JP2016527399A - 誘導加熱によってグラスライニング金属体を製造するための高速で経済的な方法および装置 - Google Patents

誘導加熱によってグラスライニング金属体を製造するための高速で経済的な方法および装置 Download PDF

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Abstract

ガラスもしくはセラミックのフリット、または、ポリマー材料の粉末を用いて塗装された金属体を、制御された条件下で、誘導加熱器を用いて加熱する。金属のみを、誘導加熱によって選択的に加熱する。金属が所望の温度に達すると、塗装が溶融する。この方法は、はるかにより高速で、より安価で、便利である。【選択図】図3

Description

本願は、2013年7月19日に出願された米国仮出願第61/856,327号の利益を主張する。
本発明は、金属体を選択的に加熱し、ガラスもしくはセラミックのフリット、または、プラスチック粉末の塗装を溶融させることによって、ガラス、セラミックまたはプラスチックでライニングされた反応器、攪拌器およびパイプなどの金属体を製造するための装置および方法に関する。
ガラスは、非晶質の固体材料である。最もよく知られた、何世紀も使用されているガラスの種類としては、約75%のシリカ(SiO)に加えて、酸化ナトリウム(NaO)、酸化カルシウム(CaO)およびいくつかの添加物から一般的に成る、ソーダ−石灰ガラスがある。いくつかの特別な用途に使用される(主にSiOから成る)溶融石英は、1200℃以上の高いガラス転移温度を有する。通常は、加工を単純化するために、他の物質が追加される。一つは、ガラス転移温度を低下させる、炭酸ナトリウム(NaCO3、「ソーダ」)である。石灰(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)およびアルミナ(Al)は、より良い耐薬性をもたらすために追加される。結果として生じるガラスは、重量で約70〜74%のシリカを含み、ソーダ石灰ガラスと呼ばれる。多くの他の添加物が、特別な用途に対して追加される。ケイ酸塩ガラスのいくつかの一般的な種類の例は、以下の通りである。(1)溶融シリカガラスは、非常に低い熱膨張を有し、非常に硬く、高温(1000〜1500℃)に耐えるシリカ(SiO)から一般的に成る。また、溶融シリカガラスは、風化に対して最も耐性がある。溶融シリカガラスは、煙管や溶融などの高温の用途に使用される。(2)ソーダ−石灰−シリカガラスは、シリカ72%+酸化ナトリウム(NaO)14%+マグネシア(MgO)2〜3%+石灰(CaO)10%+アルミナ(Al)0.5〜1.0%から一般的に成る。ソーダ−石灰−シリカガラスは、透明であり、容易に形成され、窓ガラスに最も適している。ソーダ−石灰−シリカガラスは、高い熱膨張と、熱に対する低い耐性とを有する。(3)ナトリウムホウケイ酸塩ガラスであるパイレックス(登録商標)は、シリカ81%+酸化ホウ素(B)12%+酸化ナトリウム(NaO)4.5%+アルミナ(Al)2.0%から一般的に成る。パイレックス(登録商標)は、窓ガラスよりはるかに良く熱膨張に耐え、化学ガラス製品、調理ガラスまたは車のヘッドランプに使用される。(4)酸化鉛ガラスであるクリスタルガラスは、シリカ(SiO)59%+酸化ナトリウム(NaO)2.0%+酸化鉛(PbO)25%+酸化カリウム(KO)12%+アルミナ(Al)0.4%+酸化亜鉛(ZnO)1.5%から一般的に成る。クリスタルガラスは、高い屈折率を有し、ガラス製品の外観を最も輝かせる。(5)アルミノケイ酸塩ガラスは、シリカ(SiO)57%+アルミナ(Al)16%+酸化ホウ素(B)4.0%+酸化バリウム(BaO)6.0%+マグネシア(MgO)7.0%+石灰(CaO)10%から一般的に成る。アルミノケイ酸塩ガラスは、繊維ガラスに広く使用され、ガラス強化プラスチック(たとえば、ボートや釣竿)を作るために使用される。(6)酸化ガラスは、アルミナ(Al)90%+酸化ゲルマニウム(GeO)10%から一般的に成り、非常に綺麗なガラスに使用され、通信ネットワークにおける光ファイバー導波管に使用される。
様々な鋼の組成物が、ガラス、セラミック、ガラス−セラミックおよびプラスチックで塗装される。たとえば、(通常、一般の化学工業で使用される)炭素鋼、(−120℃程度の非常に低い温度で使用できる)オーステナイト系ステンレス鋼、および、二相ステンレス鋼(フェライト系−オーステナイト系鋼)である。二相鋼から成るグラスライニング品は、美的理由および殺菌の要求の両方のために製薬業界によって必要とされるような、鏡面仕上げに研磨されうるステンレスの外表面を有する。
ガラス、セラミックおよびガラス−セラミックは、調理および食器の両方の用途で使用される。場合によっては、このような用途に対して、基材がそのままの状態で、すなわち、外部の装飾なしで使用されてきた。しかし、大部分の顧客は、このような物品上に、釉薬およびエナメルを用いて達成される、装飾的な外観または仕上げを望む。事実上、釉薬はきれいなガラスであり、エナメルは、顔料が色彩をもたらすように追加される釉薬である。両方とも、非常に微粉化された構造(「フリット」)で塗装される商品の表面に適用され、その後、焼き付けられ、強く付着する連続的な膜を商品上に形成する。
グラスライニング容器および他の化学処理をした物品は、多くの産業で、特に、化学物質または薬剤の、貯蔵または反応を必要とする産業で、広範囲に及ぶ用途を見出している。このような物品には、たとえば、いくつかではあるが挙げると、反応、抽出、懸濁および蒸留の処理などの用途が見出されている。ライニングは、様々な不利な温度および腐食条件の下で、このような物品の使用を可能にする。グラスライニングされた鋼製の物品は、薬剤、特殊化学品、農産物およびポリマーの製造を含む、刺激の強い化学物質を伴う広範囲の化学処理に使用される。グラスライニング品の使用が魅力的な理由の一つとして、ガラスが、大部分の化学物質からの攻撃と、腐食性の材料の混合物とに耐性があることがある。さらに、それは、滑らかで、付着を防止する表面を有し、洗浄しやすく、加工材料に不純物を取り入れない。
グラスライニングを含んでしばしば供給される物品は、反応器、貯蔵タンク、カラム、乾燥機およびフィルター、ならびに、パイプ、バルブおよび接続金具を含む。また、攪拌器、バッフルおよび封管などの容器の内部構造も、ガラス塗装を含んで供給される。一般的に、グラスライニング容器は、〜250℃以下の温度と、9〜11kg/cmの圧力とで機能するように設計され、それらは、はるかに高い温度および圧力に耐えるように作られてもよい。
金属の反応器を塗装するために使用されるガラスは、複雑な組成を有する高品質のガラスである。それらは、アルカリホウケイ酸塩として化学的に定義されてもよく、一般的に600℃より高い温度での溶融工程に、原材料を投入することによって生成される。それらの主な特徴は、実質的に全ての有機物質または無機物質に対する、極めて高い程度の化学的不活性である。この特性は、非常に広範囲の温度にわたって、酸化性化合物および還元性化合物の両方に接しても、塩素化されてもされなくても、区別なく維持され、唯一の例外は、フッ化水素酸(HF)と、高温の濃縮アルカリ溶液である。
ガラスまたは塗装は、非晶質構造を有し、誘電体であるため、老化の影響も、電気化学的もしくは局所的な腐食の影響も受けない。非常に硬く、滑らかで、無孔の表面は、グラスライニング品に対して、摩耗に対する耐性、非付着性、微生物叢の形成の防止、洗浄および殺菌の容易さ、ガスに対する不透過性などの、価値ある有利な性質をさらに追加する。これらの後者の特徴は、生成物の純度と、その色、匂い、味などの特性の耐性および不変性とに対する必須条件であるため、製薬産業および食品産業で特に価値がある。
グラスライニング容器などの、グラスライニング鋼製品は、鋼などの金属の基材または支持体にしっかりと結合したガラスの塗装から成る、複合材料である。溶融ガラスは、強力な結合を形成するために、金属を濡らすことが必要がある。また、ガラスおよび金属の熱膨張も、厳密に一致させる必要がある。金属およびガラス間の結合は、特殊ガラスの最初のライニングであり、唯一の基本機能が、ガラス層および金属サポートの間に良好な結合を生じさせることである、「グランドコート」またはプライマーを用いて、鋼の表面を塗装することによって得られる。ニッケルは、金属として、または、ニッケル(II)酸化物層を介して、ガラスと結合できる。ガラス中のコバルトの存在は、金属鉄およびコバルト酸化物の間に化学反応をもたらす。ステンレス304鋼は、ガラスとの結合を形成する。鋼およびガラス間の強力な結合は、約900℃の温度での焼付工程の間に構築され、CoOおよびNiOのような酸化物を結合する作用から生じる、一連の複雑な電気化学的反応の結果である。この結合の強度は、ガラス自体の中に存在する結合の強度より高い。この最初の段階の後、具体的でよく知られた特性および特徴を有するライニングまたは塗装を提供する目的で、グラスライニングのサイクルは、追加の(通常、3または4の)ガラスの塗装層の適用および焼き付けを提供する。
