JP2016175515A - 液体燃料タンクの断熱構造 - Google Patents

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尚喜 草場
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Abstract

【課題】高い耐熱性を有する液体燃料タンクの断熱構造を提供する。【解決手段】液体燃料タンクの表面に断熱層を積層し、断熱材の表面に保護層を積層する。断熱層は、独立気泡を内包する発泡体層である。保護層は、太陽光に対して反射性能を有する白色顔料と、真空ビーズとを含む塗膜である。真空ビーズは、外殻と、外殻の内部に設けられた内部空間とを有する。【選択図】図5A

Description

本発明は液体燃料タンクの断熱構造に関する。液体燃料タンクの断熱構造は、例えば、ロケットなどの液体燃料タンクを熱的に保護するために利用できるものである。
液体水素などの液体燃料を燃焼して推進するロケットが知られている。このようなロケットは、液体燃料を格納する液体燃料タンクを有する。
液体水素の場合、沸点は摂氏約マイナス252.6度であり、この温度を超えると気化する。気化した気体水素は、液体燃料タンクから排出される。ロケットのより長い航続距離を実現するために、液体燃料タンクを熱的に保護して、液体燃料の気化を防ぐことが考えられる。
打ち上げ前のロケットは、地上に設置されている。地上に設置されたロケットの周囲には空気があるので、例えば、空気を伝わる熱伝導による入熱から燃料タンクを熱的に保護することが考えられる。
また、打ち上げの最中のロケットは、主に推進方向前方の空気を圧縮するので、例えば、空力加熱と呼ばれる断熱圧縮現象などによって発熱する空気から伝わる熱伝導による入熱からも燃料タンクを熱的に保護することが考えられる。
さらに、宇宙空間に到達したロケットの周囲には空気は無く、また、ロケットには空力加熱が発生しない。他方で、ロケットは、太陽光の直射に晒されるので、例えば、太陽からの輻射入熱から燃料タンクを熱的に保護することが考えられる。
その一方で、今後求められるロケットでは、大気飛行中の空力加熱などによって上昇する機体表面温度の最大値が、これまでのロケットの場合の最大値を大幅に上回ることが考えられる。
したがって、今後は、これまでよりも優れた耐熱性能を有する断熱構造で液体燃料タンクを熱的に保護することが考えられる。
上記に関連して、特許文献1(特開平02−180631号公報)には、セラミック中空微小球について開示されている。このセラミック中空微小球は、非酸化物成分および酸化物成分の少なくとも1種類からなる自由流動性のばらばらなセラミック中空微小球である。各中空微小球は、微細なミクロ組織をもつセラミック壁および1つの中心空腔を有し、1〜300μmの範囲の直径と、中空微小球の直径の10%より小さい肉厚を有する。
また、特許文献2(特開平11−080599号公報)には、断熱塗膜について開示されている。この断熱塗膜は、粒径30〜100μmのガラス製またはセラミックス製の白色の中空ビーズを50〜80容積%の含有割合で分散させた白色の断熱塗料を、断熱対象物の表面に塗布して形成されている。
また、特許文献3(特開2004−010903号公報)には、遮熱性塗料について開示されている。この遮熱性塗料は、セラミックのバブルと、塗膜形成後にバブルを稠密積層配列させる構造保持剤とを含有している。
また、特許文献4(特開2004−196050号公報)には、人工衛星について開示されている。この人工衛星は、希薄な大気が存在する軌道上を進行する人工衛星である。この人工衛星は、外殻が、進行方向へ向けて先細となった流線形状をなしており、打ち上げ時にフェアリングとして機能する。この外殻は、空力加熱に対する耐熱構造を具備する。
特開平02−180631号公報 特開平11−080599号公報 特開2004−010903号公報 特開2004−196050号公報
本発明の目的は、優れた耐熱性能を有する液体燃料タンクの断熱構造を提供することにある。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
