JP2016151729A - 液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】液晶パネルに応力が印加された場合の、視野角コントラスト特性の低下を抑制し、視野角コントラストのバラツキが少ない横電界方式の液晶表示装置を提供する。【解決手段】複数の薄膜トランジスタが配設されたアレイ基板と、アレイ基板に対向配置された対向基板と、アレイ基板と対向基板との間に挟持された液晶層とを備え、アレイ基板および対向基板と平行に発生させる電界により液晶を駆動する横電界方式の液晶パネルを有した液晶表示装置であって、液晶パネルは、液晶パネルに対する応力印加時に、アレイ基板および対向基板の主面に対して斜め方向に発生する位相差と直交する方向の遅相軸を有すると共に、位相差と正負逆の位相差を有する位相差フィルムを、アレイ基板および対向基板の少なくとも一方の外側に備える。【選択図】図2
Description
本発明は液晶表示装置に関し、特に、横電界方式の液晶パネルを有する液晶表示装置に関する。
一般に、液晶表示装置では、透明基板上に薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を複数配設したTFTアレイ基板(アレイ基板)と、透明基板上にカラーフィルタを配置したカラーフィルタ基板(CF基板)との間に液晶を封止した液晶パネルを用いる。アレイ基板にはスイッチング素子および当該スイッチング素子に接続される液晶駆動電極等がマトリクス状に配置されてTFTアレイを形成している。
また、CF基板には、R(赤)、G(緑)およびB(青)の着色層を含む画素および平面視で各色の着色層間に配設されるブラックマトリクスと呼称される遮蔽材が、各スイッチング素子に対応して配設されている。
代表的な液晶駆動方式としては、従来から、アレイ基板とCF基板との間に封止された液晶に印加する電界の方向を基板との界面に対してほぼ垂直な方向とし、水平方向に配向している液晶層の分子(液晶分子)を電界により垂直方向に配向させることで動作する、ツイステッドネマティック(Twisted Nematic)方式(TN方式)が採用されている。
しかし、このTN方式は、液晶分子が電界によって垂直方向に配向する際に、基板に対してある角度を持つため、見る方向によって明るさが異なり視野角を広くできないという問題点を有している。
これに対して、一方の基板に形成した櫛歯形状の電極により横電界を発生させ、液晶分子を面内で回転させることにより光透過率を制御するインプレインスイッチング(In Plane Switching)モードの液晶表示装置(横電界方式の液晶表示装置)がある。
横電界方式の液晶表示装置では、液晶分子の長軸は基板面とほぼ平行となり、基板の垂直方向に液晶分子が立ち上がることがないので、視角方向を変えたときの明るさの変化が小さく、いわゆる視野角依存性が殆どない。すなわち縦電界方式であるTN方式の液晶表示装置に比べて非常に視野角が広く、表示品質の優れたモニター用途の液晶表示装置として知られている。
一方、横電界方式の液晶表示装置においては、櫛歯形状の電極の真上には横電界が生じないため、櫛歯形状の電極の真上の領域の液晶分子には電界が有効に働かず非透過の状態となる。すなわち、横電界方式の液晶表示装置は透過率が低くなるという課題があった。
特許文献1においては、一方の基板に積層して形成した2つのスリット状電極間にフリンジ状電界を発生させ、液晶分子を面内で回転させることにより光透過率を制御する方法が開示されている。この液晶表示モードはフリンジフィールドスイッチング(FFS:Fringe Field Switching)モードと呼称されている。なお上記2つのスリット状電極のうち、下層側の電極を平板状電極としてもFFSモードの液晶表示装置が得られる。
また、カーナビゲーションなど、液晶パネルを車載用途で用いる際は、運転席や助手席からディスプレイを見た場合、必然的に正面だけでなく、斜め方向から見ることになる。そのため、コントラスト特性などの光学特性を斜め方向から見た場合でも広視野角が要求されるため、2軸位相差フィルムを使った光学補償方法により、広視野角を実現している。
さらに屋外設置用などの表示装置では、外部からの衝撃などから表示パネルを保護する必要があるため、表示パネルの表示面を樹脂製やガラス製の透明状の保護カバーで覆う。その際、表示パネルと保護カバー間に空気層が存在すると、表示面に入射する外光が、透明状の保護カバー表裏面、フラットパネル表面で反射し、視認性が低下する問題が生じる。
