JP2016122098A - 新規な回折格子基板及びナノギャップ基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】ナノ構造が形成された新規な基板及び新規なナノギャップ基板等を提供し、好ましくは、ナノギャップの密度、電場増強効果、大面積化及び均質性などに優れるプラズモニック基板を提供する。【解決手段】2〜50nmの周期を有するグレーティング構造が形成されたシリカを含む回折格子基板を開示する。更に、そのような回折格子基板のグレーティング構造に、金属が離間して配置された、ナノギャップ基板を開示する。かかるナノギャップ基板は、好ましくはナノギャップの密度、電場増強効果、大面積化及び均質性などに優れ、プラズモニック基板として使用することができる。【選択図】図2

Description

本発明は、新規な回折格子基板及びナノギャップ基板に関する。更に、本発明は、新規な回折格子基板及びナノギャップ基板の製造方法に関する。更にまた、そのナノギャップ基板を用いて得られる種々のデバイス(材料又は部品)、例えば、LED、光触媒、太陽電池及びセンサーなどに関する。
金属の薄膜は、長い間、鏡として使用されてきた。その鏡は、金属表面で入射光が鏡面反射される現象を利用している。これに対し、1960年代以降、プリズムを介して光を入射させるなど、特殊な条件で光を薄膜に入射させると、入射光が、金属薄膜の表面を伝播する自由電子の振動に変換されることが明らかになった。この光と結合した自由電子の振動は、表面プラズモンポラリトン(SPP)と呼ばれ、ナノメートル領域への光閉じ込めと局所的な光電場の増強を実現できる。この増強された光電場を使用して、薄膜表面に存在する化学分子を高感度にセンシングしたり、発光性分子の発光強度を飛躍的に高めることが可能である。
その後、完全にフラットな金属薄膜でなく、微粒子状の金属が分散した基板に光を入射させると、プリズムを用いなくても、微粒子状金属の表面に自由電子の振動が誘起され、微粒子状金属に局在するSPPが発生することがわかってきた。微粒子状金属のナノ構造に依存して発生する増強光電場の強度が異なることから、より強力な電場を発生させる構造を求める研究が続けられている。
強力な増強光電場の発生が期待される構造が「ナノギャップ」を有する構造である。これは、例えば、2つの微粒子状金属を数ナノメートルの間隔をあけて配置した構造であって、微粒子状金属間の「ナノギャップ」に強力な光電場が誘起され得る。そのような「ナノギャップ」を有する新規な構造と、それらの構造の簡便な製造方法が検討されている。
非特許文献1及び2は、そのような構造を有する基板として、基材(例えば、高分子、ガラス、半導体(シリコン)、金属(金及び銅)など)上の熱可塑性高分子に形成されたナノ構造に金属が蒸着された基板を開示する。更に、非特許文献3及び4は、基材上に直接金属を蒸着して形成されたナノ構造を有する基板を開示する。
非特許文献1及び2は、シリコン又は石英で作成したモールド(又は型)に構造を刻み込むこと、熱可塑性高分子材料をコートした基材にそのモールドの有する構造を押し付けることによって、その構造を転写すること、金属を蒸着した後、高分子材料を除去することによる、ナノ構造を有する基板の製造方法(ナノインプリントリソグラフィー:Nanoimprint lithography)を開示する。
更に、非特許文献3及び4は、約200nmの粒子径を有するポリスチレンなどの高分子の単分散微粒子を基材上に単層に敷き詰めてマスクを形成し、その後、金属を蒸着して高分子の微粒子を除去することによる、ナノ構造を有する基板の製造方法(ナノスフィアリソグラフィー:Nanosphere Lithography)を開示する。
また、非特許文献5は、表面を疎水性処理した金属ナノ粒子を水面に浮かべた後、密集させて、基材上に写し取ることによって得られる「金属微粒子二次元シート」を開示する。このシートには、金属微粒子間にナノギャップが存在する。
上述のいずれのナノ構造を有する基板もいまだにその性能(例えば、ナノギャップの密度、電場増強効果、大面積化及び均質性など)は十分とはいえず、更により高性能な基板が求められている。更にそのような基板のより効率的な製造方法も求められている。そのような新規な基板と製造方法は、学術的にも工業的にも興味深い。
