JP2016185106A - 画像解析装置、画像解析方法、及び画像解析プログラム - Google Patents

画像解析装置、画像解析方法、及び画像解析プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】細胞群の位置と形状の局在の変化を客観的に評価できる指標を得る。【解決手段】細胞の局在を評価する画像解析装置であって、第1の領域内の評価対象細胞群の2次元パターンを抽出するパターン抽出部と、前記パターン抽出部により抽出された第1の時点における第1の局在パターン形状と前記第1の時点とは異なる第2の時点における第2の局在パターン形状との相関解析を行う相関解析部と、を有することを特徴とする画像解析装置。【選択図】図3B

Description

本発明は、画像解析技術に関し、特に、評価対象細胞群の位置と形状との局在の変化の指標を求める細胞画像解析技術に関する。
近年、生体の組織や臓器を模倣した、細胞が高密度に集合している三次元組織モデルを作製し、創薬や再生医療領域へ応用することが期待されている。このような三次元組織内では様々な種類の細胞が適切な位置関係に配置されることで効率的に組織の機能を発現している。そこで、温度応答性表面での細胞パターニングなどの技術を用いて三次元組織内における任意の細胞の局在を制御することで、細胞の配置が三次元的にデザインされた組織を構築する試みが多くなされている。
下記特許文献1による細胞シートを利用した細胞評価システム及びその利用方法では、三次元組織内での三次元的な細胞の遊走および局在の変化を、2次元解析装置により画像を観察しながら追跡している。
国際公開2010/101225号公報
一方で、in vitroで作製した三次元組織内において血管内皮細胞などの細胞は非常に活発に組織内で遊走(移動)することが知られている。これにより、組織構築時に任意の細胞の局在を制御した組織を作製したとしても、培養期間を経るごとに組織内で細胞が遊走し局在がランダムに変化してしまう。この三次元化後の細胞の遊走を防ぐために様々な手法の研究が試みられているが、これまで組織内での細胞の局在変化を数値化し定量的に評価することは煩雑で困難な手順を踏む必要があったため、各手法を評価するための研究において障壁となっていた。
特許文献1に記載の技術では、ある平面における細胞群の変化を観察しているが、細胞群の変化に明確な指標がないため、客観的な評価をしにくいという課題がある。
本発明は、細胞群の位置と形状の局在の変化を客観的に評価することを目的とする。
本発明においては、解析可能な領域をあるひとつの平面に絞り、画像相関解析を用いる。これにより、一定時間後の細胞群の形の変化を数値化して捉えることができ、細胞群の変化に明確な指標を得ることができる。
本発明では三次元組織内の血管内皮細胞を始めとする任意の細胞をあらかじめ蛍光標識などによりラベリングした状態でタイムラプス画像を取得し、これらの画像を画像相関解析法により解析することで簡便に数値化し定量的に評価するシステムを構築した。これにより、三次元組織内の任意の細胞の遊走挙動や局在の乱れを定量的に評価可能な汎用性の高い技術を確立することができる。
本発明の一観点によれば、細胞の局在を評価する画像解析装置であって、第1の領域内の評価対象細胞群の2次元パターンを抽出するパターン抽出部と、前記パターン抽出部により抽出された第1の時点における第1の局在パターン形状と前記第1の時点とは異なる第2の時点における第2の局在パターン形状との相関解析を行う相関解析部と、を有することを特徴とする画像解析装置が提供される。
さらに、前記相関解析部により求められた前記第1の局在パターン形状と前記第2の局在パターン形状との相関度を、前記評価対象細胞群の位置と形状との局在の変化の指標として求めることにより前記評価対象細胞群の組織内での自己組織化過程を数値化することができる。
本発明の他の観点によれば、細胞の局在を評価する画像解析方法であって、第1の領域内の評価対象細胞群の2次元パターンを抽出するパターン抽出ステップと、前記パターン抽出ステップにより抽出された第1の時点における第1の局在パターン形状と前記第1の時点とは異なる第2の時点における第2の局在パターン形状との相関解析を行う相関解析ステップと、を有することを特徴とする画像解析方法が提供される。
本発明は、コンピュータに、上記に記載の画像解析方法を実行させるための画像解析プログラムであっても良く、当該プログラムを記録するコンピュータ読み取り可能な記録媒体であっても良い。
本発明によれば、細胞群の位置と形状の局在の変化を客観的に評価できる指標を得ることができる。
