JP2016522169A - 生理活性薬剤の制御された送達のための組成物 - Google Patents

生理活性薬剤の制御された送達のための組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、生理活性薬剤の制御された送達のための注射用組成物に関し、組成物は、生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマー、水性溶媒、及び生理活性薬剤を含んでなる。注射用組成物は、患者に投与された時点でin situで自然発生的なゲル化が可能であって、ゲルを形成し、これから有効な量の生理活性薬剤を7日間又はそれより多い期間にわたって放出することができる。

Description

[1]本発明は、生理活性薬剤の制御された送達のための注射用組成物に関する。注射用組成物は、生分解性非線形ポリマーを含んでなり、そして生理学的温度におけるゲル化が可能であって、長時間にわたる生理活性薬剤の制御された送達を提供するゲル化組成物を形成する。
[2]ポリマーゲルは、化学ゲル又は物理ゲルの分類に収まることができる。化学ゲルにおいて、ポリマーのネットワーク形成又はゲル化は、ポリマー鎖間の共有結合又は架橋の形成に関係する。このような場合の共有結合によるポリマー鎖の架橋は、結合の性質のために不可逆的であり、そして従って、ゲル(半固体又は固体)又はゾル(又は液体又は流動性物質)の復帰不可能である。化学ゲルと対照的に、物理ゲルは、最初、臨界ミセル濃度におけるミセルの形成、そしてその後の浸出した“ミセルネットワーク”へのミセルの凝集によるネットワーク形成による、ポリマー鎖の物理的結合によって形成される。物理ゲル中でゾルからゲルへの転換が起こる温度は、臨界ゲル化温度と呼ばれる。熱に反応する逆転ゲル化挙動を示す物理ゲルは、熱可逆性ゲルと呼ぶことができ、そしてポリマーの場合、これらは熱可逆性ポリマー(TRP)と呼ばれる。多くの天然及び合成のTRPが記載され、そしてその熱応答性挙動が調査されている(Jeong et al,Advanced Drug Delivery reviews,Vol 54,2002,37−51)。多くの合成TRPは、可逆性熱応答性ゲル化挙動を達成するために、規定された組成の規定された量のポリマーブロックを有することが要求される線形ブロックコポリマーに基づく。
[3]これらの中で、多くのものは、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(ポリ(NIPAM))又はエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのポリエーテルブロックコポリマー(ポロキサマー(poloxomer)又はPluronic(登録商標))、又はポリ(エチレングリコール)−b−ポリ(プロピレングリコール)−b−ポリ(エチレングリコール)(PEO−PPO−PEO)トリブロックに基づく。ポリ(NIPAM)に基づくTRPは、そのin vivoの毒性のために生物医学的適用に対して、受容不可能であることが見いだされている。ポリエーテルブロックコポリマーの誘導体に基づくTRPは、コポリマーの分子量によるが、生物医学的適用に受容可能であり得る。然しながら、ポリ(NIPAM)及びポロキサマーのクラスのポリマーの両方の主要な欠点は、生物学的環境におけるその相対的な非分解性である。ポロキサマーと共に形成されたゲルの、分子量の制限の結果としての低い機械的強度は、その使用を制約することができるもう一つの課題である。
[4]特に薬物送達適用のために、生分解性熱可逆性ポリマーを開発するための努力が行われている。然しながら、多くの生分解性TRPは、形成されたゲルのマトリックスの一貫性の欠如を経験し、インプラント後の不良な形状の保持又はin vivoの安定性の欠如を有し、或いは比較的短い時間にわたる薬物放出を与えることができる。
[5]ReGel(登録商標)として知られる独占所有権のある線形のABAブロックコポリマーは、薬物送達に有効であると報告されている、ポリ(乳酸/グリコール酸)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(乳酸/グリコール酸)(PLGA−PEG−PLGA)コポリマーで構成される生分解性TRPである。然しながら、ReGel(登録商標)に伴う制約は、その比較的短い薬物送達時間である。例えば、親水性生理活性薬物、例えば酵素及びタンパク質が、約15日でReGel(登録商標)から完全に放出されることが報告されている(J.Controlled Release,Vol 172,pg203,2001,J.Immunology,Vol.29,pg524,2006)。ReGel(登録商標)に伴う他の制約は、投与後の最初の48時間内の薬物の有意に拡散制御された突発放出、及び急速な薬物放出に導くポリマーの急速なin vivoの分解を含み、これは、酸性のPLGA断片の増加による、投与部位の直近のpHの望ましくない減少をもたらす。
[6]従来の技術の一つ又はそれより多い不都合に取り組む又は少なくともそれを寛解させる生理活性な薬剤の制御された送達のための注射用組成物を提供することが望ましいことでありものである。
[7]文書、行動、物質、装置、物品等の考察は、本発明のための状況を提供する目的のためのみに本明細書中に含まれる。いずれもの又は全てのこれらの事柄が、従来の技術の基礎の一部を形成するとか、又はそれが、本出願の各請求項の優先権の日付以前に存在したとして、本発明に関連する分野における共通の一般的知識であったことを、示唆又は表現するものではない。
Jeong et al,Advanced Drug Delivery reviews,Vol 54,2002,37−51; J.Controlled Release,Vol 172,pg 203,2001; J.Immunology,Vol.29,pg 524,2006。
[8]本発明は、生理活性薬剤の制御された送達のための注射用組成物を提供する。注射用組成物は、ゲル化が可能であって、注射後にin situでインプラントを形成する。インプラントは、生分解性であり、そして生理活性薬剤を、7日又はそれより多い期間にわたってインプラントから放出し、継続性生理活性効果を提供することができる。
[9]一つの側面において、本発明は:
・ 生分解性、熱可逆性、非線形のブロックコポリマー;
・ 水性溶媒;及び
・ 生理活性薬剤、
を含んでなる生理活性薬剤の制御された送達のための注射用組成物を提供し、ここにおいて、組成物は、液体として注射可能であり、そして液体は、生理学的温度でゲルに転換され、そしてここにおいて、ゲル化組成物は、少なくとも7日間の期間にわたる有効な量の生理活性薬剤の放出を提供する。
[10]一組の態様において、ゲル化組成物は、少なくとも14日間、好ましくは少なくとも28日間の期間にわたる有効な量の生理活性薬剤の放出を提供する。
[11]注射用組成物は、生分解性で熱可逆性の、非線形ブロックコポリマーを含んでなる。非線形ブロックコポリマーは、分岐、超分岐、櫛形、ブラシ状、星形、及び樹状からなる群から選択される構造を有することができる。一組の態様において、非線形ブロックコポリマーは、生分解性星形ブロックコポリマーである。
[12]生分解性で、熱可逆性の、星形のブロックコポリマーは、多価の中心核に接続し、そしてそれから伸長する複数のポリマーの腕を含んでなる。具体的な態様において、それぞれのポリマーの腕は、ブロックコポリマーを含んでなる。一つ又はそれより多い星形ブロックコポリマーの成分(例えば星形コポリマーの核及び/又は腕)は、生分解性である。
[13]生分解性で、熱可逆性の星形のブロックコポリマーは、式A(BC)のものであることができ、式中、Aは、n価の核であり、そしてB及びCの一つは、疎水性ブロックであり、そしてB及びCの他方は、親水性ブロックであり、そしてnは、整数であり、そして少なくとも3である。幾つかの態様において、nは、4から8までの範囲の整数である。
[14]BとCの重量比は、好ましくは10:1から1:10までの範囲である。幾つかの態様において、BとCの重量比は、6:1から約1:6まで、又は約3:1から約1:3までの範囲である。
[15]生分解性で、熱可逆性の非線形ブロックコポリマー中に存在する疎水性ブロックは、約500から約15,000まで、好ましくは約1000から約10,000まで、更に好ましくは約1500から約5000までの範囲の分子量を有することができる。
[16]生分解性で、熱可逆性の非線形ブロックコポリマー中に存在する親水性ブロックは、約100から約3000まで、好ましくは約250から約2000まで、更に好ましくは約200から約1500までの範囲の分子量を有することができる。
[17]一組の態様において、生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマーは、式A(BC)の生分解性の星形ブロックコポリマーであり、式中、Bは、疎水性ブロックであり、そしてCは、親水性ブロックである。例えば、Bは、生分解性ポリエステルを含んでなることができ、そしてCは、ポリエーテルを含んでなることができる。
[18]非線形ブロックコポリマー中に存在する生分解性ポリエステルは、D,L−乳酸、D−乳酸、L−乳酸、グリコール酸、ε−カプロラクトン、ε−ヒドロキシヘキサン酸、γ−ブチロラクトン、γ−ヒドロキシ酪酸、δ−バレロラクトン、δ−ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシ酪酸、リンゴ酸、マンデリン酸及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一つのモノマーの重合から形成することができる。
[19]一つの態様において、生分解性ポリエステルは、D,L−乳酸及びε−カプロラクトンの重合から得られる。従って生分解性ポリエステルは、D,L−乳酸及びε−カプロラクトンのコポリマーであることができる。このような態様において、生分解性ポリエステル中のD,L−乳酸とε−カプロラクトンのモル比は、90:10から10:90まで、好ましくは75:25から25:75までの範囲であることができる。
[20]生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマー中に存在することができるポリエーテルは、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、及びこれらのコポリマーから選択することができる。
[21]式A(BC)の星形ブロックコポリマーにおいて、ブロックB及びCは、連結基と共有結合的にカップリングすることができる。一つの形態において、連結基は、ジイソシアネートから誘導される。
[22]幾つかの態様において、星形ブロックコポリマーは、更なるブロック(D)を含んでなることができる。存在する場合、更なるブロック(D)は、一般的に星形ブロックコポリマーの腕中であるものである。
[23]一組の態様において、Dが存在する場合、星形ブロックコポリマーは、式A(BCD)のものであることができる。
[24]注射用組成物は、約50(重量/重量)%より多くない、好ましくは30(重量/重量)%より多くない非線形ブロックコポリマーを含んでなることができる。
[25]注射用組成物は、水性組成物であり、そして少なくとも50(重量/重量)%、好ましくは少なくとも60(重量/重量)%、そして更に好ましくは少なくとも70(重量/重量)%の水性溶媒を含んでなることができる。水性溶媒は、好ましくは水である。
[26]一組の態様において、注射用組成物は生理学的温度で、液体の形態の場合、そしてゲルの形態の場合、1ないし20Paの範囲の貯蔵弾性率を有する。
[27]注射用組成物は、患者中で治療的又は予防的効果を発揮することが可能である生理活性薬剤を含んでなる。生理活性薬剤は、親水性薬物、疎水性薬物、タンパク質及び抗体、ホルモン、遺伝子又は核酸、オリゴヌクレオチド、アンチセンス療法に対する活性剤(actives)、多糖及び他の糖、脂質、ガングリオシド、血管作動剤、向神経活性剤、抗凝固剤、免疫調節剤、抗癌剤、抗炎症剤、抗生物質 抗ウイルス剤、ワクチン、及びこれらの組合せからなる群から選択することができる。
[28]注射用組成物は、組成物の約0.01%から約20重量%までの範囲の量の生理活性薬剤の量を含んでなることができる。
[29]幾つかの態様において、注射用組成物は、更に、生理活性薬剤の放出の制御を向上する添加剤を含んでなる。一組の態様において、添加剤は多糖である。存在する場合、多糖は、キサンタンガム、ウェランガム、デキストラン、ジェラン、プルラン、グアーガム、ローカストビーン(beam)ガム、キチン、アルギン酸塩及びこれらの混合物からなる群から選択される。
