JP2016164907A - バンド間位相差ソリトンの発生方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】多バンド超伝導膜からなる線路13に、線路13の両端側に設けられた太幅部131と、太幅部131よりも線幅が細く、各電極11,12に接続した太幅部131間を接続する細幅部132と、細幅部132よりも線幅が細く、細幅部132の一部分に設けられた狭細部133とを備え、細幅部132に流れる電流により狭細部133の超伝導性を壊して常伝導状態にする第1過程と、狭細部133の超伝導性を壊した電流が流れる細幅部132にバンド間位相差を生じさせる第2過程と、細幅部132に流れる電流を減流し、狭細部133の超伝導性を回復させる第3過程と、狭細部133の超伝導性を回復させた後、電流を遮断して線路13にバンド間位相差ソリトン200を残留させる第4過程とを有する。
【選択図】図1
Description
これらの技術において演算の基本要素となるビットは、成分間位相差ソリトンを利用して構成されており、効率的なソリトン発生方法の開発は、これらエレクトロニクスの基本となる技術である。
なお、伝搬線路が多バンド超伝導体線路の場合、成分間位相差ソリトンは、特にその下位概念とてバンド間位相差ソリトンと称呼されることも多いが、以下、これらを総称して単に「ソリトン」と略して表記する。
一方、ソリトンのように局所的に存在する成分間位相差の発生とは別に、超伝導線路全体に広がる成分間位相差が電流によって誘起できることが非特許文献5、6に開示されている。
特許文献1と特許文献2では、ソリトンを発生する方法として、ソリトンが生み出す位相差と整合する外部磁場を使って、リング状に構成した回路の中にソリトンを生成する方法と、ソリトンと共鳴する光を照射してソリトンを生成する方法が開示されている。
特許文献1や非特許文献6に開示された方法では、整合磁場を作り出す外部回路を、ソリトン回路に併設する必要性がある。この併設する外部回路が、ソリトン回路の小型化・集積化の障害になり、実際のソリトン回路の設計に著しい制限が生じていた。
非特許文献4や非特許文献7に開示された方法は、外部磁場に加え、ソリトンは電流を遮断すると消えてしまい、無電流の状態でソリトンを保ち続けることができなかった。
非特許文献6に開示された方法は、バンド間位相差の発生を電流で行うため、外部磁場は必要ないが、電流を遮断するとバンド間位相差が消えてしまい、ソリトンも発生することができなかった。
非特許文献11でも、バンド間位相差の発生の可能性が指摘されているが、電流を遮断することによってバンド間位相差が消えてしまうという点は上記の方法と同様で、無電流におけるソリトンの安定化に関する技術は開示されていない。
また、数値実験の結果によると、非特許文献8に記載されているように、非特許文献5の方法では、バンド間位相差は生み出せなかったという技術的な問題点も明らかにされている。
しかし、ソリトンを生み出すようなアンバランス状態の電流を生じさせること自体が容易ではなく、非特許文献2に開示されている方法の実施は困難であった。
このように、電流を遮断した状態でも安定的に存在するソリトンを、整合磁場回路や非平衡電流(非定常電流)のアンバランス注入や共鳴エネルギー照射によって生成する方法は、実現が極めて難しい。これらの困難さを伴わず、容易にソリトンを発生する技術は見当らなかった。
また、非特許文献3の方法で生成されるソリトンは通常分数渦糸を伴うものであるが、この分数渦糸を取り除く有効な方法は知られていない。
新たなる発想として、通常の回路では境界条件によって禁止されている電流によって誘起される位相差を、境界条件を変えることによって変化させ、それによってバンド間位相差の発生を許容する原理を利用する。また、境界条件を変化させることによって発生させたバンド間位相差ソリトンの消失を禁止し、電流を遮断した後もソリトンとして回路内に閉じ込めておく原理も利用する。
この方法は、非特許文献5に開示されている、線路全体において一つの成分だけの超伝導性を壊すものではない。ソリトンの発生を意図する線路の端部分の超伝導を、両成分(位相差を有する二つのバンド)同時に壊すものである。そのため、実施が著しく容易であり、非特許文献5に開示された技術とは本質的に異なる。
このようにソリトンの発生を意図する線路の境界条件を限定的に制御し、かつ、外部電流によってバンド間位相差を生み出すことを特徴とするソリトン発生方法を提案する。
(実施例)
図1は、本発明の実施例によるソリトン回路装置を示す説明図である。この図は、多バンド超伝導薄膜を使った典型的な超伝導回路を示したもので、電極11と電極12との間に多バンド超伝導薄膜からなる線路13を備えている。なお、多バンド超伝導薄膜の冷却装置等の図示を省略している。
太幅部131は、電極11ならびに電極12と各々接続する部分であり、線路13に超伝導電流を流したとき、実質的にバンド間位相差が零と扱える(生じていないとみなせる)線幅を有し、例えば電極11,12と同じ線幅を有している。
