JP2016113886A - 免震建物 - Google Patents
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Abstract
Description
巨大ビルを一瞬にして倒壊させる地震力Qは、地震による地動の加速度α0と建物の質量mによりQ=α0m式で算定される。本発明は、地震に強く1000年以上の実績を誇る五重塔に注目し、その要因を次のように考えモデルとした。その要因は地震力に見合った初層の剛性(Kb)と塔全重量(m)のバランスが良い事による。心柱を地盤から切り離して塔の全重量を支える側柱を上層の各柱よりも長くすると同時に、梁を支える接続部の構造も巻斗など匠の技で水平力に対し変形し易くする。このことは、地際部分の剛性Kbを小さくすることにより相対的に固有周期Tbを大きくすることになる。つまり、固い地盤周期Tcに対し建物の固有周期Tbが大きくなることでTcとの共振を避け、地表の揺れから解放されることにつながる。本発明は、この考えをローラとばねに置き換え、実質的には建物を大地から切り離すことで構造的に1質点状にするものである。構造的に多質点の高層建物の揺れを1質点状にすることで解析が明快となる。現在の免震工法が地動による振動特性を反映して制御機器が不可欠となるのに対し、建物の応答加速度αを小さくすることで相対的に重力gの引きつけ力が強くなるg制御に依存するものである。このことは、建物の規模や形状に関係なく地震動と建物振動の問題、即ち震動(ふるえ)と振動(揺れ)の問題となり、建物の質量mとバネの剛性Kcとの関係に帰結する。つまり、地盤の固有周期Tcは建物の固有周期Tbよりも小さいため、地震動が打ち消されて共振することもない。更に、ローラ摩擦係数μは、地動速度V0に逆比例するため建物の地震環境は大きく変貌する。従来の耐震設計が使用材料の許容応力度σを対象に安全確認をするのに対し、本発明では、建物の応答加速度α<100ガルにより家具転倒の危険がないことを目標とするものである。
課題(1)、m/Kbバランスの見極め
本発明は、前述したように地震に強い五重塔の特性である初層の剛性Kbを、ローラ等とばねに置き換えて地震加速度α0を回避させ、安定した揺れでの復元を可能にするものである。このことは、質量mに対するばね力Kcの決定が加速度制御の鍵となることが分かる。即ち、本発明の特徴は、制御機器を使用しないで家具転倒がない揺れと完全な復元の両者を満足させることである。従って、本発明を実現するための第一要素がm/Kcバランスと考え、(表1)に示す様々な建物を対象に、記録地震波によりその実態を確認した。要領は、dtの異なる記録地震波を適用して多様な形状の建物それぞれが、最下層から最上階迄垂直を維持して1質点状の揺れとなるとき、つまり応答が最小となるときのmに対する剛性(実験ばねKcと区別してKbで表す)Kbを確認した前回出願の表1に示す11タイプ分類である(動1)。
大地に固定された建物の地震力Qは、建物の質量mと地盤の加速度α0によりQ=α0・mと算定される。これに対し、本発明において、地震力はローラにより建物が地盤の揺れから解放されてばねにより間接的に伝えられるため、支持地盤ごとの揺れ幅γを対象に次の式で表せる(図4参照)。
γ =dt2α0(cm)……本発明の地震力
この式に適用されるdtは、表4に示す動的解析に適用した地震記録波のうち宮城沖(以下「(宮)」と表記する。)、エルセントロ(以下「(E)」と表記する。)、十勝沖(以下「(十)」と表記する。)による応答がdtの違いで大きく異なることにより発見された。即ち、同じ建物で、同じ加速度を入力したにも拘わらず適用する地震波の違いで応答に大きな違いが出るたことによる。その原因を分析した結果、地震波を構成する地盤速度V0と加速度α0の割合dt=V0/α0の違いで発生することが分かった。ここで、地震による地表の揺れ幅を地震力とする本発明では、dtを地盤種係数と定義し、後述するdtを3分類するなどにより特定した(表5参照)。ここで、α0やV0等の添字がついた記号は地盤を対象にしたものであり、添字のないものは特に断らない限り建物及び建物モデルの応答を表すものである。
