JP2016181368A - 燃料電池用電極触媒およびそれを用いた燃料電池用電極並びに燃料電池 - Google Patents

燃料電池用電極触媒およびそれを用いた燃料電池用電極並びに燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】有機溶媒中や酸性pH領域でも、酸素分子の4電子還元に対して高い活性を示す燃料電池用電極触媒を提供する。【解決手段】下記の構造で示される、1,2-ビス(2-(ビス(2-ピリジルメチル)アミノメチル)6-ピリジル)エタンの二核銅錯体からなる燃料電池用電極触媒。【選択図】なし

Description

本発明は、燃料電池用電極触媒およびそれを用いた燃料電池用電極並びに燃料電池に関する。より具体的には、本発明は、固体高分子形燃料電池の空気極の触媒に適した二核銅錯体に関する。また、本発明は、前記二核銅錯体の配位子を効率よく製造する方法に関する。
燃料電池は、電気化学反応によって、燃料の持つ化学エネルギーを直接、電気エネルギーに変換できるため、高いエネルギー変換効率を示す。燃料電池は、水素やメタノールなどの燃料を燃料極(アノード)に、酸素を含むガス(空気等)を空気極(カソード)に供給して、電気エネルギーと水を作り出すため、クリーンなエネルギー源として注目されている。
燃料電池は、電解質の違いにより複数の種類に分類されるが、その中でも、固体高分子膜(陽イオン交換膜)を電解質として用いる固体高分子形燃料電池は、常温で発電でき、小型・軽量化にも適しているため、家庭用、携帯用、自動車用のエネルギー源として最も期待されている。
固体高分子形燃料電池の仕組みを概説すると、燃料極(アノード)において、水素やメタノールが、触媒によって電子とプロトンに分解される(H2→2H++2e-あるいはCH3OH+H2O→CO2+6H++6e-)。このうち電子は、外部回路を通って空気極へ移動して電流を生じ、プロトンは燃料極と空気極を隔てる固体高分子膜を通って空気極に向かって移動する。空気極に到達した電子とプロトンは、触媒の作用により、空気極に供給された酸素と反応し、水が生じる(4H++O2+4e-→2H2O)。
空気極では、電子を用いて酸素分子を4電子還元する反応を触媒するシステムが必要になる。この空気極の触媒として、従来から白金(Pt)微粒子が用いられてきた。しかし、白金は高い触媒活性を有するものの、非常に高価であるため、実用化の観点からは、高い触媒活性を有し、且つ安価な触媒が求められている。
白金の代わりに使用できる空気極用の触媒として、生体内において酸素分子の還元反応を触媒するマルチ銅オキシダーゼ(MCO)の使用が検討されている。MCOは、ラッカーゼ、ビリルビンオキシダーゼ等、自然界に広く存在し、酸素を4電子還元する反応を触媒する。例えば、特許文献1では、MCOからなる電極触媒が開示されており、特許文献2にも、MCOを使用した酵素燃料電池が開示されている。
しかしながら、これらの酵素は全体の分子量が非常に大きく、電極表面での反応効率が低い。また酵素は中性付近の水溶液中でないと活性を示さないため、実用化が難しいという問題がある。そこで、有機溶媒中や酸性pH領域でも使用可能な触媒の開発が求められている。
合成された銅錯体でこの問題を解決する事が期待されており、例えばRauchfussらは、μ-1,2-型のパーオキソ錯体を与えるトリス(2-ピリジルメチル)アミン配位子(tmpa配位子あるいはtpa配位子)の二核銅錯体が、優れた触媒機能を示すことを報告している(非特許文献1)。しかしながら、固体高分子形燃料電池の実用化のためには、酸素分子の4電子還元に対してさらに高い活性を示す触媒が求められている。
このため、Rauchfussらはさらに、非特許文献2において、tmpa銅錯体に匹敵する酸素還元活性を実現できるDPA(2,2'-ジピコリルアミン)を二分子あるいは三分子結合することによって、酸素還元活性を向上させることを試みているが、リンカーで複数のDPAを結合しても、DPAを超える酸素還元活性は得られなかったことを報告している。
特開2010−183857号公報 特開2013−016439号公報
T. B. Rauchfuss et al. Inorganic. Chemistry. 2011, 50, 6158-6162 T. B. Rauchfuss et al. Inorganic. Chemistry. 2014, 53, 8505-8516