グラスライニング容器のためのガラスは、いくつかの酸化物およびケイ酸塩から成る。それを混合して融点まで加熱し、シュートを通して排出し、急速に冷却し、フリットと呼ばれる粒子に固める。鋼に適用する最初のガラスの塗装は、グランドコートであり、限定的な耐腐食性を有し、土台の金属との化学的な結合を生じさせるためだけに使用される。グランドコートを適用した後、耐薬品性のガラスを適用する。この手順を、通常200〜5000ミクロンである所望のガラス厚に達するまで繰り返す。
グラスライニング物体は、それらの使用中、破損されうる。グラスライニング品の工程での主な要因としては、容器を、過度に急速に加熱または冷却することによる衝撃および熱衝撃から生じる、機械的な破損である。このような破損は、補修される必要がある。亀裂および欠けの補修を行うために、グラスライニングされた鋼製タンクの補修部分を、〜800℃に加熱する。ガラスフリットは、リフローし、破損部分を埋める必要がある。温度制御は、ガラスの流れ特性に起因し、極めて重要である。加熱および冷却が、速すぎたり遅すぎたりすると、ひび割れおよび亀裂が生じうる。
〜1000ミクロン以上の厚いガラス質の塗装を有するライニング容器などに対する、慣用の手順は、通常、容器に最初のグランドコートを適用し、乾燥させて焼き付けるところから始まる、多様な製造工程を含む。いくつかの例では、第2のグランドコートを適用し、それを十分に乾燥させてから、別々に焼き付けなければならない。しばしば5以上になる複数のカバーコートを、グランドコート上に適用し、各々は、個別の乾燥工程および焼付工程を必要とする。このような塗装を噴霧すること、もしくは、噴霧してからの粉末を適用することによって、または、粉末を適用することのみによって、適用する。
厚い(〜1000ミクロンの)ガラス質のライニングを作るための上記の方法では、複数の中間焼付工程が必要とされ、非経済的で、低い生産効率の製造をもたらす。したがって、厚いカバーコートをより少ない工程で、好ましくは一つの工程で適用できる代替の方法を、開発する必要がある。また、複数の中間焼付工程なしで調整できる、耐腐食性があって欠陥がない厚いガラス質のライニングを作るための、改善された、より経済的な方法も必要である。
グラスライニングは、長年、浴槽や流し台に使用されてきた材料のような、エナメル陶材(ホーロー)の一形態である。それは、一般的に700℃を超える高い温度で、土台の金属基板に適用される、ガラス、水および粘土の組み合わせである。ガラスは、200メッシュの網目を通してふるい分けされる小麦粉または粉砂糖とほぼ一致する微粉になるよう、ボールミル中で粉砕した、様々な種類のホウケイ酸塩ガラスの組み合わせである。そして、それを、水と、結合剤として作用する少量の粘土と混合する。ガラス製剤の粘度および流れ特性を制御するために、ごく少量の他の無機材料を追加する。水は、ブラストによって適切に調製されているパイプまたは接続金具の表面上に、ガラス材料を運ぶために使用される、単なる輸送手段である。ガラスの混合物(しばしば、スリップと呼ばれる)を、特殊なスプレーランスを使用して、パイプまたは接続金具の内表面上に噴霧する。そして、パイプまたは接続金具を、約50〜60℃の温度で、湿気を除去する乾燥炉に入れる。乾燥したら、パイプおよび接続金具を、特別に設計された炉に入れ、約750℃で「焼き付ける」。焼付時間は、鉄の大きさおよび厚さによって、さらに、ベースコートまたはカバーコートを適用しているかどうかによって、わずかに変化する。焼付時間は、一般的に、塗装の各々に対して、1〜2時間程度である。
米国特許第4,224,074号は、(20℃〜300℃で)約50〜110×10−7/℃の間の熱膨張係数と、約650℃〜775℃で焼き付けるために適切な粘度と、優れたガラス安定性と、高い光沢と、酸および塩基(特に、市販の食器洗い機で使用されるような洗剤)による攻撃に対する優れた耐性とを示すガラス、ガラス−セラミックおよびセラミック製の食器のための、釉薬およびエナメルの装飾に有用なフリットの生成を開示している。フリットは、重量で、SiO:29〜55%、B:7〜31%、Al:2〜8%、ZrO:5〜16%、Na:20%、LiO:0〜7%、NaO+LiO:6〜24%、および、F:0.75〜4%から一般的に成る。
ガラスバッチ中に酸化ジルコニウム(ZrO)を加えることによって、ガラスを耐アルカリ性にでき、さらに、ガラスバッチ中のZrOの含有量を増加させることによって、生じるガラスのアルカリ耐性が増加することが、一般的に知られている。たとえば、日本特許公開第40126/74号は、モル%で、62〜72%のSiO、7〜11%のZrO、13〜23%のRO、1〜10%のR’O、0〜4%のAl、0〜6%のB、0〜5%のFe、0〜2%のCaF2、および、0〜4%のTiOを含む、耐アルカリ性のガラス繊維の生成のためのガラス組成物を開示しており、ここで、ROは、リチウム酸化物によって置換可能である2モル%以下の酸化ナトリウムを示し、R’Oは、酸化カルシウム(CaO)、酸化亜鉛(ZnO)および酸化マンガン(MnO)から選択されるアルカリ土類金属酸化物を示す。米国特許第4,243,421号は、ガラス組成物の重量に基づいて5〜15%のCaOおよびBaO、ならびに、0.2〜0.8%のBaO/(CaO+BaO)のモル比から実質的に成る、耐アルカリ性ガラス組成物をさらに開示している。
鉛を含まない亜鉛ホウケイ酸塩ガラスの組成物は、周知のものであり、金属基板およびセラミック基板の両方に結合するための着色フリットとして使用されている。米国特許第4,359,536号は、不可避不純物および精錬剤を除いて、(酸化物基準の重量パーセントで)25〜31のZnO、12〜20のSiO、19〜35のB、1〜4のAl、5〜10のNaO、7〜9のCaO、2〜6のBaO、0.5〜4のZrO、1〜2のF、および、0〜6のKOから実質的に成り、0〜300℃の間で75〜90×10−7/℃の範囲の平均熱膨張係数を有し、透明および光沢を示す、鉛を含まないフリットガラスを開示している。米国特許第3,005,722号は、無着色のフリットをホーロー化した鉄板に溶融すると、蛍光体粒子の結合剤として役立つ、セラミックタイプのエレクトロルミネッセンスランプ装置に使用するための、ガラス組成物を開示している。また、セラミック製品上で焼き付ける場合に、高度に着色される釉薬を生成するために、カドミウム、セレン、鉄、銅、コバルトおよび他の金属化合物などの様々な無機顔料を使用できる、米国特許第3,527,649号では、上記のタイプのガラス組成物を使用する、着色エナメルが開示されている。白熱灯の、ソーダ石灰ガラスのバルブ表面に付着するための、周知の亜鉛ホウケイ酸塩のフリットガラスは、重量パーセントで、ZnO−28.3、SiO−19.4、B−21.7、Al−2.7、NaO−4.9、KO−6.1、CaO−4.3、BaO−3.7、TiO−4.5、F−2.8、および、Sb−1.6という一般的な組成を有する。このガラス組成物は、ソーダ石灰ガラスの熱膨張特性に適応するために、高温での焼き付けの間にソーダ石灰ガラスに結合する場合には、0〜300℃の温度で約70〜80×10−7/℃の範囲の線形的な熱膨張係数を示す。
米国特許第4,537,862号は、鉛を含まず、カドミウムを含まず、亜鉛を含まないガラスフリットの組成物を開示している。当該組成物は、耐薬品性を改善し、特に、耐酸性(酢酸)は、重量で約1.9%未満、一般的に減少する。当該組成物は、B、SiO2、ZrOおよび希土類酸化物を含み、希土類酸化物に対するZrOの重量比は、重要であり、約1/1〜1.4/1である。
米国特許第4,361,654号は、鉄板のグランドコートのための、フッ素もフッ素化合物も含まないが、優れた発火特性を有し、高い光沢および付着性、ならびに、低い表面粗さを有する鉄板のエナメル中で機能できる、非フッ素のホーローのフリットを開示している。フリットは、100部の主成分と、7〜42部の補助成分とから成り、上記の主成分は、30〜73部のSiO2、または、SiOとTiO、ZrOおよびSnOの少なくとも一つとの混合物、8〜45部のB、ならびに、8〜41部のNaO、または、NaOとLiOおよびKOの少なくとも一つとの混合物から成り、上記の補助成分は、最高で12以下の部のAl、1〜22部のCaO、BaO、ZnO、MgOおよびSrOの少なくとも一つ、0〜7部のMoO、または、MoOとV、PおよびSbの少なくとも一つとの混合物、ならびに、0.5〜10部のCoO、NiO、CuO、MnOおよびFeの少なくとも一つから成る。
