JP2016132654A - 緑内障を予防又は治療するための薬物療法 - Google Patents

緑内障を予防又は治療するための薬物療法 Download PDF

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Abstract

【課題】眼圧下降作用が強力且つその持続時間が延長された、緑内障予防若しくは高眼圧症の予防又は治療するための薬物療法の提供。
【解決手段】緑内障予防又は治療のための、3,4−ジヒドロ−8−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ−3−ニトロキシ−2H−1−ベンゾピラン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とα刺激薬との組み合わせ。
【選択図】なし

Description

本発明は、緑内障若しくは高眼圧症の予防又は治療のための薬物療法に関する。
緑内障とは、種々の病因により眼圧が上昇し、視神経が障害され萎縮し、視野異常を来たし、視力が低下していく病気である。一度萎縮を起こした視神経は回復しないため、緑内障を放置すると失明に至る上、治療に成功しても現状維持にとどまり、回復は望めない難治性の疾患である。また、視野異常は伴わないものの、長期的に緑内障に発展する可能性が高い高眼圧症も、同様の危険性を孕んでいる。
緑内障は先天緑内障、続発緑内障、原発緑内障の3タイプに分けられる。先天緑内障は生まれつき隅角に発育不全があり、房水の排出が妨げられるために起こる緑内障である。続発緑内障は炎症やけがなど明らかな原因により起こる緑内障で、ぶどう膜炎や眼のけがなど眼に原因があるものの他、糖尿病による出血、他の病気の治療で使うステロイドホルモンの長期使用などによっても発症する。原発緑内障は原因がはっきりしないものの総称で、中高年の人に多くみられ、緑内障の中でも最も多いタイプである。原発緑内障と続発緑内障は、房水の流れのつまり方により、さらに開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障の2タイプに分けられる。また、眼圧の上昇を伴わない、正常眼圧緑内障を発症する患者も多数存在するが、いずれにせよ緑内障治療の第一目標は、眼圧を下降させることである。
緑内障の治療方法は、薬物で眼圧の制御できない時や閉塞隅角緑内障患者が急性緑内障発作を起こした場合には、レーザー治療法(レーザー線維柱帯形成術)や手術療法(線維柱帯切除術と線維柱帯切開術)等が行われるが、薬物療法が第一選択として用いられる。緑内障の薬物療法には、交感神経刺激薬(エピネフリン等の非選択性刺激薬、アプラクロニジン、ブリモニジン等のα刺激薬)、交感神経遮断薬(チモロール、ベフノロール、カルテオロール、ニプラジロール、ベタキソール、レボブノロール、メチプラノール(Metipranolol)等のβ遮断薬、塩酸ブナゾシン等のα遮断薬)、副交感神経作動薬(ピロカルピン等)、炭酸脱水酵素阻害薬(アセタゾラミド等)、プロスタグランジン類(イソプロピルウノプロストン、ラタノプロスト、トラボプロスト、ビマトプロスト、タフルプロスト等)等が使用されている。
これら薬剤の中で、ブリモニジンは房水産生の抑制及びぶどう膜強膜流出路を介した房水流出の促進によって眼圧を下げるタイプの薬剤であり、臨床的にも汎用されている(非特許文献1)。
また、ニプラジロールは眼内で房水産生にあずかる毛様体無色素上皮に存在するβ受容体を抑制することで、房水産生を低下させ、眼圧下降作用を示すことが知られている(非特許文献2)。また、非選択的アドレナリンβ遮断作用、弱いアドレナリンα遮断作用及びニトロキシ基に由来する血管拡張作用を有することが知られている(非特許文献3)。
さらに、緑内障や高眼圧症では、眼圧下降作用を増強する目的で、眼圧下降作用を有する薬剤を組み合わせて使用することも行われている。例えば、非特許文献4には多種の作用機序の眼圧低下剤を組み合わせて使用することが記載されている。また、β遮断薬チモロールとα刺激薬ブリモニジンの併用による眼圧低下作用をサルで評価した報告(非特許文献5)があるが、ニプラジロールをブリモジニンと併用した報告は存在しない。
緑内障や高眼圧症の治療剤や治療方法は、眼圧下降効果の作用強度や持続時間の面において未だ満足できるものとは言い難い。特に閉塞隅角緑内障患者の緑内障発作、新生血管緑内障や手術後などの特殊な状態では、極めて高い眼圧になることがあり、視神経細胞の障害を抑えるために早急に眼圧を下げる必要がある。この様な背景から、より眼圧下降作用が強力な緑内障治療剤が求められている。
Arch.Ophthalmol.,113(12), 1514−1517(1995) あたらしい眼科、29(4),451−455(2012) 臨床と薬物治療、19(11),1079−1081(2000) Exp.Opin.Emer.Drugs,12(2),313−327(2007) Journal of Glaucoma,9(6),458−462(2000)
