JP2016517519A - ビーコンローカルネットワークの性能向上 - Google Patents
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Abstract
ビーコンの局所域ネットワークを用いて場内の受信機の位置を推定するシステムおよび方法を述べる。特定の態様は、様々なネットワークの構成に関する。その他の態様は、受信機がビーコンの局所域ネットワークの端縁に接近する時の受信機位置の推定に関する。
Description
様々な実施形態は無線通信に関するものであり、特にビーコンの局所域ネットワークを用いて受信機の位置を推定するネットワーク、装置、方法およびコンピュータ可読媒体に関する。
地域内の人や物体の位置(すなわち「場所」)は、適切な正確度で推定することが望ましい。位置の正確な推定を用いて、緊急応答時間を短縮し、事業資産を追跡し、消費者を手近な事業に結び付けることが可能となる。三辺測量を含む様々な技術を用いて、物体(例えば受信機)の位置を推定する。三辺測量とは、幾何学を利用し、地理的に分散したビーコンから送信されて物体の場所で受信される異なる信号の行路長を用いて物体の場所を推定する処理である。信頼性をもって物体のビーコンとの間の距離を測定することは、物体が屋内環境にある時には不可能である場合が多い。その理由は、屋外のビーコンからの信号が全く受信されないか、または多数の面で反射して長い距離を伝搬した後にようやく受信されるからである。信頼性のある距離測定が不十分であると、概して場内の物体の位置の推定が不正確になり、ときには誤って物体の位置を場外と認識してしまうこともある。
物体がビーコンネットワークの端縁に接近すると他の問題が生じ、これは、狭い局所域(例えば建物内)をカバーするビーコンの局所域ネットワークにおいて生じる場合が多い。物体が局所域の境界/端縁に接近すると、「端縁効果」によって位置推定の正確度が損なわれる。そのため、局所域の端縁に、またはその近くに物体がある時点を検出することは、ビーコンネットワークだけに頼ることなく物体の位置を推定する場合に重要なのと同じく、重要となる。
したがって、局所域(例えば屋内環境)における局所域ビーコンネットワークを用いて物体の位置を特定する改良技術が必要となる。
本開示の特定の実施形態は、広くは、ビーコンネットワーク内における受信機の1または複数の位置を推定するネットワーク、装置、方法およびコンピュータ可読媒体に関する。このようなネットワーク、装置、方法およびコンピュータ可読媒体は、ビーコンネットワークに対応する第1の組の測距値に基づいて、受信機の第1の位置推定値を割り出し、受信機の現在位置を第1の位置推定値に設定してもよい。その後に、ビーコンネットワークに対応する第2の組の測距値に基づいて受信機の第2の位置推定値を割り出してもよい。さらに、ビーコンネットワークに対応する所定の区域内に第2の位置推定値があるかを判定してもよい。第2の位置推定値が所定の区域内にある場合は、受信機の現在位置を第2の位置推定値として設定する。第2の位置推定値が所定の区域内にない場合は、第1の位置推定値および受信機の最初の移動に関する速度の第1の測定値に基づいて受信機の第3の位置推定値を割り出し、受信機の現在位置を第3の位置推定値として設定する。
[ローカルビーコンネットワーク]
本開示の様々な態様は、屋内場または屋外場(例えば、1つまたは複数の建物、遊園地またはその他の場所)における局在化された1組のビーコンに関する。ビーコンは、単一のネットワークとして、またはより大きいネットワークの一部として配置して、その場内における測位サービスを向上させてもよい。
本開示の様々な態様は、屋内場または屋外場(例えば、1つまたは複数の建物、遊園地またはその他の場所)における局在化された1組のビーコンに関する。ビーコンは、単一のネットワークとして、またはより大きいネットワークの一部として配置して、その場内における測位サービスを向上させてもよい。
局所域ビーコンネットワークの特性は、場所によって変化することがある。いくつかの共通の特性は、その場内で低電力(例えば、100mWないし1W、PA出力電力)で放射するように最適個数のビーコンを合焦させて使用し;一般に天井または側壁に装着されるが場内の全高さ位置に装着可能で空間ダイバーシティ効果を得るアンテナを用い;複数のビーコンでネットワークを形成する一群のビーコンを使用して、(例えば、ネットワークオペレーションセンタ(NOC)を介して、またはローカルネットワークを介して)互いについての情報を交換し;良好な位置的配置でビーコンを導入することを含んでもよい。
同期タイミングは、概念的には、全ての局所域ビーコンを、各ビーコンに装着されたGNSSアンテナを用いて個々に直接GNSSに同期させることで得られる。しかし、この手法には、各ビーコンにGNSSを配備させるという厄介な問題がある。
以下でより詳細に述べるように、1つの実施案として、複数のビーコンのうちの1つ以上をGNSSに同期させ、次にタイミング分配ネットワークを使用して、この同期させたビーコンのうちの1つに他の全てのビーコンを同期させることが挙げられる。
他の実施案として、他のネットワークから受信した信号を用いて複数の局在化された「マスタ」ビーコンのうちの1つ以上をそのネットワークに同期させ、次にタイミング分配ネットワークを用いて、この同期した「マスタ」ビーコンのうちの1つに他の全てのビーコンを同期させることが挙げられる。タイミング分配は、各局所域ビーコンごとに受信機を用いて局所域マスタビーコンの送信を聴取させ、次に局所域マスタビーコンの送信したタイミング信号に応じてそのタイミングを調整することにより遂行できる。
タイミング分配に関するさらに他の実施案として、マスタビーコンがタイミング信号パルス(例えば、毎秒1パルス/PPS)を他のビーコンに分配することが挙げられる。IEEE1588精密時間プロトコルの精密バージョンを用いて、ビーコン間にタイミングを分配してもよい。
上記アーキテクチャの全てにおいて、遠隔無線ヘッドを配設して光ファイバケーブルを用いてビーコンが無線/ヘッドアンテナにデジタル信号を送出するようにしてもよい。遠隔無線ヘッド/アンテナは電力増幅器モジュールを収容でき、デジタル信号をアナログおよびRF信号に変換してアンテナへ情報を送る。遠隔無線ヘッドは、いくつかの実施形態においては、配設費用の削減に役立ち、電力消費の減少を促進する。ローカルビーコンネットワークもまた、アンテナ、電力および他の資源の共有に関してセルラDASシステムと共存可能である。
