JP2016154016A - 透明積層体、静電容量型入力装置および画像表示装置 - Google Patents

透明積層体、静電容量型入力装置および画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】透明電極パターンが視認される問題がない透明積層体を提供する。
【解決手段】透明基板1、屈折率1.6〜1.78であり膜厚が55〜110nmの第一の透明膜11、透明電極パターン4および屈折率1.6〜1.78であり膜厚が55〜110nmの第二の透明膜12がこの順に積層された領域を面内に含む。
【選択図】図1A

Description

本発明は、透明積層体、静電容量型入力装置および画像表示装置に関するものである。詳しくは、指の接触位置を静電容量の変化として検出可能な静電容量型入力装置とそれに用いることができる透明積層体、並びに、当該静電容量型入力装置を構成要素として備えた画像表示装置に関するものである。
携帯電話、カーナビゲーション、パーソナルコンピュータ、券売機、銀行の端末などの電子機器では、近年、液晶装置などの表面にタブレット型の入力装置が配置され、液晶装置の画像表示領域に表示された指示画像を参照しながら、この指示画像が表示されている箇所に指またはタッチペンなどを触れることで、指示画像に対応する情報の入力が行えるものがある。
このような入力装置(タッチパネル)には、抵抗膜型、静電容量型などがある。しかし、抵抗膜型の入力装置は、フィルムとガラスとの2枚構造でフィルムを押下してショートさせる構造のため、動作温度範囲の狭さや、経時変化に弱いという欠点を有している。
これに対して、静電容量型の入力装置は、単に一枚の基板に透光性導電膜を形成すればよいという利点がある。かかる静電容量型の入力装置では、例えば、互いに交差する方向に電極パターンを延在させて、指などが接触した際、電極間の静電容量が変化することを検知して入力位置を検出するタイプのものがある(例えば、下記特許文献1〜3参照)。
これらの静電容量型入力装置を使用するにあたり、例えば、光源が映り込んだときの正反射近傍から少し離れた位置において、透明電極パターンが目立ち、見栄えが優れないなどの視認性の問題があった。これに対し、特許文献1では、基板上にITOパターンを形成し、ITOパターンの上側のみにSiO2等の低屈折率誘電体材料からなる層と、Nb25等の高屈折率誘電体材料からなる層とを交互に積層することにより、それらの各層による光干渉効果によって、透明電極パターンがステルス化し、ニュートラルな色調となると記載されている。
特許文献2では、基板上にITOパターンを形成する前に、ITOパターンの下側のみにSiO2等の低屈折率層とNb25等の高屈折率層とを積層してからITOパターンを形成することで、透明電極パターン形状が現れることを防止できると記載されている。
特許文献3には、基板上にITOパターンを形成する前に、ITOパターンの下側のみにSiO2等の低屈折率層とNb25等の高屈折率層とを積層してからITOパターンを形成することで、透明電極パターンパターンやパターン同士の交差部を目立たなくすることができると記載されている。
特開2010−86684号公報 特開2010−152809号公報 特開2010−257492号公報
これに対し、本発明者らがこれらの特許文献1〜3に記載されている層構成を検討したところ、透明電極パターンが視認されてしまい、依然として透明電極パターンが視認される問題は完全には解決できていないことがわかった。
本発明が解決しようとする課題は、透明電極パターンが視認される問題がない透明積層体を提供することである。
本発明者らは、特定の屈折率および膜厚の透明膜を2枚用いて、透明電極パターンを挟みこむ構成とすることによって、透明電極パターンが視認される問題を解決できることを見出すに至った。
上記課題を解決するための具体的な手段である本発明は以下のとおりである。
[1] 透明基板、屈折率1.6〜1.78であり膜厚が55〜110nmの第一の透明膜、透明電極パターン、および、屈折率1.6〜1.78であり膜厚が55〜110nmの第二の透明膜がこの順に積層された領域を面内に含むことを特徴とする透明積層体。
[2] [1]に記載の透明積層体は、前記第一の透明膜および前記第二の透明膜によって、前記透明電極パターンおよび前記透明電極パターンが形成されていない非パターン領域の両方が連続して直接または他の層を介して被覆されたことが好ましい。
[3] [1]または[2]に記載の透明積層体は、前記第一の透明膜および前記透明電極パターンが互いに隣接していることが好ましい。
[4] [1]〜[3]のいずれか一項に記載の透明積層体は、前記透明電極パターンおよび前記第二の透明膜が互いに隣接していることが好ましい。
[5] [1]〜[4]のいずれか一項に記載の透明積層体は、前記透明電極パターンが形成されていない非パターン領域の少なくとも一部に、前記透明基板、前記第一の透明膜および前記第二の透明膜がこの順に積層された領域を面内に含むことが好ましい。
[6] [5]に記載の透明積層体は、前記透明基板、前記第一の透明膜および前記第二の透明膜がこの順に積層された領域において、前記第一の透明膜および前記第二の透明膜が互いに隣接していることが好ましい。
[7] [1]〜[6]のいずれか一項に記載の透明積層体は、前記第二の透明膜の前記透明電極パターンが形成された表面とは反対側の表面上に、さらに、屈折率1.5〜1.55の透明保護膜が形成されたことが好ましい。
[8] [1]〜[7]のいずれか一項に記載の透明積層体は、前記第一の透明膜と第二の透明膜が、同一材料によって構成されたことが好ましい。
[9] [1]〜[8]のいずれか一項に記載の透明積層体は、前記透明基板が屈折率1.5〜1.55のガラス基板であることが好ましい。
[10] [1]〜[9]のいずれか一項に記載の透明積層体は、前記透明電極パターンが屈折率1.75〜2.1のITO膜であることが好ましい。
[11] [1]〜[10]のいずれか一項に記載の透明積層体は、前記第一の透明膜および前記第二の透明膜の少なくとも一方が、透明樹脂膜であることが好ましい。
[12] [11]に記載の透明積層体は、前記透明樹脂膜が、ZrO2粒子およびTiO2粒子のうち少なくとも一方を有することが好ましい。
[13] [1]〜[12]のいずれか一項に記載の透明積層体は、前記第一の透明膜および前記第二の透明膜の少なくとも一方が、仮支持体上に形成された透明硬化性樹脂膜を、前記透明基板上に転写して製膜されてなることが好ましい。
[14] [1]〜[12]のいずれか一項に記載の透明積層体は、前記第一の透明膜および前記第二の透明膜の少なくとも一方が、スパッタによって形成されてなることが好ましい。
[15] [1]〜[10]のいずれか一項に記載の透明積層体は、前記第一の透明膜および前記第二の透明膜の少なくとも一方が、スパッタによって形成されたSiO2とNb25の混合膜であることが好ましい。
[16] [1]〜[15]のいずれか一項に記載の透明積層体は、前記透明電極パターンの端部が30°以下のテーパー形状を有すことが好ましい。
[17] [1]〜[16]のいずれか一項に記載の透明積層体は、前記透明基板および前記第一の透明膜の間に、屈折率1.5〜1.52の第三の透明膜を含むことが好ましい。
[18] [1]〜[17]のいずれか一項に記載の透明積層体を有することを特徴とする静電容量型入力装置。
[19] [18]に記載の静電容量型入力装置を構成要素として備えたことを特徴とする画像表示装置。
本発明によれば、透明電極パターンが視認される問題がない透明積層体を提供することができる。
本発明の静電容量型入力装置の構成の一例を示す断面概略図である。 本発明の静電容量型入力装置の構成の他の一例を示す断面概略図である。 本発明における前面板の一例を示す説明図である。 本発明における透明電極パターンと、非パターン領域の関係の一例を示す説明図である。 開口部が形成された強化処理ガラスの一例を示す上面図である。 マスク層が形成された前面板の一例を示す上面図である。 第一の透明電極パターンが形成された前面板の一例を示す上面図である。 第一および第二の透明電極パターンが形成された前面板の一例を示す上面図である。 第一および第二の透明電極パターンとは別の導電性要素が形成された前面板の一例を示す上面図である。 金属ナノワイヤー断面を示す説明図である。 透明電極パターンの端部のテーパー形状の一例を示す説明図である。 本発明の透明積層体の構成の一例を示す断面概略図である。
以下、本発明の透明積層体、静電容量型入力装置および画像表示装置について説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[透明積層体]
本発明の透明積層体は、透明基板、屈折率1.6〜1.78であり膜厚が55〜110nmの第一の透明膜、透明電極パターン、および、屈折率1.6〜1.78であり膜厚が55〜110nmの第二の透明膜がこの順に積層された領域を面内に含むことを特徴とする。
このような構成とすることにより、透明電極パターンが視認される問題がない。
<透明積層体の構成>
図11に本発明の透明積層体の構成の1例を示す。
図11では、透明基板1、屈折率1.6〜1.78であり膜厚が55〜110nmの第一の透明膜11、透明電極パターン4、および、屈折率1.6〜1.78であり膜厚が55〜110nmの第二の透明膜12がこの順に積層された領域21を面内に有する。
面内とは、透明積層体の透明基板と平行な面に対して略平行方向を意味する。透明基板、第一の透明膜、透明電極パターンおよび第二の透明膜がこの順に積層された領域を面内に含むとは、透明基板、第一の透明膜、透明電極パターンおよび第二の透明膜がこの順に積層された領域についての透明積層体の透明基板と平行な面への正射影が、透明積層体の透明基板と平行な面内に存在することを意味する。
ここで、本発明の透明積層体を後述する静電容量型入力装置に用いる場合、透明電極パターンは行方向と列方向の略直交する2つの方向にそれぞれ第一の透明電極パターンおよび第二の透明電極パターンとして設けられることがある(例えば、図3参照)。例えば図3の構成では、本発明の透明積層体における透明電極パターンは、第二の透明電極パターン4であっても、第一の透明電極パターン3のパッド部分3aであってもよい。言い換えると、以下の本発明の透明積層体の説明では、透明電極パターンの符号を「4」で代表して表すことがあるが、本発明の透明積層体における透明電極パターンは、本発明の静電容量型入力装置における第二の透明電極パターン4への使用に限定されるものではなく、例えば第一の透明電極パターン3のパッド部分3aとして使用してもよい。
本発明の透明積層体は、前記透明電極パターンが形成されていない非パターン領域を含むことが好ましい。本明細書中、非パターン領域とは、透明電極パターン4が形成されていない領域を意味する。
図11には、本発明の透明積層体が非パターン領域22を含む態様が示されている。
本発明の透明積層体は、前記透明電極パターンが形成されていない非パターン領域22の少なくとも一部に、前記透明基板、前記第一の透明膜および前記第二の透明膜がこの順に積層された領域を面内に含むことが好ましい。
本発明の透明積層体は、前記透明基板、前記第一の透明膜および前記第二の透明膜がこの順に積層された領域において、前記第一の透明膜および前記第二の透明膜が互いに隣接していることが好ましい。
但し、前記非パターン領域22のその他の領域には、本発明の趣旨に反しない限りにおいてその他の部材を任意の位置に配置してもよく、例えば本発明の透明積層体を後述する静電容量型入力装置に用いる場合、図1Aにおけるマスク層2や、絶縁層5や導電性要素6などを積層することができる。
本発明の透明積層体は、前記透明基板および第一の透明膜が互いに隣接していることが好ましい。
図11には、前記透明基板1の上に隣接して前記第一の透明膜11が積層している態様が示されている。
但し、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、前記透明基板および前記第一の透明膜の間に、第三の透明膜が積層されていてもよい。例えば、本発明の透明積層体は、前記透明基板および前記第一の透明膜の間に、屈折率1.5〜1.52の第三の透明膜(図11には不図示)を含むことが好ましい。
本発明の透明積層体は前記第一の透明膜の厚みが55〜110nmであり、60〜110nmであることが好ましく、70〜90nmであることがより好ましい。
ここで、前記第一の透明膜は、単層構造であっても、2層以上の積層構造であってもよい。前記第一の透明膜が2層以上の積層構造である場合、前記第一の透明膜の膜厚とは、全層の合計膜厚を意味する。
本発明の透明積層体は、前記第一の透明膜および前記透明電極パターンが互いに隣接していることが好ましい。
図11には、前記第一の透明膜11の一部の領域上に隣接して前記透明電極パターン4が積層している態様が示されている。
図11に示すように、前記透明電極パターン4の端部は、その形状に特に制限はないがテーパー形状を有していてもよく、例えば、前記透明基板側の面の方が、前記透明基板と反対側の面よりも広いようなテーパー形状を有していてもよい。
ここで、前記透明電極パターンの端部がテーパー形状であるときの透明電極パターンの端部の角度(以下、テーパー角とも言う)は、30°以下であることが好ましく、0.1〜15°であることがより好ましく、0.5〜5°であることが特に好ましい。
本明細書中におけるテーパー角の測定方法は、前記透明電極パターンの端部の顕微鏡写真を撮影し、その顕微鏡写真のテーパー部分を三角形に近似し、テーパー角を直接測定して求めることができる。
