以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る自車両100Aの一例を模式的に示す図である。図1に示すように、自車両100Aは、タイヤ1Aを含む走行装置2と、走行装置2に支持される車体3と、走行装置2を駆動するためのエンジン4と、自車両100Aの走行を支援する走行支援装置5とを備えている。タイヤ1Aは、空気入りタイヤである。
走行支援装置5は、画像を取得するカメラ51と、自車両100Aと物体との衝突を回避するための処理を実行する処理装置52と、制御装置53とを有する。
走行装置2は、タイヤ1Aを支持するホイール21と、ホイール21を支持する車軸22と、走行装置2の進行方向を変えるための操舵装置23と、走行装置2を減速又は停止させるためのブレーキ装置24とを有する。
走行装置2は、前輪と後輪とを有する。前輪は、車体3の左側に設けられる左前輪と、車体3の右側に設けられる右前輪とを含む。後輪は、車体3の左側に設けられる左後輪と、車体の右側に設けられる右後輪とを含む。すなわち、本実施形態において、自車両100Aは、4輪車両である。ホイール21は、前輪ホイール21fと、後輪ホイール21rとを含む。タイヤ1Aは、前輪ホイール21fに支持される前輪タイヤ1Afと、後輪ホイール21fに支持される後輪タイヤ1Arとを含む。走行装置2の前輪は、前輪ホイール21f及び前輪タイヤ1Afを含む。走行装置2の後輪は、後輪ホイール21r及び後輪タイヤ1Arを含む。
車体3は、運転者が搭乗する運転室を有する。運転室に、エンジン4の出力を調整するためのアクセルペダルと、ブレーキ装置24を作動するためのブレーキペダルと、操舵装置23を操作するためのステアリングホイールとが配置される。運転者は、アクセルペダル、ブレーキペダル、及びステアリングホイールを操作する。運転者の操作により、自車両100Aは走行する。車体2の前部に、前照灯6が設けられる。
カメラ51は、単眼カメラである。カメラ51は、自車両100Aの前方に存在する物体の画像を取得する。カメラ51は、自車両100Aの前照灯6よりも下に設けられる。カメラ51は、自車両100Aの前輪の回転軸よりも前方、且つ、前輪の回転軸よりも下方に設けられる。本実施形態において、カメラ51は、前輪よりも前方の自車両100Aの下面に設けられる。
図2は、道路の路面RSを走行する自車両100Aの一例を模式的に示す図である。自車両100Aが道路を走行するとき、自車両100Aの前方に他の車両が存在する場合が多い。以下の説明においては、自車両100Aの前を走行する車両100Bを適宜、先行車両100B、と称し、先行車両100Bの前を走行する車両100Cを適宜、先々行車両100C、と称する。先行車両100Bは、自車両100Aの直前に存在する車両である。先々行車両100Cは、先行車両100Bの直前に存在する車両である。自車両100Aと先々行車両100Cとの間に先行車両100Bが存在する。
自車両100Aと同様、先行車両100Bは、4輪車両である。先行車両100Bに4つのタイヤ1Bが装着される。先行車両100Bは、前輪と後輪とを有する。先行車両100Bの前輪は、先行車両100Bの車体の左右に設けられる左前輪及び右前輪を含む。先行車両100Bの後輪は、先行車両100Bの車体の左右に設けられる左後輪及び右後輪を含む。先行車両100Bのタイヤ1Bは、先行車両100Bの前輪ホイールに支持される前輪タイヤ1Bfと、先行車両100Bの後輪ホイールに支持される後輪タイヤ1Brとを含む。
自車両100A及び先行車両100Bと同様、先々行車両100Cは、4輪車両である。先々行車両100Cに4つのタイヤ1Cが装着される。先々行車両100Cは、前輪と後輪とを有する。先々行車両100Cの前輪は、先々行車両100Cの車体の左右に設けられる左前輪及び右前輪を含む。先々行車両100Cの後輪は、先々行車両100Cの車体の左右に設けられる左後輪及び右後輪を含む。先々行車両100Cのタイヤ1Cは、先々行車両100Cの前輪ホイールに支持される前輪タイヤ1Cfと、先々行車両100Cの後輪ホイールに支持される後輪タイヤ1Crとを含む。
自車両100Aの走行支援装置5は、自車両100Aと先行車両100Bとの衝突が回避されるように、自車両100Aの走行を支援する。図1及び図2に示すように、走行支援装置5は、自車両100Aに設けられたカメラ51と、自車両100Aに設けられた制御装置53と、自車両100Aに設けられた処理装置52とを有する。自車両100Aのカメラ51は、少なくとも先行車両100Bの後輪タイヤ1Brの画像を取得する。処理装置52は、自車両100Aと先行車両100Bとの衝突を回避するための処理を実行する。
本実施形態において、処理装置52は、自車両100Aに設けられ、警報を発する警報装置52Aを含む。警報装置52Aは、運転室に設けられる。警報装置52Aは、自車両100Aと先行車両100Bとの衝突の可能性が高い場合、運転室の運転者に警報を発する。警報装置52Aは、表示装置及び音声出力装置の少なくとも一方を含む。警報装置52Aの表示装置は、警報を示す画像データを表示する。警報装置52Aの音声出力装置は、警報を示す音声データを出力する。
本実施形態において、処理装置52は、自車両100Aに設けられ、自車両100Aを減速又は停止させる自動ブレーキ装置52Bを含む。自動ブレーキ装置52Bは、自車両100Aと先行車両100Bとの衝突の可能性が高い場合、自車両100Aの走行装置2を減速又は停止させる。
制御装置53は、コンピュータシステムを含む。制御装置53は、エンジンコントロールユニット(ECU)を含む。制御装置53は、CPUのようなプロセッサと、ROM又はRAMのようなメモリとを含む。
カメラ51で取得した画像データは、制御装置53に出力される。制御装置53は、カメラ51で取得した画像データに基づいて、処理装置52を制御する。
図3は、自車両100Aのカメラ51が取得した画像の一例を示す図である。図3に示すように、カメラ51は、先行車両100Bの後部の画像を取得可能である。カメラ51は、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brの画像を取得可能である。
また、自車両100Aのカメラ51は、先行車両100Bの下面と路面RSとの間隙を介して、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brよりも前方に存在する前方タイヤ1Fの画像を取得可能である。
前方タイヤ1Fは、先行車両100Bの前輪タイヤ1Brである可能性がある。前方タイヤ1Fは、先々行車両100Cの後輪タイヤ1Crである可能性がある。前方タイヤ1Fは、先々行車両100Cの前輪タイヤ1Cfである可能性がある。図3は、前方タイヤ1Fとして、先々行車両100Cの後輪タイヤ1Crの画像が取得されている例を示す。図3に示すように、自車両100Aのカメラ51は、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brの画像と、前方タイヤ1Fの画像とを同時に取得することができる。
図4は、自車両100Aのカメラ51と、先行車両100Bのタイヤ1Bと、先々行車両100Cのタイヤ1Cとの関係の一例を模式的に示す図である。自車両100Aのカメラ51は、画像を取得可能な視野領域(検出領域)を有する。図4に示すように、自車両100Aの走行において、自車両100Aのカメラ51の視野領域に、自車両100Aの直前に存在する先行車両100Bの後輪タイヤ1Brが配置される。自車両100Aのカメラ51は、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brの画像を取得可能である。
また、図4に示すように、自車両100Aの走行において、自車両100Aのカメラ51の視野領域に、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brよりも前方に存在する前方タイヤ1Fが配置される。自車両100Aのカメラ51は、後輪タイヤ1Brよりも前方に存在する前方タイヤ1Fの画像を取得可能である。
図4に示すように、前方タイヤ1Fは、先行車両100Bの前輪タイヤ1Bf、先々行車両100Cの後輪タイヤ1Cr、及び先々行車両100Cの前輪タイヤ1Cfの少なくとも一つを含む。自車両100Aのカメラ51は、先行車両100Bの下面と路面RSとの間の間隙を介して、先行車両100Bの前輪タイヤ1Bf、先々行車両100Cの後輪タイヤ1Cr、及び先々行車両100Cの前輪タイヤ1Cfの少なくとも一つの画像を取得可能である。
自車両100Aのカメラ51は、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brの画像と、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brよりも前方に存在する前方タイヤ1Fの画像とを同時に取得する。すなわち、カメラ51は、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brの画像と一緒に、先行車両100Bの前輪タイヤ1Bf、先々行車両100Cの後輪タイヤ1Cr、及び先々行車両100Cの前輪タイヤ1Cfの少なくとも一つの画像を取得する。
