JP2016128787A - 金属材料中の歪み計測方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】変形に伴って形成される歪みを、金属材料組織と対応させつつ正確に且つ迅速に把握できる金属材料中の歪み計測方法を提供する。
【解決手段】金属材料の表面を露出させる第1ステップと、該金属材料表面に、参照材料層を形成する第2ステップと、該金属材料表面を観察する第3ステップと、前記金属材料に外的応力を加える第4ステップと、該金属材料表面を観察する第5ステップと、前記第3ステップで観察された像と前記第5ステップで観察された像との差により前記参照材料層の水平移動距離を算出する第6ステップとを有し、前記参照材料層は、前記金属材料表面の所定領域の20面積%以上、80面積%以下を覆うものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、外的応力が加わることによる変形に伴って金属材料中に発生する歪みを計測するための有用な方法に関する。
金属材料の多くは、微細な結晶粒の集合によって形成されており、また実用的な金属材料は性質の異なる複数の相によって組織が形成されている場合が多く、その微細組織構造は極めて複雑なものとなる。金属材料中の結晶粒の形状は一様ではなく、結晶粒同士は結晶粒界によって区切られ、結晶粒内や結晶粒界上に微細な析出物が存在する場合が多い。そのため、金属材料に外的応力を加えて変形するときには、微視的(ミクロ)には結晶粒の形状や性質に応じて不均一に変形することによって巨視的(マクロ)な変形が生じ、ミクロな変形の蓄積による欠陥の発生や成長によってマクロな破壊を招く。
金属材料中のミクロな不均一変形を定量的に把握し、安定的に変形させ、破壊を抑制できる金属組織の設計を実現できれば、金属材料の特性を更に向上できることが期待される。しかしながら、金属組織中に発生する微細且つ不均一な歪みを計測することは難しく、これを実現できる計測方法が切望されている。
試験片や機器構造物の表面等の比較的広範な領域に発生する歪みの計測方式としては、電気抵抗歪みゲージや接触式伸び計が広く適用されている。しかしながら、測定対象物の形状が複雑な場合には、歪み分布は不均一となるため、電気抵抗歪みゲージや接触式伸び計を用いてミクロな歪みを正確に計測することはできない。
形状が複雑な測定対象物の歪み計測方法としては、測定対象物表面に塗料やシールなどによって規則的或いは不規則なパターンを参照材料として形成し、測定対象物の変形前後の画像を撮影し、パターンの変形や移動を画像解析することによって歪みを計測する手法が開示されている(例えば、特許文献1)。このような技術では、金属材料中のマクロな歪みについては計測できるが、金属材料中に発生するミクロな歪みは計測できない。
塗料やシールでは形成できないようなミクロンレベルからナノレベルのパターンを形成する方法としては、電子線照射法や集束イオンビーム法等が知られている。例えば特許文献2には、これらの方法によって金属材料の表面にパターンを形成した後、走査型電子顕微鏡内で引張試験を実施して、パターンを形成した領域の歪みを画像相関法で計測する手法が提案されている。
特許文献2の技術では、強度が異なる異種鋼板を重ね合わせたクラッド鋼板を使用し、スケールレベルの異なる2種類の模様(粗大パターンおよび微小パターン)を参照材料層として形成することによって、引張試験に伴って発生する歪みがクラッド鋼板中でどのように異なるかを分析し、マクロな歪みとミクロな歪みを同時に画像解析する方法である。
この方法では、金属材料表面の全面に亘って参照材料層を形成しているので、エッチングによって金属材料表面を露出させて金属組織を現出させたとしても、金属組織は参照材料層によって覆われることになり、歪みの変化は計測できるものの、金属組織を観察することはできない。即ち、破壊しにくい金属材料を実現するためには、歪みの計測は勿論のこと、金属材料中の組織を観察できることが、歪み分布に及ぼす組織の影響を考察する上で必要である。しかしながら、上記の方法では、金属材料の組織に対応した歪み分布を計測することはできない。
一方、金属材料の組織中に発生する歪みを計測する方法として、エッチングによって金属表面を露出させてその部分の金属組織を現出させ、金属組織の幾何学模様をマーカーとして利用し、デジタル画像相関法(Digital Image Correlation:DIC)によって金属組織中の歪みを計測する手法も報告されている(例えば、非特許文献1)。
