JP2016109252A - 配管の吸振機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】移動式クレーンの油圧系の配管に発生するさまざまな周波数の振動に対して、簡単な装置構成で効果的な制振を行う。【解決手段】本発明の配管の吸振機構1は、クレーンに設けられた配管Tに取り付けられて、配管Tの振動を吸収する吸振機構1であって、吸振機構1は、配管Tに設けられたバネ要素と、バネ要素を介して配管に連結された質量部2と、を有しており、質量部2は、配管Tの振動状態に合わせて外部から流体を給排することにより、質量部2の質量が調整可能とされている。【選択図】図1
Description
本発明は、配管の制振技術に関するものであり、特に、移動式クレーンに設けられる配管の振動を抑制する吸振機構に関するものである。
移動式クレーンにおいては、フック装置の駆動やジブやブームなどを起伏させる際に油圧ウインチが用いられている。これらの油圧ウインチに対しては、上部旋回体の内部に配設された油圧系の配管を通じて油圧ポンプから作動油が供給されており、油圧ポンプで発生した脈動が油圧系の配管に伝わって、油圧系の配管が振動することがある。
上述した移動式クレーンの上部旋回体の内部には各種の機器が入っており、これらの機器の間に形成された非常に狭い隙間を縫うように油圧系の配管が配置されていることが多い。このような狭い隙間に配備された油圧系の配管に振動が発生すると、振動した配管が上部旋回体の内部に設けられた機器に接触するなどして、これらの機器に悪影響を及ぼす可能性がある。
上述した移動式クレーンの上部旋回体の内部には各種の機器が入っており、これらの機器の間に形成された非常に狭い隙間を縫うように油圧系の配管が配置されていることが多い。このような狭い隙間に配備された油圧系の配管に振動が発生すると、振動した配管が上部旋回体の内部に設けられた機器に接触するなどして、これらの機器に悪影響を及ぼす可能性がある。
また、油圧系の配管には、金属製のものだけでなく、蛇腹式の配管や樹脂製の配管などのような配管、言い換えれば振動が起きやすい可撓性の配管などが用いられる場合がある。さらに、これらの配管は、取り回しを考えて、あるいは走行、旋回、輸送といったクレーンの動作を考慮して、余裕を持って設置されている場合もあり、油圧ポンプで発生した脈動が大きな配管の振動に繋がる場合も多い。
そのため、移動式クレーンに設けられる油圧系の配管には、この配管の振動を抑制する吸振機構が設けられることが多い。
例えば、特許文献1には、配管に生じる2軸方向および3軸方向の振動に対しても効果的に振動を抑制することができる動吸振装置が開示されている。この動吸振装置は、配管の外周面に取付けて用いられるものであり、配管に対して外から嵌め込み状態で取り付けられる取付部材と、取付部材に一端が接続された板バネと、板バネの他端に接続された質量体とを備えている。
例えば、特許文献1には、配管に生じる2軸方向および3軸方向の振動に対しても効果的に振動を抑制することができる動吸振装置が開示されている。この動吸振装置は、配管の外周面に取付けて用いられるものであり、配管に対して外から嵌め込み状態で取り付けられる取付部材と、取付部材に一端が接続された板バネと、板バネの他端に接続された質量体とを備えている。
この特許文献1の板バネは、配管の軸心に対して垂直な方向に沿った断面が渦巻状になるように板部材を折り曲げて形成されており、配管の周囲を周回しながら配管の外周面から径外側に向かって徐々に離れるように配設されている。また、質量体は、断面がC字状となるように板部材を折り曲げた部材であり、配管に対して外嵌状態で取り付けられるようになっている。特許文献1の動吸振装置では、板バネに樹脂などの弾性部材を用いることで配管で発生する振動を、ある程度広い周波数帯に亘って抑制可能とされている。
また、特許文献2には、高減衰部材と動吸振用付加マス(錘)からなる動吸振器をU時の固定具にて配管に取り付けた配管制振装置が開示されている。この特許文献2の配管制振装置では、高減衰部材の他端に動吸振用付加マスを取り付け、この動吸振用付加マスの取り付け位置や質量、あるいは高減衰部材の形状を変えることにより、制振対象である配管の振動数に合わせた制振を可能としている。
さらに、特許文献3には、制振対象である軸に軸心と平行な方向に伸びるピストンを取り付け、このピストンの周囲を油が充満した油室で囲んだ軸縦振動制振装置が開示されている。この特許文献3の軸縦振動制振装置に設けられる油室はいずれも配管を通じて別のシリンダに連結されており、プランジャを挟んで一方側の油室の油は別のシリンダにおけるプランジャの一方側に、またプランジャを挟んで他方側の油室の油は別のシリンダにおけるプランジャの他方側に配管を通じて繋がっている。つまり、特許文献3の装置は、別のシリンダ中でピストンが動く際の抵抗を錘などを用いて大きくすることで、軸縦振動制振装置が取り付けられた軸の制振を行うことが可能となっている。
