JP2016138753A - 放射性物質の三次元分布を計測する方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】放射性物質で汚染された土壌等の計測対象物中の放射性物質の三次元分布に対して試料を採取ことなく非破壊的に計測可能な方法及びそのための装置を提供する。
【解決手段】計測対象物中の放射性物質のxyz方向の三次元分布の計測方法であって、計測対象物から放出されるガンマ線の二次元画像を撮像するステップと、放射性物質の核種及び二次元分布を解析するステップと、撮像されたガンマ線の二次元画像の各位置におけるエネルギースペクトルの形状より、及び/又は、散乱ガンマ線の一定範囲のエネルギー帯におけるxy平面方向の二次元分布の分散より、計測位置と放射性物質とを結ぶ直線における計測対象物中の長さを求めて、前記放射性物質のz軸方向の位置を決定するステップと、それらの位置情報に一致する放射性物質のxyz方向の三次元分布を再構築するステップと、を含むことを特徴とする、方法。
【選択図】図3
【解決手段】計測対象物中の放射性物質のxyz方向の三次元分布の計測方法であって、計測対象物から放出されるガンマ線の二次元画像を撮像するステップと、放射性物質の核種及び二次元分布を解析するステップと、撮像されたガンマ線の二次元画像の各位置におけるエネルギースペクトルの形状より、及び/又は、散乱ガンマ線の一定範囲のエネルギー帯におけるxy平面方向の二次元分布の分散より、計測位置と放射性物質とを結ぶ直線における計測対象物中の長さを求めて、前記放射性物質のz軸方向の位置を決定するステップと、それらの位置情報に一致する放射性物質のxyz方向の三次元分布を再構築するステップと、を含むことを特徴とする、方法。
【選択図】図3
Description
本発明は、土壌、河川、湖沼、海、建築物、建造物、コンクリート構造体及び身体等の計測対象物中のガンマ線放射性物質の二次元分布を撮像し、その画像及び/又はスペクトルを解析することによりガンマ線を放出する放射性物質の三次元分布を計測する方法及びその装置に関する。
福島原発事故後、人体を含む環境中の放射性物質について関心が高まっている。放射性物質はサーベイメータを用いて放射性物質を検知するが、サーベイメータには指向性がなくスペクトルを積分するため配置地点での全方向からの空間線量を測定するのみであり、放射性物質を可視化するガンマ線カメラも奥行情報が縮退するため(図1)、二次元的な情報しか得られない。
そこで、環境中の放射性物質の分布を正確に測定するために、例えば特許文献1には、放射能汚染水によって汚染された汚染コンクリート体における汚染深度を推定する放射能汚染深度推定方法が開示されている。また、特許文献2には、放射能汚染により地中に分布したガンマ線放出核種の深さ方向への分布の程度を示す実効緩衝深度を算出する方法が開示されている。
また、特許文献3には、ガンマ線を表面上方の2つの位置で検出し、検出されたガンマ線の数の割合(或いはその逆の割合)を表す比を求め、その比に基づいて表面下のガンマ線放出元素のおおよその深さを推定する方法等が記載されている。
一方、放射線の可視化技術としては99mTc等のガンマ線放出核種や消滅ガンマ線を生じる18F等の陽電子放出核種で放射性標識された薬剤が、種々の疾患の診断に広く使用されている。しかし、これらの放射性診断薬を身体へ投与して得られる情報は基本的に二次元断層画像でありシングル・フォトン・エミッションCT(SPECT)装置やポジトロンCT(PET)装置等の大型で高価な装置を必要とする。
これらの従来の技術は、測定対象の非破壊的な計測が不可能である、2か所以上の複数地点での測定が必須でありかつ深さ位置特定精度が低い、及び/又は測定対象を囲む多方向からの測定が必要であり土壌やコンクリート等への応用は不適、等の問題を有している。
放射性物質で汚染された土壌やコンクリート・湖沼等の計測可能な面が制限される計測対象物中の放射性物質に対して、試料を採取することなく非破壊的に放射性物質の深度分布を含む三次元分布の計測が可能であり、また身体中の放射性物質の三次元分布の計測へも応用可能な簡便かつ迅速な方法及びそのための装置を提供する。
本発明は、ガンマ線を放出する1又は2種類以上の放射性物質を含む計測対象物中の当該放射性物質の三次元分布を計測する方法であって、
1)計測対象物から放出されるガンマ線の二次元分布画像を撮像するステップと、
2)撮像されたガンマ線の二次元画像を解析するステップと
を含む方法を提供する。
1)計測対象物から放出されるガンマ線の二次元分布画像を撮像するステップと、
2)撮像されたガンマ線の二次元画像を解析するステップと
を含む方法を提供する。
具体的には、本発明は、計測対象物中の1又は2種類以上の放射性物質のxyz方向の三次元分布を計測する方法であって、
1)計測対象物から放出されるガンマ線のxy平面方向の二次元分布を撮像するステップと、
2)前記撮像されたガンマ線の二次元画像の各位置におけるガンマ線のエネルギースペクトル解析により、前記放射性物質の放射性核種及び/又はxy平面方向の二次元分布を決定するステップと、
3)前記撮像されたガンマ線の二次元画像の各位置におけるエネルギースペクトルの形状及び/又は計数率より、及び/又は、散乱ガンマ線の一定範囲のエネルギー帯におけるxy平面方向の二次元分布の分散より、計測位置と放射性物質とを結ぶ直線における計測対象物中の長さを求めて、前記放射性物質のz軸方向の位置を決定するステップと、
4)前記2)及び3)のステップで決定された位置情報に一致する放射性物質のxyz方向の三次元分布を再構築するステップと、
を含む方法を提供する。
1)計測対象物から放出されるガンマ線のxy平面方向の二次元分布を撮像するステップと、
2)前記撮像されたガンマ線の二次元画像の各位置におけるガンマ線のエネルギースペクトル解析により、前記放射性物質の放射性核種及び/又はxy平面方向の二次元分布を決定するステップと、
3)前記撮像されたガンマ線の二次元画像の各位置におけるエネルギースペクトルの形状及び/又は計数率より、及び/又は、散乱ガンマ線の一定範囲のエネルギー帯におけるxy平面方向の二次元分布の分散より、計測位置と放射性物質とを結ぶ直線における計測対象物中の長さを求めて、前記放射性物質のz軸方向の位置を決定するステップと、
4)前記2)及び3)のステップで決定された位置情報に一致する放射性物質のxyz方向の三次元分布を再構築するステップと、
を含む方法を提供する。
本発明の計測対象物中の放射性物質のxyz方向の三次元分布を計測する方法での前記ステップ1)において、2以上の異なった位置での撮像を含む場合がある。
本発明の計測対象物中の放射性物質のxyz方向の三次元分布を計測する方法において、前記ステップ3)のエネルギースペクトルの形状及び/又は計数率より放射性物質のz軸方向の位置を決定するステップは、散乱ガンマ線と直接ガンマ線との比率を求めるステップを含む場合がある。
本発明の計測対象物中の放射性物質のxyz方向の三次元分布を計測する方法において、さらに、5)再構築された三次元分布を表示するステップを含む場合がある。
本発明の計測対象物中の放射性物質のxyz方向の三次元分布を計測する方法において、前記放射性物質の放射性核種は、137Cs、134Cs、131I、99mTc、51Cr、67Ga、81Rb-81mKr、90Y、111In、123I、201Tl、133Xe、18F、11C,15Oからなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。
本発明の計測対象物中の放射性物質のxyz方向の三次元分布を計測する方法において、前記計測対象物は、土壌、河川、湖沼、海、池、建築物、建造物、コンクリート構造体又は身体である場合がある。
本発明の計測対象物中の放射性物質のxyz方向の三次元分布を計測する方法において、前記再構築された三次元分布の表示は、三次元画像による場合がある。
また、本発明は、放射性物質を含む計測対象物から放出される直接ガンマ線及び散乱ガンマ線のエネルギースペクトル上での計数率を含む比較より、計測位置と放射性物質とを結ぶ直線における計測対象物中の長さを決定するステップを含む放射性物質のz軸方向の位置を計測する方法を提供する。