露出させた金属材料表面の変形前後における幾何学模様の水平移動距離を比較することによって、金属材料表面の変位や歪みを直接計測する方法が画像相関法である。この画像相関法のうち、デジタル画像を用いたデジタル画像相関法では、変形後の位置を輝度値分布の相関に基づいて、変形後の画像内で検索できるので特に有用な方法である。
こうした方法によっても、エッチングによって現出される組織の粒界、異相界面、析出物等による幾何学模様の形状や緻密さは金属相の種類に依存するため、幾何学的模様が全く生じない相も多い。この様な相では、マーカーとなる幾何学模様が不足するため、画像相関法による歪み計測の分解能は低下し、結晶粒内、結晶粒界、界面等での歪み計測は難しくなる。
複数の異なる相から形成される金属材料では、エッチングによって露出される金属表面の幾何学模様の形状、サイズ、密度等は、相の種類によって大きく異なるため、同じ金属表面内であっても、相によっては画像相関法によって計測できる歪みの分解能に大きな差が生じてしまう。そのため、複相金属材料において、エッチングによって露出させた金属表面の幾何学模様をマーカーとして利用し、デジタル画像相関法で歪みを計測する方法では、結晶粒を複数含んだ広範な領域内のマクロな歪み計測への適用可能性はあるものの、結晶粒内や結晶粒界、異相界面のミクロな歪みを計測することは難しい。
特開2007−263611号公報 特開2011−27526号公報
一般社団法人日本鉄鋼協会・第165回春季講演大会、複相鋼の延性破壊シンポジウム概要集、平成25年3月28日、「デジタル画像相関法によるDP鋼の歪分布解析」
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、変形に伴って形成される歪みを、金属材料組織と対応させつつ正確に且つ迅速に把握できる金属材料中の歪み計測方法を提供することにある。
上記課題を解決し得た本発明方法とは、
金属材料中に発生する歪みを計測する方法であって、
金属材料の表面を露出させる第1ステップと、
該金属材料表面に、参照材料層を形成する第2ステップと、
該金属材料表面を観察する第3ステップと、
前記金属材料に外的応力を加える第4ステップと、
該金属材料表面を観察する第5ステップと、
前記第3ステップで観察された像と前記第5ステップで観察された像との差により前記参照材料層の水平移動距離を算出する第6ステップとを有し、
前記参照材料層は、前記金属材料表面の所定領域の20面積%以上、80面積%以下を覆うものであることを特徴とする。
本発明の計測方法において、前記参照材料層は、複数の島を有しており、島の平均面積は、金属組織中の結晶粒または相の面積に対して、40面積%以下であることが好ましい。
前記参照材料層は、集束イオンビーム法によって形成されたものであることが好ましい。また参照材料層を形成する素材としては、白金、タングステンまたは炭素のいずれかが挙げられる。
本発明によれば、歪みゲージや伸び計等、従来の計測機器では計測することができないようなミクロな歪みを、金属材料組織と対応させつつ正確に且つ迅速に把握できる。
図1は、エッチングによって金属材料表面を露出させた超高張力鋼を、電界放出型走査電子顕微鏡の2次電子検出器で観察したときの図面代用顕微鏡写真である。 図2は、エッチングによって金属材料表面を露出させた超高張力鋼の表面に、集束イオンビームによる白金デポジションを形成した後の表面を、電界放出型走査電子顕微鏡の2次電子検出器で観察したときの図面代用顕微鏡写真である。 図3は、エッチングによって金属材料表面を露出させた超高張力鋼の引張変形前後の表面から、デジタル画像相関法で相当歪みを解析したときの図面代用顕微鏡写真である。 図4は、エッチングによって金属材料表面を露出させた超高張力鋼の表面に、白金デポジションによる球状パターンを形成した試料の引張変形前後の表面状態を、デジタル画像相関法で相当歪みを解析したときの図面代用顕微鏡写真である。
本発明者らは、変形に伴って形成される歪みを、金属材料組織と対応させつつ正確に且つ迅速に把握できる方法を実現すべく、様々な角度から検討を加えた。
