JP2016153725A - 液滴輸送装置の駆動方法 - Google Patents

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Kenji Tagashira
健司 田頭
石川 貴之
Takayuki Ishikawa
貴之 石川
金子 由利子
Yuriko Kaneko
由利子 金子
大西 慶治
Keiji Onishi
慶治 大西
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Abstract

【課題】1駆動電極の間隔で配列した複数の液滴を、安定かつ高速に、1方向に輸送する液滴輸送装置の駆動方法を提供する。
【解決手段】基板11と、駆動電圧が印加される駆動電極と、駆動電極を覆うように形成された誘電体膜と、液滴20とを備えている液滴輸送装置10であって、前記液滴20を前記駆動電極12b上に保持するように駆動電圧が印加された前記駆動電極12bの駆動電圧を連続的に降下させている途中に、前記駆動電極に隣接する他の駆動電極12cに駆動電圧を印加し、前記他の駆動電極12c上に液滴を輸送する。
【選択図】図1

Description

本発明は、マイクロ流路デバイスなどに用いられる液滴駆動装置に関し、特にエレクトロウェッティングを用いた液滴輸送装置の駆動方法に関する。
近年、マイクロ・トータル・アナリシス・システム(μTAS)またはラボ・オン・チップ(LoC;Lab−on−a−chip)と呼ばれるマイクロ流体デバイスが、遺伝子検査などの分野で広く利用されるようになってきた。
また、電界を印加することで、液体と固体との界面現象(濡れ性)を制御するエレクトロウェッティング(Electrowetting)という技術が知られている。これは、可変焦点レンズや電子ディスプレイなどへの応用が期待され、上述のマイクロ流体デバイスの微少液滴を搬送するアクチュエータとしても有用である。
エレクトロウェッティング素子は一般的に、基板上に電極およびそれを覆うように形成された誘電体膜および疎水性膜と液滴とからなり、液滴の搬送方向に独立して電圧を印加する構成を備えている。この構成により、前記電極に順次電圧を印加することで、液滴を所望の方向に搬送する液滴輸送装置を提供することができる。
エレクトロウェッティングを用いた液滴輸送装置において一般的に用いられている電極形状は四角形などの液滴進行方向に関して前後対称の形状である。そのため、駆動電極への電圧印加パターンを適当に設定することで、液滴を前方にも後方にも自由自在に輸送することができる。
特開昭60−37589号公報
しかしながら、一般的なマイクロ流体デバイスにおいて、全ての流路において液滴の前進および後進の両方が必ずしも求められているわけではなく、一方向に確実に速く液滴を輸送する流路も当然求められる。この場合、液滴をできるだけ密に輸送する技術が不可欠である。エレクトロウェッティング技術を用いた流路デバイスでは、液滴が次に移動するべき駆動電極には液滴が存在してはならないため、液滴どうしの間隔を少なくとも1駆動電極以上空ければよいが、前述の前後対称の駆動電極形状の場合、液滴同士の間隔を少なくとも2駆動電極以上としなければならない。すなわち、液滴が1駆動電極の間隔をもって配列されており、これらを同時に一方向に動かそうとした場合、液滴が存在する駆動電極の両隣の駆動電極に同時に駆動電圧を印加する必要があるが、駆動電極の前後対称性から液滴がどちらの駆動電極に輸送されるかは等確率であるため、これらの液滴を一方向に同時に安定して輸送できないという課題が存在する。
