JP2016202713A - 液体窒素を除染する装置 - Google Patents
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Abstract
Description
上記のような液体窒素との接触による汚染を解消する点から、凍結対象物を液体窒素に直接的に接触させない方法(クローズド法などとも呼ばれている)も行なわれている。クローズド法は、凍結対象物が液体窒素に直接的に接触しないように、例えば、薄膜によって生体試料をカバーし、該薄膜を介して凍結対象物を液体窒素に接触させる方法である。
しかし、凍結対象物を液体窒素に間接的に接触させたのでは、凍結対象物の冷却速度が僅かに低下するので、本来の冷却に比べて何らかの問題が生じる可能性がある。例えば、受精卵をクローズド法によって凍結保存した場合には、受胎率が低下する場合があると言われている。
前記の除染装置の構成は、図8に模式的に示すように、液体窒素を収容するための容器110の蓋120の内側(図8における蓋の下面)に紫外線ランプ130を配置し、それによって、容器内に収容された液体窒素Q10に紫外線R10を照射して殺菌処理を施すというものである。
該問題とは、液体窒素の極低温(1気圧、−196℃)によって引き起こされる問題であって、図8における除染容器の蓋120を開閉する際に、該容器内に外界の空気が入り込み、容器内の液面上の空間140に濃い霧(空気中の水蒸気が冷却された霧)が発生し、また該霧に加えて、紫外線ランプの表面全体に白濁した着氷(霜)が発達し、これらの霧や着氷によって、紫外線ランプ130からの紫外線R10が遮られ、容器内の液体窒素には紫外線が十分には到達せず、殺菌処理が十分になされないという問題である。
〔1〕液体窒素を除染する装置であって、
当該装置は、液体窒素に紫外線を照射するための場所となる部材として、該液体窒素を通過させる管を有し、
前記管の壁部のうち紫外線照射区間となる部分が紫外線透過性となっており、少なくとも前記紫外線照射区間の壁部の外側は、所定の空間をおいて真空形成用壁部で囲まれ、前記空間は密閉空間であってかつ真空空間となっており、
当該装置は紫外線光源を有し、
前記真空空間中に該紫外線光源が配置されているか、または、
前記真空形成用壁部が紫外線透過性であって、該真空形成用壁部の外側に該紫外線光源が配置されており、
前記の構成によって、前記管内を通過する液体窒素に対して前記真空空間を通して紫外線を照射し得る構成となっている、
前記装置。
〔2〕前記管が断面円形の直管であって、
前記真空形成用壁部が円筒状の胴体を有し、該円筒状の胴体は、前記紫外線照射区間の管の胴体の全周を同軸状に囲んでおり、かつ、該円筒状の胴体の両端面は、それぞれに端部密閉部材によって密閉されており、
前記管の紫外線照射区間となる部分の両端部が、前記空間の密閉性を保つように、前記の端部密閉部材をそれぞれに貫通している、
上記〔1〕記載の装置。
〔3〕前記真空形成用壁部の円筒状の胴体が、紫外線透過性の材料によって形成されており、
前記紫外線光源が、直管状であって、かつ、前記真空形成用壁部の円筒状の胴体の外側に、該円筒状の胴体の中心軸に対して平行に延びるように、1以上配置されている、
上記〔2〕記載の装置。
〔4〕前記紫外線光源が、複数配置されており、前記円筒状の胴体の円周方向に互いに等しい間隔をおいている、上記〔3〕記載の装置。
〔5〕前記紫外線光源のさらに外側には、該紫外線光源から外側に向かって発せられた紫外線を内側に向けて反射するための反射部材が設けられている、上記〔3〕または〔4〕記載の装置。
〔6〕前記反射部材は、前記真空形成用壁部の円筒状の胴体と、その外側に配置された前記紫外線光源とを全体的に包含して囲む筒状の胴体を有し、
該反射部材の筒状の胴体は、前記真空形成用壁部の円筒状の胴体と同軸状に配置され、該反射部材の筒状の胴体の内面が反射面となっている、