図10に透明電極パターンの端部がテーパー形状である場合の一例を示す。図10におけるテーパー部分を近似した三角形は、底面が800nmであり、高さ(底面と略平行な上底部分における膜厚)が40nmであり、このときのテーパー角αは約3°である。テーパー部分を近似した三角形の底面は、10〜3000nmであることが好ましく、100〜1500nmであることがより好ましく、300〜1000nmであることが特に好ましい。なお、テーパー部分を近似した三角形の高さの好ましい範囲は、透明電極パターンの膜厚の好ましい範囲と同様である。
本発明の透明積層体は、前記透明電極パターンおよび前記第二の透明膜が互いに隣接している領域を面内に含むことが好ましい。
図11には、前記透明基板、前記第一の透明膜、前記透明電極パターンおよび前記第二の透明膜がこの順に積層された領域21において、前記透明電極パターンおよび前記第二の透明膜が互いに隣接している態様が示されている。
また、本発明の透明積層体は、前記第一の透明膜および前記第二の透明膜によって、前記透明電極パターンおよび前記透明電極パターンが形成されていない非パターン領域22の両方が連続して直接または他の層を介して被覆されたことが好ましい。
ここで、「連続して」とは、前記第一の透明膜および前記第二の透明膜がパターン膜ではなく、連続膜であることを意味する。すなわち、前記第一の透明膜および前記第二の透明膜は、開口部を有していないことが、透明電極パターンを視認されにくくする観点から好ましい。
また、前記第一の透明膜および前記第二の透明膜によって、前記透明電極パターンおよび前記非パターン領域22が、他の層を介して被覆されるよりも、直接被覆されることが好ましい。他の層を介して被覆される場合における該「他の層」としては、後述する本発明の静電容量型入力装置に含まれる絶縁層5や、後述する本発明の静電容量型入力装置のように透明電極パターンが2層以上含まれる場合は2層目の透明電極パターンなどを挙げることができる。
図11には、前記第一の透明膜11上の透明電極パターン4が積層していない領域と、透明電極パターン4との上にまたがって、両者とそれぞれ隣接して、前記第二の透明膜12が積層している態様が示されている。
また、透明電極パターン4の端部がテーパー形状である場合は、テーパー形状に沿って(テーパー角と同じ傾きで)前記第二の透明膜12が積層していることが好ましい。
本発明の透明積層体は前記第二の透明膜の厚みが55〜110nmであり、60〜110nmであることが好ましく、70〜90nmであることがより好ましい。
ここで、前記第二の透明膜は、単層構造であっても、2層以上の積層構造であってもよい。前記第二の透明膜が2層以上の積層構造である場合、前記第一の透明膜の膜厚とは、全層の合計膜厚を意味する。
本発明の透明積層体は、前記第二の透明膜の前記透明電極パターンが形成された表面とは反対側の表面上に、さらに、屈折率1.5〜1.55の透明保護膜が形成されたことが好ましい。なお、透明保護膜7は、非パターン領域の第二の透明膜の表面上にも形成されることが好ましい。
図11では、前記第二の透明膜12の前記透明電極パターンが形成された表面とは反対側の表面上に、透明保護膜7が積層された態様が示されている。
本発明の透明積層体は前記透明保護膜の厚みが0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがより好ましく、1〜3μmであることが特に好ましい。
<透明積層体の材料>
(透明基板)
本発明の透明積層体は、前記透明基板が屈折率1.5〜1.55のガラス基板であることが好ましい。前記透明基板の屈折率は、1.5〜1.52であることが特に好ましい。
前記透明基板は、ガラス基板等の透光性基板で構成されており、コーニング社のゴリラガラスに代表される強化ガラスなどを用いることができる。また、前記透明基板としては、特開2010−86684号公報、特開2010−152809号公報および特開2010−257492号公報に用いられている材料を好ましく用いることができ、これらの文献の内容は本明細書中に組み込まれる。
(第一の透明膜)
本発明の透明積層体は、前記第一の透明膜の屈折率が1.6〜1.78であり、1.65〜1.74であることが好ましい。ここで、前記第一の透明膜は、単層構造であっても、2層以上の積層構造であってもよい。前記第一の透明膜が2層以上の積層構造である場合、前記第一の透明膜の屈折率とは、全層の屈折率を意味する。
このような屈折率の範囲を満たす限りにおいて、前記第一の透明膜の材料は特に制限されない。
(1)透明樹脂膜
本発明の透明積層体は、前記第一の透明膜および前記第二の透明膜の少なくとも一方が、透明樹脂膜であることが好ましい。
前記透明樹脂膜の屈折率を制御する方法としては特に制限はないが、所望の屈折率の透明樹脂膜を単独で用いたり、金属微粒子や金属酸化物微粒子などの微粒子を添加した透明樹脂膜を用いたりすることができる。
前記透明樹脂膜に用いられる樹脂組成物は、屈折率や光透過性を調節することを目的として、金属酸化物粒子を含有することが好ましい。金属酸化物粒子は、透明性が高く、光透過性を有するため、高屈折率で、透明性に優れたポジ型感光性樹脂組成物が得られる。
前記金属酸化物粒子は、当該粒子を除いた材料からなる樹脂組成物の屈折率より屈折率が高いものであることが好ましく、具体的には、400〜750nmの波長を有する光における屈折率が1.50以上の粒子がより好ましく、屈折率が1.70以上の粒子が更に好ましく、1.90以上の粒子が特に好ましい。
ここで、400〜750nmの波長を有する光における屈折率が1.50以上であるとは、上記範囲の波長を有する光における平均屈折率が1.50以上であることを意味し、上記範囲の波長を有する全ての光における屈折率が1.50以上であることを要しない。また、平均屈折率は、上記範囲の波長を有する各光に対する屈折率の測定値の総和を、測定点の数で割った値である。
なお、前記金属酸化物粒子の金属には、B、Si、Ge、As、Sb、Te等の半金属も含まれるものとする。
光透過性で屈折率の高い金属酸化物粒子としては、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、La、Ce、Gd、Tb、Dy、Yb、Lu、Ti、Zr、Hf、Nb、Mo、W、Zn、B、Al、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Te等の原子を含む酸化物粒子が好ましく、酸化チタン、チタン複合酸化物、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、インジウム/スズ酸化物、アンチモン/スズ酸化物がより好ましく、酸化チタン、チタン複合酸化物、酸化ジルコニウムが更に好ましく、酸化チタン、酸化ジルコニウムが特に好ましく、二酸化チタンが最も好ましい。二酸化チタンとしては、特に屈折率の高いルチル型が好ましい。これら金属酸化物粒子は、分散安定性付与のために表面を有機材料で処理することもできる。
樹脂組成物の透明性の観点から、前記金属酸化物粒子の平均一次粒子径は、1〜200nmが好ましく、3〜80nmが特に好ましい。ここで粒子の平均一次粒子径は、電子顕微鏡により任意の粒子200個の粒子径を測定し、その算術平均をいう。また、粒子の形状が球形でない場合には、最も長い辺を径とする。
また、前記金属酸化物粒子は、1種単独で使用してよいし、2種以上を併用することもできる。
前記樹脂組成物における金属酸化物粒子の含有量は、樹脂組成物により得られる光学部材に要求される屈折率や、光透過性等を考慮して、適宜決定すればよいが、前記樹脂組成物の全固形分に対して、5〜80質量%とすることが好ましく、10〜70質量%とすることがより好ましい。
本発明の透明積層体は、前記透明樹脂膜が、ZrO2粒子およびTiO2粒子のうち少なくとも一方を有することが前記第一の透明膜および前記第二の透明膜の屈折率の範囲に屈折率を制御する観点から好ましい。
透明樹脂膜に用いられる樹脂(バインダー)やその他の添加剤としては本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に制限は無く、後述する本発明の静電容量型入力装置を製造するときに用いられる感光性フィルムの感光性樹脂層に用いられる樹脂やその他の添加剤を好ましく用いることができる。
(2)無機膜
本発明の透明積層体は、前記第一の透明膜および前記第二の透明膜が無機膜であってもよい。
前記無機膜としては、特開2010−86684号公報、特開2010−152809号公報および特開2010−257492号公報などに用いられている無機膜を用いることができ、これらの文献に記載されている低屈折率材料と高屈折率材料の積層構造の無機膜や、低屈折率材料と高屈折率材料の混合膜の無機膜を用いることが屈折率を制御する観点から好ましい。前記低屈折率材料と前記高屈折率材料は、上記の特開2010−86684号公報、特開2010−152809号公報および特開2010−257492号公報に用いられている材料を好ましく用いることができ、これらの文献の内容は本明細書中に組み込まれる。
本発明の透明積層体は、前記第一の透明膜および前記第二の透明膜の少なくとも一方が、SiO2とNb25の混合膜であることが好ましく、スパッタによって形成されたSiO2とNb25の混合膜であることがより好ましい。
(透明電極パターン)
前記透明電極パターンの屈折率は1.75〜2.1であることが好ましい。
前記透明電極パターンの材料は特に制限されることはなく、公知の材料を用いることができる。例えば、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)などの透光性の導電性金属酸化膜で作製することができる。このような金属膜としては、ITO膜;Al、Zn、Cu、Fe、Ni、Cr、Mo等の金属膜;SiO2等の金属酸化膜などが挙げられる。この際、各要素の、膜厚は10〜200nmとすることができる。また、焼成により、アモルファスのITO膜を多結晶のITO膜とするため、電気的抵抗を低減することもできる。また、前記第一の透明電極パターン3と、第二の透明電極パターン4と、後述する導電性要素6とは、前記導電性繊維を用いた光硬化性樹脂層を有する感光性フィルムを用いて製造することもできる。その他、ITO等によって第一の導電性パターン等を形成する場合には、特許第4506785号公報の段落[0014]〜[0016]等を参考にすることができる。その中でも、前記透明電極パターンは、ITO膜であることが好ましい。
本発明の透明積層体は、前記透明電極パターンが屈折率1.75〜2.1のITO膜であることが好ましい。
(第二の透明膜)
本発明の透明積層体は、前記第二の透明膜の屈折率が1.6〜1.78である。
前記第二の透明膜の材料の好ましい範囲と屈折率などの物性の好ましい範囲は、前記第一の透明膜のそれらの好ましい範囲と同様である。
本発明の透明積層体は、前記第一の透明膜と第二の透明膜が、同一材料によって構成されたことが光学的均質性の観点から好ましい。
(透明保護膜)
前記透明保護膜の屈折率は、1.5〜1.55であることが好ましく、1.5〜1.52であることがより好ましい。
前記透明保護膜の材料としては、表面硬度、耐熱性が高いものが好ましく、公知の感光性シロキサン樹脂材料、アクリル樹脂材料などが用いられる。
(第三の透明膜)
前記第三の透明膜の屈折率は、1.5〜1.55であることが前記透明基板の屈折率に近付けて、透明電極パターンの視認性を改善する観点から好ましく、1.5〜1.52であることがより好ましい。
<透明積層体の製造方法>
(第一の透明膜および第二の透明膜の製膜)
前記第一の透明膜は、前記透明電極の上に直接、または、前記第三の透明膜などの他の層を介して、製膜される。
前記第二の透明膜は、前記透明電極パターン上と、前記非パターン領域では前記第一の透明膜上に直接、または、他の層を介して、製膜される。
第一の透明膜および第二の透明膜の製膜方法としては特に制限はないが、転写またはスパッタによって製膜することが好ましい。
その中でも、本発明の透明積層体は、前記第一の透明膜および前記第二の透明膜の少なくとも一方が、仮支持体上に形成された透明硬化性樹脂膜を、前記透明基板上に転写して製膜されてなることが好ましく、転写後に硬化して製膜されてなることがより好ましい。転写および硬化の方法としては、後述する本発明の静電容量型入力装置の説明における感光性フィルムを用いる方法を挙げることができる。その場合は、感光性フィルム中の光硬化性樹脂層に前記金属酸化物微粒子を分散させることで、前記第一の透明膜および前記第二の透明膜の範囲に屈折率を調整することが好ましい。
一方、前記第一の透明膜または前記第二の透明膜が無機膜である場合は、スパッタによって形成されてなることが好ましい。すなわち、本発明の透明積層体は、前記第一の透明膜および前記第二の透明膜の少なくとも一方が、スパッタによって形成されてなることも好ましい。
スパッタの方法としては、特開2010−86684号公報、特開2010−152809号公報および特開2010−257492号公報に用いられている方法を好ましく用いることができ、これらの文献の内容は本明細書中に組み込まれる。
(透明電極パターンの製膜)
前記透明電極パターンは、後述する本発明の静電容量型入力装置の説明における、前記第一の透明電極パターン3、第二の透明電極パターン4および別の導電要素6の形成方法などを用いて、前記第一の透明膜上に製膜することができ、感光性フィルムを用いる方法が好ましい。
[静電容量型入力装置]
本発明の静電容量型入力装置は、本発明の透明積層体を有することを特徴とする。
本発明の静電容量型入力装置は、前記透明基板(以下、本発明の透明積層体における前記透明基板を、前面板や基材とも言う)と、屈折率1.6〜1.78であり膜厚が55〜110nmの第一の透明膜、透明電極パターン、および、屈折率1.6〜1.78であり膜厚が55〜110nmの第二の透明膜を含む。