特許文献1は、上述の液滴の1方向輸送を実現していることで知られている。図9に前記特許文献1に記載された液滴輸送装置を示す。基板2と、山形の駆動電極19〜23と、撥水性の膜4とを備えた液滴駆動素子に電圧パルス発生器7を接続してある。液滴13が駆動電極21上に存在しているが、駆動電極22の一部にも重なっているため、駆動電極22に駆動電圧を印加すると液滴21は駆動電極22上に引き寄せられる。このとき、駆動電極20に駆動電圧を印加しても、液滴13との重なりが無いため、駆動電極22の方へ優先的に輸送される。その後、駆動電圧印加を止め、液滴が図9において点線で描いた円形となることで、液滴13は駆動電極23の一部に重なる。以上を繰り返すことで液滴の一方向輸送が可能となる。しかし、駆動にはパルス電圧を用い、液滴が1駆動電極進むたびに駆動電圧印加のON/OFFによる液滴形状の大きな変形が伴う。これにより、液滴の輸送速度が液滴形状の変形速度に律速されてしまうだけでなく、液滴の輸送が不安定となる。具体的には、駆動電圧無印加の状態では、液滴は基板の帯電や、基板上の膜のごくわずかな膜厚ムラなどの影響を受け、最も液滴がもつエネルギーが最小となるような位置に移動しようとする。したがって、駆動電圧印加を止めたときに、液滴が隣接駆動電極と重なるような形状とならない可能性がある上に、1駆動電極の間隔で液滴を配置した際に、形状変形の過程で隣接する液滴同士が合体してしまう可能性がある。そこで、本発明は1駆動電極の間隔で配列した複数の液滴を、1方向に液滴の形状をできるだけ保ったまま輸送する、高速な液滴輸送装置の駆動方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の液滴輸送装置の駆動方法は、基板と、駆動電圧が印加される2つ以上の駆動電極と、前記駆動電極を覆うように形成された誘電体膜と、液滴とを備えた液滴輸送装置において、前記液滴を前記駆動電極上に保持するように駆動電圧が印加された前記駆動電極の駆動電圧を連続的に降下させている途中に、前記駆動電極に隣接する他の駆動電極に駆動電圧を印加し、前記他の駆動電極上に液滴を輸送することを特徴としている。
また、本発明の液滴輸送装置は、前記液滴を前記駆動電極上に保持するように駆動電圧を印加している時に、前記液滴と前記誘電体膜との接触部が作る領域が、前記駆動電極と隣接する他の駆動電極と前記液滴輸送装置の上面投影において重ならず、前記領域と、前記他の駆動電極との最接近部に関して、前記液滴進行方向に存在する前記他の駆動電極との最接近部が、前記液滴進行方向逆側の他の駆動電極との最接近部の距離に比べて短くなる、または同等でかつその数が多くなる駆動電極形状を有することを特徴としている。
また、本発明の液滴駆動方法では、1駆動電極分の間隔を空けて配置した複数の液滴を一方向に輸送できることを特徴としている。
本発明によれば、液滴を駆動電極上に保持するように駆動電圧が印加された前記駆動電極の駆動電圧を連続的に降下させている途中に、前記駆動電極に隣接する他の駆動電極に駆動電圧を印加し、前記他の駆動電極上に液滴を輸送することにより、液滴が電界無印加時の形状となる前に、次に移動すべき駆動電極へ移動するので、液滴輸送の際の液滴の形状変化を従来に比べて小さくすることができる。
また、本発明によれば、駆動電圧印加時に液滴と基板表面との接触部が隣接する駆動電極と重ならず、前記接触部と近接する前記駆動電極との最接近部に関して、液滴進行方向の最接近部が逆側の最接近部の距離に比べて同等または短くなり、かつ液滴進行方向の最接近部が複数存在するような駆動電極形状により、液滴の前後の駆動電極に駆動電圧が印加された場合でも、液滴進行方向により大きな引力が液滴に働くため、液滴の一方向輸送が可能となる。さらに、液滴進行方向には複数の前記最接近点があるので、液滴は隣接駆動電極への輸送開始時に複数の点から引力を受け、液滴輸送の際の液滴の形状変形を従来に比べて小さくすることができる。
また、本発明によれば、1駆動電極分の間隔を開けて配置した複数の液滴を一方向に輸送するような輸送方法を採用することにより、エレクトロウェッティング技術では最密の液滴密度で液滴を輸送することができるため、従来に比べて高速な液滴輸送が可能となる。
本発明の実施の形態1における液滴輸送装置の上面模式図 本発明の実施の形態1における液滴輸送装置の断面模式図 本発明の実施の形態1における駆動電極形状例を示す上面模式図 本発明の実施の形態1における液滴駆動電圧印加パターンを示す図 本発明の実施の形態1における液滴輸送の様子を表す上面模式図 本発明の実施の形態1における液滴の配置例を示す上面模式図 本発明の実施の形態1における他の液滴輸送装置の断面模式図 本発明の実施の形態2における液滴輸送装置の断面模式図 従来の液滴輸送装置の上面模式図