米国特許第4,731,347号は、重量で約60%のガラス形成剤、重量で30%の一価のフラックス、および、重量で10%の二価のフラックスを含む、ガラスフリットを開示しており、ガラス形成剤は、SiOおよびBから実質的に成り、一価のフラックスは、LiO、NaOおよびKOから実質的に成り、二価のフラックスは、CaO、SrO、BaOおよびPbOから成る群から選択され、微量元素は、重量で10%を超えない。ガラスは、室温から310℃の範囲にわたって、7.2×10−6/°F/13×10−6/℃の熱膨張係数を有する。高品質の塗装または粘性ダンパーを提供するために、既存の慣行に従って、約510℃の温度で焼き付けでき、適切な基板に適用できるスリップを作ることは、有用である。適切な基板は、多くのニッケル基合金およびステンレス鋼を含む。
米国特許第4,892,847号は、適切な濃度で、SiO−Bi−B−アルカリ金属酸化物−ZrO/TiOから実質的に成る、ガラス質の塗装で使用するための、鉛を含まないガラスフリットの組成物を開示している。
米国特許第4,975,391号は、SiO、B、Al、CaO、MgO、NaO、KO、LiO、BaO、ZnO、TiOおよびZrOから成る群から選択される成分と、任意のグランドコートなしで直接の塗装を可能にする、原子番号58〜60および62〜71の一つ以上のランタノイド元素とを含む、エナメルフリットの組成物を提供している。
米国特許第5,281,560号は、25〜50モルパーセントのP、30〜70%のSnO、0〜15%のZnOと、SnO:ZnOの5:1より大きいモル比と、25%以下のROから成る群から選択される、少なくとも一つの所定の割合の酸化物全体の25%以下の有効量とを含み、鉛を含まない、スズリン酸塩ガラスを開示しており、ここで、ROは、0〜25%のLiO、0〜25%のNaO、0〜25%のKO、20%以下のB、5%以下のAl、5%以下のSiO、および、5%以下のWOから成る。ガラスは、電気装置および電子装置の構成部品を接合するための封止材中の、封止ガラスフリットとして特に有用である。封止ガラス材は、封止中の有効熱膨張係数を減少させるためのミル添加物と、好ましくは120×10−7/℃未満の熱膨張係数を有する、強度補強用の添加物とを含んでもよい。
米国特許第6,100,209号は、フリットのガラス構造中の金属部分を減少させるために、還元剤の存在下で最初のガラスフリットを加熱してから、反応混合物を冷却することによって調整される、ガラスフリットを開示している。好ましくは、調整されたフリットは、フリットを含むエナメル組成物と、その上のトラック形状の銀の組成物とを窓ガラスに適用し、組成物を焼き付けることによって、ガラス窓のエナメル上に導電性の銀のトラックを形成する方法において使用され、その結果、焼き付けでは、還元された金属部分が、銀の組成物からエナメル組成物を通って銀単体に移動する銀イオンを減少させ、目に見えるトラックを形成するために、それらがガラスと相互作用することを防いだり、弱めたりする。
米国特許第8,278,229号は、65〜75モル%のSiO、2〜8モル%のZrO、10〜22モル%のRO(Rは、Li、KまたはCsを示す)、および、2〜12モル%のR’O(R’は、Mg、Ca、SrまたはBaを示す)を主に含む組成物を構成するフリットを含む、グラスライニングのためのカバーコートの組成物を提供しており、フリットは、NaOを含まず、上記のグラスライニングのためのカバーコートの組成物は、金属繊維をさらに含んでもよい。
様々な方法および装置が、反応器などの管状の物品に、内部塗装を適用するために提案されてきた。これらの典型的な例としては、米国特許第3,351,289号;第3,484,266号;第3,827,633号;第3,876,190号および第4,150,176号がある。一般的に、細長い管状の構成要素からなるブームまたはランスが使用される。塗装材料を一端に供給し、管部を通して、塗装される物品内部に配置されるブームの終端に位置する分配手段まで、さらに、分配手段を通して、輸送する。ブームは、物品の長さを貫いて移動するため、物品の内部を塗装する。
物品の内部にガラス質の塗装を適用する、最も広く使用される方法は、水などの搬送物における粒子状のガラス質材料を、室温で表面塗装することを含む。これは、通常、吹付塗装によって行われる。混合物を適用した後、搬送物を除去するために物品を乾燥させてから、焼き付ける。この方法を、所望の塗装厚さを得るために、数回繰り返す。米国特許第3,484,266号と、本明細書に記載のその他の文献とに開示されている方法などの、大部分の方法は、最初に粒子状材料を容器の表面上に分配した後、独立した工程で、最終的な塗装を得るために粒子を溶融させる。後の独立した焼き付け工程が必要な理由は、粒子状のガラスを供給し、分配するための構造などの機械装置は、ガラスの焼付温度では、確実に動作しないからである。一般的に、このような温度は、約820℃〜約1010℃の間に及ぶ。このような温度では、粒子状の供給材料は、しばしば粘着性になり、供給したり、分配させたりすることが難しくなる。結果として、しばしば、むらがあったり、欠陥があったりする塗装となる。
米国特許第4,532,885号は、タンクまたは反応器などのくぼみがある物品の加熱された内表面上に、滑らかで均一な、連続した溶融塗装を形成するために、凝固性があり微粉化されたガラス質の塗装材料の流れを分配するための装置を提供する。装置は、半径方向に向かう複数の羽根を搭載する、水平に取り付けられたディスクローターから成る。羽根は、中央のチャンバーを決めるローターの中心から短く延びる。中央のチャンバーは、管状の粒子配向ケージを含む。ケージは、内部で同軸上に整列し、間隔を空けて配置される、空洞の中央のインペラを有する。インペラは、共通の回転軸によって、ローターに接続される。微粉化されたガラス質材料の供給は、インペラの空洞に与えられ、ケージ部材中のインペラの開口を通して方向付けられる。ケージ部材内でのインペラの回転は、ケージ部材の排出口を通して、羽根部分に、所定量の供給材料を押し出し、羽根の回転は、塗装される表面に向かう外側方向に、供給材料を遠心的に分配する。
米国特許第5,387,439号は、基板を、連続して、グランドコートに接触させて焼き付けし、中間の塗装に接触させて焼き付けし、さらにカバーコートに接触させて焼き付ける、耐薬品性の塗装を調整するための方法が開示されている。中間の塗装は、950℃を超える軟化点と、約100〜約750ミクロンの平均長さと、約515ミクロンの平均直径と、約10:1〜約75:1の平均アスペクト比とを有する、少量の無機繊維から成る。
欧州特許出願EP1354978は、安定した均一なグラスライニング層を、鋼基材から成る大きなグラスライニング品に適用することを可能にする、グラスライニング適用方法を開示し、当該方法は、基材と同一の鋼材、Ni金属、Cr金属、Fe金属、Co金属、Ni−Cr合金およびFe−Cr合金から成る群から選択される溶射材料を使用して、鋼基材の表面に溶射処理を適用することによって、溶射処理層を形成することと、グラスライニングの加熱処理の手段によって、グランドコートおよびカバーコートを用いて、溶射処理層上にグラスライニング層を形成することとを含み、溶射処理層の表面粗さは、5〜100ミクロンの範囲内であり、開口径は、3〜60ミクロンの範囲内である。
EP0221687は、化学物質および薬剤の加工および製造に使用されるライニング品および付属品のための、均一で、耐腐食性があるガラス質のライニングを開示しており、これは、約800〜2000ミクロンの範囲の厚さを有し、複数の中間焼付工程を含まない電着方法によって適用される。
誘導加熱は、渦電流(フーコー電流とも呼ばれる)が金属内に発生し、抵抗が金属のジュール加熱をもたらす電磁誘導によって、導電体(通常は金属)を加熱する方法である(Valery Rudnev著、Handbook of Induction Heating、CRCプレス、2003 ISBN 0824708482)。誘導加熱体は、高周波の交流電流(AC)を通す電磁石から成る。また、加熱は、大きな比透磁率を有する材料中で、磁気ヒステリシス損失によって発生してもよい。使用するACの周波数は、物体の大きさ、材料の種類、(動作コイルおよび加熱される物体の間の)結合、および、侵入深さに依存する。
誘導加熱は、表面の硬化、溶融、ろう付けおよびはんだ付けを含む用途に対して、物品に適用する目的の加熱を可能にする。鉄およびその合金は、それらの強磁性の性質によって、誘導加熱に最も良く反応する。溶融される金属は、鉄/鋼、銅、アルミニウムおよび貴金属を含む。それは、汚さない非接触の方法であるため、真空または不活性雰囲気中で使用されうる。真空炉は、空気の存在下で加熱すると酸化する、特殊な鋼や他の合金を製造するために、誘導加熱を用いる。
誘導加熱は、金属品の加熱方法でしばしば用いられる。最も一般的な用途は、鋼部品の高周波焼き入れ、金属部品を接合する手段としての誘導はんだ付け/ろう付け、および、鋼部品の領域を選択的に軟化させるための誘導アニールである。