図1(a)は、評価対象細胞群として、シート状の細胞組織(細胞シート)を作成する方法の一例を示す図である。図1(b)は、細胞シートを含む構成の断面図である。図1(c)は、得られた評価対象試料の平面図である。 評価対象細胞群の画像の相関解析手順をイメージで示す図である。 評価対象細胞群の画像の相関解析処理の流れの一例を示すフローチャート図である。 図3B(a)は、画像解析装置の一構成例を示す機能ブロック図である。図3B(b)は、パターン抽出部の位置構成例を示す機能ブロック図である。 ランダムパターン形状を有する異なる試料について相関解析を行った結果の例を示す図である。 図4の相関解析結果を相関度により比較した図である。 図4の相関解析結果を相関度の時間依存性として示す図である。 ラインパターン形状を有する試料の作成方法の一例を示す図である。 ラインパターン形状を有する同じ試料の画像の経時変化を示す図である。 図8に示すラインパターン形状を有する同じ試料の相関度の経時変化をグラフで示す図である。 ライン間隔の異なるラインパターン形状を有する異なる試料の画像の経時変化を示す図である。 ライン間隔の異なるラインパターン形状を有する異なる試料の相関度のライン間隔依存性をグラフで示す図である。
本明細書において、解析対象となる細胞群(細胞集団)は、生体の組織又は器官から直接採取した初代細胞系に由来する細胞でもよく、該初代細胞を何代か継代させた継代細胞系に由来する細胞であってもよい。細胞が由来する動物も特に限定されず、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ウマ、ヤギ又はヒツジ等の動物に由来する細胞を使用することができる。
また、評価対象細胞群が「パターン形状が制御されていない」とは、例えばランダムパターンのように決められた形状を保持するように制御されていない状態、例えば細胞自身の自己組織化によりランダムな位置に局在している状態を指す。評価対象細胞群が「パターン形状が制御された」とは、例えばラインパターンのように決められた形状を保持するように制御されていないことを指す。
以下に、本発明の実施の形態による細胞の画像解析技術について図面を参照しながら詳細に説明する。
(細胞シート中での血管内皮細胞ネットワークの形成工程)
図1は、評価対象細胞の一例として、シート状の細胞組織(細胞シート)を作製する方法の一例を示す図である。本実施の形態では、緑色蛍光タンパク発現正常ヒト臍帯静脈内皮細胞(GFP-HUVEC) (Angio-proteomie, Boston, USA)25a及び正常ヒト皮膚線維芽細胞(NHDF) (Lonza Inc., Walkersville, USA)25bを用いて細胞シート25を作成した。細胞シートの作製には温度応答性ポリマーであるPNIPAAm、ポリ-N-イソプロピルアクリルアミドを表面に修飾した温度応答性培養皿(f=35 mm, UpCellTM, CellSeed Inc., Tokyo, Japan)21を培養液23で満たし、総細胞数1×106cells/dish、血管内皮細胞:線維芽細胞の比率=1:7の密度で細胞を播種しコンフルエントに達するまで培養を行なった(図1(a)、図1(b))。
次いで、コンフルエントの状態に達した細胞を、20℃で20分以上静置し、GFP-HUVEC25a及びNHDF25bで構成されたシート状の細胞組織を回収した。シート状の細胞組織を細胞シートと称する。
次いで、細胞シートを収縮させて37℃でインキュベーションを行うことで、GFP-HUVECが組織内でランダムに配置されたシート状の組織25x(図1(c))を得ることができた。
(タイムラプス蛍光画像の取得方法)
回収したシート状の細胞組織25xを、タイムラプス蛍光顕微鏡装置(BZ-9000, Keyence Corp., Osaka, Japan)を用い、1時間おきに5日間、同一箇所のタイムラプス蛍光画像を取得した。シート状の細胞組織は、endothelial growth medium (EGM-2) (Lonza Inc., Walkersville, USA) 中に50 ng/mL recombinant human vascular endothelial growth factor (rhVEGF) (R and D Systems, Minneapolis, USA)を添加し、抗生物質存在下で、顕微鏡ステージ装着型インキュベータ (INUG2-KI3, Tokai Hit Co. Ltd., Shizuoka, Japan)を用い、37℃、CO2濃度5%環境中で培養した。