取り付けの際に、1ビーコン当たり1または複数の遠隔測定モデム/アンテナ(例えば、セルラ、Wi−Fiなど)を使用してもよく、また、全てのビーコンがネットワークオペレーションセンタ(NOC)への同一接続リンクを共有してもよいと考えられる。
また、ビーコンローカルネットワーク内のタイミング機能は、例えば米国特許第8,130,141号に記載のネットワークのような相応の広域ネットワークと類似、またはそれよりも優れたものと考えられ、同特許は、その内容が本開示の内容に反する場合以外はその全体を本願に組み入れる。広域ネットワークが存在する場合、送信は、ネットワーク資源(例えば、PRN、スロット、および周波数オフセット)に関して広域ネットワークと直交可能であるか、または同じネットワーク資源(例えば、PRN、スロット、周波数オフセット)の再利用が可能である。あるいは、ローカルネットワークは、別の周波数帯域で独立したネットワークとして動作してもよい。
場内には、局在化した測定値を取得可能な任意の数のローカルネットワークセンサ(例えば、気温センサ、気圧センサ、湿度センサ、気体センサ、音響センサ、またはその他のセンサ)があってよく、これらのセンサは、受信機においてこれらの測定値を対応する読取り値と相関させて、任意の座標(例えば、緯度、経度、高度)に沿った誤差を減少させることができる。例えば、ネットワークセンサおよび受信機におけるセンサ読取り値の整合性または類似性を用いて、可能性のある推定位置の候補を特定のネットワークセンサ周辺の既知領域内に位置する候補まで絞り込むことができる。また、センサ読取り値の履歴を取得して、特定の日時および季節における特定の場所の条件と対応付けてもよい。そこで、この対応付けた条件を利用して、測位処理をさらに向上させることも可能である。RFIDセンサを含む別のセンサを場全域に配置することも考えられ、この場合、受信機を検出するRFIDユニット、またはRFIDユニットを検出する受信機により、受信機の大まかな位置を検出することも可能である。様々なRFIDユニットを様々な検出範囲に対応付けて、RFIDユニットを用いて三辺測量をさらに精密化することも可能である。
各ビーコンの場所は、場内の特徴(例えば、ビーコンが位置する階数、他のビーコンとの相対的場所、ビーコンが位置する高度、ビーコンが位置する階の区域、年間を通して特定期間の標準的な大気条件、およびその他の特徴)と相関させてもよい。場内の上部に設けられたGNSSユニットによって、場内に関する記憶データと相関可能な緯度および経度を測定してもよい。場内に関する情報(例えば、その物理的境界、ビーコンの場所)を識別して、位置誤差の削減に利用してもよい。
局所域ビーコンもまた、局在化座標系を用いてもよく、その場合、受信機が局在化座標を標準の緯度、経度および高度(LLA)に変換する。
上記開示についてさらに詳述するために、図面および以下の説明に注目されたい。
[ネットワーク構成]
[ネットワーク構成]
図1では、GNSSアンテナ120が場内101(例えば、建物の上部にある場内)外に配置されている。GNSSアンテナ120で受信した信号は、有線または無線技術(例えば、同軸ケーブル)を用いて適切に増幅した後、多数の分配点に送られる。図示するように、GNSSアンテナ120からの情報は、GNSSスプリッタ125を介して通信リンク129によって多数のビーコン110に分配される。GNSSアンテナ120は、天井から下ろしてローカルネットワークアンテナ111、またはセルラ、Wi−Fiもしくはその他のネットワークなどの他のネットワーク130に対応する他のアンテナ113に近接して配置されたビーコンユニット110を制御してもよい。あるいは、図示しないが、ビーコン110は場内101の外(例えば、屋上)に配置し、各アンテナは場内101の別々の場所に配置してもよい。通信リンクでビーコン110をアンテナ111および113に接続してもよい。通信リンクは、有線(例えば、ケーブル)または無線であってもよく、ビーコン110をアンテナ111、113に接続するためにアンテナ111、113へ局所的に給電する必要があることもある。各ビーコン110は、遠隔モニタリング用にネットワークオペレーションセンタ(NOC)へ戻る個別の遠隔測定接続を有してもよい。
図2は、局所域ビーコンのより大型の配置を示し、2つのグループの局所域ビーコンが設置されている。何故なら、各グループは利用可能なGNSS分配点の数および長さが限定されているからである。各グループは互いに通信し合い、有線または無線通信リンク229に基づいて情報を交換できる。
[イントラビーコン接続]
[イントラビーコン接続]
以下で図3を参照する。図3は、ビーコン310aないし310nおよびGNSSアンテナ320に接続され局在化したn路分配部325のネットワークを示す。各ビーコン310は、有線および/または無線による通信リンク329(例えば、イーサネットリンク)を用いてn路分配部325に接続され、このリンクは、1または複数の大気センサ370(例えば、気圧センサ、気温センサ、湿度センサ、その他の大気センサ)からの大気情報、タイミング情報(例えば、GNSSタイミング情報)、ならびにビーコン310(および図示していないネットワーク内の他の構成要素)間の他の情報を交換するイントラビーコンネットワーク接続を確立するものである。この手法の1つの利点は、その導入費用が安いことである。その理由は、高価な遠距離通信モデムの導入や、ビーコン間データ交換用のネットワークオペレーションセンタ(NOC)へのデータ接続が避けられるからである。
図4は、2つのグループの局所域ビーコンが設置された局所域ビーコンのより大きな配置を示す。各グループは互いに通信可能であり、有線または無線通信リンク429に基づいて情報を交換する。
図5は、異なる構成要素間に配置された通信リンク529を含むリングネットワークトポロジを介してタイミングおよびメッセージ交換を分配できる様子を示す。
[マルチアンテナ構成]
[マルチアンテナ構成]
図6に示すさらに他の構成では、1つのビーコン610は、いくつかのアンテナ611aないしアンテナ611nを異なるタイムスロットで駆動するn路スイッチ615を含むか、またはこのスイッチに接続してもよい。なお、ビーコンネットワークに関する開示は、1つのビーコンまたは任意の数のビーコンによって制御されるアンテナのネットワークにまで拡大できる。
場合によっては、局所域ビーコンネットワークはTDMAネットワークであってもよく、その場合、1つのビーコン(例えば、ビーコン610)が様々なタイムスロット、例えばn =10のタイムスロットで信号を生成することが望ましいこともある。このような構成は、RFスイッチ(例えば、スイッチ615)を用いて10個のアンテナ間で信号を切り換えることで達成できる。この手法の1つの利点は、システムの費用を抑えられることである。何故なら、これは10個のビーコンに代わるものであり、多数の配線路が低減されるからである。他の利点は、タイミングの不安定性を低減できることである。何故なら、10個の信号の全てが1つの信号源から送られるからである。