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1および図2はそれぞれ、実施の形態1における液滴駆動輸送装置の上面模式図および図1において一点鎖線で示した部分の断面模式図を示したものである。図1および図2に示す液滴輸送装置10は基板11と、駆動電圧が印加される駆動電極12と、前記駆動電極を覆うように形成された誘電体膜13と、液滴20とを備えている。
<基板>
基板11は、例えば、ガラスやサファイア、ポリカーボネートなど、公知の無機材料および有機材料からなる絶縁性材料を用いることができる。また、導電性を有する材料、若しくは、シリコン又は金属を含む半導体材料の上に、酸化膜や窒化膜、高分子材料などの絶縁性材料を被覆した基板を用いてもよい。
<駆動電極>
駆動電極12は、例えば、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、チタニウム(Ti)、クロム(Cr)などの金属単層膜、合金膜あるいは積層膜で形成することができる。もちろん、光透過性が必要な用途などでは、駆動電極12として、ITO(Indium Tin Oxide)やZnOを含む透明導電性材料を用いることができる。駆動電極の形成方法にも特に制約はなく、真空蒸着法やスパッタ法、めっき法などの公知の成膜方法を用いることができ、通常のフォトリソグラフィ手法により容易にパターン形成できる。また、基板として、ガラスエポキシ基板などの汎用の回路基板を用いることができ、この場合には、駆動電極として銅箔を用いても本発明の効果を損なうことはない。
駆動電極12の厚みは、100nm(0.1μm)から10μm程度が好ましく、後述の誘電体膜で表面段差が平坦化されるのであれば、これより厚くてもよい。また、駆動電極上に誘電体膜を形成した後、ケミカル・メカニカル・ポリッシング(CMP)などの手法で平坦化する場合も、駆動電極の厚みはこの範囲で制約されるものではない。
一方で、駆動電極膜厚が薄いほど、誘電体膜を形成した後の液滴搬送路表面の平坦性を保てる。特に、ナノリットル(nl)オーダーの微少液滴を扱う場合には、駆動電極膜厚を100nmから1μmの厚さにすることが好ましい。特に、半導体プロセスを用いて駆動電極を形成、パターニングする場合には、この範囲の厚みが好ましい。これら、駆動電極に外部より駆動電圧を印加することにより、液滴を駆動することができる。なお、駆動する駆動電極極数が多い場合には、配線の複雑性を回避するため、多層配線構造としてもよいことは言うまでもない。
駆動電極の形状は、液滴と、それと隣り合った駆動電極の関係により規定される。後に述べる駆動方法により駆動電圧が印加されると、液滴は駆動電極から静電引力を受け、電極内で濡れ広がろうとする。このとき、液量が多すぎると、液滴と誘電体膜との接触部(図の上面模式図における液滴20は、この接触部を図示している)が作る領域が駆動電極から液滴輸送装置の上面投影においてはみ出し、隣接する駆動電極と重なってしまう。以後、この液滴と誘電体膜との接触部を液滴接触部と呼ぶことにする。この場合、後述する駆動方法が成り立たなくなってしまうだけでなく、液滴接触部が駆動電極からはみ出るほど、駆動電圧印加により液滴に働く引力が弱くなり、液滴の位置や形状制御が困難となってしまうため、液滴の安定輸送が阻害されてしまう。したがって、駆動電圧印加時に液滴接触部が隣接する駆動電極と、液滴輸送装置の上面投影において重ならないようにする必要がある。