上記〔5〕記載の装置。
またさらに、管を通過する液体窒素に対して紫外線を照射するという構成によって、大きな重量を伴う槽を必要とせず、構造的にシンプルで軽く、持ち運びが簡単である。よって、微生物汚染の可能性のある液体窒素の在庫品に対しても、容易にかつ効果的に、次々と除染操作を施すことが可能になる。
また、液体窒素の実際の使用に臨んで、その使用の直前に、用いるべき液体窒素に対してその場で紫外線照射を行い除染することが可能になるので、常に除染直後の最も安全な(即ち、微生物等の混入機会が最も少ない)液体窒素を使用することが可能になる。例えば、無菌室での液体窒素の使用において、無菌室内において、本発明の装置による除染を行いながら、該除染済みの液体窒素を凍結対象物に適用すれば、微生物等が入り込む可能性は極めて低くなる。
図1(a)、(b)に示すように、当該装置は、液体窒素Q1に紫外線R1を照射するための場所S1を提供する部材として、液体窒素Q1を通過させる管1を有する。前記管1の壁部のうち紫外線照射区間となる部分が紫外線透過性となっている(図1に示す例では、紫外線照射区間の管の壁部1aを部分的に描いている)。少なくとも前記紫外線照射区間の壁部の外側は、所定の空間をおいて真空形成用壁部2で囲まれ、該空間は密閉空間となっておりかつ減圧されて真空空間S2となっている。
当該装置は、紫外線光源3を有している。図では、紫外線光源3から引き出された2本のリード線3aによって、紫外線発光のための電気エネルギーが外部から供給されることが示唆されているが、配線の形態を限定するものではない。
そして、図1(a)に示すように、前記真空空間S2中に該紫外線光源3が配置されているか、または、図1(b)に示すように、真空形成用壁部2が紫外線透過性であって、該真空形成用壁部の外側に該紫外線光源が配置されている。
以上の構成によって、管1の内部S1を通過する液体窒素Q1に対して、前記真空空間S2を通して紫外線R1を照射し得る構成となっており、液体窒素Q1と紫外線光源3との間の空間S2に霧が発生することが抑制され、かつ、紫外線光源3の表面への着氷が無くなり、該紫外線光源3から発せられた紫外線R1が十分に液体窒素Q1中に照射され、十分な除染効果が得られるようになる。
尚、図1(b)に示す態様では、紫外線光源3の周囲には空気が存在する。しかし、該空気と液体窒素Q1との間の真空空間S2の断熱作用および紫外線光源の発熱によって、該空気は、霧が発生するような低温に冷却されることはなく、紫外線光源の表面への着氷も発生することはない。
尚、図1(a)に示すように、紫外線光源3が真空空間S2中に配置されている場合には、紫外線光源3の外側にある真空形成用壁部2の内面を反射面としてもよいし、図1(b)に示すように、該真空形成用壁部2を紫外線透過性として、反射部材4を該真空形成用壁部2の外側に配置してもよい。
液体窒素中に入射する紫外線の強度(照射強度)の範囲は、特に限定はされず、該強度が小さい場合には、それに応じて照射時間を長くし、該強度が大きい場合には、それに応じて照射時間を短くし、微生物等を死滅させ得るように調節すればよい。この調節は、紫外線光源の照射強度と、それに応じた照射時間とを組合せる調節であり、除染度を確認する実験によって、装置の規模に応じた適切な組み合わせを決定すればよい。
紫外線の照射強度を大きくするには、例えば、光源の出力を大きくすること、光源の数を増やすこと、光源を液体窒素に紫外線を照射するための場所により接近させること、紫外線を透過させるべき壁部の紫外線透過率をより高めること、後述の反射部材を設け照射のロスを少なくすること、などを考慮すればよい。
本発明の構成によれば、紫外線の照射時間は、液体窒素が紫外線照射区間を通過する時間であり、管内を流れる液体窒素の流速と紫外線照射区間の長さとから定められる。照射時間を大きくするには、例えば、流速を低下させるか、紫外線照射区間をより長くすればよい。
