JP2016187801A - 重金属吸着剤 - Google Patents

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寛則 瀧
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昌範 根岸
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直幸 宮田
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Abstract

【課題】III価のヒ素を効率よく除去する。
【解決手段】重金属吸着剤は、微生物が産生した酸化マンガンと、V価のヒ素を含む陰イオンを吸着する陰イオン吸着剤とを含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、カドミウム等の金属陽イオン及びヒ素等の陰イオンを吸着する重金属吸着剤に関する。
廃棄物や自然土壌中には、鉛や水銀、カドミウムといった重金属などの有害物質が含まれている場合がある。金属は雨水の浸透による洗い出しに伴って浸出水中に溶出する結果環境を汚染する。このような環境汚染対策、すなわち重金属対策には、キレート剤、カルシウム化合物、硫化物、鉄粉等の薬剤を用いた不溶化、セメント固化による土壌からの溶出抑制など様々な方法が知られている。
重金属対策のなかでも、重金属吸着剤を利用する方法が知られている。なかでも、陰イオンとして挙動するヒ素を吸着する吸着剤としては、酸化鉄が挙げられる。水中に溶存するヒ素は、III価ヒ素である亜ヒ酸とV価ヒ素であるヒ酸の二種類の形態で存在する。III価のヒ素は、V価のヒ素より毒性が高く(非特許文献1)、環境からの確実な除去が望まれる。しかし、従来の凝集沈殿法や、活性アルミナを用いた吸着法では、主としてV価のヒ素を除去できるものの、III価のヒ素を殆ど除去することができない(非特許文献2)。したがって、環境中からIII価のヒ素を除去するには、酸化剤によりIII価のヒ素をV価のヒ素に酸化する処理が必要となる(非特許文献3及び4)。V価のヒ素については、活性アルミナを用いた吸着法により除去できるシステムが提案されている(非特許文献5)。なお、III価の比素をV価のヒ素へ酸化する方法としては、酸化剤を使用する代わりに微生物を利用する例がある(非特許文献6)。
特に非特許文献4には、自然に存在する鉄−マンガン鉱物を利用して、水中のIII価ヒ素及びV価ヒ素を除去することが記載されている。非特許文献4によれば、ヒ素の最大吸着量はpH=3.0の条件でV価のヒ素が8.5mg/gであり、III価のヒ素が14.7mg/gである。また、非特許文献4には、III価のヒ素からV価のヒ素への三価を鉱物に含まれるマンガンが促進していることが記載されている。
一方、重金属のなかでもカドミウムについては、酸化マンガンをカドミウム吸着剤として利用して環境から除去することが知られている。カドミウム吸着剤として試用する酸化マンガンについては、特に、自然環境中でのマンガンの化学酸化が遅く、微生物の触媒作用が必要であることが知られている(非特許文献7)。なお、非特許文献7には、微生物が生成するマンガン酸化物の構造及び特性について記載されている。
また、非特許文献8には、微生物が産生するマンガン酸化物に対して類似構造をもつ酸化物を化学合成することが記載されている。ただし、化学合成した酸化マンガンは、微生物が産生する酸化マンガンと比較して、カドミウム吸着能力が低いことが指摘されている(非特許文献9)。
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以上のように、環境中に存在する重金属、特にIII価のヒ素を除去するには、III価のヒ素をV価へ酸化する処理が必要となるため、環境からの重金属除去に要するコストが高くなるといった問題があった。また、III価のヒ素をV価へ酸化する処理として種々の方法が知られているが、環境からIII価のヒ素を十分に除去できる技術とは言えないといった問題があった。