以下に、(発明を実施するための形態)で使用される番号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、(特許請求の範囲)の記載と(発明を実施するための形態)との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、(特許請求の範囲)に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
実施形態による液体燃料タンク(122)の断熱構造(23、24)は、液体燃料タンク(122)と、断熱層と、保護層とを具備する。ここで、液体燃料タンク(122)は、摂氏0度以下の液体燃料を貯蔵する。断熱層(23)は、液体燃料タンク(122)の外壁上に積層される。保護層(24)は、断熱層(24)の表面を保護する。断熱層(23)は、互いに独立した複数の独立気泡(50)を内包する発泡体層を具備する。保護層(24)は、塗膜と、複数の真空ビーズ(60)とを具備する。ここで、塗膜は、太陽光に対する反射性能を有する白色顔料(40)を含む。複数の真空ビーズ(60)は、塗膜の中に配置されて、外部からの入熱を抑制する断熱性能を有する。複数の真空ビーズ(60)のそれぞれは、外殻(61)と、外殻の内部に設けられた内部空間(62)とを具備する。
本発明による液体燃料タンクの断熱構造は、優れた耐熱性能を有する。
図1Aは、多段式ロケットの一構成例を示す図である。 図1Bは、図1Aに示した多段式ロケットのうち、第2段ロケットの一構成例を示す図である。 図2Aは、関連技術による液体燃料タンクの断熱構造の一構成例を示す、図1Bに示した断面線A−Aによる断面図である。 図2Bは、関連技術による液体燃料タンクの断熱構造の一構成例を示す、図1Bに示した断面線B−Bによる断面図である。 図3Aは、関連技術による断熱構造の一構成例の第1状態を示す、図2Aの一部を拡大した断面図である。 図3Bは、図3Aに示した構成例による断熱構造の第2状態を示す断面図である。 図4Aは、実施形態による液体燃料タンクの断熱構造の一構成例を示す、図1Bに示した断面線A−Aによる断面図である。 図4Bは、実施形態による液体燃料タンクの断熱構造の一構成例を示す、図1Bに示した断面線B−Bによる断面図である。 図5Aは、実施形態による断熱構造の一構成例を示す、図4Aの一部を拡大した断面図である。 図5Bは、実施形態による断熱構造の一構成例を示す、図4Aの別の一部を拡大した断面図である。 図6は、実施形態による真空ビーズの一構成例を示す断面図である。
添付図面を参照して、液体燃料タンクの断熱構造を実施について、実施形態を以下に説明する。
図1Aは、多段式ロケット1の一構成例を示す図である。図1Aに示した多段式ロケット1は、第1段ロケット11と、第2段ロケット12とを有している。第2段ロケット12は、フェアリング13を有している。
なお、ここでは多段式ロケット1の段数が2段である場合について説明するが、この段数はあくまでも一例にすぎない。
図1Aに例示した多段式ロケット1の構成要素の位置関係について説明する。なお、図1Aに示した座標系のとおり、ここでは、ロケットの進行方向(推進方向)である+Z方向を上方向と呼び、反対の−Z方向を下方向と呼ぶ。
第1段ロケット11は、多段式ロケット1の最下部に配置されている。第2段ロケット12は、第1段ロケット11の上段に設置されている。フェアリング13は、第2段ロケット12の最上部に配置されている。
多段式ロケット1の打ち上げにおいて、最初に第1段ロケット11のエンジンが点火される。多段式ロケット1が、例えば、第1段ロケット11の推進力によって所定の高度に達すると、第1段ロケット11は第2段ロケット12から切り離され、第2段ロケット12が点火される。
フェアリング13は、その内部に配置されている人工衛星等を、空気抵抗や空力加熱などから保護する目的で設けられている。第2段ロケット12が大気圏外に到達すると、フェアリング13も第2段ロケット12から切り離される。
図1Bは、図1Aに示した多段式ロケット1のうち、第2段ロケット12の一構成例を示す図である。図1Bに例示した第2段ロケット12は、第2段エンジン121と、液体燃料タンク122と、人工衛星分離装置123と、人工衛星124とを有している。なお、図1Bに例示した第2段ロケット12からは、第1段ロケット位置110に配置されていた第1段ロケット11が既に切り離されており、また、フェアリング位置130に設けられていたフェアリング13も既に切り離されている。