図2、図3A、図3Bは、上記の方法により作成した血管パターンを例にした評価対象細胞群の画像解析技術を具体的に示す図である。図2は、評価対象細胞群の画像の解析手順のイメージを示す図であり、図3Aは、評価対象細胞群の画像の解析処理例を示すフローチャート図であり、図3Bは、評価対象細胞群の画像解析に用いた画像解析装置の構成例を示す機能ブロック図である。画像解析装置は、ソフトウェアによるかハードウェアによるかを問わない。
発明者らは、2次元領域内における細胞群の位置と形状の局在の変化を客観的に評価できる指標として、画像相関解析を用いることを考案した。相関度に基づいて、前記局在の変化の度合いを判断することができる。
以下に、シート状の細胞組織内の血管内皮細胞による血管ネットワークの形成過程を定量評価する手法を例にして、本実施の形態による細胞の画像相関解析について詳細に説明する。
図3B(a)に示すように、本実施の形態による画像解析装置1は、シート状の細胞組織25xなどの撮像した観察画像を取得する画像取得部1−1と、画像取得部1−1により取得した細胞群のパターン形状を抽出するパターン抽出部1−2と、例えば、同じ領域を異なる時点、すなわち第1の時点と第1の時点とは異なる第2の時点とにおいて抽出した異なる2つのパターン形状の画像相関解析を行う相関解析部1−3と、相関度に基づいて細胞群の局在の時間変化を求める位置−時間演算部1−4と、相関度に基づいて局在の変化の度合いを判断する判断部1−5と、判断結果等を出力する出力部1−6と、を有している。さらに、判断部1−5において局在の変化の度合いを判断するための適切なしきい値を設定するしきい値設定部1−7と、局在パターンと時間との関係等を記憶する記憶部1−8とを備えていても良い。画像解析装置1はこれらすべての構成を一体として備えていなくても良い。画像相関解析には、ImageJ (National Institutes of Health, MD, USA)を用いた。
画像相関解析における相関度の算出は例えば以下のようにして行うことができる。すなわち、ある画素数(n,m)の画像aと画像bの相関度の算出式は、下記の通りである。
ここで、画像aの画素(x,y)の輝度値をa(x,y)とする。画像bの画素(x,y)の輝度値をb(x,y)とする。
Figure 2016185106
図3B(b)は、図3B(a)のパターン抽出部1−2の一構成例を示す機能ブロック図である。図3B(b)に示すように、パターン抽出部1−2は、画像のタイムラプス解析を行うタイムラプス解析部1−2−1と、タイムラプス解析した画像データを取得する画像データ取得部1−2−2と、取得した画像データの二値化を行う二値化部1−2−3と、二値化した画像のノイズ部分を除去するノイズ除去部1−2−4とを有している。このようにして画像解析処理に適した前処理を行って解析に適したパターンを抽出することで、2次元領域内における細胞群の位置と形状の局在の変化を客観的に評価できる指標を精度良く求めることができる。
画像解析処理の流れを図3Aに示すフローチャートに基づいて説明する。ステップS1において処理が開始されると(Start)、ステップS2において、タイムラプス解析部1−2−1はタイムラプス解析を行う、次いで、ステップS3において、画像データ取得部1−2−2が2枚の画像を取得する。2枚の画像は、例えば、図2に示すような、評価対象細胞群の第1の領域における蛍光画像(A)P1と、同じ第1の領域における蛍光画像(B)P2であり、これらは、血管パターンの蛍光画像のうち、それぞれ、初期画像と5日後の画像である。画像相関解析を行う2つの画像パターンは、第1の時点と第1の時点とは異なる第2の時点における画像であり、第1の時点は、細胞観察の初期時点であっても良く、それ以降の時点であっても良い。
次いで、ステップS4において、二値化部1−2−3が2枚の画像について二値化を行う。次いで、ステップS5において、二値化を行った画像のノイズ部分をノイズ除去部1−2−4が除去し、パターン抽出部1−2が全体としてステップS6でパターンを抽出する。図2のP11とP12とが、画像相関解析を行うための前処理を行った後の、同じ領域の異なる時間における画像である。
最後に、抽出したパターンを、ステップS7において、相関解析部1−3が画像相関解析を行うことで、2つの異なる画像の相関度を求める第1の解析処理が終了する(End)。画像相関解析の結果は、評価対象細胞群の位置と形状との局在の変化の指標となる。
