一部の実施形態では、コーティング材料は、少なくとも1つの脂肪および油を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの脂肪および油は高温融解する。一部の実施形態では、少なくとも1つの脂肪および油は、水素付加または部分的に水素付加されている。一部の実施形態では、少なくとも1つの脂肪および油は、植物由来である。一部の実施形態では、少なくとも1つの脂肪および油は、グリセリド、遊離脂肪酸、および脂肪酸エステルのうち少なくとも1つを含む。一部の実施形態では、コーティング材料は、少なくとも1つの食用に適したワックスを含む。食用に適したワックスは、動物、昆虫、または植物由来とすることができる。非限定的な例として、蜜ろう、ラノリン、ヤマモモのろう、カルナウバロウ、および米ぬかのろうが挙げられる。錠剤およびピルは、腸溶コーティングでさらに調製できる。
あるいは、本明細書中に開示されるタンパク質および組成物を使用する粉剤または顆粒は、食品生成物に組み込むことができる。一部の実施形態では、食品生成物は、経口投与用の飲料である。適切な飲料の非限定的な例として、フルーツジュース、フルーツ飲料、および人工的に風味をつけた飲料、人工的に甘味をつけた飲料、炭酸飲料、スポーツドリンク、液体食品、シェーク、アルコール飲料、カフェイン添加飲料、乳児配合物などが挙げられる。経口投与に適した他の手段は、水性溶液および非水性溶液、クリーム、ペースト、エマルジョン、懸濁物、およびスラリーを含み、それぞれは、適切な溶媒、保存剤、乳化剤、懸濁剤、希釈剤、甘味剤、着色剤、味物質、風味剤、および香味料のうちの少なくとも1つを任意に含んでもよい。
一部の実施形態では、食品生成物は、固形食品である。固形食品の適切な例は、限定するものではないが、食品のバー、スナックバー、クッキー、ブラウニー、マフィン、クラッカー、ビスキュイ、クリームまたはペースト、アイスクリームバー、凍結ヨーグルトバーなどが挙げられる。
一部の実施形態では、本明細書中に開示されるタンパク質および組成物は、治療用の食品に組み込まれる。一部の実施形態では、治療用の食品は、一部またはすべての必須の主要栄養素および微量栄養素を任意に含む、すぐに食べられる食品である。一部の実施形態では、本明細書中に開示されるタンパク質および組成物は、既存の食事に混合されるよう設計された栄養補助食品に組み込まれる。一部の実施形態では、栄養補助食品は、一部またはすべての必須の主要栄養素および微量栄養素を含む。一部の実施形態では、本明細書中に開示されるタンパク質および組成物は、食品のタンパク質栄養素の栄養価を高めるために、既存の食品に混合、または食品に添加される。例として、主食(穀物、塩、糖、調理油、マーガリン)、飲料(コーヒー、茶、ソーダ、ビール、リカー、スポーツドリンク)、スナック、お菓子、および他の食品が挙げられる。
本明細書中に開示される組成物は、たとえば筋肉量、力、および身体的な機能、熱産生、代謝の支出、満腹、ミトコンドリアでの生成、体重減少または脂肪の喪失、および除脂肪組成のうちの少なくとも1つを増加させる方法に利用できる。
配合物は、配合物中100キロカロリーあたり最大約25g(25g/100kcal)の栄養性ポリペプチドを含むことができ、これは、配合物に存在するエネルギーのすべてまたはほぼ全てが、栄養性ポリペプチドの形態にあることを意味する。より典型的には、約99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、または5%未満の配合物中に存在するエネルギーが、栄養性ポリペプチドの形態である。他の配合物では、栄養性ポリペプチドは、ポリペプチドの参照1日摂取量の少なくとも約0.1%以上の栄養上の利点を提供するために十分な量で存在する。タンパク質の参照1日摂取量の値は当技術分野ににおいて周知である。たとえば、Dietary Reference Intakes for Energy, Carbohydrate, Fiber, Fat, Fatty Acids, Cholesterol, Protein and Amino Acids, Institute of Medicine of the National Academies, 2005, National Academies Press, Washington DCを参照されたい。タンパク質の参照1日摂取量の値は、1日の摂取カロリーの10〜35%がタンパク質および単離型アミノ酸により提供される範囲である。年齢に基づく別の参照1日摂取量の値は、1日あたりのgタンパク質で提供され、1〜3歳の小児:13g、4〜8歳の小児:19g、9〜13歳の小児:34g、14〜18歳の少女:46、14〜18歳の少年:52、19〜70歳超の女性:46、および19〜70歳超の男性:56である。他の配合物では、栄養性ポリペプチドは、タンパク質の栄養障害または、タンパク質の栄養障害を特徴とする疾患、障害、もしくは病態を罹患しているヒト対象に栄養上の利点を提供するよう十分な量で存在する。タンパク質の栄養障害は、一般的に出生前または小児の病態である。適切なエネルギー摂取を伴うタンパク質の栄養障害はクワシオルコルまたは低アルブミン血症栄養障害と呼ばれ、不適切なタンパク質摂取を含むすべての形態の不適切なエネルギー摂取はマラスムスと呼ばれる。適切に栄養を与えた個体は、タンパク質の消費がほとんどない、または栄養性アミノ酸が欠如したタンパク質の消費から、サルコペニアを発症する可能性がある。出生前のタンパク質の栄養障害は、妊娠中の母体に本明細書中に記載の栄養性ポリペプチドを投与することにより予防、処置、または低減でき、新生児のタンパク質の栄養障害、は、授乳する母体に本明細書中に記載の栄養性ポリペプチドを投与することにより、予防、処置、または低減できる。成年では、タンパク質の栄養障害は、一般に、癌、慢性腎疾患に対する二次的な発症であり、および高齢者に起こる。さらに、タンパク質の栄養障害は、慢性または急性とすることができる。急性のタンパク質栄養障害の例は、敗血症などの急性疾病もしくは疾患の際に、または外科手術などの外傷性の損傷、熱傷などの熱損傷、または実質的な組織のリモデリングをもたらす類似の事象からの回復時に起こる。本明細書中に記載される方法および組成物により処置可能な他の急性疾病として、サルコペニア、カヘキシー、糖尿病、インスリン抵抗性、および肥満が挙げられる。
配合物は、ヒト対象が消費する際に満腹感を提供するために十分な量の栄養性ポリペプチドを含み、このことは対象が空腹であるまたは食べたいとあまり感じない、または感じないことを意味する。このような配合物は、一般的に等価のカロリーに基づき炭水化物を多く含む食品よりも高い満腹指数を有する。
配合物は、、栄養性ポリペプチドの濃度に基づいて(たとえば、重量対重量に基づく)、配合物の重量の最大100%を占める量の栄養性ポリペプチドを含むことができ、このことは、配合物に存在する物質の全てまたは本質的に全てが、栄養性ポリペプチドの形態であることを意味する。より典型的には、配合物に存在する重量の99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、または5%未満は、栄養性ポリペプチドの形態である。一部の実施形態では、配合物は、10mg、100mg、500mg、750mg、1g、2g、3g、4g、5g、6g、7g、8g、9、10g、15g、20g、25g、30g、35g、40g、45g、50g、60g、70g、80g、90g、100g、または100g超の栄養性ポリペプチドを含む。
好ましくは、本明細書中に提供される配合物は、食用でない生成物を実質的に含まない。食用でない生成物は、酵母、細菌、藻類、昆虫、哺乳動物、または他の発現系から産生される、従来技術の組み換えタンパク質の調製でしばしば見出される。例示的な食用でない生成物は、界面活性剤、ポリビニルアルコール、プロピレングリコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、食用でないポリ酸またはポリオール、脂肪アルコール、アルキルベンジルスルホン酸塩、アルキルグルコシド、またはメチルパラベンが挙げられる。
態様では、提供される配合物は、味物質、栄養上の炭水化物、および/または栄養上の脂質などの他の物質を含む。さらに、配合物は、充填剤、品質改良剤、および増量剤を含んでもよい。
好ましい実施形態では、本明細書中に提供される栄養性ポリペプチドは、単離、かつ/または実質的に精製されている。本明細書中で提供される栄養性ポリペプチドおよび組成物および配合物は、非タンパク質成分を実質的に含まない、このような非タンパク質成分は、概して、乳清、カゼイン、卵、およびダイズの調製物などのタンパク質調製物に存在し、これらは、ポリペプチドと複合体を形成し、胃腸管中のタンパク質消化物の遅延および不完全さをもたらす炭水化物および脂質の実質量を含む。このような非タンパク質成分はDNAも含むことができる。よって、栄養性ポリペプチド、組成物、および配合物は、食品由来のポリペプチドおよびポリペプチド混合物と比較して、改善した消化性、減少したアレルゲン性を特徴とする。さらに、配合物および組成物は、ある時間からのより再現可能な消化性、および/または所定の単位時間に基づく消化生成物を特徴とする。特定の実施形態では、栄養性ポリペプチドは、参照ポリペプチドまたは参照ポリペプチド混合物と比較して、脂質、および/または炭水化物が少なくとも10%減少し、任意に、消化性を減少させ、かつ/またはアレルゲン性を増加させる1つまたは複数の他の物質が、たとえば20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、または99%超減少する。特定の実施形態では、栄養配合物は、栄養上の炭水化物、および/または栄養上の脂質を含み、これらは、消化性およびアレルゲン性の低下に関して選択されてよい。
使用方法
一部の実施形態では、本明細書中に開示されるタンパク質および組成物は、患者またはユーザ(場合によっては集合的に「対象」と呼ぶ)に投与される。本明細書中に使用されるように、「投与する」および「投与」は、1人の人物が別の人物に、特定の方法および/または特定の目的でタンパク質または組成物を消費するように指示する実施形態、ならびに、ユーザーが、第2の人物から受けた指示とは無関係にまたはそれと異なるように、特定の方法および/または特定の目的のためにタンパク質または組成物を使用する状況を含む。1人の人物が別の人物に特定の方法および/または特定の目的のためにタンパク質または組成物を消費するよう指示する実施形態の非限定的な例には、医師が、患者に対して一連の行為および/または処置を処方する場合、トレーナーがユーザー(運動選手など)に、特定の一連の行為および/または処置に従うよう助言する場合、および製造者、供給者、または販売者が、たとえば、広告、またはパッケージ上のラベル、または生成物の販売もしくはマーケティングに関連して提供される他の材料を介してエンドユーザーに使用条件を推奨する場合が挙げられる。
一部の実施形態では、タンパク質または組成物は投与剤形で提供される。一部の実施形態では、投与剤形は、本明細書中に開示される少なくとも1つのタンパク質を投与するために設計され、投与されるタンパク質の総量は、0.1g〜1g、1g〜5g、2g〜10g、5g〜15g、10g〜20g、15g〜25g、20g〜40g、25〜50g、および30〜60gから選択される。一部の実施形態では、投与剤形は、本明細書中に開示される少なくとも1つのタンパク質を投与するために設計され、投与されるタンパク質の総量は、0.1g、0.1g〜1g、1g、2g、3g、4g、5g、6g、7g、8g、9g、10g、15g、20g、25g、30g、35g、40g、45g、50g、55g、60g、65g、70g、75g、80g、85g、90g、95g、および100gから選択される。
一部の実施形態では、投与剤形は、本明細書中に開示される少なくとも1つのタンパク質を投与するために設計され、投与される必須アミノ酸の総量は、0.1g〜1g、1g〜5g、2g〜10g、5g〜15g、10g〜20g、および1〜30gである。一部の実施形態では、投与剤形は、本明細書中に開示される少なくとも1つのタンパク質を投与するために設計され、投与されるタンパク質の総量は、約0.1g、0.1〜1g、1g、2g、3g、4g、5g、6g、7g、8g、9g、10g、15g、20g、25g、30g、35g、40g、45g、50g、55g、60g、65g、70g、75g、80g、85g、90g、95g、および100gから選択される。
一部の実施形態では、タンパク質または組成物は、0.1g〜1g/日、1g〜5g/日、2g〜10g/日、5g〜15g/日、10g〜20g/日、15g〜30g/日、20g〜40g/日、25g〜50g/日、40g〜80g/日、50g〜100g/日、またはそれ以上の割合で消費される。
一部の実施形態では、対象による総タンパク質摂取量のうち、食事の期間で対象が摂取した総タンパク質の、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または約100%が、本開示に係る少なくとも1つのタンパク質から作製される。一部の実施形態では、対象による総タンパク質摂取量のうち、食事の期間で、対象が摂取した総タンパク質の5%〜100%、対象が摂取した総タンパク質の5%〜90%、対象が摂取した総タンパク質の5%〜80%、対象が摂取した総タンパク質の5%〜70%、対象が摂取した総タンパク質の5%〜60%、対象が摂取した総タンパク質の5%〜50%、対象が摂取した総タンパク質の5%〜40%、対象が摂取した総タンパク質の5%〜30%、対象が摂取した総タンパク質の5%〜20%、対象が摂取した総タンパク質の5%〜10%、対象が摂取した総タンパク質の10%〜100%、対象が摂取した総タンパク質の10%〜100%、対象が摂取した総タンパク質の20%〜100%、対象が摂取した総タンパク質の30%〜100%、対象が摂取した総タンパク質の40%〜100%、対象が摂取した総タンパク質の50%〜100%、対象が摂取した総タンパク質の60%〜100%、対象が摂取した総タンパク質の70%〜100%、対象が摂取した総タンパク質の80%〜100%、または対象が摂取した総タンパク質の90%〜100%が、本開示に係る少なくとも1つのタンパク質から作製される。一部の実施形態では、本開示の少なくとも1つのタンパク質は、食事期間での対象のカロリー摂取の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、または少なくとも50%を占める。
一部の実施形態では、本開示に係る少なくとも1つのタンパク質は、本開示の少なくとも2個のタンパク質、本開示の少なくとも3個のタンパク質、本開示の少なくとも4個のタンパク質、本開示の少なくとも5個のタンパク質、本開示の少なくとも6個のタンパク質、本開示の少なくとも7個のタンパク質、本開示の少なくとも8個のタンパク質、開示の少なくとも9個のタンパク質、本開示の少なくとも10個のタンパク質、またはそれ以上を含む。
一部の実施形態では、食事の期間は、1回の食事、2回の食事、3回の食事、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3か月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5か月、少なくとも6ヶ月、または少なくとも1年である。一部の実施形態では、食事の期間は、1日〜1週間、1週間〜4週間、1ヶ月〜3ヶ月、3ヶ月〜6ヶ月、または6ヶ月〜1年である。
臨床試験から、不動または長期の安静臥床に由来するなどの、老化または不使用による筋肉の喪失をタンパク質が防止するとの証拠が提供されている。特に、試験から、タンパク質の補給が、長期の安静臥床の際の筋タンパク質合成速度(FSR)を増加させ、長期の安静臥床の際の脚の質量および強度を維持し、除脂肪体重を増加させ、歩行およびバランスの機能的測定値を改善し、不動または長期の安静臥床によりサルコペニアのリスクのある個体にとって重要な治療介入として作用し得ることが示されている。たとえば、Paddon−Jones D, et al. J Clin Endocrinol Metab 2004, 89:4351−4358; Ferrando, A et al. Clinical Nutrition 2009 1−6; Katsanos C et al. Am J Physiol Endocrinol Metab. 2006, 291: 381−387を参照されたい。
運動選手の筋タンパク質の同化を増加させる試験から、タンパク質を運動後に提供すると、運動のみで得られるものよりも大きい度合いで筋肉の肥大を促進することが示されている。同様に、タンパク質を運動後に提供すると、タンパク質の分解が増加することなくタンパク質の合成を支援し、真の陽性のタンパク質バランスおよび筋肉量の増大をもたらすことも示されている。筋タンパク質の合成は、必須アミノ酸の補給に用量依存的に反応するように思われるが、全てのタンパク質が、筋肉の構築に等価であるわけではない。たとえば、アミノ酸のロイシンは、筋タンパク質合成の刺激に重要な因子である。たとえば、Borscheim E et al. Am J Physiol Endocrinol Metab 2002, 283: E648−E657; Borsheim E et al. Clin Nutr. 2008, 27: 189−95; Esmarck B et al J Physiol 2001, 535: 301−311; Moore D et al. Am J Clin Nutr 2009, 89: 161−8)を参照されたい。
別の態様では、本開示は、対象の筋肉量、筋力、および機能的な能力のうちの少なくとも1つを維持または増加せる方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、本開示のタンパク質、本開示の組成物、または本開示の方法により作製される組成物の十分な量を対象に提供することを含む。一部の実施形態では、対象は、高齢者、医学的に重篤な状態を有する人、およびタンパク質エネルギー栄養障害を罹患する人の少なくともいずれかである。一部の実施形態では、本開示のタンパク質、本開示の組成物、または本開示の方法により作製される組成物の十分な量は、運動の実施と協調して対象により消費される。一部の実施形態では、本開示のタンパク質、本開示の組成物、または本開示の方法により作製される組成物は、経口経路、経腸経路、または非経口経路により対象により消費される。一部の実施形態では、本開示のタンパク質、本開示の組成物、または本開示の方法により作製される組成物は、経口経路により対象により消費される。一部の実施形態では、本開示のタンパク質、本開示の組成物、または本開示の方法により作製される組成物は、経腸経路により対象により消費される。
別の態様では、本開示は、対象の望ましい肥満指数を維持または達成する方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、本開示のタンパク質、本開示の組成物、または本開示の方法により作製される組成物の十分な量を対象に提供することを含む。一部の実施形態では、対象は、高齢者、医学的に重篤な状態を有する人、またはタンパク質エネルギー栄養障害を罹患している人の少なくともいずれかである。一部の実施形態では、本開示のタンパク質、本開示の組成物、または本開示の方法により作製される組成物の十分な量は、運動の実施と協調して対象により消費される。一部の実施形態では、本開示のタンパク質、本開示の組成物、または本開示の方法により作製される組成物は、経口経路、経腸経路、または非経口経路により消費される。
別の態様では、本開示は、タンパク質エネルギー栄養障害を有する対象にタンパク質を提供する方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、本開示のタンパク質、本開示の組成物、または本開示の方法により作製される組成物の十分な量を対象に提供することを含む。一部の実施形態では、本開示のタンパク質、本開示の組成物、または本開示の方法により作製される組成物は、経口経路、経腸経路、または非経口経路により、対象により消費される。
必須アミノ酸の補給の必要性は、癌患者、ならびに筋肉の消耗およびカヘキシーを罹患している他の患者に提案されている。マウスの食事の試験は、必須アミノ酸の食事性介入による、カヘキシーを有するマウスに生存および機能的な利点を示している。癌以外に、必須アミノ酸の補給はまた、慢性閉塞性肺疾患、慢性心不全、HIV、および他の疾患状態などの、運動が困難であり、よって筋肉が劣化する他の疾患を罹患する患者に、筋肉の機能の改善および筋肉の増加などの利点が示されている。
特定のアミノ酸が、カヘキシーの管理に有益であることが試験から示されている。食事中のBCAAおよびLeu含有量が比較的高いと、翻訳の増加を伝達し、インスリンの放出を高め、タンパク質分解を阻害することにより、総タンパク質合成を促進することによって、カヘキシーに対して積極的な作用を有すると考えられる。よって、一般的に食事性BCAAおよび/または特にLeuの消費が増加することは、カヘキシーの作用を積極的に低減または逆転させる一因となる。窒素のバランスは、カヘキシーの根底となる原因に対向するために重要であるため、食事性グルタミンおよび/またはアルギニンの消費を増加することは、カヘキシーの作用を積極的に低減または逆転させる一因となると考えられる。たとえば、Op den Kamp C, Langen R, Haegens A, Schols A. “Muscle atrophy in cachexia: can dietary protein tip the balance?” Current Opinion in Clinical Nutrition and Metabolic Care 2009, 12:611−616; Poon RT−P, Yu W−C, Fan S−T, et al. “Long−term oral branched chain amino acids in patients undergoing chemoembolization for hepatocellular carcinoma:a randomized trial.” Aliment Pharmacol Ther 2004; 19:779−788; Tayek JA, Bistrian BR, Hehir DJ, Martin R, Moldawer LL, Blackburn GL. “Improved protein kinetics and albumin synthesis by branched chain amino acid−enriched total parenteral nutrition in cancer cachexia.” Cancer. 1986;58:147−57; Xi P, Jiang Z, Zheng C, Lin Y, Wu G “Regulation of protein metabolism by glutamine: implications for nutrition and health.” Front Biosci. 2011 Jan 1;16:578−97を参照されたい。
よって、本明細書中、対象のカヘキシーを処置する方法を提供する。一部の実施形態では、カヘキシーを有する対象に関して、本開示のタンパク質、本開示の組成物、または本開示の方法により作製される組成物の十分な量は、この人物により摂取される本開示のタンパク質の量が、代謝的な必要性(しばしば上昇している)と一致するかまたはそれを超える量である。1.5g/kg体重/日のタンパク質摂取、または総カロリー摂取の15〜20%が、カヘキシーを有する人にとって適切な目標であるように思われる。一部の実施形態では、対象により消費されるタンパク質のすべてが、本開示に係るタンパク質である。一部の実施形態では、本開示に係るタンパク質は、対象の総タンパク質摂取を提供するため、他の供給源のタンパク質および/または遊離アミノ酸と組み合わせる。一部の実施形態では、対象は、高齢者、医学的に重篤な状態を有する人、およびタンパク質エネルギー栄養障害を罹患している人の少なくともいずれかである。一部の実施形態では、対象は、慢性閉塞性肺疾患、慢性心不全、HIV、癌、および他の疾患状態などの、運動が困難となり、よって筋肉が劣化する疾患を罹患している。一部の実施形態では、本開示に係るタンパク質、本開示に係る組成物、または本開示に係る方法により作製される組成物は、運動の実施と協調して対象により消費される。一部の実施形態では、本開示に係るタンパク質、本開示に係る組成物、または本開示に係る方法により作製される組成物は、経口経路、経腸経路、または非経口経路により対象により消費される。
サルコペニアは、骨格筋の量(典型的に、25歳以降の年齢で1年あたり0.5〜1%の喪失)、質、および強度の老化に関連した変性性の喪失である。サルコペニアは、虚弱症候群の一因である。EWGSOP(European Working Group on Sarcopenia in Older People)は、加齢関連サルコペニアの実務的な臨床定義およびコンセンサス診断基準を開発した。サルコペニアの診断に関して、ワーキンググループは、低い筋肉量および低い筋肉機能(力または能力)の両方の存在を使用することを提案した。サルコペニアは、第一に筋肉の萎縮(筋肉の大きさの減少)を特徴とし、これに、脂肪による筋線維の置換、線維症の増加、筋代謝の変化、酸化ストレス、および神経筋接合部の変性などの要因により引き起こされる筋肉組織の「質」の低下が加わる。これらが組み合わさると、これらの変化は、筋肉機能の進行性の喪失を引き起こし、結果として筋虚弱に至る、筋虚弱は、高齢者の健康および機能が破局的に低下するリスクが上がることを示す一般的な老人性の症候群である。虚弱の一因として、サルコペニア、骨粗しょう症、および筋力低下を挙げることができる。筋力低下は、筋肉疲労(または「強度の喪失」)としても知られており、骨格筋で力を発揮することができないことを指す。虚弱は、しばしば、筋萎縮の後に、および疾病の結果としての長期の安静臥床後などの活動の低下後に起こる。同様に、サルコペニアの結果として徐々に筋力低下が起こる。
本開示のタンパク質は、対象に発症したサルコペニアもしくは筋虚弱を処置するため、または有リスクグループの一員である対象でのサルコペニアもしくは筋虚弱の発症を予防するために有用である。一部の実施形態では、対象により消費されるすべてのタンパク質が、本開示に係るタンパク質である。一部の実施形態では、本開示に係るタンパク質は、対象の総タンパク質摂取量を提供するために、タンパク質の他の供給源および/または遊離アミノ酸と組み合わせる。一部の実施形態では、対象は、高齢者、医学的に重篤な状態を有する人、およびタンパク質エネルギー栄養障害を罹患している人の少なくともいずれかである。一部の実施形態では、本開示に係るタンパク質、本開示に係る組成物、または本開示に係る方法により作製される組成物は、運動の実施と協調して対象により消費される。一部の実施形態では、本開示に係るタンパク質、本開示に係る組成物、または本開示に係る方法により作製される組成物は、経口経路、経腸経路、または非経口経路により消費される。
肥満は、高血圧、2型糖尿病、脂質異常症、冠血管心疾患、脳卒中、癌(たとえば子宮内膜、脳、および結腸)、変形性関節症、睡眠時無呼吸、および呼吸系の問題を含む多数の合併症に関連した複数要因の障害である。30kg/m2超の肥満指数として定義される肥満の発生率は、米国で、15%(1976〜1980)から33%(2003〜2004)へと著しく増加しており、増加し続けている、肥満の原因となる機構は複合的であり、行動学的要素と、ホルモン、遺伝子、および代謝の工程との相互作用を伴うが、肥満は、2つの主な原因:過剰なエネルギー摂取と不十分な身体活動を有するライフスタイルに依存する状態であると主に考えられている。エネルギー摂取に関して、総エネルギー摂取を制御しつつ、食事中のタンパク質の比率を適度に増加させることは、身体の組成を改善し、脂肪の減少を促進し、かつ、体重減少の後の体重の維持を改善し得ることが証明されている。食事性タンパク質の増加に関連する陽性の転帰は、主にエネルギー摂取を低下させることにより、満腹の増加、エネルギー効率の低減、および/または熱産生の増加、身体組成に及ぼす積極的な作用(特に除脂肪筋肉量)、および血糖制御の強化に関連すると考えられている。
食事性タンパク質は、炭水化物または脂肪の等カロリー摂取よりも摂食後のエネルギー消費量を増加させるために有効である(たとえばDauncey M, Bingham S. “Dependence of 24 h energy expenditure in man on composition of the nutrient intake.” Br J Nutr 1983, 50: 1−13; Karst H et al. “Diet−induced thermogenesis in man: thermic effects of single proteins, carbohydrates and fats depending on their energy amount.” Ann Nutr Metab.1984, 28: 245−52; Tappy L et al “Thermic effect of infused amino acids in healthy humans and in subjects with insulin resistance.” Am J Clin Nutr 1993, 57 (6): 912−6参照)。他の特性(満腹の誘導、除脂肪体重の保持)に加えてこの特性により、タンパク質は、体重管理を目的とする食事の魅力的な成分となる。このような食事により引き起こされるエネルギー消費量の増加は、タンパク質を消化および代謝するエネルギー費用が、他のカロリー供給源よりも高いという事実に部分的によるものであり得る。タンパク質合成を含むタンパク質の代謝回転は、エネルギー消費工程である。さらに、高タンパク質食は、肝臓および褐色脂肪での脱共役タンパク質をアップレギュレートすることができ、これは、エネルギー消費量の増加と正比例する。異なるタンパク質は、エネルギー消費量に独自の効果を有し得るという理論が立てられている。
試験から、タンパク質、特に高いEAAおよび/またはBCAA含有量を有するタンパク質の摂取は、熱産生およびエネルギー消費量に関して別々の作用をもたらすことが示唆される(たとえばMikkelsen P. et al. “Effect of fat−reduced diets on 24 h energy expenditure: comparisons between animal protein, vegetable protein and carbohydrate.” Am J Clin Nutr 2000, 72:1135−41; Acheson K. et al. “Protein choices targeting thermogenesis and metabolism.” Am J Clin Nutr 2011, 93:525−34; Alfenas R. et al. “Effects of protein quality on appetite and energy metabolism in normal weight subjects” Arg Bras Endocrinol Metabol 2010, 54 (1): 45−51; Lorenzen J. et al. “The effect of milk proteins on appetite regulation and diet−induced thermogenesis.” J Clin Nutr 2012 66 (5): 622−7参照)。さらに、Lチロシンは、熱産生に役割を果たすアミノ酸として同定されている(たとえばBelza A. et al. “The beta−adrenergic antagonist propranolol partly abolishes thermogenic response to bioactive food ingredients.” Metabolism 2009, 58 (8):1137−44参照)。さらなる試験から、ロイシンおよびアルギニンの補給は、脂肪組織よりも除脂肪体重へと基質を配向することによりエネルギーの代謝を変化させるように思われる(Dulloo A. “The search for compounds that stimulate thermogenesis in obesity management: from pharmaceuticals to functional food ingredients.” Obes Rev 2011 12: 866−83)。
文献から集合的に、異なる種類のタンパク質は、熱産生に対して別々の作用をもたらすことが示唆されている。EAA、BCAAを多く含むタンパク質またはペプチド、および/または少なくとも1つのTyr、Arg、およびLeuが熱産生に対して刺激作用を有すると考えられており、熱産生の刺激は、体重の管理に積極的な効果をもたらすと考えられているため、本開示はまた、熱産生を刺激し、および/または一般的に、体重の管理に積極的な効果をもたらすため有用な生成物および方法も提供する。
より具体的には、本開示は、対象の熱産生を増加させる方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、本開示のタンパク質、本開示の組成物、または本開示の方法により作製される組成物の十分な量を対象に提供することを含む。一部の実施形態では、対象は肥満である。一部の実施形態では、本開示に係るタンパク質、本開示に係る組成物、または本開示に係る方法により作製される組成物は、運動の実施と協調して対象により消費される。一部の実施形態では、本開示に係るタンパク質、本開示に係る組成物、または本開示に係る方法により作製される組成物は、経口投与、経腸経路、または非経口経路により、対象により消費される。
基本的なレベルで、過体重状態の発症の理由は、エネルギー摂取とエネルギー消費量とのあいだのアンバランスによるものである。任意の特定の状況(心的飽和)で、および食事の状況(満腹)を通して食物を低減させる試みは、近年の研究の主要な焦点とされている。食事中の満足感、および食後の満腹感の結果としてのカロリー摂取の減少は、内部および外部のシグナルの複合的な相互作用からもたらされる。様々な栄養学の試験から、エネルギーの密度、含有量、食感、および味などの食品の特性を変化させると、心的飽和および満腹の両方に影響することが示されている。
脂肪、炭水化物、およびタンパク質といった、エネルギーを送達する3つの主要栄養素が存在する。タンパク質または炭水化物1gは4カロリーを提供するのに対し、脂肪1gは9カロリーを提供する。一般的に、タンパク質は、炭水化物または脂肪よりも高い度合いで満腹を増大させ、よって、カロリー摂取の減少を促進させ得る。しかしながら、満腹を誘導するタンパク質物質の種類を示唆するかなりの証拠が存在する(たとえばW.L. Hall, et al. “Casein and whey exert different effects on plasma amino acid profiles, gastrointestinal hormone secretion and appetite.” Br J Nutr. 2003 Feb, 89(2):239−48; R. Abou−Samra, et al. “Effect of different protein sources on satiation and short−term satiety when consumed as a starter.” Nutr J. 2011 Dec 23, 10:139; T. Akhavan, et al. “Effect of premeal consumption of whey protein and its hydrolysate on food intake and postmeal glycemia and insulin responses in young adults.” Am J Clin Nutr. 2010 Apr, 91(4):966−75, Epub 2010 Feb 17; MA Veldhorst “Dose−dependent satiating effect of whey relative to casein or soy” Physiol Behav. 2009 Mar 23, 96(4−5):675−82)参照)。これらの証拠から、ロイシンを多く含むタンパク質は、満腹の誘導に特に効果が高い(たとえばFromentin G et al “Peripheral and central mechanisms involved in the control of food intake by dietary amino acids and proteins.” Nutr Res Rev 2012 25: 29−39参照)。
一部の実施形態では、本開示のタンパク質は、少なくとも1つの医薬品または生物学的な薬剤生成物と同時に対象によって消費される。一部の実施形態では、タンパク質および少なくとも1つの医薬品または生物学的な薬剤生成物の有益な作用は、相加作用を有し、一部の実施形態では、タンパク質および少なくとも1つの医薬品または生物学的な薬剤生成物の有益な作用は、相乗作用を有する。本開示のタンパク質と共に投与できる医薬品または生物学的な薬剤生成物の例は、当技術分野で周知である。たとえば、本開示のタンパク質を、対象の筋肉量、筋力、および機能的な特性のうちの少なくとも1つを維持または増加させるために使用する場合、タンパク質は、同化ステロイドなどの、対象の筋肉量、筋力、および機能的な能力うちの少なくとも1つを維持または増加させるために適応される少なくとも1つの医薬品または生物学的な薬剤生成物の治療上の投与レジメンと同時に対象により消費され得る。本開示のタンパク質を、対象の望ましい肥満指数を維持または達成するために使用する場合、タンパク質は、オルリスタット、ロルカセリン、シブトラミン、リモナバン、メトホルミン、エキセナチド、またはプラムリンチドなどの、対象の望ましい肥満指数を維持または達成するために適応される少なくとも1つの医薬品または生物学的な薬剤生成物の治療投与レジメンと同時に対象により消費され得る。本開示のタンパク質が、対象の心的飽和応答および満腹応答のうちの少なくとも1つを誘導するように使用される場合、タンパク質は、リモナバン、エキセナチド、またはプラムリンチドなどの、対象の心的飽和応答および満腹応答のうちの少なくとも1つを誘導するために適応される少なくとも1つの医薬品または生物学的な薬剤の治療上の投与レジメンと同時に対象により消費され得る。本開示のタンパク質が、対象のカヘキシー、サルコペニア、および筋虚弱のうちの少なくとも1つを処置するように使用される場合、タンパク質は、ω3脂肪酸または同化ステロイドなどの、カヘキシー、サルコペニア、および筋虚弱のうちの少なくとも1つを処置するために適応される少なくとも1つの医薬品または生物学的な薬剤生成物の治療上の投与レジメンと同時に対象により消費され得る。心的飽和および満腹を誘導する食事性タンパク質の役割のため、本明細書中に開示されるタンパク質および組成物は、対象の心的飽和応答および満腹応答のうちの少なくとも1つを誘導するために使用することができる。一部の実施形態では、本方法は、本開示のタンパク質、本開示の組成物、または本開示の方法により作製される組成物の十分な量を対象に提供することを含む。一部の実施形態では、対象は肥満である。一部の実施形態では、本開示に係るタンパク質、本開示に係る組成物、本開示に係る方法により作製される組成物は、運動の実施と協調して対象により消費される。一部の実施形態では、本開示に係るタンパク質、本開示に係る組成物、または本開示に係る方法により作製される組成物は、経口経路、経腸経路、または非経口経路により、対象により消費される。
一部の実施形態では、本開示の少なくとも1つのタンパク質または組成物を、対象の食事の中に組み込むことは、食後の満腹(空腹を抑制することを含む)、熱産生の誘導、血糖の応答の低減、エネルギー消費量への積極的な影響、除脂肪体重への積極的な影響、過食によって引き起こされる体重増加の減少、およびエネルギー摂取の減少から選択される少なくとも1つの作用を有する。一部の実施形態では、本開示の少なくとも1つのタンパク質または組成物を対象の食事に組み込むことは、対象の体脂肪の喪失、除脂肪組織喪失の低減、脂質プロファイルの改善、ならびに耐糖能およびインスリン感受性の改善から選択される少なくとも1つの作用を有する。
本明細書中に記載される技術およびプロトコルの例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 16th edition, Osol, A. (ed), 1980で見出すことができる。
実施例
以下は、本発明を実行するための特定の実施形態の実施例である。本実施例は、例示的な目的のみを提供し、いかなる場合も本発明の範囲を限定する意図を有しない。使用される数(たとえば量、温度など)に関する正確性を確実にするための試みはなされているが、何らかの実験誤差および偏差は当然考慮されるべきである。
本発明の実務は、特段記載のない限り、当業者の範囲内の、タンパク質化学、生化学、組み換えDNA技術、および薬理学の従来の方法を使用するものである。このような技術は文献に完全に説明されている。たとえば、T.E. Creighton, Proteins: Structures and Molecular Properties (W.H. Freeman and Company, 1993); A.L. Lehninger, Biochemistry (Worth Publishers, Inc., current addition); Sambrook, et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd Edition, 1989); Methods In Enzymology (S. Colowick and N. Kaplan eds., Academic Press, Inc.); Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Edition (Easton, Pennsylvania: Mack Publishing Company, 1990); Carey and Sundberg Advanced Organic Chemistry 3rd Ed. (Plenum Press) Vols A and B(1992)を参照されたい。
実施例1.質量分析の解析を使用した、食用に適した種の栄養性ポリペプチドのアミノ酸配列の同定および選択
ポリペプチドまたは核酸ライブラリー、または関連するタンパク質配列データベースなどから、1つまたは複数の栄養性ポリペプチドのアミノ酸配列を同定する工程を提供する。ここでは、栄養性ポリペプチドのアミノ酸配列を、食用に適した種から抽出かつ精製したタンパク質の質量分析の解析により同定した。
質量分析のためのタンパク質の単離
タンパク質を、固体の食用に適した供給源から抽出した。以下の種:Actinidia deliciosa、Agaricus bisporus var. bisporus、Arthrospira platensis、Bos taurus、Brassica oleracea、Cannabis、Chenopodium quinoa、Chlorella regularis、Chlorella variabilis、Cicer arietinum、Cucurbita maxima、Fusarium graminearum、Gadus morhua、Gallus gallus、Glycine Max、Lactobacillus acidophilus、Laminariales、Linum usitatissimum、Meleagris gallopavo、Odocoileus virginianus、Oreochromis niloticus、Oryza sativa、Ovis aries、Palmaria palmata、Persea americana、Prunus mume、Saccharomyces cerevisiae、Salmo salar、Solanum lycopesicum、Solanum tuberosum、Sus scrofa、Thunnus thynnus、Vaccinium corymbosum、Vitis vinifera、およびZea mays由来の試料を解析に含めた。各試料を、まず−80℃で凍結し、次いで、乳鉢および乳棒を使用してすりつぶした後、50mgの材料を秤量して微量遠心管の中に入れた。次いで、50mgの試料を、1mLの抽出バッファー(8.3Mの尿素、2Mのチオ尿素、2%w/vのCHAPS、1%w/vのDTT)で再度懸濁し、30分間撹拌した。100μmのジルコニウムビーズ(Ops Diagnostics)500μLを添加し、次いでさらに30分間撹拌し続けた。試料を、TissueLyser II(Qiagen)上で3分間、30Hzで溶解させ、ベンチトップ型の微量遠心機(Eppendorf)で、21,130gで10分間遠心分離した。上清を清浄な微量遠心管に移し、50μlの一定分量でアリコートし、−80℃で保存した。抽出した可溶性タンパク質の量を、Coomassie Plus(Bradford)タンパク質アッセイ(Thermo Scientific)により測定した。20μgのタンパク質を、10%10−レーンBisTris SDS−PAGEゲル(Invitrogen)中で泳動させ、次いで、LC/MS/MSによる解析のため切除した。
またタンパク質を、以下の食用に適した種:Aspergillus niger、Bacillus subtilis、Bacillus licheniformis、およびBacillus amyloliquefaciensの液体培養物から単離した。Aspergillusおよびbacillusの生物は、本明細書中に記載するように培養した10分間培養物を遠心分離(10,000×g)し、次いで、0.2μMのフィルターを使用して上清を濾過することにより、浄化した上清を単離した。浄化した上清中の可溶性タンパク質の量を、Coomassie Plus(Bradford)タンパク質アッセイ(Thermo Scientific)により測定した。タンパク質の試料(20μg)を、製造社のプロトコルに従って10%のPrecast BisTris SDS−PAGEゲル(In vitrogen)中で泳動させた。
質量分析
LC/MS/MS解析では、各ゲルを、5つの等しい大きさの断片に切断した。トリプシン消化を、以下のプロトコル(25mMの炭酸水素アンモニウム、次いでアセトニトリルでの洗浄、60℃、10mMのジチオスレイトールでの還元、次いで室温、50mMのヨードアセトアミドでのアルキル化、トリプシン(Promega)での37℃、4時間での消化)でロボット(ProGest, DigiLab)を使用して実施し、ギ酸でクエンチし、上清をさらに処理することなく直接解析した。各試料のゲル消化物をプールして、ThermoFisher Q Exactiveにインターフェースで接続したWaters NanoAcquity HPLCシステムでのナノLC/MS/MSにより解析した。ペプチドを、捕捉カラム上にロードし、350nL/分で75μmの解析カラムから溶出させた。両方のカラムに、Jupiter Proteo 樹脂(Phenomenex)で充填した。質量分析計を、データ依存モードで作動させ、ここでMSおよびMS/MSを、70,000FWHMおよび17,500FWHMの分解能でそれぞれ実施した。最も多く存在する15種のイオンを、MS/MSで選択した。結果として得られたデータを、以下のパラメータ:酵素‐トリプシン/P、固定した修飾‐カルバミドメチル(C)可変修飾‐酸化(M)、アセチル(タンパク質N末端)、Pyro−Glu(N末端Q)、脱アミド(NQ)、質量値‐モノアイソトピック、ペプチド質量許容差‐10ppm、フラグメントの質量許容差‐0.015Da、最大誤切断‐2で、Mascotを使用して、対応する生物由来のUniprotおよび/またはNCBIタンパク質のデータベースに対して検索した。Mascot DATのファイルを、検証およびフィルタリングのため、および試料あたりの重複しないリストを作成するために、Scaffold ソフトウェアで解析した。データを、90%の最小タンパク質の値、50%の最小ペプチドの値(Prophetスコア)を使用し、タンパク質あたり少なくとも2つの固有のペプチドを必要としながらフィルタリングを行った。検出したタンパク質の相対量を、各タンパク質に関して獲得されたスペクトルの数である、スペクトルカウントにより決定した。スペクトルカウントは、タンパク質量解析の分野で一般的に使用される非標識定量化方法である(Liu, Hongbin et al. Analytical chemistry 76.14 (2004): 4193−4201)。タンパク質単離物中の各タンパク質の相対量を計算するために、タンパク質のスペクトルカウントの数を、総タンパク質のスペクトルカウントにより除算する。SEQID894〜3415は、この方法を使用して同定した。
相同体の発見
記載するように、同定された栄養性ポリペプチド配列に関して、この方法を使用して同定した、類似の配列SEQID−00093を、他の種から同定し、本明細書中に記載のコンピュータプログラムBLASTを使用して相同体の検索に使用した。このようにして同定された食用に適したデータベース由来の栄養性ポリペプチドの相同体の例を表E1Aに示す。このようにして同定された、発現配列データベース由来の例となる栄養性ポリペプチド相同体を表E1Bに示す。
実施例2:cDNAライブラリーを使用した、食用に適した種の栄養性ポリペプチドのアミノ酸配列の同定および選択
本実施例において、栄養性ポリペプチドのアミノ酸配列を、食用に適した種から抽出かつ精製した核酸配列から産生したタンパク質の解析により同定した。
cDNAライブラリーの構築
12の食用に適した種由来のcDNAのライブラリーを構築した。12の食用に適した種を、RNA抽出のため5つのカテゴリーに分割した。すりつぶしたウシ、ブタ、コヒツジ、ニワトリ、シチメンチョウ、およびティラピアの一部を含む動物の組織を、各食用に適した種由来の試料50mgと組み合わせた。皮および果実の両方を含むブドウおよびトマト由来の果実組織をすりつぶし、各種由来の試料2.5gと組み合わせた。コメおよびダイズの種を、各種由来の試料1gと組み合わせ、粉末にすりつぶした。Saccharomyces cerevisiae12mlを、一晩生育させ、遠心沈降させて、110mgの湿潤細胞重量の酵母を得た。1gのマッシュルームの菌糸をすりつぶし、真菌RNA抽出プロトコルを用いて処理した。5つのカテゴリーすべての試料を、液体窒素を用いて迅速に凍結させ、カテゴリーに特異的なRNA抽出プロトコルを使用して解凍かつ溶解した。異なる食品カテゴリー由来のRNAを抽出し、1つの収集した試料として組み合わせた。組み合わせたRNAの集合を、プライマーとしてのオリゴ‐dTを使用してcDNAへと逆転写させ、500bp〜4kbの長さのcDNAを得た。アダプターを、cDNAのそれぞれの末端にライゲートさせて、cDNAライブラリーの増幅用のPCRプライマーとして使用した。またこれは、発現ベクターにライブラリーをクローニングするためのSfiI制限消化部位を含んだ。cDNAライブラリーを変性させ、再度アニーリングし、ゲル電気泳動を使用して、一本鎖のDNAを選択した。この処理で、大量に存在するRNA種から余分なcDNAを除去して標準化したcDNAライブラリーを得た。標準化したcDNAライブラリーを、エタノール沈殿を使用した沈殿させた後、PCR増幅を行い、発現ベクターにクローニングした。
タンパク質発現のための、大腸菌へのcDNAライブラリーのクローニング
cDNAライブラリーを、pET15b骨格のベクターの中にクローニングし、対応するSfiI制限部位を含むオーバーハングを有するプライマー(フォワードプライマーオーバーハング:TACGTGTATGGCCGCCTCGGCC;リバースプライマーオーバーハング:TACGTGTATGGCCGTAATGGCC)で増幅させた。pET15bは、pBR322複製開始点、lac制御T7プロモーター、およびカルベニシリン耐性を与えるbla遺伝子を含む。cDNAライブラリーおよびPCA増幅した骨格の両方を、SfiIで切断し、PCR増幅し、結合した。このライゲーション反応物により、10−Beta High Efficiency コンピテント細胞(New England Biolabs)を形質転換し、形質転換した細胞を、100mg/Lカルベニシリンを含む4つのLB寒天プレート上で平板培養した。プレートを、37℃で一晩インキュベートした。コロニーが増殖した後、液体LB培地2mlを各プレートに添加した。細胞を、剥がして液体に入れ、共に混合し、懸濁物を、プラスミド抽出のため調製して、マルチプレックスcDNAライブラリーを形成した。
大腸菌のcDNAマルチプレックスの発現方法
4つの細胞株:New England Biolabs製のT7 Express;ならびにEMD Millipore製のRosetta 2(DE3)、Rosetta−gami B(DE3)、およびRosetta−gami 2(DE3)を、使用してcDNAライブラリーを発現させた。T7 Expressは、lacオペロンでT7RNAポリメラーゼを含むが、LonおよびOmTプロテアーゼを欠損するエンハンスドBL21誘導体である。T7 Expressの遺伝子型は、fhuA2 lacZ::T7 gene1[lon]ompT gal sulA11 R(mcr−73::miniTn10−−Tet)2[dcm]R(zgb−210::Tn10−−Tet)endA1Δ(mcrC−mrr)114::IS10である。Rosetta 2(DE3)は、7つの希少なコドン(AGA、AGG、AUA、CUA、GGA、CCC、CGG)のtRNAを供給するBL21誘導体である。この細胞株は、λDE3の溶原菌であり、lacUV5プロモーター下でT7RNAポリメラーゼ遺伝子を担持する。Rosetta 2(DE3)の遺伝子型は、FompT hsdS(r )gal dcm(DE3)pRARE2(Cam)である。Rosetta−gami B(DE3)は、Rosetta 2(DE3)と同じ特性を有するが、細胞質中のタンパク質ジスルフィド結合の形成を高める特徴を含む。Rosetta−gami B(DE3)の遺伝子型は、F−ompT hsdS(r ) gal dcm lacY1 ahpC(DE3)gor522::Tn10 trxBpRARE(Cam、Kan、Tet)である。Rosetta−gami B(DE3)と同様に、Rosetta−gami 2(DE3)は、コドンバイアスを軽減し、ジスルフィド結合の形成を高め、染色体中のlacUV5のプロモーター下のT7 RNAポリメラーゼ遺伝子を有する。Rosetta−gami 2(DE3)の遺伝子型は、Δ(ara−leu)7697 ΔlacX74 ΔphoA PvuII phoR araD139 ahpC galE galK rpsL(DE3) F′[lac lacI pro] gor522::Tn10 trxB pRARE2(Cam、Str、Tet)である。
おおよそ200ngの調製したcDNAライブラリーにより、4つの骨格の細胞株:T7 Express、Rosetta 2(DE3)、Rosetta−gami B(DE3)、およびRosetta−gami 2(DE3)コンピテントセルを形質転換した。形質転換後、各細胞株100μLを、100mg/Lのカルベニシリンを含む4つのLB(10g/lのNaCl、10g/lのトリプトン、および5g/lの酵母抽出物)の1.5%寒天プレート上で平板培養し、37℃で16時間インキュベートした。インキュベート後、100mg/Lのカルベニシリンを含むLB培地2mlを、数千個の形質転換体を含む各プレートの表面に添加し、細胞スプレッダーで剥がし、混合することにより表面培地中に細胞を懸濁した。各バックグラウンドに関して4枚の反復実験プレートからの懸濁細胞を合わせて、発現実験のための接種前培養物を形成した。
再懸濁した細胞から作製した接種前培養物のOD600を、プレートリーダーを使用して測定したところ、35〜40(T7, Rosetta 2(DE3)または15〜20(Rosetta−gami B(DE3)および2(DE3))であった。4つのバックグラウンド細胞株に関して、100mg/Lのカルベニシリンを含むLB培地10mLを含む125mLのバッフル付き振盪フラスコ(baffled shake flask)に、OD600が0.2となるよう培養物を接種して、接種培養物を形成し、おおよそ6時間250rpmで振盪しながら37℃でインキュベートした。OD600を測定し、接種培養物を使用して、100mg/Lのカルベニシリン、600mU/Lのグルコアミラーゼ、および0.01%の消泡剤 204を含むBioSilta Enbase培地250mLを含む2Lバッフル付き振盪フラスコ中に、発現培養物を、OD600=0.1となるように接種した。培養物を18時間、30℃および250rpmで振盪し、1mMのIPTGで誘導し、追加的なEnBase培地成分および別の600mU/Lのグルコアミラーゼで補充した。異種性の発現を、30℃および250rpmで24時間実行し、この時点で培養を終了させた。最終的な細胞密度を測定し、細胞を遠心沈降(5000×g、10分、RT)により収集した。細胞を、−80℃で保存した後、製造社のプロトコルに従ってB−PER(Pierce)で溶解させた。細胞の溶解後、細胞ライセート全体を解析のため採取した。Rosetta(DE3)細胞株では、細胞ライセート全体を遠心分離(3000×g、10分、RT)し、上清を、ライセートの可溶性分画として回収した。細胞ライセートを、SDS−PAGEゲル中で泳動させ、10個の分画に分離し、MS/MSを使用して解析した。
タンパク質の分泌のための、cDNAライブラリーのバチルスへのクローニング
cDNAライブラリーを、Bacillus subtilisでのタンパク質分泌アッセイのため、pHT43ベクターにクローニングした。MoBiTec由来の非改変pHT43ベクターは、Pgracプロモーター、SamyQシグナルペプチド、AmpおよびCm耐性遺伝子、lacI領域、repA領域、およびColR1複製開始点を含む。SamyQシグナルペプチドを除去した。シグナルペプチドのないpHT43骨格ベクター、ならびにgracプロモーターをaprEプロモーターに置換して、かつlacI領域が除去された改変版を、対応するSfiI制限部位を含むオーバーハングを有するプライマー(フォワードプライマーオーバーハング:TACGTGTATGGCCGCCTCGGCC;リバースプライマーオーバーハング:TACGTGTATGGCCGTAATGGCC)によって増幅させた。cDNAライブラリーおよび2つのPCR増幅した骨格の両方を、SfiIで切断し、PCR精製した。cDNAライブラリー挿入物を、各骨格に結合した。ライゲーション反応物により、10−Beta High Efficiencyコンピテント細胞(New England Biolabs)を形質転換し、各ライゲーション由来の細胞を、100mg/Lのカルベニシリンを含む4つのLB寒天プレート上で平板培養した。プレートを、一晩37℃でインキュベートした。コロニーが増殖した後、2mLの液体LB培地を各プレートに添加した。各ライゲーションに関して、細胞を剥がして液体に入れ、共に混合し、懸濁物を、プラスミド抽出のため調製してマルチプレックスcDNAプラスミドライブラーを形成した(以下マルチプレックスGrac−cDNAおよびAprE−cDNAライブラリーと呼ぶ)。
この発現実験に使用した発現細胞株は、WB800N株(MoBiTec)を基にする。WB800N株は、以下の遺伝子型:nprE aprE epr bpr mpr::ble nprB::bsr vpr wprA::hyg cm::neo;NeoRを有する。細胞株cDNA−1は、paprEプロモーターと協調する変異を含み、WB800Nの遺伝子型に加えてこれらの変化:pXylA−comK::Erm、degU32(Hy)、sigF::Strを含む。細胞株cDNA−2は、WB800Nに加えてこれらの変化:pXylA−comK::Ermを含む。
おおよそ1μgのマルチプレックスGrac−cDNAライブラリーにより、細胞株cDNA−1および細胞株cDNA−2の両方を形質転換し、1μgのマルチプレックスAprE−cDNAライブラリーにより、細胞株cDNA−1を形質転換した。形質転換した後、各細胞株100μLを、5mg/Lのクロラムフェニコールを含む、4つのLB(10g/lのNaCl、10g/lのトリプトンおよび5g/l酵母抽出物)1.5%寒天プレート上で平板培養し、37℃で16時間インキュベートした。インキュベートした後、5mg/Lのクロラムフェニコールを含むLB培地2mLを、数千個の形質転換体を含む各プレートの表面に添加し、細胞を、細胞スプレッダーで剥がして、混合することにより表面培地に懸濁した。各形質転換由来の4枚の反復実験プレートからの懸濁細胞を合わせて、発現実験のために接種前培養物を形成した。
再度懸濁した細胞から作製した接種前培養物のOD600を、プレートリーダーを使用して測定したところ、おおよそ20〜25であった。3つの細胞株(細胞株cDNA−1+マルチプレックスGrac−cDNA、細胞株cDNA−1+マルチプレックスAprE−cDNA、細胞株cDNA−2+Grac−cDNA)に、5mg/Lのクロラムフェニコールを含む、50mLの2×Mal培地(20g/LのNaCl、20g/Lのトリプトン、10g/Lの酵母抽出物、75g/LのD−マルトース)を含む、500mLのバッフル付き振盪フラスコに、OD600≒0.2となるように培養物を接種して、接種培養物を形成し、おおよそ6時間、250rpmで振盪しながら30℃でインキュベートした。OD600を測定し、接種培養物を使用して、5mg/Lのクロラムフェニコール、1×Teknova Trace Metals、および0.01%の消泡剤204を含む2×Mal培地を含む2Lのバッフル付き振盪フラスコ中で、OD600が0.1となるように発現培養物を接種した。細胞株cDNA−1+マルチプレックスAprE cDNA培養物を、18時間、30℃、および250rpmで振盪し、この時点で培養物を収集した。最終的な細胞密度を測定し、細胞を、遠心沈降(5000×g、30分、RT)により収集した。細胞株cDNA−1+マルチプレックスGrac−cDNAおよび細胞株cDNA−2+マルチプレックスGrac−cDNA培養物を、4時間37℃および250rpmで振盪し、1mMのIPTGで誘導した。異種発現を、37℃および250rpmで4時間行い、この時点で培養物を回収した。再度、最終的な細胞密度を測定し、細胞を、遠心沈降(5000×g、30分、RT)により収集した。上清を回収し、SDS−PAGEゲルの中で泳動させ、10個の分画に分離し、次いでLC−MS/MSを使用して解析して、分泌したタンパク質を同定した。
質量分析の解析
全ての細胞ライセートおよび可溶性ライセートの試料を、LC−MS/MSを使用してタンパク質発現に関して解析した。試料を解析するために、試料10μgを、10%のSDS−PAGEゲル(In vitrogen)にし、約5cm離してロードした。ゲルを、10個の区画に切断し、ゲル切片を、25mMの炭酸水素アンモニウム、次いでアセトニトリルで洗浄することにより処理した。次いで、ゲルの切片を、60℃の10mMのジチオスレイトールで還元し、室温の50mMのヨードアセトアミドでアルキル化した。最終的に試料を、トリプシン(Promega)で、37℃で4時間消化し、次いで、ThermoFisher Q Exactiveとインターフェースで接続したWaters NanoAcquity HPLCシステムによるナノLC/MS/MSにより解析した。ペプチドを、捕捉カラムに充填し、350nL/分で、75μmの解析カラムから溶出させた。両カラムに、Jupiter Proteo 樹脂(Phenomenex)を充填した。1時間の勾配を使用した。質量分析計を、データ依存モードで作動させ、70,000FWHMの分解能および17,500FWHMの分解能でそれぞれ、OrbitrapでMSおよびMS/MSを実施した。最も多く存在する15種のイオンを、MS/MSに関して選択した。データを、Mascotを使用してデータベースに対して検索して、ペプチドを同定した。データベースは、Bos taurus、Gallus gallus、Vitis vinifera、Ovis aries、Sus scrofa、Oryza sativa、Glycine max、Oreochromis niloticus、Solanum lycopesicum、Agaricus bisporus var. bisporus、Saccharomyces cerevisiae、およびMeleagris gallopavoを含む12すべての種からの完全なプロテオーム配列を組み合わせることにより構築した。MascotDATファイルを、検証、フィルタリングのため、および試料あたり重複しないリストを作成するために、Scaffoldソフトウェアで解析した。データを、1%のタンパク質、およびタンパク質あたり少なくとも2つの固有のペプチドを必要とするペプチドの偽陽性率(FDR)でフィルタリングした。
同定した発現タンパク質
質量分析の解析から、発現細胞株を通して合計125個のタンパク質を同定した。スペクトルカウントは、タンパク質の存在量に関係しており、これは、タンパク質の発現または分泌を確認するために記録される。53個のタンパク質を、Rosetta(DE3)細胞株の全細胞ライセートで同定し、Rosetta(DE3)の可溶性画分で46個のタンパク質、Rosetta−Gami B(DE3)で36個のタンパク質、Rosetta−Gami 2(DE3)で10個のタンパク質、Bacillus subtilisの分泌上清で15個のタンパク質を同定した。
Bacillus subtilisの分泌上清で検出した栄養性ポリペプチドは、SEQID−00718、SEQID−00762、SEQID−00763、SEQID−00764、SEQID−00765、SEQID−00766、SEQID−00767、SEQID−00768、SEQID−00769、SEQID−00770、SEQID−00771、SEQID−00772、SEQID−00773、SEQID−00774、SEQID−00775である。
大腸菌のRosetta(DE3)細胞株の全細胞ライセートで検出した栄養性ポリペプチドは、SEQID−00716、SEQID−00718、SEQID−00720、SEQID−00723、SEQID−00724、SEQID−00725、SEQID−00729、SEQID−00732、SEQID−00737、SEQID−00751、SEQID−00776、SEQID−00790、SEQID−00797、SEQID−00798、SEQID−00799、SEQID−00800、SEQID−00801、SEQID−00802、SEQID−00803、SEQID−00804、SEQID−00805、SEQID−00806、SEQID−00807、SEQID−00808、SEQID−00809、SEQID−00810、SEQID−00811、SEQID−00812、SEQID−00813、SEQID−00814、SEQID−00815、SEQID−00816、SEQID−00817、SEQID−00818、SEQID−00819、SEQID−00820、SEQID−00821、SEQID−00822、SEQID−00823、SEQID−00824、SEQID−00825、SEQID−00826、SEQID−00827、SEQID−00828、SEQID−00829、SEQID−00830、SEQID−00831、SEQID−00832、SEQID−00833、SEQID−00834、SEQID−00835、SEQID−00836、SEQID−00837である。
大腸菌のRosetta(DE3)細胞株の可溶性ライセートで検出した栄養性ポリペプチドは、SEQID−00716、SEQID−00717、SEQID−00718、SEQID−00719、SEQID−00720、SEQID−00721、SEQID−00722、SEQID−00724、SEQID−00725、SEQID−00726、SEQID−00727、SEQID−00728、SEQID−00729、SEQID−00730、SEQID−00731、SEQID−00732、SEQID−00733、SEQID−00734、SEQID−00735、SEQID−00736、SEQID−00737、SEQID−00738、SEQID−00739、SEQID−00740、SEQID−00741、SEQID−00742、SEQID−00743、SEQID−00744、SEQID−00745、SEQID−00746、SEQID−00747、SEQID−00748、SEQID−00749、SEQID−00750、SEQID−00751、SEQID−00752、SEQID−00753、SEQID−00754、SEQID−00755、SEQID−00756、SEQID−00757、SEQID−00758、SEQID−00759、SEQID−00760、SEQID−00761である。
大腸菌のRosetta−Gami B(DE3)細胞株で検出した栄養性ポリペプチドは、SEQID−00003、SEQID−00004、SEQID−00005、SEQID−00716、SEQID−00718、SEQID−00719、SEQID−00720、SEQID−00729、SEQID−00730、SEQID−00731、SEQID−00732、SEQID−00734、SEQID−00736、SEQID−00740、SEQID−00743、SEQID−00752、SEQID−00760、SEQID−00763、SEQID−00764、SEQID−00776、SEQID−00777、SEQID−00778、SEQID−00779、SEQID−00780、SEQID−00781、SEQID−00782、SEQID−00783、SEQID−00784、SEQID−00785、SEQID−00786、SEQID−00787、SEQID−00788、SEQID−00789、SEQID−00790、SEQID−00791、SEQID−00792である。
大腸菌のRosetta−Gami 2(DE3)細胞株で検出した栄養性ポリペプチドは、SEQID−00716、SEQID−00737、SEQID−00747、SEQID−00763、SEQID−00789、SEQID−00790、SEQID−00793、SEQID−00794、SEQID−00795、SEQID−00796である。
実施例3:注釈をつけたタンパク質配列のデータベースを使用した、食用に適した種の栄養性ポリペプチドのアミノ酸配列の同定および選択
タンパク質のデータベースの構築
UniProtKB/Swiss−Prot(欧州バイオインフォマティクス研究所(European Bioinformatics Institute:EBI)とスイスバイオインフォマティクス研究所(Swiss Institute of Bioinformatic)とのあいだ共同開発)は、手作業で精選され、吟味されたタンパク質のデータベースであり、これを、タンパク質データベースを構築するための開始点として使用した。食用に適した種のタンパク質のデータベースを構築するために、たとえば、2013年3月15日に出願の第PCT/US2013/032232号、2013年3月15日に出願の第PCT/US2013/032180号、2013年3月15日に出願の第PCT/US2013/032225号、2013年3月15日に出願の第PCT/US2013/032218号、2013年3月15日に出願の第PCT/US2013/032212号、および2013年3月15日に出願の第PCT/US2013/032206号に開示される食用に適した種由来のタンパク質に関して、UniProtデータベースで検索を実施した。微生物から分泌されたタンパク質を同定するために、Uniprotデータベースを、本明細書中に開示される微生物由来の種、ならびに分泌、細胞外、細胞壁、および外膜を含むキーワードまたは注釈で注釈付けされたタンパク質に関して検索した。ヒトの食事に多く含まれるタンパク質を同定するために、食用に適した種の参照プロテオームを、ゲノムデータベースから集めた。本明細書中に提供されるように、それぞれの食用に適した種から抽出したタンパク質に関して質量分析を実施した。質量分析により同定したペプチドを、参照プロテオームに対してマッピングし、参照タンパク質配列に関連するペプチドのスペクトルカウント、食品中の対応するタンパク質の存在量に関する測定値に変換した。信頼値の高いカットオフスペクトルカウントを超えて検出されたタンパク質全てを、データベースにまとめた。これらのデータベースは、分泌され、かつ/またはヒトの食事に多く含まれる食用に適した種に由来するタンパク質を同定するために使用する。
アミノ酸配列の選択の処理
タンパク質またはタンパク質のグループを選別するための工程は、検索されるタンパク質のデータベースからのその発見に関心があるタンパク質のクラスを定義する一連の制約を同定することと、、実際の検索を行うこととを含むことができる。
タンパク質クラスの基準は、栄養学の文献(すなわち、従来より有効と同定)、望ましい生理化学的形質(たとえば発現可能、可溶性、非アレルゲン性、非毒性、消化可能性など)、および他の特徴により定義することができる。検索目的のために使用できる関連するタンパク質データベースは、本明細書中に開示される配列に由来することができる。
検索可能なタンパク質の一例は、筋肉の同化/免疫の健康/糖尿病の処置のための、可溶性の高いクラスのタンパク質である。これらのタンパク質は、一般的に可溶性に発現可能であり、精製/単離の際に可溶性が高く、非アレルゲン性、非毒性であり、かつ、一部の基本的な栄養上の基準(たとえば[EAA]>0.3、[BCAA]>0.15、[ロイシンまたはグルタミンまたはアルギニン]>0.08、EAAは完全)を満たす。
タンパク質配列の親水性および疎水性に関連する2つのパラメータ:溶媒和スコアおよび凝集スコア(これら2つの計測基準およびこのモデルの効力の測定に関する様々な記載に関しては以下の例を参照)に基づくバイナリー分類モデルを使用して、発現可能な可溶性タンパク質の検索を行う。あるいは、アミノ酸あたりの負電荷または正電荷が真に過剰であることを表す、アミノ酸あたりの実効電荷が高い(または低い)高荷電のタンパク質に関する検索を行うことができる(さらなる記載は以下の例を参照)。
栄養上の基準は、一次配列に基づきすべての関連するアミノ酸の質量分画をコンピュータ処理することにより満たされる。既知の臨床的に有効なアミノ酸混合物とマッチすることが望ましい場合では、重み付けユークリッド距離方法を使用できる(以下の実施例を参照)。
本明細書中で提供されるように、アレルゲン性/毒性/非アレルゲン性/抗栄養性の基準を、各候補配列を既知のアレルゲン、毒素、非アレルゲン、または抗栄養(たとえばプロテアーゼ阻害性)タンパク質のライブラリーと比較する、配列ベースの相同性評価を使用して探索する(本明細書中の実施例を参照)。一般的に、<50%の全体的または<35%の局所的(任意の所定のアミノ酸80個のウインドウにわたり)相同性(パーセントID)のカットオフを、アレルゲン性のスクリーニングのために使用でき、毒性および抗栄養性のスクリーニングでは、<35%の全体的相同性のカットオフを使用できる。すべての場合で、値が小さいと、アレルゲン性/毒性/抗栄養性が低いことが示される。非アレルゲン性のスクリーニングは、典型的に、カットオフとしてあまり使用されないが、>62%は、カットオフとして使用することができる(値が大きいと、非アレルゲン性が高いことを示す)。これらのスクリーニングにより、リストは、関心対象の基準を多く満たすタンパク質のより小さなサブセットへと縮小する。次いでこのリストを、様々な線形化加重和法を使用してランク付けし、このランクを整理したリストから選択を行う。
実施例4:栄養性ポリペプチドのアミノ酸の薬理学を例証するアミノ酸配列の選択
サルコペニアの処置のための、ロイシンおよび必須アミノ酸を多く含むタンパク質の同定
本明細書中で記載されるように、サルコペニアは、骨格筋の量(典型的に、25歳を過ぎてから1年あたり0.5〜1%の喪失)、質、および強度の老化に関連した変性性の喪失である。サルコペニアは、第一に、筋肉の萎縮(筋肉の大きさの減少)を特徴とし、これに脂肪による筋線維の置換、線維症の増加、筋代謝の変化、酸化ストレス、および神経筋接合部の変性などの要因により引き起こされる筋組織の「質」の低下が加わる。まとめると、これらの変化は、筋肉機能の進行性の喪失をもたらし、結果的に筋虚弱となる。サルコペニアの高齢者に必須アミノ酸を補給することは、筋肉量に対して同化作用および/または温存作用を有し得ることが示されている。さらに、この補給はまた、患者の筋力および筋肉の質の改善と言い換えることができる。たとえば、Paddon−Jones D, et al. J Clin Endocrinol Metab 2004, 89:4351−4358; Ferrando, A et al. Clinical Nutrition 2009 1−6; Katsanos C et al. Am J Physiol Endocrinol Metab. 2006, 291: 381−387を参照されたい。また、必須アミノ酸のロイシンも、筋肉のタンパク質合成の刺激に特に重要な因子であることが示されている。たとえば、Borscheim E et al. Am J Physiol Endocrinol Metab 2002, 283: E648−E657; Borsheim E et al. Clin Nutr. 2008, 27: 189−95; Esmarck B et al J Physiol 2001, 535: 301−311; Moore D et al. Am J Clin Nutr 2009, 89: 161−8)を参照されたい。ロイシンおよび他の必須アミノ酸の量を増加させたタンパク質を選択することにより、サルコペニアを罹患している個体にとって有益な栄養性ポリペプチドを同定することができる。
本明細書中に記載される食用に適した種由来のすべてのタンパク質配列のデータベースを使用して、ロイシン(≧15質量%)および必須アミノ酸(≧40質量%)を多く含む候補配列を同定し、総アミノ酸量に対するロイシン+必須アミノ酸の量の合計によりランクを付けた。これらのタンパク質が可溶性に発現され、凝集傾向が低下してpH7で可溶性が高い確率を上げるために、上限−20kcal/mol/AAおよび0.5の溶媒和スコアおよび凝集スコアを適用した。これらのタンパク質が、アレルゲン性応答を誘発する可能性を低下させるために、アレルゲンとの全体的相同性およびアレルゲン性スコアに関してそれぞれ、50%および35%の上限を設定した。これらのタンパク質が摂取の際に毒性作用を有する可能性を下げるために、毒性スコアに関して、35%の上限を設定した。これらのタンパク質が、消化性プロテアーゼの阻害剤として作用する可能性を下げるために、抗栄養性スコアに関して、35%の上限を設定した。
ロイシン(≧15%質量%)および必須アミノ酸(≧40%)を多く含み、かつ溶媒和スコア、凝集スコア、アレルゲンとの全体的相同性、アレルゲン性スコア、毒性スコア、および抗栄養性スコアの上述のカットオフを満たす、トップ10の栄養性ポリペプチド配列の例示的なリストを表E4Aに示す。
ロイシン(≧15質量%)および必須アミノ酸(≧40質量%)を多く含む、発現されたタンパク質のデータベースからのトップ10の栄養性ポリペプチド配列の例示的なリストを表E4Bに示す。
実施例5:必須アミノ酸を多く含み、かつ関心対象の様々な個々のアミノ酸を多く含むまたは少なく含む、栄養性ポリペプチドのアミノ酸配列の選択
本明細書中に記載される食用に適した種に由来するすべてのタンパク質配列のデータベースを使用して、必須アミノ酸を多く含み、各アミノ酸の量を多く含むまたは少なく含む候補配列を同定した。これらのタンパク質が可溶性に発現され、かつ凝集傾向が低下してpH7で可溶性が高い確率を上げるために、上限−20kcal/mol/AAおよび0.5の溶媒和スコアおよび凝集スコアを適用した。これらのタンパク質がアレルゲン性の応答を誘発する可能性を下げるために、アレルゲンとの全体的相同性およびアレルゲン性のスコアに関してそれぞれ、50%および35%の上限を設定した。これらのタンパク質が、摂取される際に毒性作用を有する可能性を下げるために、毒性スコアに関して、35%の上限を設定した。これらのタンパク質が、消化性プロテアーゼの阻害剤として作用する可能性を下げるために、抗栄養性スコアに関して、35%の上限を設定した。所定のアミノ酸を多く含む、または少なく含むタンパク質を検索する際に、上述のカットオフを適用し、タンパク質を、所望のアミノ酸の計算されたアミノ酸質量分画、次いでそれらの必須アミノ酸の含有量によりランク付けした。
溶媒和スコア、凝集スコア、アレルゲンとの全体的相同性、アレルゲン性スコア、毒性スコア、および抗栄養性スコアの上記のカットオフを満たす、アラニンを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5Aに示す。アラニンが少ない栄養性ポリペプチドのトップ10を、表E5Bに示す。
溶媒和スコア、凝集スコア、アレルゲンとの全体的相同性、アレルゲン性スコア、毒性スコア、および抗栄養性スコアの上記のカットオフを満たす、アルギニンを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5Cに示す。アルギニンが少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を、表E5Dに示す。
溶媒和スコア、凝集スコア、アレルゲンとの全体的相同性、アレルゲン性スコア、毒性スコア、および抗栄養性スコアの上記のカットオフを満たす、アスパラギンを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5Eに示す。アスパラギンが少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を、表E5Fに示す。
溶媒和スコア、凝集スコア、アレルゲンとの全体的相同性、アレルゲン性スコア、毒性スコア、および抗栄養性スコアの上記のカットオフを満たす、アスパラギン酸を多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを表E5Gに示す。アスパラギン酸が少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を表E5Hに示す。
溶媒和スコア、凝集スコア、アレルゲンとの全体的相同性、アレルゲン性スコア、毒性スコア、および抗栄養性スコアの上記のカットオフを満たす、システインを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5Iに示す。システインが少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を表E5Jに示す。
溶媒和スコア、凝集スコア、アレルゲンとの全体的相同性、アレルゲン性スコア、毒性スコア、および抗栄養性スコアの上記のカットオフを満たす、グルタミンを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5Kに示す。グルタミンが少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を表E5Lに示す。
溶媒和スコア、凝集スコア、アレルゲンとの全体的相同性、アレルゲン性スコア、毒性スコア、および抗栄養性スコアの上記のカットオフを満たす、ヒスチジンを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5Mに示す。ヒスチジンが少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を表E5Nに示す。
溶媒和スコア、凝集スコア、アレルゲンとの全体的相同性、アレルゲン性スコア、毒性スコア、および抗栄養性スコアの上記のカットオフを満たす、イソロイシンを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5Oに示す。イソロイシンが少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を表E5Pに示す。