本発明は、眼圧下降作用が強力で且つその持続時間が延長された、緑内障若しくは高眼圧症の予防又は治療のための薬物療法を提供することに関する。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、3,4−ジヒドロ−8−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ−3−ニトロキシ−2H−1−ベンゾピラン(以下、化合物1と称する場合がある)若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とα刺激薬であるブリモニジンとを組み合わせて投与することにより、強力な眼圧下降作用が発揮され、且つその持続時間が延長されることを見出した。
すなわち、本発明は以下の発明に係るものである。
1)緑内障予防又は治療のための、3,4−ジヒドロ−8−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ−3−ニトロキシ−2H−1−ベンゾピラン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とα刺激薬との組み合わせ。
2)α刺激薬が、ブリモニジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物である上記1)の組み合わせ。
3)配合剤である上記1)又は2)の組み合わせ。
4)3,4−ジヒドロ−8−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ−3−ニトロキシ−2H−1−ベンゾピランを含有してなる薬剤とα刺激薬を含有してなる薬剤からなるキットである上記1)又は2)の組み合わせ。
5)高眼圧症予防又は治療のための、3,4−ジヒドロ−8−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ−3−ニトロキシ−2H−1−ベンゾピラン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とα刺激薬との組み合わせ。
6)α刺激薬が、ブリモニジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物である上記5)の組み合わせ。
7)配合剤である上記5)又は6)の組み合わせ。
8)3,4−ジヒドロ−8−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ−3−ニトロキシ−2H−1−ベンゾピランを含有してなる薬剤とα刺激薬を含有してなる薬剤からなるキットである上記5)又は6)の組み合わせ。
9)第一薬剤として3,4−ジヒドロ−8−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ−3−ニトロキシ−2H−1−ベンゾピランを含有してなる製剤を投与し、ついで第2薬剤としてα刺激薬を含有してなる製剤を投与する手順を含むキットである上記5)又は6)の組み合わせ。
10)3,4−ジヒドロ−8−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ−3−ニトロキシ−2H−1−ベンゾピラン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とα刺激薬とを組み合わせて投与することを特徴とする緑内障予防又は治療方法。
11)3,4−ジヒドロ−8−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ−3−ニトロキシ−2H−1−ベンゾピラン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とα刺激薬とを組み合わせて投与することを特徴とする高眼圧症予防又は治療方法。
本発明によれば、眼圧下降作用が強力で且つその持続時間が延長された緑内障若しくは高眼圧症の予防又は治療手段を提供することができる。
各投与群の眼圧の経時変化を示すグラフである。眼圧は初期眼圧からの変化値(平均値±標準誤差)で示す。●:ブリモニジン単独投与群、△:化合物1単独投与群、□:ブリモニジンと化合物1との併用投与群、統計解析:aa p<0.01 vs ブリモニジン群, h p<0.05 vs 化合物1群(Tukey test)
本発明に用いる3,4−ジヒドロ−8−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ−3−ニトロキシ−2H−1−ベンゾピラン(化合物1)は、非選択的アドレナリンβ遮断作用、弱いアドレナリンα遮断作用及びニトロキシ基に由来する血管拡張作用を有する化合物であり、公知の方法、例えば、特許第1329489号公報に記載の方法により製造することができる。
化合物1の塩としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸、フッ化水素酸、臭化水素酸等の無機酸の塩、又は酢酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、カンファースルホン酸等の有機酸との塩が挙げられる。
化合物1又はその塩は、未溶媒和型のみならず水和物又は溶媒和物としても存在することができる。本発明においては、全ての結晶型及び水和若しくは溶媒和物を含むものである。