上述した問題に鑑み、本発明は、有機溶媒中や酸性pH領域でも使用することができ、且つ、従来の合成銅錯体よりも高い酸素還元活性を示す燃料電池用電極触媒を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために検討を重ねた結果、1,2-ビス(2-(ビス(2-ピリジルメチル)アミノメチル)6-ピリジル)エタン(以下、6-hpa)の二核銅錯体が、有機溶媒中や酸性pH領域でも酸素分子の4電子還元反応に対して高い触媒活性を示すことを見い出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、6-hpaの二核銅錯体からなる燃料電池用電極触媒に関する。
本発明に係る二核銅錯体は、非特許文献1において、最も優れた触媒機能を示すと報告されたtmpa配位子の二核銅錯体よりも、さらに優れた酸素分子の4電子還元活性を示す。また、この活性は有機溶媒中や酸性pH領域中でも発揮される。
また本発明は、前記電極触媒を含む燃料電池用電極に関する。
また、本発明は、前記電極を空気極として備えた固体高分子形燃料電池に関する。
また、本発明は、前記6-hpaを製造する方法であって、
パラジウム触媒を用いたクロスカップリング法により、1,2-ビス(2-ハロ-6-ピリジル)エタンにシアノ基を導入することによって、1,2-ビス(2-シアノ-6-ピリジル)エタンを得る工程、
1,2-ビス(2-シアノ-6-ピリジル)エタンを還元して、1,2-ビス(2-アミノメチル-6-ピリジル)エタンを得る工程、
2-ハロメチルピリジンを用いて、1,2-ビス(2-アミノメチル-6-ピリジル)エタンの2つのアミノ基それぞれに2つの2-ピリジルメチル基(2-ピコリル基)を導入することにより、6-hapを得る工程
を含むことを特徴とする。
前記製造方法によれば、6-hpaの収率の向上、および大量合成が可能となる。
本発明の電極触媒は、酸素分子の4電子還元反応に対する触媒活性が高いため、固体高分子形燃料電池の空気極の触媒に非常に適しており、優れた燃料電池用の電極および燃料電池を提供することができる。また、本発明の製造方法によれば、前記電極触媒の配位子を収率よく大量合成することが可能となる。
図1は、6-hpaを合成する好ましい一例を示す図である。 図2は、6-hpa二核銅錯体のエレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)スペクトルを示す図である。 図3は、6-hpa二核銅錯体の結晶構造を示す図である。 図4は、6-hpa二核銅錯体の紫外可視吸収(UV-vis)スペクトルを示す図である。 図5は、6-hpa二核銅錯体とtmpa銅錯体のサイクリックボルタンメトリーを示す図である。 図6は、tmpa銅錯体による酸素分子の4電子還元反応を説明する図である。 図7は、6-hpa二核銅錯体による酸素分子の4電子還元反応を説明する図である。 図8は、6-hpa二核銅錯体とtmpa銅錯体の還元性および酸素との反応性の比較を示す図である。
本発明に係る二核銅錯体の配位子は6-hpaである。6-hpa、すなわち、1,2-ビス(2-(ビス(2-ピリジルメチル)アミノメチル)6-ピリジル)エタンは、2つのtmpa配位子をエチレンスペーサーでつないだ構造を有する二核化配位子であり、以下の構造を有する。
本発明の銅錯体は、以下に示すように、上記6-hpaを配位子とする二核銅錯体である。
本発明の二核銅錯体は、燃料電池の空気極において、酸素分子を水分子にするための4電子還元反応(4H++O2+4e-→2H2O)を触媒する。この反応において、本発明の二核銅錯体は、その構造における[CuII-OH-CuII]のCuIIが電子を受け取り(すなわち還元されて)CuIとなり、それが酸素と反応して、パーオキソ錯体(CuII -O-O-CuII)となり、これがプロトンの存在下で還元されて、元の[CuII-OH-CuII]を再生し、同時に水が生成すると考えられる(図7(c)参照)。
本発明による6-hpaの合成方法を下記に示す。なお、化学式中のXはハロゲンを表す。特にXがBrの化合物を用いれば、取扱いが容易であり、且つ、収率も良い。
上記反応式に示すように、本発明の製造方法では、パラジウム触媒を用いたクロスカップリング法により、1,2-ビス(2-ハロ-6-ピリジル)エタンにシアノ基を導入することによって、1,2-ビス(2-シアノ-6-ピリジル)エタンを得た後、これを還元して1,2-ビス(2-アミノメチル-6-ピリジル)エタンを得、次に、2-ハロメチルピリジンを用いて、1,2-ビス(2-アミノメチル-6-ピリジル)エタンの2つのアミノ基それぞれに2つの2-ピリジルメチル基を導入するアルキル化工程により、6-hapを製造することを特徴とする。
