本願の出願人は、2013年3月1日に出願され、各々のすべての内容が参照によって本明細書に組み込まれる以下の特許出願を所有している:
−米国特許出願第13/782,295号、名称「Articulatable Surgical Instruments With Conductive Pathways For Signal Communication」、
−米国特許出願第13/782,323号、名称「Rotary Powered Articulation Joints For Surgical Instruments」、
−米国特許出願第13/782,338号、名称「Thumbwheel Switch Arrangements For Surgical Instruments」、
−米国特許出願第13/782,499号、名称「Electromechanical Surgical Device with Signal Relay Arrangement」、
−米国特許出願第13/782,460号、名称「Multiple Processor Motor Control for Modular Surgical Instruments」、
−米国特許出願第13/782,358号、名称「Joystick Switch Assemblies For Surgical Instruments」、
−米国特許出願第13/782,481号、名称「Sensor Straightened End Effector During Removal Through Trocar」、
−米国特許出願第13/782,518号、名称「Control Methods For Surgical Instruments With Removable Implement Portions」、
−米国特許出願第13/782,375号、名称「Rotary Powered Surgical InstrumeNts With Multiple Degrees of Freedom」、及び
−米国特許出願第13/782,536号、名称「SURGICAL INSTRUMENT SOFT STOP」は、参照によってそれらすべての内容が本明細書に組み込まれる。
本願の出願人はまた、2013年3月14日に出願され、各々のすべての内容が参照によって本明細書に組み込まれる以下の特許出願を所有している:
−米国特許出願第13/803,097号、名称「ARTICULATABLE SURGICAL INSTRUMENT COMPRISING A FIRING DRIVE」、
−米国特許出願第13/803,193号、名称「CONTROL ARRANGEMENTS FOR A DRIVE MEMBER OF A SURGICAL INSTRUMENT」、
−米国特許出願第13/803,053号、名称「INTERCHANGEABLE SHAFT ASSEMBLIES FOR USE WITH A SURGICAL INSTRUMENT」、
−米国特許出願第13/803,086号、名称「ARTICULATABLE SURGICAL INSTRUMENT COMPRISING AN ARTICULATION LOCK」、
−米国特許出願第13/803,210号、名称「SENSOR ARRANGEMENTS FOR ABSOLUTE POSITIONING SYSTEM FOR SURGICAL INSTRUMENTS」、
−米国特許出願第13/803,148号、名称「MULTI−FUNCTION MOTOR FOR A SURGICAL INSTRUMENT」、
−米国特許出願第13/803,066号、名称「DRIVE SYSTEM LOCKOUT ARRANGEMENTS FOR MODULAR SURGICAL INSTRUMENTS」、
−米国特許出願第13/803,117号、名称「ARTICULATION CONTROL SYSTEM FOR ARTICULATABLE SURGICAL INSTRUMENTS」、
−米国特許出願第13/803,130号、名称「DRIVE TRAIN CONTROL ARRANGEMENTS FOR MODULAR SURGICAL INSTRUMENTS」、及び
−米国特許出願第13/803,159号、名称「METHOD AND SYSTEM FOR OPERATING A SURGICAL INSTRUMENT」。
本願の出願人はまた、2014年3月25日に出願され、各々のすべての内容が参照によって本明細書に組み込まれる以下の特許出願を所有している:
米国特許出願第14/226,106号、名称「POWER MANAGEMENT CONTROL SYSTEMS FOR SURGICAL INSTRUMENTS」、
米国特許出願第14/226,099号、名称「STERILIZATION VERIFICATION CIRCUIT」、
米国特許出願第14/226,094号、名称「VERIFICATION OF NUMBER OF BATTERY EXCHANGES/PROCEDURE COUNT」、
米国特許出願第14/226,117号、名称「POWER MANAGEMENT THROUGH SLEEP OPTIONS OF SEGMENTED CIRCUIT AND WAKE UP CONTROL」、
米国特許出願第14/226,075号、名称「MODULAR POWERED SURGICAL INSTRUMENT WITH DETACHABLE SHAFT ASSEMBLIES」、
米国特許出願第14/226,093号、名称「FEEDBACK ALGORITHMS FOR MANUAL BAILOUT SYSTEMS FOR SURGICAL INSTRUMENTS」、
米国特許出願第14/226,116号、名称「SURGICAL INSTRUMENT UTILIZING SENSOR ADAPTATION」、
米国特許出願第14/226,071号、名称「SURGICAL INSTRUMENT CONTROL CIRCUIT HAVING A SAFETY PROCESSOR」、
米国特許出願第14/226,097号、名称「SURGICAL INSTRUMENT COMPRISING INTERACTIVE SYSTEMS」、
米国特許出願第14/226,126号、名称「INTERFACE SYSTEMS FOR USE WITH SURGICAL INSTRUMENTS」、
米国特許出願第14/226,133号、名称「MODULAR SURGICAL INSTRUMENT SYSTEM」、
米国特許出願第14/226,081号、名称「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING A SEGMENTED CIRCUIT」、
米国特許出願第14/226,076号、名称「POWER MANAGEMENT THROUGH SEGMENTED CIRCUIT AND VARIABLE VOLTAGE PROTECTION」、
米国特許出願第14/226,111号、名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT SYSTEM」、及び
米国特許出願第14/226,125号、名称「SURGICAL INSTRUMENT COMPRISING A ROTATABLE SHAFT」。
本願の出願人はまた、本願と同日に出願され、それぞれの全内容が参照によって本明細書に組み込まれる、以下の特許出願を所有している。
−米国特許出願第_____号、名称「MOTOR DRIVEN SURGICAL INSTRUMENTS WITH LOCKABLE DUAL DRIVE SHAFTS」、代理人整理番号END7406USNP/140054、
−米国特許出願第_____号、名称「SURGICAL INSTRUMENT SHAFT INCLUDING SWITCHES FOR CONTROLLING THE OPERATION OF THE SURGICAL INSTRUMENT」、代理人整理番号END7408USNP/140056、
−米国特許出願第_____号、名称「POWERED LINEAR SURGICAL STAPLER」、代理人整理番号END7409USNP/140057、
−米国特許出願第_____号、名称「TRANSMISSION ARRANGEMENT FOR A SURGICAL INSTRUMENT」、代理人整理番号END7410USNP/140058、
−米国特許出願第_____号、名称「MODULAR MOTOR DRIVEN SURGICAL INSTRUMENTS WITH ALIGNMENT FEATURES FOR ALIGNING ROTARY DRIVE SHAFTS WITH SURGICAL END EFFECTOR SHAFTS」、代理人整理番号END7411USNP/140059、
−米国特許出願第_____号、名称「POWERED SURGICAL STAPLER」、代理人整理番号END7412USNP/140060、
−米国特許出願第_____号、名称「DRIVE SYSTEM DECOUPLING ARRANGEMENT FOR A SURGICAL INSTRUMENT」、代理人整理番号END7413USNP/140061、及び
−米国特許出願第_____号、名称「MODULAR MOTOR DRIVEN SURGICAL INSTRUMENTS WITH STATUS INDICATION ARRANGEMENTS」、代理人整理番号END7414USNP/140062。
本明細書で開示する装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理が総括的に理解されるように、特定の例示的な実施形態について、これから説明することにする。これらの実施形態の1つ又は2つ以上の例が添付の図面に示されている。本明細書で詳細に説明し、添付の図面に示す装置及び方法は、非限定的な例示的実施形態であること、並びに、本発明の各種の実施形態の範囲は、特許請求の範囲によってのみ定義されることは、当業者には理解されよう。1つの例示的実施形態との関連において例示又は説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。かかる修正及び変形は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
本明細書の全体を通じて、「様々な実施形態」、「いくつかの実施形態」、「一実施形態」、又は「ある実施形態」などについて言及しているが、これは、その実施形態と関連させて説明した特定の機構、構造、又は特徴が少なくとも1つの実施形態に含められることを意味している。したがって、本明細書の全体を通じた各所で、「様々な実施形態において」、「いくつかの実施形態において」、「一実施形態において」、又は「ある実施形態において」等の語句が出現するが、これらは必ずしもすべてが同じ実施形態を指すわけではない。更に、特定の機構、構造、又は特徴が、1つ又は2つ以上の実施形態において任意の好適な方式で組み合わされてもよい。したがって、一実施形態に関して図示又は説明される特定の機構、構造、又は特徴は、1つ又は2つ以上の他の実施形態の機構、構造、又は特徴と、全体として又は部分的に、制限なしに組み合わせることができる。かかる修正及び変形は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書において、外科用器具のハンドル部分を操作する臨床医を基準にして用いられている。「近位」という用語は、医師に最も近い部分を指し、「遠位」という用語は、医師から離れた位置にある部分を指す。便宜のため、また明確にするために、「垂直」、「水平」、「上」、及び「下」など、空間に関する用語は、本明細書において、図面を基準にして用いられ得ることが更に理解されよう。しかしながら、外科用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は、限定的及び/又は絶対的であることを意図したものではない。
腹腔鏡下及び最小侵襲の外科手技を実施するための様々な例示的な装置及び方法が提供される。しかしながら、本明細書で開示する様々な方法及び装置が、例えば開放的な外科手技を含めて、多数の外科手技及び用途で用いられ得ることが、当業者には容易に理解されよう。この詳細な説明を読み進めると、本明細書で開示する様々な器具が、天然の開口部を通じて、組織内に形成された切り込み又は穿刺孔を通じてなど、任意の方式で身体の中に挿入され得ることが、当業者には更に明らかとなろう。器具の作業部分又はエンドエフェクタ部分は、直接患者の身体の中に挿入されてもよく、又は、外科用器具のエンドエフェクタ及び細長シャフトが前進され得る作業チャネルを有するアクセス装置を通じて挿入されてもよい。
図面を参照し、いくつかの図を通して、同様の番号は、同様の構成要素を示し、図1は、全体として2で示されるモジュール式手術器具システムを示しており、このモジュール式手術器具システムは、一形態において、例えばエンドエフェクタ1000、2000及び3000などの様々な手術用エンドエフェクタと共に使用され得る電動手術器具10を含む。図示の実施形態において、電動手術器具10は、ハンドル14からなるハウジング12を含み、ハンドル14は、臨床医によって握持、操作、及び作動されるように構成されている。この詳細な説明を読み進めるとき、理解されたいこととして、本明細書で開示するハンドル14及び様々なエンドエフェクタ装置に関連させて示す様々な独特かつ新規な駆動システム装置が、ロボット制御される手術システムに関連させて効果的に用いられることができる。したがって、「ハウジング」という用語はまた、本明細書に示す様々な形態の駆動システムを収容するか又は別様に動作可能に支持し得、かつ、本明細書に記述するエンドエフェクタ装置及びそれらの等価な構造物を作動させるために用いられ得る制御運動を生成するように構成され得るハウジング又はロボットシステムの同様の部分を包含し得る。「フレーム」という用語は、手持型手術器具の一部分を指し得る。「フレーム」という用語はまた、電動システム若しくはロボット制御式の手術器具の一部分及び/又は手術器具を動作可能に制御するために用いられ得るロボットシステムの一部分を表し得る。例えば、本明細書で開示する駆動システム装置及びエンドエフェクタ装置は、参照によってすべての内容が本明細書に組み込まれる、米国特許出願第13/118,241号、名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH ROTATABLE STAPLE DEPLOYMENT ARRANGEMENTS」、現在の米国特許出願公開第2012/0298719号で開示されている様々なロボットシステム、器具、構成要素及び方法と共に用いられ得る。
ここで図2〜5を参照するが、ハンドル14は、ねじ、スナップ機構、接着剤などで相互連結され得る一対のハウジング分割部16及び18を備え得る。図示の構成において、ハンドルハウジング分割部16、18は、臨床医に握持及び操作され得るピストルグリップ部分19を形成するように協働する。以下で更に詳細に議論するように、ハンドル14は、その中に2つの回転駆動システム20、40を動作可能に支持し、それら回転駆動システム20、40は、ハンドル14に結合される特定のエンドエフェクタの対応する駆動シャフト部分に、様々な制御運動を発生させて加えるように構成されている。第1の回転駆動システム20は、例えば、エンドエフェクタ内で動作可能に支持される、対応するクロージャ駆動シャフト装置に「閉鎖」運動を加えるために用いられてもよく、また、第2の回転駆動システム40は、ハンドル14に結合されるエンドエフェクタ内にある、対応する発射駆動シャフト装置に「発射」運動を加えるために用いられてもよい。
第1及び第2の回転駆動システム20、40は、2つのパワートレーンの間で動力/運動を事実上シフトさせる、独特かつ新規な「シフト式」伝達組立体60を通じて、モータ80によって動力供給される。第1の回転駆動システム20は第1の回転駆動シャフト22を含み、第1の回転駆動シャフト22は、ハンドル14のハウジング12内で回転可能に支持され、第1の駆動シャフト軸「FDA−FDA」を規定する。第1の駆動ギヤ24は、第1の駆動シャフト軸FDA−FDAを中心として第1の回転駆動シャフト22と共に回転するように、第1の回転駆動シャフト22にキー結合されるか、あるいは別様に回転不能に固定される。同様に、第2の回転駆動システム40は第2の回転駆動シャフト42を含み、第2の回転駆動シャフト42は、ハンドル14のハウジング12内で回転可能に支持され、第2の駆動シャフト軸「SDA−SDA」を規定する。少なくとも1つの装置構成において、第2の駆動シャフト軸SDA−SDAは、第1の駆動シャフト軸FDA−FDAからずれており、かつ第1の駆動シャフト軸FDA−FDAに対して平行であるか、又は実質的に平行である。この状況で用いられるとき、「ずれる」という用語は、例えば第1の駆動シャフト軸と第2の駆動シャフト軸とが同軸でないことを意味する。第2の回転駆動シャフト42は第2の駆動ギヤ44を有し、第2の駆動ギヤ44は、第2の駆動シャフト軸SDA−SDAを中心として第2の回転駆動シャフト42と共に回転するように、第2の回転駆動シャフト42にキー結合されるか、あるいは別様に回転不能に固定される。それに加えて、第2の駆動シャフト42は中間駆動ギヤ46を有し、中間駆動ギヤ46は第2の回転駆動シャフト42上で回転可能に支承されており、そのため、中間駆動ギヤ46は、第2の駆動シャフト軸SDA−SDAを中心として第2の回転駆動シャフト42上で自在に回転可能となっている。
図2〜5を参照すると、一形態において、モータ80はモータ出力シャフト81を含み、モータ出力シャフト81は、モータ出力シャフト81に回転不能に取り付けられたモータ駆動ギヤ82を有している。モータ駆動ギヤ82は、以下で更に詳細に議論するように、噛み合う「動作可能な」係合を伝達組立体60となすように構成されている。少なくとも1つの形態において、伝達組立体60は伝達キャリッジ62を含み、伝達キャリッジ62は、駆動ギヤ82と第2の回転駆動シャフト42上のギヤ44及び46との間を軸方向に移動するように支持されている。例えば、伝達キャリッジ62は、支持シャフト63上にスライド可能に支承されてもよく、支持シャフト63は、伝達キャリッジの作用線が回転駆動システムのギヤトレーンに対して垂直となるように、ハウジング12内でシャフトマウント61上に装着される。シャフトマウント61は、ハウジング10内のスロット又は他の機構内に強固に支持されるように構成されている。伝達キャリッジ62は、支持シャフト63上に回転可能に支持されるキャリッジギヤ64を含み、駆動ギヤ82とは駆動係合をなす一方で、ギヤ44及び46とは選択的に噛み合い係合をなすように構成されている。図2〜5に示す装置構成において、伝達キャリッジ62は、シフタ、つまり「シフトさせるための手段」70に動作可能に取り付けられており、このシフトさせるための手段70は、「第1の駆動位置」と「第2の駆動位置」との間で伝達キャリッジ62を軸方向にシフトさせるように構成されている。一形態において、例えば、シフトさせるための手段70は、ハンドル14のハウジング12内に支持されるシフタソレノイド71を含んでいる。シフタソレノイド71は、双安定ソレノイドを含んでもよく、又は例えば、「二段配置ばね荷重式」ソレノイドを含んでもよい。図示の装置構成は、例えば、伝達キャリッジ62を第1の駆動位置へと遠位方向「DD」に付勢するばね72を含んでおり、キャリッジギヤ64は、中間駆動ギヤ46と噛み合い係合をなす一方で、駆動ギヤ82とも噛み合い係合をなす。第1の駆動位置にあるとき、モータ80が作動することにより、結果として、ギヤ82、46及び24が回転することになり、これによって最終的に、第1の駆動シャフト22が回転することになる。本明細書で更に議論するように、シフタソレノイド71は発射トリガ90によって作動されてもよく、発射トリガ90は、図2及び5に示すように、ハンドル14のハウジング12上に旋回式で支持されている。図示の実施形態において、発射トリガ90は、ハンドル14内に装着された発射トリガシャフト92上に旋回式で支持されている。発射トリガ90は通常、非作動位置において発射トリガばね94によって付勢されている。図3を参照されたい。発射トリガ90は、発射スイッチ96を動作可能に作動させるように装着されており、発射スイッチ96は、制御回路基板組立体100上に動作可能に支持されている。図示の装置構成において、発射トリガ90が作動することにより、結果としてシフタソレノイド71が作動する。図61、63、64に関連して本明細書で以下に更に詳細に記述するように、ハンドル用プロセッサ7024は、駆動信号をシフタソレノイド7032(71)に与える。ここで再び図2〜5を参照するが、このように、発射トリガ90が作動する結果として、シフタソレノイド71が伝達キャリッジ62を近位方向「PD」に引っ張り、それによって、キャリッジギヤ64を移動させて第2の駆動ギヤ44と噛み合い係合させることになる。図7を参照されたい。キャリッジギヤ64が駆動ギヤ82及び第2の駆動ギヤ44と噛み合い係合をなしているときにモータ80が作動することにより、結果として、第2の駆動シャフト42が第2の駆動シャフト軸「SDA」を中心として回転することになる。また図2〜5で分かるように、シフト式伝達組立体60はまた表示システム74を含んでもよく、表示システム74は、制御基板100並びに伝達表示灯77に動作可能に結合された一対のスイッチ75及び76を含んでいる。スイッチ75、76は伝達キャリッジ62の位置を検出するように働き、その結果、制御システムは、伝達キャリッジ62の位置に応じて表示灯77を作動させることになる。例えば、表示灯77は、伝達キャリッジ62が第1の駆動位置にあるときに付勢されてもよい。これにより、モータ80が作動する結果として第1の駆動システム20が作動する指示が、臨床医に示唆される。
本明細書で開示する様々な手術器具はまた伝達組立体60’を含んでもよく、この伝達組立体60’は、伝達組立体60と実質的に同一であるが、第1の駆動システム20と第2の駆動システム40をロックして、それらが作動されるよう意図されていないときの偶発的作動を防止するためのロック組立体又は手段(全体として65で示す)を更に含んでいる。例えば、図6Aは、第1の駆動ロック66と第2の駆動ロック68とを有する別の伝達キャリッジ62’を示している。第1の駆動ロック66は、伝達キャリッジ62’上に第1のギヤ係合部材又は歯を備えており、この第1のギヤ係合部材又は歯は、キャリッジギヤ64が中間ギヤ46と駆動係合をなすとき(すなわち、伝達組立体60’が第1の駆動位置にあるとき)、第2の駆動ギヤ44と噛み合い係合するように配置されている。図6Bを参照されたい。したがって、伝達組立体60’が第1の駆動位置にあるとき、第1の駆動ロック66は第2の駆動ギヤ44と噛み合い係合をなし、第2の駆動ギヤ44の相対的回転を防止するが、第1の駆動シャフト22は上述の方式で回転される。同様に、伝達組立体60’が第2の駆動位置にある(すなわち、キャリッジギヤ64が第2の駆動ギヤ44と噛み合い係合をなす)とき、第2の駆動ロック68は中間駆動ギヤ46と噛み合い係合をなす。図6Cを参照されたい。したがって、伝達組立体60’が第2の駆動位置にあるとき、第2の駆動ロック68は、中間ギヤ46が回転するのを防止し、またこれにより、第1の駆動ギヤ24が回転するのを防止する。したがって、臨床医がモータ80を動作させて第1の駆動システム20を作動させるとき、第2の駆動システム40は定位置にロックされる。同様に、臨床医が第2の駆動システム40を作動させるとき、第1の駆動システム20は定位置にロックされる。
モータ80の制御システムは、図61、63、64に関連して本明細書で以下に説明するように、ギヤ42、44の1つの歯が、突き合わされた他のギヤの方向に応じて、垂直又は他の所定の位置に留まるとき、常にある向きで停止するような方式でプログラムされ得る。この特徴は、シフトする間にギヤの歯同士の干渉を回避するように働く。シフトするとき、ロック部材はまた、非回転ギヤトレーンの位置をシフト及びロックする。カートリッジ/アンビル装置又は他のクランプ構成を含むエンドエフェクタと共に用いられるとき、非回転(すなわち無動力)ギヤトレーンをロックすることによって得られる別の利点は、クランプ/アンビルが発射の間も安定な位置に保持されることである。
モータ80は、例えば約25,000RPMの最大回転数を有するブラシ付きDC駆動モータであってもよい。他の装置構成において、モータには、加圧滅菌可能となり得るモータを含めて、ブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパモータ、又は任意の他の好適な電気モータを挙げることができる。モータ80は電源84によって電力供給されてもよく、電源84は一形態において、ハンドル14内に取り外し可能に格納されるパワーパック86を備えてもよい。図2〜5で分かるように、例えば、パワーパック86は、ハンドル14のピストルグリップ部分19内に取り外し可能に収容され得る。パワーパック86にアクセスするには、臨床医が、図示のようにピストルグリップ部分19に取り付けられている取り外し式キャップ17を取り外す。パワーパック86は、その中に複数の電池(図示せず)を動作可能に支持してもよい。電池はそれぞれ、例えば、リチウムイオン(「LI」)又は他の好適な電池を含んでよい。パワーパック86は、制御回路基板組立体100に取り外し可能かつ動作可能に取り付けられるように構成され、制御回路基板組立体100もまたモータ80に動作可能に結合され、ハンドル14内に装着される。直列に接続された多数の電池が、手術器具の電源として使用されてもよい。それに加えて、電源84は、交換式及び/又は充電式であってよく、また少なくとも1つの例において、例えばCR123電池を含み得る。モータ80は「ロッカートリガ」110によって作動されてもよく、ロッカートリガ110は、ハンドル14のピストルグリップ部分19に旋回式で装着される。ロッカートリガ110は、制御基板100に動作可能に結合された第1のモータスイッチ112を作動させるように構成されている。第1のモータスイッチ112は、ロッカートリガ110を旋回させて接触させることによって作動される圧力スイッチを含んでもよい。第1のモータスイッチ112が作動することにより、結果として、駆動ギヤ82が第1の回転方向に回転するように、モータ80が作動することになる。また第2のモータスイッチ114が回路基板100に取り付けられており、ロッカートリガ110によって選択的に接触されるように装着されている。第2のモータスイッチ114が作動することにより、結果として、駆動ギヤ82が第2の方向に回転するように、モータ80が作動することになる。例えば、使用の際、電源84によって与えられる電圧極性により、電気モータ80を時計回りの方向に動作させ得るが、電池によって電気モータに加えられる電圧極性は、電気モータ80を反時計回りの方向に動作させるために逆転され得る。本明細書に記述する他の形態と同様に、ハンドル14はまた、駆動システムが移動されている方向を検知するように構成されたセンサを含み得る。モータ80の1つの具体的な実現形態について、ブラシレスDCモータ7038が記載された図61、63、64に関連させて、本明細書で以下に説明する。DCモータ7038は、加圧滅菌可能となり得る。
図8〜12は、別の形態の手術器具10’を示しており、この手術器具10’は、以下に記す違いを除いて手術器具10と同一であってもよい。手術器具10’のうちの、上述した手術器具10の構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号で指定することにする。手術器具10’のうちの、手術器具10の対応する構成要素と同一ではないが動作においては類似し得る構成要素は、「’」又は場合によっては「’’」を伴った同じ構成要素番号で指定することにする。図8で分かるように、例えば、第1の駆動シャフト軸「FDA」は、第2の駆動シャフト軸「SDA」からずれており、かつ第2の駆動シャフト軸「SDA」と平行であるか又は実質的に平行である。主に図9を参照するが、例えば、伝達組立体60は、より具体的には伝達キャリッジ62’’は、発射トリガ90’に動作可能に取り付けられたリンク機構組立体120によって手動でシフト可能である。この図で分かるように、例えば、リンク機構組立体120は第1の伝達リンク122を含み、この第1の伝達リンク122は、発射トリガ90’に旋回式で結合されており、また軸方向に延びて伝達ヨーク124に旋回式で結合されている。伝達ヨーク124は、伝達キャリッジ62’’に移動可能にピン結合されている。したがって、発射トリガ90’が作動することにより、結果として、伝達キャリッジ62’’が軸方向に移動する。それ故に、リンク機構組立体120は基本的に、上述したシフタソレノイド71によって実施される作動運動に似た作動運動を実施することが理解されよう。伝達キャリッジ62’’の移動に関してこの実施形態の状況で用いられるとき、「手動でシフト可能」という用語は、発射トリガ90’を押し込むこと以外に、電気又は他の動力手段を用いることなく、伝達キャリッジを第1の駆動位置と第2の駆動位置との間で移動させることを指す。
図8〜12でも分かるように、第2の駆動ギヤ44’は、第2の駆動シャフト42’上の中間ギヤ46’からスペーサ45によって離間されている。第2の駆動ギヤ44’は第2の駆動シャフト42’にキー結合されるか、あるいは別様に回転不能に固定されているが、中間駆動ギヤ46’は、第2の駆動シャフト42’上に回転可能に支承されて、第2の駆動シャフト42’に対して自在に回転するようになっている。一形態において、例えば、遠位駆動ギヤ130が、中間駆動ギヤ46’と噛み合い係合をなして支持される。同様に、近位駆動ギヤ136が、第2の駆動ギヤ44’と噛み合い係合をなして支持される。この装置構成において、しかしながら、伝達キャリッジ62’’もまた、中央に配設された伝達ギヤ組立体140を含み、この伝達ギヤ組立体140は、伝達キャリッジ62’と共に軸方向に移動するように、伝達キャリッジ62’に動作可能に取り付けられている。依然として図8〜12を参照するが、伝達ギヤ組立体140は、中央に配設されたシフタ駆動ギヤ142を含み、このシフタ駆動ギヤ142は、モータ駆動ギヤ82とスライド可能な噛み合い係合をなす。したがって、モータ駆動ギヤ82が回転することにより、結果としてシフタ駆動ギヤ142が回転する。それに加えて、近位側に延びる円錐形状の駆動ギヤ144が、シフタ駆動ギヤ142に結合されており、また近位側の駆動ギヤ136に取り付けられた近位側のギヤソケット146と選択的に噛み合い係合をなするように構成されている。同様に、遠位側に延びる円錐形状の駆動ギヤ148が、遠位側の駆動ギヤ130に取り付けられた遠位側のギヤソケット150と選択的に噛み合い係合をなすように構成されている。
臨床医が第1の駆動システム20を作動させることを望む場合、臨床医は、発射トリガ90’を移動させて伝達ギヤ組立体140を軸方向に移動させ、遠位側に延びる円錐形状の駆動ギヤ148が、遠位側の駆動ギヤ130に取り付けられた遠位側のギヤソケット150と嵌め込みによる噛み合い係合をなすようにする。図8〜10を参照されたい。その位置にあるとき、モータ80を動作させることにより、結果として、モータ駆動ギヤ82、シフタ駆動ギヤ142、遠位側の駆動ギヤ130、中間駆動ギヤ46’、第1の駆動ギヤ24、及び第1の駆動シャフト22が回転することになる。臨床医が第2の駆動システム40を作動させることを望む場合、臨床医は、図11及び12に示す位置に発射トリガ90’を移動させ、それによって、近位側に延びる円錐形状の駆動ギヤ144が、近位側の駆動ギヤ136に取り付けられた近位側のギヤソケット146と嵌め込みによる噛み合い係合をなすようにする。その位置にあるとき、モータ80を動作させることにより、結果として、モータ駆動ギヤ82、シフタ駆動ギヤ142、近位側の駆動ギヤ136、第2の駆動ギヤ44’、及び第2の駆動シャフト42’が回転することになる。また図8〜12で分かるように、伝達キャリッジ62’’の位置を検知するために、以下で更に詳細に議論するように、センサ152及び154が用いられてもよい。例えば、センサ152及び154は、図61、63、64に関連して本明細書で以下に記述するホール効果センサ7028を使用して実現されてもよい。
図13〜16は、別の形態の電動手術器具310を示しており、この手術器具310は、以下に記す違いを除いて手術器具10と同一であってもよい。手術器具310のうちの、上述した手術器具10の構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号で指定することにする。この装置構成において、第1及び第2の駆動システム20、40は、独特かつ新規な「シフト式」伝達組立体360を通じてモータ80によって動力供給される。第1の駆動システム20は第1の駆動シャフト22を含み、第1の駆動シャフト22は、第1の駆動プーリ324をキー結合されるか、あるいは別様に回転不能に固定されている。同様に、第2の駆動システム40は第2の駆動シャフト42を含み、第2の駆動シャフト42は、第2の駆動プーリ344をキー結合されるか、あるいは別様に回転不能に固定されている。図14で分かるように、例えば、第1の駆動シャフト軸「FDA」は、第2の駆動シャフト軸「SDA」からずれており、かつ第2の駆動シャフト軸「SDA」と平行であるか、又は実質的に平行である。
依然として図13〜16を参照すると、一形態において、モータ80は第1のモータプーリ382を含み、第1のモータプーリ382は、モータ80のシャフトに回転不能に取り付けられている。第1のモータプーリ382は、第1の駆動プーリ324上に受容される第1の駆動ベルト385を駆動する。それに加えて、第2のモータプーリ384がモータシャフトに回転不能に装着されており、第2の駆動ベルト387を動作可能に支持している。第2の駆動ベルト387はまた、第2の駆動シャフト42上の第2の駆動プーリ344上に受容されている。例えば、第1及び第2の駆動ベルト385、387はVベルトを含んでもよい。
器具310はまた伝達組立体360を含み、伝達組立体360は、器具のハウジング内で軸方向に移動するように支持される伝達キャリッジ362を含んでいる。伝達キャリッジ362はアイドラキャリッジ374と動作可能に相互作用し、アイドラキャリッジ374は、伝達キャリッジ362がシフタソレノイド71によって軸方向に移動されるときに、伝達キャリッジ362との接触に反応して横方向に移動するように支持されている。アイドラキャリッジ374は、アイドラキャリッジ374に装着された第1のアイドラプーリ375と第2のアイドラプーリ376とを含んでいる。図示の装置構成において、ばね72は伝達キャリッジ362を第1の駆動位置へと遠位方向「DD」に付勢しており、伝達キャリッジ362は、アイドラキャリッジ374を第1の横方向「FLD」に移動させ、この第1の横方向「FLD」では、第1のアイドラプーリ375が第1の駆動ベルト385から遊びを除去することになる。この位置にあるとき、第2のアイドラプーリ376は、第2の駆動ベルト387との係合から外れて位置する。したがって、モータ80を動作させることにより、結果として第1の駆動シャフト22が回転することになる。第2のモータプーリ384はまた、モータ80が作動されるときに回転されることになるが、第2の駆動ベルト387の遊びにより、回転運動が第2の駆動プーリ344へと伝達されることが防止される。したがって、回転運動は第2の駆動システム40に伝達されない。上で議論したように、シフタソレノイド71は、発射トリガ90によって作動されてもよい。しかしながら、別の装置構成において、シフタソレノイド71はまた、例えば、上述したタイプの、手動で作動可能なリンク機構組立体で置き換えられてもよい。図示の装置構成において、発射トリガ90を作動させることにより、結果として、シフタソレノイド71が伝達キャリッジ362を近位方向「PD」に引っ張り、それによって、アイドラキャリッジ374を第2の横方向「SLD」に側方に変位させて、第2の駆動ベルト387から遊びを除去するように第2のアイドラ376を第2の駆動ベルト387と接触させることになる。また、アイドラキャリッジ374がそのように側方に移動することにより、第1のアイドラ375が第1の駆動ベルト385との係合から外れて、第1の駆動ベルト385を緩めることができる。したがって、そのような第2の駆動位置にあるとき、モータ80が作動することにより、結果として、第2の駆動システム40が作動することになる。第1の駆動ベルト385の遊びは、回転運動が第1の駆動システム20に伝達されるのを防止する。
伝達組立体360は、いくつかの明確な利点をもたらし得る。例えば、Vベルトの使用により、噛み合わせギヤ又はクラッチを備えたギヤ装置が排除される。更に、そのような伝動装置は、荷重下で起動又は停止され得る。それに加えて、伝達組立体360は、分離及び係合するために、あまり変位を必要としない。
図17〜21は、別の形態の電動手術器具410を示しており、この手術器具410は、以下に記す違いを除いて手術器具10と同一であってもよい。手術器具410のうちの、上述した手術器具10の構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号で指定することにする。この装置構成において、第1及び第2の駆動システム20、40は、独特かつ新規な「シフト式」伝達組立体460を通じてモータ480によって動力供給される。第1の駆動システム20は第1の駆動シャフト22を含み、第1の駆動シャフト22は、第1の駆動プーリ424をキー結合されるか、あるいは別様に回転不能に固定されている。同様に、第2の駆動システム40は第2の駆動シャフト42を含み、第2の駆動シャフト42は、第2の駆動プーリ444をキー結合されるか、あるいは別様に回転不能に固定されている。図18で分かるように、例えば、第1の駆動シャフト軸「FDA」は、第2の駆動シャフト軸「SDA」からずれており、かつ第2の駆動シャフト軸「SDA」と平行であるか、又は実質的に平行である。
ここで図19を参照すると、一形態において、モータ480はスプライン駆動シャフト481を含み、スプライン駆動シャフト481は、伝達キャリッジ462と相互作用するように構成された伝達シャフト組立体490とスライド可能に係合するように適合されており、そのため、伝達キャリッジ462が軸方向に移動することにより、結果として、スプライン駆動シャフト481上で伝達シャフト組立体490が軸方向に移動するようになっている。図19で分かるように、伝達シャフト組立体490は、その中にスプラインボア491を有しており、スプラインボア491は、その中にスプライン駆動シャフト481をスライド可能かつ動作可能に受容するためのものである。それに加えて、遠位係合カラー492が、伝達シャフト組立体490の遠位端部上に形成されている。遠位係合カラー492は環状溝493を備えて構成され、環状溝493は、対向する2本のヨークロッド465を中に受容するように構成され、それらヨークロッド465は、伝達キャリッジ462のヨーク部分464に取り付けられるものである。そのような装置構成は、伝達シャフト組立体490を伝達キャリッジ462に対して回転させながらも、伝達キャリッジ462を伝動シャフト組立体490に結合するように働く。
依然として図19を参照すると、第1のモータプーリ482が、伝達シャフト組立体490と選択的に駆動係合するように構成されている。例えば、図19で分かるように、伝達シャフト組立体490は、その近位端部上に軸受カラー494を形成されており、軸受カラー494は、第1のモータプーリ482のボア483内にスライド可能かつ回転可能に受容されるように寸法を定められている。それに加えて、第1のモータプーリ482はまた星形の近位駆動キャビティ488を含み、この星形の近位駆動キャビティ488は、伝達シャフト組立体490上に形成された相補的形状の駆動部分495と噛み合いによって係合するように適合されている。第1のモータプーリ482は、同様に第1の駆動プーリ424上に受容される第1の駆動ベルト485を駆動する。手術器具410はまた第2のモータプーリ484を含み、この第2のモータプーリ484は、伝達シャフト組立体490の駆動部分495と噛み合いによって係合するように構成された星形ボア489を有している。第2のモータプーリ484は、同様に第2の駆動プーリ444上に受容される第2の駆動ベルト487を動作可能に支持する。
上に示したように、器具410はまた伝達組立体460を含み、伝達組立体460は、器具のハウジング内で軸方向に移動するように支持される伝達キャリッジ462を含んでいる。伝達キャリッジ462は、伝達シャフト組立体490と動作可能に相互作用して、伝達シャフト組立体490が依然としてモータシャフト481と係合されている間に、同様に伝達シャフト組立体490を軸方向に移動させる。図20は、非作動位置にあるシフタソレノイド71を示している。この図で分かるように、伝達キャリッジ462は、「第1の駆動位置」とも呼ばれ得る最近位位置に伝達シャフト組立体490を移動させており、この最近位位置において、駆動部分495は、第1のモータプーリ482の星形ボア488と駆動係合をなす。したがって、モータシャフト481が回転することにより、結果として、伝達シャフト組立体490及び第1のモータプーリ482が回転することになる。第1のモータプーリ482が回転することにより、結果として第1の駆動ベルト485が回転し、その結果として、最終的には第1の駆動シャフト22が回転することになる。伝達シャフト組立体490が第1の駆動位置にあるとき、伝達シャフト組立体490は、第2のモータプーリ484に対して自在に回転する。したがって、第1の駆動システム20が作動されるとき、第2の駆動システム40は依然として作動されない。シフタソレノイド71が、(発射トリガ90を作動させることによって)図21に示す位置へと作動されると、伝達キャリッジ462は、「第2の駆動位置」とも呼ばれ得る、モータシャフト481上の最遠位位置に伝達シャフト組立体490を移動させる。図21で分かるように、伝達シャフト組立体490が第2の位置にあるとき、その駆動部分495は移動されて、第2のモータプーリ484の星形ボア489と噛み合い係合する。したがって、モータシャフト481が回転することにより、結果として、第2のモータプーリ484が回転することになる。第2のモータプーリ484が回転することにより、結果として第2の駆動ベルト487が回転することになり、その結果、第2の駆動シャフト42が回転する。この第2の駆動位置にあるとき、伝達シャフト組立体490は、第1のモータプーリ482内で自在に回転するしたがって、第2の駆動システム40が作動されるとき、第1の駆動システム20は非作動状態にある。
図22〜27は、本明細書で説明する様々な手術器具と共に用いられ得る別のモータ、伝達組立体、並びに第1及び第2の駆動システムを示している。図示の装置は、モータシャフト581を有するモータ580を含んでいる。図23及び24を参照されたい。モータ駆動ギヤ582又は「サンギヤ」582が、モータシャフト581と共に回転するように、モータシャフト581に回転不能に固定されている。この装置はプラネタリギヤ組立体570を更に含んでおり、プラネタリギヤ組立体570は、遠位側のキャリアブラケット573と近位側のキャリアブラケット574との間に回転可能に支持される3つのプラネタリギヤ572を含んでいる。近位側のキャリアブラケット574は、サンギヤ582が近位側のキャリアブラケット574に対して回転し得るように、サンギヤ582のハブ部分上に支持されている。遠位側のキャリアブラケット573は、第2の駆動システム40の第2の駆動シャフト542に固定されており、そのため、遠位側のキャリアブラケット573が回転することにより、結果として第2の駆動システム40の第2の駆動シャフト542が回転するようになっている。3つのプラネタリギヤ572は、リングギヤ組立体575と噛み合い係合をなして支持されている。より具体的に言えば、プラネタリギヤ572は、リングギヤ組立体575上の内部リングギヤ576と噛み合い係合をなす。リングギヤ組立体575は外部リングギヤ577を更に含んでおり、外部リングギヤ577は、第1の駆動システム20の第1の駆動シャフト522に固定された第1の駆動ギヤ524と噛み合い係合をなしている。図24で分かるように、例えば、第1の駆動シャフト軸「FDA」は、第2の駆動シャフト軸「SDA」からずれており、かつ第2の駆動シャフト軸「SDA」と平行であるか、又は実質的に平行である。
図23で分かるように、この装置はソレノイド71を更に含んでおり、ソレノイド71は、本明細書で述べた様々な方式で発射トリガによって動作され得る。この装置構成において、伝達組立体560は、ソレノイド71のシャフト73に取り付けられる。図24は、第1の駆動位置にある伝達組立体560を示している。一形態において、伝達組立体560は、概して590で示されるロック組立体を含んでおり、このロック組立体は、伝達組立体560上に第1の又は近位側のロック突起部分592と第2の又は遠位側のロック突起部分594とを備えている。この図で分かるように、伝達組立体560は、近位側のロック突起部分592が近位側のキャリアブラケット574と係合するように配置されている。この第1の駆動位置にあるとき、近位側のロック突起部分592は、プラネタリギヤ組立体570がサンギヤ582と一体となって回転するのを防止する。しかしながら、サンギヤ582が回転することにより、結果としてプラネタリギヤ572が回転する。プラネタリギヤ572が回転することにより、結果としてリングギヤ組立体575が回転する。リングギヤ組立体575が回転することにより、結果として第1の駆動ギヤ524及び第1の駆動シャフト522が回転する。近位側のキャリアブラケット574は回転するのを防止されているため、遠位側のキャリアブラケット573もまた回転するのを防止されている。したがって、第1の駆動シャフト522が回転されている間、第2の駆動シャフト544もまた回転するのを防止される。ソレノイド71(及びそれに取り付けられた伝達組立体560)をこの「第1の駆動位置」へと付勢するために、ばね(図示せず)が用いられてもよい。臨床医が第2の駆動システム40を作動させるように望むとき、ソレノイド71は、上述のように発射トリガを使用して作動されて、ソレノイドシャフト73を図25に示す位置に移動させ得る。伝達組立体560がこの「第2の駆動位置」にあるとき、遠位側のロック突起部分594は、リングギヤ組立体575と保持によって係合して、リングギヤ組立体575の回転を防止する。したがって、サンギヤ582が回転されるとき、プラネタリギヤキャリヤ(すなわち、遠位側のキャリアブラケット573及び近位側のキャリアブラケット574)もまた回転することになる。プラネタリギヤ572は、固定された内部リングギヤ576内で回転することになる。そのような回転運動が第2の駆動シャフト542に伝達されることになる一方で、第1の駆動シャフト522は依然として作動されない。
図28は、別の形態の電動手術器具610を示しており、この手術器具610は、以下に記す違いを除いて手術器具10と同一であってもよい。手術器具610のうちの、上述した手術器具10の構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号で指定することにする。図28で分かるように、例えば、第1の駆動シャフト軸「FDA」は、第2の駆動シャフト軸「SDA」からずれており、かつ第2の駆動シャフト軸「SDA」と平行であるか、又は実質的に平行である。この装置はモータ680を備え、モータ680は、複式の独立作動型モータシャフト681、683を有している。発射トリガがある方式で作動することによって、モータ680が第1のモータシャフト681を回転させ、発射トリガが別の方式で作動することによって、モータ680が第2のモータシャフト683を回転させるように、モータ680は、本明細書に記述する様々なタイプの発射トリガ装置によって制御され得る。この装置構成において、第1のモータギヤ682が第1のモータシャフト681上に装着されており、アイドラギヤ646と噛み合い係合をなして支持されている。アイドラギヤ646は、第1の駆動システム620の第1の駆動シャフト622に装着された第1の駆動ギヤ624と噛み合い係合をなして動作可能に支持されている。したがって、第1のモータシャフト681が作動することにより、結果として第1の駆動システム620が作動することになる。同様に、第2のモータギヤ684が第2のモータシャフト683上に装着されており、第2の駆動システム640の第2の駆動シャフト642上に装着された第2の駆動ギヤ644と噛み合い係合をなして支持されている。したがって、第2のモータシャフト683が作動することにより、結果として第2の駆動システム640が作動することになる。
図29は、別の形態の電動手術器具710を示しており、この手術器具710は、以下に記す違いを除いて手術器具10と同一であってもよい。手術器具710のうちの、上述した手術器具10の構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号で指定することにする。図29で分かるように、例えば、第1の駆動シャフト軸「FDA」は、第2の駆動シャフト軸「SDA」からずれており、かつ第2の駆動シャフト軸「SDA」と平行であるか、又は実質的に平行である。この装置構成において、第1及び第2の駆動システム720、740は、独特かつ新規な「シフト式」伝達組立体760を通じてモータ780によって動力供給される。第1の駆動システム720は第1の駆動シャフト722を含み、第1の駆動シャフト722は、第1の駆動ギヤ724をキー結合されるか、あるいは別様に回転不能に固定されている。同様に、第2の駆動システム740は第2の駆動シャフト742を含み、第2の駆動シャフト742は、第2の駆動ギヤ744をキー結合されるか、あるいは別様に回転不能に固定されている。モータ780はモータギヤ782を含み、モータギヤ782は、モータ780のシャフト781に回転不能に取り付けられている。
図示の装置構成において、以下で更に詳細に議論するように、伝達組立体760をシフトさせるために第2のモータ750が用いられている。第2のモータ750は、例えば、本明細書で開示する様々な発射トリガ及びスイッチ装置によって制御され得る。第2のモータ750は、図61、63、64に関連して本明細書で以下に記述するように、モータ7038が制御される方式と類似した形式で制御され得る。図29で分かるように、第1の伝達プーリ753が、モータシャフト752にキー結合されるか、あるいは別様に回転不能に固定されている。第1のピボットシャフト754が、ハンドル14のハウジング12内で回転可能に支持されている。第1のピボットシャフトは、ピボット軸「PA」を規定している。第2の伝達プーリ755が第1のピボットシャフト754上に回転不能に装着され、伝達ベルト756が第1及び第2の伝達プーリ753、755上に装着されている。一形態において、シフト式伝達組立体760は伝達リンク762を含んでおり、伝達リンク762は第1のピボットシャフト754に取り付けられている。それに加えて、アイドラシャフト763が伝達リンク762に取り付けられており、伝達リンク762は、その上にアイドラギヤ764を動作可能に支持している。シフト式伝達組立体760は、第1の駆動位置と第2の駆動位置との間で移動可能である。シフト式伝達組立体760を第1の駆動位置に移動させるために、臨床医は第2のモータ750を作動させて、ピボット軸PAを中心としてピボットシャフト763及びアイドラギヤ764を回転させ、それにより、アイドラギヤ764は、モータギヤ782及び第1の駆動ギヤ724と噛み合い係合するようになる。この位置にあるとき、モータ780が作動することにより、結果として、次いで第1の駆動システム720が作動することになる。臨床医が第2の駆動システム740を作動させることを望む場合、第2のモータ750は、ピボット軸PAを中心としてアイドラギヤ764を回転させて、モータギヤ782及び第2の駆動ギヤ744と噛み合い係合させるように作動される。この位置にあるとき、モータ780が作動することにより、結果として、第2の駆動システム740が作動することになる。この装置構成を用いて達成され得る1つの利益は、正確なギヤの方向付けが必要とされないことである。アイドラギヤ764が定位置へと旋回するとき、アイドラギヤ764は回転していてもよく、また噛み合う歯を自動的に発見する。
図30〜32は、本明細書に記述するタイプのハウジング内に装着され得る、独特かつ新規なモータユニット800を示している。モータユニット800は別のハウジング構造801を含んでもよく、ハウジング構造801は、第1の駆動システム804を規定する第1のモータシャフト803を備えた第1のモータ802を動作可能に支持する。モータユニット800は、第2の駆動システム807を規定する第2のモータシャフト806を備えた第2のモータ805を含んでもよい。図8で分かるように、例えば、第1の駆動シャフト軸「FDA」は、第2の駆動シャフト軸「SDA」からずれており、かつ第2の駆動シャフト軸「SDA」と平行であるか、又は実質的に平行である。ユニット800は、接点808Aを備えた制御回路基板808を更に含んでもよく、接点808Aは、器具ハウジング内に装着されるか、あるいは別様に器具ハウジング内に支持された回路上の対応する接点と動作可能に接合し、器具の制御システムと通信する。ハウジングは、電気接点808Bを更に含んでもよく、この電気接点808Bは、ハウジングに結合されるエンドエフェクタ用具上の対応する電気接点と動作可能に接合するように構成されている。
図1に示すように、モジュール式手術システム2は、本明細書で記述する様々な手術器具と共に使用され得る、多種多様な手術用エンドエフェクタ装置1000、2000、及び3000を含んでもよい。以下で更に詳細に議論するように、エンドエフェクタ1000、2000、3000の各々は、手術器具の第1及び第2の駆動システムと動作可能に接合してそれらから制御運動を受け取るように適合された、複式の別々の「第1及び第2のエンドエフェクタ駆動システム」を含んでいる。エンドエフェクタ駆動システムはそれぞれ、エンドエフェクタを動作可能に取り付けられた手術器具によって、対応する回転運動がエンドエフェクタ駆動システムに加えられるのに反応して、対応するエンドエフェクタアクチュエータ構成要素を第1の、つまり最初の直線位置から、第2の、つまり最後の直線位置へと直線的に移動させるように構成されている。エンドエフェクタアクチュエータ構成要素は、様々な手術手技を実施するために、エンドエフェクタ用具のヘッド部分に配置された様々なエンドエフェクタ構成要素に直線的な操作運動を加える。以下で更に詳細に議論するように、エンドエフェクタは、臨床医が手術器具の第1及び第2の駆動シャフトをエンドエフェクタの対応する駆動シャフトと結合するのを支援するために、独特な構成要素及びシステムを用いている。4本の駆動シャフトは基本的には同時に互いに結合されるので、それらのシャフトが、正しい位置、又は駆動システムのそのような同時結合を促進する「ほとんど正しい位置」にあるようにするため、様々な結合装置及び制御技術が用いられ得る。
ここで図33を参照すると、手術器具内の2つの駆動システムをエンドエフェクタ内の対応する「被動」シャフトに同時に取り外し可能かつ動作可能に結合するのを容易にするために、ある形態の機械的結合システム50が用いられ得る。結合システム50は、手術器具内の駆動シャフトに取り付けられ得る雄型カプラと、手術用エンドエフェクタ内の被動シャフトに取り付けられる、対応する雌型ソケットカプラとを含み得る。例えば、図9は、第1及び第2の駆動シャフト22、42に止めねじ52によって取り付けられた雄型カプラ51を示している。再び図33を参照すると、雄型カプラ51の各々は、対応する雌型ソケットカプラ57内に駆動式で受容されるように構成されており、雌型ソケットカプラ57もまたエンドエフェクタ内の被動シャフトに取り付けられ得る。一形態において、各雄型カプラ51は、少なくとも3つの駆動リブ53を含み、これら駆動リブ53は、雄型カプラ51の中央部分54の周りに等しく離間されている。図示の実施形態において、例えば、5つの駆動リブ53が、中央部分54の周りに等しく離間されている。各駆動リブ53は、鋭い遠位端部55を有している。各駆動リブ53は、雌型ソケットカプラ57内の対応するソケット溝58の中へ挿入するのを容易にするために、幾分か丸み付きの縁部56を備えて形成されてもよい。各ソケット溝58は、その中に対応する駆動リブ53を挿入するのを容易にするために、テーパ付きの近位入口部分59を有している。各駆動リブ53の鋭い遠位端部55は、各ソケット溝58のテーパ付きの入口59と相まって、結合プロセス中に雄型カプラ51とそれに対応する雌型ソケットカプラ57との心狂いに適応することになる。それに加えて、鋭い遠位端部55上の丸み付きの縁部57もまた、雄型カプラ51を、対応する雌型ソケットカプラ58の中にスライド可能に挿入するのを支援する。