そのため、表示パネルと保護カバーとの間隙に、透明樹脂等を充填した構成、または光透過性粘着シートを配置した構成が採られている。また、タッチパネル機能を付加した液晶パネルについても、同様の構成が採られる。
以上のように、液晶パネルの保護や機能追加のため、ガラス板や透明樹脂、またはタッチパネルを樹脂や透明粘着シートを介して貼り付ける構成が採られる。
横電界方式の液晶表示装置において、最新の車載用液晶表示装置への要求としては、運転席や助手席からディスプレイを見た場合、斜め方向から視認することが多いことから、正面だけでなく、斜め方向からの視認性も重要となっている。
斜め方向からの広視野角を実現するために、2軸位相差フィルムを使った光学補償方法が提案されているが、パネルなどの反りにより、パネルに応力が印加されると位相差が発生し、斜め方向の光漏れが大きくなり、視野角コントラスト特性が低下し、視認性が悪くなることがあった。
以上のような応力印加時における表示特性、特に横電界方式の液晶表示装置におけるコントラスト特性の劣化を抑制する方法として、特許文献1、2および3において、位相差調整層などの光学補償層を追加する方法が提案されている。しかしながら、これらの方法においては、主に正面から視認した場合におけるコントラスト特性を改善することを主眼としており、横電界方式の液晶パネルにおいて求められる斜め方向からの表示特性、コントラスト特性(視野角コントラスト特性)を有効に改善することはできなかった。
本発明は上記のような問題を解決するためになされたものであり、液晶パネルに応力が印加された場合の、視野角コントラスト特性の低下を抑制し、視野角コントラストのバラツキが少ない横電界方式の液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明に係る液晶表示装置は、複数の薄膜トランジスタが配設されたアレイ基板と、前記アレイ基板に対向配置された対向基板と、前記アレイ基板と前記対向基板との間に挟持された液晶層と、を備え、前記アレイ基板および前記対向基板と平行に発生させる電界により液晶を駆動する横電界方式の液晶パネルを有した液晶表示装置であって、前記液晶パネルは、前記液晶パネルに対する応力印加時に、前記アレイ基板および前記対向基板の主面に対して斜め方向に発生する位相差と直交する方向の遅相軸を有すると共に、前記位相差と正負逆の位相差を有する位相差フィルムを、前記アレイ基板および前記対向基板の少なくとも一方の外側に備える。
横電界方式の液晶表示装置において、応力による視野角コントラスト特性の低下を抑制し、視野角コントラストのバラツキが少ない液晶表示装置が得られる。
<実施の形態1>
<液晶パネルの全体構成>
本発明に係る液晶表示装置を構成する液晶パネルの全体構成について、図1および図2を用いて説明する。図1は実施の形態1の液晶パネル100の平面構成を示す平面図であり、図2は図1におけるA−B線での断面図である。
<液晶パネルの全体構成>
本発明に係る液晶表示装置を構成する液晶パネルの全体構成について、図1および図2を用いて説明する。図1は実施の形態1の液晶パネル100の平面構成を示す平面図であり、図2は図1におけるA−B線での断面図である。
以下では、一例として、TFT(Thin Film Transistor)をスイッチング素子に用いて駆動される横電界方式の液晶パネルであって、特に、FFS(Fringe Field Switching)方式を用いた液晶パネルに本発明を適用した構成について説明を行う。
図1および図2に示される液晶パネル100は、TFTがマトリクス状に配列されてTFTアレイを構成するTFTアレイ基板(アレイ基板)110と、アレイ基板110に対して対向して配置され、画像を表示する表示面となる表示領域200を有するカラーフィルタ基板(CF基板、対向基板)120と、表示領域200に対応する領域を囲むように配置され、カラーフィルタ基板120とアレイ基板110との間に間隙を設け、当該間隙を密封するシール材130とを備えている。
このシール材130は、表示領域200に対応する領域外側に配置される額縁領域190に配置される。また、アレイ基板110およびカラーフィルタ基板120の外形は何れも矩形となっており、アレイ基板110の外形の方が、カラーフィルタ基板120の外形よりも大きく、アレイ基板110の端縁部のうち連続する2辺がカラーフィルタ基板120の外形端面より突出した突出部を有して重ね合わせ配置されている。