[30]本発明は、制御されるべき作用の所望の部位における、生理活性薬剤の放出を可能にする。幾つかの態様において、生理活性薬剤の放出は、単一段階で起こる。他の態様において、生理活性薬剤の放出は、少なくとも二つの別個の、そして明確に異なる段階で、更に好ましくは三つの別個の段階で起こる。幾つかの態様において、ゲル化組成物からの生理活性薬剤の放出は、最初は、突発放出であり、続いて拡散制御放出である。幾つかの態様において、ゲル化組成物からの生理活性薬剤の放出は、最初は、突発放出であり、続いて拡散制御放出であり、そして最終的に分解制御下の放出である。
[31]もう一つの側面において、本発明は、患者の疾病又は疾患の予防或いは治療のための医薬の製造における、本明細書中に記載された態様のいずれか一つによる注射用組成物の使用に関する。
[32]更なる側面において、本発明は、疾病又は疾患を治療又は予防する、このような治療又は予防を必要とする患者における方法に関し、この方法は、患者に本明細書中に記載される態様のいずれか一つの注射用組成物を投与する工程を含んでなる。一組の態様において、この方法は、患者に組成物を投与するために、シリンジの管腔から組成物を注射することを含んでなる。
[33]本発明は、ここに、本発明の特定の態様を例示する付属する図面の図を参照して記載されるものであり、ここにおいて、
[34]図1は、(a)吸収性の親水性ブロック、生分解性の疎水性ブロック及び親水性ブロック及び疎水性ブロック間の連結基を含有する腕を有する星形ブロックコポリマー、並びに(b)強力なゲル化組成物の形成を容易にする末端の架橋可能な基を有する星形ブロックコポリマーを示す、本発明の組成物中に使用することができる非線形ブロックコポリマーの略図的態様である。 [35]図2は、貯蔵弾性率が、ゲル形成(ゾル−ゲル)中に増加する、星形ブロックコポリマー(P(LA75CL25−HDI−PEG(550)))を含有する組成物に対する温度及び弾性率間の相関関係、及び温度が減少するとゾルに戻るゲルの可逆性を示すグラフである。 [36]図3は、星形ブロックコポリマー(P(LA75CL25−HDI−PEG(550)))を含んでなる組成物、及び従来の技術の線形ポリマー(Pluronic F127及びReGel(登録商標))を含んでなる匹敵する組成物に対する、モデル薬物(リゾチーム)に対する短期放出研究の結果を例示するグラフである。 [37]図4は、星形ブロックコポリマー(P(LA75CL25−HDI−PEG(550)))、P(LA75CL25−HDI−PEG(350))を含んでなる組成物、及び従来の技術の線形ポリマー(ReGel(登録商標))を含んでなる匹敵する組成物に対する、モデル薬物(リゾチーム)に対する長期放出研究の結果を例示するグラフである。 [38]図5は、星形ブロックコポリマー(P(LA75CL25−HDI−PEG(550)))を含有する組成物からの、小分子薬物(薬物1:血小板阻害剤(ジピリダモール):薬物2抗癌性薬物(ドキソルビシン)に対する長期ざ放出研究の結果を例示するグラフである。 [39]図6は、13週後の、ジピリダモール及びドキソルビシンを伴う図5からの(P(LA75CL25−HDI−PEG(550)))のゲル化組成物の分解を証明する研究試料を示す写真である。
[40]本明細書を通して使用されるものである各種の用語は、当業者によって十分に理解されるものである意味を有する。然しながら、参照の容易さのために、それらの用語の幾つかがここに定義されるものである。
[41]用語“生理活性薬剤”は、本明細書中で使用される場合、治療的、予防的、生物学的、生理学的又は薬理学的効果を誘発するいずれもの化学的又は生物学的物質或いは化合物を指す。
[42]用語“生理学的温度”は、本明細書中で使用される場合、摂氏25−40度の範囲の温度を有する条件を指す。
[43]用語“生理学的条件”は、本明細書中で使用される場合、本明細書中に定義されるような生理学的温度及び5−8の範囲のpHを有する条件を指す。
[44]用語“生体適合性”は、物質に関して本明細書中で使用される場合、その物質が生組織と適合性であることを意味する。従って、物質は、生組織に対して毒性ではないか、又は少なくとも最小に毒性であり、そして生組織を損傷しないか、又は少なくとも最小に、そして修復的に損傷し;及び/又は生組織に免疫学的反応を起こさないか、又は少なくとも最小に、そして制御可能に起こす。
[45]用語“分解性”及び“生分解性”は、物質又は基(例えばポリマー、ポリマー上の部分、リガンド又はリンカー)に関して本明細書中で使用される場合、その物質又は基が、生理学的条件又は生物学的環境、例えば消化管の環境において分解、開裂又は断片化に対して感受性であることを意味する。このような分解、開裂又は断片化は、選択された生理学的又は生物学的条件下の、適当に不安定な又は分解性の部分の化学的分解により(例えば、加水分解又は還元により)起こることができる。ポリマー物質に関して使用される場合、用語“分解性”及び“生分解性”は、ポリマーの骨格の分子構造の一部を形成する適当に不安定な又は分解性の部分を示す。一つ又はそれより多いポリマー骨格中の分解性部分の開裂又は崩壊は、一般的に、モノマー及び/又は低分子量ポリマー断片への、ポリマーの断片化に導く。
[46]用語“注射用(注射可能)”は、患者への皮下、舌下、頬側、眼内、局所、又は筋肉内投与のための外科的注射針又はカテーテルにより注射することが可能であることを意味する。これは、特異的に静脈内投与を除外する。静脈内投与は、一般的に、組成物が小さい静脈又は動脈中で発生する遮断を起こしうる危険性のために回避される。注射可能は、本明細書中で使用される場合、更に、組成物が揺変性であり、そして室温の静的条件において高度に粘性であるか又は殆ど半固体であるが、しかし組成物の揺変性の特質による剪断によって流動性液体に転換されることができ、これが注射可能になることを可能にする状況を含むことを意図している。
[47]用語“有効な量”は、本明細書中で使用される場合、疾病、疾患、及び/又は症状に罹った又はそれに感受性である患者に、疾病、疾患、及び/又は症状の徴候(類)の開始を治療、診断、予防、及び/又は遅延するために投与される場合に、十分な量を意味する。生理活性薬剤の有効な量は、担当医師によって、慣用的な技術を使用し、そして類似の状況下で得られた結果を観察することによって決定することができる。有効な量の決定において、制約されるものではないが、動物の種、そのサイズ、年齢及び一般的健康状態、関係する具体的症状、症状の重篤度、治療に対する患者の反応、投与される特定の化合物、投与の様式、投与される製剤の生体利用性、選択される投与計画、他の医薬の使用及び他の関連する状況を含む多くの因子が考慮される。
[48]本発明は、生理活性薬物の制御された送達の提供において有用である注射用組成物に関する。
[49]一つの側面において、本発明は:
・ 生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマー;
・ 水性溶媒;及び
・ 生理活性薬剤;
含んでなる生理活性薬剤の制御された送達のための注射用組成物を提供し、ここにおいて、組成物は、液体として注射可能であり、そして生理学的温度でゲルに転換され、そしてここにおいて、ゲル化組成物は、少なくとも7日間の期間にわたる有効な量の生理活性薬剤の放出を提供する。
[50]本発明の注射用組成物は、ゲル化を受けて、有効な量の生理活性薬剤を一定の期間にわたり放出できるデポー(depot)を提供することが可能である。
[51]注射用組成物は、少なくとも7日間の期間にわたる有効な量の生理活性薬剤の放出を提供することが可能である。有効な量であると考えることができる放出される生理活性薬剤の量は、生理活性薬剤の種類及び性質、及び生理活性薬剤によって治療される症状、疾病又は疾患、或いは患者又は被験者によって変化することができる。
[52]幾つかの態様において、注射用組成物は、少なくとも10日間、少なくとも14日間、少なくとも21日間、少なくとも28日間、少なくとも約35日間、少なくとも約60日間、及び少なくとも約90日間からなる群から選択される期間にわたる、有効な量の生理活性薬剤の放出を提供することが可能である。
[53]幾つかの態様において、注射用組成物は、室温(概略20℃)では液体であり、そして温度が生理学的温度(ヒトで概略37℃)に増加されるに従い流動性液体状態(ゾル)から半固体状態(ゲル)に転換される。
[54]他の態様において、本発明の組成物は、揺変性であり(thixotopic)、そして室温(概略20℃)の静的条件下で粘性の液体又は殆ど半固体であることができる。揺変性組成物は、組成物の投与の時点で注射によって流動性液体状態(ゾル)に転換されることが可能である。例えば、組成物は、揺変性の挙動を示すことができ、これは、例えば注射針の管腔又はカテーテルの開口部を通って注射されるときの剪断によって、粘性の組成物が流動性液体になることを可能にする。流動性液体は、その後、温度が生理的温度(ヒトで概略37℃)に増加されるに従い半固体状態(ゲル)に転換される。
[55]患者の所望の部位への投与において、本発明の注射用組成物は、その後の制御放出のために生理活性薬物をカプセル化したゲルを伴うゲルに固化する。
[56]本発明の注射用組成物は、更に、熱可逆性挙動を示し、ここにおいて、組成物は、温度の減少に反応して固体の形態(ゲル)の形態から液体状態(ゾル)に戻ることができる。
[57]本発明の注射用組成物は、水性媒体中に分散された、生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマーを含んでなる。生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマーは、分岐、超分岐、櫛形、ブラシ状、星形及び樹状からなる群から選択される構造を有することができる。従来の技術の線形ブロックコポリマー、並びに幾つかの非線形ブロックコポリマー構造の例を、以下のスキーム1に示す。ゲル化は、コポリマー成分がミセルに自己組織化するのに従って起こる。ミセルは、今度は、温度の増加に反応して凝集して、ゲルネットワークの形成をもたらすことができる。
[58]生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマーは、少なくとも二つの異なった種類の繰返しサブユニット又はブロックを含んでなる。異なったブロックは、以下に記載するように、少なくとも二つの異なった種類のモノマーから誘導することができる。分解性の非線形ブロックコポリマーを構築するための二つ又はそれより多い異なったブロックの使用は、ポリマーの組成、構造及び分子量を改変及び制御することを好都合に可能にすることができる。
[59]本発明の注射用組成物に使用される、生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマーは、少なくとも一つの親水性ブロック及び少なくとも一つの疎水性ブロックを含んでなる。温度に反応するゾル−ゲル移行を起こすために、非線形ブロックコポリマー中の親水性及び疎水性ブロックの適当な均衡が存在することが必要である。ゾル−ゲル移行は、コポリマー中の親水性及び疎水性ブロックの比を調節することによって改変することができる。
[60]一つの形態によれば、生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマーは、生分解性星形ブロックコポリマーである。注射用組成物中で使用される生分解性星形ブロックコポリマーは、中心核から伸長する複数のポリマーの腕を有する。具体的な態様において、それぞれの生分解性星形コポリマーの腕は、ブロックコポリマーを含んでなる。それぞれの腕中に存在するブロックコポリマーは、二つ又はそれより多い異なった種類のブロックで形成される。幾つかの例示的なブロックコポリマーの腕は、以下で更に考察される。
[61]幾つかの態様において、生分解性星形ブロックコポリマーの腕は、それぞれ同一の組成を有する。他の態様において、生分解性星形ブロックコポリマーの少なくとも二つの腕は、異なった組成であることができる。
[62]注射用組成物中に使用される生分解性星形ブロックコポリマーは、少なくとも3本の腕を含んでなり、そして幾つかの態様において、4、6又は8本の腕を含んでなることができる。それぞれの腕は、先に記述したようなブロックコポリマーから構成され又はそれを含んでなる。
[63]幾つかの態様において、生分解性星形ブロックコポリマーは、式A(BC)のものであることができ、ここにおいて、Aは、n価の核であり、(BC)基は、星形ブロックコポリマーの腕であり、そしてnは、整数であり、そして少なくとも3である。このような態様において、nは、星形ポリマー中に存在するポリマー腕の数である。
[64]式A(BC)中の(BC)基は、少なくとも二つの異なったブロックを含んでなるブロックコポリマーの腕である。異なったブロックは、B基及びC基によって表される。一組の態様において、B及びCの一つは、疎水性ブロックであり、そしてB及びCの他方は、親水性ブロックである。