溶媒和スコア、凝集スコア、アレルゲンとの全体的相同性、アレルゲン性スコア、毒性スコア、および抗栄養性スコアの上記のカットオフを満たす、ロイシンを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5Qに示す。ロイシンが少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を表E5Rに示す。
溶媒和スコア、凝集スコア、アレルゲンとの全体的相同性、アレルゲン性スコア、毒性スコア、および抗栄養性スコアの上記のカットオフを満たす、リジンを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5Sに示す。リジンが少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を表E5Tに示す。
溶媒和スコア、凝集スコア、アレルゲンとの全体的相同性、アレルゲン性スコア、毒性スコア、および抗栄養性スコアの上記のカットオフを満たす、メチオニンを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5Uに示す。リジンが少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を表E5Vに示す。
溶媒和スコア、凝集スコア、アレルゲンとの全体的相同性、アレルゲン性スコア、毒性スコア、および抗栄養性スコアの上記のカットオフを満たす、フェニルアラニンを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5Wに示す。フェニルアラニンが少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を表E5Xに示す。

溶媒和スコア、凝集スコア、アレルゲンとの全体的相同性、アレルゲン性スコア、毒性スコア、および抗栄養性スコアの上記のカットオフを満たす、プロリンを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5Yに示す。プロリンが少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を表E5Zに示す。
溶媒和スコア、凝集スコア、アレルゲンとの全体的相同性、アレルゲン性スコア、毒性スコア、および抗栄養性スコアの上記のカットオフを満たす、セリンを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5AAに示す。セリンが少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を表E5ABに示す。
溶媒和スコア、凝集スコア、アレルゲンとの全体的相同性、アレルゲン性スコア、毒性スコア、および抗栄養性スコアの上記のカットオフを満たす、スレオニンを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5ACに示す。スレオニンが少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を表E5ADに示す。
溶媒和スコア、凝集スコア、アレルゲンとの全体的相同性、アレルゲン性スコア、毒性スコア、および抗栄養性スコアの上記のカットオフを満たす、トリプトファンを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5AEに示す。トリプトファンが少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を表E5AFに示す。
溶媒和スコア、凝集スコア、アレルゲンとの全体的相同性、アレルゲン性スコア、毒性スコア、および抗栄養性スコアの上記のカットオフを満たす、チロシンを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5AGに示す。チロシンが少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を表E5AHに示す。
溶媒和スコア、凝集スコア、アレルゲンとの全体的相同性、アレルゲン性スコア、毒性スコア、および抗栄養性スコアの上記のカットオフを満たす、バリンを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5AIに示す。バリンが少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を表E5AJに示す。
必須アミノ酸を多く含み、かつ様々な個々のアミノ酸を多く含むまたは少なく含む、発現されたタンパク質の選択
本明細書中に記載されるすべての発現されたタンパク質の配列のデータベースを使用して、各アミノ酸の量が増加または減少し、必須アミノ酸を多く含む候補配列を同定した。所定のアミノ酸を多く含むまたは少なく含むタンパク質を検索する際に、タンパク質は、望ましいアミノ酸に関して計算されたアミノ酸質量分画、次いで必須アミノ酸の含有量によりランク付けした。
アラニンを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5AKに示す。アラニンが少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を、表E5ALに示す。

アルギニンを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5AMに示す。アルギニンが少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を、表E5ANに示す。

アスパラギンを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5AOに示す。アスパラギンが少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を、表E5APに示す。
アスパラギン酸を多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5AQに示す。アスパラギン酸が少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を、表E5ARに示す。
システインを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5ASに示す。システインが少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を、表E5ATに示す。
グルタミンを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5AUに示す。グルタミンが少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を、表E5AVに示す。

ヒスチジンを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5AWに示す。ヒスチジンが少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を、表E5AXに示す。

イソロイシンを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5AYに示す。イソロイシンが少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を、表E5AZに示す。
ロイシンを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5BAに示す。ロイシンが少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を、表E5BBに示す。
リジンを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5BCに示す。リジンが少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を、表E5BDに示す。


メチオニンを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5BEに示す。アルギニンが少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を、表E5BFに示す。
フェニルアラニンを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5BGに示す。フェニルアラニンが少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を、表E5BHに示す。
プロリンを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5BIに示す。プロリンが少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を、表E5BJに示す。
セリンを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5BKに示す。セリンが少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を、表E5BLに示す。
スレオニンを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5BMに示す。スレオニンが少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を、表E5BNに示す。
トリプトファンを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5BMに示す。トリプトファンが少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を、表E5BNに示す。
チロシンを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5BOに示す。チロシンが少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を、表E5BPに示す。
バリンを多く含む栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E5BQに示す。バリンが少ない栄養性ポリペプチド配列のトップ10を、表E5BRに示す。
実施例6:タンパク質栄養素を提供するため、およびタンパク質の栄養障害を処置するための、必須アミノ酸を多く含む栄養性ポリペプチドのアミノ酸配列の選択
ヒトは、天然に存在する20種のアミノ酸のうち9種:ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、バリン、フェニルアラニン、メチオニン、スレオニン、リジン、およびトリプトファンを内在的に合成できないことが示されている(Young, V. R. and Tharakan, J. F. Nutritional essentiality of amino acids and amino acid requirements in healthy adults. In Metabolic and Therapeutic Aspects of Amino Acids in Clinical Nutrition. Second Edition. Cynober, L. A. Ed.; CRC Press: New York, 2004; pp 439−470)。このように、タンパク質の栄養障害およびこの状態からもたらされる有害な健康作用を回避するために、これら9種の必須アミノ酸の十分な量の摂取が必要とされている。必須アミノ酸の量を多く含み、各非必須アミノ酸のゼロでない量を含む(すなわち栄養性ポリペプチド配列は、必須アミノ酸が完全である)タンパク質を選択することにより、健康または栄養不良の個体のいずれかにおけるこれら必須アミノ酸の必要条件を満たすために有用有益である、栄養性ポリペプチドを同定する。
本明細書中に記載される食用に適した種由来のすべてのタンパク質配列のデータベースを使用して、必須アミノ酸が完全であり、かつ必須アミノ酸を多く含む候補配列を同定した。これらのタンパク質が可溶性に発現され、凝集特性が低下してpH7で可溶性が高い確率を上げるために、上限−20kcal/mol/AAおよび0.5の溶媒和スコアおよび凝集スコアを適用した。これらタンパク質がアレルゲン性の応答を誘発する可能性を下げるために、アレルゲンとの全体的相同性およびアレルゲン性のスコアに関してそれぞれ、50%および35%の上限を設定した。これらのタンパク質が、摂取する際に毒性作用を有する可能性を下げるために、毒性スコアに関して35%の上限を設定した。これらのタンパク質が、消化性プロテアーゼの阻害剤として作用する可能性を下げるために、抗栄養性スコアに関して35%の上限を設定した。
必須アミノ酸が完全で、必須アミノ酸を多く含み、かつ、溶媒和スコア、凝集スコア、アレルゲンとの全体的相同性、アレルゲン性スコア、毒性スコア、および抗栄養性スコアの上述のカットオフを満たす、栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E6Aに示す。