金属材料表面にミクロンレベルからナノレベルのパターンを形成する方法としては、電子線や集束イオンビーム等が知られている(前記特許文献2)。こうした技術を、エッチング等によって表面を露出させた金属材料への参照材料層の形成方法として適用することによって、金属組織中のミクロな歪みを計測できる可能性がある。しかしながら、参照材料層の被覆率が小さすぎると、画像相関法によって歪みを計測する際のマーカーが不足し、十分な精度で歪みを計測することができない。また参照材料層の被覆率が大きすぎると、露出させた金属材料表面での組織の観察ができなくなり、歪みの大きさと組織情報の対応ができなくなる。
一方、金属組織中に発生する歪みを計測する方法として、デジタル画像相関法も知られている(前記非特許文献1)。この方法では、結晶粒内や結晶粒界、異相界面の歪みを計測することは難しいという不都合はあるものの、結晶粒を複数含んだ広範な領域内の歪み計測への利用可能性を考慮すれば、有用な方法であると考えられる。
本発明者らは、上記各方法を基礎的技術とし、その条件を適切に設定してやれば、上記目的に適う歪み計測方法が実現できるとの着想の下で、更に鋭意研究した。その結果、エッチング等によって露出させた金属材料表面に、参照材料層を形成するに際し、この参照材料層を、金属材料表面の所定の領域の20面積%以上、80面積%以下を覆うようにすればよいとの着想が得られた。
上記のようにして形成した参照材料層について、外的応力を加える前後において、参照材料層の水平移動距離をデジタル画像相関法等で算出すれば、金属材料組織中の歪み増分と、金属組織に対応した歪みの発生位置を計測できることを見出し、本発明を完成した。
本発明方法は、上記した第1ステップ〜第6ステップを有することによって構成されるが、各ステップについて詳細に説明する。
第1ステップとして、金属材料の表面を露出させることが必要である。このステップは、金属材料表面の結晶粒界や析出物を現出させて、金属材料表面を観察する上で必要である。金属材料の表面を露出させる方法としては、例えばナイタール等の腐食液によって金属材料表面を化学エッチングする方法が代表的に挙げられる。但し、金属材料の表面を露出させる方法は、こうした方法に限らず、例えばスパッタリング法を適用し、金属材料表面をイオンビームで削って露出させるようにしても良い。
第2ステップとして、上記のようにして金属材料の表面を露出させた後に、その表面に参照材料層を形成する。この参照材料層をマーカーとして利用して、デジタル画像相関法等によって金属組織中の歪みを計測する。
この参照材料層は、前記金属材料表面の所定領域の20面積%以上、80面積%以下を覆うもの(この率を「被覆率」と呼ぶことがある)とする必要がある。この被覆率の基準となる金属材料の「所定領域」は、観察される金属材料表面の領域である。被覆率は、基本的には露出させた金属表面のうち、観察される領域を100面積%としたときの値である。但し、同じ被覆率であっても、参照材料層の分散状態によっては、歪みの計測が正確に行えなくなるので、参照材料層は観察領域に対してできるだけ均一に分散していることが好ましい。
参照材料層の被覆率が20面積%未満となると、マーカーとなる部分が不足し、歪みの計測が正確に行なえなくなる。好ましくは25面積%以上であり、より好ましくは30面積%以上である。しかしながら、被覆率が80面積%よりも大きくなると、顕微鏡による組織観察が十分に行なえなくなり、金属組織と歪みの対応が取れなくなる。好ましくは75面積%以下であり、より好ましくは70面積%以下である。
本発明で用いる参照材料層は、金属組織中の歪みの増分を正確に把握するために、複数の島を有するものとし、島の平均面積を適切な値に設定することが好ましい。即ち、島の平均面積は、結晶粒または相の面積に対して、40面積%以下であることが好ましい。この平均面積が小さくなればなるほど、計測分解能は向上するため、参照材料層が形成可能な範囲で平均面積は小さくすることが望ましく、より好ましくは30面積%以下、更に好ましくは20面積%以下である。しかし、あまり小さくなり過ぎると、参照材料層が形成しにくくなることや、操作が煩雑になる。こうした観点からして、参照材料層の個々の大きさは結晶粒または相の面積に対して0.1面積%以上とすることが好ましく、より好ましくは0.5面積%以上、更に好ましくは1面積%以上である。