制御装置53は、カメラ51で取得された画像において、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brと、前方タイヤ1Fとを区別することができる。
前方タイヤ1Fは、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brよりも、カメラ51から離れている。したがって、カメラ51で取得された画像において、前方タイヤ1Fの幅は、後輪タイヤ1Brの幅よりも小さい。そのため、カメラ51が先行車両100Bの後輪タイヤ1Brの画像と前方タイヤ1Fの画像との両方を同時に取得した場合、制御装置53は、タイヤの幅に基づいて、取得したタイヤの画像が後輪タイヤ1Brの画像なのか前方タイヤ1Fの画像なのかを区別することができる。
また、制御装置53は、カメラ51で取得された画像において、先行車両100Bの前輪タイヤ1Bfと、先々行車両100Cのタイヤ1C(後輪タイヤ1Cr及び前輪タイヤ1Cfの少なくとも一方)とを区別することができる。
先行車両100Bの進行方向において、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brと先行車両100Bの前輪タイヤ1Bfとの相対位置は、実質的に変化しない。すなわち、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brと先行車両100Bの前輪タイヤ1Bfとの相対速度は、実質的に零である。換言すれば、先行車両100Bの進行方向に関して、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brの移動速度と、先行車両100Bの前輪タイヤ1Bfの移動速度との差は、実質的に零である。
一方、先行車両100Bの進行方向において、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brと先々行車両100Cのタイヤ1Cとの相対位置は、変化する場合が多い。すなわち、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brと、先々行車両100Cのタイヤ1Cとの相対速度は、変化する場合が多い。換言すれば、先行車両100Bの進行方向に関して、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brの移動速度と、先々行車両100Cのタイヤ1Cの移動速度との差は、零ではない場合が多い。
先行車両100Bの後輪タイヤ1Brと前方タイヤ1Fとの相対速度が変化したか否かは、カメラ51によって取得された先行車両100Bの後輪タイヤ1Brの画像の幅及び前方タイヤ1Fの画像の幅の変化から判定することができる。
したがって、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brとの相対速度が変化している前方タイヤ1Fは、先々行車両100Cのタイヤ1Cであるとみなすことができる。先行車両100Bの後輪タイヤ1Brとの相対速度が変化していない前方タイヤ1Fは、先行車両100Bの前輪タイヤ1Bfであるとみなすことができる。
図5は、本実施形態に係る走行支援装置5の一例を示す機能ブロック図である。図5に示すように、制御装置53は、カメラ51で取得した画像を示す画像データを取得するデータ取得部53Aと、カメラ51で取得した画像に基づいて、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brと前方タイヤ1Fとの相対速度を導出する導出部53Bと、導出された後輪タイヤ1Brと前方タイヤ1Fとの相対速度に基づいて、前方タイヤ1Fが先々行車両100Cのタイヤ1Cであるか否かを判定する判定部53Cと、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brの画像に基づいて、自車両100Aから先行車両100Bまでの第1距離L1を推定する第1推定部53Dと、前方タイヤ1Fが先々行車両100Cのタイヤ1Cであると判定された場合、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brの画像及び前方タイヤ1Fの画像に基づいて、先行車両100Bから先々行車両100Cまでの第2距離L2を推定する第2推定部53Eと、推定された第1距離L1及び第2距離L2の少なくとも一方に基づいて、処理装置52を制御するための制御信号を出力する制御部53Fと、データを記憶する記憶部53Gと、自車両100Aから先行車両100Bまでの第1距離L1が一定に維持された状態で、自車両100Aが先行車両100Bに追従して走行するようにエンジン4の出力及び自動ブレーキ装置52Bの少なくとも一方を制御するための制御信号を出力するオートクルーズ部53Hと、とを有する。
処理装置52は、警報装置52A及び自動ブレーキ装置52Bを含む。処理装置52は、推定された第1距離L1及び第2距離L2の少なくとも一方に基づいて、自車両100Aと先行車両100Bとの衝突を回避するための処理を実行する。
カメラ51は、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brの画像、及び先行車両100Bの後輪タイヤ1Brよりも前方に存在する前方タイヤ1Fの画像を取得する。先行車両100Bの後輪タイヤ1Brの画像を示す後輪タイヤ画像データ、及び前方タイヤ1Fの画像を示す前方タイヤ画像データが、制御装置53のデータ取得部53Aに送信される。
導出部53Bは、データ取得部53Aで取得された後輪タイヤ画像データ及び前方タイヤ画像データに基づいて、後輪タイヤ1Brと前方タイヤ1Fとの相対速度を導出する。先行車両100Bの後輪タイヤ1Brと前方タイヤ1Fとの相対速度が変化しない場合(零である場合)、後輪タイヤ画像データから導出される後輪タイヤの幅と、前方タイヤ画像データが導出される前方タイヤの幅との差(又は比)は、一定である。一方、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brと前方タイヤ1Fとの相対速度が変化する場合(零でない場合)、後輪タイヤ画像データから導出される後輪タイヤの幅と、前方タイヤ画像データが導出される前方タイヤの幅との差(又は比)は、変化する。導出部53Bは、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brの幅及び前方タイヤ1Fの幅に基づいて、後輪タイヤ1Brと前方タイヤ1Fとの相対速度を導出することができる。
判定部53Cは、導出部53Bで導出された先行車両100Bの後輪タイヤ1Brと前方タイヤ1Fとの相対速度に基づいて、前方タイヤ1Fが先々行車両100Cのタイヤ1Cであるか否かを判定する。前方タイヤ1Fが先行車両100Bの前輪タイヤ1Bfである場合、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brと前方タイヤ1Fとの相対速度は実質的に零である。前方タイヤ1Fが先々行車両100Cのタイヤ1Cである場合、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brと前方タイヤ1Fとの相対速度は変化する。そのため、判定部53Cは、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brと前方タイヤ1Fとの相対速度に基づいて、前方タイヤ1Fが先行車両100Bの前輪タイヤ1Bf及び先々行車両100Cのタイヤ1Cのいずれであるかを判定することができる。
第1推定部53Dは、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brの画像に基づいて、自車両100Aと先行車両100Bとの車間距離を示す第1距離L1を推定する。後輪タイヤ画像データから導出される先行車両100Bの後輪タイヤ1Brの幅と、第1距離L1とは相関する。制御装置53の記憶部53Gには、後輪タイヤ画像データから導出される後輪タイヤ1Brの幅と、自車両100Aから先行車両100Bまでの第1距離L1との関係を示すマップデータが記憶されている。マップデータは、様々な種類のタイヤの幅と車間距離との関係から統計的に求められる。マップデータは、予め実験により求められてもよいし、シミュレーションにより求められてもよい。第1推定部53Dは、記憶部53Gに記憶されているマップデータと、カメラ51で取得した後輪タイヤ1Brの画像とに基づいて、自車両100Aから先行車両100Bまでの第1距離L1を推定することができる。