なお、額縁領域190とは、液晶パネル100のアレイ基板110上、カラーフィルタ基板120上、または両基板で規定される領域において、表示領域200の外側に位置し、表示領域200を取り囲む額縁状の領域、すなわち図1中で破線で囲まれた表示領域200以外の全ての領域のことを意味している。また、表示領域200についても、液晶パネル100のアレイ基板110上、カラーフィルタ基板120上、または両基板で規定される領域の全てにおいて使用され、本明細書中においては全て同様の意味を持つ。
アレイ基板110とカラーフィルタ基板120との間には、間隙を一定距離に保持する複数の柱状スペーサ(図示省略)が表示領域200内に配置されている。
このように、シール材130により密封され、柱状スペーサにより一定距離に保持されたカラーフィルタ基板120とアレイ基板110との間の間隙には、少なくとも表示領域200に対応する領域に液晶層140が狭持されている。
カラーフィルタ基板120は、ガラス基板121(第1の透明基板)の一方の主面上に配設されたカラーフィルタ(色材層)124およびカラーフィルタ124間を遮光する遮光層125を有している。なお、遮光層125は、表示領域200の外側に設けられる額縁領域190に対応する領域を遮光するようにも設けられている。
カラーフィルタ124は、樹脂中に赤、緑、青の顔料などを分散させた色材が規則的に配列して構成され、赤、緑、青などの特定の波長範囲の光を選択的に透過する。遮光層125としては、酸化クロムなどを用いた金属系の材料や樹脂中に黒色粒子を分散させた樹脂系の材料で構成される。
そして、カラーフィルタ124および遮光層125を覆い平坦化するオーバーコート層126が透明樹脂膜で形成されている。また、オーバーコート層126上の表示領域200に対応する領域には、液晶を配向させる配向膜122bが設けられている。
また、カラーフィルタ基板120は、ガラス基板121の他方の主面上に配設された接地接続される静電気防止用透明導電層131を備えている。この静電気防止用透明導電層131は、ガラス基板121の表示領域200を少なくとも覆うように設けられており、横電界方式の液晶パネルにおいて静電気による帯電や外部電界による表示不良の防止に有効である。
一方、アレイ基板110は、ガラス基板111(第2の透明基板)のカラーフィルタ基板120と対向する一方の主面上にマトリクス状に配設された複数のTFT114と、TFT114に信号を供給する配線である複数のゲート配線116およびソース配線117と、これらの配線に接続されTFT114を構成するゲート電極(図示省略)およびソース・ドレイン電極(図示省略)などを有している。なお、図2では、便宜的にゲート配線116およびソース配線117の図示を省略している。
そして、少なくともTFT114、ゲート配線116およびソース配線117を覆うように絶縁膜115が設けられている。また、絶縁膜115は、アレイ基板110またはカラーフィルタ基板120の基板面と平行な方向の電界を発生し、液晶を駆動する電圧を印加する一対の電極の一方である画素電極112も覆っており、絶縁膜115上の画素電極112に対向する領域には、上記一対の電極の他方である対向電極113が設けられている。
そして、また、絶縁膜115上の表示領域200に対応する領域には、液晶を配向させる配向膜122aが対向電極113を覆うように設けられている。
なお、画素電極112と対向電極113については、一方の電極である画素電極112が平板形状の透明導電膜パターンで構成され、他方の電極である対向電極113が櫛歯形状や複数のスリット状の開口部が並列形成された透明導電膜パターンで構成され、画素電極112上に絶縁膜を介して重なって配置される。また、上記構成は必須ではなく、画素電極112と対向電極113について、それぞれの形状と配置の上下関係を逆として、画素電極112を櫛歯形状や複数のスリット状の開口部が並列形成されたパターンとして対向電極113より上層に配置し、対向電極113を平板形状として画素電極112より下層に配置し、TFT114は、櫛歯形状や複数のスリット状の開口部を有するパターンを有する画素電極112に電気的に接続して電圧を印加する構成としても構わない。
本発明はこれらの構成との関係は薄く、画素電極112と対向電極113の具体的な平面パターン形状の図示および説明は省略するが、公知のFFS方式を用いた液晶パネルに用いられる画素電極と対向電極の平面パターン形状を採用すれば良い。