一方、上述した特許文献1〜特許文献3の装置は、いずれも予め設計で定められた周波数の振動に対してのみ制振が可能なパッシブ方式を採用したものであるが、特許文献4の装置のようなアクティブ方式を採用することも可能である。このアクティブ方式は、実際の振動の状況をセンサなどを用いて検出し、検出された振動の状況に応じて制振を行う構成となっている。このアクティブ方式は、パッシブ方式に比べて、さまざまな周波数の振動に対応できる点で利点がある。具体的には、この特許文献4の動吸振装置では、制振対象である配管などの振動を測定し、その結果を用いて、バネ機能と減衰機能を担うアクチュエータを動作させ、バネ定数や減衰定数を変化させて制振を行う構成となっている。
ところで、上述したように配管に発生する振動は、油圧ポンプの脈動が起因の場合には、油圧ポンプの流量や回転数などによって脈動周波数が変化し、その脈動周波数に応じて変化する。これに対して、パッシブ方式を採用する特許文献1〜特許文献3の動吸振装置では、原則として予め設計された周波数以外の振動に対しては十分な制振が期待できないことが多く、上述するように周波数が異なる振動に対しては十分な制振が行えない可能性が高い。
また、アクティブ方式を採用する特許文献4の動吸振装置では、広い周波数帯の振動に対応できる反面、可動部分が多くなって装置構成が複雑となったりする問題がある。また、移動式クレーンの場合には輸送のためにトレーラで搬送することがあるが、これには積載重量に制限があるため、できるだけ軽量化する必要があるが、従来技術では装置が大がかりになったりすることで重量が増加するという問題があり、移動式クレーンの配管の振動を抑制する目的には適していない。
本発明は、上述した問題点に鑑みて為されたものであり、移動式クレーンの配管に発生するさまざまな周波数の振動に対して、簡単な装置構成でありながら、効果的な制振を行うことができる配管の吸振機構を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明の配管の吸振機構は以下の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明のかかる配管の吸振機構は、クレーンに設けられた配管に取り付けられて、当該配管の振動を吸収する吸振機構であって、前記吸振機構は、前記配管に設けられたバネ要素と、前記バネ要素を介して前記配管に連結された質量部と、を有しており、前記質量部は、前記配管の振動状態に合わせて外部から流体を給排することにより、当該質量部の質量が調整可能とされていることを特徴とする。
すなわち、本発明のかかる配管の吸振機構は、クレーンに設けられた配管に取り付けられて、当該配管の振動を吸収する吸振機構であって、前記吸振機構は、前記配管に設けられたバネ要素と、前記バネ要素を介して前記配管に連結された質量部と、を有しており、前記質量部は、前記配管の振動状態に合わせて外部から流体を給排することにより、当該質量部の質量が調整可能とされていることを特徴とする。
なお、前記質量部に対して給排される流体に、前記配管を流れる作動流体が使用されているとよい。
なお、前記配管が前記クレーンの油圧配管であり、前記作動流体が、前記配管を流れる作動油であるとよい。
なお、前記油圧配管から前記作動油を取り出して、前記質量部に導入する油導入系の配管を備えているとよい。
なお、前記配管が前記クレーンの油圧配管であり、前記作動流体が、前記配管を流れる作動油であるとよい。
なお、前記油圧配管から前記作動油を取り出して、前記質量部に導入する油導入系の配管を備えているとよい。
なお、前記質量部から作動油を取り出す油回収系の配管を備えており、前記油回収系の配管を通じて回収された作動油を、前記油圧系の配管を流通する作動油を貯留する作動油タンクに返送可能に構成されているとよい。
なお、前記配管には、当該配管で発生する振動を検知する振動検出センサが設けられているとよい。
なお、前記配管には、当該配管で発生する振動を検知する振動検出センサが設けられているとよい。
本発明の配管の吸振機構によれば、移動式クレーンの配管に発生するさまざまな周波数の振動に対して、簡単な装置構成でありながら、効果的な制振を行うことができる。
本発明にかかる配管の吸振機構1は、移動式クレーンの配管に取り付けられて、この配管の振動を抑制するものである。この移動式クレーンには、LBCC(ラチスブームクローラクレーン)のようなクローラークレーンの他、トラッククレーン、ホイールクレーン、ラフテレーンクレーンなどのように地上や水上を移動可能なクレーンが含まれる。