[65]幾つかの態様において、nは、4、6及び8からなる群から選択される整数である。このような態様において、星形ブロックコポリマーは、4、6又は8本の腕を含んでなることができる。星形ブロックコポリマーが最小3本の腕を有することが必要である。幾つかの態様において、腕の数の増加は、より多い腕は、増加した密度又は強度を伴うゲルネットワークを、或いはゲル化組成物中にカプセル化された生理活性薬剤の放出に対するより大きい制御を提供することを援助することができるために、好都合であることができる。腕の数が多ければ、分子量は高い、然しながらコポリマー複合体の全体のサイズ又は直径は小さい。より小さいミセルは、ゲル中により多い分散した微小構造の形成を援助し、薬物のより良好な分布を、従って線形分子で形成される構造と比較して、より良好なカプセル化及び生理活性薬剤の放出に対するより良好な制御を提供することができる。
[66]注射用組成物の一つの形態において、生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマー中の親水性及び疎水性ブロック間の均衡は、親水性及び疎水性ブロック間の重量比が、約10:1から1:10までの範囲であるようなものである。幾つかの態様において、親水性及び疎水性ブロック間の重量比は、約6:1から1:6まで、又は約3:1から約1:3までの範囲である。親水性及び疎水性ブロック間の重量比は、注射用組成物の物理的特質に、並びにそのゲル化挙動に影響することができる。
[67]それぞれの疎水性又は親水性ブロックのサイズ又は長さは、非線形ブロックコポリマーの流体力学的直径に影響することができる。これは、今度はその粘度及び/又は弾性率に影響することができる。例えば、より長いブロック及びより高い流体力学的直径は、より高い粘度を与えることができる。親水性及び疎水性の均衡は、更に、非線形ブロックコポリマーの流体力学的直径において役割を演じることができる。理論によって制約されることを望むものではないが、より多い親水性ブロックの存在が、より小さい直径に導くことができ、そして組成物中に含まれる生理活性薬剤に提供されるより大きい溶解性に導くことができると信じられる。
[68]生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマーが、式A(BC)の生分解性星形ブロックコポリマーである場合、星形ブロックコポリマー中のBとCの重量比は、10:1から1:10までの範囲であることができる。幾つかの態様において、BとCの重量比は、約6:1から約1:6まで、又は3:1から約1:3までの範囲であることができる。
[69]幾つかの態様において、生分解性星形ブロックコポリマーのそれぞれの腕中に存在する一つのブロックは、疎水性ブロックであり、一方、もう一つのブロックは、親水性ブロックであることができる。式A(BC)の生分解性星形ブロックコポリマーにおいて、Bは、疎水性ブロックであり、そしてCは、親水性ブロックであることができる。別の方法として、Bは、親水性ブロックであり、そしてCは、疎水性ブロックであることができる。
[70]生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマー中に存在する親水性ブロックは、親水性ポリマーを含んでなる。親水性ポリマーは、約100から約3000まで、約250から約2000まで、及び約200から約1500までからなる群から選択される範囲の分子量を有することができる。
[71]生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマー中に存在する疎水性ブロックは、疎水性ポリマーを含んでなる。疎水性ポリマーは、約500から約15,000まで、約1000から約10,000まで、及び約1500から約5000までからなる群から選択される範囲の分子量を有することができる。
[72]生理学的温度におけるゲル化に加えて、注射用組成物中に使用される非線形ブロックコポリマーは、更に生分解性である。これは、非線形ブロックコポリマーが、生分解性である少なくとも一つのブロックを含んでなり、そして少なくとも一つの生分解性部分を含んでなることを意味する。幾つかの態様において、非線形ブロックコポリマーの少なくとも一つのブロックは、複数の生分解性部分を含んでなる。生分解性部分が、選択された条件、例えば生理学的条件下で分解、開裂又は断片化に対して感受性であり、低分子量のポリマー断片の形成をもたらすことを、当業者は理解するものである。
[73]本発明の注射用組成物中に使用される非線形ブロックコポリマーは、生分解性であると同様に、生体適合性である。
[74]幾つかの態様において、生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマー中に存在する親水性及び疎水性ブロックの少なくとも一つは、生分解性である。
[75]幾つかの態様において、生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマーは、生分解性ブロックに加えて、少なくとも一つの非生分解性ブロックを含んでなることができる。例えば、親水性及び疎水性ブロックの一つは生分解性であり、一方、親水性及び疎水性ブロックの他方は生分解性でないことができる。このような態様において、非生分解性ブロックは、生体適合性なままである。
[76]一組の態様において、疎水性ブロックは、生分解性であり、そして従って、生分解性ポリマーを含んでなる。生分解性ポリマーは、生分解に対して感受性である連結、例えばエステル、アミド及び酸無水物結合を含んでなる。このような結合が、更に、生理学的条件下の加水分解による分解に対して感受性であり、患者によって容易に代謝することができる低分子量の分解産物を産生するか及び/又は患者の身体から通常の排泄経路を通って排除することができることを、当業者は理解するものである。
[77]幾つかの態様において、生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマー中に存在する親水性ブロックは、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチルオキサゾリン)、多糖又は炭水化物、例えばヒアルロン酸又はデキストランからなる群から選択される親水性ポリマーを含んでなることができる。
[78]幾つかの態様において、親水性ブロックは、ポリエーテルを含んでなる。例示的なポリエーテルは、C2−C3ジオールから誘導することができ、そしてポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、及びこれらのコポリマーからなる群から選択することができる。一組の態様において、親水性ブロックは、ポリ(エチレングリコール)(PEG)を含んでなる。PEGを含んでなる親水性ブロックは、非毒性及び生体適合性であり、そして患者の身体から容易に排除される利点を有する。親水性ブロックは、更に吸収性であることができる。
[79]式A(BC)の生分解性星形ブロックコポリマーにおいて、Cは、本明細書中に記載されるようなポリエーテルを含んでなる親水性ブロックであることができる。
[80]幾つかの態様において、生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマー中に存在する疎水性ブロックは、ヒドロキシ酸(例えば乳酸又はグリコール酸)、環式モノマー(例えばカプロラクトン)、アミノ酸、酸無水物、オルトエステル、ホスファゼン、リン酸塩、ポリヒドロキシ酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一つのモノマーから形成されるポリマーを含んでなることができる。疎水性ブロックは、疎水性であると同様に生分解性であるポリマーを含んでなることができる。
[81]幾つかの態様において、疎水性ブロックは、ポリエステルを含んでなる。ポリエステルは、生理学的環境において分解性であり、そしてポリエステルの組成及び/又は分子量を調節することによって制御された分解を提供するように調整することができる。一組の態様において、疎水性ブロックは、D,L−ラクチド、D−ラクチド、L−ラクチド、D,L−乳酸、D−乳酸、L−乳酸、グリコリド、グリコール酸、ε−カプロラクトン、ε−ヒドロキシヘキサン(hexonoic)酸、γ−ブチロラクトン、γ−ヒドロオキシ酪酸、δ−バレロラクトン、δ−ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシ酪酸、リンゴ酸、マンデリン酸及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一つのモノマーから形成されるポリエステルを含んでなる。このようなモノマーから形成されるポリエステルが、加水分解による分解に感受性である分解性エステル部分を含んでなることを、当業者は理解するものである。加水分解は、環境条件の変化(例えば、pHの変化)によって、又は酵素の作用(酵素仲介加水分解)によって仲介することができる。
[82]幾つかの態様において、疎水性ブロックは、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(カプロラクトン)、及びこれらのコポリマーからなる群から選択されるポリエステルを含んでなる。コポリマーの例は、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)及びポリ(乳酸−co−カプロラクトン)を含む。
[83]一組の態様において、疎水性ブロックは、D,L−乳酸及びε−カプロラクトンの重合から形成されるポリエステルを含んでなる。このような態様において、疎水性ブロックは、ポリ(乳酸−co−カプロラクトン)であるポリエステルコポリマーを含んでなる。このような態様において、ポリエステルコポリマー中の乳酸とカプロラクトンのモル比は、90:10から10:90まで、好ましくは75:25から25:75までの範囲であることができる。
[84]式A(BC)の生分解性星形ブロックコポリマーにおいて、Bは、本明細書中で記載するようなポリエステルを含んでなる疎水性ブロックであることができる。
[85]一つの態様において、生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマーは、式A(BC)の生分解性星形ブロックコポリマーであり、ここで、Bは、ポリエステルを含んでなり、そしてCは、ポリエーテルを含んでなる。例示的なポリエステル及びポリエーテルは本明細書中に記載されている。
[86]生分解性星形ブロックコポリマー上のそれぞれの腕上に存在するブロックは、連結基を経由して互いに接続することができる。連結基は、一つのブロックをもう一つのブロックと共有結合的に結合する二価の基であることができる。生分解性星形ブロックコポリマーが式A(BC)のものである場合、B及びCは、連結基を経由して接続することができる。非線形ブロックコポリマー中に存在する連結基は、適した連結化合物、例えばジイソシアネート、例えば、ジイソシアン酸ヘキサメチレン(HDI)から誘導することができる。
[87]星形コポリマーの腕中に存在する異なったブロック(例えばB及びC)を、連結基を経由して互いに接続するために、異なったブロックは、連結基を提供する適した連結化合物と反応することが可能な末端反応性官能基を含んでなることが必要である。それぞれの異なったブロック上に存在する末端官能基(例えば、ヒドロキシル基)の、連結化合物との反応は、連結化合物から誘導される連結基を経由するブロックの共有結合をもたらす。当業者は、異なったブロック中に存在する末端官能基の特質を考慮し、同様に連結化合物によって保有されることができるいずれもの所望の物理的特質を有する適当な連結化合物を選択することが可能であるものである。
[88]幾つかの態様において、連結基を形成するために使用される連結化合物は、星形コポリマーの腕を形成するために使用される、異なったブロック上に存在する末端反応性官能基と相補的である官能基を有する、適した多機能性化合物であることができる。多機能性連結化合物は、少なくとも二つの反応性官能基を含んでなる。幾つかの態様において、連結化合物は、三つ、四つ又はそれより多い反応性官能基を含んでなることができる。一組の態様において、連結化合物は、二官能性であり、そして二つの反応性官能基を含んでなる。
[89]“相補的”であることは、一つの分子(例えば連結化合物)上の官能基が、もう一つの分子(例えばポリマーブロック)上に存在する官能基と共有結合的に反応し、二つの分子間の共有結合の形成をもたらすことが可能であることを意味する。
[90]多機能性連結化合物上に存在する官能基は、それぞれの出現において独立に選択することができる。