一方、α刺激薬としては、眼圧下降作用を有して緑内障治療に有用なものであればよい。眼圧下降作用を有するα刺激薬の具体例としては、クロニジン、アプラクロニジン、ブリモニジン等があげられる。例えばブリモジニンは、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters (1995), 5(19), 2255-8等に記載の公知の方法により製造することができる。
ブリモジニンの塩としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸、フッ化水素酸、臭化水素酸等の無機酸の塩、又は酢酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、カンファースルホン酸等の有機酸との塩が挙げられ、特に酒石酸が好ましい。
ブリモジニン又はその塩は、未溶媒和型のみならず水和物又は溶媒和物としても存在することができる。水和物が好ましいが、本発明においては、全ての結晶型及び水和若しくは溶媒和物を含むものである。
3,4−ジヒドロ−8−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ−3−ニトロキシ−2H−1−ベンゾピラン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物(化合物1)とα刺激薬を組み合わせて用いた場合、後記実施例に示すように、投薬後速やかに強力且つ相乗的な眼圧下降作用が認められる。また、この強力な眼圧下降作用は数時間持続する。従って、これらの組み合わせは、緑内障や高眼圧症の予防又は治療剤として有用であり、これらの組み合わせ投与は、緑内障や高眼圧症を予防又は治療するための薬物療法として有用である。ここで、緑内障としては、例えば原発性開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障、房水産生過多緑内障、高眼圧症、急性閉塞隅角緑内障、慢性閉塞隅角緑内障、plateauiris syndrome、混合型緑内障、ステロイド緑内障、水晶体の嚢性緑内障、色素緑内障、アミロイド緑内障、血管新生緑内障、悪性緑内障等が挙げられる。また、高眼圧症とは、眼性高血圧症とも呼ばれ、視神経に明確な病変が認められないにもかかわらず異常に高い眼圧を示す症状をいい、術後の高眼圧発現等、多くの高眼圧状態が包含される。
本発明の緑内障若しくは高眼圧症の予防又は治療のための、3,4−ジヒドロ−8−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ−3−ニトロキシ−2H−1−ベンゾピラン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物(化合物1)とα刺激薬との組み合わせは、配合剤として、それぞれの有効量を適当な配合比において一の剤型に製剤化したものでも、またそれぞれの有効量を含有する薬剤を単独に製剤化したものを同時に又は間隔を空けて別々に使用できるようにしたキットであってもよい。
3,4−ジヒドロ−8−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ−3−ニトロキシ−2H−1−ベンゾピラン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物(化合物1)とα刺激薬とを別々に製剤化する場合は、それぞれ公知の方法に準じて製剤を調製することができる。例えば、3,4−ジヒドロ−8−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ−3−ニトロキシ−2H−1−ベンゾピラン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の製剤は、再公表05−072727号公報に記載の製剤例を参考にして調製することができる。また、α刺激薬がブリモニジンの場合は、国際公開第92/13855号等に記載の製剤例を参考にして調製することができる。ブリモニジンについては市販の製剤を使用することもできる。
3,4−ジヒドロ−8−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ−3−ニトロキシ−2H−1−ベンゾピラン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とα刺激薬とを配合した製剤を調製する場合も、公知の方法に準じて調製することができる。例えば点眼剤は、等張化剤、緩衝剤、界面活性剤、防腐剤などを必要に応じて使用して、調製することができる。pHは眼科製剤に許容される範囲内にあればよく、pH4〜8の範囲が好ましい。
上記製剤は、眼科用製剤、特に点眼用として用いるのが好ましく、斯かる点眼剤は、水性点眼剤、非水性点眼剤、懸濁性点眼剤、乳濁性点眼剤、眼軟膏等のいずれでもよい。このような製剤は、投与形態に適した組成物として、必要に応じて薬学的に許容される担体、例えば等張化剤、キレート剤、安定化剤、pH調節剤、防腐剤、抗酸化剤、溶解補助剤、粘稠化剤等を配合し、当業者に公知の(製剤)方法により製造できる。