一形態において、雄型カプラ51のうちの少なくとも1つが、それに対応する手術器具の第1若しくは第2の駆動シャフト、又はそれに対応する手術用エンドエフェクタの第1及び第2の被動シャフトに移動可能に取り付けられる。より具体的に言えば、雄型カプラ51は、シャフト上における「径方向移動の第1の所定量」をなすように、シャフト上で径方向又は角度方向に移動するように取り付けられてもよい。これは、例えば、シャフト上における雄型カプラ51の一定量の径方向又は角度方向移動を容易にするように互いに対して寸法を定められたキー、及びキー溝の装置によって達成され得る。別の言い方をすれば、シャフトは、例えば、キーがキー溝内で移動し、径方向移動の第1の所定量を確立し得るように、雄型カプラ51に形成された対応するキー溝よりも小さなキーをシャフト上に形成されるか、あるいは別様にシャフトに装着され得る。この径方向移動の第1の所定量は好ましくは、カプラを後方駆動又は前方駆動させるのに十分なものである。例えば5つのリブ53を有する雄型カプラ51の場合、径方向移動の第1の所定範囲は、例えば5〜37度となり得る。例えば、径方向移動の第1の所定範囲が5°未満、好ましくは4°以下となり得るいくつかの実施形態も存在し得る。径方向又は角度方向の移動のそのような範囲は、例えば、対応する雌型ソケットカプラ57がそれに対応する駆動シャフトに強固に固定され、また別様にいかなる径方向移動も不可能となる場合には十分となり得る。しかしながら、雄型カプラと雌型カプラの双方が、径方向に又は角度方向に調節する能力を有する場合、径方向又は角度方向の移動のそのような範囲は、各カプラ(雄型カプラ及びそれに対応する雌型ソケットカプラ)に約3〜16度の移動範囲を設けるように、50%、低減され得る。雌型ソケットカプラ57がそれに対応するシャフト上で移動し得る、径方向又は角度方向移動の量は、本明細書において「径方向移動の第2の所定量」と呼ばれ得る。雌型ソケットカプラ57はまた、所望の径方向移動の第2の所定量をもたらす上述したキーとキー溝の装置を用いて、それぞれに対応する駆動シャフトに取り付けられ得る。例えば、所定の径方向移動の第2の範囲が5°未満、好ましくは4°以下となり得るいくつかの実施形態も存在し得る。
雄型カプラと雌型ソケットカプラの様々な組み合わせ及び装着装置が企図される。例えば、雄型カプラの一方又は両方が、本明細書で記述した様々な方式で、それぞれに対応する手術器具の駆動シャフト(又は手術用エンドエフェクタの被動シャフト)に移動可能に装着され得る。同様に、雌型ソケットカプラの一方又は両方が、本明細書で記述した様々な方式で、それぞれに対応するエンドエフェクタ上の被動シャフト(又は手術器具の駆動シャフト)に移動可能に装着され得る。例えば、第1及び第2の駆動シャフトの一方の雄型カプラが、その雌型ソケットカプラ上に移動可能に装着され得る。もう一方の駆動シャフトに取り付けられる、もう一方の雄型カプラは、雌型ソケットカプラに移動不能に装着され得る。移動可能に装着された雄型カプラに対応する、被動シャフト上の雌型ソケットカプラは、その被動シャフトに移動不能に取り付けられ得、移動不能に装着されたカプラに対応する、もう一方の被動シャフト上に装着された雌型ソケットカプラは、その被動シャフトに移動可能に装着され得る。したがって、「カプラ対」の雄型カプラと雌型カプラソケットの一方は移動可能である。「カプラ対」という用語は、互いに結合されて、手術器具の駆動シャフトをそれに対応するエンドエフェクタの被動シャフトに動作可能に結合するように構成された、雄型カプラとそれに対応する雌型ソケットカプラを指す。他の装置構成において、カプラ対の雄型カプラと雌型カプラソケットは共に、それぞれのシャフトに移動可能に結合され得る。
そのようなカプラ装置は、例えばカプラ構成要素同士の間に小量の角度の遊びを設けるように働き、そのため、構成要素は、十分な心合わせをなすようにわずかに回転され得るようになり、これにより、2つの別々の回転駆動系に取り付けられたカプラ構成要素が同時に心合わせされることができる。それに加えて、結合プロセスに適応するように、十分な量のバックラッシュ又は遊びが駆動系に設けられてもよい。そのようなバックラッシュ又は遊びは、構成要素のそのようなわずかな回転を促進するように、キー/キー溝をギヤ、カプラ、及び/又は噛み合いシャフトに形成することによって設けられ得る。それに加えて、結合の目的でモータを起動して駆動シャフトのわずかな回転を生じさせ得る切り換え装置が、様々なシフト式伝達組立体と共に用いられ得る。
手術器具内の駆動シャフトが、それらとエンドエフェクタ内の対応する駆動シャフトとの結合を促進する所望の位置に配置されるようにするため、この制御技術及び他の制御技術が用いられ得る。この独特かつ新規な機械的結合システム50は、結合プロセスの間に更なる柔軟性をもたらすように働いて、各駆動シャフト同士の間に幾分かの心狂いがある場合にも、それらの駆動シャフトを互いに結合できるようにしている。本明細書に記述した様々な実施形態は、手術器具内の駆動シャフトに取り付けられた雄型カプラ51と、エンドエフェクタの駆動シャフトに取り付けられた雌型ソケットカプラ58を示しているが、雄型カプラ51はエンドエフェクタの駆動シャフトに取り付けられてもよく、雌型ソケットカプラ58は器具の駆動シャフトに取り付けられてもよいことが理解されよう。
図34〜37は手術用エンドエフェクタ1000を示しており、この手術用エンドエフェクタ1000は、「オープンリニア」ステープラと一般に呼ばれるタイプの手術用切断締結器具を備えている。そのようなオープンリニアステープル留め装置の様々な形態が、例えば、「SURGICAL STAPLER AND STAPLE CARTRIDGE」と題された米国特許第5,415,334号、及び「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT」と題された米国特許第8,561,870号に開示されており、各々のすべての開示内容が参照によって本明細書に組み込まれる。エンドエフェクタ1000はエンドエフェクタハウジング1010を備え、エンドエフェクタハウジング1010は、ねじ、突起、スナップ機構などによって互いに取り外し可能に結合されるハウジングセグメント1012、1014から組み立てられ得る。エンドエフェクタハウジング1010から下部ジョー1020と上部ジョー1040が突出しており、これら下部ジョー1020と上部ジョー1040は共同でエンドエフェクタのツールヘッド1004を形成し得る。下部ジョー1020は、手術用ステープルカートリッジ1060を中に動作可能に支持するように構成された下部ジョーフレーム1022を備えている。そのような手術用ステープルカートリッジは当該技術分野で周知であり、したがって本明細書では詳細に説明しない。簡潔に言えば、手術用ステープルカートリッジ1060はカートリッジ本体1062を備え得、カートリッジ本体1062は、カートリッジ本体1062内に中央に配設された細長スロット1068の各外側部に形成されたステープルポケット1066のラインを有している。スロット1068は、以下で更に詳細に議論するように、切断部材1090の長手方向の移動に適応するように構成されている。手術用ステープル(図示せず)が、ステープル駆動部材(図示せず)上のステープルポケット1066内に支持され、そのステープル駆動部材は、発射プロセスの間に各ポケット1066内で上向きに移動するように構成されている。ステープルカートリッジ1060は、下部ジョーフレーム1022から取り外され、別の未使用カートリッジと交換されるように構成されて、エンドエフェクタ1000を再使用可能にしてもよい。しかしながら、エンドエフェクタ1000はまた、1回の使用後に使い捨てにされてもよい。
図36を参照すると、下部ジョーフレーム1022は、金属材料から形成され、手術用ステープルカートリッジ1060を中に着座式で受容するように構成されたU字形状の遠位部分1024を有してもよい。U字形状の遠位部分1024の側壁1026は、手術用カートリッジ1060の一部分と解放可能にかつ保持によって係合するように構成された遠位端部1028を有してもよい。ステープルカートリッジ本体1062はまた係合機構1064を有してもよく、この係合機構1064は、下部ジョーフレーム1022の直立する壁部分1030と解放可能に係合するように適合されている。エンドエフェクタ1000は、アンビル部分1042を有する上部ジョー1040を更に備えている。アンビル部分1042は、複数のステープル成形ポケットを中に有する裏面(図示せず)を有してもよい。上部ジョー1040は近位本体部分1044を更に含み、この近位本体部分1044は、それを通って延びる遠位トラニオンピン1046を有している。近位本体部分1044の近位端部から外方に突出する遠位トラニオンピン1046の端部は、下部ジョー1020のトラニオンホール1032内に回転可能に受容される。トラニオンピン1046は、上部ジョー1040の近位端部が下部ジョー1020に対して旋回する取り付け軸AA−AAを規定しており、それにより、アンビル部分1042は、下部ジョー1020内に装着されたステープルカートリッジ1060から離間する開位置と、それらの間に配置されたステープルカートリッジ160及び/又は組織に隣接する閉位置との間で移動可能となっている。エンドエフェクタ1000は横断支持ピン1050を更に含んでもよく、この横断支持ピン1050は、下部ジョー1020の直立壁1030に形成されたクレードル1034内に受容され、ハウジングセグメント1012、1014のホール1016内に装着される。支持ピン1050は、アンビル部分1042が旋回する支持軸又は表面として働き得る。
開位置と閉位置との間におけるアンビル部分1042の移動は、本明細書ではエンドエフェクタクロージャシステム1070とも呼ばれる第1のエンドエフェクタ駆動システムによって制御される。一形態において、例えば、エンドエフェクタクロージャシステム1070は、下部ジョー1020の近位本体部分1024を囲んで延びるクロージャシャトル1072を含む。クロージャシャトル1072はまた、「第1のエンドエフェクタアクチュエータ」とも呼ばれ得る。クロージャシャトル1072は、遠位直立壁1074と近位直立壁1076とを有するU字形状部分を含んでもよい。各遠位直立壁1074は弓状カムスロット1078を含み、この弓状カムスロット1078は、上部ジョー1040に取り付けられたカムピン1048の対応部分を受容するように適合されている。したがって、クロージャシャトル1072が下部ジョー1020に対して軸方向又は直線運動することにより、上部ジョー1040は、カムスロット1078内のカムピン1048の相互作用によって、支点ピン1050上で取り付け軸AA−AAを中心として旋回することになる。
様々な形態において、クロージャシステム1070は回転式のエンドエフェクタクロージャシャフト1080を含み、このエンドエフェクタクロージャシャフト1080はねじ付きであり、エンドエフェクタハウジング1010内に回転可能に支持される遠位端部分1082を含んでいる。エンドエフェクタクロージャシャフト1080は、クロージャシャフト軸CSA−CSAを規定している。図37を参照されたい。クロージャシャフト1080を、手術器具内の第1の駆動シャフトに取り付けられた雄型カプラ51と結合するのを容易にするために、雌型ソケットカプラ57がクロージャシャフト1080の近位端部に取り付けられている。クロージャシステム1070はクロージャナット1084を更に含んでおり、クロージャナット1084はクロージャシャフト108上に螺合可能に受容される。クロージャナット1084は、クロージャシャトル1072の直立壁1076の装着スロット1077内に着座されるように構成されている。したがって、クロージャシャフト1080が第1の方向に回転することにより、クロージャナット1084はクロージャシャトル1072を遠位方向「DD」に駆動することになる。クロージャシャトル1072が遠位方向「DD」に移動することにより、結果として、上部ジョー1040が開位置から閉位置へと旋回移動することになる。同様に、クロージャシャトル1084が近位方向「PD」に移動することにより、結果として、上部ジョー1040が閉位置から再び開位置へと移動することになる。
エンドエフェクタ1000は、本明細書において発射システム1100とも呼ばれる、第2のエンドエフェクタ駆動システムを更に含んでおり、この発射システム1100は、組織切断部材1090及びウェッジスレッド組立体1092を開始位置と終了位置との間で駆動するためのものである。ウェッジスレッド組立体1092が手術用ステープルカートリッジ1060を通じて遠位側に駆動されるとき、ウェッジスレッド組立体1092は、手術用ステープルを上で支持するカートリッジ1060内の駆動部と動作可能に相互作用する。ウェッジスレッド組立体1092が遠位側に駆動されるとき、駆動部は、それぞれのポケット内で上向きに駆動されて、支持されているステープルを駆動して上部ジョー1040のアンビル部分1042の裏面と成形係合させる。一形態において、発射システム1100は、エンドエフェクタハウジング1010内に回転可能に支持される、回転式のねじ付き発射シャフト1102を更に含んでいる。発射シャフト1102は、クロージャシャフト軸CSA−CSAと平行か、又は実質的に平行である発射シャフト軸FSA−FSAを規定している。例えば、図37を参照されたい。発射シャフト1102は遠位端部分1104を含み、遠位端部分1104は、エンドエフェクタ1010内に装着された装着ユニット1106内に回転可能に支持されている。発射シャフト1102を、手術器具内の第2の駆動シャフトに取り付けられた雄型クロージャカプラ51と結合するのを容易にするために、雌型ソケットカプラ57が発射シャフト1102の近位端部に取り付けられている。発射システム1100は発射ナット1110を更に含んでおり、発射ナット1110は発射シャフト1102上に螺合可能に受容される。したがって、発射シャフト1102が回転することにより、結果として、発射ナット1110がエンドエフェクタハウジング1010内で軸方向に移動する。一形態において、組織切断部材1090とウェッジスレッド組立体1092は、発射バー1112によって発射ナット1110に結合される。発射バーはまた、発射システムの作動に反応して直線的に又は軸方向に移動される「第2のエンドエフェクタアクチュエータ」とも呼ばれ得る。したがって、発射シャフト1102が第1の方向に回転すると、発射ナット1110、発射バー1112、組織切断部材1090及びウェッジスレッド組立体1092は、例えば開始位置(図35)から終了位置へと遠位方向「DD」に駆動され、この終了位置において、組織切断部材1090及びウェッジスレッド組立体1092は手術用ステープルカートリッジ1060の遠位端部へと駆動されている。発射シャフト1102が反対方向に回転すると、発射ナット1110、発射バー1112、組織切断部材1090及びウェッジスレッド組立体1092は、それぞれの終了位置から再びそれぞれの開始位置へと近位方向「PD」に駆動される。いくつかの実施形態において、ウェッジスレッド組立体は、手術用ステープルカートリッジの遠位端部に残存し、組織切断部材1090と共に開始位置へと復帰しなくてもよい。更に他の実施形態において、組織切断部材及びウェッジスレッド組立体部材は、ステープルカートリッジ部材の遠位端部に残存してもよい。
エンドエフェクタ1000はまた、エンドエフェクタハウジング1010内に装着されたエンドエフェクタの接触板1120に結合された様々なセンサを装備され得る。接触板1120は、エンドエフェクタ1000が手術器具に動作可能に結合されるとき、手術器具ハウジング12内に装着された手術器具の接触板30にエンドエフェクタの接触板1120が電気的に結合されるように、エンドエフェクタハウジング1020と位置決めされ得る。例えば、図1を参照されたい。再び図34を参照すると、エンドエフェクタ1000が手術器具に動作可能に結合されるとき、クロージャセンサ1122が手術器具の制御システムと通信するように、クロージャセンサ1122がエンドエフェクタハウジング1010内に装着され、エンドエフェクタの接触板1120に電気的に結合され得る。クロージャセンサ1122は、クロージャナット1084上のスイッチ突起1086の位置を検出するように構成された、例えば図61、63に関連して以下に示すようなホール効果センサ7028を含んでもよい。それに加えて、発射バー1112の存在を検出するために、発射センサ1124がまたエンドエフェクタハウジング1010内に装着されてもよい。図61、63、64に関連して以下で更に詳細に議論するように、発射センサ1112は、例えば図61、63に関連して以下に示すようなホール効果センサ7028を含み、ハンドル用プロセッサ7024などの手術器具制御システムと最終的に通信するために、エンドエフェクタの接触板1120に電気的に結合されてもよい。
エンドエフェクタ1000の使用法について、手術器具10に関連させてこれから説明することにする。しかしながら、エンドエフェクタ1000は、本明細書で開示する様々な他の手術器具装置に動作可能に結合され得ることが明らかとなろう。使用前、クロージャシャフト1080及び発射シャフト1102は、それぞれ第1及び第2の駆動シャフト22、42への取り付けを容易にするように、それぞれの開始位置に「クロック(clocked)」又は配置されている。エンドエフェクタ1000を手術器具10に結合するために、例えば、臨床医は、クロージャシャフト軸CA−CAが第1の駆動シャフト軸FDA−FDAと軸方向に整合し、発射シャフト軸FSA−FSAが第2の駆動シャフト軸SDA−SDAと軸方向に整合する位置に、エンドエフェクタ1000を移動させる。クロージャシャフト1080上の雌型ソケットカプラ57は、第1の駆動シャフト22上の雄型カプラ51と動作可能に係合するように挿入される。同様に、発射シャフト1102上の雌型ソケットカプラ57は、第2の駆動シャフト42上の雄型カプラ51と動作可能に係合するように挿入される。したがって、この位置にあるとき、クロージャシャフト1080は第1の駆動シャフト22に動作可能に結合されており、発射シャフト1102は第2の駆動シャフト42に動作可能に結合されている。エンドエフェクタの接触板1120は手術器具の接触板30に動作可能に結合され、そのため、センサ1122、1124(及びエンドエフェクタ1000内の任意の他のセンサ)が手術器具の制御システムと動作可能に通信するようになっている。エンドエフェクタ1000を、手術器具10と動作可能に係合した状態に保つために、エンドエフェクタ1000はリテーナラッチ1130を含み、このリテーナラッチ1130は、エンドエフェクタハウジング1010に取り付けられるものであり、器具ハウジング12の一部分と解放可能に係合するように構成されている。リテーナラッチ1130は保持突起1132を含んでもよく、保持突起1132は、ハウジング12に形成されたリテーナキャビティ15と解放可能に係合し得る。図1を参照されたい。
互いに結合されると、クロージャセンサ1122はクロージャナット1084の位置を検出し、発射センサ1124は発射バー1112の位置を検出する。その情報は、手術器具制御システムに通信される。それに加えて、臨床医は、シフト式伝達組立体(又はその伝達キャリッジ62)がその第1の駆動位置にあることを確認してもよい。これは、上で議論したようにハウジング12上の表示灯77の作動によって確認され得る。シフト式伝達組立体60がその第1の駆動位置にない場合、臨床医は、発射トリガ92を作動させて伝達キャリッジ62を第1の駆動位置に移動させてもよく、それにより、ロッカートリガ110が作動してモータ80が作動すると、結果として第1の駆動システム20が作動するようになる。クロージャシステム1070及び発射システム1100がそれぞれ開始位置にあり、エンドエフェクタ1000が、その中に未使用のステープルカートリッジ1060を適切に取り付けられていると仮定すると、臨床医は次いで、切断及びステープル留めされる標的組織に対してジョー1020、1040を位置決めし得る。臨床医は、ロッカートリガ110を作動させてモータ80を作動させ、第1の駆動シャフト22を回転させることによって、上部ジョー1040を閉鎖し得る。標的組織が上部ジョー1040と下部ジョー1020内の手術用ステープルカートリッジ1060との間にクランプされると、臨床医は次いで、発射トリガ92を作動させて伝達キャリッジ62をその第2の駆動位置に移動させ得、そのため、モータ80が作動することにより、結果として第2の駆動シャフト42が回転するようになる。伝達キャリッジ62が第2の駆動位置に移動されると、臨床医はもう一度ロッカートリガ110を作動させて、第2の駆動システム40、及びエンドエフェクタ1000内の発射システム1100を作動させ、組織切断部材1090及びウェッジスレッド組立体1092を、手術用ステープルカートリッジ1060を通じて遠位側に駆動し得る。組織切断部材1090及びウェッジスレッド組立体1092が遠位側に駆動されるとき、ジョー1020と1040との間にクランプされた標的組織が切断及びステープル留めされる。組織切断部材1090及びウェッジスレッド組立体1092が手術用ステープルカートリッジ1060内でそれらの最遠位位置に駆動されると、臨床医は、ロッカートリガ110を作動させてモータの回転を逆転させ、発射システム1100をその開始位置に復帰させ得る。
エンドエフェクタ1000及び他のエンドエフェクタ、並びに、同様のジョー装置を備えた、本明細書で開示した手術器具を用いる場合、アンビルの裏面にあるアンビルポケットを適当に清浄にすることが困難となり得る。それに加えて、アンビルポケットは、時間を経て、擦り剥け、削がれ、又は単純に摩耗して、再使用に不適当になり得る。更に、用途によっては、手術用ステープルカートリッジの装填及び除去が困難になり得る。図119〜121は、これらの難題のすべてではなくても一部に対処し得る使い捨て「ステープルパック」1300を示している。
図119は、以下で議論する特異的な違いは除いて、例えばエンドエフェクタ1000並びに本明細書で開示した他のエンドエフェクタに構造及び動作において類似し得るエンドエフェクタ1000’の一部分を示している。図119で分かるように、上部ジョー1240は開放遠位端部1243を含んでいる。上部ジョー1240は、金属材料から形成され、遠位端部から見てU字形状の外形を有し、内向きに延びる2つの対向保持リップ1245を有し得る。エンドエフェクタ1000’は、例えば本明細書で記述した下部ジョーフレーム1222に類似した下部ジョーフレーム1222を更に含んでいる。この図で分かるように、下部ジョーフレーム1222はまた、開放遠位端部1223を有している。
依然として図119を参照すると、「使い捨て」ステープルパック1300の一形態がアンビル1302を含んでおり、アンビル1302はステープル成形表面1304を有し、ステープル成形表面1304は、その中に形成された複数のステープル成形ポケット(図示せず)を含んでいる。ステープルパック1300はステープルカートリッジ1310を更に有しており、ステープルカートリッジ1310は、アンビル1302のステープル成形下面1304に間隔を置いて直面する関係をなすように構成されたカートリッジデッキ1312を有している。ステープルカートリッジ1310は、本明細書で更に詳細に開示する他のステープルカートリッジに類似していてもよく、中に複数の手術用ステープルを動作可能に支持し得る。ステープルパック1300は、ステープル成形下面1304のステープルポケットとステープルカートリッジ1310内のステープル(図示せず)との間の整合を使用前に維持するような方式で、アンビル1302とステープルカートリッジ1310とを摩擦係合させるように寸法及び形状を定められた使い捨てキーパー部材1320を更に含んでいる。キーパー1320はまた、アンビル1302とステープルカートリッジ1310との間に延びるスペーサストリップ1322を含んでもよい。キーパーは、例えば、プラスチック又は他の好適なポリマー材料から成型されてもよく、またスペーサストリップ1322は金属材料から製作されてもよい。スペーサストリップ1322は、キーパー1320に形成されたスロット又は他の保持機構内に摩擦によって保持され得る。
ここで図120を参照すると、ステープルパック1300は、アンビル1302を上部ジョー1240の開放遠位端部1243と整列させることによって取り付けられており、ステープルカートリッジ1310は、下部ジョーフレーム1222の開放遠位端部1245と整列されている。その後に、ステープルパック1300は、図120に示す位置へと、近位方向「PD」に移動される。保持リップ1245は、アンビル1302を上部ジョー1240内に支持するように働く。エンドエフェクタ1000’はまた、手動で作動可能なラッチ機構1340を含んでもよく、このラッチ機構1340は、非ラッチ位置(図119)からラッチ位置(図121)へと移動され得る。ラッチ位置にあるとき、例えば、ラッチ機構1340は、アンビル1302を上部ジョー1240内に、そしてステープルカートリッジ1310を下部ジョーフレーム1222内に保持する。例えば、ラッチ機構1340は、アンビル1302の近位端部上に形成された部分(例えば、リップ、デテント、レッジ又は他の保持機構)と解放可能に係合するように構成された可動上部ラッチアーム1342を含んでもよい。同様に、ラッチ機構1340は、ステープルカートリッジ1310上に形成された部分(例えば、リップ、デテント、レッジ又は他の保持機構)と解放可能に係合するように構成された可動下部ラッチアーム1344を含んでもよい。上部及び下部ラッチアーム1342、1344は、ラッチ位置と非ラッチ位置との間で選択的に移動するように、エンドエフェクタ1000’上に旋回式であるいは別様に移動可能に支持され得る。様々な形態において、上部及び下部ラッチアーム1342、1344は通常、ばね(図示せず)によってラッチ位置へと付勢され得る。そのような装置構成において、臨床医は、ステープルパック1300を上部ジョー1240及び下部ジョーフレーム1222の中に挿入し得る。アンビル1302の近位端部が上部ラッチアーム1342と接触するとき、上部ラッチアーム1342は、アンビル1302を定位置に着座させるように旋回又は移動される。アンビルが定位置に着座されると、上部ラッチアーム1342は、付勢されてアンビル1302とラッチ係合をなす(ばね又は付勢部材が用いられる場合)。別の装置構成において、上部ラッチアーム1342は、ラッチ位置へと手動で移動されてもよい。同様に、ステープルカートリッジ1310の近位端部が下部ラッチアーム1344と接触するとき、下部ラッチアーム1344は、ステープルカートリッジ1310を定位置に着座させるように旋回又は移動される。ステープルカートリッジ1310が定位置に着座されると、下部ラッチアーム1344はステープルカートリッジ1310とのラッチ係合へと付勢されて、ステープルカートリッジ1310を定位置に保持する(ばね又は付勢装置が用いられる場合)。別の実施形態において、下部ラッチアーム1344は、ラッチ位置へと手動で移動されてもよい。ステープルパック1300が取り付けられ、アンビル1302及びステープルカートリッジ1310がエンドエフェクタ1000’にラッチ係合されるかあるいは別様に取り付けられると、臨床医はキーパー組立体1320を取り外し得る。例えば、図121を参照されたい。ステープルパック1300が使用された後、臨床医は次いで、キーパー1320をアンビル1302及びステープルカートリッジ1310の遠位端部の上に戻し得る。これは、キーパー部材1320の開放端部をアンビル1302及びステープルカートリッジ1310と整列させ、次いでキーパー部材1320を押して、アンビル1302及びステープルカートリッジ1310と再び摩擦係合させることによって達成され得る。アンビル1302及びステープルカートリッジ1310の各遠位端部がキーパー部材1320に着座されると、臨床医は、上部及び下部ラッチアーム1342、1344をそれらの非ラッチ位置へと移動させて、ステープルパック1300を上部ジョー1240及び下部ジョーフレーム1222から引っ張り出し得る。その後に、ステープルパック1300は単体で廃棄され得る。他の状況において、臨床医は、最初にキーパー部材1320を取り付けることなく、アンビル1302及びステープルカートリッジ1310をエンドエフェクタ1000’から別々に取り外してもよい。
図38〜41は手術用エンドエフェクタ2000を示しており、この手術用エンドエフェクタ2000は、「曲線カッターステープラ」と一般に呼ばれ得るタイプの手術用切断締結器具を備えている。そのようなステーププル留め装置の様々な形態が、例えば、それぞれのすべての開示内容が参照によって本明細書に組み込まれる、「RETAINING PIN LEVER ADVANCEMENT MECHANISM FOR A CURVED CUTTER STAPLER」と題された米国特許第6,988,650号、及び「KNIFE RETRACTION ARM FOR A CURVED CUTTER STAPLER」と題された米国特許第7,134,587号に開示されている。エンドエフェクタ2000はエンドエフェクタハウジング2010を備え、エンドエフェクタハウジング2010は、ねじ、突起、スナップ機構などによって互いに取り外し可能に結合されるハウジングセグメント2012、2014から組み立てられ得る。エンドエフェクタツールヘッド2002にて終端する細長フレーム組立体2020が、エンドエフェクタハウジング2010から突出している。一形態において、フレーム組立体2020は、一対の離間フレームストラット又はプレート2022を備え、この離間フレームストラット又はプレート2022は、ハウジング2010に固定式で取り付けられ、ハウジング2010から遠位側に突出する。C字形状の支持構造体2024が、フレームプレート2022の遠位端部に取り付けられている。「C字形状」という用語は、本明細書の全体を通じて、支持構造体2024及び手術用カートリッジモジュール2060の凹面性を表すために用いられている。C字形状の構造は機能性の向上を促進するものであり、また本明細書におけるC字形状という用語の使用は、同様に手術用ステープリング及び切断器具の機能性を向上させる多様な凹面形状を包含すると見なされるべきである。支持構造体2024は、ショルダーリベット2023及びポスト2026によってフレームプレート2022に取り付けられ、ポスト2026は、支持構造体2024からフレームプレート2022の受容ホールの中へと延びている。様々な形態において、支持構造体2024は、単体構造によって形成され得る。より具体的に言えば、支持構造体2024は、押出しアルミニウム材料から形成され得る。この方式で支持構造体2024を形成することにより、複数の部品は必要でなくなり、それに伴う製造及び組み立てのコストが相当に削減される。それに加えて、支持構造体2024が一体構造であることで、エンドエフェクタ2000の全体的な安定性が向上すると考えられる。更に、支持構造体2024が一体の押出し構造であることは、重量の低減、コバルト照射が押出しアルミニウムに効果的に浸透することによる滅菌の容易化、及び押出しによって達成される平滑な外表面を基にした組織への外傷の軽減をもたらす。
エンドエフェクタ2000は、エンドエフェクタクロージャシステム2070とも呼ばれる第1のエンドエフェクタ駆動システムと、本明細書では発射システム2100とも呼ばれる第2のエンドエフェクタ駆動システムとを更に含んでいる。一形態において、例えば、エンドエフェクタクロージャシステム2070は、フレームストラット2022の間で軸方向移動をなすよう、フレームストラット2022の間でスライド可能に受容されるように寸法を定められたクロージャビーム組立体2072を含んでいる。クロージャビーム組立体2072は、第1のエンドエフェクタアクチュエータと呼ばれてもよく、また、以下で更に詳細に議論するように、発射システム2100の発射バー組立体2112をスライド可能に受容するように構成された開放底部を有している。一形態において、例えば、クロージャビーム組立体2072は、以下で更に議論するように、移動性及び機能性を求めて付形された成形プラスチック部材である。クロージャビーム組立体2072をプラスチックから製造することにより、製造コストが低減され得、エンドエフェクタ2000の重量もまた低減され得る。それに加えて、エンドエフェクタ2000はコバルト照射でより容易に滅菌され得るが、これは、プラスチックはステンレス鋼よりも浸透しやすいからである。別の装置構成によれば、クロージャビーム組立体2072は押出しアルミニウムから作製され、最終的な外形を機械加工されて整えられてもよい。押出しアルミニウムのクロージャビーム組立体は、プラスチックの構成要素と同じようには容易に製造されないこともあるが、それでもやはり、同じ利点(すなわち、構成要素が排除され、組み立てがより容易であり、重量がより軽く、滅菌がより容易である)を有することになる。
クロージャビーム組立体2072は曲線状遠位端部2074を含んでおり、曲線状遠位端部2074は、支持構造体2024の側壁2027同士の間に受容されるように寸法を定められている。曲線状遠位端部2074は、カートリッジモジュール2060のカートリッジハウジング2062を受容及び保持するように寸法及び形状を定められている。様々な形態において、クロージャビーム組立体2072の近位端部はクロージャナット2084に結合され、クロージャナット2084は、ねじ付きクロージャシャフト2080上にねじ結合可能に受容される。クロージャシャフト2080は、クロージャシャフト軸CSA−CSAを規定しており、また、手術器具内の第1の駆動シャフトに取り付けられた雄型カプラ51とクロージャシャフト2080を結合するのを容易にするために、クロージャシャフト2080の近位端部に取り付けられた雌型ソケットカプラ57を有する。クロージャシャフト2080が第1の方向に回転することにより、クロージャナット2084は、クロージャビーム組立体2072を遠位方向「DD」に駆動することになる。クロージャシャフト2080が反対方向に回転することにより、同様に、結果としてクロージャナット2084及びクロージャビーム組立体2072が近位方向に移動する。
上に示したように、クロージャビーム組立体2072の遠位端部2074は、その中にカートリッジモジュール2060のカートリッジハウジング2062を動作可能に支持するように構成されている。カートリッジモジュール2060は、ステープルドライバ(図示せず)上に複数の手術用ステープル(図示せず)を含み、このステープルドライバは、軸方向に前進されると、ナイフ部材2115の通過に適応するように構成されたスロット1068の各側部に配置された対応するポケット2066から、手術用ステープルを駆動して追い出すものである。カートリッジモジュール2060は、明記された違いを除いて、例えば、共にそれぞれのすべての内容が本明細書に組み込まれる米国特許第6,988,650号及び同第7,134,587号に開示されているカートリッジモジュールと幾分か類似していてもよい。エンドエフェクタ2000は1回の使用後に処分されてもよく、あるいは、エンドエフェクタ2000は、再滅菌された後、進行中の手技の間に又は新たな手技のために、使用済みのカートリッジモジュールを交換することによって再使用型にされてもよい。
エンドエフェクタ2000は発射システム2100を更に含み、発射システム2100は、クロージャビーム組立体2072の開放底部内にスライド可能に受容されるように構成された発射バー組立体2112を含んでいる。図39を参照されたい。一形態において、発射システム2100は発射シャフト2102を更に含み、発射シャフト2102は、ねじ付き遠位端部2104と、正方形の横断面形状を有する近位部分2106とを有している。ねじ付き遠位端部2104は、発射バー組立体2112の近位端部に取り付けられたねじ付き発射ナット2110内に、螺合可能に受容される。ねじ付き発射ナット2110は、クロージャナット組立体2084内の軸方向キャビティ2085内にスライド可能に受容されるように寸法を定められている。図41を参照されたい。そのような装置により、発射ナット2110は、エンドエフェクタ2000が閉位置へと移動されるときに、クロージャナット組立体2084と共に軸方向に移動し、次いで、発射システム2100が作動されるときに、クロージャナット2084及びクロージャビーム組立体2072に対して軸方向に移動することができる。発射シャフト2102は、クロージャシャフト軸CSA−CSAと平行か、又は実質的に平行である発射シャフト軸FSA−FSAを規定している。例えば、図41を参照されたい。また図39及び41で分かるように、発射シャフト2102の近位部分2106は、その他の点では本明細書に記述した雌型ソケットカプラと同一である雌型ソケットカプラ57’内の細長通路2105内にスライド可能に受容される。細長通路2105は、その中に発射シャフト2102の近位部分2106をスライド可能に受容するように寸法を定められた正方形の横断面形状を有している。そのような装置構成により、発射シャフト2102は、雌型ソケットカプラ57’と共に回転可能でありながらも、雌型ソケットカプラ57’に対して軸方向に移動することができる。したがって、クロージャビーム組立体2072が、手術器具内の第1の駆動システムの作動時に遠位方向「DD」に前進されるとき、発射ナット2110は、クロージャナット組立体2084内で遠位方向「DD」に運ばれることになる。発射シャフト2102の近位部分2106は、雌型ソケットカプラ57’と依然として係合されながらも、雌型ソケットカプラ57’の通路2105内で軸方向に移動する。その後に、雌型ソケットカプラ57’に動作可能に結合されている手術器具内で第2の駆動システムがある回転方向に起動することにより、発射シャフト2102が回転することになり、これによって、発射バー組立体2112は遠位方向「DD」に移動することになる。発射バー組立体2112が遠位方向に移動するとき、ナイフバー2115は、カートリッジモジュール2060を通じて遠位側に前進される。第2の駆動システムが第2の回転方向に作動することにより、発射バー組立体2112は近位方向「PD」に移動することになる。
発射バー組立体2112の遠位端部は、駆動部材2114と、その駆動部材2114から遠位側に突出するナイフ部材2115とを含んでいる。図39で分かるように、ナイフ部材2115は、支持構造体2024の曲線状アンビル支持部分2025内に着座されるように構成されたアンビル組立体2140のアンビルアーム部分2142内に、スライド可能に受容されている。アンビル組立体2140に関する更なる詳細が、米国特許第6,988,650号及び同第7,134,587号に見出され得る。エンドエフェクタ2000はまた、既に発射されたカートリッジモジュール2060の発射を防止するための安全ロックアウト機構2150(図39)を含んでもよい。カートリッジモジュール2060と安全ロックアウト機構との相互作用に関する詳細は、米国特許第6,988,650号及び同第7,134,587号に見出され得る。
エンドエフェクタ2000はまた、組織保持ピンの作動機構2160を含んでいる。組織保持ピンの作動機構2160は、ハウジング2010の上方部分に配置されたサドル形状のスライド2162を含んでいる。スライド2162は、ハウジング2010内にスライド可能に支持されるプッシュロッドドライバ2163に旋回式に連結されている。プッシュロッドドライバ2163は、エンドエフェクタ2000の長軸に沿った長手方向の移動に関して制限されている。プッシュロッドドライバ2163は、プッシュロッドドライバ2163のスロット2166の中にスナップ嵌めされるプッシュロッド2164上の環状溝2165によって、プッシュロッド2164に連結される。図41を参照されたい。プッシュロッド2164の遠位端部は環状溝2167を有し、環状溝2167は、カートリッジモジュール2160に取り付けられたカプラ2170の近位端部の溝2172と連結する(図41に最良に示す)。カプラ2170の遠位端部は、保持ピン2180上の環状スロット2182と相互連結するための溝2174を有している。スライド2162を手動で移動させることにより、結果としてプッシュロッド2164が移動する。プッシュロッド2164が遠位側に移動すること又は近位側に後退することにより、結果として、それに対応して保持ピン2180が移動することになる。保持ピン2180の作動機構2160はまた、クロージャビーム組立体2072と動作可能に相互作用し、そのため、クロージャシステム2070が作動することにより、結果として、保持ピン2180は、その最近位位置にまだ手動で移動されていない場合、自動的に遠位側に移動するようになっている。保持ピン2180が前進されるとき、保持ピン2180はカートリッジハウジング2062を通じてアンビル組立体2140の中へと延び、それによってカートリッジモジュール2060とアンビル組立体2140との間に組織を捕捉する。
一形態において、保持ピンの作動機構2160は、ピボットピン2192によってハウジング2010内に回転式で又は旋回式で支持されるヨーク2190を含む。クロージャビーム組立体2072は、ハウジング2010の内側にてクロージャビーム組立体2072の両側で横方向に延びるポスト又は突起2073を更に含んでいる。これらのポスト2073は、ヨーク2190の対応する弓状スロット2194内にスライド可能に受容される。ヨーク2190は、プッシュロッドドライバ2163のカム表面2168を押すように配置されたカムピン2196を有している。ヨーク2190は保持ピン2180に直接、取り付けられておらず、したがって外科医は、自身がそのように選ぶ場合、保持ピン2180を手動で前進させ得る。保持ピン2180は、クロージャビーム組立体2072が閉位置へと遠位側に前進されるとき、外科医が保持ピン2180のみを残すように選択する場合、自動的に前進することになる。外科医は、保持ピン2180を手動で後退させなければならない。保持ピンの作動機構2160をこのように構成することにより、保持ピン2180の手動閉鎖及び後退が可能となる。外科医が保持ピン21280を手動で閉鎖しない場合、この保持ピンの作動機構2160は、器具のクランプの間に自動的に保持ピン2180を閉鎖する。保持ピンの作動及び使用法に関する更なる詳細が、米国特許第6,988,650号及び同第7,134,587号に見出され得る。
エンドエフェクタ2000はまた、エンドエフェクタハウジング2010内に装着されたエンドエフェクタの接触板2120に結合された様々なセンサを装備され得る。例えば、エンドエフェクタ2000は、エンドエフェクタハウジング2010内に装着され、エンドエフェクタの接触板2120に電気的に結合されたクロージャセンサ2122を含んでもよく、それにより、エンドエフェクタ2000が手術器具に動作可能に結合されるとき、クロージャセンサ2122は手術器具の制御システムと通信するようになる。クロージャセンサ2122は、クロージャナット21084上のスイッチ突起2086の位置を検出するように構成された、図61、63に関連して以下に示すようなホール効果センサ7028を含んでもよい。図40を参照されたい。それに加えて、発射センサ2124がまた、エンドエフェクタハウジング2010内に装着されてもよく、またクロージャナット2084内の発射ナット2110の位置を検出するように装置されてもよい。発射センサ2124は、図61、63に関連して以下に記述するホール効果センサ7028を含んでもよく、また、本明細書で議論するような手術器具制御システムと最終的に通信するように、エンドエフェクタの接触板2120に電気的に結合されてもよい。上で議論したように、接触板2120は、エンドエフェクタ2000が手術器具に動作可能に結合されるとき、手術器具ハウジング12内に装着された手術器具の接触板30にエンドエフェクタの接触板2120が電気的に結合されるように、エンドエフェクタハウジング2020と位置決めされ得る。
エンドエフェクタ2000の使用法について、手術器具10に関連させてこれから説明することにする。しかしながら、エンドエフェクタ2000は、本明細書で開示する様々な他の手術器具装置に動作可能に結合され得ることが明らかとなろう。使用前、クロージャシャフト2080及び発射シャフト2102は、それぞれ第1及び第2の駆動シャフト22、42への取り付けを容易にするように、それぞれの開始位置に「クロック」又は配置されている。エンドエフェクタ2000を手術器具10に結合するために、例えば、臨床医は、クロージャシャフト軸CSA−CSAが第1の駆動シャフト軸FDA−FDAと軸方向に整合し、発射シャフト軸FSA−FSAが第2の駆動シャフト軸SDA−SDAと軸方向に整合する位置に、エンドエフェクタ2000を移動させる。クロージャシャフト2080上の雌型ソケットカプラ57は、第1の駆動シャフト22上の雄型カプラ51と動作可能に係合するように挿入される。同様に、発射シャフト2102上の雌型ソケットカプラ57’は、第2の駆動シャフト42上の雄型カプラ51と動作可能に係合するように挿入される。したがって、この位置にあるとき、クロージャシャフト2080は第1の駆動シャフト22に動作可能に結合されており、発射シャフト2102は第2の駆動シャフト42に動作可能に結合されている。エンドエフェクタの接触板1120は手術器具の接触板30に動作可能に結合され、そのため、エンドエフェクタ2000内のセンサが手術器具の制御システムと動作可能に通信するようになっている。エンドエフェクタ2000を、手術器具10と動作可能に係合した状態に保つために、エンドエフェクタ2000はリテーナラッチ2130を含み、このリテーナラッチ2130は、エンドエフェクタハウジング2010に取り付けられるものであり、器具ハウジング12の一部分と解放可能に係合するように構成されている。リテーナラッチ2130は保持突起2132を含んでもよく、保持突起2132は、ハウジング12に形成されたリテーナキャビティ15と解放可能に係合し得る。図1を参照されたい。互いに結合されると、クロージャセンサ2122はクロージャナット2084の位置を検出し、発射センサ2124は発射ナット2110の位置を検出する。その情報は、手術器具制御システムに通信される。それに加えて、臨床医は、シフト式伝達組立体(又はその伝達キャリッジ62)がその第1の駆動位置にあることを確認してもよい。これは、上で議論したようにハウジング12上の表示灯77の作動によって確認され得る。シフト式伝達組立体60がその第1の駆動位置にない場合、臨床医は、発射トリガ92を作動させて伝達キャリッジ62を第1の駆動位置に移動させてもよく、それにより、ロッカートリガ110が作動してモータ80が作動すると、結果として第1の駆動システム20が作動するようになる。クロージャシステム2070及び発射システム2100がそれぞれ開始位置にあり、エンドエフェクタ2000が、その中に未使用のステープルカートリッジモジュール2060を適切に取り付けられていると仮定すると、臨床医は次いで、クロージャシステム2070を作動させて、カートリッジモジュール2060とアンビル組立体2140との間に標的組織を捕捉し得る。
臨床医は、ロッカートリガ110を作動させてモータ80を作動させ、第1の駆動シャフト22を回転させることによって、クロージャビーム組立体2072を遠位側に移動させ得る。この作動により、カートリッジモジュール2060はアンビル組立体2140に向かって移動して、それらの間に標的組織をクランプする。クロージャビーム2072が遠位側に移動するとき、ポスト2073とヨーク2190の相互作用により、組織保持作動機構2160が作動して、デッキ部分2161を通じて、またアンビル組立体2140を通じてピンポケット2141(図41を参照)の中へと保持ピン2180を遠位側に駆動することになる。保持ピン2180は、アンビル組立体2140とカートリッジモジュール2060との間に標的組織を閉じ込めるように働く。標的組織がアンビル組立体2140とカートリッジモジュール2060との間にクランプされると、臨床医は次いで、発射トリガ92を作動させて伝達キャリッジ62をその第2の駆動位置に移動させ得、そのため、モータ80が作動することにより、結果として第2の駆動シャフト42が回転するようになる。伝達キャリッジ62が第2の駆動位置に移動されると、臨床医はもう一度ロッカートリガ110を作動させて、第2の駆動システム40、及びエンドエフェクタ2000内の発射システム2100を駆動して、発射バー組立体2112を遠位側に駆動し得、またこれにより、ナイフ部材2115がカートリッジモジュール2060を通じて遠位側に駆動されて、アンビル組立体2140とカートリッジモジュール2060との間にクランプされた標的組織を切断する。発射バー組立体2112が遠位側に移動するとき、駆動部材2114はまた、カートリッジモジュール2060内に支持された手術用ステープルを駆動して、カートリッジモジュール2060から追い出し、標的組織に通し、アンビル組立体2140と成形接触させる。切断及びステープリング動作が完了すると、臨床医はロッカートリガ110を作動させて、モータの回転を逆転させ、発射システム2100をその開始位置に復帰させ得る。臨床医は次いで、発射トリガ92を用いて伝達キャリッジ62をその第1の駆動位置に復帰させ得、それにより、ロッカートリガ110を反対方向に作動させることにより、モータ80が逆方向に回転して、クロージャビーム組立体2073をその開始位置に復帰させるようになる。クロージャビーム組立体2073が近位方向に移動するとき、ヨーク2190は組織保持ピン作動機構2160と相互作用して、保持ピン2180をその開始位置に後退させ得る。別法において、臨床医は、サドル形状のスライド2162を使用して、保持ピン2180をその開始位置に手動で後退させてもよい。臨床医は、クロージャシステム2070を作動させてクロージャビーム2072を開始位置に復帰させる前に、保持ピン2180をその開始位置に後退させ得る。曲線状ステープルカッターに関する更なる詳細が、米国特許第6,988,650号及び同第7,134,587号に見出され得る。
図42〜45は手術用エンドエフェクタ3000を示しており、この手術用エンドエフェクタ3000は、「円形手術用ステープラ」と一般に呼ばれ得るタイプの手術用切断締結器具を備えている。ある種の外科的手技において、手術用ステープルの使用は、組織を接合する好ましい方法となりつつあり、したがって、特別に構成された手術用ステープラがそれらの用途のために開発されてきた。例えば、疾患部分が切除された後に下部結腸の切片が互いに接合される、下部結腸に関する外科手技で使用するために、腔内又は円形ステープラが開発されてきた。そのような手技を実施するのに有用な円形ステープラが、例えば、米国特許第5,104,025号、同第5,205,459号、同第5,285,945号、同第5,309,927号、同第8,353,439号、及び同第8,360,297号において開示されており、これらのすべての内容がそれぞれ、参照によって本明細書に組み込まれる。
図42に示すように、エンドエフェクタ3000はエンドエフェクタハウジング3010を備え、エンドエフェクタハウジング3010は、ねじ、突起、スナップ機構などによって互いに脱着可能に結合されるハウジングセグメント3012、3014から組み立てられ得る。エンドエフェクタハウジング3010から、細長シャフト組立体3020が突出している。細長シャフト組立体3020は、円形ツールヘッド3300及びアンビル3320を動作可能に支持しそれらと相互作用するように構成されている。上で参照した例示的な米国特許から明らかとなるように、多種多様な円形ステープルカートリッジ及びアンビル装置が当該技術分野で知られている。例えば図43で分かるように、円形ステープラヘッド3300は、ステープルドライバ組立体3304の形態をなすカートリッジ支持組立体を支持するケーシング部材3302を含んでもよく、ステープルドライバ組立体3304は、円形ステープルカートリッジ3306と連結し、円形ステープルカートリッジ3306内で支持されたステープルを駆動して、アンビル3320のステープル成形裏面3326と接触させるように適合されている。また、円形ナイフ部材3308がステープルドライバ組立体3304内に中央に配設されている。ケーシング部材3302の近位端は、遠位のフェルール部材3024によって弓状シャフト組立体3020の外側管状シュラウド3022に結合されてもよい。アンビル3320は円形本体部分3322を含み、円形本体部分3322はトロカールを取り付けるためのアンビルシャフト3324を有している。アンビル本体3322は、ステープル成形裏面3326を有しており、また遠位端部にシュラウド3328を取り付けられてもよい。以下で更に詳細に議論するように、アンビルシャフト3324は、トロカール3042をアンビルシャフト3324と保持係合した状態に解放可能に保持するように働く、一対のトロカール保持クリップ又は板型ばね3330を更に設けられてもよい。
一形態において、シャフト組立体3020は、圧縮シャフト3030と、圧縮シャフト遠位部分3032と、張力バンド組立体3040とを含み、張力バンド組立体3040は、外側管状シュラウド3022内に動作可能に支持される。トロカール先端部3042は、ファスナ3041によって張力バンド組立体3040の遠位端部に取り付けられる。周知のように、トロカール先端部3042は、アンビル3320のアンビルシャフト3324の中に挿入され、トロカール保持クリップ3330によって係合状態に保持され得る。
手術用エンドエフェクタ3000は、クロージャシステム3070と発射システム3100とを更に含む。少なくとも一形態において、クロージャシステム3070は、張力バンド3040の近位端部に取り付けられるクロージャナット組立体3084を含んでいる。図42及び43で分かるように、クロージャナット組立体3084は近位カプラ部材3085を含み、近位カプラ部材3085は、ファスナ3087によって張力バンド3040の近位端部に取り付けられる。クロージャシステム3070は、クロージャナット3084とねじ係合するねじ付きクロージャシャフト3080を更に含む。クロージャシャフト3080は、クロージャシャフト軸CSA−CSAを規定しており、また、手術器具内の第1の駆動シャフトに取り付けられた雄型カプラ51とクロージャシャフト3080を結合するのを容易にするために、クロージャシャフト3080の近位端部に取り付けられた雌型ソケットカプラ57を有する。クロージャシャフト3080が第1の方向に回転することにより、クロージャナット3084は、張力バンド組立体3040を遠位方向「DD」に駆動することになる。クロージャシャフト3080が反対方向に回転することにより、同様に、結果としてクロージャナット3084及び張力バンド組立体3040が近位方向に移動する。
また図43で分かるように、遠位圧縮シャフト部分3032は、ステープルドライバ組立体3304に結合されている。したがって、圧縮シャフト3030が外側管状シュラウド3022内で軸方向に移動することにより、ステープルドライバ組立体3304は、ケーシング部材3302内で軸方向に移動する。圧縮シャフト3030の軸方向移動は、発射システム3100によって制御される。一形態において、発射システム3100はねじ付き発射シャフト3102を含み、ねじ付き発射シャフト3102は、圧縮シャフト3030の近位端部に取り付けられるねじ付き発射ナット3110とねじ係合する。発射シャフト3102は、クロージャシャフト軸CSA−CSAと平行か、又は実質的に平行である発射シャフト軸FSA−FSAを規定している。例えば図44及び45を参照されたい。発射シャフト3102を、手術器具内の第2の駆動シャフトに取り付けられた雄型カプラ51と結合するのを容易にするために、発射シャフト3102の近位端部は雌型ソケットカプラ57を取り付けられている。手術器具の第2の駆動システムがある回転方向に起動することにより、発射シャフト3102が第1の方向に回転し、それによって、圧縮シャフト3030を遠位方向「DD」に駆動することになる。圧縮シャフト3030が遠位方向「DD」に移動するとき、円形ステープルドライバ組立体3304は遠位側に駆動され、ステープルカートリッジ3306内の手術用ステープルを駆動してアンビル本体3322の裏面3326と成形接触させる。それに加えて、円形ナイフ部材3308が、アンビル本体3322とステープルカートリッジ3306との間にクランプされた組織を通じて駆動される。第2の駆動システムが第2の回転方向に作動することにより、圧縮シャフト3030は近位方向「PD」に移動することになる。