[91]幾つかの態様において、連結化合物上に存在する官能基は、それぞれ、ヒドロキシ(OH)、カルボン酸(COOH)、カルボン酸エステル(COOR)、カルボン酸ハロゲン化物(COX)、アミノ(NR)及びイソシアネート(NCO)からなる群から独立に選択することができ、ここで、RはC−Cアルキルであり、Xはハロであり、そしてF、Cl、Br及びIからなる群から選択され、そしてR及びRは、それぞれ独立にH及びC−Cアルキルからなる群から選択される。
[92]幾つかの態様において、連結化合物は、連結化合物の官能基がそれぞれ同一の種類(例えば全てイソシアネート官能基)であるホモ官能性である。他の態様において、連結化合物は、ヘテロ官能性であり、そして二つ又はそれより多い異なった種類の官能基の混合物(例えばアミノ及びヒドロキシ官能基の混合物)を含んでなることができる。
[93]一組の態様において、連結基は、二官能性連結化合物から誘導することができる。例えば、連結基は、ジオール、二カルボン酸、二カルボン酸エステル、二カルボン酸ハロゲン化物、ジアミン、ジアミド、ジチオール及びジイソシアネートからなる群から選択される連結化合物から誘導することができる。
[94]幾つかの態様において、連結基は、開環が可能な環式化合物から誘導することができる。例えば、二価の連結基は、環式酸無水物又は環式イミド、例えば無水コハク酸又はスクシンイミドから誘導することができる。このような態様において、ブロック上に存在する官能基は、環式化合物と共有結合的に反応し、環式化合物の開環及び開環化合物上の官能基の発生をもたらすことができる。開環化合物上に形成された官能基は、その後、もう一つのブロックと、そしてこの様式で反応し、二つの隣接するブロックを一緒に共有結合的に結合することが可能である。
[95]生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマーが、生分解性星形ブロックコポリマーである場合の特定の態様において、二価の連結基は、星形ブロックコポリマーのそれぞれの腕のB及びC基を共有結合的に結合することができる(図1bを参照されたい)。連結基は、本明細書中に記載したように、二官能性の連結化合物又は環式化合物から誘導することができる。一組の態様において、連結基は、ジイソシアネートから誘導することができる。ジイソシアネートの例は、ジイソシアン酸ヘキサメチレン(HDI)、ジイソシアン酸トルエン(TDI)、ジイソシアン酸メチレンビスフェニル(MDI)及びジイソシアン酸エチルリシン(ELDI)を含む。
[96]具体的な態様において、連結基は、ジイソシアネート連結化合物、更に具体的にはジイソシアン酸ヘキサメチレン(HDI)から誘導される。HDIのような連結化合物は、これがその末端の終端において非常に反応性であり、強烈な反応条件を必要とせず、そして反応を可能にするために試薬を必要としないために、連結基を提供するために有用である。イソシアネートは、その反応性及びきれいな産物を与えるために、使用が非常に好都合である。HDIの骨格は、更に直鎖炭化水素(ヘキサン)からなり、これは性質上疎水性であり、そして6個のSP3混成炭素原子のために高い程度の回転を有する。非線形ブロックコポリマーが星形ブロックコポリマーである場合、連結基の存在によって与えられるより長い炭素−炭素鎖及びその回転の高い程度は、星形コポリマーの腕の可動性を増加することができ、これは、ゾル−ゲル転移中の必要な高次構造(confirmation)の容易な適合を支持する。原理的に分子に構築されたこのような特質は、ゾルからゲルへの、更に規定され、そして迅速な相変化に導く腕に沿った迅速な、そして制限されない動きを可能にすることができる。
[97]連結基を含んでなる生分解性星形ブロックコポリマーは、式A(BLC)のものであることができ、ここで、Aは、n価の核であり、B及びCの一つは、親水性ブロックであり、一方B及びCの他方は、疎水性ブロックであり、Lは、連結基であり、そしてnは、核から伸長する腕の数であり、そして少なくとも3である。親水性ブロック、疎水性ブロック及び連結基(L)の例は、本明細書中に記載されている。
[98]式A(BC)の生分解性星形ブロックコポリマーにおいて、n価の核(A)は、適当に官能化された多価化合物から誘導することができる。
[99]一組の態様によれば、Aは、ペンタエリスリトール、或いはペンタエリスリトールのダイマー又はトリマーから誘導される。nが4、6又は8である、n価の核の例を、以下に示す:
[100]一組の態様において、本発明の注射用組成物中に使用される生分解性星形ブロックコポリマーは、以下の式(I)、(II)又は(III)の構造を有することができる:
[101]同じ種類及び配列の、類似の分子量のポリマーブロックを含んでなることが、生分解性星形ブロックコポリマーのそれぞれの腕のために、望ましいことであることができる。
[102]幾つかの態様において、生分解性星形ブロックコポリマーは、ポリマーのそれぞれの腕に更なるブロック(D)を含んでなることができる。このような態様において、星形ブロックコポリマーは、式A(BCD)のものであることができる。更なるブロック(D)の組成は、星形ブロックコポリマーに更なる官能性(例えば、架橋可能な基の導入)を提供するか、又は星形ブロックコポリマーの物理的特質(例えば、ゲル化動態又は適合性)を制御する更なる手段を提供するために選択することができる。
[103]生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマーが、生分解性星形ブロックコポリマーである場合、幾つかの態様において、星形コポリマーは、多官能性核化合物を、一つ又はそれより多いモノマーを含んでなるモノマー組成物と、モノマーの重合及び核への複数の最初のポリマーブロックの共有結合的接続を可能にする条件下で反応させることによって調製することができる。幾つかの態様において、多官能性核化合物は、モノマーの重合を開始して、最初のポリマーブロックの核への共有結合的接続をもたらすことができる。最初のブロックは、それぞれ星形ブロックコポリマーの腕の一部を形成する。
[104]一組の態様において、この方法は、n価の核を、一つ又はそれより多いモノマーと、縮合重合の条件下で反応させて、n価の核に共有結合的に接続した複数の最初のブロックを含んでなる中間分子を提供する工程を含んでなることができる。中間体分子は、式A(B)のものであることができ、ここで、Aは、n価の核であり、Bは、最初のブロックであり、そしてnは、核に接続された最初のブロックの数であり、そして少なくとも3の整数である。
[105]もう一つの組の態様において、所望の組成のポリマーブロックは、事前形成し、次いでその後、多官能性核化合物と反応させて、事前形成ポリマーブロックの核化合物への共有結合的接続をもたらすことができる。核化合物に接続されたポリマーブロックは、最初のポリマーブロックを形成する。好ましくは、複数の最初のポリマーブロックが核に接続される。
[106]存在する最初のブロックは、それぞれ末端官能基を含んでなることができる。末端官能基は、適した連結化合物との共有結合反応に関与することが可能であって、最初のブロックの終端に対する連結基前駆体を形成することができる。一つの形態によれば、末端官能基は、ヒドロキシ(OH)及びアミノ(NR、ここでR及びRはH及びC−Cアルキルからなる群からそれぞれ独立に選択される)からなる群から選択することができる。
[107]例示的な態様において、それぞれの最初のブロックは、ポリエステルを含んでなることができる。ポリエステルは、本明細書中に記載したように、ヒドロキシ酸モノマー及び/又は環式モノマーの、縮合重合条件下の重合から形成することができる。最初のブロックがポリエステルを含んでなる場合、ヒドロキシ基(OH)は、最初のブロックの末端官能基として存在することができる。
[108]次いで、最初のブロックは、所望の組成の事前形成ブロックとカップリングされて、最初のブロックへの後続のブロックの接続、及び生分解性星形コポリマーのそれぞれの腕中のブロックコポリマーの形成をもたらすことができる。Bが最初のブロックである場合の態様において、Bは、C基によって表される後続のブロックにカップリングして、式(BC)のブロックコポリマーを形成することができる。得られる星形ブロックコポリマーは、その結果、式A(BC)のものであり、ここで、星形コポリマーのそれぞれの腕は、ブロックコポリマーを含んでなる。
[109]事前形成されたブロックは、好ましくは末端官能基を含んでなり、これは、相補的官能基との共有結合反応に関与することが可能であって、後続のブロックが最初のブロックとカップリングすることを可能にする。幾つかの態様において、後続のブロックは、ポリエーテルを含んでなる。ポリエーテルは、末端ヒドロキシ基を含んでなることができる。ヒドロキシ基は、相補的官能基、例えばカルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸ハロゲン化物及びイソシアネート基と反応することが可能である。
[110]一組の態様において、最初のブロックは、後続のブロックと直接カップリングすることができる。このような態様において、最初のブロックの両方に存在する末端官能基は、後続のブロックを形成する事前形成ブロック上に存在する官能基と相補的であることができる。
[111]もう一つの組の態様において、最初のブロック及び後続のブロックは、連結基を経由してカップリングすることができる。連結基は、適した連結化合物から誘導することができる。連結化合物の例は、本明細書中に記載されている。このような態様において、最初のブロック上に存在する末端官能基は、連結化合物と反応し、最初のブロックの終端で連結基前駆体の共有結合的接続をもたらす。得られた連結基は、官能基を含んでなる。連結基前駆体の官能基は、後続のブロックを提供するために選択される事前形成ブロック上に存在する官能基に対して相補的である。連結基前駆体の官能基の事前形成ブロックの官能基との反応は、後続のブロックの接続をもたらす。この様式において、最初のブロック及び後続のブロックは、連結基を経由して一緒にカップリングされる。
[112]一組の態様において、連結化合物は、最初のブロック上に存在する官能基に対して相補的である官能基を含んでなる多機能性連結化合物である。最初のブロックが末端官能基としてヒドロキシ基を含んでなる場合の態様において、多官能性化合物は、カルボン酸(COOH)、カルボン酸エステル(COOR、ここで、RはC−Cアルキルである)、カルボン酸ハロゲン化物(COX、ここで、Xはハロ、例えばF、Cl、Br及びIである)及びイソシアネート(NCO)からなる群から選択される相補性官能基を含んでなることができる。一つの態様において、多官能性連結化合物は、ジイソシアネートである。イソシアネート基は、最初のブロック及び後続のブロック上に存在するヒドロキシ基と反応することが可能である。
[113]もう一つの組の態様において、連結化合物は、最初のブロック上に存在する末端官能基との共有結合的反応において開環することが可能である環式化合物であることができる。使用することができる環式化合物の例は、環式酸無水物及び環式イミド、例えば無水コハク酸又はスクシンイミドを含む。開環された化合物は、最初のブロックの末端の終端において連結基を形成する。例えば、無水コハク酸は、開環を受けて、末端のカルボン酸官能基を有するエチレン(C)連結基を提供することが可能である。末端カルボン酸基は、事前形成ブロック上の相補的官能基との共有結合的反応を受けて、これにより後続のブロックを接続することが可能である。
[114]生分解性星形ブロックコポリマーを合成するための一つの方法を、以下のスキーム2に示す。
[115]上記に例示するように、多官能性核化合物のペンタエリスリトール(ポリオール)は、乳酸及びカプロラクトン(ヒドロキシ酸モノマー)の混合物を含んでなるモノマー組成物と反応させて、ポリ(乳酸−co−カプロラクトン)を含んでなる4個の最初のブロックを、ペンタエリスリトール核に共有結合的に結合することができる。次いで、ジイソシアネート連結化合物のジイソシアン酸ヘキサメチレン(HDI)を、ポリ(乳酸−co−カプロラクトン)ブロックと反応させて、それぞれのポリ(乳酸−co−カプロラクトン)ブロック末端の終端においてイソシアネート官能基を有する連結基を提供する。次いで、連結基のイソシアネート基は、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルを含んでなる事前形成ブロックと共有結合的に反応して、ポリ(エチレングリコール)を含んでなる後続のブロックを、それぞれの最初のポリ(乳酸−co−カプロラクトン)ブロックに共有結合的に結合する。