誘導加熱は、短い相互作用時間で、所望の温度に到達することを可能にする、高い電力密度を生成できる。このことは、印加磁場に非常に厳密に従うパターンを用いて、加熱パターンの厳密な制御を与え、熱変形や熱損傷を減少できる。
基本的な構成として、低電圧だが非常に大きな電流および高い周波数を用いて電力を供給する、AC電源がある。無効電力を増加させるために、通常、共振タンクのキャパシターと組み合わせる電源によって駆動される、エアーコイルの内側に、加熱される被加工物を配置する。交流磁場は、被加工物の渦電流を誘導する。使用される典型的な周波数は、5〜1000kHzで変化する。より厚い材料は、より低い周波数を必要とする。誘導コイルは、通常、冷却された流体である銅管で作られる。直径、形状および巻数は、効率および場のパターンに影響する。
ガラス、セラミックおよびプラスチックを用いたライニング金属体のために、現在使用され、文献で報告されている方法および装置は、未だ、炉内の対流加熱である。一般的に、塗装部品は、炉内で、通常は電気炉内で、加熱される。この方法は、物体の全体を長時間加熱することを必要とし、多くのエネルギーを必要とする。数十年にわたるこれらの古いシステムは、非常に非効率的で、高価で、低速である。金属部品の誘導加熱は知られているが、ガラス、セラミック、ガラス−セラミックまたはプラスチックで塗装するために、ガラスを用いて塗装された金属体を加熱することについての報告はない。
本発明は、誘導加熱によって、セラミック、ガラスおよびプラスチックを重ねた金属体を製造するための、高速で、安全で、便利で、経済的な方法および装置を開発することを目的とする。層は、金属体の内表面または外表面に存在してよい。
主な目的は、誘導加熱によって、塗装されたガラスを溶融させることによって、金属体をグラスライニングすることである。好ましい実施形態では、金属体は、鋼製または鉄製の物体であり、たとえば、鋼製の管状の容器である。
他の目的は、誘導加熱を用いて、塗装されたガラスを溶融させることによって塗装を達成する、グラスライニングされ、または、塗装された製品に関する。
主な目的は、ガラスを適用し、誘導加熱によって溶融させることによって、ガラスを重ねた金属体を補修することである。一実施形態は、ガラスを適用し、誘導加熱によって発生する誘導熱および対流熱によって溶融することによって、ガラスを重ねた金属体を補修することに関する。
また、ガラス塗装の組成物を溶融させるために、誘導加熱を用いて、ガラス組成物で塗装された金属体を加熱する方法を提供する。
他の主な実施形態は、グラスライニング容器を作るための塗装を溶融させるために、誘導加熱コイルを用いて、グランドコートおよびガラスフリットで塗装された金属容器を加熱する方法に関する。
また、本発明は、ガラスフリットの塗装を有する金属体と、誘導加熱システムとを保持する装置に関する。一実施形態は、ガラスフリットの塗装を有する管状の金属体と、誘導加熱システムと、金属体を回転させるための装置とを保持する装置に関する。
他の目的は、コイルまたは金属体のいずれかを上下に移動させることによって塗装を溶融させるために、比較的小さい誘導加熱コイルを用いて、ガラスフリットで塗装された金属体を加熱する方法に関する。
ガラスフリットで塗装された金属体と、誘導加熱コイルから成るシステムを提供する。また、誘導加熱を用いて、金属体上に塗装されたガラスフリットを溶融させる方法を提供する。
また、金属体上にガラスフリットを与え、誘導加熱を用いて当該フリットを溶融させる方法を提供する。
本発明の他の目的は、誘導加熱を用いて加熱される別の金属体からの対流熱を用いて、金属体上でガラスフリットを溶融させる方法である。
溶融ガラスが、誘導加熱を用いて加熱される金属体に適用される、金属体をグラスライニングする方法を提供する。溶融ガラスは、たとえば、誘導加熱を用いて加熱される金属体上に、スキージを用いて適用されうる。
したがって、本発明は、金属体の内側または外側のいずれかの表面上に、ガラス状の塗装を重ねる方法に関する。
より具体的には、本発明は、金属体上にグランドコート層またはプライマー層を設置することと、グランドコート層上にガラスコートを設置することと、金属体を誘導加熱することによって、グランドコート層およびガラスコートを溶融させることと、を含む、ガラスを重ねた金属体を製造する方法に関する。限定しない金属体の例は、鋼製の反応器、他の反応器、貯蔵タンク、カラム、乾燥機およびフィルター、パイプ、バルブ、接続金具、攪拌器およびバッフルを含む。
他の実施形態は、鋼製品上にグランドコート層を設置することと、グランドコート層上にガラスコートまたはエナメルコートを設置することと、鋼製品を誘導加熱することによって、グランドコート層、および、ガラスコートまたはエナメルコートを溶融させることと、を含むセラミックを重ねた鋼製品を製造する方法に関する。限定しない製品の例は、カラトリーおよび食器を含む。
プライマー層が必要でないこれらの場合では、本発明は、グランドコート層上にガラスコートを設置することと、金属体を誘導加熱することによってガラスコートを溶融させることと、を含むガラスを重ねた金属体を製造する方法に関する。
他の実施形態は、金属体上にガラスフリットを設置することと、誘導加熱を用いて加熱される別の金属体によって発生する熱からの対流加熱によって、金属体上のガラスフリットを溶融させることと、に関する。ガラスフリットは、誘導加熱システムを用いて予熱される金属体上に、噴霧されてもよい。他の実施形態では、金属体は、フリットを噴霧した後まで、加熱されない。
他の実施形態は、ガラスコートが、ガラス、セラミック、ガラスセラミック、エナメルまたはプラスチックの粉末の吹付塗装である方法に関する。
他の実施形態は、ガラス粉末のコートを適用することと、金属を誘導加熱すること、および、金属体の誘導加熱によって発生する対流熱とによって、粉末を溶融させることと、を含むガラスを重ねた金属体を補修する方法に関する。
当該方法は、金属体にガラス粉末のコートを適用することと、金属体の誘導加熱によって発生する対流熱によって粉末を溶融させることとによって、変更されてもよい。
本発明のさらに他の実施形態は、ガラスを重ねた金属体を、誘導加熱を用いて加熱することによって、当該金属体を洗浄する方法に関する。
他の実施形態は、溶融ガラスが、金属体上に適用されるガラスコートである方法に関する。溶融ガラスは、スキージを用いて適用されうる。
誘導加熱システムは、金属体の外側、もしくは、金属体の内側に位置し、または、金属体の内側および外側の両方に位置する誘導加熱システムがあってもよい。
いくつかの場合では、金属体のガラスコートを溶融させる熱は、誘導加熱を用いて、別の金属体を加熱することによって発生する。
本発明は、グランドコートおよびカバーガラスコートで塗装された金属体と、金属を誘導加熱することによって、金属体を加熱する誘導加熱コイルと、金属体をコイルに対して上下に移動させる手段と、を有する、金属体上にガラス層を適用する装置に関する。他の実施形態では、金属体は固定されたままであり、加熱システムが金属体に対して上下に移動する。
また、本発明は、システムを変更せずに、金属体を洗浄し、補修できるように、誘導加熱システムを用いた物質の洗浄システムと組み合わせたシステムに関する。
上述した目的、特徴および利点と、他の目的、特徴および利点とは、以下の、添付する図面、実施例および好ましい実施形態において説明されるような、本発明の好ましい実施形態の説明から明らかである。本発明は、図面を併用して、以下においてより完全に説明される。
管状で鋼製の容器から錆を除去するための高速表面洗浄システムの概略図である。 図1の高速表面洗浄システムの概略断面図である。 管状の容器全体を加熱するための誘導加熱システムの概略図である。 移動する管状の容器の選択した部分を加熱するための誘導加熱システムの概略図である。 移動する誘導加熱コイルを有する、管状の容器の選択した部分を加熱するための誘導加熱システムの概略図である。 不規則な形状の物体のための誘導加熱システムの概略図である。 容器の長さに沿った誘導コイルを有する誘導加熱システムの概略図である。 図7の誘導加熱システムの概略断面図である。 金属容器の内側に別の誘導コイルを有する、図7の誘導加熱システムの概略断面図である。 対流加熱によって塗装を加熱するために、別の誘導コイルを有する、図7の誘導加熱システムの概略断面図である。 図10の誘導加熱システムに類似し、外側の誘導加熱コイルを絶縁体で置換した誘導加熱システムの概略断面図である。 金属容器の回転を伴う、内側部分および外側部分の誘導加熱システムの概略断面図である。 金属容器の内側にガラスフリットを吹付塗装することによる、グラスライニングシステムの概略断面図である。 金属容器の内側に溶融ガラスを噴出することによる、グラスライニングシステムの概略断面図である。 金属容器の内側に溶融ガラスをスキージにより適用することによる、グラスライニングシステムの概略断面図である。 誘導加熱および対流加熱を用いて、グラスライニング容器を補修するための装置の概略断面図である。