また、吸振対象の配管には、移動式クレーンに設けられた油圧系の配管Tが挙げられる他、冷却水などの配管を吸振対象としても良い。なお、以降の実施形態では、油圧系の配管Tを吸振対象とするものを挙げて、本発明の吸振機構1を説明する。
また、吸振対象の配管には、移動式クレーンに設けられた油圧系の配管Tが挙げられる他、冷却水などの配管を吸振対象としても良い。なお、以降の実施形態では、油圧系の配管Tを吸振対象とするものを挙げて、本発明の吸振機構1を説明する。
例えば、路面や地面などを走行する移動式クレーンの場合であれば、上述した移動式クレーンは、図示は省略するが、地面を走行可能とされた下部走行体と、この下部走行体に対して旋回自在とされた上部旋回体とを備えている。下部走行体には走行に必要な車輪やクローラが設けられ、上部走行体にはこれらの車輪やクローラを駆動させるエンジンが設けられている。また、上部旋回体には、フック装置やバケットを吊り下げるブームと、このブームの操作ユニットが配備された運転室(キャブ)とが設けられている。
なお、本実施形態ではエンジンは上部旋回体に設けられた例を説明するが、ホイールクレーンやラフテレーンクレーンなどのようにエンジンが下部旋回体に設けられるものも、本発明の吸振機構1には含まれる。
ところで、上述した上部旋回体には、ブームを起伏させる油圧ウインチと、この油圧ウインチに作動油を供給する油圧ポンプと、油圧ポンプから油圧ウインチに対しては作動油(圧油)を送る油圧系の配管Tとが設けられている。
ところで、上述した上部旋回体には、ブームを起伏させる油圧ウインチと、この油圧ウインチに作動油を供給する油圧ポンプと、油圧ポンプから油圧ウインチに対しては作動油(圧油)を送る油圧系の配管Tとが設けられている。
このような作動油の配管Tには、金属製のものだけでなく、蛇腹式の配管や樹脂製の配管などのような配管、言い換えれば振動が起きやすい可撓性の配管などが用いられる場合がある。さらに、これらの配管Tは、取り回しを考えて、あるいは走行、旋回、輸送といったクレーンの動作を考慮して、余裕を持って設置されている場合もあり、容易に振動が加わる構成となっている。
それゆえ、油圧ポンプの脈動が配管Tに伝わっただけで、配管Tが振動することは十分に起こり得る。また、油圧ポンプが動いて油圧系の配管T中で作動油が流れ始めたり、油圧ポンプが止まって作動油の流れが急に止まったりするといったショックが配管Tに加えられた場合にも、配管Tに振動が発生することは考えられる。
このような配管Tの振動が大きくなりすぎると、上部旋回体の内部には各種の機器が入っており、これらの機器の間に形成された非常に狭い隙間を縫うように油圧系の配管が配置されていることから、配管Tが損傷して作動油が漏れ出す原因となったり、振れ動く配管Tがクレーン操作の邪魔になったりする可能性がある。
このような配管Tの振動が大きくなりすぎると、上部旋回体の内部には各種の機器が入っており、これらの機器の間に形成された非常に狭い隙間を縫うように油圧系の配管が配置されていることから、配管Tが損傷して作動油が漏れ出す原因となったり、振れ動く配管Tがクレーン操作の邪魔になったりする可能性がある。
そのため、本発明では、クレーンに設けられた油圧系の配管Tに取り付けられて、当該配管Tの振動を吸収する吸振機構1を設けている。
この吸振機構は、配管Tに設けられたバネ要素3と、このバネ要素3を介して配管Tに取り付けられた質量部2と、を有しており、この質量部2に対して配管Tの固有振動数に合わせて外部から流体を給排して質量部2の質量を調整することにより、制振を行っている。このような吸振機構1であれば、配管Tに発生する振動の周波数が大きく変化する場合にも、十分に振動を抑制することができる。
この吸振機構は、配管Tに設けられたバネ要素3と、このバネ要素3を介して配管Tに取り付けられた質量部2と、を有しており、この質量部2に対して配管Tの固有振動数に合わせて外部から流体を給排して質量部2の質量を調整することにより、制振を行っている。このような吸振機構1であれば、配管Tに発生する振動の周波数が大きく変化する場合にも、十分に振動を抑制することができる。
具体的には、図1に示すように、本発明の吸振機構1には、制振対象の配管Tを流れる作動油の一部を質量部2に導入する導入配管4(油導入系の配管)が設けられている。導入配管4の中途部には、この導入配管4を流れる作動油を作動油タンク5側に送る切替弁6が設けられている。そして、この切替弁6より先の作動油タンク5側に伸びる配管は、作動油を作動油タンク5に返送する返送配管7(油回収系の配管)となっている。