点眼剤を調製する場合、例えば、所望な上記成分を滅菌精製水、生理食塩水等の水性溶剤、又は綿実油、大豆油、ゴマ油、落花生油等の植物油等の非水性溶剤に溶解又は懸濁させ、所定の浸透圧に調整し、濾過滅菌等の滅菌処理を施すことにより行うことができる。尚、眼軟膏剤を調製する場合は、前記各種の成分の他に、軟膏基剤を含むことができる。前記軟膏基剤としては、特に限定されないが、ワセリン、流動パラフィン、ポリエチレン等の油性基剤;油相と水相とを界面活性剤等により乳化させた乳剤性基剤; ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール等からなる水溶性基剤等が好ましく挙げられる。
3,4−ジヒドロ−8−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ−3−ニトロキシ−2H−1−ベンゾピラン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とのα刺激薬の組み合わせを、緑内障若しくは高眼圧症の予防又は治療のためのキットとする場合、以上のごとく製剤化された3,4−ジヒドロ−8−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ−3−ニトロキシ−2H−1−ベンゾピラン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有してなる薬剤とプロスタグラジン類を含有してなる薬剤をそれぞれ別個にパッケージして、投与時にそれぞれのパッケージから各々の医薬品製剤を取り出して使用するように設計することができる。また、それぞれの医薬品製剤を、1回毎の併用投与に適した形態でパッケージしておくこともできる。
3,4−ジヒドロ−8−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ−3−ニトロキシ−2H−1−ベンゾピラン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とα刺激薬とを組み合わせて緑内障若しくは高眼圧症の予防又は治療のために用いる場合、その投与量は、患者の体重、年齢、性別、症状、投与形態及び投与回数等によって異なるが、通常は成人に対して、3,4−ジヒドロ−8−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ−3−ニトロキシ−2H−1−ベンゾピラン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物として、1日0.025〜10000μg、好ましくは0.025〜2000μg、より好ましくは0.1〜2000μgの範囲が挙げられ、α刺激薬として、1日3〜10000μg、好ましくは30〜3000μgの範囲が挙げられる。α刺激薬について具体例を挙げれば、例えばブリモニジンの場合1日30〜300μgが通常使用される。
尚、3,4−ジヒドロ−8−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ−3−ニトロキシ−2H−1−ベンゾピラン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とα刺激薬とを配合した製剤として投与する場合には、1日の投与量が上記の各成分の量またはそれ以下になるように、配合割合を適宜選択した製剤を調製すればよい。
また、投与回数は、特に限定されないが、1回又は数回に分けて投与するのが好ましく、液体点眼剤の場合は、1回に1〜数滴点眼すればよい。キットとする場合は、それぞれ単独の製剤を同時に投与してもよいし、5分〜24時間の間隔を空けて投与してもよい。間隔を空けて投与する場合は、第一薬剤として3,4−ジヒドロ−8−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ−3−ニトロキシ−2H−1−ベンゾピランを含有してなる製剤を投与し、ついで第2薬剤としてα刺激薬を含有してなる製剤を投与するという手順とするのが好ましい。
以下、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
3,4−ジヒドロ−8−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ−3−ニトロキシ−2H−1−ベンゾピラン(化合物1)とα刺激薬との組み合わせによる有用性を調べるため、実験動物に両薬物を単独又は併用投与した時の眼圧下降効果を比較検討した。
1.被験化合物溶液の調製
A.化合物1の溶液の調製
市販の3,4−ジヒドロ−8−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ−3−ニトロキシ−2H−1−ベンゾピラン(興和創薬株式会社、ハイパジールコーワ点眼液0.25%)をそのまま使用した。
B.α受容体作動薬類の調製
市販のブリモニジン(千寿製薬株式会社、アイファガン点眼液0.1%)をそのまま使用した。
2.試験方法
化合物1とブリモニジンとを併用投与した時の眼圧下降効果を検討した。比較対照として、化合物1を単独投与又はブリモニジンを単独投与した時の眼圧下降効果についても検討した。
A.試験に使用した薬剤及び動物
化合物1の溶液:0.25%溶液(点眼量:50μL)