尚、参照材料層の島の平均面積に関して、「結晶粒または相の面積に対して40面積%以下」としたのは、対象物が結晶粒または相を含むことを考慮したものである。但し、結晶粒および相の両方を含む場合には、どちらか小さい方に対して「40面積%以下である」要件を満足させるようにすればよい。
個々の島の形状については、何ら特定されないが、結晶粒または相の形状に対して追随できるという観点からすれば、球状であっても良い。但し、方向性も考慮すれば、長軸と短軸の長さ比(短軸/長軸:アスペクト比)が2以下となるような楕円形であることが好ましい。また、金属材料組織内での位置情報が把握しやすくなるという観点からすれば、個々の形状が均一に統一されていないこと(いわゆる「ランダム模様」)が好ましい。
参照材料層の形成方法については、電子線による方法、集束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)による方法等、公知の方法が採用できるが、金属材料表面にミクロンレベルまたはナノレベルの大きさの参照材料層を形成するという観点からすれば、集束イオンビームによって参照材料層の素材を金属材料表面に堆積させる方法が推奨される。
上記のようにして参照材料層を形成した金属材料表面を観察し(第3ステップ)、その後前記金属材料に外的応力を加え(第4ステップ)、更に外的応力を加えた後の金属材料表面を観察する(第5ステップ)。
次いで、第6ステップとして、上記第3ステップで観察された像と、上記第5ステップで観察された像との差異により参照材料層の水平移動距離を算出する。
第6ステップにおいて、参照材料層の水平移動距離を算出する方法としては、デジタル画像相関法(DIC)を採用することが好ましい。この方法を採用することによって、金属材料組織中の歪み増分とその発生位置を計測できる。デジタル画像相関法では、参照材料層の平行移動に基づく輝度値の差を用いて位置や形状を識別し、外的応力を加えた後の観察画像の相関を取り、歪みを計測する。そのため金属材料表面に形成する参照材料層は、素地である金属材料表面とのコントラスト差が大きい方が好ましい。
例えば走査型電子顕微鏡で画像を観察する場合は、素地となる金属材料との質量差が大きい方が、金属材料と参照材料層の素材とに大きなコントラスト差が生じ、金属材料の微細組織と参照材料層が識別しやすくなる。こうした観点からして、例えば、鉄が素地となる金属材料に対しては、参照材料層を形成する素材は、白金、タングステンまたは炭素等が好ましいものとして挙げられる。また、引張り、圧縮、曲げ等の外的応力に対して参照材料層が外的応力に追随して変形できるような軟質な材料であることが好ましく、こうした観点からすれば、参照材料層の素材は、白金であることが最も好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前記、後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
図1は、超高張力鋼の金属組織(微細組織)をナイタールによる化学エッチングによって現出させ、電界放出型走査電子顕微鏡(Field Emission Scanning Electron Microscope:FESEM:商品名「Ultra55」Zeiss社製;以下同じ)の2次電子検出器で観察したときの図面代用顕微鏡写真である(倍率:2000倍)。
図1に示される金属組織は、軟質なフェライト相と硬質な焼戻しマルテンサイト相の2相で形成され、フェライト相中に焼戻しマルテンサイト相が分散しており、高い強度と延性を両立している金属材料であり、自動車部品用の鋼材などに広く利用されている。微細組織中の各相の短辺部のサイズは、フェライト相では1〜15μm、焼戻しマルテンサイト相では0.3〜10μmとなる。
図2は、化学エッチングによって金属組織を現出させた超高張力鋼の表面に、集束イオンビームによって直径約0.2μmの球状の白金パターンを複数の島に参照材料層として形成した材料を、電界放出型走査電子顕微鏡の2次電子検出器で観察したときの図面代用顕微鏡写真である。このうち図2(a)は、全体を示しており、図2(b)は図2(a)の一部を拡大して示している。このときフェライト相の最小短辺部に対して約10%、焼戻しマルテンサイトの最小短辺部に対して約20%の大きさの球状の白金パターンを、約30面積%の被覆率で形成しており、白金パターンとエッチングによって現出させた微細組織の観察を両立している。