本発明は、図面を参照することによって、最も良く説明される。
図1は、管状で鋼製の容器12から錆などの物質を除去するための高速洗浄システム10の概略図である。図2は、図1の高速表面洗浄システムの概略断面図である。洗浄ホイール13の先端には、一つ以上の高圧ウォータージェット、ワイヤーブラシ、サンドブラストノズルなどがあってもよい。洗浄ホイールは、制御された方法で軸14を内外に押し出すことによって、内外に移動できる。また、洗浄ホイール13は、錆を除去するための化学製剤を塗装するためにも使用されうる。高速洗浄は、鉄製の容器の表面の錆を最小限にするために、特に湿潤環境下で必要とされる。提案される装置は、高速で、経済的で、便利である。使用される洗浄剤は、錆の状態および範囲、ならびに所望の粗さなどの多くの要因に依存する。
容器を洗浄したら、洗浄された金属表面にグランドコートを適用し、本明細書に開示する誘導加熱装置および方法の一つを用いて、当該グランドコートを溶融させるように加熱できる。グランドコートが溶融した後、適切なガラスフリットのコート(塗装)を適用し、本明細書に開示する誘導加熱装置および方法の一つを用いて、当該ガラスフリットを溶融させるように加熱できる。
図3は、容器31の内壁上にガラスフリットなどの可溶性の塗装(図示なし)を有する、管状の金属容器と、容器31を周回する誘導加熱コイル32とを示す、誘導加熱システム30の概略図である。この装置は、まさに従来の電気炉における加熱のように、容器の全体的な加熱を提供する。図3に示すシステム30は、垂直であるが、いかなる角度であってもよく、垂直、水平、または、垂直および水平の間であってもよい。誘導コイルは、容器の内側にあってもよく、あるいは、一つの誘導コイルが容器の内側にあり、他の誘導コイルが容器の外側にあってもよい。電流を印加すると、容器全体を加熱し、適切な温度に達すると、塗装が溶融する。ガラス塗装が溶融したら、システムを徐々に冷却してもよい。加熱の速度は、誘導コイルに供給される電流/周波数によって制御されうる。図3および図7の誘導加熱システムは、高速ではあるが、より大きい電力を必要とする。
図4は、容器の内壁上にガラスフリットなどの可溶性の塗装(図示なし)を有する、管状の金属容器31と、固定された誘導加熱コイル33とを示す、誘導加熱システム40の概略図である。容器は、制御された速度で、上下に移動する。狭く固定された誘導加熱コイル33は、容器31を部分的および選択的に加熱するために、当該容器を周回する。別の誘導コイルが、容器の内側にあってもよい。このシステムは、金属パイプなどの小さな物体に対して、より実用的である。図3および図7の誘導コイルと比較して、誘導コイルがより小さいため、このシステム40の所要電力はより小さい。誘導コイル下の金属は、加熱され、塗装を溶融させる。フリットは、容器が上下に移動するにつれて、選択的および連続的に溶融し、さらに、容器が上下に移動するにつれて、凝固/アニールする。この加熱システムは、低速ではあるが、より小さい電力を必要とする。
図5は、容器の内壁上にガラスフリットなどの可溶性の塗装を有する、管状の金属容器31と、容器を部分的および選択的に加熱するために、容器を周回する狭い誘導コイル33とを示す、誘導加熱システム50の概略図である。誘導コイルは、上下に移動される。別の誘導コイルが、容器の内側にあってもよい。また、このシステムは、容器より誘導コイルを移動しやすいため、大きな管状の物体に対して、より実用的である。誘導コイルがより小さいため、所要電力はより小さい。当該システムは、誘導コイル下でのみ、金属を加熱し、フリットを溶融させる。フリットは、誘導コイルが上下に移動するにつれて、選択的および連続的に溶融し、さらに、コイルが上下に移動するにつれて、凝固しアニールする。この加熱システムは、低速ではあるが、より小さい電力を必要とする。
誘導コイルまたは容器の移動の速度は、誘導コイルのヒーター容量、金属およびフリット塗装の厚さ、フリットの特性および融点、所望の加熱および冷却/アニールの速度などの、多くの要因に依存する。
容器の一部のみを加熱するので、容器を変形させることなく、金属と、滑らかで欠陥のないカバーコートの塗装とを強く結合させる目的で、グランドコートを完全に溶融させるように、より高温を用いることが可能である。また、ナノ粒子は低温で溶融するので、耐薬品性のあるシリカ(SiO)のナノコートも溶融できる。このことは、特に、ガラスコートが図12に示す追加の誘導/対流加熱器を用いて加熱される場合にも、可能である。
図6は、可溶性材料を用いて塗装された攪拌器、エルボ管、反応器の上下部分などの不規則な形状の物体61のための、誘導加熱システム60の概略図である。システムは、熱損失を防ぐために絶縁されたチャンバーの内側にあってもよい。誘導コイル32は、物体の形状に合わせるように構成されてもよい。ガラスフリットで塗装された不規則な形状の物体も、制御された条件の下で、誘導加熱コイルを通過させることによって加熱できる。
図6に示す装置と同様の装置を用いて、誘導加熱によって、攪拌器、エルボ管、反応器の上下部分などの不規則な形状の物体を加熱することが可能であり、さらに、グランドコートのフリットと、続くガラスのカバーコートのフリットとを噴霧することが可能である。フリットは、十分に加熱された部分に付着する。当該部分を、誘導加熱システムの内部で加熱し、塗装を滑らかにする目的で、冷却した後に処理を繰り返す前に、フリットを用いて、外部で吹付塗装してもよい。この配置は、プラスチック粉末または顔料の、静電吹付塗装の配置と同様である。この場合、フリットは、加熱された部分のみに付着する。
図7は、容器の内壁上にガラスフリットなどの可溶性の塗装(図示なし)を有する、管状の金属容器31と、フリットで塗装された容器31を全体的に加熱するために、容器を周回する誘導コイル71とを示す、誘導加熱システム70の概略図である。誘導コイルは、容器の長さに沿って形成される。示すシステムは、垂直であるが、いかなる角度であってもよく、垂直、水平、または、垂直および水平の間であってもよい。誘導コイルは、容器の内側にあってもよく、あるいは、一つの誘導コイルが容器の内側にあり、他の誘導コイルが容器の外側にあってもよい。容器全体が加熱されるため、全体の塗装が同時に溶融する。誘導コイルは、様々な直径または長さの容器に対して容易に構成されるため、この種の誘導コイルの配置は好ましい。
図8は、図7の誘導加熱システムの概略断面図であり、容器12上のガラスフリット72を示す。
図9は、金属容器の内側に別の誘導コイル91を有する、図7の誘導加熱システムに類似する誘導加熱システム90の概略断面図である。このシステムは、より大きい電力を必要とするが、図7および図8に示すシステムより高速に、容器を加熱する。
図10は、対流加熱によってフリット72を加熱するために、金属容器12の内側に、別の誘導コイル91と、絶縁体102を有する高融点金属のシートまたはシリンダー101とを有する、図7の誘導加熱システムに類似する誘導加熱システム100の概略断面図である。ガラスフリットをより高速度で加熱する必要がある場合、高融点金属から作られ、フリット72に面する金属のシリンダーを、図10に示すように使用できる。高融点金属のシートまたはシリンダー101は、熱損失を最小限にするために、絶縁体102を有してもよい。内側の誘導コイルに電流を印加すると、それは、高融点金属のシートまたはシリンダー101を同様に加熱し、加熱されたシートは、フリットの溶融に役立つ電気加熱素子のように作用し、あるいは、より高い温度により速く到達する。このシステムは、誘導および対流による加熱を同時に供給する。
図10に示すシステムの外側の誘導コイル71を、図11のシステム110に示すように置換できる。グラスライニングされる容器12は、外側に絶縁体111を必要としてもよい。誘導コイル91に電流を印加すると、それは、高融点金属のシートおよびシリンダー101を加熱し、フリット72を溶融させることができる電気加熱素子のように作用する。このシステムは、誘導および対流による加熱を提供する。高融点金属のシート101は、熱損失を最小限にするために、絶縁体112を有してもよい。
図12は、(1)容器の内壁上にガラスフリットなどの可溶性の塗装72を有する、管状の金属容器(特に大きい容器)12と、(2)二つの部分の誘導加熱コイルである、容器12の内側の一つの誘導コイル124、および、容器12の外側の他の誘導コイル125と、(3)絶縁体123を有し、対流加熱によってフリット72を加熱するための高融点金属シート121と、(4)容器を回転させるためのローラーセット122とを示す、誘導加熱システム102の概略断面図を示す。容器の回転速度と、誘導コイルに印加する電流とは、ガラスの適切な溶融およびアニールのために、制御される。