紫外線の照射強度が小さいと、長い照射時間を確保しなければならず、除染装置の処理能力が低下するので好ましくない。一方、該照射強度が過度に大きいと、除染性の点では問題はないが、無駄な照射エネルギーを消費し、光源や電源部が無駄に大きく重くなる点で好ましくない。
紫外線の照射強度の好ましい範囲は、従来より一般的に行われている紫外線殺菌に必要とされる公知の紫外線量(μW・秒/cm2)を参照してよい。該紫外線量の単位(μW・秒/cm2)は、紫外線照射強度(μW/cm2)と紫外線照射秒数(秒)との積である。該紫外線量は、微生物によっても異なるが、概ね1200(μW・秒/cm2)〜1400(μW・秒/cm2)が好ましく、特に1400(μW・秒/cm2)〜3000(μW・秒/cm2)であれば、液体窒素によって仮死状態となって問題となる微生物を死滅させることができる。尚、安全性を鑑みて、前記の範囲を上回る紫外線量を適宜用いてもよい。
紫外線の照射時間は、特に限定はされないが、装置の操作性の点からは、0.1秒〜5秒が好ましく、0.5秒〜2.0秒が特に好ましい。
管の紫外線照射区間は、液体窒素の流速に応じて、適宜決定すればよい。管内を流れる液体窒素の流速は、紫外線照射区間の管内径を変更することによって調節してもよいし、紫外線照射区間以外(下流など)の管内径を変更することによって調節してもよい。
前記の紫外線光源のなかでも、冷陰極蛍光管は、耐久性、UV強度、コンパクトサイズの点から好ましい光源である。冷陰極蛍光管を用いる場合、出力10mW/cm2〜20mW/cm2のものを1以上、好ましくは複数用いれば、上記した紫外線殺菌に必要とされる紫外線量を十分に獲得することが可能になる。本発明の実施例では、前記の冷陰極蛍光管を4本、円周方向に等間隔に配置している。他の紫外線光源を用いる場合には、前記冷陰極蛍光管の出力を参照し、それと同等の紫外線量が得られるように調節すればよい。
管は、室温の状態から突然に液体窒素が通過するという大きな温度変化にさらされるので、機械的強度の点からは断面円形の直管が好ましい。また、断面円形の直管は、外部からの紫外線を管胴体の全周から同等に管内に透過させ得るので、この点からも好ましい。以下、管が、断面円形の直管である場合について説明するが、管が種々の形態であっても、その外部の要素を、管の形態に応じて適合させればよい。
管の紫外線照射区間を構成するための好ましい紫外線透過性の材料、素材としては、−196℃に耐えられ、かつ、紫外線透過率に優れた材料であればよく、例えば、天然石英ガラスや合成石英ガラスといった石英ガラスが好ましい材料として挙げられる。石英ガラスは、波長240〜260nmの紫外線に対して90%以上の透過率を示す材料である。
管の紫外線照射区間の内径は、特に限定はされないが、管の中心部まで紫外線を十分に到達させる点や、適切な流量の点、機械的強度の点、耐極低温度の点などからは、5mm〜20mm程度が好ましく、5mm〜10mm程度がより好ましい範囲として挙げられる。
管の紫外線照射区間の壁部の厚さは、特に限定はされないが、前記内径に対しては、1mm〜2mm程度が好ましい厚さとして挙げられる。
上記したように、管の紫外線照射区間の長さ(図3に示す長さL)は、管内を流れる液体窒素の流速と共に、紫外線の照射時間を決定する要素である。紫外線照射区間の長さLは、特に限定はされないが、装置のコンパクト性、十分な紫外線照射時間の確保、液体窒素の昇温による液体窒素の気化などの点からは、50mm〜300mm程度が好ましく、50mm〜200mm程度がより好ましい範囲である。
前記のような紫外線照射区間の長さに対して、上記した紫外線の照射時間(液体窒素が紫外線照射区間を通過する時間である0.1秒〜5秒、特に好ましくは0.5秒〜2.0秒)が得られるように、液体窒素の流速を決定すればよい。