また、制振対象である配管Tには、配管Tの振動を検出している振動検出センサ8が取り付けられており、この振動検出センサ8で検知された振動に基づいて上述した切替弁6の開閉を制御する制御部9が、本発明の吸振機構1には設けられている。
次に、本発明の吸振機構1を構成する質量部2、バネ要素3、導入配管4、切替弁6、返送配管7、振動検出センサ8、及び制御部9について説明する。
次に、本発明の吸振機構1を構成する質量部2、バネ要素3、導入配管4、切替弁6、返送配管7、振動検出センサ8、及び制御部9について説明する。
バネ要素3は、振動抑制のための質量部2を配管Tに対して取り付けるために用いる部材である。このバネ要素3の一端側の端部は質量部2に繋がっており、また他端側の端部は配管Tに外嵌する筒状の取付部材10に繋がっている。さらに、バネ要素3は、配管Tの振動のエネルギを質量部2に伝達可能なように弾性変形可能な材料から形成されている。このような弾性変形可能な材料としては、ゴムやエラストマなどのような樹脂、あるいはアルミや鋼のような金属が用いられる。
なお、上述したバネ要素3は、図例のように取付部材10から径外側に向かって径方向に伸びる板状に形成されていても良いし、取付部材10から径外側に向かって配管Tの周囲を巻回しながら遠ざかるような断面螺旋状に形成されていても良い。
質量部2は、油圧系の配管Tから作動油を供給して質量を増加させることができると共に、質量部2に蓄えられていた作動油の一部を油圧系の配管Tに戻すまたは別のラインから作動油タンク5に戻すことで質量を減らすことができるものである。この質量部2は、上述したバネ要素3の他端側の端部に取り付けられており、作動油の給排を行うことで質量の調整が可能とされている。具体的には、質量部2の内部には、配管Tを流れる作動油を導入するための作動油導入手段11が設けられており、この作動油導入手段11には上述した導入配管4が連結していて、油圧系の配管Tを流れる作動油を供給可能とされている。
質量部2は、油圧系の配管Tから作動油を供給して質量を増加させることができると共に、質量部2に蓄えられていた作動油の一部を油圧系の配管Tに戻すまたは別のラインから作動油タンク5に戻すことで質量を減らすことができるものである。この質量部2は、上述したバネ要素3の他端側の端部に取り付けられており、作動油の給排を行うことで質量の調整が可能とされている。具体的には、質量部2の内部には、配管Tを流れる作動油を導入するための作動油導入手段11が設けられており、この作動油導入手段11には上述した導入配管4が連結していて、油圧系の配管Tを流れる作動油を供給可能とされている。
このような質量部2としては、以下に例示するシリンダとプランジャ(またはロッド)とを備えたものの他、単なるタンク状、アキュムレータ状のものを使用することができる。
図2に示すように、作動油導入手段11は、長尺円筒形状のシリンダ12と、シリンダ12の内部に配備されると共にシリンダ12内で長手方向に沿って移動可能とされたプランジャ13と、を有している。
図2に示すように、作動油導入手段11は、長尺円筒形状のシリンダ12と、シリンダ12の内部に配備されると共にシリンダ12内で長手方向に沿って移動可能とされたプランジャ13と、を有している。
このシリンダ12は、長手方向の一端側と他端側の端部がいずれも開口したような形状となっている。これらの両端側の開口のうち、シリンダ12の一端側の開口には、後述する導入配管4(返送配管7の一部も兼ねる)が接続されており、シリンダ12に対して作動油を供給・排出可能となっている。また、シリンダ12の他端側の開口からは、プランジャ13が挿入されている。
このプランジャ13は、シリンダ12内に挿入される方向へバネなどの付勢手段で付勢されている(アキュムレータ機能)。作動油導入手段11では、導入配管4を通じて作動油(圧油)がシリンダ12に達し、プランジャ13の付勢力に抗してシリンダ12内に導入されると質量部2の質量が増加する。作動油の圧力が高くない場合は、ポンプなどにより加圧した上で、導入配管4へ供給するとよい。また、返送配管7が連通状態になると、シリンジ12内の作動油が切替弁6側に圧送され質量部2の質量が減少する。
なお、プランジャ13にアクチュエータ14を取り付け、このアクチュエータ14を制御することで、シリンダ12内の作動油の量、言い換えれば、質量部2の質量を調整してもよい。
質量部2にタンク状のものを用いる場合は、後述する切替弁6を切り替えて、ポンプ又は重力等によりタンクへ作動油を供給して質量部2の質量を増し、ポンプ又は重力等によりタンクに蓄えられた作動油を返送配管7から返送すれば、質量部2の質量を減らすことができる。