エンドエフェクタ3000はまた、エンドエフェクタハウジング3010内に装着されたエンドエフェクタの接触板3120に結合された様々なセンサを装備され得る。例えば、エンドエフェクタ3000は、エンドエフェクタハウジング3010内に装着されエンドエフェクタの接触板3120に電気的に結合されたクロージャセンサ3122を含んでもよく、それにより、エンドエフェクタ3000が手術器具に動作可能に結合されるとき、クロージャセンサ3122は手術器具の制御システムと通信するようになる。クロージャセンサ3122は、クロージャナット3084の位置を検出するように構成された、図61、63に関連して以下に記述するホール効果センサ7028を含み得る。図44を参照されたい。それに加えて、発射センサ3124がまた、エンドエフェクタハウジング3010内に装着されてもよく、またクロージャナット3084内の発射ナット3110の位置を検出するように配置されてもよい。例えば図61、63、64に関連して以下で更に詳細に議論するように、発射センサ3124はまた、図61、63に関連して以下に記述するようなホール効果センサ7028を含んでもよく、また、ハンドル用プロセッサ7024などの手術器具制御システムと最終的に通信するために、エンドエフェクタの接触板3120に電気的に結合されてもよい。上で議論したように、接触板3120は、エンドエフェクタ3000が手術器具に動作可能に結合されるとき、手術器具ハウジング12内に装着された手術器具の接触板30にエンドエフェクタの接触板3120が電気的に結合されるように、エンドエフェクタハウジング3000と位置決めされ得る。
エンドエフェクタ3000の使用法について、手術器具10に関連させてこれから説明することにする。しかしながら、エンドエフェクタ3000は、本明細書で開示する様々な他の手術器具装置に動作可能に結合され得ることが明らかとなろう。使用前、クロージャシャフト3080及び発射シャフト3102は、それぞれ第1及び第2の駆動シャフト22、42への取り付けを容易にするように、それぞれの開始位置に「クロック」又は配置されている。エンドエフェクタ3000を手術器具10に結合するために、例えば、臨床医は、クロージャシャフト軸CSA−CSAが第1の駆動シャフト軸FDA−FDAと軸方向に整合し、発射シャフト軸FSA−FSAが第2の駆動シャフト軸SDA−SDAと軸方向に整合する位置に、エンドエフェクタ3000を移動させる。クロージャシャフト3080上の雌型ソケットカプラ57は、第1の駆動シャフト22上の雄型カプラ51と動作可能に係合するように挿入される。同様に、発射シャフト3102上の雌型ソケットカプラ57は、第2の駆動シャフト42上の雄型カプラ51と動作可能に係合するように挿入される。したがって、この位置にあるとき、クロージャシャフト3080は第1の駆動シャフト22に動作可能に結合されており、発射シャフト3102は第2の駆動シャフト42に動作可能に結合されている。エンドエフェクタの接触板3120は手術器具の接触板30に動作可能に結合され、そのため、エンドエフェクタ3000内のセンサ3122、3124が手術器具の制御システムと動作可能に通信するようになっている。エンドエフェクタ3000を、手術器具10と動作可能に係合した状態に保つために、エンドエフェクタ3000はリテーナラッチ3130を含み、このリテーナラッチ3130は、エンドエフェクタハウジング3010に取り付けられるものであり、器具ハウジング12の一部分と解放可能に係合するように構成されている。リテーナラッチ3130は保持突起3132を含んでもよく、保持突起1132は、ハウジング12に形成されたリテーナキャビティ15と解放可能に係合し得る。図1を参照されたい。互いに結合されると、クロージャセンサ3122はクロージャナット3084の位置を検出し、発射センサ3124は発射ナット3110の位置を検出する。その情報は、手術器具制御システムに通信される。それに加えて、臨床医は、シフト式伝達組立体(又はその伝達キャリッジ62)がその第1の駆動位置にあることを確認してもよい。これは、上で議論したようにハウジング12上の表示灯77の作動によって確認され得る。シフト式伝達組立体60がその第1の駆動位置にない場合、臨床医は、発射トリガ92を作動させて伝達キャリッジ62を第1の駆動位置に移動させてもよく、それにより、ロッカートリガ110が作動してモータ80が作動すると、結果として第1の駆動システム20が作動するようになる。クロージャシステム3070及び発射システム3100がそれぞれ開始位置にあり、エンドエフェクタ3000が、その中に未使用のステープルカートリッジモジュールを適切に取り付けられていると仮定すると、エンドエフェクタ3000は使用できる状態にある。
周知のように、円形ステープラを使用して吻合術を実施するとき、腸は、複数列のステープルが腸の標的部位(すなわち標本)のいずれかの側に置かれた状態で、通常の手術用ステープラを使用してステープル留めされ得る。標的部位は通常、その部位がステープル留めされるときに同時に切断される。標的の標本が除去された後、臨床医は、ステープル線の近位側の、腸の近位部分にアンビル3320を挿入する。これは、腸管近位部分に切り込まれた入口にアンビル本体3322を挿入することによって行われてもよく、あるいは、アンビル3320は、アンビル3320をエンドエフェクタ3000の遠位端部上に置き、直腸の中に器具を挿入することによって、経肛門的に置かれ得る。次に、臨床医は、アンビルシャフト3324をエンドエフェクタ3000のトロカール先端部3042に取り付け、アンビル3320を腸管の遠位部分に挿入する。臨床医は次いで、縫合糸又は他の通常の結び付けデバイスを使用して、腸管の近位部分の遠位端部をアンビルシャフト3324に結び付け、また、別の縫合糸を使用して、直腸遠位部分の近位端部をアンビルシャフト3324の周りに結び付け得る。
臨床医は次いで、ロッカートリガ110を作動させてモータ80を作動させ、第1の駆動シャフト22を回転させることによって、張力バンド組立体3040、トロカール先端部3042、及びトロカール先端部3042に取り付けられたアンビル3320を近位側に移動させ得る。この作動により、アンビル3320は、ステープラヘッド3300のケーシング部材3302内に支持されているカートリッジ3306に向かって移動してそれらの間隙を閉鎖し、それによって、それらの間隙において腸管遠位部分の近位端部が腸管近位部分の遠位端部と係合する。臨床医は、所望量の組織の圧縮が得られるまで、引き続き第1の駆動システム20を作動させる。腸管部分がアンビル組立体3320とカートリッジモジュール3300との間にクランプされると、臨床医は次いで、発射トリガ92を作動させて伝達キャリッジ62をその第2の駆動位置に移動させ得、そのため、モータ80が作動することにより、結果として第2の駆動シャフト42が回転するようになる。伝達キャリッジ62が第2の駆動位置に移動されると、臨床医はもう一度ロッカートリガ110を作動させて、第2の駆動システム40、及びエンドエフェクタ3000内の発射システム3100を作動させ、圧縮シャフト3030を遠位側に駆動させ得、またこれにより、円形ステープルドライバ組立体3304及び円形ナイフ部材3308が遠位側に駆動される。そのような動作は、クランプされた腸管の片を切断し、クランプされた腸管の両端部を通じて手術用ステープルを駆動し、それによって腸管の各部分を接合し、管状経路を形成するように働く。同時に、ステープルが駆動され成形されるとき、円形ナイフ3308は腸管組織の端部を通じて駆動され、ステープルの内側の列に隣接する端部を切断する。臨床医は次いで、エンドエフェクタ3000を腸管から引き抜き、吻合術が完了する。
図46〜49は、以下に明記する違いを除いて、上述した手術用エンドエフェクタ3000と同一となり得る別の手術用エンドエフェクタ3000’を示している。手術用エンドエフェクタ3000’のうちの、上述した手術用エンドエフェクタ3000の構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号で指定することにする。手術用エンドエフェクタ3000’のうちの、手術用エンドエフェクタ3000の対応する構成要素と同一ではないが動作においては類似し得る構成要素は、「’」を伴った同じ構成要素番号で指定することにする。図46〜49で分かるように、手術用エンドエフェクタ3000’は、全体として3090で指定する駆動分離組立体を含み、この駆動分離組立体は有利にも、臨床医が駆動系の遠位部分を駆動系の近位部分から分離できるように構成されている。
図示の実施形態において、駆動分離組立体3090は、クロージャシステム3070’と共に使用され、それにより、クロージャシステムの遠位部分が不注意で故障するか又は動作不能となった場合でも、臨床医は迅速に、クロージャシステムの駆動系遠位部分を駆動系近位部分から機械的に切り離し得るようになっている。より具体的に、また図47を参照して言えば、張力バンド組立体3040及びトロカール先端部042(図42、43及び45を参照)は、クロージャシステム3070’の「駆動系遠位部分」3092とも呼ばれ得るものであり、また、クロージャシャフト3080及びクロージャナット組立体3084は、例えば、クロージャシステム3070’の「駆動系近位部分」3094と呼ばれ得るものである。図47で分かるように、駆動分離組立体3090の一形態が、張力バンド組立体3040の近位端部に取り付けられる遠位カプラ部材3095を含んでいる。遠位カプラ部材3095は、圧入、接着剤、はんだ、溶接など、又はそのような取り付け装置の任意の組み合わせによって、張力バンド組立体3040に取り付けられ得る。遠位カプラ部材3095は、クロージャナット組立体3084に取り付けられる近位カプラ部材3085’のスロット3097内にスライド可能に受容されるように寸法を定められている。遠位カプラ部材3095は、それを貫く遠位ホール3096を含み、遠位ホール3096は、遠位カプラ部材3095がスロット3097内に着座されるときに近位カプラ部材3085’の近位ホール3098と軸方向に整合するように構成されている。図48を参照されたい。駆動分離組立体3090は駆動カプラピン3099を更に含み、駆動カプラピン3099は、軸方向に整合されたホール3096、3098内に受容されて遠位カプラ部材3095を近位カプラ部材3085’に保持結合するように寸法を定められている。別の言い方をすれば、駆動カプラピン3099は、駆動系遠位部分3092を駆動系近位部分3094に機械的にかつ解放可能に結合するように働く。駆動カプラピン3099は、クロージャシャフト軸CSAに対して直角である結合軸CA−CAに沿って延びている。発射ナット3110に対して軸方向に移動するように駆動カプラピン3099にクリアランスを与えるために、軸方向スロット3111が発射ナット3110に設けられている。図46で分かるように、エンドエフェクタハウジング部分3014’は、軸方向に延びるクリアランススロット3016を設けられて、クロージャシステム3070’の作動中における駆動カプラピン3099の軸方向移動を容易にしている。そのような装置構成により、臨床医は、単純に駆動カプラピン3099をホール3096、3098から横方向に取り外すか又は引き抜いて、遠位カプラ部材3095を近位カプラ部材3085’から分離させることによって、エンドエフェクタ3000’の使用中の任意の時点で、駆動系遠位部分3092を駆動系近位部分3094から迅速に分離することができる。
駆動分離組立体3090についてはエンドエフェクタ3000’のクロージャシステム3070’に関連して記述してきたが、駆動分離組立体は、別法において、エンドエフェクタ3000’の発射システム3100に関連して用いられ得る。他の構成において、駆動分離組立体3090がクロージャシステムと結び付けられてもよく、第2の駆動分離組立体が発射システムと結び付けられてもよい。したがって、駆動系近位部分の一方又は両方が選択的に、対応する駆動系遠位部分から機械的に切り離され得る。更に、そのような駆動分離組立体は、必ずしも限定するものではないが、例えば、エンドエフェクタ1000及びエンドエフェクタ2000並びにそれぞれの等価な装置を含めて、本明細書で開示する少なくともいくつかの他の手術用エンドエフェクタのクロージャ及び/又は発射システムと関連させて効果的に用いられ得る。
図50〜53は、以下に明記する違いを除いて、上述した手術用エンドエフェクタ2000と同一となり得る別の手術用エンドエフェクタ2000’を示している。手術用エンドエフェクタ2000’のうちの、上述した手術用エンドエフェクタ2000の構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号で指定することにする。手術用エンドエフェクタ2000’のうちの、手術用エンドエフェクタ2000の対応する構成要素と同一ではないが動作においては類似し得る構成要素は、「’」を伴った同じ構成要素番号で指定することにする。図51〜53で分かるように、手術用エンドエフェクタ2000’は、クロージャ及び発射システムの発射状態に関する視覚的指示を与えるためのインジケータ装置を設けられ得る。
より具体的に、そして図51及び52を参照して言えば、クロージャシステム2070は、全体として2090で示すクロージャシステムステータス組立体を含んでいる。一形態において、例えば、クロージャシステムステータス組立体2090は、クロージャナット2084’に取り付けられるか、あるいはクロージャナット2084’から延びるクロージャインジケータ部材2092を含む。クロージャシステムステータス組立体2090は、クロージャインジケータ窓2094又は開口部をエンドエフェクタハウジング2010に更に含んでおり、そのため、クロージャインジケータ部材2092の位置が、クロージャインジケータ窓2094を通じてクロージャインジケータ部材2092を視認することによって臨床医に推定され得るようになっている。同様に、発射システム2100’は、全体として2130で示す発射システムステータス組立体を含んでもよい。一形態において、例えば、発射システムステータス組立体2130は、発射ナット2110’に取り付けられるかあるいは発射ナット2110’から延びる発射インジケータ部材2132を含む。発射システムステータス組立体2130は、発射インジケータ窓又は開口部2134をエンドエフェクタハウジング2010に更に含んでおり、そのため、発射インジケータ部材2132の位置が、発射インジケータ窓2134を通じて発射インジケータ部材2132を視認することによって臨床医に推定され得るようになっている。
クロージャシステムステータス組立体2090及び発射システムステータス組立体2130は、クロージャシステム2070及び発射システム2100の機械的ステータスを明らかにする。エンドエフェクタの遠位端部の機械的状態は、一般には臨床医によって観察され得るが、組織によって覆われたり、見えなくなったりすることもある。エンドエフェクタの近位部分の機械的状態は、窓装置又は突出するインジケータがなければ分からない。また、エンドエフェクタが完全に閉鎖又は発射したという確証(例えば、完全に閉鎖すればインジケータは緑色)を臨床医に与えるために、シャフト装置の外面上及び/又はインジケータ上の色分けが用いられてもよい。例えば、クロージャインジケータ部材2092はその上に、クロージャインジケータ窓2094を通じて視認可能なクロージャマーク2093を有してもよい。それに加えて、ハウジング2010は、クロージャインジケータ2092の位置を推定するために、第1のクロージャ印2095と第2のクロージャ印2096とをクロージャインジケータ窓2094に隣接して有してもよい。例えば、第1のクロージャ印2095は、第1の色(例えばオレンジ色、赤色など)を有する第1のバーを含んでもよく、第2のクロージャ印は、第1の色とは異なる第2の色(例えば緑色)のバー又は区間を含んでもよい。クロージャインジケータ部材2092上のクロージャマーク2093が第1のクロージャ印バー2095の最近位端部と整合したとき(この位置は図50において要素番号2097で表される)、臨床医は、クロージャシステム2070がその非作動位置にあることに気付き得る。クロージャマスク2093が第1のクロージャ印バー2095内で整合されると、臨床医は、クロージャシステム2070が部分的に作動されている(ただし完全には作動されていないか又は完全には閉鎖されていない)ことに気付き得る。クロージャマスク2093が第2のクロージャ印2096(図50において要素番号2098で表される)と整合すると、臨床医は、クロージャシステム2070がその完全作動位置又は完全閉位置にあることに気付き得る。
同様に、発射インジケータ部材2132はその上に、発射インジケータ窓2134を通じて視認可能な発射マーク2133を有してもよい。それに加えて、ハウジングセグメント2014’は、発射インジケータ2132の位置を推定するために、第1の発射印2135と第2の発射印2136とを発射インジケータ窓2134に隣接して有してもよい。例えば、第1の発射印2135は、第1の発射色(例えばオレンジ色、赤色など)を有する第1の発射バーを含んでもよく、第2の発射印は、第1の発射色とは異なる第2の発射色(例えば緑色)の第2の発射バー又は区間を含んでもよい。発射インジケータ部材2132上の発射マーク2133が第1の発射印バー2135の最近位端部と整合したとき(この位置は図50において要素番号2137で表される)、臨床医は、発射システム2100がその非作動位置にあることに気付き得る。発射マーク2133が第1の発射印バー2135内で整合したとき、臨床医は、発射システム2100が部分的に作動されている(ただし完全には作動されていないか又は完全に発射されていない)ことに気付き得る。発射マスク2133が第2の発射印2136(図50において要素番号2138で表される)と整合すると、臨床医は、発射システム2170がその完全作動位置又は完全発射位置にあることに気付き得る。したがって、臨床医は、クロージャシステム及び発射システムが作動されている程度を、それぞれの窓内のインジケータの位置を観察することによって判断し得る。
別の装置構成において、インジケータ窓2094及び2134は、クロージャシステム2070及び発射システム2100’が開始位置又は非作動位置にあるとき、それぞれのインジケータ2092、2132が、それぞれインジケータ窓2094、2134において全体が視認され得るように、エンドエフェクタハウジング2010’に設けられてもよい。クロージャシステム2070及び発射システム2100’が作動されるとき、それらのインジケータ2092、2132は、それらのインジケータ窓2094、2134の外に移動する。臨床医は次いで、インジケータ2092、2132のどの程度が窓2094、2134を通じて視認可能であるかを観測することによって、システム2070、2100’の各々がどこまで作動されているかを推定し得る。
クロージャシステムステータス組立体2090及び発射システムステータス組立体2130は、エンドエフェクタ2000’が手術器具ハンドル又はハウジングに取り付けられているか否かに関わらず、クロージャシステム2070及び発射システム2100の機械的状態を明らかにする。エンドエフェクタ2000がハンドル又はハウジングに取り付けられているとき、クロージャシステムステータス組立体2090及び発射システムステータス組立体2130は、手術器具ハンドル又はハウジング上に示された状態の1次又は2次チェックとして、これらのシステムの機械的状態を判断する機会を臨床医に与えることになる。クロージャシステムステータス組立体2090及び発射システムステータス組立体2130はまた、エンドエフェクタ2000’が手術器具ハンドル又はハウジングから分離されたときの1次チェックとしても働く。更に、そのようなクロージャシステム及び発射システムステータス組立体は、必ずしも限定するものではないが、例えば、エンドエフェクタ1000及びエンドエフェクタ3000並びにそれぞれの等価な装置を含めて、本明細書で開示する少なくともいくつかの他の手術用エンドエフェクタのクロージャ及び/又は発射システムと共に効果的に用いられ得る。
図54〜60は、以下に明記する違いを除いて、上述した手術用エンドエフェクタ2000’と同一となり得る別の手術用エンドエフェクタ2000’’を示している。手術用エンドエフェクタ2000’’のうちの、上述したエンドエフェクタ2000’及び/又はエンドエフェクタ2000の構成要素と同じである構成要素は、同じ参照符号で指定することにする。手術用エンドエフェクタ2000’’のうちの、手術用エンドエフェクタ2000’及び/又は2000の対応する構成要素と同一ではないが動作においては類似し得る構成要素は、「’’」を伴った同じ構成要素番号で指定することにする。図54〜60で分かるように、手術用エンドエフェクタ2000’’は、全体として2200で指定する駆動分離組立体を含み、この駆動分離組立体は有利にも、臨床医が駆動系の遠位部分を駆動系の近位部分から分離できるように構成されている。
図示の実施形態において、駆動分離組立体2200は、エンドエフェクタ2000’’のクロージャシステム2070’’と共に使用され、それにより、クロージャシステムの遠位部分が不注意によって故障するか又は動作不能となった場合でも、臨床医は迅速に、クロージャシステムの駆動系遠位部分を駆動系近位部分から機械的に切り離し得るようになっている。より具体的に、また図56を参照して言えば、クロージャビーム組立体2072もまた、クロージャシステム2070’’の「駆動系遠位部分」2202と呼ばれ得るものであり、また、クロージャシャフト2080及びクロージャナット組立体2084’’は、例えば、クロージャシステム2070’’の「駆動系近位部分」2204と呼ばれ得るものである。図59で分かるように、クロージャナット組立体2084’’は、上述したクロージャナット2084、2084’と実質的に同一であるが、2部として設けられている。より具体的に言えば、クロージャナット組立体2084’’は、クロージャシャフト2080とねじ係合をなす、ねじ付きの上側部分2210と、上で議論した方式で発射ナット2110を中で軸方向移動させるように支持する下側部分2214とを含んでいる。クロージャナット組立体2084’’の下側部分2214は、クロージャビーム組立体2072に直接、取り付けられ、上で議論したクロージャインジケータ2092と同じ方式で機能するクロージャインジケータ部材2092’’を含んでいる。
少なくとも一形態において、駆動分離組立体2200は駆動カプラピン2220を含み、駆動カプラピン2220は、クロージャナット組立体2084’’の下側部分2214を上側部分2210に結合するように働く。図59で分かるように、例えば、クロージャナット組立体2084’’の上側部分2210は第1のダブテールスロットセグメント2212を含み、この第1のダブテールスロットセグメント2212は、クロージャナット組立体2084’’の下側部分2214の第2のダブテールスロットセグメント2216と整合するように構成されている。第1のダブテールスロットセグメント2212と第2のダブテールスロットセグメント2216とが、図59に示すように整合すると、それらはホール2215を形成し、図56に示すようにこのホール2215の中に駆動カプラピン2220のバレル部分2222が挿入されて、上側部分2010と下側部分2014とが互いに結合され得る。別の言い方をすれば、駆動カプラピン2220は、クロージャシステム2070’’の駆動系遠位部分2202を駆動系近位部分2204に機械的にかつ解放可能に結合するように働く。駆動カプラピン2220は、クロージャシャフト軸CSAに対して直角である結合軸CA−CAに沿って延びている。図56を参照されたい。駆動カプラピン2220がクロージャナット組立体2084’’と共に軸方向に移動するクリアランスを設けるために、エンドエフェクタハウジング2010’’のハウジングセグメント2014’’は、軸方向に延びるクリアランススロット2224を設けられている。そのような構成により、臨床医は、単純に駆動カプラピン2202を、ダブテールスロットセグメント2212、2216によって形成されたホール2215から横方向に取り外すか又は引き抜くことによって、エンドエフェクタ2000’’の使用中の任意の時点で、駆動系遠位部分2202を駆動系近位部分2204から迅速に分離することができる。駆動カプラピン2220がホール2215から取り外されると、クロージャ組立体2084’’の下側部分2214は上側部分2212に対して移動され得るようになり、それによってカートリッジモジュール2060とアンビル組立体2140との間から組織を解放することが可能となる。
図54〜56は、使用前の「開放」位置にあるエンドエフェクタ2000’’を示している。これらの図で分かるように、例えば、カートリッジモジュール2060が据付けられ、すぐに使用できる状態となる。図57及び58は、閉鎖状態にあるエンドエフェクタ2000を示している。つまり、クロージャビーム2080は回転されて、クロージャナット組立体2084’’を遠位方向「DD」に駆動している。クロージャナット組立体2084’’の下側部分2214は駆動カプラピン2220によって上側部分2210に取り付けられるため、クロージャビーム組立体2072(これは下側部分2214に取り付けられるため)もまたその閉位置へと遠位側に移動されて、標的組織をカートリッジモジュール2260とアンビル組立体2140との間でクランプする。上でも議論したように、ハウジング2010’’上のサドル形状のスライドボタン2162が遠位側に移動されることにより、保持ピンがカートリッジハウジングを通じてアンビル組立体2140の中に延び、それによって、組織をカートリッジモジュール2260とアンビル組立体2140との間に捕捉することになる。上でも詳細に議論したように、クロージャナット組立体2084’’が遠位側に移動するとき、発射ナット2110もまた遠位側に移動し、それにより、発射シャフト2102の近位部分2106が、雌型ソケットカプラ57’内の細長通路から引き出される。図58を参照されたい。図59は、ダブテールスロットセグメント2212、2216によって形成されたホール2215から取り外された駆動カプラピン2220を示している。駆動カプラピン2220がホール2215から取り外されると、駆動系近位部分2202(クロージャビーム組立体2072)は、サドル形状のスライドボタン2162を近位側に移動させることによって、近位方向「PD」に移動され得る。ボタン2162のそのような移動により、クロージャビーム組立体2072、クロージャナット組立体2084’’の下側部分2014、発射ナット2110及び発射バー組立体2112、並びに保持ピンが近位側に移動することになる。そのような移動により、カートリッジモジュール2060とアンビル組立体2140との間から組織を解放することが可能となる。
図61は、ハンドル部分7002とシャフト部分7004とを備えるモジュール式電動手術器具7000のブロックダイヤグラムである。モジュール式電動手術器具7000は、全体として2で示すモジュール式手術器具システムを代表するものであり、このモジュール式手術器具システムは、一形態において、例えば、図1に示すようなエンドエフェクタ1000、2000及び3000など、様々な手術用エンドエフェクタと共に使用され得る電動手術器具10を含む。モジュール式電動手術器具10の様々な機能的及び動作的態様については先に詳細に説明しているため、開示を簡潔かつ明確にするため、そのような詳細は、図61〜64に関連する以下の説明においては繰り返さないことにする。むしろ、以下の図61〜64の説明では、主として、モジュール式電動手術器具7000の電気システム及びサブシステムの機能的及び動作的態様に焦点を置くことにし、これらの機能的及び動作的態様は、先に説明したモジュール式電動手術器具にも全体的に又は部分的に当てはまり得るものである。
したがって、ここで図61を参照すると、モジュール式電動手術器具7000は、ハンドル部分7002とシャフト部分7004とを備えている。ハンドル及びシャフト部分7002、7004は、通信電力インタフェース7010によって電気的に結合された電気サブシステム7006、7008をそれぞれ備えている。ハンドル部分7002の電気サブシステム7006の構成要素は、前述した制御基板100によって支持されている。通信電力インタフェース7010は、電気信号と電力がハンドル部分7002とシャフト部分7004との間で容易に交換され得るように構成されている。
図示の例において、ハンドル部分7002の電気サブシステム7006は、様々な電気要素及びディスプレイ7014に電気的に結合されている。一例において、ディスプレイ7014は有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイであるが、ディスプレイ7014はこの状況に限定されるべきではない。シャフト部分7004の電気サブシステム7008は様々な電気要素7016に電気的に結合されており、これらの電気要素7016については、以下で詳細に説明することにする。
一態様において、ハンドル部分7002の電気サブシステム7006は、ソレノイドドライバ7018と、加速度計7020と、モータコントローラ/ドライバ7022と、ハンドル用プロセッサ7024と、電圧レギュレータ7026とを備え、複数のスイッチ7028からの入力を受容するように構成される。図示の実施形態において、スイッチ7028はホールスイッチとして示されているが、スイッチ7028はこの状況に限定されるものではない。様々な態様において、ホール効果センサ又はスイッチ7028は、器具のエンドエフェクタ部分、シャフト、及び/又はハンドルのいずれかに配置され得る。
一態様において、ハンドル部分7002の電気サブシステム7006は、ソレノイド7032、クランプポジションスイッチ7034、発射ポジションスイッチ7036、モータ7038、電池7040、OLEDインタフェースボード7042、開放スイッチ7044、閉鎖スイッチ7046、及び発射スイッチ7048から信号を受信するように構成される。一態様において、モータ7038はブラシレスDCモータであるが、様々な態様においてモータはこの状況に限定されない。それでもやはり、モータ7038の記述は、前述のモータ80、480、580、680、750、及び780にも当てはまり得る。ソレノイド7032は、前述したシフタソレノイド71の代表的な例である。
一態様において、シャフト部分7004の電気サブシステム7008はシャフト用プロセッサ7030を含む。シャフトの電気サブシステム7008は、器具のエンドエフェクタ部分に配置された様々なスイッチ及びセンサから信号を受信するように構成され、それらの信号は、エンドエフェクタのクランプジョー及び切断要素のステータスを示すものである。図61に示すように、シャフトの電気サブシステム7008は、クランプ開放ステータススイッチ7050、クランプ閉鎖ステータススイッチ7052、発射開始ステータススイッチ7054、及び発射終了ステータススイッチ7056から信号を受信するように構成され、それらの信号は、クランプ及び切断要素の状態を示すものである。
一態様において、ハンドル用プロセッサ7024は、医療及び手術器具の用途に好適でありかつ運動制御を含んだ汎用マイクロコントローラであってもよい。一例において、ハンドル用プロセッサ7024は、テキサスインスツルメンツ社(Texas Instruments)によって提供されているTM4C123BH6ZRBマイクロコントローラであってもよい。ハンドル用プロセッサ7024は、数ある機構の中でも、システムタイマ(SysTick)を備えた32ビットARM(登録商標)Cortex(商標)M4 80−MHzプロセッサと、統合ネスト型ベクタ割り込みコントローラ(NVIC)と、クロックゲーティングを備えたウェイクアップ割り込みコントローラ(WIC)と、メモリ保護ユニット(MPU)と、IEEE754準拠の単精度浮動小数点演算ユニット(FPU)と、エンベデッドトレースマクロ及びトレースポートと、システム制御ブロック(SCB)と、Thumb−2命令セットとを備え得る。ハンドル用プロセッサ7024は、最大40MHzの256KBシングルサイクルフラッシュなど、オンチップメモリを備えてもよい。40MHz超の性能を改善するために、プリフェッチバッファが設けられ得る。更なるメモリには、CANプロトコルバージョン2.0パートA/Bを使用し、最大で1Mbpsのビットレートを用いた2つのコントローラエリアネットワーク(CAN)など、数ある機構の中でも、32KBシングルサイクルSRAM、C Seriesソフトウェア用のTivaWare(商標)を搭載した内部ROM、2KB EEPROMが挙げられる。
一態様において、ハンドル用プロセッサ7024はまた、IrDA、9ビット、及びISO7816をサポートした8つの万能非同期受信送信機(UART)を含めて(モデムステータス及びモデムフロー制御に1つのUART)、高度なシリアル統合性を有し得る。Freescale SPI、MICROWIRE又はテキサスインスツルメンツ社の同期式シリアルインタフェースの動作をサポートするために、4つの同期式シリアルインタフェース(SSI)モジュールが設けられている。それに加えて、例えば、6つのInter−Integrated Circuit(I2C)モジュールが、標準(100kbps)及び高速(400kbps)伝送を提供し、マスタ又はスレーブのいずれかとしてのデータの送信及び受信をサポートする。
一態様において、ハンドル用プロセッサ7024はまた、ARM PrimeCell(登録商標)の32チャンネルのコンフィギュレーションが可能なμDMAコントローラを備え、Cortex(商標)M4プロセッサをデータ転送タスクから解放する方式を提供し、プロセッサ及び利用可能なバスのバンド幅の使用をより効率的にする。アナログサポート機能には、例えば、24のアナログ入力チャネル及び100万サンプル/秒のサンプルレートを有する2台の12ビットアナログ−デジタルコンバータ(ADC)、3台のアナログコンパレータ、16台のデジタルコンパレータ、並びにオンチップ電圧レギュレータが挙げられる。
一態様において、ハンドル用プロセッサ7024はまた、8台のパルス幅変調(PWM)ジェネレータブロックなど、高度な運動制御機能を備え、各ブロックは、1台の16ビットカウンタ、2台のPWMコンパレータ、PWMシグナルジェネレータ、デッドバンドジェネレータ、及び割り込み/ADCトリガセレクタを備える。低遅延シャットダウンを促進するために、8つのPWMフォルト入力が与えられる。2台の直交エンコーダインタフェース(QEI)モジュールが、内蔵タイマを使用してエンコーダ位置及び速度捕捉を追跡するためのポジションインテグレータを備えている。
一態様において、2台のARM FiRM適合のウォッチドッグタイマが、6台の32ビット汎用タイマ(最大で12の16ビット)と共に設けられる。6台のワイド型64ビット汎用タイマ(最大で12の32ビット)、並びに12本の16/32ビット及び12本の32/64ビットの捕捉比較PWM(CCP)ピンが設けられる。汎用入出力(GPIO)割り込みに対するプログラマブルコントロール及びパッド形状を伴った構成、並びに非常に柔軟なピンの多重化によって、最大120のGPIOが設けられ得る。ハンドル用プロセッサ7024はまた、リアルタイムクロックを備えた低電力バッテリバックアップ型のハイバネーションモジュールを備える。複数のクロック源がマイクロコントローラのシステムクロック用に設けられ、精密オシレータ(PIOSC)と、メインオシレータ(MOSC)と、ハイバネーションモジュール用の32.768kHzの外部オシレータと、内部の30kHzオシレータとを含む。
一態様において、ハンドル部分7002の電気サブシステム7006の加速度計7020の部分は、マイクロ電気機械システム(MEMS)に基づく運動センサであってもよい。周知のように、MEMS技術は、半導体チップに埋め込まれたセンサ、バルブ、ギヤ、ミラー、及びアクチュエータなどの微小な機械デバイスとコンピュータを組み合わせたものである。一例において、MEMSに基づく加速度計7020が、例えば、STマイクロエレクトロニクスによって提供されているLIS331DLMなど、超低電力の8ビット3軸デジタル加速度計を含み得る。
一態様において、LIS331DLMなどの加速度計7020は、ハンドル用プロセッサ7024と通信するのに好適なデジタルI2C/SPIシリアルインタフェース標準出力を備えた、「ナノ」の系統に属する超低電力高性能3軸直線加速度計であってもよい。加速度計7020は、高度な省電力と各機能を呼び起こすスマートスリープを可能にする超低電力動作モードを特徴付けもよい。加速度計7020は、動的にユーザー選択が可能な±2g/±4g/±8gのフルスケールを有してもよく、例えば、0.5Hz〜400Hzの出力データ率で加速度を計測することが可能である。
一態様において、加速度計7020は、最終用途でユーザーがセンサの機能性をチェックできるように、自己試験機能を有してもよい。加速度計7020は、内部のウェイクアップ/フリーフォールイベント、並びに器具自体の位置によって割り込み信号を発生させるように構成されていてもよい。割り込みジェネレータの閾値及びタイミングは、オンザフライ式でプログラム可能となり得る。
一態様において、モータコントローラ/ドライバ7022は、例えば、アグレロ社(Allegro)によって提供されているA3930モータコントローラ/ドライバなど、3相ブラシレスDC(BLDC)コントローラ及びMOSFETドライバを含んでもよい。3相ブラシレスDCモータコントローラ/ドライバ7022は、例えば、BLDCモータ7038を駆動するために、Nチャネル外部電力MOSFETと共に用いられてもよい。一例において、モータコントローラ/ドライバ7022は、有効な3相モータ駆動システムに必要な回路を組み込んでいてもよい。一例において、は、7Vへの電池電圧の低下に対して適切な(>10V)ゲート駆動をもたらすためにチャージポンプレギュレータを備え、モータコントローラ/ドライバ7022が、5.5Vにまで低下した電池電圧における低減したゲート駆動で動作することが可能となる。チャージポンプにおける電力散逸は、低供給電圧における電圧倍加モードから、14Vの公称駆動電圧におけるドロップアウトモードに切り換えることによって最小化され得る。一態様において、NチャネルMOSFETに必要な上記の電池供給電圧を与えるために、ブートストラップコンデンサが用いられる。ハイサイド駆動用の内部チャージポンプにより、dc(100%デューティサイクル)動作が可能となる。
内部の固定周波数PWM電流制御回路が、最大負荷電流を調整する。ピーク負荷電流制限は、入力基準電圧及び外部検出抵抗の選択によって設定され得る。PWM周波数は、ユーザー選択の外部RCタイミングネットワークによって設定され得る。柔軟性を高めるために、PWM入力を使用して速度及びトルク制御をもたらし、内部電流制御回路によって最大電流制限を設定するようにし得る。
モータコントローラ/ドライバ7022の効率は、同期整流を用いることによって向上され得る。電力MOSFETは、デッドタイムを用いた統合的なクロスオーバ制御によって、シュートスルーから保護される。デッドタイムは、単一の外部抵抗によって設定され得る。
一態様において、モータコントローラ/ドライバ7022は、ホール入力がすべてゼロとなる組み合わせに反応してロジックフォルトを示す。モータコントローラ/ドライバ7022の更なる特徴には、NチャネルMOSFET用の大電流3相ゲート駆動、同期整流、クロスコンダクションの防止、100% PWM用のチャージポンプ及びトップオフチャージポンプ、統合された通信デコーダロジック、5.5〜50Vの供給電圧範囲に及ぶ動作、診断用出力、+5Vのホールセンサ電力、並びに低電流スリープモードが挙げられる。
一態様において、モジュール式電動手術器具7000は、電子整流モータ(ECM、ECモータ)としても知られるブラシレスDC電気モータ7038(BLDCモータ、BLモータ)を装備されている。そのような1つのモータが、ポルテスキャップ社(Portescap)によって提供されているBLDC Motor B0610H4314である。BLDC Motor B0610H4314は、加圧滅菌可能となり得る。BLDCモータ7038は、直前の段落で記述したモータコントローラ/ドライバ7022などのモータを駆動するようにAC電気信号を生成する、統合されたインバータ/スイッチング電源を介してDC電源によって給電される同期モータである。この状況において、AC、つまり交流は、正弦波の波形ではなく、むしろ双方向の電流を意味し、波形には制限がない。更なるセンサ及び電子機器が、インバータの出力振幅及び波形(したがって、DCバス使用率/効率の百分率)及び周波数(すなわちロータの速度)を制御する。
BLDCモータ7038のロータ部は永久磁石同期モータであるが、他の態様において、BLDCモータはまた、スイッチドリラクタンスモータ又は誘導モータであってもよい。一部のブラシレスDCモータはステッパモータとして説明され得るが、ステッパモータという用語は、既定の角度位置でロータと共に頻繁に停止される様式で動作されるように特定的に設計されたモータに対して用いられる傾向がある。
一態様において、BLDCモータコントローラ/ドライバ7022は、ロータの回転を指示しなければならない。したがって、BLDCモータコントローラ/ドライバ7022は、(ステータコイルに対する)ロータの向き/位置を判断する手段を必要とする。一例において、BLDCモータ7038のロータ部は、ロータの位置を直接計測するためにホール効果センサ又はロータリエンコーダを備えて構成される。他の例は、非駆動コイル中の逆起電力(EMF)を計測してロータの位置を推測し、別のホール効果センサの必要性を排除するものであり、したがってセンサレスコントローラとしばしば呼ばれる。
一態様において、BLDCモータコントローラ/ドライバ7022は3つの双方向出力(すなわち周波数制御された3相出力)を有し、これらの出力は論理回路によって制御される。その他のより単純なコントローラでは、コンパレータを用いて、いつ出力相が前進されるべきかを判断してもよいが、より高度なコントローラでは、マイクロコントローラを用いて、加速度を管理し、速度を制御し、効率を微調整してもよい。
直線運動を生み出すアクチュエータは、リニアモータと呼ばれている。リニアモータの利点として、リニアモータは、回転モータに必要なボール/送りねじ(ball-and-lead screw)、ラックピニオン、カム、ギヤ又はベルトなどの伝達システムを必要とすることなく直線運動を生み出し得ることである。伝達システムは、生じさせる応答性がより低く、正確性も低いことが知られている。直接駆動式のBLDモータ7038は、磁石歯を備えたスロット付きステータと、移動アクチュエータとを備え得、移動アクチュエータは永久磁石とコイル巻線とを有する。直線運動を得るために、BLDCモータコントローラ/ドライバ7022は、アクチュエータ内のコイル巻線を励起して磁場の相互作用を引き起こし、その結果として直線運動を生じる。
一態様において、BLDCモータ7038は、耐久性、効率、トルク、及び速度の組み合わせをモジュール式電動手術器具7000における使用に好適なパッケージとして提供する、ポルテスキャップ社(Portescap)のBO610ブラシレスDCモータである。そのようなBLDCモータ7038は、好適なトルク、密度、速度、位置制御、及び長寿命を提供する。スロットレスのBLDCモータ7038は、アイアンレスDCモータと同じ巻線技術で作製された円筒アイアンレスコイルを使用している。スロット付きBLDCモータ7038はまた、加圧滅菌可能である。スロット付きBLDCモータ7038は、積み重ねた鋼の積層体からなるステータを含んでもよく、巻線は、内周に沿って軸方向に切断されたスロット内に配置される。ブラシレスDCスロット付きBLDCモータ7038は、高加速度と共に、高度なトルク密度と熱放散をもたらす。BLDCモータ7038の3相構成は、Y型接続と、ホール効果センサと、4.5〜24Vの供給電圧を含む。BLDCモータ7038のハウジングは303SS材料から作製されてもよく、シャフトは17−4ph材料から作製されてもよい。
一態様において、ホールスイッチ7028は、BU520245Gの商品名で知られるホール効果センサであってもよく、単極の集積回路型のホール効果センサである。これらのセンサは、2.4V〜3.6Vの範囲の供給電圧で動作する。
一態様において、電圧レギュレータ7026は、通常のPNPパストランジスタをPMOSパスエレメントで置換したものである。PMOSパスエレメントは低値抵抗器として挙動するため、通常50Aの負荷電流で415mVの低ドロップアウト電圧が負荷電流に正比例する。低零入力電流(通常3.2μA)は、負荷電流の全範囲(0mA〜50mA)にわたって安定である。
一態様において、電圧レギュレータ7026は、テキサスインスツルメンツ社(Texas Instruments)から提供されているTPS71533 LDO電圧レギュレータなどの低ドロップアウト(LDO)電圧レギュレータである。そのようなLDO電圧レギュレータ7026は、入力電圧が高く、ドロップアウト電圧が低く、低電力で動作し、そしてパッケージが小型化されるという利点をもたらす。電圧レギュレータ7026は、2.5V〜24Vの入力範囲にわたって動作し得、いかなるコンデンサ(≧0.47μF)と用いても安定である。このLDO電圧及び低零入力電流によって、きわめて低い電力レベルでも動作が可能となり、したがって電圧レギュレータ7026は、電池管理型の集積回路に給電するのに適している。具体的に言えば、電圧レギュレータ7026は、印加電圧が最小入力電圧に達すると直ちに有効化され、出力が迅速に利用可能となり、ハンドル部分7002の絶えず動作する電池充電集積回路に給電される。
一態様において、電池7040はリチウムイオンポリマー(LIPO)電池であり、ポリマーリチウムイオン又はより一般的にはリチウムポリマー電池(略称はLi−poy、Li−Pol、LiPo、LIP、PLI又はLiP)は、充電式(二次電池)電池である。LIPO電池7040は、放電能力を増大させるために、いくつかの同一の二次電池を並列にして含んでもよく、また多くの場合は、利用可能な総電圧を増大させるために、直列「パック」として利用可能である。
モジュール式電動手術器具7000用の更なる電力が、テキサスインスツルメンツ社(Texas Instruments)から提供されているTPS6217Xファミリなど、高電力密度を用いた用途に最適化された同期ステップダウンDC−DCコンバータ7058(図63A)によって供給されてもよい。典型的には2.25MHzの高スイッチング周波数が、小型のインダクタの使用を可能にするために用いられてもよく、また、DCS−Control(商標)トポロジの利用によって、迅速な過渡応答並びに高度な出力電圧精度をもたらす。
3V〜17Vの広範な動作入力電圧範囲を有することで、同期ステップダウンDC−DCコンバータ7058(図63A)は、Li−Ionか又は他の電池のいずれか、並びに12Vの中間電力レールから給電されるモジュール式電動手術器具7000のシステムに好適となっている。一態様において、同期ステップダウンDC−DCコンバータ7058は、0.9V〜6V(100%のデューティサイクルモードで)にて最大で0.5Aの連続出力電流をサポートする。
また電力の順序付けも、Enableピン及びオープンドレインのPower Goodピンを構成することによって可能となる。Power Save Modeにおいて、同期ステップダウンDC−DCコンバータ7058(図63A)は、VINからの約17μAの零入力電流を示す。Power Save Modeは、負荷が小さい場合に自動的かつシームレスに移行し、また全負荷範囲にわたって高度な効率を維持する。Shutdown Modeにおいて、同期ステップダウンDC−DCコンバータ7058はオフにされ、シャットダウンの電力消費は2μA未満となる。
一態様において、OLEDインタフェース7042は、OLEDディスプレイ7014へのインタフェースである。OLEDディスプレイ7014は有機発光ダイオードを備え、この有機発光ダイオードにおいて、放射性のエレクトロルミネセント層は、電流に反応して光を発する有機化合物のフィルムである。この有機半導体の層は2個の電極の間に置かれ、一般にこれらの電極の少なくとも一方は透明である。OLEDディスプレイ7014は、2つの主製品群からのOLEDを含み得る。それらは低分子に基づいたものであり、ポリマーを用いている。可動イオンをOLEDに加えることにより、わずかに異なる動作モードを有する発光電気化学セル又はLECが作られる。OLEDディスプレイ7014は、受動マトリックス(PMOLED)か又は能動マトリックスアドレス指定方式のいずれかを用い得る。能動マトリックスOLED(AMOLED)では、個々のピクセルをオン又はオフに切り換えるために薄膜トランジスタバックプレーンが必要となるが、より高度な解像度とより大きなディスプレイサイズが可能となる。一例において、OLEDディスプレイ7014は、バックライトなしでも動作する。したがって、濃色の黒レベルを表示し得ると共に、液晶ディスプレイ(LCD)と比べてより薄くかつより軽くなり得、理想的にもモジュール式電動手術器具7000のハンドル部分7002上での使用に適するものとなっている。
一態様において、シャフト部分7004の電気サブシステム7008のシャフト用プロセッサ7030は、テキサスインスツルメンツ社(Texas Instruments)から提供されているMSP430FR5738 Ultra−low Power MCUなど、超低電力の16ビット混合信号MCUとして実装されてもよい。シャフト用プロセッサ7030は、組み込まれたFRAM不揮発性メモリ、超低電力の16ビットMSP430 CPU、及び様々な用途のための付加的な周辺装置を特徴とする複数のデバイスからなる超低電力マイクロコントローラである。このアーキテクチャ、FRAM、及び周辺装置が、7つの低電力モードと組み合わされて、携帯及び無線センシング用途において長期の電池寿命を達成するように最適化される。FRAMは、SRAMの速度、柔軟性、及び耐久性をフラッシュの安定性及び信頼性と、いずれもより低い総消費電力で組み合わせた、新しい不揮発性メモリである。周辺装置には、他の機構の中でもとりわけ、10ビットA/Dコンバータと、電圧基準生成及びヒステリシス機能を備えた16チャネルコンパレータと、I2C、SPI、又はUARTプロトコルが可能な3つの拡張シリアルチャネルと、内部DMAと、ハードウェアマルチプライヤと、リアルタイムクロックと、5台の16ビットタイマとが挙げられる。
シャフト用プロセッサ7030は、最大24MHzクロックの16ビットRISCアーキテクチャを含み、2V〜3.6Vの広範な供給電圧範囲にわたって動作し、超低電力モードに対して最適化されている。シャフト用プロセッサ7030はまた、インテリジェントデジタル周辺装置と、超低電力強誘電体RAMと、最大16KBの不揮発性メモリとを含む。組み込まれたマイクロコントローラは、超低電力での書き込み、1ワード当たり125ns、1msで16KBの高速な書き込みサイクルをもたらし、内蔵のError Coding and Correction(ECC)とMemory Protection Unit(MPU)を有している。
モジュール式電動手術器具7000のハンドル及びシャフト部分7002、7004の電気システム、サブシステム、及び各構成要素について説明したので、制御システムの機能的態様についてこれから説明することにする。したがって、動作の際、ハンドル部分7002の電気サブシステム7006は、ハンドル部分7002のハウジング上に支持された開放スイッチ7044、閉鎖スイッチ7046、及び発射スイッチ7048から信号を受信するように構成されている。信号が閉鎖スイッチ7046から受信されると、ハンドル用プロセッサ7024はモータ7038を動作させて、クランプアームの閉鎖を開始する。クランプが閉鎖されると、エンドエフェクタ内のクランプ閉鎖ステータススイッチ7052がシャフト用プロセッサ7030に信号を送信し、シャフト用プロセッサ7030は、通信電力インタフェース7010を通じてハンドル用プロセッサ7024へとクランプアームのステータスを通信する。
標的組織がクランプされると、発射スイッチ7048が作動されて、ハンドル用プロセッサ7024に受信される信号を発生させ得る。それに反応して、図1〜8に関連して上で詳細に説明したように、ハンドル用プロセッサ7024は伝達キャリッジをその第2の駆動位置へと作動させ、そのため、モータ7038が作動することにより、結果として第2の駆動シャフトが回転することになる。切断部材が位置決めされると、エンドエフェクタ内に配置された発射開始ステータススイッチ7054は、切断部材の位置を示す信号をシャフト用プロセッサ7030に送信し、シャフト用プロセッサ7030は、通信電力インタフェース7010を通じて再びハンドル用プロセッサ7024に位置を通信する。
第1のスイッチ7048をもう一度、作動させることにより、信号がハンドル用プロセッサ7038に送信され、ハンドル用プロセッサ7038はそれに反応して、エンドエフェクタ内の第2の駆動システム及び発射システムを作動させ、組織切断部材及びウェッジスレッド組立体を、手術用ステープルカートリッジを通じて遠位側に駆動する。組織切断部材及びウェッジスレッド組立体が手術用ステープルカートリッジ内で最遠位位置に駆動されると、発射終了スイッチ7056はシャフト用プロセッサ7030に信号を送信し、シャフト用プロセッサ7030は、インタフェース7010を通じて再びハンドル用プロセッサ7024に位置を通信する。これで発射スイッチ7048は作動されて信号をハンドル用プロセッサ7024に送信し得るようになり、ハンドル用プロセッサ7024は、モータ7038を逆回転で動作させて発射システムをその開始位置に復帰させる。
開放スイッチ7044をもう1度、作動させることにより、信号がハンドル用プロセッサ7024に送信され、ハンドル用プロセッサ7024は、モータ7038を動作させてクランプを開放する。開放されると、エンドエフェクタ内に配置されたクランプ開放ステータススイッチ7050は信号をシャフト用プロセッサ7030に送信し、シャフト用プロセッサ7030は、クランプの位置をハンドル用プロセッサ7024に通信する。クランプ位置スイッチ7034及び発射位置スイッチ7036は、クランプアーム及び切断部材のそれぞれの位置を示す信号をハンドル用プロセッサ7024に与える。
図62は、種々の装置シャフトの種々の動作に対する、行程及び負荷電流の要件を満たす合計時間を示す表7060である。左の第1の列7062に、円形、曲線、及びTLD装置/シャフトが記されている。これらの装置/シャフトは、第2の列7064に示すように、異なる3種類の動作、つまり閉鎖、開放、及び発射に関して比較される。第3の列7066は、第1の列7063に記した装置/シャフトが1つの行程を完了するのに要する総時間を秒単位で示している。第4の列7068は、第3の列7066に示すように第1の列7062に記した装置/シャフトが、全行程にわたって第2の列7064の動作を完了するための負荷電流要件をアンペア単位で記している。チャートに示すように、クランプアームの閉鎖と開放は、第1の列7062に記す装置/シャフトの各々でおよそ同じ時間を要している。発射動作に関して言えば、円形装置/シャフトは15.69Aの最大負荷電流を必要とし、TLC装置/シャフトは0.69Aの最小量の負荷電流を必要とする。
図63Aは、モジュール式電動手術器具7000のハンドル部分7002内の電気システムの詳細ダイヤグラムである。図63Aに示すように、電圧レギュレータ7026及びDC−DCコンバータ7058は、電気システムの動作電圧を供給する。電圧レギュレータ7026は電池7040の電圧を調整する。ハンドル用プロセッサ7024は、加速度計7020から入力を受信する。VSS−ON/OFF Logicの供給部7086は、入力電圧をハンドル用プロセッサ7024に、そしてVSS入力をDC−DCコンバータ7058に与える。
3色LED 7072が、ハンドル用プロセッサ7024に電気的に結合されている。ハンドル用プロセッサ7024は、赤色、青色、又は緑色のいずれかのLED 7072を付勢して、視覚的フィードバックを与える。
3つのホール効果センサ7028のU10、U11、U12は、図示のようにハンドル用プロセッサ7024に結合される、3つの別々のホール効果出力U1_Hall1、U1_Hall2、U1_Hall3を与える。U1_Hall3出力は、オンボードのLED 7088を駆動する。一態様において、モジュール式電動手術器具7000のエンドエフェクタ部分におけるクランプアーム及び切断部材の位置、又は器具7000の他の要素の位置を判断するために、ホール効果センサ出力U1_Hall1、U1_Hall2、U1_Hall3、及びANALOG_CLAMP信号が、ハンドル用プロセッサ7024に結合される。