第2推定部53Eは、判定部53Cにおいて前方タイヤ1Fが先々行車両100Cのタイヤ1Cであると判定された場合、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brの画像及び先々行車両100Cのタイヤ1Cの画像に基づいて、先行車両100Bと先々行車両100Cとの車間距離を示す第2距離L2を推定する。後輪タイヤ画像データから導出される先行車両100Bの後輪タイヤ1Brの幅と、自車両100Aから先行車両100Bまでの第1距離L1とは相関する。先々行車両100Cのタイヤ1Cの画像を示す前方タイヤ画像データから導出される先々行車両100Cのタイヤ1Cの幅と、自車両100Aから先々行車両100Cまでの第3距離L3とは相関する。制御装置53の記憶部53Gには、後輪タイヤ画像データから導出される先行車両100Bの後輪タイヤ1Brの幅と、自車両100Aから先行車両100Bまでの第1距離L1との関係を示すマップデータと、前方タイヤ画像データから導出される先々行車両100Cのタイヤ1Cの幅と、自車両100Aから先々行車両100Cまでの第3距離L3との関係を示すマップデータが記憶されている。上述のように、マップデータは、様々な種類のタイヤの幅と車間距離との関係から統計的に求められる。第2推定部53Eは、記憶部53Gに記憶されているマップデータと、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brの画像とに基づいて、自車両100Aから先行車両100Bまでの第1距離L1を推定することができる。第2推定部53Gは、記憶部53Gに記憶されているマップデータと、先々行車両100Cのタイヤ1Cの画像とに基づいて、自車両100Aから先々行車両100Cまでの第3距離L3を推定することができる。第2距離L2は、第1距離L1と第3距離L3との差に基づいて導出することができる。第2推定部53Eは、第1距離L1及び第3距離L3を推定することにより、先行車両100Bから先々行車両100Cまでの第2距離L2を推定することができる。
制御部53Fは、第1推定部53Dで推定された第1距離L1及び第2推定部53Eで推定された第2距離L2の少なくとも一方に基づいて、処理装置52を制御するための制御信号を出力する。
本実施形態において、第1推定部53Dは、単位時間当たりの第1距離L1の変化量を推定することができる。制御部53Fは、第1距離L1が短くなるように変化し、且つ、その変化量が第1閾値よりも大きい場合、処理装置52を作動するための制御信号を出力する。第1閾値は、記憶部53Gに記憶されている。第1距離L1が短くなるように変化し、且つ、その変化量が第1閾値よりも大きい状態とは、第1距離L1が急激に短くなる状態をいう。第1距離L1が急激に短くなる場合、処理装置52は、制御部53Fから出力された制御信号に基づいて、自車両100Aと先行車両100Bとの衝突を回避するための処理を実行する。
また、本実施形態において、第2推定部53Eは、単位時間当たりの第2距離L2の変化量を推定することができる。制御部53Fは、第2距離L2が短くなるように変化し、且つ、その変化量が第2閾値よりも大きい場合、処理装置52を作動するための制御信号を出力する。第2閾値は、記憶部53Gに記憶されている。第2距離L2が短くなるように変化し、且つ、その変化量が第2閾値よりも大きい状態とは、第2距離L2が急激に短くなる状態をいう。第2距離L2が急激に短くなる場合、処理装置52は、制御部53Fから出力された制御信号に基づいて、自車両100Aと先行車両100Bとの衝突を回避するための処理を実行する。
次に、本実施形態に係る走行支援装置5を用いる走行支援方法の一例について、図6のフローチャートを参照して説明する。
自車両100Aのカメラ51によって、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brの画像と、後輪タイヤ1Brよりも前方に存在する前方タイヤ1Fの画像とが取得される(ステップSP1)。
制御装置53は、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brの画像に基づいて、自車両100Aと先行車両100Bとの車間距離を示す第1距離L1を推定する(ステップSP2)。
推定された第1距離L1が予め定められている第1設定値以下か否かが判定される(ステップSP3)。第1設定値は、記憶部53Gに記憶されている。第1設定値は、自車両100Aと先行車両100Bとの衝突の可能性が十分に低い値である。第1設定値は、実験又はシミュレーションにより自車両100Aと先行車両100Bとの相対速度毎に予め求められている。第1距離L1が第1設定値よりも大きい場合、自車両100Aと先行車両100Bとの車間距離は十分であり、自車両100Aと先行車両100Bとの衝突の可能性は十分に低い。一方、第1距離L1が第1設定値以下である場合、自車両100Aと先行車両100Bとの車間距離は不十分であり、自車両100Aと先行車両100Bとの衝突の可能性が高くなる。
ステップSP3において、第1距離L1が第1設定値以下でないと判定された場合(ステップSP3:No)、すなわち、自車両100Aの先行車両100Bとの車間距離が十分であると判定された場合、カメラ51による画像の取得が継続される。
ステップSP3において、第1距離L1が第1設定値以下であると判定された場合(ステップSP3:Yes)、すなわち、自車両100Aと先行車両100Bとの車間距離が不十分であると判定された場合、制御装置53は、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brと前方タイヤ1Fとの相対速度を導出する(ステップSP4)。
制御装置53は、導出された先行車両100Bの後輪タイヤ1Brと前方タイヤ1Fとの相対速度に基づいて、前方タイヤ1Fが先々行車両100Cのタイヤ1Cであるか否かを判定する(ステップSP5)。
ステップSP5において、前方タイヤ1Fが先々行車両100Cのタイヤ1Cでないと判定された場合(ステップSP5:No)、すなわち、前方タイヤ1Fが先行車両1Bの前輪タイヤ1Bfであると判定された場合、カメラ51による画像の取得が継続される。
ステップSP5において、前方タイヤ1Fが先々行車両100Cのタイヤ1Cであると判定された場合(ステップSP5:Yes)、制御装置53は、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brの画像及び先々行車両100Cのタイヤ1Cの画像に基づいて、先行車両100Bと先々行車両100Cとの車間距離を示す第2距離L2を推定する(ステップSP6)。
推定された第2距離L2が予め定められている第2設定値以下か否かが判定される(ステップSP7)。第2設定値は、記憶部53Gに記憶されている。第2設定値は、先行車両100Bと先々行車両100Cとの衝突の可能性が十分に低い値である。第2設定値は、実験又はシミュレーションにより先行車両100Bと先々行車両100Cとの相対速度毎に予め求められている。第2距離L2が第2設定値よりも大きい場合、先行車両100Bと先々行車両100Cとの車間距離は十分であり、先行車両100Bと先々行車両100Cとの衝突の可能性は十分に低い。一方、第2距離L2が第2設定値以下である場合、先行車両100Bと先々行車両100Cとの車間距離は不十分であり、先行車両100Bと先々行車両100Cとの衝突の可能性が高くなる。また、第2距離L2が第2設定値以下である場合、先行車両100Bが先々行車両100Cとの衝突を回避しようとして、先行車両100Bが急制動する確率が高くなる。
ステップSP7において、第2距離L2が第2設定値以下でないと判定された場合(ステップSP7:No)、すなわち、先行車両100Bと先々行車両100Cとの車間距離が十分であると判定された場合、制御装置53は、第1距離L1に起因する、自車両100Aと先行車両100Bとの衝突を回避するための処理を処理装置52に実行させる(ステップSP8)。本実施形態において、制御装置53は、自車両100Aから先行車両100Bまでの第1距離L1が短いことを示す警報を警報装置52Aに発生させる。なお、第1距離L1が短い場合、自車両100Aと先行車両100Bとの衝突を回避するために、制御装置53は、自動ブレーキ装置52Bを作動させるための制御信号を出力してもよい。自動ブレーキ装置52Bによるブレーキ操作は、運転者によるブレーキペダルの操作(ブレーキ装置24の操作)の有無にかかわらず、強制的に実行される。
ステップSP7において、第2距離L2が第2設定値以下であると判定された場合(ステップSP7:Yes)、すなわち、先行車両100Bと先々行車両100Cとの車間距離が不十分であると判定された場合、制御装置53は、第2距離L2に起因する、自車両100Aと先行車両100Bとの衝突を回避するための処理を処理装置52に実行させる(ステップSP9)。本実施形態において、制御装置53は、先行車両100Bから先々行車両100Cまでの第2距離L2が短いことを示す警報を警報装置52Aに発生させる。また、第2距離L2が短い場合、先行車両100Bは、先々行車両100Cとの衝突を回避しようとして、急制動する可能性が高い。その場合、自車両100Aと先行車両100Bとが衝突する可能性が高くなる。第2距離L2が短い場合、制御装置53は、自車両100Aと先行車両100Bとの衝突を回避するために、自動ブレーキ装置52Bを作動させるための制御信号を出力してもよい。
