JP2016532125A - ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質中の1個または複数の翻訳後修飾(ptm)の存在、非存在、数または位置を決定する方法 - Google Patents

ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質中の1個または複数の翻訳後修飾(ptm)の存在、非存在、数または位置を決定する方法 Download PDF

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Abstract

方法本発明は、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質中の1個または複数の翻訳後修飾の存在、非存在、数または位置(1個もしくは複数)を決定する新規方法に関する。本発明は、膜貫通ポアを使用する。

Description

本発明は、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質中の1個または複数の翻訳後修飾(PTM)の存在、非存在、数または位置(1個もしくは複数)を決定する新規方法に関する。本発明は、膜貫通ポアを使用する。
本発明は、国立衛生研究所によって与えられた助成番号5 R01 HG003709−08の下の政府資金で行われた。合衆国政府は、本発明に権利を有する。本発明に至る仕事も欧州連合第7次フレームワークプログラム(FP7/2007−2013)/ERC grant agreement no.294443の下で欧州研究会議から資金提供を受けた。
大部分のタンパク質の機能特性は、特定の残基の翻訳後修飾(PTM)によって制御されている。今日までに、セリン、スレオニンまたはチロシンでのリン酸化が最も頻繁に実験的に決定されたPTMである(http://selene.princeton.edu/PTMCuration)。真核生物ではタンパク質化学種の30%(出芽酵母(S.cerevisiae))から50%(マウス)が、リン酸化されている2,3。決定的に重要なタンパク質は、複数のリン酸化部位を有する場合があり、タンパク質を活性化もしくは不活性化する、その分解を促進する、またはタンパク質パートナーとの相互作用を調節することに役立っている。例えばp53は、少なくとも18個のリン酸化部位を有する4,5。重要なことに多部位修飾は、さまざまな組合せで生じる場合があり、タンパク質のさまざまな機能形態を導く
タンパク質リン酸化の初期の研究は、リン酸基の組み込みによって生じるタンパク質電気泳動移動度および等電点における変化に基づいている2Dゲル電気泳動を利用していた。2Dゲル電気泳動は、同じタンパク質内の異なるリン酸化部位を解析できない8,9。近年のリン酸プロテオームの質量分析(MS)は、in vivoでのリン酸化の研究に関して注目されている。プロテアーゼ消化および高分解能MSの使用を通じて、数千のリン酸化タンパク質化学種が同定できる9,10。さまざまな供給源由来の試料(例えば処置後および対照)が同位元素で差次的に標識される場合、特定のタンパク質中の特定の部位でのリン酸化のレベルにおける変化は推定できる11。これらの進歩にもかかわらず、個々のタンパク質分子内のリン酸化のパターンの決定は課題のままである。例えば2個の隣接部位の内の1つで一リン酸化されたタンパク質を識別することは困難である。リン酸化部位の占有性および結合性は、単一分子アプローチが理想的に適している問題である。
操作されたタンパク質ナノポアが、物質と化学的に反応する二価金属カチオン14から有機分子15までの溶液中の多種多様な分子12,13の確率的検出のために使用されている16。ナノポア技術は、DNAおよびRNAの単一分子配列決定のための超高速の低費用プラットホームとして調査されている17,18。例えば、1本鎖DNAは、酵素と共にタンパク質ポアを通って徐々に動くことができ19〜22、配列はイオン電流における塩基依存性移行から28〜31読まれる23〜27
本発明者らは、ナノポアを通る電流サインの変化を通じてPTMが単一分子レベルで検出され得ることを驚くべきことに実証した。注目すべきことに、タンパク質中の異なる場所での修飾は異なるサインを生じ、修飾部位間の迅速な識別を可能にする。本発明者らは、2個の隣接部位(1残基によって分離されている)の修飾状態:すなわち、未修飾状態、2個の一修飾状態および二重修飾状態を識別および定量できることも驚くべきことに示した。
したがって、本発明は、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質中の1個または複数のPTMの存在、非存在、数または位置(1個もしくは複数)を決定する方法であって、
(a)ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を膜貫通ポアと、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質がポアを通って移動するように接触させるステップ;および
(b)ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質がポアに関して移動する際に1つまたは複数の電流測定値を取り、それによりペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質中の1個または複数のPTMの存在、非存在、数または位置(1個もしくは複数)を決定するステップ
を含む方法を提供する。
本発明は、生物がペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の1個または複数のPTMに関連する疾患、障害または表現型を有するかどうかを決定する方法であって、
(a)ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を含む生物由来の試料に対して本発明の方法を実行するステップ;および
(b)ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の1個または複数のPTMが存在するかどうかを決定し、それにより生物が疾患、障害または表現型を有するかどうかを決定するステップ
を含む方法も提供する。
モデル基質中のさまざま部位でのリン酸化の単一分子ナノポア検出を示す図である。(a)4種の特徴的なレベルを示すαHLポアを通るTrxS112−P−オリゴ(dC)30のアンフォールディングおよび移行の電流サイン:レベル1、オープンポア;レベル2、ポアを通されたオリゴヌクレオチドリーダー;レベル3、ポア中のタンパク質基質のC末端;レベル4、タンパク質の残部のアンフォールディングおよびポアを通る拡散。(b)この仕事で使用されるTrx変異体のC末端の配列。リン酸化部位は、拡大したS(Ser)で記されている。2個の変異体では、リン酸化可能なSer残基はAla(A)で置き換えられている。 モデル基質中のさまざま部位でのリン酸化の単一分子ナノポア検出を示す図である。(c)C末端伸長(青色棒)でのPKAリン酸化部位を特性とするTrxS112−Pの分子モデル。Ser−112の側鎖O原子は、丸いボールとして示されている。(d)TrxS112−P−オリゴ(dC)30の電流サイン。(e)TrxS112+P−オリゴ(dC)30の電流サイン。(f)TrxS112−P−オリゴ(dC)30およびTrxS112+P−オリゴ(dC)30のレベル3における残留電流(IRES%)およびノイズ(I)の代表的な2D散布図ならびに関連するヒストグラム(200事象が記録された)。(g)C末端αヘリックス(青色)でのPKAリン酸化部位を特性とするTrxS107−Pの分子モデル。Ser−107の側鎖O原子は、丸いボールとして示されている。(h)TrxS107−P−オリゴ(dC)30の電流サイン。(i)TrxS107+P−オリゴ(dC)30の電流サイン。(j)TrxS107−P−オリゴ(dC)30およびTrxS107+P−オリゴ(dC)30のレベル3における残留電流(IRES%)およびノイズ(I)の代表的な2D散布図ならびに関連するヒストグラム(199事象が記録された)。(k)C末端ヘリックス(青色棒)に先行するループ中のPKAリン酸化部位を特性とするTrxS95−Pの分子モデル。Ser−95の側鎖O原子は、丸いボールとして示されている。(l)TrxS95−P−オリゴ(dC)30の電流サイン。(m)TrxS95+P−オリゴ(dC)30の電流サイン。(n)TrxS95−P−オリゴ(dC)30およびTrxS95+P−オリゴ(dC)30のレベル3における残留電流(IRES%)およびノイズ(I)の代表的な2D散布図ならびに関連するヒストグラム(250事象が記録された)。すべての測定は+140mVで行われた。(f)、(j)および(n)における実験は、3回反復された。 4個のリン酸化状態の単一分子ナノポア検出を示す図である。(a)TrxS107−P/S112−P−オリゴ(dC)30についての代表的なイオン電流トレース。(b)TrxS107+P/S112+P−オリゴ(dC)30についてのトレース。(c)TrxA107/S112−P−オリゴ(dC)30についてのトレース。(d)TrxA107/S112+P−オリゴ(dC)30についてのトレース。(e)TrxS107−P/A112−オリゴ(dC)30についてのトレース。(f)TrxS107+P/A112−オリゴ(dC)30についてのトレース。(g)4個の可能性があるリン酸化状態(記号a、b、d、fによって示す:TrxS107+P/S112+P−オリゴ(dC)30、TrxA107/S112+P−オリゴ(dC)30、TrxS107+P/A112−オリゴ(dC)30およびTrxS107−P/S112−P−オリゴ(dC)30についてのレベル3における残留電流(IRES%)およびノイズ(I)の代表的な2D散布図ならびに関連するヒストグラム。gでは、同じポアが全体について使用され、各Trx変種の添加前にcisコンパートメントを灌流し、合計342事象を記録し、いくつかの事象(<8%)は不完全な灌流のためのキャリーオーバーによる可能性がある。4個の構築物を識別する同じポアの能力は、2回検証された。すべての測定は+140mVで行われた。 混合したリン酸化状態を含有する試料の単一分子ナノポア検出を示す図である。(a)TrxS107−P/S112−Pのリン酸化の時間依存性。IEFによって決定された二重リン酸化TrxS107+P/S112+Pに転換されたタンパク質画分が示されている。(b)2時間のリン酸化に続く、オリゴ(dC)30へのコンジュゲーションおよび+140mVでのαHLナノポア分析(202事象が記録された)のレベル3における残留電流(IRES%)およびノイズ(I)の代表的な2D散布図ならびに関連するヒストグラム。混合物を識別する同じポアの能力は、2回検証された。同じ面積を区切る四角は、図13に示される。 αHLポア内のTrxS112−P−オリゴ(dC)30の共移行アンフォールディングの電圧依存性を示す図である。(a)+140mVでの4レベルでの代表的な電流トレース。(b)PKA認識配列(青色棒)およびリン酸化部位(丸いボール)を示すチオレドキシン変異体TrxS112−Pの分子モデル。(c)ステップ2から3への速度の電圧依存性、(Ο)V5−C109−オリゴ(dC)30 37;(□)TrxS112−P−オリゴ(dC)30。(d)ステップ3から4への速度の電圧依存性、(Ο)V5−C109−オリゴ(dC)30 37;(□)TrxS112−P−オリゴ(dC)30。(e)ステップ4から1への速度の電圧依存性、(Ο)V5−C109−オリゴ(dC)30 37;(□)TrxS112−P−オリゴ(dC)30。エラーバーは、それぞれ異なるポアを使用した(n=3)独立した実験間の標準偏差を表す。 構築物TrxS112、TrxS107およびTrxS95のリン酸化前後での陽イオンモードでのESI LC−MSを示す図である(デコンボリューション(deconvoluted)スペクトル)。(a)TrxS112−P(予想質量12202)。(b)TrxS107−P(予想質量11832)。(c)TrxS95−P(予想質量11916)。(d)TrxS112+P。(e)TrxS107+P。(f)TrxS95+P。リン酸化後の予想質量増加は、80Daである。(e)および(f)が非リン酸化タンパク質に対するピークを含有していることに注目されたい。 αHLポア内のTrx112+P−オリゴ(dC)30の共移行アンフォールディングの電圧依存性を示す図である。(a)ステップ2から3への速度の電圧依存性、(Ο)Trx112−P−オリゴ(dC)30;(Δ)Trx112+P−オリゴ(dC)30。(b)ステップ3から4への速度の電圧依存性、(Ο)Trx112−P−オリゴ(dC)30;(Δ)Trx112+P−オリゴ(dC)30。(c)ステップ4から1への速度の電圧依存性、(Ο)Trx112−P−オリゴ(dC)30;(Δ)Trx112+P−オリゴ(dC)30。エラーバーは、それぞれ異なるポアでの(n=3)独立した実験間の標準偏差を表す。 レベル3の残留電流(IRES%)およびノイズ(I)の電圧依存性を示す図である。(a)印加された電圧の関数としてのレベル3の残留電流(IRES%)、(Ο)Trx112−P−オリゴ(dC)30;(Δ)Trx112+P−オリゴ(dC)30。(b)電圧の関数としてのノイズ(I)。Iはレベル3でのイオン電流のすべての点のヒストグラムへのガウスフィットの標準偏差である。(Ο)Trx112−P−オリゴ(dC)30;(Δ)Trx112+P−オリゴ(dC)30。エラーバーは、それぞれ異なるポアでの(n=3)独立した実験間の標準偏差を表す。 αHLポア内の種々のTrxの共移行アンフォールディングの電圧依存性を示す図である。(a)ステップ2から3への速度の電圧依存性、(□)Trx107−P−オリゴ(dC)30、(Δ)Trx107+P−オリゴ(dC)30、(Ο)Trx112−P−オリゴ(dC)30。(b)ステップ3から4への速度の電圧依存性、(□)Trx107−P−オリゴ(dC)30、(Δ)Trx107+P−オリゴ(dC)30、(Ο)Trx112−P−オリゴ(dC)30。(c)ステップ4から1への速度の電圧依存性、(□)Trx107−P−オリゴ(dC)30、(Δ)Trx107+P−オリゴ(dC)30、(Ο)Trx112−P−オリゴ(dC)30。(d)ステップ2から3への速度の電圧依存性、(□)Trx95−P−オリゴ(dC)30、(Ο)Trx112−P−オリゴ(dC)30。(e)ステップ3から4への速度の電圧依存性、(□)Trx95−P−オリゴ(dC)30、(Ο)Trx112−P−オリゴ(dC)30。(f)ステップ4から1への速度の電圧依存性、(□)Trx95−P−オリゴ(dC)30、(Ο)Trx112−P−オリゴ(dC)30。エラーバーは、それぞれ異なるポアでの(n=3)独立した実験間の標準偏差を表す。 (Ο)TrxS107−P/S112−P−オリゴ(dC)30、(□)TrxA107/S112−P−オリゴ(dC)30および(◇)TrxS107−P/A112−オリゴ(dC)30についての残留電流(IRES%)およびノイズ(I)の2Dプロットならびに関連するヒストグラムを示す図である。3個すべての構築物は、+140mVで同じαHLポア(cisコンパートメントは各Trx変種の添加前に灌流された)で検討され、合計300事象を分析した。レベル3の高伝導度準安定状態(sub-state)はこの図には含まれていない(縮小表示について図10を参照されたい)。各構築物は、それぞれ異なるポアについて3回の独立した実験でさらに分析された。 図9の縮小表示を示す図である。(Ο)TrxS107−P/S112−P−オリゴ(dC)30、(□)TrxA107/S112−P−オリゴ(dC)30および(◇)TrxS107−P/A112−オリゴ(dC)30についての残留電流(IRES%)およびノイズ(I)の2Dプロット。