そこで、本発明は、上述した実用に鑑み、III価のヒ素を効率よく除去できる重金属吸着剤を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明者らが鋭意検討した結果、微生物により産生した酸化マンガンが、カドミウム等の陽イオンに対する吸着能力に優れるのみならず、III価のヒ素からV価のヒ素への酸化反応を促進する能力に優れることを見いだし、本発明を完成するに至った。本発明は以下を包含する。
(1)微生物が産生した酸化マンガンと、V価のヒ素を含む陰イオンを吸着する陰イオン吸着剤とを含む、重金属吸着剤。
(2)上記陰イオン吸着剤は酸化鉄であることを特徴とする(1)記載の重金属吸着剤。
(3)マンガンと鉄とを含む環境下で上記微生物を培養し、培養物を乾燥して作製されることを特徴とする(1)記載の重金属吸着剤。
本発明に係る重金属吸着剤の適用例を示す概略構成図である。 本発明に係る重金属吸着剤の他の適用例を示す概略構成図である。 本発明に係る重金属吸着剤の更に他の適用例を示す概略構成図である。 マンガン汚泥によるIII価ヒ素に対する酸化能を評価した結果を示す特性図である。 連続通水試験の結果であり、累積通水量とカラム出口における重金属濃度との関係を示す特性図である。 連続通水試験の結果であり、累積通水量とカラム出口における重金属濃度との関係を示す特性図である。 連続通水試験の結果であり、累積通水量とカラム出口における重金属濃度との関係を示す特性図である。 連続通水試験の結果であり、累積通水量とカラム出口における重金属濃度との関係を示す特性図である。
以下、本発明に係る重金属吸着剤を図面を参照して詳細に説明する。
本発明に係る重金属吸着剤は、微生物が産生した酸化マンガンと、V価のヒ素を含む陰イオンを吸着する陰イオン吸着剤とを含んでいる。ここで、微生物が産生した酸化マンガンとは、マンガン酸化能を有する微生物をマンガン存在下に培養することで産生された酸化マンガンを意味する。
マンガン酸化能を有する微生物としては、特に限定されず、従来公知の微生物を使用することができる。例えば、環境中のマンガン酸化に広く関与していると考えられる新規に単離されたU9-1i株(Miyata, N., Saito, K., Okano, K., and Ozaki, Y.: Manganese(II) oxidation by a unique alphaproteobacterium that grows symbiotically in cocultures with a broad range of microorganisms, 19th International Symposium on Environmental Biogeochemistry, Environmental Changes and Sustainability of Biogeochemical Cycling (Hamburg, Germany), Abstract, p. 166 (September 18, 2009))を使用することができる。
また、マンガン酸化能を有する微生物としては、マンガン酸化細菌及びマンガン酸化真菌を使用することができる。
マンガン酸化細菌としては、環境中(河川、湖沼、土壌、海洋など)に普遍的に棲息する細菌(B.M. Tebo, H.A. Johnson, J.K. McCarthy, A.S. Templeton (2005). Geomicrobiology of manganese(II) oxidation. Trends in Microbiology, 13, 421-428. H.L. Ehrlich, D.K. Newman (2009). Geomicrobiology, 5th ed. CRC Press, New York.)を挙げることができる。
さらに、マンガン酸化細菌としては、湿地からの分離例としてLeptothrix discophora(L.F. Adams, W.C.Ghiorse (1987). Characterization of extracellular Mn2+-oxidizing activity and isolation of an Mn2+-oxidizing protein from Leptothrix discophora SS-1. Journal of Bacteriology, 169, 1279-1285.)を挙げることができる。