[局所域ビーコンネットワークに対する境界ボックスの制限]
[局所域ビーコンネットワークに対する境界ボックスの制限]
三辺測量を含む様々な技術を用いて受信機の位置を推定する。三辺測量とは、幾何学を利用し、受信機が様々なビーコンから受信した異なる「測距」信号の行路長(すなわち「到達距離」)を用いて受信機の場所を推定する処理である。ビーコンからの測距信号の送信時刻および当該測距信号の受信時刻が分かれば、両時刻の差に光速を乗じれば、当該測距信号の行路長の推定値が得られよう。これらの距離推定値は、「測距値」と呼ばれる場合が多い。大抵の場合、測距値は、ビーコンと受信機との間の実際の測距値(すなわち最短距離)に等しくない。その理由は、主として、ビーコンと受信機との間に位置する各物体で測距信号が反射するからである。したがって、受信機位置の推定値は、測距値に基づいたものであると、必ずしも実際の位置に等しくなるわけではない。
三辺測量は、様々な位置における各ビーコンから測距信号が受信機まで伝搬した距離の間の地理的関係に基づいて受信機の位置を推定するものである。例えば、推定値は、測定した範囲が交差する場所に基づく場合が多い。大抵の場合、受信機の周辺に地理的に分散したビーコンから測距信号を受信すると、より正確な推定値が割り出され、一方向からの不正確な測距値は別の方向からの測距値によって相殺される。しかし、受信機がビーコンネットワークの境界/端縁に接近すると、測距信号は通常、受信機周辺に地理的に分散されていない方のビーコンから受信される(すなわち、特定の方向から測距値を入手できない)。この場合、一方向からの不正確な測距値は、相反する測距値が受信されていないため、受信機の実際の位置とはかけ離れた位置測定値となる可能性もある。これによって、受信機位置の推定値は、ビーコンネットワークの端縁近くではかなり不正確となる可能性もある。このような問題は、広域ビーコントポロジにおいてはさほど問題にならない。広域ビーコントポロジではカバーする面積がかなり広く、受信機の最も可能性の高い場所の周辺にビーコンを地理的により良く配分できる。一方、局所域ビーコントポロジにおいて、これらの問題は深刻である。局所域ビーコントポロジはカバーする面積が狭いため、ビーコンの配置場所(例えば、ショッピングモール、空港、学校)の地理的パラメータによって制限される。局所域ネットワークにおいては、一方向からの測距値が不正確であると、受信機が場内にあっても、他の方向からの相殺する測距値が無い状態では、推定位置が場外になる可能性がある。したがって、局所域ビーコンネットワークの端縁における受信機位置の正確な推定値を提供する解決策が必要となる。このような解決策を以下で述べる。
一般に、位置検出エンジンを使用して受信機位置の推定値を算出する。位置検出エンジンは、カルマンフィルタなどのトラッキングフィルタを含み、トラッキングフィルタは、位置推定値の算出用測距信号を送信するビーコンのネットワークによって形成された2次元または3次元凸包(すなわち「境界ボックス」)内には常に受信機が存在するという仮定の下で機能する。局所域ビーコンネットワークの境界ボックスは、後述するように、ビーコンの既知の場所、ビーコンのカバー領域、および/または場の物理的境界を利用して判別できる。
受信機が常に境界ボックス内に存在するという仮定に反する場合、トラッキングフィルタの発散が起きる可能性もある。ビーコンのローカルネットワークによって生じた境界ボックスの端縁に向けて受信機が移動すると、トラッキング位置検出フィルタにおけるノイズ、測距値のマルチパス偏位または他の問題によってトラッキングフィルタの位置推定値が境界ボックスから一時的に外れてしまう可能性が高い。これが生じると、トラッキング位置検出フィルタが発散してしまう可能性がある。この現象は、カルマンフィルタに関して説明したが、同様に他の位置検出フィルタにも適用可能である。
受信機が境界ボックス内にある場合、フィルタの状態に影響を及ぼす様々なパラメータに対する受信機クロック偏位および受信機移動の影響は、フィルタがクロック偏位と受信機の移動を十分区別できる程度に異なっている。したがって、クロック偏位は、それなりに推定され、誤って受信機の移動と推定することにはならない。しかし、受信機の推定位置が境界ボックスの外側にある場合、受信機のクロック変動を受信機移動と間違えてしまうこともあり、その場合、位置推定値は境界ボックスの外側へますますずれ始める。この問題を回避するために、以下の解決策を提案する。この解決策は、ビーコンネットワークによって形成される境界ボックスを考慮に入れるものである。
初期状態では、カルマンフィルタが安定状態にあり、境界ボックス内に位置測定値があると仮定してもよい。受信機がビーコンネットワークの端縁に向けて移動すると、位置測定値が境界ボックスの外部になる場合もあり、これは、位置測定値の位置座標を境界ボックスの位置座標の範囲と比較することにより判別できる。位置測定値の1つが境界ボックス外にあると判定すると、カルマンフィルタを「ホールドオーバ」モードに設定してもよい。カルマンフィルタは、ホールドオーバモードに入ると、ビーコンからさらに受信する測距値を無視してもよく、これは受信した測距値が境界ボックスの内側の位置推定値を生じるまで続く。
ホールドオーバモードの間、カルマンフィルタは、受信機に設けられたセンサ(例えば、方向、速さ、および他の動きを測定する慣性センサ)から得られる測定値を用いて受信機位置を出力し続けることができる。例えば、境界ボックス内にあった受信機の最後の推定位置を開始点として用いることも可能であり、また、速度(すなわち、速さおよび方向)を用いて新たな位置推定値を形成することも可能である。ネットワークビーコンの場所および到達距離が既知の、例えばWi-Fiまたはピアツーピア/受信機間ネットワークなどの他のネットワークからの他の情報源を使用してもよく、その測定値を場内のマップと相関させて、ホールドオーバモード中に受信機の位置推定値をさらに絞り込んでもよい。
フィルタは、受信機の推定位置を境界ボックス内に戻す1組の測距値を受信するまでホールドオーバ状態を持続する。推定位置がボックス内に戻ると、フィルタはホールドオーバモードを終了して、再び測距値を用いて位置推定値をトラッキングする。