前記クロスカップリング工程において使用するパラジウム触媒としては、活性炭の上にパラジウム(0)を分散・担持させてなるパラジウム炭素(Pd/C)や、パラジウム(0)のトリフェニルホスフィン錯体であるテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd[P(C6H5)3]4)や、ジベンジリデンアセトン(dba) 、キサントホス(Xantphos)など様々な配位子のパラジウム(0)錯体、またパラジウム(2+)酢酸塩である酢酸パラジウム(Pd(CH3COO)2)などを使用することができる。
また、1,2-ビス(2-ハロ-6-ピリジル)エタンとして、1,2-ビス(2-ブロモ-6-ピリジル)エタンを使用することが特に好ましい。
CN源としては、シアン化亜鉛(II)を用いることが特に好ましいが、他にも、シアン化カリウム(KCN)やフェロシアン酸イオン([Fe(CN)6]4-)等が使用できる。
前記還元工程では、シアノ基に水素原子を付加する還元反応を行う。例えば、還元剤として水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)等を使用することによって、あるいは、水素ガスを還元剤として触媒(パラジウム触媒等)の存在下で水素添加反応を行うことによって、シアノ基(−CN)をアミノ基(−NH2)に還元すればよい。
前記アルキル化工程では、1,2-ビス(2-アミノメチル-6-ピリジル)エタンの2つのアミノ基それぞれに、2つの2-ピリジルメチル基を導入する。この工程では、1,2-ビス(2-アミノメチル-6-ピリジル)エタン1モルに対し、2-ハロメチルピリジンを4モルを超える過剰量(例えば、4.1〜5.0モル;好ましくは約4.4モル)で添加することが好ましい。また、2-ハロメチルピリジンとして、2-ブロモメチルピリジン・ジヒドロブロミドを使用することが特に好ましい。
6-hpaのこれまでの合成方法では、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)と1,2-ビス(2-ハロ-6-ピリジル)エタンを反応させ、1,2-ビス(2-ホルミル-6-ピリジル)エタンを合成したのちに、これをNH3と反応させてイミンを生成し、その後I2等を用いて酸化させ、1,2-ビス(2-シアノ-6-ピリジル)エタンを得ていた。
この方法と比べて、本発明に係る方法によれば、1,2-ビス(2-ハロ-6-ピリジル)エタンから、1,2-ビス(2-シアノ-6-ピリジル)エタンを合成するまでの総収率が倍以上向上し、および大量合成が可能となる。
本発明に係る6-hpaの二核銅錯体は、6-hpaと銅(II)塩を、6-hpaと銅(II)が、約1:2のモル比となるように計量し、有機溶媒中で撹拌処理することによって、製造することができる。
使用する銅(II)塩は特に限定されない。例えば、過塩素酸銅、水酸化銅、硫酸銅など様々な銅塩等を使用することができる。また、有機溶媒としては、メタノール、アセトニトリル、水等が使用できる。
本発明に係る二核銅錯体を触媒として含む固体高分子形燃料電池の電極(空気極)は、通常の方法により、導電性担体の表面に、本発明に係る二核銅錯体を担持することにより、作製することができる。例えば、本発明に係る二核銅錯体を含むペーストやスラリーを調製し、導電性担体に含浸させた後(例えば、導電性担体をペースト等に浸漬する、あるいはペースト等を導電性担体に塗布することによって含浸させる)、乾燥することにより、本発明の二核銅錯体を導電性担体に固定することができる。
この導電性担体が、すでに空気極の形状(例えば、シート形状)である場合は、そのまま空気極として用いることができ、導電性担体が粉末形状や繊維形状である場合は、前記導電性担体を、さらに導電性基材に固定したうえで、空気極として用いることができる。
前記ペーストやスラリーの溶媒としては、水やナフィヨン等が使用できる。
前記導電性担体としては、固体高分子形燃料電池の空気極用の導電性担体として一般的に用いられているものを使用することができる。適切な担体として、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、黒鉛、カーボンペーパー等の炭素材料を挙げることができる。
本発明に係る触媒を含む電極(空気極)を用いた固体高分子形燃料電池は、一般的に用いられている燃料極、固体高分子膜を用いて、通常の手順により製造することができる。
また、本発明に係る固体高分子形燃料電池は、通常の燃料電池と同様、燃料極に水素等の燃料を、空気極に酸素を含むガス(空気等)を供給することにより、作動させることができる。
[試薬]
無水MeCNはP2O5を加えて1.5時間加熱還流した後、蒸留したものを用いた。無水tetrahydrofuran (THF)は金属Naを加え加熱環流した後、benzophenoneを少量加えて、THF溶液が青色になるのを確認してから、蒸留したものを使用した。無水N,N’-dimethylformamide (DMF)はBaOを加えて室温で12時間かき混ぜ予備乾燥した後、蒸留したものを使用した。その他の試薬及び溶媒は市販品をそのまま使用した。