さらに、本発明は、放射性物質を含む計測対象物から放出されるガンマ線の一定範囲のエネルギー帯のxy方向の二次元分布を撮像し、その二次元分布画像にける散乱ガンマ線のxy平面方向の分散の解析により、計測位置と放射性物質とを結ぶ直線における計測対象物中の長さを決定するステップを含む、放射性物質のz軸方向の位置を計測する方法を提供する。
本発明における前記z軸上の計測対象物中の長さを求めるステップにおいて、計測対象物の密度で補正する場合がある。
さらに、本発明は、計測対象物中の1又は2種類以上の放射性物質のxyz方向の三次元分布を計測する装置であって、
1)計測対象物から放出されるガンマ線のxy平面方向の二次元画像を撮像する撮像部と、
2)前記二次元画像における各位置のガンマ線のエネルギースペクトルの解析より、
i) 前記放射性物質の放射性核種及び/又は二次元分布を決定し、
a) 放射性物質のガンマ線スペクトルの形状及び/又は計数率より前記放射性物質のz方向の位置を解析し、及び/又は、
b) 散乱ガンマ線の一定範囲のエネルギー帯におけるガンマ線のxy平面における二次元分散より前記放射性物質のz軸方向の位置を解析し、
ii) 前記i)で得られた位置の情報に一致する前記放射性物質のxyz方向の三次元分布を再構築する
解析部と、
3)再構築された放射性物質のxyz方向の三次元分布を表示する表示部と
を含むことを特徴とする、装置を提供する。
1)計測対象物から放出されるガンマ線のxy平面方向の二次元画像を撮像する撮像部と、
2)前記二次元画像における各位置のガンマ線のエネルギースペクトルの解析より、
i) 前記放射性物質の放射性核種及び/又は二次元分布を決定し、
a) 放射性物質のガンマ線スペクトルの形状及び/又は計数率より前記放射性物質のz方向の位置を解析し、及び/又は、
b) 散乱ガンマ線の一定範囲のエネルギー帯におけるガンマ線のxy平面における二次元分散より前記放射性物質のz軸方向の位置を解析し、
ii) 前記i)で得られた位置の情報に一致する前記放射性物質のxyz方向の三次元分布を再構築する
解析部と、
3)再構築された放射性物質のxyz方向の三次元分布を表示する表示部と
を含むことを特徴とする、装置を提供する。
本発明の装置において、前記ガンマスペクトルの形状の解析は、散乱ガンマ線と直接ガンマ線との計数率の比を求める場合がある。
本発明の装置において、前記表示部は、三次元画像表示ユニットである場合がある。
本発明を用いることにより、ガンマ線を放出する放射性物質で汚染された土壌、河川、湖沼、海、池、建築物、建造物、コンクリート構造体等の計測可能な面が制限される計測対象物における放射性物質に対して、試料を採取することなく非破壊的に放射性物質の深度を含む三次元分布の計測が基本的に1回のガンマ線の二次元分布の撮像により可能となる。本方法は、大型の装置を必要とせずに、迅速かつ簡便に実施できる。また、同一測定方向に複数個所の放射性物質を含む計測対象物に対しては、異なる位置での複数の撮像で各放射性物質の深度を含む三次元分布が可能となる。さらに、本発明の方法及び装置は、水や身体等の比重1の計測対象物中の放射性物質に対しても、例えば、1〜2cm以下の空間分解能で計測でき、放射性診断薬を投与した身体中の放射性物質の三次元分布の計測が可能であり、疾病の診断等にも利用される。
1.計測対象物中の放射性物質のxyz方向の三次元分布の計測
本発明は、計測対象物中の1又は2種類以上の放射性物質のxyz方向の三次元分布を計測する方法であって、
1)計測対象物から放出されるガンマ線のxy平面方向の二次元分布を撮像するステップと、
2)前記撮像されたガンマ線の二次元画像の各位置におけるガンマ線のエネルギースペクトル解析により、前記放射性物質の放射性核種及び/又はxy平面方向の二次元分布を決定するステップと、
3)前記撮像されたガンマ線の二次元画像の各位置におけるエネルギースペクトルの形状及び/又は計数率より、及び/又は、散乱ガンマ線の一定範囲のエネルギー帯におけるxy平面方向の二次元分布の分散より、計測位置と放射性物質とを結ぶ直線における計測対象物中の長さを求めて、前記放射性物質のz軸方向の位置を決定するステップと、
4)前記2)及び3)のステップで決定された位置情報に一致する放射性物質のxyz方向の三次元分布を再構築するステップ
によって実施される。
本発明は、計測対象物中の1又は2種類以上の放射性物質のxyz方向の三次元分布を計測する方法であって、
1)計測対象物から放出されるガンマ線のxy平面方向の二次元分布を撮像するステップと、
2)前記撮像されたガンマ線の二次元画像の各位置におけるガンマ線のエネルギースペクトル解析により、前記放射性物質の放射性核種及び/又はxy平面方向の二次元分布を決定するステップと、
3)前記撮像されたガンマ線の二次元画像の各位置におけるエネルギースペクトルの形状及び/又は計数率より、及び/又は、散乱ガンマ線の一定範囲のエネルギー帯におけるxy平面方向の二次元分布の分散より、計測位置と放射性物質とを結ぶ直線における計測対象物中の長さを求めて、前記放射性物質のz軸方向の位置を決定するステップと、
4)前記2)及び3)のステップで決定された位置情報に一致する放射性物質のxyz方向の三次元分布を再構築するステップ
によって実施される。
具体的には、図1において、ガンマ線カメラの画像は奥行方向に縮退するため、通常行われる直接ガンマ線のみの撮影から対象物の表層に付着した放射性物質と、深層部に埋もれた放射性物質の区別をすることはできない。しかしながら、散乱ガンマ線を用いたガンマ線撮像、並びにエネルギースペクトルの比較から、この縮退を解くことが可能である。概念については図2A及び図2Bに、具体的なデータ取得及び解析のステップについては図3に示す。
図2A及び図2Bは概念を図示したものである。エネルギースペクトルの観点では、放射性物質が測定対象の深層部に存在する場合(case-B)、表層に存在する場合(case-A)に比べて直接ガンマ線(例えば612〜712keV)に対する散乱ガンマ線(例えば50〜150keV)の割合が増加する。また、散乱ガンマ線(例えば100〜200keV)の二次元画像の観点では、放射性物質が深層部に位置するほど二次元分布の広がりが増大する。
本発明の実施において、予め測定対象の放射性核種が特定又は推定される場合には、前記ステップ2)における放射性核種の二次元分布を決定するステップを省力することができる。また、この場合に、測定対象の放射性核種に適合するエネルギー帯を選定し、二次元画像の取得を行う。具体的には、137Csの三次元分布の計測を目的に撮像する場合には、例えば、50〜550keV、好ましくは50〜250keV、さらに好ましくは50〜150keVや100〜200keVの散乱ガンマ線と、600keV以上、好ましくは、612〜712keVの直接ガンマ線とを含むエネルギー帯の二次元画像を撮像する。
前記散乱ガンマ線と直接ガンマ線の2つのエネルギー帯の二次元分布画像の取得は、
(1) 両方のエネルギー帯を1回の撮影で分離して撮影する方法、
(2) 両方のエネルギー帯を含むエネルギー帯の二次元画像を撮像し、撮像した情報から各エネルギー帯の二次元画像を抽出する方法、又は、
(3) 両方のエネルギー帯に対して、それぞれ別個に撮像して、各エネルギー帯の二次元画像を取得する方法のいずれかの方法を含むが、これらに限定されない。本発明においては、前記(2)の 両方のエネルギー帯を含むエネルギー帯の二次元画像を撮像し、撮像した情報から各エネルギー帯の二次元画像を抽出する方法がもっとも好ましい。
(1) 両方のエネルギー帯を1回の撮影で分離して撮影する方法、
(2) 両方のエネルギー帯を含むエネルギー帯の二次元画像を撮像し、撮像した情報から各エネルギー帯の二次元画像を抽出する方法、又は、
(3) 両方のエネルギー帯に対して、それぞれ別個に撮像して、各エネルギー帯の二次元画像を取得する方法のいずれかの方法を含むが、これらに限定されない。本発明においては、前記(2)の 両方のエネルギー帯を含むエネルギー帯の二次元画像を撮像し、撮像した情報から各エネルギー帯の二次元画像を抽出する方法がもっとも好ましい。