図1Bに例示した第2段ロケット12の構成要素の位置関係について説明する。なお、図1Bに示した座標系のとおり、図1Aの場合と同様に、ここでも+Z方向を上方向と呼び、−Z方向を下方向と呼ぶ。
第2段エンジン121は、第2段ロケット12の最下部に配置されている。第2段エンジン121の上には、液体燃料タンク122が配置されている。液体燃料タンク122の上には人工衛星分離装置123が配置されている。人工衛星分離装置123の上には、人工衛星124が配置されている。
図1Bに例示した第2段ロケット12の構成要素の動作について説明する。
第2段エンジン121は、第1段ロケット11が切り離された後に点火されて、推進力を供給する。液体燃料タンク122は、液体水素などの液体燃料(摂氏200度以下)を格納しており、この液体燃料を第2段エンジン121に供給する。人工衛星分離装置123は、例えば、第2段ロケット12が所定の位置に到達すると、人工衛星124を、液体燃料タンク122および第2段エンジン121から分離する。人工衛星124は、分離された後、または分離される前から、所定の動作を行う。
ここで、図1Aおよび図1Bに例示した多段式ロケット1では、液体燃料タンク122自体が、多段式ロケット1の外壁の一部としても用いられている。言い換えれば、液体燃料タンク122の外側には、熱的に保護する断熱材等の表層材はあっても、ロケットの自重等の大きな荷重を支持する構造体は無い。
このとき、液体燃料タンク122の外壁は、構造体としては多段式ロケット1の外壁の一部であり、また、断熱材を介して外部の環境に晒されている。具体的には、打ち上げ前および打ち上げの最中には、液体燃料タンク122と、周囲の空気の間には断熱材等の表層材しか無い。したがって、液体燃料タンク122の外壁は、空気を伝達する熱伝導などによる入熱を、断熱材を介して受ける。また、宇宙空間に到達した後は、周囲に空気がないため、液体燃料タンク122の断熱材等(表層材)が太陽光の直射に晒される。
したがって、液体燃料タンク122の外壁に設ける断熱構造は、例えば、空気中および真空中の両方において液体燃料タンク122を熱的に保護し続けるために、断熱構造自体が高い耐熱性能を有することが望ましい。
(関連技術)
ここで、液体燃料タンクの断熱構造の実施形態について説明する前に、液体燃料タンク122の一構成例(実施形態に対する比較例)について説明する。
図2Aは、関連技術による液体燃料タンク122の断熱構造の一構成例を示す、図1Bに示した断面線A−Aによる断面図である。図2Aに示した座標系は、図1Aおよび図1Bの場合と同様であって、+Z方向が多段式ロケット1の推進方向を示している。図2Bは、関連技術による液体燃料タンクの断熱構造の一構成例を示す、図1Bに示した断面線B−Bによる断面図である。
図2Aおよび図2Bに示した液体燃料タンク122は、液体燃料格納領域210と、タンク外壁220と、断熱層230と、保護層240とを有している。
液体燃料格納領域210は、タンク外壁220の内部に設けられている。また、断熱層230は、熱的保護対象物としてのタンク外壁220の外側表面に積層されている。さらに、保護層240は、断熱層230の外側表面に積層されている。
図3Aは、関連技術による断熱構造の一構成例の第1状態を示す、図2Aの一部を拡大した断面図である。より詳細には、図3Aは図2Aに破線で示した領域30を拡大して示している。なお、図3Aに示した座標系では、図2Aなどと同様に、+Z方向が多段式ロケット1の推進方向を示している。また、領域30において、−X方向は液体燃料タンクの内側から外側を見た外側方向を示している。
図3Aが示す第1状態とは、例えば、多段式ロケット1を打ち上げる前の、初期状態である。
図3Aに示した液体燃料タンクは、液体燃料格納領域210と、タンク外壁220と、断熱層230と、保護層240とを有している。断熱層230は、多数の独立気泡500を含んでいる。また、保護層240は、顔料400を含んでいる。
液体燃料格納領域210は、タンク外壁220の内側に設けられている。断熱層230は、タンク外壁220の外側表面に積層されている。保護層240は、断熱層230の外側表面に積層されている。