3個すべての構築物は、+140mVで同じWT αHLポア(cisコンパートメントは各Trx変種の添加前に灌流された)で検討され、合計300事象を分析した。高伝導度の準安定状態は、オープンポア値(I)のおよそ24%のIRES%値で観察される。各構築物は、それぞれ異なるポアについて3回の独立した実験でさらに分析された。 構築物TrxS107/S112、TrxA107/S112およびTrxS107/A112のリン酸化前後での陽イオンモードでのESI LC−MSを示す図である(デコンボリューションスペクトル)。(a)TrxS107−P/S112−P(予想質量12303)。(b)TrxA107/S112−P(予想質量12287)。(c)TrxS107−P/A112(予想質量12287)。(d)TrxS107+P/S112+P。(e)TrxA107/S112+P。(f)TrxA107/S112+P。一部位でのリン酸化後の予想質量増加は、80Daである。 図2からの残留電流(IRES%)対ノイズ(I)の2Dプロットの縮小表示を示す図である。(Δ)TrxS107+P/S112+P−オリゴ(dC)30、(□)TrxA107/S112+P−オリゴ(dC)30、(◇)TrxS107+P/A112−オリゴ(dC)30および(Ο)TrxS107−P/S112−P−オリゴ(dC)30。すべての測定は、+140mVで同じWT αHLポア(cisコンパートメントは各Trx変種の添加前に灌流された)で検討され、合計342事象の測定を含み、いくつかの事象(<8%)は、不完全な灌流のためのキャリーオーバーによる可能性がある。高伝導度の準安定状態は、オープンポア値(I)のおよそ21から22%のIRES%値で観察される。各構築物は、それぞれ異なるポアについて3回の独立した実験でさらに分析された。 図3bにおいて使用されたポアの較正のための残留電流(IRES%)対電流ノイズ値(I)の2D散布図である。(a)ポアはTrxS107+P/A112−オリゴ(dC)30に曝露された。(b)チャンバーの灌流を伴わずに、TrxA107/S112+P−オリゴ(dC)30、を次いで添加した(2個の集団がこのとき現れる)。(c)TrxS107+P/S112+P−オリゴ(dC)30は、先の灌流を伴わずにチャンバーに添加された。(d)TrxS107−P/S112−P−オリゴ(dC)30は、再度灌流を伴わずに添加された。較正は合計162事象を含み、図3bについてのデータを回収後に同じポアで実施された。同様の較正は、異なる順序で添加されたリン酸化Trxで実験前に実施された。同様の結果が得られた。各構築物は、それぞれ異なるポアについて3回の独立した実験でさらに分析された。
配列表の記載
配列番号1は、野生型α溶血素(WT αHL)の1個のサブユニットをコードしているポリヌクレオチド配列を示す。
配列番号2は、WT αHLの1個のサブユニットのアミノ酸配列を示す。
配列番号3は、γ溶血素のLukFサブユニットをコードしているポリヌクレオチド配列を示す。
配列番号4は、γ溶血素のLukFサブユニットのアミノ酸配列を示す。
配列番号5は、γ溶血素のHlg2サブユニットをコードしているポリヌクレオチド配列を示す。
配列番号6は、γ溶血素のHlg2サブユニットのアミノ酸配列を示す。
配列番号7は、MS−B1変異体MspA単量体をコードしているコドン最適化ポリヌクレオチド配列を示す。この変異体は、シグナル配列を欠いており、次の変異:D90N、D91N、D93N、D118R、D134RおよびE139Kを含む。
配列番号8は、MspA単量体のMS−B1変異体の成熟形態のアミノ酸配列を示す。この変異体は、シグナル配列を欠いており、次の変異:D90N、D91N、D93N、D118R、D134RおよびE139Kを含む。
配列番号9から11は、MspB、CおよびDのアミノ酸配列を示す。
配列番号12から17は、実施例において用いられるタンパク質を示す。
本発明の詳細な記載
開示された産生物および方法のさまざまな適用が、当技術分野における具体的な必要性に適合され得ることは理解される。本明細書において使用される用語は、本発明の具体的な実施形態を記載する目的のためのみであり、限定する目的ではないことも理解される。
付加的に、本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される単数形「a」、「an」および「the」は、内容が明白に他を示す場合を除いて複数の指示対象を含む。したがって、例えば「ポア(a pore)」への言及は2個以上のそのようなポアを含み、「修飾(a modification)」への言及は2個以上のそのような修飾を含み、「ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質(a peptide, polypeptide or protein)」への言及は2個以上のそのようなペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を含み、「オリゴヌクレオチド(an oligonucleotide)」への言及は2個以上のそのようなオリゴヌクレオチドを含むなど。
本明細書に引用するすべての刊行物、特許および特許出願は、上記または下記に関わらず、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明の方法
本発明は、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質中の1個または複数のPTMの存在、非存在、数または位置(1個もしくは複数)を決定する方法を提供する。本発明は、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質中の1個または複数のPTMの存在、非存在、数または位置(1個もしくは複数)を決定する方法を好ましくは提供する。ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質がポアを通って移動するように、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、膜貫通ポアと接触される。ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質がポアに関して移動する際に1つまたは複数の電流測定値が取られる。これは、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質中の1個または複数のPTMの存在、非存在、数または位置(1個もしくは複数)の決定を可能にする。
本発明の方法は、ポアを通る電流サインの変化を通じて単一分子レベルでのPTMの迅速な決定を可能にする。本発明の方法は、PTMを研究するための従来の方法を超えるいくつかの有利点を有する。それは、迅速で簡単である。それは、単一のPTMと同様に複数のPTMを同定できることから高感度である。隣接PTM間も識別できる。方法からの出力はリアルタイムで分析され、十分な情報が得られた場合に停止されるようにする。方法は、最小限の訓練または資質を有する者によって実行され得る。
PTMの存在、非存在、数または任意の数の位置(1個もしくは複数)、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、10個以上、15個以上、18個以上のPTMなどは本発明により決定され得る。PTMの数は、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質のサイズおよびペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質中に存在するPTM部位の数に典型的には依存する。
本発明の方法は、好ましくはペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質中の2個以上のPTMの存在、非存在、数または位置を決定するためである。そのような実施形態では2個以上のPTMは、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質のどこに位置付けられてもよい。2個以上のPTMは、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の反対側の末端にあってよい。2個以上のPTMは、1アミノ酸などの10個以下のアミノ酸、5個以下のアミノ酸または2個以下のアミノ酸によって好ましくは分離される。ヒトゲノムは500個のキナーゼを成文化し、1個または複数のリン酸化部位を認識する。2個以上のPTM部位は、1アミノ酸などの10個以下のアミノ酸、5個以下のアミノ酸または2個以下のアミノ酸によって好ましくは分離される。PTM部位は、2個以上のアミノ酸を含む場合がある。例えば可能性があるリン酸化部位は、これだけに限らないが配列RRASおよびRRNSを含む(図1b)。これらの配列のC末端のセリンは、リン酸化によって修飾されているアミノ酸である。2個以上の修飾アミノ酸(すなわちPTM部位)は、1アミノ酸などの10個以下のアミノ酸、5個以下のアミノ酸または2個以下のアミノ酸によって好ましくは分離されている。
1個または複数のPTMの存在または非存在は、下に考察のとおり決定され得る。リン酸化などのPTMの存在または非存在は、下に考察のとおり疾患を診断するために使用され得る。
1個または複数のPTMの存在は、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質が1個もしくは複数の部位またはアミノ酸で翻訳後に修飾されることを示している。対照実験は、具体的なペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質中の1個または複数の特異的PTMの存在に関連する電流サイン(1つまたは複数)を決定するために実行され得る。そのような対照サイン(1個または複数)は、次いで本発明により1個または複数の特異的PTMの存在を決定するために使用され得る。本発明の方法において対照サイン(1個または複数)の存在は、1個または複数の特異的PTMの存在を示している。本発明の方法において対照サイン(1つまたは複数)の非存在は、1個または複数の特異的PTMの非存在を示している。
対照実験も具体的なペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質中の1個または複数の特異的PTMの非存在に関連する電流サイン(1つまたは複数)を決定するために実行され得る。そのような対照サイン(1つまたは複数)は、次いで本発明により1個または複数の特異的PTMの非存在を決定するために使用され得る。本発明の方法において「非存在」対照サイン(1つまたは複数)の存在は、1個または複数の特異的PTMの非存在を示している。
本発明の方法は、1個または複数の特異的PTMの数および位置(1個または複数)が決定されるようにする。PTMの位置(1個または複数)は、PTM部位または修飾されるアミノ酸などのペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質中のそれら/その位置(1個または複数)を指す。2個以上のPTMの位置は、本発明により決定され得る。対照実験は、具体的なペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質中の特定の位置での異なる数のPTMの存在に関連する電流サインを決定するために実行され得る。そのような対照サイン(1つまたは複数)は、次いで本発明により1個または複数の特異的PTMの数および位置(1個または複数)を決定するために使用され得る。例えば、本発明の方法において特定の位置でのPTMに関連する対照サイン(例えば対照サインA)の存在は、これらの位置での2個のPTMの存在を示している。本発明の方法において特定の位置でのPTMに関連する対照サイン(例えば対照サインB)の存在は、特定の位置での2個のPTMのうちの1個の存在を示している。本発明の方法において対照サインの非存在(すなわち、例えば対照サインAおよびBの非存在)は、これらの位置での2個のPTMの非存在を示す。
上に示すとおり対照実験も、具体的なペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質中の特定の位置でのさまざま数のPTMの非存在に関連する電流サインを決定するために実行され得る。そのような対照サイン(1つまたは複数)は、次いで本発明により関係する位置での関係する数のPTMの非存在を決定するために使用され得る。
本発明の方法は、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質がポアに関して移動する際に1つまたは複数の電流測定値を取ることを含む。これは、下に考察するとおり行われ得る。方法は、平均残留電流(IRES)および/またはノイズ(I)を測定することを好ましくは含む。これは、実施例に記載のとおり行われ得る。方法は、平均残留電流(IRES)およびノイズ(I)を測定することをより好ましくは含む。これらは、次いで実施例に記載のとおり所与の電流サインに対して互いにプロットされ得る。
本発明の方法は、同じペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質において実行された代替的PTMのさまざまな集団の定量を可能にする。これは、各PTM組合せを保有する対照シグナルの数を計数することによって単純に行われ得る。これは、関係のある集団中の変化を生物の生理学的または疾患の状態に関連付けることを可能にする。
ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質
ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、天然に存在してよくまたは天然に存在しなくてもよい。ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、それらの中に合成または修飾アミノ酸を含んでよい。アミノ酸への多数の異なる種類の修飾が当技術分野において周知である。好適なアミノ酸およびその修飾は、下に考察されている。本発明の目的のために、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質が当技術分野において利用可能な任意の方法によって修飾され得ることは理解される。
ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、細胞から分泌されるものであってよい。代替的にペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、本発明が実行されるより前に細胞から抽出されるはずであるように細胞内部に存在するものであってよい。それは、抗体の使用によってまたはタンパク質に導入された親和性タグの結合によっての両方で抽出され得る。
ペプチドは、典型的には約2から約50アミノ酸のポリマーである。ポリペプチドは、典型的にはアミノ酸の長いポリマーである。タンパク質は、典型的には、機能的コンホメーションにフォールドされるまたは機能的複合体の部分を形成するポリペプチドである。
任意のペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質が本発明の方法において使用され得る。好適なタンパク質は、これだけに限らないが、酵素、抗体、ホルモン、増殖因子または、サイトカインなどの増殖制御タンパク質を含む。
ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、細菌性、古細菌性、真菌性、ウイルス性または寄生虫由来であってよい。ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、植物由来であってよい。ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトのものである。
接触および移行
本発明の方法におけるステップ(a)および(b)は、好ましくはポアにわたって印加された電位と共に実行される。印加された電位は、典型的にはペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質をポアを通して移行または移動させる。印加された電位は、電圧電位であってよい。代替的に、印加された電位は、化学的電位であってよい。この例は、両親媒性層にわたる塩グラジエントを使用することである。塩グラジエントはHolden et al., J Am Chem Soc. 2007 Jul 11; 129(27):8650-5に開示されている。
フォールドしたペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、Rodriguez-Larrea, D. & Bayley, H. Multistep protein unfolding during nanopore translocation. Nat. Nanotechnol. 8 288-95 (2013)に記載のとおりポアを通って移行され得る。詳細にはペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、好ましくはオリゴヌクレオチドなどの荷電ポリマーに共有結合している。代替的にペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、それをポアに駆動するリーダー配列を保有する場合がある。同様に分子モーターは、Nivala, J., Marks, D.B., Akeson M. Unfoldase-mediated protein translocation through an α-hemolysin nanopore. Nat. Biotech. 31 247-50 (2013)のとおりペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質をポアを通して引くように使用され得る。より好ましくはペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質のアミノ(N)またはカルボキシ(C)末端は、オリゴヌクレオチドなどの荷電ポリマーに共有結合している。ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、下に考察の方法のいずれかを使用してオリゴヌクレオチドなどの荷電ポリマーに共有結合していてもよい。ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、リンカーを使用してオリゴヌクレオチドなどの荷電ポリマーに共有結合していてもよい。好適なリンカーは、当技術分野において周知である。
オリゴヌクレオチドなどの荷電ポリマーは、印加された電位の影響下でポアを通って移行される。これは、典型的には3つの効果を有する:(1)ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質のNまたはC末端をポア中へ通すことを促進する;(2)ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質アンフォールディングおよびペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質移行の初期段階の両方に対して調節可能な駆動力を提供する;ならびに(3)ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の後方への移動を妨げる。
任意のオリゴヌクレオチドが使用され得る。オリゴヌクレオチドは、40個以下、30個以下、20個以下、10個以下または5個以下のヌクレオチドなどの典型的には50個以下のヌクレオチドを有する短いヌクレオチドポリマーである。オリゴヌクレオチドは、典型的には1本鎖である。
ヌクレオチドは、ヌクレオベース、糖および少なくとも1個のリン酸基を典型的には含有する。ヌクレオベースは、典型的には複素環である。ヌクレオベースは、これだけに限らないが、プリンおよびピリミジンならびにさらに具体的にはアデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)、ウラシル(U)およびシトシン(C)を含む。糖は、典型的には五炭糖である。ヌクレオチド糖は、これだけに限らないが、リボースおよびデオキシリボースを含む。ヌクレオチドは、典型的にはリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドである。ヌクレオチドは、一リン酸、二リン酸または三リン酸を典型的には含有する。リン酸は、ヌクレオチドの5’または3’側に付着されてよい。
ヌクレオチドは、これだけに限らないが、アデノシン一リン酸(AMP)、アデノシン二リン酸(ADP)、アデノシン三リン酸(ATP)、グアノシン一リン酸(GMP)、グアノシン二リン酸(GDP)、グアノシン三リン酸(GTP)、チミジン一リン酸(TMP)、チミジン二リン酸(TDP)、チミジン三リン酸(TTP)、ウリジン一リン酸(UMP)、ウリジン二リン酸(UDP)、ウリジン三リン酸(UTP)、シチジン一リン酸(CMP)、シチジン二リン酸(CDP)、シチジン三リン酸(CTP)、5−メチルシチジン一リン酸、5−メチルシチジン二リン酸、5−メチルシチジン三リン酸、5−ヒドロキシメチルシチジン一リン酸、5−ヒドロキシメチルシチジン二リン酸、5−ヒドロキシメチルシチジン三リン酸、サイクリックアデノシン一リン酸(cAMP)、サイクリックグアノシン一リン酸(cGMP)、デオキシアデノシン一リン酸(dAMP)、デオキシアデノシン二リン酸(dADP)、デオキシアデノシン三リン酸(dATP)、デオキシグアノシン一リン酸(dGMP)、デオキシグアノシン二リン酸(dGDP)、デオキシグアノシン三リン酸(dGTP)、デオキシチミジン一リン酸(dTMP)、デオキシチミジン二リン酸(dTDP)、デオキシチミジン三リン酸(dTTP)、デオキシウリジン一リン酸(dUMP)、デオキシウリジン二リン酸(dUDP)、デオキシウリジン三リン酸(dUTP)、デオキシシチジン一リン酸(dCMP)、デオキシシチジン二リン酸(dCDP)およびデオキシチジン三リン酸(dCTP)、5−メチル−2’−デオキシシチジン一リン酸、5−メチル−2’−デオキシシチジン二リン酸、5−メチル−2’−デオキシチジン三リン酸、5−ヒドロキシメチル−2’−デオキシシチジン一リン酸、5−ヒドロキシメチル−2’−デオキシシチジン二リン酸ならびに5−ヒドロキシメチル−2’−デオキシチジン三リン酸を含む。ヌクレオチドは、好ましくはAMP、TMP、GMP、UMP、dAMP、dTMP、dGMPまたはdCMPから選択される。ヌクレオチドは、脱塩基(すなわちヌクレオベースを欠いている)であってよい。ヌクレオチドは、追加的修飾を含む場合がある。詳細には、好適な修飾ヌクレオチドは、これだけに限らないが、2’アミノピリミジン(2’−アミノシチジンおよび2’−アミノウリジンなど)、2’−ヒドロキシルプリン(2’−フルオロピリミジンなど(2’−フルオロシチジンおよび2’フルオロウリジンなど)、ヒドロキシルピリミジン(5’−α−P−ボラノウリジンなどの)、2’−O−メチルヌクレオチド(2’−O−メチルアデノシン、2’−O−メチルグアノシン、2’−O−メチルシチジンおよび2’−O−メチルウリジンなど)、4’−チオピリミジン(4’−チオウリジンおよび4’−チオシチジンなど)ならびにヌクレオベース(5−ペンチニル−2’−デオキシウリジン、5−(3−アミノプロピル)−ウリジンおよび1,6−ジアミノヘキシル−N−5−カルバモイルメチルウリジンなど)の修飾を有するヌクレオチドを含む。
ヌクレオチドは、脱塩基(すなわちヌクレオベースを欠いている)であってよい。ヌクレオチドは、ヌクレオベースおよび糖を欠いていてもよい(すなわちC3スペーサーである)。
PTM
任意の1個または複数のPTMは、本発明により決定され得る。1個または複数のPTMは、疎水性基での修飾、補因子での修飾、化学基の付加、糖化(糖の非酵素的付着)、ビオチン化およびペグ化から好ましくは選択される。PTMは、それらが生物工学的または生物医学的目的のために実験室で化学的に修飾された非天然物であってもよい。これは、天然対応物とは対照的な実験室作製ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質のレベルのモニターすることを可能にできる。
疎水性基での修飾は、ミリストイル化、C14飽和酸ミリスチン酸の付着;パルミトイル化、C16飽和酸パルミチン酸の付着;イソプレニル化またはプレニル化、イソプレノイド基の付着;ファルネシル化、ファルネソール基の付着;ゲラニルゲラニル化、ゲラニルゲラニオール基の付着;およびグリピエーション(glypiation)、アミド結合を介するグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカー形成から好ましくは選択される。
補因子での修飾は、好ましくはリポイル化、リポエート(C8)官能基の付着;フラビネーション(flavination)、フラビン成分(例えばフラビンモノヌクレオチド(FMN)またはフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD))の付着;ヘムCの例えばチオエーテル結合を介するシステインとの付着;ホスホパンテテイニル化(phosphopantetheinylation)、4’−ホスホパンテテイニル基の付着;およびレチニリデン(retinylidene)シッフ塩基形成から選択される。
化学基の付加は、アシル化、例えばO−アシル化(エステル)、N−アシル化(アミド)またはS−アシル化(チオエステル);アセチル化、例えばN末端へまたはリジンへのアセチル基の付着;ホルミル化;アルキル化、メチルまたはエチルなどのアルキル基の付加;メチル化、例えばリジンまたはアルギニンへのメチル基の付加;アミド化;ブチル化;ガンマカルボキシル化;グリコシル化、例えばアルギニン、アスパラギン、システイン、ヒドロキシリジン、セリン、スレオニン、チロシンまたはトリプトファンへのグリコシル基の酵素的付着;ポリシアル酸化、ポリシアル酸の付着;マロニル化;ヒドロキシル化;ヨウ素化;ブロム化;シトルリン化;ヌクレオチド付加、上に考察の任意のものなどの任意のヌクレオチドの付着、ADPリボシル化;酸化;リン酸化、例えばセリン、スレオニンもしくはチロシン(O結合)またはヒスチジン(N結合)へのリン酸基の付着;アデニリル化、例えばチロシン(O結合)へのまたはヒスチジンもしくはリジン(N結合)へのアデニリル部分の付着;プロピノイル化;ピログルタミン酸形成;S−グルタチオン化;SUMO化;S−ニトロシル化;サクシニル化、例えばリジンへのサクシニル基の付着;セレノイル化(selenoylation)、セレニウムの組み込み;ならびにユビキチニル化(ubiquitinilation)、ユビキチンサブユニット(N結合)の付加から好ましくは選択される。
化学基の付加は、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質内の1個または複数のシステイン、リジン、チロシン、アルギニンまたは任意の他の(天然もしくは非天然)残基の任意の非天然化学的修飾に関する場合がある。
本発明の方法は、好ましくは1個もしくは複数のリン酸化または2個以上のリン酸化の存在、非存在、数または位置(1個もしくは複数)を決定するためである。任意のリン酸化は、セリン、スレオニンもしくはチロシンのリン酸化(O結合)またはヒスチジンのリン酸化(N結合)を含んで決定され得る。1個または複数のリン酸化は、好ましくはO結合である。1個または複数のリン酸化は、より好ましくはセリンの1個または複数のリン酸化である。
膜貫通ポア
膜貫通ポアは、ある程度膜を横断する構造である。それは、印加された電位によって駆動される水和イオンを膜にわたってまたは膜内に流れるようにする。膜貫通ポアは、典型的には膜全体を横断し、それにより水和イオンは、膜の一方の側から膜の他方の側へ流れることができる。しかし膜貫通ポアは、膜を横断しなくてもよい。それは、一方の末端で閉じていてよい。例えばポアは、それに沿ってまたはそれの中に水和イオンが流れることができる膜内のウエルであってよい。膜貫通タンパク質ポアは、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質がポアを通して移動できるように、および典型的には膜を横断できるようにする。
任意の膜が本発明により使用され得る。好適な膜は、当技術分野において十分周知である。膜は、好ましくは両親媒性層である。両親媒性層は、少なくとも1個の親水性部分および少なくとも1個の親油性または疎水性部分の両方を有するリン脂質などの両親媒性分子から形成される層である。両親媒性分子は、合成または天然に存在してよい。天然に存在しない両親媒性物質および、単層を形成する両親媒性物質は、当技術分野において周知であり、例えばブロック共重合体を含む(Gonzalez-Perez et al., Langmuir, 2009, 25, 10447-10450)。ブロック共重合体は、2個以上単量体サブユニットが単一のポリマー鎖を作るように共にポリマー化しているポリマー性材料である。ブロック共重合体は、典型的には各単量体サブユニットによって寄与される特性を有する。しかし、ブロック共重合体は、個々のサブユニットから形成されたポリマーが保有していない固有の特性を有する場合がある。ブロック共重合体は、単量体サブユニットの1個が疎水性(すなわち親油性)である、一方で他のサブユニット(1個または複数)は、水性媒体中で親水性であるように操作されてよい。この場合ブロック共重合体は、両親媒性特性を保有でき、生物学的膜を模倣する構造を形成できる。ブロック共重合体は、ジブロック(2個の単量体サブユニットからなる)であってよいが、両親媒性物質として挙動するさらに複雑な配置を形成するように2個より多い単量体サブユニットから構築されてもよい。共重合体は、トリブロック、テトラブロックまたはペンタブロック共重合体であってよい。
両親媒性層は、典型的には平面脂質二重層または支持された二重層である。
両親媒性層は、典型的には脂質二重層である。脂質二重層は、細胞膜のモデルであり、幅広い実験研究のための優れたプラットホームとして役立つ。例えば脂質二重層は、単一チャネル記録による膜タンパク質のin vitro調査のために使用され得る。代替的に脂質二重層は、幅広い物質の存在を検出するためのバイオセンサーとして使用され得る。脂質二重層は、任意の脂質二重層であってよい。好適な脂質二重層は、これだけに限らないが、平面脂質二重層、支持された二重層またはリポソームを含む。脂質二重層は、好ましくは平面脂質二重層である。好適な脂質二重層は、国際出願第PCT/GB08/000563号(WO 2008/102121として公開)、国際出願第PCT/GB08/004127号(WO 2009/077734として公開)および国際出願第PCT/GB2006/001057号(WO 2006/100484として公開)に開示されている。
脂質二重層を形成するための方法は、当技術分野において周知である。好適な方法は、実施例に開示されている。脂質二重層は、モンタルおよびミューラーの方法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 1972; 69: 3561-3566)によって一般に形成され、脂質単層は、界面に垂直である開口部のいずれかの側を超える水溶液/大気界面に続いている。