ユーザースイッチ7070は、ハンドルのピストルグリップ部分に旋回式で装着される前述の「ロッカートリガ」110の代表例である。ユーザースイッチ7070は、ハンドル用プロセッサ7024に動作可能に結合された第1のモータスイッチ7044を作動させるように動作可能である。第1のモータスイッチ7044は、ユーザースイッチ7070を旋回させて接触させることによって作動される圧力スイッチを含んでもよい。第1のモータスイッチ7044が作動することにより、結果として、駆動ギヤが第1の回転方向に回転するように、モータ7038が作動することになる。また第2のモータスイッチ7046がハンドル用プロセッサ7024に結合されており、ユーザースイッチ7070によって選択的に接触されるように装着されている。第2のモータスイッチ7046が作動することにより、結果として、駆動ギヤが第2の回転方向に回転するように、モータ7038が作動することになる。発射スイッチ7048が、ハンドル用プロセッサ7024に結合されている。上述のように、発射スイッチ7048が作動することにより、結果として、切断要素を前進させるように伝達キャリッジが軸方向に移動する。
またJoint Test Action Group(JTAG)7074入力が、ハンドル用プロセッサ7024に結合されている。JTAG7074入力は、集積回路(IC)のデバッグポート用に考案されたIEEE 1149.1 Standard Test Access Port and Boundary−Scan Architectureである。ハンドル用プロセッサ7024はこのJTAG 7074を実装して、シングルステップ及びブレークポイントのようなデバッグ動作を実施する。
UART 7076が、ハンドル用プロセッサ7024に結合されている。UART 7076は、パラレル形式とシリアル形式との間でデータを変換する。UART 7076は、EIA、RS−232、RS−422又はRS−485などの通信規格と共に一般に使用されている。汎用指定は、データフォーマット及び伝送速度が設定可能であることを示している。電気的な信号伝達のレベル及び方法(差動信号伝達など)は、UART 7076の外部にある駆動回路によって処理される。UART 7076は、ハンドル用プロセッサ1024のシリアルポートを介したシリアル通信に使用される個別の集積回路(又はその一部)であってもよい。UART 7076は、ハンドル用プロセッサ1024に含められ得る。
モジュール式電動手術器具7000のハンドル部分7002の電気サブシステム7006の残りの機能的及び動作的態様について、これから図63Bに関連させて説明することにする。図示のように、ハンドル用プロセッサ7024は信号を供給してソレノイド7032を駆動する。シャフトモジュール7078は、位置信号SHAFT_IDO、SHAFT_ID1、CLAMP_HOME、及びFIRE_HOMEをハンドル用プロセッサ7024に供給する。ギヤ位置モジュール7080が、クランプ及び切断要素の位置をハンドル用プロセッサ7024に供給する。シャフトモジュール7078及びギヤ位置モジュール7080によって供給される位置情報により、ハンドル用プロセッサ7024は、ユーザースイッチ7070の信号が受信されてクランプが開放され、クランプが閉鎖され、かつ/又は切断要素が発射されるとき、モータ7038を適切に作動させることができる。
モータコントローラ7022は、ハンドル用プロセッサ7024からコマンドを受信し、コマンドをMOSFETドライバ7084に供給し、そのMOSFETドライバ7084が3相BLDCモータ7038(図61)を駆動する。前述のように、BLDCモータコントローラ7022は、ロータの回転を指示しなければならない。それに従って、BLDCモータコントローラ/ドライバ7022は、ステータコイルに対するロータの位置/向きを判断する。したがって、BLDCモータ7038のロータ部は、ロータの位置を直接計測するためにホール効果センサ7028を備えて構成される。BLDCモータコントローラ7022は3つの双方向出力(すなわち周波数制御された3相出力)を有し、これらの出力は論理回路によって制御される。
したがって、図61、63A、63B、及び64で説明しているように、モータコントローラ7022と、モータドライバ7084と、ギヤ位置モジュール7080及び/又はシャフトモジュール7078と組み合わされたモータのホール効果センサ7028とを含んだモータコントロールシステムは、ギヤを同期させるように動作可能であり、それにより、本明細書で説明した手術器具のシャフト部分においてハンドル部分の雄型カプラが雌型カプラと円滑に結合するようになっている。一例において、例えば、シフト又はキー結合を容易にするために、幾分かの許容差が設けられてもよいが、一方の側から他方の側にシフトすること又は2つの回転キー結合を導入することが禁止される位置でギヤが停止しないようにするため、モータコントロールシステムは、ギヤの位置を追跡するように構成される。別の例において、モータは、いかなる些細な非同期の状態をも解決するために、据付け又はシフトの間にゆっくりと割出しされるように構成されてもよい。これらの同じ問題は、新しいエンドエフェクタを据付けるときだけでなく、器具が2つの駆動部の間でシフトするときに、図6に関連して説明した例で発生し得る。この状況は、図61、63A、63B、及び64に関連して説明したモータ制御システムを用いてギヤを適切に同期させることによって、解決され得る。他の例において、ギヤ/ギヤシャフトの回転を追跡するために、エンコーダが設けられてもよい。
図64は、モジュール式電動手術器具のハンドル及びシャフト部分の電気システムのブロックダイヤグラムである。図64に示すように、ハンドル用プロセッサ7024は、開放スイッチ7044、閉鎖スイッチ7046、発射スイッチ7048、クランプポジションスイッチ7034、及び発射ポジションスイッチ7036から入力を受信する。それに加えて、ハンドル用プロセッサ7024は、シャフトモジュール7078のクランプホームスイッチ7090及び発射ホームスイッチ7092から入力を受信する。これらのスイッチ入力の様々な組み合わせを使用して、ハンドル用プロセッサ7024は、適切なコマンドをモータ7038及びソレノイド7032に供給する。電池監視回路7088が、ハンドル用プロセッサ7024への入力をアースに対して監視する。ハンドル用プロセッサ7024は、3色LED 7072を駆動する。加速度計7020は、3軸の方向入力をハンドル用プロセッサ7024に供給して、器具7000の向き、及び器具7000が落下されたか否かなど、様々なパラメータを決定する。電圧レギュレータ7026は、調整された電力供給をシステムにもたらす。電源から引き出された電流を検出するために、電流検出モジュール7094が設けられている。
図65は、モータ機能のマイクロプロセッサ制御を排除するための機械的切り換え動作制御システムを示している。図61〜64に関連して説明したシステムにおいて、ハンドル用プロセッサ7024などのマイクロプロセッサが、モータ7038の機能を制御するために用いられている。ハンドル用プロセッサ7024は、器具7000の全体に配備された各スイッチの様々な状態に基づいて、制御アルゴリズムを実行する。これは、種々のエンドエフェクタを制御するために、ハンドル用プロセッサ7024及びそれに関連する識別機能の利用を必要とする。
しかしながら、図65に示すように、動作関連のスイッチ7096A、7096B、7096C、7096Dをエンドエフェクタシャフト内に置くことによってハンドル用プロセッサ7024の必要性を排除するモータ7038を制御するために、別の技術が用いられてもよい。スイッチ7096A〜Dはその場合、モータ7038の特定の機能をオン及びオフにするように、又は特定のエンドエフェクタ構成要素が位置する場所に基づいてモータの7038の方向を逆転させるように構成される。一例において、方向を逆転させ、切断部材を引っ込めるようにモータ7038の機能を切り替えるために、切断部材の完全配備を示すスイッチが用いられ得る。別の例において、組織に押し付けてアンビルを単純に閉鎖することにより、オン/オフ信号が再びクロージャモータ7038に供給されて、閉鎖動作が停止されるようにするため、スイッチ7096A〜Dは圧力又は力を検出するように構成され得る。
様々な例において、手術器具は、ハンドルと、そのハンドル内に配置された電気モータと、そのハンドルに取り付け可能なシャフトと、そのシャフトから延びるエンドエフェクタとを含み得、電気モータは、エンドエフェクタにてエンドエフェクタ機能を発動させるように構成される。いくつかの例において、手術器具は、1つ又は2つ以上のセンサとマイクロプロセッサとを有する制御システムを含み得、そのマイクロプロセッサは、センサから入力信号を受信し、手術器具の動作を監視し、センサの入力信号を考慮して電気モータを動作させてエンドエフェクタ機能を実施し得。少なくとも1つのそのような例において、手術器具のハンドルは、2つ以上のシャフトと共に使用可能となり得る。例えば、直線状ステープリングシャフト又は円状のステープリングシャフトが、ハンドルに組み付けられ得る。ハンドルは、ハンドルに組み付けられているシャフトのタイプを検知し、この情報をマイクロプロセッサに通信するように構成された、少なくとも1つのセンサを含み得る。このマイクロプロセッサは、ハンドルに組み付けられているシャフトのタイプに応じて、センサ入力信号に反応して様々に電気モータを動作させ得る。例えば、電気モータがエンドエフェクタの閉鎖システムを動作させるように構成されている場合、マイクロプロセッサは、円状ステープラシャフトのアンビルを閉鎖させるために第1の方向に、そして直線状ステープラシャフトのアンビルのアンビルを閉鎖させるために第2の、つまり反対の方向に電気モータを回転させる。電気モータの同じ動作制御がマイクロプロセッサの使用を伴わずに達成され得る他の制御システムも考えられる。少なくとも1つのそのような例において、手術器具のシャフト及び/又はハンドルは、ハンドルに組み付けられているシャフトのタイプに応じて手術器具を様々に動作させ得るスイッチを含み得る。
様々な例において、手術器具システムは、電源と、第1のエンドエフェクタ機能を実施するように構成された第1のモータと、第2のエンドエフェクタ機能を実施するように構成された第2のモータと、スイッチの制御システムに反応して電源を第1のモータ及び第2のモータとの通信状態に選択的に置くように構成されたスイッチの制御システムとを含み得る。様々な例において、そのような手術器具システムはマイクロプロセッサを含まなくてもよい。第1のモータは、エンドエフェクタのアンビルを閉鎖するように構成された閉鎖システムの閉鎖モータを有し得、第2のモータは、エンドエフェクタのステープルカートリッジからステープルを発射するように構成された発射システムの発射モータを有し得る。スイッチの制御システムはクロージャトリガスイッチを含み得、クロージャトリガスイッチは、閉鎖されると、電源を閉鎖モータに結合するクロージャ電力回路を閉鎖し得る。制御システムは、クロージャ行程終端スイッチを更に含み得、このクロージャ行程終端スイッチは、アンビルがその完全閉位置にあるときにクロージャシステムによって開放され得るものであり、クロージャ電力回路を開放して閉鎖モータ及びクロージャ駆動部を停止させ得る。スイッチの制御システムは発射トリガスイッチも含み得、発射トリガスイッチは、電源を発射モータに結合する発射電力回路の一部をなし得る。様々な状況において、デフォルト状態の発射電力回路が開放され得、それにより、発射電力回路が閉鎖されるのに先立って発射モータが動作されることが防止され得る。したがって、ただ発射スイッチを閉鎖するだけでは、発射電力回路は閉鎖されず、発射モータは動作され得ない。発射電力回路は、第2のクロージャ行程終端スイッチを更に含み得、この第2のクロージャ行程終端スイッチは、アンビルが完全閉位置にあるときにクロージャシステムによって閉鎖され得る。発射スイッチと第2のクロージャ行程終端スイッチを閉鎖することにより、発射電力回路が閉鎖され、発射モータが動作され得る。この制御システムは発射行程終端スイッチを更に含み得、この発射行程終端スイッチは、発射駆動部がその発射行程の終端に到達したときに発射駆動部によって開放され得る。発射行程終端スイッチを開放することにより、発射電力回路が開放され、発射モータが停止され得る。制御システムは第2の発射行程終端スイッチを更に含み得、この第2の発射行程終端スイッチは、逆発射電力回路を閉鎖するために発射駆動部によって閉鎖され得るものであり、逆発射電力回路は、発射モータに加えられる電力の極性を逆転させ、発射モータを反対方向に動作させ、発射駆動部を後退させるものである。また、逆発射電力回路を閉鎖することも、発射トリガスイッチが閉鎖状態にあることを必要とし得る。発射駆動部はその完全後退位置に到達すると、近位発射スイッチを閉鎖し得る。近位発射スイッチが閉鎖されることにより、逆閉鎖電力回路が閉鎖され得、この逆閉鎖電力回路は、閉鎖モータに加えられる電力の極性を逆転させ、閉鎖モータを反対方向に動作させ、アンビルを開放し得る。また、逆クロージャ電力回路を閉鎖することも、クロージャトリガスイッチが閉鎖状態にあることを必要とし得る。アンビルがその完全開位置に到達すると、アンビルは近位クロージャスイッチを開放し得、この近位クロージャスイッチは、逆閉鎖電力回路を開放し、閉鎖モータを停止させ得る。これは一例に過ぎない。
様々な例において、本明細書で説明したように、手術器具のハンドルは、ハンドルに選択的に取り付けられ得る種々のシャフト組立体と共に使用され得る。いくつかの例において、同様に本明細書で説明したように、ハンドルは、ハンドルに組み付けられているシャフトのタイプを検出し、ハンドル内に含められた制御システムに従ってハンドルを動作させるように構成され得る。例えば、ハンドルはマイクロプロセッサと少なくとも1つのメモリユニットとを含み得、そのメモリユニットは、特定のシャフト組立体を動作させるように各々が構成された複数の動作プログラムを記憶及び実行し得る。ハンドルが制御システムを含まず、むしろシャフト組立体がそれぞれ、それらシャフト組立体用の制御システムを備え得る他の実施形態も考えられる。例えば、第1のシャフト組立体が第1の制御システムを備え得、第2のシャフト組立体が第2の制御システムを備え得るなどである。様々な例において、ハンドルは、電気モータと、例えば電池及び/又は入力ケーブルなどの電源と、取り付けられたシャフト組立体からの制御入力に基づいて電気モータを動作させるように構成された電気回路とを備え得る。ハンドルは、シャフト制御システムと協働して電気モータを制御し得るアクチュエータを更に備えてもよい。様々な例において、ハンドルは、例えば電気モータを制御するための付加的な制御論理及び/又はマイクロプロセッサを備えていなくてもよい。ハンドルアクチュエータは例外として、ハンドルに取り付けられたシャフト組立体の制御システムは、電気モータを動作させるために必要な制御論理を含む。様々な例において、シャフト組立体の制御システムはマイクロプロセッサを含んでもよいが、他の例では含まなくてもよい。いくつかの例において、第1のシャフト組立体の第1の制御システムは第1のマイクロプロセッサを含み得、第2のシャフト組立体の第2の制御システムは第2のマイクロプロセッサを含み得、他も同様である。様々な例において、ハンドルは、例えば閉鎖モータなどの第1の電気モータと、例えば発射モータなどの第2の電気モータとを含み得、取り付けられたシャフト組立体の制御システムは、閉鎖モータと発射モータとを動作させ得る。特定の例において、ハンドルは、閉鎖アクチュエータと発射アクチュエータとを備え得る。閉鎖アクチュエータと発射アクチュエータは例外として、ハンドルに取り付けられたシャフト組立体の制御システムは、閉鎖モータ及び発射モータを動作させるために必要な制御論理を含む。様々な例において、ハンドルはシャフトインタフェースを含み得、各シャフト組立体は、そのシャフトインタフェースと係合するように構成されたハンドルインタフェースを含み得る。シャフトインタフェースは、シャフト組立体がハンドルに組み付けられるときにハンドルインタフェースの電気コネクタと係合するように構成された電気コネクタを含み得る。少なくとも1つの例において、各コネクタは、ハンドルとシャフト組立体との間に制御パスが1つしか存在しないように、互いに嵌合される電気接点を1つのみ備えてもよい。他の例において、各コネクタは、シャフト組立体がハンドルに取り付けられるときに2つの嵌合対を形成する電気接点を2つのみ備えてもよい。そのような例において、2つの制御パスのみがハンドルとシャフト組立体との間に存在し得る。3つ以上の制御パスがハンドルとシャフト組立体との間に存在する他の実施形態も考えられる。
様々な例において、手術用エンドエフェクタアタッチメントが手術器具ハンドルと適合し得る。例えば、手術用エンドエフェクタは、手術器具のハンドルに結合され得、手術器具のハンドル内で開始された駆動運動を伝達及び/又は実施し得る。図73及び74を参照すると、手術用エンドエフェクタ8010は、手術器具のハンドル8000と適合し得るいくつかの手術用エンドエフェクタのうちの1つであり得る。種々様々な手術用エンドエフェクタが本開示の全体を通じて記述され、添付の各図の全体を通じて示されている。例えば、本明細書で説明及び図示したこれらの種々様々な手術用エンドエフェクタが同じ手術器具ハンドルと適合し得、かつ/又は、複数のタイプの手術器具ハンドルと適合し得ることが、読者には明らかとなろう。
ハンドル8000は、例えば駆動システムを含み得、その駆動システムは、手術器具のハンドル8000からエンドエフェクタ8010の構成要素、組立体及び/又はシステムに駆動運動を伝達するように構成され得る。例えば、ハンドル8000は、第1の駆動システム8002aと第2の駆動システム8004aとを含み得る。特定の例において、駆動システム8002a、8004aの一方は、例えば、閉鎖駆動運動をエンドエフェクタ8010(図73)のジョー組立体に伝えるように構成され得、また駆動システム8002a、8004aの一方は、例えば、発射駆動運動をエンドエフェクタ8010内の発射要素に伝えるように構成され得る。駆動システム8002a、8004aは、直線運動、変位、及び/又は並進を、ハンドル8000からエンドエフェクタ8010に伝達するように構成され得る。様々な例において、第1の駆動システム8002aは駆動バー8006を含み得、この駆動バー8006は、第1の駆動システム8002aが作動すると並進しかつ/又は直線的に変位されるように構成され得る。同様に、第2の駆動システム8004aは駆動バー8008を含み得、この駆動バー8008は、第2の駆動システム8004aが作動すると並進しかつ/又は直線的に変位されるように構成され得る。
様々な例において、エンドエフェクタ組立体8010は、例えばハンドル8000の第1の駆動システム8002aに応答し得る第1の駆動システム8002bを含み得ると共に、例えばハンドル8000の第2の駆動システム8004aに応答し得る第2の駆動システム8004bもまた含み得る。様々な例において、エンドエフェクタ8010内の第1の駆動システム8002bは、例えばハンドル8000の第1の駆動システム8002aの駆動バー8006に動作可能かつ解放可能に結合され得る駆動要素8012を含み得ると共に、例えば駆動バー8006から直線運動を受容するように構成され得る。それに加えて、エンドエフェクタ8010内の第2の駆動システム8004bは、例えばハンドル8000の第2の駆動システム8004aの駆動バー8008に動作可能かつ解放可能に結合され得る駆動要素8014を含み得ると共に、例えば駆動バー8008から直線運動を受容するように構成され得る。
様々な例において、ハンドル8000及び/又はエンドエフェクタ8010は結合装置を含み得、その結合装置は、例えば駆動バー8006を駆動要素8012に、かつ/又は例えば駆動バー8008を駆動要素8014に解放可能に結合するように構成され得るものである。換言すれば、この結合装置は、手術器具のハンドル8000内で発生された駆動力が、取り付けられた手術用エンドエフェクタ8010の適切な駆動システム8002b、8004bに伝達され得るように、ハンドル8000の第1の駆動システム8002aをエンドエフェクタ8010の第1の駆動システム8002bに、そしてハンドル8000第2の駆動システム8004aをエンドエフェクタ8010の第2の駆動システム8004bに結合し得る。図73及び74に示されている手術システムは、ハンドル8000内の一対の駆動システム8002a、8004aと、それに対応する、エンドエフェクタ8010内の一対の駆動システム8002b、8004bを含んでいるが、本明細書で開示する様々な結合装置が、例えば、単一の駆動システム又は3つ以上の駆動システムを備える手術用エンドエフェクタ及び/又はハンドル内でも使用され得ることが読者には明らかとなろう。
様々な例において、手術器具のハンドル内の駆動システムを、取り付け済みのエンドエフェクタ内の駆動システムに結合するための結合装置がラッチを含み得、そのラッチは、対応するハンドルの駆動システムとエンドエフェクタの駆動システムとの連結を保持及び固定するように構成され得る。本明細書で更に詳細に説明するように、ラッチはばね荷重を受け得、例えばトリガに結合され得るが、そのトリガは、例えば、動作可能にばねの付勢力を打ち負かして結合装置をロック解除、開放、及び/又は解放するように構成され得るものである。様々な例において、結合装置は、手術用エンドエフェクタ8010内の各駆動システム8002bごとに、独立及び/又は個別の結合機構を含み得る。そのような場合、駆動システム8002b、8004bの一方は、もう一方の駆動システム8002b、8004bを起動することなく起動され得る。他の例において、駆動システム8002b、8004bは、例えば同時にかつ/又は一斉起動され得る。
ここで図66〜72を参照すると、手術用エンドエフェクタと共に使用するための結合装置8100が示されている。例えば、手術用エンドエフェクタは、例えば結合装置8100を介して手術器具のハンドル8170(図67〜69)に取り付けられ得る。様々な例において、結合装置8100は、例えばカプラハウジング又はフレーム8102を含み得る。カプラハウジング8102は、例えばエンドエフェクタの近位取り付け部分内に配置され得る。それに加えて、カプラハウジング8102は、例えばキャリッジ8104を含み得、キャリッジ8104は、例えばカプラハウジング8102に対して移動するように構成され得る。例えば、カプラハウジング8102はチャネル8103を含み得、チャネル8103は、スライド可能及び/又はシフト可能なキャリッジ8104を受容するように寸法及び構造を定められ得る。例えば、キャリッジ8104がチャネル8103内に移動可能に保持され、チャネル8103内で移動及び/又はスライドする構成をなすようにするため、キャリッジ8104はカプラハウジング8102によって拘束され得る。チャネル8103は、例えばハウジング8102に対するキャリッジ8014の移動を案内及び/又は抑制し得る。特定の例において、キャリッジ8104は、例えばランプ又はウェッジ8106などランプ付き表面を有し得、このランプ付き表面は、例えばキャリッジ8104の移動を更に案内及び/又は促進し得る。
様々な例において、結合装置8100は、キャリッジ8104のランプ8106とスライド係合するトリガ8120を含み得る。例えば、トリガ8120は傾斜表面8122を有し得、この傾斜表面8122は、例えば、トリガ8120が第1の、つまり非作動位置(図68)と、第2の、つまり作動位置(図67及び69)との間で移動されるときに、キャリッジ8104のランプ8106に沿ってスライドするように構成される。特定の例において、結合装置8100は、例えばガイドレール8110などのガイドを含み得、そのガイドは、例えば第1の非作動位置と第2の作動位置との間でトリガを案内するように位置及び構造を定められ得る。例えば、カプラハウジング8102は一対のガイドレール8110を含み得、そのガイドレール8110はトリガ8120の作動経路を画定し得る。
様々な例において、トリガ8120Dが、例えば、少なくとも1つのガイドレール8110によって画定された作動経路に沿って方向D1(図67及び69)に非作動位置(図68)から作動位置(図67及び69)へと移動されるとき、キャリッジ8104は、トリガ8120の傾斜表面8122及びキャリッジ8104のランプ8106によって、チャネル8103内で下向きに、つまり方向D3(図67及び69)にシフトされ得る。したがって、例えば、トリガ8120が起動することにより、キャリッジ8104は、カプラハウジング8102、トリガ8120、並びに/又は、結合装置8100の様々な他の構成要素、組立体、及び/若しくはシステムに対してシフトし得る。
様々な例において、トリガ8120が、例えば、少なくとも1つのガイドレール8110に沿って方向D2(図68)に作動位置(図67及び69)から非作動位置(図68)へと移動されるとき、キャリッジ8104は、トリガ8120の傾斜表面8122及びキャリッジ8104のランプ8106によって、チャネル8103内で上向きに、つまり方向D4(図68)にシフトされ得る。したがって、トリガ8120の作動は、例えば、カプラハウジング8102に対するキャリッジ8104の移動に影響を及ぼし得る。特定の例において、例えば、ばね及び/又は他の付勢機構が、チャネル8103及び/又はカプラハウジング8102に対してキャリッジ8104及び/又はトリガ8120を既定の位置に向かって付勢するように構成され得る。
ここで図66を参照すると、様々な例において、スロット8112がカプラハウジング8102及び/又はエンドエフェクタに画定され得る。スロット8112は、例えば、手術器具のハンドル8170の駆動部材8172を受容するように寸法を定められ得る。特定の例において、例えば、一対のスロット8112がカプラハウジング8102に画定され得、各スロット8112は、ハンドル8170の駆動部材8172の一方を受容するように構成され得る。本明細書で更に詳細に説明するように、駆動部材8172は、ハンドル8170内の駆動システムに結合され、かつ/又はその駆動システムによって駆動され得る。例えば、各駆動部材8172は、ハンドル8170内の駆動システムのリニアアクチュエータに結合され、かつ/又はそのリニアアクチュエータによって駆動され得、そのリニアアクチュエータは、例えば、直線駆動運動をエンドエフェクタ内の対応する駆動システムに移し、伝えるように構成され得る。
様々な例において、キャリッジ8104はまた、結合装置8100の駆動部材ソケット8130に対して移動及び/又はシフトするように構成され得る。駆動部材ソケット8130は、例えば、ハンドル8170から駆動部材8172の一方を受容するように構成され得る。主に図71を参照すると、ソケット8103は開口部8136を含み得、この開口部8136は、ハンドル8170の駆動システム構成要素を受容するように寸法及び/又は構造を定められ得る。例えば、主に図67を参照すると、開口部8136は、駆動バー8172の遠位部分を受容するように構成され得る。そのような例において、例えば、駆動バー8172が、本明細書で更に詳細に説明するように、ソケット8130内の開口部8136内に固定されるとき、ソケット8130は、駆動バー8172及びソケット8130を介して駆動力をハンドル8170から手術用エンドエフェクタに伝達するように構成され得る。
依然として図67を参照すると、駆動バー8172は、例えば、ソケット8130への駆動バー8172の係合及び/又はロックを容易にし得るベベル8176と溝又はディボット8174とを含み得る。様々な例において、駆動部材ソケット8130は、例えば、エンドエフェクタ内及び/又はカプラハウジング8102内に定着及び/又は固定され得、キャリッジ8104は、キャリッジ8104がカプラハウジング8102のチャネル8103内でスライドするときに、ソケット8130に対してかつ/又はソケット8130の周りで移動及び/又はシフトするように構成され得る。
主として図71を参照すると、ソケット8130は少なくとも1つの柔軟タブ8132a、8132bを含み得る。柔軟タブ8132a、8132bは、例えば、開口部8136に向かって内向きに付勢され得、かつ/又は、内向きに付勢された歯を含み得る。特定の例において、柔軟タブ8132a、8132bは、例えば歯8133を含み得、その歯8133は、駆動バー8172がソケット8130の開口部8136の中に挿入されるとき、駆動バー8172の溝8174と係合するように構成され得る。例えば、駆動バー8172のベベル8176はソケット開口部8136内で歯8133を通り過ぎ得、タブ8132を開口部8136から外向きに屈曲又は撓曲させ得る。駆動バー8172が引き続きソケット8130の開口部8136に進入するとき、タブ8132a、8132bの歯8136は、駆動バー8172の溝8174と係合又はその溝8174を捕捉し得る。そのような例において、歯8136と溝8174との係合により、例えば、駆動バー8172はソケット8130内に解放可能に保持され得る。
様々な例において、ソケット8130は凹部8134を含み得、この凹部8134は例えば、ばね8150を受容するように構成され得る。他の例において、例えば、ソケット8136は2つ以上の凹部8134を含み得、結合装置8100は2つ以上のばね8150を含み得る。更に、特定の例において、ソケット8130は、2つ以上の柔軟タブ8132a、8132bを含み得る。例えば、ソケット8130は、側方に配置された一対のタブ8132a、8132bを含み得る。例えば、第1のタブ8132aは、ソケット8130の第1の側面上に配置され得、また例えば、第2のタブ8132bは、ソケット8130の第2の側面上に配置され得る。特定の例において、例えば、タブ8132a、8132bは、開口部8136から外向きに撓曲されて、駆動バー8172の進入に適応し得る。他の例において、例えば、ソケット8130は、内向きに付勢されたタブを有しなくてもよく、かつ/又は、3つ以上のタブを含み得る。
様々な例において、結合装置8100はまたラッチ又はスリーブ8140を含み得、そのラッチ又はスリーブ8140は、ソケット8130に対して移動可能に配置され得る。例えば、ラッチ8140は開口部8142(図72)を含み得、その開口部8142は、ソケット8130の少なくとも一部分を少なくとも部分的に囲むように寸法及び構造を定められ得る。例えば、ラッチ8140は、例えば、ソケット8130を囲んで配置され得、またソケット8130のタブ8132a、8132bに対して移動可能に配置され得る。様々な例において、ばね8150は、例えば、ばね8150がラッチ8140をソケットラッチ係合位置(図68)に向かって付勢し得るように、ソケット8130の一部分とラッチ8140の一部分との間に配置され得る。例えば、ばね8150はラッチ8140をソケットラッチ係合位置(図68)へと付勢し得、このソケットラッチ係合位置においてラッチ8140は、タブ8132a、8132bを囲みかつ/又はタブ8132a、8132bが外向きに撓曲するのを抑制するように配置される。
様々な例において、例えば、ラッチ8140が、タブ8132a、8132bの外向きの撓曲を制限及び/又は防止するように、すなわちソケットラッチ係合位置に配置されると、タブ8132a、8132bが、ソケット8130の開口部8136に対する駆動バー8172の進入及び/又は解放を阻止及び/又は別様に防止し得るように、タブ8132a、8132bの開口部8136から離した外向きの移動が制限され得る。更に、トリガ8120が非作動位置(図68)から作動位置(図67及び69)に移動するとき、ラッチ8140は、例えばばね8150の付勢力を打ち負かし得、ソケットラッチ係合位置(図68)から非ラッチ係合位置(図67及び69)に移動され得る。例えば、非ラッチ位置にあるとき、ラッチ8140は、柔軟タブ8132a、8132bから離れてシフトされ得、そのため、柔軟タブ8132a、8132bは、例えば外向きに撓曲され得、ソケット8130は駆動バー8172を受容し得るようになる。
様々な例において、ラッチ8140はナブ又は突出部8144を備え得る。更に、主として図70を参照すると、カプラハウジング8102内のキャリッジ8104は、付勢部材8108を含み得る。付勢部材8108は、例えばランプ又は角度付き表面を含み得、そのランプ又は角度付き表面は、例えば、ナブ8144を、したがってラッチ8140を、第1の、つまりソケットラッチ係合位置(図67及び69)と、第2の、つまりラッチ位置(図68)との間で付勢するように構成され得る。例えば、本明細書で説明したように、トリガ8120の移動によってキャリッジ8104がカプラハウジング8102及びソケット8130に対してシフトするとき、ナブ8144は付勢部材8108の角度付き表面に沿ってスライドし得、それにより、ラッチ8140はソケット8130の柔軟タブ8132に対して移動するようになっている。そのような例において、トリガ8120が起動することにより、ばね8150の付勢力を打ち負かし、ラッチ8140を、ソケット8130の柔軟タブを囲むソケットラッチ係合位置から非ラッチ位置に後退させ得るようになる。そのような例において、ラッチ8140が後退されると、柔軟タブ8132は撓曲しかつ/又は駆動バー8172と係合し得るようになる。更に、例えば、トリガが作動されていないとき、ばね8150はラッチ8140を柔軟タブ8132a、8132bに対して、かつ/又は柔軟タブ8132a、8132bを囲んで付勢し得、それにより、タブ8132a、8132bの撓曲が、したがって駆動バー8172との係合が制限及び/又は防止されるようになる。
特定の例において、ラッチ8140は、横方向に対向する一対のナブ8144を含み得、そのナブ8144は、キャリッジ8104の、横方向に対向する付勢部材8108とスライド可能に係合し得る。更に、例えば、結合装置8100が2つ以上の駆動システムをハンドル8170と手術用エンドエフェクタとの間で結合する場合、キャリッジ8104は、複数の付勢部材8108、及び/又は複数対の付勢部材8108を含み得る。例えば、各ソケット8130は、横方向に配置された一対のナブ8144を含み得、また例えば、キャリッジ8104は、各ナブ8144に対する付勢部材8108を含み得る。
主として図68を参照すると、トリガ8120の起動前及び/又はトリガ8120の解放直後、トリガ8120は遠位の、非作動位置に配置され得、キャリッジ8104は、カプラハウジング8102に対する上昇位置に配置され得、ラッチ8140はソケットラッチ係合位置に配置され得る。そのような装置構成において、ラッチ8140は、例えば、駆動バー8172の進入及び/又はソケット8130との係合を防止し得る。様々な例において、ばね8150並びに/又は異なるばね及び/若しくは付勢部材が、例えば、トリガ8120を非作動位置へ、キャリッジ8104を上昇位置へ、かつ/又はラッチ8140をソケットラッチ係合位置へと付勢し得る。ここで図67を参照すると、例えば、駆動バー8172の一方をソケット8130の一方に連結及び/又は装着するために、トリガ8120は、キャリッジ8104を下降位置にシフトさせ得る、近位の作動位置に移動され得るが、その下降位置では、ラッチ8140を非ラッチ位置にシフトさせることができる。そのような装置構成において、例えば、駆動バー8172は、ソケット8130に進入しかつ/又はソケット8130に受容されるように構成される。
その後、例えば、ここで図68を参照すると、トリガ8120が解放された場合、ばね8150はトリガ8120を再び遠位の非作動位置に付勢し得、キャリッジ8104を再び上昇位置に付勢し得、ラッチ8140を再びソケットラッチ係合位置に付勢し得る。したがって、ラッチ8140が柔軟タブ8132a、8132bの外向きの撓曲を防止し得、このようにして駆動部材8172をソケット8130内に固定し得るため、駆動部材8172は、ロックされてソケット8130と係合し得る。したがって、ここで図69を参照すると、駆動部材8172をソケット8130から分離するために、トリガ8120は再び、キャリッジ8104を下降位置にシフトさせ得る近位の作動位置に移動され得るが、その下降位置では、ラッチ8140を非作動位置にシフトさせることができる。そのような装置構成において、すなわちソケット8130がラッチされていないとき、例えば駆動部材8172は、ソケット8130から取り外され得る。
様々な例において、手術器具は、モータに結合された駆動システムを含み得る。特定の例において、モータ及び駆動システムは、様々な手術機能に影響を及ぼし得る。例えば、モータ及び駆動システムは、例えば手術用エンドエフェクタの開放及び/又は閉鎖に影響を及ぼし得ると共に切断及び/又は発射行程に影響を及ぼし得る。特定の例において、モータ及び駆動システムは、多数の別個の手術機能に影響を及ぼし得る。例えば、手術用エンドエフェクタの開放及び閉鎖は、切断、及び/又は手術用エンドエフェクタからのファスナの発射とは分離され、別個にされ得る。そのような例において、例えば、駆動システムは伝達及び/又はクラッチ組立体を含み得、その組立体は、駆動システムの係合を種々の出力システム間でシフトさせ得る。
様々な例において、手術器具は、複数の出力シャフトと、それらの種々の出力シャフト間でシフトさせるためのクラッチとを有する駆動システムを含み得る。特定の例において、出力シャフトは種々の手術機能に対応し得る。例えば、第1の出力シャフトはエンドエフェクタの閉鎖動作に対応し得、第2の出力シャフトはエンドエフェクタの発射動作に対応し得る。様々な例において、例えば、駆動システムは、第1の出力シャフトとの係合と、第2の出力シャフトとの係合とを切り換え得るが、そのため、手術機能は、分離され、別々及び/又は独立のものとなる。例えば、エンドエフェクタの閉鎖動作は、エンドエフェクタの発射動作から分離され別々のものとなり得る。例えば、閉鎖動作を開始し、その閉鎖動作が完了した後に、分離された発射動作を開始することが好ましくなり得る。更に、例えば、電気モータに結合され得る単一の駆動システムで、独立した閉鎖動作と発射動作を制御及び/又は駆動することが好ましくなり得る。他の例において、例えば、第1の出力シャフトと第2の出力シャフトとが動作可能に結合され得、様々な手術機能及び/又は手術動作が、同時にかつ/又は少なくとも部分的には同時に生じ得る。
ここで図75〜78を参照すると、例えば、手術器具用のハンドル8600が駆動システム8602を含み得、この駆動システム8602は、第1の出力駆動システム8610と第2の出力駆動システム8620とを含み得る。様々な例において、エンドエフェクタがハンドル8600に取り付けられているとき、第1の出力駆動システム8610は、取り付け済みのエンドエフェクタ内の第1の駆動システムに結合され得、第2の出力駆動システム8620は、取り付け済みのエンドエフェクタ内の第2の駆動システムに結合され得る。第1の出力駆動システム8610は、例えば、エンドエフェクタジョーのクランプなどの第1の手術機能に影響を及ぼし得、第2の出力駆動システム8620は、例えば、エンドエフェクタを通じた発射要素の発射などの第2の手術機能に影響を及ぼし得る。他の例において、例えば、第1の出力駆動システム8610及び第2の出力駆動システム8620に関する手術機能は、逆転されかつ/又は別様に修正され得る。
様々な例において、駆動システム8602はモータ組立体を含み得、そのモータ組立体は、電気モータ8640とモータシャフト8642とを含み得る。例えば、駆動ギヤ8644がモータシャフト8642に装着され得、それにより、電気モータ8640が駆動ギヤ8644を駆動しかつ/又は駆動ギヤ8644の回転に影響を及ぼすようになっている。様々な例において、第1の出力駆動システム8610は、第1の駆動シャフト8612と第1の被動ギヤ8612とを含み得る。第1の被動ギヤ8614は、例えば第1の駆動シャフト8612に装着され得、そのため、第1の被動ギヤ8614の回転が第1の駆動シャフト8612の回転に影響を及ぼすようになっている。様々な例において、例えば、リニアアクチュエータ8616が第1の駆動シャフト8612上に螺合可能に配置され得、第1の駆動シャフト8612の回転がリニアアクチュエータ8616の直線変位に影響を及ぼし得る。更に、様々な例において、第2の出力駆動システム8620は、第2の駆動シャフト8622と第2の被動ギヤ8624とを含み得る。第2の被動ギヤ8624は、例えば第2の駆動シャフト8622に装着され得、そのため、第2の被動ギヤ8624の回転が第2の駆動シャフト8622の回転に影響を及ぼすようになっている。様々な例において、例えば、リニアアクチュエータ8626が第2の駆動シャフト8624上に螺合可能に配置され得、第2の駆動シャフト8624の回転がリニアアクチュエータ8626の直線変位に影響を及ぼし得る。
様々な例において、駆動システム8602は、伝達又はシフタ組立体8648を更に含み得る。シフタ組立体8648は、例えば、駆動ギヤ8644の係合を、第1の出力駆動システム8610と第2の出力駆動システム8620との間でシフトさせるように構成され得る。特定の例に関して言えば、例えば、シフタ組立体8648はシフト用ギヤ8652を含み得、このシフト用ギヤ8652は、駆動ギヤ8644と噛み合い係合をなし得る。それに加えて、シフト用ギヤ8652は、例えば、広範な各位置の間でシフト又は移動するように構成され得、また、各位置の範囲内で移動するときにも依然として駆動ギヤ8644と噛み合い係合し得る。
例えば、シフト用ギヤ8652は、第1の被動ギヤ8614及び/又は第2の被動ギヤ8624の少なくとも一方との係合及び/又は係合解除をなすように移動し得る。様々な例において、シフト用ギヤ8652は、第2の出力駆動システム8620の第2の被動ギヤ8624との噛み合い係合をなすように移動し得る。例えば、位置範囲のうちの第1の位置(図78)にあるとき、シフト用ギヤ8652は第2の被動ギヤ8624から分離され得、位置範囲のうちの第2の位置(図77)にあるとき、シフト用ギヤ8652は第2の被動ギヤ8624と係合され得る。例えば、シフト用ギヤ8652が第2の被動ギヤ8624と係合されるとき、シフト用ギヤ8652は力を駆動ギヤ8644から第2の被動ギヤ8624に伝達し得、そのため、モータ8640は第2の出力駆動システム8620を介して手術機能に影響を及ぼし得るようになる。更に、例えば、シフト用ギヤ8652が第2の被動ギヤ8624から分離される例において、モータ8640の回転は第2の出力駆動システム8620に伝達され得ない。
様々な例において、シフタ組立体8648は、中間及び/又は伝達ギヤ8654を更に含み得る。例えば、伝達ギヤ8642は、駆動力をシフト用ギヤ8652から第1の被動ギヤ8614に伝達するように構成され得る。様々な例において、伝達ギヤ8654は、例えば、第1の駆動ギヤ8614と噛み合い係合をなし得、そのため、例えば、伝達ギヤ8654の回転が第1の被動ギヤ8614に伝達されるようになる。更に、様々な例において、シフト用ギヤ8652は、伝達ギヤ8654と係合及び/又は係合解除をなすように移動し得る。例えば、位置範囲のうちの第1の位置(図78)にあるとき、シフト用ギヤ8652は伝達ギヤ8654と係合され得、例えば、また位置範囲のうちの第2の位置(図77)にあるとき、シフト用ギヤ8652は伝達ギヤ8654から分離され得る。例えば、シフト用ギヤ8652が伝達ギヤ8654と係合されるとき、シフト用ギヤ8652は、伝達ギヤ8654を介して力を駆動ギヤ8644から第1の被動ギヤ8614に伝達し得る。そのような例において、例えば、モータ8640は、第1の出力駆動システム8610を介して手術機能に影響を及ぼし得る。更に、例えば、シフト用ギヤ8652が伝達ギヤ8654から分離される例において、モータ8640の回転は第1の出力駆動システム8610に伝達され得ない。
様々な例において、伝達ギヤ8654は、第2の出力駆動システム8620の第2の駆動シャフト8622上に回転可能に装着され得る。例えば、伝達ギヤ8654は、第2の駆動シャフト8622及びそれに固定されている第2の被動ギヤ8624の回転に影響を及ぼすことなく、第2の駆動シャフト8622に対して回転するように構成され得る。様々な例において、シフタ組立体8648は、シフト用ギヤ8652を少なくとも部分的に囲繞し得るブラケット又はカラー8650を含み得る。ブラケット8650は、例えば、シフト用ギヤ8652を囲んで配置され得、そのため、ブラケット8650の移動によってシフト用ギヤ8652が移動され得るようになっている。
様々な例において、ハンドル8600及び/又はシフト用組立体8648はトリガ又はクラッチ8630を更に含み得る。クラッチ8630は、位置範囲内でブラケット8650及び/又はシフト用ギヤ8652をシフトさせるように構成され得る。例えば、クラッチ8630は、ハンドル8600から延びるトリガを備え得、ブラケット8650及び/又はシフト用ギヤ8652と係合され得る。様々な例において、ブラケット8650はピン8656を含み得、ピン8656は、ブラケット8640からクラッチ8630のアパーチャ8638(図75)の中へと延び得る。例えば、クラッチ8630は、ハンドル8600上の旋回点8634に結合されるアーム8632及び/又は一対のアーム8632を含み得る。クラッチ8630は、例えば旋回点8634にて旋回し得、またアーム8632が旋回することにより、ブラケット8560のピン8656が移動し得る。例えば、ブラケット8650の移動により、シフト用ギヤ8652は第1の位置(図78)と第2の位置(図77)との間でシフトされ得る。
様々な例において、ブラケット8650の移動は、シフト用ギヤ8652がその位置範囲の全体にわたって長手方向軸に沿って移動するように抑制され得る。更に、クラッチ8630の旋回行程及び/又は移動範囲は、例えば、クラッチ8630が旋回するときにシフト用ギヤ8652が位置範囲内に残留するように制限及び/又は限定され得る。更に、例えば、クラッチ8630のアパーチャ8638(図75)は、位置範囲内に、かつ/又は第2の被動ギヤ8624及び/若しくは伝達ギヤ8654の一方と整合した状態にシフト用ギヤ8652を維持及び/又は保持するように構成及び/又は構築され得る。様々な例において、ハンドル8600は、シフト用ギヤ8652を第1の位置か又は第2の位置のいずれかへと付勢するために、ばね又は他の付勢機構を含み得る。いくつかの例において、ハンドル8600は、シフト用ギヤ8652をその第1の位置又はその第2の位置に保持するように構成された双安定性柔軟(complaint)機構を含み得る。シフト用ギヤ8652が第1の位置と第2の位置との間に位する程度に、双安定性柔軟機構は動力学的に不安定であり得、シフト用ギヤ8652をその第1の位置又はその第2の位置に置くように作用し得る。それに代わって、例えば、シフト用ギヤ8652は中間位置へと付勢され得るが、その中間位置においてシフト用ギヤ8652は、第1の出力駆動システム8610及び第2の出力駆動システム8620と同時に係合され得る。それに加えてあるいはそれに代わって、例えば、ハンドル8600は、シフト用ギヤ8652を第1の位置か又は第2の位置のいずれかに保持するためのロック及び/又はデテントを含み得る。
手術器具は、手術器具のクロージャ駆動部及び発射駆動部を動作させるように構成された回転駆動シャフトを含み得る。図79〜84を参照すると、手術器具10000が、回転駆動シャフト10020と、クロージャ駆動部10030と、発射駆動部10040とを含み得る。以下で更に詳細に説明するように、駆動シャフト10020は、クロージャ駆動部10030を動作させるように構成された第1のねじ山10024と、発射駆動部10040を動作させるように構成された第2のねじ山10026とを含み得る。様々な例において、例えば、器具10000は円状ステープラを備え得る。
手術器具10000は、フレーム10002と、回転運動を発生させるための手段とを備え得る。特定の例において、例えば、回転運動は手動型ハンドクランクによって生成され得るが、一方で、様々な例において、回転運動は電気モータによって生成され得る。いずれの場合も、発生された回転運動は回転入力シャフト10010に伝達され得る。入力シャフト10010は、フレーム10002によって回転可能に支持される近位軸受部分10011と遠位軸受部分10013とを含み得る。様々な例において、近位軸受部分10011及び/又は遠位軸受部分10013は、フレーム10002によって直接、支持され得るが、特定の例において、近位軸受部分10011及び/又は遠位軸受部分10013は、入力シャフト10010とフレーム10002との間に配置された軸受を含み得る。入力シャフト10010は、入力シャフト10010が方向A(図79)に回転されるときにギヤ10012も方向Aに回転されるように、入力シャフト10010に装着及び/又はキー結合されたギヤ10012を更に含み得る。同様に、入力シャフト10010が反対方向、すなわち方向A’(図82)に回転されるとき、ギヤ10012もまた方向A’に回転される。
主として図79及び80を参照すると、駆動シャフト10020は近位端部10021と遠位端部10023とを含み得る。近位端部10021及び遠位端部10023は、フレーム10002によって回転可能に支持され得る。様々な例において、近位端部10021及び/又は遠位端部10023は、フレーム10002によって直接、支持され得るが、特定の例において、近位端部10021及び/又は遠位端部10023は、駆動シャフト10020とフレーム10002との間に配置された軸受を含み得る。ギヤ10022は、駆動シャフト10020の近位端部10021に装着及び/又はキー結合され得る。ギヤ10022はギヤ10012と噛み合い係合され、そのため、入力シャフト10010が方向Aに回転されるとき、駆動シャフト10020は方向Bに回転されるようになっている。同様に、図81を参照すると、入力シャフト10010が方向A’に回転されるとき、駆動シャフト10020は方向B’に回転される。同様に、図81を参照すると、入力シャフト10010が方向A’に回転されるとき、駆動シャフト10020は方向B’に回転される。
再び図79を参照すると、クロージャ駆動システム10030は、駆動シャフト10020の第1のねじ山10024と係合されたクロージャピン10032を含み得る。クロージャ駆動システム10030は、並進式クロージャ部材10033を更に含み得る。クロージャピン10032は、クロージャ部材10033の近位端部に画定されたアパーチャ内に配置される。クロージャピン10032は、第1のねじ山10024によって画定された溝内に配置された第1の端部を含み得る。駆動シャフト10020が回転されるとき、溝の側壁がクロージャピン10032の第1の端部と接触し、駆動シャフト10020が回転されている方向に応じて、クロージャピン10032を近位側に又は遠位側に変位させ得る。例えば、駆動シャフト10020が方向B(図79)に回転されるとき、クロージャピン10032は、方向Dで示されるように遠位側に変位又は並進され得る。同様に、駆動シャフト10020が方向B’(図82)に回転されるとき、クロージャピン10032は、方向Pで示されるように近位側に変位又は並進され得る。クロージャピン10032は、クロージャピン10032の変位又は並進がクロージャ部材10033に伝達されるように、クロージャ部材10033に画定されたアパーチャ内に緊密に受容され得る。読者には明らかとなるように、クロージャピン10032及びクロージャ部材10033は、フレーム10002に対して回転するのを抑制され、そのため、駆動シャフト10020の回転がクロージャピン10032及びクロージャ部材10033の並進に変換されるようになっている。
主として図80を参照すると、第1のねじ山10024は、駆動シャフト10020の第1の長さ10025に沿って延びている。特定の例において、第1のねじ山10024は駆動シャフト10020の全長に沿って延びていてもよいが、他の状況において、第1のねじ山10024は、駆動シャフト10020の全長未満に沿って延びていてもよい。第1のねじ山10024は、駆動シャフト10020の近位端部10021に隣接する近位部分と、駆動シャフト10020の遠位端部10023に隣接する遠位部分とを含み得る。クロージャピン10032が、図81に示すように第1のねじ山10024の遠位部分にあるとき、クロージャ部材10033は手術器具10000のアンビルを開位置に配置し得る。駆動シャフト10020が方向B’に回転されるとき、クロージャピン10032が、図82に示すように第1のねじ山10024の近位部分に到達するまで、クロージャピン10032は近位側に並進し得る。クロージャピン10032が近位側に移動するとき、クロージャピン10032はクロージャ部材10033及びアンビルを近位側に引き得る。クロージャピン10032が第1のねじ山10024の近位部分に到達すると、アンビルは完全閉位置に位し得る。
上記に加えて、クロージャ駆動部10030は、手術器具10000のアンビルをステープルカートリッジに対して適切な位置に移動させるように動作され得る。様々な例において、手術器具10000はアクチュエータを含み得、そのアクチュエータは、入力シャフト10010を方向Aに、そして駆動シャフト10020を方向Bに回転させるために第1の方向に、入力シャフト10010を方向A’に、そして駆動シャフト100120を方向B’に回転させるために第2の方向に動作され得る。他の例において、手術器具10000は、動作されると、入力シャフト10010を方向Aに、そして駆動シャフト10020を方向Bに回転させるように構成された第1のアクチュエータと、動作されると、入力シャフト10010を方向A’に、そして駆動シャフト100120を方向B’に回転させるように構成された第2のアクチュエータとを含み得る。いずれの場合にも、手術器具10000の操作者は、アンビルとステープルカートリッジとの間に所望の間隙を生じさせるために、必要に応じて、手術器具10000のアンビルをステープルカートリッジに向かって、またステープルカートリッジから離れて移動させ得る。そのような所望の間隙は、アンビルがその完全閉位置にあるときに設けられてもよく、あるいは設けられなくてもよい。
上記に加えて、手術器具10000はキャッチを含み得るが得、そのキャッチは、クロージャシステム10030がその完全閉鎖構成に到達したときに、駆動ピン10032を受容しかつ解放可能に保持するように構成されたものである。主として図81及び82を参照すると、手術器具10000は、中に画定されたキャッチアパーチャ10077を有するキャッチバー10073を含み得る。駆動ピン10032が近位側に前進されるとき、駆動ピン10032は、キャッチアパーチャ10077と整合され、次いでキャッチアパーチャ10077に少なくとも部分的に進入し得る。キャッチピン10032は、クロージャ部材10033とキャッチピン10032を囲んで延びる環状頭部10037との中間に配置されたばね10035によって、キャッチバー10073に向かって付勢され得る。キャッチピン10032がキャッチアパーチャ10077に対して遠位側に配置されているとき、ばね10035は駆動ピン10032をキャッチバー10073に対して付勢し得る。キャッチピン10032が駆動ねじ10020の回転によって近位側に移動され、キャッチアパーチャ10077と整合されたとき、ばね10035は、駆動ピン10032をキャッチアパーチャ10077の中へと上向きに移動させ得る。駆動ピン10032は、駆動ピン10032の頭部がキャッチバー10073と接触するまで、ばね10035によって上向きに移動され得る。特に、駆動ピン10032がキャッチアパーチャ10077に向かって移動することにより、駆動ピン10032は、第1のねじ山10024から動作可能に分離され得る。このようにして、駆動ピン10032がキャッチアパーチャ10077に到達したとき、クロージャシステム10030は停止され得、そのため、その後に駆動シャフト10020が回転しても、駆動ピン10032、クロージャ部材10033、及びクロージャ部材33と動作可能に係合されたアンビルは、少なくとも駆動ピン10032が、以下で更に詳細に説明するように、第1のねじ山10024と再係合されるまで移動されない。