質量部2にタンク状のものを用いる場合は、後述する切替弁6を切り替えて、ポンプ又は重力等によりタンクへ作動油を供給して質量部2の質量を増し、ポンプ又は重力等によりタンクに蓄えられた作動油を返送配管7から返送すれば、質量部2の質量を減らすことができる。
上述した導入配管4は、油圧系の配管Tの振動が伝播することを防ぐようにフレキシブルな材料で形成されていて、油圧系の配管Tを流通する作動油を後述する切替弁6を介して質量部2に導入するために用いられる。導入配管4の長手方向の一端は油圧系の配管Tに接続しており、また長手方向の他端は上述した質量部2の作動油導入手段11に接続さ
れている。また、導入配管4の長手方向の中途側には切替弁6が設けられており、この切替弁6には上述した返送配管7の一端が接続されている。
れている。また、導入配管4の長手方向の中途側には切替弁6が設けられており、この切替弁6には上述した返送配管7の一端が接続されている。
返送配管7は、上述した切替弁6と作動油タンク5との間に設けられたチューブであり、質量部2の作動油導入手段11で使用された作動油を作動油タンク5に返送する際に用いられる。返送配管7の長手方向の一端は切替弁6に接続されており、また長手方向の他端は作動油タンク5に接続されていて、切替弁6を切り替えることで作動油を作動油タンク5に返送可能となっている。
作動油タンク5は、移動式クレーンの各油圧シリンダに供給される作動油を貯留しているタンクであり、上述した返送配管7を通じて返送されてきた作動油も貯留できるようになっている。
図3A〜図3Cに示すように、切替弁6は、導入配管4を通じて油圧系の配管Tから送られてきた作動油を、質量部2側と作動油タンク5側とに切り替えて送ることができる電磁弁である。切替弁6の一方側にはバネ(図示略)が設けられていて、弁部材がバネにより付勢されている。また、弁部材の他方側には電磁石が設けられており、この電磁石に磁気力を発生させることで、弁部材が3つの接続に切り替えられる構成となっている。この3つの接続には、油圧系の配管Tから送られてきた作動油を質量部2側に向かって流す接続と、質量部2内の作動油を作動油タンク5側に向かって流す接続と、作動油を質量部2側にも作動油タンク5側にも流さないようにする接続とがある。
図3A〜図3Cに示すように、切替弁6は、導入配管4を通じて油圧系の配管Tから送られてきた作動油を、質量部2側と作動油タンク5側とに切り替えて送ることができる電磁弁である。切替弁6の一方側にはバネ(図示略)が設けられていて、弁部材がバネにより付勢されている。また、弁部材の他方側には電磁石が設けられており、この電磁石に磁気力を発生させることで、弁部材が3つの接続に切り替えられる構成となっている。この3つの接続には、油圧系の配管Tから送られてきた作動油を質量部2側に向かって流す接続と、質量部2内の作動油を作動油タンク5側に向かって流す接続と、作動油を質量部2側にも作動油タンク5側にも流さないようにする接続とがある。
具体的には、図3Aに示すように切替弁6を切り替えた際には、切替弁6の上流側の配管(油圧系の配管T)、切替弁6の下流側の配管(導入配管4)、返送配管7のすべて非連通状態となる。そのため、油圧系の配管Tから送られてきた作動油を質量部2側に向かって流すことはない。
図3Bに示すように切替弁6を切り替えた際には、切替弁6の上流側の配管(油圧系の配管T)と、下流側の配管(導入配管4)とが連通する。その一方で、返送配管7と導入配管4との接続が遮断される。そのため、油圧系の配管Tから送られてきた作動油を導入配管4を通じて質量部2側に向かって流すことが可能となる。
図3Bに示すように切替弁6を切り替えた際には、切替弁6の上流側の配管(油圧系の配管T)と、下流側の配管(導入配管4)とが連通する。その一方で、返送配管7と導入配管4との接続が遮断される。そのため、油圧系の配管Tから送られてきた作動油を導入配管4を通じて質量部2側に向かって流すことが可能となる。
また、図3Cに示すように切替弁6を切り替えた際には、切替弁6の上流側の配管(油圧系の配管T)と、下流側の配管(導入配管4)とは非連通となる。その代わりに、返送配管7と導入配管4とが連通状態となる。そのため、導入配管4を通じて油圧系の配管Tから送られてきた作動油を作動油タンク5側に向かって流すことが可能となる。
さらに、本発明の吸振機構1は、振動検出センサ8を有している。この振動検出センサ8は、油圧系の配管Tに取り付けられて、この配管Tで発生する振動を検出するものである。この振動検出センサ8には、圧電素子型や静電容量型などの各種の加速度センサ、速度センサ、変位センサ等を使用することができる。この振動検出センサ8で検出された配管Tの振動は制御部9に送られる。