必須アミノ酸が完全で、必須アミノ酸を多く含む、発現されたタンパク質データベース由来の栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E6Bに示す。
実施例7:筋肉の健康のための、分枝鎖を多く含む栄養性ポリペプチドのアミノ酸配列の選択、ならびに糖尿病、心血管疾患、慢性腎疾患、および脳卒中の処置のための、分枝鎖が少ない栄養性ポリペプチドのアミノ酸配列の選択
肝疾患および/または腎疾患の処置のための、分枝鎖アミノ酸を多く含むタンパク質の同定
本明細書中に記載される食用に適した種由来のすべてのタンパク質配列のデータベースを使用して、分枝鎖アミノ酸を多く含む、または少なく含む候補配列を同定した。これらタンパク質が可溶性に発現され、かつ凝集傾向が低下してpH7での可溶性が高い確率を上げるために、上限−20kcal/mol/AAおよび0.5の溶媒和スコアおよび凝集スコアを適用した。これらのタンパク質が、アレルゲン性応答を誘発する可能性を下げるために、アレルゲンとの全体的相同性およびアレルゲン性のスコアに関してそれぞれ、50%および35%の上限を設定した。これらのタンパク質が、摂取の際に毒性作用を有する可能性を下げるために、毒性スコアに関して35%の上限を設定した。これらのタンパク質が、消化性プロテアーゼの阻害剤として作用する可能性を下げるために、抗栄養性スコアに関して35%の上限を設定した。
分枝鎖アミノ酸を多く含み、溶媒和スコア、凝集スコア、アレルゲンとの全体的相同性、アレルゲン性スコア、毒性スコア、および抗栄養性スコアの上述のカットオフを満たす栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを表E7Aに示す。
分枝鎖アミノ酸を多く含む発現されたタンパク質のデータベース由来の栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E7Bに示す。
分枝鎖アミノ酸を少なく含み、かつ溶媒和スコア、凝集スコア、アレルゲンとの全体的相同性、アレルゲン性スコア、毒性スコア、および抗栄養性スコアの上述のカットオフを満たす栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E7Cに示す。
分枝鎖アミノ酸を少なく含む発現されたタンパク質データベース由来の栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E7Dに示す。
実施例8:フェニルケトン尿症の処置または予防のための、フェニルアラニンが少なく、または存在せず、かつチロシンおよび他のすべての必須アミノ酸を多く含む、栄養性ポリペプチドのアミノ酸配列の選択
フェニルケトン尿症(PKU)を罹患する個体は、アミノ酸のフェニルアラニンを処理することができず、かつ、しばしば肝臓の酵素のフェニルアラニン(phenylalnine)ヒドロキシラーゼの機能不全によりフェニルアラニンのチロシンへの変換を触媒することができない(MacLeod E. L. and Ney D. M. Nutritional Management of Phenylketonuria. Annales Nestle. (2010) 68:58−69)。これら個体では、アミノ酸のフェニルアラニンを含むタンパク質を摂取すると、フェニルアラニンが血液中に蓄積する。無処置のPKUは、学業の低下、実行機能の低下、および長期間の知的障害を含む、重篤で有害な健康作用を有する(Matalon, R., Michals−Matalon, K., Bhatia, G., Grechanina, E., Novikov, P., McDonald, J. D., Grady, J., Tyring, S. K., Guttler, F. Large neutral amino acids in the treatment of phenylketonuria. J. Inherit. Metab. Dis. (2006) 29: 732−738)。フェニルアラニンの血液レベルを、神経学的効果を回避するために低く維持することができる1つの方法は、フェニルアラニン含有タンパク質の摂取を回避すること、かつ/またはフェニルアラニンが少ないタンパク質供給源のみを消費することである。他のすべてのアミノ酸の基本的なタンパク質の栄養上の必要条件も同様に満たさなければならないことから、他の必須アミノ酸(ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、スレオニン、リジン、およびトリプトファン)、ならびにこれら個体において条件的に必須であるチロシンの十分な摂取が必要とされる。フェニルアラニンが少なく、または存在せず、かつチロシンおよび他の必須アミノ酸の量を多く含むタンパク質を選択することにより、フェニルケトン尿症を罹患する個体に有益な栄養性ポリペプチドを同定することができる。
本明細書中に記載される食用に適した種由来のすべてのタンパク質配列のデータベースを使用して、フェニルアラニンの量が少ない、または存在せず、必須アミノ酸およびチロシンが完全であり(フェニルアラニンを除く)、チロシンおよび必須アミノ酸を多く含む候補配列を同定し、まずフェニルアラニンの質量分画、次いでチロシン+必須アミノ酸の質量分画の合計によりランク付けした。これらのタンパク質が可溶性に発現され、かつ凝集傾向が減少してpH7で可溶性が高い確率を上げるために、上限−20kcal/mol/AAおよび0.5の溶媒和スコアおよび凝集スコアを適用した。これらのタンパク質が、アレルゲン性応答を誘発する可能性を下げるために、アレルゲンとの全体的相同性およびアレルゲン性スコアに関してそれぞれ、50%および35%の上限を設定した。これらのタンパク質が摂取の際に毒性作用を有する可能性を下げるために、毒性スコアに関して35%の上限を設定した。これらのタンパク質が、消化性プロテアーゼの阻害剤として作用する可能性を下げるために、抗栄養性スコアに関して35%の上限を設定した。
フェニルアラニンの量が少ない、または存在せず、必須アミノ酸およびチロシンが完全であり(フェニルアラニンを除く)、チロシンおよび必須アミノ酸を多く含み、溶媒和スコア、凝集スコア、アレルゲンとの全体的相同性、アレルゲン性スコア、毒性スコア、および抗栄養性スコアの上述のカットオフを満たす、栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E8Aに示す。
フェニルアラニンの量が少ない、または存在せず、必須アミノ酸およびチロシンが完全であり(フェニルアラニンを除く)、かつチロシンおよび必須アミノ酸を多く含む、発現されたタンパク質データベース由来の栄養性ポリペプチド配列のトップ10の例示的なリストを、表E8Bに示す。
実施例9:天然に存在するタンパク質配列のフラグメントまたは領域を含む栄養性ポリペプチドのアミノ酸配列の選択:ロイシンおよびすべての必須アミノ酸を多く含む栄養性ポリペプチドフラグメント
場合によっては、本明細書中に記載されるデータベースから同定した完全長のタンパク質は、1つまたは複数の重要なパラメータにより定義される1つまたは複数の選択要件の観点から特に有益ではなく、または栄養性ポリペプチドの全量と比較して1つまたは複数の特定のアミノ酸の十分量を提供しない。これらの場合では、データベースで同定される栄養性ポリペプチドの1つまたは複数のフラグメント(本明細書中「領域」とも呼ばれる)は、望ましい検索基準を満たすことができる。可能性がある栄養性ポリペプチドのフラグメントを含むデータベースを、データベース中の各完全長の配列を得て、それらに含まれる、長さがアミノ酸少なくとも25個の起こり得る全ての小配列を試験することにより、作製して検索する。たとえば、可溶性発現の可能性が増大するよう、約0.2超のロイシン質量分画および高荷電の栄養性ポリペプチド配列を発見することが望まれた。本明細書中に記載される食用種のタンパク質データベースを、−30未満の溶媒和スコアカットオフを使用して検索し、これらのタンパク質がアレルゲン性の応答を誘発する可能性を下げるために、アレルゲンとの全体的相同性およびアレルゲン性スコアに関して、50%の上限を設定した。これらのタンパク質が、摂取後毒性作用を有する可能性を下げるために、毒性スコアに関して35%の上限を設定した。これらのタンパク質が消化性プロテアーゼの阻害剤として作用する可能性を下げるために、抗栄養性スコアに関して35%の上限を設定した。
ロイシンを多く含み(≧20質量%超)、かつ溶媒和スコア、アレルゲンとの全体的相同性、アレルゲン性スコア、毒性スコア、および抗栄養性スコアの上述のカットオフを満たす栄養性ポリペプチドフラグメントのトップ10の例示的なリストを、表E9Aに示す。
ロイシンを多く含む(≧20質量%)、発現されたタンパク質データベース由来の栄養性ポリペプチドフラグメントのトップ10の例示的なリストを、表E9Bに示す。
実施例10:栄養性ポリペプチドの精製
未加工の食品、細胞、塩、小分子、宿主細胞のタンパク質、および脂質などの他の材料から、または材料を取り除いて栄養性ポリペプチドを単離するために、様々な精製方法が使用されている。これらの方法として、ダイアフィルトレーション、沈殿、凝結、水性二相抽出、およびクロマトグラフィーが挙げられる。
抗FLAGアフィニティクロマトグラフィーによる精製
抗FLAGの精製は、低力価の発現系または類似に荷電した宿主細胞のタンパク質から栄養性ポリペプチドを精製する方法を提供する。栄養性ポリペプチドを、タンパク質のC末端に付加した単一のFLAGタグ(DYKDDDDK)または三重のタンデムFLAGタグ(DYKDDDDKDYKDDDDKDYKDDDDK)のいずれかを含むように改変した。抗FLAGアフィニティ精製は、非変性工程条件および95%超の溶出純度を提供する単一ステップの精製工程を提供する(Einhauer et al., 2001 Journal of Biochemical and Biophysical Methods)。
栄養性ポリペプチドを、抗FLAGM2アフィニティアガロースゲル(Sigma−Aldrich、ミズーリ州セントルイス)を使用して精製した。M2アフィニティ樹脂は、特に、C末端のFLAGのエピトープでの使用のために設計されている。N末端に付加したFLAGエピトープを精製するために、M1アフィニティアガロースゲルを使用した。M2アフィニティアガロースゲル(樹脂)は、樹脂1mLあたり約0.5mgの栄養性ポリペプチドの提示された静的結合容量(SBC)を有する。
Aspergillus niger分泌培地およびBacillus subtilis分泌培地からの栄養性ポリペプチドの精製を、抗FLAG樹脂20〜40mLを使用して実施した。精製の前に、分泌培地を、150mMのNaClでpH7.4に調節した。過剰量の1×トリス緩衝食塩水(TBS)(pH7.4±0.1)で培地をすすぎ、かつ0.2μmのポリエーテルスルホン(PES)真空フィルターを介してこれを回収することにより樹脂を平衡化した。次いで、平衡化した樹脂をバッチモードで分泌培地と混合し、室温で1時間混合させた。非結合材料を、0.2μmのPES真空フィルターを介して混合物全体を通すことにより樹脂から除去した。この樹脂を、フィルターの表面で物理的に回収し、その後樹脂容積の20倍のTBS(pH7.4±0.1)で洗浄して、0、2μmのPES真空フィルターを介して非結合材料をさらに除去した。洗浄した樹脂を、滴下カラム(各10ml)に移し、結合したポリペプチドを、カラム容積(CV)の2倍の0.1Mのグリシン(pH3.0)で溶出した。溶出したポリペプチドを滴下カラムから、1Mのトリス(pH8.0)を含んだコニカルチューブへと直接流した。この戦略を使用して、溶出したポリペプチド溶液のpHを可能な限り早く中和した。樹脂を、3CVの0.1Mのグリシン(pH3.0)を使用して再生した。短期間の保存では、樹脂を、4℃の1×TBS(pH7.4)に保存し、長期間の保存では、樹脂を、0.5×TBS(pH7.4)、50%のグリセロール中−20℃で保存した。
B.subtilis由来のSEQID−00105の例示的な抗FLAG精製により、4.3mlの溶出液中でタンパク質4.0mgを回収した。この試料を、感受性を増加させるために、3つの異なる希釈度でポリアクリルアミドゲルにロードしたところ、SEQID−00105は、95%純粋であることが見出された。A.niger由来のSEQID−00298の例示的な抗FLAG精製を、同じ手順によって実施した。溶出分画を、記載するように中和し、本明細書中に記載されるSDS−PAGEおよびブラッドフォードアッセイにより解析した。溶出物のメインバンドは、95%純粋であることが見出された。溶出物のメインバンドを同じゲルのMWラダーと比較したところ、SEQID−00298の予測分子量とマッチする。抗FLAG樹脂40mLは材料4.0mgを捕捉し、これにより樹脂の推定交換容量は0.10mg/mLであった。
5mlの固定化金属アフィニティクロマトグラフィー(IMAC)による精製
本明細書中に記載されるように、HIS8タグを有する個々の栄養性ポリペプチドを標的化発現させた大腸菌を、振とうフラスコでの発酵により生育させた。細胞を、バケット型の遠心沈降により各振とうフラスコから収集した。上清を廃棄し、細胞を30mMのイミダゾール、50mMのリン酸ナトリウム、0.5MのNaCl(pH7.5)で、20%w/vの湿潤細胞重量(WCW)濃度で懸濁した。次いで、懸濁した細胞を、87μmの相互作用チャンバーを介して20,000psiのM110−Pマイクロフルダイザー(Microfluidics, マサチューセッツ州 ウェストウッド)に2回通過させることにより溶解した。溶解した細胞を、120分間、15,000相対遠心力(RCF)で遠心分離し、次にデカントした。細胞のデブリを廃棄し、上清を、0.2μmのフィルターでろ過した。次に、これらの濾過したタンパク質溶液を、AKTA Explorer 100 FPLC(GE Healthcare, ニュージャージー州 ピスカタウェイ)での固定化金属アフィニティクロマトグラフィーにより精製した。栄養性ポリペプチドを、5mL(直径1.6cm×高さ2.5cm)のIMAC Sepharose 6 Fast Flowカラム(GE Healthcare, ニュージャージー州 ピスカタウェイ)で精製した。
IMAC樹脂(GE Healthcare, IMAC Sepharose 6 Fast Flow)に、0.2NiSO4を使用してニッケルをチャージし、500mMのNaCl、200mMのイミダゾール(pH7.5)、を使用して洗浄し、次いで、30mMのイミダゾール、50mMのリン酸ナトリウム、0.5MのNaCl(pH7.5)で平衡化した。各タンパク質のロード溶液50mLを、5mLのIMACカラムに適用し、追加的な平衡溶液で洗浄して結合していない不純物を除去した。次に、関心対象タンパク質を、IMAC溶出溶液、0.25Mのイミダゾール、0.5MのNaCl(pH7.5)15mlで溶出した。すべてのカラムブロックを、150cm/時間の線流速で実施した。各IMAC溶出分画を、透析により中性のpH処方溶液にバッファー交換した。精製したタンパク質を、キャピラリー電気泳動および/またはSDS−PAGEにより濃度および純度に関して解析した。また濃度を、ブラッドフォードおよびA280の測定により、本明細書中に記載されるように試験した。表E9Aは、5mLのスケールでのIMACにより精製した栄養性ポリペプチドのリストを示す。
固定化金属アフィニティクロマトグラフィー(IMAC)による精製
本明細書中に記載されるように、HIS8タグを有する個々の栄養性ポリペプチドを標的化発現させた大腸菌を、20Lの発酵中で生育させた。細胞を、発酵槽から収集し、Sharples AS−16P centrifugeを使用して遠心沈降させて、湿潤細胞塊を回収した。その後、20%w/vの湿潤細胞重量(WCW)の濃度で、30mMのイミダゾール、50mMのリン酸ナトリウム、0.5MのNaCl(pH7.5)に再度懸濁した。次に、細胞懸濁物を、12,500〜15,000psiの作動圧力および1L/分の流速でNiro Soaviホモジナイザー(Niro Soavi, イタリアパルマ)の中に4回通過させることにより溶解した。このライセートを、Beckman J2−HC bucket centrifuge(Beckman−Coulter,カリフォルニア州ブレア)を使用して13,700×gで1時間浄化した。細胞のデブリを廃棄し、上清を、Sartopore II XLG 0.8/0.2μmのフィルター(Sartorius Stedim, ニューヨーク州 ボヒミア)を通して30l/m2/時間で濾過した。濾過したライセートを、0.9Lのカラム(直径9cm×高さ13.8cm)に充填したIMAC Sepharose 6 Fast Flow樹脂を使用してIMACにより精製した。
IMAC樹脂を、300cm/時間の線流速で本明細書中に記載されるように平衡化した。平衡化した後、濾過したライセート全体を、150cm/時間の線流速でカラムを通過させた。充填容積は、カラム容積の6〜10倍の範囲であった。充填した後、未結合材料をカラムから洗い落とし、標的タンパク質を溶出した。溶出物のプールを、室温、4℃、または凍結して輸送した。この判断は、溶出溶液中の栄養性ポリペプチドの安定性に依存した。表E9Bは、1LのカラムスケールでのIMACにより精製した多数の栄養性ポリペプチドを要約する。
栄養性ポリペプチドを、Sartopore II XLG 0.8/0.2 mフィルターを介して濾過し、限外濾過/ダイアフィルトレーション(UF/DF)の単位操作へと直接充填した。膜領域および名目上の分子量のカットオフを、個々の栄養性ポリペプチドに適切であるように選択した。栄養性ポリペプチドを、12L/m2/分のクロスフローおよび25psiのTMP目標で限外濾過した。栄養性ポリペプチドを、Hydrosar限外濾過カセット(Sartorius Stedim, ニューヨーク州 ボヒミア)で約10倍に濃縮し、栄養性ポリペプチドに特異的な処方バッファーに、7ダイア容量(diavolume)でダイアフィルトレーションを行った。限外濾過透過液を廃棄した。ダイアフィルトレーションを行い、濃縮された残余分を回収し、0.22μmメンブレンフィルターを介して濾過し、−80℃で凍結した。
場合によって、凍結したタンパク質濃縮物を、Labconco 凍結乾燥器(Labconco, ミズーリ州カンザスシティ)を使用して凍結乾燥を行った。このケーキの残存水分含有量を、カール・フィッシャー法を介して解析した。
10Lの固定化金属アフィニティクロマトグラフィー(IMAC)による精製
本明細書中に記載されるように、HIS8タグを有する個々の栄養性ポリペプチドを標的化発現させた大腸菌を、250Lの発酵中で生育させた。細胞を、250Lの発酵槽から回収し、Sharples AS−16P centrifugeを使用して遠心沈降させ、湿潤細胞塊を回収した。その後、細胞を、30mMのイミダゾール、50mMのリン酸ナトリウム、0.5MのNaCl(pH7.5)に、20%w/vのWCW濃度で再度懸濁した。次に、細胞懸濁物を、12、500〜15,000psiの作動圧力および1L/分の流速で、Niro Soaviホモジナイザー(Niro Soavi, イタリアパルマ)の中に4回通過させることにより溶解した。浄化したライセートを、0.5L/分で作動させる15,000rpmのSharples AS−16P centrifugeの中に4回通過させることにより作製した。細胞のデブリを廃棄し、上清を、一連のフィルターを介して濾過した。浄化したライセートを、SartoPure GF+ 0.65μm、SartoGuard PES 1.2/0.2μmおよびSartopore II XLG 0.8/0.2μmフィルター(Sartorius Stedim, ニューヨーク州 ボヒミア)の中に連続的に通過させた。濾過したライセートを、8.5カラム(直径20cm×高さ27.1cm)に充填したIMAC Sepharose 6 Fast Flow樹脂を使用したIMACにより精製した。
IMAC樹脂を、150cm/時間の線流速で記載されるように平衡化た。平衡化した後、濾過したライセートを、150cm/時間の線流速でカラムを通過させた。充填容量は、3.8〜5.0CVの範囲にあった。充填後、未結合材料を、さらに平衡化してカラムから洗い落した。10LのIMACスケールで製造した栄養性ポリペプチドを、2CVの10mMの二塩基性リン酸ナトリウム、300mMのNaCl;3CVの0.5%w/vのデオキシコール酸ナトリウム、50mMの二塩基性リン酸ナトリウム、300mMのNaCl;および5CVの10mMの二塩基性リン酸ナトリウム、300mMのNaClによる追加の洗浄セットに供した。洗浄後、標的ポリペプチドを記載するように溶出した。溶出したプールを室温で保存した。
複数の栄養性ポリペプチドを、10LのカラムスケールでのIMACクロマトグラフィーにより精製した。表E9Cは、SEQID−00105およびSEQID−00338の精製をまとめている。図1は、SEQID−00105の精製物の例示的なSDS−PAGE解析を提供する。
10LのカラムスケールでのIMAC精製の後、栄養性ポリペプチドを、Sartopore II XLG 0.8/0.2μmを介して濾過し、限界濾過/ダイアフィルトレーション(UF/DF)の単位操作に直接充填した。膜領域および名目上の分子量カットオフを、各栄養性ポリペプチドに適切であるように選択した。栄養性ポリペプチドを、12L/m2/分のクロスフローおよび25psiのTMP目標で限外濾過した。栄養性ポリペプチドを、Hydrosart限外濾過カセット(Sartorius Stedim、ニューヨーク州ボヒミア)で約10倍に濃縮し、4ダイア容量の10%のリン酸緩衝食塩水(PBS)(pH8.7)、次いで2ダイア容量の25mMのエチレンジアミン四酢酸テトラナトリウム(Na4EDTA)、次いで7ダイア容量の10%PBS(pH8.7)に、連続的にダイアフィルトレーションを行った。Na4EDTAへの中間ダイアフィルトレーションを、IMAC樹脂から浸出したニッケル(II)をキレート化するために行った。限外濾過透過液を廃棄し、ダイアフィルトレーションを行い、濃縮された残余分を、0.2μmのメンブレンフィルターを介して濾過し、−80℃で凍結した。
限外濾過プールを、バイオバーデンを低減する目的で、滅菌グレートフィルターでろ過した。エタノールですすいだガラストレイの中へと栄養性ポリペプチドを濾過した。その後、充填したガラストレイを、−80℃で凍結した。次いで、凍結した材料を、Labconco凍結乾燥ユニットLabconco, ミズーリ州カンザスシティ)を使用してドライケーキへと凍結乾燥した。トレイの中のタンパク質の質量を、完全に乾燥したと考えられる定常状態となるまで、時間と共にモニターした。乾燥したタンパク質のケーキを、トレイの蓋により密封し、プラスチックバッグでの真空封入によりさらにその上からパッケージングした。パッケージ全体を、−80℃で保存した。
イオン交換クロマトグラフィー
栄養性ポリペプチドを精製する適切な方法の選択は、工程の開発の速度、製造の費用、最終的な純度、および精製のロバスト性と密接な関係を有する。栄養性ポリペプチドは、様々なクロマトグラフィーの方法により単離されている。使用するために選択したクロマトグラフィーの形式は、標的栄養性ポリペプチドの物理化学的な特性に依存する。荷電した栄養性ポリペプチドは、静電相互作用を介してイオン交換クロマトグラフィー樹脂と結合する。
本願では、本出願人は、イオン交換樹脂との結合能に関してランク付けするためにポリペプチドのライブラリーをスクリーニングする2つの方法を定義した。1つの方法は、本明細書中に記載されるように、ポリペプチドの一次配列を使用してpHの範囲でのタンパク質の実効電荷の計算に基づくin silicoでの予測である。第2の方法は、本明細書中に記載されるように、in vitroでのマルチプレックス精製のスクリーニングである。この2つの方法は、互いに独立して成功裏に使用されてきており、これらは、本明細書中に記載されるように、裏付けとなるデータを伴って168個の栄養性ポリペプチドの同じ組について共に使用されている。
イオン交換精製のランクを予測するin silicoの方法は、一次配列に基づいてpHの範囲で、栄養性ポリペプチドの実効電荷を計算することに基づく。栄養性ポリペプチドの一次配列を使用して、宿主細胞のタンパク質および他の不純物から栄養性ポリペプチドを成功裏に単離する可能性が最も高いクロマトグラフィーの形式を予測する。高荷電の栄養性ポリペプチドは、イオン交換クロマトグラフィー樹脂に強固に結合する可能性があるい。最も強固な結合は、正または負のいずれかの優勢な1つの電荷を有する栄養性ポリペプチドで得られる。正電荷および負電荷の混合物を有する栄養性ポリペプチドがイオン交換樹脂と強固に結合することは起こり得るが、同様に、それらの電荷が互いに反対に作用することも起こり得る。同様に、その表面に正に帯電した部分と負に帯電した部分が交互に現れる栄養性ポリペプチドは、その表面の主な部分が1つの単一の電荷であるポリペプチドほど強固に結合しない場合がある。同様に、正または負に強く帯電した末端、テール、タグ、またはリンカー配列を有する栄養性ポリペプチドは、その高荷電の基を効果的に提示して、非常に強固な結合を可能する。
たとえば、ポリペプチド中のヒスチジン、アルギニン、およびリジンといった1つまたは複数の特定のアミノ酸が多く存在すると、タンパク質溶媒のpHが、1つまたは複数のアミノ酸のpKaより低い場合、正電荷がこのポリペプチドまたはその一部に与えられる。ポリペプチドの電荷は、タンパク質の総電荷、実効電荷、またはポチペプチドの一部の電荷を含む。ポリペプチドまたはその一部が陽性荷電である実施形態では、陽イオン交換樹脂を使用する。
たとえば、ポリペプチド中のグルタミン酸およびアスパラギン酸といった、1つまたは複数の特定のアミノ酸が多く存在すると、タンパク質溶媒のpHが1つまたは複数のアミノ酸のpKaより高い場合、負電荷がこのポリペプチドまたはその一部に与えられる。ポリペプチドの電荷は、タンパク質の総電荷、実効電荷、またはポリペプチドの一部の電荷を含む。ポリペプチドまたはその一部が陰性荷電である実施形態では、陰イオン交換樹脂を使用する。
ポリペプチド電荷の実効電荷は、Iタンパク質溶媒のpHの関数として変化する。正電荷および負電荷の数は、ポリペプチドの一次配列に基づいて任意のpHで計算できる。いずれか1つのpHでの正電荷と負電荷の合計が、計算された実効電荷となる。ポリペプチドの等電点(pI)は、計算された実効電荷が0であるpHである。比較するために、配列の実効電荷を、配列中のアミノ酸の数によって正規化すると、pパラメータ「アミノ酸あたりの実効電荷」は、クロマトグラフィー性能を予測するために使用される配列間の新規比較器となる。
栄養性ポリペプチド配列を、あらゆるpH(1〜14)での各ポリペプチドのアミノ酸あたりの実効電荷を計算することによって評価してきた。さらに、各ポリペプチドのpIを計算した。栄養性ポリペプチドを、pIおよびアミノ酸あたりの実効電荷によりランク付けした。pIが低く、幅広い範囲のpHを通してアミノ酸あたりの実効電荷が非常に陰性であるポリペプチドは、高い親和性で陰イオン交換クロマトグラフィー樹脂と結合することが予測される。pIが高く、幅広い範囲のpHを通してアミノ酸あたりの実効電荷が非常に陽性であるポリペプチドは、高い親和性で陽イオン交換クロマトグラフィーと結合することが予測される。本明細書中の一部の実施形態では、ポリペプチドの一部分のみが帯電され(末端、テール、タグ、またはリンカーで)、pIおよびポリペプチドの実効電荷は多様であり得ると認識され、クロマトグラフィー樹脂に対する当該ポリペプチドの結合親和性を予測するために、他の要因または経験による測定が有用であり得る。
図2は、一次配列に基づき、陰イオン交換樹脂または陽イオン交換樹脂のいずれかと結合することが予測される、栄養性ポリペプチドの例を実証する。幅広い範囲のpHを通して、<4.0のpIおよびアミノ酸あたりの実効電荷が陰性である栄養性ポリペプチドは、高い親和性で陰イオン交換樹脂と結合することが予測される((1)SEQID−00105、(2)SEQID−00008、(3)SEQID−00009、(4)SEQID−00475)。幅広い範囲のpHを通して、>10.0のpIおよびアミノ酸あたりの実効電荷が陽性である栄養性ポリペプチドは、高い親和性で陽イオン交換樹脂と結合することが予測される((5)SEQID−00472、(6)SEQID−00640、(7)SEQID−00019)。
本明細書中に提示される一次配列の解析から、SEQID−00105およびSEQID−0009は、陰イオン交換クロマトグラフィー樹脂と高い親和性で結合する可能性があり、SEQID−00640は、陽イオン交換クロマトグラフィー樹脂と高い親和性で結合する可能性があることが示される。これらの予測を試験したところ、微生物細胞の培養の後、以下のポリペプチド精製の4つの例で実証されるように、あてはまることが証明された。第1の例では、SEQID−00009は、陰イオン交換クロマトグラフィーを使用して、溶解した大腸菌の細胞から99%の純度まで直接精製された。第2の例ではSEQID−00105を、陰イオン交換クロマトグラフィーにより、bacillus subtilisの上清から単離した。第3の例では、大腸菌の細胞内で発現されたSEQID−00105を、IMACクロマトグラフィーにより最初に精製した後、陰イオン交換クロマトグラフィーを使用して100%の純度に精製した。第4の例では、SEQID−00640を、陽イオン交換クロマトグラフィーによりbacillus subtilisの上清から単離した。
SEQID−0009を、本明細書中に記載されるように大腸菌の細胞内で発現させた。この細胞を溶液中に懸濁し、破壊した。3つの溶液を試験した(0.1MのNa2CO3(pH11.4)、0.1 Mのtris HCl(pH4.1)、および0.1Mのリン酸カリウム(pH7.0))。これら溶解した溶液を、遠心分離により浄化し、結合のため陰イオン交換樹脂と混合した。2つの樹脂を試験した((EMD製のFractogel(登録商標)EMD TMAE Hicap(M)およびLife Technologies製のPOROS(登録商標)D 50μm)。これら6つの結合条件を、バッチモードで実施し、樹脂を、適切な溶解バッファーで洗浄して未結合のタンパク質を除去した。次に、最大限結合した湿った樹脂を小さな滴下カラムに移した。次いで、各滴下カラムを、最大6回の、増加するNaCl濃度の連続的な洗浄で溶出した(各NaCl洗浄溶液は、適切な溶解バッファーで緩衝した)。SEQID−00009を、本明細書中に記載されるように、これら分画の中に溶出し、収集し、かつチップ電気泳動により解析した。SEQID−00009を、予測した分子量で溶出するバンドとして同定した。どの場合でも、SEQID−00009は、充填純度よりも高い純度で滴下カラムから溶出した。この観察から、SEQID−00009は、予測されるように陰イオン交換樹脂に実際に結合して、この精製が達成されたことが示される。得られた最大純度は99%であった。どの場合もSEQID−00009は、樹脂から溶出される最後のタンパク質のうちの1つであり、このことは、ある範囲のpHで2つの樹脂に対するSEQID−00009の結合親和性が、大腸菌由来のいずれかの宿主細胞タンパク質の結合親和性よりも一般的に高いことを示している。
SEQID−00105を発現して発酵培地の中へ分泌する、Bacillus subtilisの微生物細胞の培養を、本明細書中に記載されるように行った。この細胞を遠心により除去し、上清を、膜濾過によりさらに浄化した。浄化した上清を、限外濾過により濃縮して、陰イオン交換カラム上でのロード時間を減少させ、溶液を、pH6.0で緩衝した低塩溶液に交換した。この溶液を、Life Technologies製のPOROS(登録商標)XQ Strong 陰イオン交換樹脂を含むクロマトグラフィーカラム(直径1cm、高さ20cm)に通過させた。未結合のタンパク質を、20mMのBistris(pH6.3)を用いで樹脂からすすいだ。次に、結合したタンパク質を、30カラム容積の勾配を使用して、400mMのNaCl、20mMのBistris(pH6.3)に溶出した。カラムの溶出液を、連続分画に収集し、本明細書中に記載されるように、チップ電気泳動により解析した。SEQID−00105を、予測した分子量の溶出バンドとして同定した。1つの画分で得た最大純度は100%であった。
SEQID−00105を、本明細書中に記載されるように、大腸菌の細胞内で発現させた。この細胞を破壊し、SEQID−00105を、本明細書中に記載される手順に従ってIMACクロマトグラフィーにより精製した。IMAC溶出のプールを、陰イオン交換クロマトグラフィーを使用して100%の純度にさらに精製した。IMAC溶出のプールを濃縮し、次いで50mMのトリス(pH8.0)に希釈した。次に、この溶液を、陰イオン交換樹脂:EMD製のFractogel(登録商標)EMD TMAE Hicap(M)を充填したカラム(直径1.6cm、高さ20cm)に通過させた。結合したタンパク質を、平衡溶液ですすぎ、次に、350mMのNaCl、50mMのトリス(pH8.0)で溶出した。この手法を、複数回繰り返し、すべての試料を、本明細書中に記載されるようにチップ電気泳動により解析した。溶出試料は、79%〜99%の純度の範囲であった。
SEQID−00640を発現して発酵培地の中に分泌するBacillus subtilisの微生物細胞の培養を、本明細書中に記載されるように実施した。この細胞を遠心分離により除去し、上清を、膜ろ過によりさらに浄化した。浄化した上清を、脱イオン水で1:2に希釈し、1Mの酢酸でpH5に滴定した。得られた液を膜ろ過した後、Life Technologies製のPOROS(登録商標)XS Strong陽イオン交換樹脂を充填した陽イオン交換カラム(直径1.2cm、高さ10cm)にロードした。結合した樹脂を、50mMの酢酸塩、50mMのNaCl(pH5.0)溶液で流した。次に、タンパク質を、20CVの勾配で、1.05MのNaCl(pH5.0)に溶出した。溶出分画を回収し、SDS−PAGE、クマシーブルー染色により解析した。ピークの試料は、100%の純度を示し、この勾配で後に溶出した不純物がないことが示され、これにより、SEQID−00640のポリペプチドは、いずれかの宿主細胞タンパク質よりも高い親和性で陽イオン交換樹脂と結合したことが示された。
沈殿による精製
タンパク質の沈殿は、ポリペプチドの精製で良く知られた方法である(Scopes R. 1987. Protein Purification: Principles and Practice. New York: Springer)。多くのポリペプチドは塩濃度が増加するにつれて沈殿し、これは塩析として知られている現象である。塩の種類は、タンパク質を塩析する異なる能力に関するホフマイスターシリーズで、ランク付けされて体系付けされている(F.Hofmeister Arch. Exp. Pathol. Pharmacol. 24,(1888) 247−260)。またタンパク質は、その物理化学的特性に基づいて高い塩濃度により沈殿する異なる傾向を有しているが、この特徴に関してタンパク質をランク付けするための万能の測定基準は確立されていない。その精製される能力に関して栄養性ポリペプチドを選択するためにそのようなランク付け測定基準を使用することは、工程の開発の速度、製造の費用、最終的な純度、および精製のロバスト性に密接な関係を有する。
ポリペプチドの沈殿による精製のほとんどの工業的な用法では、関心対象ポリペプチドを選択的に沈殿させ、次に不純物を固体の沈殿物からすすぎ流す。特定の実施形態では、ポリペプチドは、高レベルの塩によって沈殿せず、精製は、不純物を沈殿させることにより行われる。本願では、本出願人は、厳しい沈殿条件を介して可溶性のままである能力に関してこれらをランク付けするために、ポリペプチドのライブラリーをスクリーニングする2つの方法を定義した。1つの方法は、本明細書中に記載されるようにポリペプチドの一次配列を使用してある範囲のpHを通してタンパク質の総電荷の計算に基づく、in silicoでの予測である。第2の方法は、本明細書中に記載されるように、in vitroでのマルチプレックスの精製スクリーニングである。この2つの方法は、互いに独立して成功裏に使用されており、本明細書中に記載されるように、裏付けとなるデータを伴って168個の栄養性ポリペプチドの同じセットについて共に使用されている。
ポリペプチドの溶解度は、表面電荷の存量と直接相関している(Jim Kling, Highly Concentrated Protein Formulations: Finding Solutions for the Next Generation of Parenteralparenteral Biologics, BioProcess International, 2014.)。表面電荷は、ポリペプチドに物理的な特徴を与えることができる(Lawrence, M. S., Phillips, K. J., & Liu, D. R. (2007). Supercharging proteins can impart unusual resilience. Journal of the American Chemical Society, 129(33), 10110−2. doi:10.1021/ja071641y)。
溶解度のランキングを予測するin silicoの方法は、一次配列に基づくある範囲のpHでの栄養性ポリペプチドの電荷の総数の計算に基づく。
たとえば、ポリペプチド中のヒスチジン、アルギニン、およびリジンといった、1つまたは複数の特定のアミノ酸が多く存在すると、タンパク質の溶媒のpHが、1つまたは複数のアミノ酸のpKaより低い場合、そのポリペプチドまたはその一部に正電荷を与える。たとえばポリペプチド中のグルタミン酸およびアスパラギン酸といった、1つまたは複数の特定のアミノ酸が多く存在すると、タンパク質溶媒のpHが、1つまたは複数のアミノ酸のpKaより高い場合、そのポリペプチドまたはその一部に負電荷を与える。
ポリペプチドの電荷の総数は、タンパク質の溶媒のpHの関数として変化する。陽電荷および陰電荷の数は、本明細書中に記載されるように、ポリペプチドの一次配列に基づく任意のpHで計算できる。いずれか1つのpHでの陽電荷および陰電荷の合計は、計算された実効電荷をもたらす。ポリペプチドの等電点(pI)は、計算された実効電荷が0であるpHである。栄養性ポリペプチド間の比較を行うために、正電荷の総数は、負電荷の総数(絶対値)に加えて、この総電荷を、配列中のアミノ酸数で正規化すると、パラメータ「アミノ酸あたりの総電荷」は、沈殿に対するポリペプチドの抵抗性を予測するために使用される、配列間の新規比較器となる。ポリペプチドの抵抗性が高くなると、不純物を沈殿させて除去することにより高い度合いまで精製できる可能性が高くなる。クロマトグラフィーの特性の予測とは異なり、溶解度は、電荷の極性に影響されない。しばしば、ポリペプチドは配列のpIでその最低溶解度となるのは事実であるが、一部のポリペプチドは、総電荷が高く、本明細書中に示されるように、そのpIにおいてもなおも極めて可溶性である。
栄養性ポリペプチド配列を、ある範囲のpH(1〜14)で各ポリペプチドのアミノ酸あたりの総電荷を計算することにより評価してきた。栄養性ポリペプチドを、アミノ酸あたりの総電荷によりランク付けした。pIが低く、幅広い範囲のpHを通してアミノ酸あたりの実効電荷が非常に陰性であるポリペプチド、およびpIが高く、幅広い範囲のpHを通してアミノ酸あたりの実効電荷が非常に陽性であるポリペプチドは、このランキングによりすべて等しく良好なスコアを得ることが予測される。両方の電荷を多く含むポリペプチドが最も良好スコアを得る。
図3は、一次配列に基づき、溶解度が非常に高いことが予測される栄養性ポリペプチドの例を実証する。このセットは、pIが低く(<4)、幅広い範囲を通して実効電荷が非常に陰性であるポリペプチドを含む((1)SEQID−00475、(2)SEQID−00009))。このセットは、pIが高く(>10)、幅広い範囲のpHを通してアミノ酸あたりの実効電荷が非常に陽性であるポリペプチドを含む((4)SEQID−00433、(5)SEQID−00472)。このセットは、pIがより中性であるポリペプチドを含む((3)SEQID−00478)。ここで示されるポリペプチドの多くは、<4および>12などの極端なpHでさえも高い電荷を示す。このセット全体は、幅広い範囲のpHを通して可溶性が非常に高く、かつ沈殿に対して抵抗性があることが予測される。
この例証では、大腸菌細胞を、遠心沈降により振盪フラスコの発酵物から収集し、細胞全体を、チューブに分配した(チューブあたり1gの細胞)。各チューブに、4mLの溶解液を添加し、細胞を、75Ampで30分間超音波処理により溶解した。溶解溶液は、水、8Mの尿素 0.1Mのトリス 0.1MNaCl、0.1Mの酢酸塩 10%のgly 0.1%のTween−80 0.3MのArg 0.3MのNaCl 10mMのEDTA、10mMのイミダゾール(pH5.0)、0.1Mの酢酸塩 10%のgly 0.1%のTween−80 0.3MのArg 0.3MのNaCl 10mMのEDTA、10mMのイミダゾール(pH7.0)、100 NaCl 100 Hepes 10 イミダゾール(pH7.5)、500NaCl 100 Hepes 10 イミダゾール(pH7.5)、100mMのPhos、150mMのNaCl、10mMのイミダゾール(pH7.5)、0.1MのNaCl 0.1MのHepes 10mMのイミダゾール 50mMのCaCl2(pH7.5)、0.1MのHepes 3.5MのAm硫酸塩(pH7.5)、0.1MのHepes 2 M Am硫酸塩(pH7.5)、0.1 MのTris、0.1MのTris 0.5のMのNaCl、150mMのNaCl 10mMの酢酸塩 15mMのイミダゾール(pH6.04)、および500mMのNaCl 100mMの酢酸塩 15mMのイミダゾール(pH6.04)を含んだ。このライセートを、遠心分離および0.2μmの濾過により浄化した。浄化した上清を、本明細書中に記載されるようにSDS−PAGE(ブルー染色)により解析した。SEQID−00009は、これら条件のそれぞれの溶解度を例証した。大腸菌宿主細胞のタンパク質は、一般的に1つの例外はあるが、同様にこれら条件における溶解性を実証した。3.5Mの硫酸アンモニウムの存在下で、宿主細胞のタンパク質の大部分が有効に沈殿し、工程の細胞収集段階の後、85%精製されたSEQID−00009をもたらした。この結果から、SEQID−00009は、ほとんどの大腸菌の宿主細胞のタンパク質よりも可溶性であり、沈殿は、低コストの単離方法の一部として使用できることが示される。これは、SEQID−00009の総電荷が高いことと相関しており、予測が正確であることの裏付けとなる。さらに、SEQID−00009よりも荷電したポリペプチドはさらにより可溶性で、SEQID−00009の高いポリペプチド収率よりも有益性を得ることができると予測される。
その後の実験で、SEQID−00009を、一段階の硫酸アンモニウムの沈殿で99%の純度まで精製した。この例証では、大腸菌細胞を、遠心により振盪フラスコの発酵物から収集し、細胞全体を、0.1Mの炭酸ナトリウム、pH10に懸濁した(溶液4mL中に1gの細胞)。この細胞を、超音波処理(80Amp、2分間)により溶解した。ライセートを遠心分離および0.2μmの膜ろ過により浄化した。浄化した上清を、一連の3mLの分画に分割し、この分画に、4Mの硫酸アンモニウムの保存液(pH9.8)を添加した。硫酸アンモニウムの濃度範囲が得られるように、様々な量の保存液を添加した。この試料を室温で10分間混合し、遠心分離および0.2μmの膜ろ過により浄化した。浄化した上清を、本明細書中に記載されるように、SDS−PAGE(ブルー染色)により解析した。図4は、硫酸アンモニウム濃度の関数としてSEQID−00009の純度を示す。
マルチプレックス精製:イオン交換クロマトグラフィー
場合によって、タンパク質のライブラリー全体を、マルチプレックススクリーニングの実験プラットフォームにおいて試験する。168個の栄養性ポリペプチドを、単一の増殖条件を使用して単一容器中で各ポリペプチドを産生するマルチプレックス発現系において、トランスフェクトさせて発現させた。このマルチプレックス発現系では、任意のセットのポリペプチド配列を、試験されるセットのポリペプチドをランク付けするためにその各々を使用することができる幅広い範囲の製造性パラメータに関して同時に試験することができる。1セットの製造性パラメータには、発現レベル、ポリペプチドの溶解度、クロマトグラフィーによりポリペプチドを精製できること、熱変性の抵抗能、ポリペプチドの消化能、厳しい処置に抵抗することによりポリペプチドを精製できることが含まれる。
このセットの168個のポリペプチドを、大腸菌の細胞内発現に関して試験した。可溶性に発現されたポリペプチドを、グループとして前処置し、一連の精製条件に供することにより、このセットを複数の方法による精製の容易さの観点からランク付けすることができる。本明細書中に記載されるように、一次配列の解析、特にアミノ酸あたりの実効電荷に基づいてクロマトグラフィーの特定の形態と結合する同じサブセットのタンパク質が、各発現系から同定されることが予測される。
大腸菌をマルチプレックス精製するために、栄養性ポリペプチド配列のセットをHIS8でタグ付けした。この細胞を、本明細書中で記載されるように培養し、破壊し、溶液を本明細書中で記載されるように浄化した。この産生により、発現され、かつ可溶性であるセット由来のポリペプチドすべてを含む溶液が得られた。このセットの可溶性ポリペプチドを、5mlのIMACカラムに通過させ、本明細書中に記載されるように溶出した。このIMAC精製は、大腸菌宿主細胞タンパク質の大部分を除去することにより、1セットとして可溶性に発現された栄養性ポリペプチドを効率的に単離した。溶出分画を濃縮し、中性に近いpHで緩衝させた低塩溶液にバッファー交換した後、様々な精製方法を試験した。試験した方法として、陰イオンクロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、および不純物が沈殿し、可溶性のままであるポリペプチドが最も高いとランク付けされるネガティブな沈殿が挙げられる。この場合、不純物が除去されていることにより、ポリペプチドは互いの中でランク付けされる。さらに、タンパク質のセットを、加熱による熱安定性に関して試験し、この場合、加熱後に可溶性のままであるポリペプチドは、沈殿するポリペプチドよりも熱に安定である。
このポリペプチドの混合物を、陰イオン交換クロマトグラフィー樹脂および陽イオン交換クロマトグラフィー樹脂との結合能に関してランク付けした。4つのクロマトグラフィーの樹脂を試験した。そのうち2つは、陰イオン交換樹脂:GE Lifesciences製のCapto DEAEおよびEMD製のEshmuno(登録商標)Q Resinであり、2つは陽イオン交換樹脂:Life Technologies製のPOROS(登録商標)XS Strong Cation Exchange ResinおよびEMD製のEshmuno(登録商標)S Resinであった。各樹脂を、以下のように8つの異なる緩衝条件で試験した(陰イオンwx交換に使用したバッファー:水(バッファーなし)(pH7);15mMのNa2HPO4(pH8.7);30mMのNa2HPO4(pH9.0);15mMのトリス塩基(pH9.6);30mMのトリス塩基(pH10.0);30mMのNa2CO3(pH11.2);25mMアルギニン(pH10.1)。陽イオン交換に使用したバッファー:水(バッファーなし)(pH7);15mMのKH2PO4(pH4.2);30mMのKH2PO4(pH4.5);15mMのトリス酸(pH4.9);30mMのトリス酸(pH4.7);15mMのMES酸(pH3.9);25mMのMES酸(pH4.1))。
樹脂を、96ウェルのフィルタープレート(ウェルあたり20μlの樹脂)に分配し、それぞれを3回平衡化した。タンパク質のセットを平衡バッファーと混合し、樹脂と結合させた。溶液中の未結合のタンパク質を、以下の96ウェルプレートでの回収のためにフィルタープレートを通して液体を遠心分離することにより樹脂から分離した。残りの未結合のタンパク質を、平衡バッファーの洗浄液により樹脂からさらにすすぎ流した。次いで、結合したタンパク質を、3つの段階の増加する塩濃度(上記の適切なセットのバッファーで緩衝した50、250、1500mMのNaCl)で連続的に溶出した。ゆるく結合したタンパク質が最初に除去され、最終的な溶出条件で除去されたタンパク質は、樹脂としっかりと結合したものであった。よって、タンパク質168個のライブラリーは、大腸菌で発現され、陰イオンおよび陽イオン交換クロマトグラフィーの樹脂に対する結合親和性に関してランク付けられたものであった。
本明細書中に記載される実験により、160個の試料(4つの樹脂、8つのバッファー、5つの回収)を精製した。5つの回収段階は、フロースルー分画、洗浄分画、50mMのNaClの溶出、250mMのNaClの溶出、および1500mMのNaClの溶出を含む。160個の試料全てを、280nmでのUV−可視光吸光度、ブラッドフォード総タンパク質アッセイ、チップ電気泳動により解析し、選択した試料をLC/MS/MSにより解析した。すべての解析アッセイは、本明細書中に記載されている。
アッセイから、一部のタンパク質が樹脂の中を通過して、結合しなかったことが示された。多くの場合、洗浄分画は、顕著な量のタンパク質を溶出しなかったことから、このことから、溶出するなんらかのさらなるタンパク質が、実際に樹脂と結合していたことが示される。NaClの濃度が増加すると、除去される総タンパク質も増加し、このことから、ほぼすべての条件での結合および溶出が成功していることが示された。1500mMのNaClの溶出条件で電気泳動により検出されたタンパク質は、250mMのNaClの洗浄状態でも結合されたままであり、このことから結合性が強いことが示される。選択条件を、LC/MS/MSに関して選択した。LC/MS/MS解析を、30mMのトリス塩基緩衝条件での陰イオン交換クロマトグラフィー樹脂(Capto DEAE)からの1500mMのNaClの溶出試料で実施した。LC/MS/MSの結果を、ライブラリーにおいて当初発現された168個すべての栄養性ポリペプチドの配列に対して検索した。8個の固有のポリペプチドが、この条件でこの陰イオン交換樹脂に対して高い結合親和性を有すると同定された(SEQID−00341、SEQID−00346、SEQID−00497、SEQID−00525、SEQID−00555、SEQID−00605、SEQID−00606、SEQID−00610)。このセットの各ポリペプチド配列において、アミノ酸あたりの実効電荷を、試験したpHの範囲を通して一次配列に基づき計算した。本明細書中に記載されるように、陰イオン交換樹脂にしっかりと結合するポリペプチドは、pH範囲を通して0未満の、アミノ酸あたりの実効電荷を有することが予測され、これは、一つの例外を伴うがあてはまることが例証されている。いずれかの例外は、配列の長さを通して電荷の不均一性が存在し、記載されるようにアミノ酸あたりの実効電荷が必ずしもこれを捉えていないという事実によるものであると予測される。このマルチプレックスのスクリーニングから、陰イオン交換樹脂との結合に対するその親和性に基づきより大きなライブラリーから1セットのポリペプチドが同定されたが、この結果は、本明細書中に記載されるように、一次配列に基づき予測できる。
LC/MS/MS解析を、15mMのトリス酸緩衝条件での陽イオン交換クロマトグラフィー樹脂(Poros XS)から、1500mMのNaClの溶出試料で実施した。LC/MS/MSの結果を、ライブラリーで当初発現された168個すべての栄養性ポリペプチドの配列に対して検索した。8つの固有のポリペプチドが、この条件でこの陽イオン交換樹脂に対して高い結合親和性を有するとして同定した(SEQID−00302、SEQID−495、SEQID−00522、SEQID−00537、SEQID−00546、SEQID−00547、SEQID−00560、SEQID−00598)。このセットの各ポリペプチド配列に関して、アミノ酸あたりの実効電荷を、試験したpHの範囲を通して一次配列に基づき計算した。本明細書中に記載されるように、陽イオン交換樹脂に対してしっかりと結合するポリペプチドは、pHの範囲を通して0を超えるアミノ酸あたりの実効電荷を有することが予測され、これは、少数の例外を伴うがあてはまることが例証される。何らかの例外は、配列の長さを通して電荷の不均一性が存在し、記載されるようにアミノ酸あたりの実効電荷が必ずしもこれを捉えていないという事実によるものであると予測される。このマルチプレックスのスクリーニングにより、陽イオン交換樹脂との結合に対するその親和性に基づき大きなライブラリーから1セットのポリペプチドが同定され、この結果は、本明細書中に記載されるように、一次配列の解析に基づき予測できる。
マルチプレックス精製のBacillus subtilisの例では、ポリペプチド配列のセットは、いずれの種類の精製タグも用いることなく発現した。細胞を、本明細書中に記載されるようにフラスコで培養し、ポリペプチドを発現し、増殖培地中に分泌した。この細胞を遠心沈降により除去し、溶液を、本明細書中に記載されるように膜ろ過によりさらに浄化した。この産生工程により、発現されて可溶性に分泌されたセット由来のポリペプチドすべてを含む溶液が得られた。このセットの可溶性ポリペプチドを濃縮し、pH7のリン酸塩溶液にバッファー交換した後、様々な精製方法を試験した。試験した方法として、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、および、不純物が沈殿し、かつ、可溶性のままであるポリペプチドが最も高いとランク付けされるネガティブな沈殿が挙げられる。これらのマルチプレックス精製試験では、ポリペプチドは、それら自体をランク付けするために、互いからおよび宿主細胞タンパク質から精製された。
このポリペプチドの混合物を、陰イオン交換および陽イオン交換クロマトグラフィーの樹脂との結合能に関してランク付けした。4つのクロマトグラフィー樹脂を試験した。(2つの陰イオン交換樹脂:GE Lifesciences製のCapto DEAEおよびEMD製のEshmuno(登録商標)Q樹脂。2つの陽イオン交換樹脂:Life Technologies製のPOROS(登録商標)XS Strong Cation Exchange ResinおよびEMD製のEshmuno(登録商標)S Resin)。各樹脂を、8つの異なる緩衝条件で試験した。陰イオン交換に使用したバッファー:18mMのBIS−TRIS(pH6.5);13mMのHEPES(pH7.0);18mMのHEPES(pH7.5);16mMのTRIS(pH8.0);32mMのTRIS(pH8.5);88mMのTRIS(pH9.0);13mMのNa2CO3(pH9.5);20mMのNa2CO3(pH10.0)。陽イオン交換に使用したバッファー:19mMのクエン酸塩(pH3.0);13mMのクエン酸塩(pH3.5);49mMの酢酸塩(pH4.0);22mMの酢酸塩(pH4.5);14mMの酢酸塩(pHの5.0);10mMの酢酸塩(pH5.5);24mMのMES(pH6.0);15mMのMES(pH6.5))。
樹脂を、96ウェルのフィルタープレート(ウェルあたり50μlの樹脂)に分配し、それぞれを3回平衡化した。このタンパク質のセットを平衡化バッファーと混合して、樹脂と結合させた。溶液中の未結合のタンパク質を、以下の96ウェルプレートでの回収のためフィルタープレートを通して液体を遠心分離することにより樹脂から分離した。残りの未結合のタンパク質を、2回の平衡化バッファーでの洗浄サイクルを用いて樹脂からさらにすすぎ流した。次に結合したタンパク質を、塩濃度を増加させて(250、500、1000mM、2000mMのNaCl)で連続的に溶出した。各塩溶液を、陰イオン交換樹脂に対してpH6.0のMES、および陽イオン交換樹脂に対してpH8.0のトリスで緩衝した2000mMのNaCl溶液を除き、適切な平衡化バッファーで緩衝した。ゆるく結合したタンパク質は最初に除去され、最終的な溶出条件で除去したタンパク質は、しっかりと樹脂に結合したタンパク質であった。このように、タンパク質のライブラリーを、Bacillus subtilisで発現させ、陰イオン交換および陽イオン交換クロマトグラフィーの樹脂に対するその結合親和性に関してランク付けした。
本明細書中に記載される実験から、192個の試料(4つの樹脂、8つのバッファー、6つの回収)が生成された。6つの回収段階は、フロースルー分画、洗浄分画、250mMのNaClの溶出、500mMのNaClの溶出、1000mMのNaClの溶出、および2000mMのNaClの溶出を含む。192個すべての試料を、チップ電気泳動により解析した。選択した試料を、SDS−PAGEにより解析した。選択した試料を、LC/MS/MSにより解析した。すべての解析アッセイは、本明細書中に記載されている。強力に結合したタンパク質の同定は、チップ電気泳動、SDS−PAGE、およびLC/MS/MSの組み合わせにより実施する。
SDS−PAGEの結果は、ポリペプチドの大部分がこれら樹脂に結合せず、実際にこれらがフロースルー分画に見出されることを実証する。よって、樹脂と結合するポリペプチドは、他のポリペプチドの大部分から精製される能力に関して固有である。様々な溶出分画中のポリペプチドのセットは、精製工程の特性に基づきより大きなセットから単離されており、このことは、製造、費用、開発期間、およびこれらポリペプチドの最終的な純度と密接な関係を有する。さらに、樹脂と結合するポリペプチドの中で、これらを、増加濃度のNaClによる厳しい洗浄条件でも樹脂に結合したままである能力によりランク付けすることができる。2000mMのNaClの洗浄試料で見出されるこれらポリペプチドは、1000mMのNaClの洗浄条件でも結合したままであることが可能であった。500mM超のNaCl洗浄条件で陰イオン交換樹脂と結合したままとすることのできる任意のポリペプチドは、この樹脂との親和性が非常に高いとされる。バンドのパターンは2つの陽イオン交換樹脂のあいだで類似しており、これは提案した機構の裏付けとなる。同様に、バンドのパターンは、2つの陰イオン交換樹脂のあいだで類似しており、陽イオン交換により同定されるものと異なる試料セットを表す。任意のサブセットで同定した個々のポリペプチドをランク付けするために、LC/MS/MSを利用する。
例示的なデータセットとして、LC/MS/MSの結果から、pH7.5のCapto DEAE陰イオン交換樹脂と結合するとして以下のポリペプチド:P39645、P37869、P80698、P80868、P21880、P80239、P50849、P12425、O34669、P39138、P37871、P19669、P29727、P80643、O34981、P80879、P54716、P37477を同定した。例示的なデータセットとして、LC/MS/MSの結果から、pH4.0のPoros XS陽イオン交換樹脂に結合するとして以下のポリペプチド:O34669、P19405、O31803、O05411、O31973、O31643、P80239、P26901、P08821、P80240、P49814、O34310、P0CI78、O31925、P71014、P42111を同定した。
高い結合親和性を有すると同定されたこれらポリペプチドを、一次配列に基づく物理化学的な特性に関して解析した。アミノ酸あたりの実効電荷を、試験したpHの範囲を通して一次配列に基づき計算した。本明細書中に記載されるように、陰イオン交換樹脂としっかりと結合するポリペプチドは、pHの範囲を通して0未満のアミノ酸あたりの実効電荷を有することが予測され、これは一般にあてはまることが証明された。本明細書中で記載されるように、陽イオン交換樹脂としっかりと結合するポリペプチドは、pHの範囲を通して0を超えるアミノ酸あたりの実効電荷を有することが予測され、これは一般的にあてはまることが証明された。何らかの例外は、配列の長さにわたって電荷の不均一性が存在し、記載されるように、アミノ酸あたりの実効電荷が必ずしもこれを捉えていないという事実によるものであることが予測される。このマルチプレックススクリーニングは、陰イオン交換樹脂との結合に対するその親和性に基づき大きなライブラリーから1セットのポリペプチドを同定し、この結果は、本明細書中に記載されるように、一次配列に解析に基づき予測できる。
マルチプレックス精製のBacillus subtilisの例では、168個の栄養性ポリペプチド配列のセットを、いずれの種類の精製タグを用いることなく発現させた。この細胞を、本明細書中で記載されるようにフラスコで培養し、ポリペプチドを発現させ、増殖培地の中に分泌させた。試験した方法は、不純物が沈殿し、可溶性のままであるポリペプチドが最も高いとランク付けされる、ネガティブな凝結/沈殿を含むものであった。これらのマルチプレックス精製試験では、不純物は、可溶性の不純物(たとえば宿主細胞のタンパク質、DNA、リン脂質、およびアイソフォームまたは凝集した種などの生成物関連の不純物)、不溶性不純物、細胞、または細胞のデブリ(たとえば膜のフラグメント)の形態で存在する。ネガティブな沈殿は、不溶性の不純物、細胞、および細胞のデブリの遠心、および膜ろ過によるさらなる浄化の前後に実施した。
細胞の懸濁物(遠心および膜ろ過の前)、および浄化した上清(遠心および膜ろ過の後)の中で可溶性に発現されて分泌されたポリペプチドのセットを、凝集剤との会合能に関してランク付けした。さらに、凝集剤を、不純物との会合能に関してランク付けした。以下の48個の凝集剤:炭酸水素アンモニウム(100mM、200mM);塩化マンガン(100mM、200mM);硫酸ニッケル(100mM、200mM);クエン酸ナトリウム(100mM、200mM);酢酸リチウム(100mM、200mM);プロピレングリコール(10%v/v、20%v/v);硝酸アンモニウム(100mM、200mM);塩化カリウム(100mM、200mM);硫酸ナトリウム(100mM、200mM);モリブデン酸ナトリウム(100mM、200mM);酢酸(100mM、200mM);キトサン MMW(0.1%w/v、0.2%w/v);硫酸アンモニウム(100mM、200mM);塩化ナトリウム(0.5M、1.0M);硫酸亜鉛(100mM、200mM);硝酸ナトリウム(100mM、200mM);クエン酸(100mM、200mM);グアニジンHCl(0.6M、1.2M);塩化アンモニウム(100mM、200mM);塩化亜鉛(100mM、200mM);炭酸カリウム(100mM、200mM);リン酸ナトリウム(100mM、200mM);塩酸(100mM、200mM);PEG1000(5%w/v、10%w/v);塩化カルシウム(100mM、200mM);クエン酸鉄(100mM、200mM);硝酸カリウム(100mM、200mM);プロピオン酸ナトリウム(100mM、200mM);水酸化カリウム(100mM、200mM);PEG4000(5%w/v、10%w/v);塩化コリン(100mM、200mM);硫酸銅(100mM、200mM);リン酸カリウム(100mM、200mM);コハク酸ナトリウム(100mM、200mM);水酸化ナトリウム(100mM、200mM);トリトンX−100(0.5%w/v、1.0%w/v);塩化鉄(100mM、200mM);硫酸鉄(100mM、200mM);デオキシコール酸(0.5%w/v、1.0%w/v);チオシアン酸ナトリウム(100mM、200mM);エタノール(10%v/v、20%v/v);Tween80(0.5%w/v、1.0%w/v);塩化マグネシウム(100mM、200mM);硫酸マグネシウム(100mM、200mM);炭酸ナトリウム(100mM、200mM);チオ硫酸ナトリウム(100mM、200mM);イソプロパノール(10%v/v、20%v/v);尿素(0.8M、1.6M)を、2つの異なる濃度で試験した。
細胞懸濁物(遠心沈降および膜ろ過の前)および浄化した上清(遠心分離および膜ろ過の後)を、96ウェルフィルタープレートに分配した(凝集剤の低濃度ではウェルあたり300μLおよび凝集剤の高濃度では267μl)。濃縮凝集剤溶液を、それぞれ33μLまたは67μL添加することにより、これらの分配物を0.1倍または0.2倍に希釈した。得られた溶液を、室温で1時間混合した。混合した後、残っている可溶性物質を、以下の96ウェルプレート中で回収するためにフィルタープレートを通して液体を遠心分離することにより不溶性材料から分離した。192個すべての試料を、チップ電気泳動により解析した。選択した試料を、SDS−PAGEにより解析した。選択した試料を、LC/MS/MSにより解析した。すべての解析アッセイは、本明細書中に記載されている。
SDS−PAGEの結果から、一部の条件が多くのポリペプチドを効率的に沈殿したことが実証され、これらの条件における可溶性のポリペプチドが、むしろ可溶性であり、これらの条件で単離できることが示される。様々な沈殿条件で可溶性であったポリペプチドが、精製工程でその特性に基づきより大きなセットから単離されたが、このことは、これらペプチドの製造、費用、開発時間、および最終的な純度と密接な関係を有する。一部のポリペプチドは、本明細書に記載される機構によればその高い電荷により、ある範囲の条件を通して広く可溶性である。任意のサブセットで同定した個々のポリペプチドをランク付けるために、LC/MS/MSを利用する。
例示的なデータセットとして、LS/MS/MSの結果から、以下のポリペプチド:O34669、P54423、P21879、P10475、P28598、O31803、P40767、P17889、O34918、Q08352、P24327、P37871、O31973、P81101、P50849、P26901、P80700、O34385、P70960、P42111、P21880、P27876、P80868、P54716、O34313、O07603、O05411、P54531、O05497、P12425、O07921、P19405、Q06797、P02394、P24141、P09339、P37965、P07343、P37809、P0CI78、P39824、P49814、P39632、P39773、P51777、P21883、O06989、P25152、P70961、O07593、O34310、P80860、P37437、P80698、P13243、P38494、P39645、P39148、O31398、P08821、P08877、O05268、P04957、P28366、P31103、P94421、P14949、P80864、P37869、P80240、P80859、O06993、O34666、O34714、P37546、Q9KWU4、O31605、P16616、P80239、O34788、P71014、P37571、P09124、P42971、O31925、P39793、P17865、P16263、P18429、P05653、P26908、P33166、O34499、P08750、P54602、Q45071、P12047、P42919、O34334、O34358、P39120、P39126、P00691、P14192、P22250、P37870、P39116、P54484、P54488、P54547、P56849、O31579、O34629、P30949、P54422、P54530、P54542、P96739が、100mMの酢酸(pH5.18)でのその持続的な溶解性により単離されたことが実証された。
例示的なデータセットとして、LC/MS/MSの結果から、以下のポリペプチド:O34669、P54423、P21879、P24327、P40767、P17889、O31973、P10475、P28598、P80700、P37871、P80868、O31803、P81101、P70960、P27876、P19405、P28366、P71014、P26901、O34385、P21880、Q06797、P24141、P07343、P80698、P13243、P42971、P39793、O31643、P39071、O32210、P21468、P42199、P54531、P37965、P37809、P21883、P38494、P39148、P08877、P09124、P17865、P16263、P54602、P46906、O34918、Q08352、P42111、O05411、O05497、O07921、P02394、P09339、P49814、P39632、P37437、P39645、P08821、P04957、P31103、Q9KWU4、P80239、O34788、P18429、P05653、P26908、O34499、P08750、P12047、P37870、P54547、Q06796、Q45477、P25144、P46898、P40871、O31501、P21464、P21465、P40409が、100mMの炭酸カリウム(pH9.66)でのその持続的な溶解性により単離されたことが実証された。
例示的なデータセットとして、LC/MS/MSの結果から、以下のポリペプチド:O34669、P54423、P21879、O34918、O31803、P10475、P28598、P24327、P40767、P80700、P27876、P37871、O34385、P13243、Q08352、O07921、P17889、O31973、P80868、P26901、P24141、P80698、P02394、Q06797、P39148、P19405、P54531、P37965、P09339、P39645、O34788、P37571、O07909、P70960、P21880、P42971、P37809、P80239、Q45477、P94421、P81101、P07343、P39793、P39071、P38494、P17865、P42111、P12425、P39773、O06989、P80864、O05411、O05497、P25144、P0CI78、P39824、P25152、P70961、O31398、O05268、P37869、P80859、O32150、P39138、O31643、P21468、P42199、P21883、P09124、P49814、P05653、Q06796、O34313、P51777、O34310、O06993、O34666、O31925、P33166、P39634、P37808、P39779、P28366、P08877、P16263、P39632、P08821、P04957、O34499、P08750、P46898、P50849、P54716、P80860、P14949、P80240、Q45071、O34334、O34358、P39120、P39126、P20278、P53001、P54375、O06006、O06988、O34667、O34981、P08164、P19669、P30950、P37487、P45694、P81102、P71014、P54602、P46906、P31103、P18429、P26908、P12047、P40871、O07603、O34714、P37546、P42919、P00691、P22250、P39116、P54488、P40924、C0SP93、O31760、O32023、O32106、O32167、O34962、P12048、P25995、P28015、P28599、P34957、P35137、P37253、P37477、P37812、P37940、P46354、P49778、P54169、P54418、P54550、P54941、P80885、P94576、Q04796、Q06004、Q07868、Q9R9I1が、100mMの塩化カルシウム(pH7.50)でのその持続的な溶解性により単離されたことが実証された。
例示的なデータセットとして、LC/MS/MSの結果から、以下のポリペプチド:P26901、O34669、O34918、P54423、O31803、P96657、O31973、P37871、O07921、O31643、Q06796、P17889、P80698、P80239、O05411、O07909、O31925、P20278、P71014、P21879、P10475、P80700、P27876、Q08352、P81101、P42111、P0CI78、P39824、O32210、P28598、P24327、O34385、Q06797、P19405、P37571、P38494、O31398、P09124、P51777、P08821、P18429、O07593、P80868、P09339、P39645、O34788、O05268、P49814、P08877、P39632、P04957、P14949、P31103、O06746、O07555、P40767、P02394、P54531、P37965、P70960、P37809、P07343、P39773、P33166、P39634、P16263、P46898、P50849、P54716、P80240、Q45071、P53001、P54375、P26908、P42919、P40924、P14192、P54484、P56849、O06748、P12878、P21477、P32081、P46899、P50620、P54464が、100mMの塩化鉄(pH4.54)でのその持続的な溶解性により単離されたことが実証された。
高い溶解度を有するとして同定したこれらのポリペプチドを、一次配列に基づく物理化学的特性について解析した。アミノ酸あたりの総電荷を、試験したpHの範囲を通して一次配列に基づき計算した。本明細書中に記載されるように、最も可溶性のポリペプチドはアミノ酸あたり高い総電荷を有することが予測され、これは一般的にあてはまることが例証された。このマルチプレックススクリーニングは、陰イオン交換樹脂との結合に対するその親和性に基づいてより大きなライブラリーからポリペプチドのセットを同定し、この結果は、本明細書中に記載されるように一次配列に基づき予測できる。
マルチプレックス精製:沈殿および凝結
細胞および細胞のデブリを除去するために使用される従来のバイオ医薬品のタンパク質精製方法は、遠心分離、精密ろ過法、およびデプスフィルターを含む。珪藻土などのフィルター補助物質を使用して、これらのステップの性能を高めることができるが、このような方法は常に有効であるわけではなく、場合によっては関心対象生成物と顕著に結合する。これらの使用はまた、固体または均一な懸濁物の添加を必要とし得るが、このことは大規模なバイオ医薬品の製造作業の一部として難題となり得る。
ポリマー凝集剤を使用して、哺乳動物細胞培養工程の流れの浄化を支援できるが、それらは限界を有し得る。たとえば、典型的に加工助剤として使用される硫酸プロタミンは、関心対象タンパク質の不活性化に関する懸念による用途、または沈殿による生成物の喪失により、応用は限定される(Scopes, Protein Purification Principles and Practice 3rd edition, Cantor eds. 22−43;171 (1994))。
医療用用途のために販売される試薬などの高品質の試薬は、高価である場合がある。特定の例では、患者で有害効果が起こらないことを保証するためには、非常に低レベルまで除去することが必要である。たとえば、キトサンは、良好に定義された試薬ではなく、清澄用途で日常的に使用する場合にはその性能が一貫しているかに関して懸念が存在する。DEAEデキストラン、廃水の処置(NALCO Water Handbook, Section 2.1: Applications−Impurity Removal, 3rd ed., McGraw−Hill, 2009)にしばしば使用されるアクリルアミドベースのポリマー、およびポリエチレンアミン(PEI)などの高荷電ポリマーは、浄化の用途のために使用されると考えられている。後者の2種類のポリマーに関して、アクリルアミドの試薬は、毒性の試薬およびポリエチレンアミンが混入する可能性があり、効率が高い浄化試薬は、しばしば、発癌物質であると疑われるエチレンイミンモノマーが様々な量で混入している(Scawen et al., Handbook of Enzyme Biotechnology 2nd edition , Wiseman eds.:15−53 (1985))。さらに、PEIを含むこれらのポリマーの多くは、多くのクロマトグラフィー樹脂とほぼ非可逆的に結合する傾向があり、これにより、その後の処理の選択肢が限定される。これらポリマーに関連した制御性の原材料の再利用の懸念から、その応用は主に学究的な研究に限定されている。
ミョウバンおよび鉄塩などの非ポリマー系凝集剤は、廃水処理産業で利用されている(NALCO Water Handbook, Section 2.1: Applications−Impurity Removal, 3rd ed., McGraw−Hill, 2009)。これらの物質は、タンパク質生成物と結合し得る、または化学反応を触媒し得ることにより、安全性または有効性に影響を及ぼし得るタンパク質の修飾をもたらし得るため、タンパク質生成物を処理する際に有益ではなように思われ得る。
場合によって、タンパク質のライブラリー全体を、マルチプレックススクリーニングの実験プラットフォームで試験する。栄養性ポリペプチド168個のライブラリーを、単一増殖条件を使用して単一容器中で各ポリペプチドを産生するマルチプレックス発現系で、トランスフェクトさせて発現させた。このマルチプレックス発現系は、ポリペプチド配列の任意のセットを、試験されるポリペプチドのセットをランク付けするためにその各々を使用することができる幅広い範囲の製造性パラメータに関して同時に試験することができる。製造性パラメータのセットは、発現レベル、ポリペプチドの溶解度、クロマトグラフィーによりポリペプチドを精製できること、熱変性の抵抗能、ポリペプチドの消化能、厳しい処理に抵抗することによりポリペプチドを精製できることを含む。
沈殿によって大腸菌をマルチプレックス精製するために、栄養性ポリペプチド配列168個のセットをHIS8タグ付けした。これらの細胞を、本明細書中に記載されるように培養し、破壊し、この溶液を本明細書中に記載されるように浄化した。この産生によって、発現されかつ可溶性であるセット由来のすべてのポリペプチドを含む溶液が得られた。可溶性ポリペプチドのセットを、IMACカラムに通過させ、本明細書中に記載されるように溶出した。このIMAC精製により、大腸菌宿主細胞タンパク質の大部分を除去することにより、可溶性に発現された栄養性ポリペプチドがセットとして効果的に単離された。この溶出分画を濃縮し、ほぼ中性のpHで緩衝した低塩溶液にバッファー交換して、様々な精製方法を試験した。試験した方法として、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、および不純物が沈殿し、可溶性のままであるポリペプチドが最も高くランク付けされるネガティブな沈殿が挙げられる。この場合、不純物が除去されていることにより、ポリペプチドは互いに対してランク付けされる。さらに、タンパク質のセットを、加熱することにより熱安定性に関して試験し、この際、加熱後も可溶性のままであるポリペプチドは、沈殿したポリペプチドよりも熱に安定である。
大腸菌に発現させたポリペプチドの前処置群を、96ウェルプレートのうち32ウェルに分配した(総タンパク質濃度43g/Lでウェルあたり4.7μLのタンパク質保存液)。保存液を各ウェルに添加して、以下の条件を作製した:対照(添加剤なし);42mMのクエン酸塩/リン酸塩(pH7.1);42mMのクエン酸塩/リン酸塩(pH6.5);42mMのクエン酸塩/リン酸塩(pH6.0)、42mMのクエン酸塩/リン酸塩(pH5.6);42mMのクエン酸塩/リン酸塩(pH5.0);42mMのクエン酸塩/リン酸塩(pH4.6);42mMのクエン酸塩/リン酸塩(pH4.3);42mMのクエン酸塩/リン酸塩(pH3.9);42mMのクエン酸塩/リン酸塩(pH3.7);42mMのクエン酸塩/リン酸塩(pH2.8);75mMのトリス塩基;50mMのNa2CO3;50mMのピぺラジン塩基;100mMのリン酸ナトリウム(二塩基性);50mMのエタノールアミン;100mMのリン酸ナトリウム(一塩基性);100mMのMES酸;100mMの酢酸ナトリウム(pH4.1);100mMのMOPS酸;100mMのトリスHCl;25mMの酢酸;25mMのホウ酸;25mMのクエン酸;50mMのPIPES酸;50mMのコハク酸;1.2Mの亜硫酸ナトリウム;1.5Mの亜硫酸ナトリウム;2.5Mの硫酸アンモニウム;3.5Mの硫酸アンモニウム;200mMのCaCl2;60%のメタノール。各ウェルが、5g/Lの溶液を全体で40μL含むように水を添加した。プレートを、室温で30分間混合し、次いで3,000RCFで10分間遠心沈降させ、いずれかの沈殿タンパク質をペレット状にした。試料を、解析のため各ウェルから採取した。次いで、96ウェルプレートを、95℃で2分間加熱した。このプレートを、3,000RCFで10分間再度遠心沈降させて、何等かの沈殿したタンパク質をペレット状にし、試料を解析のため各ウェルから採取した。64個の試料すべてを、ブラッドフォード法により解析し、選択した試料を、チップ電気泳動、次いでLC/MS/MSにより解析した。すべての解析アッセイは本明細書中に記載されている。溶液中に残る総タンパク質の測定から、多くの条件がポリペプチドの沈殿を引き起こしたことが例証され、試験した条件の一部が、過酷な厳しい条件であったことが示される。
LC/MS/MS解析を、表E9Dに示されるように、4つの選択した試料で実施した。可溶性分画の栄養性ポリペプチドの検出は、Xと表される。
LC/MS/MSのデータにより、各条件で多くの可溶性ポリペプチドが同定された。スクリーニングを通して試験した異なる条件は、異なる多くの沈殿機構が存在することを表し、これらの異なる条件により、異なる物理化学的特性に基づきポリペプチドの異なるセットを同定することが可能であった。LC/MS/MSにより試験した条件の、可溶性のままであるポリペプチドの数に基づき、最も厳しい条件は、室温で2.5Mの硫酸アンモニウムの条件である。この条件で可溶性であるポリペプチドは、一般的に、数例の例外を除き、試験した他の3つすべての条件で可溶性であった。多くのポリペプチドは、2分間95℃に加熱した後に可溶性であると同定された。この実験では、栄養性ポリペプチドのライブラリーを、幅広い様々な条件を通して溶解性に関して物理的にスクリーニングして、可溶性ペプチドのサブセットを、各条件の中で同定した。
実施例11:溶媒和スコア、および凝集スコア、および他の配列ベースの解析に基づくアミノ酸配列ライブラリーからの栄養性ポリペプチドのアミノ酸配列の選択
溶媒和スコア
溶媒和スコアは、所定のタンパク質の親水性および潜在的溶解性を評価するための一次配列に基づく測定基準である。これは、それぞれのアミノ酸残基が独立して溶媒和されると仮定して、配列中の残基総数により正規化された、すべてのアミノ酸側鎖に関する溶媒和の総自由エネルギー(すなわち、気相から希釈液への移行に関連する自由エネルギーの変化)として定義される。側鎖の溶媒和自由エネルギーは、1の真空誘電率と80の水誘電率とのあいだの静電エネルギーの差(ポアソン=ボルツマン方程式を解くことによる)、ならびに線形溶媒近接可能表面積モデルを使用して非極性のファンデルワールスエネルギーをコンピューターによって計算することにより見出された(D. Sitkoff, K. A. Sharp, B. Honig. “Accurate Calculation of Hydration Free Energies Using Macroscopic Solvent Models”. J. Phys. Chem. 98, 1994)。これらの溶媒和自由エネルギーは、実験上の測定と良好に相関している。イオン化可能な側鎖(Arg、Asp、Cys、Glu、His、Lys、およびTyr)を有するアミノ酸では、平均溶媒和自由エネルギーは、特定のpHでの各イオン化状態の相対的確率に基づく。溶媒和スコアは、、フォールディングの際に、すべての極性残基が溶媒に曝露され、かつ非極性残基が除去されると仮定した、溶媒和自由エネルギーの効果的な測定である。
凝集スコア
凝集スコアは、所定のタンパク質の疎水性および凝集の可能性を評価するための一次配列に基づく測定基準である。疎水性残基に正の値を与え、親水性残基に負の値を与える、KyteおよびDoolittleの疎水性スケール(Kyte J, Doolittle RF(May 1982)”A simple method for displaying the hydrophathic character of a protein” J. mol Biol. 157(1):105−32)を使用して、配列の位置の関数としての有効な疎水性を、各残基周辺に集まる5残基の移動平均を使用して計算する。凝集スコアは、0より大きいそれらの平均疎水性の値をすべて加算し、タンパク質の全長により正規化することにより見出される。根底となる理解は、凝集が、水を排除して表面曝露を低減するために、2つ以上の疎水性区画が集合した結果であるということであり、タンパク質が凝集する可能性は、疎水性(すなわち凝集傾向がある)の残基がどのように密に詰め込まれるかの関数である。
電荷含有量
アミノ酸あたりの絶対電荷または実効電荷は、pHの関数として、残基のタンパク質中の位置とは無関係に計算される。滴定可能な残基のpH値およびpKaが与えられれば、ヘンダーソン・ハッセルバルヒ式を解くことにより、各滴定状態の相対的な濃度が決定される(たとえば酸性残基のグルタミン酸塩では−1または0)。
ヘンダーソン・ハッセルバルヒ式
滴定可能な残基の電荷の平均値は、これらの相対的な濃度を、帯電する有効確率に変換し、そのアミノ酸の電荷および実体数を乗算することにより見出される。この手順から見出される実効電荷または絶対電荷を、次いで、アミノ酸値あたりの値を得るためにアミノ酸の数により除算する。
以下の表E11Aに示した残基の種類を、対応するpKa値および関連する滴定状態とともに使用する。これらのpKa値は、EMBOSS(European Molecular Biology Open Software Suite)(Rice, P. Longden, I. and Bleasby, A. EMBOSS: The European Molecular Biology Open Software Suite. Trends in Genetics, 16, 2000)に提供されるpKaの表に由来する。
重み付けしたユークリッド距離
類似のアミノ酸が既知の臨床的に効果的な混合物に分解された候補タンパク質を同定するために、重み付けしたユークリッド距離に基づく検索方法を使用する。原則的に、これは、以下の式
であって、式中、AAは、標的分布のすべてのアミノ酸のセットであり、
は、候補となるタンパク質配列中のアミノ酸
の重量分画であり、
は、標的アミノ酸分布中のアミノ酸
の重量分画であり、
は、アミノ酸
に関連した相対重量である、
式により定義されるように、標的アミノ酸分布に対する各アミノ酸の重み付けしたパーセント差異をコンピュータにより計測することを意味する。相対重量を使用して、最も重要なアミノ酸からの大きな偏差が適宜、確実にペナルティを課せられるようにした。
例として、サルコペニアの処置、運動の支援、および熱産生アミノ酸混合物の刺激(ロイシンおよび他の2つの分枝鎖アミノ酸、イソロイシンおよびバリンの所定の相対的な重要性を考慮して)のために、ロイシン、バリン、およびイソロイシンに関して3:2:2の相対重量を使用した。他の全てのアミノ酸には、相対重量1を与えた。
アレルゲン性
アレルゲン性スコアは、タンパク質が任意の既知のアレルゲンとどれほど類似しているかを評価するための、のあいだ、WHOの推奨に基づく一次配列に基づく測定基準であり(fao.org/ag/agn/food/pdf/allergygm.pdf)、標的と既知のアレルゲンとのあいだの高いパーセント同一性が交差反応性を示す可能性があると主に理解されている。所定のタンパク質に関して、アレルギー応答を誘発する可能性は、無料の配列相同性ベースの試験ペアを通して評価される。第1の試験は、BLOSUM50置換行列、10のギャップ開口ペナルティ、および2のギャップ伸長ペナルティでFASTAアルゴリズムを使用した既知のアレルゲンのデータベースに対するグローバル−ローカル配列アライメントを介して、配列全体にわたるタンパク質のパーセント同一性を決定する。両配列を通して全体的相同性が50%未満であるタンパク質は、アレルゲン性である可能性が低いことが示唆される(Goodman R. E. et al. Allergenicity assessment of genetically modified crops−what makes sense? Nat. Biotech. 26, 73−81 (2008).; Aalberse R. C. Structural biology of allergens. J. Allergy Clin. Immunol. 106, 228−238(2000).)。第2の試験は、BLOSUM50置換行列、10のギャップ開口ペナルティ、および2のギャップ伸長ペナルティでFASTAアルゴリズムを使用した既知のアレルゲンのデータベースに対する各フラグメントのグローバル−ローカル配列アライメントを介した起こり得る連続するアミノ酸80個のフラグメントすべての局所的アレルゲン性を決定することにより、タンパク質の配列に沿って局所的なアレルゲン性を評価する。任意のアミノ酸80個のウインドウと任意のアレルゲンとの最高のパーセント同一性を、関心対象タンパク質の最終的なスコアとする。WHOのガイドラインは、35%の同一性カットオフを使用することを示唆している。カスタムデータベースは、食品アレルギー研究および資源のプログラム(Food Allergy Research and Resource Program)(allergenonline.org/), UNIPROT annotations (uniprot.org/docs/allergen)、およびアレルゲン性タンパク質の構造上のデータベース(Structural Database of Allergenic Proteins)(SDAP, fermi.utmb.edu/SDAP/sdap_lnk.html)により回収されたプールされたアレルゲンのリストを含む。このデータベースは、IUIS(International Union of Immunological Socieities )(allergen.org/)により現在認識されているすべてのアレルゲンおよびまだ正式な名称のない多数の追加的なアレルゲンを含むものである。
毒性/非アレルゲン性/抗栄養性
タンパク質の毒性、非アレルゲン性、および抗栄養性は全て、それぞれ、既知の毒性タンパク質、非アレルゲン性タンパク質、およびプロテアーゼ阻害性タンパク質のデータベースに対するタンパク質のパーセント同一性を決定することにより、同様に評価される。毒性および抗栄養性の性質は、その毒性および阻害性の作用機構がしばしば本質的に構造に由来するため、タンパク質全体の機能であると考えられる(すなわち、既知の毒性タンパク質のフラグメントは毒性ではない)(Huntington J, Read R, Carrell R. ”Structure of a serpin−protease complex shows inhibition by deformation”. Nature 407 (2000): 923−6; Van den Born H.K. et al. Theoretical analysis of the structure of the peptide fasciculin and its docking to acetylcholinesterase. Protein Sci. 4 (1995): 703−715.; and Harel M. Crystal structure of an acetylcholinesterase−fasciculin complex: interaction of a three−fingered toxin from snake venom with its target. Structure. 3 (1995): 1355−1366.)。タンパク質の構造がタンパク質の配列全体の機能であると仮定して、BLOSUM50置換行列、10のギャップ開口ペナルティ、および2のギャップ伸長ペナルティでFASTAアルゴリズムを使用して、2つのそれぞれのデータベースに対して、関心対象タンパク質のグローバル−グローバルアライメントを行う。35%のカットオフを使用できる。毒性/抗栄養性ポリペプチドを回避する方法の具体的な説明を提供するものではないが、参考文献Delaney B. et al. Evaluation of protein safety in the context of agricultural biotechnology. Food.Chem. Toxicol. 46(2008: S71−S97は、可能性がある食品タンパク質の安全性を評価する際に既知の毒性および抗栄養性ポリペプチドの両方を回避すべきことを示唆している。
タンパク質の非アレルゲン性は、曝露されるとアレルゲン性の応答(アレルゲン性と類似であるが反対の)を誘発するその可能性に関連する。具体的には、ヒトの免疫系は、可能性があるアレルゲン性のタンパク質に定期的に何度も曝露され、自己と非自己とを区別する能力を本来有する。この能力の正確な性質は、必ずしも明確ではないが、身体が自己と非自己を区別できない結果として起こる多くの疾患が存在する(たとえば関節炎)。にもかかわらず、非アレルゲン性(すなわちヒト)のタンパク質のように多く見出される(すなわち、大きな度合いの配列相同性を共有する)タンパク質は、免疫応答を誘発しにくいと理解される。特に、既知のアレルゲン性メンバー(トロポミオシン、パルブアルブミン、カゼイン)を有する一部のタンパク質ファミリーでは、既知のアレルゲン性タンパク質と比較してそのヒトの対応物とより多くの配列相同性を有するタンパク質は、アレルゲン性ではないと考えらることが示されている(Jenkins J. A. et al. Evolutionary distance from human homologs reflects allergenicity of animcal food proteins.J. Allergy Clin Immunol. 120 (2007): 1399−1405.)。所定のタンパク質では、非アレルゲン性のスコアは、BLOSUM50置換行列、10のギャップ開口ペナルティ、および2のギャップ伸長ペナルティでFASTAアルゴリズムを使用して、グローバル−ローカルアライメントからヒトのタンパク質のデータベースに対するタンパク質の最大パーセント同一性を決定することにより測定される。カットオフは変動できる。たとえば、Jenkins J. Aら(Evolutionary distance from human homologs reflects allergenicity of animcal food proteins.J. Allergy Clin Immunol. 120 (2007): 1399−1405)は、ヒトタンパク質に対して約62%超の配列同一性を有するタンパク質は、アレルゲン性である可能性が低いと主張している。
実施例12.栄養性ポリペプチドの発現
以下のリストは、Escherichia coli、Bacillus、Aspergillus niger、および哺乳動物の細胞で発現させたすべての栄養性タンパク質の配列を含む。大腸菌では、タンパク質は、全細胞ライセートまたは細胞ライセートの可溶性分画のいずれかで検出された。Bacillusでは、発現は、Bacillus subtilisまたはBacillus megateriumの細胞ライセートまたは分泌上清のいずれかで検出された。Aspergillus nigerでは、タンパク質は、真菌から分泌されて上清で検出された。哺乳動物細胞で発現させたタンパク質では、タンパク質を、チャイニーズハムスター卵巣S細胞株(CHO−S)またはヒトの胎児腎臓293F細胞株(HEK293F)のいずれかで発現させた。発現は、以下の計測基準:プールしたライブラリーにおけるLC−MS/MSから得たタンパク質発現データに関する質量分析スペクトルカウント、SDS−PAGE、チップ電気泳動、ドットブロット、ウェスタンブロット、および上述の個々のタンパク質の発現に関するELISAにより測定した。
以下の栄養性ポリペプチド:SEQID−00001、SEQID−00002、SEQID−00003、SEQID−00004、SEQID−00005、SEQID−00007、SEQID−00008、SEQID−00009、SEQID−00011、SEQID−00012、SEQID−00013、SEQID−00014、SEQID−00015、SEQID−00016、SEQID−00020、SEQID−00021、SEQID−00024、SEQID−00025、SEQID−00027、SEQID−00028、SEQID−00029、SEQID−00030、SEQID−00031、SEQID−00033、SEQID−00043、SEQID−00049、SEQID−00051、SEQID−00052、SEQID−00053、SEQID−00054、SEQID−00055、SEQID−00057、SEQID−00059、SEQID−00060、SEQID−00061、SEQID−00068、SEQID−00070、SEQID−00071、SEQID−00073、SEQID−00074、SEQID−00075、SEQID−00076、SEQID−00077、SEQID−00078、SEQID−00083、SEQID−00084、SEQID−00085、SEQID−00086、SEQID−00087、SEQID−00088、SEQID−00090、SEQID−00091、SEQID−00092、SEQID−00093、SEQID−00098、SEQID−00099、SEQID−00100、SEQID−00101、SEQID−00102、SEQID−00103、SEQID−00104、SEQID−00105、SEQID−00106、SEQID−00107、SEQID−00108、SEQID−00110、SEQID−00112、SEQID−00113、SEQID−00115、SEQID−00116、SEQID−00117、SEQID−00118、SEQID−00123、SEQID−00124、SEQID−00128、SEQID−00130、SEQID−00131、SEQID−00132、SEQID−00134、SEQID−00137、SEQID−00139、SEQID−00140、SEQID−00141、SEQID−00142、SEQID−00143、SEQID−00145、SEQID−00146、SEQID−00148、SEQID−00150、SEQID−00151、SEQID−00152、SEQID−00153、SEQID−00154、SEQID−00155、SEQID−00157、SEQID−00158、SEQID−00159、SEQID−00162、SEQID−00166、SEQID−00169、SEQID−00175、SEQID−00193、SEQID−00194、SEQID−00195、SEQID−00196、SEQID−00197、SEQID−00198、SEQID−00199、SEQID−00200、SEQID−00201、SEQID−00202、SEQID−00203、SEQID−00204、SEQID−00205、SEQID−00211、SEQID−00212、SEQID−00213、SEQID−00214、SEQID−00215、SEQID−00216、SEQID−00218、SEQID−00219、SEQID−00220、SEQID−00221、SEQID−00223、SEQID−00224、SEQID−00225、SEQID−00226、SEQID−00227、SEQID−00228、SEQID−00230、SEQID−00232、SEQID−00233、SEQID−00234、SEQID−00235、SEQID−00236、SEQID−00237、SEQID−00239、SEQID−00240、SEQID−00241、SEQID−00264、SEQID−00265、SEQID−00266、SEQID−00267、SEQID−00268、SEQID−00269、SEQID−00270、SEQID−00271、SEQID−00273、SEQID−00274、SEQID−00275、SEQID−00276、SEQID−00284、SEQID−00287、SEQID−00297、SEQID−00298、SEQID−00299、SEQID−00302、SEQID−00303、SEQID−00304、SEQID−00305、SEQID−00306、SEQID−00307、SEQID−00309、SEQID−00318、SEQID−00322、SEQID−00325、SEQID−00326、SEQID−00327、SEQID−00328、SEQID−00329、SEQID−00332、SEQID−00335、SEQID−00336、SEQID−00337、SEQID−00338、SEQID−00341、SEQID−00343、SEQID−00344、SEQID−00345、SEQID−00346、SEQID−00349、SEQID−00350、SEQID−00352、SEQID−00353、SEQID−00354、SEQID−00355、SEQID−00356、SEQID−00357、SEQID−00358、SEQID−00359、SEQID−00360、SEQID−00362、SEQID−00363、SEQID−00408、SEQID−00409、SEQID−00415、SEQID−00416、SEQID−00418、SEQID−00424、SEQID−00481、SEQID−00482、SEQID−00483、SEQID−00484、SEQID−00485、SEQID−00486、SEQID−00487、SEQID−00488、SEQID−00489、SEQID−00490、SEQID−00491、SEQID−00492、SEQID−00493、SEQID−00494、SEQID−00495、SEQID−00496、SEQID−00497、SEQID−00498、SEQID−00499、SEQID−00500、SEQID−00501、SEQID−00502、SEQID−00503、SEQID−00504、SEQID−00505、SEQID−00506、SEQID−00507、SEQID−00508、SEQID−00509、SEQID−00510、SEQID−00511、SEQID−00512、SEQID−00513、SEQID−00514、SEQID−00515、SEQID−00516、SEQID−00517、SEQID−00518、SEQID−00519、SEQID−00520、SEQID−00521、SEQID−00522、SEQID−00523、SEQID−00524、SEQID−00525、SEQID−00526、SEQID−00527、SEQID−00528、SEQID−00529、SEQID−00530、SEQID−00531、SEQID−00532、SEQID−00533、SEQID−00534、SEQID−00535、SEQID−00536、SEQID−00537、SEQID−00538、SEQID−00539、SEQID−00540、SEQID−00541、SEQID−00542、SEQID−00543、SEQID−00544、SEQID−00545、SEQID−00546、SEQID−00547、SEQID−00548、SEQID−00549、SEQID−00550、SEQID−00551、SEQID−00552、SEQID−00553、SEQID−00554、SEQID−00555、SEQID−00556、SEQID−00557、SEQID−00558、SEQID−00559、SEQID−00560、SEQID−00561、SEQID−00562、SEQID−00563、SEQID−00564、SEQID−00565、SEQID−00566、SEQID−00567、SEQID−00568、SEQID−00569、SEQID−00570、SEQID−00571、SEQID−00572、SEQID−00573、SEQID−00574、SEQID−00575、SEQID−00576、SEQID−00577、SEQID−00578、SEQID−00579、SEQID−00580、SEQID−00581、SEQID−00582、SEQID−00583、SEQID−00584、SEQID−00585、SEQID−00586、SEQID−00587、SEQID−00588、SEQID−00589、SEQID−00590、SEQID−00591、SEQID−00592、SEQID−00593、SEQID−00594、SEQID−00595、SEQID−00596、SEQID−00597、SEQID−00598、SEQID−00599、SEQID−00600、SEQID−00601、SEQID−00602、SEQID−00603、SEQID−00604、SEQID−00605、SEQID−00606、SEQID−00607、SEQID−00608、SEQID−00609、SEQID−00610、SEQID−00611、SEQID−00612、SEQID−00613、SEQID−00614、SEQID−00615、SEQID−00616、SEQID−00617、SEQID−00618、SEQID−00619、SEQID−00620、SEQID−00621、SEQID−00622、SEQID−00623、SEQID−00624、SEQID−00625、SEQID−00626、SEQID−00627、SEQID−00628、SEQID−00629、SEQID−00630、SEQID−00631、SEQID−00632、SEQID−00633、SEQID−00634、SEQID−00635、SEQID−00636、SEQID−00637、SEQID−00638、SEQID−00639、SEQID−00640、SEQID−00641、SEQID−00642、SEQID−00643、SEQID−00644、SEQID−00645、SEQID−00646、SEQID−00647、SEQID−00648、SEQID−00669、SEQID−00670、SEQID−00671、SEQID−00672、SEQID−00673、SEQID−00674、SEQID−00675、SEQID−00676、SEQID−00677、SEQID−00678、SEQID−00679、SEQID−00680、SEQID−00681、SEQID−00682、SEQID−00716、SEQID−00717、SEQID−00718、SEQID−00719、SEQID−00720、SEQID−00723、SEQID−00724、SEQID−00725、SEQID−00726、SEQID−00727、SEQID−00728、SEQID−00729、SEQID−00730、SEQID−00731、SEQID−00732、SEQID−00734、SEQID−00735、SEQID−00736、SEQID−00737、SEQID−00738、SEQID−00739、SEQID−00740、SEQID−00741、SEQID−00742、SEQID−00743、SEQID−00744、SEQID−00745、SEQID−00746、SEQID−00747、SEQID−00748、SEQID−00749、SEQID−00750、SEQID−00751、SEQID−00752、SEQID−00753、SEQID−00754、SEQID−00755、SEQID−00756、SEQID−00757、SEQID−00758、SEQID−00759、SEQID−00760、SEQID−00761、SEQID−0
0763、SEQID−00765、SEQID−00766、SEQID−00767、SEQID−00768、SEQID−00769、SEQID−00770、SEQID−00771、SEQID−00772、SEQID−00773、SEQID−00774、SEQID−00775、SEQID−00777、SEQID−00778、SEQID−00780、SEQID−00781、SEQID−00782、SEQID−00783、SEQID−00784、SEQID−00785、SEQID−00786、SEQID−00787、SEQID−00788、SEQID−00789、SEQID−00790、SEQID−00791、SEQID−00792、SEQID−00793、SEQID−00794、SEQID−00795、SEQID−00796、SEQID−00797、SEQID−00798、SEQID−00799、SEQID−00801、SEQID−00802、SEQID−00803、SEQID−00804、SEQID−00805、SEQID−00806、SEQID−00807、SEQID−00808、SEQID−00809、SEQID−00810、SEQID−00811、SEQID−00812、SEQID−00813、SEQID−00814、SEQID−00815、SEQID−00816、SEQID−00817、SEQID−00818、SEQID−00819、SEQID−00820、SEQID−00821、SEQID−00822、SEQID−00823、SEQID−00824、SEQID−00825、SEQID−00826、SEQID−00827、SEQID−00828、SEQID−00829、SEQID−00830、SEQID−00831、SEQID−00832、SEQID−00833、SEQID−00834、SEQID−00835、SEQID−00836、SEQID−00837が、Escherichia coliの全細胞ライセートまたは細胞ライセートの可溶性分画のいずれかで検出された。
以下の栄養性ポリペプチド:SEQID−00003、SEQID−00004、SEQID−00005、SEQID−00087、SEQID−00099、SEQID−00102、SEQID−00103、SEQID−00105、SEQID−00115、SEQID−00218、SEQID−00220、SEQID−00223、SEQID−00226、SEQID−00236、SEQID−00240、SEQID−00267、SEQID−00271、SEQID−00276、SEQID−00297、SEQID−00298、SEQID−00299、SEQID−00302、SEQID−00303、SEQID−00304、SEQID−00305、SEQID−00306、SEQID−00307、SEQID−00309、SEQID−00318、SEQID−00322、SEQID−00325、SEQID−00326、SEQID−00327、SEQID−00328、SEQID−00329、SEQID−00330、SEQID−00332、SEQID−00335、SEQID−00336、SEQID−00337、SEQID−00338、SEQID−00340、SEQID−00341、SEQID−00343、SEQID−00344、SEQID−00345、SEQID−00346、SEQID−00349、SEQID−00350、SEQID−00352、SEQID−00353、SEQID−00354、SEQID−00355、SEQID−00356、SEQID−00357、SEQID−00358、SEQID−00359、SEQID−00360、SEQID−00361、SEQID−00362、SEQID−00363、SEQID−00374、SEQID−00389、SEQID−00398、SEQID−00403、SEQID−00404、SEQID−00405、SEQID−00407、SEQID−00409、SEQID−00415、SEQID−00416、SEQID−00417、SEQID−00418、SEQID−00419、SEQID−00420、SEQID−00421、SEQID−00424、SEQID−00481、SEQID−00482、SEQID−00483、SEQID−00484、SEQID−00485、SEQID−00486、SEQID−00487、SEQID−00488、SEQID−00489、SEQID−00490、SEQID−00491、SEQID−00492、SEQID−00493、SEQID−00494、SEQID−00495、SEQID−00496、SEQID−00497、SEQID−00498、SEQID−00499、SEQID−00500、SEQID−00501、SEQID−00502、SEQID−00503、SEQID−00504、SEQID−00505、SEQID−00506、SEQID−00507、SEQID−00508、SEQID−00509、SEQID−00510、SEQID−00511、SEQID−00512、SEQID−00513、SEQID−00514、SEQID−00515、SEQID−00516、SEQID−00517、SEQID−00518、SEQID−00519、SEQID−00520、SEQID−00521、SEQID−00522、SEQID−00523、SEQID−00524、SEQID−00525、SEQID−00526、SEQID−00527、SEQID−00528、SEQID−00529、SEQID−00530、SEQID−00531、SEQID−00532、SEQID−00533、SEQID−00534、SEQID−00535、SEQID−00536、SEQID−00537、SEQID−00538、SEQID−00539、SEQID−00540、SEQID−00541、SEQID−00542、SEQID−00543、SEQID−00544、SEQID−00545、SEQID−00546、SEQID−00547、SEQID−00548、SEQID−00549、SEQID−00550、SEQID−00551、SEQID−00552、SEQID−00553、SEQID−00554、SEQID−00555、SEQID−00556、SEQID−00557、SEQID−00558、SEQID−00559、SEQID−00560、SEQID−00561、SEQID−00562、SEQID−00563、SEQID−00564、SEQID−00565、SEQID−00566、SEQID−00567、SEQID−00568、SEQID−00569、SEQID−00570、SEQID−00571、SEQID−00572、SEQID−00573、SEQID−00574、SEQID−00575、SEQID−00576、SEQID−00577、SEQID−00578、SEQID−00579、SEQID−00580、SEQID−00581、SEQID−00582、SEQID−00583、SEQID−00584、SEQID−00585、SEQID−00586、SEQID−00587、SEQID−00588、SEQID−00589、SEQID−00590、SEQID−00591、SEQID−00592、SEQID−00593、SEQID−00594、SEQID−00595、SEQID−00596、SEQID−00597、SEQID−00598、SEQID−00599、SEQID−00600、SEQID−00601、SEQID−00602、SEQID−00603、SEQID−00604、SEQID−00605、SEQID−00606、SEQID−00607、SEQID−00608、SEQID−00609、SEQID−00610、SEQID−00611、SEQID−00612、SEQID−00613、SEQID−00614、SEQID−00615、SEQID−00616、SEQID−00617、SEQID−00618、SEQID−00619、SEQID−00620、SEQID−00621、SEQID−00622、SEQID−00623、SEQID−00624、SEQID−00625、SEQID−00626、SEQID−00627、SEQID−00628、SEQID−00629、SEQID−00630、SEQID−00631、SEQID−00632、SEQID−00633、SEQID−00634、SEQID−00635、SEQID−00636、SEQID−00637、SEQID−00638、SEQID−00639、SEQID−00640、SEQID−00641、SEQID−00642、SEQID−00643、SEQID−00644、SEQID−00645、SEQID−00646、SEQID−00647、SEQID−00648、SEQID−00653、SEQID−00654、SEQID−00655、SEQID−00656、SEQID−00657、SEQID−00659、SEQID−00660、SEQID−00664、SEQID−00668、SEQID−00670、SEQID−00671、SEQID−00672、SEQID−00673、SEQID−00674、SEQID−00675、SEQID−00676、SEQID−00678、SEQID−00679、SEQID−00680、SEQID−00681、SEQID−00682、SEQID−00690、SEQID−00710、SEQID−00711、SEQID−00712、SEQID−00713、SEQID−00714、SEQID−00715、SEQID−00716、SEQID−00717、SEQID−00718、SEQID−00719、SEQID−00720、SEQID−00723、SEQID−00724、SEQID−00725、SEQID−00726、SEQID−00727、SEQID−00728、SEQID−00729、SEQID−00730、SEQID−00731、SEQID−00734、SEQID−00735、SEQID−00736、SEQID−00737、SEQID−00738、SEQID−00739、SEQID−00740、SEQID−00741、SEQID−00742、SEQID−00743、SEQID−00744、SEQID−00745、SEQID−00746、SEQID−00747、SEQID−00748、SEQID−00749、SEQID−00750、SEQID−00751、SEQID−00752、SEQID−00753、SEQID−00754、SEQID−00755、SEQID−00756、SEQID−00757、SEQID−00758、SEQID−00759、SEQID−00760、SEQID−00761、SEQID−00763、SEQID−00765、SEQID−00766、SEQID−00767、SEQID−00768、SEQID−00769、SEQID−00770、SEQID−00771、SEQID−00772、SEQID−00773、SEQID−00774、SEQID−00775、SEQID−00777、SEQID−00778、SEQID−00780、SEQID−00781、SEQID−00782、SEQID−00783、SEQID−00784、SEQID−00785、SEQID−00786、SEQID−00787、SEQID−00788、SEQID−00789、SEQID−00790、SEQID−00791、SEQID−00792、SEQID−00793、SEQID−00794、SEQID−00795、SEQID−00796、SEQID−00797、SEQID−00798、SEQID−00799、SEQID−00800、SEQID−00801、SEQID−00802、SEQID−00803、SEQID−00804、SEQID−00805、SEQID−00806、SEQID−00807、SEQID−00808、SEQID−00809、SEQID−00810、SEQID−00811、SEQID−00812、SEQID−00813、SEQID−00814、SEQID−00815、SEQID−00816、SEQID−00817、SEQID−00818、SEQID−00819、SEQID−00820、SEQID−00821、SEQID−00822、SEQID−00823、SEQID−00824、SEQID−00825、SEQID−00826、SEQID−00827、SEQID−00828、SEQID−00829、SEQID−00830、SEQID−00831、SEQID−00832、SEQID−00833、SEQID−00834、SEQID−00835、SEQID−00836、SEQID−00837が、Bacillus subtilisまたはBacillus megateriumの細胞ライセートまたは分泌上清のいずれかで検出された。
以下の栄養性ポリペプチド:SEQID−00087、SEQID−00103、SEQID−00105、SEQID−00112、SEQID−00115、SEQID−00218、SEQID−00298、SEQID−00341、SEQID−00352、SEQID−00354、SEQID−00363、SEQID−00406、SEQID−00409、SEQID−00415、SEQID−00416、SEQID−00417、SEQID−00418、SEQID−00419、SEQID−00420、SEQID−00421、SEQID−00424、SEQID−00552、SEQID−00554が、Aspergillus nigerの分泌上清から検出された。
以下の栄養性ポリペプチド:SEQID−00001、SEQID−00103、SEQID−00105、SEQID−00298が、哺乳動物細胞株のチャイニーズハムスター卵巣S細胞株(CHO−S)またはヒト胎児腎臓293F細胞株(HEK293F)で発現した。
実施例13:大腸菌の細菌での栄養性ポリペプチドの発現
栄養性ポリペプチド配列ライブラリーを、食用に適した種から作製し、スクリーニングして大腸菌での栄養性ポリペプチドの発現を実証した。
遺伝子合成およびプラスミドの構築
すべての遺伝子を、Life Technologies/GeneArtまたはDNA2.0のいずれかにより合成して作製し、Escherichia coliでの発現に関して最適化した。この遺伝子を、マルチクローニングサイトの中のNdeI−BamHI制限部位(よって、アミノ末端MGSSHHHHHHSSGLVPRGSHタグを含む)を使用してpET15b(EMD Millipore/Novagen)にクローニングし、またはMGSHHHHHHHHまたはMGSHHHHHHHHSENLYFQGを含むアミノ末端タグを含むようにプライマーを使用してNcoI−BamHI部位にクローニングした(よってプラスミド上のアミノ末端タグを除去した)。pET15bは、pBR322複製開始点、lac制御T7プロモーター、およびカルベニシリンへの耐性を与えるbla遺伝子を含む。手動でクローニングしたフラグメントでは、インサートを、T7プロモーターのプライマーおよびT7ターミネータープライマーの両方を使用してサンガーシークエンシングにより検証した。分泌構築物に関して、遺伝子を、C末端HHHHHHHHタグおよびN末端のDsbAシグナルペプチド(ATGAAAAAGATTTGGCTGGCGCTGGCTGGTTTAGTTTTAGCGTTTAGCGCATCGGCG)と共にT5ターミネーターの上流でpJ444ベクター(DNA 2.0, USA)にクローニングした。
細胞株の構築
T7Expressのコンピテント大腸菌を、New England Biolabsから購入し、親細胞株として使用した。T7Expressは、LacオペロンでT7RNAポリメラーゼを含むが、LonおよびOmpTプロテアーゼをなおも欠損している改変型BL21誘導体である。T7Expressの遺伝子型は、fhuA2 lacZ::T7 gene1[lon]ompT gal sulA11 R(mcr−73::miniTn10−−TetS)2[dcm] R(zgb−210::Tn10−−TetS) endA1 Δ(mcrC−mrr)114::IS10である。分泌構築物では、CGSC 5610 (Yale E.coli genetic stock center, USA)を、試験に使用した。CGSC 5610の遺伝子型は、F−、lacY1またはΔ(cod−lacI)6、glnV44(AS)、galK2(Oc)、galT22、λ−、e14−、mcrA0、rfbC1、metB1、mcrB1、hsdR2である。上述したおおよそ1ngの精製プラスミドDNAを使用して化学的にコンピテントなT7Expressを形質転換し、おおよそ16時間、37℃でインキュベーションした後、100mg/lのカルベニシリンを含むLB寒天プレートで単一のコロニーを選択した。単一のコロニーを、100mg/lのカルベニシリンを含む液体LBの中へ接種し、OD600nm≒0.6の細胞密度まで生育させた。この時点でグリセロールを10%(v/C)で培地に補充し、−80℃で凍結バイアル中で保存するため、アリコートを採取した。
発現試験
発現培養物を、LB培地(10g/lのNaCl、10g/lのトリプトン、および5g/lの酵母抽出物)またはBioSilta EnBase培地で生育させ、イソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)で誘導した。LB培地での発現試験では、コロニーまたはグリセロール保存液からの穿刺を、100mg/lのカルベニシリンで補充したLB3mlに播種し、37℃および250rpmで一晩(おおよそ16時間)生育させた。翌日の朝、細胞の密度(OD600nmで分光光度的に)を測定し、カルベニシリンを補充したLB培地3mlにOD600nm=0.05となるように希釈し、37℃および250rpmで生育させた。OD600nm≒0.8±0.2で、培養物を1mMのIPTGで誘導した。異種性発現を、37℃および250rpmで2時間進行させ、この時点で培養を終了させた。最終的な細胞密度を測定した。Enbase培地での発現では、コロニーまたはグリセロール保存液からの穿刺を、100mg/lのカルベニシリンを含むLB3mlに接種し、100mg/lのカルベニシリンおよび600mU/lのグルコアミラーゼを含むEnbase培地にOD600=0.1で移し、37℃および250rpmで一晩生育させ、翌日1mMのIPTGで誘導させた。異種性発現を、37℃および250rpmで24時間行い、この時点で培養を終了させた。最終的な細胞密度を測定し、細胞を、遠心沈降(3000rpm、10分、室温)により収集した。細胞内の産生を決定するために、細胞を、製造社のプロトコルに従ってB−PER(Pierce)で溶解させ、次いで、関心対象タンパク質(POI)を測定するためにアッセイした。分泌タンパク質のレベルを決定するために、培養上清の0〜5mlのアリコートを、0.22μmのフィルターにより濾過した。次いで、濾液を、関心対象の分泌タンパク質(POI)のレベルを決定するためにアッセイした。
発酵
細胞内の可溶性タンパク質:SEQID−00105、SEQID−00240、SEQID−00338、SEQID−00341、SEQID−00352、SEQID−00363、SEQID−00423、SEQID−00424、SEQID−00425、SEQID−00426、SEQID−00429、SEQID−00559、およびSEQID−00587を、20および/または250Lの発酵物中の大腸菌宿主細胞NEB T7Express(New England BioLabs)で発現させた。酵母抽出物、ダイズの加水分解物、グリセロール、グルコース、およびラクトースを含む、炭素および窒素を多く含む培地で発酵を行った。発酵を30℃で行い、培地に存在するグルコースが消費され、ラクトースが、一時的な炭素供給糖となった際に、誘導を行った。発酵工程の時間は、一般的に24〜26時間持続した。発酵作動パラメータを、pH6.9、30℃の温度、および35%のパーセント溶解酸素で制御した。この培養物に、培養期間の後の段階でグリセロールベースの供給物質を補充した。細胞が定常期に入り、35%の設定点を維持するために酸素の供給をもはや必要としなくなった際に収集を行った。
栄養性ポリペプチドライブラリー遺伝子の合成およびプラスミドの構築
168個の異なる食用に適した種のポリペプチド配列をコードする遺伝子を、直線状のフラグメントとして作製し、Escherichia coliで発現させるためにコドンを選択した。場合によっては単一の直線状のフラグメントは、隣接する5’NdeI制限部位および3’BamHI制限部位を有する2つ以上の別々のポリペプチド配列をコードする2つ以上の核酸配列を含むものであった。すべての直線状のフラグメントを、等モル濃度で混合した。直線状のフラグメントを、NdeIおよびBamHIで消化し、消化した混合物を、MGSHHHHHHHHを含むアミノ末端タグおよびNdeI−BamHI制限部位を含むようにプライマーを使用してpET15b(EMD Millipore/Novagen)にクローニングした。pET15bは、pBR322複製開始点、lac制御T7プロモーター、およびカルベニシリンに抵抗性を提供するbla遺伝子を含む。クローン化したフラグメントでは、インサート
を、T7プロモータープライマーおよびT7ターミネータープライマーの両方を使用してサンガーシークエンシングにより検証した。
栄養性ポリペプチド168個のライブラリーの細胞株の構築
T7 Expressコンピテント大腸菌(New England Biolabs)を、親細胞株として使用した。T7 Expressは、lacオペロンでT7RNAポリメラーゼを含むが、LonおよびOmpTプロテアーゼを欠損している改変BL21誘導体である。T7 Expressの遺伝子型は、fhuA2 lacZ::T7 gene1 [lon] ompT gal sulA11 R(mcr−73::miniTn10−−TetS)2 [dcm] R(zgb−210::Tn10−−TetS) endA1 Δ(mcrC−mrr)114::IS10である。分泌構築物では、CGSC 5610(Yale E.coli genetic stock center, USA)を使用した。CGSC 5610の遺伝子型は、F−, lacY1 or Δ(cod−lacI) 6, glnV44(AS), galK2(Oc), galT22, λ−, e14−, mcrA0, rfbC1, metB1, mcrB1, hsdR2である。おおよそ10ngのライゲートしたDNA混合物により、化学的にコンピテントなT7Expressを形質転換し、単一のコロニーを、37℃でおおよそ16時間インキュベートした後に、100mg/lのカルベニシリンを含むLB寒天プレート上で選択した。複数の形質転換を行い、おおよそ1000個のコロニーを、共にプールして、LB培地に懸濁した。作製したライブラリーの多様性を決定するために、50〜100個のコロニー由来のDNAをシークエンシングした。
栄養性ポリペプチド168個のライブラリーの発現試験
LB培地で再度懸濁したコロニー混合物を、まず、100mg/lのカルベニシリンを含むLB培地(10g/lのNaCl、10g/lのトリプトン、および5g/lの酵母抽出物)3mlで生育させ、次いで、100mg/lのカルベニシリンおよび600mU/lのグルコアミラーゼを含む、BioSilta Enbase培地にOD600=0.1となるように移して、37℃および250rpmで一晩生育させ、翌日に1mMのIPTGで誘導した。異種性発現を、37℃および250rpmで24時間行い、この時点で培養を終了させた。最終的な細胞密度を測定し、細胞を、遠心沈降(3000rpm、10分、室温)により収集した。細胞内の産生を決定するために、細胞を、マイクロフルイダイザーを使用して溶解し、可溶性分画を、製造社のプロトコルに従って5mlのニッケルアフィニティカラムで精製し、次いで、LC−MS/MSを使用してアッセイして、以下に記載されるように発現したタンパク質を同定した。168個中114個の異なるタンパク質が、MSスペクトルカウントに基づき大腸菌で首尾よく可溶性に発現した。この結果に基づき、特定の遺伝子を、個々にクローン化し、大腸菌での細胞内の可溶性発現に関して試験した。
大腸菌細胞株のバックグラウンドで発現した真菌栄養性ポリペプチド
4つの細胞株:New England Biolab製のT7 Express、Shuffle T7、およびShuffle T7 Express;およびEMD Millipore製のOrigami B(DE3)を、真菌栄養性ポリペプチドを発現させるために使用した。
T7 Expressは、lacオペロンでT7 RNAポリメラーゼを含むが、LonおよびOmpTプロテアーゼを欠損している改変BL21誘導体である。T7 Expressの遺伝子型は、fhuA2 lacZ::T7 gene1 [lon] ompT gal sulA11 R(mcr−73::miniTn10−−TetS)2 [dcm] R(zgb−210::Tn10−−TetS) endA1 Δ(mcrC−mrr)114::IS10である。
Shuffle T7は、細胞質のジスルフィド結合の形成を促進し、T7 RNAPの染色体コピーを発現するK12誘導体細胞株である。Shuffle T7の遺伝子型は、F’ lac, pro, lacIQ / Δ(ara−leu)7697 araD139 fhuA2 lacZ::T7 gene1 Δ(phoA)PvuII phoR ahpC* galE (or U) galK λatt::pNEB3−r1−cDsbC (SpecR, lacIq) ΔtrxB rpsL150(StrR) Δgor Δ(malF)3である。
Shuffle T7 Expressは、細胞質のジスルフィド結合の形成を促進し、T7RNAPの染色体コピーを発現するBL21誘導体細胞株である。Shuffle T7 Expressの遺伝子型は、fhuA2 lacZ::T7 gene1 [lon] ompT ahpC gal λatt::pNEB3−r1−cDsbC (SpecR, lacIq) ΔtrxB sulA11 R(mcr−73::miniTn10−−TetS)2 [dcm] R(zgb−210::Tn10 −−TetS) endA1 Δgor Δ(mcrC−mrr)114::IS10である。
Origami B(DE3)は、細胞質でのジスルフィド結合の形成を促進するtrxBおよびgorに変異を含むBL21誘導体である。Origami B(DE3)の遺伝子型は、F− ompT hsdSB(rB− mB−)gal dcm lacY1 ahpC (DE3) gor522:: Tn10 trxB (KanR, TetR)である。
これらの細胞株の発現のスクリーニングを、大腸菌に関して記載されるように完了した。
実施例14:B.subtilisの細菌での栄養性ポリペプチドの発現
遺伝子の合成およびプラスミドの構築
関心対象タンパク質(POI)をコードするすべての遺伝子を、PCRによりクローニングした。これらの遺伝子のPCR増幅のテンプレートは、大腸菌での発現のために作製した合成遺伝子(上記参照)、または供給生物(たとえばB.subtilis)由来のゲノムDNAのいずれかであった。合成遺伝子は、大腸菌での発現のためにコドンを最適化した。遺伝子のすべてを、終止コドンの直前の3’末端にインフレームで融合した1X FLAGタグ(a.a.=DYKDDDK)をコードする配列と共にクローニングした。B.subtilisでの発現では、遺伝子を、Gibson Assembly Master Mix(New England Biolabs、マサチューセッツ州ビバリー)およびクローニング宿主大腸菌Turbo(New England Biolabs)を使用して、製造社の指示に従ってMoBiTec(ドイツゲッティンゲン)発現ベクターpHT43にクローニングした。遺伝子を、分泌発現構築物(Bacillus amyloliquefaciens由来のαアミラーゼシグナルペプチド(SamyQ)をコードするDNAとインフレームで融合した遺伝子)として、または細胞内発現構築物(リボゾーム結合部位(RBS)のすぐ下流に挿入し、SamyQ配列を除去した遺伝子)のいずれかとしてpHT43にクローニングした。大腸菌を形質転換した後、組み換えプラスミドを含む細胞を、100μg/mlのカルベニシリン(Cb100)を含むLB寒天プレートで選択した。組み換えプラスミドを、大腸菌から単離し、このDNA配列を、サンガーシークエンシングにより検証した後、このDNA配列によりB.subtilis発現宿主を形質転換した。
細胞株の構築
B.subtilis細胞株WB800Nを、MoBiTec(ドイツゲッティンゲン)から購入し、発現宿主として使用した。WB800Nは、良好に試験された細胞株(B.subtilis168)の誘導体であり、8つの細胞外プロテアーゼ(nprE、aprE、epr、bpr、mpr、nprB、vpr、およびwprA)をコードする遺伝子の欠失により分泌タンパク質のタンパク質分解を低減するよう改変されている。B.subtiliの形質転換を、製造社の指示に従って実施した。おおよそ1μgの各発現構築物により、WB800Nを形質転換し、単一のコロニーを、5.0μg/mlのクロラムフェニコール(Cm5)を含むLB寒天にプレーティングすることにより、37℃で選択した。個々の形質転換体を、対数期に達するまでCm5を含むLBブロスで生育させた。これら培養物のアリコートをグリセロール(最終濃度20%)と混合し、−80℃で保存した。
発現試験
凍結したB.subtilis発現細胞株のグリセロール保存液を使用して、Cm5を含む2×MAL培地 (20g/lのNaCl、20g/lのトリプトン、および10g/lの酵母抽出物、75g/lのマルトース)1mlを、ディープウェルブロック(四角の96ウェル)に接種した。培養ブロックを、多孔性接着プレートシールで被覆し、マイクロ発現チャンバー(Glas−Col、イリノイ州テレホート)で、37℃および880rpmで一晩インキュベートした。一晩の培養物を使用して、新鮮な2×MAL、Cm5培養物を、ディープウェルブロックに、開始OD600=0.1となるよう接種した。これらの発現培養物を、OD600=1.0となるまで(約4時間)37℃、880rpmでインキュベートし、この時点で、イソプロピルβ‐D‐1‐チオガラクトピラノシド(IPTG)を、0.1Mの最終濃度で添加して、4時間インキュベートし続けることにより誘導した。4時間後、各培養物の細胞密度を測定し(OD600)、細胞を、遠心沈降(3000rpm、10分、室温)により収集した。遠心沈降後、培養物の上清を注意深く除去し、新規のブロックに移し、細胞のペレットを−80℃で凍結した。分泌タンパク質のレベルを決定するために、培養物の上清の0.5mlのアリコートを、まず0.45μmのフィルター、次いで0.22μmのフィルターを介して濾過した。次にこの濾過物をアッセイして、関心対象の分泌タンパク質(POI)のレベルを決定した。
細胞内で産生されたPOIのレベルを決定するために、凍結した細胞ペレットを解凍し、0.1mmのジルコニウムビーズ0.5gを各試料に添加し、次に、0.5mlのPBSを添加した。細胞を、96ウェルプレートのアダプターを備えたQiagen TissuelyserII(Qiagen, ドイツヒルデン)での5分間のbead−beatingにより氷冷した室内(4℃)で溶解した。細胞のライセートを、3000rpmで10分間遠心沈降し、上清を除去し、以下に記載されるようにPOI濃度に関して解析した。分泌タンパク質のレベルを決定するために、培養上清の0.5mlのアリコートを、0.22μmのフィルターにより濾過した。次にこの濾液をアッセイして、関心対象の分泌タンパク質(POI)のレベルを決定した。
振盪フラスコでの発現
単一のコロニーを、各SEQIDの寒天プレートから採取し、2×Mal培地5mlに接種した。これらの浸透フラスコ接種物を、30℃の振盪インキュベーターで一晩生育させた。一晩の培養物5mlを使用して、2×Mal 250mlを接種した。培養物を30℃で4時間生育させ、次に、30℃で4時間誘導した。培養物を、遠心沈降により収集した。各SEQIDの遠心分離した上清を、滅菌濾過し、−80℃で凍結した。
発酵発現
SEQID−00105の可溶性タンパク質は、エピソームのまたは組み込み型のプラスミドを含む改変Bacillus subtilis細胞株から分泌されている。発酵は、ファイトンペプトン、酵母抽出物、およびグルコースを含む炭素および窒素を多く含む培地中4Lの容量で行った。発酵培養物を、pH7.0、30℃、および40%のパーセント溶解酸素で、生育させた。IPTGの添加による誘導を、5.0(±1.0)のOD600nmで行った。誘導後に、培養物にグルコースベースの供給物質を補充した。培養物を、誘導から5〜8時間後に収集した。次にバイオマスを、遠心分離により除去し、上清を、濾過を通して浄化し、処理まで4℃で保存した。
栄養性ポリペプチド168個のライブラリーの遺伝子の合成およびプラスミドの構築
B.subtilisの発現では、使用したベクターは、シグナルペプチドがなく、gracプロモーターがaprプロモーターに置換され、lacI発現カセットが除去されたpHT43骨格ベクター(MoBiTec ドイツゲッティンゲン)に由来した。上記で同定した168個の異なるタンパク質配列をコードする168個の遺伝子を、直線状のフラグメントとしてLife Technologies/GeneArtにより合成して作製し、大腸菌での発現のため選択した。多くの場合、2つの遺伝子を、隣接する5’NdeI制限部位および3’BamHI制限部位を有する単一の直線状フラグメントにまとめて合成した。すべての直線状のフラグメントを、等モル濃度でともに混合した。次に、直線状のフラグメント混合物を、NdeIおよびBamHIで消化した。消化した混合物を、分泌発現構築物(Bacillus subtilis由来のリパーゼシグナルペプチド(LipAsp)をコードするDNAとインフレームで融合した遺伝子)として、または細胞内発現構築物(MGSHHHHHHHを含むN末端タグを含む、または含まない、リボソーム結合部位(RBS)のすぐ下流に挿入した遺伝子)のいずれかとしてベクターにクローニングした。遺伝子のライブラリーを、T4DNAリガーゼ(New England Biolabs、マサチューセッツ州ビバリー)を使用してベクターPCR産物にライゲートした。ライゲーション産物により、クローニング宿主のE.coli Turbo(New England Biolabs)を、製造社の指示に従って形質転換した。50〜100個のコロニーをシークエンシングしてリーダーペプチドライブラリーの多様性を判定した。次に、寒天プレート上のコロニーをLB培地に懸濁し、プラスミド精製のために収集した。
栄養性ポリペプチド168個のライブラリーの細胞株の構築
WB800Nは、十分に研究された細胞株(B.subtilis 168)の誘導体であり、8つの細胞外プロテアーゼ(nprE、aprE、epr、bpr、mpr、nprB、vpr、およびwprA)をコードする遺伝子の欠失により、分泌タンパク質のタンパク質分解を低減するよう改変されている。B.subtili株WB800Nは、MoBiTec(ドイツゲッティンゲン)から購入し、以下の変異WB800N:pXylA−comK::Erm、degU32(Hy)、ΔsigFを有するように改変した。この新規の細胞株を、発現宿主として使用した。大腸菌から精製したプラスミド混合物おおよそ1μgにより、発現細胞株を形質転換した。形質転換後、培養物100μlを、5mg/Lのクロラムフェニコールを含む4枚のLB1.5%寒天プレート上で平板培養し、37℃で16時間インキュベートした。インキュベートした後、5mg/Lのクロラムフェニコールを含むLB培地2mLを、数千個の形質転換体を含む各プレートの表面に添加し、細胞を、細胞スプレッダーで剥がして混合することにより表面培地に懸濁した。4つの反復実験からの懸濁細胞をプールして、発現実験用の接種前培養物を形成した。
168個の栄養性ポリペプチドの発現試験
再懸濁した細胞から作製した接種前培養物のOD600を、プレートリーダーを使用して測定したところ、おおよそ20〜25であった。5mg/Lのクロラムフェニコールを含む2×Mal培地(20g/LのNaCl、20g/Lのトリプトン、10g/Lの酵母抽出物、75g/LのD−マルトース)50mLを含む500mLのバッフル付き振盪フラスコを、OD600≒0.2となるように接種し、接種培養物を形成させ、振盪させながら、30℃、250rpmでおおよそ6時間インキュベートした。OD600を測定し、接種培養物を使用して、5mg/Lのクロラムフェニコール、1X Teknova Trace Metals、および0.01%の消泡剤204を伴う2×Mal培地250mlを含む2Lのバッフル付振盪フラスコで発現培養物を、OD600が0.1となるように接種した。培養物を、30℃および250rpmで18時間振盪し、この時点で培養物を収集した。分泌タンパク質ライブラリーの構築物に関して、最終的な細胞密度を測定し、上清を、遠心分離(5000×g、30分、室温)により収集し、0.22μmのフィルターを使用して濾過した。細胞内タンパク質ライブラリー構築物では、最終的な細胞密度を測定し、細胞を、遠心沈降(5000×g、30分、室温)により収集した。次に、細胞を、マイクロフルイダイザーを使用して溶解し、構築物ライブラリーがN末端Hisタグを有する場合、ニッケルアフィニティカラムを使用して可溶性分画を精製した。それ以外では、可溶性分画をさらなる解析のために使用した。すべての試料を、SDS−PAGEゲルの中で泳動させ、10個の分画に分離し、次に、以下に記載するように、LC−MS/MSを使用して解析した。168個中40個のタンパク質が首尾よく分泌され、168個中10個のタンパク質が、Hisタグを用いることなく細胞内で首尾よく産生され、168個中28個のタンパク質が、Bacillus subtilisで5’8XHISタグを伴い細胞内で首尾よく産生された。この結果に基づき、特定の遺伝子を個々にクローニングし、Bacillus subtilisでの個々の分泌に関して試験した。
分泌型栄養性ポリペプチドのプラスミド構築
この試験では、シグナルペプチドを含まないpHT43骨格ベクターを、天然のシグナルペプチドの分泌を誘導するSamyQシグナルペプチドを除去し、gracプロモーターをaprEプロモーターに置換し、lacI領域を除去し、かつターミネーター領域の前に1xFLAGタグ(DYKDDDDK)を添加することにより改変した。MoBiTec製の非改変pHT43ベクターは、Pgracプロモーター、SamyQシグナルペプチド、AmpおよびCm耐性遺伝子、lacI領域、repA領域、およびColE1複製開始点を含む。関心対象遺伝子を増幅させるために、ゲノムDNA調製物を、野生型バチルス株から作製した。天然のシグナルペプチドコード領域を含む分泌型栄養性ポリペプチド遺伝子を、PHT43骨格に対して25bpの相同性領域を含むテールを有するPCRプライマーを使用してPCR増幅させ、1%のアガロースTAEゲル中で泳動させ、インサートの大きさが正確かどうかを確認した。各PCRからの10μLを単一のインサートライブラリーにプールして、混合物を、pHT43骨格ベクターにギブソンアセンブリによりライゲートした。ライゲーションにより、10−βエレクトロコンピテント細胞(New England Biolabs)を形質転換し、形質転換した細胞を、100mg/lのカルベニシリンを含む4枚のLB寒天プレート上に10倍希釈で平板培養した。1枚のプレートを、プロモーター領域に結合するフォワードプライマーおよびターミネーター領域に結合するリバースプライマーを使用してシークエンシングした。100mg/Lのカルベニシリンを含むLB培地2mlを、残りの3枚のプレートに添加した。細胞を採取し、LB培地に懸濁し、プラスミドを細胞懸濁物から抽出して、発現細胞株を形質転換するマルチプレックスプラスミド混合物を形成した。分泌型ポリペプチドライブラリーの細胞株の構築および発現を、栄養性ポリペプチド168個のライブラリーの細胞株の構築および発現試験と同様に行った。
分泌リーダーペプチドライブラリーの構築
分泌シグナルペプチドライブラリーは、任意の所定の関心対象タンパク質の分泌を促進させる。分泌を高める1つの手法として、関心対象タンパク質にシグナルペプチド配列のライブラリーを融合させ、最も高いレベルの分泌をもたらすものをスクリーニングすることである。本明細書中に記載されるシグナルペプチドライブラリーは、Bacillus subtilisでの天然のSec媒介分泌型タンパク質に関連していると同定された173個のシグナルペプチドからなる(Brockmeier et al Molecular Biology, 2006)。B.amyloliquefaciensのαアミラーゼ(SamyQ)由来のシグナルペプチドと融合したSEQID−43136を有するプラスミドpES1207から開始して、SEQID−43136に関するシグナルペプチドライブラリーを作製した。pES1207を、SamyQ配列を除くプラスミド全体を増幅するプライマーのPfwdおよびPrevを用いるPCR反応のテンプレートとして使用した。PfwdおよびPrevは、AarI制限部位を有するテールを有しており、PCR産物を精製し、AarIで切断した。次に、フラグメントを、Antarcticホスファターゼ(New England Biolabs、マサチューセッツ州ビバリー)を使用して脱リン酸化した。個々のシグナルペプチドをコードするDNAを、各シグナルペプチドのフォワード鎖およびリバース鎖を含む一本鎖のオリゴヌクレオチドを二重にすることにより構築した。一本鎖のテールが、二重鎖分子の5’末端で形成されるようにオリゴヌクレオチドを設計した。これらは、ベクターPCRフラグメントのAarI消化により生成されたオーバーハングと相補的である。オリゴヌクレオチドを二重にするために、配向鎖およびリバース鎖のオリゴヌクレオチドをまとめて混合し、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(New England Biolabs、マサチューセッツ州ビバリー)を使用してリン酸化し、アニーリングした。アニーリング後、シグナルペプチドDNA配列を1本の試験管に等しい比率で混合した。シグナルペプチドのライブラリーを、T4 DNAリガーゼ(New England Biolabs、マサチューセッツ州ビバリー)を使用してベクターPCR産物にライゲートした。ライゲーション産物により、製造社の指示に従って、クローニング宿主のE.coli Turbo(New England Biolabs)を形質転換した。50〜100個のコロニーをシークエンシングしてSEQID−00298およびSEQID−00338のリーダーペプチドライブラリーの多様性を決定した。次に、寒天プレート上のコロニーを、LB培地に懸濁し、プラスミド精製のために収集した。
分泌リーダーペプチドライブラリーの細胞株の構築
B.subtilis細胞株 WB800N(MoBiTec、ドイツゲッティンゲン)を、発現宿主として使用した。特定のタンパク質の構築物のシグナルペプチドライブラリーのおよそ10μgにより、WB800Nを形質転換し、単一のコロニーを、5.0μg/mlのクロラムフェニコール(Cm5)を含むLB寒天上で平板培養することにより37℃で選択した。SEQID−00105、SEQID−00352、SEQID−00341、SEQID−00103に関するリーダーペプチドライブラリーのスクリーニングを、sigF胞子形成因子に変異を有するように改変されており、細胞内セリンプロテアーゼ(ispA)も抗生物質マーカーで破壊されたB.subtilis WB800Nで行った、。またこの細胞株は、形質転換効率をより高めるために、染色体に組み込まれる誘導性comK(コンピテンスイニシエーション転写因子)を有していた。
分泌リーダーペプチドライブラリー発現のスクリーニング
B.subtilisのシグナルペプチドライブラリーの400〜500個の個々の形質転換体を使用して、Cm5を含む2×Mal培地(20g/lのNaCl、20g/lのトリプトン、および10g/lの酵母抽出物、75g/lのマルトース)の1mlの培養物を、ディープウェルブロック(96平方ウェル)を個々に接種した。シグナルペプチドライブラリーの細胞株に加えて、関心対象タンパク質およびSamyQリーダーペプチドを有するプラスミドを含む細胞株を、対照として接種した。培養ブロックを多孔性の接着プレートシールで被覆し、37℃および800rpmのマイクロ発現チャンバー(Glas−Col、イリノイ州テレホート)で一晩インキュベートした。一晩培養物を使用して、新鮮な2×Mal、Cm5培養物をディープウェルブロックに、開始密度OD600=0.15で播種した。
発現培養物を、OD600=1.0(約4時間)となるまで37℃、880rpmでインキュベートし、この時点で、イソプロピルβ‐D‐1‐チオガラクトピラノシド(IPTG)を1mMの最終濃度で添加し、4時間インキュベーションを継続することにより誘導した。4時間後、各培養物の細胞密度を測定し(OD600)、細胞を、遠心沈降(3000rpm、10分、室温)により収集した。遠心後、培養の上清を注意深く除去し、新規のブロックに移し、細胞のペレットを−80℃で凍結した。分泌タンパク質のレベルを決定するために、培養物の上清の0.5mlのアリコートを、まず0.45μmのフィルター、次いで0.22μmのフィルターを介して濾過した。次に濾液を本明細書中に記載されるようにチップ電気泳動によりアッセイして、関心対象の分泌タンパク質(POI)のレベルを決定し、基本構築物の分泌レベルと比較した。
希釈した一晩培養物を、Cm5を含むLBブロス培養物の接種物として使用した。これらの培養物を、対数期に達するまで37Cで生育させた。これらの培養物のアリコートを、グリセロール(最終濃度20%)と混合し、−80℃で凍結した。トップ10〜15のヒットを、Instagene matrix(Biorad、USA)を使用して精製し、シグナルペプチド周辺を増幅し、シークエンシングのために送り、シグナルペプチド配列を同定した。