また、アレイ基板110上の絶縁膜115および画素電極112と対向電極113との間に形成される絶縁膜は、単層の透明絶縁膜、または複数層の透明絶縁膜の積層膜により構成される。
また、図1に示すように、表示領域200に形成されたゲート配線116およびソース配線117は、それぞれが平行に複数本配列されており、これら複数本のゲート配線116およびソース配線117は、それぞれが交差して配置されることでマトリクス状をなし、交差する両配線により囲まれる領域が画素領域となっている。この画素領域に画素電極112およびTFT114が配置される。
また、対向電極113に共通電位を供給する共通配線113Lがゲート配線116と平行にゲート配線116と同数配置され、各画素領域の対向電極113に電気的に接続されている。これにより、各画素領域の対向電極113の電位を全て共通電位に共通化している。
また、アレイ基板110上における額縁領域190のカラーフィルタ基板120の端面よりも突出する突出部においては、カラーフィルタ基板120の配置される側の表面に、TFT114に供給される信号を外部から受け入れる複数の信号端子118を備えている。複数の信号端子118は、図中では一体の構成として示しているが、実際には近接する基板端辺に対して垂直方向を長手方向として延在する矩形の複数の電極パッドが互いに電気的に分離して形成され、電極パッドの短手方向に配列された構成となっている。
また、この信号端子118のそれぞれの電極パッドに対しては、接続配線となるFFC(Flexible Flat Cable)136を介して制御信号などを発生する制御IC(Integrated Circuit)チップが実装された制御基板135が接続されている。
制御基板135からの制御信号は、信号端子118を介して、突出部に取り付けられた駆動ICチップ134に入力され、駆動ICチップ134から出力される出力信号(走査信号および映像信号)が表示領域200から引き出された複数の信号引き出し配線(図示省略)を介して、表示領域200内のTFT114に供給される。
また、カラーフィルタ基板120の外側表面に設けられる静電気防止用透明導電層131上には2軸位相差フィルム132dおよび偏光板132aがこの順に積層されて配置されている。
また、アレイ基板110の外側表面には、位相差フィルム132cおよび偏光板132bがこの順に積層されている。これら偏光板132a、偏光板132b、位相差フィルム132cおよび2軸位相差フィルム132dは、それぞれカラーフィルタ基板120およびアレイ基板110の少なくとも表示領域200を覆うように配置される。なお、これら偏光板132a、偏光板132b、位相差フィルム132cおよび2軸位相差フィルム132dについての光学設計や光学軸の設定方法および製造方法については、別途、詳細に説明する。
また、カラーフィルタ基板120外側表面に設けられる静電気防止用透明導電層131は接地接続されるが、例えば、アレイ基板110の突出部に、アースパッド(図示省略)を設け、静電気防止用透明導電層131とアースパッド間を導電テープ(図示省略)等を介して電気的に接続すれば良い。
なお、静電気防止用透明導電層131上は、大部分が、偏光板132aにより覆われているが、カラーフィルタ基板120の端部において、一部、偏光板132aにより覆われない露出部が形成される。その静電気防止用透明導電層131の露出部に上述した導電テープが貼り付けられ静電気防止用透明導電層131に接続される。
<液晶モジュールの構成>
以上説明した実施の形態1の液晶パネル100を有した液晶モジュール10の断面構成の一例を図3に示す。
以上説明した実施の形態1の液晶パネル100を有した液晶モジュール10の断面構成の一例を図3に示す。
図3に示すように、液晶モジュール10は、光源となるバックライト4の光出射面上に液晶パネル100が配置された状態で樹脂などで構成される有底無蓋の箱状のリアフレーム1内に収納され、リアフレーム1の開口部側を覆うように金属などで構成されるフロントフレーム3が被せられた構成となっている。
フロントフレーム3は、液晶パネル100の画像を表示する表示面に対応する部分が開口部2となっている。
なお、バックライト4と液晶パネル100との間にはバックライト4からの光の指向性などを制御する複数の光学シート5が配置されている。
また、実施の形態1の液晶パネル100を有した液晶モジュール20の断面構成の一例を図4に示す。
図4に示す液晶モジュール20は、図3に示した液晶モジュール10の構成に、リアフレーム1の前面側に貼り付けられた光透過性保護板(ガラス基板、樹脂基板、タッチパネルなど)である前面パネル6が追加された構成となっている。