さらにまた、マンガン酸化細菌としては、淡水からの分離例としてPseudomonas putida(M. Okazaki, T. Sugita, M. Shimizu, Y. Ohode, K. Iwamoto, E.W. de Vrind-de Jong, J.P.M. de Vrind, P.L.A.M. Corstjens (1997). Applied and Environmental Microbiology, 63, 4793-4799.)を挙げることができる。
さらにまた、マンガン酸化細菌としては、淡水及び土壌からの分離例としてPedomicrobium sp.(E.I. Larsen, L.I. Sly, A.G. McEwan (1999). Manganese(II) adsorption and oxidation by whole cells and a membrane fraction of Pedomicrobium sp. ACM 3067. Archives of Microbiology, 171, 257-264.)を挙げることができる。
さらにまた、マンガン酸化細菌としては、土壌からの分離例としてArthrobacter sp.(H.L. Ehrlich, D.K. Newman (2009). Geomicrobiology, 5th ed. CRC Press, New York.)を挙げることができる。
マンガン酸化真菌としては、Acremonium strictum等の多様な不完全菌類(子嚢菌類)が土壌、水環境等広く棲息していることが例が挙げられる(N. Miyata, K. Maruo, Y. Tani, H. Tsuno, H. Seyama, M. Soma, K. Iwahori (2006). Production of biogenic manganese oxides by anamorphic ascomycete fungi isolated from streambed pebbles. Geomicrobiology Journal, 23, 63-73.)。
マンガン酸化能を有する微生物は、通常、細胞外に酸化マンガンを産生し、細胞表層が酸化マンガンで覆われるような状態となる。本発明に係る重金属吸着剤は、マンガン酸化能を有する微生物をマンガン存在下に培養した後、脱水或いは乾燥した培養物をそのまま使用しても良い。この場合、本発明に係る重金属吸着剤は、マンガン酸化能を有する微生物に由来する有機物を含むこととなる。
また、本発明に係る重金属吸着剤において酸化マンガンは、マンガン酸化能を有する微生物をマンガン存在下に培養した後、培養物を脱水或いは乾燥し、その後、所定の温度で加熱することで、マンガン酸化能を有する微生物に由来する有機物を除去したものを使用することができる。この場合、本発明に係る重金属吸着剤は、微生物に由来する有機物を含まないため、長期に亘って使用されても嫌気性状態になることを防止し、酸化還元電位の低下による酸化マンガンの分解を抑制することができる。なお、このとき、マンガン酸化能を有する微生物に由来する有機物を除去するための加熱処理では、特に限定されないが、有機物を除去できる温度以上で加熱される。マンガン酸化能を有する微生物に由来する有機物を除去するための加熱処理では、例えば、300℃以上とすることが好ましく、350℃以上とすることがより好ましく、400℃以上とすることが更に好ましく、500℃以上とすることが最も好ましい。一方で、高温で酸化マンガンを加熱すると、酸化マンガンにおける陽イオン吸着能の低下が顕著になる場合がある。したがって、マンガン酸化能を有する微生物に由来する有機物を除去するための加熱処理では、例えば、700℃未満とすることが好ましく、650℃未満とすることがより好ましく、600℃未満とすることが更に好ましく、550℃未満とすることが最も好ましい。