[測定機器]
核磁気共鳴スペクトル(1H NMRスペクトル)はJEOL ECA-500RX spectrometerを用いて、基準物質としてTMSまたはsodium (trimethylsilyl)propionate-d4 (TSP)を用いて測定した。紫外可視吸収(UV-vis)スペクトルはUnisoku社製低温セル室および温度コントローラを取り付けた大塚電子社製超高感度瞬間マルチ測光システムMCPD-7000を用いて測定した。electron spray ionization (ESI) MSスペクトルは、JEOL JMS-T100CS spectrometerを用いてMeCN中、室温で測定した。X線構造解析はRigaku R-AXLS RAPID IIで解析データを測定し、直接法により直接法により初期位相を決定した後、フーリエ合成により構造を解析し、Crystal Structureによる完全行列最小二乗法により精密化した。
[実施例1]6-hpaの製造
図1に示す合成ルートにより、6-hpaを製造した。原料である図1の(A)2-amino-6-picolineおよび(F)2-pyridinecarboxaldehydeは、和研薬から入手した。なお、実施例1では、(F)を原料として(H)2-bromomethylpyridineを製造したが、(H)は市販されているため、市場から入手することもできる。
(B)2-bromo-6-methylpyridineの合成
1000 mLの4口丸底フラスコにアルカリトラップ、等圧滴下漏斗、温度計、メカニカルスターを取り付けた。この反応容器に(A)2-amino-6-picoline(27.0g 0.25mol)と48% HBr(125mL 2.31mol)を入れた。反応容器を氷浴に浸し、0℃まで冷却した。Br2(37.5mL 0.72mol)を等圧滴下漏斗に移し、反応溶液の温度を0℃に保ち、メカニカルスターラーで激しくかき混ぜながら90分かけてゆっくりと反応容器に滴下した。NaNO2(42.5g 0.62mol)を秤量し、約100 mLの蒸留水に溶解させた。これを等圧滴下漏斗にうつし、メカニカルスターラーで激しくかき混ぜながら約2時間かけて滴下した。このとき反応溶液の温度が10℃を越えない様に注意した。反応を完結させるために、さらにNaNO2(2.50g 0.036mol)を約10mLの蒸留水に溶解して加え、反応容器から窒素ガスが発生していないことを確認した。氷浴で冷やしながらNaOH(95.0g 2.4mol)を約300mLの蒸留水に溶解し、十分冷却した後に、少しずつ溶液に加えて中和させた。このとき反応溶液の温度が20℃を越えない様に注意した。反応混合物をEt2O (200mL×4)で抽出し、有機層を集めた。無水Na2SO4を加えて乾燥し、濃縮すると褐色の油状物質が得られた。この油状物質を精留管で減圧蒸留し、減圧度7.00mmHgにおいて55-60℃の分留を取り、黄色の油状物質を得た。この物質は-40℃で保存した。
収率:61%(27.0g)
(C)1,2-bis(2-bromo-6-pyridyl)ethaneの合成
500mLの三口反応容器に回転子を入れ、三方コック,等圧滴下漏斗(50mL),セプタムキャップ,バルーンを付け、真空乾燥した。反応容器をN2雰囲気下にした後にdiisopropylamine (19.2mL 0.137mol)をシリンジで加えた。反応容器にdry THF (300mL)をシリンジで加え、反応容器内をN2置換した後、エタノール浴で-78℃まで冷却した。この後、1.6M n-BuLi (85.6mL 0.137 mol)をシリンジで加えた。20分間反応させた後、50mL等圧滴下漏斗より(B)2-bromo-6-methylpyridine (23.4g 0.136 mol)を20分かけて滴下した。-78℃で2時間反応させた後、1,2-dibromoethane (11.8mL 0.069mol)をシリンジで加えた。反応容器をエタノール浴から外し、室温で一晩かき混ぜた。蒸留水を加え反応を停止させた。THFを濃縮後,分液漏斗を用いてCHCl3(100mL×3)で分液し、有機層を抽出した。Na2SO4を加え脱水した後、濃縮すると赤紫色の固体を得た。この固体をMeOHで洗浄して淡赤色の固体を得た。ろ液を濃縮しMeOHで洗浄する操作を4回繰り返した。得られた淡赤色の固体をHexaneに溶かし、70℃まで加熱した後に熱時濾過し、濾液を冷却すると、淡黄色の固体を得た。
収率:60%(14.0g)
(D)1,2-bis(2-cyano-6-pyridyl)ethaneの合成