TG=4ΣHi/Vsi
ここに TG:地盤の固有周期(s)
Hi:i番目の層厚(m)
Vsi:i番目の平均せん断弾性波速度(m/s)
砂質土:Vs=80N1/3 (m/s) (N≦50)
粘性土:Vs=100N1/3 (m/s) (2≦N≦50)
本発明では、建物質量mがローラにより一旦大地から切り離されるため、地震力γはばねを経由して間接的に建物に伝達されることになる。従って、今までの耐震設計で地震力を静的に置き換えて強度を確認する許容応力度法や、単純に振動台を揺らせて建物の安全を確認する方法では必要とするαの実態は把握できない。時間とともに変化するαの実態解明には、地震力γ=dt2α0式における各要素別の影響を確認することが必要となる。そこで、図2に示す実験装置により地盤モデル8を支える基盤7と建物モデル10の相対的に関係する部分3層により、γやW’及びm/Kcを変化させた実験データを分析することによりdt及びα0を算定する。また、γやm/Kcが変化することでαが変わりdtも変化する。従って、実験データはW、W’、γ別に記録され、波形分析に必要な時間tもそれぞれの算定式により正確に求める必要がある。実験データは目的別に次のように分けて分析することにした。(実1)γ載荷による建物の応答α1とα0の実態究明(表2)と、(実2)強制変位載荷による応答α2と減衰メカニズムの実態(表3)を明確にする。また、減衰の実態究明から、解明された等価剛性Kb’と減衰定数hを導入した(動2)による応答加速度αの究明は取扱上実験関係とは別に、課題6として取り上げて究明するものとする。また、本発明は、ローラの転がりにより建物が衝撃α0から回避され、重力による地軸への引きつけ力により揺れが小さく安定する。このときの建物の応答αは、建物の固有振動数ωと地盤の振動数ω0の関係がω<ω0となり柔構造となる[建築振動学、田治見宏、(株)コロナ社、P4、38、47]ことが分かる。即ち、図2の実験モデルで示すように建物がローラで切り離されることで応答加速度αと変位δは逆位相となり、ニュートンの運動方程式、mα−(CV+Kcδ)=0式で算定することになる(図1参照)。
Tb’=(1.255+3.185K)(1−0.005γ)(α0/800)0.05………γ載荷実験(実1)による固有周期。
α1=(10.726γ−0.16γ2)(0.41/dt’)0.1………γ載荷実験(実1)による応答加速度。
α2=(8.586γ−0.094γ2)(0.204/m/Kc)0.85………強制変位実験(実2)による応答加速度。
ローラの転がり摩擦係数は、実験によりμ=0.007で、載荷による転がり始めの摩擦係数は0.01であった。このことは、クーロンの法則である、“運動摩擦力μkは、最大摩擦力(動き始めようとするときの摩擦力μsよりも小さい(μs>μk))”[工業力学、青木弘、(株)養賢堂、P39]を裏付けるものであった。即ち、この経験法則は、固体に限らず転がり摩擦にも適用できることが前述のμ実験結果で確認された。このことは、地動により建物が動き始める時の摩擦よりも小さい摩擦で復元できることを表しており、本発明の加速度制御においては地震力γにより変位した建物がより復元しやすい環境となることを意味する。このように、復元にとって有利な法則による裏付けと摩擦係数が小さいことは、衝撃を吸収しやすく制御機器を使用しない本発明に有利な展開となり、目標とするα<100ガルの安定した揺れと加速度制御を可能にする必須条件であることが分かる。
本発明におけるばね定数の決定は、ローラ摩擦とバネ力との相関関係を反映させた最小の揺れで完全に復元できることが条件になる。具体的には、動的解析により様々な多質点建物の地震における応答が1質点状になることを前提としたm/Kcバランスと、実験で復元を確認した表3 m/Kc=0.068(W=20kg)〜0.272(W=80kg)の範囲から選択することが前提となる。表3において等価剛性Kb’は、m/Kcの違いで減衰定数hが大きく変わり、本発明の減衰メカニズムがm/Kcの変化に敏感なことが分かる。即ち、m/Kc=0.068に対しm/Kc=0.204では減衰係数Cが約10倍になり、応答加速度αは1/2に減少する。