モンタルおよびミューラーの方法は、それが費用効果が高く、タンパク質ポア挿入のために好適である良質の脂質二重層を形成する比較的直接的な方法であることから一般的である。二重層形成の他の慣用法は、リポソーム二重層のチップディッピング(tip-dipping)、ペインティング二重層(painting bilayer)およびパッチクランピング(patch-clamping)を含む。
好ましい実施形態では脂質二重層は、国際出願第PCT/GB08/004127号(WO2009/077734として公開)に記載のとおり形成される。
別の好ましい実施形態では膜は、固体層である。固体層は、生物学由来ではない。言い換えると固体層は、生物もしくは細胞などの生物学的環境由来ではない、またはそれから単離されず、あるいは生物学的に利用可能な構造の合成的に製造されたバージョンではない。固体層は、これだけに限らないが、マイクロエレクトロニクス材料、Si、A1およびSiOなどの絶縁材料、ポリアミドなどの有機および無機ポリマー、Teflon(登録商標)または2要素添加硬化シリコンゴムなどのエラストマーなどのプラスチック、ならびにガラスを含む有機および無機の両方の材料から形成され得る。固体層は、グラフェンなどの一原子層、または数原子の厚さだけである層から形成されてよい。好適なグラフェン層は、国際出願第PCT/US2008/010637号(WO 2009/035647として公開)に開示されている。別の好ましい実施形態では両親媒性層は、固体ポアにわたってまたはその最上部に形成され得る。これは、当技術分野においてハイブリッドポア形成として記載される場合がある(Hall et al., Nat Nanotechnol., 2010, 5, 874-877)。方法は(i)ポアを含む人工両親媒性層、(ii)ポアを含む単離された、天然に存在する脂質二重層、または(iii)挿入されたポアを有する細胞を使用して典型的には実行される。方法は、人工脂質二重層などの人工両親媒性層を使用して典型的には実行される。層は、他の膜貫通および/または膜内タンパク質ならびに他の分子をポアに加えて含む場合がある。好適な装置および条件は下に考察される。本発明の方法は、in vitroで典型的には実行される。
ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、例えばPCT/GB12/051191に記載のとおり好ましくは膜にカップリングしている。これは、任意の周知の方法を使用して行われ得る。膜が脂質二重層などの両親媒性層である場合(上に詳細に考察のとおり)、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、膜中に存在するポリペプチドまたは膜中に存在する疎水性アンカーを介して好ましくは膜にカップリングしている。疎水性アンカーは、好ましくは脂質、脂肪酸、ステロール、炭素ナノチューブまたはアミノ酸である。
ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、膜に直接カップリングしていてもよい。ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、好ましくはリンカーを介して膜にカップリングしている。好ましいリンカーは、これだけに限らないが、ポリヌクレオチド、ポリエチレングリコール(PEG)およびポリペプチドなどのポリマーを含む。
カップリングは安定または一過性であってよい。特定の応用のためにカップリングの一過性の性質は好ましい。一過性カップリングは、持続性のブロッキングを最少化し、手作業でポアを脱ブロックすることに時間がかからないことからデータがさらに迅速に蓄積されるようにする。持続性のカップリングが使用される場合、両親媒性層は不安定化される場合があるまたは、cis側に繋がれたペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を作る場合があり、それにより実験的平衡を変化させる。これらの効果は、一過性カップリングによって最少化され得る。膜と安定または一過性連結を形成する化学基は、下により詳細に考察される。ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、コレステロールまたは脂肪酸アシル鎖を使用して脂質二重層などの両親媒性層に一過性にカップリングしていてもよい。ヘキサデカン酸などの長さ約6個から約30個の炭素原子を有する任意の脂肪酸アシル鎖が使用され得る。
合成脂質二重層へのカップリングは、種々のさまざまな繋ぐための戦略で既に実行されている。これらは下の表1に要約されている。
膜貫通ポアは、好ましくは膜貫通タンパク質ポアである。膜貫通タンパク質ポアは、膜の一方の側から膜の他方の側へ水和イオンが流れるようにするポリペプチドまたはポリペプチドの収集物である。本発明では膜貫通タンパク質ポアは、印加された電位によって水和イオンが膜の一方の側から他方へ駆動されるようにするポアを形成できる。膜貫通タンパク質ポアは、好ましくはヌクレオチドなどの分析物が、脂質二重層などの膜の一方の側から他方へ流れるようにする。膜貫通タンパク質ポアは、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質がポアを通って移動されるようにする。
ポアのバレルまたはチャネル(それを通って水和イオンが流れる)は、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質がポアを通って移動できる限り任意の幅を有してよい。バレルまたはチャネルは、典型的には1種より多い幅を有する、すなわちバレルまたはチャネルの幅は、その長さに沿って変化してよい。ポアは、当技術分野において狭窄部位として周知である最も狭い部分を有する。これがバレルまたはチャネルの最も狭い部分である。最も狭い部分の場所は、当技術分野において周知の任意の方法を使用して決定され得る。タンパク質ポアの最も狭い部分は、タンパク質モデリング、結晶状態にあるタンパク質のX線回折測定(Rupp B (2009).Biomolecular Crystallography:Principles、Practice and Application to Structural Biology. New York: Garland Science.)、溶液中のタンパク質の核磁気共鳴(NMR)スペクトル(Mark Rance; Cavanagh, John; Wayne J. Fairbrother; Arthur W. Hunt III; Skelton, Nicholas J. (2007).Protein NMR spectroscopy: principles and practice (2nd ed.). Boston: Academic Press.)または凍結水和状態中のタンパク質のクライオ電子顕微鏡(van Heel M, Gowen B, Matadeen R, Orlova EV, Finn R, Pape T, Cohen D, Stark H, Schmidt R, Schatz M, Patwardhan A (2000). "Single-particle electron cryo-microscopy: towards atomic resolution". Q Rev Biophys. 33: 307-69を使用して同定され得る。上に述べた方法によって決定されたタンパク質の構造情報は、プロテインバンク(PDB)データベースから公開されて利用可能である。
タンパク質モデリングはタンパク質構造がホモログ内でタンパク質配列よりもさらに保存されるという事実を利用する。それにより、タンパク質の原子解析モデルを作ることは、クエリー配列の構造に似ていると考えられる1個または複数のタンパク質構造の同定に依存する。タンパク質モデルを構築するための「鋳型」として使用するために好適なタンパク質構造が存在するかどうかを評価するために、検索がプロテインデータバンク(PDB)データベース上で実施される。タンパク質構造は、クエリー配列と合理的なレベルの配列同一性を共有する場合に好適な鋳型であると考えられる。そのような鋳型が存在する場合、次いで鋳型配列は、クエリー配列と「配列比較」される、すなわちクエリー配列中の残基が鋳型残基にマッピングされる。配列比較および鋳型構造は、次いでクエリー配列の構造モデルを産生するために使用される。それによりタンパク質モデルの質は、配列比較および鋳型構造の質に依存する。
ポアの最も狭い部分は、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質、および存在する場合は荷電ポリマーが、それに進入および移行できるように十分幅広い。
膜貫通タンパク質ポアは、単量体またはオリゴマーであってよい。ポアは、好ましくは6個、7個、8個または9個のサブユニットなどのいくつかの反復サブユニットでできている。ポアは、好ましくは六量体、七量体、八量体または九量体ポアである。
膜貫通タンパク質ポアは、典型的にはイオンがそれを通って流れることができるバレルまたはチャネルを含む。ポアのサブユニットは、典型的には中心軸の周りを囲んでおり、鎖に膜貫通βバレルもしくはチャネルまたは膜貫通αヘリックス束またはチャネルをもたらす。
膜貫通タンパク質ポアのバレルまたはチャネルは、1個または複数のPTMとの相互作用を促進するアミノ酸を典型的には含む。これらのアミノ酸は、バレルまたはチャネルの狭窄にまたは近くになどの、ポアの最も狭い部分にまたは近くに好ましくは位置付けられる。膜貫通タンパク質ポアは、典型的には1個または複数の、アルギニン、リジンもしくはヒスチジンなどの正に荷電したアミノ酸またはチロシンもしくはトリプトファンなどの芳香族アミノ酸を含む。これらのアミノ酸は、典型的にはポアと負に荷電したリン酸基との間の相互作用を促進する。
本発明による使用のための膜貫通タンパク質ポアは、βバレルポアまたはαヘリックス束ポア由来であってよい。βバレルポアは、β鎖から形成されているバレルまたはチャネルを含む。好適なβバレルポアは、これだけに限らないが、α溶血素、炭疽毒素およびロイコシジンなどのβ毒素、ならびにスメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)ポリン(Msp)、例えばMspA、MspBもしくはMspCなどの細菌の外膜タンパク質/ポリン、外膜ホスホリパーゼA、ナイセリア(Neisseria)自己輸送体リポタンパク質(NalP)またはOmpファミリー(例えばOmpF、OmpGなど)由来のポアを含む。αヘリックス束ポアは、αヘリックスから形成されているバレルまたはチャネルを含む。好適なαヘリックス束ポアは、これだけに限らないが、内膜タンパク質ならびにWzaおよびClyA毒素などのα外膜タンパク質を含む。膜貫通ポアは、好ましくはα溶血素(αHL)由来、ロイコシジン由来またはMspA由来である。
ポアは、ホモオリゴマー(すべて同一の単量体単位)またはヘテロオリゴマー(2個以上の異なる種類の単量体)であってよい。ポアは、連結された単量体、例えばポアのオリゴマー構造に会合された二量体を含む場合がある。単量体は、同じポリペプチド鎖に繋がれていて、すなわち遺伝的に融合されていてよい。
ポアは、少なくとも1個の二量体および1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個または8個の単量体を含んでよい。ポアは、2個、3個、4個以上の二量体を含んでよい。そのようなポアは、ポアを形成するために十分な単量体をさらに含む。さらなるポアは、二量体だけを含み、例えばポアは、4個、5個、6個、7個または8個の二量体を含む場合がある。本発明による使用のための具体的なポアは、4個の二量体を含む。二量体は、二量体の1個の単量体だけがポアのバレルまたは前庭をもたらすような構造を有するポアにオリゴマー化する場合がある。典型的には構築物の他の単量体は、ポアのバレルまたは前庭の外側にある。例えばポアは、バレルまたは前庭が8個の単量体を含んで、5個、6個、7個または8個の二量体を含む場合がある。
膜貫通タンパク質ポアは、好ましくはα溶血素(αHL)由来である。野生型αHLポアは、7個の同一の単量体またはサブユニットから形成されている(すなわち七量体である)。膜貫通タンパク質ポアは、好ましくはαHL由来の7個の単量体を含む。α溶血素(WT αHL)の1個の野生型単量体またはサブユニットの配列は配列番号2に示される。膜貫通タンパク質ポアは、好ましくは配列番号2に示す配列またはその変種をそれぞれ含む7個の単量体を含む。配列番号4のアミノ酸1、7から21、31から34、45から51、63から66、72、92から97、104から111、124から136、149から153、160から164、173から206、210から213、217、218、223から228、236から242、262から265、272から274、287から290および294はループ領域を形成する。配列番号2の残基113および147は、αHLのバレルまたはチャネルの狭窄部分を形成する。
ポアは、配列番号2に示す配列またはその変種をそれぞれ含む7個のタンパク質または単量体を好ましくは含む。膜貫通タンパク質は、好ましくは(a)配列番号2に示す7個の同一のサブユニットから形成されている、あるいは(b)7個のサブユニットの1個もしくは複数またはすべてが配列番号2の変種であり、ポア活性を保持しているその変種である。サブユニットの1個、2個、3個、4個、5個、6個または7個は変種であってよい。ポア中の変種は、同じまたは異なっていてよい。7個のサブユニットは、同じ(ホモ七量体)または異なっていて(ヘテロ七量体)よい。
配列番号2の変種は、配列番号2のものから変化しており、そのポア形成活性を保持しているアミノ酸配列を有するタンパク質である。ポアを形成するための変種の能力は、当技術分野において周知の任意の方法を使用してアッセイされ得る。例えば変種は、脂質二重層などの両親媒性層に、他の適するサブユニットと共に挿入されてよく、ポアを形成するようにオリゴマー化するその能力は決定され得る。方法は、脂質二重層などの両親媒性層にサブユニットを挿入することに関して当技術分野において周知である。例えば、サブユニットは、脂質二重層中に拡散し、脂質二重層に結合し、機能的状態に会合することによって挿入されるように、脂質二重層を含有する溶液中に精製された形態で懸濁されていてよい。代替的にサブユニットは、M.A. Holden, H. Bayley. J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 6502-6503および国際出願第PCT/GB2006/001057号(WO 2006/100484として公開)に記載の「ピックおよびプレース」法を使用して膜に直接挿入されてよい。
配列番号2の1個の好ましい変種は、置換E111NおよびK147Nを含有するα溶血素NNである(Stoddart et al., PNAS, 2009; 106(19): 7702-7707)。
変種は、別の分子への共有結合または相互作用を促進する修飾を含んでよい。変種は、付着を促進する1個または複数の反応性システイン残基を好ましくは含む。例えば変種は、位置8、9、17、18、19、44、45、50、51、237、239および287の1個または複数におよび/または配列番号2のアミノまたはカルボキシ末端にシステインを含んでよい。好ましい変種は、配列番号2の位置8、9、17、237、239および287の残基のシステインでの置換を含む(A8C、T9C、N17C、K237C、S239CまたはE287C)。変種は、好ましくは、国際出願第PCT/GB09/001690号(WO 2010/004273として公開)、第PCT/GB09/001679号(WO 2010/004265として公開)または第PCT/GB10/000133号(WO 2010/086603として公開)に記載の変種のいずれか1個である。