上で議論したように、駆動ピン10032がキャッチバー10073のキャッチアパーチャ10077の中に進入することにより、クロージャシステム10030の閉鎖行程の終端とアンビルの完全閉位置の境界が定められ得る。様々な例において、キャッチバー10073はフレーム10002に対して移動可能でなくてもよく、またキャッチアパーチャ10077は固定位置の境界を定めてもよい。他の例において、キャッチバー10073はフレーム10002に対して移動可能であってもよい。そのような例において、アンビルの最終的な閉位置は、キャッチアパーチャ10077の位置に依存することになる。その結果、手術器具10000のアンビルとステープルカートリッジとの間の間隙は、キャッチアパーチャ10077の位置に依存することになる。概して図79を参照すると、手術器具10000は、キャッチバー10073を移動させるように構成された間隙設定システム10070を更に備え得る。間隙設定システム10070は、回転ノブ10072と、その回転ノブ10072と係合された駆動ギヤ10071とを含み得る。キャッチバー10073は、キャッチバー10073から延びるラック10075を含み得、ラック10075は複数の歯を有している。駆動ギヤ10071はラック10075と噛み合い係合され、そのため、ノブ10072が第1の方向に回転されるとき、ラック10075はキャッチバー10073を遠位側に駆動し得、ノブ10072が第1の方向と反対の第2の方向に回転されるとき、ラック10075はキャッチバー10073を近位側に駆動し得る。キャッチバー10073が遠位側に移動されるとき、キャッチアパーチャ10077は、クロージャ駆動部10030がその完全閉位置にあるときにより大きな間隙がアンビルとステープルカートリッジとの間に存在し得るように配置され得る。キャッチバー10073が近位側に移動されるとき、キャッチアパーチャ10077は、クロージャ駆動部10030がその完全閉位置にあるときに、より小さな間隙がアンビルとステープルカートリッジとの間に存在し得るように配置され得る。様々な例において、キャッチアパーチャ10077は、手術器具10000のアンビルとステープルカートリッジとの間の距離範囲に適応し得る位置範囲内に配置可能となり得る。
様々な例において、間隙設定システム10070は、ノブ10072を定位置に解放可能に保持するように構成されたノブロックを備え得る。例えば、フレーム10002は、フレーム10002から延びるロック突起10004を含み得、このロック突起10004は、ノブ10072に画定された1つ又は2つ以上のロックアパーチャ10074内に受容され得る。ロックアパーチャ10074は、環状経路に沿って配置され得る。各ロックアパーチャ10074は、クロージャ駆動部10030の事前設定位置、及び手術器具10000のアンビルとステープルカートリッジとの間の事前間隙距離と対応し得る。例えば、ロック突出部10004が第1のロックアパーチャ10074内に配置されているとき、クロージャ駆動部10030は第1の事前設定位置に保持され得、それに応じて、アンビルはステープルカートリッジから第1の事前設定距離をおいて保持され得る。ノブ10072を第2の事前設定位置へと移動させるために、ノブ10072はフレーム10002から上昇されて離され、それにより、ロック突出部10004が第1のロックアパーチャ10074内に位置しなくなり、ラック10075及びキャッチバー10073を駆動するように回転され、次いでフレーム10002に向かって移動され、それにより、ロック突出部10004は、ノブ10072に画定された第2のロックアパーチャ10074の中に進入する。ロック突出部10004が第2のロックアパーチャ10074内に配置されているとき、クロージャ駆動部10030は第2の事前設定位置に保持され得、それに対応して、アンビルは、ステープルカートリッジから第1の事前設定距離とは異なる第2の事前設定距離をおいて保持され得る。ノブ10072を第3の事前設定位置へと移動させるために、ノブ10072はフレーム10002から上昇されて離され、それにより、ロック突出部10004が第1又は第2のロックアパーチャ10074内に位置しなくなり、ラック10075及びキャッチバー10073を駆動するように回転され、次いでフレーム10002に向かって移動され、それにより、ロック突出部10004は、ノブ10072に画定された第3のロックアパーチャ10074の中に進入する。ロック突出部10004が第3のロックアパーチャ10074内に配置されているとき、クロージャ駆動部10030は第3の事前設定位置に保持され得、それに対応して、アンビルは、ステープルカートリッジから第1及び第2の事前設定距離とは異なる第3の事前設定距離をおいて保持され得る。間隙設定システム10070は、ノブ10072をフレーム10002に向かって付勢するように構成された付勢要素を更に含み得る。例えば、間隙設定システム10070は、例えばハウジング10002と駆動ギヤ10071との中間に配置されたばね10076を含み得るが、このばね10076は、ロックアパーチャ10074を付勢してロック突出部10004と係合させるように構成されたものである。
特定の例において、手術器具10000の操作者は、アンビルの位置を観察することによって、クロージャシステム10030の位置を認識することが可能となり得る。いくつかの例において、しかしながら、アンビルは手術野において視認可能でないこともある。主として図79を参照すると、手術器具10000は、アンビルの位置を指示するように構成されたアンビル位置インジケータシステム10050を更に備え得る。アンビル位置インジケータシステム10050は、フレーム10002に画定された窓10058と、窓10058を通じて観察可能な旋回部材10051とを含み得る。旋回部材10051は、フレーム10002に回転可能に装着されたピボット10052と、駆動端部10054と、表示端部10056とを含み得る。旋回部材10051は、アンビルが完全開位置にあることを示す第1の位置(図81)とアンビルが完全閉位置にあることを示す第2の位置(図82)との間で、そしてアンビルの位置範囲を表す第1の位置と第2の位置との間の位置範囲の間で移動可能となり得る。クロージャシステム10030は、旋回部材10051の駆動端部10054と接触して旋回部材10051を移動させるように構成され得る。主として図82を参照すると、駆動ピン10032が駆動シャフト10020によって近位側に移動されるとき、駆動ピン10032はクロージャ部材10033を近位側に引っ張り得るが、それにより、クロージャ部材10033に画定されたショルダー10036が旋回部材10051の駆動端部10054と接触し、ピボット10052を中心として旋回部材10051を回転させるようになっている。旋回部材10051が回転することにより、表示端部10056が窓10058内で移動してアンビルの位置を指示し得る。この観察を容易にするために、フレーム10002及び/又は窓10058は、アンビルの位置を指示し得る1つ又は2つ以上の区切り10059を含み得る。例えば、旋回部材10051の表示端部10056が近位側の区切り10059と整合されるとき(図81)、操作者はアンビルが開位置にあると判断し得、表示端部10056が遠位側の区切り10059と整合されるとき(図82)、操作者はアンビルが閉位置にあると判断し得る。表示端部10056が近位側の区切り10059と遠位側の区切り10059との中間に配置されている場合、操作者は、アンビルがその開位置とその閉位置との間の位置にあると推測し得る。アンビルの更なる位置を指示するために、近位側の区切り10059と遠位側の区切り10059との間の更なる区切り10059が利用され得る。クロージャ部材10033が遠位側に移動されてアンビルを開放するとき(図84)、旋回部材10051は再びその第1の位置へと回転し、近位側の区切り10059ともう一度、整合され得る。位置インジケータシステム10050は、旋回部材10051をその第1の位置へと付勢するように構成された、例えばばねなどの付勢部材を更に含み得る。
上で議論したように、手術器具10000のクロージャシステム10030は、手術器具10000のアンビルをステープルカートリッジに対して位置決めするように動作され得る。クロージャシステム10030の動作中、発射システム10040は動作され得ない。発射システム10040は、クロージャ駆動部10030がその完全閉位置に到達するまで、駆動シャフト10020と動作可能に係合され得ない。手術器具10000は、手術器具をアンビルクロージャ動作モードとステープル発射動作モードとの間で切り換えるように構成された、例えばスイッチ10060などのスイッチを含み得る。クロージャ駆動部10030は、クロージャ部材10033の近位端部から延びるスイッチピン10031を更に備え得る。図81と82を比較すると、読者には明らかとなるように、クロージャピン10032がアンビルを閉鎖するために近位側に前進されるとき、スイッチピン10031がスイッチ10060と接触する。スイッチ10060は、ピボット10062を中心としてフレーム10002に旋回可能に装着され得、ピボット10062から延びる1つ又は2つ以上のアーム10064を含み得る。駆動ピン10032がその完全閉位置にあるとき、スイッチピン10031はアーム10064と接触し、ピボット10062を中心としてスイッチ10060を回転させ得る。スイッチ10060は、スイッチ10060から延びるアーム10066を更に備え得、アーム10066は、スイッチ10060がピボット10062を中心として回転されるとき、発射駆動部10040の発射ナット10042を押して駆動シャフト10020と動作係合させるように構成され得る。より具体的に言えば、少なくとも1つの状況において、アーム10066は、プッシュバー10044を遠位側に変位させるように構成され得、次にプッシュバー10044が、発射ナット10042を第2のねじ山10026に押し付け得る。そのような時点で、駆動ピン10032及びクロージャシステム10030は、上述したキャッチアパーチャ10077の結果として、第1のねじ山10024から分離され得、また、発射ナット10042及び発射システム10040は、第2のねじ山10026と係合され得る。
上記に加えて、発射ナット10042は、その中に画定されたねじ付きアパーチャ10041を備え得、そのねじ付きアパーチャ10041は、第2のねじ山10026と螺合可能に係合され得る。クロージャ駆動部10030が動作されているとき、上記に加えて、発射ナット10042は、ねじ付きアパーチャ10041が第2のねじ山10026と螺合可能に係合されないように、第2のねじ山10026に対して近位側に配置され得る。そのような状況において、駆動シャフト10020が回転されてクロージャシステム10030が動作される間、発射ナット10042は空回りし得る。発射ナット10042が遠位側に変位されるとき、上記に加えて、ねじ付きアパーチャ10041は、第2のねじ山10026と螺合可能に係合され得る。発射ナット10042が第2のねじ山10026と螺合可能に係合されると、駆動シャフト10020が方向B’(図82)に回転することにより、発射ナット10042が遠位側に変位することになる。発射ナット10042は、例えばフランジ10043などの1つ又は2つ以上の回転防止機構を含み得、その回転防止機構は、フレーム10002とスライド可能に係合されて、発射ナット10042が駆動シャフト10020と共に回転するのを防止し得る。発射駆動部10040は、発射ナット10042に結合された発射部材を更に含み得、その発射部材は、発射ナット10042によって遠位側に押され得る。発射部材は、ステープルをステープルカートリッジから排出するように構成され得る。発射ナット10042が第2のねじ山10026の遠位端部に到達すると、発射ナット10042は、第2のねじ山10026から螺合可能に分離され得、ここで、駆動シャフト10020が方向B’に更に回転しても発射ナット10042は前進され得なくなる。
主として図82及び83を参照すると、手術器具10000は、第2のねじ山10026の遠位端部に配置された逆起動部10047を更に備え得る。発射ナット10042は、発射ナット10042が第2のねじ山10026の遠位端部に到達したとき、この逆アクチュエータ10047と接触し、逆アクチュエータ10047を遠位側に変位させるように構成され得る。例えばばね10048などの付勢部材が、逆アクチュエータ10047とフレーム10002との中間に配置され得、その付勢部材は、逆アクチュエータ10047の遠位方向への移動に抗するように構成され得る。逆アクチュエータ10047が遠位側に移動することにより、図83に示すように、ばね10048が圧縮され、近位側への付勢力が発射ナット10042に加えられ得る。図84に示すように、駆動シャフト10020が方向Bに回転されるとき、発射ナット10042に加えられる近位側への付勢力により、発射ナット10042のねじ付きアパーチャ10041は第2のねじ山10026と再係合し得、発射ナット10042は、近位側に移動され得る。発射ナット10042が近位側に移動することにより、発射部材は近位側に移動され得る。近位側に移動するとき、発射ナット10042はプッシュバー10044を変位させ得るが、それにより、プッシュバー10044はスイッチ10060のアーム10066と接触し、スイッチ10060を反対方向に再びその非切り換え位置へと回転させるようになる。そのような時点で、発射ナット10042は、第2のねじ山10026から螺合可能に分離されてもよく、また駆動シャフト10020が方向Bに更に回転しても、発射ナット10042は近位側に変位されなくなってもよい。そのような時点で、発射ナット10042は、その空回り位置に戻ることになる。
スイッチ10060が再びその最初の位置へと回転されると、上記に加えて、スイッチ10060のアーム10064は、スイッチピン10031及びクロージャ部材10033を遠位側に押し込む。スイッチピン10031及びクロージャ部材10033が遠位側に移動することにより、駆動ピン10032は、キャッチバー10073に画定されたキャッチアパーチャ10077から変位され得る。駆動ピン10032がキャッチアパーチャ10077を抜け出すとき、駆動ピン10032は、キャッチバー10073の下方でスライドするために、ばね10035の付勢力に抗して下向きに移動し得る。駆動ピン10032が下向きに移動することにより、駆動ピン10032は第1のねじ山10024と再係合し得る。駆動シャフト10020が方向Bに更に回転することにより、駆動ピン10032及びクロージャ部材10033は遠位側に変位して、手術器具10000のアンビルを開放することになる。そのような時点で、手術器具10000は、後の使用のために再設定されている。様々な例において、ステープルカートリッジは、交換及び/又は再装填され得、手術器具10000はもう1度、使用され得る。
読者には上記から明らかとなるように、駆動ねじ10020は、駆動ピン10032を変位させてクロージャ駆動部10030を動作させ、また発射ナット10042を変位させて発射駆動部10040を動作させ得る。上記に加えて、駆動ねじ10020は、駆動ピン10032を駆動ねじ10020の第1の長さ10025に沿って変位させ得る。同様に、駆動ねじ10020は、発射ナット10042を駆動ねじ10020の第2の長さ10027に沿って変位させ得る。第1の長さ10025はクロージャシステム10030のクロージャ行程を規定し得、第2の長さ10027は発射行程10040の発射行程を規定し得る。第1の長さ10025は第2の長さ10027よりも長くてもよいが、第2の長さ10027は特定の状況において第1の長さ10025よりも長くてもよい。使用の際、クロージャピン10032は発射ナット10042を通り過ぎ得る。例えば、クロージャピン10032がアンビルを閉鎖するために近位側に移動されるとき、クロージャピン10032は、発射ナット10042がその空回り位置にあるときに発射ナット10042を通り過ぎ得る。同様に、クロージャピン10032は、クロージャピン10032がアンビルを開放するために遠位側に移動されるとき、空回り位置にある発射ナット10042を通り過ぎ得る。この相対移動を容易にするために、発射ナット10042は、その中に画定された、例えばスロット10046などの開口部を含み得、クロージャピン10032が発射ナット10042に対して移動するとき、クロージャピン10032はそのスロット10046を通過し得る。また、発射ナット10042に画定されたそのような開口部により、発射ナット10042は、様々な他の実施形態において、スライドしてクロージャピン10032を越え得る。
上記に加えて、第1の長さ10025と第2の長さ10027とは少なくとも部分的に重なり合い得る。更に、第1のねじ山10024と第2のねじ山10026とは少なくとも部分的に重なり合い得る。第1のねじ山10024及び第2のねじ山10026は、駆動ねじ10020の同じ部分に画定され得る。第1のねじ山10024と第2のねじ山10026は十分に異なり得るが、そのため、クロージャピン10032は第2のねじ山10026に追従しないようになり、また発射ナット10042は第1のねじ山10024に追従しないようになる。例えば、第1のねじ山10024は第1のねじピッチを含み得、第2のねじ山10026は、第1のねじピッチとは異なる第2のねじピッチを含み得る。第1のねじ山10024の第1のねじピッチは一定であってもよく、又は一定でなくてもよい。第1のねじピッチが一定である場合、第1のねじ山10024と動作可能に係合されたクロージャピン10032及びアンビルは、駆動シャフト10020の所定の回転速度に対し、クロージャ行程の全体を通じて一定の速度で移動することになる。第1のねじピッチが一定でない場合、クロージャピン10032及びアンビルは、駆動シャフト10020の所定の回転速度に対して、クロージャ行程の間、異なる速度で移動することになる。例えば、第1のねじ山10024の遠位部分は、第1のねじ山10024の近位部分のねじピッチよりも大きなねじピッチを含み得る。そのような状況において、アンビルは、駆動シャフト10020の所定の回転速度に対し、迅速に開位置を離れて移動し、閉位置に近づくとよりゆっくりと移動することになる。そのような装置により、アンビルは、アンビルとステープルカートリッジとの中間に配置された組織に対して迅速に定位置へと移動し、次いで、アンビルが組織と係合されると、組織を過度に圧迫する可能性を低減するために、よりゆっくりと移動することになる。他の様々な例において、第1のねじ山10024の遠位部分は、第1のねじ山10024の近位部分のねじピッチよりも小さなねじピッチを含み得る。いずれの場合も、ねじピッチは、第1のねじ山10024の両端部の間で変化し得る。この変化は、直線的及び/又は非直線的であり得る。
上記に加えて、第2のねじ山10026の第2のねじピッチは一定であってもよく、又は一定でなくてもよい。第2のねじピッチが一定である場合、第2のねじ山10026と動作可能に係合された発射ナット10042及び発射部材は、駆動シャフト10020の所定の回転速度に対し、クロージャ行程の全体を通じて一定の速度で移動することになる。第2のねじピッチが一定でない場合、発射ナット10042及び発射部材は、駆動シャフト10020の所定の回転速度に対して、発射行程の間、異なる速度で移動することになる。例えば、第2のねじ山10026の遠位部分は、第2のねじ山10026の近位部分のねじピッチよりも小さなねじピッチを含み得る。そのような状況において、発射部材は、駆動シャフト10020の所定の回転速度に対して、発射行程の終端ではよりゆっくりと移動することになる。そのような装置構成は、ステープル成形プロセスの終端に到達したとき、発射部材を減速させることになる。更に、そのような装置構成は、ステープル成形プロセスの完了と相関する発射行程の終端で、より大きなトルク量を発生させ得る。他の様々な例において、第2のねじ山10026の遠位部分は、第2のねじ山10026の近位部分のねじピッチよりも大きなねじピッチを含み得る。いずれの場合も、ねじピッチは、第2のねじ山10026の両端部の間で変化し得る。この変化は、直線的及び/又は非直線的であり得る。
ここで図86〜93を参照すると、手術器具10500がシャフト10504とエンドエフェクタ10505とを含み得る。エンドエフェクタ10505は、ステープルカートリッジ10506と可動アンビル10508とを含み得る。手術器具10500は、アンビル10504と動作可能に係合可能なクロージャ部材を含んだクロージャ駆動部と、ステープルカートリッジ10506からステープルを配備するように構成された発射部材を含んだ発射駆動部とを含み得る。手術器具10500は、例えばハンドクランク及び/又は電気モータなど、回転運動を発生させるための手段を含み得る。回転運動は、入力シャフト10510に伝達され得る。更に以下でより詳細に議論するように、手術器具10500は、入力シャフト10510の回転をクロージャ駆動部へ、また発射駆動部へと、選択的に伝達するように構成された伝達部10502を含み得る。
入力シャフト10510は、入力シャフト10510に装着及び/又はキー結合された入力ギヤ10512を含み得、入力ギヤ10512は入力シャフト10510と共に回転する。入力シャフト10510は、手術器具10500のフレームによって、近位端部10511及び遠位端部10519で回転可能に支持され得る。入力ギヤ10512は、中間シャフト10520に装着及び/又はキー結合された中間ギヤ10522と噛み合い係合され得る。したがって、入力シャフト10510及び入力ギヤ10512が方向A(図89)に回転されるとき、中間シャフト10520及び中間ギヤ10522は方向B(図89)に回転される。上記と同様に、中間シャフト10520は、手術器具のフレームによって近位端部10521及び遠位端部10529で回転可能に支持され得る。中間シャフト10520はねじ付き部分10524を更に含み得、このねじ付き部分10524は、シフタブロック10526と螺合可能に係合され得る。主として図87を参照すると、シフタブロック10526は、ねじ付き部分10524と螺合可能に係合された1つ又は2つ以上のねじ付きアパーチャ10527を含み得る。中間シャフト10520が方向Bに回転されるとき、主として図89を参照すると、中間シャフト10520はシフタブロック10526を近位側に変位させ得る。
上記に加えて、シフタブロック10526は、その中に画定されたギヤスロット10528を含み得る。入力シャフト10510は、入力シャフト10510にスライド可能に装着されたスライダギヤ10516を更に含み得、スライダギヤ10516は、ギヤスロット10528内に配置される。上で議論したように、シフタブロック10526が中間シャフト10520によって近位側に移動されるとき、シフタブロック10526は、キー付き入力シャフト部分10514に沿って、スライダギヤ10516を近位側に押し込み得る。主として図87を参照すると、スライダギヤ10516は、例えば、スライダギヤ10516の中に画定された、1つ又は2つ以上の平坦面を有するアパーチャ10517を含み得るが、それらの平坦面は、キー付き入力シャフト部分10514上の対応する平坦面と整合される。アパーチャ10517とキー付き入力シャフト部分10514の各平坦面は、スライダギヤ10516を入力シャフト10510に沿って長手方向にスライドさせ得、それに加えて、スライダギヤ10516と入力シャフト10510との間で回転動作を伝達するように協働し得る。以下で更に詳細に説明するように、シフタブロック10526は、スライダギヤ10516がクロージャシャフト10530と係合される第1のポジション範囲、スライダギヤ10516が発射シャフト10540と係合される第2のポジション範囲、並びに、スライダギヤ10516がクロージャシャフト10530とも発射シャフト10540とも係合されない、第1のポジション範囲と第2のポジション範囲との中間にあるゼロポジション又はゼロポジション範囲の全体にわたって、スライダギヤ10516をスライドさせ得る。
上記に加えて、図85は、完全閉位置にあるエンドエフェクタ10505のアンビル10508及び非発射位置にある発射駆動部10548を示している。図86は、図85に示すエンドエフェクタ10505の構成と一致する構成をなす伝達部10502を示している。より具体的に言えば、スライダギヤ10516は、そのゼロ、つまり空回りポジションにあり、クロージャ駆動部のクロージャシャフト10530又は発射駆動部の発射シャフト10540と動作可能に係合していない。スライダギヤ10516がその空回りポジションにあるとき、スライダギヤ10516は、クロージャシャフト10530に装着及び/又はキー結合されたクロージャギヤ10532と、発射シャフト10540に装着及び/又はキー結合された発射ギヤ10542との中間に配置される。更に、スライダギヤ10516がその空回りポジションにあるとき、スライダギヤ10516はクロージャギヤ10532又は発射ギヤ10542と係合されない。図88に示すように、アンビル10508をその開位置へと移動させ、かつ/又はアンビル10508をエンドエフェクタ10505から分離するために、入力シャフト10510は、図89に示すように、方向Aに回転され得る。上で議論したように、入力シャフト10510が方向Aに回転することにより、中間シャフト10520は方向Bに回転され得、シフタブロック10526は近位側に移動され得る。シフタブロック10526が近位側に移動するとき、シフタブロック10526はスライダギヤ10516を押し込んでクロージャギヤ10532と動作係合させ得る。そのような時点で、入力シャフト10510の方向Aへの継続的な回転は、噛み合い係合したスライダギヤ10516とクロージャギヤ10532を介してクロージャシャフト10530に伝達され得る。図89に示すように、スライダギヤ10516がクロージャギヤ10532と噛み合い係合されると、入力シャフト10510が方向Aに回転することにより、出力シャフト10530は方向Cに回転することになる。クロージャ駆動部はクロージャナット10536を更に含み得るが、そのクロージャナット10536は、その中に画定されたねじ付きアパーチャ10537を有し、ねじ付きアパーチャ10537は、クロージャシャフト10530のねじ付き部分10534と螺合可能に係合される。クロージャナット10536は、例えば、手術器具のフレームとスライド可能に係合された1つ又は2つ以上の回転防止機構を含み得るが、その回転防止機構は、クロージャナット10536がクロージャシャフト10530と共に回転するのを防止し得るため、クロージャシャフト10530の回転運動がクロージャナット10536の長手方向運動に変換され得るようになっている。クロージャシステムは、クロージャナット10536から延びるクロージャ部材10538を更に含み得、このクロージャ部材10538は、アンビル10508と係合され得る。再び図89を参照すると、クロージャシャフト10530が方向Cに回転されるとき、クロージャナット10536及びクロージャ部材10538は遠位側に前進されて、アンビル10508を開位置へと移動させ得る。
上記に加えて、図89は、クロージャ構成、すなわちアンビル10508が開閉され得る構成をなす伝達部10502を示している。スライダギヤ10516がクロージャギヤ10532と噛み合い係合されるとき、入力シャフト10510は直接、クロージャシャフト10530を駆動することになる。それと同時に、入力ギヤ10512と中間ギヤ10522とが噛み合い係合するために、入力シャフト10510は中間シャフト10520を直接、駆動することになる。また、スライダギヤ10516がクロージャギヤ10532と噛み合い係合されるとき、スライダギヤ10516は発射ギヤ10542とは噛み合い係合されず、したがって、伝達部10502がクロージャ構成をなしているとき、入力シャフト10510は発射シャフト10540を駆動しない。
上記に加えて、アンビル10508が開位置に移動されかつ/又はクロージャ部材10538から分離されると、組織がアンビル10508とステープルカートリッジ10506との中間に配置され得る。図90及び91を参照すると、その後、クロージャナット10536、クロージャ部材10538、及びアンビル10508を近位側に移動させるために、入力シャフト10510を反対方向、すなわち方向A’に回転させ、それによってクロージャシャフト10530が反対方向、すなわちC’に回転することにより、アンビル10508はその閉位置に移動され得る。入力シャフト10510はまた、入力シャフト10510が方向A’に回転されるときに中間シャフト10520を反対方向、すなわち方向B’に回転させる。中間シャフト10520が方向B’に回転されるとき、中間シャフト10520は、シフタブロック10526とスライダギヤ10516を遠位側に変位させる。スライダギヤ10516がクロージャギヤ10532と噛み合い係合されなくなり、スライダギヤ10516がその空回りポジションに復帰されるまで、シフタブロック10526はスライダギヤ10516を遠位側に押し込み得る。スライダギヤ10516は発射ギヤ10542と噛み合い係合するまで、中間シャフト10520が方向B’に更に回転することにより、シフタブロック10526がスライダギヤ10516を遠位側に変位させることになる。図92及び93を参照すると、そのような時点で、入力シャフト10510は発射シャフト10540を直接、駆動し得る。その後、入力シャフト10510が方向A’に回転されるとき、入力シャフト10510は発射シャフト10540を方向D’に回転させ得る。発射システムは発射ナット10546を更に含み得るが、その発射ナット10546は、発射シャフト10540のねじ付き部分10544と螺合可能に係合されるねじ付きアパーチャを有している。発射シャフト10410が方向A’に回転されるとき、発射シャフト10540は発射ナット10546を遠位側に前進させ得る。発射ナット10546は、1つ又は2つ以上の回転防止機構を含み得、その回転防止機構は、手術器具のフレームとスライド可能に係合され得るものであり、それにより、発射ナット10546は発射シャフト10540と共に回転しないようになり、また発射シャフト10540の回転運動が発射ナット10546の長手方向運動に変換され得るようになる。発射駆動部は、発射ナット10546から延びる発射部材10548を更に含み得、この発射部材10548は、遠位側に前進されてステープルカートリッジ10506からステープルを排出する。発射システムの発射行程の全体にわたって、シフタブロック10526は引き続きスライダギヤ10516を遠位側に前進させ得る。発射行程は、スライダギヤ10516が発射ギヤ10542と螺合可能に係合しなくなる点まで、シフタブロック10526がスライダギヤ10516を遠位側に前進させたときに完了され得る。そのような時点で、発射部材10548はその完全発射位置に位し得る。
上記に加えて、図93は、発射構成、すなわち発射部材10548が前進又は後退され得る構成をなす伝達部10502を示している。スライダギヤ10516が発射ギヤ10542と噛み合い係合されるとき、入力シャフト10510は直接、発射シャフト10540を駆動することになる。それと同時に、入力ギヤ10512と中間ギヤ10522とが噛み合い係合するために、入力シャフト10510は、中間シャフト10520を直接、駆動することになる。また、スライダギヤ10516が発射ギヤ10542と噛み合い係合されるとき、スライダギヤ10516はクロージャギヤ10532とは噛み合い係合されず、したがって、伝達部10502が発射構成をなしているとき、入力シャフト10510はクロージャシャフト10530を駆動しない。
発射部材10548を後退させるために、入力シャフト10510は方向Aに回転されて中間シャフト10520を方向Bに回転させ、シフタブロック10526を近位側に変位させ、スライダギヤ10516を発射ギヤ10542と再係合させ得る。そのような時点で、入力シャフト10510が方向Aに引き続き回転することにより、発射シャフト10540が方向D’の反対方向に回転され、発射ナット10546が近位側に変位され、発射部材10548が後退されることになる。スライダギヤ10516が発射ギヤ10542を回転させているとき、スライダギヤ10516は発射ギヤ10542と噛み合い係合されなくなり、そしてその空回りポジションに到達するまで、シフタブロック10526は引き続きスライダギヤ10516を近位側に引っ張り得るやがて。そのような時点で、アンビル10508を再開放するために、入力シャフト10510が方向Aに引き続き回転することにより、引き続きシフタブロック10526及びスライダギヤ10516は近位側に変位され、スライダギヤ10516はクロージャギヤ10532と再係合することになる。
図94〜98は、組織をステープル留め及び/又は切開するように構成された手術器具11010を示している。手術器具11010は、ピストルグリップ形状のハンドル11015を含み得る。ハンドル11015は、長手方向軸11030を規定する第1のハンドル部分11020を含んでおり、この第1のハンドル部分11020からジョー11070及び11090が延び得る。ハンドル11015は、第2の部分の軸11050を規定する第2のハンドル部分、すなわちハンドルグリップ11040を含んでいる。第2の部分の軸11050は、ある角度11060を長手方向軸11030と規定している。様々な例において、角度11060は、例えば約120度など、任意の好適な角度を含み得る。ジョー11070はカートリッジチャネルを備え得るが、このカートリッジチャネルは、ステープルカートリッジ11080を取り外し可能に受容するように構成された開口部を含んでいる。以下で更に詳細に説明するように、ステープルカートリッジ11080は、少なくとも2つの長手方向の行をなして装置されたステープルキャビティ内に取り外し可能に格納された複数のステープルを含み得、これらのステープルキャビティはチャネルの両側にそれぞれ1つあり、このステープルキャビティ内で、組織を切除するためのナイフが移動し得る。少なくとも1つの例において、ステープルキャビティの3つの長手方向の行がナイフチャネルの第1の側部に装置され得る一方で、ステープルキャビティの3つの長手方向の行がナイフチャネルの第2の側部に装置され得る。ジョー11090は、ステープルカートリッジ11080と対向しかつ整合する位置へ回転可能なアンビルを備え得、それにより、アンビル11090に画定されたアンビルポケットが、ステープルカートリッジ11080から排出されたステープルを受容及び成形し得るようになっている。図98は開位置にあるアンビル11090を示しており、図94は閉位置にあるアンビル11090を示している。図示していないが、ステープルカートリッジ11080を含んだジョーがアンビル11090に対して回転可能となる他の実施形態も考えられる。いずれの場合も、以下で更に詳細に説明するように、ハンドル11015は、アンビル11090をその開位置と閉位置との間で移動させるクロージャシステムを動作させるように構成されたクロージャボタン11065(図98)と、ステープルカートリッジ11080からステープルを排出する発射システムを動作させるように構成された発射ボタン11055とを更に含み得る。クロージャボタン11065は、例えば、ハンドル11015を支持している操作者の手の親指で容易にアクセスされ得るようにハンドル11015上に配置及び装置され得るが、発射ボタン11055は、ハンドル11015を支持している操作者のハンドルの人差し指で容易にアクセスされ得るように配置及び装置され得る。
上記に加えて、アンビル11090は、使用中、ステープルカートリッジ11080に向かって、かつステープルカートリッジ11080から離して移動され得る。様々な例において、クロージャボタン11065は双方向スイッチを含み得る。クロージャボタン11065が第1の方向に押下されると、手術器具11010のクロージャシステムはアンビル11090をステープルカートリッジ11080に向かって移動させ得、また、クロージャボタン11065が第2の方向に押下されると、クロージャシステムはアンビル11090をステープルカートリッジ11080から離して移動させ得る。主として図95及び97を参照すると、クロージャシステムは、アンビル11090を移動させるように構成されたクロージャモータ11110を含み得る。クロージャモータ11110は、クロージャモータ11110から延びる回転可能なクロージャシャフト11130を含み得、その回転クロージャシャフト11130に第1のクロージャギヤ11140が固定され得る。クロージャモータ11110はクロージャシャフト11130を回転させ得、クロージャシャフト11130は第1のクロージャギヤ11140を回転させ得る。第1のクロージャギヤ11140はアイドラギヤ11150と噛み合い係合され得、次にアイドラギヤ11150はクロージャ送りねじ駆動ギヤ11160と噛み合い係合され得る。クロージャ送りねじ駆動ギヤ11160はクロージャ送りねじ11170に固定されている。第1のクロージャギヤ11140がクロージャシャフト11130によって回転されるとき、第1のクロージャギヤ11140はアイドラギヤ11150を回転させ得、アイドラギヤ11150はクロージャ送りねじ駆動ギヤ11160を回転させ得、クロージャ送りねじ駆動ギヤ11160はクロージャ送りねじ11170を回転させ得る。
主として図97を参照すると、クロージャシャフト11130、第1のクロージャギヤ11140、アイドラギヤ11150、及びクロージャ送りねじ駆動ギヤ11160は、ハンドル部分11120内に支持されたモータブロック11125によって回転可能に支持され得る。クロージャ送りねじ11170は、同様にモータブロック11125によって回転可能に支持される第1の端部、及び/又はハンドル11015のハウジングによって回転可能に支持される第2の端部を含み得る。クロージャ送りねじ11170は、第1の端部と第2の端部との中間にあるねじ付き部分を更に含み得る。クロージャシステムはクロージャブロック11175(図96)を更に含み得、クロージャブロック11175は、クロージャ送りねじ11170のねじ付き部分と螺合可能に係合されるねじ付きアパーチャ11176を有し得る。クロージャブロック11175はクロージャ送りねじ11170と共に回転するのを抑制され得るため、クロージャ送りねじ11170が回転されるとき、クロージャ送りねじ11170は、クロージャ送りねじ11170が回転されている方向に応じて、近位側に又は遠位側にクロージャブロック11175を変位させ得る。例えば、クロージャ送りねじ11170が第1の方向に回転される場合、クロージャ送りねじ11170はクロージャブロック11175を遠位側に変位させ得、クロージャ送りねじ11170が第2の、つまり反対方向に回転されるとき、クロージャ送りねじ11170はクロージャブロック11175を近位側に変位させ得る。主として図96を参照すると、クロージャブロック11175は、クロージャチャネル11180の形態をなすラッチ部材に装着され得るが、このラッチ部材はカートリッジチャネル11170外側に沿って並進する。様々な例において、クロージャチャネル11180はハンドル部分11120に収容され得るが、いくつかの例において、クロージャチャネル11180はハンドル部分11120から突出し得る。クロージャチャネル11180は、端部から見ておおよそ「U字」形状のチャネルを含み得、対向する側壁11182を含み得る。各側壁11182は、その中に画定されたカムスロット11190を含み得る。以下で更に詳細に説明するように、カムスロット11190は、アンビル11090と係合し、アンビル11090をステープルカートリッジ11080に対して移動させるように構成され得る。
上記に加えて、クロージャチャネル11180はカートリッジチャネル11070の周りに適合し、そのため、カートリッジチャネル11070はクロージャチャネル11180の「U字」形状の内側に入れ子にされるようになっている。主として図96を参照すると、カートリッジチャネル11070はその中に画定された細長スロット11195を含み得、クロージャチャネル11180は、その細長スロット11195の中へと内向きに延びるピンを含み得る。クロージャチャネルピンと細長スロット11195は、クロージャチャネル11180が長手方向の経路に沿ってカートリッジチャネル11070に対して並進するように、クロージャチャネル11180の移動を抑制し得る。クロージャチャネル11180の並進移動により、アンビル11090は回転され得る。アンビル11090は、遠位クロージャピン11210によってクロージャチャネル11180に連結され得、遠位クロージャピン11210は、アンビル11090に画定されたアンビルカムホール11211及びクロージャチャネル11180に画定されたカムスロット11190を通じて延びる。各カムスロット11190は、第1の又は遠位端部11191と、第2の又は近位端部11192とを含み得る。各カムスロット11190は、第1の又は近位駆動表面11193と、第2の又は遠位駆動表面11194とを更に含み得る。クロージャシステムがその開放構成にあり、アンビル11090がその開位置にあるとき、クロージャチャネル11180はその第1の、つまり非前進位置にあり得、遠位クロージャピン11210はカムスロット11190の第1又は遠位端部11191にあり得る。クロージャチャネル11180が遠位側に前進されてアンビル11090をステープルカートリッジ11080に向かって移動させるとき、第1の駆動表面11193は遠位クロージャピン11210と接触し、遠位クロージャピン11210をステープルカートリッジ11080に向かって下向きに押し得る。クロージャシステムがその閉鎖構成にあり、アンビル11090がステープルカートリッジ11080と対面する、その閉位置にあるとき、クロージャチャネル11180は第2の又は完全前進位置にあり得、遠位クロージャピン11210はカムスロット11190の第2又は近位端部11192にあり得る。
各カムスロット11190は、曲線状又は弓状の経路を備え得る。第1の駆動表面11193は第1の弓状表面を含み得、第2の駆動表面11194は第2の弓状表面を含み得る。様々な例において、各カムスロット11190は、少なくとも1つの曲線状部分と、少なくとも直線状の部分とを含み得る。少なくとも1つの例において、各第1の駆動表面11193は、カムスロット11190の遠位端部11191に平坦表面を含み得る。平坦表面は、器具11010の長手方向軸11030に対して垂直であるか、又は少なくとも実質的に垂直である垂直表面を含み得る。そのような平坦表面はデテントとして働き得るが、そのデテントにより、クロージャピン11210をカムスロット11190の弓状部分へと変位させるのに初期量の力が必要となる。特定の例において、各第1の駆動表面11193は、カムスロット11190の近位端部11192に平坦表面11196を含み得る。各平坦表面11196は、長手方向軸11030に平行であるか又は少なくとも実質的に平行である水平表面を含み得る。平坦表面11196は、大きな機械的利益をクロージャチャネル11180とアンビル11090との間にもたらし得る。様々な例において、第1の駆動表面11193は、クロージャピン11210がスロット11190の遠位端部11191にあるとき、非常に小さな機械的利益をクロージャピン11210に加え得るが、クロージャピン11210がカムスロット11190を通じて近位端部11192に向かってスライドするとき、第1の駆動表面11193によってクロージャピン11210に加えられる機械的利益は増大し得る。クロージャピン11210が近位端部11192の中に進入するとき、第1の駆動表面11193によって加えられる機械的利益は最大になり、かつ、クロージャピン11210がカムスロット11190の遠位端部11191にあるときに第1の駆動表面11193によって加えられる機械的利益よりも確実に大きくなり得る。つまり、遠位端部11191が、より小さな機械的利益をクロージャピン11210に加え得る場合には、遠位端部11191はカートリッジ11080に対してクロージャピン11210を迅速に変位させ得る。上で議論したように、クロージャチャネル11180が遠位側に前進され、クロージャピン11210に加えられる機械的利益が増加するとき、第1の駆動表面11193は、クロージャチャネル11180の所与の速度に対して、アンビル11090をよりゆっくりと移動させ得る。
図96に示すように、カートリッジチャネル11070は、その中に画定された遠位クロージャスロット11215を更に含み得、この遠位クロージャスロット11215は、アンビル11090がその閉位置に接近するときに遠位クロージャピン11210を受容するように構成され得る。遠位クロージャスロット11215は実質的に鉛直であり、カートリッジチャネル11070の頂部にある開放端部と、カートリッジチャネル11070の両端にある閉鎖端部とを含み得る。スロット11215は、閉鎖端部と比べて、開放端部でより幅広であってもよい。様々な例において、クロージャピン11210は、アンビル11090がその閉位置に到達したときに、クロージャスロット11215の閉鎖端部と接触し得る。そのような例において、クロージャスロット11215の閉鎖端部は、アンビル11090の移動を停止させ得る。特定の例において、アンビル11090は、アンビル11090がその閉位置にあるときにステープルカートリッジ11080と接触し得る。少なくとも1つの例において、アンビル11090は、アンビル11090の遠位端部11091がステープルカートリッジ11080の遠位端部11081と接触するまで、ピボットピン11200を中心として回転され得る。図98に示すように、アンビル11090を移動させる遠位クロージャピン11210は、ピボットピン11220に対して遠位側に配置されている。したがって、クロージャ駆動部によってアンビル11090に加えられるクロージャ力は、アンビル11090をカートリッジチャネル11070に回転可能に連結するピボットに対して遠位側に加えられる。同様に、クロージャ駆動部によってアンビル11090に加えられる開放力も、アンビル11090をカートリッジチャネル11070に回転可能に連結するピボットに対して遠位側に加えられる。
上で議論したように、ハンドル11015は、手術器具11010のクロージャシステムを動作させるように構成されたクロージャボタン11065を含み得る。クロージャボタン11065の移動は、例えばセンサ又はスイッチによって検出され得る。クロージャボタン11065が押されると、クロージャスイッチ11285が起動又は閉鎖され、それによって、電力がクロージャモータ11110に流れ込むことになる。そのような例において、スイッチ11285は、電力をクロージャモータ11110に供給し得る電力回路を閉鎖し得る。特定の例において、手術器具11010は、例えばマイクロプロセッサを含み得る。そのような例において、クロージャスイッチ11285はマイクロプロセッサと信号通信をなし得、また、クロージャスイッチ11285が閉鎖されているとき、マイクロプロセッサは電源をクロージャモータ11110に動作可能に接続し得る。いずれの場合も、クロージャ出力シャフト11130を第1の方向に回転させ、アンビル11090を閉鎖するために、第1の電圧極性がクロージャモータ11110に加えられ得、それに加えて、クロージャ出力シャフト11130を第2の、つまり反対の方向に回転させ、アンビル11090を開放するために、第2の、つまり反対の電圧極性がクロージャモータ11110に加えられ得る。
様々な例において、手術器具11010は、クロージャ駆動部がその完全閉鎖構成に到達するまで、手術器具11010の操作者がクロージャボタン11065を押下状態に保持することが必要となるように構成されてもよい。クロージャボタン11065が解放された場合、マイクロプロセッサはクロージャモータ11110を停止させ得る。それに代わって、クロージャ駆動部がその完全閉鎖構成に到達する前にクロージャボタン11065が解放された場合、マイクロプロセッサはクロージャモータ11110の方向を逆転させ得る。クロージャ駆動部がその完全閉鎖構成に到達した後、マイクロプロセッサはクロージャモータ11110を停止させてもよい。様々な例において、以下で更に詳細に説明するように、手術器具11010は、クロージャシステムがその完全閉鎖構成に到達したことを検知するように構成されたクロージャセンサ11300(図96及び98)を備え得る。クロージャセンサ11300はマイクロプロセッサと信号通信をなし得、アンビル11090が閉鎖されているという信号をマイクロプロセッサがクロージャセンサ11300から受信したとき、マイクロプロセッサはクロージャモータ11110から電源を切断し得る。様々な例において、クロージャシステムがその完全閉鎖構成に置かれた後に、ただし発射システムが動作される前に、クロージャボタン11065を再び押すことにより、マイクロプロセッサはクロージャモータ11110の方向を逆転させ、アンビル11090を再開放させ得る。特定の例において、マイクロプロセッサはアンビル11090をその完全開位置に再開放し得るが、他の例において、マイクロプロセッサはアンビル11090を部分開位置に再開放し得る。
アンビル11090が十分に閉鎖されると、手術器具11010の発射システムは動作され得る。主として図95及び97を参照すると、発射システムは発射モータ11120を含み得る。発射モータ11120は、クロージャモータ11110に隣接して配置され得る。クロージャモータ11110は第1のモータ長手方向軸に沿って延び得、発射モータ11120は、第1のモータ軸に対して平行であるか又は少なくとも実質的に平行である第2の長手方向モータ縦軸に沿って延び得る。第1のモータ長手方向軸及び第2のモータ長手方向軸は、手術器具11010の長手方向軸11030に対して平行となり得る。クロージャモータ11110は長手方向軸11030の第1の側に配置され得、発射モータ11120は長手方向軸11030の第2の側に配置され得る。そのような例において、第1のモータ長手方向軸は長手方向軸11030の第1の側に沿って延び得、第2のモータ長手方向軸は長手方向軸11030の第2の側に沿って延び得る。様々な例において、第1のモータ長手方向軸はクロージャシャフト11130の中心を通じて延び得る。上記と同様に、発射モータ11120は、発射モータ11120から延びる回転可能な発射シャフト11230を含み得る。また上記と同様に、第2のモータ長手方向軸は発射シャフト11230の中心を通じて延び得る。
上記に加えて、第1の発射ギヤ11240が発射シャフト11230に装着され得る。第1の発射ギヤ11240は、発射送りねじ11260に装着された発射送りねじ駆動ギヤ11250と噛み合い係合される。発射シャフト11230がモータ11120によって回転されるとき、発射シャフト11230は第1の発射ギヤ11240を回転させ得、第1の発射ギヤ11240は第1の送りねじ駆動ギヤ11250を回転させ得、発射送りねじ駆動ギヤ11250は発射送りねじ11260を回転させ得る。主として図97を参照すると、発射シャフト11230、第1の発射ギヤ11240、発射送りねじ駆動ギヤ11250、及び/又は発射送りねじ11260は、モータブロック11125によって回転可能に支持され得る。第1の発射ギヤ11240及び発射送りねじ駆動ギヤ11250は、モータブロック11125と第1のブロックプレート11126との中間に配置され得る。第1のブロックプレート11126はモータブロック11125に装着され得ると共に、発射シャフト11230、第1の発射ギヤ11240、発射送りねじ駆動ギヤ11250、及び/又は発射送りねじ11260を回転可能に支持し得る。様々な例において、手術器具11010は第2のブロックプレート11127を更に備え得、この第2のブロックプレート11127は第1のブロックプレート11126に装着され得る。上記と同様に、第1のクロージャギヤ11140、アイドラギヤ11150、及びクロージャ送りねじ駆動ギヤ11160は、第1のブロックプレート11126と第2のブロックプレート11127との中間に配置され得る。様々な例において、第1のブロックプレート11126及び/又は第2のブロックプレート11127は、クロージャシャフト11130、第1のクロージャギヤ11140、アイドラギヤ11150、クロージャ送りねじ駆動ギヤ11160、及び/又はクロージャ送りねじ11170を回転可能に支持し得る。
上述したモータ及びギヤ装置は、手術器具11010のハンドル11015内に空間を維持する一助となり得る。上述のように、また主として図97を参照すると、クロージャモータ11110及び発射モータ11120はモータブロック11125上に設置されている。クロージャモータ11110は、発射モータ11120の一方の側に、かつ発射モータ11120のわずかに近位側に設置されている。一方のモータをもう一方から近位側にずらすことにより、一方のギヤトレーンがもう一方の後方に置かれて、2つのギヤトレーン用の空間が生まれる。例えば、第1のクロージャギヤ11140と、クロージャアイドラギヤ11150と、クロージャ送りねじ駆動ギヤ11160とを含んだクロージャギヤトレーンは、第1の発射ギヤ11240と発射送りねじ駆動ギヤ11250とを含んだ発射ギヤトレーンに対して近位側にある。モータシャフトが近位側に延びてジョーから離れ、モータの本体がジョーに向かって遠位側に延びることにより、ハンドル11015内に空間が生まれ、モータ11110及び11120の本体をハンドル11015内で他の部分に沿って平行に整列させることで、ハンドル11015をより短くしている。
上記に加えて、クロージャ及び発射ギヤトレーンは空間維持のために設計されている。図97に示す実施形態において、クロージャモータ11110は3つのギヤを駆動しており、発射モータ11120は2つのギヤを駆動しているが、クロージャギヤトレーン及び発射ギヤトレーンは任意の好適な個数のギヤを含み得る。第3のギヤ、すなわちクロージャアイドラギヤ11150をクロージャギヤトレーンに加えることにより、クロージャ送りねじ11170が発射送りねじ11260に対して下向きにシフトされ、そのため、別々の送りねじが異なる軸を中心として回転し得るようになっている。更に、第3のギヤにより、より大径のギヤが送りねじの軸をシフトさせる必要が排除され、そのため、ギヤトレーンに必要となる空間の全径及びハンドル11015の容積が低減され得る。
主として図98を参照すると、クロージャ送りねじ11170は第1のシャフト長手方向軸に沿って延び得、発射送りねじ11260は第2のシャフト長手方向軸に沿って延び得る。第1のシャフト長手方向軸及び第2のシャフト長手方向軸は、手術器具11010の長手方向軸11030に対して平行となり得る。第1のシャフト長手方向軸又は第2のシャフト長手方向軸は、長手方向軸11030と共線をなし得る。様々な例において、発射送りねじ1126は長手方向軸11030に沿って延び得、第2のシャフト長手方向軸は長手方向軸11030と共線をなし得る。そのような例において、閉鎖送りねじ11170及び第1のシャフト長手方向軸は、長手方向軸11030に対してずらされ得る。
上記に加えて、発射送りねじ11260は、例えばモータブロック11125によって回転可能に支持された第1の端部と、ハンドル11015によって回転可能に支持された第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間に延びるねじ付き部分とを含み得る。発射送りねじ11260は、カートリッジチャネル11070の「U字」形状内に、かつクロージャ送りねじ11170の上に存在し得る。主として図95を参照すると、発射駆動部は発射ブロック11265を更に含み得、この発射ブロック11265は、発射送りねじ11260のねじ付き部分と螺合可能に係合されたねじ付きアパーチャ11266を含み得る。発射ブロック11265は発射送りねじ11260と共に回転するのを抑制され得るため、発射送りねじ11260が回転することにより、発射モータ11120によって発射送りねじ11260が回転される方向に応じて、近位側又は遠位側に発射ブロック11265が並進され得るようになっている。例えば、発射送りねじ11260が第1の方向に回転されるとき、発射送りねじ11260は発射ブロック11265を遠位側に変位させ得、発射送りねじ11260が第2の方向に回転されるとき、発射送りねじ11260は発射ブロック11265を近位側に変位させ得る。以下で更に詳細に説明するように、発射ブロック11265は遠位側に前進されて、ステープルカートリッジ11080に取り外し可能に格納されたステープルを配備し、かつ/又は、ステープルカートリッジ11080とアンビル11090との間に捕捉された組織を切開し得る。