なお、第1距離L1が第1設定値よりも大きく、第2距離L2が第2設定値よりも大きい場合、制御装置53のオートクルーズ部53Hは、カメラ51で取得された先行車両100Bの画像に基づいて、自車両100Aから先行車両100Bまでの第1距離L1が一定に維持された状態で、自車両100Aが先行車両100Bに追従して走行するように、エンジン4の出力及び自動ブレーキ装置52Bの少なくとも一方を制御するための制御信号を出力してもよい。オートクルーズ部53Hは、車間制御を行うことができるアダプティブクルーズコントロール機能を有する。オートクルーズ部53Hによるエンジン4の出力の調整は、運転者によるアクセルペダルの操作よる調整に優先して実行される。オートクルーズ部53Hによる自動ブレーキ装置52Bの調整は、運転者によるブレーキペダルの操作よる調整に優先して実行される。
なお、図6を参照して説明した例では、第1距離L1が第1設定値以下であり、第2距離L2が第2設定値以下のときに、第2距離L2に起因する、自車両100Aと先行車両100Bとの衝突を回避するための処理が実行されることとした。第1距離L1が第1設定値よりも大きく、第2距離L2が第2設定値以下のときに、第2距離L2に起因する、自車両100Aと先行車両100Bとの衝突を回避するための処理が実行されてもよい。すなわち、自車両100Aと先行車両100Bとの車間距離が十分で、先行車両100Bと先々行車両100Cとの車間距離が不十分であるとき、制御装置53は、先行車両100Bから先々行車両100Cまでの第2距離L2が短いことを示す警報を警報装置52Aに発生させたり、自動ブレーキ装置52Bを作動させたりしてもよい。例えば、第2距離L2が急激に短くなったことが把握された場合、先行車両100Bが急制動する前に、処理装置52が処理を実行することにより、自車両100Aと先行車両100Bとの衝突が未然に防止される。
なお、ステップSP3において、第1距離L1が短くなるように変化し、且つ、その単位時間当たりの第1距離L1の変化量が第1閾値よりも大きいか否かが判定されてもよい。すなわち、ステップSP3において、第1距離L1が急激に短くなっているか否かが判定されてもよい。第1距離L1が急激に短くなっていないと判定された場合、カメラ51による画像の取得が継続され、第1距離L1が急激に短くなっていると判定された場合、ステップSP4の処理が実行されてもよい。
なお、ステップSP7において、第2距離L2が短くなるように変化し、且つ、その単位時間当たりの第2距離L2の変化量が第2閾値よりも大きいか否かが判定されてもよい。すなわち、ステップSP7において、第2距離L2が急激に短くなっているか否かが判定されてもよい。第2距離L2が急激に短くなっていないと判定された場合、ステップSP8の処理が実行され、第2距離L2が急激に短くなっていると判定された場合、ステップSP9の処理が実行されてもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brの画像のみならず、先々行車両100Cのタイヤ1Cの画像も取得され、自車両100Aから先行車両100Bまでの第1距離L1、及び先行車両100Bから先々行車両100Cまでの第2距離L2が推定されるので、第2距離L2の変化に起因する、自車両100Aと先行車両100Bとの衝突の可能性が適切に判定される。第2距離L2が短いと判定された場合、処理装置52が作動することによって、自車両100Aと先行車両100Bとの衝突が未然に防止される。
また、本実施形態によれば、カメラ51で取得された画像に基づいて、後輪タイヤ1Brと前方タイヤ1Fとの相対速度が精度良く導出される。導出された後輪タイヤ1Brと前方タイヤ1Fとの相対速度に基づいて、前方タイヤ1Fが先行車両100Bのタイヤ1Bなのか先々行車両100Cのタイヤ1Cなのかが精度良く判定される。したがって、第2距離L2の推定が適切に行われる。
また、本実施形態によれば、カメラ51は、自車両100Aの前照灯6よりも下に設けられる。そのため、カメラ51は、先行車両100Bの下面と路面RSとの間隙を介して、前方タイヤ1Fの画像を円滑に取得することができる。
また、本実施形態によれば、第2距離L2が推定され、第2距離L2が急激に短くなったと判定された場合、処理装置52が処理を実行することにより、自車両100Aと先行車両100Bとの衝突が高い確率で回避される。
また、本実施形態によれば、第1距離L1が推定され、第1距離L1が急激に短くなったと判定された場合、処理装置52が処理を実行することにより、自車両100Aと先行車両100Bとの衝突が高い確率で回避される。
なお、本実施形態において、カメラ51は、車輪を支持するサスペンションアーム又はリンク機構に設けられてもよいし、車輪を支持するナックルに設けられてもよい。カメラ51が、所謂バネ下に設けられることにより、自車両100Aが路面RSの大きな凹凸又は段差を走行するとき、カメラ51が路面RSに接触することが抑制される。なお、カメラ51は、操舵装置23の少なくとも一部に設けられてもよい。操舵装置23の操舵と同期して、カメラ51の視野領域の向きが変更されてもよい。以下の実施形態においても同様である。
<第2実施形態>
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図7は、本実施形態に係る自車両100A、先行車両100B、及び先々行車両100Cの一例を模式的に示す図である。本実施形態においては、自車両100Aに複数のカメラ51が設けられている。図7に示す例では、カメラ41は、自車両100Aに2つ設けられている。複数のカメラ51はそれぞれ、単眼カメラである。
カメラ51は、自車両100Aの車幅方向に関して離れて配置される。一方のカメラ51は、自車両100Aの車幅方向の中心部よりも右側に設けられる。他方のカメラ51は、自車両100Aの車幅方向の中心部よりも左側に設けられる。自車両100Aの車幅方向に関して、自車両100Aの中心部と一方のカメラ51との距離と、自車両100Aの中心部と他方のカメラ51との距離とは、実質的に等しい。
図7に示すように、カメラ51が少なくとも2つ設けられることにより、自車両100Aと先行車両100Bとの位置関係が変化し、先行車両100Bの存在により、一方のカメラ51が先々行車両100Cのタイヤ1Cの画像を取得できなくても、他方のカメラ51が先々行車両100Cのタイヤ1Cの画像を取得することができる。すなわち、先行車両100Bの存在により、先々行車両100Cのタイヤ1Cが一方のカメラ51の死角に配置されても、他方のカメラ51で、その先々行車両100Cのタイヤ1Cの画像を取得することができる。
以上説明したように、カメラ51が複数設けられることにより、先々行車両100Cのタイヤ1Cの認識率が向上する。したがって、第2距離L2の推定が精度良く行われる。
(第1、第2実施形態の変形例)
なお、上述の第1、第2実施形態においては、画像上の先行車両100Bの後輪タイヤ1Brの幅と、記憶部53Gに記憶されているマップデータとに基づいて、第1距離L1が推定されることとした。図8に示すように、画像上の先行車両100Bの左後輪タイヤ1Brlと右後輪タイヤ1Brrとの距離Wrに基づいて、第1距離L1が推定されてもよい。すなわち、第1推定部53Dは、先行車両100Bの左後輪タイヤ1Brlの画像と右後輪タイヤ1Brrの画像とに基づいて、自車両100Aと先行車両100Bとの車間距離を示す第1距離L1を推定する。距離Wrと、第1距離L1とは相関する。制御装置53の記憶部53Gには、距離Wrと、自車両100Aから先行車両100Bまでの第1距離L1との関係を示すマップデータが記憶されている。マップデータは、様々な種類の車両の距離Wrと車間距離との関係から統計的に求められる。マップデータは、予め実験により求められてもよいし、シミュレーションにより求められてもよい。第1推定部53Dは、記憶部53Gに記憶されているマップデータと、カメラ51で取得した左後輪タイヤ1Brlの画像と右後輪タイヤ1Brrの画像とから導出される距離Wrとに基づいて、自車両100Aから先行車両100Bまでの第1距離L1を推定することができる。
同様に、第2推定部53Eは、先々行車両100Cの左タイヤ1Clの画像と右タイヤ1Crの画像とから導出される左タイヤ1Clと右タイヤ1Crとの距離とマップデータとに基づいて、自車両100Aから先々行車両100Cまでの第3距離L3を推定することができる。また、第2推定部53Eは、第1距離L1と第3距離L3とに基づいて、第2距離L2を推定することができる。
また、導出部53Bは、画像上の先行車両100Bの左後輪タイヤ1Brlと右後輪タイヤ1Brrとの距離Wrの変化量に基づいて、自車両100Aと先行車両100Bとの相対速度の変化量を導出することができる。また、導出部53Bは、画像上の基準点に対する先行車両100Bの左後輪タイヤ1Brlの位置の変化量及び右後輪タイヤ1Brrの位置の変化量に基づいて、自車両100Aと先行車両100Bとの相対速度の変化量を導出することができる。基準点は、画像の中心点でもよいし、タイヤとは別の他の物体でもよい。
なお、上述の実施形態においては、先行車両100Bが車軸22を2つ有する乗用車であることとした。図9に示すように、先行車両100Bが車軸22を3つ有するトラックである場合もある。先行車両100Bが、最も後方の車軸22Aに支持されるタイヤ1Baと、車軸22Aに次いで後方に配置される車軸22Bに支持されるタイヤ1Bbと、最も前方の車軸22Cに支持されるタイヤ1Bcとを有する場合、タイヤ1Baが先行車両100Bの後輪タイヤ1Brであり、タイヤ1Bb、1Bcが前方タイヤ1Fである。画像上、タイヤ1Baとタイヤ1Bb、1Bcとの相対位置は変化しない。