さらに前記静電容量型入力装置は、前記前面板の非接触側に、下記(1)〜(5)の要素を有すことが好ましい。
本発明の静電容量型入力装置の製造方法に制限はないが、前記(1)〜(5)の要素の少なくとも一つを、仮支持体と光硬化性樹脂層とをこの順で有する感光性フィルムを用いて形成することが好ましく、仮支持体と熱可塑性樹脂層と光硬化性樹脂層とをこの順で有する感光性フィルムを用いて形成することがより好ましい。
(1)マスク層
(2)複数のパッド部分が接続部分を介して第一の方向に延在して形成された複数の第一の透明電極パターン
(3)前記第一の透明電極パターンと電気的に絶縁され、前記第一の方向に交差する方向に延在して形成された複数のパッド部分からなる複数の第二の透明電極パターン
(4)前記第一の透明電極パターンと前記第二の透明電極パターンとを電気的に絶縁する絶縁層
(5)前記第一の透明電極パターンおよび前記第二の透明電極パターンの少なくとも一方に電気的に接続され、前記第一の透明電極パターンおよび前記第二の透明電極パターンとは別の導電性要素
本発明の静電容量型入力装置は、さらに前記(1)〜(5)の要素の全てまたは一部を覆うように透明保護層を設置することが好ましく、前記透明保護層が本発明の透明積層体における透明保護層であることがより好ましい。
また、さらに必要に応じて前記マスク層と前記透明基板(前面板)の間に、加飾のために、加飾層を有していてもよく、例えば白色の加飾層を設けることが好ましい。
本発明の静電容量型入力装置は、このような様々な部材を含む場合であっても、第一の透明膜および第二の透明膜によって挟まれた透明電極パターンを目立たなくすることができ、視認性の問題を改善することができる。
《静電容量型入力装置の構成と製造方法》
<構成>
まず、本発明の静電容量型入力装置の好ましい構成について、装置を構成する各部材の製造方法とあわせて説明する。図1Aは、本発明の静電容量型入力装置の好ましい構成を示す断面図である。図1Aにおいて静電容量型入力装置10は、透明基板(前面板)1と、マスク層2と、第一の透明膜11と、第一の透明電極パターン3と、第二の透明電極パターン4と、絶縁層5と、導電性要素6と、第二の透明膜12と、透明保護層7と、から構成されている態様が示されている。
また、後述する図3におけるX−X’断面を表した図1Bも同様に、本発明の静電容量型入力装置の好ましい構成を示す断面図である。図1Bにおいて静電容量型入力装置10は、透明基板(前面板)1と、第一の透明膜11と、第一の透明電極パターン3と、第二の透明電極パターン4と、第二の透明膜12と、透明保護層7と、から構成されている態様が示されている。
透明基板(前面板)1は、本発明の透明積層体における透明電極パターンの材料として挙げたものを用いることができ。また、図1Aにおいて、前面板1の各要素が設けられている側を非接触面と称する。本発明の静電容量型入力装置10においては、前面板1の接触面(非接触面の反対の面)に指などを接触などさせて入力が行われる。
また、前面板1の非接触面上にはマスク層2が設けられている。マスク層2は、タッチパネル前面板の非接触側に形成された表示領域周囲の額縁状のパターンであり、引回し配線等が見えないようにするために形成される。
本発明の静電容量型入力装置10には、図2に示すように、前面板1の一部の領域(図2においては入力面以外の領域)を覆うようにマスク層2が設けられている。更に、前面板1には、図2に示すように一部に開口部8を設けることができる。開口部8には、押圧によるメカニカルなスイッチを設置することができる。
前面板1の接触面には、複数のパッド部分が接続部分を介して第一の方向に延在して形成された複数の第一の透明電極パターン3と、第一の透明電極パターン3と電気的に絶縁され、第一の方向に交差する方向に延在して形成された複数のパッド部分からなる複数の第二の透明電極パターン4と、第一の透明電極パターン3と第二の透明電極パターン4を電気的に絶縁する絶縁層5とが形成されている。前記第一の透明電極パターン3と、第二の透明電極パターン4と、後述する導電性要素6とは、本発明の透明積層体における透明電極パターンの材料として挙げたものを用いることができ、ITO膜であることが好ましい。
また、第一の透明電極パターン3および第二の透明電極パターン4の少なくとも一方は、前面板1の非接触面およびマスク層2の前面板1とは逆側の面の両方の領域にまたがって設置することができる。図1Aにおいては、第二の透明電極パターンが、前面板1の非接触面およびマスク層2の前面板1とは逆側の面の両方の領域にまたがって設置されている図が示されている。このように、一定の厚みが必要なマスク層と前面板裏面とにまたがって感光性フィルムをラミネートする場合でも、後述する特定の層構成を有する感光性フィルムを用いることで真空ラミネータなどの高価な設備を用いなくても、簡単な工程でマスク部分境界に泡の発生がないラミネートが可能になる。
図3を用いて第一の透明電極パターン3および第二の透明電極パターン4について説明する。図3は、本発明における第一の透明電極パターンおよび第二の透明電極パターンの一例を示す説明図である。図3に示すように、第一の透明電極パターン3は、パッド部分3aが接続部分3bを介して第一の方向に延在して形成されている。また、第二の透明電極パターン4は、第一の透明電極パターン3と絶縁層5によって電気的に絶縁されており、第一の方向に交差する方向(図3における第二の方向)に延在して形成された複数のパッド部分によって構成されている。ここで、第一の透明電極パターン3を形成する場合、前記パッド部分3aと接続部分3bとを一体として作製してもよいし、接続部分3bのみを作製して、パッド部分3aと第二の透明電極パターン4とを一体として作製(パターニング)してもよい。パッド部分3aと第二の透明電極パターン4とを一体として作製(パターニング)する場合、図3に示すように接続部分3bの一部とパッド部分3aの一部とが連結され、且つ、絶縁層5によって第一の透明電極パターン3と第二の透明電極パターン4とが電気的に絶縁されるように各層が形成される。
また、図3における第一の透明電極パターン3や第二の透明電極パターン4や後述する導電性要素6が形成されていない領域が、本発明の透明積層体における非パターン領域22に相当する。
図1Aにおいて、マスク層2の前面板1とは逆側の面側には導電性要素6が設置されている。導電性要素6は、第一の透明電極パターン3および第二の透明電極パターン4の少なくとも一方に電気的に接続され、且つ、第一の透明電極パターン3および第二の透明電極パターン4とは別の要素である。図1Aにおいては、導電性要素6が第二の透明電極パターン4に接続されている図が示されている。
また、図1Aにおいては、各構成要素の全てを覆うように透明保護層7が設置されている。透明保護層7は、各構成要素の一部のみを覆うように構成されていてもよい。絶縁層5と透明保護層7とは、同一材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。絶縁層5と透明保護層7とを構成する材料としては、本発明の透明積層体における透明保護層の材料として挙げたものを好ましく用いることができる。
<製造方法>
本発明の製造方法においては、マスク層2と、第一の透明電極パターン3と、第二の透明電極パターン4と、絶縁層5と、導電性要素6と、必要に応じて透明保護層7との少なくとも一要素が、仮支持体と光硬化性樹脂層とをこの順で有する前記感光性フィルム(以下、感光性転写材料とも言う)を用いて形成されることが好ましい。
前記マスク層2、絶縁層5および透明保護層7は、前記感光性フィルムを用いて光硬化性樹脂層を前面板1に転写することで形成することができる。例えば、黒色のマスク層2を形成する場合には、前記光硬化性樹脂層として黒色光硬化性樹脂層を有する前記感光性フィルムを用いて、前記前面板1の表面に前記黒色光硬化性樹脂層を転写することで形成することができる。絶縁層5を形成する場合には、前記光硬化性樹脂層として絶縁性の光硬化性樹脂層を有する前記感光性フィルムを用いて、第一の透明電極パターンが形成された前記前面板1の表面に前記光硬化性樹脂層を転写することで形成することができる。透明保護層7を形成する場合には、前記光硬化性樹脂層として透明の光硬化性樹脂層を有する前記感光性フィルムを用いて、各要素が形成された前記前面板1の表面に前記光硬化性樹脂層を転写することで形成することができる。
前記マスク層2等を、前記感光性フィルムを用いて形成すると、開口部を有する基板(前面板)でも開口部分からレジスト成分のモレがなく、特に前面板の境界ギリギリまで遮光パターンを形成する必要のあるマスク層でのガラス端からのレジスト成分のはみ出しがないため基板裏側を汚染することなく、簡略な工程で、薄層/軽量化のメリットがあるタッチパネルの製造を可能となる。
さらに、遮光性が必要なマスク層2の形成に、光硬化性樹脂層と仮支持体との間に熱可塑性樹脂層を有する特定の層構成を有する前記感光性フィルムを用いることで感光性フィルムラミネート時の気泡発生を防止し、光モレのない高品位なマスク層2等を形成することができる。
前記第一の透明電極パターン3、第二の透明電極パターン4および導電性要素6は、エッチング処理または導電性光硬化性樹脂層を有する前記感光性フィルムを用いて形成することができる。
エッチング処理によって、前記第一の透明電極パターン3、第二の透明電極パターン4および別の導電要素6を形成する場合、まずマスク層2等が形成された前面板1の非接触面上にITO等の透明電極層をスパッタリングによって形成する。次いで、前記透明電極層上に前記光硬化性樹脂層としてエッチング用光硬化性樹脂層を有する前記感光性フィルムを用いて露光・現像によってエッチングパターンを形成する。その後、透明電極層をエッチングして透明電極をパターニングし、エッチングパターンを除去することで、第一の透明電極パターン3等を形成することができる。
導電性光硬化性樹脂層を有する前記感光性フィルムを用いて、前記第一の透明電極パターン3、第二の透明電極パターン4および別の導電要素6を形成する場合、前記前面板1の表面に前記導電性光硬化性樹脂層を転写することで形成することができる。
前記第一の透明電極パターン3等を、前記導電性光硬化性樹脂層を有する感光性フィルムを用いて形成すると、開口部を有する基板(前面板)でも開口部分からレジスト成分のモレがなく、基板裏側を汚染することなく、簡略な工程で、薄層/軽量化のメリットがあるタッチパネルの製造を可能となる。
さらに、第一の透明電極パターン3等の形成に、導電性光硬化性樹脂層と仮支持体との間に熱可塑性樹脂層を有する特定の層構成を有する前記感光性フィルムを用いることで感光性フィルムラミネート時の気泡発生を防止し、導電性に優れ抵抗の少ないに第一の透明電極パターン3、第二の透明電極パターン4および別の導電要素6を形成することができる。
本発明の静電容量型入力装置を製造する過程で形成される態様例として、図4〜8の態様を挙げることができる。図4は、開口部8が形成された強化処理ガラス11の一例を示す上面図である。図5は、マスク層2が形成された前面板の一例を示す上面図である。図6は、第一の透明電極パターン3が形成された前面板の一例を示す上面図である。図7は、第一の透明電極パターン3と第二の透明電極パターン4が形成された前面板の一例を示す上面図である。図8は、第一および第二の透明電極パターンとは別の導電性要素6が形成された前面板の一例を示す上面図である。これらは、上記説明を具体化した例を示すものであり、本発明の範囲はこれらの図面により限定的に解釈されることはない。
《感光性フィルムを用いる各部材の製造方法》
次に、本発明の静電容量型入力装置を製造するときに好ましく用いられる前記感光性フィルムについて説明する。前記感光性フィルムは、仮支持体と光硬化性樹脂層を有し、仮支持体と光硬化性樹脂層との間に熱可塑性樹脂層を有することが好ましい。前記熱可塑性樹脂層を有する感光性フィルムを用いて、マスク層等を形成すると、光硬化性樹脂層を転写して形成した要素に気泡が発生し難くなり、画像表示装置に画像ムラなどが発生し難くなり、優れた表示特性を得ることができる。
前記感光性フィルムは、ネガ型材料であってもポジ型材料であってもよい。
<仮支持体>
仮支持体としては、可撓性を有し、加圧下または、加圧および加熱下で著しい変形、収縮もしくは伸びを生じない材料を用いることができる。このような支持体の例として、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等が挙げられ、中でも2 軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
仮支持体の厚みには、特に制限はなく、5〜200μmの範囲が一般的であり、取扱い易さ、汎用性などの点で、特に10〜150μmの範囲が好ましい。
また、仮支持体は透明でもよいし、染料化ケイ素、アルミナゾル、クロム塩、ジルコニウム塩などを含有していてもよい。
また、前記仮支持体には、特開2005−221726号公報に記載の方法などにより、導電性を付与することができる。
<熱可塑性樹脂層>
前記感光性フィルムは、仮支持体と着色感光性樹脂層との間に熱可塑性樹脂層が設けられることが好ましい。前記熱可塑性樹脂層はアルカリ可溶性であることが好ましい。熱可塑性樹脂層は、下地表面の凹凸(既に形成されている画像などによる凹凸等も含む。) を吸収することができるようにクッション材としての役割を担うものであり、対象面の凹凸に応じて変形しうる性質を有していることが好ましい。
熱可塑性樹脂層は、特開平5−72724号公報に記載の有機高分子物質を成分として含む態様が好ましく、ヴィカー(Vicat)法〔具体的には、アメリカ材料試験法エーエステーエムデーASTMD1235によるポリマー軟化点測定法〕による軟化点が約80℃以下の有機高分子物質より選ばれる少なくとも1種を含む態様が特に好ましい。