S. Y. Chou, et al., J. Vac. Sci. Tech. B14, 4129 (1996) H. Schift, J. Vac. Sci. Tech. A26, 458 (2008) J. C. Hulteen and P. Van Duyne, J. Vac. Sci. Tech. A13, 1553 (1995) Y. Sawai, et al., J. Am. Chem. Soc. 129, 1658 (2007) K. Okamoto et al., Plasmonics 8, 581 (2013)
本発明は、かかる課題を解決するためになされたもので、その課題は、ナノ構造が形成された新規な基板、その基板を用いて得られる新規なナノギャップ基板を得ることである。かかるナノギャップ基板は、好ましくは、ナノギャップの密度、大面積化及び均質性などに優れる。更に、課題は、好ましくは、ナノギャップの密度、電場増強効果、大面積化及び均質性などに優れるプラズモニック基板を得ることである。また、ナノギャップ基板を使用して得られる種々のデバイスを提供する。更にまた、ナノ構造が形成された新規な基板及びナノギャップ基板の製造方法を提供する。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、驚くべきことに、メソポーラスシリカを利用することで、容易にナノ構造が形成された新規な基板が得られ、更にその基板を利用することで、新規なナノギャップ基板を得られることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、1の要旨において、
2〜50nmの周期を有するグレーティング構造が形成されたシリカを含む回折格子基板を提供する。この回折格子基板は、ナノギャップ基板を製造するために好適に使用することができる。
本発明は、他の要旨において、
2〜50nmの周期を有するグレーティング構造が形成されたシリカを含む回折格子基板のグレーティング構造に金属が離間して配置されている、ナノギャップ基板を提供する。かかるナノギャップ基板は、プラズモニック基板として、好ましく使用することができる。
本発明の一の態様において、金属は、グレーティング構造の山の稜線と平行方向に、ロッド状に形成されている、ナノギャップ基板を提供する。
本発明は、好ましい要旨において、ナノギャップ基板を含むデバイスを提供する。デバイスとして、例えば、LED、ヘッドライト、プロジェクター、スクリーン、センサー、太陽電池及び光触媒などに好適に使用することができる。
本発明は、更なる要旨において、
(i)基材上に、メソポアのポアの軸方向が基材平面と平行方向になるように、メソポーラスシリカを形成すること;及び
(ii)メソポーラスシリカの表面をエッチングして、シリカの表面にグレーティング構造を形成すること
を含む、回折格子基板の製造方法を提供する。
本発明は、更に他の要旨において、
(i)基材上に、メソポアのポアの軸方向が基材平面と平行方向になるように、メソポーラスシリカを形成すること;
(ii)メソポーラスシリカの表面をエッチングして、シリカの表面にグレーティング構造を形成すること;及び
(iii)グレーティング構造に、金属を離間して配置すること
を含む、ナノギャップ基板の製造方法を提供する。
本発明に係る回折格子基板は、2〜50nmの周期を有するグレーティング構造が形成されたシリカを含む、ナノ構造が形成された新規な基板であり、かかる基板を利用することで、ナノギャップ基板を得ることができる。かかるナノギャップ基板は、好ましくはナノギャップの密度、大面積化及び均質性などに優れる。更に、ナノギャップ基板は、プラズモニック基板として使用することができ、好ましくは電場増強効果に優れる。
本発明の回折格子基板の製造方法は、(i)基材上に、メソポアのポアの軸方向が基材平面と平行方向になるように、メソポーラスシリカを形成すること;及び
(ii)メソポーラスシリカの表面をエッチングして、シリカの表面にグレーティング構造を形成すること
を含むので、上述の回折格子基板を容易に製造することができ、更に大面積及び均質性に優れる回折格子基板を得ることができる。
従って、更に上述のナノギャップ基板を容易に製造することができ、更に、よりナノギャップ密度に優れるナノギャップ基板を得ることができる。かかるナノギャップ基板はプラズモニック基板として使用することができ、ナノギャップ密度及び電場増強効果に優れ、大画面化及び均質性に優れる。