なお、図9に示す先行車両100Bにおいて、タイヤ1Baとタイヤ1Bbとの距離は、タイヤ1Bbとタイヤ1Bcとの距離よりも短い。図10に示すように、タイヤ1Baとタイヤ1Bbとの距離が、タイヤ1Bbとタイヤ1Bcとの距離よりも長い先行車両100Bでもよい。図11に示すように、先行車両100Bが4つの車軸22を有してもよい。また、先行車両100Bが5つ以上の車軸22を有してもよい。車軸22の数が変化しても、最も後方の車軸22に支持されるタイヤが後輪タイヤ1Brであり、他の車軸22に支持されるタイヤが前方タイヤ1Fとして扱われる。なお、図9に示したように、タイヤ1Baとタイヤ1Bbとの距離が短い場合、タイヤ1Ba及びタイヤ1Bbの両方が後輪タイヤ1Brとして扱われてもよい。
なお、上述の第1、第2実施形態においては、先行車両100B及び先々行車両100Cが、車体3の左右にタイヤを1つずつ有するシングルタイヤ方式であることとした。先行車両100B及び先々行車両100Cの少なくとも一方が、車体3の左右にタイヤを2つずつ有するダブルタイヤ方式でもよい。
<第3実施形態>
第3実施形態について説明する。本実施形態においては、カメラ51による画像認識に好適なタイヤの例について説明する。以下で説明するタイヤは、先行車両100B及び先々行車両100Cの両方に装着されることが好ましい。なお、以下で説明するタイヤが、先行車両100B及び先々行車両100Cのいずれか一方に装着されてもよい。
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内の一方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
図12は、本実施形態に係るタイヤ101の一例を示す断面図である。図13は、本実施形態に係るタイヤ101の一部を拡大した断面図である。タイヤ101は、空気入りタイヤである。
タイヤ101は、中心軸(回転軸)AXを中心に回転可能である。図12及び図13はそれぞれ、タイヤ101の中心軸AXを通る子午断面を示す。タイヤ101の中心軸AXは、タイヤ101の赤道面CLと直交する。
本実施形態においては、タイヤ101の中心軸AXとY軸とが平行である。すなわち、本実施形態において、中心軸AXと平行な方向は、Y軸方向である。Y軸方向は、タイヤ101の幅方向又は車幅方向である。赤道面CLは、Y軸方向に関してタイヤ101の中心を通る。θY方向は、タイヤ101の回転方向である。X軸方向及びZ軸方向は、中心軸AXに対する放射方向である。タイヤ101が走行する路面は、XY平面とほぼ平行である。
以下の説明においては、タイヤ1(中心軸AX)の回転方向を適宜、周方向、と称し、中心軸AXに対する放射方向を適宜、径方向と称し、中心軸AXと平行な方向を適宜、幅方向、と称する。
タイヤ101は、カーカス部102と、ベルト層103と、ベルトカバー104と、ビード部105と、トレッド部110と、サイドウォール部109とを備えている。トレッド部10は、トレッドゴム106を含む。サイドウォール部109は、サイドウォールゴム108を含む。カーカス部102、ベルト層103、及びベルトカバー104のそれぞれは、コードを含む。コードは、補強材である。コードを、ワイヤと称してもよい。カーカス部102、ベルト層103、及びベルトカバー104のような補強材を含む層をそれぞれ、コード層と称してもよいし、補強材層と称してもよい。
カーカス部102は、タイヤ1の骨格を形成する強度部材である。カーカス部102は、コードを含む。カーカス部102のコードを、カーカスコードと称してもよい。カーカス部102は、タイヤ101に空気が充填されたときの圧力容器として機能する。カーカス部102は、ビード部105に支持される。ビード部105は、Y軸方向に関してカーカス部102の一側及び他側のそれぞれに配置される。カーカス部102は、ビード部105において折り返される。カーカス部102は、有機繊維のカーカスコードと、そのカーカスコードを覆うゴムとを含む。なお、カーカス部102は、ポリエステルのカーカスコードを含んでもよいし、ナイロンのカーカスコードを含んでもよいし、アラミドのカーカスコードを含んでもよいし、レーヨンのカーカスコードを含んでもよい。
ベルト層103は、タイヤ101の形状を保持する強度部材である。ベルト層103は、コードを含む。ベルト層103のコードを、ベルトコードと称してもよい。ベルト層103は、カーカス部102とトレッドゴム106との間に配置される。ベルト層103は、例えばスチールなどの金属繊維のベルトコードと、そのベルトコードを覆うゴムとを含む。なお、ベルト層103は、有機繊維のベルトコードを含んでもよい。本実施形態において、ベルト層103は、第1ベルトプライ103Aと、第2ベルトプライ103Bとを含む。第1ベルトプライ103Aと第2ベルトプライ103Bとは、第1ベルトプライ103Aのコードと第2ベルトプライ103Bのコードとが交差するように積層される。
ベルトカバー104は、ベルト層103を保護し、補強する強度部材である。ベルトカバー104は、コードを含む。ベルトカバー104のコードを、カバーコードと称してもよい。ベルトカバー104は、タイヤ101の中心軸AXに対してベルト層103の外側に配置される。ベルトカバー104は、例えばスチールなどの金属繊維のカバーコードと、そのカバーコードを覆うゴムとを含む。なお、ベルトカバー104は、有機繊維のカバーコードを含んでもよい。
ビード部105は、カーカス部102の両端を固定する強度部材である。ビード部105は、タイヤ101をリムに固定させる。ビード部105は、スチールワイヤの束である。なお、ビード部105が、炭素鋼の束でもよい。
トレッドゴム106は、カーカス部102を保護する。トレッドゴム106は、トレッド部110と、トレッド部110に設けられた複数の溝120とを有する。トレッド部110は、路面と接触する接地部を含む。トレッド部110は、溝120の間に配置される陸部を含む。
サイドウォールゴム108は、カーカス部102を保護する。サイドウォールゴム108は、Y軸方向に関してトレッドゴム106の一側及び他側のそれぞれに配置される。サイドウォールゴム108は、Y軸方向に関してトレッド部110の一側及び他側のそれぞれに配置されるサイドウォール部109を有する。
本実施形態において、タイヤ外径はODである。タイヤリム径はRDである。タイヤ総幅はSWである。トレッド接地幅はWである。トレッド展開幅はTDWである。
タイヤ外径ODとは、タイヤ101を正規リムにリム組みして、正規内圧を充填して、タイヤ101に荷重を加えないときの、タイヤ101の直径をいう。
タイヤリム径RDとは、タイヤ101に適合するホイールのリム径をいう。タイヤリム径RDは、タイヤ内径と等しい。
タイヤ総幅SWとは、タイヤ101を正規リムにリム組みして、正規内圧を充填して、タイヤ101に荷重を加えないときの、中心軸AXと平行な方向に関するタイヤ101の最大の寸法をいう。すなわち、タイヤ総幅SWとは、トレッドゴム106の+Y側に配置されたサイドウォール部109の最も+Y側の部位と、−Y側に配置されたサイドウォール部109の最も−Y側の部位との距離をいう。サイドウォール部109の表面にそのサイドウォール部109の表面から突出する構造物が設けられている場合、タイヤ総幅SWとは、その構造物を含むY軸方向に関するタイヤ101の最大の寸法をいう。サイドウォール部109の表面から突出する構造物は、サイドウォール部109においてサイドウォールゴム108の少なくとも一部によって形成された文字、マーク、及び模様の少なくとも一つを含む。
トレッド接地幅Wとは、タイヤ101を正規リムにリム組みして、正規内圧を充填して、平面上に垂直に置いて、正規荷重を加えたときに測定される、中心軸AXと平行な方向に関する接地幅の最大値をいう。
トレッド展開幅TDWとは、タイヤ101を正規リムにリム組みして、正規内圧を充填して、タイヤ101に荷重を加えないときの、タイヤ101のトレッド部110の展開図における両端の直線距離をいう。
「正規リム」とは、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ101毎に定めているリムであり、JATMAであれば標準リム、TRAであれば“Design Rim”、ETRTOであれば“Measuring Rim”である。但し、タイヤ101が新車装着タイヤの場合には、このタイヤ101が組まれる純正ホイールを用いる。
「正規内圧」とは、タイヤ101が基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ101毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表“TIRE ROAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“INFLATION PRESSURE”である。但し、タイヤ101が新車装着タイヤの場合には、車両に表示された空気圧とする。