尚、画像解析装置1は、第1の時点における第1の画像とは異なる第3の画像と、第2の時点における第2の画像との相関度を求めた第1の画像との相関度を演算する相関度関連性判定部を有していても良い。この相関度関連性判定部の判定結果として大きい(1に近似する)相関度が得られた場合には、第3の画像における異なる評価対象細胞群について、記憶部1−8に記憶された相関度と第1の時点から第2の時点までの経過時間との関係を、異なる評価対象細胞の位置の時間依存として近似するようにしても良い。記憶部を設けることで、類似の試料等における評価対象細胞群の組織内での自己組織化過程の実験を行う前に推定することができる。
[実施例1]
(ランダムパターンの画像解析)
まず、パターン形状が制御されていないランダムパターンについて画像解析を行った結果を示す。
図4は、本実施の形態による相関解析処理を行った結果の一例を示す図であり、図2に示したランダムなパターン形状を有する細胞群の画像解析例を示す図である。図5は、同一試料のタイムラプス画像の比較結果として得られた相関度と、異なる試料のタイムラプス画像の比較結果として得られた相関度とを比較したグラフである。
上記の画像相関解析技術を用いて、血管内皮細胞の初期位置と血管内皮細胞ネットワークの形状の相関性を定量的に評価した。試料Aについて、血管内皮細胞がランダムな場合の血管内皮細胞の初期位置(P1:Day0)と、同一視野における血管内皮細胞ネットワークの形状(P2:Day5)の相関度は0.2246(0.24±0.03)であり、正の相関が認められた。同様に、試料Bについても、血管内皮細胞がランダムな場合の血管内皮細胞の初期位置(P11:Day0)と、血管内皮細胞ネットワークの形状(P12:Day5)の相関度は0.1957)であり、正の相関が認められた。すなわち、試料A及び試料Bとのそれぞれにおいて、5日後においても、血管内皮細胞のパターン形状の局在は初期のパターン形状の局在に依存していることが明らかになった。
一方、試料Aの血管内皮細胞の初期位置(P1:Day0)と試料Aとは異なる試料Bの血管内皮細胞ネットワークの形状(P12:Day5)との相関度と、試料Bの血管内皮細胞の初期位置(P11:Day0)と試料Aの血管内皮細胞ネットワークの形状(P2:Day5)との相関度は0.02±0.01であり、同一試料同士の相関度と有意差がある。
図5に示すように、同一の試料と異なる試料とでは、初期と5日後との相関度に大きな差異がみされることがわかる。すなわち、同一試料内のある視野における一定時間前後の画像の相関度は、異なる試料であるか同じ試料であるかを判断する指標として用いることができる。また、2つの試料を比較する際の相関度のしきい値を、図5等の解析結果に基づいて、例えば、0.1から0.2程度に定めることができる。このしきい値を設定することで、同じ試料か異なる試料かを自動的に判定することも可能である。これにより、培養容器内の試料の取り違えを防ぐシステムを構築することが可能となる。
このようにしきい値設定部1−7が、判断部1−5において局在の変化の度合いを判断するための適切なしきい値を、例えば図5を参照して説明したように、同一の試料であるか否かを切り分けるための相関度の値に基づいて設定する。
また、図6に示すように、判断部1−5において、同じ試料の例えば初期位置と比較した相関度を時間に対してプロットすることで、評価対象細胞群の位置と形状との局在の変化の指標として求めることにより評価対象細胞群の組織内での自己組織化過程を数値化することができる。この処理は位置−時間演算部1−4により行うことができる。
また、図6に示すような、位置−時間演算部1−4により求められた相関度の時間依存性に基づいて、同一又は同様な評価対象細胞群のパターン形状の位置と局在の時間変化を推測することが可能である。
以上の解析結果より、画像相関解析を用いることで、ランダムパターンの血管内皮細胞ネットワーク形状工程は、血管内皮細胞の初期位置に依存することが示唆された。
尚、評価対象細胞群は、人工的に作製された細胞組織であっても良い。
[実施例2]
(ラインパターンの画像解析例)
次に、上記のようなランダムパターンとは異なり、制御されたパターン、例えば同じ方向に延在し互いに隣接する複数のラインパターンの評価結果について説明する。
図7は、このようなラインパターンの作製方法の一例を示す図である。
温度応答性培養皿(35 mmf ,UpCellTM, CellSeed Inc., Tokyo, Japan)上に光リソグラフィ技術を用いて、水溶性カンファーキノンを重合開始剤としてポリアクリルアミド(PAAm)を部分的に修飾した。これにより、ストライプ状の温度応答性領域とその他の細胞非接着性領域からなるパターン化温度応答性培養皿を作製した。作製したパターン化温度応答性培養皿はEOGガスにより滅菌を行い培養に用いた。