実施例15:Aspergillus niger真菌での栄養性ポリペプチドの発現
遺伝子の合成およびプラスミドの構築
天然に分泌されるタンパク質をコードする遺伝子を、Aspergillus niger CBS 513.88のゲノム配列から設計したプライマーを使用して、Aspergillus niger ATCC 64974からPCR増幅した。一例では、遺伝子は、天然の5’分泌配列を含み、C末端3X FLAGタグ(DYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDK)を付加したAspergillus nidulans由来のgpdAプロモーターの制御の下で、遺伝子を直接発現ベクターpAN56−1(Genbank:Z32700.1)にクローニングした。別の例では、遺伝子は、異種性5’分泌シグナルを付加した成熟ペプチドのみを含んだ。プラスミドを、ギブソンアセンブリキット(New England Biolabs、マサチューセッツ州ビバリー)を使用して構築した。組み換えプラスミドの配列を検証した後、Aspergillus宿主の形質転換を行った。
pFGLAHIL6Tを、BCCM/LMBP(Ghent, Netherlands)から入手した。プラスミドを、ギブソンアセンブリキット(New England Biolabs、マサチューセッツ州ビバリー)を使用して構築した。組み換えプラスミドの配列を検証した後、Aspergillus宿主の形質転換を行った。
pyrA栄養性マーカーを、Aspergillus niger ATCC 1015のゲノム配列から設計したプライマーを使用して、Aspergillus niger ATCC 64974からPCR増幅した。pyrA PCRフラグメントを、XbaIによって消化し、pCSN44のXbaIフラグメントにライゲートして(Staben et al., 1989)pES1947を構築した。pCSN44を、BCCM/LMBP(Ghent, Netherlands)から入手した。組み換えプラスミドの配列を検証した後、Aspergillus宿主の形質転換を行った。
細胞株の構築
Aspergillus niger ATCC 62590のプロテアーゼ欠損派生株を、発現宿主として使用した。発現ベクターにより、Punt et al., 1992, Methods in Enzymology,216, 447−457に記載されるプロトプラスト法を使用してpES1947を同時に形質転換した。各プラスミド約5μgにより、Aspergillus nigerのプロトプラストを形質転換した。形質転換体は、1.2Mのソルビトールおよび1.5%のbactoagar(10g/lのグルコース、4g/lの硝酸ナトリウム、20ml/lの塩溶液(26.2g/lの塩化カリウム、および74.8g/lのリン酸カリウム(一塩基性)(pH5.5))、1ml/lのビタミン溶液(100mg/lの塩酸ピリドキシン、150mg/lの塩酸チアミン、750mg/lの4‐アミノ安息香酸、2.5g/lのニコチン酸、2.5g/lのリボフラビン、20g/lの塩化コリン、および30mg/lのビオチン)、および1mg/lの金属溶液(20g/lの硫酸亜鉛七水和物(ZnSO4−7H2O)、11g/lのホウ酸(H3BO3)、5g/lの塩化マンガン(II)四水和物(MnCl2−4H2O)、5g/lの硫酸鉄(II)七水和物(FeSO4−7H2O)、1.7g/lの塩化コバルト(II)六水和物(CoCl2−6H2O)、1.6g/lの硫酸銅(II)五水和物(CuSO4−5H2O)、1.5g/lのモリブデン酸ナトリウム二水和物(NaMoO4−2H2O)、および5.0g/lのEDTA二ナトリウム塩二水和物(Na2EDTA−2H2O)(pH6.5)を含む)を補充した最小培地で選択した。個々の形質転換体を最小培地プレート上で単離し、胞子形成するまで30Cで生育させた。胞子を、水中で収集し、4Cで保存した。
発現試験
24ウェル角底ディープウェルブロックにおいて、40mMのMESおよびSigmaFastプロテアーゼ阻害剤カクテル(1 tab/100mL、Sigma Aldrich)でpH7に調節したCM(NM+5.0g/lの酵母抽出物、2.0g/lのカザミノ酸)2mlに、Aspergillus niger株の奉仕保存液を、10胞子/mLで播種した。培養ブロックを、多孔性接着プレートシールで被覆し、30℃、600rpmのマイクロ発現チャンバー(Glas−Col、イリノイ州テレホート)で48時間インキュベートした。生育期間の後、培養物上清の0.5mlのアリコートを、まず25μm/0.45μmの二段フィルター、次いで0.22μmのフィルターを介して濾過した。次に濾液をアッセイして、関心対象の分泌タンパク質(POI)のレベルを決定した。

Aspergillus nigerシグナルペプチドライブラリーの構築
どの分泌シグナルペプチドが、任意の所定の関心対象タンパク質の分泌を最善に促進するかを予測するのは困難である。よって、分泌を最適化する1つの手法は、タンパク質にシグナルペプチド配列のライブラリーを融合し、最も高い分泌レベルをもたらすものをスクリーニングすることである。本出願人は、SEQID−00409およびSEQID−00420のシグナルペプチドライブラリーを構築した。表E15Aは、SEQID−00409およびSEQID−00420と融合したシグナルペプチドを示す。個々のシグナルペプチドをコードするDNAは、各シグナルペプチド配列のフォワード鎖およびリバース鎖を含む一本鎖のオリゴヌクレオチドを二重にすることにより構築した。このオリゴヌクレオチドは、一本鎖のテールが二重鎖分子の5’末端に形成されるように設計した。天然に分泌されるタンパク質をコードする遺伝子のSEQID−00409およびSEQID−00420を、Aspergillus niger CBS 513.88のゲノム配列から設計したプライマーを使用して、Aspergillus niger ATCC 64974からPCR増幅した。遺伝子は、天然の5’分泌配列を含み、C−末端の3X FLAGタグ(DYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDK)を付加したAspergillus nidulans由来のgpdAプロモーターの制御下で、発現ベクターpAN56−1(Genbank:Z32700.1)に直接クローニングした。次にベクターを、天然のシグナルペプチドを用いることなく増幅し、異なるシグナルペプチドを含むプラスミドを、ギブソンアセンブリキット(New England Biolabs、マサチューセッツ州ビバリー)を使用して二重鎖シグナルペプチド配列によって再構築した。組み換えプラスミドの配列を検証した後、Aspergillusの宿主の形質転換を行った。
pyrA栄養性マーカーを、Aspergillus niger ATCC 1015のゲノム配列から設計したプライマーを使用して、Aspergillus niger ATCC 64974からPCR増幅した。pyrA PCRフラグメントを、XbaIで消化し、pCSN44のXbaIフラグメントにライゲートして(Staben et al., 1989)pES1947を構築した。pCSN44を、BCCM/LMBP(Ghent, Netherlands)から入手した。組み換えプラスミドの配列を検証した後、Aspergillus宿主の形質転換を行った。
Aspergillus nigerのシグナルペプチドライブラリー細胞株の構築
Aspergillus niger ATCC 62590のプロテアーゼ欠損派生株を、発現宿主として使用した。各シグナルペプチド−遺伝子の組み合わせのベクターを、Punt et al., 1992に記載されるプロトプラスト法を使用して栄養性マーカーpyrGを含むプラスミドと同時形質転換した。各プラスミド約5μgにより、Aspergillus nigerプロトプラストを形質転換した。形質転換体を、1.2Mのソルビトールおよび1.5%のbacto agar(10g/lのグルコース、4g/lの硝酸ナトリウム、20ml/lの塩溶液(26.2g/lの塩化カリウムおよび74.8g/lのリン酸カリウム(一塩基性)(pH5.5))、1ml/lのビタミン溶液(100mg/lの塩酸ピリドキシン、150mg/lの塩酸チアミン、750mg/lの4‐アミノ安息香酸、2.5g/lのニコチン酸、2.5g/lのリボフラビン、20g/lの塩化コリン、および30mg/lのビオチンを含む)、および1ml/lの金属溶液(20g/lの硫酸亜鉛七水和物(ZnSO4−7H2O)、11g/lのホウ酸(H3BO3)、5g/lの塩化マンガン(II)四水和物(MnCl2−4H2O)、5g/lの硫酸鉄(II)七水和物(FeSO4−7H2O)、1.7g/lの塩化コバルト(II)六水和物(CoCl2−6H2O)、1.6g/lの硫酸銅(II)五水和物(CuSO4−5H2O)、1.5g/lのモリブデン酸ナトリウム二水和物(NaMoO4−2H2O)、および5.0g/lのEDTA二ナトリウム塩二水和物(Na2EDTA−2H2O)(pH6.5)を含む)を補充した最小培地で選択した。個々の形質転換体を最小培地のプレート上で単離し、胞子を形成するまで30Cで生育させた。
Aspergillus nigerのシグナルペプチドライブラリーの発現試験
各構築物から、6つの異なる一次形質転換体を、96ディープウェル培養ブロック中に160mMのMESでpH7に調節した、5.0g/lの酵母抽出物、2.0g/lのカザミノ酸を補充した上記に定義した最小培地1mlに接種した。培養ブロックを、多孔性接着プレートシールで被覆し、33℃、800rpmのマイクロ発現チャンバー(Glas−Col、イリノイ州テレホート)で48時間インキュベートした。生育期間の後、培養上清の0.5mlのアリコートを、まず25μm/0.45μmの二段フィルター、次に0.22μmのフィルターを介して濾過した。次に濾過した上清を、以下に記載のチップ電気泳動、または以下に記載の抗FLAG DOT−BLOTおよびSDS−PAGEを使用して解析した。これらの結果に基づき、天然のシグナルペプチドよりも分泌が多いことが例証された一次形質転換体を、最小培地プレート上で単離し、胞子形成まで30℃で生育させた。
pgpdAプロモーター、ならびにSEQID−00409およびSEQID−00424の天然のシグナルペプチドの発現構築物を含む対照のAspergillus niger株と共に、上記のAspergillus niger株の胞子保存液を、125mlのプラスチックフラスコに、160mMのMESでpH7に調節した、5.0g/lの酵母抽出物、2.0g/lのカザミノ酸を補充した上記に定義した最小培地10mLに、10胞子/mLで接種した。次に、Aspergillusの胞子を、150RPMで2日間30℃で生育させた。生育期間の後、培養上清のアリコートを、まず25μm/0.45μmの二段、次に0.22μmのフィルターを介して濾過した。次に、この濾液を、本明細書中に記載されるSDS−PAGEを使用して解析した。
図5は、天然のシグナルペプチドと比較して新規のシグナルペプチドを含むSEQID−00409(左)およびSEQID−00420(右)の分泌を例証する。
Aspergillus nigerの異種性栄養性ポリペプチド遺伝子の合成およびプラスミドの構築
栄養性ポリペプチドをコードする遺伝子を合成した(Geneart, Life Technologies)。遺伝子を、Aspergillus nigerでの発現のためにコドンを最適化した。合成した遺伝子をPCR増幅し、のあいだC末端3X FLAGタグ(DYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDK)およびグルコアミラーゼ遺伝子と関心対象遺伝子とのあいだでKexinプロテアーゼ部位(NVISKR)が付加され、Aspergillus nidulansのgpdAプロモーターの制御下で、その天然のリーダー配列を有するグルコアミラーゼに融合した発現ベクターpAN56−1(Genbank: Z32700.1)にクローニングした。プラスミドを、ギブソンアセンブリキット(New England Biolabs、マサチューセッツ州ビバリー)を使用して構築した。組み換えプラスミドの配列を検証した後、Aspergillus宿主の形質転換を行った。
SEQID−00087、SEQID−00103、SEQID−00105、SEQID−00115、SEQID−00218、SEQID−00298、SEQID−00302、SEQID−00341、SEQID−00352、SEQID−00354の遺伝子を利用した。
Aspergillus niger異種性栄養性ポリペプチド細胞株の構築
Aspergillus niger D15#26のプロテアーゼ欠損誘導体(E. Karnaukhova et al, Microbial Cell Factories, 6:34)を、発現宿主として使用した。発現ベクター10μgを、Punt et al., 1992, Methods in Enzymology,216, 447−457に記載されるプロトプラスト法を使用して、pyrG選択マーカーを含む1μgのプラスミドと同時形質転換した。形質転換体を、10g/lのグルコース、6g/lの硝酸ナトリウム、20ml/lの塩溶液(26g/lの塩化カリウムおよび76g/lのリン酸カリウム(一塩基性)(pH5.5)を含む)、2mMの硫酸マグネシウム、1ml/lのビタミン溶液(100mg/lの塩酸ピリドキシン、150mg/lの塩酸チアミン、750mg/lの4−アミノ安息香酸、2.5g/lのニコチン酸、2.5g/lのリボフラビン、20g/lの塩化コリン、および30mg/lのビオチンを含む)、および1ml/lの金属溶液(20g/l硫酸亜鉛七水和物(ZnSO4−7H2O)、11g/lのホウ酸(H3BO3)、5g/lの塩化マンガン(II)四水和物(MnCl2−4H2O)、5g/lの硫酸鉄(II)七水和物(FeSO4−7H2O)、1.7g/lの塩化コバルト(II)六水和物(CoCl2−6H2O)、1.6g/lの硫酸銅(II)五水和物(CuSO4−5H2O)、1.5g/lのモリブデン酸ナトリウム二水和物(NaMoO4−2H2O)、および5.0g/lのEDTA二ナトリウム塩二水和物(Na2EDTA−2H2O)(pH6.5)を含む)を含み、かつ1、2Mのソルビトールおよび1.5%のbacto agarを補充した最小培地で選択した。個々の形質転換体を、最小培地プレート上で単離し、胞子が形成されるまで30Cで生育させた。胞子を、水中で収集し、4Cで保存した。
Aspergillus niger異種性栄養性ポリペプチドの発現試験
各構築物由来の90個の異なる一次形質転換体を、96ディープウェルプレートの培養ブロック中に、1g/lのカザミノ酸を補充した上記に定義した最小培地1mlで接種した(1の回目MTP)。培養ブロックを、多孔性接着プレートシールで被覆し、マイクロ発現チャンバー(Glas−Col、イリノイ州テレホート)において、33℃、800rpmで72時間インキュベートした。生育期間の後、培養上清の0.5mlのアリコートを、まず25μm/0.45μmの二段フィルター、次いで0.22μmのフィルターを介して濾過した。次に濾液を、本明細書に記載されるように抗FLAG ELISA法を使用してアッセイして、関心対象の分泌タンパク質(POI)のレベルを決定した。SEQID−00302を除く9個の発現構築物からの少なくとも5個のコロニーが、表E15Bに記録するように抗フラグELISAにおいて陽性シグナルを生じた。抗FLAG ELISAアッセイで陽性シグナルを示した9個の発現細胞株のそれぞれからの少なくとも5個の一次形質転換体もまた、単胞子精製のために新しい最小培地寒天プレート上で画線培養して、確認のため再度試験した(2回目のMTP)。
胞子を、プレートから収集し、新鮮な胞子を用いて約1E9胞子/mlの密度で接種を行った。これらの胞子収集物10μlを最小培地10mlに添加して、1E6胞子/mlの開始密度を得た。次に、Aspergillusの胞子を150rpmで3日間、33Cで生育させた。生育期間の後、培養物上清のアリコートを、まず25μm/0.45μmの二段フィルター、次いで0.22μmのフィルターを介して濾過した。次にこの濾液を、以下に記載の抗FLAG ELISA、抗フラグウェスタンブロット、およびSDS−PAGEを使用して解析した。
異なる発現構築物由来の特定のクローンを、新鮮な胞子収集物を使用して、1リットルの最小培地中約1E6胞子/mlの最終密度で生育させた。次に、Aspergillusの胞子を、150RPMで3日間、33Cで生育させた。生育期間の後、培養上清のアリコートを、まず25μm/0.45μmの二段フィルター、次いで0.22μmのフィルターを介して濾過した。次にこの濾液を、以下に記載の抗FLAG ELISA、抗flagウェスタンブロット、およびSDS−PAGEを使用して解析した。抗flag ELISAにおいて1リットルの振盪フラスコから39mg/lを超える任意の分泌タンパク質が、抗FLAGウェスタンブロットおよびSDS−PAGEにより検出された。