「正規荷重」とは、タイヤ101が基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ101毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表“TIRE ROAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“LOAD CAPACITY”である。但し、タイヤ101が乗用車である場合には前記荷重の88%に相当する荷重とする。タイヤ101が新車装着タイヤの場合には、車両の車検証記載の前後軸重をそれぞれタイヤの数で除して求めた輪荷重とする。
図14は、本実施形態に係るタイヤ101のトレッド部110の一例を示す図である。図15は、本実施形態に係るタイヤ101が装着された先行車両100Bを後方から見た図である。なお、タイヤ101は、先々行車両100Cに装着されてもよい。
図14に示すように、タイヤ101は、トレッド部110を有する。トレッド部110は、センター部111と、Y軸方向に関してセンター部111の両側に配置されたショルダー部112とを含む。
タイヤ101は、トレッド部110に設けられた溝120を有する。溝120は、タイヤ101の周方向に延びる主溝121と、少なくとも一部がタイヤ101の幅方向に延びるラグ溝(横溝)122と、を含む。溝120の周囲に、陸部が設けられる。陸部は、溝120と、その溝120に隣り合う溝120との間に設けられる。トレッド部110は、複数の陸部を含む。
主溝121は、タイヤ101の周方向に設けられる。主溝121の少なくとも一部は、トレッド部110のセンター部111に設けられる。主溝121は、内部にトレッドウェアインジケータを有する。トレッドウェアインジケータは、摩耗末期を示す。主溝121は、4.0mm以上の幅を有し、5.0mm以上の深さを有してもよい。
ラグ溝122の少なくとも一部は、タイヤ101の幅方向に設けられる。ラグ溝122の少なくとも一部は、トレッド部110のショルダー部112に設けられる。ショルダー部112は、幅方向(Y軸方向)に関してセンター部111の一側(+Y側)及び他側(−Y側)のそれぞれに配置される。ラグ溝122は、1.5mm以上の幅を有する。ラグ溝122は、4.0mm以上の深さを有してもよく、部分的に4.0mm未満の深さを有していてもよい。
本実施形態においては、タイヤ101の表面の少なくとも一部に着色領域107が設けられる。本実施形態において、タイヤ101の表面は、トレッド部110の表面、及びサイドウォール部109の表面を含む。トレッド部110の表面は、センター部111の表面、ショルダー部112の表面、及び溝120の内面を含む。
着色領域107は、タイヤ101の表面の一部に設けられる。着色領域107以外のタイヤ101の表面は、地色領域113である。地色領域113の色は、着色領域107に対する下地の色である。地色領域113は、トレッドゴム106及びサイドウォールゴム108を含むタイヤ101のゴムの表面を含む。地色領域113の色は、そのゴムの色である。タイヤ101の表面は、ゴムの表面を含む地色領域113と、地色領域113の色とは異なる色の着色領域107と、を含む。ゴムのようなタイヤ101の下地が着色されることによって、着色領域107が形成される。
着色領域107は、画像認識用の領域である。カメラ51によってタイヤ101の画像が取得される。着色領域107の色は、カメラ51が高い認識率で画像認識を実施可能な色である。
なお、画像認識とは、カメラ51で取得されたタイヤ101の画像の構造を分析して特徴点を抽出し、タイヤ101の認識を行うことをいう。認識率とは、カメラ51がタイヤ101の複数の画像を取得した場合、「(全画像数−誤認識数)/全画像数」で示される値をいう。画像認識は、画像特徴の抽出、及び画像特徴とタイヤ101との対応(パターン・マッチング)等の処理を含む。
可視光に対する着色領域107の反射率は、可視光に対する地色領域113の反射率よりも高い。地色領域113の色彩は、黒色である。着色領域107の色彩は、例えば、黄色、ベージュ色、茶色、赤色、緑色、青色、灰色、及び白色の少なくとも一つである。なお、ここでいうタイヤ101の表面(着色領域107又は地色領域113)の反射率とは、色彩拡散面の反射率をいう。本実施形態において、反射率は、JIS K−7375に規定の方法で測定した「全光線反射率」とする。
なお、JIS Z 8721−1993に示されているように、マンセル明度が高いと、反射率が高くなる。したがって、着色領域107の色彩と地色領域113の色彩とが同一で、明度(マンセル明度)が異なってもよい。すなわち、可視光に対する着色領域107の反射率が地色領域113の反射率よりも高くなるように、地色領域113の明度に対して着色領域107の明度が調整されてもよい。
可視光に対する着色領域107の反射率が、可視光に対する地色領域113の反射率よりも高いので、着色領域107はカメラに高い認識率で認識される。
本実施形態においては、タイヤ101の周方向に断続的に設けられた複数の着色領域107によって、速度測定用ベルト領域131が設けられる。また、本実施形態においては、タイヤ101の周方向に断続的に設けられた複数の着色領域107によって、固有情報を識別するための固有情報識別用ベルト領域132が設けられる。また、本実施形態においては、タイヤ101の周方向に連続的に設けられた着色領域107によって、画像認識するための画像認識用ベルト領域133が設けられる。
速度測定用ベルト領域131は、一方のショルダー部112に設けられる。固有情報識別用ベルト領域132は、センター部111に設けられる。画像認識用ベルト領域133は、他方のショルダー部12に設けられる。
図15に示す例では、タイヤ101が先行車両100Bに装着された状態で、速度測定用ベルト領域131は、先行車両100Bの内側に配置される。画像認識用ベルト領域133は、先行車両100Bの外側に配置される。固有情報識別用ベルト領域132は、幅方向に関して速度測定用ベルト領域131と画像認識用ベルト領域133との間に配置される。
ショルダー部112のうち、速度測定用ベルト領域131が配置されるタイヤ101の表面は、平坦面である。速度測定用ベルト領域131が配置されるタイヤ101の表面に、溝120(ラグ溝122)は設けられていない。
ショルダー部112のうち、画像認識用ベルト領域133が配置されるタイヤ101の表面は、平坦面である。画像認識用ベルト領域133が配置されるタイヤ101の表面に、溝120(ラグ溝122)は設けられていない。
センター部111のうち、固有情報識別用ベルト領域132が配置されるタイヤ101の表面は、平坦面である。固有情報識別用ベルト領域132が配置されるタイヤ101の表面に、溝120(ラグ溝122)は設けられていない。
着色領域107が設けられるタイヤ101の表面が平坦面なので、着色領域107は円滑に形成される。
速度測定用ベルト領域131は、周方向に断続的に設けられた複数の着色領域107を有し、タイヤ101が装着されている先行車両100Bの走行速度を測定するためのベルト領域である。周方向に隣り合う着色領域107の間に、地色領域113が設けられる。以下の説明においては、速度測定用ベルト領域131の隣り合う着色領域107の間に配置されている地色領域113を適宜、速度測定用ベルト領域131のブランク領域125、と称する。複数のブランク領域125が、周方向に断続的に設けられる。
固有情報識別用ベルト領域132は、周方向に断続的に設けられた複数の着色領域107を有し、タイヤ101又はそのタイヤ101が装着されている先行車両100Bの固有情報を識別するためのベルト領域である。周方向に隣り合う着色領域107の間に、地色領域113が設けられる。以下の説明においては、固有情報識別用ベルト領域132の隣り合う着色領域107の間に配置されている地色領域113を適宜、固有情報識別用ベルト領域132のブランク領域125、と称する。複数のブランク領域125が、周方向に断続的に設けられる。
画像認識用ベルト領域133は、中心軸AXの周方向に途切れることなく連続的に設けられた着色領域107を有し、カメラ51によってタイヤ101の画像を円滑に取得するっための特徴点(特徴部)として機能するベルト領域である。なお、画像認識用ベルト領域133の着色領域107は、中心軸AXの周囲の一部に配置されてもよい。
自車両100Aは、自車両100Aのカメラ51を用いて、先行車両100Bに装着されているタイヤ101の速度測定用ベルト領域131の画像を取得することによって、先行車両100Bの走行速度を推定することができる。自車両100Aのカメラ51は、所定のフレームレート(所定の周期)で、先行車両100Bに装着されているタイヤ101の画像を取得する。回転するタイヤ101の画像がカメラ51に取得される場合、各フレームレートにおいて取得される速度測定用ベルト領域131の画像は異なる。すなわち、回転するタイヤ101の画像がカメラ51に取得される場合、第1のフレームレートにおいて取得される、カメラ51の視野領域における速度測定用ベルト領域131の着色領域107の位置(又はカメラ51の視野領域に占める着色領域107の位置及び面積)と、第1のフレームレートの次の第2のフレームレートにおいて取得される、カメラ51の視野領域における速度測定用ベルト領域131の着色領域107の位置(又はカメラ51の視野領域に占める着色領域107の位置及び面積)とは、異なる。