細幅部132は、電極11側の太幅部131と電極12側の太幅部131との間を接続するように形成されている。
また、細幅部132は、当該細幅部132の一部分に狭細部133を有している。狭細部133は、線路13に電流が流れたとき細幅部132よりも先に超伝導性が壊れるように、当該細幅部132よりも狭い線幅に形成されている。
電極11と電極12には、線路13に電流を流すための外部電源14が接続されている。
線路13に電流が流れ始めて狭細部133で超伝導性が壊れるまでの期間においては、太幅部131が細幅部132の境界条件を与える。すなわち、ここではバンド間位相差が零になるような固定端が境界条件となる。このような固定端の境界条件では、バンド間位相差は線路13(細幅部132)の中に発生することはできない。
図1(B)に示したように、線路13に電流が流れることによって狭細部133で超伝導性が壊れると、壊れた部分(狭細部133)が細幅部132に対して境界条件を与える。すなわち、ここではバンド間位相差は固定されず、電流だけが流れ込む条件、あるいは流れ出す条件となる。このような条件は「自然境界条件」と呼ばれている。
従って、バンド間位相差が図1(B)に示したように細幅部132の中に生じる。この状態から供給電流を低減して行き、狭細部133の超伝導性を回復させると、図1(C)に示したようにバンド間位相差が細幅部132の中に捕獲された状態になる。このバンド間位相差は、細幅部132の中で線路幅が同じである限り、細幅部132を進むにつれて一定の割合で回転する。すなわち、バンド間位相差の回転は細幅部132全体に広がっている。線幅が細い部分では若干速く回転するが、この回転発生に関して原理的に影響を及ぼすものではない。
2πの整数倍の回転が、固定端により細幅部132に捕獲されると、電流を遮断した場合でも、境界条件を変えることはできないので、回転が解けることはない。
非特許文献1に開示されているように、2πの回転を有するバンド間位相差は、有限の長さを持つソリトンとして安定状態になる。その結果、図1(D)に示したように、ソリトン200(バンド間位相差ソリトン)が細幅部132ならびに狭細部133内に生じる。
図2は、バンド間位相差の計算機実験の結果を示す説明図である。この図は、コヒーレント長の100倍の長さを持つ線路に電流を流したときの、バンド間位相差の計算機実験の結果を表している。なお、この計算機実験は、片方の端を固定端、他方の端を自然境界条件を与えた端として計算したものである。図2において、縦軸は自然境界条件を与えた端における位相差であり、横軸は電流密度である。
上記の計算機実験は、線路内での各バンドの超伝導電子対密度の電子密度は変わらないものとして計算した。この条件は、単バンド超伝導で用いられる計算の条件と同じである。
上記の(2)式において、αi、βiはギンツブルグ方程式の定数、2miは各バンドの電子対の有効質量、niは各バンドの電子対密度である。
上記の(3)式において、finterはバンド間相互作用を与え、γはバンド間相互作用の大きさであり、4γ/α1=0.005になる、としている。これは、典型的な多バンド型多成分超伝導である多層型高温超伝導体におけるパラメータと同じ程度になっている。
(2)式のviは、各バンドにおける超伝導電子対の速度である。このとき超伝導電子対の力学的運動量は次の(4)式で与えられる。
簡便な構成で、バンド間位相差ソリトンの発生が可能なことを実証したが、本発明は特許文献1〜4に示されたような、他の方法と組み合せることにより、量子コンピュータや通常のコンピュータなどの実現を容易にするものであり、本発明の意義は極めて大きいものがある。
13線路
14外部電源
131太幅部
132細幅部
133狭細部
200ソリトン
Claims (3)
- 多バンド超伝導膜からなる線路に、
前記線路の両端側に設けられ、外部から電流を供給する各電極とそれぞれ接続する複数の太幅部と、
前記太幅部よりも線幅が細く、前記太幅部間を接続する細幅部と、
前記細幅部よりも線幅が細く、該細幅部の一部分に設けられた狭細部と、
を備え、
前記線路に前記外部から電流を供給し、前記細幅部に流れる電流により前記狭細部の超伝導性を壊して常伝導状態にする第1過程と、
前記狭細部の超伝導性を壊した電流が流れる前記細幅部にバンド間位相差を生じさせる第2過程と、
前記細幅部に流れる電流を減流し、前記狭細部の超伝導性を回復させる第3過程と、
前記狭細部の超伝導性を回復させた後、前記電流を遮断して前記線路にバンド間位相差ソリトンを残留させる第4過程と、
を有することを特徴とするバンド間位相差ソリトンの発生方法。 - 前記第1過程は、
2π以上の回転を有するバンド間位相差が生じる電流密度を、前記細幅部に流す、
ことを特徴とする請求項1に記載のバンド間位相差ソリトンの発生方法。 - 前記第2過程は、
前記細幅部に流したとき、前記2π以上の回転がバンド間位相差に生じる電流密度で前記狭細部の超伝導性が壊れる、
ことを特徴とする請求項2に記載のバンド間位相差ソリトンの発生方法。
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