ナノギャップ基板を含むことで、種々のデバイス、例えば、LED、ヘッドライト、プロジェクター、スクリーン、センサー、太陽電池及び光触媒などの性能(例えば、輝度、寿命、感度、発電効率及び有機物分解速度など)を、好ましくはより向上させることができる。
図1は、本発明の一の形態の回折格子基板を模式的に示す。 図2は、グレーティング構造が形成されたシリカのSEM画像の一例を示す。 図3は、シミュレーションに用いた2次元構造を模式的に示す。 図4は、シミュレーションで得られた透過スペクトルを示す。上から下に、r=3.3、4.0及び4.5nmの結果を示す。矢印は図5において電場の空間分布をシミュレーションした際に使用した波長を示す。 図5は、各々の構造に、ディップが観測された波長の光が入射した際のエネルギーの空間分布を、等高線を用いて示す。 図6は、斜め蒸着の配置を模式的に示す。 図7は、実施例2のナノギャップ基板のSEM像を示す。 図8は、実施例2のナノギャップ基板の透過スペクトルを示す。 図9は、実施例4のナノギャップ基板のSEM像を示す。 図10は、実施例5のナノギャップ基板のSEM像を示す。 図11は、実施例6のナノギャップ基板のSEM像を示す。
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る回折格子基板及びナノギャップ基板などを詳細に説明する。
図1は、本発明の一の形態の回折格子基板を模式的に示す。一の態様に基づく回折格子基板10は、回折格子として作用し得る基板であるが、その回折格子として作用し得るグレーティング構造がその表面に形成されたシリカ11を含む。即ち、シリカの表面にグレーティング構造が形成されている。尚、図1では、シリカ表面のグレーティング構造以外の構造(例えば、後述するメソ孔など)は、省略した。
シリカに形成されたグレーティング構造の周期は、2〜50nmであり、5〜30nmであることが好ましく、8〜20nmであることがより好ましく、9〜15nmであることが特に好ましい。グレーティング構造の周期が、2〜50nmなので、可視光を散乱しないので好ましい。
ここでグレーティング構造の周期とは、山の頂点とその隣接する山の頂点の距離(L)をいい、SEM(走査電子顕微鏡)を用いて測定することができる。
グレーティング構造の谷の深さ(D、又は山の高さ)は、目的とする回折格子基板を得られる限り特に制限されることはない。グレーティング構造の谷の深さは、例えば、1〜25nmであり得、2.5〜15nmであり得、4〜10nmであり得る。グレーティング構造の谷の形状も目的とする回折格子基板を得られる限り特に制限されることはない。例えば、半円形状、半楕円形状、半多角形状などを例示することができる。グレーティング構造の谷の深さ及び形状も、SEMを用いて測定することができる。
更にシリカとは、通常シリカと呼ばれ、本発明が目的とする回折格子構造を得ることができる限り特に制限されることはない。シリカは二酸化ケイ素でできているが、目的とする回折格子構造を得ることができる限り、他の元素、例えば、アルミニウム、チタン、ジルコニウム及び/又はイットリウムなどを含むことができる。
図2は、グレーティング構造がその表面上に形成されたシリカのSEM画像の一例を示す。画像は、1kVの電圧で測定され、倍率は約35万倍である。シリカの山と谷が交互に存在し、各々がほぼ平行に伸びていることが認められる。グレーティング構造の周期(即ち、山と山の間隔)は、約10nmであり、谷の深さは、約5nmである。谷の形状は、およそ半円形状である。
回折格子基板は、更に基材を含むことができ、グレーティング構造が形成されたシリカを、基材上に配置することができる。「基材」とは、シリカを支持することができ、回折格子基板の強度を高め、ハンドリングを容易にすることができ、目的とする回折格子基板に悪影響を与えないものであれば特に制限されることはない。そのような基材として、例えば、ガラス、プラスチック、金属、セラミック、半導体及びゴム等を例示することができるが、ガラス、プラスチック及び半導体などが好ましい。
このような回折格子基板を得られる限り、その回折格子基板の製造方法は特に制限されることはない。そのような製造方法として、回折格子基板は、例えば、ゾル−ゲル法を利用して製造することができる。
本発明は、更なる態様において、
(i)基材上に、メソポアのポアの軸方向が基材平面と平行方向になるように、メソポーラスシリカを形成すること;及び