なお、センサ測定値に基づいて出力された位置推定値がある期間(例えば、数秒、1分未満、数分)を超えて適用可能でない場合もあるため、カルマンフィルタが長期間ホールドオーバモードにあることは不可能である。この状況を回避するために、フィルタがホールドオーバモードに入る度に内部カウンタをある値(例えば、ゼロまたは最大数)に初期化する。このカウンタは、フィルタがビーコンからの測距値を無視する限り、すなわち測距値に基づく位置測定値が境界ボックスの外にある限り、インクリメントまたはデクリメントされる。計数値が閾値条件に到達した時にフィルタがホールドオーバを終了しなかった場合、カルマンフィルタの状態ベクトルは完全にリセットされる(例えば、フィルタは、再起動時点までに得られた測距情報の履歴を全て廃棄する)。以後の位置推定値が境界ボックス外であり続けると、カルマンフィルタは、位置推定値が境界ボックス内となる1組の測定値を受信するまでリセットされ続ける。
いくつかの実施形態では、センサ測定値を用いて位置推定値を割り出す度に、計数値が変更される。他の実施形態では、所定の経過期間の後に、計数値が変更される。閾値条件は、カウンタが所定の閾値に到達することに基づくものでもよい。いくつかの実施形態では、閾値は、境界ボックス外となる(測距値に基づく)多数の一連の位置推定値(またはセンサ推定値に基づく多数の一連の位置推定値)に基づく。あるいは、閾値は経過時間に基づくものでもよい。
カルマンフィルタは、ホールドオーバモード中、受信機の可能性のある位置を推定する。通常、センサ測定値および他の要因が不正確であると、一連の推定値はそれぞれ、時間と共にますます不正確となる。
なお、カルマンフィルタは、秒単位で現状に基づいて新たな状態を予測する。「プロセスノイズ」と呼ばれるノイズ項は、この予測と関係している。プロセスノイズは、フィルタが以前の状態推定で有していた信頼性のレベルを表す。カルマンフィルタがホールドオーバモードにある時間が次第に長くなると、プロセスノイズの大きさは徐々に増し、フィルタは出力状態の品質が時間と共に損なわれていくことを示す。結局、ホールドオーバモードが一定期間内に終了しないと、またはプロセスノイズの値が閾値に到達しないうちに、フィルタはリセットされる。センサ測定値に基づく各推定の後で計数値を閾値条件と比較するようにしないで、センサ測定値に基づく各推定の後にプロセスノイズを閾値条件(例えば最大値)と比較できることも考えられる。
例えば、図7は、ホールドオーバモードの使用時点を判定する1つの処理を示す。ある場内にビーコンローカルネットワークを設定すると、場内および/またはビーコンの地理的パラメータに基づいて境界ボックスを判別する(701)。異なる境界ボックスに関しては、後ほどさらに詳述する。
第1の時点において、受信機がネットワーク内の様々なビーコンから受信した測距信号から測距値を求める。次に、それらの測距値を用いて、第1の時点におけるネットワーク内の受信機位置の推定値を算出する(702)。第1の時点における受信機位置の推定値を境界ボックスと比較し、その推定位置が境界ボックス外にあるか否かを判定する(703)。推定位置が境界ボックス外にない(すなわち、境界ボックス内にある)場合、その推定位置を用いて受信機位置の以前の推定値を置き換え(704)、後の時点で受信機位置の別の推定値を求める(702)。推定位置が境界ボックス外である場合、任意で、トラッキングフィルタの状態(例えば、トラッキングフィルタが所定期間内で初期化されたかどうか)を判定する(705)。トラッキングフィルタが最近初期化された場合、任意で、後の時点で新たな測距値を用いて受信機位置の別の推定値を求める(702)。トラッキングフィルタが最近初期化されていなければ、または単に推定位置が境界ボックス外であれば、トラッキングフィルタはホールドオーバモードに入り、カウンタは初期値(例えば、ゼロ、またはカウンタのデクリメントまたはインクリメントに応じた任意の好適な値)に設定される(706)。
ホールドオーバモードでは、受信機位置の以前の推定値以降の受信機の速度を判定し、得られた速度を受信機位置の以前の推定値とともに用いて、受信機の位置を推定する(707)。速度推定値は、受信機が移動した距離および方位を示すことができる。距離および方位が分かれば、受信機位置の以前の推定値に加算して受信機の位置を推定することが可能である。カウンタの値もまた、回路構成に応じてインクレメントまたはデクリメントされる(708)。
別の時点において、測距値を割り出して、当該別の時点における受信機位置の推定に使用する(709)。当該別の時点における受信機位置の推定値を境界ボックスと比較し、その推定位置が境界ボックス外であるかを判定する(710)。推定位置が境界ボックス外ではない(すなわち、境界ボックス内である)場合、推定位置を用いて以前の受信機位置の推定値(例えば、さらに前の時点で得られた速度に基づく推定値)を置き換える(704)。推定位置が境界ボックス外であれば、カウンタの値が閾値に達しない限り、動作707ないし710を繰り返す(711)。カウンタの値が閾値に達しない場合、トラッキングフィルタを再度初期化し(712)、動作702を開始する。
上記方法を利用することにより、ネットワーク展開の端縁効果が軽減され、一定期間中にそのプロセスノイズが増大しても、その期間、カルマンフィルタをホールドオーバモードに設定することにより、カルマンフィルタの発散を回避することが可能である。ホールドオーバ機構は、必要に応じて、置換によりフィルタに追加し、また目標領域の端縁に受信機位置の推定値を場合に応じて置くことによって、補うことができる。
なお、「境界ボックス」は、全ての物がその内側に位置する境界を特定するものである。「ボックス」内にある物に応じた任意の形状をとってよい。境界ボックスは、複数の次元、例えば緯度、経度、高度、および(領域の境界が変化する場合は)時間によって定められる境界を有する画定領域として考えることも可能である。
ビーコンネットワークの場合、境界ボックスは、図8Aに示すように、ネットワーク内の各ビーコンのカバー領域の端縁に相当していてもよい。あるいは、境界ボックスは、図8Bに示すように、n個のビーコンの重なり合うカバー領域の端縁に相当してもよく、同図の場合はn=2である。当然ながら、境界ボックスは、もっと狭く定めてもよい。さらに、境界ボックスは、ネットワーク資源の状態に応じて、時間とともに変化してもよい。
境界ボックスは、建物の壁面など、場の物理的境界によって制限してもよく、これにより、受信機が建物を出て壁の外側の推定位置に向かうのを防止できるであろう。このように、ネットワークのカバー領域パラメータに加えて、またはそれに代わって、場の既知の物理的パラメータを利用して境界ボックスの境界を割り出してもよい。境界ボックスの境界が分かれば、受信機に対応する位置推定値を境界ボックスの境界に対応する地理的パラメータと比較することが可能である。例えば、推定位置の緯度、経度および/または高度を幾組かの緯度、経度および/または高度と比較できる。この比較によって、推定位置が地理的パラメータ内にあるかを判定できるであろう。