[116]幾つかの態様において、生分解性星形ブロックコポリマーは、更なるブロック(D)を含んでなり、そして式A(BCD)のものであることができる。所望する場合、更なるブロック(D)は、ブロックC上に存在する末端官能基を、更なるブロック(D)上の相補的末端官能基と、CをDに接続するために共有結合的に反応させることによって星形ブロックコポリマーのそれぞれの腕に導入することができる。他の態様において、ブロックCは、Dとのカップリングの前に、ブロックCの終端における連結基を提供するために改変することができる。連結基は、末端官能基を含んでなることができ、これは、更なるブロック(D)中に存在する相補的官能基と反応し、連結基を経由するDのCへの共有結合的カップリングをもたらすことができる。
[117]幾つかの態様において、生分解性星形ブロックコポリマーは、一つ又はそれより多い腕の末端において架橋可能な基を更に含んでなることができる。架橋可能な基は、星形ブロックコポリマーの分子が、組成物の投与後、共有結合的に架橋されることを可能にし、患者に投与された時点で、液体状態に戻ることができない組成物に導く。従って、これらは、注射可能であり、そして投与後ゲルになる目的のために熱可逆性組成物であるが、一旦ゲル化及び架橋された時点で、これらは、“可逆性”挙動をもはや示さない。当技術において既知の化学的又はイオン的に架橋可能な基を、使用することができる。幾つかの態様において、架橋可能な基は、フリーラジカル条件下で重合可能である。このような態様において、架橋可能な基の重合は、可視又は紫外線照射による光重合開始後、又は熱の適用による熱重合開始後に起こることができる。架橋可能な基のこの活性化及び重合は、組成物の投与後に起こる。使用することができる架橋可能な基の例は、不飽和基、例えばビニル基、アリル基、コハク酸塩、アクリル酸塩、ジアクリル酸塩、オリゴアクリル酸塩、メタクリル酸塩、ジメタクリル酸塩、オリゴメタクリル酸塩、又は他の生物学的に受容可能な重合可能な基を含む。これが形成された後のゲル化組成物を架橋する能力は、投与領域又は組成物が注射される欠損にサイズ及び形状的に相補的である強力にゲル化された組成物の形成を容易にする。
[118]他の構造、例えば分岐、超分岐、櫛形、ブラシ状及び樹状構造を有する、生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマーは、更に、本発明の注射用組成物中に使用することができる。このような構造の非線形ブロックコポリマーは、関連技術において既知の慣用的な技術を使用して、当業者によって調製することができる。使用することができる合成のプロトコルの幾つかの例は、Reactive and Functional Polymers,71,245−253,2011中に記載されている。
[119]本発明の態様において、注射用組成物は、約3%から約50重量%までの、生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマーを含んでなる。幾つかの態様において、注射用組成物は、約5%から約40%まで、又は約10%から約30重量%までの非線形の生分解性ブロックコポリマー含んでなることができる。コポリマーと共に実行可能なゲルの相転移を得るために、一定の最低濃度、例えば3重量%、が必要である。幾つかの態様において、より強い又はより安定なゲルネットワークを形成することができるように、より高いポリマー濃度が好ましいものであることができる。
[120]非線形ブロックコポリマー、例えば星形ブロックコポリマーの使用に伴う一つの利点は、高いポリマー含有率を含んでなり、それにもかかわらずなお流動性で、そして注射可能である組成物を形成することが可能であることである。生分解性星形ブロックコポリマーの事例において、多数の腕のポリマー構造は、類似の分子量の対応する線形ポリマーを含んでなるポリマー溶液のものより、低い粘度を有するポリマー溶液を調製することを可能にする。より低い粘度は、狭い制限、例えば狭いゲージ番号の注射針を通る組成物の注射の可能性を改良することができる。一組の態様において、本発明の組成物が、28番ゲージの注射針を通して注射可能であることが望ましい。一組の態様において、本発明の注射用組成物は、液体の形態である場合、約0.001から2Pa・sまでの範囲の粘度を有し、対応する貯蔵弾性率は、そのゲル様特質を反映する。
[121]非線形ブロックコポリマー、例えば星形ブロックコポリマーの使用に伴う一つの他の利点は、注射用組成物中により高いポリマー固体の含有量を組込む能力のために、より安定なゲル構造を達成することができることである。例えば、文献の報告は、通常のミセル構造は、類似の分子量の線形ポリマーと比較して、星形ポリマーと共により容易に形成されることができることを示唆している(J.Polym.Sci.Part A,2006,44,pages 888−899)。理論に制約されることを望むものではないが、星形ポリマーによって得ることができる更に均一なミセル構造が、その後、本発明の組成物中の生理活性薬剤の分散及びカプセル化を援助するゲルの微小構造の形成を補助することができ、そして生理活性薬物の放出の制御を改善することを可能にすると信じられる。
[122]本発明の注射用組成物は、更に、水性溶媒を含んでなる。水性溶媒は、水、又は医薬的に受容可能な水溶性溶媒との混合物中の水であることができる。医薬的に受容可能な水溶性溶媒の例は、エタノールである。
[123]注射用組成物は、約50%から約97(重量/重量)%までの水性溶媒を含んでなることができる。一組の態様において、注射用組成物は、高い比率の水性溶媒、例えば少なくとも60%、又は少なくとも約70重量%の溶媒を含んでなる。
[124]注射用組成物が水を含んでなる場合、得られるゲル化組成物は、幾つかの態様においてヒドロゲルであると考えられる。
[125]生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマーが、得られた注射用組成物が、コポリマーの僅かな明白な相分離を伴い、又はそれを伴わずに、均一であるように水性溶媒中に可溶性であることが好ましい。
[126]本発明の注射用組成物は、更に、生理活性薬剤を含んでなる。生理活性薬剤は、疾病又は疾患の治療或いは予防において使用するための、ある範囲の生理活性薬剤又は医学的に有用な薬剤或いは全ての種類のワクチンから選択することができ、そして本発明は、具体的な生理活性薬剤に制約されるものではない。本発明の注射用組成物中に組込まれ、そしてそれによって送達することができる生理活性薬剤の例は、Merck Index、the Physicians Desk Reference、及びThe Pharmacological Basis of Therapeuticsのような参考文献中に記載されている。これらは、親水性薬物、疎水性薬物、タンパク質又は抗体、ホルモン、遺伝子、又は核酸、オリゴヌクレオチド、アンチセンス療法の活性剤、多糖及び他の糖、脂質、ガングリオシド、血管作動剤、向神経活性剤、抗凝固剤、免疫調節剤、抗癌剤、抗炎症剤、抗生物質 抗ウイルス剤及びワクチンを含む。
[127]幾つかの態様において、生理活性薬剤は、抗癌剤、例えばアクチノマイシンD、アナストロゾール、アザシチジン、ベバシズマブ、ビカルタミド、ブレオマイシン、BCNU、ボルテゾミブ、カンプトテシン、カペシタビン、カルボプラチン、セツキシマブ、ダウノルビシン、ダサチニブ、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エルロチニブ、エキセメスタン、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゴセレリン、イマチニブ、STI−571、イリノテカン、ラパチニブ、レトロゾール、ロイプロリド、メトトレキセート、マイトマイシン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、リツキシマブ、ソラフェニブ、スニチニブ、タモキシフェン、タキソテール、テガフール−ウラシル、テモゾロミド、トラスツズマブ、トリプトレリン、ビノレルビン、ポルカバジン、ダカルバジン、アルトレタミン、ジスプラチン、メルカプトプリン、チオグアニン、フルダラビンリン酸塩、クラドリビン、ペントスタチン、フルオロウラシル、シタラビン、アザシチジン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エトポシド、テニポシド、トポテカン、ダクチノマイシン、イダルビシン(idarubincin)、プリカマイシン、フルタミド、ロイプロリド、ゴセレリン、アミノグルテチミド、アムサクリン、ヒドロキシ尿素、アスパラギナーゼ、ミトキサントロン、ミトタン、レチノイン酸誘導体、骨髄増殖因子アミホスチン、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、抗−VEGF剤等;統合失調症治療剤、例えばオランザピン及びジプラシドン;抗細菌剤、例えばセフォキシフェン;駆虫剤、例えばイベルメクチン;抗ウイルス剤、例えばアシクロビル;免疫抑制剤、例えばシクロスポリンA(環式ポリペプチド型薬剤)、ステロイド、及びプロスタグランジン;心血管治療薬、例えばジピリダモール、及びエプチフィバチドからなる群から選択することができる。
[128]幾つかの態様において、生理活性薬剤は、小さい分子であることができる。このような生理活性薬剤は、2000Daより多くない、約1500より多くない、又は約1000Daより多くない分子質量を有することができる。
[129]幾つかの態様において、生理活性薬剤は、大きい分子であることができる。このような生理活性薬剤は、2kDaより多い、5kDaより多い、10kDaより多い、50kDaより多い、又は100kDaより多い分子質量を有することができる。
[130]ポリペプチド及びタンパク質薬物は、更に、患者への送達のための注射用組成物中の包含のために特に適していることができる。医薬的に有用なポリペプチド及びタンパク質の例は、エリスロポエチン、フォリスタチン、オキシトシン、バソプレシン、副腎皮質刺激ホルモン、上皮増殖因子、血小板由来増殖因子(PDGF)、プロラクチン、ルリベリン、黄体化ホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRHアゴニスト、LHRHアンタゴニスト、成長ホルモン(ヒト、ブタ、ウシ、等)、成長ホルモン放出因子、インスリン、ソマトスタチン、グルカゴン、インターロイキン−2(IL−2)、インターフェロン−α、β、又はγ、ガストリン、テトラガストリン、ペンタガストリン、ウロガストリン、セクレチン、カルシトニン、エンケファリン、エンドルフィン、アンギオテンシン、甲状腺ホルモン放出ホルモン(TRH)、腫瘍壊死因子(TNF)、神経成長因子(NGF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、ヘパリナーゼ、骨形成タンパク質(BMP)、hANP、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、インターロイキン−11(IL−11)、レニン、ブラジキニン、バシトラシン、ポリミキシン、コリスチン、チロシジン、グラミシジン、シクロスポリン又は合成類似体、修飾及び薬理学的に活性なその断片、酵素、サイトカイン、抗体又はワクチンであることができる。
[131]本発明の注射用組成物は、適した量の生理活性薬物を含んでなる。幾つかの態様において、注射用組成物は、約0.01%から約20重量%までの生理活性薬物を含んでなる。然しながら、注射用組成物中に組込まれる量は、生理活性薬剤の性質に依存するものであることを当業者は理解するものである。注射用組成物は、従来の技術の薬物送達組成物と比較して、より低い濃度の生理活性薬剤を含有することができる。
[132]本発明の注射用組成物の一つの利点は、多くの生理活性薬剤の溶解性を増加する非線形ブロックコポリマーの能力である。本発明の注射用組成物中に使用される生分解性星形ブロックコポリマーは、疎水性ブロック(一つ又は複数)及び親水性ブロック(一つ又は複数)の組合せを有し、これは、明確な疎水性及び親水性領域を提供し、そしてブロックコポリマーを両親媒性にする。親水性及び疎水性領域の存在は、組成物中の親水性又は疎水性の生理活性薬剤のそれぞれの安定化及び可溶化を補助することができる。疎水性生理活性薬剤、例えばパクリタキセルにおいて、薬物の溶解性(そして従ってその最終的な生体利用性)を増加する能力は、患者へのその送達を援助することができる。
[133]幾つかの態様において、本発明の注射用組成物は、更に、一つ又はそれより多い賦形剤(例えば緩衝塩)、添加剤及び/又はアジュバントを含んでなることができる。賦形剤、添加剤又はアジュバントは、一般的にゲルネットワークの形成に寄与しないものであるが、しかし生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマーの親水性又は疎水性領域のいずれかに関係し、そして従って、その領域の特質を向上し、そして組成物の特質、例えば粘度、注射性、貯蔵弾性率の一貫性に影響することができる。注射用組成物中に存在する賦形剤、添加剤又はアジュバントは、更に、生理活性薬剤の溶解性を向上することを援助することができる。