好ましい態様では、図3〜5に示すように、真空形成用壁部2は、円筒状の胴体を有し、該円筒状の胴体によって管1の胴体の全周を同軸状に囲んでいる。図3〜5に示す例では、真空形成用壁部2は、紫外線透過性の材料によって構成され、その円筒状の胴体の外側に複数の紫外線光源3(図4の例では、4つの紫外線光源3a、3b、3c、3d)が等間隔に配置されている。また、真空形成用壁部2は、その円筒状の胴体の両端面を、それぞれに端部密閉部材31、32によって密閉されている。
図3〜5に示す態様では、両端面の端部密閉部材31、32は、それぞれに、剛性を有する支持板21、22と、弾性を有する封止部材11、12とを接合した構成となっている。前記支持板の材料は、当該装置の組立て構造を両端で支持し得るように適切な機械的強度と剛性を有するものが好ましく、鉄鋼、ステンレス鋼等の金属材料や、プラスチック材料が挙げられる。また、封止部材は、自体がパッキンとして機能するように、適度な弾性を有するプラスチック材料や合成ゴム材料などが好ましいものとして挙げられる。封止部材の材料は、封止が必要な部分に個別にシール材を用いるならば、必ずしもパッキンとして機能するような弾性的な材料である必要はない。また、端部密閉部材は、必ずしも前記のように剛性層(支持板)と弾性層(封止部材)との2層構造である必要はなく、適度な剛性と弾性とを有するプラスチック材料からなる単一材料からなる部品であってもよく、剛性は、厚さやリブ構造などによって確保してもよい。図3〜5に示す態様では、支持板の材料および封止部材の材料として、フッ素樹脂(テフロン(登録商標)など)、または、ポリイミド樹脂が用いられており、支持板と封止部材は接着剤によって互いに接合されている。
管1の両端部には、管継手1b、1cが設けられ、端部密閉部材を好ましく貫通し、外部の管路と接続可能になっている。
管継手1b、1cが端部密閉部材を貫通する部分には、空間S2の真空が維持されるよう、適宜のシールが加えられている。
図3〜5の例では、弾性を有する封止部材11、12は、真空形成用壁部2の円筒状の胴体の両端面を密封するパッキンでありながら、紫外線光源3の保持具でもあり、後述する反射部材4を位置決めする部材でもある。
真空空間S2の半径方向の寸法(管1の外面と、真空形成用壁部2の内面との距離)は、3mm〜12mm程度が好ましい。
真空形成用壁部2の円筒状の胴体の内径は、管1の外径と、真空空間S2の半径方向の寸法に応じて適宜決定すればよい。
真空形成用壁部2の円筒状の胴体の肉厚は、特に限定はされないが、内部の減圧に耐える点からは、1mm〜2mm程度が好ましい厚さとして挙げられる。
図3、図5(a)〜(c)の例では、一方の端部密閉部材31に管継手2aが設けられており、真空ポンプを接続し得るようになっている。図3に現れているとおり、空間S2と管継手2aとを連絡する通路が端部密閉部材31に設けられており、空間S2の減圧が可能になっている。該管継手2aは、真空ポンプからの配管(図示せず)に接続するための着脱自在のカップリングとなっている。真空ポンプからの配管の管継手を離脱した場合には、管継手2aが空間S2を密封的に閉鎖する構成となっている。
該反射部材4の内面と紫外線光源との間の距離は、5mm〜10mm程度であればよい。図3〜図5に示す態様では、反射部材4の内径は35mm〜45mm程度であり、厚さは1mm〜3mm程度である。
反射部材4の材料は、金属、プラスチック、複合材などであってよく、材料自体の反射性を利用してもよい。図3〜図5に示す態様では、ガラス管の内面にアルミニウムが蒸着されて鏡面となっている。反射部材の反射面は、必ずしも平滑な鏡面である必要はなく、紫外線を乱反射させ得るように、凹凸面(梨地)となっていてもよい。
図3〜図5に示す態様では、反射部材4は単純な円筒形であるが、断面正三角形、断面正方形、断面多角形の筒状物や、各紫外線光源に対して個別にパラボリックな凹面を反射面として持った筒状物としてもよい。