具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレンと酢酸ビニルまたはそのケン化物等とのエチレン共重合体、エチレンとアクリル酸エステルまたはそのケン化物との共重合体、ポリ塩化ビニルや塩化ビニルと酢酸ビニルまたはそのケン化物等との塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン共重合体、ポリスチレン、スチレンと(メタ)アクリル酸エステルまたはそのケン化物等とのスチレン共重合体、ポリビニルトルエン、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステルまたはそのケン化物等とのビニルトルエン共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等との(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル共重合体ナイロン、共重合ナイロン、N−アルコキシメチル化ナイロン、N−ジメチルアミノ化ナイロン等のポリアミド樹脂などの有機高分子が挙げられる。
熱可塑性樹脂層の層厚は、3〜30μmが好ましい。熱可塑性樹脂層の層厚が3μm未満の場合には、ラミネート時の追随性が不十分で、下地表面の凹凸を完全に吸収できないことがある。また、層厚が30μmを超える場合には、仮支持体への熱可塑性樹脂層の形成時の乾燥(溶剤除去)に負荷がかかったり、熱可塑性樹脂層の現像に時間を要したりし、プロセス適性を悪化させることがある。前記熱可塑性樹脂層の層厚としては、4〜25μmが更に好ましく、5〜20μmが特に好ましい。
熱可塑性樹脂層は、熱可塑性の有機高分子を含む調製液を塗布等して形成することができ、塗布等の際に用いる調製液は溶媒を用いて調製できる。溶媒には、該層を構成する高分子成分を溶解し得るものであれば特に制限なく、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、n−プロパノール、2−プロパノール等が挙げられる。
<光硬化性樹脂層>
前記感光性フィルムは、その用途に応じて光硬化性樹脂層に添加物を加える。即ち、マスク層の形成に前記感光性フィルムを用いる場合には、光硬化性樹脂層に着色剤を含有させる。また、前記感光性フィルムが導電性光硬化性樹脂層を有する場合は、前記光硬化性樹脂層に導電性繊維等が含有される。
前記感光性フィルムがネガ型材料である場合、光硬化性樹脂層には、アルカリ可溶性樹脂、重合性化合物、重合開始剤または重合開始系、を含むことが好ましい。さらに、着色剤、添加剤、などが用いられるがこれに限られたものではない。
前記感光性フィルムに含まれるアルカリ可溶性樹脂としては、特開2011−95716号公報の段落[0025]、特開2010−237589号公報の段落[0033]〜[0052]に記載のポリマーを用いることができる。
前記重合性化合物としては、特許第4098550号の段落[0023]〜[0024]に記載の重合性化合物を用いることができる。
前記重合開始剤または重合開始系としては、特開2011−95716号公報に記載の[0031]〜[0042]に記載の重合性化合物を用いることができる。
(導電性光硬化性樹脂層(導電性繊維))
前記導電性光硬化性樹脂層を積層した前記感光性フィルムを透明電極パターン、あるいは別の導電性要素の形成に用いる場合には、以下の導電性繊維などを光硬化性樹脂層に用いることができる。
導電性繊維の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、中実構造および中空構造のいずれかが好ましい。
ここで、中実構造の繊維を「ワイヤー」と称することがあり、中空構造の繊維を「チューブ」と称することがある。また、平均短軸長さが5nm〜1,000nmであって、平均長軸長さが1μm〜100μmの導電性繊維を「ナノワイヤー」と称することがある。
また、平均短軸長さが1nm〜1,000nm、平均長軸長さが0.1μm〜1,000μmであって、中空構造を持つ導電性繊維を「ナノチューブ」と称することがある。
前記導電性繊維の材料としては、導電性を有していれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、金属およびカーボンの少なくともいずれかが好ましく、これらの中でも、前記導電性繊維は、金属ナノワイヤー、金属ナノチューブ、およびカーボンナノチューブの少なくともいずれかが特に好ましい。
−金属ナノワイヤー−
−−金属−−
前記金属ナノワイヤーの材料としては、特に制限はなく、例えば、長周期律表(IUPAC1991)の第4周期、第5周期、および第6周期からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属が好ましく、第2族〜第14族から選ばれる少なくとも1種の金属がより好ましく、第2族、第8族、第9族、第10族、第11族、第12族、第13族、および第14族から選ばれる少なくとも1種の金属が更に好ましく、主成分として含むことが特に好ましい。
前記金属としては、例えば、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンテル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、これらの合金などが挙げられる。これらの中でも、導電性に優れる点で、銀を主に含有するもの、または銀と銀以外の金属との合金を含有するものが好ましい。
前記銀を主に含有するとは、金属ナノワイヤー中に銀を50質量%以上、好ましくは90質量%以上含有することを意味する。
前記銀との合金で使用する金属としては、白金、オスミウム、パラジウムおよびイリジウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
−形状−
前記金属ナノワイヤーの形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円柱状、直方体状、断面が多角形となる柱状など任意の形状をとることができるが、高い透明性が必要とされる用途では、円柱状、断面の多角形の角が丸まっている断面形状が好ましい。
前記金属ナノワイヤーの断面形状は、基材上に金属ナノワイヤー水分散液を塗布し、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより調べることができる。
前記金属ナノワイヤーの断面の角とは、断面の各辺を延長し、隣り合う辺から降ろされた垂線と交わる点の周辺部を意味する。また、「断面の各辺」とはこれらの隣り合う角と角を結んだ直線とする。この場合、前記「断面の各辺」の合計長さに対する前記「断面の外周長さ」との割合を鋭利度とした。鋭利度は、例えば図9に示したような金属ナノワイヤー断面では、実線で示した断面の外周長さと点線で示した五角形の外周長さとの割合で表すことができる。この鋭利度が75%以下の断面形状を角の丸い断面形状と定義する。前記鋭利度は60%以下が好ましく、50%以下がより好ましい。前記鋭利度が75%を超えると、該角に電子が局在し、プラズモン吸収が増加するためか、黄色みが残るなどして透明性が悪化してしまうことがある。また、パターンのエッジ部の直線性が低下し、ガタツキが生じてしまうことがある。前記鋭利度の下限は、30%が好ましく、40%がより好ましい。
−−平均短軸長さ径および平均長軸長さ−−
前記金属ナノワイヤーの平均短軸長さ(「平均短軸径」、「平均直径」と称することがある)としては、150nm以下が好ましく、1nm〜40nmがより好ましく、10nm〜40nmが更に好ましく、15nm〜35nmが特に好ましい。
前記平均短軸長さが、1nm未満であると、耐酸化性が悪化し、耐久性が悪くなることがあり、150nmを超えると、金属ナノワイヤー起因の散乱が生じ、十分な透明性を得ることができないことがある。
前記金属ナノワイヤーの平均短軸長さは、透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子(株)製、JEM−2000FX)を用い、300個の金属ナノワイヤーを観察し、その平均値から金属ナノワイヤーの平均短軸長さを求めた。なお、前記金属ナノワイヤーの短軸が円形でない場合の短軸長さは、最も長いものを短軸長さとした。
前記金属ナノワイヤーの平均長軸長さ(「平均長さ」と称することがある)としては、1μm〜40μmが好ましく、3μm〜35μmがより好ましく、5μm〜30μmが更に好ましい。
前記平均長軸長さが、1μm未満であると、密なネットワークを形成することが難しく、十分な導電性を得ることができないことがあり、40μmを超えると、金属ナノワイヤーが長すぎて製造時に絡まり、製造過程で凝集物が生じてしまうことがある。
前記金属ナノワイヤーの平均長軸長さは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子(株)製、JEM−2000FX)を用い、300個の金属ナノワイヤーを観察し、その平均値から金属ナノワイヤーの平均長軸長さを求めた。なお、前記金属ナノワイヤーが曲がっている場合、それを弧とする円を考慮し、その半径、および曲率から算出される値を長軸長さとした。
導電性光硬化性樹脂層の層厚は、塗布液の安定性や塗布時の乾燥やパターニング時の現像時間などのプロセス適性の観点から、0.1〜20μmが好ましく、0.5〜18μmが更に好ましく、1〜15μmが特に好ましい。前記導電性光硬化性樹脂層の全固形分に対する前記導電性繊維の含有量は、導電性と塗布液の安定性の観点から、0.01〜50質量%が好ましく、0.05〜30質量%が更に好ましく、0.1〜20質量%が特に好ましい。
(マスク層(着色剤))
また、前記感光性フィルムをマスク層として用いる場合には、光硬化性樹脂層に着色剤を用いることができる。本発明に用いる着色剤としては、公知の着色剤(有機顔料、無機顔料、染料等)を好適に用いることができる。尚、本発明においては、黒色着色剤の他に、赤、青、緑色等の顔料の混合物等を用いることができる。
前記光硬化性樹脂層を黒色のマスク層として用いる場合には、光学濃度の観点から、黒色着色剤を含むことが好ましい。黒色着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタンカーボン、酸化鉄、酸化チタン、黒鉛などが挙げられ、中でも、カーボンブラックが好ましい。
前記光硬化性樹脂層を白色のマスク層として用いる場合には、特開2005−7765公報の段落[0015]や[0114]に記載のホワイト顔料を用いることができる。その他の色のマスク層として用いるためには、特許第4546276号公報の段落[0183]〜[0185]などに記載の顔料、あるいは染料を混合して用いてもよい。具体的には、特開2005−17716号公報の段落番号[0038]〜[0054]に記載の顔料および染料、特開2004−361447号公報の段落番号[0068]〜[0072]に記載の顔料、特開2005−17521号公報の段落番号[0080]〜[0088]に記載の着色剤等を好適に用いることができる。
前記着色剤(好ましくは顔料、より好ましくはカーボンブラック)は、分散液として使用することが望ましい。この分散液は、前記着色剤と顔料分散剤とを予め混合して得られる組成物を、後述する有機溶媒(またはビヒクル)に添加して分散させることによって調製することができる。前記ビビクルとは、塗料が液体状態にある時に顔料を分散させている媒質の部分をいい、液状であって前記顔料と結合して塗膜を形成する成分(バインダー)と、これを溶解希釈する成分(有機溶媒)とを含む。
前記顔料を分散させる際に使用する分散機としては、特に制限はなく、例えば、朝倉邦造著、「顔料の事典」、第一版、朝倉書店、2000年、438項に記載されているニーダー、ロールミル、アトライダー、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー、サンドミル等の公知の分散機が挙げられる。更に該文献310頁記載の機械的摩砕により、摩擦力を利用し微粉砕してもよい。
本発明で用いる着色剤は、分散安定性の観点から、数平均粒径0.001μm〜0.1μmのものが好ましく、更に0.01μm〜0.08μmのものが好ましい。尚、ここで言う「粒径」とは粒子の電子顕微鏡写真画像を同面積の円とした時の直径を言い、また「数平均粒径」とは多数の粒子について前記の粒径を求め、この100個平均値をいう。
着色剤を含む光硬化性樹脂層の層厚は、他層との厚み差の観点から、0.5〜10μmが好ましく、0.8〜5μmが更に好ましく、1〜3μmが特に好ましい。前記着色感光性樹脂組成物の固形分中の着色剤の含有率としては、特に制限はないが、十分に現像時間を短縮する観点から、15〜70質量%であることが好ましく、20〜60質量%であることがより好ましく、25〜50質量%であることが更に好ましい。
本明細書でいう全固形分とは着色感光性樹脂組成物から溶剤等を除いた不揮発成分の総質量を意味する。
尚、前記感光性フィルムを用いて絶縁層を形成する場合、光硬化性樹脂層の層厚は、絶縁性の維持の観点から、0.1〜5μmが好ましく、0.3〜3μmが更に好ましく、0.5〜2μmが特に好ましい。
前記感光性フィルムを用いて透明保護層を形成する場合、光硬化性樹脂層の層厚は、十分な表面保護能を発揮させる観点から、0.1〜10μmが好ましく、0.5〜5μmが更に好ましく、1〜3μmが特に好ましい。
<添加剤>
さらに、前記光硬化性樹脂層は、添加剤を用いてもよい。前記添加剤としては、例えば特許第4502784号公報の段落[0017]、特開2009−237362号公報の段落[0060]〜[0071]に記載の界面活性剤や、特許第4502784号公報の段落[0018]に記載の熱重合防止剤、さらに、特開2000−310706号公報の段落[0058]〜[0071]に記載のその他の添加剤が挙げられる。