本明細書において、撮影位置と撮像された二次元画像の中心点に該当する計測対処物中の点とを結ぶ直線をz軸として、x軸とy軸とは90°の関係にあり、z軸に垂直な座標軸である。
本明細書において、三次元分布とは、計測対象物中に含まれる放射性物質の空間分布、すなわち、xyz方向の単位位置における分布を言う。三次元分布を計測するとは、計測対象物中に存在する放射性物質の放射性核種の種類及び放射能量の情報を、放射性核種毎かつ空間的な単位位置毎に得ることをいう。空間的な位置は、前記xyzの各軸を用いて表すことができる。
本明細書において、二次元分布とは、z軸上にある撮像装置で計測対象物を撮像した場合の画像における放射性物質又は放射線のxy平面上の分布をいう。放射性物質の二次元分布は、放射性物質から放出される直接ガンマ線により得られる二次元画像の解析により得ることができる。放射線の二次元分布とは、特に断りのない場合は、前記撮像された画像において、放射性物質から放出される直接ガンマ線及び散乱ガンマ線の両方又は一方により得られる画像をいう。
本発明において、放射性物質のz軸方向の位置は、深度に換算される場合がある。
放射性物質より放出され撮像位置に到達するガンマ線は、計測対象物内で主にコンプトン散乱したのち間接的に撮像位置に到達する散乱ガンマ線と、コンプトン散乱することなく撮像位置まで直接到達する直接ガンマ線とが含まれる。コンプトン散乱の場合には、ガンマ線の飛行方向が変更すると共に、ガンマ線が衝突する電子にエネルギーを供与するためにガンマ線のエネルギーは低下する。
そこで、ガンマ線のエネルギースペクトルにおける直接ガンマ線のエネルギーのピークの位置より放射性核種を決定できる。
また、撮像位置に到達するガンマ線のエネルギースペクトルの形状、具体的には、直接ガンマ線と一定範囲のエネルギー帯の散乱ガンマ線との比率を求め、予め計測対象物を測定して得られた標準直線と比較することにより、放射性物質と撮像位置とを結ぶ直線上における計測対象物中の長さ(L)を求めることができる。
前記ガンマ線のエネルギースペクトルの形状から放射性物質と撮像位置とを結ぶ直線上における計測対象物中の長さ(L)を求める場合において、前記一定範囲のエネルギー帯は、計測対象物及び放射性核種の種類によって適宜選択する。例えば、計測対象物が土壌であり、土壌中の137Csの三次元分布を計測する場合のエネルギースペクトルの形状での散乱ガンマ線のエネルギー帯は、50〜150keVの範囲の強度を直接ガンマ線の強度と比較することが好ましい。
また、計測対象物から放射されたガンマ線の二次元画像は、直接ガンマ線を中心として、その周囲にコンプトン散乱による散乱ガンマ線によって撮像される分散画像が観測される。そして、放射性物質と撮像位置とを結ぶ直線上における計測対象物中の長さが長くなると、撮像位置で撮像された二次元画像上の分散は大きくなる。そこで、一定範囲のエネルギー帯の散乱ガンマ線によって撮像される二次元画像の分散を解析することにより、放射性物質と撮像位置とを結ぶ直線上における計測対象物中の長さ(L)を決定することができる。
散乱ガンマ線の二次元分布を撮像する場合の一定のエネルギー帯は、計測対象物及び放射性物質の核種によって適宜変更する。例えば、137Csで汚染された土壌中の放射性物質の三次元分布を計測するには、100〜200keVのエネルギー帯が好ましいが、これに限定されない。
複数のエネルギー帯を用いることにより、より複雑な放射性物質の三次元分布の計測が可能である。例えば、137Cs、134Cs及び131Iの3種類の放射性核種が計測対象物中に含まれる場合、例えば、0〜200、200〜400及び400〜600 keVの3種類のエネルギー帯の二次元画像の解析を組み合わせて計測することにより、それぞれの核種の三次元分布をより正確に解析できる。
さらに、前記ガンマ線のエネルギースペクトルの形状の解析と、前記の二次元画像上の分散の解析とを組み合わせることにより、放射性物質と撮像位置とを結ぶ直線上における計測対象物中の長さ(L)を、より正確に求めることができる。
前記放射性物質又は放射線の二次元分布を撮像する装置として、ガンマカメラを使用できるが、これに限定されない。ガンマカメラとして、例えば、ピンホールカメラ又はコンプトンカメラを使用できる。たとえば200キロ電子ボルト以上の高いエネルギーをもつガンマ線を撮像する場合には、ピンホールカメラは重量が大きくなるため、一般的にはコンプトンカメラの使用が好ましい。逆に、200キロ電子ボルト以下の低いエネルギーをもつガンマ線の撮像にはピンホールカメラも十分有効であるが、これに限定されない。
本明細書において、「放射性物質」とは、電離放射線を放出する物質を言い、より具体的には、放射性核種を含有する化学物質をいう。
本明細書において、ガンマ線を放出する核種として、原子炉の事故により放出された137Cs、134Cs及び131I、並びに放射性診断薬として使用される11C、13N、15O、18F、22Na、24Na、42K、43K、47Ca、51Cr、52Mn、52Fe、55Fe、59Fe、57Co、58Co、60Co、62Cu、64Cu、65Zn、67Ga、68Ga、72Ga、68Ge、74As、76As、75Se、82Br、81mKr、85Kr、81Rb、86Rb、85Sr、87mSr、87Y、90Y、99Mo、99mTc、103Ru、105Rh、109Pd、111Ag、111In、113mIn、113Sn、117mSn、132Te、123I、125I、131I、132I、133Xe、131Cs、141Ce、140La、149Pm、153Sm、161Tb、157Dy、166Dy、166Ho、167Tm、169Yb、175Yb、177Lu、182Ta、186Re、188Re、192Ir、198Au、199Au、197Hg、203Hg、201Tl、203Pb、211Bi、212Bi、213Bi、214Bi、222Rn、226Ra及び225Acが挙げられ、好ましくは、これらの中、日本で放射性診断薬等の医薬品として既に使用されている99mTc、51Cr、67Ga、81Rb-81mKr、90Y 、111In、123I、201Tl及び133Xe等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらに限定されない18F、11C,15O及び13N等の陽電子放出核種は、放出された陽電子が消滅する際に発生する消滅ガンマ線を測定することにより、本発明の方法及び装置で計測し、陽電子放出核種の三次元分布を計測できる。これにより本発明において、陽電子放出核種は、放射性診断薬として使用できる。
18F、99mTc、51Cr、67Ga、81Rb-81mKr、90Y 、111In、123I、201Tl及び133Xeで標識された医薬品は、日本で市販され、診断用又は治療用の放射性医薬品として臨床で使用されている。本発明での使用において、これらの市販の放射性医薬品を患者等に投与される放射性医薬品の添付文書等に記載された用量及び用法で投与し、投与後の身体中の三次元分布を本発明の方法及び装置で計測し、添付文書に記載された関心領域の放射性物質の分布を計測することにより、これらに限定されない動脈硬化症、心疾患及びがん等の種々疾患の診断を行うことができる。
例えば、ヘキサキス(2-メトキシイソブチルイソニトリル)テクネチウム(99mTc)注射液(製品名:カーディオライト第一(商標))で心臓疾患を診断する場合、テトラキス(2-メトキシイソブチルイソニトリル)銅(I)四フッ化ホウ酸1.0mgに添加物として、塩化スズ(II)二水和物0.075mg、L-システイン塩酸塩一水和物1.0mg、クエン酸ナトリウム水和物2.6mg及びD-マンニトール20.0mgを含む組成物に、99Moを含有する過テクネチウム酸ナトリウム(99mTc)注射液ジェネレータ(例えば、ウルトラテクネカウ(商標)からミルキングによって取得した過テクネチウム酸ナトリウム(99mTc)注射液を添加することにより、ヘキサキス(2-メトキシイソブチルイソニトリル)テクネチウムを製造し、その370〜555MBqを静脈より投与し、投与後30分以降にガンマカメラを用いて、前記三次元分布の計測方法を用いて三次元の心筋血流シンチグラムを得ることによる、心筋血流シンチグラフィによる心臓疾患の診断が可能である。