実施例16:培養哺乳動物細胞における栄養性ポリペプチドの発現
遺伝子合成およびプラスミドの構築
すべての遺伝子を合成により作製し(GeneArt, Life Technologies)、ヒトでの発現のために最適化した。SEQID−00001、SEQID−00103、SEQID−00105、SEQID−00298、およびSEQID−00363をコードする遺伝子を、哺乳動物細胞の分泌に関して選択した。すべての遺伝子に、Ig−kappaタンパク質(METDTLLLWVLLLWVPGSTGD)の5’末端シグナルペプチド配列および3’末端でのHHHHHHHHタグを融合した。すべての遺伝子構築物を、pCMVプロモーターの下流にNheIおよびBamHIのマルチクローニングサイトを有するpcDNA 3.1(+)ベクター(Life Technologies)にクローニングした。すべての遺伝子配列は、開始コドンの上流にGCC配列を含み、GCCATGG Kozak配列を生成した。すべてのプラスミドにより、大腸菌を形質転換し、配列を検証し、各プラスミド10mgを、哺乳動物細胞へのトランスフェクションのため精製した。
細胞株の構築
実験のために選択した細胞株は、In vitrogen, FreeStyleTM CHO−S細胞(PN 51−4448)およびFreeStyle TM 293F細胞(PN 51−0029)の2つの一過性発現細胞株である。細胞株を、In vitrogenから受け取り、継代培養を開始するまで液体窒素中で保存した。トランスフェクションの前の継代培養では、細胞を特定の培地に融解した:CHO−S細胞は、8mMのGlutamax(In vitrogen PN 35050−061)および1X HT(In vitrogen PN11067−030)を補充したFreeStyle TM CHO 発現培地(In vitrogen PN 12651−014)30ml中で融解した。293F細胞は、FreeStyle TM 293発現培地(Invitrogen PN 12338−018)30ml中で融解した。細胞を、80%の湿度、8%の二酸化炭素、36.5℃、1分あたり110の回転での振盪を行いながら、72時間浮遊培養で回復させた。細胞を、2.0×106細胞/mlを超えない生存可能な細胞密度(VCD)から0.2×106細胞/mlとなるように継代した。継代培養を、トランスフェクションの前に、5回続けて行った。
トランスフェクションの26時間前に、培養物を、60mlの容量に生存細胞0.6×106個/mlとなるように継代した。各栄養性ポリペプチドを2回の反復実験でトランスフェクトし、2つのモックトランスフェクションを各細胞株の対照として行った。トランスフェクションを行った日に、細胞を計数し、生存率98%超の細胞が1.1×106個/mlであると決定された。
トランスフェクションの手順
合計120mlの容量(60ml/250mlの振盪フラスコ)のトランスフェクションのためのDNA−脂質複合体の調製。
以下の手順をクリーンベンチ(Laminar Flow Hood)で実施した。150μgのプラスミドDNAを、OptiPROTM SFM低血清培地(In vitrogen PN:12307−050)に、全量2.4mlとなるように希釈した。この溶液をゆっくりと混合し、0.2μmのフィルターで滅菌した。OptiPROTM SFM低血清培地中のFreeStyle TM MAX試薬(In vitrogen PN 16447−100)150μlを、全量2.4mLとなるように希釈し、ゆっくりと混合し、室温で5分間インキュベートした。5分間インキュベートした後、希釈したDNA2.4mlを希釈した試薬2.4mlに添加し、ゆっくりと混合し、室温で20分間インキュベートして、DNA−脂質複合体を形成した。20分間のインキュベートの後、複合体2.4mlをそれぞれ1試料当たり2個ずつフラスコに添加した。対照のフラスコには、OptiPROTM SFM低血清培地2.4mlを添加した。トランスフェクトしたフラスコを、80%の湿度、8%の二酸化炭素、36.5℃、1分あたり110回転で振盪するインキュベートシェーカーに戻した。培養物を、%生存率およびVCDに関してモニターした。すべてのフラスコに、各細胞株に特異的な培地中で作製した20%のファイトンペプトン供給物質を3日目に補充した。フラスコ中のファイトンペプトンの最終濃度は、2%に等しかった。培養物を、遠心沈降により4日目に収集し、上清を、0.2μmで濾過した。上清を、非還元SDS−PAGE、12%ビス‐トリスゲルの中に泳動させて、栄養性ポリペプチドの発現を分子量で確認した。SEQID−00001、SEQID−00103、SEQID−00105、およびSEQID−00298は、293F細胞から発現したことが確認されたが、CHO−Sではいずれの培養物でも可視化できるバンドは検出できなかった。SEQID−00363は、293FまたはCHOS培養物由来のゲル上で可視化できなかった。SEQID−00001、SEQID−00103、SEQID−00105、SEQID−00298、およびSEQID−00363の293F培養物由来の上清、ならびにSEQID−00103およびSEQID−00105のCHO‐Sの上清を、IMACにより精製した。SEQID−00103、SEQID−00105、およびSEQID−00298を、293F細胞を使用して1Lの振盪フラスコ中に190mlのトランスフェクション容量までスケールアップした。また、トランスフェクションの手順をこれに伴い拡大した。SEQID−00103およびSEQID−00105の両方の4×190mlの培養物、およびSEQID−00298の2×190mlの培養物を泳動させた。2日目に、これらの培養物に、20%のファイトンペプトン供給物質を培養物中2%の最終濃度となるように供給し、5日目に収集した。
実施例17:栄養性ポリペプチドの発現解析
細胞内で発現されかつ/または分泌された栄養性ポリペプチドを、様々な方法を使用して検出した。これらの方法は、電気泳動、ウェスタンブロット、ドットブロット、ELISA、および定量LC/MS/MSを含む。
電気泳動解析
細胞外および/または細胞内で発現したタンパク質を、チップ電気泳動(Labchip GXII)またはSDS−PAGE解析により解析して発現レベルを評価した。
SDS−PAGEでは、5%のβ−メルカプトエタノールと混合したIn vitrogenのLDSの試料バッファー中の10μlの試料を煮沸し、1)Novex(登録商標)NuPAGE(登録商標)12%のBis−Trisゲル(Life Technologies)、または2)Novex(登録商標)16%のトリシンゲル(Life Technologies)のいずれかにロードし、標準的な製造社のプロトコルを使用して泳動させた。ゲルを、標準的な製造社のプロトコルを使用してSimplyBlue(商標)SafeStain(Life Technologies)で染色し、Molecular Imager(登録商標)Gel Doc(商標)XR+System(Bio−Rad)を使用して撮像した。過剰発現した異種性タンパク質を、分子量マーカーおよび対照培養物との比較により同定した。
チップ電気泳動(Labchip GX II)では、試料を、7μlの試料バッファーに2μlの試料を添加することによりHT Low MW Protein Express LabChip(登録商標)キット(製造社のプロトコルにしたがう)を使用して解析した。分子量の決定および定量化(kDaでの分子量)のために、タンパク質のラダーを12試料ごとにロードした。
LC−MS/MS解析
細胞全体、細胞ライセート、および分泌された試料を、LC−MS/MSを使用してタンパク質発現のために解析することができる。試料を解析するために、10μgの試料を、10%のSDS−PAGEゲル(In vitrogen)に、約2cm離してロードした。このゲルを、10個の区分に切り取り、ゲルの切片を、25mMの炭酸水素アンモニウム、次いでアセトニトリルで洗浄することにより処理した。次にゲルの切片を、10mMのジチオスレイトールにより60℃で還元し、次に室温で50mMのヨードアセトアミドでアルキル化した。最終的に試料を、トリプシン(Promega)を用いて37℃で4時間消化し、消化物を、ギ酸を添加してクエンチした。次に上清の試料を、ThermoFisher Q Exactiveにインターフェースで接続したWaters NanoAcquity HPLCシステムを用いるナノLC/MS/MSにより解析した。ペプチドを、捕捉カラムにロードし、350nL/分で、75μmの解析カラムから溶出させた。両方のカラムに、Jupiter Proteo樹脂(Phenomenex)を充填した。1時間の勾配を使用した。質量分析計を、データ依存モードで作動させ、MSおよびMS/MSをOrbitrapで、70,000FWHMの分解能および17,500FWHMの分解能でそれぞれ実施した。最も多く存在する15種のイオンを、MS/MSのために選択した。データを、Mascotを使用して適切なデータベースに対して検索して、ペプチドを同定した。Mascot DATファイルを、検証、フィルタリングのため、および試料あたりの重複しないリストを作成するために、Scaffoldソフトウェアで解析した。データを、1%のタンパク質、およびタンパク質あたり少なくとも2つの固有のペプチドを必要とするペプチドの偽陽性率(FDR)でフィルタリングした。
抗FLAGウェスタンブロット
細胞外および/または細胞内タンパク質を、ウェスタンブロットを使用して解析して発現レベルを評価した。
SDS−PAGEでは、5%のβメルカプトエタノールと混合したIn vitrogenのLDSサンプルバッファー中の試料10μlを煮沸し、Novex(登録商標)NuPAGE(登録商標)12% Bis−Trisゲル(Life Technologies)にロードした。標準物質では、アミノ末端FLAG−BAP(商標)融合タンパク質(Sigma)0.5μg〜2μgを、陽性対照としてロードした。ゲルの電気泳動を、製造社のプロトコルに従って実施した。泳動させた後、ゲルを、iBlot(登録商標)Mini トランスファースタックニトロセルロース(メンブレンの孔の大きさ:0.2μm)(Life Technologies)に、製造社のプロトコルに従って転写した。次に、ニトロセルロースメンブレンスタックから除去し、Millipore SNAP i.d.(登録商標)2.0タンパク質検出装置の中に集めた。MilliporeのBlok CHノイズ除去試薬30mlを、集めたリザーバートレイに入れ、減圧した。SigmaモノクローナルANTI−FLAG(登録商標)M2−ペルオキシダーゼ(HRP)抗体2μlを、Millipore Blok CHノイズ除去試薬3mlに希釈することにより、3mlの抗体溶液を調製した。抗体溶液をリザーバートレイに添加し、減圧することなく10分間インキュベートした。インキュベートの後、リザーバートレイを、90mlの1×PBS+0.1%のTWEEN20で満たし、最終洗浄ステップとして減圧した。洗浄の後、ニトロセルロースメンブレンを除去し、試薬トレイに配置した。Millipore Luminata Classico Western HRP基質20mlを添加し、1分間インキュベートした。インキュベートした後、メンブレンを、Gel Doc(商標)XR+System(Bio−rad)のイメージングトレイに置き、化学発光プロトコルを使用して撮像した。
抗FLAGドットブロット
細胞外および/または細胞内タンパク質を、ドットブロットを使用して解析して発現レベルを評価した。
0.2μmフィルターで濾過した試料110μlを、8.0Mのグアニジン塩酸塩、0.1Mのリン酸ナトリウム(変性バッファー)と混合して、さらにタンパク質を結合させた。アミノ末端FLAG−BAP(商標)融合タンパク質(Sigma)の検量線を、試料110μlと同じ基質中で、2μgで開始し、0.0313μgまで連続2倍希釈して作製した。In vitrogenの0.45μmのニトロセルロースメンブレンを、5分間1×PBSバッファーで予め湿潤させ、次に、BIO‐RADドットブロット装置上にロードした。PBS300μlを、減圧処理し、さらにメンブレンを湿潤させた。試料:変性バッファーの1:1の混合物200μlを、各ウェルにロードし、30分間の勾配によりドットブロット装置を介して排出させた。次に、300μlのPBSによる洗浄を、減圧によってすべてのウェルに行い、次に、Millipore Blok CHのノイズ除去試薬300μlをロードし、60分間インキュベートした。ブロッキングした後、メンブレンを、300μlの1×PBS+0.1%のTween20で洗浄した。次に、Sigma Monoclonal ANTI−FLAG(登録商標)M2−ペルオキシダーゼ(HRP)抗体2.4μlをMillipore Blok CHノイズ除去試薬12mlに添加することにより(1:5000の希釈)、抗体溶液を調製した。得られた抗体溶液100μlを、各ウェルに添加し、重力により30分間インキュベートした。抗体のインキュベーションの後、3回の最終的な洗浄を、減圧により、300μlの1X PBS+0.1%のTween 20を用いて実施した。洗浄の後、ニトロセルロースのメンブレンを取り出して、試薬トレイに配置した。Millipore Luminata Classico Western HRP基質20mlを添加し、1分間インキュベートした。インキュベートした後、メンブレンを、Gel Doc(商標)XR+System(Bio−rad)のイメージングトレイに配置し、化学発光プロトコルを用いて撮像した。
抗FLAG ELISA
タンパク質の発現を、抗FLAG抗体を使用した直接的なELISAにより検出した。簡潔に述べると、FLAG融合タンパク質(Sigma)の連続希釈液(0.005〜10μg/ml)を、0.1MのNaHCO3(pH9.5)中でに調製した。また、FLAG融合タンパク質の連続希釈液(0.01〜20μg/ml)を、0.1MのNaHCO3(pH9.5)中で10倍希釈した空の真菌培養物の消費培地中で調製した。実験培養培地の試料を、0.1MのNaHCO3(pH9.5)中で10倍希釈した。FLAG融合タンパク質の連続希釈液と実験試料を、Nunc−immuno(商標)Maxisorp(商標)(Thermo)96ウェルプレートのウェルに移し(0.2ml)、2〜8℃で一晩インキュベートして、タンパク質の吸着を促進させた。翌朝、プレートを、0.05%のTWEEN80を含むトリス緩衝食塩水(TBS)(TBST)で3回すすいだ。TBST中に溶解した1%の脱脂乾燥乳0.2mlと共に室温で1時間インキュベートすることにより、非特異的なタンパク質の結合からウェルをブロックした。このプレートを、TBSTでさらに3回すすぎ、次にブロッキングバッファーで1:2000に希釈したモノクローナル抗体抗FLAGM2−HRP(SIGMA)0.2mlと共に室温で1時間インキュベートした。プレートを再びTBSTでさらに3回すすいだ後、0.2ml/ウェルのSIGMAFAST(商標)o−フェニレンジアミン二塩酸塩(OPD)(Sigma)と共に室温で30分間インキュベートした。0.05ml/ウェルの1MのHClを添加して、反応を終了させ、試料の吸光度を、プレートリーダーを備えた分光光度計で492nmで測定した。
実施例18:栄養性ポリペプチドの治療用液体配合物
栄養性ポリペプチド配列を、様々な液体配合物で治療目的のため投与した。たとえば、利用される配合物は、タンパク質の濃度、溶液のpH、微粒子、ミネラル、味物質、および/または賦形剤の添加剤の有無により異なる。治療用液体配合物では、タンパク質の濃度は、溶液中0.1重量%〜60重量%の範囲である。特定の例では、より低い濃度が好ましい。たとえば、SEQID−00105は、10%もの低い量で投与されている。場合によっては、高い濃度が好ましい。たとえば、SEQID−00105およびSEQID−00363は、35%の溶液として投与された。場合によっては、栄養性ポリペプチド配列は、その最大溶解度で投与され、これは、タンパク質により変動し、概して0.1重量%〜60重量%の範囲にある。SEQID−00105およびSEQID−00363は、50重量%の溶液中で可溶性の液体であることが示された。治療用液体配合物では、溶液のpHは、概して2〜11の範囲にある。タンパク質の溶解度は、溶液のpHの強力な関数であることが知られている(C. Tanford, Physical Chemistry of Macromolecules, p. 242, Wiley, New York, 1961.)。多くの場合、栄養性ポリペプチド配列は、その等電点(pI)で少なくとも可溶性であり、よって、溶液のpHはしばしば栄養性ポリペプチド配列のpIより上またはpIより下となるように調節される。このpHの調節により、タンパク質の溶解度を制御することができる。たとえば、SEQID−00105およびSEQID−00363は、4付近の等電点を有する。これらの栄養性ポリペプチド配列は、pH8〜9で意図的に配合されており、これはpIより上であろう。たとえば、SEQID−00587は、9.7のpIを有し、pHがそのpIより低くなるように、pH7で意図的に配合された。そのpIで可溶性である栄養性ポリペプチドは、液体配合物が溶液のpHを維持するためにさらなる種類の緩衝剤を必要とすることのないように、そのpIで配合することができる。この場合、タンパク質自体は、自身のアミノ酸がプロトン化し、脱保護されるため、溶液のpHを緩衝するように作用する。タンパク質のpIで配合したタンパク質溶液は、酸または塩基を添加した場合のpHの変化に対して抵抗性を示し、このことは、実際に溶液がタンパク質自体により緩衝されていることを示している。いくつかの治療上の液体配合物では、栄養性ポリペプチドは微粒子物質を含む。微粒子物質は肉眼で確認できる、および/または肉眼では見ることのできない微粒子(例は可溶性凝集物)を含む。微粒子物質は、生成物に関連しており、および/または外来性である。微粒子物質は、懸濁して、スラリーとして存在し、および/または溶液の底部に沈殿する。一部の実施形態では、微粒子物質は、胃の中で消化されないか、またはゆっくりと消化可能であるため、腸へ栄養性ポリペプチドを送達するキャリアーとして作用することから、望ましい。一部の実施形態では、微粒子物質は、その溶解度の限界を超えて栄養性ポリペプチドを投与することができるため、液体配合物において望ましい。SEQID−00105の場合、目に見える微粒子物質は存在しない。SEQID−00424は、懸濁した微粒子物質と共に投与された。
治療用液体配合物では、栄養性ポリペプチド配列は、典型的に、配合物に溶解した1つまたは複数の賦形剤と共に配合される。各賦形剤は、特定の目的のため含まれている。緩衝剤(たとえばトリス、リン酸塩、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、酢酸塩、クエン酸塩、アルギニン)は、溶液のpHを制御するために添加される。糖は、凝集および溶解度を制御するために添加される(例:トレハロース、グルコース、スクロース、およびマンニトール)。洗浄剤は、溶解度および凝集を制御するために添加される(たとえばtween、トリトン、CHAPS、およびデオキシコール酸塩)を制御するために添加される。ポリアルコールは、溶解度および凝集を制御するために添加される(グリセロール、PEG)。カオトロープは、タンパク質の溶解度を上げるために添加される(たとえばチオシアン酸塩および尿素)。抗酸化剤は、タンパク質の酸化を防止するために添加される(たとえばアスコルビン酸およびメチオニン)。塩は、タンパク質の溶解度を上げるために添加され、および/または望ましい浸透圧を得るために添加される(たとえば塩化ナトリウム)。SEQID−00105、SEQID−00363、SEQID−00426を、リン酸ナトリウムおよび塩化ナトリウム中で配合し、経口投与した。SEQID−00587およびSEQID−00559を、炭酸水素アンモニウム中で配合し、経口投与した。SEQID−00240を炭酸ナトリウム中で配合し、経口投与した。味物質は、結果を成功させつつユーザーの味覚経験を改善するために栄養性ポリペプチドに添加され、好結果をもたらした。バニラ抽出物を、Tangら(Tang JE, Moore DR, Kujbida GW, Tarnopolsky MA, Phillips SM. J Appl Physiol (1985). 2009 Sep;107(3):987−92)に従って、スクラロースと共に添加した。風味の改善という質利益は、ユーザーの「非常に好ましい」という表現によって証明された。
2つの表E18Aおよび表E18Bは、ヒトおよびラットへの栄養性ポリペプチドの多くの投与をまとめている。
実施例19:栄養性ポリペプチドの治療用配合物
可溶性の均質な液体配合物の代わりに、栄養性ポリペプチドを代替的に調製できる。この例として、スラリー、ゲル、錠剤、および食品の成分などの代替的な栄養性ポリペプチド配合物が挙げられる。
スラリー配合物
スラリーは、可溶性物質と、溶液中の微細な顆粒として一般的に現れる不溶性物質の両方を含む半液体混合物である。栄養性ポリペプチドのスラリーは、栄養性ポリペプチドがその最大溶解度を超えて濃縮される場合、または栄養性ポリペプチドの凍結乾燥またはフリーズドライ調製物がその最大溶解度を超えて懸濁される場合に調製される。任意に、ダイズのレシチンなどの乳化剤を、0.1〜1%の濃度で添加すると、スラリーの均質性を安定化する(van Nieuwenhuyzen et al., 1999 Eur. Journal of Lipid Sci. and Tech.)
ゲル配合物
あるいは、栄養性ポリペプチドは、ゲルとして配合される。ゲルは、一般的に分子架橋を介して形成される固体のゼリー状の配合物である。栄養性ポリペプチドは、トランスグルタミナーゼ(EC Number 2.3.2.13)による処置を通してゲルとして配合される。トランスグルタミナーゼは、グルタミン残基と結合したペプチドのg−カルボキシアミド基と、リジン残基と結合した栄養性ポリペプチドのe−アミノ基とのあいだの栄養性ポリペプチドの架橋を触媒できる。g−グルタミル‐e−リジンの形成は、溶液中のタンパク質を架橋し、よって、ゲルの形成を促進する。
ヒトのトランスグルタミナーゼは、0.3〜3μMの範囲のカルシウムのKdを有する、カルシウム(Ca2+)依存性酵素である(Ahvazi et al., 2003 Journal of Biological Chemistry)。栄養性ポリペプチドの調製におけるカルシウムの沈殿作用により、カルシウム非依存的に作用するトランスグルタミナーゼの微生物(Streptomyces mobaraensis)オルソログが同定されている(Ando et al, 1989 Agric Biol Chem)。栄養性ポリペプチドのゼラチン様調製物を調製するために、栄養性ポリペプチドを、中性pHで250g/lで可溶性に配合する。トランスグルタミナーゼを、栄養性ポリペプチド1gあたり10EUで調製物に添加して、適切なゲル形成が起こるまで35℃で反応させる(Chen et al., 2003 Biomaterials)。
錠剤の配合物
栄養性ポリペプチドの固体の錠剤の調製を、Sakarkar et al. 2009 (International Journal of Applied Pharmaceutics)に従って行う。錠剤は、栄養性ポリペプチド、賦形剤、および結合剤の混合物として配合される。錠剤は、50重量%の栄養性ポリペプチド、26重量%の結晶セルロース、7.5重量%の炭酸水素ナトリウム‐クエン酸混合物(70:30)、6.5重量%のラクトース、5.5重量%のステアリン酸マグネシウムから構成され、イソプロパノール中の4.5重量%のポリビニルピロリドン溶液により結合される。錠剤は、除湿され、顆粒化された後、100mgの錠剤に圧縮される。錠剤は、ジクロロメタンおよび可塑剤としてのフタル酸ジエチル中の12.5重量%のエチルセルロース溶液でコーティングされる。
吸入可能な乾燥粉末
栄養性ポリペプチドは、Lucas et al., 1998 Pharm Resに記載されるように吸入可能な乾燥粉末として投与されるように配合される。栄養性タンパク質を、モデルタンパク質粒子を生成するために噴霧乾燥によりマルトデキストリンと同時処理する。次に、αラクトース一水和物(63〜90μm)、または2.5〜10重量%の微粒子ラクトース(FPL)もしくは微粒子化したポリエチレングリコール6000を含む修飾型ラクトースと、タンパク質の粉末を転がすように混合して調製する。次に粉体の混合物を、粒径の分布、形態、および粉体流の観点から特徴付ける。
従来の食物配合物
栄養性ポリペプチドを、食物成分として、乾燥した固体配合物として配合する。たとえば、栄養性ポリペプチドを、乾燥した栄養性ポリペプチド配合物を、水、デュラム・セモリナ、アラビアガム、モノおよびジグリセリド、繊維、酵母、およびクエン酸と混合することによりパスタ生地に組み込まれる。生地を切断して、成形、乾燥、および包装する。
実施例20:GLP−1産生のためのアミノ酸および栄養性ポリペプチドのIn vitroスクリーニング
グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)は、複数の栄養素の刺激に応答した腸のL細胞により産生されるペプチドホルモンである。GLP−1は、膵臓からのインスリン放出を増加させることにより血糖値を減少させるインクレチンである。GLP−1は、他の抹消組織に作用して、骨格筋および脂肪組織でのグルコースの取り込みおよび貯蔵を増加させ、胃内容排出速度を減少させ、肝臓のグルコース産生を減少させる(Baggio LL & DJ Drucker. 2007. Biology of incretins: GLP−1 and GIP. Gastroenterology. 132:2131−2157)。GLP−1は、プログルカゴンの翻訳後の切断の産物で、これにより活性GLP−1(7−36)を生成する。これは、分泌後にジペプチジルペプチダーゼIV(DPPIV)によって急速に分解されて、GLP−1(9−36)となる。
いくつかの哺乳動物の消化管の細胞株が、GLP−1のL細胞分泌モデルとして使用されている(ラット由来のIEC−6、ヒト由来のNCI−H716およびFHs74Int、ならびにマウス由来のSTC−1およびGLUTag)。これらの実験の目的は、アミノ酸の組み合わせ、栄養性タンパク質の消化、および/または完全長の栄養性タンパク質のいずれが、in vitroでGLP−1の分泌を誘導するかを決定することである。
NCI−H716細胞株は、ATCC(American Type Culture Collection)(カタログ番号 ATCC(登録商標)CCL−251(商標)、バージニア州マナサス)から入手する。RPMI−1640 ダルベッコ変法イーグル培地 (DMEM)およびダルベッコリン酸緩衝食塩水(DPBS)を、Life Technologies(カタログ番号:それぞれ11875、11965、および14190;カリフォルニア州カールスバッド)から入手する。ペニシリン‐ストレプトマイシン溶液を、ATCC(カタログ番号 30−2300、バージニア州マナサス)から入手する。抗生物質−抗真菌剤溶液(100×)を、Sigma−Aldrich(カタログ番号 A5955、ミズーリ州セントルイス)から入手する。ウシ胎児血清を、GE Healthcare(カタログ番号 SH3007103HI, マサチューセッツ州ウィルミントン)から入手する。ウシ血清アルブミンを、Fisher Scientific(カタログ番号 BP1600−100、ペンシルバニア州ピッツバーグ)から入手する。脂肪酸フリーウシ血清アルブミンを、Sigma−Aldrich(カタログ番号 A7030、ミズーリ州セントルイス)から入手する。プロテアーゼ阻害剤であるフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)を、Thermo Scientific(カタログ番号 36978、マサチューセッツ州ウォルサム)から入手し、DPPIV阻害剤であるジプロチンAを、Sigma−Aldrich(カタログ番号 I9759、ミズーリ州セントルイス)から入手する。組織からのタンパク質抽出試薬(Tissue Protein Extraction Reagent)(T−PER)を、Thermo Scientific(カタログ番号 78510、マサチューセッツ州ウォルサム)から入手する。活性GLP−1の濃度を、AlphaLISA GLP−1(7−36 アミド)イムノアッセイ研究キット(カタログ番号 AL215, PerkinElmer、マサチューセッツ州ウォルサム)を使用して決定し、EnSpire Alphaプレートリーダー(PerkinElmer、マサチューセッツ州ウォルサム)上で読み取る。データを、Microsoft Excel version 14.0.7128.5000(Microsoft Corporation、ワシントン州レドモンド)およびウィンドウズのGraphPad Prism バージョン6.03(GraphPad Software、カリフォルニア州ラホヤ)を使用して解析する。クレブス・リンゲルバッファー(KRB)を調製し、AlphaLISA GLP−1(7−36 アミド)イムノアッセイ研究キットを、PerkinElmer(カタログ番号 AL215、マサチューセッツ州ウォルサム)から入手する。
96ウェルプレートを、MatriGelでプレコーティングする。MatriGel80μlを、グルコースを含まないダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)5mlに添加する。ウェルあたり50μlを添加し、プレートを、37℃、5%のCO2で30分間インキュベートする。MatriGel溶液を吸引後、細胞を添加する。
NCI−H716細胞を、10%のウシ胎児血清(FBS)および1%の抗生物質‐抗真菌剤溶液を補充したRPMI1640培地中で維持し、T−75組織培養フラスコ中37℃、5%CO2でインキュベートする。細胞を、2〜3日ごとに、1:3または1:6に継代する。
細胞を、0.25%のトリプシン‐EDTAと共に37℃、5%のCO2でインキュベートして剥離させ、750rpmで10分間遠心沈降させて細胞をペレット状にする。細胞のペレットを、1%のFBSを補充した1×ダルベッコリン酸緩衝食塩水(DPBS)で2回洗浄し、750rpmで10分間遠心沈降させて細胞をペレット状にする。細胞を、10%のFBSおよび1%のペニシリン/ストレプトマイシンを補充したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)に再度懸濁し、血球計算盤で計数する。細胞を、1.8×106個/mlに希釈し、Matri−Gelでプレコーティングした96ウェルプレートの各ウェルに200μLを添加する。細胞を、37℃、5%のCO2で2日間インキュベートする。
NCI−H716細胞でのアミノ酸処置に対するGLP−1の分泌のスクリーニング
2日間のインキュベーションの後、培地を吸引し、スタベーションバッファー(すなわち、50μg/mlのPMSF、34μg/mlのジプロチンA、および0.2%の脂肪酸フリーウシ血清アルブミン(BSA)を含むクレブス・リンゲルバッファー)200μlと交換し、37℃、5%のCOで30分間インキュベートした。次にスタベーションバッファーを吸引し、スタベーションバッファー中の処置物品100μl/ウェルと交換した、細胞を、処置物質で2時間刺激し、次に培地を除去し、−80℃で凍結した。処置物質は、個々のアミノ酸、アミノ酸混合物、栄養性タンパク質の消化物、および/または完全長の栄養性タンパク質を含む。
上清からの活性GLP−の濃度の決定
上清を、製造社の指示に従ってAlphaLISA GLP−1(7−36 アミド)イムノアッセイ研究キット(PerkinElmer, AL215)を使用してGLP−1(7−36)NH2の活性型に関してアッセイする。標準物質を、スタベーションバッファーの等濃度に補充したアッセイバッファーでアッセイする。あるいは、GLP−1の活性型を、本明細書中に記載されるように、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を使用して測定する。AlphaLISA GLP−1(7−36 アミド)イムノアッセイまたはGLP−1 ELISAからの発光データを、マイクロソフトのエクセルおよびグラフパッドプリズムで解析する。
2回の反復実験試料の濃度を、グラフパッドプリズム6において活性GLP−1の濃度のx=log(x)変換後の標準物質の4パラメータロジスティックモデルを使用して非線形回帰により決定する。ANOVAおよび多重比較検定を、グラフパッドプリズム6で行う。
ビヒクル対照の処置の後に回収した試料に対して試験物質の処置後に回収した試料からのGLP−1含有量を比較すると、試験物質によるGLP−1の経時的な分泌の度合いを説明する。処置全体でこの差を比較すると、各アミノ酸、アミノ酸混合物、栄養性タンパク質の消化物、および栄養性タンパク質の処置が他と比較して異なる効果を有することを説明し、かつこれらの有効性をランク付けする手段を提供する。
アミノ酸によるGLP−1の分泌
本明細書中に記載されるように細胞を、アミノ酸を欠乏させ、DME/F12培地中でそれらの濃度で2時間、刺激バッファー単独、19種のアミノ酸、17種のアミノ酸(ロイシン、イソロイシン、またはバリンを含まない)、20種のアミノ酸、またはロイシン単独で刺激した(表E20C参照)。上清を収集し、−80℃で凍結した。GLP−1(7−36)アミドの濃度を次にアッセイした。図6は、刺激後の上清で検出したGLP−1(7−36)の上清中濃度を示す。エラーバーは、技術的反復実験の標準偏差である。14個の組成物は、高いほうのバッファーのみの刺激で観察されたものよりも10%超GLP−1の濃度を増加させた(これらは、Asn、Met、Gln、Tyr、His、Gly、Cys、Phe、Trp、Ala、Glu、Leu、Ile、およびValを欠いている)。2つの組成物、すなわちArgおよびLeuのみを欠いたアミノ酸の処置は、低いほうのバッファーのみの刺激よりも10%より低くGLP−1(7−36)の濃度を減少させたことが示された。
実施例21:健康な絶食ラットの血糖制御を改善するための栄養性ポリペプチドの使用
耐糖能試験は、臨床状況および前臨床状況の両方での血糖制御を測定する一般的な方法である。試験において、大量のグルコースを投与して、血液試料をその後の時点で採取して、血糖値がそれほど速やかに正常化するかを決定する。経口耐糖能試験(OGTT)では、ある用量のグルコースを口から摂取する。このような試験は、グルコース制御が不良な個体を同定するために臨床で用いられ(Cobelli et al., 2014)、抗糖尿病薬の治療上的有効性を評価するために前臨床で(Wagman & Nuss, 2001)(Moller, 2001)使用される。グルコースレベルを直接および間接的に調節する、インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)、およびグルカゴン様ペプチド1(GLP−1)を含む多くの異なる消化管ホルモンにより、グルコースレベルが調節される。グルコースおよび消化管ホルモンの測定の組み合わを使用して、グルコースの不耐性、インスリン抵抗性、および代謝性疾患の重症度を評価する(Ferrannini & Mari, 2014)。
OGTTを、頸静脈留置カテーテル(JVC)を用いて25匹の健康な絶食したオスのスプラーグドーリーラットで実施して、血糖制御ならびにインスリンおよびGLP−1のレベルに及ぼす栄養性ポリペプチド投与の短期的作用を評価した。
経口耐糖能試験
すべての齧歯類は、約10〜12週齢、約350gの平均重量であり、試験の前に4日間環境に馴化させた。動物を、寝床に個別に収容し、通常の齧歯類飼料(Lab Diet 5001)を試験の前に与えた。ケージの温度を22±2℃に、湿度は50±20%に保ち、12時間/12時間の明暗サイクルで実施した。空気の循環を、100%の新鮮な空気による1時間あたり10回以上の換気により行った。処置の前に、すべてのラットを、14時間にわたり一晩絶食させた。絶食した動物を、水に溶解した栄養性ポリペプチドの配合物の強制経口投与で処置し(表E21A参照)、次に処置投与から15分後に、グルコース(2g/kg)を、強制経口投与によりチャレンジした。血中グルコースを測定し、血液を7つの時点(グルコースの試験に対して−15分、0分、15分、30分、60分、90分、120分)で採取した。血液を、血漿安定化剤(stablizer)(DPP4阻害剤およびプロテアーゼカクテル阻害剤)を含むEDTA採血管に採取した。解析の標準物質のための未処置の血液を提供するために、1匹の追加のラットを屠殺して出血させた。グルコースを、血糖測定器(AlphaTrak 2, Abbott)を使用してJVCにより採取した血液の少量の液滴を使用して測定した。
約300μlの血液を、6つの時点(−15分、0分、15分、30分、および120分)で、1〜4群の全てのラットのJVCから採取した。グルコースの強制経口投与および採血は、試料採取時間が各動物に対して正確となるように動物あたり同じ量の時間を要するように時間を設定した。すべての時点で、目標時間の5%以内に採取した。採取前に1:100で試験管に添加したプロテアーゼ阻害剤カクテル(カタログ番号 D8340, Sigma−Aldrich、ミズーリ州セントルイス)およびDPPIV阻害剤(Millipore, Billerica、マサチューセッツ州ビレリカ)を含む、予め冷却した(0〜4℃)K2EDTA採血管に血液を採取した。採血の後、血液試料を、冷却して維持し(2〜6℃)、30分間遠心分離した。回収した血漿を、試料チューブに入れて、直ちに−80℃に保存した。
イムノアッセイ解析の前に、試料を1時間氷中で解凍し、ピペットにより十分に混合し、96ウェルマイクロプレートに再度配置した。別々のアリコートを、インスリンイムノアッセイおよびGLP−1イムノアッセイのために調製した。マスタープレートおよびアリコートを、−80℃で凍結保存した。
図7は、本明細書中に記載されるOGTTのあいだの平均血糖値を示す。示されるエラーバーは、平均値の標準誤差である。すべての群は、グルコースチャレンジ後t=15およびt=30分の時点で、絶食時から血糖の顕著な差異を示した(p<0.05、ダネットの多重比較検定)。SEQID−00105およびSEQID−00338を投与した群は、グルコースチャレンジからt=15およびt=30の時点でビヒクルと比較して顕著な血糖の差を示した(p<0.05、テューキー=クレーマーの多重比較検定、各時点で互いに処置群を比較する)。これらのデータから、SEQID−00105およびSEQID−00338の短期摂取は、非近交系のオスのスプラーグドーリーラットでのグルコースチャレンジの後、血糖の制御を著しく改善できることが示唆される。
血糖の曲線下の面積を、マイクロソフトのエクセルでの線形‐対数トラぺゾイダル法を使用して計算し、統計解析を、グラフパッドプリズム6で解析した。
0〜120分および0〜60分(図8)から積分した血糖の曲線下面積から、SEQID−00105およびSEQID−00338の短期投与が、経口耐糖能試験の状況で血糖変動を低下させることにより血糖の制御を改善することが示される。0〜60分で、SEQID−00105およびSEQID−00338は、ビヒクルと比較して有意に小さな血糖の変化を有する(p<0.05、ダネットの多重比較検定)。
ラットのインスリンの酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)
Ultra−Sensitive Rat Insulin ELISAキットを、Crystal Chem, Inc.(カタログ番号 90060, イリノイ州ダウナーズグローヴ)から入手した。プレートを、BioTek ELx50マイクロプレートストリップウォッシャー(BioTek、バーモンド州ウィヌースキー)を使用して洗浄した。吸光度を、Synergy Mxモノクロメーターベースのマイクロプレートリーダー(BioTek、バーモンド州ウィヌースキー)で読み取った。データを、マイクロソフトのエクセル バージョン14.0.7128.5000(Microsoft Corporation、ワシントン州レドモンド)およびウィンドウズのグラフパッドプリズム バージョン6.03(GraphPad Software、カリフォルニア州ラホヤ)を使用して解析した。
ELISAキットを30分間室温まであらかじめ温めた後、アッセイのセットアップを開始した。検量線の希釈物を、Wide Rangeフォーマットでアッセイを行うために製造社の指示に従って調製した。
未処置の群由来および試料の血漿由来の血漿マトリックスを氷中で融解し、次に約1000×rcfで10分間、4℃で遠心分離してなんらかの不溶性材料を沈降させた。
インスリン標準物質を試験するためのマトリックスアッセイバッファーを、未処置群由来の血漿マトリックスを使用して、95μl中で5.26%の濃度となるように調製した。アッセイバッファー95μLをすべての試料ウェルに添加し、マトリックスアッセイバッファー95μLをすべての標準物質ウェルに添加した、各試料および標準物質5μLを2回の反復実験で添加した。プレートを、4℃で2時間インキュベートした。次にプレートを、300μl/ウェルの1×洗浄バッファーで5回洗浄した。プレートを、ペーパータオル上に数回素早くたたいて、残りの洗浄バッファーを除去した。
抗インスリン酵素コンジュゲート作業溶液を、1容量の酵素コンジュゲート希釈液と2容量の抗インスリン酵素コンジュゲート保存液を組み合わせ、かつ上下にピペッティングし、ボルテックスミキサーで軽く撹拌して混合することにより調製した。100μL/ウェルの抗インスリン酵素コンジュゲート作業溶液をすべてのウェルに添加した。このプレートを密封し、室温で30分間インキュベートし、次に、300μL/ウェルの1×洗浄バッファーで7回洗浄した。プレートを、ペーパータオル上に数回素早くたたいて、残りのウォッシュバッファーを除去した。次に、100μL/ウェルの酵素基質溶液を各ウェルに添加し、室温の暗所で40分間インキュベートした。100μL/ウェルのストップ溶液をすべてのウェルに添加した。
吸光度を、450nmおよび630nmでシナジー Mxプレートリーダーで読み取った。入手した最終的な値は、A450nm−A630nmの値であった。
インスリンの検量線を、エクセルにおいて、標準物質ウェルのA450nm−A630nmの値のそれぞれから0ng/mlのインスリン標準物質の平均値を減算することによりインスリンのマトリックス濃度に関して補正した。2回の反復実験の試料濃度を、グラフパットプリズム6において、インスリン濃度のx=log(x)変換後に、バックウラウンド補正標準物質の4パラメータロジスティックモデルを使用して、非線形回帰により決定した。ANOVAおよび多重比較検定を、グラフパッドプリズム6で行った。曲線下面積を、マイクロソフトのエクセルでの線形‐対数トラペゾイダル法を使用して積分し、事後検定をグラフパッドで行った。
図9は、実験全体を通しての、処置群あたりn=6のラットの平均血漿中インスリン濃度を示す。エラーバーは、平均値の標準誤差を示す。すべての処置群は、グルコースチャレンジ後15分、30分、および60分で、処置またはビヒクルの強制経口投与と比較して血漿中インスリンが統計的に有意に増加した(ダネットの多重比較検定)。SEQID−00105では唯一、処置の強制経口投与時の血漿インスリンと比較して、グルコースチャレンジの時点(0)で血漿中インスリン濃度が統計的に有意に増加した(P<0.0001、ダネットの多重比較検定)。SEQID−00105およびSEQID−00337は、グルコースチャレンジ後120分で、統計的に有意に高い多くのインスリン濃度を有した(それぞれp<0.05およびP<0.01。ダネットの多重比較検定)。
ビヒクルとの比較では、SEQID−00105のみが、グルコースチャレンジ時の血漿中インスリン濃度の統計的に有意な多くの増加を示した(P<0.001、ダネットの多重比較検定)。
これらのデータから、SEQID−00105の短期摂取は、非近交系の雄性スプラーグドーリーラットにおいて摂取から15分以内にインスリンの放出を刺激できることが示された。
図10は、すべての処置群に関して0〜240分および0〜60分で積分した曲線下面積を示す。ビヒクルより統計的に有意に高い処置群はなかった。
総GLP−1の酵素免疫結合吸着測定法(ELISA)
ラットのGLP−1ELISAキットを、Crystal Chem, Inc.(カタログ番号 81507、イリノイ州ダウナーズグローヴ)から入手した。プレートを、BioTek ELx50 microplate strip washer(BioTek、バーモンド州ウィヌースキー)を使用して洗浄した。吸光度を、Synergy Mxモノクロメーターベースのマイクロプレートリーダー(BioTek、バーモンド州ウィヌースキー)上で読み取った。データを、マイクロソフトのエクセル バージョン14.0.7128.5000(Microsoft Corporation、ワシントン州レドモンド)およびウィンドウズのグラフパッドプリズム バージョン6.03(GraphPad Software、カリフォルニア州ラホヤ)を使用して解析した。
ELISAキットを30分間室温で予め温めた後、アッセイのセットアップを開示した。検量線の希釈液を、製造社の指示に従って調製した。
グループ5および試料の血漿からの血漿マトリックスを氷中で融解し、次に4℃で10分間約1000×rcfで遠心分離して、任意の不溶性材料を沈降させた。
GLP−1の標準物質を試験するためのマトリックスアッセイバッファーを、未処置群由来の血漿マトリックスを使用して、100μL中で25%の濃度に調製した。ELISAのマイクロプレートを、350μl/ウェルの1×洗浄バッファーを使用して3回洗浄し、ペーパータオル上ですばやくたたいて、残りの洗浄バッファーを除去した。100μLのアッセイバッファーをすべての試料ウェルに添加し、100μLのマトリックスアッセイバッファーをすべての標準物質のウェルに添加した。各試料および標準物質25μlを2回の反復実験で添加した。ウェルをピペッティングにより混合した。プレートを、接着ホイルで被覆し、100rpmの水平プレート振盪機上で、室温で18時間インキュベートした。次にプレートを、350μL/ウェルの1×洗浄バッファーで3回洗浄し、次に、ペーパータオル上で数回すばやくたたいて残りの洗浄バッファーを除去した。100μL/ウェルのビオチン標識抗体溶液をすべてのウェルに添加した。次に、プレートを密封し、100rpmの水平のプレート振盪機上で、1時間室温でインキュベートした。次に、プレートを、350μL/ウェルの1×洗浄バッファーで3回洗浄し、次に、ペーパータオル上ですばやくたたいて残りの洗浄バッファーを除去した。100μL/ウェルのSA−HRP溶液をすべてのウェルに添加した。次にプレートを密封し、100rpmの水平のプレート振盪機上で、室温で30分間インキュベートした。次にプレートを、350μl/ウェルの1×洗浄バッファーで3回洗浄し、次にペーパータオル上ですばやくたたいて残りの洗浄バッファーを除去した。100μL/ウェルの酵素基質溶液をすべてのウェルに添加した。次に、プレートを密封し、振盪することなく、室温で、30分間暗所でインキュベートした。基質のインキュベートの後、100μLの反応停止溶液をすべてのウェルに添加した。
吸光度の値を、Synergy Mxプレートリーダー上450nmおよび630nmで読み取った。入手した最終的な値は、A450nm−A630nmの値であった。
検量線を、エクセルにおいて標準物質のウェルのA450nm−A630nmの値のそれぞれから、0pMのGLP−1標準物質の平均値を減算することにより総GLP−1のマトリックス濃度について補正した。2回の反復実験試料の濃度を、GLP−1濃度のx=log(x)変換後のバックグラウンド補正標準物質の4パラメータロジスティックモデルを使用して非線形回帰により決定した。ANOVAおよび多重比較検定を、グラフパッドプリズム6を使用して行った。曲線下面積を、マイクロソフトのエクセル上での線形‐対数トラペゾイダル法を使用して積分し、事後検定をグラフパッドで行った。
図11は、実験の過程全体での、処置群あたりn=6のラットの平均血漿中GLP−1の濃度を示す。示されるエラーバーは、ここでは平均値の標準誤差に対応する。SEQID−00338処置群は、グルコースチャレンジの時点で、ビヒクルより統計的に有意に高いGLP−1濃度を示す(p<0.0005、ダネットの多重比較検定)。
実施例22:Zucker Fatty(fa/fa)ラットの血糖制御を改善するための栄養性ポリペプチドの使用
OGTTを、留置頸静脈カテーテル(JVC)を用いて、18匹の絶食した雄性Zucker Fattyラットで実施して、血糖制御ならびにインスリンおよびGLP−1のレベルに及ぼす栄養性ポリペプチド投与の短期的な効果を評価した。
経口耐糖能試験
すべての齧歯類は、約10〜11週齢、平均体重約450gであり、試験前に4日間環境に馴化させた。動物を、寝床に1匹ずつ収容し、通常の齧歯類固形飼料(Lab Diet 5001)を試験前に与えた。ケージの温度を22±2℃、湿度を50±20%に保ち、12時間/12時間の明暗サイクルを実施した。空気の循環は、100%の新鮮な空気による1時間あたり10回以上の換気により行った。処置前に、すべてのラットを、14時間にわたって一晩絶食させた。絶食させた動物を、水に溶解した栄養性ポリペプチド配合物の強制経口投与によって処置し(表E22A参照)、次に、処置投与から15分後に、グルコースの強制経口投与(5g/kg)をチャレンジした。血糖を測定し、血液を7つの時点(グルコースチャレンジと比較して−15分、0分、15分、30分、60分、90分、120分)で採取した。血液は、血漿安定化剤(DPP4阻害剤およびプロテアーゼカクテル阻害剤)を含むEDTA採血管に採取した。。解析の標準物質のために未処置の血液を提供するために、1匹の追加的なラットを屠殺して出血させた。グルコースを、血糖測定器(AlphaTrak 2, Abbott)を使用してJVCにより採取した少量の血液の液滴を使用して測定した。
約300μLの血液を、6つの時点(−15分、0分、15分、60分、90分、および120分)で1〜3群のすべてのラットのJVCから採取した。グルコースの強制経口投与および採血は、試料採取時間が各動物に対して正確となるように、動物あたり同じ量の時間を要するように時間を設定した。すべての時点で、目標時間の5%以内に採取した。血液を、採取前に1:100でチューブに添加したプロテアーゼ阻害剤カクテル(カタログ番号 D8340, Sigma−Aldrich、ミズーリ州セントルイス)およびDPPIV阻害剤(Millipore, Billerica、マサチューセッツ州ビレリカ)を含む予め冷却した(0〜4℃)のK2EDTA採血管に採取した。血液を採取した後、血液試料を、冷却して維持し(2〜6℃)、30分以内に遠心分離した。回収した血漿を、試料チューブに入れ、直ちに−80℃に保存した。
イムノアッセイの解析の前に、試料を氷中で1時間融解し、ピペットにより全体を混合し、96ウェルマイクロプレートに再度配置した。別々のアリコートを、インスリンイムノアッセイおよびGLP−1イムノアッセイのために調製した。マスタープレートおよびアリコートを、−80℃で凍結保存した。
図12は、本明細書中に記載されるOGTTの際の平均血糖値を示す。示されるエラーバーは、平均値の標準誤差である。
積分された曲線下面積(AUC)を、線形‐対数トラペゾイダル法を使用してマイクロソフトのエクセルで計算し、統計的な検定を、グラフパッドプリズム6.03で行った。
図13は、各処置群に関して、グルコースチャレンジ(0分)〜60分、および0分〜120分のあいだで積分したAUCを示す。0〜60分のあいだでビヒクルと統計学的有意差を示した処置はなかった。0〜120分では、SEQID−00105は、ビヒクルと比較して積分した曲線下面積の統計学的に有意な減少を示すが、SEQID−00338は示さない(p<0.005、ダネットの多重比較検定)。これらのデータから、SEQID−00105の短期投与は、Zucker Fatty(fa/fa)モデルの齧歯類モデルでの経口グルコースチャレンジによるグルコースの変動を低減できることが示される。
ラットのインスリンの酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)
Ultra−Sensitive Rat Insulin ELISAキットを、Crystal Chem, Inc.(カタログ番号 90060, イリノイ州ダウナーズグローヴ)から入手した、プレートを、BioTek ELx50マイクロプレートストリップウォッシャー(BioTek、バーモンド州ウィヌースキー)を使用して洗浄した。吸光度を、Synergy Mxモノクロメーターベースのマイクロプレートリーダー(BioTek、バーモンド州ウィヌースキー)で読み取った。データを、マイクロソフトのエクセル バージョン14.0.7128.5000(Microsoft Corporation、ワシントン州レドモンド)およびウィンドウズのグラフパッドプリズム バージョン6.03(GraphPad Software、カリフォルニア州ラホヤ)を使用して解析した。
ELISAキットを30分間室温に予め温めた後、アッセイのセットアップを開始した。検量線の希釈液を、ワイドレンジフォーマットでアッセイを行うために製造社の指示に従って調製した。
未処置の群および試料の血漿由来の血漿マトリックスを、氷中で融解し、約1000×rcfで10分間、4℃で遠心分離して、なんらかの不溶性材料を沈降させた。
インスリン標準物質を試験するためのマトリックスアッセイバッファーを、未処置の群由来の血漿マトリックスを使用して、95μL中で5.26%の濃度に調製した。アッセイバッファー95μLを、すべての試料ウェルに添加し、マトリックスアッセイバッファー95μLをすべての標準物質ウェルに添加した。各試料および標準物質5μLを、2回の反復実験で添加した。プレートを、4℃で2時間インキュベートした。次に、プレートを、300μL/ウェルの1×洗浄バッファーで5回洗浄した。プレートを、ペーパータオルで数回すばやくたたいて残りの洗浄バッファーを除去した。
抗インスリン酵素コンジュゲート作業溶液を、1容量の酵素コンジュゲート希釈液と2容量の抗インスリン酵素コンジュゲートス保存液を組み合わせ、上下にピペッティングし、ボルテックスミキサーで軽く撹拌して混合することにより調製した。抗インスリン酵素コンジュゲート作業溶液100μL/ウェルを、すべてのウェルに添加した。プレートを密封し、室温で30分間インキュベートし、次に、300μL/ウェルの1×洗浄バッファーで7回洗浄した。プレートをペーパータオルで数回すばやくたたいて残りの洗浄バッファーを除去した。次に、100μL/ウェルの酵素基質溶液を各ウェルに添加し、室温の暗所で40分間インキュベートした。100μL/ウェルの反応停止溶液を、全てのウェルに添加した。
吸光度を、450nmおよび630nmで、Synergy Mxプレートリーダー上で読み取った。得られた最終的な値は、A450nm−A630nmの値であった。値が検量線を超える試料を、2.5%のマトリックス標準物質に対して1:1の希釈で再試験した。
インスリンの検量線を、エクセルにおいて標準物質のウェルのA450nm−A630nmのそれぞれから0ng/mLのインスリン標準物質の平均値を減算することにより、インスリンのマトリックス濃度に関して補正した。2回の反復実験の試料濃度を、グラフパッドプリズム6において、インスリン濃度のx=log(x)変換後のバックグラウンド補正標準物質の4パラメータロジスティックモデルを使用して非線形回帰により決定した。ANOVAおよび多重比較検定を、グラフパッドプリズム6で行った。曲線下面積を、マイクロソフトのエクセル上での線形‐対数トラペゾイダル法を使用して積分し、事後検定をグラフパッドで行った。
図14は、実験の過程全体での、ビヒクルおよびSEQID−00105の処置群あたりn=6のラット、およびSEQID−00338の場合では処置群あたりn=5のラットに関する平均血漿中インスリン濃度を示す。ダネットの多重比較検定と共に一元配置ANOVAを使用して、時点0での各処置のあいだでおよび同じ時点での処置とビヒクルのあいだで比較した。ビヒクルは、ビヒクルの強制経口投与の時点と比較して、血漿中インスリンに統計学的に有意な変化を示さなかった。SEQID−00105は、グルコースチャレンジの時点(時点0)、ならびにグルコースチャレンジ後15分および90分で、処置の強制経口投与(時点−15)の時点と比較して、統計学的に有意に高い血漿中インスリンを有した(それぞれP=0.0002、P<0.05およびP<0.05)。SEQID−00338は、その後に試料採取したすべての時点で、処置の強制経口投与の時点と比較して、統計学的に有意に高い血漿インスリン濃度を有した(それぞれP<0.0001、P<0.05、P<0.005、P<0.005、およびP=0.0005)。
処置を比較すると、SEQID−00105およびSEQID−00338は、処置またはビヒクルの強制経口投与の時点でビヒクルとの有意差はなかった。グルコースチャレンジの時点およびその後の試料採取時点(0分、15分、30分、60分、および90分)では、SEQID−00105およびSEQID−00338の両方が、ビヒクルよりも有意に高い血漿中インスリン濃度を有した。このことから、両処置が、Zucker Fatty(fa/fa)モデルでインスリン分泌を刺激することが示される。
図15は、各群に関して積分した曲線下面積を示す。0〜90分で積分したSEQID−00338の処置のみが、ビヒクルよりも統計的に有意に高かった(p<0.005)。
活性GLP−1の酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)
ラットの活性GLP−1のELISAキットを、Eagle Biosciences(カタログ番号 GP121−K01、ニューハンプシャー州ナシュア)から入手した。プレートを、BioTek ELx50マイクロプレートストリップウォッシャー(BioTek、バーモンド州ウィヌースキー)を使用して洗浄した。吸光度を、Synergy Mxモノクロメーターベースのマイクロプレートリーダー(BioTek、バーモンド州ウィヌースキー)で読み取った。データを、マイクロソフトのエクセル バージョン14.0.7128.5000(Microsoft Corporation、ワシントン州レドモンド)およびウィンドウズのグラフパッドプリズム バージョン6.03(GraphPad Software、カリフォルニア州ラホヤ)を使用して解析した。
ELISAキットを少なくとも30分間、室温で予め温めた後、アッセイのセットアップを開始した。検量線の希釈液を、製造社の指示に従って調製した。
5群由来および試料血漿由来の血漿マトリックスを、氷中で解凍し、次いで約1000×rcfで10分間、4℃で遠心分離して、なんらかの不溶性材料を沈降させた。
活性GLP−1標準物質を試験するためのマトリックスアッセイバッファーを、未処置の群から血漿マトリックスを使用して、試験試料1:1希釈で試験した試料では100μL中10%の濃度、または希釈せずに試験した試料では100μL中で20%の濃度となるように調製した。20μLの標準物質および試料を、予めコーティングしたマイクロプレートに添加し、100μLの適切なアッセイバッファーを、標準物質および試料のウェルに添加した。このプレートを接着ホイルで被覆し、遮光して4℃で24時間インキュベートした。次にこのプレートを、350μL/ウェルの1×洗浄バッファーで5回洗浄し、次に、ペーパータオル上で数回すばやくたたいて、残りの洗浄バッファーを除去した。100μL/ウェルのELISA HRP基質を、すべてのウェルに添加した。次にこのプレートを密封し、遮光して室温で20分間インキュベートした。100μL/ウェルのELISA反応停止溶液をすべてのウェルに添加し、ゆっくりと混合した。
吸光度の値を、Synergy Mxプレートリーダー上で450nmおよび620nmで読み取った。得られた最終的な値は、A450nm−A620nmの値であった。
検量線を、エクセルにおいて標準物質のウェルのA450nm−A620nmの値のそれぞれから0pMのGLP−1標準物質の平均値を減算することにより活性GLP−1のマトリックス濃度に関して補正した。2回の反復実験の試料濃度を、GLP−1のx=log(x)変換後のバックグラウンド補正標準物質の4パラメータロジスティックモデルを使用して非線形回帰により決定した。ANOVAおよび多重比較検定を、グラフパッドプリズム6を使用して行った。曲線下面積を、マイクロソフトのエクセル上の線形‐対数のトラペゾイダル法を使用して積分し、事後検定をグラフパッドで行った。
図16は、実験の過程全体での、ビヒクルおよびSEQID−00105に関してn=6のラット、ならびにSEQID−00338の処置群に関してn=5のラットの平均血漿中GLP−1濃度を示す。ダネットの多重比較検定と共に一元配置ANOVAを使用して、時点0での各処置のあいだでおよび同じ時点での処置とビヒクルのあいだでのあいだ比較した。ビヒクルは、ビヒクルの強制経口投与後のいずれの時点でもGLP−1(7=36)濃度に有意差を示さなかった。SEQID−00105は、グルコースチャレンジ後15分および30分で有意に高いGLP−1(7−36)濃度を示した(それぞれP<0.0001およびP<0.05)。SEQID−00338は、グルコースチャレンジ後15分で、有意に高いGLP−1濃度を有した(P<0.005)。
各時点でビヒクルと比較する場合、グルコースチャレンジ後15分でビヒクルよりも有意に高いGLP−1(7−36)濃度を有したのは、SEQID−00105のみであった(P<0.005)。
図17は、0〜90分、および0〜60分で積分した各処置群に関するGLP−1(7−36)の曲線下面積を示す。処置は、0〜90分または0〜60分のいずれにおいてもビヒクルと比較して有意に異なるGLP−1(7−36)の積分AUCを有さなかった。
別の実験では、OGTTを、24匹の絶食させた雄性Zucker fattyラットで、頸静脈留置カテーテル(JVC)を用いて実施して、血糖制御、ならびにインスリンおよびGLP−1のレベルに及ぼす栄養性タンパク質投与の短期的な効果を評価した。SEQID−00105がグルコースの制御を改善する能力を、経口耐糖能試験の状況で、血糖変動を、SEQID−00105をアログリプチンと、SEQID−00105+アログリプチンをビヒクルと比較することにより試験した。すべての齧歯類は、約10〜11週齢であり、平均体重は約430gであり、試験前に4〜5日間環境に馴化させた。処置の前に、すべてのラットを14時間にわたり一晩絶食させた。絶食させたラットを、水に溶解した栄養性タンパク質配合物の強制経口投与により処置し(表E22B参照)、処置投与の15分後に、次にグルコースを強制経口投与(2g/kg)によりチャレンジした。血糖を測定し、血液を、9つの時点(グルコースチャレンジと比較して、−15分、0分、15分、30分、60分、90分、120分、180分、および240分)で採取した。
図18は、本明細書中に記載されるようにOGTTの際の平均血糖値を示す。処置群あたりN=6のラットである。示されるエラーバーは、平均値の標準誤差である。各群を、グラフパットプリズム6、二元配置ANOVA、ダネットの多重比較検定で事後比較を行い、最初に空腹時血糖濃度に対して各群内で比較し、次にビヒクルと各時点の比較を行った。処置群の血糖は、グルコースチャレンジの時点で空腹時と有意差はなかった。
グルコースチャレンジの時点での空腹時血糖および血糖は、各群とビヒクルとのあいだで有意差はなかった。グルコースチャレンジ後15分で、SEQID−00105単独およびSEQID−00105+アログリプチンは、ビヒクルと比較して血糖が非常に低かった(それぞれP=0.0003およびP<0.0001)。グルコースチャレンジ後30分では、アログリプチン単独およびSEQID−00105+アログリプチンは、ビヒクルよりも有意に低い血糖を有した(それぞれ、P=0.0424およびP=0.0021)。グルコースチャレンジ後60分では、アログリプチン単独のみが、ビヒクルよりも有意に低かった(p<0.0001)。60分後では、ビヒクルと有意に異なる血糖を有した群はなかった。
積分した曲線下面積(AUC)を、線形‐対数トラペゾイダル法を使用してマイクロソフトのエクセルで計算し、二元配置ANOVAおよびダネットの多重比較検定をグラフパッドプリズム6.03で行った。処置は、0〜60分のあいだでビヒクルと比較してグルコースAUCに統計学的有意差を示さなかった。0〜120分、および0〜240分のあいだでは、アログリプチン単独の処置のみが、ビヒクルよりも有意に低かった(それぞれP=0.0051およびP=0.0054)。
実施例23:食事誘導型肥満マウスにおける血糖制御および空腹時血糖を改善するための栄養性ポリペプチドの使用
本明細書中に記載される治療上の栄養性ポリペプチドの長期投与の作用を、食事誘導型肥満(DIO)マウスでの経口耐糖能試験により評価する。具体的には、この代謝性疾患の動物モデルにおける長期投与は、血糖制御、インスリン抵抗性、空腹時血糖、およびインスリンのレベルに影響を与えることができ、毎日の投与期間の前後のOGTTの際の空腹時血糖レベルならびにグルコースの曲線下面積(AUC)は、化合物の有効性の測定値を提供する。
10匹の雄性C57BL/6のマウスの4つ群に、自由に14時間高脂肪食を与えて、空腹時血糖レベルの上昇(高血糖)、空腹時インスリンレベルの上昇(高インスリン血症)、およびグルコースの制御不全を確実に発症させた(Xu. H. et al. Chronic inflammation in fat plays a crucial role in the development of obesity−related insulin resistance. J. Clin. Invest. (2003) 112: 1821−1830)。10匹の雄性C57BL/6マウスの1つの群(群1)に、同じ週齢、操作、および収容条件で、HFDの処置アームを比較するために通常飼料を与えた。全てのマウスを収容し、試験開始前の3日間環境に馴化させた。
OGTTの処置の前に、すべてのマウスを14時間にわたり一晩絶食させ、血液試料を、空腹時血糖およびホルモンレベルの解析のために、試験日の朝、投与前に血液試料を採取した。絶食した動物を、グルコースチャレンジの15分前に、提供された栄養性ポリペプチド配合物の強制経口投与で処置する。グルコース(2g/kg)を0時点で経口投与する。血糖を、7つの時点(−15分、0分、15分、30分、60分、90分、120分)で測定する。通常の飼料を与えた週齢をマッチさせた正常なマウスを、解析のため内部標準として使用する。群2〜5では、マウスに、提供された治療上栄養性ポリペプチド(2.85g/kg)(群4および5)またはビヒクルの対照(群2および3)を、毎日の強制経口投与または固形飼料への配合により、15〜30日間毎日投与する。すべての血液を、血漿安定化剤(DPP4阻害剤およびプロテアーゼカクテル阻害剤)を含むEDTA採血管に採取し、血漿を得るために処理し、−80℃で凍結保存する。
上述するようなOGTTを、ビヒクル(群2および4)または試験物質(群1、3、および5)のいずれかに関して試験の最終日に再び実施した。最後の試験物質またはビヒクル投与の前に、血液試料を、空腹時血糖およびホルモンのレベルの解析のため採取する。最後のOGTTの完了時に、すべてのマウスを屠殺し、全血液量を、心穿刺を介して回収する。インスリンレベルの解析を、本明細書中に記載されるようにELISA法を使用して実施する。
群2および4のあいだでの試験終了時のOGTTグルコースAUCの比較は、試験物質投与がOGTTに短期的な効果を及ぼすことなく試験物質の長期投与の効果を説明する。群3および5のあいだでの試験終了時のOGTTグルコースAUCの比較は、試験物質長期投与の効果を説明し、かつ、OGTTでの試験物質投与の短期的な効果を含むものである。群4または群5内での試験の開始時および終了時の空腹時血糖およびインスリンレベルの比較は、空腹時血糖およびインスリンレベルに及ぼす長期投与の効果を説明する。
実施例24:齧歯類でインスリン分泌を誘導するための栄養性ポリペプチドの使用
摂取したアミノ酸は、インスリン分泌誘導能を有することが示されている(Gannon M. C. and F. Q. 2010. Nuttall. Amino Acid Ingestion and Glucose Metabolism−− A Review. IUBMB Life, 62(9): 660−668)。タンパク質の摂取は、グルコース単独の摂取と比較して血漿中インスリンを有意に増加させる(Nuttall, et al. 1984. Effect of protein ingestion on the glucose and insulin response to a standardized oral glucose load. Diabetes Care. 7(5):465−470)。摂取したタンパク質は、インクレチンホルモン、すなわち、管腔が栄養素に曝露されると内分泌細胞により分泌される、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)およびグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)の作用を介して部分的にインスリンの分泌を増加させる(Baggio LL & DJ Drucker. 2007. Biology of incretins: GLP−1 and GIP. Gastroenterology. 132:2131−2157)。ロイシンおよびアルギニンなどのアミノ酸もまた、インスリン放出を直接刺激することが示されている(Newsholme P. et al. New insights into amino acid metabolism, B−cell function and diabetes. Clin. Sci. (2005) 108: 185−194)。これらの試験では、様々な栄養性タンパク質の短期投与後のインスリン応答を、齧歯類で測定する。
本明細書中に記載される方法に係る齧歯類の薬物動態実験の一部として、動物に、様々な試験物質を処置し、または短期投与した。特段記載がない限り、すべての投与は、2.85g/kg体重であった。n=5のラットで行ったSEQID−00240、およびn=3で行ったSEQID−00587を除き、すべての処置群はn=4のラットを含むものであった。
AlphaLISA(登録商標)インスリンイムノアッセイを使用した血漿中インスリンの定量
血漿試料を、氷中で融解して、10分間1109×gで遠心分離して、不溶性材料を沈降させた。AlphaLISA(登録商標)インスリンイムノアッセイキット(PerkinElmer, AL204C)を、4℃の冷却室から取り出し、氷中で保存しながらアッセイのセットアップを行った。1×アッセイバッファー、10×アッセイバッファーをmilliQ水で希釈することにより調製した。
インスリンの希釈のための標準的なバッファーを、1×アッセイバッファー中25.9%の絶食ラット血漿で調製し、16の測定点の検量線を調製するために使用した。血漿の試料は、96ウェルのPCRのマイクロプレート中1×アッセイバッファーで7:20に希釈することにより調製した。
アクセプタービーズ混合物を、1×アッセイバッファー中で、アクセプタービーズおよびビオチン化抗インスリン抗体を1/400倍希釈することにより調製した。アクセプタービーズ混合物を、白色の不透明な384ウェルマイクロプレート(PerkinElmer, OptiPlate−384)に20μL/ウェルでピペットにより添加して、この混合物に、絶食ラット血漿または試料ラット血漿中のインスリン標準物質10μl/ウェルを2回の反復実験で添加した。このプレートをホイルプレートシールで密封し、約600rpm、室温で60分間水平の振盪機でインキュベートした。
ストレプトアビジンコーティングドナービーズは遮光する必要があった。そのため、暗室で、1×アッセイバッファー中でストレプトアビジンコーティングドナービーズを1/125倍希釈することにより、ドナービーズ混合物を調製する。第1のインキュベーションのステップの後、20μL/ウェルのドナービーズの混合物を、標準物質および試料に添加した。アッセイプレートを密封して、約600rpmで30分間室温の水平の振盪機に戻した。ドナービーズのインキュベーションの後、発光を、EnSpire Alphaプレートリーダーで読み取った。
データを、マイクロソフトのエクセル バージョン14.0.7128.5000(32−bit)およびグラフパッドプリズム バージョン6.03を用いて解析した。log(インスリン(マイクロIU))に対して検量線を作成した。ラットの血漿中インスリン濃度を、シグモイドの4パラメータロジスティック方程式を用いて補間した。各ラットの技術的反復実験におけるインスリンの2回反復実験の平均値を、時間に対してプロットした。曲線下面積を、マイクロソフトのエクセルでにおける線形‐対数線形法を使用して、0〜240分および0〜60分で積分した。
ラットインスリンの酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を使用した血漿中インスリンの定量
Ultra−Sensitive Rat Insulin ELISAキットを、Crystal Chem, Inc(カタログ番号 90060, イリノイ州ダウナーズグローヴ)から入手した。プレートを、BioTek ELx50マイクロプレートストリップウォッシャー(BioTek、バーモンド州ウィヌースキー)を使用して洗浄した。吸光度を、Synergy Mxモノクロメーターベースのマイクロプレートリーダー(BioTek、バーモンド州ウィヌースキー)で読み取った。データを、マイクロソフトのエクセル バージョン14.0.7128.5000(Microsoft Corporation、ワシントン州レドモンド)、およびウィンドウズのグラフパッドプリズム バージョン6.03(GraphPad Software、カリフォルニア州ラホヤ)を使用して解析した。
ELISAキットを、30分間室温で予め温めた後、アッセイのセットアップを開始した。検量線の希釈液を、ワイドレンジフォーマットでアッセイを行うために製造社の指示に従って調製した。
未処置の群由来および試料血漿由来の血漿マトリックスを氷中で融解し、次に約1000×rcfで10分間、4℃で遠心分離して、なんらかの不溶性材料を沈降させた。
インスリン標準物質を試験するためのマトリックスアッセイバッファーを、未処置の群由来の血漿マトリックスを使用して、95μL中5.26%の濃度で調製した。95μLのアッセイバッファーをすべての試料ウェルに添加し、マトリックスアッセイバッファー95μLをすべての標準物質ウェルに添加した。それぞれの試料および標準物質5μLを2回の反復実験で添加した。プレートを、4℃で2時間インキュベートした。次にプレートを、1×洗浄バッファー300μL/ウェルで5回洗浄した。プレートをペーパータオル上で数回すばやくたたいて残りの洗浄バッファーを除去した。
抗インスリン酵素コンジュゲート作用溶液を、2容量の抗インスリン酵素コンジュゲート保存液を、1容量の酵素のコンジュゲート希釈液で組み合わせ、上下にピペッティングおよびボルテックスミキサーで軽く撹拌して混合することにより、調製した。100μL/ウェルの抗インスリン酵素コンジュゲート作用溶液を、すべてのウェルに添加した。このプレートを封入し、室温で30分間インキュベートし、次に、300μl/ウェルの1×洗浄バッファーで7回洗浄した。プレートをペーパータオル上ですばやくたたき、残りの洗浄バッファーを除去した。次に、100μl/ウェルの酵素基質溶液を、各ウェルに添加し、室温の暗所で40分間インキュベートした。100μL/ウェルの反応停止溶液をすべてのウェルに添加した。吸光度を、Synergy Mxプレートリーダーで450nmおよび630nmで読み取った。得られた最終的な値は、A450nm−A630nmの値であった。
インスリンの検量線を、エクセルにおいて、標準物質ウェルのA450nm−A630nmの値のそれぞれから0ng/mlのインスリン標準物質の平均値を減算することにより、インスリンのマトリックス濃度に関して補正した。2回の反復実験の試料濃度を、グラフパッドプリズム6において、インスリン濃度のx=log(x)変換後のバックグラウンド補正標準物質の4パラメータロジスティックモデルを使用して非線形回帰により決定した。ANOVAおよび多重比較検定を、グラフパッドプリズム6で行った。曲線下の面積を、マイクロソフトのエクセルにおいて線形‐対数の直線的な方法を使用して、0〜240分および0〜60分で積分した。
In vivoでの血漿中インスリン濃度
図19および20は、ビヒクル、および3つの異なる用量で投与したSEQID−00105、および1つの用量で投与したSEQID−00426、SEQID−00338、SEQID−00341の試験に関する生物学的な反復実験データをまとめたものを示し、血漿中インスリンは、AlphaLISAインスリンキットを使用して測定した。すべてのエラーバーは、平均値の標準誤差を表す。ダネットの多重比較検定と共に一元配置ANOVAを使用して、0時点と各処置のあいだおよび同じ時点での処置とビヒクルのあいだを比較した。
図19では、2.85g/kgのSEQID−00105は、強制経口投与後15分、30分、および60分で血漿中インスリン濃度を統計的に有意に増加させた(それぞれp<0.0001、P<0.0001、およびP<0.05)。1.78g/kgのSEQID−00105は、強制経口投与後15分および30分で血漿中インスリン濃度を統計学的に有意に増加しさせた(それぞれp=0.0005およびp<0.05)。最低用量のSEQID−00105では、経時的な血漿中インスリン濃度は、時点0と有意差がなかった。各時点でのビヒクル対照の血漿中インスリン濃度と比較する場合、2.85g/kgのSEQID−00105は、強制経口投与後15分および30分でビヒクルよりも統計学的に有意に高い血漿中インスリンを示し(それぞれP<0.0001およびp<0.001)、1.78g/kgのSEQID−00105は、強制経口投与後15分で血漿中インスリン濃度の統計学的に有意な増加を示した(P=0.0005)。図20ではSEQID−00338のみが、強制経口投与後15分、および30分で、血漿中インスリン濃度が時点0から統計学的に有意に増加した(それぞれP=0.005およびP<0.05)。ビヒクルと比較すると、SEQID−00338の各濃度での血漿中インスリン濃度は、強制経口投与後15分で、ビヒクルよりも有意に高かった(P<0.01)。
図21および22は、SEQID−00105、SEQID−00426、SEQID−00338、SEQID−00341のビヒクルに関して測定した血漿インスリン濃度の積分した曲線下面積を示し、エラーバーは平均値の標準誤差である。ダネットの多重比較検定と共に一元配置ANOVAを使用して、ビヒクルに対するAUCと比較した。2.85g/kgのSEQID−00105は、0〜240分および0〜60分で積分した場合、ビヒクルより統計学的に有意に大きい血漿中インスリンAUCを有した(それぞれP=0.0005およびP<0.05)。
図23および24は、ビヒクル、ならびにSEQID−00423、SEQID−00587、SEQID−00105、SEQID−00424、SEQID−00425、およびSEQID−00429の試験に関する生物学的反復実験のデータをまとめたものを示し、血漿中インスリンは、AlphaLISAインスリンキットを使用して測定した。すべてのエラーバーは、平均値の標準誤差を表す。ダネットの多重比較検定と共に一元配置ANOVAを使用して、0時点での各処置のあいだおよび同じ時点での処置とビヒクルのあいだを比較した。
図25および26は、図23および24に示される血漿中インスリン濃度に関する積分した曲線下面積を示す。ダネットの多重比較検定と共に一元配置ANOVAを使用して、ビヒクルとAUCを比較した。SEQID−00587は、0〜240分で積分した場合、有意に大きい血漿中インスリンAUCを有した(p<0.005)。
図27は、ビヒクル、ならびにSEQID−00105、SEQID−00240、およびSEQID−00559の試験に関する生物学的複製実験をまとめたものを示し、血漿中インスリンは、ラットインスリンのELISAキットを使用して測定した。すべてのエラーバーは、平均値の標準誤差を表す。ダネットの多重比較検定と共に一元配置ANOVAを使用して、0時点での各処置のあいだで比較した。SEQID−00105およびSEQID−00559はいずれも、強制経口投与後15分で、0時点と比較して血漿中インスリン濃度を統計学的に有意に増加させた(両方ともP<0.05)。SEQID−00240は、強制経口投与後15分および30分で、0時点と比較して血漿中インスリンを統計学的に有意に増加させた(それぞれp<0.05およびp<0.01)。ビヒクルは、0時点と比較して血漿中インスリン濃度を統計学的に有意に変化させなかった。
図28は、各処置に関して強制経口投与後経管栄養から0〜240分、および0〜60分で積分した曲線下面積を示し、エラーバーは、平均値の標準誤差である。ダネットの多重比較検定により、ビヒクルと比較して、0〜60分、または0〜240分で有意に大きいAUCを示した処置はなかった。
実施例25:健康な絶食ラットにおけるグルカゴン様ペプチド2分泌の栄養性ポリペプチドによる刺激
グルカゴン様ペプチド2(GLP−2)は、プログルカゴンの翻訳後切断により産生されるアミノ酸33個のペプチドである。GLP−2は、腸管での栄養素の曝露に応答して、GLP−1と共に、ヒトおよび齧歯類の腸内分泌L細胞により腸で分泌される。GLP−2は、短腸症候群の処置において(Brinkman AS, Murali SG, Hitt S, Solverson PM, Holst JJ, Ney DM. 2012. Enteral nutrients potentiate glucagon−like peptide−2 action and reduce dependence on parenteral nutrition in a rat model of human intestinal failure. Am. J. Physiol. Gastrointest. Liver Physiol. 303(5):G610−G622)、腸管の生育を支持することにより(Liu X, Murali SG, Holst JJ, Ney DM. 2008. Enteral nutrients potentiate the intestinotrophic action of glucagon−like peptide−2 in association with increased insulin−like growth factor−I responses in rats. Am. J. Physiol. Gastrointest. Liver Physiol. 295(6):R1794−R1802)転帰を改善することが従来より示されている。
動物に、本明細書中に記載される方法に従う齧歯類の薬物動態実験の一部として試験物質を処置し、かつ短期的に投与した。この実験では、2つの試験物質を解析し、ビヒクルおよびSEQID−240の栄養配合物を、1.54g/kgで投与した。
総GLP−2の酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)
総GLP−2を、総GLP−2 ELISAキット(Millipore, EZGLP2−37K)を用いて測定した。ELISAキットを30分間室温で平衡化した後、アッセイを行った。キットのGLP−2の標準物質、クオリティコントロール1およびクオリティコントロール2を、500μlのmilliQ水で、5回上下させて溶解し、室温で5分間インキュベートし、次に、ボルテックスミキサーで軽く撹拌して混合した。検量線は、キットアッセイバッファーでGLP−2標準物質を1:1に連続希釈して、0ng/mLのGLP−2を含む8つの測定点の検量線を生成することにより作成した。血漿試料を、氷中で融解し、約1109×rcfで10分間遠心分離して不溶性材料を沈降させた。未処置の絶食ラット由来の絶食血漿マトリックスを、20%(2×)で標準物質およびクオリティコントロールを2回の反復実験で試験するために調製した。
1×洗浄バッファーを、450mLのMilliQ水と50mLの10×洗浄バッファーを混合することにより、清浄な500mlのガラスビンで調製した。条片を、30〜300μLの8チャネルピペットを用いて適用した1×洗浄バッファー300μLで3回洗浄することにより調製した。洗浄ごとに、洗浄バッファーを、廃棄容器にデカントし、積み重ねたペーパータオル上でプレートをすばやくたたいて残っている洗浄バッファーを除去した。
第1の洗浄の後、アッセイバッファー90μLを、試料のウェルに添加し、アッセイバッファー中20%のマトリックス50μLをすべての標準物質およびクオリティコントロールのウェルに添加した。試料10μLを各ウェルに添加し、標準物質およびクオリティコントロール50μLをマトリックス含有ウェルに添加した。試料、標準物質、およびクオリティコントロールは、4回の反復実験で試験した0ng/mlのGLP−2の標準物質を除き、2回の反復実験で試験した。
プレートを、プラスチックのプレートシールで密封し、450rpmの水平のプレート振盪機上で、室温で2時間インキュベートした。第1のインキュベーションの後、プレートを、1×洗浄バッファーで3回洗浄し、洗浄容器にデカントし、重ねたペーパータオル上にすばやくプレートを反転させてたたいて、それぞれの洗浄後の過剰な洗浄バッファーを除去した。
検出抗体100μLを各ウェルに添加し、プレートをプラスチックのプレートシールで密封し、450rpmの水平のプレート振盪機で、室温で1時間インキュベートした。第2のインキュベーションの後、プレートを、1×洗浄バッファーで3回洗浄し、廃棄容器にデカントし、積み重ねたペーパータオル上にすばやくプレートを反転させてたたき、それぞれの洗浄後の過剰な洗浄バッファーを除去した。
酵素溶液100μLを各ウェルに添加し、プレートを、プラスチックのプレートのシールで密封し、450rpmの水平のプレート振盪機上で、室温で30分間インキュベートした。第3のインキュベートの後、プレートを、1×洗浄バッファーで3回洗浄し、廃棄容器にデカントし、重ねたペーパータオル上にすばやくプレートを反転させてたたき、それぞれの洗浄の後の過剰な洗浄バッファーを除去した。
基質100μLを各ウェルに添加し、プレートを、プラスチックのプレートシールおよび不透明なホイルのシールで密封し、450rpmの水平のプレート振盪機で、室温で20分間インキュベートした。基質反応の後、反応停止溶液100μLを各ウェルに添加し、プレートをゆっくりと振盪して混合した。
吸光度を、Synergy Mxプレートリーダーで450nmおよび590nmで測定した。測定した値は、450nmと590nmの吸光度の値の差であった。
データを、グラフパッドプリズム6・03を用いて解析した。検量線を、0ng/mlのバックグラウンド値を減算した後にlog(総GLP−2(ng/ml))に対して作成した。ラット血漿中GLP−2濃度を、シグモイドの4パラメータロジスティック方程式を使用して補間した。各ラットでの技術的な反復実験におけるGLP−2の2回の反復実験の濃度の平均値を時間に対してプロットした。積分した曲線下面積を、マイクロソフトのエクセルで計算し、各時点間の面積は、各生物学的反復実験に関して、線形‐対数のトラペゾイダル法を使用して面積の合計として計算した。
図29は、SEQID−00240およびビヒクル対照の4時間の過程にわたり計算した総GLP−2濃度を示す。ビヒクルのGLP−2の濃度は、0時点と比較していずれの試料採取時点でも有意に変化しなかったのに対し、SEQID−00240は、SEQID−00240の強制経口投与後15分(P<0.00)、30分(p<0.0001)、および60分(P<0.001)で、0時点と比較してGLP−2濃度の統計学的に有意な増加を示した(ダネットの多重比較検定)。SEQID−00240を、ダネットの多重比較検定の事後解析での通常の一元配置ANOVAにより各時点でビヒクルと比較した。GLP−2濃度は、0時点での処置のあいだでは有意差を示さなかった。GLP−2濃度は、処置後15分(p<0.001)、30分(p<0.0001)、60分(p<0.0001)、および120分(p<0.05)でビヒクルよりも統計学的に有意に高かった。これらのデータから、SEQID−00240の短期投与が、健康な絶食させた齧歯類においてGLP−2の分泌を誘導するが、ビヒクルは誘導しないことが示される。
図30は、最初の1時間および全4時間にわたり積分したGLP−2の曲線下面積を示す。GLP−2の曲線下の面積は、0〜60分、および0〜240分で積分した場合、ビヒクルと比較して、SEQID−00240処置では有意に大きかった(それぞれP<0.005およびp<0.01、対応のない両側スチューデントt検定)。このデータから、SEQID−00240の短期投与が、健康な絶食させた齧歯類において短期投与の最初の1時間以内でビヒクルと比較してGLP−2分泌を有意に刺激したことが示された。
実施例26:ヒトにおける血漿中インスリンおよびインクレチンのレベルに及ぼす経口送達した栄養性ポリペプチドの効果
タンパク質摂取に対するインスリンおよびインクレチンの応答は、アミノ酸の送達に基づいて予想される。この試験の目的は、240分の期間にわたり、SEQID−00426およびSEQID−00105に応答した血漿中インスリン濃度の変化を試験することであった。18〜50才の4名の明らかに健常な対象の2つの群に、栄養性ポリペプチド配合物20グラムを経口摂取させた。すべての対象を、試験を開始する前に一晩(>8時間)絶食させた。静脈血試料を、栄養性ポリペプチドの経口摂取後の特定の時点(すなわち0分後、15分後、30分後、60分後、90分後、120分後、150分後、180分後、210分後、および240分後)で採取して、血漿中のインスリンおよびインクレチン濃度の変化を評価した。図31は、SEQID−00105に対する対象全員のインスリン応答の平均値を示し、図32は、本明細書中で記載されるように測定した、ベースライン(0分)からの反応倍率の平均値を示す。すべての数字に関するエラーバーは、平均値の標準誤差に対応する。第1相のインスリン応答は、0分〜90分で起こる。第2相のインスリン応答は、90分〜210分で起こる。すべての時間での一元配置ANOVAの比較から、血漿中インスリンが経時的に有意に変化する(p=0.003)ことが示される。ダネットの多重比較検定から、15分および30分の時点のインスリンの値は、0分の時点と有意に異なる(p<0.05)ことが示される。
図33は、SEQID−00426に関するすべての患者の平均インスリン応答を示し、図34は、本明細書中に記載されるように測定した、ベースライン(0分)からの応答倍率の平均値を示す。すべての数字のエラーバーは、平均値の標準誤差に対応する。
図35は、SEQID−00426に対するすべての患者の胃抑制ポリペプチド(GIP)の総反応の平均値を示し、図36は、本明細書中に記載されるよう測定した、ベースライン(0分)からの反応倍率の平均値を示す。すべての数字のエラーバーは、平均値の標準誤差に対応する。
実施例27:チロシン、アルギニン、および/またはロイシンを含む栄養性ポリペプチドアミノ酸組成物を使用する骨格筋の細胞の生育およびシグナリングのIn vitroでの例証
ラパマイシン(mTOR)の哺乳動物標的は、特にタンパク質合成を介した細胞生育の鍵となる制御因子であるタンパク質キナーゼである。mTORは、異なるキナーゼ特異性および別々のタンパク質のパートナーを有する2つの複合体のmTORC1およびmTORC2を核とする細胞代謝の主な制御因子として作用する(ESS−020から引用)。
mTORは、組織全体のタンパク質の合成を駆動する。増殖シグナリングに対するmTORC1媒介応答は、アミノ酸により制御(gate)される。リソソームに対する応答の局在化により、mTOR活性化は筋肉タンパク質の異化に関連する。mTORC1は、必須アミノ酸(EAA)、ロイシンおよびグルタミンにより制御できる。アミノ酸は、mTORC1を活性化させるための増殖因子を含むいずれかの上流のシグナルのため存在しなければならない(ESS−020から引用)。
これらの実験から、in vitroで単一のアミノ酸による刺激に応答したリボソームタンパク質S6(rps6)の下流のリン酸化を測定することにより、アルギニン、チロシン、およびロイシンがmTORC1の活性化を調節できることが証明された。
ラットの初代骨格筋細胞(RSKMC)培養の培地を、Cell Applications(カタログ番号:R150−500, カリフォルニア州サンディエゴ)から購入した。スタベーション培地であるDMEM/F12を、Sigma(カタログ番号: D9785,ミズーリ州セントルイス)から購入した。アミノ酸、フェノールレッド、またはフルコースを含まないカスタマイズしたスタベーション培地Mod.4を、Life Technologies(カタログ番号:12500062,ニューヨーク州 グランド・アイランド)から購入した。ウシ胎児血清(FBS)および他の増殖因子をCell Applications(カタログ番号: R151−GS,カリフォルニア州サンディエゴ)から入手した。組織培養フラスコおよび透明底の96ウェル組織培養プレートをCorning Incorporated(それぞれカタログ番号: 430641および353072,ニューヨーク州コーニング)から購入した。トリプシン/EDTAを、Life Technology(カタログ番号: 25200, ニューヨーク州 グランド・アイランド)から入手した。DPBSおよびHBSSもまた、Life Technologies(それぞれ、カタログ番号: 14190, 14175)から購入した。AlphaScreen(登録商標) SureFire(登録商標)リボソームタンパク質 S6アッセイキットを、Perkin Elmer(カタログ番号:TGRS6P2S10K)から入手した。
ラットの初代骨格筋細胞(RSKMC)培養
RSKMCを、本明細書中に記載されるプロトコルを使用して単離し、液体窒素中で凍結保存した。細胞を同様に、37℃、5%のCO2の組織培養インキュベーター(Model 3110, Thermo Fisher Scientific)で、T75組織フラスコ中のRSKMC培地(Cell Applications)で維持した。細胞を、約90%のコンフルエンシーに達する3日ごとに分割した。RSKMC細胞を、T75組織フラスコ中のRSKMC培地において100%コンフルエンシーとなるまで培養した。培養培地を培養フラスコから吸引し、DPBS10mlで1回すすぎ、次に0.25%のトリプシン/EDTA1.5mlを細胞に添加した。細胞をフラスコから剥離させた後、細胞培地10mlを添加した。培地を、10mlのピペットを用いて上下にピペッティングして、細胞をフラスコから剥離させた。次に、細胞を、ウェルあたり細胞50,000個の密度で、96ウェル透明底組織培養プレートに播種した。37℃、5%のCO2のインキュベーター内で一晩培養した後、細胞を、37℃、5%のCO2の組織培養インキュベーターで、FBSおよびロイシンを含まないスタベーションDME/F12培地で4時間にわたり飢餓させて次に、HBSS(Hank’s緩衝塩類溶液)でさらに1時間インキュベートして飢餓させた。細胞を、スタベーション培地中の異なる濃度のロイシンにより15分間および30分間刺激した。また細胞を、5nMのラパマイシン(R0395,Sigma)または100nMのインスリン(I9278, Sigma)で、15分間および30分間処理した。細胞を、20μLの溶解バッファー(Perkin Elmer)中で、室温で10分間、725rpmで振盪させて溶解した。細胞のライセートを、−80℃で保存し、AlphaScreen(登録商標)アッセイを、翌日に実施した。AlphaScreen(登録商標)SureFire(登録商標)リボソームタンパク質S6アッセイを、製造社のマニュアルに従って実施した。
図37は、異なるロイシンの濃度で測定した相対的なαスクリーンシグナル(y軸)を示し、ロイシンが、初代培養RSkMCにおいてrps6のリン酸化(phorphorylation)を用量依存的に刺激することを証明する。この刺激は、mTOR阻害剤であるラパマイシンにより用量依存的に阻害された。
図38は、ロイシンが、完全アミノ酸培地(Arg、His、Lys、Asp、Glu、Ser、Thr、Asn、Gln、Cys、Gly、Pro、Ala Val、Ile、Met、Phe、Tyr、Trp)、およびそれぞれのDME/F12濃度で(Arg、His、Lys、Thr、Gln、Cys、Val、Ile、Met、Phe、Tyr、およびTrp)のみを含む最小限の12種のアミノ酸混合物の両方において、初代培養RskMCにおけるrps6のリン酸化を用量依存的に刺激することを示す。(表E27B参照)。
初代培養骨格筋細胞を、2匹のスプラーグドーリーラットのヒラメ筋(Sol)、腓腹筋(GS)、および長指伸筋(EDL)から入手した。図39、40、および41は、ロイシンが、単離した初代培養細胞を使用してmTOR RPS6経路を用量依存的に刺激することを示す。
mTOR経路を完全に刺激するためには、アルギニン、チロシン、およびロイシンが必要である。細胞を、ウシ胎児血清を用いないMod.4培地中で上述するように飢餓させ、次にそれぞれの1つのアミノ酸を欠いているMod.4培地中で刺激した(Mod.4培地の組成およびDME/12アミノ酸レベルに関しては、それぞれ表E27AおよびE27B参照)。
初代培養筋肉細胞を2時間飢餓させ、次に、0μMまたは500μMの1つのアミノ酸によって、37℃、5%のCO2組織培養インキュベーター中で30分間刺激した。この処置を、3回の反復実験で実施した。図42は、ロイシン、アルギニン、およびチロシンの組み合わせが、そのDME/F12濃度で20種のアミノ酸の全てが揃ったものと同じ度合いでRMSKCのmTOR経路を活性化するために必要かつ十分であること、およびLeu、Arg、またはTyrの個々の処置または2種類ずつの処置は、いずれも類似に応答できなかったことを証明する。
図43、44、および45は、rps6のリン酸化における他のすべての19種のアミノ酸対他の2種のアミノ酸のバックグラウンド(たとえばTyrおよびLeuのバックグラウンドでのArgの用量反応)での、各アミノ酸(Leu、Arg、Tyr)の用量反応の効果を示す。このデータは、Leu、Arg、およびTyrのあいだの相乗効果が用量依存的であることを示す。比較可能に高いLeuおよびTyrのバックグラウンドでの応答と、低用量のArgでの20種のアミノ酸の応答を比較すると、他の17種のアミノ酸により引き起こされる刺激の度合いが減少した。高用量のArgでは、両方のバックグラウンドでの応答が等しい。比較可能に高いArgおよびTyrのバックグラウンドの応答と低用量のLeuでの20種のアミノ酸の応答を比較すると、rps6のリン酸化応答に差はない。比較可能に高いLeuおよびArgのバックグラウンドでの応答と低用量のTyrでの20種のアミノ酸の応答を比較すると、他の17種のアミノ酸は、mTOR応答をさらに増強できる。
実施例28:齧歯類による経口消費後のロイシンを多く含む栄養性ポリペプチドの安全性および毒性の欠如の決定
急性毒性試験を、齧歯類での栄養性ポリペプチドのSEQID−00105、SEQID−00363、およびSEQID−00426の予想安全性を確認するために実施した。
各試験群は、5匹の雄性ラットおよび5匹の雌性ラット(10匹のウィスター系、6〜7週齢、雄性:220〜250g、雌性:180〜200g)を含んだ。試験配合物は、350g/Lの栄養性ポリペプチドおよび対照としての水性バッファーであった。動物を、到着から1週間、環境に馴化させ、通常固形飼料を自由に与えた。投与前に、動物の体重を計測し、試験前血液を採取した。10mg/lgの1回投与を、強制経口投与により行った。2日目、6日目、および7日目に、体重および飼料重量を測定した。6日目に、動物をEDTAヘパリンナトリウム採血管に採血した。7日目に体重を採取し、動物を安楽死させ、直ちに剖検した。8つの臓器(心臓、肝臓、肺、脾臓、腎臓、脳、膀胱、および小腸)を摘出し、重量を測定し、10%のホルムアルデヒド中で保存した。試験の際に、ストレス、疼痛、および異常な活動の兆候に関する臨床上の観察を毎日行った。
試験した3つすべての栄養性ポリペプチドに関して、動物においていかなる異常も認められなかったことから、タンパク質およびバッファーは良好に認容された。動物の活動は全て正常であり、疼痛または苦痛に関する他の兆候は観察されなかった。
実施例29:栄養性ポリペプチドの消化性の解析の例証
栄養性ポリペプチドの消化を、in vitroでの消化シミュレーションアッセイを介して解析した。in vitroでの消化システムを使用して、胃および腸の中を通過する際にin vivoで起こるような、生体近接可能な(bioaccessible)ペプチドおよびアミノ酸へのポリペプチドの分解をシミュレートした(Kopf−Bolanz, K. A. et al., The Journal of nutrition 2012;142: 245−250, Hur, S. J. et al., Food Chemistry 2011;125: 1−12)。胃腸消化シミュレーションはまた、消化に抵抗性のあるポリペプチドが吸収され、かつ感作を引き起こし得るため、潜在的なタンパク質のアレルゲン性を予測するものである(Astwood et al., Nature Biotechnology 1996;14: 1269−1273)。
消化シミュレーションの際の栄養性ポリペプチドの半減期
未変化型からより小さなペプチドへのポリペプチドの分解を定量するための1つの測定基準として、未変化体の半減期がある。この実験では、栄養性ポリペプチドを、胃(ペプシン)および腸(トリプシンおよびキモトリプシン)で活性である一連のプロテアーゼに曝露し、未変化のタンパク質の存在を経時的に測定した。具体的には、栄養性ポリペプチドを、最初に2g/lの濃度で、37℃の模擬胃液(SGF)(0.03MのNaCl、HClでpH1.5に滴定、最終のぺプシン:ポリペプチド比率 1:20w/w)で処置した。複数の時点で反応物からサンプリングを行い、0.2MのNa2CO3の添加によりクエンチした。SGF中での120分後、残りの反応物を、模擬腸液(18.4mMのCaCl2、50mMのMES(pH6.5)、最終トリプシン:キモトリプシン;基質の比率 1:4:400w/w)と50:50で混合し、NaOHでpH6.5に中和した。複数の時点で反応物からサンプリングし、240分までにトリプシン/キモトリプシン阻害剤(Sigma)溶液の添加によりクエンチした。
複数の時点での試料を、チップ電気泳動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、またはウェスタンブロットにより未変化のタンパク質に関して解析した。チップ電気泳動(Labchip GX II)では、試料を、HT LoW Protein Express LabChip(登録商標)キット(製造社のプロトコルに従う)を使用して解析した。タンパク質のラダーを、分子量の決定(kDA)および定量化のために12個の試料ごとにロードした。ポリアクリルアミド電気泳動では、試料(1μg)を、製造社のプロトコルに従ってNuPAGE(登録商標)Novex(登録商標)Bis−Trisプレキャストゲル(Life Technologies)上で分離した。このゲルを、SimplyBlue(商標)SafeStain(In vitrogen)を使用して染色し、Chemidoc XRS+(BioRad)使用して撮像するか、またはiBlot(登録商標)Dry Blotting System(Life Technologies)およびiBlot(登録商標)ウェスタン検出キット(Western Detection Kit)(Life Technologies)を製造社のプロトコルに従って使用してニトロセルロース膜に転写した。タンパク質を、製造社のプロトコルに従ってSNAP i.d.(登録商標)タンパク質検出システム(Millipore)を使用して、blok(商標)‐POブロッキングバッファーで3:5000に希釈した抗His[C−term]−HRP抗体でブロッティングすることにより検出した。ブロットを、製造社のプロトコルに従ってLuminata Classico Western HRP Substrate(Millipore)で処理し、Molecular Imager(登録商標)Gel Doc(商標)XR+System(Bio−Rad)上での化学発光の検出を使用して撮像した。未変化のタンパク質の定量化を、ImageLab(BioRad)を使用した密度測定により決定した。すべての解析方法に関して、各時点(検出される場合)のポリペプチドの相対濃度を経時的にプロットし、指数曲線とフィットさせて、未変化体の半減期を計算した。
あるいは、試料を、1つの時点で残っている未変化のタンパク質のパーセンテージを決定することにより解析した(たとえば2分未満の半減期)。具体的には、SGF消化物からのt=0(酵素を含まない対照)およびt=2分の試料を、チップ電気泳動、SDS−PAGE、ウェスタンブロット、および/またはLC/MS/MSにより記載されるように未変化のタンパク質に関して解析した。各時点でのポリペプチドの相対量を決定し、t=2で残っている未変化のタンパク質のパーセンテージを決定した。この方法を使用して決定した未変化体の半減期の値をそれぞれ、t=2で未変化で残っているタンパク質の50%超または50%未満を示すために、2分超または2分未満として記録する。いずれかの方法により決定した未変化のSGFの半減期の結果を、表E29Aに記録する。
消化シミュレーションの際の栄養性ポリペプチドのアミノ酸の放出
ポリペプチドの消化物を定量化する追加的な方法は、消化シミュレーションシステムに曝露した後に存在する遊離アミノ酸の量を測定することである。この方法では、パンクレアチンといった酵素の混合物を、腸のプロテアーゼを刺激するために使用する。具体的には、ポリペプチドのアミノ酸への消化を、in vitroでのパンクレアチンベースの消化アッセイ、次いで逆相HPLC(RP−HPLC)を使用する遊離アミノ酸解析により解析した。栄養性ポリペプチドをSGF(0.92g/Lのペプシン(Sigma)、HClでpH1.5に滴定した0.03MのNaCl)に、最終濃度4g/Lで添加し、37℃で120分間インキュベートした。120分後、Na2CO3を、16mMの最終濃度となるように添加して、ペプシン反応をクエンチした。得られた反応物を、2×濃縮SIF(0.78mg/mlのブタのパンクレアチン(Sigma)、18.4mMのCaCl2、50mMのMES(pH6.5))と50:50で混合し、240分間インキュベートした。複数の時点で反応物からサンプリングし、95℃で5分間加熱することによりクエンチした。対照の試料はプロテアーゼフリーであった。
複数の時点を、Henderson, J. W., et al. Agilent Technologies (2010)に記載されるようなRP−HPLCアミノ酸解析を使用して、遊離アミノ酸に関して解析した。解析を、Agilent 1100 series systemを使用して実施した。一次アミノ酸を、o−フタルアルデヒド(OPA)を使用してオンライン上で、室温でプレカラムに誘導体化(derivitized pre−column)した。OPA誘導体を、Zorbax Eclipse−AAA 4.6×150mm、3.5μmのカラムを使用して40℃で分離した。分離勾配は、100% 40mMのNa2HPO4(pH7.8)から65%のアセトニトリル/メタノール/水混合物(45/45/10)まで変化した。解析物を、340nmのEx/450nmEmでの蛍光により検出した。図46は、SEQID−00105のパンクレアチン消化の際の遊離のLeu濃度の代表的な時間経過を示す。パンクレアチン消化の120分の時点での試料の遊離のLeu濃度を表29Bにまとめる。
消化シミュレーションの際の栄養性ポリペプチドのペプチドの放出
本明細書中に記載される、パンクレアチンベースのin vitroでの消化シミュレーションからの試料を、LC−MS/MSによりペプチドに関して解析した。LC−MS/MS解析のための試料を調製するために、試料のpHを、トリフルオロ酢酸(TFA)でpH3に調節し、ペプチドを、親水性‐親油性バランス(HLB)固相抽出カートリッジ(Waters)を使用して抽出した。カートリッジを、アセトニトリル2mlで活性化し、0.1%のTFA2mlで平衡化した。試料をロードし、カートリッジを0.1%のTFA2mlで洗浄し、70%のアセトニトリル/0.1%のTFA1mlで溶出した。溶出したペプチドを完全に乾燥させて、0.1%のTFA50μL中に再構成した。溶出したペプチド(4μl)を、カラム上に充填し、ThermoFisher Orbitrap Velos Proにインターフェースで接続したWaters NanoAcquity HPLCシステムでのナノLC−MS/MSにより解析した。ペプチドを捕捉カラム上にロードし、350nL/分の75μmの解析カラム上で溶出させた。両方のカラムに、Jupiter Proteo樹脂(Phenomenex)で充填した。1時間の勾配を使用した。質量分析計を、データ依存性モードで作動させ、MSを、60,000FWHMの分解能でOrbitrapの質量分析計で行い、MS/MSを、LTQリニアイオントラップ質量分析計で実施した。最も多く存在する15種のイオンを、MS/MSのために選択した。データを、Mascotを使用して適切なデータベースに対して検索してペプチドを同定した。MascotDATファイルを、検証、フィルタリングのため、および試料あたり重複しないリストを作成するためにScaffoldソフトウェアで解析した。データを、95%の最小タンパク質の値、および50%の最小ペプチドの値を使用してフィルタリングした。
固有のペプチドが、所定のSEQIDのin vitroでの消化後のLC−MS/MSによるパンクレアチンの消化の240分の時点で検出された。SEQID−00105の試料で検出した固有のペプチドは、LFDKDNNGSIS、FDKDNNGS、FDKDNNGSIS/FDKDNnGSIS、FDKDNNGSISS、FDKDNNGSISSSEL、DKDNNGSI、DKDNNGSIS、SLGLSPSE、NEIDVDGN、IDVDGNH、IDVDGNHQ、IDVDGNHQIE/IDVDGNHQIE、KVFDKNGDG、VFDKNGDGLIS、DKNGDGL、KLTDAEV、LREVSDGSGEINIQQF、REVSDGSG、REVSDGSGE、REVSDGSGEI、REVSDGSGEIN/REVSDGSGEIN、REVSDGSGEINIQ、REVSDGSGEINIQQF、EVSDGSGEI、EVSDGSGEINであった。SEQID−00426の試料に関して検出された固有のペプチドは、YSFEDSGVGDVT、YSFEDSGVGDVTG、SFEDSGVGDVTG、FEDSGVGDV、EDSGVGDVT、EDSGVGDVTG、EDSGVGDVTGF、DSGVGDVT、LRGnGYD、LRGnGYDIDV、ITHTNDIVPR、HTNDIVPR、TNDIVPR、NDIVPR、YSHSSPE、DIVKIEGIDATGGNNQPNIPDIPAHL、KIEGID、KIEGIDATGGNNQPNIPDIPA、IEGIDATGGNNQPNIPDIPA、EGIDATGGNNQPNIPDIPA、GIDATGGNNQPNIPDIPA、IDATGGNNQPNIPD、IDATGGNNQPNIPDIP、IDATGGNNQPNIPDIPA/IDATGGNNQPnIPDIPA、IDATGGNNQPNIPDIPAH、DATGGNNQPNIPDIPA/DATGGNNqPNIPDIPA、ATGGNNQPNIPD、ATGGNNQPNIPDIP、ATGGNNQPNIPDIPA/ATGGNNqPNIPDIPA、ATGGNNQPNIPDIPAH、TGGNNQPNIPDIPA、GGNNQPNIPDIP/GGNnQPNIPDIP、GGNNQPNIPDIPA/GGnNQPNIPDIPA/GGnnQPNIPDIPA、GNNQPNIPDIPA/GNNqPNIPDIPA、NNQPNIPDIPA、NQPNIPDIPA、PNIPDIPAであった。
複合体混合物中の未変化の栄養性ポリペプチドの半減期の決定
複合体混合物中の複数のポリペプチドのin vitroでの未変化の半減期を、上述のin vitroでの胃消化シミュレーションを使用して決定した。簡潔に述べると、栄養性ポリペプチド168個のライブラリーを、単一の混合物として168個のタンパク質をコードする遺伝子ライブラリーをクローニング、形質転換、かつ発現することにより本明細書中に記載されるように作製した。組み換え発現したタンパク質を、本明細書中に記載されるようにIMAC精製により宿主細胞のタンパク質から精製した。
タンパク質168個のライブラリーを、上述のようにSGFで処理し、t=0およびt=10分の試料を、LC−MS/MSにより未変化のタンパク質に関して解析した。はじめに、10μgの試料を、10%のSDS−PAGEゲル(In vitrogen)上にロードし、ゲルの中を5cm泳動させた。このゲルを100kDから色素の先端まで10個の分画に切断して、ゲルの切片を、25mMの炭酸水素アンモニウム、次いでアセトニトリルで洗浄することにより処置した。次にゲルの分画を、60℃で10mMのジチオスレイトールで還元し、次に、50mMのヨードアセトアミドで、室温でアルキル化した。最終的に、試料を、トリプシン(Promega)を用いて、37℃で4時間消化し、ギ酸を添加することにより消化物をクエンチした。次に、試料を、ThermoFisher Q Exactiveにインターフェースで接続したEasynLC 1000 HPLCシステムを使用してナノLC/MS/MSにより解析した。ペプチドを、捕捉カラム上にロードし、350nL/分で75μmの解析カラムから溶出させた。この両方のカラムに、PepMap C18 3μmの樹脂(ThemoFisher)を充填した。1時間の勾配を使用した。質量分析計を、データ依存モードで作動させ、MSおよびMS/MSを、それぞれ、Orbitrapで70,000FWHMの分解能および17,500FWHMの分解能で実施した。最も多くに存在する15種のイオンを、MS/MSで選択した。データを、Mascotを使用して適切なデータベースに対して検索してペプチドを同定した。MascotDATファイルを、検証、フィルタリングのため、および試料あたり重複しないリストを作成するために、Scaffoldソフトウェアで解析した。データを、タンパク質あたり少なくとも2つの固有のペプチドを必要とする、1%のタンパク質およびペプチドの偽陽性率(FDR)でフィルタリングした。検出したタンパク質およびそのスペクトルカウント(SpC)の完全なリストを作成し、それぞれ回収したゲルの分画の関数として記録した。SpCは、所定のタンパク質に関して同定したスペクトルの数の計数であり、タンパク質の相対量の測定値として使用する(Liu, H. et al., Analytical Chemistry 2004, 76: 4193−4201)。SGFの消化の10分の時点で残っている未変化のタンパク質のパーセンテージを計算するために、t=10分の試料中の未変化のペプチドを表すSpCの数を、t=0分の試料中の未変化のペプチドを表すSpCの数により除算した。未変化のペプチドを表すSpCの数は、t=0分の試料中のそのタンパク質に割り当てた最も高いSpCの数を有する分画および2つの隣接する分画のSpCの合計として定義した。10分での%未変化のタンパク質の結果を、表E20Cに示す。チップ電気泳動により決定した、精製したタンパク質の無処理の半減期、およびLC/MS/MS解析により決定した、SEQID168個のライブラリーで検出したタンパク質に関して10分で残っている未変化のパーセンテージを、表E20Dにおいて14のポリペプチドで比較する。t=10分での残っている未変化のタンパク質のパーセンテージと半減期とのあいだの直線関係を解析し、R2値は、0.72であると決定された
実施例30:栄養性ポリペプチドの粘度
強力な誘因性の自己会合相互作用の存在により、粘度の高い溶液が得られることが例証されている(Yadav, Sandeep, et al. Journal of pharmaceutical sciences 99.12 (2010): 4812−4829.)。具体的には、反対荷電の残基の静電相互作用により、粘度の高い溶液が得られる(Liu, Jun, et al. Journal of pharmaceutical sciences 94.9 (2005): 1928−1940)。粘度の低い栄養性ポリペプチドは、本明細書に記載されるアミノ酸あたりの実効電荷または電荷の計算を使用することにより、および非常に高い正電荷または高い負電荷を有するタンパク質を選択することにより、選択することができる。この方法で選択したタンパク質は、相補的な静電相互作用が欠如しており、代わりに、自己会合能を限定する総合的な斥力を有することにより、溶液の粘度を下げる。
栄養性ポリペプチド(SEQID−00105)および乳清の溶液を、相対粘度に関して測定した。両方のタンパク質を、解析にとって望ましい濃度で水に再懸濁した。粘度を、CPE−40スピンドルを有するBrookfield LVDV−II+PRO Cone/Plateを使用して測定した。全ての試験を、4Cおよび25Cで実施した。試料の容量は、0.5mlであった。温度は、Brookfield TC−550AP−115 Programmable Temperature Bathで維持した。すべての試料を、4Cで少なくとも2分間および25Cで少なくとも1分間平衡化した。すべての読み取りを、10%〜100%のトルクで得た。図47は、は4C(●)および25C(○)でSEQID−00105、ならびに4C(■)および25C(□)の乳清に関してセンチポアズで測定した粘度を示す。
SEQID−00105は、ある範囲のPHを通して負の実効電荷を有することが本明細書中で示されており、SEQID−00105は現在、複数の温度およびポリペプチド濃度で、ドミナントの単一電荷を含まないタンパク質の分散混合物である乳清よりも粘度が低いことが示されている。
粘度が増加した溶液を作製するために、トランスグルタミナーゼを使用して、栄養性ポリペプチド間の酵素誘導型の永続的な共有結合架橋からなる網目構造を作製することにより、さらに粘性の溶液を作製できる。またこの酵素処理の後に熱処理を行って、栄養性ポリペプチドを含む粘性の溶液を作製することができる。粘度を増加させる架橋を含む栄養性ポリペプチド試料を作製するために、試料を、pH7.0でトランスグルタミナーゼ溶液と混合して、1:25の、酵素対タンパク質重量比を得る。酵素触媒架橋反応では、実験のほとんどを40℃で行う。
実施例31:栄養性ポリペプチドの溶解度および熱安定性の解析による証明
溶解度
タンパク質の溶解度を、再構成した凍結乾燥粉体の溶液、遠心濾過した溶液、および/または限外濾過した溶液のタンパク質の濃度を決定することにより評価した(Carpenter et al. (2002) Rational Design of Stable Lyopholized Protein Formulations: Theorty and Practice, Kluwer Academic/Plenum publishers, New York, pp. 109−133; Millipore publication, Amicon Ultra: Centrifugal Filter Devices for the Concentration and Purification of Biological Samples (2001) ; Oss et al. (1969) A membrane for the rapid concentration of dilute protein samples in an ultrafilter, Clinical Chemistry, 15(8): 699−707)。タンパク質の試料を、製造社の標準的なプロトコルを使用してFreeZone Freeze Dry System(Labconco)での凍結乾燥により乾燥させ、次に、バッファー中で所望の濃度に再度懸濁した。遠心限外濾過およびタンジェンシャル限外濾過を使用して、望ましい濃度に達するまでタンパク質の試料からバッファーを選択的に除去した。タンパク質溶液の遠心限外濾過は、望ましい濃度に達するまで、タンパク質の大きさに応じて、3kDa、10kDa、または30kDaの分子量カットオフのAmicon 遠心フィルター(Millipore)でタンパク質10mgを遠心分離(10,000×g)することにより実施した。タンパク質溶液の限外濾過を、12L/m2/分のクロスフロー流速で、タンパク質の大きさに応じて、3kDa、10kDa、または30kDaの分子量のカットオフのHydrosartの限外濾過カセット(Sartorius Stedim、ニューヨーク州ボヒミア)で実施した。ほとんどの処理では、経膜圧を20psiに維持し、望ましい濃度に達するまで実施した。
上記の試料のタンパク質の濃度を、以下の方法:Coomassie Plusタンパク質アッセイ、280nmでの吸光度(A280)、および総アミノ酸解析の1つまたはその組み合わせにより測定した。Coomassie Plusタンパク質アッセイ(Pierce)を、製造社のプロトコルに従って実施した。280nmでの吸光度を、Nanodrop 2000 UV−Vis分光光度計で測定した。タンパク質の濃度を、A280値と、ProtParamを使用して一次アミノ酸配列により計算したモル吸光係数とを使用して決定した(Gasteiger, Elisabeth, et al. The proteomics protocols handbook. Humana Press, 2005. 571−607.)。総アミノ酸を、Henderson, J. W., et al. Agilent Technologies (2010)に記載されるように、酸加水分解の後にHPLCにより解析した。
pH溶解度
タンパク質のpH溶解度を、2.8〜7.1のpH範囲にわたるクエン酸および二塩基性リン酸ナトリウムのバッファーカクテル中で決定した。pH溶液を、表E31Bに概説されるように調製した。タンパク質を、凍結乾燥してバッファーカクテル混合物に再度懸濁するか、または濃縮して最終濃度5〜30mg/mlでバッファーカクテル混合物中に入れた。対照として、タンパク質を8mMの尿素溶液に溶解した。タンパク質溶液を室温で10分間振盪した。タンパク質の濁度を、650nmでのタンパク質溶液の吸光度を測定することにより決定した。次にタンパク質溶液を、1100×gで10分間遠心分離して、未溶解または沈殿したタンパク質を沈降させた。可溶性タンパク質分画(上清)を採取し、タンパク質濃度を、以下の方法:Coomassie Plusタンパク質アッセイ(Pierce)、チップ電気泳動、ゲル電気泳動、および/または280nmでの吸光度の1つまたは複数により測定した。BradfordおよびA650により決定して、選択したタンパク質が80%超可溶性のままであるpH範囲を表E31Cに記載する。
熱安定性
2.8〜7.1のpH範囲にわたる、クエン酸および二塩基性リン酸ナトリウムのバッファーカクテル中のタンパク質の熱安定性(表E31Bで上述されるように調製)を、製造社の標準的なプロトコルに従ってProteoStat(登録商標)熱安定性キット(Enzo Life Sciences)を使用して決定した。簡単に説明すると、1X ProteoStat TS検出試薬を含むタンパク質溶液(約10mg/ml)を、Texas Redフィルターで蛍光をモニターしながら、プレートリーダー(SynergyMx, Biotek)を搭載したリアルタイムPCR(rtPCR)サーモサイクラー(BioRad)を使用して30秒あたり0.5℃の割合で25℃から95℃に加熱した。凝集物の温度(Tagg)は、温度の関数として蛍光強度のトレースで最も険しい勾配が観察された温度として同定した。タンパク質のサブセットに関してpH7.1での凝集物の温度を表E31Dに記載する。タンパク質のサブセットに関するある範囲のPHでの凝集物の温度を、表E31Eに記載する。
熱によるアンフォールディング
タンパク質の熱によるアンフォールディングを、Applied Photophysics CS/2 Chirascan分光光度計で円二色性によりモニターした。バッファー(20mMのリン酸カリウム(pH7.5)中のタンパク質溶液(0.5〜1.0mg/ml)の遠紫外線の測定(200〜260nm)を、光路長0.1cmのセルを使用して、20〜90℃で5℃ごとに記録した。90℃でのスペクトルを得た後、タンパク質の試料を直ちに20℃まで冷却し、最終のスペクトルを記録した。融解温度(Tmelt)を、最も強力な勾配の温度として計算し、最終のスペクトルを最初の20℃のスペクトルと比較して、タンパク質のアンフォールディングが可逆的であるか、または構造に永続的な変化が起こったかどうかを決定した。図48は、SEQID−00105の代表的なCDスペクトルを示し、栄養性ポリペプチドが、90℃であっても完全にはアンフォールドしておらず、20℃に冷却すると本来のフォールディングに戻ることを証明している。
実施例32:栄養性ポリペプチドのグリコシル化
タンパク質に存在するグリカンは、溶解度、活性、および安定性などの特性にしばしば栄養を与える。栄養性ペプチドのグリコシル化のパターンを変化させることは、それらの生物学的な利用率、栄養上の品質、および産生配合物の特性にも影響を与えることができる。さらに、栄養性食品ペプチドの特定の糖のパターンは、ヒトのタンパク質の産生時のアミノ酸の吸収および外来性グリカンの組み込みの両方の動態に基づいて単離型栄養性食品ペプチドの摂取に対する代謝応答を増大させる。
グリコシル化状態に関する宿主の選択
本明細書中に記載されるように、栄養性ポリペプチドを様々な宿主で産生した。宿主の選択は、生物物理学、消化、および免疫原性に関連を有する栄養性ポリペプチドのグリコシル化状態に影響を及ぼす。たとえば、発現用の宿主として、大腸菌、B.subtilis、B. licheniformis、Aspergillus niger、Aspergillus nidulans、ヒト胎児腎臓(HEK)、およびチャイニーズハムスターの卵巣細胞(CHO)が挙げられる。大腸菌、B.subtilisおよびBacillus licheniformisは、aspergillus、s. cerevisiae、およびpichiaなどの真核生物宿主と比較して非糖化(または最小限に糖化)した骨格を有するポリペプチドの産生能により発現宿主として使用される。Aspergillus nigerは、ポリペプチド骨格へのマンノースを多く含むグリカンの付加を駆動するその固有のグリコシル化機構により、タンパク質分泌宿主として選択される。Aspergillus nidulansは、広範囲のオリゴマンノース多糖部位でグリカン構造の複雑性を減らす方向に宿主のグリコシル化の機構を改変できることが従来より証明されていることにより、タンパク質分泌宿主として選択される(Kainz et. al. N−Glycan modification in aspergillus species, Appl. Environ. Microbiol., 2008)。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞は、ヒト細胞と類似するパターンでタンパク質をグリコリル化できるために発現宿主として選択される。その違いは、Gal α1−3 GalエピトープおよびN−グリコリルノイラミン酸(Neu5gc)がいずれも、CHO細胞により産生される糖タンパク質で見出されるが、正常なヒトグリカンでは見られない点である(Galili, Uri, et al. Journal of Biological Chemistry 263.33 (1988): 17755−17762)。同様に、CHO細胞で産生された特定のタンパク質は、より酸性のアイソフォームを有しており、これは、シアル酸の高い含有量を示唆するものである。ヒトの胎児腎臓293(HEK293細胞)は、ヒトのタンパク質のグリコシル化能のため発現宿主として選択される。
ゲルの電気泳動およびタンパク質の転写
グリコシル化を解析するために、ウェスタンブロットの解析を、真核生物および原核生物で産生されるタンパク質のグリコシル化プロファイルを評価して比較するために、特定のグリカン抗原を認識する抗体またはレクチンを用いて実施した。最初に、タンパク質の分離を、製造社のプロトコルに従って、Novex(登録商標)NuPAGE(登録商標)Bis−Trisプレキャストゲル(Life Technologies)を使用したゲル電気泳動により実施した。タンパク質を、製造社のプロトコルに従って、iBlot(登録商標)Dry Blotting System (Life Technologies)およびiBlot(登録商標)ウェスタン検出キット(Western Detection Kit)(Life Technologies)を使用して、ゲルからニトロセルロースメンブレンへと転写した。タンパク質のバンド(brand)を、製造社のプロトコルに従ってCoomassie(登録商標)G−250 stain SimplyBlue(商標)SafeStain(Life Technologies)でポリアクリルアミドゲルを染色することにより可視化し、Molecular Imager(登録商標)Gel Doc(商標)XR+System(Bio−Rad)を使用して撮像した。
大腸菌およびA.nigerで発現したSEQID−00363のグリコシル化プロファイル