[付加的手法]
[付加的手法]
本願に開示した機能および動作は、1または複数の場所においてプロセッサが実現する1または複数の方法として具体化することも可能である。本方法を実現するために実行するように構成されたプログラム命令を具体化するプロセッサ可読非一時媒体も考慮に入れる。プログラム命令は、少なくとも1つの半導体チップに含まれていてもよい。
限定ではなく一例として、本方法には以下の工程を含んでもよい。すなわち、ビーコンネットワークに対応する第1の組の測距値に基づいて受信機の第1の位置推定値を割り出し、受信機の現在位置を第1の位置推定値に設定し、ビーコンネットワークに対応する第2の組の測距値に基づいて受信機の第2の位置推定値を割り出し、第2の位置推定値がビーコンネットワークに対応する所定の区域内であるかを判定する。第2の位置推定値が所定の区域内にある場合、本方法はさらに、または代わりに、受信機の現在位置を第2の位置推定値として設定してもよい。第2の位置推定値が所定の区域内でない場合、本方法はさらに、または代わりに、第1の位置推定値および受信機の第1の動きに対応する速度の第1の測定値に基づいて受信機の第3の位置推定値を割り出し、受信機の現在位置を第3の位置推定値として設定してもよい。
第3の位置推定値を割り出したら、本方法はさらに、または代わりに以下の工程を含んでもよい。すなわち、ビーコンネットワークに対応する第3の組の測距値に基づいて受信機の第4の位置推定値を割り出し、第4の位置推定値が所定の区域内にあるかを判定する。第4の位置推定値が所定の区域内にある場合、本方法はさらに、または代わりに、受信機の現在位置を第4の位置推定値に設定する。第4の位置推定値が所定の区域内でない場合は、本方法はさらに、または代わりに以下の工程を含んでもよい。すなわち、第3の位置推定値と受信機の第2の動きに対応する速度の第2の測定値とに基づいて受信機の第5の位置推定値を割り出し、受信機の現在位置を第5の位置推定値として設定する。
第2の位置推定値が所定の区域内にないことを確認したら、本方法はさらに、または代わりに、カウンタの値をインクリメントまたはデクリメントする工程を含んでもよい。カウンタをインクリメントまたはデクリメントした後、本方法はさらに、または代わりに、以下の工程を含んでもよい。すなわち、ビーコンネットワークに対応する第3の組の測距値に基づいて受信機の第4の位置推定値を割り出し、第4の位置推定値が所定の区域内にあるかを判定する。第4の位置推定値が所定の区域内である場合、方法はさらに、または代わりに、受信機の現在位置を第4の位置推定値として設定する工程を含んでもよい。第4の位置推定値が所定の区域内にない場合、本方法はさらに、または代わりに、カウンタの値が閾値条件を満たすかを判定する工程を含んでもよい。カウンタの値が閾値条件を満たさないと判定したら、本方法はさらに、または代わりに以下の工程を含んでもよい。すなわち、第3の位置推定値と受信機の第2の動きに対応する速度の第2の測定値とに基づいて受信機の第5の位置推定値を割り出し、受信機の現在位置を第5の位置推定値として設定する。カウンタの値が閾値条件を満たすと判定したら、本方法はさらに、または代わりに、カルマンフィルタをリセットする工程を含んでもよい。
いくつかの態様によると、所定の区域の1または複数の地理的パラメータを第2の位置推定値の1または複数の位置座標と比較して、第2の位置推定値が所定の区域内にあるか否かを判定する。いくつかの態様によると、1または複数の地理的パラメータは、所定の区域内に収まる1または複数の座標を含む。いくつかの態様によると、1または複数の地理的パラメータは、ビーコンネットワークのカバー領域に基づくものである。いくつかの態様によると、所定の区域の1または複数の地理的パラメータは、ビーコンネットワークを収容する建物の物理的パラメータに基づくものである。
いくつかの態様によると、カルマンフィルタに関連するプロセスノイズが所定の量のプロセスノイズに達するまで、別の速度測定値に基づいて別の位置推定値を求め、その時点でカルマンフィルタがリセットされる。いくつかの態様によると、カウンタの値が所定の閾値に達するまで、別の速度測定値に基づいて別の位置推定値を求め、その時点でカルマンフィルタがリセットされる。いくつかの態様によると、第3の位置推定値はさらに、ビーコンネットワークが存在する場のマップに基づくものである。
いくつかの態様によると、ビーコンネットワークは建物の内部に配置される。ビーコンネットワークは、建物の頂部に配置されたGPSアンテナを介してGPS時間に同期された第1のビーコンを含み、また、ビーコンネットワークは、第1のビーコンによって送信されるタイミング信号に基づいてGPS時間に同期する他のビーコンを含む。
いくつかの態様によると、ビーコンネットワークは少なくとも1つのビーコンを含み、これは、n個の異なるタイムスロットでn 個のアンテナに信号を送るn 路スイッチに接続されている。
本方法はさらに、または代わりに以下の工程を含む。すなわち、受信機から得られる大気データをビーコンネットワークの1または複数の領域に対応する大気測定値と比較し、受信機から得られる大気データとビーコンネットワークの1または複数の領域に対応する大気測定値との比較に基づいて、位置推定値の候補を特定する。いくつかの実施形態では、測定した速度の他に、地域的大気測定値を用いて、ホールドオーバモード中に推定位置を割り出すようにしてもよい。
建物内の受信機の位置を推定するシステムは建物内に配置された第1のビーコンを備えてもよく、第1のビーコンは、建物の頂部に配置されたGNSSタイミング受信機から受信したタイミング信号に同期する。
本システムは、建物全体に分散配置されビーコンに接続された複数のアンテナを含んでよく、第1のビーコンは、複数個のタイムスロットに対応する複数の信号を生成し、各信号は上述の複数のアンテナのうちの別々のアンテナによって送信される。
本システムは、建物内に配置された同期ビーコンのネットワークを含んでよく、同期ビーコンのネットワークは、第1のビーコンと、タイミング信号に同期する残りのビーコンとを含む。
いくつかの態様によると、残りのビーコンは、第1のビーコンから生成されるローカルタイミング信号に基づいて第1のビーコンに同期する。いくつかの態様によると、ローカルタイミング信号の送信は、GNSS受信機からのタイミング信号の送信と直交する。いくつかの態様によると、残りのビーコンは、GNSSタイミング受信機からタイミング信号を受信する。