(ii)メソポーラスシリカの表面をエッチングして、シリカの表面にグレーティング構造を形成すること
を含む、回折格子基板の製造方法を提供する。
かかる製造方法の(i)工程では、基材上に、メソポアのポアの軸方向が基材平面と平行方向になるように、メソポーラスシリカが形成される。具体的には、例えば、(i)工程は、下記のように行うことができる。
例えば、メチルアルコール、エチルアルコール及びプロパノール等のアルコールに、例えば、エチルシリケート(テトラエトキシシラン)及びテトラメトキシシランなどのアルコキシシラン、及び例えば、ポリエチレングリコールヘキサデシルエーテル(シグマアルドリッチ社製のBrij56(商品名))等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、プロピレンオキサイド−エチレンオキサイドブロックポリマー(例えば、BASF社製のPluronic 123(商品名)などのPluronicシリーズ)、及びセチルトリアンモニウムブロリド(CTAB)等の界面活性剤を溶解し、例えば、希塩酸及び希硝酸等の希酸を加えた後、しばらく加熱攪拌して、シリカゲル溶液(シリカゾル)を得る。界面活性剤は、メソポーラスシリカが形成されるように適切に選択することができる。その種類及び濃度等の選択によって、メソポアの径及び形状等を選択することができる。
そのシリカゲル溶液を、例えば、シリコン及びガラス等の基材に塗布(又は塗工)する。塗布方法として、均一に塗布することができ、メソポアのポアの軸方向が基材平面と平行方向になるように塗布することができる限り塗布方法は特に制限されることはない。
基材には、予めメソポアのポアの軸方向を配向させるために、配向処理を施すことが好ましい。配向処理方法は、メソポアの軸方向を基材の平面と平行方向に配向させることができる方法であれば特に制限されることはない。そのような方法として、例えば、基材平面上に、例えば、ポリイミド及びポリビニルアルコールなどの配向膜を形成して、場合によりラビング処理をする方法を例示することができる。
基材に塗布されたシリカは、乾燥し、必要に応じて、加熱乾燥することができる。
(i)工程によって、基材上にメソポーラスシリカの層が形成される。基材は、上述したとおりである。メソポーラスシリカとは、メソポアがその内部に形成された多孔質シリカである。メソポアとは、2〜50nmの径を有する孔をいう。基材上のシリカ層内に円筒形状などの多数のメソポアが基材表面とおよそ平行方向に配列する。このメソポアの形成と配列は、界面活性剤の自己組織化を利用しており、その種類及び濃度等によって適切に選択することができる。基材上のシリカ層の厚さは、目的とする回折格子基板を得られる限り特に制限されることはないが、例えば、10〜2000nmであることが好ましく、50〜500nmであることがより好ましく、100〜300nmであることが特に好ましい。
(ii)工程では、(i)工程で基材上に形成したメソポーラスシリカの表面をエッチングして、シリカ内部のメソポアを露出して、シリカの表面にグレーティング構造を形成する。具体的には、例えば、(ii)工程は、下記のように行われる。
例えば、(i)工程で基材上に形成したシリカ層の表面を、例えば、弗化アンモニウム(NHF)水溶液等を用いるエッチングによって除去して、シリカ層の内部に存在するメソポアを露出させる。シリカ層内の多数のメソポアは、基材平面とおよそ平行方向に配列しているので、シリカ層表面を適切に除去することで、シリカ層の表面にグレーティング構造を形成することができる。
このようにして形成されたシリカ表面のグレーティング構造の一例を、図2に示す。
本発明は、他の態様において、
2〜50nmの周期を有するグレーティング構造が形成されたシリカを含む回折格子基板のグレーティング構造に、金属が離間して配置された、ナノギャップ基板を提供する。
金属の配置は、ナノギャップが形成される限り特に制限されることはないが、金属は、山の稜線に平行方向に沿って、配置されることが好ましい。配置は、断続的にドット(点)状に配置されても、連続的にロッド(棒)状に配置されても良い。また、ドット状とロッド状が混在してもよい。
ここで、金属とは、通常、金属として基板に使用され、好ましくはプラズモニック基板に使用されるものであれば、その種類は、特に制限されることはない。例えば、Ag、Au、Cu、Al、Pt、Pd、Ti、Cr、TiN及びPt−Rh合金等を例示することができる。