超高張力鋼の変形に伴う組織変化を観察するために、電界放出型走査電子顕微鏡内で引張試験を実施できるTSL社製走査型電子顕微鏡内引張ステージを用いて、(A)超高張力鋼表面が化学エッチングだけの材料と、(B)表面を化学エッチングした高張力鋼表面に集束イオンビームによって球状の白金パターンを参照材料層として形成した材料を、電界放出型走査電子顕微鏡内で引張試験に供し、変形に伴う組織変化を観察した。このとき、白金パターンの大きさ、および被覆率は図2に関連して示した場合と同じである。
図3(図面代用顕微鏡写真)は、化学エッチングによって金属組織を現出させた超高張力鋼を、電界放出型走査電子顕微鏡内で引張試験に供し、その変形過程の観察画像について、化学エッチングによって生じた微細組織の幾何学模様を利用してデジタル画像相関法による相当歪みを解析した結果を示したものである。このうち図3(a)は、引張試験における最大負荷直前の画像を示しており、図3(b)は最大負荷時の画像を解析した結果を示している。
図3(a)では、歪みは計測できているものの、その分布は相の種類に依存していない。一方、変形が進行した図3(b)では、相の種類に依存せずに7%程度に歪みが負荷している領域が多いが、歪みが計測できていない領域も多い。これは、エッチングによって現出した幾何学模様のみでは、マーカーとなる輝度値の差が不足しており、変形量が大きくなると幾何学模様の輝度値の移動や変形を追跡しれなかったと想定される。また変形に伴い試験片表面に起伏が生じることによって、初期の観察画像には無かった輝度値の変化が生じてしまい相関を取れなかったためと想定される。
図4(図面代用顕微鏡写真)は、化学エッチングによって金属組織を現出させ、その表面に集束イオンビームで白金を微細にデポジションし、白金パターンを複数の島に形成した超高張力鋼を、電界放出型走査電子顕微鏡内で引張試験に供し、その変形過程の観察画像について、デジタル画像相関法で水平移動距離を算出して相当歪みを解析した結果を示したものである。このうち図4(a)は、引張試験における最大負荷直前の画像を示しており、図4(b)は最大負荷時の画像を解析した結果を示している。
図4(a)、(b)ともに、前記図3で示したような化学エッチングで現出させた微細組織の幾何学模様のみで解析した時と比べて、歪みの分布は相の種類に対応していることが分かる。即ち、歪みの発生位置も同時に計測できている。硬質な焼戻しマルテンサイト相の歪みは小さく、軟質なフェライト相で歪みが大きくなっており、相の強度に応じた歪み増分を計測できている。
変形が進行した図4(b)では、組織中で最も大きな歪みは、フェライトと焼戻しマルテンサイトの界面のフェライト側、或いは形状が細いまたは鋭角になっている焼戻しマルテンサイトに隣接するフェライト相で大きくなっている。従って、変形に伴って微細組織中に発生する歪みは、単純な相の強度の大小ではなく、強度差が大きくなる異相界面の軟質相側や幾何学的な形状にも大きく依存していることが分かる。

Claims (4)

  1. 金属材料中に発生する歪みを計測する方法であって、
    金属材料の表面を露出させる第1ステップと、
    該金属材料表面に、参照材料層を形成する第2ステップと、
    該金属材料表面を観察する第3ステップと、
    前記金属材料に外的応力を加える第4ステップと、
    該金属材料表面を観察する第5ステップと、
    前記第3ステップで観察された像と前記第5ステップで観察された像との差により前記参照材料層の水平移動距離を算出する第6ステップとを有し、
    前記参照材料層は、前記金属材料表面の所定領域の20面積%以上、80面積%以下を覆うものであることを特徴とする金属材料中の歪み計測方法。
  2. 前記参照材料層は、複数の島を有しており、島の平均面積は、金属組織中の結晶粒または相の面積に対して、40面積%以下である請求項1に記載の金属材料中の歪み計測方法。
  3. 前記参照材料層は、集束イオンビーム法によって形成されたものである請求項1または2に記載の金属材料中の歪み計測方法。
  4. 前記参照材料層を形成する素材は、白金、タングステンまたは炭素のいずれかである請求項1〜3のいずれかに記載の金属材料中の歪み計測方法。
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