さらに、本発明の吸振機構1は、振動検出センサ8を有している。この振動検出センサ8は、油圧系の配管Tに取り付けられて、この配管Tで発生する振動を検出するものである。この振動検出センサ8には、圧電素子型や静電容量型などの各種の加速度センサ、速度センサ、変位センサ等を使用することができる。この振動検出センサ8で検出された配管Tの振動は制御部9に送られる。
制御部9は、上述した振動検出センサ8で検出された配管Tの振動状態に基づいて、切替弁6に指令を送って切替弁6を切り替えている。具体的には、制御部9は、パソコンやPLCなどであり、振動検出センサ8で検出された振動の波形から振動の周波数を分析する手段、例えば周波数分析機などを別途備えていて、振動の分析結果に基づいて、切替弁6やプランジャ13に設けられたアクチュエータ14に対して指令を出力している。この制御部9では、以下に示すような手順で制御信号の出力が行われている。
次に、制御部9内での信号処理の手順、言い換えれば本発明の吸振機構1を用いた制振方法について説明する。
まず、振動検出センサ8で配管Tの振動を検出する。そして、振動検出センサ8で検出された振動の計測データが制御部9に送られる。制御部9では、検出された配管Tの振動の計測データが吸振機構1の固有振動数に比して大きく異なっている場合に、切替弁6に信号を送って切替弁6を作動させる。例えば、検出された振動の計測データが吸振機構1の固有振動数に比して小さい場合には、切替弁6の接続を図3Aに示すようなものから、図3Bに示すようなものへ切り替える。そうすると、油圧系のT配管から送られてきた作動油(圧油)が、導入配管4を通じて質量部2側に向かって流れだす。この際、作動油の
圧力は、ポンプなどによる加圧作用もあり、プランジャ13を付勢する付勢力より高いものとなっている。そのため、導入配管4を通じて作動油がシリンダ12内に導入され、質量部2の質量が増加すると、質量部2の質量が増した分だけ吸振機構1の固有振動数が大きくなり、吸振機構1の固有振動数が配管Tの振動の固有振動数と合致するようになる。その結果、吸振機構1が配管Tに代わって振動することで配管Tの振動が抑制される。
まず、振動検出センサ8で配管Tの振動を検出する。そして、振動検出センサ8で検出された振動の計測データが制御部9に送られる。制御部9では、検出された配管Tの振動の計測データが吸振機構1の固有振動数に比して大きく異なっている場合に、切替弁6に信号を送って切替弁6を作動させる。例えば、検出された振動の計測データが吸振機構1の固有振動数に比して小さい場合には、切替弁6の接続を図3Aに示すようなものから、図3Bに示すようなものへ切り替える。そうすると、油圧系のT配管から送られてきた作動油(圧油)が、導入配管4を通じて質量部2側に向かって流れだす。この際、作動油の
圧力は、ポンプなどによる加圧作用もあり、プランジャ13を付勢する付勢力より高いものとなっている。そのため、導入配管4を通じて作動油がシリンダ12内に導入され、質量部2の質量が増加すると、質量部2の質量が増した分だけ吸振機構1の固有振動数が大きくなり、吸振機構1の固有振動数が配管Tの振動の固有振動数と合致するようになる。その結果、吸振機構1が配管Tに代わって振動することで配管Tの振動が抑制される。
このようにして配管Tの振動が抑制されたら、切替弁6に信号を送って、切替弁6の接続を図3Bに示すようなものから、図3Aに示すようなものへ移行させる。そうすると配管Tの振動を抑制し続けることが可能となる。
なお、上述した制御は、質量部2の質量を増加させて配管Tの振動を抑制する場合であったが、質量部2の質量を少なくして配管Tの振動を抑制することもできる。例えば、検出された振動の計測データが吸振機構1の固有振動数に比して大きい振動数の場合には、切替弁6の接続を図3A又は図3Bに示すようなものから、図3Cに示すようなものへ切り替える。そうすると、質量部2内の作動油が、導入配管4及び返送配管7を通じて作動油タンク5に向かって流れだす。この際、作動油は、プランジャ13を付勢する付勢力により、作動油タンク5側へ確実に圧送される(アキュムレータ機能)。この結果、質量部2の質量が減少し、質量部2の質量が減った分だけ吸振機構1の固有振動数が変化し、配管Tの振動数と吸振機構1の固有振動数とが合致し、配管の代わりに吸振機構1が振動するので、配管振動が抑えられる。
なお、上述した制御は、質量部2の質量を増加させて配管Tの振動を抑制する場合であったが、質量部2の質量を少なくして配管Tの振動を抑制することもできる。例えば、検出された振動の計測データが吸振機構1の固有振動数に比して大きい振動数の場合には、切替弁6の接続を図3A又は図3Bに示すようなものから、図3Cに示すようなものへ切り替える。そうすると、質量部2内の作動油が、導入配管4及び返送配管7を通じて作動油タンク5に向かって流れだす。この際、作動油は、プランジャ13を付勢する付勢力により、作動油タンク5側へ確実に圧送される(アキュムレータ機能)。この結果、質量部2の質量が減少し、質量部2の質量が減った分だけ吸振機構1の固有振動数が変化し、配管Tの振動数と吸振機構1の固有振動数とが合致し、配管の代わりに吸振機構1が振動するので、配管振動が抑えられる。