また、前記感光性フィルムを塗布により製造する際の溶剤としては、特開2011−95716号公報の段落[0043]〜[0044]に記載の溶剤を用いることができる。
以上、前記感光性フィルムがネガ型材料である場合を中心に説明したが、前記感光性フィルムは、ポジ型材料であってもよい。前記感光性フィルムがポジ型材料である場合、光硬化性樹脂層に、例えば特開2005−221726号公報に記載の材料などが用いられるが、これに限られたものではない。
<熱可塑性樹脂層および光硬化性樹脂層の粘度>
前記熱可塑性樹脂層の100℃で測定した粘度が1000〜10000Pa・secの領域にあり、光硬化性樹脂層の100℃で測定した粘度が2000〜50000Pa・secの領域にあり、さらに次式(A)を満たすことが好ましい。
式(A):熱可塑性樹脂層の粘度<光硬化性樹脂層の粘度
ここで、各層の粘度は、次のようにして測定できる。大気圧および減圧乾燥により、熱可塑性樹脂層あるいは光硬化性樹脂層用塗布液から溶剤を除去して測定サンプルとし、例えば、測定器として、バイブロン(DD−III型:東洋ボールドウィン(株)製)を使用し、測定開始温度50℃、測定終了温度150℃、昇温速度5℃/分および振動数1Hz/degの条件で測定し、100℃の測定値を用いることができる。
<他の層>
前記感光性フィルムには、光硬化性樹脂層と熱可塑性樹脂層との間に中間層を設けたり、あるいは光硬化性樹脂層の表面に保護フィルムなどを更に設けたりして好適に構成することができる。
前記感光性フィルムには、複数層を塗布する際および塗布後の保存の際における成分の混合を防止する目的で、中間層を設けることが好ましい。中間層としては、特開平5−72724号公報に「分離層」として記載されている、酸素遮断機能のある酸素遮断膜が好ましく、露光時の感度がアップし、露光機の時間負荷を低減し得、生産性が向上する。
前記中間層および保護フィルムとしては、特開2006−259138号公報の段落[0083]〜[0087]および[0093]に記載のものを適宜使用することができる。
<感光性フィルムの作製方法>
前記感光性フィルムは、特開2006−259138号公報の段落[0094]〜[0098]に記載の感光性転写材料の作製方法に準じて作製することができる。
具体的に中間層を有する前記感光性フィルムを形成する場合には、仮支持体上に、熱可塑性の有機高分子と共に添加剤を溶解した溶解液(熱可塑性樹脂層用塗布液)を塗布し、乾燥させて熱可塑性樹脂層を設けた後、この熱可塑性樹脂層上に熱可塑性樹脂層を溶解しない溶剤に樹脂や添加剤を加えて調製した調製液(中間層用塗布液)を塗布し、乾燥させて中間層を積層し、この中間層上に更に、中間層を溶解しない溶剤を用いて調製した着色感光性樹脂層用塗布液を塗布し、乾燥させて着色感光性樹脂層を積層することによって、好適に作製することができる。
《本発明の静電容量型入力装置の製造方法》
上述のように本発明の静電容量型入力装置の製造方法は、マスク層と、第一の透明電極パターンと、第二の透明電極パターンと、絶縁層と、導電性要素と、必要に応じて透明保護層との少なくとも一要素が、仮支持体と熱可塑性樹脂層と光硬化性樹脂層とをこの順で有する前記感光性フィルムを用いて形成されることが好ましい。
前記マスク層、絶縁層および透明保護層や、導電性光硬化性樹脂層を用いた場合の第一の透明電極パターン、第二の透明電極パターンおよび導電性要素などの永久材を、前記感光性フィルムを用いて形成する場合、感光性フィルムは、基材にラミネートされた後、必要なパターン様に露光され、ネガ型材料の場合は非露光部分、ポジ型材料の場合は露光部分を現像処理して除去することでパターンを得ることができる。この際、現像は熱可塑性樹脂層と、光硬化性層を別々の液で現像除去してもよいし、同一の液で除去してもよい。必要に応じて、ブラシや高圧ジェットなどの公知の現像設備を組み合わせてもよい。現像の後、必要に応じて、ポスト露光、ポストベークを行ってもよい。
また、後の転写工程におけるラミネートによる感光性樹脂層の密着性を高めるために、予め基材(前面板)の非接触面に表面処理を施すことができる。前記表面処理としては、シラン化合物を用いた表面処理(シランカップリング処理)を実施することが好ましい。シランカップリング剤としては、感光性樹脂と相互作用する官能基を有するものが好ましい。例えばシランカップリング液(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3質量%水溶液、商品名:KBM603、信越化学(株)製)をシャワーにより20秒間吹き付け、純水シャワー洗浄する。この後、加熱により反応させる。加熱槽を用いてもよく、ラミネータの基板予備加熱でも反応を促進できる。
また、前記感光性フィルムをリフトオフ材として用いて、第一の透明電極層、第二の透明電極層およびその他の導電性部材を形成することもできる。この場合、前記感光性フィルムを用いてパターニングした後に、基材全面に透明導電層を形成した後、堆積した透明導電層ごと前記光硬化性樹脂層の溶解除去を行うことにより所望の透明導電層パターンを得ることができる(リフトオフ法)。
(永久材を感光性フィルムを用いて形成する場合)
前記マスク層、絶縁層、透明保護層、前記第一の透明膜、前記第二の透明膜などの永久材を、前記感光性フィルムを用いて形成する場合について、マスク層(黒色)を形成する方法を例にして、前記感光性フィルムを用いたパターニング方法を説明する。
前記マスク層を形成する方法は、前記感光性フィルムから前記カバーフィルムを除去するカバーフィルム除去工程と、前記カバーフィルムが除去された前記感光性転写材料の前記感光性樹脂層を基材上に転写する転写工程と、基材上に転写された前記感光性樹脂層を露光する露光工程と、露光された感光性樹脂層を現像してパターン画像を得る現像工程と、を有する方法が挙げられる。
−転写工程−
前記転写工程は、前記カバーフィルムが除去された前記感光性フィルムの前記光硬化性樹脂層を基材上に転写する工程である。
この際、前記感光性フィルムの光硬化性樹脂層を基材にラミネート後、仮支持体を除去することによって行う方法が好ましい。
光硬化性樹脂層の基材表面への転写(貼り合わせ)は、光硬化性樹脂層を基材表面に重ね、加圧、加熱することに行われる。貼り合わせには、ラミネータ、真空ラミネータ、および、より生産性を高めることができるオートカットラミネーター等の公知のラミネータを使用することができる。
−露光工程、現像工程、およびその他の工程−
前記露光工程、現像工程、およびその他の工程の例としては、特開2006−23696号公報の段落番号[0035]〜[0051]に記載の方法を本発明においても好適に用いることができる。
前記露光工程は、基材上に転写された前記光硬化性樹脂層を露光する工程である。
具体的には、前記基材上に形成された光硬化性樹脂層の上方に所定のマスクを配置し、その後該マスク、熱可塑性樹脂層、および中間層を介してマスク上方から露光する方法が挙げられる。
ここで、前記露光の光源としては、光硬化性樹脂層を硬化しうる波長域の光(例えば、365nm、405nmなど)を照射できるものであれば適宜選定して用いることができる。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。露光量としては、通常5〜200mJ/cm2程度であり、好ましくは10〜100mJ/cm2程度である。
前記現像工程は、露光された光硬化性樹脂層を現像する工程である。
前記現像は、現像液を用いて行うことができる。前記現像液としては、特に制約はなく、特開平5−72724号公報に記載のものなど、公知の現像液を使用することができる。尚、現像液は光硬化性樹脂層が溶解型の現像挙動をするものが好ましく、例えば、pKa=7〜13の化合物を0.05〜5mol/Lの濃度で含むものが好ましいが、更に水と混和性を有する有機溶剤を少量添加してもよい。水と混和性を有する有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。該有機溶剤の濃度は0.1質量%〜30質量%が好ましい。 また、前記現像液には、更に公知の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の濃度は0.01質量%〜10質量%が好ましい。
前記現像の方式としては、パドル現像、シャワー現像、シャワー&スピン現像、ディプ現像等のいずれでもよい。ここで、前記シャワー現像について説明すると、露光後の光硬化性樹脂層に現像液をシャワーにより吹き付けることにより、未硬化部分を除去することができる。尚、熱可塑性樹脂層や中間層を設けた場合には、現像の前に光硬化性樹脂層の溶解性が低いアルカリ性の液をシャワーなどにより吹き付け、熱可塑性樹脂層、中間層などを除去しておくことが好ましい。また、現像の後に、洗浄剤などをシャワーにより吹き付け、ブラシなどで擦りながら、現像残渣を除去することが好ましい。現像液の液温度は20℃〜40℃が好ましく、また、現像液のpHは8〜13が好ましい。
前記静電容量型入力装置の製造方法は、ポスト露光工程、ポストベーク工程等、その他の工程を有していてもよい。
尚、パターニング露光は、仮支持体を剥離してから行ってもよいし、仮支持体を剥離する前に露光し、その後、仮支持体を剥離してもよい。マスクを介した露光でも良いし、レーザー等を用いたデジタル露光でも良い。
(エッチングレジストとして前記感光性フィルムを用いた場合)
前記感光性フィルムをエッチングレジスト(エッチングパターン)として用いる場合にも、前記方法と同様にして、レジストパターンを得ることができる。前記エッチングは、特開2010−152155公報の段落[0048]〜[0054]等に記載の公知の方法でエッチング、レジスト剥離を適用することができる。
例えば、エッチングの方法としては、一般的に行われている、エッチング液に浸漬するウェットエッチング法が挙げられる。ウェットエッチングに用いられるエッチング液は、エッチングの対象に合わせて酸性タイプまたはアルカリ性タイプのものを適宜選択すればよい。酸性タイプのエッチング液としては、塩酸、硫酸、フッ酸、リン酸等の酸性成分単独の水溶液、酸性成分と塩化第2鉄、フッ化アンモニウム、過マンガン酸カリウム等の塩の混合水溶液等が例示される。酸性成分は、複数の酸性成分を組み合わせたものを使用してもよい。また、アルカリ性タイプのエッチング液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、有機アミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドのような有機アミンの塩等のアルカリ成分単独の水溶液、アルカリ成分と過マンガン酸カリウム等の塩の混合水溶液等が例示される。アルカリ成分は、複数のアルカリ成分を組み合わせたものを使用してもよい。
エッチング液の温度は特に限定されないが、45℃以下であることが好ましい。本発明でエッチングマスク(エッチングパターン)として使用される樹脂パターンは、上述した光硬化性樹脂層を使用して形成されることにより、このような温度域における酸性およびアルカリ性のエッチング液に対して特に優れた耐性を発揮する。したがって、エッチング工程中に樹脂パターンが剥離することが防止され、樹脂パターンの存在しない部分が選択的にエッチングされることになる。
前記エッチング後、ライン汚染を防ぐために必要に応じて、洗浄工程・乾燥工程を行ってもよい。洗浄工程については、例えば常温で純水により10〜300秒間基材を洗浄して行い、乾燥工程については、エアブローを使用して、エアブロー圧(0.1〜5kg/cm2程度)を適宜調整し行えばよい。
次いで、樹脂パターンの剥離方法としては、特に限定されないが、例えば、30〜80℃、好ましくは50〜80℃にて攪拌中の剥離液に基材を5〜30分間浸漬する方法が挙げられる。本発明でエッチングマスクとして使用される樹脂パターンは、上述のように45℃以下において優れた薬液耐性を示すものであるが、薬液温度が50℃以上になるとアルカリ性の剥離液により膨潤する性質を示す。このような性質により、50〜80℃の剥離液を使用して剥離工程を行うと工程時間が短縮され、樹脂パターンの剥離残渣が少なくなるという利点がある。すなわち、前記エッチング工程と剥離工程との間で薬液温度に差を設けることにより、本発明でエッチングマスクとして使用される樹脂パターンは、エッチング工程において良好な薬液耐性を発揮する一方で、剥離工程において良好な剥離性を示すことになり、薬液耐性と剥離性という、相反する特性を両方とも満足することができる。
剥離液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ成分や、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等の有機アルカリ成分を、水、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、またはこれらの混合溶液に溶解させたものが挙げられる。前記の剥離液を使用し、スプレー法、シャワー法、パドル法等により剥離してもよい。
[静電容量型入力装置を構成要素として備えた画像表示装置]
本発明の画像表示装置は、本発明の静電容量型入力装置を構成要素として備えたことを特徴とする。
本発明の静電容量型入力装置、および当該静電容量型入力装置を構成要素として備えた画像表示装置は、『最新タッチパネル技術』(2009年7月6日発行(株)テクノタイムズ)、三谷雄二監修、“タッチパネルの技術と開発”、シーエムシー出版(2004,12)、FPD International 2009 Forum T−11講演テキストブック、Cypress Semiconductor Corporation アプリケーションノートAN2292等に開示されている構成を適用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