この構成においては、前面パネル6と液晶パネル100との間、すなわちフロントフレーム3の開口部2内に、空気層が形成されることを防止する注入樹脂や光透過性粘着シート等で構成される樹脂層7が配設されており、グラスボンディング構造となっている。
<光学設計について>
以下、本発明の特徴部分となる偏光板132a、偏光板132b、位相差フィルム132cおよび2軸位相差フィルム132dに関しての光学設計について説明する。
以下、本発明の特徴部分となる偏光板132a、偏光板132b、位相差フィルム132cおよび2軸位相差フィルム132dに関しての光学設計について説明する。
図5は、実施の形態1の液晶パネル100に施された光学設計を示す図である。図5に示されるように、液晶パネル100においては、視野角特性を向上させるために、CF基板120の外側に2軸位相差フィルム132dが配置されている。
すなわち、液晶パネルの視認方向について、特別な指向性を持たせずに正面から視認する場合において、コントラストが最も高くなる設定とする場合には、偏光板132a、偏光板132b、位相差フィルム132cおよび2軸位相差フィルム132dの光学設計は図5に示す構成となる。
液晶の配向方向(配向膜に対してラビングなどの配向処理が実施された方向)が0°すなわち水平方向である場合であって、液晶分子LMが、その長軸と配向方向とのなす角度で定義されるプレチルト角θが、アレイ基板110側では3時の方向が基板より離れるようにチルトしており、CF基板120側では9時の方向が基板より離れるようにチルトしている液晶パネルにおいて、2軸位相差フィルム132dを、その遅相軸方向が、液晶の配向方向に対して直交する90°方向(矢示方向)となるように配置している。なお、チルト角θは2°以下である。
また、応力印加時における斜め方向の光漏れを改善するために、当該応力印加時にアレイ基板110に斜め方向に発生する45°方向の位相差(アレイ基板の複屈折方向に相当)に対して、直交する方向となる135°方向(矢示方向)の遅相軸を有すると共に、応力印加時に斜め方向に発生する位相差と正負逆の位相差を有する位相差フィルム132cをアレイ基板110と偏光板132bとの間に配置している。ここで、この位相差フィルム132cの位相差の絶対値としては、応力印加時にアレイ基板110に発生する位相差を概ねキャンセルできる程度として、例えば、1nm程度の位相差を生ずるように設定した。
また、図5に示されるように、CF基板120側の偏光板132aは、その吸収軸方向が0°方向(液晶の配向方向)となるように配置し、アレイ基板110側の偏光板132bは、その吸収軸方向は90°方向(矢示方向)となるように配置している。なお、バックライトからの光は矢示のようにアレイ基板110側から入射する。
図6は、アレイ基板110の対向電極113と画素電極112との関係を示す図である。図6に示すように、アレイ基板110の対向電極113が、そのスリットSL(または開口部)の延在方向が液晶パネルの水平方向(0°方向)に対して0°〜15°の角度で傾いて形成されている。より具体的には、スリットSLは、画素電極112の長手方向の中央部を対称軸として上下対称に配置されている。そして、液晶分子LMの配向方向は、液晶パネルの水平方向と一致するように設定されている。
以上説明した光学設計が実施された液晶パネル100を備えた液晶表示装置における視野角コントラストの改善効果について以下に説明する。
比較例として通常の光学設計が施された液晶表示装置の構成の図7に示し、当該液晶表示装置で得られる平常時の視野角特性(応力印加なし)を図8に、応力印加時の視野角特性を図9に示している。
図7に示す通常の光学設計では、アレイ基板110と偏光板132bとの間には位相差フィルム132cは配置されていない。なお、その他、図5に示した光学設計と同じ構成には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
図7に示す通常の光学設計では、平常時の視野角特性は、図8に示されるように斜め方向から見ても高いコントラスト特性が得られ、広視野角な視野角特性を得ることができる。
すなわち、図8はコントラスト特性を等コントラスト曲線で示す図であり、一連の曲線は同じコントラスト値を示しており、外側の曲線ほどコントラスト値が低く、中央に向かうほどコントラスト値が高くなっており中央で最大値となっている。図8では、パネル面に対して水平方向(0°、180°方向)、垂直方向(90°、270°方向)と、これら以外の斜め方向とで、中央のコントラスト値(最大値)に大きな違いはなく、斜め方向から見ても高いコントラスト特性が得られることが判る。