前述のように、駆動電圧印加により液滴は駆動電極に濡れ広がり、隣接する駆動電極に駆動電圧を印加することで液滴はさらにそちらにも濡れ広がろうとする。このとき、隣接する駆動電極と液滴接触部との最近接部の距離が短いほど隣接する駆動電極に液滴を引き寄せる引力が大きくなる。そのため、隣接する駆動電極間で液滴接触部と駆動電極との最近接部の距離が異なる場合、その距離が最も短い駆動電極に液滴は優先的に輸送される。または、その距離が同等であっても液滴接触部と駆動電極との最近接部が多いほど、液滴が受ける引力は大きくなる。この原理を利用することで、液滴の一方向輸送が可能となる。すなわち、液滴が存在する駆動電極に駆動電圧を印加することによって濡れ広がった液滴の液滴接触部と、それと隣接する駆動電極との最近接部に関して、液滴の進行方向に隣接している駆動電極の最近接部の距離が他の駆動電極との最近接部に比べて最も短くなるような、またはその距離が駆動電極間で同等であっても、液滴の進行方向に隣接している駆動電極の最近接部が最も多くなるような駆動電極形状により、液滴の一方向輸送が実現できる。
駆動電極形状の一例を図3に示す。ただし、液滴の進行方向は右方向である。図3(A)は一つの駆動電極において、右側面は、液滴接触部に沿った形状であり、左側面は、左隣の駆動電極の右側面と一定の間隙L1を持つような形状である。したがって、液滴接触部と液滴の右側の駆動電極12cとの最近接距離はL1に示した距離であり、液滴接触部の右側面にわたって一定である。これに対し、液滴接触部と液滴の左側の駆動電極12aとの最近接距離はL2であり、図に示した部分の1箇所のみとなる。液滴が駆動電極に濡れ広がることを考えると、L1とL2は同等の距離となるが、その最近接箇所が液滴右側の方が多くなるため、駆動電圧印加により液滴は右方向に優先的に輸送される。また、液量が少し多くなると、液滴接触部の形状は図3(B)のように変形し、より駆動電極形状を反映した形状となるが、この場合も液滴接触部と隣接駆動電極との最近接距離に関して、液滴の右側と左側で、L2よりもL1となる箇所の方が多くなるため、液滴は前方に優先的に輸送される。このように、液滴の容量は唯一ではなく、ある程度の幅が許容されるが、液滴接触部が駆動電極から液滴輸送装置の上面投影においてはみ出ず、隣接駆動電極、特に液滴の左側の電極に重ならないようにする必要がある。
なお、駆動電極形状としてはこれら以外にも、駆動電極の右側面を液滴接触部の形状に沿ったような多角形状としてもよい。例えば、図3(C)では駆動電極の左右の側面にはそれぞれ3つの辺が存在し、液滴接触部と駆動電極との最近接距離が液滴の右側ではL1となる箇所が3箇所となり、左側ではL2となる箇所が1箇所のみとなる。この場合も、駆動電圧印加により液滴が駆動電極に濡れ広がっているため、L1とL2は同等であり、かつ液滴の右側の最近接部の方が多いため、液滴は隣接駆動電極への駆動電圧印加により右方向へ優先的に輸送される。
また、他の例では図3(D)のように駆動電極の左側面を鋸刃状とした駆動電極形状としてもよい。この駆動電極形状においても、液滴が存在する駆動電極に駆動電圧を印加すると、液滴が駆動電極内で濡れ広がろうとする。しかし、鋸刃状の部分は液滴が濡れ広がろうとする駆動電極上の部分と、それとは逆に、液滴がはじかれる撥水の部分がお互いに入れ混じっているため、一様に駆動電極が存在している部分に比べると液滴が濡れ広がりにくい。そのため、図3(D)に示すように液滴は駆動電極内で右側寄りに存在し、液滴接触部と隣接する駆動電極との最近接距離に関して、L1<L2という関係が成り立つ。したがって、隣接駆動電極への駆動電圧印加により、液滴は右側の駆動電極に優先的に輸送される。
<誘電体膜>
誘電体膜13には、公知の誘電体材料を用いることができ、高分子化合物、無機化合物の各種酸化物、複合酸化物、又は窒化物などの誘電体材料が使用できる。駆動電極12に駆動電圧を印加し液滴を駆動する場合、低電圧液滴輸送のためには、誘電体13は、大きい静電容量を有すると同時に、駆動電極12へのカバレッジ性、十分な絶縁耐圧を備えることが好ましい。これらのことから、誘電体の厚さは100nmから2μmの厚みで、特に、酸化ケイ素や酸化アルミニウムなどの比誘電率の高い無機酸化膜材料を用いることが好ましい。