ここで、断熱層230は、例えば、独立気泡型PIF(PolyIsocyanurate Foam:ポリイソシアヌレートフォーム)で構成される。PIFは、ポリオール成分と呼ばれる第1材料と、ポリイソシアネート成分と呼ばれる第2材料とを、所定の比率で混合することによって得られる発泡体である。このような発泡体は、多数の気泡を内包する樹脂構造体である。独立気泡型PIFでは、これら多数の気泡が互いに独立しており、独立気泡のそれぞれが内包する気体は、基本的には、外部に流出しない。
各独立気泡が内包する気体の熱伝導率は、断熱層230を構成する樹脂構造体の熱伝導率よりも低い。すなわち、気体の断熱性能は、樹脂の断熱性能よりも高い。断熱層230は、空力加熱による入熱や、太陽からの輻射入熱などから、液体燃料タンクを熱的に保護する。
また、保護層240は、顔料400を含む塗膜で構成される。このような塗膜は、断熱層230の表面に塗料を塗布し、塗料に含まれる溶剤が揮発して乾燥することなどで得られる。塗膜は、塗料に含まれるベース材を含み、顔料400はベース材の中に所定の密度で分布している。
顔料400は、例えば、太陽光の、特に可視光帯域に対応する反射性能を有する白色顔料であっても良い。この場合、保護層240は、太陽光を反射することによって、液体燃料タンクおよび断熱層230を、太陽からの輻射入熱から熱的に保護する。なお、通常は、白色が最良の反射性能をもたらす。
図3Bは、図3Aに示した構成例による断熱構造の第2状態を示す断面図である。図3Bが示す第2状態とは、例えば、多段式ロケット1の打ち上げの最中に、空力加熱などによって加熱された断熱構造に破損が発生した状態である。
図3Bに示した断熱構造は、液体燃料格納領域210と、タンク外壁220と、変形した断熱層231と、破損した保護層241と、剥離した保護層242とを有している。変形した断熱層231は、独立気泡500と、膨張した独立気泡501とを含んでいる。破損した保護層241と、剥離した保護層242とは、それぞれ、多数の顔料400を含んでいる。
ここで、図3Bに示した液体燃料格納領域210と、タンク外壁220とは、それぞれ、図3Aに示した液体燃料格納領域210と、タンク外壁220とに対応する。図3Aに示した第1状態と、図3Bに示した第2状態との間で発生し得る、液体燃料格納領域210およびタンク外壁220の変化は、ここでは無視する。
図3Bに示した変形した断熱層231は、図3Aに示した断熱層230に対応する。すなわち、図3Aに示した第1状態の断熱層230は、図3Bに示した第2状態では変形している。この変形は、断熱構造が加熱された結果であり、その理由としては大別して以下の2つが考えられる。第1の理由として、断熱層230を構成する樹脂が加熱によって柔らかくなることが考えられる。第2の理由として、柔らかくなった樹脂の中で、独立気泡500の気体が加熱によって膨張し、独立気泡500が膨張した独立気泡501に変形することが考えられる。
図3Bに示した破損した保護層241および剥離した保護層242は、それぞれ、図3Aに示した保護層240に対応する。すなわち、図3Aに示した第1状態の保護層240は、破損したり、剥離したりして、図3Bに示した第2状態の破損した保護層241および剥離した保護層242になる。この破損および剥離は、断熱構造が加熱されて断熱層230が変形した結果であり、その理由としては以下の2つが考えられる。第1の理由としては、塗膜である保護層240が加熱されて脆くなり、破損または剥離しやすくなることが考えられる。第2の理由として、脆くなった保護層240が、変形した断熱層231によって、特に膨張した独立気泡501によって、押し出されることが考えられる。
図3Bに示した第2状態から、破損した保護層241および剥離した保護層242の破損および剥離がさらに進行すると、変形した断熱層231が保護される面積がますます減少することが考えられる。その結果、保護層240の反射性能によって太陽からの輻射入熱を抑制する性能が悪化し、断熱構造全体として液体燃料タンクを熱的に保護する性能が悪化することが考えられる。
また、保護層240としての塗膜が加熱によって脆くなる際には、塗膜のベース材や顔料400などが加熱によって変色することが考えられる。上述したとおり、可視光帯域に対応する反射性能は、通常は白色で最良となるので、保護層240が変色することで、保護層240の反射性能が悪化することが考えられる。
このような現象に対応するために、以下の実施形態では、保護層に多数の真空ビーズを設けることで、断熱層および保護層を外部からの入熱から熱的に保護し、断熱層の変形を抑制し、保護層の破損または剥離を抑制する構成を提案する。