[134]幾つかの態様において、注射用組成物は、多糖、ポリエーテル、及びこれらの混合物からなる群から選択される添加剤を含んでなることができる。多糖及びポリエーテルは、一般的に非毒性及び親水性であり、そして生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマーの親水性領域と結合する。親水性領域における添加剤、例えば多糖及び/又はポリエーテルの分割は、生理活性薬物の更なる制御放出を援助することを補助することができる。これに関して、多糖及び/又はポリエーテルは、本発明のゲル化組成物からの生理活性薬剤の放出を制御する能力を促進する放出制御添加剤であると考えることができる。注射用組成物中の添加剤の包含は、更に、幾つかの態様のゲル化組成物の一貫性を改善することを援助することができる。
[135]例示的な多糖は、制約されるものではないが、キサンタンガム、ウェランガム、デキストラン、ジェラン、プルラン、グアーガム、ローカストビーンガム、キチン、アルギン酸塩を含む。
[136]例示的なポリエーテルは、ポリ(エチレングリコール)(PEG)である。ポリ(エチレングリコール)は、200から3000までの範囲の分子量を有することができる。幾つかの態様において、ポリエーテルは、350、550、750、1000及び2000からなる群から選択される分子量を有するポリ(エチレングリコール)(PEG)である。
[137]注射用組成物の調製において、生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマーは、水性溶媒中に分散されて、ブロックコポリマーを含んでなる溶液を形成する。次いで生理活性薬剤を、ポリマー含有溶液に加え、そして混合することができる。組成物中に賦形剤、添加剤及び/又はアジュバントが使用される場合、賦形剤、添加剤又はアジュバント或いはこれらの混合物は、生理活性薬物が溶液中で混合される前、又はその後に溶液に加えることができる。
[138]幾つかの態様において、生理活性薬剤は、生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマー混合される前に、生理活性薬剤を調整する処理工程を受けることができる。生理活性薬剤の処理は、そのコポリマーとの相互作用を向上することを援助することができる。一つの形態において、生理活性薬剤は、最初、超音波処理、次いで加熱、そして次いで冷却によって処理される。コポリマーとの改善された相互作用、例えばコポリマーマトリックス中の生理活性薬剤のより均一な分散又はより大きい絡み合いは、生理活性薬物の継続送達を援助することができる。生理活性薬剤の処理は、生理活性薬剤が10kDaより多い分子量を有する医薬的に有用なタンパク質又はペプチドである場合、特に有益であることができる。
[139]幾つかの態様において、生理活性薬剤を含んでなる注射用組成物は、生理活性薬剤の、生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマーとの混合及び相互作用を向上する処理工程を受けることができる。一つの形態において、注射用組成物は、超音波処理、次いで加熱、そして次いで冷却によって処理されて、生理活性薬剤の非線形ブロックコポリマーとの相互作用を促進する。
[140]幾つかの態様の注射用組成物は、室温(概略20℃)で液体であり、そして患者に組成物を投与するために室温で注射することができる。注射は、生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマーが低い粘度を有するために可能であり得る。
[141]もう一つの組の態様において、注射用組成物は、室温(概略20℃)における静的条件下で、粘性の液体であることができる。先に考察したように、このような注射用組成物は、組成物が剪断にかけられた場合、例えば組成物が注射針又はカテーテルの管腔を通って注射される場合、組成物が流動性液体に転換されることが可能であるように、揺変性であることができる。
[142]注射用組成物の投与は、ある範囲の外科的技術又はデバイスを使用して達成することができる。外科的技術又はデバイスが、最小に侵襲性であることが好ましい。例えば、注射用組成物は、概略0.2mm(28番ゲージ)又はそれより小さい内径を持つカテーテル送達系又は小さいゲージの注射針によって所望の部位に投与することができる。注射用組成物を最小に侵襲的な技術で投与する能力は、患者によって経験されることができる機械的刺激又はトラウマを有意に減少し、そして患者の遵守及び送達の容易さを援助することができる。
[143]患者の所望の部位に投与された時点で、注射用組成物は、生理学的温度で自然発生的にゲル化して、ゲル化組成物をin situで形成する。ゲル化組成物は、注射用組成物中に含有される生理活性薬剤をカプセル化する。注射用組成物の自然発生的ゲル化は、注射用組成物中に存在する、生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマーのミセルへの自己組織化の結果として起こり、これは、その後、凝集して、ゲルネットワークを形成する。好ましいブロックコポリマーは、本明細書中に記載されるような生分解性星形ブロックコポリマーである。ゲル化組成物は、投与の部位でインプラントを形成することができる。
[144]一組の態様において、本発明の注射用組成物は、液体の形態及び生理的温度のゲルの形態の場合、約1から20Paまでの範囲の貯蔵弾性率を有する。本発明の注射用組成物は、組成が液体及びゲルの形態間で変化するのに従って、各種の貯蔵弾性率を示すことができる。幾つかの態様において、注射用組成物は、液体の場合、約1から2Paまでの貯蔵弾性率を有する。温度の増加に伴う液体組成物からゲル状態への転移中に、貯蔵弾性率は、生理学的温度においてゲル化組成物が形成するまで増加する。ゲル化組成物は、液体組成物のものより高い貯蔵弾性率及び粘度を有する。一組の態様において、本発明のゲル化組成物は、約8から20Paまで、約10から15Paまで及び約12Paからなる群から選択される範囲の貯蔵弾性率を有する。本発明の組成物が熱可逆性であるため、組成物の貯蔵弾性率は、ゲル化組成物が液体の形態に戻った場合、約1から2Paまでの範囲であるように戻ることができる。
[145]注射用組成物がゲル化された時点で、ゲル化組成物は、そこから有効な量の生理活性薬物を放出することができるデポーを形成する。一組の態様において、有効な量の生理活性薬剤が、少なくとも7日間、少なくとも14日間、少なくとも21日間、少なくとも28日間、少なくとも35日間、少なくとも45日間、少なくとも60日間又は少なくとも90日間の期間にわたってゲル化組成物から放出される。従って、生理活性薬剤は、その所望の生物学的又は薬理学的効果を、継続した期間にわたって発揮することが可能である。
[146]注射用組成物及びそれから形成されるゲル化組成物は、生理活性薬剤の所望の速度(又は相)の放出を提供することができる。幾つかの態様において、ゲル化組成物は、単一の段階で、又は複数の段階でおこる生理活性薬剤の放出を提供することができる。
[147]幾つかの態様において、ゲル化組成物からの生理活性薬剤の放出は、実質的に0次であることができる。幾つかの態様において、ゲル化組成物は、僅かな最初の突発効果を伴う又はそれを伴わない生理活性薬剤の放出を提供することができる。突発効果がないことは、30%より少ないカプセル化された生理活性薬剤が、ゲル形成後の最初の24時間内に放出されることと定義することができる。幾つかの態様において、ゲル化組成物は、ゲル形成後最初の24時間内に、約20%より多くない、好ましくは約10%より多くない、そして最も好ましくは約5%より多くない生理活性薬剤の放出を提供する。
[148]幾つかの態様において、ゲル化組成物からの生理活性薬剤の放出は、少なくとも二つの別個のそして明確に異なる速度又は相で起こり、そして幾つかの態様において、三つの別個の速度又は相で起こることができる。放出段階は、定義された放出機構又は放出動態によって特徴づけることができる。放出段階は、その特定の段階において放出される生理活性薬剤の量に関係することができる。一組の態様において、段階内の生理活性薬剤の放出は、実質的に0次であることができる。
[149]幾つかの態様において、ゲル化組成物からの生理活性薬剤の放出は、二つの段階で起こることができ(二段階性)、そして最初は突発放出で、続いて拡散制御放出であることができる。幾つかの別の態様において、ゲル化組成物からの生理活性薬剤の放出は、三つの段階で起こることができ(三段階性)、そして最初は突発放出で、続いて拡散制御放出、そして最終的に分解制御下の放出であることができる。
[150]生理活性薬剤の放出の速度及び期間は、生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマーの組成及び/又は特質、並びに注射用組成物中のポリマーの濃度によって影響されることができる。生理活性薬剤の放出特性は、更に、注射用組成物中の添加剤又はアジュバントの存在によっても影響されることができる。従って、これらのパラメータは、疾患又は疾病の治療或いは予防の援助のために選択された生理活性薬剤に対する所望の放出特性を達成するために調節することができる。
[151]理論によって制約されることを望むものではないが、注射用組成物中の親水性及び疎水性領域を有する、生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマーの使用は、親水性及び疎水性の生理活性薬剤の制御放出を援助すると信じられる。例えば、疎水性の生理活性薬剤は、非線形ブロックコポリマー中の疎水性領域を攻撃するものであり、そして従って、ゲル化ポリマー構造内に優先的に保持されて、周囲の水性環境と分離されるものであると信じられる。これは、今度は、ゲル化組成物からの長期にわたる生理活性薬剤のゆっくりした、そしてより継続的な放出に寄与すると信じられる。従って、この様式において、非線形ブロックコポリマーの組成物は、拡散機構によるゲル化組成物からの生理活性薬剤の放出の速度に影響することができる。
[152]親水性生理活性薬剤において、制御され、そして継続された放出は、ゲル化ポリマー構造の環境を更に親水性にし、そして従って、生理活性薬物に対して更に魅力的にすることによって達成することができる。幾つかの態様において、これは、親水性添加剤、例えばキサンタンガムを本発明の注射用組成物に組込むことによって達成することができる。親水性添加剤は、非線形ブロックコポリマー中の親水性領域と結合することができ、そして従って、親水性生理活性薬剤を優先的にこれらの領域に誘因して、生理活性薬剤を周囲の環境から分離することを援助する。
[153]ゲル化組成物からの生理活性薬剤の放出は、最初は突発放出であり、続いて拡散制御下の放出であることができる。拡散制御放出は、周囲の環境と比較した、生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマーに対する、生理活性薬剤の相対的親和性によって影響されることができる。投与及びゲル形成に続くある期間の時間後、生理活性薬剤の放出は、更に、ゲル化組成物の生分解の速度によっても影響されることができる。幾つかの態様において、ゲル化組成物の生分解が開始され、一方、生理活性薬剤の放出が主として拡散制御下にある場合、放出は、拡散及び分解の制御の組合せによって決定されることができる。生理学的環境におけるゲル化組成物の生分解による生理活性薬剤の放出は、送達の最終の段階であることができる。この最終の段階を、非線形ブロックコポリマー中に存在する生分解性ブロックの組成の適当な選択によって制御することは可能であることができる。
[154]生理活性薬剤の放出に加えて、他の特質、例えばゲル強度、ゲル化温度及び分解速度も、更に、各種のコポリマーブロックの設計及び調製によって、即ち、親水性ブロック及び疎水性ブロックの重量パーセント、それぞれの種類のブロック中に存在するモノマー単位(例えばカプロラクトン、グリコール酸、乳酸)のモルパーセント、並びに生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマーの分子量及び多分散の変更によって制御することができる。
[155]使用において、本発明の注射用組成物は、静脈内ではなく、所望の部位における生理活性薬剤の局所的送達を提供するために、治療を必要とする部位の近辺に投与することができる。このような局所的送達は、生理活性薬剤が、例えば癌薬物のような非常に強力な生理活性薬剤である場合に、これが、薬物の静脈内投与から起こる非選択的治療の結果であり得る器官の損傷、又は他の重篤な副作用の可能性を減少するために、好都合であることができる。他の態様において、注射用組成物は、生理活性薬剤の全身性送達のために使用することができる。