本明細書で「ナノギャップ」とは、金属とそれに隣接する金属との間隔が、およそナノスケールであることを意味する。金属とそれに隣接する金属との間隔は、二つの金属の端部と端部の間隔をいい、その間隔は目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.1〜50nmであることが好ましく、0.1〜30nmであることがより好ましく、0.1〜20nmであることが特に好ましい。
更に、金属とそれに隣接する金属との間隔は、0.1〜10nmの間隔を含むことが好ましく、0.1〜4nmの間隔を含むことがより好ましく、0.1〜2nmの間隔を含むことが特に好ましい。
この間隔はSEM又はTEM(透過型電子顕微鏡)によって測定することができる。
本発明のナノギャップ基板は、好ましくは、プラズモニック基板として使用できる。
ナノギャップ基板は、それが得られる限り、その製造方法は特に制限されることはない。ナノギャップ基板は、例えば、上述の回折格子基板の製造方法を利用して製造することができる。
本発明は、更に他の態様において、
(i)基材上に、メソポアのポアの軸方向が基材平面と平行方向になるように、メソポーラスシリカを形成すること;
(ii)メソポーラスシリカの表面をエッチングして、シリカの表面にグレーティング構造を形成すること;及び
(iii)グレーティング構造に、金属を離間して配置すること
を含む、ナノギャップ基板の製造方法を提供する。
(i)工程及び(ii)工程は、上述したとおりである。
(iii)工程では、上述した基材上のシリカの表面に形成したグレーティング構造に、例えば、真空蒸着、電子線ビーム蒸着、スパッタリング、パルスレーザー堆積及び分子線ビーム堆積等の方法を用いて、金属を離間して配置することができる。
金属を離間して配置するために、グレーティング構造に対して、金属を蒸着する方向は、適宜選択することができる。グレーティング構造の山の稜線に平行方向と垂直な方向であって、山の頂の真上の方向を基準として20〜90度の方向から、金属を蒸着することが好ましく、40〜80度の方向から、金属を蒸着することがより好ましく、60〜80度の方向から、金属を蒸着することが特に好ましい。
金属の種類及び量は、適宜選択することができる。金属を蒸着する条件等も適宜選択することができる。金属については、上述した通りである。
本発明は、好ましい態様において、ナノギャップ基板を含むデバイスを提供する。デバイスとして、例えば、LED、ヘッドライト、プロジェクター、スクリーン、センサー、太陽電池及び光触媒などに好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いて説明するが、これらの例は、本発明を説明するためのものであり、本発明を何ら限定するものではない。
1.シミュレーション
本発明に係るナノギャップ基板に光が入射した際の透過率および電場強度分布をシミュレーションして、プラズモニック基板として評価した。グレーティング構造が形成されたシリカを回折格子基板として考えた。そのグレーティング構造の山の稜線に平行方向に金属が連続的に配置されてロッド状の形態の金属を形成している、ナノギャップ基板を仮定した。更に、配置された金属のロッドの長さが十分に長いので、その長さ方向は考慮しないこととした。従って、長さ方向に垂直な平面である2次元構造を有するナノギャップ基板を用いてシミュレーションを行った。
シミュレーションのために用いたナノギャップ基板20の構造を図3に示す。その構造は、グレーティング構造が形成されたシリカ11と金属15を含み、そのグレーティング構造の上に、金属として金15が間隔をあけて配置されている。シリカ11は、メソポーラスシリカ層であり、メソポア12の層が二層存在すると仮定した。そのメソポア12は、円形で示しており、表面におよそ平行方向に伸びて、配列している。グレーティング構造の周期(即ち、山と山の間の距離)は10nmで一定であると仮定した。従って、メソポア12の直径も、ほぼ10nmで一定である。グレーティング構造上のロッド状の金15は、円形で示し、その半径(即ち、ロッドの幅の半分)rを、3.5、4.0及び4.5nmに変化させて、金の大きさのみ異なる3種類の2次元構造を作製した。隣り合う金と金の間隔(縁と縁の間隔)、即ち、ナノギャップは、各々3.0、2.0及び1.0nmである。