本システムは、建物の様々な領域の気圧および気温を測定する複数個の大気センサと、受信機が取得した気圧および気温の測定値を建物の様々な領域で得られた気圧および気温の測定値と比較する1または複数のプロセッサとを含んでよく、1または複数のプロセッサは、この比較に基づいて受信機の位置推定値を割り出す。
いくつかの態様によると、1または複数の他の領域で得られた気圧および気温の測定値と比べて第1の領域からの第1の組の気圧および気温の測定値が受信機で取得した気圧および気温の測定値と最も良く一致する場合は、1または複数のプロセッサは、位置推定値が建物の第1の領域にあると判定する。
上記方法において具体化された機能のどの部分も、その機能の他の任意の部分と組み合わせてもよい。
機能(例えば方法として具体化される機能)を実行するシステムは1または複数の装置を含んでもよく、これらの装置は、位置情報を送出するビーコン、位置情報を受信する受信機、受信機の位置を算出し他の機能を実行するために使用するプロセッサ/サーバ、入出力(I/O)装置、データ源、および/または他の装置を含むものである。第1の装置または装置群から送られる出力は、本方法の実行の際、他の装置で受信し使用してもよい。したがって、2つの装置が同じ場所に無くとも(例えば、受信機がビーコンネットワーク内にあり、サーバが他の国にあっても)、1つの装置から送られる出力によって他の装置が本方法を実行できる。さらに、1または複数のコンピュータをプログラミングして様々な方法を実行することも可能であり、1または複数のプロセッサ可読媒体に記憶された命令をプロセッサによって実行して、様々な方法を実行することも可能である。
[システムの例およびその他の態様]
[システムの例およびその他の態様]
用語「ビーコン」および「送信機」は、同じものを指してよいことに留意されたい。例えば、図9の送信機システム900はビーコンで使用可能である。
図9は、信号の生成および送信が可能な送信機システム900の詳細を示す。送信機システム900は、信号処理を行う(例えば、受信信号を解読して送信信号を生成する)プロセッサ910を含んでもよい。1または複数のメモリ920は、本願に記載の機能を実行するデータおよび/または実行可能命令の保存および取出しが可能である。送信機システム900はさらに、信号を送受信する1または複数のアンテナ部(例えば、衛星アンテナまたは地上アンテナ)と、場所情報および/または他の情報(例えば、タイミング、精度希釈(DOP)など)を抽出可能な衛星信号を受信する衛星RF部940と、地上ネットワークが送信する信号を受信して/または出力信号を生成して送信する地上RF部950と、他のシステムと通信を行うインタフェース960とを含んでもよい。また、送信機システム900は、環境条件(例えば、気圧、気温、湿度、風、音など)を検出する1または複数の環境センサ970を含んでもよく、環境条件は、受信機が検出した条件と比較して送信機システム900における条件と受信機における条件との類似性および相違点に基づいて受信機の位置を推定する。なお、送信機システム900は本願記載の送信機によって実現可能であり、あるいは当業者に公知の別の形をとってもよい。また、各送信機システム900は、当該技術分野において公知であり、または開発されるような様々な要素を備えて、アンテナに出力信号を送り、またアンテナからの入力信号を受けるようしてもよく、これらの要素には、アナログまたはデジタル論理回路、ならびに電力回路、信号処理回路、同調回路、バッファ増幅器および電力増幅器などが含まれる。
図10は、受信機システム1000の詳細を示し、受信機システムにおいて、送信機(例えば送信機システム900)から送られた信号を受信して処理し、受信機システム1000の推定位置の割り出しに使用する情報を抽出することができる。受信機システム1000は、無線手段(無線周波数、Wi−Fi、Wi−Max、Bluetooth、もしくは当該技術分野において公知の、あるいは後に開発される他の無線チャネル)、または有線手段(例えば、イーサネット、USB、フラッシュRAM、もしくは当該技術分野において公知の、あるいは後に開発される他の同様のチャネル)を用いて、RFまたは他の信号を受信するように構成された様々な電子装置のいずれを含んでもよい。各受信機システム1000は、セルラフォンもしくはスマートフォン、タブレットデバイス、PDA、ノートパソコン、または他のコンピュータデバイスの形をとってもよい。なお、ユーザ装置(UE)、モバイルステーション(MS)、ユーザ端末(UT)、SUPL対応端末(SET)、受信機(Rx)、およびモバイル機器も受信機システム1000と称して使用することがある。図示するように、RF部1030は、他のシステム(例えば、衛星、地上)との情報交換を制御することができる。信号処理は、衛星部1040または地上部1050において行ってもよく、アンテナ、RF回路などの個別または共有の資源を使用することも可能である。1または複数のメモリ1020はプロセッサ1010に接続され、プロセッサ1010にて実行可能で本願に記載の手順に関連するデータおよび/または命令を記憶して、取り出すことができる。また、受信機システム1000は、気圧、気温、湿度、加速度、移動方向、風力、風向、音などの環境条件、または他の条件を測定する1または複数のセンサ1070を備えていてもよい。受信機システム1000はさらに、入出力(I/O)部1080および1090を備えていてもよく、入出力部には、当該技術分野において公知の手段によって制御可能なキーパッド、タッチスクリーンディスプレイ、カメラ、マイクロフォン、スピーカなどを含んでよい。なお、受信機システム1000は、本願に記載の受信機によって実現可能であり、あるいは、当業者に公知の別の形をとってもよい。
いくつかの実施形態において、送信機システム900および/または受信機システム1000は、様々な有線または無線通信リンクを介してサーバシステム(図示せず)に接続させて、送信機システム900および/または受信機システム1000と情報を送受信してもよい。また、サーバシステムは、送信機システム900および/または受信機1000の動作を制御することも可能である。送信機システム900および/または受信機システム1000において実施可能ないくつかの、または全ての処理は、これらのシステムから遠隔の(例えば、異なる都市、州、地域または国における)1または複数のプロセッサによって代行してもよい。このような遠隔プロセッサは、サーバシステムに配置してもよい。このように、諸処理を地理的に分散してもよい。あるシステムまたは構成要素における処理は、(例えば、別のシステムから信号または情報を受信すると)後者のシステムによって開始するようにしてもよい。