上述した吸振機構1を用いた制振方法であれば、どのような周波数の振動に対しても対応ができ、幅広い周波数範囲の振動に対して効果的な振動抑制が可能となる。
ところで、上述した吸振機構1の固有振動数は、以下の式(1)に従って与えられる。
ところで、上述した吸振機構1の固有振動数は、以下の式(1)に従って与えられる。
なお、上述した式(1)中のf0は吸振機構1の固有周波数(吸振機構1の固有振動数を2πで除したもの)、kはバネ要素3のバネ定数、Mは質量部2の質量を示している。
つまり、上述した式(1)からも明らかなように、何らかの手段で質量部2の質量を変更すれば、吸振機構1の固有周波数f0を配管Tの振動の周波数(振動数)に近づけることができる。そうすれば、吸振機構1が配管Tに代わって振動させることが可能となり、配管Tの振動を抑制することが可能となる。
つまり、上述した式(1)からも明らかなように、何らかの手段で質量部2の質量を変更すれば、吸振機構1の固有周波数f0を配管Tの振動の周波数(振動数)に近づけることができる。そうすれば、吸振機構1が配管Tに代わって振動させることが可能となり、配管Tの振動を抑制することが可能となる。
質量部2に設けられた作動油導入手段11が、アクチュエータ14付きのプランジャ13を有する場合、アクチュエータ14を動作させプランジャ13を動かすことで、作動油の入る部分を大きくしたり小さくしたりして、質量部2の質量を変えることが可能となる。その場合、振動検出センサ8が検出した周波数と式(1)とを基に、質量部2の増減量を計算し、その増減量に対応する作動油の量が供給できるように、アクチュエータ14によってプランジャ13を移動させ、作動油を吸引・排出することで吸振制御を行うことができる。
以上述べた本発明の吸振機構1は、振動抑制の対象である油圧系の配管Tを通る作動油を用いるため、既存の設備を有効的に用いることも可能となる。また、移動式クレーンに初めから備えられている作動油を用いているため、重量を必要以上に増やすことはなく、移動式クレーンを輸送する場合の問題も少ない。さらに、振動検出センサ8と電磁弁(切替弁6)、アクチュエータ14などの比較的安価な部材で構成されているので、装置構成が複雑にならず、簡単に作製することができ、制振機構1としても安価なものとなる。その一方で、質量部2の質量を細かく変えることで、振動を小刻みに精度良く調整することが可能となる。
また、通常振動する側の質量などが変化すれば振動の状況も変化するものであるが、配管Tという特殊性で配管Tから流体を抜いたところで、常に必要な量だけ作動油が配管T内に供給されることから振動の状況は変わらない。従って、本発明の吸振機構1において
は、このための対策(例えば複雑な補正計算など)は不要となる。
なお、今回開示された各実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された各実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
は、このための対策(例えば複雑な補正計算など)は不要となる。
なお、今回開示された各実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された各実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
なお、上述した実施形態では切替弁6を用いた吸振機構1を挙げたが、切替弁6を設けないこともできる。切替弁6を設けない場合は、質量部2の振動が導入配管4を通じて油圧系の配管Tに伝達する可能性もあるので、切替弁6はある方が好ましい。しかし、油圧系の配管Tから質量部2までの導入配管4に逆止弁を設けると共に、質量部2に返送配管7を設けても良い。このようにすれば逆止弁から油圧系の配管Tに作動油が戻ることがなく、質量部2の作動油は返送配管7を通じて排出されるので、切替弁6を用いた場合と同様な作動油の給排を実現することが可能となる。
また、上述した実施形態では返送配管7から返送された作動油を作動油タンク5に戻す例を挙げたが、返送配管7からの作動油を作動油タンク5に戻さず、そのまま排出する構成としても良い。