(実施形態)
図4Aは、実施形態による液体燃料タンクの断熱構造の一構成例を示す、図1Bに示した断面線A−Aによる断面図である。図4Aに示した座標系は、図2Aなどの場合と同様であって、+Z方向が多段式ロケット1の推進方向を示している。図4Bは、実施形態による液体燃料タンクの断熱構造の一構成例を示す、図1Bに示した断面線B−Bによる断面図である。
図4Aおよび図4Bに示した液体燃料タンク122は、液体燃料格納領域21と、タンク外壁22と、断熱層23と、保護層24とを有している。
液体燃料格納領域21は、タンク外壁22の内部に設けられている。断熱層23は、熱的保護対象物としてのタンク外壁22のうち、例えば、側壁部分の外側に積層されている。
断熱層23は、タンク外壁22の表面に積層されている。保護層24は、断熱層23の外側表面に積層されている。ここで、保護層24は、断熱層23の外側表面の全てを覆っていることが望ましい。すなわち、断熱層23の外側表面のうち、外側面のみならず、上端面および下端面についても、保護層24が積層されて、保護層24に覆われていることが望ましい。
図5Aは、実施形態による断熱構造の一構成例を示す、図4Aの一部を拡大した断面図である。より詳細には、図5Aは、図4Aに示した断面図のうち、破線で囲った領域31を拡大して示している。ただし、図4Aおよび図5Aのそれぞれに示した座標系が示すとおり、+Z方向は、多段式ロケット1の推進方向を示している。また、領域31において、−X方向は、液体燃料タンク122の内側から外側を見た外側方向を示している。
図5Aに示した実施形態では、図4Aおよび図4Bに示した断熱層23として、例えば、独立気泡型PIF層を用いる。同様に、保護層24として、例えば、塗膜を用いる。
図5Aに示した実施形態では、タンク外壁22と、断熱層23としての独立気泡型PIF層と、保護層24としての塗膜とが、この順番に積層されている。
図5Bは、実施形態による断熱構造の一構成例を示す、図4Aの別の一部を拡大した断面図である。より詳細には、図5Bは、図4Aに示した断面図のうち、破線で囲った領域32を拡大して示している。なお、座標系については、図5Aの場合と同様である。
図5Bは、本実施形態による断熱構造のうち、液体燃料タンク122の上側における端面を示している。この端面において、断熱層23の端部は、図4Aでも示したように、保護層24によって覆われており、すなわち保護層24によって保護されていることが望ましい。
同様に、液体燃料タンク122の下側における端面でも、断熱層23の端部は、図4Aでも示したように、保護層24によって覆われており、すなわち保護層24によって保護されていることが望ましい。
図5Bに示した他の構成は、図5Aの場合と同様である。
ここで、断熱層23について説明する。断熱層23としての独立気泡型PIF層は、多数の独立気泡50を内包している。上述のとおり、PIFは、ポリオール成分と呼ばれる第1材料と、ポリイソシアネート成分と呼ばれる第2材料とを、所定の比率で混合することによって得られる発泡体である。このような発泡体は、多数の気泡を内包する樹脂構造体である。独立気泡型PIFでは、これら多数の気泡が互いに独立しており、各独立気泡が内包する気体は、基本的には、外部に流出しない。
各独立気泡が内包する気体の熱伝導率は、断熱層230を構成する樹脂構造体の熱伝導率よりも低い。すなわち、気体の断熱性能は、樹脂の断熱性能よりも高い。断熱層230は、空力加熱による入熱や、太陽からの輻射入熱などから、液体燃料タンクを熱的に保護する。
なお、断熱層23として、独立気泡型PIF層以外に、他の発泡体層を用いても良い。
次に、保護層24について説明する。保護層24としての塗膜は、顔料40と、ベース材と、多数の真空ビーズ60とを含んでいる。
保護層24の顔料40は、太陽光のうち、特に可視光帯域に対応する反射性能を有する白色顔料であることが望ましい。このような白色顔料の具体例としては、硫酸バリウム(BaSO)や、酸化チタン(TiO)や、炭酸マグネシウム(MgCO)や、酸化アルミニウム(Al)などが知られている。