変種は、生物によって、例えばブドウ球菌(Staphylococcus bacterium)によって天然で発現される天然に存在する変種であってよい。代替的に変種は、in vitroでまたは大腸菌(Escherichia coli)などの細菌によって組換え的に発現されてよい。変種は、組換え技術によって産生された天然に存在しない変種も含む。変種は、天然または非天然の化学連結によって導入され得る天然に存在しないアミノ酸または他の分子を含んでよい。変種は、アダプターとしてのシクロデキストリンの使用などの非共有結合修飾も含んでよく;これらの修飾は、ポアに堅固に結合する分子を含む。
配列番号2のアミノ酸配列の全長にわたって、変種は、その配列に対して、アミノ酸同一性に基づいて好ましくは少なくとも50%相同性である。より好ましくは変種は、配列番号2のアミノ酸配列に対して、アミノ酸同一性に基づいて配列全体にわたって少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%およびより好ましくは少なくとも95%、97%または99%相同性であってよい。少なくとも80%、例えば少なくとも85%、90%または95%アミノ酸同一性が、200個以上、例えば230、250、270または280個以上の近接アミノ酸のストレッチにわたってあってよい(「硬い(hard)相同性」)。
当技術分野における標準的方法は、相同性を決定するために使用され得る。例えばUWGCGパッケージは、例えばその初期設定で使用されて相同性を算出するために使用され得るBESTFITプログラムを提供する(Devereux et al (1984) Nucleic Acids Research 12, p387-395)。PILEUPおよびBLASTアルゴリズムは、相同性またはラインアップ(line up)配列を算出するために使用され得る(等価残基または対応する配列を同定することなど(典型的にはそれらの初期設定で))、例えばAltschul S. F. (1993) J Mol Evol 36:290-300; Altschul, S.F et al (1990) J Mol Biol 215:403-10に記載のとおり。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、the National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通じて公表されて利用可能である。
アミノ酸置換は、上に考察のものに加えて、例えば1個、2個、3個、4個、5個、10個、20個または30個までの置換が配列番号2のアミノ酸配列に作られてよい。保存的置換はアミノ酸を同様の化学的構造、同様の化学的特性または同様の側鎖容積の他のアミノ酸で置き換える。導入されるアミノ酸は、それらが置き換えるアミノ酸と同様の極性、親水性、疎水性、塩基性、酸性、中性または荷電を有してよい。代替的に保存的置換は、芳香族または脂肪族である別のアミノ酸を予め存在する芳香族または脂肪族アミノ酸の位置に導入してよい。保存的アミノ酸変更は、当技術分野において十分周知であり、下の表2に定義の20個の主なアミノ酸の特性により選択されてよい。アミノ酸が同様の極性を有する場合、表3のアミノ酸側鎖についての疎水性親水性指標尺度を参照して決定されてもよい。タンパク質ポアがその構造および機能を保持しながら非保存的置き換えも作られてよい。
配列番号2のアミノ酸配列の1個または複数のアミノ酸残基は、上に記載のポリペプチドから追加的に欠失されてよい。1、2、3、4、5、10、20または30残基までまたはそれより多くが欠失されてよい。
変種は、配列番号2の断片を含んでよい。そのような断片は、ポア形成活性を保持している。断片は、長さ少なくとも50、100、200または250アミノ酸であってよい。そのような断片は、ポアを産生するために使用されてよい。断片は、好ましくは配列番号2のポア形成ドメインを含有している。断片は、配列番号2の残基119、121、135、113および139を典型的には含む。
1個または複数のアミノ酸は、上に記載のポリペプチドに代替的に(挿入)または追加的に付加されてよい。伸長は、配列番号2のアミノ酸配列またはそのポリペプチド変種もしくは断片のアミノ末端またはカルボキシ末端に提供されてよい。伸長は、非常に短く、例えば長さ約1から約10アミノ酸であってよい。代替的に伸長は、長く、例えば約50または約100アミノ酸までであってよい。
上に考察したとおり変種は、配列番号2のものから変化しており、ポアを形成するその能力を保持しているアミノ酸配列を有するポリペプチドである。変種は、ポア形成に関与している配列番号2の領域を典型的には含有する。βバレルを含有するαHLのポア形成能力は、各サブユニット中のβ鎖によって提供される。このセグメントは、βバレルをさらに短くするが、膜中でポアを形成する能力はまだ保持しているように短縮され得る。配列番号2の変種は、β鎖を形成する配列番号2の中の領域を典型的には含む。β鎖を形成する配列番号2のアミノ酸は、上に考察されている。1個または複数の修飾は、生じる変種がポアを形成するその能力を保持している限り、β鎖を形成する配列番号2の領域に作られてよい。配列番号2のβ鎖領域に作られ得る具体的な修飾は、上に考察されている。
配列番号2の変種は、置換、付加もしくは欠失などの1個または複数の修飾、をそのαヘリックス、β鎖および/またはループ領域内に好ましくは含む。αヘリックスおよびループを形成するアミノ酸は、上に考察されている。
膜貫通タンパク質ポアは、好ましくはロイコシジン由来でもある。ロイコシジンは、2個の異なるサブユニット、1つはクラスSサブユニットおよびもう1つはFサブユニットを有するヘテロオリゴマーのポアである。好適なロイコシジンは、これだけに限らないが、LukF(HlgB)およびHlg2(HlgA)を含むガンマ溶血素(γHL)、LukF(HlgB)およびLukS(HlgC)を含むロイコシジン、LukF−PVおよびLukS−PVを含むロイコシジンPV、LukEおよびLukDを含むLukE/LukDポア、ならびにLukF−IおよびLukS−Iを含むLukS−I/LukF−Iを含む。
膜貫通タンパク質ポアがロイコシジンである場合、それは好ましくはガンマ溶血素(γHL)由来である。野生型γHLポアは、8個のサブユニットから形成され(すなわち八量体である)、LukFの4個のサブユニットおよびHlg2の4個のサブユニットを含有する。LukFの1個の単量体またはサブユニットの配列は、配列番号4に示されている。Hlg2の1個の単量体またはサブユニットの配列は、配列番号6に示されている。膜貫通タンパク質ポアは、配列番号4に示す配列またはその変種をそれぞれ含む4個の単量体、および配列番号6に示す配列またはその変種をそれぞれ含む4個の単量体を好ましくは含む。配列番号4のアミノ酸109〜147および配列番号6の103〜139はループ領域を形成する。
γ溶血素ポアは、好ましくは(a)配列番号4に示す4個の同一のサブユニットおよび配列番号6に示す4個の同一のサブユニットから形成されているγ溶血素、あるいは(b)サブユニットの1個もしくは複数またはすべてが配列番号4の変種であり、および/またはサブユニットの1個もしくは複数またはすべてが配列番号6の変種であり、ポアがポア活性を保持しているその変種である。そのようなポアは、ヘテロ八量体である。サブユニットの1個、2個、3個または4個は、配列番号4および/または6の変種であってよい。ポア中の変種は、同じまたは異なっていてよい。
配列番号4または6の変種は、配列番号4または6のものから変化しており、そのポア形成能力を保持しているアミノ酸配列を有するタンパク質である。ポアを形成するための変種の能力は、当技術分野において周知の任意の方法を使用してアッセイされ得る。例えば変種は、脂質二重層などの両親媒性層に、他の適するサブユニットと共に挿入されてよく、ポアを形成するようにオリゴマー化するその能力は決定され得る。方法は、脂質二重層などの両親媒性層にサブユニットを挿入することに関して当技術分野において周知である。好適な方法は、上に考察されている。
変種は、別の分子への共有結合または相互作用を促進する修飾を含んでよい。変種は、付着を促進する1個または複数の反応性システイン残基を好ましくは含む。変種は、アダプターとしてのシクロデキストリンの使用などの非共有結合修飾も含んでよく;これらの修飾は、ポアに堅固に結合する分子を含む。
変種は、生物によって、例えばブドウ球菌(Staphylococcus bacterium)によって天然で発現される天然に存在する変種であってよい。代替的に変種は、in vitroでまたは大腸菌(Escherichia coli)などの細菌によって組換え的に発現されてよい。変種は、組換え技術によって産生された天然に存在しない変種も含む。配列番号4または6のアミノ酸配列の全長にわたって変種は、その配列に対して、アミノ酸同一性に基づいて好ましくは少なくとも50%相同性である。より好ましくは変種ポリペプチドは、配列全体にわたって配列番号4または6のアミノ酸配列に対して、アミノ酸同一性に基づいて少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%およびより好ましくは少なくとも95%、97%または99%相同性であってよい。少なくとも80%、例えば少なくとも85%、90%または95%アミノ酸同一性が、200個以上、例えば230、250、270または280個以上の近接アミノ酸のストレッチにわたってあってよい(「硬い相同性」)。相同性は、上に考察したとおり決定され得る。
アミノ酸置換は、上に考察のものに加えて、例えば置換1個、2個、3個、4個、5個、10個、20個または30個まで、配列番号4または6のアミノ酸配列に作られてよい。保存的置換は、上に考察したとおり作られて良い。
配列番号4または6のアミノ酸配列の1個または複数のアミノ酸残基は、上に考察のポリペプチドから追加的に欠失されてよい。1、2、3、4、5、10、20または30残基までまたはそれより多くが欠失されてよい。
変種は、配列番号4または6の断片であってよい。そのような断片は、ポア形成活性を保持している。断片は、長さ少なくとも50、100、200または250アミノ酸であってよい。断片は、配列番号4または6のポア形成ドメインを好ましくは含む。
1個または複数のアミノ酸は、上に考察のポリペプチドに代替的に(挿入)または追加的に付加されてよい。伸長は、配列番号4もしくは6のアミノ酸配列またはその変種もしくは断片のアミノ末端またはカルボキシ末端に提供されてよい。伸長は、非常に短く、例えば長さ約1から約10アミノ酸であってよい。代替的に伸長は、長く、例えば約50または約100アミノ酸までであってよい。担体タンパク質は、ポアまたは変種に融合されてよい。
上に考察したとおり配列番号4または6の変種は、配列番号4または6のものから変化しており、ポアを形成するその能力を保持しているアミノ酸配列を有するサブユニットである。変種は、ポア形成に関与している配列番号4または6の領域を典型的には含有する。βバレルを含有するγHLのポア形成能力は、各サブユニット中のβ鎖によって提供される。配列番号4または6の変種は、β鎖を形成する配列番号4または6中の領域を典型的には含む。β鎖を形成する配列番号4または6のアミノ酸は、上に考察されている。1個または複数の修飾は、生じる変種がポアを形成するその能力を保持している限り、β鎖を形成する配列番号4または6の領域に作られてよい。配列番号4または6のβ鎖領域に作られ得る特異的修飾は、上に考察されている。
配列番号4または6の変種は、置換、付加、挿入もしくは欠失などの1個または複数の修飾を、αヘリックスおよび/またはループ領域内に好ましくは含む。αヘリックスおよびループを形成するアミノ酸は、上に考察されている。
膜貫通タンパク質ポアは、好ましくはMsp由来、好ましくはMspA由来である。そのようなポアは、オリゴマー化され、典型的にはMsp由来の7個、8個、9個または10個の単量体を含む。ポアは、同一の単量体を含むMsp由来であるホモオリゴマーのポアであってよい。代替的にポアは、他と異なる少なくとも1個の単量体を含むMsp由来のヘテロオリゴマーのポアであってよい。好ましくはポアは、MspAまたはそのホモログもしくはパラログ由来である。
Msp由来の単量体は、配列番号8に示す配列またはその変種を典型的には含む。配列番号8は、MspA単量体のMS(B1)8変異体である。それは、次の変異:D90N、D91N、D93N、D118R、D134RおよびE139Kを含む。配列番号8の変種は、配列番号8のものから変化しているアミノ酸配列を有し、ポアを形成するその能力を保持しているアミノ酸配列を有するポリペプチドである。ポアを形成する変種の能力は、上に考察した当技術分野において周知の任意の方法を使用してアッセイされ得る。
配列番号8のアミノ酸配列の全長にわたって変種は、その配列に対して、アミノ酸同一性に基づいて好ましくは少なくとも50%相同性である。より好ましくは変種は、配列番号8のアミノ酸配列に対して、アミノ酸同一性に基づいて配列全体にわたって少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%およびより好ましくは少なくとも95%、97%または99%相同性であってよい。少なくとも80%、例えば少なくとも85%、90%または95%アミノ酸同一性が、100個以上、例えば125、150、175または200個以上の近接アミノ酸のストレッチにわたってあってよい(「硬い相同性」)。当技術分野における標準的方法は、上に考察した相同性を決定するために使用されてよい。
配列番号8は、MspA単量体のMS(B1)8変異体である。変種は、MspAと比較してMspB、CまたはD単量体における変異のいずれかを含む場合がある。MspB、CおよびDの成熟形態は、配列番号5から7に示されている。詳細には変種は、MspB中に存在する次の置換を含む場合がある:A138P。変種は、MspC中に存在する次の置換の1個または複数を含む場合がある:A96G、N102EおよびA138P。変種は、MspD中に存在する次の変異の1個または複数を含む場合がある:G1の欠失、L2V、E5Q、L8V、D13G、W21A、D22E、K47T、I49H、I68V、D91G、A96Q、N102D、S103T、V104I、S136KおよびG141A。変種は、MspB、CおよびDから1個または複数の変異および置換の組合せを含む場合がある。変種は、変異L88Nを好ましくは含む。配列番号8の変種は、MSB1のすべての変異に加えて変異L88Nを有し、MS(B2)8と称される。本発明において使用されるポアは、好ましくはMS(B2)8である。配列番号8の変種は、MSB1のすべての変異に加えて変異G75S/G77S/L88N/Q126Rを有し、MSB2Cと称される。発明において使用されるポアは、好ましくはMS(B2)8またはMS(B2C)8である。
アミノ酸置換は、上に考察のものに加えて、例えば置換1個、2個、3個、4個、5個、10個、20個または30個までが配列番号8のアミノ酸配列に作られる場合がある。置換は、上に考察したとおり保存的であってよく、表2および3に示されている。
配列番号8のアミノ酸配列の1個または複数のアミノ酸残基は、上に記載のポリペプチドから追加的に欠失されてよい。1、2、3、4、5、10、20または30残基までまたはそれより多くが欠失されてよい。
変種は、配列番号8の断片を含んでよい。そのような断片は、ポア形成活性を保持している。断片は、長さ少なくとも50、100、150または200アミノ酸であってよい。そのような断片は、ポアを産生するために使用されてよい。断片は、好ましくは配列番号8のポア形成ドメインを含む。断片は、配列番号8の残基88、90、91、105、118および134の1つを含むはずである。典型的には断片は、配列番号8の残基88、90、91、105、118および134のすべてを含む。