そのため、画像を取得するフレームレート(周期)と、各フレームレートにおいて取得された速度測定用ベルト領域131の画像とに基づいて、先行車両100Bに装着されているタイヤ101の回転速度が推定される。タイヤ101の回転速度が推定されることにより、先行車両100Bの走行速度が推定される。
また、自車両100Aは、自車両100Aのカメラ51を用いて、先行車両100Bに装着されているタイヤ101の固有情報識別用ベルト領域132の画像を取得することによって、タイヤ101の固有情報を取得することができる。固有情報識別用ベルト領域32の複数の着色領域107によって、識別パターンが形成される。タイヤ101に設けられている固有情報識別用ベルト領域132は、そのタイヤ101の固有情報を含む。複数の着色領域107を含む固有情報識別用ベルト領域132は、1次元バーコードとして機能する。自車両100Aのカメラ51は、バーコードリーダとして機能する。固有情報識別用ベルト領域132の1次元バーコードは、タイヤ101の固有情報に基づいて、周方向の寸法及び数が決められた複数の着色領域107及び複数の地色領域113(ブランク領域125)によって形成される。
自車両100Aは、固有情報識別用ベルト領域132の画像をカメラ51で取得して、先行車両100Bに装着されているタイヤ101の固有情報を取得する。また、自車両100Aは、固有情報識別用ベルト領域132の画像をカメラ51で取得して、タイヤ101が装着される先行車両100Bの固有情報を取得する。
タイヤ101の固有情報は、タイヤ製造日、タイヤ走行可能最高速度、タイヤ101の幅を含むタイヤ寸法、タイヤ種類、及びタイヤ性能の少なくとも一つを含む。
自車両100Aは、先行車両100Bに装着されているタイヤ101の固有情報識別用ベルト領域132の画像を取得して、そのタイヤ101のタイヤ製造日を示す情報を取得可能である。これにより、自車両100Aは、タイヤ製造日からの経過期間を導出することができる。
自車両100Aは、先行車両100Bに装着されているタイヤ101の固有情報識別用ベルト領域132の画像を取得して、そのタイヤ101の走行可能最高速度を示す情報を取得可能である。
自車両100Aは、先行車両100Bに装着されているタイヤ101の固有情報識別用ベルト領域132の画像を取得して、そのタイヤ寸法を示す情報を取得可能である。タイヤ寸法は、例えば、タイヤ総幅、タイヤ周長、タイヤ外径、タイヤリム径、及び偏平率の少なくとも一つを含む。
自車両100Aは、先行車両100Bに装着されているタイヤ101の固有情報識別用ベルト領域132の画像を取得して、そのタイヤ種類を示す情報を取得可能である。タイヤ種類は、例えば、夏用タイヤ、冬用タイヤ、オールシーズンタイヤ、スノータイヤ、スタッドタイヤ、及びスタッドレスタイヤの種別(カテゴリー分類)を含む。
自車両100Aは、先行車両100Bに装着されているタイヤ101の固有情報識別用ベルト領域132の画像を取得して、そのタイヤ性能を示す情報を取得可能である。タイヤ性能は、例えば、JATMAが規定するタイヤ101のウエットグリップ性能を含む。タイヤ性能は、例えば、タイヤ101のロードインデックスを含む。
先行車両100Bの固有情報は、先行車両100Bの車重、及び先行車両100Bの寸法を含む。先行車両100Bの寸法は、先行車両100Bのトレッド幅、及び先行車両100Bのホイールベースを含む。
先行車両100Bの走行により、先行車両100Bに装着されているタイヤ101が中心軸AXを中心に回転する。タイヤ101が回転することにより、自車両100Aのカメラ51の視野領域に配置される固有情報識別用ベルト領域132の着色領域107及びブランク領域125が変化する。固有情報識別用ベルト領域132の着色領域107及びブランク領域125は、タイヤ101の周方向に配置された1次元バーコードを形成する。タイヤ101が回転することによって、バーコードリーダとして機能する自車両100Aのカメラ51の視野領域に配置される1次元バーコードの領域が変化する。すなわち、先行車両100Bに装着されたタイヤ101が回転することにより、自車両100Aのカメラ51の視野領域と、先行車両100Bのタイヤ101に設けられた1次元バーコードとが相対移動する。換言すれば、自車両100Aのカメラ51の視野領域に対して、先行車両100Bのタイヤ101に設けられた1次元バーコードがスキャンされる。これにより、自車両100Aのカメラ51は、先行車両100Bに装着されたタイヤ101の1次元バーコードを読み取って、タイヤ101の固有情報又はそのタイヤ101が装着される先行車両100Bの固有情報を取得することができる。
なお、本実施形態においては、タイヤ101が先行車両100Bに装着される例について主に説明した。タイヤ101が先々行車両100Cに装着される場合、そのタイヤ101の固有情報識別用ベルト領域132の画像が自車両100Aのカメラ51に取得されることによって、自車両100Aは、先々行車両100Cに装着されているタイヤ101の固有情報又は先々行車両100Cの固有情報を取得することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、着色領域107がタイヤ101に設けられるので、自車両100Aのカメラ51は、高い認識率でタイヤ101を認識することができる。
本実施形態においては、可視光に対する着色領域107の反射率は、可視光に対する地色領域113の反射率よりも高い。これにより、カメラ51は着色領域107を高い認識率で認識することができる。例えば、夜間の降雨時においても、カメラ51は着色領域107を高い認識率で認識することができる。
本実施形態においては、固有情報識別用ベルト領域132により、タイヤ101の固有情報として、自車両100Aの制御装置53は、先行車両100Aに装着されているタイヤ101の幅の寸法を取得することができるので、制御装置53の第1推定部53Dは、自車両100Aと先行車両100Bとの車間距離を示す第1距離L1をより高精度に推定することができる。上述の実施形態で説明したように、制御装置53の第1推定部53Dは、先行車両100Bに装着されているタイヤ101の画像に基づいて、自車両100Aと先行車両100Bとの車間距離を示す第1距離L1を推定する。取得した画像におけるタイヤ101の幅と、第1距離L1とは相関する。タイヤ101の固有情報として、タイヤ101の幅の寸法が分かるので、制御装置53の第1推定部53Dは、固有情報識別用ベルト領域132に基づいて取得したタイヤ101の幅(実際の幅)と、画像データから導出されるタイヤ101の幅(画像上の幅)との違いから、第1距離L1を高精度に推定することができる。
同様に、先々行車両100Cにタイヤ101が装着されている場合、制御装置53の第2推定部53Eは、固有情報識別用ベルト領域132に基づいて取得したタイヤ101の幅(実際の幅)と、画像データから導出されるタイヤ101の幅(画像上の幅)との違いから、自車両100Aから先々行車両100Cまでの第3距離L3を高精度に推定することができ、第1距離L1と第3距離L3との差に基づいて、先行車両100Bと先々行車両100Cとの車間距離を示す第2距離L2を高精度に推定することができる。
また、本実施形態においては、断続的に設けられた複数の着色領域107を有する固有情報識別用ベルト領域132がタイヤ101に設けられる。これにより、自車両100Aは、先行車両100Bに装着されているタイヤ101の固有情報を取得可能である。先行車両100Bに装着されているタイヤ101の固有情報が自車両100Aに把握されることにより、自車両100Aは、その固有情報に基づいて、先行車両100Bとの衝突を回避するための措置を講ずることができる。
例えば、タイヤ製造日からの経過期間が長い場合、タイヤ101の性能が劣化している可能性が高い。その場合、先行車両100Bは安定した走行が困難である可能性が高い。自車両100Aは、固有情報識別用ベルト領域132に含まれる固有情報からタイヤ製造日を示す情報を取得して、タイヤ製造日からの経過期間が予め定められている閾値よりも長いと判定した場合、そのタイヤ製造日を示す情報に基づいて、先行車両100Bに衝突することを回避するための措置を講ずることができる。
なお、先行車両100Bに衝突することを回避するための措置とは、例えば、自車両100Aが先行車両100Bとの車間距離をあけること、自車両100Aが車線変更して先行車両100Bが走行する車線とは別の車線を走行すること、などを含む。
また、先行車両100Bの後輪タイヤ1Brと前方タイヤ1Fとの相対速度を導出する場合、固有情報識別用ベルト領域132に含まれる固有情報から、後輪タイヤ1Brの幅の寸法、及び前方タイヤ1Fの幅の寸法が取得されることによって、後輪タイヤ1Brと前方タイヤ1Fとの相対速度をより精度良く導出することができる。
また、先行車両100Bがタイヤ101の走行可能最高速度以上で走行している場合、先行車両100Bは安定した走行が困難である可能性が高い。自車両100Aは、走行可能最高速度を示す情報を取得して、先行車両100Bがタイヤ101の走行可能最高速度以上の走行速度で走行していると判定した場合、その走行可能最高速度を示す情報に基づいて、先行車両100Bに衝突することを回避するための措置を講ずることができる。