保護層24のベース材は、例えば、多段式ロケット1の打ち上げ開始から第2段ロケット12が大気圏を脱するまでの比較的短い時間(例えば、数分程度)、空力加熱などによる高温に晒されても、ベース材のマトリックス層が変色しないことが望ましい。さらに、太陽光に対する耐性のみならず、宇宙空間においては地上よりも強力な放射線への耐性をも有することが望ましい。このようなベース材の具体例としては、シリコーンや、無機系材料が知られている。なお、無機系塗料として、例えば、水ガラス(ケイ酸アルカリ)が挙げられる。
次に、保護層の真空ビーズについて説明する。
図6は、実施形態による真空ビーズの一構成例を示す断面図である。図6に示した真空ビーズ60は、外殻61と、外殻61の内部に設けられた内部空間62とを有している。
真空ビーズ60の外殻61は、例えば、セラミック、樹脂、ガラスなどで構成することが出来る。ただし、保護層24自体が高い耐熱性を有するためには、真空ビーズの外殻61も、例えばセラミックのように、高い耐熱性を有することが望ましい。真空ビーズの外殻の材料として、例えば、ホウケイ酸ガラスが挙げられる。
真空ビーズ60の内部空間62は、断熱性能の観点からは、完全な真空状態であることが理想的である。しかしながら、真空ビーズ60の現実的な製造方法の観点からは、内部空間62には微量の気体が存在しても良い。この気体は、例えば、アルゴンや窒素などの不活性ガスであっても良い。
ただし、いずれの場合も、真空ビーズ60自体の断熱性能が、保護層24から真空ビーズ60を除いた塗膜(顔料40を含む)の断熱性能よりも高いことが望ましく、すなわち、真空ビーズ60の熱伝導率が塗膜の熱伝導率よりも低いことが望ましい。
真空ビーズ60の、外径や、内径や、外殻61の厚さなどの寸法は、保護層24としての塗膜の厚さや、塗膜を形成するために断熱層23の表面に塗料を塗布する噴射装置の特性などを鑑みて、適切に選ぶことが望ましい。一例として、真空ビーズ60の直径(外径)は、10ミクロンより大きく、かつ、100ミクロンより小さいことが望ましい。また、塗膜の厚さは、断熱層23の耐熱性能や、ロケットの総重量などを鑑みて、適切に選ぶことが望ましい。
一例として、断熱層23が独立気泡型PIF層である場合を想定する。PIFの耐熱性能は摂氏約120度以下程度である。ここで、外部からの入熱によって加熱された断熱層23としての独立気泡型PIF層の温度を、例えば摂氏100度以下に保つことを考える。その一方で、多段式ロケット1の総重量はなるべく少なく保つことを考える。
また、保護層24の太陽光吸収率は、20以下、特に10%以下であることが望ましい。ここで、太陽光吸収率は、ある物質表面に任意の入射角で入射する太陽光の全輻射エネルギーが、その物質表面で吸収される割合を表す。
また、保護層24が熱量を外部に放射する全半球赤外放射率は、85%以下、特に90%以下であることが望ましい。ここで、全半球赤外放射率とは、ある温度の物質表面から単位時間、単位面積当たり2π空間に輻射するエネルギーと、それと同温度にある黒体表面から単位時間、単位面積当たり輻射するエネルギーとの比を表す。
また、塗料に対する真空ビーズの、体積に基づく比率は、10%以上90%以下であることが望ましい。
上記に説明したように、図5Aなどに示した実施形態では、反射性能を有する保護層24の内部に、断熱性能に優れる真空ビーズ60を設けることで、保護層24の断熱性能を高めた。その結果、外部から断熱層23への入熱を抑制することが出来、加熱による断熱層23の軟化や、断熱層23が内包する多数の独立気泡50の膨張などを防止することが出来、さらに、断熱層23の変形に伴う保護層24の破損や剥離などを防止することが出来る。
上記で説明された実施形態に係る液体燃料タンクの断熱構造をロケットに適用した場合、打ち上げ時の空力加熱などによる加熱や、宇宙空間における太陽からの輻射入熱などに対して高い耐熱性能を有する液体燃料タンクを有するロケットが提供される。
以上、発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。また、前記実施の形態に説明したそれぞれの特徴は、技術的に矛盾しない範囲で自由に組み合わせることが可能である。
1 多段式ロケット
11 第1段ロケット
110 第1段ロケット位置
12 第2段ロケット
121 第2段エンジン
122 液体燃料タンク
123 人工衛星分離装置
124 人工衛星
13 フェアリング
130 フェアリング位置
21 液体燃料格納領域
210 液体燃料格納領域
22 タンク外壁
220 タンク外壁