ブリモニジン:0.1%点眼液(点眼量:50μL)
実験動物:白色ウサギ(性別:雄性、一群9匹)
B.投与方法及び測定方法
(1)両薬剤の併用投与
1)4%塩酸オキシブプロカイン点眼液(商品名:ベノキシール0.4%液)を実験動物の両眼に一滴点眼し局所麻酔をした(データは点眼側のみ)。
2)被験化合物溶液投与直前に眼圧を測定し初期眼圧とした。
3)化合物1の溶液を実験動物の片眼に点眼し、続いてブリモニジン溶液を同一眼に点眼した。
4)両薬剤点眼の1時間,2時間,3時間,4時間及び5時間後に0.4%塩酸オキシブプロカイン点眼液を一滴ずつ両眼に点眼し局所麻酔後、眼圧を測定した。
(2)化合物1の単独投与
化合物1の単独点眼を行い,上記併用投与試験と同じ測定時間で試験をした。
(3)ブリモニジンの単独投与
上記化合物1の単独投与の被検溶液をブリモニジンに代え、他は上記単独投与試験と同じ方法で試験をした。
3.結果及び考察
試験の結果を図1に示す。なお眼圧は初期眼圧からの変化値を示した。また、統計処理には、Stat Preclinica Client 1.1、パラメトリックTukey型多重比較を用いた。
図1から明らかなように、化合物1とブリモニジンの併用群は、薬剤単独投与群、すなわち、化合物1投与群又はブリモニジン投与群よりも優れた眼圧下降作用を示し、また、その作用の持続性も向上した。
以上から、化合物1とブリモニジンとを組み合わせることにより、早期より強い眼圧下降効果、並びに持続効果の向上が得られることがわかった。
本発明の3,4−ジヒドロ−8−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ−3−ニトロキシ−2H−1−ベンゾピラン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とα刺激薬との組み合わせは、優れた眼圧下降効果、並びに持続効果を有しており、緑内障若しくは高眼圧症の予防又は治療のための医薬として有用である。

Claims (11)

  1. 緑内障予防又は治療のための、3,4−ジヒドロ−8−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ−3−ニトロキシ−2H−1−ベンゾピラン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とα刺激薬との組み合わせ。
  2. α刺激薬が、ブリモニジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物である請求項1の組み合わせ。
  3. 配合剤である請求項1又は請求項2の組み合わせ。
  4. 3,4−ジヒドロ−8−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ−3−ニトロキシ−2H−1−ベンゾピランを含有してなる薬剤とα刺激薬を含有してなる薬剤からなるキットである請求項1又は請求項2の組み合わせ。
  5. 高眼圧症予防又は治療のための、3,4−ジヒドロ−8−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ−3−ニトロキシ−2H−1−ベンゾピラン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とα刺激薬との組み合わせ。
  6. α刺激薬が、ブリモニジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物である請求項5の組み合わせ。
  7. 配合剤である上記請求項5又は6の組み合わせ。
  8. 3,4−ジヒドロ−8−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ−3−ニトロキシ−2H−1−ベンゾピランを含有してなる薬剤とα刺激薬を含有してなる薬剤からなるキットである請求項5又は6の組み合わせ。
  9. 第一薬剤として3,4−ジヒドロ−8−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ−3−ニトロキシ−2H−1−ベンゾピランを含有してなる製剤を投与し、ついで第2薬剤としてα刺激薬を含有してなる製剤を投与する手順を含むキットである請求項5又は6の組み合わせ。
  10. 3,4−ジヒドロ−8−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ−3−ニトロキシ−2H−1−ベンゾピラン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とα刺激薬とを組み合わせて投与することを特徴とする緑内障予防又は治療方法。
  11. 3,4−ジヒドロ−8−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ−3−ニトロキシ−2H−1−ベンゾピラン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とα刺激薬とを組み合わせて投与することを特徴とする高眼圧症予防又は治療方法。
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