上記に加えて、発射ブロック11265は、プッシャブロック11270が発射ブロック11265と共に並進するように、プッシャブロック11270に固定され得る。発射システムは発射ウェッジ11280を更に含み得、発射ウェッジ11280は、プッシャブロック11270に取り付けられ、プッシャブロック11270から遠位側に延びる。発射ウェッジ11280はそれぞれ、その遠位端部に少なくとも1つのカム表面を含み得、そのカム表面はステープルカートリッジ11080からステープルを排出するように構成され得る。発射システムは、発射ウェッジ11280に沿ってスライド可能に配設されたナイフブロック11281を更に含み得る。様々な例において、発射ブロック11265の初期の遠位運動はナイフブロック11281に伝達され得ないが、発射ブロック11265が遠位側に前進されるとき、例えばプッシャブロック11270は、ナイフブロック11281と接触し、ナイフブロック11281及びそのナイフブロック11281に装着されたナイフ11282を遠位側に押し得る。他の例において、ナイフブロック11281は発射ウェッジ11280に装着され得、そのため、ナイフブロック11281及びナイフ11282が発射ウェッジ11280の運動の全体を通じて発射ウェッジ11280と共に移動するようになる。発射ブロック11265、プッシャブロック11270、発射ウェッジ11280、ナイフブロック11281、及びナイフ11282は、プッシャブロックとナイフの組立体を形成し得る。いずれの場合も、発射ウェッジ11280及びナイフ11282は遠位側に移動されて、ステープルカートリッジ11080内に格納されたステープルを発射すると同時に、ステープルカートリッジ11080とアンビル11090との間に捕捉された組織を切開し得る。発射ウェッジ11280のカム表面はナイフ11282の切断表面に対して遠位側に配置され得、そのため、ステープルカートリッジ11080とアンビル11090との間に捕捉された組織は、切開される前にステープル留めされ得る。
上で議論したように、クロージャボタン11065は、押されたとき、クロージャスイッチ11285と接触してクロージャモータ11110を付勢する。同様に、発射ボタン11055は、押されたとき、発射スイッチ11290と接触して発射モータ11120を付勢する。様々な例において、発射スイッチ11290は、電力を発射モータ11120に供給し得る電力回路を閉鎖し得る。特定の例において、発射スイッチ11290は手術器具11010のマイクロプロセッサと信号通信をなし得、また、発射スイッチ11290が閉鎖されているとき、マイクロプロセッサは電源を発射モータ11120に動作可能に接続し得る。いずれの場合も、発射出力シャフト11230を第1の方向に回転させ、発射組立体を前進させるために、第1の電圧極性が発射モータ11120に加えられ得、また、発射出力シャフト11230を第2の、つまり反対の方向に回転させ、発射組立体を後退させるために、第2の、つまり反対の電圧極性が発射モータ11120に加えられ得る。様々な例において、発射ボタン11055は、発射ボタン11055が第1の方向に押されたときに第1の方向に、発射ボタン11055が第2の方向に押されたときに第2の方向に発射モータ11120を動作させるように構成された双方向スイッチを含み得る。
上で議論したように、発射システムは、クロージャシステムがアンビル11090を十分に閉鎖した後に作動され得る。様々な例において、アンビル11090は、その完全閉位置に到達した後に十分に閉鎖され得る。手術器具11010は、アンビル11090がその完全閉位置に到達したことを検出するように構成され得る。主として図98を参照すると、手術器具11010は、クロージャチャネル11180がそのクロージャ行程の終端に達したことを検出し、したがってアンビル11090がその閉位置に位したことを検出するように構成されたクロージャセンサ11300を含み得る。クロージャセンサ11300は、クロージャ送りねじ11170の遠位端部に又はその遠位端部に隣接して配置され得る。少なくとも1つの例において、クロージャセンサ11300は、クロージャチャネル11180がクロージャセンサ11300に隣接及び/又は接触したことを感知するように構成された近接センサを含み得る。上記と同様に、クロージャセンサ11300は、手術器具11010のマイクロプロセッサと信号通信をなし得る。クロージャチャネル11180がその完全前進位置に到達し、アンビル11090が閉位置に位したという信号を、マイクロプロセッサがクロージャセンサ11300から受信すると、マイクロプロセッサは発射システムを作動させ得る。更に、マイクロプロセッサは、マイクロプロセッサがそのような信号をクロージャセンサ11300から受信するまで、発射システムが作動されるのを防止し得る。そのような例において、マイクロプロセッサは、クロージャセンサ11300からの入力に基づいて、電源から発射モータ11120に電力を選択的に加えるか、又は、発射モータ11120に加えられている電力を選択的に制御し得る。究極的に、これらの実施形態において、発射スイッチ11290は、器具が閉鎖されるまで発射行程を開始し得ない。
クロージャシステムが部分的閉鎖構成にあり、アンビル11090が部分的に閉位置にあっても、手術器具11010の発射システムが動作され得る特定の実施形態も考えられる。少なくとも1つの実施形態において、手術器具11010の発射組立体は、発射組立体が遠位側に前進されてステープルカートリッジ11080に格納されたステープルを発射するとき、アンビル11090と接触し、アンビル11090をその完全閉位置へと移動させるように構成され得る。例えば、ナイフ11282は、ナイフ11282が遠位側に前進されるときにアンビル11090と係合するように構成されたカム表面を含み得、このカム表面はアンビル11090をその完全閉位置へと移動させ得る。ナイフ11282はまた、カートリッジチャネル11070と係合するように構成された第2のカム部材を含み得る。カム部材は、アンビル11090をステープルカートリッジ11080に対して位置決めし、それらの間の組織間隙距離を設定するように構成され得る。少なくとも1つの例において、ナイフ11282はIビームを備え得、そのIビームは遠位側に変位されて、組織間隙を設定し、ステープルカートリッジ11080からステープルを排出し、組織を切開するものである。
手術器具11010は、発射システムがその発射行程を完了したことを検知するように構成されたセンサを含み得る。少なくとも1つの例において、手術器具11010は、例えばエンコーダなどのセンサを含み得、そのセンサは、発射送りねじ11260の回転を検知及び計数するように構成され得る。そのようなセンサは、手術器具11010のマイクロプロセッサと信号通信をなし得る。マイクロプロセッサは、発射送りねじ11260の回転を計数するように構成され得、また、発射送りねじ11260が十分な回数にわたって回転してステープルカートリッジ11080からすべてのステープルを発射した後、マイクロプロセッサは、発射モータ11120への電力供給を中断して、発射送りねじ11260を停止させ得る。特定の例において、発射組立体がすべてのステープルを発射すると、マイクロプロセッサは、発射モータ11120に印加される電圧極性を逆転させて発射組立体を自動的に後退させ得る。
上で議論したように、手術器具11010は電源を含み得る。電源は、例えば、ハンドル11015の外部に設置された電源と、ハンドル11015の中へ延び得るケーブルとを含み得る。電源は、ハンドル11015内に収容された少なくとも1つの電池を含み得る。電池は、第1のハンドル部分11020及び/又はハンドルグリップ11040内に配置され得る。電池、ギヤ、モータ、及び回転シャフトがすべて、ハンドル11015の残りから分離可能な1つのユニットに組み入れられ得ることも考えられる。そのようなユニットは、洗浄可能及び滅菌可能となり得る。
様々な例において、手術器具11010は、手術器具11010の状態を示すように構成された1つ又は2つ以上のインジケータを含み得る。少なくとも1つの実施形態において、手術器具11010は例えばLED 11100を含み得る。手術器具の状態をユーザーに伝えるために、LED 11100は、手術器具11010の種々の動作状態の間、種々の色で発光し得る。例えば、LED 11100は、手術器具11010が給電されており、未使用のステープルカートリッジ11080がカートリッジチャネル11070内に配置されていないとき、第1の色を発光し得る。手術器具11010は、ステープルカートリッジ11080がカートリッジチャネル11070内に存在するか否か、そしてステープルがステープルカートリッジ11080から排出されているか否かを検知するように構成され得る1つ又は2つ以上のセンサを含み得る。LED 11100は、手術器具11010が給電されており、未使用のステープルカートリッジ11080がカートリッジチャネル11070内に配置されているとき、第2の色を発光し得る。LED 11100は、器具11010が給電されており、未使用のステープルカートリッジ11080がカートリッジチャネル11070内に装填されており、アンビル11090が閉位置にあるとき、第3の色を発光し得る。そのような第3の色は、手術器具11010がステープルをステープルカートリッジから直ちに発射できる状態にあることを示唆し得る。LED 11100は、発射プロセスが開始された後に第4の色を発光し得る。LEDは、発射プロセスが完了した後に第5の色を発光し得る。これは、1つの例示的な実施形態に過ぎない。手術器具11010の任意の好適な種類の状態を示すために、任意の好適な種類の色が利用され得る。1つ又は2つ以上のLEDが手術器具の状態を伝えるために利用されるが、他のインジケータが利用されてもよい。
使用の際、手術器具11010のユーザーはまず、ステープルカートリッジ11080をカートリッジチャネル11070の中に置くことによって、手術器具11010にステープルカートリッジ11080を装填し得る。カートリッジ11080がカートリッジチャネル11070の中に装填されることにより、LED 11100は第1の色から第2の色に変化し得る。ステープルカートリッジ11080をカートリッジチャネル11070内に置くために、ユーザーは、ハンドルグリップ11040を握持し、親指起動式のクロージャスイッチを使用して手術器具11010のアンビル11090を開放し得る。ユーザーは次いで、ステープル留め及び切除する組織の一方の側にステープルカートリッジ11080を、その組織のもう一方の側にアンビル11090を位置決めし得る。クロージャボタン11065を自身の親指で保持して、ユーザーは手術器具11010を閉鎖し得る。閉鎖行程が完了する前にクロージャボタン11065が解放されると、必要な場合、アンビル11090が再開放され得、ユーザーに手術器具11010を再位置決めさせ得る。ユーザーは、旋回式ジョーを備えた開放リニアカッターを、リニアカッターの各部分を組み立てる必要なく使用できるという利点を享受し得る。ユーザーは、ピストルグリップの触感の利点を更に享受し得る。
アンビル11090がその完全閉位置に移動されているとき、クロージャチャネル11180はクロージャセンサ11300と接触し得、クロージャセンサ11300は、発射スイッチ11290を作動可能にするようにマイクロプロセッサに通信し得る。そのような時点で、LED 11100は、装填、閉鎖、及び発射準備された手術器具11010を示すために第3の色を発光し得る。ユーザーは次いで発射ボタン11055を押し得、発射ボタン11055は、発射スイッチ11290と接触し、発射スイッチ11290に発射モータ11120を付勢させる。発射モータ11120を付勢することにより、発射シャフト11230が回転され、発射シャフト11230は、次に、第1の発射ギヤ11240及び発射送りねじ駆動ギヤ11250を回転させる。発射送りねじ駆動ギヤ11250は、発射送りねじ11260を回転させる。発射送りねじ11260のねじ山は、発射ブロック11265に画定された雌ねじと係合し、その雌ねじに対して力を加えて、発射ブロック11265を遠位側に移動させる。発射ブロック11265はプッシャブロック11270を遠位側に移動させて、発射ウェッジ11280を遠位側に運ぶ。発射ウェッジ11280の遠位端部のカム表面11305は、ステープルカートリッジ11080内に格納されたステープルをアンビル11090に向かってカム駆動し、アンビル11090はステープルを成形して組織を締結し得る。プッシャブロック11270はナイフブロック11281と係合して、ナイフブロック11281及びナイフ11282を遠位側に押し込んで、ステープル留めされた組織を切除する。発射行程が完了した後、発射モータ1120は、プッシャブロック11270、ナイフブロック11281、発射ウェッジ11280、及びナイフ11282を復帰させるために逆転され得る。手術器具11010は、発射行程がまだ完了していなくても発射組立体を後退させるようにマイクロプロセッサに自動的に命令するボタン及び/又はスイッチを含み得る。いくつかの例において、発射組立体は後退される必要がないこともある。いずれの場合も、ユーザーは、クロージャボタン11065を押すことによって手術器具11010を開放し得る。クロージャボタン11065は、クロージャスイッチ11285と接触し、クロージャモータ11110を付勢し得る。クロージャモータ11110は、クロージャチャネル11180を近位側に後退させて手術器具11010のアンビル11090を再開放するために、逆方向に動作され得る。LED 11100は、カートリッジの発射及び手技の完了を示す第4の色を発光し得る。
手術用ステープル留め器具12010が図99〜106に示されている。器具12010は、ハンドル12015と、ステープルカートリッジ12080とアンビル12090との間で組織を圧迫するように構成されたクロージャラッチ12050を含んだクロージャ駆動部と、ステープルカートリッジ12080からステープルを排出し、組織を切開するように構成された発射駆動部とを含み得る。図99は、開放非ラッチ状態にある器具12010を示している。器具12010がその開放非ラッチ状態にあるとき、アンビル12090は、ステープルカートリッジ12080から離して旋回されている。様々な例において、アンビル12090は、広角度にわたってステープルカートリッジ12080に対して旋回され得、そのため、アンビル12090及びステープルカートリッジ12080は、組織の両側に容易に配置され得るようになる。図100は、閉鎖非ラッチ状態にある器具12010を示している。器具12010がその閉鎖非ラッチ状態にあるとき、アンビル12090は、ステープルカートリッジ12080と対面する閉位置へと、ステープルカートリッジ12080に向かって回転されている。様々な例において、アンビル12090の閉位置は、アンビル12090とステープルカートリッジ12080との中間に配置された組織の厚さに依存し得る。例えば、アンビル12090とステープルカートリッジ12080との中間に配置された組織が、その組織がより薄いときと比べてより厚い場合、アンビル12090は、ステープルカートリッジ12080から更に離れた閉位置に到達し得る。図101は、閉鎖ラッチ状態にある器具12010を示している。器具12010がその閉鎖ラッチ状態にあるとき、クロージャラッチ12050は回転されてアンビル12090と係合し、アンビル12090をステープルカートリッジ12080に対して位置決めしている。そのような時点で、以下で更に詳細に説明するように、手術器具12010の発射駆動部は、ステープルをステープルカートリッジ12080から発射し、組織を切開するように作動され得る。
主として図106を参照すると、手術器具12010は、ハンドル12015から延びるフレーム12020を含み得る。フレーム12020は、その中に画定されたフレームチャネル12022を含み得、そのフレームチャネル12022は、カートリッジチャネル12070を受容及び/又は支持するように構成され得る。カートリッジチャネル12070は、近位端部と遠位端部とを含み得る。カートリッジチャネル12070の近位端部は、フレーム12020に連結され得る。カートリッジチャネル12070の遠位端部は、その中にステープルカートリッジ12080を取り外し可能に受容するように構成され得る。フレームチャネル12022は、その両側に画定されたピボットアパーチャ12207を含み得る。ピボットピン12205がピボットアパーチャ12207内に支持され得、チャネル12022の側部同士の間に延び得る。クロージャラッチ12050は、ラッチバー12052を有するラッチフレーム12051を含み得る。ラッチバー12052は、ラッチバー12052に画定されたピボットアパーチャ12206を通じて延び得るピボットピン12205を用いて、フレーム12020に回転可能に装着され得る。様々な例において、ピボットアパーチャ12206、12207及びピボットピン12205は、クロージャラッチ12050が回転し得る固定軸12208を規定し得る。クロージャラッチ12050は、ラッチバー12052に装着されたラッチハウジング12057を更に含み得る。ラッチハウジング12057が手術器具12010のユーザーによって移動されるとき、ラッチハウジング12057はラッチバー12052を移動させ得る。クロージャラッチ12050の動作については、以下で更に詳細に説明する。
上記に加えて、アンビル12090は、近位端部と遠位端部とを含み得る。アンビル12090の遠位端部は複数のステープル成形ポケットを含み得、これらのステープル成形ポケットは、アンビル12090がその閉位置にあるとき、ステープルカートリッジ12080に画定されたステープルキャビティと整列可能又は位置合わせ可能である。アンビル12090の近位端部は、フレーム12020に旋回可能に連結され得る。アンビル12090はピボットアパーチャ12201を含み得、このピボットアパーチャ12201は、カートリッジチャネル12207に画定されたピボットアパーチャ12202、及びフレーム12020に画定されたピボットアパーチャ12203と整列され得る。ピボットピン12200が、ピボットアパーチャ12201、12202、及び12203を通じて延び得、アンビル12090をカートリッジチャネル12207に回転可能に連結し得る。様々な例において、ピボットアパーチャ12201、12202、及び12203、並びにピボットピン12200は、アンビル12090が回転し得る固定軸を規定し得る。特定の例において、ピボットアパーチャ12201、12202及び/又は12203は、例えば長手方向に細長くてもよく、そのため、ピボットピン12200は、ピボットアパーチャ12201、12202及び/又は12203内でスライドし得るようになる。そのような例において、アンビル12090は、ある軸を中心としてカートリッジチャネル12070に対して回転し、それに加えてカートリッジチャネル12070に対して並進し得る。アンビル12090は、それに装着されたアンビルハウジング12097を更に含み得る。アンビルハウジング12097が手術器具12010のユーザーによって移動されるとき、アンビルハウジング12097は、アンビル1209が開位置(図99)と閉位置(図100)との間で回転され得るように、アンビル12090を移動させ得る。
上記に加えて、アンビル12090はラッチピン12210を更に含み得る。アンビル12090はラッチピンアパーチャ12211を含み得、アンビルハウジング12097は、ラッチピン12210を受容及び支持するように構成されたラッチピンアパーチャ12212を含み得る。アンビル12090がその閉位置、又は閉位置に隣接する位置へと移動されているとき、ラッチ12050はラッチピン12210と係合し、アンビル12090をステープルカートリッジ12080に向かって引っ張り得る。様々な例において、ラッチ12050のラッチバー12052はそれぞれ、ラッチピン12210と係合するように構成されたラッチアーム12053を含み得る。ラッチ12050は、ラッチアーム12053がラッチピン12210と係合されない非ラッチ位置(図100)とラッチ位置(図101)との間で回転され得る。ラッチ12050がその非ラッチ位置とそのラッチ位置との間で移動されるとき、ラッチアーム12053はラッチピン12210と係合し、アンビル12090をステープルカートリッジ12080に向かって移動させ得る。各ラッチアーム12053は、ラッチピン12210と接触するように構成されたカム表面を含み得る。カム表面は、ラッチピン12210をステープルカートリッジ12080に向かって押し、案内するように構成され得る。ラッチ12050がそのラッチ位置に到達したとき、ラッチピン12210は、ラッチバー12052内に画定されたラッチスロット12054内に捕捉され得る。ラッチスロット12054は、少なくとも部分的にラッチアーム12053によって画定され得る。以下で更に詳細に議論するように、ラッチスロット12054の両側は上昇表面を含み得、その上昇表面は、ラッチ12050がそのラッチ位置と、器具12010を開放するためのその非ラッチ位置との間で回転されるとき、ラッチピン12210と係合し、アンビル12090をステープルカートリッジ12080から離して上昇させるように構成され得る。
上で議論したように、アンビル12090は、ステープルカートリッジ12080に向かって移動され得る。様々な例において、ステープルカートリッジ12080に向かうアンビル12090の移動は、アンビル12090の遠位端部がステープルカートリッジ12080の遠位端部と接触したときに停止され得る。特定の例において、アンビル12090の移動は、ラッチピン12210がカートリッジチャネル12070と接触したときに停止され得る。カートリッジチャネル12070は、その中に画定されたスロット12215を含み得、スロット12215はラッチピン12210を受容するように構成されている。各スロット12215は、ラッチピン12210がスロット12215に進入し得る上向き開放端部を、またそれに加えて閉鎖端部を含み得る。様々な例において、ラッチピン12210は、アンビル12090がその閉位置に到達したときに、スロット12215の閉鎖端部と接触し得る。特定の例において、ラッチピン12210は、厚い組織がアンビル12090とステープルカートリッジ12080との間に配置されている場合、スロット12215の閉鎖端部と接触し得ない。少なくとも1つの例において、アンビル12090はストップピン12095を更に含み得る。ストップピン12095は、アンビル12090内に画定されたピンアパーチャ12096を用いてアンビル12090に装着され、アンビル12090によって支持され得る。ストップピン12095は、カートリッジチャネル12070と接触し、ステープルカートリッジ12080に向かうアンビル12090の移動を停止させるように構成され得る。上記と同様に、カートリッジチャネル12070は、その中に画定されたストップスロット12075を更に含み得、ストップスロット12075はストップピン12095を受容するように構成され得る。各ストップスロット12075は、ストップピン12095がストップスロット12275に進入し得る上向き開放端部を、またそれに加えて閉鎖端部を含み得る。様々な例において、ストップピン12095は、アンビル12090がその閉位置に到達したときに、ストップスロット12075の閉鎖端部と接触し得る。特定の例において、ストップピン12095は、厚い組織がアンビル12090とステープルカートリッジ12080との間に配置されている場合、ストップスロット12075の閉鎖端部と接触し得ない。
上で議論したように、カートリッジチャネル12070はフレーム12020に装着され得る。様々な例において、カートリッジチャネル12070は、フレーム12020に強固にかつ固定的に装着され得る。そのような例において、カートリッジチャネル12070は、フレーム12020及び/又はハンドル12015に対して移動可能となり得ない。特定の例において、カートリッジチャネル12070はフレーム12020に旋回可能に結合され得る。少なくとも1つのそのような例において、カートリッジチャネル12070は、その中に画定されたピボットアパーチャ12202を含み得、ピボットアパーチャ12202はピボットピン12200を受容するように構成され得る。そのような状況において、アンビル12090とカートリッジチャネル12070は共に、ピボットピン12200を中心としてフレーム12020に対して回転可能となり得る。ラッチ12050がラッチピン12210と係合されているとき、ラッチ12050は、アンビル12090とカートリッジチャネル12070を定位置に保持し得る。
特定の例において、上記に加えて、器具12010は、アンビル12090がその閉位置にあるか否かを検知するように構成された1つ又は2つ以上のセンサを含み得る。少なくとも1つの例において、器具12010は、フレーム12020とカートリッジチャネル12070との中間に配置された圧力センサを含み得る。圧力センサは、例えば、フレームチャネル12022又はカートリッジチャネル12070の底部に装着され得る。圧力センサがカートリッジチャネル12070の底部に装着されるとき、圧力センサは、カートリッジチャネル12070がフレームチャネル12022に向かって移動されるとき、フレームチャネル12022と接触し得る。上で議論したように、カートリッジチャネル12070がフレームチャネル12022に対して回転可能である場合、カートリッジチャネル12070はフレームチャネル12022に向かって移動され得る。上記に加えてあるいは上記に代わって、カートリッジチャネル12070がフレームチャネル12022に向かって屈曲する場合、カートリッジチャネル12070はフレームチャネル12022に向かって移動され得る。カートリッジチャネル12070は、圧縮荷重がアンビル12090とカートリッジチャネル12070との間に発生されたとき、フレームチャネル12022に向かって屈曲し得る。アンビル12090がその閉位置に移動されるとき、及び/又はアンビル12090がラッチ12050によってカートリッジチャネル12070に向かって移動されるとき、アンビル12090とカートリッジチャネル12070との間に圧縮荷重が発生され得る。アンビル12090がカートリッジチャネル12070に向かって押されるとき、及び/又はラッチ12050が使用されてアンビル12090がカートリッジチャネル12070に向かって引っ張られるとき、カートリッジチャネル12070はピボットピン12205を支承し得る。様々な例において、カートリッジチャネル12070はその中に画定されたスロット又は溝12209を含み得、そのスロット又は溝12209は、ピボットピン12205を受容するように構成され得る。いずれの場合も、圧力センサは、圧力又は力がカートリッジチャネル12070に加えられていることを検知するように構成され得る。圧力センサは、手術器具12010のマイクロプロセッサと信号通信をなし得る。圧力センサによって検知される圧力又は力が閾値を超えたとき、マイクロプロセッサは、器具12010の発射システムを動作させ得る。圧力又は力が閾値を超える前に、マイクロプロセッサは、ユーザーが発射システムを動作させようとしたとき、アンビル12090が閉鎖され得ないか又は十分に閉鎖され得ないことを手術器具12010のユーザーに警告し得る。そのような警告に加えてあるいはそれに代わって、マイクロプロセッサは、圧力センサによって検知された圧力又は力が閾値を超えていない場合にも、器具12010の発射システムが動作されるのを防止し得る。
特定の例において、上記に加えて、器具12010は、ラッチ12050がそのラッチ位置にあるか否かを検知するように構成された1つ又は2つ以上のセンサを含み得る。少なくとも1つの例において、器具12010は、フレーム12020とカートリッジチャネル12070との中間に配置されたセンサ12025を含み得る。センサ12025は、例えば、フレームチャネル12022又はカートリッジチャネル12070の底部に装着され得る。センサ12025がカートリッジチャネル12070の底部に装着される場合、ラッチ12050がその非ラッチ位置からそのラッチ位置へと移動されるとき、ラッチ12050はセンサ12025と接触し得る。センサ12025は、手術器具12010のマイクロプロセッサと信号通信をなし得る。ラッチ12050がそのラッチ位置にあることをセンサ12025が検知すると、マイクロプロセッサは器具12010の発射システムを動作させ得る。ラッチ12050がそのラッチ位置にあることをセンサ12025が検知する前に、マイクロプロセッサは、ユーザーが発射システムを動作させようとしたとき、アンビル12090が閉鎖され得ないか又は十分に閉鎖され得ないことを手術器具12010のユーザーに警告し得る。そのような警告に加えてあるいはそれに代わって、マイクロプロセッサは、ラッチ12050がそのラッチ位置に検出されない場合、器具12010の発射システムが動作されるのを防止し得る。様々な例において、例えば、センサ12025は接近センサを備え得る。様々な例において、例えば、センサ12025はホール効果センサを備え得る。少なくとも1つのそのような例において、ラッチ12050は、ホール効果センサによって検出され得る、例えば永久磁石などの少なくとも1つの磁石要素を含み得る。様々な例において、センサ12025は、例えばブラケット12026によって定位置に保持され得る。
主として図105を参照すると、手術器具12010の発射システムは、発射シャフト12230を回転させるように構成された発射モータ12120を含み得る。発射モータ12120は、発射シャフト12230が遠位側に延びるように、手術器具12010のハンドル12015内でモータフレーム12125に装着され得る。発射システムは、第1に、クロージャシャフト12230に装着された第1の発射ギヤ12240を、そして第2に、送りねじ12260に装着された送りねじギヤ12250を含むギヤトレーンを更に備え得る。第1の発射ギヤ12240は送りねじギヤ12250と噛み合い係合され得、それにより、第1の発射ギヤ12240が発射シャフト12230によって回転されるときに、第1の発射ギヤ12240が送りねじギヤ12250を回転させ得、送りねじギヤ12250が送りねじ12260を回転させ得るようになっている。主として図104を参照すると、送りねじ12260は、モータブロック12125内に画定されたアパーチャ内に回転可能に装着される第1の端部12261と、ハンドル12015の軸受部分12264に装着される軸受内で回転可能に支持される第2の端部12263とを備え得る。送りねじ12260は、第1の端部12261と第2の端部12263との間で延びるねじ付き部分12262を更に含み得る。発射システムは、送りねじ12260のねじ付き部分12262と螺合可能に係合された発射ナット12265を更に備え得る。発射ナット12265は送りねじ12260と共に回転するのを抑制され得、そのため、送りねじ12260が発射モータ12120によって第1の方向に回転されるとき、送りねじ12260は発射ナット12265を遠位側に前進させ得、また同様に、送りねじ12260が発射モータ12120によって第2の、つまり反対の方向に回転されるとき、送りねじ12260は発射ナット12265を近位側に後退させ得るようになっている。
上記に加えて、発射ナット12265は、発射ナット12265と共に並進し得る発射ブロック12270に装着され得る。様々な例において、発射ナット12265と発射ブロック12270とは一体に形成され得る。上記と同様に、発射システムは、発射システムから延びる発射バー12280を更に含み得、発射バー12280は、発射ナット12265及び発射ブロック12270と共に並進する。様々な例において、発射ナット12265、発射ブロック12270、及び発射バー12280は、送りねじ12160によって近位側及び/又は遠位側に並進される発射組立体を構成し得る。発射組立体が送りねじ12260によって遠位側に前進されるとき、発射バー12280はステープルカートリッジ12080の中に進入し、ステープルカートリッジ12080からステープルを排出し得る。発射システムは、ナイフブロック12281とナイフバー12282とを更に備え得、ナイフバー12282は、ナイフブロックに装着され、ナイフブロック12281から延びる。発射ブロック12270が遠位側に前進されるとき、発射バー12280はナイフブロック12281と係合し、ナイフブロック12281とナイフバー12282を遠位側に前進させ得る。様々な例において、発射ブロック12270は、発射行程の初期部分の間にはナイフブロック12281に対して移動し、次いで発射行程の最終部分の間には共に移動し得る。少なくとも1つのそのような例において、発射バー12280は、発射バー12280から延びる1つ又は2つ以上の隆起表面がナイフブロック12281と接触し、ナイフブロック12281を遠位側に発射バー12280と共に押すまで、ナイフブロック12281内に画定されたスロットを通じてスライドし得る。様々な例において、発射組立体はナイフブロック12281とナイフバー12282とを更に含み得、ナイフバー12282は、発射ブロック12270及び発射バー12280と同時に移動し得る。いずれの場合も、ナイフバー12282が遠位側に前進されるとき、ナイフバー12282の切断縁部12283が、アンビル12090とステープルカートリッジ12080との間に捕捉された組織を切開し得る。1987年1月6日に発行された米国特許第4,633,874号、名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT WITH JAW LATCHING MECHANISM AND DISPOSABLE LOADING CARTRIDGE」のすべての開示内容が、参照によって本明細書に組み込まれる。
主として図106を参照すると、手術器具12010の発射システムは、発射ボタン12055と発射スイッチ12290とを含み得る。手術器具12010のユーザーが発射ボタン12055を押下すると、発射ボタン12055は発射スイッチ12290と接触し、発射モータ12120を動作させ得る発射回路を閉鎖し得る。手術器具12010のユーザーが発射ボタン12055を解放すると、発射回路は開放され得、発射モータ12120への電力供給が中断され得る。発射ボタン12055はもう一度、押されて、発射モータ12120をもう一度、動作させ得る。特定の例において、発射ボタン12055は双方向スイッチを備え得、その双方向スイッチは、第1の方向に押されると発射モータ12120を第1の方向に動作させ得、第2の方向に押されると発射モータ12120を第2の、つまり反対の方向に動作させ得る。発射スイッチ12090及び/又は任意の好適な構成の発射スイッチは手術器具12010のマイクロプロセッサと信号通信をなし得、そのマイクロプロセッサは、発射モータ12120に供給される電力を制御するように構成され得る。特定の例において、上記に加えて、マイクロプロセッサは、ラッチ12050が閉鎖されたことをセンサ12025が検知するまで、発射ボタン12055からの信号を無視し得る。いずれの場合も、発射ボタン12055は、発射バー12280及びナイフ12282を遠位側に前進させるためには第1の方向に、発射バー12280及びナイフ12282を近位側に後退させるためには第2の方向に押され得る。特定の例において、手術器具12010は、発射モータ12120をその第1の方向に動作させるように構成された発射ボタン及びスイッチと、発射モータ12120をその第2の方向に動作させるように構成された後退ボタン及びスイッチとを含み得る。発射バー12280及びナイフ12282が後退した後、ラッチ12050はそのラッチ位置からその非ラッチ位置に移動されて、ラッチピン12210からラッチアーム12053を分離し得る。その後、アンビル12090はステープルカートリッジ12080から離して旋回されて、手術器具12010を解放非ラッチ状態に復帰させ得る。上記と同様に、手術器具12010は、手術器具12010のステータスを指示するように構成された、例えばLED 12100などの1つ又は2つ以上のインジケータを含み得る。LED 12100は、例えば、手術器具12010のマイクロプロセッサと信号通信をなし得、LED 11100に関連して説明した方式と同様の方式で動作し得る。LED 12100は、例えばブラケット12101によって定位置に保持され得る。
様々な例において、器具12010は発射ロックアウトシステムを含み得、その発射ロックアウトシステムは、アンビル12090が閉位置又は実質的閉位置にある場合に、ナイフ12282及び/又は発射バー12280の前進を阻止し得る。図104及び106を参照すると、器具12010は、例えば、カートリッジチャネル12070に装着された付勢部材12400を備え得、付勢部材12400は、ナイフ12282を付勢してハンドル12015のロック部分と係合させ得る。アンビル12090がその閉位置へと回転されるとき、アンビル12090は、付勢部材12400の付勢力に抗して、ナイフ12282を下向きに押して、ロック部分から離し得る。そのような時点で、ナイフ12282は遠位側に前進され得る。同様に、器具12010は、発射バー12280を付勢してハンドル12015のロック部分と係合させ得る付勢部材を含み得、ここで、アンビル12090がその閉位置へと移動されるとき、アンビル12090はロック部分から発射バー12280を分離し得る。
手術器具12010は、手動クロージャシステムと電動ステープル発射システムとを備え得る。ハンドル12015の一部分12040は手術器具12010のユーザーの片手で握持され得、アンビル1209及びラッチ12050はもう一方の手で操作され得る。ラッチ12050を閉鎖することの一部として、少なくとも1つの実施形態において、ユーザーは、自身の一方の手を概ね自身のもう一方の手の方向に移動させ得、これにより、手術器具12010の偶然及び偶発による動作が低減され得る。手術器具12010は、任意の好適な電源によって給電され得る。例えば、電気ケーブルが外部電源からハンドル12015の中へと延び得る。特定の例において、例えば電池がハンドル12015内に格納され得る。
手術用ステープル留め器具13010が図107〜110に示されている。図107は、一部の構成要素を取り除き、その他を横断面図で示した手術器具13010の側面図である。器具13010は、ハンドル13015と、第1のアクチュエータ13020と、第2のアクチュエータ13030と、シャフト組立体13040と、エンドエフェクタ13012とを備え得、エンドエフェクタ13012はアンビル13050とステープルカートリッジ13055とを含んでいる。シャフト部分13040及びアンビル13050は、1998年1月6日に発行された米国特許第5,704,534号、名称「ARTICULATION ASSEMBLY FOR SURGICAL INSTRUMENTS」に図示及び議論されているように動作され得る。1998年1月6日に発行された米国特許第5,704,534号、名称「ARTICULATION ASSEMBLY FOR SURGICAL INSTRUMENTS」のすべての開示内容が参照によって本明細書に組み込まれる。電気入力ケーブル13018が、器具13010を外部電源に接続し得る。少なくとも1つの例において、外部電源は、例えば、オハイオ州シンシナティ(Cincinnati)のエチコン・エネルギー社(Ethicon Energy)によって製造されているGEN11発電器などの発電器を含み得る。様々な例において、外部電源はAC/DCアダプタを含み得る。特定の例において、器具13010は、例えば、2012年7月3日に発行された米国特許第8,210,411号、名称「MOTOR−DRIVEN SURGICAL CUTTING INSTRUMENT」で図示され議論されている電池など、内部電池によって給電され得る。2012年7月3日に発行された米国特許第8,210,411号、名称「MOTOR−DRIVEN SURGICAL CUTTING INSTRUMENT」のすべての開示内容が参照によって本明細書に組み込まれる。
様々な例において、主として図107を参照すると、エンドエフェクタ13012のアンビル13050は、以下で更に詳細に説明するように、図107に示すような開位置と、アンビル13050がステープルカートリッジ13055と隣接又は接触して配置される閉位置との間で移動可能となり得る。少なくとも1つのそのような例において、ステープルカートリッジ13055は、アンビル13050に対して旋回可能となり得ない。特定の例において、図示しないが、ステープルカートリッジ13055は、アンビル13050に対して旋回可能となり得る。少なくとも1つのそのような例において、アンビル13050は、ステープルカートリッジ13055に対して旋回可能となり得ない。いずれの場合も、器具13010のユーザーは、組織Tをアンビル13050とカートリッジ13055との間に配置するために、エンドエフェクタ13012を操作し得る。組織Tがアンビル13050とステープルカートリッジ13055との間に適切に配置されると、ユーザーは次いで、第1のアクチュエータ13020を引いて器具13010のクロージャシステムを作動させ得る。クロージャシステムは、ステープルカートリッジ13055に対してアンビル13050を移動させ得る。例えば、以下で更に詳細に説明するように、第1のアクチュエータ13020は、ハンドル13015のピストルグリップ部分13016に向かって引かれてアンビル13050を閉鎖し得る。
クロージャ駆動部は、アンビル13050を移動させるように構成されたクロージャモータ13105(図110)を含み得る。クロージャモータ13105は、例えばモータブラケット13101を介してハンドル13015に装着され得る。第1のアクチュエータ13020をその開位置(図108)からその閉位置(図109)へと絞り込むことにより、クロージャモータ13105が付勢され得る。主として図110を参照すると、クロージャモータ13105は、クロージャ送りねじ13110と動作可能に係合される回転可能な出力シャフトを含み得る。クロージャモータ13105が出力シャフトを第1の方向に回転させるとき、出力シャフトは、クロージャ送りねじ13110を第1の方向に回転させ得る。クロージャ送りねじ13110は、ハンドル13015内で回転可能に支持され得、またねじ付き部分を含み得る。クロージャ駆動部は、クロージャ送りねじ13110のねじ付き部分12262と螺合可能に係合されたクロージャナットを更に含み得る。クロージャナットは、クロージャ送りねじ13110と共に回転するのを抑制され得、そのため、クロージャ送りねじ13110の回転動作がクロージャナットに伝達され得るようになっている。クロージャナットは、クロージャヨーク13120と係合されるか又はクロージャヨーク13120と一体に形成され得る。クロージャモータ13015がその第1の方向に回転されるとき、クロージャ送りねじ13110はクロージャヨーク13120を遠位側に前進させ得る。様々な例において、クロージャヨーク13120は、ハンドル13015から延びるレール13122によってハンドル13015内にスライド可能に支持され得、レール13122は、クロージャヨーク13120の運動を長手方向軸に沿って画定された経路に抑制し得る。そのような軸は、シャフト組立体13040によって規定された長手方向軸と平行であり得るか、実質的に平行であり得るか、共線をなし得るか、又は実質的に共線をなし得る。クロージャ駆動部は、クロージャヨーク13120から遠位側に延びるクロージャチューブ13125を更に含み得る。クロージャチューブ13125はまた、シャフト組立体13040の一部となり得、シャフト組立体13040のフレームに対して並進し得る。クロージャヨーク13120がクロージャ送りねじ13110によって遠位側に前進されるとき、クロージャヨーク13120はクロージャチューブ13125を遠位側に前進させ得る。クロージャチューブ13125の遠位端部はアンビル13050と動作可能に係合され得、そのため、クロージャチューブ13125が遠位側に前進されるとき、クロージャチューブ13125はアンビル13050をその開位置からその閉位置に向かって押し得る。1998年1月6日に発行された米国特許第5,704,534号、名称「ARTICULATION ASSEMBLY FOR SURGICAL INSTRUMENTS」に手動クロージャシステムが開示されている。
少なくとも1つの形態において、器具13010は、ハンドル13015内に配置されたクロージャシステムスイッチを含み得、そのクロージャシステムスイッチは、第1のアクチュエータ13020がその開位置(図108)からその閉位置(図109)に向かって移動されるときに閉鎖され得る。特定の例において、クロージャシステムスイッチは、第1のアクチュエータ13020がその閉位置(図109)にあるときに閉鎖され得る。いずれの場合も、上で議論したように、クロージャシステムスイッチが閉鎖されているとき、クロージャモータ13105をその第1の方向に回転させるために、クロージャシステム電力回路が閉鎖されて電力がクロージャモータ13105に供給され得る。特定の例において、手術器具13010はマイクロプロセッサを含み得、また上記と同様に、クロージャシステムスイッチは、そのマイクロプロセッサと信号通信をなし得る。第1のアクチュエータ13020が閉鎖されていることを示す信号をクロージャシステムスイッチがマイクロプロセッサに送信したとき、マイクロプロセッサは電力をクロージャモータ13105に供給して、クロージャモータ13105をその第1の方向に動作させ、アンビル13050をその閉位置に向かって移動させ得る。様々な例において、第1のアクチュエータ13020が少なくとも部分的に作動されており、クロージャシステムスイッチが閉鎖状態にある限り、クロージャモータ13105は、アンビル13050をその閉位置に向かって移動させ得る。ユーザーが第1のアクチュエータ13020を解放し、第1のアクチュエータ13020がその非作動位置に復帰された場合、クロージャシステムスイッチは開放され得、クロージャモータ13105への電力供給が中断され得る。そのような例では、アンビル13050は部分的に閉位置に残され得る。第1のアクチュエータ13020がもう一度、作動され、クロージャシステムスイッチが閉鎖されているとき、電力がもう一度、クロージャモータ13105に供給されて、アンビル13050がその閉位置に向かって移動され得る。上記を考慮して、手術器具13010のユーザーは第1のアクチュエータ13020を作動させ、クロージャモータ13105がアンビル13050をその完全閉位置に配置するまで待機し得る。
少なくとも1つの形態において、第1のアクチュエータ13020の運動は、アンビル13050の運動と比例し得る。第1のアクチュエータ13020は、その開位置(図108)とその閉位置(図109)との間で移動されるとき、第1の、つまりアクチュエータの動作範囲の全体にわたって移動し得る。同様に、アンビル13050は、その開位置(図107)とその閉位置との間で移動されるとき、第2の、つまりアンビルの動作範囲の全体にわたって移動し得る。アクチュエータの動作範囲は、アンビルの動作範囲に対応し得る。一例として、アクチュエータの動作範囲はアンビルの動作範囲に等しくなり得る。例えば、アクチュエータの動作範囲は約30度を含み得、アンビルの動作範囲は約30度を含み得る。そのような例において、アンビル13050は、第1のアクチュエータ13020がその完全開位置にあるときには完全開位置に位し得、アンビル13050は、第1のアクチュエータ13020が閉位置に向かって10度、回転されるときに、閉位置に向かって10度、回転され得、アンビル13050は、第1のアクチュエータ13020が閉位置に向かって20度、回転されるときに、閉位置に向かって20度、回転され得、他も同様である。第1のアクチュエータ13020とアンビル13050とがこのように正比例することにより、器具13010のユーザーは、アンビル13050が手術部位において視界から遮られた場合でも、ステープルカートリッジ13055に対するアンビル位置13050の感覚を得ることができる。
上記に加えて、アンビル13050は、第1のアクチュエータ13020の閉鎖動作と開放動作の両方に応答し得る。例えば、第1のアクチュエータ13020がピストルグリップ13016に向かって10度、移動されるとき、アンビル13050はステープルカートリッジ13055に向かって10度、移動され得、また、第1のアクチュエータ13020がピストルグリップ13016から離れて10度、移動されるとき、アンビル13050はステープルカートリッジ13055から離れて10度、移動され得る。第1のアクチュエータ13020の運動とアンビル13050の運動は、1:1の比に従って正比例し得るが、他の比も可能である。例えば、第1のアクチュエータ13020の運動とアンビル13050の運動は、例えば2:1の比に従って正比例し得る。そのような例において、アンビル13050は、第1のアクチュエータ13020がピストルグリップ13016に対して2度、移動されるとき、ステープルカートリッジ13055に対して1度、移動することになる。更に、そのような例において、第1のアクチュエータ13020の動作範囲は、アンビル13050の動作範囲の2倍となり得る。別の例において、例えば、第1のアクチュエータ13020の運動とアンビル13050の運動は、1:2の比に従って正比例し得る。そのような例において、アンビル13050は、第1のアクチュエータ13020がピストルグリップ13016に対して1度、移動されるとき、ステープルカートリッジ13055に対し2度、移動することになる。更に、そのような例において、第1のアクチュエータ13020の動作範囲は、アンビル13050の動作範囲の半分となり得る。様々な例において、第1のアクチュエータ13020の動作は、アンビル13050の動作に線形に比例し得る。他の例において、第1のアクチュエータ13020の動作は、アンビル13050の動作に非線形に比例し得る。以下で更に詳細に説明するように、用いられる比にかかわらず、そのような実施形態は、例えば、第1のアクチュエータ13020の回転を評価し得る電位差計の使用によって可能となり得る。
上記に加えて、図108〜110を参照すると、器具13010のクロージャシステムは、第1のアクチュエータ13020の運動を検知し得るスライドポテンショメータ13090を備え得る。第1のアクチュエータ13020は、ピボット13021を介してハンドル13015に旋回可能に装着され得る。第1のアクチュエータ13020はギヤ部分13070を備え得、ギヤ部分13070は、ピボット13021の周りに円周方向に延びる複数のギヤ歯を備える。第1のアクチュエータ13020がピストルグリップ13016に向かって近位側に回転されるとき、上記に加えて、ギヤ部分13070は遠位側に回転され得る。同様に、第1のアクチュエータ13020がピストルグリップ13016から離れて遠位側に回転されるとき、ギヤ部分13070は近位側に回転され得る。クロージャシステムは、ハンドル13015内にスライド可能に支持されるクロージャヨークラック13080を更に備え得る。クロージャヨークラック13080は、第1のアクチュエータ13020のギヤ部分13070に面するクロージャヨークラック13080の底面に沿って延びる歯の縦配列を備え得る。第1のアクチュエータ13020のギヤ部分13070は、クロージャヨークラック13080上に画定された歯の配列と噛み合い係合され得、そのため、第1のアクチュエータ13020がピボット13021を中心として回転されるとき、第1のアクチュエータ13020は、第1のアクチュエータ13020が回転される方向に応じて、近位側又は遠位側にクロージャヨークラック13080を変位させ得るようになっている。例えば、第1のアクチュエータ13020がピストルグリップ13016に向かって回転されるとき、第1のアクチュエータ13020はクロージャヨークラック13080を遠位側に変位させ得る。同様に、第1のアクチュエータ13020がピストルグリップ13016から離れて回転されるとき、第1のアクチュエータ13020はクロージャヨークラック13080を近位側に変位させ得る。ハンドル13015は、その中に画定されたガイドスロットを含み得、そのガイドスロットは、クロージャヨークラック13080をスライド可能に支持し、クロージャヨークラック13080の運動を長手方向軸に沿って画定された経路に抑制するように構成され得る。この長手方向軸は、シャフト組立体13040の長手方向軸と平行であり得るか、実質的に平行であり得るか、共線をなし得るか、又は実質的に共線をなし得る。
クロージャヨークラック13080は、その上に装着された検出可能要素13081を含み得る。検出可能要素13081は、例えば永久磁石などの磁気要素を含み得る。検出可能要素13081は、クロージャラック13080がハンドル13015内で並進されるとき、スライドポテンショメータ13090内に画定された長手方向スロット13091内で並進するように構成され得る。スライドポテンショメータ13090は、長手方向スロット13091内の検出可能要素13081の位置を検出し、その位置を手術器具13010のマイクロプロセッサに伝えるように構成され得る。例えば、第1のアクチュエータ13020が、その開位置、又は非作動位置(図108)にあるとき、検出可能要素13081は長手方向スロット13091の近位端部に配置され得、ポテンショメータ13090は、第1のアクチュエータ13020がその開位置にあることをマイクロプロセッサに示し得る信号をマイクロプロセッサに伝送し得る。この情報を用いて、マイクロプロセッサはアンビル13050をその開位置に維持し得る。第1のアクチュエータ13020がピストルグリップ13016に向かって回転されるとき、検出可能要素13081は長手方向スロット13091内で遠位側にスライドし得る。ポテンショメータ13090は、第1のアクチュエータ13020の位置を示し得る1つの信号又は複数の信号をマイクロプロセッサに伝送し得る。そのような1つの信号又は複数の信号に反応して、マイクロプロセッサは、第1のアクチュエータ13020の位置に対応する位置にアンビル13055を移動させるようにクロージャモータ13105を動作させ得る。例えば、第1のアクチュエータ13020が、その閉位置又は完全非作動位置(図109)にあるとき、検出可能要素13081は長手方向スロット13091の遠位端部に配置され得、ポテンショメータ13090は、第1のアクチュエータ13020がその閉位置にあることをマイクロプロセッサに示し得る信号をマイクロプロセッサに伝送し得る。この情報を用いて、マイクロプロセッサはアンビル13050をその閉位置に移動させ得る。
上で議論したように、第1のアクチュエータ13020がハンドル13015のピストルグリップ13016に実質的に隣接するように引かれるとき、クロージャヨークラック13080はその最遠位位置に移動される。クロージャヨークラック13080がその最遠位位置にあるとき、クロージャ解放ボタン13140は、クロージャヨークラック13080と係合してクロージャヨークラック13080をその最遠位位置に解放可能に保持し、その結果、アンビル13050をその閉位置に解放可能に保持し得る。主として図108を参照すると、クロージャ解放ボタン13140は、ピボット13141を中心として旋回可能にハンドル13015に装着され得る。クロージャ解放ボタン13140は、クロージャ解放ボタン13140から延びるロックアーム13142を含み得る。第1のアクチュエータ13120がその非作動位置にあり、クロージャヨークラック13080がその最近位位置にあるとき、ロックアーム13142は、クロージャヨークラック13080の上部表面の上方にかつ/又はそれに当接して配置され得る。そのような位置において、クロージャヨークラック13080はロックアーム13142に対してスライドし得る。いくつかの状況において、ロックアーム13142は、クロージャヨークラック13080の上部表面に対して付勢され得る。以下で更に詳細に説明するように、器具13010は、第1のアクチュエータ13020及び第2のアクチュエータ13030を図108に示す非作動構成にて解放可能に保持するように構成されたロック13290を更に備え得る。ばね13150がロック13290と発射ボタン13140との中間に配置され得、ばね13150は、ピボット13141を中心としてクロージャ解放ボタン13140を回転可能に付勢し、クロージャヨークラック13080の上部表面に当接させてロックアーム13142を配置し得る。様々な例において、ロック13290は近位突出部13296を含み得、クロージャ解放ボタン13140は遠位突出部13146を含み得、遠位突出部13146は、ロック13290とクロージャ解放ボタン13140との間の定位置にばね13150を保持及び整合させるように構成され得る。図109に示すように、第1のアクチュエータ13020がその作動位置へと回転されると、クロージャヨークラック13080はその最遠位位置に位し得、ロックアーム13142は、クロージャヨークラック13080の近位端部に画定されたノッチ13082の中へと付勢され、つまり引き込まれ得る。更に、第1のアクチュエータ13020が、図109及び110に示すその閉位置又は作動位置に移動されるとき、第1のアクチュエータ13020はロック13290を近位側に押し、ピボット13214を中心としてロック13290を回転させ得る。少なくとも1つの例において、第1のアクチュエータ13020は、第1のアクチュエータ13020から延びるアクチュエータ突出部13025を含み得、アクチュエータ突出部13025は、ロック13290から延びる遠位突出部13295と係合するように構成される。ロック13290のそのような運動により、ばね13150がロック13290とクロージャ解放ボタン13140との間で圧縮され、クロージャ解放ボタン13140に加えられる付勢力が増大され得る。ロックアーム13142がノッチ13082と係合されると、クロージャヨークラック13080は、近位方向又は遠位方向に移動可能になり得ないか、又は少なくとも部分的に移動可能となり得ない。