一方、V価のヒ素を含む陰イオンを吸着する陰イオン吸着剤とは、少なくともV価のヒ素に対する吸着能を有する物質を意味する。陰イオン吸着剤としては、例えば、酸化鉄、活性アルミナ、合成層状粘土鉱物(ハイドロタルサイト等)、水酸化セリウム系吸着材及び陰イオン交換樹脂を挙げることができる。特に、V価のヒ素を含む陰イオンを吸着する陰イオン吸着剤としては酸化鉄を使用することが好ましい。なお、ここで列記した吸着剤のうち、酸化鉄は特にV価のヒ酸イオンに対する吸着性能が高い物質であり、表面錯形成や難溶性物質形成などの吸着機構を有する。合成層状粘土鉱物や水酸化セリウムは、陰イオン交換樹脂と同様に各種の陰イオンに対して、イオン交換反応による吸着機構を有する。
例えば、上述したマンガン酸化能を有する微生物をマンガン存在下にて培養する際、0価の鉄又はII価の鉄を共存させることで培養物中に酸化マンガンとともに酸化鉄を得ることができる。このように、マンガン酸化能を有する微生物をマンガン及び鉄の存在下に培養した後、脱水或いは乾燥した培養物をそのまま、本発明に係る重金属吸着剤として使用しても良い。この場合、本発明に係る重金属吸着剤は、マンガン酸化能を有する微生物に由来する有機物を含むこととなる。
また、本発明に係る重金属吸着剤は、マンガン酸化能を有する微生物をマンガン及び鉄の存在下に培養した後、培養物を脱水或いは乾燥し、その後、所定の温度で加熱することで、マンガン酸化能を有する微生物に由来する有機物を除去したものとして製造することができる。この場合、本発明に係る重金属吸着剤は、微生物に由来する有機物を含まないため、長期に亘って使用されても嫌気性状態になることを防止し、酸化還元電位の低下による酸化マンガンの分解を抑制することができる。なお、このとき、マンガン酸化能を有する微生物に由来する有機物を除去するための加熱処理については、上述した条件を適用することができる。
なお、陰イオン吸着剤として酸化鉄を使用する場合、上述したマンガン酸化能を有する微生物をマンガン存在下にて培養することで得られる酸化マンガンとは別に、0価の鉄又はII価の鉄から定法に従って調製したものであっても良い。
本発明に係る重金属吸着剤は、上述したような、微生物が産生する酸化マンガンと、酸化鉄等の陰イオン吸着剤を含むが、当該酸化マンガンと当該陰イオン吸着剤の組成比は任意であり特に限定されない。例えば、本発明に係る重金属吸着剤を使用して重金属対策する対象(例えば地下水)に含まれるカドミウム等の陽イオンとヒ素の量比を予め測定し、これに基づいて上記組成比を決定することができる。例えば、浄化対象の地下水に含まれるヒ素が高濃度であれば酸化鉄等の陰イオン吸着剤の組成比を増やせば良いし、浄化対象の地下水に含まれるカドミウム等の陽イオンが高濃度であれば酸化マンガンの組成比を増やせば良い。
また、本発明に係る重金属吸着剤は、微生物が産生する酸化マンガンと酸化鉄等の陰イオン吸着剤とが混合された状態でも良いし、微生物が産生する酸化マンガンを主体とする陽イオン吸着層と、酸化鉄等の陰イオン吸着剤を主体とする陰イオン吸着層とを含む層構造であっても良い。
以上のように構成された本発明に係る重金属吸着剤は、重金属で汚染された環境に使用することができる。重金属で汚染された環境とは、地下水、土壌(岩石含む)、廃棄物、排水、河川、湖沼、海あるいは汚染された環境を通過した水等を挙げることができる。
本発明に係る重金属吸着剤は、上述した環境に含まれるカドミウム等の金属陽イオンを酸化マンガンによって吸着し、当該環境に含まれるV価のヒ素を酸化鉄等の陰イオン吸着剤により吸着することで、当該環境に含まれる重金属を除去することができる。すなわち、本発明に係る重金属吸着剤は、環境に対する陰イオンと陽イオンの複合汚染への対策として非常に有効である。このとき、本発明に係る重金属吸着剤は、微生物が産生した酸化マンガンにより、環境に含まれるIII価のヒ素をV価のヒ素へと酸化する反応を促進することができる。したがって、本発明に係る重金属吸着剤を利用することで、環境中に含まれるIII価のヒ素を酸化してV価のヒ素の状態で吸着して除去することができる。本発明に係る重金属吸着剤を利用する場合には、より毒性の高いIII価のヒ素を効率よく除去するため、酸化剤等を用いた酸化処理を必要とせず、より簡便且つ低コストにIII価のヒ素を除去することができる。