23 断熱層
230 断熱層
231 変形した断熱層
24 保護層
240 保護層
241 破損した保護層
242 剥離した保護層
30 領域
31 領域
32 領域
40 顔料
400 顔料
50 独立気泡
500 独立気泡
501 膨張した独立気泡
60 真空ビーズ
61 外殻
62 内部空間

Claims (11)

  1. 液体燃料を貯蔵する液体燃料タンクと、
    前記液体燃料タンクの外壁上に積層される断熱層と、
    前記断熱層の表面を保護する保護層と
    を具備し、
    前記断熱層は、
    互いに独立した複数の独立気泡を内包する発泡体層
    を具備し、
    前記保護層は、
    太陽光に対する反射性能を有する白色顔料を含む塗膜と、
    前記塗膜の中に配置されて、外部からの入熱を抑制する断熱性能を有する複数の中空ビーズと
    を具備し、
    前記複数の中空ビーズのそれぞれは、
    外殻と、
    前記外殻の内部に設けられた内部空間と
    を具備する
    液体燃料タンクの断熱構造。
  2. 請求項1に記載の液体燃料タンクの断熱構造において、
    前記塗膜のベース材料は、無機系材料またはシリコーンである
    液体燃料タンクの断熱構造。
  3. 請求項1または2に記載の液体燃料タンクの断熱構造において、
    前記ベース材料は、
    シリコーンおよび水ガラス(ケイ酸アルカリ)のうち少なくとも1つを含む
    液体燃料タンクの断熱構造。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体燃料タンクの断熱構造において、
    前記白色顔料は、
    硫酸バリウム(BaSO)、酸化チタン(TiO)、炭酸マグネシウム(MgCO)および酸化アルミニウム(Al)のうち少なくとも1つを含む
    液体燃料タンクの断熱構造。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の液体燃料タンクの断熱構造において、
    前記発泡体層は、
    独立気泡型PIF(ポリイソシアヌレートフォーム)層
    を具備する
    液体燃料タンクの断熱構造。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体燃料タンクの断熱構造において、
    前記塗膜の太陽光吸収率は、20%より小さい
    液体燃料タンクの断熱構造。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の液体燃料タンクの断熱構造において、
    前記塗膜の放射率は、85%より大きい
    液体燃料タンクの断熱構造。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の液体燃料タンクの断熱構造において、
    前記保護層に対する前記真空ビーズの体積比は、10%より大きく、かつ、90%より小さい
    液体燃料タンクの断熱構造。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の液体燃料タンクの断熱構造において、
    前記真空ビーズの直径は、10ミクロンより大きく、かつ、100ミクロンより小さい
    液体燃料タンクの断熱構造。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の液体燃料タンクの断熱構造において、
    前記真空ビーズの熱伝導率は、前記塗膜の熱伝導率より低い
    液体燃料タンクの断熱構造。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の液体燃料タンク
    を具備する
    ロケット。
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KR20180057841A (ko) * 2016-11-23 2018-05-31 신성테크주식회사 차량용 완충패드
CN108610815A (zh) * 2016-12-28 2018-10-02 刘朝辉 二氧化硅气凝胶复合隔热涂层及其制备方法

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