容器が垂直に立っている場合、ローラー122は必要なく、同様のシステムを、グラスライニング容器の現場での補修に使用できる。この種の配置は、グラスライニングをすぐに加熱でき、微細な、または、細い亀裂およびピンホールを補修できる。
図13は、誘導加熱システム124を用いて予熱された金属容器12の内側に、フリット噴霧器133を用いてガラスフリット132を吹付塗装することによる、グラスライニングシステム130の概略断面図である。容器を、ローラー122上で回転できる。容器全体をフリットでプレコートする代わりに、容器が回転するにつれて、適切な量のフリットを、容器12の長さに沿って適用/噴霧できる。グラスライニング131を得るように、容器が回転するにつれて、容器の一部が十分に加熱され、フリットが溶融する。同様に、フリットは、図4および図5の容器の内側に適用されうる。
容器が垂直に立っている場合、ローラー122は必要なく、フリット132を、容器の内側に単に噴霧または吹き付けできる。フリットは、容器12の十分に熱い部分上のみに付着する。この配置は、静電的に帯電した金属部品上への、粉末または顔料の静電吹付塗装と同じである。この場合、それは、容器の一部を十分に加熱する。
図14は、グラスライニング131を得るために、誘導加熱システム124を用いて予熱された金属容器12の内側に、システム141を用いて溶融ガラスを噴出することによる、グラスライニングシステム140の概略断面図である。容器12に溶融ガラスを溶融して供給するためのシステム141を、誘導加熱コイル124を用いて加熱できる。同様に、溶融フリット/ガラスは、図4および図5の容器の内側に適用されうる。
図15は、グラスライニング131を得るために、誘導加熱システム124を用いて予熱された金属容器12の内側に、スキージ151を用いて溶融ガラス152を適用することによる、グラスライニングシステム150の概略断面図である。同様に、溶融フリット/ガラスは、図4および図5の容器の内側に適用されうる。
図16は、誘導加熱および対流加熱を用いて、グラスライニング容器を補修するためのシステム160の概略断面図である。ガラスフリット163を溶融させるために、誘導加熱システム166を、破損した容器164の外側に適用でき、同様に、別の誘導加熱システム161を、破損した容器164の内側に適用できる。絶縁体165を有する高融点金属のシート162を、対流加熱によってガラスを溶融させるために使用できる。両側から、または、片側のみから加熱するために必要としてもよい。この補修装置の大きさおよび形状は、亀裂が入った、または、破損した部品を補修するために、補修する部分または欠陥に依存する。
上述した部品の形状および大きさは、必要に応じて変更されてもよい。また、複数の部品があってもよく、たとえば、図4および図5において、二つの誘導加熱要素があってもよい。
金属体は、低い溶融粘度を有する低融点ガラスの浴中に、容器をディップコーティングすることによって、グラスライニングされてもよい。ガラスタンクは、誘導加熱システムを用いて加熱されてもよい。容器は、両側ともグラスライニングされる。熱的に活性化された触媒をさらに含む、比較的低い粘度のモノマー材料、オリゴマー材料およびポリマー材料に対して塗装し、続いて、誘導加熱または電離放射線による硬化を用いて金属体を加熱するために、ディップコーティング方式を適用してもよい。
(物質、装置および方法の好ましい実施形態)
金属と、通常はグランドコートまたはプライマーである第1コートとの間に良好な結合を得るために、金属の表面は、洗浄され、顕微鏡レベルで粗くされる必要がある。グラスライニングに使用される最も一般的な金属は、鋼および合金鋼であり、通常は5%未満の炭素を含む鋼/鉄である。炭素鋼は、容易に酸化される。従来の錆を除去する方法として、研磨またはサンドブラスト、酸およびアルカリを用いた錆の溶解がある。錆を除去するために、市販の錆除去剤および方法を用いてもよい。基板の表面を洗浄するために、本明細書に開示する装置および方法に、EP0256728、ならびに米国特許第4,351,673号;第4,424,079号;第4,521,253号;第5,468,303号;第5,653,917号および第6,514,350号に報告された表面を洗浄する材料および手段を、適切な変更の有無に関わらず用いてもよく、これらの特許を、参照により本明細書に包含する。
金属表面、特に鋼表面の酸化は、たとえば、パーカライジング、リン酸塩処理、ブルーイングおよび褐変などにより、表面を不動態化することによって、最小限にされうる。錆である酸化鉄は、水素、または、水素と窒素などの不活性ガスとの混合物に曝露することと併せて、還元剤を用いて鉄に還元することによって、除去されうる。市販の材料または装置を、表面を洗浄するために用いてもよく、図1および図2に示す装置および高速の洗浄方法を含む。
洗浄された表面は、刷毛塗り、吹付塗装および静電塗装などの標準的な塗装方法を用いて、フリット(アンダーコートおよびカバーコート)で塗装されてもよい。
良好な結合を得るために、表面を洗浄したら、プライマーまたはグランドコートを適用すべきである。誘導加熱によって金属体上にグランドコートを与えるために、本明細書に開示する製剤、装置および方法に、米国特許第4,410,598号;第5,387,439号;第5,387,439号;第6,511,931号;第6,815,013号;第6,815,013号;第7,341,964号;第8,278,229号;第8,278,229号、ならびに、EP1354978、ならびに、米国特許出願第20090270240号および第20110262758号に開示された製剤および方法を、適切な変更の有無に関わらず用いてもよく、参照により本明細書に包含する。グランドコートの加熱および溶融は、図3〜図15に関連する一つ以上の装置および方法を用いて、行われてもよい。
グランドコートが適用され、溶融したら、ガラス、セラミック、ガラスセラミックおよびエナメルのフリットが、適用されてもよい。ガラス、セラミック、ガラスセラミックおよびエナメルの多種多様な製剤、ならびに、基板上にそれらを生成して適用する方法は、文献に報告されている。
誘導加熱によってグラスライニング金属体を作るために、本明細書に開示する製剤、装置および方法に、WO2009097264、EP0677597、EP0887322、米国特許第4,066,465号;第4,224,074号;第4,243,421号;第4,311,505号;第4,359,536号;第4,361,654号;第4,446,241号;第4,537,862号;第4,554,258号;第4,702,884号;第4,731,347号;第4,788,163号;第4,892,847号;第4,975,391号;第5,281,560号;第5,308,803号;第5,350,718号;第5,387,439号;第5,812,062号;第5,900,380号;第6,100,209号;第6,815,013号;第7,736,546号;第7,863,207号;第8,252,708号;第8,278,229号、ならびに、米国特許出願第20020035025号;第20020187889号;第20080090034号、および、第20090189126号に開示された、金属体をライニングするための、鉛、ビスマスおよびカドミウムなどの有毒物質を含まず、アルカリおよび酸などの化学薬品に耐性がある、導電ガラス、ナノサイズのフリットなどの特殊ガラスを含む、ガラス、ホーロー、エナメルおよびガラスフリットを、適切な変更の有無に関わらず用いてもよく、参照により本明細書に包含する。
鋼およびその合金の大部分は、〜1100℃より高い溶融温度を有する。普通炭素鋼が溶融し始められる最も低い温度は、1,130℃である。鋼は、この温度未満では、決して液体にならない。純鉄(0%の炭素を含む「鋼」)は、1,492℃で溶融し始め、1,539℃に達するまでに、完全に液体になる。重量で2.1%の炭素を含む鋼は、1,130℃で溶融し始め、1,315℃に達するまでに、完全に溶融する。(1580℃で溶融する)シリカガラスを除いて、ガラス、セラミックおよびガラスセラミックの大部分は、800℃未満で溶融し、たとえば、ソーダ−石灰ガラスは700℃で溶融し、ホウケイ酸塩ガラスは820℃で溶融し、アルミノケイ酸塩ガラスは〜900℃で溶融し、鉛ガラスは〜630℃で溶融する。高融点のグラスライニングは、調理器具、給湯器、および、非常に高温になる化学反応器などの用途で必要とされる。しかし、他の用途の大部分では、高温の(たとえば、300℃より大きい、より高温で溶融する)グラスライニングは、必要とされない。高融点ガラスを低融点ガラスで置換することは、しばしば実用的である。