タンパク質のマンノース含有量を、製造社の標準的なプロトコルに従って、糖タンパク質検出キット(DIG Glycan Differentiation Kit, Roche)を使用して試験した。はじめに、SEQID−00363(本明細書中に記載)、A.niger(5μg)で発現させたSEQID−00363の遺伝子をコードする発現ベクターと形質転換した大腸菌由来の全体の細胞抽出物(5μg)および可溶性の細胞ライセート(5μg)、ならびにDIG Glycan Differentiation Kitの陽性対照のカルボキシペプチダーゼY(5μg)を、Novex(登録商標)NuPAGE(登録商標)10%のBis−Trisゲル(Life Technologies)に充填した。タンパク質の分離および転写を、本明細書中に記載されるように行った。簡単に説明すると、ニトロセルロースメンブレンを、末端マンノース結合レクチンである、ジゴキシゲニン(digoxifenin)(DIG)標識GNA(Galanthus nivalis agglutinin)とインキュベートした。次に膜を、抗ジゴキシゲニンアルカリホスファターゼ(AP)でインキュベートし、次に、AP基質溶液(NBT/BCIP)と共にインキュベートした。AP染色の強度を、裸眼により定性的に可視化し、メンブレンを写真撮影した。図49は、A.nigerから単離したSEQID−00363および大腸菌で組み換え発現させたSEQID−00363の代表的なクマシー染色ゲル(パネルA)およびGNAプローブしたウェスタンブロットのメンブレン(パネルB)を示す。レーン2では、120kDa周辺の突出したバンドは、グリコシル化SEQID−00363を表す。レーン3では、80kD周辺のバンドは、非グリコシル化SEQID−00363を表す。これらの結果から、A.nigerで発現したSEQID−00363(図49B、レーン2)は、末端マンノシル化タンパク質(図49B、レーン3)であり、大腸菌で発現させたSEQID−00363は、そのグリカンに末端マンノース残基を含まないことを証明する。
グリカン解析のための食品からのタンパク質の抽出
亜麻仁(Organic Brown Flaxseed、Farmers Direct Coop)、ヒヨコマメ(Garbanzo Beans、365 Everyday Value Organic)、トウモロコシ(凍結したSuper Sweet Bicolor Corn、365 Everyday Value Organic)、ジャガイモ(conventional yellow potato)、マッシュルーム(organic white mushroom)、ブロッコリー(frozen, Broccoli Flortes, 365 Everyday Value)、トマト(conventional Roma tomato)、ブルーベリー(Organic Blueberries, Little Buck Organics)、ブドウ(Organic Red Seedless Grapes, Anthony’s Organic)、ウシ(85%のウシのひき肉)、ニワトリ(骨や皮膚を含まないニワトリの太腿のひき肉, Airchilled)、ラム(ニュージーランドのラムのひき肉)、シチメンチョウ(シチメンチョウの大腿部分のひき肉)、タラ(Wild Cod Fillet)、およびブタ(ブタひき肉)を、Whole Foodsから購入した。シカ肉を提供した。各食品供給源のアリコート(50〜2,500mg)を、−80℃で凍結した。試料を乳鉢および乳棒で試料をすりつぶした後、1.0mlの抽出バッファー(8.3Mの尿素、2Mのチオ尿素、2%w/vのCHAPS、1%w/vのDTT)を添加し、さらに乳棒ですりつぶすことにより、タンパク質を食物供給源から抽出した。試料を、微量遠心チューブに移し、室温で30分間撹拌し、次に、500μLの100μmのジルコニウムビーズ(Ops Diagnostics)を添加して、さらに30分間撹拌した。次に試料を、30HzのTissueLyser II(Qiagen)で3分間溶解し、21,130×gで10分間遠心分離し、上清を回収した。酵母(Nutritional Yeast, Whole Foods)、ダイズのタンパク質単離物(Soy Protein Powder, Whole Foods)、およびコメのタンパク質の単離物(Soy Protein Powder, Whole Foods)を、抽出バッファーに溶解することにより調製した。試料の総タンパク質濃度を、製造社の標準的なプロトコルに従って、Coomassie Plusタンパク質アッセイ(Pierce)により決定した。
ウェスタンブロット解析によるN−グリコリルノイラミン酸(Neu5Gc)の検出
N−グリコリルノイラミン酸(Neu5Gc)は、ほとんどの哺乳動物グリカンで見出されるが、ヒトタンパク質の糖タンパク質には存在していない。ヒトの生化学経路は、Neu5Gcシアル酸を異物として認識せず、それによりゴルジ体への取り込みおよび新規に合成したタンパク質への組み込みの後で、ヒトの糖タンパク質で見出される量は微量である。しかしながら、生化学的に組み込まれるにも関わらず、免疫系は、外部由来のシアル酸を含む調節された表面の立体構造を外来種として認識する。ヒトの血漿中で検出されている抗−Neu5Gc抗体は、Neu5G含有タンパク質供給源の摂取に応答して慢性炎症を引き起こす(Varki et. al. “Uniquely human evolution of sialic acid genetics and biology”, PNAS 2011)。Neu5Gcの主な供給源として、ラム肉、牛肉、豚肉さらには乳製品が挙げられ、また魚でも微量見出される(Tangvoranuntakul et al., 2003, PNAS, 100(21): 12045−12050)。
ウェスタンブロット解析を抗Neu5Gcを用いて実施して、食物から抽出したタンパク質、および細菌宿主により組み換え発現されたタンパク質のNeu5Gc含有量の特徴を調べた。タンパク質を、本明細書中に記載されるように肉の供給源から抽出した。同様にタンパク質を、本明細書中に記載されるように個々の発現ベクターでの形質転換、または本明細書中に記載されるように発現ベクターのライブラリーでの形質転換により、大腸菌および/またはB.subtilisで組み換え発現させた。個々の発現ベクターを起源とするタンパク質、および場合によっては、発現ベクターのライブラリー由来のタンパク質を、本明細書中に記載されるようにIMAC精製により精製した。大腸菌で組み換え発現させた精製タンパク質の混合物(タンパク質混合物1)を、約1mg/mlの最終濃度で各タンパク質を含むように調製した。この混合物およびそれが天然に産生される種に含まれるタンパク質は、SEQID−00076(ウシ)、SEQID−00240(ウシ)、SEQID−00298(ウシ)、SEQID−00359(ヒツジ)、およびSEQID−00510(シチメンチョウ)である。
それぞれの肉の抽出物(ウシ、ブタ、シカ、ラム、シチメンチョウ、ニワトリ、およびタラ)の試料、タンパク質混合物1、大腸菌(IMAC精製ライセート)およびB.subtilis(IMAC精製ライセートおよび非精製の上清およびライセート)で発現させた栄養性ポリペプチド168個のライブラリー、ならびに大腸菌(Rosetta、GamiB、およびGami2可溶性ライセートおよびRosettaの全細胞)、およびB.subtilis(PH951 Gracライセート)で発現させたcDNAライブラリーの試料を、Novex(登録商標)NuPAGE(登録商標)10%のBis−Trisゲル(Life Technologies)にロードした。本明細書中に記載されるようにタンパク質を分離し、転写した。Neu5Gcを、ニワトリの抗−Neu5Gc(IgY)一次抗体(BioLegend)およびヤギの抗ニワトリIgY西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)二次抗体(両方ともblok(商標)−POブロッキングバッファーで3:5,000に希釈)を用いて、標準的な製造社のプロトコルに従ってSNAP i.d.(登録商標)タンパク質検出システム(Millipore)を使用して検出した。ブロットを、製造社のプロトコルに従って、Luminata Classico Western HRP Substrate(Millipore)で処理し、Molecular Imager(登録商標) Gel Doc(商標)XR+System(Bio−Rad)での化学発光検出を使用して撮像した。図50は、代表的なクマシー染色したゲル(パネルA)および抗Neu5Gcプローブしたウェスタンブロットメンブレン(パネルB)を示す。この結果から、Neu5Gcは、ウシ、ブタ、ヒツジ、シチメンチョウ、およびニワトリの肉から抽出されるタンパク質には存在するが、大腸菌またはB.subtilisで組み換え発現されているこれら動物由来のタンパク質には存在しないことが証明された。
ウェスタンブロット解析によるキシロースおよびフコースの検出
キシロースおよびフコースは、しばしば植物の糖タンパク質に存在する糖であり、ヒトに対して免疫原性である可能性がある糖である(Bardor et al., 2003, Glycobiology, 13(6): 427−434)。食物供給源から抽出されたタンパク質および細菌宿主により組み換え発現されたタンパク質のキシロースおよびフコースの含有量を、抗キシロース抗体および抗フコース抗体を使用してウェスタンブロット解析により試験した。本明細書中に記載されるように、タンパク質試料を、食物供給源からの抽出、または購入したタンパク質の単離物の再構成のいずれかにより調製した。タンパク質を大腸菌で組み換え発現させ、本明細書中に記載されるようにIMAC精製により精製した。大腸菌で組み換え発現させた精製タンパク質の混合物(タンパク質混合物2)を、約1mg/mlの最終濃度で各タンパク質を含むように調製した。この混合物およびそれが天然に産生される種に含まれるタンパク質は、SEQID−00103(コメ)、SEQID−00104(トウモロコシ)、SEQID−00352(トウモロコシ)、SEQID−00485(ヒヨコマメ)、SEQID−00559(コメ)、SEQID−00598(亜麻二)、SEQID−00605(マッシュルーム)である。
各植物および真菌抽出物(酵母、亜麻二、ヒヨコマメ、トウモロコシ、ポテト、マッシュルーム、ダイズ、コメ、ブロッコリー、トマト、ブルーベリー、およびブドウ)の試料、タンパク質混合物2、西洋ワサビペルオキシダーゼ(陽性対照)およびフェチュイン(陰性対照)の試料を、Novex(登録商標)NuPAGE(登録商標)10%のBis−Trisゲル(Life Technologies)にロードした。タンパク質の分離および移行を、本明細書中に記載されるように実施した。ウェスタンブロット解析を、標準的な製造社のプロトコルに従ってSNAP i.d.(登録商標)タンパク質検出システム(Millipore)を使用して実施した。キシロースを、それぞれ、blok(商標)−POブロッキングバッファーで3:5,000および3:2,500で希釈したウサギの抗キシロース一次抗体(Agrisera)およびロバの抗ウサギIgG−HRP二次抗体(abcam)でブロッティングすることにより検出した。フコースを、それぞれblok(商標)−POブロッキングバッファーで3:10,000および3:3,000に希釈したウサギの抗フコース一次抗体(Agrisera)およびロバの抗ウサギIgG−HRP二次抗体(abcam)でブロッティングすることにより検出した。ブロットを、製造社のプロトコルに従って、Luminata Classico Western HRP Substrate(Millipore)で処理し、Molecular Imager(登録商標)Gel Doc(商標)XR+System(Bio−Rad)で化学発光検出を使用して撮像した。図51は、代表的なクマシー染色したゲル、抗キシロースでプローブしたウェスタンブロットメンブレン、および抗フコースでプローブしたウェスタンブロットメンブレンを示す。これらの結果から、キシロースおよびフコースはいずれも、亜麻二、ヒヨコマメ、トウモロコシ、ジャガイモ、ダイズ、コメ、ブロッコリー、トマト、ブルーベリー、およびブドウから抽出した植物タンパク質に存在するが、大腸菌で組み換え発現させた植物および真菌供給源由来のタンパク質には存在しないことが証明される。
栄養性ポリペプチドのグリコシル化を減少させるための、高いアスパラギン、セリン、および/またはスレオニンの質量組成を含むタンパク質の選択
栄養性ポリペプチドのグリコシル化状態は、グリコシル化部位の少ない配列を選択することにより減少できる。これらの部位は、N結合グリコシル化のためにアスパラギン、O結合グリコシル化のためにセリンおよびスレオニンを含む。これらの単離ポリペプチドは、ポリペプチドに沿って結合した多糖組成物のレベルの低下により、高いアミノ酸の質量パーセンテージを含み、これにより、栄養性ポリペプチドのグラムあたりの消化可能なアミノ酸量が多くなり、消費されると低い免疫活性を有する。栄養性ポリペプチドの骨格に沿って利用可能なグリカンのアクセプター部位のN結合グリコシル化は、アスパラギンのアミノ酸残基で主に起こる。アスパラギンが低レベルであることにより選択した異種性ポリペプチドの発現により、グリカン構造が減少したポリペプチドを単離することが可能である。栄養性ポリペプチドの骨格に沿って利用可能なグリカンのアクセプター部位のO結合グリコシル化は、セリンおよびスレオニンのアミノ酸残基で主に起こる。セリンまたはスレオニンが低レベルであることにより選択した異種性ポリペプチドの発現により、グリカン構造が減少したポリペプチドを単離することが可能である。
栄養性ポリペプチドのグリコシル化を増加させるために高いアスパラギン、セリン、および/またはスレオニンの質量組成を有するタンパク質の選択
栄養性ポリペプチドのグリコシル化状態は、栄養性ポリペプチドのグリコシル化部位を多く含む配列を選択することにより増大させることができる。これらの部位は、N結合グリコシル化のためにアスパラギン、O結合グリコシル化のためにセリンおよびスレオニンを含む。グリコシル化の増加は、栄養性ポリペプチドの溶解度および熱安定性を増加させることができる。栄養性ポリペプチド骨格に沿って利用可能なグリカンアクセプター部位のN結合グリコシル化は、アスパラギンアミノ酸残基で主に起こる。アスパラギンが高レベルであることにより選択した異種性ポリペプチドの発現により、グリカン構造が増加したポリペプチドを単離することが可能である。栄養性ポリペプチドの骨格に沿って利用可能なグリカンアクセプター部位のO結合グリコシル化は、セリンおよびスレオニンのアミノ酸残基で主に起こる。セリンまたはスレオニンが高レベルであることにより選択した異種性ポリペプチドの発現により、グリカン構造が増加したポリペプチドを単離することが可能である。
単離栄養性ポリペプチドからのグリカンの除去。
栄養性ポリペプチドのグリコシル化状態は、構造および物理的特性に影響を及ぼし得る。本明細書中に記載されるように、組み換え型宿主で発現させた栄養性ポリペプチドは、天然で起こるものとは異なるグリコシル化を有することができる。グリコシル化を有する栄養性ポリペプチドを産生する場合、グリカンを放出させて、化学的または酵素的な方法を使用して構造および物理的な特性を変化させることができる。一般的な科学的なグリカン放出方法は、ヒドラジン分解、およびアルカリ/還元状態(β脱離)である(Takasaki, Seiichi, et al. Methods in enzymology 83 (1981): 263−268.)。グリカンは、PNGaseF、Endo−H、Endo F2、PNGaseA、もしくはO−グリカナーゼなどのエンドグリコシダーゼ、またはシアリダーゼ、αガラクトシダーゼ、βガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、ガラクトサミニダーゼ、αマンノシダーゼ、βマンノシダーゼ、αフコシダーゼなどのエキソグリコシダーゼを使用してタンパク質から放出することができるが、具体的な酵素は、オリゴ糖の組成および結合に基づき選択される(Merry, Tony, et al. Capillary Electrophoresis of Carbohydrates. Humana Press, 2003. 27−40.)。
PNGase Fは、糖タンパク質からほぼすべてのN結合オリゴ糖を除去する非常に有効な酵素的方法である。NGase Fの消化は、アスパラギン残基をアスパラギン酸へ脱アミノ化し、オリゴ糖を未変化のままにする。エンドグリコシダーゼを使用してタンパク質を脱グリコシル化する場合、500μgの糖タンパク質を、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.5)50μlに再度懸濁する。PNGase Fを、0.1U/mlで添加し、溶液を37Cで24時間インキュベートする。反応が終了したか否かを、SDS−PAGEによりモニターする。
グリカンによるIgE媒介型アレルギー応答のスクリーニング。
栄養性ポリペプチドに対するグリカン修飾の変化は、IgE結合相互作用に影響を与える。アレルギー患者の約20%以上が、しばしばIgGを伴う、特異的な抗グリカンIgEを生成する(Altmann, F. The role of protein glycosylation in allergy, Int Arch Allergy Immunol. 2007)。IgE媒介型免疫応答を誘導するポリペプチドでは、アレルゲンの場合と同様に、本明細書中に記載されるようにグリカンを修飾すれば、その本来の組成物と比較して単離ポリペプチドのアレルゲン性を低減し得る。この例では、ポリペプチドを、in vitro血清アッセイでのIgEの結合性、および皮膚プリックテストによる反応性に関してスクリーニングする(Mari, A et. al. IgE to Cross−Reactive Carbohydrate Determinants: Analysis of the Distribution and Appraisal of the in vivo and in vitro Reactivity, 2002に記載)。
グリカンによるアレルゲン性の応答(交差反応性の炭水化物の決定要因と呼ばれる)は、IgE血清結合アッセイと皮膚のプリックテストの結果を比較することにより決定できる。アレルギー性疾患を示唆する呼吸器の症状を示す、選別していない一連の対象(アレルギーユニットと呼ばれる)を登録する。人口統計学および臨床データを、各患者に関して記録する。アナフィラキシーの臨床既往がある患者は、この試験から除外される。特異的免疫療法(SIT)の過程をこれまでに受けたことがない患者は除外されない。処置患者全員に、単離型および未処置型の組成物の両方で、栄養性ポリペプチドのミョウバン吸着抽出物を投与した。統計学的目的のために、花粉のみで処置した患者を評価する。患者に、上述のアレルゲン性抽出物を使用して、標準的な手順および記録を行う皮膚プリックテスト(SPT)を受けさせる(Mari, A. et. al Specific IgE to cross−reactive carbohydrate determinants strongly affect the in vitro diagnosis of allergic diseases. J Allergy Clin Immunol 1999)。SPTの後、in vitroでの診断の手法用の採血に同意した患者から血清を得る。血清を必要があるまで−20℃で保存する。皮膚の試験および採血に関するインフォームドコンセントは、アレルギーの診察の際に患者または介護者から入手する。
全ての血清中の総IgEを決定する(Radim, Pomezia, Italy)。アレルゲン特異的IgEを、製造社の指示に従ってCAPシステムにより検出する(Pharmacia, スウェーデンウプサラ)。値60.4 kUA/lを、陽性とする。CCD−IgEを検出するための単一の試験が存在しないため、IgEにより認識される炭水化物部分を有する栄養性ポリペプチドに対してin vitro試験が陽性であるが、同じ糖タンパク質に対してSPTが陰性であるという結果の矛盾は、CCD−IgEの存在を表すものと考えられる。IgEの検出は、同じアレルゲン性の抽出物に対してSPTで陰性と記録された血清最も大きくランダムな試料で実施する。IgEとの結合を媒介するグリカン構造の修飾は、栄養性ポリペプチドの単離の際にCCD−IgEが検出される患者における分布のシフト、および変化したグリカン構造の確認により観察される。
実施例33:栄養性ポリペプチドのアミノ酸の薬物動態の動物での例証
薬物動態的(PK)試験は、栄養性ポリペプチド配合物の経口投与の後のアミノ酸の血漿中濃度を評価するために実施され得る。このような解析は、胃腸におけるタンパク質の消化の速度および度合い、ならびに消化の際に放出される遊離アミノ酸および/またはペプチドの生物学的利用率に関する情報を提供する。成年のヒトと類似する消化管通過時間(3〜4時間)を有する成長期のラットは、経口投与での薬物動態試験に適したモデルとして容認されている(DeSesso and Jacobson(2001)Anatomical and physiological parameters affecting gastrointestinal absorption in humans and rats, Food and Chemical Toxicology 39: 209−228)。
ラットの薬物動態試験
頸静脈留置カニューレ(jcv)を有するオスのスプラーグドーリーラットを、Harlan Laboratoriesから購入し、試験開始前に少なくとも2日間試験施設(Agilux Laboratories)に馴化させた。用量投与前に、動物を、一晩(11〜13時間)絶食させて、試験が完了するまで絶食させたままにした。試験物質を、シリンジに取り付けた先端の丸い18ゲージのステンレススチール製の経口針を介して経口投与した。投与した溶液量をより正確に決定するために投与の前後に、すべての投与シリンジの重量を記録した。一連の血液試料(〜300μL)を、0時間(投与前)、ならびに投与後0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、および4時間でJVCから回収した。血液試料を、抗血液凝固性K2EDTA、一般的なプロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma P8340、全血中1:100に希釈)、およびDPP IV阻害剤(Millipore DPP4、全血中1:100に希釈)を含む採血管に採取した。採血の直後に、チューブをボルテックスミキサーで撹拌し、採取後1時間以内での遠心分離(3,500rpm、5℃)により血漿を処理するまで湿潤氷中で保存した。次に血漿試料を新しいチューブに移し、−80℃で保存した。場合によっては、最後の採血後に、動物を安楽死させ、回腸末端およびその含有物を採取し、本明細書中に記載されるように解析した。
血漿試料中のGlu、Ser、His、Gly、Thr、Arg、Ala、Tyr、Val、Met、Phe、Ile、Leu、およびLysの濃度を、本明細書中に記載されるようにHPLCアミノ酸の解析により決定した。HPLCアミノ酸解析の前に、不溶性の粒子を、10分間の遠心分離(1100×g、4℃)により血漿試料から除去した。次に、可溶性分画の試料25μLを96ウェルプレートに移し、一部の試料では、内部標準物質(ノルバリン、アジレント)を、最終濃度0.5mMで各血漿試料に添加した。Gln、Asn、Trp、ヒドロキシプロリン(Hyp)、およびサルコシン(Sar)を含む、現在のHPLCアミノ酸解析では測定されないアミノ酸は、サプリメントアミノ酸キット(アジレント)で提供される個々の標準物質保存液を含む標準物質混合物を使用することと、試料のクロマトグラフィープロファイルを混合した標準物質のプロファイルと比較することとにより解析する。補助的な標準物質を含む溶液は室温で不安定であるため、補助的なアミノ酸の標準物質は、使用の直前に調製して、長くても24時間以内に使用する。
図52は、表E33Aに列挙した用量での表記の栄養性ポリペプチドの経口投与後4時間にわたる、ラットから採取した血液試料中で測定した血漿中アミノ酸濃度(μm・時間)の平均曲線下面積(AUC)の変化(±SD)を示す。図53は、ラットの血漿中のアミノ酸濃度を変化させる栄養性ポリペプチドの経口投与の一例としてのSEQID−00105を示す。経口投与後にラットの血漿中で検出されるアミノ酸のプロファイルは、栄養性ポリペプチドのアミノ酸配列に依存した。たとえば、ポリペプチドSEQID−00240、SEQID−00338、およびSEQID−00352の経口投与は、血漿中のLysに関してAUC0〜4時間の変化を増加させたが、SEQID−00363、SEQID−00424、およびSEQID−00426の投与は、血漿中のLysに関してAUC0〜4時間の変化を変えるものではなかった(図52)。さらに、栄養性ポリペプチドSEQID−00240は、血漿中のPhe濃度に変動を引き起こすことなく、必須アミノ酸(EAA)を送達することができるポリペプチドの一例として作用する。図54は、ラットへのSEQID−00105(2.85g/kg)の経口投与に関する代表的な血漿中アミノ酸濃度対時間曲線を示す。図54は、表E33Aに示される用量でのSEQID−00105の経口投与後の血漿中Leuの濃度の用量反応効果を示す。まとめると、これらの結果から、栄養性ポリペプチドの経口投与を使用して、ラットの全身循環に特定のアミノ酸プロファイルを送達できることが例証される。
実施例34:栄養性ポリペプチドの消化性の調節
複数のタンパク質修飾法を使用して、モデル栄養性ポリペプチドSEQID−00363の構造を変化させた。これらの方法は、タンパク質の消化性および生物学的利用率における特定の構造特徴の関連性を評価した。これらの修飾として、グリカンの還元、タンパク質の加水分解、ジスルフィド結合の還元/アルキル化、およびタンパク質構造の熱変性が挙げられる。これらの修飾から得られる材料を、in vitroでの消化アッセイおよび場合によってはin vivoのアッセイを使用して消化の改善に関して評価した。これらの方法または類似の構造の変化を目的とする他の手段を、他の栄養性ポリペプチドに適用できる。
酵素的脱グリコシル化
SEQID−00363は、高マンノースO結合型グリコシル化を含むことが予測される(Goto et al., 2007 Biosci. Biotechnol. Biochem.)。SEQID−00363の消化に及ぼすグリコシル化の作用を評価するために、マンノースのグリカンを、酵素により顕著に減少させた。非特異的なαマンノシダーゼ(M7257, Lot SLBC4303V, Sigma−Aldrich、ミズーリ州セントルイス)を使用して、O−グリカン内の全ての1‐3、1−4、および1−6グリコシド結合を切断した。このαマンノシダーゼは、いかなる非マンノースグリコシド結合も切断せず、この酵素は、N結合グリカンの放出に対して無効であると予測される。
脱グリコシル化反応は、Jafari−Aghdam et al., 2005 Biochimica et Biophysica Actaから変更を加えた。SEQID−00363のタンパク質保存液を凍結乾燥した粉末から、脱グリコシル化反応バッファー(20mMの酢酸ナトリウム、2mMの塩化亜鉛、0.01%の2−メルカプトエタノール(pH4.3))中で100g/Lの酵素濃度となるように再度懸濁した。試薬の保存液を脱グリコシル化反応液の中に最終容量0.5Lで希釈した。この反応を、10g/LのSEQID−00363濃度およびSEQID−00363 1mgあたり0.5EUのαマンノシダーゼ濃度で実施した。この反応物を、0.2μmのフィルターを介して直接滅菌濾過して、脱グリコシル化反応バッファー20L中の7×70ml3.5kDの透析カセットに直接加えた。この反応を、放出された糖(単糖/多糖)によるαマンノシダーゼの提唱されるフィードバック阻害を減少させるために、透析中で実施した。次に、この反応物を37℃で6日間保存した。反応の過程において、SEQID−00363の約10%が不溶性の凝集体形成により失われた。最後の(6日目)の時点で、反応物を透析から回収し、滅菌濾過し、濃縮し、10%のリン酸緩衝食塩水(pH7.4)へのダイアフィルトレーションを行った。マンノースグリカンの還元の成功は、本明細書中に記載されるようにSDS−PAGEおよび抗GNAウェスタンブロットで大きさが減少することによりモニターされた。脱グリコシル化したSEQID−00363の高タンパク質濃縮配合物を作製するために、残りのプールを、最終濃度が約250g/Lに達するまでAmiconのスピン濃縮器(EMD Millipore, Billerica、マサチューセッツ州ビレリカ)で濃縮した。高濃縮配合物は、4℃で可溶性のままであり、長期間この温度で保持された。
タンパク質の加水分解
天然のタンパク質の調製物と比較して生物学的利用率を増加させる別の手法は、短いペプチドに加水分解することであった。乳清(Perea et al., 1993 Enzyme Microb. Technol.)およびダイズ(Kong et al., 2008 Bioresource Technology)などの商品としてのタンパク質のタンパク質加水分解物は、サブチリシン媒介型のタンパク質分解を介して酵素を用いて作製される。
サブチリシンは、pH8.5および55℃で最も活性である(Alder−Nissen, 1986)。この実験の目的のために、モデルタンパク質酵素の凍結乾燥調製物を、得られたタンパク質溶液を約pH8にするために100mMの炭酸ナトリウムで275g/Lに再懸濁した。サブチリシン(Alcalase 2.4L, Sigma−Aldrich、ミズーリ州セントルイス)を、モデルタンパク質酵素1mgあたり5.93x10−4 Uの濃度でタンパク質溶液に添加した。次に、反応物を、250g/Lのモデルタンパク質酵素となるように希釈し、55℃に24時間移した。反応完了後、加水分解材料を4℃で保存した。
反応の進行を、Superdex 75(5×150mm)カラム(GE Healthcare, スウェーデンウプサラ)を使用したサイズ排除クロマトグラフィーにより、同様にSDS−PAGE解析によりモニターした。
タンパク質の還元およびアルキル化
ジスルフィド含有タンパク質を、ジスルフィド結合を分解し、かつ遊離チオールを安定化させるために還元かつアルキル化できる。この修飾は、すべてのジスルフィド架橋の構造を崩壊させ、さらに、ジスルフィド結合が分子内または分子外で再形成しないようにする。SEQID−00363は、SCRATCH Protein Predictor(Cheng et al., 2005 Nucleic Acids Res.)により予測されるように、10個のシステインおよび4個のジスルフィド結合を含む。
SEQID−00363を、Bio−Rad ready Prep還元/アルキル化キット(Bio−Rad、カリフォルニア州ハーキュリーズ)を使用して6g/Lの最終濃度で還元かつアルキル化する。還元/アルキル化反応を、製造社の指示により推奨されるように実施した。SEQID−000363を、50mMのリン酸塩(pH8.0)中で還元かつアルキル化した。試料を非還元SDS−PAGE解析により解析した。
熱誘導型タンパク質の不安定化
タンパク質の変性は、分子の規則正しい構造の破壊、すなわち、すべての四次構造、三次構造、および二次構造の一次構造への還元を含む。変性は、すべての非共有分子内相互作用、すなわち水素結合、イオン相互作用、ファンデルワールス力相互作用、および疎水性相互作用を妨害する。加熱を使用して、これらの相互作用を妨害し、かつ天然のタンパク質を一次構造へと還元できる(ジスルフィド結合を除く)。
SEQID−00363を、10%PBS(pH7.4)で30g/Lに希釈し、95℃に迅速に加熱した。煮沸した後、タンパク質を熱処理から除去し、直ちに本明細書中に記載されるin vitroでの消化解析へと移行させた。
SEQID−00363の修飾型のIn vitroでの消化性
天然のSEQID−00363およびSEQID−00363の修飾型(すなわち、脱グリコシル化型、還元型およびアルキル化型、および熱変性型)の消化性を、本明細書中に記載される方法を使用して評価した。簡単に説明すると、SEQID−00363の天然型および修飾型を、模擬胃液(SGF)で処理し、様々な時点で残っている未変化のタンパク質の存在を、本明細書中に記載されるようにゲル電気泳動により解析した。さらに、パンクレアチンベースの消化システムシミュレーションに曝露後に存在する遊離アミノ酸の量を、本明細書中に記載されるように逆相HPLCアミノ酸解析により解析した。SEQID−00363の天然型および修飾型のSGFでの消化の結果から、脱グリコシル化、還元およびアルキル化、および熱変性を介したSEQID−00363の修飾は、様々な度合いでタンパク質の消化性を高めることが例証される。SEQID−00363の天然型および修飾型のパンクレアチンの消化の結果から、脱グリコシル化および熱変性を介したSEQID−00363の修飾が、消化の際に遊離のLeuの放出を増強するが、還元およびアルキルを介した修飾は放出を増強しないが例証される。表E34Aは、120分の時点での指数関数減衰曲線および遊離のLeu(μm)から計算した半減期の値を示す。
SEQID−00363の修飾型の生物学的利用率
SEQID−00363の天然型および修飾型(すなわち脱グリコシル化型および加水分解型)の生物学的利用率を、本明細書中に記載される方法を使用して評価した。簡単に説明すると、SEQID−00363の天然型および修飾型を、頸静脈にカニューレを留置したラットに経口投与し、4時間にわたり採取した血漿試料中の遊離アミノ酸の濃度を、HPLCアミノ酸解析により決定した。SEQID−00363の天然型および修飾型のラットの薬物動態試験で採取した血漿試料のアミノ酸解析を、図55に示す。これらの結果から、SEQID−00363の加水分解により、ロイシン、セリン、スレオニン、および一般的には必須アミノ酸(EAA)の生物学的利用率が増加したことが証明される。SEQID−00363の脱グリコシル化は、ロイシンまたはEAAの生物学的利用率を増加させなかったが、セリンおよびスレオニンの生物学的利用率を増加させた。
SEQID−00363の修飾型の回腸での消化性
タンパク質の質は、アミノ酸の組成、消化性、および生物学的利用率の関数である。回腸の消化性アッセイを使用して、タンパク質摂取後の回腸末端におけるタンパク質の含有量(すなわちアミノ酸、窒素、乾燥物質重量)と、消化管内容物の含有量との差異を測定してもよい。回腸の消化性アッセイからの結果を使用して、アミノ酸、窒素、および乾燥物質の回腸の消化性の係数を計算でき、患者の消化性およびアミノ酸の生物学的利用率に関する知識を提供できる(Darragh and Hodgkinson, 2000, Journal of Nutrition, 130(7): 1850S−1856S)。消化管全体にわたり決定した糞便の消化性係数は、大腸での微生物代謝により、アミノ酸の消化性および生物学的利用率を過剰評価する傾向がある。タンパク質の消化およびアミノ酸の吸収は、上部小腸で主に起こり、回腸の末端で事実上終了することから、回腸の消化性アッセイは、現在、単胃の哺乳動物におけるタンパク質およびアミノ酸の消化性を決定するための選択方法として容認されている。成年のヒトと類似の消化管通過時間(3〜4時間)を有する成長期のラットは、回腸の消化性アッセイに適したモデルとして容認されている(Amidon et al., 1986, The Journal of Pharmacy and Pharmacology, 38(5): 363−368)。
SEQID−00363の天然型および修飾型の経口投与でのラットの薬物動態試験を、本明細書中に記載されるように実施した。不消化性マーカーであるコバルトEDTAを、投与されるタンパク質溶液中で50mg/Lで配合して、処置群と個々のラットとのあいだの消化管通過時間の差をモニターした。最後の採血後(t=4時間)、ラットを安楽死させ、回腸末端(盲腸の前の20cmの小腸)およびその含有物(消化管内容物)を、予め重量を測定した試験管に回収した。回腸に生理食塩水を流し、消化管内容物を集めた。消化管内容物のpHを、HClで〜3.0に調節することにより、すべての酵素を不活性化させた。回腸の試料を、別々の予め重量を測定した15mLのコニカルチューブに入れた。全ての試料を、液体窒素で急速凍結し、さらに解析するまで−80℃に保存した。個々の回腸および回腸の含有物の重量を計算し、各試料ごとに記録した。
不溶性粒子を含む不均一な溶液として存在する消化内容物の試料を、本明細書中に記載されるようにCoomassie Plusタンパク質アッセイで使用して、タンパク質濃度を決定した。ビヒクル、天然のSEQID−00363、脱グリコシル化したSEQID003636、および加水分解SEQID−00363を投与したラットから収集した消化内容物の試料中の平均総タンパク質濃度は、それぞれ0.1mg/ml、0.9mg/ml、0.9mg/ml、および0.3mg/mlであった。回収した消化管内容物の体積に基づき、ビヒクル、天然のSEQID−00363、脱グリコシル化SEQID−00363、および加水分解SEQID−00363を投与したラットから収集した消化管内容物試料中の総タンパク質の質量は、それぞれ1.2mg、6.9mg、7.7mg、および2.2mgであった。これらの結果から、タンパク質の濃度および総質量が、ビヒクルまたは加水分解SEQID−00363のいずれかを投与したラットでよりも、天然のおよび脱グリコシル化SEQID−00363を投与したラットの消化内容物中で高いことが証明される。これらの結果をまとめると、加水分解SEQID−00363は、天然または脱グリコシル化SEQID−00363よりもラットの胃腸系でより完全に消化されることが示唆される。
回腸の消化性係数を決定するために、投与試料および回腸の消化内容物の試料のアリコートを、逆相HPLCアミノ酸解析(Lookhart and Jones, 1985, Cereal Chemistry, 62(2):97−102)により総アミノ酸含有量、Kjeldhal解析(Lynch and Barbano, 1999, JOURNAL OF AOAC INTERNATIONAL, 82(6): 1389−1398)により総窒素含有量、および誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS)(Taylor, H.E., Inductively Coupled Plasma−mass Spectrometry: Practices and Techniques, Academic Press, 2001)によりコバルト含有量に関して解析して、回腸のアミノ酸および窒素の消化性係数を決定する。
実施例35:活性を低下させるための栄養性ポリペプチドの処置
酵素的に活性の栄養性ポリペプチドの修飾は、タンパク質の酵素活性および構造上の安定性の両方を変化させることができる。経口投与した栄養性ポリペプチドが、アミノ酸の栄養素の送達に必要ではない活性を欠いていることは有益であり得る。さらに、非活性化は、その天然の対応物よりも消化可能であり、生物学的に利用可能とすることのできる不安定化を表す。酵素の修飾は、化学的処理または熱処理のいずれかを介して達成した。酵素活性は、in vitroでのアッセイを介して測定した。
活性アッセイ
SEQID−00363の不活性化を、グルコアミラーゼ活性アッセイにより試験した。グルコアミラーゼは、p−ニトロフェニル‐α‐D‐グルコピラノシドをp−ニトロフェノール(PNP)およびグルコースへと加水分解するように作用する。1mLあたりユニット(U)での酵素の活性を、400nmでのPNP放出(グルコアミラーゼ活性アッセイから改作した方法(U.S. Pharmacopeia. Food Chemicals Codex, 8th edition; 2012:1314−1315.))の吸光度を測定することにより決定した。0.3Mの炭酸ナトリウム中0.12μmol/ml、0.06μmol/ml、0.03μmol/ml、0.015、および0.0075μmol/mlのPNP標準物質を使用して、以下の式ε=A400nm/Cであって、式中、平均値が考慮されており、A400nmが10mmの光路を備える分光光度計を使用して測定した400nmでの吸光度であり、Cが、μmol/mlでの標準濃度である、式を使用してミリモル吸光係数(ε)を決定した。試料を、標準物質の吸光度の範囲にある0.1Mの酢酸ナトリウム(pH4.5)で希釈して作製した。試料100μlを50℃で5分間インキュベートした後、少なくとも15分間50℃で平衡化したPNPG溶液(100mgのPNPG、0.1Mの酢酸ナトリウム(pH4.5)中で100mlに希釈)を添加した。次に、この試料を、50℃でインキュベートし、PNPGを添加した10分後に、0.3Mの炭酸ナトリウム100μlを添加して反応を終了させた。次に、400nmでの吸光度を測定し、以下:活性=[(A試料−Aブランク)×0.3mL×希釈因子]/ε×10分×0.10μmol/分/ユニット×0.1mLであって、式中、A試料は、400nmでの試料の吸光度であり、Aブランクは、400nmでのブランクの吸光度であり、0.3mlは、反応物の体積であり、10分は反応時間であり、0.10μmol/mlは、酵素の単位あたり切断したPNPの量であり、0、1mlは試料のアリコードである、式としてU/mlで活性を計算した。1:1:1の0.1Mの酢酸溶液(pH4.5):0.3Mの炭酸ナトリウム:PNPG溶液をブランクとして使用した。活性を、比活性(U/mlまたはU/mg)または相対活性(すなわち対照タンパク質と比較)として記録する。
非活性化に関するタンパク質の修飾
タンパク質酵素を、分子の酵素活性部位の化学誘導型の不安定化を介して不活性化することができる。酸化(漂白剤、H2O2、エチレンオキシド);還元(DTT、bME、TCEP);カオトロープ(CaCl2、尿素、Gnd HCl、NaSCN);高いpH(Na2CO3、トリス塩基、Na2HPO4);低いpH:(Na3クエン酸塩、Tris HCl、酢酸、ホウ酸);中性のpH(Na−クエン酸塩、MOP酸、MES酸、Na−酢酸塩);界面活性剤(Tween 80、Triton−X−100、CHAPS、SDS、MPD);キレート化(EDTA、クエン酸塩)を含む異なる化学分類および作用機構を示す試薬のサブセットをスクリーニングする実験を行った。
SEQID−00363を、水中に300g/lで配合し、化学的な非活性化条件のアレイに10倍で希釈した(最終濃度=30g/L)。その後SEQID−00363を、非活性化から10分後および非活性化から4日後に酵素活性に関してアッセイした(表E35A)。
水の非活性化陰性対照と比較して、SEQID−00363は、6M Gnd・HClおよび4Mの尿素などの強力なカオトロープ;炭酸ナトリウムの高pH配合物;および強力な酸化剤である次亜塩素酸ナトリウム(家庭用漂白剤)において、最も強い非活性化を示した。t=4日目では、これらの条件はすべて、処理の4日後に20%未満の相対酵素活性を示した。強い酸化剤および強力なカオトロープの消費に関連した健康上のリスクにより、pHの高いSEQID−00363による処理は、酵素を非活性化する最良の条件として同定された。10分の時点と比較して、4日目の時点で採取した試料から、室温での化学的な非活性化は、作用の速やかな工程ではないことが示唆される。非活性化の動態は、多くのアッセイの条件において非常に速いわけではないと思われる。
複数のバッファー条件での加熱により実験で測定したSEQID−00363の非活性化を試験した。SEQID−00363を、20mMのリン酸ナトリウム(pH7)、20mMのリン酸ナトリウム(pH9)、20mMの炭酸ナトリウム(pH11)、および水で、3g/lに希釈した。次に、試料100μLを、周囲温度、60℃、70℃、80℃、および90℃で、PCRサーモサイクラーで5分間、各バッファーに関して処理した。各酵素の活性を、グルコアミラーゼ活性アッセイにより試験し、各活性を、周囲温度での水(対照)の活性に対して正規化した。この結果を以下の表E35Bに示す。
SEQID−00363の酵素活性について様々な曝露時間での温度およびpHの作用をアッセイする、追加的な他因子性の実験を行った。SEQID−00363を、100g/Lに配合し、高いpHのスパイク、または高pHバッファーへのダイアフィルトレーションの作用を、0時間から24時間の時間経過で25℃〜70℃の温度の勾配に対して試験した。解析した後、試料を、1mMの酢酸ナトリウムバッファーのスパイクを使用して〜pH7に中和した。
SEQID−00363の実験の概略および設計は以下の通りである。SEQID−00363を100g/lに再懸濁し、0、25Mの炭酸ナトリウム(pH10)を添加するか、50mMの炭酸ナトリウム(pH10)へのダイアフィルトレーションで処理するか、または10%のリン酸緩衝食塩水(pH9.0)へのダイアフィルトレーションで処理を行った。試料を、t=0時間、1時間、2時間、4時間、および24時間での試料採取時点を含む時間経過にわたり、40℃、50℃、60℃、または70℃でインキュベートした。
SEQID−00363の不活性化を、本明細書中に記載されるように活性アッセイを使用してアッセイした。試料を、比活性(U/mg)および肉眼での溶解度により、ゲル、粘体、または流体として解析した。この試験は、SEQID−00363が、温度およびpHの両方により酵素的に不活性化されることを見出した。一部の処置は、栄養性ポリペプチドの非可逆的な凝集およびゲル形成を引き起こし、これらの試料では、酵素活性を解析しなかった。この実験の結果からSEQID−00363が、pH10、25℃で可溶性の状態で不活性化できることが示唆される。反応温度が上昇すると、タンパク質は不活性化のままであるが、不溶性となる。
よって、pHは、SEQID−00363の非活性化に関する重要な工程の変数として定義された。次に、室温でのpHの関数としてSEQID−00363の不活性化を調べる試験を実施した。室温で実施できる工程は、加熱工程よりも費用が安く、スケールアップが容易である。SEQID−00363を、pH3.6で100g/Lに配合し、限外濾過膜を使用して、バッファーを、一連の炭酸ナトリウムバッファーへと交換した。SEQID−00363の溶液のpHは、バッファー交換過程で3.6から11.0に上昇した。タンパク質の試料を、バッファー交換過程で、計画的に限外濾過システムから採取し、pHの範囲を通して試料のセットを得た。これらの試料を室温で保持し、各試料を半分に分けた。各試料の半分を、2〜5時間後に酢酸ナトリウムバッファーで中和した。次に中和した試料を、記載されるように酵素活性に関してアッセイした。結果を表E35Cにまとめる。
同様に、SEQID−00363の加水分解による非活性化を、グルコアミラーゼ活性アッセイにより試験した。タンパク質の加水分解の工程は本明細書中に記載されている。加水分解が、対照と比較して7%まで活性を減少させることが見出された。
他のアミラーゼ栄養性ポリペプチドの非活性化も試験した。SEQID−00424の非活性化を、本明細書中に記載されるようにグルコアミラーゼ活性アッセイにより試験したが、ここでは代わりに、pH5.0の酢酸塩バッファー(Aspergillus oryzae由来の酵素に関して推奨される)を利用した。試料を、本明細書中に記載されるように、加水分解または煮沸により非活性化した。煮沸は、対照と比較して0%まで活性を減少させ、加水分解は51%まで活性を減少させた。
実施例36:栄養性ポリペプチドの酵素活性の破壊
変異体タンパク質の構築
複数の変異を、酵素活性を有すると知られているモデルタンパク質(SEQID−00338, UniProt ID:P07170)に関してなし得る酵素的不活性化の度合いを決定するために試験した。このタンパク質では、基質結合部位は、42位、134位、167位、および178位を含む。さらに、91位にマグネシウムイオン結合部位が存在する。1アミノ酸変異を、いくつかの基質結合位置で作製した。変異体を発現させ、酵素活性について試験した。
1アミノ酸変異体タンパク質を、2つの断片のPCR増幅により構築した。第1のフラグメントを、Hisタグと適合性のオーバーハングを伴う遺伝子(ATCACCACCATCACCATCATAGCAGCAGCGAAAGCATTCGTATG)の5’末端に結合するフォワードプライマーと、大腸菌中の標的アミノ酸に関して最も一般的なコドンを含むリバースプライマー(表E36A)と、変異の上流および下流での20bpの隣接領域とを使用して、増幅した。第2の断片は、変異の位置に特異的なフォワードプライマー(表E36A)と、遺伝子(TGTTAGCAGCCGGATCCTTAATCTTTGCCCAGTTTATTCAGAATATC)の3’末端に結合するリバースプライマーとを使用して、変異部位の直後のタンパク質の3’末端を増幅する。標準的なPCR反応の条件をすべての断片で使用し、これは、0.5μMのフォワードプライマー、0.5μMのリバースプライマー、1X Phusion Polymerase Master Mix(New England Biolabs)、および1〜100ngのテンプレートDNAを、最終容量50μlで含む。サーモサイクル条件は、98℃で30秒間の初回変性後、98℃で10秒間の変性温度、55〜60℃で15秒間の温度でのアニーリング、72℃の温度での産物1kbあたり15秒間の伸長を30サイクルである。1μlのDpn I(New England Biolabs)および5μlの10×CutSmarバッファーを添加し、かつ37℃で1時間インキュベートすることにより、テンプレートDNAを最終産物から除去する。各PCR産物を清浄にし、ゲル回収キット(Zymo Research)に従って濃縮し、20μlの滅菌水に溶出した後、次のアセンブリステップへの処理を行う。
変異を、一文字略語での元のアミノ酸の後に、位置、および一文字略語での最終的なアミノ酸の順で明記する
PCRで増幅した断片を、ギブソンアセンブリにより発現プラスミドへ挿入し、発現のためT7 Express(New England Biolabs)細胞を形質転換させた。T7プロモーター、8×Hisタグ、および終止コドンを含む発現プラスミドpET15bを、各PCRの断片のあいだに20bpのオーバーラップが存在し、ギブソンアセンブリにより適切にアセンブリされるように、プライマーGGATCCGGCTGCTAACAAAGCCおよびATGATGGTGATGGTGGTGATGATGACを使用してPCRにより増幅した。ギブソンアセンブリでは、各PCR断片1μlを、1X Gibson Assembly Master Mix(New England Biolabs)と、10μlの最終容量で混合し、50℃で1時間インキュベートする。アセンブリの反応混合物を、20μlの水を添加することにより3倍希釈した。希釈した混合物3μlによって、30μlのT7 Express(New England Biolabs)細胞を形質転換した。単一のコロニーを採取し、プラスミドを抽出し、発現試験に移す前に配列を確認した。
変異タンパク質の発現および精製
単一のコロニーを使用して、各ウェル中100mg/Lのカルベニシリンを含むLB培地1mlを含む2mlのディープウェルブロックに接種した。培養物を、37℃および900rpmで一晩、ディープウェルブロック振盪機で振盪した。ディープウェルブロックを使用して、600mU/Lのグルコアミラーゼを含むBioSilta Enbase培地1mlを含む別のディープウェルブロックに、0.1のOD600で接種した。培養物を16時間、37℃および900rpmで振盪し、この時点で1mMのIPTGを添加して、培養物を誘導し、追加的なEnbase補助培地および別の600mU/Lのグルコアミラーゼを、培養物を補充するために添加した。発現を、さらに6時間、37℃および900rpmで実行した。培養物を、室温で10分間、3,000×gでディープウェルブロックをスピンすることにより収集した。遠心沈降後、上清を注意深く除去し、細胞のペレットを−20℃で凍結した。凍結した細胞のペレットを融解し、0.1mmのジルコニウムビーズ0.3gを各試料に添加した後、0.5mlのPBSを添加した。細胞を、96ウェルプレートアダプターを備えたQiagen TissuelyserII(Qiagen, ドイツヒルデン)で5分間ビーズを撹拌することにより、氷冷した室内(4℃)で溶解した。細胞のライセートを、3000rpmで10分間遠心分離し、上清を取り出し、試料を採取して、チップ電気泳動によりタンパク質の濃度に関して解析した。試料は、2μlの試料を7μlのサンプルバッファーに添加し、95Cで5分間加熱し、次に35μlの水を添加することにより調製した。解析を、HT Low MW Protein Express LabChip(登録商標)キットまたはHT Protein Express LabChip(登録商標)キットを使用して完了した(製造社のプロトコルに従う)。タンパク質のラダーを、分子量の決定(kDa)および定量化(ng/μl)のために12個の試料ごとに作製した。
変異タンパク質を、製造社のプロトコルに従って、His Multitrap HP(GE Healthcare)システムを使用して精製した。タンパク質の濃度を、クマシーブルーにより染色したSDS−PAGEおよび280nmの吸光度により測定した。タンパク質を、キナーゼ活性アッセイのために40mMのトリスバッファーで希釈した。
SEQID−00338のキナーゼ活性の決定
ADP−Glo(商標)Maxアッセイを、Promega(カタログ番号 V7001, ウィスコンシン州マディソン)から入手した。アデノシン一リン酸を、Sigma−Aldrich(カタログ番号 A1752、ミズーリ州セントルイス)から入手した。5×キナーゼバッファーを、1.211gのトリス塩基(カタログ番号 BP152−2, Fisher Bioreagents, ペンシルバニア州ピッツバーグ)、692μL 12%の塩酸溶液(カタログ番号 BDH3026−500MLP, VWR, Radnor, PA)、10.0mL 500mMの塩化マグネシウム(カタログ番号 BP214−500, Fisher Bioreagents, ペンシルバニア州ピッツバーグ)で調製し、全量をMilliQ水で50mLにし、0.22μmのPESフィルター(カタログ番号CGP00525, Millipore, Billerica、マサチューセッツ州ビレリカ)を介して滅菌した50mlのチューブへと濾過した。
トリスバッファー中で35μg/mlの、12個のHisタグ精製変異体タンパク質および野生型のタンパク質を、7.0μg/mlおよび1.4μg/mlに連続希釈した。MilliQ水中の10mMのAMPおよび10mMのATPの適量で5×キナーゼバッファーを希釈することにより、活性を試験するための0.5mMのAMP/0.5mMのATP、およびバックグラウンド活性をアッセイするための0mMのAMP/0mMのATPのキナーゼ反応ミクスを調製した。2回の反復実験の反応を、希釈したSEQID−003386μlと反応混合物9μlを混合し、ピペッティングにより上下に混合し、384ウェルの白色OptiPlate(PerkinElmer、マサチューセッツ州ウォルサム)に分配することにより調製した。ADPの検量線は、MilliQ水中で4mMのADPを連続希釈し、0.0005、0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、1、2、3、および4mMのADPの標準物質に関して1倍でキナーゼバッファーを添加することにより調製した。プレートを、ホイルプレートシールで被覆し、30℃で30分インキュベートした。キナーゼ反応の後、ADP−Glo(商標)試薬5μlを各ウェルに添加した。プレートを、ホイルプレートシールで密封し、室温で2時間、450rpmの水平のプレート振盪機上に配置した。プレートを、プレートの振盪機から外し、室温で40分間インキュベートした。次にプレートを、15秒間、1109×rcfで遠心分離し、10μlのADP−Glo(商標)Max検出試薬を添加した。プレートを、ホイルプレートシールで密封し、室温で2時間、450rpmの水平のプレート振盪機で振盪した。次にプレートを、プレート振盪機から外し、室温で60分間インキュベートした。プレートを、15秒間1109×rcfで遠心分離し、発光を、EnspireAlphaプレートリーダー(PerkinElmer、マサチューセッツ州ウォルサム)で読み取った。
ADPの検量線を使用して、基質の存在下または非存在下で試料ウェル中のADPの濃度を決定した。濃度を、X=log(X)変換したADP標準物質の発光値に非線形の4パラメータロジスティックを実施することにより決定した。バックグラウンドADPは、ほとんどの試料で検出限界未満であることが見出された。基質の非存在下でのADPのバックグラウンド濃度が計算可能である場合、これらの値の平均値を、基質をインキュベートしたウェルで計算されたADP濃度から減算した。活性のノックアウトを、同じ濃度の精製野生型タンパク質と比較した活性のパーセンテージを出すことにより計算した。
表E36Bは、精製野生型のタンパク質と比較した変異体の平均パーセント活性を列挙する。すべての変異体は、野生型のタンパク質と比較して活性が減少している。キナーゼの変異体は、7μg/mlで活性の差を示した。
実施例37:酵素活性を低下させるための分泌ポリペプチドの改変
変異タンパク質を、栄養性ポリペプチドの酵素活性を低減するために構築した。SEQID―00407の活性部位は、触媒ドメインの中心にある酸性残基である残基D217およびE249であると予測される。酵素活性がなく、かつ栄養素および健康にとって重要なアミノ酸を多く含むポリペプチドを産生するために、本出願人は、SEQID−00407の触媒活性を破壊するためにそれら2つの部位を変異させた。SEQID−00407のD217およびE249は、求核剤およびプロトンドナーまたはアクセプターとして作用して、これらのリガンドと水素結合を形成する。
SEQID−00407から酵素活性を除去するために、本出願人は、グルタミン酸からフェニルアラニンに変化する、E249での1アミノ酸変異を伴うタンパク質を作出した。この変異体は、2つのPCRフラグメントをアセンブルすることにより構築した。第1のフラグメントは、変異部位の最大20bp下流の酵素の5’末端を含む。第2のフラグメントは、変異部位の直後に始まる酵素の3’末端を含む。第1のPCRフラグメントでは、特異的なPCRプライマーを、標的変異部位と結合し、望ましい変異体アミノ酸のコドンを組み込むように設計した。TTTコドンは、Bacillus subtilisにおけるフェニルアラニンに関して最も多く使用されるため、TTTコドンを使用した。2つのPCRフラグメントをアセンブルし、ギブソンアセンブリ法(NEB Gibson Assembly Master Mix)を使用して、50℃で1時間プラスミドベクターに挿入した。この構築物を大腸菌の中に構築し、DNAシークエンシングにより確認した後、分泌および酵素活性のアッセイのために、この構築物によりBacillus subtilisを形質転換した。
Bacillus subtilis由来の栄養性ポリペプチドの分泌
B.subtilisの発現細胞株の3つの別々のコロニーを使用して、ディープウェルブロック(96平方ウェル)中に、Cm5を含む2xL−Mal培地(20g/lのNaCl、20g/lのトリプトン、10g/lの酵母抽出物、75g/lのマルトース)1mlを接種した。培養ブロックを、多孔性接着プレートシールで被覆し、マイクロ発現チャンバー(Glas−Col、イリノイ州テレホート)で、37℃および880rpmで一晩インキュベートした。一晩の培養物を使用して、新鮮な、2xL−Mal、Cm5培養物を、初回密度OD600=0.1でディープウェルブロック中に接種した。これらの発現培養物を、OD600=1.0となるまで(約4時間)37℃、880rpmでインキュベートし、この時点で、イソプロピルβ‐D−1オガラクトピラノシド(IPTG)を0.1Mの最終濃度で添加し、4時間インキュベーションを継続することにより誘導した。4時間後、各培養物の細胞密度を測定し(OD600)、細胞を、遠心沈降(3000rpm、10分、室温)により収集した。遠心沈降の後、培養物の上清を、注意深く除去し、新規のブロックに移し、細胞のペレットを−80℃で凍結した。分泌したタンパク質のレベルを決定するために、上清をアッセイして、チップ電気泳動により関心対象の分泌タンパク質(POI)のレベルを決定した。簡単に説明すると、2μlの試料を7μlのサンプルバッファーに添加し、95Cで5分間加熱し、次に、35μlの水を添加することにより、試料を調製した。解析を、HT Low MW Protein Express LabChip(登録商標)キットまたはHT Protein Express LabChip(登録商標)キットを使用して完了した(製造社のプロトコルに従う)。タンパク質のラダーを、分子量の決定(kDa)および定量化(ng/μl)のために12個の試料ごとに作製した。
アミラーゼ活性アッセイ
SEQID−00407は、デンプンなどの多糖を単糖または二糖に分解する活性を有するBacillus subtilisにおけるαアミラーゼである。特定の変異体から酵素活性が除去されたことを例証するために、酵素を分泌するBacillus subtilisを、デンプンを含む寒天プレートで平板培養した。酵素活性が存在する場合、分泌された酵素はデンプンを分解し、ヨウ素により染色されると、Bacillus subtilisのコロニーの周辺にハローが存在する。1%のデンプンプレートは、25gのLuria Broth−Miller、10gのデンプン、15gの細菌用寒天、および1Lの水を混合することにより作製した。寒天が固化した後、10mMのIPTGをデンプンプレートに添加した。変異体ポリペプチドを発現するBacillus subtilis細胞株の単一のコロニーを、37℃で4時間、5mlのLBに接種し、液体培養物50μlを、デンプンプレートの中心にスポットした。20時間生育させ、分泌を誘導した後、10%のヨウ素をデンプンプレートに添加して、デンプンを染色した。野生型酵素が分泌されれば、細胞の周辺に大きいハローが作製される。しかしながら、改変酵素が分泌されれば、酵素を有しない空のベクターを発現する陰性対照細胞株と類似して、ハローの面積は減少する。表E37Aは、細胞の面積と比較したハローの面積を定量化する。ハローと細胞とのあいだの面積の差は、改変した変異体よりも野生型で大きいことが示される。示されるデータから、本出願人は、酵素活性が低下した分泌型栄養性ポリペプチドの改変を証明した。
実施例38:ポリペプチドの活性を調節し、かつ必須アミノ酸含有量を多くするための栄養性ポリペプチドアミノ酸含有量の改変
アミノ酸含有量の多い分泌ポリペプチドの改変を例証するために、本出願人は、高レベルでタンパク質を分泌することが知られている微生物であるBacillus subtilisを選択した。SEQID−00407は、Bacillus subtilisにおける主要な分泌タンパク質として同定された。SEQID−00407に関する配列の保存および結晶構造のデータを使用して、本出願人は、タンパク質の構造上の安定性および/またはタンパク質を分泌する宿主生物の能力に負の影響を与えることなく変異に対して寛容であると予測される連続領域を各タンパク質内で同定した。
本出願人は、構造タンパク質のデータバンクエントリー1UA7に記録されるSEQID−00407の二次構造を解析した。本出願人は、αへリックスまたはβシートの一部ではないタンパク質の配列の中に19個のループ領域を同定した。これらのループ領域は、以下のアミノ酸残基:73−76、130−133、147−152、157−161、189−192、222−227、239−244、283−286、291−298、305−308、318−323、336−340、356−360、365−368、387−392、417−421、428−432、437−442、および464−466により定義される。長さがアミノ酸4個未満のループ領域は、変異として考慮しなかった。
進化上の配列空間での配列の保存もまた、構造上の安定性および分泌の適格性を維持しながらの改変の影響を受けやすい位置を同定するために考慮した。相同配列のファミリーの中であまり保存されない位置は、本質的に可変であり、活性に影響を及ぼすことなくより変異の影響を受けやすく、本質的に構造と関連している。あまり保存されない位置を発見するために、本出願人は、NCBIの保存ドメインデータベースから、SEQID−00407の触媒ドメインを含む31個のタンパク質配列を含むpfam00128のアライメントをダウンロードした(Marchler−Bauer A., Zheng C., Chitsaz F., Derbyshire M. K., Geer L. Y., Geer R. C., Gonzales N. R., Gwadz M., Hurwitz D. I., Lanczycki C. J., Lu F., Lu S., Marchler G. H., Song J. S., Thanki N., Yamashita R. A., Zhang D., and S. H. Bryant. Nucleic Acids Res. (2013) 41:D348−52)。また本出願人は、SEQID−00407を使用してNCBIのタンパク質の参照配列データベースのPSI−BLAST検索を実施し(Pruitt K. D., Tatusova T., and D. R. Maglott. Nucleic Acid核酸s Res. (2005) 33:D501−504)、SEQID−00407と相同の500個の配列を得た。両方の場合で、BLOSUM62位置に特異的なスコア行列、−11のギャップペナルティ、−1のギャップ伸長ペナルティ、および0.005のアライメント包有e値カットオフを使用して、iteration1を実施した(Altschul S. F., Nucleic Acids Res. (1997) 25:3389−3402)。すべてのタンパク質配列のアライメントを使用して、PSI−BLAST検索の一部として各クエリ配列に特異的な位置特異的スコア行列(PSSM)を作製した。PSSMから、本出願人は、各ループ内の各位置での陽性PSSMスコアに関連する異なるアミノ酸の数、ならびに各位置での必須アミノ酸置換に関するPSSMスコアの合計および平均値を計数することにより、変異に対して寛容であると予測される領域を同定した。さらに、各PSI−BLAST検索から得た複数の配列アライメントから、本出願人は、
(式中、Sjは、位置jでのエントロピーであり、piは、位置jでアミノ酸iを観察する確率である)により定義されるように、各位置のアミノ酸のエントロピーを計算した。
これらの変異に対する寛容の測定値を使用して、本出願人は、必須アミノ酸への変異に対して寛容であると予測される4つのループ領域を同定した。同定した領域が必須アミノ酸を多く含むように、本出願人は、選択された任意の位置が、F、I、L、V、もしくはM(Zを意味する)、またはR、K、T、I、もしくはM(Xを意味する)のいずれかであり得るコンビナトリアルコドンライブラリーを使用した。必須アミノ酸への変異に関して選択したそれぞれのループ領域では、それぞれの可変の位置に、疎水性残基のその相対的な寛容性に応じてZまたはXを割付した(そのそれぞれのPSSM値に基づく)。疎水性残基に寛容である位置に、Zを割付し、コドンNTNを使用して遺伝的にコードした。親水性残基により寛容である位置に、Xを割付し、コドンANRを使用して遺伝的にコードした。本出願人は、SEQID−00407の同定された可変領域の1つ(147〜153)において、グリシン残基を、この領域の立体構造の柔軟性を高める試みでループの中心に挿入したことに注目する。SEQID−00407に関して、同定された領域の配列を表E38Aにまとめる。
ライブラリーの設計および構築
可変領域の同定に基づき、本出願人は、本明細書中で説明されるように各可変領域を増幅できるプライマーを設計した。たとえば、4つの可変領域が存在する場合、本出願人は、4つの可変フラグメントを作製するために4対のプライマーを必要とする。ステップ1で、本出願人は、N末端AmyQシグナルペプチドおよびpGracプロモーターの下流と融合したSEQID−00407を含むpES1205をテンプレートとして使用した。pES1205は、B.subtilis由来のamyE遺伝子(AmyEシグナルペプチドをコードする最初の93bpを含まない)に加えてC末端の1×FLAGタグをコードする1905bpのDNAフラグメントを含む、ベクターのpHT43(MoBiTec)の誘導体である。amyE::1XFL:AG配列を、pHT43上でコードされるSamyQ配列とインフレームでクローニングした。フラグメント1、2、3、4では、フォワードPRIMERID−45053、PRIMERID−45054、PRIMERID−45055、およびPRIMERID−45056は、可変領域の前に25塩基の定常配列、次に、可変領域を表す縮重配列、および可変領域の下流で25塩基の定常配列を含む。フラグメント1、2、3では、リバースプライマーPRIMERID−45061、PRIMERID−45062、およびPRIMERID−45063は、それぞれ次の可変領域の上流25塩基の逆相補的配列を含む。フラグメント4では、リバースプライマーPRIMERID−45064は、可変領域4とは任意に離れた距離で25塩基の逆相補性配列を含む。4つの別々のPCR増幅を、PhusionDNAポリメラーゼ(New England Biolabs、マサチューセッツ州ビバリー)、および製造社により推奨される反応パラメータを使用して行った。別々の反応として、4つの野生型のフラグメントWT−frag−1、WT−frag−2、WT−frag−3およびWT−frag−4を、テンプレートとしてのPES1205、ならびにそれぞれのプライマー対PRIMERID−45057&PRIMERID−45061、PRIMERID−45058&PRIMERID−45062、PRIMERID−45059&PRIMERID−45063、およびPRIMERID−45060&PRIMERID−45064を使用して作製した。すべてのPCRフラグメントを、ゲル精製した。ステップ2で、2つの別々のPCR反応を設定した。第1のPCR反応は、テンプレートとして等モル比のフラグメント1および2と、プライマーとしてのPRIMERID−45057およびPRIMERID−45062を含む。第2のPCR反応は、等モル比率のフラグメント3および4と、プライマーとしてのPRIMERID−45059およびPRIMERID−45064とを含む。両方の反応において、各野生型のフラグメントを、各可変フラグメントに存在するライブラリーメンバーのモル比で添加した。フラグメント5および6を、ゲル精製し、かつステップ3で、等モル比のテンプレートとして使用した。PCR反応で使用するプライマーは、PRIMERID−45057およびPRIMERID−45064を含む。ベクターPCR産物を、pES1205と、プライマー対PRIMERID−45065およびPRIMERID−45066とを使用して作製した。フラグメント7およびベクターPCR産物の両方をゲル精製し、Gibson Assembly Master Mix(New England Biolabs、マサチューセッツ州ビバリー)を使用して共にクローニングし、クローニングした宿主の大腸菌Turbo(New England Biolabs)を製造社の指示に従って形質転換した。50個のコロニーをシークエンシングして、ライブラリーの多様性を決定した。次に、寒天プレート上のコロニーをLB培地に懸濁し、プラスミド精製のために収集した。同様に、本出願人は、変異体の設計で同定された、すべての可変位置で9個の特異的なアミノ酸F、L、I、M、V、T、K、R、Wに変化させたSEQID−00407の9個の特異的な変異体を作製した。特異的な変異体プライマーは、名称の一文字アミノ酸略語により記載する。全てのプライマーを表E38Bに列挙する。
Bacillus subtilis細胞株の構築
B.subtilis細胞株(MoBiTec, ドイツゲッティンゲン)を発現宿主として使用した。WB800Nは、十分に研究された細胞株(B.subtilis 168)の派生株であり、8つの細胞外プロテアーゼ(nprE、aprE、epr、bpr、mpr、nprB、vpr、およびwprA)をコードする遺伝子を欠失により、分泌タンパク質のプロテアーゼ分解を低減するように改変されている。B.subtilisの形質転換を、製造社の指示に従って実施した。SEQID−00407の変異体構築物のライブラリー約5μgによって、WB800Nを形質転換し、単一のコロニーを、5.0μg/mlのクロラムフェニコール(Cm5)を含むLB寒天上で平板培養することにより37℃で選択した。9個の特異的な変異体に関して、特異的なSEQID−00407変異体1μgによってWB800Nを形質転換し、単一のコロニーを、5.0μg/mlのクロラムフェニコール(Cm5)を含むLB寒天上で平板培養することにより37℃で選択した。
Bacillus subtilisのライブラリーのスクリーニング
B.subtilisのSEQID−00407ライブラリーの約800個の個々の形質転換体を使用して、ディープウェルブロック(96平方ウェル)中、Cm5を含む2×Mal培地(20g/lのNaCl、20g/lのトリプトン、および10g/lの酵母抽出物、75g/lのマルトース)の培養物1mlに個々に接種した。ライブラリー細胞株に加えて、AmyEおよびSamyQリーダーペプチドを伴うプラスミドを含む細胞株を陽性対照として接種し、関心対象遺伝子を伴わないプラスミドを含む細胞株を陰性対照として接種した。培養ブロックを、多孔性接着プレートシールで被覆し、マイクロ発現チャンバー(Glas−Col、イリノイ州テレホート)内で、37℃および880pmで一晩インキュベートした。一晩培養した培養物を使用して、ディープウェルブロック中新鮮な2×Mal、Cm5培養物に、開始密度OD600=0.1で接種した。
発現培養物を、OD600=1.0となるまで(約4時間)、37℃、880rpmでインキュベートした。この時点で、β−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)を、最終濃度1mMで添加し、4時間インキュベーションを継続することにより誘導した。4時間後、各培養物の細胞密度を測定し(OD600)、細胞を、遠心沈降(3000rpm、10分、室温)により収集した。遠心沈降の後、細胞の上清を、注意深く除去し、新規のブロックへ移し、細胞のペレットを−80℃に凍結した。分泌されたタンパク質のレベルを決定するために、培養上清の0.5mlのアリコートをまず0.45μmのフィルター、次に0.22μmのフィルターを介して濾過した。次のこの濾液を、チップ電気泳動システムによりアッセイして、関心対象の分泌タンパク質(POI)のレベルを決定し、ベース構築物の分泌レベルと比較した。簡単に説明するとを、サンプルバッファー7μlに試料2μlを添加し、95Cで5分間加熱し、次に35μlの水を添加することにより、試料を調製した。HT Low MW Protein Express LabChip(登録商標)キットまたはHT Protein Express LabChip(登録商標)キット(製造社のプロトコルにしたがう)を使用して、解析を行った。タンパク質のラダーを、分子量の決定(kDa)および定量化(ng/μl)のために12個の試料ごとに作製した。
SEQID−00690およびSEQID−00702を、関心対象のゲルバンドのLC/MS/MSにより確認した。選択したヒットを、5%のβメルカプトエタノールを含むIn vitrogen LDSサンプルバッファーと混合し、煮沸し、Novex(登録商標)NuPAGE(登録商標)10%のBis−Trisゲル(Life Technologies)にロードした。泳動後、ゲルをSimplyBlue(商標)SafeStain(Life Technologies)を使用して染色し、望ましいバンドを切断し、解析のため提出した。ゲルバンドを洗浄し、還元し、アルキル化し、次にトリプシンで4時間消化させ、次に、ギ酸でクエンチした。次に消化物を、ThermoFisher Q Exactiveにインターフェースで接続したWaters NanoAcquity HPLCシステムでのナノLC/MS/MSにより解析した。ペプチドを捕捉カラムにロードし、75μmの解析カラムから350nl/分で溶出させた。両方のカラムに、Jupiter Proteo樹脂(Phenomenex)を充填した。質量分析計を、データ依存モードで作動させ、ここでMSおよびMS/MSを、70,000FWHMの分解能および17,500FWHMの分解能でそれぞれ実施した。最も多く存在する15種のイオンを、MS/MSに関して選択した。得られたペプチドのデータを、付属の関連する変異体タンパク質配列を含む関連する宿主のデータベースに対してMascotを使用して検索した。
希釈した一晩の培養物を、Cm5を含むLBブロス培養物の接種物として使用した。これらの培養物を、対数期に入るまで37Cで生育させた。これらの培養物のアリコートを、グリセロール(20%の最終濃度)と混合し、−80℃で凍結した。次に、トップ30のヒットを、Instagene matrix(Biorad, USA)を使用して精製し、CTTGAAATTGGAAGGGAGATTCおよびGTATAAACTTTTCAGTTGCAGACを使用して増幅させ、じのプライマーを使用してシークエンシングしてSEQID−00407の変異体配列を同定した。
Bacillus subtilis分泌ライブラリーの解析
SEQID−00407のすべての分泌された変異体(SEQID45002−45028)を解析して、最初の遺伝子ライブラリーに存在する予測位置特異的バイアスと比較して、分泌された変異体に存在するアミノ酸における任意の位置特異的バイアスが存在するかどうかを判定した。この目的のため、観察された各アミノ酸の数が、偶然に予測されるより有意(p<0.05)に多いまたは少ない可能性を決定するために、各位置の各アミノ酸に関して、正確二項検定を実施した。表E38Cは、この片側検定のp値を示し、強調された要素は、p値<0.05を有する。すべてが予測値よりも有意に高い野生型の値を除き、他の全ての有意に異なるアミノ酸の頻度は、予測した値よりも低かったことに留意されたい。予測位置特異的なアミノ酸バイアスを、表E38Dに示し、これはライブラリーを構築し、大腸菌を形質転換した後に47個のランダムに選択した変異体をシークエンシングすることにより見出された。Xであると設計されたすべての位置は、L、I、V、F、およびMのコドンの同じ分布から効果的にサンプリングされた(すなわち、すべてのXの位置に関して、位置特異的アミノ酸バイアスが存在しなかった)と仮定した。このように、各アミノ酸に関して観察された計数を、位置を超えて集めて、すべてのXの位置に対する予測アミノ酸の可能性を決定した。同様の前提を、Zであると設計したすべての位置に対して行った。表E38Cで見ることができるように、各位置での野生型配列に対する強いバイアスに加えて、異なる多くのアミノ酸が、予測したものよりも有意に少なく観察され、これは、分泌したライブラリーにおけるその位置でのそれらのアミノ酸からのバイアスを示す。このデータは、各位置で特異的変異を有する特定の合理的に設計された変異体の設計に関して追加的な情報を提供するものである。例として、分泌変異体のロイシンの量を多くするために、位置241および291は、望ましくない選択であってよい。あるいは、分泌変異体のバリンの量を多くするために、位置149、241、242、291、294、295、および389は、望ましくない選択であってよい。
特定の変異体のBacillus subtilisの発現試験
B.subtilisの発現細胞株の3つの別々のコロニーを使用して、ディープブロックウェル(96平方ウェル)中、Cm5を伴う2×Mal培地(20g/lのNaCl、20g/lのトリプトン、および10g/lの酵母抽出物、75g/lのマルトース)1mlに接種した。培養ブロックを、多孔性接着プレートシールで被覆し、マイクロ発現チャンバー(Glas−Col、イリノイ州テレホート)で、37℃および880rpmで一晩インキュベートした。一晩培養した培養物を使用して、ディープウェルブロック中、開始密度OD600=0.1で、新鮮な2×X−MAL Cm5培養物に接種した。これらの発現培養物を、OD600=1.0となるまで(約4時間)37℃、880rpmで播種した。この時点で、イソプロピルβ‐D−1‐チオガラクトピラノシド(IPTG)を、最終濃度0.1Mで添加し、4時間インキュベーションを継続することにより誘導した。4時間後、各培養物の細胞密度を測定(OD600)し、細胞を、遠心沈降(3000rpm、10分、室温)により収集した。遠心沈降後、培養物の上清を注意深く除去し、新規のブロックに移し、細胞のペレットを−80℃に凍結した。分泌タンパク質のレベルを決定するために、培養物の上清0.5mlのアリコートをまず0.45μmのフィルター、次に0.22μmのフィルターを介して濾過した。次にこの濾液を、チップ電気泳動によりアッセイして、関心対象の分泌タンパク質(POI)のレベルを決定した。簡単に説明すると、サンプルバッファー7μlに試料2μlを添加し、95Cで5分間加熱し、次に水35μlを添加することにより、試料を調製した。HT Low MW Protein Express LabChip(登録商標)キットまたはHT Protein Express LabChip(登録商標)キット(製造社のプロトコルに従う)を使用して解析を行った。タンパク質のラダーを、分子量の決定(kDa)および定量化(ng/μl)のために12個の試料ごとに作製した。
SEQID−45025、SEQID−45026、SEQID−45027、およびSEQID−45028を、関心対象のゲルバンドLC/MS/MSにより確認した。選択したヒットを、5%のβ‐メルカプトエタノールを含むIn vitrogen LDS サンプルバッファーと混合し、煮沸し、Novex(登録商標)NuPAGE(登録商標)10%のBis−Trisゲル(Life Technologies)にロードした。泳動後、ゲルを、SimplyBlue(商標)SafeStain(Life Technologies)を使用して染色し、望ましいバンドを切断し、解析のために提出した。ゲルのバンドを洗浄し、還元し、アルキル化し、次にトリプシンで4時間消化し、次にギ酸でクエンチした。次に消化物を、ThermoFisher Q Exactiveにインターフェースで接続したWaters NanoAcquity HPLCでのナノLC/MS/MSにより解析した。ペプチドを、捕捉カラムにロードし、350nl/分で75μmの解析カラム上から溶出させた。両方のカラムに、Jupiter Proteo樹脂(Phenomenex)を充填した。質量分析計を、データ依存モードで作動させ、MSおよびMS/MSをOrbitrapで、それぞれ70,000FWHMの分解能および17,500FWHMの分解能で実施した。最も多く存在する15種のイオンを、MS/MSで選択した。得られたペプチドのデータを、付属する関連する変異体タンパク質の配列を伴う関連する宿主のデータベースに対してMascotを使用して検索した。
改変ポリペプチドのアミラーゼ活性アッセイ
改変ポリペプチドの1つを試験して、酵素活性を証明した。SEQID−00407は、デンプンなどの多糖類を単糖または二糖に分解する活性を有するBacillus subtilis中のαアミラーゼである。SEQID−00690が酵素的な活性を保持していることを例証するために、酵素をスクリーニングするBacillus subtilisを、デンプンを含む寒天プレート上にプレーティングした。酵素活性が存在すれば、分泌された酵素はデンプンを分解し、ヨウ素により染色されると、Bacillus subtilisのコロニーの周辺にハローが存在する。1%デンプンのプレートは、Luria Broth−Miller25g、デンプン10g、細菌用寒天15g、および1Lの水を混合することにより作製した。寒天が固化した後に、10mMのIPTGをデンプンプレートに添加した。変異体ポリペプチドを発現するBacillus subtilisの単一のコロニーを、37℃で4時間、5mlのLBに接種し、液体培養物50μlをデンプンプレートの中心にスポットした。20時間生育および分泌を誘導した後、10%のヨウ素をデンプンプレートに添加して、デンプンを染色した。SEQID−00690がデンプンプレート上に存在する場合、酵素が分泌され、野生型と同様に、酵素を有しない空のベクターを発現する陰性対照よりも著しく大きく、細胞の周りに大きいハローを形成する。表E38Eは、細胞の面積と比較したハローの面積を定量化する。示されるデータから、本出願人は、分泌型栄養性ポリペプチドの改変が、酵素活性を保持する必須アミノ酸を多く含んだことを証明した。
実施例39:ロイシンを多く含む栄養性ポリペプチドの経口消費の後の、ヒト対象における筋肉タンパク質合成速度の決定
ロイシンまたはロイシン含有タンパク質の経口摂取は、筋肉タンパク質の合成を刺激する(Layman & Walker, 2006, The Journal of nutrition: 136: 319−323)。本明細書中に記載されるロイシンを多く含む栄養性ポリペプチドの多くは、著しく水に可溶であり、ヒト対象において容易に消化かつ吸収される。栄養性ポリペプチドを介して送達されるアミノ酸の薬物動態および筋肉タンパク質の合成に及ぼすその作用を、本明細書中に記載する。
筋肉タンパク質の合成に及ぼす、ロイシンを多く含む栄養性ポリペプチドの効果を、明らかに健康な対象で測定した。50〜70歳の12名(12)の明らかに健康な対象(平均身長:1.7m、体重:78.5kg、年齢:56.2歳、およびBMI:26.8)を、処置配列に単盲検で無作為割付した。1群6名に、SEQID105および90%の乳清タンパク質単離体(WPI)の配合物を投与し、他の群にSEQID363および90%の乳清タンパク質単離体対照を投与した。各個体に、最初の配合物の洗い流しを可能にするために別々の日に(2〜3日あけて)各栄養性ポリペプチド配合物35グラムを投与するように、処置をずらした。各対象は、対象内クロスオーバー比較において自身の対照としての役割を有した。
対象を、以下の除外基準:糖尿病の病歴、過去6か月間の悪性腫瘍の病歴、胃腸のバイパス手術の経験(Lapbandなど)、慢性炎症状態または疾患(狼瘡、HIV/AIDSなど)、乳清タンパク質、カビ胞子、もしくは真菌に対する既知の感受性またはアレルギー、この試験参加時動物性タンパク質の摂取を控えない、この試験参加時にタンパク質またはアミノ酸のサプリメントの消費を控えることできなう、試験期間の最中、レジスタンストレーニングを控えることができない、治験薬による別の臨床試験に現在参加している、スクリーニング受診でヘモグロビンが9.5mg/dl未満である、副腎皮質ステロイドまたはテストステロン補充療法(摂取、注射、または経皮投与)の同時使用、医療スタッフの判断で、参加すれば対象に害を与えるリスクが増加すると判断された他の任意の疾患もしくは状態、のいずれかを満たす場合、この試験から除外した。
すべての対象に、試験中、現在の食習慣を維持し、日常活動を維持し、かついかなるレジスタンスエクササイズにも参加しないように求めた。
栄養配合物の同化作用を、筋肉のタンパク質合成速度(FSR)(Smith, Villareal, & Mittendorfer, 2007, American journal of physiology − Endocrinology and metabolism: 293: E666−E671)を使用して測定した。研究の手順は、L−[ring−d5]−フェニルアラニンのprimed constant infusion法による注射時の静脈血の採取および外側広筋の生検を含んだ(Cambridge Isotope Laboratories, マサチューセッツ州 トゥックズベリー)。筋肉タンパク質合成速度(FSR)は、L−[ring−d5]−フェニルアラニンのprimed constant infusionのあいだの筋生検により測定した。具体的には、筋肉タンパク質合成速度(FSR)を、安定同位体トレーサーの注入開始から2時間後、4時間後、および7時間後に実施した外側広筋の生検から、安定同位体トレーサー取り込み技術を使用して、一晩(>8時間)絶食後の絶食したヒト対象で測定した。また血液の試料を、安定同位体トレーサーー注入の開始後特定の時点(すなわち2時間、3時間、4+30時間、5時間、5+30時間、6時間、6+30時間、および7時間)後で回収して、アミノ酸の濃度の変化を評価した。
各対象に関して、一晩絶食(8時間の)後の試験の朝に、18〜22ゲージポリエチレンカテーテルを各腕に挿入した。1つのカテーテルを、加温採血のため遠位静脈に挿入して、バックグラウンドの血液試料(5ml)を得て、別のカテーテルを、安定同位体トレーサーの注入のため前腕に挿入した。末梢性カテーテルの挿入の後、安定な同位体(GRAS基質)環状‐d5‐フェニルアラニンのプライミングした(5.04μmol/kg)、一定の(0.084μmol/kg/分)の注入を開始した。安定な同位体を、Cambridge Isotope Laboratories (マサチューセッツ州 トゥックズベリー)から入手し、無菌性および発熱性に関して試験した(CILおよび調剤薬局が行う−PharmaCareにより)。注入の前に、トレーサーを、滅菌生理食塩水で再構成した。安定同位体は、注入ラインに配置した滅菌性0、22ミクロン(Millipore)のフィルターを通して注入時に濾過した。
血液試料(5ml)を、同位体注入の開始から特定の時点(2時間、3時間、4時間、4+30時間、5時間、5+30時間、6時間、6+30時間、および7時間)で血清分離チューブに回収した。試験全体で約60mlの血液を採取し、この容量を、安定同位体トレーサーを注入した生理食塩水と交換した。
外側広筋由来の筋肉の生検を、トレーサー注入の2時間目、4時間目、および7時間目で実施した。4時間目の生検の後、栄養性タンパク質配合物を経口投与した。すべての筋肉の生検を、通常の疼痛管理および厳密な無菌的手順のため局所麻酔下(1%の無菌リドカインを使用、エピネフリンは使用しない)で実施した。各筋生検の前に、皮膚を、滅菌皮膚調製キット(Betadine)で洗浄し、疼痛を最小限にするために、皮膚および下の組織に局所麻酔(リドカイン)を注射した。
小さな切開部(約1cm)を介して、5mmのBergstrom needle“O”を、筋肉内に進めて、吸引を行った。次に筋肉片を針から除去した(約50〜100mg)。次に皮膚を洗浄し、1/4インチ×1.5インチの接着性Steri−stripsで端を近づけ、透明な通気性のあるフィルムドレッシング材(Tegaderm)をこの部位に使用した。強い圧力を、この部位での出血が止まるまで維持した。感染症および挫傷のリスクを最小限にするために、抗菌性の軟膏および加圧ドレッシング(自己粘着性弾性包帯)を医療スタッフが適用した後、、対象を解放した。
(%/hr)で測定されたFSRを、以下の通り計算した。
ここで、式中、エンリッチメント(EP1、EP2、およびEm)は、モルパーセント過剰(mole percent excess)(MPE)として表され、トレーサー濃度が平衡に達した後の、非標識フェニルアラニントレーシー(TTR)に対する標識フェニルアラニントレーサーの比率として計算した。EP1およびEP2は、それぞれ第1の生検および第2の生検(または第2および第3の生検)での結合した環状‐2H5フェニルアラニンのエンリッチメントであり、Emは、細胞内プールにおける環状‐2H5‐フェニルアラニンのエンリッチメントの平均値である。「t」は、第1および第2の筋肉の生検のあいだ(または第2および第3の生検のあいだ)に経過した分での時間である。60分/時間および100の一定の変換係数を使用して、FSRを1時間あたりのパーセントで表記した。結果の変数(筋肉タンパク質の合成および血液のアミノ酸の濃度)を、両側のt検定により解析した。統計学的有意性は、事前検定でp<0.05で確立され、傾向を、0.051<P<0.10として容認した。
表E39A−Cは、各栄養性タンパク質配合物の短期経口投与の前後での各対象に関して計算したFSRデータを示し、図56は、平均FSRの変化を示す。示されるデータは、平均値±平均値の標準誤差である。WPI群での対象3由来の絶食したFSR値は、FSRが、非常に上昇しており、正常な値とは一致せず、z値が2.85であったことに留意されたい。両側のgrubbのはずれ値検定はにより、それが有意な(p<0.05)のはずれ値であることが示されたことから、図56に示されるように平均値および標準誤差を計算する場合ば除去した。
各群の絶食時の応答と投与時の応答を比較した両側t検定は、WPIで処置した対象での投与時の応答が、対象3を除くと、絶食時の応答とは有意に異なることを示す(p=0.007)。これは、WPIに対するFSRの応答を試験した以前の研究と一致する(Paddon−Jones, D., Sheffield−Moore, M., Katsanos C. S., Xiao−Jun Z., Wolfe, R. R. Differential stimulation of muscle protein synthesis in elderly humans following isocaloric ingestion in amino acids or whey protein. Exp. Gerontol. (2006) 41: 215−219)。対象3を含めると、差は、有意性を失う(p=0.45)。SEQID−105を投与した群における絶食時と投与後のFSR応答は、有意に異なる(p=0.04)であるが、SEQID363を投与した群における絶食時と投与後のFSR応答は、有意差はない(p=0.68)。
実施例40:栄養性ポリペプチドを含む配合物の経口での薬物動態
タンパク質摂取に対する同化応答は、必須アミノ酸の送達に基づいて予測される。この試験の目的は、240分の期間にわたり様々なタンパク質に応答した血漿中アミノ酸濃度の変化を試験することであった。年齢18〜50歳の明らかに健康な4名の対象を、処置配列に二重盲検で無作為割付して、170mlの容量で経口的に乳清タンパク質単離体またはSEQID−105のいずれか20グラムを投与した。対象を経口薬物動態試験の前、一晩(>8時間)絶食させた。血漿中のアミノ酸濃度の変化を評価するために、栄養性ポリペプチドの経口摂取後の特定の時点(すなわち0分、15分、30分、60分、90分、120分、150分、180分、210分、および240分)で、静脈血試料を採取した。血漿中アミノ酸濃度を、アメリカのQuest DiagnosticsまたはLaboratory Corporationにより定量化した。
図57〜60は、WPIおよびSEQID105に関して、それぞれ測定されたアミノ酸および凝集体群、必須アミノ酸(EAA)、分枝鎖アミノ酸(BCAA)、および総アミノ酸(TAA)の血漿中の経時的変化を示す。
測定される時点全体での血漿中アミノ酸レベルの有意差を評価するために、一元配置ANOVA検定を使用すると、WPIでは、これらのデータは、Asn、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Trp、Tyr、EAA、BCAA、およびTAAで経時的に有意差が存在することを示す(p<0.05)。
測定される時点全体での血漿中アミノ酸レベルの有意差を評価するために、一元配置ANOVA検定を使用すると、SEQID−105の栄養配合物では、これらのデータは、Arg、Asn、Asp、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Ser、Tyr、Val、EAA、BCAA、およびTAAで経時的に有意差が存在することを示す(p<0.05)。
図61〜63は、WPIおよびSEQID105に関して、それぞれ測定されたアミノ酸、ならびに凝集体群、必須アミノ酸(EAA)、分枝鎖アミノ酸(BCAA)、および総アミノ酸(TAA)の積分した曲線下面積(AUC)を示す。
WPIおよびSEQID−105のあいだで各アミノ酸およびアミノ酸群のAUCを比較するためにt検定を使用すると、Asp(p=0.01)、His(p=0.04)、Leu(0.023)、Met(0.002)、Phe(0.04)、Pro(p<0.01)、Ser(p=0.03)、およびTrp(p=0.002)の応答に有意差が存在する。
別の試験では、35グラム用量のSEQID−105およびWPIを、18〜50歳の明らかに健康な6名の対象にそれぞれ、100mlおよび1151mlを経口投与した。図64〜67は、WPIおよびSEQID−105に関して、それぞれ測定されたアミノ酸および凝集体群、必須アミノ酸(EAA)、分枝鎖アミノ酸(BCAA)、および総アミノ酸(TAA)の血漿中の経時的変化を示す。
WPIに関して測定された、時点全体の血漿中アミノ酸レベルの有意差を評価するために、一元配置ANOVA検定を使用すると、これらのデータは、Arg、Asn、Asp、Gln、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr、Val、EAA、BCAA、およびTAAに関して経時的に有意差が存在することを示す(p<0.05)。
SEQID−105の栄養性配合物に関して測定される、時点全体での血漿中アミノ酸レベルの有意差を評価するために、一元配置ANOVA検定を使用すると、これらのデータは、Arg、Asn、Asp、Glu、His、Ile、Ley、Lys、Met、Phe、Ser、Thr、Trp、Val、EAA、BCAA、およびTAAに関して経時的に有意差が存在することを示す(p<0.05)。
図68〜70は、35gで投与したWPIおよびSEQID−105に関して、それぞれ測定したアミノ酸ならびに凝集体群、必須アミノ酸(EAA)、分枝鎖アミノ酸(BCAA)、および総アミノ酸(TAA)の積分した曲線下面積(AUC)を示す。
WPIおよびSEQID−105のあいだで各アミノ酸またはアミノ酸群のAUCを比較するために両側の不等分散t検定を使用すると、Asn(p=0.006)、His(p=0.01)、Ile(p=0.03)、Lys(p=0.02)、Met(p<0.001)、Phe(p<0.001)、Pro(p=0.002)、Ser(p=0.005)、Thr(p=0.004)、Trp(p<0.001)、Tyr(p=0.003)、およびVal(p=0.012)の応答に有意差が存在する。
栄養性ポリペプチドを介したアミノ酸送達の薬物動態を試験する別の試験では、18〜50歳の明らかに健康な3名の対象を、処置配列に対して二重盲検で無作為割付して、乳清タンパク質単離体またはSEQID−363のいずれか20グラムを経口投与した。対象を経口薬物動態試験の前に一晩(>8時間)絶食させた。栄養性ポリペプチドの経口摂取後の特定の時点(すなわち0分、15分、30分、60分、90分、120分、150分、180分、210分、および240分)で静脈血試料を採取して、血漿中アミノ酸濃度の変化を評価した。血漿アミノ酸の濃度を、米国のQuest DiagnosticsまたはLaboratory Corporationにより評価した。
図71〜74は、WPIおよびSEQID−363に関して、それぞれ測定されたアミノ酸および凝集体群、必須アミノ酸(EAA)、分枝鎖アミノ酸(BCAA)、および総アミノ酸(TAA)の血漿中の経時的変化を示す。
WPIに関して測定される時点全体の血漿中アミノ酸レベルの有意差を評価するために、一元配置ANOVA検定を使用すると、これらのデータは、Gln、Ile、Leu、Lys、Phe、Ser、Tyr、Val、EAA、BCAA、およびTAAに関して経時的に有意差が存在することを示す(p<0.05)。
SEQID−363に関して測定される時点全体の血漿中アミノ酸レベルの有意差を評価するために、一元配置ANOVA検定を使用すると、これらのデータは、経時的な有意差が存在しないことを示す(p<0.05)。
実施例41:虚弱な高齢者対象のサルコペニアおよび身体機能の喪失の栄養性ポリペプチドを使用した長期的な処置
ロイシンまたはロイシン含有タンパク質の補給は、運動後の筋肉量の増大を改善し、長期の不使用時の骨格筋量を維持する(Layman & Walker, 2006, The Journal of nutrition: 136: 319−323)。ロイシンおよび必須アミノ酸を多く含む栄養性ポリペプチドは本明細書中に記載されている。虚弱な高齢者対象を、特定の処置群、すなわち等カロリーの対照食を投与される対照群、または15グラム、30グラム、もしくは40グラムの用量の栄養性ポリペプチド配合物を30日間1日に3回投与されるた3用量に及ぶ処置アームへと、二重盲検で無作為割付した。登録した対象へは、個々の肥満度指数(BMI)および身体的な活動に基づき、試用期間に対照食が提供される。食物およびカロリー摂取を記録する。登録した対象は、その通常の日常活動を維持する。毎日の身体活動およびカロリー消費を、身体活動追跡装置(physical tracker)(FitBit Flex wrist band)により測定する。除脂肪体重をMRI(Muller, M. J., et al. ”Assessment and definition of lean body mass deficiency in the elderly.” European journal of clinical nutrition (2014))または二重エネルギーX線吸収測定法(DEXA; Nielsen, Palle Kjrerulff, Jorgen Ladefoged, and Klaus Olgaard. ”Lean body mass by Dual Energy X−ray Absorptiometry (DEXA)、and by urine and dialysate creatinine recovery in CAPD and pre−dialysis patients compared to normal subjects.” Adv Perit Dial 10 (1994): 99−103.)により、1日目(栄養性ポリペプチド投与より前)、および骨格筋の量の変化を評価するために処置が終了する31日目に測定する。また身体機能を、簡易身体能力バッテリースコア(Volpato, Stefano, et al. ”Predictive value of the Short Physical Performance Battery following hospitalization in older patients.” The Journals of Gerontology Series A: Biological Sciences and Medical Sciences 66.1 (2011): 89−96.)、歩行速度の測定、6分間の歩行試験(6MWT)、およびTUGテスト(timed up and go test :TUGS; Podsiadlo, D; Richardson, S. ”The timed ’Up & Go’: A test of basic functional mobility for frail elderly persons”. Journal of the American Geriatrics Society (1991) 39: 142−8)を使用して処置期間の開始時と最後に評価した。ベースラインからの、除脂肪体重、ならびにSPPBスコア、歩行速度、6MWT、およびTUGSの絶対値およびパーセントでの変化を、処置の有効性を評価するために処置アーム全体でおよび対照と比較した。
実施例42:メチオニンを欠如する栄養性ポリペプチドを含む配合物の経口薬物動態
この試験の目的は、240分の期間にわたり、メチオニン欠如栄養性タンパク質に応答した血漿中アミノ酸濃度の変化を試験することであった。4名の明らかに健康な18〜50才の対象を、処置配列に二重盲検で無作為割付し、170mlの容量で、SEQID−426を20g経口投与した。対象を、一晩(>8時間)絶食させ、翌朝栄養性ポリペプチドの経口摂取後の特定の時点(すなわち0分、15分、30分、60分、90分、120分、150分、180分、210分、および240分)で静脈血試料を採取して、血漿中アミノ酸濃度の変化を評価した。血漿中アミノ酸濃度を、米国のQuest DiagnosticsまたはLaboratory Corporationにより定量化した。
図75〜78は、SEQID−426に関して、それぞれ測定されたアミノ酸および凝集体群、必須アミノ酸(EAA)、分枝鎖アミノ酸(BCAA)、および総アミノ酸(TAA)の血漿での時間経過を示す。
SEQID−426に関して、測定された時点全体での血漿中のアミノ酸レベルの有意差を評価するために、一元配置ANOVA検定を使用すると、これらのデータは、GluおよびEAAに関して経時的に有意差が存在することを示す(p<0.05)。血漿中のEAAの経時的変化を試験するダネットの多重比較検定は、30分および60分での時点での血漿中EAAレベルが、0分の時点でのベースとなるレベルと有意に異なることをさらに示す。メチオニンは、有意な経時的変化を示さない。
実施例43:廃用性筋萎縮症の齧歯類モデルにおける筋肉量の喪失の予防および筋肉量の回収
廃用性骨格筋萎縮症は、身体活動の低下が長期的に続く場合に一般的である。また廃用性骨格筋萎縮症は、脳卒中、除神経、またはポリオウイルス感染症後の神経障害または神経根症関連の麻痺からもたらされる可能性もある。長期間減少した身体活動および筋肉の不使用は、筋肉タンパク質合成の基本速度および食後の速度を低下させおよび筋肉のタンパク質の分解を増加させる(Wall & van Loon, 2013, Nutrition Reviews: 71: 195−208)。必須アミノ酸、特に分枝鎖アミノ酸およびロイシンを食事に補給すると、廃用性骨格筋萎縮症を軽減し、筋肉量を回復させることが示されている(Wall & van Loon, 2013, Nutrition Reviews: 71: 195−208)(Martin et al., 2013, PloS one: 8: e75408)。
骨格筋において、ミオシンIIは、筋肉の収縮を駆動する力を生み出すモータータンパク質である。ミオシンIIは、2つの重鎖および4つの軽鎖から構成されるヘテロマータンパク質を含む。骨格筋の同化が増加すると、ミオシン重鎖のアイソフォームの濃度が上昇するはずである(Iresjo & Lundholm, 2012, Journal of translational medicine: 10: 238)。骨格筋のミオシン重鎖のアイソフォームの含有量を測定するために酵素結合免疫吸着測定法およびリアルタイム定量PCRを使用することは、化合物が、in vitroまたはin vivoで筋タンパク質の合成および筋組織の自然増加を促進する能力を評価する有用な手段である(Iresjo & Lundholm, 2012, Journal of translational medicine: 10: 238)。
本明細書中で記載される必須アミノ酸およびロイシンを多く含むように選択された栄養性ポリペプチドを、筋肉量の予防および回復に及ぼす化合物の有効性を測定するために、廃用性筋萎縮症の齧歯類モデルで長期的に投与する。
廃用性骨格筋萎縮症を、伸長位置の膝および脚底の屈曲位置の足首の非外科的固定化(Khan & Sahani, 2013, CANADIAN JOURNAL OF PHYSIOLOGY AND PHARMACOLOGY: 8: 1−8)(Lee et al., 2014, Anesthesiology: 120: 76−85)、またはキャスティング(Martin et al., 2013, PloS one: 8: e75408)により、マウスの1つの後肢に誘導した(Pellegrino et al., 2011, The Journal of physiology: 589: 2147−60)。筋肉の固定化により、ヒラメ筋の筋肉量は、3日目、7日目、14日目、および21日目にそれぞれ、元の質量の11%、22%、39%、および45%まで失われる(Khan & Sahani, 2013, CANADIAN JOURNAL OF PHYSIOLOGY AND PHARMACOLOGY: 8: 1−8)。ヒラメ筋の廃用性骨格筋萎縮症を、伸長位置の膝、および脚底の屈曲位置の足首の非外科的な固定化(Khan & Sahani, 2013, CANADIAN JOURNAL OF PHYSIOLOGY AND PHARMACOLOGY: 8: 1−8)により、雄性C57BL/6マウス(8週齢)の右後肢に誘導する。
筋肉の喪失に及ぼす栄養性ポリペプチドの保護作用を、骨格筋の質量および機能的な特性を測定することにより齧歯類で評価する。ヒラメ筋の廃用性骨格筋萎縮症を、雄性C57BL/6のマウス(8週齢)の右後肢の非外科的な固定化により誘導する(Khan & Sahani, 2013, CANADIAN JOURNAL OF PHYSIOLOGY AND PHARMACOLOGY: 8: 1−8)。動物の右後肢を非外科的に固定して、かつ1群あたり10匹の動物でビヒクルまたは栄養性ポリペプチドによる処置の処置群に無作為割付する。1〜5g/kgの処置用量を、固定化後21日間毎日の強制経口投与により投与する。
後肢の固定を用いない週齢をマッチさせた対照のマウスの群を、正常な筋肉の対照群として作用するよう栄養性ポリペプチドに提供する。ベースラインのヒラメ筋の筋肉量を、0日目にMRIにより評価し、ヒラメ筋の筋肉量の変化を、3日目、7日目、10日目、14日目、17日目、および21日目にMRIにより評価する。動物を21日目に屠殺する。右後肢由来の萎縮性ヒラメ筋および左後肢由来の非萎縮性ヒラメ筋を収集する。筋肉の重量を記録する。骨格筋組織を氷中で融解する。抽出バッファーを、プロテアーゼ阻害剤のカクテルおよびホスファターゼ阻害剤カクテル2および3をTPERに1:100で添加することにより、使用する直前に調製する。組織の試料を、2mLのスクリューキャップチューブ中で重量測定し、抽出バッファーを5ml/g組織の比率で添加した。2つの滅菌性スチールビーズをチューブに添加し、試料をTissuelyser II(QIagen、カリフォルニア州バレンシア)で、30Hzで5分間、連続して3回ホモジナイズした。次にチューブを、12,000×gで5分間遠心分離し、細胞のデブリを沈降させた。次に上清を、標識した2mlのチューブに回収した。
ミオシン重鎖のアイソフォーム2および4のタンパク質レベルを、本明細書中に記載されるように、ヒラメ筋から抽出したタンパク質で測定した(Pellegrino et al., 2011, The Journal of physiology: 589: 2147−60)(Desaphy et al., 2005, Neurobiology of Disease: 18: 356−365)。あるいは、ヒラメ筋におけるミオシン重鎖アイソフォーム2および4のmRNAのレベルを、本明細書中に記載されるように定量的PCRにより測定する(Iresjo & Lundholm, 2012, Journal of translational medicine: 10: 238)。骨格筋の同化を、ヒラメ筋におけるミオシン重鎖アイソフォーム2および4のタンパク質またはmRNAのレベル、または非萎縮性の左後肢および萎縮性右肢のあいだのヒラメ筋の重量の比率により計算される。廃用性骨格筋の同化に関する栄養性ポリペプチドの有効性を、ビヒクルを投与した対照動物と比較する。
別の実験では、肢の固定化の期間の後、栄養性ポリペプチドが筋肉量を回復させる能力を試験する。ヒラメ筋の廃用性骨格筋萎縮症を、雄性C57BL/6マウス(8週齢)で14日間右後肢の非外科的な固定化により誘導する。後肢の固定化を行っていない週齢をマッチさせた対照マウスの群を、正常な筋肉対照とする。非外科的な固定化からもたらされたヒラメ筋萎縮症を伴う動物の、後肢の固定化から解放し、各処置群に無作為割付する。1〜5g/kgの処置用量を、21日間毎日の強制経口投与後により投与する。
ベースラインのヒラメ筋の筋肉量を、0日目(後肢を固定化した最後の日)にMRIにより評価し、ヒラメ筋の筋肉量の変化を、提供された栄養性ポリペプチドの処置の3日目、7日目、10日目、14日目、17日目、および21日目にMRIにより評価する。動物を、21日目に屠殺する。右後肢由来の萎縮性ヒラメ筋および左後肢由来の非萎縮性ヒラメ筋を収集する。筋肉の重量を記録する。ミオシン重鎖のアイソフォーム2および4のタンパク質およびmRNAレベルを、本明細書中に記載されるようにヒラメ筋から抽出したタンパク質中で測定する。骨格筋の同化は、ヒラメ筋におけるミオシン重鎖アイソフォーム2および4のタンパク質もしくはmRNAの比率、または萎縮性左後肢と萎縮性右肢とのあいだのヒラメ筋の重量により計算される。骨格筋の修復に及ぼす栄養性ポリペプチドの有効性を、ビヒクルを投与した対照と比較する。
ミオシン重鎖2および4を検出するための酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)
ミオシン重鎖2およびミオシン重鎖4用のELISAキットを、Cloud Clone Corp(カタログ番号:それぞれSED416MUおよびSEA755MU; Wuhan, Hubei, PRC)から入手する。リン酸緩衝食塩水を、Life Technologies(カタログ番号 20012, ニューヨーク州 グランド・アイランド)から入手する。Tween−20を、Fisher Scientific(カタログ番号 BP337−100、ペンシルバニア州ピッツバーグ)から入手する。プレートを、ELx50マイクロプレートストリップウォッシャー(BioTek、バーモンド州ウィヌースキー)で洗浄する。プレートを、Synergy Mxモノクロメーターベースのマルチモードマイクロプレートリーダー(BioTek、バーモンド州ウィヌースキー)で読み取る。組織タンパク質抽出試薬(TPER)を、Thermo Scientific(カタログ番号78510, マサチューセッツ州ウォルサム)から入手する。プロテアーゼ阻害剤カクテルならびにホスファターゼ阻害剤カクテル2および3を、Sigma−Aldrich(カタログ番号それぞれ、P8340、P0044、およびP5726;ミズーリ州セントルイス)から入手する。2mlの滅菌スクリューキャップチューブを、Fisher Scientific(カタログ番号 0553869C, ペンシルバニア州ピッツバーグ)から入手する。ステンレススチールの5mlのビーズを、(カタログ番号 69989, カリフォルニア州バレンシア)から入手する。組織の試料を、Tissuelyser II(Qiagen,カリフォルニア州バレンシア)でホモジナイズする。タンパク質の濃度を、Thermo Scientific製のCoomassie Plus(ブラッドフォード)タンパク質アッセイ(カタログ番号 23236、マサチューセッツ州ウォルサム)を使用して決定する。データを、マイクロソフトのエクセル バージョン14.0.7128.5000(Microsoft Corporation、ワシントン州レドモンド)、およびウィンドウズのグラフパッドプリズム バージョン6.03(GraphPad Software、カリフォルニア州ラホヤ)を使用して解析する。
抽出したタンパク質の上清を、抽出バッファー中で1mg/mlに希釈する。標準化したこれらの上清を、ミオシン重鎖4ではELISAキットの標準希釈液で4倍に、またはミオシン重鎖2ではELISAキットの標準希釈液で2.5倍に希釈する。標準物質を、同じ割合の抽出バッファーおよび標準希釈液(ミオシン重鎖4では25%およびミオシン重鎖2では40%)で再構成し、抽出バッファーおよび標準希釈液で同じ濃度に希釈して、製造社の指示に記載されるように検量線を作製する。製造者の指示に従って、100μL/ウェルで標準物質および試料を2回の反復実験で試験を行う。
プレートを、Synergy Mxプレートリーダーで、450nmの吸光度で読み取る、各標準物質、対照、および試料の2回の反復実験の読み取りの平均値を、エクセルで、0pg/mlの標準物質吸光度の平均値を減算した後に作製する。検量線を、各標準物質に関して平均吸光度をプロットすることにより作製して使用し、未知試料濃度を、グラフパッドプリズム6で、標準物質のx=log(x)変換後の4パラメータロジスティック式を使用して非線形回帰を使用して計算する。データの統計検定を、グラフパッドプリズム6のソフトウェアを使用して行う。
ミオシン重鎖2および4の検出のための定量的PCR
総RNAを、Quick−RNAキット(Zymo Research、カリフォルニア州アーバイン)を使用してヒラメ筋から抽出する。cDNAを、高収量cDNAアーカイブキット(Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティ)を使用して総RNAから合成する。ミオシン重鎖2および4のプライマー配列および定量的PCRのプロトコルは、本明細書中に記載されている(Iresjo & Lundholm, 2012, Journal of translational medicine: 10: 238)。定量的PCRは、C1000 thermal cycler(Bio−Rad、カリフォルニア州フォスターシティ)を使用して実施する。相対的なmRNAの発現レベルを、内在性遺伝子であるβアクチンおよびHPRTに対する標準化により計算する。データの統計検定を、グラフパッドプリズム6のソフトウェアを使用して行う。
実施例43:廃用性筋萎縮症の齧歯類モデルにおける筋肉量の喪失の予防および筋肉量の回復
廃用性骨格筋萎縮症は、身体活動の低下が長期的に続く場合に一般的である。また廃用性骨格筋萎縮症は、脳卒中、除神経、またはポリオウイルス感染症後の神経障害または神経根症関連の麻痺からもたらされる可能性もある。長期間の身体活動の低下および筋肉の不使用は、筋肉タンパク質合成の基本速度および食後の速度を低下させおよび筋肉のタンパク質の分解を増加させる(Wall & van Loon, 2013, Nutrition Reviews: 71: 195−208)。必須アミノ酸、特に分枝鎖アミノ酸およびロイシンを食事に補給すると、廃用性骨格筋萎縮症を軽減し、筋肉量を回復させることが示されている(Wall & van Loon, 2013, Nutrition Reviews: 71: 195−208)(Martin et al., 2013, PloS one: 8: e75408)。
骨格筋において、ミオシンIIは、筋肉の収縮を駆動する力を作製するモータータンパク質である。ミオシンIIは、2つの重鎖および4つの軽鎖から構成されるヘテロマータンパク質を含む。骨格筋の同化が増加するとは、ミオシン重鎖のアイソフォームの濃度が上昇するはずである(Iresjo & Lundholm, 2012, Journal of translational medicine: 10: 238)。骨格筋のミオシン重鎖のアイソフォームの含有量を測定するための酵素結合免疫吸着測定法およびリアルタイム定量PCRを使用することは、化合物がin vitroまたはin vivoで筋タンパク質の合成および筋組織の自然増加を促進する能力を評価する有用な手段である(Iresjo & Lundholm, 2012, Journal of translational medicine: 10: 238)。
本明細書中で記載される必須アミノ酸およびロイシンを多く含むように選択された栄養性ポリペプチドは、筋肉量の予防および回復に関する化合物の有効性を測定するために、廃用性筋萎縮症の齧歯類モデルで長期的に投与される。
廃用性骨格筋萎縮症を、伸長位置の膝および脚底の屈曲位置の足首の非外科的な固定化(Khan & Sahani, 2013, CANADIAN JOURNAL OF PHYSIOLOGY AND PHARMACOLOGY: 8: 1−8)(Lee et al., 2014, Anesthesiology: 120: 76−85)、またはキャスティング(Martin et al., 2013, PloS one: 8: e75408)によりマウスの1つの後肢に誘導する(Pellegrino et al., 2011, The Journal of physiology: 589: 2147−60)。筋肉の固定化により、ヒラメ筋の筋肉量は、3日目、7日目、14日目、および21日目にそれぞれ、元の質量の11%、22%、39%、および45%まで失われる(Khan & Sahani, 2013, CANADIAN JOURNAL OF PHYSIOLOGY AND PHARMACOLOGY: 8: 1−8)。ヒラメ筋の廃用性骨格筋萎縮症を、伸長位置の膝、および脚底の屈曲位置の足首の非外科的な固定化(Khan & Sahani, 2013, CANADIAN JOURNAL OF PHYSIOLOGY AND PHARMACOLOGY: 8: 1−8)により、雄性C57BL/6マウス(8週齢)の右後肢に誘導する。
筋肉の喪失に関する栄養性ポリペプチドの保護作用を、骨格筋の質量および機能的な特性を測定することにより齧歯類で評価する。ヒラメ筋の廃用性骨格筋萎縮症は、雄性C57BL/6のマウス(8週齢)の右後肢の非外科的な固定化により誘導される(Khan & Sahani, 2013, CANADIAN JOURNAL OF PHYSIOLOGY AND PHARMACOLOGY: 8: 1−8)。動物の右後肢を非外科的に固定して、1群あたり10匹の動物でビヒクルまたは栄養性ポリペプチドによる処置の処置群に無作為割付する。1〜5g/kgの処置用量を、固定化後21日間毎日、強制経口投与により投与する。
後肢の固定を用いない週齢をマッチさせた対照のマウスの群を、正常な筋肉の対照群として作用するよう栄養性ポリペプチドに提供する。ベースラインのヒラメ筋の筋肉量を、0日目にMRIにより評価し、ヒラメ筋の筋肉量の変化を、3日目、7日目、10日目、14日目、17日目、および21日目にMRIにより評価する。動物を21日目に屠殺する。右後肢由来の萎縮性ヒラメ筋および左後肢由来の非萎縮性ヒラメ筋を収集する。筋肉の重量を記録する。骨格筋の組織を氷中で融解する。抽出バッファーを、プロテアーゼ阻害剤のカクテルおよびホスファターゼ阻害剤カクテル2および3を1:100でTPERに添加することにより使用する直前に調製する。組織の試料を、2mLのスクリューキャップチューブ中で重量測定し、抽出バッファーを5ml/g組織の比率で添加した。2つの滅菌性スチールビーズをチューブに添加し、試料をTissuelyser II(QIagen、カリフォルニア州バレンシア)で、30Hzで5分間、連続して3回ホモジナイズした。次にチューブを、12,000×gで5分間遠心分離し、細胞のデブリを沈降させた。次に上清を、標識した2mlのチューブに回収した。
ミオシン重鎖のアイソフォーム2および4のタンパク質レベルを、本明細書中に記載されるように、ヒラメ筋から抽出したタンパク質中で測定した(Pellegrino et al., 2011, The Journal of physiology: 589: 2147−60)(Desaphy et al., 2005, Neurobiology of Disease: 18: 356−365)。あるいは、ヒラメ筋におけるミオシン重鎖アイソフォーム2および4のmRNAのレベルを、本明細書中に記載されるように定量PCRにより測定する(Iresjo & Lundholm, 2012, Journal of translational medicine: 10: 238)。骨格筋の同化は、ヒラメ筋におけるミオシン重鎖アイソフォーム2および4のタンパク質またはmRNAのレベルの比率、または非萎縮性の左後肢および萎縮性右肢のあいだのヒラメ筋の重量により計算される。廃用性骨格筋の同化に関する栄養性ポリペプチドの有効性を、ビヒクルを投与した対照動物と比較する。
別の実験では、肢の固定化の期間の後、栄養性ポリペプチドが筋肉量を回復させる能力を試験する。ヒラメ筋の廃用性骨格筋萎縮症を、雄性C57BL/6マウス(8週齢)で14日間右後肢の非外科的な固定化により誘導する。後肢の固定化を行っていない週齢をマッチさせた対照マウスの群は、正常な筋肉対照とする。非外科的な固定化からもたらされたヒラメ筋萎縮症を伴う動物を後肢の固定化から解放し、各処置群に無作為割付する。1〜5g/kgの処置用量を、21日間毎日、強制経口投与により投与する。
ベースラインのヒラメ筋の筋肉量を、0日目(後肢を固定化した最後の日)にMRIにより評価し、ヒラメ筋の筋肉量の変化を、提供された栄養性ポリペプチドの処置の3日目、7日目、10日目、14日目、17日目、および21日目にMRIにより評価する。動物を、21日目に屠殺する。右後肢由来の萎縮性ヒラメ筋および左後肢由来の非萎縮性ヒラメ筋を収集する。筋肉の重量を記録する。ミオシン重鎖のアイソフォーム2および4のタンパク質およびmRNAレベルを、本明細書中に記載されるようにヒラメ筋から抽出したタンパク質中で測定する。骨格筋の同化は、ヒラメ筋におけるミオシン重鎖アイソフォーム2および4のタンパク質もしくはmRNAの比率、または萎縮性左後肢と萎縮性右肢とのあいだのヒラメ筋の重量により計算される。骨格筋の回復に及ぼす栄養性ポリペプチドの有効性を、ビヒクルを投与した対照と比較する。
ミオシンの重鎖2および4の検出のための酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)
ミオシン重鎖2およびミオシン重鎖4用のELISAキットを、Cloud Clone Corp(カタログ番号:それぞれSED416MUおよびSEA755MU; Wuhan, Hubei, PRC)から入手する。リン酸緩衝食塩水を、Life Technologies(カタログ番号 20012, ニューヨーク州 グランド・アイランド)から入手する。Tween−20を、Fisher Scientific(カタログ番号 BP337−100、ペンシルバニア州ピッツバーグ)から入手する。プレートを、ELx50マイクロプレートストリップウォッシャー(BioTek、バーモンド州ウィヌースキー)で洗浄する。プレートを、シナジー Mx単色光分光器ベースのマルチモードマイクロプレートリーダー(BioTek、バーモンド州ウィヌースキー)で読み取る。組織タンパク質抽出試薬(TPER)を、Thermo Scientific(カタログ番号78510, マサチューセッツ州ウォルサム)から入手する。プロテアーゼ阻害剤カクテルならびにホスファターゼ阻害剤カクテル2および3を、Sigma−Aldrich(カタログ番号 P8340、P0044、およびP5726, respectively;ミズーリ州セントルイス)から入手する。滅菌性の2mlのスクリューキャップチューブを、Fisher Scientific(カタログ番号 0553869C, ペンシルバニア州ピッツバーグ)から入手する。ステンレススチールの5mlのビーズを、(カタログ番号 69989, カリフォルニア州バレンシア)から入手する。組織の試料を、Tissuelyser II(Qiagen,カリフォルニア州バレンシア)でホモジナイズする。タンパク質の濃度を、Thermo Scientific製のCoomassie Plus(ブラッドフォード)タンパク質アッセイ(カタログ番号 23236、マサチューセッツ州ウォルサム)を使用して決定する。データを、マイクロソフトのエクセル バージョン14.0.7128.5000(Microsoft Corporation、ワシントン州レドモンド)、およびウィンドウズのグラフパッドプリズム バージョン6.03(GraphPad Software、カリフォルニア州ラホヤ)を使用して解析する。
抽出したタンパク質の上清を、抽出バッファー中1mg/mlに希釈する。これらの標準化した上清を、ミオシンの重鎖4ではELISAキットの標準希釈液で4倍に、またはミオシンの重鎖2ではELISAキットの標準希釈液で2.5倍に希釈する。同じ比率の抽出バッファーおよび標準希釈液(ミオシン重鎖4では25%およびミオシン重鎖2では40%)で標準物質を再構成し、同じ濃度の抽出バッファーおよび標準希釈液で希釈して、製造社の指示に記載されるように検量線を作製する。製造者の指示に従って、100μl/ウェルの標準物質および試料を2回の反復実験で試験する。
プレートを、Synergy Mxプレートリーダーで、450nmの吸光度で読み取る、各標準物質、対照、および試料の2回の反復実験の読み取りの平均値を、エクセルで、0pg/mlの標準物質の吸光度の平均値を減算した後に作製する。検量線を、各標準物質に関して平均吸光度をプロットすることにより作製して使用し、未知試料濃度を、標準物質のx=log(x)変換後の4パラメータロジスティック式を使用した非線形回帰を使用して、グラフパッドプリズム6で計算する。データの統計検定を、グラフパッドプリズム6のソフトウェアを使用して行う。
ミオシン重鎖2および4の検出のための定量的PCR
総RNAは、Quick−RNAキット(Zymo Research、カリフォルニア州アーバイン)を使用してヒラメ筋から抽出する。cDNAは、高収量cDNAアーカイブキット(Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティ)を使用して総RNAから合成する。ミオシン重鎖2および4のプライマー配列および定量的PCRのプロトコルは、本明細書中に記載されている(Iresjo & Lundholm, 2012, Journal of translational medicine: 10: 238)。定量的PCRは、C1000 thermal cycler(Bio−Rad、カリフォルニア州フォスターシティ)を使用して実施する。相対的なmRNAの発現レベルを、内在性遺伝子であるβアクチンおよびHPRTに対する標準化により計算される。データの統計検定を、グラフパッドプリズム6のソフトウェアを使用して行う。
本発明は、好ましい実施形態および様々な代替的な実施形態を参照して特に示されかつ記載されているが、形態および詳細の様々な変化が、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなくこれらから作製できることは、関連する分野の当業者に理解されるものである。
本明細書中に引用されたすべての参照文献、発行済みの特許、および特許出願は、すべての目的のため本明細書中に参照として全体的に援用されている。