上で議論したように、第1のアクチュエータ13020及び第2のアクチュエータ13030は、図108に示す非作動位置に解放可能に保持され、かつ/又はその非作動位置へと付勢され得る。器具13010は戻しばね13210を含み得、戻しばね13210は、ピボット13214に結合される第1の端部と、第2のアクチュエータ13030から延びるばねマウント13034に結合される第2の端部とを含み得る。第2のアクチュエータ13030は、ピボット13021を中心として回転可能にハンドル13015に装着され得、戻しばね13210は付勢力を第2のアクチュエータ13030に加えて、ピボット13021を中心として第2のアクチュエータ13030を回転させ得る。ロック13290は、ピボット13021を中心とした第2のアクチュエータ13030の回転を停止させ得る。より具体的に言えば、ばね13150は、クロージャ復帰ボタン13140を付勢してクロージャヨークラック13080と係合させるように作用し、ロック13290を遠位側に押すようにも作用し得、そのため、ロック13290のロックアーム13292は、第2のアクチュエータ13030に画定されたショルダー13032の背後に配置され、それによって第2のアクチュエータ13030の回転が制限され、第2のアクチュエータ13030は図108に示すようにその非作動位置に保持され得るようになっている。主として図110を参照すると、第2のアクチュエータ13030はショルダー13031を備え得、ショルダー13031は、第1のアクチュエータ13020のギヤ部分13070と当接し、第1のアクチュエータ13020をその非作動位置(図108)へと付勢するように構成され得る。第1のアクチュエータ13020がその作動位置(図109)に向かって回転されるとき、第1のアクチュエータ13020は、ばね13210によって与えられる付勢力に抗して、第2のアクチュエータ13030をピストルグリップ13016に向かって少なくとも部分的に回転させ得る。実際に、第1のアクチュエータ13020が作動することにより、第2のアクチュエータ13030は、手術器具13010のユーザーからアクセス可能にされ得る。第1のアクチュエータ13020の作動に先立って、第2のアクチュエータ13030は、ユーザーからアクセス不能になり得る。いずれの場合も、第1のアクチュエータ13020が作動することによってロック13295が近位側に押されることが、読者には思い出されよう。ロック13295がそのように近位側に移動することにより、ロック13295が、第2のアクチュエータ13030に画定されたショルダー13032の背後から変位され得る。
上で議論したように、第1のアクチュエータ13020がその完全作動位置(図109)へと移動及びロックされ、アンビル13050がその閉位置へと移動されると、器具13010が使用されて、アンビル1305とステープルカートリッジ13055との中間に配置された組織がステープル留めされ得る。ユーザーがアンビル13050とステープルカートリッジ13055との間の組織の位置に不満である場合、ユーザーは、クロージャ解放ボタン13140を押下することによってアンビル13050をロック解除し得る。クロージャ解放ボタン13140が押下されるとき、クロージャ解放ボタン13140のロックアーム13142は上向きに旋回されてノッチ13082を外れ、これによってクロージャヨークラック13080は、近位側に移動できるようにされ得る。更に、戻りばね13210は、第1のアクチュエータ13020及び第2のアクチュエータ13030を、図109に示すそれらの非作動位置に復帰させ得、また、ギヤ部分13070とクロージャヨークラック13080との噛み合い係合によって、戻りばね13210はクロージャヨークラック13080を再びその近位位置へと復帰させ得る。クロージャヨークラック13080のそのような移動は、スライドポテンショメータ13090によって検出され得、スライドポテンショメータ13090は、第1のアクチュエータ13020がその非作動位置に復帰されており、アンビル13050がその開位置に復帰されるべきであるという信号を、器具13010のマイクロプロセッサに伝送し得る。それに反応して、マイクロプロセッサは、第2の方向に回転して閉鎖システムのクロージャナットを近位側に駆動し、クロージャ管13125を近位側に後退させるようにクロージャモータ13105に命令し得、これによってアンビル13050は再びその開位置に復帰されることになる。ユーザーは次いで、第1のアクチュエータ13020をもう一度、作動させることによって、アンビル13050及びステープルカートリッジ13055を再配置し、アンビル13050を再閉鎖し得る。様々な例において、器具13010のマイクロプロセッサは、アンビル13050が閉位置又は十分に閉位置にあることをポテンショメータ13090が検知するまで、第2のアクチュエータ13030からの入力信号を無視するように構成され得る。
ユーザーがアンビル13050及びステープルカートリッジ13055の位置に満足すると、上記に加えて、ユーザーは、第2のアクチュエータ13030が第1のアクチュエータ13020に近接するように、第2のアクチュエータ13030を閉位置又は作動位置に引き得る。第2のアクチュエータ13030が作動することにより、ハンドル13015内の発射スイッチ13180が押下、つまり閉鎖され得る。様々な例において、発射スイッチ13180はモータマウント13102によって支持され得、モータマウント13102はまた、クロージャモータ13105及び/又は発射モータ13100を支持するように構成され得る。発射スイッチ13180の閉鎖により、発射モータ13100が動作され得る。特定の例において、発射スイッチ13180は、手術器具13010のマイクロプロセッサと信号通信をなし得る。第2のアクチュエータ13030が十分に作動されているという信号をマイクロプロセッサが発射スイッチ13180から受信すると、マイクロプロセッサは発射モータ13100に電力を供給し得る。様々な例において、発射スイッチ13180の閉鎖により、発射モータ13100は直接、DC又はAC電源に接続されて、発射モータ13100が動作され得る。少なくとも1つの例において、発射スイッチ13180は、第2のアクチュエータ13030がその完全閉位置に到達するまで発射スイッチ13180が閉鎖されないように構成され得る。主として図110を参照すると、第2のアクチュエータ13030の回転は、第2のアクチュエータ13030が第1のアクチュエータ13020と接触したときに、完全閉位置にて停止され得る。少なくとも1つのそのような例において、第1のアクチュエータ13020は、停止用凹部13023を備え得、停止用凹部13023は、第2のアクチュエータ13030がその閉位置に到達したとき、第2のアクチュエータ13030から延びる停止用突出部13033を受容するように構成される。
発射モータ13100は、発射システムの発射送りねじ13190と動作可能に係合される回転可能な出力シャフトを含み得る。発射モータ13100がその出力シャフトを第1の方向に回転させるように動作されるとき、出力シャフトは、発射送りねじ13190を第1の方向に回転させ得る。発射モータ13100がその出力シャフトを第2の、つまり反対の方向に回転させるように動作されるとき、出力シャフトは、発射送りねじ13190を第2の方向に回転させ得る。発射システムは、発射送りねじ13190のねじ付き部分と螺合可能に係合される発射ナットを更に備え得る。発射ナットは発射送りねじ13190と共に回転するのを抑制され得るため、発射送りねじ13190が回転することにより、発射送りねじ13190が回転される方向に応じて、近位側又は遠位側に発射ナットを並進させ得るようになっている。発射システムは発射シャフト13220を更に備え得、発射シャフト13220は、発射ナット共に変位され得る発射ナットに動作可能に連結される。発射システムはまた、ナイフバー13200とステープル配備発射バンドとを更に備え得、ステープル配備発射バンドは発射シャフト13220から遠位側に延びる。発射モータ13020がその第1の方向に回転されるとき、発射送りねじ13190は、発射ナット、発射シャフト13220、ナイフバー13200、及び発射バンドを遠位側に変位させて、ステープルカートリッジ13055からステープルを排出し、アンビル13050とステープルカートリッジ13055との中間に配置された組織を切開し得る。ナイフ13200及び発射バンドが、それらの移動の終端に到達すると、マイクロプロセッサは発射モータ13100をその第2の、つまり反対の方向に回転させて、ナイフ13200及びバンドを再びそれらの元の位置に戻し得る。様々な例において、器具13010は、マイクロプロセッサと信号通信をなす移動終端センサを含み得、この移動終端センサは、発射駆動部がその発射行程の終端に到達したこと、そして発射行程が後退されるべきであることをマイクロプロセッサに伝え得る。例えば、そのような行程終端センサがアンビル13050及び/又はステープルカートリッジ13055内に配置され得る。特定の例において、発射モータ13100に動作可能に結合されたエンコーダが、ナイフ13200及び発射バンドがそれらの行程の終端に到達するのに十分な回転数にわたって発射モータ13100が回転していると判断し、発射システムが後退されるべきであることをマイクロプロセッサに伝え得る。
第2のアクチュエータ13030が作動されると、しかしながら、器具13010はその発射状態となり、またマイクロプロセッサは、発射システムがその元の位置に復帰されるまで、第1のアクチュエータ13020及び/又はスライドポテンショメータ13090からのいかなる入力をも無視するように構成され得る。様々な例において、器具13010は中止ボタンを含み得、その中止ボタンは、押下されると、発射組立体が直ちに後退されるべきであることをマイクロプロセッサに伝え得る。少なくとも1つのそのような例において、発射シーケンスは、クロージャ解放ボタン13140が押下されたときに一時停止され得る。上で議論したように、クロージャ解放ボタン13140を押すことにより、クロージャヨークラック13080が近位側に移動し、次にクロージャヨークラック13080は、検出可能要素13081を近位側に移動させる。検出可能要素13081の近位側への移動は、スライドポテンショメータ13090によって検出され得、スライドポテンショメータ13090は、発射モータ13100の回転を逆転させて発射組立体を後退させるように、かつ/又はクロージャモータ13105を動作させてアンビル13050を開放するように、マイクロプロセッサに伝え得る。
器具13010はまた、器具13010の動作状態を示すように構成され得る、例えばLED 13300などの1つ又は2つ以上のインジケータを含み得る。様々な例において、LED 13300は、例えばLED 11100と類似した方式で動作し得る。器具13010はまた、エンドエフェクタ13012を関節運動させる能力を組み入れている。これは、米国特許第5,704,534号で議論されているような関節ノブ13240を用いて行われる。また、シャフト組立体13040の手動回転が米国特許第5,704,534号で議論されている。
器具13010のモジュール構想において、シャフト組立体13040及びエンドエフェクタ13012は使い捨て式であり、かつ再使用可能なハンドル13015に取り付けられ得る。別の実施形態において、アンビル13050及びステープルカートリッジ13055は使い捨て式であり、シャフト組立体13040及びハンドル13015は再利用式である。様々な実施形態において、アンビル13015を含むエンドエフェクタ13012、シャフト組立体13040、及びハンドル13015が再利用式であってもよく、ステープルカートリッジ13055が交換式であってもよい。
図111は、手術用ステープル留め器具14010の斜視図である。器具14010は、アクチュエータ又はハンドル14020と、シャフト部分14030と、管状カートリッジケーシング14040と、アンビル14050とを備え得る。器具14010は、アンビル14050を開位置と閉位置との間で移動させるように構成されたクロージャシステムを更に含み得る。アクチュエータ14020は回転クロージャノブ14075を備え得、回転クロージャノブ14075は、以下で更に詳細に説明するようにクロージャシステムを動作させ得る。器具14010は、カートリッジケーシング14040に取り出し可能に格納されたステープルを排出するように構成された発射システムを更に含み得る。アクチュエータ14020は発射起動トリガ14070を更に備え得、発射起動トリガ14070は、以下で更に詳細に説明するように発射システムを動作させ得る。シャフト部分14030、カートリッジケーシング14040、及びアンビル14050は、1994年3月8日に発行された米国特許第5,292,053号、名称「SURGICAL ANASTOMOSIS STAPLING INSTRUMENT」に図示され議論されている方式と類似した方式で動作し得る。1994年3月8日に発行された米国特許第5,292,053号、名称「SURGICAL ANASTOMOSIS STAPLING INSTRUMENT」のすべての開示内容が参照によって本明細書に組み込まれる。
上記に加えて、アクチュエータ14020は、伝達部14000と、その伝達部14000を動作させるように構成されたスライダボタン14060とを含み得る。スライダボタン14060は、カートリッジケーシング14040により近い遠位位置(図115)と、カートリッジケーシング14040からより離れた近位位置(図114)との間で移動可能である。スライダボタン14060がその近位位置にあるとき、アクチュエータ14020は第1の動作モード、つまり閉鎖モードにあり、アンビル14050をカートリッジケーシング14040に向かって、かつカートリッジケーシング14040から離して移動させ得る。スライダボタン14060がその遠位位置にあるとき、アクチュエータ14020は第2の動作モード、つまり発射モードにあり、ステープルをカートリッジケーシング14040からアンビル14050に向かって排出し得る。アクチュエータ14020がその閉鎖モードにあるとき、回転クロージャノブ14075は、クロージャノブ14075が回転される方向に応じて近位側又は遠位側にアンビル14050を移動させるために、アクチュエータ14020を通じて延びる長手方向軸を中心として回転され得る。アクチュエータ14020がその発射モードにあるとき、発射起動トリガ14070は近位側に回転されて、カートリッジケーシング14040からステープルを排出し得る。クロージャシステム及び発射システムについては、以下でより詳細に議論する。
アクチュエータ14020は、クロージャ駆動部及び発射駆動部を伝達部14000を介して動作させ得る、例えばモータ14090(図113〜115)などの電気モータを備え得る。モータ14090は、アクチュエータ14020のアクチュエータハウジング14080内に支持され得る。主として図113を参照すると、アクチュエータハウジング14080は、2つの半部、つまり、アクチュエータハウジング右半部14080aと、アクチュエータハウジング左半部14080bとを含み得る。アクチュエータハウジング半部14080a及び14080bはねじによって互いに保持され得るが、アクチュエータハウジング14080を組み立てるために、任意の好適な締結及び/又は接着法が用いられ得る。モータ14090は、アクチュエータハウジング半部14080aと14080bとの間で支持され得、モータ14090から遠位側に延びる回転可能なシャフト14100を含み得る。特定の例において、アクチュエータ14020は、ハウジング14080内に配置されたモータ支持部14101を備え得、モータ支持部14101は、モータ14100のハウジングを支持し、モータハウジングがアクチュエータハウジング14080に対して回転するのを抑制するように構成される。様々な例において、回転可能なシャフト14100は、回転可能なシャフト14100に固定された延長部分14110を備え得る。シャフト14100と延長部分14110は、共に回転するように、回転可能に結合され得る。
上記に加えて、主として図116を参照すると、延長部分14110は、円柱状の又は少なくとも実質的に円筒状の本体14111と、延長部分14110の遠位端部14113内に画定された平坦部分14120とを含み得る。延長部分14110の円筒状の本体14111は、軸受14105によってアクチュエータハウジング14080内で回転可能に支持され得る。延長部分14110の遠位端部14113は、スライダ14115内に画定されたスライダアパーチャ14114内に配置され得る。スライダ14115は、以下でより詳細に議論するように、伝達部14000の一部であり、スライダ14115がモータ14090の回転運動をクロージャシステムに伝達する近位位置(図114)と、スライダ14115がモータ14090の回転運動を発射システムに伝達する遠位位置(図115)との間でシフトされ得る。スライダ14115がその近位位置(図114)とその遠位位置(図115)との間でシフトされるとき、スライダ14115は延長部分14110に対してスライドし得る。スライダ14115内に画定されたスライダアパーチャ14114は、延長部分14110の遠位端部14113の周囲と一致するか、又は少なくとも実質的に一致する周囲を画定し得、そのため、第1に、延長部分14110とスライダ14115は回転式で互いに結合され、第2に、スライダ14115は延長部分14110に対して並進し得るようになっている。少なくとも1つの例において、スライダアパーチャ14114は、延長部分14110の円柱状の本体14111と整合する円柱状の部分14116と、スライダ14115の遠位端部14113内に画定された平坦部分14120と整合する平坦部分14117とを備える。
上記に加えて、スライダ14115は、管状又は概ね管状の構造を備え得る。図115に示すように、スライダ14115は、遠位端部14118と、その遠位端部14118の外表面の周りに延びる外周スプライン14130とを備え得、外周スプライン14130は、発射駆動部と動作可能に係合され得る。図114に示すように、スライダ14115は、スライダアパーチャ14114の遠位端部内に画定された複数の内周スプライン14140を更に備え得、内周スプライン14140は、クロージャ駆動部と動作可能に係合され得る。スライダ14115は、スライダ組立体14150の一部をなし得る。主として図116を参照すると、スライダ組立体14150は、上部ジャーナル軸受14160と、下部ジャーナル軸受14170と、スライダボタン14060と、スライダばね14180とを更に含み得る。上部ジャーナル軸受14160と下部ジャーナル軸受14170は組み合わさって1つのジャーナル軸受を形成し、そのジャーナル軸受は、第1に、スライダ14115がこのジャーナル軸受内で回転し得るように十分にゆるくスライダ14115を支持し得、第2に、スライダ14115を近位側及び遠位側に変位させ得る。主として図116を参照すると、スライダ14115は、スライダ14115から延びる遠位フランジ14121と近位フランジ14122とを備え得、これらはその間にくぼみ14123を画定し得、このくぼみはジャーナル軸受を緊密に受容するように構成されている。スライダボタン14060が遠位側に押されるとき、ジャーナル軸受は遠位フランジ14121を支承してスライダ14115を遠位側に押し得る。同様に、スライダボタン14060が近位側に押されると、ジャーナル軸受は近位フランジ14122を支承してスライダ14115を近位側に押し得る。
スライダ組立体14150は、スライダ14115を定位置に解放可能に保持するように構成されたロックを備え得る。主として図116を参照すると、スライダボタン14060はフランジ14181を備え得、フランジ14181は、アクチュエータハウジング14080内に画定された長手方向スロットの第1の、つまり近位端部に画定された第1の凹部、及び長手方向スロットの第2の、つまり遠位端部に画定された第2の凹部の中に選択的に嵌合し得る。フランジ14181が近位凹部と係合されるとき、フランジ14181は、スライダ14115及びクロージャ駆動部をモータ14090と動作可能に係合させる近位位置にスライダ組立体14150を保持し得る。フランジ14181が遠位凹部と係合されるとき、フランジ14181は、スライダ14115及び発射駆動部をモータ14090と動作可能に係合させる遠位位置にスライダ組立体14150を保持し得る。上部ジャーナル軸受14160は、ボタン14060のシャフト14061をスライド可能に受容するように構成されたジャーナルアパーチャ14161を含み得る。ボタン14060は、ジャーナルアパーチャ14161内で下向きに押されて、フランジ14181をアクチュエータハウジング14080から分離し得る。フランジ14181がアクチュエータハウジング14080から分離されると、ボタン14060は、アクチュエータハウジング14080内に画定された長手方向スロット内でスライドされて、スライダ14115をその近位位置と遠位位置との間で移動させ得る。ばね14180は、フランジ14181をアクチュエータハウジング14080に向かって付勢するように構成され得、手術器具14010のユーザーがボタン14006を解放すると、ばね14180はボタン14060を上向きに付勢してアクチュエータハウジング14080ともう一度、係合させ得る。
スライダ組立体14150がその近位位置にあるとき、上記に加えて、スライダ14115はクロージャ駆動部の閉鎖ナット14190と係合される。閉鎖ナット14190は、その近位端部に画定された閉鎖ナット外部スプライン14200を含む、細長い管状構造を備えている。スライダ14115がその近位位置にあるとき、スライダ14115の内部スプライン14140は、閉鎖ナット14190の外部スプライン14200と噛み合い係合され、そのため、スライダ14115がモータ14090によって回転されるとき、閉鎖ナット14190はスライダ14115によって回転されるようになっている。閉鎖ナット14190は、閉鎖ナット14190の遠位端部を回転可能に支持する、例えばブッシング14220などの1つ又は2つ以上の軸受によってアクチュエータハウジング14080内に回転可能に支持され得る。閉鎖ナットブッシング14220は、例えば、デルリン、ナイロン、銅、真ちゅう、青銅、及び/又は炭素から構成され得る。特定の例において、閉鎖ナットブッシング14220は、例えば玉軸受又はころ軸受を含み得る。様々な例において、閉鎖ナットブッシング14220は、アクチュエータハウジング14080の一体部分であってもよい。
閉鎖ナット14190は、その中に画定された長手方向アパーチャ14191備え得る。クロージャシステムは閉鎖ロッド14230を更に備え得、閉鎖ロッド14230は、長手方向アパーチャ14191内に少なくとも部分的に配置され得る。閉鎖ロッド14230は、その上に画定されたねじ山14231を更に備え得、ねじ山14231は、長手方向アパーチャ14191内に画定された閉鎖ナットねじ山14210と螺合可能に係合される。閉鎖ロッド14230は、閉鎖ナット14190と共に回転するのを抑制され得、そのため、閉鎖ナット14190がモータ14090によって第1の方向に回転されるとき、閉鎖ロッド14230は、閉鎖ナット14190によって近位側に並進され得るようになっている。図115に示すように、閉鎖ロッド14230は、閉鎖ナット14190の長手方向アパーチャ14191内で近位側に移動し得る。同様に、閉鎖ナット14190がモータ14090によって反対の、つまり第2の方向に回転されるとき、閉鎖ロッド14230は、閉鎖ナット14190によって遠位側に並進され得る。以下で更に詳細に説明するように、閉鎖ロッド14230はアンビル14050と動作可能に係合され得、そのため、閉鎖ロッド14230が近位側に引かれるとき、アンビル14050は、カートリッジケーシング14040に向かって移動され得るようになっている。同様に、閉鎖ロッド14230が遠位側に押されるとき、アンビル14050は、カートリッジケーシング14040から離れて移動され得る。様々な例において、クロージャシステムのクロージャ行程の長さは、アンビル14050の開位置と閉位置との間で測定され得る。閉鎖ロッド14230は、クロージャ行程の長さに対応するように、クロージャ行程と少なくとも同じ程度の長さをなし得る。
上で議論したように、アクチュエータ14020のボタン14060は、伝達部14000がクロージャ駆動部と係合される近位位置(図114)と、伝達部14000が発射駆動部と係合される遠位位置(図115)との間で移動可能である。このようにして、伝達部14000は、クロージャ駆動部及び発射駆動部をモータ14090と選択的に結合するために使用され得る。手術器具14010のユーザーがカートリッジケーシング14040に対するアンビル14050の位置に満足すると、ユーザーは、図115に示すようにボタン14060を遠位側に変位させて、スライダ14115を閉鎖駆動部から分離し、スライダ14115を発射駆動部と係合させ得る。スライダ14115が遠位側にスライドされるとき、スライダ14115の内部スプライン14140は閉鎖ナット14190の外部スプライン14200から分離され、そのため、その後のスライダ14115の回転は、閉鎖ナット14190及びクロージャシステムに伝達されなくなる。スライダがクロージャシステムから分離されるのと同時に、スライダ14115は発射システムと係合されるようになり得る。それに代わって、スライダ14115が遠位側に変位されるとき、スライダ14115はクロージャシステムから分離されるようになり得、スライダ14115が更に遠位側に変位することにより、スライダ14115は発射システムと係合されるようになり得る。そのような状況において、伝達部14000は、クロージャ駆動部及び発射駆動部を同時にモータ14090と動作可能に係合させ得ない。いずれの場合も、発射システムは、スライダ14115が遠位側に移動されるときにスライダ14115によって係合され得る発射ナット14260を含み得る。
上記に加えて、主として図116を参照すると、発射ナット14260はその中に画定されたアパーチャ14261を含み得、アパーチャ14261は、スライダ14115がその遠位位置(図115)へと前進されるときにスライダ14115の遠位端部14118を受容するように構成され得る。発射ナットアパーチャ14261は、その内周の周りに画定された発射ナットスプライン14270を含み得、発射ナットスプライン14270は、スライダ14115の外周スプライン14130と噛み合い得る。スライダ14115の外周スプライン14130が発射ナット14260の発射ナットスプライン14270と噛み合わされているとき、スライダ14115は発射ナット14260と回転可能に結合され得、そのため、スライダ14115の回転が発射ナット14260に伝達されるようになる。アクチュエータ14020は、発射ナット14260を回転可能に支持する発射ナットブッシング14275を更に備え得る。発射ナットブッシング14275は、例えば、針軸受、デルリン、ナイロン、及び/若しくは他のプラスチックのブッシング、金属のブッシング、又はアクチュエータハウジング14080の一体部を備え得る。発射ナット14260は、発射ナットアパーチャ14261の遠位内表面内に画定された雌ねじ14272を更に備え得る。発射システムは、発射ナット14260の雌ねじ14272と螺合可能に係合される発射管14280を更に備え得る。
様々な例において、上記に加えて、発射管14280は、その外表面に画定されたねじ山14281を含み得、ねじ山14281は雌ねじ14272と螺合可能に係合される。発射管14280は、発射ナット14260と共に回転するのを抑制され得、そのため、発射ナット14260がモータ14090及びスライダ14115によって回転されるとき、発射ナット14260は発射管14280を並進させ得るようになっている。例えば、発射ナット14260が第1の方向に回転されるとき、発射管14280は発射ナット14260によって遠位側に変位され得、また、発射ナット14260が第2の、つまり反対の方向に回転されるとき、発射管14280は発射ナット14260によって近位側に変位され得る。発射管14280の少なくとも一部分は、発射ナット14260内に画定されたアパーチャ14261内に配置され得る。発射管14280が近位側に変位されるとき、発射管14280はアパーチャ14261内で近位側に移動し得る。発射管14280が遠位側に変位されるとき、発射管14280はアパーチャ14261内で遠位側に移動し得る。以下で更に詳細に説明するように、発射管14280は発射部材と動作可能に連結され得、その発射部材は、発射管14280が遠位側に前進されるときにカートリッジハウジング14040からステープルを排出し得る。発射管1428が近位側に移動されるとき、発射管14280は発射部材を後退させ得る。発射管1428は、発射部材が非発射位置と発射位置との間で移動されるときに発射部材の発射行程に適応するように、十分に長いものとなり得る。様々な例において、発射管14280のねじ付き部分は、クロージャロッド14230のねじ付き部分よりも短い。そのような状況において、発射行程は、クロージャ行程よりも短くなり得る。他の例において、発射管14280のねじ付き部分は、クロージャロッド14230のねじ付き部分と同じ長さをなし得る。そのような例において、発射行程は、クロージャ行程と同じ長さとなり得る。特定の例において、発射管14280のねじ付き部分は、クロージャロッド14230のねじ付き部分よりも長い。そのような状況において、発射行程は、クロージャ行程よりも長くなり得る。
上記に加えて、アクチュエータ14020及びシャフト部分14030は、一体のシステムを構成し得る。様々な例において、アクチュエータ14020及びシャフト部分14030は単体の組立体を構成し得る。特定の例において、アクチュエータ14020は、シャフト部分14030から分解され得る。図34は、シャフト部分14030から分解されたアクチュエータ14020を示す、手術用ステープル留め器具14010の斜視図である。器具14010は、シャフト部分14030をアクチュエータ14020に解放可能に保持するように構成された1つ又は2つ以上のロック又はラッチを備え得る。例えば、アクチュエータ14020は、その両側にラッチ14025を含み得、ラッチ14025は、シャフト部分14030をアクチュエータ14020に解放可能に保持するように構成されている。ラッチ14025は、シャフト部分14030と係合される第1の位置と、シャフト部分14030から分離されている第2の位置との間でスライドされ得る。以下で更に詳細に説明するように、アクチュエータ14020及びシャフト部分14030は、シャフト部分14030がアクチュエータ14020に組み付けられるときに互いに動作可能に組み付けられる、クロージャシステムの各部分を備え得る。同様に、アクチュエータ14020及びシャフト部分14030は、シャフト部分14030がアクチュエータ14020に組み付けられるときに互いに動作可能に組み付けられる、発射システムの各部分を備え得る。
上記に加えて、主として図113を参照すると、クロージャシステムは、閉鎖ロッド14230の遠位端部に固定された閉鎖固定部品14240を更に備え得る。様々な例において、ねじが閉鎖固定部品14240を閉鎖ロッド14230にロックし得、そのため、閉鎖固定部品14240は、閉鎖ロッド14230が遠位側に並進されるときに遠位側に変位され、同様に、閉鎖ロッド14230が近位側に並進されるときに近位側に並進されるようになっている。閉鎖固定部品14240は、1つ又は2つ以上の側方延長部を備え得、その側方延長部は、閉鎖固定部品14240と閉鎖ロッド14230とを整列させるようにアクチュエータハウジング14080の溝の中に嵌り込み得る。側方延長部はまた、上で議論したように、閉鎖ロッド14230が閉鎖ナット14190によって駆動されるときに閉鎖ロッド14230及び閉鎖固定部品14240が回転するのを防止し得る。閉鎖固定部品14240は、アクチュエータ14020の閉鎖駆動出力部を備え得、シャフト部分14030のクロージャ駆動入力部に取り付けられ得る。シャフト部分14030のクロージャ駆動入力部は第2の固定部品14250を備え得、第2の固定部品14250は、シャフト部分14030がアクチュエータ14020に組み付けられるとき、閉鎖固定部品14240に取り付けられ得る。閉鎖固定部品14240は、閉鎖固定部品14240が閉鎖ロッド14230によって遠位側に前進されるときに第2の固定部品14250を遠位側に押し得、同様に、閉鎖固定部品14240は、閉鎖固定部品14240が閉鎖ロッド14230によって近位側に後退されるときに第2の固定部品14250を近位側に引き得る。
シャフト部分14030の閉鎖駆動部分は1つ又は2つ以上の張力バンド14252及び14253を更に備え得、張力バンド14252及び14253は、第2の固定部品14250に装着され、第2の固定部品14250から延びる。張力バンド14252及び14253は第2の固定部品14250に締結され得、そのため、第2の固定部品14250が閉鎖固定部品14240によって遠位側に前進されるとき、第2の固定部品14250は張力バンド14252、14253を遠位側に押し得、同様に、第2の固定部品14250が閉鎖固定部品14240によって近位側に後退されるとき、第2の固定部品14250は張力バンド14252、14253を近位側に引き得るようになる。様々な例において、シャフト部分14030は曲線状であってもよく、また少なくとも1つの例において、近位ハウジングマウント14032から延びる、曲線状のシャフトハウジング14031を含み得る。特定の例において、張力バンド14252及び14253は、シャフト部分14030の閉鎖駆動部分の曲線状経路に適合するように柔軟であってもよい。シャフト部分14030の閉鎖駆動部分は、張力バンド14252及び14253に取り付けられた取り付け部分、つまりトロカール14258を更に含み得る。トロカール14258は張力バンド14252、14253に締結され得、そのため、トロカール14258は、張力バンド14252、14253と共に前進及び後退されるようになる。トロカール14258は、アンビル14050と解放可能に係合され得る遠位端部を備え得、そのため、アンビル14050がトロカール14258に組み付けられるとき、アンビル14050はトロカール14258と共に前進及び後退されるようになる。上で参照した米国特許第5,292,503号でこれについて更に詳細に議論されている。
上記に加えて、主として図113を参照すると、発射システムは、発射管14280の遠位端部に固定された発射固定部品14290を更に備え得る。様々な例において、ねじが発射固定部品14290を発射管14280にロックし得、そのため、発射固定部品14290は、発射管14280が遠位側に並進されるときに遠位側に変位され、同様に、発射管14280が近位側に並進されるときに近位側に並進されるようになっている。発射固定部品14290は、1つ又は2つ以上の側方延長部を備え得、その側方延長部は、発射固定部品14290と発射管14280とを整列させるようにアクチュエータハウジング14080の溝の中に嵌り込み得る。側方延長部はまた、上で議論したように、発射管14280が発射ナット14260によって駆動されるときに発射管14280及び発射固定部品14290が回転するのを防止し得る。発射固定部品14290は、アクチュエータ14020の発射駆動出力部を備え得、シャフト部分14030の発射駆動入力部に取り付けられ得る。シャフト部分14030の発射駆動入力部は第2の固定片14300を備え得、第2の固定部品14300は、シャフト部分14030がアクチュエータ14020に組み付けられるとき、発射固定部品14290に取り付けられ得る。発射固定部品14290は、さねはぎ方式で第2の発射固定部品14300と噛み合い得る。組み付けられると、発射固定部品14290は、発射固定部品14290が発射管14280によって遠位側に前進されるときに第2の固定部品14300を遠位側に押し得、同様に、発射固定部品14290は、発射固定部品14290が発射管14280によって近位側に後退されるときに第2の固定部品14300を近位側に引き得る。
発射駆動部はステープルドライバ14310を更に備え得、ステープルドライバ14310は、第2の固定部品14300と共に近位側及び遠位側に移動するように第2の固定部品14300に結合されている。ステープルドライバ14310が第2の固定部品14300によって遠位側に移動されるとき、ステープルドライバ14310はカートリッジケーシング14040からステープルを排出し得る。様々な例において、第2の固定部品14300はナイフ14320をステープルドライバ14310と共に遠位側に前進させて、アンビル14050とカートリッジハウジング14040との間に捕捉された組織を切開し得る。第2の固定部品14300が発射固定部品14290によって近位側に後退されるとき、第2の固定部品14300は、ステープルドライバ14310及びナイフ14320を近位側に後退させ得る。
上記に加えて、特筆され得ることとして、閉鎖システムのうちの閉鎖ナット14190と閉鎖ロッド14230とを備える部分と、発射システムのうちの発射ナット14260と発射管14280とを備える部分とが、同心をなしかつ入れ子にされ得る。発射ナット14260及び発射管14280は外部機構と見なされてもよく、閉鎖ナット14190及び閉鎖ロッド14230は内部機構と見なされてもよい。スライダ14115と共に、閉鎖ナット14190、閉鎖ロッド14230、発射ナット14260、及び発射管14280は、伝達部14000を構成し得る。より小さくかつより容易に保持されるアクチュエータ14020を作製するために、伝達部14000の同心状かつ入れ子状の装置構成によって、閉鎖及び発射システムに必要となる空間が縮小され得る。この装置構成ではまた、外部機構が支持体として働き、内部機構の各部を移動させるための支承表面を設けることができる。図示の実施形態において、内部機構の並進部材は、外部機構の並進部材よりも長いものとして示されている。例えば、閉鎖ロッド14230は、例えば、5センチメートル(2インチ)程度であってもよく、発射管14280は、2.5センチメートル(1インチ)程度であってもよいが、任意の好適な長さが用いられ得る。より長い並進距離が必要となるとき、より長い並進部材が有用となる。図示の実施形態において、内部機構、つまりクロージャ駆動部は、外部機構、つまり発射駆動部よりも長い距離にわたって荷重を駆動し得る。つまり、発射駆動部は、発射駆動部よりも長い距離にわたって荷重を駆動し得る。
上で議論したように、アクチュエータ14020及びシャフト部分14030は、組立を容易にするように設計されている。発射固定部品14290は、遠位側に延びるフランジの端部に半円状のリップを備えている。この半円状のリップは、第2の発射固定部品14300の近位端部にある半円状の溝に嵌合する。この嵌合は半円状の表面に関するものであるため、これらの部品の概ね長手方向の軸に対して垂直である又は直交する方向に、発射固定部品14290を第2の発射固定部品14300に向かって並進させることによって、発射固定部品14290を第2の発射固定部品14300と連結することが可能である。クロージャ組立体部品の連結はまた、概ね同じ方式で促進される。例えば、閉鎖固定部品14240は、遠位側に延びるフランジを備え得る。このフランジの遠位端部には、閉鎖固定部品14240の実質的に半円状の部分から延びる半円状のリップがある。第2の固定部品14250の近位部分にある環状の溝が、この半円状のリップを受容して、閉鎖固定部品14240を第2の固定部品14250に取り付ける。閉鎖固定部品14240が半円状であるという性質により、閉鎖固定部品14240及び第2の固定部品14250は、各部品の概ね長手方向の軸に対して垂直であるか又は直交する並進によって組み立て及び分解され、したがって、シャフト部分14030とアクチュエータ14020との迅速な連結及び分離を容易にし得る。
概して図113を参照すると、発射トリガ14070及び閉鎖ノブ14075が、隣接する部分との相互作用がよく分かるように更に拡大図で示されている。閉鎖ノブ14075は、第1の、つまり時計回りの方向、及び第2の、つまり反時計回りの方向に回転可能である。閉鎖ノブ14075が第1の方向に回転されるとき、閉鎖ノブ14075は第1のスイッチと接触すると共に第1のスイッチを閉鎖し得、閉鎖ノブ14075が第2の方向に回転されるとき、閉鎖ノブ14075は第2のスイッチと接触すると共に第2のスイッチを閉鎖し得る。第1のスイッチが閉鎖ノブ14075によって閉鎖されるとき、モータ14090は付勢され第1の方向に動作され得、第2のスイッチが閉鎖ノブによって閉されるとき、モータ14090は付勢され第2の方向に動作され得る。モータ14090がその第1の方向に動作されるとき、モータ14090は閉鎖ロッド14230を遠位側に駆動して、アンビル14050をカートリッジケーシング14040から離して移動させ得、また、モータ14090がその第2の方向に動作されるとき、モータ14090は閉鎖ロッド14230を近位側に駆動して、アンビル14050をカートリッジケーシング14040に向かって移動させ得る。閉鎖ノブ14075は、第1のスイッチ又は第2のスイッチのいずれも閉鎖されず、モータ14090が閉鎖ノブ14075に応答しない、中心又は中立の位置に配置可能となり得る。様々な例において、器具14010は、例えば閉鎖ノブ14075をその中立の位置へと付勢するように構成された、例えばばね14076などの少なくとも1つのばねを備え得る。
ここで発射トリガ14070を見ると、発射トリガ14070はアクチュエータハウジング14080に回転可能にピン留めされており、ねじりばね14071によってばね荷重を受けているが、このねじりばね14071は、アクチュエータハウジング14080から離れて回転される位置に発射トリガ14070を押しやるものである。発射トリガ14070の近くに配置された発射スイッチ14305は、発射トリガ14070がねじりばね14071の付勢力に抗してアクチュエータハウジング14080に向かって回転されるときに、発射トリガ14070によって接触される位置にある。発射トリガ14070は、発射トリガ14070が作動されるときに発射スイッチ14305を閉鎖し得る。発射スイッチ14305が閉鎖されるとき、モータ14090は第1の方向に動作されて、発射管14280及びステープルドライバ14310を遠位側に前進させ得る。発射トリガ14070が解放されると、ねじりばね14071は発射トリガ14070を再びその非作動位置に移動させ、発射スイッチ14305との接触から解き得る。そのような時点で、発射スイッチ14305は開放状態にあってもよく、モータ14090は発射トリガ14070に応答しなくてもよい。様々な例において、器具14010は、アクチュエータハウジング14080に回転可能にピン留めされた安全ラッチ14320を更に備え得、安全ラッチ14320は、発射トリガ14070が作動されるのを阻止するロック位置と、発射トリガ14070が作動されて発射スイッチ14035を閉鎖し得る第2の位置との間で回転可能である。いずれの場合も、モータ14090は第2の方向に動作されて、発射管14280及びステープルドライバ14310を後退させ得る。特定の例において、モータ14090は、発射システムがその発射行程の終端に到達したとき、第1の方向と第2の方向との間で切り換えられ得る。いくつかの例において、アクチュエータ14020は、動作されるとモータ14090をその第2の方向に動作させ得る逆転ボタン及びスイッチを更に備え得る。
上記を考慮して、器具14010を使用する方法が以下に示されているが、任意の好適な方法が用いられ得る。更に、アクチュエータ14020は2つの出力を供給することが可能であり、シャフト部分14030は2つの入力を受容して2つの機能を実施することが可能であることは上述した。閉鎖機能及び発射機能などの機能について説明してきたが、本発明はそのように限定されるものではない。それらの機能は、例えば、関節運動機能など、任意の好適な機能を含み得る。図112に示すように、アクチュエータ14020を使用するために、様々な例において、ユーザーはまず、アクチュエータ14020の長手方向軸に垂直にアクチュエータ14020をシャフト部分14030に向かって移動させることにより、アクチュエータ14020をシャフト部分14030に組み付け得る。ユーザーは、シャフト部分14030の近位端部の開放側をアクチュエータ14020の遠位部分の開放側に向けて整列させ、各部品を互いに組み付け得る。そのような組立体は、上で議論したように、閉鎖固定部品と発射固定部品とを連結し得る。上でも議論したように、アクチュエータ14020上のラッチ14025はシャフト部分ハウジング14032上のレッジを握持して、アクチュエータ14020とシャフト部分14030とを互いに解放可能に保持し得る。アクチュエータ14020とシャフト部分14030とを組み付けた後、ユーザーはスライダ組立体14150をその第1の位置に置いて、取り付け部分の手術用具の第1の所望の機能を用い得る。上で議論したように、スライダ組立体14150をその第1の部分に配置するために、ボタン14060が利用され得る。
概して図114を参照すると、スライダ14115上の内部スプライン14140は、スライダ組立体14150がその第1の位置にあるとき、閉鎖ナット14190上の外部スプライン14200と係合し得る。ユーザーは次いで閉鎖ノブ14075を回転させて、アンビル14050をカートリッジケーシング1404に対して位置決めすることになる。上で議論したように、閉鎖ノブ14075は、第1のクロージャスイッチを閉鎖し、アンビル14050をカートリッジケーシング14040から離して移動させるために第1の方向に、第2のクロージャスイッチを閉鎖し、アンビル14050をカートリッジハウジング14040に向かって移動させるために第2の方向に回転され得る。特定の例において、第1のクロージャスイッチの閉鎖により、モータ14090をその第1の方向に動作させる回路が閉鎖され得、同様に、第2のクロージャスイッチの閉鎖により、モータ14090をその第2の方向に動作させる回路が閉鎖され得る。特定の例において、第1のクロージャスイッチ及び第2のクロージャスイッチは、手術器具14010のマイクロプロセッサと通信をなし得、そのマイクロプロセッサは、モータ14090に供給される電力の極性を含めて、供給される電力を、第1のクロージャスイッチ及び第2のクロージャスイッチからの入力に基づいて制御し得る。上で議論したように、モータ14090は、回転可能なシャフト14100、延長部分14110、スライダ14115を、そして伝達部14000の構成によって閉鎖ナット14190を回転させ得る。上で議論したように、閉鎖ナット14190は、アンビル14050を近位側及び遠位側に変位させる閉鎖ロッド14230と螺合可能に係合される。それに代わって、閉鎖ロッド14230はいくつかの他の機能を実施してもよい。
図114に示すように、スライダ組立体14150がその第1の、つまり近位位置にあるとき、モータ14090は、閉鎖ノブ14075には応答し、発射トリガ14070には応答し得ない。少なくとも1つの例において、スライダ組立体14150の下部ジャーナル軸受14170は、スライダ組立体14150がその第1の位置にあるとき、第1の伝達スイッチ14340と接触し、第1の伝達スイッチ14340を閉鎖し得る。様々な例において、第1の伝達スイッチ14340は、手術器具14010のマイクロプロセッサと通信をなし得、このマイクロプロセッサは、第1の伝達スイッチ14340が閉鎖されているときに発射スイッチ14305からの入力を無視するように構成され得る。そのような状況において、手術器具14010のユーザーは発射トリガ14070を押下することがあり、モータ14090はそれに応答しない。むしろ、そのような状況において、モータ14090は第1及び第2のクロージャスイッチに応答し、第1及び第2のクロージャスイッチは、閉鎖ノブ14075によって作動されてアンビル14050を移動させる。図115に示すように、スライダ組立体14150がその第2の、つまり遠位位置に向かって移動されるとき、下部ジャーナル軸受14170は第1の伝達スイッチ14340から分離され、第1の伝達スイッチ14340は開放状態に復帰することになる。スライダ組立体14150がその第2の、つまり遠位位置へと移動されるとき、下部ジャーナル軸受14170は第2の伝達スイッチ14350と接触し、第2の伝達スイッチ14350を閉鎖し得る。様々な例において、第2の伝達スイッチ14350は、手術器具14010のマイクロプロセッサと通信をなし得、このマイクロプロセッサは、第2の伝達スイッチ14350が閉鎖されているときにクロージャノブ14075からの入力を無視するように構成され得る。そのような状況において、手術器具14010のユーザーはクロージャノブ14075を回転させることがあり、モータ14090はそれに応答しない。むしろ、そのような状況において、モータ14090は、発射トリガ14070によって作動される発射スイッチ14305に応答する。
上で議論したように、スライダ組立体14150をその第1の位置からその第2の位置に移動させるために、ユーザーはスライダボタン14060を押下してスライダボタン14060をそのデテントから解放し、スライダ組立体14150をその第2の位置へと遠位側に移動させ得る。そのような状況において、スライダ14115は閉鎖ナット14160から分離され、発射ナット14260と係合され得る。より具体的に言えば、スライダ14115上の内部スプライン14140が閉鎖ナット14190上の外部スプライン14200から分離され、更に、スライダ14150の外部スプライン14130が発射ナット14260の内部スプラインと係合されるようになり得る。そのような時点で、ユーザーは安全ラッチ14320をその非ロック位置に回転させて、発射トリガ14070を発射に備えさせ得る。ユーザーは、図115に示すようにアクチュエータハウジング14080に向かって、発射トリガ14070を反時計回りに回転させることによって発射システムを発射させ得る。上で議論したように、発射トリガ14070は、モータ14090を電気的に付勢し得る発射スイッチ14305と接触し得る。伝達部14000の第1の構成と同様に、モータ14090は、回転可能なシャフト14100、延長部分14110、及びスライダ14115を回転させ得るが、伝達動部14000の第2の構成においては、スライダ14115が発射ナット14260を回転させて発射管14280を並進させる。
様々な例において、電力は、外部電源によって器具14010に供給され得る。特定の例において、アクチュエータ14020内に配置された1つ又は2つ以上の電池が利用され得る。電池は、例えばリチウム二次電池であってもよい。いくつかの例において、電池及びモータ14090は、洗浄可能、滅菌可能、かつ再利用可能である密閉着脱式ハウジング内に配置され得る。
アクチュエータ14020が手術手技の間に使用された後、ユーザーは、アクチュエータ14020をシャフト部分14030から分離してもよい。ユーザーはラッチ14025を押下して、アクチュエータ14020をシャフト部分14030から分離してもよい。その後、アクチュエータ14020は洗浄され、滅菌され、再使用されるか、又は処分され得る。同様に、シャフト部分14030も洗浄され、滅菌され、再使用されるか、又は処分され得る。シャフト部分14030が再使用されるとき、ステープルがカートリッジケーシング14040の中に再装填され得る。特定の例において、カートリッジハウジング14040は、ステープルを再装填するために使用され得る交換式カートリッジを含み得る。様々な例において、アクチュエータ14020の様々な部分がまた、密閉された区分化モジュール内で組み合わせられてもよく、その区分化モジュールは容易にアクチュエータハウジング14080に挿入され、またアクチュエータハウジング14080から取り外され得る。例えば、モータ14090、回転可能なシャフト14100、延長部分14110、スライダ組立体14150、閉鎖ナット14190、閉鎖ロッド14230、発射ナット14260、及び発射管1280が、アクチュエータハウジング14080から取り外し可能なモジュール式組立体へと組み合わせられ得る。更に、アクチュエータ14020の各部分は、別々の組み立て式モジュールの一部であってもよい。例えば、モータ14090及び電池など、アクチュエータ14020の電子部分が第1のモジュールを構成してもよく、その一方で、回転及び/又は並進部を含んだ機械的組立体が第2のモジュールを構成してもよい。そのような状況において、第1のモジュールは、第2のモジュールとは異なる方法で滅菌され得る。そのような状況では、例えば、第1のモジュールを滅菌するには不適切となり得るガンマ線放射を第2のモジュールに用いることが容易となり得る。
アクチュエータ14020への様々な追加物が考えられる。例えば、閉鎖システム及び/又は発射システムの行程終端位置を検出するために、また閉鎖行程及び/又は発射行程を停止するときをモータ14090に示すために、マイクロプロセッシングが利用されてもよい。マイクロプロセッシングはまた、アクチュエータ14020に取り付けられているシャフト組立体のタイプを判断するために利用されてもよい。例えば、アクチュエータ14020は、円状ステープラシャフト組立体がアクチュエータ14020に取り付けられている、又はリニアカッター組立体がアクチュエータ14020に取り付けられている、アクチュエータ14020のマイクロプロセッサと信号通信をなすセンサを含み得る。アクチュエータ14020が、例えば少なくとも1つ、おそらくは2つ又は3つ以上の長手方向運動用の入力を必要とする、多数のタイプの手術用具に動力供給し得ることが考えられる。様々な例において、例えば、アクチュエータ14020は、円状ステープラ、直線状ステープラ、直角ステープラ、はさみ、把持具、及び/又は他のタイプの手術器具に動力供給し得る。
アクチュエータ14020の更なる改良には、アクチュエータ14020によって利用可能な機能の数が増加され得るように、複数のモータを利用することが含まれる。アクチュエータ14020の特定の改良には、同じモータで3種類以上の機能を実施することが含まれる。例えば、第3の機能が第3の入れ子状機構によって駆動される、スライダ組立体14150の第3のポジションが考えられる。いくつかの例において、上記に加えて、スライダ組立体14150は、モータ14090によって駆動される機能がないアイドラ又はニュートラルポジションである第3のポジションを有してもよい。
更なる改良には、スライダ14115をあるポジションから別のポジションに並進させるために電気的及び/又は磁気的手段を使用することが含まれ得る。例えば、スライダ14115をあるポジションから別のポジションに移動させるために、ソレノイドが使用されてもよい。ばねがスライダ14115をデフォルトポジションへと予め荷重を加えてもよく、また、ソレノイドを付勢することにより、スライダ14115をデフォルトポジションから第2のポジションへと移動させてもよい。