100mLの二口反応容器に三方コック、バルーン、セプタムキャップを取り付け真空乾燥した。(C)1,2-bis(2-bromo-6-pyridyl)ethane(4.4g 12.8mmol)、Pd/C (49.84% water, 1.1g)、dppf (0.6g 1.01mmol)、Zn(CN)2 (1.8g 15.3mmol)を二口反応容器に入れ、Pd/Cに含まれる水分をラインでのぞいた。その後、dimethylacetamide (DMA)(50mL)をシリンジで加え、脱気窒素置換した後、窒素フロー化でZn(HCO2)2・2H2O(98.00%)(0.4g、2.04mmol)を加えた後、110℃で加熱しながら、1時間撹拌した。その後、80℃で加熱しながら、2時間撹拌し、撹拌終了後、酢酸エチル(150mL)を加えて、Pd/Cを沈殿させ、濾過で取り除いた。その後、水(200mL×2)、5%アンモニア水(200mL×1)で分液後、有機層を抽出した。抽出した有機層を、エバポレーターで濃縮した。Na2SO4で脱水した後、エバポレーターで濃縮し、茶色の固体を得た。これを、CHCl3:Hexane (50 mL:300 mL) で再結晶し肌色の固体を得た。
収率:88%(2.6g)
(E)1,2-bis(2-aminomethyl-6-pyridyl)ethane・4hydrochrolideの合成
300mL三口反応容器に回転子を入れ、三方コック、バルーン、玉栓を取り付け、(D)1,2-bis(2-cyano-6-pyridyl)ethane (1.0g 4.27mmol)、dry THF 200mLを加え攪拌した。反応容器を氷浴につけ十分に冷却後、LiAlH4 (1.1g 21.9mmol)を加え、30分間氷浴下で攪拌した後、室温で5時間攪拌した。再び反応容器を氷浴につけ20% NaOHaqを溶液が黄色になるまで滴下した。析出した塩をTHFで洗浄しながらセライト濾過で除き、濾液をエバポレーターで濃縮後、適量のH2O、CHCl3を加え、分液ロートを用いてCHCl3(50mL×4)で抽出した。Na2SO4を加え脱水した後、濃縮すると黄色の油状物質を得た。油状物質をCHCl3に溶解させ、12M HClをpHが1になるまで加え、10分間攪拌した後、分液ロートを用いて抽出した。アルカリトラップ存在下においてエバポレーターで濃縮すると、黄色の固体を塩酸塩として得た。得られた固体をC3H6O、MeOHを用いて洗浄しながら濾集すると黄色固体を得た。
収率:62%(1.0g)
(G)2-hydroxymethylpyridineの合成
原料である(F)2-pyridinecarboxaldehydeは使用する前に減圧蒸留し、精製したものを15分以内に使用した。200mL反応容器に回転子を入れdry THF (90mL)、蒸留水(10mL)の混合溶媒中に2-pyridinecarboxaldehyde (1.6g 14.6mmol)を加え攪拌した。反応容器を氷浴につけ十分に冷却後、NaBH4 (1.2g 31.7mmol)を加えた。室温で90分間攪拌した後、氷浴で冷却しながら4M HCl を加え、NaBH4 を完全に溶解させた。pH試験紙によりpHが2まで下がったことを確認した。THFをアルカリトラップ存在下においてエバポレーターで濃縮後、これにCHCl3 50mLを加え、氷浴で冷却しながらNa2CO3を少しずつ加えて中和した。適量のH2O、CHCl3を加え、分液ロートを用いてCHCl3 (50mL×4)で抽出した。Na2SO4を加え脱水した後、濃縮すると1.0gの無色の油状物質を得た。
収率:60%(1.0g)
(H)2-bromomethylpyridine・dihydrobromideの合成
30mL反応容器に回転子を入れ、(G)2-hydroxymethylpyridine (5.5g 50.4mmol)を量り入れた。35% HBr/AcOH (140mL)を加え20℃の油浴で攪拌した。還流管を取り付け、徐々に10℃ずつ油浴の温度を上げ、100℃とした。油浴を100℃に保ちながら20時間加熱還流した。反応溶液を室温に戻した後、少量の酢酸エチルを加えてしばらく放置すると、白色固体が析出した。これを酢酸エチルで洗浄しながら濾集、真空乾燥すると白色の固体を得た。
収率:74%(9.6g)
(I)1,2-bis(2-(bis(2-pyridylmethyl)aminomethyl)6-pyridyl)ethane (6-hpa)の合成