[実施例1〜11および比較例1〜15:透明積層体の製造]
<第一の透明膜の形成>
屈折率1.5または1.51のガラス製透明基板上に、下記表1中に示す屈折率、膜厚を有する第一の透明膜を、下記に記す方法により製膜した。
Figure 2016154016
(1)スピン塗布:透明膜−1、2、5〜15および19〜21の製膜
下記表2に記す組成によって調製した透明硬化性組成物用の材料−1から材料−9を、スピン塗布(MIKASA Co.,LTD製のMIKASA SPINCOATER 1H−D7を使用;1000rpm)により、ガラス製透明基板上にスピン塗布した。100℃、120秒間の前加熱(プリベーク)を行った後、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)にてi線50mJ/cm2で塗布面に全面に露光を行った。次いで、230℃、60分間の後加熱(ポストベーク)を行い、ガラス製透明基板上に上記表1に示す第一の透明膜が積層された基板を得た。
なお、下記表2および下記一般式(1)中、「%」、「wt%」は、いずれも質量%を表す。
Figure 2016154016
一般式(1)
Figure 2016154016
(2)スパッタ製膜:透明膜−3、17および18の製膜
真空チャンバー内に配設されたガラス製透明基板と、この基板に対向する同一平面上の同一円周上位置にそれぞれ配設されたスパッタリングターゲットであるSiO2ターゲットと、Nb25ターゲット、各ターゲットに電力を印加する電源と、ターゲットに対向する位置で回転する基板回転機構とを備えた、薄膜形成装置により、下記の手順に従い、製膜した。
まず、ガラス製透明基板をセットした後、所定の圧力(例えば7×10-5Pa)まで真空チャンバー内を高真空ポンプで排気した。全バルブを開いた後、ArガスをSiO2ターゲット用のガス導入口から真空計においてトータル圧力が4×10-1Paとなるまで導入し、さらに、引き続きO2ガスをガス導入口から圧力5×10-1Paとなるまで導入した。続いて、交流電源から300Wの交流電力を印加し、SiO2ターゲットのSiO2上にプラズマを発生せた。次に、ArガスをNb25ターゲットのガス導入口から真空計において圧力が7×10-1Paとなるまで、導入した。引き続きO2ガスをガス導入口から圧力が1.0Paとなるまで導入した。続いて、直流電源から300wの直流電力を印加し、Nb25ターゲット上にプラズマを発生させた。そして、各印加電力から、SiO2ターゲットに印加する印加電力と、Nb25ターゲットに印加する印加電力とを混合膜の屈折率に応じてそれぞれ下記表3に示すように設定した後に、SiO2ターゲット及びNb25ターゲット直上の各シャッターを同時に約60分開閉することで、ガラス製透明基板上に下記表3に示すように屈折率と膜厚を調整した第一の透明膜が積層された基板を得た。
Figure 2016154016
(3)ラミネート製膜:透明膜−4および16の製膜
〔転写材料の調製〕
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体の上に、スリット状ノズルを用いて、下記処方H1からなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させた。次に、下記処方P1からなる中間層用塗布液を塗布、乾燥させた。更に、上記表2に記載の組成によって調製した透明硬化性組成物用の材料−1または材料−6を塗布、乾燥させた。このようにして仮支持体の上に乾燥膜厚が15.1μmの熱可塑性樹脂層と、乾燥膜厚が1.6μmの中間層と、上記表1中の乾燥膜厚になるような透明硬化性樹脂層を設け、最後に保護フイルム(厚さ12μmポリプロピレンフィルム)を圧着した。こうして仮支持体と熱可塑性樹脂層と中間層(酸素遮断膜)と透明硬化性樹脂層とが一体となった転写材料を作製した。
(熱可塑性樹脂層用塗布液:処方H1)
・メタノール :11.1質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :6.36質量部
・メチルエチルケトン :52.4質量部
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジル
メタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=
55/11.7/4.5/28.8、分子量=10万、Tg≒70℃)
:5.83質量部
・スチレン/アクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=63/37、
重量平均分子量=1万、Tg≒100℃) :13.6質量部
・モノマー1(商品名:BPE−500、新中村化学工業(株)製)
:9.1質量部
・フッ素系ポリマー :0.54質量部
上記のフッ素系ポリマーは、C613CH2CH2OCOCH=CH2 40部とH(OCH(CH3)CH27OCOCH=CH2 55部とH(OCHCH27OCOCH=CH2 5部との共重合体で、重量平均分子量3万、メチルエチルケトン30質量%溶液である(商品名:メガファックF780F、大日本インキ化学工業(株)製)
(中間層用塗布液:処方P1)
・ポリビニルアルコール :32.2質量部
(商品名:PVA205、(株)クラレ製、鹸化度=88%、重合度550)
・ポリビニルピロリドン :14.9質量部
(商品名:K−30、アイエスピー・ジャパン(株)製)
・蒸留水 :524質量部
・メタノール :429質量部
〔透明膜の形成〕
ガラス製透明基板上に、透明硬化性樹脂層を、PET仮支持体との界面で剥離したのち、熱可塑性樹脂および中間層と共に転写した。
次に、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)を用いて、熱可塑性樹脂層側からi線、40mJ/cm2にて全面露光した。次に、トリエタノールアミン系現像液(トリエタノールアミン30%含有、商品名:T−PD2(富士フイルム(株)製)を純水で10倍(T−PD2を1部と純水9部の割合で混合)に希釈した液)を30Cで60秒間、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像し、熱可塑性樹脂と中間層を除去した。引き続き、このガラス製透明基板の上面(透明硬化性樹脂層側)にエアを吹きかけて液きりした後、純粋をシャワーにより10秒間吹きつけ、純粋シャワー洗浄し、エアを吹きかけてガラス製透明基板上の液だまりを減らした。次に、基板を230℃下で60分間加熱処理(ポストベーク)を行い、ガラス製透明基板上に上記表1に示す第一の透明膜が積層された基板を得た。
<透明電極パターンの形成>
〔実施例1で用いた透明電極層の形成〕
実施例1では、ガラス製透明基板上に第一の透明膜が積層された基板を、真空チャンバー内に導入し、SnO2含有率が10質量%のITOターゲット(インジウム:錫=95:5(モル比))を用いて、DCマグネトロンスパッタリング(条件:基材の温度250℃、アルゴン圧0.13Pa、酸素圧0.01Pa)により、厚さ40nm、屈折率1.82のITO薄膜を形成し、透明電極層を形成した前面板を得た。ITO薄膜の表面抵抗は80Ω/□であった。
〔エッチング用感光性フィルムE1の調製〕
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体の上に、スリット状ノズルを用いて、上述の処方H1からなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させた。次に、上述の処方P1からなる中間層用塗布液を塗布、乾燥させた。更に、エッチング用光硬化性樹脂層用塗布液:処方E1を塗布、乾燥させた。このようにして仮支持体の上に乾燥膜厚が15.1μmの熱可塑性樹脂層と、乾燥膜厚が1.6μmの中間層と、膜厚2.0μmエッチング用光硬化性樹脂層から成る積層体を得、最後に保護フイルム(厚さ12μmポリプロピレンフィルム)を圧着した。こうして仮支持体と熱可塑性樹脂層と中間層(酸素遮断膜)と透明硬化性樹脂層とが一体となった転写材料を作製した。
(エッチング用光硬化性樹脂層用塗布液:処方E1)
・メチルメタクリレート/スチレン/メタクリル酸共重合体
(共重合体組成(質量%):31/40/29、質量平均分子量60000、
酸価163mgKOH/g) :16質量部
・モノマー1(商品名:BPE−500、新中村化学工業(株)製)
:5.6質量部
・ヘキサメチレンジイソシアネートのテトラエチレンオキシドモノ
メタクリレート0.5モル付加物 :7質量部
・分子中に重合性基を1つ有する化合物としてのシクロヘキサンジ
メタノールモノアクリレート :2.8質量部
・2−クロロ−N−ブチルアクリドン :0.42質量部
・2,2−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル
ビイミダゾール :2.17質量部
・マラカイトグリーンシュウ酸塩 :0.02質量部
・ロイコクリスタルバイオレット :0.26質量部
・フェノチアジン :0.013質量部
・界面活性剤(商品名:メガファックF−780F、大日本インキ(株)製)
:0.03質量部
・メチルエチルケトン :40質量部
・1−メトキシ−2−プロパノール :20質量部
なお、エッチング用光硬化性樹脂層用塗布液E1の溶剤除去後の100℃の粘度は2500Pa・secであった。
〔透明電極パターンの形成〕
透明電極層を形成した前面板を洗浄し、保護フィルムを除去したエッチング用感光性フィルムE1をラミネートした(基材温度:130℃、ゴムローラー温度120℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分)。仮支持体を剥離後、露光マスク(透明電極パターンを有す石英露光マスク)面と該エッチング用光硬化性樹脂層との間の距離を200μmに設定し、露光量50mJ/cm2(i線)でパターン露光した。
次に、トリエタノールアミン系現像液(トリエタノールアミン30質量%含有、商品名:T−PD2(富士フイルム(株)製)を純水で10倍に希釈した液)を25℃で100秒間、界面活性剤含有洗浄液(商品名:T−SD3(富士フイルム(株)製)を純水で10倍に希釈した液)を用いて33℃で20秒間処理し、回転ブラシ、超高圧洗浄ノズルで残渣除去を行い、さらに130℃30分間のポストベーク処理を行って、透明電極層とエッチング用光硬化性樹脂層パターンとを形成した前面板を得た。
透明電極層とエッチング用光硬化性樹脂層パターンとを形成した前面板を、ITOエッチャント(塩酸、塩化カリウム水溶液。液温30℃)を入れたエッチング槽に浸漬し、100秒処理し、エッチング用光硬化性樹脂層で覆われていない露出した領域の透明電極層を溶解除去し、エッチング用光硬化性樹脂層パターンのついた透明電極層パターン付の前面板を得た。
次に、エッチング用光硬化性樹脂層パターンのついた透明電極層パターン付の前面板を、レジスト剥離液(N−メチル−2−ピロリドン、モノエタノールアミン、界面活性剤(商品名:サーフィノール465、エアープロダクツ製)液温45℃)を入れたレジスト剥離槽に浸漬し、200秒処理し、エッチング用光硬化性樹脂層を除去し、ガラス製透明基板上に第一の透明膜および透明電極パターンを形成した基板を得た。
透明電極パターンの端部をPtコート(約20nm厚)により、導電性付与及び表面保護を行った後、FEI製Nova200型FIB/SEM複合機を用いて、透明電極パターン端部の形状観察(二次電子像、加速電圧20kV)を行った。
実施例1で形成したITOパターンは、図10の様なテーパー形状となっており、テーパー角α=約3°であった。
その他の実施例および比較例では、下記表4に記載の屈折率と膜厚となるように用いた透明電極層を実施例1と同様にして、ガラス製透明基板上に第一の透明膜および透明電極パターンを形成した基板を得た。
<第二の透明膜の形成>
ガラス製透明基板上に第一の透明膜および透明電極パターンを形成した基板上に、上記表1中に示す屈折率、膜厚を有する第二の透明膜を、第一の透明膜の形成と同様の方法により製膜した。
こうして、ガラス製透明基板上に第一の透明膜、透明電極パターンをおよび第二の透明膜形成した基板を得た。
<透明保護膜の形成>
(透明保護膜−Aの形成方法)
特開2012−78528号公報の実施例1に記載の感光性樹脂層用塗布液処方1を用いて、同公報の[0103]〜[0113]の方法に従い、こうして仮支持体と熱可塑性樹脂層と中間層と感光性樹脂層とが一体となった感光性転写フィルムを作成した。
ガラス製透明基板上に第一の透明膜、透明電極パターンをおよび第二の透明膜形成した基板上に、作成した感光性転写フィルムの感光性樹脂層を、PET仮支持体との界面で剥離したのち、熱可塑性樹脂および中間層と共に転写した(層形成工程)。
次に、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)を用いて、熱可塑性樹脂層側からi線、40mJ/cm2にて全面露光した。次に、トリエタノールアミン系現像液(トリエタノールアミン30%含有、商品名:T−PD2(富士フイルム(株)製)を純水で10倍(T−PD2を1部と純水9部の割合で混合)に希釈した液)を30Cで60秒間、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像し、熱可塑性樹脂と中間層を除去した。引き続き、このガラス製透明基板の上面(感光性樹脂層側)にエアを吹きかけて液きりした後、純粋をシャワーにより10秒間吹きつけ、純粋シャワー洗浄し、エアを吹きかけてガラス製透明基板上の液だまりを減らした。次に、基板を230℃下で60分間加熱処理(ポストベーク)を行い、ガラス製透明基板上に第一の透明膜、透明電極パターンをおよび第二の透明膜形成した基板上に、下記表4に示す屈折率および膜厚の透明保護膜が積層された各実施例および比較例の透明積層体を得た。