また、建物の絶対変位δ0=0.13γが小さく、固有周期Tbが大きく、安定してゆったりとした揺れとなることから、ばね定数としてm/Kc=0.204を選択し、Kc=5mとした。その他、表3の減衰定数h=0.435〜0.527は、図17の共振曲線グラフから、細長く柔軟なビルなどに発生し易い長周期地震動(Tb=2〜6s α0=0.8〜2.5ガル)に対しても、(本発明のα0回避により)共振に発展することなく安定が確保されることが分かる。また、表3の固有周期Tb=2.29〜2.543sは、図18の応答スペクトルで示されるように、岩盤など一種の硬地盤から、三種の軟弱地盤における応答加速度αは大地震に際しても安定した揺れが確保されることが分かる。
本発明は建物を大地から切り離す特殊工法のため、地震と建物応答の関係は未知の分野となる。従って、(動l)によるm/Kcバランスの追求や、地震力γ単独波による(実1)や(実2)の応答実験だけでは分からない部分について安全性を確認する必要がある。特に、本発明の特徴である加速度制御の実態は、地盤特性の違う記録地震波を選んで前述した(動1)プログラムにより影響を確認する。具体的には、図19に示す記録地震波3種類を適用し、表6に示すm/Kcの違う6タイプにより実態を確認する。即ち、実験では確認できない連続波による当方式の応答の実態を前述の自由振動における等価剛性Kb’、減衰定数h’を適用して実態を確認する。ここで留意したいのは、(動2)における建物の出力変位は、実験で確認した相対変位δに相当するものであって絶対変位δ0=0.13γではないことである。即ち、図19の動的解析(動2)による変位図は、建物の最下層の地盤に対する相対変位を表すもので、この点でプログラムの適用条件は実態と微妙に異なるが、本発明の機能に大きく影響するものではない。つまり、応答は出力δ’をγ=δ’/0.87式により換算したγに対するα’値により評価することになる。従って、dt値も本来はdt=(γ/α’)0.5式により変化する。尚、表6におけるm/Kc=0.204以外のケースについても同じ条件でKb’、h’を算定入力した結果をそのまま掲載するものである。
Tb=(2.144+0.0265γ−0.0002γ2)(m/Kc/0.204)0.5………自由振動による固有周期(実2)。
α’=(6.873γ−0.059γ2)(0.204/m/Kc)0.85……………動的解析による応答加速度(動2)。
(1)本発明の構造特性と算定式
ローラとばねの単純な組み合わせは、様々な建物がm/Kcで統一されることにより規模、形状に関係なく次に示す構造特性と算定式により加速度制御が生成されることが確認される。
構造特性
A、本発明により大地と切り離された建物は、地盤周期Tcと柔らかいバネ力Kcに支えられて建物の周期TbがTc<Tbとなる結果、地震加速度α0から解放されて垂直に近い安定した揺れを維持する(表2、表7参照)。
B、地震による地盤速度V0が大きい時はローラの摩擦係数μが小さくなることで衝撃を回避し、逆にV0が小さい時はμが大きくなることで揺れを制御する。即ち、両者が相対的に変化することで衝撃が吸収されて安定した揺れが確保される(表2参照)。
C、A、Bの減衰メカニズムにより応答加速度αが小さくなることから、水平力αmに対する重力gmによる垂直力の割合が増すことになり、自動制御が可能となる(表3参照)。
D、以上のシステムにより、激しい地震力にも拘わらず硬地盤での建物は家具の転倒しない揺れで復元する(図14、表6、SRC−10、参照)。
算定式
(1)地震力(γ)とγによる応答変位(δ) γ=dt2・α0、 δ=0.87γ
(2)最適ばね定数(Kc)と応答加速度(α) Kc=5m、α’=(6.873γ−0.059γ2)(0.204/m/Kc)0.85
(3)自由振動による固有周期Tb’=(2.144+0.0265γ−0.0002γ2)(m/Kc/0.204)0.5
(4)減衰を伴う円振動数(ω)と等価剛性(Kb’) ω=2π/Tb’ Kb’=ω2m
(5)減衰定数(h)と減衰係数(C) h=h0/n’ C=hCc ここにh0=0.167K+0.833K2 n’=1−0.014γ Cc=2mω