メソポーラスシリカ11の屈折率として、計算したすべての波長において一定値1.44を採用し、金の屈折率として、それぞれの波長においてJohnson & Christy, Physical Review Letters vol. 6, p4370(1972)に記載の値を採用した。グレーティング構造の上には空気14の層があると仮定して、計算したすべての波長において屈折率1.00を採用した。メソポア12の孔内は空気14が満ちていると仮定した。二層のメソポア12の下には、多くのメソポーラスシリカの層が続くと仮定し、空気に対するシリカの面積分率を考慮して、1.11の屈折率を有する均質な媒質13を設置した。X方向(即ち、2次元構造の横方向)の境界には周期境界条件を適用し、メソポーラスシリカのナノロッドが並んだ基板構造を模した。
この3種類の2次元構造の上部から電場がロッドを横切る方向(即ち、2次元構造の平面内でグレーティング構造の稜線とおよそ垂直方向)に振動する直線偏光を入射させて、各々の2次元構造の反射率、透過率及び吸収率を評価した。シミュレーションには有限要素法(Comsol Multiphysics)を用いた。
各々の構造に対する透過率スペクトルを図4に示す。横軸に波長を示し、その波長に対する透過率を縦軸に示す。上から下に、金の粒子径rが、r=3.5、4.0及び4.5nmの場合の結果を示す。いずれの場合も透過率に極小(凹み)を示すが、rが、3.5、4.0及び4.5nmの順に大きくなると、透過率に生ずるその極小(凹み)がより深くなり、更にその極小を示す波長がより長波長にシフトする。
このシミュレーションの結果は、局在表面プラズモン共鳴に起因する反射率のディップが生じたこと、そのディップを生じる波長が長波長側にシフトすることを意味し、更に、透過率のディップが深くなっていることを示す。
各々の構造に、ディップが観測された波長の光が入射した際の、エネルギーの空間分布を、エネルギーの等高線を用いて図5に示す。等高線は、電場強度を二乗してエネルギーの単位に変換した後、入射光のエネルギーで規格化しており、入射光のエネルギーと比較してどれだけエネルギー密度が変化したか(増加したか)を表している。左から、r=3.5nmの場合(左)、入射波長=516nmであり、r=4.0nmの場合(中央)、入射波長=552nmであり、r=4.5nmの場合(右)、入射波長=592nmである。尚、入射光のエネルギーを基準(即ち、1)として、いずれもエネルギーのスケールの最大は、1000(1000倍)である。エネルギーの等高線の間隔は、エネルギーのスケールで1である。エネルギーの等高線の間隔が狭いほどエネルギー密度が高い。
各々の構造について、金ロッドと金ロッドの間に存在するナノギャップに、エネルギーが集中しており、エネルギー密度が上昇していることが認められる。さらに、エネルギー密度の上昇は、左より右の方が大きいこと、即ち、ロッドの半径が大きくなるほど、間隔が狭くなるほど、高くなる。r=4.5nmの場合、1nmのギャップ部分に、入射光の200倍のエネルギーが集中する。このr=4.5nmの場合、グレーティング構造の周期が10nmであるため、グレーティング構造の面積(即ち、入射光に曝される面積)に対するナノギャップ部分の割合は10%となる。この値は、従来のナノギャップを有する系に比べ格段に大きい。
2.ナノギャップ基板の製造例
例1の回折格子基板の製造
2−プロパノール(61.0ml)に、ポリエチレングリコールヘキサデシルエーテル(Sigma-Aldrich社製、Brij56(製品名)、1.737g)とプロピレンオキサイド−エチレンオキサイドブロックポリマー(BASF社製、Pluronic 123(製品名)、2.523g)を溶解し、水2.4ml、及び0.1M HCl水溶液1.92mlを加えた。その後、しばらく攪拌して、エチルシリケート(テトラエトキシシラン)(10.7ml)を加え、2時間攪拌してシリカゾルを得た。
そのシリカゲル溶液を、ディップコート法を用いて、表面が鏡面に研磨されたシリコン基材(信越化学半導体社製の<100>CZ-P(製品名))に塗布した。尚、シリコン基材の表面に、ポリアミック酸を塗布し、加熱又は触媒を用いて脱水及び環化して、予めポリイミド膜を形成した。その膜にラビング処理を施した。メソポアが基材平面と平行に一軸配向したメソポーラスシリカ薄膜を得た。このようにして得た薄膜を4時間、40℃で乾燥した。