図7に示すように、パターンデザインについてはストライプパターンにおける細胞接着領域の幅(ライン):細胞非接着領域の幅(スペース)が、500 μm: 2000 μm (ストライプパターン中の各血管内皮細胞によるライン間隔Ddish= 2500μm),500 μm: 1000 μm (Ddish= 1500μm), 500 μm: 500 μm (Ddish= 1000μm)の3通りを作製した。
これを、線維芽細胞シートと伸展した状態を保持したまま積層した後に収縮処理を行い、所定の間隔Dtissueを有する血管内皮細胞によるラインパターンを含む三次元組織を作製した。
作製した三次元組織中の血管内皮細胞の動きは、タイムラプス蛍光顕微鏡装置(BZ-9000, Keyence Corp., Osaka, Japan)を用い、5日間同一箇所のタイムラプス蛍光画像を取得することで観察した。シート状の細胞組織は、50 ng/mL recombinant human vascular endothelial growth factor (rhVEGF) (R and D Systems, Minneapolis, USA)を添加したEGM-2中で、抗生物質存在下において顕微鏡ステージ装着型インキュベータ (INUG2-KI3, Tokai Hit Co. Ltd., Shizuoka, Japan) を用いて37 ℃,CO2濃度5%環境下で培養した。
その結果を図8〜図11までに示す。図8、図9は、同じ試料の画像相関解析結果の経時変化を示すものであり、作製したラインパターンの所定の間隔Dtissueが703±45μm(もしくは、Ddish2500μm)である。図10、図11は、ライン間隔の異なる試料の画像相関解析結果の経時変化と、相関度のラインパターンの所定の間隔(Dtissue)依存性存性を示す図である。
図8、図9に示すように、三次元組織内のラインパターンの経時変化をみると、積層後5日間にわたって局在を保つことが可能であることが明らかとなった。
先行研究では伸展した状態の細胞からなる三次元組織内において、血管内皮細胞による2本のラインパターンの所定の間隔(Dtissue)が500 μm程度の場合、積層後1日で血管内皮細胞はランダムに遊走していることが確認されている(参考:M. Muraoka et al. / Biomaterials 34 (2013) 696‐703)。
先行研究ではVEGFやFBSを始めとする血管内皮細胞の遊走や増殖を促す因子をほぼ含まない条件で培養されたものであり、血管内皮細胞の局在を保つという点では有利な条件であったと考えられるが、本結果より組織を収縮させるという簡便な手法で血管内皮細胞を活性化させる因子を加えた条件においてもパターン形状の維持が可能であることが示された。この現象は、組織全体の収縮により血管内皮細胞の足場の状態が変化したことで引き起こされたと考えられる。
また、図10、図11に示すように、異なるライン間隔の試料を用いて本実施の形態による相関解析を行うと、試料Aのようにライン間隔が狭い場合には、相関度の時間依存性が大きくなり、すなわち相関度が小さくなり、試料Cのようにライン間隔が大きくなると、相関度の時間依存性が小さくなり、すなわち、相関度が大きくなることがわかる。
図11に示すように、パターン制御を行わない場合の相関度は0.2程度であり、ラインパターン幅が狭い試料Aはそれと同程度であることがわかる。また、ラインパターン幅を広くしていくと、相関度が大きくなり、ライン制御が有効になっていることがわかる。
尚、評価対象細胞群のパターン形状が制御された血管内皮細胞によるライン状パターンの場合に、しきい値を、0.6から0.8に設定すると良い。
このように、時間依存を求めることで、評価対象細胞群の組織内での自己組織化過程を数値化することができる。
微細構造をデザインした三次元組織の構築においても、上記のような製造技術が有効であることを、客観的に示すことができる。
尚、本実施の形態においては、評価対象細胞として、血管内皮細胞を例にして説明したが、その他、神経細胞、筋芽細胞、肝細胞、その他各種多能性幹細胞などを対象としても良い。
本発明は、創薬研究のための組織モデル作製および再生医療に利用可能な三次元組織作製において有用な技術となると考えられる。これらの組織においては、血管網を始めとする組織内の微細構造の局在を制御することが生体機能の模倣や効率的な組織構築のために重要であると期待されている。本発明は、三次元組織内での細胞の局在制御や遊走能解析研究において汎用性の高い定量評価用ツールとなりうる。