〜600℃未満で溶融するガラスが報告されており、それらのいくつかは、市販されている。誘導加熱によってグラスライニング金属体を作るために、本明細書に開示する製剤、装置および方法に、EP0204432;EP0514639;EP0551100,EP1361199;EP2457477、ならびに、米国特許第2,492,523号;第2,842,458号;第2,911,312号;第3,383,225号;第3,408,212号;第3,650,778号;第3,927,243号;第3,983,060号;第4,004,936号;第4,186,023号;第4,251,595号;第4,310,357号;第4,312,951号;第4,365,021号;第4,376,169号;第4,417,913号;第4,469,798号;第4,493,900号;第4,590,171号;第4,678,358号;第4,743,302号;第4,748,137号;第4,774,208号;第4,877,758号;第5,116,786号;第5,188,990号;第5,256,604号;第5,281,561号;第5,306,674号;第5,346,863号;第5,534,469号;第5,643,840号;第5,733,828号;第5,902,758号;第6,129,854号;第6,248,679号;第6,291,092号;第6,344,424号;第6,348,424号;第6,355,586号;第6,475,605号;第6,620,747号;第6,652,972号;第6,936,556号;第7,291,573号;第7,923,393号;第7,935,279号;第8,133,829号、ならびに、米国特許出願第200501531号;第20010021444号;第20020128141号;第20030228471号;第20040106018号;第20040207314号;第20050153142号;第20060105898号;第20090247385号;第20120118168号および第20130090226号に開示された低融点ガラスの製剤を、適切な変更の有無に関わらず用いてもよく、参照により本明細書に包含する。
溶融ガラス浴中での金属体のディップコーティングによるグラスライニングは、上述した低融点ガラスを用いると、変形または溶融することなく金属体をディップするための700〜1000℃では、それらの粘度が十分に低いため、可能となる。
浴槽、調理器具、反応器、パイプおよび不規則な形状の部品(たとえば攪拌器)などのグラスライニング金属体に対する方法および製剤は、EP221,687;EP677,597;EP1,585,591、EP2,050,725、ならびに、米国特許第3,156,035号;第3,235,290号;第3,281,226号;第3,729,803号;第4,311,505号;第5,143,275号および第6,815,013号、ならびに、米国特許出願第20120118202号および第20130022428号、ならびに、日本特許出願第2010248632号を含む、多数の特許および特許出願に開示されており、誘導加熱によってグラスライニング金属体を作るために、本明細書に開示する製剤、装置および方法に、適切な変更の有無に関わらず用いられてもよく、参照により本明細書に包含される。
日本特許出願第1987000096271号は、ガラス上のテフロン(登録商標)加工を開示している。金属体を、プラスチックで塗装する場合に、テフロン(登録商標)および他のフッ素化ポリマーを含むプラスチック粉末を適用し、誘導加熱を用いて溶融できる。
グランドコートを適用して乾燥させ、ガラスフリットのコートを適用して乾燥させてから、焼き付けできる。グランドコートのフリットは、カバーコートに用いるフリットの溶融温度より、〜30℃以上低い溶融温度を有する必要がある。徐々に加熱すると、誘導加熱では最初に金属を加熱するため、最初にグランドコートが溶融し、続いてガラスコートが溶融する。本方法は、気泡が表面上に移動することを可能にし、滑らかで欠陥のない塗装を提供する。
最終的な用途に応じて、文献で報告されている多数のガラスフリットの製剤を、本発明に適用できる。たとえば、65〜75モル%のSiO、2〜8モル%のZrO、10〜22モル%のRO(Rは、Li、KまたはCsを示す)、2〜12モル%のR’O(R’は、Mg、Ca、SrまたはBaを示す)から成るフリット組成物(フリットは、NaOを含まない)や、65〜75モル%の範囲のSiO、2〜8モル%の範囲のZrO、10〜22モル%の範囲のRO(Rは、Li、KまたはCsを示す)、2〜12モル%の範囲のR’O(R’は、Mg、Ca、SrまたはBaを示す)から成る別の組成物が、使用されてもよい。
本明細書に提案される装置及び方法は、ガラス、セラミックまたはガラスセラミックのみに限定されない。金属部品上のライニング材料は、(有機シリコンなどの非粘着性の材料、および、テフロン(登録商標)などのハロゲン化ポリマーまたは過フッ素化ポリマーを含む)任意の有機ポリマー、非導電物質、非金属物質、絶縁物質、結晶物質、部分的にまたはガラス状で、非粘着性の物質、および、他の可溶性材料であってもよい。装置および方法は、鋼製の反応器などの金属体をグラスライニングするために説明されているが、テフロン(登録商標)などのプラスチック、セラミック、ガラスセラミックおよびエナメルを用いて、金属体をライニングするために用いられてもよい。
グラスライニングするために金属体を加熱する従来の方法は、電気炉またはガス炉の内部で金属体を加熱する方法である。金属などの導電材料を加熱する別の方法は、誘導加熱による方法である。誘導加熱によってグラスライニング金属体を作るために、本明細書に開示する製剤、装置および方法に、米国特許第3,461,215号;第4,610,711号;第4,780,121号;第4,874,916号および第5,237,144号に開示された誘導加熱およびコイルシステムならびに市販品を、適切な変更の有無に関わらず用いてもよく、参照により本明細書に包含する。
グラスライニングするための金属体の大部分は、通常薄く、たとえば約5cmの最大厚である。誘導加熱を用いて、このように薄い金属を加熱することは、特に、図3〜図15に示す装置を用いても、いかなる問題も提起しない。
電気炉は、フリットで塗装された金属部品を加熱するための標準装置であるが、対流加熱によって金属体を加熱してガラスを溶融させるために、いくつかの特殊な装置および機器が提案されている。誘導加熱によってグラスライニング金属体を作るために、本明細書に開示する製剤、装置および方法に、米国特許第4,532,885号;第4,538,543号;JP63107837に開示された装置を、適切な変更の有無に関わらず用いてもよく、参照により本明細書に包含する。好ましい装置は、図3〜図15に示す装置である。
グラスライニング金属体は、しばしば破損されるが、交換するより補修した方が経済的である。破損したグラスライニング容器を補修するために、いくつかの製剤および方法が提案されている。誘導加熱によって、破損したグラスライニング金属体を補修するために、本明細書に開示する製剤、装置および方法に、EP407,027;EP486,323;米国特許第4,172,877号;第4,508,455号;第4,940,607号;第5,053,251号;第5,143,275号;第5,651,827号および米国特許出願第20090270240号に開示された製剤、装置および方法を、適切な変更の有無に関わらず用いてもよく、参照により本明細書に包含する。
米国特許第5053251号は、ガラスの亀裂または剥離を発生させることなく、補修したガラス層の厚さが隣接する既存のガラス層にほぼ等しくなるまで、ガラス層の破損部分に補修剤を適用し、ゾル−ゲル法を用いて凝固させ、ガラスに付着させる目的で、補修剤を加熱する工程を繰り返すことよって、グラスライニング鋼製品のガラス層の破損部分を補修する方法を開示している。
EP0486323A1、および、日本セラミックス協会学術論文誌;VOL.101;NO.1178;1169〜1174ページ(1993)のTatsuo Haraらは、グラスライニング容器の破損部分を補修するために、ゾル−ゲル法によって、アルミナ粉末の複合物を適用した結果を報告している。300℃で溶融するアルミナ粉末の複合ゲルガラスの実現可能性が、浸透、接着強度、熱疲労強度および熱衝撃強度に関する標準試験と、有機溶剤に対する耐性がライニングガラスの耐性と等しいこととによって示された。
図16で提案するシステムは、破損したグラスライニング容器を補修するために、特に、現場で容器を移動させることなく、使用されうる。図16のシステムは、誘導加熱による金属の急速な加熱と、対流加熱によるガラス塗装の急速な加熱とを提供する。より高い温度は、ガラスを作るために、さらに、十分な流動性を有するように補修する目的で適用する製剤のために、達成されうる。この方法によって、微細な亀裂およびピンホールを迅速に修理できる。