誘電体を高分子化合物で構成する場合には、ディッピング法、スプレーコート法、又はスピンコート法などの公知の成膜方法を用いることができる。また、誘電体を無機化合物で構成する場合には、スパッタ法、原子層堆積(ALD)法、化学気相成長(CVD)法など、公知の様々な成膜方法を使用することができる。
<撥水膜(図示せず)>
また、特に水溶液系の液滴を輸送する場合には、基板表面に撥水膜(図示せず)を形成し、疎水性処理をすることが好ましい。通常のエレクトロウェッティングを用いた液滴輸送装置の場合は、少なくとも液滴の流路にあたる領域には撥水処理がなされている。以降、特に断りが無い限り、液滴の流路にあたる基板表面には撥水膜が形成されているものとする。なお、撥水膜の膜厚に特に制限はないが、均一な撥水効果を得るためには10nmから2μm程度の膜厚が好ましい。もちろん、撥水膜を薄くすれば、より厳密には上記誘電体膜の厚さとの総和が薄ければ、より低電圧での液滴輸送が可能となることは言うまでもない。
撥水膜の材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene:PTFE)やAF1600(デュポン社製)などのフルオロアルキル鎖を有する化合物を使用することができる。一般的に、撥水膜は、フルオロアルキル鎖を有することにより高い撥水性能を発現する。具体的には、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルトリメトキシシラン、パーフルオロデシルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルトリクロロシラン、パーフルオロデシルトリクロロシラン、サイトップ(登録商標)(旭ガラス株式会社製)、又はオプツール(変性パーフルオロポリエーテル)(ダイキン工業株式会社製)などが使用できるが、特に材料を制限するものではない。
また、撥水膜と同様の機能を発現するものとして、フッ化アルキルシラン(FAS)などの自己組織化単分子膜(SAM:Self−Assmbled Monolayer)を使用することも可能であり、この場合には厚さはおよそ1nm程度で、同様の撥水機能を実現できる。
<液滴>
液滴20には、例えば、水や、界面活性剤の水溶液など公知の極性液体を用いることができる。
<駆動方法>
図3(A)において、駆動電極12bに液滴を保持するために駆動電圧が印加されており、この液滴を隣接する駆動電極12cに輸送する方法を述べる。なお、駆動電圧は直流でも交流でもよく、直流の場合は印加している電圧値そのもの、交流の場合は実効値を印加駆動電圧として定義する。図4に駆動電極12bおよび12cへの駆動電圧印加の様子を示す。初期状態は、液滴が駆動電極12bに保持されている状態、すなわち、駆動電極12cよりも駆動電極12bへの印加駆動電圧値が高い状態である。このとき、液滴は駆動電極12bに濡れ広がるような形状となる。この状態から、液滴の駆動電極12bへの拘束力を弱めるために、駆動電極12bへの印加駆動電圧を徐々に小さくする。これは、駆動電極12bへの印加駆動電圧を不連続にかつ急速に小さくすると、液滴形状が駆動電圧無印加時の形状、すなわち液滴が誘電体膜表面にはじかれ、液滴と誘電体膜表面が作る接触角が大きくなっているような形状へと直ちに変形してしまうためである。これにより、液滴輸送に伴う液滴形状の変形が大きくなり、これが液滴の輸送速度を遅くする原因となる。駆動電極12bの印加駆動電圧を徐々に小さくすることで、液滴の形状も徐々に駆動電圧無印加時の形状へと変化していくが、その過程で、駆動電極12cへの印加駆動電圧を不連続に、または連続的に上昇させると、液滴が受ける駆動電極12cからの引力が大きくなり、駆動電極12cへの引力が駆動電極12bへの拘束力を超えたときに、液滴の駆動電極12cへの輸送が開始される。このとき、液滴接触部と液滴の右側に隣接している駆動電極との最近接部で液滴と駆動電極間の引力が最大となるため、例えば図5(A)のように液滴接触部と隣接駆動電極との最近接部が1箇所のみしか存在しない場合、まずはこの箇所に液滴が集まるように液滴輸送が行われる。その結果、輸送に伴う液滴変形が起きる。前述のように、輸送に伴う液滴変形は、液滴の輸送速度の律速となる。