タイヤ寸法は、例えば、タイヤ総幅、タイヤ周長、タイヤ外径、タイヤリム径、及び偏平率の少なくとも一つを含む。タイヤ総幅、タイヤ周長、タイヤ外径、タイヤリム径、及び偏平率のようなタイヤ寸法を示す情報が自車両100Aに取得されることにより、自車両100Aは、先行車両100Bがタイヤ寸法に適した走行をしているか否かを判定することができる。先行車両100Bがタイヤ寸法に適した走行をしていないと判定された場合、自車両100Aは、そのタイヤ寸法を示す情報に基づいて、先行車両100Bとの衝突を回避するための措置を講ずることができる。
また、タイヤ種類を示す情報が自車両100Aに取得されることにより、自車両100Aは、先行車両100Bが適切なタイヤ種類のタイヤ101を装着しているか否かを判定することができる。タイヤ種類は、例えば、夏用タイヤ、冬用タイヤ、オールシーズンタイヤ、スノータイヤ、スタッドタイヤ、及びスタッドレスタイヤの種別(カテゴリー分類)を含む。例えば、冬にもかかわらず、先行車両100Bに夏用タイヤが装着されている場合、先行車両100Bは安定した走行が困難である可能性が高い。自車両100Aは、タイヤ種類を示す情報を取得して、冬にもかかわらず先行車両100Bに夏用タイヤが装着されていると判定した場合、そのタイヤ種類を示す情報に基づいて、先行車両100Bとの衝突を回避するための措置を講ずることができる。
また、タイヤ性能を示す情報が自車両100Aに取得されることにより、自車両100Aは、先行車両100Bが適切なタイヤ性能のタイヤ101を装着しているか否かを判定することができる。タイヤ性能は、例えば、JATMAが規定するウエットグリップ性能を含む。雨にもかかわらず、先行車両100Bにウエットグリップ性能が低いタイヤ101が装着されている場合、先行車両100Bは安定した走行が困難である可能性が高い。自車両100Aは、タイヤ性能(ウェットグリップ性能)を示す情報を取得して、雨にもかかわらず先行車両100Bにウエットグリップ性能が低いタイヤ101が装着されていると判定した場合、そのタイヤ性能を示す情報に基づいて、先行車両100Bとの衝突を回避するための措置を講ずることができる。
また、タイヤ性能は、例えば、タイヤ101のロードインデックスを含む。ロードインデックスを示す情報が自車両100Aに取得されることにより、自車両100Aは、先行車両100Bがロードインデックスに適した走行をしているか否かを判定することができる。先行車両100Bがロードインデックスに適した走行をしていないと判定された場合、自車両100Aは、そのロードインデックスを示す情報に基づいて、先行車両100Bとの衝突を回避するための措置を講ずることができる。
また、固有情報識別用ベルト領域132が保有する固有情報は、タイヤ101が装着される先行車両100Bの固有情報を含んでもよい。これにより、タイヤ101が装着される先行車両100Bの様々な情報が自車両100Aに把握される。
タイヤ101が装着される先行車両100Bの固有情報は、例えば、先行車両100Bの車重を示す情報、及び先行車両100Bの寸法を示す情報を含む。
例えば、先行車両100Bの車重が大きい場合、先行車両100Bの制動距離は長くなる可能性が高い。自車両100Aは、先行車両100Bの車重を示す情報を取得して、先行車両100Bの車重が予め定められている閾値よりも大きいと判定した場合、その先行車両100Bの車重を示す情報に基づいて、先行車両100Bとの衝突を回避するための措置を講ずることができる。
また、例えば先行車両100Bのトレッド幅及び先行車両100Bのホイールベースのような、先行車両100Bの寸法に基づいて、先行車両100Bの走行性能が変化する可能性がある。自車両100Aは、先行車両100Bの寸法を示す情報を取得して、先行車両100Bの走行性能を予測し、先行車両100Bとの衝突を回避するための措置を講ずることができる。
なお、タイヤ101に先行車両100Bの固有情報を保有させる場合、ネットワークを介して、先行車両100Bの固有情報がタイヤメーカー(タイヤ製造工場)に供給されてもよい。例えば、自動車メーカー(自動車組立工場)からタイヤメーカーに、先行車両100Bの固有情報が、ネットワークを介して供給される。タイヤメーカーは、供給された先行車両100Bの固有情報に基づいて、タイヤ101に固有情報識別用ベルト領域132(1次元バーコード)を設けることができる。なお、タイヤ販売店からタイヤメーカーに、先行車両100Bの固有情報が、ネットワークを介して供給されてもよい。タイヤメーカーは、供給された先行車両100Bの固有情報に基づいて、タイヤ101に固有情報識別用ベルト領域132(1次元バーコード)を設けることができる。
また、本実施形態においては、固有情報識別用ベルト領域132は、周方向の寸法及び数が決められた複数の着色領域107及び地色領域113(ブランク領域125)によって形成される1次元バーコードを含む。これにより、タイヤ101が回転することによって、1次元バーコードとして機能する固有情報識別用ベルト領域132の画像が自車両100Aのカメラ51に取得される。バーコードリーダとして機能する自車両100Aのカメラ51は、タイヤ101の回転により、そのタイヤ101に設けられている1次元バーコードを読み取ることができる。
また、本実施形態において、可視光に対する着色領域107の反射率は、地色領域113の反射率よりも高い。これにより、着色領域107は高い認識率でカメラ51に認識される。例えば、夜間の降雨時においても、着色領域107は高い認識率でカメラ51に認識される。
また、本実施形態においては、タイヤ101に、速度測定用ベルト領域131が設けられる。これにより、自車両100Aのカメラ51で先行車両100Bの速度測定用ベルト領域131の画像が取得されることにより、自車両100Aは、先行車両100Bの走行速度を把握することができる。
例えば、固有情報識別用ベルト領域132から先行車両100Bのタイヤ101の走行可能最高速度を示す情報を取得し、速度測定用ベルト領域131から先行車両100Bのタイヤ101の走行速度を取得し、先行車両100Bがタイヤ101の走行可能最高速度以上の走行速度で走行していると判定した場合、その走行可能最高速度を示す情報に基づいて、自車両100Aは、先行車両100Bとの衝突を回避するための措置を講ずることができる。
更に、本実施形態においては、タイヤ101は、画像認識用ベルト領域133の着色領域107を有する。着色領域107は、高い認識率で画像認識を実施可能な色で着色され、周方向に連続的に設けられている。そのため、タイヤ101が装着された先行車両100Bが走行しても、回転するタイヤ101の着色領域107は、自車両100Aのカメラ51に高い認識率で認識される。
また、タイヤ101は、路面RSと接触する。換言すれば、路面RSとタイヤ101との距離は短い。タイヤ101が路面RSに近い位置に配置されるので、例えば降雨により濡れた路面に投影されたタイヤ101の画像がカメラ51に取得されても、その路面RSに投影されたタイヤ101の画像に基づく自車両100Aから先行車両100Bまでの第1距離L1の推定結果の誤差は抑制される。これにより、先行車両100Bに装着されたタイヤ101の認識率の低下が抑制され、自車両100Aが先行車両100Bに衝突することが抑制される。
また、本実施形態においては、速度測定用ベルト領域131の着色領域107及び画像認識用ベルト領域133の着色領域107は、ショルダー部112の表面に設けられる。これにより、着色領域107と路面RSとの接触が抑制され、着色領域107を長持ちさせることができる。なお、主溝121の内面に、着色領域107が設けられてもよい。こうすることによっても、着色領域107が路面に接触することが抑制され、着色領域107を長持ちさせることができる。
なお、本実施形態において、固有情報識別用ベルト領域132の着色領域107がショルダー部112に設けられてもよいし、主溝121の内面に設けられてもよい。こうすることにより、固有情報識別用ベルト領域132の着色領域107は長持ちする。
なお、図16及び図17に示すように、画像認識するための画像認識用ベルト領域133が、両側のショルダー部112のそれぞれに設けられてもよい。図17は、センター部111に固有情報識別用ベルト領域132を有する例を示す。両側のショルダー部112のそれぞれに画像認識用ベルト領域133が設けられることにより、自車両100Aの制御装置53は、カメラ51で取得されたタイヤ101の画像データに基づいて、タイヤ101の幅をより精度良く推定することができる。
なお、本実施形態において、着色領域107は、ゴムに塗布された塗料の表面を含む。これにより、材料の選択の自由度が向上し、望みの反射率、望みの明度、及び地色領域113に対する望みのコントラストを有する着色領域107が容易に設けられる。
塗料は、蛍光塗料を含んでもよい。これにより、夜間又は降雨時においても、先行車両100Bのタイヤ101は、自車両100Aのカメラ51に高い認識率で認識される。
なお、塗料は、再帰性反射材料を含んでもよい。これにより、先行車両100Bのタイヤ101は、自車両100Aのカメラ51に高い認識率で認識される。
なお、タイヤ101が着色料を含有する着色ゴムを含み、着色領域107は、着色ゴムの表面を含んでもよい。これにより、着色領域107を有するタイヤ101が容易に製造される。