1個または複数のアミノ酸は、上に記載のポリペプチドに代替的にまたは追加的に付加されてよい。伸長は、配列番号8のアミノ酸配列またはそのポリペプチド変種もしくは断片のアミノ末端またはカルボキシ末端に提供されてよい。伸長は、非常に短く、例えば長さ1から10アミノ酸であってよい。代替的に伸長は、長く、例えば50または100アミノ酸までであってよい。担体タンパク質は、本発明によるアミノ酸配列に融合されてよい。他の融合タンパク質は、下により詳細に考察されている。
上に考察したとおり変種は、配列番号8のものから変化しており、ポアを形成するその能力を保持しているアミノ酸配列を有するポリペプチドである。変種は、ポア形成に関与している配列番号8の領域を典型的には含有する。βバレルを含有するMspのポア形成能力は、各サブユニット中のβシートによって提供される。配列番号8の変種は、βシートを形成する配列番号8中の領域を典型的には含む。1個または複数の修飾は、生じる変種がポアを形成するその能力を保持している限り、βシートを形成する配列番号8の領域に作られてよい。配列番号8の変種は、置換、付加または欠失などの1個または複数の修飾をそのαヘリックスおよび/またはループ領域内に好ましくは含む。
いくつかの実施形態では膜貫通タンパク質ポアは、化学的に修飾される。αHL(すなわち配列番号2またはその変種)、γHL(すなわち配列番号4もしくは6またはその変種)またはMspA(配列番号8またはその変種)由来の単量体は、ポリペプチドがそのような配列を天然では含有しない場合に、例えばヒスチジン残基(Hisタグ)、アスパラギン酸残基(aspタグ)、ストレプトアビジンタグもしくはフラッグタグの付加によって、または細胞からのそれらの分泌を促進するためのシグナル配列の付加によって、それらの同定または精製を補助するように修飾されてよい。遺伝子タグを導入するための代替法は、ポア上の天然のまたは操作された位置にタグを化学的に反応させることである。この一例は、ポアの外側の操作されたシステインにゲルシフト試薬を反応させることである。これは、αHLヘテロオリゴマーを分離するための方法として実証されている(Chem Biol. 1997 Jul; 4(7):497-505)。
αHL、γHLまたはMspA由来の単量体は、リビーリング標識(revealing label)で標識されてよい。リビーリング標識は、ポアが検出されるようにする任意の好適な標識であってよい。好適な標識は、これだけに限らないが、蛍光分子、放射性同位元素、例えば125I、35S、酵素、抗体、抗原、ポリヌクレオチドおよびビオチンなどのリガンドを含む。
αHL、γHLまたはMspA由来の単量体は、Dアミノ酸を使用して産生されてもよい。例えばαHL、γHLまたはMspA由来の単量体は、Lアミノ酸とDアミノ酸との混合物を含んでよい。これは、そのようなタンパク質またはペプチドを産生するために当技術分野において一般的である。
αHL、γHLまたはMspA由来の単量体は、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質との相互作用を促進するために1個または複数の特異的修飾を含有してよい。αHLまたはγHL由来の単量体は、それらがポア形成を干渉しない限り他の非特異的修飾も含有してよい。多数の非特異的側鎖修飾が、当技術分野において周知であり、αHL、γHLまたはMspA由来の単量体の側鎖に作られてよい。そのような修飾は、例えばアルデヒドとの反応によるアミノ酸の還元アルキル化に続くNaBHでの還元、メチルアセトイミデートでのアミジン化または無水酢酸でのアシル化を含む。そのような修飾は、配列中に存在する1個または複数のシステイン残基のスルフヒドリル化学による修飾も含む。
αHL、γHLまたはMspA由来の単量体は、当技術分野において周知の標準的方法を使用して産生され得る。単量体は合成的にまたは組換え手段によって作られてよい。例えばポアは、in vitro翻訳および転写(IVTT)によって、または天然の化学的連結によって合成されてよい。ポアを産生するための好適な方法は国際出願第PCT/GB09/001690号(WO 2010/004273として公開)、第PCT/GB09/001679号(WO 2010/004265として公開)または第PCT/GB10/000133号(WO 2010/086603として公開)において考察されている。ポアを膜に挿入するための方法は考察されている。
ポアは、当技術分野において周知の標準的方法を使用して産生され得る。ポアをコードするポリヌクレオチド配列は、当技術分野における標準的方法を使用して導かれ、複製され得る。ポアをコードしているポリヌクレオチド配列は、当技術分野における標準的技術を使用して細菌宿主細胞において発現され得る。ポアは、組換え発現ベクターからポリペプチドの原位置での発現によって細胞において産生され得る。発現ベクターは、ポリペプチドの発現を調節するために誘導可能プロモーターを任意選択で保有する。これらの方法はSambrook, J. and Russell, D. (2001). Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd Edition. Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NYに記載されている。ポアは、in vitro転写および翻訳によっても産生されてよく、SDS−PAGEによって小規模で精製され得る。
ポアは、大規模に産生されてよく、タンパク質産生生物からまたは組換え発現後に任意のタンパク質液体クロマトグラフィー系による精製が続く。典型的タンパク質液体クロマトグラフィー系は、サイズ排除クロマトグラフィー、親和性精製、FPLC、AKTA系、Bio−Cad系、Bio−Rad BioLogic系およびGilson HPLC系を含む。
装置および条件
電気的測定は、Stoddart, D. S., et al., (2009), Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 106, p7702-7707、Lieberman KR et al, J Am Chem Soc. 2010;132(50):17961-72および国際出願第WO−2000/28312号に記載の標準的な単一チャネル記録装置を使用して行われてよい。代替的に電気的測定は、例えば国際出願第WO−2009/077734号および国際出願第WO−2011/067559号に記載の多重チャネル系を使用して行われてよい。
方法は、ポアが膜に挿入されている膜/ポア系を調査するために好適である任意の装置を使用して実行されてよい。方法は、膜貫通ポアセンシングのために好適である任意の装置を使用して実行されてよい。例えば装置は、水溶液およびチャンバーを2個のセクションに分ける障壁を含むチャンバーを含む。障壁は、ポアを含有する膜が形成される開口部を有する。方法は、液滴界面二重層(DIB)を使用して実行されてもよい。2個の水滴は、電極上に置かれ、油/リン脂質混合物に浸漬される。2個の液滴は、接触して置かれ、界面でポアが挿入されるリン脂質膜が形成される。
方法は、国際出願第PCT/GB08/000562号(WO 2008/102120)に記載の装置を使用して実行されてよい。
方法は、ポアを通って流れる電流を測定することを含む。したがって装置は、電位を印加でき、膜とポアとにわたる電気的シグナルを測定できる電気回路も含んでよい。方法は、パッチクランプまたは電圧クランプを使用して実行されてよい。方法は、好ましくは電圧クランプの使用を含む。
方法は、各アレイが128、256、512、1024個以上のウエルを含むウエルのシリコンベースアレイ上で実行されてよい。
本発明の方法は、ポアを通って流れる電流を測定するステップを含んでよい。膜貫通ポアを通るイオン電流を測定するために好適な条件は、当技術分野において周知であり、実施例に開示されている。方法は、膜およびポアにわたって印加される電圧を伴って典型的には実行される。使用される電圧は、典型的には+2Vから−2V、典型的には−400mVから+400mVである。使用される電圧は、好ましくは−400mV、−300mV、−200mV、−150mV、−100mV、−50mV、−20mVおよび0mVから選択される下限ならびに+10mV、+20mV、+50mV、+100mV、+150mV、+200mV、+300mVおよび+400mVから独立に選択される上限を有する範囲内である。使用される電圧は、より好ましくは100mVから240mVの範囲内、最も好ましくは120mVから220mVの範囲内である。増大させて印加した電位を使用してポアによる異なるPTM間の識別を向上させることができる。
方法は、金属塩など、例えばアルカリ金属塩、ハロゲン塩、例えば塩化物塩、アルカリ金属塩化物塩などの任意の電荷担体の存在下で典型的には実行される。電荷担体は、イオン性液体または有機塩、例えばテトラメチル塩化アンモニウム、トリメチルフェニル塩化アンモニウム、フェニルトリメチル塩化アンモニウム、もしくは1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩化物を含んでよい。上に考察の例示的装置では塩は、チャンバー中の水溶液に存在する。塩化カリウム(KCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化セシウム(CsCl)またはフェロシアン化カリウムとフェリシアン化カリウムとの混合物は、典型的には使用される。KCl、NaClおよびフェロシアン化カリウムとフェリシアン化カリウムとの混合物は、好ましい。塩濃度は、飽和であってよい。塩濃度は、3M以下であってよく、典型的には0.1から2.5M、0.3から1.9M、0.5から1.8M、0.7から1.7M、0.9から1.6Mまたは1Mから1.4Mである。塩濃度は、好ましくは150mMから1Mである。方法は、少なくとも0.4M、少なくとも0.5M、少なくとも0.6M、少なくとも0.8M、少なくとも1.0M、少なくとも1.5M、少なくとも2.0M、少なくとも2.5Mまたは少なくとも3.0Mなどの少なくとも0.3Mの塩濃度を使用して好ましくは実行される。塩濃度は、一方の側で0.1Mおよび他方で3Mなど膜の両側で異なっていてもよい。膜の各側で使用される塩および組成物も異なっていてもよい。高塩濃度は、高いシグナル対ノイズ比を提供し、通常の電流変動のバックグラウンドに対して、電流が示すPTMを同定可能にする。
方法は、典型的には緩衝液の存在下で実行される。上に考察の例示的装置では緩衝液は、チャンバー中の水溶液中に存在する。任意の緩衝液が本発明の方法において使用され得る。典型的には緩衝液は、HEPESである。別の好適な緩衝液は、Tris−HCl緩衝液である。方法は、典型的には4.0から12.0、4.5から10.0、5.0から9.0、5.5から8.8、6.0から8.7または7.0から8.8もしくは7.5から8.5のpHで実行される。使用されるpHは、好ましくは約7.5である。
方法は、0℃から100℃、15℃から95℃、16℃から90℃、17℃から85℃、18℃から80℃、19℃から70℃または20℃から60℃で実行されてよい。方法は、典型的には室温で実行される。方法は、任意選択で約37℃などの酵素機能を支持する温度で実行される。
ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、膜のいずれの側でポアと接触されてもよい。
診断方法
本発明は、生物がペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の1個または複数のPTMと関連する疾患、障害または表現型を有するかどうかを決定する方法も提供する。1個または複数のPTMは、正常または異常であってよい。本発明は、生物がペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の異常なリン酸化に関連する疾患、障害または表現型を有するかどうかを決定する方法を好ましくは提供する。
生物は、典型的には、疾患、障害または表現型を有すると疑われるものである。例えば、疾患または障害を有すると疑われる生物は、疾患または障害の症状を示す場合がある。言い換えると生物は、症候性であってよい。生物は、疾患または障害の遺伝的素因を有する場合がある。しかし生物は、疾患または障害のいずれかの症状を示す必要はない。言い換えると生物は、無症候性であってよい。
典型的には生物は、ヒトであるが、代替的にウマ、ウシ、ヒツジもしくはブタなどの商業的に飼育されている動物などの別の哺乳動物であってよく、または代替的にネコ、イヌもしくはげっ歯類(特にラットもしくはマウス)などのペットまたは実験動物であってよい。生物は、典型的には個体または患者である。代替的に生物は、植物、菌類または任意の単細胞生物であってよい。
疾患、障害または表現型を有する生物が1個または複数のPTMを有するペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を示す場合、疾患、障害または表現型は、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の1個または複数のPTMと関連している。疾患または障害を有する生物が、その1個または複数のPTMが正常な生物において観察されるペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質のものとは異なっている、すなわちその1個または複数のPTMがペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の正常なPTM(1個または複数)とは異なっているペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を示す場合、疾患、障害または表現型は、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の1個または複数の異常なPTMと関連している。ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の異常なPTMは、通常非存在である1個または複数のPTMの存在、通常存在する1個または複数のPTMの非存在、PTMの数の増加、PTMの数の減少、PTMパターンにおける変化またはこれらの組合せである場合がある。
疾患または障害を有する生物がそのリン酸化が正常な生物において観察されるペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質のリン酸化と異なっている、すなわちそのリン酸化がペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の正常なリン酸化とは異なっているペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を示す場合、疾患または障害は、異常なリン酸化と関連する。ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の異常なリン酸化は、通常非存在である1個または複数のリン酸化の存在、通常存在する1個または複数のリン酸化の非存在、リン酸化の数の増加、リン酸化の数の減少、リン酸化パターンの変化またはこれらの組合せである場合がある。
ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の異常なリン酸化に関連する疾患は、当技術分野において十分周知である45。本発明により診断され得る疾患または障害は、これだけに限らないが、がん、慢性炎症性疾患、筋緊張性筋ジストロフィー、X連鎖無ガンマグロブリン血症、ブルトンチロシンキナーゼ、ヒルシュスプルング病、常染色体劣性SCID、X連鎖SCID、頭蓋骨癒合症、乳頭状腎臓がん、慢性骨髄単球性白血病、慢性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、ポイツ・ジェガーズ症候群、コフィン・ローリー症候群、毛細血管拡張性運動失調症、リー・フラウメニ症候群、ウイリアムズ症候群、妖精症、糖尿病、ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群、ウォルコット・ラリソン(Wolcott−Rallison)症候群またはX連鎖筋細管ミオパチーを含む。
それぞれの場合において当業者は、どのペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質が本発明の方法を使用して調査されるかを理解している。ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の異常なリン酸化は、生物が関係疾患または障害を有することを示している。ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の正常なリン酸化は、生物が関係疾患または障害を有さないことを示している。
方法は、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を含む生物由来の試料に対して本発明の方法を実行することを含む。試料は、任意の好適な試料であってよい。本発明は、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を含有することが周知である、または含有すると疑われる試料に対して典型的には実行される。
試料は、典型的には生物の体液を含む。試料は、尿、リンパ液、唾液、粘液、乳汁または羊水であってよいが、好ましくは血液、血漿または血清である。
試料は、アッセイされる前に典型的には処理される。試料は、取られてすぐに測定されてよい。試料は、アッセイ前に、好ましくは−70℃より低くにおいて典型的には保存されてもよい。方法は、試料からの目的のペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の精製(例えば特定の抗体の使用による)および測定可能な量、典型的には10〜100nM以上へのその濃縮(concentration)/富化(enrichment)を含んでよい。さらに、目的のペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、当技術分野において記載の方法によってタグ化されてよい。典型的にはN末端およびC末端基は、それらが異なる化学的反応性を有することから、そのようなタグ化のために好適である。代替的に特定の残基での抗体媒介修飾は、可能である。
他の応用
本発明の方法は、他の応用のために使用できる。例えば、加齢細胞での細胞周期の際またはシグナル伝達の際のPTM変化の分析などの、細胞中の生理的条件または変化を分析するために使用され得る。本発明の方法は、医薬品を検査する(それらの有効性をモニタリングするなど)ためにも使用され得る。それは、薬物乱用、毒物、汚染物質などの間接的検査のためにも使用され得る。
本発明の方法は、生物学的薬物が正確なPTM(1個または複数)を含有していることを確認するため、または化学的に修飾された生物学的薬物を天然に存在する対応物から識別するためなどの、生物学的薬物の品質管理のためにも使用され得る。
次の実施例は、本発明を例示する。
本発明者らは、プロテインキナーゼ基質のさまざまなリン酸化形態を検討することによってこの可能性を実証する。モデルタンパク質、配列に挿入されたプロテインキナーゼリン酸化部位を有するチオレドキシン変種を、オリゴ(dC)30を有するC末端システインにタグ化した。印加された電位では、DNAリーダー配列はαHLポア中に通され、フォールドしたタンパク質に力を及ぼし、C末端ドメインのアンフォールディングを生じる。次いでタンパク質の残部は、自発的にアンフォールドし、ポアを通じて拡散する37(図1a)。本発明者らは、C末端近くのいくつかの場所にプロテインキナーゼA(PKA)の触媒サブユニットに対するリン酸化部位を有する変異体チオレドキシンのセットを使用し、本発明者らは、それらをPKAでリン酸化し、リン酸化および非リン酸化形態の両方をオリゴ(dC)30でタグ化した。C末端がポア中に移動する場合のイオン電流における変化を検討することによって、本発明者らは、タンパク質のモノおよびジリン酸化状態を同定し、そのような部位の場所を解析した。
材料および方法
αHLナノポア
野生型(WT)αHL単量体を大腸菌(E.coli)中でin vitro転写/翻訳(IVTT)系で発現させ、ウサギ赤血球細胞膜上で七量体ポアを形成するようにオリゴマー形成させた。七量体ポアをドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって精製した41
チオレドキシン変異体
チオレドキシン(Trx)V5−C109遺伝子をpET 30a(+)プラスミド(TopGene)にクローン化した。Trx変異体を部位特異的変異導入(QuickChange(登録商標)II XL、Stratagene)によって産生し、DNA配列決定によって確認した。タンパク質発現を対数増殖期におけるIPTGでの誘導後に大腸菌(E.coli)BL21(DE3)細胞(Novagen)を使用して実行した。タンパク質を1mM DTTを含むTE緩衝液(10mM Tris.HCl、1mM EDTA、pH8.3)を使用するサイズ排除クロマトグラフィー(Superdex 75 10/300 GL、Tricorn、GE Healthcare)に続く、1mM DTTを含むTE緩衝液、pH8.3での0〜1M KClのグラジエントで溶出されるイオン交換クロマトグラフィー(HiTrap Q FF、GE Healthcare)によって精製した。タンパク質質量をエレクトロスプレーイオン化液体クロマトグラフィー質量分析(ESI LC−MS)37によって確認した37
プロテインキナーゼAの触媒サブユニット
プロテインキナーゼA(PKA)のヘキサヒスチジング化触媒サブユニットをTrx変異体の部位特異的セリンリン酸化のために精製した。pET15b PKA Catプラスミド42をRosetta(DE3)pLysS細胞(Novagen)に形質転換した。細胞を37℃、アンピシリン抗菌薬(50mg/mL)を含有するルリア培地でOD600=0.6から0.8まで増殖させた。細胞培養物を最終濃度0.5mMのIPTGで誘導し、18℃、24時間インキュベートした。細胞を遠心分離によって回収し、重力流Ni−NTA Superflow親和性カラム(Qiagen)にロードする前にBugBuster(登録商標)Master Mix(Novagen)で溶解させた。リン酸緩衝液(10mMリン酸、150mM NaCl、pH7.2)での洗浄後、ヘキサヒスチジンタグ化触媒サブユニットをリン酸緩衝液中の500mMイミダゾールで溶出した。タンパク質の質量をESI LC−MSによって確認した。
チオレドキシン変異体のリン酸化
Trx変異体をPKAの触媒サブユニットを使用してRRXS認識配列のセリン残基でリン酸化した。20mM MgOAcを含有する20mM Tris.HCl緩衝液、pH7.4中のTrx変異体(約0.5〜1mg/mL)を、2mM DTT、0.2mMアデノシン5’−三リン酸(ATP、ジナトリウム塩水和物、Sigma−Aldrich)および約0.06mg/mL PKAでインキュベートした。リン酸化動態をESI LC−MSおよび等電点電気泳動(IEF)ゲル電気泳動によって追跡した。TrxS112−Pでのリン酸化は、2時間以内に完了した。TrxS107−PおよびTrxS95−Pについて、追加的ATPおよびPKAをリン酸化の収量を増加させるために添加し、インキュベーション時間を延長した。リン酸化タンパク質を1mMDTTを含有するTE緩衝液(10mM Tris.HCl、1mM EDTA、pH8.3)中でサイズ排除クロマトグラフィー(Superdex 75 10/300 GL、Tricorn、GE Healthcare)によって精製した。
オリゴヌクレオチド−チオレドキシンコンジュゲート
オリゴヌクレオチド−Trxコンジュゲートを以前記載のとおり得た37。簡潔にはTrx変異体および5’−チオール(ヘキサメチレリンカー)修飾オリゴ(dC)30(Integrated DNA Technologies)を別々に24時間、DTT(1mM)中で還元した。DTTを、PD−10脱塩カラム(GE Healthcare)を使用することによる緩衝液交換(10mM Tris.HCl、pH 8.0)によって除去し、5’−チオールオリゴ(dC)30を2,2’−ジピリジルジスルフィド(アセトニトリル中10mM)で活性化し、PD−10脱塩カラム(GE Healthcare)で精製し、次いで還元Trx変異体と16時間、室温で反応させた(タンパク質の100mM Tris.HCl、pH10.0への緩衝液交換後)。コンジュゲートを0〜1M KCl TE緩衝液(10mM Tris.HCl、1mM EDTA、pH 8.3)のグラジエントを使用して、イオン交換クロマトグラフィー(HiTrap Q FF、GE Healthcare)によって精製した。濃度をオリゴ(dC)30の算出されたモル吸光計数を使用することによって260nmでの吸光度から決定した。
単一チャネル記録およびデータ分析
電気的記録を21.0±2.0℃で平面脂質二重層で実施した。1,2−ジフィタノイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルコリン(Avanti Polar Lipids)の二重層をTeflon film(Goodfellow)の100μm直径の開口部にわたって形成させ、記録装置のcisおよびtransコンパートメントを分けた(各1mL)。両方のコンパートメントを10mM HEPES、2M KCl、pH7.4で満たした。ゲル精製αHL七量体(約0.2μL、約1ng/μL)をアースしたcisコンパートメントに加えた。Trx変異体をcisコンパートメントに加え、0.1〜0.2μMの最終濃度を生じさせた。単一ポアの挿入後、さらなる挿入を防ぐためにcisコンパートメントを新鮮緩衝液で手作業で灌流した。印加された電位によって産生されたイオン電流をパッチクランプ増幅器(Axopatch 200B、Axon Instruments)に繋いだAg/AgCl電極を使用して測定した。シグナルを5kHzで低域通過フィルターにかけ、Digidata 1440A digitizer(Axon Instruments)で25kHzでサンプリングした。データ分析をpClampソフトウェア(Molecular Devices)で実施した。事象を、非常に短い事象(<10ms)および長い遮断(>10秒)を排除して、閾値探索によって回収した。レベル3の残留電流値(IRES%)およびノイズレベル(I)をすべての点のヒストグラム(0.2pAビン)をガウス曲線(IRES%=I/IX10041、I=フィットの標準偏差)にフィットさせることによって決定した。各構築物についておよそ100個の個々の事象を2D IRES%対Iプロットに使用した。レベル1、2および3についての休止時間をビニングされていない(unbinned)累積ヒストグラムとしてプロットし、平均休止時間を得るために単一指数関数(Igor Pro 6.12A、WaveMetrics)にフィットさせた。各構築物に対するエラーバーは、3回の独立した実験についての標準偏差を表す。
結果
単一部位でのリン酸化の検出
以前の仕事では本発明者らは、共移行タンパク質アンフォールディングを検討するためにチオレドキシン(Trx)変異体V5(A22P、I23V、C32S、C35S、P68A)を使用した。この変異体は、触媒ジスルフィドを欠いており、3個の安定化変異(A22P、I23V、P68A)を含有する。C末端(Cys−109)のシステイン残基で、Trx V5は、移行実験のためのDNAオリゴヌクレオチドとカップリングできる37。この仕事のために本発明者らは、C末端にPKAリン酸化部位(RRAS)を有するTrx V5由来の変異体(TrxS112−P;配列番号12)を作った、ここで下線を引いた標的セリンはSer−112である(図1b,c)。本発明者らは、TrxS112−PのC末端Cys−113をジスルフィド結合を通じてオリゴ(dC)30にカップリングさせた。コンジュゲート、TrxS112−P−オリゴ(dC)30を+140mVの印加された電位の下でαHLポアに移行させ、以前記載の37特徴的なイオン電流サインを産生した(図1a)(図4)。簡潔には(図1a)、オリゴヌクレオチドリーダーはポア(ステップ1←2)に通され、DNA上の力はタンパク質のC末端領域をアンフォールドし(ステップ2←3)、タンパク質の残部は自発的にアンフォールドし(ステップ3←4)、ポアを通じて拡散し(レベル4)、最終的にtransコンパートメントに出て行く(ステップ4←1)。ステップ2←3(すなわちレベル2での休止時間)は電圧依存性である一方で、ステップ3←4および4←1は、電圧非依存性である37
本発明者らは、ATPおよびプロテインキナーゼA(PKA)の触媒サブユニットとの一晩のインキュベーションによってTrxS112−PをSer−112でリン酸化し、TrxS112+Pをもたらした。ESI LC−MSによって決定されたとおり完全なリン酸化が達成された(図5)。次いでオリゴ(dC)30をC末端に付着させた。TrxS112+P−オリゴ(dC)30は、TrxS112−P−オリゴ(dC)30と同じ4ステップ経路によって共移行アンフォールディングを受け、同様の移行動態を表した(図6)。しかしリン酸化後、レベル3は、平均残留電流(IRES)およびノイズ(I)において差異を示した(図1d,e)。個々のI値は、レベル3におけるイオン電流のすべての点のヒストグラムへのガウスフィットの標準偏差である。典型的実験ではTrxS112−P−オリゴ(dC)30は、オープンポア電流のIRES%=187±0.2%、およびI=6.0±0.1pA(n=100、ここでnは移行事象の数である)を生じた。同じポアで、TrxS112+P−オリゴ(dC)30はIRES%=20.9±0.2%およびI=5.4±0.2pAを生じた(n=100)(図1f)。本発明者らは、イオン電流の電圧依存性を検討し+140mVでTrxS112−PとTrxS112+Pとの間でIRES%およびIの両方に最も大きな差異を見出した(図7)。
3個の異なる部位での一リン酸化を識別すること
異なる場所でのリン酸化を識別するαHLポアの能力を探索するために、本発明者らは、Trx V5に基づいて2個の追加的変異体を作った:チオレドキシンのC末端αヘリックス中の位置Ser−107にリン酸化部位(RRNS)を有するTrxS107−P(配列番号13)(図1b,g)および位置C末端αヘリックスに直前にあるループ中の位置Ser−95に部位(RRLS)を有するTrxS95−P(配列番号14)(図1b,k)。
オリゴ(dC)30へのカップリング後、3個すべての非リン酸化タンパク質(TrxS95−P、TrxS107−PおよびTrxS112−P)は、特徴的な4ステップシグナルをもたらした(図8)。それにもかかわらず、本発明者らがポアの内腔に位置付けられた分子間を識別するナノポアの精巧な能力に帰属させる39−41レベル3におけるIRES%およびIの値は異なっていた(図1d,h,l)。
本発明者らは、ポア間の変動に由来するわずかな差異を回避するために、同じαHLポアを有する非リン酸化およびリン酸化タンパク質の対それぞれを検討した(表4下)。