さらに、上述した実施形態では油圧系の配管を流れる作動油を用いて、油圧系の配管の振動を抑制する例を挙げたが、本発明の吸振機構1は、冷却水のように移動式クレーンに設けられる作動油以外の流体(作動流体)を用いて、振動を抑制するものであっても良い。また、作動油は配管を流れる作動流体を用いるのが最も好ましいが、配管とは別に作動流体をタンクなどに蓄えておき、このタンクの作動流体を吸振の目的のみに使用しても差し支えない。
さらに、上述した実施形態では油圧系の配管を流れる作動油を用いて、油圧系の配管の振動を抑制する例を挙げたが、本発明の吸振機構1は、冷却水のように移動式クレーンに設けられる作動油以外の流体(作動流体)を用いて、振動を抑制するものであっても良い。また、作動油は配管を流れる作動流体を用いるのが最も好ましいが、配管とは別に作動流体をタンクなどに蓄えておき、このタンクの作動流体を吸振の目的のみに使用しても差し支えない。
1 吸振機構
2 質量部
3 バネ要素
4 導入配管
5 作動油タンク
6 切替弁
7 返送配管
8 振動検出センサ
9 制御部
10 取付部材
11 作動油導入手段
12 シリンダ
13 プランジャ
14 アクチュエータ
T 油圧系の配管
2 質量部
3 バネ要素
4 導入配管
5 作動油タンク
6 切替弁
7 返送配管
8 振動検出センサ
9 制御部
10 取付部材
11 作動油導入手段
12 シリンダ
13 プランジャ
14 アクチュエータ
T 油圧系の配管
Claims (6)
- クレーンに設けられた配管に取り付けられて、当該配管の振動を吸収する吸振機構であって、
前記吸振機構は、前記配管に設けられたバネ要素と、前記バネ要素を介して前記配管に連結された質量部と、を有しており、
前記質量部は、前記配管の振動状態に合わせて外部から流体を給排することにより、当該質量部の質量が調整可能とされていることを特徴とする配管の吸振機構。 - 前記質量部に対して給排される流体に、前記配管を流れる作動流体が使用されていることを特徴とする請求項1に記載の配管の吸振機構。
- 前記配管が前記クレーンの油圧配管であり、
前記作動流体が、前記配管を流れる作動油であることを特徴とする請求項2に記載の配管の吸振機構。 - 前記油圧配管から前記作動油を取り出して、前記質量部に導入する油導入系の配管を備えていることを特徴とする請求項3に記載の配管の吸振機構。
- 前記質量部から作動油を取り出す油回収系の配管を備えており、
前記油回収系の配管を通じて回収された作動油を、前記油圧系の配管を流通する作動油を貯留する作動油タンクに返送可能に構成されていることを特徴とする請求項3または4に記載の配管の吸振機構。 - 前記配管には、当該配管で発生する振動を検知する振動検出センサが設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の配管の吸振機構。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014249045A JP2016109252A (ja) | 2014-12-09 | 2014-12-09 | 配管の吸振機構 |
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JP (1) | JP2016109252A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106705273A (zh) * | 2016-12-28 | 2017-05-24 | 珠海格力电器股份有限公司 | 管道减振装置和空调设备 |
DE102017111783A1 (de) | 2016-05-31 | 2017-11-30 | Nichia Corporation | Lichtemissionsvorrichtung |
KR20220072911A (ko) * | 2020-11-25 | 2022-06-03 | 산동금속공업(주) | 선박의 극저온 밸브 자동 제어 시스템 |
-
2014
- 2014-12-09 JP JP2014249045A patent/JP2016109252A/ja active Pending
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KR102452882B1 (ko) * | 2020-11-25 | 2022-10-13 | 산동금속공업(주) | 선박의 극저온 밸브 자동 제어 시스템 |
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---|---|---|---|
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