Claims (46)

  1. ヒト対象の筋肉量および/または筋肉の機能の喪失を予防または低減する方法であって、
    i)筋肉の消耗に関連する疾患、障害、または病態を罹患している、または罹患するリスクのあるヒト対象を同定するステップと、
    ii)筋肉量および/または筋肉の機能の喪失を予防または低減するために十分な量の栄養性配合物を前記ヒト対象に投与するステップと
    を含み、
    前記栄養性配合物が、SEQID−00001〜03909からなる群から選択されるポリペプチドに対して、少なくとも50個のアミノ酸にわたり少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む単離型栄養性ポリペプチドを含み、前記配合物が、前記栄養性ポリペプチドを少なくとも1.0g含み、前記配合物が、体積が約500ml以下の液体、半液体、もしくはゲル、または総質量が約200g以下の固体、もしくは半固体として存在し、かつ前記配合物が、食用でない生成物を実質的に含まない、
    方法。
  2. 前記ヒト対象が、筋消耗性の疾患、障害、もしくは病態を罹患しており、1つまたは複数の用量の医薬組成物を投与されており、前記医薬組成物の投与により、筋肉量および/または筋肉の機能が喪失するリスクが増加する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ヒト対象が、筋消耗性の疾患、障害、もしくは病態を罹患しており、1つまたは複数の用量の医薬組成物を投与されており、i)前記疾患、障害、もしくは病態、もしくはii)前記医薬組成物の投与、またはi)およびii)の両方により、筋肉量および/または筋肉の機能が喪失するリスクが増加する、請求項1に記載の方法。
  4. それを必要とするヒト対象の筋消耗性の疾患、障害、または病態を処置する方法であって、当該疾患、障害、または病態を処置するために十分な量の栄養性配合物を前記ヒト対象に投与するステップを含み、前記栄養性配合物が、SEQID−00001〜03909からなる群から選択されるポリペプチドに対して、少なくとも約50個のアミノ酸にわたり少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む単離型栄養性ポリペプチドを含み、前記配合物が、前記栄養性ポリペプチドを少なくとも1.0g含み、前記方法が、任意に、前記筋肉耗性疾患が処置されるように、一定期間前記対象に前記栄養性配合物を投与した後、前記筋消耗性の疾患、障害、または病態を診断するステップをさらに含む、方法。
  5. 前記配合物を、農業由来の食品を前記対象が消費していない中で、前記ヒト対象に実質的なタンパク質栄養を提供するために十分な用量スケジュールで投与する、請求項4に記載の方法。
  6. タンパク質の栄養不良を特徴とする、またはタンパク質の栄養不良により悪化する、筋消耗性の疾患、障害、または病態を発症するヒト対象のリスクを低減する方法であって、
    (i)前記疾患、障害、または病態を発症するリスクがあると前記ヒト対象を同定するステップと、
    (ii)SEQID−00001〜03909からなる群から選択されるポリペプチド配列に対して、少なくとも約50個のアミノ酸にわたり少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む単離型栄養性ポリペプチドを含む、1つまたは複数の用量の栄養性配合物を投与するステップと
    を含み、
    前記配合物が、前記栄養性ポリペプチドを少なくとも1.0g含む、
    方法。
  7. 前記ヒト対象が、栄養障害またはタンパク質の栄養障害を発症するリスクがある、請求項6に記載の方法。
  8. 前記ヒト対象が、サルコペニアおよび/またはカヘキシーを呈する、請求項6に記載の方法。
  9. 前記ヒト対象が、炎症反応または自己免疫障害を有する、請求項8に記載の方法。
  10. 前記ヒト対象が、癌、慢性閉塞性肺疾患、肝不全、慢性腎疾患、うっ血性心不全、多発性硬化症、慢性膵炎、またはミトコンドリア性疾患を有する、請求項8に記載の方法。
  11. 前記ヒト対象が感染性疾患を有する、請求項8に記載の方法。
  12. 前記ヒト対象が、外科手技を受けている、または外傷性の損傷を有する、請求項6に記載の方法。
  13. 運動療法と併用して、前記栄養性配合物を投与する、請求項6に記載の方法。
  14. 前記栄養性配合物を、医薬品の投与および/または外科手技の補助として投与する、請求項6に記載の方法。
  15. 前記対象が、外科手技の後に動くことができない、または運動障害を有する、請求項12または14に記載の方法。
  16. 前記栄養性配合物を、医薬組成物の投与の補助として投与する、請求項6に記載の方法。
  17. 前記ヒト対象が、骨粗しょう症を発症している、または発症するリスクがある、請求項6に記載の方法。
  18. 筋消耗性疾患を罹患しているヒト対象の筋肉の同化を増加させる方法であって、SEQID−00001〜03909からなる群から選択されるポリペプチド配列に対して、少なくとも約50個のアミノ酸にわたり少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む単離型栄養性ポリペプチドを含む、1つまたは複数の用量の栄養性配合物をヒト対象に投与することを含み、前記配合物が前記栄養性ポリペプチドを少なくとも1.0g含み、前記栄養性配合物が、それらの投与の後に前記対象の筋肉の同化を増加させるために十分な頻度で前記ヒト対象に投与される、
    方法。
  19. ヒト対象の処置に使用するための栄養性生成物を配合する方法であって、SEQID−00001〜03909からなる群から選択されるポリペプチド配列に対して、少なくとも約50個のアミノ酸にわたり少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む単離型栄養性ポリペプチドを含む栄養性組成物を、筋消耗性の疾患、障害、もしくは病態を罹患している、または罹患するリスクのあるヒト対象に提供するステップと、許容可能な賦形剤と栄養性ポリペプチドを配合するステップとを含み、前記単離型栄養性ポリペプチドが、pH7で少なくとも12.5g/Lの水溶解度を有し、前記単離型栄養性ポリペプチドが、30分未満の胃消化シミュレーション半減期を有する、方法。
  20. 味物質、栄養上の炭水化物、および栄養上の脂質のうちの少なくとも1つと前記栄養性組成物を組み合わせることをさらに含み、前記生成物が、体積が約500ml以下の液体、半液体、もしくはゲル、または総質量が約200g以下の固体もしくは半固体として存在する、請求項19に記載の方法。
  21. 前記生成物が、食用でない生成物を実質的に含まない、請求項19に記載の方法。
  22. 栄養性ポリペプチドのアミノ酸配列を選択する方法であって、前記栄養性ポリペプチドが、筋消耗性の疾患、障害、または病態を罹患している、または罹患するリスクがあるヒト対象の処置での使用に適しており、前記方法が、i)複数のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列のライブラリーを提供することと、ii)関心対象の少なくとも1つのアミノ酸を含む1つまたは複数のアミノ酸配列を前記ライブラリーで同定することと、iii)前記1つまたは複数の同定したアミノ酸配列を選択することにより、栄養性ポリペプチドのアミノ酸配列を選択することとを含む、方法。
  23. 栄養性ポリペプチドのアミノ酸配列を選択する方法であって、前記栄養性ポリペプチドが、筋消耗性の疾患、障害、または病態を罹患している、または罹患するリスクのあるヒト対象の処置での使用に適しており、前記方法が、i)複数のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列のライブラリーを提供することと、ii)総アミノ酸残基に対する関心対象の少なくとも1つのアミノ酸残基の比率が選択した比率以上である、1つまたは複数のアミノ酸配列を前記ライブラリーで同定することと、iii)前記1つまたは複数の同定したアミノ酸配列を選択することにより、栄養性ポリペプチドのアミノ酸配列を選択することと
    を含む、方法。
  24. 栄養性ポリペプチドのアミノ酸配列を選択する方法であって、前記栄養性ポリペプチドが、筋消耗性の疾患、障害、または病態を罹患している、または罹患するリスクのあるヒト対象の処置での使用に適しており、前記方法が、i)複数のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列のライブラリーを提供することと、ii)総アミノ酸残基に対する関心対象の少なくとも1つのアミノ酸残基が選択した比率以下である、1つまたは複数のアミノ酸配列を前記ライブラリーで同定することと、iii)前記1つまたは複数の同定したアミノ酸配列を選択することにより、栄養性ポリペプチドのアミノ酸配列を選択することと
    を含む、方法。
  25. ヒト対象の筋消耗性の疾患、障害、または病態の処置または予防のための栄養性配合物であって、SEQID−00001〜03909からなる群から選択されるポリペプチド配列に対して、少なくとも約50個のアミノ酸にわたり少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む単離型栄養性ポリペプチドを含み、前記栄養性ポリペプチドが、タンパク質吸収能が低下したヒト対象に栄養上の利点を提供するために十分な量で存在する、栄養性配合物。
  26. 前記ポリペプチド配列が、少なくとも34%である、総アミノ酸残基に対する必須アミノ酸残基の比率を含み、前記ポリペプチド配列が栄養上完全である、請求項25に記載の配合物。
  27. 前記栄養性ポリペプチドに存在する必須アミノ酸が、実質的に生物学的に利用可能である、請求項25に記載の配合物。
  28. 前記単離型栄養性ポリペプチドが、pH7で少なくとも12.5g/Lの水溶解度を有する、請求項25に記載の配合物。
  29. 前記単離型栄養性ポリペプチドが、30分未満の胃消化シミュレーション半減期を有する、請求項25に記載の配合物。
  30. 前記栄養性ポリペプチドを、薬学的に許容可能なキャリアーの中に配合する、請求項25に記載の配合物。
  31. 前記栄養性ポリペプチドを、食品もしくは食品の成分、または飲料もしくは飲料の成分の中に配合し、または食品もしくは食品の成分、または飲料もしくは飲料の成分として配合する、請求項25に記載の配合物。
  32. 前記栄養性ポリペプチドが、ヒトまたは非ヒトの哺乳動物の対象により消費される場合に満腹感および/または心的飽和を提供する量で、前記配合物に存在する、請求項25に記載の配合物。
  33. 前記アミノ酸配列が、主要な活性を有する酵素をコードし、前記栄養性ポリペプチドが、前記主要な活性を実質的に欠いている、請求項25に記載の配合物。
  34. 前記配合物が、体積が約500ml以下の液体、半液体、もしくはゲル、または総質量が約200g以下の固体もしくは半固体として存在する、請求項25に記載の配合物。
  35. 前記栄養性ポリペプチドが、少なくとも長さが50個のアミノ酸の、食用に適した種のポリペプチドまたはそのフラグメントに対して、少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、前記アミノ酸配列が、既知のアレルゲンに対して、少なくとも25個のアミノ酸にわたり約50%未満の同一性を有する、請求項25に記載の配合物。
  36. 味物質、タンパク質混合物、ポリペプチド、ペプチド、遊離アミノ酸、炭水化物、脂質、ミネラルまたはミネラル供給源、ビタミン、サプリメント、生物、医薬品、および賦形剤から選択される成分をさらに含む、請求項25に記載の配合物
  37. 前記ヒト対象が、消化器系タンパク質吸収不全の疾患、障害、または病態を罹患している、請求項25に記載の配合物。
  38. 前記アミノ酸配列が、おおよそ、完全長の参照栄養性ポリペプチドまたは参照ポリペプチド含有混合物に存在する必須アミノ酸の密度以上である密度の、必須アミノ酸を含む、請求項25に記載の配合物。
  39. 前記アミノ酸配列が、おおよそ、完全長の参照栄養性ポリペプチドまたは参照ポリペプチド含有混合物に存在する前記選択したアミノ酸の密度以上である密度の、ロイシン、アルギニン、およびグルタミンからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸を含む、請求項25に記載の配合物。
  40. 微生物から分泌できる食用に適した種のポリペプチドに対して少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの栄養性ポリペプチドを含む配合物であって、前記栄養性ポリペプチドが、タンパク質の参照1日摂取量の少なくとも約2%以上の栄養上の利点を提供するために十分な量で前記配合物に存在する、配合物。
  41. ヒト対象の筋消耗性の疾患、障害、または病態の処置または予防のための栄養配合物であって、SEQID−00001〜03909からなる群から選択されるポリペプチド配列のアミノ酸の比率に対して、少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列の比率を含む、複数の遊離アミノ酸を含む栄養性アミノ酸組成物を含み、前記栄養性アミノ酸組成物が栄養上完全であり、前記栄養性アミノ酸組成物が、タンパク質吸収能が低下したヒト対象に栄養上の利点を提供するために十分な量で存在する、栄養配合物。
  42. 長さが少なくともアミノ酸約20個のアミノ酸配列を含み、微生物から分泌され得る食用に適した種のポリペプチドに対して少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの栄養性ポリペプチドを含む配合物であって、前記栄養性ポリペプチドが、前記配合物を経口投与する哺乳動物対象の筋肉の合成を刺激するために十分な量で前記配合物に存在する、配合物。
  43. 長さがアミノ酸約4〜約20個のアミノ酸配列を含む少なくとも1つの栄養性ポリペプチドを含む配合物であって、前記栄養性ポリペプチドが、前記配合物を経口投与する哺乳動物対象の筋肉の合成を刺激するために十分な量で前記配合物に存在する、配合物。
  44. 前記筋肉の合成の刺激が、mTOR経路の刺激を含む、請求項42または43に記載の配合物。
  45. 前記配合物が、体積が約500ml以下の液体、半液体、もしくはゲル、または総質量が約200g以下の固体もしくは半固体として存在する、請求項40〜43のいずれか1項に記載の配合物。
  46. 前記栄養性ポリペプチドが、ヒトまたは非ヒトの哺乳動物対象により消費される場合に満腹感および/または心的飽和を提供するために十分な量で前記配合物に存在する、請求項40〜43のいずれか1項に記載の配合物。
JP2016515454A 2013-09-25 2014-09-25 筋肉量、強度、および性能を維持かつ増加させるための組成物および配合物、ならびにその生成方法および使用方法 Pending JP2016534978A (ja)