(6)減衰を伴う運動方程式〔数6〕
(動1)により適用範囲m/Kb=0.053〜0.544 表1を実験m/Kcに換算して次のように安全性を確認して決定した。表1の31ケースは、様々な振動特性による建物が大地震時に1質点状の揺れで最低応答となるm/Kbを動的解析により11タイプに分類したものである。しかし、ローラとばねによる実験結果は予想を上回る免震効率でm/Kcを単位として全く新しい環境を実現することが分かった。その実態は、実験で確認された等価剛性Kb’及び減衰定数hを入力した(動2)により表6に示され建物質量mに対するばね力Kcの割合で応答αが制御されることである。具体的には、(SRC−10)(剛)のm/Kc=0.204における応答は、(十)波を除きほぼα=100ガル以内に納まる。これにより、適用範囲をγ<17に限定することで、特別仕様による以外m/Kcバランスの考慮は必要なく、最適ばね定数Kc=5mに特定して適用すればよいことが分かる。つまり、本発明のg制御は、ローラの転がり摩擦係数μとバネ力Kcとの組み合わせ次第で建物の揺れが微妙に変化することで成立することが分かる。Kcが小さいほど安定する傾向と復元力とのバランスを見極めることが重要である。本発明については、共振の有無、地震力γに対する建物の応答α式等の確認実験により安全性が確認された。
地震力γ式は図4の伊東沖地震データにより算定されることから妥当性が分かる。この地震力γ=dt2α0式を適用する場合、dt、V0、α0の3要素それぞれが表4に示す記録地震波を参考に関連式としての妥当性が必要となる。従って、家具転倒のない揺れα<100となるγ=17において次のように検証する。先ず、表4より3要素それぞれの臨界値をdt’=0.21、V0’=175と想定し、これらにより加速度はα0=γ/ dt2 式で算定することができる。次に、dt=0.21(V0/175)式の結果をdt=0.143と想定し、V0を図5のdt:V0のV0=830dt式で求めるとV0’=118.69カインとなる。更に、加速度はα0=γ/dt2=17/0.1432=831.34となることからdt=V0/α0=118.69/831.34=0.143と算定され、想定値に一致することから式の妥当性が確認される。即ち、γ=17における地震力γの3要素式の整合性が検証される。これより、本発明のdt、V0、α0式の臨界値は、表4を参考にdt’=0.21s、V0’=175カインα0’=830ガルと推定する。尚、3要素dt、V0、α0式により、表4のα0=800ガル以上の直下型地震であるノースリッジ、兵庫南部地震を対象に算定すると次に示す結果となり、3要素関連式の妥当性が確認される。
ノースリッジ地震 (表4よりγ=33.37、α0= 825.5、V0=170.3、dt=0.206)
α0=(36.5γ−0.35γ2 )(0.21/dt)n=(36.5×33.37−0.35×33.372 )(0.21/0.206)1.007=844.34
V0=830dt=830×0.206=170.98≒170.98
dt=0.21(V0/175)=0.21(170.98/175)=0.205≒0.206
兵庫南部地震 (表4よりγ=10.35、α0=818.0、V0=92.0、dt=0.113)
α0=(36.5×10.35−0.35×10.352 )(0.21/0.113)1.426=823.44≒818.0
V0=830dt=93.79≒92.0
dt=0.21(V0/170)=0.113=0.113
続いて表4の地震記録による様々なγについてα0式の妥当性も確認する。
一種(宮城沖)γ=1.26、dt=0.07
α0=(36.5×1.26−0.35×1.262 )(0.21/0.07)1.581=258.03・・・・・表4 α0=258.0に近似する。
二種(兵庫南)γ=10.35、dt=0.113
α0=(36.5×10.35−0.35×10.352)(0.21/0.113)1.426=823.18・・・・・表4 α0=818.0に近似する。
三種(ノースリッジ)γ=35.0、dt=0.206