用語「測距信号」は、受信機から送信機までの距離(「到達距離」とも呼ばれる)を推定するために使用する信号を含む。送信機からの信号の送信時間および当該信号の受信時間が分かれば、これらの時間の差に光速を乗じれば、その信号の伝搬した距離の推定値となろう。これらの推定値は、多くの場合、「測距値」と呼ばれる。
なお、用語「GNSS」は、例えば、GLONASS、ガリレオ、およびCompass/Beidouなどの全地球航法衛星システム(GNSS)を指してもよく、逆もまた同様である。
本願に記載の様々な例示のシステム、方法、論理機能、ブロック、モジュール、構成要素、回路およびアルゴリズムステップは、当該技術分野において公知、または後に開発される適切なハードウェア、またはプロセッサの実行するファームウェアもしくはソフトウェア、またはハードウェア、ソフトウェアおよびファームウェアのいずれかの組合せによって実現、実施可能であり、あるいは制御することも可能である。本システムは、本願に記載の(例えば、方法として具体化される)機能を実現する1または複数の装置または手段を含んでもよい。例えば、このような装置または手段は、命令を実行する際に、本願に開示したいずれかの方法を実行するプロセッサを含んでもよい。このような命令は、ソフトウェア、ファームウェア、および/またはハードウェアにおいて具体化できる。プロセッサ(「処理装置」とも称す)は、動作ステップ、処理ステップ、計算ステップ、方法ステップ、または本願に開示の他の機能のいずれをも実現し、または実行することが可能であり、こえらには、データの解析、操作、変換もしくは作成、またはデータに対する他の動作が含まれる。プロセッサは、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、集積回路、サーバ、他のプログラマブル論理装置、またはそれらのいずれかの組合せを包含することがある。プロセッサは、従来のプロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラまたは状態機械であってもよい。プロセッサはまた、チップまたはチップの一部(例えば、半導体チップ)を指すこともある。用語「プロセッサ」は、1つ、2つまたはそれ以上の同じ、または異なるタイプのプロセッサを指すことがある。なお、コンピュータ、計算装置および受信機などは、プロセッサを含む装置を指してもよく、またはプロセッサ自体と同等であってもよい。
「メモリ」はプロセッサによりアクセス可能であり、プロセッサがメモリから情報を読み出し、および/またはメモリへ情報を書き込むことが可能である。メモリは、プロセッサと一体化してもよく、またはプロセッサとは別体であってもよい。命令は、このようなメモリ(例えば、RAM、フラッシュ、ROM、EPROM、EEPROM、レジスタ、ディスク記憶装置)に、または任意の形態の記憶媒体に保存してもよい。メモリは、そこで具体化されたプロセッサ可読プログラムコード(例えば、命令)を有するプロセッサ可読非一時媒体を含んでもよく、プログラムコードは、実行すると、本願に開示の様々な方法を実現するように構成されている。プロセッサ可読媒体は何れの利用可能な記憶媒体でもよく、これは、不揮発性媒体(例えば、光学的、磁気的、半導体)、およびネットワーク転送プロトコルを用いてネットワーク上で無線、光または有線の信号方式媒体を介してデータおよび命令を転送する搬送波を含むものである。ソフトウェアに組み込まれた命令は、ダウンロードして、公知のオペレーティングシステムで使用される様々なプラットフォームに保存し作動することができる。ファームウェアに組み込まれた命令は、集積回路または他の好適なデバイスに組み込むことができる。
本願に開示した機能は、当業者が理解するような目的に適した様々な回路のいずれかにプログラミング可能である。例えば、機能は、ソフトウェアベースの回路エミュレーション、個別論理回路、カスタムデバイス、ニューラル論理回路、量子デバイス、PLD、FPGA、PAL、ASIC、MOSFET、CMOS、ECL、高分子技術、アナログ・デジタル混合回路、およびそれらの混成回路を有するプロセッサで具体化可能である。本願に開示したデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、記号およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁界もしくは磁気粒子、光学場もしくは光粒子、またはそのいずれかの組合せによって表すことも可能である。コンピューティングネットワークを使用して機能を実行することも可能であり、ハードウェアコンポーネント(サーバ、モニタ、I/O、ネットワーク接続)を含んでもよい。アプリケーションプログラムは、データを受信、変換、処理、記憶、検索、転送および/またはエクスポートすることによって各態様を実行してもよく、階層データ源、ネットワークデータ源、リレーショナルデータソース、非リレーショナルデータソース、オブジェクト指向データ源、または他のデータ源に記憶可能である。
「データ」および「情報」は、互換的に使用できる。単一の記憶装置として図示されたデータ源は、複数の(例えば、分散させた)記憶装置によって実現化可能である。データ源は、階層データ源、ネットワークデータ源、リレーショナルデータソース、非リレーショナルデータソース、オブジェクト指向データ源、またはその他のタイプのデータ源を含む1または複数種類のデータ源を含んでもよい。本願で使用するように、コンピュータ可読媒体は、このような媒体が非一時的と認められる(例えば、一時的伝播信号)程度までを除き、コンピュータ可読媒体の全ての形態を含む。
システム図および装置図における矩形で図示された各機能部は、ハードウェア、ファームウェア、またはソフトウェアを示す場合もある。なお、このような機能部2つを接続する線は、これらの機能部間のデータ転送を例示する場合もある。このような転送は、たとえ図示しなくても、その機能部間で直接、または中間機能部を介して行われることもある。2つの機能部を接続する線が無い場合、特に言及していない限り、それらの機能部間のデータ転送があり得る。したがって、ある態様を例示するために線が引いてあっても、これに限定されるものと解釈すべきではない。用語「備える」、「備えること」、「含む」、「含むこと」などは、排他的意味(すなわち、のみから構成される)とは対照的に、包括的意味(すなわち、限定されない)で解釈すべきである。単数形または複数形を用いる用語もまた、それぞれ単数または複数を包含する。単語「または」もしくは「および」は、列記したなかののいずれかの項目の場合と、全項目の場合の両方を対象とする。「いくつかの」、「いずれかの」および「少なくとも1つ」は、1または複数を指す。用語「装置」は、1または複数の構成要素(例えば、プロセッサ、メモリ、受信機、画面など)を含んでもよい。本開示は、本明細書に提示の態様に限定されることを意図しているものでなく、同様のシステムおよび方法を含み当業者の理解し得る最も広い範囲で許容されるべきである。