図5(c)の例では、紫外線光源を発光させるための電源回路部50が付帯しているが、必ずしも当該装置の近傍に配置する必要はなく、適宜、離れた位置にあってもよい。
図3〜図5に示した装置の構成における各部の詳細は、以下のとおりである。
管:(材料)天然石英製、(内径)約7mm、(外径)約9mm、(紫外線照射区間の長さ)150mm。
実験時の紫外線照射区間の管の姿勢:約15度〜40度の角度に傾斜させて実験した。
真空形成用壁部:(材料)天然石英、(内径)約18mm、(外径)約20.5mm。
紫外線光源:冷陰極蛍光管(等間隔に4本配置)、スタンレー電気社製、(中心発光波長)253.7nm、(出力)15mW/cm2。
反射部材:(材料)ガラス(管材)、(内径)約40.0mm、(外径)約42.7mm、内面にアルミニウム蒸着を施し鏡面とした。
(1−1)当該装置の投入口には漏斗を接続し、出口にはシリコンチューブをセットし、回収ボトルに誘導する構成とした。
(1−2)当該装置に水を投入した場合の流量は、およそ0.5〜1L/分であった(Lはリットル)。
(1−3)投入口に接続した漏斗に70%エタノール水溶液を約200mL投入し(漏斗内面全体が該エタノール水溶液に濡れるようにした)、その後、滅菌水を約100mLを3回に分けて投入してすすぎ、漏斗内面と当該装置内部の流路を洗浄した。
(1−4)投入口に接続した漏斗内面に残された水分を、吸水紙(ケイドライ)にて除去した。
(1−5)真空ポンプの電源をONにし、30秒間作動させ、当該装置の真空とすべき空間S2を減圧した。真空度は、ゲージ圧で約−55kPaである。
(1−6)出口側のボトルの内容物(エタノール溶液)を廃棄し再度接続した後、投入口に液体窒素を約500mL静かに投入し、当該装置内の流路を予冷した。常温下の当該装置の投入口に入れた液体窒素は蒸発するが、約500mLの投入によって、出口側から液体窒素が流出した。
(1−7)出口側にセットするサンプル回収ボトル(前記で使用したものではない)は、70%エタノール水溶液、約50mLによって1回洗浄し、その後に滅菌水約50mLによって3回すすいだものを用意した。
ディープフリーザー内にて、−80℃で予冷していた乳鉢を取り出し、その中に液体窒素を約50mL入れ、さらに低温予冷を行なった。
次いで、ディープフリーザー内にてグリセロールストックされている大腸菌(XL1−Blue株)500μLを取り出し、スパチュラを用いて乳鉢内の液体窒素中に投下した。大腸菌が凍結していることを確認した後、乳棒を用いて粉砕した。この時、少量の液体窒素を適宜添加しながら粉砕した。
粉砕品を液体窒素に移し、全容量約500mLの大腸菌含有液体窒素を得た。
〔当該装置による紫外線照射、液体窒素の回収〕
上記した当該装置の準備ステップにおいて予冷した当該装置の出口側に、上記(1−7)のサンプル回収ボトルをセットした後、紫外線照射状態(スイッチONの状態)として、上記した大腸菌含有液体窒素を250mL流し入れた。その際、スパチュラを用いて液体窒素を適宜撹拌しながら投入した。この操作により、当該装置内で紫外線が照射された液体窒素を出口から回収した。
〔紫外線照射しない液体窒素の回収〕
当該装置の紫外線照射を停止状態(スイッチOFFの状態)とした後、当該装置の出口側に新たなサンプル回収ボトル(上記で洗浄したもの)をセットし、上記実施例1と同様に大腸菌含有液体窒素を投入し、紫外線が照射されていない液体窒素を出口から回収した。
上記実施例1および比較例1で得られたそれぞれの回収品を収容したサンプル回収ボトルのフタを開けたままの状態で、室温下で30分間放置し、ボトル内の液体窒素を蒸発させ、それぞれに残留物を得た。
クリーンベンチ内で滅菌水2mLをそれぞれのサンプル回収ボトルに添加し、各ボトルのフタを締め、十分に振盪し、それぞれの残留物含有水を得た。