α0=(36.5×35−0.35×352)(0.21/0.206)1.007=865.3・・・・・表4 α0=825.5に近似する。
三種(十勝沖)γ=6.44、dt=0.17
α0=(36.5×6.44−0.35×6.442)(0.21/0.17)1.599=309.07・・・・・表4 α0=224.0に比べ大きい。
以上の結果から、硬地盤ほど誤差は小さく三種地盤で誤差が大きくなり、特に十勝沖波で大きくなることが分かる。このことは、(動2)の十勝沖波の結果を反映するものでdt値の乱れが大きいことを示している。即ち、〔0034〕におけるdtの乱れ要因である、最大加速度による応答加速度よりも大きくなる実効加速度α0’による応答加速度の影響が宮城沖波よりも十勝沖波の方が大きくなることを示している。
応答加速度αの算定は、前述したα2(実2)及びα’(動2)両者ともに対数減衰率を基にした式を適用した結果であるが、α’(動2)の方が約20%小さくなる。この違いは、前述大崎著の実効加速度α0’を考慮した場合の打ち消し効果によるものと解釈できる。つまり、α2、α’共、運動方程式による応答加速度αに近似することから、本発明の減衰メカニズムが統一された加速度制御のシステムであると理解できる。打ち消し効果はdt値の乱れ程度により決まり、1種(宮)波のdt=0.07の応答αが(E)波を大きく上回るのは、dtの乱れつまりα0’によるものであり、図14に示すγの大きさにより応答加速度が決定されることである。そこで、前述したように、dtが特定される場合を除き1〜3種地盤に関係なく、γ=17以下を硬地盤種として適用範囲とする。
(実1)表2 (55609)より α0=528.8 α1=61.87 α/α0=0.117
(実2) α0=697 α2=(8.586×9−0.094×92)(0.204/m/Kc)0.85=69.66 α/α0≒0.1
(動2) α0=800 α’=(6.873×9−0.059×92)(0.204/m/Kc)0.85=57.08 α/α0=0.071
減衰の実態は、本発明が、建物を大地から切り離すことで加速度制御が生成される構想のため重要なポイントとなる。従って、数4によりX(t)=δ1を求め、運動方程式に導入することで妥当性を確認する。
γ=5.747 n=1−0.014γ=0.92 Tb=2.29 t=0.253Tb=0.579 ω=2π/Tb=2.729
Kb’=0.456 Cc=0.334 h’=0.435 C=0.145 α2=46.24 h=0.435より
δ1=X(t)=5/(1−0.4352)0.5e-0.435×2.729×0.579=2.794
V’=δ1/dt’=2.794/0.246=11.358 ここにdt’=(δ1/α)0.5=(2.794/46.24)0.5=0.246
C=hCc=0.145
α=(CV’+Kb’δ1)/m=(0.145×11.358+0.456×2.794)/0.0612=47.73は
α2=46.24に近似する。
(表3)m/Kc=0.204 δ=10cmの場合
γ=11.494 n=1−0.014γ=0.839 Tb=2.422 t=0.253Tb=0.613 ω=2π/Tb=2.579 Kb’=0.407 Cc=0.316 h’=0.477 C=0.151 α2=86.27 h=0.477より
δ1=X(t)=10/(1−0.4772)0.5e-0.477×2.579×0.613=5.347
V’=5.347/0.249=21.474 ここにdt’=(5.347/86.27)0.5=0.249
C=hCc=0.151
α=(0.151×21.474+0.407×5.347)/0.0612=88.54……α2=86.27に近似する。
動的解析の結果による出力 δ=15.09、γ=17.35、α’=101.5
その他表6よりTb=2.543 t=0.643 ω=2.456 Kb’=30.884 Cc=25.145 h=0.528
δ1=X(t)=15.09/(l−0.5282)0.5e-0.528×2.456×0.643=7.714 ここにt=0.253×2.543=0.643