一方、液晶パネルに応力が印加され、パネル面に対して斜め方向に位相差が発生すると、斜め方向の視野角特性が低下する。
図10は、液晶パネルへの応力印加の一例を模式的に示す図であり、アレイ基板110およびCF基板120の対角位置にある2つの角部において、主面に対して垂直上方に引っ張り応力が印加され、矢示方向に反りが発生した場合を示している。この場合、アレイ基板110に45°方向(矢示)、CF基板120に135°方向(矢示)の複屈折が発生する。なお、複屈折の方向は位相差に相当する。
この結果、図9に示すコントラスト特性のように、斜め方向に等コントラスト曲線が歪み、斜め方向での視野角特性が悪くなるっている。
これに対し、図5に示した光学設計を施した実施の形態1の液晶表示装置においては、アレイ基板110と偏光板132bとの間に位相差フィルム132cを配置することで、液晶パネルに印加される応力によりアレイ基板110に発生する45°方向の位相差をキャンセルすることができる。
図11は、実施の形態1の液晶表示装置における応力印加時の視野角特性を示す図である。図11に示すコントラスト特性においては、斜め方向における等コントラスト曲線の歪みが抑制され、図9に示した視野角特性と比較して、斜め方向での視野角特性が改善され、斜め方向の光漏れが改善されていることが判る。
なお、以上の説明においては、位相差フィルム132cの位相差の絶対値としては、応力印加時に発生する位相差を概ねキャンセルできる程度としたが、現実的には、液晶表示装置の使用時に想定される印加応力の最大値の半分程度で発生する位相差をキャンセルできる値に設定すると良い。
このように設定することにより、応力印加がない場合の視野角コントラストをそれ程低下させることなく応力印加時の視野角コントラストを有効に改善することができ、応力印加がある場合とない場合とで、視野角コントラストのバラツキを少なくすることができる。
<変形例>
以上説明した本実施の形態1においては、アレイ基板110側に応力印加による位相差をキャンセルする位相差フィルムを配置した光学設計を施した例を示したが、CF基板120側に、応力印加による位相差をキャンセルする位相差フィルムを配置した光学設計を施しても良い。この構成を図12に示す。
以上説明した本実施の形態1においては、アレイ基板110側に応力印加による位相差をキャンセルする位相差フィルムを配置した光学設計を施した例を示したが、CF基板120側に、応力印加による位相差をキャンセルする位相差フィルムを配置した光学設計を施しても良い。この構成を図12に示す。
図12に示すように、CF基板120と2軸位相差フィルム132dとの間に、応力印加時にCF基板120に斜め方向に発生する135°方向の位相差(アレイ基板の複屈折方向に相当)に対して、直交する方向となる45°方向(矢示方向)の遅相軸を有すると共に、応力印加時に斜め方向に発生する位相差と正負逆の位相差を有する位相差フィルム132eを配置する。なお、その他の構成は図5に示した光学設計と同じであるが、アレイ基板110側には位相差フィルム132cは配置されていない。
これにより、液晶パネルに印加される応力によりCF基板120に発生する135°方向の位相差をキャンセルすることができる。
図13は、図12に示した光学設計を施した液晶表示装置における応力印加時の視野角特性を示す図である。図13に示すコントラスト特性においては、斜め方向における等コントラスト曲線の歪みが抑制され、図9に示した視野角特性と比較して、斜め方向での視野角特性が改善され、斜め方向の光漏れが改善されていることが判る。
<適用例>
図4を用いて説明した液晶モジュール20は、リアフレーム1の前面側に貼り付けられた光透過性保護板である前面パネル6と液晶パネル100との間に、注入樹脂や光透過性粘着シート等で構成される樹脂層7が配設されたグラスボンディング構造となっているが、このような液晶表示装置は、高温環境下などにおいて特定方向の反りなどを発生することから、斜め方向の光漏れによる視野角特性の劣化を起こし易い。従って、実施の形態1およびその変形例において説明した、応力印加による位相差をキャンセルするための位相差フィルムの位相差は、このグラスボンディング構造が適用される場合に想定される液晶パネルに印加される応力に基づいて設定することが望ましい。