ポリマーを含む有機材料の合成および加工に用いられる材料が、ガラス表面上に残るため、攪拌器などのグラスライニング部分の外表面や、グラスライニング反応器の内表面は、洗浄される必要がある。表面を洗浄するために、温水、有機溶剤または特殊洗浄剤を用いたり、付着した物質を物理的に除去したりする。本明細書で提案する誘導加熱システムを用いて、約400〜600℃で、グラスライニング部品および容器を加熱することによって、有機材料を焼却できる。これらの温度では、ポリマーを含む有機材料の大部分が完全に焼却され、殺菌洗浄された表面が取得される。すすおよび他の分解された物質は、空気を吹き付けることによって、除去されてもよい。
また、誘導加熱によって、容器の内容物を加熱することもできる。
ゾル−ゲル法は、材料科学およびセラミック工学の分野で広く用いられる、湿式化学手法である。このような手法を、主に、ばらばらの粒子またはネットワークポリマーのいずれかの統合ネットワーク(またはゲル)のために前駆体として作用する、コロイド溶液(ゾル)から始まる、材料(一般的に、金属酸化物)の生成に用いる。一般的な前駆体は、加水分解および重縮合反応の様々な形態を経る、金属アルコキシドおよび金属塩(塩化物、硝酸塩および酢酸塩など)である。材料、方法およびゾル−ゲルの用途は、(1)Sol−gel processing、Hiromitsu Kozuka ISBN番号 1−4020−7966−4;(2)Sol−Gel Technologies for Glass Producers and Users、Michael A. Aegerter、M. Mennig、2004、Springerで確認されうる。
物質の粒径が1ミクロン未満に減少するにつれて、物質の融点も低下することが知られている。たとえば、金は、粒径が約1ナノメートル(nm)である場合、室温で液体のように作用する。同様に、粒径をナノスケールに減少させることによって、シリカガラスの融点を、2200℃から1200〜1300℃に低下できる。ナノおよびミクロンサイズのガラスおよびセラミックは、多くの様々な方法によって生成される。それらの一つが、ゾル−ゲル法である。
米国特許第7,816,292号および米国特許出願第20080044488号は、SiO、B、P、NaO、LiO、KO、CaO、MgO、SrO、BaO、Al、TiO、ZrO、ZnO、La、WO、Nb、PbO、AgOを含むガラスを作るために、ナノ〜ミクロンサイズの酸化物の粒子を作る方法を開示している。適切な酸化物および分量を選択し、混合物を溶融することによって、様々なガラスが、より低い温度で生成される。米国特許出願第20120138215号は、焼結助剤のためのナノガラス粉末と、その製造方法とを開示している。焼結助剤のためのナノガラス粉末の生成方法は、非水溶媒中のホウ素(B)の原料、シリコン(Si)の原料、および、金属酸化物の原料を溶解することによって、混合溶液を生成し、当該混合溶液にアルカリ触媒を添加することによって、ゾル−ゲル反応を制御し、当該ゾル−ゲル反応によって得られたゾル−ゲル物質を乾燥させ、当該ゾル−ゲル物質を熱処理することを含む。EP2386525出願は、ゾル−ゲル法による、ナノ構造のリン酸塩カルシウムガラスを開示している。ホウケイ酸塩ガラスを、シリカ源としてのオルトケイ酸テトラエチル、Bのためのホウ酸、アルミナ源のための硝酸アルミニウム、酸化ナトリウム源のための硝酸ナトリウム、酸化カリウム源のための硝酸カリウム、酸化亜鉛源のための硝酸亜鉛を用いたゾル−ゲル工程によって合成できる。硝酸を、触媒およびエタノールとして使用でき、蒸留水を溶媒として使用できる。ゾル−ゲル法によって作られるガラス材料は、グランドコートおよびカバーコートを作るために、また、破損した容器および部品を補修するために、通常のフリットの代わりに使用されてもよい。
温度および他の処理は、標準的な分析機器を使用して、監視されてもよい。
上記の利点に加えて、誘導加熱によるグラスライニング金属体の装置および方法は、従来の装置および方法に対して、多くの利点を提供する。システムは、非常により安全で、より安価で、より高速で、操作しやすく、任意の形状の物体をグラスライニングでき、炉より小さいスペースで済み、非常に均一で欠陥のない塗装を提供し、物体の変形がほとんどないか全くなく、溶融ガラスの垂れが最低限か全くない、などである。容器は、現場から移動させることなく、その場で加熱され、洗浄され、補修されうる。
本発明をその具体例に関して説明してきたが、これは単なる例示である。したがって、多くの代替、修正および変形は、前述した説明に照らし、当業者には明らかであり、それゆえに、本明細書の開示の思想または広い範囲に含まれるような、全ての代替、修正および変形を包含することを意図する。

Claims (21)

  1. a)金属体上にグランドコート層を設置することと、
    b)前記金属体を誘導加熱することによって、前記グランドコート層を溶融させることと、
    c)前記グランドコート層上にガラスコートを設置することと、
    d)前記金属体を誘導加熱することによって、前記ガラスコートを溶融させることと、
    を含むガラスを重ねた金属体を製造する方法。
  2. 前記金属体は、鋼の反応器である請求項1に記載のガラスを重ねた金属体を製造する方法。
  3. a)鋼製品上にグランドコート層またはセラミックコート層を設置することと、
    b)前記金属体を誘導加熱することによって、前記グランドコート層または前記セラミックコート層を溶融させることと、
    c)前記グランドコート層または前記セラミックコート層上にガラスコートまたはエナメルコートを設置することと、
    d)前記鋼製品を誘導加熱することによって、前記ガラスコートまたはエナメルコートを溶融させることと、
    を含むセラミックを重ねた鋼製品を製造する方法。
  4. 前記ガラスコートは、ガラスフリットである請求項1に記載の方法。
  5. a)前記金属体上にガラスフリットを設置することと、
    a)誘導加熱を用いて加熱される別の金属体によって発生する熱からの対流加熱によって、前記金属体上のガラスフリットを溶融させることと、
    を含む請求項1に記載の方法。
  6. 予熱された前記金属体上にガラスフリットを噴霧することと、その後、誘導加熱システムを用いて前記フリットを溶融させることと、を含む請求項1に記載の方法。
  7. 前記金属体は、前記フリットを噴霧した後に加熱される請求項4に記載の方法。
  8. 前記ガラスコートは、ガラス、セラミック、ガラスセラミック、エナメルまたはプラスチックの粉末の吹付塗装である請求項1に記載の方法。
  9. a)ガラス粉末のコートを適用することと、
    b)前記金属を誘導加熱すること、および、金属体の誘導加熱によって発生する対流熱によって、前記粉末を溶融させることと、
    を含むガラスを重ねた金属体を補修する方法。
  10. c)ガラス粉末のコートを適用することと、
    d)前記金属を誘導加熱すること、または、金属体の誘導加熱によって発生する対流熱によって、前記粉末を溶融させることと、
    を含むガラスを重ねた金属体を補修する方法。
  11. a)ガラス粉末のコートを適用することと、
    b)金属体の誘導加熱によって発生する対流熱によって前記粉末を溶融させることと、
    を含むガラスを重ねた金属体を補修する方法。
  12. ガラスを重ねた金属体を、誘導加熱を用いて加熱することによって、当該金属体を洗浄する方法。
  13. 溶融ガラスは、前記金属体上に適用される前記ガラスコートである請求項1に記載の方法。
  14. 前記溶融ガラスは、スキージを用いて適用される請求項13に記載の方法。
  15. 前記誘導加熱システムは、前記金属体の外側に位置する請求項1に記載の方法。
  16. 前記誘導加熱システムは、前記金属体の内側に位置する請求項1に記載の方法。
  17. 一つの誘導加熱システムが、前記金属体の外側に位置し、別の誘導加熱システムが、前記金属体の内側に位置する請求項1に記載の方法。
  18. 前記熱は、誘導加熱を用いて別の金属体を加熱することによって発生する請求項1に記載の方法。
  19. グランドコートまたはカバーガラスコートで塗装された金属体と、前記金属を誘導加熱することによって、前記金属体を加熱する加熱コイルと、前記金属体を前記コイルに対して上下に移動させる手段と、を有する、金属体上にガラス層を適用する装置。
  20. グランドコートまたはカバーガラスコートで塗装される金属体と、当該金属体に対して上下に移動し、前記金属を誘導加熱することによって、前記金属体を加熱するコイルと、を有する、金属体上にガラス層を適用する装置。
  21. ガラスを重ねた金属体から錆および他の破片を除去する手段と、前記金属体に新たなガラス層または補修領域を適用する装置と、を有する、当該金属体を洗浄し補修するシステム。
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