これに対し、図5(B)のように、液滴接触部と隣接駆動電極の最近接部が複数箇所存在することで、液滴は複数の箇所から引力を受け、隣接駆動電極へ輸送されるため、最近接部が1箇所のときと比べて、液滴輸送に伴う液滴の変形を小さくすることができる。また、複数箇所から引力を働かせることにより、合計の引力自体も大きくなるので、輸送速度を大きくすることができる。特に、図3(A)のような電極形状の場合は、液滴接触部と液滴の右側の駆動電極との最近接部は、両者が向かい合った全ての部分である。すなわち、液滴には液滴の右側の駆動電極と面した部分に一様に引力が働くため、液滴輸送に伴う液滴の変形をより少なくすることができる上に、輸送に要する時間もより短くすることができる。
また、駆動電極12aにも、駆動電極12cと同様の駆動電圧パターンを印加した場合でも、液滴は駆動電極12cに優先的に輸送される。これは、駆動電極形状に関して前述したように、液滴接触部と隣接駆動電極との最近接部に関して、液滴の左側よりも右側の最近接部が多いため、またはその距離が左側よりも右側の方が短く、液滴を右方向に輸送する引力の方が大きくなるためである。このため、図6に示すように、駆動電極1つ分の間隔を空けて、駆動電極12bと12dに液滴を配置し、これらの電極には図4に実線で示した駆動電圧パターン、駆動電極12aおよび12c、12eには図4に破線で示した駆動電圧パターンを印加することで、一方向に、すなわち駆動電極12cおよび12eに輸送することができる。このように、上記駆動電極形状および上記駆動電圧印加パターンにより、1駆動電極の間隔を空けて配置された液滴を一方向に輸送することができる。さらに、複数の駆動電極のうち、奇数番目と偶数番目の駆動電極にそれぞれ上記駆動電圧パターンを印加することにより、液滴を輸送することができる。この場合は、駆動電圧印加線が2本で済むため、配線のコストを抑えることができる。
<上部に基板>
図7は、本発明の実施の形態1における他の液滴輸送装置の断面模式図を示したものである。図2では液滴の上部には何もなく、開放されていたが、液滴を挟み込むように上部基板30を設けてもよい。この際、上部基板30を支えるためにスペーサー21を設置しなければならない。上部基板30は基板11と同様の材質でよく、水溶液系の液滴を輸送する場合には、上部基板表面に撥水膜(図示せず)を形成し、疎水性処理をすることが好ましい。撥水膜の材質は上記で述べた撥水膜と同様でよい。スペーサーとしては、公知の無機材料および有機材料からなる固体材料を用いることができ、その高さは、50μm〜3mm程度が好ましい。ただし、上部基板を設け、液滴を押しつぶすことにより、固液の接触面積が大きくなるため、その際に液滴接触部が駆動電極を液滴輸送装置の上面投影においてはみ出さないように液量を設定、もしくはスペーサーの高さを設定する必要がある。また、液滴の蒸発を防ぐという目的や、駆動電圧低減を目的として、液滴の周囲の領域である空隙22を液滴と混ざり合わないような液体、例えばシリコーンオイル等で満たしてもよい。また、上記駆動方法と同様の駆動方法により、液滴を輸送することができる。
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2における他の液滴輸送装置の断面模式図を示したものである。図8に示す液滴輸送装置10は、基板11と、駆動電圧が印加される駆動電極12と、前記駆動電極12を覆うように形成された誘電体膜13と、上部基板30と前記上部基板30上に形成された上部電極31と、前記上部電極31の少なくとも一部を覆うように形成された上部誘電体膜32と、前記基板11と上部基板30との間に空隙22を保つように設置されたスペーサー21と、前記空隙22内に導入された液滴20とを備えている。また、本実施の形態においても、空隙22を液滴20と混ざり合わないような液体で満たしてもよい。
本実施の形態では、液滴の上下にそれぞれ上部電極31、および駆動電極12が存在している。駆動方法に関しては、上部電極への印加電圧を基準電圧として、駆動電極に上記と同様の図4に示した駆動電圧パターンを印加することで、液滴を輸送することができる。