[156]本発明の注射用組成物の一つの利点は、これが、従来の技術の組成物より、長い期間にわたる有効な量の生理活性薬剤の放出を提供することができることである。生理活性薬剤の継続放出(sustanined release)は、生理活性効力のための時間を増加することができ、一方、向上された送達のために、投与されるために必要な薬物の投与量を減少することができることを意味する。
[157]生理活性薬剤の継続放出を達成するための能力は、更に、生理活性薬剤の繰り返し投与の必要性を減少し、従って、繰り返し投与から起こり得る患者に対するいずれものトラウマに対する潜在性を減少することができる。これは、急速な分解及び治療に部位からの生理活性薬剤の排除のために、頻繁に送達されることが必要な生理活性薬剤(タンパク質薬物に場合のような)の場合に好都合であることができる。
[158]本発明の一つの他の利点は、本発明の注射用組成物と共に形成されるゲルネットワークが、得られるゲル中に保持される注射用組成物の高い水性溶媒含有率のために、軟らかく、柔軟で、そして変形可能であることである。従って、固体の注射又は固体のインプラントに伴う違和感を更に減少することもできる。
[159]ゲル化組成物が、生分解性コポリマーと共に形成されるために、組成物は、患者の身体からのゲルの除去が生理活性効力が消耗された時点で必要なくなるように、in vivoで非毒性代謝産物に分解することが可能である。むしろ、分解産物は、通常の排泄経路を通って身体から排除することができる。例えば、非線形ブロックコポリマー中のポリエステルブロックは、カプロン酸、乳酸、グリコール酸、及び他の対応する代謝産物に特定の時間間隔で分解することができる。更に、ポリエチレングリコールブロックは、排泄によって患者の身体から除去することができる。
[160]生分解性で、熱可逆性の非線形ブロックコポリマーの使用は、更に、時間をかけた生理学的環境中のポリマーの分解又は侵食の結果としての、ゲル化組成物中にカプセル化された生理活性薬剤の送達を制御するための更なる手段を提供し、これは、更なる量の生理活性薬剤が放出されることを可能にする。
[161]もう一つの側面において、本発明は、患者の疾病又は疾患を治療或いは予防する方法を提供し、この方法は、本明細書中に記載される態様のいずれか一つによる注射用組成物を患者に投与することを含んでなる。一組の態様において、この方法は、患者に組成物を投与するために、シリンジの管腔から組成物を注射することを含んでなる。
[162]もう一つの側面において、本発明は、更に、患者の疾病又は疾患を治療或いは予防するための医薬の製造における、本明細書中に記載される態様のいずれか一つによる注射用組成物の使用を提供する。一組の態様において、医薬は、インプラントの形態である。
[163]一組の態様において、疾病又は疾患は癌であり、そして生理活性薬剤は、抗癌剤である。注射用組成物によって送達することができる抗癌剤の例は、本明細書中に記載されている。
[164]もう一つの側面において、本発明は、注射によって患者に注射用組成物を投与することを含んでなる、患者の癌を治療する方法、
ここにおいて、注射用組成物は:
・ 生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマー;
・ 水性溶媒;及び
・ 抗癌剤;
を含んでなり、ここにおいて、組成物は、液体として注射可能であり、これによって、液体は、生理学的温度でゲルに転換され、そしてここにおいて、ゲル化組成物は、少なくとも7日間にわたる有効な量の抗癌剤の放出を提供する。
[165]本発明は、更に、患者の眼の疾病又は疾患を治療或いは予防する方法を提供する。一つの形態において、眼の疾病及び疾患は、加齢関連の黄斑変性症(AMD)であり、そしてこの方法は、注射によって患者に本明細書中に記載されるような注射用組成物を投与することを含んでなり、ここにおいて、注射用組成物は、ベバシズマブ、ラニビズマブ及びペガプタニブナトリウムからなる群から選択される少なくとも一つの生理活性薬剤を含んでなる。好ましくは、組成物は、硝子体内注射によって眼の硝子体液に直接投与される。
[166]本発明は、更に、患者のケロイド性瘢痕を予防するための方法を提供し、この方法は、患者に本明細書中に記載されるような注射用組成物を投与することを含んでなり、ここにおいて、注射用組成物は、生理活性薬剤としてフォリスタチンを含んでなる。好ましくは注射用組成物は、局所適用される。
[167]本発明は、以下の実施例を参照して説明される。実施例が、本明細書中に記載される本発明の例示であり、そしてそれを、制約するものでないことは理解されることである。
材料
[168]ペンタエリスリトール(PE)FW136(98%)、ジペンタエリスリトールFW254(98%)、トリペンタエリスリトールFW(98%)、ジラウリン酸ジブチル錫(DBTL)FW631.56(98%)を、Aidrichから購入し、そして受領したままで使用した。ポリ(エチレン)グリコールメチルエーテル(PRG−O−CH)平均MW350、550を、Aldrichから受領し、そして使用前に、40℃の真空(0.1mmHg)下で一晩乾燥した。ε−カプロラクトンFW114.14(>99%)及びDL−乳酸FW90.08(水中の90%)を、Flukaから購入し、そして受領したままで使用した。ジイソシアン酸ヘキサメチレン(HDI)FW168.2(>98%)を、Flukaから受領し、そして使用前に、減圧下の蒸留によって更に精製した。p−トルエンスルホン酸一水和物(99%)をAcros Organicsから購入し、そして受領したままで使用した。
方法
A.四本腕ポリエステルポリオールの典型的な合成
PE−LA−CL(75:25)2100MW
[169]ペンタエリスリトール(PE)(3.2131g、1モル)、DL−乳酸(42.5177g、18モル)(LA)及びε−カプロラクトン(16.1622g、6モル)を、丸底フラスコ中で、160−170℃で、250mLのTHF及び1.0gのp−トルエンスルホン酸一水和物の存在中で加熱した。環流中の反応混合物を、環流及び周囲圧力で3日間撹拌させた。発生した水をディーンスターク装置を使用して収集した。溶媒をデカントし、そして反応混合物を回転蒸発機を使用して濃縮し、そして残留溶媒を高真空下で更に除去して、僅かに黄色のきれいな透明の生成物を製造した(約80%収率)(理論的MW−2118.43、観察したGPC MW:Mn 2766、Mw 3469、Mp 3356、Mz 4266、PD 1.25)。以下のスキーム3は、陰影付きのポリマーブロックの繰返し単位を伴う、最初のポリマーブロックが接続された核を調製するために使用された反応を示す。ポリエステルポリオールの特徴は、表1に列挙されている。
[170]全てのポリエステルポリオールを、正確な化学量論的比で、この方法に従って合成した。ポリエステルポリオールの核は、ポリマーを与えるポリエステル、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール及びトリペンタエリスリトールの腕の数を、それぞれ4、6及び8本腕に決定した。調製されたポリマーの分子量の特徴を表1に示す。
B.ジイソシアン酸ヘキサメチレン(HDI)による典型的な官能化
[171]ポリエステルポリオールPE−LA−CL(75:25)(0.5×10−3モル)を、磁気撹拌子を備えた丸底ガラス中の15mLの乾燥DCM中に溶解し、そしてHDI(20×10−3モル、10倍過剰)を室温で加えた。反応混合物を4時間撹拌し、そして10mgのDBTLを加えた。混合物を周囲温度で一晩撹拌させた。生成物を乾燥n−ヘプタン(1500mL)中で沈殿させ、デカントし、そしてポリマー残渣を、次の官能化工程のために、直ちにDCM中に再溶解した。最初のポリマーブロックのHDIによる官能化を、スキーム4に示す。
C.二番目のブロックを加えるための典型的方法:PEG−OCH 350MW
[172]HDIで官能化されたポリエステルポリオールを、乾燥DCM(15mL)中に溶解し、そして事前乾燥したモノメチルPEG−O−H(3×10−3モル、1.5当量)を室温で加えた。反応混合物を4時間撹拌し、続いて触媒のDBTL(10mg)を加えた。溶液を一晩室温で撹拌させた。ポリマー生成物をn−ヘプタン(1000mL)中で沈殿させ、溶媒をデカントし、沈殿したポリマーを最小量のDCM中に再溶解し、丸底フラスコ(flash)に移し、そして溶媒を回転蒸発機を使用して除去した。生成物のポリマー中の残留溶媒を高真空で除去して、粗製の最終ポリマーを得た。その後のブロックの接続を、スキーム5に示す。
D.典型的な精製法
[173]粗製の生成物のポリマーを、10℃以下で脱イオン水中に溶解した。溶解が完了した時点で、混合物を60℃に加熱した。溶液中のポリマーは、温度の増加に伴い沈殿し、そして単離した。三回の沈殿を行って、きれいな最終ポリマー生成物を得た。
[174]上記の方法を使用して、ある範囲の生分解性星形ブロックコポリマーを、表2に詳述するように調製した。
貯蔵弾性率
[175]TRPの貯蔵弾性率(G’)及び損失弾性率(G’’)を、レオメーターを使用して測定する。動的レオロジーは、粘弾性流体に対する弾性の寄与(貯蔵弾性率)及び適用された応力に対する粘性の寄与(損失弾性率)を表すこれらの特徴を測定することができる。これらの弾性率は、振動する剪断応力下の二つの平行な板間に試料を置き、そして反力を測定することによって測定される。典型的には、ゲルに対してコーンプレート型レオメータが使用される。ゲルはコーン上におかれ、そして底部プレートが振動し、そして捻じれ及び回転の程度が測定される。次いで、剪断応力が計算される。
[176]図2は、本発明の星形ブロックコポリマーを含有する組成物(P(LA75CL25−HDI−PEG(550)))に対する温度及び弾性率間の相関を示すグラフであり、ここにおいて、貯蔵弾性率は、温度が生理学的温度に増加するのに従って、ゲル形成(ゾル−ゲル)中に増加し、そして温度が減少するのに従い、ゲルの可逆性はゾルに戻す。グラフは、星形ブロックコポリマーの熱可逆性の特質を例示する。
E.PEGブロックを伴う星形ブロックコポリマー及び異なった疎水性ブロック組成物
[177]ある範囲の星形ブロックコポリマーを、親水性及び疎水性ポリマーブロック間に連結基を伴わずに調製した。先に記載した一般的方法を使用して、PEGブロックを疎水性ブロックに直接カップリングすることによって(即ち、方法Bを伴わず)。得られた星形ブロックコポリマーを表3に示す。
[178]ポリマーがゾルからゲルへの転移を受ける温度(LCST)は、星形コポリマーが、線形の均等物(比較実施例1)より高い温度で液体のままであり、そして生理学的温度(>36℃)に達するまでゲル化しないことを示す。これは、非線形ポリマー構造が、ヒトの組織への注射後の薬物送達に対するデポーとして作用することが理想的であることを示唆する。
F.水性注射用組成物の調製のための典型的な方法:
[179]リゾチームの放出のためのポリマー溶液を、最初に、精製されたポリマー(0.582g)を、1gの蒸留水に溶解することよって調製した。ポリマーの溶解は、試料をボルテックスミキサーを使用して一定に混合しながら一晩冷蔵庫(5−10℃)に入れることによって行った。鶏卵の白身(L6876−1G,Sigma−Aldrich)からのリゾチーム(60mg)を、別個に0.358gの蒸留水中に溶解し、そして完全に溶解したポリマーの溶液に加え、細いスパチュラを使用して、そして最終的にボルテックスミキサーで混合して、最終的な試料を得た。重量で溶液中の30%ポリマー及び3%リゾチーム濃度になる0.5gの試料−リゾチーム混合物を、それぞれの実験で使用した。
ポリマー及びリゾチーム溶液の温度処理
[180]幾つかの長期放出研究において、酵素を含有するポリマー溶液を、最初、加熱−冷却サイクルにかけ、そしてポリマーを精製水と徹底的に混合した(順化過程)。毎日、リゾチームを含有するポリマー水溶液を冷蔵庫から出し、細いスパチュラを使用し、そしてその後ボルテックスミキサーで混合した。次いでこれを、37℃で5−10分間加熱し、そして冷蔵庫に入れた。この方法を、放出研究の開始前に5日間行った。この方法は、ポリマー鎖、そのミセル及びその後に形成されるポリマーゲルマトリックス間の増加した鎖の絡み合いを促進するために続けた。
G.放出研究のための酵素溶液の調製のための典型的方法:
[181]放出研究の結果を、必要な対照と一緒に、それぞれのポリマー試料に対して三重で得た。いずれものリゾチームを含まず、ポリマー及び水を含有する試料を、基線を確立するためのブランクとしてそれぞれのポリマーに対して使用した。小さいガラスのバイアルの底部に分注された0.5gの水性のポリマー−リゾチーム混合物を含有する三重のそれぞれの試料を、37℃で30分間インキュベートしてから、同じ温度に維持された2mLの1×のリン酸緩衝溶液(PBS)を加えた。全ての試料を、実験中、穏やかに振盪(50rpm)しながらインキュベーターオーブン中で37℃に保った。PBS緩衝溶液から1mLのアリコートを、分析のために、それぞれの試料から、それぞれの時点で取出し、そして新鮮な1mLの37℃のPBSで置換えた。放出媒体を、放出リゾチームに対してそれぞれの時点で(10分、24時間、48時間、5日、7日、及び14日)分析した。ポリマー試料から放出された全溶解性及び酵素的に活性なリゾチームの両方を、商業的に入手可能なキット、Sigma−Aldrichからのビシンコニン酸(BCA)タンパク質アッセイキット及びInvitrogenからのEnzCheckリゾチームアッセイキットを、それぞれ使用して測定した。新しい補正曲線を、それぞれの実験試料のリゾチーム放出の正確な測定を確実にするために必要な範囲内でそれぞれの時点で構築した。
[182]図3及び5は、上記の方法によって製造された(P(LA75CL25−HDI−PEG(550)))を含有する組成物からのこのタンパク質の放出特性の幾つかを、従来の技術の線形ポリマープルロニックF127及びReGel(登録商標)を含有する組成物と比較して示す。
H.放出研究のための小分子薬物溶液の調製のための典型的方法
ジピリダモール(DP)によるポリマー調製
[183]20mgのジピリダモール(Sigma−Aldrich)を、2mLのジクロロメタン(DCM,−Merick)中に溶解し、小さい丸底フラスコ中の中の精製されたポリマー(0.6g)に加えた。ポリマー薬物はジクロロメタン中に完全に溶解した。次いで、DCMを、均一な混合物から回転蒸発機で、そしていずれもの残留DCMを高真空ポンプを使用して完全に除去した。次いで、ミリQ水(1.4g)をポリマー/DP混合物に加え、5−10℃で十分に混合して、溶解を援助し、一晩水和させた。
[184]ジピリダモール放出研究のための媒体は、100gのPBS溶液を得るために、93.6gの1×PBS(7.4pH)に、2.4gのTween80(Sigma−Aldrich)及び4.0gのCremophorEL(Sigma−Aldrich)を加えることによって調製した。
ドキソルビシン(DR)によるポリマー調製
[185]20mgのドキソルビシン(地域の協力者)を、2mLのジクロロメタン(DCM,−Merick)中に溶解し、小さい丸底フラスコ中の中の精製されたポリマー(0.6g)に加えた。ポリマー薬物は、ジクロロメタン中に完全に溶解した。次いで、DCMを、均一な混合物から回転蒸発機で、そしていずれもの残留DCMを高真空ポンプを使用して完全に除去した。次いで、ミリQ水(1.4g)をポリマー/DP混合物に加え、5−10℃で十分に混合して、溶解を援助し、一晩水和させた。
ジピリダモール(DP)の放出研究
[186]放出研究の結果を、必要な対照と一緒に、それぞれのポリマー試料に対して三重で得た。いずれもの薬物を含まず、ポリマー及び水を含有する試料を、基線を確立するための対照としてそれぞれのポリマーに対して使用した。小さいガラスのバイアルの底部に分注された0.5gの水性のポリマー−ジピリダモール混合物を含有する三重のそれぞれの試料を、穏やか(general)に振盪しながら(50rpm)、37℃で30分間インキュベートしてから、同じ温度に維持された10mLの1×のリン酸緩衝溶液(PBS)を加えた。全ての放出研究の試料を、実験中、穏やかに振盪(50rpm)しながらインキュベーターオーブン中で37℃に保った。放出媒体から5mLのアリコートを、分析のために、それぞれの試料から、それぞれの時点で取出し、そして試料を新鮮な5mLの37℃のPBSで補給した。アリコートを、放出ドキソルビシンに対してそれぞれの時点で(10分、24時間、48時間、7、14、35、49、63、77及び91日)分析した。抽出溶媒中のポリマー試料から放出された全可溶性DPを、それぞれの試料採取時間におけるそれぞれの薬物の既知の濃度に対して発生された補正曲線に対して定量した。DPに対するλ=408nmにおける吸光度を、1.0、0.5、0.25、0.125及び0.0625mg/mLの濃度に対してVarian50BioUV−可視分光計を使用することによって測定した。
ドキソルビシン(DR)に対する放出研究
[187]放出研究の結果を、必要な対照と一緒に、それぞれのポリマー試料に対して三重で得た。いずれもの薬物を含まず、ポリマー及び水を含有する試料を、基線を確立するための対照としてそれぞれのポリマーに対して使用した。小さいガラスのバイアルの底部に分注された0.5gの水性のポリマー−ドキソルビシン混合物を含有する三重のそれぞれの試料を、穏やか(general)に振盪しながら(50rpm)、37℃で30分間インキュベートしてから、同じ温度に維持された10mLの1×のリン酸緩衝溶液(PBS)を加えた。全ての放出研究の試料を、実験中、穏やかに振盪(50rpm)しながらインキュベーターオーブン中で37℃に保った。放出媒体から5mLのアリコートを、分析のために、それぞれの試料から、それぞれの時点で取出し、そして試料を新鮮な5mLの37℃のPBSで補給した。アリコートを、放出ドキソルビシンに対してそれぞれの時点で(10分、24時間、48時間、7、14、35、49、63、77及び91日)分析した。抽出溶媒中のポリマー試料から放出された全可溶性DRを、それぞれの試料採取時間におけるそれぞれの薬物の既知の濃度に対して発生された補正曲線に対して定量した。DRに対するλ=479nmにおける吸光度を、1.0、0.5、0.25、0.125及び0.0625mg/mLの濃度に対して、Varian50BioUV−可視分光計を使用することによって測定した。結果を図6に示す。
[188]各種の他の改変及び/又は変更を、本明細書中に概略記載される本発明の思想から逸脱することなく行うことができることは、理解されるものである。

Claims (31)

  1. ・ 生分解性で、熱可逆性の、非線形ブロックコポリマー;
    ・ 水性溶媒;及び
    ・ 生理活性薬剤;
    を含んでなる、生理活性薬剤の制御された送達のための注射用組成物であって、ここにおいて、前記組成物は、液体として注射可能であり、そして前記液体は、生理学的温度においてゲルに転換され、そしてここにおいて、ゲル化組成物は、有効な量の生理活性薬物の、少なくとも7日間の期間にわたる放出を提供する、前記注射用組成物。
  2. 前記ゲル化組成物が、有効な量の生理活性薬物の、少なくとも14日間の期間にわたる放出を提供する、請求項1に記載の注射用組成物。
  3. 前記ゲル化組成物が、有効な量の生理活性薬物の、少なくとも28日間の期間にわたる放出を提供する、請求項1又は2のいずれか1項に記載の注射用組成物。
  4. 前記ブロックコポリマーが、分岐、超分岐、櫛形、ブラシ状、星形及び樹状からなる群から選択される構造を有する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の注射用組成物。
  5. 前記ブロックコポリマーが、生分解性星形ブロックコポリマーである、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の注射用組成物。
  6. 前記星形ブロックコポリマーが、式A(BC)であり、ここにおいて、Aは、n価の核であり、そしてB及びCの一つは、疎水性ブロックであり、そしてB及びCの他方は、親水性ブロックであり、そしてnは、整数であり、そして少なくとも3である、請求項5に記載の注射用組成物。
  7. BとCの重量比が、10:1から1:10まで、好ましくは6:1から約1:6まで、更に好ましくは約3:1から約1:3までの範囲である、請求項6に記載の注射用組成物。
  8. Bが、疎水性ブロックであり、そしてCが、親水性ブロックである、請求項6又は請求項7のいずれか1項に記載の注射用組成物。
  9. 前記疎水性ブロックが、約500から約15,000まで、好ましくは約1000から約10,000まで、更に好ましくは約1500から約5000までの範囲の分子量を有する、請求項8に記載の注射用組成物。
  10. Bが、生分解性ポリエステルを含んでなる、請求項8又は請求項9のいずれか1項に記載の注射用組成物。
  11. 前記ポリエステルが、D,L−ラクチド、D−ラクチド、L−ラクチド、D,L−乳酸、D−乳酸、L−乳酸、グリコリド、グリコール酸、ε−カプロラクトン、ε−ヒドロキシヘキサン(hexonoic)酸、γ−ブチロラクトン、γ−ヒドロキシ酪酸、δ−バレロラクトン、δ−ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシ酪酸、リンゴ酸、マンデリン酸及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一つのモノマーから形成される、請求項10に記載の注射用組成物。
  12. 前記ポリエステルが、ポリ(乳酸−co−カプロラクトン)であり、ここにおいて、乳酸とカプロラクトンのモル比が、90:10から10:90まで、好ましくは75:25から25:75までの範囲である、請求項11に記載の注射用組成物。
  13. Cが、約100から約3000まで、好ましくは約250から約2000まで、更に好ましくは約200から約1500までの範囲の分子量を有する親水性ポリマーを含んでなる、請求項8ないし12のいずれか1項に記載の注射用組成物。
  14. Cが、ポリエーテルを含んでなる、請求項8ないし13のいずれか1項に記載の注射用組成物。
  15. 前記ポリエーテルが、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、及びこれらのコポリマーからなる群から選択される、請求項14に記載の注射用組成物。
  16. B及びCが、連結基を経由して共有結合的にカップリングされる、請求項6ないし15のいずれか1項に記載の注射用組成物。
  17. 前記連結基が、ジイソシアネートから誘導される、請求項16に記載の注射用組成物。
  18. 前記星形ブロックコポリマーが、更なるブロック(D)を含んでなり、そして式A(BCD)のものである、請求項6ないし17のいずれか1項に記載の注射用組成物。
  19. nが、4から8までの範囲の整数である、請求項6ないし18のいずれか1項に記載の注射用組成物。
  20. 前記組成物が、約50(重量/重量)%より多くない、好ましくは30(重量/重量)%より多くない非線形ブロックコポリマーを含んでなる、請求項1ないし19のいずれか1項に記載の注射用組成物。
  21. 前記組成物が、少なくとも50(容量/重量)%、好ましくは少なくとも60(容量/重量)%、そして更に好ましくは少なくとも70(容量/重量)%の水性溶媒を含んでなる、請求項1ないし20のいずれか1項に記載の注射用組成物。
  22. 前記組成物が、液体の形態である場合、及びゲルの形態である場合、生理学的温度において、1ないし20Paの範囲の貯蔵弾性率を有する、請求項1ないし21のいずれか1項に記載の注射用組成物。
  23. 前記生理活性薬剤が、親水性薬物、疎水性薬物、タンパク質薬物、ホルモン、遺伝子又は核酸、オリゴヌクレオチド、多糖及び他の糖、脂質、ガングリオシド、血管作動剤、向神経活性剤、抗凝固剤、免疫調節剤、抗癌剤、抗炎症剤、抗生物質 抗ウイルス剤、アンチセンス剤、抗原及び抗体からなる群から選択される、請求項1ないし22のいずれか1項に記載の注射用組成物。
  24. 更に、生理活性薬剤の放出の制御を向上する添加剤を含んでなる、請求項1ないし23のいずれか1項に記載の注射用組成物。
  25. 前記添加剤が、多糖である、請求項24に記載の注射用組成物。
  26. 前記ゲル化組成物からの前記生理活性薬剤の放出が、少なくとも二つの別個の段階にわたって起こる、請求項1ないし25のいずれか1項に記載の注射用組成物。
  27. 約30%より多くない生理活性薬剤が、ゲル形成後の最初の24時間内に、ゲル化組成物から放出される、請求項1ないし26のいずれか1項に記載の注射用組成物。
  28. 患者の疾病又は疾患の予防或いは治療のための医薬の製造における、請求項1ないし27のいずれか1項に記載の注射用組成物の使用。
  29. 前記医薬が、インプラントの形態である、請求項28に記載の使用。
  30. そのような治療を必要とする患者における疾病又は疾患を治療或いは予防する方法であって、前記方法は、前記患者に請求項1ないし27のいずれか1項に記載の注射用組成物を投与する工程を含んでなる、前記方法。
  31. 前記方法が、前記患者に組成物を投与するために、シリンジの管腔から組成物を注射することを含んでなる、請求項30に記載の方法。
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