手術用ステープル留め器具15010が図117及び118に示されている。上記と同様に、器具15010は、ハンドル、ステープルカートリッジ15080に対して開位置(図117)と閉位置(図118)との間でアンビル15090を移動させるように構成されたクロージャシステム、更には、ステープルカートリッジ15080からステープルを配備し、アンビル15090とステープルカートリッジ15080との間に捕捉された組織を切開するように構成された発射システムを備え得る。手術器具ハンドルのハウジングは、その中に収容された様々な構成要素を示す目的で、図117及び118から取り除かれている。また上記と同様に、器具15010のクロージャシステムは、閉鎖モータ15110と、閉鎖ギヤトレーンとを得、閉鎖ギヤトレーンは、閉鎖モータ15110に動作可能に結合されたクロージャ駆動ねじギヤ15160と、クロージャ駆動ねじギヤ15160に動作可能に結合されたクロージャ駆動ねじ15170とを含んでいる。様々な例において、閉鎖モータ15110はモータフレーム15125によって支持され得、モータフレーム15125は、それに加えて、クロージャ駆動ねじギヤ15160及びクロージャ駆動送りねじ15170を回転可能に支持し得る。クロージャシステムは、クロージャスイッチ15285と接触し、クロージャスイッチ15285を閉鎖するように構成されたクロージャボタン15065を更に含み得、クロージャスイッチ15285は、閉鎖されると、閉鎖モータ15110を動作させ得る。いくつかの例において、上記に加えて、クロージャボタン15065は、クロージャモータ15110を第1の方向に動作させ、アンビル15090を閉鎖するように構成されたクロージャスイッチと、そして、クロージャモータ15110を第2の方向に動作させ、アンビル15090を開放するように構成された開放スイッチと接触するように構成され得る。
上記に加えて、クロージャシステムはキャリッジ15180を更に含み得、キャリッジ15180は、アンビル15090と係合し、アンビル15090をその開位置(図117)とその閉位置(図118)との間で移動させるように構成される。キャリッジ15180はねじ付きナット部分15175を含み得、ねじ付きナット部分15175は、クロージャ駆動送りねじ15170のねじ付き部分と螺合可能に係合される。キャリッジ15180はクロージャ駆動送りねじ15170と共に回転するのを抑制され得るため、クロージャ駆動送りねじ15170が回転することにより、クロージャ駆動送りねじ15170が回転される方向に応じて、近位側又は遠位側にキャリッジ15180を並進させ得るようになっている。クロージャ駆動送りねじ15170が閉鎖モータ15110によって第1の方向に回転されるとき、クロージャ駆動送りねじ15170は、キャリッジ15180を遠位側に変位させてアンビル15090を閉鎖し得る。同様に、クロージャ駆動送りねじ15170が閉鎖モータ15110によって第2の、つまり反対の方向に回転されるとき、クロージャ駆動送りねじ15170は、キャリッジ15180を近位側に変位させてアンビル15090を開放し得る。キャリッジ15180は、少なくとも部分的にカートリッジチャネル15070を囲んで配設され得、また様々な例において、カートリッジチャネル15070にスライド可能に保持され得る。主として図118を参照すると、カートリッジチャネル15070は、その両側に画定された1つ又は2つ以上のスロット15195を含み得、これらのスロット15195は、キャリッジ15080から内向きに延びる1つ又は2つ以上の突出部15185をスライド可能に受容するように構成されている。他の状況において、チャネル15070が突出部15185を備えてもよく、またキャリッジ15080がスロット15195を備えてもよい。いずれの場合も、スロット15195及び突出部15185は、例えば、キャリッジ15180の移動を長手方向、又は実質的に長手方向の経路に抑制するように構成され得る。
キャリッジ15080は、アンビル15090を閉鎖するために、第1の、つまり近位の位置(図117)から、第2の、つまり遠位の位置(図118)へと移動可能である。キャリッジ15080はクロスバー15081を含み得、クロスバー15081は、キャリッジ15080がアンビル15090に対して移動されるときに、アンビル15090と接触すると共にアンビル15090を移動させるように構成される。様々な例において、アンビル15090は、ピボット15200を中心として旋回可能にカートリッジチャネル15070に結合され得、アンビル15090は、キャリッジのクロスバー15081によってピボット15200を中心として回転され得る。より具体的に言えば、キャリッジ15080が遠位側に移動されて、カートリッジチャネル15070内に配置されたカートリッジ15080に向かってアンビル15090を回転させるとき、キャリッジのクロスバー15181は、アンビル15090の上部又はカム表面15092と接触し、上部表面15092の全体にわってスライドするように構成され得る。いくつかの例において、アンビル15090の遠位端部15091は、アンビル15090がその完全閉位置に到達したとき、カートリッジ15080の遠位端部15081と接触し得る。図118に示すように、キャリッジ15180がその最遠位位置に到達し、かつ/又はアンビル15090がその完全閉位置に位するまで、キャリッジ15180は遠位側に前進され得る。様々な状況において、キャリッジ15180がその最遠位位置に到達したとき、キャリッジ15180は、行程終端センサと接触し、行程終端センサを閉鎖し得る。特定の例において、行程終端センサは、手術器具15010のマイクロプロセッサと信号通信をなし得る。行程終端センサがキャリッジ15180によって閉鎖されるとき、マイクロプロセッサは、閉鎖モータ15110への電源供給を中断し、キャリッジ15180の前進を停止させ得る。
上で議論したように、キャリッジ15180のクロスバー15181は、カム表面15092を下向きに押すことによって、アンビル15090をステープルカートリッジ15080に向かってカム駆動し得る。アンビル15090は、その側部から延びるラッチピン15210を更に備え得、そのラッチピン15210は、アンビル15090がステープルカートリッジ15080に向かって回転されるとき、カートリッジチャネル15070の側部に画定されたスロット15215に受容され得る。様々な例において、ラッチピン15210は、例えば、アンビル15090がその閉位置に到達したときに、スロット15215の閉鎖端部と接触し得る。いくつかの例において、アンビル15090は閉位置にあってもよく、ラッチピン15210はスロット15215の閉鎖端部と接触をなさなくてもよい。特定の例において、クロージャシステムは1つ又は2つ以上のラッチ15190を備え得、そのラッチ15190は、ラッチピン15210と係合し、かつ/又はアンビル15090をステープルカートリッジ15080のより近くに移動させるように構成される。ラッチ15190は、ピボットピン15191によってカートリッジチャネル15070に回転可能に結合され得、ピボット軸を中心として回転されてラッチピン15210と係合し得る。いくつかの例において、ラッチ15190はラッチピン15210と係合し、ラッチピン15210をスロット15215の閉鎖端部に当て付けて配置し得る。各ラッチ15190はラッチアーム15192を備え得、ラッチアーム15192は、ラッチ15190がその閉位置へと遠位側に回転されるときに、ラッチピン15210の上でスライドし、ラッチピン15210を下向きに押し得る。各ラッチアーム15192は、少なくとも部分的にラッチスロット15193を画定し得、ラッチスロット15193は、ラッチ15190が作動位置へと移動されるときに、ラッチピン15210を受容するように構成され得る。ラッチアーム15192、及びスロット15215の閉鎖端部は、ラッチピン15210を定位置に捕捉及び/又は保持するように協働し得る。
上記に加えて、ラッチ15190は、キャリッジ15180が遠位側に前進されるときに、キャリッジ15180によって非ラッチ位置(図117)とラッチ位置(図118)との間で移動され得る。アンビル15090がクロスバー15181によって完全閉位置へと移動されない程度に、ラッチ15190はアンビル15090を完全閉位置へと移動させ得る。様々な例において、キャリッジ15180は、その上に画定された遠位カム表面15182を含み得、遠位カム表面15182は、キャリッジ15180が遠位側に前進されるときに、ラッチ15190と係合し得る。少なくとも1つのそのような例において、各カム表面15182は、例えば、傾斜付き又は角度付きの表面を含み得る。クロージャ駆動送りねじ15170がその第2の方向に回転され、キャリッジ15180がクロージャ駆動送りねじ15170によって近位側に後退されるとき、ラッチ15190は非作動位置に復帰され得る。様々な例において、器具15010は、例えば1つ又は2つ以上の付勢ばね15195を更に備え得、付勢ばね15195は、遠位カム表面15182がラッチ15190から離して後退されるときに、ラッチ15190を近位側に回転させるように構成され得る。各ラッチ15190は、その中に画定されたアパーチャ15194を含み得、アパーチャ15194は、ばね15195の第1の端部を受容するように構成される。各ばね15195の第2の端部が、カートリッジチャネル15070から延びるばねポスト15079と係合され得る。例えば、上で議論したように、ラッチ15190がキャリッジ15180によって非ラッチ位置からラッチ位置へと遠位側に回転されるとき、ばね15195は弾力的に伸張され得、そのため、キャリッジ15180が後退されるとき、ばね15195は元の状態に弾性的に復帰し、それによって、アパーチャ15194を介してラッチ15090に力を加え得るようになっている。いずれの場合も、ラッチ15190が非ラッチ位置に復帰されているとき、アンビル15090はもう一度、ステープルカートリッジ15080に対して移動され得る。
上で議論したように、キャリッジ15180のクロスバー15181は、アンビル15090のカム表面15092と接触して、アンビル15090をステープルカートリッジ15080に向かって回転させ得る。キャリッジ15180はまた、アンビル15090をステープルカートリッジ15080から離して回転させるように構成され得る。少なくとも1つのそのような例において、アンビル15090は、その上に画定された第2のカム表面15093を備え得、その第2のカム表面15093は、キャリッジ15080がクロージャ駆動送りねじ15170によって近位側に移動されるときに、キャリッジ15080のクロスバー15181によって接触され得る。読者には明らかとなるように、閉鎖カム表面15092はピボットピン15200の第1の側部に画定され得、また開放カム表面15093はピボットピン15200の第2の、つまり反対側に画定され得る。開放カム表面15093は、閉鎖カム表面15092に対してある角度をなして延び得る。様々な例において、クロスバー15181は、キャリッジ15180が後退されるとき、開放カム表面15093に対して接触及びスライドし得る。開放カム表面15093は、アンビル15090がステープルカートリッジ15080に対して開放される程度又は量が、クロスバー15181が近位側に後退される距離で決まるように構成され得る。例えば、クロスバー15181が、ピボット15200に対して近位側に第1の距離だけ後退される場合、クロスバー15181は、アンビル15090を上向きに旋回させて、第1の角度だけステープルカートリッジ15080から離し得、また、クロスバー15181が、ピボット14200に対して近位側に、第1の距離よりも長い第2の距離だけ後退される場合、クロスバー15181は、アンビル15090を上向きに旋回させて、第1の角度よりも大きい第2の角度だけステープルカートリッジ15080から離し得る。
上で議論した閉鎖システムでは、手術器具のユーザーが、手でアンビル15090を操作しなくても、アンビル15090を開位置と閉位置との間で旋回させることができる。上で議論した閉鎖システムはまた、別のアクチュエータを使用する必要なしに、アンビル15090を自動的にその閉位置にラッチ又はロックし得る。アンビル15090がその閉位置にあるときに、ユーザーがアンビル15090とステープルカートリッジ15080との間の組織の配置に不満である限り、ユーザーは、アンビル15090を再開放し、アンビル15090とステープルカートリッジ15080を組織に対して再配置し、次いでアンビル15090をもう一度、閉鎖し得る。ユーザーは、器具15010の発射システムを作動させる前に、アンビル15090を必要な回数だけ開閉させ得る。発射システムは、モータフレーム15125に装着された発射モータ15120と、発射ギヤ15240を含んだ発射モータ15120に動作可能に結合された発射駆動ギヤトレーンと、発射送りねじギヤ15250と、発射駆動送りねじ15260とを備え得る。上記と同様に、発射駆動ギヤトレーン及び/又は発射駆動送りねじ15260は、モータフレーム15125によって回転可能に支持され得る。発射駆動部は発射トリガ15055を更に備え得、発射トリガ15055は、発射モータ15120を動作させるために発射トリガ15055が押下されると、発射スイッチ15290を閉鎖するように構成される。発射モータ15120が第1の方向に動作されて発射駆動送りねじ15260を第1の方向に回転させるとき、発射駆動部は、ステープルカートリッジ15080内に取り外し可能に格納されたステープルを配備し、アンビル15090とステープルカートリッジ15080との間に捕捉された組織を切開し得る。発射モータ15120が第2の方向に動作されて発射駆動送りねじ15260を第2の、つまり反対の方向に回転させるとき、発射駆動部は後退され得る。その後に、アンビル15090は再開放されて、アンビル15090とステープルカートリッジ15080との間から組織が取り出され得る。いくつかの例において、発射駆動部は、アンビル15090を開放するために後退される必要がないこともある。そのような例において、発射駆動部は、発射駆動部が遠位側に前進されるときにアンビル15090と係合しなくてもよい。少なくとも1つのそのような例において、発射駆動部がステープルカートリッジ15080の中に進入してステープルカートリッジ15080からステープルを排出し得、ナイフの縁部がステープルカートリッジ15080とアンビル15090との間を移動して組織を切開してもよい。発射駆動部はアンビル15090をその閉位置にロックしなくてもよいが、発射駆動部がアンビル15090をその閉位置にロックし得る実施形態も考えられる。そのような実施形態では、例えばIビームが利用され得、そのIビームは、Iビームが遠位側に前進されるとき、アンビル15090及びステープルカートリッジ15080と係合し、それらを互いに対して定位置に保持し得る。
器具15010は、外部電源及び/又は内部電源によって給電され得る。例えば、ケーブルがアクチュエータハウジング15080の中に進入して、外部電源から電力を供給し得る。例えば内部電源から電力を供給するために、電池15400など1つ又は2つ以上の電池が、例えば器具15010のハンドル内に配置され得る。器具15010はまた、例えば器具15010の動作状態を示し得る、例えばLEDインジケータ15100などの1つ又は2つ以上のインジケータを更に備え得る。例えば、LEDインジケータ15100は、上述したLEDインジケータ11100と同じ方式又は類似した方式で動作し得る。例えば、LEDインジケータ15100は器具15010のマイクロコントローラと信号通信をなし得、そのマイクロコントローラは、プリント回路基板15500上に配置され得る。
以前の手術器具では、アンビルを開位置と閉位置との間で移動させるように構成された手動クロージャシステムが利用されてきた。本明細書で開示する様々な実施形態では、固定されたステープルカートリッジに対してアンビルを開位置と閉位置との間で移動させるように構成された電動クロージャシステムが利用されている。アンビルが固定され得、電動クロージャシステムがステープルカートリッジを開位置と閉位置との間で移動させ得る他の実施形態も考えられる。いずれの場合も、クロージャシステムのモータは、アンビルとステープルカートリッジとの間の組織間隙を設定し得る。様々な例において、手術器具のクロージャシステムは、発射システムとは分離された異なるものである。他の例において、クロージャシステムと発射システムとは一体であってもよい。クロージャシステムと発射システムが分離された異なるものであるとき、手術器具のユーザーは、発射システムを動作させる前にステープル留め及び切開されるべき組織に対してアンビル及びステープルカートリッジの位置を評価し得る。
上で議論したように、例えばエンドエフェクタ1000など、手術器具のエンドエフェクタが、そのアンビルジョー1040とステープルカートリッジ1060との間で組織をクランプするように構成され得る。アンビルジョー1040がその閉位置にあるとき、組織間隙がアンビルジョー1040とステープルカートリッジ1060との間に画定され得る。特定の例において、エンドエフェクタ1000は、薄い組織、厚い組織、及びその薄い組織とその厚い組織との中間の厚さを有する組織で使用するのに好適となり得る。ステープル留めするためにエンドエフェクタ1000が適切に使用され得る、最も薄い組織と最も厚い組織が、エンドエフェクタ1000に対する組織厚さ範囲を画定し得る。様々な例において、手術器具システムが、ハンドルと、そのハンドルに組み付けられ得る複数のエンドエフェクタとを含み得、それらのエンドエフェクタのうちの1つ又は2つ以上が、異なる組織厚さ範囲を有し得る。例えば、第1のエンドエフェクタが第1の組織厚さ範囲を有し得、第2のエンドエフェクタが、第1の組織厚さ範囲とは異なる第2の組織厚さ範囲を有し得る。いくつかの例において、第1の組織厚さ範囲と第2の組織厚さ範囲は異なり得るが、他の例において、第1の組織厚さ範囲と第2の組織厚さ範囲は部分的に重なり得る。手術器具システムは、種々の組織厚さ範囲を有する任意の好適な数のエンドエフェクタを利用し得、組織厚さ範囲のいくつかは少なくとも部分的に重なってもよく、また他の組織厚さ範囲は全く重ならなくてもよい。
様々な例において、上記に加えて、例えばエンドエフェクタ1000のステープルカートリッジ1060など、エンドエフェクタのステープルカートリッジが交換式となり得る。様々な例において、ステープルカートリッジ1060は、エンドエフェクタ1000の下部ジョー1020内の定位置へと取り外し可能にロックされ得る。定位置にロックされると、ステープルカートリッジ1060のデッキ、又は組織接触表面は、下部ジョー1020に対して移動し得ないか、又は少なくとも実質的に移動し得ない。したがって、アンビルジョー1040がその閉位置へと移動されるとき、ある固定距離、つまり組織間隙が、アンビルジョー1040とステープルカートリッジのデッキ表面との間に画定され得る。この固定距離を変更するために、ステープルカートリッジ1060は下部ジョー1020から取り外され得、異なるステープルカートリッジが下部ジョー1020内に取り外し可能にロックされ得る。種々のステープルカートリッジのデッキ表面が、ステープルカートリッジ1060によって設けられる組織間隙とは異なる組織間隙を設けるように構成され得る。手術器具システムが、ハンドルと、そのハンドルに組み付けられ得る複数のエンドエフェクタと、それらのエンドエフェクタの中に交換可能に挿入され得る複数のステープルカートリッジとを含む実施形態も考えられる。そのような実施形態により、ユーザーは、ある組織厚さ範囲で使用することが可能なエンドエフェクタを選択することができ、そのエンドエフェクタと共に使用するように選択されたステープルカートリッジは、そのエンドエフェクタによってステープル留めされ得る組織厚さの範囲を調節又は微調整し得る。特定の例において、手術器具システムの第1のステープルカートリッジが第1のタイプのステープルを含み得、第2のステープルカートリッジが第2のタイプのステープルを含み得る。例えば、第1のステープルカートリッジは、第1の成形前又は発射前の高さを有するステープルを含み得、第2のステープルカートリッジは、その第1の高さとは異なる、第2の成形前又は発射前の高さを有するステープルを含み得る。
以下のすべての開示内容が参照によって本明細書に組み込まれる。
1995年4月4日に発行された米国特許第5,403,312号、名称「ELECTROSURGICAL HEMOSTATIC DEVICE」、
2006年2月21日に発行された米国特許第7,000,818号、名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT HAVING SEPARATE DISTINCT CLOSING AND FIRING SYSTEMS」、
2008年9月9日に発行された米国特許第7,422,139号、名称「MOTOR−DRIVEN SURGICAL CUTTING AND FASTENING INSTRUMENT WITH TACTILE POSITION FEEDBACK」、
2008年12月16日に発行された米国特許第7,464,849号、名称「ELECTRO−MECHANICAL SURGICAL INSTRUMENT WITH CLOSURE SYSTEM AND ANVIL ALIGNMENT COMPONENTS」、
2010年3月2日に発行された米国特許第7,670,334号、名称「SURGICAL INSTRUMENT HAVING AN ARTICULATING END EFFECTOR」、
2010年7月13日に発行された米国特許第7,753,245号、名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS」、
2013年3月12日に発行された米国特許第8,393,514号、名称「SELECTIVELY ORIENTABLE IMPLANTABLE FASTENER CARTRIDGE」、
2006年1月31日に出願され、現在の米国特許第7,845,537号である米国特許出願第11/343,803号、名称「SURGICAL INSTRUMENT HAVING RECORDING CAPABILITIES」、
2008年2月14日に出願された米国特許出願第12/031,573号、名称「SURGICAL CUTTING AND FASTENING INSTRUMENT HAVING RF ELECTRODES」、
2008年2月15日に出願され、現在は米国特許第7,980,443号である米国特許出願第12/031,873号、名称「END EFFECTORS FOR A SURGICAL CUTTING AND STAPLING INSTRUMENT」、
2008年9月23日に出願され、現在は米国特許第8,210,411号である米国特許出願第12/235,782号、名称「MOTOR−DRIVEN SURGICAL CUTTING INSTRUMENT」、
2008年10月10日に出願され、現在は米国特許第8,608,045号である米国特許出願第12/249,117号、名称「POWERED SURGICAL CUTTING AND STAPLING APPARATUS WITH MANUALLY RETRACTABLE FIRING SYSTEM」、
2009年12月24日に出願され、現在は米国特許第8,220,688号である米国特許出願第12/647,100号、名称「MOTOR−DRIVEN SURGICAL CUTTING INSTRUMENT WITH ELECTRIC ACTUATOR DIRECTIONAL CONTROL ASSEMBLY」、
2012年9月29日に出願され、現在は米国特許出願公開第2012/0074198号である米国特許出願第12/893,461号、名称「STAPLE CARTRIDGE」、
2011年2月28日に出願され、現在は米国特許第8,561,870号である米国特許出願第13/036,647号、名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT」、
現在は米国特許出願公開第2012/0298719号である米国特許出願第13/118,241号、名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH ROTATABLE STAPLE DEPLOYMENT ARRANGEMENTS」、
2012年6月15日に出願され、現在は米国特許出願公開第2013/0334278号である米国特許出願第13/524,049号、名称「ARTICULATABLE SURGICAL INSTRUMENT COMPRISING A FIRING DRIVE」、
2013年3月13日に出願された米国特許出願第13/800,025号、名称「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」、
2013年3月13日に出願された米国特許出願第13/800,067号、名称「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」、
2006年1月31日に出願された米国特許出願公開第2007/0175955号、名称「SURGICAL CUTTING AND FASTENING INSTRUMENT WITH CLOSURE TRIGGER LOCKING MECHANISM」、
2010年4月22日に出願され、現在は米国特許第8,308,040号である米国特許出願公開第2010/0264194号、名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT WITH AN ARTICULATABLE END EFFECTOR」。
先に説明したように、手術用装置に関連するデータを検出及び収集するようにセンサが構成され得る。プロセッサは、それらのセンサから受信したセンサデータを処理する。
プロセッサは、動作ロジックを実行するように構成され得る。プロセッサは、当該技術分野で知られている多数のシングル又はマルチコアプロセッサのうちの任意の1つであってよい。記憶装置は、動作ロジックの永久及び一時(ワーキング)コピーを記憶するように構成された、揮発性及び不揮発性記憶媒体を備え得る。
様々な実施形態において、上述のように、動作ロジックは、動作に関連付けられたデータを処理するように構成され得る。様々な実施形態において、動作論理は、初期の処理を実施し、アプリケーションをホストするコンピュータにデータを伝送して、命令を判断及び生成するように構成され得る。これらの実施形態の場合、動作論理は、ホストコンピュータから情報を受信し、ホストコンピュータにフィードバックを提供するように更に構成され得る。別の実施形態において、動作論理は、情報を受信しフィードバックを判定する上でより大きな役割を負うように構成され得る。いずれの場合も、それ自体で判定するか、ホストコンピュータからの命令に応答するかにかかわらず、動作論理は、ユーザーへのフィードバックを制御及び提供するように更に構成され得る。
様々な実施形態において、動作論理は、プロセッサの命令セットアーキテクチャ(ISA)によってサポートされる命令によって、又は、高水準言語によって、そしてサポートされるISAにコンパイルして実装され得る。動作論理は、1つ又は2つ以上の論理ユニット又はモジュールを含み得る。動作論理は、オブジェクト指向の方式で実装され得る。動作論理は、マルチタスキング及び/又はマルチスレッド方式で実行されるように構成されてもよい。他の実施形態において、動作論理は、ゲートアレイなどのハードウェアに実装されてもよい。
様々な実施形態において、通信インタフェースは、周辺装置とコンピューティングシステムとの間の通信を促進するように構成され得る。この通信は、ユーザーの身体部位の位置、姿勢、及び/又は運動データに関連する収集済みの生体データをホストコンピュータに伝送すること、並びに、触覚フィードバックに関連するデータをホストコンピュータから周辺装置へ伝送することを含み得る。様々な実施形態において、通信インタフェースは、有線通信インタフェースであっても、無線通信インタフェースであってもよい。有線通信インタフェースの例には、限定するものではないが、ユニバーサルシリアルバス(USB)インタフェースを挙げることができる。無線通信インタフェースの例には、限定するものではないが、Bluetoothインタフェースを挙げることができる。
様々な実施形態に対し、プロセッサは、動作論理と共にパッケージ化されてもよい。様々な実施形態において、プロセッサは、動作論理と共にパッケージ化されてシステムインパッケージ(SiP)を形成してもよい。様々な実施形態において、プロセッサは、同じダイで動作論理と統合されてもよい。様々な実施形態において、プロセッサは、動作論理と共にパッケージ化されてシステムオンチップ(SoC)を形成してもよい。
様々な実施形態が、本明細書では、プロセッサによって実行されているソフトウェア、プログラムモジュール、及び/又はエンジンなど、コンピュータ実行可能な命令の一般的状況において説明され得る。一般的に、ソフトウェア、プログラムモジュール、及び/又はエンジンは、特定の動作を行う又は特定の抽象データタイプを実現するように構成された任意のソフトウェア要素を含む。ソフトウェア、プログラムモジュール、及び/又はエンジンは、特定のタスクを行う又は特定の抽象データタイプを実現するルーティン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含み得る。ソフトウェア、プログラムモジュール、及び/又はエンジンコンポーネント並びに技術の実現は、コンピュータ読取可能媒体のいくつかの形態にわたって記憶及び/又は渡され得る。この点において、コンピュータ読取可能媒体は、コンピューティングデバイスが情報を記憶してアクセスできるように使用可能な任意の入手可能な媒体であることができる。いくつかの実施形態は更に、動作が通信ネットワークを通して接続される1つ又は2つ以上の遠隔処理装置によって行われる分散コンピューティング環境にて実行されてもよい。分散コンピューティング環境では、ソフトウェア、プログラムモジュール、及び/又はエンジンは、メモリ記憶デバイスを含むローカル及び遠隔コンピュータ記憶媒体の双方に配置され得る。情報、及びプロセッサで実行される命令を記憶するために、ランダムアクセスメモリ(RAM)又は他の動的記憶装置などのメモリが用いられ得る。メモリはまた、プロセッサによって命令を実行する間、一時変数又は他の中間情報を記憶するために使用されてもよい。
いくつかの実施形態は様々な動作を行う機能コンポーネント、ソフトウェア、エンジン、及び/又はモジュールを備えるように示されて記載されるが、このようなコンポーネント又はモジュールは1つ又は2つ以上のハードウェアコンポーネント、ソフトウェアコンポーネント、及び/又はそれらの組み合わせから実現されてもよいことを認識されるであろう。機能コンポーネント、ソフトウェア、エンジン、及び/又はモジュールは、例えば、ロジックデバイス(例えば、プロセッサ)によって実行されるように、論理(例えば、指示、データ、及び/又はコード)によって実現されてもよい。このような論理は、1つ又は2つ以上の種類のコンピュータ読取可能記憶媒体上に、ロジックデバイスの中又は外に記憶されてもよい。他の実施形態では、ソフトウェア、エンジン、及び/又はモジュールなどの機能コンポーネントは、プロセッサ、マイクロプロセッサ、回路、回路要素(例えば、トランジスタ、抵抗器、コンデンサ、インダクタなど)、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、論理ゲート、レジスタ、半導体装置、チップ、マイクロチップ、チップセットなどを含み得るハードウェア要素によって実現されてもよい。
ソフトウェア、エンジン、及び/又はモジュールの例としては、ソフトウェアコンポーネント、プログラム、アプリケーション、コンピュータプログラム、アプリケーションプログラム、システムプログラム、機械プログラム、オペレーションシステムソフトウェア、ミドルウェア、ファームウェア、ソフトウェアモジュール、ルーティン、サブルーティン、機能、方法、手順、ソフトウェアインタフェース、アプリケーションプログラムインタフェース(API)、指示セット、計算コード、コンピュータコード、コードセグメント、コンピュータコードセグメント、文字、値、記号、又はそれらの任意の組み合わせを挙げることができる。ある実施形態がハードウェア要素及び/又はソフトウェア要素によって実現されているかの判定は、所望の計算率、動力レベル、耐熱性、処理サイクル予算、入力データレート、出力データレート、メモリリソース、データバス速度及びその他の設計又は性能上の制限などの、任意の数の要因によって変動し得る。
本明細書で説明したモジュールのうちの1つ又は2つ以上が、ファームウェア、ソフトウェア、ハードウェア、又はそれらの任意の組合わせとして実現された1つ又は2つ以上の組み込みアプリケーションを備え得る。本明細書で記述したモジュールのうちの1つ又は2つ以上が、ソフトウェア、プログラム、データ、ドライバ、アプリケーションプログラムインタフェース(API)など、様々な実行可能モジュールを含み得る。ファームウェアは、ビットマスクされた読出し専用メモリ(ROM)又はフラッシュメモリ内など、不揮発性メモリ(NVM)を含み得る制御器2016及び/又は制御器2022のメモリ内に記憶されてもよい。様々な実現形態において、ファームウェアをROM内に記憶することで、フラッシュメモリを保護することができる。不揮発性メモリ(NVM)は、例えば、プログラム可能ROM(PROM)、消去可能プログラム可能ROM(EPROM)、電気的消去可能プログラム可能ROM(EEPROM)、又は、ダイナミックRAM(DRAM)、ダブルデータレートDRAM(DDRAM)、及び/若しくはシンクロナスDRAM(SDRAM)などのバッテリバックアップ型のランダムアクセスメモリ(RAM)を含め、他の種類のメモリを含み得る。
いくつかの場合では、様々な実施形態は製品として実現されてもよい。製品は、1つ又は2つ以上の実施形態の様々な動作を行うための論理、指示及び/又はデータを記憶するように構成されたコンピュータ読取可能記憶媒体を含んでいてもよい。様々な実施形態では、例えば、製品は、汎用プロセッサ又は特定用途向けプロセッサによって実行されるのに好適な、コンピュータプログラム指示を含む磁気ディスク、光学ディスク、フラッシュメモリ又はファームウェアを備えていてもよい。それらの実施形態はしかしながら、この状況に限定される。
本明細書で開示する実施形態に関連して説明した各種の機能的要素、論理ブロック、モジュール及び回路素子の各機能は、処理装置で実行されるソフトウェア、制御モジュール、論理、及び/又は論理モジュールなど、コンピュータ実行可能な命令の一般的な状況で実現され得る。一般に、ソフトウェア、制御モジュール、論理、及び/又は論理モジュールは、特定の動作を実施するように構成された任意のソフトウェア要素を含む。ソフトウェア、制御モジュール、論理、及び/又は論理モジュールは、特定のタスクを実施するか又は特定の抽象データ型を実現するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含み得る。ソフトウェア、制御モジュール、論理、及び/又は論理モジュール並びに技術の実現形態が、何らかの形態のコンピュータ可読媒体に記憶され、かつ/又はそのコンピュータ可読媒体を介して渡され得る。この点において、コンピュータ読取可能媒体は、コンピューティングデバイスが情報を記憶してアクセスできるように使用可能な任意の入手可能な媒体であることができる。いくつかの実施形態は更に、動作が通信ネットワークを通して接続される1つ又は2つ以上の遠隔処理装置によって行われる分散コンピューティング環境にて実行されてもよい。分散コンピューティング環境において、ソフトウェア、制御モジュール、論理、及び/又は論理モジュールは、メモリ記憶デバイスを含めてローカル及びリモートコンピュータの記憶媒体の双方に配置され得る。
それに加えて、本明細書で説明した実施形態は例示的な実現形態を示すものであり、また、機能要素、論理ブロック、モジュール、及び回路素子は、説明した実施形態と調和する様々な他の方式で実現され得ることが明らかとなろう。更に、そのような機能要素、論理ブロック、モジュール、及び回路素子によって実施される動作は、所与の実現形態のために、結合及び/又は分離されてもよく、また、より多数の又はより少数の構成要素又はモジュールによって実施されてもよい。当業者には本開示を読むと明らかとなるように、本明細書で説明及び図示した個々の実施形態はそれぞれ、本開示の範囲から逸脱することなく、容易に他のいくつかの態様のいずれかの特徴から分離され、またそれらの特徴と結合され得る、別個の構成要素及び特徴を有する。説明したいずれの方法も、説明した事象の順序で、又は論理的に可能な任意の他の順序で実行され得る。
特筆すべきこととして、「一実施形態」又は「ある実施形態」に言及することは、その実施形態に関連して記述された特定の特徴、構造、又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。「一実施形態において」又は「一態様において」という語句が本明細書に出現するが、これは必ずしも同じ実施形態を指すものではない。
別段の定めがない限り、「処理する(processing)」、「計算する(computing)」、「算出する(calculating)」、「判定する(determining)」などの用語は、レジスタ及び/又はメモリ内に物理量(例えば電子)として表現されるデータを、メモリ、レジスタ又は他のそのような情報記憶装置、伝送又は表示装置内に物理量として同様に表現される他のデータへと、操作及び/又は変換する、汎用プロセッサ、DSP、ASIC、FPGA又は他のプログラマブル論理デバイス、個別のゲート若しくはトランジスタ論理、個別のハードウェア構成要素、又は本明細書で説明した各機能を実施するように設計されたそれらの任意の組み合わせなどの、コンピュータ若しくはコンピューティングシステム、又は同様の電子コンピューティングデバイスの動作及び/又はプロセスを指すものであることが明らかとなろう。
特筆すべきこととして、いくつかの実施形態は、「結合された」及び「連結された」という表現を、それらの派生語と共に用いて説明され得る。これらの用語は、互いに同義語となるように意図されたものではない。例えば、いくつかの実施形態は、2つ又は3つ以上の要素が互いに直接、物理的又は電気的接触をなすことを示すために、「連結された」及び/又は「結合された」という用語を用いて説明され得る。「結合された」という用語はまた、しかしながら、2つ又は3つ以上の要素が互いに直接、接触をなさないが、依然として互いに協働又は相互作用することをも意味し得る。例えばソフトウェア要素に関して言えば、「結合された」という用語は、インタフェース、メッセージインタフェース、アプリケーションプログラムインタフェース(API)、交換メッセージなどを指し得る。
理解されたいこととして、参照によって本明細書に組み込まれると述べられた任意の特許、公報、又は他の開示資料は、部分的に又は全体的に、その組み込まれた資料が既存の定義、記載内容、又は本開示に示した他の開示資料と矛盾しない範囲で本明細書に組み込まれる。したがって、必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示は、参照により本明細書に組み込まれる任意の矛盾する文献に取って代わるものとする。参照することにより本明細書に組み込まれると述べた任意の文献又はその一部で、現行の定義、見解、又は本開示に記載された他の開示文献と矛盾するものは、組み込まれた文献と現行の開示文献との間に矛盾が生じない範囲においてのみ組み込まれるものとする。
開示した実施形態は、通常の内視鏡及び開放手術器具における応用性、並びにロボット支援手術における応用性を有する。
本明細書で開示した装置の実施形態は、1回の使用後に処分されるように設計されてもよく、又は、それらの実施形態は、複数回使用されるように設計されてもよい。実施形態は、いずれの場合も、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整することは、装置を分解する工程、それに続いて特定の部品を洗浄及び交換する工程、並びにその後に再組み立てする工程の任意の組み合わせを含み得る。特に、装置の各実施形態は分解されてもよく、また、装置の任意の個数の特定の部片又は部品が、任意の組み合わせで選択的に交換されるか、又は取り外されてもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換の際、装置の各実施形態は、再調整用の施設で、又は外科手技の直前に外科チームによって、後の使用のために再組み立てされてよい。装置の再調整では、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術が利用され得ることが、当業者には理解されよう。そのような技術を使用すること、及び得られた再調整された装置は、全て、本出願の範囲内にある。
例に過ぎないが、本明細書で説明した実施形態は、手術前に処理されてもよい。まず、新品又は使用済みの器具が入手され、必要に応じて洗浄されてもよい。器具は次いで、滅菌されてもよい。ある滅菌技術において、器具は、プラスチック製又はタイベック(TYVEK)製のバックなど、閉じられた密封容器内に置かれる。次いで、容器と器具は、ガンマ放射線、X線、又は高エネルギー電子など、容器を透過し得る放射線の場に置かれ得る。放射線により、器具上及び容器内の細菌が死滅され得る。次いで、滅菌された器具は、滅菌容器内に格納され得る。密封容器は、医療施設で開けられるまで、器具を滅菌状態に保ち得る。装置はまた、限定されるものではないが、ベータ若しくはガンマ放射線、エチレンオキシド、又は水蒸気を含めて、当該技術分野で既知の任意の他の技術を使用して滅菌されてもよい。
当業者に理解されたいこととして、本明細書に記載した構成要素(例えば動作)、装置、目的、及びそれらに関連する議論は、構想を明らかにするための例として用いられており、様々な構成の変更が企図される。結果として、本明細書で用いるとき、記載した特定の例及びそれらに伴う議論は、より一般的な種類を代表することを意図したものである。一般に、特定の代表例を用いることは、その種類を代表することを意図したものであり、また、特定の構成要素(例えば動作)、装置、及び目的を含めないことは、限定するものとみなされるべきではない。
実質的に任意の複数及び/又は単数の用語を本明細書で用いることに関して言えば、当業者は、状況及び/又は用途に適切となるように、複数から単数へ、かつ/又は単数から複数へ置き換えることができる。様々な単数/複数の置き換えは、簡潔にするため、本明細書では明示的には記述されない。
本明細書に記載する主題はときに、種々の他の構成要素の中に含められた、又はそれらと連結された種々の構成要素を示している。理解されたいこととして、そのように表現したアーキテクチャは単なる例であり、実際に、同じ機能性を達成する多数の他のアーキテクチャが実現され得る。構想の意味で、同じ機能性を達成する構成要素の任意の配置が、所望の機能性を達成するように効果的に「関連付け」られる。したがって、特定の機能性を達成するように結合された任意の2つの構成要素は、アーキテクチャ又は中間の構成要素に関わらず、所望の機能性を達成するように互いに「関連付け」られたと見なされることができる。同様に、そのように関連付けられた任意の2つの構成要素はまた、所望の機能性を達成するように互いに「動作可能に連結」又は「動作可能に結合」されていると見なされることができ、また、そのように関連付けられることが可能な任意の2つの構成要素はまた、所望の機能性を達成するように互いに「動作可能に結合可能」であると見なされることができる。動作可能に結合可能である特定の例には、限定するものではないが、物理的に嵌合可能及び/若しくは物理的に相互作用する構成要素、並びに/又は、無線式で相互作用可能及び/若しくは無線式で相互作用可能な構成要素、並びに/又は、論理的に相互作用する、及び/若しくは論理的に相互作用可能な構成要素が挙げられる。
いくつかの態様が、「結合された」及び「連結された」という表現を、それらの派生語と共に用いて説明され得る。これらの用語は、互いに同義語とすることを意図したものではないことを理解されたい。例えば、いくつかの態様は、2つ又は3つ以上の要素が互いに直接、物理的又は電気的接触をなすことを示すために、「連結された」という用語を用いて説明され得る。別の例において、いくつかの態様は、2つ又は3つ以上の要素が直接、物理的又は電気的接触をなすことを示すために、「結合された」という用語を用いて説明され得る。「結合された」という用語はまた、しかしながら、2つ又は3つ以上の要素が互いに直接、接触をなさないが、依然として互いに協働又は相互作用することをも意味し得る。
場合によっては、1つ又は2つ以上の構成要素が、本明細書において、「ように構成される」、「ように構成可能である」、「ように動作可能である/動作する」、「適合される/適合可能である」、「ことが可能である」、「ように適合可能である/適合される」などと呼ばれることがある。当業者に理解されたいこととして、「ように構成される」は一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、アクティブ状態の構成要素及び/又は非アクティブ状態の構成要素及び/又はスタンドバイ状態の構成要素を包含することができる。
本明細書に記述した主題の特定の態様が図示され説明されているが、当業者には明らかとなるように、本明細書における教示に基づいて、変更及び修正が、本明細書に記述した主題及びその広範な態様から逸脱することなくなされ得、したがって、添付の「特許請求の範囲」は、すべてのそのような変更及び修正を、本明細書に記述した主題の真の範囲内に含まれるものとして包含することになる。当業者には理解されることとして、一般に、本明細書で、そして特に添付の「特許請求の範囲」(例えば添付の「特許請求の範囲」の本文)で用いられる用語は、概して、「開放的」用語とすることを意図したものである(例えば、「含んで(including)」という用語は、「限定はしないが含んで(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、「有して(having)」という用語は「少なくとも有して(having at least)」として解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は「限定はしないが含む(includes but is not limited to)」と解釈されるべきである、など)。更に、導入されたクレーム記載(introduced claim recitation)において特定の数が意図される場合、そのような意図は当該クレーム中に明確に記載され、そのような記載がない場合は、そのような意図も存在しないことが当業者には理解されるであろう。例えば、理解を助けるものとして、後続の添付の「特許請求の範囲」では、「少なくとも1つの(at least one)」及び「1つ又は2つ以上の(one or more)」という導入句が、クレーム記載を導入するために含まれることがある。しかし、そのような語句を使用するからといって、「a」又は「an」という不定冠詞によってクレーム記載を導入した場合に、たとえ同一のクレーム内に、「1つ又は2つ以上の」又は「少なくとも1つの」といった導入句と「a」又は「an」という不定冠詞との両方が含まれていても、そのような導入されたクレーム記載を含む特定のクレームが、そのような記載事項を1つのみ含むクレームに限定されるということが示唆されると解釈されるべきではない(例えば、「a」及び/又は「an」は、通常は、「少なくとも1つの」又は「1つ又は2つ以上の」を意味すると解釈されるべきである)。定冠詞を使用してクレーム記載を導入する場合にも同様のことが当てはまる。
更に、導入されたクレーム記載において特定の数が明示されている場合であっても、そのような記載は、通常、少なくとも記載された数を意味するように解釈されるべきであることは、当業者には理解されよう(例えば、他に修飾語のない、単なる「2つの記載事項」という記載がある場合、この記載は、少なくとも2つの記載事項、又は2つ又は3つ以上の記載事項を意味する)。更に、「A、B、及びCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が用いられる場合、一般的に、そのような構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、及び/又はAとBとCの全て、などを有するシステムを含む)。「A、B、又はCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が用いられる場合、一般的に、そのような構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、及び/又はAとBとCの全て、などを有するシステムを含む)。通常、2つ又は3つ以上の選択的な用語を表すあらゆる選言的な語及び/又は句は、説明文内であろうと、請求の範囲内であろうと、又は図面内であろうと、それら用語のうちの1つ、それらの用語のうちのいずれか、又はそれらの用語の両方を含む可能性を意図すると理解されるべきであることが、当業者には理解されよう。例えば、「A又はB」という句は通常、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解されよう。
添付の「特許請求の範囲」に関して言えば、当業者に明らかとなることとして、本明細書における引用した動作は一般に、任意の順序で実施されてよい。また、様々な動作上の流れがシーケンスで示されているが、理解されたいこととして、様々な動作は、図示した以外の順序で実施されてもよく、又は同時に実施されてもよい。そのような別の順序付けの例には、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、重複、交互配置、割込み、再順序付け、増加的、予備的、追加的、同時、逆、又は他の異なる順序付けを挙げることができる。更に、「に応答する」、「に関連する」、又は他の過去時制の形容詞は一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、そのような変化形を除外するように意図するものではない。
手短に言えば、本明細書に記述した構想を用いる結果として得られる多数の利点について説明した。1つ又は2つ以上の実施形態の上述の説明は、例示及び説明を目的として提示されたものである。網羅的なものにすること、又は、開示した厳密な形に限定することは意図されていない。上記の教示を鑑みれば、修正又は変形が可能である。1つ又は2つ以上の実施形態は、原理及び実際の応用を説明し、それによって、様々な実施形態を様々な修正例と共に、企図される特定の用途に適するものとして当業者が利用できるようにするものである。本明細書と共に提示される「特許請求の範囲」が全体的な範囲を規定することが意図される。
〔実施の態様〕
(1) 手術器具であって、
エンドエフェクタであって、
中に取り出し可能に格納された複数のファスナを有するファスナカートリッジと、
前記ファスナを変形させるように構成されたアンビルと、を含む、エンドエフェクタと、
前記アンビルを前記ファスナカートリッジに対して移動させるように構成されたクロージャ駆動部と、
前記ファスナカートリッジから前記ファスナを配備するように構成された発射駆動部と、
回転可能なシャフトであって、
第1のねじ山であって、前記クロージャ駆動部は、前記アンビルを移動させるために前記第1のねじ山と係合可能である、第1のねじ山と、
第2のねじ山であって、前記発射駆動部は、前記ファスナを配備するために前記第2のねじ山と係合可能であり、前記第1のねじ山は、前記第2のねじ山と少なくとも部分的に重なり合う、第2のねじ山と、を含む、回転可能なシャフトと、を備える、手術器具。
(2) モータを更に備え、前記モータは、前記回転可能なシャフトと動作可能に係合された回転可能な出力部を含む、実施態様1に記載の手術器具。
(3) 前記クロージャ駆動部が、前記第1のねじ山と係合されたクロージャピンを含み、前記クロージャピンは、第1の経路に沿って並進するように構成され、前記発射駆動部が、前記第2のねじ山と螺合可能に係合された発射ナットを含み、前記発射ナットは、第2の経路に沿って並進するように構成され、前記第1の経路と前記第2の経路とは少なくとも部分的に重なり合う、実施態様1に記載の手術器具。
(4) 前記クロージャピンが、前記第1の経路に沿って並進するとき、前記発射ナットを通り過ぎるように構成される、実施態様3に記載の手術器具。
(5) 前記発射ナットが、その中に画定されたスロットを含み、前記クロージャピンが、前記スロットを通過するように構成される、実施態様4に記載の手術器具。
(6) 前記第1のねじ山が第1のねじピッチを含み、前記第2のねじ山が第2のねじピッチを含み、前記第1のねじピッチは前記第2のねじピッチとは異なるものである、実施態様1に記載の手術器具。
(7) 前記第1のねじピッチが、一定でないねじピッチを含み、前記第2のねじピッチが、一定のねじピッチを含む、実施態様6に記載の手術器具。
(8) 手術器具であって、
エンドエフェクタと、
第1のエンドエフェクタ機能を実施するように構成された第1の駆動部と、
第2のエンドエフェクタ機能を実施するように構成された第2の駆動部と、
回転可能なシャフトであって、
第1のねじ山であって、前記第1の駆動部は、前記第1のエンドエフェクタ機能を実施するために前記第1のねじ山と係合可能である、第1のねじ山と、
第2のねじ山であって、前記第2の駆動部は、前記第2のエンドエフェクタ機能を実施するために前記第2のねじ山と係合可能であり、前記第1のねじ山は、前記第2のねじ山と少なくとも部分的に同じ広がりを持つ、第2のねじ山と、を含む、回転可能なシャフトと、を備える、手術器具。
(9) モータを更に備え、前記モータは、前記回転可能なシャフトと動作可能に係合された回転可能な出力部を含む、実施態様8に記載の手術器具。
(10) 前記第1の駆動部が、前記第1のねじ山と係合されたクロージャピンを含み、前記クロージャピンは、第1の経路に沿って並進するように構成され、前記第2の駆動部が、前記第2のねじ山と螺合可能に係合された発射ナットを含み、前記発射ナットは、第2の経路に沿って並進するように構成され、前記第1の経路と前記第2の経路とは少なくとも部分的に同じ広がりを持つ、実施態様8に記載の手術器具。
(11) 前記クロージャピンが、前記第1の経路に沿って並進するとき、前記発射ナットを通り過ぎるように構成される、実施態様10に記載の手術器具。
(12) 前記発射ナットが、その中に画定されたスロットを含み、前記クロージャナットが、前記スロットを通過するように構成される、実施態様11に記載の手術器具。
(13) 前記第1のねじ山が第1のねじピッチを含み、前記第2のねじ山が第2のねじピッチを含み、前記第1のねじピッチは前記第2のねじピッチとは異なるものである、実施態様8に記載の手術器具。
(14) 前記第1のねじピッチが、一定でないねじピッチを含み、前記第2のねじピッチが、一定のねじピッチを含む、実施態様13に記載の手術器具。
(15) 手術器具であって、
エンドエフェクタであって、
中に取り出し可能に格納された複数のファスナを有するファスナカートリッジと、
前記ファスナを変形させるように構成されたアンビルと、を含む、エンドエフェクタと、
前記アンビルを前記ファスナカートリッジに対して移動させるように構成されたクロージャ駆動部と、
前記ファスナカートリッジから前記ファスナを配備するように構成された発射駆動部と、
回転可能なシャフトであって、
第1のねじ山であって、前記クロージャ駆動部は、前記アンビルを移動させるために前記第1のねじ山と係合可能なクロージャピンを含み、前記クロージャピンは、第1の経路に沿って並進するように構成される、第1のねじ山と、
第2のねじ山であって、前記発射駆動部は、前記ファスナを配備するために前記第2のねじ山と係合可能な発射ナットを含み、前記発射ナットは、第2の経路に沿って並進するように構成され、前記第1の経路と前記第2の経路とは少なくとも部分的に重なり合う、第2のねじ山と、を含む、回転可能なシャフトと、を備える、手術器具。
(16) 前記クロージャピンが、前記第1の経路に沿って並進するとき、前記発射ナットを通り過ぎるように構成される、実施態様15に記載の手術器具。
(17) 前記発射ナットが、その中に画定されたスロットを含み、前記クロージャナットが、前記スロットを通過するように構成される、実施態様16に記載の手術器具。
(18) 前記第1のねじ山が第1のねじピッチを含み、前記第2のねじ山が第2のねじピッチを含み、前記第1のねじピッチは前記第2のねじピッチとは異なるものである、実施態様15に記載の手術器具。
(19) 前記第1のねじピッチが、一定でないねじピッチを含み、前記第2のねじピッチが、一定のねじピッチを含む、実施態様18に記載の手術器具。
(20) モータを更に備え、前記モータは、前記回転可能なシャフトと動作可能に係合された回転可能な出力部を含む、実施態様15に記載の手術器具。