図4を用いて説明した液晶モジュール20は、リアフレーム1の前面側に貼り付けられた光透過性保護板である前面パネル6と液晶パネル100との間に、注入樹脂や光透過性粘着シート等で構成される樹脂層7が配設されたグラスボンディング構造となっているが、このような液晶表示装置は、高温環境下などにおいて特定方向の反りなどを発生することから、斜め方向の光漏れによる視野角特性の劣化を起こし易い。従って、実施の形態1およびその変形例において説明した、応力印加による位相差をキャンセルするための位相差フィルムの位相差は、このグラスボンディング構造が適用される場合に想定される液晶パネルに印加される応力に基づいて設定することが望ましい。
これにより、比較的大きな応力が発生するグラスボンディング構造において、有効に視野角コントラストを改善することができる。
<実施の形態2>
以上説明した実施の形態1においては、アレイ基板110側に応力印加による位相差をキャンセルする位相差フィルムを配置した光学設計を施した例を示し、実施の形態1の変形例においては、CF基板120側に応力印加による位相差をキャンセルする位相差フィルムを配置した光学設計を施した例を示したが、両者を組み合わせることで、アレイ基板110側にもCF基板120側にも応力印加による位相差をキャンセルする位相差フィルムを配置した光学設計を施しても良い。
以上説明した実施の形態1においては、アレイ基板110側に応力印加による位相差をキャンセルする位相差フィルムを配置した光学設計を施した例を示し、実施の形態1の変形例においては、CF基板120側に応力印加による位相差をキャンセルする位相差フィルムを配置した光学設計を施した例を示したが、両者を組み合わせることで、アレイ基板110側にもCF基板120側にも応力印加による位相差をキャンセルする位相差フィルムを配置した光学設計を施しても良い。
すなわち、実施の形態2の液晶表示装置では、図14に示すように、アレイ基板110と偏光板132bとの間に、応力印加時にアレイ基板110に斜め方向に発生する45°方向の位相差(アレイ基板の複屈折方向に相当)に対して、直交する方向となる135°方向(矢示方向)の遅相軸を有すると共に、応力印加時に斜め方向に発生する位相差と正負逆の位相差を有する位相差フィルム132cを配置している。また、CF基板120と2軸位相差フィルム132dとの間に、応力印加時にCF基板120に斜め方向に発生する135°方向の位相差(アレイ基板の複屈折方向に相当)に対して、直交する方向となる45°方向(矢示方向)の遅相軸を有すると共に、応力印加時に斜め方向に発生する位相差と正負逆の位相差を有する位相差フィルム132eを配置している。ここで、この位相差フィルム132eの位相差の絶対値としては、応力印加時に発生する位相差を概ねキャンセルできる程度として、例えば、1nm程度の位相差を生ずるように設定した。なお、その他の構成は図5に示した光学設計と同じである。
これにより、液晶パネルに印加される応力によりアレイ基板110に発生する45°方向の位相差をキャンセルすることができると共に、液晶パネルに印加される応力によりCF基板120に発生する135°方向の位相差をキャンセルすることができる。
このような光学設計を施した液晶表示装置における応力印加時の視野角特性は図13と同じとなり、斜め方向の光漏れと視野角特性が改善されることが判る。
なお、本実施の形態2においても、アレイ基板側およびCF基板側に追加する位相差フィルムの位相差の絶対値としては、応力印加時に発生する位相差を概ねキャンセルできる程度としても良いが、現実的には、液晶表示装置の使用時に想定される印加応力の最大値の半分程度で発生する位相差をキャンセルできる値に設定すると良い。
このように設定することにより、応力印加がない場合の視野角コントラストをそれ程低下させることなく応力印加時の視野角コントラストを有効に改善することができ、応力印加がある場合とない場合とで、視野角コントラストのバラツキを少なくすることができる。
また、実施の形態1および実施の形態2においては、応力印加により発生する位相差をキャンセルするための位相差フィルムについて、設定する位相差の絶対値としては1nm程度とすることや、想定される印加応力の最大値の半分程度で発生する位相差をキャンセルできる値とすることを例示したが、これらの位相差フィルムは、複屈折(波長550nmの光に対するX軸とY軸と屈折率の差)Δnの値が、0.1×10−3〜1.0×10−3程度のフィルム材として、偏光板に積層する。