アンピシリンを含むLB平板寒天培地(直径10cmのシャーレ)に、それぞれの残留物含有水を、
(a)そのまま1mLピペットで接種したサンプル、
(b)滅菌水によって5培に希釈した液を1mLピペットで接種したサンプル、
(c)滅菌水によって25培に希釈した液を1mLピペットで接種したサンプル、
(d)滅菌水によって125培に希釈した液を1mLピペットで接種したサンプル、
(e)滅菌水によって1000培に希釈した液を1mLピペットで接種したサンプル、を作成した。
実施例1、比較例1から得た上記の各サンプルを、37℃の培養装置で24時間培養を行った。
図7(a)は、実施例1によって得た残留物含有水から作成した上記(c)のサンプル(25倍希釈)の培養結果を示す写真図である。また、図7(b)は、比較例1によって得た残留物含有水から作成した上記(c)のサンプル(25倍希釈)の培養結果を示す写真図である。
上記の結果から明らかなとおり、本発明の装置によって紫外線照射された液体窒素から得た試料の培養結果における大腸菌(XL1−Blue株)の数は、紫外線照射を行わなかった液体窒素から得た試料の培養結果における大腸菌の数と比べて、顕著に減少していることがわかった。また、他の希釈サンプルも、それぞれ希釈の度合いに応じて、同様の結果を示した。
これにより、本発明の装置による液体窒素に対する除染の効果が極めて高いことが確認できた。
R1 紫外線
S1 液体窒素に紫外線を照射するための場所
S2 真空空間
1 液体窒素を通過させる管
2 真空形成用壁部
3 紫外線光源
4 反射部材
Claims (6)
- 液体窒素を除染する装置であって、
当該装置は、液体窒素に紫外線を照射するための場所となる部材として、該液体窒素を通過させる管を有し、
前記管の壁部のうち紫外線照射区間となる部分が紫外線透過性となっており、少なくとも前記紫外線照射区間の壁部の外側は、所定の空間をおいて真空形成用壁部で囲まれ、前記空間は密閉空間であってかつ真空空間となっており、
当該装置は紫外線光源を有し、
前記真空空間中に該紫外線光源が配置されているか、または、
前記真空形成用壁部が紫外線透過性であって、該真空形成用壁部の外側に該紫外線光源が配置されており、
前記の構成によって、前記管内を通過する液体窒素に対して前記真空空間を通して紫外線を照射し得る構成となっている、
前記装置。 - 前記管が断面円形の直管であって、
前記真空形成用壁部が円筒状の胴体を有し、該円筒状の胴体は、前記紫外線照射区間の管の胴体の全周を同軸状に囲んでおり、かつ、該円筒状の胴体の両端面は、それぞれに端部密閉部材によって密閉されており、
前記管の紫外線照射区間となる部分の両端部が、前記空間の密閉性を保つように、前記の端部密閉部材をそれぞれに貫通している、
請求項1記載の装置。 - 前記真空形成用壁部の円筒状の胴体が、紫外線透過性の材料によって形成されており、
前記紫外線光源が、直管状であって、かつ、前記真空形成用壁部の円筒状の胴体の外側に、該円筒状の胴体の中心軸に対して平行に延びるように、1以上配置されている、
請求項2記載の装置。 - 前記紫外線光源が、複数配置されており、前記円筒状の胴体の円周方向に互いに等しい間隔をおいている、請求項3記載の装置。
- 前記紫外線光源のさらに外側には、該紫外線光源から外側に向かって発せられた紫外線を内側に向けて反射するための反射部材が設けられている、請求項3または4記載の装置。
- 前記反射部材は、前記真空形成用壁部の円筒状の胴体と、その外側に配置された前記紫外線光源とを全体的に包含して囲む筒状の胴体を有し、
該反射部材の筒状の胴体は、前記真空形成用壁部の円筒状の胴体と同軸状に配置され、該反射部材の筒状の胴体の内面が反射面となっている、
請求項5記載の装置。
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