感光性樹脂層用塗布液処方を下記の様に変更した以外は、全て透明保護膜−Aの形成方法と同様にして、ガラス製透明基板上に、第一の透明膜、透明電極パターンをおよび第二の透明膜形成した基板上に下記の透明保護膜−B〜透明保護膜−Eが積層された各実施例および比較例の透明積層体を得た。
透明保護膜−B:特開2012−78528号公報の実施例3に記載の組成物
透明保護膜−C:特開2012−78528号公報の実施例25に記載の組成物
透明保護膜−D:特開2012−78528号公報の実施例26に記載の組成物
透明保護膜−E:特開2012−78528号公報の実施例27に記載の組成物
下記表4に各透明保護膜の屈折率および膜厚を示した。
<透明電極パターンの視認性の評価>
ガラス製透明基板上に、第一の透明膜、透明電極パターン、第二の透明膜および透明保護膜を順に積層させた透明積層体を、透明接着テープ(3M社製、商品名、OCAテープ8171CL)を介して、透明積層体と黒色PET材と接着させ、基板全体を遮光した。
透明電極パターン視認性は、暗室において、蛍光灯(光源)と作成した基板を、ガラス面側から光を入射させ、ガラス表面からの反射光を、斜めから目視観察することにより行った。
《評価基準》
◎ ITOパターンが全く見えない。
〇 ITOパターンがわずかに見えるが、ほとんど見えない。
× ITOパターンがよく見える。
得られた結果を下記表4に記載した。
Figure 2016154016
上記表4より、本発明の透明積層体は、透明電極パターンが視認される問題がないことがわかった。
一方、第一の透明膜と第二の透明膜の屈折率が本発明で規定する範囲の下限値を下回る比較例1および3〜6の透明積層体は、透明電極パターンが視認される問題があった。
第一の透明膜と第二の透明膜の屈折率が本発明で規定する範囲の下限値を下回り、かつ、第一の透明膜と第二の透明膜の膜厚が本発明で規定する範囲の上限値を上回る比較例2の透明積層体は、透明電極パターンが視認される問題があった。
第一の透明膜と第二の透明膜の膜厚が本発明で規定する範囲の下限値を下回る比較例7および9の透明積層体は、透明電極パターンが視認される問題があった。
第一の透明膜と第二の透明膜の膜厚が本発明で規定する範囲の上限値を上回る比較例8および10の透明積層体は、透明電極パターンが視認される問題があった。
第一の透明膜と第二の透明膜の屈折率が本発明で規定する範囲の上限値を上回る比較例11の透明積層体は、透明電極パターンが視認される問題があった。
第二の透明膜を設けていない比較例15の透明積層体は、透明電極パターンが視認される問題があった。
さらに、実施例1の透明積層体の製造において、透明基板と同じ屈折率の第三の透明膜を設けた後、その上に第一の透明膜を製膜した以外は実施例1と同様にして透明積層体を製造した場合も、同様に透明電極パターンが視認される問題がないことを確認した。
[実施例101〜111、比較例101〜115:静電容量型入力装置の製造]
《マスク層の形成》
[マスク層形成用感光性フィルムK1の調製]
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体の上に、スリット状ノズルを用いて、上述の処方H1からなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させた。次に、上述の処方P1からなる中間層用塗布液を塗布、乾燥させた。更に、下記処方K1からなる黒色光硬化性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させた。このようにして仮支持体の上に乾燥膜厚が15.1μmの熱可塑性樹脂層と、乾燥膜厚が1.6μmの中間層と、光学濃度が4.0となるように乾燥膜厚が2.2μmの黒色光硬化性樹脂層を設け、最後に保護フイルム(厚さ12μmポリプロピレンフィルム)を圧着した。こうして仮支持体と熱可塑性樹脂層と中間層(酸素遮断膜)と黒色光硬化性樹脂層とが一体となった転写材料を作製し、サンプル名をマスク層形成用感光性フィルムK1とした。
(黒色光硬化性樹脂層用塗布液:処方K1)
・K顔料分散物1 :31.2質量部
・R顔料分散物1(下記の組成) :3.3質量部
・MMPGAc(ダイセル化学(株)製) :6.2質量部
・メチルエチルケトン(東燃化学(株)製) :34.0質量部
・シクロヘキサノン(関東電化工業(株)製) :8.5質量部
・バインダー2(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=78/22モル比の
ランダム共重合物、重量平均分子量3.8万) :10.8質量部
・フェノチアジン(東京化成(株)製) :0.01質量部
・DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、 日本化薬(株)製)
のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(76質量%)
:5.5質量部
・2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビス(エトキシ
カルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン
:0.4質量部
・界面活性剤(商品名:メガファックF−780F、大日本インキ(株)製)
:0.1質量部
なお、黒色光硬化性樹脂層用塗布液K1の溶剤除去後の100℃の粘度は10000Pa・secであった。
(K顔料分散物1の組成)
・カーボンブラック(商品名:Nipex35、デグッサ社製) :13.1質量%
・下記分散剤1 :0.65質量%
・バインダー1(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比の
ランダム共重合物、重量平均分子量3.7万) :6.72質量%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :79.53質量%
Figure 2016154016
−R顔料分散物1の組成−
・顔料(C.I.ピグメントレッド177) :18質量%
・バインダー1(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比の
ランダム共重合物、重量平均分子量3.7万) :12質量%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :70質量%
[マスク層の形成]
次いで、開口部(15mmΦ)が形成された強化処理ガラス(300mm×400mm×0.7mm)に、25℃に調整したガラス洗浄剤液をシャワーにより20秒間吹き付けながらナイロン毛を有する回転ブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3質量%水溶液、商品名:KBM603、信越化学工業(株)製)をシャワーにより20秒間吹き付け、純水シャワー洗浄した。この基材を基材予備加熱装置で140℃2分間加熱した。得られたシランカップリング処理ガラス基材に、上述から得られたマスク層形成用感光性フィルムK1からカバーフィルムを除去し、除去後に露出した黒色光硬化性樹脂層の表面と前記シランカップリング処理ガラス基材の表面とが接するように重ね合わせ、ラミネータ((株)日立インダストリイズ製(LamicII型))を用いて、前記140℃で加熱した基材に、ゴムローラー温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分でラミネートした。続いてポリエチレンテレフタレートの仮支持体を、熱可塑性樹脂層との界面で剥離し、仮支持体を除去した。仮支持体を剥離後、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)で、基材と露光マスク(額縁パターンを有す石英露光マスク)とを垂直に立てた状態で、露光マスク面と該黒色光硬化性樹脂層の間の距離を200μmに設定し、露光量70mJ/cm2(i線)でパターン露光した。
次に、トリエタノールアミン系現像液(トリエタノールアミン30質量%含有、商品名:T−PD2(富士フイルム(株)製)を純水で10倍に希釈した液)を33℃で60秒間、フラットノズル圧力0.1MPaでシャワー現像し、熱可塑性樹脂層と中間層とを除去した。引き続き、このガラス基材の上面にエアを吹きかけて液切りした後、純水をシャワーにより10秒間吹き付け、純水シャワー洗浄し、エアを吹きかけて基材上の液だまりを減らした。
その後、炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム系現像液(商品名:T−CD1(富士フイルム(株)製)を純水で5倍に希釈した液)を用いて32℃でシャワー圧を0.1MPaに設定して、45秒現像し、純水で洗浄した。
引き続き、界面活性剤含有洗浄液(商品名:T−SD3(富士フイルム(株)製)を純水で10倍に希釈した液)を用いて33℃で20秒間、コーン型ノズル圧力0.1MPaにてシャワーで吹きかけ、更にやわらかいナイロン毛を有する回転ブラシにより、形成されたパターン像を擦って残渣除去を行った。さらに、超高圧洗浄ノズルにて9.8MPaの圧力で超純水を噴射して残渣除去を行い、
次いで大気下にて露光量1300mJ/cm2にてポスト露光を行い、さらに240℃80分間のポストベーク処理を行って、光学濃度4.0、膜厚2.0μmのマスク層が形成された前面板を得た。
《第一の透明膜》
マスク層が形成された前面板に対して、実施例1〜11および比較例1〜15と同様にして、第一の透明膜を製膜した。
《第一の透明電極パターンの形成》
[透明電極層の形成]
マスク層および第一の透明膜が形成された前面板を、真空チャンバー内に導入し、SnO2含有率が10質量%のITOターゲット(インジウム:錫=95:5(モル比))を用いて、DCマグネトロンスパッタリング(条件:基材の温度250℃、アルゴン圧0.13Pa、酸素圧0.01Pa)により、厚さ40nmのITO薄膜を形成し、透明電極層を形成した前面板を得た。ITO薄膜の表面抵抗は80Ω/□であった。
[エッチング用感光性フィルムE1の調製]
前記マスク層形成用感光性フィルムK1の調製において、黒色光硬化性樹脂層用塗布液を、下記処方E1からなるエッチング用光硬化性樹脂層用塗布液に代えた以外はマスク層形成用感光性フィルムK1の調製と同様にして、エッチング用感光性フィルムE1を得た(エッチング用光硬化性樹脂層の膜厚は2.0μmであった)。
(エッチング用光硬化性樹脂層用塗布液:処方E1)
・メチルメタクリレート/スチレン/メタクリル酸共重合体
(共重合体組成(質量%):31/40/29、質量平均分子量60000、
酸価163mgKOH/g) :16質量部
・モノマー1(商品名:BPE−500、新中村化学工業(株)製)
:5.6質量部
・ヘキサメチレンジイソシアネートのテトラエチレンオキシドモノ
メタクリレート0.5モル付加物 :7質量部
・分子中に重合性基を1つ有する化合物としてのシクロヘキサンジ
メタノールモノアクリレート :2.8質量部
・2−クロロ−N−ブチルアクリドン :0.42質量部
・2,2−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル
ビイミダゾール :2.17質量部
・マラカイトグリーンシュウ酸塩 :0.02質量部
・ロイコクリスタルバイオレット :0.26質量部
・フェノチアジン :0.013質量部
・界面活性剤(商品名:メガファックF−780F、大日本インキ(株)製)
:0.03質量部
・メチルエチルケトン :40質量部
・1−メトキシ−2−プロパノール :20質量部
なお、エッチング用光硬化性樹脂層用塗布液E1の溶剤除去後の100℃の粘度は2500Pa・secであった。
[第一の透明電極パターンの形成]
マスク層の形成と同様にして、マスク層、第一の透明膜、透明電極層を形成した前面板を洗浄し、カバーフィルムを除去したエッチング用感光性フィルムE1をラミネートした(基材温度:130℃、ゴムローラー温度120℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分)。仮支持体を剥離後、露光マスク(透明電極パターンを有す石英露光マスク)面と該エッチング用光硬化性樹脂層との間の距離を200μmに設定し、露光量50mJ/cm2(i線)でパターン露光した。
次に、トリエタノールアミン系現像液(トリエタノールアミン30質量%含有、商品名:T−PD2(富士フイルム(株)製)を純水で10倍に希釈した液)を25℃で100秒間、界面活性剤含有洗浄液(商品名:T−SD3(富士フイルム(株)製)を純水で10倍に希釈した液)を用いて33℃で20秒間処理し、回転ブラシ、超高圧洗浄ノズルで残渣除去を行い、さらに130℃30分間のポストベーク処理を行って、透明電極層とエッチング用光硬化性樹脂層パターンとを形成した前面板を得た。
透明電極層とエッチング用光硬化性樹脂層パターンとを形成した前面板を、ITOエッチャント(塩酸、塩化カリウム水溶液。液温30℃)を入れたエッチング槽に浸漬し、100秒処理し、エッチング用光硬化性樹脂層で覆われていない露出した領域の透明電極層を溶解除去し、エッチング用光硬化性樹脂層パターンのついた透明電極層パターン付の前面板を得た。