V’=6.699/0.276=27.949 ここにdt=(7.714/101.5)0.5=0.276
C=hCc=13.277
α=(13.277×27.949+30.884×7.714)/5.118=119.05……α’=101.5に近似する。
(表6)SRC−10(十)波の場合(動2)出力δ=30.64 γ=35.22 α’=169.11
その他表6よりTb=2.829 t=0.716 ω=2.208 Kb’=24.96 Cc=22.605 h=0.789
δ・=X(t)=30.65/(l―0.7892)0.5e-0.789×2.208×0.716=14.331 ここにt=0.253×2.829=0.716
V’=14.331/0.291=49.247 ここにdt=(14.331/169.11)0.5=0.291
C=hCc=0.789×22.605=17.835
α=(17.835×49.247+24.96×14.331)/5.118=241.50・・・・・α’=169.11を大幅に上回る。
本発明の適用範囲はγ<17であり、範囲外(十)の場合、t=0.253Tb式の係数0.253を次に示すn”式で算定し適用すれば近似する。t=n”Tb、ここにn”=0.249+0.006C
(表7)(25206)m/Kc=0.06086 δ=6×0.87=5.22cmの場合
γ=6.0 Tb=1.835 t=0.253Tb=0.464 ω=2π/Tb=3.404 Kb’=0.236
Cc=0.139 h=0.086 C=0.012 α1=89.82(転倒棒α=65)より
δ・=X(t)=5.22/(1−0.0862)0.5e-0.086×3.404×0.464=4.575
V’=4.575/0.265=17.264 ここにdt’=(4.575/65.0)0.5=0.265
α=(0.012×17.264+0.236×4.575)/0.0204=63.08・・・・・α2=65.00に近似する。
以上により、m/Kc=0.204のδ=5cm、10cm、15.09cm、30.64cmと、m/Kc=0.068のδ=5.22mを含む5ケースの減衰要素による運動方程式と実験式による応答加速度の算定結果に近似することが確認される。
(A)共振等による安全確認
地震による地動と建物の関係は、地盤種と建物振動特性との組み合わせによって複雑である。しかし、本発明の最適ばねでは、地盤種の硬軟により固有周期Tbが算定され、Kc=5mでは約Tb=2〜3sの周期となる。即ち、図18の応答スペクトルにおけるこの周期での応答は、1〜3種の地盤種に対してαが急激に小さくなる範囲にあることが分かる。このことは、1981年に施行された[新耐震設計法]における振動特性Rtによっても安全が確認される。また、長周期地震動による共振の恐れについても、建物周期と地盤周期が同じとなるTb=Tc載荷による実験で共振に発展しないことを確認した。また、動的解析シミュレーションの結果、図19においてトップの質点変位が最下の質点変位とほとんど一致することが分かる。つまり、地動の影響が建物の上部に影響されないことを示すもので、建物の安定した揺れが確認される。また、実験データや動2でもKc=5mにおける減衰定数は約h=0.4以上となることが確認された(表7参照)。つまり、このhによれば、図17の共振曲線から判断して共振に発展することはないものと推測される。
本発明が建物を大地から切り離すことによる転倒の危険性については、地際部分の自由化によりα0が回避されることでほとんど心配はない。しかし、参考までに、表1の超高層ビル(S−33)により次の要領で転倒の確認をする。即ち、応答加速度αに対する重力gの関係κ’=α/gは、本発明のα<100ガルを前提にκ’=α/g=0.1として次のように検討できる。[行政からみた建築構造設計その1、上野嘉久、建築知識叢書P241]
(S−33)適用データ建物重量W=64395.8t 建物最小幅 L=43m 建物高さ H=126.72m
転倒モーメント M=κ’WH/2=0.1×64395.8×126.72/2=40811.79tm