本明細書において、計測対象物としては、土壌、河川、湖沼、海、池、建築物、建造物、コンクリート構造体又は身体が挙げられるが、これらに限定されない。身体の場合には、好ましくは人体である。
計測対象物から放出されるガンマ線は、xy平面上の二次元画像が撮像され、単位位置毎に計測したガンマ線エネルギーとその強度とのスペクトル分析により放射性核種を決定し、又は、直接放射線の二次元分布画像を得ることによりxy平面における放射性物質の真の分布を決定することができる。
放射性物質のxyz方向の三次元分布を計測する方法は、具体的には以下のように行う。
(1)土壌、河川、湖沼、海、池、建築物、建造物及びコンクリート構造体が計測対象物の場合の計測
コンプトンカメラ等のガンマカメラを用いて、撮像領域にある放射性物質の位置情報及びエネルギー情報のデータ取得を行う。取得データから、対象核種に適したエネルギー帯における二次元画像を作成する。例えば、コンプトンカメラで137Csの二次元画像を作成する場合、例えば、612〜712keVのエネルギー帯を設定する。撮像領域に1箇所または2箇所以上に放射性物質が存在する場合、各々の地点におけるエネルギースペクトルを取得し、各々の地点で散乱ガンマ線と直接ガンマ線のイベント数の比(比1)を導出する。物質毎のz位置と比1の対応データベースを参照することで、各々の地点でのz位置を特定し、三次元分布を構築する。
コンプトンカメラ等のガンマカメラを用いて、撮像領域にある放射性物質の位置情報及びエネルギー情報のデータ取得を行う。取得データから、対象核種に適したエネルギー帯における二次元画像を作成する。例えば、コンプトンカメラで137Csの二次元画像を作成する場合、例えば、612〜712keVのエネルギー帯を設定する。撮像領域に1箇所または2箇所以上に放射性物質が存在する場合、各々の地点におけるエネルギースペクトルを取得し、各々の地点で散乱ガンマ線と直接ガンマ線のイベント数の比(比1)を導出する。物質毎のz位置と比1の対応データベースを参照することで、各々の地点でのz位置を特定し、三次元分布を構築する。
(2)身体が計測対象物の場合の計測
ピンホールカメラやコンプトンカメラ等のガンマカメラを用いて、撮像領域の位置情報及びエネルギー情報のデータ取得を行う。取得データから、対象核種に適したエネルギー領域における二次元画像を作成する。例えば、コンプトンカメラで18Fの二次元画像を作成する場合、460〜562keVのエネルギー領域を設定する。関心領域に1箇所または2箇所以上に放射性物質が存在する場合、各々の地点におけるエネルギースペクトルを取得し、各々の地点で散乱ガンマ線と直接ガンマ線のイベント数の比(比1)を導出する。組織毎のz位置と比1の対応データベースを参照することで、各々の地点でのz位置を特定し、三次元分布を構築する。
ピンホールカメラやコンプトンカメラ等のガンマカメラを用いて、撮像領域の位置情報及びエネルギー情報のデータ取得を行う。取得データから、対象核種に適したエネルギー領域における二次元画像を作成する。例えば、コンプトンカメラで18Fの二次元画像を作成する場合、460〜562keVのエネルギー領域を設定する。関心領域に1箇所または2箇所以上に放射性物質が存在する場合、各々の地点におけるエネルギースペクトルを取得し、各々の地点で散乱ガンマ線と直接ガンマ線のイベント数の比(比1)を導出する。組織毎のz位置と比1の対応データベースを参照することで、各々の地点でのz位置を特定し、三次元分布を構築する。
(3)同一測定方向に複数の放射性物質が存在する場合の計測
同一測定方向に複数の放射性物質が存在する場合には、2以上の位置で二次元分布画像を撮影することにより、それらの放射性物質の三次元分布を計測することができる。
同一測定方向に複数の放射性物質が存在する場合には、2以上の位置で二次元分布画像を撮影することにより、それらの放射性物質の三次元分布を計測することができる。
2.ガンマ線のエネルギースペクトル解析による計測対象物中の放射性物質のz軸上の長さの計測
本発明は、直接ガンマ線及び散乱ガンマ線のエネルギースペクトルの形状の解析により、計測対象物中の放射性物質の測定方向の長さの計測が可能である。
本発明は、直接ガンマ線及び散乱ガンマ線のエネルギースペクトルの形状の解析により、計測対象物中の放射性物質の測定方向の長さの計測が可能である。
対象地点におけるエネルギースペクトルを取得し、各々の地点で散乱ガンマ線と直接ガンマ線のイベント数の比(比1)を導出する。計測対象物の物質毎のz位置と比1の対応データベースを参照することで、各々の地点における計測対象物中の放射性物質のz軸上の長さを導出する。
3.ガンマ線のxy面における一定のエネルギー帯のガンマ線の分布の分散の解析による計測対象物中の放射性物質のz軸上の長さの計測
本発明は、ガンマ線のxy面における一定のエネルギー帯のガンマ線の分布の分散の解析により、計測対象物中の放射性物質のz軸上の長さの計測が可能である。
本発明は、ガンマ線のxy面における一定のエネルギー帯のガンマ線の分布の分散の解析により、計測対象物中の放射性物質のz軸上の長さの計測が可能である。
図3は、土壌中に存在する137Cs点線源のxy方向の分散について、直接ガンマ線(>600keV)の場合と散乱ガンマ線(100〜200keV)の場合を示したものである。図3で見てとれるように、散乱ガンマ線のxy方向の分散はz軸上の長さとともに増大することから、z軸上の長さ情報を保持している。そこで、特定のエネルギー領域(例えば、137Csに対して100〜200keV)における散乱ガンマ線のxy方向の分散をコンプトンカメラやピンホールカメラ等のガンマカメラで測定し、計測対象物の物質毎のz位置とxy方向の分散の対応データベースを参照することで、各々の地点における計測対象物中の放射性物質のz軸上の長さを導出する。
4.計測装置
本発明において、前記方法の実施に以下の装置を使用する。
すなわち、計測対象物中の放射性物質のxyz方向の三次元分布を計測する装置であって、図4に示すように
1)計測対象物から放出されるガンマ線のxy平面方向の二次元画像を撮像する撮像部と、
2)前記二次元画像における各位置のガンマ線のエネルギースペクトルの解析より、
i) 前記放射性物質の放射性核種及び/又は二次元分布を決定し、
a) 放射性物質のガンマ線スペクトルの形状より前記放射性物質のz方向の位置を解析し、及び/又は、
b) 散乱ガンマ線の一定範囲のエネルギー帯におけるガンマ線のxy平面における二次元分散より前記放射性物質のz軸方向の位置を解析し、
ii) 前記i)で得られた位置の情報に一致する前記放射性物質のxyz方向の三次元分布を再構築する
解析部と、
3)再構築された放射性物質のxyz方向の三次元分布を表示する表示部と
を含むことを特徴とする、装置を使用する。
本発明において、前記方法の実施に以下の装置を使用する。
すなわち、計測対象物中の放射性物質のxyz方向の三次元分布を計測する装置であって、図4に示すように
1)計測対象物から放出されるガンマ線のxy平面方向の二次元画像を撮像する撮像部と、
2)前記二次元画像における各位置のガンマ線のエネルギースペクトルの解析より、
i) 前記放射性物質の放射性核種及び/又は二次元分布を決定し、
a) 放射性物質のガンマ線スペクトルの形状より前記放射性物質のz方向の位置を解析し、及び/又は、
b) 散乱ガンマ線の一定範囲のエネルギー帯におけるガンマ線のxy平面における二次元分散より前記放射性物質のz軸方向の位置を解析し、
ii) 前記i)で得られた位置の情報に一致する前記放射性物質のxyz方向の三次元分布を再構築する
解析部と、
3)再構築された放射性物質のxyz方向の三次元分布を表示する表示部と
を含むことを特徴とする、装置を使用する。
前記装置における撮像部は、ガンマ線の二次元画像を取得可能なピンホールカメラやコンプトンカメラ等のガンマカメラを使用できるが、これに限定されない。撮像部で得られたxy平面における各位置のガンマ線検出信号は、解析部へ伝送される
前記解析部は、前記撮像部から伝送された二次元画像の各位置におけるガンマ線検出信号を処理し三次元分布再構築を行うためのガンマ線検出信号処理装置、エネルギー弁別処理装置及び画像化計算処理装置等を含むが、これらに限定されない。