本発明に係る液滴輸送装置の駆動方法は、液滴を駆動電極上に保持するように駆動電圧が印加された前記駆動電極の駆動電圧を連続的に降下させている途中に、前記駆動電極に隣接する他の駆動電極に駆動電圧を印加し、前記他の駆動電極上に液滴を輸送する駆動方法となっているため、液滴輸送時の液滴の変形量を小さくすることができ、液滴の安定かつ高速輸送が可能な液滴の輸送方法を提供することができる。
また、液滴を駆動電極上に保持するように駆動電圧を印加している時に、前記液滴と前記誘電体膜との接触部が作る領域が、前記駆動電極と隣接する他の駆動電極と前記液滴輸送装置の上面投影において重ならず、前記領域と、前記他の駆動電極との最接近部に関して、前記液滴進行方向に存在する前記他の駆動電極との最接近部が、前記液滴進行方向逆側の他の駆動電極との最接近部の距離に比べて短くなる、または同等でかつその数が多くなる駆動電極形状となっているため、液滴を一方向に安定して輸送することができ、1駆動電極分の間隔を空けて配置した複数の液滴を一方向に輸送する液滴輸送装置を提供することができる。
10 液滴輸送装置
11 基板
12a 駆動電極
12b 駆動電極
12c 駆動電極
12d 駆動電極
12e 駆動電極
13 誘電体膜
20 液滴
21 スペーサー
22 空隙
30 上部基板
31 上部電極
32 上部誘電体膜

Claims (9)

  1. 基板と、
    駆動電圧が印加される2つ以上の駆動電極と、
    前記駆動電極を覆うように形成された誘電体膜と、
    液滴と
    を備えた液滴輸送装置において、
    前記液滴を前記駆動電極上に保持するように駆動電圧が印加された前記駆動電極の駆動電圧を連続的に降下させている途中に、前記駆動電極に隣接する他の駆動電極に駆動電圧を印加し、前記他の駆動電極上に液滴を輸送する
    ことを特徴とする液滴輸送装置の駆動方法。
  2. 前記駆動電圧が印加された前記駆動電極に隣接する複数の前記他の駆動電極に、同時に前記駆動電圧を印加することを特徴とする請求項1記載の液滴輸送装置の駆動方法。
  3. 前記駆動電極において、奇数番目と偶数番目の前記駆動電極に独立に前記駆動電圧を印加することを特徴とする請求項1記載の液滴輸送装置の駆動方法。
  4. 前記駆動電圧が直流または交流電圧であることを特徴とする請求項1記載の液滴輸送装置の駆動方法。
  5. 基板と、
    電圧が印加される2つ以上の駆動電極と、
    前記駆動電極を覆うように形成された誘電体膜と、
    液滴と
    を備えた液滴輸送装置において、
    前記液滴を前記駆動電極上に保持するように駆動電圧を印加している時に、前記液滴と前記誘電体膜との接触部が作る領域が、前記駆動電極と隣接する他の駆動電極と前記液滴輸送装置の上面投影において重ならず、
    前記領域と、前記他の駆動電極との最接近部に関して、前記液滴進行方向に存在する前記他の駆動電極との最接近部が、前記液滴進行方向逆側の他の駆動電極との最接近部の距離に比べて短くなる、または同等でかつその数が多くなる駆動電極形状を有する
    ことを特徴とする液滴輸送装置。
  6. 前記液滴をスペーサーを介して挟み、前記基板に対向するように上部基板を設け、前記上部基板には撥水膜を備えたことを特徴とする請求項4記載の液滴輸送装置。
  7. 前記上部基板と撥水膜との間に電極を設けたことを特徴とする請求項5記載の液滴輸送装置。
  8. 前記基板と前記上部基板とがつくる空隙内に、前記液滴と混ざらないような液体を充填したことを特徴とする請求項6記載の液滴輸送装置。
  9. 基板と、電圧が印加される2つ以上の駆動電極と、前記駆動電極を覆うように形成された誘電体膜と、液滴とを備えた液滴輸送装置において、1駆動電極分の間隔を空けて配置した複数の液滴を一方向に輸送できることを特徴とする液滴輸送方法。
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