転倒モーメントによる偏心量はe=M/W=40811.79/64395.8=6.336m<0.5L=0.5×43=21.5となり建物は転倒しない。尚、この結果は、建物高さ方向の重心位置をH/2とした略算的なものではあるが、目安として参考になる。
(動2)における結果は、本発明の当初の構想である、[大地震に際し地盤種(γ)に合った、僅かな自由(δ)を与えることで、建物の揺れは安定し安全を確保できる]を裏付けるものと考える。即ち、支持地盤における様々なdtの乱れ要因を加速度制御による応答で均等化し、応答加速度αを家具転倒のない揺れα<100を可能にした(図14参照)。このことは、(実2)によるγ:α2式の約20%を下回り、これがγの打ち消し効果の実態と想定される。しかし、それだけでは大地震時の建物応答の実態把握が十分とは言えない。地震による想定外の地盤破壊や、東日本大地震で発生した基礎杭の破壊など様々な事態を考え対処する必要がある。本発明の実施に際して最低限留意すべきは次の3点である。
1.地震力γ算定式のdtの特定(関係資料による地盤状況の把握)。
2.基礎水平度の確立(地盤調査に応じた設計、施工、精度保持の対策)。
3.建物重心位置Gの算定と、これに調和する最下層支持柱群の配置(偏心率による影響考慮)。
適用要領
本発明コイルばね設計の具体化は、次の要領で実施される。
[設計条件]
地盤種係数dtの特定:本来は、地盤調査(N値)により硬軟に分類すべきであるが、事例では、ばね設計の変化に注目して一種dt=0.08、二種dt=0.11、三種dt=0.17として算定する。
地震力:各地域の震度により決定するが事例では、最大級の震度7を想定しα0=800(cm/s2)で算定とする。
ばね定数:最適ばね定数Kc=5m(ton/cm)とする。
ここにm=W/g(t・sec2/cm)ここにW:建物全重量、g:重力の加速度。
地震力による建物の応答加速度αの算定は、α’=6.873γ−0.059γ2(cm/s2)式による。
※αが100ガルを超えているかどうかで家具の転倒対策を判断することにする。
コイルばねの巻き数n:n=Gd4/(64Kc/NR3)
ここに G:素線材料のせん断弾性係数(kg/cm2)、d:素線の直径(cm)
NはX又はY方向におけるばね総数、Rはコイルばね平均半径(cm)
コイルばねの長さH:H=2(e+1.2dn)(cm)ただし条件式1.2dn>γにより検討する。
ここにeはばね取付け部の寸法(cm)。
ばね長さがばね伸縮機能に支障なく順応するように配慮し、n、d、及びN決定する。即ち、建物の規模や敷地条件を勘案したばねの配置から、総数Nを決定する。
その1鉄骨鉄筋8階建て(SRC−8)、総重量W=1006.5t
(1)一種地盤dt=0.08
建物の質量 m=W/g=1006.5/980=1.03ts2/cm
ばね定数 Kc=5m=5×1.03=5.14t/cm
地震力(地表の揺れ幅)γ=dt2α0=0.082×800=5.12cm
建物の相対変位 δ=0.87γ=0.87×5.12=4.45cm、
応答加速度 α’=6.873×5.12−0.059×5.122=33.64(cm/s2)
ばねの設計については、総数×N=60本、素線の直径 d=3cm 平均直径(以後外径と呼ぶ)D=30cmとする。
n=G・d4/(64・Kc/N・R3=800000×34/(64×5140/60×153)=3.5巻き
これをみてみると、建物の応答加速度αは33.64ガルとなり、100ガル以下となる。
同様な計算により、
建物の質量 m=W/g=1006.5/980=1.03ts2/cm
ばね定数 Kc=5m=5×1.03=5.14t/cm
地震力 γ=dt2α0=0.112×800=9.68cm
建物の変位 δ=0.87γ=0.87×9.68=8.42cm、
応答加速度 α’=6.873×9.68−0.059×9.682=61.00(cm/s2)
ばねの設計については、総数×N=60本、素線の直径 d=3.2cm 平均直径(外径)D=30cmとする。
n=G・d4/(64・Kc/N・R3=800000×3.24/(64×5140/60×153)=4.53巻き
これをみてみると、建物の応答加速度αは61.00ガルとなり、100ガル以下となる。