100mL反応容器に回転子を入れ、(E)1,2-bis(2-aminomethyl-6-pyridyl)ethane (0.20g 0.51mmol)を量り入れ、dry MeCN(25mL)、diisopropylethylamine (1.3mL 7.62mmol)を加え、加熱して溶解させた。そこに(H)2-bromomethylpyridine・dihydrobromide (0.55g 2.18mmol)を加え、反応容器内をN2置換した後、18時間攪拌した。18時間後、MeCNをエバポレーターで濃縮後、系中に残存しているdiisopropylethylamineの塩を除くためNa2CO3を加え、適量のH2O、CHCl3を加え、分液ロートを用いてCHCl3 (30mL×3)で抽出した。Na2SO4を加え脱水した後、濃縮し、真空ラインで減圧し残留しているdiisopropylethylamineを完全に除去すると茶色の固体が析出した。その固体を最低限のMeCNで洗浄しながら濾集、真空乾燥すると肌色の固体を得た。
収率:55%(0.17g)
得られた生成物(I)が、6-hpaであることは、核磁気共鳴スペクトル(1H NMRスペクトル)によって確認した。
[実施例2]6-hpaの二核銅錯体;[Cu2(OH)(6-hpa)](ClO4)3 の合成
100mL反応容器に回転子を入れ、実施例1で合成した6-hpa(56mg 0.092mmol)、Cu(ClO4)2 ・6H2O (70mg 0.186mmol)、MeOH (10mL)を量り入れ、攪拌した。この溶液をろ過し、ろ液をエバポレーターで濃縮後、少量のEt2Oを加え、真空ラインで減圧することで、青色粉末を得た。この粉末を、MeCN/CH2Cl2に溶解させBenzeneで液-液拡散させることにより結晶を得た。
収率:62%(60mg)
得られた結晶について、エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)を行った(図2参照)。その結果、分子イオンピークである{[Cu2(OH)(6-hpa)](ClO4)2}+がメインピークとして確認できた。
[実施例3]6-hpaの結晶構造の解析
実施例2に記載した通り、6-hpaの二核銅錯体は、MeOH中6-hpa配位子と約2当量の過塩素酸銅(II)を加え、かき混ぜる事によって得た。得られた固体はMeCN/Et2Oで再結晶を試みたがX線構造解析に適した結晶を得る事ができなかった。そこでMeCN/CH2Cl2/Benzeneの液-液拡散により再結晶すると、X線構造解析に適した結晶を得る事ができた。これを用いて錯体の結晶構造を明らかにした(表1、図3)。
錯体の銅イオンは算出したτ値からCu1:τ(1) = 0.63, Cu2:τ(2) = 0.72なので歪んだ三方両錘型構造をとっており、それぞれの銅イオンには1つのヒドロキソ酸素、3つのピリジン窒素、1つの3級アミン窒素が配位している。またCu-O-Cuの角度は典型的なヒドロキソ架橋の値をとっている。
また、Aceton中におけるUV-vis spectrumでは、351nm にOH-からCuIIへの電荷移動遷移に, 650nm, 820nmにd-d遷移に帰属される吸収帯が観測された(図4)。この結果より、溶液中における銅周りの配位構造は、結晶状態の構造を保持していることが示唆された。
[実施例4]サイクリックボルタンメトリー(CV)
6-hpaの二核銅錯体(Cu-6hpa)のCV
試料溶液として0.1M tetrabutylammonium perchlorate (TBAP)/0.5 mM Cu-6hpa DMF溶液を調製した。溶液10 mlを用いて10分間N2バブリングした。参照電極としてAg/AgCl 電極、対極として白金、作用電極としてグラシックカーボンを用いて測定を行った。
tmpa銅錯体(Cu-tmpa)のCV
以下に示す、Cu-tmpa:[Cu(tmpa)](ClO4)2についても、CVの測定を行った。

試料溶液として0.1M tetrabutylammonium perchlorate (TBAP)/1.0mM Cu-tmpa DMF溶液を調製し、上記と同様に測定を行った。
それぞれのサイクリックボルタンメトリーを図5に示す。
図5に示すように、Acetone中、Cu-6hpaのCVを測定したところ、E1/2=+324 mV vs NHEに酸化還元波が観測された。同様に、Cu-tmpaのCVを測定したところ、E1/2=164 mVに酸化還元波が観測された。Cu-6hpaとCu-tmpaの酸化還元電位を比較すると、酸化還元電位は160mVだけ正電位方向へシフトした。この結果から、二核化することにより、低原子価状態が安定化されており、逆に高原子価状態が不安定化されていることが明らかになった。
酸素分子の4電子還元反応を触媒する銅錯体では、まず、銅錯体におけるCuIIが電子を受け取り(すなわち還元されて)CuIとなった後、酸素と反応すると考えられており、CuII→CuIへの還元がこの反応の律速段階と考えられている。本発明のCu-6hpaは、上記の通り、Cu-tmpaに比べて酸化還元電位が高く、還元されやすいため、CuII→CuIへの還元がよりスムーズに進み、酸素の4電子還元速度を加速できると考えられる。