Claims (16)
- ビーコンネットワークにおける受信機の1または複数の位置を推定する方法において、該方法は、
ビーコンネットワークに対応する第1の組の測距値に基づいて受信機の第1の位置推定値を割り出し、
前記受信機の現在位置を前記第1の位置推定値に設定し、
前記ビーコンネットワークに対応する第2の組の測距値に基づいて前記受信機の第2の位置推定値を割り出し、
前記ビーコンネットワークに対応する所定の区域内に前記第2の位置推定値があるかを判定し、
前記第2の位置推定値が前記所定の区域内にある場合は、
前記受信機の前記現在位置を前記第2の位置推定値として設定し、
前記第2の位置推定値が前記所定の区域内にない場合は、
前記第1の位置推定値および前記受信機の第1の動きに対応する速度の第1の測定値に基づいて該受信機の第3の位置推定値を割り出し、
該受信機の前記現在位置を前記第3の位置推定値として設定することを含むことを特徴とする方法。 - 前記第3の位置推定値を割り出した後、前記方法は、
前記ビーコンネットワークに対応する第3の組の測距値に基づいて前記受信機の第4の位置推定値を割り出し、
該第4の位置推定値が前記所定の区域内にあるかを判定し、
前記第4の位置推定値が該所定の区域内にある場合は、
前記受信機の前記現在位置を該第4の位置推定値として設定し、
前記第4の位置推定値が前記所定の区域内にない場合は、
前記第3の位置推定値と前記受信機の第2の動きに対応する速度の第2の測定値とに基づいて、該受信機の第5の位置推定値を割り出し、
該受信機の前記現在位置を前記第5の位置推定値として設定することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 前記第2の位置推定値が前記所定の区域内にないと判定すると、カウンタの値をインクリメントすること含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記カウンタをインクリメントした後、
前記ビーコンネットワークに対応する第3の組の測距値に基づいて前記受信機の第4の位置推定値を割り出し、
該第4の位置推定値が前記所定の区域内にあるかを判定し、
該第4の位置推定値が前記所定の区域内にある場合は、
前記受信機の前記現在位置を該第4の位置推定値として設定し、
前記第4の位置推定値が前記所定の区域内にない場合は、
前記カウンタの前記値が閾値条件を満たすかを判定し、該カウンタの値が該閾値条件を満たさないと判定すると、
前記第3の位置推定値と前記受信機の第2の動きに対応する速度の第2の測定値とに基づいて、該受信機の5の位置推定値を割り出し、
該受信機の前記現在位置を前記第5の位置推定値として設定することを含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。 - 前記カウンタの値が前記閾値条件を満たすと判定すると、カルマンフィルタをリセットすることを含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
- 前記所定の区域は、前記ビーコンネットワークによって形成された境界ボックスによって画定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- カルマンフィルタに関連するプロセスノイズが所定の量のプロセスノイズに達するまで、別の速度測定値に基づいて別の位置推定値を割り出し、その時点で前記カルマンフィルタをリセットすることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- カウンタの値が所定の閾値に達するまで、別の速度測定値に基づいて別の位置推定値を割り出し、その時点で前記カルマンフィルタをリセットすることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記第3の位置推定値はさらに、前記ビーコンネットワークが存在する場のマップに基づくことを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記ビーコンネットワークは建物の内部に配置され、該ビーコンネットワークは、前記建物の頂部に配置されたGPSアンテナを介してGPS時間に同期された第1のビーコンを含み、前記ビーコンネットワークは、該第1のビーコンによって送信されるタイミング信号に基づいてGPS時間に同期する他のビーコンを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記ビーコンネットワークは少なくとも1つのビーコンを含み、該少なくとも1つのビーコンは、n個の異なるタイムスロットでn個のアンテナに信号を送るn路スイッチに接続されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記方法はさらに、
前記受信機から得た大気データを前記ビーコンネットワークの1または複数の領域に対応する大気測定値と比較し、
該受信機から得た前記大気データと該ビーコンネットワークの1または複数の領域に対応する前記大気測定値との比較に基づいて、位置推定値の候補を特定することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 請求項1に記載の方法を実行する1または複数のプロセッサを含むシステム。
- 前記システムは、受信機、送信機、ならびに該受信機および該送信機から遠隔の遠隔プロセッサを含むネットワークを含み、前記1または複数のプロセッサの少なくとも1つが前記遠隔プロセッサを含むことを特徴とする請求項13に記載のシステム。
- 実行されると請求項1に記載の方法を実現するように構成されたプログラム命令を組み込んだ機械可読非一時媒体。
- 前記プログラム命令は、少なくとも1つの半導体チップに含まれていることを特徴とする請求項15に記載の機械可読非一時媒体。
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