このように、位相差フィルムとして複屈折Δnの値が比較的小さい材料を使用とすることで、当該位相差フィルムを比較的厚いシート材とすることができ、偏光板などの光学フィルム部材の積層構造に組み込むことができ、容易に製造することができる。
一方、応力印加により発生する位相差をキャンセルするための位相差フィルムの複屈折Δnの値が、5.0×10−3〜2.0×10−2程度と比較的大きい場合には、当該位相差フィルムを薄膜(膜厚1nm〜1000nm)として、CF基板やアレイ基板のガラス基板上、または偏光板を構成するフィルム部材の表面に成膜して形成すれば良い。
このようにすることで、単独のフィルム材として取り扱いの難しい比較的薄い位相差フィルムであっても実施の形態1および実施の形態2で説明した光学設計に容易に適用することができ、製造コストを低減することができる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
100 液晶パネル、110 TFTアレイ基板、120 カラーフィルタ基板、140 液晶層、132a,132b 偏光板、132c,132e 位相差フィルム、132d 2軸位相差フィルム。
Claims (8)
- 複数の薄膜トランジスタが配設されたアレイ基板と、
前記アレイ基板に対向配置された対向基板と、
前記アレイ基板と前記対向基板との間に挟持された液晶層と、を備え、
前記アレイ基板および前記対向基板と平行に発生させる電界により液晶を駆動する横電界方式の液晶パネルを有した液晶表示装置であって、
前記液晶パネルは、
前記液晶パネルに対する応力印加時に、前記アレイ基板および前記対向基板の主面に対して斜め方向に発生する位相差と直交する方向の遅相軸を有すると共に、前記位相差と正負逆の位相差を有する位相差フィルムを、前記アレイ基板および前記対向基板の少なくとも一方の外側に備える、液晶表示装置。 - 前記液晶パネルは、
前記アレイ基板の外側に配置された偏光板をさらに備え、
前記位相差フィルムは、
前記アレイ基板と前記偏光板との間に配置される、請求項1記載の液晶表示装置。 - 前記液晶パネルは、
前記対向基板の外側に配置された2軸位相差フィルムと、
前記2軸位相差フィルムの外側に配置された偏光板と、をさらに備え、
前記位相差フィルムは、
前記対向基板と前記2軸位相差フィルムとの間に配置される、請求項1記載の液晶表示装置。 - 前記液晶パネルは、
前記アレイ基板の外側に配置された第1偏光板と、
前記対向基板の外側に配置された2軸位相差フィルムと、
前記2軸位相差フィルムの外側に配置された第2偏光板と、をさらに備え、
前記位相差フィルムは、
前記アレイ基板と前記第1偏光板との間に配置されると共に、前記対向基板と前記2軸位相差フィルムとの間に配置される、請求項1記載の液晶表示装置。 - 前記位相差フィルムの位相差の絶対値は、想定される印加応力の最大値の半分程度で発生する位相差をキャンセルできる値に設定される、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の液晶表示装置。
- 前記液晶表示装置は、
前記アレイ基板および前記対向基板のうち表示面側となる方の主面に、光透過性粘着シートを介して貼り付けられた光透過性保護板をさらに備える、請求項5記載の液晶表示装置。 - 前記位相差フィルムは、複屈折の値が0.1×10−3〜1.0×10−3である、請求項2から請求項4の何れか1項に記載の液晶表示装置。
- 前記位相差フィルムは、複屈折の値が5.0×10−3〜2.0×10−2である、請求項2から請求項4の何れか1項に記載の液晶表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015030260A JP2016151729A (ja) | 2015-02-19 | 2015-02-19 | 液晶表示装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2019123709A1 (ja) * | 2017-12-21 | 2019-06-27 | 三菱電機株式会社 | 液晶パネルおよびそれを備える液晶表示装置 |
-
2015
- 2015-02-19 JP JP2015030260A patent/JP2016151729A/ja active Pending
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