[実施例5]6-hpaの二核銅錯体(Cu-6hpa)とH2O2の反応追跡
Cu-6hpa 5.24mg (0.5μmol)をマイクロ天秤で量りとり、10mLメスフラスコに入れた。これにAcetoneを加えてメスアップし、0.5mM Acetone溶液を調製した。この溶液2mLと攪拌子を石英2面脱気セルに入れた。このセルに三方コックを取り付け密閉した後、バルーンを取り付け窒素置換した。このセルを紫外可視吸収分光装置のセル室に入れ、温度が一定になるまで10分間待った。その後、電子スペクトルの測定を開始し、60mM Et3Nを50μL加え、反応させた。その後H2O2を10μL (10μmol)加えて測定を行った。
上記のように、Acetone中、Cu-6hpaに対して3当量のEt3Nを加えると350nmに新たな吸収バンドが見られ、この溶液に10当量のH2O2を加えると521nm, 600nm, 741nmに新たな吸収バンドがあらわれた。この吸収スペクトルはKarlinらが報告したtmpa配位子のend onパーオキソ錯体の吸収スペクトルとよく類似していた。したがって、6-hpaの二核銅錯体も、side onパーオキソ錯体ではなく、end onパーオキソ錯体を形成すると考えられる。マルチ銅オキシダーゼは、side onパーオキソ錯体を形成するものがほとんどであり、Rauchfussらによって非特許文献1で報告されたヘキサピリジン配位子の二核銅錯体もside onパーオキソ錯体を形成する。そのため、酸素分子の4電子還元反応を触媒する銅錯体は、side on型が主流と思われたが、本発明のCu-6hpaは、end on型でありながら、優れた触媒活性を示すことが分かった。
[実施例6]デカメチルフェロセンを用いた酸素の4電子還元反応
福住らによる文献(Journal of The American Chemical Society, 2010, 132(20), pp 6874-6875)によると、図6に示すように、Cu-tmpa(図6(b)では、LCuと表記)にdecamethylferrocene(Fc*)を加えることで520 nmにみられるパーオキソ錯体が生成し、さらに酸を加えることで、780 nmにみられるフェロセニウムカチオン(Fc*+)の吸収が増大し、同時に水が生成することから、酸素が4電子還元されていると報告されている。
より具体的に説明すると、図6(b)に示すように、CuII-tmpa(LCuII)は、Fc*により還元されて CuI-tmpa(LCuI)になり(Fc*はFc*+となる)、酸素の存在化で二核化してパーオキソ錯体[LCuII(O2)CuIIL]を形成する。このため、パーオキソ錯体(520 nm)のピークとFc*+のピーク(780 nm)が生じる。
この後、酸(すなわちプロトン)を加えると、パーオキソ錯体がFc*で還元されて2分子のCuII-tmpa(LCuII)とFc*+が生じ、同時に水が生成する。したがって、パーオキソ錯体(520 nm)のピークが減衰し、Fc*+のピーク(780 nm)が増大する。
最終的なFc*+のピーク強度から、この反応あたり4つのFc*+が生じていること(すなわち、この反応に4電子が供給されること)が分かり、銅錯体が、酸素分子の4電子還元反応(4H++O2+4e-→2H2O)を触媒することが確認できる。
6-hpaの二核銅錯体を触媒とした場合も、上記と同様、Fc*添加により520nmのピークと780nmのピークが出現し、さらに、その後酸を加えることにより520nmのピークが減衰して780nmのピークが増加するかどうかを、以下の実験で確認した。
Cu-6hpaを触媒とするFc*を用いた酸素の4電子還元反応
Cu-6hpa 2.096mg(2.0μmol)をマイクロ天秤では量りとり、10mLメスフラスコに入れた。これにAcetoneを加えてメスアップし、0.2mM Acetone溶液を調製した。この溶液2mLと回転子を石英2面脱気セルに入れた。このセルに三方コックを取り付け密閉した後、O2ガスが入ったバルーンを取り付けダイヤグラムポンプでO2置換した。このセルを紫外可視吸収分光装置のセル室に入れ、温度が-80℃で一定になるまで10分間待った。その後、16mM decamethylferrocene(Fc*)を100μL加え、電子スペクトルの測定を開始し、さらに8mM HClO4を50μL加えて測定を行った。
図7に、結果を示す。図7(a)に示すように、Acetone中、Cu-6hpa(1)に対して、4等量のFc*を加えたところ524 nmと780nmに新たな吸収バンドがみられ、パーオキソ錯体とFc*+の生成が確認できた。(図7(a)のグラフ中の点線はFc*添加前のスペクトル、実線は添加後のスペクトルである)。