解析部で処理された信号は、画像表示装置へ伝送され、画像表示される。
本明細書において言及される全ての文献はその全体が引用により本明細書に取り込まれる。ここに記述される実施例は本発明の実施形態を例示するものであり、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
[ガンマ線のエネルギースペクトル解析による計測対象物中の放射性物質のz軸上の長さの計測]
ガンマ線のエネルギースペクトル解析による計測対象物中の放射性物質のz軸上の長さの計測を行った。エネルギースペクトルの計測にはシンチレータ(CsI(Tl))式サーベイメータ(浜松ホトニクス、C12137-01)を使用し、測定時間は30分で、計測対象物は砂とした。
ガンマ線のエネルギースペクトル解析による計測対象物中の放射性物質のz軸上の長さの計測を行った。エネルギースペクトルの計測にはシンチレータ(CsI(Tl))式サーベイメータ(浜松ホトニクス、C12137-01)を使用し、測定時間は30分で、計測対象物は砂とした。
まず、散乱ガンマ線と直接ガンマ線のイベント数の比と、z位置の対応データベースを作成した。137Cs(1MBq)密封線源を砂中深さ0.0〜10.0cmの位置に配置し、各々のz位置におけるエネルギースペクトルを線源位置の直上かつ砂表面から約25cmの位置で計測した。図5及び図6はサーベイメータで取得されたエネルギースペクトルの一例であり、それぞれ深さ0cm及び10cmの場合を示す。これらの取得されたエネルギースペクトルから、以下の式(1)に従って、各々のz位置における直接ガンマ線と散乱ガンマ線の比1を導出した。
(比1)=(50-150keV(散乱ガンマ線)のイベント数)/
(612-712keV(直接ガンマ線)のイベント数)
----(1)
(比1)=(50-150keV(散乱ガンマ線)のイベント数)/
(612-712keV(直接ガンマ線)のイベント数)
----(1)
深さ方向のサンプリング間隔は1.0cmとした。図7は、実験結果から得られた深さと比1の関係を示したものである。図7のグラフを線形関数でフィッティングしたものを対応データベースとした。回帰直線y=ax+bで定義される係数a、bはそれぞれa=0.3018±0.0038、b=1.0607±0.0086となり、相関係数は0.999となった。
続いて、上記対応データベースを用いて未知の深さ位置に配置された放射性物質のz位置特定実験を行った。砂中の適当な深さに137Cs(1MBq)密封線源を埋め、サーベイメータを用いて砂表面から約25cmの位置でエネルギースペクトルを計測した。得られたエネルギースペクトルから式(1)に従って比1を算出したところ、2.0となった。この値を上記対応データベースに参照した結果、エネルギースペクトル解析から求まる深さ位置は3.14±0.05cmとなった。これは、実測した線源の位置3.0cmとほぼ一致した。
[砂中の放射性物質のxyz方向の三次元分布の計測]
計測対象物中の放射性物質のxyz方向の三次元分布の計測を行った。ガンマ線の二次元分布の撮像及びエネルギースペクトルの計測には、コンプトンカメラ(浜松ホトニクス)を使用し、撮像時間は30分で、計測対象物は砂とした。
計測対象物中の放射性物質のxyz方向の三次元分布の計測を行った。ガンマ線の二次元分布の撮像及びエネルギースペクトルの計測には、コンプトンカメラ(浜松ホトニクス)を使用し、撮像時間は30分で、計測対象物は砂とした。
まず、実施例1と同様に、散乱ガンマ線と直接ガンマ線のイベント数の比と、z位置の対応データベースをコンプトンカメラについて作成した。137Cs(1MBq)密封線源を砂中深さ0.0〜10.0cmの位置に配置し、各々のz位置におけるエネルギースペクトルを線源位置の直上かつ砂表面から約60cmの位置で計測した。図8及び図9はコンプトンカメラで取得されたエネルギースペクトルの一例であり、それぞれ深さ0cm及び10cmの場合を示す。これらの取得されたエネルギースペクトルから、前記式(1)に従って、各々のz位置における直接ガンマ線と散乱ガンマ線の比1を導出した。深さ方向のサンプリング間隔は1.0cmとした。図10は、実験結果から得られたコンプトンカメラにおける深さと比1の関係を示したものである。図10のグラフを線形関数でフィッティングしたものを対応データベースとした。回帰直線y=ax+bで定義される係数a、bはそれぞれa=0.873±0.023、b=4.570±0.067となり、相関係数は0.994となった。
続いて、砂中の未知の三次元位置に配置された放射性物質のxyz位置計測を行った。砂中の適当な三次元位置に埋められた137Cs(1MBq)密封線源に対して、以下の1)〜4)のステップから測定を行った。
1)コンプトンカメラを用いて、砂表面から約60cmの位置でxy方向の二次元分布のデータ収集を行った(撮像時間30分)。
2)137Csの直接ガンマ線のエネルギーに対応した612〜712keVの範囲の取得データを使用して、xy平面方向の二次元分布を描画した(図11A)。また、同一筐体内にコンプトンカメラと共に搭載された可視画像カメラで取得された可視画像とを重ね合わせた画像を図11Bに示した。
3)1)で得られたエネルギースペクトル解析から、z軸方向の位置の推定を行った。式(1)に従って比1を算出したところ、11.5となった。この値を上記対応データベースに参照した結果、エネルギースペクトル解析から求まる深さ位置は7.9±0.2cmとなった。これは実測した線源の位置8.0cmと一致した。
4)2)の二次元情報及び3)の深さ位置情報から、砂中の放射性物質の三次元分布を決定した。図12はコンプトンカメラの測定誤差を反映した三次元再構成画像である。
1)コンプトンカメラを用いて、砂表面から約60cmの位置でxy方向の二次元分布のデータ収集を行った(撮像時間30分)。
2)137Csの直接ガンマ線のエネルギーに対応した612〜712keVの範囲の取得データを使用して、xy平面方向の二次元分布を描画した(図11A)。また、同一筐体内にコンプトンカメラと共に搭載された可視画像カメラで取得された可視画像とを重ね合わせた画像を図11Bに示した。
3)1)で得られたエネルギースペクトル解析から、z軸方向の位置の推定を行った。式(1)に従って比1を算出したところ、11.5となった。この値を上記対応データベースに参照した結果、エネルギースペクトル解析から求まる深さ位置は7.9±0.2cmとなった。これは実測した線源の位置8.0cmと一致した。
4)2)の二次元情報及び3)の深さ位置情報から、砂中の放射性物質の三次元分布を決定した。図12はコンプトンカメラの測定誤差を反映した三次元再構成画像である。
[散乱ガンマ線の二次元分布の分散による砂中の放射性物質のz軸上の長さの計測]
モンテカルロシミュレーションツールキットGeant4をインストールしたコンピュータを用いて評価を行った。シミュレーション上に3m×3m×3mの立法体状の砂物質を構成し、等方的に662keVのガンマ線を放出する点線源を立方体のxy平面の中央に特定の深さで配置した。これらのうち、砂物質の表層にて計数されるガンマ線のエネルギー情報と砂物質中を透過する散乱ガンマ線の発生位置情報を取得し、100〜200keVのエネルギーの散乱ガンマ線について砂物質表層面での二次元分布画像を作成した。この二次元分布をx軸方向に射影した際の分散を取得し、これをその深さにおける画像分散値とした。図13は、同様の試行を砂物質中深さ0.0cm〜10.0cmまで1.0cm間隔で行い、得られた深さと画像分散値の関係を示したものである。図13を線形フィッティングし得られた回帰直線y=ax+bの係数a、bはそれぞれa=10.62±0.55、b=32.0±3.3となり、相関係数は0.988となった。この関係を用いることで、深さ位置が未知である線源についても画像分散値を測定することで深さ位置同定が可能である。