シリコン基材上のメソポーラスシリカの表面を、NHF水溶液を用いて、ウェットエッチングして、グレーティング構造を表面に露出させて、グレーティング構造が形成されたシリカを含む回折格子基板(例1:実施例)を製造した。この回折格子基板の構造をSEMを用いて確認した。図2に示した構造が認められた。グレーティングの周期は、約10nmであった。
例2のナノギャップ基板の製造
この回折格子基板に電子線ビーム蒸着を用いて金属を斜め蒸着させて、金属を離間して配置してナノギャップ基板を製造した。その斜め蒸着の配置を図6に示す。斜め蒸着では、山の頂の真上の方向を基準として、グレーティング構造の山の稜線に垂直方向に、ある角度(以下、「蒸着角度」という)の方向から金属を蒸着させることで、グレーティング構造に、金属を離間して配置した。蒸着角度80°において、Tiを3nm堆積させ、続けてAuを15nm堆積させることで、Ti−Au堆積ナノギャップ基板(例2:実施例)を得た。そのSEM像(加速電圧:2.0kV、35万倍)を図7に示す。回折格子基板のグレーティング構造の山の稜線の方向は、図7の縦の方向(短辺に平行方向)であり、その方向に沿って、金属が並んでいることが確認できる。
例2のナノギャップ基板の透過率を測定した。測定結果を図8に示す。シミュレーションでギャップが小さい場合と同様に、波長600nm付近にディップが見られた。目的とするナノギャップの構造が得られていることが確認された。
例3〜5の回折格子基板(実施例)及び例6〜8のナノギャップ基板(実施例)の製造
更に、他の金属を用いて、例1及び2に記載の方法と同様の方法を用いてナノギャップ基板を製造した。例3〜5の回折格子基板(例3〜5:実施例3〜5)のグレーティング構造の周期は、約10nmであった。例2に記載の方法と同様の方法を用いて、例3〜5の回折格子基板に、Cr、Pt及びTiの各々を、15nmずつ堆積させて、ナノギャップ基板(例6〜8:実施例6〜8)を製造した。それらのナノギャップ基板のSEM像を図9〜図11に示す。図9〜図11の順に、例6〜8に対応し、各々Cr、Pt及びTiが配置されている。
回折格子基板のグレーティング構造の山の稜線の方向は、図9及び図11は、その横の方向(長辺に平行方向)であり、図10は、その縦の方向(短辺に平行方向)である。いずれについても、その回折格子基板のグレーティング構造に沿って金属が並んでいることが確認できる。
本発明は、新規な回折格子基板及びナノギャップ基板を提供する。更に、本発明は、そのような新規な回折格子基板及びナノギャップ基板の製造方法を提供する。本発明に係るナノギャップ基板は、プラズモニック基板として好ましく使用することができ、種々のデバイス(材料又は部品)、例えば、LED、光触媒、太陽電池及びセンサーなどに使用することができる。
10 回折格子基板
11 シリカ
L 隣接する山と山の間隔(グレーティング構造の周期)
D 谷の深さ
12 ポア
13 シリカと空気の平均の屈折率を有する媒質
14 空気
15 金属(金)
20 ナノギャップ基板

Claims (6)

  1. 2〜50nmの周期を有するグレーティング構造が形成されたシリカを含む回折格子基板。
  2. 2〜50nmの周期を有するグレーティング構造が形成されたシリカを含む回折格子基板のグレーティング構造に、金属が離間して配置された、ナノギャップ基板。
  3. プラズモニック基板として使用される、請求項2に記載のナノギャップ基板。
  4. 請求項2又は3に記載のナノギャップ基板を含むデバイス。
  5. (i)基材上に、メソポアのポアの軸方向が基材平面と平行方向になるように、メソポーラスシリカを形成すること;及び
    (ii)メソポーラスシリカの表面をエッチングして、シリカの表面にグレーティング構造を形成すること
    を含む、請求項1に記載の回折格子基板の製造方法。
  6. (i)基材上に、メソポアのポアの軸方向が基材平面と平行方向になるように、メソポーラスシリカを形成すること;
    (ii)メソポーラスシリカの表面をエッチングして、シリカの表面にグレーティング構造を形成すること;及び
    (iii)グレーティング構造に、金属を離間して配置すること
    を含む、請求項2又は3に記載のナノギャップ基板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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