次に、エッチング用光硬化性樹脂層パターンのついた透明電極層パターン付の前面板を、レジスト剥離液(N−メチル−2−ピロリドン、モノエタノールアミン、界面活性剤(商品名:サーフィノール465、エアープロダクツ製)液温45℃)を入れたレジスト剥離槽に浸漬し、200秒処理し、エッチング用光硬化性樹脂層を除去し、マスク層、第一の透明膜および第一の透明電極パターンとを形成した前面板を得た。
《絶縁層の形成》
[絶縁層形成用感光性フィルムW1の調製]
マスク層形成用感光性フィルムK1の調製において、黒色光硬化性樹脂層用塗布液を、下記処方W1からなる絶縁層用光硬化性樹脂層用塗布液に代えた以外はマスク層形成用感光性フィルムK1の調製と同様にして、絶縁層形成用感光性フィルムW1を得た(絶縁層用光硬化性樹脂層の膜厚は1.4μm)。
(絶縁層形成用塗布液:処方W1)
・バインダー3(シクロヘキシルメタクリレート(a)/メチルメタクリレート(b)/メタクリル酸共重合体(c)のグリシジルメタクリレート付加物(d)(組成(質量%):a/b/c/d=46/1/10/43、質量平均分子量:36000、酸価66mgKOH/g)の1−メトキシ−2−プロパノール、メチルエチルケトン溶液(固形分:45%))
:12.5質量部
・DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬(株)製)
のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(76質量%)
:1.4質量部
・ウレタン系モノマー(商品名:NKオリゴUA−32P、新中村化学(株)製
:不揮発分75%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:
25%) :0.68質量部
・トリペンタエリスリトールオクタアクリレート(商品名:V#802、
大阪有機化学工業(株)製) :1.8質量部
・ジエチルチオキサントン :0.17質量部
・2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−
[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン
(商品名:Irgacure379、BASF製) :0.17質量部
・分散剤(商品名:ソルスパース20000、アビシア製) :0.19質量部
・界面活性剤(商品名:メガファックF−780F、大日本インキ製)
:0.05質量部
・メチルエチルケトン :23.3質量部
・MMPGAc(ダイセル化学(株)製) :59.8質量部
なお、絶縁層形成用塗布液W1の溶剤除去後の100℃の粘度は4000Pa・secであった。
マスク層の形成と同様にして、前記マスク層、第一の透明膜、第一の透明電極パターン付の前面板を洗浄、シランカップリング処理し、カバーフィルムを除去した絶縁層形成用感光性フィルムW1をラミネートした(基材温度:100℃、ゴムローラー温度120℃、線圧100N/cm、搬送速度2.3m/分)。仮支持体を剥離後、露光マスク(絶縁層用パターンを有す石英露光マスク)面と該エッチング用光硬化性樹脂層との間の距離を100μmに設定し、露光量30mJ/cm2(i線)でパターン露光した。
次に、トリエタノールアミン系現像液(トリエタノールアミン30質量%含有、商品名:T−PD2(富士フイルム(株)製)を純水で10倍に希釈した液)を33℃で60秒間、炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム系現像液(商品名:T−CD1(富士フイルム(株)製)を純水で5倍に希釈した液)を25℃で50秒間、界面活性剤含有洗浄液(商品名:T−SD3(富士フイルム(株)製)を純水で10倍に希釈した液)を用いて33℃で20秒間処理し、回転ブラシ、超高圧洗浄ノズルで残渣除去を行い、さらに230℃60分間のポストベーク処理を行って、マスク層、第一の透明膜、第一の透明電極パターン、絶縁層パターンを形成した前面板を得た。
《第二の透明電極パターンの形成》
[透明電極層の形成]
前記第一の透明電極パターンの形成と同様にして、マスク層、第一の透明膜、第一の透明電極パターン、絶縁層パターンを形成した前面板をDCマグネトロンスパッタリング処理し(条件:基材の温度50℃、アルゴン圧0.13Pa、酸素圧0.01Pa)、厚さ80nmのITO薄膜を形成し、透明電極層を形成した前面板を得た。ITO薄膜の表面抵抗は110Ω/□であった。
第一の透明電極パターンの形成の形成と同様にして、エッチング用感光性フィルムE1を用いて、マスク層、第一の透明膜、第一の透明電極パターン、絶縁層パターン、透明電極層、エッチング用光硬化性樹脂層パターンを形成した前面板を得た(ポストベーク処理;130℃30分間)。
さらに、第一の透明電極パターンの形成の形成と同様にして、エッチング(30℃50秒間)、エッチング用光硬化性樹脂層を除去(45℃200秒間)することにより、マスク層、第一の透明電極パターン、絶縁層パターン、第二の透明電極パターンを形成した前面板を得た。
《第一および第二の透明電極パターンとは別の導電性要素の形成》
前記第一、および第二の透明電極パターンの形成と同様にして、マスク層、第一の透明膜、第一の透明電極パターン、絶縁層パターン、第二の透明電極パターンを形成した前面板をDCマグネトロンスパッタリング処理し、厚さ200nmのアルミニウム(Al)薄膜を形成した前面板を得た。
前記第一、および第二の透明電極パターンの形成と同様にして、エッチング用感光性フィルムE1を用いて、マスク層、第一の透明膜、第一の透明電極パターン、絶縁層パターン、第二の透明電極パターン、エッチング用光硬化性樹脂層パターンを形成した前面板を得た。(ポストベーク処理;130℃30分間)。
さらに、第一の透明電極パターンの形成の形成と同様にして、エッチング(30℃50秒間)、エッチング用光硬化性樹脂層を除去(45℃200秒間)することにより、マスク層、第一の透明膜、第一の透明電極パターン、絶縁層パターン、第二の透明電極パターン、第一および第二の透明電極パターンとは別の導電性要素を形成した前面板を得た。
《第二の透明膜》
マスク層、第一の透明膜、第一の透明電極パターン、絶縁層パターン、第二の透明電極パターン、第一および第二の透明電極パターンとは別の導電性要素が形成された前面板に対して、実施例1〜11および比較例1〜15と同様にして、第二の透明膜を製膜した。
《透明保護層の形成》
絶縁層の形成と同様にして、前記第二の透明膜まで形成した前面板に、カバーフィルムを除去した絶縁層形成用感光性フィルムW1をラミネートし、仮支持体を剥離後、露光マスクを介さずに露光量50mJ/cm2(i線)で前面露光し、現像、ポスト露光(1000mJ/cm2)、ポストベーク処理を行って、マスク層、第一の透明膜、第一の透明電極パターン、絶縁層パターン、第二の透明電極パターン、第一および第二の透明電極パターンとは別の導電性要素および第二の透明膜の全てを覆うように絶縁層(透明保護層)を積層した実施例101〜111および比較例101〜115の静電容量型入力装置(前面板)を得た。
《画像表示装置(タッチパネル)の作製》
特開2009−47936公報に記載の方法で製造した液晶表示素子に、先に製造した実施例101〜111および比較例101〜115の前面板を貼り合せ、公知の方法で静電容量型入力装置を構成要素として備えた実施例101〜111および比較例101〜115の画像表示装置を作製した。
《前面板および画像表示装置の評価》
実施例101〜111の静電容量型入力装置および画像表示装置は、透明電極パターンが視認される問題がなかった。
上述の各工程において、マスク層、第一の透明膜、第一の透明電極パターン、絶縁層パターン、第二の透明電極パターン、第一および第二の透明電極パターンとは別の導電性要素および第二の透明膜を形成した前面板1は、開口部、および裏面に汚れがなく、洗浄が容易であり、かつ、他部材の汚染の問題がなかった。
また、マスク層にはピンホールがなく、光遮蔽性に優れていた。
そして、第一の透明電極パターン、第二の透明電極パターン、およびこれらとは別の導電性要素の、各々の導電性には問題がなく、一方で、第一の透明電極パターンと第二の透明電極パターンの間では絶縁性を有していた。
さらに、透明保護層にも気泡等の欠陥がなく、表示特性に優れた画像表示装置が得られた。
1 透明基板(前面板)
2 マスク層
3 透明電極パターン(第一の透明電極パターン)
3a パッド部分
3b 接続部分
4 透明電極パターン(第二の透明電極パターン)
5 絶縁層
6 導電性要素
7 透明保護層
8 開口部
10 静電容量型入力装置
11 第一の透明膜
12 第二の透明膜
13 透明積層体
21 透明基板、屈折率1.6〜1.78であり膜厚が55〜110nmの第一の透明膜、透明電極パターン、および、屈折率1.6〜1.78であり膜厚が55〜110nmの第二の透明膜がこの順に積層された領域
22 非パターン領域
α テーパー角
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。実施例−6および比較例−6は、それぞれ参考例−1および参考例−2である。
Figure 2016154016
Figure 2016154016
Figure 2016154016

Claims (19)

  1. 透明基板、屈折率1.6〜1.78であり膜厚が55〜110nmの第一の透明膜、透明電極パターン、および、屈折率1.6〜1.78であり膜厚が55〜110nmの第二の透明膜がこの順に積層された領域を面内に含むことを特徴とする透明積層体。
  2. 前記第一の透明膜および前記第二の透明膜によって、前記透明電極パターンおよび前記透明電極パターンが形成されていない非パターン領域の両方が連続して直接または他の層を介して被覆されたことを特徴とする請求項1に記載の透明積層体。
  3. 前記第一の透明膜および前記透明電極パターンが互いに隣接していることを特徴とする請求項1または2に記載の透明積層体。
  4. 前記透明電極パターンおよび前記第二の透明膜が互いに隣接していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の透明積層体。
  5. 前記透明電極パターンが形成されていない非パターン領域の少なくとも一部に、前記透明基板、前記第一の透明膜および前記第二の透明膜がこの順に積層された領域を面内に含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の透明積層体。
  6. 前記透明基板、前記第一の透明膜および前記第二の透明膜がこの順に積層された領域において、前記第一の透明膜および前記第二の透明膜が互いに隣接していることを特徴とする請求項5に記載の透明積層体。
  7. 前記第二の透明膜の前記透明電極パターンが形成された表面とは反対側の表面上に、さらに、屈折率1.5〜1.55の透明保護膜が形成されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の透明積層体。
  8. 前記第一の透明膜と第二の透明膜が、同一材料によって構成されたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の透明積層体。
  9. 前記透明基板が屈折率1.5〜1.55のガラス基板であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の透明積層体。
  10. 前記透明電極パターンが屈折率1.75〜2.1のITO膜であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の透明積層体。
  11. 前記第一の透明膜および前記第二の透明膜の少なくとも一方が、透明樹脂膜であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の透明積層体。
  12. 前記透明樹脂膜が、ZrO2粒子およびTiO2粒子のうち少なくとも一方を有することを特徴とする請求項11に記載の透明積層体。
  13. 前記第一の透明膜および前記第二の透明膜の少なくとも一方が、仮支持体上に形成された透明硬化性樹脂膜を、前記透明基板上に転写して製膜されてなることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の透明積層体。
  14. 前記第一の透明膜および前記第二の透明膜の少なくとも一方が、スパッタによって形成されてなることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の透明積層体。
  15. 前記第一の透明膜および前記第二の透明膜の少なくとも一方が、スパッタによって形成されたSiO2とNb25の混合膜であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の透明積層体。
  16. 前記透明電極パターンの端部が30°以下のテーパー形状を有すことを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の透明積層体。
  17. 前記透明基板および前記第一の透明膜の間に、屈折率1.5〜1.52の第三の透明膜を含むことを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載の透明積層体。
  18. 請求項1〜17のいずれか一項に記載の透明積層体を有することを特徴とする静電容量型入力装置。
  19. 請求項18に記載の静電容量型入力装置を構成要素として備えたことを特徴とする画像表示装置。
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