本発明に係る重金属吸着剤を重金属で汚染された環境に適用する例としては、例えば図1に示すように、重金属を含む廃棄物を集積した施設を挙げることができる。図1に示す適用例では、本発明に係る重金属吸着剤は、施設敷地と外部との間において地中に埋設された浄化壁1として使用することができる。本発明に係る重金属吸着剤を浄化壁1として使用した場合、施設敷地内に集積した廃棄物から重金属が地下水(図1中矢印にて地下水の流れを示す)に溶出した場合であっても、地下水が浄化壁1を通過する際に重金属を除去することができる。
また、本発明に係る重金属吸着剤を適用した他の例としては、例えば図2に示すように、自然由来の重金属を含む土壌等の不溶化用資材としての利用形態である。図2に示す適用例では、本発明に係る重金属吸着剤2の上に、重金属を含む、いわゆる掘削ずり3を載置するとともに、掘削ずり3の法面を遮水し、掘削ずり3の表面を舗装する。これにより、重金属を含む掘削ずり3から重金属が溶出したとしても、重金属吸着剤2により吸着することで、重金属吸着剤2の下方の地盤4に重金属が達することを防止できる。
さらに、本発明に係る重金属吸着剤を適用した他の例としては、例えば図3(a)及び(b)に模式的に示すように、排水処理施設を挙げることができる。図3(a)及び(b)に示す排水処理施設への適用例では、図中矢印の方向に排水を通過させる。これにより、排水に含まれる重金属が本発明に係る重金属吸着剤により吸着され、排水中の重金属濃度を大幅に低減することができる。なお、図3(a)に示すように、微生物が産生する酸化マンガンを主体とする陽イオン吸着部5と、酸化鉄等の陰イオン吸着剤を主体とする陰イオン吸着部6とをこの順で配設した構成であってもよい。図3(a)に示した構成では、処理対象の排水を、先ず陽イオン吸着部5に通過させ、その後、陰イオン吸着部6を通過させる。陽イオン吸着部5を通過することで排水中の陽イオンを効率よく吸着するとともに排水中のIII価のヒ素をV価のヒ素へと酸化する。その後、陰イオン吸着部6を通過することで排水中のV価のヒ素を吸着することができる。また、図3(b)に示した構成では、処理対象の排水を陽イオン/陰イオン吸着部7に通過させる。陽イオン/陰イオン吸着部7を通過することで排水中の陽イオンを効率よく吸着し、排水中のIII価のヒ素をV価のヒ素へと酸化するとともにV価のヒ素を吸着することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕バッチ試験による吸着等温線の作成と吸着容量の検討
<マンガン酸化物含有汚泥の調製>
河川床生物膜を植種として用いて調製したマンガン酸化菌の集積培養系をマンガン汚泥として試験に供した。集積時の培養液の組成を表1に示す。20 L 容ポリバケツを用い、15Lの培地を添加して大量培養した。エアレーションには観賞魚飼育用のエアポンプ2台を使用し、バケツ底部から散気球により曝気撹拌した。室温にて回分法で培養を行い、培地交換時には15 分程度静置して培養物(以下、Mn 馴養汚泥)を沈降させてから、上澄みをデカンテーションにより除去し、新鮮な培地を投入した。培地交換の頻度は1 週間に2~3 回とした。また、培地交換時には、パックテストを用いて上澄みのMn(II)濃度を簡易的にモニタリングし、溶存Mn(II)がすべて酸化されて水相中から除去されていることを確認した。以上の培養操作により、マンガン酸化物含有汚泥(以下、マンガン汚泥と称す)を調製した。なお、実験には、マンガン汚泥を風乾したものを用いた。下記の実験に供したマンガン汚泥のMn含有率は24.4%であった。
Figure 2016187801
<鉄含有マンガン汚泥の調製>
上記マンガン汚泥に所定量の鉄粉(関東化学)と栄養培地を添加し、1週間爆気することにより、酸化鉄微粒子を取り込んだマンガン汚泥を調製した。マンガン汚泥と鉄粉の配合比は、マンガン汚泥の懸濁物濃度(MLSS)に対して等濃度あるいは5倍濃度の鉄粉を加えた。
なお、以下、鉄粉を等濃度加えて作成した試料を「鉄含有マンガン汚泥(1:1)」、5倍濃度加えて作成した試料を「鉄含有マンガン汚泥(5:1)」と称する。実験には、凍結乾燥したものを用いた。各試料のMn及びFe含有率は表2のとおりである。
Figure 2016187801
<吸着試験>