建物の質量 m=W/g=1006.5/980=1.03ts2/cm
ばね定数 Kc=5m=5×1.03=5.14t/cm
地震力 γ=dt2α0=0.172×800=23.12cm
建物の変位 δ=0.87γ=0.87×23.12=20.11cm、
応答加速度 α’=6.873×23.12−0.059×23.122=127.37(cm/s2)
ばねの設計については、総数×N=60本、素線の直径 d=3.4cm、平均直径(以後外径と呼ぶ)D=30cmとする。
n=Gd4/(64Kc/N・R3=800000×3.44/(64×5140/60×153)=5.78巻き
これをみてみると、建物の応答加速度αは127.37ガルとなり、100ガル以上となる。
従って、倒れやすい家具には転倒防止を考える。
(1)一種地盤dt=0.08
この場合、ばね定数Kc=0.235となり、地震力と応答は上記その1と同様の各値となる。
Kc=5m=0.235
γ=5.12cm、δ=4.45cm、
α’=(6.873×5.12−0.059×5.122)=33.64<100ガル
ばね総数N=8本、線径d=1.2cm、、外径D=10.02cm、n=7.03巻き
これを見てみると、建物の応答加速度αは震度7のとき33.64ガルとなり、100ガル以下となる。
同様な計算により、
Kc=0.235
α0=800.0ガル
γ=9.68cm、δ=8.42cm
α’=(6.873×9.68−0.059×9.682)=61.00<100ガル
ばね総数N=8本、線径d=1.4cm、、外径D=11.0cm、n=9.78巻き、
これを見てみると、建物の応答加速度αは61.00ガルとなり、100ガル以下となる。
同様な計算により、
Kc=0.235
α0=800.0ガル
γ=23.12cm、δ=20.11cm
α=(6.873×23.12−0.059×23.122)=127.37>100ガル
ばね総数N=8本、線径d=1.6cm、、外径D=12.0cm、n=12.86巻き、
これを見てみると、建物の応答加速度αは127.37ガルとなり、100ガル以上となる。従って倒れやすい家具には転倒防止を考える。
2 ローラ
3 ローラ
4 基礎
5 建物
6 コイルスプリング
7 ローラ
8 模擬地盤
9 ローラ
10 建物モデル
11 コイルばね
12 建物転倒棒
13 地盤転倒棒
14 プリンタ
Claims (5)
- 地盤上に敷設した基盤の上に転動部材を配して建物の基礎を支持すると共に、該建物の周辺に設けられる擁壁と該建物の基礎梁との間に複数のコイルばねを介在させた免震建物において、前記建物の質量mと前記複数のコイルばね全体のばね定数Kcとの比、m/Kcが所定の範囲内にあることを特徴とする免震建物。
- 前記転動部材は、ローラ又は球体であることを特徴とする請求項1に記載の免震建物。
- 前記複数のコイルばねは同じ仕様のN本のコイルばねであって、上面視で互いに直交するX方向及びY方向に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の免震建物。
- 前記コイルばねの巻き数nを次式により算出すること特徴とする請求項3に記載の免震建物。
n=G・d4/(64・Kc/N・R3)(G:素線材料のせん断弾性係数(kg/cm2)、d:素線の直径(cm)、N:X又はY方向のコイルばね総数、R:コイルばねの平均半径(cm)) - 前記転動部材はローラであって、前記m/Kcが0.06以上0.27以下であることを特徴とする請求項1に記載の免震建物。
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CN108105068A (zh) * | 2017-12-21 | 2018-06-01 | 合肥通用制冷设备有限公司 | 一种空调压缩机的抗震减噪装置 |
CN108396873A (zh) * | 2018-04-28 | 2018-08-14 | 佛山科学技术学院 | 一种滚动隔震支座 |
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