モンテカルロシミュレーションツールキットGeant4をインストールしたコンピュータを用いて評価を行った。シミュレーション上に3m×3m×3mの立法体状の砂物質を構成し、等方的に662keVのガンマ線を放出する点線源を立方体のxy平面の中央に特定の深さで配置した。これらのうち、砂物質の表層にて計数されるガンマ線のエネルギー情報と砂物質中を透過する散乱ガンマ線の発生位置情報を取得し、100〜200keVのエネルギーの散乱ガンマ線について砂物質表層面での二次元分布画像を作成した。この二次元分布をx軸方向に射影した際の分散を取得し、これをその深さにおける画像分散値とした。図13は、同様の試行を砂物質中深さ0.0cm〜10.0cmまで1.0cm間隔で行い、得られた深さと画像分散値の関係を示したものである。図13を線形フィッティングし得られた回帰直線y=ax+bの係数a、bはそれぞれa=10.62±0.55、b=32.0±3.3となり、相関係数は0.988となった。この関係を用いることで、深さ位置が未知である線源についても画像分散値を測定することで深さ位置同定が可能である。
[ガンマ線のエネルギースペクトル解析によるコンクリート中の放射性物質のz軸上の長さの計測]
実施例1と同様に、ガンマ線のエネルギースペクトル解析による計測対象物中の放射性物質のz軸上の長さの計測をコンクリートに対して行った。エネルギースペクトルの計測にはシンチレータ(CsI(Tl))式サーベイメータを使用した(計測時間30分)。
実施例1と同様に、ガンマ線のエネルギースペクトル解析による計測対象物中の放射性物質のz軸上の長さの計測をコンクリートに対して行った。エネルギースペクトルの計測にはシンチレータ(CsI(Tl))式サーベイメータを使用した(計測時間30分)。
まず、散乱ガンマ線と直接ガンマ線のイベント数の比と、z位置の対応データベースを作成した。137Cs(1MBq)密封線源を3cm厚のコンクリート平板を積み上げ、深さ0.0、3.0、6.0、9.0、12.0、15.0cmの位置に配置し、各々のz位置におけるエネルギースペクトルを線源位置の直上かつ砂表面から約25cmの位置で計測した。図14及び図15はサーベイメータで取得されたエネルギースペクトルの一例であり、それぞれ深さ0cm及び15cmの場合を示す。これらの取得されたエネルギースペクトルから、式(1)に従って、各々のz位置における直接ガンマ線と散乱ガンマ線の比1を導出した。
図16は、実験結果から得られた深さと比1の関係を示したものである。図16のグラフを線形関数でフィッティングしたものを対応データベースとした。回帰直線y=ax+bで定義される係数a、bはそれぞれa=0.3594±0.0035、b=1.353±0.012となり、相関係数は1.000となった。
続いて、上記対応データベースを用いて未知の深さ位置に配置された放射性物質のz位置特定実験を行った。コンクリート平板を適当な枚数積み上げた位置に137Cs(1MBq)密封線源を配置し、サーベイメータを用いてコンクリート表面から約25cmの位置でエネルギースペクトルを計測した。得られたエネルギースペクトルから式(1)に従って比1を算出したところ、4.6となった。この値を上記対応データベースに参照した結果、エネルギースペクトル解析から求まる深さ位置は9.04±0.09cmとなった。これは、実測した線源の位置9.0cmと一致した。
[コンクリート中の放射性物質のxyz方向の三次元分布の計測]
実施例2と同様に、計測対象物中の放射性物質のxyz方向の三次元分布の計測をコンクリートに対して行った。ガンマ線の二次元分布の撮像及びエネルギースペクトルの計測には、コンプトンカメラを使用した(撮像時間30分)。
実施例2と同様に、計測対象物中の放射性物質のxyz方向の三次元分布の計測をコンクリートに対して行った。ガンマ線の二次元分布の撮像及びエネルギースペクトルの計測には、コンプトンカメラを使用した(撮像時間30分)。
まず、散乱ガンマ線と直接ガンマ線のイベント数の比と、z位置の対応データベースを作成した。137Cs(1MBq)密封線源を3cm厚のコンクリート平板を積み上げ、深さ0.0、3.0、6.0、9.0、12.0、15.0cmの位置に配置し、各々のz位置におけるエネルギースペクトルを線源位置の直上かつ砂表面から約60cmの位置で計測した。図17及び図18はコンプトンカメラで取得されたエネルギースペクトルの一例であり、それぞれ深さ0cm及び15cmの場合を示す。これらの取得されたエネルギースペクトルから、式(1)に従って、各々のz位置における直接ガンマ線と散乱ガンマ線の比1を導出した。図19は、実験結果から得られたコンプトンカメラにおける深さと比1の関係を示したものである。図19のグラフを線形関数でフィッティングしたものを対応データベースとした。回帰直線y=ax+bで定義される係数a、bはそれぞれa=0.9420±0.0061、b=4.959±0.036となり、相関係数は0.993となった。
続いて、コンクリート中の未知の三次元位置に配置された放射性物質のxyz位置計測を行った。コンクリート平板中の適当な三次元位置に配置した137Cs(1MBq)密封線源に対して、以下の1)〜4)のステップから測定を行った。
1)コンプトンカメラを用いて、コンクリート表面から約60cmの位置でxy方向の二次元分布のデータ収集を行った(撮像時間30分)。
2)137Csの直接ガンマ線のエネルギーに対応した612〜712keVの範囲の取得データを使用して、xy平面方向の二次元分布を描画した。
3)1)で得られたエネルギースペクトル解析から、z軸方向の位置の推定を行った。式(1)に従って比1を算出したところ、16.1となった。この値を上記対応データベースに参照した結果、エネルギースペクトル解析から求まる深さ位置は11.91±0.09cmとなった。これは実測した線源の位置12.0cmとほぼ一致した。
4)2)の二次元情報及び3)の深さ位置情報から、コンクリート中の放射性物質の三次元分布を決定した。図20はコンプトンカメラの位置特定誤差を考慮した三次元再構成画像である。
1)コンプトンカメラを用いて、コンクリート表面から約60cmの位置でxy方向の二次元分布のデータ収集を行った(撮像時間30分)。
2)137Csの直接ガンマ線のエネルギーに対応した612〜712keVの範囲の取得データを使用して、xy平面方向の二次元分布を描画した。
3)1)で得られたエネルギースペクトル解析から、z軸方向の位置の推定を行った。式(1)に従って比1を算出したところ、16.1となった。この値を上記対応データベースに参照した結果、エネルギースペクトル解析から求まる深さ位置は11.91±0.09cmとなった。これは実測した線源の位置12.0cmとほぼ一致した。
4)2)の二次元情報及び3)の深さ位置情報から、コンクリート中の放射性物質の三次元分布を決定した。図20はコンプトンカメラの位置特定誤差を考慮した三次元再構成画像である。
[散乱ガンマ線の二次元分布の分散によるコンクリート中の放射性物質のz軸上の長さの計測]
モンテカルロシミュレーションツールキットGeant4をインストールしたコンピュータを用いて評価を行った。シミュレーション上に3m×3m×3mの立法体状のコンクリート物質を構成し、等方的に662keVのガンマ線を放出する点線源を立方体のxy平面の中央に特定の深さで配置した。これらのうち、コンクリート物質の表層にて計数されるガンマ線のエネルギー情報とコンクリート物質中を透過する散乱ガンマ線の発生位置情報を取得し、100〜200keVのエネルギーの散乱ガンマ線についてコンクリート物質表層面での二次元分布画像を作成した。この二次元分布をx軸方向に射影した際の分散を取得し、これをその深さにおける画像分散値とした。図21は、同様の試行をコンクリート物質中深さ0.0cm〜10.0cmまで1.0cm間隔で行い、得られた深さと画像分散値の関係を示したものである。図21を線形フィッティングし得られた回帰直線y=ax+bの係数a、bはそれぞれa=10.47±0.48、b=19.6±2.8となり、相関係数は0.991となった。この関係を用いることで、深さ位置が未知である線源についても画像分散値を測定することで深さ位置同定が可能である。