典型的な実験では、C末端αヘリックスにリン酸化部位を有するTrxS107−P−オリゴ(dC)30は、+140mVでのレベル3についてIRES%=16.4±0.2%およびI=6.4±0.1pA(n=99、5kHzフィルター)をもたらした。本発明者らは、PKAおよびATPでTrxS107−Pをリン酸化し、ESI LC−MSによって推定されるほとんど完全なリン酸化を48時間後に得た(その際追加的にPKAおよびATPを加えた)。オリゴ(dC)30の付着後、+140mVでのレベル3についてIRES%=17.9±0.2%およびI=5.5±0.2pA(n=100、5kHzフィルター)を含む4ステップシグナルが得られた(図1i)。TrxS107−P−オリゴ(dC)30およびTrxS107+P−オリゴ(dC)30は、したがって多重移行事象を示す2D IRES%対I散布図において2個の別々の集団として容易に識別できる(図1j)。
同様に、リン酸化前、典型的測定において、ループ中にリン酸化部位を有するTrxS95−P−オリゴ(dC)30は、+140mVでIRES%=22.5±0.1%およびI=4.9±0.1pA(n=100、5kHzフィルター)を有するレベル3を示した。PKAおよびATPでの72時間処置後(試薬の3回の交換を伴う)、ESI LC−MSによって判断された部分的リン酸化が得られた。オリゴ(dC)30付着およびαHLポアでの検討においてリン酸化および非リン酸化形態は識別できる。TrxS95+P−オリゴ(dC)30は、IRES%=21.6±0.3%およびI=3.8±0.1pA(n=150、5kHzフィルター)(図1l、m、n)を有するレベル3をもたらす。
2個の部位でのリン酸化の検出
本発明者らは、次に1つはC末端αヘリックス(RRLS、Ser−107)中および1つはC末端伸長(RRAS、Ser−112)中にアラニン残基によって分離された2個のリン酸化部位を有するチオレドキシン構築物、TrxS107−P/S112−P(配列番号15)を作った(図1b)。第1の場合にはTrxS107−P/S112−PのSer−107をAlaに変異させることによって(TrxA107/S112−P;配列番号16)、第2の場合にはSer−112をAlaに変異させることによって(TrxS107−P/A112;配列番号17)、単一のリン酸化部位を含有する2個の対照構築物を作った。3個すべての構築物は、オリゴ(dC)30付着のためのC末端システイン(Cys113)を保持していた。
再度これらのタンパク質は、αHLポアを通る移行のときに特徴的な4ステップシグナルを示した(図2a,c,e)。3個すべての場合において、非リン酸化構築物のレベル3は、2個の急速に相互交換する準安定状態を含んだ。リン酸化タンパク質がIRES%値によって判断される低い状態だけを示すことから、最も低いコンダクタンスを有する準安定状態をリン酸化タンパク質との比較のために使用した。+140mVで、非リン酸化タンパク質は、典型的測定において:TrxS107−P/S112−P−オリゴ(dC)30RES%=13.0±0.2%、I=7.9±0.4pA(n=100);TrxA107/S112−P−オリゴ(dC)30RES%=12.3±0.2%、I=8.4±0.6pA(n=100);TrxS107−P/A112−オリゴ(dC)30RES%=13.2±0.2%、I=8.7±0.6pA(n=100)(図9、10)を生じた。IRES%およびIにおける検出可能な差異は、ポリペプチド構造におけるわずかな変動を識別するタンパク質ナノポアの能力を例示している(すなわちSer←Ala)。
本発明者らは、次に各構築物をPKAでリン酸化した。TrxA107/S112−Pの完全なリン酸化が2時間未満で生じた一方で、TrxS107−P/A112およびTrxS107−P/S112−Pは、ほとんど完全なリン酸化を実現するための試薬補充を伴って、44時間必要であった(図11)。再度リン酸化構築物は、特有のIRES%およびI値をレベル3において示した(図2b,d,f):TrxS107+P/S112+P−オリゴ(dC)30RES%=15.2±0.2%、I=5.7±0.1pA(n=98);TrxS107−P/S112−P−オリゴ(dC)30RES%12.6±0.1%、I=6.2±0.2pA(n=100);TrxA107/S112+P−オリゴ(dC)30RES%=13.8±0.2%、I=6.8±0.2pA(n=65);TrxS107+P/A112−オリゴ(dC)30、IRES%=14.6±0.2%、I=5.1±0.2pA)(n=79)(図2g、図11)。
2個の部位での不完全なリン酸化
Ser−107およびSer−112での一リン酸化と両方の部位でのリン酸化とを識別する能力に基づいて、本発明者らはTrxS107−P/S112−Pの不完全リン酸化を検討した。本発明者らは、等電点電気泳動(IEF)によってリン酸化の経時変化をモニターし(図3a)、2時間後に、一方は二重リン酸化され、他方は1個だけの部位でリン酸化された、2個のリン酸化タンパク質の集団が存在することを示した。IEFはSer−112でのリン酸化からSer−107でのリン酸化を識別できない。しかし、ESI LC−MSは、2時間後にTrxA107/S112−Pがほとんど完全にリン酸化され、一方TrxS107−P/A112は、PKAおよびATPのさらなる添加を伴う48時間後でさえ完全にはリン酸化されないことを示した。したがって、2時間後にTrxS107−P/S112−P由来の2個のリン酸化化学種は、Ser−112だけがリン酸化されたものおよび両方の部位がリン酸化されたものであると考えられる。
2時間のリン酸化後、TrxS107−P/S112−P試料をオリゴ(dC)30でタグ化し、混合物が一方はIRES%=15.4±0.1%、I=5.7±0.1pAを有し、他方はIRES%=14.3±0.1%、I=6.7±0.1pAを含有する2個の集団を含有していることを示したナノポア分析に供した(図3b)。ナノポア較正に基づいて(図13)これらの化学種は、二重リン酸化化学種TrxS107+P/S112+P(IRES%=15.4±0.2%、I=5.7±0.1pA)および、TrxA107/S112+P−オリゴ(dC)30によって表されるSer−112でリン酸化されたタンパク質(IRES%=14.0±0.3%、I=6.9±0.3pA)に対応する。対照的に、TrxS107+P/A112−オリゴ(dC)30は、IRES%=14.9±0.1%、I=5.2±0.1pAを生じ、TrxS107−P/S112−P−オリゴ(dC)30は、IRES%=13.0±0.1%、I=6.5±0.1pA)を生じた。IEFバンド強度から、試料は、39%二重リン酸化および61%単一リン酸化チオレドキシンを含有すると推定された。これに一致して、202個の単一分子事象に基づいて、本発明者らは、67分子(33%)が二重リン酸化され、123分子(61%)がSer112で単一リン酸化されたことをSer107で単一リン酸化された1個だけ(0.5%)を含んで見出した。
考察
DNAリーダー配列を伴ったモデルタンパク質がαHLポアを通って移行でき、同時にアンフォールドされ、特徴的なイオン電流サインを提供する37という本発明者らの初期の発見に基づいて、本発明者らは、側鎖リン酸化、重要なPTMを電流サインにおける変化を通じて単一分子レベルで検出できることをいまや見出している。注目すべきことに、タンパク質中の異なる場所でのリン酸化が異なるサインを生じ、修飾部位間の迅速な識別を可能にする。本発明者らは、2個の隣接部位(1残基によって分離されている)のリン酸化状態:すなわち、非リン酸化状態、2個の一リン酸化状態および二重リン酸化状態、を識別でき、定量できることも示している。2個の隣接部位の1個でのタンパク質一リン酸化は、MSによって識別することが特に困難であり、本発明者らは、単一のポリペプチド鎖内のリン酸化部位の占有率および結合性は、ナノポア手法に理想的にふさわしい課題であることを示唆している。
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Claims (17)

  1. ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質中の1個または複数の翻訳後修飾(PTM)の存在、非存在、数または位置(1個もしくは複数)を決定する方法であって、
    (a)前記ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を膜貫通ポアと、前記ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質が前記ポアを通って移動するように接触させるステップ;および
    (b)前記ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質が前記ポアに関して移動する際に1つまたは複数の電流測定値を取り、それにより前記ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質中の1個または複数のPTMの存在、非存在、数または位置(1個もしくは複数)を決定するステップ
    を含む方法。
  2. ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質中の2個以上のPTMの存在、非存在、数または位置を決定するためである、請求項1に記載の方法。
  3. 1個、2個、3個または4個のアミノ酸によって分離されている、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質中の2個以上のPTMの存在、非存在、数または位置を決定するためである、請求項1に記載の方法。
  4. 前記1個または複数のPTMが、疎水性基での修飾、補因子での修飾、化学基の付加、糖化、ビオチン化およびペグ化から選択される、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  5. (a)疎水性基での前記修飾が、ミリストイル化、パルミトイル化、イソプレニル化、プレニル化、ファルネシル化、ゲラニルゲラニル化およびグリピエーションから選択され;
    (b)補因子での前記修飾が、リポイル化、フラビネーション、ヘムCの付着、ホスホパンテテイニル化およびレチニリデンシッフ塩基形成から選択され;
    (c)化学基の前記付加が、アシル化、アセチル化、ホルミル化、アルキル化、アミド化、ブチル化、ガンマカルボキシル化、グリコシル化、ポリシアル酸化、マロニル化、ヒドロキシル化、ヨウ素化、ブロム化;シトルリン化;ヌクレオチド付加、ADPリボシル化、酸化、リン酸化、アデニリル化、プロピノイル化、ピログルタミン酸形成、S−グルタチオン付加、SUMO化;S−ニトロシル化、リジンへのサクシニル基のサクシニル化付加およびセレノイル化およびユビキニル化から選択される、
    請求項4に記載の方法。
  6. 前記1個もしくは複数のPTMが1個もしくは複数のリン酸化である、または前記2個以上のPTMが2個以上のリン酸化である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  7. ステップ(a)における前記ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質が、オリゴヌクレオチドなどの荷電ポリマーに共有結合している、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質が前記膜にカップリングしている、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質が、コレステロールを使用して前記膜にカップリングしている、請求項8に記載の方法。
  10. 前記ポアが、膜貫通タンパク質ポア、固体ポアまたはハイブリッド膜固体ポアである、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記膜貫通タンパク質ポアが、溶血素、ロイコシジン、スメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)ポリンA(MspA)、外膜ホスホリパーゼA、ナイセリア(Neisseria)自己輸送体リポタンパク質(NalP)、OMPおよびWza由来である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記膜貫通タンパク質が、(a)配列番号2に示す7個の同一のサブユニットから形成されている、または(b)前記7個のサブユニットの1個または複数が配列番号2に対して、アミノ酸同一性に基づいて前記配列全体にわたって少なくとも50%相同性を有し、ポア活性を保持しているその変種である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記膜貫通タンパク質が、(a)配列番号4に示す4個の同一のサブユニットおよび配列番号6に示す4個の同一のサブユニットから形成されているγ溶血素、または(b)前記サブユニットの1個または複数が配列番号4に対して、アミノ酸同一性に基づいて前記配列全体にわたって少なくとも50%相同性を有し、および/または前記サブユニットの1個または複数が配列番号6に対して、アミノ酸同一性に基づいて前記配列全体にわたって少なくとも50%相同性を有し、前記ポアがポア活性を保持しているその変種である、請求項11に記載の方法。
  14. 前記膜貫通タンパク質が(a)配列番号8に示す7個の同一のサブユニットから形成されている、または(b)前記7個のサブユニットの1個または複数が配列番号8に対して、アミノ酸同一性に基づいて前記配列全体にわたって少なくとも50%相同性を有し、ポア活性を保持しているその変種である、請求項11に記載の方法。
  15. 生物がペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の1個または複数の異常なPTMに関連する疾患、障害または表現型を有するかどうかを決定する方法であって、
    (a)前記ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を含む前記生物由来の試料に対して請求項1から14のいずれか一項に記載の方法を実行するステップ;および
    (b)前記ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の1個または複数のPTMが存在するかどうかを決定し、それにより前記生物が疾患、前記障害または表現型を有するかどうかを決定するステップ
    を含む方法。
  16. 前記生物が、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の異常なリン酸化に関連する疾患、障害または表現型を有するかどうかを決定するための、請求項15に記載の方法。
  17. 前記疾患または障害が、がん、慢性炎症性疾患、筋緊張性筋ジストロフィー、X連鎖無ガンマグロブリン血症、ブルトンチロシンキナーゼ、ヒルシュスプルング病、常染色体劣性SCID、X連鎖SCID、頭蓋骨癒合症、乳頭状腎臓がん、慢性骨髄単球性白血病、慢性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、ポイツ・ジェガーズ症候群、コフィン・ローリー症候群、毛細血管拡張性運動失調症、リー・フラウメニ症候群、ウイリアムズ症候群、妖精症、糖尿病、ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群、ウォルコット・ラリソン(Wolcott−Rallison)症候群またはX連鎖筋細管ミオパチーである、請求項15または16に記載の方法。
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