続いて、524 nmの吸収が最大となったところで2等量のHClO4を加えると、図7(b)に示すように、パーオキソ錯体の吸収が減衰し、それに伴い780 nmのFc*+の吸収が増大した(図7(b)のグラフ中の実線はHClO4添加前のスペクトル、破線は添加後のスペクトルである)。このことから、図7(c)に示すように、6-hpaの二核銅錯体でも、[CuII-OH-CuII]のCuIIがCuIに還元され、その後酸素と反応して、パーオキソ錯体(CuII-O-O-CuII)となり、これがプロトンの存在下で還元されて、元の[CuII-OH-CuII]を生じると考えられ、福住らの報告と同様の経路で酸素の4電子還元が進行すると考えられる。
[実施例7]Cu-6hpaとCu-tmpaの触媒活性の比較
Cu-6hpaとCu-tmpaを比較するために、窒素下でFc*を加えてから酸素下にする方法でパーオキソ錯体の生成速度を比較した。具体的な手順は、以下の通りである。
Cu-6hpa 2.096mg (2.0μmol)をマイクロ天秤で量りとり、10mLメスフラスコに入れた。これをグローブボックスに入れ、Acetoneを加えてメスアップし、0.2mM Acetone溶液を調製した。この溶液2mLと回転子を石英2面脱気セルに入れた。このセルに三方コックを取り付け密閉した後、N2ガスが入ったバルーンを取り付け、紫外可視吸収分光装置のセル室に入れ、温度が-60℃で一定になるまで10分間待った。電子スペクトルの測定を開始し、16mM Fc*を100μL加え、スペクトルが安定した後、ダイヤグラムポンプでO2置換し、測定を行った。
Cu-tmpa 2.211mg (4.0μmol)で同様の測定を行った。結果を図8に示す。
図8(a)から分かるように、Cu-6hpa(1)を用いた実験では、N2存在下においてもFc*+の生成が確認された。これに対し、Cu-tmpa(2)の場合は、図8(b)に示すように、N2存在下において、Fc*+の生成はほとんど確認されなかった。このことから、Cu-6hpaは、Cu-tmpaよりもはるかに還元されやすいことが分かる。また、Cu-6hpaは、N2をO2に置換すると、パーオキソ錯体を形成することが、524nmの吸収ピークから確認されたが、Cu-tmpaでは、同条件下でパーオキソ錯体の形成は確認されなかった。このことからCu-6hpaはCu-tmpaに比べて、はるかに還元されやすく、酸素との反応も速いことが分かり、O2の4電子還元反応速度を大きく加速できると考えられる。
これらの実験から、本発明に係る6hpaの二核銅錯体は、酸素の4電子還元反応の触媒として非常に優れていることが分かった。また、これらの実験はすべてアセトン中で行われ、さらに過塩素酸を加えた実験では溶液のpHが酸性領域にシフトしたが(pH2〜3程度)、6hpaの二核銅錯体は、このような過酷な条件下でも、酸素分子の4電子還元に対して高い活性を示した。
本発明に係る6-hpaの二核銅錯体は、1)酸化還元電位が高い;2)酸素分子の4電子還元速度を大きく加速;3)MCOに匹敵する活性を持ちながら、過酷な条件下で使用可能、という優れた特徴を示す。このため、本発明の二核銅錯体は、燃料電池の空気極(カソード)の触媒として有用である。また、現在のバイオ電池(燃料電池の触媒として生体触媒を利用するもの)の空気極に利用されているMCOに代わる触媒として使用することも可能である。

Claims (4)

  1. 1,2-ビス(2-(ビス(2-ピリジルメチル)アミノメチル)6-ピリジル)エタンの二核銅錯体からなる燃料電池用電極触媒。
  2. 請求項1に記載の電極触媒を含む燃料電池用電極。
  3. 請求項2に記載の電極を空気極として備えた固体高分子形燃料電池。
  4. 1,2-ビス(2-(ビス(2-ピリジルメチル)アミノメチル)6-ピリジル)エタンを製造する方法であって、
    パラジウム触媒を用いたクロスカップリング法により、1,2-ビス(2-ハロ-6-ピリジル)エタンにシアノ基を導入することによって、1,2-ビス(2-シアノ-6-ピリジル)エタンを得る工程、
    1,2-ビス(2-シアノ-6-ピリジル)エタンを還元して、1,2-ビス(2-アミノメチル-6-ピリジル)エタンを得る工程、
    2-ハロメチルピリジンを用いて、1,2-ビス(2-アミノメチル-6-ピリジル)エタンの2つのアミノ基それぞれに2つの2-ピリジルメチル基を導入することにより、1,2-ビス(2-(ビス(2-ピリジルメチル)アミノメチル)6-ピリジル)エタンを得る工程
    を含むことを特徴とする方法。
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