モンテカルロシミュレーションツールキットGeant4をインストールしたコンピュータを用いて評価を行った。シミュレーション上に3m×3m×3mの立法体状のコンクリート物質を構成し、等方的に662keVのガンマ線を放出する点線源を立方体のxy平面の中央に特定の深さで配置した。これらのうち、コンクリート物質の表層にて計数されるガンマ線のエネルギー情報とコンクリート物質中を透過する散乱ガンマ線の発生位置情報を取得し、100〜200keVのエネルギーの散乱ガンマ線についてコンクリート物質表層面での二次元分布画像を作成した。この二次元分布をx軸方向に射影した際の分散を取得し、これをその深さにおける画像分散値とした。図21は、同様の試行をコンクリート物質中深さ0.0cm〜10.0cmまで1.0cm間隔で行い、得られた深さと画像分散値の関係を示したものである。図21を線形フィッティングし得られた回帰直線y=ax+bの係数a、bはそれぞれa=10.47±0.48、b=19.6±2.8となり、相関係数は0.991となった。この関係を用いることで、深さ位置が未知である線源についても画像分散値を測定することで深さ位置同定が可能である。
[ガンマ線のエネルギースペクトル解析による水中の放射性物質のz軸上の長さの計測]
実施例1と同様に、ガンマ線のエネルギースペクトル解析による計測対象物中の放射性物質のz軸上の長さの計測を水に対して行った。エネルギースペクトルの計測にはシンチレータ(CsI(Tl))式サーベイメータを使用した(計測時間30分)。
実施例1と同様に、ガンマ線のエネルギースペクトル解析による計測対象物中の放射性物質のz軸上の長さの計測を水に対して行った。エネルギースペクトルの計測にはシンチレータ(CsI(Tl))式サーベイメータを使用した(計測時間30分)。
まず、散乱ガンマ線と直接ガンマ線のイベント数の比と、z位置の対応データベースを作成した。137Cs(1MBq)密封線源を水中深さ0.0〜10.0cmの位置に配置し、各々のz位置におけるエネルギースペクトルを線源位置の直上かつ水表面から約25cmの位置で計測した。図22及び図23はサーベイメータで取得されたエネルギースペクトルの一例であり、それぞれ深さ0cm及び10cmの場合を示す。これらの取得されたエネルギースペクトルから、前記式(1)に従って、各々のz位置における直接ガンマ線と散乱ガンマ線の比1を導出した。
深さ方向のサンプリング間隔は1.0cmとした。図24は、実験結果から得られた深さと比1の関係を示したものである。図24のグラフを線形関数でフィッティングしたものを対応データベースとした。回帰直線y=ax+bで定義される係数a、bはそれぞれa=0.2427±0.0012、b=0.9390±0.0061となり、相関係数は0.999となった。
続いて、上記対応データベースを用いて未知の深さ位置に配置された放射性物質のz位置特定実験を行った。水中の適当な深さに137Cs(1MBq)密封線源を配置し、サーベイメータを用いて水表面から約25cmの位置でエネルギースペクトルを計測した(計測時間30分)。得られたエネルギースペクトルから式(1)に従って比1を算出したところ、2.3となった。この値を上記対応データベースに参照した結果、エネルギースペクトル解析から求まる深さ位置は5.69±0.04cmとなった。これは実測した線源の位置5.5cmとほぼ一致した。
[水中の放射性物質のxyz方向の三次元分布の計測]
実施例2と同様に、計測対象物中の放射性物質のxyz方向の三次元分布の計測を水に対して行った。ガンマ線の二次元分布の撮像及びエネルギースペクトルの計測には、コンプトンカメラを使用した(撮像時間30分)。
実施例2と同様に、計測対象物中の放射性物質のxyz方向の三次元分布の計測を水に対して行った。ガンマ線の二次元分布の撮像及びエネルギースペクトルの計測には、コンプトンカメラを使用した(撮像時間30分)。
まず、散乱ガンマ線と直接ガンマ線のイベント数の比と、z位置の対応データベースをコンプトンカメラについて作成した。137Cs(1MBq)密封線源を水中深さ0.0〜10.0cmの位置に配置し、各々のz位置におけるエネルギースペクトルを線源位置の直上かつ水表面から約60cmの位置で計測した。図25及び図26はコンプトンカメラで取得されたエネルギースペクトルの一例であり、それぞれ深さ0cm及び10cmの場合を示す。これらの取得されたエネルギースペクトルから、前記式(1)に従って、各々のz位置における直接ガンマ線と散乱ガンマ線の比1を導出した。深さ方向のサンプリング間隔は1.0cmとした。図27は、実験結果から得られたコンプトンカメラにおける深さと比1の関係を示したものである。図27のグラフを線形関数でフィッティングしたものを対応データベースとした。回帰直線y=ax+bで定義される係数a、bはそれぞれa=0.638±0.014、b=4.686±0.069となり、相関係数は0.998となった。
また、本結果は、放射性物質の位置について、水中深さの1.0cmの相違を明確に弁別測定可能であることを示している。人体の主成分は水であり、その比重は水と同じほぼ1.0であるところから、本結果は、高価な装置を用いることなく、人体中の放射性物質の三次元分布を本方法で簡便、迅速かつ1.0cm以下の空間分解能の高い精度で計測できることを示すものである。
続いて、水中の未知の三次元位置に配置された放射性物質のxyz位置計測を行った。水中の適当な三次元位置に配置した137Cs(1MBq)密封線源に対して、以下の1)〜4)のステップから測定を行った。
1)コンプトンカメラを用いて、水表面から約60cmの位置でxy方向の二次元分布のデータ収集を行った(撮像時間30分)。
2)137Csの直接ガンマ線のエネルギーに対応した612〜712keVの範囲の取得データを使用して、xy平面方向の二次元分布を描画した。
3)1)で得られたエネルギースペクトル解析から、z軸方向の位置の推定を行った。式(1)に従って比1を算出したところ、9.4となった。この値を上記対応データベースに参照した結果、エネルギースペクトル解析から求まる深さ位置は7.4±0.2cmとなった。これは実測した線源の位置7.0cmとほぼ一致した。
4)2)の二次元情報及び3)の深さ位置情報から、水中の放射性物質の三次元分布を決定した。図28はコンプトンカメラの位置特定誤差を考慮した三次元再構成画像である。
1)コンプトンカメラを用いて、水表面から約60cmの位置でxy方向の二次元分布のデータ収集を行った(撮像時間30分)。
2)137Csの直接ガンマ線のエネルギーに対応した612〜712keVの範囲の取得データを使用して、xy平面方向の二次元分布を描画した。
3)1)で得られたエネルギースペクトル解析から、z軸方向の位置の推定を行った。式(1)に従って比1を算出したところ、9.4となった。この値を上記対応データベースに参照した結果、エネルギースペクトル解析から求まる深さ位置は7.4±0.2cmとなった。これは実測した線源の位置7.0cmとほぼ一致した。
4)2)の二次元情報及び3)の深さ位置情報から、水中の放射性物質の三次元分布を決定した。図28はコンプトンカメラの位置特定誤差を考慮した三次元再構成画像である。
また、本結果は、放射性物質の位置について、水中深さの1.0〜2.0cmの相違を明確に弁別測定可能であることを示している。主成分が水であり、その比重は水と同じほぼ1.0である人体において、高価な装置を用いることなく、人体中の放射性物質の三次元分布を本方法で簡便、迅速かつ1.0cm以下の空間分解能の高い精度で本方法を用いて計測できることを示すものである。
[散乱ガンマ線の二次元分布の分散による水中の放射性物質のz軸上の長さの計測]
モンテカルロシミュレーションツールキットを用いて評価を行った。シミュレーション上に3m×3m×3mの立法体状の水物質を構成し、等方的に662keVのガンマ線を放出する点線源を立方体のxy平面の中央に特定の深さで配置した。これらのうち、水物質の表層にて計数されるガンマ線のエネルギー情報と水物質中を透過する散乱ガンマ線の発生位置情報を取得し、100〜200keVのエネルギーの散乱ガンマ線について水物質表層面での二次元分布画像を作成した。この二次元分布をx軸方向に射影した際の分散を取得し、これをその深さにおける画像分散値とした。図29は、同様の試行を水物質中深さ0.0cm〜10.0cmまで1.0cm間隔で行い、得られた深さと画像分散値の関係を示したものである。図29を線形フィッティングし得られた回帰直線y=ax+bの係数a、bはそれぞれa=10.47±0.58、b=45.1±3.4となり、相関係数は0.987となった。この関係を用いることで、深さ位置が未知である線源についても画像分散値を測定することで深さ位置同定が可能である。