上記の実施の形態において、添付図面に図示されている構成等については、これらに限定されるものではなく、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
また、本発明の各構成要素は、任意に取捨選択することができ、取捨選択した構成を具備する発明も本発明に含まれるものである。
また、本実施の形態で説明した機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。尚、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
本発明は、細胞群のパターン形状の局在を評価する装置として利用可能である。
1…画像解析装置、1−1…画像取得部、1−2…パターン抽出部、1−2−1…タイムラプス解析部、1−2−2…画像データ取得部、1−2−3…二値化部、1−2−4…ノイズ除去部、1−3…相関解析部、1−4…位置−時間演算部、1−5…判断部、1−6…出力部。

Claims (12)

  1. 細胞の局在を評価する画像解析装置であって、
    第1の領域内の評価対象細胞群の2次元パターンを抽出するパターン抽出部と、
    前記パターン抽出部により抽出された第1の時点における第1の局在パターン形状と前記第1の時点とは異なる第2の時点における第2の局在パターン形状との相関解析を行う相関解析部と、
    を有することを特徴とする画像解析装置。
  2. さらに、
    前記相関解析部により求められた前記第1の局在パターン形状と前記第2の局在パターン形状との相関度を、前記評価対象細胞群の位置と形状との局在の変化の指標として求めることにより前記評価対象細胞群の組織内での自己組織化過程を数値化する位置−時間演算部を有することを特徴とする請求項1に記載の画像解析装置。
  3. 前記相関度に基づいて、前記局在の変化の度合いを判断する判断部を有し、
    前記判断部は、前記評価対象細胞群のパターン形状に依存する前記相関度のしきい値に基づいて前記局在の変化の度合いを判断することを特徴とする請求項2に記載の画像解析装置。
  4. 前記相関度に基づいて、前記局在の変化の度合いを判断する判断部を有し、
    前記判断部は、第1の試料の前記評価対象細胞群の相関度をしきい値として設定し、前記第1の試料とは異なる第2の試料の評価対象細胞群の相関度を判定する請求項2に記載の画像解析装置。
  5. 第1の試料の前記評価対象細胞群の前記第1の領域と、前記第1の試料とは異なる第2試料の評価対象細胞群の第2の領域との相関度を比較することを特徴とする請求項2に記載の画像解析装置。
  6. 前記評価対象細胞群のパターン形状が血管内皮細胞による制御されていないパターンの場合に、前記しきい値を、0.1から0.2に設定する請求項3に記載の画像解析装置。
  7. 前記評価対象細胞群のパターン形状が血管内皮細胞による制御されたパターンの場合に、前記しきい値を、0.6から0.8に設定する請求項3に記載の画像解析装置。
  8. 前記パターン抽出部は、
    取得した前記第1の領域内の前記評価対象細胞群の画像を二値化する二値化処理部と、
    ノイズを除去するノイズ除去処理部と、を有することを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載の画像解析装置。
  9. さらに、前記第1の時点と前記第2の時点とにおける前記第1及び第2の局在パターン形状と、前記第1及び第2の局在パターン形状と対応する相関解析結果との対応関係を記憶する記憶部を有することを特徴とする請求項1から8までのいずれか1項に記載の画像解析装置。
  10. 前記評価対象細胞群が、人工的に作製された細胞組織であることを特徴とする請求項1から9までのいずれか1項に記載の画像解析装置。
  11. 細胞の局在を評価する画像解析方法であって、
    第1の領域内の評価対象細胞群の2次元パターンを抽出するパターン抽出ステップと、
    前記パターン抽出ステップにより抽出された第1の時点における第1の局在パターン形状と前記第1の時点とは異なる第2の時点における第2の局在パターン形状との相関解析を行う相関解析ステップと、
    を有することを特徴とする画像解析方法。
  12. コンピュータに、請求項11に記載の画像解析方法を実行させるための画像解析プログラム。
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