Applications Claiming Priority (57)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201361882198P 2013-09-25 2013-09-25
US201361882264P 2013-09-25 2013-09-25
US201361882243P 2013-09-25 2013-09-25
US201361882225P 2013-09-25 2013-09-25
US201361882234P 2013-09-25 2013-09-25
US201361882189P 2013-09-25 2013-09-25
US201361882250P 2013-09-25 2013-09-25
US201361882214P 2013-09-25 2013-09-25
US201361882229P 2013-09-25 2013-09-25
US201361882222P 2013-09-25 2013-09-25
US201361882211P 2013-09-25 2013-09-25
US201361882274P 2013-09-25 2013-09-25
US201361882220P 2013-09-25 2013-09-25
US201361882232P 2013-09-25 2013-09-25
US201361882240P 2013-09-25 2013-09-25
US201361882235P 2013-09-25 2013-09-25
US201361882305P 2013-09-25 2013-09-25
US201361882246P 2013-09-25 2013-09-25
US201361882295P 2013-09-25 2013-09-25
US201361882212P 2013-09-25 2013-09-25
US201361882180P 2013-09-25 2013-09-25
US201361882219P 2013-09-25 2013-09-25
US201361882254P 2013-09-25 2013-09-25
US201361882129P 2013-09-25 2013-09-25
US201361882267P 2013-09-25 2013-09-25
US201361882300P 2013-09-25 2013-09-25
US201361882271P 2013-09-25 2013-09-25
US201361882260P 2013-09-25 2013-09-25
US61/882,267 2013-09-25
US61/882,211 2013-09-25
US61/882,234 2013-09-25
US61/882,246 2013-09-25
US61/882,214 2013-09-25
US61/882,240 2013-09-25
US61/882,220 2013-09-25
US61/882,235 2013-09-25
US61/882,264 2013-09-25
US61/882,254 2013-09-25
US61/882,232 2013-09-25
US61/882,305 2013-09-25
US61/882,250 2013-09-25
US61/882,260 2013-09-25
US61/882,198 2013-09-25
US61/882,219 2013-09-25
US61/882,271 2013-09-25
US61/882,229 2013-09-25
US61/882,295 2013-09-25
US61/882,189 2013-09-25
US61/882,180 2013-09-25
US61/882,225 2013-09-25
US61/882,222 2013-09-25
US61/882,212 2013-09-25
US61/882,243 2013-09-25
US61/882,129 2013-09-25
US61/882,300 2013-09-25
US61/882,274 2013-09-25
PCT/US2014/057537 WO2015048342A2 (en) 2013-09-25 2014-09-25 Compositions and formulations for maintaining and increasing muscle mass, strength, and performance and methods of production and use thereof

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016534978A true JP2016534978A (ja) 2016-11-10

Family

ID=57245904

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016515454A Pending JP2016534978A (ja) 2013-09-25 2014-09-25 筋肉量、強度、および性能を維持かつ増加させるための組成物および配合物、ならびにその生成方法および使用方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016534978A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108085309A (zh) * 2017-12-13 2018-05-29 江南大学 一种耐酸稳定性提高的β-甘露聚糖酶突变体及其构建方法
KR20190061158A (ko) * 2017-11-27 2019-06-05 충남대학교산학협력단 칠면초 추출물을 유효성분으로 함유하는 항비만용 조성물
JP2022525203A (ja) * 2019-03-20 2022-05-11 マックス-プランク-ゲゼルシャフト・ツア・フェルデルング・デア・ヴィッセンシャフテン・エー・ファオ 脂肪酸シンターゼ、その阻害剤および修飾、ならびにその使用

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20190061158A (ko) * 2017-11-27 2019-06-05 충남대학교산학협력단 칠면초 추출물을 유효성분으로 함유하는 항비만용 조성물
KR102054194B1 (ko) 2017-11-27 2019-12-10 충남대학교 산학협력단 칠면초 추출물을 유효성분으로 함유하는 항비만용 조성물
CN108085309A (zh) * 2017-12-13 2018-05-29 江南大学 一种耐酸稳定性提高的β-甘露聚糖酶突变体及其构建方法
JP2022525203A (ja) * 2019-03-20 2022-05-11 マックス-プランク-ゲゼルシャフト・ツア・フェルデルング・デア・ヴィッセンシャフテン・エー・ファオ 脂肪酸シンターゼ、その阻害剤および修飾、ならびにその使用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11357824B2 (en) Nutritive polypeptides and formulations thereof, and methods of production and use thereof
US20200405807A1 (en) Compositions and Formulations and Methods of Production and Use Thereof
WO2015048339A2 (en) Compositions and formulations for non-human nutrition and methods of production and use thereof
JP2021151239A (ja) 栄養断片、タンパク質、および方法
JP2015519878A (ja) 栄養断片、タンパク質、および方法
JP2015519879A (ja) 荷電栄養タンパク質および方法
US20160228506A1 (en) Compositions and Formulations for Prevention and Reduction of Tumorigenesis, Cancer Cell Proliferation and Invasion, and Methods of Production and Use Thereof in Cancer Treatment
Lacroix et al. Heat markers and quality indexes of industrially heat-treated [15N] milk protein measured in rats
JP2016534978A (ja) 筋肉量、強度、および性能を維持かつ増加させるための組成物および配合物、ならびにその生成方法および使用方法
US20220347262A1 (en) Compositions and Formulations and Methods of Production and Use Thereof
SILVER et al. Patent 2925557 Summary
AFEYAN et al. Patent 2925450 Summary