モンテカルロシミュレーションツールキットを用いて評価を行った。シミュレーション上に3m×3m×3mの立法体状の水物質を構成し、等方的に662keVのガンマ線を放出する点線源を立方体のxy平面の中央に特定の深さで配置した。これらのうち、水物質の表層にて計数されるガンマ線のエネルギー情報と水物質中を透過する散乱ガンマ線の発生位置情報を取得し、100〜200keVのエネルギーの散乱ガンマ線について水物質表層面での二次元分布画像を作成した。この二次元分布をx軸方向に射影した際の分散を取得し、これをその深さにおける画像分散値とした。図29は、同様の試行を水物質中深さ0.0cm〜10.0cmまで1.0cm間隔で行い、得られた深さと画像分散値の関係を示したものである。図29を線形フィッティングし得られた回帰直線y=ax+bの係数a、bはそれぞれa=10.47±0.58、b=45.1±3.4となり、相関係数は0.987となった。この関係を用いることで、深さ位置が未知である線源についても画像分散値を測定することで深さ位置同定が可能である。
主成分が水であり、その比重は水と同じほぼ1.0である人体において、本結果は、高価な装置を用いることなく、人体中の放射性物質の三次元分布を本方法を用いることにより、簡便、迅速かつ高い精度で、計測できることを示すものである。
本発明は、放射性物質で汚染された土壌、河川、湖沼、池、海、建築物、建造物又はコンクリート構造体等の放射性物質の三次元分布を簡便かつ迅速に大型の装置を必要とせずに計測し、除染範囲を予め決定するのに有用である。除染範囲を予め決定することにより、作業計画を構築し、無駄な作業を回避でき、効率的かつ経済的に作業できる。また、除染作業後の残留汚染の存否について簡便かつ迅速な確認が可能となる。さらに、放射性診断薬等の医療用放射性物質の人体等の身体の三次元分布を計測し、疾患の診断等に有用である。
1:本発明の計測装置
2:撮像部
3:解析部
4:表示部
2:撮像部
3:解析部
4:表示部
Claims (12)
- 計測対象物中の1又は2種類以上の放射性物質のxyz方向の三次元分布を計測する方法であって、
1)計測対象物から放出されるガンマ線のxy平面方向の二次元分布を撮像するステップと、
2)前記撮像されたガンマ線の二次元画像の各位置におけるガンマ線のエネルギースペクトル解析により、前記放射性物質の放射性核種及び/又はxy平面方向の二次元分布を決定するステップと、
3)前記撮像されたガンマ線の二次元画像の各位置におけるエネルギースペクトルの形状より、及び/又は、散乱ガンマ線の一定範囲のエネルギー帯におけるxy平面方向の二次元分布の分散より、計測位置と放射性物質とを結ぶ直線における計測対象物中の長さを求めて、前記放射性物質のz軸方向の位置を決定するステップと、
4)前記2)及び3)のステップで決定された位置情報に一致する放射性物質のxyz方向の三次元分布を再構築するステップと、
を含むことを特徴とする、方法。 - 前記ステップ1)において、2以上の異なった位置での撮像を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記ステップ3)のエネルギースペクトルの形状より放射性物質のz軸方向の位置を決定するステップは、散乱ガンマ線と直接ガンマ線との比率を求めるステップを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
- さらに、5)再構築された三次元分布を表示するステップを含むことを特徴とする、請求項1〜3に記載の方法。
- 前記放射性物質の放射性核種は、137Cs、134Cs、131I、99mTc、51Cr、67Ga、81Rb-81mKr、90Y 、111In、123I、201Tl、133Xe、18F、11C,15O及び13Nからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1〜4に記載の方法。
- 前記計測対象物は、土壌、河川、湖沼、海、池、建築物、建造物、コンクリート構造体又は身体であることを特徴とする、請求項1〜5に記載の方法。
- 前記再構築された三次元分布の表示は、三次元画像によることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
- 放射性物質を含む計測対象物から放出される直接ガンマ線及び散乱ガンマ線のエネルギースペクトルの形状及び/又は計数率より、計測位置と放射性物質とを結ぶ直線における計測対象物中の長さを決定するステップを含むことを特徴とする、放射性物質のz軸方向の位置を計測する方法。
- 放射性物質を含む計測対象物から放出されるガンマ線の一定範囲のエネルギー帯のxy方向の二次元分布を撮像し、その二次元分布画像にける散乱ガンマ線のxy平面方向の分散の解析により、計測位置と放射性物質とを結ぶ直線における計測対象物中の長さを決定するステップを含むことを特徴とする、放射性物質のz軸方向の位置を計測する方法。
- 計測対象物中の1又は2種類以上の放射性物質のxyz方向の三次元分布を計測する装置であって、
1)計測対象物から放出されるガンマ線のxy平面方向の二次元画像を撮像する撮像部と、
2)前記二次元画像における各位置のガンマ線のエネルギースペクトルの解析より、
i) 前記放射性物質の放射性核種及び/又は二次元分布を決定し、
a) 放射性物質のガンマ線スペクトルの形状より前記放射性物質のz方向の位置を解析し、及び/又は、
b) 散乱ガンマ線の一定範囲のエネルギー帯におけるガンマ線のxy平面における二次元分散より前記放射性物質のz軸方向の位置を解析し、
ii) 前記i)で得られた位置の情報に一致する前記放射性物質のxyz方向の三次元分布を再構築する
解析部と、
3)再構築された放射性物質のxyz方向の三次元分布を表示する表示部と
を含むことを特徴とする、装置。 - 前記ガンマスペクトルの形状の解析は、散乱ガンマ線と直接ガンマ線との比率を求めることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
- 前記表示部は、三次元画像表示ユニットであることを特徴とする、請求項10又は11に記載の装置。
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JP2015012203A JP2016138753A (ja) | 2015-01-26 | 2015-01-26 | 放射性物質の三次元分布を計測する方法及びその装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2018116584A1 (ja) * | 2016-12-21 | 2018-06-28 | 三菱電機株式会社 | 放射能分布測定装置及び方法 |
CN109814147A (zh) * | 2019-01-01 | 2019-05-28 | 中国人民解放军63653部队 | 使用探测器加衰减体测量小孔周围γ放射性核素分布的方法 |
JP2019113446A (ja) * | 2017-12-25 | 2019-07-11 | 公立大学法人首都大学東京 | 放射線測定装置 |
JP2020027081A (ja) * | 2018-08-17 | 2020-02-20 | 三菱電機株式会社 | ガンマカメラ |
CN112269203A (zh) * | 2020-10-13 | 2021-01-26 | 中国原子能科学研究院 | 剂量场分析方法及其装置 |
GB2622844A (en) * | 2022-09-29 | 2024-04-03 | Univ Of Lancaster | Method and apparatus for determining attributes of a source of radiation |
-
2015
- 2015-01-26 JP JP2015012203A patent/JP2016138753A/ja active Pending
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