上記試料について、それぞれ、カドミウム(Cd(II))、亜ヒ酸(As(III))、ヒ酸(As(V))の吸着性能を以下のとおり評価した。
pH を一定に保つために溶媒には40 mM HEPES 緩衝液(pH 7.0)を用い、それぞれ約24時間、室温(〜25℃)で穏やかに振盪した。上澄み液中の金属濃度はICP-MS 法で定量した。吸着材を添加しない溶液をコントロール液とし、この上澄み濃度から吸着材添加時の上澄み濃度を差し引くことにより、吸着量を求めた。各々の吸着剤について金属イオンの吸着等温線を作成した後、ラングミュア式で近似して、最大吸着容量を算出した。その結果を表3に示す。
Figure 2016187801
表3のデータをラングミュア式で近似して得られた最大吸着容量の標準偏差は表4のとおりである。
Figure 2016187801
マンガン汚泥は、高いカドミウム(Cd(II))吸着能力を示したが、亜ヒ酸(As(III))およびヒ酸(As(V))はほとんど吸着しなかった。一方、鉄含有マンガン汚泥では、どちらの場合も高いカドミウム(Cd(II))吸着能力を示した。また、ヒ素については、亜ヒ酸(As(III))吸着量がヒ酸(As(V))と同程度の吸着容量を示しており、ヒ素吸着に対しても有用な材料であると考えられた。
〔実施例2〕マンガン汚泥の性能
<Cd(II)吸着能>
実施例1で作製したマンガン汚泥におけるカドミウム吸着能を、市販の二酸化マンガンと比較した。カドミウムの吸着能については、市販の二酸化マンガン試薬(和光純薬製、粉末)のCd(II)吸着能として実施例1と同様の方法で測定した。実施例1で作製したマンガン汚泥におけるCd(II)吸着能と比較した結果を表5に示した。
Figure 2016187801
表5に示すように、実施例1で作製したマンガン汚泥は、市販の二酸化マンガンと比較して、極めて優れたカドミウム吸着能を有することが明らかとなった。
<III価ヒ素(亜ヒ酸(As(III))の酸化能>
実施例1で作製したマンガン汚泥におけるIII価ヒ素に対する酸化能を検討した。まず、50mLチューブに、実施例1で作製したマンガン汚泥20mg(Mn含量率=35%)とAs(III)5mg/Lを含むHEPES(pH=7.0) 44mLを添加した。その後、4日間、振とう培養を行い、水中のAs(III)濃度及びAs(V)濃度を経時的に測定した。結果を図4に示す。
図4に示すように、III価ヒ素の濃度が低減し、V価ヒ素の濃度が上昇していることから、実施例1で作製したマンガン汚泥はIII価ヒ素に対する優れた酸化能を有することが明らかとなった。
〔実施例3〕連続通水試験による低濃度での吸着容量の検討
(実験方法)
実施例1で用いたマンガン汚泥及び鉄含有マンガン汚泥(5:1)を用いて、連続通水試験を行った。表6にカラム諸元を示す。
Figure 2016187801
上記ガラスカラムに対して、ガラスビーズ約100g、供試材料(マンガン汚泥あるいは鉄含有マンガン汚泥(5:1))約1gをよく混合したのち、充填し、表7の条件で通水した
Figure 2016187801
(実験結果)
各条件でのカラム出口濃度における重金属濃度の変化を図5〜図8に示した。また、図5〜8に示した結果から、カラム出口濃度が水質環境基準である0.01mg/Lを上回った時点を破過点とし、破過(0.01mg/L)時の吸着容量を算出して表8に示した。
Figure 2016187801
図5〜8及び表8に示した結果からわかるとおり、鉄含有マンガン汚泥は高い吸着能力を持ち、また、As(III)もAs(V)と同程度の吸着能を持ことが明らかとなった。
1…浄化壁、2…重金属吸着剤、3…掘削ずり、4…地盤、5…陽イオン吸着部、6…陰イオン吸着部、7…陽イオン/陰イオン吸着部

Claims (3)

  1. 微生物が産生した酸化マンガンと、5価のヒ素を含む陰イオンを吸着する陰イオン吸着剤とを含む、重金属吸着剤。
  2. 上記陰イオン吸着剤は酸化鉄であることを特徴とする請求項1記載の重金属吸着剤。
  3. マンガンと鉄とを含む環境下で上記微生物を培養し、培養物を乾燥して作製されることを特徴とする請求項1記載の重金属吸着剤。



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